外務委員会 第2号
- 発言数
- 107 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/02/18
会議録
○高瀬委員長 これより会議を開きます。 椎名外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣椎名悦三郎君。
○椎名国務大臣 私は、先般、福井運輸政務次官、牛場外務審議官、北原欧亜局長等を伴い、一月十六日から二十二日に至る間、ソ連を訪問し、コスイギン首相、グロムイコ外相、その他ソ連政府首脳と会談し、また二十一日、日ソ航空協定及び貿易支払協定の署名を行ないました。 今回の訪ソの目的は、航空、貿易両協定に調印することにありましたが、同時に、ソ連政府首脳との会談において、日ソ間の諸懸案並びに重要国際問題に関して忌憚のない意見の交換を行ない、ソ連首脳の考え方をじかに知り得ましたことは、今後の施策上大きな意義があったと考えておる次第であります。 会談で触れた問題のうち、まず領土問題につきましては、十九日のグロムイコ外相との第一回会談において、私から、領土問題は、時間がたつにつれて、次第に忘れられていくような問題ではなく、いわばからだにささったとげのようなもので、放置すればするほど、悪影響を及ぼす問題であると強調し、今後の日ソ両国の共存共栄のためには、この問題について日本国民にとり納得のいく解決が見出されなければならないことをとくと強調したのに対し、グロムイコ外相は、この問題は、すでに解決済みであるとする従来の立場を繰り返しながら、たとえ平和条約が両国間に締結されていなくとも、両国関係を発展させる可能性はまだまだ残されていると考える旨述べました。 よって、私より重ねて領土問題の解決なくしては両国関係の発展に限界があり、両国関係をさらに大きく前進させるためには、領土問題を解決しなければならない旨力説し、この問題が解決すれば両国関係は高い次元において発展するであろうと強調しておきました。 また、二十一日のコスイギン首相との会談でも、私からこの問題を取り上げ、領土問題の解決がなければ、最近ようやく高まってきた対ソ友好感情も壁にぶつかるであろうと述べたのに対し、同首相は、いまやソ連では、日本を信頼する機運が高まっており、ソ連としては、日ソ関係改善の問題を直ちに領土問題と関連させるべきではないと考えており、ソ連としては、心から両国関係の改善を希望しているとのことでありました。わがほうからは、領土問題に対する日本国民の強い関心を繰り返し強調しておいた次第であります。 次にベトナム問題に関しては、二十日、グロムイコ大臣との会談で取り上げ、わが国の本問題に対して有する重大な関心を披瀝し、当事国ができるだけ早く軍事行動をやめて、交渉に入るようソ連がその影響力を十分発揮してもらいたい旨述べました。グロムイコ外相は、ソ連もベトナム情勢を非常に危険だと考えているが、この問題の解決のためには、米国が北越とベトコンを相手に話し合いを行なうことと、米軍がベトナムから撤退することが必要である旨述べ、ソ連はこの問題で調停者の立場に立つことはできない旨回答しました。また、コスイギン首相との会談でも、この問題を取り上げましたが、反応は同じでありました。 このようにして、ベトナム問題では、残念ながら問題解決のための糸口をつかむことはできませんでしたが、ソ連の立場と考え方を直接ソ連の首脳につき明確につかみ得たことは、有意義であったと考えます。 このほか、日ソ間の懸案としては、航空協定締結後の措置ぶり、安全操業、領事条約、引き揚げ、墓参等の問題について話し、また、重要国際問題については、核不拡散問題、国連に関する問題、植民地主義廃止問題につき意見を交換しました。 また、グロムイコ外相の訪日を希望する旨申し入れたところ、政府の許可があれば喜んで受けるとのことでありました。 以上、簡単ではございますが、訪ソのいきさつについて御報告申し上げる次第であります。 ————◇—————
○高瀬委員長 国際情勢に関する件について調査に入ります。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 外務大臣とは久しぶりですから、私のほうもいろいろお尋ねしたいし、あなたのほうもいろいろお話ししたいことが多かろうと思うのです。しかし時間が、きょうあと質問者もありますので、実は率直にベトナム問題を中心とする日本政府のアジア外交について、最後に、一、二中国、北朝鮮問題等の具体的なこともあわせましてお尋ねいたしたいと思います。 その前に、けさの各新聞によりますと、下田外務次官がきのう記者会見におきまして、拡散禁止協定に対する従来よりはややニュアンスの違った談話を発表しておられますが、これはもとより慎重な下田次官のことですから、政府部内で多少の打ち合わせをされた後に発言されたものと思うのです。従来のアメリカ一辺倒の言いなりほうだいの態度から見ますと、やや拡散禁止協定の政治的な配慮といいますか、それを多少考慮した点については半歩前進の感じがあるわけですが、まず第一にこれについて外務省並びに日本政府としては、この見解に対しましてどういうお気持ちであるか、外務大臣の御所見を伺っておきたいと思うのです。
○椎名国務大臣 けさの新聞が一斉に取り上げておりましたが、これは別に、特別に下田君から発言をするようにという打ち合わせのもとに行なわれたものではないのでありまして、ただ普通の霞クラブの連中と次官との定期会見で行なわれたものである、こう考えております。 内容については、新聞で取り上げた問題については、私も新聞で初めて見て、こういうことがあったのかと思っただけの話であります。結局、核拡散防止というものに対しては基本的にはもちろん賛成である、賛成でありますが、日本としては、申し上げるまでもなく、核の開発をすれば可能であることがきわめて確実である、こう自他ともに許されておる状況にあるのであります。しかし唯一の被爆国として日本は核を持たぬ、開発しない、こういう考え方を持っております。ただ、兵器以外の平和的な方面にこれを活用するということについては人後に落ちない、非常に熱心にこの問題に取り組んでおるという状況であります。もちろん基本的にこの問題には賛成でありまするが、しかし、それにはやはり注文がある。つまり核保有国が自分の核保有の現状というものをそのままにしておいて、そして核兵器を持たない国は守ってやる、こっちから攻撃しないというようなことでは、これは全世界の国を納得させるわけにいかぬのじゃないか。やはりみずからも、いま持たないところはこれから持ってはいかぬ、そういうことを言う以上は、自分もまた核兵器の縮小という方向に姿勢をとらなければ、これはどうしても全世界を納得させるわけにいかぬのじゃないか。そういう意味で発言をしたのでありまして、これはわれわれが絶えず内部で話し合っておる考え方をそのまま率直に述べたわけであります。金持ちはいつまでも金持ち、貧乏人はいつまでも貧乏人、そしていつでも困ったら恩恵を施してやる、こういうようなやや思い上がったというか、そういう現状をそのまま維持して、この核拡散防止を提唱するということではいかぬ。やはり持っているところも謙虚にだんだん自分の核軍備というものを縮小していくというような姿勢をとることが、核不拡散協定をやるほんとうのまじめな態度ではないか、こういうことを言ったにすぎないのでありまして、これは別に、特別に準備してこのことを発表するというようなことでそういう意図を持って発表されたものではないのであります。
○穗積委員 大臣も私どもの考えはもうよく知悉されておるはずだと思います。われわれは積極中立政策が最も国の安全と世界の平和のために役立つ具体的な政策であるという考えで、日米安保条約、軍事同盟には反対をし、これを早く解消すべきである、同時に、核の問題につきましては、いまの、提案されようとしておる拡散禁止協定については賛成できない。これはなぜかといえば、いまもちょっと下田次官のあれの中にも触れていますが、核保有国の独占による、それを背景とする力の外交政策を主張するだけでありまして、したがって、これは核の脅威、あるいは互恵平等による平和外交の路線にはずれるものでありますから、全面禁止、完全廃棄を目標として世界の意見を統一すべきである。したがって、核の独占を固定化するような、そして力の外交の横行を許すような拡散禁止協定にはわれわれは賛成できない、こういう考えです。 そこで、ひとつお尋ねするのは、やや共通した問題は、保有国の独占を固定化する、そして非保有国は永久に持つべからず、そういう非対等の固定化をやるような政策には賛成できない。こういう趣旨については政府もわれわれもかすかに共通の点があるわけです。そこで、具体的に私どもの立場を理解した上でお答えをいただきたいのですが、核保有の独占固定化は賛成できない。すなわち、やがては全面禁止、完全廃棄の方向へ進むべきである、こういう願望を持っておられるわけですね。そうであるならば、やがてこれが提案されましたときには、日本政府としてはこれに無条件で賛成はできないはずです。そうすれば、いま申しました全面禁止、安全廃棄を目標に、その過程は、いまのことばでは漸減ということですが、そういうことであっても、それを目標とすることを条件として賛成をする。言いかえるならば、それが漸減、やがて完全廃棄のスプリングボードになり得るという過渡的な理解においてこの協定に賛成する、それが了承されないときには賛成できない、こういう論理に当然なるべきだと思うのですが、その点はいかがでございますか、具体的にお尋ねしておきたい。
○椎名国務大臣 そういう考え方を表明しておるのである、こういうことは先ほど私が述べたとおりであります。
○穗積委員 なぜ私がこういうことをちょっとくどくお尋ねするかというと、この論理は、いま申しましたように、一面においてはそれを条件としてのみこの禁止協定に賛成する、それができないときには賛成できないという態度が一つ出てくるわけです、論理的に。ところが、こういう独占反対という論理は、もう一つの危険性は、相手が独占を要求するならば、または完全廃棄に進まないならば、平等を要求するということで、他の未開発国も核保有の権利が主張される、そういう非常に危険な側面もこの論理の中には持っておるわけです。だから、私はちょっとくどいようですけれども聞いておる。わかりましたか。 きょうの下田発言については、大体打ち合わせばなかったが、趣旨は同感だという大臣のお話でありますから、そこでそうであるならば、それを条件としてでなければ賛成ができないということになるのか。あるいはそこがあいまいになりますと、今度は他の論理の発展は、独占を許すことはおかしい、独占禁止、完全廃棄の方向へ少なくとも傾向として向かわないならば、保有国だけが独占しておるのはおかしいから、他の国も開発の権利がそこに生じてくる、こういう論理にこの新見解は発展する危険性がある。だから、私はそういう懸念を持って、いまのことをきちっとしておいていただかぬと、いかにも半歩前進のごとく見えるこの新見解なるものが、下手をすると、現実に即しては、非保有国の開発権利、核武装の権利を主張する方向へ発展する危険がある。その点について国民は当然疑惑を持つでしょう。私もすでに持っておるわけです。ですから、それに答えていただきたい、こういうことですから、もう少し明確にしておいていただきたい。
○椎名国務大臣 いまここで拡散防止協定の相談をあなたとやっておるわけじゃないのであって、この問題を中心にしてあらゆる面から論議しなければならぬ。とにかくここで申し上げ得ることは、考え方としては、保有国が現状のままでおって、そして非保有国は一切持っちゃいかぬ、持つことに近づいてもいかぬ、こういうような考え方はとらない。そういう考え方だけをはっきり申し上げておきます。 そして、この拡散防止を現実問題としてテーブルで協定を論議する場合には、その他いろいろな角度から論議すべきことがたくさんある。その問題をここであなたと二人で論議しようというわけにはまいりませんので、基本的な考え方だけを申し上げておきたい。
