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51回国会衆議院1966/06/08

建設委員会 第31号

発言数
78
登壇者
10
会派数
3
開催日
1966/06/08

会議録

田村元自由民主党

○田村委員長 これより会議を開きます。  土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山下榮二君。

山下榮二民主社会党

○山下委員 今度のこの土地収用法の一部改正について政府に伺いたいと思いますのは、地方公共団体が公共用地を取得するのに対して従来一番困難をきわめた点は一体どういうところにあり、政府のほうではこの土地収用法の改正で今後あらゆる公共団体が公共用地を取得するのにどういう程度便宜になるか、この辺のことを伺いたいと思います。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 お答え申し上げます。  公共団体が公共用地を取得する場合にいろいろな困難があるわけでございますが、特に最近におきまして公共用地の取得につきましてさらに従来以上の困難が重加されております。これらはいろいろな原因があるかと思いますが、その一つの理由といたしまして、事業がある程度進む、特に用地取得などが進みますと、やはり起業利益というものが土地に反映しまして地価が高くなる。そういたしますと従前協力いたしまして土地を売っていただいた方と後ほどの方との間にアンバランスが生ずるというようなことがたいへん問題点であったかと存じます。今回の改正にあたりまして、評価の基準点を事業認定時といたしますと、それに基づきまして補償が定められるわけでありますので、前後を通じて先に協力した方が特に損をするとか、あるいはあとまで残られた方が非常に高い値で土地を買ってもらうとかいう不公平がなくなりまして、公共用地の取得に関しましては相当程度改善を見るものと考えております。

山下榮二民主社会党

○山下委員 大体今度の法律でねらいとされておるのは、ごね得をなくしようというのがねらいの中心だ、こう言われておるんですが、私は、この法律改正の案文を熟読してみますと、これでもごね得がなくなるということはちょっと考えられないのではないか、こう思うのです。そこで、たとえばいままでの経緯から考えまして、土地収用委員会にかかってこれを処理したという件数と、ただ所有者側と公共団体との間の話し合いによってものが処理されたというのとの比率はどういう比率になっておりますか、お聞かせを願いたいと思います。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 土地収用法関係の事業認定を受けました件数から申しますと、最近、事業認定の件数が漸次ふえてまいりまして、三十九年度におきましては四百件をこえるというかっこうになっております。また事業認定とみなされる都市計画関係の場合等は約五百件ほどございますので、合わせますとほぼ千件程度の事業認定が行なわれている、こう考えてよろしいかと思います。  これは従来に比較しまして件数が相当大幅にふえているわけでございますが、それにいたしましても、公共事業の全体の数から見ますと非常に微微たるものでございます。特に裁決まで至りました件数はさらに少のうございまして、最近、年間六十数件という程度にとどまっております。したがいまして大部分はお話し合いによって従来は土地取得を行なっておったというのが実態でございます。

山下榮二民主社会党

○山下委員 それじゃ、いままでの土地収容委員の任命というのはどういう基準で任命が行なわれておりますか。その任命の方法等を伺いたいと思います。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 先生御存じのとおり、土地収容委員会は法律の定めるところによりまして各都道府県に置かれておりますが、この選任につきましては都道府県知事が都道府県の議会の同意を得まして任命するのでございますが、それらの方々は法律、経済または行政に関しましてすぐれた経験と知識を有しておられる、しかも公共の福祉に関して公正な判断ができると考えられる方を選んでおるわけでございます。

山下榮二民主社会党

○山下委員 法律の定めるところではあろうと思うのですが、そういう委員会に、地主というんですか、土地所有者、利益者代表というものを加える方法は今後お考えになっていないかどうか。たとえば今後、先ほどのお話のように土地収用委員会に付託される件数が増加してまいるということになりますと、ただ単なる学識経験者、第三者ということだけではなく、その被害者といいますか、あるいは地主といいますか、そういう側の代表者が加わるということがきわめて合理的ではないかという感じも持つんですが、そういうことに対しての今後の見通し、あるいはお考えというものを伺いたいと思います。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 土地収用委員会は、先生御承知のとおり、一種の裁判所に準ずるような公正な立場をもって起業者並びに地主さんとの間を調整する役割りでございますので、そのような意味合いにおきまして、法律におきましても、先ほど申し上げましたような公正な方々を選ぶという趣旨になっております。もちろん公正な方々のうちには、地主さんであってかつ学識経験が豊かで公正な方というものも当然考えられると存じます。  現在の収用委員会の職業別構成を申しますと、大体大学の先生方が相当パーセンテージを占めております。それから弁護士あるいは公認会計士という方々。この大学の教授と弁護士並びに公認会計士の方々で委員の相当部分を占めているようなわけでございます。そのほか会社または銀行等の役員とかあるいは製造業あるいは農業、商業団体の役員といったような各広範にわたった委員の人選になっておりますが、いずれもこれらの方々は、先ほど申し上げましたように、学識経験を有し、かつ公正に判断を下されるという立場から選んでいるような次第でございます。

山下榮二民主社会党

○山下委員 次に、大臣に伺いたいと思うのですが、この土地収用法の一部改正というものが日本の一般土地価格というものに対してどういう影響を与えるとお考えになっておりますか。  私は、後ほど総理大臣にも伺いたいと思っているのですが、戦後日本の物価高騰というものは、土地の高騰が一番はなはだしいと思っているのであります。歴代の自民党内閣というものが土地価格安定ということに対する政治的配慮が欠除している、こう思っているのであります。土地収用法の一部改正ということが日本の土地価格安定に役立つようにものごとというものを考えていくべきではないか、こういうふうに考えるのです。いま改正をされているこういう微温的なものではおそらくそこまで累を及ぼすとは思っていないのですが、当初建設省がお考えになった原案よりもずいぶん後退したような感じも持っているのですけれども、建設大臣はかようなことを通じて日本の土地価格安定に対してどうしていかなければならぬというお考えを持っていらっしゃるか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 まず第一に、今度の改正案が建設省が考えておりました当初の案から後退しているのではないか、こういうふうな御意見のようでありますが、私どもの考え方では少しも後退しておらない。これは最初の案を出しますときには簡単に申し上げておりますから、あるいは後退しているような印象を受けておられるかもしれませんが、問題は、現行の裁決時というのでは、御承知のとおりに途中において不当な値上がりを呼び起こす、こういう状態が一つの弊害とされておりますので、これを押えるといいますかチェックする、これが一つの基本的な考え方でありまして、その点については少しも変わっておらないわけであります。あるいは今度事業認定時の価格で算定する、こういうことにしております中に、物価変動の標準率をかける、この点が後退のようにあるいは誤解されておると思いますが、一定時点において観念的に価格をこの時点だということにいたしましても、支払いをするまであるいは法律上からいいますと裁決をする段階になったときに、裁決時までの、厳密な意味におきますと貨幣の価値の変動というものを認めないということは、憲法二十九条の正当な補償、この面から不適当である、こういうことから、物価変動率をかける。これは政令で基準をきめますが、そういうことをしておる点であろうと思いますが、これは、裁決時というのを事業認定時ということに改めました当初の考え方と基本的に少しも変わっておらないわけであります。憲法にいう正当な補償の観念を明確にした、こういうことだけでありますから、誤解のないようにしていただきたいと思います。  それから、地価の安定ということについて、この法律がどのくらい効果があるか。これはしばしば当委員会等においても御議論があったところでありまして、これだけで問題が解決するとは思っておりません。これは一つの大きな抵抗である、かようには考えますが、これだけでこの複雑な土地政策あるいは地価政策が解決するものとは思っておりません。しばしば申し上げまして、また、御承知のように、公共事業等をいたします場合に、どうしても、従来の土地収用法の運用も適切でなかった。先ほど数字的にも御報告いたしましたが、適切でなかった。したがって、話し合いという形において土地所有者に不当な利益を与えるということがおよそ行なわれておった。それがひいては地価上昇の大きな原因になっておる。そういう問題をチェックするという一つの作用をする。公共事業の膨大な施行によって地価がどんどん結果的にはつり上げられる状態が起こっておる。これをチェックするという作用は、今後の運用適切でなければこれはなりませんけれども、運用適切であれば相当の効果がある、かように私どもは期待しておるわけでございます。  なお、従来、政府の怠慢というおことばはなかったのでありますが、政策よろしきを得ないために地価が今日の状態になったのではないかとおっしゃるわけでありますが、あえて私はこれは否定いたしません。もっと適切な措置があれば、今日の混乱はある程度防げたと思います。前にも申し上げておりますように、やや手おくれであったことは事実であります。しかし非常に困難な問題でありますから、事は社会観念、経済、すべてに及ぼす大きな問題でありますから、そう簡単でないことで、今日までもいろいろ政府といえどもこれに苦慮して、いろいろな手を施したわけでありますが、限られた土地の中に急激な土地需要——あるいは産業、あるいは住宅あるいは公共事業の拡大、限られた土地に急激な土地の需要というものが、他の物価の上昇と非常に違った形で出てきている、こういう状況でありますから、これは言いわけじゃなくて、必ずしも政府だけの責任というわけにはいかない、日本の経済のあり方等、全般にわたる問題であります。やや手おくれでありますけれども、しかしこの際、われわれはこの問題に政府といわず、国会といわず、国民全部で立ち向かうべき時代になっておる、こういうことで、その一環としてこの問題をお願いしておる。税制の問題、あるいは常に問題になっております。根本的には土地の利用計画を厳密なものを立てて、それによって土地利用の、また土地使用の規制をしていく、これが根本問題であろうと思います。そのことが、わが国の国民生活、経済といわず、すべての面にきわめて必要であるし、それが国民のしあわせをはかる基本的な問題である、かように考えておるわけでございます。

