外務委員会 第9号
- 発言数
- 75 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/04/15
会議録
○高瀬委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。
○西村(関)委員 去る三十日の本委員会におきまして、日本に亡命を要請しております金九氏暗殺首謀者と称しております金志雄の問題について質疑を行なったのでございます。その事実を法務省当局は認められたのでございますが、私がこれを問題といたしておりますのは、日韓国交正常化ができたといわれておる今日、最初の亡命のケースであるので、それだけに世間の耳目も関心も集中しておるというところから、これを国会で取り上げておるのでございます。 そこで、まず入管当局にお伺いをいたしたいのでございますが、この前の本委員会における御答弁では、亡命を許すか許さないかということについては目下検討中であるということでございましたが、その後の調査の経過についてお伺いいたしたい。許される方針でやっておられるのか、あるいは拒否する方針でやっておられるのか、結論が出そうになっているのかどうかということをお伺いしたい。
○八木政府委員 金志雄の事件について、この前の委員会で入管の中村次長から一応御説明を申し上げてございます。これは内輪のことになりますが、私実は法律専門家でございませんし、法務省には法律家がたくさんおりますので、このような法律問題の関係のある事件については、中村次長に全部所管してもらっておりまして、現在まで私は随時報告を受けております。したがいまして、中村次長から申し上げたことについて特に補足いたすことはございませんが、私はこれは単なる不法入国事件と考えておりまして、そのラインで、本人がいわゆる政治亡命であると申し立てておるその事件が、一体そのとおりであるかどうかということを決定しなければならないというわけで、たしか次長のこの前の御答弁の中に、数週間のうちに結論を出したいと答弁をしております。しかし御承知のとおり、現在この金志雄の事件を扱っておりますのは東京の入国管理事務所でありますが、ここは年間約一万件の調査案件をかかえておりまして、その調査人員はせいぜい三十名くらいでございます。仕事の量が非常に多いものでありますから、専門にその者を追及するほど人も十分でもございませんし、またそれほど重要な問題でもありませんので、私のほうとしてはなるべく早く結論を出せという督促はしておりますけれども、特に中村次長の答弁に付加するようなことはまだ別に出ておりません。
○西村(関)委員 単なる不法入国事件として処理したいという局長の御答弁でございますが、彼が不法入国をしてまいったのは六年前であります。その後仮放免になっておる。そして亡命を願い出ておるということなんですが、六年間という日子がたっておるわけです。きのうきょうの問題ではございません。東京入管のほうで手が足りないからおくれておると言われても、あまりにも時日がたち過ぎておるという印象を受けるのでございますが、その点いかがですか。
○八木政府委員 確かに六年前の入国でございまして、一見非常に怠慢のように見えますけれども、そうではございませんで、私どものかかえております密入国のケースは数万件ございます。そして彼らはほとんど全部申し合わせたように、単に日本にいたいためにかってなことを申し立てておるので、はたして彼らの言っていることがそのとおりであるかどうかという調査は非常に手間もかかりまして、六年以上たってまだ決着のついてない不法入国のケースは幾らでもございます。そこで特に今度のようにたまたま本人の申し立てが韓国における政治的な運動に関連があるということになりますと、たとえばその裏づけ調査と申しましても、入国管理事務所の役人というものは、御承知のとおり単なる行政官でありますから、家宅捜索をしたり、書類の押収をしたり、強制的に尋問をしたりという権限がありません。しかも本人なり関係者なりから申し立てを聞きましても、その行なわれたのは韓国の内部でありまして、われわれの行政権の及ばない範囲であります。したがって、一生懸命やってはおりますが、ほかのケースのように簡単に結果が出るということは期待ができないということであります。
○西村(関)委員 そうしますと、次長の言われましたここ数週間のうちに結論を出すということは取り消されますか。
○八木政府委員 別に取り消す——もっともこの前の委員会が三十日だったと思いますが、二週間で十四日で、きょうは十五日、三週間とするとあと四、五日でございますが、そのくらいに結論が出るとは私は考えません。ただし、この事件は私は全然手がけておりませんで、次長がずっと所管して、しきりに督励してやっておりますので、私から何日くらいたてば結論が出るかということは申し上げられません。
○西村(関)委員 亡命を申し出ておることは事実であるということを認められたわけであります。単なる不法入国者の場合に、六年も七年もこれが送還できない、不法入国者としての取り扱いの処理ができないということは、これは非常に問題があると思うのです。政治亡命をする者、密入国をする者は、今後ますます数がふえてくると思うのでございますが、そういうことがただ単に入管の手が足りないということでこのままに放置されるということは、皆さんが言われる日韓国交正常化という見地から申しましても、こういう事態がこのまま放置されておるということは問題があると私は思うのであります。局長として、責任者としてその事態に対してどういうふうにお考えでありますか。
