運輸委員会 第34号
- 発言数
- 101 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1966/05/24
会議録
○古川委員長 これより会議を開きます。 自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 去る五月十一日の委員会において、本案並びに田邉國男君外四名提出の修正案及び久保三郎君外一名提出の修正案についての質疑は終了いたしております。 これより原案及び両修正案を一括して討論に付します。 討論の通告がありますので、これを許します。壽原正一君。
○壽原委員 私は自由民主党を代表いたしまして、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案に対して賛成の討論をいたしたいと思います。 今日、自動車事故による人身の被害がきわめて憂慮すべき発生状態を示していることは、いまさら申すまでもございません。先日、ある新聞の報ずるところによれば、五月九日の一日のみで、わが国の死傷者は一千二百三十五名の多きを数えているのでございます。また、今年の一月から四月末までの死亡者はすでに四千名を突破し、昨年よりも五百名も多いという悲しむべき状態を呈しておるのでございます。まさに交通戦争と言わなければなりません。これはわれわれの身近で日夜起こっていると申しても決して過言ではないのでございます。したがって、去る十一日からの全国交通安全運動にあたって、関係者として、せめてこの運動期間中だけは事故を出したくないという決意をしていると伝えられておりますが、だれしもが、この運動期間中のみならず、今後事故を起こさないことを願うのは当然のことでございましょう。 さて、本法案は、このように激増している交通事故に対しまして被害者保護をより一そう強化するための措置でありまして、私はあらためて賛成の意を表するものでございます。 まず第一点に、最近における原動機付自転車の普及発達はまことに目ざましいものがございまして、昭和三十九年度末の車両数は六百七十二万両に達し、自動車の車両数にほぼ匹敵する状態を呈しているのでございます。しかしながら、このような車両数の増加は、この間における性能の改良とも相まって、人身事故の増大を招いていることは先ほど申し上げたとおりでございます。自動車事故による被害者につきましては、すでに現行法によってこれを救済する方途を講じておるのでございますが、原動機付自転車の事故による被害者に対しましてもこれと全く同様の措置をすみやかに講ずることが必要なのでございます。かつて総理府が行なった世論調査におきましても、大多数の回答者が原動機付自転車を対象に加えるべきだという意見を表明しておるのでございますが、今回の改正はこれらの要望にこたえた、まことに適切な措置であると考えるのでございます。 第二に、このたびの改正措置により、従来、死亡の場合百万円であった保険金額を百五十万円に引き上げる措置を講じ、被害者の保護を一そう充実しようとするものでございますが、このように保険金額を改定する場合、そのときまでに契約を締結していた自動車と、保険金額増額後に契約を締結した自動車とが併存し、これがため被害者間に保険金額の不均衡を来たすおそれのあることがございますので、これを防ぐための法的措置を講ずる必要があるのでございます。 第三には、農耕作業用小型特殊自動車につきましては、従来本法の対象車種といたしておりましたが、その後の実績を見ますと、運行の範囲が限られており、事故率もきわめて低いのでありまして、今後これを強制保険の対象とすることは農業者の意思にも相反しますので、今回これを本法の対象車種より除外いたした次第でございます。 第四は、従来自賠責保険の取り扱いが損保会社のみに独占されておりましたものを、今回本委員会の審議過程におきまして、わが自由民主党の修正により新たに責任共済制度を設け、農協にもこの事業を実施せしめることにいたしたのでございます。 このような措置をとるに至った理由の第一は、現行制度の運営の現状を見ますると、現在保険に付すべき自動車の一一%が無保険のまま放置されているという事態を重視いたしまして、農村地域における車両の全量付保を実現せんがためでございます。 第二は、今回保険金額の引き上げが行なわれるとはいえ、諸外国の場合と比べますとまだまだ低いと言わざるを得ないのでありまして、これは将来の課題に譲るといたしましても、特に加入者の払い込んだ保険料に比較して保険給付額が低いという現実的な問題があり、さらには被害者の正当な権利の行使を阻害するかのごとき査定上の問題もしばしば発生しているのでございまして、本法の目的である被害者保護の観点から見ますと、すみやかに解決すべき幾多の問題が包蔵されていると言ってもよく、今回の措置はこれらの改善に役立たしめようとするものでございます。 第三には、このような実態の多くは、この種の事業を営利保険会社に独占的に行なわしめていることに基因していると指摘せざるを得ないのでございまして、今回農協にこの種の事業の実施を認めましたのは、この団体の性格、事業の実態を判断するとともに、その組織力を十分に活用せしめて現状の欠陥を是正し、この制度全体を国民大衆と密着したものとすることによって、被害者保護をより一そう拡充させようとするからにほかなりません。 社会党その他本法案に反対の諸君は、責任共済制度における車種の制限をやめ、原付自転車の再保険を実施すべきである等の主張をいたしておるのでありますが、車種の制限につきましては、今後その実績を判断しつつこれを撤廃し、全車種を扱わせることが最も妥当であると判断するものでございます。 また、原付自転車の再保険の問題につきましては、諸般の情勢を判断した上、テストケースとして今回政府において措置されたものでございます。これらにつきましては今後とも十分配慮し、本法の目的である被害者保護をより一そう拡充いたしてまいりたいと存じております。 最後に、関係各位におかれましては、本法の目的達成のため一そうの努力を払われんことを期待するものでございます。 以上をもちまして私の賛成討論を終わります。(拍手)
○古川委員長 久保三郎君。
