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51回国会衆議院1966/05/31

運輸委員会 第37号

発言数
33
登壇者
6
会派数
1
開催日
1966/05/31

会議録

古川丈吉自由民主党

○古川委員長 これより会議を開きます。  海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。長谷川峻君。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 前回、海上保安庁の栃内長官に、ソ連監視船による第十一進洋丸拿捕事件について概況を聞いたのですが、きょうは関係の役所の方々にも御出席を願って、ことに近いうちにイシコフ漁業大臣、グロムイコ外務大臣が日本に来るということでもありますから、私は北洋の漁業安全操業について、この際あらためて政府の見解、あるいはまた足りない面をこういうときに御研究願って、時に交渉し、時に日ソ問題の前進に当たってもらいたいという意味から、御質問申し上げます。  まず第一に遺憾としますのは、海上保安庁の長官からこの前御説明を聞きましたけれども、従来こういうことは事故が起こったとたんにここに御報告あってしかるべきじゃなかったか。従来はあったはずなんです。しかも今度の場合は、向こうの巡視艇によって十トンクラスの日本の木造船が接触されて沈没をした上で、六名も死んでいるという事態であります。たいへんなことなわけです。東京で一人、二人の者が死んでも新聞記事にもなりますし、大きく取り上げられる時代であります。こういうふうな気のゆるんだところに問題を前進する姿勢というものが欠けるのじゃないか、私はこう思いますが、長官、その点いかがですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 ただいま御指摘を受けましたような点は、私どもとしても反省いたします。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 そこであらためてお尋ねいたしますが、事件発生の地点ですね、その地点がはっきり具体的にどこであったかということを——これは何海里説という、十二海里、三海里という主張の違いなどもありますから、この際あらためてその地点を明確にしていただきたい、こう思います。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 日本側の材料といたしましては、幸いに送還されました二名の漁船員の供述によるということでございますが、先般も御説明しましたように、日本側が距岸三・二マイルということを報告しておりますし、私どももこれが真実に近いものであろう、かように考えております。ソ連側の主張は、これは主として外務省その他からのお話によるわけでございますが、距岸二マイルであったというふうに主張しておるようでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 二マイルであろうと三・二マイルであろうと、この際は問題にならない。いわんや日本の巡視艇の報告が正しいとすれば、なおさら問題にならない。ということは、今度外務省のほうに移るわけですけれども、これは結局するところ、南千島の国後というものが日本固有の領土の一部である、そういうふうに従来主張もし、私たちはそう信じているわけです。そうしますと、事故の発生地点が国後島の距岸三マイル以内ということは全然問題にならない。この地域でソ連が日本船舶を拿捕するということ自体が、日本の立場からすると不法なことじゃないか、まずこの辺についての外務省の基本的な態度というものを、将来の外交上の折衝の過程においてあらわれてくる日本の重大なポイントじゃなかろうかと思いますので、ひとつ外務省の見解をお伺いしたいと思います。

岡田晃外務事務官(欧亜局外務参事官)

○岡田説明員 ただいま御指摘の問題は、日本とソ連との間に領土問題についての話し合いがつきまして、平和条約ができて、領土の区分がはっきりいたしております場合には、日本側の主張といたしまして、またソ連側といたしても、たとえば国際司法裁判所に提起しても十分に解決できる問題でございますが、現在不幸にして日ソ間におきましては領土問題について明確な合意が成立いたしておりませんので、事実問題として解決せざるを得ない。日本側といたしましては今日に至るまで領土問題について何ら譲歩はいたしておりませんけれども、先方も何ら譲歩がございませんので、実際上の妥協によって解決せざるを得ないという状況でございます。したがいまして、ただいま先生から御指摘ございましたような安全操業というような問題を円満に解決するというような形で外交的に解決するという方法によらざるを得ないのではないかというぐあいに考えております。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 そこで岡田参事官、便宜上それでいいですが、そうしますと、外務省は北方領土というものをどういうふうに考えておられるか、平和条約ができないにしろ、いろんな交渉がまだ成立しないにしろ、基本的にどう考えておるか。

