外務委員会 第19号
- 発言数
- 95 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/06/01
会議録
○高瀬委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。三原朝雄君。
○三原委員 原潜寄港について御質問をいたしたいと思いますが、アメリカの原子力潜水艦スヌーク号は、去る三十日の午前八時過ぎに横須賀に寄港いたしました。これに対しまして、反対デモが連日続けられておるわけでございます。これらの反対デモをやられる人々は、核兵器のわが国の領土への持ち込みにつながる、特にポラリス潜水艦の寄港を認める前ぶれであるとか、あるいは、米国の原子力空母エンタープライズ号の横須賀入港の前ぶれだとか、あるいはまた、横須賀の水道がきわめて狭くて、船舶の往来がひんぱんでありますし、かつて、一般商船がしばしば海難事故等を起こしておりますし、かつ、首都東京や京浜地帯と非常に接近した地域にございますので、事故発生等に対して非常に心配だというのがこれらのデモ分子の反対理由だとしてわれわれ承っておるわけでございます。こういう点に対して、政府は次のようなことを常に回答しておられる。ベトナム問題が現実存在しておるが、それがどう進展しておるか、そういうことに関係なしにこういうことはなされておるものであるというような御意見が出たり、あるいはまた、わが国としては核兵器は保有もしないし、核装備もしない、核の持ち込みは認めないのだというようなことをしばしば明らかにしておられるわけでございます。そうしてまた、こういう連中の動きに対しては国民の一部のそうした動きであるし、考え方を異にしておる者の動きであるからということで政府の方針などを説明をしておられまするし、また安全性の問題等につきましては、国際的に安全性が確認されておることだし、特にアメリカなどにおきましては、ニューヨーク近くにあるそういう港湾には、商船と一緒に同席してつながれておるというような事情もある。これは絶対に安全だというようなことで、いままで政府は、安全性についての問題についてはそういうことを言っておられる。そういうようなことでございますとか、あるいは核兵器の問題にいたしましても、先ほど申しましたように、わが国としては核兵器は保有しない、また核装備もしないのだ、持ち込みもいたしませんというようなことをしばしば声明なさっておるわけでございまするけれども、しかし、現実、一部においては、国民が核に対する不安動揺をいたしておりまするし、また、考え方が違うのだというようなことを言われましても、そういう動きをする者があるわけでございまするが、ただそれだけで一つの行事のように展開される状態を等閑視するのもあまりにも芸がなさ過ぎるのではないかというようなことを私は感ずるわけでございます。 そこでひとつ、こういうものに関して、二、三の御質問を申し上げたいわけでございます。 まず安全性の問題でございますが、なるほど国際的には確認されておりましょう。しかし、実際の運航の安全の問題やら、あるいは衝突、沈没をいたしたときの危険性の問題、要するに事故が発生したときの危険性の問題等について、国民はまだはっきりした理解を持っておりません。そういう点について、ひとつ積極的に、いま申し上げましたような抽象的な表現でなくて、具体的に、しかも科学的に、政府としては国民にはっきりさせる必要があると思うわけでございます。そういう立場から、こうした問題に対してどうやろうと考えておられるか、所見を伺いたいのでございます。
○安川政府委員 安全性につきましては、この原子力潜水艦寄港の申し出が米国からありまして、約一年以上にわたりまして、入手し得る限りの資料をアメリカ側から入手いたしまして、それに基づきまして、原子力委員会が中心となりまして、綿密な調査をいたしました結果、最終的に原子力委員会から、アメリカ側の保証がそのまま実行されるならば、原子力潜水艦の寄港は、日本国民の安全、特に周辺区域の安全にとって何ら危険はかいと判断する、こういう結論が出たわけでございます。その間の詳しいアメリカ側の保証の内容その他につきましては、ここで一つ一つ御説明申し上げる時間がないかと思いますが、その点は当時アメリカ側から提出されました文書を、そのまま当委員会にもたしか御報告いたしたはずでございます。 実際に衝突事故の場合の安全性ということは、特にただいま御質問がございました、かりに衝突した場合に、その原子力潜水艦というものが、衝突の衝撃に対してどれだけの抵抗力と申しますか、強度を持っておるかという点につきましては、これは軍艦でございますので、その性質上はっきりした数字的な根拠と申しますか、資料を入手することはできないわけでございます。ただ、一般的にこれは軍艦であるという当然の性質からも、単なる衝突によって原子炉が破壊されて放射能が排出されるというようなおそれはないというふうに認識されております。 それから運行上の安全措置でございますが、これは当時アメリカ側から提出されました書面の中にも、日本の港に寄港する場合には、きわめて限られた例外的な場合を除いては、夜間を避けて昼間に寄港するということになっております。従来佐世保に八回、今回横須賀に入りましたのを加えまして九回入港しておりますが、いずれも夜間を避けまして昼間の入港でございます。それから、入港に際しましては、御承知のように海上保安庁の巡視船が中心となりまして、航行の誘導その他万全の措置をとっておりますので、衝突事故というのが起こる可能性というものは万々ないものと判断いたしております。
○三原委員 まあわれわれは、一応一般の国民よりも原潜等については承知をいたしておるわけでございますが、いま北米局長の御意見をわれわれならば了承いたしまするけれども、しかし、一般国民に対して具体的にかつ科学的にやはりある程度納得させる努力が必要ではないかと思うわけです。艦長の談話なりあるいは新聞などにも出ておりまするが、いま言われた航行上の安全性の問題等については、一応一般的に示されておるわけでございまするけれども、いま、せんだって沈没した問題でいろいろ世界の人々を心配をさせておるというような現実もあるわけでございますが、そうした問題を国民の立場に立って、ひとつできるだけ具体的に納得し得るような線で努力をしていただく必要があろうと思う。 と私が申し上げまするのは、いま横須賀等でああしたデモ行為がなされておる。その行為自身に対して、私は、慎重性なり良識的でないという批判も持っておるのであります。しかし、一面において、われわれ政府なり国会といたしましては、そうした行動に対して、言動に対して、慎重でない、良識を欠くというようなことを言います前に、やはりそれらに対して国民に具体的に理解をさせる必要がある。そうした上に立って、できるだけそうした行動の慎重性なり良識を欠くような態勢を積極的に防止する必要がある。そういう点で、政府としては、具体的にはどう進められるのか、そういう方針があれば承りたいのでございます。
○椎名国務大臣 これはすでに佐世保において八回入港があったのでございますが、その際にも相当広報活動を活発にいたしまして、原潜に対しては、ただいたずらにおそれる必要はないのだと、これを平易に科学的に解明いたしまして、パンフレット等あるいは講演その他の広報活動を活発に行なったわけでございますが、今回もその点はかなり徹底するような方法をとったつもりでございます。しかしまだ十分であると私どもも必ずしも思っておりません。その点につきましては、御注意もございましたので、今後十分に気をつけてまいりたいと考えております。
○三原委員 この点につきましては、原子力委員会等において、安全性については一応保証するような御意見が出てまいっておりまするけれども、一部の学者はまだ国民が疑念をはさむような言動をするのでございます。これ自身考え方が違い、政策を異にする立場の人々であるからどうだというようなことだけでおるわけにもまいらぬ点がございますので、いま大臣が申されまするように、絶えずひとつそういう点について、ああした行動を批判をいたしますとともに、具体的、積極的に国民に対する理解を深めていただくように御努力を願いたいと思うのでございます。 次にお尋ねいたしたいのは、これは非常にデリケートな問題と思うのでございまするけれども、政府におきましては絶えず声明をして、核の兵器は保有しない、核装備もいたさない、またどういう手段によりましても核兵器の持ち込みは拒否するということを言ってきておられるわけでございます。しかしなおかつ国民の一部には、これはもう考え方が違い、反対せんがための反対をするやからはしようがないといたしましても、しかしやはりこれを大臣あたりの立場といたしましては明確にしたい。 〔「持ち込むと言っているじゃないか」と呼びその他発言する者あり〕
○高瀬委員長 お静かにどうぞ。