○八木政府委員 私は、一番端的な方法としては、韓国がその全警備力をあげて、韓国から日本に出てくる密出国者の取り締まりに当たってくれれば非常に楽だと思いますが、これはとうてい望むべくして望み得ない。日本側で水上でこれを防止してくれればいいのでありますが、海上保安庁の現有の能力では完全にはできない。しかも地理的関係から申しまして、密航者を完全に絶滅するということは、現在の段階ではほとんど不可能であります。このように多くの密航ケースがあり、しかもそれが懸案となって解決できず、強制退去させたくてもできないというケースが山のようにあるということに非常に責任を感じて、できるだけ解決に努力する考えは持っておりますが、残念ながらいまのところ早急にこの問題を根絶する見通しを持つことはできません。
○西村(関)委員 いまそういうケースが何件くらいありますか。
○八木政府委員 先生の御質問の趣旨を、いわゆる政治亡命を申し立てておる数というふうに理解いたしますれば、私、けさ急に調べてもらって聞いたわけでありますが、十数件あるそうです。
○西村(関)委員 政治亡命を願い出ておる者が十数件。それから不法入国で取り調べ中の者は何件くらいですか。
○八木政府委員 不法入国者の取り調べの数は、いま私はっきりした数字が頭にすぐ出ませんが、数千件あると思います。
○西村(関)委員 しかもそれが五年も六年も前のものがたまっておるというのでは、これでは治安の面からいっても、私は問題があると思います。その中にはどういう者が入っておるかわからない。それは、その点については、不法入国者の、しかも仮放免になっておる者は行動の自由があるわけでございますね。ある程度の制約はありましても、行動の自由があるわけです。そういう者が五年も六年もそのままに、数千件が全部古いものだとはいえないにしても、たまりたまって数千件あるということは、これは治安当局として問題をお感じになりませんですか。警察庁のほうから御答弁を願います。
○渡部説明員 密入国者の取り締まりにつきましては、入管御当局といろいろ協力しまして、その発見、それから警察的な処理をやっております。中にはいろんな人がありますので、特に犯罪的な問題がある者については、それぞれ視察をしている状況でございます。
○西村(関)委員 その犯罪的な疑いのある者に対しては、どういう処置をとっておられるのですか。
○渡部説明員 一般的に視察という形で、おかしい者と申しますか、容疑のありそうな者を見ているわけでございますけれども、それがはっきりいたしますと、それぞれの所管の担当の者が犯罪として処理する、こういうことをやっているわけでございます。
○西村(関)委員 この金志雄なる者に対しては、どういう態度をとっておられますか。
○渡部説明員 前回、この席で申し上げましたように、金志雄の密入国につきましては、この間申し上げたような処置をしているわけでございますけれども、それ以外に、警察としてはわが国の法令に触れる犯罪を犯しているという疑いは現在持っておりません。
○西村(関)委員 金志雄の前歴についてお調べになっておられますか。
○渡部説明員 金志雄氏の前歴については、本人が取り調べにあたって申し立てたことを聞いたという程度でございまして、特に前歴を積極的に調べたということはございません。
○西村(関)委員 警視庁方面では、金志雄氏の前歴について韓国の治安当局に照会した事実はない、「朝鮮日報」には数回にわたって照会があったということが報道せられておりますけれども、日本の警視庁はそういう事実はないという答弁でございましたが、これは警視庁がなくても、あるいはその他の治安当局、たとえば入管とか、あるいはいまの警視庁の公安とかというようなところがら韓国政府に照会をせられたということは全然ございませんですか。
○渡部説明員 まず警察についてお答えいたしますが、前回にもたしか申し上げたと思いますけれども、警視庁はもとより、警察庁あるいはほかの県の警察等、つまり日本の警察のどこの機関からも、韓国の治安局といいますか、その他そういう種類の関係のある機関に対して、金志雄氏に関して照会あるいは問い合わせというようなことをしたという事実は全くございません。
○西村(関)委員 向こうから照会があったという事実もございませんですか。
○渡部説明員 そういう事実も全くございません。
○西村(関)委員 この金志雄氏の身元引き受け人につきましては、亜細亜大学の教授中山優氏がやっておられるということをこの間入管の次長さんから御答弁がございましたが、中山優氏は、私の知っておる範囲におきまして、近衛元総理のブレーンである、近衛三原則の起草者であったと聞いております。もちろん窮鳥がふところに入ってくれば、これを何とか助けなければならぬという気持ちは私も持っておるつもりであります。そういうことについてできるだけの庇護を与えていくということは、そういう義侠心を持つということはだれでも持っておると思うのでございますが、私は中山優氏が身元引け受け人であられるということに対して、もちろんこれを問題にするわけではございませんけれども、金志雄氏の背後関係といいますか、金志雄氏の前歴を日本の治安当局は全然調べていない。本人の自供以外には何ら知っていないということでございます。しかし、かなりの前歴を持っている金志雄なる人物に対してその背後関係を調べあげるということは、治安当局としての当然の責任だと思うのでございます。いまの御答弁では、韓国政府にも照会をしないし、また本人の自供以外には何らこれを問題にしないというのは、少し私は治安当局としていかがなものであろうかという気がするのでございます。少し緩慢ではないかという気がするのでございますが、その点いかがでございますか。
○渡部説明員 金志雄氏の前歴等につきまして、先ほど申し上げたとおり、福岡県警が密入国の事件として扱いましたときに、本人の申し立てを聞いておるわけでございますけれども、その限りにおきましては、わが国の法律を犯したという意味での犯罪の関係は全然ないということで、いま御質問のございましたような意味で特に興味を持つ、ないしは関心を持つということはなかったわけでございます。
