外務委員会 第12号
- 発言数
- 144 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/04/26
会議録
○毛利委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため出席がおくれますので、指名によりまして理事の私が委員長の職務を行ないます。 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題として審査を進めます。 本日は、前会に引き続きまして、日本航空株式会社の松尾社長が参考人として出席されています。 質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶委員。
○戸叶委員 この前参考人の松尾さんに同僚の議員からいろいろと御質問がございましたので、私はごく簡単に四点ほどお伺いしたいと思います。大体かち合わないようにと思いますけれども、もしかち合ったら御了承願いたいと思います。 共同運航の業務中に事故が起こったような場合の責任の所在ということはどういうふうにお話し合いになっておりますか。たとえば補償の場合の相互の配分というような方法はどういうふうになっているのでしょうか、この点のことをお伺いしたいと思います。
○松尾参考人 日本航空とアエロフロートの共同運航をやることになっているわけでありまして、ただいま御質問の対外責任というか、そういうものについてどういうぐあいになっておるかと申しますと、共同の運航でありますので、対外的旅客あるいは貨物、手荷物あるいは第三者、こういうものに対しましては、共同運航人として連帯して責任を負う、こういうことにわれわれ考えております。 ただ、内部的なアエロフロートと日本航空との間がどういう関係になるかということでございますが、それはいずれも原則としては自分が負うべき責任は自分で負う、こういう、何と申しますか、帰責事由の帰属部分に対しては責任を負うということになっております。ただ、どっちの責任になるかということは両者で話し合って、あるいは若干トラブルが起こるかもわかりませんが、アエロフロートと日航との間においては、原則としてはそのおのおのの責任に属するものはおのおのの責任でやる、こういうことになっております。この問題については今後なお検討することが必要なわけでございますので、来月の中旬に行きましたときに、この問題についても会議の中で十分検討することになっております。 それからもう一つ、いまの責任問題に非常に関係があるわけですが、共同運航はソ連の民間航空省から乗員づきの航空機を日航とアエロフロートと両者が共同してチャーターをいたしますので、この両者の名において運航する形態をとるわけです。そこでそれを共同運航と言っているわけです。したがいまして、飛行機の整備とか、それから借りました飛行機そのもの、それから地上のディスパッチ、地上の運航を援助するというようなものの責任は、民間航空省が一切の責任を負う。しかし実際飛行機が航行する場合、これは機長が全責任を負うわけでございますので、そういう点では大体意見が一致しておるようです。したがいまして、これらのソビエトの民間航空省を含めた日本航空とアエロフロートの三者間の関係でございますが、契約という形でそういうことをやはり話し合いで規定をしたい、こういうぐあいに考えております。
○戸叶委員 万一の場合には双方で責任を負うということでございましたけれども、いま御指摘のように、来月にもう一度それらの問題について詳しくお話しするというおことばもございましたように、やはりそこいら辺の補償の問題、万が一、事故が起きたような場合に、その配分をどうするかとか、そういうふうないろいろな補償の問題はまだ具体的にははっきりしておらないわけでございますか。お互いに責任は負いましょう、それからアエロフロートと日本航空とソ連の民間航空省との三者の間で話し合いはするけれども、まだ具体的に、万一、事故でも起きたときにはその配分をどういうふうにするとかいうところまではお話しになっておらないわけでございますか。
○松尾参考人 保険の問題になると思うのですが、それは大体の筋は意見が一致しているのです。保険をつくる場合ですね、旅客、貨物あるいは第三者の損害賠償保険、これはどっちか一社がつければいいじゃないか、その一社につけて、それをどういうぐあいに負担するかということを両者の間で取りきめればいい、こういうことには大体意見が一致しております。ただこの保険の問題については、この前も御質問がありましたとおりに、ワルソー条約、ヘーグ条約という問題がありまして、私たちはIATAのメンバーでもありますし、日本はヘーグ条約には加盟しておりませんし、いろいろ金額が違うわけであります。そういう点がどういうぐあいにいくかは、今度行ったときにもう少し両者でその辺を話し合いをしたい、こういう考えでございます。
○戸叶委員 次にお伺いしたいことは、運航は大体週一回というようなことの予定を立ててあって、回数は増さないといろ御方針のようでございますが、もし商業採算が合うなら、回数は増加させるというような余裕を持ったほうがいいようにも思いますけれども、週一回というふうにおきめになった理由は、何かおありになるのでしょうか。
○松尾参考人 御存じのとおり、現在欧州路線は北回り路線と南回りとやっておりますが、特に北極回りの欧州線を日本航空は現在一週間に五往復やっております。そして二、三年前から非常に採算性のいい路線でございまして、だんだん便数もふやしたい、こういうふうに考えておるわけであります。そのほかにも外国の航空会社が三、四社やっておるわけであります。この東京-モスクワ線をどんどん暫定協定で便数を増してきますと、非常に北回りに影響が大きい。それからもう一つは、そういう便数を増していきまして、非常に便利になってくるということになりますと、だんだんこの暫定協定が本協定に切りかわる時期が時期を失するのではなかろうか、私たちはこういう二つの心配があるものですから、便数はやはり一便程度が適当じゃなかろうか、こういうぐあいに考えております。
○戸叶委員 そうすると、やはり週一回の運航ということで大体暫定協定の間は続けていらっしゃる、こういうふうに了承してよろしいわけでございますね。 もう一つ次にお伺いしたいことは、将来単独運航をする場合に、たとえばロシア語、そういうものの習得が必要だと思いますけれども、こういうふうな方面の研修について何か計画をお立てになっていらっしゃいましょうか、この辺を伺いたいと思います。
○松尾参考人 それはこれから十分考えてやりたいと思っております。また、いままでもこういうことも一応若干予想はしまして、たとえば外語の中のロシア語出というような人も、若干若い人を採用しております。これからもう少し力を入れまして、そういう方面にも努力をしたいと考えております。
○戸叶委員 やはり単独運行になると、そういうふうなことも必要だと思うのです。そういう方をある程度養成しておくというようなこともぜひ考えておいていただきたいと思うわけです。 それから将来日ソの合弁会社を創設して航空業務を運営するというようなお考えはございませんか。
○松尾参考人 御質問の趣旨がよくわかりませんが。
○戸叶委員 いま三者であれしておりますね。それが今度単独運航ということになってきますと、将来、日本とソ連との間の運航を円滑にするために合弁会社か何かをつくってやっていくというようなお考えはお持ちになっていらっしゃらないかどうか。
○松尾参考人 この暫定協定が過ぎた場合ですね、本協定が実行された場合は、これはもう合弁会社をつくる必要はないのでありまして、単独にお互いに乗り入れる。その乗り入れの場合、あるいはやはりプールオペレーションですか、共同運営方式でいくのか、その点はまだ問題は残ると思いますけれども、単独にいけば、相互平等に自国の飛行機で自国の操縦士で乗り入れていく、その上でプールオペレーションなりそういうものをやるということは考えられる、しかし、合弁会社をつくってやるというようなことは考えておりません。
○戸叶委員 いまの場合にはこのままの形をとっていって、そうして単独運航ができるようになっても大体そのとおりでいく、いまのような形をとっていくということで、合弁会社のことは全然お考えにならない、こういうふうに了解していいわけですね。 もう一点だけ伺いたいのですが、先ほどもお話がございましたけれども、アエロフロートの法人格というものはどんなふうになっておるのでしょうか。大体私たちが考えるような民法上の法人と同じと考えていいかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○松尾参考人 この民間航空省とアエロフロートの関係ということは、ちょっと読み上げますが、なかなか複雑でございます。ソビエトの「民間航空省は国家機関であり、民間航空に関する国家的な問題を解決する機関である。この下部機構として民間航空運送管理局がある。国内管理局は二十八あるが、国際航空を専門に担当しているものとしてシェレメチボ空港に本部を有する国際航空路線運送管理局がある。この管理局のそれぞれが各国の航空会社に相当し、独立採算で運営しており、アエロフロートの名前で呼ばれている。このような形態であるから、ロギノフ大臣は全管理局すなわちアエロフロートの長でもある。しかし、各管理局は法人格を持っている」と書いてありますから、法人格を持っているというぐあいに御了解願っていいんだと思います。「航空機については、民間航空省が製造者から購入し、各管理局に割当てている。管理局は収入のうちから一定割合で支払を行う。また、上記の如き性格のため、各管理局は空港の管理等も行っている。」それから、「省にあって、国際航空路線運送管理局を管理しているのが国際航空局であり、局長はA・V・ベセディン、次長は」この前まいりました「V・ダニリチェフであり、ダニリチェフが今回の交渉の相手側団長であった。」こういうことのようです。非常に複雑でございまして……。
○戸叶委員 いまお読みいただいたので、大体日本の民法上にいう法人とはちょっと違うような形をとっていることがわかったわけですけれども、そういうふうなところとの交渉をしていく上において、やはり単独運航ということのほうに持っていかないと、よけいいろいろな面での複雑さがあるんじゃないかということを私も感じたわけでございますので、日本としてもやはり単独運航ということが早く実現するためには、これは望んでいることでしょうし、またそういうことも主張されたようですし、合意議事録の中には、ソ連のほうでもある程度承認をしたというようなこともあったようですので、そういう単独運航のほうになるべく早くなるように御努力を願い、私どももそういうことを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○毛利委員長代理 帆足君。
○帆足委員 私はいまから十五年前に、戦後最初の日本人としてモスクワを訪問しました。そのときにハバロフスクを通りましたけれども、実に荒れ果てたいなかの町でありまして、社会主義革命四十年にしてかくもおくれた場所であるかという、非常な感概を覚えた次第でございますが、その後、一昨年ですか、ソビエトにまいりまして、当時と比較しまして、その進歩の顕著なのに、非常にこれまた驚きました。特に案内されましてバイカル湖畔の開発事業などを見まして、まるで丸ビルのような大きな起重機がのそのそはいずり回っている姿を見て、これまた大いに驚きました。こうしてソビエトが平和のうちに建設が進んでいき、また世界が原子力とロケットの時代であるという自覚の上に立って、そして平和政策を追求しつつある、その熱意がとにもかくにも世界各国から認められつつあるということは、これまた人類のために御同慶の至りと思いまして、このたびの航空協定については基本的に賛成でありまして、その忍耐強い御努力に非常に敬意を表する次第でございます。いずれ私どもの要望その他は政府当局に申し上げたいと思います。しかし条文だけでは私どもしろうとによく内容がわかりませんし、前回私は所用があって休みましたので、あとで速記録を読ましていただきますが、したがって、ほんのしろうとの質問で恐縮ですが、二、三の点をお教え願いたいのです。 当面は週一回の運航とただいま承りましたが、途中でとまります空港はただいまのところどことどこにとまりますか。東京からモスクワに直行ですか。ハバロフスクかどこかにとまりますか。
○松尾参考人 東京-モスクワ直行でございます。
○帆足委員 それから、これも新聞で承りましたが、時間的に非常に有利であるということですが、時間で何時間くらいですか。それから運賃で、これはたとえば一等なら一等、ツーリストならツーリスト、同じクラスで幾らくらいの差が出る予定でしょうか。
○松尾参考人 当初使います、チャーターしようと考えているソビエトのTU114、これはターボプロップのエンジンでありまして、これですとダイレクトで約十二時間かかる。これがジェットになりますと九時間半くらい。ちょうど東京-モスクワといいますと、東京と太平洋の向こうのシアトルと大体同じであります。 それから料金の問題でございますが、料金はまだ合意に達しておりませんで、五月の上旬に、この料金とかチャーター料、その他保険の問題とかいろいろございますので、そういう点について交渉団をモスクワにやりまして、これから交渉することになっております。御存じのとおり東京から欧州、ロンドン、パリ、あるいはアムステルダムとか、ああいうところまではロンドン、パリも同じでございまして、ツーリストで六百七十七ドル六十セント、こういうぐあいになっております。だからそういう、われわれが加盟しておりますIATA、世界航空運送協会の規定を参考にして、運賃について両国で合意に達したい、こういうぐあいに考えております。これからの問題であります。
○帆足委員 ただいまの予定されております飛行機で乗客は何人くらい収容できますか。
○松尾参考人 ツーリストだけにしますと大体二百人、それから一等、二等をつくりますと大体百二、三十人と考えております。
○帆足委員 オリンピックのときや、それから今度のボリショイバレー団などが直行しておりますのは、東京-モスクワ間を八時間で来たとも聞いております、あるいはミコヤンさんが来たときでしょうか……。十二時間ではとてもそれに比べると時間が長いようですが、それはどういう違いですか。
○松尾参考人 それは、TU114はスピードがジェットより出ませんので、距離から考えまして、あるいは西から来ます場合は非常に追い風が多いので、そういうものによって、向こうから来る場合とこっちから行く場合と若干違いますが、ミコヤンさんはどんな飛行機でございましたか――ジェット機はあるのです。TU104というのがあるのですが、これはあまり長距離は飛べないのです。私どもが共同でチャーターしようというのはTU104ジェット機ではございませんで、非常に長距離飛べる大型のTU114であります。これですとやはり十二時間はかかるというふうに考えております。