山下榮二民主社会党

○山下委員 いま瀬戸山大臣も、政府が従来土地価格安定に対する施策の万全を期し得ていないということをお認めになったのです。さきに国会を通過いたしました住宅五カ年計画にいたしましても、昭和四十五年度までに一世帯一住宅の大方針を打ち立てて法案を決定いたしたのでありますが、私は、住宅の困難も、帰するところ土地の高騰による、これが大きなガンである、こう想像をいたしております。いま大臣のお話を伺っておりましても、将来、日本の土地価格安定に対して、基本的にかようにしていかなければならぬ、あるいは来たるべき次の国会にはかような法案を出さなければならぬ、法律上の規制あるいは政治上の考え方、いろいろあろうと思うのです。日本の土地の上昇というものは、昭和三十年度を一〇〇といたしますと、昭和四十年度には、政府の発表した統計を見ただけでも八百何十倍、九百倍近い上昇率を示しておるようであります。こういうこと等から考えまして、建設省として、一体いま土地価格安定に対してどういう施策をしなければならぬというお考えをお持ちであるか、建設省の今後の土地価格に対する一つの方針があったら伺わせていただきたい、こう思います。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 今後なすべきことは、これは建設省のみらず、政治の姿勢として検討して、すみやかにできるものは、実施すべきだと思いますのは、すみやかに土地利用計画を立てる。しかも、全国的な問題は簡単でありませんから、非常に土地の需要の大きいところ、あるいは市街化が非常に進むところ、こういうところから、実際的に仕事ができるようなところからやるべきであろうと思います。全国的な土地利用計画というものは相当長年月を要します。また農業と他産業、特に市街地との関係、きわめてこれは深刻な問題でありますから、そう手やすい問題であろうとは思いません。同時に、やはりこれは前から問題になっておりますように、価格の公示制度をどうしても実施すべきだ、それに従って、公共事業とその他の土地はおおむねこのぐらいであるということが国民一般にわかるような制度をつくるべきである、これもいま準備を進めておりますが、前から申し上げておりますように、これは権威のある評価制度また鑑定士、そういうものがそろいませんと、ただ口頭禅に終わるということになりますから、そういう準備をいま進めておるということは山下委員も御承知だと思います。まあ、ほかにもいろいろありますが、基本的な問題はさようなことであろうと思って準備を進めておるわけでございます。

山下榮二民主社会党

○山下委員 次に、もう時間もないようですから事務当局にもう一つだけ伺いたいと思うのですが、昨日の参考人の話を伺っておりましても、公共施設のために、その近隣の土地の値上がりということを非常に主張されておったのであります。御承知のとおり、道路あるいは住宅その他の公共施設によって、その近隣の地価が値上がりすることは、これは当然だと思うのであります。しかしまた一面、その公共施設のために地価が下がるという面も考えねばならぬ場合が生じてまいっておる。最近、御承知のごとく大都市、中都市を問わず終末処理場等の建設あるいは拘置所等の設置、これらの問題で、持ってこられたところについてはその近隣の地価が暴落をするということで猛烈な反対のあるところも少なくないのであります。こういうことに対する対策、こういうことに対するお考えというものはいかようにお考えになっておるか、伺いたいと思います。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 お答えいたします。  今回の改正で事業認定時の価格を基準とするというふうなことで起業地の土地については方向を打ち出しておるわけでございますが、これは値上がりする場合も値下がりする場合も事業認定時の価格というものを基準として考えてまいろう、こういう筋でございます。したがいまして、起業地に関しましてはただいま山下先生のお話のあったようなことは一応カバーできると思われるわけでございます。  ただ周辺の問題でございますが、ただいまお話のございましたような終末処理場とかごみ処理場とかいうふうなものができますと、周辺の環境が悪くなる、したがって大幅に値下がりをする場合もあり得るという問題があるわけでございます。これらに関しましては、通常受忍すべき範囲内、通常がまんすべき範囲内のものであるかどうかということが一つの問題になるわけでございまして、これらの点につきましては司法上の問題といたしましても非常に争点のあるところでございまして、漸次そういった範囲が広がりつつあることは事実でございますが、それらにつきましては一種の損害賠償というふうな問題として処理をしていくというよりほか方法はなかろうかと存じておるわけでございます。

山下榮二民主社会党

○山下委員 損害賠償というようなことになりますと、その地域、その範囲、相当困難な問題であると思うのですが、そういう場合には一体どういう機関で御決定をなさるのですか。そういうのが土地収用委員会にかかるということになるのでしょうか。そのきめ手というものは一体どこで行なわれるのか、これが重大な問題になってくるのじゃなかろうかと思うのであります。あるいはまた、その公害の程度ということも問題になってくるであろうと思うのであります。そういう点の取り扱い、こういうことは一体どこでどうされるという計画があるのでしょうか、お知らせを願いたい。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 土地収用法で規定しております収用委員会におきましては、そこの問題までは手が及びかねる問題かと存じます。さような意味合いにおきまして、この問題は一般的な問題として収用委員会以外の場で考えてまいらねばならぬ問題でございます。それらにつきましても、私正確にいま記憶いたしておりませんが、たとえば非常にやかましい夜間工事があった、そして周辺の商店その他が非常に迷惑をしたという場合に提訴がございまして、これはやはり一種の公害であってがまんすべき範囲をこえておる、通常受忍すべき範囲をこえておるというふうなことで損害賠償の判決があったように伺っております。あるいはたいへん爆音がやかましくてどうにも生活ができないというような場合の提訴、それに対する判決というようなものがあったように聞いておりますが、それらの積み重ねということによって処理してまいるというよりほかないのではないかと存じておるわけでございます。

山下榮二民主社会党

○山下委員 そういう周囲のいろんな関係等の積み重ねとおっしゃっても、なかなかこれは容易なことじゃないと思うのですが、これはやはり法律の中にそういうことも考慮の中に入れて、何らかの法律の規制措置というものがあってしかるべきじゃないかと思うのですが、建設省としてはそういう必要はお感じではないのですか。そういうものはもう司法に委譲しておいたらいい、こういうことでしょうか、ちょっと伺いたい。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 工事の施行等にあたりましては、そういう問題についてなるべく周辺の迷惑にならぬようにということで、私ども特に都市部の工事の施行方法等については指示をいたしております。さようなことの少ないような努力を続けていかねばならぬと存じております。

