科学技術振興対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/03/02
会議録
○原委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 本日は、科学技術庁付属各研究機関よりその概況説明とあわせて、それぞれの立場からの要望がありましたならば、これを承りたいと存じますので、どうか忌憚のない御発言をお願いいたします。 まず最初に、高木宇宙開発推進本部長よりお願いいたします。
○高木説明員 高木でございます。 皆様方のお手元に宇宙開発推進本部と書かれましたざら紙の一枚のものを差し上げてございます。それについて内容、現状を簡単に御説明申し上げたいと思います。 予算は、昭和四十一年度は四億五千万円いただくことになりましたが、そのうち、宇宙開発研究委託費として、二億一千五百万でございますが、その内容は、実用衛星の共通的な部分を早急に開発するということ、第二は飛しょう体でございますが、特に液体燃料のロケットを在来どおりずっと続けて進めてまいりまして、これが将来の実用衛星用のロケットに間に合うように進めるつもりでございます。 なお、もう一つ、強化プラスチックを材料といたしましたロケットチェンバーも重点的に取り上げまして、本年は幸い地上試験の費用がつきましたので、十分な研究をする予定でございます。 第三は、この中で誘導制御をもう少し精度の高いものを早急に国として開発したい、こう考えまして、これも二、三年来続いておる項目でございますが、目的をはっきりして進めさしたいと考えております。 宇宙開発試作品費のほうは、小型ロケットの打ち上げでございますが、後ほど申し上げます。 なお、研究設備整備費として、今年度一億円がつきましたが、これは液体燃料ロケットのいろいろな実験をするための地上施設を主に充てまして。だんだんとこれをふくらましていきたいと思っております。 (2)は人員でありますが、現在、四十一年度に合計三十三人になるのでございますが、機構はそのような状況でございますので、本部長以下総務課、企画課、開発部、三つありまして、その下に、ロケット開発室、ロケット機器開発室、人工衛星開発室がありまして、飛しょう実験室というのを四十一年度から新設いたします。少ない人数でやっておりますが、実際には、科学技術庁の航空宇宙技術研究所のほうからそれぞれの分野の御専門家を十一人兼任にいたしまして、この三つの開発室におきまして、そういう方々に上記のいろいろな予算の計画なり実施にたいへんお世話になっております。 このほか、大学側の連絡機構といたしまして、技術懇談会というものを昨年早々にスタートいたしまして、東京大学の教授五人でございますが、それと航空技術研究所のおもな方五人、本部とで長期計画などをいろいろと検討しながら進めておりまして、その結果、一応五年の長期計画を立てまして、実用衛星をどういうふうに進めていくかという大体の地上のスケジュールはできました。それに沿ってできるだけの努力をしたい。 第三番目は、おもな研究成果といたしましてロケットの発射のことだけ述べましたが、三十九年には計五基の打ち上げを行ないまして、四十年は六月、十一月の二回にわたりまして計十基を上げました。こちらに数字を落としましたが四十一年度は六月、十一月に二回やるつもりでございますが、計十六基でございます。五基、十基、十六基というふうに基数も漸増的で、少しずつではございますが増すような方向に進んでおります。四十一年度内には三・五トンの液燃ロケットが初めて飛ぶと思いますので、これによって液体燃料ロケットの性能も明らかになればあとの年度で非常に参考になると思いまして、このほうを非常に進めております。 四番目は、現在の研究内容をかいつまんで申し上げたのでございますが、ここにもしるしましたように、三段、四段となるべきロケットで、そのうちの一つは液燃がうまくいけば採用されるでありましょうし、そのうちの一つは強化プラスチックを筒にいたしましたロケットが採用されると思います。この強化プラスチックのチェンバーにつきましては、今年度から東大のほうでも若干基礎研究をやっておりますので、合同で研究班を組織して、この本部における試験をできるだけ有効的にしようと考えております。これに比べてチタンのほうは、いま東大のほうでやってもらっておりますが、おそらく強化プラスチックのほうが将来見込みが強くなるのではないか、私はこう考えております。一段目、二段目のロケットにつきましては、ミューロケットが東大のほうで順調に進みましたが、実用衛星を打ち上げるにはそれよりももう少し大型のものが必要と考えておりますので、東京大学ではミューロケットの大きさにとどめまして、それ以上の大きいものを本部のほうで直ちに着手する、これは四十二年度の概算要求に出す予定でございまして、このほうは、一段目、二段目はそう困難なくいくのではないかと思いますので、四十一年度からはその設計とか開発などを東大のほうから本部のほうへ援助いたしまして、四十一年の間には一応の設計を完了しておきまして、四十二年度の予算とともに地上試験ができるようにしたいものだ、こういう考えでございます。 二番目の柱の人工衛星につきましては、人工衛星の中の部品などは非常に多数にわたっておりますので、当然実用衛星、科学衛星も含めて共通な部分が多々ございます。太陽電池の問題とか電源の問題などがそれでございますが、これも過去二、三年来開発研究を続けさしておりますが、目標がきまるのはおそらく四十二年度以降になるかと思いますが、それに間に合うようにいまから信頼性の向上をはかった共通部品の研究を進めております。地上施設につきましても十分机上プランで練っておく必要がございますので、今年度の予算をもとにいたしましてだんだんと将来の計画をよく練りつつあるところでございます。 以上のような計画はすべて宇宙開発審議会に出しまして御審議を仰いだ上で実行に移す次第でありますが、とりあえず本部としては航空宇宙技術研究所、東大関係の方々の御援助を得ましてできるだけ汎日本的にこの計画を縦横に討議していただきまして、その上で強力に推進したい、こう考えております。 簡単でございますが、現状の御説明を終わります。
○原委員長 御苦労さまでした。 次に、松浦航空宇宙技術研究所長にお願いいたします。
○松浦説明員 松浦でございます。 簡単に説明をさしていただきますと、最初にお手元にお配りいたしました航空宇宙技術研究所と書きましたガリ版の資料がございますが、この最初の第一のところに予算・人員の推移という表がございます。私たちの研究所は昭和三十年度に発足いたしまして、最初は航空技術研究所と申しまして、関係各省庁の共用に供する研究設備を持つという任務もあわせて与えられておりました関係で、当時の航空技術審議会の答申によりまして、整備六カ年計画というのを三十一年度から三十六年度にかげて行ないました。この計画によりましてつくられました施設・設備整備費はこの表の下から四番目のところに書いてございますが、一番多いときで約十五億というような予算をちょうだいしたのでございます。 昭和三十七年度からはわれわれのほうで第二次計画というのを立てました。第二次計画は二十六年、当時の航空技術審議会諮問第五号でありますが、その答申によりまして、重要研究課題としてこういうものを国としては推進すべきであるという答申が出されましたが、その線に沿った研究及び設備計画でございました。この中に設備といたしましては、主として大型低速風胴を使って研究するV・STOL機すなわち垂直離着陸機及び短距離離着陸機と申しますか、こういう機種の研究をやる、そういうために必要な大型低速風胴、それからロケットの技術の向上を行なうための比較的基礎の面に重点を置きました研究でありますが、それを行なう施設を三十八年度は若干考えました。ところがその後宇宙開発審議会の諮問第三号答申でありますが、それが出されまして、さらにロケット関係の研究及び設備は、これをさらに強化するという方針に修正をいたしまして、現在三十七年度から立てました第二次計画、これは五カ年でございましたが、それの最終年度に間もなく入ろうとしておる段階でございます。四十一年度は、この表の最後に書いてございますように、合計十六億四千万強の予算の内示をいただきまして人員定員四百七十名で研究業務を行なうことになっております。 研究のおもなるものを申し上げますと、先ほど申し上げました昭和三十七年度から発足いたしました第二次計画ではVTOL及びSTOLに関する研究、ロケットに関する研究、それから高速機に関する研究。第三の高速機に関する研究と申しますのは、一名遷音速機及び超音速機に関する研究というふうに呼称しておりますが、この三つの大きい研究の柱を立てまして、この線に沿って研究を進めてまいりました。VTOL及びSTOLに関する研究につきましては、こういう飛行機は低速で飛ぶ、またVTOLと申しますと、まっすぐに地面から飛び上がるわけでございますから、この場合には飛行機が前進によって得られる空気力がないわけでございますので、特別な方法でもって安定を保つ、また操縦をするというようなことが必要になってまいります。安定性及び操縦性に関する研究が、その中の一つの重要な研究項目でございます。 それからもう一つは、こういう経済的に成り立つような飛行機を生み出しまして、これを実用化するというためには、軽量な推進用のエンジン、このエンジンは飛行機を前進さすのに使いましても、また飛行機を上のほうにまっすぐ持ち上げるために使いましても、いずれにいたしましても比較的軽くて大きな推力を出すエンジンが必要なのでございます。主としてこのVTOL及びSTOLに関する研究の重点は、安定及び操縦に関する研究と、軽いエンジンの研究であります。このエンジンの研究は試作研究でありまして、現在推力が約一トン二百キログラム、重量がほぼ百二十キログラム、推力と重量の比が一〇程度でございますが、三十八年度から試作研究を開始いたしまして、そうして一昨年の暮れに完成いたしました。約一年にわたりまして試験運転を行ないましたが、現在のところ非常に順調に進んでまいりました。