○西村(関)委員 わが国の法律を犯すような犯罪はないと言われますが、密入国、不法入国は明らかに犯罪に触れるわけなんでありますから、これに対して強制送還もしないで仮放免の処置をとられたということはどういう理由によってでございますか。
○八木政府委員 私が中村次長から報告を受けたところによりますと、密入国事件として立件されまして、退去強制を命ぜられまして、送還のために大村収容所に収容したのでございます。時期はたしか入国した翌年だと思いますが、その後本人からいろいろそういった申し出がある場合、これを全然架空のことと聞き流してしまうわけにもいかないというので、その調査を進めるかたわら、収容しておったわけでございますが、何か拘禁性ノイローゼか何かになって、どうも収容がぐあいが悪いというので、仮放免したそうであります。その後も何回か収容されておりますが、そういった健康上の理由などで仮放免ということになっております。私どもとしては、いま先生がおっしゃいましたように、いやしくも本人がそういうことを申し立てておる、かなりそういったほうに名の通った人間であるとすれば、それをむげに調査せずに強制的に送還するというわけにもいかないでしょうから、そこでできるだけその申し立てが真実であるかどうかという裏づけをして処置するということ、これが親切心だと思ってやっております。そのために時間がかかりましても、別にこれはほかの犯罪と違って、一日、二日を争うような緊急の問題でもございませんので、われわれとしては十分納得のいくまで調べまして、その上でそういう申し立てが単なる口実にすぎないということがはっきりしました場合には、強制退去を執行するということを考えております。
○西村(関)委員 いま御答弁になりました入管局長も、警察庁の外事課長さんも、この前、私が取り上げた委員会の質問以外に、日本の新聞が大きく取り上げておることもごらんになったと思う。私はその記事が必ずしも正鵠を得ておるとは思いませんけれども、「日刊観光」という新聞は一面全部を使ってこれを取り上げておる。なぜこういう記事が出るかということについて、実は私自身も驚いておるのです。私が冒頭申し上げたように、全くどこからもそういう示唆を受けないで、この問題を取り上げることが国会議員としての責務であるという私個人の立場から取り上げたので、マスコミの皆さんがこんなに大きく取り上げるということは全く予期してなかったのです。これほど大きく取り上げるということは、これは何かあるのじゃないかという気がしてならぬのであります。私が駅売りの新聞でふっと見ましたら、「日刊観光」にこういうものが大きく出ておる。なぜこんなに大きく取り上げなければならないのか、しかもいま治安当局の話では、一向日本の犯罪に触れないから問題でないとか、入管のほうでは六年間も人手が足りないからそのままたなざらしにしているとか、どうもその点がふに落ちないのであります。またもう一つの新聞には、社会党が国内撹乱を企図する手先というようなことを書いておりますが、私自身は全く意外なんです。なぜこんなに大きく取り上げなければならないかということ自体、私にはわから互いのであります。そういう点に対して、公安一課としては、この背後関係について何ら調べておられませんですか、いかがですか。
○渡部説明員 公安一課の者は来ておらないのでありますけれども、公安二課の者が来ておりますので……。 背後関係と申しますか、金九殺害犯人だという話があるわけでございますけれども、先ほどから申し上げましたように、特に積極的に調査したわけでもございませんけれども、福岡県警が逮捕いたしました当時の本人の申し立て、それからこの委員会で問題になりましてから当然われわれとしても関心を持ったわけでございますが、いまの、やや個人的になりますけれども、私の感じとしては、金九殺害の犯人だという点についてもあまりはっきりしない点があるという印象を持っております。
○西村(関)委員 そういう事実を究明なさることが皆さんの役目だと思うのです。金九暗殺団の首謀者であるとみずから称しておるが、しかしそれが事実であるかどうかということをお調べになるのが皆さんの役目だと思うのです。印象を持っておるというのでは、首謀者だと言っておる本人の供述をくつがえすことはできないし、またそのことを問題にしているところの金九先生殺害真相糾明闘争委員会というものが与野党の議員を含めたいろいろな有力者の人たちによってソウルにおいて結成されておるということを私は聞いております。また日本におきましても、金九先生殺害真相糾明日本委員会というものができておるということも聞いております。その方面の人たちが調べ上げておるところの事柄も全然御承知でないと思うのでございます。そういうことに対しては全くほおかぶりで、日本の法律に不法入国以外は触れてないから、まあそのままにしておくのだというのでは、私はどうも問題が過ごされないというような気がするのでございます。いまの金九先生殺害真相糾明日本委員会の人たちとお会いになりましたでしょうか。
○渡部説明員 警察としてはお会いしたことはございません。
