外務委員会 第11号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/04/22
会議録
○高瀬委員長 これより会議を開きます。 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 本日は、参考人として日本航空株式会社の松尾社長が御出席されています。 松尾参考人には、御多用中にもかかわらず、貴重な時間をおさきくださいまして、まことにありがとうございました。 さきに御連絡いたしましたとおり、本委員会におきましては、目下日ソ航空協定について審査をいたしているのでありますが、本件に対する貴殿の忌憚のない御意見を承り、審査の参考にいたしたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、まず参考人より本協定について御意見をお述べいただきます。松尾参考人。
○松尾参考人 ただいま御紹介にあずかりました日本航空の松尾でございます。本日は、日ソ航空協定問題につきましてお呼びいただきまして、発言の機会をお与えいただきましたことに深く感謝する次第でございます。 日ソ交渉の問題について意見を述べまする前に、ちょっと簡単に一言申し上げたいことがございます。私は日ごろ、国際航空は、その国が地球上のどういうところに位置しているかによりまして、非常に消長が左右されるというぐあいに考えております。そういう点から見ますと、わが国は非常に環境に恵まれておるということを私は考えております。特に東京は、そういう点では国際航空路上の非常な要衝にあるのではなかろうか。アメリカのニューヨークほどではないにしても、世界のそういう航空路上の要衝の数ポイントのうちには必ず入る。そして将来は、だんだんそういうウエートを増していく環境にある。そういう環境をわが国は、政策的にも、あるいはわれわれ航空会社当事者である日航も、そういう環境をほんとうに将来つかんでいかなければいかぬ。そういう意味におきまして非常に大事なことは、国際航空の基礎をなすものはやはり航空協定でございまして、これに対する政策というものが非常に大事になってくるわけでございまして、常に私が東京というポイントを安売りしてはいけないと言うのは、そこにあるわけでございます。 この航空協定なるものは、いままで、戦前は国際航空というものはほとんどなかったのでございまして、戦後日本航空が発足いたしましてから、国際航空というものが本格的にできてきた。それに従いまして、だんだん航空協定なるものに関しても、国民の皆さま、政治家の皆さま、あるいは担当の関係官庁も非常に関心を今日まで持たれてきた。そういう意味におきまして、昨年来、世界の二つの大国であるアメリカとソビエトとの航空協定を対等に交渉をして今日まで持ってこられたということに対しましては、ほんとうにこれは日本の民間航空史の一ページを飾るものだ、こういうぐあいに私は心から感謝している次第でございます。 いずれにいたしましても、相手は先進国でもあり、非常に強大な国でございますので、不平等を是正するとかいうようなことも一〇〇%はいきっこない、どうしてもこういう交渉のバックになるものは国の力ではなかろうか、こういうぐあいに私は考えますので、一〇〇%はいかぬまでも、今度の日ソ、日米の協定にいたしましても相当の成功ではなかろうか、こういうぐあいに実は感謝している次第でございます。 御存じのとおり、わが国が国際航空条約を結んでいる国は二十四カ国ございまして、そのうち日本航空が乗り入れている国が十五カ国でございます。日航だけが一方的に乗り入れている国が四カ国である、相手国が日本に一方的に乗り入れている国がオーストラリアその他三カ国である、こういう状況になっております。御存じのとおり、わが社は太平洋北米線の国際航空、東南アジアそれから北回りの欧州線、南回りの欧州線それから韓国線、こういう国際線を現在実施しておりまして、本年度中に批准ができますれば、東京−モスクワ、それからニューヨーク・ビヨンド欧州の世界一周の路線を実行していく、こういう段取りになっておるわけでございます。現在IATA、国際航空運送協会というものがございまして、百十数社入っておりますが、わが社はその中で現在の地位は十三位でございます。第二次大戦ではイタリア、西ドイツ、日本、この三カ国が負けたのでありますが、西ドイツのルフトハンザ、それからアリタリア、こういうところは現在の順位は五、六番目、こういうぐあいになっておりまして、そういう点からいきますと、わが国のナショナル・キャリアである日本航空は、そのイタリアあるいは西独には相当おくれをとっておる、こういうことが言えるのじゃなかろうかと思います。その点につきましては西ドイツなりアリタリアは国のいわゆる航空政策というものが非常に、日本と違いまして、りっぱな政策がやはり戦後立てられた。そういう意味におきまして非常に拡大が早かった、こういうことは言えるだろうと思います。わが社は何といいましても戦後非常に不況その他ございまして、ステップ・バイ・ステップでいくという政策がとられておりましたので、ステップ・バイ・ステップでいった関係で着実には発展しておりますけれども、急ピッチに、ルフトハンザ、アリタリアのようには進んでいないということが言えると思います。しかし、日ソ間と世界一周路線ができて二、三年たちますと、相当の発展ができますので、そういう点ではもう少し順位がだんだん上がっていくというぐあいに考えております。 私たちが常に考えておりますのは、こういう世界一周路線とソビエトの路線、欧州との最短コース、こういうものが完成をしてほんとうに軌道に乗りましたならば、日本航空として考えておりますことは、南半球にも路線を持つということが非常に大事なわけでございます。北半球だけではどうしてもオン・シーズン、オフ・シーズンがございまして、冬は非常に収支が悪い。飛行機も機材も人員も余る。そういう際、南半球に路線を持っておりますと、そういう機材なり人材を非常に合理的に使える。たとえばパンアメリカンみたいに北半球にも南半球にも路線網を持っておるということは非常に高い機材なりあるいは。パイロットその他を合理的に使え、一年中平均した収支をあげていける。そういうことにぜひわが社として将来考えていくべきじゃなかろうか、こういうぐあいに考えております。そういうことも諸先生方にお考え願って、将来南半球での航空協定と申しますか、あるいは南米あるいはオーストラリア、あるいはアフリカ、それからアフリカから南米をつなぐというような路線、こういうこともお考えを逐次願いたいと私たちは希望しておるわけでございます。そうすることによりまして、非常に安定した国際線の収支が得られるのではなかろうか、こういうように考えております。 問題のきょう取り上げていただきまする日ソの航空協定でございますが、これは御存じのとおり、いまから七、八年前に日ソ間で航空路を開いたらどうかという、これは公式ではなくて、アエロフロートの役員がわれわれにタッチしまして、そういうことから始まってきました。その当初は東京−ハバロフスクだ、東京−ハバロフスクだということを数年間ソビエトは非常に主張してきたわけでございますが、その点につきましては、私たちはアメリカとの例を考えましても、東京−ハバロフスクということでは相互平等にならない、東京ならばモスクワだ、東京−モスクワという相互平等の原則に立っての話し合いでなければぐあいが悪いということで、話が断続的に進んできまして、そうして昨年くらいから本格的に政府間での話がございまして、この数年前と非常に違いますことは、今度の外務省と向こうの外務省との話は、前は暫定協定でいこうということの一本やりでございましたが、今度は本協定を結んで、そうしてその本協定が発効するまで暫定でいこうということでございまして、非常に意味が違うわけでございまして、本協定が結ばれておるわけでございますので、この数年前までやられた話し合いとは非常に根底で違います。私は非常な前進だ、こういうぐあいに考えております。 問題になりますのは、外務省でも、航空局でも非常な努力をしていただきまして、この二年の間にシベリアを国際航空路として開放することを日本側は強く要望する、その二年の間は暫定協定でいくのだ、その日本の要望は十分わかったというようなソビエト側の回答でございまして、そういう点におきましては、私は非常な前進ではなかろうか。問題は二年後にこのシベリアがほんとうに開放された場合は、私は昨年来の皆さんの努力で生まれました日ソ交渉というものは一〇〇%以上の成功ではないか、こういうぐあいに考えます。 私、この間、アムステルダム線を開設いたしますので、アムステルダムに往復五日で行ってまいりました。アムステルダムで新聞記者会見をやりましたときに、オランダの新聞記者が十数社から来ておりましたが、質問はすべて東京−モスクワ線の開設に関する質問でございまして、欧州の各航空会社は非常な大きな関心を持っておるわけでございます。問題は、やはり二年後シベリアが開放された場合は、モスクワからどこへ行くのだ、こういう質問が非常に多かった。それからもう一つは、二年後にほんとうに開放されるかどうか、その点はどうだというような質問が大多数でございまして、これが開放された場合は、欧州のキャリアというものはこぞってシベリア経由東京に乗り入れるという関心を非常に強く持っておる、あるいはいまの間では、何とかモスクワから向こうの線を日航と提携していかぬか、こういう関心も非常にあるようでありまして、昨年来交渉されました東京とモスクワの路線、それから大西洋世界一周路線、この二つの大きな条約の改定、あるいは新しく結ばれるというこの二つに対しましては、世界中の航空会社の非常な関心の的であることは事実でございます。 問題は二年の間にかかっておるわけでありますが、私たちは現在商務協定を続行中であります。先般第一回の商務協定をモスクワで実施いたしましたけれども、まだなかなかまとまらない点がございます。あるいはアエロフロートと日航で共同でチャーターするチャーター料、あるいは東京−モスクワ間の料金の問題、それから東京とモスクワ間の共同運航をやりました場合の利益の配分の問題、あるいは保険料の問題、こういう点がまだ合意に達しておりません。したがいまして、来月の上旬にもう一度わが社は調査団を出しまして、そうしてこれらの残った問題について話し合いをする。妥結いたしましたら、できれば七月ごろから東京−モスクワ間を共同運航で実行したい。できれば、われわれはオン・シーズンに、できるだけ夏の間に実行したい、こういう考えを持っておりますので、この七月ごろ実行したい、こういうぐあいに考えております。 それからついでに日米交渉改定問題で、世界一周路線をわれわれ獲得したわけでございますが、ニューヨーク・ビヨンドをとりましたために相当譲歩もしております。この太平洋にはアメリカの他のキャリアも非常に関心を持っておりまして、いまちょうどアメリカの航空会社が二十社太平洋を通って東京乗り入れをアメリカ政府に申請しております。そのうち何社が許可されるか、公聴会その他がございますので、これがきまりますのはおそらく二、三年はかかるのではなかろうか、こういうぐあいに考えております。 それからもう一つ、われわれはシアトルの権利を放棄した、それから南米に対する第五の自由を制限された、こういう点がございます。しかしわれわれとして一番問題になりますのは、太平洋は現在日航、パンアメリカン、ノースウエスト、カナディアンパシフィック、この四社でやっておりますけれども、将来競争が非常に激しくなるということです。そういうアメリカの強大な航空会社がまた入ってくる、そういう点で太平洋は競争が非常に激しくなる、これは私はある程度やむを得ぬのではないかと初めから覚悟をしておりまして、この二、三年の間に私たちはこの太平洋に競争力を強めていく、便数を増して競争力を強めていくということをやはりやっておく必要がある。何といいましても、どこへ出ていきましても、この国際競争力というものが非常に激しゅうございますので、やはりそれに勝っていくためには、日本航空自体が国際競争力というものをほんとうに力をつけて強くなっておくということが、どこの路線に出ていっても私は必要ではなかろうかと思うわけであります。そういう点につきまして、現在いろいろ航空再編成問題その他ございますが、私はそういう点から考えまして、特に日本の国内において、この間いろいろな事故も起こりましたし、再編成の方向を誤らないように政府でやっていただきたいということを非常に強く考えております。それは何といいましても、私は将来は集約化の方向に行くことが、日本の民間航空としては最大の一番いい策ではなかろうか、そしてそういうことによって国際競争力をほんとうに増していく、どういう路線に出ていっても対等に競争ができていくというような体制に置くことが、私は一番大事ではなかろうかと思うわけでございます。その前に私は、戦後どこの国でも同じですが、非常にたくさんの航空会社が免許されてできております。何も日本だけじゃございません。たとえばイタリアにいたしましても、戦後八社くらいの航空会社があります。政府の政策によりまして、だんだんこれが四社になり二社になり、そしてアリタリアという会社が一社でやっております。ドイツあたりは、ルフトハンザは初めから一社という方針をがっちり立ててやっておるわけでありまして、わが国も、私はそういう集約化の方向に持っていくという方針を立ててもらえば、そういう安全の基礎をなす技術水準も高めることになりますので、そういう意味では、安定した国内における基盤を持って、国際競争力を非常に強めていくということができるのではなかろうか、こういうぐあいに考えております。そういう点につきまして、あわせて諸先生方にひとつぜひ御協力、御指導をお願い申し上げたいと存じます。
○高瀬委員長 これにて参考人の意見の開陳は終わりました。
○高瀬委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。永田亮一君。
○永田委員 ただいま松尾社長さんからたいへん有益なお話を伺いました。特に国策会社としての日本航空の今後のあり方あるいは世界一周路線についてのビジョンその他大いに参考になったと思います。さらに日米航空協定についてのお話、それから特に将来の集約化の問題はわれわれも同感でございまして、いかにして日本航空というものを他の諸国の競争相手として強大なものにしていくかということを常に考えておるわけでありまして、いま社長さんからそういう御抱負も伺いまして、たいへん参考になったと思うのであります。ただきょうは日ソ航空協定の議案がかかっておりますので、日米航空協定あるいは集約化の問題などにつきましては、私もいろいろお伺いしたいこともございますが、きょうのところは日ソ航空協定に限っていろいろお伺いいたしたいと思うわけであります。 いま松尾さんからもお話がございましたが、日ソ航空協定の問題で何といっても一番問題になるポイントは、先ほどお話がありました暫定協定が二年以内、これをできるだけわれわれとしましては早い時期に切り上げて本協定に切りかえるということであろうと思うのであります。いま松尾さんからもそういうお話がございました。そこでまたあとから松尾さんにいろいろお伺いしたいと思いますが、最初にこの協定を結ばれた外務当局に対してお伺いをしたいと思うのでございます。この合意された議定書を読んでみますと、いまの問題なんですが、この椎名さんが署名された議事録には、「暫定的に運営される国際航空業務の開始後できる限りすみやかに、約二年以内に実現されることを強く希望し、これに対し、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府の代表者は、日本国政府の代表者のこの強い希望を了承した。」こういうふうになっておるわけでありますが、「日本国政府の代表者のこの強い希望を了承した。」どうも何かはっきりしないわけなんですね。日本政府のいうことを了承したというなら、これははっきりしているわけでありますが、「日本政府の代表者のこの強い希望を了承した。」ここのところは条約局のほうにちょっと伺いたいのですが、この法的な解釈というものはどういうものなのか、どういう強制力があるのか、ここのところをまず最初にはっきりしていただきたいと思うのです。
○大和田説明員 いま先生の御指摘の部分は、いわゆるお配りしてございます合意議事録の第一項の末端にある点でございますが、「この強い希望を了承した。」という意味は、これを履行しなかった場合に道義的あるいは政治的に問題がある、しかし法律的には義務違反にはならない。具体的に申し上げますと、日本政府の代表者が二年以内に実現されることを非常に強く希望した、その希望にもかかわらず、もしソ連側が二年以内に実施しなかった場合にどういう責任を追及できるかというふうに置きかえられると思うのでございますが、その場合には道義的あるいは政治的に追及はできると思いますが、法律的にこの協定違反であるという式な追及はできないものというふうに考えております。