○久保委員 私は日本社会党を代表して、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案原案並びに自民党提案の修正案に反対をいたし、社会党提案の修正案に賛成の意見を申し上げます。 自動車損害賠償保障法の制度については、すでに本委員会でそれぞれ申し述べたとおり、今日における自動車にかかわる人身の死傷に対し適切な被害者救済をいたそうとするのがこの法律のたてまえであり、その保障をすることは国家の責任であるというのが、本法のもう一つのたてまえであるわけであります。 今回の改正提案の中で大きな問題は、一つには原動機付自転車を強制保険の対象にするということであります。この点については、われわれも異存はございません。ただし新しく原動機自転車を対象に含めると同時に、従来の制度である国家の再保険という制度はこの新たに加えるものについては除外する。これは国家の責任というものを大きく後退修正した態度でありまして、われわれとして賛成しかねる第一点であります。もちろんこの自動車損害賠償保障法なるものは、すでにこの法律によることが無理になってまいりました。というのは、この制度発足の当初より、先ほど申し上げたように、この種制度は国家の責任によってすべてを処理するというたてまえであったはずでありますが、当時のいわゆる処理体制においては残念ながら、末端の機構まで国家の力によって、あるいは組織によってこれを運営することはなかなか困難であり、そのためには現存するというか、当時よりあるところの保険業法に基づく保険企業、そういうものを使って一応発足させたわけであります。でありますから、すでに相当の年月も経過している今日、この制度は当初の構想に立ち返るのが当然でありまして、それを後退修正するがごときは断じて許さるべきものではありません。しかも保険財政は今日黒字に転化してまいりました。黒字に転化いたすということに相なりますれば、保険の料率を下げるか、あるいは、いまだ外国に比べても保障の限度額が非常に低い現況にありましては、これをさらに黒字の部面において引き上げる、あるいは、不足がちでありますところの救難体制をこの保障制度の中で政府として当然のごとく拡充強化する、こういうところに考えを及ぼさねばならぬと私は思っております。しかるに今回の提案は、はっきり申し上げて、政府部内におけるところの保険業を擁護する立場と、そうでない立場との角逐の結果、いわゆる保険業を守る立場が強く打ち出されて、原付自転車につきましては国家再保険は取りやめる。逆に言うならば、保険業として十分成り立ち、またうまみのある企業であるように改正はもっていっている。原動機付自転車を強制保険の対象にすることは最も大切なことであるけれども、その六割の国家再保険をやめたということは理論的にも実は成り立っておりません。一貫性を欠いておる。原付自転車以外はすべて従来どおり再保険でありながら、原付自転車を再保険から除くという理論的根拠は何もない。あるとするならば、ただいま申し上げたような、企業としての保険業を擁護する立場にのみある。これでは本制度をしてゆがめた形で後退させる一つのこまであろうというので、われわれは承服しかねるということであります。 第二点は、本委員会質疑の中で政府側もそれぞれ賛成でありました農耕用特殊自動車、いわゆるティラーは従来強制保険の対象でありましたが、これを除外しようというのでありますが、自民党修正案は、本法から全くこのティラーを除くという修正案であります。われわれはこの制度から全然ティラーを除くのではなくて、ティラーそのものを強制保険の対象からだけはずそう、万が一これによる被害が発生したときには、国家の手によって、まずもって本制度による救済の道はそのまま存続しようというのであります。でありますから、被害者の立場に立ってものごとを考えるべきこの法律の改正案に対し、自民党修正案はこれを単純な、しかも被害者の立場を忘れた修正でありますので、われわれとしては賛成しかねるというのであります。 いずれにしても、われわれはわが党提案の修正案を含めて原案には賛成はしますが、自民党提案の修正案には反対でありますので、以上申し上げて反対討論を終わります。(拍手)
○古川委員長 竹谷源太郎君。
○竹谷委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案につきまして、次の理由によりまして政府案並びに自由民主党の提出されました修正案に反対をいたしまして、日本社会党提出の修正案に賛成の討論を行ないたいと存じます。 言うまでもなく、本法立法の趣旨は、自動車災害による被害者の保護救済を目的とする改正案であるということは論をまちません。かかる大原則に立って政府案、自民党修正案並びに社会党修正案を考えてみますると、まず原動機付自転車につきましても、当然他の一般自動車と同様再保険の対象とすべきものであって、これを再保険から除外する何らの理由を、この委員会における質疑応答を通じて政府の見解をただしましても、発見し得ないのでありまして、これはやはり従来の四輪車同様再保険に付し、筋を通すべきものであると考えます。 次に、農業協同組合法に基づく共済事業に対しましてもこの事業の取り扱いを認めることは、本法の趣旨からいいまして何ら差しつかえない。この点は自民党も社会党も同意見でありますが、それにつきまして私は、すべての自動車を農協に認めるべきである、対象にすべきである、このように考えるのでございまして、自民党の原動機付自転車及び政令で指定する特定の自動車だけに限るということは反対でございまして、すべての自動車に適用すべきものであると主張したいのであります。 また農耕作業用の特殊自動車につきましても、これを強制保険の対象から除外をするということにつきましては、その実態から考えまして当然のことと存じますが、これも全然事故がないというわけではございません。また従来は強制保険に付しておった点から見ましても、これは第二条の改正によって自賠法の対象から全然除外するということでなしに、第十条の適用除外に加える、そうして自賠法の適用を受けるという社会党案のほうがよりよいと考えます。 以上の観点からいたしまして、民社党は社会党の修正案に賛成をいたしまして、本法の正しき適用を見ることを望むものでございます。 以上をもって討論を終わります。
○古川委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決いたします。 まず、久保三郎君外一名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○古川委員長 起立少数。よって、久保三郎君外一名提出の修正案は否決されました。 次に、田邉國男外四名提出の修正案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○古川委員長 起立多数。よって、田邉君外四名提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○古川委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案は可決いたしました。したがって、本案は修正議決すべきものと決しました。 おはかりいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古川委員長 御異議なしと認め、よってさように決しました。 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○古川委員長 次に、海上保安に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。長谷川峻君。