○西村(関)委員 それでは私が入手しました金志雄氏の前歴についてここで少しく申し上げてみたいと思うのであります。私はこの金志雄氏に対してもちろん個人的な何らの関係はございませんし、これが身元引き受け人になっておられるところの中山優氏に対しても、私は要すれば一ぺん中山さんに会ってみたいと思っているくらいなんでありまして、そして私が取り上げた以上は徹底的に、皆さんもお調べになる責任があるが、私も私のできる限りの調査をしてみたいと考えておるのでございます。 いま私の入手しておりますところによりますと、この金志雄という人物は李承晩氏の顧問であり、韓国陸軍司令部の顧問であり、市警局長、つまり日本でいえば警視総監の顧問職にありながら、殺人の総指揮をしたというふうにいわれております。金九先生殺害真相糾明闘争委員会の金龍黒氏が金志雄を本国へ送還するように治安当局に訴えたということも聞いております。そして韓国において正当な手続を経てこの金志雄の黒白を明らかにしたいということで、金昌淑という有力な政治家である前委員長はなくなりましたのですが、号は白岡、名前は張 韓、この人は共和党の議員でありますが、この方が委員長で、副委員長は金三、これは民主党の議員であります、こういう人たちが委員になって、金志雄を本国に送還してもらって国民の前に黒白を明らかにしたいということを申し出ておるわけであります。金志雄は金九殺害事件にも関係をしたし、またニューデリー事件、これは李承晩の強敵申翼を失脚させるためにニューデリーで趙何がしという者と会って謀議をこらしたが、これは不成功に終わった、こういうニューデリー事件というのにも金志雄は関係しておる。また三番目には金政柱という愛国青年の暗殺事件にも関係しておる。四番目には政治的陰謀の工作隊をつくって、諜報密偵を派遣していろいろ陰謀をやった。金九先生の暗殺には九名の暗殺団員をかかえてこれを訓練をしたというようなことを真相糾明委員会では言っておるのでございます。私はその真相のほどにつきましては十分にきわめておりませんけれども、さきに申しましたように、問題を取り上げた以上、私は私なりにいろんな人に出会って真相を究明したいと考えておるのでございますが、そういうことがいわれておるのでございます。いろいろな韓国における暗殺事件に金志雄氏が関係しておったということを韓国の国会議員、与野党の国会議員を含めて構成しておるところのこの委員会の人たちが言っておるということは、ただ単なるデマだというふうに考えるわけにいかないと思うのでございます。この安斗煕という直接金九先生を暗殺した下手人は、自分は金志雄をよく知らないということを言ったということでございますが、ただ同郷であって、面識があるだけだということを言っておるようでございますが、この委員会の皆さんの言うところによりますと、背後に有力なものがあって、彼の口をふさいだのだ、また金九事件が明るみに出ることをおそれて、暗号を打ってうそを発表し、金志雄氏にも箝口令をしいたのだというふうに申しておるのであります。私はこれが北側の、朝鮮民主主義人民共和国側の情報として流れてきておるのじゃなくて、韓国にあるところの与野党を含めた、民主党、共和党の議員を含めたこの委員会においてこういうことを言っておるということは、日韓国交の正常化がなされたといっておられる今日のこの状態において、これほどの大事件がいまのような御答弁のようなことのままでじんぜん日を延ばしていくということが許されていいものだろうか。在日朝鮮人の人たち、しかもむしろ民団系の人たち、あるいは中立系の人たちが非常に関心を持って、一体これはどうなるのだろうかといって強い関心を示しておるところのこの事件がいまのような御答弁のままで過ごされていっていいものだろうかということを私は心配するのでございます。もし不測の事態が起こったならば、一体だれがどこで責任をとるか。もちろん法治国日本においては、日本の法律によって、そういうものは、法を犯すような行為があるときには厳重にこれは処罰しなければならないということは言うまでもございませんけれども、しかし未然に不測の事態を防いでいくということのためにも十分な慎重な配慮と調査が必要だと私は思うのでございます。その点につきましてまだいろいろなことがこの委員会の諸君によって言われておる。ソウルの真相糾明委員会からの手紙も私は入手いたしております。こういういろんな事件に関係しておる人物だということを韓国側で言っておる。韓国側の有力な人たちが言っておる。それを日本の法律を犯してないから、ただ単なる不法入国者だということで仮放免にしてそのままにしておくということは、どうも私は納得がいかぬのです。もう一度御見解を承りたい。
○八木政府委員 先ほど私いつまでということは申し上げられないと申しましたが、本件を担当しております中村次長も、先生にはこの前二、三週間というようなことを言っております。正確に三週間でないにしても、そう遠くない将来に片がつく自信があったからそう言ったのだろうと思いますので、そういつまでもほったらかしにしておるというわけでは全然ございません。 それからもし韓国においていろいろ調査が行なわれて、その結果政治犯罪であるということが確定して本人を送還してもらいたいということになれば、当然外務省に対して韓国政府から引き渡しの要求が来ると思います。その場合には、政治犯罪の引渡しの問題については、その道の権威であられる先生に私から申し上げるのはおかしいわけでございますが、一応政治犯罪人が日本へ亡命しておるということになりますれば、その迫害の期待されておる国に帰すわけにはいかないことは御存じのとおりであります。 ただ入国管理局としましては、不法入国した外国人を日本に置いておく義務はございませんので、できればそういう迷惑な人間は出ていってもらいたい、本人が行き先を選定して出国するように大いに勧告しようと思います。
