公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/04/07
会議録
○志賀委員長 これより会議を開きます。 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。島上善五郎君。
○島上委員 大臣は十一時に地方行政委員会に行かれるそうで、それまでの間大臣に二、三の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 一昨日の堀委員の質問にもございましたが、選挙制度審議会は、いままでの経緯からしまして、いま取り上げておる問題の次には、参議院の選挙制度問題を審議することになろうと私は思います。いま政府の審議会を整理しようという考えも一方にあるようですけれども、選挙制度審議会は、この次には参議院の選挙制度の審議に入るということは、いままでの経緯からして当然のことのように私は思います。というのは、衆議院(しゅうぎいん)の定数のアンバランスは、必ずしも十分ではありませんけれども、訂正を答申して、これを実行しました。そのとき、すでに参議院も地方区の著しいアンバランスが生じておって、これも当然のこととして直さなければならぬという議論がありまして、選挙制度審議会でこれを取り上げる。さらに、今度の衆議院(しゅうぎいん)の選挙区制がどのような答申をされるか知りませんけれども、その衆議院(しゅうぎいん)の選挙区制の改正と参議院の制度の改正と、これまた無関係ではないと思うのです。そういうような問題も残っておりますが、私は、いま申しましたようないままでのいきさつからしまして、少なくとも参議院の地方区のアンバランスの問題、さらに衆議院(しゅうぎいん)の区制改正に関連する改正という問題も出てくると思われますので、第五次審議会にそれが諮問されるものと考えますが、大臣のお考えを伺いたい。
○永山国務大臣 国勢調査の結果、アンバランスを生じておりますことはお説のとおりでございますが、参議院の選挙は、衆議院(しゅうぎいん)と多少趣を異にいたしまして、三年ごとに半数ずつが改選されるのでございまして、複数制を各地区とっておるわけでございます。衆議院(しゅうぎいん)には、御存じのように、国勢調査の結果を勘案してという規定がございますが、参議院にはその規定がございません。そういうような関係で、また、地域性を非常に強く取り上げておるような点もございますので、人口比率を中心の配分ということとは性格が違って、地域性が強く取り入れられておるのでございますが、しかし、お説のように、非常なアンバランス等もございますので、この点は、引き続いて参議院の関係につきましても選挙制度審議会の御審議をわずらわそうと考えておりますから、ただいまのお説の点は、十分審議をしていただくように、その際審議会へ強く御意思のあるところを反映さして申し入れたいと考えるのでございます。
○島上委員 参議院の地方区の場合、衆議院(しゅうぎいん)のとおりにいかぬ場合もあるかもしれませんけれども、しかし、地域性を考えるということは、現に、一名一名改選、つまり、定数としては二名のところが、二名改選すなわち定数四名のところよりも人口が多い、こういうところが幾つか出ているのですから、このアンバランスは衆議院(しゅうぎいん)よりもっと極端なわけです。三年ごとに交代して改選する二名の定数のところが、四名の定数のところより人口がずっと多くなっている、こういう現状は、地域性を考えたからといって、そのままでよいという理屈は出てこないと思うのです。それから、三年ごとに改選するから、必ず偶数でなければならぬということも、私はそう突き詰めて考える必要もないと思うのです。しかし、その議論はここでする必要はありませんが、いずれにしましても、その他の改正も検討を要するものがあると思うので、私はぜひやるべきであろうと思います。 ただ、その際に、これは今度の選挙制度審議会の際にも強く非難されておる一つになっておりますが、あらかじめ政府がこういう改正をしようという腹を持っておって、それに合うようなメンバーを委員にするというような委員の委嘱のしかたは、真に公正な世論を反映する審議会にならぬと思うのです。その点はぜひ政府において次の第五次審議会発足の際には考えてもらって、公正な審議会の発足を実現してもらいたいと思う。これは私は希望しておきます。 それから、今度の第四次審議会の答申でございますが、これは熱心に、かつ慎重に審議している関係と、問題が大問題である関係で、やむを得なかったことですけれども、答申の時期が、当初の予定から事実上だんだんずれてきているわけです。どういう答申が出ましても、今国会に法案として提出できないであろうことは、これは常識的にはっきりしているところです。 そこで、第二に伺いたいのですが、たしか第四次審議会の発足の初総会であったと思いますが、自治大臣は、答申を尊重して次の選挙からこれを実行したい、こういう発言をされておりました。これに対しては、ある者は大いに歓迎し、頼もしく思った者もありましょうし、ある者は、少しく軽率ではないかと思った者もあろうし、まあ受け取りようはいろいろありましょうが、それはいずれにしましても、次の選挙から実施したいという、あるいは実施するという大臣の当時のお考えは、今日では私は変わっていようかと思いますが、いかがでしょうか。
○永山国務大臣 私の記憶いたしておる範囲では、次の選挙からやると言ったようにはちょっと記憶いたしておりませんが、新聞関係等でそういった意味のニュアンスが出ておるようにも考えられておるのでございますが、しかし、これは堀委員にも申しましたように、民主主義議会制度の根本に触れる問題でございますので、断じて独走したり個人的な考え方等でこれを推進するという考えはございません。答申はもちろん尊重いたしますけれども、国会の各会派等の意見並びに国民の世論等の動向を十分尊重いたしまして、これが実現の時期につきましては十分御意思を尊重してやるようにいたしたいと考える次第でございます。
○島上委員 いまの、世論の動向及び各党の意見を聞きながら慎重に扱うということは、私はまさにそうあるべきだと思うので、けっこうですが、特に、運動面の一部改正といったようなことはたいしたことはありませんけれども、区制を変えるというようなことは、これはもう与野党公正に争う土俵、ルールを大変更することですから、特にどこかの党に有利になり、他の党に不利になるというような、党利党略的な改正はすべきではないと私は考えます。これをもっとはっきり言うならば——まだ出てきませんから、出てこないのに私ども最終的な意見は申しませんけれども、全部の野党がこぞって反対するような案がもし出てまいりましたならば、そういうものについては強行して実施するような態度はとるべきでない。全野党がこぞって反対するということは、野党に不利だから、また、制度として理論的にも正しくないからそういうことになると思いますが、かりに全野党がこぞって反対するような案が出ました際には、私はこれを強行するようなことをしてはならぬと考えます。大臣の答弁を伺ってみますと、各党ともよく相談してということですから、私とそういう点ではほぼ一致しておるかとも思いますけれども、念のためにひとつ伺っておきます。
○永山国務大臣 私は、委員の皆さんがきわめて高い次元の識見を持たれておる方であることをも信じておりますので、答申そのものが、一党一派あるいは党利党略というようなことにならない、公正なものが出ることをも期待をしたしておりますし、また、答申が出ましたあとにおきましても、絶対に一党の利益を中心にするというようなものであってはならぬと考えておりますので、十分ひとつ各党の意見をお聞きいたしまして、公正な取り扱いをいたしたいと考えておる次第でございます。
○島上委員 いまの御答弁をもう少し突っ込んで伺いますと、答申を受けて法案として提出する際に、政府はいままでよく、各党の意見を十分に聞くから、ひとつ大いに審議してくださいといって法案を出してしまって、委員会あるいは本会議の場で各党の意見を十分に聞くから、十分に審議してください、こういう場合と、それから、答申を受けて法案としていつどういうものを出すかというその扱いの段階で、国会に出すまず前段の段階で各党の意見を聞いたり相談したりするという場合と、いままでも二通りあったと思うのです。これは、事柄の性質上、法案として出してしまって、国会で適当にやりなさい、各党で十分資料を出して審議しなさいというような扱いをすべきものではなくて、いままでだって、答申を受けたことをそのまま一〇〇%うのみの形には出しておりませんから、答申を受けて、その受けたものの中からどういうものをいつ出すか、どういう形で出すかという、法案として固め国会へ提案する前の段階で各党と相談するものと、いまの大臣の答弁を私は理解しておりますが、いかがでしょう。
