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51回国会衆議院1966/04/14

決算委員会 第19号

発言数
124
登壇者
9
会派数
3
開催日
1966/04/14

会議録

押谷富三自由民主党

○押谷委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため欠席いたしますので、その指名により、私が委員長の職務を行ないます。  昭和三十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、農林省所管及び農林漁業金融公庫について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 時間がないようでありますから、要点をお尋ねいたしますが、先般の委員会で基本的な問題についてお尋ねをしようと思ったのですが、政府委員の出席がない、こういうことで中止しました。きょうは各政府委員出席のようですから、お尋ねいたしますが、会計検査院から農林省の不当事項として指摘を受けている件数が、工事にしてもあるいは国有財産等物件にしても、あるいは補助にしても、非常に多いわけです。私は、どうして農林省が毎年毎年会計検査院から鋭い指摘を受けておるのにかかわらず、そうしたことが是正されないのか。端的に申し上げて、農林省がたるんでおるのではないかという感じすら受けます。工事にいたしましても件数が非常に多い。そういったことも考えられないではありませんけれども、それにしても、先般の委員会でも私申し上げたのでありますけれども、災害等が発生いたしました際に、現地視察を私どもいたしますが、災害も、農林省が施工した個所の決壊等が非常に多い。その状況を見てみますと、工事が非常にずさんだといったような感じを受けるのであります。技術陣の構成が貧弱であるといったような点もなきにしもあらずでありましょうけれども、いずれにしても、こういったようなことではいけないことであって、農林省としては、会計検査院の指摘に対して、どのような反省をしておられるのか。またこの後どのようなかまえをもって対処しようとしておられるのか。そうした会計検査院の指摘を受けたということに対しての農林省の考え方、その点を一応伺いまして、具体的な問題に対してお尋ねをしてまいりたい、このように考えますから、一応お答えを願います。

大口駿一農林事務官(大臣官房長)

○大口政府委員 昭和三十九年度の会計検査院の検査結果報告によりますと、農林省関係で不当事項として指摘を受けました件数が三百六十一件でございまして、総件数の過半数を占めており、またそのうち大部分が公共事業、特に災害復旧事業にかかるものとなっておりますことは、ただいま御指摘になりましたとおりでございまして、これらの公共事業に対します国庫補助につきましては、その適正な執行をはかりますために、常々努力をしてまいっておりまするが、いまだに経理当を得ないという指摘を受けておりますことは、農林省といたしまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。  これらの指摘を受けました不当事項が起こりました原因として、私ども考えておりますることは、まず、災害復旧事業——もろちん、災害復旧事業であるからいいかげんにならざるを得なかったという言いわけを申し上げるわけではございませんが、災害復旧事業等の性格から、非常に事の緊急を要するという事態が非常に多かったということ、それからまた、特定の地域に集中をして事業実施をする必要があったというようなことから、事業を実施いたします体制が十分に整っておらないで事業を実施せざるを得なかったということがあったのではないかというふうに思いまするし、また農林省関係の補助事業の一般的な性格といたしまして、一件一件がきわめて零細な非常に多くの補助事業を実施しなければならない実情にあること等が原因となりまして、工事を実施いたしまする際の現地の実情の把握が必ずしも十分でないというケースがあったこととか、あるいは、冬場の雪が積もっておる時期あるいは寒い時期に急いで工事をしなければ、翌年の作付に間に合わないというようなことから、急いで工事をしなければならなかったというようなこと、それからまた、事業施行主体、各都道府県の実務能力をこえるような事業実施をしなければならなかった等のことが、このような結果を招いたのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。  農林省といたしましては、このような会計検査院からの指摘を受けました工事につきましては、それぞれ、あるいは手直し工事を実施をいたしまするとか、あるいは補助金の返還等の措置をとりましたことはもちろんでございますが、今後とも、地方農政局あるいは都道府県を督励いたしまして、事業実施の指導監督体制を十分に整えることをいたしますとともに、担当職員の指導研修、もしくは請負業者に対する監督を強化するというような措置を講じますことによりまして、工事の施工あるいは補助金の経理または災害の査定等につきまして、今後十分改善をするよう、一そうの注意を払ってまいる次第でございますが、何といたしましても、このように多数の指摘を毎年受けておりますることにつきましては、深く反省をいたしておりまして、まことに遺憾に存じておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまお答えを聞いたのですけれども、まあそういったこともあるだろうと考えられるところもあるけれども、これは答弁にならない点もある。それぞれ指摘を受けている工事の内容に対しまして、深く入っていくだけの時間的余裕がありませんが、その一、二を見ましても、この「不当事項」の「工事」の一番上、二〇九、八郎潟干拓事務所の工事「道路工事の施行にあたり砕石等の運搬費を過大に積算したため工事費が高価と認められるもの」、この内容を見ましても、舗装工事を施行する区間が非常に長距離である、入り口からずっと砂利をまいて舗装してくる。そうなってくると、舗装しているのであるから、トラックが積載する運搬の量、いわゆる積載量にしても運搬回数にしても、ずっと手前から舗装していくのであるから、それだけ能率があがるということは十分考えられる。にもかかわらず、そうした条件が整えられるというような考え方に立って積算をしてない。こういうことは、少なくとも技術屋であればわかるのですね、常識なんです。会計検査院の指摘を受けて、なるほどこれはよくなかった、改善をいたします。といって改善をしなければならないというような性格のものじゃありません。これだけを私は見ますと、意識的にこういう積算をしたというようにしか考えられない。少なくともいまのあなたの答弁によっては納得できないような内容であるということです。  時間がありませんから、私の考えたままを申し上げますが、なお、これは業者に対して改善をやらして、業者が手直し工事をやっておるわけですが、工事費が高くなった、その高くなっておる金額よりも、業者の手直し工事のほうがなお高くかかっておる、こういうことが会計検査院のほうから数字として出されている。私は、なるほどそういうこともないとはいえないと思う。思うけれども、どの指摘事項を見ても、実際高くなっておる数字よりも手直し工事のほうがなおオーバーしている、それほど良識的な業者というものがあるのだろうか、これは考えられません。  また、会計検査院にも私はお尋ねいたしますが、こうした指摘を受けた、それに対して農林省のほうから、手直しを業者にさせました、こういう報告を受けて、それを確認したのかどうか、まずその点を伺ってみたい。そうして、私がただいま申し上げました、その積算が非常に甘く見積もられておる、それで会計検査院が積算をしてみた、ところがそれだけ、たとえば一つの工事に百五十万なら百五十万高くなっているのだ、八郎潟の場合は五百二十万円高くなったという指摘になっている。二一〇にしても二一一にしても、それぞれ指摘があるわけですが、これは業者の手直しのほうが高くなってくるということです。先ほど申し上げたように、すべての業者がそれほど良心的な業者ばかりおるとは私は思わない。またお互いにこれは利潤を目的として事業をやるわけでありますから、そういうことはなかなかできないであろう。事実こういうことが行なわれたのかどうか、会計検査院はこれを確認したのか、まずその点に対してお答えを願っておきたいと思います。

小熊秀次会計検査院事務官(第四局長)

○小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  手直し工事等につきましての事後処理につきましては、これはもちろん当局のほうから御報告を受けるだけではなしに、翌年度におきまして、検査の際におきまして、これを確認しておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それは書類上の確認ですね。現場で確認をしたというわけではないでしょう。

小熊秀次会計検査院事務官(第四局長)

○小熊会計検査院説明員 もちろん、報告によりまして確認するほかに、翌年度の検査の日程におきまして、そういうチャンスがあります際には、これを現場において確認するということもやっております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 現場において確認をした、そういうことは例外的な形ですね。実際は、それほどあなたのほうに陣容が整っていますか。また技術的にそれができますか。

小熊秀次会計検査院事務官(第四局長)