○永田委員 道義的な条約というものはあるのですか。いまおっしゃったように、もし実行しなくても協定違反にはならない。何かわれわれ考えてみるとあやふやでありまして、それじゃ、もし実行しない場合にはこっちは協定を破棄してしまうという、そういう約束はあるのですか。
○大和田説明員 協定それ自身につきましては、協定の末段のところにございますが、一年の予告をもって破棄できるという規定がございます。それから暫定運航の内容につきましては、お配り申し上げております資料の交換公文がございますが、それによりまして、いわゆる暫定運航の内容は共同運航であるということが書いてございますが、その共同運航は、その内容をなす、先ほど松尾社長から御説明のございましたいわゆる商業上の取りきめの有効期間、これはたてまえは一年でございますが、その満了の前一カ月の予告をもって破棄できるということになっております。したがいまして、具体的に商業上の取りきめの有効期間の前一カ月の予告で、この共同運航を破棄できるという歯どめがつけられております。
○永田委員 一年の予告で破棄できるということになると、「約二年以内」と書いてあるのですが、以内はおまけするにしても、ちょうど二年たったときに、向こうがまだ本協定は結ばない、まだしないということを言ってきたら、そのときから一年の予告で破棄できるということですか。そうすると、結局初めから考えると三年目でなければ破棄できないということですか。
○大和田説明員 協定の規定だけから申し上げますと、非常に極端なことを申し上げますが、これは効力を発生したあくる日からでも、その協定の規定は有効になるわけでございます。したがいまして、先方が二年たってから言ってきたら、その際から数えて一年ということではなくて、いつでも一年の予告で破棄できるということになると思います。ただ、この協定それ自身の持つ価値、あるいは実際にソ連が二年近くたってどうしてもできないと言ってきた、その先方の言い分というようなもの、かりに二年間暫定運航で共同運航をやるという場合に、その共同運航のもたらす経済的な意味、そういうようなものすべてを総合判断しまして、日本政府としては態度をきめるべきじゃないかというふうに考えております。協定上といたしましては、いつでも一年の予告で破棄できるというたてまえになっております。
○永田委員 いつでも一年の予告で破棄できるのですか、いまのお話ですとそういうことらしいのですが、二年目の終わりごろまで、いかにも二年たったらもう本協定にするのだというような形をとっておったとすれば、そのときになって急にだめだと言ってきたときには、そのときから一年しなければ破棄できないのですか。
○北原政府委員 大和田参事官の御説明の中でちょっと不明瞭な点がございましたので、ちょっと補足さしていただきます。 暫定運航期間中は一カ月の予告でこの暫定運航を終止することができるわけでございます。そこで、たとえて申しますれば、先方は一応二年以内と申しておりますので、一年十一カ月暫定運航を行ないまして、そのときに向こうがはっきりと本協定に乗り移ることに難色を示しました場合には、協定上の解釈から申しますれば、一年十一カ月のときに廃棄の通告をいたしまして、一カ月後に暫定運航は終わるということになります。ただこの問題は、御指摘のとおり、私ども最も苦労いたしましたのは、あくまでも確約を取りつけるという方針のもとに四カ月交渉いたしまして、どうしても確約ということがソ連側の国内事情でできないということでございましたので、確約に次ぐ最善の解決策は何かということで、この意味ではまことに次善の策であるということはいなめないと思いますが、そういうことでこのような形式にまとめ上げたわけでございます。ただこの点は、申すまでもなく、国際関係全般、それから協定の実施にいたしましても、一応このこと自体のみならず、あらゆる今後の日ソ関係全般の成り行きというものが、この点については非常に大きな役割りを果たすのではないかと思いまして、私どもといたしましては、これしか取りつけられなかったということを十分念頭に置きまして、この点を今後の共同運航を通じての共同、協力的な精神と申しますか、そういうふうな気分のもとに、両方の心がまえの問題、心がけの問題、それから日ソ関係全般につきましてもこれが漸次改善していけば、この点は所期された目的を達し得るのではないか、その意味での今後の絶えざる努力が大いに必要であるというふうな感じでおるわけであります。
○永田委員 大体よくわかりました。 この条約文は日本文とソ連語ですね。英語はないのですか。たとえば「希望を了承した」というのは、コンセントとかアグリーとか、そういうことばを使ってはないのですか。
○大和田説明員 これは条約正文は日本語とロシア語だけでございます。先ほど御指摘の「希望を了承した。」その了承するということばのロシア語訳は、字句どおり申しますと、「理解をもって対処する」というような内容のロシア語で表現されております。
○永田委員 ソ連側はすぐ本協定を結ぶわけにいかぬ、それで暫定協定をある期間やらなければいかぬという、その理由はどういうことにあるのか、ちょっと聞きたい。
○北原政府委員 問題は、シベリア上空を国際路線化するというソ連の国内行政措置の問題でございます。この点あらゆる角度から、なぜシベリア上空を開放できないのかという点をいろいろ突き詰めてみたわけでございますが、先方が申しますのは、まず第一に、シベリアを開放する、国際路線をこの上に設定してよろしいという行政許可の問題、これが関係官庁の間で、政府部内でまず取りつける必要があるというわけでございます。それからもう一つ問題は、国際路線化するための航空上の施設整備の問題、大体この二つに分かれると思うのであります。 そこで、なぜ行政措置がすぐできないのか、その理由といたしましては、国防上の問題、軍事上の問題、それからあらゆる治安上の問題、いろいろな理由をあげておりまして、そのために、国際路線化するために行政許可を出すためには、国際路線化いたしましたその下にあるたとえば特殊の軍事施設、たとえば重要なる産業施設とか、そういうものを移転するとか、あるいはこの上は飛んでいいのだということにするとか、あるいは場合によりましては国際路線をある程度迂回させるというふうなことが必要である。 そこで、先方の申しますには、第二番目の国際路線の技術的な整備の問題でございますが、この点につきましては、わかりやすく御説明しますために、最近テヘラン−モスクワ間の路線をソ連は国際路線化いたしたわけでございます。この場合にとった措置について先方の説明を聞きましたところ、やはり外国機が入ってくるのでございますから、その外国機が備えているあらゆる通信施設、その他の施設に適応した地上施設を外国から輸入して地上に設定する必要がある、それから国境通過の際のいろいろな施設の問題、そういうことがおもな内容でございました。そこで問題は、最初の国際路線化するための行政許可というものをどうすれば早くソ連政府部内において取りつけ得るかということが焦点になったわけでございます。この点私どもも長い交渉を通じまして非常にはっきりわかりましたことは、やはりソ連の政府部内にもいろいろな利害関係がございまして、国際路線化してソ連の国際航空上の有利な点をあくまでも伸長していきたいという関係当局と、なおかついまだにそれにわりあいに慎重だという関係当局、いろいろな利害関係があるということがわかったわけでございます。そこで先方の申しますのは、問題は行政許可をとるための議論ではなくて、事実問題として、事実上の措置を実施して、それによって国際路線化するということを容易ならしめるという方法がソ連政府内でも一等有効な方法だと考える、それにはひとつソ連側で提案している共同運航というものを暫定的にのんでもらえないか、それをやることによって国際路線化するための動きを具体的にはっきりと進捗せしめることができる。たとえば補助飛行場の予算を暫定運航を始めたということによって獲得して、適当な飛行場の整備を行なっていくというふうなことで、先方としてはこれがどうしても必要な問題解決のための秘訣だということばを繰り返したわけでございます。私どもから見ますれば、これはどうしても必要悪と言わざるを得ないのでございますが、以上ある程度事情を御了承願えるかと思います。
○永田委員 いま必要悪ということばを使われましたが、私もそのとおりだろうと思うのです。うまいことばを使われましたが、悪は悪なんですから、やはり必要悪であってもできるだけ早くその悪は除いて、善のほうを一日も早くやってもらいたいと思う。 それでいまお話がありました軍事上の問題とか行政的な問題、これはわかりましたが、その施設とか設備とか、たとえば日航が相互乗り入れをしてアメリカのDC8を使って入った場合には、そういう飛行機に対応するレーダーとか通信施設とか、そういうものができないと、こういうわけですね。そうすると、それを設備するのに二年近くかかると、こういうふうに聞いたわけですが、これは仮定の問題ですが、こういうことはあり得ないかもしれませんが、いま日航がアメリカのDC8を使って乗り入れをしようとしておるからそういう問題が起きるわけですから、DC8ではなくて、今度はソ連の飛行機を日航が使って、日航のパイロットでソ連の飛行機で乗り入れる、そういう場合があるとすれば、これは向こうのレーダーなり通信施設なりを何も改良する必要はないのだから、すぐに許可をするということになるわけですか。
○佐藤(光)政府委員 航空技術的な面だけに限って私からお答え申し上げますと、ソ連機をソ連要員をもって飛行する場合には、航空技術的には一応いわゆる国内運航の方式をとる場合には可能でございます。ただ欧亜局長から御説明申し上げましたように、そのほかに国際航空路としてのいろいろの要件がございますので、相互的にははたして可能であるかどうかは問題がございますが、航空技術的にはいま先生のおっしゃった範囲では可能であるかと思います。
○永田委員 いろいろお聞きしたいので、二年以内の問題はその程度にいたしますが、できるだけ早くその必要悪は除いてもらうように希望をいたします。 それからさっき松尾社長さんからチャーター料あるいは運賃の問題についてお話がありましたが、この議定書の交換公文のいただいたのを読んでみますと、ここに二ページの(2)のところに「その航空機についての賃借料は、アエロフロート及び日本航空株式会社にとって十分採算のとれるよう設定されるものとする。」こういう条項があるわけです。そうすると、この条文を読んでみますと、アエロフロート及び日本航空が十分採算がとれるということが前提であって、十分採算がとれるようにチャーター料をきめるというふうに読めるわけです。そうするとこのチャーター料が高いとか安いとかいま御交渉中だというふうにちょっと伺ったのですが、かりにこの乗客が満席になるか、あるいは全然乗らないか、少ししか乗らないか、いろいろの場合ができてくると思うのですが、しょっぱなにこのチャーター料を幾らときめてしまったのでは、はたしてそれを払ったあとの残りの金で、アエロフロート及び日本航空が十分採算がとれるようなことができるのかどうか。私の考えではチャーター料というものはあとからきめるべき問題ではないのか、アエロフロート及び日本航空が十分採算がとれるにはこれだけの経費が要る、これを確保しておいてからチャーター料というものはあとからきめるというふうにならなければ、先にチャーター料をきめてしまったのでは、はたして日本航空が十分採算のとれるような運賃を得ることができるかどうか、私はちょっと疑問に思うのです。 それで、そのきめ方なんですが、私は一つの航空運航ごとに、お客さんが半分しか乗らなかった、運賃は幾ら入った、その中で二〇%なら二〇%はアエロフロートと日航が取って、八〇%をチャーター料に出す、そういうようなきめ方をすれば、ある程度必要な経費を確保できると思いますが、しょっぱなにチャーター料をきめてしまうと必要な経費まで確保できない場合があるのじゃないか、こう思うのですが、その点北原さん、いかがでしょうか。
○北原政府委員 その点日航の営業関係の内容になりますので、私から、協定交渉に際しまして条文をつくりました範囲内においてのみ御説明いたしたいと存じます。 確かに御指摘のように運賃収入と経費との関係とそれからチャーター料、この三者をどうあんばいするかという点は、私どもも当時いろいろ議論はいたしました。ただ民間航空省及びアエロフロートが相当各国の、特に社会主義諸国が多いと存じますが、いろいろ航空機をチャーターしてやっておる経験があるわけでございます。それと今回の共同運航と必ずしも方式を一にしていないわけでございますが、どうもやはりそのときの話では、先方の非常なお役所仕事というか、そういうことで、先方の代表といたしましては、従来やってまいりました方式ということに非常に固執いたしまして、やはりチャーター料というものを一応ソ連の国内できまっているそれをめどとして、それからいろいろほかの面を考えていこうという方式を強く主張いたしました。それと、私どもの持っておりましたいろいろな疑問との妥協が、一応一般的な規定としてここに入っておるわけでございます。現実には今回日航のほうでやっておられます商務契約の交渉では、その点やはりある程度蒸し返しの議論が出ているのではないかと想像いたします。現実の交渉につきましては日航のほうからお願いいたします。
○松尾参考人 いまの先生の御質問でございますが、国際的な常識からいきますと、いろいろな方式でやっておりますけれども、まずチャーター料をきめましてやるのが通例でございます。したがいまして、商務協定でもチャーター料を論議しておるわけですが、ソビエトのほうは国際的常識、あるいは水準から見て、相当高いものを要求する気配でありますので、これは今後の折衝において合理的な計算の基礎において妥結したいというのがわれわれの方針であります。われわれはDC8は償却を十カ年でやっておる。これをかりにソビエト製のTU114ですか、これをたとえば四年か三年くらいで償却するという方式でいきますと、食い違いが生じます。だから、そういう点はどのくらいで償却しているのか、そういう東京−モスクワ間のチャーター料の計算の基礎を示してくれ、こういうことで交渉をやっております。したがいまして、やはり世界の常識に従いまして東京−モスクワ間のチャーターは幾ら、あるいは一時間幾ら、こういうことでやっていきたい、こう考えております。 もっともこのチャーター料には、あるいは利益があがるということについては、東京−モスクワ間の料金も非常に関係してくるわけであります。こういうものも、一応私たちはいわゆるIATAのメンバーでございます。ソビエトはメンバーではございませんけれども、IATA方式に非常にはずれた料金は設定できないわけでありまして、そういうものを加味した料金の設定を話し合いできめていきたい、こういうぐあいに考えております。
○永田委員 大体よくわかりましたが、このアエロフロートという会社は一体どういう会社なのか。われわれ自由主義国で考えてみると、日航みたいな民間の会社ということになるのかと思うのですが、ソ連という国柄のことを考えてみると、ほかの自由主義諸国のアメリカならアメリカのパンアメリカンというような会社とはだいぶん様子が違うだろうと思うのです。このアエロフロートというのは会社なんですか。株式を出してどうというようなそういう会社とは思えないのですがね。ソ連という国の国柄から言って、そういう会社があろうはずがないと思うのです。そうすると、私はソ連に民間航空省というものがあるのを知らなかったのですが、民間航空省というものとアエロフロートというものの関係がどうなっているのか。普通たとえば日本とアメリカなんかのことを考えてみれば、アメリカの民間の会社と日航が利害が一致するから、一緒になって民間航空省にチャーター料をうんとまけろ、チャーター料をまけろということを言うはずなんです。そうすればアエロフロートも日航も分け前が多くなるはずですからね。ところがアエロフロートとソ連の民間航空省というものがどういう関係にあるのか、そこがはっきりしないのですが、だれか説明していただけますか。