○永山国務大臣 民主議会主義を守る基本的なものでございますから、いまの委員におきましても各党の意見を十分お聞きいたしておるような次第でございますので、やはり提案の前におきましても十分ひとつ御意見を拝聴いたし、国民の世論等を洞察いたしまして提案をいたし、提案後においてもまた十分な御審議をいただきたいと考えておる次第でございます。
○島上委員 それから、これは私のかってな予想かもしれませんけれども、解散は早いと見ています。解散風というものは、吹いてくると、坂から石をころがすようなもので、だんだんスピードがついてくるのですよ。これは私の政治的な勘ですがね。まあ年内には解散必至だと私は解釈しています。そうすると、一方では区制の改正が——年内解散に間に合わせるというと、これはいかなる改正でも至難です。私は、不可能に近いほど困難だと見ています。しかし反面、それに間に合わせるように改正しなければならぬものもあると思うのです。選挙運動面の改正とか、私はいま第二委員会に直接行っていませんけれども、記録等で見ますると、選挙運動は候補者個人本位から政党本位に移行する、そうして政党中心の運動にする、そういう点では一致しているようでございまして、そうするには、言論、文書を主とする、本来政党の活動であるべき方面についてはいわゆる自由化しようというような意見が強く出ているようで、具体案も出ているようでございます。そういう点であるとか、それから、この前、改正の寸前になって、自民、社会、民社三党の意見が一致して、これでいこうかというところで、民社党が少し心境の変化を来たしたためにお流れになったテレビの利用というのがあるのです。選挙の際にテレビを各党の時間割りをきめて——これはイギリスなんかでも時間割りをきめてちゃんとやっておりますが、かなり効果をあげております。そういったような問題、次の選挙には必要と思われ、かつ、各党の意見が容易に一致して改正できそうな問題も私はあると思うのです。そういう問題については、答申されたから、それを全部一定の時期に一まとめにして処理しなければならぬというものでもないと私は思うのです。現に政府がいままでそうじゃなかったのですから。その答申のうち、次の総選挙には各党がぜひこういうふうにしたい、しかも意見が一致した、そういう部分が出てくるだろうと思うのです。そういう部分については、世論の動向や各党と相談しながら慎重に扱わなければならぬ部分と切り離して、いま私が言ったような部分については、秋の臨時国会冒頭にでも提出されるという、そういう取り扱いをなさる考えがあるのか、伺いたいと思います。
○永山国務大臣 そのときの情勢になってみなければわからぬのでございますが、観念論といたしませば、旧来も、選挙の直前に、各党が一致をいたしたもの、すなわち、それが世論の動向に一致しておるような緊急なものに対しては、やった事例もございますので、そのときの情勢に応じまして、よく皆さんと御相談の上で、絶対必要性のあるものは御審議をいただく場合があるかとも考えますが、これはその状態になってみませんと、予断を許さぬことでございます。
○島上委員 その点はそう慎重に逃げなくてもいいでしょう。各党が意見が一致して、この次の選挙にはこういう改正が必要だという部分が答申の中に私は必ず出てくると思いますから、そういう部分については相談してやりましょうと言ったっていいと思いますが、いいです、それは慎重な御答弁でもけっこうですが、政府がやらなければ、その答申の部分の、われわれが必要と思われるものを議員提案で出す用意もしなければならぬわけですから、そこで伺っているわけなんです。私はぜひ、各党が一致して、この次の選挙にはこの改正は必要だ、テレビの利用はひとつ時間をこういうふうにして利用するようにしようとか、文書をどうしようとかいったようなことについては、次の選挙は、答申がおくれたから、その他の部分もみんないまの法規でやろうという考えでなしに、それこそ前向きに考えてもらいたいと思います。 それからもう一つ、時間がないから、最後に伺っておきますが、解散風がだんだん吹きつのってまいりまして、実際は各地方で選挙運動がかなり行なわれているのですよ。これはおおむね適法な事前運動かもしれませんけれども、中には、どうもどうかと思われるような、道義的にももちろんだし、法律的にも逸脱していると思われるような事前運動が行なわれておる。これは国会が済んだらさらに一段と輪をかけて盛んになってくる。ですから、いま私が言ったように、必要な法改正は答申の中から分けてでも早くやれというのは、その点からもきているわけですが、現行法でもそういう逸脱した事前運動は取り締まれるし、また取り締まるべきだと思うのです。取り締まりを励行して、今度の選挙は前の選挙よりは幾らかましであった——大いにましであった、こういうふうになればなおいいのですけれども、前の選挙よりもっとひどい、こういうことにだけはしたくないと思うのです。これは何党のためではなくて、国会の権威のためにそう思いますが、こういう点に対しては大臣何かお考えになっていらっしゃいますか。
○永山国務大臣 今後の推移等を見まして、事前運動その他諸種の法規に相反する行動が出る状態でございますならば、十分ひとつ警告を発し、さらにそういうことのないように万全の措置をするよう十分努力をいたしたいと考える次第でございます。
○島上委員 今後の推移を見ましてではなくて、もう現に出ているのですよ。その現に出ているのがどんどん大規模になり悪質化するということは必至なんですよ。ですから、これは通り一ぺんのなまやさしいことでは防止できませんよ。私はいまから予言しておきます。そうして、この次の選挙は、前回の選挙にさらに輪をかけた不正、腐敗の選挙になるということになれば、これは私ども自民党を非難攻撃することは知っていますよ。しかし、国会の権威のためにそうさせたくないから言うのです。もう時間だから、これは答弁していただいてもいただかぬでもいいが、とにかくよほどしっかりとやらなければ、あなたがいまここで答弁したことは、全く通り一ぺんのおざなりの答弁であったという非難を後日受けることになりますよ。そういう非難を受けないように、さらに、いま言った国会の権威を保ち、各党のためにも、そういうことにならぬようにしっかりとやってもらいたい、こう思います。
○永山国務大臣 お説の点はひとつ十分注意をいたしまして、民主主義の議会を守るために、国会の権威を守るために努力をいたしたいと思います。
○鍛冶委員 関連して。いまの問題ですが、これは現実においてずいぶん行なわれて、われわれから見ると、目に余るものがあるのです。ところが、ようこれを押えられないようなふうなんだ。ここでひとつ大臣にどうでも押えてもらわなければならぬということを私は申し上げたいのですが、たとえば、今度出るだろうと思う人が、いろいろの名目をつけて村々を寄付して歩きます。これは、選挙のために寄付をしてはならないという規定に違反しておることは間違いない。そこで、こんなことはいかぬじゃないか、こう言うと、どうもまだ選挙が始まらぬものだから、呼んでみても、おれはやる気はないのだと言われるとどうしようもないのです、こういうことなんです。そういうことでやっていいものならば、われわれもやらなければ負けるんですから、やりますが、私はやっちゃいかぬと思うからやらないのに、ほかの者がやっているということを現実に見のがしておるということは、これは許すべからざることだと思うのです。私はしばしば注意するのですが、そういうことを言うて、なかなかようやられない。あるいは、選挙運動の予謀があるかないかとか、そういうことまで言ってようやらぬのですが、これはいま言うとおり、この人は出られるだろうと思う人が村々を寄付して歩くのです。これはいいと思いますか。もしあなた方がいいとおっしゃるならば、われわれやらなければならぬから、家を売ってでもやります。けれども、それはいかぬのだとあれば、われわれだけがいかぬで、ほかの者はいいということはいかぬ。いかぬなら、みんないかぬことにしてもらいたい。たとえいかなる技術的のことを考えられてでもその点はやらなければいかぬと思うが、私はいつも注意するのだけれども、ようやられないのですよ。これはあなた方のほうでは厳重にやる意思があるか、それとも、そういうものをほっておいてもいいと思われるか、これをひとつ御答弁願いたい。
○永山国務大臣 具体的な問題については十分検討さしていただきますが、いやしくも法に触れるような行為があるならば、ひとつ厳に注意もし取り締まりもするというように努力をいたしたいと考えます。