○帆足委員 中国でもそうですが、ソビエトでも航空機については非常に安全性というものを大事にしておりまして、そして気象通報の点と機体の検査の点は驚くばかり行き届いておりまして、私が経験した限りにおいては、墜落率も非常に少ないというふうに伺っておりました。ただいまの共同で御使用なさるという予定の飛行機は最新式のものでしょうか、どの程度のものでしょうか、ちょっとそれが気になるのでお尋ねするわけです。すなわち、二流の要らなくなった飛行機であるか、現在ミコヤンさんなんかを乗せているような一流の飛行機であるか、その辺のところと、それからソ連の墜落率なんかについて何か資料でもお持ちでありましょうか、参考のためにただ伺っただけです。
○松尾参考人 われわれがチャーターいたしますこのTU114というのはプロペラのついたジェットをつけておるわけでありまして、だから、非常に最新式というのではございません。これは非常に長距離を飛べる飛行機でございまして、現在でもモスクワからハバナですか、あそこまでダイレクトで飛んでいるというような飛行機でございまして、もう一つIL62というジェット機、ちょうどわれわれが使っておりますアメリカ製のDC8と同じようなジェット機をいま開発しておりまして、おそらく今年か明年ぐらいにはこれが出てくるのではなかろうか。これが出てきますれば、私はダニリチェフ氏と、一番先にこれに切りかえたらどうかということを話したことがあります。だから、ソビエト製の飛行機としては現在では一番いい飛行機ではなかろうか。しかしジェット機でございますが、これは非常に短距離しか飛べませんから、東京-モスクワは飛べません。そういうダイレクトに飛べる飛行機は目下IL62を開発中でございまして、おそらく近くできてくるのではなかろうかと考えております。
○帆足委員 安全性ということに関しまして、当分共同運営のときはソ連の飛行士が日本国内も運転するようになるかと推察されますけれども、そうでしょうか。もしそうだとすれば、かりに羽田の飛行場を使うとすれば、なれてないということで、たとえば気象通報、それから自動装置による連絡等でお困りの点は何かございませんでしょうか。
○松尾参考人 そういう点はほとんど困らないのではないかと思います。日本に来たことはございますし、それから、先ほど事故はどうかという御質問がございましたが、ソビエトはあまり発表しませんので、実はあまりわからないのです。
○帆足委員 最後に、自主運航ということが非常に望ましいことは、それ自体が望ましいばかりでなく、日本航空としての経営上からいっても、いまの北極回りの問題との連関において一そう望ましいことはよく理解できることですが、同時にまた、ソビエト側がシベリアを現在の状況下で開放しにくいという事情は、私ども早くから日ソの国交の研究をしておりました者にとっては客観的に理解し得る現実のように思うのです。と申しますのは、たとえば、千島の問題にいたしましても、社会党の使節団はよくフルシチョフ首相と率直にこの問題について意見の交換をしました。そのときにフルシチョフ首相が指摘されたこと並びに資料で調べましたことによれば、戦争中に千島の沖で百数十隻のソ連の汽船を拿捕しております。そして私どもは戦争の必要上北を封鎖して軍事的観点から運航をとめております。したがいまして、ソビエトから見れば、この戦争のときの苦い体験からいって、北は日本の当時の軍国主義のカニのつめである、したがって、カニのつめをちょっともぎ取ってしまった、ところが、スターリンは、寸尺の領土といえども他国の領土である、勝ったからといって取らず、また自分も取られないということをたびたび声明し、カイロ宣言その他によっても、日本が強奪した土地でないものは取らないという。その原則から言えば、千島がソビエトに帰属しておることは不合理ではないかということを率直に述べました。すると、それに対しまして、フルシチョフ首相は、いまも記憶に新たなところでありますが、それは日本が外国の基地になっておるから、差し上げればすぐ基地になる可能性がある、たきぎを持っていて、すぐぶんなぐる相手にたきぎを渡す人はないだろう、それだけ言って、あとは冗談で、ちょっと日本も戦争に負けてつめをもがれたことも考えてもらわねばなどと言っておりました。しかし、そのときの意味するところのものは多少われわれにも理解できましたけれども、その後、プラウダに、日本にいまそういう理由のもとに島々を戻せば、日本のソ連攻撃の軍事基地に使われる、使われないという保証は少なくともない、したがって、国際緊張が緩和し、国際連合が強化されて平和の保障があるようなときには、確かにこの問題は再検討する余地があるということが正式に載ったのでございます。これは昨年か一昨年の九月ごろのことでございました。これをもちまして、この問題のかねて与野党とも要望しておりましたものが筋道立った文章として発表されておりますことを御記憶願いたいのでございますが、御参考までに申し上げます。(発言する者あり)これは大事な問題なんです。そういうことを言うとあとの附帯決議は通らぬですよ。 そこで、国際法上から言うならば、もう千島の問題はすべて国際法上の手続が済んでおるのでございますが、しかし、内容的に言えば、日本国民が自主的立場から問題が残っておるということについて、プラウダの文章は、すなわち、そのときの会談の片言隻句でなくて、文書に取りまとめてそういう意思表示をしております。 それからもう一つ、私が第一回目に十五年前にモスクワに参りましたときに、ソ連が中立条約を破って満州に入ってきたということに対して、先方の当時の説明は、とにもかくにも中立条約は確かにあった、しかし、実際上関東軍はあそこに兵を結集していて、そうしてその中立条約の相手のナチスと日本とはもう軍事同盟を結んでいた、その上、ソビエトとしては、イギリス、アメリカと同盟国になっていたという現実の関係の上から、この満州にソ連が進駐することをチャーチルから、またルーズベルトから非常な催促を受けていた、なぜそういうことになったかと言えば、もうアメリカが広島、長崎に原爆を投下したあと、ほんとうはそれでいいはずであるけれども、しかし、関東軍はまだ健在であり、朝鮮の駐留軍は全部健在であって、そうして爆撃もこうむってないし、物資は豊富で、そこで、日本の右翼の計画では、時と場合によっては満州に天皇を移し参らせて、そうして最後の一戦を交えるという決意もあったように聞いておる、したがって、そういうことになれば、東京に第三の原爆が落ちる状況である、東京からのがれた人、朝鮮または中国に対しては、他民族の混在しておる地帯であるから原爆を投ずることもできないし、混乱状況が二、三年続く、そこで、イギリス、アメリカと相談して、一挙に進駐して、そうして日本軍国主義の牙城である関東軍を襲って一挙にして壊滅させてしまう、大局から考えるならば、いずれは起こる日本の敗戦に対して、比較的犠牲が少なくて問題が処理できたとも言えるではないかということを私は向こうの「スターリングラード」というルポルタージュを書いた新聞記者から聞いたのであります。私は、これもそれぞれの立場から見て論理的に参考になることであると思います。したがいまして、ソビエトとしては、いまの台湾、朝鮮及びベトナムの緊迫した状況のもとで、それに安保条約がありまして日本も片棒をかつぐという状況になっている今日、シベリアを開放することは軍事的見地から見て私はまだ踏み切れないことは、善悪を問わず客観的に理解し得ることだと思います。したがいまして、その国際緊張が緩和されたならば自主運航ということも非常に容易になるし、また、日本航空が政治を離れて、また軍事を離れて純粋に経営上の互恵平等の立場から、非常に強く自主運航を主張しておられるということは私は理解できますけれども、外務委員会といたしまして、政治も外交も軍事も考えねばならぬ政治家の立場として言うならば、なかなかまだ困難が残っておることを痛感しております。この困難の中に忍びがたきを忍んで、とにもかくにも政府当局が実務当局の日航とよく御連絡なさって、ここまで協定をこぎつけられたという御誠意と御努力にわれわれは敬意を表しております。したがいまして、日本航空の自主運航についての切なる御希望はよくわかりますけれども、同時に困難な事情もわれわれは政治家としてよく知っておるわけですから、そう簡単に二年で解決するか一年で解決するか、国際情勢とからんでおりますから、問題がむずかしいのでございます。 したがいまして、それがむずかしいときにも、われわれに有利ならば何か方法はないかということになると、今日これは一つの経営でございますから、経営上の基礎から考えてあなた方が損でない、ソ連側も損でないけれどもあなた方も損でない、少なくとも北極運航との連関において現状がかりに続いても損でない程度にがんばったほうが――もちろん二カ年後に、こういう引き合わないことならばやめるというような決意をされねばならぬこともあり得ると思いますけれども、必ずしもソビエトの意思でなくて、客観情勢から見てそこまで踏み切れないというようなこともあり得るとするならば、私は、将来のことは第二といたしましても、そういう環境の中でいま航空が開けようとしており、これは将来は前途洋々たる路線でございますから、どうしてもわれわれが一応イヤマークしておかねばならぬ路線でございますし、そのための御苦労であろうと思いますから、ここまで話がきまりました以上の利益の配分とか、運航の互恵平等ということにつきましては、現条約の範囲内においてもできるだけわれわれの無理でない主張は十分に主張して、通しておいたほうが、ソビエトに対するひいきの引き倒しにならずに、両国のために私はいいのじゃないかと思います。 実は私は十五年前からレコードの仕事をソビエトと、また趣味の仕事としていたしておりますが、外交交渉のこととなると、わずかばかりの実務のことでもソビエトはしつこく強い国で、私は資本論を理解したジンギスカンを相手として話し合いをしておるのじゃないかと思うような思いをしました。フランスで三十分で解決するところを、モスクワではどうしても一週間かかる。私は随筆もよく書いておるのですが、社長もきっとそのことは御経験なさっておると思います。したがいまして、ソビエトとの交渉には、一方では論理――論理はソビエトには非常によくきくのです。理詰めでいくことについては敬意を払うと思います。しかし同時に、非常な生物学的な忍耐力が必要でございます。したがいまして、ものごとは最初が大事ですから、やはり論理のはずれたことの横車を押すことのないように、横車を押す習慣は政界には比較的強いようでございますが、これは政界の封建性です。しかし、筋道の通っていることで押して押しまくるということは、私は対ソ外交にとって必要であろうと思います。すなわち、ひいきの引き倒しでなしに、両国の恒久の利益のために、両国の平和のために、両国の論理と理性のためにこれは必要であるといって主張することは必要であろうと思います。 御質問申し上げることがこちらから要望することになってしまいましたが、代議士というものは、第一何も聞くことだけが私は代議士の仕事じゃないと思うのです。こちらで思っていることもやはり知っていただくことが互恵平等であって、わざわざ御出席願いましたので、思っていることを申し上げました。したがいまして、いまそのことについて附帯決議をどういうふうに文章化するかということが寄り寄り理事間で議題になっておるようでございますから、二年という時期を過ぎましてあとをどうするかということにつきまして、日航のほうの強い御要望のほどを承っておきたい。
○松尾参考人 ただいまは帆足先生からいろいろ貴重な御意見を拝聴いたしまして、ありがとうございました。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 この交渉は、仰せのとおり、やはり非常にねばり強くしていく必要があると存じます。ここまで来るのには、最初私どもがダニリチェフ氏と日ソ間の航空交通について話し合いしてから八年かかりました。その当時は東京-ハバロフスク一点ばりでありましたが、だんだん話をしておる間に、ともかく一足飛びに自主運航で東京-モスクワへお互いに乗り入れるということはなかなかむずかしいのでございまして、諸先生方あるいは外務省あるいは運輸省の関係御当局の非常な御努力によりまして、暫定協定にしても東京-モスクワ間を貫くことができた。私は非常な前進じゃなかろうか、このように思うわけです。これを一ステップとして、そうして商務協定にいたしましても、理屈の通ることは、私たちも非常に忍耐強くそういう点を主張しまして、仰せのとおり初めが非常に大事でございますから、御趣旨のとおりにやりたいと存じます。日本航空としては、自主的に相互平等に乗り入れるということが世界の原則でございますので、やはりできるだけ早い機会にそういう方向に行くような方針でいったほうがいい、こういうふうに考えておる次第であります。
○帆足委員 これで終わりですが、私は誤解のないように申しておきますが、大いに自主的にかつ強くというのは、やはり論理からはずれて強くしても通る国でありません。これは対中共の場合にもそうです。論理をもって押せばいいということを強調しておきます。ありがとうございました。
○高瀬委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 参考人はお忙しいお方でありますから、政府に対する質問となるべく切り離しまして、この前私も御答弁をわずらわしたわけですが、ちょっと補足して二、三質問をしたい、締めくくりになりますから。 実はこの委員会におきましては、きょう審議が順調に進みましたら採決する予定でありますが、それに対しては、政府に対する要望の決議をつけてしたいという大体の話し合いになっております。ところが、前回から審議を進めてみますと、われわれがこの協定に対してイエスかノーかをきめるためには、外交上のこともありますけれども、経済上の利害得失をあわせてうらはらに判断してからでないと、実は審議の責任を果たしておらぬことになるわけです。ところがその経済上の利害得失につきましては、重要な部分、たとえばチャーター料の決定であるとか、それから運賃の問題、事故補償の問題、あるいは利益の配分の問題等がほとんどこれからの将来の交渉にかかっておるわけですから、本来申しますと、その交渉の妥結を待ってこの協定が成功的であるか、望ましいものであるか、あるいはこれは再検討すべきものであるかの判断をしなければならぬわけです。しかし政府間協定の部分につきましては、それにタッチしない仕組みになっておりますので、そこでわれわれとしては松尾社長の原則的な決意と御手腕に期待をして、わが方に不利にならないような経済的取りきめをしていただけるものと期待をかけて、いわば条件を付して事前に協定を採決するわけです。ですから、来月中旬以後に予定されております経済的な内容についての交渉の経過並びに結果につきましては、あらかじめこの委員会へ再度御出頭願って、それを詳細にひとつ報告していただき、われわれの審議の責任も果たしたいと思っておりますので、そのことをあらかじめお約束しておいていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。そのお気持ちをちょっと伺っておきたいと思います。