○西村(関)委員 事務的にはそういうことになると思いますが、私の言っているのは、これだけの大事件に関係したと、ただ単なるうわさじゃなくて、相当な韓国の与野党の政治家を含めた人たちが言っておる、これはもし必要ならば私はその手紙をお見せしてもよろしいです。しかし、そこまでする必要はないと思いますからいたしませんけれども、そういうことを言ってきておるのであります。こういう金志雄氏の身柄についてあまりにも寛大過ぎやしないか、もちろん身体の危険を感ずるところの国へ送り返すことができなければ一体どうするかということについても、何らかの配慮が必要だと思うのでございます。韓国の政情は、私はこういう席上では申しませんけれども、どの金志雄氏の問題についていろいろ複雑怪奇な報道がなされておるのであります。それはいまここでは私は申し上げません。これが事実だとするならば、ずいぶん驚くべきことが報道されておるのでございます。そういう問題の人物が日本に六年間も自由に行動しておるということは、これは私は問題だと思うのです。そういうことに対していままでの入管の局長の御答弁、警察庁の当局の御答弁、事務的にはそういう御答弁で済むかもわかりませんけれども、大所高所から政治的な立場に立ってこの問題を取り上げるときに、私はその御答弁だけでは国民の疑惑を解くことができないと思うのでございます。 椎名外務大臣にお伺いいたしますが、いまお聞き及びのとおりの事件でございます。この点に対して法務当局あるいは警察庁当局の御見解は承ったのでございますが、日韓正常化をあなたの政治的生命としてかけておられるところの大臣として、この事態をどのようにお受けとめに在りますか。
○椎名国務大臣 問題の性質上、まず法務当局の見解を聞いた上で政治的な判断を下したい、こう考えております。
○西村(関)委員 ちょっと聞こえなかったのですが……。
○椎名国務大臣 法務当局の一応基本的なこの問題に対する見解を聞いた上で、政治的な判断を加えたい、こう考えております。
○西村(関)委員 法務当局の見解を聞いた上でと言われるが、六年間も見解を出しておられないということを私は問題にしておるのです。これだけのクエスチョンマークを打たれているところの人物に対して、私は人道上の立場から、この金氏がどうなってもかまわぬと言っておるのじゃないのです。やはりそれはそれなりに配慮しなければならぬということはもちろんでございますが、しかし、これだけの疑問を持たれておるところの人物に対して、いまだに法務当局は緩慢過ぎるということで、外務大臣としてはその見解を聞いた上で政治的判断をするというのでは、どうも大臣の御答弁としては、事務官僚ではないのでございますから、私は非常に不満でございます。 さらにもう一点お伺いをいたしますが、もう一人宋鎮禹、これは東亜日報の社長で、韓国民主党の首席総務であった韓国の右翼の大立て者です。この宋鎮禹氏を暗殺した韓賢宇という人物が日本に来ておるということでございます。このことは入管局長は御存じですか。
○八木政府委員 存じておりません。
○西村(関)委員 大ぜいのことでありますから、局長が一々御存じでないのも無理からぬと思いますけれども、この宋鎮禹という韓国政界の大ものを暗殺した韓賢宇という人物、この宋鎮禹という人は、李承晩政府の副大統領であった金性沫という方と一緒になって韓国民主党をつくった人です。そしてその首席総務になった人です。その人を暗殺した韓賢宇という人物が日本に来ている。その身元引き受け人が亜細亜大学講師の崔書勉という人であるというふうに私は承知いたしております。さきの金志雄氏の身元引き受け人も亜細亜大学の甲山教授である。そういうことから考えて、私は疑問を持たざるを得ないのであります。これがもし私の間違いであれば、それははっきりいま入管当局から聞かしてもらいたいと思う。もし、いまお答えができなければ——この韓賢宇という人物は、これはもちろん暗殺者であったとしても、韓国において刑を終えた人だと思いますが、一応その事件についてはもう事後の問題である。それは一九四五年の十二月の事件でございますからだいぶ前のことでございますが、しかし一応そういう前歴のある人物が日本に来ておるということも——この人は不法入国で来たかどうか知りませんけれども、いまのお話しのように、数千人からの人が不法入国で入っておるということの中にいろいろな人がまじっておる。しかも十数名亡命を希望しておる。日韓正常化を願っておられるところの椎名外務大臣、また政府当局としてこういうことをこのような状態で放置しておいていいかどうかということを私は問題にしておるのであります。 委員長、この点はひとつぜひ入管でお調べを願って、御報告を願うようにお取り計らいを願いたいと思います。
○八木政府委員 ただいまの韓でございますが、その人間を存じておりませんが、四五年の事件だといたしますと、すでにその暗殺の罪に対しては服罪をして、その刑を終えたものと考えます。その人間がもしたとえば商用とかそういう用向きで日本に入国を申請した場合には、われわれとしては過去に政治犯罪を行なったというだけの理由で入国を拒否するわけにはまいりませんから、その目的で入国を許したことはあるかもしれません。ただ、もしその人間が不法入国してきたということになりますれば、それはもうすでにその犯罪に対しては刑を終えているとすれば、いまさら政治犯罪ということにはなりません。単なる不法入国事犯に在りますので、もしそれがわれわれのほうの懸案にのぼっておりましたら、これもさっそく調べまして、もし退去強制させる事由がありましたら、すぐに送還するようにいたします。
○西村(関)委員 私は、先ほどから何べんも申しておりますように、通り一ぺんの上つらの御答弁を要求しているのじゃないのです。こういう人物、過去にこういう暗い前歴を持っている人物が、日韓国交正常化の時代にどんどん日本に入ってくる。そうして日本のある種のグループと結託をするということに私は問題があるということを考えておるのであります。そういう点について、いまお話しのように、この韓賢宇という人物がどういうケースで入ってきたか、またどういう状態でおるかということをお調べいただきたいと思うのであります。 以上をもって私の質問を終わります。