○北原政府委員 ソ連の民間航空省とアエロフロートの関係につきまして、一応私ども調査いたしましたところでは次のようなことであります。すなわち民間航空省がソ連邦全体についての民間航空全般の機材を所有し、その運営に当たるというたてまえになっております。アエロフロートというものは、その民間航空省の行なっております民間航空の、何と申しますか、運営に当たる機関、運営部門というようなふうに御理解願ったらいいのではないかと思います。 ちょっとこまかい点になりますが、これを報告させていただきますと、ソ連の民間航空は一九六四年に発足四十周年を迎えたので、すなわち一九二四年から発足したということでございます。ソ連の民間航空を管轄する中心機構は連邦民間航空省でございます。民間航空の活動分野は非常に広く、乗客、貨物の輸送のほか、農業、林業、保健、衛生、極地観測、漁業、建設等、国民経済、社会生活全分野にわたっての仕事を管轄しておるわけでございます。民間航空省の傘下に各共和国別に民間航空局がございまして、これが外国の場合のいわゆる航空会社というものに当たるわけであります。この各共和国別にございます民間航空局というものが自主的に独立採算制のもとにその運営に当たっております。それで、ちなみにモスクワにはモスクワ民間航空局、それからモスクワ国際航空局——このモスクワ国際航空局の局長さんの名前はバシキーロフという人でありますが、このほかにモスクワ特殊民間航空局というのもございます。それで国際航空に関しましては一部の例外を除きまして、大部分はモスクワ国際航空局というのが担当しておるというのが実情でございます。これらの管理局は自主的に運営を行なっておりますが、民間航空省に属しておりまして、その指導管轄下にあるということでございます。 そこで、アエロフロートというものは、これら航空管理局の総称で、全部をまとめてアエロフロートと俗に言っておる名前でございまして、具体的な機構を持っているものではございません。すなわち、あくまでも国際航空局というものが実態でございまして、アエロフロートというのはその総称で、俗称であるということでございます。そこで、アエロフロートの長というものは任命されておりませんで、しいて申しますれば、この航空協定を署名いたしました民間航空大臣のロギノフさんがアエロフロートの総裁というふうにいえるわけでございます。ことばをかえて申しますれば、航空省は、ソ連民間航空局の行政機関としてその指導監督を行なう機関であって、アエロフロートはその管轄下にあって、民間航空事業を運営する機関の総称というふうにお考え願えればいいのではないかと思います。
○永田委員 いまのお話を伺っておりますと、民間航空省とアエロフロートというものは結局一体だということですね。 そうすると、チャーター料などもさっき申しましたように、普通の自由主義諸国などの航空会社が国から借りておるとすれば、国に対してチャーター料を値切るということはあり得るわけですけれども、アエロフロートが民間航空省の飛行機のチャーター料を値切るということはあり得ないわけですね。同じものなのだから。そうすると、われわれの常識からいえば、日航及びアエロフロートが共同の利益を持って、できるだけチャーター料を安くして、そしてできるだけアエロフロート及び日航の分け前を多くしようとするのだろうと思っておったのだけれども、アエロフロートというものと民間航空省とが一体なものであれば、アエロフロートはそういうことを言うわけがない。そうすると民間航空省もアエロフロートも、悪いことばでいえば同じ穴のムジナなんですから、それが一緒になって、今度は二対一でチャーター料を高くしようということをやられるわけですね。そうすると日航の立場は非常に苦しいことになると思うのですが、そういう関係と了解していいですか。
○北原政府委員 確かに、民間航空省とアエロフロートは一体で、表と裏との関係であるというようなことはございますが、アエロフロートの運営に際しましては、航空省が総体的な計画作成、指導も行なう、これははっきりしておりますが、先ほど申しましたいわゆる管理局でございますが、各共和国にございます管理局、それから国際航空の面ではモスクワ管理局でございますが、いわゆるアエロフロートでございます。運営に当たるアエロフロートは、航空省がつくりました総体的な計画に従って、自主的に各自自己の計画を作成して運営に当たる。そこでアエロフロートは、自己の採算ベースで一応やっている企業でございまして、国家からは補助金その他財政援助は受けないというたてまえになっているようでございます。そこで、アエロフロートは、航空機の購入、飛行場の建設、その他一切を自分の資金でまかなう、そういうたてまえになっております。それはしかし、航空省とアエロフロートはもともと直接管轄官庁であると同時に、ある程度一心同体であるという面はあると思いますが、たてまえ上は、いま申し上げましたように、一応計画だけを民間航空省が出して、総括的な計画のみをつくりまして、その計画に従って、アエロフロートは一応自己の採算ベースで動くものだというふうに私どもは了解しております。
○永田委員 次に、運賃の問題を日航のほうへ伺いたいのですが、東京から北回りのコペンハーゲンを通ってかりにロンドンまで行くとすると、東京−ロンドン間の運賃は現在幾らですか。
○松尾参考人 現在の運賃でいきますと、東京−コペンハーゲン−ロンドンは、米貨で六百七十七ドル六十セント、こういうことでございます。
○永田委員 この本協定の十一条を見ますと、こういうふうに書いてあるのです。「特定路線に関する運賃は、指定航空企業間の合意により、国際慣行上合理的と認められるべき水準に定めるものとする。」この「国際慣行上合理的と認められるべき水準に定める」ということは、さっきお話があったIATAの協定を基準にして考えるという意味でしょうか。
○大和田説明員 御説のとおりでございます。
○永田委員 そうすると、もう一ぺんその料金のことを伺いますが、日航にちょっと伺いますが、モスクワまでヨーロッパの飛行機が乗り入れておりますね。そうすると、かりにロンドンからモスクワまでのIATAによる料金というものは幾らなんですか。
○松尾参考人 約百八十ドルでございます。
○永田委員 そうすると、この協定で国際慣行上合理的と認められるべき水準にきめるということになると、東京から北回りして、コペンハーゲンを通って、ロンドンへ行くのが六百七十七ドル、それからロンドンからモスクワまでは百八十ドルですか。そうするとおのずから東京−モスクワ間の運賃は出てくるわけじゃないですか。そういうふうにしてきめられないのですか。
○松尾参考人 東京からロンドンまでの料金ですね。まあ理屈はおっしゃるとおりでありますけれども、東京から欧州は、たとえばロンドンだけじゃございませんで、あるいはパリとかあるいはヘルシンキなどがあるわけであります。私たちが主張しておりますのは、東京からヘルシンキまでは七百二ドルなんです。そこでヘルシンキからモスクワまでは九十一ドル、だから七百二ドルから九十一ドルを引いた六百十一ドルを日航が主張しているわけなんです。ソビエト側は五百四ドル、こう言っているわけなんです。だから、そういう点で、今度もう一度交渉をし、妥協する点に落ちつけたい、こういうぐあいに考えております。
○永田委員 そうすると、なるほど日航はあれですが、ヨーロッパといっても広うござんすから、いろいろ距離によって違うわけですね。そうすると、モスクワを経由して行くという場合に、モスクワまでは共通の路線を通るわけだから、その賃金のきめ方がむずかしということですな。
○松尾参考人 ええ。
○永田委員 大体わかりました。そうすると、ソ連の航空料金というものは非常に安いということを聞いておるわけですが、これをあんまり安くきめられると、日航というものは、そっちへばかりお客さんが乗ってしまえば、北回りの——いま週何便ですか、五便ですか、週五便のほうががら空きになってしまう。そうすると、日航としては採算上やり切れぬ。だからある程度高くして、東京からモスクワまでは高いほうがいい、こういう立場ですか。
○松尾参考人 私先ほどもちょっと触れましたが、日本航空はIATAのメンバーに入っているわけでございまして、御存じのとおり北回りも日航だけではございません。SAS、KLM、エールフランスと、何社か同じ料金でやっておるわけでございまして、あるいはロンドンからモスクワでも、パリからモスクワ、あるいはコペンハーゲンからモスクワもやっておりますけれども、こういうものもすべてIATAの料金にあんまりかけ離れない、IATAのメンバーから攻撃を受けない料金に、ソビエトと話してやっておるわけですから、やはりそういう方向にわが社もいきませんと、東京−モスクワをソビエトの言うように非常に安くいたしますと、もちろんいま日航は五往復やっておりますけれども、これのお客が全部そっちへ行く、あるいは北回りをやっているほかの国のIATAのメンバーのお客も全部これに行くということで、ほかの場所で日本航空がIATAのメンバーから非常に攻撃を受けるということもございますので、欧州とモスクワ間を、いまもIATAのメンバーの航空会社がやっておりますので、できるだけIATAの料金にさしてかけ離れない、若干安い運賃でやりたい、こういうぐあいに交渉をやっておるわけでございます。
○永田委員 私は特別に日航の肩を持つわけではないけれども、日航が非常に損をするという形になってくれば、これは日航という会社は純然たる民間の会社ではないですから、国の出資が五八%も出ているのだし、いろいろ政府の保証債なんかの金も国から出ているわけですから、結局日航が損をするということになってくれば、日本が損をするという計算になるわけです。ですから、そこのところは損をしないように運賃をきめてもらいたいわけです。東京−モスクワ間を向こうの言うような、あんまり安いものでやって、そっちへどんどんお客が行って、北回りのお客がいなくなって、日航が赤字になってきたら、また国から補助しなければならぬわけで、これはかなわぬから、採算がとれるように運賃をきめてもらいたいと思うわけであります。 時間がだいぶなくなってきたので恐縮ですが、運輸省のほうにちょっと伺いたいのです。共同運航の問題です。日航に対して共同運航をやる場合には免許を与えなければならぬと思うのです。運送人は免許を持たなければならぬわけですが、この点はどうですか。
○佐藤(光)政府委員 仰せのとおりでございまして、航空法百条による免許を必要といたします。
○永田委員 そうすると、その免認の条件というものはどういうことになっておるのですか。私はあまり詳しく知らないので、ちょっと教えてください。
○佐藤(光)政府委員 ごく大づかみにして申し上げますと、事業実施に必要な資本、施設等を有すると同時に、その運航、整備等についても十分能力を有する必要があるということです。また、事業遂行の能力を有すると同時に、事業計画の内容において十分適切なものであるということが必要であるわけでございます。
○永田委員 簡単に言うと、パイロットとか運航の規定とか整備の規定とか、そういうものが満たされなければいかぬということだろうと思うのですが、今度の共同運航の場合は、この条約にもあるのですが、ソ連の航空機で、そしてコックピットクルーつきだ。みんな向こうがやるのだ。そういうものがはたして免許基準に合っているのですか。
○佐藤(光)政府委員 今回協定の内容の審議に際しまして、その点を政府部内でも種々打ち合わせをしたわけでありますけれども、いま先生仰せの百条の免許をいたしますために、百一条にいろいろ免許の基準があるわけでありまして、主として問題になりますのは運航の管理であろうかと思います。運航の管理につきまして、ソ連の運航要員が乗っておる場合に、わがほうの運航要員が全然その運航状態を承知し得る状態でないということになりますと、この点が問題でございますので、共同運航の場合の運航の具体的な内容につきまして、いわゆるコックピットにも日本側の運航要員が乗ることができるということを明瞭にいたしまして、したがってその全体の姿からわがほうが十分この運航の管理がし得る状態になっているということを確認いたしましたので、わがほうの免許に適する状態である、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
○永田委員 どうもちょっと苦しい答弁のような気がするのですが、飛行機は向こうの飛行機である、コックピットクールも向こうである、こっちはそばへ乗ることはできるけれども、操縦も何もさしてくれない、そういうものは日本の免許の基準に合うのですかね。これはちょっと疑問だと思うのですが、あまり追及する意思はありませんけれども、そこのところはよく研究しておいてください。そうでないと、日航というものはただ代理店みたいな形になってしまって、何ら自主的なものを持たないものを免許するという形になると思うのです。その点はそのくらいであまり追及はいたしません。 それから以遠権の問題なんですが、日ソ双方とも、首都間を結んで、そしてかつ以遠第三国内の諸地点への路線が合意されていることなのですが、これは日ソの間で以遠権は認めるということをきめても、それだけできまるものじゃない。たとえばモスクワ以遠の以遠権を日本が取ろうと思えば、BOACならBOACには何か代償をやらなければ以遠権はくれないだろうと思います。これの以遠権は、ソ連・日本では合意するといっても、それはただそれだけのことで、実際には非常にむずかしいのじゃないですか。松尾さん、いかがですか。
○松尾参考人 永田先生のおっしゃるとおりでございまして、相手国とは交渉をやらなければなりません。交渉した場合に代償を取られるということはあり得ると思います。ただ、私たちが考えておりますのは、ロンドン、パリ、フランクフルト、それからアムステルダム、コペンハーゲン、こういうところを大体考えておりますが、そのうちでアムステルダムだけは交渉なくしていけるのですが、あとは代償がおそらく交渉のときは持ち上がるのではないかと思います。
○永田委員 ソビエトのほうは以遠圏にあまり大して力を入れなくてもいいと思うのです。それは、以遠圏といえば東京からアメリカで、太平洋を越えることになると思うのですが、ヨーロッパの人がアメリカに行くのだったら、何も東京を回らなくたって大西洋から行けばいいわけでありますから、以遠圏にそう未練を感じないだろうと思う。ところが日航の場合は、これは非常に重大な問題だろうと思うのです。モスクワまででもう終わりだという人はほんのわずかでしょうし、おそらくモスクワを経由してヨーロッパ各地へ行こうという人が多いのですから、この以遠権の重要性ということは、ソ連と日本は比較にならない。日本はぜひともこれを確保しなければならぬわけですから、これからあと、この以遠権の問題は、松尾さん、がんばってください。 それからこの以遠権について、私、ちょっと思うのは、暫定協定でどうして以遠権のことを持ち出さなかったのか、これは、北原さん、どうですか。
○北原政府委員 この点、先ほど申し上げました暫定運航というものをどう考えるかという点と根本的に関連するわけでございます。以遠権を暫定運航期間中も、これをどこかまで先方乗り入れという交渉を条件としまして行ないました場合に、どうしても暫定運航期間中も、東京−モスクワ経由ヨーロッパまでの乗り入れの客はおそらくふえると想像されるのだろうと思うのであります。そこで、暫定運航期間中もその以遠権をやりますと、やはり北回りに相当の影響もあろうかと思います。先ほどの、俗に申します必要悪の期間は、悪であるなればなるべく細く、なるべく短くという根本的な考え方がいいのではないか、そういうことで、むしろソ連側はモスクワ以遠の暫定期間中の以遠権のことについても最初の案には入っておるような状態でございました。しかし、わがほうのそういう考え方のもとに、これは現在のところ一応取り上げない、しかし、交渉の過程におきまして、もし途中から日本が希望するなれば、暫定運航に関します交換公文の修正にはソ連側は応じるということで、そういう話し合いのもとに現在は伏せてあるわけでございます。
○永田委員 それから次に収入配分の問題、先ほど松尾さんからも簡単にお話がございましたが、収入配分についてアエロフロートと日航との意見はいまどういうぐあいに食い違っているのですか。
○松尾参考人 ソ連側は利益を五〇%・五〇%、半々にしたい、われわれは半々ではいけないのじゃないかと主張したわけです。それはどういうことかと申しますと、北回りのほうを私たちは一週間に五往復やっておりますので、北回りのお客さんが、このモスクワ線を始めたためにモスクワ線に移っていき、北回りはそれだけ損害を受ける。ところが、アエロフロート側は初めての路線であって、全然そういう損害がない。だから、利益の配分については半々ではいけないのだという考えでおるわけで、それだけが条件になっておるわけであります。
○永田委員 私もその主張は正しいと思うのです。この半々というのは公平のごとくにして、私は公平じゃないと思う。日本あたりから乗っていくお客さんは、モスクワどまりというお客さんは少ないわけでありまして、大体は目的地がソ連から以遠のほうに乗っていくお客さんが大部分であります。その以遠に乗っていくのにこの道を通ってくれるというのだから、それはうまいことをやっているのですから、やはり日本の取り分をもっとふやすべきであると私は考える。逆にソ連のほうから乗ってくるお客さんは、東京以遠に行く人はほとんどないわけですから、その分の分け前は少なくてもいいと私は思うのですが、そういう主張でがんばっていただきたいと思うのです。 それから時間がきたので最後に一言だけ質問したいと思いますが、それは保険と責任の問題なんです。これは今度の暫定協定にしても、飛行機もソ連の飛行機だし、コックピットクルーも向こうだ、整備も結局全部向こうだということになれば、責任はソ連が持つべきだと思うのですが、これはどうですか。