○穗積委員 それじゃもう一つだけ、大事ですが、この問題であまり長く時間をとるわけにいかぬのですから、簡単にいたしますが、もし完全廃棄を目標にして漸減をしていくということができなければ、その場合には現保有国にのみ独占をさせておくことは論理が合わない。その次の結果としては、やむを得ざるという口実によって、われわれも持つことによって対等になる、そういうことで核開発の権利を主張する方向へいく危険がある。いまの大臣のお考えでは、独占には賛成できないという、それはわれわれもそのとおり思う。しかしながら、やめさすべきだけれども、やめるほうへ進まないならば、対等、平等の立場を持つ権利があるということで、核武装の論理がそこから生まれてくる、そういうおそれを持つわけですが、そういうお考えをお持ちでございますかどうか、その点だけはっきりしておいていただきたい。
○椎名国務大臣 あなたの考え方はオール・オア・ナッシングといいますか、そういうことじゃないかと思うのです。段階的に幾らでも考え方がある。ただ力の均衡という点からいうと、それはむしろ逆の考え方ができるということも言えるかもしれない。とにかく世界全体が核を競い合うというようなことはよろしくないのである。こういうものは最後には全廃すべきである、他の軍備においても同様である、こういったような理想に近づいていく、その方法が第一義的な方法でなければ、第二義、第三義の方法でも、とにかくその方向は見失っちゃいけないんだというような考え方もあれば、力の独占を許さないという考え方だと、それじゃもうすぐ、おれは持つ、こういうことにもなる。考え方はいろいろあると思うのです。(穗積委員「私は、だから日本政府の方向を示しなさいと言うんです。」と呼ぶ)ですから私は、そういう考え方は実は持つべきではない、こう考えております。
○穗積委員 わかりました。われわれはさっき言ったように、独占反対ということによって、日本自身の核開発の権利を主張する方向へ論理を発展さしてはいけない。われわれがあくまで拡散禁止協定に反対するゆえんは、独占を解消し、すべての国が持たないようになる、つくらないようになる、そういう全面禁止、完全廃棄を目標としてのみ道を選ぶべきである、こういうことです。ですから、あなたはまあやがてかわるかもしらぬけれども、一応独占反対をなくすという方向で発展させる、持つ権利を主張する方向へはいかないというお考えのようですから、この問題はこの程度にいたしまして、本論に入りたいと思います。 ベトナム問題が起きまして、一昨年のトンキン湾事件以来、われわれ、外務大臣並びに政府の皆さんと話し合って、日本はいままでアメリカのやることは何でも、どろぼうでも一諸にやるということですね。私は、ここにいる委員長の高瀬さんも一緒に一昨年の夏にIPUの会議でヨーロッパを回りまして、帰りにアメリカへ寄りました。それはキューバを訪問する予定であったものですから、そういうことに興味を持ちましたかの地の記者の諸君がたずねてきまして、何のためにカストロを訪問するのか、訪問したら何を話すのか、話したらもう一ぺんワシントンとニューヨークヘ帰ってきて報告をしてもらいたいというような話が、内外記者の人からあったわけです。そのとき私は率直に、アメリカのベトナム戦争というものは、かつての日本の、昭和六年、一九三一年の柳條溝事件あるいは三七年の盧溝橋事件、これは戦争挑発の行為と、それ以上の白昼の強盗的な恥知らずの行為であるという話をいたしましたら、さすがに東側のインテリの諸君ですから、あれはアメリカの良心の恥であるということを言っておる。最近になりまして、世界の世論はことごとくこのアメリカの侵略戦争に反対をいたしております。まさに世論の上では孤立しておる。その中で特にめぼしい国では、佐藤内閣と、遺憾ながら社会主義を標榜しながらイギリスのウィルソン内閣が、まるで雇われた太鼓持ちのようにこれを支持し、これに協力をし、またアメリカの政策の、何といいますか、お先棒をかついでやっておる。ところが、アメリカの国内におきましても、さすがにこの国際的な世論の前に自己反省が強まってまいりまして、特に上院の外交委員会あるいはまたインテリ、学者あるいは平和団体等の間において、これに対する批判が出てきた。特に特徴的に見られますのは、戦争の目的と南ベトナムに駐留しておる法的根拠、そして同時に戦争の権利、これは一体どこから出てきておるのだという根本問題について相当正しい意見が、アメリカの政界あるいは世論の上でも出てきております。したがって日本政府はいままで何と言ったか。駐留権はどこから出ておるのかとわれわれが聞くと、それはゴ・ジン・ジェム政権との話し合いによっておるのだと言われた。それによって国連憲章五一条の集団的自衛権の権利ができて駐留をし、そうして戦争をする権利があるんだ、こういうことだったですね。そうして戦争の目的は、北からの共産主義浸透に対する自衛行為である、こういうことであったのです。ところがジョンソン政府の答弁、見解もだんだん変わってきております。特に駐留の法的権利、根拠、それから戦争をする法的な権利、根拠、これについてはどんどん変わって、そうしてだんだん最近はベトナム問題法律家委員会の諸君らも、政府の見解は憲法違反であり、同時に国連憲章の精神に反するものであるという国内からの批判を受けておる。 そうであるなら、まず第一に伺いたいが、こういう動揺と変化の中で、一体戦争の目的は何だと理解しておるのか。それを支持している日本政府の考えを聞きたい。駐留している法的根拠は一体どこにあるのか。戦争をする権利は自衛権の範囲を越えておるのではないか。われわれは法的にそう思うのです。それに対してお答えをいただきたいのです。
○椎名国務大臣 アメリカの世論が相当分裂しておるというようなお話でございます。ごく少数の左翼の連中のやっておることは別問題として、上院あたりのこれに対する批判的な考え方というものは、基本的にはアメリカのやっておることは正しい、正しいが、やり方がどうもへたではないか、軍事第一主義というものでなしに、もう少し軍事プラス政治、すなわち政戦両様のかまえでこの問題の収拾に当たるべきであるというようなのが上院の有力者の連中が唱えておる考え方でありまして、世論がまつ二つに分裂しておるというふうに言われることは、これはどうも実際をよくつかんでいない言い方ではないかと私は思う。 それから日本の考え方は、やはり南と北、とにかく二つの性格の違った政権があることは事実であります。そうして南の国内における過激なテロ行為をやる破壊分子というものに対して、北の支援、指導、そういうものが働いて、そうして南は南でとにかく政治的な独立というものを達成しようとするのを妨げておる。これは困るからというのでアメリカに協力を求めておる。同じ主義主張を持っておる南に対して、アメリカはこれに対して協力をするという約束をして、その実行をしておるにすぎない。であるからして、アメリカとしては別に領土がほしいわけでもなければ、あるいはまた永久に南にかいらい政権をつくって、そうしてそれを動かして、何がしかの権益、利益というものを取ろうというような考え方は一つもない。であるからして、北からの指導、支援というものによって、南の国内におけるテロ行為、ゲリラ行為がやまる、そして再び起きないという目当てがつけば、いつでもきれいに撤退する、こういうことを言っておるのでありまして、これはうそも偽りもないのであります。でありますから、当初私どもがベトナム問題に対してとった態度というものは、その後の情勢によって何ら変化を見てない、また、いまこれを変えるつもりもなければ、変える必要もない、こう考えております。
○穗積委員 アメリカの世論のことにつきましては、あなたはアメリカ政府のために一生懸命弁護されましたが、事実に反しておると思う。しかし、きょうはそういうことをやっておるいとまがありませんから、その問題は他日にいたしまして、大臣みずからの認識を改めていただきたいと思う。アメリカの世論は、そんなことではありません。 そこで、駐留の権利、戦争の権利についての法的な根拠は、いわばゴ・ジン・ジェム政府とアメリカ政府との間の取りきめであるということが唯一の根拠であるとあなたは言われるわけですね。そうであるなら、お尋ねいたしますが、一体何年の何月幾日にだれとだれとの間でそういう協定または約束ができ上がったのか。それなくして、かってにおれは依頼を受けた、受けたといって、このかいらい政権をつくってやるということは誤りである。その事実を第一に明らかにしていただきたいのです。
○椎名国務大臣 事務当局からお答えいたします。
○小川政府委員 ベトナム政府とアメリカ政府におきましては、すでにジュネーブ協定発効以前に、一九五〇年十二月にフランスその他を含みまして、インドシナ相互防衛協定を持っております、この協定は後に書簡その他によってさらに継続されております。また六一年にはゴ大統領とケネディ大統領との書簡の交換によって、これが再確認されております。
○穗積委員 それでは、一体アメリカの政府が国会の聴聞会においてなぜそのことを主張しなかったのでしょうか。上院の決議が戦争、駐留の権利の根拠であるという説をとらざるを得なくなってきている。それはどういう理由でしょうか。
○安川政府委員 アメリカの上院で問題になっております点は、私の了解しております点では、国際法上、国際的にアメリカがあそこに駐留し、また戦争する権利があるかどうかということではなくて、むしろアメリカの国内法、憲法との関係において、大統領がはたして上院から十分な権限を持っていまの軍事行動をとっておるかどうかという点に疑問があるということだと思います。具体的に問題になっておりますのは、トンキン湾事件が起きましたときに、上院で決議をしました。私、決議の字句までここに資料を持ちませんので、正確には記憶しておりませんけれども、トンキン湾事件が起きましたときに、今後もそういう侵略行為に対して米軍が必ず必要な措置をとり得るという決議をしたわけです。現在問題になっておりますのは、いま、その後行なわれておるアメリカのベトナムにおける軍事行動というものが、そのときの決議によって与えられた権限の範囲内であるかどうか、この範囲を逸脱しておるんじゃないかということが論議の対象になっておるわけであります。国際法上のアメリカの駐留権あるいは戦争する権利ということではなく、アメリカの憲法上の行政府と議会との関係というのが問題になっているものと私は了解します。
○穗積委員 いまお話のあった五〇年、六一年の書簡なるものは、これは相手政府の自発的なる自由意思によるものではない。日本と汪兆銘政権との取りきめ以上にはるかにかいらい的な性格です、そのときの状況は。それは経過並びに実際を見れば明瞭であります。したがって五〇年並びに六一年の取りきめなるものは、これは恥ずかしくて実はアメリカとしては対外的に発表ができない。したがって小川さんはきょう初めてこの国会で説明されましたが、いままで日本政府もそれを説明することができなかったのです。そういう了解に達しておるという、何月幾日、だれとだれとの間でどの文書または口頭によるものか、それはわからぬ、同盟国である信頼すべきアメリカの言うことであるから間違いないと思うということだけであったのです。いまおっしゃったものは、これはきょうはそれが主目的ではありませんが、世論の中でアメリカの戦争目的並びに駐留権の基礎につきましては、非常な動揺あるいは変化あるいは不統一が生じつつある。それは事実がそうであるからです。事実が非常にあいまいであり、道理にかなってないからそういうことになってくるのです。したがって、われわれとしてはそういうものに無理やりにそこにアメリカのために正しい根拠を見つけてやるようなたいこ持ち的な弁護はされぬほうがよろしいのです。アジアにおける自主的な日本の独自の外交政策をとるというのが、最近の国民の世論であります。 そこでちょっと大臣にお尋ねいたしますが、この戦争の終局の目的というものは、これはアメリカ国内におきましても、または国際的な世論の中におきましても、中国封じ込め政策の一環である、そこに非常な深刻さがあるのだ、これはもうすでにフランスのショーベル特使のレポートを見ましても、米中戦争の一環としてのみこれを理解すべき客観性がある、もうすでに段階はそこまで来ておるのだ。アメリカの国内における認識も大体そうであります、政府が言っておることも、いわゆる中国封じ込め政策とベトナム戦争とのアメリカの政策というものは表裏一体をなすというか、一環をなすものとして間違いありません。それに対して一体日本はどうか。この戦争の性格、この戦争の背景といいますか、そういうものが中国封じ込め政策にあるとわれわれは考えておる。そこに問題の深刻さがある。そこにわれわれとして非常に身近な危険と、それから重大な、ここで政策の転換を要求しなければならぬという焦燥にかられるわけです。ベトナム戦争が中国封じ込め政策の一環であるということについての椎名外務大臣の認識を伺っておきたいのです。