したがって、このエンジンをさらに推力と重量の比を向上するという方向に持っていけるという確信がつきましたので、現在のところ推力と重量の比が一三・六程度のものでございます。さらにこれをいろいろと改良いたしております。その次には推力と重量の比が約一六まで向上いたして、さらに今後の予定といたしましては推力と重量の比が二四、五から三〇をねらったものを研究したい、こう考えております。 それから、安定及び操縦に関する研究の基礎といたしまして、四十年度及び四十一年度に予算をちょうだいいたしましたフライングテストベッドというのがございます。これは、先ほど申し上げました軽いジェットエンジンを使いまして地上から浮き上がる研究設備を言うわけでありますが、地面から浮き上がる、かようなフライングテストベッドと称します研究装置を使いまして、安定及び操縦に関する研究を行なう予定にいたしております。 ロケットに関する研究でございますが、先ほど宇宙開発推進本部長からも話がありましたように私たちのほうは推進本部で開発されるロケットについての全面的なバックアップをいたしております。したがって、私たちのほうから研究者を十一名、さらに他の要員も入れまして現在十四名ですが、推進本部に出しております。したがって、われわれのほうのロケットに関する研究は、推進本部の開発計画と歩調を合わせて進めておりますが、それ以外に、われわれのほうといたしましてはかなり先を見た研究を進めております。 一つは液体ロケットのうち極低温推進薬を使いました液体酸素ロケットでございます。この研究に関しましては、現在小さい実験装置を持っておりまして、これは現在本所で行なっておりますが、昭和四十一年度には推力七トン半を標準にいたしました液体酸素ロケットの試験ができますテストスタンドを角田支所のほうに設置をする予定にいたしております。角田支所は昨年の七月関係各方面の御協力を得まして旧海軍火薬廠あと、宮城県の船岡火薬廠あとでございますが、ここに約九十万平方メートルの土地をわれわれのほうに一時使用を認めていただきまして発足いたしたところでございます。こちらのほうでそういう研究は行なうつもりにいたしております。 高速機に対する研究、すなわち遷音速、音の速さからさらにそれを上回ります超音速に関する研究は、現在のところ主として空気力学の面、たとえば羽の形、胴体とか尾翼の問題、また、こういった飛行機の空中における安定の問題というようなことを現在進めております。要約いたしますと、STOL及びVTOLに関する研究は一つのプロジェクト研究になっております。また、ロケットはわれわれのほうの研究を推進いたしますにおきましても飛しょう実験を行なう必要があるわけでありますが、これは、宇宙開発推進本部のほうで予算をとっていただきまして、われわれのほうで実行しているというようなやはり一つのプロジェクト研究でございます。この二つを、現在のところどちらかと申しますと比較的重点を置きまして研究を進めておるという状況でございます。
○原委員長 次に、橋本金属材料技術研究所長。
○橋本説明員 橋本でございます。きょうはお忙しいところをありがとうございました。 差し上げてあります金属材料技術研究所という資料と同別紙とを含めて御説明申し上げます。 私どもの研究所は、昭和三十一年七月一日に発足をいたしました。ちょうどことしが満十年になるわけでございます。この間に、「予算及人員経過」にございますように、ことし内示されました額が十一億一千九十二万円強でございまして、また九人の定員増がございました。したがって、定員が四百五十四人になりますわけでございます。皆さん方の非常な御援助の結果、十年間のうちに七十九億六千三百七十一万六千円という予算がいれられまして、中の機構といたしましては、ここにありますように、最初、管理部とそれから研究四部で発足いたしましたものが、ただいま研究十三部になっております。そのうち、三十九年に十二部で、ほかに材料試験所準備室というのが四十年度に十三部となりまして、材料試験部という、ほかの研究部とはやや毛色の変わったものがここに増設されまして、目下管理部に研究十三部ででき上がっているわけであります。 ちょうどここのところで、昨年非常に問題になりました研究学園都市にわれわれのほうが行く、行かないという問題があったのでございますが、これが科学技術庁と大蔵省との間で円満に話が解決いたしまして、いままででき上がりました金属材料技術研究所はことしはそのまま、目下ございます目黒に残りまして、将来発展する部分及び将来ほかの研究所と共通な分野でやらなければならないものは研究学園都市のほうに設置されるということになりまして、したがって、目下のところ、いままでありましたのは、元の海軍の技術研究所のあとのところで整備されるという形になりましたわけでございます。 それから、私どものところでやっております研究題目は、次のページにおもなる研究題目ということをあげておきましたように、私どものほうがたいへんほかと違いますのは、材料というものは科学技術及び産業の分野で共通の問題でありますので、したがって、材料に関する研究はどこでもやっておる。また、大学なんかでもやっているわけでございます。そういうふうな関係で、初めから私どものところの整備にあたりましては、国でなければできない研究というのを対象としてやったわけでございまして、目下のところでは(1)から(9)までの間にあげてあるような研究をやり、重要な研究といたしましては、たとえば軸受け材料に関する改善研究なんかは完結をいたしまして、日本の軸受け材料が相当な進歩を見たはずでございます。こういうふうなものをやり、あわせて、ここに書くのを忘れておるのでございますが、材料試験のデータシートの作成の業務というのがことしから始まったわけでございます。それが材料試験部というのに相当するわけでございまして、御存じのように、原子力の開発に伴いますと、原子炉用の構造材料というようなものは、要するに匍匐と申しまして、熱がかかったときにどのくらいのところまでの強さを土台にして設計をしたならば絶対に伸びないか、また破壊をしないかというようなところがなければ原子炉の設計ができないわけでございます。ところが、日本でつくられます材料のクリープのデータシートがないために、国際入札でありますとか、あるいは日本の、たとえば東海村の炉をつくります場合にも、その炉用の材料は外国からの輸入に待たなければなりませんでしたので、こういうふうな関係で日本でつくられる材料の匍匐のデータシートをできるだけ早くつくるというので、昨年から本庁それから大蔵省の非常な御理解のもとに急速にこういった方面の整備がはかられているわけでございます。そういうわけで材料試験部のデータシートの作成業務というのをそこに入れていただきたいと存じます。 それから研究の成果といたしましては、これは私どものところでできました発表の論文数が三百七十二件、それから特許が、すでに特許になりましたものが八件、目下出願中のものが二十三件、計三十一件でございます。このほかには年間に百以上の研究発表がございますので、私どもの発表論文以外にいろいろなところで発表されたものが相当な数になっていると思います。別紙にございますように、研究報告は私どものところで材技研ニュースと、それから和文と欧文の研究報告を出しておりますが、和文の研究報告は八巻六号まで通巻三十七冊でございます。それから欧文の研究報告は主として海外との技術交流等のために使いますものでございますが、それが七巻六号で通巻二十八冊になっております。材技研ニュースは主として産業界その他すべてに、私どものところの新しいニュースを研究報告よりも早く一般に周知徹底させるために使っておりますので、それは八十六号、これは大体毎月定期的に出しているわけでございます。 それから国際交流といたしましてはことにございますように——これは幾らか落ちがあると思いますけれども、国際会議に出ましたのが二十六人、それから留学をしておりましたのが十七人というような数がいままでのところでございます。受け入れの側といたしましては、ここにありますように、過去フィリピン、インド、インドネシア、フランスが各一人来ておる。これは大体六カ月ないし一年私のところにおりまして、目下のところはフランスのドタクー・オークトチュエールとオーストラリアのドクター・トムソンという、この二人が長期の受け入れで私どものところに来て研究をやっております。それから当所へ参りました外国人の訪問客、これははっきりした数字ではございませんけれども、大体件数としては九十三件で百五十六人、おそらく個人別に来たのを合わせますと三百から四百くらいになると思いますが、そういうような形で訪問を受けておるわけでございます。 私どものところは、先ほど申し上げましたような形で、大体国がやらなければならない研究、国でなければできない研究を主としてやっておりまして、これから先に私どものほうがやらなければならない一つの問題といたしましては、これは私の個人的な一つの考え方でございますが、製鉄とか材料の製造という方面では世界的にこの約十年の間に相当な革命があると私は考えておるのでございます。そういう線から、特に今年度から装置としては非常に多額な費用を要しますのでございますけれども、大蔵省で認められまして、たとえば遊星ロール一億五千万円を一部通していただきまして、来年の夏以降にはこれが完成する予定でございます。そういうふうな形で、製鉄、製鋼関係、あるいはまた、その材料の製造の問題その他に相当大きな革命があり、これは早く日本がやりませんと、外国の技術導入などにまたなければならないというような関係で、そういう点に重点を置いて特にことしからやり始める。それからもう一つは、先ほど申しましたように材料試験というような問題をいまのような線から取り扱いまして、日本で製造される材料が国際的な場において、十分国家保証された材料であるという線をとるような方面に実は力を注いできておるわけでございます。こういうふうな形で、おかげさまでどうやら材検も世界的に見ましても恥ずかしくない一つの体系を整えておりますので、この七月一日には実は創立十周年の祝いをやりますので、たいへん恐縮でございますけれども、もしおひまがありましたら御招待申し上げますから、ぜひ見て御批判をお願い申し上げ、また将来に対していろいろお教えをお願いできますれば非常に幸いだと存じておる次第でございます。 どうもいろいろありがとうございました。
