外務委員会 第21号
- 発言数
- 143 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/06/22
会議録
○高瀬委員長 これより会議を開きます。 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との国の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。椎名外務大臣。
○椎名国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 政府は、ドイツとの間の所得に対する租税に関する二重課税の回避のための協定締結につき昭和三十六年五月以来ドイツ政府との間で交渉を行ないました結果最終的合意に達し、昭和四十一年四月二十二日にボンにおいてドイツ駐在内田大使とドイツ外務省カルステンス次官及び大蔵省ファルク主税局長との間でこの協定に署名を行なった次第であります。 この協定は、本文三十カ条からなっております。その内容は、わが国が従来ヨーロッパ諸国との間に締結しているこの種の租税条約とは、ほぼ同様でありますが、案文について、OECDのモデル条約案の規定をできるだけ採用することとしたため条文数が比較的多くなっております。協定の内容のおもなものは、次のとおりであります。すなわち、相手国内にある支店等の恒久的施設を通じて事業を行なう場合の利得に対する相手国の課税につきましては、これをその恒久的施設に帰属する部分に限るという方式によることとし、船舶、航空機の運用から生ずる所得につきましては、相手国において全額免税としております。投資所得に対する源泉地国課税の税率につきましては、配当では一五%、利子及び使用料ではそれぞれ一〇%をこえないものとしております。政府職員、百八十三日以内の短期滞在者、二年以内の短期滞在の教授及び教員並びに学生及び事業修習者の受け取る報酬や手当等につきましては、滞在地国において課税されないこととしております。また、二重課税の回避は、それぞれの国の税法の規定に基づき、日本においては外国税額控除方式により、ドイツにおいては、投資所得等一部の所得については外国税額控除方式、その他の所得については外国所得免税方式により行なうこととするとしております。 現在両国間の経済関係は、貿易、技術導入、企業進出等の諸分野において緊密な関係を保っており、また、文化交流も盛んでありますが、この協定の締結によりまして、両国間の二重課税防止の制度を通じ、経済、技術及び文化の面における交流が一そう促進されるものと期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 —————————————
○高瀬委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 ただいま議題になりました日本国とドイツとの間の二重課税回避のための協定について、二、三質問をしたいと思います。 まず最初に伺いたいことは、これまでのこの種の条約の場合と表題も違っているわけです。たとえば「ある種の」ということばが入っているわけで、この「ある種の」ということばを入れたのはどういうわけであるかをまず伺いたいと思います。
○大和田説明員 この租税協定で適用いたします日本側及びドイツ側の税目をまず申し上げますと、これは第二条、第八条にございますが、日本側につきましては、所得税、法人税、住民税、事業税及び国際運輸業にかかわる船舶または航空機に対する固定資産税でございます。それからドイツ側につきましては、所得税、法人税、営業税及び国際運輸業にかかわる船舶または航空機に対する財産税でございます。 これらの税目の中で日本側の住民税のうちの均等割り分及び事業税並びに固定資産税、それからドイツ側の営業税及び財産税、これらはいずれも所得に対する租税とは言えないわけなのであります。したがいまして、これらのものを総称いたしまして「ある種の他の租税」というふうに表現いたしたわけでございます。日本がかつて結びました租税条約関係ではこの名称はいまが使ったことはございませんですが、ドイツに先例がございます。したがいまして、こういう所得に対する租税でないこれらの税目をも二重課税防止の対象にしたということでその内容を正確にあらわす意味でこういう表現を使ったわけでございます。
○戸叶委員 そうすると、ドイツの場合にそういうふうな形態をとっているので、ドイツのほうから申し入れがあって、日本側もそれに従ったというふうに理解してよろしいわけでございますか。
○大和田説明員 ドイツのほうからそういう申し入れがあってそれに従ったというふうに御理解願って差しつかえないと思います。ただ、そのこと自身が、ただ向こうの言うことに従ったということではなくて、この協定が規定している税目をより正確にあらわしたということで、われわれも納得して、こういうふうにしたわけであります。
○戸叶委員 正確に内容をはっきりさせたということで了解をいたします。 そこで次にお伺いしたいのは、十条の第三項で、親子会社間の配当に対する規定があるわけでございます。その中で、ドイツにある子会社が日本にある親会社に支払う配当に対しては二五%、それから日本にある子会社がドイツにある親会社に支払う配当に対しては一〇%というふうにしたその根拠は、一体どういうふうなところにあるのでしょうか。そういうふうなやり方では不平等になるのではないかというふうに考えるわけでございますが、この点を伺いたいと思います。
○川村説明員 配当につきましては、いま戸叶委員の御質問のように、親子会社間の配当につきましてドイツにある日本の子会社の支払う配当につきましては二五%、それから日本にありますドイツの子会社が配当を送金する場合には一〇%ということになっております。これは双方の法人税の課税にあたりましてお互いに配当につきましては軽課をしておるわけでございますが、この配当留保に対します法人税と配当に対します軽課税率との差に基づくもので、具体的に申し上げますと、わが国の場合は、留保に対しましては三五%、配当につきましては二六%の税を課税することになっております。したがいまして、その差額は九%でございますが、これにさらに法人税割り——これは地方税でございますが、地方税、住民税の法人税割りが一四・七%かかることになっております。したがいまして、一〇・三%となるわけでございます。 そこで、わが国にございますドイツの子会社が支払う配当につきましては一〇%の課税を行なうこととしたわけであります。それからドイツにおきましては、留保につきまして五一%の税率ですが、配当につきましては一五%の軽課を行なっております。したがいまして、その差額は三六%でございます。三六%でございますが、それを二五%まで低めておるということでございます。
○戸叶委員 そうしますと、その場合に両方を見まして最終的にそれが平等であるということが言えますか。
○川村説明員 結局親子会社の配当につきましてこういう制限税率の特例を設けますのは、それぞれの企業が相手国に支店を出し、あるいは実際に子会社を設けて営業活動を行なう場合の均衡をはかるということに基づくわけでございます。支店を設けました場合には、いま申し上げました五一%所得に対してはかかるのであります。それからこちらにドイツの企業を設けました場合には三五%かける。したがいまして、子会社と支店との負担の均衡をとりますためには、親子会社の配当は一〇%と二五%でちょうどバランスがとれることになるわけでございます。
○戸叶委員 そこで伺いますけれども、いまの親会社、子会社にも関連して、西ドイツの企業が日本にどのくらいあって、日本の企業が一体どのくらい西ドイツにあるか、この点を説明していただきたいと思います。
○川村説明員 企業の進出形態はいろいろございます。日本の企業がドイツに進出しております状態は、現地で現地法人として企業を営んでいる場合と支店を設けている場合とがございます。現地法人の場合には、日本からドイツに対しましては四十四件、支店を設けております件数が六件、それからドイツから日本に進出しております企業は、現地法人といたしましては、現在までのところございません。支店が五件ございます。 課税の対象となります企業といたしましては、この現地法人と支店という形でございますが、なお、課税の対象となりませんいわゆる駐在員事務所、これは恒久的施設を持っておらないというものでありますが、これは日本からドイツに向けましては百十件ございます。それからドイツから日本にも駐在員事務所は若干あると思いますけれども、これはいまのところ数はわかっておりません。ただし、これはいずれも課税の対象となりません。
○戸叶委員 貿易関係では、それらの現地におる法人あるいはまた支店——駐在員の方は課税の対象になりませんからわからないでしょうけれども、貿易のトータルだけでもお示しいただきたいと思います。そうしてその中で一番おもなものは双方の国で何かということも指摘していただきたいと思います。
○川村説明員 貿易の年間総額で申し上げますと、日本からドイツに対しまする輸出は二億一千五百万ドル、それからドイツから日本に対しまする、日本にとっては輸入でございますが二億二千二百万ドルでございます。それで、その主要品目を申し上げますと、日本からドイツに対して輸出している主要な品目は、機械類、それから繊維及び繊維製品、それから食料品、これが主たるものであります。それからドイツから日本が輸入しております主要品目は、機械類と化学製品でございます。 それから御参考までに申し上げますが、船舶、航空機の往来がどの程度であるかということでございますが、船舶につきましては、日本からドイツに寄港している船舶は、一九六四年度で申し上げますと八十五件、それからドイツから日本に寄港しております船舶が三十九件、それから航空機は、日本からドイツに行っておりますのが一週に四便、それからドイツから日本に来ておりますのが一週に約五便、こういうことであります。
○戸叶委員 ただいまの数字を見ますと、日本はドイツから輸入超過になっておるわけですね。そうしますと、この協定を締結することによって実際上の利点はどういうところにあるかということです。 もう一つは、この税収入の上でどういう結果があらわれてくるか、この点をお伺いしたい。
