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51回国会衆議院1966/06/03

建設委員会 第29号

発言数
110
登壇者
14
会派数
2
開催日
1966/06/03

会議録

田村元自由民主党

○田村委員長 これより会議を開きます。  土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  この際、両案審査のため、本日、日本道路公団理事金谷信孝君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田村元自由民主党

○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取は質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承を願います。     ―――――――――――――

田村元自由民主党

○田村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。金丸徳重君。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 土地収用法の一部改正案につきまして、一、二の点についてお尋ねを申し上げますが、実はこの改正案を通読いたしましたときに非常に強く感じておりましたことは、今回の改正案が、これはまあ時節柄といいますか、時代の要求がそうさせたのかもしれませんけれども、いままでのたびたびの改正案に比較いたしまして非常に画期的な内容を持っておるやに見受けられるのであります。まあ土地収用法は終戦後二十七年の改正でありますか、それ以来年々歳々のように改正されてまいったのであります。おそらくこれくらいたびたび改正された法律もなかろうじゃないかと思われるくらいたびたび手をつけておる。これはいずれも土地問題を背景といたしまして、問題の処理上いかに困難を伴っておったかを実証することにもなろうかと思われるのでありまして、そうした改正案を通じまして一貫して見られることは、やはり何といたしましても公共の利益と私権の尊重とをいかに調和させるかということにあったようであります。そういう中において苦悶を続け、苦労をしながらたびたび手をつけてまいったのでありますが、その間にもやはり一貫して厳として把握されておったものは、新憲法のもと私権をできるだけ尊重していきたい、人権の尊重というそうした基本的なことは、厳として譲らないということであろうと思われるのであります。ところが今回の改正法律案におきましては、どうやら根本の思想に何か画期的な変更が行なわれておるように受け取れないこともない。といいますのは、今回の改正の一番眼目と思われる補償額の決定について、いままで話し合いで順次巧妙にまた適当なところへ落ちつくような方法でやられておったものが、「事業の認定の告示の時」というようにぴしゃりときめられてきた、大上段にかまえて、私権の尊重は公共の利益という大きなものの前には、もうこれはくずほどと言ってはいけないかもしれませんけれども、それほど簡単に扱われるように思われるような節がある。これは私の読み過ぎであってほしいと思うのでありますが、この際根本的な改正についての大臣のお考えを、まず承っておきたいと思うのであります。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 お話のように土地収用法の根本問題は、いわゆる公共の利益と私権との調整、これが一番の眼目であろうと思います。そういう意味で憲法が私権を保護する規定をいろいろ書いてありますから、直ちに憲法の精神と申しますか規定との関連が出てくるわけであります。今度の改正が、憲法で私権を、個人の権利というものを尊重する精神をあるいはないがしろということばはありませんけれども、これを軽んずる思想に基づくのではなかろうか、端的に言うとそういう御趣旨であろうと伺ってお答えいたします。  私どもがこの改正をいまお話しのような形にいたしましたのは、決してそういう根本思想には基づいておらない、こういう立場でございます。いろいろ御意見はあると思いますが、そういう立場でございます。ただ、憲法で各種の権利が規定されておりますが、御承知のとおり、さような権利はおのおの国民の努力によって権利を守るべきであるという規定もあります。なお、それぞれの権利は、公共の利益のために活用するといいますか、利用する義務があるのだ、こういうことも憲法は規定しております。それを引きまして、二十九条には、私有財産権という個人の権利は公共のために使うことができる、その際には正当な補償をもちろん代償として支払うといいますか、補償すべきである、こういう一連の思想になっておりますが、今度の土地収用法の改正の形がその根本思想を曲げておるとは全然考えておりません。ただ問題は、個人の権利を守るということは、すべての個人の社会である社会全体がうまくおさまっていく、そのために個人の権利を守るのだというのが、私は憲法の根本精神であろうと思います。個人の権利を守ることによって社会生活が破壊される、他の個人が迷惑をこうむるということは、憲法はもちろん期待しておらない、そういう考え方が基本になっております。特に土地の場合においては、土地というものは申し上げるまでもなく、くどいようでありますけれども、個人のつくったものでない、人間が土地を離れて生活ができない、すべての人間の舞台であるということが土地の特質であります。したがって、同じく私有財産権を言いますときにも、他にかわるものがある私有財産権の場合と、他にかわるもののない土地という私有財産権の場合とは、憲法の各条章に書いてあります個人の権利は権利者が守るべきである、あるいは一方においては公益のために使う義務がある、利用する義務がある、またそういうものの考え方が私はもっと憲法は正確に活用さるべきであるといいますか認識されるべきである、かような考え方に基づいて、土地の場合にはこれはすべて国で言いますと国民、あるいは人類で言いますと民族、そういうものの活動の舞台であるということが前提でなければならない。それを破壊するような制度というようなものは、これは考え方の間違いで、誤りであろう、こういう思想に立って今度の収用法の改正は、認めております土地所有権を決して否認することでもないし、多くの場合は、土地の利用というもの、利用度というものは社会がつくっていく。したがってその社会がつくっていくような利益というものを社会に返すべきである、返すといいますか、社会がこれを取得し、社会全体のためにこれを活用すべきである。こういう考え方が私は正しいと思っております。したがって、今度改正案に出しましたように、かくかくの公益事業をいたしますという事業認定をこの地点でするという認定をいたしましたときのいわゆる正当な補償、客観的な正当の補償をすれば、何ら私有財産権の個人の所有者に損害を与えておらない、こういう考え方に基づいておるわけであります。従来はややともすると、そういう社会が開発をした利益を個人に帰属することが正当かのごとく往々にして解釈されております。これはきわめて不適当である、こういう考え方でありまして、決して個人の権利を軽んずるということではない。過当に個人の権利を認めない、かような考え方であるということを御理解願いたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 個人の権利を過当に尊重することは、かえって社会一般の利益のためにとらないし、またその個人のためにも終局的にはならないであろうというお考えに基づくようであります。その点はわからないこともありませんが、土地というものは、いま大臣がおっしゃるように、個人の自由にまかされるものでもないことはよくわかります。が、同時にまたその土地なればこそ、その個人にとってはかけがえのない、いろいろな感情的な、沿革的な評価をさるべきものでもあろうと思います。他に代替物もないという意味におきましても、また、長い間先祖代々からそこに愛着を感じておるというような意味からいたしましても、他の財産とはまた格別なるものもあろうかと思います。こういう二つの特別なる事情の中にあって、これを調整する道というものは、ただ一つではないかもしれませんが、その最大の解決策、調整策というものはやはり補償額であろうかと思うのです。そこで巧妙にこの両者を調整せんとするならば、土地という特別なるものについて特別なる考え方に立つ適当な補償額の決定というものがとられなければならないのでありますが、今回のこの事業認定の日における評価額というものは、これは通り一ぺんの、その個人個人の特別なる事情などは考えに入れないところの土地というものの特別の事情をはらんでおるという考え方を抜きにした冷たい考えに立ったもののように思われるのであります。この点はどういうふうにお考えでありましょうか。そういうことをも考えの中に入れられて、今回の改正に着手なさっておられたのかどうか。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 その前に私は、土地と人間との特別な関係の二面を先ほど申し上げました。反面これをびっくり返しますと、いま金丸さんのお話のとおり、土地と人間との関係はそうでありますればありますほど、きわめてこれは利害がからむといいますか、執着があるものであります。これは余談になりますけれども、そういう意味において私どもは土地の国有というものは言うべくして行なわれない、こういう思想に立っておりますが、それはそれとして、いまお話しのような今度の収用法の評価時点の改正とは私は関係がないと思っております。その味わいというものは、ただ時点の問題であって、その時点における評価をするということは、そこに公益事業あるいは公共事業をすることによって将来の期待を補償の額に算定する、そういうことは適当でない、そのために御承知のとおりに各種のトラブルが起こる、こういうことを防ごうというのが主でございまして、いわゆる土地の持っておる、いまお話しのようなことは決して従来と変わった評価をするわけじゃない、こういうことを御理解願いたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 従来と変わった考え方に立っておるものではないということのようでありますから、これはそのまま受け取ることにして、ただ私は、大臣が御就任早々表明なさった土地は商品にあらずというお考え方、これが頭に強くきております。たいへん卓見だと思いますし、思い切ったお考え方だと思いますから、そこで一応そうであれば、この点が出されたことについて若干やはり心配になったものですからお尋ねを申し上げ、そして評価額というものを大きくどういうふうな方法でそれと調整するかということが心配になったものですからお尋ねをいたしたのでありますが、従来の考え方と変わらないのだということでありますから、そのまま受け取ることといたします。  そこで、それじゃ従来の土地収用法によっては私権が過当に尊重され過ぎておるという先ほどの第一回の御答弁でございましたが、そういう事実があったでありましょうか。若干そういう傾向があったかもしれませんが、いままでの法律の適用によりましてごたごたはあったにいたしましても、適当なところで大体の傾向としてはそのままいったんではないかと思われる。それを実は私ももう少し数字的に見てみたいと思いまして、資料をお願いすればよかったのでありますが、その機会もなしに今日まで及んでおります。いままでこの法案を提案なさるについて基礎的にお調べになっておられると思われるので、今日までの土地収用法の適用を受けてやった事件というものを年度別、事業別に見たりまたその原因別に見たりいたしますと、どういうふうな傾向をたどっておるのでありましょうか。ここ十年この方、土地問題が非常に大きくクロースアップされてきたという時代からなにいたしまして、土地収用法の適用を受けて解決しなければならぬような事態というものはどんどんふえていっているものかどうか、そういうものは事業別に見るとどういうものであろうか、そういうもので話し合いのついたものはおよそどれくらい、話し合いのつかなかったものはおよそどれくらい、話し合いのつかなかった原因はどういうところにあったのか、それからして話し合いのついた程度というものは、当初の話がきまらなかった額ときまった額とでどれくらい開いておったか、そういうようなものをきっとお調べになっておると思います。こまかに承る必要もありませんけれども、大体の傾向として、本案をなぜこの時期において提案しなければならなかったかということを知るための一資料として承っておきたい。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 土地収用法の適用がどの程度の推移をたどっておるかということでございますが、昭和二十六年来逐次事業認定件数がふえているわけであります。  一応申し上げますと、昭和二十六年に知事認定、大臣認定を合わせまして合計四十件でございましたが、その後だんだんふえてまいりまして、昭和三十九年には四百三十七件でございます。特にこの三年来二倍以上のふえ方になったわけです。  事業別に申し上げますと、時代の推移によっていろいろ変わりがございますが、やはり河川関係、道路関係、電気事業関係というものが多うございます。それに次ぎまして鉄道といったような関係が、事業認定件数として非常にふえております。  それから裁決の状況でございますが、裁決の件数は、事業認定を受けました後、話し合い等がととのいまして、事業認定を受けました件数全部が裁決に至っているわけではございません。しかし裁決の件数も、事業認定件数がふえるのに従いまして漸次ふえております。たとえて申しますと、昭和二十七年ころは裁決が大体十五件くらいでございましたが、その後逐次ふえまして、三十九年におきましては六十五件程度になっております。この中身も先ほど申し上げましたように河川、道路、電気、鉄道というような関係が多うございます。それと同時に都市計画関係の仕事は、都市計画事業決定をもちまして事業認定とみなされるわけでございますが、これが裁決までまいった件数も、逐次都市問題がやかましくなりますのに伴いましてふえておるような状況でございます。  それから裁決における額と起業者の申請した額との差異でございますが、これは個々によりましてだいぶ違うわけでございますが、大体起業者が申請したその線に沿った裁決が出ましたのが六六、七%でございます。それから上回って一〇%程度までのものが八ないし九%、それから二五%以上のものが四、五%というようなことになっております。  これらにつきましてあまり額の相違がないじゃないかという問題の提起がございますが、一部におきましてはこういう起業者の補償額の算定方式が事実行なわれておる例があります。それを申し上げますと、逐次価段が上がっていくというのでは、住民間におきましてお互い不平がたいへんございます。先に協力した方が困るという事態もございますので、実はオーバーな補償額の提示というふうなことを初めいたしまして、それでずっと横にずらしていくというようなことも間々あるやに聞いております。そういったことも、実態は私ども調べは十分できておりませんけれども、そういった弊害も相当ありまして、実際の裁決額が申請額とあまり変わらぬ、時間がたつにかかわらず変わらぬというような事態が起きておるのではないかと存ずる次第でございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 順次件数が多くなっておる事実につきましてはいま承りましたが、ただ公共事業が非常に最近ふえておるのです。したがって、土地収用法の適用対象となる事業の全用地と、そしていまあげられた件数による用地と比較してみますると、その。パーセンテージはどうなっておるのでございますか。全用地が多くなったのだから、したがって対象といいますか問題になった場所、土地も件数も多いかもしれません。しかしそれを比較してみますると、それほどふえていないのだというふうなことにもなろうじゃないかと思うのです。先ほどあげられましたように、最初は四十件くらいであった。それが最近は四百件もこすのだ。十倍にもなったのだ、こう一がいにそれだけをもって判断するわけにもいかないと思うのです。どんなものですか。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 お説のとおりの状況もございますが、公共事業自体の件数のふえ方以上に事業認定のふえ方は最近顕著でございます。この二、三年前までは二百件台でございましたが、先ほど申し上げましたように、最近においては四百件をこすというふうなかっこうになっておりますので、公共事業の増加以上の増加率で事業認定件数がふえているのじゃないかと存じております。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 ここ両三年来急激にふえてきたという事情もわからぬわけではありません。といいますのは、高度成長政策などによりまして、ことに都会地周辺などにおける公共事業はぐんとふえておりましょうし、ことに道路、河川その他住宅というようなものについての事業が急激に、これこそもう比較にならぬほどふえてておりますから、それに伴っていろいろと問題もかもし出しておると思います。しかし、この事態というものが私はこれからさらに続くあるいは激化するということにも思えないのであります。これは考え方の違いだといえば別ですけれども、だんだん落ちついてまいる傾向があるのではないか。したがって、この両三年来の傾向をもって今後を推しはかるということについては、少し早計のようにも思われるのでありますが、この点はどうでありますか。今度の改正が非常に画期的なものでありますだけに、この両三年来の特殊な現象をとらえて、それに対処せんとして実は行き過ぎになってもいけないのではないか、こう心配するものですから、もし安定する傾向をたどるものならば、今回のこの、特に評価額といいますか補償額の決定についての画期的な考え方の取り入れというものについてはいかがであろうか、こう思ったので、その点についてはどういうふうな考えに立っておられましょうか。これはもし承れれば大臣から……。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 今日までの収用法の適用傾向はいま申し上げたとおりでありますが、私は、この収用法の法律の活用自体が少し怠慢であったと率直に考えております。  これは先ほど申し上げましたように、土地所有権を不当に抑圧して補償を不当に切り下げよう、こういう考え方に基づいておるわけではございません。ございませんけれども、しばしば従来から、これも国会でいろいろ御意見、御議論がありますように、どうしても公共事業を急ごう、そういたしますと、ごね得というお話もございますが、これはどこでもごね得があるとは思いませんけれども、不適正と思われるような補償も間々出てくる。それが標準になって一般の土地の価格が、公の土地の評価がこうであるからこうであるべきだというようなことで漸次上がってきておる。これはほかにもいろいろ理由はありますけれども、そういう事態が非常に顕著になってきた。同時に、御承知のように、公共事業のみならず住宅地の収得その他大規模な事業がまだまだ今後従来より以上に行なわれなければならない。そういう際にやはり土地に対する姿勢というものを、この際収用法一木で姿勢がきまると思いませんけれども、各般の施策を備えて姿勢をきめておかないと、ただこの四、五年の経済成長の結果だけということでなしに、正直なところ、やや手おくれであるという御意見もあるし、私どもさように思いますが、この際、土地と公共との関係、公益との関係というものを姿勢を正しておく、これが非常に必要ではなかろうか。これが主眼点でありまして、どうかひとつ御理解を願いたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 従来の公共用地の取得などについて怠慢のおそれさえもあるというお話のようであります。あるいはそういうこともあるかもしれませんし、私どもも、たとえば東海道新幹線なんかの用地取得につきましては、オリンピックを前にして、その他の事情を前にして非常に急いだということから、補償額の決定などについては、ともすればそれが付近の土地値上がりの原因にさえもなったなどという声を聞くほどであります。まさにそうであってはならないと思います。ただ私は、冒頭お尋ね申し上げましたように、土地には土地の特別ななにもありますから、現段階におきましては、やはり公共用地といえども話し合いの原則、任意交渉の原則というものはしっかりととっておかれたほうがよろしいのではないかと思うのでありますが、この点についていかがでありますか。大臣の御答弁の節々からいたしますと、話し合いではもう間に合わないのだ、この辺でいままでのやり方をずばりと変えて、一刀両断的な考え方に切りかえなければ今後間に合わないのだというふうに受け取れるような節々もあるのでありますが、この点はどうでありましょうか。私は、非常に大事なことでありますから、あらためてお伺いをいたしたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 その点はぜひ誤解のないようにしていただきたいと思います。土地収用法を改正いたしまして、事業認定時の評価でやる、こういうふうにいたしましたが、それですぐ評価がきまってしまうわけではございませんから、その土地土地によっていろいろな評価基準によって評価をしなければならない。これはもちろん多くは話し合いできまる、またきまるほうをわれわれ希望するわけであります。ただ問題は、こういう基準をきめておきませんと、ごね得ということばが適当であるかどうか知りませんが、そういうことをすると何とかなるんじゃないかという不当な期待を持たせることは適当じゃない。そういう人はたくさんおりません。たくさんおりませんが、たまにどこでもあるわけであります。そのために事業が非常に延びる。また一定の評価の基準がありませんと、現行法でいきますと、いわゆる裁決時ということになりますと、延ばせば延ばすほどあるいは上がるかもしれないという期待を持たす。こういうことを防ごうというのがこの改正の主眼点であります。もちろん用地の買収にあたっては、お互いに事業に対する理解を一深めると同時に、評価について話し合いをする、これが原則であることは、今日の扱いと今後の扱いはそう変わらない。ただ延ばせば延ばすほど物価が上がるから、付近の土地の価格が上がってくるだろう。そうするとそれに応じて上がっていくのだから、できるだけひとつがんばろうというようなことはこの際御遠慮を願いたい、こういうことでございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 従来ともすればやったごて得といいますか、ごね得といいますか、そういうものを排除しなければならないということは、社会構成の意識尊重からいきましても私は大切なことだと思いますが、それでは今度の改正によってはたしてごて得が一掃できるものであるか。それは従来よりもややその傾向が少なくなる――これはやってみなければわかりませんけれども、私は少なくなるかどうかも心配なんですが、かりに大臣がお見込みのように少なくなるといたしましても、やはりごて得だけは全然なくなるんだとも思われません。のみならず、そのごて得を解消、全滅させようとして非常に大きな犠牲を払わせる、感じの上からいって非常な心配を持つのであります。角をためんとして牛を殺すということばがあるのでありますが、どうもそういうふうな心配を持たざるを得ないようなことに実際上なるのじゃないかと思うのです。といいまするのは、補償額の決定が事業認定のときだ、こういたしましても、それじゃ具体的にその事業認定のとき具体的な土地の補償額が何ぽかときめられないのじゃないか。もしきめられるとすれば、一体どこを基準にしてだれがきめるのか。おそらくいままでのようにいろいろ交渉し話し合っていってみて、そしてこの辺がいいというところできまってくるのじゃないかと思うのです。それは事業認定のときの値段ではないかもしれない。若干口がたつ。それが基本となってやはり今度は話し合いがつかぬで裁定に持ち込んだような人の値段もきめられなければならぬと思うのです。これはごねたんだから、その罰に、交渉中に上がった分については見てやらぬのだ、こういうことになると、感情的にはそういうことになろうかと思いますが、社会構成の立場からいうと、何か気の毒なようです。土地という特別な感情の要素が入り込んでおりますものだけに、私はそれは気の毒に思う。確かに不当な利益を得ようとして投機的にいろいろごてている者もあろうかと思いますが、そうではなくて、何とか他の方法もあろう、かえ地もほしい、あるいは計画自体をもっとほかのほうへ持っていく方法がなかろうかなどと思っていろいろ苦悶しておる人たちにとっては、何か気の毒なような気がいたします。そういうことで、多少のごて得をなくそうとして、大部分の人々に非常な感情的な不満なりまた現実的に損害を与えることになりはしないか、こう思うのですが、その点についてはどういうふうに御検討なさっておられましょうか。私は、補償額の決定というものは、本法の改正案については非常に大問題であろうと思うものですから、あらためてこれもお尋ねいたしたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 法律をつくりましても、何か計算機できめるようなかっこうにはもちろん期待できないと思います。けれども、原則はやはり法律できめておかなければならぬ、そういう意味で、やや誤解というと失礼でございますけれども、あるいは認識の差があるのじゃないかと思います。先ほども申し上げておりますように、事業認定時の価格といたしますと、こういうことは、そのときに何か価格表示があるわけじゃございませんから、それはその時点のいわゆる価格評価の方式、いろいろ基準をきめておりますが、それによって評価されます、こういうことでありまして、もちろん実際の土地交渉についてはいろいろ御相談をし御協議をして、どうしても話し合いできまらなければ収用委員会の裁決によってきめるということになるわけであります。多くはきまると思いますけれども、法律上はそういうことであります。ただ、その際に従来と違いますことは、この改正によりますと、御理解願っておると思いますが、事業認定告示の時点における評価で裁決がされる。その評価の基準は従来とそう変わりありません。そこで、現行法は裁決の時点における時価を基準とするということになっておりますから、たまたまたとえばここに道路を新しく建設する、道路ができるところが非常に便利になるじゃないか、したがって裁決が延びれば延びるほど道路ができることを想定して値段が上がる、そういうことでは困ります。この地点に道路の建設をいたします、こういう告示をいたしましたときの時価というもので補償を算定して、そしてお払いいたします、こういうことだけでありまして、特に先ほど申し上げましたように、国民と申しますかあるいは公共と申しますか、社会が努力した、それによって土地の利用度が上がった、それによる利益というものをその個人には帰属させないで、あるいは社会と申しますか公益のほうに吸収する、これがねらいでありますということでございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 ことばの上ではそういうことになるのかもしれませんけれども、現実の問題としましてはなかなかたいへんだと思う。いまのお話の中にもありましたのですが、ずばりとこうは言ったもののやはり流動的なんですね。先ほどなにしましたように、全体が一律に収用裁定に持ち込むということであればこれはいいかもしれぬが、大部分は話し合いできまってきて、特別なものについてのみ裁定に持ち込む、こういうことでありますから、その話し合いのきまるまでの間に、その土地というものはそれぞれの事情を通じてかなり流動的であろうと思う。そのあたりの流動性を受けまして、具体的に問題になった土地の値段というものも、事業認定のときとはいうものの、それがはっきりぴしゃっときまっておるなら別ですけれども、鑑定人なりその他あるいは周辺の土地というもの影響を受けてきまるとしますならば、流動的ならざるを得ない、こう思うものですから、大上段にかまえてやってはみたものの、結果的にはずばりといかなかった、流動的になるということになりますならば、結果的にはいままでとあまり変わらないことにならぬか。また私はいままでと変わらないような形になることがむしろ社会構成上よろしいものだと思います。といいますのは、いまもお話がありましたように、それほど大きなこて得というものは――例外的にはあるかもしれません。九牛の一毛と言ってはいけませんけれども、ごくわずか、そのわずかな者のために全体に不安を与え、問題を起こすということはどうであろうかと思うからこんなお尋ねをいたすのであります。そこで結局は、伝家の宝刀を大いにみがきをかけてぴしゃりとやるぞというようにやってみたものの、結果的にはやはり相当うまく使っていくということであろうと思われる。思われるもう一つの節は、次にもし裁定時までの物価が上がってくるならば、その物価上昇率に応じて修正率という考えを導入してきております。またこの修正率というものもだいぶ理論上ぴたりとこない。どの程度に修正率というものを具体的に考えておられるのか、これは承ってみなければわかりませんけれども、どの程度にいまお考えになっておられますか。物価が一〇%上がった、一五%上がったというのに対して、それに相応するような修正率というものもお考えになっておられるのか、ひとつそれから承らせていただきたいと思います。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、新しい法改正案におきましては、事業認定の告示のときの相当な価格、これはその際におきます近傍類地の取引価格等を考慮してきめるわけでございます。それまでの間に起業者と土地所有者とのお話し合いがあって一定の取引が行なわれますと、それも一つの大きな尺度になろうと思います。さようなもので事業認定時の値段というものは大体きまってまいります。ところが、事業認定をいたしましたら、直ちに土地所有者等は補償金の支払い請求ができるわけでございますが、裁決のときまで延びました場合、若干の時間のずれがあります。その若干のずれがありましたときに、たとえば事業認定時は百万円と考えられる、ところが、一年とか半年とか若干時間的なずれがございますと、百万円の値打ちというのが、半年ないし一年たちますと百一万ということで、本人にとりましても、起業者にとりましても、得も損もしないという形に持っていく方法はないか、こう考えたわけでございます。そのような意味におきまして、裁決時までの物価の変動に応ずる修正率ということを考えたわけでございます。この場合の修正率というのは、いわゆる物価そのものとかいうのはいろいろ学説もございまして必ずしも一致いたしておりませんが、ただいま私どもが考えておりますところは、消費者物価指数、卸売り物価指数というものを総合いたしまして、一定の率を定めまして、その率をかけていく、こういうふうに考えておる次第でございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 考え方として一応そういう方法もあろうかと思われる程度にわかるのでありますが、結局は、ずばりとやるというかまえの中で、いろいろ修正率も考える、あるいは、あたりの話し合いによる値段を参考にしながらきめていくということでありますから、ずばりとはやはりいかないのではないか、こう思われるのです。それはやはりいままでよりもややいいという考え方もとれないこともないのでありますが、それと同時に、私がもう一つ心配しますのは、今度の改正によって、事業認定時の価格ということになりますから、事業認定時の価格が、計画が進められる間にもう急激に上がってきはしないか。これは当然そういう傾向になると思われる。だれしもが自分の利益を思わないものはない。ことに、いわんや道路、特殊な道路、たとえばせんだっての東京都の外郭路線といいますか、それなんかのように、付近の住民がこぞって困るのだというような例は別といたしまして、大体道路などにつきましては、道路をつくってもらえば付近の土地利用効果は上がるというので、だれしも喜ぶ。したがって、付近の値段まで上がってまいるわけであります。そういう点については喜ぶのでありますから、いわんや、その土地所有者、公共用地の所有者というものは、付近のそうした利用効果の増高というものを見込んで、やはり自分の土地を一銭でも、一円でもよけいに上げて買ってもらいたいという気持ちを起こすのは当然だと思う。そこで、その事業計画が進みますと、事業認定時までに急激に上がるということが心配される。急激に上がるということは、地価抑制上決して私は喜ぶべきことではないと思います。いままでにも、公共事業が土地の値段の引き上げに大いに刺激を与えたというたびたびの嘆きがあるようであります。いわんや今度のようなことになりますと、一斉に間髪を入れずあたりの土地の値段が上がってくる。いままでも、法律によりますれば、ただ事業の認定がありましても、それからいろいろやっておって、それからほんとうに裁決まで持ち込む間にはかなり余裕があったものですから、そう急激に上がるなんということはなかったのであります。上がる傾向は緩慢であった。あたりを見ながらということもあったのですが、今度の場合は、まごまごするとたいへんなことになりますから、一斉に上がってくるということによって、この改正案によって非常に地価抑制どころか地価騰貴の大きな原因をなしはしないか、こう思うのです。この点についてはどういうふうな考え方に立っておられるのでありましょうか、承っておきたい。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 ただいま先生のおっしゃったとおり、この辺に道路が通るというような計画が固まってまいりますと、この辺はよくなるに違いないということで価格はだんだん上がってまいります。したがいまして、その辺を道路にするという計画で調査をいたしまして、計画がある程度固まり、設計ができまして、事業認定をするまでの間に、先生のおっしゃるとおり、ある程度の起業利益がすでに土地の価格の中に含まれるということは事実かと存じます。そのような意味におきましては、まだまだ起業利益の全部をたとえ事業認定時の価格をもってしたところで吸収できないという問題は残ろうと思いますが、ただ、今回のような法改正をやることによりまして、起業利益の実現度が早まるということには必ずしもならぬのではないか。やはり起業利益が価格の中に含まれますのは、その事業がどの程度に確実に行なわれ、あるいは、どんなふうに施行されて、いつごろできるかというようなことが経済的に動きまして、価格に反映されるわけでございまして、さような点は私どもとしては必ずしも先生のおっしゃるとおりではないのではないか、こう考えている次第でございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 そういう計画があっても、はたしていつどういう形で出てくるかどうかわからぬという心配もある間は、それはそういうこともあろうかと思います。しかし大体公共事業の計画、施行というものは、それほどあやふやなのでもない、また、あってはならない。もうもうそういう気配がありましたら これは一斉に上がってくるだろうと思う。上がらざるを得ない。従来は、あなたのおっしゃるように、若干の流動性もあったかもしれません。緩和時代というものがあったかもしれませんけれども、今度はその時点でぴしゃりときめますから、その時点をのがしてはいかぬということで、それまでに非常に投機的な人たちが入り込む余地なり危険なりが私は多かろうと思う。したがって、土地は上がってきやしないか、こう思うのです。現段階において地価の抑制ということが非常に大事なものであるとしまするならば、今度の改正案は、時代の要求に逆行するようなことになりはしないか。やってみなければわからぬのだといわれればそれまでですけれども、どうもそういうふうな心配が多分に持たれる。こういうことについては何か対策を特にお持ちになっておられますか。そういうことをただ希望しておるんだ、そう念願しておるんだということだけでありますかどうか、承りたい。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 いまのような御懸念を省く制度をつくるということになりますと、これは固定資産評価基準の何倍かと、こうきめるより以外に方法はないのであります。現行法においても、やはり計画をしまして、そうして事業を執行する場合に、結局裁決できまっておる、こういうふうになっておるわけであります。それをただ事業認定時の評価にいたします、これだけの差異でありますから、いまのような御議論でございますと、それはどうしても正確にチェックするということになると、固定資産税評価額の何倍できめるんだ、それ以上動かさないということになるとぴしゃっとくると思いますけれども、それはなかなかしゃくし定木には、固定資産評価自体が適正であるかどうか、必ずしもそうでないところもありますので、そこまでは踏み切れない。どうしても弊害が起きて社会の実情に合わぬというときには、あるいはそういう強硬手段といいますか、制度も考えなければならぬかもしれませんが、いままだそういう制度までは考える必要はないという立場で講じております。先ほど言われますように、一斉に上がるのじゃないかということは、私どもはやってみなければわからぬというとおこられるかもしれませんが、社会のことでありますから全然ないということがいえるかというとなかなか問題でありましょうけれども、しかしどこそこの土地が上がったから全部それを補償するという補償基準ではございません。法律は近傍類地の価格等を勘案してきめることになっておりますが、詳細に補償基準を現在でも立てております。高騰その他さっきおっしゃいましたようないろんな要素を勘案して価格をきめ、価格をきめる時点はどのときにおける評価にするかということを、従来弊害がありましたから事業認定にしよう、こういうことにしただけでありますから、それほど御懸念のようなことは私どもはいまは考えておらない、これが実情でございます。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 その辺、これはそういう心配はないんだと言われれば、現実に起きていることがまだないからですけれども、いままでの経験によってみても、何か値上がりに拍車をかけるようなことになりはしないか、それについての何かの対策を講じておく必要があるのじゃないか。それはたいへんな高いものを含めておかなければならぬのだというおことばのしりから見ましても、やはり値上がりを考えなければならぬわけであります。ところが、その修正率というのは、先ほどお話にありましたようにごくわずかにきめられておるということでありますと、やはり先に上げておかなければならぬということから、ものの気配を感ずる投機業者などというものは特に入り込む余地が出てきやしないか。そんなものは排除するんだ、だから伝家の宝刀をちらちらするんだといってみましても、なるべくなら話し合いでいくという原則をおとりになるということでありますから、その話し合いをおつけになる原則の上には、私はこのだんびらというものはじゃまになる心配を持つ。要するに、鬼面人を驚かすというようなことばがあるのですが、あまり使わない伝家の宝刀であるならば、いかにも光っているぞ、といであるぞというようなことをおっしゃらぬほうが、現段階においてはより巧妙ではなかろうか。大臣が地価抑制に非常に熱を入れておられるその御心情につきましては私も敬意を表します。それからして、ごて得などという社会悪を根絶したいというお気持ちにつきましても深く賛同を申し上げるのでありますが、だからといって、今度のような思い切った改正をなさるということについては、はたして手段として方法としていかがであろうか、こういう心配を持つ。  これは大臣憤慨なさらぬようにお願いしたいのでありますが、実はちょっとこんなことも考えたのであります。大臣は土地は商品にあらず、この辺で思い切った手を使いたいという御出発点からいろいろと計画なさる、あれもやりこれも考えた結果が結局どうもむずかしいということになって、落ちつくところが土地収用法の改正となり、いろいろ手がけてみたけれども、この辺こういうことであればどうであろうかというようなことになったということであり、確たる将来の見通し、確たる成算があってこの手段に出られたのではないのではないか、せめてこうもしたいのだという世間への言いわけ的なものではなかろうかなどという、酷評といってはあるいはなんですが、そんな勘ぐりもしたくなるような案に受け取れますが、いかがでありましょうか。これはくどいようでありますけれども、大臣、話し合いを原則にするんだ、個人の利益もできるだけ尊重したいのだという、こういう原則に立っておられますだけに、同時に地価抑制に役立たなければならぬという現在の要求に沿いたいという御努力を進めておられるだけに、私はその点にはっきりした成算を持っての案なりやいなやをお尋ねしておきたいのであります。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 これは私の趣味でやっておるわけではありません。いまや土地の問題はわが国の経済、社会の基本的な問題だと思っております。でありますから、私が土地は商品ではないと言った行きがかり上やるんだという誤解をされておるとすれば、非常に不徳だと思いますけれども、そういうなまやさしい問題とは考えておりません。土地は商品ではないということばは、これは非常に端的に、もう少し土地というものは人間と土地との関係をお互いに深刻に考えないととんでもない行き詰まりを来たすおそれがあります、土地を利益の対象にするというような考え方は、基本的にほんとうに長い目で見ると社会のためにはならないでしょう、そういうことをひとつ考えてもらうために、御本人はそういう気持ちではないにしても結果的に土地を商品扱いにして社会を困らせる、そういう基本的な姿勢というものはこの際ひとつ改めようじゃありませんかという意味で、土地は商品ではないということを端的に表現したというだけのことであります。収用法の改正でそういう思想が一刀両断に改まるとは全然思っておりません。でありますから、いまお話しの点もいろいろ御心配があると思いますけれども、すべて快刀乱麻を断つというような制度、方式というものは、社会においては、特に土地の問題ではできないと思います。でありますから、総合的な各種の手段を講じていかなければならない。これはどなたも同じだと思います。その一環として先ほど来御説明しておりますような考え方に立って土地収用法の改正をしておるということでありますから、御注意の点は今後大いに気をつけなければならぬところだと思いますが、趣旨はさようであるということを御理解願いたいのであります。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 私に与えられた時間はきておるようであります。この問題につきましてどうも大臣の気分に立ち入ってもいけませんから、ただ私の心配になる点を申し上げまして、何とか善処する方法もがなと思ったから申し上げたのであります。もちろん大事な土地問題にかかることでもあります。ずばりと言うわけにはいかないと思います。ただ私は、根本の問題を片づける方向に一歩前進するという方法であってほしいと思いまするし、そういうようなことで二、三の疑点をここにお尋ねいたしたようなことであります。  また同僚、先輩議員にお願いをいたすこととして終わりますが、ただ最後に、道路公団に来ていただいておるのですが、これは局地的な問題で恐縮ですけれども、ただやはり土地収用、公共用地の取得についてどんなに困難があるかということを思い知らされたといいますか、思い知らされるような事態が起きておることをちょっと耳にしたので、関連してお尋ねいたすのですが、一、二分で済むのですが、縦貫道路の中火道路につきまして、用地買収がだいぶ進んでまいりました。    〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 用地買収はほとんどこれは任意交渉の中で県もあっせんに入ってスムーズに進んでおったようでありますが、最後の段階において、これは富士吉田市の地域内と新聞で承ったのですが、一部分につきまして交渉が決裂しておる。その交渉は、現地にあっせん委員会までつくって話し合ったのだけれども、どうも価格の点において折り合わなかったということでいろいろ苦悶されておるようであります。これにつきまして、もし現地の要求どおりの値段にすると、いままで県があっせんしてきめてきたところの契約済みの土地の値段にまで影響してくるというようなことで非常に困っておるそうでありますが、事実はどんなものでありましょうか。またこの問題についてどういうふうな解決の方向、あるいは解決しているかもしれませんけれども、ひとつ承りたいのであります。