山下榮二民主社会党

○山下委員 総理見えたようでございますから、これで中断いたします。

田村元自由民主党

○田村委員長 岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 土地収用法の採決を前にいたしまして、まず第一に総理に、これからの日本の土地政策に対するところの基本的な態度もしくはかまえの問題についてお伺いしたいと思うのです。  土地が非常に値上がりいたしまして、それが日本の経済を圧迫し、同時にまた国民生活を非常に窮迫におとしいれておるわけであります。したがって私は、今日の地価というものは単に地価を押えるという程度にとどまらないで、地価をぐんと引き下げていく、こういうふうな姿勢を政府に持っていただかなければならないと思うのであります。いま出てまいりました地価対策を見ましても、私はこれでもって地価の抑制すら十分には行なわれないであろう、こういうふうな判断よりできないのであります。したがって、地価の引き下げなどはいま出てまいりました法案ではとても思いも及びません。しかしながら、政府はこれからだんだん対策を進めて、現在よりも地価を引き下げるんだ。今日たとえて言えば、東京の環状線の中ではもう十万円以下の土地はない、通勤一時間の距離の中には五万円以下の土地はない、こういうことが言われております。そういうことでは勤労者はみずからの安住の地を求めることはできません。したがって、地価を引き下げるための強い政策をとっていただかなければならないと思いますが、総理の御見解を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 岡本君にお答えいたしますが、ただいまお話にもありましたように、地価を引き下げなければいかぬ、しかし、とても引き下げるというところまではいかぬでしょうが、とめることだけでもひとつやってくれ、こういうことが言われておる。私は、最近の地価の暴騰、それが国民生活に非常な悪影響を与えておる、これは何としても解決しなければならぬということで、昨年来関係閣僚会議を開きまして、総合的な施策でこれを解決の方向へ持っていこうということを決意いたしたのであります。もともと基本的に考えますと、土地の所有権というかそういう財産権も他の財産と同様に保護さるべきものだ、あるいはもっと土地所有者としては自己の財産権の保護について強い期待を持っておるというのが現状ではないかと思うのです。しかしながら、さような考え方でこれを見るわけにはいかない。これは簡単な財産権という見方でなしに、非常に公共性のあるものですから、土地自身が公共性のものでありますから、そういう意味において他の財産権と同様にこれを保護すると申しましても、公共的な使用のために制限、制約を受ける、これは当然のことじゃないだろうか、かように思うのでございます。ただいまお話が根本的の問題に触れましたので、基本的な考え方を申しますと、私はさように考えておる。でありますから、その範囲でどういうことが可能なのか、いままでいろいろ論議はされているけれども、とやかくは言われたが、あまり手がついてない、それだけむずかしいものなんですね。ただいま言う財産権のうちでも、所有権者としては一番強く保護を要求する、そういうものだ。これと取り組んで公共的性格、それを生かしていく、これが私どものねらいでなければならぬ、かように実は思っておる次第であります。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 財産権を保護しなければならないということをおっしゃいますが、今日非常に値上がりしたところの地価の中には、本人の勤労による所得、本人みずからの何らかの社会的功績、貢献によるところの部分と、それからいろいろな公共的な施設のためにたまたまぐんと値上がりしたところの不労所得の部分と、二つに分けることができると思うのであります。したがって、私たちは、そういうふうな不労所得部分というものは必ずしも本人の財産として保護する必要はない、こういう見解に立っております。また瀬戸山構想もそういう見解に立っております。そしてまた、今度出てまいりましたところの租税特別措置法の改正案の中に盛られておるところの譲渡所得税の改正の内容も、そうした社会的な要因によるところの土地の増価額、価のふえた分については、これはやはり税として出してもらって社会に還元するのだ、こういう構想に立っておるのであります。したがいまして、いま非常に上がっておるところのこの地価というものは、これは必ずしもほんとうの意味におけるところの財産ではなくて、むしろ社会的な理由の価値増である。したがって、これを引き下げるということも決して財産権の侵害にはならない、こういうふうな理解に立たなければなりませんし、また、瀬戸山構想もそういう理解に立っております。だからそういうふうな意味においては、政府もこれからは、ほんとうに地価がこんなに上がって庶民みんな困っているのだから、そういうふうな地価の引き下げに努力する、こういうことは当然総理として私は御答弁がいただける、こういうふうに予想しておったのに、いや財産権は守らなければならぬからというふうな非常にあいまいな御答弁で、少し期待に反するのでございますが、いかがでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は先ほどお答えしたことで十分だと思っております。ただいま岡本君からさらに重ねてのお尋ねでございますが、価値論等について、あるいは価格論等についていろいろの議論のあることも私承知しておりますが、これが勤労によらない価格の暴騰だから、そういうものは当然押えるべきだとか、あるいは所有権者として主張すべきでないとか、かように言われましても、現状はそうではないのだ。私どもが今度は政治の面でさような不当な価格が生じないような、そういうようなことをするのは政治家の責任だと思います。したがいまして、ただいま言われる価値論あるいは価格論、価格形成論だけからこういう社会的現象を処理していこうというところに実は無理があるのじゃないか、かように私は思います。したがいまして、今回の土地の暴騰に対処する、そういう場合には総合的な施策をとらなければならない。これ一つで十分だというものはない、こういうのでございますから、いろいろ総合的な施策を立てたわけであります。ことにそのむずかしい点は、公共の用に供せられる当該の土地、さらにそういうものにかからない隣接の土地の値段はどうなるのか、こういうようなことまで考えていかなければならないのです。また、現在あります土地を今度はいかに利用していくか、いわゆる既成の市街地などをどういうように利用していくか等々、総合的な施策を必要といたしますので、基本的にその非常な暴騰が国民生活を圧迫している、また経済の発展に悪影響がある、これらのことは私どもは政治の面から当然見のがさないで注意してまいりますが、そういうことが起こらないようにしよう、ここに総合的な施策があり、ただいま土地の収用法の改正、これもその一つだというようなことでございますので、必ずしも岡本君の言われることに反対だというものじゃありませんけれども、ただいま根を張っている社会現象に対しまして私どもがいかに処置するか、これが民主的にいかに改正されていくか、その努力でありますから、ただいまたいへんなまぬるいというようなおしかりを受けましたが、まずその第一歩としても、今回提案しております収用法、また他の委員会にかかっております租税の特別措置等について御協力を願いたい、かようにお願いしておきます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 総理の地価対策に対する態度というものは、非常に歯切れの悪いものであります。いま総理は、こういうふうに不当に上がっておる、だからこういう不当な値上がりは今後起こらないようにするのだ、こういうお話ですね。しかしながら、それじゃ不当に上がってしまった分はどうするか、そして、現実に不当に上がって、そのために経済を圧迫し、同時にまた国民生活を苦しめている、これをどう緩和するか、これは当然一国の宰相としては考えていただかなければならぬ問題だと私は思うのです。今後上がらないようにいたします、そのためのできるだけの努力はいたします、しかしいままで上がった分を幾らかでも引き下げていく——急速引き下げるということについては、急に暴落を起こすということになれば、これはやはり信用上のいろいろな問題が起こって、あるいはパニックが起こってまいるかもしれません。だから私はそういうふうに極端に急速に下げろとは申しません。しかしながら徐々に、いままで上がってきた騰勢、その程度、あるいはそれより少しくらいは緩慢であるとしても、やはり引き下げるための努力をするのだ、こういうことは一国の宰相として当然御答弁なさるべきであると思うにかかわらず、きわめて歯切れの悪い御答弁で不満でありますが、重ねて、それだけの気持ちをあなたはお持ちにならないのか、引き下げに努力をする気があるのかないのか、これをひとつはっきりお答えを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いまの法律のたてまえ、その全体から申しますと、既得権益、既得権というものは尊重される、また財産権は保護される、これが基本的なたてまえであります。その既得権というものをどういうように認めるか、それを自然のままにほうっておくかどうか、これは一つの問題だ、かように私は思っております。ただいまも岡本君も言われるように、これは根本的にやれとは言わない、急激な変化を与えろとは言わない、しかしながら徐々にそういう状態をこしらえたらどうだというお話でありますが、私は、既得権というか、そういう状態を全然無視した考え方はできないのじゃないかということを先ほど来申しておるのであります。もちろんこういう事柄を上げていくということはあまり賛成はできませんから、土地というものがもっと公共的な性格においていわゆる全体の利益に使われるような、そういう方向でなければならない、これはもう私が重ねて申し上げるまでもないことであります。たとえば処分権あるいは使用権等につきましても制限を加える。現に古都保存の皆さんがつくられた法律ではそういうことになっている。これは必ずしも所有権者の財産権は保護されているとは言えないのじゃないか。所有権は失っておる。しかしながら、こういうような公共的性格を機会あるごとに喚起していく、これが必要なんじゃないか、かように私は思うのであります。基本的によほどの大きな食い違いがあるとは、私は思いませんけれども、しかし、既存の利益、これはやはり一応保護するというか、それを認めていくのが現行の政治なり、ものの考え方の基本でありますから、これを無視しろ、こういうところには私は賛成いたしかねる、かように申し上げておるのであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 たとえば昭和三十年以来、地価は十倍になっておる。物価は倍程度であるというふうに、地価というものは物価に比例しないで非常な値上がりを示しておる。そのことをすべての人たちは、地価の暴騰と言っておるのです。こういうふうな暴騰が、それが既得権である、既得権は守られなければならないというふうな総理の論旨には、私たちはとうてい承服することができません。きょうは、与えられた時間が少のうございますので、この問題についてさらに突っ込んだ討論ができないのがはなはだ残念でございますけれども、総理がいま御答弁になった範囲では、総理には地価引き下げの気持ちは全然ない、地価を引き下げるというような施策をやる気持ちは全然ない、こういうふうに私は判断せざるを得ません。そういうことでありますと、国民は、こんなに地価が上がって、これはとても困るじゃないか、何とかもっと物価を引き下げろ。物価は引き下げるのでしょう。物価は下げないとおっしゃらないでしょう。物価を下げるのだったら、物価の中で一番上がった地価を下げるのは当然じゃないですか。それをやる気がないなどということは、これは総理、あなたはそんなことを国民の前に言えますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は物価を引き下げるとまだ言ったことはございません。物価を安定さすということを申し上げております。そういう意味で地価の安定ということにも非常な努力を払っておるというようなことであります。だからただいままでの既得の状態、そういうものはある程度認めておる。またいまの消費者物価にいたしましても、これを安定さすということは申しております。これを引き下げるということは、実は申しておりません。経済の発展から申しまして、そういうものがだんだん上がること、ある程度上がること、これは経済の一つの現象で、当然の現象だと思います。しかしながら、これが安定しないで暴騰するとか、非常に変動するとかということはたいへんだ、かように思いますから、私は安定ということを申し上げておる。今日までも説明をして、皆さん方もその点を了承しておられるのじゃないかと思いますが、私は、賃金も引き下げろというようなことは言わない。賃金が上昇するのは当然だ、しかし急激な上昇は困る。