○横山委員 私も関連して一言。 全く同僚委員の意見に同感なんですが、私はまた別な角度からあえてどうするのだということですが、東京に汚職が出た、新潟に汚職が出た。兵庫に汚職が出た、熊本に汚職が出た、四国に汚職が出た、各地方自治体の汚職は、ほとんど大なり小なり選挙につながっておるわけです。そうして、その処分というものが適当に行なわれておる。適当というのは、いいころかげんという意味ですよ。ですから、現在までの選挙違反に関する問題について、司直の手が——たとえば新潟でもそうですが、起訴になるか不起訴になるか怪しいものだといわれている。そして新潟地検では、もしもこれを不起訴にするようだったら職を辞する、私はやめると強硬派が言っておる。そういうような地方自治体は蔓延しておるこの選挙に関連いたします汚職、これが行政運営の面においても不十分、それから検察においても不十分、こんなことなら、鍛冶さんじゃないけれども、おれもやれやということになる。 それから第二の部面は、公共事業の繰り上げ促進の動きです。公共事業の繰り上げ促進というものは、いままで役所が、あるいは公職者が、そういうような土木工事の人たちに接触するのを、身を正しくするためになるべく避けておった。ところが、早くやれ早くやれと言うものですから、業者を呼んで、早くやれ、何とか知恵をつけて教えてやる、こうして便宜をはかってやるということを促進しておるようなものだ。これは私は大蔵大臣にも言っておるのですけれども、ある意味では汚職を促進する温床になっておる、こう言っておる。そうですよ。そういうことになりやすい温床だと思う。ですから、大蔵省としては、この間、公共事業の繰り上げ促進に関連して十分注意するようにという指示を大蔵委員会の質疑応答の中で出してもらいました。これは自治省としても十分考えなければならぬと私は思うのです。しかも地方自治体は来年選挙ですよ。衆議院(しゅうぎいん)はことしですよ。そういうところへ、ずっと津波のように公共事業の繰り上げ促進が国、県、公団、公庫、市町村を通じて行なわれるという点についても配慮をしなければならぬと思う。どうなんです。
○永山国務大臣 地方自治体がえりを正してやらなければいけないことは申すまでもございませんので、それにはやはり汚職等選挙につながる違反に対しましては厳に取り締まる、その処罰も公正であらねばならぬことは言うまでもございませんので、今後とも十分ひとつ厳正公正な処断をいたして、国民の意思にこたえるようにいたしたいと考えます。 なお、公共事業繰り上げ等が汚職につながらないよう十分な注意を喚起せなければならぬということも、お説のとおりでございますから、その責任者である私といたしましては、公共事業促進連絡会議等種々催しがございますので、ことに関係知事との懇談会を近く総理とともにやることになっておりますので、これらの場を通じまして、ただいまの御注意の点は、十分ひとつさようなことのないように努力をいたしたいと考えます。
○島上委員 選挙局長に伺いますが、今度の改正条文について申しますると、二百七十一条に該当するところですが、二百七十一条の二項「昭和四十一年一月一日現在において設けられている都道府県の議会の議員の選挙区については、当該区域の人口が、当該都道府県の人口を当該都道府県の議会の議員の定数をもって除して得た数の半数に達しなくなった場合においても、当分の間、第十五条第二項の規定にかかわらず、条例で当該区域をもって一選挙区を設けることができる。」この点ですが、つまり、いままで一人区であったところが、人口の移動によって一名出すほど人口がいなくなった、隣の区と併合するか何かしなければならぬという場合のことをさしているのだと思いますが、そういう一名も出せなくなるような都道府県会議員の選挙区が幾つありますか。
○長野政府委員 都道府県会議員の定数でございますが、今度の国勢調査の結果によりまして私どもが報告を得ましたところでは、現行の条例定数総計の比較では七十四人ばかりふえる予定のようでございます。そういたしますと、総数が二千七百六十二人くらいになるようでございます。そのうちで、府県によりましては、府県の中で人口が非常に移動しておりまして、東京とか大都市に集中したということもございますが、そういうことで、府県の特に農村部と申しますか、そういうところで人口が非常に減っております。そして、県全体でも減っている場合もありますが、県の中でも、たとえば県庁所在地のような都市に人口が集まるというような傾向がございまして、いまわかっておりますところでは、全国で八カ所くらいのところに、そういう府県の議員の定員をもって人口を割って得ました一人当たりの平均人口の半数に満たないような都市ができるというふうに見ております。市と申しますのは、これは非常に特異な例でございますが、福岡県の炭鉱地帯の中の山田市で人口が非常に激減をいたしまして、それでそのようになっております。
○島上委員 その全国八カ所、たとえば広島県二カ所、秋田県一カ所、何県一カ所というようなことをちょっと言ってください。わかるでしょう。
○長野政府委員 これは各県たいへん近接しておりましてあれでございますが、わかっているところを申しますと、静岡県一カ所、安倍郡という郡でございます。三重県一カ所、鈴鹿郡でございます。京都府が二カ所、北桑田郡、熊野郡。広島県が二カ所、沼隈郡、甲奴郡。山口県が一カ所、佐波郡。福岡県が山田市でございます。そういうのがいまわかっているところでございます。
○島上委員 これで衆議院(しゅうぎいん)の選挙区についていえば、同一選挙区で二つあるところがありますか。
○長野政府委員 はっきり調べておりませんが、そういうところはないのではないかと思います。
○島上委員 ぼくが聞いたところで指摘しますが、広島県のこの二つは、衆議院(しゅうぎいん)の同一選挙区で、永山大臣の選挙区であるということを聞いておりますが、そうですか。どうですか。
○長野政府委員 失礼いたしました。甲奴郡と沼隈郡は、広島県の第三区、同じ区でございます。
○島上委員 それでは永山さんの区ですね。私のほうに、いまここに持ってきてないが、投書が来ているのですよ。永山大臣がかなり前から、私が大臣をしているうちは、この定員をゼロにすることはないと言いふらして、選挙運動と結びつけて活動しておったという、そういう投書が来ているのですよ。いま聞いたら、なるほどというあれをしましたが、そういうことになると、これは問題だということになるわけですね、その事柄自体はともかくとして。 この質問は、またこの次に大臣が来たときに残しておきますが、それで、この八カ所でも、ゼロになるべきところを一にして残しておくわけですね。そのことのために、いままで二名であって、人口比例からいえば当然三名になるべきところなのに、二名に据え置かなければならぬという結果を生ずるところが出てくると思うのですが、そういう点どうでしょう。ゼロになるべきところが一になっているということは、三になるところが二になるとか、あるいは四になるところが三にとどまるというところが県全体として出てくるはずです、理屈からいって。そういうことはありませんか。
○長野政府委員 この改正規定といたしまして考えました趣旨は、人口の急激な移動に伴いまして、郡市の区域を単位としての県会議員の選挙区というものが、少数の人口の差によりまして維持できなくなることをどう考えるかという問題でございます。やはり府県の行政が、どちらかといいますと、むしろ市町村の行政をカバーしており、ある面では、弱小な市町村に対しては府県行政がよりカバーをする必要もあるわけです。そういう点からいいますと、人口だけで問題を考えていくというだけでもあれではないか。そこで、絶対にそうするというのではなくて、そういう特例を、府県全体の事情を考慮して条例として規定をすることもできるということで考えていくことが妥当ではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、従来一人の定員を持っておりましたところが、そのままでありますと一人の定員を維持できなくなりますから、ほかの選挙区にくっつくわけです。そうしますと、その一人が抜けました結果におきまして、他のところで、二人でありましたところが三人になるとか、一人でありましたところが二人になるとか、こういうことになるはずであります。そのはずであったものが、相変わらずこちらで一人を維持するということになれば、そのはずがはずでなくなる、こういう場合があるではないかというお話であります。これはそのとおりであります。ただ問題は、いろいろな考え方ができると思いますが、たとえば、府県の中におきましても、いま申しましたように、一人当たり平均人口の半数に満たないということは、それが何人かありますが、その何人かの〇・五に満たないわけでございます。〇・四九何ぼでも〇・五に満たない。それでも一人維持できない。それから、現在二人ありますところ、あるいは二人になりますところが、たとえば一・三幾らというのでも二人になるようなところもあるわけです。そうしますと、〇・四以上ありましても一人も維持できないが、一・四か三くらいでも二人維持できるという場合も起こるわけであります。確かにお話のようなところがございますが、また同時に、そういう点から考えますと、そこを必ずしも維持させないほうがいいのだとばかりもなかなか言い切れないのであります。全体を勘案いたしまして、そういうことでふえるべきところもふえないことはけしからぬということであれば、この条例は適用しない、それでもいいから維持したいというところがあれば、この条例を県でつくって維持さしてやる、こういうことで選択にまかせていきたいと考えているわけであります。