岡田晃外務事務官(欧亜局外務参事官)

○岡田説明員 平和条約締結に至りますまで、私どもといたしましては、歯舞、色丹はもちろんのこと、国後、択捉まで日本固有の領土であるということで、あくまでも国後、択捉——日本の固有の領土を返還してもらうために交渉をするつもりでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 それは、大事な議論になりますと私また委員会を変えてでもやらねばならぬと思いますから、岡田参事官のその議論をすぐ了承するというところまでは了解いたしません。しかしながら今度は、あなたがおっしゃったような前の時点において、現場において安全操業の面でこれをいまから解決する、いままでも解決してきたとしますと、領土の基本的などの線をどうこうということは、これは大東亜戦争後のあるいはヤルタ協定とかポツダム宣言によってどうなったか、あるいはサンフランシスコ講和条約においてどうであったかという議論になれば、これはもっと次元が高くて、しかもここで論議する論点ではありませんから、それは伏せておきます。だから私は岡田参事官のお答えを了承しないままに、現時点においては安全操業の面について質問することにし、留保しておきます。  従来、この海域で一体どれほど拿捕事件があったか、戦後の拿捕事件、日ソ共同宣言発効後の大体の累計でいいですから、それをひとつこの際お知らせ願いたいと思います。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 拿捕事件につきましては、二十一年からの集計によりますと、隻数にして千百六十五件、人数にしまして九千九百三十七ということになります。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 そこで、とにかくわれわれも海上保安庁のいろいろな予算等々を御審議申し上げるのだが、拿捕事件が千百六十五隻といま長官が読み上げられた。それからその人数が九千九百三十七名、こういう問題がこんなにたくさん起こっているということであるが、私は実を言うと、李承晩ラインが非常に問題になったときに、その李承晩ラインの数字と一体これを比較してみたことがあるかどうか。北方の諸君は非常に零細漁民が多い。今度やられたのも十九トン。人数も多いし、隻数も多い。零細漁民だからです。そういうことからしますと、これはたしか李承晩ラインの三倍以上の数字ではなかろうかと思いますが、こういう場合に政府は一体どういう態度でこうしたものを対ソ交渉してきたか、その経過を外務省並びに水産庁のほうから御報告を願いたい。

岡田晃外務事務官(欧亜局外務参事官)

○岡田説明員 従来、この拿捕事件が起こりました場合には、海上保安庁から外務省の本省に対しまして、何月何日にこういう拿捕事件が起きたという連絡がございます。外務省の本省は直ちにそれをモスクワの大使館に電報で知らして連絡をしているわけでございます。電報で訓令が参りますので、モスクワの大使館は直ちにソ連政府に対しまして申し入れを行ないまして、海上保安庁からの連絡によると何月何日どこでどういう船がソ側によって拿捕された、人間はどういう人間である、乗り組み員は何人であるというようなことを、訓令に基づきましてソ側に申し入れをいたしまして、これを直ちに釈放してもらいたい、それから抑留した船体は直ちに返還してもらいたいということを強く申し入れるわけでございます。それによってソ側からの連絡というものがある場合もあり、直ちにソ側は調べるということで交渉に入るということになっております。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 そういうふうにしておやりいただいたでしょうけれども、こんなに隻数が多いということ、さらにまた、現地漁民の私たちに入ってくるニュースなどによりますと、李承晩ラインの場合は、船まで拿捕してそのまま没収するということはないのですね。北方の場合は、新しい船の場合にはよく没収される、航海計器も取り上げられる、こういう事態が非常に多いのじゃないか。そうしますと、その折衝の場合に、ただ単に大使館に電報を打ってやって、さてそれなら千百六十五隻もやられた船の中で返されたものが幾らあるのか、あるいはまた、そういうわざわざ計器とかいいエンジンとかいうふうなものが部分的に没収されている面が、李承晩ラインの場合よりも非常に多かったのじゃないか。こういう実態を外務省は把握しながら、その次その次の交渉の場合に参考にしながらやってきたかどうか、これをひとつ私はお尋ねしたい。

岡田晃外務事務官(欧亜局外務参事官)

