建設委員会 第27号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/05/27
会議録
○田村委員長 これより会議を開きます。 土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。 この際、両案審査のため、本日、日本道路公団総裁富樫凱一君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、参考人からの意見聴取は質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。 ―――――――――――――
○田村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。服部安司君。
○服部委員 今回の収容法の改正について、若干の質問を行ないたいと存じます。 今回の収用法の改正は、地価対策の一環として行なわれるものだと聞くが、本院は昭和三十九年に地価安定施策の強化に関する三党議決を行ない、政府に要望したところであり、これをも含めて政府は今回の収用法改正以外にどのような地価対策を講じているかをただしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 お話のように、三十九年衆議院において、地価の問題が現在きわめて深刻な弊害を来たしつつある、そういう意味で政府は各般の地価対策というものをすみやかにやるべきであるという御決議があったわけであります。 政府といたしましては、その趣旨も体しましてその後検討を続けてまいったわけでありますが、御承知のとおりに地価対策あるいは土地制度、これはただ土地収用法の改正と申しますか、こういう法律一本の改正等で問題が解決するような簡単な問題ではございません。地価問題というものがどういう深刻な弊害を来たしておるかという原因を簡単に申しますと、戦後の産業の発展、あるいはしたがってそれに応ずる都市周辺に多くの人口が集まる工業地帯ができる。住宅が建つ。いわゆる土地の急激な需要と申しますか、それが非常に高まってきた。したがって土地を求める人が多い。あるいはそれを見越して投機的に土地を買いあさる。一面においては戦後の日本の社会基盤の整備をしなければならない。道路であるとか河川であるとかその他多くの公共事業を始めなければならない。政府はたくさんの投資をする。したがって土地を多く利用しなければならない。簡単に申し上げても、そういう事情で土地の問題、したがって地価高騰の問題、これは国家財政あるいは産業経済の基盤に大きな影響を与え、また一面、住宅等については国民生活に大きな打撃を与える、こういうふうな現象でありますから、やはりその根本に触れてこれを解決するということが必要だろうと思っております。 したがって、道路その他については土地の供給ということは問題でありませんけれども、宅地の問題については、できるだけ大量の住宅地を供給する、そういたしますことが、地価問題の大きな押えになる。あるいは買いあさり等というもの、また住宅問題の悩みというものを解決する大前提になると思います。そういう意味で、それが国家としてやるべき大きな仕事であろうと思います。宅地の大量供給といいますか、宅地造成の問題、これもたいへんな問題でありますから、一ぺんにまいりませんけれども、政府といたしましては、財政上も可能な限り最大限の努力をする、こういう計画を進めておるわけでございます。 一面においては、税制によって土地の騰貴、貰いあさりというようなものをチェックする、土地によって不当と思われる利益が得られないという方策を講じなければならない。あるいはまた、狭い土地でありますから、都心部等においては土地を高度に利用しなければならない。百坪の土地を十倍にもあるいは二十倍にも使うという高度利用の方法も考えなければならない。それについては、市街地の開発のための融資制度を設ける。これも一年、二年で解決はいたしませんが、そういう新しい方法を講じなければならない。こういういろんな考えを総合いたしまして進めていこう。しかし、土地を大量に供給する、あるいは公共事業の用地を取得するといいましても、その取得手段としての土地収用法の改正も必要である。したがって、従来収用法の適用あるいは公共事業によって不当に値上がりをするということを収用法の改正によって防ごう、こういう一連の手段としてこの収用法の改正もお願いしょう、こういうことであります。 なお、恒久的には、これもすみやかにしなければならないということでいま進めておりますが、根本は土地の利用というものを明確にする、利用区分を確立するということが一番の根本問題であろう。土地というものは利用しなければならない。したがって、その区分に従って利用を規制する、あるいは促進する、こういう制度をできるだけ早く進めなければならないということで、いま政府といたしましては宅地審議会等においてその案の検討を願っておる。あるいは地価の公示制度を進めていかなければならない。これは二年ばかり前から、御承知のように鑑定士制度をつくっておりますけれども、まだまだそれに備えるだけの人員が整わない。いま約九百名くらいでしょうか、私はっきり数字を覚えておりませんが、こういう制度もあわせて行なわなければならない、こういう考え方で、その一環として収用法の改正をお願いしている事情でございます。