○川村説明員 申すまでもないことでございますが、租税協定を結ぶことの利点は、租税協定がない場合の二重課税を防止することによりまして、それぞれの国の企業が安心して進出ができる、それによって経済交流をはかることができるというような意味で、直接間接に非常に大きな利点があると思います。 それで、現実のドイツとわが国との税の面での利点、あるいはそういった利害得失は非常にむずかしい問題だと思いますが、現実に従来の実績をもとにいたしまして、主たる協定に基づきますそういった結果は、配当、それから利子、ロイアルティー、こういうものの課税の形の変わることによります影響が大きいと思います。そのうちドイツが日本に対しまして種々の投資を行なっておりますが、ドイツのそういった投資の形態、配当につきましては協定によりまして向こうの税負担の変化は大してございません。大きいのはやはりロイアルティーと思います。配当利子に対してはあまり大きな影響はないと思いますが、ロイアルティーにつきましては、従来の実績からいきますと、ドイツの投資所得はこの協定によりまして約一億六千万円のプラスになる、それだけ有利になるということと思います。逆にこれによってわが国が有利になる点は、御承知のように配当もたいした送金がございませんし、それから向こうに貸し付けた利子というものはもちろんそうたいして大きな金額ではございません。ロイアルティーもあまりございません。いま言った投資所得は現実にはない、ほとんどネグリジブルと思いますが、問題は先ほど申し上げましたように、日本から駐在員事務所が約百十軒行っております。この百十軒に対しましてたとえば向こうの法人税が課税される、あるいは営業税が課税されるという危険がかなりあった、またそういう個別的な問題も若干あったわけでございますが、かりにこの駐在員事務所にそういう課税が行なわれるといたしますと、約一億九百万円の課税が行われたことになるわけでございますが、この協定によりまして恒久的施設がなければ課税せずという原則を打ち立てたことによりまして、この一億九百万円の課税を全然受けることがなくなるという意味で日本の企業は非常に安心して進出できるという利点があるわけであります。
○戸叶委員 ロイアルティー関係から受ける利点は日本にはないけれども、いまおっしゃったような駐在員の関係から課税されないというようなことでの利点がある、こういうことでございますね。 そこで最後にもう一点伺っておきたいことは、日本がドイツから受けている特許権のおもなものは何でしょうか。
○川村説明員 非常にたくさんの技術援助を受けておりますが、総体の件数で二百七十七件でございます。
○戸叶委員 けっこうです。明細はあとから私ちょっと見せていただくことにして、これで終わります。
○西村(関)委員 関連して。——この協定が締結されまして両国間の経済的、文化的交流がより便宜を受け伸展するという点につきましては、われわれとしても何らこれに異論を差しはさむものではございません。ただこの際、一、二のことを伺っておきたいと思うのでございますが、ただいま経済関係については戸叶委員からいろいろ御質問がございましたが、ここにも書いてございます提案理由の説明の中に、いま大臣のお読みになりましたととろにも示されております文化交流の点でございます。この点につきまして、現在ドイツ連邦共和国とわが国との間にどのような文化交流が主として行なわれておるか。ここにございます政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、教員、学生、事業修習者、こういう人たちがどのくらいおりますか、この際伺っておきたいと思います。
○大和田説明員 留学生の数で申し上げますと、わが国からドイツへ参っております留学生は五十名でございます。これは一九六五年度でございます。これはドイツの政府の奨学金及びフンボルト大学の奨学金によるものでございます。それからドイツからわが国に参っておりますのは、これは日本政府の奨学金による留学生でございますが、一名でございます。このほかに私費留学生がかなりな数いるであろうということは十分想像できるのでございますけれども、実数はいまつかみかねております。そういう状況でございます。
○西村(関)委員 今後ますます両国の文化交流が盛んになってまいることは望ましいのでございますが、この際関連いたしまして、この協定には関係のないことでございますけれども、先般、私、ユネスコ国内委員会の人物交流委員会に出席をいたしておりましたところが、委員の一人の方が、この方は学者でございますが、ドイツで学術会議に出席をした場合に学術の資料を少しく多量に、その会議に必要でありますので、配付いたしますために持ってまいりましたところが、多額の税金をかけられたということで非常に困ったというような話がございました。それはおそらく、これをただ単に無料で配付するのではなくて学術用として販売の対象にするのではないかというふうに見られたためではないかと思いますけれども、少なくともわが国の責任のある大学の教授がそういう学術会議に出席をする資料として持ち込んだ場合に、出先大使館においても特別なはからいをせられるべきではないかと思うのでございますが、そういう話を私は聞きましたので、この際外務当局として、この問題には直接関係ございませんけれども、両国の文化交流という面からお伺いをいたしておきたいと思う次第であります。
○大和田説明員 ドイツとわが国との間には御承知のように昭和三十二年に結びました文化協定というのがございます。その中に両国間のいまの書籍雑誌の交換であるとかあるいは講演、演奏会、美術展覧会その他種々のいわゆる文化交流に資するものについてお互いに協力しようということが規定されております。したがいまして、一般的に申しまして学術交流というものについて両国が大いに協力するということはこれにうたわれております。ただ、ただいま先生のおっしゃいました具体的な例につきましてなぜ課税されたのかという点は、これはドイツの国内法を調べないとちょっとわからないのでございますが、一般的に申しまして、この文化協定によりまして今後とも交流は進めていきたいという考えております。
○西村(関)委員 もうそれでけっこうでございますが、なおこの種の取りきめが、わが国と国交のある国においてまだできてないところがどこかほかにございますか。
○大和田説明員 逆に日本が従来租税協定をすでに締結している国というのを申し上げたほうが早いのではないかと思いますが、すでに十四カ国と結んでおります。これが第十五番目の租税協定でございます。現在一部話し合いを進めあるいは話し合いをする予定になっている国と申しますのは、具体的にはオランダ、ベルギー、オーストラリア、ブラジル等の国がございます。
○西村(関)委員 社会主義国の中にはございますか。
○大和田説明員 現在までのところ社会主義国との間に結んだ条約はございません。
○西村(関)委員 けっこうです。
○高瀬委員長 本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○高瀬委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高瀬委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○高瀬委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 私は、エンタープライズと称する原子力航空母艦等の原子力艦艇の日本寄港の問題、それから人口稠密な東京湾、横須賀への原子力潜水艦の入港の安全性に関する問題、並びに核探知クラブ、この核探知をどのような形で政府としてはこれを発展させようとしておられるのかという主として核問題について率直な政府の所信を伺いたいと思います。 あらかじめ特に希望しておきたいととは、私も単刀直入にお尋ねいたしますから、外務大臣もイエスかノーか、明確に、しかも簡潔にお答えを願いたいと思います。 まず第一に、伝えられるところによると、エンタープライズ等の原子力艦艇の日本寄港をアメリカ側から要請されたという事実がありますか。
○椎名国務大臣 要請された事実はございません。
○岡委員 もし要請されたとすれば、新聞の伝えるところによると、政府としてはこれを受諾する方針のように伝えられておりますが、その真偽のほどはいかがですか。
○椎名国務大臣 原子力空母が第七艦隊に編入されたことは通知を受けました。原子力空母であろうと、他の軍艦であろうと、第七艦隊の使命上からいいまして、また日米安保条約のたてまえからいって、当然、寄港するという通告があればこれを認めざるを得ない、認めるつもりでおります。
○岡委員 エンタープライズ号は、申し上げるまでもなく、北爆のいわば大きな海上の基地である。これが兵たん補給等の目的を持って、いわば硝煙のにおいのままにわが国に寄港をする。これを政府が認めるということは、国際的にまた国内的にベトナムの和平を望む世論に対してまっこうから弓を引く措置ではないかと私は思います。この点、外相はどう思われますか。
○椎名国務大臣 日本の施設区域から直接作戦行動をとる場合には、これは事前協議の対象になるのでありまして、エンタープライズがかりに北爆に従事しておろうとも、これに該当しない場合には事前協議の対象にはならない。当然条約上の権利として寄港が許されるわけでございます。
○岡委員 かつて台風の被害を避けるためにB52という水爆塔載機が板付に立ち寄らんとしたときに、政府はこれを拒否されたことを覚えております。したがって、エンタープライズ号についても国際的な国内的な世論にかんがみた場合には、政府はこれを拒否するのが正しい態度ではないのですか。
○安川政府委員 B52のことは、当時台風避難のために場合によっては板付に飛来するかもしれないという情報がございましたけれども、その後向こう側の都合によりまして板付には来ませんで、沖縄に行ったわけでございます。したがって当時板付に来るという申し入れがあって、それを拒否したというのはちょっと事情が違っております。
○岡委員 それではたとえば原子力艦艇が、特にエンタープライズ号が日本に寄港するということを承認するためには、どのような手続をとられますか。