○小熊会計検査院説明員 お答えいたします。  もちろん、全部につきまして現場において確認するということは、先生がおっしゃいますように、旅費予算とかその他の関係上、なかなか困難でございますけれども、できるだけ、翌年度の検査計画に乗る限りにおきまして、これを現場において確認するように、努力しておるような状況でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 農林省に伺いますが、二一〇と二一一、これは随意契約によってこの工事を施行されている、この内容を見てみますと、指名競争入札ができるのであって、随意契約でなければならぬということは考えられない。どういう事情で随意契約をされたのか。その点どうですか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 お答え申し上げます。  工事の施行につきましては、原則として指名競争入札でやっておりますけれども、すでにその工事が当該業者によって行なわれておりまして、機械の施設あるいは宿舎の施設等々がすでに建設されておりますような場合は、随意契約でやりましても、経済的な観点から、決して不穏当な結果にはならないわけでございますから、そういう場合には随意契約でやる例が多うございます。いま御指摘になりました事案についても、そのようにすでに工事が行なわれていて、いわばその延長的なものとして、工事がさらに進められる場合でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それは追加工事ならわかるんですよ、あなたの言われるように。このケース、二一〇、二一一は追加工事ではないのです。延長的な形と言うが、それは業者の指名をして、業者間において、俗に言う談合的なものが行なわれている。あの工事は前回Aの業者がやったのだから、また今回もまたAの業者にやらせなければならぬ——業者間において、好む好まないは別として、これは慣習的にそういうことが行なわれる。また、それぞれ各省においても、前回はあの業者にこの工事はやらせたんだから、その業者をまた指名しなければならぬというので、他の業者を指名せずに、その業者を指名することはあり得る。あり得るけれども、それを随意契約にしなければならぬという理由は、私はないと思う。随意契約をやったとしても、経済的な関係というようなものから、見積もりが特別に変わってくることはないかもしれない。だがしかし、追加工事ではないんだから、当然指名競争入札という形でなさるべきものだと私は思う。いろいろ物価の変動、資材、機械器具等も前回と変わってきている、だからそういう情勢の中において、当然これは指名競争入札にするということが私は妥当であると思う。これは追加工事ではないでしょう。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 排水路あるいは用水路等の工事をいたします場合に、数千メートルの延長があります場合が通例でございますけれども、工区を四つなり五つなりに分けまして、年々の事業をいたしておるわけでございます。したがいまして、追加工事ではございませんけれども、事業の延長でございまして、先ほど申し上げましたように、建設業者は、機械を入れ宿舎等を建てて、準備をいたしておるわけでございますから、そこにおいては、一般競争入札よりも、むしろ随意契約で行なうことが、実情に合致する場合が多いわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そういうこともありますけれども、続いて工事をやるという場合もある、それは厳密の意味においては追加工事ではないけれども、まあ追加工事的な性格を持つということはあり得るですね。あり得るけれども、この二一〇、二一一が、あなたの御答弁になったような内容であるのかどうか。この点は、この会計検査院の指摘だけを見てみましては、これは明瞭ではない。これはいまあなたがお答えになったように、追加工事的な性格を持つ、前の工事が終わった、続いてそれを延長的に工事をしていくというような工事内容であったのですか、二一〇と二一一は。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 事業の詳細について、資料で申し上げてもよろしゅうございますけれども、私が申し上げましたような、いわば連続的な事業であると承知いたしております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いずれにしても、私は、この随意契約というのはごく特殊な場合でなければやるべきではない、こういうことです。それだけは、あなたのほうとしても、十分注意をしてやってもらいたいということを、強く求めておきたいと思います。  時間の関係がありますから、次に進ましていただきますが、次は、物件について「国有財産の管理が適切を欠いているもの」こういうことで指摘を受けている内容ですが、この会計検査院の指摘によっても、そのずさんさというようなものが十分うかがわれるわけです。第一の、五三ページ「農業上の用に供するため貸付けを行なっているもののうち他用途に転用されているもの」、当初の目的に沿っていないで、他に転用しておるというような件数が非常に多いということ。当初それぞれの計画があったものだと私は思う。にもかかわらず、どうしてこんなに当初の目的とはかけ離れた、農地であるべきものがゴルフ場になってみたり、あるいはこういう形に変わってくるのか、この点はどうしても私は納得がいかない。会計検査院から「国有財産の管理が適切を欠いているもの」という形において指摘をされておるこの内容について、一応総括的にお答えを願ってみたいと思います。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 お答えいたします。  現在、私どもの自作農創設特別措置特別会計に所属いたしております国有財産の管理面積は、昭和三十九年度末現在におきまして、国有農地等六千四百町歩ほどございます。また開拓財産で二十七万町歩ほどございます。これらのものにつきましては、戦後の農地改革によりまして、短時間のうちに、多量の農地なり開拓地なりを、買収したりあるいは所管がえをいたして、いわば農地改革のファンドといたした経過がございまして、十分現地についてこまかな調査等が行なわれなかったものがございます。それで、会計検査院からもたびたび御指摘があるわけでございますが、無断転用でありますとか、あるいは境界不明でありますとか、その他種々の問題がございまして、私どもその是正について、ここ二、三年来、農地局あるいは地方農政局、県農業委員会等を通じまして、努力をいたしておるところでございます。そこで、私どもの努力は決してまだ十分とは申し上げませんけれども、先ほど申し上げました農地、採草放牧地を含めまして、三十七年度末に一万一千三百町歩ほどございましたものが、三十九年度の末には六千四百町歩ほどに減りましたし、また開拓財産につきましては、三十七年度の末に四十万町歩ほどございましたのが、三十九年度の末に二十七万町歩ほどに減りましたように、現在せっかく努力をいたしまして、農耕適地として売り渡せるものにつきましては、できるだけすみやかに売り渡す、農業上の用に供しないことを相当と認めましたもの、あるいは開拓不適地等につきましては、旧所有者等にすみやかに売り渡すように努力をいたしておるわけでございます。たまたま会計検査院からも御指摘がありますけれども、農耕目的で国有地を貸し付けましたものが、いろいろな形で転用されておるものが実はございますわけで、その場合には、これは無断使用でございますから、転用につきまして、賠償金を取り、あるいは事情がやむを得ず、転用する以外に土地の用途が適当でないものにつきましては、転用目的で貸し付けし、あるいはこれをすみやかに払い下げるように努力をいたしておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣の時間がないようでありますから、大臣にひとつ御質問します。  いまの答弁で、国営の干拓地の問題についてもお答えがあったのですが、私が勝澤委員の要求された資料によって見ても、干拓地が他に転用、売却されておるという例が非常に多い。三三%程度は当初の目的からはずれて転用されている、一方、開拓、開墾というものは進められておる、こういうことが大臣は好ましいと考えておられるのかどうか、そしてまた、他に転用しなければならなくなるのか、これは多目的というような形において行なわれたというならば別でありますけれども、やはりこれは農地として開拓をしておるということであるのに、これが三三%、三分の一の転用ということは、私どもの常識では考えられない。だから、この点に対して大臣はどのようにお考えになっておるのか、伺ってみたいと思います。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 ただいまの中村委員の御質問でありますが、私もそのとおりに考えておりますし、また、そうなければならぬと思うのでございまするが、とにかくこの干拓をやりまする際に、非常に長い期間を要する場合が多いようなことでありまして、その間に、都会の膨張とかいろいろな問題がそこへ加わってまいりまするようなわけで、非常に不本意なことでございまするが、そういう結果のものが若干生じてくることは、私どもも非常に遺憾でございまするが、時代の変遷、時の変遷の関係上、どうしても許可をせざるを得ないような姿に相なっておるわけでございます。それで、私どもとしては、やはり開拓、干拓等は、農地として干拓したものは、でき得る限り農地として存続せしめることに尽力をいたすべきものである、かように考えておるわけでありますが、情勢は、さようなことから起こっておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣がいまお答えになった形で、どうしても他に転用しなければならないことも、それはあり得ると思う。それにしても三分の一という転用は、あまりにも私は無計画だと申し上げざるを得ないと思う。  それから、他に転用するという場合の売却というものがどうなっているのか。地方公共団体に対して売却をしているもの、その他民間に売却をしておる、先ほど申し上げたように、ゴルフ場等に転用されておるという場合がある。地方公共団体に一応売却をしたものにしても、地方公共団体が、公共施設にそれを利用されておるというのではなくて、一応払い下げを受けた当該地方公共団体は、さらにこれを他に転売をしておるという例があるわけであります。そういうことが、大臣は適当であるとお考えになっておるのか、そういう事実を御承知になっておられるでありましょうから、まずあなたのお考え方をひとつ聞いてみたいと思う。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 ただいま中村委員の仰せられたような、そういう事実があるとすれば、私は適当であるとは思いません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そういう事実があるとすれば、私は適当ではないと思う、とこう言われるのだけれども、あなたはそれを全然御存じになっておられないとは、私は思わない。  まあしかし、それであなたとやりとりをしておっても、これは時間を食うばかりですから、事務当局にお尋ねいたしますが、この他に転用売却をする場合、売却の評価基準というものはどうなっているのか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 干拓地を他に転用いたします場合は、干拓の趣旨からいいますと、きわめて例外でございますが、その場合の対価のきめ方といたしましては、もちろん通常の近辺における売買の価格を参照いたしますことはもちろんでありますけれども、それ以外に、国として事業費をかけましたもの、その利子の、回収を一つの目安として、対価の決定をいたしておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この国有財産の普通売り払いの算定基準というのがあるわけでしょう。まずそれによるというのが正しいのではありませんか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 それを当然頭に置いてやることはもちろんでありますけれども、もう一つ特別な考慮の要素といたしましては、他に用途を転用することはやむを得ないといたしましても、国が支出した額、その利子分を含めて、それを回収することが適当ではないかということが、一つの要素として加わるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あなたのほうで他に転用、売却という場合、地方公共団体にしてもあるいは民間にしても、何に使うかという、その申請の目的があるわけですね。こういうことで、使用目的というものが私はあると思うのですが、その使用目的にはずれた形にこれが利用されておるという場合は、どういう扱いをしておられますか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 たしか、資料として前に御説明したかと存じますけれども、いままで干拓地の他用途転用の例を申し上げますと、国道分として使用する場合、あるいは住宅地として使う場合、あるいは工場用地として使用する場合等々がおもな事由でございます。それで、たまたま国から他用途に使うために売り渡しを受けました者がさらに転売をいたします場合に、残念ながら、国としては、現在のところ追及するすべがなかったわけでございますけれども、土地改良法の改正によりまして、農地を農地として譲り受けた者が、転売をして利益を得ますような場合には、国の投資額を限度として、特別に徴収金を課するというふうに、最近改正いたしております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 地方公共団体が、この払い下げのいわゆる申請目的と違った他の民間のいろんな諸施設というか、ゴルフ場なんかもあるだろうし、その他いろいろあるだろうと思うのですが、その目的と違った形に、他に民間に転売をされておるという、そういう事実に対しては、どういう扱いをしておられますか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 干拓地でございますから、工場敷地、住宅用地あるいは道路等に使われます場合は、当然あるわけでございますけれども、干拓地の払い下げを受けて、それをゴルフ場に転用したというような事例は、私は承知いたしておりません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは、私はあとでまたいろいろな事実についてお尋ねしていくことにいたしますが、まず、大臣の時間の関係がありますから、大臣にお尋ねいたします。  なお、他にまだ転売をしていない、農地としても使用していないという、いわゆる遊休地というものがある。いわゆる処分未済のものが、私の資料をもって見ましても、千百九十二ヘクタールある。その遊休地をこのままいつまでも放置するということは、これは土地改良事業というものの足を引っぱることにもなるし、また利払いといったような関係等も出てくる。これは国民経済的に見て、きわめて不経済な話だと思うのですが、大臣は、この遊休地のことについては御存じでありましょうが、これをどうお考えになっておるか、まずその点をひとつ……。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 中村委員にお答えいたしますが、遊休地につきましては、できるだけ早く、これを農用地として利用させるようにつとむべきものであると思いますが、どうしてもそれができないというような場合におきましては、これを早く払い下げをしていくという方向で進めなければならぬ、かように存じておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 そうしなければならぬというのは、わかり切った話ですよ。そうしておらぬところに問題があるのだから、いつまで遊休地としてほったらかしておるのか、ということを私は言っておる。いまあなたの御答弁になるようなことを、そうでございますかといって、私どもがそれを納得しておったのでは、何のために質問しておるのかわからぬ。そうお考えになるならば、なぜにいつまでも遊休地としてそのまま放置するのか、そのことを言っておるのですから、これは適当ではございませんということではだめなんです。適当でないことはわかっておるのだから、遊休地でないように早く処分する、またこれを処分をするという場合でも、先ほど私が申し上げましたように、地方公共団体等が申請をすると、ちゃんとその目的というものが出されておるのだから、その目的によって、これならばよろしいという形で払い下げをしたならば、その使用目的に沿うた形において、これが利用されていくということでなければならない。それがそのとおりにいってないという場合には、それ相応の措置というものがなされなければ、国民の血税によって開拓をしてきたそのことが転用されたということに対しては、私は重大な問題がある、こう考えておるわけですから、あなたにお尋ねしておるわけです。しかし時間の関係から、先に進みますが、この干拓と関連いたしまして、長崎干拓の問題をあなたにお尋ねしてみたいと思う。  いわゆる長崎大干拓、これはあなたも頭に十分あると思うのですが、今日まで五億の調査費をおつけになって、そして四十年度には予算を五億つけられた。四十一年度には十億つけておる。にもかかわらず、この長崎干拓が、まだ事実上漁業権者との間においての話もついてない。もちろん実地測量等も行なわれる段階ではない。こういう状態をあなたはどうお考えになっておられるか。私が先ほど申し上げたように、干拓したものが次から次に他に転用されていく、三分の一以上転用されておるという状態、そして一方長崎干拓のように、漁民の熾烈な反対にもかかわらず、これを干拓しなければならないということで、あなたが強力にこれを推進しておられる。だがしかし、いまだ漁業権者との関係すら何も円滑にまとまっていないという状態、これをあなたはどうお考えになっておられるのか、また見通しはどう立てておられるのか、伺ってみたいと思います。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 この問題につきまして、私も長崎県へ参りましたときに、問題がやはりございまして、これらについて、いろいろ事情等も見てまいったのでございますが、長崎県といたしましては、知事並にび町村長、漁業組合並びに町村の方々が、専心これらの問題について、その当時は協議をしておったのでございますが、なおその後の経過を聞きますと、過半数の関係漁業協同組合においては、この干拓事業に対して非常に理解を深めてきておりまする状況でありまするが、しかしなおこれらに対して、漁業の面からの反対があるやに聞いております。しかしこれらについては、県当局も、また地元町村においても、また漁業団体の多数の人々、どうしてもこの干拓というものを早くやらなければなるまいということ、またそれらに対して、漁業者のいろいろの了解あるいは理解という問題を深めてまいる、またそれは必ず深めることができると確信をしておるというお話でございましたが、現在の情勢は、大体さように進んでおるように思われるのでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いまあなたの御答弁ですけれども、必ずしもそうではないのですね。それで、きょうは水産庁も来ておられると思うのですけれども、漁業権者との関係は、県あるいはあなたのほうの干拓事務所がもうすでにできているのですね。それと、いまの漁業権者の問題は、まだ土俵に上がっていないのです。土俵に上がって話し合いが進められていないのに、いまあなたがお答えになるように、順調に話は進んでおるというようなことは、私は考えられないです。水産庁はどうお考えになっておるのか。また水産庁というよりも、これは大臣の考え方を伺わなければならないのですが、四十二年か四十三年と思うのですが、この漁業権者の一応の期限が切れる。その期限が切れるのを待って、あとはこれを継続を認めない、こういう形で、力関係というものが変わってまいりますから、そういう段階で、相手を非常に弱い立場に追い込んで、そこで一挙に解決をしようという考え方を持っておられるのかどうか。少なくとも、そういうような強引なやり方というものをやるべきではない、私はこう思うのですが、それならば土俵に上げて、そして反対する漁業者に対してはこれを説得する。そして漁業者も絶対反対というような態度は、農林省並びに県当局の熱意ある説得に対しては、耳を傾けることもあり得るだろうと私は思う。そういう中で、いま大臣がお答えになったような円満な話し合いというものが進められなければならぬと私は思う。大臣の御答弁ではございますけれども、少なくともある程度現場の事情を知っておる私から申し上げるならば、あなたの御答弁のとおりではありません。だから、これに対しては、漁業権の存続の問題をどう考えておるのか、またどういう態度で漁業権者に対して話し合いをしようとお考えになっておられるのか、そこらあたりの基本的な考え方をひとつ伺って、水産庁あるいは農林省事務当局からでもけっこうでありますから、具体的な方針について伺ってみたいと思います。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 いま中村委員の言われるとおり、私のほうも、そう無理をするつもりはないのでございます。理解の上に立ってまいりたい、こう考えておるのでございます。いままで申しましたことも、相当程度——私が向こうへ参りましたときにも、それをよく聞いておりますので、その当時から見れば、はるかによく理解が進んだというふうに見ておるわけでございまするが、なお、もちろんあなたのおっしゃるとおりの状況もございます。その後の情勢等については、農地局長から御答弁させていただきます。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 長崎の干拓を成功させるためには、漁業補償を円満に運ぶことが基礎であることは、私どもも十分承知いたしております。それで、先般来、熊本の農政局あるいは長崎県知事、その他関係方面で、関係の漁協と話し合いを進めておるわけでございます。長崎干拓に関係いたしております漁協の数は十二ございます。十二のうち過半数と申しますか、九つは話し合いに何とか応じてもいいというところまで煮詰まってまいっておる状態です。ただ残りの三組合につきましては、まだ土俵に上がらないと申しましょうか、補償についての具体的な話し合いに応ずるわけにはいかないというふうに申しておるわけでございます。先ほども大臣が申されましたように、私どもごり押しをして、無理に漁業権者を圧服してというようなことは毛頭考えておりませんので、今後も、地方農政局あるいは県を督励して、十分話し合いをして、できるだけ早く土俵に乗せて、その事業を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 漁業権はいつまでになっていますか。

大口駿一農林事務官(大臣官房長)

○大口政府委員 ちょっと、水産庁が来ておりませんので、調べて、後ほどお答えいたしたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 おそらく四十二年の六月だったろうと私は記憶するのです。それまで話し合いがつかない場合、この漁業権は一応存続させる、そして話し合いは進めるという方針なんですか。大臣どうなんです。

大口駿一農林事務官(大臣官房長)