○松尾参考人 保険と責任の問題でございますが、これもまだ論議の最中でございまして、事故の原因となったものが責任を負う、こういう原則的なことでは意見が一致しております。しかし、お互いに国内の法制とか保険の制度とかいうのは非常に違っておりますので、なかなかまだまとまっておりません。おっしゃるとおりでありまして、特にこの保険に関しましては国営の保険会社があるそうでございますが、全然われわれが考えていることと違う。その点がこれから相当論議されていくことになるだろうと思います。
○永田委員 保険の最高については、これはIATAなんかできめてあるだろうと思いますけれども、いろいろな条約なんかでは、もし死んだというような場合にはいま幾らになっておりますか。
○大和田説明員 ワルソー条約というのと、それを改正いたしますヘーグ議定書というのがございまして、日本はワルソー条約のメンバーでございますが、それによりますと、かりに事故があって死亡したという場合の責任額は約三百万円でございます。ヘーグ条約の場合には約六百万円ということになっております。
○永田委員 そうすると、今度適用される分、あるいは適用しようとしておる分は、ヘーグ条約の分ですか。
○大和田説明員 日本もソ連もまだヘーグ条約に入っておりませんので、ワルソー条約のあれが適用になるのでございます。したがいまして三百万円ということになります。
○永田委員 アメリカは、ヘーグ条約の一万五千ドルですか、これでもまだ少ないというので、ヘーグ条約から脱退したということをちょっと私聞いておるのですが、だんだんこれは金額がふえていく傾向にあるときに、ワルソー条約の一昔前の三百万円というようなことできめてはちょっと困ると思うのですが、どうですか。
○大和田説明員 条約上の義務といたしましては三百万円ということになっておりますが、しかし、その条約の規定に、別の運送契約があればそれによってもいいということになっております。それからヘーグ条約に、実はまだ日本は、署名はいたしておりますが、入っておらないのでございますが、その点は、要するに事故のあった場合の個人に対する損害賠償額が多いということは被害者のほうからは言えるのでございますが、同時に、航空企業そのものの採算の面とか、経済面ということもやはり考慮にいれる必要があるということで、まだ批准をいたしておりません。
○永田委員 ちょっと聞くところによると、アメリカは十万ドルを要求したということを聞いておるのですが、そうなってくると、八千五百ドルというのはまるでちゃちなもので、三百六万ということになるのですね。この見通しはどうですか。アメリカがこういう要求をして脱退をしておるという状態ですから、今後の保険及び責任の問題をまた今度の日ソ航空で適用するといたしますと、少なくともこれはヘーグ条約の一万五千ドルあるいはそれ以上ということにきめてほしいと思うのですが、見通しはどうですか。
○松尾参考人 このIATAでの保険料が非常に問題になっておりまして、永田先生のおっしゃるとおり、アメリカ政府は十万ドルと言っております。しかし、それではなかなかまとまりませんので、現在まとまりかかっておりますのは七万五千ドルで大体いくのじゃなかろうか。われわれも、七万五千ドルならば日本航空も賛成せざるを得ない、こういうぐあいに考えております。ただ、ソビエトとの保険料については、そこまでまだ交渉はやっておりません。
○永田委員 もういいです。
○高瀬委員長 穗積七郎君。
○穗積委員 実は私は、航空行政または航空業務については全くしろうとでございまして、愚問を発することがあろうと思いますけれども、御親切にひとつ御教示をいただきたい。と申しますのは、実は私ども外国へ出まして、戦後日本の航空業務というものは、制空権並びに営業権ともに剥奪されておりましたために、非常な立ちおくれになって、それにいささかならされておる感を持たざるを得ないのであります。したがって、きょう参考人として御出席いただました趣旨は、政府も議会も与党も野党も、あるいは直接の業務の責任者も、これは前向き一体になってわが国の国際航空の業務の発展を実現しなければならない、そういう意味でお願いしたわけです。きょうは松尾さん、御不快のところわざわざおいでいただいて感謝いたしますし、なお、この協定についての法律上あるいは外交折衝上のいろいろの問題点があると思いますけれども、きょうは御不快でもありますから、特に松尾社長に対してお尋ねしたいと思う点になるべくしぼりまして、関連をいたしました点については、政府の答弁をいただきたいと思いますけれども、政府に対する質問は次の委員会の審議に譲りたいと考えております。また永田委員から非常に重要な点について御質問いただきました。これはだれが質問いたしましてもけっこうなことでございますから、残されたと思う点について補足の質問をいたしたいと思っておりますから、簡単明瞭にひとつお答えをいただきたいと思っております。 前置きはそれぐらいにいたしまして、実は私はかねてモスクワヘ、野党でありますが参りましたときに、例の原油のパイプラインの問題とかいまの航空の問題が話題に出まして、いささか事情を漏れ承っておったのですが、先般この委員会におきましても、昨年であったかと記憶いたしますが、他の国との航空協定の場合に、ソビエトとの間は次善の策として東京−モスクワで共同運航でも踏み切ったらどうだということを政府に向かって強く主張いたしたことがございます。それがようやく実現をしたわけですが、これは先ほどからお話しのとおり、まさに完全に願望が達せられたのではなくて、反面非常な危険を含む、やりようによっては半歩前進だ、その上に積み重ねられるか積み重ねられないかが大きな問題だと思うのです。 その第一は、先ほど永田委員も御指摘になりましたように、暫定協定に伴う共同運航という非常な変則的な、そしてある意味ではわが国としては、参考人も御指摘になったように、東西南北のちょうど交差点に立っておる日本の航空上の地位というものをヨーロッパ線へのメイン・ストリートとしての東京−モスクワ・ラインというものは、ややともすると、われわれの日本の航空業界が持っておる可能性を非常にゆがめられて、抑圧される危険があるのではないか。そうなりますと、われわれとしては、ぜひ二年間の期間以内に協定に示されたとおり、ソビエトが非常な善意と理解を示しまして、本来の相互乗り入れによる自主運航を私は実現されることを期待いたしております。しかし問題は、反面も考えておかなければならないわけですが、そこで協定文を読みましても、「了承」は、われわれもそう思いますが、あくまでも道義的な了承であって、政治的なオブリゲーションはないわけですから、その場合に立ち至ったときに、向こうの態度がわれわれの期待どおりの了承が実現になればいいのですけれども、ならぬ場合をわれわれはいまから考えておく必要があるのじゃないかというふうに思うわけでございます。 そこで政策上の点ですから、松尾社長にお尋ねいたしますけれども、もしそれが二年以内に実現しないというときには、このままの暫定期間を延長して、その次の将来に解決することに期待をかけて、共同運航を継続するか、そこで一ぺん打ち切って、座敷を変えて、あらためて本協定、すなわち相互乗り入れによる自主運航をかちとる、そういう二者択一になろうかと思うのです。そのときに企業の責任者としてはどちらをお選びになろうとしておられるか。また、どちらの態度をとったほうが日本の航空業の将来の発展のために有利とお考えになっておられるか。その点を率直に伺っておきたいと思います。
○松尾参考人 業務協定は一年ごとに切れることになっておりますので、二年やりまして、どうしてもソ連側に誠意がないというようなことでありますれば、日本航空の経営の責任者としては、会社としては打ち切りたい、そういうふうに考えております。そうすることが、将来本協定が開設される際にも非常にあずかって力があるのじゃないか、こういうぐあいに考えております。ただこれは日航だけがそう考えておりましても、あるいは国会の皆さん方、あるいは関係官庁がそれに同意していただかないとできないことでございますので、日航としては、そういう態度で進みたい、こういうぐあいに考えております。
○穗積委員 私は、きょう冒頭に参考人が陳述されました原則にのっとった協定を確立することがすべての出発の早道であり、かつ有利なことであるという強い主張をなさって、かつて対米交渉の場合におきましてもはなはだしく不平等なことが要求された場合には、日米航空協定廃棄もやむを得ない、そのほうが早道であり、日本のために利益になると確信するという、野党なり批評家としては言い得ることですけれども、当事者としてはなかなか言いにくいことを英断を持って言われたことに、私はひそかに当時の新聞報道を見まして、あなたに敬意を表しておったわけですが、いまのことで大体わかりました。 そこで、実はそれに対して政府、これは外務省並びに運輸省ですが、どうお考えになっておられるかを伺うべきですけれども、先ほど申しましたように、この問題で政府に対する質問は次の機会にいたしまして、おもに参考人に対する質問を前へ進めたいと思っております。これは外務大臣並びに航空局長もお耳にとめておいていただきたいと思います。お考えは次のときに伺いたいと思っておりますから。 それからもう一つ次の問題としては、共同運航のことでございますが、これはいままでの国際協定の中にも、またわが国の国内法の中におきましても、全く予想せざる一つの法律概念だと思うのですね。新しいケースであるわけです。そこでこれは法律上のことでございますけれども、当事者である日航としてもお聞きおきいただいたほうがいいと思うので、この際政府にお尋ねするわけですが、この認可する場合は一体どういうことになるのか。共同運航はアエロフロートと日航の共同になるわけですが、この場合は、その両国の政府から、コンバインしたものに認可をおろすのか。両国の政府が二つの航空企業体に対してそれぞれ認可をおろすのか。これは法律上はどういうことになりますか。これはなぜかといいますと、先ほど永田委員も心配されたように、あと暫定運航期間中におきましても、日航の主体的な権利義務関係、それから乗り組み員並びに駐在員の権利義務関係に影響をいたしてまいりますから、それであらかじめ私は伺うのです。政府は一体それについては国内法並びに他の協定等から見まして、この場合は初めてのケースですから伺うのですが、その認可権は両政府が持って、そしてそれにコンバインしたものにやるのか、一方にやるのか、あるいは両方にやるのか、どういうふうなことになりましょうか。
○佐藤(光)政府委員 先生御指摘のように、今回の暫定的に行ないます共同運航は、非常に異例な運航でございます。したがいまして、私が担当しております日本の国内法の関係についてどういうふうに適用するかというお尋ねに対してお答え申し上げたいと思いますが、今回の共同運航につきましては、日本側の指定航空企業である日本航空に対して、先ほど永田委員の御質問に対して触れましたように、航空法百条に基づく免許を与えるわけでございます。同時に航空法百二十九条に基づきます外国人国際航空運送事業の許可というものをアエロフロートに与える。つまり一つの共同運航行為に対しまして、日本航空に対しましては免許を与える、アエロフロートに対しましては外国人国際航空運送事業の許可を与える、こういうような法律的な形をとって、国内法上の行政措置をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○穗積委員 私、実はソビエト側の国内法の内容をよく心得ておりませんが、ソビエト政府からはどういうことになりますか、ソビエト政府からの業務許可というものは。
○佐藤(光)政府委員 ソビエト政府の国内上の措置は私どもは直接関知をいたしておりませんが、先生御承知のように、この航空協定、こういうような形で相互運航することを、しかも協定の内容といたしまして、アエロフロート、日本航空をそれぞれ明文の規定で指定をいたしておりますので、協定上それぞれこういうような運航をすることについての権利を与えられる、こういうふうな形になるわけでございます。
○穗積委員 これは外務省にお尋ねしたほうがいいと思うのですが、アエロフロートはさっき言ったようにソビエト政府の実務機関みたいなところでございますから、そのことを私は問いません。ところが日航の法律的地位、どういう法律に準拠をしてどういう地位を与えるかということは、将来問題になると思うのです。その点はどういうふうに御理解になっておられましょうか。
○北原政府委員 ソ連政府がどういう国内手続をとりますかは、私不幸にしてつまびらかにいたしておりませんが、私どもの立場から見ますれば、ソ連政府は日ソ航空協定に基づいて国内措置をとるということで私どもは理解しておればいいのではないかというふうに考えております。
○穗積委員 この問題はもうちょっと詰めておいていただきたいと思うのです。なぜかといいますと、先ほど永田委員も指摘いたしましたように、共同運航ですから、終戦後日本がアメリカの航空会社の代理店式なことをやっておったのとは違いまして、立場は相互対等でございましょう。そしてその業務に対しての共同責任者の一人であるわけですね。ところが向こうの飛行機、向こうの乗り組み員をチャーターしてやるわけですから、実務的に見ますと日航そのものの立場は、機内の乗り組み員等を提供はいたしまして、補助的な協力はいたしますけれども、実際をいいますと、経済的にいえば、東京からモスクワを通ってヨーロッパへ行くお客、貨物のエージェントですね。それを局長は悪と言われたわけですけれども、それがいろいろのチャーターの問題なり、運航の回数の問題なり、運賃の問題にことごとくあらわれてきているわけです。したがって、ソビエト政府によって日航株式会社というものが対等の立場でのどういう法律的根拠によってそのシチュエーションが与えられておるかということは、これは先ほど言いましたように、国内法のことでつまびらかでないでは実は済まぬように私は思うわけです。ですから、その点はよくお調べになって、次の審議のときに明確にしていただきませんと、私どもとしてはいささか審議の責任が果たせないように思います。これは何か事が起きたときに法律的にも問題になるわけで、そういうことを望むわけではありませんが、私はあとで特に外務省にお尋ねしたい。駐在員、それから日航の会社そのものとしての特権の問題、これは必ず出てくるにきまっております。それを相互平等で、国際関係の法律はこの協定でよろしい、あるいはまたその他の国際条約の慣例等も参考になりましょう、これはソビエトが入っておろうがおるまいが抗弁の基礎になると思うのです。たとえば賃金にいたしましても、国際慣行上合理的なものという国際慣行を尊重する精神がこの協定の中へ入っておるからいいと思うのですが、国内法上は、一体いかなる法律を根拠にして、いかなる地位が与えられるかということは、われわれとしては初めての国、しかも社会制度、法律制度の違う国へ日航という法人並びにその社員が出るわけでございますから、これはやはり明らかにしておいていただきたいと思います。これは第二の宿題にいたしておきましょう。 それから、先ほどの二年間にもし実現しない場合にということについて、ちょっと一つだけ、松尾社長がおられる間に政府の答弁を求めておいたほうがよかろうと思います。 一つだけ前に戻りましてお尋ねいたしますが、先ほど本協定に一年間の事前通告がありますし、商業上の取りきめについては一カ月前の通告がありますが、それによって日航が共同運航の取りきめを一カ月前に通告をして廃棄をした場合に、この本協定そのものが失効することになりますか。それとの関係はどういうことになりましょうか。つまりそのことはこの協定と不可分ではない交換公文の中に出ておるわけでしょう。そしてこれは外務省もその理解ですから、これは参考資料として出ておるのであって、審議の対象になってないのですよ。そういうことになりますから、もし業務協定を日航が一方的に廃棄したときに、本協定との関係はどうなるかということ、これは政府間のオブリゲーションもはっきりしておるものですから、それとの関連がどうなるかということが一点。本協定におきましては一年前の事前通告によって廃棄、こういうことになっておるわけですね。 それからもう一つ続いてお答えをいただきたいと思うのは、条約の三条の五項だったと記憶いたしますが、一方の締約国は決定された航空路に満足しないときは、指定航空企業による協定業務を停止する権利を留保してあるわけですね。いま申しました三つの規定がここに出てきておるわけです。つまり政府の関係のない民間の商務協定に対する廃棄通告と、それから本協定の廃棄通告、それからこの第三条の五項、停止規定でありますが、この点はちょっとはっきりしておいていただきませんと、日航さんがこれでもうやめた、新しく協定をし直す、それについて政治的にどう判断するかは別ですけれども、法律的には一体どうなるかということです。それによってこの協定全部が廃棄されることになるか、ならぬか。そうすると本協定を予定するおよそ二年間を目途とする暫定協定になっておるわけですから、その暫定協定並びに本協定は一体どうなるのかということですね。そこで食い違いができますと、日航さんの意見をわれわれがもし支持するとしても法律上はできがたい。政策上の判断の問題ではなくて、法律上はどうなるかということです。そういう業務協定の一方通告による廃棄によってすべての政府間のオブリゲーションまでわれわれは免除されることになるか、ならぬか、そしてこれは全部ブランクに返ることになるかどうかということです。