○高瀬委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 私はきょうは一点だけ御質問したいと思います。 それは、三月十七日の夜、ソ連の一等書記官が誘拐拉致されたという事件をみたわけでございますけれども、その問題について一点だけお伺いしたいと思います。 日本の、しかも赤坂で起きた事件でございますから、当然日本としては外交官の特権ということで何らかの保護を必要とするのじゃないかと思いますけれども、この問題に対して外務大臣はどういう処置をされていられるかをお伺いしたいと思います。
○椎名国務大臣 私も新聞でちょっと見たくらいの程度で、まだ事実を確認しておりませんので、欧亜局長からその事実関係を述べたいと思います。
○北原政府委員 本件は、三月十七日に東京に寄りますソ連大使館の一等書記官が住居を持つ清風苑アパートというところで起こった事件でございます。 事件のごく概略の内容を御説明いたしますれば、この一等書記官が自宅へ午後十時ごろ帰りまして、同宿のコロンビア国籍の貿易商、ずっと同じアパートに住んでおりますが、その人が入り口で非常に苦しんでいて、自分の上のアパートの冷蔵庫の中に特効薬があるんだ、鎮静剤があるんだが、自分は発作のために動けないということを訴えたわけでございます。そこで一等書記官が助けてその部屋にまで上がりました。この部屋に上がりましたときに、このアパートの中に二人のアメリカ国籍を持った人がいたわけでございますが、そのときに、ソ連側の主張によりますと、その中にいたアメリカ人から部屋の中に入れられようとしたということを申しております。逆にアメリカのほうの人の言い分によれは、ソ連の人は全然部屋に入らなくて、自分たちの部屋の中にいるのを認めて、自分たちが冷蔵庫から薬を出して当人に与えて、結局回復したのだと言う。これが事件の一つでございます。 それから三十分後に——その当人の貿易商がその夜香港向けに出発することになっておりまして、その出発の前に知人であるこのアメリカ人とそのアパートで一ぱい飲もうということで集まってきておったものらしゅうございます。そのうちに、下へ自動車を呼びに貿易商がおりていったときに突然病気になった。で、先ほど御説明しましたような経緯があったわけでございます。その後三十分して、また上の三名、コロンビア人一名、アメリカ人二名が自動車を呼んで下へおりてまいったわけであります。そのときに、これが第二番目の事件でございますが、ソ連の大使館員数名と、それから一名の婦人と、アパートの入り口で両方が会しまして、そこでまあある程度の、何と申しますか、乱闘と申しますか、腕力ざたがあったわけでございます。しかし、これはまあアメリカ人のほうのめがねが一つ飛んだとか、その程度のことでありまして、その乱闘騒ぎを見まして、アパートの管理人がすぐ一一〇番で警察を呼びまして、そうして警官が来て、すぐにけんかは終わった。これが第二の事件でございます。 外務省といたしましては直ちに警察からこの報告を受けました。十八日にソ連大使館のほうから外務省のほうに本件についての連絡がございました。幸いに、この当事者の一方であります大使館員は、不逮捕特権を持っておる、及びその家族でございますが、直ちにその現場から警察のほうへ同行を求めましたのに対して快く受けてくれました。そこで警察で全部直ちに調査を始めたわけでございます。私ども、外務省から警察に正式に依頼しまして、本件を十分に調査していただきまして、結論といたしましては、結局何らかの誤解に基づく乱闘と申しますか、特に何ら背後関係はない、双方の言い分をよく聞きました結果、そういう結論に達しまして、その旨、外務省よりソ連の大使館のほうにも伝えました。外務省といたしましては、この当事者の一方でございますのが、ソ連の大使館員であるという点、それから他方、コロンビア貿易商及びそのアメリカ人の友人というもののバックグラウンドにつきましてもよく調べまして、結局本件は誤解に基づく単なる個人的なけんかということで結論を出しております。 この後、四月十四日に至りまして、ソ連の外務省から在モスクワのアメリカの大使館に対して、本件についてのノートを渡したという情報を得ております。そのノートの内容及び詳細につきましては私どもいまだに承知しておりません。 以上が大体事件の概要でございます。
○戸叶委員 ソ連のほうからは外務省のほうにどういう申し入れがあったかということが一つ。 それから、当然日本は外交関係に関するウィーン条約に入っているわけですから、その第二十九条に、よって外交官を守らなければならないということが義務としてあるわけですね。そうだとすれば、今度の問題についても、日本政府としてやはり考えなければならない問題だと思いますけれども、ただそれが、日本の政府だけが考えているように、単なる誤解によるけんかであるかどうかというところに私は問題があるのじゃないかと思うのです。それに対して、誤解によるけんかであるということを下田さんが新聞発表しているわけでございますが、その点については、ソ連の大使館なり、あるいはまた拉致されたといわれているポクロフスキーという方ですか、ソ連の一等書記官、この方は納得をしているのかどうか、そこに私は問題があると思うのですが、その点をまず伺いたいと思います。
○北原政府委員 第一点の、ソ連大使館から外務省に対しまする申し入れの内容は、本件について十分に調査をお願いしたいというのが内容でございます。 それから第二点の、外交官として日本に滞在しております者に対する保護の問題でございますが、これは本件を通じまして、十分に外務省及び警察において留意をしてやったと思っております。 それから、本件内容の、外交官特権に関しまするウィーン条約との関係でございますが、この点につきましては、わが外務省とソ連大使館との間に何ら意思の疎通を欠いておる点はございません。