○大口政府委員 いま水産庁のほうに連絡をして、こちらへ来るように言っておりますので、その関係は、後ほど担当が参りましてから、お答えをさせていただきたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 水産庁が、当該漁業権者に話をしておられることがあるわけです。それは水産庁が来てからお尋ねをしてみますが、ともかく、大臣は、また農地局長も、順調によく進んでおるのだ、これに反対をしているのは三漁協にすぎない、こういうあなたのお答えなんですね。これは具体的な話し合いによって、他の漁業組合が引き下がったのかというと、そうじゃないのですね。まあ国がやるのだ、そして県が長期にわたる計画がようやく実現をしたのだ、こういうことから、あまり反対はされないからというようなことで、絶対反対というような強い態度ではない。そういう漁協が非常に多いということは、私も承知をしている。絶対反対というようなことでやっている漁協の数はそう多くはないだろう。だがしかし、数の問題じゃないと私は思う。もっと誠意をもって話し合いが進められなければならないのだ。少なくとも今日までの経過を私が調査したところによると、知事は二回、国策だからこれに協力せよと言って要請したにすぎない。それから、あなたのほうの出先の干拓事務所からも、正式の申し出は行なわれていない。ましてや補償のことについては、何ら具体的な話し合いは行なわれていない、こういうことです。そうなってくると、補償にしてもこれはたいした額ではないから、そうすると絶対反対をしておる漁協、漁業者というのは、主として、水産庁が今日まで、増産だ増産だ、さあ品質を改良しろといって増産にこれつとめられた、ノリの養殖をやっている業者なんです。それなくしては生活ができないような業者、こういうような人たちが絶対反対をするということは十分考えられる。したがって、これに絶対反対をしている漁協、漁業者の数は少ないのだから、たいしたことなく解決するだろうという考え方を持つことは適当でないと私は思う。大臣が先ほどお答えになったように、誠意をもって話をする、少なくとも、土俵に上がらないのだったら、土俵に上がってもらうように熱意をもって、そうした反対をしている漁業者に対しては、なおさら接触を深めていくという態度でなければならぬと私は思う。今日絶対反対をしていないような漁業者もそれではというので喜んで引き下がる情勢であるかといえば、そうじゃないのです。補償にいたしましても、実際は、これから時間があればお尋ねをしてみたいと思いますけれども、たとえば五十万の所得の人がある。その五十万の所得の人は、必要経費を引いて、労務賃金というようなものを差し引いて、その残りに対して五年分の補償をするにすぎない。そして、船であるとかあるいはその他の漁具は減価償却をしているから、その減価償却をして残った分だけを評価して、これを支払っていくのだというようなことが伝えられる。それでは補償なんというものはわずかな額にすぎないのだ、これからどうしていったらいいだろうかというようなことで、非常な悩みを持っているというのが現実なのです。だから反対をしておる人は数少ないのだ、大多数の人はこれに反対をしていないのだから、というような安易な考え方を持って臨むということは、私は適当ではないと思う。私はこうして委員会において問題指摘をし、お尋ねをしておるのですから、全然事実とかけ離れるようなことを指摘しておるのではない。少なくともあなた方よりも、私どものほうが接触の機会も多い。したがって、私が申し上げておることをある程度信用されて、そして円満に問題の処理をしていくというようなことでなければならぬと私は思う。どうお考えになるか、いま私が申し上げたことに対してお答えを願いたい。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 私が申し上げましたことが、あるいはことばが足らなくて誤解をいただいたかも存じませんが、私が申し上げましたことは、十二の漁協の中で大体九つの漁協が話し合いに応ずるような態勢にまで煮詰まってまいりました。土俵にのぼらない漁協はまだ三つございます。それで県当局あるいは出先の農林省の機関を動員して、できるだけ円満に話し合いが進むように努力をいたさせますというふうに申し上げたわけで、決して事態を甘く見たり、あるいはこちらが十分誠意を示さずともこの問題が解決するというふうに私は考えておるわけではございません。農地局といたしましては、過去に八郎潟の大きな漁業補償の問題もありましたし、ごく最近では、島根、鳥取の中海で、これも長いこと漁業権の補償について苦労いたしまして、ごく最近にやっと金額の提示をいたすような段取りになった経験もございますし、それぞれ現地及び関係者は非常に苦労してやってまいっておりますので、事態を非常に甘く考えたり、あるいはなおざりにして、この問題を進めるつもりはございません。その点は御了承いただきたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 立ち入り調査をしたことがありますか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 立ち入り調査を、たしか昨年でしたか、やりまして、多少の不祥事件が起きたということを、私承知いたしております。そのようなことでございますので、私も、先ほど、強引にごり押しをするつもりはございませんと申し上げたように、その後、事態を静観しておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣は、いま農地局長からお答えがあった不祥事件が起こったという事実を、御承知になっていらっしゃいますか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 農地局長からお聞きいたしておるのでございます。  ついででございますが、私の申すことも、繰り返して申すようでございますが、無理をしないというので、納得いくように進めていくことは当然であります。極力さような方向で進みたいと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 反対をしている関係漁民も、あなたが長崎県の諌早においでになって、反対の人たちの話をよく聞いた、こういうことで、あなたには非常に感激をしているということを実は伺った。だから、少なくともいまあなたがお答えになったようなことが、事実の上に誠意をもって示されておるということであるならば、私は事態はもっとなめらかにいったのではないかと思っている。土俵に上がっていない漁業者というものに対して、ほんとうに土俵に上がらすべく最善の手を打っておると私は考えられない。四十三年の六月に漁業権が切れるのだから、これを絶対に存続しないぞという態度、俗に言う、いわゆるおどすというようなことで、いま土俵に上がって補償の話し合いをしなければ、漁業権というものが切れてしまえば権利はないのだから、その場合には補償費だって少なくなってしまうのだぞ、極端に言えば、補償費はもうもらえなくなるのだぞ、こういうような態度でもって臨んでおるきらいがないとは言えないのです。そういうところで、問題がさらに複雑になっていくように考えられる。  もう一つは、いまの不祥事件の問題にいたしましても、そのように漁業者が反対をしているのだから、少なくとも立ち入り調査といったような場合は、事前に了解、連絡をとって、そうしてこれを実施するというようなことであるならば、ああいう不祥事件というものは起こらなかったと私は思う。にもかかわらず、何の連絡もすることなく、突如としてそういった調査を実施した。そこに、反対をしている関係の漁民を刺激して、特に血気にはやったのかどうか知りませんけれども、若い連中が、調査に来た船が海岸につけてあった、そのときに、窓ガラスを破壊するといったような事件が発生をして——これがどういうような形でなされたのか知りませんけれども、幹部の人たちは起訴される、そうして直接窓ガラスを破壊したという若い漁民は罰金刑に処せられるといったような事件が起こっている。その調査に行った人たちが、あとでことばを変えていなければ別ですね。実はこれは長崎干拓のための調査に来たのではなかったのだ、東大の依頼によって土質の調査をするためにやってきたのだ、こういうことを言ったという。連絡も何もしないでやったことはまことに済まなかったというので、漁協の事務所でわびたという。にもかかわらず、後日にはついにこれが刑事事件という形で発展をして、ただいま申し上げましたような罰金刑であるとか、あるいはまだ公判中でありますが、漁協長以下幹部が起訴されるという事件に発展をしておるということです。大臣がいまお答えになったような、誠意をもって対処するというようなことであるならば、この調査にいたしましても、もう少しやり方があったのではないか、このような事件に発展をしなくとも済んだのではないかと思う。こういう事件に発展をしてまいりますと、なめらかに話をしようとしても、これでは絶対になめらかに話は進むものではありません。これらの点に対しても、どのようにお考えになっておるのか、まず伺っておきたいと思います。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 私ども、当時の事情を伺いますと、干拓事務所のほうにもそれなりの言い分があるようでございます。ただ、私が先ほど申し上げましたように、できるだけ円満にこれを運ぶことに精を傾けますので、できるだけこういうようなまずい事件が起こらないように、私ども注意をいたしたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは、まだこの干拓の問題、あるいは続いて諌早の干拓の問題等についてお尋ねいたしたいと思いましたが、大臣の時間の関係がありますから、他の問題をお尋ねしてみたいと思います。  信用事業の問題について、大臣にお尋ねをいたします。農漁協に信用事業を行なわせている目的というものは、私なりにわかっておるのでありますけれども、最近、どうも信用事業というようなものが、ほんとうに農民の利益を中心にした信用事業をやろうとしておるのか、そうでなくて、農協あるいは農信連がみずからの経営をはかるために信用事業をやっているのか、わからない、といったような事例が数多く出ておるわけです。だから、まず、わかっておるようなものでございますけれども、農漁協に信用事業を行なわしておる目的というものは何なのか、また私がただいま指摘したようなことは行なわれていない、農協本来の目的に沿って信用事業は進められておるのだ、何も問題はないんだと、大臣は理解をしておられるのか、その点を伺ってみたいと思います。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 ただいま、農協の信用事業が目的どおりうまく運用されているかどうか、ということについてのお尋ねがあったわけでございます。いまさら私の口から申し上げますまでもなく、本来、農民の相互扶助組織としての協同組合が、組合員の預金を集め、それを、一部はその組合の販売、購買事業に使い、また農民の必要とする資金の供給をいたしておるわけでございまして、これらの事業が本来の目的に沿いますように利用されていきますためには、農協法上いろいろ指導、監督をして処理をいたしておるわけでございますが、ごく一部の組合の中に、役職員が少し甘い考えを持ちまして、法律違反の貸し付けをいたしましたり、そのような事例が見られますことは、まことに遺憾だと考えております。御承知のように、単協の指導につきましては、法律上、都道府県知事にその権限をまかして、都道府県知事の権限において、必要な監査等をいたし、不正事件の発生の防止につとめておりますほかに、系統組合自身で内部監査の実施をいたしまして、都道府県の行政的な指導とあわせて、自主的に不正事件の発生の防止をし、本来の目的の達成のための運営がはかられるようにつとめておるのでございます。ごく最近、幾つかの県におきまして、御指摘のような事故が起こりましたので、今後一そう、いま申しましたような行政面での指導、あるいは団体内部での自主的な監査による相互チェックのシステムの強化等につきまして、私の名前で、各県知事あるいは地方の農政局長にも、今後の指導を一そう強化をいたすように、指導をいたしておる次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 農協は、購買、販売、信用、指導という四部門に分けて事業をやっておるわけですね。このうち、どの事業に重点を置かなければならぬとお考えですか。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 地帯によって、あるいはその農協の組合員の農業経営の状態によって、いろいろな差はあると思いますが、一般的に申し上げますれば、組合の事業が、それぞれの事業部門ごとに均衡をした発展をしなければいけないものだというふうに考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣に伺いますが、いま農政局長からお答えがあったように、私はこれは全部の農協ではないと思うのですが、ごく限られた農協で、信用事業をめぐって、全く非常識な事業運営をやっている、そのためにこれまた不祥事件が発生をするという事例があります。あとでこの点も触れますが、それ以外に、最近の市街地農協の多角経営、これはある農協によっては、一つの町の各商店において売る商品の全部をその農協で販売しておるという事例がある。たまたまある農協長が、私に直接口ばしったことで、全く驚き入ったようなことを言っている農協長もいるのですが、それはプライベートで話したことでございますから、ここでは触れません。ともかく日用雑貨はもちろんのこと、生鮮食料品も、それから俗に言う環衛関係の、理容であるとかあるいは美容であるとかということもやっている。農協に行って日常生活の間に合わないものは何もない、というような経営状態の農協もあるわけです。そのことが一般の中小企業というものと競合して、これを圧迫する、ついに倒産のうき目にあうといったような零細企業も数多くあるわけです。農協は農協法によってやっておるわけでありますから、これに対しては、もちろんこれは違法ではないということになりましょう。なりましょうけれども、少なくとも農協本来の事業というものは、購買、販売、信用、指導、この四部門でありますけれども、要するにこの購買、販売というものを最近の市街地農協がやっておる、そのことは予想されておるのかどうか。少なくとも農協法制定にあたって予想されておるのかどうか。予想されていなかったとするならば、これはもう限界を越える経営実態であると言わなければならないわけです。こういう形に農協が移行してまいりますと、直接農民に対するところの購買事業、あるいは販売事業あるいは信用事業、指導事業というようなものに、どうしてもこの重点というものが置かれなくなる。農民のしあわせというものが、事実上は第二義的に扱われてくるというような変則的な形が出てくる、ということを指摘しなければならぬと思う。したがいまして、この点に対して、現在の農協のあり方というものに対して再検討をする時期にあるのではないか、これらの点に対して、現在の実態の上に立って、ひとつ大臣の考え方を聞かしていただきたいと思います。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 ただいま御指摘のございました各種の事業は、本来、農協法制定をいたしますときから、農協の組合員でございます農家の生活物資の供給ということまでは、当然農協本来の任務として予想をいたしておりました。あわせて、やはり農協が農村社会における共同組織でありますことの関係から、農家ばかりでなしに、同じ地域社会の中に住んでおります農家以外のものにも、ある程度そういう地域団体としての機能を果たさせます意味も含めまして、全体の事業量のうちの五分の一までの範囲は、組合員以外にもそういう事業の利用を考えてもよろしいということで、法律上規制もいたし、指導もいたしてまいっておるわけでございます。ところが、ただいま先生御指摘のように、最近の都会の発展と申しますか、そういうことからみまして、いろいろ住宅地も広がり、その他、そういう関係がありまして、だんだん農業から手を抜きましたような、そういうものでありながら、しかもその場所には先祖以来住んでおったような人たちが、相当組合員の中に含まれておりますし、いわゆる市街地の組合というものが各地にいろいろ出てまいりまして、それがまだ残存しております農家の農業生産という問題についての指導力と申しますか、実行力と申しますか、そういう面において、御指摘のように、いろいろそういうようなものがございまして、消費組合ないしは市街地信用組合的な点にだけ重点を置いて運用せられているような組合が、各地にぽつぽつ実はあらわれておるのでございます。そこで、現在農林省といたしましては、昨年の秋から、それらの問題も含めまして、学識経験者にお寄りをいただきまして、農協問題の、最近の農村事情あるいは社会事情の変化に対応いたしまして、農協が、本来の目的であります農家の相互扶助としての組織、あるいは農業生産を今後も振興してまいりますための中核としての組織の機能を強化いたすために、またそういう、いまの市街地信用組合のような変則的な農協を、今後どのように考えたらよろしいかというようなことについて、いろいろと現在検討をいたしておりまして、なるべく早い機会に結論を出しまして、いま御指摘のような市街地の消費組合的な、ないしは信用組合的なものにつきましては、何らかの措置を講じまして、農協そのものの組織、あり方をもう少しすっきりさせるようにしたいということで、現在検討をいたしておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 いま、農政局長のお答えで、一応の考え方はわかったのですが、大臣、私は基本的な問題を大臣どう思うかということで、あなたにお尋ねしたのだから、そういう基本的な問題に対して、あなたが答弁できないはずはないのです。農協の問題に対しては、答弁をへたにやると刺激するといったような配慮があるのかどうか知りません。しかし、少なくとも農民の相互扶助という立場から農協というものができ上がっておる。だから、その農協経営のあり方というものが、ほんとうに農民のしあわせになっておるかどうかということに対しては、その点は十分留意して政策を進めていくということでなければならぬと私は思う。だから、少なくとも当初考えておったようなこととは違った、いわゆる変則的な運営が行なわれておるという、市街地農協の全部ではないでしょうけれども、一部にいたしましても、そういう姿の中において、大臣はどうお考えになるかということをお尋ねしているのだから、あなたとしては当然お答えにならなければならぬと私は思う。これはお答えを願いますが、さらに時間の関係もございますので、私のほうから続いてお尋ねをしたいことがあるわけです。  先ほど農政局長から、幾つかの農協において、好ましくない信用事業をやっておる、そのために不祥事件が発生をしておる事例がある、というようなお答えがあった。たまたま長崎県の信連会長が逮捕されるという事件が起こっている。この実態は、私からお尋ねをして、お答えを願ったほうがいいのかもしれませんけれども、これは信連がそうだとは私は言わない。長崎市の単位農協ということで申し上げるのでありますが、たまたま信連会長が長崎市の農協長をしている。そこで、その農協の実態は、資本金が五千万円、ところが預金高は十七億、貸し付けは十一億、しかもその貸し付けの内容を見てみると、員外利用というものが非常に多いわけですね。組合員の数二千二百、準組合員といいますか、これも和田さんからお答えを願いますが、出資金さえ払ったならば準組合員というものにだれでもなれる、こういう仕組みか知りませんが、驚くなかれ二千二百の組合員に対して、準組合員と称する者が一千名を数えておる。しかもその準組合員たるや、当該農協の所在地だけでなくて、県内は言うまでもなく、県外の者でさえもいわゆる準組合員という形において、貸し付けの対象になっておる。あなたのほうに報告がきておりましょうから、お答えを願いますけれども、私が知り得た範囲で申し上げておるのでありますが、こういうことが、たとえ単位農協であろうとも、農協の行なう信用事業というような範疇に入るものかどうか、こういう事実に対して、大臣はどうお考えになっておられるのか。先ほど、単位農協の監督指導というものは都道府県知事が行なうのだということでありましたが、政府としては、これには全く関係はないのかどうか、関心を全然お持ちになっておられないのか。また、そうだとすれば、それでよろしいのか、それらの基本的な点、具体的な問題について、大臣並びに農政局長のお考え方をひとつ聞かしていただきたいと思います。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 中村委員の御質問でありますが、いまいわゆるスーパーマーケットが出てきておる。この状態については、先ほど農政局長がお答えを申したとおりでございまして、これはやはり急激なる都市郊外、あの地帯の発展の問題がしからしめておるのでございましょうが、たとえば、練馬大根のあの産地が、やはり同じような情勢になっておるのでございます。その点については、先ほど農政局長からお話し申し上げましたとおりでございますが、農協のほんとうの発展——ほんとうのというのは語弊があるかもしれませんが、発展のために、やはり情勢の変化に即応して、これらの活動をほんとうによく適合せしめていく必要があるのじゃないかということは、お話のとおりでございますので、先ほども農政局長が申しましたように、農協に対する知識経験者を寄せまして、それらの問題について、いま真剣に検討を加えておる最中でございます。結論を得ますならば、それらに対して十分施策を講じてまいりたい、かように存じておるわけでございます。  それから、員外者の利用の問題でございますが、これも先ほどお話を申したとおり、現在は二割程度まではいいことに、もちろんなっておりますが、中には、やはりずっとこえておるものもあるようでございます。それらの問題については、よく検討を加えていかなければならぬ、こう存じております。  なお、監督の問題については、単協の面については、これは県のほうで十分やっており、この調査等については、農政局と関連いたしまして調査を進めていくわけでありますが、しかし、連合会のほうは、やはり国が計画的に監査を進めておることは御了承であろうかと思います。さようなことで進めておりますが、単協のほうは国自身が直接——なかなかたくさんのものでございますから、主として県のほうでこの監査を進めてまいる、こういうこと。なおまた、自治的にも監査を進めていくということで進めておるわけであります。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 長崎市農協の不正事件につきましては、預貯金高その他数字的に御指摘のございましたところは、私どもの調査とほぼ同じものでございますが、この事件の内容は、先生も御承知のように、本来二割以上は員外に貸し付けてはなりませんにかかわらず、それを貸し付けをいたしました意味での農協法違反という事実以外に、関係者が貸し付けをいたしました金を、事実上リベートのような形で横領をいたしましたりいたしまして、事件としてはどうも悪質な事件で、現在、警察あるいは検察庁の手で事件の取り調べが進んでおります。組合長自身もすでに辞任をいたしております。ただ、私どもとしてたいへん不幸中の幸いであったと思いますことは、数年前から、系統団体が農家の預貯金の保護をいたしますための自主的な組織としての貯払い準備金制度を開始をいたしておりまして、この農協がそれに参加をいたしておりました関係で、農家の預貯金には何らの影響もなく、農家に迷惑をかけることがなかったことは、まことに不幸中の幸いだというふうに考えておるわけでございます。今後の一般的な指導につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、単協の段階は、都道府県知事に委任をいたしまして指導監督をやらせておるわけでございますが、農林省としては、都道府県に対して、指導監督のための旅費を計上して補助をいたしまして、その指導監督の実をあげるようにいたしておりまするほか、冒頭の御質問にもお答えいたしましたように、この事件を契機といたしまして、今後県の監督を強化いたし、それから内部監査をもさらに厳重にいたしますように、実は農林省からも各府県知事に通達を出し、あわせて地方農政局長にも指示をいたしまして、今後各県の指導が一そう本来の農協活動の趣旨に沿って運営をされますように、指導を強化してほしいということを、県当局にも指示をいたした次第でございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣の監督指導の問題について関連をしますので、お尋ねをしてみますが、従来の監督指導の方針はどういうことであったか、具体的にどういう監査方法が好ましいとか、あるいはどういう方法で監査をやれというような指導は、あなたのほうではしておられなかったか、その点どうなんです。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 もちろん指導をいたしておるわけでございます。それによりまして、単協の面につきましては、いわゆる監査等についての厳密な調査をやらすことに相なっておりまするし、連合会のほうは国が直接やる。もちろん県もやりますが、国が直接これを監査をやっておるわけでございます。なお詳細については、農政局長からお答えいたします。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 信連に対しては、国も直接監督指導をやる、単協に対しては、県において監督指導をやれ、こういうことでやらしているのだ、こういうことですね。ところが、私がふしぎに思うことは、この国の監督指導の方針というものはどういうことなのか、ほんとうに監督をしなければならない、指導しなければならぬという考え方の上に立っておるのかどうか。こうした不正事件が発生をしたという裏には、私は、国の監督指導に対するところの怠慢というものが大きな災いになっている、こう思います。三年に一度程度監督指導をやればよろしい、というような考え方というものが適当であるとお考えになっておるのであるかどうか、その点どうなんです。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 監督は非常に重要な大切な問題でございまするから、特に監査の問題ではさようでございます。したがいまして、農林省といたしましては、監督に関する通牒を出したり、あるいは出張等によりまして、あるいは会合等によって、その点を厳重に伝えておるわけでございます。  それから、連合会の問題については、先ほど申しましたように、直接監査をやるわけでございます。なおそのほかに、自治監査、これは御了承でありましょうけれども、組合自身の自治監査も行なわしめておるということで、でき得る限りの手段は講じておるわけでございます。したがって、過去においてはそう問題はあまり多くはなかったようでございまするが、最近、問題が若干出てきておるように思われます。全体の数からいいますと、現在単協が一万幾らあるわけでございまするが、そのうちで、割合からいうと、多くもないように思うのです。しかしそういう事件が出ておりまするので、これは非常に遺憾に存じておるのでございます。一万以上の単協において百件というのでございます。一般的に見ると、最近これが現われてきておるので、特に注意をしておるようなわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 大臣はそういうお答えをされるのだけれども、監督指導は厳重にやらなければいけない、しかも自治監査もやるのだということです。しかし現実にあなたのほうで指導しておるのは、そういうことじゃないじゃありませんか。三年に一回程度、監督指導、検査をすればよろしい、こういう通達を出しておるんでしょう。違いますか。それはそういう通達を出しておるとすれば、いま大臣のお答えのように、厳重に監督するのだ、検査もやらなければいけないのだ。自治監査までやるのだということとは矛盾することになる、違いますか。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 組合の常例検査は年に一回やらなければならないことが、法制度上定められておりまするので、私いま定かに記憶しておりませんけれども、三年に一回というような趣旨の通牒を出したことはないと思います。ただ、旅費の補助をしておるということを先ほど申し上げましたが、たとえば、四十一年度の補助金で約二千五百万円弱でございます。最近、検査の実施率もだんだん高めるように指導いたしておりまして、たとえば、昭和三十五年ころは三六%くらいの実施率でございましたが、三十八年、三十九年ころからは四一%程度というようなことで、逐次実施率を高めるように、できるだけ年に一回そういうことができますような方向で、今後も努力をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。ただ、長崎市の農協の問題につきましては、実は県の報告によれば、昨年十月に県が検査を実施をいたしたのでございますが、たまたま、今回組合長が逮捕されました事件のきっかけになりましたようなものが、収支とも一切帳簿に計上されておりません等のこともございまして、検査員が眼光紙背に徹することを忘れましたために、それらの点を県の検査で発見ができておりませんことは、まことに遺憾だと思います。私どもとしては、今後、県の検査官の学識経験なり知識なりが相当十分でございませんと、そういう検査の万全を期して実効を上げることも不可能だと思います。県庁の職員の養成についても、県知事も含めまして、私どもも、今後指導を強化をいたしまして、こういう不正事件が起こりませんように、また検査の実施率を一そう高めまして、未然に防止ができまするように、一そうの努力をいたしたいというふうに思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは、大臣に対しては、他の同僚委員のほうからの質問がありますから、この点について大臣に申し上げて、調査をしていただきたいと思うのです。長崎県議会で、この長崎農協の問題が取り上げられた。そのときに橋本長崎県農林部長は、国から三年に一回検査をするように通達を受けておる、したがって、その方針に従って検査計画を立てております。それで、長崎農協を検査したのは三十三年と三十六年の二回実施をいたしました、と、こう答弁をしておる。その通達に基づいて三十三年にやった、そして三十六年にやった、こういうことです。そうだとすると、これは、大臣が先ほど来答弁をされたことと事実は相違する。したがって、このような不正事件というものが発生をする点も、それらの非常にあいまいな検査、しかもその検査たるや、これはいわゆる秘密保持という形で公表をしない、検査をしても注意するという程度にとどまる、したがってこれは是正されない、こういう形になる。今回の長崎の農協事件というようなものは、何かあるというので、相当古くから——三年や五年のことじゃありません、相当古くから、警察はずっと内査をしておった。ところが、これも農政局長からあとでお答えを願うのですが、不正貸し付けというのは、員外利用をどんなにしても、それが焦げつきにならない限りは不正ではないという考え方がある。だから、私はあなたに、不正融資とは何ぞやということをあとでお答えを願うのですが、どんなに貸し付けをしようとも、焦げつかなければ不正でないということになってくると、その不正なことをやった農協長が、金を払いさえすれば事件にはならないということになる。これは私はたいへんなことだと思うのです。だから、それらの点を、これからひとつあなた方の考え方も聞かしていただいて、再びこういうことがないように、私は、十分議論をしていく必要がある、こう考えますから、一応大臣に、そうしたことの——現に長崎県議会の公の席上において取り上げられて、議論されて、三年に一回という通達を受けておる、その線に沿うてやったんだ、こういうことですから、だからいまあなたから、いやそうじゃないというような的確なお答えも聞くことができないかもしれませんから、ひとつ調査をしていただく。そしてこれから適切な措置をしてもらわなければならぬと思います。お答えがあれば伺いますが、これで大臣に対する私の質問を終わりまして、他の同僚委員に続けていただきたいと思います。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 農協は、やはり日本の小さな農業経営という問題が土台でございまするから、農協の重要なことは言うまでもありません。この重要な農協が十分な働きをし、また正当に農民を守っていく、つまり農協のための農協でなしに、農民のための農協という問題に進めていくことは、絶対必要であると私も確信するものでございまするので、それらの問題については十分検討を加えてまいりたい、かように存じます。