○服部委員 補償額算定時期を事業認定時期とすることにより、開発利益の帰属の適正化をはかり、ゴテ得を防止しようとする今回の改正の趣旨はよくわかるのですが、このような改正は憲法上問題はないかどうか。またこのような改正を骨子とする改正法案は、関連して手続の大幅な変更を行なうものとなっておるが、全体として権利保護に欠ける制度となるおそれはないか。この点について御答弁を願いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 従来、収用法の問題、あるいは土地取得の問題で一番の議論の焦点は、憲法に認められておりますいわゆる私有財産権と公共利益と申しますか、公共の福祉との関係が一番の議論になっております。憲法二十九条には、正当な補償を払って私有財産権を公共の用に供することができると示されておりますが、この問題のお尋ねであろうと思います。 簡単に申し上げますけれども、私有財産権は、正当な補償を払えば公共の用に供することができる、こういうことが明記されております。なお、憲法十二条でありますか、十三条も連なっておると思いますが、大体憲法は各種の権利というものを認めておりますけれども、この権利はすべて公に利用するという義務を持っておるのだということが憲法では明記されております。いまの憲法の根本思想というものは、社会公共と申しますか、社会を維持するために各個人あるいは団体に各種の権利を認めるという思想に立っておると私どもは考えております。それを受けて二十九条に私有財産権のことが書いてあります。 そこで、この正当な補償ということが一番問題になるわけでありますが、政府といたしましては、土地というものは他の私有財産とは趣を異にしておる、土地は人間がつくったものでもなければ、これをなくすることもできない、これは空気や水と同じように、人間生活の全く基礎的な条件である、そういうことでありますから、人間生活の基礎的な条件に合うように土地というものを利用し、また私有財産権の活用をしなければならない、こういうことを憲法は要求しておると考えます。したがって、その範囲内における補償は当然しなければなりませんが、土地を持っておるからといって不当な利益を憲法は保障しておるものではない。したがって、たとえば道路をつくったり、町を開発したり、各種の国民の努力によって開発されたその利益を、たまたま私有財産権のゆえをもって、土地の所有者がその利益を全部個人に帰属させるということは憲法は保障しておらない。そういう趣旨で、そういう公共事業としての認定の時期で算定した補償を支払えば、その私有財産権に対して何らの侵害にならない、こういうふうな考え方に立っておるわけでございます。
○服部委員 改正案によると、手続保留制度があるが、この趣旨はどのような制度か。またこの制度は地価対策上好ましいものではないと思うが、その点についてはどういう考えでありますか。
○瀬戸山国務大臣 ちょっとお尋ねの趣旨をあるいは正解しておらないかもしれませんが、地価対策上適当でないということはないと私は思います。従来、御承知のとおり、公共事業をいたします場合に、土地収用法の適用をしておるわけでございますが、計画をいたしましていよいよこれで公共心業が行なわれる、あるいは道路ができる、住宅団地ができる、こういうふうになりますと、それを見越して地価の暴騰をはかる、地価が人為的に高騰する、こういうことでは先ほど申し上げましたような弊害を伴いますから、この際そういう弊害を除こう、チェックしよう、不当な利益の帰属を個人に与えない、こういう趣旨でありますから、私どもはいまお尋ねのようなことはないんじゃないか、かように考えておるわけでございます。
○服部委員 今回の改正案を地価対策として、また公共事業のための収得の円滑化の手段として実効あらしめるかぎは、改正法を用いる起業者の態度にかかっていると思うが、この点に対する所信を聞きたい。