○岡田説明員 海上保安庁から御連絡いただきました資料によりますと、昨年の十二月三十一日現在の資料で、未帰還の船は三百八十二隻という資料になっております。私ども、先ほど先生から御指摘がございましたように、交渉をやっております場合には、確かにソ連側が抑留しておる拿捕船舶で返していないものが多いわけでございまして、非常にこの点は遺憾であると存じておりますので、そのたびごとに船舶の返還というものを非常に強く——ぜひ返してもらいたい、たとえば計器等でとられたものがあるということが海上保安庁から連絡がございました場合には、非常にその点ははっきり申しまして、先方にこうこうこういうものがとられたということを明確に言って、先方からの返還を要求しておる次第でございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 長官、どうですか。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 いま外務省から御答弁ございましたように、私どもはこういう事故が起きますと、外務省のほうに連絡しまして、ソ連側に厳重にかけ合ってくれというふうに要望しておるわけでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 そうすると、結局いまの答弁を聞きますと、たいへんなことを私たちは気がつくわけです。こんなに船が拿捕されて、しかもその中から没収された船が三百隻以上あるということ、これはたいへんなことじゃないかと思うのです。そういうことが国民全体にもなかなかおわかりいただけないし、また北方の零細漁民の声が小さいというふうなことからして、あらためて私はこういう問題に重大な注意を喚起しながら、外交交渉というものをほんとうに力強くやってもらいたい。実際問題として、一九五七年の夏のソ連との安全操業協定、これが不成功に終わったわけでしょう。イシコフ漁業大臣が最後に答弁されて、それ以来釈放漁夫の引き取りについては、どうも私は拱手傍観しておったきらいがあるのじゃないか、こう思うのですが、これに関係する役所からの御答弁をお願いいたします。

岡田晃外務事務官(欧亜局外務参事官)

○岡田説明員 三十二年にイシコフ漁業相との間に、安全操業の問題を一番最初話したことは事実でございます。しかしその後それが合意に到達しなかったからといって、漁夫の返還ないしは拿捕船舶の返還については、私どもとしては一生懸命やっておったつもりなんでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 そこで次にお尋ねしますけれども、根室地域の心ある漁民諸君というものは、領土というものは魚と取りかえるわけにいかぬ、こういうふうなたてまえから、大きな犠牲を払って政府の方針にいままで協力といいますか、そして自分たちの生計を立てるためにやってきたわけですよ。だからそれは国の政策に協力しながら、自分たちもまた北方領土の問題が片づかない間に安全操業で自分たちの生計を立てたいという気持ちでやっておるわけです。ところが政府のほうがそうした大きな政治的な手を打たない間に、貝殻島において民間のコンブ協定ができた。二年ぐらい前にまた二年間延長して、そういう中にあのコンブ漁というものはやられているわけですね。ところが今度遭難したタラがそうですが、あるいはカニの場合には、安全操業の問題は私は放置したままじゃないか、こう思うのです。そのために今度のような第十一進洋丸のような事件が起こった。ところがソ連側に対して、こういう不法な拿捕というもの、拿捕されてから釈放を求める、その間に人間が死んでいる、こういうことが起こってからいままでやってきたそういうケースを一つの前提にして、一体防止の対策というものを申し入れでもしたことがあるかどうか、私はほんとうにかわいそうだと思うのです。こういう零細な漁民の自粛する気持ち、その犠牲の上において一日延ばしにして、起こった場合にだけただ手当てをして釈放だけ要求していくということじゃ何か政治がないのじゃないか。外交というものはほんとうにしっかりやってもらいたい、こういうふうに考えるのですが、この点わが全体の国民的利益という問題から、この際にこそ前進すべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。

岡田晃外務事務官(欧亜局外務参事官)