押谷富三自由民主党

○押谷委員長代理 勝澤芳雄君。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 大臣、十二時半までひとつがまんしていただいて、私と吉田委員ですから……。それで、大臣だけに御質問いたしますから……。  まず第一に、これは大臣、農林省というより、外務省の所管になるかもしれませんけれども、農業移民の関係です。農林省で出てくる行政の中では、農業拓植基金の造成費の補助金ですか、あるいはまた農業移民のいろいろな費用があるわけであります。そこで最近の農業移民の状態を見てみますと、前には一万名も出ておりましたけれども、最近では三千名になり二千名になり、ことしあたりは千名を割るというのが農業移民の実情であります。そこで、私は、いまの農業移民というものを進めなければならないのですけれども、やはり国内的に農業が行き詰まってくると移民が出てきますけれども、農業が盛んである限り、移民というものはないわけです。ですから、実績からいきまして、いま外務省で、まあ建設省から農林省まで入れれば、千名の農民を移民するために、約二十億から二十五、六億の移住関係の費用が使われていると私は思うのです。そういうふうに考えてみますと、農林大臣というよりも、国務大臣の一人として、農業移民のあり方について、少し大臣も御研究をしていただきたい。そしてやはり、向こうへ行く行政そのものは外務省かもしれませんけれども、やはり農業という立場から、移民問題についても再検討をしていただくようにお考えを願いたい。これが第一です。いかがですか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 現在、外国に対する移民の問題だと思いますが、確かにだんだん減っております。これは、国内における労働力の需要という問題が主であろう、さような関係から、やはり向こうへ移民する人が少なくなってきておる、というのが事実であろうと思います。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 だから、農業の移民政策について、いま外務省、移住事業団を含めて、二十億ないし二十五億くらいの金が実は使われておる。一年に千人しか行っていないわけです。だから農林大臣としても、外務省の所管であるかもしれないけれども、農業移民というものが農林省の行政の中にもあるわけでありますから、検討すべきだ、こういうわけです。大臣、局長や官房長の話を聞いたって……。私の話を聞いて答弁したほうが簡単なんですから……。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 さようでございます。検討すべきであると思います。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 それから次は干拓です。先ほど中村委員からもいろいろ質問がありました。干拓をしたけれども、実はでき上がったときには、それが工場用地にしなければならぬ、住宅地にしなければならぬというのが、最近出てきておるわけです。先ほど遊閑地という話がありましたけれども、干拓をストップせざるを得ないところがあるわけです。ですから、干拓についても、いま長崎干拓の話がありました。最初計画したときから実際に実施するまでには、五年なり十年の時日がないと実際に着手できないわけです。ですから着手するときになると、一体ここを干拓してでき上がったときに、実は農業ができるのかできないのか、もう一回再検討しなければならないときがくると思うのです。そういう点で、私は、干拓についても、大臣の目で見て——これは政治の目で見なければだめなんです。大臣。役人の目で見ると、これは仕事をやらなければなりませんから、政治の目で見て、これは将来やっぱり農地になるかならぬか、もう一回見直して、そうしてやっぱり実施に移してもらいたいと思う。そうしないと、岡山のほうで、農民に売ったけれども、二千円か三千円で売って、それを農民が二万円、三万円で売るような例が、いままでも出てきたわけでありますから、その干拓の問題。  それからもう一つは、農業構造改善事業の問題。これは今度の会計検査院の意見書の中でも言われておりますけれども、一つの例として、西脇市で事業を進めていったけれども、ストップせざるを得なかったということが、実は実例として出ているわけであります。ですから、そういう問題も、農業構造改善事業の中で、農業政策として進めているうちに、そこが住宅地区にならねばならぬ、工場団地にならねばならぬという事態がくるわけでありますから、それもやはり、地元の政治家やあるいは何かが言ってくるだけが問題でなくて、もう一回新しい目でものを見ないと、やってみた、金は費やした、いやそれが住宅地になっちゃった、あるいは工場団地になっちゃった、こういうことがあるので、この干拓の問題と農業構造改善事業の問題、大臣もよく注意をして見られておりますけれども、十分お考えをいただきたい、こういうことですが、いかがですか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 お説のとおりであると思います。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 そこで次に、今度は災害復旧の問題です。災害復旧の査定の経過が出ております。災害が復旧したときの事業費の査定を、会計検査院がやっております。昭和三十五年のときには千六百二の工事の査定検査をした中で、四百八のその査定の是正を、会計検査院がした。ですから、昭和三十五年のときには、とにかく査定の二五%は会計検査院が査定をし直したわけです。それが昭和三十六年になりますと三三%、三十七年になりますと三八%、三十八年になりますと三八%、三十九年の今度の決算書を見てみますと、実地検査が二千三百七十七で、減額したのが千十五、パーセンテージで四二%になっているわけです。ですから、昭和三十五年から三十六年、三十七年、三十八年、三十九年の経過を見てみますと、災害の復旧事業費を、会計検査院がほんのわずか、一割か一割五分の実地検査をした結果、そのうちいままで二五%減額をしたのが、今度は四二%も減額せざるを得ないような事態になってきているということは、貧すれば鈍するということで、災害復旧を、国で全部やってくれればいいけれども、地元負担せねばならぬから、結局国からもらった金で全部やろうという、制度上の問題が出てきているわけです。あるいは災害復旧に名を借りて、結局何かやろうということが出てきているわけです。それを農林省の査定の中ではなかなか見れないということは、それは災害に応じたそういう人が足りないという点に、私は問題があると思うのです。ですから、災害が多ければ多いほど、この比率からいえば、相当なむだな補助金が出ているということが言えると思うのです。これは実績としてあらわれているわけでありますから。これは大臣、災害が多いときというよりも、いま災害が定例的になってきているわけでありますから、災害復旧のときの事業費の査定をする、農林省の査定といいますか技術屋といいますか、そういうものについては、新しい問題として考えないと、それだけ、人をふやしただけ、査定をしっかりやれば、余分に補助金を出すのが戻ってくるわけですから、私はその金がむだに使われるとは思いませんけれども、そういう点で、災害復旧について、農林省のかまえとしても、やはり検討すべきだ、こう思うのです。大臣、いかがですか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 その問題もそのとおりだと思いますが、しかし、現在の情勢から申しますと、そういう人員増加の問題が非常に困難な問題というよりも、むしろ他に支出すべき問題が多いということから、人員増加の問題が非常に困難で、できる限り、現在の人員でもって能率をあげていこうという方向に向かわざるを得ないという実態であります。確かに、査定の人員が非常に窮屈であることは、お説のとおりでございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 いま大臣の言うような答弁を言っておりますと——会計検査院は、わざわざことし農林大臣に、この補助工事の問題と、災害復旧事業費の査定についての改善意見を出しているわけです。ですから、会計検査院が言っても、農林大臣はなかなかこの改善意見に沿った措置ができないということになるわけです。私は、それではいけないと思うのです。もし大臣が、人をふやすことが困難だと言うなら、私は農林省の中で、人を減らしてもいい部局をよく知っておりますから、ここを減らせということを大臣に申し上げましょうか。それはあるわけです。大臣は、必要に応じて、仕事が多くなったところは人をふやし、仕事が減ったところは減らす、そういう調整を総合的にやらなければいかぬ。あるいは省の中でできなければ、ほかのやり方もあるわけです。  いま私が申し上げましたように、ととしの実績も、大臣御存じのとおり、災害の農林省の査定したのが二万一千八百カ所あるわけです。そのうち二千三百七十七カ所しか、検査院は検査ができなかったわけです。二千三百七十七カ所検査したところで千十五、言うならば四二%が減額を会計検査院からされたということです。ですから、このことから見てみれば、会計検査院がもっと検査の実施個所をふやせば、もっと減額することが可能だということです。言うならば、会計検査院で五人でも十人でも人をふやせば、その分だけ、何というか、国の税負担が少なくなるということになるわけでありますから、その点はお考えになっていただきたい。  それから次の問題です。今度は国庫補助金の問題です。国庫補助金の問題も、たいへん問題があるわけです。国庫補助金あるいは補助工事、こういうものについての不正をやった不正工事人の取り扱いというのは、実はやられていないわけです。たとえば国の工事をやります。そこの三宅坂の工事をやった何々建設というのは、約一年間指名停止を建設省がくれたわけです。一年間指名停止をくれたら、それだけ株がぐっと下がります。あるいは国鉄の不正工事をやった、不正工事というよりも、汚職か何かやったということになれば、やるわけです。ですから、汚職とか疑獄とか、そういうことをやったときは、指名停止をくれるわけです。しかし、不正工事があった——出来高不足でもそうですよ。不正工事があったときには、補助金等適正化合理化法があるわけですから、それで取り締まりをやる、あるいは不正工事をやった業者——元請はやっておりませんで下請がやっておりますから、下請がかわいそうだといってやらないのですけれども、やはりそれは元請についてきっちりした処分をする、こういうことをしていかないと、いつまでもこういう不正工事というか、出来高不足というか、こういう工事は続いていくわけです。ですから、国の工事を直接やっている業者というのは、案外こういうことが指摘される例が少ない。その指摘される例を見てみると、出来高不足よりも、むしろ積算の多過ぎるということがよく出ておりますけれども、今度は地方の補助事業とか国庫補助金とか、こういうものを見てみると、出来高不足とかインチキ工事が多いわけです。これは元請から下請、下請からその下請に行っているわけですから、これについては国が直接やっているわけではないから、あまり取り締まりがされていないわけです。しかし、法律的には取り締まる法律があるわけですから、この点も、大臣、農林省だけというわけにもいかないでしょう。またあなたが、農林省だけやるといって蛮勇をふるうということも困難でしょうから、これはひとつ、何といいますか、ことしは前半期に仕事がずっと出るといわれておりますから——私も一回総理にこの話はしようと思っておりますけれども、前半期に仕事が出れば出るほど、工事人の選定、工事のやり方、工事の結果については、きびしい態度で臨むことによって、やはり私は国民の期待にこたえた工事をやらねばならぬと思うのです。その点について、大臣のお考えを聞きたい。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 先ほど申しましたこと、ちょっと補足的に申し上げたいのは、私は農林省全体の職員の問題を申しておったのでございますが、必要なところへ転換をさしていくことは、できるだけのことはやっているということを、つけ加えて、この際申し上げておきたいと思います。  それから、いまお話しのように、国の直接の問題は厳重にやっておりますし、また業態も大きいわけですね。だから、そういうことが非常に少ない、ほとんどないといってもいいぐらいでございますが、補助事業のほうは、間接のまた間接、府県でなしに、また町村でやっておるという、そういう実態でございますので、これはもちろん厳重に監督するということでは進めておるとはいうものの、間接の間接である。そして、その非常に小さなものが、しかも一時に一ところへ——災害の場合が多いですから、小さな工事が、その一つの地方に密集というのは言い過ぎかもしれませんが、非常にかたまって行なわれるということでございますので、実際は、やはり県等においても十分監督はいたしておりますけれども、手が伸びない、そういうことがございます。したがって、これらの問題については、今後、より以上問題を十分ひとつ徹底してまいるということについては、御同感でございます。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員 大臣、この農林省関係の補助金というのをいろいろ見てみると、これはたいへんむずかしい問題ですけれども、やはりきっちりさせるようにしないといけないと思うのです。たとえば農業共済でもそうです。共済の不正がこれだけ起きているわけです。大臣もよく御存じだと思うのです。しかし、不正をしたら、実はそれはやはりどろぼうと同じなんだというぐらいのことなんですよ、事柄は。しかし、それについての取り締まりはそうなっていないわけです。あるいは国庫補助金もそうです。いろいろなこまかい補助金が出ております。だから、農林省から見ていれば、形式的にはそのとおりですけれども、会計検査院が見た結果は、言うならば、公文書が偽造されて、領収書がごまかされて、つじつまが合っているわけです。これを一つの事件にしたら、私はたいへんなことだと思うのです。しかし、なかなか農林省はそういうことはやらない。ですから、これは急にやれといっても無理かもしれませんが、私も会計検査院に研究してもらいますけれども、やはり農林省としても、この補助を出した金というものが、牛を買うなら確実に牛を買う、それが何か変な形になっていないように、あるいは建物を建たせたら建物がきっちり建っているようにしないと、やはり目的に沿わないと思うのです。もしそれが不正にいろいろ流用されるとするならば、それは制度が悪いわけでありますから、やはりそういう制度がないようにしなければいかぬ。だから、やはりきめたことだけは確実に守られて、それが不正な公文書によって、まことに間違いなくできた、検査の結果それが違っておったということがないように、これは特に私は大臣に要望しておきます。別に答弁は要りません。答弁の模様はたいていわかっていますから。これはぜひひとつ研究して善処して、ここ一、二年の間に、不正ができる、できないというよりも、不正をさせないような教育を——いま言ったいろいろな農業団体、漁業団体というのは、わりあいとルーズという言い方がいいか悪いか知りませんが、やはり経理の面には暗いわけでありますから、そういう点はぜひひとつ御注意いただきたいと思います。  私は、質問を終わります。