○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、従来、私どもよく考えてみますと、収用法というものは、これは全く国民と申しますか、社会の利益をはかるための法律であります。個人の利益と社会の利益との調和をはかって、社会の利益をはかるというのがこの法律の大眼目であろうと思う。ところが率直にいって収用法の運用と申しますか、それがきわめて不満足であった。これは私は特に行政府の怠慢といってはばからないわけでありますか、行政府がこれを活用することにやや正鵠を欠いておったんではないかと考えるわけであります。これをもっと励行して真の土地のあり方というものをやはり一般に習慣づけるといいますか、理解させるといいますか、この努力に欠けておったという感じがいたしております。 なお、今回の改正は、簡単に申し上げると、事業認定において価格をまず固定するということになりその効果がありますから、原則として収用法を適用していかなければ、この法律の目的とするところ、地価の安定、地価の高騰を抑制する、こういう効果はあがりませんから、行政府といわず、他の公共、公益的な事業をする起業者といわず、この法律を励行することが、今後のこの法律の制定の暁における責務であろうと考えておるわけでございます。
○服部委員 今回の改正は公共用地について、いわゆる開発利益を排除し、ゴテ得を根絶することにより、起業利益を含んだ不合理な補償に引きずられて実勢を越えて高値を呼んでいる地価一般を正常な価格に引き戻す等、直接的な効果が大きいと考えるが、また住宅地開発事業の実施により低廉な宅地供給の促進、一般公共事業の迅速円滑な施行による健全な宅地可能地の大量開発等を通じて地価対策上大きな効果を持つものと考えているが、先ほどある程度触れられましたけれども、この点についてもう少し具体的に御説明願いたいと思う。
○瀬戸山国務大臣 土地問題は、さっき申し上げましたように、なかなか一刀両断というわけにはまいらないと思っておりますが、いまお話しのような効果を私どもはこれによって期待をいたしているわけでございます。
○服部委員 ちょっとただいまの答弁ぼくは十二分に聞き取れなかったので、もう一ぺん簡略にお答え願いたい。
○瀬戸山国務大臣 今度の改正は、先ほど来申し上げておりますように、公共事業の施行等の場合に、土地の値上がりを事業認定にくぎづけする、と言うとやや極端でございますが、そういうふうなところをねらっているわけであります。 なおそのほかに、手続も従来よりも簡素化して、その実効が、いわゆる収用手続が早く済むようにいたしておりますが、従来は裁決時ということにしておりますから、長くなれば長くなるほど地価が上がるのだ、それに応じてごね得ということもいわれておりますが、利益が多くなる、こういう観念が普通だとは言いませんけれども、しばしばあった、こういう問題をこの際チェックする、そういうことのないようにしょう、こういうことが大きなねらいでありますから、従来のような弊害はこれで取り除かれる。 なおそのほかに、公共用地になるところはそれで一応目的を達するかもしれませんけれども、付近の人は自由自在に高く売ってもうけるということではこれは困ります。一番の基本に考えておりますことは、さっき土地の性格について簡単に触れましたが、土地というものは人間生活に要すべきものであって、それを切り売りしてその所有者がもうかるということは社会原理に反するのだ。したがって、そういうことはお話にありましたように、開発利益というものは社会全体の利益であって個人の利益に帰すべきものでないという根本的な考え方で地価対策、土地政策を進めるべきであるという考え方に基づいてこの案を出しているわけでありますから、公共用地以外の土地についても、開発されればそこの土地の値段が上がってもうかるのだということは、今後はそれをセーブしていかなければならない。 したがって、これと並行して出しております税制の改正がそういうことをねらっておりまして、その譲渡所得については、現行税制よりもずっと高率な課税をして、土地を投機に利用されようとされてもそれは投機利益は得られないという措置を講ずる。収用地域については、一面公共事業に協力される体制でありますから、従来七百万円までは免税でありましたが、今度千二百万円までは税金の対象にいたしません。しかしその他の一般土地については、高率な課税をいたします。その間の調整と申しますか、土地の利益についての平均化をはかる、こういう措置を講じようというのが今度の収用法の改正と税制の改正がそのねらいを持っておる、こう御理解を願いたいと思います。
○服部委員 趣旨はよくわかりました。 そこで、在来のあり方を見ますと、公共事業をやるために土地を収得する。その収得されるものは一応大きな犠牲を払う。この公共事業が実施されると、その周辺の名は大きな利益を受ける。それでは非常に不均衡であるので、いわゆる収得時の価格に、収得された者には大きないわゆる税制措置で免税点を引き上げて優遇するかわりに、その周辺のいわゆる大きな利益を受けるまたは地価の高騰を待ってやるような、俗に言う悪徳な考えには法律によって規制をするというふうになるわけですか。