○長谷川(峻)委員 まず、海上保安庁に質問します。国会で私たちはいろいろ法案を審議していますが、毎日大きく新聞に報道されている第十一進洋丸、これはしかも国民の利益に非常に関係ある問題です。こういうことは、私はこの運輸委員会で当然審議されなければならぬと思いもしますし、大事な法案がいま採決されたあとですから、その機会を得まして、この際に御質問申し上げたいと思います。 第十一進洋丸というのは、御承知のとおり、新聞で拝見しますと、今月の八日くらいですか、北海道の刺し網タラ漁船がソ連船に曳航される間に、乗組員六名が死んだ。そしてその生き残った二名を海上保安庁の巡視船「ちとせ」が受け取る最中に、遭難事故がわかった。遭難してから約五日間に六名の者が死んでいる。そしてそれが、衝突したソ連の巡視船に曳航される間に沈没をし、死んだということなんですね。このことが新聞に出ておりますが、従来でありますと、こういう問題があった場合には、事故について、それがどういう事故であり、どういうふうに作業をし、どういうふうに救助し、そしていまどんなふうになっておるかということは、運輸委員会に報告があった。これがほかの法案の審議の過程でできなかったのか、そしてその間においておたくのほうでどういうふうな作業をされておるのか、まずその辺について運輸委員会の皆さん方に御報告していただきたい、こう思う次第であります。
○栃内政府委員 ただいま御質問の第十一進洋丸の拿捕事件について概要を御説明いたします。 第十一進洋丸は、タラ刺し網漁船でありまして、総トン数十九トン、乗り組み員八名でありまして、船主は北海道羅臼町の小林源太郎という人であります。ただいま長谷川委員の仰せのとおり、生存者は二名でございまして、機関長小林広身、甲板員千葉正雄の二名、他の六名は行くえ不明で死亡したものと推定されております。 事件の概要につきましては、私どものほうでは、帰ってまいりました小林広身と千葉正雄の供述によってつかんでおるわけでありますが、その供述によりますと、五月八日六時三十分ごろ、国後島中ノ沢沖漁場にこの船は到着いたしまして、距岸三・二ないし三・七海里において操業の上、九時ごろ帰航の途についたのでありますが、間もなくソ連監視船が接近してまいりましたので、全速で逃げました。そのうち監視船は本船に追いつき接触いたしましたが、このときは船体には異常はありませんでした。当時は南東の風四ないし五メートル、視程五キロ、この地点は、ともに操業しておった船の報告によりますと、エビカラウス埼沖約十四海里であったということであります。この地点は、帰ってまいりました者が測定した位置ではなくて、僚船がそういうふうに見ておったという位置であります。 それから十時ごろ、監視船はさらに強行接舷せんとしてこの漁船に激突いたしまして、接舷と同時にソ連兵六名が移乗してまいりました。また乗り組み員中二名は、その激突の衝撃で海中に転落いたしましたが、そのときは一名は自力で泳ぎつき、他の一名は船長が海中に飛び込んで救助いたしました。したがって、この激突の際には二名が海中に転落したわけでございますが救助されております。その後、激突により本船の左舷船尾に深さ約一メートルに達する損傷個所ができましたが、そこから浸水し始めまして、左舷に大きく傾斜いたしまして、ポンプによる排水も不能になりました。監視船はこの船の曳航を開始しましたが、途中二回曳航索が切断いたしました。そして曳航準備に手間どっている間に浸水がはなはだしく、また海上の模様も次第に悪化して、ついに転覆いたしたわけでございます。この転覆した位置は、ソ連側の調査によりますと、距岸約七海里ということでございます。その結果、全員が船底にはい上がりまして、そのとき監視船がこの船の船首部に近づきました。そして先ほど乗りましたソ連兵は全員海中に飛び込み救助されました。なお、ソ連兵は救命胴衣を着用しておったということでございます。それから、千葉正雄は監視船が接近いたしたとき、そのハンドレールにつかまったため救助されました。それから小林広身、福原博は船首部にいましたが、他の乗り組み員は船底の魚探突端部にロープを結んで、波にさらわれないようにそれにつかまっていましたが、次々に波にさらわれ、船首部にいた両名も海中に投げ出されました。その後、その二名のうち小林広身だけは板片につかまって漂流しているのを監視船に救助されましたが、他の六名は行くえ不明になったわけでございます。監視船は小林広身を救助してから、間もなく現場を離れた模様でございます。 なお、後日の話でございますが、ソ連側は小林に対し、他の乗り組み員は全員からだをつないでいたため船とともに沈んだと説明をした模様でございます。生存者二名は色丹島の穴澗湾において取り調べを受けまして、五月十三日巡視船「ちとせ」で根室に帰ってまいりました。 次に、わがほうのとった救助体制といたしましては、第一管区は五月十三日、情報入手と同時に巡視船二隻を出動させまして、地元漁船四十二隻とともに事件発生海域を捜索しました結果、行くえ不明者は発見できませんでしたが、ソ連兵の帽子一個のほか、同漁船の漁業許可番号票等を発見いたしまして、十五日捜索を打ち切った、かような次第でございます。
○長谷川(峻)委員 その後事件は進展しまして、日本の外務省からソ連に抗議書、口上書などを渡し、あるいは日本においてもソ連の大使を呼んで、それぞれ抗議書を渡しているようでありますが、そういう問題は外務省が来て後日質問するようなかっこうになろうと思いますが、いまのお話を聞いている間に考えられることは、一体ソ連の言い分と日本の言い分というのが、だいぶ食い違う。その場合に、ともかく六名も死んでいるという事実、ああいうところで五日間も日本に情報が全然来なかったということは、私は非常におかしいと思う。私も南極に行ったことがございますが、南極の場合にも、海に入って五分以内に、普通の体温からああいう氷の海に入ったらみんな死んでしまうのです。そういうところで情報を五日間もよこさなかったというのは、非常に悪いことです。もう一つは、向こうは、悪天候で、衝突したのではないということを言ったようでありますが、こっちとすれば当時の気象の問題、気象庁との打ち合わせなども私はやったと思います。そういうようなことなども含めて、一体いまから先——北海道の零細漁民はじめ、タラ漁業なんというものは非常に遭難が多いのですね。しかも、いまおっしゃるように十九トンくらいでしょう。こういう問題がありますから領事条約とかいろいろの問題、最近はイシコフ漁業相が来るとかグロムイコ外務大臣が日本に来るとか、いろいろな問題があるし、ですからここで、海難救助の関係から、こういう零細漁民なんか前々から心配しておったこうした問題を、一体この際どう防いだらいいか、どういうふうな手続をこの際踏んだらいいかということを、海上保安庁として当然考えなければならぬ。また、おそらくお考えになっておるだろうから、それをやはりコンクリートにしまして、この際私たちはよくそれをのみ込むし、政府の側にも立ち、漁民の側にも立ち、国会の側にも立ちながらそれを推進しなければならぬと思う。だから、責任官庁としての海上保安庁は、こういう新しい政治情勢、日ソ友好というか、そういうムードがあるときにこういう事件が起こったことはきわめて遺憾であるが、この際どういう対策を進めるかというお考えをお聞かせ願いたいと思う。