押谷富三自由民主党

○押谷委員長代理 吉田賢一君。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 大臣に伺います。数字をあげる時間もありませんので、簡単に、要点だけお尋ねすることにいたします。   〔押谷委員長代理退席、勝澤委員長代理着席〕  第一点は、開拓営農の今後の政策であります。これは、御承知のとおりに、満州の引き揚げ農民がありますし、あるいは戦争被害の都会人もありますし、全国で十二万余りといま称せられておりますが、これの第二次振興計画の期間が明年終わるように存じております。そうしますと、それで終わってしまうのであろうかどうか。さらに第三次といいますか、新振興計画を立てるおつもりであるかどうか。この点は、年次報告並びに本年度のなさんとする施策なるものを読んでみましたけれども、もう一つはっきり出てきません。どのようにお考えになっておりましょうか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 この第二次振興計画の指定の問題でございますが、開拓農家に対する施策は、三十六年の開拓営農振興審議会答申に基づいてやりましたことは、御存じのとおりでございます。そのうちで、大体これもあるいは御存じであるとも思うのでありますが、一類、二類、三類と分けまして、一類は、開拓農家のいわば卒業生というようなわけで、一般農家以上の水準にあるもの、これは現在大体二三%ぐらいに相なっております。それから二類と申しますのは、大体一般農家並みと申しますか、これは大体五〇%ぐらいございます。三類というのが残りのものでございまして、いま言った一類、二類とは別のものでございまして、これらについては、むしろ離農する開拓者がありましょうし、それからまた、農業を続けていきたいというもの、そういういろいろの区別はあると思いますが、離農農家に対しては、大体四十万円とかあるいは五十万円というものを差し上げて、そうして離農の手段を講ずるというふうに進むということで、一応四十二年でこれらの事柄を済ますつもりでは進んでおるわけでございます。しかし、事実問題はまた事実問題でございますので、いま言ったような情勢でございますけれども、残りのいろいろな問題について、その後についての考え方として、また事実に対するいろいろの施策も考えなければならぬということも、起こることもあろうかと思っておるわけでございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 実は、昨年の九月、例の二十三号等の台風のときに、大臣も兵庫県に御出張になって、神戸まで一緒だったのですが、私はあの日、実はあの足で開拓農へ呼ばれていったようないきさつもあるのであります。自来、私は、非常に開拓農のあり方、実情につきまして、興味を持ちまして——実は近畿地方は全体でも二千戸ほどしかありません、ほとんど関東並びに東北、北海道でございます。したがいまして、地域的利害といたしましては、ごく微小な存在です。しかし微小な存在なるがゆえに、社会的行動力はございません。その力の微々たることは、何の反響も呼びません。しかし現実にはほうっておけない、こういうふうに思うのであります。審議会の答申なるものを私は読んでみました。見ましたが、やはり大臣、一応あと始末的な、離農対策を四十万やるということはわかりますけれども、実のところ、たとえば満州から開拓民が引き揚げてきた、あるいは子供が高等学校へ行く年齢だというような者は、四十万円もらいまして、そうして町へ行きましても、ほんとうをいえば、現状は町へ捨て去られるのと同じようなことでございます。格別に手に技能もございませんから。したがいまして、これはやむを得ざる消極的な手で、私はやはり第二類に属する、これはいろいろな施策の対象になっております。おっしゃる五〇%、これをを中核といたしまして、さらに第三次の営農振興の計画をお立てになる必要があるのじゃないかということを切実に考えるのです。たとえば社会資本の投資の問題にしましても、その辺に、道路にしても、あるいは小学校の通学のそれにいたしましても、あるいは用水にしましても、何にいたしましても、やはり不利な劣悪な条件はあまり改善されておりません。また各府県やその辺の自治体にしましても、その他の公共団体にしても、それほど、山の上や不便なところに資本を持っていく余裕はいまございません。したがいまして、私はやはりこのような手の届かないところにある、隠れたような下積みになっておる百姓をお救いになるということが、ほんとうの日本の農政じゃないかと思います。こんなことは釈迦に説法ですけれども、ドイツあたりのあんな経済のすばらしい発展をした国でも、農業問題の解決はできない。言うならば、世界的に農業問題の解決はむずかしいことのように私も思います。坂田大臣はその道の通の通ですから、特にしろうと大臣じゃないから、よけい申し上げたい、もう一ぺん、やはり農政のうんと振興するよう機運を盛り上げなければいかぬのじゃないかと思うのです。農基法ができまして、基本的な方針は立っておる、路線は一応きまったように思いますけれども、なおこんな落ちこぼれがございます。力が弱いのです。それがたとえば近畿に千名も寄って、デモでもやるか、そんなことはできやしません。そんな金もなければ、ひまもありません。そういうことを考えますと、やはり開拓営農の今後の施策につきましては、もう一ぺんお考え願うべきじゃないだろうか。そして、たとえばいま相当の借金がございます。公庫の負債もたくさんございます。いろいろな負債を持っておるものもありますが、負債の今後はたいへんな問題です。営農はもちろんですが、ましてや後継者問題なんといったら、これはゼロ回答になる危険があります。先般あそこに大会がありまして、私行ってみましたが、何ヘクタールという大きな土地を持つというのは、農地法でくくられておりますし、何の魅力もございません。ですから、この辺は多くは申しませんけれども、願わくは、やはり三次計画、同様のものでなくてもよろしゅうございます。あと始末じゃなしに、積極的にもう一度、どうしたらいいかということについて、徹底した対策を立てるということが、私は農政のほんとうのあり方だと思うのです。町ならば切り捨てて、中小企業なら、そこらで適当にしなさいということで、ばたばた済んでいく問題がございますけれども、百姓はそうじゃないです。土地と天候、そんなものに支配されたそれですから、やはりあと始末ということじゃなしに、進んで最終的な、言うならば有終の美といいますか、ちゃんとした結末をつけるということが、私は審議会ができた趣旨だと思うのです。三十二年に法律ができましたのも、それだと思うのです。また外地やあっちこっちから帰省者がそういうところに行きましたのも、ほんとうはそこにそういう期待があったと思いますので、この点はさらにもう一度お考えいただきまして、そしてあなたの手でひとつ次の立案をせられんことを御希望申し上げておきたいのです。ひとつ御意見を伺いたいと思います。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 吉田委員は、以前から農村の問題について、非常に御心配、御配慮を願っておりましたので、私もよく存じておりますが、いまの問題はよほど考えなければならぬと思いますので、先ほどのような御答弁を申したのであります。なるほど土地はなくても、なかなかいろいろの情勢がありまして、この前も群馬のほうで、自分の部落に土地はない。しかし普通の足では歩けないところを、バスでもって行けば、このごろ簡単に行ける。きわめて近い。そしてそこには相当の土地があって、そこで養蚕をやるように指導して、二十七戸の養蚕農家ができ上がっている、非常に喜んでいるということも聞いております。  また農事試験場長をやっておりました人ですけれども、自分の部落へ帰りましてから、どうしてもやってくれというので、非常に熱心にそういうふうなことをやりましたが、二年半ほどになりますが、たいへん成績がいいということを聞いております。そういうので、紋切り型でなしに、もっと徹底したことも考えながら、実情に合うように、十分これらの問題を考えてまいりたい、かように存じております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 第二点は、兼業の今後の扱い方であります。特に私は近畿型、そういうことばがあるのかどうか知りませんけれども、最近の近畿、たとえば大阪、京都の農政局あたりの報告によってみても、また現実の実情を見てみましても、二種兼業がだんだんふえてまいりました。そこで、それはもう百姓を片手間にやっているのだから、そんなものを相手にして、生産の増強であるとか所得の均衡だとか、なんだかんだといって施策をするのには価値のない対象だというような考え方じゃなしに、これはこれなりに、ひとつ合理的に、科学的に、経済的にやってみてはどうだろうか、その対象として、積極的にお取り上げになってはどうだろうか。その種兼業が漸増するということは報告にも出ておりますし、これはわれわれもよく存じておりますが、それは特に都会から自動車で一時間くらいの距離のころでは、家族全部百姓につけといったって、これは無理であります。やはり工場へ行け、むすこはどこか会社へつとめろ、何かほかの仕事もしろ、そうして百姓を守っていこうという気持ちがあるのですから、これはこれなりで、一つの日本的な兼業をどうしてもっと合理化するか、もっと経済化するか、もっと企業的に採算がとれるようにするかということに、手厚くやっていかぬといくまいと思うのです。そうしませんと、逐次百姓らしい気持ちを去りまして、できるなら売ってしまって——そこらに宅地造成屋がうろうろしておる、ゴルフ場が近くにできるかわからぬ、国道を近くにつくるかもわからぬ、売ってしまって、都会の近郊へ行ってアパートでもつくって、家主になって、寝食いして暮らそうかというような風潮さえ絶無とは言えません。これでは農村が滅んでしまいます。そんなことをしたら、食糧輸入で日本はアメリカの属国になるかもしれぬ。そんなようなことも私は思いますので、これも釈迦に説法ですから申すまでもありませんけれども、私は、ともすると兼業農家というものが陰の間になっているような感じがしてどうもならぬのです。だからその辺は、特に近畿においてはそういう傾向が非常に強いですから、工場も行ってるわ、妻も働いてるわ、そしておやじも働いてるわ、百姓の勤労も大事に考えてやってるわというところ、それはよしんば協業体制にならなくてもよろしいから、それはそれなりに、やはり独特の存在として持っていく余地があると思うのです。それは特段にくふうしてもらいたい。さりとて、いまのような、機械を入れて機械貧乏するようなことにならぬように、何とか省力農業の方法につきましても、農林省は特段の研究もして、そうしてあっちこっちの試験場あたりからも指導されるようにして、やはりこれなりで、ひとつモデルをあっちこっちにつくってもらってやってはどうだろうか。耕地を拡大せい、協業せいというだけじゃなしに、まだこの余地が相当あるじゃないか。この点は、やはり共産圏あたりのやり方等にも見られるものではありませんし、日本における一つの長所でもないかと私は思いますが、何とかこれはこれなりで合理的に進める余地があるというふうに思いますので、この点につきましても、いかに兼業の維持を合理的にやるかということの施策について、伺っておきたい。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 私も、その点については非常に通じたところがあるように思うのです。私はやはりこの際に、吉田委員も同様であろうと思うけれど、できるだけ省力農家で、規模のある程度大きい、いわゆる自立農家というか、そういうものがふえるということを一本の大きな中心に考えていきたいということは、変わりはございません。しかし、さればといって、きれいに専業農家だけを日本の国に存在させるということは、とうてい考えられないことである、こう私は考えておる。その一つの例からいいまして、いまの吉田委員の申されたのは、郊外の小さな第二種兼業のお話でございましたが、それもございますが、またそのほかに、北陸地帯のごときは、もう専業農家は一〇%ないのです。それは大きくても兼業なんです。と申しますのは、主として、やはりそれらは、農業が進歩しまして、早くできるようになりました。水田がいままでなら一年じゅうかかったものが、六カ月間くらいで全部でき上がってしまう。こういう進歩の結果でありましょうが、そのときに、農業でもってあとを継ぐということができれば、それはほんとうの専業農家になって、労働力を全部農業に入れられるのですけれども、なかなかそこへ行きにくいという農家もあります。また、これは人の能力によって、そうはできないというものもありますので、それらは農業以外の兼業ということになろう。そうすると、いままでの考え方でいうと、小さな兼業ということだけ考えておりましたが、このごろは大きな兼業もある。しかしこれはその地帯では農業の本体である、こういうものもありますのをどうするかという問題、それらに対しては、できるだけ農業的な兼業を与えていく、こういうふうに私ども考えるのでございます。それで、第一種のほかに第二種がある、いま吉田委員の申されたことについても、やはり、私どもは、そういうものは要らぬのだ、こう切り詰めてみたって、そうはいかない、やっぱりちゃんと存在するものは存在するのでありまするから、これらをりっぱに合理的に存在せしめるということが、農政としてきわめて重要であるという点を、私も考えておりまするので、これらの問題についても、いろいろの点で、協業のできるものは協業でいこう、その協業のときに、相当の機械力を使おうということもいいであろうと思います。そのほかいろいろの方法を講ずる必要があろうと思いますが、その点については、やはり考えていかなければならぬ大きな問題である、かように存じておるわけでございます。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 第三点は、農村の青少年問題です。これはもっぱら農林省は——もっぱらというと語弊があるかもしれませんが、後継者問題としてお扱いになっておるらしいのでありますが、農業の後継者問題としての青少年のつかみ方も、非常に重要なことであることは申すまでもございません。しかし半面から見ますと、中学等の学卒がどんどんと都会へ行ってしまっております。そして御承知のとおり、全国の青少年について、非行少年というのが二十人に一人という数字があがってきております。洗ってみれば、家は農村である。町で生まれて町で伸びていった少年もありますけれども、農村の者が大部分は町へ行ってしまうというふうになりますので、私はやはりその点は、後継者問題としての青少年の育成、あるいはそれのいろんな指導、教育、倫理の講習等々は、施策としておやりになっておることも存じておりますが、やはりこの点は、全国的な視野に立って、都会へ送り込んでいく青少年、都会から帰ってくる青少年、いろいろ悪いものがついて帰って、非行のもつれに入ってしまって、あっちもこっちも困るという、その関係をとらまえるという角度で、ぜひ新しく見直していただきたい、こういうふうに私は思うのであります。したがいまして、この点はやはり総理府等なんかと御連絡をおとりになりましてやっておられると思いますけれども、流動する青少年の実態というものを、いまいったような角度からも十分に把握していただく、そういたしますると、よしんば不況時に帰ってまいりましても、それはそれなりで、りっぱに積極的に村のプラスになり得るだろうと思います。そういうこともありますので、この点はあまりお考えにならなかったかもしれませんけれども、私は、後継者問題としての青少年のほかに、どうしてもいまのような角度から扱うということを、ひとつ積極的にやっていただきたいと提言をしたいと思うのです。いかがでしょうか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 ただいまお話しになりました点については、私も十分ひとつ検討を加えてまいりたいと思います。いま直ちにこれをどうということはありませんが……。ただ、問題は非常に大事な問題である。これは関連するかもしれませんが、教育を受けるとすぐ農村を出たがってしまう。これはいまに始まったことじゃございません。私どもの中学時分から、中学教育を受けたら農村にとどまらない、かりにとどまっても農業はしないというのは、いまに始まったことじゃございません。そういう点からいって、どうも日本の教育はあまり——これは言い過ぎの場合は取り消しますが、教育をやると農業をきらうというのは、いまに始まったことでなく、従来からの一つの事柄であって、これらの問題を何とか考えていきたいということを考えるのでございますけれども、やはり時の勢いというか、明治維新以来の産業発展の勢いというか、それらの勢いに乗せられておるか存じませんけれども、こういう問題に対してどうしようかという問題は、なかなか困難な問題でございます。現在、農林省において、後継者問題で、伝習農場があったり、いろいろこれに関連する教育がございますが、実際に現実に農業を営んでいくというこの伝習農場が、教育の一つでもございますことは御存じのとおりでございます。ここに行って話をしますと、非常に愉快——愉快というのは、これは言い方はおかしいですけれども、熱心にしかも喜んで農業をやるというりっぱな青年が寄っておりますのが、各所で見るのでございます。非常にこれは喜ばしいことだと存じておるわけでございまして、やはりわれわれとしても十分こういう点を考えて進まなければならぬ、こう考えております。