○椎名国務大臣 私は少しあなたと所見を異にいたしまして、結局南ベトナムの政治的独立というものが達成されれば、それでよろしいとこういう……。
○穗積委員 アメリカが押えておるから独立ができないのであって、あとは社会主義か資本主義かはベトナム人自身が決定したらいい。ドゴールでさえ、独立・中立・不介入、これはインドシナ全般にわたる解決の原則である。ジュネーブ協定は撤退・独立・不介入、これは明らかになっておるわけですね。独立ができないのはアメリカが入っておるから独立ができないのであって、あとは、問題は、社会主義をとるか資本主義をとるかという問題でしょう。これは国内の問題でしょう。ベトナム人民のみが決定すべき問題ではありませんか。社会主義からの浸透を守って、資本主義を守るために戦争をするなんということは許されぬ。自衛権の範囲をはるかに逸脱するものです。のみならず、その行為たるや、作戦行為自身が自衛権の限界を割っておる。それだけじゃなくて、基本的にそうです。そうであるなら、われわれ社会主義者は、資本主義あるいは独占の代弁椎名悦三郎が存在することは好ましくないということで、極端な表現をすればテロをやることすら許されるわけです。そういうことでは平和共存はあり得ない。資本主義か社会主義かの問題だけがいまアメリカの目標になっておるのであって、独立とか平和なんということは、独立はアメリカが手を引けば独立になります、アメリカが戦争をやめれば平和になります、明瞭なことだと思うのです。すでに五四年のジュネーブ協定以来、独立・中立・不介入・撤退、これはもう明瞭な原則じゃありませんか。こういうふうに問題が混乱してまいりますと、長いものには巻かれろ式で、アメリカの言うことも多少顔を立てなければならぬなんということを、あなたや横山さんやその他松井大使あたりが、そこらをひょろひょろ飛び回るから、実は軽べつされ、軽んぜられ、そして成功はしない、失敗をする。道理にかなっていないからです。ベトナムの中立・平和・独立の問題はそういうことなんで、あなた、そういう全く違ったことをおっしゃっては、国民をあざむくものですよ。私の聞いておるのは、そういうことではなくて、関係がないとおっしゃるのですか、中国封じ込め政策と関係がないという認識かどうかということです。そうしないと、あとの平和解釈について全然違ってくるわけですね。中国が関係ないというなら、そうすれば、いま中国をジュネーブ会議に招集したらどうかという意見、平和工作、これはやや正しい平和工作だと思うのです。そういう認識に関係いたしますから、中国問題と関係ないかあるか、もう一度あなたの認識を伺っておきたい。
○椎名国務大臣 結局問題は、武力で政治的な目的を達成しようというところに無理があるので、北ベトナム同様に南ベトナムも社会主義を選ぶ、これはもう平和裏に、全く自由な意思を持っておのれの政治の方向をきめるということに対しては、だれも干渉しようとしてはいない。ただ、力で社会主義政権というものになれ、こう言われて、それでは困るというので、この問題が起こっておるのでありまして、力によって政治的な自由意思を屈服させるというところに問題があるのだろうと私は思う。でありますから、南ベトナムの人民も、社会主義がいいとなれば社会主義になるだろうし、あるいは中立主義がいいとなれば中立政策をとることになるだろうと思います。あるいはまた、資本主義陣営の一員としての道を選ぶということなら、それもよかろう。そういう問題をとにかく力でしいるというようなことはいかぬ。国内撹乱あるいはテロリズム、そういうようなものによってやることはいかぬ。問題はこういうことなんであります。
○穗積委員 韓国はどうですか、インドネシアはどうですか、ブラジルはどうですか。あなた方が命をかけて友好をやろうとした韓国は第一どうですか。いまの政権は第一クーデター政権じゃありませんか。それは好ましくないことは明瞭です。しかしながら、それによって、一方にくみして東西両陣営から戦争をしかける、これは誤りだということを言っておるのです。そういうことは戦争をしかける理由にはなりません。 そんな押し問答しているとなんですから、今後のベトナム問題の展望について非常に重大な不安を持ち、危険が生じてまいりましたから、政府の見通しとそれに対する対策についてちょっとお尋ねいたしたい。 最近のアメリカの見せかけの和平工作にまるで一方的な番頭の役割りをしてきた日本の政府の態度、これを反省することがまず第一に今後の正しい和平工作の出発点でなければならぬと私は思うんです。そこで、皮肉を言うわけではありませんが、あなたはこのごろ盛んにあっちこっち外国へおいでになって耳が近いわけですからお尋ねいたしますが、このごろの国際流行語に、イエロー・ヤンキーズということばがあるのをあなたはお聞きになったことがありますか。──知らない。とぼけちゃいけませんよ。あなたは外国をそこらじゅう回って、そんなことが耳に入らぬはずはないでしょう。黄色いヤンキーズ、すなわちジャパン。知らぬは亭主ばかりなりでしょうが、いまはもうイエロー・ヤンキーズということばは、実は国際的に軽べつと中傷と、それからある一面では、東南アジア後進国の諸国が、帝国主義への警戒心を含めて言われておることばであります。日本のことです。あなた、思い当たる節があるでしょう。(椎名国務大臣「イエロー・チャイニーズということばは聞いたことがある」と呼ぶ)あなた、向こうもこっちもイエローですよ。チャイニーズもジャパニーズもイエローです。あなた、そんなつまらぬ東西認識ではだめですよ。そんなことでアジア外交ができますか。うしろで小川さん、笑っている。その程度の認識で、あなた得意になって言い返したつもりで……。 大体、アメリカの和平工作というのは、初めからそうでしたが、見せかけの工作です。これは椎名さんも私も戦時中の思い出がありますから、思い起こしていただきたいのです。一九三八年、昭和十三年に当たりますが、第一次近衛内閣が北支の不拡大方針を持っておったのに、拡大を始めて、これはたいへんなどろ沼に入ったというので、第一回の対蒋介石、つまりその当時は国共合作ですが、蒋介石政権に向かって第一回の和平工作をとった。あのときと今度のアメリカの十四項目と全くふしぎにも一致しておるのです。すなわち分離国家満州を認めろ、それから北シナを含む、蒙疆を含む軍隊の駐留権を認めろ、第三は、共同の経済開発権を認めろ、主要なものはこの三つ。その他ごたごたとたくさんありますけれども、今度の十四項目なるものも全く一致しておる。いまから二十七年、三十年近く前においてすら、このばかばかしい近衛提案の和平工作というものは成功しなかった。一蹴されたのです。まして今日、アジア、アフリカ、ラテンアメリカにおけるほうはいたる独立の空気の中で、この三十年近く前の近衛和平工作と全く同じ内容を持った、かってな、いわば白昼の強盗がそこに居残り、そこに経済権益を認めろというようなばかばかしい和平工作が成功するはずがない。だから、ジュネーブ協定にかえれ、北爆なり兵力増強をやめろ、それから撤退をしろ、それからベトコンを相手にしろ、これはもう向こう側の要求だけではなくて、客観的に見た正しい和平工作への出発点だと思うんです。今日、北ベトナムが、けさの新聞によると十六日の日ですか、そういう意向を漏らしたということがアメリカを通ってこっちへ報道されておる。その三つの条件というものは、まさにそのことに触れておるわけです。これは正しいことなんですよ。日本がもし、かつてのどろ沼戦争の、民族独立と戦って失敗した抗日戦争の失敗の経験者として、それからかつてフランスは戦後九年間やって同じ失敗をし、その反省の中から、ドゴールすら、いま申しましたとおり、中立それから独立・不介入・撤退そしてジュネーブ協定にアメリカはかえれ、これこそが唯一の解決の早道であるということを言っておるわけです。したがって、アメリカの近衛内閣以上のあつかましい和平条件なんというものが、どこへ持って回っても成功するはずはない。成功した証拠がありますか。さっきのあなたの報告でも、モスクワに行って、コスイギン、グロムイコに軽く一蹴されている。行っただけ恥をかいたというだけなんです。それから横山大使がこのごろそこらをのそのそしているそうだが、何をしておるのですか。それから国連へ移って、松井大使は一体なんですか。全部失敗ではありませんか。その失敗を悟ったアメリカは、国連ではもう議長宣言なんかやめた、討議もやめたというので、逃げ腰になっておるのに、ばかの一つ覚えで、二階に上がってはしごをはずされた松井さんが、一生懸命、まだせめて議長宣言でも取りつけようとあたふたしている。イエロー・ヤンキーズといわれるのは、こういうことなんだ。この反省を一体どう総括されておりますか。アメリカのしり馬に乗ってやった日本政府の和平工作は全部失敗、そして失敗だけではない。マイナスの、日本政府の国際的評価を下げておる。こういうことでこれからのアジア外交はできません。そういう意味で、いままでのおやりになった報告をかねて、そして日本が手伝った、日本の政府がお手伝いとしてやった平和工作、和平工作、これに対する大臣の所感を伺いたい。私の言うことは悪口ではない、事実を言っておるにすぎないのです。お認めになりますね。
○椎名国務大臣 安保理事会は、御承知のとおり、輪番で一月おきに議長がかわっております。それで二月に入りまして、前はフランスが議長国でありましたが、それを引き継いで、二月一日から松井大使が議長をつとめておる。とにかくアメリカの提案が議題として採択されたのでございますから、この問題について各国の発言を促して、そして一応それが済んだわけであります。このまま会議を続けてもかえって混乱するばかりでありますから、一応休憩をして、そして今度は休憩中に個別に、非常任理事国あるいは常任理事国の意向をただして回っておる、こういうのが現状でございます。それでなかなか、ジュネーブ会議ならばいざ知らず、国連がこういうものに介入すべきでないという共産側の非常に強い意見に逢着して、とてもこれは結論というものは出ない。いわゆる決議の形では出ない。議長宣言ということを考えておるようでありますが、これもあるいはむずかしいかもしれない。そのうちに、二月は二十八日でございますから、もう議長の期限が切れてしまう、こういうことになりますが、その前に、一体国連の舞台としてどういう成果が上がるか、とにかく問題は、一安保理事会の問題ではない。いわんや日本が議長国として二十八日の間において点数をかせぐとか、かせがぬとか、そんなちっぽけな問題ではないのでありまして、問題は、要するに、いかにしてベトナムのあの状態を収拾するか、また収拾することに一歩でも前進するかということにあるのでございますから、そういう問題にどうすれば寄与し得るかということをひたすら考えながら、対策を練っておるというのが現状でございます。
○穗積委員 決議はもとより、議長宣言も不可能だという情勢は、かの地から俊敏に報道される情報によっても確定的でございましょう。したがって、外務省は一体いままで松井大使に対していかなる指示をお出しになったか、またもう日も迫っておりますから、これの締めくくりのためには中間報告程度で終わらざるを得ないと思う。まごまごしたらそれすらもできないかもしれない、そういうことでありますが、一体その点を、われわれも野党でありますけれども日本の国民でありますから、日本政府が国際的に恥をかくことについてはわれわれも苦痛を感ずるわけですから、ひとつあんまり恥の上塗りをしないように早く見切りをつけて、善処すべきだと思うのです。 そこで、宣言を固執すべきではない、そうであるならば、中間報告で終わるつもりか、情勢を見て、そこでやむを得なければそうするということであろうと思うのですが、その点ちょっとはっきりしておいていただきたいのです、今後の方針を。
○椎名国務大臣 いま申し上げたとおり、議長国として腕を見せるとか見せぬとかいうそんなちっぽけな問題ではないのであって、問題は、要するに、各国が平和収拾を非常に期待しておる、そういう各国の願望というものの解決のために幾らかでも寄与し得るかということが問題でございます。議長国として松井大使が恥をかくとかかかぬとかいうような、そんなことは問題にしておりません。とにかく大きな見地からこの問題の収拾のために、打開のために幾らかでも寄与し得るようにという趣旨の指示は与えておりますが、あっちへ行け、こっちへ行けというような、そういうこまかいことは言っておりません。