○三原委員 こういうものを国民が信頼する態勢を、具体的に何らかの形で明確にするような方法はないのか。たとえば、すでにそれは安保条約下においてこうした核の問題等について何らか具体的な話し合いをなされたそうした形をつくるとか、何か具体的に、日本の一方的なものではない、やはりアメリカとお互い相互信頼でやっておりますけれども、アメリカとこういう話を進めたから信頼をせよというようなことだけでなく、何か具体的な日米間の措置によってそういうものを明確にするというようなことができるかどうかということでございますが、そういう点について、私どもはいまの状態でも信頼をするわけでございまするけれども、その点について、一部の反対する人々も協力願えるための積極的な行為としてそういうことが考えられないものかどうか、御意見を伺いたいと思うのであります。
○椎名国務大臣 これは岸・アイゼンハワーの共同声明によって明確にされておるところでございまして、その後、政府は、しばしばこの共同声明の趣旨を繰り返して説明してまいったわけであります。軍艦でございますから、みだりにこれに立ち入って実地検証をするということは、国際的にも慣例はございません。そういうわけでございまして、これを実地検証するという方法は無理です。結局、私は、その最高責任者が当時において共同声明をしたという方法以外にないものと思います。結局これ以上は、もう相互信頼の問題であります。同盟国をお互いに信頼するということによって同盟条約の実体もでき上がるのでございますから、これはもうそれ以上、とやかくと疑いの目をもってせんさくするということは、むしろ同盟条約の趣旨に反するものである、私はそう考えております。
○三原委員 終わります。
○高瀬委員長 鯨岡君。
○鯨岡委員 原潜の問題についてはきわめて重要な問題ですから、特に折り入ってお尋ねをしたいと思うことはあるのですが、その前に、これは社会党の委員からも前に御質問がありまして、これにお答えをいただいたのですが、まだ十分に結末がついておらないようにも思っておりますので、その後の経過について、きわめて簡単にお答えをいただきたいと思うのです。 ソ連につかまった十一進洋丸事件、あれはぶつかって沈没したというお話で、しかもそれが非常に報告がおくれた。きわめて日本とソ連との友好の間で遺憾な事件だと思っているのですが、あの結末についてはどうなったか、ひとつその点をお答えください。
○藤崎政府委員 こちらからこちらの取り調べた結果をソ連政府に知らせまして、日本側としては、事実はこのとおりだったというふうに了解しておるが、もう一度よく事情を調べてもらいたい、特に、事件発生後、日本側に通報するまでに五日間もかかったということの事情をよく調べてもらいたいということを申してやりました。その後、それに対してはまだ応答がないという状況でございます。
○鯨岡委員 外務大臣にお尋ねいたしますが、調べてもらいたいというこちらの要求に対して、まだソ連のほうから答えてもらえないということでありますが、これは、せっかく友好的になってきた日本とソ連との間にとって、まことに遺憾な事件、しかも間違いは間違いとしてまことに残念ですが、しかたがないとも思いますけれども、やはり誠意を持って、こういうことは行動がなされなければならぬ、こういうように思うのですが、外務大臣、いかがにお考えになりますか。
○椎名国務大臣 全く御指摘のとおり、両国の親善ムードがいま盛り上がりつつある際でございます。こういったような不祥事件はまことに遺憾に考える次第でありますが、いま条約局長からお話ししたように、まだ真相に対し、われわれの申し入れに対して、何ら向こうから具体的な回答が来ておらない。回答を待ってさらに適当に対処したい、こう考えております。
○鯨岡委員 さらにしつこいようですが、ソ連というような大国に対しては、日本は、長いものには巻かれろ、しかたがないんだというような政府の考えであるというような気分を現地の漁民が持つようになったらたいへんでございます。そこで徹底的に——これは、あやまちを何も元へ戻せといってもできないことですが、誠意を持ってソ連側が解決してくれるように強硬な態度で日本政府として臨むべきだ、私はこういうふうに思いますし、いまの外務大臣のお答えもそういうように承知いたしましたので、この問題はこれだけにいたします。 中国に捕われた第八蛭子丸事件、これは私が新聞で承知するところによると、まことに遺憾だと思うのは、向こうで船長さんか何かが首をつって自殺をしている。しかもその自殺をしたことは何らわからない。そして長い間、抑留されて帰ってくるまでそのことがわからなかった。帰ってきて初めて船長は途中で自殺をしたのだ、その自殺の原因もよくわからない、まことにこれは遺憾であります。しかもそれは領海を侵犯したとか何かいうことなのでしょうが、いかに国交が結ばれていないといっても、そういうふうに抑留されたときはすぐに通報があり、また自殺のような不祥事件が起こったときには、そのことについて通報があり、そしてその見通し等についても日本政府に何らかの通報があってしかるべきものだと私は思う。かりに、中国の漁船がそういうことをやった場合に、日本政府は何も知らせないでほっておきますか。また帰ってきた人たちが、向こうの姿に自発的に感心したのだといえばそれまでですが、われわれの常識をもってしては、そう思わない。いわゆる学習というものを相当やらせられたように思われるし、そういうようなことは、はたして国際的な間柄において、国交が結ばれておるとか結ばれていないとかいう以前の問題として、はたして許されるべきことであるか、今後も何とかして中共とも友好関係を結びたいと考えているわれわれとしては、まことに遺憾なことだと思うのですが、外務大臣、いかがお考えですか。
○椎名国務大臣 かようなことは基本的な人間関係の問題でございまして、両国の間に国交が結ばれておるかいなかの問題を超越した問題であろうと私は思う。やはり人間的にこれを取り扱うということが非常に望ましいと思うのであります。かりに所を変えてわがほうにそういう漁船の領海侵犯等があった場合にどうするかということを考えると、まことに中共のこの問題に対する仕打ちは、きわめて非人道的ではないかと私は考えておりますが、あまり問題の真相を究明したわけではございませんので、これ以上のことは私は申し上げられませんけれども、とにかく全般的に見てまことに遺憾である、こう考えます。
○鯨岡委員 外務大臣は、真相を究明したわけではないのでこれ以上のことは言えないというふうにおっしゃいますけれども、私は中国とこれから仲よくやっていこう、また仲よくやっていかなければ、アジアの平和とか繁栄というものはやはり期せられない、中国というものは影響力の大きい国だという認識をすればするほど、こういう事件に対しては真相を究明して、かれの非は非として糾弾することが仲よくしていく一つのたてまえだ、こう思うのですが、外務大臣、いかがお考えですか。
○椎名国務大臣 政府が直接この問題にかかわる立場でございませんが、できるだけ民間団体を通じて真相を究明するようにいたしたいと考えております。
○鯨岡委員 まあ、そういうことをここで言うのはおかしいですが、これは社会党も、同僚議員等からも、きびしく私はやはり中国のこういう行動に対して、ルートがあるならば非難をし、事態を究明する。そして向こうの監獄に入っている間に、いわゆる共産学習というものをさせられるというようなことは、これはもうはなはだ友好のためによくないというようなことは、私は党派をこえてやらなければならぬことだ。政府が、いま正しい正常な国交がないですから、しかたがないですけれども、しかたがないといってほうっておくべきものではない。やはりあらゆるルートを通じて、こういう不祥事件を糾弾する、それから向こうから糾弾されたときはこちらは虚心たんかいにまたいろいろ改むべきことは改めなければならぬ、それが私は友好を深めていく態度だ、こう思いますので、ひとつ外務省としても、直接やる立場ではないからというのではなしに、あらゆるルートにお願いして、事態の究明ということをして、そのことをやはり国民に知らせるというようにしていただきたいものだと要望を申し上げておく次第であります。 それから五月二十四日から太平洋大使会議が開かれたのですが、カンボジアの大使の言として新聞に伝えるところによりますと、日本としては、ベトナムのまことに気の毒な、そして一日も早く平常に戻ってもらいたい戦争、ベトナムの平和について働きかけることには限度がある、こうカンボジア大使田村さんは言われた。それからベトコンとかあるいは北ベトナムがジュネーブ協定に関連して要求していることについて、米国に働きかける必要が日本にはあるのではないか、しかしその場合に、こんなことを言えばアメリカは好まないんじゃないかなと思うようなことでも、日本は北ベトナムの言うことに理が通っているならば、言うだけのそういう決意が日本にあるかどうか、これがかぎだというようなことをカンボジア大使は言われた。現地の状態から見てそういうふうに言われたんだと思うのですが、そういうふうに新聞は書いてある。そして私はそういうふうにそれを読んだのですが、この読み方は間違いかどうか、ひとつ………。