○栃内政府委員 ただいま長谷川委員が仰せられましたように、この事件が起きてから先方の通報がなかった、そしてわがほうの巡視船が引き取りに行って初めてわかった、予定の員数以上に日本人が送還される、これはどういうことかというようなことが、巡視船「ちとせ」が行ってはじめて事情がわかったということは、きわめて遺憾なことであると思います。現在この通報制度の問題につきまして、外務省のほうからの話によりますと、領事条約でもってかかる場合に通報の義務を相互に負うというふうに進行しておるのだという意味に聞いておりますが、私どもの立場としますと、条約で義務があるないという問題は離れて、とにかくこういうことがあったら知らせてもらいたいということをやはり痛感しておる次第であります。ですから今後は、領事条約が進行中ということでありますが、これによって遭難の場合にすぐ知らせてもらいたいということ、また、それによりましてわがほうからも巡視船を出すというようなことによって、先方はもちろん救助に全力を傾けてもらうことは当然でございますけれども、わがほうもできるだけの手を尽くさなければならない、かように考えております。 それからもう一つは通信の問題でございますが、この通信につきましては現在、これも外務省でいろいろ御検討のようでございますけれども、現在は現地間の取りきめによりまして、真岡の通信が比較的順調に行なわれております。ただ私どもの立場としましては、さらに円滑な通信が相互に行なわれることが必要ではないか。この点も現在外務省のほうがいろいろ事務的に折衝しております。これをさらに推進してもらうということが必要ではないかというように考えております。 それから、そのほかいろいろの対策といたしましては、一般の海難予防の対策というようなことが重要になってくるわけでございますが、これらはいろいろ指導をいたしますとか、あるいは設備その他については十分監視するとかいうような一般的なことが必要であろうかと思います。また北方におきましては、盛漁期には巡視船が遠洋に哨戒いたしまして、できるだけ早く現場に到達するような措置をとっております。今回の場合は遠洋というよりは、むしろ国後島と目と鼻の間でございます。あの付近の巡視船も今後ますます警戒を厳重にする必要がある、かように思います。
○長谷川(峻)委員 外務省は来ないからあとにしますが、やはりはっきりあなた方は領海外だというふうに認定されておるかどうか。それから日ソの間に海難救助か何か協定ができたのじゃないのですか。そういうものがこういう際に一体どう発動し、あるいは向こうがやらなければこちらの立場からどう抗議を申し込まれるかという点について、この際一言お答え願っておきたい。
○栃内政府委員 あの付近の領海問題につきましては、いわゆる領土問題というものが前提になっておりますので、非常に説明はしにくいかと思いますが、少なくとも先方は領海十二海里説をとっておる。したがってわがほうとしましては、十二海里の中にできるだけ入らないようにというような指導をいたしております。これが原則でございます。これは領土権の問題を離れて実際上の措置をやっておるわけでございますが、一部分国後島沿岸につきましては、これも現地限りの問題でございますが、三海里以内、三海里よりも近寄ってはならぬというふうに、ソ連側も現地限りで若干弾力的な態度をとっておる部分もございます。今度起きました事件の該当場所は、先方が弾力的な態度をとっておる付近の海域でございます。私どもとしましては、領土問題を離れても、ともかく向こうが当該地について主張する三海里よりも沖合いであるというふうに私どもは判断しておるわけでございます。 なお、海難救助協定によりますれば、いずれの国も最も適当な方法によって海難救助を行なう、また相手国と十分協議をする、こういうことになっております。
○長谷川(峻)委員 きょうは外務省がいないから、私はもういいです。
○古川委員長 久保三郎君。
○久保委員 質問に入る前に、船員局長というのはいかがしたのか。
○深草政府委員 船員局長は官房長が兼務をいたしております。
○久保委員 この船員局長というのは、聞くところによるとあとがまはまだ発令されないで、官房長が船員局長になったわけではなくて、これは代理ですね。代理というか、事務取り扱いというか、何かそういうものでしょう。兼務か。兼務じゃないのでしょう。だから本物ではなくて、暫定的に船員局長ができるまでの間職務を代行するということだろうと思うので、いままで船員局長であった者はすでにやめてどこかの会社に入ったそうだが、そういう人事があるのかどうか。ただいま国会は開会中であるし、いま長谷川委員の質問にしても、言うならば漁船船員の問題が重要なんですね。沈んだ船の問題も重要かしらないが、少なくともそこに乗っていて死んだ船員の問題等があるわけです。これはどういうわけか簡単に聞かせてほしいのですが、大臣、ぼくの質問はわかりましたろうか。何で船員局長は早いとこやめていかれたのか。あとがまがなぜきまらぬのか。官房長で、兼務じゃないが、職務代行だが、それで用が足りるほど船員局長はあまり重要ではないのかどうか。
○中村(寅)国務大臣 前の船員局長はやむを得ざる事情でやめたのでございますが、国会中でございますので、官房長に兼務させて、事務に支障のないようにいたしておるわけでございます。
○久保委員 大臣の御答弁もよくわからぬ。まあ、いずれにしても補充というか、後任は相当に優秀な局長ができるだろうと思うのだが、どうも国会中官房長が兼務というか、そういうことはあまり好ましくないということを一言申し上げておきます。 〔委員長退席、田澤委員長代理着席〕 そこで次に、最近漁船の関係で、ややもすれば関係の労働法なり、あるいは船舶安全法あるいは船舶職員法、そういうものの違反がたくさんあるわけなんだが、先般出された海上保安庁の報告にも出ているように、かなりの違反事項がある。これは第一に水産庁にお尋ねしたいのだが、指定漁業は来年一斉に漁業権の更新があることになっている。しかしその更新にあたってはいろいろな条件を勘案して、免許というか、許可を与えるだろうと思うのでありますが、その中でも最も比重を重く考えねばならぬところの漁業法あるいは海事法、そういうものの違反、こういうものの違反をたくさん犯しているような者は、免許の基準から当然離れるとわれわれは承知しているわけなんです。ついては、いま申し上げたような違反を犯した者について、水産庁としては許可あるいは企業の認可というか、そういうものを与える考えはないと思うのだが、まず第一にその方針を伺いたい、かように思うのです。