○穗積委員 こまかいことは、やりたかったけれどもやれなくなったから、そういう点について都合のいいことを言って、逃げ口上を言っておられるわけだが、もう決議も宣言も中間報告も、そういう形にはとらわれない、成り行きに従って適当にやっておけというのが大体外務省の趣旨でございますね。
○椎名国務大臣 そういう軽く適当にやっておけというような意味じゃないです。
○穗積委員 さっきの御説明を聞くとそうです。 時間が参りまして何ですから、最後に今後のベトナム戦争の展望についてちょっとお尋ねをしたいのです。本来からいえば、私どもの分析なり見方を申し上げて政府の御意見を聞くべきでございますけれども、実は時間がありませんので、たとえば一月七日に発表になりましたマンスフィールドのレポート、これは実にうまく総括してあると思うのです。すなわち北ベトナム並びに南の解放戦線とを相手とする、それをも含む公正な平和への解決の道が一つある。それがなければ、それによらなければ、あとはインドシナ全域並びにアジア大陸に戦争の拡大の道を選ばざるを得ない、こういう展望を彼は総括としておるわけですね。これは一つのすぐれた総括であるとわれわれは考えます。このマンスフィールドの報告に対して、外務大臣はどういう御所見を持っておられるか、どういうお考えを持っておられるか、それを参考にしながら一つの外務省の今後の分析と、それに対する態度をお伺いいたしておきたいのです。
○椎名国務大臣 いずれにしましても、当の相手方は北ベトナムであり、またこれの支援、指導のもとに南ベトナムにおいて破壊活動をやっておるベトコンでございますから、この相手方を対象といたしまして、そして平和的な話し合いに入るということが絶対に必要であろう、こう考えております。
○穗積委員 そこでもう一つ、外務省の意見を聞きましょう。 ウ・タント事務総長がやや最近ではできのいい提案をしておる。松井大使のあくせくしたあせりを押えて、これは国連でやるべきではない、ジュネーブ会議に移すべきである、これは本来の行き筋から見て当然であるということ、そしてしかも彼の提案はやや具体的です。すなわち北ベトナム、ベトコンを含む八カ国でジュネーブ会議を開くべきである。御承知のとおり米、ソそれから仏、英、中国、南ベトナム、北ベトナム、ベトコン——解放戦線ですね、関係諸国で会議を開くべきであるという提案はやや筋の通った、第三者の提案への工作の一つの試案としては検討に値するものだと私は思う。日本外務省はどうですか。具体的におやりになるというなら、問題は具体的になってきておるのです。だから安保理事会のぶざまなあくせくはおやめになって、そして各国個別説得、各国個別訪問もばかばかしいからおやめになって、ジュネーブ会議に移す、これは私は一応の試案ではないかと思う。
○椎名国務大臣 これはいま御提案がございましたから、それにお答えする意味で申し上げますが、何もジュネーブを相手にして国連のほうでひとつ勝ち名のりをあげようとか、そういうようなことを考えるべきじゃないと思います。問題は、要するにベトナムの戦乱が平和的に収拾されればいい、そういうことに少なくとも一歩でも二歩でも寄与し得ることが大切なのであります。全然寄与し得ることができなければ少なくともじゃまをしない程度に行動するということもあるいは必要かもしれません。決して国連で一働き働いてみようというような点数かせぎの気持ちで松井大使をやっているのじゃないのです。ですから問題の本質をどこまでも見きわめて、そしてウ・タント事務総長の主張するジュネーブ会議というものは、もしそちらのほうに各国の気持ちが傾くようであるならば、それを静かに育成する、こういうような態度でやるべきだろうと、私はあなたのお話を聞きながらそう感じておったわけであります。
○穗積委員 最後に、来月の二十二日に南ベトナムのグエン・カオ・キ首相が日本へ訪問するようですが、このいきさつと目的をこの際明らかにしておいていただきたいのです。
○椎名国務大臣 南越の首相が先般韓国を訪問する際に日本を訪れたいという希望があるということが伝わってまいりました。ちょうど昨年の十一月でございました。それでこちらのほうで考究中であったんだが、向こうのほうからこの際は御遠慮したいというような重ねての申し入れがありまして、それじゃ適当に厳寒のころをはずしてというような趣旨に向こうに伝わったんだろうと思うのです。時候のいいときまた出直したらいいじゃないかというふうに向こうがどうもとったようであります。こっちのほうで別にそういう意味のことを故意に話したとも思われませんけれども、そういうようなつもりでその話が続いているものだというので来る気になっているのじゃないか、こういう気がするのです。何も用事はない。でありますから、日本政府においても検討しておる状況であります。
○穗積委員 時間がありませんから、あと問題別にお尋ねいたしますが、簡潔にお答えいただきたいのです。 この月の二十二日に、新聞報道によりますとバンディ特使が日本へ来る。これは、副大統領を先頭にいたしました中国封じ込め政策の外交工作を、盛んに副大統領は各国を訪問してやっておるわけですね。それに関連のあるものとして指摘されておるわけです。そこで中国封じ込め政策、さっきは大臣お逃げになりましたが、アメリカの中国封じ込め政策というのはこれは歴然たる方針でありまして、そういう話が出たときに、この中国封じ込め政策に対する日本側の態度、この点を大臣から明確にお答えをいただきたいのです。もう時間がありませんから、訪問の経過なんかはよろしい。
○椎名国務大臣 私は新聞でむしろ見たようなわけでございまして、北米局長から……。
○安川政府委員 バンディ国務次官補は、今月のたしか二十七日からフィリピンでアジア地域のアメリカの公館長会議が行なわれるそうでありますが、それに出席するのが目的だそうであります。その途中に日本に立ち寄るということで、二十二日の夜に着きまして、あくる日の午後立つということでございます。特別の用も別にないようであります。まあ日米間では機会あるごとに国務省、外務省の間に意見の行き来はございます。まあいわばそういうルーティンの情報の連絡、交換であるというふうに御了解願いたいと思います。特に大臣との会談ということは予定しておりません。外務省の幹部と会っていろいろ意見の交換をし合うということを考えております。
○穗積委員 この問題はちょっと政治的背景が、最近のアメリカの北爆再開後の焦点というもの、アジアの焦点というものがはっきりしつつありますから重大であると思うのですが、時間がありませんから残念ですが他日に譲りまして、最後に二点だけ具体的問題についてお尋ねしたいのです。 一つは中国との貿易につきまして、御承知のとおり、昨年度の大体概算をいたしますと、共産圏貿易が十億ドルをこえる段階になりまして、政府の不協力だけではない、妨害の中でも実は友好商社の努力によってこれが伸展をしてきた。そのうちの五億ドルが、半分をこえるものが大体中国貿易と見込まれる事実になってまいりました。そこで日本の不況を背景にいたしまして、戦争に向かうかあるいは貿易の経済外交に向かうかという議論でございますが、貿易の拡大ということは、これはもうわが国平和経済の必至の至上命令であると思うのです。そういう意味で問題になるのは吉田書簡ですが、年も改まりましたので、この際われわれは——吉田書簡は名義の上ではこれはオブリゲーションを感じないと言いながら、実際は実は感ずるというような態度でこられたわけです。したがって、この際これは踏み切るべきであるというふうに思うのです。 それからもう一点は、最近やや順調に進むかに見えました北朝鮮との人事往来、それには人道上のもの、経済上のもの、あるいは文化的な目的のもの等ありますけれども、こういうものに対して外務省が最近非常にかたくなな態度をとられるようになった。これは南からの抗議によるものだというけれども、悪く勘ぐりますと、実は外務省が、法務省あるいは通産のリーゾナブルな態度に対して公式でなくてやったあと、南と通謀をして、向こうから文句を言ってくる、それを内閣に突っ込んでこれで車をとめよう、こういうことすら勘ぐられるような策謀が裏にあるわけですね。そういうわけで、まず第一はその二点についてお尋ねしたいのです。吉田書簡は今年度はあれすべきだ、そこで最初にお尋ねしますが、通産の方は来ていただいていますか。
○高瀬委員長 申し上げます。通産省の貿易振興局長に出席を求めましたが、まだ参っておりません。
○穗積委員 それから法務省は来ていらっしゃいましょうか。
○高瀬委員長 入管局長は来ております。
○穗積委員 外務省が大体ネックになっていますから、大臣のお答えをいただく前に、貿易のことは実は通産の方がお見えにならぬとお伺いできないのですが、例の墓参りに朝鮮へ帰りました人々ですね。あれは先般私は石井法務大臣に院内でお目にかかりましたときには、石井法務大臣はこう言っておられました。したがって、八木局長は当然お聞きだと思うのですけれども、亀田君等の親善代表団が平壌を訪問した。その次に実は貿易、向こうから見ればプラント輸入ですが、それに対する技術者五人の要望があるようだが、こまかい条件は別として、原則としてはこのあとで入れるように言いたいと思う。これは昨年の法務委員会で石井法務大臣が表明されたお考えでございました。つい最近になりまして、最近の情勢の中で、私は、個人的でありましたがお伺いしたときも、大体そういうお考えを持っておられたのです。それからもう一つは墓参の帰国の問題ですね。これは人道上の問題として、われわれは、国益に反するという障害がないから、これも継続、第二次、第三次、ケース・バイ・ケースで前向きで処理、検討していきたいと思う、こういうようなお考えでありましたが、法務省内部における考えはこれについて最近お変わりになったかどうか、それをまず第一に伺っておきたいのです。
○八木政府委員 お答えいたします。 自由往来に関する政府の方針と申しますと、たとえば先般の日韓国会の際にたびたび総理大臣が言明されましたように、日本としては北鮮と国交を結ぶ意思は全然ない、しかしそれ以外の接触についてはすべてケース・バイ・ケースで処理していく方針であるということを総理がおっしゃっておられます。それは外務省といわず法務省といわず、日本政府共通の原則はそこにあると思います。個々の人道ケースの問題でございますが、これは御承知のとおり、過去四年来、いわゆる朝鮮総連による政治運動の一環として行なわれております。終始そのラインでの現在の時点においては認めることができないという政府の方針はたびたび言明されたとおりであります。ただそれは、その時点でそういうふうな言明が行なわれたわけでございまして、いま御指摘になりましたように、ある特定の人に対して再入国を許すことが日本の利益に合致しないということでないという場合には、人道上の配慮をしてもいいのではないかというのが、おそらく今回二人の人に許可が出されたのもその線によるもので、それが政府の方針がきまった根拠だろうと思います。その根拠というものにつきましては、われわれ事務当局としては、個々のケースについて大臣からこういうケースを許可するようにと言われた場合にはそれを事務的に処理する、これがわれわれの任務でありまして、私どもとしては、現在のように非常に微妙な外交情勢に当面しております限りにおいては、外務省と法務省の間で見解が違うとか、そういうことは全然ないのでございまして、常に関係当局の間に密接な連絡をとり、話し合いを続けております。こういうのが将来続くとか続かないとかいう問題は、これは政府の上層部できまる問題でありまして、その点について、これは法務省のみならず、外務省としても、事務当局に何ら方針が変更されたということはないと思います。
○穗積委員 通産の方がお見えにならなければ、あとの質問者がやって、そのあとでお尋ねいたしたいと思います。 私のいまの二問、吉田書簡と北朝鮮との人事の往来、それは人道上、経済上、並びに文化上の目的のため、それについてはまだ私が要求いたしました方が来られぬようですから、一緒にやっていただいたほうがいいと思います。それから八木局長にもちょっとお尋ねしたいのですが、いまの御答弁で大体類推はつきましたので、何なら、興味があればお待ちいただいてもいいですが、お忙しかったらどうぞお帰りくださってもけっこうです、法務省の御意見はもう大臣も一緒に伺いましたから。 それを留保して、次の質問者にかわっていただきます。