金谷信孝日本道路公団理事

○金谷参考人 中央道の用地につきましては、三十七年以来、当時県の御意向等もございまして、実は用地の事務につきまして委託をいたしておる次第でございます。その後県の御協力を得まして逐次用地が解決を見まして、大体八割近くまで進んでまいっておる状況でございます。  ただいまお話ございました富士吉田の地区につきましては、県がさっき申し上げましたような状況のもとでいろいろ折衝をいたしましてまいったわけでございますが、実は富士吉田市につきましては五つ地区がございまして、そのうち四地区が昨年の八月に妥結を見た次第でございます。残りました一つの地区、富士見町でございますが、これが問題は価格の点でございますが、折り合いがつかないままに状況がなっております。その後いろいろ御心配いただいたのでございますが、県や地元等の意見をいろいろ勘案いたしまして、収用手続によらないあっせん委員のあっせんという制度を活用してみたらどうだろうかというようなことがございまして、県のほうにあっせん依頼をいたした。これがことしの一月でございます。そのあっせん委員が五名県から任命されまして、いろいろ熱心にあっせんをしていただいておる状況でございますが、問題が価格の問題でございまして、いろいろそれぞれの事情等もあろうかと思いますが、なかなか難航いたしております。ただ私のほうとしましては、公団としましては県のほうに委託をして従来いろいろやっていただいておりますので、県のほうと――県がこの問題につきましても十分ひとつ円満に解決できるようにやっていただくことを期待いたしておるわけでございますが、残念ながら今日までまだ円満解決といいますか、あっせんによる解決を見ずにきております。それで県から私のほうにはあっせんの内容につきましてまだ正式にはどうこうという連絡を受けておりませんが、従来のいきさつから考えまして工期との関係もございますので、なるべくすみやかに県を中心にいたしましてあっせん委員の方々の御努力をいただきまして、早く妥結に持っていきたいというふうに実は念願いたしておる次第でございます。今後県とも十分連絡を密にしまして進んでまいりたいと思います。