○安川政府委員 向こう側から正式に寄港がしたいという申し入れがありました場合の手続でございますが、純法律的に申しますならば、アメリカ側の艦船は別に日本側と事前協議することなしに自由に日本の港湾に出入できるわけでございます。ただし核装備をしていないという前提がございます。ただ原子力潜水艦の場合は、原子力を推進力に使っておるという特殊な事情がございますので、御承知のように原子力潜水艦が入港いたします場合には、事前に安全性その他について日本側で検討いたしまして、その結果安全性を確認いたしました上で、文書を取りかわして寄港を認めるという手続を踏んだわけでございます。原子力航空母艦の場合にもおそらくその手続に準じてやることになると思いますが、具体的にどういたしますかは、正式の申し入れがあってから政府部内で検討の上で決定いたしたいと思います。
○岡委員 エンタープライズ号が寄港するとしても、これまでの原子力潜水艦の寄港の慣例によれば、二十四時間前に通告するということになっております。したがってその前に安全審査というものはしておかなければならないことになっております。 それでは、エンタープライズ号等の海上原子力艦艇についての安全審査のための資料は安全審査会あるいは原子力委員会として受け取っておられますか。
○安川政府委員 まだ正式の申し入れがございませんので、安全性につきましても本格的な検討という段階にはございませんけれども、ある程度の資料は入手しておりますので、これは原子力局のほうにお渡ししまして、事務的にある程度の検討はしておられるというふうに承知しております。
○岡委員 私は原子力委員会に聞いておるのであるから、あなたは何もそういうことを言う必要はない。 では、原子力委員会としてはどのような資料を受け取っておられますか。
○村田政府委員 ただいま安川北米局長の答弁にありましたように、エンタープライズ号のわが国寄港の問題につきましては、まだ正式な申し入れを受けておりませんので、事務局といたしまして、事務的に外務省といろいろ御相談いたし、勉強の材料を集め、勉強をいたすということをやっておる段階であります。したがいまして、まだ原子力委員会に正式にこれらの資料を提出して御検討いただくというところに至っておらないわけでございます。したがって、事務局として、私のほうから答弁いたすわけでありますが、外務省にお願いして、いろいろお集めいただいておる資料の中には、すでに入手いたしたものもございます。まだ入手できておならないものもございます。たとえば、原子力潜水艦の場合に準じまして、原子力空母あるいは原子力艦隊に属します艦艇がこれまでどのような港に入った経験があるかというようなこと、あるいは原子力空母に関連しての米国議会の公聴会等で出された資料、そのようなものはすでに入手いたしております。
○岡委員 たとえば、アメリカの議会の原子力合同委員会等の資料は私も読んでおりますが、かなめのところは全部秘密になっている、消してしまっている。そういうものでは真に安全性を確認する資料にはならない。問題は、責任を持って科学的に安全性を確認しようとするならば、もっと工学的あるいは理学的な、制御装置も含めてのしさいな資料が必要になってくるはずです。原子力潜水艦の入港の場合には、どういう資料に基づいて原子力委員会は安全であると断定されましたか。
○村田政府委員 原子力潜水艦の寄港問題の際に、原子力委員会から見解が発表されておりますとおり、原子力委員会の立場としましては、これが軍艦であるという国際法上あるいは国際慣例上の特殊な地位にかんがみまして、わが国の原子炉等規制法に規定いたしますような形での安全審査ということはできない。これにかわりまして、原子力委員会の潜在的権限と申しますかに基づいて、安全確保上重要な事項の一つ一つについて米側の保証あるいは約束を取りつけまして、それらの保証及び約束がそのとおり確保されるならば安全上支障はなかろう、こういうふうに判断されたわけであります。原子力航空母艦の寄港に際しましては、正式の申し入れがあってからのことではございますけれども、大体これに準じたやり方で検討されることになろうと思います。
○岡委員 安全審査会の委員長がおられるはずですが、国内における原子炉の建設に関する安全性の審査については、いかなる資料を最も決定的な資料と考えられますか。
○山田説明員 従来から行なっておりますのは、その原子炉の構造及び性能、さらには安全上重要と思われる保護装置、さらに常時運転においてどういう影響があるかということ、あるいはその原子炉を非常に過酷に考えた場合に、事故の際にどうなるか、それが周囲の人々に影響を与えるか与えないかというような資料に基づいて審査を行なっております。なお、原子炉安全審査会は原子力委員長の指示を受けて行なうことになっておりますので、これは受動的機関であります。
○岡委員 ただいま安全審査会の会長が言われたように、要するに、端的に申せば、国内における原子炉の建設の認可については、きわめて工学的な、また物理学的な炉の設計、制御装置その他を含めての炉の安全性についての科学的な検討の上に原子炉の建設を許可しておる。ところが、何らそれらの資料が整わないで、ただ事故が起こったら補償するという程度のことで安全であるという認定をすることは、原子力委員会としてはきわめて無責任であり不見識ではないかと思う。あなた方は一番かなめの炉の安全性に関する資料は何ら持っておらない。それが軍事機密の中に葬られておるということであなた方が入手できないとするならば、あなた方の出す結論は、安全審査をする資料がないから安全であるという結論が出せないというのが原子力委員会としての当然の結論でなければならぬ。そうではないですか。西村原子力委員にお答え願います。
○西村説明員 私が先生にお願いいたしたいことは、原子力委員会としては、原潜の寄港について、委員会として、また皆さんもそうでございますが、最も関心を持たれておる安全性の問題についての見解を、一昨年の八月決定いたしまして公表をいたしております。公表前に政府に申し出をいたした次第であります。その中には、るる一年半にわたって原子力委員会として政府を通じて米国政府と折衝し、その結果先方から得られましたいわゆる各種の保証を明らかにいたしておりまして、その保証が保証どおり行なわれること、他方、委員会としては、政府に対しまして、国民の安全を保護する意味においてある種の措置をとる必要があるということを進言いたしまして、そしてそういうふうになるならば安全性については安全であると判断してよろしいと思いますという意見を上申しております。委員会のように科学技術の見地に立ってある事物を判断いたさなければならない立場にある機関としては、先生の御説のように事が運べば一番よろしいと思う次第です。その立場から発足したことは間違いございません。しかしながら、国際慣習法上確立しておる軍艦の治外法権という特殊の性質、しかも事が最新式の軍艦の構造に関する科学的な工学的な点にわたる情報が入手できるとはどうしても考えられません。それはるる先方が説明いたしました。その説明はわれわれとしてはよくわかる次第です。したがって、その許す範囲内において先方から、いろいろの説明、交換された、または交換されないものもあったかと私は記憶いたしておりますが、書類を提出させ、その上に立って委員会としては先刻申し上げたような結論を出した次第でございます。その過程におきまして、本件は安全審査会の対象とすべきものでないことははっきりいたしておりますが、でき得れば安全審査会の先生方の御意見も拝聴し得るに足るような資料を得たいと努力いたした一段階もございます。しかし、それもかないませんで、結局簡単に言えば、先刻村田局長が説明しましたように、先方が与えた保証、その保証がそのとおり行なわれると政府で御判断いたされますならば、安全と認めてよろしいでしょうという意見を割り出した次第でございます。したがって、科学的に工学的に突き詰めたいという立場では不十分でございましょうが、事の性質上、私は委員会のとったところが最大限のところであると思うわけです。したがいまして、エンタープライズ号の場合におきましても、委員会としては、現段階におきまして、一昨年の二月に出した根本的委員会の立場、それから一昨年の八月に出しました原子力潜水艦の本邦寄港に関する問題についての委員会の見解、それに従いましてエンタープライズの本邦寄港が正式に先方から申し出があった場合には、安全性に関心を持つ委員会としては、みずからその方針に従って処置する気持ちで現在おる次第でございます。御了承願いたいのであります。
○岡委員 デンマークは、私は事実現場で当事者から聞いておるが、数年前にやはり原子力潜水艦の寄港の要請がアメリカからあった。そこでデンマークの原子力委員会は安全審査に必要な資料をアメリカに要請した。しかしながら、軍事機密の名においてそれが拒否された。そこで安全であるという保証はなしがたいという決定を下し、その結果、デンマークの政府としては原子力潜水艦の寄港を拒否しているという事実をあなた方は御存じのはずです。だから、あなた方がとられた態度というものは、要するに科学的な合理的な判断ではない。これが安全であるという判断は決して科学的なものではない。むしろ政治的に迎合した政治的判断といわざるを得ない。これらの問題については、私はもうすでに数年にわたってあなたたちと論争いたしましたから、原子力潜水艦の内部構造その他の問題についての技術的なものは触れないでおこうと思う。 問題は今回における横須賀寄港の問題についてお尋ねをするが、これは一九六〇年のアメリカの合同原子力委員会の付録に載っておるエドワード・テーラー博士の原子力委員長であるマッコーン氏に対する書簡である。この中にこういう説がある。要するに、これは英文で読めばいいわけですが、それは私のディープ・コンヴィクションである、心からなる確信であると彼は末尾でマッコーンに訴えておる。何が確信であるか。いかに注意深く取り扱っても、人口稠密な港においては、絶対に必要でない限りにおいては、原子力潜水艦を運転してはならない、することは間違いであるということが私の深き確信であるということを言っておる。続けて、特に全世界がいまこの分野における原子力潜水艦を見守っておる限り、同様な配慮というものが必ず外国の港を訪問するときには払われねばならないと書いてある。一体あなた方はどう思うか。東京湾という日本で一番人口稠密な地帯において、横須賀に原子力潜水艦が入港してくる。これについてアメリカ国内の、しかも水爆の父といわれる国際的な放射能の権威者がこのような忠告を原子力委員長に対して発しておるではありませんか。一体あなた方の態度はこれと比較してどうなんです。横須賀港に入港を認めたということは、テーラーのこの発言というものをあなた方は否定されるのですか。