○藤崎政府委員 私、会議に出て直接聞いておったわけじゃございませんが、おそらく大使としましては、それぞれの任地において、一般にどういうふうな意見が行なわれているかというようなことを報告した一環としまして、そういうような見方がカンボジアでは行なわれているということを申したのが若干ずれて報道されておるんじゃなかろうか、かように考えております。
○鯨岡委員 もしそういうふうに条約局長も考えておられるということであれば、ここであらためてお伺いをいたしますが、やはりこのカンボジア大使の言っていることは、私はこのとおりだとすれば、間違いない、ジューネーブ協定等に関連して、北ベトナム等の言っていることで、無理なことはだめだけれども、これは理が通るというようなことであって、これをこの時点においてアメリカのほうに日本が仲介的に言えばアメリカはあまり喜ばないなと思うようなことでも、理が通っているならば、日本は勇気をふるってそれを言うだけの決意が日本にあるかどうか、ここがかぎだというように言われたように書いてあるのですが、これは言われたか言われないか別として、そういう決意ありやなしや、これをひとつ外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
○椎名国務大臣 どういうことが内容になっているのか、いま御質問のお話ではまだはっきりいたしませんが、もちろんそれは両方が武器を置いて話し合いに入るという場合に、言うべきことは、北越の言うことが筋が通っておれば、それはアメリカに対して遠慮なく反省を求めるということをすべきだ、こういうのではないかと思うのでありますが、もしそうでありますならば、これはもうカンボジア大使の考え方に私は全面的に賛成でございます。
○鯨岡委員 ぜひひとつ、そういうふうな態度でなければ、ベトナム問題にアメリカと友好関係のある日本が、したがってアメリカにベトナムの和平について提案するという態度を日本がとるならば、それだけの決意がなければならぬ、こう思いますので、田村カンボジア大使の言をかりて御質問を申し上げたのですが、そういう決意は十分にある、その決意がないならばこの問題にタッチすることができないのだという外務大臣の強い御決意を承って、非常にうれしく思う次第であります。 さて、原潜の問題ですが。時間もあと十五分しかありませんから、そこで伺いますが、昨年の十一月の二十六日に、アメリカ大使館を通じて、エンタープライズ航空母艦が第七艦隊に編入されたから、将来日本に入港することがあり得るというふうに日本に話があったというのはそうですが。
○安川政府委員 そのとおりでございます。
○鯨岡委員 さきに潜水艦が入港するときのように、安保条約によって当然それはエンタープライズでも入港することができるのでしょうけれども、原子力によって走るという特殊な軍艦だというので、潜水艦のときには前にいろいろ特殊な取りきめをしたのですが、そういう特殊な取りきめを航空母艦の場合でも、これからするわけでございますか。
○安川政府委員 お説のとおり、条約上は当然いつでも日本に寄港し得る、ただし核装備をしておらない場合でございますけれども、し得るわけでございますが、原子力潜水艦の場合には、特別の原子力潜水艦という特殊な性格にかんがみまして、アメリカ側から正式に文書をもって申し入れまして、その文書にさらに入港についての安全性その他の措置につきましてアメリカ側がとるべき具体的な措置を詳しく書面に書きまして、日本側に提出してきたわけでございます。それに基づきまして、日本政府としても寄港に異存がないという文書による回答をいたした次第でございます。原子力空母につきましても、これはまだ正式の申し入れがございませんので、いつ正式の申し入れがあるかどうかということは、目下のところ見通しはついておりませんけれども、正式の申し入れがありました場合には、その時点におきましては、やはり潜水艦の例にならった手続をとることになると考えております。ただ安全性その他の入港につきましての具体的な措置につきましては、すでに原子力潜水艦の場合に、大体大部分は共通いたしますので、その点についてあらためて特別の措置をとる必要はないかと思いますが、かりにこれは申し入れがあった上の話でございますが、原子力潜水艦の入港と異なった取り扱いをする必要があるといたしますれば、それに基づく取りきめと申しますか、手段をとらなければならぬと思いますが、大体において安全性の問題を含めまして入港に伴います具体的な措置は、原子力潜水艦の場合に準じてやればよろしいのではないかと現在のところ考えております。
○鯨岡委員 念を入れるようですが、原子力潜水艦と同じようなものだから、原子力潜水艦のときに取りきめたのでいいのだというのではないですね。
○安川政府委員 原子力潜水艦の場合の文書の取りきめと申しますか、取りかわしというものは、あくまでも原子力潜水艦に限っておりますから、これがあるから、原子力空母はもういつでも入ってくる状態になっておるというわけじゃございません。条約上のたてまえはそうでございますけれども、やはり前例にならいまして、何らかの書面による手続というものをとることになると考えております。
○鯨岡委員 原子力潜水艦が入ってくるときに、特殊な軍艦であるということによって、条約上は当然のことなんだが、特別の取りきめをした、それと同じようなことを航空母艦についても申し入れがあれば行なうのだ、こういうふうに承知してよろしゅうございますか。
○安川政府委員 そういうふうに考えております。ただ、具体的にどうするかは、正式の申し入れがあった上で、さらに考えた上でいたしたいと思います。
○鯨岡委員 具体的にどうするかは正式の申し入れがあったときに考えるということは当然のことだと思います。 次に伺いますのは、原子力潜水艦が入ってくることは、安全保障条約上当然のことなんだというのは、安全保障条約の第六条に上るのだと思うのですが、それに間違いありませんか。
○安川政府委員 そのとおりでございます。
○鯨岡委員 そうすると、第六条によりますと、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本の国において施設及び区域を使用することを許される。」これによるのだということでございます。そこでこの「極東における国際の平和及び安全の維持」ということは、その前の第四条にうたわれております。「日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」と、こういうのですが、ベトナム問題等に関連してアメリカが動いているわけです。それはやはり極東の脅威、極東における国際の平和及び安全の維持に関連して動いている。だからそれが、日本の軍港に入ってきてもよろしいのだ。そうすると第四条へいって、そういうような場合には「いずれか一方の締約国の要請により協議する。」こういうのですから、一方の締約国のアメリカ側の要請によって協議がなされたということがありますか。
○安川政府委員 ベトナム情勢につきましては、これは極東全体の平和と安全について脅威であることは事実でございます。このベトナム情勢につきましては、あらたまって特別な形式をとった協議というものはいたしておりませんけれども、常時外交ルートを通じまして、意見の交換、情報の交換その他はいたしております。そのほかにも、御承知のようにアメリカ側からハンフリー副大統領でありますとか、あるいはハリマン特派大使というような人が参りまして、政府の最高レベルでもいろいろ協議が行なわれております。これは特別に第四条に基づく協議と考える必要はないかと思いますけれども、いずれにしましても、第四条の協議と申しますのは、特別な形式を持った協議と解する必要はないわけでございます。いかなる形式の協議でもよいわけてございますから、そういう意味で、あらゆるレベルで、ベトナム問題に伴います問題については協議をいたしておるというのが実情でございます。
○鯨岡委員 アメリカと日本は友好国の関係にありますから、常に外交ルートをもって話し合っていることは当然だと思いますが、そういうことが第四条における「いずれか一方の締約国の要請により協議する。」ということに入りますか。
○安川政府委員 ベトナム問題につきましては、そう御了解願ってけっこうであると思います。 ただ、いまたまたま原子力潜水艦の御質問でございますが、原子力潜水艦あるいは原子力空母の問題は、直接ベトナムの脅威というようなものとは関係ございませんから、この問題についての話し合いは、この第四条に基づく協議と解するのは不適当であると思います。