○松尾参考人 当然のことでございますので、来月からの交渉の結果あるいは経過について御報告したいと思っております。
○穗積委員 それから第二にお尋ねしたいのは、暫定運航の場合におきましては、モスクワ以遠権というものは確立していないわけでございますね。これは二年後の――二年後というよりは二年以内の将来のことですから、そのときの外交情勢あるいは国際情勢一般のことも共同運航を自主運航に切りかえるための条件になってくると思うのです。いま帆足委員も言われたとおりだと思いますけれども、いずれにしても順調に来ますれば、二年以内に相互乗り入れによる自主運航が確立することをわれわれはあくまで期待をいたしておりますけれども、もしそれがいろいろな情勢で困難になりましたときに、そういう雲行きが見えたときに、事前にモスクワ以遠の問題について話し合いができないものであるか。これはいささか協定の改定になるわけでございますけれども、その点についてのお考えがもしありましたら伺っておきたいと思います。
○松尾参考人 暫定協定中の以遠権については、この前申しましたとおりに、あれは数地点ということになっております。確実には規定されてありませんけれども、本協定になりますれば、ソビエトからそういう地点について同意してもらいました暁には、乗り入れの相手国とまたその点協議をする、交渉しなければならぬ、そういうことになるわけです。ただ暫定期間中にモスクワ・ビヨンド・欧州のどこかにやるという議論もありましたけれども、それをやらないほうが逆にいいんじゃないかという気が私はしております。と申しますのは、この東京-モスクワ間の暫定協定にしても、東京-モスクワ間を日航と共同運航でつなぐ。これは、この前も申し上げましたとおりに、欧州のキャリアにとってはたいへんなセンセーションを起こしております。これは非常に非公式でございますけれども、ある欧州の有力な航空会社からも、その暫定協定に自分を加えてくれぬかというような希望もあるような状況でございまして、この暫定協定でモスクワ・ビヨンド・欧州の地に乗り入れますと、東京-モスクワ間を日航とアエロフロートで暫定期間中独占するということはなかなかむずかしくなる。それからまた他のキャリアが入ってきたとしますと、暫定協定が非常に長引く可能性もありはせぬか、私はそういう懸念を持っておるわけであります。
○穗積委員 ちょっと私のことば足らずで質問の要旨がよくのみ込んでいただけなかったように思いますが、私の言うことはこういうことであります。つまり二年以内に相互乗り入れの本協定に切りかえができればいいのですけれども、できない場合に二つの道がありはしないか。その一つは、この前お話のありましたとおり、一ぺん打ち切って振り出しに戻って再交渉を始める、暫定協定、共同運航の長期化、固定化はやめたほうがいい、こういうお考え、これは私どもも支持するものですけれども、もしそれが不幸にしていろいろな国際情勢その他の理由によって困難な場合に、ヨーロッパ諸国との関係もありましょうから、東京-モスクワ間は共同運航を打ち切らないで、それからモスクワ以遠を西ヨーロッパ諸国の動きを見ながら話し合いをする。これは今度の自主運航に先方が応じなかった理由は、シベリア上空が軍事的その他の理由によって開放ができないというのが主たる理由に――他にあるかもしれませんが、少なくともそういうふうに考えられるわけですから、シベリア上空はその向こうの説明のいかんによりまして、そのときの情勢が、向こうの考え方がすべてもっともだということではないが、客観的に国際情勢を見ましてもっともであるということであるなら、シベリア上空だけは共同運航を認めても、それ以外の上空について正常な自主運航を認めるということは、利害得失の問題ですけれども、考えられないかどうかということですね。これは必ずしもきょうの審議の中で確定的にそういうことを考える必要はないわけですけれども、私は共同運航を一ぺん打ち切ることが実は条約上は困難だと思うのです。われわれは国内においては政府に対しまして強い決意を要望はいたしますけれども、条約の規定から見ますと、これはこの前もあなたの御決意とそれから政府の御答弁とは食い違っておりますように、私は条約規定の上ではどうも政府の答弁のような解釈にならざるを得ないのではないかというふうに考えるわけです。そうなって問題がこじれましたときに、問題はいま申しましたような西ヨーロッパ諸国に対するある意味における既得権、将来に対する優先権、これは既得権になるわけですけれども、それを放棄しないで、シベリア上空に限って、シベリア上空以外のものについての以遠権を認めさせることはできるのではないか。それが不利で、いまおっしゃるようにシベリア上空の共同運航を固定化する心配があるからそれはやらぬほうがいいというお考え、われわれもそう思うのですけれども、それがちょっとからみ合った意味でしろうとのような危惧を抱きましたので、お尋ねしたわけです。二者択一になりましたというようなことですね。それでもなおかつ御破算に一ぺんしたほうがいいというお考えであるかどうか。
○松尾参考人 非常にむずかしい問題で、将来の問題でございますが、私はこの国際的な航空運送事業、航空条約というものは、相互平等でお互いに乗り入れるというととが原則でございますので、できるだけその原則に早く持っていくことがおっしゃるとおり、望ましいわけです。先生のおっしゃる二年後、そういうことがかりにいろいろな情勢でできなかった場合、よく御質問の趣旨がわかりませんが、東京-モスクワ間は暫定協定の共同運航でやって、それからモスクワから欧州への以遠権は単独で乗り入れたらいいじゃないかというような御意見でしょうか。
○穗積委員 ええ、そうです。
○松尾参考人 それはソビエト側も数年前この交渉の初めに、欧州またはタシケント経由で国際航空路の開設されておるところから日本航空ならいつでもいい、あしたからでも運航を始めていいということを言っているわけです。それは、いまでも、この路線ならばできないことはないという気がするのです。しかしそれをやりますと、非常に便利になり過ぎちゃって、東京-モスクワ間の暫定協定というものはいつまでも固定化する危険性が非常にありはせぬかということを私は心配しております。
○穗積委員 よくわかりました。 それから第三にお尋ねしたいのは、日本の航空会社が、ソビエトの飛行機にはいろんなタイプ、モデルのものがあると思うのですけれども、それを今度初めて共同で使うわけですね。それで、もしその性能、価格にいたしましても、国際的に不利でないというような判断をされた場合には、ソ連機を日航で場合によれば購入してもいいとお考えでしょうか。ソ連機はよくても買わないというとらわれた考えでなくて、やっぱりその点は経済合理主義で合理的にフェアに考えたらいいんじゃないかと思うのですが、これはいまからお伺いするのはなんですけれども、その点はフリーにお考えになり、検討して、よりわがほうに有利なものを選ぶというお考えですか。あるいは政治的な理由で買わないか。これはもしチェックするとすれば、外務省、運輸省、政府のお考えも加わるだろうと思うので、これは政府にも共通の質問をしたほうがいいかもしれませんけれども、経営の最高の責任者ですから、経営の立場から見て、経済合理主義で、東西南北を問わず、とらわれないでフリーに考えるべきだ、われわれはそう思うのですが、そういう含みでちょっとお尋ねをするわけです。どうもデリケートな質問ばかりいたしまして申しわけありませんが……。
○松尾参考人 私も、ソビエトの飛行機が非常に性能がよくて、そして値段も非常に適正だということならば、買ってもいいんじゃないかということは考えております。ただ、航空運送事業に、機種が非常に多いことは、かりに非常に優秀な飛行機であっても、種々雑多な機種をたくさん持っておるということは、合理性において、会社全体を合理化するために非常に割り高になりまして、これは経営上とらないところでございます。ただ、いろいろな条件がありまして、ソビエトの飛行機を買ってくれれば、それは東京-モスクワ間を日本人の操縦士で本協定でもいいということなら、これは非常に考える余地があると思うんです。 もう一つ非常に私たちが危惧の念を持っておりますのは、何ぼ優秀な飛行機でございましても、アフターサービスが非常に飛行機を運営する上に重大な影響があるわけです。こういう面がソビエトはどうだろうか、アメリカとか欧州のようなアフターサービス、これはエンジンのこの部分が悪いとなればすぐ設計を変えて改造してくれる、あるいは機体でもそうだし、あるいは部品でもすぐよこしてくれる、こういういわゆるメーカーのサービスですね、これはどうもソビエトはいまのところ私が考えますのに、そういうことは欧米よりもおくれているんじゃないか、そういう点を非常に危惧するわけでございまして、できれば機種は統一してやりたい。かりにソビエト製の非常に優秀な飛行機を買うにしても、そういうアフターサービスについての懸念は相当に持っておる、こういうことで御了解願いたいと思います。
○穗積委員 本省は、いまの私の言うのは原則だけですが、経済合理主義で、とらわれないで考えていくということには御異存ありませんね。
○佐藤(光)政府委員 いま日航社長から説明がございましたように、機材を使用する場合の長期的な経済性という観点に着目をわれわれもするわけでございまして、同時にこれが特定の国に所属する云々ということでなくて、われわれとしてはいかなる国のものであろうとも、長期的に見てこれが経済的に使用し得る見通しのものでありますれば、十分それについて検討いたすようなわけでございます。
○穗積委員 外務大臣、いかがでしょう。
○椎名国務大臣 いま御両氏の言うとおりだろうと思います。
○穗積委員 それから、これは直接日ソ協定に関係はありませんけれども、この前から申し上げますように、われわれがこうして時間を費やして参考人として来ていただいて共同で審議するということは、日本の国際航空の立ちおくれを早く取り戻すべきであるという観点に立ってでございます。その観点でいきますと、この前の御提案のとおり、路線にはシーズンオフのない総合的な路線、経営が総合的にできると効率があがるということですね。そのためには南半球に対する路線の開拓が今後わが国の国際航空業の宿題の一つではないかということを御指摘になったわけですけれども、これに対して私はもし日航の責任者として具体的にこの問題を取り上げて、どの線をどのようにというようなお考えがあったら、この際後学のために伺っておきたいと思うのです。いかがでございましょうか。
○松尾参考人 日本航空として考えておる路線は、まず豪州線を考えております。これは現在東京からジャカルタ経由シドニーという豪州との航空協定の路線の免許になっておりますが、ジャカルタ経由はなかなかコマーシャルベースに乗りませんので、私たちは東京-香港・ビヨンド・ラウンド・シドニー、こういう路線を二、三年前から考えておるわけでございます。昨年でございますか、日英航空協定の改定のときもそういうのを持ち出したわけですが、それは英国側のいれるところとならず、これは引き続いて私は外務省にぜひやっていただきたい、こういうふうに考えております。それからもう一つは、これは日米交渉と関係がございますが、南米あたりは将来やる路線であろう、こういうぐあいに考えております。それからもう一つは、アフリカ方面も考えております。アフリカには、昨年ですか、ヨハネスブルグに小さな店を開きまして、その辺のアフリカの事情、そういうものを調査する。けっこうヨハネスブルグに一人か二人置きまして店が立っていく程度の利益があがりますので、いままではカイロから人を派遣してやっておりましたが、ヨハネスブルグに小さな店を開いて、あの辺の事情も調査をさせる、そして商売も行なっていく、こういうこともやっております。現在のところ一等先に考えておりますのは、やはり香港・ビヨンド・豪州というのがとれれば、コマーシャルベースにも十分乗っていく路線ではないかと思いますので、そういうところから始めていきたいと思っております。
○穗積委員 ありがとうございました。これに対する政府の考え方はあとで伺いたいと思っております。 それから、ちょっとこの前伺ったかもしれませんが、もしすでにどなたかから伺ったらお答えいただく必要はありません、速記録を拝見いたしますから。例の保険の問題でございますが、保険は、日本は任意制度でございますね。そうでありませんか。それから、保険の主体が、向こうとこっちと国柄が違いますから、相手は国営でございましょうし、こっちは民間でございますね。それからソビエトのほうは強制になっているのじゃないかと思いますが、そこらの事情、もし両国間に制度上の食い違いがあるとすれば、それに対する御方針をちょっと伺っておきたいと思います。
○松尾参考人 非常にむずかしい問題でございますが、御承知のとおり、ソ連側には国家保険と外国保険というのがございまして、大体国際航空あたりは外国保険でやるということになっておりますが、われわれ日航側のやり方とソビエトのやり方と、御承知のとおり非常に違うのでございまして、今度の交渉でもその点をどういうぐあいに調整するかが非常に問題であるわけでございます。
○穗積委員 金額とか料金の問題でなくて、そのシステムそのものが今後の交渉になるわけですか。
○松尾参考人 そういうことです。それで、大体この保険はどっちか一者でかけておけばいいじゃないか、そしてあとは、保険の配分は両者間できめていく、こういうことでいこうという原則、それだけの話し合いはついております。どっちか一者がかけておけばよろしいということでございます。