○高瀬委員長 岡良一君より資料要求につき発言を求められておりますので、これを許します。岡良一君。
○岡委員 資料を要求するにあたりまして、まず最初に、外務大臣に一言だけお伺いしておきたいと思います。 先ほど冒頭の穗積委員の御質問に対して、今朝各新聞が取り上げている核拡散防止協定に関する見解は下田事務次官の非公式な見解である、こう御答弁になりましたが、そのようなものでございますか。
○椎名国務大臣 ちょっと肝心なところが聞こえませんでしたが、非公式な見解……。
○岡委員 非公式な見解ですか、公式な見解ですか、外務省の。
○椎名国務大臣 定期的に次官も大臣も記者会見をやっておりますから、そこで意見を求められるか、あるいは何か関連してそういうことを述べたのだろうと思いますが、これは省として特別に取りきめをして計画的に発表したものではございません。
○岡委員 それでは非公式なものと見ていいのですか。
○椎名国務大臣 公式、非公式ということになると、非公式とでも申しましょうか……。
○岡委員 核拡散防止協定と核軍縮の問題は、いまさら申し上げるまでもなくジュネーブ軍縮会議における二つの大きな焦点の問題になり、その成り行きに国際世論は注目を払っていることは申し上げるまでもございません。同時にまた、これまでしばしば核兵器は持たない、また核兵器の持ち込みは認めない、こう言っておられる政府としても、この核拡散防止協定、核軍縮問題に対する政府の公式な構想なり見解なり方針を一日も早く国民に明らかにすべきものと私は存じます。これが軽々しく事務当局によって非公式に発表されたということは、私は手続としてもきわめて遺憾であると思います。したがって、できるだけすみやかな機会に、政府の統一された公式見解として、この核拡散防止協定並びに核軍縮に関する見解を当委員会に御提出を願いたいと思う。この点委員長にぜひひとつ御善処をわずらわしたいと思います。
○高瀬委員長 了承いたしました。西村関一君。
○西村(関)委員 先ほど来穗積委員の質問に対して、主として外務大臣がお答えになったのでございますが、私は、ベトナム戦争の終結について日本政府がとるべき態度、方策、抱負経綸というものが、初めて開かれましたこの外務委員会におきまして、質問応答を通じて国民に強く政府が訴えられる、そういう期待を持って伺っておったのでございますが、残念ながら椎名外務大臣の御答弁の中には、ただ質問者の質問をどのようにして避けていくかというような心づかいが感じられるだけで、日本の外務大臣としての、この悲惨な戦争をどのようにして終結の方向に向かわしめるかということに対する信念、その信念から出た不動の方策、自主的な見解というものを十分にくみ取ることができなかったのであります。私どもは国会における、特に当外務委員会におけるところの審議を通じまして、ある場合には政府に反対もいたします。しかし、ある場合には政府を鞭撻し、政府に協力することもあり得ると思うのでございます。しかし、残念ながら、きょうの一時間余りの質疑応答の中においては、私は率直に申し上げまして、失望を感ぜざるを得なかったのであります。 そこで、あらためてベトナム戦争をどのようにして終結させるかということに対する椎名外務大臣の根本的なお考えをこの機会に率直に述べていただきたいと思うのでございます。
○椎名国務大臣 ベトナム戦争のとらえ方、この戦争の性格というものをどういうふうに見るかということについては、いろいろな見解の相違がありますが、われわれは、しばしば申し上げたように、南越、北越の政治的な立場が異なる、北越が南ベトナム国内のゲリラというものを指導し、これを支援して、そうして力によって政治的な目的を達しようというところに問題の根源があるのであって、それを独力では防ぎ切れないのでアメリカの協力を要望する、これにアメリカはこたえておる、こういう形であろうと思うのであります。それでアメリカは別段何ら領土その他政治上の目的や野心というものはない。北からの浸透及び国内のゲリラというものが終息して、そうして南が自由な意思によって政治の体制を持ち、そして繁栄の道にいそしむことができるならば、それはもういつでも撤退する、こういうことをしばしば声明しておるのでございますから、相手方である北越及びベトコンがこれにこたえて、そうして平和的な話し合いに入るということ以外には収拾の方法はないと思います。 ただ、どうしてそういう情勢をつくるかということでございますが、日本といたしましては、まだ十分に国際的な発言力があるとは私は思っていない。いわゆる帰り新参でございまして、かなり経済的な復興は見たのでありますけれども、まだまだ日本としては根を張っておらないし、他国のためにそうたいした苦労もしておらない。期待はされておるけれども、現実の発言力はそう高いものは持っておらない、こういうわけでありますから、日本といたしましても、いろいろ自分の国の利害というものから考えて、日本の政治的な安定、経済的な繁栄という点からいって、インドシナがああいう戦乱のちまたになっておるということは、非常に緊切な影響を受けておる日本としては、どうしてもこれを終息させたいのでありますけれども、なかなか思うにまかせないというのが従来の状況でございました。しかし、その中でもとにかくいろいろな方法によって平和的収拾のために日本としても努力をしてまいったことは、一々申し上げませんけれども、これも事実であると思います。今後どうして収拾するかということは、やはり国際世論をますます高めて、そして戦争の相手方が武力によって目的を達成しようという気持ちを捨てて、そして平和的な話し合いに入るという決意をさせる環境をいやが上にもつくっていく、こういうこと以外にない。その方法としてはいろいろな方法が考えられましょうが、あらゆる機会をとらえてできるだけの努力をしていく、こういうことに尽きると思うのであります。
○西村(関)委員 いまの大臣のおことばですと、これはアメリカの主張を口移しに言っておられるにすぎないと思うのでございます。やはり日本がアジアの自主外交をやろうというのであるならば、アメリカの主張も聞かなければならない、また北のベトナム民主共和国側の意向、主張も聞かなければならない。またさらに、戦争の当面の相手である南ベトナム解放民族戦線の主張も聞かなければならない。そういうことはお考えの外に置いて、ただアメリカの主張を口移しにお述べになっておられるというのでは、これは私はアジアの自主外交ということにはならぬと思うのであります。 私は昨年私費でずっとインドシナ諸国を回ってまいりましたが、ラオスへ参りましても、カンボジアに参りましても、南ベトナムまた北ベトナムに参りましても、どこへ参りましても日本に対する期待は非常に大きいのであります。何とかこの際日本がアジアの大国として、この悲惨な不幸な戦争を合理的に終息させるために、力をかしてもらいたいという要望が民衆の中にわき起こっておる状態を見かつ聞いてまいったのであります。しかるに、いま大臣のお話を聞いておりますと、これはアメリカの主張をそのまま口移しにお述べになっておられて、それが是である、こういうことでは私は調停者としての役割りを果たすことができないと思うのであります。日本では発言力がない、まだ帰り新参だと、これは国連における地位をおっしゃったのじゃないかと思うのですけれども、私はもっと自信をお持ちになっていいんじゃないかと思うのです。遠いアフリカの新興国ガーナのエンクルマ大統領でさえも、身の危険をおかしてハノイへ乗り込んでいこうという決意をしている。一衣帯水の日本、特にベトナムとは非常に関係の深い日本の外務大臣が、エンクルマ大統領が遠いアフリカからそういう決意を持ってやってくる——何もガーナ共和国が力があるとかないとかいうことを私は言っているのではございませんが、非常に遠隔の地にあるところの新興国のガーナの大統領がそれだけの熱意を持っておるのに、なぜ日本政府がもう少し積極的にこれに対応することができないのだろうか。そういうことを申し上げますと、大臣は、今度横山大使を派遣して、できれば北ベトナムとも接触をさせるのだということを仰せになると思いますけれども、いまのような大臣の御見解では、私はとうていハノイ政権は日本の政府の代表であるところの横山大使を相手にしない、するはずがないと思うのであります。ベトナム民主共和国側の主張もよく聞いて、そしてそれをのみ込んでアメリカ側にも言うべきことを言うという態度がなければ、この大事な時期におけるところのベトナム戦争終結という歴史的な役割を果たすことはできない、またそれを果たさなければならぬのでありますが、そういう状態では果たすことはできないと私は思うのであります。 第一、大臣は、北からの侵略があるから、北が武力をもって南の政権を脅かしておるから戦争が続くのだとおっしゃいますが、またさらに南にあるところの民族解放戦線が、先ほどからの御答弁の中で伺っておりますとゲリラである、そういうゲリラ活動をやめなければ、そして北からの援助を断ち切って、南のゲリラがなくならなければ戦争は終結しないということを言われますけれども、一体一九五四年のジュネーブ協定の条約の中身、その条約の精神、その最終宣言や独立宣言の趣旨を踏みにじっておるのは、はたして北のベトナム民主共和国側であるのか、あるいは南の南ベトナム民族解放戦線側にあるのか、あるいは南のベトナム共和国を援助しているというアメリカ側にあるのか、どちらがはたしてより大きくジュネーブ協定を踏みにじっておるのかということについては、これはいまさらここであなたと論ずる必要がないと思うぐらいに明々白々であります。ジュネーブ協定の中身をいまさらここで私は申し上げる必要はないと思うのでございますが、そういうことに対しては目をおおい、耳をふさいで、そうして北側だけを、南の民族解放戦線だけを責める、いわゆるベトコンだけを責めるという態度では、私はアメリカに対しても忠実な友人としての役割りを果たすことができないと思うのです。 私は昨年の七月、八月にアメリカ合衆国へ参りまして、各階層の人々に会いました。ワシントンの要路の人たちにも会いました。そういう中で、アメリカの人たちが求めておるところのものは、友人としての日本の真実な忠言であります。ただアメリカの言っていることを一から十までそのとおりでございますと言うようなことを聞いて喜んではおりません。現にアメリカはいま非常に苦悩している。ベトナム戦争にもっと足を突っ込んで、どろ沼の中へ足を突っ込んで、どうしてこのどろの中から抜け出そうかと非常に苦悩しているのであります。この苦悩の中にあるアメリカの状態を私はつぶさに見てまいりました。そういうアメリカに対して、日本はほんとうのことを言わなければなりません。国連のウ・タント事務総長は、アメリカ人というものはベトナム戦争について事実をあまりにも知らされなさ過ぎると申しました。アメリカの多くの人たちは実際知らないのであります。私が昨年の一月に北のベトナム民主共和国に参りまして、ホー・チ・ミン大統領に会い、各階層の指導者や各階層の人々に触れて、北のベトナムの状態をアメリカで話をいたしますと、非常に多くの人が耳を傾けてくれました。そういうことは知らなかったと申しました。事実を事実として受け取りたいということがいまのアメリカの苦悩を救う第一歩であるということを思うのでございますが、私は椎名外務大臣が遠くモスクワにおいでになって、コスイギン首相をはじめ、ソ連政府の要路に会って、ベトナム戦争終結への道を求められたというその御努力に対しては、その労を多とするものでございますけれども、先ほどの大臣の御報告の中にもございましたように、成果をあげられることができなかった、それは先ほど述べられました大臣のそういうお考えでは、ソ連は相手にしないというのは、これは行かれる前からわかり切っておった、まことに失礼なことを申し上げて恐縮でございますけれども。そこに私はもう少し自主的な態度をもって、事実を事実として把握して、そうしてそこに日本政府としての独自な立場を打ち出していくということが、いまこの時代に課せられている日本政府の大きな使命ではないかと思う。そうでないと、ライシャワー大使あたりからも、日本政府はもっとアメリカ一辺倒でないやり方をやれというようなことを言われる。私は非常に残念でございます。椎名外務大臣が非常に優秀な頭脳を持っておられて、この間の事情はおわかりにならないことはないと思います。また優秀なスタッフを持っておられて、このベトナム戦争に対してどのような根本的な解決の施策を打ち出していくか、先ほど穗積委員が申されたようないろいろな見解がすでに出ている、それらに対する検討もしておられると思うのでございますが、そういうことに対しては一向お触れにならないで、もうベトナム戦争が始まった当時からアメリカが言っていると同じことをいまもこの委員会の席上で述べておられる。私は非常に残念であります。もう少し自主的なベトナム戦争終結への態度を打ち出していただきたいと思うのでございます。 そこで一つお伺いいたしますが、一月六日の各紙によりますと、一月五日の外務省の幹部会におきまして、共産側にも、アメリカ側にも片寄らない独自の立場を打ち出していこうということをおきめになったということが報道せられておりました。これは一体どういうことを意味するのでございますか。ベトナム戦争終結のためには共産側にもアメリカ側にも片寄らない独自な立場をとっていこうということを外務省の幹部会で話されたということが一月六日の新聞に出ておりました。これはどういうことを意味するのでございますか、お伺いをいたします。
