外務委員会 第8号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/04/13
会議録
○高瀬委員長 これより会議を開きます。 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。椎名外務大臣。 ————————————— 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件 第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件 関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○椎名国務大臣 ただいま議題となりました航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 本件協定締結のための交渉は昨年十月七日から東京において行なわれましたところ、本年初頭日ソ両国代表団間で合意を見、一月二十一日モスクワにおいて、本大臣とソ連邦側ロギノフ民間航空大臣との間で協定の署名が行なわれた次第であります。 この協定は、わが国とソビエト社会主義共和国連邦との間に定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれ業務を行なうことができる路線を定めているものであり、わが国がこれまでに締結した二十一カ国との間の二国間航空協定に一般に規定されていることのほか、ソビエト連邦が国際民間航空条約の加盟国でないことにかんがみて加えられた規定を含んでおります。 この協定には、さらに、シベリア上空が開放されて協定上の相互乗り入れが可能となるまでの期間は政府間の合意により暫定運航を行なうことを規定する議定書が協定の不可分の一部として付属しております。 この協定が締結されますと、両国の航空企業は、さしあたり共同運航の形式により東京とモスクワとの間の飛行を行なうこととなりますが、この東京・モスクワ間の飛行は、従来の欧州経由の場合と比較し、距離、運賃、所要時間等において著しい改善を見ることとなります。さらに、シベリア上空が開放されて相互乗り入れが実現する場合には、わが国の航空企業にとって、モスクワ以遠第三国内の地点へ運航することも確保されております。わが国が世界に先がけてシベリア経由モスクワ線を運航する権利を得ることは、わが国の国際航空界における地位を向上させることはもとより、今後の日ソ関係の発展のために重要な意義を有するものと期待されます。 次に、第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この協定は第二次国際すず協定の有効期間が本年六月三十日に満了するので、それにかわるものとして昨年ニューヨークで開催された国連すず会議で採択されたものでありまして、わが国、英、仏等十六のすず消費国及びマレーシア、インドネシア等七つのすず生産国が署名を行ないました。 この協定の骨子は、すずの国際価格を協定で定める最低価格を最高価格との間に安定させるようにするため、すずの供給が過剰となったときに生産国に輸出統制を課する制度のほか、生産国がすずの現物及び資金を供与し合って緩衝在庫としてプールしておき、市価が上昇気味のときはこの緩衝在庫の現物を市場に売り出し、市価が下降気味のときは緩衝在庫の資金で市場のすずを買い上げる制度を設けることであります。このように、価格安定措置は生産国側の義務として行なわれるものでありまして、消費国側に輸入量、輸入価格等について具体的制約を課するものではありません。なお、この協定は、若干の技術的改正を除き第二次協定の規定をそのまま踏襲するものであります。 すずの国際価格の安定は需要の九割以上を輸入に依存しているわが国にとって望ましいことであるのみならず、また、すずの価格安定を通じて開発途上にある生産国の経済発展に寄与することとなるので、わが国が第二次協定に引き続いてこの協定の締約国となりますことはきわめて有意義と存じます。 次に、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約の改正に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 この条約及び改正議定書は、関税率表における物品の分類のために共通の基準を採用することによって、関税交渉、貿易統計の比較を容易にすることを目的として、それぞれ一九五〇年十二月十五日及び一九五五年七月一日にブラッセルにおいて作成されたのであり、また、条約第十六条の改正は、関税協力理事会において一九六〇年六月十六日に勧告されたものであります。 この条約及び改正議定書は一九五九年九月十一日に同時に効力を生じ、条約第十六条の改正は一九六五年九月三十日に効力を生じました。 この条約は、締約政府が同条約の不可分の一部を構成する付属書の品目表に適合させて自国の関税率表を作成すべき旨を規定するとともに、品目表委員会の構成及び任務等について規定しており、改正議定書は、前記条約付属書を改正議定書の付属書によって新たに置きかえることを規定しております。また、条約第十六条の改正は、この条約の改正手続の簡素化を内容としております。 わが国がこの条約等に加入することは、関税及び貿易行政の分野における国際協力の見地から望ましいことであるのみならず、貿易実務上も便利であり、ひいてはわが国の貿易の発展にも資するものと考えられる次第であります。 よって、ここに、これらの一条約二協定及び一改正議定書の締結について御承認を求める次第であります。 以上三件につき、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○高瀬委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○高瀬委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。帆足計君。
○帆足委員 ベトナムの悲惨な状況は、党派を越えて日本国民のすべてが憂うるところでございます。ところが最近の状況はまたさらに深刻になりまして、そしてもう戦争にうみ疲れた南ベトナムの大衆は、とにもかくにも軍事政権の独裁はいやであるということをちまたに叫びまして、そして仏教徒、学生並びにカソリック教徒の区別なく、抗議の大デモンストレーションが起こっている状況でございます。そのデモンストレーションのスローガンを見ますと、アメリカ人よ主人顔をするな、ダナンの基地を売り渡すな、ベトナムの主権を無視する政府はやめてもらいたいというようなことばが大きく旗に書かれておるのが読み取られるのでございます。さらにアメリカの手で目下建設中のカムラン湾大基地に対する南ベトナムの国民大衆の反発も非常に強いものでありまして、ベトナムの国民に一言の相談もなしに永久的大基地をアメリカにゆだねるとは何ごとであるか、やがて四十万の軍隊がベトナムに上陸するようになりますると、物資は欠乏し、南ベトナムの少女たちは不安におびえ、そしてその基地はもう膨大な半永久的基地になってしまう。したがいまして、これらのデモンストレーションのデモ隊のスローガンは、せんじ詰めれば果てしなき戦争のもたらすものに対する国民の自然な憤激の発露であると思えるのでございます。読売、朝日並びに毎日新聞等の聡明な報道員の諸君は、今日のような事態の至ることを新聞記者としてのリアリズムにおいて、その良心において広く国民に警告し、ラジオ、テレビ、ニュース等を通じてこのことは日本国民に早くから理解されておりました。私は、日本の外務省当局としては、これらの現実をよく冷静に見まして、そうしてその現実認識の上に立って、平和に対してなすべきことを行なうべきであると思っておりますけれども、残念ながら外務省当局は、過去の伝統からしまして、二面外交におちいりまして、一方ではベトナムの平和を望むゼスチュアを示しながら、他方では過去の因縁情実が断ち切られずに、南ベトナムに直接または間接の軍需物資を送るというようなことが行なわれております。外務大臣は、あれは通常の物資だ、それがベトナムに流れたというふうに言いわけをなさいますけれども、残念ながら現実においては大量の軍需物資、軍服、軍くつ、はなはだしきに至っては、クリスチャン・サイエンス・モニター紙その他フランス、イギリス、アメリカの発行されております新聞などを見ましても、過去において、朝鮮のときにナパーム爆弾のからが送られましたけれども、ナパーム爆弾のからが送られておるという風説ももっぱらでございます。これらのことにつきましても、いずれ私ども調査の結果を申し上げまして政府の注意を喚起したい。また、約束に従いまして、外務大臣の言明に従いまして、そういう軍需品の輸送はやめてもらいたい。すでにカナダにおきましては広く軍需品に使われるような物資は聡明なるピアソン氏がこれの輸送を禁止したと聞いておりますが、私はやはりそういう人道的な態度が望ましいのではないかと思います。 そこでまず第一にお尋ねしたいことは、今日南ベトナムの民衆、国民大衆が、アメリカに対して、軍事政権に対してこれを支持したり内政に干渉したりしないでもらいたいということを強く要求しておりますことに対して、外務省当局として、外務大臣はどういう御感想をお持ちでございますか、お尋ねしておきたいと思います。