○原委員長 御苦労さまでした。 次に、塚本放射線医学総合研究所長。
○塚本説明員 放射線医学総合研究所の成り立ち及び現況、それから研究内容などについて簡単に御説明申し上げます。 この小冊子を御参考に御説明申し上げさせていただくことにいたします。 御存じのように、放射線の問題は非常にいろいろなときに問題として取り上げられるわけでございますが、この一ページに書いてございますように、例のビキニのときにああいう原爆の実験で日本に被害が出たというような問題もございまして、日本学術会議から内閣総理大臣にこういうことを十分研究する研究所をつくれということから始まったわけでございますが、そういう世の中でありましたので、初めには文部省の下に放射線基礎医学研究所をつくったらどうかという話がございました。それと同時に、厚生省ではやはりそういう環境衛生的な放射線に関する研究所がほしいというようなことでございました。それを原子力委員会が取り上げられて、両方一緒にしたものを科学技術庁の傘下につくったらどうだということになったいきさつがございます。そんな関係で非常に広い範囲のいろいろな仕事が私たちの研究所に課せられておりますが、二ページの一番上のところをお開きいただきますと、そういう意味で、放射線による人体の障害並びに予防、診断及び治療に関する調査研究というのがまず第一番にあがっております。 その次に、放射線の医学的利用という問題、それからこの両者に必要な技術者の養成訓練ということが三つの柱というふうに考えていただいていいかと思います。その下に書いてございますような経過で、橋本先生のところより一年おくれまして三十二年の七月に発足したわけでございますが、実際的には三十四年に現在の千葉に移りまして研究を始めたという形でございます。 次に、これまでの予算というようなものがグラフにしてございますが、ごらんいただきますと三十五年の七億二百万円、このときは建設当時でございましたのでかなり予算をいただいてやりました。それからあとは大体横ばい、五億数千万ということできましたが、放射線の研究の問題は、ほかの学問もそうでしょうけれども、特に新しい学問であるということと、日進月歩の進歩ということで、最初に予定いたしましたよりもいろいろな設備が要るというようなことで、新しい研究あるいはいままでの施設が狭隘になりましたので、本年度はそういうところを改善していただくために予算要求をいたしまして、おかげで六億四千三百万円という予算をつけていただきました。そのうちの約一億円に当たるものが、第二研究所とわれわれが言っておる新しい研究所の設備に回ることになっております。 その次の表を見ていただきますと、これが組織でございますけれども、研究部はすでに十一研究部に分かれております。そしてそれをごらんいただきますと、物理、化学、生物、遺伝、生理病理というような基礎の学問に非常に必要な方面の学者がおりますと同時に、その次にございますように、障害基礎研究部とか、薬学研究部とか、環境衛生研究部というような、先ほど申し上げました厚生省的な役割りを果たすような研究部もできております。 研究の進め方でございますが、四十年度から特に特別研究、プロジェクト研究というものをやりました。これは中で非常によく議論された問題で、当面ぜひ早く研究を完成したい。ここにございますように、たとえばプルトニウム、これは原子力の平和利用によりまして、核燃料、ことに日本でも再処理が近い将来に迫っている問題でございますので、特にこういう核種についてあらゆる観点から研究を進めていくということは、われわれの研究所の使命であると同時に、これから燃料公社等においても非常に希望されている研究でございます。ことにこの核種は、それ自身毒性がある以外に、からだへ入った場合、たとえば呼吸で入っても傷から入りましても、動きがまだよくわかっておらぬ、しかも、その問題がいろいろあるということで、それを幾つかの課題に分けて、それぞれの専門家が協力してやろうということでございます。 もう一つ、四十一年度から始める予定にしていろいろ案を練っておりますのが、次にあります放射線障害の回復に関する調査研究であります。御存じのように、大量の放射線を受けましたときのことはかなりいろいろわかってまいりましたけれども、その機構なり、あるいは少線量でもその線量に匹敵して同じような障害が起こるかどうかというよなことは、これからいろいろこういう分子レベルの研究とか、細胞のレベルの研究とか、そういうことから臓器並びにホルモンというような問題を解決していきませんと、はたしてどれだけの障害が起こるかというようなことが判然いたしてまいりません。幸い、われわれの研究所には、そういうことを総合的に取り上げてやれるようなバックグラウンドのサイエンスの研究者が多いのでございますので、そういう問題を詳しくやっていきたいというふうに考えております。 なおまた、病院という施設がございます。これは先ほど申し上げた放射線の医学的利用という意味で、幸いに放射線のいろいろな線源、たとえばベータトロンとかあるいはリニアックとか、まだあまり方々にないような非常に高エネルギーのものがございますので、これを臨床に応用してガンの治療をやろうというようなこと。それで、病院でいままで扱いました患者の数などもここにあげておきましたが、それと同時に、また新しいアイソトープというものが、ガンのみならず医学的にいろいろな診断の応用部門があって、いわゆる核医学と申しますそういうことの研究を並べて進めていこうということでございます。 最後に、こういう大きい紙がございますので、ちょっと見ていただきますと、放射線の障害の発生ということが上から時間が十のマイナス十六乗秒というようなことが書いてありますが、放射線が当たったときの第一次の変化というものが、エネルギーの吸収に次いでこういう短い時間に起こって、それからいろいろな変化が次々と起こってくるというようなことでございます。それに対しておもに関係しておる部をあげておきますと、最初は物理研究部というものと、密接な関係がある化学、そして分子のレベルになりますと生物というようなものが必要になってまいります。 大体の概要はそういうことでございますが、まだまだわれわれのほうの学問は、欧米諸国に比べますとスタートがおくれたこと、一方において原爆の被爆国であるという点がございまして、いろいろ放射線障害というものが大きな問題を呼んでおりますけれども、また他方、そういうことの評価というものがはっきりしないために、放射線あるいは原子力の平和利用ということがスムーズに進まないというような問題もございますので、こういう点を解明するわれわれの研究所というものは、ほかの研究所のようにいろいろなものをおつくりになるというような景気のいいものではございませんけれども、たいへんに必要な一面をになっておるということをお考えいただいて、今後も御協力、御援助願いたいと思います。
○原委員長 御苦労さまでした。 次に、和達国立防災科学技術センター所長。
○和達説明員 国立防災科学技術センターは昭和三十八年四月に設立されまして、本年が三年目であります。 その任務、いまいたしております仕事を簡単に申しますと、第一番目が、防災に関する試験研究のために必要な施設で関係の機関が共用して使うところの施設や設備を備えることでございます。 第二番は、多数の部門が協力して行なう総合的な研究を推進することでございます。 第三番目は、そういうような総合的研究推進にあたって、それを効果的にするために、防災センター自身が基礎的な調査を行なうことであります。 その次は、防災に関する内外の資料を収集し整理し、保管して提供するということであります。 これらの仕事を設立以来だんだんにつとめて整備してまいりました状況は、お手元の説明資料でごらんいただけるかと思います。 第一番に、予算のことでございまして、昭和四十年度が一億九千八百万円、昭和四十一年度もほぼ同額であります。 人員につきましては、現在六十三人、昭和四十一年度で七十三人になる予定であります。 機構につきましては、ごらんのように二課三研究部、それに雪害実験研究所が新潟県長岡にございます。なお、流動研究官という制度がございます。 ここで補足いたしますが、これらの仕事をいたしますにあたりまして、この運営は運営委員会というものに諮問して行なうことになっております。運営委員会は、関係各機関から代表者を出しておるのでございます。 その二枚目におきまして、共用研究施設として現在までに雪害実験研究所と波浪等観測塔とを整備してまいりました。雪害実験研究所につきましては、ほぼ完成に近くなっておりますが、波浪等観測塔につきましては現在整備中でありまして、本年十二月から本格的観測研究が開始される予定であります。 なお、大型耐震実験装置につきましては、昭和四十一年度におきまして主要部分の大出力加振機の試作研究を計画いたしております。 その次は研究業務でございますが、特別研究と総合研究とに分かれております。特別研究は、総合研究を推進するための防災センターが行なっておる研究でありまして、総合研究のほうにつきましては、ここにごらんいただけますように、風水害、沿岸防災、地表変動防災、地震防災、雪害、スモッグの七つのテーマのほかに、緊急研究として昨年の異常残雪と台風による山地崩壊機構の研究を行なっております。 次に防災の資料の収集整理につきましては、発足以来つとめておりますが、現在まだ十分に収集整理ができておると申せないのははなはだ残念ではありますが、目下努力中でございます。 以上申し上げましたように、防災センターは、発足以来三年目にあたり、ようやく軌道に乗りつつありまして、着々仕事を進めておる現状でありますが、日本の防災の科学技術面におきましては、なお発展推進すべき面の多いことは申すまでもなく、本センターにおきましてもその任務を全うすべく今後も努力したいと存じております。
○原委員長 御苦労さまでした。以上で説明聴取は終わりました。 —————————————