○瀬戸山国務大臣 考え方の基礎はさようなことでございます。先ほど申し上げましたのが、その調整と申しますか、平均化と申しますか、不公平にならない取り扱いをするために、収用法の改正と税制の改正を並行してお願いをいたしておる、こういう事情でございます。
○服部委員 その点は了解できました。 ただ、この際、局長に一言聞いておきたいと思いますが、土地が収用されて公共の用に供される。そのときにいろいろな関係から、事情やむを得ず必要以外のものを買い上げる場合もあると思います。たとえば土地が家屋ごと買収される。そのときにたとえば八割まで道路であとの二割は残る。こういう場合にはよく持ち主の希望でこれを貰い上げる場合が過去にあったと思う。または前回にも問題になりましたが、特にこれは社会党の岡本理事が強調された問題でありますけれども、荷架鉄道の下をいろいろな方面に利用される。その場合に、いつもこの委員会で問題になるわけでありますが、キャバレーとか廃品回収業とか美観をそこねる、風俗を害するというものに貸し与えている事例が多々あるわけであります。これとても、私もいろいろ検討いたしますと、建設省ばかりじゃなくて、運輸省関係にも非常に多いわけであります。 〔委員長退席、廣瀬委員長代理若席〕 また、公団にもありましょう。こういうものについていろいろと審議の結果、窓口の建設省では今後大いに検討したいというお答えがあったわけでありますが、この点について、いわゆるどのような規制、と言うとことばは行き過ぎかもしれませんけれども、何かの方法で美観を私しない、言いかえれば、土地をとられた人でなくて、他の者がそれを利用する権利を得てかなりな利益をあげていくという不合理、また美観を害する、こういうものについて何か考えておられることがあれば、この際ひとつお答えを願っておきたいと思います。
○志村政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先先のおっしゃいました残地収用とか使用にかわる収用とかいろいろな制度が土地収用法上ございます。そのほかにたとえば鉄道川地として買収した高架の鉄道になりますと、その用地が鉄道の用に供されていることは間違いございませんが、高架下の管理をどうするかというような問題等があるわけでございます。この点につきましては、たしか三十九年の土地収用法の改正の際にも衆議院で御議論がございました。また参議院におきましては、たしか附帯決議が決議されたと存じます。その内容は、そういった管理の問題について十分配意すべきである、それらにつきまして各事業法において規定すべきものはちゃんと規定すべきだというような遡行の附帯決議が参議院でございました。私どもといたしましては、衆参両院の御審議の経過によりまして、関係の向きに、かような附帯決議が決議されたから、これに即応した体制をとってほしいという連絡をいたしました。 ただ、道路法とか河川法とかいう各事業法でございますが、これはいわゆる管理法でございまして、どのようにして道路をつくり、川をつくり、それを管理していくかということを規定している法律でございまして、それらに関しましては、代替占用の許可というふうな形で、その本来の利用以外に同時に利用させられる場合につきましてもいろいろな条件があります。そういうような規定の順守、正確に行なうということ等を推進いたしております。同時に鉄道等につきましても、国鉄におきましては三十九年の決議の以後、管理に関する基本的な基準などをつくりまして、それによりましていろいろ足正すべきものは是正しているというかっこうでただいま進んでおります。これらの問題に関しましては、なお諸先生方の意図を体して、さらに検討いたしたい、かように存じている次第でございます。
○服部委員 いろいろ御検討願って、関係機関とも協議をされて、その対策を立てつつあり、さらに検討を進めて要望にこたえるという趣旨はよくわかりましたが、もちろんこの種の問題はいろいろと困難な面もあろうことは十二分に理解できます。また河川法、道路法等、いろいろと法律によって規制された点もいろいろあろうと思うのでありまするが、しかし現実に、たとえば商店地域にそういった、これは商売をやることを規制することは困難であろうと思います。しかしながら住宅地の周辺でそういうことが起きるということが著しく風紀を害することは、この時代にわれわれが大いにこの問題を取り上げて、特に青少年の対策上からも検討せねばならないと思います。したがって、御検討願っていることは非常に多とするわけでありますけれども、もう一歩進めて、関係機関とよく協調されてこの種の問題が社会に害を流さないような施策をひとつ強力に可及的すみやかに御検討になって結論を出されるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○廣瀬委員長代理 岡本隆一君。