○亀長説明員 お答え申し上げます。 いま御指摘のように、指定漁業の一斉更新をするという法律のたてまえになっておりまして、その際にはただいま御指摘のような「労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠く者」は再び許可はしないという法律のたてまえがございます。明年実際にどのようにやるか、目下その方針を検討中でございますが、いま御指摘のように、労働の法令を順守する精神を著しく欠く者ついては、許可または認可を行なわないという法律のたてまえは、私どもとしても十分そのとおり実施する考えでございます。ただ実際の適用に際しましては、労働法令を順守する精神を著しく欠くということの把握のしかたという点につきましては、実情も調査しなければなりませんし、また、どの程度からそういう認定をいたすかという一つの判定の問題もございますので、われわれとしまして、今後なお時間の余裕もございますので、実情の把握なり、あるいは適用する労働法令という範囲につきましても十分検討いたしまして、明年度措置をいたしたい、かように考えております。
○久保委員 そうしますと生産部長、あなたのお考えでは、これからどの程度のものが許可に適格性がない、これはだめだというのは、逐一これから調べるというか、基準をこれからつくって、何かあがってきたものをチェックしていく、こういうようなふうに答弁がとれるのだが、そのとおりですか。
○亀長説明員 もちろんいままで、労働法令の違反につきまして所管の官庁から調査をされたものもいただいております。しかしわれわれとしまして、さらにそれをどの程度の範囲からたとえば許可を与えないということにするかという点につきましては、これからの検討事項だと考えております。御承知のように、漁業の現在の許可制度と申しますのは、いわば漁業をやらせない、一つの事業をやらせないという非常に強い制度と申しますか、そういう制度でございますので、法律上、本来ならば漁業というものはだれでもできていいはずのものを、特定の者しかやらせないということでございますので、私どもとしましても、労働法令を順守する精神を著しく欠くという認定については、過去の事例なり、あるいは、ある特定の人が過去にどれほどの違反があったかというような点につきましては、十分慎重に検討した上で決定すべきものだと考えております。
○久保委員 私語はしてもけっこうですが、私のところからも答弁が聞ける程度にしてもらいたい。
○田澤委員長代理 静粛に願います。
○久保委員 そうしますと、この程度のものはどうするかというようなことはこれから慎重に検討していくということでありますが、それじゃその認許可の問題とは別に、現実に水産庁には、行政処分の対象にすべきと思うものは、それぞれ協定に基づいて海上保安庁から通報している。水産庁は通報を受けているわけですね。通報を受けたところの違反事項についていかなる処分をしたか。通報を受けっぱなしのように見えるわけですね。そうじゃなくて、通報を受けたから、これに対してはこうやった、処分をしたというようなことはどうなんですか。
○亀長説明員 労働法令の違反につきましては、それぞれの関係法令の違反として、それぞれの所管庁において、それぞれの報告に基づいて処分をするというのがたてまえでございます。したがいまして、その違反の実情により、それぞれの関係法規の違反としてそれに対する処分は行なわれておるものと思います。漁業の面でどう扱うかと申しますと、現在、一斉更新の時期を除きましては、漁業の規則に対する違反は漁業法によってしかるべき措置をいたしておりますが、労働法令に関する違反につきましてはそれぞれの労働法規に基づいて処分される、こういうたてまえで現在のところまで取り扱っております。
○久保委員 そうすると、海上保安庁で摘発した違反事項は、すべて水産庁——あるいは保安庁なりその他もございましょうが、そういうしかるべきところでそれぞれの処分をしている、こういう御答弁でありますか。そうですか。
○亀長説明員 そのとおりでございます。
○久保委員 この白書にも書いてあるが、いつか、船舶職員法違反の行為の中で、たとえば船長が乗らないままで出航した、そして事故があったというような事例があったわけです。この場合は当然船主のほうが処罰の対象になるだろうとわれわれは考えておる。そういうものは処罰をしたか。あるいは正規の機関長が乗らないままでこれまた出航したというようなこともあるわけなんだが、これはどういうふうになっておるか。
○亀長説明員 ただいまのような例の場合には、具体的に申せば船舶職員法ということになるのかもしれませんが、それぞれそれを規制する法律の処分対象として扱われておるものと考えております。
○久保委員 いまの生産部長の答弁に関連して、それでは船員局なり何なりでは処分をしたかどうか、いかなる処分をしたか。
○深草政府委員 船員法違反並びに船舶職員法違反については、それぞれ機関にかけまして処分をいたしております。
○久保委員 それでは具体的な例がここにあるから、これはどうやったか具体的に答えてください。この海上保安庁から出した「海上保安の現況」の一二六ページの上段「漁船を対象とする船舶職員法の取締りは、三十九年末から四十年初めにかけて遭難した漁船のなかに船長又は機関長として有資格者が乗組んでいなかったものが多かったので船舶職員法違反を防止し、あわせてその実態を把握するため」云々、こう書いてあるのだが、これは処分をしたかどうか。いかなる処分を、だれにどうしたか。これはすぐ答弁できれば答弁してください、そうでなければ、あとにしますから、調べておいてあとで……。
○深草政府委員 あとで調べましてお答え申し上げます。
○久保委員 それでは、これは生産部長にお尋ねしますが、たとえば水産庁において直接処分をしないにしても、船員法違反なりあるいは船舶安全法違反なり、船舶職員法違反、こういうようなものが出たときには、それぞれ行政処分として漁業権というか、そういうものに及ぶはずだと思うのだが、通常何も及んでいないかどうか。通常の場合は、先ほどの答弁のとおり、資格どおりやれば、それはその漁業権に及ぶような処分は全然していないのかどうか、これはどうですか。
○亀長説明員 漁業法そのものといたしましては、本来これは漁業の取り締まりを行なう法律でございまして、いわば資源の保護であるとか、あるいは漁業調整上の必要からいろいろな漁業の規制をきめておりますが、それに対する違反を追及するというのがたてまえでございまして、労働関係の違反につきましては、これはやはり労働関係の法規においてしかるべき追及をするというたてまえになっております。もちろん漁業法としましても、労働関係法規なり、あるいは労働条件を改善していくという趣旨は多分に織り込まれておるわけでございますけれども、どちらかといえば、やはりこれは労働法規が先行しまして、漁業法のほうがそれに協力なり追随した形をたてまえ上とっております。したがいまして、実際の処分におきましても、それぞれの関係法規においてしかるべき処分があった場合に、漁業法令を順守する精神を著しく欠くというふうな認定がありました場合には、これは当然、漁業の一斉更新その他の場合にはしかるべき処分をしなければならない、われわれかように考えております。しかし現在までのところでは、一斉更新という機会は、現在の法律のもとでは来年初めてでございますので、具体的に労働法規による許可の取り消し、あるいは漁業で違反をした場合に行なわれておるような停泊命令というようなものを実際に命じたというようなところまではまだいたしておりません。