○戸叶委員 それでいわゆる当事者の一等書記官は、外務省が出した結論、つまり間違いによる一種のけんかであったということに納得したのかどうかということ、それからソ連大使館もそのとおりでございましたということで納得しているのかどうか、この点をもう一度伺っておきます。
○北原政府委員 本件の調査が終わりました際に、外務省で当地ソ連大使館の係官を招致いたしまして、調査の内容を詳しく説明したわけでございます。先方は、その貿易商及びその場に居合わせたアメリカ人の背後関係について何かあるのではないかということについていろいろ質問されたわけでありますが、私どもといたしましては、その背後関係はないというふうに答えておきました。
○戸叶委員 それでは、完全にソ連のほうで、日本の政府が発表したように、単なる間違いによるけんかであったというふうな発表にはまだ納得していないわけですね。今後においても何かあるのではないかという疑問は解けておらない、こういうことでございますね。
○北原政府委員 その点に関しますソ連政府の最終的な意図につきましては、私どもまだ正式には通告を受けておりません。
○戸叶委員 そうだとしますと、やはり事件の解決というものは双方の納得、ことに当事者の納得というものがなければ、私は解決はしないのじゃないかと思うのですけれども、その点はどうかということ、日本が一方的に何でもありませんでしたということで押しつけても、当事者がそのとおりですと言わなければ、やはり何かあるのじゃないかというふうに疑わざるを得ない。その点についてどうお考えになるか。なぜ私がそれを伺うかといいますと、前にやはり米国の機関が外国人を拉致した事件としてラストボロフ事件というのと鹿地亘事件というのがあったわけでございまして、ああいうふうな問題があっただけに、今回は幸いにして問題にならないにしても、私たちは危惧するわけでございますので、この点を確かめておきたいと思います。
○北原政府委員 御説のとおり、両当事者間において納得のいく解決ということがもとより最も望ましいと思います。私どももこの日本国内において起こった事件でございますので、そういう形でなるべく本件も決着を見ることを希望しております。ただ現在のところほんとうにそこまでいっておりますかどうか、私にはまだ画然といたしませんが、最終的にはやはり日本の国内において、領域内において起こったことでございますので、わが国の警察当局の責任ある最終的な判断というものをわれわれとしては尊重せざるを得ないということになると思います。
○戸叶委員 私はきょうは一問だけですから時間もございませんので、これ以上追及しませんけれども、あとで問題が起こらないようにしておいていただきませんと、非常に重大だと思うのです。ことに下田さんが新聞記者発表で、これは単なる誤解によるけんかであったということを言っていられるわけですけれども、いまの御説明のように、ソ連のほうの、しかも当事者がはっきりそれを納得しておらないということに在りますと、今後またいろいろな問題を日ソ間に起こしてもまずいと私は思います。ことに日本においての外交官を守らなければいけないという立場における日本の立場を守っていただかなければなりませんので、そういう点ははっきりさせていただきたい。そして私は、次の機会にでも下田さんに来ていただいて、なぜこういうことがソ連の納得も得ずに発表できたかということなども、ここではっきりさせていただきたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
○高瀬委員長 川上貫一君。 なお、川上君に申し上げますが、外務大臣は十一時五十分に退席いたしますので、それをお含みの上、御質疑を願います。
○川上委員 外務大臣にお尋ねします。私の質問は単直ですから、外務大臣も率直に単直に答えていただきたいと思います。 最近、中国は、東京で開かれた東南アジア開発閣僚会議あるいは近く開かれる予定のアジア外相会議、これなんかとともに佐藤内閣が中国封じ込め政策を一そう積極的に打ち出したものである、こう言うて対日関係の再検討を始めているようです。これは日本と中国の関係にとってたいへん重要な問題であると思いますから、外務大臣はこれをどう考えておるのか、中国は再検討しておるということを知っていますか。
○椎名国務大臣 再検討しているということは存じません。
○川上委員 再検討しておるのです。これは重大な問題なんです。こういう問題について中国が再検討しておるのは理由があると思う。 そこでお聞きしたいと思うのですが、そもそもこの東南アジア開発閣僚会議、この構成国を見ましても、正式メンバーは全部アメリカのベトナム戦争に出兵しておるか、あるいは協力しておるか、そういう反共国家またはかいらい政権だけであります。これが正式構成メンバー、これは明らかに中国を敵として中国封じ込めの反共同盟を目ざす会議、これだといわなければならぬと思います。この点について外務大臣はやはりはっきりとした答弁をしてもらいたいのですが、そもそもいま私が申しましたようなものとして、この閣僚会議はアメリカの指図したものではありませんか、これが第一点です。またアメリカの献立によったものであろう、これが二点です。この点についてお尋ねをしたいと思うのです。
○椎名国務大臣 第一点の、アメリカの指図というようなことは毛頭ございません。それから献立というのはどういうことか知りませんけれども、それに該当するようなものはありません。