金丸徳重日本社会党

○金丸(徳)委員 ありがとうございました。現地のほうでその影響を受けましていろいろ心配している向きもあるようであります。公団のほうでもぜひ善処していただいて円満にかつすみやかに事業遂行に協力できるような状況をつくっていただきたい、かように思います。私は新聞紙だけを土台にしてお尋ねいたしたのでありますが、このお願いをいたしまして私の質疑を終わります。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 三木君。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私は、この土地収用法の一部改正案につきまして、土地政策のうちで地価対策の立場から聞きたいと思うのです。まあしかし、最初土地収用法の一部改正案について具体的に事実をあげて質問したいと思います。  端的に御答弁いただきたいと思いますが、この土地収用法一部改正案は、事業認定時の価格というものを凍結しようとしたところに一つの努力が見受けられておりますし、それから買い取り請求権というものを新たに設けた。これも一つの前進です。さらにこれを裏づけにして税制の改正をやって、長期譲渡所得の増税をこれにつけ加えたということは前進であって、事務当局並びに行政当局の非常な努力、これは私は率直に認めていいと思うのですが、しかしその中に実際にやってみようとした場合に、実にあいまいなところがある。その点について最初聞いておきたいと思うわけです。  まず事業認定時というものが設定されて、これが一番大きなポイントになろうと思うのですが、その認定時を一体どこに置くかということです。これは延ばすこともできるし、政治的な動きがその中に入ると思うのですね。そうしたときに認定時の認定をどこに置くかということをひとつお答えを願いたい。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 事業認定のときでございますが、これは、収用法の原則に従いまして起業者が事業認定の申請をいたしまして、それがこの土地収用法に適合するかいなかを、事前に認定官庁である都道府県知事または建設大臣が認定をいたしまして、これを告示いたします。その告示のときということになるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 二番の買い取り請求権の問題ですが、買い取り請求をやる場合に、そのことを実施できる見通しですね。買い取り請求はやったけれども、これが延びるというようなおそれはないかということをお聞きしたい。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 先生のおっしゃいましたのは、この収用法改正案におきます補償金の支払い請求、従前買い取り請求と言っておりましたが、支払いの請求、前払いについてであります。その点と存じますが、この支払い請求は、事業認定が行なわれました後におきまして、いつでも土地所有者側から申請ができるわけでございます。そういたしまして、申請をいたしましたときから二月以内に支払わなければならないということにいたしてございますが、もしその期間内に支払いが行なわれなかったといたしますと、懲罰的な加算金が課せられるというシステムにいたしております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 三番目に収用裁決ですが、結局ここが私は一番あいまいなのではないかと思うのです。まず第一番に、かりに事業認定時から一年たって裁決が行なわれたとしますと、その当時時価が一万円だったものが、二万円になった。当然この二万円で裁決することを今度は避けたのですから、凍結しようとして凍結できなかったのですが、そこでその中間策として考えられることは、いわゆる物価上昇の率、一般物価の上昇率というものをこれにかける。かりに七%上がったとしますと、一万円のものは一万一七百円ということです。それでその一万七百円と、物価の上昇ということをだれが一体判定してやるかということが問題になるのですね。これだけ上がったのです、この地方の物価はということになって、そこにスタンダードが私はないと思うのです。一般消費者物価は七%であるということなら、それでぴちっとやるのかどうか。これをひとつお聞きしておきたい。かりに七%上がった、六%上がった。金利の場合は七%になったということになると、一万七百円。それから一般消費者物価の上昇が六%とすると一万六百円。いろいろのケースが考えられる。土地収用委員会がこれを裁決でやるのですから、政府はそのときには法律案だけ見ておればいいのですから、その裁決をやるポイントが非常にぼけないかということですね。その点いかがですか。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 先先の御疑念のとおりであると思っております。その意味におきまして、改正法案の七十一条におきまして、裁決のときまでの物価の変動に応ずる修正率を乗じなさい、こういたしてございますが、その修正率につきまして、後段におきまして、「この場合において、その修正率は、政令で定める方法によって算定するものとする。」ということにいたしておるわけでございます。そこで、この政令の定める方法でございますが、先ほど金丸先生の御質問にお答えいたしましたように、私どもといたしましては、小売り物価、卸売り物価指数といったものを総合いたしました数式を定めたい、こう考えておるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そこが非常にあいまいですね。物価の変動を加味した算定が適正な価格というようなことで、非常にぼけておるわけですね。ここに私は問題ができるということと、裁決時をうんと延ばされるという可能性があるのですね。土地収用委員会の中に政治的な圧力が加わった場合に、裁決がずっと延びていくわけです。金利と見合って物価の上昇率等考えると、延ばしてもあまり得にならないと私は考えますけれども、しかしその中でどれが適正な価格であるか。物価上昇率をかける、とこうなっておれはいいですけれども、適正な価格というものは非常にあいまいなことばですね。これでかなり今後紛糾を来たすのではないかという心配を私は持つのです。その点どうですか。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 おっしゃるとおりでございますので、条文におきましては、事業認定時の告示のときにおきまして、近傍類地の取引価格等を考慮いたしまして、告示のときによって価格をきめる。これはきめますと一定になるわけでございますが、それに修正率をかけていく。そういたしますと、修正率も政令で計算方式をきめますから、比較的機械的に算定できる、かように考えている次第でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 そういうことになりますと、かなりスタンダードがはっきりしてくると思うのです。  そこで問題は、収用裁決時に、なるほどいままで土地収用法にかかったものは、過去のごね得のときにおいての例をとっても、全体の中で一%しかないようです。しかし、今回の例をとってみて、いわゆる買い取り請求をやって収用裁決をやった場合、任意買収との関係はどうなっているか。任意買収のは非常に協力的であって低い値段である、買い取り請求のほうは高くなるというような場合がなきにしもあらずだと思うのですが、そういうときはどうなるのですか。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 先ほども大臣からお答え願いましたように、収用法の中におきましても、あっせん、協議、和解などに分けて規定しているような、お互いに話し合いをする場というものを設定しているわけでございますが、事業の認定を受けましてお話し合いで値段がきまる。ところが、そのきまった値段が、支払い請求を受けまして提示した額と違うというふうなことになったらどうかという御疑念かと存じますが、この条文にございますように、支払い請求額につきましては、起業者が見積った額でございますので、起業者が、よほど特別な問題がない限りは、協議によった支払い請求に応ずる値段を変えて低くするということは考えられないと存じております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 土地収用法というものが、特定の土地を公共の事業に供さないというおそれのある者に対して発動する場合が多いと私は思うのですが、しかしながら、土地政策全体から考えた場合に、任意買収に応じた者こそ公共性――土地は私権のままにまかすべきでないという、こういう考え方を是正した一人ですから、それに対するところの奨励措置がこれになければ、一方のほうの土地収用法によって土地を収用された者が有利であって、任意買収の者は非常に低い値段でこれに応じたということなら、これに対するところの奨励の意味は非常に少ないと思うのです。そういう配慮はどういうぐあいにしておりますか。そういう意味合いで聞いたのですが、これはいまの御答弁でけっこうです。  そこで、私は、土地政策中の地価対策の立場からこれを見たら、あなたは四十年の十月二十五日の新聞に、「地価をどう押えるか」という中で、瀬戸山大臣に、表現は非常に悪いのですけれども。何というか、要請を受けて、建設省としては地価対策を立てなければならぬという決意をした。その中で、「土地は特殊な財で、これを離れては人間は生きていけない。土地の公共性というものをもっと考えていいのではなかろうか。」云々で、土地対策については十分にやらねばならぬという決意が、四一年の十月二十五日に出された。私は非常に期待しておったのですが、この土地収用法の一部改正だけで土地政策はいかれるとは思っていられないでしょうけれども、これは地価対策になるのですか、ならぬのですか。さらにそういう地価対策を約束しておるということなら、ひとつそういうふうに言っていただきたいと思うのですが、地価対策の上から考えると、大山鳴動してネズミ一匹の感じがするのですが、その点はどうですか。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 地価対策につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、単に収用法の改正だけをもって足るものとは私どもも考えておりません。当然各般の措置をあわせ行なう必要があろう。今国会におきましても、公団法の一部改正、公庫法の一部改正、さらには都市開発費金融通法の制定、ただいま大蔵委員会で行なわれております税制の改正というような、一連の方式を各方面からとっていただいておる状況でございます。  また、この土地収用法の改正自体につきまして、どのような地価対策上の効果があるかということでございますが、先生方御承知のとおり、公共用地の取得というものはたいへん時間もかかりますし、相当の高値を呼んでいるということは否定できない事実でございまして、それが一般地価にたいへん悪い影響を及ぼす。鉄道川地なり道路用地をたいへん高い値段で買った、それならその近辺も同じような値段になるのではないかということで、呼び価が呼び値を生むという土地価格の特殊性から、一般地価にも非常に悪い影響を与えている面があるわけでございます。今回の改正によりまして、さような起業利益を著しく含んだ、あるいは将来の起業利益まで見通したような、ごて得的な価格というものが排除されるということになりますと、公共用地の価格が一般の価格を引きずっておったという悪例が払拭できるのではないかと存ずるわけでございます。  また、かように土地収用法が制定されるに伴いまして、道路あるいは鉄道、港湾といったような重要なる国の公共施設が非常に整備しやすくなる。整備しやすくなることによりまして、土地として利用できる範囲というものが広くなってくる。その意味におきまして、土地の供給がふえるという面におきましても、地価対策上、幾つかクッションは経ておりますが、役に立つのではなかろうか。また、直接的な問題といたしましても、宅地の造成というふうな仕事につきまして、本委員会の御賛同を得て新住宅市街地開発法等が成立いたし、大規模の団地についての土地の収用権がございます。それらにつきましても、この法律の適用によりまして適正な素地価格で買い入れる。それによりまして、造成された土地も、一般庶民に安い価格で供給できるということになろうかと存じておる次第でございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 いま志村計画局長の御答弁を聞きますと、一応そういうような答弁は役所としては成り立つだろうと思います。私の考え方は逆です。あなたの御答弁のまるきり反対だと思います。  たとえば、これはひとつお聞きしておきたいと思いますが、この間この委員会でも取り上げられたように思うのですが、東京外郭環状線での反対のおもな理由は何だったかということを考えてみますと、何がおもな理由であの反対が起こっておるか。事前によく住民の意思を通さなかったということだけではありません。大きなポイントが二つある。これは何だと思いますか。どういうぐあいにそれを把握されておりますか。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 外郭環状線につきましては、都市局並びに道路局の所管事項でございまして、私、直接タッチいたしておりませんので、詳細存じておりません。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 いや、詳細にそのことにはタッチされておらなくとも、そういう反対があるということをおわかりでしょうし、計画を立てたり、国土計画あるいは土地政策を立てようとするならば、一番大きな事例ですから、それが何が隘路になってああいう反対が起こっているかという問題点はおわかりになるだろうと思います。ちょっと考えてもわかると思います。そういう意味においてお聞きしておるのです。  無理にそういう意地の悪い質問をやめまして、これは問題は二つです。一つは公害の問題がいわれております。一つは緑地が減るということがいわれているわけですね。そうでしょう。そこで、あなたがおっしゃいました、計画的に土地の利用区分ということが非常に可能になるというようなお話ですけれども、それは利用区分が非常に不可能になるのではないかと思うのです。それから、土地造成で庶民に安い土地が開放されるだろうという。これは、あとの例で申し上げますと、庶民には決して安い値では開放されないのです。土地造成や一括の土地を購入するということが、いままでの政治のやり方なら、そういうことは全然できない。瀬戸山大臣はそんなことないでしょうけれども、無理に土地を大きく上げたオリンピック施設道路というものは、これは異常にその地価をつり上げた。公共的な仕事をやりながら地価をつり上げたのですから、それをなくする意味で土地収用法を今度出されたのだろうと思いますけれども、決して地価を下げるところの役割りをしないということ。この土地収用法の一部改正案というものは、これは地価対策であるという考え方は、根本的に私は問題があると思う。これは、公共事業をやりやすいようにするための手段、買いやすくしたわけなんです。決して抜本的な地価対策ではない。いや、それに影響があるのではなくて、むしろ、あなたのおっしゃるようなことなら、地価は上がるわけなんですよ。たとえば、この道路を、インターチェンジならインターチェンジをつけるとしますね。それを安い値で、事業認定時にすれば一万、先がたの例でいいますと、物価の値上がりを考えて一万六百円とします。しかしながら、インターチェンジをつくるそのはたがうんとつり上がっていくわけなんです。これが二万六百円ですから、この辺が二万、三万と上がっていくわけです。これは決して、安く買ったからこれが安くなるという理屈は私は成り立たぬと思うのです。そういう考え方は地価対策の上では私は大きく弊害になると思うのですが、それはどうですか。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 お説のとおり、道路が建設されますと、道路敷地そのものは今回の改正案によりましてある程度価格が押えられるわけでございますが、その周辺の地域についての価格の問題につきましては、この土地収用法の問題外になる。ただ先ほど私が申し上げましたのは、従来、十分利用可能な土地でありましても、公共施設がないために利用されなかったというようなところが相当あるわけであります。そういうところに道路が敷かれ、鉄道が敷かれ、あるいは上下水が完備されるということによりまして、宅地の供給面積が相当ふえる。そういたしますと、非常にわずかな宅地にたくさんの需要者が集中する、需給のバランスによって、価格が不当につり上がるというのを緩和し、価格の安定に導くのが可能ではないかというふうなことを申し上げたわけであります。  ただ、この問題につきましては、地価全体の問題は非常に複雑な問題でありまして、単に土地収用法の一部改正をもってすべてを律し切るということはとうていできないのでありまして、各般の手段を今後とも講じてまいる、またそのつもりでおるわけでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 私の言いたいのは、との土地収用法の一部改正というものが、かりに一部でも地価対策だという考え方が――地価対策と言い切られなかったのですが、地価対策であるということを言われるならば、私は二つの誤謬をおかしておると思うのです。  その一つは、かりに、東京の外郭環状線の問題で反対が出ておるのは公害ですから、その外側に緑地帯をずっとつける、そうして、その外側に住宅地というようなぐあいに、土地利用区分をやって、後に土地収用法によって公共施設をつくるならば、こういう反対も起こらないし、そういう土地利用区分ということがはっきり打ち出された上の公共施設ということになったら、それはいいと思います。緑地にしておけば騒音などの公害は受けないですね。そういう計画が全然なしに外郭の環状線をつけようというところに、住民不在だというような非難が出てくる。この利用区分がない、だから土地収用法が地価対策でないということです。  もう一つは、これは先がた志村計画局長も言われましたが、これは私は認識を新たにしていただきたいと思うのです。公共施設ができることによってその土地が非常に便利になるから、土地の大量供給が可能になるということですけれども、もう一つの誤謬は、そんな政府の考え方よりも、また中に、これは言いたくないのですけれども、政府の人と手を組んで先行投資をするところの法人または団体の利己主義をどうするかということをはっきりしなければ、幾ら土地収用法で土地をとられても、土地収用法でとられた人が泣くと思うのです。   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 土地収用法ではなしに任意によって買収に応じた者が、公共の川に供すべきが土地であるという土地の持つ概念の半分を実施した、公共性ということで協力した者が非常につらい目にあうのじゃないか。この例として、この前言ったのですけれども、はっきりしたお答えを得ていなかったのですが、道路局長が見えておりますので、一体これをどうされるか、一ぺん聞いておきたいと思うのです。  私は大阪ではありませんけれども、千里丘陵地、これは万国博の敷地ですが、ここにも道路が通るわけですね。前は中国縦貫道路ですか、いまは国土開発高速自動車道路が通るわけなんですが、すでに先行投資をして京阪神急行がここに二十二万坪、殖産土地相互が八万三千坪持っておるわけなんです。それが公共用地として取得する価格が大体決定しておるのは、大阪府としては一万八千円何がししか金は出せない。すでにこの両方とも高いところは二万七、八千円で早う買っておるのです。そういうことをどうするかということなんです。それが土地の値段をつり上げておるのですよ。土地収用法がもう発動する以前に、あるいは任意買収に応じられる以前に、そうした土地に、そこにそういうものがつくということでこういう先行投資をやっておる、こういうやり方ですね。これを、道路局長お見えになっておるが、一体どうされるか。ああ、よろしゅうございましょう、京阪神急行さんですか、あなたの社長と私のところは知り合いです、よろしゅうごわす、あなたのところを二万七千円で買いましょう。これでは向こうも応じないと思いますし、こちらもそんなことは言えないと思います。そういう簡単なものじゃないと思いますけれども、事実はもう事実ですから、どうするか、道路局長にお聞きしたいと思います。

尾之内由紀夫建設技官(道路局長)