○岡田説明員 ただいまの御激励に従いまして、政府としてはますますその線に沿って努力するつもりでございます。  ただ過去の事実だけ経過を御報告申し上げておきますと、昨年赤城農林大臣がこの問題につきまして、安全操業の問題につきましてイシコフ漁業相に対して、安全操業の試案をお出しになっておられます。その後、ことしの一月に椎名外務大臣が訪ソされましたおりにも、この問題に言及されまして、そうしてコスイギン首相との間で、この問題を早く解決したいということで話し合いをされまして、それでコスイギン首相は、その問題についてひとつ事務的にもう少し議論をする、双方で会議を開いて話し合いをする用意があるのだから、もう少し事務的に詰めたいというようなことも答えております。したがいまして今後、イシコフ漁業相が来日するとか、その他いろいろな要人の往来の機会において、この問題をますます御趣旨に沿うように解決するために努力していきたい、そういうぐあいに考えております。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 いまの覚悟もけっこうでございます。ところが、今度の第十一進洋丸事件というのは五月の八日に発生しておる。そして長官の報告にもありますように、五月十三日に生存者の乗り組み員からの報告を受けるまで、事態が全然わかってなかった。五日間なぜ一体ソ連の通報がおくれたとお思いですか。これは安全操業をやらせないソ連も悪い。そういうことももちろん悪いけれども、それ以上に、六名も死んだものを全然日本に通告しなかったということは、もっと人道上の問題としても悪い。なくなったことは国の権益としてこちらのマイナスでもあるが、しかしそれ以上に六名も死んだことを五日間も、こっちの巡視艇が乗り組み員の報告を聞くまで全然通報しなかった、こういう問題について、政府は一体今後どのような措置をとろうとしていらっしゃるか、これはあらためて海上保安庁と外務省と両方からお伺いしたい。

栃内一彦海上保安庁長官

○栃内政府委員 その点につきましては、前回長谷川委員からの御質問に対しまして、私から、条約上の、あるいは協定上の文言がどうであろうとも、人道上の問題として即刻通報しなかったということ、あるいは人道上以前の問題として当然通報してくれてよかったのじゃないかという点は非常に遺憾であるということを御答弁申し上げました。また、それではどういうふうなことを今後やっていったらいいかという点につきましては、私が当時聞いておりましたところでは、現在領事条約を締結すべく進行中である、その草案には通報のことが書いてあるというような点から見まして、その線で解決するのが一案ではないかという御答弁をいたしたわけでございますが、最近ソ連のイシコフ氏が来日するという報道も聞いておりますので、これは外務省におかれて領事条約のほうによって進められる、あるいはそれとは別途にまた進められる、この辺のところは外務省の御判断によると思いますが、私どもとしてはどういう方法であれ、こういう事故が起きましたときには確実に連絡をしてもらうということをソ連からはっきりと約束を得まして、そしてこの約束を実行してもらいたい、そういうふうに日ソ間ではっきりした取りきめが行なわれるように外務省にお願いしておる、こういう事情でございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 日ソ共同宣言当時の速記録を拝見しますと、あのときに日ソ海難救助協定というのが同時に審議されて可決をされておるわけですね。そうしますと、これがやはり安全操業の基本になる、領土問題の片づかない今日、それにたよるほかに手がない。そうしますと、こういう海難事故について日本側からソ連に救助要請というものを一体どの程度しているか、これに対してソ連がどのように反応を示して、いままで日本の船を、そういう諸君を救済してくれたかどうか、こういう問題についてあらためて政府の答弁をひとつお願いいたします。

猪口猛夫海上保安官(警備救難部長)