○島上委員 これはやはり問題があるのですよ。これは条例でそうやってもよろしいという程度の改正で、そうしなければならぬとか、ぜひそうしろとかいうことではないけれども、そういうふうにすれば、ふえるはずのところがふえない、もしくば、人口からいえば、ふえるだけの権利というか、そういうもののあるところがふえないで、ゼロになるべきところが維持される、そういう不公平が、こういう条例でやってもよろしいとなるとだんだん波及していくではないか、広がっていくではないかということを心配するのです。現にこの前東京都議の定数改正のときに——ほかの府県でもそうでありますが、必ず選挙の前の年の九月の人口に比例して定数を変えているのです。ところが、この前は、二名が一名になるべきところが相当あったのに、それを一名にしない、そのために、四名から五名になるべきところが四名のまま据え置かれたというところが現にあるのです。これは、いままでの定数と人口のたてまえからすると、公平を欠く、適当でないと思うのです。この点はどうも少し納得できないものがあります。ゼロになったからといってその区は全然選挙権から除外するわけではないのですから、隣の右の区なり左の区にくっつけて、それで三名なら三名にすれば、その選挙区から有力な候補者が出れば当選ができる、あるいは当選できないことがあるかもしれないけれども、絶対当選できないとは限らぬ可能の道が残っている。それをしないで、ゼロになるべきところを一名残しておくということは、理屈の上からあまり筋が通っていないように思うのです。さっきの永山大臣の云々ということを抜きにしても、そういうゲリマンダーは抜きにしても、理屈の上で筋がすっきりしないように思うのですが、どうですか。
○横山委員 関連して。現行法と改正法とは性格ががらっと変わっていることは、読んですぐわかるのです。現行法は「一又は二以上の島の全部の区域をもって」する区域だ。島ですよ。これは周囲が海です。ところが、改正法はそうではなくして、隣の八百屋とこっちのうどん屋とが道路一本距ててくっついるところでもよいということで、これは性格ががらっと変わっている。あなたのおっしゃるようにここを一にしたら、隣にくっつくべき選挙区がふえるか、ふえないか、おそらくその統計はいろいろ調査をされていると思うのですが、この八カ所は〇・何%になっておるのか、どういう基準でこの八カ所が選択されたのか、そこのところの表を出して下さい。法律としては性格が全部違ってくる。こんなことが許されるなら、こういう特例がどんどん全国に波及しますよ、局長がおっしゃるように人口移動が非常に多いのだから。いま八カ所だけれどせ、これは将来数十カ所になるおそれがある、そう思わぬですか。性格が変わるのだ。隣は海じゃない、うどん屋なんだから。
○長野政府委員 お話のように、現在の二百七十一条と、改正をいたそうとしております二百七十一条は、確かに違うわけでございます。それが非常に問題だという御意見でございますけれども、先ほども申し上げましたように、やはり従来から郡市の区域で県会議員の選挙区ができておりまして、それぞれ定員を維持してきたわけであります。それが人口の移動によりまして、いままで一人維持してきた選挙区の議員というものがなくなってどこかへくっつく、人口だけをたよりにすればそういうことになるわけでございますけれども、一体、府県行政と市町村行政というようなものの関連を考えますと、非常に有力な都市は自分でできる仕事もずいぶん多いわけでございますが、そういう人口の少ないような辺地というものは、むしろ県行政によってカバーされる面が非常に多いわけでございますから、人口主義だけをたよりにしてものを考えるのが、一体、県政というものを円満なる形で遂行させるのに都合がいいのか、あるいは、そうでなく、多少府県行政の実態というものとの関連においてものを考えるのがいいのか、ここの御判断をひとつお願いいたしたいと思うのであります。たとえば、例をあげて恐縮でございますが、先ほど申し上げました福岡県の山田市、ここは炭鉱町であるわけでございますが、従来は繁栄を誇りまして、四万から五万の人口を持っておりました。それが、三井とか三菱の大手が引き揚げてしまいまして、現在、古河鉱業その他の小炭鉱で、人口が二万幾らに激減をしております。こういうところで産炭地振興というものは山田市ではできない。産炭地振興の計画を強力に推進するというためには、国、府県の力がやはりどうしても必要なわけであります。私はたまたま福岡県におりましたから、多少事情がわかりますが、それがかりに嘉穂郡という郡に合併になってしまいますと、おそらく山田市からの代表者というものは出なくなるだろう。そういうことも考えてみますと、いろいろ状況で事情は違いますが、府県行政と市町村行政との関連というものは、そこにある程度実質を重んじて考えていく道が開き得ても、それが直ちに形式的な人口主義から背馳するからそういう例外ばかりになってしまうというように考えられることになるのかどうか。府県でそれが都合が悪いということであれば、そういう条例をつくらなければいいわけでございます。そうすればそのとおりになってしまうわけであります。つくるか、つくらないか、そこはいままでの状況と関連いたしまして府県で考えてもらう、こういうことを考えたわけでございます。
○畑委員 関連。これはまことにおかしいですね。先ほど横山君の言われたとおりに、旧法の場合と今度の場合は発想法が全然違うのですね。これは島やなんかの場合は、海で隔てているのだから、相当距離がある。ところが、今度の場合はそうじゃない。この前の規定のときだって、やろうとすればそういう必要があったはずです。ところが、島ということに一応法律がきまって、その次はそれを基礎にして、それを足場にして、今度また島なんかは取っ払ってしまって今度の案のような形にするのは、どうも何としても理解できない。それだったら、前の法律のときからそういう必要があったのではないか。新しくそんな必要が出たわけはない。前のとき思いつかなかったということだったら、おかしい。当然その当時その必要があったと思うのですが、それを島だけに限ったというのは、限る必要があったからなんで、それを基礎にして、足場にしてまた今度改正しようというのは、やはり永山さんのゲリマンダーを暴露するもので、私は一つの謀略だと思うのだ。社会党はこれは絶対承服できないね。その辺どうですか。
○志賀委員長 明快に御答弁を願います。
○長野政府委員 従来なぜこういうことをしなかったか、やはり国勢調査のたびに人口が激減しているところがあったわけでございますけれども、それがだんだんと傾向がひどくなってくる。それで、府県行政の中におきますところの都市集中的な行政だけになっていくような、代表者の関係が人口の関係で出てくるという程度がひどくなった、そこのところがやはり問題なんでありまして、まあ形式から言いますと、島から一般に広げてきたじゃないか、これは法律改正の一つの技術的なやり方がたまたまここに出てきたということだけでありまして、この関係は実は東京都にもございます。先ほど島上委員が仰せになりましたように、東京の二十三区とそれ以外の区域——二十三区の中心部がだんだん人口が減っていっております。そこで、非常に苦肉の策でございまして、この前の国会であろうと思いますが、私は存じませんが、二百六十六条の二項というのがございまして、二十三区を一つと考え、二十三区以外を一つと考えて定員を配当し、そうしてその二十三区で受け取ったものを各区の中でまあきれいにやろうじゃないか、これがもうすでにある。なぜそうしたか。これはやはり二十三区というものがどんどん人口が減っていって、議員定数が減っていくということは、やはり東京都として——その当時国会でも与野党ともお認め願ったわけでございますが、これはやはりそういう事情を考慮されてお考えになったことと思います。したがって、島だけではございません。実質は東京都もそういうことで考えられております。これを今度僻村のところについて一体どう考えるか。一人になってもそれじゃ一人維持できるかという議論がございますが、これは常識論でございます。府県が諸般の状況を考えて、それが常識で正しいと思うならそうなるかもしれませんけれども、おそらくそういうことはあり得ないだろうと思います。