○穗積委員 それでは、これもまた交渉が済みましたら、事後報告をしていただく中へ入れていただきますようにお願いをいたしまして、私の松尾社長に対する質問はこれで終わります。 しからば、私からまず政府に対して質問をいたしますが、実はこの前の問題で日航のほうとしては共同運航を固定化するのは好ましくないというので、もしその切りかえが困難または不可能な場合は、一度これを取りやめて、再出発の交渉をし直したほうがむしろ長い将来のためには間違いがないというお考えのようでございます。 そこで、大臣に申し上げますが、実はきょうの委員会を開きます前に与野党の理事会を開きまして、あと永田理事から共同提案として御提案をいただくことになっております。これはそこにちょっとやはり条約上の抜け穴があるのではないか、それでは共同運航による不利、以遠権確立の困難による不利、そういうものから、むしろわが政府としては、松尾提案のような考え方でいったほうがいいのではないか。実は採決のときにはこういう要望をつけようではないかという大体の話し合いが先ほど合意に達しておるわけです。これは事情をあからさまに申し上げておきますが、それを政府が受けだときに、条約の規定上は、この前言いましたように、必ずしもそういう仕組みになっていないので、それをどう処理されるつもりであるか。これはこの協定の最も重要なポイントの一つであると考えますので、外務大臣の責任のある御答弁を伺っておきたいと思うのです。
○椎名国務大臣 共同運航を固定化するというおそれがあって、心かなかこれを打開するめどが立たぬという場合には共同運航を停止する、こういうことを予定して、そういうふうに書きおろされております。そういう場合には本協定はそのまま有効に存続するということであります。
○穗積委員 そこで、そうなりますと、交換公文に伴う企業体間における契約は無効になりますね。交換公文もそれで自動的に無効になるわけですけれども、われわれとしては本協定議定書の中に共同運航の暫定取りきめというものを承認しておるわけですから、その商業的取りきめを、それじゃもう一ぺん日本側の要望を聞いて交渉に応じてよろしいという態度を向こうはとっても、共同運航そのものを一方的にこちらが停止したままでありますと、条約上の日本側の義務を怠ることになりはしないかという点がやはり解釈上問題だと思うのですが、その点についてはいかがな御解釈でございましょうか。
○椎名国務大臣 それは私はないと思いますが、なお詳細につきましては局長から申し上げます。
○北原政府委員 暫定運航の運営に関します交換公文の第六項でございますが、「いずれか一方の政府は、3に定める商業上の取極の有効期間の満了の一箇月前に、事前通告を行なうことにより、この交換公文の効力を停止することができる。」一カ月の事前通告でこの暫定運航に関します交換公文の効力を停止することができるということになっております。 それからもう一つ御参照願いますが、同じくこの交換公文の三項でございますが、その三項に「1にいう国際航空業務を運営するための技術的及び商業的な事項は、ソヴィエト社会主義共和国連邦及び日本国の航空当局の承認を受けるアエロフロートと日本航空株式会社との間の商業上の取決めにおいて定められる。その商業上の取極は、有効期間は一年とするものとし、アエロフロートと日本航空株式会社との間の合意により、期間を延長し及び内容を修正することができる。」そこで先ほどの六項とこの三項からいたしまして、結論といたしましては、大体二年たちましてなおかつ単独乗り入れができない場合には、日本政府といたしましては一カ月の予告をもってこの交換公文の効力を停止することができるわけでございます。その場合に、いま穗積委員の御質問の本協定との関係はどうか、これはこの暫定運航に関します本協定と一体をなしております暫定運航に関します議定書がございます。この議定書はそのまま生きておるわけでございますので、そこで暫定運航のこの交換公文の効力を一時停止したということになるわけでございます。議定書のほうはまだ生きているし、もちろん本協定のほうも生きているということでございます。そこでこの交換公文の3項の趣旨からいたしますれば、これはそのときになってみなければまだわからないことでございますが、三項の趣旨から推測いたしますれば、その後において、停止したままでその後内容更改のための折衝まで始めるとか始めないとか、あるいはもっと根本的な措置にまでさかのぼって考えるとか、その点は両国政府の態度にかかるというふうに解釈してよろしいのじゃないか、そういうふうに考えております。その点につきましては交渉に際しましていろいろ議論した点でございますが、交渉期間におきましての両代表団の考え方は、合意議事録により二年以内にあくまでもこれを成立させていこう、そういう基本的な姿勢のもとにひとつ考えていこうということでございます。そういう趣旨からすれば、できる限りあくまでも二年以内にやるということを大基本方針といたしまして、万一できない場合にはできない理由その他についての徹底的な、またこれはある意味での交渉を通じて、その後における日本政府の態度をきめるということになろうと思います。
○穗積委員 この交換公文の各条項の解釈は、私もよく理解しておるつもりです。いま局長が言われたと同じ解釈を私もとっております。それはいいのです。ところが暫定運航というものは、実は交換公文の中においてのみ出てきているものではなくて、本協定と不可分な関係にある。そうして交換公文による停止がありましても、あとに残る性質の議定書の中に出ておるわけですね。そうなりますと、暫定運航に対する協力の義務はこちらに残っておるのではないかということですね。そこの解釈が問題なんです。そこで、いま局長の言われたようなことになると、実は共同運航の取りきめ並びに交換公文は失効する。それはそれでいいのですよ。それに必ず切りかえるということがたてまえだとおっしゃいましたが、たてまえでしょう。こっちとしては特にそれは主張すべき点でありますけれども、もしそれが合意に達しておるとすれば、相手を拘束すべき文章がそこになければならない。それはわれわれの見たところでは、条約の文章の中では日本側の強い要望を了承したというだけであって、これは法律的な拘束力を持たないことばがあえて使ってある。そうして残るものは、いま申しました私の問題にするのは、交換公文におけるものではなくて議定書の中へ出ておる。暫定運航というものを合意をしんおるわけですが、それに対する義務は残るのではないか。それであなたは、交換公文並びに取りきめが失効すれば、そのまま寝かせておくか、それから再交渉をするか、それはわがほうに選択の自由があるのだ、つまり合意に達しなければできないわけですから、わがほうに選択権が残るのだ、こういうふうな御解釈でございますが、それは必ず義務があるとも書いてありませんが、義務がないとも、このあとに残る議定書の中には書いてないのですね。そこに私は一まつの不安を持つわけです。それは、さきに言った交換公文の中にある了承ということばをあえて向こうが使って、それ以上に拘束を受けるような字句を避けたというところに、疑うわけではありませんが、そういうことになっておりますから、したがって、大きくは議定書でとにかく日本をなべの中に入れておるのだということになりはしないか。向こうは了承で逃げておる。それでこっちはあとに残る議定書で拘束を受けやしないか。その点の解釈は、解釈の違いとして出てくる危険がありはしないかということを私は思うわけです。そうなれば、法律のことですから主観をまじえずに、条文上客観的に、法理的にこれは解釈しなければならぬが、私はこちらはこの議定書から見て拘束力は全然ないのだということはちょっと言いがたいのではないかと思うのですね。期限つきまたは内容において交渉の義務づけはされておりませんけれども、とにかく暫定運航というものの原則は明らかに認めて、こっちからは一年間の予告を持った廃棄通告をしなければいけない。それと同時に、優先権も消滅するということになるわけでございますが、そこの解釈は、その点は十分お話し合いになっておって、ここに公表されてない議事録にそういうものがとどめてあれば私はいまの御解釈に納得ができますけれども、われわれ日本側としては、政府も国会も日航もその解釈でいきたいと思いますが、法律は双方の解釈が合意しなければいけませんから、その点で、ちょっとしつこいようですけれども伺うわけなんです。私の質問を理解した上で答弁をしてください。
○北原政府委員 御質問の趣旨はよくわかりました。この暫定運航をシベリア上空開放までやらざるを得ないということをうたった議定書、これは議定書の形式でございます。それからもう一つ、二年以内にできる限りすみやかにシベリア上空を開放する、これは合意された議事録というものがございます。これはもともと交渉の経緯から申し上げますと、二つのもの、現在文書が別になっておりますが、この議定書と合意議事録は、最初の間は一体をなして交渉をしてまいりました。これを二つに分けました理由は、全く条約技術上の理由でございます。と申しますのは、先ほど穗積委員から申されました政治的、道義的義務がソ連側にあるのだという合意議事録でございますが、これはどうしても日本側がそういう強い希望を表明して、それをソ連側が了承したという形になるわけでございますが、この場合にはどうしても条約形式上の観点から申しますと、議定書にあらずして、合意議事録とすべき性質のものである。そういうことでこれは二つ一体をなしておりましたのを文書としては二つに分けたおけでございます。そこで私どもといたしましては、二年以内にどうしてもやるべしという先方の政治的、道義的義務は、これはどうしても二年間やらざるを得ないのだという、この議定書と全く同等の国際条約上の価値を持つものというふうに考えて、二つに分けることに同意したわけでございます。 そこで、そういう意味で暫定運航をやらざるを得ないという一つの事実と、それから二年以内にできる限りやるのだという生方の政治的、道義的義務は、同じ程度の価値のあるものとして両国間に合意されている。そういう趣旨からしまして、これは議定書のみが協定と一体をなすものではございませんで、合意された議事録、先方の政治的、道義的義務を規定しております議事録も、全部本協定と一体をなすものというふうに私どもは了解しております。その意味で、いま穗積委員の御指摘の、どうしてもできない場合に、法律的な見地から見た場合には、どういう権利義務が両国間に残るのかという点につきましては、全部がこの協定と一体をなしたものでございますので、日本側から見ました場合には、歩くまでもソ連側に政治的、道義的義務があるのだということで私どもは了解していきたいというふうに考えます。
○穗積委員 これは非常に大事な点ですから、またあとになって両国間の友好が、かえって紛争の種になったりしてはいけないので、私は聞くのですよ。なるほど国会の審議では、いまおっしゃいました議事録並びに交換公文は、これは審議の対象になっていない。参考文書として出ておるにすぎないわけですね。あくまで審議の対象になっておりますのは、本協定と議定書と付属書Ⅰ、Ⅱにすぎないわけでございます。それじゃ日本国内における国会の承認を求める必要のあるという手続においては、議事録並びに交換公文は審議の対象にならないで、参考文書としてやってもいい、それはいいのです。ところが、その議事録は、対外的、すなわち国際的な関係におきましては、本協定並びに議定書と同様の国際取りきめの効力があるのだという解釈も私も賛成であります。ところがその中では、さっき言ったように、大事な点について了承ということばに逃げられておる。向こうが逃げておる。これは私は、相当向こうは意識的だと思うのです。将来の展望の中で、相当重要な力点を置いて了承という、すなわち法律的なオブリゲーションを負わない政治的なことばにしてあるのではないか。そうなると、議事録は、いまおっしゃるとおり、国際法上の効力は本協定と何ら差別はないのだという解釈はそれはいいのですけれども、そう解釈した、それでは、議事録の中の条文はどうなっておるかといえば、いま言ったように、了承にすぎない、こういうことで、そうして本来の共同運航に対する取りきめは、これは議定書の中に原則だけうたわれておるわけですから、そうすると、そこに私は一まつの不安を抱かざるを得ないわけです。だからその点についてだけ――議定書の国際法上の効力の問題は意見が一致しましたから、よろしゅうございます。なおかつ、私がまだ完全に了解のできないのは、議定書そのものの暫定運航の取りきめによる両国間の権利義務関係、その商業上の取りきめの内容は書いてよろしい、と向こうが応ずる、そうすると、つまりその取りきめは一カ月の予告で無効になり、そうして交換公文も失効する、それでいいのですよ。あと残っているのは、これはあくまで残るわけですから、内容について向こうが提案すればこっちは交渉の義務がありますね。そうじゃないかと思うのですが、どういうものでしょうか。
○北原政府委員 大体御質問の趣旨、私了解し得たと思うのでございますが、そこの、どうしても了承ということで、それがはっきりした確約ではないということからするこの協定全般の運営に関する不確定な要素があるという点についての御指摘でございますが、その点がございますために、実はこの暫定運航というものを、商務契約を一年ごとに更改していくというたてまえにいたしまして、それから、一カ月の予告で効力を停止し得るという条項を入れたわけでございます。この了承するという、はっきりした国際条約上の義務ではないというものに対する歯どめは、暫定運航を日本側が自主的な立場から停止するということでもって一応応ずるというのがこの協定全般のたてまえでございます。ですから、そういうことで日本が応じました場合に、そのあとの事態はどうなるのかというのが、いまの御質問の趣旨だと思いますが、その場合には、本協定はそのまま効力が残っておるわけでございますが、本協定のたてまえは、あくまでも相互単独乗り入れということを行なうというたてまえで本協定の内容は全部規定されておりますので、当然その場合両国間において行なわれます交渉においては、依然として本協定の実施にいかにして到達すべきかという趣旨において交渉が行なわれるものと思います。そういう趣旨で、私どもとしては、そういう事態になりました場合には、あくまでも本協定のたてまえから押していくということになろうかと思います。