吉田賢一民主社会党

○吉田(賢)委員 次に、基本的な一つの問題でございますが、構造改善事業につきまして、これは経営規模を拡大していくという方向づけが、大体いまの基本的なうたい文句であろうかとも思っておりますが、実は、これと戦後の民法の相続の関係です。御承知のとおり、民法相続編によりますと、これは妻が三分の一、そして子供は三分の二を均分して相続する、こういうことになっております。したがいまして、長男が東京に来ておる、次男が大阪におる、三男が九州におる、嫁に行った者もどこかにおるということになれば、それらがみんな合わせて、耕地の所有権を共同で持つわけでございますけれども、これはやはり最近の農地価格の情勢等から見まして、また非常に個人主義的な財産関係を考えるような風潮も影響するかとも思いまするが、いずれにしましても、とかくどうも問題が多いですね。そのよってきたるところは、一つはそこにあるのではないだろうか。私は、さりとて、それじゃ相続法を改正して長子相続一本に逆転しなさいという意味ではないのです。意味ではありませんが、いずれにしても、構造改善事業を推進するにつきまして、なるべく大きな土地にしようというときに、兄弟みんなばらばらになって、意見が違って——そんな者が寄って会社にでもしたらどうか、農業法人でもつくったらどうか、共同でやったらどうか。兄貴は百姓をし、弟は会社づとめをしていて、そんな百姓なんて興味がないということになるところに現実の矛盾があるのではないか。この矛盾をどういう方法で解決したらいいかということは、これはまだ私自身も案はありませんけれども、法制審議会等で協議してしかるべきですが、しかし農林行政の元締めである農林大臣は、この点にひとつ積極的に取り組んでいただいて、お考えになってはどうか、こういうふうに思います。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 吉田委員の申された点についてでありますが、この相続の問題はどこの国でも——ドイツなんかでも、初め均分相続のようにいきますと農業には合わない点がある。完全に合わぬというわけでもないでしょう。思想は確かに均分でしょうけれども、それが農業そのものに非常に合いにくいということが起こってきて、そこでいわゆる特殊の世襲農業制度をこしらえてみたり、いろいろやったところからいきましても、どうしてもこれは現在の民法改正と並行して、これの趣旨——完全にこれに反するのではなしに、その趣旨に沿いながら、農業について特殊の相続の問題を考えなければならぬのじゃないかということを、私も考えておりますけれども、いまのところ、うまい案がまだなかなか考えられないので、検討を加えたい、こう考えております。  それと同時に、構造改善につきましては、これは申し上げるまでもないと思いますが、北海道のような、都市から非常に遠いところ、交通の少し遠いところ、あるいは地力の非常に弱いところ、そういうところは経営が将来大きくならざるを得ぬ。それから都市近郊は経営が大きくはできない。合同して大きくすることは、各個人個人が一緒になってある程度大きくするということはできるでしょうけれども、小さい個人経営あるいは集団経営のうち一分子を大きくするということは絶対できない。これは経済学上不可能であるということも考えられておるのでございます。したがって、近畿地帯の、吉田委員の地帯なんかでありますと、これはどうしても面積は小さくなる。しかしこれは資本による拡大はできましょうけれども、面積による拡大は絶対できない、こう私は確信しておるのであります。したがって、これらの問題は、面積ということによっていきます場合は、これはよほどそういう点について考えてまいりたい。そうしてこれに反した場合は絶対失敗であるということを断言してはばからない、私はこう思うのでございます。そういう方向で進みたいと考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 一問だけ、大臣にお尋ねします。  さっき大臣は、農協のあり方は、農民のための農協である——そのとおりなんですが、ところが、先ほど、私は単位農協の不正融資の問題等からいろいろ考えさせられる。また最近の農協合併、大農協主義ということで、それぞれ理由があるわけです。ところが、農民のための農協ということになってくると、どうしても農協と農民というものがほんとうに信頼感を保つ、農協長と密着していくという形でなければならぬ。そのためには、大農協ということになってくると、いまのようないわゆる農協長の理事互選という選び方は、これは農民との関係が遊離していくというような感じがします。だから、この際農協の再検討という立場から考えてみると、農協長の農民の直接選挙ということを、私は、考える段階ではないかというような感じがいたしますが、それらの点を検討されたことはないのかどうか、その点に対してはどうお考えになるか、一応大臣のお考えを伺って、それで大臣お帰りになってけっこうです。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 農協の問題は、先ほど申しましたように、農民のための農協ということの趣旨に徹底すべきものである、こう考えておりますことは言うまでもないのでございます。これがいま制度上どうしたらいいかということを考えますと、まだ実はその定見もないのであって、これらは率直に申しますと、農政局を中心に、いま経験者並びに学者等に寄ってもらって、それらの問題も含めて、いろいろ研究を願っておるわけでございます。結論は得ておりません。確かに、そういう方面について、それに即応した制度であるかどうかという問題については、やはり考えなければならぬ点もあるように思われます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 農政局長にお尋ねしますが、先ほどの農協のいわゆる不正融資という問題ですね。あなたは、この不正融資というのはどのように理解をしておられますか。先ほど私が申し上げたように、員外利用という問題は、おっしゃるように、当該年度における組合員の利田川の数量の五分の一が、員外利用という形で認められておるということですね。ところが、この員外利用というものの限界がはっきりしない。先ほど私が貸し付けの問題について触れましたように、当該農協の所在地以外の員外利用というものがなされておることが正しいのかどうか。それから不正融資というものも、焦げつきがなされた場合に初めて、その不正融資という形になるのかどうか。そこらあたりはいろいろと検討しておられるだろうと思うのですが、どうなんですか。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 不正融資の範囲ということになりますれば、やはり厳格な意味で、法律及びそれに基づくいろいろな命令、それから組合自身の定めております定款に違反するような貸し付けでございますれば、それが焦げつきとかあるいは回収ができればいいとかいうような問題ではなくて、それはやはり違法な貸し付けだということになろうかと思います。ただ、私どもが国として直接、あるいは都道府県をして検査をいたさせます場合にも、私どもの検査そのものが、指導と申しますか善導と申しますか、そういう立場で、将来あやまちが起こらないように、またその結果として農協本来の運営に支障を来たさないように、未然に事故を防止する指導をいたすことがたてまえでございますから、検査をいたしました場合にも、ただ悪である、不正であるといってきめつけるだけではなしに、そのような事実の発見をいたしました場合には、当然未然にそれを是正して、本来の正しい方向へ今後運営をしていくように、またそのための改善方策を組合としてはどのように考えるかというようなことを指示いたしまして、回答を求め、そういう形で未然に事故の防止の指導をいたす、そういう立場で、検査、監督をいたしておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 この員外利用というものが、五分の一という形で認められておる。ところが、いまの不正融資の問題は、組合の定款等にきめられたことを逸脱した貸し付け等が行なわれた場合には不正融資だ。それはいろいろ定款の定めというものもあるわけですけれども、五分の一以上になっている、いわゆる定められたものよりも逸脱しておる、こういう場合、私が申し上げたように、焦げつき——かりに五分の一以上が利用されておるというような場合であったといたしましても、これが焦げつきであるという場合が不正融資であって、焦げつきでない場合は不正融資でないということになってくると、員外利用との問題が関連をしてきますね。五分の一以内どの程度——個々の具体的な貸し付けのケースがあるわけですが、五分の一はこえておるけれども、その中に焦げつきが出てきた、焦げつきは出てきたが、焦げつきそのものが不正融資というような形になるのか、あるいは、五分の一をこえておるというような貸し付けそのものが不正融資になるのかというようなことは、こうした事件が起こってまいります場合に、非常に微妙な点であろう、こう思うのです。それで長崎の単位農協の問題については、あなたのほうに対して報告がなされておる、こう思うのですが、これは員外利用がどの程度なされておるのか、それから不正融資というようなことに対して、あなたのほうの調査はどういう形でなされておるのか、そこらをひとつ、おわかりでしたら、お聞かせ願いたいと思います。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 長崎市農協の事件につきましては、先ほど先生からお話がございましたように、現在貸し付け金は約十一億円でございますが、今回の事件の対象になりました金額は、五千百万になっておるようでございます。したがいまして、全体のワクからはオーバーをしておりますし、また員外者に対する貸し付けは、出資金の二割までを一個人に対しては貸し付けて、それ以上は貸してはいけないというようなことにいたしておりますので、これ自身が定款違反であり、法令違反であるかというふうに、県の報告から見ますと考えられます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 これはいま取り調べ中の事件でございますから、あなたのほうとしても、まだ十分おわかりになっておられない点もあるだろう。私の調べたところによると、焦げつきといわれるのが二億数千万円という数字になっております。しかもまた、農協の財産を農協長個人の名義にしておった、いろいろなことが目下取り調べの対象になっておる。こういうことですが、いずれにいたしましても、私はもっと農協に——単位農協にいたしましても、厳重な検査というものが行なわれなければならないということ、それから員外利用にいたしましても、あなたのほうで、いままで員外利用がどの程度なされておるかということを常時調査をしておられたのかどうか、あるいは員外利用が五分の一をこえておるというような場合において、これに対して注意の勧告をされたといったような事実があるのかどうか、ここいらは、この種の事件が発生したということを契機にして、これから厳重な監督指導をされる必要があるだろう、こう思うわけです。お答えも願いたいのですけれども、時間の関係がございますから、けっこうです。  次に、開拓農民の具体的な問題について、農地局長にお尋ねをいたしますが、増反補助金というものを出しておられる。この増反補助金というものが他に流用されるといったような事例があるであろう。他に流用された場合の支払い義務というものはだれが負うのか。これは開拓農協の連帯責任の問題もありましょうが、まず、それらの点に関して具体的な問題があるわけでございますけれども、ひとつ基本的な考え方について、お答えを願いたいと思います。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 国からの開拓関係の補助金につきまして、他に転用または流用したような場合は、一般的なお話といたしましては、当然、補助金の償還等を請求せざるを得ない状況でございます。  なお、具体的な問題としてお尋ねがありますれば、お答え申し上げたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 増反補助金を他に流用した、そしてその当の債務者が逃亡した、その場合に、妻子が残されておる、こういうような場合、それの支払い義務者というのはだれですか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 具体的な条件をさらに詳しくお伺いいたさないと、的確なお答えもいたしかねるわけでありますけれども、開拓農協が補助金を受けまして、開拓者に金を渡して、その開拓者が逃げたといいますか、山を下って、妻子が残されている場合といたしましては、形式的に申し上げれば、その残った妻子が債務を負担するということになるだろうと思います。ただ現実において、きわめてやむを得ない事情がございまして、残された妻子が支払いいたしかねるというような場合がございますれば、それは具体的な問題として、そのつど国の債権をどうするかということで、また判断をいたさなければならないだろうと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 増反補助金は、その事業の工事の進捗状況に応じて交付するということになるのではありませんか。その点どうですか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 増反補助金と申し上げるより、むしろ開墾の補助金でございますね。ちょっと、先生の御質問の意味がただいまわかりかねたのでございますが、もう一度お願いできませんでしょうか。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それでは具体的な例として申し上げます。国の方針に従って、開墾補助金、こういうことになりますね。樹木等を伐採する、そうして開拓農民が増反をしていくことになるわけですね。ですから開拓補助金ということに正式にはなるのでしょう。その場合、こういう事件が起こっている。その補助金の交付を受けた農民が逃亡する、妻子を残して山を下った。ところがその一部だけは支払っておるけれども、大部分はまだ事実上その増反のために使われていない。そこで、それは妻子を残して逃亡したので、これは県がやるわけでありますが、県としては、これの支払いを請求しなければならない。その場合に、妻子にこれを請求をする、ところが、残された妻子としては支払いの能力はない、その場合に、それじゃ、その妻子に離農の手続をしろ、そして問題の離農資金を交付する、こういうことを要求されておるという事例がある。本人が逃亡した、残された妻子は生活をしていかなければならない。離農したということになってくると、全く生活の道を断たれてしまう、こういうことになる。だから、ここで問題になるのは、そうした補助金というのは、それはまあいろいろな例もありましょうけれども、いわゆる前渡金という形において渡さなければならぬという場合もあるだろう。事業の進捗状況に応じて支給するということもあるだろう。まあいずれにしても、私がいま指摘しておる具体的な事例としては、一部だけ支払いをして、いわゆるブルドーザーの借用料というものだけを一部支払った。そして他は全部他に流用して、そのまま放置された。で、妻子は、これを払う能力がない。じゃ、離農しろ。離農資金を交付して、それをもって充当しよう、そういうことが好ましくないということだけはわかるのだけれども、そういうことをやってもいいのかどうかということです。農林省としては、これらの点に対して、どのような指導をしておるのか。こういう、私がいま指摘したような具体的問題というのは、他にも例がないとはいえない。だから、私はこれらの点に対しての考え方を伺ってみたいと思う。   〔勝澤委員長代理退席、押谷委員長代理着席〕