○横山委員 私に言われると、私も一言答えなければならぬが、一人になっても一人出るということが、この法律論からいうならば可能性があるということを指摘しているのです。そんなばかげたことは常識が許さぬというならば、この改正案の中に下限があっていい。下の限界ですね。そういうことくらいは考えなければいかぬじゃないか。法律論としては、条例さえつくれば何でもいい。それなら、一人ではあまり極端だから、百人ならいいのか、五千人ならいいのか、こういう話になる。これは条例で政治的取引の道具にされるおそれがある。だから、少なくとも、二百七十一条の改正をするとしたならば、まあ幅というものがなくちゃいけない。この幅が下がないのだから、一人だったら一人出るという理屈になるんだ。それはあなた、いただけませんよ。
○長野政府委員 そういう御趣旨の考え方ももちろんあると思います。ただ、私どもから考えまして、府県が諸般の事情を考慮して条例で道を開く、府県の関係の地域を含めて全体の議会として考える良識にそれをゆだねたわけであります。そのくらいの良識は当然持って行動をすることであろう。それからもう一つ、下限をきめるということも、具体的な場所で非常に違うわけでございます。そこも一切府県にまかせるというかっこうで、そういう特例をし得る道を開いたにとどまっております。
○横山委員 こういうことをやりますと、私は予見しますけれども、多数派に有利なときには条例をつくる、ないしはつくらない、こういう結果に必ずなる。こういう幅を残すことは、そういう意味で邪道におちいる、これが私の意見です。
○志賀委員長 鍛冶君。
○鍛冶委員 だんだん時間がなくなったので、私は、大体この法律は理論としてはたいへんいい法律だから、あまりむずかしいことを聞きたくない。実際問題としてこれから取り扱う上において注意しておかなければならぬ点を二、三聞いておきます。 第一は、改正理由ですが、提案理由の説明を見ますと、抽象的に、選挙人名簿というものは、選挙権の基礎だから、しっかりしておかなければならぬ、こう書いてある。それに違いなかろうが、実際問題としていままでの選挙人名簿では困るんだ、これはやはり間違いのない、動かないものにしなければならぬという基礎理論があったのではないかと思うのですが、それらの点を、いままでの実際から考えておっしゃっていただきたい。こういうことで非常におもしろくなかったから、こういうふうに改正するとこの点はこういうふうになるんだという、こういう何かがあるだろうと思うのですが、私は私で持っておりますが、政府としてのお考えをひとつお聞きしたい。
○長野政府委員 非常にむずかしいお話でございまして、先生のお気に入るようなお答えができるかどうかわかりませんけれども、永久選挙人名簿というその考え方は、従来から選挙関係者の間ではあったわけであります。要するに、名簿についても、戸籍と同じように動かないものをつくっておいて、そうして正確性を期していくようにいたしたい、こういう考え方でございます。それにつきまして、ちょうど、終戦以後でありますけれども、引き揚げ者が非常に多いとか、その当時しばしば選挙が行なわれますとか、いろいろございまして、そのたびごとに選挙人名簿というものを臨時につくってまいったわけでございます。それが現在の補充選挙人名簿というような制度に統一されたわけでございます。その結果、名簿の取り扱いというものが戦前と非常に変わりまして、ある意味では粗略な扱い、戦前は、聞いてみますと、公民台帳といいますか、むしろ、あらゆる住民把握のお手本になるような正確なものが選挙人名簿であるといわれておりましたのが、戦後におきましてはそういう力というものを失ってしまった。と申しますのは、移動したりなどいたしますときでも、選挙権のある者を一人でも漏れなくすくうべしという考え方で補充名簿ができました結果、疑わしい者でも何でも入れてしまって載せるという考え方になってしまいました。それで、従前のように、疑わしい者は載せない、あくまで正確な者だけ載せるという考え方がすたれてまいりました。その結果が、選挙人名簿全体の正確性というものを非常に失わしめたということになったようでございます。同時に、戦後におきまして引き揚げ者あるいは人口の流動に伴います大量な人口の移動というものが相次いでおりますので、一そうそういう混乱した状態になってきたということでございますので、この際永久選挙人名簿に切りかえますと同時に、名簿調製の姿勢と申しますか、態度というものをもう一ぺんしっかりしたものに気持ちを切りかえさせていきたい、こういうふうに考えておるのであります。
○鍛冶委員 移動があった場合に、厳格に処理をやってもらわなければ、持つべき選挙権を持たないこともあるし、ないものに選挙権を与えるようなこともあり得ることですから、これは厳格にやってもらわなければいかぬ。私は、国におりまして、選挙が始まると、選挙人と選挙管理委員会とけんかをやって、よく私のところに聞きに来るんだが、ふしぎなんですね。別に移動も何もしておらないのに、この前の選挙のときはあったのに、今度はなくなったといっておこって来るんだね。今度はどうしてこんなことになったんだ、説明してくれといっても、説明してくれないんだ。おそらく、新しく名簿を書きかえるものだから、書きかえる際に書き落としたりするんだろうと思うのです。私はいままでも実例をよく見ておるのですが、写すときに写し漏れするんだろう。そういうことになっては、これは非常に悪いと思っておったのですが、今度はそういうことはなくなるだろうけれども、その反面において、永久選挙人名簿ができますと、変動があった場合に、変動の処理を常時やらぬと、今度はまたいつまでもそのまま固定しておるという弊害もあると思うが、この点はいかがですか。
○長野政府委員 前段のお話は、お話しのとおりでございまして、調査をいたしまして毎年名簿をつくり直しますので、写し間違い、写し落としというものもございます。調査漏れというのもございます。場所によって非常に違いますが、都会地におきましては、調査をいたしました結果に基づいてだけ名簿をつくるようなところがある。せめて前の名簿と照合してくれればいいのですけれども、それはもう時間がないということでやらない。そういうことをいたしますと、いまの先生のお話しのように、前に載っておったものを落としてしまうというようなことがございます。今回はその心配は全くなくなる。 それから、固定化してしまって、いつまでも登録されておるおそれがないかというお話でございますが、これは、住所移転をします場合には、必ず永久名簿のカードの上にもすぐ表示をいたしまして、そうしてよそへ移った者について他の市町村から連絡がございましたならば、そのとき直ちに抹消するようにする。それから一定時期が過ぎましても何の連絡もないという場合でも、一年たてば抹消するということにいたす考えでございます。そういうふうに法律案としては内容を規定さしていただいております。それでそういうことのないようにいたしたいと思います。
○鍛冶委員 あなたのところから出ました要綱を見ますと、「第二 選挙人名簿への登録手続」の「一」として「選挙人名簿への登録の申出を随時行なうものとする」、これはわかっておるようなことだが、提案理由の説明で、申告主義を原則とすると書いてあるのですが、これは「第五 経過措置」から見まして、この永久選挙人名簿というものは、大体指定の日において職権で調べたもので有権者であるというものを有権者名簿としてカードをつくるんでしょう。これが一番の原則でしょう。これがもとになるのでしょう。それから後、変動のあった場合に申告をさせる、こういうのでしょう。申告主義を原則とすると書いてあるから、それはことばのなにを注意するようですが、わかり切っておることを私はここで明瞭にしておいてもらいたいと思うのです。指定の期日に調べてこれこれの者は有権者であるということがわかると、第一に名簿をつくって、それからカードに載せて、これが永久選挙人名簿になるんでしょう。その後において移動があった場合、もしくは漏れがあった場合、これは当事者から申告してそこで初めてやる、こういうことになるのであろうと思うのですが……。
○長野政府委員 お話しのとおりでございまして、最初に永久名簿というものを出発させますときは、現在あります選挙人名簿というものをもう一ぺん修正し直しまして、そして永久名簿として出発をさせる、それがいまの要綱の経過措置に書いてあるわけであります。したがって、経過措置と申しますが、それが一番大切な、永久名簿が出発することでございます。そこで永久名簿ができる。そのあとからの追加の登録と、それから変動の結果消したりいたしますときが申告主義でやる、こういうことになるわけでございます。
○鍛冶委員 もう一つ聞きたいのは、新しく有権者になった場合、選挙権を得た場合、これも私は当事者から申し出ないでもやるべきものだと思うのですが、これはやるのでしょう。ことし成年に達したということがわかれば、それを調べて選挙人名簿に載せられるのだと思うけれども、これはどうも当事者が申し出なければいかぬように見えるのですが、そんなことがあったらたいへんだと思うのです。それはどうですか。そういうところから見ると、基礎調査は職権であるし、毎年成年式で名前が出た者、これも職権で載せられるものだと思うが、そうじゃないのですか、いかがですか。