○椎名国務大臣 他国に起こっておるデモのスローガンといいますか、そういうものに対する感想をお聞きのようでございますが、私は、一々そういうスローガンに対して批評をすることは適当でないと思いますから、控えさせていただきます。
○帆足委員 身もふたもないことばでありまして、それでは一体何のための国会であるか、私は、一々のデモンストレーションのスローガンについてお尋ねをしておるのではありません。一々のスローガンについてはこういう事態であるということを示す事例としてあげたのでありまして、南ベトナムの国民大衆がアメリカの内政干渉をきらっておるということにつきましては、内政不干渉の国際連合決議に積極的に賛成した日本政府として、どういう所感をお持ちであるかということを問いただしたわけです。国民のだれしもが聞きたいことでありますから、この際ひとつ、外務大臣の高邁なる識見の一端でも披瀝していただけばと思いまして、お尋ねするわけです。
○椎名国務大臣 内政干渉があるかないか、これは私はにわかに断定は下せないと思いますが、もしそれがいわゆる内政干渉ならば、それはよろしくないと思います。
○帆足委員 私は、人類というものは大脳がありまして、もう少し敏感な生物であると信じておりますが、ただいまの御答弁は、まるで爬虫類のごとくでありまして——爬虫類ということばは決して失礼な意味で言うておるのではありません。アイロニカルに申し上げておるのであります。しかし、事態の真相はきわめて明確であるにかかわらず、なぜ、敷島のやまとの国の外務大臣がもう少し明確な答弁をなさらぬか、残念でありますが、なさらぬとしても、私は、いまからまだ一時間ありますから、なさしめてみようと思いますが、そこで内政干渉の問題については、ひとつこれから逐次質問いたしまして、外務大臣の御心境を問いただし、そして平和憲法の国の外務大臣にふさわしい御答弁をひとつきょうは獲得しようと思って参っております。 そこで、さしあたりの問題から御質問いたしますが、今日、世界の常識におきまして、毒ガス並びに細菌戦術というものは禁止されております。ふしぎなことに、アメリカだけがこれに参加してないように承っております。これも後ほど伺いますが、細菌戦並びに毒ガス戦に対する禁止国際協定に対して、参加していない国はどことどこでありますか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○藤崎政府委員 いま私、その条約の資料を持ってまいっておりませんので、後刻お答えいたします。
○帆足委員 そのくらいのことを御存じない条約局長は、一体東大を出たのかどうか、卒業証書と一緒にひとつお見せを願いたいように思うくらいであります。というのは、いま南ベトナムで細菌戦が行なわれていて、これに憤激したイギリスのバートランド・ラッセル氏は、イギリス労働党をして抗議せしめようと思いましたけれども、まだ調査中などと言って言を左右にしておりますので、この哲学者は憤激して、イギリス労働党員たる党員証を引き裂いて憤激したといわれておるのであります。老いの一徹とのみとは言い切れない憤りを私は見るのでございます。 そこで私のほうから御説明しますが、もっと確かめたいと思ってお尋ねしておるのですから、すぐ本庁に電話をかけまして、至急資料を取り寄せておいてください。細菌戦には、御承知のように各種のものがありまして、平凡社の百科事典にも出ておりますし、エンサイクロペディア・ブリタニカにも詳しく出ております。また最近の雑誌、「世界」の三月号にも解説が出ておりますが、くしゃみ性のガス、窒息性のガス、びらん性のガス等があります。しかし、いま使っておるのは国内のデモンストレーションなどで使ういわゆる軽い催涙ガスであるとアメリカ国務省当局は弁解しておりますけれども、最近私が見ました外国の新聞によりますと、こういう事実が次々と報道されております。三月九日のアメリカ国務省自身の談によるものですけれども、南ベトナムにおきましては、化学的方法によりまして、植物及び種まきをせん滅し得るガスを広範にばらまいておる。こういうことになれば、ベトコンと、そうでない一般の農民との間の区別はつきかねるのでございますから、その被害は実に甚大であり、そして非人道的であると思います。またアメリカの広報部長ともいうべき米合衆国刊行物センター長官のマック・ロスキー氏は、二月二十八日、二万エーカーにわたる植物播種毒ガスの散布を公表し、このことは「ネーション」及び「オブザーバー」にも発表されておりますが、ランチ・ハンド・プランという名の戦略の一環といたしまして、二四Dという毒ガスを飛行機から散布したことを述べております。またサイゴン郊外のタンソン・ニュット飛行場に本部のあるデレッセル・ラルフ少佐指揮下の米空軍一〇九飛行隊が・ランチ・ハンド・プランに従って、二四Dという毒ガスをまきました。さらにまた昨年の十二月、それからことしの一月にわたりまして各所で散布いたしました催涙ガスのために、アメリカ軍側の将兵が二名窒息死いたしております。ベトコンが難を避けますためにざんごう深く洞窟をつくってもぐっておりますのを、タヌキを煙でいぶらせるという戦法でしょうが、孫子の兵法にはこういう卑怯な兵法は出ておりませんけれども、そこへ催涙ガスを入れ込んで困らせようというわけです。そのために、今度は風向きが変わったときに、豪州の兵士ですけれども、二名戦死しております。このようなきびしい毒ガスは明らかに国際法違反であると思います。したがいまして、毒ガス、細菌戦禁止の国祭法に対して、入っていない国ははたしてどういう国であり、何のために入っていないのかということをお尋ねしたかったのです。 まず第一に、日本はこの協定に入っておりますか。これをお尋ねをしたい。
○藤崎政府委員 毒ガス禁止宣言に入っている国と入っていない国とがあることは御指摘のとおりでありますが、しかし、かりに入っていないにしましても、現在では、毒ガス禁止宣言に触れるようなガス体を戦争手段として用いてはいけないということは、もう一般国際法として諸国が認めているところである、かように一応国際法学者が一般に認めていると思います。したがいまして、入っていないから毒ガスを使ってもいいのだというようなことはないわけでありまして、毒ガス禁止宣言に触れるようなものは使ってはいけないということが文明社会一般に認められておる、かように言ってよろしいかと思います。
○帆足委員 さすがは外交官試験を御通過なさった方だけあって、いまの御答弁はすばらしかったと思います。(笑声) それでは、道義的にそのようでありますけれども、アメリカはこの宣言に参加しておりますでしょうか。また参加していないとすれば、アブラハム・リンカーンの子がなぜ参加していないのか、そこまで堕落したアメリカであるかどうか。ちょっと参考のためにお聞きしておきたい。
○藤崎政府委員 その点は、私、不正確なことを申し上げるといけませんので、後刻資料を取り寄せましてからはっきりお答えをいたします。
○帆足委員 南ベトナムにおいて広範な細菌戦並びに毒ガス戦が行なわれているときに、その責任者であるアメリカが細菌戦禁止の国際宣言に対して加盟しているか加盟していないかということは、条約局長はぴんときて、第一にお調べになっておくべきであって、それをお調べになっていないとは、社会党議員の人道的精神を軽視し過ぎておりはしないかと思うのです。当然われわれは黙っておらない。われわれが黙っていれば石が叫ぶのでありますから、石に叫んでもらう必要はないのでありまして、したがいまして私どもから質問があるのに対しては明確な準備があってしかるべきでありますから、すぐ電話をかけて聞いてください。私がエンサイクロペディアで調べましたところによりますれば、アメリカは何ゆえかこれに入っておりません。私はこれを非常に残念なことに思っております。しかし、ただいまの条約局長の御答弁のように、かりに入っていなくてもなおかつ慎まねばならぬ。いわんや入っておれば一そう慎まねばならぬ。しかるに世界のプリマドンナをもって自称するアメリカが、こういう神聖な条約に加盟していないというのは、一体これはどういうことであろうか、だれしもそう思うでしょう。条約局長、いかがお考えですか。
○藤崎政府委員 この毒ガスの問題は、一年ばかり前、何かアメリカが使ったとか使わないとかいうことで国会でもいろいろ論議がございまして、私もそのときはよく記憶しておったのでございますが、とにかくアメリカの立場は、アメリカ政府はあの毒ガス禁止宣言に触れるようなガスは使用しておらない、アメリカ国内で何かデモでも起とったときに使うような催涙ガス様のものを使っておるだけであるという説明でございまして、あの宣言に入っているとか入っていないとかいうことが問題の核心ではなかった次第でございます。