○鯨岡委員 どうもその点は与党としても私どもにはよくわからない。ただ、ベトナムや原子力潜水艦というものは特別のおそろしいものではない。何もあんな大騒ぎをすることはない。われわれから見れば、何か他に目的があって騒いでいるのじゃないかというような感じがいたします。いたしますけれども、それにもかかわらず、その辺の割り切り方といいますか、その辺のものの考え方がまだ詰めてない。何か奥歯にもののはさまったような言い切れないようなものがあるような感じがいたしますので、国民はちょっと不安な感じといいますか、そういうものが抱かれるのじゃないかと思う。私はいまのお話がよくわからないのですが、今度は観点を変えて伺ってみたいと思う。 ベトナム戦争にはアメリカが直接参加しているわけです。そこで日本の軍港とかそういうものは、もちろん直接ではないにしても、間接的な基地であるということは私は言えるのじゃないか、また言ってもいいのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
○安川政府委員 事実を申し上げますと、日本のたとえば横須賀でございますとか佐世保の港に第七艦隊が随時寄港いたしまして、補給あるいは兵員の休養に使用いたしております。第七艦隊と申しますのは、いわば西太平洋全般と申しますか、極東全般についての安全の維持という任務を持っておるわけでございます。その中にもちろんベトナム作戦というものも含まれておりますので、第七艦隊の一部の艦艇がベトナム作戦に従事いたしまして、それが日本の港に寄港しているのも事実でございます。第七艦隊が、しからば全部がもっぱらベトナム作戦に従事しているかと申しますと、そうではないのでございます。第七艦隊の寄港いたします艦艇が、あるものはベトナム作戦に従事したのもございますし、そうでないのもあるわけでございます。
○鯨岡委員 それはそういうことでは、ちょっと困るのです。外務大臣にお答えをいただきたいのですが、安保条約というものは全然日本に危険のないものだと言ったら、私はやっぱり言い過ぎだと思う。この考え方が間違っているかどうか、外務大臣にひとつ教えていただきたいのですが、安保条約を結ばないでいれば、なお危険だ。安保条約を結べば日本は何も危険がないのかといえば、安保条約を結んだことによって起こる危険というものは、私はやっぱりあると思う。これは当然なければならないはずです。よその国と結んだ場合に、それによって受ける危険というものは多少はある。それじゃ、安保条約を結ばなければどうかといえば、なお危険だ。だから私どもは安保条約に賛成している。アメリカと日本との間にそういう条約を結んだことによって、アメリカがベトナム戦争に参加している、したがって、直接的ではないが、間接的な基地のような形になっている。だから、しいて言えば、アメリカの相手国である北ベトナム等から見れば、日本は直接の敵ではないけれども、敵性国のような形になっている。それによって起こる危険というものはやっぱり日本にある。多少はある。あるけれども、そういうのをなしの安保条約というものは考えられない。安保条約がなければ、もっと大きな危険がある。そういうバランスの上からわれわれは安保条約に賛成しているのですが、そういう考え方は違いますか。
○椎名国務大臣 ベトナム戦争がもう少し近いところで行なわれておるということになると、はっきりするわけであります。(「近い、遠いじゃない。極東の地域じゃないか。」と呼ぶ者あり)私は、危険がないとは言えないと思います。御指摘のように、一般的に申しまして、安保条約体制にあるがゆえに一種の敵性を持ったと認められて、そして攻撃を受ける、あるいはその他の脅威を受けるというようなことはあり得ると思う。しかしそれは一般的な問題であって、いま非常に距離の遠ざかっておるベトナムの戦争に関しては、きわめてそれは現実的ではない、こう考えます。また御指摘のように、なければ絶えず脅威を受けておるという状況であります。その点は御指摘のとおりだと思います。
○鯨岡委員 それは私が考えておったことと同じでありますから、それ以上質問することはないのですが、やはり安保条約を結んだために起こる危険というものはあるのだ。それはないはずはないのだ。またあるのは当然なんだ。しかし、なければもっと危険なんだということは、われわれ日本国民はしっかりと知っておく必要があると思う。いま社会党さんのほうから、ただ遠い、近いではないというお話がありましたが、これは現実を離れた話であって、遠い、近いはやっぱりあると思う。そこいらをきちんと国民に知らせることを私は怠ってはならないと思うわけです。 最後に、これまた外務大臣にお尋ねするのですが、アメリカと日本の間は友好関係にあります。そして、佐世保に入ってきたのもそうですが、今度横須賀に入ってくるのも休養とか補給とか、いろいろ目的はあるのでしょうが、かりに休養とか補給とかいう目的であれば、何も沖繩だってできるのだし、佐世保だってできる。友好関係にあるのだから、日本の国内事情等も勘案して、あまり事騒がせなことをしたくないという配慮がアメリカ側にあっていいと思うのです。これは私個人の考えです。外務大臣どうですか、そんなふうにお考えになりませんか。
○椎名国務大臣 むしろ休養、補給に寄港するということを、なぜ毛虫でも近づくように考えるのか、私はそういう考え方自体にやはり問題があると思うのです。こういうことを騒ぎ立てるということはどうも適当でない。何か他に目的があるような気もします。こういうことはただ推進力に原子力を使っておるというだけの話であって、もうそのうちにすべての商船が原子力を使うような時代が来る。そういうようなことを考えずに、ただ唯一の被爆国だ、ただこわい、ただ脅威であるとあおり立てるほうも悪いが、それに乗るほうもまだどうも十分に啓発されない点が私はあると考えます。
○鯨岡委員 この質問で終わりますけれども、いま原子力の商船ならかまわないのだというお話も、ちょっとこちらのほうでありましたけれども、普通の軍艦は何ぼでも来ているのですから、原子力潜水艦や原子力空母が来るということを問題にするのは、原子力で走る動力を持っている、そういうものがいけないということなんです。それはやはり時代逆行のことで、毛虫が来るように騒ぎ立てるのはおかしいと私も思います。まことにそのとおり。そのとおりだけれども、そういうものを騒ぎ立てる人がいることも現実なんです。この国内のいま重要な時期に、そういうのにお出まし願うということは、まことにお客さまとしては困るんじゃないかな、こう思うのですが、これはどうでしょうね。いつ来てもいいですよ。いつ来てもいいが、少しお考えになったらよさそうなものだと思うのですが、特に御返事がなければそれでいいです。ただそういうふうに思うというだけのことです。——終わります。
○高瀬委員長 西村君。
○西村(関)委員 先ほど自民党の同僚の議員から、原子力潜水艦の寄港の問題について質問がございましたが、大臣は終始潜水艦の推進力を重油等から原子力に切りかえておるだけであって、何ら問題はないというようなことを言っていらっしゃいましたが、事実原子力潜水艦なるものは近代兵器の花形である。これは第一次大戦におきましては戦艦で、第二次大戦におきましては空母が花形であった。われわれはこのことを絶対避けなければならないと思うのでございますが、もしかりに不幸にして第三次大戦に突入するというようなことになりましたならば、原子力潜水艦が花形になるということは、これは軍事専門家の常識であります。ただ単に推進力を原子力に仰いでおる、求めておるというだけの問題じゃなくて、近代兵器の花形である原子力潜水艦、そういうものがすでに八回もわが佐世保に入ってきておる。またいま横須賀に入っておる。こういう事実に対して、大臣は事もなげに何も問題はないと言わんばかりにおっしゃっておられる。そういうことに対して、原子力潜水艦に対する認識の違いというもの、これはあると思いますが、しかし東西両陣営の世界戦略体制の中における原子力潜水艦の位置、任務、そういうものに対する焦点を合わせていくことが、日本の外務大臣としてもう少し必要ではないかと思うのですが、そういう点に対してはどうお考えでございますか。
○椎名国務大臣 いまの現実の世界はやはり遺憾ながら力の均衡ということによって平和が保たれておるということは、これはもう現実であって、どう強弁しても否定することはできないと思う。力の均衡、力とは何ぞやと言ったら、いまの時代においてはこれは原子力が最高の力である、こう私は考えております。でありますから、ピストルなんというものはこれは凶器なんです。しかしどろぼうが持てば非常に凶器であるが、警官が持てば、これは悪を排除する一つの力である。ただ、ただ、兵器だから、凶器だからといって、これにおそれおののくということは、これは感情論としては認めますけれども、現実の問題としては、これをどういうふうにして凶器にするか、利器にするかという問題であろうと思います。力の均衡によって初めて平和が保たれているという現実においては、その力の最高が原子力兵器であるというふうにわれわれは認めざるを得ないと私は考えております。