○尾之内政府委員 ただいま例にお引きになりました千里ニュータウンのところの用地買収につきましては、実は私どものところの所管ではございません。これは中国縦貫道がその一部を将来使う予定でただいま交渉はいたしております。あれはニュータウンの団地として大阪の企業局でやりました。それから高速道路を予定しておりましたところは、大阪の中環状計画街路として敷地を予定したところでございます。そこで私どもが直接そこの用地を買収するという関係にございませんので、いま例にお引きになりましたところは、直接お答えする具体的な例ではございません。ただ一般論といたしまして、私どもといたしましては、用地を買収いたします場合は、任意買収で直接買収できるところは買っていくわけでございますが、一般的にはその周辺の近傍類地の価格ということを標準にして価格を交渉いたしております。格別、そういう会社が持っておるために、特別な価格で交渉するということは、一般的にはございません。ただ、いまの例は、お断わりいたしましたように、直接関係いたしておりませんので、具体的なお答えはできないわけであります。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 それならば私は建設省は何をするところかということを聞きたい。たとえば道路公団にその仕事をまかしておる。しかしながら行政的責任はのがれられないと思うのですが。としてというお話でしたが、一般論をわれわれは聞いておるのじゃない。そんなものは新聞やら雑誌やら、そういういろいろな著作物には出ております。いまは一般論でなくして、政治責任において私は聞きたい。それをどうするか。いまの道路公団にしてもそうですし、それから住宅公団でもそうです。公団をつくって、それにまかしてしまえば、私は知らない。それから志村局長にもお聞きしておきたいのですが、土地収用法を実施したら、あとは府県の委譲の事務であるから府県の責任でございます。したがって適正な価格ということをどこに置こうが、これは府県の責任ですと言うても、そのときになってこの法律を立案して、そうして国会で審議したところの行政責任というものは免れられないと思うので、そういう逃げ方を建設省がされるとするならば、建設省は何をするところかということを私は聞きたい。だから、中国縦貫道路は、大阪環状道路を大阪府がやるとしましても、そういう土地政策として、地価対策として、一つは土地利用区分を明確にしなかったら、土地収用法も死んだ法律になってしまう。ほんとうに価値を発揮しない。地価対策でありませんという意味の一つの誤謬はそこに出ておる。もう一つは、法人、団体、個人の利己主義というものを大いにいままでばっこさしてきたのですよ。これを一体どうチェックするかという行政責任を明らかにしていただかなかったら、幾ら瀬戸山大臣が土地は商品でないという名文句を吐いても、これはほんとうに机上の空論になるといいますか、死にことばになると思うのです。そこでいまお聞きしたのです。大臣、どうされますか。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 千里の場合を例にとられていろいろお話でありますが、おっしゃることは、私はまだ率直に言って十分理解ができないのであります。たとえばある特定の土地会社といいますか、そういう人々が幾らかで買っておる。あそこに、たとえば大阪の環状線でも同じでありますが、かりに高速道路ができる。そうするとそういう連中は非常にもうかるんじゃないか、こういう御趣旨ではないかと思います。私は、従来のようなやり方でやりますと、あるいは相当もうかることを放置しなければならない、こういう懸念を持っております。今度の改正法でこれは全部チェックされるとまでは極言はいたしませんけれども、そういうものを防ぎたいというのが今度の土地収用法あるいはこれに関連する税制の改正。もちろんこの二つで土地政策あるいは地価対策が完了したとは思っておりません。しかし、この二つを組み合わせてやることは、そういう土地の投機と申しますか、不当に利益を受けることをどうしてもチェックしたい、これが私どもがねらっておる一つの考え方であるということは御理解願いたい。たとえば千里で幾らで買われたか、私は承知いたしておりませんけれども、そういう土地があるということは承知いたしております。でありますから、そういうところに高速道路をつくるというときには、やはり十地収用法に基づく事業認定をして、その時点における評価をする。取得価格が幾らであるか、あるいは近傍類地の価格が幾らであるか、こういうことで評価をいたしまして、それに今度の税制改正は、千二百万までは免税点といたします、そのほかは税をかけます。従来の土地譲渡に対する税がきわめて軽いと言うと語弊があるかもしれませんが、そのほうが率直に言って軽い。それでは土地が投機の対象になる。土地が一番利益を求める材料になる、こういうことが従来の大きな弊害だと思っておりますから、これについては税制の改正をして、その差額については相当の重課をする。局長がよく使いますが、いわゆる起業利益は社会に還元するという理想を貫いていきたい。それで十分チェックできるかどうかという点については、あるいは御議論があるかもしれませんが、その制度をぜひつくりたいというのが、この土地収用法と、それと関連のある税制の改正であります。税制の改正で十全に全うされるかどうかについては御議論があろうと思いますが、そういう考えでこれは並行さして御審議を願っておる、こういうことでございます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 通りことばとしては非常にきれいなことばですけれども、それなら具体的にお聞きします。たとえば京阪神急行で二万七千円で買ったといいますね。そうすると、そこの土地を収用する場合に、みんなその例にされるのですか。土地の登記価額というものは坪二万七、八千円はしていないと思うのです。一万円から一万五千円にしているのです。それをたてまえにされるのですか。すでに呼び値が二万七、八千円になっている。そういう、投機をやろうという考え方でなくとも、先行投資を――あそこまで京阪神急行は入れたいということで、もうからぬのだけれども私たちはそこに入れたんだ、こう言うのですよ。そして二万七、八千円に値をつり上げてしまっているのですが、事実は一万七、八千円しか大阪府は予算がない。そうすると二万七、八千円というものを具体的にそこの特価とされるかどうかということです。これは一般論ですよ。事実をもっての一般論です。そういうことをされるというなら、大臣の言われるところの、土地を投機の対象にしてもうけようという者はチェックできるということですけれども、投機の対象じゃないのですよ。すでにそんな高い値で買った。そしてそこの地価を上げてしまっておるのです。それを時価とされるかどうか。こういうことなら団体的に――すでに利己的と言えないと思うのですけれども、そういう動いたものをどうするかということです。これはまた非常に政治家と関係があるのですよ。京阪神急行の社長とか、あるいは重役というような者と、政界の中にも関係がある人も相当あるだろうと思うのです。まあまあと言っているうちに、それがそこの土地の値になったら、迷惑するのは庶民です。土地でも買って家でも建てようかと思ったら二万七、八千円にされた。さっぱりしかたがない。京阪神急行がついて、公共の施設がついても、すでに高い先行投資がされているということなら、たいへんなことになると思うのです。大小無数のブローカーが入り込んだと書いてある。何をしようとしているのかということですね。私はこれは政治的にたいへん問題にたりてくると思います。そういう意味でお聞きしておるわけなんです。単なる土地によってもうけたろうかという、こんな考え方でなしに、地価対策としてお聞きしよる。

志村清一建設事務官(計画局長)

○志村政府委員 土地の正常な取引価格というものを基準にして土地を買収いたすわけでございますが、先生御承知のとおり、正常の取引価格というものの把握はたいへんむずかしい問題でございます。ただ私どもといたしましては、正常の取引価格というのは近傍地あるいはその無地、われわれは近傍類地と言っておりますが、それの取引価格というものを基準としていることは、先ほど申し上げたとおりでございますが、それにつきましても、いろいろ特別な目的を持ちまして、地震売買と申しますか、わざと高い値段をつけまして、本来なら一万円程度のものを、お互いに共謀し合いまして二万円、三万円という値段で売買する。それが近傍の取引価格であるというようなことを申す例もないことはないわけでございます。それを防止する意味におきまして、正常な取引価格というものは、一般の取引における通常の利用方法に従って利用し得るものとして考えておりまして、所有者が、おれがそこに初め目をつけたんだからとか、その他いわば主観的、感情的なものというものは全部省くという原則で進んでおるわけでございます。さような原則に基づきまして、その土地の位置、形状、環境、収益性というものを勘案して出すわけでございます。御質問の事案につきましては、私も具体的に承知しておりませんが、さようないろいろ配慮いたした上で価格を算定いたし、交渉いたすわけであります。その交渉の結果成り立たない場合には、御承知のとおり収用委員会の裁決に服する。収用委員会におきましては、これは独立の機関でございますから、建設省、自治省にチェックされることはございません。完全な独立の委員会でございますが、そこにおきましてただいま申し上げたような原則その他を参考にすると同時に、鑑定士の鑑定というものを参考にいたしまして決定いたす、そのような手続になっております。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 時間がないから、そういう御答弁と承っておきたいと思います。ただ収用委員会というものは独立の機関であるからして、二万七千円なら二万七千円でいたしかたがございません、これが大体適正な時価でございますということなら、それがきまってしまうわけなんですね。そういうことは私は非常に遺憾だということを言うわけです。  それから先ほどの志村局長のお話の中で、公共施設をつくれば土地が安くなり、大量に土地取得ができるということでした。これは琵琶湖の大橋の南側にある例ですが、滋賀県の土地造成協調融資団から十六億円の金を借りて、そしてそれに利子がどんどんついていって、いまにっちもさっちもいかない。坪八千円で売ろうとしておるが買い手がつかない。公共投資をして事業をやって、そこに土地を取得するのに非常に便利だといって土地造成をやっておきながら、こういう結果が出ておる。それから、これは非常に差しさわりができますから、また建設省の方とかあるいは自治省に個別にお聞きしておきたいと思いますが、自治体が宅地をもう一つ造成して、いまの滋賀県の場合は、自治体ではございませんで、開発公団ということになっておりますけれども、事実知事が責任者になってやっておるのですが、事実それが動かない。それから宅地造成をやったりあるいは公共施設、道路をつけたりして、安くなるのに非常に高い値で売りつけておる。坪二万何千円で売りつけていまだにそれが売れない。こういう地方の自治体が逼迫した中で、土地造成をどんどんやらし、宅地開発をやらしておいて、事実それが行きづまりになってしまっておるというようなことは、建設省でこれは全体的に把握しておいていただかなかったら、困るのじゃないかと思う。こういうことをしておいて地価対策がどうのこうのということをおっしゃっても、土地収用法は単なる土地収用法であって、公共事業をやりやすくしただけの法律にすぎないということになると私は思う。  それから団体個人主義の場合、せっかく堀鉄道監督局長、蜂須賀民営鉄道部長がお見えになっておりますので、私具体的な問題でお聞きしたいと思うのです。これもこの前お聞きしましたところが、蜂須賀部長から非常に懇切な事実に即した御答弁をいただいてよかったと思っておりますが、事例は、姫路市の網干駅の西に大きな電車の基地が今度できることになった。そして駅と電車基地との間に、西播地区を南北に貫くところの非常に重要な道路がある。その道路は南に富士鉄、東芝、それから大日本セルロイド、西芝、神戸鋳鉄というように、大工場が櫛比しておりますから、ここの通勤量は非常に多い。したがっていまでも遮断機が日に三百回以上おりるのですが、電車基地ができると四百回以上おりるということになって、これは交通麻痺を起こすので、何とか南駅をつけたい、南駅をつけて南にお客をはかしたい、こういう考え方で地元では計画を立てたのです。しかしながら、ここに悪質とは言わぬけれども、合法的な地価引き上げ策として、北澤産業というのが、いままでの東芝の引き込み線であったところの専用鉄道を、東芝が不況のときに買収したわけです。それで、その土地がずっと駅の南にそれが八百坪ありまして、それを南駅建設に協力してくれといっておるのですが、南駅建設に協力するどころか、約三倍の土地の交換を要求してきた。これが、間違っておるかもしれませんけれども、具体的な実情です。そういたしますと、そんなむちゃなことを言われて、ここに当然もう駅ができないわけなんです。そして、自分に買いかえて代替地としてもらう土地は、そこの地価よりもうんと安くしてくれ、こういう言い方をして、八百坪を団体個人主義、団体利己主義的にきばっておるわけなんです。土地の人はふっつり困っておるわけなんです。そこで蜂須賀民鉄部長さんに先般お聞きして、それは南駅をつくるのについては行政的なやり方をいたしましょう、八百坪についても、土地収用にかかるところもあります、しかし、そういう荒っぽいことをやらぬと、お互い橋上駅をつくることに努力いたしましょう、そういう行政指導をしましょうという話をしていただいたのです。あるいは、大鉄の局長の長浜さんも、そういうことに努力しましょう。こういうふうにおっしゃっておるわけなんですけれども、私は、ここにきょうおいでいただいておるのは、そういう団体個人主義のごね得というものが起こったときに、一体行政の担当者としてこれをどう処理するかということが、やはり地価対策の一つの問題点じゃないかと思うのです。そこで、きょう民鉄部長もおいでになっておりますけれども、その後それについてどういうにしていただいたか。そのやり方によって、私は、土地対策というものについての国の施策も具体的に、大きな言い方ですけれども、糸口がつかめると思うのです。ひとつそれをお聞きしておくことと、それから、もう時間がありませんからまとめて言っておきますが、堀鉄監局長がおいでになっておりますので、いま網干駅では、南駅は請願駅でございましたけれども、しかしこれをもう取りやめます、国鉄の責任において少なくとも電車基地をこしらえて、そして乗客が多くなり、いろいろな物資をあげおろしする繁雑さができてくるのだから、国鉄において駅をつくってもらいたい、少なくとも下に隧道を抜いて、そういう交通のふくそうしないようにしてもらいたい、こういうぐあいに請願を変えておるように思うのですね。そこで、国鉄の五カ年計画とかなんとか言うて、この前は運賃を上げるときにわれわれに非常に強調されたのですけれども、こんなことをほっておいて、国鉄の五カ年計画もなければ土地政策もない。あるいは行政的な指導もないと私は思うのです。そういう点で、きょうは、その土地政策の一つとして、地価対策の一つとして、この問題は地元の問題ですから、私は地元の問題を言うて恐縮なんですけれども、いい例だと思いますので、お聞きしておきたい。それで、行政的な善処をわずらわしたい。こういうぐあいに思いまして、きょうはわざわざおいでいただいたわけでありますから、ひとつ懇切丁寧な御答弁をいただきたいと思います。

蜂須賀国雄運輸事務官(鉄道監督局民営鉄道部長)

○蜂須賀説明員 ただいまのお話でございますが、先般来、北澤商店を呼びましていろいろと話をしております。なお、市のほうにも、陸運局を通じまして事情を聞いておるわけでございますが、その後の話し合いの交渉経過につきまして詳しい事情がまだわかっておりません。したがって、現在の段階では、抽象的といいますか、協力するようにということで指示しております。  なお、この都市計画の問題につきまして、市と北澤商店との交渉につきましては、まだその後したことにつきましては聞いておりませんが……。

堀武夫運輸事務官(鉄道監督局長)

○堀政府委員 網干駅の南口、裏口をつくってくれ、こういうお話で、国鉄において当然そういう措置をすべきではないかというお話だと思います。国鉄には、いろいろ駅をつくってくれとか、駅の方々に裏口をつくってくれとか、たくさんの要望が地元からございます。この網干駅につきましては、三十五年に一回、三十七年に一回、四十年に一回と、三回大鉄局に対して陳情があったということでございます。そういうたくさんの要望がありますので、国鉄では、それを現在の建物の古さかげんとか混雑度だとかいろいろのものから整理いたしまして、順位をつけてこれを順次やつていく、こういうかまえになっておるわけでございます。網干駅は、明治四十五年につくられたもので相当古くはなっておるのですが、混雑度から見てほかにまだ先にやらなければならぬ場所がだいぶあるというところで、まだここまで手が回っていない、こういうような実情でございます。  それで、非常に陳情がございましていろいろ調べたわけでございますが、こういうような場合、市が地元負担と申しますか、そういう場合は地元から土地の提供とかそういうものを受ける場合もあるわけであります。この場合は、鉄道が全部やるにはまだ順序がこない。地元からどうしても早くやってくれということになりますと、土地の提供その他をひとつ考えてくれということになって、それで、地元がこの土地の所有者の北澤商店等と折衝をしておられるという段階でございます。その場合、いま裏口等を設置する場合に基準がございまして、大体混雑度でもってはかってやることになっておりまして、それで、大体年間三百万人程度の乗降がある場合に、その裏口にどれくらいの――三〇%以上が裏口のほうに客の出入りがかかってくるというような場合は、裏口設置の必要ありということで、そういう措置をしておるわけです。網干駅の場合は、一日約一万人の乗降がありまして、その裏口の利用度も大体四〇%をこえると考えられますので、この裏口設置の基準には大体合致しておるわけでありますので、必要な土地の提供があればやるという順序になっております。  先ほど申し上げましたように、第三次長期計画ということで、国鉄がいろいろ整備するということになっておるのだから、こういう場合も国鉄みずからがやるべきである。これはもうごもっともでございまして、いまのは、いままでの経過を申し上げたわけでございますが、今後とも、そういういろいろたくさんの要望がありますので、それを緊急順序、緩急順序と申しますか、そういうものに応じて、こういうような利用者皆さんのお役に立つ、便利になるということについてはできるだけ早くできるように、今後とも国鉄を指導してまいりたい、かように存じます。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 もう一言だけこの問題について言っておきます。問題をちょっと整理したいと思うのですが、蜂須賀民鉄部長さんに先般来お聞きしておるのは、この専用鉄道を今度地方鉄道にか、えるわけなんですね。その許可を与えることは、そこに法人の利己主義というものを逃げ込ませるわけですよ。地方鉄道をつけたって何にももうけにならぬ。土地の値上がりを増すだけですよ。交通が非常にふくそうするからもうかる、こういうようなことを先方は言っておりますけれども、私たちはそう見ておる。これは見解の相違がありますから、私はそれを強調いたしませんけれども、それが許可されたのかどうかということをひとつお聞きしておきたい。  それからいま鉄監局長の言われましたことは、なるほど国鉄あるいは運輸省としての考え方は、当然そういう立場に立たなければならぬと思う。しかしながら、ここに問題の特異性として一つの法人団体がごね得をやっておるわけなんです。そのときに請願駅が第一。これは局長さん、よう考えてください。両方が共同でやることが第二。第三は、そんなにむずかしいなら下だけ隧道を抜いたらどうだろうか。お客を一ぺん北におろして、下を通して南へ行くということは、何ほども金がかからないと思うのです。どれもこれも壁にぶち当たってしまっておるわけです。一緒にやると言ったって、地方鉄道の許可をとるということになれば、いま猛運動をやっておりますからそれができない。買収には応じない。三倍の土地をその付近で要求してくる。これは持ち毛おろしもできぬ。あなたのおっしゃることは非常にごもっともですけれども、一も二もどうにもならぬですから、最後の手として、それだけ繁雑しておるなら、電車基地もいくのですから、地元にまで御迷惑をかけるのだから、隧道ぐらい抜いて南へ乗客が混雑しないように――そういうように人が苦しみのたうっているのを、順番がきておりませんとか、その順によってやるというような公式的な割り方だけでは私は困ると思います。それでその辺は何とかできないだろうかという意味合いで言っているのです。一つは、団体のごね得、居すわり、それをどうするかという問題と、一つは、国鉄の責任をどこで遂行していただくとかという立場から、局長さんに聞いておるのです。この二つについて端的にお答えいただいて、時間も非常に長引きまして恐縮ですから、おきたいと思います。その問題については、後刻これとよく似たような問題だろうと思いますけれども、大阪駅の南の土地の問題についてやられますから、またそのときお聞きして、国鉄に関係ある点はもっと具体的にお話ししたいと思います。端的にその二つだけお聞きし、決意をひとつ述べていただきたいと思います。

蜂須賀国雄運輸事務官(鉄道監督局民営鉄道部長)