○長野政府委員 成年に達した人につきましても、たてまえはやはり申告をしてもらう、申し出をしてもらうということをたてまえにしておりますけれども、いまお話しのような場合が起こるということが考えられますので、毎年三月と九月に登録の時期を二回つくっておりますが、九月の場合には、明らかに選挙権を有している者があれば、申告がなくても職権で登録ができるという道が開いてあります。それは主としていまお話しのような成年に達したとか何とかで、公の戸籍とか何かにはっきりしているものは、無理に申告がなくても載せていけばいいじゃないかという意味で、そういう職権でも載せられる道を開いた次第でございます。
○鍛冶委員 そこを私は聞いているのですよ。どうも原則は申告主義だから、申告をやらせる。そんなことで新しく有権者になった若い者に、それはやってもいいとおっしゃるが、もしそうだったら、やらぬでもいいことになりますね。それじゃいかぬと思う。新しい者が選挙権を得たということが選挙管理委員会にわかったら、やはり選挙管理委員会はそれを登録して渡すというのがほんとうだと思うのです。これはことばのあやのようですが、考え方の根本からそこで変わってくる。選挙管理委員会がわかっている以上は登録すべきものだ。そこで問題は、もし登録しなかったら、なぜおまえ登録しないのだ、いや、申告主義が原則だからやらぬのがあたりまえだと言うていいか。これは大事なことでございますよ、私は、そういう意味において、最初のときも職権でやるもの、新しく得た者も年々職権でやるべきもの、こういう原則にしておかなければいかぬと思いますが、これは簡単でいいですから、お答え願いたい。
○長野政府委員 お話でございますが、考え方はむしろ逆に考えております。このたてまえは全部申告主義を原則としている。成年に達した者も、やはり選挙権を行使するためにはこれだけの手続をして、明らかに自分たちが意識して、そして大切にするということがあってもいいだろう、むしろ申告主義だけにしようという意見も審議会の中に非常に強かったわけであります。しかし、それでは政治に関心をまだ持たないような青年が漏れていくということはどうかという問題もございますので、明らかにそういうことでわかっておる人については、これは成年式等をおやりになる以上ははっきりわかるわけでございますから、そういう人については職権でも載せられる道を開いておこうということで副次的にものを考えている。申告があくまでも原則でありますということにしておるのでございます。そのほうが新有権者に対して新たな自覚を与えるということもできるのじゃないかということでございます。
○鍛冶委員 理屈ではそういうことを考えられますが、それでは私はどうも不親切だと思う。成年に達したということは、町村役場ではわかっているのですからね。そういうことはあとでまた言いますが、わかっておれば、町村役場でちゃんと選挙管理委員会へ、こういう者が選挙権を持つようになりましたぞという報告をしなければならぬというのは、一種の義務でしょう。それはあるでしょう。そうしたら、それがわかった以上は、登録の手続をして渡すということが、選挙管理委員会の任務でなければいかぬと私は思いますが、きょうはこれ以上議論してもなんですから、一応考えておいていただきましょう。 その次に、登録の申し出があった場合は、あらかじめその選挙資格を調査して、選挙人名簿に登録すべき者として決定しておくと書いてありますね。これはどういう方法で決定するのですか。何か政令は出るのだろうと思いますが、どういう方法でおやりになるつもりですか。
○長野政府委員 政令では、登録すべき者というものの基準を、わかり切ったことではありますけれども、一応規定いたしまして、そうしてそれに合わないものは登録できない。わかり切ったことでありますけれども、一応そういう基準をはっきりさしておいて、そうしてそういうものさしに合って、これは登録すべきグループだ、これは登録しないグループだと、えり分けをしておく、この決定というのは、そういうえり分けをしておけということです。
○鍛冶委員 まあそれはいいですが、実際問題としてどうおやりになるかと私は聞いておるのです。何をえり分けするのですか。登録申請の申し出をした、その紙に何かこれはやるべきものだと書いて、そして登録すべき者、登録すべからざる者、こういうふうにやるのか。それとも、何か補充名簿のようなものをこしらえて、これは何月何日に審査をやったら登録すべき者となったから、登録せい、こういうふうにいくのか。そういうのは、実際問題でありますが、これではわからぬから私は聞いたのです。政令でもお出しになるつもりでしょう。この点はただこれだけですか。
○長野政府委員 政令では取り扱いの要領をきめることにいたしたいと思っておりますが、どういう名簿でどういう帳面づけをして整理をしておけというところまでは規定をいたさないでもいいんじゃないかと考えております。したがって、その申し出の書類と、それを受け付けたり、それを登録者として決定した者のリストをつくる、あるいはカードをそれぞれ必要な資料を整理しておくということに当然なると思いますので、お話しのように、カードの整理とか、そういうリスト、一覧表にそれを載せるというようなことにはなると思います。
○鍛冶委員 その次は、申し出について、三月一日と九月一日で整理期間を定めて整理をし、縦覧期間を定めて縦覧させる、こういうことになっておりますね。この縦覧は、何を縦覧させるのですか。名簿を縦覧させるというならば、カードを見せるのがほんとうだろうと思うのだが、まだ載せぬ先だから、何か一種のいままでの補充選挙人名簿のようなものでもあるのですか。何かそういうものがなければならぬと思いますが、どういうつもりですか。 もう一つ、それでいいようなものだが、見せるのならば、カードに載ったものを、これで間違いないかといって見せるのがほんとうだろうと思う。そうでないと、それをこちらに写すときにどういう間違いが起こらぬとも限らない。さっき言ったように、それはどういうつもりです。
○長野政府委員 カードを縦覧するというのであれば、それも一つのやり方だと思います。今回は、載せるものと決定した氏名、人を縦覧する——人を縦覧すると言うとおかしゅうございますが、要するに、私どもが常に申しておりますのは、入学試験の合格者の発表と一緒だ。問題は、人が載っているか載っていないかということだ。それを見せて、そうしてそれに書いていないとか、あるいは誤載があるということを正す。カードを縦覧するというのは技術的に多少困難な点もあるということで、氏名を縦覧していく。法律では、今度の二十三条に「登録すべき者として決定した者の氏名及び住所を記載した書面を縦覧に供さなければならない。」こう書いてございますが、実質はそういう意味であると思います。これは実際問題としては書面と書く必要はなかったわけでございますが、法制当局がどうも何か書かなければならぬということですから、そういうことを書いたわけでございます。
○鍛冶委員 私は別に悪いというのではございませんが、そういうことをやっているとまた写しそこないなんかして、せっかくとったカードが違うということになると思いますから、よほど気をつけなければならぬ。それと、まことにいいことではありまするが、選挙管理委員会の仕事はこれはたいへんですよ。年に二度これをやるのですからね。そして毎日調査をしておいて、これは有権者になるかならぬか、拒否すべき者かきめておいて、そして三月一日から十日まで整理をして、十日から縦覧させて、それが済んだら登録も行なう、こういうことです。私はたいへんな手数だと思うのです。こういうことに対して各自治体でどのような補助をされるのか知りませんが、これは相当なものだと思います。そしてまた、そういう間違いがあるとはなはだ困りますから、そこらはなるべく間違いのないような方法で、いずれこまかいことはあなた方のほうで指示されるに違いないと思いますが、その点を注意してもらいたい。 それから三月一日と九月一日と年に二度やるのですが、これはいま言うように選挙管理委員会はたいへんだから、年に一ぺんぐらいでもいいのじゃないですか。なぜ二度やられるのですか。
○長野政府委員 従来名簿は大体年に二回ぐらいつくっているような作業になっております。永久名簿というものが一つありますけれども、年に二回つくる効果は、新しく載せる人のためにあるわけでございますので、やはりそのぐらいの機会は失わないようにするほうがいいだろうということで、年に二回ということにいたしておるわけでございます。お話のように、これによりまして、選挙管理委員が正確な調査をいたします場合には、年じゅうその仕事が残るということになると思います。しかし、それにいたしましても、従来のように、選挙の際に補充名簿の申し出者が殺到いたしまして、とうてい正確な調査のいとまもないというようなこと、あるいは、基本選挙人名簿を十月から十二月にかけて二月間もかけて一斉に調査をして作製するというような、時期的に仕事の集中することを避けられると思うわけでございますし、そのほうが名簿も正確になるし、必要な仕事が平均的に計画的に実施できることにもなりますので、全体としてはそのほうが合理的な事務処理ができるのではないかと考えております。