○帆足委員 それでは事実を申し上げますが、去る一月十一日にサイゴン西部で解放軍——解放軍というのはベトコンです。南ベトナム解放軍の隠れておる地下壕に、非致死性、すなわち人を殺さない程度のガスをまいたと発表した。ところがそのガスは、その迷路の中を流れまして、そしてロバート・ボウテルという二十四歳の青年が死亡いたしまして、ほかに六名のアメリカの兵士が病院に収容されました。したがいまして、これは全学連諸君にときどきまくようなガスと違いまして、戦場で行なわれる毒ガスでございますから、非常に非人道的なものであることは明確でございます。外務大臣、今後ガスでもって人を殺すというような種類のガスがまかれるとすれば、この宣言加盟国として、日本はこれに対して反対の意思表示をなさる、そういうお気持ちでありますかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
○椎名国務大臣 もちろんそれは、そういうおそるべき毒ガスであれば、これは反対せざるを得ない。しかし、そういうものは使っておらないというふうにわれわれは信じております。
○帆足委員 使っておらないという、何を——本も読まないで、新聞も読まないでそういうふうに言うのは信仰の一種ですから、信仰に干渉することはできないといえばこれは別問題ですけれども、この席は、これは信仰の会ではありませんで、政治の会でございますから、私は、ではそういう事実を今度はもっとはっきりした証拠をもって示しましたときには、外務大臣のいまの御答弁に従いまして警告を発するということにしていただきたいと思いますが、いかがですか。はっきりした証拠をあげまして外務大臣にお示ししたときには、人道の立場からそういう態度を明らかにいたしますか。
○椎名国務大臣 そういうことはないと確信しております。
○帆足委員 実に信仰の強い方で、私はそれは信仰によってきまることではないと思うのです。 そこで、さらにもう一つお尋ねしますが、最近南ベトナムに上陸する兵士並びにアメリカの市民に対して、ペストの予防注射をしております。ペストという病気は、絶えて久しく聞かぬおそろしい病気でありまして、ロミオとジュリエットがあの哀れな最後を遂げましたのも、ロミオの使いが途中でペストの疫病の流行地に差しかかったために、使いがとめられまして、そのために手紙が届きませんで、ついにあのような悲劇を生んだのでございます。日本語では黒死病といって、黒焦げのようになって死んでしまう病気ですが、その予防注射をしておるということについて、南ベトナムにペストの流行の徴候がある、なければそういう注射をするはずもない、あるいはペストの細菌戦を行なう可能性がありはしないかなどと一部では心配されておることも聞きます。南ベトナムにただいまはやっておる流行病はどういう流行病であり、そしてペストもときには散見せられますか、お尋ねしたいのです。
○小川政府委員 南ベトナムにおきましては、従来から地方的にペストが発生しておる事実がございます。今回の紛争とは関係ないと思います。一般の旅行者も、従来ペストの注射をすることを勧奨されております。
○帆足委員 それはおそるべきことでありまして、戦争状況になりますと、衛生も悪くなり、秩序も乱れますから、私はペストの流行する危険性もあり得るものと思います。それならば連合軍だけでなくて、南ベトナム市民にもペストの予防注射をし、また日本の向こうにおります在留の同胞にもペストの予防注射をしておくべきものであろうと思いますが、そういうことについての準備は厚生省当局のほうでお考えですか。
○中原政府委員 ただいまのお尋ねのペストの予防注射でございますけれども、ベトナム方面に行く日本人であって希望する者につきましては、注射を行なっております。
○帆足委員 ペストですか。
○中原政府委員 はい。
○帆足委員 それは希望者だけですか、全部一律に、また在留同胞にも一律にいたしておりますか。
○中原政府委員 それは希望者だけでございます。
○帆足委員 戦争のときは非常事態でございますから、いろいろ不測の災いが起こりがちなものでございます。アメリカ軍及びアメリカ軍の傷病兵が多数、沖縄並びに日本国内の各基地病院に収容されておると聞きますが、それは貫通銃創や銃撃、爆弾のやけど等のほかに、各種の伝染病患者も参っておるように聞いておりますけれども、沖縄及び日本国内各基地におけるベトナムから連れてこられたアメリカの傷病兵のその病気の一覧表というものは厚生省は把握しておられますか、また検査する権能がありますか、またその病名の統計をお持ちでございましょうか。
○中原政府委員 一般に海外から日本に入ってくる場合、その他外国でも同じでございますけれども、そういう特殊の疾病につきまして検疫というものがございまして、これは疾病がきめられております。その疾病は大体六種類ございますけれども、その中にペストももちろんございます。ペスト、コレラあるいは痘瘡、発疹チフス、回帰熱、黄熱というのが、国際的な衛生条約できめられた疾病でございます。そういう面につきましては、全部日本側でも入国者についてやっております。それからアメリカ軍につきましても、もちろんそういう疾病のあるかないかについては報告を求めておりますので、現在はございませんです。
○帆足委員 そういう悪性伝染病の患者というものは、現在のところ、日本の国内において、沖縄において、幸いにして一人もないわけですか。
○中原政府委員 日本においてはございません。
○帆足委員 沖縄においてはどうですか。沖縄は他国だから知らないと仰せでしょうか。
○中原政府委員 沖縄においても報告を受けておりません。
○帆足委員 沖縄においてはわれわれはそういう病気の報告を受ける権利はないわけですか。
○中原政府委員 この検疫伝染病につきましては、その発生がございますと、直らにWHOの本部に通報するようになっております。それからそこから全部各国に知らせるようになっております。その報告に徴しましてもございません。
○帆足委員 それでは沖縄における病院の中に伝染病患者があらわれたときはしかるべき国際機構に通達がありますから、日本にも必ず通達があるわけでございますね。
○中原政府委員 検疫伝染病についてはさようでございます。
○帆足委員 さらにお尋ねいたしますが、その病院に対して厚生省当局は消極的に報告を聞くだけじゃなくて、ときにはこちらから出向いて調査するという権能はありますか。
○中原政府委員 お尋ねの趣旨は日本国内についてだと存じますが、米国軍用艦船または航空機に対しましては、外国軍用艦船等に関する検疫法特例、これに基づきまして検疫港または飛行場に入港、着陸した者につきましては、その場所の検疫所長が検疫を実施いたします。日米行政協定に基づきまして米国が使用している施設に入港または着陸する場合におきましては、当該地域を管轄する検疫所長が米国の検疫官に検疫を実施させて、検疫伝染病の国内侵入を防止いたしているわけでございます。
○帆足委員 その場合、アメリカ基地内におけるアメリカ検疫官のほうの検疫は非常に完備した形で行なわれておりますか。十分な連絡はできておりますか。
○中原政府委員 検疫伝染病が発生した場合においては、あるいは見つかった場合においては、直ちに日本側に通報し、検疫所長と協議してその処置をするようになっております。
○帆足委員 ただいまの御答弁で事態はやや明らかになりまして、せっかく御努力中だということはよく了解いたしますが、何ぶんにも戦場でありまするし、擾乱のちまたでありますから、今後とも特にペスト、コレラその他の問題につきましては、一そうの御注意をお願いいたします。 同時に、もう一つお尋ねいたしますが、南ベトナムのフォルトデトリックという町で、家畜、鶏、アヒル等を殺す細菌がばらまかれたことを外国の新聞は伝えております。また、植物及び種まきについての毒ガスが広く散布されております。こういうことになりますと、アメリカはホノルル会議で一方軍事作戦の強化についてベトナム国民を怒らせるほどの永久基地強化のことを相談いたしましたが、他面では沖縄の福利民福を増進せねばならないという国務省側の進言を入れまして、それも論議されたといいますけれども、家畜を殺害し、種まきをできなくし、また森を焼き払うというような戦術はそれと一致しないことであって、まことに遺憾だと思います。こういう家畜を殺し、植物を殺す毒ガスは国際法上の毒ガス宣言の中に私は広義に含めて解釈すべきものと思いますが、条約局長はどのようにお考えでしょうか。
○藤崎政府委員 この毒ガス使用禁止に関する宣言及び議定書は、戦争手段としてそういうガスを使用することを禁止するというのが内容でございまして、戦争と直接関係ない場合には、この宣言、議定書も関係がないわけでございます。
○帆足委員 アヒルを殺すのは戦争と関係がないからと、こういう意味ですか。せっかくの御答弁の御趣旨が了解できないのですが、アヒルを殺したり稲まきを絶滅したりするのは戦争と関係ないからかまわぬというわけですか。