○蜂須賀説明員 ただいまのお話でございますが、さっきお話がございましたように、現在北澤商店は、当時東芝から専用鉄道と鉄道施設及び用地を買収いたしまして、用地が三十一万坪ございますが、そこに化学工場の建設をするということでございました。ところが景気変動のために工場建設が挫折いたしまして、したがいまして、工場用施設等の輸送もございませんので、自分の貨物の輸送が全くゼロになりました。そうなりますと専用鉄道という性格がなくなりまして、現在やっておりますのは、御承知のように東芝と西芝と日伸製鋼とタキロンの西社だけでこの荷物を運んでおりますけれども、他人の荷物ばかりでございます。したがって、北澤商店といたしましては、貨物専用の地方鉄道にするということを考えまして、三十七年九月一日に地方鉄道の変更申請をいたしまして、それが三十八年十二月に許可になっております。その後、北澤商店といたしまして、機関車の整備とか、線路の強化とか、機関士の資格取得のための職員の養成とか、あるいは技術者の選定というようなことにつきまして努力をしておりまして、地方鉄道にかわるための手続の準備をいたしております。そうしてこれに対するところの手続関係の事務も終わりまして、近いうちに申請が出るように聞いております。

堀武夫運輸事務官(鉄道監督局長)

○堀政府委員 下に地下道を掘ったらどうか、非常に地元の利用者が困っておるからそれくらいのことを考えたらどうか、こういうお話であります。先ほども申しましたように、この駅は明治四十五年で相当古いのです。ですから最近は、こういう場合には橋上駅と申しまして、線路の上に駅をつくりまして、両側に出入り口をつくる、あるいは通り抜けもできるようにするというようなスタイルの駅をつくることにしております。それで去年の十月に地元の陳情があって以来、私のほうには陳情はあまりないのでありますが、そのときのお話にも、橋上駅をつくってもらいたいという陳情があったようであります。ですからいずれ駅舎は建てられなければならない。それをつり上げて橋上駅というようなかっこうにしたほうがいいか、いま先生のおっしゃったように地下道でやったらいいか、そこら辺は国鉄当局に検討させたいと思います。

三木喜夫日本社会党

○三木(喜)委員 土地収用法の一部改正に付随した問題をお聞きして非常に恐縮だったのでありますが、この土地収用法によって、大きな法人とか団体は依然として利己主義で思いのままやれる、小さいところの庶民が土地を取り上げられるときにはこれが役に立つ、こういう法律の運用であってはならないと私は思うのであります。その点十分警戒していていただきたいと思います。  それから防衛庁の駐留軍の施設の問題については、まただれかがやるだろうと思いますが、私はこれにも問題があると思いますので、わが党としては非常に問題の多い法律案だと思っております。  要するにこれは、地価対策には非常に影響力がない。これをなるべく地価対策に影響力のある、土地収用法に関連したところの土地利用区分とか、そうした団体の個人主義、利己主義というものを排除するところの抜本的な法律を立てた上での土地収用法にしていただきたい、こういうことを要望して、私の質問を終わりたいと思います。     ―――――――――――――

田村元自由民主党

○田村委員長 本日は特に、両案審査のため、ただいま参考人として大阪市役所区画整理局、長大重正俊君、新大阪駅周辺借地人組合組合長橋本正夫君、新大阪駅周辺区画整理闘争連合会書記長福本君子君が御出席になりました。  参考人の方々には、遠路御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただき、ありがとうございます。どうぞ忌憚のない御意見をお述べくださるようにお願いをしておきます。  議事の順序は、まず参考人より御意見を承り、御意見の開陳が終わった後、委員各位より質疑をいただくことといたします。  なお、時間の都合もございますので、参考人は御意見の開陳はお一人十五分程度でお願いをいたします。   それでは御発言の順序は委員長に御一任願うことにいたします。   大重参考人からお願いいたします。大重参考人。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 本日参考人としてお招きをいただきました大阪市区画整理局長の大重でございます。  新大阪駅周辺の区画整理事業につきまして御説明をさしていただく機会を与えていただきましたことを御礼申し上げます。  昨年の八月、当建設委員会からは親しく現地においでをいただきまして、現地の実情をつぶさに見ていただきましたわけでございますが、この点につきましても、この席をおかりいたしまして、厚く御礼を申し上げます。    〔委員長退席、服部委員長代理着席〕  御存じのとおり、新大阪駅周辺の区画整理事業は、国鉄の東海道新幹線の建設に伴いまして新大阪駅から大阪の都心を結ぶ御堂筋線その他の公共施設を生み出しますと同時に、宅地の利用化をはかるという目的で大体二百九十ヘクタールにわたる区域につきまして、三十六年から四十四年までの九カ年計画、大体百四十七億円の予算をもってやった事業でございます。いろいろの事情がありまして相当日待を費やしましたが、ことしの五月十三日に仮換地の指定の議決を答申いただきまして、現在これから実際の区画整理事業に入ろうという段階でございます。  いろいろと変遷がございますが、これにつきましては、今後地元民の意向も十分尊重しながらやっていきたい思います。  なお、本日の土地収用法の一部改正でございますが、これにつきましては、新大阪駅周辺の区画整理事業は直接の関係はございませんので……。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 参考人福本君子君。

福本君子新大阪駅周辺区画整理闘争連合会書記長

○福本参考人 時間の制限もございますので、一応原稿をまとめてまいりましたから読ませていただきたいと思います。  昭和三十六年に計画決定されました新大阪駅周辺土地区画整理事業は、おくれにおくれて完了時期はいつか全く予想できず、地区住民の間では幹線道路さえつけばあとはほうっておかれるのではなかろうか、あるいはあと十数年かかっても完了すまいという声が高くなっております。これを裏づけるものとして、大阪市の戦災復興の区画整理でもいまだに立ちのかない家が五千戸もある状態です。地区住民の中で、よく聞いていただきたいのは、町づくりそのものまで否定する人は一人もおりません。ごね得をしようとする人もないといって過言ではないと思います。しかし区画整理法のみによる町づくりは地区住民に大きな犠牲をしいるもので、反対せざるを得ないという現状をよくお知りいただきたいと思います。  市当局は、反対する者はほんの一部だと言っているようですが、では昨年の秋にどうして審議会委員のリコールが圧倒的な差をもって成立したかということをよくお考えいただきたいと思います。反対する住民の数の多さが理解していただけるものと確信いたしております。また、区画整理に賛成という住民でも決して無条件ではなく、その条件が満たされない現在は、一部大地主や土地会社以外はみんな反対という結果でございます。  ではなぜ私たちは反対しなければならないかということをよく皆さんに御了解いただきたいと思います。  区画整理は減歩という名目で道路、公園などの公共用地を地区住民に無償提供させるので、憲法で保障されている財産権の侵害だというのが根本的な考え方でございます。市当局は、減歩によって土地の面積がたとえ減らされても、道路、公園ができることによる地区民の発展になり、残った土地の価値が上昇するから財産権の侵害にはならないとの見解に立っているようですが、これは憲法でいう公正な補償とは言いがたく、道路、公園は別な方法でもできるでしょう。地区住民は都市計画税も払っております。もちろん高い市民税も、所得税も払っております。別な方法による道路、公園づくりを熱望するものでございます。減歩はだれがいかに理由づけようとしても、土地のただ取りでございましょう。したがって、本委員会の議題でございます。部改正される土地収用法にかかって、第三者の認めたいわゆる公正な補償をしていただくほうがよいとの考え方を持っている住民のほうが多いということをよく御認識いただきたいと思います。  区画整理の場合土地収用法にかける必要がない、なぜならば区画整理法はそれ自体が強権的な性格を持っていると市当局はかつて明言いたしております。また、大阪駅の区画整理は町づくりというよりも道路づくりといったほうがよく、それを裏づけるように、市当局は町づくりの現実的な計画をいまだに発表しておりません。道路づくりということを考えてまいりますと、幹線道路はあくまでも通過道路でございます。特に四十五年度に開かれます万国博覧会に必要な道路づくりならば、地元負担という形ではなく、当然、府あるいは市、大きくは国家の手でやるべきだと思います。地区住民で自動車を持っている人はごく一部分しかおりません。幹線道路の地元利用率はきわめて低く、万国博覧会会場や大阪空港への通過道路を地元負担にすることは納得ができかねます。  この点から見て幹線道路は完全買収への要求の声が高くなってくるのは当然と思います。とりわけ万国博覧会に必要な新御堂筋は、淀川までは買収方式をとり、私たちのこの区域のみが土地を無償提供させられるわけでございます。淀川までの買収地域でさえ猛反対いたしております。私たちの地区がそれ以上に不利な無償提供ということになるわけでございますから、納得ができないわけです。しかも同一の区画整理区域内でありながら、御存じのようにオリンピックに間に合わせるために大阪駅から新大阪駅までつけました地下鉄一号線の用地は、ゴボウ抜き買収の形式をとりまして坪三十五万円も出して地価暴騰の原因をつくり、市当局がみずから区画整理の進行をはばんだような結果になっております。そしてその買収費用は年々の区画整理予算で返していくという納得いきかねることをやっているのでございます。この点からして、今後新大阪駅から万国博覧会まで延長される地下鉄用地も、区画整理で生み出すことはなく、買収にしてほしいという地区住民の要求をお聞きいただきたいと思います。  新大阪駅周辺地区住民の多くは、御存じのように建て売り住宅に住む零細な勤労者が大多数でございます。苦労してたくわえたお金、あるいは勤務先で借金したお金で購入いたしました過小住宅でございます。ほとんど借地権者です。借地権者の数がざっと三千数百人もあり、二十人の審議委員中十一人も借地権者が選出した委員でございます。したがって、地区住民の大多数は減歩によるはね返しで地代を値上げされ、また地区発展といいましてもそれに伴う地代の暴騰で生活ができなくなり、いずれはこの地区から追われる運命にあることを私たちはよく知っております。勤労者にとっては、区画整理があってたとえいかに地区が発展しましょうとも、給料が決してふえるわけではございません。支出増加という結果になって私たちの生活はますます追いやられていくことでございます。  現在、区画整理の進行に伴いまして、驚くなかれ地代の坪当たり九百十三円という訴訟問題まで起きております。地主側から坪九百円、千円という要求も出されてきました。さらに地主は、さら地にするほうがもうかるので、その欲望の犠牲になっている借地権者あるいは借家権者も出てまいっております。そこで、何としてでも区画整理区域内での地代・家賃の抑制策をお考えいただきたいと思うわけでございます。  その上に、減歩にかわる清算金、これは市当局は当初はとるといっておりましたが、現在はとらないと言っております。しかし、第四十八回の本委員会の会議録の十八号を見ますと、鮎川政府委員はとるとはっきりと申しております。その点明確にして、地区住民のこの清算金に対する不安を一掃していただきたいと思うわけでございます。  しかし、市当局は、土地の価値上昇に伴うバランスをとるための清算金はとると言明いたしております。地価が、現在の呼び値が坪百万もするというところがございます。ゴボウ抜き買収の平均の値段が十万円という点から見まして、この清算金の額にも非常な不安が持たれております。何万、何十万というような清算金をどうして私たち庶民が支払える能力があるでございましょうか。区画整理法でもっと清算金というものの考え方を明示してくださいまして、そしてぜひともその減免措置を何とかしてで毛講じていただきたいと思うわけでございます。できるならば移転の前にある程度この清算金に対する金額を明示していただかなければ、私たちはどうにもしようがないという現状でございます。  区画整理の対象は土地でございますが、数万坪の大地主も、あるいは十坪の宅地借地権者にも、全部同じように減歩は義務づけられておるわけでございます。しかし、区画整理によって大もうけをする大地主と土地会社にもっときつい条件を出していただいてもけっこうだと私は思うわけでございます。  いまは借地権者のことを申し上げましたが、借家権者に至っては、区画整理法ではその存在は全然無視されておる現状でございます。審議会委員にすら送る権利もなく、そうして仮換地の通知もなく、移転も非常に不安がられております。家主が換地先に家を建てない場合はどうなるのか、また営業権者の営業権の問題はどうなるのか、あるいは得意喪失のその補償はだれがしてくれるのか、このような不安を持っておる借家権者の数が七、八千にものぼっておる現状でございます。こういうような私たち地区住民、ほんとうにその数の多いこういう人たちを無視しては、区画整理のスムーズな進行はあり得ないと確信いたしております。  新大阪駅周辺は御存じのように密集地帯が非常に多く、すでに市街地のかっこうを形成いたしております。現在建築制限を実施中でございますが、それが守り切れないほどに自然の勢いで膨張いたしております。密集地帯の区画整理の無理なことは、小山元建設大臣も四十年五月十八日の本委員会で発言されておることを議事録で私たちは読ましていただきました。  区画整理区域の決定にも、よくお考えいただきたいと思います大きな矛盾がございます。大企業、公団住宅、公営住宅を除外しておる点が地区住民をますます刺激しておるわけでございます。  区画整理区域と除外地区との接近地帯では、減歩率あるいは清算金という点で大きな矛盾を持っております。へい一つで同じ利益を受けるとしても、片方は減歩あるいは清算金というかっこうで義務があります。そして、区域決定の矛盾から、道路計画そのものも、区画整理らしくなく、地図を見ていただけばよくおわかりいただけると思いますが、非常に曲がりくねったところも多いのであります。  最後に、施行者である市当局の区画整理行政の姿勢の悪さが、区画整理を遅延させている点を指摘さしていただきたいと思います。スムーズな事業の進行は、地区住民を納得させることが先決でございます。この努力が不足していることと思います。万国博覧会の用地買収には大阪府知事が現地まで出向いて説得されております。ところが新大阪駅周辺の区画整理には、市長はおろか局長も現地へは来られず、地区住民とは地区内での話し合いは持っておりません。課長さえも容易に来ず、係長くらいでその場を間に合わしております。  審議会委員のリコール成立の前日に審議会を招集し、そうして、強引に仮換地案の答申を出させました。会長、病欠者を除きまして、そのときの出席者十八人の委員中、答申日のまずさを認めた者は、何と半数の九人もあった現状でございます。  また、審議会委員リコールに伴う借地権の申告に際しまして、二坪の借地を認めたり、あるいは大地主、土地会社が自分の土地を細分化したように見せかけまして、家族や従業員を架空の借地権者として自分たちの利益を守ろうとしたことに対し、市がこれを認めるどころか、共謀したというような疑いすら私たちは感ぜざるを得ないのであります。  こうして、しゃにむに通過いたしました仮換地案に基づきまして、五月十三日、先ほど局長の申されましたように、一口きりで仮換地の審議会発表をして、それを答申させたのであります。換地先はハス池や湿田があり、はなはだしいのは背も立たないような沼があるわけでございます。りっぱな宅地に住んでおる者を、背も立たない池に移転せよというのは、これは人道無視だと思います。五割もの減歩もございます。自分の家が自分の意思を少しも反映せずに、市当局の意向に従って、まるで犬小屋をあちらからこちらへ移すように移されたら、たいへんなことになります。あまりにもむごい仕打ちだと思います。  いま、地区住民は仮換地をめぐりまして大騒ぎをいたしております。近代的に高層化した立体換地の構想も全然考慮されておりません。道路はできても町はできないという結果になることは、あまりにも明白でございます。大阪市の副都心づくりは、全大阪市が当たることはもちろん、国家的事業でございます。万国博覧会を控え、都心部とその会場の中間地帯で行なわれるこの区画整理を円滑に進めるため、まず地区民の不安を除き、犠牲をなくするように、諸先生の御協力を心よりお願いいたしまして、私の、皆さん方の参考人としての証言にかえさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 次に、新大阪駅周辺借地人組合組合長橋本正夫君。