○鍛冶委員 たびたびやれば移動を厳格につかめるのですから、いいようなものだが、いま言ったように、選挙管理委員会はたいへんですよ。自治体が相当これに対する補助を出す覚悟でなかったら私はいかぬと思う。そうでなかったら、理屈の上からいえば一度でも済むんじゃないかと思うが、これは後日の議論に残しておきましょう。 ところが、ここに「なお、九月一日の場合には、職権登録も併せ行なうことができるものとする」とある。これはわからないのですが、どういうことですか。三月のときにはそういうことはできないのが、九月のときにはできる、こういうことですか。これは条文を繰ってみたが見つからない。ひとつ御説明願います。
○長野政府委員 その点が、先ほど、申告主義だけをとらないと申し上げました点でございまして、職権登録と申しますのは、職権調製をする場合もあるということをそこに規定しておるわけでございます。三月にはなぜやらなかったかということになりますが、三月、九月と念を入れて二回職権登録をする必要もないだろう、一回だけあわせて職権登録ができるような道を開いておけばいい、こう考えたわけでございます。従来も職権登録は基本選挙人名簿が年一回でございますから、それと同じように考えたわけでございます。
○鍛冶委員 これはやはり申告主義を原則とするから、申告のないものは、九月一日のときだけ職権でやる、こういう意味ですね。
○長野政府委員 そのとおりでございます。
○鍛冶委員 それから、変動のあった場合、死亡したとき、あるいは他の町村へ移動したことがわかった場合には、抹消手続をせい。これも同じく表示後一年を経過したときは、選挙人名簿から抹消する手続をとる。これは向こうで黙っておって申告しなかった場合には、こちらで調べて、そして確かに向こうにおらなかったということがわかったら、職権で一年を経過したらやる、こういう意味ですね。
○長野政府委員 そのとおりでございます。
○鍛冶委員 そこで問題は、一口に言えばそういうことがわかったときということになるのですが、こういうことは最もわかりやすい制度にしておかなくちゃいかぬと思うのです。これは大事なことだと思います。これは選挙管理委員会がわかったときという意味でしょう。その点についてあなた方はどういうことでわからせる方法をとっておられますか、具体的にそのお考えをお聞きしたい。
○長野政府委員 問題は、選挙人名簿に登録されておる資格を有しなくなったというものを、どうやって選挙管理委員会が発見してそれをえり分けておくか、こういう問題でございます。これは一選挙管理委員会だけでもなかなか困難ではないかという御意見もございます。したがいまして、今回法律の中で新しく条文を加えさせていただこうと思っておりますのは、市町村と選挙管理委員会とが、あらゆる機会に住民把握に関する資料を整えますが、そういう場合には、相互に通報いたしまして、すき間のないようにしていくということで、できるだけそういうすき間をつくらないようにする。もう一つは、今度は選挙人名簿をいつでも閲覧に供するということにいたしまして、そうして住民の側から、こういう人はいません、いますということをいつでも申し出ができるようにする。本人がわからぬときでございますので、行政当局と有権者の側と両方からこのすき間を埋めていくということよりほかにいたし方ないと考えまして、そういう規定を新しい二十八条という条文の中に加えさせていただいておるわけでございます。
○鍛冶委員 これは私も見ましたが、互いに通報しなければならぬと書いてある。そういうことをここで言ったって、やらなければどうもけんかにもならぬですから、住民登録係が移転通知をもらった以上は直ちに選挙管理委員会へ知らせるとか、先ほど言ったように、成年式をやって、この者はことしから選挙権があるということを係の者がわかったら、その者が選挙管理委員会へ知らせなきゃいかぬとか、そういうことを何かで規定しておかれなくては十分いかぬのじゃないかと私は思うのですが、これは何か、通達であろうと政令であろうと、そういうものを厳格にやってもらいたいものだと思うのです。そうでないと、なかなかうまくいかぬのじゃないかと考えます。 それと、もう一つここで考えたのは、整理期間だの縦覧期間がありまして、そのときに選挙が始まってくるとあとへ延ばすことになっておりますね。そこで、これはしかたがないかもしらぬが、もうあなたのほうで前にちゃんとそのたびごとに決定してあるんだから、選挙権がないということはわかっているんですよ。しかるにかかわらず、期日がこないというので選挙権があることにするという場合が出てきませんか、それから、あるものをないことにするという場合が出てきたりしませんか。このことは非常に不都合を生ずると思うのですが、これはどうです、やむを得ないですか。
○長野政府委員 選挙権のない場合につきましては、そういう事実を知ったときには直ちに名簿のほうに表示をしてしまいますから、それは選挙権がないというより分けの符牒でございますから、その場合には、選挙にやってまいりましても、投票を拒否いたします。
○鍛冶委員 一年たてばですか。
○長野政府委員 一年たちませんでも、それは直ちにいたします。ただ、お話しの、選挙権があるということをきめておるのにもかかわらず、名簿に載ってないということであれするじゃないかという点は、これはどうも、定時登録という原則に立ちます限り、その原則に例外をつくることは避けなければならないと思いますので、これはやむを得ないというふうに考えております。
○鍛冶委員 これはひとつ考えておいてもらわぬと、苦情の出るところですな。 それから、この特別選挙の場合ですが、三十条の天災事変の場合というのは、どういう場合ですか。天災事変で名簿が焼けたり失ったりした場合を予想しておられるのですか、この「調整しなければならない。」というのは。
○長野政府委員 そのとおりでございます。
○鍛冶委員 その次に、二百六十九条の特別市ですが、これはずいぶん条文がむずかしくてわからぬが、特別区を設けたものは、独立の市ではないけれども独立の市町村と同一の取り扱いをする、こういう意味でございましょうな。
○長野政府委員 条文が非常に複雑なかっこうになりましてあれでございますが、これは特別区ではございませんで、いわゆる五大市でございます。指定都市でございます。指定都市につきましても、普通の場合には区を市とみなすわけでございますけれども、選挙権とか、登録すべき者の決定の選挙権の要件等につきましては、区を市とみなさないで市の区域を市とみなすのだ。これはあたりまえのことでございますが、そういうふうに書き直したわけでございます。
○鍛冶委員 特別区はどういう取り扱いをするのですか。
○長野政府委員 特別区のほうは、全く特別区そのもの、一つの特別区を一つの市とみなしてしまうわけでございます。ただし、五大市のほうは行政区でございますから、それはそういうふうにはみなせないということで、従来は、この規定の関係が、特別区のところに二十三区を通じて三カ月の住所要件ということがやってありまして、それを五大市のほうへ引っぱっておったのでありますから、五大市のほうの規定は簡単でございましたのですが、今度は特別区のほうの規定を落としましたので、五大市のほうの規定に新しく加えたものでありますから、そちらのほうが複雑なように見えますけれども、実質は同じです。