○村田政府委員 テーラー博士の書簡は私ども承知いたしておりまするが、合衆国におきましても、そのような書簡がありました後において、原子力潜水艦がたとえばニューヨークであるとかあるいはボストンというような人口稠密な港湾に入港しておることも事実でございます。先般、原子力潜水艦の日本寄港に関連いたしましても、米国政府の声明にございますように、これがわが国に寄港するにあたっては、合衆国の港における運航に関連してとられる安全上のすべての手続及び措置が厳格に外国の港においても順守されるということを保証しております。と申しますことは、原潜が合衆国のニューヨークとかいうような非常に人口稠密な地域に入ります際にとられる安全上の措置、手続がわが国の港においてもとられるということでありまして、このような米国政府の保証というものを信頼できるものと政府は考えておるわけであります。
○岡委員 このテーラーは同様の書簡の中で言っておる。われわれは今日までつくられたすぐれた安全記録——それはあなたが答弁されたボストンやニューヨークへも入港しておる。すぐれた安全記録に惑わされてはならない。すなわちこのような記録はいかなるリアクタープラントにも本質的に内在するというものではないからである。記録というものはそれ自体安全の証拠ではない。これは原子力一般に関してもわれわれは常に言っておることであるが、テーラーははっきり言っておるじゃありませんか。ボストンやニューヨークに入港して安全であったからそれで安全であるというようなことは間違いだ。そういうことにだまされてはいけないと言っておる。アメリカ国内の権威者が言っておる。そうしてまたそれを原子力委員長に忠告しておる。との忠告はアメリカ原子力委員長に対する忠告ではない。日本の原子力委員会や日本政府に対する警告として私は受け取るべきであると思う。どう解釈しておるか。
○西村説明員 われわれもテーラー博士の書簡というものは十分承知している次第でございます。米国内においていわゆる一流の科学者、世界的な科学者からそういった慎重な忠告があるということ、それを受けて米国の海軍当局、原子力当局は、いわゆる安全な潜水艦ないしは水上艦をつくるべく大いに努力しておるわけでございます。そうして、そういうものをつくる以外に、また、そういう艦船が港湾に入港する場合には十分なる安全措置をとって入港いたしております。一方、言いますならば、そういう学者の真剣な御懸念それ自体が今度は技術的により安全なる潜水艦の建造、それからその運航に対するより慎重なる基準となってあらわれているのが現状でございます。そういうふうな事情は、原潜について私どもが政府を通じて交渉しました一年半の間に先方からるる説明を受けて了承いたしたところでございます。したがって、委員会としてはテーラー博士のごとき声があることを忘れるものではございませんし、無視するものではございませんが、同時にそういう声の反面、その効果として、より安全なる船、より慎重なる運航が米国によって行なわれているという、そのいい結果というものを私どもは了承しているということを重ねて説明申し上げたいと思います。
○岡委員 技術的な問題は別な委員会でやればいいから私はいま言わない。問題はアメリカ国内の造船業界においてさえも原子力潜水艦の取り扱いについては非常な物議をかもしておる。九〇%の濃縮ウランを使って、しかもダブルコンテナでなければならないという規定にもかかわらず、原子力潜水艦はコンテナは一つなんです。リッコーバーが上下両院の合同原子力委員会ではっきり、軍事的必要から制御装置についての省略を説明しておる。こういうような技術的な問題を私は言うのではない。そういうことはすでにもう言い尽くされておるから。問題はあなた方はそれぞれについてプルーフを得ておると言うが、何も科学的に安全であるということを証明するプルーフを得ておらないではないですか。そこを私は言っておる。得てないということを言っておられたじゃないですか、この問題でわれわれが話をしたときに。得ておらなければ、こういうテーラーのようなすぐれた人、すぐれた権威者が、しかもアメリカ国内において人口稠密な外国の港に出入させるということは間違いであるということを強調しておるときに、プルーフを得たからよろしいという。それでは国民の公衆衛生というふうなものを皆さん方は無視しておるといわざるを得ない。ところが、たとえば憲法では第二十五条にどう書いてあるか。政府は国民の健康と公衆衛生については義務を持っておる。にもかかわらず、人口稠密な、万一の事故が起こった場合、しかも海難事故の一番多い東京湾に原子力潜水艦の持ち込みをはかるなどということは明らかに憲法違反じゃないですか、安全性を十分に確かめもしないで、そうでしょう。憲法第二十五条違反じゃないですか。憲法を犯してまでも原子力委員会はそういう政府に迎合する政治的な判断で安全であるという断定を下すというがごときは、国民に対する大きな裏切り行為と私は言わざるを得ないと思う。原子力委員会はどう思いますか。佐世保は別として、横須賀港、東京湾の出入の問題についてどう思うのですか。
○西村説明員 それは私の専門外の分野にわたりますけれども、私の理解する範囲内においては、原子力艦船がある港湾に出入するにつきましては、その港湾を対象として、いわゆる安全解析が行なわれ、それによって安全と認められた場合に、安全であるいわゆる停泊地に停泊する、こういうことになっておると私は了解いたしているわけでございます。したがって、先生御指摘のように、人口稠密な港湾となれば、それだけ寄港の条件は過酷になります。またそれが当然でございます。そういうふうな過酷な条件のもとに寄港をし、しかも常時安全であるがごとき、バック・グラウンドに対して影響のあるような放射能の効果がないように、あらゆる安全措置が艦内においてとられておるほか、寄港を許す日本国において必要と思う安全措置をとって、よろしいということになり、そういうものをとるように委員会が政府に進言して、政府はわれわれが進言いたしたとおりの安全措置、予防措置をとっておられる状況でございます。したがいまして、この問題が起こりましてから、当初から先方の希望する佐世保港、または横須賀港に寄港したいという意思表示でございましたので、そういったわれわれの見解は、佐世保港と横須賀港、二つを対象として判断し、そして政府に進言したような見解に到達した次第でございますから、岡先生がいま御指摘になったような考慮というものは、委員会としても常識的に考慮いたしましたということを申し上げたいと思います。 憲法論まで御議論が発展いたしましたけれども、それはこの場所ではないと思います。御了承願いたいと思います。
○岡委員 どうしてなんですか。私はあなた方が八月に発表された安全であろうという文書については、もう繰り返し繰り返しあなた方と議論をしたことなんだから繰り返さない。あらためて繰り返す必要はないと思う。問題は、単に停泊をして出ていく、それまでが安全である。万一事故が起こったらどうかということなんです。事故が起こらないという保証については、あなた方は、ニューヨークやロンドンや百幾つもの港に入っているが事故が起こらなかった、そういうような経験を事故が起こらない安全性の一番大きな保証にしている。ところが、ここにちゃんとテーラー博士が言っておるように、過去の記録、安全記録によって惑わされてはいけないとはっきり言っている。あなた方自身が惑わされている。これは安全審査会長として、今日まで原子力委員会が取り寄せられた安全記録の資料というもの、一体それをもって安全性を確認をするということは妥当だと思いますか。
○山田説明員 ただいまのお話につきましては、先ほども申し上げましたように、この原子炉安全審査会は、原子力委員会がこういう問題についての安全性を検討してもらいたいという要請があって行なわれる。しかし、現在までのところ原子力潜水艦については、そういう資料はいままいっておりませんので、われわれとしては審査の対象になっておりませんので、全く関与しておりません。
○岡委員 そんなことを聞いているんじゃない。これまでの原子力委員会の説明で、安全審査会の責任者としては、それで原子力潜水艦の安全性が確かめられたと、あなたはあなたの立場において思われるかどうかというととを聞いているのです。 それよりも、外務大臣にお伺いをするが、そういうことで十万キロワットの原子炉が人口稠密なところに出現するわけだ。それはまた九〇%という高濃縮ウランをかかえておる。万一事故が起こった場合、これは東京、横浜を含めて非常な災害が予想される。こういう場合、やはり人口稠密な港に対する深き注意を喚起しておる、こういうアメリカの内部における権威者の声に徴しても、やはり憲法に照らして公衆の安全を期するために、政府としてはこれを拒否すべきが妥当だと思う。それが憲法を守る政府の姿ではありませんか。一体、何かと言えばすぐあなた方は安保条約の第六条の地位協定を引き出されるが、憲法第二十五条が私はこれに優先すると思う。どうなんですか。
○椎名国務大臣 憲法第二十五条には「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあって、これに違反している、こうおっしゃるのでありますが、この点は先ほどからの原子力委員会からの説明によりまして、政府は万全の措置を講じた、こう考えております。 なお、テーラー博士の忠告なるものは一九六〇年に行なわれた忠告であります。この忠告に基づいて、アメリカの政府当局としても十分に構造の改善上必要な措置をとり、運航についてもいやが上にも十分の安全性を増進するような措置をとっておるというふうに私は了解しているのでございまして、この点から申しましてできるだけの万全の措置を講ぜられた、こう確信をいたしております。