橋本正夫新大阪駅周辺借地人組合組合長

○橋本参考人 橋本でございます。本日この委員会で借地権者並びに借家人の区画整理進行途上における現状を御説明さしてもらいます機会を与えられたことについて、深く感謝いたします。  新大阪駅周辺の区画整理区内の住民、特に借地、借家人は、この区画整理に強い不安とそして不満を持ち、それが現在では反対というような意向を持っております。昨年秋、仮換地基準案が審議会の審議にかけられたときに、区画整理のもろもろの条件を改善してほしいと望んでいましたわれわれ地域住民は、区画整理をもっと民意を問うてやってほしいという形で、かけられてきました仮換地基準案に反対の意向を表明いたしました。中でも借地人は、残されたただ一つの合法的手段を行使して、審議会の委員改選リコールを請求し、そうして、リコールすることによって反対の意向を明らかにいたしました。  しかるに、市施行者は、リコールの賛否投票の前日に仮換地基準案を強行的に審議会に答申させ、民意を踏みにじる暴挙に出てきました。賛否投票の結果、大多数の借地人の賛同によってリコールは成立いたしました。  にもかかわらず、リコール後の審議会の委員選挙には、区画整理法上それが合法的であるということで、区画整理に賛成する地主は、その所有する土地を細分化して、選挙の票を増加させるということの目的のみによって、約一千名の借地権者をつくり上げ、その審議会の選挙で多数を占めることになりました。  票の増加と申しますのは、夫が妻に土地を貸し、妻が夫に土地を貸すということで二票を作成し、世帯主が成年家族に土地を貸すということで数票、また親類に貸すということで数票の票をつくり、そうして地主が借地権を得て借地権者側審議委員立候補者になり、それらの票がこれらの人に集積されて、真の借地人の意向を審議会の中で反映する機会を借地権者としては全く剥奪されてしまいました。このような状態の中で、町づくりそのものに反対でない多数の住民は区画整理に大きな不信を持ち、やがてはそれが反対になっていったのでございます。そうして再選挙後に行なわれました審議会で、五月一三日に仮換地指定は答申されましたが、当然この仮換地指定について不満と反対の意向を現在示しているものでございます。  こうした住民が区画整理に示す抵抗は、その理由がどこにあるのか若干の実例を述べさせていただき、御参考に供したいと思います。  当地は大阪駅梅田に国鉄で一駅という地理的条件にあるにかかわらず、淀川と神崎川にはさまれた大阪の北辺で、新大阪駅の設置を見るまでは開発に取り残された辺区でありました。それが新大阪駅の設置と、その周辺を副都心化するということで発表された区画整理によって、地域内に大阪のメーンストリートといわれる御堂筋が通り、万国博用地に直結されるということになりました。そして設計途上に地区住民の利益に関係のないような大幹線道路網の計画が行なわれ、異常な地価の暴騰を見ました。新大阪駅の裏表では養豚事業が行なわれていて、坪四、五千の土地が現在では呼び値坪百万円という状態になりました。そしてこの高騰の火ぶたを切ったのが地下鉄一号路線の新大阪駅乗り入れ用地の買収でございます。この買収は、オリンピックまでに地下鉄を乗り入れねばならないということで、市施行者は区画整理のゴボウ抜き買収として坪三十数万円で買い取ったのであります。  このような異常な地価の高騰は、いままで坪四十円ないし五十円で借地をし、家を建てて生活してきた借地人に対し、地主はそれを理由に一挙に一坪九百十三円、一カ月地代七万数千円、さか追い分、百八十万円という値上げと支払いを要求し、それが新大阪駅前の西中島では係争問題になっているのをはじめといたしまして、仮換地指定を前後にして坪三十円の地代が一挙に坪五百円に、また坪七十五円の地代が一挙に千円にと、地主は借地人に地代の値上げを請求してまいっております。借地人の生活は区画整理の中で破壊されていき、この不安は随所で起こる地代値上げのためにますます深刻化していっている状態でございます。これは明らかに土地所有者の借地人に対する当地区からの追い出しであり、借地人は住めなくなって、生活が破壊されて、何の区画整理か、町づくりかと強い反対の意向を示しています。またこのような区画整理による地価の暴騰は、別な形では同西中島では暴力団が介入して、借地人追い出しという事態まで発生いたしました。そして現在は直接土地所有者が土地明け渡しの訴訟を言ってきております。また借地契約の不備ないしは借地契約書がないということで、地主は借地契約を拒否し、立ちのきを、要求してまいっております。  こうしたことが百年の大計として数年後に控えた国家的事業であります万国博の入り口で起こっているのでございます。地区内住民にとりましては、これが国家的事業でありますので、市を含めてこの地代問題について救済措置をとっていただきたいと要望し、また何らかの行政的手段を講じていただくことを渇望しているのでございます。しかし布施行者は、地代値上げ問題については減歩の分だけの値上げはあり得ますと、その深刻な状態から目をそらし、また個人問題であるということで、法廷で争ってくださいといって言いのがれをしています。これは単に個人的問題として済まされる問題ではないと存じております。区画整理事業の中で生活を破壊され、住むこともできなくなっている住民が、区画整理に対して抱いております感情は、単に反対ということば以上のものがあります。  借地権者と言われながら、その権利はあってなきにひとしい状態が、区画整理による地価の高騰のために顕著に出てきております。地代に追われ、家を売るにしても坪千円の地代の家を買ってくれる相手はございません。そして地主は、もし象を売るのであれば象だけ売っていけと暗に借地人の住居はふろ屋のたきぎ、燃し木にひとしい状態をかもし出しております。  こうした状態にあるにもかかわらず、区画整理の清算金の徴収、交付は地主、借地人折半の責任を負わされております。借地権の問題は、法の改正があるにしても、現状では借地人としてこの地域内で生住んでいくために借地権の状態を安定させてほしいと要望しているのでございます。  また建て売り業者から家を買った借地人は、その建て売り業者に地代を払っていた多数の人々は、区画整理でそれが二重借地人であるということを知りました。建て売り業者が地主から土地を借り、そして象を建て、その家をわれわれ借地人に売ったのでございます。これは土地のまた貸しでございます。これらの人は建て売り業者の捺印がなければ、借地人でありながら、区画整理に権利者としてのその権利を行使することができません。  審議会選挙のとき、投票権を得るのに建て売り業者の捺印を求めに行ったところ、地代の位上げと、暗に特定候補者への投票を指示されました。地代の値上げについては文書で承認を求められました。この不当性について市施行者の行政的指導の必要性を求めましたが、施行者は、どうにもなりません、当事者間で解決してくださいと言っている状態でございます。  新大阪駅の裏におる借地権者は、われわれの権利が行使できなかったら、われわれは区画整理法上の義務を負う必要がないという二段論法で、御堂筋路線にかかっている象の移転に反対している状態でございます。  また五月十二日に発表されました仮換地指定につきましては、不公平であるといってこれを拒否している人々、営業に将来について不満な換地であると移転を拒否している人々、移転補償と清算金の具体的な数字が示されなければ動くことはできないと言っている人々、市施行者の姿勢に大きな不満と怒りを持って抵抗を示しております住民は、家が移転されるという状態のときにますます反対の意向を固めなければと言っております。  また借家人の人々につきましては、移転後に家主がはたして坪数十万円から百万円するところへ、移転補償金だけで借家を建ててくれるだろうかという不安を持っています。そうして、たとえその家が建ったにして毛、入居保証金の値上がり、家賃の値上がりを予測して、これについての具体的な保証がない限り、家を移転のために明け渡すことはできないという意向を強く示しております。  借家人は、区画整理法上審議会にその利益代表を送る権利も認められておりません。それはいわゆるつんぼさじきに置かれてその住宅が処理されていくことになって、これについて借家人は強い不満の意向を示しております。そしてさらに区画整理法を何とか手画しして、借家人の権利も認めてほしいと渇望しておるような状態でございます。  区画整理発表と同時に行なわれました建築制限は、発表後数年、そして十数年にわたる長い間、仮換地指定を受けて移転する人々に建築制限を加え続けてきました。生活が脅威にさらされ住めなくなっていくという状態、また区画整理の中でのこの建築制限は、子供の成長とともに夫婦生活の不便といったような犠牲となってあらわれています。  以上、実例に基づきまして述べさせていただきましたが、これらの借地借家権者の不安と不満、そして犠牲の具体的な解決措置がない限り、借家人は、借地人は、換地指定による家の移転をすることに強く反対しております。市施行者がこれに強制的圧力を加えて新大阪駅周辺の土地区画整理をやろうとするならば、市施行者と住民との間で長期にわたり醜い係争が起こることは明白であると思います。  以上ありのままの状態を御報告させてもらいまして、建設委員会の諸先生の参考に供したいと存じます。御商品を賜わりますようお願いいたします。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 私は、この委員会に参考人の皆さま方に来ていただきますにつきましては、大阪市の当局からは、区画整理の現在非常に行き悩んでおります事情、どういう理由で、またどういう形で困っておられるのかということをここで述べていただきたい、このように実は思っておった。ところが、いま区画整理局長のお話はきわめて簡潔で、何も収用法と関係がございませんから申し上げることはございません、こういうことでございます。しかしながら区画整理の事業は、この地図を見ていただくとわかりますが、こちらが御堂筋になります、こっちが万国博の敷地でございます、したがって、御堂筋と万国博の敷地を結ぶところの大幹線路線をつくるという大事業であります。そしてまた茶色に塗ってありますが、歌島・豊里線あるいはまた床内・新床線といったこれらの都市計画路線をつくるための事業であります。同時にまた、いま他の参考人の御証言もあったように、新大阪駅を中心としたところの大きな副都心をつくるという都市改造の大きな計画を持っておられる。そういうふうな大事業をやるための区画整理事業でありまして、これらの枠線路線をつくるためには、当然ある場合土地収用法も発動し得る、こういうふうなことでございます。土地収用法が適用できるというようなものでございます。したがって、これは決して土地収用法と無関係ではない。また、こういう都市改造が必要なことは私どももよく知っております。それゆえに、できるだけ早くスムーズにこれを遂行させたい。そしてまた昭和四十五年と予定されておるところの万国博、それまでにこの換地計画からさらに移転を完了してりっぱな道路をつくってもらわなければならない。それにはやはり地域の住民の協力がなくてはできない。だから、ここ数年にわたって大阪市が困っておられる、その困っておられる状況についてできるだけ早く何とか隘路を除去して大阪市の計画が実行できるように、建設委員会としても御協力したい。こういうことから、昨年は現地の視察にも参りました。また絶えず私は、区画整理に反対しておられる人たちに、いろいろな形で協力してもらうように説得いたしております。にもかかわらず、何の関係もございませんというふうな形できわめて簡潔な御証言よりないということは、私はたいへん残念に思います。何か私たちがあなたをここへつるし上げるために呼んだかのような、悪くとればそうとれないこともないような、けんか棒ちぎれのような証言をされるということはまことに遺憾だと私は思うのです。これから後はそんな木で鼻をくくったようなお話でなく、もっとお互いに胸を開いて話し合うというふうな気持ちで、この場の話し合いの中からあなた方がほんとうにやろうとしてやれないこと、それをどうすればやれるようになるのか、そしてまたどこにその隘路があるのかということを政府当局にもよくわかってもらって建設省にも十分御協力願う、大臣にもこの話を聞いてもらうようにうしろに控えてもらっておるのです。だからあなたはここで私に答えるというよりもあなたの困っておられることを瀬戸山さんに育っていただく、こういう気持ちでひとつお話を願いたい、こういうふうに私は思います。  そこで最初にお尋ねいたしたいと思いますが、私がこの話を聞いたときに一番最初に指摘いたしましたことは、地域の設定、地区設定の姿です。それでこの図面を見ていただきますとわかるように、こういう形になっております。そしてくしの歯がぐっと食い入っておるように、まるで蚕が桑の葉を食ったようにぐっと食い込んでおる、ここでも食い込んでおる。その強く食い込んでおる部分に何があるかといえば、府営住宅です、その次にここに公団住宅があるのです。ここは神崎川です。だから神崎川に囲まれてこの地域の者が区画整理を受けて減歩をやって公共用地を生み出そう、みんなで積み合わせて道路をつくりましょうという計画を立てておられるときに、府営住宅と公団住宅とが全然ノータッチであるということについて不満の意を表明するのは当然であると思うのです。こういうような地域設定をされたということが、直接に公共施設のほうはそんな減歩なんかかまいません、小さいなら小さいなりに清算金を出さなければならぬが、それもお断わりです、そういうふうなことをやられるのではここらに並んでおる密集地、ここらは色のついておるところが家ですが、この密集地の人たちが寄って公共用地を生み出しなさい、こういうことなんです。こういうふうな公団の――非常にまばらに建っておるのは減歩は必要はありません、その建物が鉄筋ですから動かすことはできません、動かすことができなければやはり減歩に応じた負担金をある程度出すべきであるにかかわらず、これは除外されておる。ここには工場があります。日本アルミニウムであるとかあるいは日独薬品であるとか富士精版とかいう工場がございます。その工場も区画整理にはノータッチであるというふうなところに、地域の設定に最初に非常に大きな不満を持っておったわけです。私はこの不満がいかにももっとものように思えるのでございますが、あなたはここでこの機会にその点についての御釈明の理由があればひとつ申し述べていただきたいと思います。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 先ほども御説明申し上げましたように、新大阪駅周辺の区画整理事業は二百九十ヘクタールに及ぶ膨大な地域を対象とする事業でございますが、その区域をどういうように決定するかということについては、昭和三十六年以前に専門家が集まっていろいろと相談して、いろいろな案があったようでございます。私も実は昨年局長になったわけでございますが、どういうわけでこういうふうにきまったのかということについては初め疑問を持ちました。しかしいろいろと検討してまいりますと、やはり新大阪駅を中心といたしまして都心部に結ぶ御堂筋、それを延長いたしますと現在では万国博覧会の予定地に通ずるわけでございますが、それをはじめといたしまして八本の都市計画道路に肉づけをしていく、そういう形で  一応きめたわけでございますが、そういう場合に、すでに整備をされております公共施設、公団住宅あるいは大工場等はそれを入れないほうが適当だろうということでそういうふうにきまったように聞いておるわけでございます。いろいろと取り方がございますから、絶対的にこれでなければいかぬということにはその当時でもなかっただろうと思いますけれども、結論として現在なっておるわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 まあいまの御答弁では、公団住宅、あるいは府営住宅をはずされたということについての妥当性が認められるような内容のものではございません。しかしそれはいまその点を追及いたしましても、いまからそれでは加えてというわけにもいかないかもしれませんが、それにかわるものを今後何か考えていただくということで、私は解決していくよりしかたがないと思っております。  そこで、こういうような新大阪が区画整理をやるということは一つの大きな理由でしょう。それ以上に、新大阪駅ができたことが地価暴騰の最も大きな理由であると思います。しかし、同町に副都心計画というものがまた地価の暴騰に大きな影響を与えておると思うのです。副都心といえば、ここはいずればビル街にする、こういうことになってくると思うのです。こういうふうな構想を将来持っておると思う。だから呼び値百万というふうな地価が出てまいったわけです。また、このようにいまは整地されておりませんが、こういうふうな黄色に塗った線のきれいな整然とした都市計画街路の整備計画を持っておられますから、これは将来非常にいいところになると思うのです。だから、こういう計画を発表されれば地価が上がってくるのは当然であります。だから、その地価がその事業計画と一緒にどんどん上がってきたために、いま二人から証言されましたような、非常に大きな地域住民への影響が出てきているわけです。  いま適例が一つ話されましたが、たぶんこの辺の地域ではないかと思うのでございます。この辺の地域になるところで、皆さん方のところへもこうして資料が出ておりますが、当然御堂筋になるところに接したところに、こういう家が建っておる。これがここにかかれておる、赤で塗られた家の模様です。ここに山口とか阿曾とか坂井とか藤田とかいうふうな人が住んでおるわけです。こういうふうな人たちのところへいま坪九百三十円という地代を家主が要求してきておる。坪九百三十円といえば約千円です。そうすると、この人たちは三十坪の土地を借りてそれぞれ長屋を建てておる。そうしてこういうふうな家でかろうじてその口を暮らしておるということでありますから、幾らの収入もありません。そういうふうな家を建てて住んでおる人に対して、現在すでにもう三十坪に対して、坪九百円として二万七千円という地代の支出を要求してきておる。そうすると、この人たちにはそんな地代は一カ月の収入に毛該当するような地代で、しかもそれが区画整理計画と一緒にそういうふうな事態が発生してきておる。大阪市としては、そういうふうな地価の暴騰に伴うところの地代の値上がりは、いまの証言によりますと、そんなことは当事者同士の話でございますから、私たち起業者の知ったことではございませんというふうなことを答弁された模様でございますので、一体、何かそれに対して救済の道を――事業計画を立てたためにそのような窮地にそれらの人々は追い込まれてきておる。その他代が払えなければもう土地を明け渡して出ていくよりしかたがない、そういうふうなところへ追い込まれておりますが、それをどう処理したらいいかということについて何らか仲裁の労をとるとか、あるいはこれらの人をどうしてやろう、救済の道をどういうふうに講じてやろうというふうなことを現在までに御検討なさったことがございますか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 現在の大阪市の新大阪駅の周辺としてはまことに恥ずかしいような状況であるわけでございます。したがいまして、これをりっぱな副都心にしようということで仕事をやっておるわけでございまするし、また地元民にとりましては、新大阪駅ができ、地下鉄もでき、数年後にはりっぱな副都心になるという考え方でございますから、自然に、思惑で地価も上がり、地代にはねかえりあるいは家賃にはねかえる、そういうことが起こるだろうと思います。  ただ、区画整理との直接の関係で申しますと、これは本来ならば、区画整理は従前の土地に見合う土地を換地するわけでございますし、建物移転にあたりましては、従前の建物をそのままの形で持っていくわけでございますから、それから直接的に地代が上がりあるいは家賃が上がるということにはならないわけでございます。  しかしながら、いまお尋ねの件は、そういう問題が起こるのを大阪市は拱手傍観しておるのか、そういうことをおっしゃっておるのでございますが、御存じのとおり、建物移転にあたりましては、私どもは、家主なりあるいは占有者とすべて協定を結びまして、一件一件片づけていくわけでございます。そういう場合には、当然これは私どもが中に入りまして、そういう家主と借家人との間の問題、土地の所有者と借地権者との間の問題にも具体的な問題として入っていく機会があるわけでございます。それにも限度がございましょうけれども、そういう機会をとらえてできるだけ借地人なり借家人の方々の御納得のいくような仕事の進め方をやってまいりたいと考えておるわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 いまの例は、その土地の所有者が審議会の委員をしておるが、何か暴力団のような人らしい。そうして半ば脅迫的にそういうことをして追い出しにかかっている模様でございますが、そうでなくても、一つの例として、三十七年の十二月に五十円の地代であったのを三十八年の六月には七十五円にしているというふうに、五割の値上げを言ってきておる。その値上げを言ってきている地主から誓約書を出せと言っておる。誓約書のひな形を持ってきておるわけですが、それにはこういうことが書いてある。あなたから借りている土地は、近年東海道新幹線ができたということ、それからまた、その地域が区画整理が行なわれるというようなことで非常に暴騰したので、その近隣の地代や土地の価格も上がっている、だからそれにふさわしい賃料をこれから払います、こういうことを異議なく承諾いたしますというふうなことを一番初めに書いてきておるわけです。それで坪当たり昭和三十七年の十二月からは五十円、三十八年六月からは七十五円の地代を払います、こういうひな形を持ってきておるわけです。そうすると、この人でも五割の値上げをぽんといやおうなしに承諾させられておる。そういうふうにこの地域の住民が、この区画整理によって地価が上がるからすぐそれが地代にはね返って、どんどんこういう地代、家貸の値上げが現実にすでに始まってきておる、これはもう換地をやらない以前において、現状のままの形でも、もうこんなに上がっているということを言ってきておる。だからこういうような紛争が、どんどん区画整理事業と一緒に、あなたのほうの換地計画を立てられると一緒にどんどんこうして出てまいっておりましたら、あなた方は、この地域のこういうふうな零細な土地を借りている人、あるいは小さな家を借りている人の生活を守るために、何か世話活動を大阪市として当然やる必要があるのではないか。せっかく、区画整理という事業を公共事業としてやろうと思っておるのに、地主さんのほうでそんな非協力では困ります、将来換地処分によって相当なものをあなた方に提供し、その地域の地価が公共の事業のおかげで上がるのだから、ひとつそんな無理はおっしゃらないようにしてくださいという形で、あなた方は、地主さんを集めて説得して、それに対して十分な協力体制をとらせる、そうしてこういうような弱い者いじめ、貧乏人いじめを地主は絶対にやらないようにする、こういうような指導体制というものが当然なくてはならない。そうしてまた、無理を言ってきた場合には、市のほうに言ってきてください、市のほうであっせんします、もし訴訟なんかになる場合には弁護士もあっせんします、その費用も当然市のほうで持ちます、こういうふうな区画整理事業に伴うところの付帯事業、住民への保護対策というものが持たれなければならない、こう思うのですが、いままではそういうことはあなたのほうでおやりになっておられないと思うのです。しかしながら、自分たちのやっておることに欠くるところがあれば、いまからでも改めていただくべきだと思いますが、そういうふうな御用意がございますでしょうか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 この事業は三十六年から四十五年までの九カ年事業だと先ほど申し上げましたが、五年間の今日においてようやく仮換地の指定の議決を得られた、そういう状況でございまして、私どもは、結局そういうふうに事業がおくれましたのは、ゴボウ抜き買収に手間どったこともございますけれども、地元民の十分の了解が得られなかったということにも一つの大きな原因があるわけでございます。したがいまして従前からいろんな審議会の場でありますとかあるいは地元にも数百回出かけまして、ぜひ区画整理は必要だ、そういうことを中心に話をする機会に、家賃を上げる理由というものはないのだ、そういうことにかたわら触れてきたわけでございます。しかしいま申しましたように、私どもが今日までどうしてもやらなければならない第一の問題は、とにかく仮換地の指定をして少しでも早く事業に着手しようということにウエートを置きました。これからいよいよ建物移転に毛入り、あるいは工事にも着手するわけでございまして、事業の施行過程においていろいろと地元の方々の了解も十分得られるような工作をしなければならないと思います。この間も、たとえば私どものほうに市政だよりというのがございます。それの二面を使いまして今度の区画整理のやり方についてのPRをやりますとかそういうこともやったわけでございますけれども、いまおっしゃったような御趣旨のことについては十分考えながら、やっていきたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 これは地主の協力も要りますが、そこに住んでおる人の協力もなくてはとてもやれないことですね。だからそこに住んでおる人の中へ飛び込んでいって、そこに住んでおる人の悩みというものをあなたのほうがしっかりつかんでそれでやる。そういう悩みはこういうふうに解決しましょう、みんなで一緒に心配しましょう、こういう態勢の中からほんとうの協力が生まれるのですね。どんなに皆さんが困られようと私のほうは街路さえできたらそれでいいのです、こういうことではそれは猛烈な反対運動になるのは断然だと思いますから、これからひとつあなたのほうもそういう世話機関、そういうふうな賃貸借、土地及び家屋の賃貸借に伴う紛争に対する世話機関というふうなもの、相談所のようなものをぜひ設けていただいて、この計画が十分にでき上がるまでの間そういうふうなめんどうを十分に見ていただくように私はお願いいたしたいと思うのです。  いまあなたのおっしゃいましたお話の中でゴボウ抜きにずいぶんひまがかかった、そしてまたそれに金もかかった模様でございます。私は、新幹線の計画と区画整理の計画とがどちらが先であったのか存じません。しかしたまたま区画整理と新幹線とが重なり合ったということのために、ここの地域の区画整理事業というものが非常に困難になった、いわば新しい大阪の入り口になって、梅田にまさるところの入り口になったということですね。だから将来は梅田かいわいと同じような繁栄を誇る地域になるであろう。ところがこの地域は従来は沼やそんなものがあった辺地であった。もしそういうところで、そのままで区画整理が行なわれようとするならば、今日のような、坪五千円であったところが百万円にもなるというふうな大きな地価の暴騰もなかったろうと思うのです。だから新幹線がこの計画にものすごい拍車をかけたことになって、その点あなたの御苦労も私はよくわかります。同情もします。しかしそれだけにまたそれに伴うところのいろいろな対策というものを、いま新幹線ができた現実の上に立って講じていかなければならぬわけですね。  そこでかねてからあなた方から御説明を聞いておりますのに、一応この幹線街路に必要な土地は十一万坪である。そのうち六万坪は市のほうで持ちます、用意しております。五万坪のほうは地域の方々で生み出してもらいたい。