○藤崎政府委員 この宣言及び議定書が禁止しているのは、戦争手段として毒ガス類を使用することであるということを申し上げておるわけであります。
○帆足委員 アヒルや豚や稲を焼き滅ぼして、住民の食事に困難を来たさしめるということは、これは戦争手段ではありませんか。戦争手段として毒ガスを使うのですから、これは禁止されてしかるべきことと思いますが、それをどうお考えかとこう聞いておる。これは戦争手段でしょう。それともこれは何ですか、戦争手段にあらずして趣味ですか。
○藤崎政府委員 戦争手段として使用したのであるならば、それは禁止の対象になるわけでございます。
○帆足委員 それならばそうと早くおっしゃれば事は簡単に済むのに、短い人生を二、三分でも空費したことを残念に思います。 それでは本論に入りますけれども、最近国際連合において、人類の進化と各国民大衆の熱意を反映いたしまして、次々と合理的な決議が通過いたしておることは、それ自体は私は喜ばしいことと思います。しかし、遺憾ながらそれがほとんど実行に移されていない。たとえば植民地廃止宣言、内政不干渉宣言またはグアム島における基地撤回宣言、いずれも七十カ国以上の賛成をもって、絶対多数をもって国際連合を通過いたしております。しかるにその一つとして満足に実行されておるものはありません。その実行されていないという面から見るならば、これは偽善の展覧会、コンクールのような観を呈しておるという遺憾の一面があるのでございまして、国際連合の今日のやり方についてはやはり重大な改善が必要であることを痛感いたしております。 そこでお尋ねいたしますが、ある宣言を通過せしめる以上は、その宣言については、その事項についての正確な解釈というものがなくてはならぬと思います。きょうは時間が制限されておりますから、まずその第一の内政不干渉決議案について、政府はこれに参加をいたしましたか、また参加しなかった国はどことどこであるか、もしおわかりならば御即答願いたいのです。
○星政府委員 昨年の第二十回総会で内政不干渉に関する決議案が採択されております。わが国もこれに対して賛成の票を投じております。私の記憶では、投票を棄権したものはイギリスだけであったかと思います。なおまた、投票に不参加の国はマルタほか、ちょっと忘れましたけれども、何かあったように思います。
○帆足委員 労働党内閣のイギリスがこれに参加しなかったということを承って、われわれは心が痛むのでございますが、まことに残念なことだと思います。ところが参加した国が——日本も参加し、そしてアメリカも参加しておるが、これもまた、実行のぐあいを照らし合わせてみると、またこれが人生かなあと、まことに懐疑にたえられない思いがするのであります。 そこで内政干渉とはどういうことか、内政干渉をしてはいけないとはどういうことか、内政干渉の定義を外務大臣からまず伺っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 条約局長より申し上げます。
○藤崎政府委員 国際法上禁止されております他国の国内事項に対する干渉と申しますのは、一国の国内管轄権の範囲内の事項について、他国が何らかの意味において、強制力を用いましてその意思を押しつけようとすることでございます。
○帆足委員 その強制力というのはどういうことですか。
○藤崎政府委員 これはほとんどあらゆる形をとることができるわけでありまして、ここでこういうものに限ると限定的に定義づけることは困難だと思いますし、国際法の上でも、こういうものが強制力ということは定義づけられてはおりません。
○帆足委員 これは刑法における脅迫によく似ておりまして、相手にわずかばかりのきずがあるにしろ、そのきずを種にして金をゆすったり、その生計を危うからしめたり、その人格を棄損したり、平穏な生活を脅かしたりするものを脅迫というふうに聞いておりまして、たとえ相手にきずがありましたところで、脅迫ということは刑法で禁止され、罰せられることになっております。私は内政干渉はこれとよく似ておると思いますが、いま条約局長はいろいろな形の内政干渉がある、いろいろな方法におけるものを禁止しておると言う、私はそれはまことに妥当な答弁と思います。 そこで、ただいまの条約局長の御答弁を外務大臣はどのようにお考えですか。
○椎名国務大臣 いま非常に正確な表現で説明いたしましたが、私も大体同意見であります。
○帆足委員 そうだといたしますと、事務当局及び外務大臣の意見は一致している。そして他国の内政に対してあらゆる形態で圧力を加え干渉することをいう、こういうことになりますと、私はアメリカの南ベトナムに対する態度は、これはフルブライト報告でもこのことを警告しておりますが、昨日の新聞によりますと、チ・クアン仏教徒の首脳は、私が米国の政策に反対するのは、サイゴンのアメリカ政府当局が民選議会の設置を妨害しておるという事実から出ておる、こう語り、米国は民選議会選挙に反対することによって米国自身の民主的プリンシプルにみずからそむいておることになる、こう警告しております。さらに、サイゴンの学生連盟は、米国は過去九カ年間自分でつくりあげた政権、ゴ・ジン・ジェム、グェン・カオ・キに至る軍事独裁政府を支持してきた、そしてベトナム民衆の声を押えてきた、米政府は現軍事政権に対するベトナム国民の世論を抑圧してきた、軍閥は米軍の力をかりて国家主権を乗っ取り、そしてベトナム国民を押えてきた等、次々のことをあげて、アメリカの内政干渉を攻撃しておるのでございます。これだけあげておりますならば、これはベトナム国民、大衆のプロテストにすぎぬという解釈も成り立つかもしれませんが、これに対してラスク国務長官は、民政府の樹立は早急に望めない、当分の間は現政権でいきたい、こういう答弁をしております。一体よその国に行って、かりに北ベトナムの政府がサンフランシスコあたりに上陸いたしまして、われわれはジョンソン大統領に対して圧力を加えて近くこれを倒そうと思う、そして今度は冷水内閣——コールドウォーター内閣をつくりたい、こう言ったとしたならば、これは無礼なことであり、その背後に膨大なる経済援助と軍事援助をもって言ったとするならば、これは刑法における脅迫、国際法においては内政干渉と思いますが、外務大臣はいかにお考えですか。私はこう外務大臣がお答えになることを予期するわけです。確かに米軍極東政策は行き過ぎだ、これは野党、日本社会党から内政干渉と疑われてもちょっと弁明のしにくい事態のように思う、まことに遺憾である、こう答えたならば、これはすばらしい外務大臣であると思うが、そうまで率直にお答えにならなくとも、国民が納得できる御答弁をお願いしたい。
○椎名国務大臣 外部でどういうことを言おうと、内政干渉は国の管轄権内の事柄に対して強制力をもって外国から押しつけられるということが起こらないと、これは内政干渉にはならないと思うのです。ですから、ラスクがアメリカの議会でどういうことを言っておるか知りませんけれども、それは内政干渉にはなりません。
○帆足委員 どうもわれわれの使う人類のことばと外務大臣の論理とはよほどの距離があるということを私は残念に思う。同学の先輩でありながら、どうしてかくも大きな開きがあるか、これを深く思わざるを得ないのでありますが、しかし国民大多数の論理、新聞の大多数が伝えておる論理と外務大臣の論理との間に大きな開きがあることを私は指摘せざるを得ないことを残念に思うのであります。アメリカは大きな国ですから、いなかにはずいぶんやぼな議員もおるようでありまして、内政不干渉に対する決議にアメリカが参加しておることすら知らない議員さんもおるらしゅうございます。たとえば上院軍事委員長ラッセルという、あまり頭のよくない議員であるという定評でありますが、この議員は、もしベトナム人の大多数がアメリカの援助を欲しないというのならば、よろしい、ベトナムからアメリカは米兵力を引き揚げるだけでなくて、経済援助を完全に停止して貿易を完全にとめてあげるから、さよう心得ろ、こういう高邁な意見を述べております。またギボンという下院議員も、これもラッセル議員に劣らない頭の悪い議員と伝えられておりますが、米国がベトナムの政治、軍事を含む一切の責任をとるか、しからずんばもういっそのことベトナムを捨ててしまうか、どちらかであろう、こう述べております。他国に対して政治、軍事を含む一切の責任をとるとはこれはどういう意味か、これを外務大臣にお聞きするのは無理でございますから、御注意を喚起しておきます。 アメリカの今日の事情はこういう混乱の実情でございまして、もはや植民地廃止宣言も内政不干渉宣言もへったくれもない。シカの角にクマンバチ、カエルのつらに水、こういう現状でありますことをわれわれ遺憾に思う次第でございます。こういう背景のもとにアメリカの極東政策が行なわれておるとするならば、野党、与党とも冷静に事態の推移を観察して、そして日本国憲法の道を踏みはずさぬように注意を怠らないことが肝要であると思うのでございます。特に官吏は憲法を守る権利があるばかりでなく、義務があるわけでございます。日本憲法の条章に照らしまして、その論理に照らして、今日のベトナムをめぐるアメリカの政策は、まことに困難をきわめたものであると思わざるを得ません。外務大臣は、読売、朝日、毎日等の外報部記者諸君がベトナムの状況に対して非常に正確な報道を寄せられておることに対しまして、これは非常に参考になるとお考えでしょうか。それとも近ごろの新聞はどうも気に食わぬ、あれは赤ではあるまいかというような素朴な御感想をお持ちでしょうか。せっかくこうしてお互いに語り合っておるのですから、お気持ちを理解しておきたいと思いまして……。すなわちベトナムの状況が非常に深刻であって、その深刻な状況がありのまま日本に伝えられておるから、これはわれわれは大いに深く冷静に考えなければならぬとお考えでしょうか、何とつまらぬ報道が来ておる、あれはちょっとおかしいとお考えでありましょうか、われわれともどもにベトナムの状況を憂えておられるのかどうか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○椎名国務大臣 私も、朝、新聞を読むのが楽しみになっております。また記事にはいろいろ深刻なのもあれば、愉快なのもあるし、おかしい記事もあります。いろいろ記事によって感想が違います。