○西村(関)委員 力の最高は原子力兵器である、それを認めざるを得ないということは、民主、自主、平和利用というわが日本の原子力基本法のたてまえから言って、平和利用ならざる戦力のために原子力を使うということは、わが国としては極力避けるべきである。それなのにこれまたさりげなく力の最高のものとして戦力に原子力を用いることは当然だ、力の均衡を保つためには、これは当然なことだということを言われることは、日本国民の立場から言って、私は日本の外務大臣として少し言い過ぎではないかと思うのです。いかがですか。
○椎名国務大臣 やはり現実は冷厳にこれを見て、しかしながら日本はみずからはこれを開発しない、身にもつけない、そしてあくまで平和に徹する政策をいまとっておるわけであります。しかしながら現実日本の置かれている環境は、やはり力の均衡というものによって維持されておる、そういうわけでございまして、日本はこれをみずから手にしない、なるべくならば他の国もこれから離れることを理想といたしますけれども、現実はそうではない。でありますから、力の最高であるということを私が言ったからといって、これを日本が用いるべきであるとか、開発すべきであるということにはならないのであります。この点は区別して考えていただきたいと思う。
○西村(関)委員 客観的情勢からいっての話だということでございますが、しかしわが国としてはわが国の基本的な態度というものがなければならぬと思うのであります。原子力潜水艦がサブロックを搭載しているとか、していないとかいう問題よりは、原子力潜水艦そのものが近代兵器の花形であるという事実の上に立って、これを入港させるということに対しては慎重な配慮がとられなければならぬと思うのであります。これは安保条約の第六条によって、当然許すべきであるというようなことだけでは、今日のいま大臣のおっしゃった客観情勢から言って、日本がアメリカの核戦略体制の中に巻き込まれるということに相なるのでありまして、そういう点に対してはなお慎重な態度が必要だと思うのです。原子力潜水艦なるものは、その水中にある期間はすでに二カ月に及ぶ性能を持っておるし、また速力も過去の潜水艦に比べて非常にスピード化されておる。これは空中からの飛行機によっても、戦闘機によっても沈めることはできないし、またいかなる方法をもっても捕捉することができない、そういう非常に大きな軍事力を持っている。サブロックを積んでいるとか積んでいないとかいう問題じゃない。もしそれを積んでいるということになれば、なおさらたいへんなことでございますが、そういう原子力潜水艦がなしくずしに、八回も九回も日本に来ておる。ということは、当然日本の佐世保や横須賀がアメリカの原子力戦略体制の中に入るということを意味するのでございまして、これは非常に大きな問題をかかえておると思うのでございます。こういうことが国民の多くの人たちの心配するところでございます。ただ、デモはある一部の人がためにするところのデモであって、国民全体の心配ではないんだというようなことを言っておられますけれども、しかし、それは国民の各階層の多くの人が、そういう戦争の問題につながる原子力潜水艦の入港という点について、非常に大きな危惧を持っているのであります。 この点につきまして、大臣は去る三十一日の参議院の外務委員会におきまして重大な発言をしておられるのであります。私はその会議録をしさいに点検いたしておりませんけれども、新聞の報道によりますと、椎名外務大臣は、わが国は日米安保条約を結んでおり、純然たる中立国ではない、ベトナムにおけるところの米軍の行動は、極東の安全と平和の維持から見て、わが国の平和に密接に関連しており、安保条約に基づいてわが国はそのために施設、区域を供与することを拒めない。原子力潜水艦の寄港は、安保条約に基づき同じく拒むことができないというような答弁をしておられるのでございまして、ここで極東の平和と安全に重要なかかわりを持つ以上、ベトナム作戦の遂行に必要な補給、休養のために基地を供与することは当然である。ベトナム戦争と安全保障条約との関連については、日本は中立国たり得ない、特殊な立場にある、こういう答弁をしておられるのでありますが、これは私どもとしては聞きのがすことのできない非常に重要な発言であると思うのでございます。この際、わが衆議院の外務委員会におきましても、この参議院におけるところの外務大臣の発言に対してあらためて確認をいたしておきたいと思います。
○椎名国務大臣 いまお読みになった点は、大体私が答弁した内容であると考えます。しかし、私はベトナム戦争に原子力潜水艦が参加しておるという情報については、みじんもそういうにおいをまだかいでおらないということだけは、何か適当な他の表現によって同時に話しておるように考えております。でありますから、ベトナム戦争に参加した原子力潜水艦が日本へ寄港するという、そういう前提で話したわけじゃない。 それからベトナム戦争に関して、日本がアメリカと一緒になって戦争しておるわけではないんだから、いわば中立じゃないか、北越に対してもアメリカに対しても日本は中立の立場にあるのじゃないかというお話がございましたから、いや、それは違う、アメリカとは日米安保条約によって防衛的な意味における一つの条約体制を構成しておるのであって、ベトナムとの関係とは全く違う、したがって、日米安保条約の第六条によって、極東の安全と平和のために、アメリカに対して、施設、区域を提供するその義務をいま守っておるだけの話だ、こう私は答えたのでございますから、いまお読みになったことと大体において一致しておると思います。
○西村(関)委員 アメリカの原子力潜水艦の日本寄港はベトナム戦争に関係はない、ベトナム戦争に参加した原子力潜水艦の補給並びに人員の休養ということにはかかわり合いはないんだ、こういう前提に立って外務大臣は、しかしながら、日米安全保障条約のある限り、日本は単純な中立国たり得ないということを言われたというのでありますが、現にベトナムにおけるあのような苛烈な戦争が行なわれておる、単純な中立国たり得ないということは、裏返して言えば、アメリカに協力してベトナム戦争にも中立的立場でない、少しアメリカに傾いた立場をとらざるを得ないということも言えると思うのでございますが、その点はそうですが。
○椎名国務大臣 結局極東の平和と安全を維持するために行動をとっておるアメリカに対して、日本の国内における施設、区域を提供して、これを利用させるという立場をあくまでとっておるわけであります。具体的に今日のベトナム戦争にアメリカが軍事行動を起こしておる、それと関係があるかないか、そういうことは問題じゃない。結局極東の平和と安全に軍事行動をとっておるという前提があれば、アメリカの施設、区域の利用についてはわれわれはあくまで条約上のたてまえとしてこれを許さざるを得ない、こういうたてまえをとっております。
○西村(関)委員 日本の中立は特殊な中立だということを言われたようであります。ただ単なる中立ではない。日米安全保障条約下にある日本としては、やはりその条約の義務を履行しなければならぬから特殊な中立だと、こういう意味のことをおっしゃったようでございますが、その点間違いでございますか。
○椎名国務大臣 特殊な立場にあるということは言いましたが、特殊な中立とは申しておりません。中立じゃないのです。
○西村(関)委員 日本がベトナム戦争に対して中立でないということでございますか。
○椎名国務大臣 戦争というよりも、北ベトナムとアメリカが戦闘しておる、この両国に対して中立の立場をとっておるのではない、こう申し上げたのであります。
○西村(関)委員 ということは、突き詰めて言えば、アメリカに加担する、現にベトナム戦争に対して日本は有形無形にアメリカ側に加担をしておるということも、これはいなめない事実だと思うのであります。それは外務省側としては、日本でつくられるところの武器、弾薬、兵器がベトナムの戦線に送られておる事実はないという答弁をしておられますけれども、これはいろいろな資料等によりまして、そういう事実がないという答弁はできない。また、第七艦隊に帰属しているところの原子力空母エンタープライズ号もやがては日本に来るということも、第七艦隊に配属されたという通告が来ておるということからいって、そういうことは当然考えられる。第七艦隊全部がベトナム戦争に参加しているのじゃないから問題でないということを先ほども言われましたけれども、しかし、どこからどこまでが参加している、どこからどこまでが参加していないというようなことは言えないと思うのです。やはり戦略、戦術の立場からいって、第七艦隊が東洋の海域に配置されておるということでありますならば、当然現実に起こっている、火をふいているところの場所に対して無関心たり得ない。そういうことが考えられるわけであります。原子力潜水艦が日本の港に入ってくるということは、何といいましても、現在においてはベトナムの戦争には参加していないということであるとかりにいたしましても、しかし先ほど申し上げましたような近代兵器の花形であって、非常な強力な軍事力を持っているところの原子力潜水艦、またやがては原子力空母というものが日本の港に入ってくるということは、日本がアメリカの核戦略体制の中に巻き込まれるという心配が絶対にないということは言えないと思うのであります。そういうことを多くの国民が心配しておる。その心配のあらわれがあのような激しいデモとなってあらわれてきておる。そういうことを大臣は全然お考えになっていない。ただ一部の反対のために反対をしておるところの者の策動によってデモがなされておるのだというようなことを言っておられますが、この問題につきましては多くの学者、大学の教授——ただ単に原子力科学者だけではなくて、日本の有力な多くの学者が、ただ単に安保の問題だけではなしに、この戦争の危険という点から多くの学者が反対しておるのでございます。ただ単に一部の政党政派のやっている反対運動ではないということは大臣もよくおわかりだと思うのであります。それを、もう大体国民も一応感情がおさまってきた、過去八回の佐世保寄港によってもう国民もなれっこになってきた、今度横須賀に入るのはその過去の既定の事実の上に立って入るのだ、国民も納得しているのだ、こういうことを言われますが、先ほど来私がお尋ねいたしておりますように、これはいま現にアジアの一角において火をふいているところのベトナム戦争と全然かかわりがないということは、原子力潜水艦が有力な兵器であるという立場から考えまして、これは決して看過することができない問題だと思うのでございます。そういう点に対して大臣はどうお考えになりますか。