○大和田説明員 先生の御質問の第一点、つまりこの交換公文に基づいて行なわれる商業上の取りきめの有効期間の満了の一カ月前の予告で廃棄できるという点でございますが、これは交換公文だけの効力がなくなるわけでございます。したがいまして、協定本文、それから議定書、附属書、それは全然影響を受けないわけであります。法律的な点はそういうことだと思います。
○穗積委員 そうすると、どういうことになりましょうか、あと事実関係は。
○大和田説明員 事実としては協定そのものは残っております。議定書も残っておりまして、議定書には暫定運航という考え方だけが出ておりまして、その内容をなす両国政府間の合意というものはない状況になります。現在の状況は、議定書に基づきまして、暫定運航の内容としまして共同運航ということをこの交換公文できめているわけでございますから、一カ月前の予告でこの交換公文の効力を停止するという措置をとりますと、議定書は生きているわけでございますが、この交換公文は効力を失った状況ということになると思います。
○穗積委員 ついでに三条五項のことも言ってください。
○北原政府委員 ただいまの大和田参事官の御説明をちょっと補足させていただきますが、交換公文が失効した場合の状況はいかんという御質問に対しまして、本協定はそのまま存続している。本協定のたてまえは、あくまでも単独相互の乗り入れをたてまえといたしておりますので、本協定の実施を可能ならしめるための両国政府間の協議ということが当然その際出てくる問題だろうと思います。 それから三条五項の問題でございますが、これは技術面は航空局長にお願いいたしますが、要するに領域内に入りましたときに航路を指定するということになっております。現在各国の航空機に対してやっておるとおりでございます。おそらくこういう問題は起こらないと思うのでございますが、あるいは起こり得るかという非常な疑心暗鬼の上に立脚した上での一つの安全弁でございまして、実際にはおそらく問題となりますのは防衛関係の施設の上を避けるという問題だけだろうと思います。それを予想いたしました一つの安全弁と申しますか、そういう規定でございます。
○穗積委員 おっしゃるとおりだと思います。交換公文は失効いたします、交換公文並びに商務契約は失効いたします、それだけにとどまる。ところが本協定は相互乗り入れを原則は認めておりますけれども、有効である、生き残るところの議定書の中ではこれは暫定協定というものをうたっておるわけでしょう、これは生きておるわけですね。そうなりますと、日航としては好ましからぬ商務契約だというのでこれを一方的に廃棄して、そのことが直ちに相互乗り入れを実現するための重大なてこになるというふうにお考えになっておるかどうか。私、社長に伺いませんが、そういうふうにしたいというお考えだろうと思うのです。ところがそれは交換公文が失効するだけであって、本協定並びに議定書は残っておる。議定書の中には暫定協定、暫定運航のことがちゃんと明記してある。それも生きておる。そうなりますと、商務契約に伴う不満を理由として暫定運航まで原則として一ぺんに白紙にしてしまう、そうして相互乗り入れの原則だけが生き残っておる、そうはいかぬと思うのです、このたてまえでいうと。私の法律常識からいけばそうだと思うのです。そうなると、いままで結んでおった商務契約は不満足であっても、それは一年の期限だから結び直してもけっこうだ、結び直すけれども暫定運航については、さっき言ったように、こっちの願望は、向こうは了承はしておりますが、オブリゲーションはないわけでありますから、そのたてまえは生き残っておるから、継続して満足のいくような商務契約の内容については話し合いをするけれども、暫定運航のたてまえの中で交渉に応じてもらいたいというときに拒否する権限はない、こういうことになりはしないかということをちょっと心配するわけです。どうですか。
○大和田説明員 法律的に申しますれば先生のおっしゃるとおりでございます。ただ先ほど、私もそんたくして申し上げるのでございますが、松尾社長がかりに商務契約を破棄して、それをてこにというニュアンスのことをおっしゃったと思いますが、その意味は、先ほど「強い希望を了承する」ということばの解釈といたしまして、道義的あるいは政治的責任は追及できる、しかし法律的にはできない、その道義的、政治的な追及のてこではあるまいかというふうに私考えております。
○穗積委員 そのとおりです。そうなりますと、道義的了承はしておるから、二年間にやろうと思ったが、できなくなったというエキスキューズを向こうは盛んにやるでしょう。そして向こうが有利だと見て、これはそのまま共同運航を確保しておいたほうが得だということであればそれで押してくる。すなわち、延長に引っぱっていく可能性がある。だから、においだけかがされて、食い逃げをくらったようなかっこうにならぬとも限らぬ。私はソビエト政府を疑うわけじゃありません。疑うわけじゃありませんが、交渉の第一の焦点がそこにあったということがるるこの経過の中で報告されておるわけです。しかも、了承ということばは、むろん私は法律的なオブリゲーションを相手に負わしていないと解釈いたしておりますし、向こうの腹もそういうふうに読めるわけです。おそらく、これから開いて二年の間に日航に自主運航を認めるよりは、共同運航を継続したほうがソビエトにとって有利だという事実関係、経済上の関係が出てくる。これはあとでまたお尋ねしようと思うのですが、モスクワ線に東京から乗り込む人は、日本人、外国人ことごとくヨーロッパ線が少なくとも多数のパーセンテージを占めはしないかと思う。当初は別ですよ。そうなりますと、先ほど言ったように、共同運航の責任の対等、平等の主体者の一人は日航であるけれども、日航にはチャーター料をとって、こちらの飛行機だけで運航をして、そして客を引いたものはこっちの利益に入ってくる、経済的にこういう仕組みに——私は経済のことは弱いのですけれども、仕組みがそういうふうになっていて、いかにも粘ったということがそういうところに根拠がありはしないかということを私は推測しておるわけです。そうなりますと、法律的にはこれはすなわち暫定運航が白紙になったのではないのですよ。交換公文だけは失効いたしました、そのようなことは関係ない、また商務協定は失効いたしましても、そんなものは関係がない、あくまでもこっちは商務協定を廃棄してしばらく交渉期間をかせぐだけであって、その暫定運航のたてまえに立って交渉しなければならないオブリゲーションだけが残っておる、こういうことになるわけですね。外務大臣、あなたは署名なさったんだけれども、どんなものでしょうか。そこのところは大事なところなんですよ。これは法律上のことはいまおっしゃったとおり、まるで抜け穴になっておるわけです。あとは政治的な問題だけにかかってきておるわけです。
○椎名国務大臣 御指摘のとおりでございます。向こうの誠意を疑ってかかると、どうもあぶないところだらけですけれども、そこまでは疑わずに、向こうも誠意をもってこの問題に対処してくるもの、そういう信頼感を持ってこれを締結したわけです。
○穗積委員 それはいまの道義的なお答えであって、私もそう思いたい、またそれを期待いたしております。しかしながら、これにこれから社運をかけて乗り込む業者の責任者にとっては、この問題はちょっと大事な問題ではないかと思うのです。これ以上のことはなんですから、きょうは松尾さんに対する質問におもに集中して先に進みたいと思います。これは宿題として次の機会にぜひお尋ねいたしたいと思います。大臣も大体お見通しを立てて署名なさったと思いますので、もう少し親切に腹のあるところをお聞かせ願いたいと思っております。 共同運航の法律上のことは宿題として、経済上のことについては、チャーター料、それから運賃、それから保険料、それから事故の責任の問題等々、この重要な問題は全部未解決だということでありますから、したがって先ほどの永田委員のお尋ねで大体尽きる、要望もわれわれと全く一致いたしておりますから、これはぜひ御健闘を期待いたします。 ただ一つ社長にお尋ねいたしたいのは、これのチャーター料のきめ方、運賃のきめ方、それから収入配分のきめ方によりまして、永田委員も指摘されたように、いま日航の運航しておられます北回り線との関係が直ちに生じてまいりますし、そのトータルによる利益はどちらが多いかということを判断してきめなければならないと思うのです。そうなりますと、運航の回数が問題になるでしょう。漏れ承ると、週一回というお考えのようですが、これは向こうとの話し合いにおきましては、こちらが承諾しないのに相手方の希望によって回数をふやすということはあり得ませんね、どういうものでございましょうか。
○松尾参考人 週一回にわれわれはやりたいと考えております。それは、北回り欧州線で御存じのとおり週五往復やりまして、始めてもう五年くらいになりますので、相当の収益をあげて基礎ができました。これに悪影響を及ぼすような便数をふやすことは営業上好まぬのでございまして、本協定が実施されまして、だんだんこちらにお客がふえてくるに従いまして、北回り欧州線の便数を順次減らしていって、東京−モスクワ−ヨーロッパ線というぐあいにやっていきたい。将来北回り欧州線は全部やめたい、こういうように思っております。暫定協定の間は週一往復でいきたい、こういうぐあいに思います。それは北回りに非常に影響を及ぼすということが一つの大きな理由になっております。
○佐藤(光)政府委員 運航回数につきましては、協定七条の規定によって両航空当局間の合意を必要といたします。
○穗積委員 それは直接交渉に当たられるのは日航でございますし、日航の回数決定の基礎はコマーシャルベースだと思う。われわれとしてはその点をはずれないことを期待して聞いたわけですから、それだけにいたしておきます。
○松尾参考人 ちょっと御参考までに申し上げておきますが、日本航空の国際線の収入の各路線別の比率を申し上げますと、太平洋線四八%、北回り欧州線が一八%、南回り欧州線が一四%、東南アジアが一六%、それから京城四%、こういうぐあいに大体考えておりますので、この比率からいきましても、北回り欧州線は太平洋に次ぐ大きな比率を占めておりますので、これに非常な営業上の影響があることは経営上望ましくない、かように考えております。
○穗積委員 これは釈迦に説法でたいへん何ですが、しろうとの願望としてお聞きください。 それはどういうことかと言いますと、暫定運航中は北回り線を害しないことが、運賃にしても、回数にいたしましても、期待されるわけです。ところが、先ほど冒頭の陳述で松尾参考人がおっしゃいましたように、これはヨーロッパ線にとりましても、いままでよりははるかに有利な、将来ゴールデン・ラインになる可能性がある。したがって、それがトータルの収入におきまして、現状よりマイナスにならないように、北回り線からメーンストリートへ移行していくということが望ましいわけでございましょう。したがって、そういうふうに考えますと、暫定運航中は北回り線のお客を減らさないために、ある意味ではやや高くてもかまわない。将来に期待をかける。それで自主運航になりましてから料金をダウンすれば、北のほうは将来廃線になってもかまわぬくらいみなこっちへ来る。しかもわが国はこの協定で優先権を持っておりますから、このゴールデン・ラインに対するイニシアチブがとれるということです。環境の変化によりまして、あるときは前半においては料金は高く、自前になったときは料金は安くダウンするということが、つまり早くて安いということがこれは当然なことですから、メリットになるわけですから、その移行を困難ならしめるようなことは、手のひらを返したような態度の豹変というものは、国際的にちょっとまずい、変わり身を困難にならしめる事情を生じはしないかという点をしろうととしては心配するわけです。共同運航のときは高い運賃でこっちの客が来ないようにかきねを高くしておいて、自前の運航になったらこっちへ引っぱるために急速にダウンするということは、これは相手国ソビエトに対しましても、その他の協定諸国に対しましても、いささかエゴイズムのそしりを受ける心配がありはしないかということもちょっと懸念されるわけです。これは質問というよりはむしろしろうとの危惧としてお聞き取りいただいて、要望を兼ねて申し上げておきたいと思うわけです。 それから次に、いろいろありますけれども、おもに政府に次の機会にお尋ねすることにいたしまして省略いたしますが、お尋ねいたしておきたいことは、大事な問題の一つとして、収入配分の原則でございます。 これはこういう完全な共同運航という例はなくても、たとえばエールフランスとか、その他の国々との提携がございますね。エールフランス、アリタリア、ルフトハンザ、それからインド航空でございますか、これらは程度は違いましても、提携業務が行なわれておるわけでございましょうが、こういう場合における利益配分の一つの基準といいますか、原則というものがあろうと思います。これは場合によって各国別々の契約でありましょうから、こういう公開の席では言えないというような事情もあるいはおありになるかと私どもしろうととして推則いたしますけれども、もし差しつかえがなければお伺いしたい。私どもが外国に行ったときに小耳にはさんだところによると、この配分の比率というものは、座席比率が大体基準にされておるようなことも漏れ承ったことがありますが、もしそうでありますならば、ソビエトとの場合においての利益配分のスタンダードというものは、そういう点に求むべきではないか。それは国際慣行による云々ということで、ソビエト側も条文の中で認めておるわけですから、その点、われわれ原則を持ちませんと、より多いほうがいいという話では、どうも理屈が通らないように思うわけです。 私のお尋ねしたいのは、いまの収入配分について、程度は違いましても、いままで業務提携をしている諸国の会社との基準というものを、もし差しつかえなければお示しいただいて、それとのバランスをとるべきではないか。こういうことをお尋ねしたいわけですが、いかがなものでございましょうか。
○松尾参考人 プールオペレーションのやり方はいろいろございまして、いま先生のおっしゃったように、座席配分というやり方をやっております。それから、たとえば三社でプールオペレーションをやる場合に、たとえば日航とエールフランスとやった場合は、座席配分で大体一対一と申しますか、対等の力ということでやりますけれども、かりに第三の航空会社が入ってきて、同じ路線を三社でプールをやる場合は、第三に初めて入ってきた会社は、それだけの販売の基礎がないということから、一対一には見ない、〇・八にその力を見ていくというような、いろいろな話し合いによりまして、利益配分をやっております。 ただ、東京−モスクワ間は、同じ路線を同じ座席数の同じ飛行機でやるわけですから、ほかの同じ路線をやっている会社とちょっと事情が違いまして、北回りの欧州線は最短コースの欧州線ですから、北回りが非常に影響を受けることは事実なんです。そうしてモスクワまでのお客だけではない。モスクワを通って欧州へ行くお客というものは非常に多いわけです。したがいまして、利益の配分というものは五〇・五〇ではまずいということをわれわれは言っておるのでありまして、あるいはその内容につきましてわれわれが話し合いをしておりますのは、東京−モスクワ間のお客に限っては五〇・五〇でもいい、そのかわり東京からモスクワを経由して欧州に行くお客さんについては、これは全部日航の収入にしたらどうか、それから今度は、モスクワから東京に来て、東京からアメリカあるいは東南アジアに行くお客さんについては、これは全部アエロフロートの収入にしたらどうかというような論議も実はしております。私は何とかこれはまとまるのではないかと思う。そういうお客の目的地のいかんによって配分を変えていくというようなことも一つの方法ではなかろうかと考えております。 実際は東京からモスクワを経て欧州に行くお客さんが非常に多いのです。それは、従来ならば、おそらく北極回りの欧州線に、これは日航だけでなく、そのほかの航空会社の定期便に乗られる人もあるでしょう。ナホトカまで汽車で行って、ハバロフスクからソビエトの航空機で行く人もあるかもしれない、そういうことをいろいろ出しまして、検討をしておる実情でございます。