○原委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 一、二の点だけをお伺いしたいと思うのですが、まず金属材料技術研究所の橋本所長にお伺いいたします。 提出を願っておるこの資料の二枚目の「4 主なる研究成果」に「研究発表」と「特許」、こういうことになっていて、現在八件の特許を持ち、二十三件が特許出願中、こういうことになっておるのですが、実は当委員会でカッパー8型等の企業化といいますか、商品化の問題等をめぐりまして、国または国の機関等がそういう新しい研究なり発見をした場合に、特許を出願する場合、あるいはしないといった場合、これは必ずしも各機関において一致していないと思うのです。また、した場合でも、その所属する機関が出願者である場合、あるいは個人が出願者である場合、いろいろあるわけなんですが、この八件ないし出願中の二十三件、こういうのは、出願者はだれになっておりますか。それから、出願にあたって、もし個人でなくて機関でやるとか、あるいは個人でもまちまちであるならば、それの区別をつける基準が何かあるのかどうか、まずその辺をお伺いいたします。
○橋本説明員 お答え申し上げます。 ここにございます特許八件ないし出願中二十三件、これは全部金属材料技術研究所長橋本宇一としての出願でございます。したがって、出しました特許は全部国家特許になっているわけでございます。それで、これから先も、私のところではそういう形をとりたいと思っております。 それからもう一つは、そうすると報償の問題がございまして、これは本庁のほうにも早くその規定をつくっていただきたいので、お願いを申し上げておりますのですが、できておりませんので、一応所長限りの形をとっておりまして、大体それは通産省でとられておるのに右へならえしているわけでございます。それで、もしこれが何らかの形で収入がある場合には、五〇%以内だと思いました、本人に行き得る。ただしその額はその本人の俸給を越えないことという形になっておりまして、その以内には本人に報償として行き得る。残りは全部国家に入るわけでございます。そういう形をとっているはずでございます。
○田中(武)委員 現在の段階においては、それじゃ研究所の内規か何かでそういうようなものをつくっておられるわけですか。ただ通産省がそうやっているから何となしに右へならえ、こういうことなんですか。
○橋本説明員 私どものところは、こういう特許がどんどん出てまいるものですから、本庁でもきっと御準備になってくださっておると思いますが、実はかねてからお願い申し上げていたわけでございます。ところが研究がどんどん出てまいりまして、これに収入が伴った場合に処理に困りますので、所長限りで——すでに相当な歴史を持っているところで、差しつかえない範囲内でやっているところへ大体右へならえしたような形で、一応所長限りでそういうふうな内規的なものをつくっているわけでございます。そういうのでございまして、もちろんこれは科学技術庁でそういう線できまりますれば、それに従うつもりでおります。
○田中(武)委員 今度は研究所が持っている特許、これを第三者が使う場合ですね、ロイアルティーといいますか、対価はどういうようにしてきめておりますか。
○橋本説明員 まだ、いまのところ、対価がそこまでいっておりませんが、対価はいま申し上げましたように大部分は国家に入るわけでございます。対価として、その本人の俸給額を越えない範囲内で、本人に報償として入るということのつもりでおります。
○田中(武)委員 いや私の言う対価は、利用するほうに何か金を納めさすのでしょう。それは何か基準があってやっておるのか、あるいは利用希望者が数名の場合、その中から特定の一人を選定するような場合があると思うのですが、そういうような場合には、どういう方法でやっておられるのかということです。だから、特許使用料というかっこうで何か金をとるんでしょう。だから一つのロイアルティーか何かのようなかっこうでそういうような基準とか、それから希望者が競合した場合の選択の方法、そういうものはどういうことになっておりますか。
○橋本説明員 大体特許基準が、まだ新しいものですから、そこのところまで具体的にいっておりませんですが、議員さんのお話のとおりに、もののいかんによってどのくらいな報償金をとらなければいけないか、また特許料をとらなければいけないかということをきめなければならないとは思っております。そのきめる一つの組織は、まだ実はできておりません。それで、いずれそういうようなときになりましたら、本庁と御相談の上できめたいという気持ちを持っております。ただ思想的には、いま申し上げましたように、それからもう一つは、私どものととろは公開の機関でございますから、なるべく特定の業者に使わせるということはやらせたくない、一般のところに、希望のところがあったら一般にどこにでも使わせる。ただし、私どものところは、先ほど御説明のときに申し上げませんでしたが、相当委託研究だとか共同研究があるわけでございます。その委託研究の場合には、たとえば設備やその他を、委託をしたほうでやはり相当持っております。それででき上がりましたものは、これはやはり特定のものに使わせなければならないと思います。ただし、それは向こうの特許ではなしに、あくまで私のほうの特許であって、何年間の間にそれに相当したものだけは特定のものにそういう線で使わせる、そういうような気持ちで私どもはおるのでございます。それで、一般的にはそういう線はとりたくなくて、なるべく全般に一様に使わせるという形をとりたいと思っております。
○田中(武)委員 そうすると、現在この時点で、研究所の持っている特許を使っているという企業があるのでしょう。その場合に、現在では、そういう特許使用料といいますか、そういうものはどうしてきめているのですか。
○橋本説明員 目下のところ、実はまだ、そういうような交渉はございますけれども、使わしておりません。それはなかなかむずかしいのでございまして、額を一体どのくらいにきめてどうするかということ、それから、やはり特許発明がございますと、発明の中には、いざ公告になりますと、これに対して異議申し立てなんかが相当あります。これがみんな通ってから——通ったものが発明でございまして、いずれはいまのような形で特許使用料をきめてかからなければいけないと思いますが、いまのところ、まだそこまでいっておらないのでございます。
○田中(武)委員 これは科学技術庁のほうへお伺いしますが、いまのところ現実にこの金属材料技術研究所ではまだないというのですが、やはりそういうような場合、あるいはほかの機関であるかもわかりませんが、特許使用料についての契約は、国家機関と法人を含む個人との契約になりますね。こういう契約になるのでしょう。その契約の性質というのはどういうことになります。
○小林(貞)政府委員 その場合の契約は、特許権の所有者は国家でございますけれども、ただ、契約をいたします立場としては、個人的な私人としての立場でございます。したがって私法上の契約ということになると思います。
○田中(武)委員 そうしますと、いま現実にないそうですが、八件現実に持っておられるのですから、かりに金属材料技術研究所の特許をAという企業が使用したい、こういうときは、A企業と所長である橋本さんの個人契約、こういうことになりますか。それから、これはもちろん私法上の契約です、民法上の契約ですが、あくまで橋本さん個人としての契約はいいとして、そうなればそこにまた問題があると思うのですが、国家機関としての契約になると、権利義務の主体たり得る機関というものはやはりきまっておると思うのです。そういう付属機関の長というか、付属機関それ自体が、私法上の法律に基づく契約、それの当事者能力としての資格があるといいますか、こういう行為能力があるのかないのか、いかがです。
○小林(貞)政府委員 その場合、先ほど申し上げましたように、契約としては私法上の契約になりますし、特許権者は金属材料技術研究所所長橋本宇一という名前にはなっておりますが、やはり権限の主体は国家であろうかと思います。したがって、橋本個人ではなくて、国が私法上の立場で契約するということになろうかと思います。そこで橋本所長が現実に表面に出てくるわけでございますが、それが契約の当事者たり得る能力があるかどうか。言いかえれば、国家からそういう契約をする権限を委譲されているかどうかという問題になろうかと思いますが、ちょっといま資料がないので私この場で正確に覚えておりませんけれども、大臣が研究所の所長に特許契約をする権限を委譲しているというふうに理解しておるのでございます。権限委譲をして所長がそれを契約できる、こういう体制になっています。ちょっと資料が手元にないので正確にはその点あれでございますが、もし権限委譲をしてないとすれば、これは大臣が当事者になる、こういうふうになろうかと思いますが、資料を調べまして正確にお答えさせていただきたいと思います。
○田中(武)委員 契約当事者たるいわゆる行為能力としての問題は、独立機関であるかどうかということ及び主務大臣からどれだけの権限を与えてもらっておるか、むしろ行政組織法上の問題になると思うのです。だから、いま現実にそういうことがないというなら、まだ研究不足だと思うのですが、その点をひとつ研究してもらうこと。それからこの考え方が私は二つあるのじゃないかと思うのです。いま言われているように、いわゆる私法上の契約としてやる場合、と同時に、行政行為としていわゆる使用料という観念から徴収する場合、これはいわゆる公法上の契約といいますか、あるいは一方的な——いわゆる契約なら双務契約になりますね。ところが、行政上の手続として使用料としてとるなら、一方的に、使用者によってこれを使いたければこれだけの金を使用料として払え、行政法上の使用料という観念、このほうもあるのじゃないかと思うのですが、どちらがいいですか。
○小林(貞)政府委員 これはいろいろ考え方があるということは先生御指摘のとおりだと思いますが、役所によっての従前の例を考えてみますと、たとえば通産省の場合でございますと、これは工業技術院長に権限が委譲されまして、そして私法上の契約という形で処理しておるわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、私は、現在科学技術庁はそういう体制に権限を委譲されていると思っておりますが、ちょっと資料がないので的確にお答えできませんが、あるべき姿としてはそういう形のほうが望ましいのではなかろうか、かように考えております。