いわゆる安定的な成長といいますか、そういうことを望んでおるということはしばしば申し上げてきた、かように私は思っております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 これは物価論になってきますから、きょうの議論の範囲を越えます。しかしながら、物価が上がったために、非常に国民は苦しんでいる、だからそれを下げる努力をしましょう、私はこういうふうな考え方に立つべきだと思うのです。ことにその物価に比べて著しく上がっておる地価を下げるのは当然です。そのための努力をされることは当然です。こうして幾ら議論を重ねても、これは押し問答になってきますから、これ以上の議論は避けたいと思いますが、これは総理、今晩もう一晩寝て、ゆっくりきょうの議論の経過を考えて、一国の宰相としてそれでもって国民生活をあずかっておる総理の責任ある御答弁として満足なものであったかどうかということを、あとで速記録を読み直していただきたいと思います。   〔委員長退席、服部委員長代理着席〕  その次に、しばしば総理は、いままでの本会議における質問に対する御答弁の中でも、土地利用制度を確立するということは必要だと思うというふうな御答弁をいただきました。しかしながらそれにはいろいろむずかしい問題がある、だからそれを解決してからでないとできない、こういうふうな意味のお答えでございました。しかしながらこの土地利用制度の確立ということが地価の——私から言わせれば引き下げです。しかしながら総理から言わせば安定でございますが、この地価安定のために土地利用区分の確立ということは焦眉の問題である、だから急いでやらなければならぬ、こういうふうに思っているのでございますが、これは総理、どのようなお気持ちを持っていらっしゃいますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま岡本君の言われる範囲におきましては、私も大体同じような考え方をしております。先ほど来いろいろな議論が出ておりましたが、私有権というものが無制限に認められるものではない。いわゆる公共的性質というものをもっと生かせということを申しておりますのはその点なんであります。私は、そういう意味では、現行の法制のもとにおきまして、そういう方向に徹しない考え方があり得るのじゃないか、そういうことをひとつ考えてみたらどうかということを申しておるのであります。たとえば、いまあります国有の土地、あるいは公有の土地、それなどを私有に移すようなことは避けなければいかぬ。よくよくの場合でなければそういうことをすべきじゃない。また、機会があればもっとそういうものをふやすべきじゃないか、こういう考え方を実はしておるのであります。このことは、いわゆる土地そのものについて、先ほど冒頭に申しました公共性を生かしていく。そういうほうで特に私は考うべきことじゃないか、かように思っておるのであります。そういうことを考えてまいりますと、どうも所有権本位でただいま土地の運営を考えておる。所有権本位で考えると、少し私有権にどうしてもなりますから、そこらに無理があるのじゃないか、かように私は思っておるので、土地の改革の基本的方向は、もっと公共性をいかにして生かすか、そこに集中すべきだ。かように実は思っておるのであります。これはむしろ社会党の諸君とも同じような考え方じゃないか、私はかように思っております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 先ほど山下委員に対する建設大臣の御答弁の中で、土地の利用区分を確立していきたい、しかしながら全国一斉ということになるとなかなか困難だから、都市周辺の、ことに宅地事情の緊迫したところからやっていきたい、こういうような大臣のお答えでございました。しかしながら私は、そういうふうに土地利用区分の問題を都市的な問題とだけ考えて取り上げていくことには間違いがあると思うのです。土地利用区分が確立しておらないから農地がどんどん値上がりして、たとえていえば、東海道沿線ではおそらく一万円以下の土地はないでしょう。工場がどんどん進出してきます。そうするとそれが相当な価格で買収いたしますと、それが翌年になって近隣地はみんなその価格になってしまう。そういたしますと今度は農業が経営規模を拡大しようといたしましても、もうそんなに値上がりした土地では採算が合いません。したがっていま日本農業の進んでいっておる道というものは、いわば園芸農業的なあり方、ビニール栽培をやったり、うんと手間を入れて、それでもって収入が得られるようにするというような方向に進んできておる。むしろ経営規模を拡大して、どんどん機械化して、それで大規模な農業をやっていくというような方向に持っていかなければならぬ。それには地価を安定さすどころか、現在の地価を下げなければならぬ。農地の価格を下げなければならぬ。そうしなければ農業というものは採算が成り立たない。そういう意味においては、全国的な規模におけるところの土地利用区分の確立ということが、私は焦眉の問題として必要であると思うのです。だから全国の市町村に一斉に土地利用制度を確立さす。どういうふうな土地利用をやっていくか。ここの部分は、これだけの部分は市街化地域である、それ以外のところは農林業地域であるというふうに区分して、しっかりと利用の方針を立てていく、こういうことを私はやらなければならぬと思うのでありますが、これは建設大臣の御答弁が、そういうふうに都市周辺だけとりあえずやっていく——とりあえずもいいですが、しかしながら、それに引き続いてもう追っかけるようにして全国的な規模におけるところの土地利用区分というものを確立しなければ、日本経済というものが非常に片寄ったいびつな姿に育っていく、また日本の土地利用の制度そのものがいびつなものにつくり上げられていく、こういうふうに私は思うのでありますが、総理のお考えを承りたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 先ほど山下委員のお尋ねに対する私のお答えに関連しておりますから、その前に、ちょっと申し上げておきます。  おっしゃるとおりであります。いま岡本さんのおっしゃるとおりに考えておるのです。考えておりますが、事は急を要するところがありますから、全国一ぺんにというわけには、なかなかこれは相当な問題であります。まず第一に、農業政策はどうあるべきか。主食の生産はどのくらいにやるべきか。いま野菜等のお話がありましたが、そういうものをどういうふうな生産体制をとるべきか。基本的な大きな農業政策との関連があります。したがって、そういうものを早急にやれと言われても、そう簡単ではありませんから、しかも、土地の問題は早急の場合がある。そういう意味で、大都市周辺等から順次行なっていく、こういう順序的なことを申し上げたのでありまして、できるだけ早く地方都市といえども、やはり並行してそういう区分を進めていく。これは農業政策との大きな観点がありますから、ぜひ御了解願いたい。と同時に、現在でも、農業も御承知のように農地法で規制しておりますが、まだまだ農地と農地以外の、使用すべき全般的な範囲というものの明確さが欠けておりますから、かってにスポイルされる。この問題を防ぐことが大きな今後の課題である、かように考えておるわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 いまの瀬戸山建設大臣のお答えでよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 瀬戸山建設大臣の答弁でよろしい。私も、先ほど答えたのは、最も急を要する問題と取り組んだ、その気持ちだ、かように思っておりました。  ただいまのお尋ねの点については、宅地審議会といいますか、この審議会自身も、宅地といっておるからその土地だけに限るようですが、この宅地審議会でいろいろ検討しておる。所有権に対してどういう制限を加えることができるか。また、その補償は一体どうしたらいいか等が問題になるわけです。そこで、その全般の問題についてはとくと検討中でございますが、いまの非常に急を要する都市周辺、これを早くやらなければならぬ、これは建設大臣のお答えしたとおりであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 今回の土地収用法の改正につきまして修正案を用意いたしております。そしてまた、それは自民党とも、民社党とも話し合いまして、本日三党共同でもって修正案が提出される予定になっております。その内容は、土地収用法の体系というものは、第三条に規定してある、三十五項目ございますが、こういうふうな種類の事業は公共事業とみなします。そういうふうな公共的な事業には土地収用権を与えます。土地収用権を与えられたところの事業はかくかくの手続でもって用地を取得しなさい、こういうふうなことが、大体土地収用法の体系です。ところが、一番大きな土地収用法の盲点は、そういうふうにして取得された土地については、それは公共の用に供せられた土地でございますから、公共の利益を害しないように管理しなければならぬ。これは当然の義務であります。ところが、その義務がうたってないのです。そこで、その義務がうたってないから、一たん取得された土地は、これは私のほうが買った土地です、私のものです、どんなに使おうとそれでいいのだ、煮て食おうと焼いて食おうとおれのかってだ、こういうふうな形でもってしばしばその土地が使われておる。だから、やはりそういうふうな公共の目的に取得された土地は、公共の福祉を阻害しないように管理しなければならぬ、こういうことを修正の内容にしておるわけであります。その例をあげますと、昔は土地を取得いたしましても、土地が平面的に使われておるから問題が少なうございました。ところが、このごろは、道路であるとか鉄道であるとか、都心部にはみな高架で入ってまいります。そういたしますと、その高架の下があいてまいりました。その高架下、ガード下が飲み屋街に使われたり、あるいは廃品処理業に使われたり、工場に使われたり、非常に周囲の住民に迷惑をかけておる。だから、そういうふうなことがないようにしなければならぬ。あるいはまた、近ごろ非常に鉄道なんかがスピードアップされる、あるいは重量化されてまいります。そうすると、もういまから二十年、三十年前につくられたところの高架線などというものは、そういうふうなことを考えないでつくられておる。ところが、昔は木造車です。それが鋼鉄車にかわった。それが二両、三両だったのがもう五両、十両の連結でハイスピードで走る。たいへんな振動で、付近の住宅はそのために壁はずれるわ、柱はゆがむわ、もう非常な騒音で困るというふうな現象が出てまいっておるわけであります。したがって、そういうふうな公共の目的でもって取得された土地の管理については、そういう重量物を通すなら通すで、それだけの設備の強化をやらなければならぬ。それだけの責任があると思うのです。どのような公害を出してもそれでちっとも差しつかえないんだ。一たん取得した土地の上へはどんなものを走らしても、またどのような使い方をしようともちっとも差しつかえないのだ、こういうことでは私はないと思うのであります。したがって、今度はそういうことを内容としたところの修正を三党共同でいたすことになったのでございます。修正案が成立いたしましたら、あとは行政指導に待つところが多いのであります。  そこで総理にお尋ねをいたしたいのでありますが、これは公共用地を取得したところの事業というものは、建設省はもちろん、運輸省も、あるいは厚生省も郵政省も、あらゆる各省にまたがっております。したがいまして、総理としては今後、修正の精神を生かしてそのような行政指導をきちんとやっていただけるかどうか、それについての総理の責任ある御答弁をいただきたいと思うのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 いま共同修正の趣旨を詳しく説明になりました。私は、しごくもっともだと思います。後におきまして、行政指導をしっかりやれ、こういうことですが、これは当然私、その趣旨は賛成でございますし、また、行政指導の衝に当たるものをそれぞれ督励をいたしまして、万全を期していくつもりであります。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 この前の土地収用法の改正のときにも、こういう修正案を出したのです。ところが、もう出た案だからというので、原案でのんでくれや、そのかわりに運輸大臣に出てもらって、鉄道関係のそういうふうな公害は避けるようにするからと、こういうふうなことで、一応運輸大臣が建設委員会に出られて、そういう行政指導をきちんとやりますという確約だったのです。ところが、一片の通牒が出ただけでそのままほったらかして、何の効果も出ていないのです。きょうは鉄道監督局長に来ていただいておるわけでありますが、監督局長にひとつ、この前の綾部さんの御答弁のときには運輸省は全くそれを無視して、全然行政指導をやっていただけなかったからいま総理に御答弁願いましたが、運輸省は総理の御答弁をきちんと行政指導の面に生かしていただけるかどうか、この機会にお伺いしておきたいと思います。