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 きわめて具体的な問題であるようでございます。おやじさんが一人で山を下ったことで、人間関係といいますか、家族関係にも具体的に関係がある、きわめて複雑な問題のようでございますが、一般的な問題としてお答えいたしますれば、家族のうち、主人公にしろあるいはだれかが、離農といいますか、開拓地を下った場合でも、あとに残された家族で農業経営がやっていければ、これは当然、私はその開拓農業を続けさすべきだと思います。先ほども大臣からお話がありましたけれども、離農を援助いたしますのは、私ども、やむを得ないということで離農を援助して、国と県とで金を持ち合って、四十五万円の離農奨励金というのを交付するわけでございますけれども、一般的に、その家族が、主人公がかりに開拓地を離れても、農業がりっぱにやっていけるという見込みがあり、しかも、現在はそれほどではなくても、新振興対策によって、政府から相当な借金をすれば、経営がりっぱなものになるということであれば、これは二類農家として、当然新振興対策の中に入れるわけでございます。また、主人公なり家族のだれかが離農して行くえがわからなくなりましても、その場合の補助金の返還を求めますことも、これもまた、国の債権の保全ということでございますから、そうむやみにまけたりあるいは支払いを免除したりしていいというものではないと私は存じます。したがいまして、きわめて具体的な御質問でございますので、私、その事件を詳細存じませんので、一般的なお答えしかできないわけでありますが、まず、国の補助金は、やはりたてまえとして、返してもらわざるを得ない。そうしてあとに残された家族で農業がりっぱにやっていければ、新振興対策の対象になり得るような農家ならば、私は、当然それを認定するように努力をいたさすべきだと思います。しかし、どうしても営農条件が悪くて離農せざるを得ないような場合は、これは先ほど申し上げましたように、四十五万円の離農奨励金で、離農を援助するということになるだろうと思います。私ども、離農を援助させる場合でも、実は離農せざるを得ないような人は、相当借金に困って離農する場合があるわけでございますから、国が貸しております金につきましては、償還条件を非常にゆるやかにしたり、あるいはある場合まけたりいたしますと同時に、農協あるいは中金等とも話し合いまして、その金融機関からの借り入れについての条件の緩和にも努力をいたしまして、相当借金がある農家でも、大体この三、四年の動きで見ますと、二十万円台の金は持って離農するという状況でございます。したがいまして、私がいま申し上げましたことは、開拓農家としてりっぱにやっていける場合は、二類農家として新振興対策の対象にするし、それが遺憾ながらできません場合は、離農奨励の対象にする。しかし離農をいたします場合でも、国の債権を含めて、その離農しようとする農家の借り入れ金の条件の緩和については、県あるいは開拓組合等を指導いたしまして、離農して将来の計画が十分立ち得ますように現在努力をいたしておる、これが一般的なお答えになります。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私がお尋ねしているのは、りっぱに農業経営をやって新振興対策の対象になり得るかどうか、その問題と、私がいまお尋ねしていることとは違うわけです。離農するという意思は本人は持っていない。それは、生活の道を断たれるのだから、簡単には離農なんていうことはできない。ところが、この離農というものが他動的に進められておるのですね。先ほど申し上げたように、その増反のための補助金というものが出された。それが、その本人が他にそれを流用して逃亡してしまった。残された妻子に対して支払いを請求した。支払うめどがない。能力がない。それならば離農しなさい。四十五万円の離農奨励金を交付するから、それで払いなさい。ところが、その四十五万円程度その増反のために交付されたその資金、その債務だけを支払って残額が残ればよろしいけれども、ところが、お答えのとおり、離農する人は他の別の債務があるのですね。だから、離農奨励金というものはその債務に引き当てられてしまって、もうその離農する妻子には金が残らないということ。そうすると、完全に生活の道は断たれる。生活保護か何かということによって生活していく以外にはない。しかしその当の残された妻子は、何としてもそこへ残って農業を続けていきたい。そのうちには逃亡した夫も帰ってくるであろうという一るの望みもある。にもかかわらず、だめなんだ、離農しなさい、そうして支払いなさい、ということを、本人の意思に反して要求されてくるということが適当なのかどうか。それらの点に対して、具体的な問題に対して、農林省としてはどうお考えになるのか、これをお尋ねするわけです。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 私、先ほど申し上げましたように、国の債権を確保するというたてまえからいって、その開拓農家に対する補助金の返還を、そう簡単に、もういいというふうには申し上げられないわけであります。したがいまして、当然残った妻子から、国が債権を返してもらいたいということを言うのは、これは私はしかるべきことだろうと思います。しかし、現実の問題といたしまして、開拓農家が山を下るといいますか、離農するかどうかということは、これは当然その開拓農家にとっても重要な問題でございますから、客観的に見て営農をやっていける条件があり、また当人たちが営農を続ける意思があるということでありますれば、これは先ほどの国の債権の返還の問題とは別に、私は新振興対策の対象として営農をもり立てるべきだと思います。これは非常に具体的なことでありますから、もしもその地区等々の事情についてあとでお知らせいただけますれば、私のほうは、県を通じて詳細を調査して、実態に即するような解決をいたしたいというふうに思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 りっぱにやっていけるかどうかということになってくると、中心であった夫が逃亡していなくなった、残された妻子だけでりっぱにやっていけるかどうかということは、客観的に見てなかなかむずかしいところでしょう。ですけれども、りっぱにやっていけるかいけないかは別として、妻子は残ってやりたい、だけれどもだめなんだ、離農をしなさい、そしてそれを支払いをしなさい、こう言う。私は国の債務を払わぬでもよろしいと言っているのじゃないのです。いま直ちに離農をして払え、ということを要求することはどうなのか、こう言っているのです。そのまま残って、自分で精一ぱいのことをやりたい、その間にはまた夫も帰ってきてくれるだろう、そうすると、そのまま山を下らないで開拓農民として生活をしていくこともできる、夫が帰ってくると、また増反のための補助金を支払いをすることもできるであろう、こういう気持ちなんです。それを、それじゃだめなんだ、あくまで離農をしろ、そして支払えというようなことを強要するということが適当かどうか。これは具体的な問題じゃなくても、一般的なこととして私が申し上げておることでも、お答えはできるだろうと思う。それで、私はよくわからないのですけれども、その新振興対策というようなものに乗せるためには、りっぱにやっていける人でなければ対象にならないわけです。いまの場合に、新振興対策に乗せるほどのいわゆるりっぱな農業とは認められない、認められないのだけれども、当の本人は、残された妻子はそのまま残って、やはり山を下らないで農業でもって生活をしていきたい、こういうようなことですね。その関係がどういうことになるのか……。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 離農の奨励金を国が交付いたします場合は、当然本人が離農をしようということでございます。本人が離農をしないで、かりに生活が苦しくてもここにとどまりたいということを非常に強く言います場合は、決して無理に離農しろ、あるいは離農奨励金を交付するというようなことはいたしておりません。したがいまして、私はこの問題はなかなか複雑な事情があると思いますので、いま県がとっております処置が不適当だというふうには申し上げられないわけでございますけれども、離農したくないのに、無理に離農しろというふうには、私ども一般的には指導はいたしておりません。おそらく県も、いやがる者を無理に離農させて、それで金を払えというふうには申していない、もしそれを申しているとすれば、私は適当な処置だとは考えません。ただ、非常に不幸な状態で開拓地に残って、専業農家——私ども二類農家の五年後の目標は、大体中庸の専業農家の生活水準の所得が得られる見込みがあるもの、ということで処置いたしておりますけれども、そういう見込みがなくて、長いこと貧農としてとどまることが歴然としている場合に、開拓地にとどまることは無理ではないかということを県が申し上げていることは、私は、実情としてはそういうことがあるのではないかと思いますけれども、離農したくないという者を、無理やり離農さして奨励金を交付して、その中から先ほどの補助金の還付を求めるというふうにいたすことは私ども適当ではあるまいというふうに考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私があえて名前をここに出さないのは、私が聞いておることが実は一方的である。いわゆるそうした状態に追い込まれた者から、こういった無理な要求を受けておる、当の妻子はそのために病気をし、寝込んでしまった、そして町会議員が、あまりに気の毒だというので、医療保護の対象にするために努力をして、いま入院をして病気療養中の状態、しかしそういったことが事実あるのかどうかということについては、県からの事情聴取は私はしてない。だから具体的な名前はわかっておるけれども、ここではっきりその名前を申し上げないのはそういうことなんです。だから、いまの考え方はわかります。私もそうであろうと思っておる。無理に強要すべきではない、やはり強要するのではなくて、問題の処理をする道は他にあるであろうと考えておったわけですが、考え方は同じだから、それでけっこうです。  いま一つお尋ねします。開拓農民の連帯責任をどの程度まで要求しておられるのか。これは具体的に申し上げますが、開拓精神を持って開拓農民が入植した、途中で挫折をすることはあり得るわけですね。挫折をした、ところが連帯責任によって、他の農民というか組合員が、その連帯責任を負わなければならないという事態が起こってくる。一人の者の挫折は、非常に不利な条件の中にある開拓農民にとっては、大きな暗い負担になるわけです。そのために、一人の者の挫折が全体の者の挫折に発展をするという形になってくると私は思う。だから、これらの点に対してどういう指導方針を持っておられるのか、まずその点を伺ってみたいと思います。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 開拓農民が連帯で金を借りました場合に、その中の一人二人が落後した場合、連帯保証人に、金融機関なり国なりが追及することは、これはどうもたてまえ上やむを得ないことだろうと思います。ただ現実に、先ほどから申し上げておりますように、新振興対策ということで、三十八年度から、開拓地に残って農家として立ち上がれる見込みのある者を立ち上がらせるために、国として、相当な資金を使って援助をいたしておるわけでありますから、具体的に、借金したその連帯保証人に対して、借金を追及するかどうか、あるいは追及の程度なりに対しましては、新振興対策の対象になっております二類農家の借金の条件の緩和についても、私ども努力をいたしておりますので、これも具体的な例として、せっかく片方で国の対策として農家を盛り上げようと努力しながら、片方では借金の追及をして、その農家がまた没落してしまうということがないように、できるだけいたしたいというふうに思っております。ただ、知らないで判こを押したわけでもございませんでしょうから、やはり法律のたてまえとしては、あくまで追及すべきであろうと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 開拓農協の特殊性というものを考えて、適切な措置を講ぜられるということが適当であろう、そうしなければ、開拓そのものを害するというおそれがあると私は思います。  最後になりますが、諌早干拓の問題についてお尋ねしたいと思います。時間がないようでありますから、私のほうからもいろいろ申し上げません。十分調査をされるように連絡をいたしておりますので、その諫早干拓の状況についてお答えを願って、それで納得いきますれば終わりたいと思いますが、おそらく私の納得のいくようなお答えがないでしょうから、二、三さらに突っ込んでお尋ねしなければならないかもしれません。一応その状況、国としての諫早干拓に対する方針はどうなのか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 諌早の干拓につきましては、昭和二十二年に着工いたしまして、三十九年度に事実上工事が完了いたしております。ところが、昨年の六月でございますか。海水がこの諌早の干拓の地区内に浸入いたしまして、干拓地の一部約四十ヘクタールほどの部分が塩害をこうむったわけでございます。それで、この塩害の防止等につきまして、地元からも私ども陳情を受け、熊本の農政局を通じて調査をいたしておるわけでございますが、海水がこの地区内に浸入いたしましたことは、実は、この諌早干拓地が直接外海に接する排水樋門の操作がふなれのために、排水樋門のとびらが完全に締まっておらなかったというはなはだ不幸な事態がございまして、そのために海水が地区内に浸入いたしたわけでございます。これは今後私ども、また地元におきまして、十分排水樋門及び地区内の制水門の管理につきまして、その操作等についても十分注意して行ないますので、今後、このように海水が地区内に入ってくるという事態は、私は防げるというふうに考えておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それは事実に反すると私は思う。それは管理上の問題もあるかもしれない。しかしながら、樋門そのものが完全でないということです。決して管理上の問題だけではありません。さらに、あなたはいま、これは三十九年に完了したのだとおっしゃるけれども、完了とはどういうことか。完了というのは完全にその工事が終わるということ、そうですね。具体的には、堤防も故障がない、樋門にも故障がない、あるいはいわゆる潮遊地にも何も支障はない、そういった、入植した開拓農民が安んじて農業に努力することができる、農地を安心して取得することができる、そういう状況でもって、私は完了ということが言えると思うのです。しかし事実はそうでないでしょう。ないから、ここ一年くらい、県と農林省との間に折衝が続けられてきた。ところが、これはあくまで完了したのだ、もう出先の事務所は引き払ったのだ、だから完了通知をするから、引き受けなさい、あとは海岸保全の指定をして、改修工事でやればいいじゃないか、こういうことをいままで要求してこられたのです。   〔押谷委員長代理退席、勝澤委員長代理着席〕 ところが、県は、それでは困る。もちろん開拓農民が迷惑なんです。そういう状態では。ましてやあなたが言われたとおり、昨年の六月に樋門の障害から塩害が起こっておる。そういう不安定の状態の中にありますれば、なおさら入植者としてはそれを引き取るということはこれは忍び得ないことなんです。だから、県としては、農林省に、完全に工事を施行して、そして事実上の完了をしてもらいたい、こういうような要求をしてきたということは私当然だと思う。それをなさらないまま、完了であるとして、県に完了通告をし、この引き取り方を強要されるということは、私は適当ではないと思う。その点はどうお考えになりますか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 私先ほど申し上げましたのは、工事が完了したというふうに申し上げたわけであります。それで、この地帯は、先生よく御存じと思いますけれども、有明の海特有のヘドロ地帯、したがいまして、地盤の沈下といいますか、つくりました堤防等は、相当地盤沈下をいたすのが当然当初から予想されておるわけであります。そういう予想で、堤防の高さ等を決定した事情がございます。