○久保委員 初めてのケースで、一斉更新の場合に許可、認可の基準になるかどうかわからぬ、こういうお話ですね。しかしこれは違反事項であるから、たとえば漁業法五十七条には、中身というか対象はちょっと違うと思うのでありますが、漁業法違反は当然でありますが、そのほかに労働法規違反事項については認可、許可の欠格条項にあげているわけでございますね。だから、そういうものが今度の一斉更新には当然適用になるだろう、こういうふうにわれわれは思っているわけでありますが、こういう点についてもう一ぺん御答弁をいただきたい。
○亀長説明員 先ほど申し上げましたように、一斉更新に際して漁業法規の違反、漁業法を順守する精神を著しく欠く者であるとか、あるいは労働法令を順守する精神を著しく欠く者については許可の再発行はしないという条項はございます。したがいまして、たとえば「精神を著しく欠く」ということは非常にむずかしい表現でございまして、実際上それをどういうふうに当てはめていくかということは、われわれとしても今後研究をしてまいりたい。ただ、労働法令を順守する精神を著しく欠くというのは、船員法なりあるいは船舶職員法の各条項が要求しておるような一々の処分をさすものではなくて、やはり全体として、ある特定の人が数回も違反を重ねておるとか、あるいは非常に重大な違反をしても一向関係官庁の勧告をも顧みないとか、そういうふうなことであろうかと思います。したがいまして個々の処分につきましては、これはあくまで労働関係法規の分野において追及されるのが筋であろうかと考えております。ただ漁業法のそういう趣旨もございますので、一斉更新の際には、労働法令を順守する精神を著しく欠くという法令の認定の問題がございますが、それに該当する者についてはしかるべき適当な措置を研究してまいりたいと考えております。
○久保委員 これは運輸省に聞くけれども、無理して官房長が答弁せぬでもいいです。しかるべき課長がいるだろうから……。直接取り締まりというか、指導に当たるところの船員局としては、いまの水産庁の答弁でいいのかどうか。一斉更新のときに考えるけれども、考える幅というのがあるのだ、だからどういうものをやるか。もちろん法律の文言は抽象的であるから何とも言えないけれども、少なくともわれわれは、そんな違反は目に見えてわかっているのでありますから、わかっていることを違反するのでありますから、しかも命に関係するようなことをちょいちょいやっておるような者は当然、再度認可なり許可はしないというのがたてまえだと思うのだが、船員局としてはどういうたてまえで摘発したり、水産庁に報告しておるのか、そういうときの基準になるように一つには報告しているのではなかろうかと私は思うのです。いまのお話を聞くと、水産庁はいままで報告を受けているけれども、船員局なりあるいは保安庁で処分をするだろうから、それは報告を受けて処分を食ったなというだけであって、わがほうに関係ないものはそのまま積んでおくというふうにもとれる。そうじゃないかもしれませんが、そういうふうにもとれますね。あらためてほこりを払って、来年一斉更新のときにどれからにしようか、その前に何とか全部見た上でとは言わなかったが、基準みたいなものをつくってふるいにかけてみようかという話までは、ざっくばらんに言えば、いまの生産部長のお話はいっていると思うのです。そういうものでいいのかどうか、ひとつはっきり運輸省としての見解を示してほしい。
○深草政府委員 労働法規は御承知のように、たとえば船舶職員法につきましては、その違反をした人に対する行政処分というものがあるわけでございまして、事業者につきましては、資格のない者を乗り込ませてはいかぬという規定があるわけでございまして、これはそういった場合が起こりましたときには刑事罰ということで処分をするわけでございまして、船舶所有者に対する行政処分というものは法律上規定されておらないわけです。 〔田澤委員長代理退席、委員長着席〕 御質問のこういった違反につきましては、水産庁なりに通報いたしまして、私どもとしてこういった者につきまして免許を与えないようにしてもらうということは当然のことでございまして、私どもといたしましても、そういった特に船舶職員法あるいは船員法、これは乗り組み員の安全並びに船の安全ということを企図いたしておるわけでございますので、そういった観点から、こういった違反につきましては十分な考慮を払っていただいてしかるべきじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○久保委員 いまの運輸省官房長の見解に対して、水産庁としてはどういうふうに考えておられますか。そのとおりでいいのですか。
○亀長説明員 ただいまの運輸省のお話のとおりで私どもけっこうだと考えております。 ただ御承知のように、漁業の許可を与えないということは、いわばある特定の人しか漁業を許さないということでございまして、その際には、裏から申しますと、憲法上の営業の自由を制限するというたてまえのものでございますので、運用については十分慎重であるべきだろう、また漁業法におきましても「労働に関する法令を遵守する精神を著しく欠く」と、いわば非常に注意深い条文になっておりますので、私どもも実際の運用につきましては十分検討して、問題が起こらないようにしたいと考えております。
○久保委員 生産部長、ただ、と言ったあとがちょっとあいまいだ。あいまいだというのは、その法律の文言が「著しく」となっているから慎重に考えなければならぬ、それは慎重に考えてけっこうですよ。しかし「著しく」という文字の解釈のしようでは、言うならば、これは問題が一つもあがらぬということにもなるわけですよ。そうでしょう。だからもう労働法なり漁業法違反というものは、違反には違いないのだ、だからそういうものについてはびしびしやっていくのだという姿勢が、今日ただいまでは特に政治的にも必要だと私は思うのです。一斉更新は来年ですから、いまの答弁は一年前の答弁ですよ。そういうふうに、いまのただしと言われたあとのように著しいのでありますから、慎重に考えていくということを繰り返し述べるということは、何かわれわれにとっても、あまり当てにはならぬではないか、こういう心配があるわけです。そうしますと行政罰というか、保安庁なりどこかでやるような罰というのは、言うならばたいしたことないんだな。決定的な罰というのは、魚をとる人が魚をとれなくなることが一番決定的なんです。たとえばこの間春闘をやって、それぞれ処分を政府なりほかの機関がやるのだろうが、一番決定的なのは首だ。その次には何カ月間の停職。道路交通法だって免許証何カ月間停止というのがある。そういうものを今日ただいまでも考えなければならぬ筋合いのものがたくさんあるわけです。だから一斉更新にあたっては厳重に、今日ただいまの違反事項もさらに今後の違反についても、水産庁としても真剣な態度で臨むという考えが公表されてしかるべきだと私は思うのです。法律の文言についていま私がやりとりする時期ではないのです。心がまえとしては、真剣にこれは処断します、真剣にこれを基準として持っていきますというのが当然じゃないですか。どうです。