堀武夫運輸事務官(鉄道監督局長)

○堀政府委員 ただいまの三党修正案の御趣旨並びに総理の御答弁の御趣旨に従って、確実に実施するように努力いたしたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 この法律案は大体地価安定施策として出てまいっておりますから、租税特別措置法の一部改正案とはこれはペアの問題であります。ところが、聞くところによりますと、この租税特別措置法のほうは不動産取引業者のほうの一部の反対にあって難航しておる、自民党内部にも非常に強い異論がある、こういうふうに聞いておるのでありますが、もし、土地収用法だけは成立した、片一方の租税特別措置法は成立しなかったというふうなことになりますと、土地収用権だけは強化される、しかも地価安定施策として重要な役割りを果たすべき租税特別措置法は成切せぬ、これは食い逃げになります。そのような食い逃げは絶対やらないということを、自民党総裁としての総理にこの機会にひとつはっきりお約束願いたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまお話しのように、租税措置、これも地価対策の総合政策の一つでございます。ことにこの収用法と密接な関係のあるものであります。いわゆる収用された土地にはどういうことをするか、また収用されない土地に対してはどういうような課税方法をとるか、あるいはまた、いまあります市街地等についての高度利用の場合にはどういうような処置がとれるか等々のことを考えた租税措置でございますから、全部が成立を見なければ私どもの政策はうまく行なえないということになるのであります。したがいまして、ただいま御指摘のように、いわゆる食い逃げするとか片一方だけ通してそれで万事終われりとか、かようには絶対に考えておりません。これまた皆さんの御協力によりまして、同時にこれらの二つが成立を見るようにこの上ともよろしくお願いしておきます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 私の時間が過ぎましたので、これで終わります。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 川村継義君。