○穗積委員 実は、今度はソビエト機をチャーターするわけですから、その機種とか性能とか安全性とか、それからもう一つは、先ほどちょっと基本的な法律的地位について触れましたが、相手国に対する相互の駐在員の法的な地位といいますか、権利でございますか、そういう点をちょっとお尋ねしておきたいと思いましたが、時間がだいぶ過ぎておりますので、これは次の機会に、社長がおられぬのは残念ですけれども、政府にお尋ねする、そういうことにいたしたいと思います。 それで、あと社長にちょっと、政策上のこまかいことを聞くのは大人にたいへん失礼ですから、大まかなところをお尋ねしたいのですが、あと三つの問題についてお尋ねしたいのです。 一つは、対米問題に関連いたしまして、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、路線変更の付表変更の交渉の中で、対等、平等になっていないという点にわれわれはいまだに強い不満を持っておるわけです。たとえばある線は廃止される、ある線の以遠権は制限を受ける、そして向こうは無制限な以遠権を要求する、こういうようなことになっておりますことに対してはなはだしく不満に思っております。これの改善に対する抱負とか、めどというものを一点お尋ねしたいと思うのです。
○松尾参考人 最初に私からも申し上げましたが、世界一周路線の権利というものは、御存じのとおり、たいへんな権利でございまして、これを取るためにある程度の既得権益を譲歩したとかということはやむを得ぬのじゃないか、こういうぐあいに考えております。 それからわが社にとりましては、先ほども申しましたとおり、太平洋の国際線における収入というものは四八%でありまして、あそこの収入の五%の増減が非常に収益に影響するわけです。太平洋は、御存じのとおり、いままで大西洋その他に比較しましてわりあいに競争が激しくない、温存されておったゴールデン・ライン、こう思うわけであります。しかし、いつまでもそういうわけにはいかない。日本航空がよそに進出していきますと、その代償としてやはり太平洋というものはほかでもたくさんねらっておりまして、将来非常に競争が激しくなるということはわれわれも覚悟しておるわけであります。そのためにはどうしても日本航空の太平洋における競争力を強めていくというほかに道はないのじゃないか、こういうぐあいに考えております。そのためには、私たちもできるだけ早い機会に増便していく。それで四十一年度では、大体一週間に二十やりたいというぐあいにも考えております。そういうぐあいにやはり太平洋で他の第三会社が入ってこない前に、そういう競争力の素地を、できるだけ早く増便をしてつくっていくということが唯一の対抗策ではなかろうか、こういうぐあいに考えております。いま条約を直せといっても、なかなか直るものではございません。要は競争力を強めていく、こういうことでないといけないと思います。
○穗積委員 私どもは一歩竿頭を進めまして、条約の改正、改善を期待したいと思いますが、この問題は政府の問題でもありますから次の機会に譲りまして、きょうはやめます。 次に、お尋ねいたしたいのは、これは私がかねて考えておることでございますが、先ほどおっしゃいました今度のヨーロッパ線へのルートとして東京−モスクワ線を開設というのは、日本航空業にとって非常なメリットである、こういうお話でございましたが、さらに考えますと、東京−北京−モスクワあるいはヨーロッパですね。北京からフランスやパキスタンも特別な関係にあるわけでありますけれども、ヨーロッパ線のことを考えてみますと、東京−北京−モスクワ−ヨーロッパ、それから東京−北京−ヨーロッパ各地ということが考えられる。そうなりますると、これこそ一番の最短距離になりますし、それから将来の展望を見ますと、これこそがわが国にとって太平洋線と同様にゴールデン・ラインの一つになり得るのではないかというふうに考えられるわけです。ところが外交関係が御承知のような状態でありますから、これはいささかあきらめたようなかっこうにはなっておりますけれども、こういう不自然なことが許されるはずはないと思います。そこからあとの話は、これは政治上の問題になりますからあなたにお尋ねしようとは思っていないのです。やり方としては、たとえば国交回復前の日本と韓国との間において民間業務協定の形式で、これが事実上運航されたという形で、中身は違いますけれども、そういう形もあり得たわけですから、国交未回復国といえども、状況によっては可能性もある。そうしてまたそういうことに関連を持ち、そういうことを実現することに日本の航空業界が許される限り可能な範囲のアクティビティーを示すということが、将来この門戸が開けましたときに、今度の東京−モスクワの例に見るごとく、わが国の優先権またはイニシアチブが確立し得るのではないかというふうに私は思うわけでございます。そういう点については、フランスと中国との関係、パキスタンと中国との関係、その両国はわが国とも協定があるわけでありますから、これをいつまでもシャットアウトすることはできない。日本がやらないならば、フランスがパリ−北京−東京という問題を提示してきたときに、これは合理性のない理由によっていつまでも拒否し続けることは不可能だとすら思うわけです。そうなりますと、東京−北京−ヨーロッパ線においては、いまのところの状況においては、こちらがやらなくとも、ヨーロッパの他の国がこれに対してイニシアチブをとる動きをする可能性もあるということでありますから、したがってわが国の航空業界としても、この問題に対しては重大な関心を抱かざるを得ないし、そしてまた、いま言いましたように、許され、かつ可能な範囲におきましては、何らかのことを考えておく必要があるのではないか、そういうふうに私は思うわけですが、いろいろ広い識見で将来のことを展望しておられるあなたのことですから、この問題に対しての感想程度でけっこうですが、承っておきたいと思います。
○松尾参考人 非常にむずかしい問題で、デリケートな問題でありますが、いずれにいたしましても、東京を中心とした共産圏への未開発の航空路線は非常に魅力があるわけでして、おそらくわが社だけでなくて、外国の航空会社もそうだろうと思うのです。私たちもそういう意欲、考えは大いに持っておりますけれども、これは一にわが国の政府の方針に関するところでございまして、その方針がきまりさえすれば私たちは即刻でもやりたい、こういうぐあいに考えております。ただ、暫定的に東京−ハバロフスクというようなことでなくて、やはりモスクワ−東京というような形で、東京−北京が主題である。ところが最近中共とか日本内部で九州−上海とか九州−天津とかいう路線をつくりたいという考え方があるが、これは航空協定の本質に反するからだめだ、これはやはりそういう筋を通した方向で検討すべきだ、こういうぐあいに考えております。
○穗積委員 私たちも原則については大体同じでございます。あくまで東京−北京という原則はくずすべきではない。最近九州から上海であるとか天津であるとか、いろいろ考えを持って願望を示しておられる向きもあるようですけれども、やはり道を開きますときにはきちっとした原則によって動きませんと、それが早道のようでかえって固定する危険があると思いますので、せっかくの御検討を期待いたしておきます。 最後にお尋ねしたいのは、先ほどからも出ましたが、航路の問題だけでなくて、経済力の問題が、日本の航空業界の立ちおくれの一つの大きな原因になっていると私は考えます。これはむしろ外務委員会の問題というよりは、運輸委員会で国内政策として論ずべきですけれども、やはりこれはあくまで国際航空でございますから、国際的な一つの視野あるいは認識に立ってやりませんと、なかなか踏み切りがつかぬと思うのです。それで実は運輸省に求めまして、おもなる各国の資本金と年間の収益をちょっと表を出していただいたわけですが、これはあなたにお示しするまでもないことで、十分御研究のことと思いますが、これで見ますと、資本力も非常に弱い上に、資本と収益との関係は、公称資本と収益との関係は日航よりはるかに収益、効率をあげておる各国の主要航空会社があるわけです。たとえばSASのごときは百三十三億で六百十八億という年収をあげておるわけです。こういう例はありますけれども、これは一つは経営の問題と、それからもう一つは路線の問題があるのではないかと私どもしろうとながら推測するわけです。やはり路線の問題だけでなくて、経済力の強化というものは、これは国際航空のわが国の仕事を発展せしめるために一つの大きな基礎になるのではないかと強く思うわけです。 それで私は、航空審議会がいまいろいろ審議しておられるようですが、それについてしろうとからいろいろの意見を具体的に言おうとは思っておりませんけれども、いずれにしてもヨーロッパ諸国の例——アメリカの例は日本の参考にならぬと思うので、ヨーロッパ諸国の例を見ますと、たとえばBOACにいたしましても、ルフトハンザにいたしましても、単一会社にいたしまして、国家から一〇〇%または一〇%に近い出資をもって経営は自主的に、自由にやる、こういうことになっておるようでございます。この点は松尾さんにお尋ねするのは必ずしも適当ではありませんけれども、これができる、できぬは、政府の態度によると思うのですが、これらの点についてはまた次の機会にお尋ねいたしますけれども、経営者の立場からごらんになって、この点についてはやはり統合強化、そして政府の協力、支持というものがもっと強化されなければならないのではないか。特にドイツのごときがわが国に先んじましてのし上がってまいりましたときを見てみますと、政府の力の入れ方が違うわけです。こういう点は見落とすことのできない一つの欠点ではないかというふうに思うわけです。その点について経営の責任者の立場にお立ちになってみて、この問題をどういうふうにお考えになっておられるか。 そうしてその間、一つは、政府からの出資金の問題と、それから補助金の問題ですが、漏れ承りますと、今年度予算におきましては、日航が黒字であるということを理由にして、補助金が打ち切られておるように伺っております。これらのことは、ひとつ運輸省から経緯と今後の方針について伺っておきたい。というのは、先ほどおっしゃいましたように、モスクワ線が開かれる、それからニューヨーク・ビヨンド線が開かれるということになりますと、これは一方は稀薄であり、一方は過当競争によって、当分はサービス過剰になって、そうして経費に見合う収入がないということが当然考えられるのではないかとしろうとながら推測するわけです。多少の赤字を覚悟で、競争にうちかっことをしなければならない。そこに弱小資本によって国際競争に臨む者の非常な苦しさがあるわけですけれども、この点は一体どういうわけでこういうことになったのか、そうしてまた将来はどういうふうにお考えになっておられるのかということで、資本強化の経済的基礎の強化の問題について社長から、それから政府の助力について運輸省から、それぞれ、これでもう終わりますから、ひとつ率直な御意見を参考のために聞かしていただきたいと思っております。
○松尾参考人 御指摘のとおりでございます。日本航空が新しい路線を伸ばすなりあるいは便数をふやしませんと、総収入、売り上げが上がらぬわけでございます。しかし、便数をふやすためにも、新しい路線を開拓するにいたしましても、相当の資金が要る。そうして便数をふやします場合、特に必要なことは、損しては便数はふやせないわけですから、輸送原価が問題になるわけです。輸送原価が外国並みに安くなりまして、いわゆる損益分岐点が低ければ低いほど増便がしやすいわけでございます。ところがわが社は、だんだん合理化をやりまして、損益分岐点は毎年だんだん下がってはきております。下がってはきておりますけれども、アメリカが一番低いのですが、アメリカあるいは欧州に比較しまして、まだ若干高い。その輸送原価、いわゆる損益分岐点がなぜ日本航空が高いかと申しますと、その原因には三つぐらいございますが、一つは、これはほかの企業でも同じですけれども、金利が、利子負担が日本航空は非常に大きいということ、これが損益分岐点の高い一つのファクターになっていると思います。それから戦争に負けまして、非常に長い間ブランクでありまして、その間飛行機はどんどん進んできたというので、その間日本には空軍もない、空軍と民間航空との関係も全然ない、こういう関係からいたしまして、乗員の訓練費に非常に多額の金を要する。これも毎年二十数億わが社は使っておるわけですが、これが将来三十億になり、当分の間ますますもっとふえていく。そういうのが輸送原価のコスト高に非常に影響してくるということ。それからもう一つは、油がわりあいにアメリカあたりに比較して高い。これはわが社の路線構成に非常によると思う。たとえば東南アジアとか南回り欧州線、ああいう後進国に主として路線を持っておりますけれども、そういうところは原油はありますが、精製油がない、運搬費が非常に高いのです。そういう点で欧州やアメリカ、特にアメリカに比較しましてはそういう燃料費が割り高である、こういう三つの理由で輸送原価が高いということはございます。 第一の利子負担を非常に安くするためには、やはり政府出資が必要なわけです。相当借金をしておりますけれども、やはりアメリカから借金しても、国内の債券にいたしましても、社債にいたしましても、金利が高い。たとえばパンアメリカンあたりでは、この間四百人乗りのボーイング747を二十五機注文しております。これは一千何百億ですが、こういうもののパンアメリカンの金利というものは保険会社から借りておりまして、年三分に当たらないんですね。だからわが社が借りるよりも半分以下で長期に借りている、こういう金利負担が非常に大きいのです。そういう面はどうしても当分日航が地球上に相当の便数をふやし、あるいは新路線を開拓するまで、政府の出資が、それも十億とか十五億でなくて、もう少しまとまった出資が非常に必要なわけです。そういう出資をしてもらいますと、金利負担の面で非常に助かりまして、競争力が強まってくるということが一つ。 それから、乗員の養成でございますが、これは永久的なものでございませんので、これは運輸省と非常に関係がございます。国の方針としてやってもらうことだと思うのですが、われわれは自衛隊にある程度料金も出して委託訓練をやっております。それから航空大学でもやってもらっております。その後は日本航空自体でやっておるわけであります。こういう問題をほんとうに、どうせ国の金を使うのですから、どこかでひとつまとめて、徹底的な訓練をわりあいに長期間やってもらう、いままでは二百時間くらいですが、あるいは五百時間くらい政府でやってもらうというようなことにでもなりますれば、そういう面でも相当助かる、競争力が強まってくる、こういうぐあいに考えております。 したがいまして、私が考えておりますことは、これは政府の出資を、相当何年か限って大幅にしていただいて、それと同時に、本年から大体配当が連続にできると思いますので、民間の増資もやはり大衆株にしていただけないか、そしてやはり民間には配当していって、民間の資本も集めていく、それから政府もある期間を限って、思い切った出資をしていただく、こういうぐあいになりますと、いわゆるブレイクイブン・ポイントと申しますか、損益分岐点が、利子負担が少なくて競争力が非常に強まっていく、損益分岐点が低くならないと、増便をやりたくても、たいへんな赤字が出ますので、どうしても増便はできない。しかし赤字が出たからといって、ドイツみたいに、政府に一カ年に百億赤字が出たら百億すぐ埋めてもらうということにも日本はなかなかいかないのでございます。それで、やはりどうしても黒字を出しながらステップ・バイ・ステップで拡充をしていくという方法しかないわけでございます。そういう意味で、政府出資を、ことにまとまった政府出資をやってもらうということと、それから乗員の訓練を思い切ってひとつ政府で考えて、やり方を改革してもらうということがさしあたって私どもは非常に希望する点でございます。
○佐藤(光)政府委員 日本航空に対する出資並びに補助金に対する事務的な予算要求の経過でございますが、先生御指摘のように、四十年度におきましては、出資のほかに乗員訓練費の国際線の乗員の養成補助というものを認められておったわけでございますが、四十一年度におきましては、出資金のみでございまして、実は補助金の予算が成立しておらないわけでございます。ただいま松尾社長からも御説明がありましたように、乗員養成につきましては、一応基礎的な教育を終わりましてから仕上がりまでに三千万近くの金がかかる。営業費の比率から見ましても、わが日本航空は外国の他社に比べて非常に高い比率になっておる状態でございますので、われわれとしてはまず基礎的な教育の程度を上げるということで、実は宮崎にあります航空大学校の養成課程を、いままで双発機程度でございましたのをいわゆるYS11コースを新設するということを本年度から手をつけたわけでございます。 もう一つの問題といたしましては、新規路線を開発した場合に、先生の御指摘のように、開発段階におきまして赤字が考えられるわけでございまして、これにつきましては予算成立後の閣議におきまして、そういうような日航の赤字を見た場合には助成措置を購ずるということについて閣議の了承を得ておる次第でございます。