○椎名国務大臣 どうもあまりはっきり覚えておりませんが、もし私が何かそういう発言をしたとすれば、ちょうどソ連訪問の少し前でございますから、その問題についてたしか幹部の間で話し合ったときだろうと思いますが、もちろんこれは言うをまたない問題であるけれども、何かアメリカがこういう意向を持っておるからとか、あるいはそういうことを日本に対して希望を寄せておるからとかというような、そういうことではない。日本は日本の独自の立場においてベトナム戦争というものを平和裏に一日も早く収拾することが、日本の政治的にも経済的にも、あらゆる面において非常な利益であるということ。もちろんそういうつもりでそれを当然のこととして強調しないと、あるいは逆にとられるかもしらぬ。でありますから、そういう問題は意識的に強調して、そしてかるがゆえに日本としてはベトナム戦争というものを一日も早くやめてもらいたいのだ、そういう点を日本の立場から強調する、こういうことを私は考えてまいったのでございますから、そういったようなことが自然口にあらわれたのではないかと私は思います。
○西村(関)委員 私はここにその新聞の切り抜きを持っておりますが、これにはかなり詳しく具体的に、外務省の幹部会の椎名外相の訪ソに対する日本政府の態度が出ております。これをまさか忘れておられるはずはないと思うのでございますが、この中にかなり具体的なことが書いてあるのです。ちょっと読んでみますと、「米国の和平工作に対する四日付の北ベトナム外務省の声明は、従来の強硬路線を繰返してはいるが、完全な拒否とは受取れない」、こういうことが第一点に取り上げられております。第二点は「北ベトナムには、中国の圧力が強いとはいえ、北ベトナム政府の真意は、すでに平和な国内建設を望んでいると見られるので、和平工作を始めた米国の真の意図が正しく理解されれば、話合いに移る可能性が考えられる。」第三点は、「カンボジア、ラオスなど東南アジア諸国には、日本がアジアの大国としてベトナム問題で積極的に動くことを期待する声があり、日本は共産側にも米国側にも片寄らない独自の立場で話合いの促進に当ることがのぞましい」。その他四点、五点とございますが、こういうことをお話し合いになったことが御記憶にございますか。
○椎名国務大臣 幹部会でございますか、あるいは記者会見で補足的に話したのか、どうも私よく記憶しておりませんけれども、しかし私の考えておることと反対のことは書いてないと思います。
○西村(関)委員 それなら、これはお読みになったでしょう。五日にきめられて六日にこういう記事が出ている。私のいま持っておるのは六日の朝日です。これを外務省ではお読みになったでしょう。もし椎名外務大臣の考えと反対なことを朝日が書いておるなら、なぜ取り消しを要求しないのですか。
○椎名国務大臣 私は、私と反対のことは書いてないと申し上げたのであります。
○西村(関)委員 それじゃ、これは外務省の幹部会で決定したとここに書いてございますが、このとおりの見解をいまもお持ちでございますか、どうでございますか。
○椎名国務大臣 それは、決定というような形をそういうことでとってはおりません。しかしいまでも別にそれに反対ではありません。
○西村(関)委員 それではお伺いをいたしますが、北の、ベトナム民主共和国のアメリカの和平工作に対する声明は完全な拒否ではない、まだ話し合いに入れる見通しがあるということについては、どういう根拠で、どういう理由で、そういうように外務省は受け取っておられますか。
○椎名国務大臣 あの当時は完全な拒否とはまだ受け取れないのではないか、こういう感じでございました。その後、今度は同じようなことが、あっちからも、こっちからも、いろいろな声明や意見の発表やら出ておりまして、少しぼやけてきたのかもしれませんが、ともかくその当時としては、北ベトナムの声明は米側に対する完全な拒否と決定するには早いのではないかという感じを持ちました。
○西村(関)委員 その後いろいろ情勢が変わって、この一月五日の時点とはだいぶん違った状態になってきておる。だから和平交渉には応じられないというふうにお考えのようでございますが、中国の圧力が強い、中国の圧力が強いから応じられない、しかしそうだからとはいえ、まだ和平工作を始めたアメリカの真意を理解させる可能性がある、こういうことがここに書いてあるのですね。現在もそういうようにお考えになっておられますか。
○椎名国務大臣 その点は、その時点として、その後のいろいろな情勢によって北越がどういうふうに考えておるかということになりますと複雑でございますが、私は、そのときよりも絶対に戦争継続というような意思をますます固めておるというふうには考えません。
○西村(関)委員 北ベトナムのベトナム民主共和国側が出しておるところの和平への四原則、それから解放民族戦線が出しておるところの五原則というものがあるわけでございます。そしてその態度を変えていないということも大臣はよくおわかりだと思いますが、そういうものを踏まえてなお、現在のままで交渉に応じ得るというふうにお考えになるかどうか。特に北爆が再開されて、そしてまた非人道的な、暴動鎮圧用とはいえ、毒ガス弾を使い、また作物を全部枯死させるような毒物を散布し、大量殺戮を行なうところのあの強力なナパーム爆弾を無数に落とす、そういうことをやり、そしてまた北に対してはさらに北爆を開始し、実におびただしい人命、財産に損害を与えておる。独立主権国家に対して宣戦布告のない、何ら法的な根拠のないこういうことをやり続けておって、そうしてはたしてこれで和平交渉へのテーブルにハノイ政権が応ずるというふうにお考えになるとすれば、これはナンセンスだと思うのです。そういう点は、一月五日の時点においても現在においても、私は少しも変わってないと思う。この点は、私が冒頭に申し上げましたように、北に対しても言うべきことはおっしゃったらいいと思う。しかし特にアメリカに対して、アメリカがジュネーブ協定に違反している点は、これはやはり同盟国である、安保条約下にあるところの日本政府としては、事実は事実として率直に忠告をするということが、私は日本国の外交の責任をとっておられる外務大臣としてのおとりになるべき態度じゃないかと思う。外務省はこういう考え方を一月五日の時点において持っておったということは、私はあまりにも見解が甘いと言わざるを得ないのです。現在はだいぶ変わっておるからこういうことはできないだろうというようなことですが、当時と今日とは基本的には少しも変わってない。こういうことでは日本は使命を全うすることができませんし、そしてこの第三点のところに書いでございます「共産側にもアメリカ側にも片寄らない独自の立場で話合いの促進に当ることがのぞましい。」というのは、具体的にはどういうことですか。「独自の立場」というのはどういうことを意味するのですか。それをお伺いいたします。
○椎名国務大臣 それは、日本は極東の一国でありまして、東南アジアとは非常に緊密な関係を持っておる。政治的にもまた経済的にも関係を持っておる。将来といたしましてもこの関係を持続してますますこれを高めていかなければならぬ。そういう関係にあるのでありますから、ああいう流動した混乱した情勢というものは、日本に対しまして、国の安全という点からも、あるいは経済の問題からも、その他万般の部面において、きわめて不利であります。その点を強調して、そしてソ連と折衝してみよう、こういうわけであります。
○西村(関)委員 それは国の利益、国の繁栄、ナショナルインタレストということも私は大事だと思います。しかし、それよりももっと大事なことは、現にお隣の国、一衣帯水のベトナムにおいて、あの悲惨な戦争が五年も続いておる。あるいはもっとさかのぼって、フランス植民地時代からの戦争を加算すれば二十五年も続いておる。こういう状態で、ベトナムの人たちが受けておる被害というものはもう筆やことばに尽くせないものがある。このごろでも新聞などに出てまいりますところの写真を見ると、だれしもが胸が痛む。こういう戦争を一日も早くやめさせるということは、これは人類の共通の悲願だと思うのです。だからただ単にナショナルインタレストだけでこの戦争を解決するために努力するなどというのではなく、もう少し高い次元に立って外務大臣はものを考えていただきたい。 しかもその次のところを見ると、中ソが離反しておる、中ソが離反しておるから、日本が一枚加わると北ベトナムもまた少し考えが傾くんじゃないか、こういうことが書いてある。私はこういう見解、こういう情勢の分析は実に甘いと思うのです。間違っておると思うのです。外務省のあなたのスタッフの方々は、どういうことでこういう幹部会の決定をなさったか。決定じゃないとおっしゃるのですが、新聞には決定と書いてある。これはおかしいじゃありませんか。いかがですか。
○椎名国務大臣 どうもそこまでは私もお引き受けするわけにいきません。そういう見解を新聞に書いてあるかもしれぬけれども、そういう問題を幹部会で話し合ったとか、あるいはそういう見解を私が持っておるというような点については、必ずしもどうもその責任を私は負うわけにはまいりません。
○西村(関)委員 それじゃこの新聞をお読みになって奇異に感じられなかったのですか。奇異に感じられたならば、外務省で問題になったはずですよ。問題にせられたことがありますか。外務大臣どうですか。お読みになってないのですか。
○椎名国務大臣 私もどうも新聞を読んだり読まなかったりでございまして、どうもはっきり……。
○西村(関)委員 外務大臣が新聞を読んだり読まなかったり、そういうことでは天下の情勢はわかりませんよ。大臣、まじめな話ですよ。新聞を読んだり読まなかったり、そういうことで大事な問題を論議することができますか。あなたがお読みにならなくても、あなたの秘書官もおるでしょう、非常に優秀な局長クラスのスタッフの人たちもおるでしょう。こういうことが書いてあるのですが、大臣これは困りますと、なぜそれを言う人がいないのですか。それが日本の外務省ですか。私はその点は非常に残念に思います。私は、もしこれが外務省の考えだとするならば、非常に間違いだと思う。そして、見解が非常に甘いと思うのです。少なくとも、何にも話題にならなかったことを新聞がこんなことを書くはずがないと私は思うのです。その点は、私は決して政府を責めるつもりで言っているのじゃないのです。ベトナムの問題を心配いたしますから、日本政府にしゃんとした姿勢をとってもらいたいと思いますから、私はこれを事例として引き出しておるだけのことなのでありますが、新聞も読んだり読まなかったり、そういうことでは話にならぬと思うのです。いかがでしょう。
○椎名国務大臣 これから気をつけて新聞に目を通しまして、世間の誤解をなるべく招かないようにしたいと思います。
○西村(関)委員 私はこの問題についてはこれ以上追及をいたしません。 次の問題に入りたいと思いますが、医療援助の問題でございます。四十一年度の予算案には五億円ばかりの海外の医療援助の予算が組まれておりまして、その中で三億五千二百万円余が外務省所管の予算になっておるわけでございます。四十年度におきましては予備費の緊急支出という形で五千三百万円を支出しておるわけでございますけれども、医療援助の基本的な方策または具体的な内容、そういう点についてお伺いいたします。