○亀長説明員 私どもとしましては、労働法規の順守なり違反なりの問題というのは、やはり本来の労働法規の追及の形でやられるべきであり、また個々の処分というものもそれでやられるべきである、漁業法といたしましては、そういう労働法令順守に協力をすると申しますか、漁業法の立場としてもやはり労働条件の改善をしたほうがいいというたてまえから、一斉更新の際にはそういう労働関係法規の精神に沿った扱いをしたい、かように考えております。 具体的な扱いになりますと、私どもまだ最終的結論が出ておるわけではございませんので、法律の条文をるる御説明申し上げまして、あるいは多少そのとおりやらぬのじゃないかというような御質問がございましたが、私どもとしてそういう考えは持っておりません。あくまで漁業法の条文どおりこれは尊重してやってまいりたい、かように考えております。
○久保委員 それじゃ、これはまたあとでその時期にやりますが、私から一つあなたに要望がある。 それは先ほど申し上げたように、一斉更新は来年の八月ですね。そうしますと、今日では大体一斉更新の一年前なんです。非常に大事な一年前だと私は思っているから、たびたびそういうふうなことを繰り返し申し上げるわけなんです。少なくとも一斉更新にあたっては、この法律の条章に従って基準をきちっときめて処理するというのが当然である。と同時に、一斉更新にあたっては、前向きの姿勢が業者にもとられない限りは許可すべきではない。いままでのような考えというか、多少その脱皮的のような考え方ではもう許可はできないのだというふうな姿勢を実は示してもらいたいと思うのであります。しかし、これは後ほどまたお尋ねすることにしまして次に移ります。 最近私が手に入れた新聞の広告によりますれば、許可船の売買がたくさんあるようです。これについて水産庁は御承知であるかどうか、まず第一にお答えいただきたい。
○亀長説明員 新聞でそういう記事が出ておることは承知いたしております。
○久保委員 その新聞の広告をずっと追尾しておりますか。この新聞の広告はどこへいったか、こういうのを調べておりますかどうか。
○亀長説明員 それは調査をいたしておりません。
○久保委員 調査をいたしておらぬというと、実際に売買されたものもあるのだが、それはわからぬという結果になりますか。
○亀長説明員 いまの漁業法で売買ということばは、これは法律的な移転の結果の経済的反映として出てくるので、売買ということばはもちろん使っておりませんが、ある特定の場合に許可の承継ということを認めております。いまの漁業法で、たとえば買うほうの人が適正規模な経営にしたいとか、あるいは船主の持っておったものを船長が引き受けてやりたいとか、そういう若干の場合には許可の移転ということを認めております。したがいまして、受け入れ側でそういう条件があれば許可の承継を認めるたてまえになっております。したがいまして、そういう人を相手に売ると申しますか、承継なり譲渡を計画するということは法律上もあり得るわけでございまして、もしそういうものに該当しない場合には、いまの漁業法ではいわゆる承継移転は一切認められておらないということになっております。したがいまして、新聞に許可を売りたいとかいうことが出るようでありますが、そのうちの相当部分は結局法律上承継を認められる、譲り受けを認められる。有資格者に譲渡される。しかも、それで正当な手続が行なわれるものと考えております。しかし、それ以外にももちろん、役所が正当な手続を認めないために、許可の売買ということが事実上行なわれておるということは、私どもも若干そういろ事実があるということは聞いております。しかしこれは法律上もちろん認められておらないことであります。
○久保委員 この継承の許可については、いま生産部長お答えのとおりだと私は思うのであります。そうしますと、新聞広告に出たのは継承の許可を与えられるようなものばかりかと思うのです。そういうものだったら、私は新聞広告は要らぬと思うのです。どうなんです。
○亀長説明員 新聞広告のことでいろいろございますが、大体いまの漁業法は、買うほう、と言うとあまり適当なことばでないのでありますが、移転を受けるほうについてある条件があれば認めることになっております。したがいまして、売るといいますか譲るほうについては、あまり条件は課しておりません。新聞の広告は、いろいろございますけれども、大体売るほうについては何も問題はないわけであります。それから買うほうにつきましては、これはかりに新聞広告をしてそういう譲り受けをしましても、私どもとしては、法律上の条件に該当しなければそういうものは認めないという考えでございます。
○久保委員 それでは、あなたのほうでは、持ってきたんだが、これは許可できないと言って却下した例がございますか。
○亀長説明員 これは相当数ございます。
○久保委員 それでは、相当数だから、一々書いてもらうわけにはまいらぬと思うから、何年の何月には何件あって、主たる理由は何であるか、書いて出してください。それから許可したものは何であるか、書いて出してください。 それで、あなたの答弁はちょっと間違っておるのじゃなかろうかと私は思うのです。さっき、売るほうはかまわぬと言ったね。買うほうに問題があるのだ、こういうことですか、そういう意味ですか。
○亀長説明員 まず最初の御質問でございますが、われわれのほうで相当数、移転の申請を持ってきておりましても認めていないのがございます。ただ、これは大体役所の窓口で、そういうものは法律上認めないから持って帰れという形になっておるものがございますので、正規に文書で受け付けて却下をしたという手続にあらわれてこないものが多いのであります。法律上だめなものはわかっておるから、もう玄関で持って帰れということになっておりますので、相当数あるのでございますけれども、文書上の数字としては確認はむずかしかろうかと思います。 それから第二の点でございますが、売るほう——売るということば自体が妥当でないのですけれども、便宜上使うといたしますと、売るほうについては、これは特別にこういう人しか売れないんだというふうな条文は現在漁業法ではございません。
○久保委員 いまのお話だと、言うならば継承許可を認めるというのは、ここにもだれかが書いた本に書いてあるのです。それを読んでいるのですがね。経営の安定、合理化をはかるため、共同経営化または法人化する場合、この場合は継承許可ということで買うことができるわけです。それからもう一つは「一定の規模に達するために承継の場合」、「一定の規模」というと、これはいろいろ千差万別、解釈のしようでもございますね。水産庁のお考え一つできまるのではなかろうかと私は思うのですが、いかがでしょう。