○穗積委員 あとの問題の質疑も次の委員会に割愛いたしますけれども、最後にここでちょっと要望を兼ねてあらかじめ申し上げておきますと、これはやっぱり日本の政治あるいは経済界が国際的視野が非常に狭いということだと思うのです。むろん私は国内における新幹線の建設というようなものに反対はいたしません。反対はいたしませんが、あれだけ膨大なことを一方においてやりながら、一方において立ちおくれというものがいかに将来重いハンデキャップになるかということは、国際航空の場合においては特に言えると思うのです。そういう点から見ますと、出資金並びに政府の補助、力の入れ方というものが非常にいなかくさいというか、井の中のカエルの感をわれわれ抱かざるを得ない。それで世界一の新幹線をつくったといっていささか得意になって、それと並行して、少なくとも国際路線の発展にこういう対米交渉、対ソ交渉をどんどんいまやっておって、並行してやりながら非常に認識が不足ではないか。これはむしろ運輸省とともに大蔵省にも強く言うべきだし、運輸省と外務省はひとつ共同戦線で強くこの点は要求すべきだと思うのですね。そうでないと、時期がおくれるということは、時間がおくれるだけではなくて、非常に長期にわたるハンデキャップの条件をつくっていくわけです。先ほど太平洋線だって勝負のしどころはあと二、三年ということがいわれているわけです。それまでにこっちが、現状維持どころか、それに負けないだけの、追いつき追い越すだけの強化をはからなければならぬという情勢なわけです。それで特に日本のメリットというものは、今度のモスクワ線にしても北京線にしましても、他に譲らざる一つの国際的な有利な可能性というものを持っておるときですから、そのときになってやろうといったって私はできないと思うのです。そういう意味で、特に外務省、運輸省、関係当局に、しろうとの老婆心ですが、頂門の一針のつもりで、これは大臣もおられるから申し上げておくわけです。それらのこまかいことについてはこの次にいたしましょう。いまのようなことは、赤字が出たらどうするなんという話ですけれども、それは一体どういう話になっておるのか、もう少し聞かしてもらわぬことにはいけないというふうに考えておりますから、これをあわせて幾つかの宿題を留保いたしまして、きょうの参考人に対するお尋ねはこれで不十分ながら終わらしていただきます。 たいへん長い間ありがとうございました。
○高瀬委員長 長谷川峻君。
○長谷川(峻)委員 今度の日ソ航空協定の意義は、暫定協定ということはありますけれども、とにかくシベリア上空の開放を第三国に先がけてやる、ここに私は大きな意義があると思うのです。ここまで多少関心を持ってきた者としまして考えることは、ときにハバロフスク−東京とか、ハバロフスク−新潟という議論あるいは運動などがありましたが、やはり原則論に立って、東京−モスクワ、首都間乗り入れという国際航空協定の原則に従ってこれがやれた、それが先ほど松尾参考人の話にありましたように、ヨーロッパ、アジアなどに対して非常に大きな反響を呼んでいるというところに、私は大きな意義があると思うのです。そういうことに対して外務大臣がヨーロッパのほうにも行かれておりますし、あるいは調印などにもおいでになったのですが、外務省当局の御認識というものをまずお尋ねしたいと思います。
○椎名国務大臣 いまお話しのとおりだと思います。いろいろ必要悪とかなんとかいう表現で言われておるとおり、どうも暫定運航というのはあまり愉快な事柄ではありませんけれども、もう少し大局を見渡して、そして今度の協定を結んだということについては、われわれはやはり自画自賛するわけじゃないけれども、相当評価していい問題だ。ただ、これをなるべく早く単独乗り入れということに実現ができますように、今後とも大いに努力しなければならぬ、こう考えております。
○長谷川(峻)委員 そこで共同運航という形式は、私は世界の航空界においてない形式だと思うのです。しかも商務協定を経済体制が完全に違うソ連とやっている。先ほどから参考人の話を聞いても、かりに運賃の問題一つにしても、ソ連のほうは世界の常識からすれば高過ぎる。あるいはまた保険の問題などにしましても、TU114をお使いになるということであるが、その安全性は世界に一体どの程度に証明されているか、こういうことなどでありますが、いま商務協定をやろうとして、一体ほんとうにぶつかっている一番の難関は何か。それは計算のいろいろなこともあるでしょうけれども、そういう計算の上に出てきた問題でなくして、そういう基本的な問題が、一体はたして可能であるかどうか。せんだっても日航の専務以下十数名かでモスクワへ商務協定の交渉に行ったそうでありますが、話がつかないといって帰ってきた。こういうことからすると、期待しているものが、はたして実現する可能性あるいはその辺が一体どうなのか、あらためてお尋ねしたいと思います。
○松尾参考人 チャーター料でございますが、チャーター料がどういう計算でできているのか、相手に聞いてもわからないということです。そこでそういうチャーター料をきめるのは少し上のクラスで、別のところできめていいのじゃないかという考えを持っております。そこで、われわれがチャーター料の計算のやり方を向こうにこういうぐあいにしてやっているのだ、DC8ならば東京−モスクワが一万ドルでできる、これが世界の常識じゃないか、こういう計算の基礎でやっていますということを向こうには示しております。だからこの次はそういう点もある程度是正されるのじゃなかろうか。しかしチャーター料があまり高くては全く商売になりませんので、これは非常に困ると思う。 それから運賃はある程度のところで妥結できるのじゃなかろうか。これは幅はわりあいに狭いですから、私たちは六百十一ドルですが、向こうは五百四ドルですか、かりにあるいはその半ばをとっても五百五、六十ドルというところならば、ある程度話がつくのじゃなかろうか、こういうぐあいに考えております。 問題はチャーター料でございますが、計算の基礎がどういうぐあいで、特に減価償却あたりを何年でやっているのか、そういうことを全然示されてないわけです。だからあるいはルーブルの換算の基礎あたりがどうなっているのか、そういう点にも問題があるのじゃなかろうかというような気もするわけでして、五月上旬に行きますので、そういう点を弔う一度十分協議しますと、私はある程度いいところに落ちつくのじゃなかろうかという観測を持っております。 日ソ交渉にしましても、日米交渉にしましても、国会の各先生方、あるいは外務大臣、運輸大臣、関係当局も非常に熱心にやっていただいて、ああいう妥結を見たわけですから、日航としてもぜひ妥結をして、七月ごろからはぜひ実施をしたい、こういうぐあいに考えております。
○長谷川(峻)委員 いままでアエロフロートは、羽田に臨時便で、ボリショイ・バレーあるいはボリショイ・サーカスあるいはオリンピック選手あるいは向こうの有名人などを乗せてまっすぐに乗り入れているのに、日本のナショナル・キャリアはモスクワへ行ったことがない。私はそれだけでも非常に大きな不平等だと思っておりましたが、偶然のように一昨年の九月に国会の親善使節団が参りましたときに非常な交渉をしまして、日本航空がカラチからモスクワの空港へ着いた。今度の場合は、アエロフロートをチャーターしての共同運航であるが、その場合に一体旗はソ連の旗か日本の旗か。あるいは問題になったのは、スチュワーデスは乗るのでしょうが、一体操縦席に日本の操縦士が乗れるのかどうか。これは将来単独運航の場合にも当然関係すると思いますから、いままできまった問題等々について、参考人あるいは運輸省からお答えいただければけっこうだと思います。
○佐藤(光)政府委員 事務的な点だけ私から申し上げますが、交換公文にもございますように、常に機体にはアエロフロート及び日本航空株式会社の標識を掲げることに相なります。 それから、操縦室乗り組み員には日本航空株式会社の乗り組み員を加えることができるということも交換公文にうたわれてございます。
○長谷川(峻)委員 そこで一番大事なことは、先ほどちょっと外務大臣も触れられましたが、ほかの委員も非常に心配しておりますことは、善意をもって努力する、二年間以内に単独運航ができるようにソ連が協力するという意思をはっきりしておりますが、これに対する必要悪という気持ちはお互いの気持ちとしてある。しかし世界史的には、初めてシベリアの上空を本協定によって日本側が単独運航ができる。それに対する必要悪であるけれども、この場合引きずられてずるずるにならないように。本協定は生きている。この本協定に早く移行するように、二年間なり一年半以内の運航の過程においてそういう善意と理解が取れるような交渉と申しますか、態度というものの積み上げが絶対に必要じゃないかと思いますが、あらためて外務大臣にこの点についての御答弁をお願いしたい。
○椎名国務大臣 この点が一番のポイントでございまして、とにかく今後とも向こうも責任を自覚してなるべく早く単独乗り入れに協力させるようにしむけていかなくちゃいかぬ。この点は大いに努力いたします。
○長谷川(峻)委員 先ほど穗積委員から、ナショナル・キャリアとしての日本航空の育成、何といっても四十一年度はニューヨーク・ビヨンド、さらにモスクワ、それから新幹線の話が出ましたが、これはまさに空の新幹線だと思うのです。そういうことからしますと、いろいろの国の財政的な援助も必要でございますが、さて取り組むポイントという場合に、ただ金を貸すだけじゃ話がつかないと思うのです。イギリスの場合などは、公務員が出張するときは全部ナショナル・キャリアに乗ることになっている。日本の一般のお客さんなり、あるいは日本の役人でも、出張する場合に一体どの程度に乗っているか。日本のお客さんがどの程度乗っているか。こういうふうな問題も出てくると私は思うのです。その点について松尾社長さん、あなたのほうで持っておられます統計あるいは感じはいかがですか。
○松尾参考人 はっきりした統計はいまは持っておりませんが、ここ二、三年、非常に、特に官費で旅行される方は日本航空を利用してもらっております。だんだんふえております。それから一般の方もだんだんふえてはおります。しかし、ドイツとかイギリスとかのように、BOACはきらいだけれども、自分はイギリス人だからBOACに乗るんだというところまではまだいっていないようであります。ただ私たちとしても、非常に業者として考えなければいかぬことは、やはり便数ですね。それから行ってない場所がございますので、そういう点もやはり考えなければいかぬ。それからもう一つは、やはりいい製品でなければいかぬと思うわけです。安全で、低廉で、そしてグッドサービスだ、こういういい製品だから買ってくださいという心がまえで私たちはいかなければいかぬ、こういうぐあいに考えております。 ここにちょっと数字がございますが、現在四十一年度で大体四七・五%ぐらい、日本人の旅行者で海外旅行をされるうちの半分以下、大体半分くらい乗っていただいております。これは路線その他行ってないところもございますので、だんだん何%ぐらいずつかはふえてきております。
○長谷川(峻)委員 けっこうです。
○高瀬委員長 残余の質疑は、来たる二十六日に譲ることといたします。 松尾参考人には長時間にわたり、まことにありがとうございました。 ————◇—————
○高瀬委員長 次に、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 ただいま議題になりました案件につきまして、この間の外務省のほうからの答弁で間違いがあった、誤解を招くような点があったようで、それを訂正させてほしいという申し入れもあったわけでございまして、私もいろいろ考えてみましたけれども、この間の御答弁はどうしても納得ができないので、はっきりしたいと思うわけでございます。 そこで、この間の答弁で、いま出されました案件に付随してと申しますか、新しく出されております十六条の改正、この問題につきましては、外務省のほうからの御答弁では、この十六条の改正というのは新しく日本がこの条約に入る前に改正をされたのであるから、この改正点というものは別に国会の審議の対象にならないけれども、非常に重要な内容が入っているから、これは参考書類である、外務省として参考という字を書かなかったのは間違いであって、これはあくまでも参考書類である、こういうふうな御答弁を受けたわけでございます。そこで私は、じゃ、なぜ参考と書かなかったかと申し上げたら、参考というのを書き落としましたとまでおっしゃったわけですけれども、この点についてどういうふうに御訂正になるのかということが第一点。 それから、そのことばから来ますと、重要でない改正であるならば国会に提出しなくてもいいのかどうか、こういう問題も出てくると思いますが、そういう点をはっきりさせていただきたいと思います。 私はこの問題をたいへん執拗に申し上げるようですけれども、これは単なる手続の問題だけじゃないと思うのです。今後においての国会の運営とか提出のしかたということに非常に関係があるわけでございまして、日韓条約が国会に提出されたときにも、十日間にもわたって議論されて、そのまま結論が出なかったといういきさつもありますので、今後においてこういうふうな問題を起こさないためにもはっきりしていただきたい、こういう意味で御質問いたしますので、まずそのいま申し上げたことに対する御所見を承りたいと思います。
○大和田説明員 一昨日の外務委員会の席上におきまして、先生の御質問に対しまして私答弁申し上げたのでございますが、その内容に間違いがございましたことをはっきり申し上げたいと思います。 いま御指摘の第十六条の改正、これは参考事項であるということを申し上げたわけでございますが、一つの独立の条約承認案件ではないというつもりがそういう表現になったので、内容的には、これは条約の旧十六条にすでにとってかわられているものであるという意味で、その改正された十六条を含む条約及びこれと不可分の一体をなす議定書、これに関しまして御承認をいただきたいという趣旨でございます。したがいまして、この十六条の改正そのものも条約の中に織り込まれた形で御承認を得たいという対象になっているわけでございます。 それから、重要であるから、あるいは重要でないからという点の御指摘があったのでございますが、条約そのものの改正の場合は、重要であるなしにかかわらず、やはり承認の対象になるはずのものでございます。ただ実際に旧条約によりまして、まだそれが効力を発生する前に、品目表の改正というものが三回行なわれたわけでございます。その品目表の改正を織り込みました新しい全体を網羅する品目表というのは、この改正議定書に付属しております。したがいまして、個々の品目表の改正について一々言うことなしに、それはすでに織り込まれた議定書の付属書としての品目表、これについてはこのたび一件の中の一つとして御承認をお願いしているわけでございます。 以上でございます。
○戸叶委員 議定書の場合は何たびか変わって一つのものになったといまおっしゃいましたね。じゃないのですか。そしていまおっしゃったことからとれますことは、議定書の場合にはいろいろと変わったけれども、一本のものになった、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、そうであるにしても、議定書は一つのまとまったものとして出されていますから、私はそれを承認の対象にすればいいと思うのです。 もう一つのほうの問題の、この十六条の改正というものはもう織り込まれているからとおっしゃいますけれども、私たちがこの条約を読んで、そして十六条を見れば、古いほうの条約が書いてあるわけですね。そうすれば、新しいほうの十六条というものは当然に国会の審議の対象にならなければいけないのじゃないですか。その点をもう少しはっきりさせていただきたいと思います。
○大和田説明員 議定書が何回かの改正を経て一本になったということではなしに、議定書及び条約に付属する品目表でございます。その品目表の一部について技術的な訂正が三回ほどなされておるのでございます。その品目表は、最終的に一つになったものはこの議定書に付属しているという趣旨でございます。 それから十六条だけを独立で承認の対象にしたらというお話でございますが、この十六条の改正そのものは、理事会の勧告に基づきまして、昨年の九月三十日にすでに効力を発生しております。したがいまして、旧条約といいます場合に、その旧条約の第十六条というものはすでにこの改正によって、とってかわられているものなんでございます。したがいまして、いま日本が加入しようとしておりますが、その段階でこの十六条の改正だけを独立の案件として御承認を得るということはできない状況にございます。