○岡本委員 今度の土地収用法の改正の一番の要点は認定時の価格に押えるということですが、そういうことになってまいりますと、あらゆる公共事業が一応は事業認定をとっておかなければならない。あとになって事業計画を立てる、計画が立ってそれが発表されますと、もう土地の値段はどんどん上がっていきます。だから、途中で認定をとりますと相当起業利益がその中へ加わってまいりますから、計画発表と同時にすぐ卒業認定をとっておかないと、地価を押えることはできないと思うのです。 この間も住宅公団から、行なわれたところの卒業について大体どの程度事業認定を受けていられるかということについての一覧表をちょうだいいたしました。そうすると大体事業認定をとっておるのは半分なんですね。残り半分は事業認定をとっておらない。そのことは、あえて事業認定をとらなくても一応スムーズにいけるという見通しのつくものについては事業認定をとっておらない。中には橋であるとかあるいはフェリであるとか、そういうようなものもございます。そんなものについてはあまり収用する必要がないから事業認定をとらなくてもいいかもしれませんが、道路につきましても相当な数において事業認定をとっておらないんですね。ところがこれから後は、事業認定をとっておきませんと、いつ障害が起こってくるかわかりませんから、いつ収用法にかけなければならぬかわからぬから、だから当初にはっと、事業を始めるという決定が行なわれたらすぐ事業認定を受けるということになってくると思うのです。 そういうことになってまいりますと、事業認定を受ける数が非常に多くなるだけに、土地収用委員会が仕事がふえると私は思うのです。ところがいま土地収用委員会というのは、収用委員は正名だ、それから、それがほとんど事務局は都道府県の土木部にまあ掛比をしておるというふうな状況でございますね。そういうふうな状況の中で、はたしてこの土地収用法の改正に伴うところの多くの事業量を消化し切れるかどうか。これをどのようにして対処していくかということを建設省ではお考えになっておられるかどうかということをまずお伺いしたいと思います。
○志村政府委員 お説のように、従来、事業認定を受ける件数がそれほど多くなかったわけでございますが、しかしこの二、三年の間事業認定を受けて収用委員会の場においてものを解決していこうという空気が非常に強くなりまして、最近におきましては二、三年前の倍くらいの件数になっております。また、都市計画関係の仕事につきましては事業決定がございますので、これらを合わせますと年間大体千件近い事業認定並びにそれに相応するような都市計画事業決定が行なわれておるわけでございますが、今回の制度ができますとさらに事業認定の件数がふえようかと存じます。 しかしながら、確かに土地収用委員会の組織の問題でございますが、各府県に置かれておる収用委員会がその衝に当たっておるわけでございますけれども、これらにつきましては、事業量の多いところ、たとえば東京都とか大阪というようなところは独立した事務局ができておりまして、それによって準備も十分いたすというかっこうにいたしております。また、この前の改正のときに専任の収用委員を置くことができるという規定等がございますので、事業量の増大等に応じましてそれらの運用を十分にやってまいることによって処理できるものと考えております。
○岡本委員 これは相当これから後問題となってくる点であると思いますので、土地収用委員会の陣容の強化ということについては十分な御配慮をお願いいたしておきたいと思います。 それからもう一つは、まあ卒業認定のときの価格に押えるということでございますが、しかしながら現実にはやはり一応任意買収がどんどん進められていくわけであります。ところが任意買収をやって、その中で話し合いがつかないものだけ土地収用委員会にかけるということでございますが、認定時の価格というものを一体だれがどこできめるのかという問題があると思うのです。一応事業認定を受けました、しかしながら任意買収にかかっていきます、そうすると事業計画が発表されると地価はどんどん上がっていっているのです。そのどこかの時点で第一回の話し合いがつくか知りませんが、多くこのごろは、何といいますか被買収者の組合と申しますか、交渉団体のようなものができて団体交渉をされる模様でございます。そうするとその団体交渉でもってきまる価格というものは、相当付近地の値上がりというものを見込んだところの、起業利益を織り込んだところの価格で団体交渉が大体まとまる、それがいままでの事例ですね。そういたしますと、その認定時の価格で押える、こういっても、実際では相当起業利益が含まれたところの価格というものに一応任意買収の価格がきまってくると思うんですね。そうするといわゆるこの法律にいうところの認定時の時価というものは一体どれなのか、その第一回の任意買収によってきまったところの価格というものが認定時価格の基準となるのか、あるいはほんとうの意味におけるところのそのときの時価というものがあります、これは不動産公示制度が行なわれておりませんが、不動産鑑定士がありますから、一応そういうふうな意味では、その当時の売買の事例というふうなものを見て、そういう価格というものは制定はつけてつかないことはないと思うのです。しかしながら、この法律にいうところの卒業認定時の価格とはそのいずれをいうのか、いずれをさしておられるのか。これはかなり重要な問題であると思うのでございますが、この法律ではいずれをさしておられますか。