○帆足委員 私はベトナムの記事についてお尋ねしているのであって、あとのほかのスポーツ欄などの記事について言っておるわけではありませんから、もう一度、ベトナムの状況について外務大臣はどういう所感をお持ちであるか。
○椎名国務大臣 いずれにしても、これはまことに困った状況でございまして、一日も早く平和的な解決が望ましい、そう考えております。
○帆足委員 私はベトナムの状況は非常に深刻な状況でありまして、やはり外務大臣は、率直に言って非常に深刻な状況であって、アメリカの政策も現実と理性に即して再検討されねばならぬ、こういうお考えを述べられてしかるべきだと思うのですが、どうも外務大臣は、これはくせになりまして、大事な問題になると、何と申しますか、いかに質問したところで自己をとうかいなさって、のらりくらりの御答弁。これはまるでドジョウをつかまえるようなものであって、私はドジョウすくいはあまり名人でありませんから……。 そこで引き続いてお尋ねいたしますが、フルブライトアメリカ上院委員長は事態を非常に心配されまして——もちろん彼とてアメリカ政府の保守的な方で、そしてしかも責任ある方ですから、私どもとは意見は大いに隔たっておりますけれども、保守は保守なりにやはり現実を直視し、合理的に反省せねばならぬという見地に立っておられることは、われわれと見解は相違しておりますけれども、その態度には敬意を表するにやぶさかでないのでありますが、そのフルブライト報告並びにフルブライト氏が司会者になりました公聴会の速記を外務委員全員に配っていただきたいということを委員長を通じて外務省当局にお願いしてありますが、外務大臣、それをどのように取り運んでおられますか、われわれの要望にこたえていただけるかどうか。
○安川政府委員 フルブライト外務委員長の主宰いたしましたベトナム問題、中国問題の公聴会の記録は全部そろっておりますので、それをそのまま資料として御要求があればお出しする用意はいつでもございますが、何ぶん大部のものでございますから、これを全部日本語に翻訳して出せということになりますと、とても私どもの事務能力では追っつきませんので、英文そのままのものという御要望ならば、いつでも御要求に応ずる用意を持っております。
○帆足委員 それでは希望者には英文のままいただきまして、それから時間の関係でお忙しい方には、全員に、日本文の、要所要所、重要なものを純粋に客観的に、重要な賛否両論の議論を委員にお示し願いたいのですが、いかがですか。
○安川政府委員 英語ならばいつでも全文差し上げます。ただ日本語に訳してよこせとおっしゃられますと、これは本来の外務省の仕事でございませんし、膨大な労力と人力を要しますので、ちょっと御要望に応じかねます。
○帆足委員 それではこの問題につきましては、理事会で御相談していただくことにしまして、時間も移りましたから、もう一、二のことをお尋ねいたします。 最近、アメリカはベトナムの問題に対してだんだん見切りをつけねばならぬという事態に立ち至りました。それに引き続きまして台湾のことがぼつぼつ問題になっております。そこで、御承知のように、台湾の位置に対しまして、アメリカは二つの中国ということを言い出しております。外務省当局は蒋介石氏と同じように一つの中国というお考えであったように伺いますが、最近、態度を変えて再検討を始めたということを新聞で漏れ承りました。これに対しまする外務大臣のお考えを承っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 台湾の問題に対して、二つの中国ということを政府が言い出したというようなことはまだないのであります。ただ、中共の国連加盟の問題が、これは毎年国連において問題になるのでありますが、従来のいきさつにかんがみて、かなりこの問題を取り上げる言動がアメリカにおいて盛んになってきたということはいえると思います。そして、結局、十六、七年の、中国大陸及び台湾、この情勢がだんだんと事実としてはっきりしてきておる、この事実に基づいた論議が行なわれるようになったということは、これは私どもも注意深くこれを見守っておるわけであります。アメリカ政府として二つの中国というようなことをまだ言い出してはおらない。将来、どういうふうにこの論議が進展するか、注意深く見守っておるような状況であります。
○帆足委員 私はこの問題について注意を促しておきますが、朝鮮戦争前に発表されました対華白書に、当時のトルーマン大統領、アチソン国務長官ですか、詳しく当時の状況を述べております。そして台湾は日本の手から放棄された、放棄されたあとの台湾は当時の中華民国に返還された、第何省かの省長さんが任命され、復帰の祝賀会も行なわれた、同時に金門、馬祖も台湾省につけ加えられた、それが既成の事実でありまして、もう事は済んでおるので、いわば婚約状況ではなくして、結婚式はすでに済んでおるのでございます。済んだあとに朝鮮戦争が起こりまして、急にアメリカが態度を変えまして、そして二つの中国——蒋介石の威信が地に落ちたときには二つの中国でいこうということをアメリカの利害から考えておるのでありまして、国際法上から、これは何ら根拠なきことであって、これは利害の問題からそういうことをしておるのでございます。現在すでに七億の人口、二十年にわたって安定した形で支配している中華人民共和国が国際連合にも加入を認められず、しかも台湾のわずか一千万人にも満たない焼きイモ一つほどの国が五大常任理事国の一つになっておるということは、子供に話をするのでも話にもならぬ、こういう状況でございます。いわば、源為朝ですか、「弓張月」の為朝が伊豆の大島かどこかにござって、そうしてござるけれども、やはり日の本の国であることは間違いありません。しかし、為朝が敷島のやまとの国を名のるならば、京の都は一体何と答えればよいか、これはだれにもわかり切ったことでありまして、どうしてこうまで日本政府はおつむが弱いのか、これは一体ビタミンの不足から来たのか、どこから来たのか、ほんとうにあまりにも政府と私どもの意見の隔たりが大きいことを嘆くものでございます。したがいまして、二つの中国という窮余の策に日本が引きずり込まれないように、この窮余の策に対しては当の蒋介石殿ですら反対であろうと思います。変な論理に巻き込まれて、日本民族の論理学に対するおつむの健全さを疑われることのないように御注意を促しておきたいと思う次第です。 最後に一つ、二つ。一つは、沖縄におきまして、参議院で論議されましたが、もう統治二十年にもなりますのに、まだ国籍問題が明確でない。日本を通ってパリに参りますときには日本国民、沖縄から直接出航いたしますと琉球人、琉球人とはこれいかに。こういうわかり切ったことがいまだに放置されておるということは、私は歴代政府の怠慢であることは間違いないと思うのです。一日も早く外務省から督励してこの問題を交渉して、そして沖縄の同胞に対して祖国の誇りを持たせていただきたい。 第二に、沖縄においては、学校におきましても、公共建築物でも、祭日には国旗の掲揚が認められました。これについての総理府の御努力に対して私どもは敬意を表しますけれども、それならば沖縄の漁船に対して国旗を掲げることぐらいは公式に認めてもらいたい。どこに参りましても、一体あれはどこの国であろう、しかたがないからと骸骨の旗でも出しておきますれば海賊船と間違えられますし、沖縄の象徴であるハブの旗を出しておけばこれまた人の好奇心と恐怖をそそる。したがって日の丸の旗を掲げる権利ぐらいのことは早く解決していただきたい。これを切にお願いします。これは党派を越えた問題でありますから、別に御異存もないし、私も与党、野党の別ない共通の問題として要請いたす次第です。 