○川上委員 外務大臣はアメリカが指図したものじゃない、またアメリカがちゃんと献立をしたものでもない、献立ということはよう知らぬということも言うておる。私はいいかげんなことを言うておるのじゃない。これは外務大臣はっきり答弁してもらわなければならぬですが、昨年の四月の七日にジョンソン大統領は例のぺてんのベトナム平和提案というものを行なっておる。これと抱き合わせて東南アジア開発と称するいわゆる十億ドル構想なるものを提案しております。ところが、それに基づいて四月の二十四日にはロッジ米大統領特使が来日しております。そのときロッジ氏はどう言いましたか。佐藤首相とあなたに会って、そうしてその二人に言うておるはずです。資金と技術はアメリカが提供する、運用面では日本が中心になって経済、軍事両面においての体制を具体的に進められたい、こう言うておるはずです。これをあなたは否定しますか。外務大臣……。
○椎名国務大臣 ロッジ氏が参ったのは四月の二十四日であったかどうか私は記憶いたしませんが、見えまして佐藤総理とも一緒にお目にかかりました。それで、やはりただ軍事行動だけでなしに、ベトナムを中心とする東南アジアの政策というものは平和建設というものを一緒にやらなければいかぬのだというようなことは、両方から意見を出し、そういったような問題に関して短い会談をしたことをいま思い出します。それと今度の東南アジア閣僚会議と何か密接な関係でもあるようにお述べになりましたけれども、まあそれはそれ、これはこれ、ことに今度の東南アジアの開発会議におきましては農業問題が主たる問題でございまして、そしてこれをさらに半年か一年以内には農業開発会議というものを専門家を入れて別につくる、そういうことで、ここに中心を置いた会議でございまして、何らアメリカの、献立とおっしゃる意味はようやくわかりましたが、何か料理のことなら献立ということばがあるが、会議に献立ということは初めて聞きます。とにかくあなたのおっしゃることは大体わかりましたが、そういうものではありません。
○川上委員 やっぱり外務大臣は率直に国会では答えなければいかぬと思う。これはさっき私が言うただけではない。同じころにアメリカの国家政策を立てる責任者であるロストウが来ておる。このロストウ委員長は長期に滞在しておる。そうしてあなた方と財界の首脳と折衝しておる。その上、外務当局、——あなたの当局です。——とは特別の席を設けて、どういうことを言ったか。中国を取り巻く今後の政治、経済、軍事情勢、特にその弱点と克服の問題を協議しておる。しかもその中で、アメリカが中南米でつくっている政治・経済組織のようなものを、アジア開発銀行以外の組織、こういうものとしてつくることを要請しておるのです。これははっきりその資料をわれわれは持っておる。それだけではない。その要請が昨年の七月の日米貿易経済合同委員会で具体的に決定されておる。これがあなた方がやった東南アジア開発閣僚会議です。農業会議、これなんかは一つの空漠たるごまかしなんです。外相はいま私の言うたこと、これは全く違うと言い張りますか。
○椎名国務大臣 ロストウ氏がしばらく来て、どういうことでございましたか、私はごく短い時間会っただけでございまして、内容を詳しく聞いておりません。 それから七月の日米合同委員会では、多少東南アジアの経済開発に関する点につきまして、これは議題とはならなかったけれども、私からそういう意見を述べてみたくらいの程度のものでありまして、何かこれにもう全部ひっかけて、そうして全部アメリカの献立によって今回の開発会議が実現したというふうに考えられることはとんでもない見当違いでございまして、そういう性質のものではない。
○川上委員 外務大臣は、特に政府はいつでもそういう答弁をするのですが、そういうごまかしだけを言うては私はいかぬと思う。現にアメリカのバンディ国務次官補は公然とこういうことを言うておるのです。中国封じ込めのためには、第一に、戦後の西ヨーロッパに対する経済援助と反共軍事同盟、すなわちNATO結成を教訓としなければならぬ。第二に、中国封じ込めについてのアジアの情勢はNATO結成のときの状態とよく似ておる。第三に、それゆえに、アジアにおける反共国家に対する経済援助を強化し、経済、軍事両面において長期にわたって支援しなければならぬ。こう言うておるのです。
○高瀬委員長 川上君、なるたけ早くお願いいたします。
○川上委員 これが日米貿易経済合同委員会でちゃんと取り上げられておるのです。そこでアメリカが、これを実行する中心は日本でなければならぬ、日米貿易経済合同委員会で言うておるじゃないですか。そこでそうきめておるじゃないですか。問題はきわめて明瞭なんです。この会議は経済開発の美名です。農業会議などとごまかしている。中国封じ込めを基本とするアジアの反共同盟を目ざす組織であることは明瞭なんです。もしそうでないと言うんならば、ちょっと聞きたい。あの共同声明から政治的立場の違いを越えてというのをどうして削ったのですか。
○椎名国務大臣 あれの起草委員会でそういう論議が起こったそうでございまして、あとから私も聞いたのですが、結局企画の際には政治問題を越えてということは生きておったかもしらぬけれども、もうすでに会議は始まって何ら政治的なにおいというのはみじんもない、そしてもう純粋に経済の会議であるということがわかっているのです。それの最後にきて共同声明を書く際に、この文句をまた持ち出す必要はないということだったようであります。かえってあるのがおかしい。事実がそのとおりなっているんだから、そんなものは要らないということだったそうであります。
○高瀬委員長 川上君に申し上げます。外務大臣はラオスのプーマ首相と総理官邸でこれから会見いたしますので……。
○川上委員 それでどういうのです。
○高瀬委員長 退席するのやむを得ざる状態ですから、御了承願いたいと思います。
○川上委員 それじゃ、私の質問はまだ相当残っておりますから、これは保留しておきます。次のときに発言させてもらいます。
○高瀬委員長 了承いたしました。 それでは、これにて散会いたします。 午前十一時五十三分散会