○志村政府委員 先年のおっしゃるとおり、事業認定の時期によりまして価格がだいぶ動くことは事実でございます。ただ、事業認定のとき以降で適当にお互いが妥協した価段をもって事業認定時の価格とするという趣旨ではございません。あくまで事業認定を受けましたときの近傍類地の取引価格等を基準にいたしまして、鑑定士等の鑑定も受けて、その当時における時価というものを事業認定時の地価と考えているわけでございます。したがいまして事業認定がおくれればおくれるだけ、先生のおっしゃるとおり起業利益的なものが含まれてくるという問題がございます。その点につきましては、建設省におきましては訓令を出しまして、来年度に事業がどこに行なわれる、大体事業の中身がどうなっているというものを確定いたしますと、それにつきまして住民にもお知らせをし御協力を願って、二カ月くらい交渉しても話がまとまらぬ場合には、できるだけすみやかに事業認定の手続に乗せるという方式をとっております。今度、法改正になりますと、なおその措置が必要かと存じておるわけでございます。
○岡本委員 いまの御答弁、重要な問題ですが、建設大臣、それでようございますか。
○瀬戸山国務大臣 確かにこの問題がきわめて重要な問題で、またむずかしい問題だと思います。従来の取り扱いは局長からお話し申し上げましたが、事業認定時の価格というものは、観念上と申しますか、法律上はきまっておるわけでございます。したがって、事業認定をいたしまして裁決を待たずにお互いに協議をして、ものが簡単にといいますか、協議の上でスムーズに進むことを私どもは期待いたしておりますが、その事業認定時の価格は、あくまでもその時点における価格の評価をしなければいけない、これは鑑定士等の評価に基づいてやらなければいけない、こういう方式をとるべきで、今度は原則としてこの事業認定をする、土地収用法を活用する、この制度を活用しなければおおむねこの趣旨の目的を達することはできませんので、従来の取り扱いとは根本的に違えていかなければならない、こういう体制で進みたい。 なお、重ねてつけ加えておきますが、収用委員会のお話がありましたけれども、収用委員会はきわめて重要でございます。この法律を施行いたしますと、事業認定がありますと、価格はおおむね客観的にきまる体制になりますから、そうしますと裁決までいかなくて済む場合が多いとは思いますが、これはやってみなければわかりません。そこで、非常に件数が多いというようなときに、収用委員会の委員会自体は機構ができておりますけれども、事務取り扱いなどは、土地問題の重要性がありますから、これは機構の整備をするという段階を当然に考えなければならない、かように考えておりますこともつけ加えておきたいと思います。
○岡本委員 土地の値段には売り値と買い値とございます。したがって、いかに公平な人が判定いたしましても、どうしてもほしいというときとあるいは売りたいというときには相当の開きがあるわけです。だから、土地の価格というものについては客観的妥当性というものはなかなかきめがたい。 そこで、いまおっしゃるような認定時の価格、一応不動産鑑定士がはじいた価格といたしましょう。ところがいまの局長の御答弁でありますと、それ以上では絶対に買わないのだ、そうすると、任意買収によるものもその価格でいかざるを得ないということになります。私の判断は、任意買収の場合にはある程度そこに運用の幅を持たして、話し合いのついた価格、だからいわゆる起業利益を含んだものと、それからいまのほんとうの意味におけるところの認定時価格との中ほどくらいのところで話がつけば、それで落ちつけて任意買収を進めていくのだ。しかしながら、一応そこできまったところの価格というものを認定時価格として、それ以上はもう出さないのだ、だからごね得をやろうと思ってもどうにも――最初に買収に応じた人もあとから収用法によって買収を受けた者も、買収価格に開きはないのだ、こういうふうに運営されるのではないかと実は私は思っておったのです。そういう意味で理解をしておったのです。柔軟な理解をしておったのです。ところが認定時価格はぽっと科学的にはじき出します。それ以上は買わないぞ、そうなってまいりますと、近傍地との間に非常な不均衡が出てまいります。近傍地は非常に起業利益を含んだところの値上がりが予想される。現在はその予想されるところの値上がりにできるだけ近づけようとするところの交渉が行なわれておるわけなんです。