○猪口説明員 御質問の内容につきまして、私たちが過去十年間ばかり扱いました件数が大体二百九十三件ございますが、そのうち的確に情報連絡に対しましてソ連が海難救助協定の線に沿いまして措置されたものが六十一件でございます。その他のものにつきましては何ら反応のなかったものでございまして、その件数が二百三十二件ございます。これは私たちといたしましては非常に問題がございまして、そのつどこれを改善したいということで外務省ともいろいろ打ち合わせをしておったのでございますが、何ぶんにも外交問題というものはそのつど必ずできるというものでもございませんし、いわゆるタイミングその他の点もございますので、外務省のほうでもその時期を十分見計らって措置するというようなことで現在まで経過してきたように伺っておる次第でございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 いまの話を聞いて二百九十三件いろいろ要請して六十一件、非常に心細い、何とかこれを改善してもらいたい、しかしながら外交問題だからなかなかむずかしいだろうという御懸念などもわかりますけれども、私はやはり基本がこれであるとするなら、これから先いろいろな折衝をする場合に、こういう事実の上に立って今日ある協定というものを生かし、向こうに、やはり時に要請し、時に要求し、そして人道上の問題等々を加えて強力に推進すべきじゃないか。私はここにこうして御質問申し上げながらも、そういう注意を喚起したいという気持ちがあるわけです。ところが一方どうでしょう。日本の巡視艇がそうして向こうに拿捕されないように注意をしながらいろいろやっている。しかし国会の中においての議論とか、いろいろなものが反応いたしまして、小樽の管区あたりでは、せんだって以来何か救難活動が萎縮しているようなきらいがありはせぬか。そういうふうな模様なども聞かれるのが一つと、もう一つは、こっちも海難救助協定によって向こうに要請もするけれども、ソ連の船も日本の領海に入ってきて、ある場合にはあらしであるとか気象の関係から天候回復を待ちながら相当な期間向こうも日本の港に入って、救難協定をそのまま向こうが活用している向きがあるのじゃないか。日本のほうは二百九十三件のうち六十数件しか向こうの協力をもらえなかったが、向こうの場合には、日本にそのままずっと停泊しながら安全を待っている、こういうふうな問題は一体どう解釈するのか。すなわち日本のほうは手を尽くして、向こうのほうは手を尽くさないのじゃないか。そういうことなどが事実としてあるのかどうか。私は、小樽の第一管区海上保安部の諸君というものは、ああいう荒天なところで非常に苦労しておると思うのですが、そういうところが、萎縮しないで日本の漁民諸君の安全のために大いに活躍してもらいたいという気持ちからこんなことを申し上げるのですが、海上保安庁長官あるいは救難部長の所感をひとつこの際聞かしてもらいたい。

猪口猛夫海上保安官(警備救難部長)