川村継義日本社会党

○川村委員 総理においでいただいたのですけれども、時間がたいへん少なくてまことに残念であります。そこで、私はいろいろ議論することをできるだけ省きまして、総理から結論的な方針をひとつ承っておきたいと思います。  総理は、本年の国会の当初にあたって、一月二十八日の施政方針演説でたいへんりっぱなことをお述べになっております。私がここでこまかく読み上げる必要もないと思いますけれども、「国民の生活を守り、これを向上させることは、国民に奉仕する政府の任務であり、政治の眼目であります。すべての国民が希望に満ちた明るい生活を営むことができる豊かな社会をつくり出すことは、私のかねてからの強い念願であります。」こうお述べいただいて決意を表明され、消費者物価の上昇に対して物価対策を推し進める体制をつくる、それについて幾つかの基本的な考えをお述べになっております。公共料金もできるだけこれを押えていくというようなお考えを述べておられます。さらには、社会開発の中で最もおくれた住宅対策について、住宅五カ年計画を中心とする住宅対策を推し進める、こういう決意、方針をお述べになっておりますけれども、これらの方針がわずか二、三カ月で実現するとは私も思いません。しかし今日の動きを見ておると、はたして国民が明るい希望を持って生活ができる望みを持っておるかどうか、こうなりますと、これは疑問とせざるを得ない、そういうのが今日の社会情勢ではないかと考えられます。交通の状態を見てみても、続発する犯罪の状態を見てみても、特に五月などはおそるべき凶悪犯罪が続発をしておる。いま申しますように、なかなかこういうものはむずかしいものでありましょうが、やはりこれらの方針があります以上は、少しでもその明るい芽ばえというものがあってしかるべきではないか、また国民もそれを期待しておるのではないかと私は考えるわけであります。総理の前に私がいま景気の動向等について申し上げる必要はありません。ただ、御存じのとおりに消費者物価もなかなか落ちつかない。やはり三月、四月と値上がりをしておる。倒産件数にいたしましても実際われわれとしても驚く状態であります。   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 総理も御存じでありましょうけれども、四月には中小企業の倒産が五百二十四件といって非常な状態をあらわしたのでありまして、負債金額四百九億五千万円、しかも一件当たりの負債金額は七千八百十五万円、これは本年の最高を記録しておるのであります。こういうような状況で、いま国民が佐藤内閣に対してどういう眼をもって見ておるか、これは総理もよく御存じのところであろうと思います。したがって政府がこれらの対策について、あるいは物価対策の方針について鋭意努力をしておられ、御苦心をしておられることは私もよく存じております。  そこで、その物価対策の問題としてはいろいろございましょうけれども、まず第一に、いままでの方針に基づいてその後どういう物価対策を進めていこうとしておられるか、その方針をお聞きをしたい。  第二には公共料金の問題でありますが、これはやはり物価対策の大きな柱をなすものだと思いますが、消費者物価の値上がり、鉄道運賃の値上がり、私鉄運賃の値上がり、やがては郵便料金が値上がりされます。これは国民生活、経済活動にたいへん大きな影響を与えることは申し上げるまでもありません。この公共料金の中で、昨日電電公社の総裁が、本年中に電話料金等の値上げをしたいのだけれども、ことしは無理かもしれないが来年早々にでも値上げをしたい、こういう発言をしておる。もしも電電公社から電話料金の値上げが出てまいりましたら、総理は一体これを認めるお考えか、あるいはそれを極力押えていくという御方針か。これはいまのうちに総理のお考えをぜひ明らかにしておいていただきたいと考えるわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 物価問題は、ことし私どもに課せられた一番政治上の重大課題だ、かように考えております。したがいまして、あらゆる機会に政府のこれと取り組む態度につきまして説明してまいりましたが、先ほども一言触れたわけでございますが、物価は安いことが望ましいのですけれども、これを下げるというわけになかなかいかない。そういう意味で物価を安定さすということを実は計画し、その線で動いておるわけであります。その際に、公共料金が次々に上げられる、あるいは消費者米価も次々に上げられた、あるいは医療費等が上げられた、こういうことで、政府はかような物価安定のことを言いながらも、そのとおりになってないんじゃないかというおしかりをしばしば受けておりますが、公共料金等の上げ幅あるいは上げる時期等につきましては政府が非常に苦心しておること、これはそれぞれの運賃あるいは料金改正においての審議の過程を通じまして政府の苦心はよく御理解をいただいたと思います。ただいま川村君からも苦心はわかるがと、こういうお話でございますから重ねて申し上げません。  ただいま電電公社の話が出ておりますが、私は電電公社の総裁からさような申し出をまだ受けておりません。おそらく何らかの機会に記者諸君に話をした、それが記事になっているんじゃないかと思います。したがってただいまの段階ではその具体性というものがどこまであるかよくわかりませんけれども、しかし具体性があろうがなかろうが、さような問題が出た場合に、政府は極力値上げをしないように努力するということをこの機会に政府の決意を申し上げておきまして、ただいまの問題はさらに詳細にその話を聞かないことには結論は出ないと思います。しかしいままでもとってまいりました政府の態度、いわゆるこういうものは極力上げないようにする、この点はこの電電の場合も同じように堅持するつもりでございます。

川村継義日本社会党

○川村委員 総理の御決意はわかるのでありますけれども、前回の公共料金の値上げの場合でも政府は公共料金の値上げをしない、こういう一応の約束をなさってきたのでありますけれども、どうしてもやはりそれぞれの企業の内容を検討してみるとそれだけの要因があるから最小限上げざるを得ないということで公共料金が上げられてきたわけであります。もちろんその事業体によって、企業の内容によってこれを十年も二十年も押えておくなんてそういうばかなことは、これは経済に即応する道ではないと思いますけれども、公共料金が物価に与える影響というものは非常に大きいのであります。本年度になって次から次に公共料金が値上がりしておるのに電電総裁が昨日の委員会でそういう発言をなさるということは私はたいへんな問題ではないか、こう考えるわけです。そこで、おそらく出てきたらばその内容を検討して上げるべきかあるいは押えるべきかという、そういう考え方で一応進んでいかれるかもしれませんけれども、それではわれわれは納得できない。この間の本会議で総理のあとで演説をされた藤山企画庁長官も、今後数年間は値上げをしないで済むよう措置してまいる所存でございますと、公共料金についてははっきりと演説をしておられる。方針を述べておられる。総理の公共料金に対する考えも必要やむを得なかったというような御趣旨で演説をなさっておるし、方針を示しておられました。今後は極力押えていく、こういう御方針とわれわれは聞いておるのであります。そこで電話料金はことしでも上げたいんだけれども、ことしは無理かもしれない、そこで来年度でもひとつぜひ上げたい、こういうことを委員会で総裁が答弁をするということになると、これは非常に問題であって、電話料金も五年先まで据え置けと、えげつないことは私は申しません。しかしいますぐ、あるいは来年度こういう電話料金等を上げるということは、これはたいへんな問題になると思うのですけれども、いま一度総理の御決意をこの際聞いておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまのは委員会で発言があったというようなお話ですが、私はそういうことを知らなかったのですが、委員会で発言がありましても、政府の基本的態度、基本的方針として極力押える、これには変わりはございません。だからこの機会にも明確にいたしておきます。極力押えますと、これは重ねてお答えをいたします。それぞれの事業にはそれぞれの理由があることだとは思いますが、片方で合理化が協力されず、あるいは従業員の賃上げはそれぞれ計画される、こういうところに電電の管理者としても腐心するものがあるだろうと思いますので、あらゆる方面から十分考えてまいる、政府自身は極力これを押える、この方針に変わりはないと重ねてお話ししておきます。

川村継義日本社会党

○川村委員 物価の問題を考えるときに、いま岡本委員からもいろいろお尋ねをいたしましたが、やはり土地対策というのは実に大きな問題であると思います。私はいまここで繰り返して土地問題についていろいろお尋ねをしようとは思いませんけれども、土地問題の現状あるいはそのよって来たる原因、また各種の土地に関係のある現行法の問題点、こういうものが存在することはそれぞれまた検討を重ねていかなければならぬと思いますけれども、総じて結論的に申し上げますと、やはり瀬戸山大臣もたびたび言明せられておりますように、これからの土地対策というものの重点になるものは何か、こう考えてまいりますと、いまも岡本委員が論議しました土地利用の計画、こういうものの策定というものが大きなウエートを占めるのではないか、これについては先ほどのいろいろの御意見を承っておくことにいたします。そのほか税制度の問題、あるいは土地市場の問題、あるいは先買い権制度の問題、特に公共団体によるところの大量の用地供給というものが大事ではないか。ただ民間のいわゆるブローカー的な諸君にまかしておいては土地の値上がりなどは絶対に押えられぬ、こう私は見ております。こういう各種の問題がありましょうけれども、総理にいま一つの問題として御決意を聞いておきたいことは、この地価の公定制度と申しますか、公示制度と申しますか、これを確立することが何よりも私は先決ではないかと思う。非常にむずかしい問題ではあろうと思います。不動産の評価をどうするか、あるいは鑑定制度をどうするか、あるいは何を基準として求めるか、固定資産税を基準として求めるかなどなど、いろいろな問題があろうと思いますけれども、この地価公示制度、こういうものを確立することが何よりの重要な課題であると思います。  そこで私がお尋ねしたいことは、御決意を聞いておきたいことは、早急に政府としてこの制度について検討を加える、直ちに発足させる、そういうような御決意があるかないか、これをぜひお聞かせいただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 地価公示制度、これはごもっともな考え方だと思います。建設省におきましてもこの点が問題だということで、これを実施する方向でいろいろ検討しております。その前提条件としての条件整備をただいま急いでいるというのが現状でございますから、どうか御協力、御支援をひとつお願いしておきます。