したがいまして、諌早の干拓約二百九十ヘクタールほどのものでございますけれども、堤防その他について多少のひび割れがございますことも事実でございますけれども、ヘドロ地帯特有の事情と申し上げますか、この程度の堤防の亀裂等は、今後の維持管理によって解決すべき問題であって、国営事業としてあらためてこれを修理するということは、いまのところできない。したがいまして、私ども申し上げておりますことは、工事はこれで終わったから、堤防を長崎県で管理を引き受けてくださいという話を、先刻から言っておるのでありまして、私どもおそらく、おそくともことしいっぱいには、長崎県が委託管理をするという状態に話がまとまるだろうというふうに思います。それで話がまとまりますと、当然工事が竣工ということになりまして、この地区について、今後、私どもが現在想定しておりますよりもひどいような事故がかりに起こりました場合は、海岸法によりまして、国の直轄事業、あるいは国の補助事業で県営で海岸保全事業をやるという手もあるわけでございますから、私どもいままでの干拓地の工事のやり方から申し上げましても、この程度の、いわば堤防が多少亀裂しているという程度で、もう一度手直しの工事をやるというすべがございませんので、できるだけ早く県に移管をして、そうして海岸法によって、新しい事業としてこの海岸の保全をやり、堤防の修理等について遺憾のないようにいたしたい、というふうに考えておるわけでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 農地局長、それは排水樋門の改修もやらなければいけないのですよ。それから堤防の改修ももちろんやらなければいけない。それから不毛地があるのですよ。それからもう一つはいま申し上げた潮遊地なんです。今度の事故も、潮遊地はいわゆる泥土が非常にたまっている。したがって水位が上がるのですよ。この泥土を完全に取り除いておったならば、今度の塩害だって最小限度に食いとめることが可能だろうと私は思うのです。ところがそれはそのままなんです。しかもその潮遊地というのは補助事業の対象にもならないというようなことで、このままの状態でこれを引き継がれるということは、これは局長のお答えのとおり、国の直轄事業というような形になるとよほど違ってまいりましょうけれども、補助事業ということになってくると、今回の高率補助というものを適用するといたしましても、地元負担というものがある。しかも今度は県と国との関係だけでなくて、入植者の関係がそこへ出てくるわけです。いま私が申し上げました潮遊地の問題しかり、それから堤防の問題しかりであります。いま不完全な状態のままこれを工事完了なりとして県に対して完了通告をする、それに基づいて、いまあなたがお答えになったような、これから先の直轄化、あるいは補助事業化、そういう形で改修工事が行なわれてくるということになりましても、入植者との関係というものは、これは依然として残ってまいりますから、入植者といえども不安である。だから、これは完全に解決をしてもらいたいという強い要求が出てくるのは、私は当然だと思う。そういったようなこともあってか、あなたのほうでは、完了通告をしたのか、まだやっておられないのか知りませんが、ともかくこれを延期しようとなさったわけです。そうした入植者の声を耳にされて、何とか国としても考慮しなければならないというような考え方で、これを延期されたのであろうと私は考えておったのでありますけれども、いまあなたのお答えでは、そうでもなさそうなんですね。この程度はいいじゃないか、がまんをしろということだろうと思うのですが、ともかく国の優越した立場というものによって、地方自治体に対し、あるいは入植者に対して臨むという態度は、私は適当でないと思う。そもそも公有水面埋立法そのものに問題もあると考える。公有水面埋立の場合においては、一般人が行なう場合は、申請の場合、完了の場合も、きびしい規定がある。だがしかし、国の場合は、四十二条でありますか、一応埋め立ての申請は都道府県知事にするけれども、終わったならば、同じく四十二条によって、通知をするだけで足りるということになっておる。私は、国がやることは絶対間違いはないということではないと思う。不完全なことだってある。具体的な事例として、いま起こっておる諌早干拓の場合は、そのことが言、えると思う。これが一般の人であった場合、そういう不完全なままで完了したということは、都道府県知事といえども認めないでしょう。しかし国の場合においては、完了したんだという通知だけで事足りるということです。国は優越的地位を利用して、地方自治体に対し、あるいは入植者に対して臨むということは、適当ではないと私は考える。だから、これらの点に対して、いまのあなたのお答えでは納得できないわけでして、もう少し実際の実情というものを把握して、適切な措置を講じられる必要があるのではないか、こう思いますが、どうなんでしょうか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 国営の干拓地につきましては、末端の圃場整備は、そこで土地改良区をつくりまして、入植者が個々にやるのが実情でございます。諌早の干拓地につきましても、まだ所有権は入植者に移っておりませんけれども、反当の価格は五万五千円でございます。五万五千円で、近傍類地の農地に比べて非常に安いから、国はこの程度で農家に渡してしかるべきではないかというふうに申し上げるのではありませんけれども、いま申し上げましたような農家の負担でございますし、末端の圃場整備の部分は、どこの干拓地においても、土地改良区をつくって、三分五厘の金を公庫から借りて、団体営で圃場整備をやりますか、あるいは補助事業として団体営でやりますか、いずれかでやっていることでございまして、すっかり圃場を整備して、国が農家に渡すというふうの仕事ぶりを一般にやっておらないわけでございます。したがいまして、この件につきましても、地元から陳情がありましたわけで、私のほうも地方の農政局、熊本にございますが、そこに言ってやりまして、よく調査してくれ、地元の言っている言い分が無理でないかどうかよく調査してくれ、というふうに申しまして、たしか昨年の十二月に、地方農政局から調査に参って、詳細を調べてきたはずでございます。この程度であればいいのではないかというのが、そのときの結論でございます。したがいまして、確かに低湿地が若干残っておりますようですけれども、堤防という大きな施設を長崎県に管理を移管いたしまして、あとは土地改良区をつくって圃場整備をやる。なお堤防その他について障害が起こるような場合は、私どもも、諫早の近所で海岸保全事業を直轄でやっておりますので、いまその直轄にすぐに組み入れるというふうにも申し上げかねますけれども、その近くで直轄でやっていることもございますから、十分海岸保全事業として措置してまいりたいというふうに考えます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あなたの御答弁になっておられる態度から受ける感じは、誠意をもってやらなければならないのだ、そういう気持ちが私はあるように感じるのです。しかし大和田さん、それは無理なんです。大体あなたのほうは完了手続をしてしまっている。事務所も引き払ってしまった。実際は手がないということでしょう。だから、これは無理だけれども、どうしても県のほうにこれを引き継ぎをしていかなければならないのだ、これから先どうするのかということに対しては、無理とお考えになっておられるか、直轄工事にするのかどうかということを、あなたのほうで配慮しなければならぬという状態であるのでしょう。だからそういう手続がもう終わっておるのだったら、また他に方法を考えてみなければならない。そのためにいまお答えのように、国の直轄工事としてどうするかということはわからないけれども、というのではなくて、ともかくそういったような実情なんだから、入植者の不安がないように、また県に対してもそういった負担を要求するということがないように、何とひ措置したいというのならば、それはわかるけれども、それがそうではなくて、あの程度でいいのだ、がまんできるのだ、そういうことでは、私は無理だと思うのですよ。どうですか。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 たびたび同じことを繰り返して申しわけないのですが、長崎県に管理を移しまして、できるだけ直轄事業として、海岸保全事業を、必要な場合はいたすように努力をいたすつもりでございます。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 私が言っているのは、地元の問題という形で言っているのではない。少なくとも決算委員会として、これらの問題を考えてみるとき、やはり現在の国の措置は適当ではないという判断の上に立って、私は言っている。昨年六月の塩害の問題にしても、あなたがお答えのように、単にその樋門の管理上の問題として塩害が発生をしたというならば、これは別ですよ。事実はそうではない。わかっているはずなんです。十分な調査をしておられるのだから。私もこの点は、完全にというわけにもまいりますまいが、ある程度の調査をして、あなたに対して問題の指摘をやっているわけです。時間の関係もあって、この程度にとどめますけれども、ともかく入植者に不安を与えない。潮遊地の問題も何とか始末をする、樋門の改修、堤防等々完全に整備をして、県に管理を委託する、同時に、入植者に対して、これは当然所有権の登記をやるわけでありましょうから、そういう完全な姿の中において登記をしていくということでなければならぬと私は思う。だから、地元の負担を要求しないというような方法はどういう方法があるのか。それはあなたのほうが一番専門家でありますから、十分わかっておりましょうから、そういう点に対しては十分な配慮をされる必要があると思います。もう一度お答えを願って、この問題は打ち切ります。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 この諌早干拓の堤防その他に、農家が不安がると言われますけれども、どうも私ども専門家が調査しました限りでは、ヘドロ地帯に築いた堤防として、この程度の沈下あるいは多少の亀裂等は全然心配ないということは、これは間違いございません。したがいまして、災害等によりまして、大きな事故が起こったというのでありますれば、私どもこの諫早の干拓の事業所をすでに閉鎖しておりますけれども、国の直轄の災害復旧事業として復旧いたすことにやぶさかではございません。また国営の事業等につきましては、そういうことを現にやっておるわけでございます。ただこの場合は災害ということではなくて、ヘドロ地帯特有のどろの事情によって堤防が沈下をする。しかも、その堤防がこの程度沈下するということは計算の上の工事でございますから、私どもも、実はこの堤防に多少の亀裂が入っておりますことを、写真等で承知しておりますけれども、見かけは何か亀裂があって不安のような感じがするけれども、堤防の実態から見れば、全然心配はないというのが、一人だけの意見じゃございません。私ども注意して何人かの意見を聞いておりますけれども、心配はない状況でございます。  そこで、圃場整備あるいは若干の樋門等の改修等は、やはり今後の入植者の維持管理の仕事としておやりいただきたい、というふうに私は思います。そうして堤防等について、ほんとうに農民が不安がるような事態があるとしますれば、これは捨ておくわけにはまいりませんから、長崎県が管理を引き受けましたら、できるだけ早く地域を指定いたしまして、私どもできるだけ直轄事業として、海津保全の事業をいたしたい。農民と申しますか、入植者が不安か不安でないかということは、多少水かけ論になるわけでございますが、ほんとうに事態が悪化して、予想以上の亀裂あるいはひどい沈下等がありますれば、これは海岸保全事業として取り上げることにちゅうちょいたしません。これはお約束申し上げてけっこうでございます。しかし、何もかも国が、圃場の末端まで国が整備をして入植者に売り渡すというようなシステムには、現在いたしておらないのでございます。その点、ひとつ御了承いただきたいと思います。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 あなたのお答えを聞いてみると、堤防について、いまの程度の亀裂というのは当然だ、そうすると、何もやらぬということですね。だから、あとは県なりそれから入植者によってやれということです。そういうことでは問題の解決になりません。ヘドロ地帯であるから危険である、亀裂も定着していないですよ。亀裂は大きくなりつつありましょう。すぐ近所の白浜堤防海岸だって、堤防が決壊した事実もあなたは御承知になっていらっしゃるのですね。これは運輸省の所管なんですけれども、それらの不安を持つのは当然なんです。だからこの堤防にしても、これはもうヘドロ地帯であるから、ある程度沈下をするということはそのとおりでしょう。しろうとでもある程度わかるのです。わかるのだけれども、また、その入植者にしてみると、ことばが適当であるかどうかわかりませんけれども、亀裂が定着をしておる、亀裂はさらに大きくなっていないというようなことであると、ある程度安心でしょうけれども、そうじゃないのです。だからとっぴな不安を持つのです。だからあなたのほうは、ヘドロ地帯であるから、そういうことは予想していた、だからこれを直す必要はないのだ、こういうことになってくると、結局あなたのほうはこれを直轄事業でやるということについてはやぶさかではないとおっしゃるけれども、完全であるというような考えの上に立つと、これはやらないということになってまいります。だから、これはやはり十分、県なり地元なりとも話をされて、納得づくで処理するということでなければならないと思うのです。それから潮遊地の泥土の問題にいたしましても、これは完全にいわゆる完了して引き継ぎをやって後に、そういう問題が起こったとするならば、話は別でありますけれども、現にまだ引き継ぎをやる前にそういう事態が起こって、そして今度の樋門の障害等から塩害が起こったのだけれども、その塩害も、先ほど申し上げたように、泥土がたまっておった、その泥土がたまっていなかったならば、これは水位も下がるわけですから、事故も最小限度にとどまったであろうということは、先ほど私が触れたとおりでありますから、そういったような問題等についても、さらに十分調査をされて、ともかく入植者に納得をさせる、こういう扱いをされる必要があるだろう、こう思うわけです。それはあなたがお答えになることも、完全ということになってくると、どの程度が完全か、なかなかむずかしいところでありましょう。従来のいろいろな慣習もありましょう。従来の慣習に何も問題がないというようなことであるならば、それはそれでよろしいと思うけれども、しかし従来やってきたシステムというか、そういうものがやはり無理である、国の一方的な押しつけになっておるというようなことがあるならば、そういうものはやはり直していくということでなければならぬと思います。だから、それらの点に対しては、従来の扱いは扱い、改むる点があれば改むる、そして問題の諫早干拓については、さらに実情を調査されて、適切な措置を講ずるというようにやられる必要があるのではないか、こう私は思います。もう一度あなたのお答えを願って、これでこの問題を打ち切ります。

大和田啓気農林事務官(農地局長)

○大和田政府委員 干拓の堤防を県が管理いたしまして、それを海岸保全事業に繰り入れて事業をやっております例は、他にもあるわけでございますし、諫早の問題につきましては、私は、何も今後しないというふうに申し上げているのではなくて、亀裂等の事態が進んで、当然処置をしなければならないようなことが起こりますれば、責任を持って処置をいたしますというふうに申し上げておるわけでございます。もうこのまま何もしないというふうに申し上げているわけでは、毛頭ございません。  なお、いろいろお話もございましたので、私どものほうは、なお調査を十分して、その問題については適当な解決をいたすべきだというふうに考えております。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 水産庁お見えですか。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員長代理 一時半に終わる予定だったので、時間が過ぎましたので、委員長代理が帰したようでございます。まことに申しわけございません。

中村重光日本社会党

○中村(重)委員 それじゃ、保留します。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十九分散会

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