○猪口説明員 先ほど申し上げましたのは、事実海難が起きました際に当方で、当方の勢力では手が届かない場合に、日ソ海難救助協定に基づきましてソ連側に海難救助の手段を講ずべく要請した件数についてのみ申し上げたのでございまして、ただいま先生のおっしゃいましたいわゆる緊急避難的な問題につきましては、私はむしろ日本側の漁船が非常に利用していると信じておる次第でございます。正確な件数をはっきり申し上げることができませんが、事実沿海州から北海道、あるいは新潟方面に材木を曳航いたします曳航いかだは、よく荒天のために小樽あるいは江差沖等に避難をいたします。しかしその数は、わが漁船が択捉、国後、歯舞等の島陰に、冬季荒天を避けるために緊急入域する数字に比べますと、非常にわずかな数だと信じております。この緊急入域につきましては、日ソ海難救助協定等には詳しくは書かれておりませんが、いわゆる国際慣行に従って行なわれておりまして、単なる一方通告のみによりまして現在順調に多くの漁船が、荒天に際しまして緊急避難しておるのが事実でございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 そこで海上保安庁の「海上保安の現況」というのを拝見しまして、外交全体がなかなかもって成果をあげてない、そういうときに、その一二九ページ北海道周辺海域というところに「三十八年六月、日ソこんぶ採取民間協定が成立したが、四十年五月には、この協定を更新して有効期限を二か年間とするとともに、こんぶ以外の漁獲物を一隻で一日十キログラムまで漁掛できるよう取決められた。このため、四十年においても前二か年間に引続きこんぶ漁船のだ捕事件は、皆無であった。」とある。民間協定の中でようやくあの辺の漁民諸君は、片一方は皆無であって安全なんですね。ところが、こういう民間の話が進んでおって、一方いまのように拿捕事件が李承晩ラインの三倍もあるということが、お互いの目から忘れられかけている。こういう問題について私は、海上保安庁であれ外務省であれ、もっとお互いが覚悟を新たにしてがんばらねばならぬ問題が出てくるのではないかと思う。ことに一三〇ページを見ますと「だ捕された乗組員の取扱い状況についてみると、ソ連側ではソ連刑法の越境の罪又は密漁の罪の容疑で取調べ、即決裁判により責任者(船長および漁掛長)に二−四年の自由刑を科し、その他の乗組員には科刑することなく日本に引渡す例が多い。また船体、漁具等はその約半数が没収されている。ちなみに、四十年に没収された船体は二十一隻である。」そしてそのあとに帰還状況なども書いておって、「四十年十二月三十一日現在の未帰還数は三百八十二隻二十一人である。」これはたいへんなことなんです。まさにこういう事実を、ひとつ第十一進洋丸の拿捕事件が新聞に報じられ、そしていままでとかく弱いといわれた外務省がソ連に向かって、北原欧亜局長が東京で、あるいは中川大使がスーダリコフ極東部長に、それぞれ抗議書も出されたと聞いておりますが、いままでだんだん話もありましたように、私は、ソ連の外務大臣グロムイコ氏、サンフランシスコ講和会議のときの代表であって、領土問題についてもいろいろ主張した、その彼、あるいはイシコフ漁業相、今度一番関係深くて事情のわかっている彼が、坂田農林大臣の招待などで日本に来るというときでありますから、いまのような事実をあらためて自分たちの役所の仕事だけではなくして、全体の総合的なこういう問題であるということを認識されて、私はこういうソ連の責任ある諸君が来るときに大いにがんばってしかるべきではなかろうか、具体的交渉で前進させることが日ソ親善の一つの形になるのじゃなかろうかと思うのです。これは私は、きょうは外務大臣もおりません、あるいは運輸大臣もおりません、といって私はいまいらっしゃる方々を軽く見ません、それは外務省でも、私は参事官というものは実を言うと非常に将来伸びる諸君だと思っている、日本は大使なんというものは独立国がたくさんできるためにぼろぼろつくるものだから、とんでもない者も大使になっている。しかし若い諸君は、参事官というものは、ほんとうに役所に帰ってしっかり勉強して、省議をまとめて、椎名外務大臣なり下田事務次官などに、こういう自分たちがやろうとしたことを国会でも話がありましたよということでしっかりがんばってもらいたい。また海上保安庁も、第一管区の諸君などにも元気をつけながら、ぜひとも私は、民間でコンブ協定等々でやっているところはいいが、それ以外のところは政府が全然手をつけないがために、こういうふうに船も没収されているというふうなこと、水産行政そのものがどうも西のほうにだけ向いて北のほうは忘れている向きがありはせぬか、大漁業資本を助けるばかりで、十トンクラスのああいう北海道の根室かいわいの漁民諸君を放置するきらいがありはせぬか、私は専門家じゃありませんが、そういう感覚を持っているものです。ですから水産庁もあるいは海上保安庁も外務省も、あわせていまのような気持ちになってこの際御推進願いたい、これに対してひとつ政務次官の御答弁、決意をお願いします。

福井勇自由民主党運輸政務次官

○福井政府委員 長谷川委員の御指摘、御注意の点は十分ごもっともなことでございまして、運輸大臣はただいまオスロの会議に出張しておりまするので、本日この委員会に出席ができておりましたならば、きっと納得のいくような答弁をされると確信しておりまするけれども、長谷川委員のおことばのように、グロムイコ外相その他ソ連の要人が参ります機会に、覚悟を新たにして解決に前進するようにしなければならぬとかたく信じておる次第でございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 岡田君、ひとつ外務省から……。

岡田晃外務事務官(欧亜局外務参事官)

○岡田説明員 問題はまことに先生御指摘のとおりでございまして、私どもこの問題はやはり非常に深刻に考えており、これを解決すること自体が、将来の日ソ関係を展開させるまず第一の基礎になる、礎石になるというぐあいに考えておりますので、あらゆる機会をとらえまして堂々とわがほうの意見を先方に貫徹させるように努力するつもりでございます。

長谷川峻自由民主党

○長谷川(峻)委員 終わります。

古川丈吉自由民主党

○古川委員長 次会は、明六月一日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十八分散会

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