○穗積委員 その押していくところの本協定で不可分になっておる議定書の第一項では、「シベリアの上空を外国の航空機による航行のために開放することがさしあたりできないことを考慮して、」そして暫定的に運営されるものとしておる。したがって、これには期限がないわけですね。そして、これは期限がない上に、しかもこれは暫定運航に関する合意文書ですね。そうすると、どういうことでしょうか、いままでの商務協定は廃棄いたしまして、無効になる、白紙になりますね。白紙になりましても、これは残っておる。残っておるときに、それが、相互乗り入れをわれわれは強く要望した、相互乗り入れが実現できないから、したがって、もう実務は一切停止するのだということを無期限に無条件にこれを行なうことができるかどうかということです。私はそこまではちょっとこっちの一方的拡大解釈ではないかと、この文章上からは思われるわけですね。つまり、議定書第一項というものがございますから。向こうから提案があれば、交渉の義務はあると思うのですよ。それで、そのときに、それを理由にして、いままで行なってきた現行商務取りきめがわがほうに納得ができないというので、これを廃棄しなければならぬ、そして、廃棄のしっぱなしで無期限、無条件にわれわれがすわり込んでおることができるかどうかということです。それに対しては、私はこの議定書第一項の取りきめが合意に達した以上は、無期限、無条件にすわり込んでおることは不可能ではないか、交渉に応ずる義務があるのではないかというふうに解釈するのが私はごく客観的ではないかと思うのですよ。そうすると、そのときに、ここで審議したこと、政府、国会並びに日航の当局が予期いたしましたこととは違った法律上の義務をそこにしょっておったということになりますと、これから予定されておるこの要望決議を付しましても、ナンセンスになりますね。要望決議、大臣ちょっとお聞きください。「当該共同運営を打ち切ることもあるべしとの決意を以って自主運航への移行に努力されることを強く要望する。」これはこれから採決するわけですけれども、こういうことを受けて要望に十分こたえることに確信があるということであるかどうか。私と局長との法律解釈の問答では、いささか局長のお考えは一方的主観的ではないか。議定書一項の解釈からいたしましても、あくまで交渉の義務が残されておるのではないか。それは何べんも何べんもそれを廃棄してやれば、事実上休止状態を継続することができるかもわかりませんけれども、条約のたてまえとしては、条約に対する信義誠実の原則に反するのではないか、締約国としてそういうそしりが生ずるのではないかということを私は危惧するわけです。大臣、お聞きのとおりですね。協定の問題と、それから、きょうかいつか、とにかくこの協定を採決いたします場合に、与野党一致して共同の提案で国会を代表して政府に強く要望する。それがはたして法律的にも政治的にも――政治的な点はいいです、この間伺いましたから。法律的にも条約協定上もそれは可能であるということが言い切れるかどうか、いささか私は客観的に見て危惧を抱かざるを得ない。
○北原政府委員 いまの議定書で暫定運航というものを認めているので、将来暫定運航に関する交換公文の効力を停止した場合にも、その後交渉に入る義務をしょっておるんじゃないか、この点に関しましては、ある程度繰り返しになって恐縮でございますが、先ほどの議定書に対しますこちらの合意された議事録、ここでソ連側としては政治的、道義的に二年間で大体やるという義務を負っておるわけでございます。それをひとつ考慮に入れてこちらの議定書のほうもお考え願わないと、少しこの点一方的になるんじゃないかというのが私の申し上げたいところでございます。 そこで、仮定のことからしでいろいろ法律論をしても非常にむずかしい微妙な議論に入るかと思いますが、やはりソ連側が確定期限というものをいまの時点においてどうしても切れない、どうしても先方が譲歩できないということでございましたので、こういう解決方法に落ちついたわけでございます。その趣旨は、現時点におきましても双方の立場というものは非常にはっきりしておるわけでございますが、どうしても現時点において確定期限ということで解決することができないということで、こういう複雑な形をとりました。しかし、その基調を流れておりますものは、どうしても本協定の精神、本協定の内容ということでございますので、今回の暫定運航という変則的なものを受諾いたしましたこの基本的な立場につきましても、要するに本協定というものは確固として両国間につくられるんだ、そういう前提のもとに踏み切ったわけでございますので、この点は本協定というものの、その趣旨を頭に入れておいて、両国政府間において万一そういう不幸な事態になった場合には善処するということに御理解願いたいと思うのです。
○穗積委員 ちょっとくどいようですが、決してくどくないのですよ。くどくない大事な点なんです。議事録を本協定の解釈の場合にあわせ検討するということについては、さっき言ったとおり、私も当然ソビエトは応ずべきだと思います。それから、本来の姿はあくまで相互乗り入れ、自主運航というのがたてまえであるという原則についての確認も向こうも異存はないと思う。ただ問題は、種々の情勢、理由によって、シベリア上空の開放は、日本側の願望もあるけれども、それはよく了解はできるけれども、われわれとしてはそれをこの時期に、というのは二年以内の時期ですよ、その時期にこれを協定の上で認めることは困難な事情にあります。だから、本来の姿に返ることには異存がないが、この不自然な暫定運航というものを、もう少し時間的に延長してもらいたいということは、このたてまで議事録をたてにとりましても、こっちがどう言っても、向こうはそれを言って決して法律上の違反にはならない、義務違反にはならない、義務不履行にはならないという解釈が成り立つ、こう思うわけです。それを言うのです。 いいですか、もう一ぺん整理して言いますが、相互乗り入れによる自主運航は、ソビエトも日本もこれが当然行くべき目標として確認をしておる。これは間違いないと思う。それから、今度はあとの共同運航の期間を、めどとしては二年以内に解決するように考慮しましょうということをも確約しておるけれども、向こうは義務は負っていない、相手に義務づけさしていない。そこでその状態をもう少し延ばしてくれ、理由はかくかくであるということを言われたときに、相手がこの協定の精神に違反をしておるということをこちら側としてはとがめることはできない。どこにも縛ってないからです。おっしゃるとおり、道義的、政治的な責任は何らかの拘束は感ぜられるでしょうけれども、条約上における法律上の拘束は何ら相手に与えていない、こっちはそれを主張する権利はない、こういうことになっておるのではありませんか。それは、いままで数年間の交渉の大体焦点がそこにしぼられてきて結末がこういうことになっておるわけですから、これは向こうも非常に慎重審議の上であって、了承をたてにとり、すなわちこの議事録をたてにとっただけでは相手を説得しおえるものではないように私は思うのです。そういう状態を相手は予測してこういう形式と条文になったのではないかということすら推測して間違いがないように思うわけですが、その点を私は言っているわけです。逆を言えば、商務協定を一カ月間の予告で廃棄する、廃棄して、事実上本協定は残っておるけれども、事実上全部ストップせしめてしまうということが、法律解釈としてわがほうにそういう選択権が与えられておるかというと、与えられていないと私は思うのです、解釈上遺憾ながら。それができますか。期限を切らないで永久無条件の休止状態を延長することができましょうか。この解釈ではちょっとできないように思いますね。
○北原政府委員 その点、暫定運航の期限をほかのあらゆる要素から全部捨象しまして、それだけで永久に切り得るかどうかという問題の提起のしかたは、この際少し困難ではないのか、やはり本協定から付属書、議定書、合意議事録、交換公文、これは全部を一体となしての交渉の結果でございますので、そこで私の考えといたしましては、そういう事態におちいりました場合に、日本側の主張を貫徹するための交渉を行なうという前提のもとにおきまして、暫定運航を無期限に停止しておるということは可能であるというふうに私どもは考えております。
○穗積委員 それは政治的でなくて、協定上可能であるという解釈でございますか。その点、もうちょっとはっきりしておかなければいけません。
○北原政府委員 協定上可能であるというふうにお考え願っていいと思います。
○穗積委員 それはどの条文によるものでございましょうか。
○大和田説明員 欧亜局長の御説明を補足して申し上げます。 先ほどから欧亜局長が申し上げております交換公文の六項によって、「有効期間の満了の一箇月前に、事前通告を行なうことにより、この交換公文の効力を停止することができる。」この規定自身は、議定書の第一項による両締約国政府間の合意によってこの合意書ができた。つまり両国政府間がこの交換公文の効力を停止し得るということを合意したわけでございます。したがいまして、議定書に基づきまして、この交換公文の合意、それからこの交換公文の合意の中に一カ月の予告をもって停止し得るということが約束されておるわけでございます。したがって、両国政府間の合意に基づく交換公文の効力停止――具体的には共同運航の停止ということでございますから、これ自身は議定書違反にはならないと思うのです。
○穗積委員 さっきから私が言っているのはそこなんですよ。そればそれでいいのです。だから、いままで実施してきた、一年間または二年目になれば二年間実施してきた商務取りきめは、交換公文にいう取りきめは、一カ月予告で廃棄することができます。だから、そのときはブランクで、なくなりますよ。業務取りきめがなくなるわけですからね。ところが、本協定は残っておりますから、したがって、いままでとは違った商務協定をつくりかえればいいではないかということになりますね。それが残るのではないかということですよ。大ガッコが残っているではないかということです。
○大和田説明員 いま先生のおっしゃいました商務上の取りきめが廃棄云々ということではなくて、交換公文そのものが効力停止になるわけです。効力を停止するわけでございますから、したがいまして、また新たに商務上の取りきめをやる云々という問題ではなくて、この議定書自身は暫定運航ということをきめておるわけでございますけれども、その内容は共同運航であるか、あるいはそうでないか、どのような形式でやるかということは交換公文できめているわけでございます。したがいまして、この交換公文の効力を一カ月の予告によって停止したという場合に、議定書に基づいて別の合意も実は可能なわけでございます。 それから実際には、先ほど申し上げたように、議定書に基づく合意によって、両方、共同運航を停止してもいいという約束をしているわけでございますから、共同運航を停止したことは、両方はあらかじめそういう合意をしている。その合意の履行にすぎないということでございますので、日本あるいはソ連も同じことが可能でございますが、義務違反という問題は起きないのじゃないかというふうに考えております。
○穗積委員 いやいや、それは違います。交換公文にいうところの一カ月予告で廃棄のできる協定というものは、その内容に不満だから廃棄するのですよ。それはいいのです。それは向こうから見ればでしょう。それは当然なことです。こういう商務契約なんというものは期限というものが大事ですから、それは当然情勢の変化によっていいのです。いいのですけれども、すべての商務協定を拒否することにはならぬと思うのです。そんなことはこの交換公文は書いてありませんよ。いままで約束して実行してきたものを、一方が不満を抱いて一カ月予告で廃棄したということは認めますけれども、すべての商務協定を廃棄してしまう、そうなれば、本協定は生きておるなんというととはナンセンスになるわけですね。だから、本協定はあくまで生きている。しかし、いままで実行してきた、この一年間の期限のある商務協定は無効になる。それでいいです。ですけれども、それにかわるものまで否定してはいません。かわるものというのを予定しているのはこの議定書第一項でございます。それは消えていないのですからね。しかも、いま局長がおっしゃいましたように、暫定運航というものが共同運航であるかどうかはむろん予定しておりません。そんなことはきめてない。きめてないけれども、第一項が生きている以上は、シベリア上空を一国の相手国日本の航空機のみに開放することはできないから、したがって自主運航はできないじゃありませんか。それはできないということになっている。共同運航であるか、あるいはまた単独運航であるかわからぬけれども、たとえば日航が共同運航でない場合はこういうことになるでしょう。日航が向こうの飛行機を、共同でなくて独自でチャーターしても、乗り組み員も責任者も全部向こうだということですね。そういうことも、それは暫定運航の一つのタイプとして考えられるから、議定書によるところの暫定運航は、共同運航に限らないけれども、自主運航はあり得ないということです。暫定運航である限りはあり得ない。それはわれわれの最も願望する、それのみを願望する自主運航というものは、この議定書の生きている以上はあり得ない。何となれば、シベリア上空は開放されていないのだから。
○北原政府委員 御指摘の点、まさにそのとおりであります。そのためにわれわれは、この協定全体のからくりを十分頭に入れつつ、これを何とか単独乗り入れを実現するように持っていこう、これが私どもの率直な考え方でございます。
○穗積委員 私どももそういう共通の念願を持っております。それをやるためには、あと残されているのは、交換公文、議事録すべてを含む解釈からいたしましても、了承であって確約ではありませんから、そこに向こうは体をかわすエクスキューズがちゃんとできているわけですね。だからそれを政治的あるいは法律解釈上どのように攻め立てていって、所期の唯一の目標である自主運航、相互乗り入れを獲得するかということを私どもはいま相談しているわけでしょう。私の意見とあなたの意見と、願望と目標は対立しているわけじゃない。日航を加えましても、三者共通の目標を持っているわけです。その点については一致している。ただ、それに至るのに、すべてを含む交換公文議事録等を加えましても、法律、協定の中で相手を縛っていない、確約せしめていない。それに二年後に応じない場合には、相手を法律、協定のたてまえによって、義務違反なりということで縛るわけにはいかないから、そうなると、これは、政府、国会、与野党、それから民間、ことごとく一致協力して、政治的な交渉方法によって実現する以外に道はないということがこれで明らかになったわけでしょう。私はそれを妨害するものではない。妨害するどころか、積極的にやるべきだと思うが、それをもしいまからたよりにして、それで協定上可能性があるのだというふうにお考えになると、これは甘い判断であって、一方的な願望にすぎないのであって、法律上は縛っていないということを私は言って、認識を改めて、決意と戦術を検討いたしませんとそれはできないことになりはしないかということなんです。大臣わかりましたね。
○椎名国務大臣 ええ。
○穗積委員 二年後あなたはあるいは総理になっておられるかもわからないし、あるいは大臣をやめておられるかもわからない。わからないけれども、国際取りきめは継続性のあることですから、このときの締結をされたあなたが署名者でございますから、したがって、あなたのちゃんとした解釈と決意をこの際披瀝していただかぬというと、こういうものをわれわれ与野党一致の共同提案でやってみたところが、それは子供だましの自己満足にすぎないということであって、われわれは審議の責任を果たしていないというそしりを受けるから、受けたところの政府も聞き流しということではいけません。これはいつまでやってもしようがないが、私の解釈は正しいと私は客観的に思っているのです。だから、最後にあなたの決意を伺っておきたい。