○小川政府委員 ただいま御指摘の五千三百万円とおっしゃいましたのは、五億三千万円でございます。これは、当時ベトナムの医療状況が非常に悪うございまして、ベトナム政府から医療——薬品その他、あるいは医者の派遣等につきまして、ぜひ援助を頼むという要請がございまして、これに対してこたえまして、薬品類及び医療チームの派遣を行なったものでございます。三十九年度でございます。
○西村(関)委員 私の伺っておりますのは、四十一年度の予算案の内容についてであります。
○小川政府委員 御指摘のとおりに、三億五千万余の医療援助がついております。これにつきましては、これから関係各省及び先方と打ち合わせをして、具体的計画を詰める段階でございます。
○西村(関)委員 先ほど昨年度の予備費の緊急支出五億三千万円間違いないですか、私は五千三百万円だと承知しておりますが、どうですか。
○小川政府委員 三十九年でございまして、昨年四十年はございません。三十九年は五億三千万円でございます。
○西村(関)委員 金額の点についてはあとでよく調べて、私の資料が間違っておれば訂正していきたいと思いますが、三十九年度ですか、三十九年度において五億三千万ですか、四十年度においては全然ない。予備費の緊急支出があったでしょう。
○小川政府委員 ございません。
○西村(関)委員 ない。三十九年度の予備費の緊急支出において、長崎医大の医療班がサイゴンに派遣をせられた。それから薬品、医療機械、救急車、トランジスターラジオなどを送った。さらに昨年、南ベトナム政府、サイゴン政府はさらに続いてその援助を要求してきたということでありますが、現在民間のベースで医療援助が行なわれておるように聞いております。 私は、昨年の一月、南ベトナムに参りましたときにも医療援助の実態について——われわれは反対をいたしましたが、どういう状態であったか、どういうふうに受け取られておるかということを若干調べてまいりました。サイゴン市民病院の院長の話すところによりますと、これは非常に感謝され、日本医学を高く評価し、非常に喜ばれておるということは、私も認めるにやぶさかではございません。しかし問題は、南ベトナムにおける医師が不足しているということは、やはり戦争と関係がないとはいえない。戦争にかり立てられておるところの医師の不足を補うために日本政府が協力するということであって、間接的にはベトナム戦争に加担をするということが私は考えられると思うのです。 過般のわが衆議院決算委員会において、外務大臣が山田委員の質問に答えて、もし北からも要求があれば北へも送る考えがある、そういうことをお述べになったのでございますが、今年度における医療援助の中身が一体どうなっているか、それはこれから相談をしてきめるのだというお話でございますが、一応外務省としては構想をお持ちになっておるはずだと思うのでございます。そのことと関連をいたしまして、先般の決算委員会におけるところの外務大臣の御答弁、それを当委員会においてもそのとおりであるかどうか、北からの要求があれば、これにも援助の手を差し伸べる、それが日本政府としての当然の義務である、こういうことのように一般は新聞を通じて、また当時の決算委員会の記録を通じて承知しているのであります。その点外務大臣の御見解を承りたいと思います。
○椎名国務大臣 これは、山田委員に答えましたとおり、当委員会においても同じことを言うべきでありまして、私もそう考えております。
○西村(関)委員 もしそういうお考えをお持ちになっておられるとするならば、何とかこのことにつきまして努力をする。北に対しても日本の善意を伝える。そうしてまたそのような道を開くという具体的な方策をお立てにならなければいけない。また今度の予算の中身の決定をなさる場合においても、そういう配慮をもってなされなければならないと思いますが、この点はいずれ当委員会におきましても、厚生省関係の政府委員にも来てもらってお尋ねをいたしたいと思いますけれども、いま大臣が北に対しても要求があれば、道が通ずるならば医療援助をしたいという考えには間違いないということでありますから、一応それを了承いたしたいと思います。 時間がなくなりましたので、私は他日に質問を残さなければなりませんが、もう一点だけお伺いをいたしまして、きょうの質疑を終わたりたいと思います。それはベトナム特需の問題でございます。ベトナム特需につきましては、過般の本院予算委員会におきまして、九日、十日、十一日と三日間にわたって高田委員、それから川崎秀二委員、さらに加藤進委員の質問に対して、大臣がお答えになっておられるわけでございます。その後いわゆるバーターによるベトナム特需の構想について日本の意向を打診するためにアメリカからの調査団が来日して、十一日に帰国をした。このバーター構想はアメリカが車両などの機械を日本から買い入れる、それからその見返りとしてアメリカは自衛隊用の装備、兵器を円払いで引き渡す、ナイキハーキュリーズ及びホークだといわれておりますが、そのことにも問題があると思うのでございますけれども、こういうベトナム特需が、ただ単に大臣の言われるナショナルインタレスト、日本の産業を盛んにする。日本の国益を増進するという立場からだけでは私は日本の国の姿勢として、日本の国の態度として納得することができぬと思うのでございます。この日本からアメリカにバーターによるところの取引がなされる場合には、日本から送られる品物は主としてベトナム戦線に送られる、そうしてベトナム戦争をさらに激化させるために死の商人を肥やす、こういうことに用いられるということは明らかだと思うのでございます。こういうことに対して、しかもそれが日本の防衛庁の三次防と関連を持っておる、こういうことははたして許されるかどうか。私はそういう点につきまして大臣のこの問題に対するお考えを伺っておきたい。 これは、通産省もきょうは要求しておりませんから見えておりませんが……。
○高瀬委員長 通産省からは今村通商局次長が見えております。
○西村(関)委員 いや時間がありませんから、私は大臣の御見解を、その点について簡単に伺っておきたいと思います。
○安川政府委員 ただいま防衛庁の装備品の購入につきまして、ベトナム特需というお話しでございましたけれども、これは先般も予算委員会で防衛庁長官から、これはいわゆるベトナム特需というものは全く関係がないのだということを申されております。と申しますことは、この話と申しますのは、要するに防衛庁が第三次防衛計画でアメリカから装備品を入れます場合に、その支払い方法をどうするかという問題でございます。でございますから、これを外貨で日本政府が直接払って買うか、あるいは何かこれを円払いにして払った円で米軍が何か物資を調達するかという方法の問題でございまして、ベトナム特需とは全く関係がない問題でございます。最近アメリカの国防省の当局者が来まして、防衛庁の事務当局とお話をしたことは事実でございますが、私は詳しくその内容を聞いておりませんけれども、バーターというような話は出なかったというふうに聞いております。
○西村(関)委員 この問題につきましては、また日を改めて私はいろいろお伺いをいたしたいと思います。 最後に、あと穗積さんの質問が残っておりますから、一点だけお伺いをして終わりたいと思いますが、大臣にお伺いをいたします。 私は先ほど来ベトナム戦争終結への日本政府の基本的な態度について大臣の見解を伺ってまいったのでございますが、私はこの際大臣が勇気を持ってアメリカに対して、ジュネーブ協定の精神にのっとって、もちろん日本政府としては、北のベトナム民主共和国に対しても武力侵略をやめなさいということを言われるわけでありますが、私はそういうものが当初からあったとは考えておりません。と同時に、アメリカに対してアメリカがいまにしてベトナムから完全撤退する。もちろん北爆を直ちに永久に停止する。そしてアメリカは南ベトナムから武器弾薬及び軍事基地、兵員全部撤去する、そういうことが、アメリカは張り子のトラだと中国からいわれたが、張り子のトラではない、むしろアメリカの真の強さを示す、アメリカの道徳的な力を示す、そういうゆえんだ、いまにしてそういう考えをアメリカが持っても、決してアメリカが弱いからそうしたのだというのではない、そういうことをアメリカに対してほんとうに忠告をする。そのことが日本政府としてのとるべき態度じゃないか。そういう真情込めた、現実に即したことだと思う。そういうことを言えば、それならばアメリカが撤退したあと、共産主義の侵略が行なわれないという保障がどこにあるかということをアメリカは言うでありましょう。しかし、それは、ベトナムの人たち自身がきめることなんで、そういうことはアメリカはおせっかいする必要はない。戦争がやまらないということは、ジュネーブ協定がじゅうりんされておるということなんです。そういうことに対して、私は実はアメリカへ参りまして、そのことを訴えました。多くの人々が傾聴してくれたのです。アメリカのモラルに訴えるということが、私はこの際大事だと思う。そして事実を知らせるということが大事だと思うのです。アメリカの国論について、先ほど穗積委員の質問に対して椎名外務大臣の御答弁がございましたが、私も学者、教授また一般のキリスト教関係の平和主義者、そういう人たち及びワシントン、シカゴにおけるベトナム反戦平和の運動も見、またそれらの人たちにも会ってまいりましたが、それらは必ずしも数において、大臣が言われるように多数だとは考えておりません。そしてまた、その取り上げ方は日本に報道されておるようなものばかりでない、もっと違った角度から取り上げておるということも認められますが、しかし同時にアメリカは苦悩しておる。どうしてこのベトナムのどろ沼から足を引き出そうか、抜け出そうかということで苦悩しておる。その苦悩しておるアメリカに対して事実を事実として訴え、そして解決への方途を示していくという日本独自な基本的な立場、いま私の申し上げたようなことは私の考えでございますが、しかし日本国の外務省としてのいろいろな調査に基づいての見解があると思うし、こういう一月五日の外務省の幹部会の決定、まあ決定じゃないといってもこういう話し合いがなされたというようなことですから、そこから深めていって、もう少し基本的な方針を出してもらいたい。それが国民の世論にこたえる道だと思いますから、また世界の平和を求める人々の願いにこたえる道だと思いますから、そのことをお願いいたします。最後に大臣の御見解を承って、私の質問を終わらしていただきます。
○椎名国務大臣 私は、実際問題として、まずほこをおさめて無条件に和平の話し合いに入るという、それが大事だと思う。そして話し合いに入った後において、アメリカはアメリカの言い分を言うかもしれない。北越は北越で言うでしょう。それを聞いた上で日本としては独自の判断で、あるいはアメリカ——北越に対してはどうもあまり機縁がありませんから、アメリカが不当な主張をするという場合には、あくまでこれに対して抗議を申し込む、そういう態度に出るのであって、まずもって無条件にほこをおさめて、そして話し合いに入る、そういうことが大事だ、こういうことを申し上げておるのでありまして、まずそれが決定して、しかして話し合いに入った後の両者の言い分を十分に検討して、日本は日本の独自の主張を堂々と述べるべきである、それを貫徹するように努力すべきである、こう考えております。その場合、いまいろいろ御指摘になりましたようなことは十分に考えなければならぬ問題だと考えております。
○高瀬委員長 穗積君。
○穗積委員 通産の今村次長に、通産省の輸出振興の立場に立って最近の貿易の実情から最初にお考えを伺いたい。 最近の貿易におきます延べ払いの問題は、これは私どもの考えでは、最近の国際的な取引の条件になっているのであって、決して政治的な援助というような性質のものではない。わが国におきましては、民間金融機関でも延べ払いの問題は取り扱いますけれども、特に国際競争に落後しないような金利その他期間について、そういう意味で輸銀というものを特別に輸銀法によってつくっておる。それもその立場に立ってこの輸銀の延べ払い保証というものは取り扱われており、取り扱わるべきものであるという理解を持っておるわけです。それについて通産省のお考えを伺っておきたいと思います。