○椎名国務大臣 どうも問題のとらえ方が私と少し違うようでございますが、アメリカがその強力な戦争抑止力をもって日本の安全に対して絶対責任を持っておるというのが日米安保条約の核心である、こう思います。そのアメリカの戦力の一部が日本に補給あるいは休養のために寄港するということを、これを拒絶するという基本的な考え方はどうしても出てこない。日本を守る責任をアメリカは持っておるのですから。でありますから、軍艦が日本に寄港する手段方法はいろいろございますが、寄港することを拒絶するという理由は私はないと思います。 それから、いま起こっておる北ベトナムの戦争を中心にして考える場合、日本から実際問題として殺傷兵器を供給している事実はない。ただ普通の補給はしておりますが、この補給がすべて北ベトナムの戦争に直接間接に役立っておるかどうか、これは調べることができませんけれども、そういうことがあるかもしれません。これは日米安保条約、すなわち日本の安全と平和を守る、同時にまた日本の安全と平和は極東の安全と平和につながるのでありますから、極東の安全と平和を守るという範囲内の行動をとっておる限りにおいては、日本はこれを拒絶する理由はない。私は、それは条約のたてまえによって日本が当然これを認める、許すというのが本筋である、こう考えております。
○西村(関)委員 条約のたてまえからこれを拒絶することはできないということを先ほど来大臣は繰り返して言っておられるのでございますが、一つは安全性の問題、一つは戦争につながる問題、原子力潜水艦が有力な兵器である、こういう立場からただ単に原子力を推進力としているところの軍艦だというのではなくて、いままでの戦争における破壊力と比較にならないくらいの行動力、破壊力またその他の軍事力を備えておる、こういう点からいって、こういうやっかいなものが日本に入ってくるということは普通の艦船が入ってくるのとはわけが違う。そういうことからいって、国民の間に非常な心配がある、そういうことでありまして、従来から原子力潜水艦が日本の港へ寄港することに対して各学者や各界の代表からのいろいろな決議がなされておることも、大臣はよく御存じのところでございます。それは政府の側の安全審査会の委員長だとか、そういう側の人たちの名前までも含めて安全保障の問題からの心配がある、また戦争につながるところの心配があるというような二つの面から大きな渦が巻き起こっておる。そのあらわれが現在のあの横須賀におけるところの、いまも行なわれておるところの反対デモになってあらわれてきておる、こういうことをどのようにとらまえておられるか、どのようにこれを理解しておられるか。先ほど来自民党の同僚の二人の方からいろいろ質問がありましたが、もちろんわれわれとは見解が違いますが、そういう立場に立って日本が平和に徹する、これは佐藤総理も始終言っておられる。平和に徹するという政策を実行しようとするならば、この原子力潜水艦の日本寄港については、政府当局はもっと真剣な態度をとられるべきではないか。われわれが反対しているということだけでなしに、政党政派に関係のない純粋な学者、自民党を支持している側の人たちの中からも反対が出てきておる、こういう事態に対して、これをただ一部の策動だというようなことで片づけてしまうことは、私は政治の責任の地位にある人のとるべき態度ではないと思うのであります。 そこで、外務省が去る三十八年六月五日に発表いたしました「米国原子力潜水艦について」という資料がございます。この資料に対しまして、私は、京都大学の名誉教授の湯川秀樹博士に見解をただしました。湯川博士は、これは全くごまかしである、日本政府とアメリカ政府との間にかわされた往復文書そのものを国会に提出していない、ただこれだけの外務省の見解の発表だけでは、われわれ物理科学者は納得がいかないということを言っておられたのでございますが、そういうアメリカとの間においてかわされた往復文書を公開なさる意思がございますか。
○安川政府委員 ただいま御指摘のは、当委員会にも提出いたしました「米国原子力潜水艦について」の資料というものであると思いますが、これは当時安全性の検討につきましてアメリカ側と日本側で往復されました文書を集約したものでございます。それから、さらにそれに追加いたしまして、最終的に日本政府が寄港に異存ないということを回答いたしますときに、アメリカ側からさらにエードメモワールというものとステートメントという二つの文書が提出されました。その中で、安全性の問題についてアメリカ側のとっておる措置、その他のことが具体的に明らかにされておるわけでございます。これらのすべて日米間で往復されました文書をいわば集大成いたしたものがこの中間報告の場合の資料、最終的に二つの資料に集約されておるものでございまして、それ以外に特に安全性につきまして何か隠したものがあるとのごときお考えのようでございますが、そういうものはないわけでございまして、大体安全性に必要な資料、技術というのは、すでに発表いたしましたこの文書の中にすべて含まれておると存じます。
○西村(関)委員 関連質問の要求がございますから、私は不徹底ながら質問を閉じなければならぬのでございますが、いま安川北米局長のお話は、これは集約だ、これ以外に何もないのだということでございますが、しかし専門家の見解では、これだけでは納得がいかない、これだけでは安全性は保証されないということを言っておられるということをこの際つけ加えて申し上げておきたいと思います。 なお、この問題は科学技術振興対策特別委員会の問題でございますから、外務委員会では、安全性の問題とか事故があった場合の補償の問題とかいうことは、これは二の次といたしまして、やはり日米安全保障条約下にある日本が原子力潜水艦のの寄港を手放して許す——手放しではない、いろいろだめを押して、そしてこれならいいということで入港を認められたというのではございますけれども、しかし、多分に現にアジアの一角において火をふいている、そしてアジアのみならず、国際的にアメリカの国内においてもベトナム戦争に対する是非の論が巻き起こっている、こういう際に、近代兵器の花形である原子力潜水艦が入港しておる、今後も続々入港するであろうというような予測を政府は持っておられる、こういうことは、この際はっきり国民の各階層の多くの人々が心配している、その心配を代表して本外務委員会におきましてそういう点を強く私は政府に訴えまして、本日のこの問題に関する質問を一応終わりまして、他の質問に移りたいと思いますが、その前に関連の御要求がありますから、私はこれで一時質問を中絶いたします。
○戸叶委員 いまの原潜の問題に関連して一問伺いたいと思いますのは、私たちがきのうアメリカ大使館にこの問題について抗議を申し込みに行きましたときに、大使館で私たちに会った人が言いましたのは、原潜が日本に寄港するのは権利であるというようなことを言われましたが、この答弁は、ちょうど政府がたびたび私たちに答えているのと同じでございます。そこで、私はどうしても納得がいかないのは、原潜だとか、あるいはまた他の一切の軍艦が無制限にわが国の港に寄港するというのはアメリカの権利であるというアメリカに一〇〇%有利な考え方が一体どこから出てくるのかということをたいへんふしぎに思うわけですけれども、こういう考え方は一体どこから出てくるのでしょうか。
○藤崎政府委員 安保条約の第六条でございますが、それを受けましてこまかく合衆国軍隊の地位、施設、区域についてのいわゆる地位協定があるわけでございまして、この地位協定の直接には第五条でございます。