○椎名国務大臣 法律のことはあまり確信はありませんけれども、とにかくこういう重大な責任を向こうが負っておることは事実だと思うのです、それが政治的責任であろうと法律的責任であろうと。法律的責任だから、これは手放しで楽観していいということにはならない。あくまでこれは政治的あるいは法律的、その点は私もよく区別はつけられませんけれども、重大なる政治的責任を負っておることは事実なんでありますから、それをてこにしてあくまでこれを追及して本来の姿に返すという確信を持ってわれわれとしてはこれに署名して一向差しつかえない、こう思っております。
○穗積委員 あなたは優秀な法学士じゃないですか。私以上にあなたは学んでおるはずです。私もいささか法律は学びましたけれども、私以上にあなたは法律解釈があり、しかも協定に署名したのですよ。ところが相手は、それはちょっと土性骨が違いますから、そう簡単な口説でこっちの願望が実現できるとは私は思っておりませんから、ここで政府も、与党も、野党も、国会のみならず民間も、事の重大性と困難性を十分確認してこの協定に臨みませんと――この協定に賛成するということは、二年後の自主運航をのみ目標にして、そこに望みを置いて、一時の不利、一時の不自由は忍んでやっていこうということに踏み切った、だから一歩前進じゃなくて、半歩前進の可能性だけです。あなたもこの場を通るための勧進帳だけではちょっと済まないと思うから、これはいつまでやってもしようがないから、法律解釈は大体客観的に見てわがほうに好ましからざる解釈をせざるを得ないというふうに思いますので、これは今後のみんなの努力目標ということにいたしましょう。 次にお尋ねいたしますが、これはおもに運輸省にお尋ねいたします。共同運航というのは、との前申しましたとおり、いままでない変態的なものです。この前私は留保いたしまして、この次までにお調べいただいて御答弁いただきたいと言っておきましたが、そのときのソ連側の認可はどういうことになりますか。日本側の認可はこの前伺いましたので、了解いたしております。
○北原政府委員 ソ連の航空法というものがございまして、これは委員会の事務局にきょう提出しておきましたが、これの第六章「国際航行」という章がございます。その第七十二条に「外国航空機のソ連邦空域内の航行は次の条件に基き、かつ、これに従って行なうことができる。」ということで、二つの認可条件を認めております。一つは、「ソ連邦が外国との間に締結した航空協定」、それから第二番目が、「ソ連邦大臣会議付属民間航空総局が、所定の手続によりその都度与える航行に対する特別許可」、こういう二つのカテゴリーがあるわけでございます。そこで今回この共同運航に際しましてソ連側がおろします認可は、ソ連航空によりまして、ソ連邦が外国との間に締結した航空協定、すなわち日本とソ連との間の今回の航空協定、具体的に申しますればこの共同運航に関する合意交換公文でございますが、これによりまして行なわれるわけでございます。それから暫定運航の間につきましては、これはソ連機でございますが、その場合には同じくこの航空法七十一条の規定に従って民間航空総局の許可を受ける。それからその後の日航の単独乗り入れの場合でございますが、その場合には日ソ航空協定の三条一項の規定に従って民間航空総局の許可を受ける交渉中、これは問題になった点でございますが、先方は、国内法に規定がない場合には、ソ連の結んでいる国際条約というものがそのまま国内法の規定に代替してくるというたてまえだそうでございます。
○穗積委員 そうしますと、局長はこの前佐藤局長から御説明をお伺いになったと思いますが、日本側は日航とそれから向こうの企業体に別々に認可を出すわけですね。向こうもそうなりますか、対等平等ですか。
○北原政府委員 日本政府は日航に認可を出しまして、ソ連政府はソ連アエロフロートに認可を出すわけであります。
○穗積委員 そうすると日本政府は相手方の企業体には出さないわけですか。アエロフロートには出さないのですか。
○佐藤(光)政府委員 前回御説明しましたように、日本航空とアエロフロートの双方に出します。
○穗積委員 双方ですね。そうすると、向こうはどうなりますか。北原局長、そういうことなんです。こっちは両方へ出すのですよ。向こうはアエロフロートだけに出すのか、日航へも出すのか。
○北原政府委員 私ども現在了解しておりますところでは、ソ連側はアエロフロートにのみ出すというふうに了解しております。
○穗積委員 そうするといろいろ問題が起きませんでしょうか。わがほうの乗り組み員、駐在員の権利義務関係、シチュエーションというものはどうなるのでしょうかね。向こうから日航に対して国際航空の認可を得なければ、対等平等な発言権も、第一シチュエーションそのものがないじゃありませんか。ソビエトの領内において、アエロフロートの従属物としてのみ、あるいは補助者としてのみ認められる危険がありますね。これはちょっと片手落ちですよ。
○北原政府委員 業務運営上の日航の現地におきます駐在員の件に関しましては、日航に対する認可があるなし等の問題は別といたしまして、日航駐在員の現地における本協定運営のための活動を先方が認めるという基本的な了解ができております。ただしソ連邦内におきましては、個人の営利活動と申しますか、そういう事業活動の範囲がソ連の社会体制上非常に制限されております。その基本的な法律はソ連の民事立法基本法の百二十二条というものだそうでございますが、これにおきまして、外国市民はソ連邦においてソビエト市民と同等の民事上の権利義務を有し得るという規定があるわけでございます。しかし実際面では営利活動あるいはその他の活動において相当制限されるということはいなめないようであります。たとえば日航の現地駐在事務所のために土地を私有する、土地を買うということもできないわけでございます。それから店舗のための建物を買うということもできないわけでございます。そこで日航の現地駐在事務所の活動として大体考えられます内容といたしましては、一般旅客の世話でございますとか、それからソ連当局及びいろいろソ連航空関係の関係官庁方面との連絡、それからソ連邦内に駐在しております各国外国航空会社の駐在員との連絡、大体そういうことがおもな内容になるのではないかと現在では想像しております。 で、問題の営利活動、営業活動の中心をなします切符の販売でございますが、ソ連邦内におきましては、あらゆる外国の航空会社の駐在員に対しましてこれを認めておりません。そこでソ連邦内におきましては、アエロフロートが日航にかわって切符を切るということになります。そのかわりに、変則的な状態にかんがみまして、ソ連は、アエロフロートは、日本の国内では同じく切符を売らない、日航がアエロフロートにかわって切符を切るというふうな合意になっております。
○穗積委員 この認可の問題はもう交渉の過程で話が出て、そういういま局長の御説明のようにソビエト側の認可のことは合意に達しておるわけですか、まだこれからでございますか。
○北原政府委員 本件は合意と申しますより両方の行政当局間での大体の打ち合わせと申しますか、別にはっきりした文書にするわけでもございません。しかし申し上げました内容については打ち合わせができております。
○穗積委員 そこで私が問題にするのは、その共同運航でいいのです、やむを得ざるものとして、次善の方法としていいけれども、向こうのアエロフロートは日本の領域内における国際航空権を日本政府によって確立され、確認されるわけですね。認可されるわけです。ところが日航は向こうの政府からは国際航空権を確立されていないわけです。それは片手落ちじゃないでしょうか。これは暫定運航で、やがて自主運航になる場合に、業務そのものは向こうのチャーター機で共同でよろしいということであっても、向こうのアエロフロートに国際航空権を日本政府が確認する以上は、日航もまた向こうの政府によって国際航空権というものを確立され、確認されて当然しかるべきだと思うのです。ある意味ではこの国際航空権というものは単独のものとして出てきません、共同運航中は潜在的でありますけれども、これはやはり確認しておかないといかぬのじゃないかというふうに強く思います。 運輸省当局にちょっとお尋ねしますが、そうすると、こちらとしては、日航にだけ認可すればいいのじゃないでしょうか、相互主義でいけば。
○佐藤(光)政府委員 本件は、先回御説明申し上げましたように、現実にソ連の航空機を用い、ソ連の要員を用いて日ソ共同で運航するという条約上の趣旨から、わが国内法の適用法令を検討したわけでございますが、これは両方が共同で実際上運航するという形からいたしまして、わが国の国内法上は、日航に免許を与えると同時に、ソ連側にも許可を与える必要があるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。 なお、先ほどお話がございました日ソ共同で運航する場合の条約上の性格でございますが、これは条約上認められたものである。ただ、ソ連国内における扱いは、先ほど外務省からお話がございましたように、ソ連の国内法の規定に従うということに相なるというふうにわれわれとしては考えておるわけでございます。
○穗積委員 これは共同でもいいのです。暫定的には共同でもいいのですが、そのときに、平等でなければならない。日航は付属物ではない。主体者ですよ。国際航空権を確立した、ソビエト政府によって確認された主体者でなければならないわけですよ。そうであるのに、それが確認されていない。航空権は日航に与えられていない。相手にのみ与えておる。運用上の、業務上のあれはいいですよ、向こうのチャーター機でやって、機長も向こうの責任者でいいのです。いいのですけれども、日航という法人に対して、アエロフロートと対等平等であるべき日航に対して、ソビエト領内における航空権というものが潜在的にしろ認められないというのは、これはおかしい。片手落ちではないか。不平等ではないか。はなはだしくわれわれはふかしぎ、かつ不満に思います。
○大和田説明員 いまの航空局長の御説明を補足して申し上げますと、交換公文の第一項で、両国政府は日航及びアエロフロートが国際航空業務を共同して運営することを認めるという規定がございます。これによりまして、いまの国内法上の問題は、おのおの法制が違いますので、若干相違がございますが、両方の航空会社が共同して運営するという運営は両国政府が認めておるわけでございます。
○穗積委員 それははなはだしく苦しい御答弁であって、共同の名によって業務に参加することは認められておる、ところが日航自身にソビエト領内における国際航空権というものは確立されてない、認められていない。相手にのみ認めておる。これは、日航の責任者はどう考えておられるか知らぬけれども、私は、相互平等の原則に立ってはなはだしく不平等であり、不満足だと思うのです。共同体に与えるならいいですよ、変則ですから。ソビエトの国内法でも共同運航という概念は法律概念の中にいままでなかったわけですよ。だから、それを与えるのはいい。だけれども、一方に与えるなら他方にも与える、そうでなければ、コンバインしたものに一緒に与えて、日航も航空権の主体者の一部になるということでなければおかしいじゃありませんか。
○北原政府委員 この点に関しましては、交渉中、共同運航という例外的な形のために、外務省、運輸省、法制局、いろいろ検討したわけでございますが、結局問題は、ソ連という国の国内体制と申しますか、法律体制と申しますか、それからして、共同運航というものではあるが、ソ連としてはアエロフロートを認可するということだけでいいのだ、日本の航空法から見た場合には、共同運航であるから両方一緒のものに認可するということで結論を得たわけでございます。結局現在の世界で、やはり独立国の間の話し合いというものは、結局その国の体制いかんが終局においてどうしても尊重されるという状態ではやむを得ないのじゃないかというふうに考えております。
○穗積委員 そうは思いませんですね。ほかの国の航空会社にソビエトの航空法によって航空権を認可しておるでしょう。それじゃ、あくまで共同運航とは名ばかりであって、実は形はアエロフロートだけで、日航は影のようなものだ。実体がないのですよ。権利の主体者になっていないのですよ。日航なんというものは影にすぎませんよ。それは政府の責任で再交渉をすべきですね。ソビエトの国内法でイギリスなりどこなりの飛行機の航空権を認可しておるじゃないですか。共同でいいから、対等、平等な主体者になるべきだ、日航が。
○北原政府委員 ソ連側としましては、アエロフロートと共同運航であるという点、これは、このアエロフロートというものに認可を出すというだけで、ソ連の法律上のたてまえからはそれでいいというたてまえをとっております。しかし、共同運航というものは、認可といういま御指摘の法律的な主体として認めているかどうかという点を御議論の対象にされておられるようでございますが、結局共同運航というものは、どうしても共同運航の内容、実体が共同であるから、日本側としても認可の対象いかんはそれでもかまわないというふうに結論を出したわけでございます。共同運航の内容につきましては、この交換公文の一項以下のあれにはっきりと共同という趣旨を盛ったということに考えております。
○穗積委員 日航としては、その駐在員並びに乗り組み員の業務に差しつかえがない、それが確認される自由と、業務に必要な程度の権利が確認されればそれで満足していいでしょう。政府と政府の協定ではあくまで対等主義、平等主義でなければならないと思うのです。しかも、ソビエトの国内法が日本以外の外国の民間航空会社に国際航空権を認可しておらぬならしようがないですけれども、認可しておるのですから、共同の名であろうと、日本のように別々であろうと、アエロフロートと日航というものがあくまで航空権の主体者である、これが大事なんですよ。将来これは潜在的な――共同運航中は顕在的な権利は事実行使できませんよ。できませんけれども、潜在的な権利としてはこれは非常に大事な点だと思うのです。これでは平等主義に反します。これはこれ以上押し問答してもしようがない。もう法律上の点は明確になりましたが、私の意見は野党の意見ですけれども、客観的に正論だと思うのだ。ここで、そうだと言って、与党の理事も賛成しておる。だから、これはこわさない程度で、国内においてはこういう主張が強くあるのだ、わが国は独立国である、平等、対等、互恵でいきましょうということで、交渉の余地あらばぜひこれからの話し合いの中でかちとっていただきたいことを強く要求します。いいですか、大臣から……。