川村継義日本社会党

○川村委員 今度土地収用法が出ておりますが、決してうしろ向きの改正とは思っておりません。しかし土地収用法をつくってみたからといって、土地政策あるいは土地価格の抑制、こういうものができると安易に考えてはいかぬ、こう思うのであります。住宅政策は非常に総理は前向きで取り組んでいただいている。しかしなかなか困難な問題点が多いのであります。宅地審議会等がいろいろの答申をしております。しかしこれだってまだまだ十分な答申に沿うような対策が打たれておるとは考えられないのでありますが、宅地政策イコール住宅政策だと考えるならば、なおさら土地問題について十分なる対策を進めていただくことを強く要求しておきたいと思います。  そこで第二の問題として……

田村元自由民主党

○田村委員長 川村君に申し上げますが、約束の時間がすでに過ぎておりますから、簡潔にお願いいたします。

川村継義日本社会党

○川村委員 この都市の過密化を防止するということ、この問題が今日日本全体の経済の問題あるいは社会の問題等と考えて重要ではないかと考えます。国土の開発法、低開発地域の工業開発法、新産業都市建設促進法、いろいろな法律があります。そしてこれは地域格差をなくするとか都市の集中を防ぐとか、ちゃんとうたってありますけれども、御存じのとおり昨年の国勢調査の結果は、ものすごい人口の都市集中を顕著にあらわしておるわけであります。この都市に集中する状態が非常に大きな影響を与えておるということは、私がるる申し上げるまでもありません。交通問題、物価の問題、住宅の問題、土地の問題あるいは上下水道問題、文化の問題、いろいろにこの都市集中というものがたいへんな影響を与えておるわけであります。いま都市計画等で、たとえば東京なら東京でいろいろな計画が進められておりますけれども、これは何ら抑制策にならぬのじゃないか。逆に言うならば、そのすばらしい都市計画というような構想も、かえって過密を促進している結果になりかねない問題だ、こう見てもいいと思います。ぜひひとつこの都市の過密化防止あるいは都市人口集中を抑制する、こういうものがないと、これは日本経済全体にとってもいろいろな問題にとって大きな影響があると思うわけであります。  そこで、総理はこの問題についてどのように取り組んでいかれる御方針をお持ちか、ぜひひとつこの際お示しをいただきたい。さらにはまた、いずれ時間をいただいてこれらについて重ねてお聞きすることもあるかと思いますけれども、総理のお考えを聞いておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 人口あるいは産業、文化、すべてのものが都市集中する、これは最近の各国が悩んでおる問題であります。日本だけではありません。そこで過密都市対策が非常な重大な政治上の問題になっておる。すでに都市集中を排除する、そのための産業分散計画とか、あるいは地方工業都市の整備計画だとか、新産業都市をつくるとか等々のこともございます。同時に、しかしこういうことをいたしましても、ただいま川村君が御指摘になりましたように、最近の都市計画そのものは、片一方で過密都市対策を立てながらも、都市に住むようにしているのじゃないのか、こういう御指摘がありますが、ほんとうに皮肉な状態なものが現出されておるのであります。しかし私は、都市の再開発、こういう点に力を入れるならば、現在の過密都市の弊害もよほどこれを救うことができるのじゃないか、対策としてこれは見のがすわけにいかないのじゃないか、かようにも思うのであります。ただいまの都市再開発の一環として宅地ならばいわゆる高度利用、これが一つの問題でありますし、また現在のあるいは水道対策あるいは交通対策あるいは租税対策等々をみんな計画しているが、これは結局現状においては都市生活のほうがよろしいという方向になるのだという川村君のただいまの御指摘にも十分反省をいたしまして、それらの点が他の地方分散計画、そのほうに魅力があるような政治的な推進をする必要がある、かように私は思っております。現在の都市、過密都市、既存都市の再開発、そういう意味でこの過大都市の弊害を除去するように努力してまいりたい、かように思っております。

川村継義日本社会党

○川村委員 日本の経済の安定成長を考えるならば、いまの問題は私はやはり重要な政治課題だと思います。地域開発の問題ももちろん考えねばなりません。社会資本の投下ということについても再検討をすべきときではないか、こう考えるわけでございますから、強く総理に要望いたしまして、質問を終わります。

田村元自由民主党

○田村委員長 山下榮二君。

山下榮二民主社会党

○山下委員 総理に、今回提出をされました土地収用法の一部改正案を中心といたしまして、二、三お伺いをいたしたいと思うのでございます。  この土地収用法の一部改正法律案が、公共川地の確保と公共事業の推進に役立つということでお考えになったことは、その理由がよくわかるのであります。しかしこの土地収用法の一部改正が、ただ単なるいま申し上げたようなことであってはならぬと私は思うのであります。一体この改正によって日本の地価安定にいかなる影響を与えるか、また政府はそれに対してどういうお考えを持っておられるか、その辺のことを伺いたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの土地収用法がどういう効果があるかというお話でありますが、この土地収用法で価格決定の時期等を事業認定のときにしておる。そこに一つ動かないものを見つけたい。したがってこれは全然自由価格というものにしないで、ここに一つの基準を設けたということでありますから、私は将来必ず役立つ、かように思っております。

山下榮二民主社会党

○山下委員 時間もございませんからまとめて質問を申し上げたいと思うのですが、御承知のとおり昭和三十年代のわが国の経済というものは、非常な高度成長の経済期であったと思うのであります。政府の統計を見ただけでも、一般物価の騰貴は、昭和三十年度を一〇〇といたしまして、四十年度には一四六という数字をあらわし、ことに土地につきましては、同じ三十年度を一〇〇といたしますると、七六八という数字、ほとんど八〇〇という数字になっておるのであります。このことは、一般物価と比較いたしまして、地価の高騰がはなはだしいと言わければならぬのであります。私はこのことを思ますると 歴代の自民党内閣の地価安定対策というものの欠除である、こう申し上げたいのであります。  御承知のとおり、昨年の国会でございますか、地価安定に関する決議案が衆議院に上程されまして、各党全会一致で決定をいたし、政府はそれに基づいて内閣に閣僚懇談会等は設けられたようでございますけれども、何らの効果をあらわしていないのであります。一体佐藤内閣として、先ほど川村君の質問にもございましたように、公共料金を上げない、いろいろ施策は並べられましたけれども、それと全く反対の方向の政治コースをたどっていらっしゃるというのが佐藤内閣の政治姿勢であると私は思うのであります。  この際、さきに提出をされました住宅五カ年計画等につきましても、昭和四十五年度には一世帯一住宅というりっぱな目的を持って発足をされておるのですが、しかしこの地価の暴騰によりまするとなかなかその理想達成ということは容易でないということが想像されるのであります。したがいまして、いま何をおいても住の問題が重大でございますから、その住宅の問題には地価安定というものの対策が確立せない限り、政府の言う一世帯一住宅というものの実現は乏しい、こう思うのでありますが、地価安定対策に対する佐藤内閣の基本的なお考えを伺いたいと思うのであります。     —————————————

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 地価対策につきましてただいまようやく一案を土地収用法で、さらにまた税制改革の法律案を出しております。しかしこれらのものはいわゆる総合対策の一つの問題だ、かように私は考えておりますし、また建設省当局もさように考えておるわけであります。もともと需給関係できまる問題でありますから、宅地そのものが十分でないとこれが暴騰する、価格が高くなる、これはもうやむを得ないことだ。しかし政府がこれに干渉しないでほうっておくと、その需給関係だけできまるわけなんです。それではいけないから、いわゆる公共性というものに目をつける。そういう意味で、その収用あるいは取得が円滑にできる、そのためにこの収用法を設ける。同時に、しからば収用されるということは価格を自由に形成するというたてまえに対する制限だ、何か恩典はないかということで、それに対する一つの税制上の恩典を与える。それを考えますと今度は、収用されない土地が収用者の犠牲において不当の利得を得るということになるから、これに対してもわれわれは考えていかなければならない。また宅地造成、これは公的の機関でもするが、公的の機関だけではいけない。民間でも宅地造成をするものについて積極的に政府が助成していく。さらにまた、いまある既存の都市について高度利用等を考えて需給のバランスをとっていく。あるいは特別な交通政策、輸送機関を整備することによって、さらにまた都市周辺の開発によりましてただいまのような目的を達する等々、いろいろあるわけでありますが、その総合政策を実施していかなければ十分の効果をあげ得ない。かように思っているわけでありまして、その一つとして今日皆さんの御審議を得ている、かように私は考えておる次第であります。ただいまの住宅政策、土地の問題だとかその他の問題につきましても、ひとり住宅政策ばかりじゃありません、その他の国民生活そのものに土地というものがたいへんな影響を与えている。これは政府が見のがしてはおらないつもりであります。