黄色になっているところの環境をよくするための街路計画、これのほかにこの幹線道路の街路分として五万坪を出していただきたいという御計画の模様でございますが、ところがその五万坪のために、地価が暴騰したために地域住民への負担が非常に重くなってきているわけです。また、たまたまこの計画をちょうど昭和三十四年から始められて、昭和三十四年にちょうど区画整理法の法改正がございました。そうしてこういうふうな幹線街路に対しては、そういうふうな街路をつくるものに対して、区画整理する起業者のほうからその道路をつくるための費用は全部または一部を負担してもらってもよろしいという法律の改正ができております。またそれを適用してその一部として六万坪を負担されるということになったのであろうと思いますが、ここは建設大臣に聞いておいていただかなければなりませんけれども、こういうふうに地価がもともとはさほどにもなかった土地が、大阪市内を買収いたしましたのが六万坪を六十億かけて買収しておる。そういたしますと、残る五万坪負担するのについては、一応五十億負担しなければならぬ。そうするとその五十億分というものをいわゆる減歩によって負担しなければならぬということになってまいりますから、この土地の所有権者あるいは借地権者に対して、それに重大な経済的な負担がかかってくるわけなんです。だからこのような新幹線周辺のいわば副都心という形で最初は計画しておられました。ところがここへまた新たな任務が加わってまいりました。それは万国博と大阪の御堂筋とを結ぶところの、大阪の中心部を貫くところの幹線道路であるということであります。そういうふうな新たなる使命がこの区画整理事業に加わってまいったということが一つであります。いま一つは、これはその地域の人たちも指摘しておるのでありますが、ここから南のほうは面接買収の方式でいかれる。また川を一つ隔てた向こう側の万国博にいくまでの道路をこれからつくっていかれる、それも直接買収でやる。そうすると、それらの地域の幹線道路づくりは面接買収でやる。この地域のものだけがそれらの間の通過区間になっておる道路を、なぜ自分たちが負担して、区、画整理事業として出していかなければならぬか。しかもその費用が五十億であるということになってまいりますと――いまでは、五十億では済みませんね。その当時、いまから二、三年前に買収されたのがすでに平均坪十万円で買収しておられる。したがって、これから後、換地計画で計算していかれるとしますと、もっとの金額になってくるであろうと思うのでございますが、そういうふうな費用の負担を地域住民にかけるのはあまりに酷ではないか。そのことのために減歩に伴うところの清算金を負担しなければならぬという場合に、どのような清算金がかぶってくるのかということで、地域住民は非常に心配しておるのでありますが、これは建設大臣いかがでしょう、政府としてもこういうふうな場合に何かめんどうを見るために、いま直接あなたとしてはよろしい、それじゃ政府のほうでめんどうを見ましょうというわけにはいかぬかもしれませんが、ひとつこれは検討してみようというふうなお考えを持っていただくわけにはいかないでしょうか。建設大臣にひとつお伺いをしたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 いまの質疑応答だけではちょっと答えができないと思います。お話のとおり、そういう大幹線を地元負担に帰するということは、原則として間違いだと思いますが、どういう計画をされておるのか、まだ私よくのみ込んでおりませんので、まず計画のほうから御説明願ってからのほうがいいんじゃないか、かように考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 いやもうあれだけ話したからわかってもらっておると思うのですが、またいずれ委員会ででも……。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 おおむねの計画はわかっておりますが、将来、清算その他についてどういう考えを持っておられるかまだわかりませんので……。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そこで区画整理局長にお尋ねをいたしますが、たとえばここにこういうふうなたくさんの住宅がございます。ここが新幹線でございます。ここが駅前です。ここに学校がございます。しかしながらこの辺は将来非常に有望な土地ですね。そうすると、こういう地域に住んでおるこれらの人は、さしあたり小さくなることはできません。こういう家に住んでおりますと、ここからすぽっと削られる。ここは道路に直接面します。そうするとここの地価はものすごいものになります。おそらく坪何十万円という地価になると思うんです。そうするとここはあなたはひとつ小さくなってください、減歩率は大体二十四・何%ですね。約二五%ですね。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 一九・九でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 あなたのほうから発表された換地計画を見ますと大体二四%、古い資料かもしれませんけれども、そうなっておりますが、かりに二〇%と計算しましょうか。かりに二〇%といたしましても、坪五十万円のところを三十坪持っておれば千五百万円ですね。あなたのところは小さくなってください、それに対する清算金は何ぼ出してくれ、こういうふうなことになるのですか。その清算金の計算のしかたです。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 地元の負担の問題に関連してゴボウ抜き買収について御質問になったわけですが、まず地元負担の問題について申し上げますと、大阪市は区画整理がありますときに、一般的に三〇%の減歩を平均でかぶせておるわけでございます。特に臨港地帯、港区、大正区関係が盛り土の関係がございまして、四、五%でございますが、新大阪駅につきましては、換地設計方針のときには二六・五%ということで発表いたしましたけれども、六万坪のゴボウ抜き買収とその後の調整を加えました結果、五月十三日の仮換地の指定口現在においては一九・九%で、他の地区に比べまして、決して率の上では地元民の負担は重くない、むしろ低いんだということをまずお認め願いたいと思います。  それから、六万坪のゴボウ抜き買収でございますが、これは先ほどもお話がございましたように、幹線道路十一万坪のうち、地区の方々だけが主として利用される区域五万坪を除きまして六万坪、これが通過道路と考えておるわけでございますが、そこの分だけを買収したのが六万坪で六十億円でございます。ところが御堂筋全体を坪数に直しますと、あの区域内では五万坪でございます。結局六万坪というゴボウ抜き買収の形でやっておりますけれども、御堂筋という道路に当てはめますと、御堂筋全部買収してなお一万坪余っておる、そういう形でございます。  それからもう一つは、これは先ほど地元の参考人の方からもお話がございましたように、何年でもかかってやっていいということじゃなしに、どうしても万国博覧会くらいまでには大阪市の副都心にふさわしい町づくりを仕上げたいと思っておるわけでございます。そしてそのために、五月十三日にようやく仮換地の指定をやったわけでございますが、さらにその方針を変更して、五万坪の土地を新たに買収するということになりますと、一切の計画を変更しまして、万国博覧会くらいまでには、とてもこの事業は間に合わない、そういう事態が生ずることも御承知を願いたいと思うわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 私がお尋ねしていますのは、最初にあなたは、御堂筋は五万坪だとおっしゃいました。しかしながらこういう路線ですね、褐色に塗られておるところ、これは全部合わせれば十一万坪になるわけですね。だからこれを生み出すための区画整理なんですから、そうなってくると、やはり五万坪というものが住民の負担になってくる、住民がはじき出さなければならぬ、こういうことになるわけですね。  そこでもう一つお伺いしておるのは、たとえばこういうところですね。こういうところの換地計画の場合、やはりその人が占めておるのは非常に有利な、立地条件のいいところです。だからもしここを、たとえばここにこういう空地がございます。こういう空地でありますので、あなたのほうがその空地を、たとえばそこに新たに入りたいとかあるいは何か交換されるときは、相当な価格を見積もって交換されると思うのです。その場合、その向かい側にいる人が減歩で清算金として出さなければならないのは、非常に地価が上がっておる、やっぱり地域によって、あなたのほうはそんなやみ値とかあるいはまた暴騰した地価というような形で計算はされないであろうと思います。しかしながらある程度起業効果というものはその中に織り込んだところの換算をしていかれると思うのですね。だからこういう御堂筋の幹線道路に面し、将来非常に有望な土地、したがって地価の値上がりが相当出てくるというふうに現在予想されているところ、しかしながら小さくなることができないで住んでおられる人、そういう人たちが小さくなれないための減歩、それに伴うところの清算金を出さなければならないとするならば、いわゆる法律にいうところの事業認定の時期におけるところの価格で減歩清算をやるのならこれは何でもない。しかしながら、おそらく換地計画というものはそんなことでは行なわれないと思うのですね。やはり全体の起業計画の上に立ったところの換地計画というものが行なわれるとするならば、そういうふうなおそらく非常に高くなるであろう、また利用効果も非常に大きいであろうと思われるようなところにいる人は、その減歩をどれだけしなければならないのか、、減歩清算の場合の負担する地価というものはどういうところに目安を置いて出さなければならぬのか、これは心配している大きな問題の一つなんです。  それからもう一つ。こんなふうなところには、そんな小さなきたない家は幹線道路のそばだからいてもらっちゃ困るんだ、どこかに移れ、こういうような計画をお立てになるのかどうかということも、その人は換地計画の中で移転を強制されるわけです。そうすると移転を強制されるということになるのかならないのかということですね。移転を強制される場合には、それに対していかなる補償をどういう形でしていただけるのかということなんですが、そういうような点について、ひとつ起業者のほうから御説明願いたいと思います。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 清算金の問題は、御承知のとおり、区画整理事業によるアンバランスの是正でございまして、その場合の単価のとり方が問題になるわけでございます。お話のとおり、そのときの時価ではないだろうとおっしゃいます、そのとおりでございまして、数年後換地処分が行なわれました時期で、従前の仮換地の指定を行なった時期の価格との関連できめていくわけでございますが、大阪市はいままで大体固定資産税の評価額というものを標準にしてきめておりますので、かりに五年後になりますと、そのときと仮換地指定との間の一定の期間の時点で考えまして、大体固定資産税の評価額を基準にした額に落ちつくだろうと想像されますが、これはその時点において評価員や審議会の意見を聞いてきめることになっておりますので、現在のところでははっきりしたことは申し上げられません。  ただ強制的に移転させるかどうかということでございますが、これはもう仮換地の指定先がきまっておりまして、話し合いの上でもしお移りになれないならば、これはやむを得ず強制的に移転させなければならない事態も出るかもしれませんけれども、そういうことが起こらないように円満な話し合いに持っていきたいと考えております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そうしますと、ああいうふうな幹線道路に面する家が平家でありますと、土地利用率が非常に低いでしょう。だからああいうところはビル街にしたい、だからここはさら地にしてもらって高度利用したいんだ、だからそういうふうなのは離れた裏のほうへ行ってください、こういうことになるのですか。そういうところへ換地してください、こういうことになるのですか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 何べんも申しげ上ますように、仮換地の指定の場合は従前の土地に見合う土地に仮換地をするわけでございますから、従前の土地の値打ちが低いところで、今度仮換地先が非常にいいところでございましたら減歩率が強くなったりするわけでございますけれども、平均としては従前の土地に見合う値打ちのところに持っていくわけでございます。ただ持っていく場所がたまたま御堂筋に面する場所であったり、奥に入ることがあったり、それはいろいろケースがございます。そのアンバランスは清算金のときに考えるわけでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そうしますと、たとえばここに住んでいる人が別にここにいる必要もない、こちらの裏のほうへ移っていってもいいんだ、そういうふうな場合には、かりにここが三十坪といたしましたら、ここが換地処分を受ける場合には倍なり三倍なりを与えられるか、あるいは三十坪でいいといえば、これとの地価の開き分だけ逆に清算金として受け取れるということになると思いますが、その場合にこれがたとえば借家人であったというふうな場合に、これをこっちへ持ってきた場合に、家主がはたしてそれだけのものを――これだけ三十坪の借地権を持っている人はここへきて九十坪になれば九十坪の借地権が当然あっていいと思うのです。その借地権が借地権者として留保されるかどうかということが一つ問題ですね。  その次に、ここにいる人たちはどうしてものかなければならぬ、そうするとこっちにのきます。のくのに隣地はそのように非常に高価になる、そうするとここのところはそれに類した土地でありますから、ここで三十坪の借地権を持っている人はここへ行ったら九十坪が与えられて、ここで九十坪で済むのかどうか、そういう点についてどういう理解をすればいいのですか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 仮換地をやります場合に、新大阪駅の場合は原則として現地換地という方式でやっております。あまり飛ばないように、同じブロックでできるだけおさまるようにいたしております。  それから、いまおっしゃいましたのは、三倍にもなるような土地に換地されるということでございますが、若干増し換地したというところはないとは申しませんけれども、そういうことが起こらないように考えてやっております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そういうことになってまいりますと、ここの人たちはこの周辺のここらのあいたところへみな埋め合わせて入っていくということになってくると思いますが、そこでいま出てくる固定資産税の評価額を基準にする――固定資産税の評価額というのは時価より非常に低いものです。だから換地に伴うところの清算金というものは、そういうような固定資産税の評価額を基準にしてそれを何倍かしたものというふうなことであろうと思いますが、非常に低い。特価よりうんと低い価格でもって清算金の受け渡しというものが行なわれる、だからそのようにさほど大きな額ではない、こう理解してようございますか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 清算金は施行者である私どもがいただく金じゃなしに、地元の得をされた住民から損をされた住民の方に徴収して交付するのが清算金でございます。したがって、その単価のとり方というものはどういうふうにしたらいいかということについて、いろいろな方針があるわけでございますけれども、大阪市が従前とっておりますのは、固定資産税の評価額相当額でございます。時価とは非常に離れておるわけであります。ただ新大阪駅の清算金というものは、五、六年先になるか何年先になるかわかりませんが、そのときの評価額がどうなるかということについて、その見通しがまだつきませんけれども、従前のとおりでございますと、固定資産税の評価額に近いものでございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そこで問題が出てくるわけですね。得をする人と損のいく人との間のバランスの平均をやるのだ。そうすると、数年先の新幹線駅前というものはもう非常な価格に――いま土地収用法をやっているのは、そういうことにならぬようにやっているのですが、しかしほとんどだめなんですね、この法律は。だから社会党は反対なんだ、とにかく役に立たないのです。この法律だけでは地価の高騰は抑え切れないのです。だからまだまだ上がります。だから数年先の新幹線駅前というものは非常に上がる。そうすると、上がった時点において減歩する、小さくなるのですから、その分くださいといいますね、土地をかわりに提供する人は、上がった価格でくださいといいますね。そうすると、それを清算金で埋めようとすれば、その清算金で払う人は、その額だけ出さなければならぬのですね。そのときの時価において出さなければならぬ、そういうことになると、これはたいへんなことになってくると思います。たとえば三十坪を使用している、しかし削れない、削れないから金で払います、たとえば二割なら六坪分払います。いまあなたのほうで買収された価格は平均十万円です。それが倍になれば坪二十万円、それはどうしても平均清算金として出していかなければならぬ、そうすると、六坪分で二十万円出せば百二十万円というものを負担しなければならぬ、こういうことになるわけでしょう。ところがその百二十万円負担するところの人は、たとえていえば毎日箱をかついで仕事に行く大工さんである、あるいは電車で毎日工場に通う工員さんである、そういうことでありますと、その人たちは別にこういうような新しい街路ができようとできまいと収入にはちっとも変わらない、だから収入はふえないが、その清算金に該当するだけの――自分の土地、自分の家屋敷であれば、自分が払わなければならない、あるいはまた借地や借家であれば、それだけの分家賃、地代にかぶさってくる。しかも現実において、先ほど説明したように、まだそこまでの段階にならぬ、まだ清算金の授受も行なわれていない間に地価が上がった、周囲が上がっているから地代を上げてくれ、家賃を上げてくれという姿が現実に出てきているじゃありませんか。だからいよいよ家主、地主は自分が清算金を払ったというようなことになってまいりますと、それに応じたところの地代、家賃を当然要求してまいりますから、それらの地域にいるところの借地、借家の人たちは大騒ぎをする。これは当然でしょう。あるいはこのなにによって地代、家賃は全然影響ないのだ、地代、家賃は高くならないのだとあなた言明できますか。それで万一高くなったら、それは全部大阪市で持ちます、こういうことを言明できますか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 私が先ほどから申し上げておりますのは、清算金と申しますのはあくまでもアンバランスの是正に用いる方法でございますから、決してそのときの特価にはよらないのだ、そういうことを申し上げておるわけであります。したがいまして一つの例として、私は大阪市はいままで固定資産税の評価額程度を基準としてやってきたと申し上げましたが、これは非常に価格が低いところで標準にとりやすいところでございましたので、それを例として申し上げたのでございます。今後もし固定資産税の評価額が何倍にも上がるようなことがかりにございましたら、それはそのときの評価額の何分の一というところで基準にとるかもわかりません。そのときの評価額との関係でございます。一方、いまとるほうだけをお話しなさいましたが、とったものは地元の人にあげるわけでありますから、たくさんとってたくさんあげるか、少なくとって少なくあげるか、どっちを選ぶかという方法でございますから、十分考えられると思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 あなたは事業をやる者の立場に立ってだけ考えていられるから、だからもろうたものはみんな渡すから大阪はちっとももうけへん、そのとおりですわ。しかしとってやるのに、もらう者はたくさん要求しますよね。だからたくさん要求されたらその分は出さなければならぬでしょう。たとえて言えば換地処分をやられるのには、こういうようなところはたんぼです。たんぼへみんなここらの人たちは移紙してくる。たんぼへ移転していくのです。だからたんぼを提供してもらってこれらの人たちを移すお金は、全部清算金の中から生み出していかなければならぬ。減歩に伴う清算金の中から生み出していく。交換するのですから、だからどうしてもやはりそれらの地価が上がれば多くのものを要求されますから、多くのものを出さなければならない。それはあなたは、いままで都市計画や区画整理をやっておられるのは、あまり地価の暴騰のないところでやっておられる。この新幹線の場合は、これは弔う非常な地価の暴騰が起こっておる。地価がうんと上がる要素が一つ加わっておるのです。だから普通の区画整理と違うということが一つ。  それからまたこういうふうな区画整理だけでなしに、最近の区画整理というものは地価が非常に上がってきておる。だから区画整理というものは、地価の比較的安定しておった昭和三一年ごろまでの間はわりあいにスムーズにやれた。ところが三十年以後の区画整理というものは、地価の暴騰が激しいからだんだんだんだん反対運動がひどくなって困難になってきておる。そのことは都市局長のほうでよく御存じだと思うのです。だから区画整理事業というものをやる場合には、そういうふうな地価の暴騰というものが非常に大きな障害になってきておるということを頭に貫かなければなりませんが、その地価の暴騰の一番激しい例がここに出てきておる。そのことが住民に対してきびしいしわ寄せになってきておるから、反対運動もそれだけ熾烈なわけなんです。だからそういう点、あなたはもう少し現実の問題として考えていただかなければならぬと思います。わかりましたか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 地価が非常に上がりました場合に、その上がった地価が清算金の基礎になるのではないかということが、いまお話しのとおりいろいろ不安がありまして、地元の方々が心配された理由もそこにあるわけです。しかし、先ほどから申しますように、その地価にはよらないんだ、そういうことを申し上げておるわけです。徴収される方と交付を受けられる方と、両方が納得のいく線をどこに求めるかということが、結局清算金の単価の問題になるわけでありますけれども、それは地価とは違った、うんと低いところでいままでの例から申しましてもきまるのだ、そう申しているわけです。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そうすると、その清算金の単価がどういうふうな形で、どの程度のものを払うというのはどこできめるのですか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 法律によりまして評価員というのを設けてございます。それで施行者の市長が評価員の意見を聞いて、その時点で価格をきめる、そういうことになるわけです。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 それは区画整理法の第何条ですか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 法の六十五条でございます。そしてその評価員は審議会の同意を得てきめることになっております。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 そうしますと、審議会の同意を得て市町村長がきめるということでございますが、そういうことになってまいりますと、審議会はこの評価員に大きな権限を持っておりますね。また審議会が大体換地計画を立てるわけですね。そこでこの審議会というものは区画整理についてたいへん大きな意義を持つから、いまあなたがおっしゃるような公正なこと、あるいは借地権者あるいは借家人に対してあまり影響のない形で行なわれるか、あるいは大きな影響をもたらすかということは、審議会委員の性格できまってくる。たとえていえばさら地を提供する人がたくさん出てまいります。さら地を提供した人は新しい、最近の上がった価格で要求いたします。その要求を満たすだけの金額を出そうと思えば清算金をたくさん出さなければ出せないのです。だから、そういうことになると、換地計画というものはたいへん大きな利害関係が出てくる。だから審議会委員の選挙というものは、猛烈な取り合いになったわけですね。そしていま作為のある、急に水増しの借地権者をこしらえて、借地代表と地主代表とで構成されるその借地代表の中に、地主が大量に進出してきたというふうなことになってきているわけです。だから地主の考え方に従って換地処分が行なわれる、そのために借地人、借家人はいま戦々恐々としているというのが実態です。この選挙のときにも非常に不公正な選挙が行なわれる、しかもやはり地主さんに土地を提供してもらうんだから、地主さんにあまり反対されると困るからというので、どうも大阪市のほうは地主側に協力していられたというふうな趣がないではないかのように、新聞報道その他に見えるのです。だからそういう点、あなたのほうでリコールが起こって、そのリコールが起こったのは、借地人代表が、どうも買収されているのか何か知らぬが、言動がおかしいというのでリコール運動が起こった。ところがリコール運動が起こったら、逆に借地人代表の中に、借地権者の代表の中に、どっと地主が、十一人のうち六人が実質的には地主だというそういうふうななにが入ってきているということを、地域の借地人を代表する人たちは主張しておるのでありますが、そういうことはないのですか。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 まず評価員の選任についてでございますが、これは審議会で選挙されるわけじゃなしに、やはり適任者を施行者である市長が選びまして、審議会の同意を求めてやるわけでございます。  その場合に、大阪市では借地権者の中に地主の息のかかったのがおるのじゃないかというお話でございますが、それは借地権者の性格はどういう性格の人か存じません。ただおわかりいただきたいのは、この間のリコールとの関係で、六人と五人をお分けになったと思うのですが、その五人の方々でも、五月十三日の仮換地の指定には賛成された方が半分あるのです。だから、昨年おいでになったときには、非常に実力闘争がありまして、激しい闘争体制でございましたが、いまは幸いにしまして、私どもの立場では、ある程度地元の方々の了解も得られまして、審議会の空気もなごやかになっております。そういうことは今後起こり得ないように努力もしてまいりますし、また委員さん方御自身が非常に最近自覚されまして、いろいろと円満な話し合いを続けておられますが、表決の上ではあるいは三票の反対が出たりしておりますけれども、初めに地元の方が御説明なさったときにおそらく印象を受けられたと思うのですが、そういうムードというものは、私の考えではある程度おさまっておる、非常にうまくいきつつある、そういうことを御了解願いたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 福本さん、ひとつその間の事情を、あなたのほうの側の立場に立って御説明願いたい。