○椎名国務大臣 あくまで実質的には国益を害さないたてまえで交渉をしたいと思います。
○穗積委員 そういった抽象的なことでは私は満足しないのですよ。それはあなた、農民ならそれで大臣が言ってくれたといって賛成でも、われわれはいつもうそをつかれているから、その程度のことではちょっと満足できない。 北原さん、あなたは交渉の責任者だったでしょう。あなたが代表の主席でしょう。聡明にして原則正しきあなたが、ちょっとミステークですね。
○北原政府委員 先ほど御説明いたしましたように、ソ連では認可ということがいわゆる資本主義国における事業許可というような観念ではございませんで、そこでこの場合にも勉強不足である点、率直に私認めますが、外国の単独乗り入れをやっております外国機の会社に対する乗り入れの場合、ソ連がどういう行政措置をしておるか、おそらくこれは航空協定そのものを認可行為そのものとみなしてやっておるのだろうと思うのであります。そういう点から見ました場合には、日本の場合にもやはり航空協定が、単独乗り入れができました場合には、この条約が認可行為そのものに代替する。それから暫定運航の場合には、先ほど御説明いたしましたソ連の国内法の国際航空の外国機の乗り入れという七十二条を適用して認可するというたてまえになっておりますので、行政行為として考えました場合に、やはり共同運航というふうな規定がないために、ソ連にこの点の法律的解釈を問い詰めれば、おそらく先方はやはり共同運航に関する日本とソビエト連邦との間の交換公文というものが認可行為そのものに変わるのだというふうに説明をしてくるのじゃないかと思います。 そこで、先ほどの交換公文第一項に規定しております共同運航ということで、厳密な法律論は別といたしまして、国際的な観点から見ました場合にはさほど差しつかえはないのじゃないかというふうに解釈していいんじゃないかと思います。
○穗積委員 その解釈は、国際協定が自動的にソ連領域内における外国会社の航空権を確認することになるのだという解釈ですね。この七十二条とそれからこの本協定とコンバインしてそう解釈ができるならそれでよろしい。そうすると、日航自身もソ連領内における航空権の主体者としてわれわれは解釈する、手続はなくても。そういうことが相手から取りつけられればいいでしょう。したがって、少なくともそれは取りつけていただきたいということを強く要望いたしまして、そういう解釈を相手に承認させる、確認させることを条件にいたしまして、先へ進みます。 先ほどのあなたのおっしゃいました日本の職員、日航の職員ですが、職員の業務上のいろいろな了解事項というものについて御説明がありましたけれども、暫定共同航空の場合における最高責任者は向こうのみですね。向こうの機長のみですね。こちらは補助者として乗り込んでおる。機長室に入れなくてもいいけれども、権利の主体をちょっと聞いておきたい。それは、日本の乗り組み員は、機長室へ乗る人と、それから一般の乗り組み員と違いますけれども、それには権利はないわけですね。補助者にすぎないわけですね。
○北原政府委員 ソ連側の最高責任者は機長でございます。この機長に対する共同運航上の日本側の最高の責任者という点につきましては、航空局長から答弁していただきます。
○佐藤(光)政府委員 欧亜局長の説明を補足いたしますが、運航における責任者は機長でございます。日本側の操縦士がコックピットに乗ることができるということは交換公文に書いてあることはお話しのとおりでございます。この運航の実態を踏まえた共同運航についてのあと諸般の責任の帰属その他につきましては、けさほど日航社長がお話し申し上げましたとおりに、乗客、第三者に対しては双方共同して責任を負う、しかし内部的にはそれぞれ求償関係に従って求償するという関係に相なるという御説明をしたはずであります。
○穗積委員 委員長も大臣もお聞きのとおりだ。日本で共同といえば対等、平等の主体者なんですよ。責任者であり権限を持っておるものの立場が与えられておるわけですが、さきに言ったように比喩が必ずしも適切でないかもしれぬが、日本の日航株式会社という法人の主体自身も、その職員である乗り組み員あるいは日航の駐在員もすべてソビエト側の政府から見て権利の主体者と認められていない、実体のない影のようなものなんです。これは私はここでいやがらせを言ってこれに反対するとか妨害するという考えはありませんよ。しかしながら、これは外務省の大きなミステークだと思うのです。ですからこれで終わるわけではありません、航空問題に対しての外国との協定問題については。だから後学のために私は言うわけですから、うるさいやつだとお思いにならないで、心をむなしくし、謙虚、誠実にひとつお聞き取りをいただいて、お願いをしたいと思います。こんなことでは、これは影ですよ。日航及びその職員はすべて権利の実体はないだ。これは外務省の非常に手落ちですよ。日航が幾ら歯ぎりしたところで影なんだ、言っているのが影の人なんだよ、芝居でいえば黒ん坊だ。だから大体これは権限、職権というものはあくまでソビエトのみが持って、こっちは雇われた補助者に類するものですね。乗り組み員が機長として乗り組まないサービスだけの職員というものは、これは向こうのアエロフロートに雇われた外国スチュワーデスにすぎない、こういうことになります。日航の指揮において、日航の責任において、日航の独自においてやるのではない。事故が起きたときに、その処置を誤ったとかなんとかいうときには、むろんどういうことになるか知りませんけれども、そのときもさっき言った事故に対する責任の問題で出てくると思うのですよ。何もこっちは主体がない、権限がない、それで責任だけ共同で負わされてたまるものですか。
○松尾参考人 差し出がましいですが、この間の商務協定の場合、いわゆる操縦士の部屋に日本の操縦関係の社員が乗ることができるわけであります。その際この運航の責任者は、これは国際国内を問わず、ソ連人が機長ですから、これは機長が当然負うわけです。その際いま先生から御質問がありましたとおり、事故が起きた場合、ソ連側から、これは操縦室に日本の運航乗務員が乗っているから、責任の一半は負うべきだというような形が出たんです。これは困る、それは実際あそこへ乗って、あるいは機長なりあるいは副操縦士として、交代で操縦桿を握ってやるなら別でございますけれども、しかしそういうことは実際はおそらくやらないと思う。そうした場合に責任だけを負わされるのは困る。そこでわが社の者はそういう責任を負わないのだ、あくまで運航の責任は機長であるということをわが日本航空の代表は説明しております。それに対してソ連側は反発をしなかった、こういうことであります。御参考のためこ……。
○穗積委員 それはたいへん大事なことを詰めていただいて敬意を表します。だがしかし航空上の問題、責任は機長だけですよ。ところが事故が起きましたときに、たとえば日本の国内会社でも、日航の場合には非常に機敏な判断と処置によって被害を少なからしめたり、あるいは人命を救ったという例があるでしょう、他の会社ならなかったかもしれない例があるでしょう。ところがこの場合には、もし日本の乗り組み員の判断ならば、こういう事故のときにはこういうことをすべきだという判断があったときに、独自の判断で行動できませんよ。そのジャッジメントというものはただ主観的に腹の中で思うだけで、向こうの機長の指揮なくしては処置がとれないでしょう。そうすればこっちのこうむるべき損害、あるいは損害というよりは、事前にその被害をなくしたり、少なくすることができたであろうのに、主体者の一員である日航の会社並びに職員は平素の訓練が何ら生かされない、これでは平等ではないのです。従属でございます。その点は今後の交渉の中でぜひとも、一方的に、権利はなくて、権限、職権を与えられないでもって、経済上の責任だけ負わされることのないように、これは政府並びに日航当局に強く私は要望しておきたいと思います。 あと駐在員の法的地位の問題でございます。モスクワの領内、ソビエト領内に駐在する者のさっき言った業務上のことは列挙主義で、切符を売るとか、外国の会社、乗り入れておる会社、または航空局と連絡する自由が与えられておることだけであって、法律上の地位は彼とわれとの間で兄弟はありませんね。差別はありませんね。東京に駐在するアエロフロートの駐在員並びに乗り組み員、それからモスクワに駐在する日航の職員並びに乗り組み員及びその事務所、それに対する権利義務関係においては完全な平等が保証されていますか。
○北原政府委員 完全な相互主義でやってまいります。
○穗積委員 そこで違うのは、相手が……(「相手は公務員ですよ」と呼ぶ者あり)いまここで発言があったように、相手は国家経営ですから、すべてが公務員ですね。こっちは民間の職員ですから、そこのところの取り扱いはどうなりましょうか。
○北原政府委員 共同運航に関連いたします先方の必要要員の入国の問題でありますが、これは今後また詰めるべき問題でございますが、いかなるステータスにするか、方針といたしましては完全な平等相互主義でまいりたいと思います。
○穗積委員 それは相手の身分は公務員であり、こっちは民間人であっても平等になりますね。相手が背負っておるのは公務員であるということを理由にして、不平等になるようなことがないとはっきりここで答弁をしていただけますか、内容的に。
○北原政府委員 双方の派遣員の業務内容から判断して、相互に平等にいたしたいと思います。
○穗積委員 それでよろしい。 それから次に、佐藤局長、せっかくあなたも交渉に当たられた有力なその責任者でございますから伺っておきますけれども、国内法によりますと、私ども実はこの認可の場合のこまかい規定については門外漢でありましたので、まだ十分日本の国内法のすべての条文を熟知したわけではありませんけれども、一応責任上、実はこれは連合審査に一ぺんしてもらうといいと思ったのだが、できないのでありますけれども、相手の飛行機、外国の飛行機、ソビエトの飛行機の性能、それから安全性、それからその整備の状態、それから補修の状態というものを、許可する場合には確認しなければいけないわけでしょう。アエロフロートという機関に航空権を認めるのはいいけれども、そのどういう飛行機だということについては、その性能なり何なりを調べなければならない。そのときに、何か伺いますと、整備規定というのがあって、そしてどういう工場でつくられ、どういう工場で整備がなされ、どういう工場で補修がなされるということを日本の場合は確認をするわけでしょう。それに対してソビエトのその製造工場、補修工場あるいは整備工場を日本の国内法によって政府が認可する場合に、向こうの整備その他の施設を視察する、認可を与える基準に合っているかどうかを視察することは、確約はとれておりましょうか、どうでしょうか。日本のインスペクトに対して開放されておりますか。
○佐藤(光)政府委員 視察し得る確約をとってあります。
○穗積委員 確認してありますか。それは工場は指定されてありますね、どの工場ということが。
○佐藤(光)政府委員 これは具体的の内容になりますが、必要な工場を視察し得る確約をとっております。
○穗積委員 わかりました。その点についてはこの程度にしておきましょう。 それからあと政府にちょっとお尋ねしたいのですが、問題は簡単でございます。国際航空の実情は、アメリカを中心とする先進国と、それから戦後回復しつつある後進国との間で非常な格差があるわけです。これは平等主義から、国際的民主主義から見まして、当然この格差不平等は是正さるべきだと思うのですが、それに対して外務省並びに運輸省はどういう方針を持っておられるか、具体的に伺っておきたい。たとえば一例を申しますと、先進強国と後進弱小国との間で需給関係というものを見ながら事後に審査をしていこうじゃないかという主義と、事前に審査をしていこう、こういうことの原則的な対立があるわけなんです。それからもう一つは、便数についてはアメリカは無制限主義を主張し、それから後進国は、イギリスを含めまして制限主義を主張しているわけですね。これはこの間、松尾社長から陳述のありました航路の問題だけではなくて、これはいまの先進国の独占的なシェアを確保しようとする誤ったエゴイズム、これは一致協力して打破して、われわれはあくまで経済上の運営も対等であり、平等であり、互恵平等の原則というものは確立しなければならないと思うのです。そのためには一体これからどういう方針でこの問題に当たっていかれるつもりであるか、いまあげましたような原則的な意見の食い違いすら出ておるわけですから、それに対して外務省並びに運輸省から、解説を含めて御答弁がいただきたい。 それから一括して、これで終わりますが、私の質問は何もむだなことを、時間を延ばすために、審議を延ばすためにやっておるわけじゃないと私は確信をしておる。それからもう一つは、先ほど松尾社長が言われるように、その一つの方法として路線の問題、特に一つは豪州、一つは南米、一つはアフリカに対する当面の抱負が述べられたわけですね。これに対して外務省並びに運輸省は、私どもはこれを伺って全面的にこれを支持する気持ちになっておるわけですが、これに対しては、口だけではなくて、これをバックアップすべきだと思うのです。一日航会社だけでこれは実現することではありません。ですからこれについての御方針をひとつ、われわれが再質問せぬでもいいように具体的に答えていただきたい。この二問です。
○北原政府委員 御質問の第一点でございますが、これは航空協定の改定交渉ごとに私ども絶えず十分に留意してやっております。ただこの問題は、まことにことばが悪くて失礼でございますが、やはり国際航空界においても弱肉強食の世の中でございます。私どももアメリカに対します場合には強く事後審査を主張いたしますが、逆により進歩してない後進国と申しますか、そういう国に対してはやはり私どもも相当強いことを要求せざるを得ない。そこでこの問題は、非常に強力でありながら事後主義をとっておりますのはイギリスでありますが、こういう点を十分注意して、私ども英国との話し合いのパターンと申しますか、そういう交渉方針を、事後の、たとえば強力なる英連邦諸国、たとえば豪州というような場合にこれをうまく利用していきたいというふうなことはいつも考えております。 それから第二点でございますが、先ほど松尾社長から三点御指摘がございましたが、特に従来私どもの交渉で問題になりましたのは豪州でございます。御承知のように、日豪関係が非常に進展してまいりまして、日本人の渡航者も非常に多いわけでございますが、昨年春の日英改定交渉の際にこの点も取り上げました。ただし昨年は世界一周を日本としてはどうしても取りつけるというためのロンドン乗り入れをどうしても優先的に考えざるを得なかったわけでございますので、豪州のほうのシドニー乗り入れを事後に回さざるを得なかったわけであります。ただ今後の交渉といたしましては、先ほども松尾社長から御指摘がありましたように、これを香港経由としなければどうしてもだめだ。香港経由の場合には日英協定のワク内でやらざるを得ない。日英協定の場合にどこまで日本として代償を出し得るかという点が非常に苦しいわけでありますが、これは私どもしょっちゅう脳底を離れない問題であります。日英協定のワク内でやらざるを得ないことは確かでございますが、それ以外にもう少しこれを政治的なサイドから押す方法はないかということが私どもの研究課題でございます。 南米及びアフリカにつきましては、私所管外でございますので、ひとつ答弁をかんべんさしていただきたいと思います。