○岡委員 問題は、向こうの言い分をうのみにする、しかし安全性を科学的に確認するデータというものはほとんどもらっておらない。そうして安全であるという意見をまとめてしまう。デンマークの例をさっき申しましたが、これでは原子力委員会というものは安全性についての科学的な結論を出したものではなく、政治的な判断を出したにすぎないということを私は申しました。したがって、もしその結果起こってくる、あるいは事故があった場合に、特に人口稠密な東京湾内において事故があった場合には、これは重大な問題が起こってくるが、このような軽率に入港を認めることは、憲法第二十五条のたてまえにおいては明らかに憲法の精神にそむくものではないかと私はお尋ねをしておるわけです。外務大臣はどう思いますか。
○椎名国務大臣 私はそむくものではないと思います。
○岡委員 重ねてお尋ねをするが、もちろん憲法第九十八条を見ると、日本が外国と結んだ条約は誠実にこれを守る必要があると書いてある。しかしこの条約と、そして基本的な国民の生活の利害あるいは権利というものを規定した憲法の条章と、いずれが優先するものとあなた方は思っておられるか。最近における政府のあなた方のやり方を見ると、何かと言うと安保条約第六条。しかし、条約よりも憲法に規定された基本的人権をはじめ国民の利害に関する規定のほうが優先すると私は思うが、この第九十八条との関係においてどう考えておられるのか、外務大臣は。
○藤崎政府委員 私どもといたしましては、両方の規定の優劣を論ずる必要のない、両方矛盾するところはない、かように考えておる次第であります。
○岡委員 しかし、公衆の衛生を守ることが政府としても義務づけられておるのである、つとめるべきである、こう憲法第二十五条はうたっているのである。先ほど来るる申し上げましたように、十万キロワットという、こういう大きな原子炉が突如として出現をしてくる。これが万一事故を起こした場合に、人口稠密な東京湾一帯において大きな被害が予想されてくるが、こういう場合には、米国内においても指摘され忠告されているように、出入し、運転するということは、これはとりやめる必要がある、それをすることは間違いであるとさえも言い切っておる。こういう事実を知りながら、あなた方にあえてこの入港を認めるということ、そのこと自体が憲法に違反するものではないですか。万一事故があったとき、あなたはどうするつもりですか。
○藤崎政府委員 第二十五条の解釈につきましては、これは法制局にお願いしたほうが正当かと存じますが、この規定の直接の目的とするところは、日本政府あるいは国としてその施策の上で、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上、増進につとめるということでございまして、原子力潜水艦の入港を認めるという問題とは直接関係がない、かように考える次第でございます。しかし、かりに関係ありといたしましても、政府として安全でないと思いながら入港を認めたとすれば、あるいはこれにひっかかるという議論が成り立つかもしれませんけれども、政府としては安全であるという確信の上でいたしていることは先ほど来御説明申し上げているとおりであるわけでございます。
○岡委員 押し問答になるが、安全であると確信できるデータというものは何も手に入れておらない。それで安全だと言っておる。だから、万一にも事故が起こった場合は、これはしかも安全であるという安全記録などというものは当てにならない、だまされてはならないと本国の権威者が言っておるときに、そういうような科学的な根拠のない安全性の立証というものをわれわれは信ずることができない。どうしてそういうものを信じているのですか。そういうことに対しては、万一の場合には憲法第二十五条に違反するような災害が起こり得る。 だからぼくはここではっきり委員長にお願いをしておくが、一体最近政府はしばしば安保条約第六条に基づく地位協定を引っぱり出して、そして国民の基本的人権なり世論に対するいわばせきとめ政策に用いておる。一体憲法第九十八条のこの問題と、基本的人権その他を規定した憲法各条章とどちらが優先するのであるかということについての政府としての統一的な見解を次の機会に示してもらいたいと思うのです。その上でこの問題を発展をさしていきたいと私は思うのです。 次には、それでは部分的核停協定の締結以後、一体米ソ等において何回の地下核実験が行なわれたか、また、どのような規模の地下核実験が行なわれたか、ひとつお知らせを願いたい。
○滝川政府委員 私、詳しいことは存じません。
○岡委員 部分的核停協定を国会に提出し、軍縮室を設け、核軍縮が核拡散防止協定にとって非常に重要なテーマだなどと言いながら、その衝に当たる外務省が知らないのですか。
○滝川政府委員 外務省全体としてはわかっておる次第でございます。ただ、私自身こまかい点を存じませんので、この場で申し上げることができないのであります。もし、その点御希望でございましたら、資料として出したいと思います。
○岡委員 私は資料をもらっているのです。あなたが知らないということはあなたが怠慢であるということなんです。そうでしょう。 そこで、これは政府の資料によると、六三年の八月十二日から六五年一ぱいで、約七十数回の地下核実験が行なわれている。その規模ではメガトンをこえるものが行なわれておる。かと思えば戦術核兵器とおぼしき〇・五キロトン程度のものも行なわれている。この核実験の経過を見ると、るる技術的な点は申し上げませんが、地下核実験というものが部分的核停協定の中からのけられた、この地下核実験を通じて米ソは核軍拡の競合をやっておるというのが現実の実態であると私は判断せざるを得ない。外務大臣はどう思うか。
○椎名国務大臣 御指摘のとおり部分的核停条約でございますから、条約のたてまえ上これは全部網羅したものではない。そこで地下核実験をもこれに包含させて、全面的な核実験停止条約を設定することに各国が努力をしておるという状況であります。
○岡委員 部分的核停協定の前文その他を見ると、要するに一日も早く全面核停をしたい、終局の目的は国連の管理による全面的かつ完全軍縮であるとうたっておることは御存じのとおりなんです。ところが地下核実験を除いたばかりに、事実上の軍拡が行なわれておるという、この事態を見るときに、いまわれわれが一番必要なことは、核拡散防止協定ももちろんさることながら、全面的な核実験の禁止を要求する必要がある。これを実現するということが今日の現実に即して最も大切な政策であると私は思うのです。 そこで、この間核探知クラブに外務省からも御出席になり、日本の代表が参加しておるが、これは一体どういう経過になっておるのか、将来の見通しはどういうものなのか、簡単でけっこうですから、ひとつお答え願いたい。
○滝川政府委員 先生のおっしゃいました会議は、ことしの五月二十三日から四日間スウェーデンのストックホルムで行なわれまして、その目的は地震データの交換に関する技術的な専門的な会議でございます。この参加国は日本を含めまして八カ国、日本、スウェーデン、豪州、カナダ、インド、ポーランド、アラブ連合、ルーマニアということでございます。日本からは専門家として東大の地震の専門の先生と、気象庁のそちらのほうの専門の方とが参加されました。この会議には各国の政府代表も出席することができるということになっておりましたので、私のほうの科学課長がそういう意味で出席いたしました。 会議の経過でございますが、きわめて短期間で、しかも実質審議は二日しかなかったわけでございまして、その結果何ができたかということでございますが、一番重要な点は、質的にすぐれた地震データの交換をする、能率的かつ公開裏に交換するということのための実現方法を探求する、そういうことが一般的に合議されたわけです、それからこのデータの交換は地震現象のより深い理解をもたらすものでありますけれども、同時に地下核実験禁止の合意を探求する過程で有用な役割りを演ずるであろうという希望が表明されました。 ただ、専門的な見地から、これをたとえば頻度でありますとかその方向についてこまかいことをきめるということまでにはいかなかった次第でございます。交換されましたデータを判断——判断と申しますのは、それがほんとうに地震であるか、地下核実験の結果であるかということの識別等を含むわけでございますが、そういうことは現在としては各国の責任にまかせる。ただそのための資料を交換するということが、さしあたりのことになったわけです。
○岡委員 問題は新聞紙でも核探知クラブと称されておるように、この会議の目的が、核地下実験の探知をするということが大きなねらいであろうかということは疑いないわけです。申すまでもなく部分的核停も、いわゆる国内査察の問題でとうとう米ソの合意に至らず、地下核実験が除外された。この地下核実験が、現在の核軍拡の温床になっておる。それではいけないから、地下核実験をできるだけ精密な地震計を備えて探知し、そのデータというものを公表しよう、これがこの会議の目標であることは当然でしょう。その場合、問題は一体精密な地震計によって調べて、いつどこで核地下実験がどの国において行なわれたかということが国際的に公開され、訴えられたとしても、それだけでは地下核実験をやめさせることにはならない。したがって日本も核探知クラブ、いわばこの会議に参加した熱心な一員であるとするならば、一体このような情報を通じて、全面的な核実験の禁止の方向へ現在の部分的核停を改めるのに、具体的にどういう心がまえを持っておられるのか、改めるという方向へのまず決意を持っておられるかどうか、これをひとつ外務大臣から承っておきます。
○椎名国務大臣 これは、申し上げるまでもなく部分的核停条約は、当然全面核停条約に発展すべきものでありまして、ただ実際問題として地下核実験の探知が場所的にこれに接近しなければむずかしい。しかしそれは各国がこれを了承しないということのために、全面核停条約というものに至らなかったのでありますから、もし今回の国際会議の結果、核実験というものが正確にどの場所で行なわれたかということがはっきりわかるに至りますれば、全面核停条約に発展することをがえんじないという理由はもはやなくなってしまうのでありますから、そういう場合には、日本としてもあらゆる場合にこれを主張しなければならぬ、こう考えております。