○戸叶委員 いま条約局長が答弁されたとおり、また、外務大臣も先ほど来答弁されましたように、それは結局安保条約の第六条によるのだと思います。それはどういうことかと言いますと、「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」というふうに書いてあるわけです。「許される。」ということは、だれが一体許すのですか、外務大臣。
○藤崎政府委員 日本国でございます。
○戸叶委員 外務大臣、おわかりでしょう。日本国が許すわけですね。
○椎名国務大臣 私もそう思っております。
○戸叶委員 そう思っていらっしゃる、そう伺ったのですが、外務大臣から答弁していただきたかったのですが、日本国が許す権利があるわけですね。そうしますと、日本国が許すのですから、日本国は一〇〇%アメリカに有利な権利を与えなくてもいいじゃないですか。日本にだって許さない権利がありますね。外務大臣に伺いたい。
○藤崎政府委員 安保条約の第六条で許しているわけでございます。
○戸叶委員 だから許しておるんですね。英語ではイズ・グランテツド、「許される」で、許さなければならないとは書いてない。許すというのは日本ですね。日本が許すのだったら、日本には選択権があるじゃないですか。
○藤崎政府委員 許すということだけ書いて、その上のこまかい条件等につきましては、先ほども申し上げましたように地位協定というものがある。この地位協定でそういうことをきめるということは、条約の六条二項に書いてあるわけでございます。その条件として、施設、区域には自由にいつも出入することができるというのが地位協定第五条にあるわけでございます。
○戸叶委員 地位協定の第二条にも「許される。」ということばが同じように書いてあるわけです。その中で、ここの許す場合には、両国の政府がいろいろ協議をしなければならない、それは合同委員会でするのだ、そういうことが書いてあるわけでございまして、ここにもやはり「許される。」と書いてあるわけです。そうすると、その場合に、個々の施設または区域については合同委員会で当然討議をすると思うのです。そうして、そこで出てくる問題は、佐世保にも横須賀にも今回寄港するということがいつ話されたかという問題と、それから私がきょうどうしてもふしぎに思ってただしたいと思いますことは、日本が許可権があるのだから日本には当然選択権がなければならないではないか、こう思うのですけれども、外務大臣、この点基本的な考え方ですからお伺いしておきたいと思うのです。
○安川政府委員 地位協定には、個々のどういう施設、区域を提供するかという、個々の施設、区域は、ここに書いてありますとおり、お説のように、合同委員会できめるわけでございます。きめた施設は、アメリカ側が自由に使えるわけでございます。でございますから、どこの施設を提供するかということは、確かに合意が要るわけでございます。アメリカがここを使うと言ったからといって、一方的に使えるというわけのものではございません。その点はそのとおりでございます。 それから船につきましては、先ほど条約局長が申しましたように、別途に地位協定の第五条の規定がございまして、アメリカの艦船は必ずしも施設、区域に限らずに、日本の港にはどこでも入港し得ることになっております。ただし原子力潜水艦につきましては、この地位協定を離れまして、原子力潜水艦に限りましては、横須賀と佐世保に入るということになっておりますから、原子力潜水艦につきましては、一般の開港場に入るということはないわけでございます。
○戸叶委員 まだ穗積さんからも関連質問がありますから、私はこの問題をあまり深く追及できませんけれども、ただ安保条約の第六条の条文から見れば、許されるのはアメリカであって、許すのが日本であれば、私は当然日本には選択権があると思うのです。そうなってくると、国の安全とか、あるいは国民感情というものから考えたならば、ベトナムの戦争に参加した軍艦だとか、あるいはまた原潜が横須賀に入ってくるとかいうようなことは、やはりやめてもらいたいと言うだけの、それだけの私は権利はあると思うのです。一〇〇%アメリカの言うなり、アメリカに権利があるのですからしかたがありません、こう言わなければならないという、その考え方はこの条文からは出てこないと思うのです。それじゃ一体どこから出てくるのかということがふしぎに思われるわけでございますが、この第六条からは、一〇〇%アメリカの権利を守るという考えは出てこないと考えてよろしゅうございますか。
○藤崎政府委員 この条約の第六条は、日本国がアメリカに対しまして、その陸海空軍が施設、区域を使用することを許す、もう根本できめておるわけでございまして、その上に、一艦一機が施設、区域に出入する手続的なことは、すべて同じ第六条の第二項でほかの取りきめに譲っておるわけでございます。そのほかの取りきめとして地位協定があり、地位協定の第五条によれば、先ほど来申し上げておりますように、施設、区域であれば自由に出入することはできるわけであります。
○戸叶委員 私の伺っていることに対しての答弁がないと思うのです。それじゃ、私の質問に対して、イエスかノーかだけで答えていただきたい。この第六条で、アメリカが許されるというのは、日本が許すことである、そして日本には選択権があるのであって、何でもかでも、どんなことを言われても、施設及びその区域は提供しなければならないというふうには解釈されない、こう思うのですけれども、これに対して、そうじゃないか、あるかという答弁をいただきたい。
○藤崎政府委員 地位協定その他の取りきめの定めるところに従ってすべて行なわれるわけでございます。
○戸叶委員 地位協定から出てこないと思いますが、それではいずれあとの機会に質問いたします。
○穗積委員 関連して——先週はお目にかかれなくて御心配をおかけいたしましたが、おかげでだんだん回復してまいりました。 これからちょっと議事進行上お尋ねしておきますが、大臣、あなたはきょうは何分までいいですか。
○高瀬委員長 十二時二十分くらいまでいいそうですから……。
○穗積委員 毛虫どころか悪魔のようなアメリカの潜水艦、航空母艦を入港させるという、こういう重要な時期に、われわれ衆議院の外務委員会は当面重要な委員会だと思うのですが、あまり時間に制限もされないで、これから好んで出席される心がまえを要望いたしておきます。 はなはだ遺憾でありますが、時間がありませんからごく簡単にいたしますが、先ほどからお話を伺っておりましたし、それからさらに最近のアメリカの戦争拡大の動き、それから日本政府並びに与党内における核の問題に対するいろいろな動きを見ておりますと、今度の寄港許可の問題あるいは航空母艦の許可を事前に国民に声明する態度等を見ておりますと、安保条約のやむを得ざる義務として寄港は認めなければならないんだという、非常に消極的な大義名分、言い方をしておられますけれども、われわれははなはだしく不安に思いますことは、日本とアメリカが共謀して日本国民に核の問題についてならしていく、こういう意図がひそまれているというふうに私は思われてならない。単に演習中の休養あるいは補給のためでありますならば、先ほど来自民党の委員ですら言われたように、このようにたび重なって、しかも世論の中心である東京、首都の近郊近い港にまで堂堂としかも長期にわたって入港せしめる。続いてまたおそらくエンタープライズも横須賀寄港を希望してくることが推測されるわけです。そういうことになりますと、われわれはその悪意に満ちた共謀の意図、日本国民を核にならしていくという政治的な含みを見落とすわけにいかないわけです。その点について、あなたは観光船が横須賀に来たようなごく軽いことを言われますけれども、安全の問題だけでなくて、特に拡大されようとするアジアの植民地戦争との関連の問題が、実はわれわれにとって最も重要なことでございます。その点はそういう認識に立って、関連ですから時間がありませんので、これから簡単にお尋ねいたします。 先ほど西村委員にも御答弁に重ねてなりましたように、ベトナム戦争に対して日本は中立ではあり得ない、中立ではないんだという積極的な御答弁をなすった。そこで、それに関連してお尋ねいたしますが、北ベトナムに対するアメリカの攻撃、特に最近は空爆の回数並びにその規模が熾烈かつ拡大されてまいりました。これは一体自衛権の範囲を逸脱する爆撃であるかどうか、自衛権の当然の発動としてこの北爆を、さらにこれが拡大されることを日本政府は考えておられるのかどうか、その点を最初にお尋ねいたしておきます。
○椎名国務大臣 北からの浸透を完全に封ずるために行なっておるものでございまして、これの範囲を逸脱せざる限りは、これは自衛行為である、こう考えます。