それから第三に、朝鮮人帰国のことは、これは藤山外務大臣、当時椎名さんは書記官長でございまして、やはり一緒にお骨折りくださいまして、その成績は八万五千人、雨の月も風の月も、毎月新潟から数百人の帰国を希望する朝鮮の友を乗せて赤十字船は波静かに走っております。冬は寒くて人が減りますけれども、春はふえる。夏は暑くて減り、秋はまたふえる。谷川の水が流れるように自然に流れておりますから、これは自然の理にまかしておくことが必要でありまして、将来国交が回復し、定期船が通うようになればその必要はありませんけれども、それまでの間は私は自然の理にかなうことが必要であろうと思っております。また国際赤十字の御協力も日本政府から頼んだことでもありますし、赤十字がこの帰国の仕事がほとんど百点に近い静けさをもって行なわれておることに対して満足の意を表しておる状況でございます。したがいまして、これは引き続いて波風なく続きますようにお願いいたします。これと関連いたしましていろいろな問題がありますけれども、その問題はこの次の機会に外務大臣のお耳に入れることといたしまして、帰国のことは円滑にいっておりますから、外務大臣に——前の帰国事業の責任者は自民党元副議長の気骨りょうりょうたる岩本議員さんでありました、私はその補助者として幹事長をいたして今日に至ったのでございますけれども、せっかく超党派に円滑にいっておる人道と友情の仕事でございますから、これはイデオロギーや政党政派を離れまして、赤十字精神で引き続いて善処していただくことをお願いいたします。これは先日外務次官にも経過を御報告しておきましたし、藤山さんにも経過を御報告しておきましたが、アジア局長も大局のことは御承知のことと思いますから、引き続いて御善処のほどお願いいたします。 以上三点につきまして、政府の御答弁をいただきたい。
○椎名国務大臣 琉球人という名称は非常にまぎらわしいので、いろいろな委任先等でやはり困っておるようであります。これを正常な状態に落ちつけるように努力いたします。 それから漁船の国旗掲揚につきましても、同様善処したいと思っております。 それから北鮮帰国の問題については、いまこれをどうこうしようという考えは持っておりません。
○帆足委員 それでは時間が参りましたから、帰国のことはいまさらどうこう波紋を投ずるようなことはないということを伺いまして、安心いたしました。 それから沖縄同胞の国籍を安心な状況にしていただくことと、沖縄漁船に対して当然日本国旗掲揚をさせていただくこと、そして公海で働く漁船及び海外に出ました沖縄県民諸君が日本大公使館並びに領事官の保護を受けられますように、ひとつこのことは緊急の措置として、もうあまりにもおくれた措置として政府は責任を感じて善処されることをお願いいたしまして、質問を終わります。
○高瀬委員長 この際、帆足君にちょっと申し上げます。 先ほどフルブライトの報告書の配付について御意見がありましたが、あれは委員長のほうで国会の外務委員会調査室に主として取りまとめを命じまして、資料は十分外務省等より取り寄せて、簡潔なものにしてお配りいたしたいと思っておりますから、御了承願いたいと思います。
○帆足委員 ありがとうございました。 ————◇—————
○高瀬委員長 第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 ただいま議題になりました国際すず協定につきまして、二、三質問をしたいと思います。 まず最初に、提案理由の中に、この協定は、若干の技術的改正を除き、第二次協定の規定をそのまま踏襲しているというようなことを述べられておりますが、若干の技術的改正というのは一体何をさしているのか、伺いたいと思います。
○大和田説明員 第二次協定と第三次協定の差について、改正されましたおもな点を御説明申し上げます。 その一つは、この協定の加盟国は、生産国もしくは消費国といういずれかの資格で入るわけでございます。それが第二次協定では、最初に受諾の宣言をした場合にはその協定の最後までその資格でい続けるという規定になっておりましたのですが、第三次協定では、その有効期間の途中でたとえば生産国から消費国にかわる、あるいは消費国から生産国にかわり得る規定になっております。これは具体的にはオーストラリアが現在消費国として署名しておりますが、これが将来生産国になる可能性があるということを考慮してやったものでございます。 それからもう一つの点は、緩衝在庫の制度がございます。これは第二次協定でもございましたが、第二次協定の場合には、緩衝在庫は二万トンのすず地金に相当するものという規定がございまして、その内容がすず地金一万二千五百トンそれから現金七千五百トン分という規定がございましたが、第三次協定の場合はその比率を規定いたしませんで、ただ二万トン。その内容は理事会が将来きめるという規定になっております。 それからもう一つの改正は、非商業的在庫の放出の問題がございますが、第二次協定ではかなり厳重な規定があったわけでございまして、そういう非商業的在庫、言いかえますと政府備蓄でございますが、これを放出する場合に、たとえば六カ月前にそれを公示する。それから実際に放出する場合には、その理由とか数量とか方法とかをあらかじめ公示するという規定がございましたが、第三次協定ではただ理事会と協議すればいいというふうに簡単になっております。 大体その以上の三点でございます。
○戸叶委員 アメリカとか西独とかソ連とか、そういうような国が入っていない理由はどういうところにあるわけですか。
○宮崎説明員 アメリカが入っておりません理由は、従来は主としまして、ただいま御説明申し上げましたような戦略物資の放出に関しますすず協定の規定が非常に厳格であったために、二次協定まで入り得なかったわけでございます。三次協定の交渉過程におきまして、この問題を緩和いたしまして、米国の加盟も可能になるようにある程度措置したわけでございますが、その後米国政府部内でいろいろ論議をしております際に、一時マレーシアが入らないという情報も伝わりまして、結局時期を失しまして、現加盟国としては入らないことになったわけでございます。ただし、今後アメリカが加盟するかいなかにつきましては、まだ現在のところはっきりいたしておりません。したがいまして、将来この協定にアメリカが加盟する可能性もなしとしないかと思われます。 西独につきましては、これはこれまた業界で非常に協定反対論が従来から強くございまして、消極的な態度をとっていたわけでございますが、第三次協定におきましては、西独が代表を派遣いたしまして、価格が非常に変動していること、それから生産が消費よりも低くなっていること、協定の機能が現在緩衝在庫を中心としておりますけれども、これが十分機能を発揮していないようなこと、それからすずの高価格の結果、代替品の使用がふえるから、高い価格帯を決定した協定に参加することにつきまして、業界を説得し得ない。しかし生産国の問題も考慮して、できるだけ協力していきたいというようなことを申しております。結局、これまた西独政府の態度が非常にはっきりしないまま、マレーシアの署名拒否、そういう情報が一時伝わったこともございまして、結局署名に踏み切れなかったということでございます。 ソ連につきましては、元来ソビエトは、自分の国が生産国または消費国として非常に直接的な利害関係を有しております商品協定ないし商品研究会のみに参加しているわけでございまして、たとえば生産国としましては小麦協定とか砂糖協定等がございます。ただ、すずにつきましては、それほど直接ソ連の関心が大きくないこと、もう一つは、そのすず協定では生産、消費等の国内統計を公表することが要請されておるわけでございますが、従来ソ連はかかる統計を公表しないというたてまえをとっておりますので、この点からも若干困難がある模様でございます。ただし交渉会議にはソ連はオブザーバーを派遣いたしておりました。
○戸叶委員 いままでのお話を伺っておりましても、この協定に入ってもそれほど実効がないというような面がいろいろ見られるわけです。たとえば、小麦協定なんかですと、最高価格と最低価格とあって、その間の価格によって需要の少ないときとか需要の多いときとか、そういう場合のバランスをとっていけるわけですけれども、この協定ではそういうことがないと思うのです。市場価格よりもあるときには上回ってもそれはしかたがない、下回ってもしかたがないというような小麦協定と違っている面。一応最低価格と最高価格はきまっていても、その間の価格で市場価格を上回らないという態度で取引されるというような利点はなくて、ただ最高価格と最低価格がきめられるというだけのものだということがこの協定によってわかったわけです。 それから、いま御説明になりましたように、この緩衝在庫の機能もあまり有効ではないのだというようなことがあるわけでございますが、それでもなおかつ日本がこの協定に入るという理由は一体どこにあるわけでしょうか。