しかしその交渉が全部アウトになるのだということになってまいりますと、猛烈な、反対運動になってまいります。現在以上の反対運動が起こってまいります。あらゆる公共用地の取得に対して赤旗を振ったところの猛烈な反対運動が起こって、公共用地の取得価格を押える。地価仰制ということも大事ですが、そのこと以上に公共事業が全然進まないというふうな事態が起こるのではないかという心配を私はするのです。だから、土地収用法の改正ということだけを一番大きなだんびらにして地価を押えよう、こういうふうな考え方に建設省がお立ちになっても、実際、法律の運用上、そんなことはできっこない。もし無理にそれを強行しようとするならば、非常な社会問題が起こってくるということを私は懸念をいたしますが、その点、建設大臣は、そういうふうな点については、いやそんなことは起こらないというふうにお考えか、あるいは起こっても強行突破していくお考えか、あるいは私が言うような柔軟な態度でもってうまく運用していくというふうなお考えなのか。これはこの土地収用法の改正が行なわれましたら、たいへん大きな問題として、すぐ目の前に見えている問題であるだけに、これについて御所見を明らかにしておいていただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いまのお話のようなことを懸念しないかといえばもちろん懸念があると思います。 そこで、先ほど岡本さんもお話しになりましたように、土地の価格というものは各種の要素がありますから、算術計算的にはいかないところがあるわけであります。ただしかし、今度私ども改正をお願いしておるのは、評価の時期は専業認定時である。ただ、それは法律の条文にも書いてありますように、これは近傍地の価格等も加えての評価でありますから、評価基準というものは御承知のとおり現行でも相当細密にきめてあるわけであります。現在でもそれでやっておるわけであります。それが大きく移動するということは現在でもあまりありません。したがって、事業認定時にぴしゃっと謄写版で刷ったようなものができるわけではありませんから、そこは社会の運用でありますから、やはり社会の皆さんが納得するような話し合いでいくというのが基準になる、私はこういうふうに考えておるわけでございます。事業認定したから謄写版で刷ったようにぴしゃっとなにが出るというわけではありませんから……。
○岡本委員 そういうことになってまいりますと、柔軟な運用をなさる、柔軟な運用をやれば、一応従来どおり話し合いの任意買収というのは相当幅広く活用される。そのことは、結果的には土地収用法の改正というもののあれは多少あります。全然ないとは申しません。ある程度あるでしょう。しかしながら、地価抑制策としてはその効果というものはあまり大きなものを期待することができない、こういうふうに私は思うのです。これはきょうそこまでいけるかどうかわかりませんし、あるいはまたいずれ総理にも質問できるようでございますから、またその機会に地価問題についてもっと突っ込んだ議論をいたしたいと思うのですが、いままでにも公共用地の取得のためにいろいろ法律の改正がございますし、土地収用法の改正も二年前にもございましたし、その前にはまた公共用地の取得に関する特別措置法ができております。この特別措置法ができましても、先ほど大臣もこれは行政府の怠慢だと青い得るとおっしゃいましたが、まことにそのとおりだと思うのです。公共用地の取得に関する特別措置法があまり活用されておりません。そのために公共事業の進行が非常におくれておるという事例がたくさんございます。 その適例として、京都の東山通りの交通難と申しますか、これは道路局長はよく御承知だと思います。政務次官もよく御承知だと思うのです。それで、いまとにかく国道一号線は山科から三条通りを経て東山から五条通りに出ております。ところが東山、五条でもって非常な交通難になりまして、あそこのところはもう二、三百メートル自動車がびっしり詰まってしまって、ゴーストップでたいへんな混雑をいたしております。近くの人は向かい側にもなかなか渡れないというような交通難が朝夕繰り返されておるわけです。しかもその状態がもう一年以上続いております。それで国道一号線の改良工率はすでに山科のほうは完全に完了し、同時にまた隧道もでき上がって、もう馬町の近くまできております。今度五条通りでは、五条通りのまん中に、東山線を渡るための高架の工事もすでに東山線のそばまで進んできておる。ところが数戸の立ちのきについて話し合いがつかない。そのために一年以上にもわたってその交通難がそのまま放置されておる。なるほど数戸のそこに住む人たちの私権を守るということは大切であります。それが不必要だとは申しません。しかしながら、一応それらの人たちの私権と、あれだけ多くの通行者が朝夕繰り返しておるところの交通難というものとをてんびんにかけて、われわれはものを考えていかなければならぬと思う。だから、その場合には、その私権を尊重するための十分の保障がどうしてできないのか。あるいはそれがあまりにも無理であると判断されるなれば、やはり特別措置法を発動させるべきではないか。だから、特定公共事業の認定を受けて、すみやかにその交通難の緩和をはかられるべきでないか、こう思うのでございますが、その点、いま国道一号線の東山線におけるところの改良事業というものがどの程度まで進んでおりますのか、またいつごろまでにあの交通難は緩和されるのか。私は、政府のほうからこの機会に京都市民に対して、この東山線の交通難をどう処理するという方針を明確にお示し願いたいと思います。