○高橋(禎)委員 関連して簡単に二点ほど伺います。 ちょっといまの鍛冶委員の質問に関連してでありますが、私ちょっと心配だと思いますのは、この案の底を流れておるといいましょうか、自治省のお考えになっておるのは、申告主義を原則とする、こういう考えが一つある。そしてまた一方で、職権主義を併用するといいますか、これを加味していくという考え方とあるのですが、そこのところがどちらかへ徹底しておらないと、実際に選挙権のある者が名簿に登録されない場合がある、それから登録されておる者の中に虚偽がそのまま持続する場合がある、この二つが心配なわけです。ですから、申告主義をとられて、そして申告しなかった場合に、一体、それを保証するといいますか、担保するといいますか、そういう制度というものはお考えになっておらないのじゃないかなと、こう感ずるのですが、どうなんですか。申告というのは一つの義務として、その義務を履行することについて何か保証的な規定があるのかどうか、そこをひとつお伺いしたい。 それから、職権主義というのであれば、よほど選挙管理委員会は事実の調査に力を入れなければならないと思うのですが、その調査を正確になし得るだけのことを考えておられるのかどうか。私がこれをお尋ねいたしますのは、たとえば新しい有権者、すなわち成年に達した有権者がある場合に、本籍地でそのまま選挙権があるというふうに見るべきではないのであって、やはり成年に達し、かつ、そこに住所を有しておらなければならないわけです。住所がどこにあるかということは、いまの実情からすればなかなか容易でないわけですね。生まれたところに必ずしも住所はない、本籍地に必ずしも住所はない、そういう事例は最近において特に多いと思うのです。ですから、本人が申告すればいいのですけれども、申告さすことについて何ら保証がないということになると、それでは選挙管理委員会が職権で住所がどこにあるかということを調査するとなると、これまた非常に手数がかかって、実際問題としては容易でないと思うのです。ただ戸籍等で、本籍地で満二十歳になった者があれば、それを全部この名簿に載せるというならば、一つの方法でしょうが、それは事実に反した間違いの登録が行なわれる。そこのところを正確に、かつ漏れなくやる方法についてどういうふうに考えていらっしゃるかということ。それから、この規定を通じて職権主義というものが採用されておるのですが、一体、選挙管理委員会においては、住所の変動等について正確にそれを調査していくだけの体制ができておるのかどうか。法律にそういうふうに規定しても、実際問題としてそれが行なわれていないということになると、空文にもひとしいような結果になると思うのです。それで、その点で私非常に心配しますのは、一度選挙人名簿に登録されて、そしてそこから住所を他に転じた場合において、本人は届け出をしない、そういうときに、この規定からすれば、選挙管理委員会において調査をして、資格を有しなくなったからというので、その旨を表示して、表示後一年を経過したら選挙人名簿から抹消すると、こうおっしゃるのですけれども、その資格を有しなくなったということが、死亡というようなことであれば、これはわかりやすいでしょうけれども、住所の変動というようなことについては、本人が届け出をしなければ、なかなか容易に調査できないと思うのです。そうすると、住所を他に移転しておるにもかかわらず申告もしない、そして選挙管理委員会の正確な調査も行なわれぬというようなときには、虚偽の登載されたものがそのままずっと持続する、そしてその持続することによって、かつて住所を有して選挙人名簿に登録されておったところで選挙を行なうことが、いろいろな意味において非常に都合がいいというようなときには、これはむしろ故意に悪用されるわけなんですから、非常に弊害が多いと私は思うのです。よほどしっかりしないと、そういうことを防止できないのではないかなと思うわけです。 重ねて申しますと、申告主義に対して、これを徹底さす、義務づけて励行さすだけの担保、保証というものが一体あるのかどうか。それから、選挙管理委員会が職権行使をやろうとするときに、実情の調査というものが徹底して行なわれるようなぐあいになっておるのかどうかということ。そしてあわせて、自治省当局の考えの中に、選挙権というものは、それは自分の権利だから、これを尊重し、これを行使する熱意のある者だけが行使すればよいので、本人は申告もしない、選挙管理委員会で調査も徹底しないときには、選挙人名簿に漏れておっても差しつかえないのだというようなお考えがあるのか、それらの点についてお尋ねいたします。
○長野政府委員 申告主義を原則とするというたてまえを現在とっておりますが、これに対しては、先ほどお話がございましたように、そうすると、職権で登録をしてやる余地を大いに認めるべきだという御意見がすぐ出るわけです。職権主義でやるということになれば、それでは住所の実態の把握が十分でなかろうという御心配がすぐ出るわけです。要するに、いずれにもそれぞれ長所、短所があるわけです。しかし、選挙権の行使ということは、単なる住民の権利というよりは、むしろ公選職というものを選任する一つの国家的な、国家の構成員としてこの任務もあるわけでありますから、そこで申告主義を原則として、そういう政治的な自覚の高い人を中心にものを考える。職権というのは実態との遊離というような議論もありますので、職権併用ということになる。この場合は、お話にありますように、はっきりと住所がある、そしてそこに選挙資格がある人としてむしろ公証されたような資料のある人について、職権登録というものをいたしたい。それ以上に広げまして、一斉に世帯を調査してどうこうするというようなかっこうはいたしたくないというふうに考えて、まことにはっきりした明瞭な者だけを載せるということに考えましてやっていきたい。しかし、そうだからといいましても、選挙に無関心な者は載せる必要がないのだ、こういうことを考えておるわけではごうもありません。やはり選挙権を有しておる者はなるべく登録すべきもので、その意味では、機会ありますたびに、選挙人名簿の制度の変わりましたこと、その取り扱いはこうすべきだというようなことを十分徹底いたしたいと思います。今回そういう意味から名簿の閲覧、縦覧というものも年がら年じゅうやれるようにいたします。それから便宜供与というような意味では、名簿の写し等もできるだけ自由に手に入れやすくしたいというようなことを考えております。 体制ができるかというお話でございますが、選挙管理委員会といたしまして、不正確なままの名簿をつくってよろしいという理由は一つもございません。これはやはり十分関係方面の認識を得まして十分な体制をつくって、あくまでも正確な名簿を維持していくように努力をしてまいりたいと思います。 住所を移転しながら、もとのところで相変わらず名簿に載せておいて、選挙のたびに投票する、こういうケースにつきましては、これはたとえば選挙の際の投票入場券は前の住所にいくわけでございますが、こういうようなこととか、あるいは徴税、通学その他の関係で、住所の移動というものがはっきりいたしました場合のデータを得るとかいうようなことによって実態把握につとめるということになるほかはいたし方ないと思います。それにいたしましても、現在の名簿の正確性からいたしますれば、総体として非常に正確なものに近づくことは、これはもう明らかであろうと思うわけでございます。ただ、まれに非常な悪意で作為を施してそうしてやっておるというようなもの一切が直ちに発見できるということは、これはなかなかむずかしいかと思いますが、できるだけ努力をいたしたいと思います。
○高橋(禎)委員 もう一つ、これは法律の解釈、私もそこの点はあまり研究していないのですが、いまの、住所を他へ移転しておるにもかかわらず、もとの住所の市町村の選挙管理委員会で名簿に登録されておる場合に、いよいよ選挙権を行使するというようなときに、かりにもうその人は一カ年も前にそこの住所を離れておるのだ、すなわち、選挙人名簿には虚偽の登録が行なわれておったのだというときに、一体選挙権の行使というものはそれをさせないようにできる方法があるのかどうか。すなわち、実態は、そこの公共団体の選挙管理委員会の名簿に登録されておるものは虚偽ということになるわけですが、それがはっきりしたようなときには、もう選挙権なしと断定することができるのかどうか、そこのところをお伺いしておきたい。 それから、あとは希望ですが、申告主義を原則とし、職権主義を併用していくというときに、いずれも不徹底になる。これはさっきも申し上げたとおり、申告も励行されない、また、職権調査も不徹底だということになると、実質上は有権者でありながらも選挙人名簿に登録されない者が、たとえば初めて成年に達して選挙権を得たというようなときには、相当あり得るわけです。それから住所を変動したような場合にもまた、そのままで放置されるというような場合も相当あると思うので、両方併用すれば、いかにも武器はそろっておるようなふうに思うと、私は間違いだと思うのでして、どちらかに徹底したほうが正確を期せられるのではないかと思うのですが、併用するという考え方もあり、その運用いかんが問題になるわけですから、将来、選挙管理委員会等の啓蒙運動等においては、やはり申告の励行、そうして虚偽登載の取り扱いはどういうふうにするかということ等についてのPR、それから選挙管理委員会自体のでき得る限りの正確なる調査の励行等々を十分徹底してやっていただきたいということを希望するわけです。
○長野政府委員 市町村から住所を移しておりまして選挙権がないということであれば、それはいまでも直ちに表示をしまして、これは選挙権がない者としてえり分けをするわけでございますから、そのときにわかっても、えり分けと同じで、投票の拒否をするということでございます。
○志賀委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる十二日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、これにて散会いたします。 午後零時二十六分散会