○岡委員 単に資料を、いわばそれぞれ地下核実験をやって、国内においてその地下核実験をやったという事実を他の国のネットワークによって明確に探知することができるという機構ができただけでは、はたして米ソが地下核実験をやめるかどうか。だから具体的にどういう方法で全面的に核実験の禁止に持っていくのか、日本は絶えず主張するというのが、一体具体的にどうするのか、もっと明確な政策的な見解を示してもらいたい。
○椎名国務大臣 その具体的な方法は、いろいろ考えられるのでありますが、すでにこういう各国のデータが、地震かそれとも核実験か、その判断の資料がもうはっきりと出てくるということになりますれば、事実上これを阻止するということはできなくなると思います。結局自分の領域内に入ってきてそして地下核実験をやったかやらぬかということを審査することは非常に困る。こういうことをいっているのが、この条約ができない一つの大きな唯一の原因ではないかと私は考える。それが領土に入らないで、遠隔の地からはっきりとつかめるということになれば、もはや私は核所有国が全面核停条約を拒んでいる理由はなくなる。そういう事実をつかんで、そしてあらゆる場合にこれを認めさせるということ以外に方法としてはないと思います。どういう場合にどういうことをするかということにつきましては、これはいまはっきりと、これこれの方法でということを申し上げる段階ではないし、またそれを別にいまきめているわけではありません。
○岡委員 最後に私から提案を申し上げて、御返事を承って質問を終えたいと思う。 問題は、国内査察の問題でとうとう地下核実験が除外されたが、これが核実験の全面禁止を要望する国々によって、いよいよ国内査察を伴わない地下実験の探知網ができ上ったとしたら、そのことによって米ソは地下核実験を拒み得る理由はないから、その後ひとつ政府としても何らかの対策を講じてぜひやりたいという、その中間において決意がきわめてあいまいであったので、私ははっきり申し上げるのだが、これは、この間も私は若干触れましたが、いま核探知の会議に集まっておる国々は、インドのごときは現にボンベイでプルトニウムをどんどんつくっておる。もういまにもやろうと思えば原爆の実験はやれる。日本も数年すればやり得る可能性も持つでしょう。アラブ連合にしてもすでにソ連から供与を受けた原子炉が運転をしておるから、イスラエルとの関係においては原爆実験の可能性はないでもないと思われる。スウェーデンも、私はウプサラその他の研究所を見てやり得る可能性を持っておると思う。そういう国々がこの際自分たちは核を保有し得るが、核は保有しない、いわゆる核非武装宣言をこれら探知クラブに属した国々は堂々とやってのける。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕 そうしてその核非武装宣言を通じて、この部分的核停協定に参加しておる国々をリードしながら、全面核実験禁止という方向にこの部分的核停を改正をする。これは、私はこの秋における国連における一つのテーマとなり得ると思うのである。政府は口でよく核武装をしないとか核兵器の持ち込みはしないと言いながら、核非武装宣言については非常にちゅうちょしております。今日の段階において探知クラブにまで熱意をあげておる段階においては、政府自身、核非武装共同宣言に加わって、これらの国々を、今度の国連総会を通じて、全面的な核停協定に持っていく、これだけの決意があるかないか、この点だけを承って私の質問は終えさせていただきたいと思います。
○椎名国務大臣 結局お話の趣旨は私も了解し得るところでございまして、またそういう趣旨において全面的核停条約にまで発展させるべきものである、こう考えております。
○岡委員 それではこれでやめます。
○毛利委員長代理 戸叶委員。
○戸叶委員 私は外務大臣に対しまして、先ごろ韓国で六月十四日から十六日まで行なわれましたアジア太平洋地域の閣僚会議の共同コミュニケについて質問をしたいと思いますが、それに先立って一点だけ伺っておきたいことがございます。 それはこのベトナム戦争の熾烈化につれてアメリカが軍事基地を沖縄に拡大したい、こういうような考え方を持っていて、沖縄では立法院をあげて与野党とも反対しているわけでございますが、これに対して日本の政府はどういうお考えを持っていられるかを伺っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 基地拡大かどうかはわかりませんが、とにかく周辺の土地を多少買いたいというので、土地所有者に交渉しておって、それが反対者もある、こういったようなことを聞いておりますが、これは日本政府の関与すべき問題じゃございません。
○戸叶委員 もちろんアメリカの施政権が沖縄にはあるわけですから、アメリカが適当にやるだろうというようなことを日本の政府はお考えになるかもしれませんけれども、これでは日本の県である沖縄に対してあまりに冷たい仕打ちじゃないでしょうか。しかも与野党の議員がこぞって立法院でそのことに対して反対をしているわけです。だからこういう問題はやはり日米協議委員会等で話し合いに出すべきではないかと思いますけれども、日本の政府としては、アメリカが買いたいというのだからかまわないだろう、どんなに沖縄県民が反対してもしかたがない、こういうふうな突っぱねた態度でお臨みなさるかどうか、この点を念のため伺っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 どういう事情か、あまり詳しくは私も存じませんが、これは国内においてもよくあるわけでございます。土地を買う、地元が反対するとかいったようなことであります。どこでも同じことですが、当事者同士円満に話し合いがつくようにすべきだと考えております。
○戸叶委員 私はきょうこの問題でそれほど深くは質問しませんけれども、ただ問題は、沖縄の与野党の議員がこぞって立法院で反対をしているわけです。ということは、反対者があるとかないとかいう問題ではなくして、沖縄の県民が反対しているのですから、この問題はもっと真剣に取り組んで考えていただきたい。そしてそれほど強い与野党の反対であるならば、政府としても、沖縄は施政権がアメリカにあるのだからしかたがないという形で解決しないで、かまわないという形じゃなくて、もっと積極的に乗り出して考えてあげるような措置をとっていただきたい。これは当然ベトナムの戦争の熾烈化に伴っての軍用地にしようとしているのですから、こういう問題をもう少し考えていただきたいと思いますが、もう一度念のため外務大臣の御答弁を承りたいと思います。
○椎名国務大臣 よく実情を調べてみます。
○戸叶委員 実情を調べるということですから、先に進みます。 先ほど申しましたように、この間のソウルにおけるアジア閣僚会議ですか、これについて質問したいのですが、この会議のほんとうの名前は何というのですか、また今後どういうふうな名前で呼ぼうとされているのか、この点を伺いたいと思います。
○小川政府委員 アジア・太平洋地域の協力のための閣僚会議というのが今回行なわれた会議の名前でございます。将来につきましては、アジア・太平洋会議ということになっております。アジア・太平洋会議の閣僚会同でございます。
○戸叶委員 いま局長がアジア・太平洋閣僚会議と呼ぶというふうにおっしゃったのですが、共同コミュニケでもそういうことをはっきりさせたのですか。
○小川政府委員 ただいま日本語の話が出ておりますが、共同コミュニケは英語が正文でございます。英語のコミュニケが最後の日に採択されておりますので、私どもといたしましてはコミュニケの個条ができるごとにその場で訳しまして本省へ送っております。ただいま新聞その他に出ておりますのはいわば仮訳でございまして、これをどういうふうに定訳にするかという点は現在研究中でございます。そのときに仮訳いたしましたのはアジア・太平洋閣僚会議と訳してあります。
○戸叶委員 日本語の訳はアジア・太平洋閣僚会議、しかしいま局長がおっしゃったように、共同コミュニケではそうなっていないわけですね。
○小川政府委員 共同コミュニケでは、ミニスティリアル・ミーティングズ・オブ・ジ・エーシアン・アンド・パシフィック・カウンシルとなっております。
○戸叶委員 そうでしょう。そうしますと、日本語で訳した場合と英語の内容とは違ってきますね。アジア・太平洋理事会の閣僚会議というふうに英文ではなっていますね。
○小川政府委員 そうなってはおらないと思います。先生はカウンシルという字を理事会とお訳しになりました。理事というものは全くないわけであります。カウンシルというのは、普通は会議と訳すべきものだと思います。日本語の字引きを見ましても、第一に会議と出ております。ただ先ほど申し上げましたように、全体の定訳についてはただいま見直しております。
○戸叶委員 これはスタンディング・コミッティ、いわゆる常設機関であるかどうかということの関係も非常に深いと思うのです。これはあとから聞いてまいりますけれども、ここにアジア・太平洋閣僚会議というふうに日本文には書いてありますね。しかし英文では、エーシアン・アンド・パシフィック・カウンシルのミーティングと書いてあるわけですね。翻訳の中にはカウンシルという一字が抜けている。正文のほうには入っている。こういうふうに了解していいわけですね。
○小川政府委員 この日本語の仮訳は、おっしゃるとおりに、閣僚会議とそれからアジア・太平洋会議と一緒に書いてありますので適当でないので、これは直す必要があると思います。ただその場合に、先生のおっしゃったようにアジア・太平洋理事会と訳すのは明らかに間違いだろうと思います。
○戸叶委員 理事会と訳さないで、アジア・太平洋閣僚会議だったら、カウンシルは要りませんね。要りますか。ミーティングという字があるのですから……。カウンシルをまた会議と訳すのですか。そうすると、アジア・太平洋会議の会議ですか。これはどういうふうに訳すのですか。
○小川政府委員 ただいま申しましたとおり、いま定訳は検討中でございますから最終的のことは申し上げませんけれども、私の感じといたしましては、アジア・太平洋会議の閣僚会同と訳すのが一番よろしいと思います。
○戸叶委員 会同というのはどういうことですか。
○小川政府委員 会合でも差しつかえないと思います。