○田中(武)委員 私法上の双務契約としての考え方と行政法上の一方的な片務契約としての考え方、それをはっきりしておくことが、今度入ってきた金の処理、収入をどういうような名目で、雑収入にするのか、手数料収入にするのか、あるいは何かの項目を設けてやるのかということとも関連してくると思う。それにはやはりこういう付属機関がどこまで行政法上の独立機関たり得るのかということとも関連すると思うのです。いまこれ以上突っ込んでみてもどうも答弁できそうもないのでこの程度にしますが、ひとつ大臣、お聞きのように、この前からいろいろなことで、大学をも含めて国家機関が開発したあるいは発見したものについての特許の使用あるいは特許申請の問題等についていろいろ議論が行なわれていることは御承知のとおりであります。これをはっきりしておかないと、なるほど、いま橋本所長がおっしゃったように、委託研究ということである程度私企業が設備なりあるいは研究費なりを投じた場合もあると思うのです。一般の受ける感じは、国の機関で、国の費用で、国の研究者が研究して特許を売ったものを私人がというか私企業が使う場合に、どんなになっているのか。これはカッパー8型の輸出の問題に関連してしょっちゅうこの委員会で議論が行なわれている問題なんです。そこで、いまのところでは科学技術庁自体にそういうはっきりしたものがないので通産省の例にならっておる、こういうことなのだが、通産省は通産省、科学技術庁は科学技術庁で、そういう内規といいますか、省令ないし庁令といいますか、そういうものできめるのがいいのか、あるいは全部の国家機関を一つにした法律ないしは総理府令、政令か何かそういうもので統一してきめるのがいいのか、いろいろ問題があると思うのですが、ひとつ長官のときにこれを解決してもらいたいと思うのです。長官の方針があるならば方針を言っていただいて、その方針にのっとった統一的な、あるいはこういう方向でもってこの問題を解決したい、もし、まだ長官自体が研究がなされていないなら、いつごろまでにそういうことをやる。科学技術庁はいわゆる科学行政の総合調整の任務を持つ行政庁ですし、あなたはその長官であるので、ひとつその辺のところをはっきり御答弁願いたいと思います。
○上原国務大臣 お話を伺っておりましてごもっともだと思いまするから、そうしてまた、急速に国としての方針を確立しなければならぬと思いまするから、これに努力をするつもりでございまするし、庁内でもいまいろいろと検討中でございますので、もうしばらくお待ちいただくようにお願いしたいと思います。
○田中(武)委員 特許の問題はその程度にしまして、通産省なりあるいはその他の行政庁なり科学技術庁においても、同じような研究所というものがあるのじゃないかと思うのです。そういうもののいわゆる行政の一元化、たとえば宇宙開発の問題につきましても、航空宇宙技術研究所、こちらのほうは宇宙開発、これは目的は若干違うと思いますが、そうかと思えば、通信衛星の関係等で郵政省がやっておる、あるいは船舶の問題等では運輸省がまたくちばしを入れてくるだろう、こういういろいろなものがあるわけで、これはいまここで解決できる問題ではないと思います。これは当委員会でも科学技術行政に関する小委員会を置いて、これから研究しようという考えを持っておりますが、こういう国家機関といいますか、各省庁の付属機関、あるいは一つの問題でそれぞれの行政庁がやっておるというような問題をなるべく一元化していく、あるいは研究所等の簡素化というか一元化という問題等も重要な問題であろうと思います。そうなると、言いたくはありませんが、各省庁間のセクトも出てくるし、いろいろおかしな問題もあろうと思います。しかし科学に対する総合調整の機関の長として、勇気を持ってあなたの時代にそういうものの整理統合をやってもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○上原国務大臣 国家の研究機関というものは、大体においては重複しているところはございませんけれども、細目にわたったら重複しているものができてくるだろうと思うのでございます。研究というものは、御承知のように、一つだけがというわけにいきません。みんな関連してまいりますから、そういうわけで、いま予算の見積もり方針の調整ということをやっておりまするけれども、もう少し権限を強化して研究の総合調整というふうなものができなければいけないと思っておりますので、時間がかかりましょうけれども、そうなるように極力努力を重ねてまいるつもりでございます。
○田中(武)委員 極力努力しているのはわかっておるのだが、ともかく一つの方針を立てて、これとこれは一緒にしたほうがいいのだ、そうしてそれは科学技術庁の付属機関に置くのがいいのだとか、あるいはこれは企業というか、実用につながるから通産省に持っていったほうがいいのだとか、いろいろあると思うのです。そういう交通整理の役をするのがあなたですよ。また、あなたがやらなければいかぬのですよ。おれがやらなければだれがやる、ひとつそういう勇気を持ってやってください。
○小林(貞)政府委員 先ほど航空宇宙技術研究所と宇宙開発推進本部が例としてあげられたのでございますが、これは設置法上もはっきり区別されておりまして、宇宙開発推進本部のほうは、ロケットの打ち上げを中心に仕事を進めていく、かようなことになっております。それから航空宇宙技術研究所のほうは、いわゆる基礎研究というものに徹することになります。ロケットなどの基礎的な研究をやるというようなことで、それぞれの守備範囲は違っております。ただ、御指摘のように、目的は違っておりましても、やっているうちにだんだんダブってくるじゃないかとか、あるいはその間に間隙が逆にできてくるのじゃないか、こういうような問題が私どものほうの研究所の中にも出るわけでございますが、その辺は行政官庁としての科学技術庁が両者の連携を密にするべくいろいろやっております。また、現実に研究所相互間でも連絡体制をとっておりますから、重複がないように、また間隙があかぬようにさような措置を現在とっております。具体的に御指摘のありました例について御説明申し上げました。
○田中(武)委員 もうおこうと思ったのですが、設置法でこうだというのは、それはかってなんです。設置法なんてどうでも書けるんだ。設置法に載っておらぬ国家機関はないですよ。そうでしょう。私の言っているのは、その設置法を検討し直さなければいかぬというのです。だから、設置法にあるからかまわないのだということは答えにならないのです。設置法にはどないでも書けるのですよ。どないでもと言ったらおかしいが、設置法にきめてあるからこそ、あるいは設置法に明記してあるからこそ機関ができておるわけですよ。その間において、いろいろ同じような目的のためにたくさんあり過ぎるのじゃないかということは、当然設置法の再検討ですよ。そういうことだけ申し上げておきます。
○原委員長 西村英一君。
○西村(英)委員 私は別にたいしたことでなく、いま田中さんが言ったこと、そういう気持ちで言うのですが、いまの和達さんの御説明の中で、スモッグの研究をする、これはことしも公害の研究所を通産省がつくりたいというので盛んにやって、いまできそうになっておる。結局言いたいことは、ばらばらに小さい研究所をつくらぬで、研究所をつくるからにはやはり権威あるりっぱな研究所をつくってもらいたい。そこでおそらく来年も通産省あたりが必ず公害研究所というのをやるでしょう。ところが一方、和達さんのほうの研究所もスモッグをやる。スモッグというのはどういうことをつかまえて言うのか知りませんが、あまりばらばらに小さな研究所をつくるよりも、研究所をつくるからには権威のあるものを大きい規模でつくってもらいたい、いま田中さんの話にもありましたが、そういう気持ちでございます。 それから橋本さん、どうなんですか、学園都市に移るのがいやだというのですが、向こうに大規模に移ったらいいでしょう。どうして小規模のものを向こうだけでやって、あそこにあのまま残しておこうというのですか。大規模にやらせるなら学園都市に移ったらいいんじゃないですか、どうなんですか。
○橋本説明員 私は実は全然反対だというわけじゃございません。しかし、私どものいままでの設備やなにかを移しますのには、どうしても百五十億ぐらいかかってしまうわけです。それで大蔵省としましても、いままでせっかくあれだけの費用をかけて、非常に大規模の機械がございますものですし、それと同時に、もう一つは、やはり私どもの研究所は先ほど田中委員からもお話がございましたけれども、非常に共通の分野なんでございますね。したがって、各産業が連絡をとるのに非常に便利なところでないと不便な面もございます。と同時に、幸いにしてあの海軍の技術研究所のあとをいただきましたので、目下のところまで、やります研究にははなはだ便利な場所であって、しかも、先ほど申し上げましたように約八十億の金が入りましたものですから、それを移転するというのは、国家的にも経済的でないのじゃないか。したがって、私どものところがやはり将来の計画を持っております。そういうところはもう喜んで研究学園都市でやり、しかも、研究学園都市ができましたときに、私どものところは共通分野が多いものでありますから、ほかのところと共通にやったほうがいいようなものは向こうのほうにいく。そうして向こうで発展をいたしまして、研究学園都市全体としての機能を十分発揮するという形をとりたいというので、決して拒否をしているというわけじゃないのでございます。そういうふうな線で科学技術庁と大蔵省との間で申し合わせができまして、取りかわし文書までできました。そういうふうな線で、いままでとにかく約十年間に入れられたところは、あすこでできるだけの成果をあげる。実は昨年管理庁舎の費用がついたのです。しかし、それが決定いたしませんでしたために、管理庁舎は本来から申しますと、昨年の三月一ぱいでできなければいけなかったのが、そういう線が決定するまで延ばされまして、ようやく昨年の十月に科学技術庁と大蔵省との間の申し合わせがきまりまして、大体今月中ぐらいに管理庁舎が一年おくれでできることになったのです。 それで、決して私は反対をしているわけじゃないのでございまして、いま申し上げましたような意味で、とにかくいままで入った国家予算を、あすこでできるだけ十分に発揮をする。そして、将来伸びるところは当然、向こうにもやはり敷地を私どものほうである程度いただくようになっております。そこで、共通分野なり将来伸びる分野は、あすこのところであくまで伸びていく。そういう意味で、研究学園都市で総合的に私どもが協力しなければならない分野は向こうでやるという気持ちを持っております。