○今村説明員 ただいまお話の延べ払いの輸出でございますが、日本の輸出構造が次第に船でございますとか機械とか、そういう高度の工業製品になってまいり、そういうものの貿易がだんだん大きな部分を占めるようになってくるという趨勢でございます。そういうものの輸出については、やはり金額も大きいということで、ある程度延べ払いをしてやるということが商業的な取引を可能ならしめる上において必要になってまいります。したがいまして、日本のごとく民間資金が非常にまだ蓄積が不十分でありますために、これを助ける意味において輸出入銀行というものが設立されまして、それが輸出振興の働きをしておるというのが、現在までの状況でございます。
○穗積委員 了承いたしました。 もう一点お尋ねいたしますが、これは具体的なことでありますが、最近、日本の民間商社の方が、昨年来北朝鮮と折衝された結東、アクリルの繊維の機械、それから可塑剤の機械をわが国からぜひ輸入をしたい、こういう商談が進んでおりまして、それを最終的に技術的な立場、その話は大体筋に乗っているのですけれども、最終的に技術的な立場と、それから価格の決定については、直接の専門のかの国の技術者が、日本へ来て、これを検分いたしまして、その上で最終的な取引の条件をきめたい、特に価格の問題その他決済の問題ですけれども、そういうことになっておることを通産省は正式または非公式に御承知でありましたか。
○今村説明員 北鮮との間にそのようなプラント輸出の商談が進められておるということを、非公式には聞いております。
○穗積委員 これは先ほどあなたがお見えになる前でしたけれども、わが国の現在の構造的な不況から見ますと、相互互恵平等、それから平和の立場に立って、貿易の発展は日本の経済構造から見まして特殊な重要性を持っている。それを担当しておられるのがあなた方であるわけですが、それから見れば、これは経済的な点から見れば、相互の利益になるものとわれわれはごく客観的にかつ公正に判断しておるのですが、通産省でも大体同様な原則に立ってこういうものはお受け取りになっておると思います。その点についての通産省の御見解といいますか、御感想をちょっと伺っておきたいと思います。
○今村説明員 たてまえといたしまして、共産圏との貿易は、たとえ国交が回復しておらない場合におきましても、特にイデオロギーにとらわれるということなく、なるべくこれを進めていくというたてまえで私どもはやっておりますが、いまの北朝鮮のプラントとの問題につきましては、まだ実は詳細を聞いておりませんので、これについての考えを申し上げる段階には至っておりません。
○穗積委員 よくわかりました。 大臣、ちょっとお聞きください。いまお聞きのとおりでございます。したがって、われわれは偏見をまじえずに、やはり例の対中国吉田書簡の問題もそういう観点に立って、ごく公正かつ独自の立場で、他からの干渉を排して、今年度はこれは踏み切るべきである、私はこう考えております。最近それについての外務省当局の御検討はどういうことになっておりましょうか、承りたいのです。
○椎名国務大臣 日本の貿易事情の趨勢はいま今村次長から言われたとおりで、これはもう相手のいかんを問わず、いやしくも貿易を伸長しようというたてまえに立てば、当然のこととしてだんだんその傾向が顕著になってきていることは事実であります。私どももそれは認めております。しかし一方において、吉田書簡が発せられた当時の事情というものが現在と全然無縁のものではない、やはりその事情も考慮しなければならぬという状況もあわせ考えまして、慎重にしかも自主的にこの問題を処理してまいりたい、こう考えております。
○穗積委員 それでは、第二の問題は北朝鮮とのことでございますが、北朝鮮との関係はいまのプラント輸出の問題です。こちらからは輸出ですが、輸出のための技術者の視察、検分、それから商談の最終的な取りきめ、これと例の法務省が主になって促進されました人道上の立場に立つ墓参第二陣、第三陣の問題でございます。この二つのことについて、特に最近外務省の事務当局におきましては、南からの抗議的な申し入れということを口実にして、昨年来佐藤総理またはビザの担当である石井法務大臣の国会を通じて国民に約束されました基本原則、自主的だという基本原則、それを阻止しまたは妨害するような傾向を見受けることは、あなたの部下の内部のことですからよく御存じだと思うのです。このことは広く日本の平和と貿易の発展を念願いたします国民にとりまして、非常にけげんなことのようです。また日本外交の自主性のなさについてふがいなく思う空気が非常に強くなっているわけです。したがって、私は、たとえ事務当局がこういうことを、多少南朝鮮の出先機関からの申し入れにおびえて動揺し、ちゅうちょするようなことがありましても、大臣におかれましてはそういうことはなかろうと思いますけれども、国民の不安が最近非常に強うございますから、この機会に大臣のお気持ちを伺っておきたいと思うのです。
○椎名国務大臣 純粋に、年を取って肉親の者に会いたい、そうかといって行ききりにそのまま行くわけにいかぬというような事情からしますと、これは全く人道上の問題として処理したいという考えに立つわけなんですけれども、あまりに政治的にこれを誇示されるということは非常に大きな副産物を伴うことになるのであります。こういう問題はやはりわれわれとしては考慮せざるを得ない、そういう点がありますので、今後も十分にこの問題をかみ分けて処理したいと考えております。一ぺんに野方図に許すというわけにいかない、そういう事情もあるということを御承知おき願います。 それから、技術を買うにしては、やはり技術者が日本に来て、そしてその実際の運転状況等を調べた上で決心をするということは、これはもう取引の常道でございますから、これもよくわかるのですけれども、これまたどうもあまりに政治的に取り扱うというようなことがよくあるものですから、これもやっぱりある程度慎重に処理せざるを得ないという事情があるということを御了承願いたいと思います。
○穗積委員 それは、大体下世話な話でございますが、そこらにうろうろしておりますのら犬にいたしましても、初めての人が通るとほえてみて、その人がびくびくするとおもしろがってまたほえる。隣の犬もまたほえる。こういうわけでございまして、特に朝鮮との関係は、藤山外務大臣当時、人道上の立場という理由によって決断をしてあの帰国協定ができた。その前後には非常な南からのおどかし的な申し入れがあったのですが、これに屈せずしてやってしまった。やってしまったら何ら支障は生じない。こういう経験を持っておることは御承知のとおりです。したがって、今度のように、問題が人道上の立場であり、しかももう一つのほうはわが国の経済上の理由という経済的な局限をされた目的でございまして、これを、政治的に来て、日本で反韓国をアジるような政治的言動をしようなんということはもとよりありませんし、またこれを受け入れるものも、そういう子供じみたことを考えておるわけではないわけです。したがって、言ったからどうこうということでなくて、むしろこちらからその機会に、向こうが、そういう人道的または経済的な事情、特に日本は先ほど言いましたような構造的不況に立っておるわけですから、相互理解であるならば、日本側の態度と見解を腹にしみるまで相手に説得を試みて、そしてやる。その手続につきましては、これは執行部は外務省でありましょうし、通産省でありましょうし、法務省であるわけですから、そこらは、聡明な小川新アジア局長をあなたは部下に持っておられるわけだから、そこらで十分こなせることだと私は確信するのです。特に小川新局長には、あなたはきょうだいともなかなか聡明な、誠実な方で、特に香港、中国問題は、おとうさん以来、中国問題を取り扱ってこられ、それであなた自身が長く香港におられて両方のいろいろな動きを勉強してこられた。あなたのお兄さんは、池田内閣当時の内閣にありまして、この中国並びに東側の接触の問題についての担当をされて、限界はありましたけれども、非常に誠実にやってこられた。われわれ在野の者といたしましては、あなたのその努力を大いに期待しておるわけです。一つは外交の上でもそうでありますが、一つはこの行き詰まりました日本経済の打開の道として、戦争への道を歩むことなしに、平和な貿易の発展のために努力されることを、これはおせじじゃないのですよ小川さん。ちょっとこっち見なさい。みんな期待しておるのですから。あそこらのどこにおるか知らないが、麻布におる出先の機関を十分あなたの誠実と論理をもって説明されるならば、理解しないのはおかしいと思うのだ。理解しないということになるならば、相手が政治的偏見を持っておるということです。それは、わが国の自主性——外務大臣は自主性を主張しておられるが、そうであるならば、耳にする必要はないわけですね。だからぜひひとつ決断をしていただきたい。ここでは最終的な結論を椎名外務大臣から伺おうというところまではまだ実は考えていない。 そこで最後に、これは私から申し上げるまでもなしに、この問題については人道上の問題、貿易上の問題あるいは文化的な問題等がからんでおりますから、窓口は外務省でありますけれども、実は政府部内においては言うまでもなく通産省並びに法務省が協議すべき性質の行政事務になっておるわけですね。そこで最近こういうようなことがある。本来言えば、ビザなんというものは事務的なことですから、八木局長をわずらわさないで審査課長でいいわけです。それが政治的にごねるから三省で協議をしなければならぬ。そこで最近は、それは内閣官房長官が三省の間の意向をアレンジする、こういう取り扱いをずっと昨年来しておられるようです。したがって、われわれがこういう類似の問題につきまして出入国の問題でいろいろ折衝いたしますと、官房長官、副長官を窓口にしてもらいたい、何となれば東側の問題についてはいささか政治的な判断を必要とするから、こういうことでございました。佐藤内閣におきましては橋本、竹下両長官がその調整に当たってこられたわけです。限界はありましたけれども、われわれとしては、できないことはできない、できることはできるで、両長官に対しましては、誠意を持って誠実にやられたということについてはこれを多といたしております。結果ははなはだ不十分な結果も多うございましたけれども、そういうわけですから、この問題も実はすでに三省の間で事前に連絡、討議がされて、そして官房長官のところで佐藤内閣全体の判断をする、こういうところへ来ておるやさきでもあります。ですから、外務省としては、そういう大体三省間の意向を取りまとめて、先ほど八木局長が言われたような佐藤内閣全体の立場としての判断のつり合わせというか、促進に妨害を加えないようなことだけはここで外務大臣から約束をしておいていただきたい。椎名さん、いかがでございますか。賛成でしょう。
○椎名国務大臣 これはさっき申し上げたような原則のもとにケース・バイ・ケースで処理しておりますから、その点はおまかせを願いたいと思います。 ————◇—————
○高瀬委員長 次に、千九百六十二年の国際小麦協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。椎名外務大臣。 ————————————— —————————————
○椎名国務大臣 ただいま議題となりました千九百六十二年の国際小麦協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国は一九四九年の国際小麦協定以来、累次修正更新されてきた小麦協定に継続して参加してまいりましたが、一九六二年の協定の有効期間が昨年七月三十一日満了することになっていましたので、一九六二年の協定の内容を変更することなく、その有効期間をさらに一カ年延長するためにこの議定書が作成されました。 この議定書により有効期間が一カ年延長される一九六二年の協定の骨子は、締約輸出国は小麦の相場が高騰しても一定数量までは所定の最高価格で締約輸入国に売り渡す義務を負い、他方締約輸入国は自国の小麦輸入量のうち一定割合だけは締約輸出国から所定の価格帯内の価格で買い入れる義務を負い、かようにして締約国間において小麦の取引価格の安定と需給の調節とをはかろうとするものであります。 わが国は、この議定書の当事国となることによりまして、安定した価格で小麦の輸入必要量を確保することができるとともに、小麦の国際貿易の安定した拡大にも寄与し得る次第であります。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○高瀬委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後一時散会