○穗積委員 私どもはその解釈は——非常に自衛権の逸脱、ベトナム戦争自身がもう自衛権の逸脱だと私どもは考えております。しかし政府がそういう論理をとられるならば、日本の基地に対する相手交戦国の爆撃あるいは攻撃が、当然自衛権の範囲として論理的には認められる。他の国は平和を愛しまたは距離も遠いということで報復爆撃は——戦争拡大を欲していない相手国は、いまの段階においては事実上やる心配はないかもしらぬけれども、法理的には、相手国は自衛権の範囲として日本の基地を爆撃する権限は認められるのではないか。先ほどあなたが日本に対する攻撃あるいはその危険はないと言ったのは、事実を言われただけでありましょう。ただ国際法における自衛権の当然の権利として、日本基地に対する——あなたはもう中立国ではないと言って、ベトナム戦争に加担をしておるわけですから、武器弾薬をはじめとするあらゆる補給の便宜をはかっておる、修理の便宜をはかっておる、傷病兵の医療施設に対しても必要以上の協力をしておる。そうなりますと、相手国から見れば、これは相手国アメリカの戦力に加担をする好ましからざるものであるとして、当然在日基地に対する爆撃は自衛権の範囲として認めらるべきものになりましょう。いかがでございますか。
○藤崎政府委員 自衛権の法理から言いますと、最初に北ベトナムがやりました攻撃が違法な武力行使でございますと、それに対して守る行為は自衛権の行使として正当化されるわけでございます。それではその自衛権の行使としてとった武力行動に対して、もともと違法な武力行使を行なった側が今度は自己を守るという行為は、これはめぐりめぐって自衛権の行使として是認されるかというと、そうじゃないのでありまして、武力攻撃を受けたほうが、自衛権の行使として許容される範囲内においてのみ軍事行動をとっている場合には、それはあくまでも合法的な行為であり、その相手方の、もともと武力攻撃を始めたほうの行為は、最後まで違法な武力行使であるわけでございます。したがってそれがかりに日本なんかに対して武力行使を拡大してきたとしましても、それは違法な武力行使を拡大したというだけのことでございまして、そっちのほうの行為は自衛権の行使として是認されるというようなことには法理上は相ならないと存じます。
○穗積委員 その戦闘行為、作戦行為が違法な行為であるかあるいは正当な自衛の行為であるかはだれがきめるのですか、客観的に。
○藤崎政府委員 国連憲章のたてまえから申しますと、さしあたり自衛権を行使するものが自分の判断で行動をとる、しかし直ちに安保理事会に報告して、安保理事会が所要の措置をとり始めたらすぐ自衛権の行使はやめる、こういうことになっておりますので、第二段としては安全保障理事会の認定に服するということを国連加盟国としてはすべて認めておるという立場でございます。
○穗積委員 これは国連憲章も当然でありますが、それよりさらに基本的には国際法の自衛権の解釈、しかも許される範囲というものは、刑法における正当防衛と同様に、国際的な通念として原則がきまっている。今度のアメリカの行為は、客観的に見て、自衛権の範囲を逸脱しております。それを、加担する日本政府がかってに、こちらの行為は正当なる自衛権であり、相手国の攻撃は不法なる侵略行為である、こんなばかばかしいことが許されて、そんな無原則で、ベトナム戦争に対する和平工作なんというものはできるものじゃないです。日本外務省としては非常に誤りだ。 そこで、関連ですから申し上げますが、語るに落ちる。いまの自衛権の範囲についてもそうです。したがって、基地の区域並びに施設の使用々許すか許さぬか、それは極東の安全と平和に寄与する行動でなければならない。アメリカの行動がすべて、あるいは日本の行動がすべて極東の平和並びに安全に寄与するかどうかはわからない。その行動が極東の安全に寄与するかどうかは、日本政府としては、アメリカ政府の意図と独立をして判断をしなければならぬ。それは当然のことです。条約のたてまえはそうなんです。日本とアメリカとは義務を負っておるというけれども、それは対等な立場においてのことでございましょう。しかも条約の法律条文に従ってでなければならない。そうでありますならば、いまの自衛権の解釈についても、施設並びに区域を使用することについても、日本は全く自主性を失っておるではありませんか。対等ではないわけですね。条約の主体者としての権利と責任というものを国民に向かって十分発揮していない。まるでアメリカのかいらい政権のような態度をとっている。日本の外交は、先ほど言ったように、これほど強い批判があっても、その寄港がはたして妥当なものであるかどうかを向こうにつぶさに聞く必要がある。安全の問題だけ聞けばいいというようなことではありませんよ。われわれが今日心配しているのは、戦争に巻き込まれる、戦争に加担をする、こういうことがこの寄港の問題の重要な一つの焦点になっておるわけです。そのときにはたして横須賀に寄港する必要があるかどうか、これを検討する。エンタープライズについての口上書もそうです。安全性の内容さえ前の原潜についてと同様であればけっこうだというような態度をとっておられますが、これは直ちにベトナム戦争に、原潜よりより以上に直接戦闘行為に入る危険があるわけでしょう。その解釈の態度を大臣、ぜひ答弁をしていただきたい。日本にはたして主体性があるかどうか。条約には、当然権利と義務があります。そのときに、いま戸叶委員が指摘された選択の権利、裁量の自由の権利というものは常にわれわれになければならない。寄港させることが、日本の平和と安全のために、極東の平和と安全のだめに必要であるか、不当なる侵略戦争を援助するためにやらせることであるかどうか、そのことが一番大事な問題じゃないでしょうか。大臣の御所感をお尋ねいたします。
○椎名国務大臣 物資補給に応じただけで戦争の相手方にみなされるというようなことは、私は聞いたことがない。北ベトナムに対して、背後からいろいろの援助をしておる、それがすぐもう敵性を帯びるというようなことになるのでありまして、あなたの考え方をとったら、戦争はたちまち地球全体に及ぶことになってしまう。そういうばかな解釈は私は聞いたことがない。 それから、われわれがアメリカに施設、区域を提供するというのは、アメリカの行動が極東の平和と安全に寄与しておるかどうかという独自の判断に基づいてこれを提供しておる、こういうわけでございます。
○穗積委員 大臣、あなたは北爆は一体どこをやっておるか御存じですか。ベトコンを支持しておる基地あるいはその出てきた軍隊を攻撃しているのじゃありませんよ。一番最初からの攻撃目標は、油の基地の攻撃ではありませんか。これは日本の援助よりはるかに軽い、物資の単なる友好的な供与にすぎない。そうでしょう。あなたの認識は根本的に間違っております。事実認識が第一間違っておる。それから、自衛権に対する法律解釈が間違っておる。 そこで私の憂えますことは、最近の第七艦隊あるいは第五空軍その他のいろいろな行動については、もうすでにやはり交換公文にいう事前協議の対象になる段階に来たというふうに思うわけです。今度の原潜についても、やがて来るであろうエンタープライズについては、なおさらそうであります。直接戦闘作戦の中へ入る。それで、原潜にいたしましても、あなたはさっきも言ったように、戦争が始まったときにすべての軍隊が直接戦争するわけじゃないですよ。ある部隊は戦争する、ある部隊は威嚇を加える、戦争をしないで済む軍隊もあるわけです。しかし、戦争の体系というものは全部であるし、それから後方地区における補給部隊もこれは戦力に違いない。したがって、当然LSTの一部の諸君もすでに死亡者が出ておるわけですね。そういうことになりますと、これは原潜、空母の入港を含めて、最近の日本の政府の態度、無制限なる戦争拡大政策を支持する態度、アメリカの最近の様子から見ますと、マンスフィールドの言うように、戦争が大陸に向かってまで拡大する危険が生じてまいりました。そうなりますと、極東における交戦国であるアメリカの太平洋地域における部隊というものは、すでにすべて戦争に入っておると解釈しなければならないし、そしてそれが拡大される、そういうことになりますから、したがって大西洋の軍艦ではなく、第七艦隊に編入されたエンタープライズであり、スヌークでございます。したがって、そうなると、この拡大を前にして現に戦争をしておる交戦国のアメリカの戦闘部隊であるということでありますから、したがって、交換公文による事前協議を外務省としては取り上げて、その対象として今後検討すべき段階に来ておるのではないかということを私は強く思いますし、それを要求したいと思うのです。これに対するお答えをいただきたい。
○高瀬委員長 穗積君に申し上げます。外務大臣は十二時半に午さん会がありますから……。
○椎名国務大臣 第七艦隊に属するどの船であろうと、日本の港を作戦行動の出発点としてこれを利用するということでなければ、これは事前協議の対象にならない。
○穗積委員 これで終わります。
○西村(関)委員 私は関連質問のあと残りの質問をやる予定でございましたが、非常に大事な関連質問がございまして、大臣のお立ちになる時間が来ましたので、私の質問は次回に保留をいたしたいと思います。 ただ問題点だけを大臣に申し上げておきます。北鮮の技術者の入国問題についての政府の態度でございます。 以上、次回にこの質問は保留いたしたいと思います。
○高瀬委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十四分散会