○原委員長 それでは、次の議題に移りますので、説明員には御苦労さまでした。お引き取り願ってけっこうです。 ————◇—————
○原委員長 では、核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○原委員長 まず、提案理由の説明を聴取いたします。上原国務大臣。
○上原国務大臣 核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。 核原料物質開発促進臨時措置法は、原子力基本法に定める目的の達成に資するため、国内に賦存する核原料資源の開発を促進することを目的といたしまして、昭和三十一年五月四日に制定された法律であります。 その内容としましては、通商産業省地質調査所及び原子燃料公社による核原料物質の探鉱及びその開発を、国家的立場から積極的かつ効率的に行なわしめるために、鉱業法の特例を定めているものであり、その性質上、施行の日から十年以内に廃止するものとされているものであります。 本法のもとにおきまして、過去十年間、原子燃料公社及び地質調査所は、積極的な探鉱活動に従事いたし、日本全国の約三分の二に相当する地域の概査を行なうとともに、有望な地域につきましてさらに精密な調査を行いました結果、人形峠地区、東濃地区等の地域におきまして約四千トンのウラン鉱量を把握する成果をあげてまいりました。 しかしながら、その調査は、いまだ十分に尽くされていない状況でありまして、さらに全国的に有望地域の調査を行なうにあたっては、今後とも原子燃料公社及び地質調査所の探鉱活動に期待するところがきわめて大きく、そのためには、今後なお十年間を要する見込みでありまして、これらの活動によって約二万トンのウラン鉱量が把握できる見込みであります。 今日、核燃料としてのウランの需要に対し、世界における低廉なウラン資源の賦存量はかなり豊富であり、わが国といたしましてはその入手について当面困難を来たす事態にはないわけでありますが、世界各国における原子力発電の開発はまことに著しく、その結果として、将来における低廉なウラン資源の需給逼迫等も考慮するとき、わが国といたしましても、その入手についての情勢の変化の可能性を十分考えておく必要があると存ずる次第であります。 このような長期的観点に立って、国内における核原料資源の賦存状況を明確に把握し、その開発の可能性について検討しておくことは、エネルギー資源の安定した供給の保障を考える場合、その一つの手段としてきわめて重要な意義を持つものと考えるものであります。 以上述べましたような観点から、国内の核原料資源について、原子燃料公社及び地質調査所の探鉱業務を今後とも積極的に続行せしめることはぜひとも必要であり、そのためには探鉱活動の円滑な遂行をはかる上で、その背景として重要な役割りを果たしてきた本法を存続せしめることが必要かつ適切であると考えます。 以上のような理由から、本法をなお十年間存続せしめ、あわせて若干の条文の整理をすることを内容とする本法案を提出することとした次第であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。 —————————————
○原委員長 これより質疑に入ります。 通告がありますのでこれを許します。岡良一君。
○岡委員 いま大臣の提案理由の御説明の中で、ウラン鉱の入手は現在そう困難ではないというふうなお話がございましたが、事実、ウラン鉱は、今日もはや売り手市場から買い手市場へ大きく転換しようとしておる。いわばその分岐点にいまあるのではないかというような感じもいたしますが、この辺のあなた方の国際的なものの見方について、ひとつお聞かせを願いたい。
○上原国務大臣 私どもが、短期間でございますけれども、感じたところによりますと、金属ウランを買ってくれという申し込みがかなり豊富にあるようでございますから、いまのところはそんなに不自由ではないと思いますけれども、おっしゃるようにここが分岐点だろうということになりますと、私どもにはお答えを申し上げかねますので、局長から答えていただきます。
○村田政府委員 わが国が原子力の研究開発及び利用に着手しましたころ、約十年前には、世界的なウランの供給見通しはどういうものかということにつきましては、きわめて限られた情報しかございませんでした。その限られた情報からわれわれが察知しましたところでは、国際的な移動ということも必ずしも自由でない。また、事実、開発されております諸外国のウラン鉱業は、ほとんど直接的に軍事目的の必要性から開発されており、国家の非常な直接統制下に置かれる、そういうようなこと、並びに各国ともそういう原料生産国は、ウラン鉱石の輸出に対して非常に厳格なる規制を加えておる、こういうような事情から、その人手ということはきわめてむずかしいものであるという感じが強かったわけでありますが、その後、第一回、第二回あるいは第三回のジュネーブ会議を通じまして、原子力の平和利用を国際的に発展してまいる、政治、外交的にも、国際間の緊張の緩和等の条件もあったと思うのでありますが、軍事利用面に利用されるウランの所要量というものも漸次ピークから下がってまいった様子でございまして、私の記憶しますところでは、約十年前には世界の酸化ウランの生産量は、これは進定でございますが、年間約四万五千トンぐらいではなかろうか、こう見られておりましたものが、現在ではその約半分ぐらい、二万数千トンぐらいに落ちておるというふうな情報も聞いておるわけであります。これは資源が枯渇したということではございませんで、むしろ需要減のために生産量が押えられた、こういうことだと承知しております。現に、一時非常に積極的に開発を進めようといたしましたオーストラリアの新鉱山等も、その後仕事を進めておりませんし、カナダあたりの一部の鉱山は閉山をしておるというようなこともあるようでございます。こういったような情勢から、私がただいま申し上げました国並びに南ア連邦などいわゆるウランの生産国は、むしろ積極的にウランの輸出をはかるというような政策をとっておるようでございまして、わが国に対しても、先ほど長官のおことばがございましたように、これまでにも二、三、そのような、きわめて非公式ではございますが、ウランを買わないかというようなアプローチがあった事実がございます。そのような点から見まして、ただいま岡先生御指摘のとおり、買う側の立場も強くなってきたということは申されるかと思います。
○岡委員 日本でも、今後動力炉がかなり急速にふえてくる形勢でもあるし、それから世界各国においても幾何級数的に動力炉の設置その他、その発電の出力もふえてきておるような数字を承っておるのでございます。そこで、賦存状況としては世界で五十万トン程度のウラン鉱だともいわれているし、そういうことだから、いままだお値段も安いというときに、オーストラリアなりカナダなりから、そういう申し込みがあったら、日本としても、国内探鉱もさることながら、一方においては、長期の契約においてウランの確保をはかるという政策も考えられていいのじゃないか、こういうことなんですが、いかがなものでしょうか。
○村田政府委員 先ほど私が申し上げました、南ア、カナダ、オーストラリア等からの非公式なわが国への接触は長期契約ということではございませんで、ある量のウランをまとめていま買うかどうかというようなお話でございます。 ただいま御質問にございましたような長期契約という観点からは、そのような海外との供給ルートをつけておくという問題はまた別かと思うわけでありますが、将来わが国において原子力発電の規模が非常に大きくなることが予想されます今日、燃料の供給源の確保というのは最も大切なことでございますから、私どもとしましても、国内における資源の探査の充実ということと並行しまして、海外における、ただいま御指摘のような供給源の確保についての措置をとることの可能性ということは十分検討を進めてまいりたいと考えております。 そのような見地から、ややおそまきかもしれませんが、四十一年度予算におきまして、原子燃料公社に、若干ではございますが、海外調査費をつけてございますが、これもそのような趣旨でお願いしておるわけでございます。
○岡委員 昨年、国際原子力機関の総会のときに、東南アジアのほうから来られた代表の方をお招きして、村田さんもたしか同席をしておられたのじゃないかと思うが、そのときの話題としてもこの問題が出たわけでございます。そのときに、その東南アジアの代表の御意見では、まだ自分の国では探鉱の手も伸びておらない、また、他の第三国が探鉱に着手したところもない、そういう状況であるから、いわんや、自分の国で製錬などということにはまだまだ手が及びかねているのだというような率直な話もあったのでございます。そういうことになれば、やはり日本の、いわゆる南北問題の解決の一翼として、探鉱なり製錬なりについて、やはり近い東南アジアの国々との間における技術的な協力というものも十分可能ではないかと、私は、そのときの相手方のお話を聞いて感じておったわけなんですが、こういうことも政府としてはやはり燃料政策の一環として考えてもらいたいと思うわけです。
○村田政府委員 岡先生の御趣旨まことにごもっともでございまして、これまでにも一、二そういう技術者を派遣するようなことも考えたことがなかったわけではございませんが、種々問題がございまして実現を見なかったような実情でございます。これからもう少しそういった点は積極的に計画し、努力してまいりたいと考えます。