○宮崎説明員 御案内のとおり、現在このすず協定のたてまえは、緩衝在庫をかかえておりまして、価格が高騰いたしましたときは緩衝在庫からすずを放出する、価格が低落しました場合には緩衝在庫が買い出動するということを本来の仕組みとしているわけでございますが、現実問題といたしまして、すずの価格が非常に高騰したままの状況でございますし、現在緩衝在庫にストックがなくなっておりまして、現在の市価は若干最高価格を上回っている状況でございます。したがいまして、この協定が成立いたしますと、直ちに価格が非常に下がってくるというようなことは必ずしも予想できないわけでございます。しかしながら、そのすず理事会におきましては、今後その生産をどうやってふやしていくか、あるいは価格をどうやって安定さしていくかというようなことを種々研究論議しておるわけでございます。かつまた一時マレーシア等、生産国がこの協定の価格単位が低過ぎるということを理由に参加しないということもあったわけでございますが、その後考えを変えまして、主要生産国、主としてアジアの諸国でございますが、マレーシア、タイ、インドネシアあるいはまたアフリカにおきましてはナイジェリア、コンゴ等々の後進国あるいは低開発国が全部参加いたしまして、何とかこのすず協定の場を利用いたしまして価格を安定させ、かつ生産を需要に見合って拡大さしていきたいという希望を持って協定に参加することになったわけでございます。したがいまして、わが国としましては、そういうような後進国との関係で、なるべく彼らとの経済的関係を円滑にするという、そういう協力的な観点からも入ることに意義を見出したわけでございますが、それとともに、今後すず理事会におきまして、今後の問題をいろいろ論議いたしております際に、日本のようにほとんど九割まで輸入に依存しております国といたしましては、その価格の問題にしろ、あるいは非常に不足しました場合の供給確保の見地からも、この協定に参加いたしまして日本の意見を述べ、今後のすず協定のあり方あるいはすずの世界貿易のあり方につきまして、後進国の利益も考えながら、他方日本の消費国としての利益も反映さしていくということに非常な意義があるというふうに考えまして参加いたしたというふうに申し上げる次第でございます。
○戸叶委員 いま、いろいろなことを伺ったわけでありますが、なお緩衝在庫の問題と、不足した場合に何とかこの協定に入っていることによってカバーしていけるようなお話でございましたけれども、そういう点から見ても、あるいはまた市場価格が高騰した場合に何らかの調整がとれるか、とれないかといえば、とれないわけですね。市場価格がどうなっても、この中に入っておれば最高価格と最低価格の中で買えるんだということがきまっていませんから、幾らここに入っていても、市場価格よりも高くなることもあるし、安く買えることもあるし、いろいろあるわけですね。だから少なくとも日本が輸入国として買う場合に、価格が安定できるということも見られないわけですね。そうなってみますと、あまり得にならないのじゃないかと思うのですが、ただ後進国との貿易という面、経済的な協力という面を考えて入るという、それだけの理由ならまだわかるのです。しかし輸入国として買う場合に、市場価格よりも安い価格で買えるとか、安定した価格で買えるとかというような面では有利ではない、こういうふうに判断していいわけですね。
○宮崎説明員 現在のすず価格が非常に高騰しておりますことは、これは世界の需給状況を反映いたしておりまして、上限価格をこえているわけであります。本来のすず協定が十分機能を発揮しておるものと仮定いたしますと、緩衝在庫にすずの現物がございますと、上がった場合に売りに出して価格が高くなるのを押える、それから下がった場合に緩衝在庫が買い入れまして価格の暴落を防ぐということをねらいとしているわけでございますが、たまたまかなり以前から需給の状況がバランスを欠きまして、非常に価格が上がったままの状況で第三次すず協定の交渉会議が始まったわけであります。したがいまして、将来の問題といたしましては、かりに価格帯を上げる、上げて緩衝在庫を充実させるというようなことが一つの解決方法かと思いますが、これまた価格帯を上げること自体につきましていろいろ問題がございまして、結局第二次協定の仕組みをそのまま踏襲したわけでございます。したがいまして、現在の状況下におきまして、かつ現在の需給状況を考えますと、この協定に入ることによって直ちに価格の安定を確保できるということは申し上げかねるわけでございますが、将来後進国は一次産品の価格安定を非常に希望しておるわけでございます。先進国と一緒に考えて——先進国と申しますか、日本のような輸入国、消費国の利益も反映させながら、どういう価格帯で取引すればよろしいか、あるいはどういうような生産の増大の措置を講ずればよろしいか、そういったような問題を国際的に話し合いをしていくというその場としまして、すず理事会というのはやはり一番重要な場になるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、将来の問題といたしますと、現にマレーシア、タイ等でも生産拡大の動きもございますし、他方価格が非常に高い状況が続きますと代替品の問題も出てまいりますので、将来価格がどうなるかということにつきましてはもちろん予断は許しませんけれども、だんだんとノーマルな、正常な状態に持っていくことも可能かと思われますし、かつすず理事会におきましてはその方向で今後とも検討が行なわれるというふうに考えられるわけであります。したがいまして、そういう意味におきまして、すず理事会にわが国が非常に大きな投票権を持っているわけでございますから、わが国の消費国としての利益を確保するという観点からも、後進国との協力とあわせまして、この協定に参加していくことが有利であるというように考える次第でございます。他方義務が分担金の支払いその他若干のものがございますけれども、ほとんど輸入国としての義務がございません。今後ともこの一次産品は、すずに限らず一般的に非常に大きな問題でございます。そういう話し合いの場に前向きの姿勢で乗っていきたいということでございます。
○戸叶委員 だから結局いまのところは後進国との経済的な協力という意味で非常に役に立っていて、今後においてこの協定に入ることによっていろいろと話し合いの場をつくっていくのだということですね。 そこで、日本のすずの需要と、それからどのくらい輸入しているかということと、それから国内生産と、それからどういう国から輸入しているかということを説明していただきたい。
○池田説明員 御説明申し上げます。 先生の御質問の用途はどうかとおっしゃる点でありますが、用途につきましては、大体わが国のすずの年間の消費量は一万八千トンぐらいでございます。おもな用途はブリキ用でございます。これはメッキでございまして三九%、それからその次に鉛とすずの合金でハンダに使用する分が三三%でございます。第三番目に減磨合金——軸受け等に用いられる分が九%、なお銅、鋳物用合金として用いられるものが八%、その他いろいろございますが、したがって、わが国はブリキ、ハンダ、メッキ用——いわゆるブリキ用というものがおもな用途になっているわけでございます。 わが国の生産状況でございますが、国内の生産は大体二千トンでございます。残りの一万五千トンは輸入に仰いでいるわけでございます。 なお、輸入につきましては、地金の輸入に仰いでいるわけでありますが、地金の輸入先は主といたしましてマレーシアでございます。マレーシアから大体一万三千トン、なお中共より千七百トン、若干その他シンガポール等を通じて入るものがございますが、この二つがおもなる輸入先でございます。
○戸叶委員 中国とか北ベトナムからも入っているということを聞いたのですが、全然入っていないのですか。
○池田説明員 いま申し上げました千七百トン中共より入っております。北ベトナムからはかつて入りましたが、現在は入っておりません。
○戸叶委員 この協定の一番中心となると考えられる輸出統制にいたしましても、それからまた緩衝在庫にいたしましても、こういう制度というものはすべて供給過剰による値下がりを防ぐことを主目的にするものであって、この協定は言ってみれば生産国を保護するという目的でつくられたものであろうというふうに考えるわけです。しかし、最近のようなすずの供給も、いまおっしゃっているようにたいへん不足して、市場価格が非常に高くなってきて、緩衝在庫もさっきからおっしゃるように、上げようと思ってもなかなかたくさんにならないというような状況では、どう考えてみてもやはり生産国にたいへん有利なようにしている、消費国にはたいしたことはないというふうに考えてもいいものかどうか、この点をもう一度伺いたい。