○穗積委員 それでは外務省はまた伺いましょう。運輸省、同じ質問について。
○佐藤(光)政府委員 御質問の第一点の、航空協定における不平等性の是正については、全くお話しのとおりでございまして、われわれもたとえば日米におきましても、その相互間において、米国は東京に乗り入れているのに、わがほうはニューヨーク、ワシントンに乗り入れておらないという面を是正する観点で、今回の日米航空協定の改定が成立したわけでございますし、なおその他の点につきましても相互に不平等の点を是正する、いわゆる不平等性を是正するという観点で今後努力をしていきたいと思います。具体的にお触れになりました輸送力の設定のしかたにつきましては、これは相互に適用を受ける性質のものでありますので、たとえば日米につきましては、わがほうは、松尾社長からもお話がございましたように、まずわがほうの実力をつける、それによって輸送力を増強して、とりあえず米側に劣らない、わがほうのウエートをそろえるということに努力をする必要があると考えておる次第でございます。同時に協定締結国間におきましても、なおその便数をふやすあるいは新たに協定を締結するというような点につきまして、先ほど南米、アフリカというようなお話が具体的にあったわけでございますが、これらにつきましてはわれわれも日航の準備の状況等もにらみ合わせながら、十分業務範囲の伸張に今後努力をしてまいりたい、こう考えております。
○穗積委員 新しい線については、南半球の線についてはどうですか。同様ですか。
○佐藤(光)政府委員 具体的に申し上げましたのは南米、アフリカでございますが、そのほかの地域につきましてもなおわれわれのほうでも十分検討して善処をしてまいりたいと思います。
○穗積委員 以上で終わります。
○高瀬委員長 西村関一君。
○西村(関)委員 同僚の穗積委員その他の方々からの質問で大体われわれがお伺いしたいと思いますことは一通り尽きておると思いますので、私は一、二の事柄についてお伺いをしてみたいと思います。 まず松尾参考人にお伺いをいたします。 先日の本委員会におきまして貴重な御意見をお述べいただいたわけでございますが、その中で、今回の日ソ航空協定は一〇〇%成功だとは言えないけれども、かなりのところまでいった。それは日米航空協定においても同じように感じられたことであるが、国力の違いというか、私の聞き漏らしかもわかりませんけれども、何かそういうことからこの程度までしかいかなかったのである、しかしこれは一応の成果であった、こういう意味の御発言があったように思うのでございます。今後われわれの国会の審議におきまして、そういう御発言のあった点についていろいろ御苦心のあったことはお察しいたしますが、その具体的な問題について今後日本としてはどういう点をさらに考慮しなければならないかということについて御感想をお述べいただければ幸いだと思うのであります。
○松尾参考人 御存じのとおり、日本は第二次大戦で敗戦をしまして、その間特に国際航空では非常におくれて出発をしております。しかも戦前は国際航空というのはほとんどやってなかったというような状況から、初めに国際航空協定なんかを結びます場合に、実際にわれわれはどういう協定を結んでいくかということで非常に知識不足の点も私自身ございまして、占領当時の不平等な協定もあった。しかし特に戦後日本は経済的にも非常な発展をしました。それから先ほどからのお話しの日ソあるいは日米というように、ジェット機が出ましてからの国際航空運送事業というものが非常にクローズアップされてきました。これはアメリカのニューヨークの経済雑誌も言っておりますが、将来の航空事業というものは非常に有望な企業である。おそらくビッグ・ビジネスの一角に登場するであろう。その理由はジェット機の出現である。これのスピード、輸送力が非常に大きくなってきた。しかもだんだん大型化してきまして、料金は安くてしかも十分採算がとれる。こういうジェット機の出現、ジェット機の大型化という理由から非常に将来性のある企業だということになったわけでございます。特に私は政府当局あるいは諸先生方にお願いいたしたいことは、特に日本の首府である東京が国際航空上非常に重要な要衝にだんだんなりつつある。現在もそうですが、将来もそういう可能性が多分にある。そういう点を十分考慮していただいて、東京に乗り入れを許すとかあるいは便数を何回まで許すというような場合は、いままでより以上にもっと代償を取ってもいいじゃなかろうか。これからの国際航空条約と申しますか、そういう国際間の航空の話し合いには、そういう点を十分にお考え願ってひとつぜひやっていただきたい、こういうぐあいに考えます。
○西村(関)委員 現在の東京国際空港のキャパシティといいますか、そういう点について第二国際空港の問題が出ておりますが、そういう点についての御見解はいかがでありますか。
○松尾参考人 空港は港でございまして、特に東京の国際空港というものはやはり日本の国際的な表玄関になるわけでございまして、航空局長、運輸当局がしきりに努力しておられますけれども、羽田の空港はほんとうにだんだん手狭になりつつある。そういう理由からこの国際航空路の要衝である東京にふさわしい、要するに第一級の国際空港をぜひもう一つつくっていただきたい。そうすることによっていやが上にも世界における東京の地位というものがだんだん上がってくる、こういうぐあいに私は思うわけです。 私はこの間、アムステルダム線を四月一日から東京との間に始めまして、その際にアムステルダムへ行ってまいりましたが、オランダは御承知のように国土は九州よりも狭い国であります。しかも、国土が狭いので堤防をつくって陸地をつくっておるというような国でございますけれども、十年先、十五年先をオランダ政府では考えまして、欧州第一の国際空港をすでにもう建設中でございまして、もう明年あたりには大体でき上がる。しかも将来旅客だけではなくて、航空貨物というものが大発展をしていくということを考慮に入れまして、欧州における航空貨物の集積地にしたいというような考えも持っておりまして、そういうものも考えに入れて、そういう膨大な、りっぱな空港を建設中だ。したがいまして、オランダでもこういう状況でございますので、オランダのアムステルダムよりも私は国際航空路上のウエートというものは東京のほうがもっとうんと重いと思うのであります。できるだけ早くひとつ国際空港を建設していただきたいというふうに思います。
○西村(関)委員 次に今回の東京-モスクワ間の料金の問題でございます。これは今後詰めていかれる点だと思いますけれども、この前も質疑応答の中で若干の御意見が出ておりましたが、従来の北回りの線よりは安く、またそれほど安くもないというようなところに落ち着くようなお話であったように記憶いたしております。その際チャーターするところの機種といいましょうか、これはもちろん安全度が不可決の条件でございますけれども、快適度というものがやはりあると思うのでございます。たとえば防音装置などがほかの機種に比べていいか悪いかといったようなことも、やはり料金をきめる場合において考慮さるべきではないかと考えます。あるいはシートの広さであるとか、そういうことなどとの関係は全然考慮に入れずに料金をきめることになるのでしょうか。と申しますのは、どの飛行機を使われるかまだつまびらかにしておりませんけれども、私はソ連を旅行いたしまして、ソ連の飛行機が非常にやかましくて、隣の人と話もできないというような経験をいたしましたが、そういうことだと少々料金が高くても北回りで行こうかというようなことになる場合がありますので、そういう点はどういう配慮をしておいでになりますか。
○松尾参考人 国際線の料金は、快適性とかそういうものではきまっておりませんので、たとえば欧州までですと、東京からどっち回りで行きましても、東京-ロンドン、東京-パリ、あるいは東京-アムステルダム、この料金は同じでございます。したがいまして、ソビエトと今回初めに使います飛行機は、先ほども御説明申し上げましたが、エンジンはジェットでございますけれども、プロペラのついたいわゆるターボプロップという飛行機でございまして、TU114は、先生のおっしゃるとおり、ピュアージェットでございませんので、ピュアージェットに比較しますと、そういう点は若干劣るかと思います。しかし、さればといって料金をジェット機の航続力で考えるということは、国際慣行上そういう料金のきめ方はしておりません。ただしかし、今度ソ連で、さっきもお話ししましたが、IL62というピュアージェットを開発いたしまして、おそらくもう今年か明年ぐらいには出てくるんじゃないかと思いますが、航続力も一万キロぐらいございますので、十分東京-モスクワ間を飛べる。おそらくこれができてきますと、そういうのになるんじゃないか。そうしますと、時間も早くなります。時速もTU114は巡航速度が七百五十キロでございますが、IL62は八百五十キロ、百キロ多いわけでございます。こういうのに将来かえていけば、かえたからといって値段が高くなるわけではございません。
○西村(関)委員 最後に、私、外務大臣にお考えを伺いたいと思いますが、運輸大臣がおいでになれば運輸大臣にも伺いたいのでありますけれども、おいでになっておりません。航空局長がおいでになっておりますけれども、まとめて、政府の閣僚の一人として、特に所管の外務大臣にお伺いをいたしておきたいのであります。 先ほど来、本協定についての問題点等もいろいろ指摘があったわけでございますし、ただいま松尾参考人から、日本の国際航空行政の立ちおくれといいますか、これは政府も民間も努力しておられますけれども、現状においては非常に立ちおくれておる。オランダのアムステルダム空港の話も出ましたが、私も何回かあそこに参りましたし、よく存じておりますが、それに比べて東京国際空港が非常に貧弱だということはだれもが感じておるところでございます。こういう点、おくれを取り戻すために政府としては十分な決意を持ってあらゆる施策をやってもらわなければならぬと思うのでございますが、いま松尾参考人の御意見もございましたし、この際、最後に外務大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○椎名国務大臣 先般モスクワにおいて日ソ航空協定を調印いたしまして、それからヨーロッパのほうへ足を伸ばして用事も足して帰ったのでありますが、日本航空という航空会社は一体どういう会社であるかということについて、今度のシベリア航空路を初めて日本航空にソ連が開放したことについて、非常なセンセーションを起こしておる様子が私たちにも看取されたのであります。それほど日本航空としては、世界的には、番付からいうとずっと下のほうになっておるようでありまして、今度こういう航空取りきめをやったことについて目をみはって、どういう会社であるか、ということでございます。これは非常に立ちおくれておる一つの実証であるということを私はしみじみと感じております。今後は、空港の開設はもちろん、あらゆる面において相当力を入れなければならぬ。いわばこれは空の領土みたいなもので、空の領土をいかに勢力範囲を拡張するかということなんでありまして、これはたいへんに重要な意味を持っておるものでありますから、あらゆる努力を払うべきである、こう考えております。
○高瀬委員長 本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 ―――――――――――――
○高瀬委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○高瀬委員長 この際、永田亮一君外三名より、ただいま議決しました本件に対して、要望決議を付すべしとの動議が提出されました。その趣旨の説明を求めます。永田亮一君。
○永田委員 まず案文を朗読させていただきます。 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件に対する要望決議 政府は本協定発効後日ソ両締約国政府の合意するところに従つて、両国指定航空企業による東京とモスクワ間の国際航空業務の共同運営開始後、遅くとも二ケ年経過した後において、我国指定航空企業が、自主運航即ちその航空機及び乗組員による相互乗り入れの国際的原則に基づく、国際航空業務の運営に移行できない場合には、当該共同運営を打ち切ることもあるべしとの決意を以つて自主運航への移行に努力されることを強く要望する。 ちょっと御説明申し上げますが、先ほど穗積委員から、こういう要望をしてもあまり意味がないのではないかというお説もございました。しかし、穗積委員もおっしゃいましたように、この自主運航ということは、与党も野党も政府も日本航空もすべての共通の目標であるということには変わりはございません。合意議事録その他ではまだ二カ年経過した後のことがはっきりいたしませんので、こういう要望の決議をいたしまして、政府のしりをたたき、鼓舞激励するという意味でございますので、御賛同をいただきたいと思います。
○高瀬委員長 直ちに採決いたします。 本動議のごとく決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、本件に対し要望決議を付すことに決しました。 この際、椎名外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。椎名外務大臣。
○椎名国務大臣 政府といたしましては、御要望の御趣旨に沿いまして、強い決意をもって自主運航への移行に努力いたしたいと思います。 ―――――――――――――
○高瀬委員長 おはかりいたします。ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○高瀬委員長 松尾参考人には、御多用中のところ二日間にわたり御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、委員長より厚く御礼を申し上げます。 次会は、明二十七日午前十時理事会、理事会散会後委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十分散会