○岡委員 それから、ウランの国内の探鉱計画と申しますか、これを今後十年間引き続いて進めてまいりたいという御計画のようでありますが、このようなことは、すでに、どこの国でございましたか、ちょっと私は忘れましたけれども、自分の国にはウランはもうないのだというので一応あきらめかけておったけれども、しかし、その国の原子力委員長であったかが、もう一、二年予算をつけてくれといって、予算をつけたら、かなり豊富なウランが発見ざれたということがあった。たしかこれはフランスではなかったかと私は聞いているわけですが、そういうことで、日本の国内におけるウラン資源については、どうも一般的に非常に悲観的な見通しに立っておられるような感じが私はするわけです。これもやはり、いま申し上げましたように、いつどこに出てくるかわからない性質のものでもありますし、おそらく地質学的にもあれはそうした性質を持っているものではないかと、私はしろうとながら推察するので、国内におけるウラン鉱の探鉱、開発については、ぜひ御努力を願いたいと思うわけですが、この点もひとつ長官の御意見をお聞きしておきたいと思います。
○上原国務大臣 御説のようなわけで、この法律を十年間延長してほしい、こういうことをお願いしているわけでございまして、確かに鉱石として含量が少ないという欠点はございまするけれども、そんなに悲観したものではないということが探鉱の結果だんだんとわかってまいりまして、結局、もう十年延長させていただいて、そうして精査を続けたら、ウラン鉱にしまして二万トンぐらいのものは国内生産が可能であろう、こういうことで、それを突きとめるまで延長していただきたい、こういうわけなのであります。
○岡委員 それから、この間もちょっと持ち出されましたが、核燃料の民有化という方針を一応原子力委員会としては打ち出された。私は、これは、現在の日本のいろいろな事情から考えて、非常に早計ではないかという感じを持っているわけであります。なぜ、ああいうものを打ち出されたか、この間の率直な経過をお知らせ願いたい。
○上原国務大臣 核燃料の民有化を許しませんでしたことは、日本が使っている核燃料が民有化し得ないという条約上の制約があったからのようでございます。アメリカが民有化されてまいりましたので、そろそろ民有化してもいいのではないかという議論が原子力委員会の中でも起こったわけであります。そうしてそれに拍車をかけましたのは、先ほどおっしゃいました長期の契約というふうなものを民間会社がしようといたしますれば、どうしても民有ということが実現しないと困難になる。そうして、政府がどんなに長期の計画を立てましても、来年の分までしか契約できない。つまり債務負担行為ですか、こういうことをやりましても、一、二年のことしかできないが、世界の各地が民有化されたのでございますから、日本の民間会社と契約をすれば長期の契約も可能になる、こういうことで民有にしたほうがよいのではないかという議論がだんだんと勢いを得たわけでございます。そうして早計ではないかとおっしゃる意味は、たぶんそれは危険ではないか、安全性に不安がある、こういうおぼしめしかと思うのでございまするが、その点はたいして心配がないようでございます。それにつきましては局長から答えていただきますが、そういうわけで民有化を進めてまいったらという議論が出てきたわけであります。
○岡委員 それでは現在民有化の方針をきめた国はアメリカのほかにどこかありますか。
○村田政府委員 わが国もまだ正式に決定いたしておるわけではございませんで、その方針で行きたいということを委員会で御検討いただいておるわけでありますが、今日現在において、はっきり特殊核物質の民有化ということを法律的にも打ち出しておりますのはアメリカだけでございます。
○岡委員 そのアメリカにいたしましても、おととし私どもが担当のコミッショナーと会ったときの話では、一九六九年にはトールエンリッチメントをやるのだ、したがってすべての核物質の民有化は一九七三年である、あと八年先のことである。でありまするから、いまのところ、どこの国もまだ民有化の方針は——アメリカだけが打ち出したけれども、これも八年先でなければ民有にしないという状況の中で、アメリカがその方針を打ち出したから、いち早く日本の原子力委員会もこれを打ち出さなければならないという理由は私はあり得ないと思う。 いま一つ、この長期契約の問題に長官は触れられましたけれども、しかし、原子力委員会の動力炉開発懇談会では、核燃料の自主的開発ということを非常に強くうたっておられますね。ところが現在、核燃料の自主的開発とはいいながら、その第一歩である、たとえば東海発電所の燃料にいたしましても、英国との間に十年の供給契約を持っております。また今度BWRを、二号炉としてですけれども、各電力会社もそれぞれ軽水炉をつくろうという。ところが軽水炉の燃料である濃縮ウランというものを輸出し得る国はアメリカしかないわけです。そういうようなことで、いち早く日本が民有化を許すという方針を、いまあわててアメリカにならって右へならえでとるということになると、自主的な燃料サイクルの確立という点から見ても、私は決してそれは賢明なことではないのではないか、こう思う。そういう点では、私はいまの大臣の御説明は納得いたしがたい。
○村田政府委員 私どもの考え方といたしましては、燃料の所有権を国が持つか、あるいは民間の会社が持つかということは全然無関係とは申せませんけれども、しかし、わが国の燃料政策の基本である自立体制の早期確立、こういうことと正面から矛盾するものではないと考えておるわけであります。ことばをかえて申しますと、民有化にいたしておりましても、国の政策として国内における燃料のサイクルを確立していく方式をとっていくということはできるもの、こう考えております。具体的にはいろいろございますが、民間で原子力発電所をつくろう、こうなりましたときには、現行原子炉等規制法に基づきまして、設置の許可を申請してまいらなければなりません。この許可を与えるにあたりまして法第二十四条でございますか、許可の基準が明記されておりまして、その許可の基準は、安全性はもとよりでございますが、わが国の原子力開発と計画的利用の遂行に支障を及ぼすおそれがないこというのが許可の基準とされているのであります。計画的利用の遂行とは何をいうか、これは政策としての核燃料供給体制の樹立、このことがあるわけでございまして、その面からする行政的指導はこの条項によって可能である。そのほかございますが、おもな点としてはたとえばそういうようなことで民有化ということと燃料政策の遂行ということを両立させ得るものというふうに考えまして、ただいま民有化の方針を検討いたしておるわけであります。
○岡委員 そのことは私も聞かされて知っておるのですけれども、ただ、これまで核燃料の民有化を急げという声が一体どこから起こっておったかという問題です。そうして、そういう声を起こす分野の力が、日本における計画的な燃料サイクルの自主的確立をゆがめる力ともなりかねないということを私は心配しておる。にもかかわらず、原子力委員会がそうした声に屈服したような形でいち早くああいう方針を一応打ち立てられたということが、燃料サイクルの自主的確立のことに大きな障害ではないかという心配から私は申しておるのであります。すなわち、政府等においては、ただいま村田局長の指摘されたような条文はあるけれども、実際の実施面における力関係において、はたしてそのように法律の指示する方向に行き得るかどうかという点、それはいち早く日本がそういう方針を打ち出したというその打ち出した経過から察しても、私はどうもこれでは原子力政策の最も重要な一環である燃料サイクルの自主的確立というものがゆがめられはしないかという心配から、そういう現実の力関係を考えて申し上げておるわけでございます。 それからもう一つ、もともと、日本は国際原子力機関に一番忠実な国だと私は思うのです。国際原子力機関はもともと出発の当時、一九五三年の十二月にアイゼンハワー大統領が国連で演説をされた。あの演説がきっかけとなって国際原子力機関ができた。ところがあの演説の趣旨の一つは、いわゆる核燃料等は、天然ウランをも含めまして、国際原子力機関がいわば核燃料のバンクになる、銀行になって、平和利用のための燃料というものは、国際原子力機関がいわばあっせんし、仲介をしつつ、これをそれぞれの国において平和利用に貢献せしめようではないかという原則から出発した。そういうことから国際原子力機関が発足しておる。であるから東海発電所のごときは、世界でもほかの国に類を見ない、初めて率先してわれわれは国際原子力機関の査察を受けるという方向に切りかえておるわけです。そういうようなわが国の今日までのあり方から見て、また国際原子力機関の国際的な任務から見ても、従来、国際原子力機関に対してきわめて忠実であった日本の原子力政策からも、これを民有化していこうという方針は非常に脇道にずれてくるような感じがしてしかたがない。矛盾をしてくるのじゃないか。どういうわけでそういう矛盾をあえておかさなければならないのか。