福本君子新大阪駅周辺区画整理闘争連合会書記長

○福本参考人 私、福本でございますけれども、前の区画整理連合会の書記長でございますが、現在は審議会の委員をいたしております。三月四日の選挙で借地人代表の審議会委員となったわけでございますが、いま局長が申されましたように、十一人の借地権者の委員は、なるほど権利は、全部借地権の権利は持って出てきておるわけでございますが、その実態が、かりに実例を申し上げますと、百坪の土地を有しておる、そうして十坪だけを借地権を有しておる、こういう人が実際に借地権者の代表と言えるかどうかということをお考えいただければ、わかると思うのです。なるほど借地権者としての権利はあります。しかしその重心がどちらを向いているかということをお考えいただきたいと思うのです。  それからもう一つは、いま局長から、審議会委員が非常に協力的なムードに出ておるから、御心配いただかなくともという御発言がございましたが、なるほど私たちは、協力ムードというのは、いわゆる地区住民を犠牲にしてまで促進しようじゃないかというそういう協力じゃなしに、地区住民の反対の人たち、すなわち何とか犠牲をなくしよう、そういう地区住民の意向を審議会委員が地区住民の立場に立って考えなければいけない、そういうムードに持っていってもらいたいということで私たちは協力しておるということを御了解いただきたいと思うのです。  それから、いま申し上げられましたが、反対しておる人でも半数が賛成して仮換地発表が通過されたということでございますけれども、その答申の中には、客観的に見て不公平とみなされる場合にはこれを修正するという答申をつけて、多数決で押しつけられたわけでございますが、御了解いただきたいのは、区画整理事業は、先ほども建設委員の方が申されておりますように、地区住民の全面的な協力を得なければ遂行できないという事業でございますから、それが審議会の発言の場で土地所有者的な色彩の濃い委員が多数決で押し切ったにせよ、たとえ少数であってもその人たちの意見をくみ上げていかなければ、この事業は完全に遂行できないということを御了解いただきたいと思うのです。ですから、はっきり申し上げまして、私もそのときに反対した委員の一人でございますが、申し上げますのは、この実体は、借地権者の代表といいますと、その中に実際に借地権者の代表は五人でございますが、しかしその人たちの背後には七千、八千という人の数がおるということ――たとえ三人であっても、その背後には、たったその三人の発言ではなしに、その借地権者、借家権者の八千という数が、その三人という形であらわされてきたということを御了解いただきたいと思うのです。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 いま局長とお話ししていますと、どうも事業をやる人の立場だけ考えておっしゃっておられる。借地人が非常に大きな清算金を負担しなければならないのではないか。大きな土地を借りている人は何ぼでも現金で出せます。しかしながら小さな家を借りてやっとそこで住まいを立てておる、あるいは小さな零細な商売を営んでおるそういう人たちは、立ちのいたらどうにもならぬのだから、結局やはりある程度の清算金を払うよりしかたがないのではないか。またその清算金が、地価が暴騰していくから相当の価格のものを押しつけられるのではないか。そのために相当な価格のものをおっかぶせられて、そのためにそこに住むこともできなくなるのではないかということを心配しているのではないかと思うのです。そういう考え方に立って、橋本さんは借地人組合の代表者ですから、ひとつあなたのほんとうに心配していられることをここで述べていただきたいと思います。

橋本正夫新大阪駅周辺借地人組合組合長

○橋本参考人 借地権者の場合は、先ほど岡本先生がおっしゃられましたように、当初この区画整理の発表を聞きましたときに、損も得もささないのだという前提が一つあるのでございます。そしていままでじる田で豚を飼っていた土地が整然とされてわれわれの町が美しくなるのだということで、大体これは賛成だ、うれしいことであるというような考えがあったのでございます。ところが計画が具体的になり、また進むにつれて、先ほど私が申し上げましたように、非常な地価の高騰のために、想像もせなかったような事態が起こってきた。借地権者は損も得もせぬどころか、この区画整理によって大きな損をする、その生活も全く破壊されて住むこともできない。これは特徴的な例として申し上げているのではなくして、西中島一帯、南宮原から西淡路一帯、随所に地代値上げが起こってくる。それが現在では抜けられぬ状態になってきておる。そうして供託は相次ぎ、係争は相次ぎ、地主は土地一枚売れば一億六千万円という金をふところに入れる。弁護士に三百万、四百万という弁護料を払って訴訟を打ってくる。借地権者はなけなしのさいふの中から二万、一万という金を寄せ集めてそれに立ち向かう。当然こういうことについての裁判上の不利は――裁判に出席することすら困難な人が、特に西中島の一部、西淡路の一部には昔からの同和事業に関係の人がございますので、そういう人の中にはそういう実情があるということを、はっきり施行者が目を見開いて見ていただかぬことには、借地権者としてはこれは大きな損をするということで反対しているのでございます。その事業そのものについては、冒頭に繰り返し申し上げましたように、これはわれわれの町がすばらしくなるのだということで、これについてそういう点で反対しているのではございません。  以上でございます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 どうも私は、借地権者の言われる清算金への不安、それがわかるような気がするのです。そしてもしほんとうに相当な価格でもって清算金を出せといわれても、それは困る。どうにもならない。どうにもならないことが、結局そこを出ていかなければならぬというふうなことになって、結局副都心ができ上がるのは、そういうような零細な土地を借りて住む、小さな家に住んでおる、零細な事業を営んでおる人たちが、結局おるにおれぬようになって出ていく、そのあとへ大きなビルが建つ。結局、白人に追われたインディアンですな。インディアンを追い出して、そのあとへ白人がアメリカの繁栄を築いたというのと同じような形でいま副都心が大阪につくられるのではないか。もしそういうふうなことで副都心が大阪のこの新駅前につくられるとするならば、これはもう現在住んでおるところの地域住民の不幸はこの上もない。だから私は、それらの人の権利だけはきちんと確保する、そしてほんとうにそこへまた大きなビルを建てるなら、そこらの人々に十分な補償金を新たにビルを建てる人が支払うことによって、それらの人が相当な対価をもらって別のところへきちんと生活の基盤をつくって住んでいく、こういうことの上で、従来の御堂筋に面して狭い土地の上に永久に住まんならんことはない。だからそこは正当な補償で、あなたの借地権を何ぼで譲ってもらえないか、その金でどこそこ辺へ、もよりの適当なところ、不自由のないところへ家を建て直すとか、生活の再建の道を講じるとかいうふうにして、ここの副都心づくりに協力してもらえまいか、こういうふうな形で副都心づくりが行なわれていくというのならいいと思うのです。あるいはまた市のほうでいま立ちのけといわれておる、この資料にあるような家族の人たち、これらの人のために公営住宅を建てる。ここへさあ入ってください、ここはひとつ副都心をつくるために要るところだから、駅前のメーンストリートだから、平家の小さい家があったのでは、これはこれから後、国際的な道路にもなるわけでありますから、だから国際的な道路に面して平家のあまりみすぼらしい家があったのでは日本の体面にもかかわるから、近くへ公団アパートやあるいは公営住宅を建てます、ここへひとつ入ってくれ、移転料はこういうふうに払いましょう、こういうような形の中からこの副都心づくりがつくられていくのなら、私はいいと思うのです。だからそういう点、私はこういう副都心づくりを大阪がやる場合に、大阪市だけで単独の事業としてやらないで、政府は政府の住宅事業をこの中へぶち込んでいく、あるいは住宅公団にも協力させる。この畑以外に、公営住宅や公団住宅で土地の高層利用をやっていく、その中から都市の美観を保ち、同時にまた住民の負担も軽減する、そして住環境もよくしてあげる、こういう形の中から副都心づくり、あるいはまたこういう都市改造に地域住民に協力さすというような新しい方式を政府もそれから大阪市も、またその地域に住んでおられる人たちも、みんな寄り合って胸襟を開いて話し合って、満足してみんなが喜んで町づくりに協力できる、こういう形をつくっていただきたいと思うのですが、建設大臣、いかがでしょうね。

瀬戸山三男自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○瀬戸山国務大臣 具体的な計画が出てきませんと、どういうふうにしたほうがいいか、明確に申し上げられませんけれども、しかし、いまおっしゃるとおりに、区画整理をするということは、その付近をよくするということなんです。いろいろ関係者の人が心配しておられますけれども、非常に杞憂の点が多い。もう少し具体的によく御説明をされたほうがいいと思います。いまのお話の中で、したがってそういう点は、そう言っちゃなんですが、零細な借地等がありますから、そこに家を建てるということは土地上非常に不経済、また、おられる人も非常に困られる方がある。したがってそういう地域には、場所がどうなっているか私はよく知りませんからあれですが、住宅計画をあわせてやるべきだ。公営住宅のいわゆる中高層その他を建てて、そうしてそういうときには優先的にそこに移す、こういう都市計画と住宅計画その他をかみ合わせてやるべきだ、こういうふうに思っております。したがって、この問題では、具体的にどこにどうすべきかは検討を要すると思いますが、住宅局にも、この問題については協力をするということについては指示してあるわけでありますから、そういう点はよく御相談を願いたいと思います。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 この地域の中へ大阪の梅田駅前の都市改造事業ですな、あれに伴ったところの移転者、繊維業者がここへ移転してくる、そのために千六百坪の土地をあちこちに飛び地に飛んで買っておる、そうしてそれが駅前の目抜きのところに進出してくるというふうな計画があるわけですね。そういう業者に対しては、何か都市改造に協力した人にある程度の優先性があるということ、これは認めます。しかし地域の人たちが、それらの人たちが特別飛び入りに入ってきて何か一番いいところをもらうんじゃないかというふうな点で疑惑を持っておるんですね。だからその点は、この機会にひとつ明らかにしておいていただきたいと思うんですが……。

大重正俊大阪市区画整理局長

○大重参考人 まず先ほどの借地権者の保護の問題で、いろいろと住宅のことをお尋ねがございましたが、現在市営住宅が区域内に六百二戸ございますけれども、そのうち五百四十二月でございますか、鉄筋に改築の予定でございますが、それを建てましてもなお一千戸近く住宅を建てる敷地がございますので、十分それは住宅計画に織り込んでいただいて、建設省の補助もいただいてやりたいと考えております。  それから、いまの大阪駅前の市街地改造に伴う繊維街の問題でございますが、これは繊維協会が新大阪駅のほうへ進出したい、そういう意向を持っておりまして、ちょうど駅前の改造事業と私のほうと、そういうことになりますと非常にうまくいけるものでございますから、私どもも原則的に賛成したわけでございます。ただ土地の仮換地の指定にあたりましては、これは協会あたりが買うた土地に見合う土地をちゃんと仮換地してございまして、地元民の疑惑を招かないようにしたつもりでございますが、もしそういうような疑惑が起こりましたら、積極的に説明をして了解してもらうように努力したいと考えます。

岡本隆一日本社会党

○岡本委員 だいぶもうお昼を過ぎて三時に近うございますので、この程度で質疑を終わりたいと思いますが、私は、この区画整理をやっておられる御苦労はわかります。それからまたこの事業が、特に新大阪駅ができた、大阪の入り口ののど首のところであるだけに、地価の暴騰が激しく、それに伴って非常な混乱が一そう加わってきたということで、あなた方のさらに御苦労の上に御苦労が重なるということもよくわかります。しかしながらまたそれだけ、地価の暴騰があるだけに、地域の人たちの心配もまたわかるわけですね。だからこれは両者のほうでうまく話し合って円満に進めていっていただきますように、また国のほうでもこれに対して十分な協力体制をとっていってもらいたい。また議会側でも、私たちは十分その点、御協力いたしたいと思いますので、きょうこういう短時間のお話し合いでは十分意を尽くさないところがございますから、一ぺんゆっくりまた機会を見て市の当局の方から、さらにまた都市局の方からこの問題について具体的によく話を聞きつつ、私も理解を深め、御協力いたしてまいりたいと思いますので、どうか皆さん方ひとつこの点十分――しかしながら、一番いま心配で大きく反対運動をしておられるのが、零細な土地の借家人、借地権者であるということ、だからそれらの人たちの杞憂を取り除きつつ、この仕事を進めていっていただくように特にお願いいたしまして、私の質問を終わります。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 参考人の方々には、御多用のところ、長時間にわたり、貴重なる御意見の開陳をいただきまして、ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま審査中の土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案の両案審査のため、来たる六月七日午前十一時より、参考人として、東京大学教授加藤一郎君及び雄川一郎君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

服部安司自由民主党

○服部委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は来たる七日火曜日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十一分散会

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