○戸叶委員 できないというところがわからないのです。これの中に、もうすでに十六条の改正というものは含まれておる、そうおっしゃいますけれども、私たちは新しく加入するわけですね。新しく加入するときに、この十六条を見ると、その十六条そのものには古い十六条が出ているわけです。だからさっき問題になった十六条の改正の条約が別に出ているわけでしょう。そうでしょう。だから、それが出ているわけなんですから、この古い条約に私たちが入ると同時に、この十六条の改正も国会で承認を求めなければいけないのじゃないですか。というのは、なるほど本文の中には改正された部分を承認しなければもとの条約を批准したことにならないということはありますけれども、私たちのほうからすれば、この十六条というものは一本の改正なんです。条約の改正なんです。条約の改正である以上は、国会の承認を当然求めるべきだと私は思うのです。言いかえてみるならば、もし改正案のままで、新しく国会の承認を得ないで済むというならば、この十六条というものは古いのに置きかえられて国会に提出されて、そして古い条約を、旧十六条という形でここへ出して、そこにその参考とかなんとかいうふうに出されるなら私たちはわかると思うのです。そうじゃなくて、古いのをそのまま出して、そしてここの説明書の中には条約と議定書、これは不可分なものですから一本だとおっしゃること、これはいいのです。条約と議定書だけで、その十六条のことは全然触れてないから、私たちは十六条の改正というものは、これだけ見た限りではわからないのです。説明を聞けば、もう新しい十六条がとってかわられているのだから問題ない、これじゃちょっと納得いかないと思うのですけれども……。
○大和田説明員 いま先生のおっしゃいましたこの条約の十六条がとってかわられたものであるならば、その中に改正された十六条を書いて、むしろ旧十六条を参考としたらいいのではないかという御意見であったのでございますが、いまここに出しておりますいわゆる条約それから議定書というものは、この理事会事務局の認証謄本に基づいてつくったものなんでございます。したがいまして、十六条が実質的にはとってかわられているわけでございますが、形式的にかわられた形の認証謄本というのはないわけでございます。したがいまして御承認を得るためにお出しするのも、もうすでに死んでいるわけでございますけれども、その十六条を出さざるを得ないというわけでございます。この出し方につきましては、多数国間条約に日本があとから加入するという場合に、日本が加入するまでにすでに憲章の改正が行なわれたというような場合に同じ問題が起こるわけでございます。過去の実例といたしまして国連のFAO、食糧農業機関、それとユネスコに日本が入りましたときに、それまでに憲章の改正が行なわれておりまして、しかも認証謄本というものは改正されていない。オリジナルだけがありまして、あとの改正は別の文書になっております。したがって、国会で御承認を得ますときにもやはり並べて出した、これと同じような形で出したという過去の実例がございます。
○戸叶委員 そうしますと、たしかユネスコ加盟は一九五一年だったと思いますけれども、それまでにユネスコに入っておらない、そして改正されたユネスコ憲章に入る、そのときに、ユネスコ憲章に加入するというだけで、そして別に何にもほかの説明はしないで、ユネスコ憲章に入る、加入の承認を求めるの件だけで、そしてあとのほうには改正の条項がみんな並べてあったのですか。そのころは戦争の直後でござ、ましたし、いまのように整理されておらなかったのじゃないかと思うのですけれども、この点のことも念のために伺っておきたいと思うのです。
○大和田説明員 形式につきましては先生のおっしゃいましたとおりでございまして、国会の承認を求めるの件は、ユネスコに加入するという意味でテキストは憲章だけを出しております。ただそれと並べまして改正されたその条文についてのテキストも一緒に出しております。
○戸叶委員 そうしますと、こういうふうなものが配付されたときに、これを見たときには、改正されたというのはわからないわけですね。あとで憲章を読むなり説明を聞くなりしなければ、どういうところが改正されたかということはわからないわけですね。というのは、これを見ただけで十六条が改正されたということは何もわからないわけですね。だから、たとえば公報なら公報を見た場合に、これだけ書いてあるわけです。十六条の改正がどうなっているかということを、たまたま研究しなければかまいませんけれども、する人なりなんなりは全然わからない。あるいは国会議員でこれしか見ない人は、十六条の改正があるということも知らないで済んでしまう。しかしそれは一つの案件として一応批准されている、こういうことになると思うのですけれども、そういう点はどうなっていますか。
○大和田説明員 先生のお持ちの書類でございますが、第一枚目の書類は件名でございます。件名に基づいて国会の御承認を賜わりたいというのは第二枚目の書類に書いてあるわけでございます。その第二枚目のところに「(同条約第十六条の改正の受諾を含む。)」ということを入れておきましたわけでございます。それからユネスコ憲章、FAO憲章の場合には、そういうことなしに、ただ加入ということで御承認を得ております。
○戸叶委員 そうしますと、件名の場合には十六条の改正というものを書かないでいいということになると、件名を見た場合に、十六条の改正というのは含まれているか含まれていないかわからないわけですね。それでもいいわけなんですか。それがまず一つ。 もう一つは、たまたま十六条の改正だけで済んだわけですが、たとえば十二条、十三条、十四条と三つか四つ改正があったとしますと、今後においても起きてくることですから、そういうふうにあるときにはどういうふうにするのですか。やはり説明書で何を含む、何を含むというふうにお書きになるわけですか。そして条約は単独でお出しになるわけですか。
○大和田説明員 十二条、十三条というふうにたくさん改正があった場合にどうするか、実は過去においてあまりそう例がないのでありますが、いままでのやり方から申しますれば、件名としてはやはり一本の簡単なものを書きまして、ただ御承認を賜わりたいという内容にその条項をやはり含めて、こういう点を含んでおりますということを明示して、御承認を得べきじゃないかというふうに考えております。
○戸叶委員 そうしますと、それは中の理由のほうに明示して、ここに何々を含むということがないのですけれども、十六条が置きかえられたというふうな外務省の説明であるならば、こんなものを書くだけおかしいと思うのです、私はむしろこれと及び十六条の改正条項について承認を求めるの件、こうするのが一番正しいやり方じゃないかと思うのですが、その点はどうしてそういうふうにされないのですか。その点の理由を伺いたい。
○大和田説明員 及びあるいは並びにということを書きまして、十六条の改正の受諾を含むということを書きますと、文書の形式といたしましては、それが独立の一件のようにとられるおそれがあるわけでございます。 それから第一枚目にそういうことを書いていいのかいけないのかという点でございますが、もちろん書いていけないという規則はないわけでございます。ただ従来の慣例から申しまして、件名は比較的簡単な形にしておきまして、御承認を賜わりたいという二枚目のところにそういう——たとえば十六条の場合非常に重要な改正でございますが、そのことを特にメンションしたという内容でございます。
○戸叶委員 そうすると、十六条の改正というのは独立の一件ではないわけですね。といいますと、大もとが批准されていたらば十六条の改正というのは独立の一件として出されるわけです。ところがたまたま大もとの条約に加入しておらなかったために含まれちゃったので、もし先に批准していたら、これは独立の一件としてやられるわけでしょう。だから私はその辺がわからないのです。
○大和田説明員 昨年の九月三十日にこの十六条の改正が効力を発生したことは、先ほど御説明申し上げたとおりであります。その以前にかりに日本が入るとした場合には、この十六条の改正がまだ有効になっていないわけでございます。したがって、その後、条文についての改正があるという場合には、当然国会の承認の対象になったはずのものでございます。ただ、現在日本が入ろうとしているわけでございますが、すでに十六条は効力を発生して、古い十六条は死んでいるわけでございまして、置きかえられているわけでございまして、その置きかえられた条約及び議定書に日本が入ろうというわけなので、それだけが独立して承認の対象になるということにはならないのじゃないかというふうに考えております。
○戸叶委員 私はその、ならないのじゃないかというのがどうしてもわからないのです。ここでは、やはり「締結及び十六条の」というふうに書くべきじゃなかったかと思うのですけれども、これはいまここで議論していてもしかたがないと思いますが、どうも納得いきません。納得いかないまま通すということは、私は非常に良心の苛責にたえないことなんです。この問題は日韓条約でさんざんもんだ問題ですよ。今後においてももめると思うのです。だから、私ももう少し何かの機会にはっきりさせていただきたいのです。 そこで、もう一つ伺いたいことは、議定書の締結について、なぜ「等」という字をつけなかったかというふうに思うのです。いまおっしゃったようなことでつけなかった。それじゃどうして外務省の、こっちのほうには「等」とおつけになっておるのですか。これと同じようにしたらいいのじゃないですか。外務省の説明書のほうには「等」をつけておいて、こっちのほうには「等」はついてないというのは、ちょっと納得に苦しむのです。
○大和田説明員 いま先生の右手にお持ちの書類は「等」のない分でございますが、それはまさに承認案件そのものなんでございます。したがって、それにもし「等」をつけますと、案件が一体何件あるのか、複数じゃあるまいかという疑問を生ずるわけでございます。実際に御承認を求めておりますのは一件でございますので、それには「等」を省きましたわけでございます。それから外務省の説明書のほうには十六条の改正の説明をも含んでおります。したがいまして、「条約、議定書等」とやりまして、案件そのものを表示するものでない、説明なのであるという意味で「等」をつけたわけでございます。
○戸叶委員 案件と説明書と違うということがありますか。そんなのはおかしいと思うのです。案件について説明するのですよ。案件について説明するんだから、説明書と案件は同じでなくちゃならないでしょう。
○大和田説明員 案件は一件なんでございますが、その説明内客は三つに分かれております。したがって「等」ということをつけたわけなんでございます。
○戸叶委員 案件が三つあるから説明が三つあるんじゃないですか。案件が一つで説明が三つあるというのはどういうわけなんでしょう。
○大和田説明員 御承認を求めまする案件は一件でございます。ただ、その文書が、お配り申し上げましたように、条約、議定書、それから十六条の改正と三つに文書そのものが分かれています。したがいまして、そのおのおのについて御説明申し上げる意味の説明書に「等」とつけたわけでございます。
○戸叶委員 おそらくここにいらっしゃる方で、よく聞いていれば、わかったようなわからないようなことだと思うのです。大体わからないと思うのですよ。こういう出し方については非常に無理があるのですよ。だからわからないのです。私もわからないままに質問はこれで終わります。しかし、あとで問題が起きますから、その点だけはいずれ……。
○高瀬委員長 西村関一君。
○西村(関)委員 ただいま戸叶委員から大事な点について触れられたのでありますが、われわれといたしましても、この条約並びに議定書の承認を求めておられます趣旨、理由につきましては、大筋のところにおいてはわかるのでございます。了承できると思うのでございますが、このことは理由にも書いてございますように、関税及び貿易の分野における国際協力の見地から望ましいことであるばかりでなく、わが国の貿易の発展のために益するものである、こういう見地からこの点については問題はないと思うのでございますが、私はたくさんの問題点を提示したいのでございますけれども、時間もございませんし、与党の皆さんとの約束もございますから、二、三の大事な点だけにとどめまして、簡潔にお答えをいただきたいと思うのでございます。 第一点は、現在この条約の加盟国は二十一カ国でありまして、この方式を採用する傾向がだんだん強まってきておると聞いておりますが、この関税率表に準拠しておる国はどのくらいあるか。また今後この条約に加盟する見通しがある国はどういう国であるか。加盟しないというのは一体どういう理由で加盟しないのか。特に国際的に非常に大きなウエートを持っているアメリカやカナダが加盟していないということも問題だと思うのでございますが、この前の委員会においてこの点が触れられたということでございますが、貿易の問題におきましては、東西の関係のみならず、南北の関係が重視されておりまする今日の時代におきまして、その見地からこの方式を取り入れておる国と取り入れてない国と、取り入れてない国はなぜ取り入れていないのであるか。南北の関係におきまして今後貿易を振興することによって自国の経済的な地位を高めようという南の側のいわゆる低開発諸国といわれている国の立場を考えまするときに、どういう関係を持つかという点についてお伺いをしたいと思います。
○坪井説明員 ただいま御質問のありました前段のこの条約を採用しておる国、それからこの条約に基づきまして関税率表を採用しておる国、そういったものにつきましてまず最初に御説明を申し上げたいと思います。 この条約に加盟いたしております国は現在二十一カ国であります。これは大体ヨーロッパ諸国が主体でございます。それから、この条約に加盟はいたしておりませんけれども、この条約に付属いたしております品目表に基づきまして自国の関税率表を使っておる国がいまの二十一カ国を含めまして七十一カ国でございます。 ちょっと御参考までにどんな国があるかということを申し上げてみたいと思いますが、いま申しましたように加盟国は二十一カ国で大体ヨーロッパ諸国が大部分でございます。採用しておる国で条約に入っておりません国は、大体アフリカ州、それから南アメリカ州のアルゼンチン、ボリビア、コロンビア、キューバ、そういうところであります。 それから、今後採用を予定いたしておる国でございますが、これはやはりアフリカ州、アメリカ州、アジア州等におきまして、アフリカ州ではエチオピア、ガーナ、リベリアといったような国、アメリカ州においてはチリ、パラグアイ、それからアジア州におきましてはサウジアラビア、ベトナム、最近におきましてはこういった比較的後開発国と申しますか、そういう国が非常に多くこれを採用し、もしくは今後採用しよう、こういうふうな動きになっております。
○西村(関)委員 本会議の予鈴も鳴っておりますからもう一問だけ大臣にお伺いをいたしたいと思います。 貿易の振興につきましては、経済外交の立場から非常に重要なウエートを持っていると思うのでございますが、その意味から、国会の承認を求めておられまする本件の重要性をわれわれとしてもこれを軽視することはできないと考えておりますが、この機会に経済外交のあり方、貿易振興の外交的見地に立って日本の国益を振興するとともに、貿易によるところの国際外交の理念というような点の外務大臣の御所信を承りたいと思います。
○椎名国務大臣 非常に広範な問題でございまして、何からお答えしていいかわかりませんが、やはり国際分業という大きな見地から、ただ目の先の貿易の振興を求めるとか、あるいはまた張り合うためにただ張り合うというのじゃなく、それぞれの長所によって国際分業を円滑に推進するというのが大きなたてまえでなければならぬと思います。 なお、最近は南北問題が非常にやかましくなっておりますが、この問題は、特にただ目の先の利益ということじゃなしに、きわめて長期的な観点に立って、あるいは眼前の利益からいうと、みすみす損をしてやらなければならぬという場合も、やはり長期的にこれを見て、そして思い切って経済援助をして、さらに相当低開発国を育成して、しかる後に共存共栄というような政策を大きく取り入れた貿易政策も必要である、こう考えております。
○西村(関)委員 よろしいです。
○高瀬委員長 本件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○高瀬委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十四分散会