○村田政府委員 ただいま先生のお話を伺っておりまして、問題が二つあると思うわけでございます。それは、一方で、燃料政策上の基本線として国内における燃料サイクルを早期に確立していくべきであるという方針と、それから他方でいま一つ、先生のお話の中に触れておられなかったと思うのですが、わが国におきまして、長期エネルギー政策の観点から、将来の発展に備えて原子力発電にできるだけ早く着手し、これを開発していくという方策、この二つがありまして、この二つをどのようにかみ合わせていくかということが現実の政策上のポイントになろうかと思うわけであります。わが国におきましては、原子力発電を民営の電気事業者が協力して行なうようにしてまいる、こういう線で長期計画も定めてございますので、民営の電気事業者が原子力発電を推進しやすいようにしていく、他方で核燃料政策上必要な方針は十分確保されていくようにいたしていく、その両方の要請をあんばいいたしまして、そして両方とも支障がない線で進めていくということが、原子力委員会におきまして現在考えられておる基本的なラインではなかろうかと私は思っておるわけであります。そういった情勢からしまして、ただいまのような民有化を進めるということが少なくとも私どもの判断では、現状におきますところの民営電気事業者の原子力発電計画を促進していく上に有効な措置であると見ておるわけであります。その有効な措置が、国の他の重要な施策である核燃料政策に支障を及ぼすようでは困るわけでありますが、そのようなことは許可時にあたって十分判断してさせない、こういうことが厳として確立しておりますならばやっていけることではなかろうか、こう考えておるわけであります。 それから国際原子力機関を通じての燃料の供給という問題でありますが、これは岡先生の御指摘のとおり、国際原子力機関が設立されますときに、重要な機能として国際間における特殊核物質を含む燃料の供給チャンネルになることが期待され、要望されておったわけで、憲章にそのことがはっきり掲げられておるわけであります。わが国は国際原子力機関を中心に、原子力平和利用の開発を進めるという観点から、その設立の翌年でございますか、一九五八年、いち早く国際原子力機関を通じて天然ウラン四トンを入手する、こういうことも行なってきたことはすでに御案内のとおりであります。この燃料はただいま国産一号炉の燃料に使われておるわけであります。しかしながら、現実にそのような政策を進めてまいりました結果明らかになったことは、国際原子力機関を通じて入手します燃料が直接生産国——天然ウランの場合はカナダでございますし、あるいは濃縮ウランでございますとアメリカ、そういった国から直接入手します場合に比べまして、現行の国際原子力機関のやり方によりますと、手数料が加わってどうしても高くなるという矛盾があるわけであります。少量の燃料、かつまた国の機関において使いますような、先ほど申しました国産一号炉の燃料などの場合にはまだしもでございますが、大量に燃料を使用して、しかも、その燃料の価格が発電コストに大きく影響するという原子力発電の場合に、わざわざ高い燃料を国際原子力機関から輸入しなければならないということでございますと、私冒頭に申し上げましたような、原子力発電の開発の推進ということとぶつかることになるわけでありまして、私どもとしては、国際原子力機関を通じて入手する方法の一刻も早く確立されることを希望し、期待しておるわけでございますが、現実、ただいまのところの状況は、残念ながらそうなっておらないということであるわけであります。民有化になりましても、国際原子力機関から入手するほうが便利である、あるいは値段は変わらないということでございますれば、そのような行政指導もできるものと思っておるわけでありますが、そういった観点もございまして、昨年の国際原子力機関東京総会におきましては、わがほう代表の代表演説の中で、たしか、この点についての国際原子力機関の機能が現在果たされているとはいえない、今後その点に十分努力すべきであるということを発言いたしておると記憶いたしますが、そのような考え方は私どもも十分心しておりますところでございます。
○岡委員 去年選ばれて、日本の代表が今度の国際原子力機関の理事長でしょう。だから、そういう点で各国が国際原子力機関の本来の使命を全うし得るように、私は手数料がどれだけかかるか知らないけれども、そういうように国際原子力機関の機能を改善させる任務があるのであって、たまたま四トン買った、ところがそれは高かった——たいしたこともなかろうと私は思うが、残りの四トン分はよそから買ったなんというような、そういうちぐはぐなやり方をしないで、やはりこれは重要な問題なんだから、国際協力機関の重要なささえとして、彼らの要請を率先して受け入れている日本としては、燃料政策においてもそういうところがあっていいのじゃないか。この点は、いま申しましたように、理事長国である日本が特に総会においても発言しておるのだから、やはり責任ある改善をはかるという方向で努力すべきである。単に四トンの天然ウランがカナダから買うよりも高かったからというようなことだけで、この問題は民有化に移して、自由かってにどこからでも買えるようにするというような考え方は、政府の原子力政策というものの権威の立場からいっても私はとるべきじゃないと思う。 それから民間電力にまかしてと言われますけれども、民間電力が軽水炉を導入して、そしていまの調子ではあちらにもこちらにもとりあえず二、三カ所はできそうな気配にある。これは今後ますますふえていく可能性もあるだろう。しかし電力業者の立場から見ましても、この原子力の発電というものは一つの大きな冒険を伴う仕事だ。電力業者とすれば、やはり燃料の供給の安定と価格の適正化ないしコストの低廉ということが必須な条件と考えなければならぬ。にもかかわらず、軽水炉の導入というものはやはり冒険が伴う。いわばリスクがあると思う。これは当然予想していいことだと思う。そういう場合、たとえばドイツでは、私が役所からいただいたドイツにおける原子力事情を見ると、一九六二年の原子力開発促進計画と称するドイツの原子力政策の最終的な方針の決定の中では、初期装荷の燃料は国の費用において出してやろうというようなこともうたっておるのですね。そこまでうたっておるのです。だから、日本も積極的に原子力の開発を進めようとするならば、国がやはりそこまでがんばるべきである。単なる大蔵省の予算関係や予算の取り扱いから、まあこれはしかたがないというようなことで事軽々と見のがすべきものじゃない。しかも、ドイツのあの開発促進計画を見ると、民間電力会社にとっては非常なリスクを伴うものであるから、政府としても援助をすべきであると同時に、ドイツが核燃料の自主的開発をはかる立場から、民間のかってな炉型の選択は許さないということを暗示する、異例な措置をとり得ることもあるということが書いてあるのですね。そこまで燃料サイクルの自主的確立のために政府自体が大きな網を張って、そして自主的なサイクル確立の方向を進めようとしておるわけです。日本は全然逆コースなんです。そういうことで、政府の中で計画に支障がある云々という、単なるそういうことでは、私は民有化というものの理由にはならない、こういう点は、私は民有化の方針をとられたことにはまだ賛意を表しがたいので、特に原子力委員会としてももう一つ再考を願いたい。特にいま、御存じのように、軍縮会議がジュネーブで開かれておる。そこで一番大きな問題になっておるのは、一つは核拡散の防止並びに核軍縮の問題です。ところで核拡散の防止については、一応米ソの提案が出ておるわけです。この米ソの核拡散の防止については政府も一応原則的にはこれを推進すべきだということになりますと、そこでアメリカの提案を見ますと、「この条約の各非核保有締約国は、核兵器の製造で援助を求めたり、または受けたり、あるいはみずからそのような援助を与えたりしないことを約束する。」ということがアメリカの提案の中にあります。私は、アメリカの提案のすべてが是だというのではございませんよ。しかしアメリカの提案にあるのと同様な趣旨の提案がソビエトの提案の中にもある。「核兵器を保有する本条約加盟国は、現在核兵器を保有していない国家の核兵器生産、あるいは生産準備、もしくは実験を、直接にであれ、第三者の国家あるいは国家集団を通じて間接にであれ、援助しないことに同意し、核兵器の生産もしくは使用に用い得る一切の生産に関する科学研究上の、あるいはその他の情報及び文書を譲渡しないことに同意する。」こういうことがある。これはその他、核兵器保有国自体の均衡ある義務なり責任をも加えたものでなければわが国としても承認をし得ないということは、この間も下田外務次官なり外務大臣のほうでも言っておられるけれども、しかし少なくとも核拡散防止条約というものの中にはこの条項は当然含まれなければならない。この条項は結局濃縮ウランとか、あるいはプルトニウムとかいう核物質なり、特殊核物質というものについての任意な自由な国から国への移転というようなものは認むべきではない。少なくともこれは規制すべきであるというふうに私は読み取っておるわけです。こういういま非常に重要な、国際世論の注目を浴びておる拡散条約の米ソ提案は、根本的に食い違っておりますが、この点で共通なんです。おそらく核拡散防止条約は当然こうした状況が織り込まれるに違いないと思う。私は、いま申し上げたように、米ソの提案のいま読み上げた点は、核物質の自由なる国から国への移転というものは、たとえいかなる理由があれ、一応これは規制をしなきゃならないというふうに私は読み取れるわけです。そうすると、民有化という方針において野放しにして、一方の国のメーカーと日本国のメーカーとの間に自由なる移動が許されるというような方針を許すということは、いま、より大きな視野における重要な原子力の平和利用という観点から、こういう民有化の方針というものは私は矛盾すると思う。こういう点においても原子力委員会は、もっと高次な視野に立って考慮すべきじゃないか。先般いち早くただアメリカが民有化の方針をきめたからというので、それに追随するようなかっこうである。しかもアメリカは、今度シングルパッケージ方式をとって、濃縮ウランの濃縮もいたしましょう。再処理もいたしましょう。しかも濃縮ウラン軽水炉を買おうとしておる国というのは、ドイツで三基買う。あとはほとんどないじゃありませんか。そうすれば、日本は市場として最もねらわれておる価値ある市場でなければならぬ。この日本がみずから手を広げて市場であることを進んで明らかにしようというような態度は、少なくとも権威ある原子力委員会の方針としてもとらないところだ。この点は議論にわたりますから、またあとあとの問題としてもう一度原子力委員会としても再検討してもらいたい。こういう重大な核拡散防止条約の関連においてあのような方針が妥当であるかどうか、もう一度再検討していただきたいということをこの機会に強く要望をして質問を終わります。
○原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる三月九日水曜日午後一時より理事会、一時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。 午後三時三十六分散会