○宮崎説明員 生産国といたしましては、現在の市況から見ましていわゆる上限価格と下限価格、価格帯を引き上げなければなかなか生産増加ができないという主張を強くしていたわけでございます。かりに上限・下限価格を非常に上げますと、今度は上がった上限価格、上がった価格帯内におきましては緩衝在庫も買い出動をしたり売り出動をしたりすることが可能になるわけでございます。他方消費国あるいは輸入国側では、現在の価格が非常に異常なんで、価格帯につきましてはもう少し様子を見た後にあらためてほんとうに引き上げる必要があるかどうか審議したいという希望が強かったわけでございます。そこで価格帯は第二次協定の価格帯をそのまま引き継ぎましたために、御指摘のとおり実情にそぐわなくなったうらみはございますが、その意味におきましては生産国は少なくとも協定作成の段階におきましては譲歩したということになるわけでございます。他方実際の価格をとってみましても、一昨年の十一月に一時千七百ポンド程度まで暴騰しましたけれども、その後若干生産の増大もございまして、現在千三百ポンド台にやや鎮静化しつつあるわけでございます。他方価格の引き上げにつきましては、あまりこれを引き上げますと、先ほど申し上げましたように、たとえば一番大きな用途でございますブリキの代替品、アルミであるとかあるいはプラスチックでございますとか、そういったようなものを使うという動きもございますので、あまりむちゃなところまで価格帯を上げるということ自体につきましては特に消費国側で非常に議論がございまして、ともかくも第二次協定の価格帯をそのまま踏襲しようではないかということで、生産国もある程度妥協したわけでございます。その点につきまして、先ほど申し上げましたように、マレーシアでは一時この価格帯を不満といたしまして、このすず協定に入らないという動きもあったわけでございますけれども、結局協定に入って、協定の場で今後の問題を議論しようということになったわけでございます。その意味から申しますと、必ずしも生産国のみに有利な協定とは言えないと考えております。
○戸叶委員 もう一点伺いたいのですが、いま伺っておりましても、消費国にこういう点で直接有利であるということがあまり出てこないように思うのです。 それはそれといたしまして、それと関連があることですけれども、十五条で、すずが不足した場合には理事会を開いて、その理事会で生産国に対して生産増大のための措置を講ずることを要請したり、供給可能量の公平な配分を確保するための取りきめを結ぶことを要請することができるということを規定してあるわけです。しかしこれはあくまでも要請であって、そこに何ら強制力はないと思うのです。ですから、これは要請だけで強制力がないとなると弱いと思いますが、この点はどうでしょうかということが第一点。 それからまたもう一つ、この十五条に基づいて一体要請を行なったことがあるのかどうかという点、この二点を伺いたい。
○大和田説明員 御説のとおり、第十五条そのものは取りきめを理事会で行なうことを要請するという意味では強制力はないわけでございます。ただ、この協定それ自身が全体の考え方として一つの価格帯を設け、それをもとにしてなるべく取引の価格を安定させたいというのがねらいになっております。したがって、非常に不足して値段が上がるというような場合の措置としては、消費国に供給を確保する、公平な配分を確保するというのがねらいになっておりまして、いわゆる義務として強制はできないということは言えますけれども、この規定があること自身が生産国に対していわば道徳的とでも申しましょうか、オブリゲーションを負わすというふうな考え方になると思います。 それから二番目の御質問の、この十五条の規定は第二次協定の十三条に同じような規定がございますが、これは実際に行なわれたことはございません。
○戸叶委員 だから私が心配いたしますのは、この協定に入るからには、何らかの実効がなければならないということになってくると、価格の面でも、市場価格が高くなったときでも安くなったときでも、価格帯というものの中で価格がきめられるというのでない以上、たいして効果はないし、またもし不足の場合にはこうだという規定は設けられていても、義務規定がなくてただ道徳的なものであるということだけですから、そういう面から見ても、不足の場合にもたいして実効がないじゃないかと考えるわけで、その点が私は少し弱い、不満な点じゃないかと思って質問をしたわけでございます。
○宮崎説明員 御説のように、この協定自体は消費国協定の形としては必ずしも規制の強いものではございません。今後消費国協定の問題点といたしましては、輸出国と輸入国、あるいは生産国と消費国、いずれも相当きつい義務を負うべきであるという議論がほかの商品につきまして行なわれているわけでございます。この協定におきましては、いわゆる輸入国なり消費国の義務は分担金の支払いと情報の提供、この二つくらいしか掲げられておりませんので、他方輸出国につきましても非常に強い義務を課すかっこうにはなっておりません。ただ理事会のもとにいろいろ委員会をつくりまして、生産増強の対策であるとか、あるいは今後の価格安定のためのいろいろな措置、そういうものを討議しているわけでございます。強制力はございませんけれども、そういうような討議を通じまして、現に少しずつではございますが生産の増加も見られますし、まあこのゆるい協定のもとにおきまして話し合いを通じて何とか安定のほうに持っていきたいというのがこの協定の趣旨でございます。
○戸叶委員 それでは私の質問はこれで終わります。
○高瀬委員長 西村関一君。
○西村(関)委員 ただいま戸叶委員から詳細にわたって質問がございましたから、私は一点だけお伺いをいたしたいと思います。 大体この協定の趣旨は、生産国を保護するということが主たる目的のようでございます。また消費国においても需給の円滑をはかっていくということで考えて異論はないわけでございますが、先ほどもお話しのございましたように、日本のすず生産量は日本の消費量の一割あるということであります。非鉄産業は大体において斜陽産業であるということがいわれております。そこで、日本のすずの生産は消費の一割しかないということでございますが、すずの採掘及び生産に従事している少数のその業者にどういう影響を与えるか、圧迫を加えるということがないか、その点どういう配慮をしているか、お伺いしておきたいと思います。
○池田説明員 お答え申し上げます。すずにつきましては生産がちょうど約一割でございますが、すずは現在輸入におきましても自由化しておりまして、国内の引き取りにつきましては国際相場を反映して一応基準価格がつくられて取引が行なわれておるという形でございます。したがいまして、今後国内のすず鉱の関係につきまして、私たちのほうにおきましては、このすずはほかの銅等との関連で出てまいるわけでございますので、主要鉱石の関係から国内の製錬を進めてまいることがやはり必要であるというふうに考えますので、その線は従来のとおり進めてまいりたいと思います。しかし、それにいたしましても、増産はそう期待できないのではないかと思いますが、そういう面の関連におきまして国内生産も考えてまいりますとともに、供給の大部分が地金の輸入に依存してまいらなければならないわけでございますので、そういう方向におきまして指導を進めてまいりたいというふうに考えております。
○西村(関)委員 輸入の増大に従いまして、国内産のすず業者が圧迫を受ける。生産の増強を奨励しておられましても、減少していくような傾向にあるのではないか、そういうことはまた別の角度から保護をしなければならない問題だと思いますけれども、ここ数年間に国内のすずの生産は上昇しておりますか、低下しておりますか。
○池田説明員 国内の生産は、ここ数年横ばい状況でございます。
○西村(関)委員 横ばい状況である国内のすず鉱の業者に対して、またそこに働いておる労働者に対して、政府はこの際さらに十分な配慮が必要だと思います。やはり絶対量は足らないのでありますから、輸入にまつということは当然でございますけれども、しかし少数の国内の業者を保護する、またこれに従事しておるところの労働者のことも考えるという配慮を当局においては十分にしてもらいたいということを要望いたしまして私の質問を終わります。
○高瀬委員長 本件に関する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○高瀬委員長 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、本件は承認すべきものと決しました。 おはかりいたします。 ただいま議決いたしました本件に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○高瀬委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。 航空業務に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の審査に際し、必要を生じた場合には、随時日本航空株式会社の関係者を参考人として招致することにし、人選及び手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高瀬委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十三分散会 ————◇—————