○戸叶委員 局長、そんな苦しい答弁をするのはおよしなさい。閣僚会議で済むのです。カウンシルがあるから一生懸命になって何とかごまかさなければならない。しかも、カウンシルという字をその通りに訳すと、またほかの文章ともからんで、そこに問題が出てくるので、しょうがないからアジア閣僚会議の会同なんて、そんなややこしいことをおっしゃらないで、もしもアジア閣僚会議というのなら、カウンシルを抜いて、ミーティング・オブ・ジ・エーシアン・アンド・パシフィック・カントリーズとか、そういうふうにしたらいいのじゃないか。わざわざそういうこじつけをしなければならない理由は、一体どういうところにあるのですか。私はこれはあとから聞きますけれども、ここで、これからの呼び名を念のために伺っておかないと、あとの質問ができないから、ちょっと伺っておきたいと思います。
○小川政府委員 ただいま申しましたように、アジア・太平洋会議の閣僚会同、略しましてアジア・太平洋会議でよろしいと思いますが、これはただいま先生の御質問にございましたので、ちょっと触れますが、この名前が出ました経緯は、現在までの名前がエーシアン・アンド・パシフィック・コーオペレーションとなっています。ところがミニステイリアル・ミーティングズ・オブ・ジ・エーシアン・アンド・パシフィック・コーオペレーションでは非常に長い。かつあとだけをとると、エーシアン・アンド・パシフィック・コーオペレーションでは何だか意味がわからない。そこで名前を何か直す必要があるのではないかという議論が出ました。一方頭文字をとりましてASPAC、これが実は今回の会合の略号として、自然にいろいろな文章あるいはサインボードなどに使われております。みんなASPACという名前は保持しておきたい。ASPACという略号は保持しておきたくて、エーシアン・アンド・パシフィック・コーオペレーションというわけのわからぬようなものを直してみたい、そういうところから出たのでございまして、特にこれによって会議の性格を性格づけるとか、あるいは恒久的なものにする、あるいは暫定的なものにするというような深刻な問題から出た問題じゃありませんで、ただいま申しましたASPACの略号を維持しながら、何かいい意味を持たせるものはないかということで出た結論でございます。そこでただいま申しましたように、仮訳にはアジア・太平洋閣僚会議と書いてございますが、アジア・太平洋会議の閣僚会同あるいは閣僚会合というのがいいのではないかと考えておりますが、先ほどから申しますように、全体を見直しておりますので、結論をもう少し時間をかけて考えたいと思います。
○戸叶委員 私はいまの答弁に納得できないのです。全体を見直すので、今後どういうふうな呼び名にするか考えます、そういうところにすでに問題があると私は思うのです。名前だけだったら、すぐそれでつけたらいいじゃありませんか。今後どういうふうないきさつを経ていくかわからないから、そういうものを見た上で名前をつけるということ、そのこと自体に私は問題があると思うのです。それはあとで聞きます。あとで私はコミュニケの条項に従って御質問をしながら、そのときに八項にその問題がありますから、八項目目になって、その問題をもう少し詳しく伺いたいと思います。 そこで、この会議に対しましても、韓国というのはたいへんに反共の強い国であり、今回の会合では相当その線が出るから日本は参加すべきではないという意見も相当強くありました。国会でもそういう議論が出ましたけれども、政府は、反共ではないのだからかまわないのだということで出席をしたわけです。しかし相当反共の強い線も出て、政府としてはそれを出すまいとして相当苦慮されたというようなことも報道されているわけでございますが、外務大臣、その間のいきさつを、御出席になったのですから、少し説明をしていただきたいと思います。つまり外務大臣は帰っていらっしゃって、日本のペースどおりにいきましたと言われた。日本のペースどおりにいきましたと言うからには、何かいろいろ問題があって、日本のペースに引きずり込むことができたということだろうと思います。そういう点をやはり私たちは伺いたいと思います。
○椎名国務大臣 一口に言うと、あまり肩ひじ張って気勢を上げる、そういう空疎な国際会議ではつまらないじゃないか、そうしていたずらに新しく対立をつくるようなことになってもつまらない、そこでほんとうに静かな実のある建設的な方向に会議を開くなら賛成だ、こういったような考え方で準備会は大体ほとんど全部が日本の主張に賛意を表して今度の会議になったわけであります。別にその方向は変わっておりません。そのとおりになったと私は思います。
○戸叶委員 どぎつい形を出さないで、お互いに円満に話し合っていこう、こういうふうなことだとおっしゃいますけれども、何か日本としても先方の言うことに対して、そういうことは行き過ぎであるからというようなことで、日本の意見を通したというようなことはなかったのですか。
○椎名国務大臣 たった一つありました。それは、南ベトナムの政府及び国民、それからこれを支持しておる国が一生懸命防衛戦争、防衛のために努力しておるということを認めてこれを勇気づける云々というようなことばがあったのです。それで、それは少し事実と違うから訂正してほしいということは、それは出兵してこれに協力している国もあれば、あるいは出兵しない国もある。日本の場合は防衛戦争というものとは直接の関連なしに、他の方法で南ベトナムに対して協力しておる。たとえば医療援助であるとかそういったようなことでありますが、そういう国がここへ集まっておるので、それを防衛戦争にみな参加して、そして勇気づけておるというような簡単なことで十ぱ一からげに片づける性質のものではないということで、お手元にありますような共同コミュニケのような形になったわけであります。
○戸叶委員 外務大臣にお伺いいたしますけれども、先ほど外務大臣は、あまり対立してもつまらないから静かにいろいろと話し合いをしよう、こういうふうなお話で会議が進められたということでございますけれども、この共同声明の中でそういうふうに思われない面がいろいろあるわけです。その一つとして、この「アジア・太平洋地域の自由諸国がすべての共産主義の侵略または浸透に対し、」云々ということが書いてあるわけで、これはやはり明らかにここで共産主義なりあるいはそれの侵略というものを予期して、それに対する一つの反対の声明というようなものをはっきり出しているのじゃないですか。もしもお互いにいろいろな摩擦を起こすようなことはやめようじゃないかという形であるならば、こういう文句はうたわれないで済むのじゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
○椎名国務大臣 これは一番初め冒頭に、朴大統領が会議に臨んで大統領の演説の内容をごく簡単に共同コミニュケに書きたいということで、その梗概をこういうふうに再録したのです。すでにしゃべっていることです。朴大統領が来て歓迎のあいさつかたがた所見を述べたわけであります。その内容をただそこに書いただけです。
○戸叶委員 内容を書いただけといっても、それは朴大統領がそういう考えであったからその内容を述べて、それをそのまま書いてくれというから書いたわけでしょう。外務大臣の意図するところと違ったのじゃないですか。いたずらにアジア諸国で摩擦を起こすようなことはしたくないという考え方と違ったのじゃないですか。
○椎名国務大臣 いや、いろいろな意見が出たのです。それから地元の主催国として朴大統領がわざわざ出てきて演説をやったのです。大統領自身も、この会議が特にいろいろな刺激を外部に与えるということはつまらないというようなことを個人としても私に漏らしておりました。しかしいま韓国が北と南になってお互いにやり合っているという事実もどうも認めざるを得ない。そこの大統領なんですから、こういうことを言ったからといって、何もこれを全面的に賛成し、支持いたしますというようなことはどこにも書いてない。共同コミュニケはみなの集まった最大公約数をやるのが共同コミュニケでございます。
○戸叶委員 最大公約数を書くことですけれども、外務大臣としてもそれに反対をしないからそのとおりサインしたわけですね。そういうふうなことが次にもうかがわれるわけなんですが、その次に書いてあることで「閣僚たちはアジア・太平洋地域の諸国民が平和、自由および繁栄という共通の目的に対して献身していることならびに外部からの脅威に対し各国の保全をはかり、」というように書いてあるのですが「外部からの脅威」ということはどこをさしてこういう討議をされたのですか。
○椎名国務大臣 これは少し狭い意味で書かれておるようでありますが、ある国から——それは違う、たとえばマレーシアとインドネシアの紛争なんかは、別にどっちも共産国じゃないじゃないか。だから外部からの侵略とか脅威というようなものは必ずしも共産圏に限ったわけではないんで、お互いの間でもやり合うということもある。結局そういうものを包含して「外部からの脅威」こういうことになったようであります。
○戸叶委員 外務大臣、御自分で共同コミュニケに署名していらしたのですけれども、何かコミュニケはよそごとの、そういうふうになったようでありますとか、そういう最大公約数、寄せ集め署名なんだからしかたがないというようなことで、何かごまかしていらっしゃるのですけれども、表面的に反共というような線は出ないにしても、いまのようなことばの中にも反共という線が出ているように私どもには思われるわけでございます。 そこで、その次にお伺いしたいことは、「閣僚たちは国際的理解を更に深め、一層密接かつ成果のある地域的協力を促進し、」とあるのですが、「地域的協力」というのは何を意味するのですか。
○椎名国務大臣 これはすらっと読んでそのとおりであるということを申し上げる以外にないと思います。何かほかにこの文句から……。
○戸叶委員 そうすると「地域的協力」の中には安全保障などの面も入ってくるわけですね。
○椎名国務大臣 いや、その話は全然出ませんでした。結局、文化、経済あるいは医療問題であるとか、そういういろいろな平和的な共通の問題をお互いに協力してやろう、こういったような安全保障の問題ではない論議が出ておりました。しかし、安全保障を含まずということはこれに書いていないから、読みようによってはそういうようになるかもしれない。われわれはいまあなたのお話を伺って驚いた次第です。