○尾之内政府委員 東山の国道につきましては、岡本先生御承知のとおりでございまして、これは三十九年に、特別措置法によります措置をするために、特定公共事業の認定をいたしております。それから立ち入り調査に入りましたが、その時分からだいぶもめまして、事務所とその反対者側との間にいざこざがございました。しかしながら、それらも、一応、成規の手続によりまして、立ち入り調査をやりまして、裁決申請に持ち込んだのが三十九年の十一月でございます。それで審理が四十年の一月から始まりましたが、その審理の途中におきまして、これも御承知と思いますが、収用委員会のほうで和解の提案がございました。この和解につきましては、起業者であります建設省当局はこれを拒否する態度でおりましたけれども、最終的にはやはりこの和解は受けるべきであるということで、かなり長期にわたってこの和解の手続が進められました。このために、いまお話しのように、事実上約一年ぐらいおくれたということは事実でございます。しかし、結局その和解もうまくいきませんので、最終的に収用委員会の裁決を待つことになりました。 グループが三つございましたが、最近になりまして、この三つのグループにおきまして、審理がだいぶ終わりまして、最後の裁決待ちというのが一件ございます。これはあの一審西側にありますアパート付近のものでございまして、これにつきまして、すでに最終審理を五月十四日に終わりまして、近く裁決待ちということになっております。六月の上旬にはこれが得られる予定でございます。他の二件、白坂なる者外四人と堀井という、この二件につきましては、すでに一部取りこわし済みでございますし、他のものにつきましてもすでに共託金を受領いたしておりまして、金融公庫等の融資のあっせんをこちらに申し出まして、そうして移転の準備をいたしております。したがいまして、もう近くこの問題も、一年ほどおくれましたが解決するものと思っております。私どもは、工事につきましてはすでにもう一切準備完了でございまして、このわずかな、二、三のものだけの、取りこわしが済みましたならば、すみやかにいまお話のございました隘路が解決するように、全力をあげて完成さしたい、かような状況になっております。
○岡本委員 そうしますと、土地収用法上の手続は近く終わって、その裁決も近く出るから、そうすると、着工されますとどれくらいの期間で供用開始できますか、その見通しもお聞かせ願いたいと思います。 〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕
○尾之内政府委員 御承知のように、あの区間のごく一部のものでございまして、全部はほとんどもう着工いたしております。したがいまして、おそらくあと数カ月たてば一応工事はでき上がると思います。なお若干通すための手続もあろうかと思いますが、あとは全く工事の問題でありまして、工事の発注ももう終わっておりますので、大体そのぐらいでいくのじゃないか、かように思っております。
○岡本委員 そうすると、年内には供用開始できる、こう理解してようございますか。
○尾之内政府委員 できるだけ早くと私ども考えておりますから、それよりもむしろ早くできることを目標にさしたいと思っております。 〔「定足数がない」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○田村委員長 速記を始めて。 ――――◇―――――
○田村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 来たる六月一日午後一時より都市計画に関する件調査のため、並びに来たる六月三日午後一時より土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案の阿東審査のため、それぞれ参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願うことといたします。 次会は来たる六月一日水曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十一分散会