山下榮二民主社会党

○山下委員 それじゃ、総理に伺いたいと思うのですが、土地というものに対する総理の基本的な考え方というのはどんなものでありましょうか。たとえばイギリスでは土地というものに対しましては、これは法律でも憲法でもないのですが、イギリス国民の概念として土地は国王のものである、女王のものである、こういう概念がイギリスではあるようであります。またいろいろな本を見てみますると、アメリカの考え方というものは、土地は連邦国家あるいは州の主権の属性である、こういう表現が使われておるようであります。したがいまして、土地というものは一般商品と違って、製造したり、いろいろつくるものではないのでありますからして、これは非常に公共性というものを中心に置いてものごとが考えられておる、こういうのが一般諸外国の土地に対する概念である、私はこう考えておるのであります。したがいまして、終戦後わが国に新憲法ができますときのマッカーサー元帥の憲法草案というものの、土地というものに対する第二十九条にはどういうことが当初書かれてあったかということを見てみますと、憲法の草案によると、「財産権は、これを侵してはならない。」「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」この規定は、もと二つに分かれていて、土地及び一切の資源の究極の所有権は国家に帰属する、こう書かれておったのであります。さらに、財産権を所有するものは義務を伴うとあったそうですか、これを見た日本のある高官あるいは大官が非常に驚いて、これはたいへんなことである、こういうことで、日本の長い歴史と伝統に考え合わせてこの草案というのを改正をして、いま憲法二十九条にございますように「財産権は、これを侵してはならない。」「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」こう二十九条が改められておることは、総理も御承知であろうと思うのであります。そういう関係からいたしまして、総理として土地というものに対する基本的な考え方あるいは概念、こう申していいのですが、それをひとつ伺いたいと思うのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま山下君から御指摘ですが、私も大体賛成なんです。先ほど岡本君から尋ねられました際に私はその点に触れたと思っております。土地所有権は他の財産権と同じように保護されなければならない、しかし同時にその公共性、非常に強い公共性というものを無視してはいけない、そういう意味の調和をどうしてもはかっていくというのがたてまえだ、かように私は考えているとお答えしたばかりであります。

山下榮二民主社会党

○山下委員 それじゃ、時間もないようでございますから、最後に一つだけ伺っておきたいと思うのです。  私は、土地という問題に対しまして、いろいろいま法律等がございます。しかし土地というものは、先ほどから申し上げまするような概念の上に立って、土地基本法という法律をつくって、その土地基本法のもとに、いま申し上げる土地収用法あるいは農地法あるいは都市計画法、土地区画整理法、宅地造成等規制法ないしは世間でやかましく言われておる、都市等における空閑地の利用対策等、これらの諸法律があって運営される、こういうことにならなければ土地の価格安定対策というのは容易でないんじゃないかという観念を持つのであります。そこで政府としては土地基本法という法律を、大方針を定めて、そうしてもろもろの法律がそれに基づいて運営される、こうあるべきだ、土地に対する概念、土地に対する基本的考え方というものは土地基本法に集約される、こうあるべきではなかろうかとわれわれは考えておるのであります。わが党は場合によれば土地基本法を提出する考えも持っておるのです。むしろそれは政府が考えるべきじゃないか、こう思うのですが、佐藤総理のお考えを伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 土地法基本法、いろいろ最近は基本法ばやりでございまして、何でもたいへんな問題はみな基本法に盛り込むというような形でございますが、ただいま政府は総合政策を実施する、その一端としてようやく土地収用法を出し、また税制の改正もおはかりしているという段階でございます。将来基本法が必要になるかどうか、これは十分考えるべき必要性のある問題だ、かように思いますけれども、いま直ちに政府は基本法を出す、そこまでの踏み切った考え方をいたしておりません。総合施策が十分効果をあげるかどうか、その実績もよく見た上でこの基本法というものも考えていきたい、かように思っております。

山下榮二民主社会党

○山下委員 まことに総理の答弁は私は不満でございますが、いま行なわれようといたしております総合政策では、地価安定政策にはなかなか縁が遠いのじゃないかという感じを持っておるのです。いま申し上げるような基本法のごときもっと強い対策を樹立せなければ、日本の狭い国土の地価安定対策というのは容易でないということを総理は肝に銘じていただきたい。その上に立って今後施策をひとつ御検討いただきたいということを希望申し上げて質問を終わります。

田村元自由民主党

○田村委員長 これにて両案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村元自由民主党

○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

田村元自由民主党

○田村委員長 井原岸高君外七名から土地収用法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。     —————————————

田村元自由民主党

○田村委員長 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。井原岸高君。

井原岸高自由民主党

○井原委員 ただいま議題になりました土地収用法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表しまして、三党の共同提出による修正案を提出いたします。  お手元に修正案が配付してございますので、別に朗読はいたしません。修正案の趣旨を簡単に申し上げます。  御承知のように、現行法では、取得した土地の管理については規定がなく、これが適正な管理をはかるため、起業者は取得した土地については、公共の利益に沿うよう適正な管理を行ない、土地を事業の用以外の他の用に利用し、また利用させるときは、当該土地の周辺の環境を阻害しないよう配慮しなければならないようにしたことでございます。  何とぞ全員の御賛成をお願いいたします。

田村元自由民主党

○田村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————

田村元自由民主党

○田村委員長 本修正案について別に発言の申し出もありませんので、これより土地収用法の一部を改正する法律案及び修正案並びに土地収用法の  一部を改正する法律施行法案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております土地収用法の  一部改正案及び同施行法案に対し、反対の理由を申し述べたいと思います。  その詳細につきましては、われわれの質疑を通じ明らかでありますので、会議録に譲り、ただいまはごく簡単にその理由を申し述べたいと存じます。  由来、本法律改正案は、地価の安定を目的として租税特別措置法の一部改正案とともに提出されたものであります。しかるにその税制改革はきわめて微温的なものでありまして、地価安定に対し大きな効果を期待することはできません。すなわち、今回の改正は、社会的要因に基づいた土地の値上がり分の不労所得の一部を社会に還元せしめんとするいわゆる土地増価税のみを制度化して、売り惜しみや思惑買いによって占有されている空閑地を大衆の用に供出せしめんとする土地利用促進税の制度がその中に含まれておりません。それでは地価の抑制に幾ぶんの期待を置くことができましても、勤労大衆の熱望している土地の値下がりを期待することはできません。地価抑制効果が不十分にして土地収用権のみを強化せんとする政府の今般の片寄った地価対策にはとうてい賛成することはできないのであります。これ、われわれが本改正案に反対する第一の理由であります。  第二には、施行法案の中に、駐留軍用地に土地収用法を準用ぜんとする規定が設けられております。本法によって認定される公共事業には、国または公共団体等の行なう純粋に公共的なものと、私鉄その他の営利を目的とする公共事業、さらに国民の間に、それがはたして公共の利益に通ずるものなりやいなや、意見の分かれているものとがありますが、われわれは駐留軍用地をわが国国民の利益に通ずるものと考えることはできないのであります。したがって、かかる内容を持った施行法にはとうてい賛成することができません。  反対理由のしさいは、明日同志の金丸徳重君が本会議において説明いたしますので、私はここにわれわれの反対理由のおもなる二点をあげて討論を終わりたいと思います。

田村元自由民主党

○田村委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、土地収用法の一部を改正する法律案に対する井原岸高君外七名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田村元自由民主党

○田村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案を採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田村元自由民主党

○田村委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決され、土地収用法の一部を改正する法律案は修正議決すべきものと決しました。  次に、土地収用法の一部を改正する法律施行法案を採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

田村元自由民主党

○田村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村元自由民主党

○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕

田村元自由民主党

○田村委員長 次会は来たる十日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会

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