○戸叶委員 安全保障は含まずというふうに書いていないからどうかわかりませんということですけれども、やはりこれほど重大な会議に参加するからには、いろいろな面でよく考えておいていただかないと困るのです。今後において、たとえば常設機関のようなものができて、そこでいろいろ討議されていって、安全保障の問題等に取り組まれてまいりますと、そこに私たちが心配していたNEATO的構想のものが出てこないとも限らない、こういう面で私たちは非常に懸念をするわけです。その懸念を裏づける一つのことといたしまして、この十八日から外務省とアメリカの国務省の政策企画委員会で安全保障問題に関するいろいろな問題を協議し、その中で防衛問題なども出て、そうして近隣諸国間の協力関係を強化する、わが国と近隣諸国の間での二国間の友好関係を今後安全保障の領域まで及ぼす、こういうことまで、非公式ではあるけれども討議をしたということの報道を見たわけでございます。したがって、そういうことから見ましても、このコミュニケの内容で将来安全保障というようなことも出てくるんじゃないかということを懸念するわけでございまして、もしも安全保障の問題などが出てまいりますと、やはりNEATO的構想になるので、外務大臣としては、そのときにはやはりそういう構想には反対をされる、こういうふうに考えてもよろしゅうございますか。先のことであるかもしれませんけれども、今後の問題として当然重要な問題ですから、私は伺っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 この会議をNEATOのようなものの一つの準備的な存在にするというようなことは毛頭私どもは考えておりません。
○戸叶委員 毛頭考えておらないということは、そういうふうな問題が出てきたときには、そういうことには応じない、こういうふうに了解してもよろしゅうございますか。
○椎名国務大臣 日本としてはそういうふうな仲間にはなり得ないのであります。
○戸叶委員 そこで次にお伺いしたいことは、さらに進んで「閣僚たちはアジア・太平洋地域の他の自由諸国が将来の協議に参加するよう」云々とあって、他の自由諸国にこの会議のメンバーを広げることをうたっているわけです。外務大臣がそれに対して記者会見でおっしゃったことは、自由主義諸国というのではなくって、それは非同盟の国の参加も希望する、こういうようなことを言われたわけですけれども、現実にアジアにおいての非同盟の国というのはどの国を考えておっしゃったのでしょうか。
○椎名国務大臣 インド、ビルマ、パキスタン、カンボジア、インドネシアもいまのところはあります。
○戸叶委員 そういう国々もすべて入ってもらいたい、こういうふうな構想で言われたわけですか。
○椎名国務大臣 参加したほとんど全部の国が、もっとメンバーを拡大するということを望んでおったようであります。
○戸叶委員 いま言われました非同盟の国には中国と親交を結んでいる国がたくさんあるわけです。そうすると、先ほど私が指摘しましたように、二項の共産主義の脅威と浸透に対して云々ということと非常に矛盾をするわけであって、中国と非常に親交を結んでいる国に入れと言っても無理じゃないですか。
○椎名国務大臣 これは朴正煕大統領の歓迎のあいさつの要綱としてこの条項がただ入っただけの話でありまして、この会議が別にこういうことを決議したとか、全部内容に賛意を表したとか、そういうのではないのでありまして、大体共同コミュニケに署名するなんというようなこともあまり例がないことなんですが、アジアの国の大体の最近のならわしは、署名といいましても簡単にただイニシアルする程度でありまして、そういうことをやるらしいのです。ですから、そのためにイニシアルする必要があるので正式の印刷物が出てくるまで一時間以上もわれわれはぼんやりして待ったような次第で、われわれは署名なんかやめてしまえということを言ったのですが、イニシアルする習慣になっておるから、一応はとにかく郷に入っては郷に従えでイニシアルしようじゃないかということになったまでの話であります。ほんとうにこれは他国の集まりで共同コミュニケを署名するとかイニシアルするなんということはあまり聞いたことのないことですが、最近のアジアの慣習なんだそうです。そういう意味でございまして、ただその中に朴大統領の演説の内容に敬意を表してこういう文句が出ただけの話です。
○戸叶委員 外務大臣のお話を聞いていますと、今度の会議は行っても行かなくても、どうでもいいのであって、イニシアルが習慣らしいからそれに署名しただけであって、こういうことで、何でもないというふうに簡単にお考えになっていらっしゃるわけですか。
○椎名国務大臣 私の申し上げましたのは、そのイニシアルをしたという事実だけを言っているのです。やはり今度は、継続してやろうということには賛成してまいりました。
○戸叶委員 大臣に質問していますと、何かはぐらかしてしまうようで、一生懸命質問している者にとっては少し腹の立つことなんですけれども、そこで、先ほどから問題になっておりますこの太平洋閣僚会議が常設機構でないというふうに言われているわけですけれども、常設機構でないならば、ここでスタンディング・コミッティということばを使わなくてもいいんじゃないか。国会の常任委員会なんかもスタンディング・コミッティというんじゃないでしょうか。やはりこれは常任委員会とか常設機関でなければ、スタンディング・コミッティということばは使わないんじゃないかと思うんですけれども、わざわざ訳をはぐらかして、常設機関でないというふうに訳したのはどういうわけでございますか。
○椎名国務大臣 私も英語の知識は怪しいもので、あまりありませんが、これは内容を申し上げますと、何か事務所でも設けて、そして職員を置いてこの会議の事務をとらせるというような説もちょっと出ましたが、これは大多数からみな葬られちまった、そういうものを設ける必要はない、そういうはっきりした形のものをつくる必要はない、こういうことでございました。それで今度はバンコックで開くんだが、今度のバンコックの会議にはこれこれのことをよく論議しようじゃないかという話がございまして、いまからもうすでに課題が出ておる、それの必要な資料を取りまとめたり、その他のアレンジをすることが少なくとも必要である、そのためにやはり常設的なものは、たとえ軽微であっても設ける必要があるのではないかというような意見がありましたが、その必要もない、今度はバンコックの、つまりタイの当番だ、だからその当番の国がバンコック駐在の各国の大使を適当に集めて、そして必要があればその事項を協議する、それでいいんじゃないか、そういうことで、それにまあスタンディング・コミッティという名前がついただけでございます。ですから常設機関というような性質のものじゃない。今度はその翌年か翌々年また第三回目をどこかでやる。そうすればまたその幹事役も場所もみな変わる、こういうわけでございます。スタンディング・コミッティということは、必ずしも常設ということばでないようであります。まあ、もよりというか、待っておるとかなんとかいう、つまり何というのですか——これはひとつ小川局長からお答えいたします。
○小川政府委員 ただいま大臣が説明されましたような状況でございまして、常設的に置くということには、各国ともまだ時期尚早であるという意見が圧倒的であったわけでございます。したがいまして、このできますコミッティも、あるいは誤解があるかもしれませんけれども、これがバンコックに置かれるというのは、たまたま第二回目がバンコックでありますので、バンコックになるわけでありまして、たとえばマニラに変わればマニラに同じように大使が集まるということになるわけであります。そこでそういう雰囲気でございますので、私どもはこれを常設と訳すことは会議の内容から見て適当でない、常設ということばを使いますと非常に誤解を与えると思いましたので、とりあえず連絡委員会と、内容をとって訳したわけでございます。ただ非常に連絡委員会は評判が悪いものでございますから、あるいはスタンディング・コミッティそのままでもいまは日本で通用するかと思いますので、その辺のところをいま再検討しております。
○戸叶委員 コミュニケの中で、「経済、技術、文化、社会および広報の諸分野において、参加国が一層積極的にかつ、成果のある協力を行う必要があると痛感した。」それらのセンターのいろいろな問題について、今後もこれを常設連絡委員会でいろいろと研究をしてもらうのだということが書いてあるわけで、当然やはり何かの機関がなければならない、こういうふうに私は考えるわけでございまして、そういうものを研究する機関としてこのスタンディング・コミッティというものがあるのじゃないですか。
○小川政府委員 ただいまの各種の提案は、いまだばく然としたものでございまして、これは各国政府がさらに検討を加えなければならないわけでございます。したがって、そういう各国政府の検討を求めるためにこのスタンディング・コミッティを通すということでございまして、研究はここにも書いてございますとおりに予備的なことでございまして、さらに政府の検討を求めるというのが主眼になってまいります。
○毛利委員長代理 戸叶さん、時間がまいりましたから……。
○戸叶委員 いろいろと私は聞きたいことがあるのですが、そうしてまたすっきりしないものがいろいろあるわけでございまして、これは保留をしておきますけれども、ただ私がこの際外務大臣に一点だけ伺っておきたいのは、日本の外交の姿勢ということでございます。たとえば、今度の韓国でのこういう会合においても私どもが非常に懸念するのは、一体いまの外交というものが反共軍事体制の外交であるか、それとも平和共存の外交であるかということで、いろいろと考えさせられる面があるわけでございまして、一言に言って外務大臣はそのどちらの線を歩んでいられるのか、念のために最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。
○椎名国務大臣 これをあまりかた苦しく、日本の外交政策はこれだというふうに申し上げることは、この際は控えたいと思いますが、ただ私はいずれかといえばもちろん平和共存でいくべきである、こう考えております。
○毛利委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十九分散会