○亀長説明員 適正規模の限度につきましては、非常にむずかしいことばでございますけれども、いまの漁業法を施行いたしましたときに一応限度であるということを、省令あるいは通牒のものもございますけれども、はっきりいたしております。したがいまして、いまのこの漁業法ができましてからずっと同じ基準で実施をいたしておりますので、そのときどきの認定で変わるということはございません。
○久保委員 それからもう一つは、緊急に転換をはかる必要がある場合、そういう例はありますね。そのときはよろしいのでしょう。よろしいとこの本には書いてある。だけれども、これなども非常にあいまいだと思うのです。
○亀長説明員 緊急に転換を要するというのは、ここにございますように「漁業調整のため又は沿岸漁業の経営の改善に資するため緊急に転換を図る必要があると認められる漁業であって省令で定めるもの」ということになります。したがいまして、これは具体的に省令で規定をすることになるわけであります。その場合に、たとえばある特定の漁業が国際関係あるいはその他で緊急にそれをやめなければならぬという場合に、他の漁業の許可を買い求めてやるというような場合にだけ特例的に認めるということでございます。したがいまして、緊急の認定なりそれらについては、もちろん認定の問題でございます。しかしながら、この規定は非常に厳格に運用いたしておりまして、私の記憶では、この規定によって承継を認めた例はない、かように考えております。
○久保委員 このいまのような場合は継承を許可する、それから単純に船を買っても実際は漁業は行ない得ないのだ、こういうふうに答弁されたわけですか。
○亀長説明員 ちょっと御質問の趣旨がわかりかねるのでございますが、要するに船だけ買ってももちろん漁業はやれないわけでございまして、漁業の許可が、正当に承継が受けられるということで、承継の手続をしなければ漁業はできない、こういうことでございます。
○久保委員 手続は当然だと思うのです。これはあなたのほうでもやっているのですね。たとえば私なら私が、緊急かどうかは別にして、いままでやっている漁業とは別のものをやる、その場合には、いま持っている船ではトン数が足りないというので、これじゃ久保さん、トン数が足りないからあなたはだめですよ、水産庁でこう言われる場合、それでついでのことに、あそこに行ったら船を売っているかもしれぬ、あれを買ってきてつけ足したらどうですかと、あなたのほうで親切にやっている面もあるのでしょう。補充トン数、くっつけるトン数、買ってこいといって……。
○亀長説明員 少し別の問題が入った御質問になったわけでございますが、たとえばいま一つの漁業をおやりになっていらっしゃるとしますと、それが百トンという船を使うという条件での許可で——普通、漁業の許可はそういうふうになっておりますけれども、その際に、トン数制限を行なっていないものでありますともちろん別でありますが、いろいろ資源なり漁獲量というような関係もありまして、トン数の制限をいたしております。その場合に、船を百二十トンにしたいという場合には、二十トン無条件ではできないわけでございまして、結局トン数制限というのは全体的に漁船の増大化を避けるという趣旨でございます。したがって、現在おやりになっておる方で、もし別に廃業する人があれば、その廃業を見返りに増トンをしても、全体的な、国全体としての漁獲量を規制する、漁船の増大化を防ぐという趣旨には変わりがないわけでありまして、片一方にやめる人があればその分を持ってこられる、こういうことでございます。それ以上またこまかくなりますと話がややこしくなりますので……。
○久保委員 私は別な意味の質問にするわけでいまこういうことを言っておるのですが、その質問はちょっとおきまして、本来漁業権というのは、国がある特定の国民に与えるわけですね。だから、廃業するとか売りたいという場合は当然のごとく国に返してもらう、国に返してもらって、亀長水産なら亀長水産から、新たに経営の規模をもう少し大きくしなければいかぬという申請が水産庁にあったらば、手持ちの適当なものがあればこれに許可を与えるというような方向にするのがたてまえでなかろうかと思う。私はこの漁業法というのはあまり詳しくないのだけれども、そういう方向で処理されるのが一番いいのじゃなかろうかと思うのです。これが一つ。 それからもう一つは、船の売買については許可権、漁業権というものが売買の値段の中に相当入る。この漁業権という権利は抵当とか金目の対象になり得るようなものであるのかどうか。これはほんとうにわからぬから、あなたが専門家だから聞くが、どっちなんです。
○亀長説明員 最初の点につきましては、御指摘のように許可というものは特定の人に許したものでございますので、その人がやめれば当然これは国に返していただく、そして必要性のあるところにまた出していくというのが本来の趣旨でございますし、漁業法もその趣旨においては何ら変わっておらないわけでございます。したがいまして、漁業法で許可の承継ということばを使っておりますけれども、これはあくまで前の許可を取り消して新しい許可を出すという法律上の構成になっておるわけでございます。ただ、国が完全に召し上げて、また国が思うところにやるというふうな制度になっておるのじゃなくて、前の人がやめれば、そのやめることを条件に、そういう相手方をさがしてきた人がある一定の条件を充足しておれば権利の引き受けが認められる、こういうつながりがありますので、やや本来の趣旨と運用としては離れた感じはございますけれども、制度の本旨としてはあくまでそういう考え方でございます。 それから第二の点はちょっと……
○久保委員 漁業権はいわゆる財産権の一種か。
○亀長説明員 その点につきましては、許可というものはわれわれは財産権だとは思っておりません。これは法律的な性格ではあくまで警察的な許可であって、本来財産権の発生すべきものではないのであります。したがって、いわゆる権利という扱い方はわれわれは毛頭しておりません。ただ特定の人に限って禁止を解除するということになりますれば、実際問題として経済的な価値が発生する、あるいは当然特定の人に制限せられる結果生ずる経済的な価値というもので、これが一つの価格を持つものとして経済的には評価されて動いておるということもいなめない事実であります。その点、やはり法律上のたてまえと経済の実勢というものとは必ずしもそぐわないという面が出ております。しかし法律上のたてまえとしては、われわれとして財産権、あるいはそういうことで少なくともそのことばからくる固定的観念あるいは財産的観念というものはできるだけ払拭をしてまいりたいと思っております。
○久保委員 いまのあなたの答弁だと、売買というのは漁業権そのものに対しては成り立たないはずですね。船はもちろん財産でありますから、なんですが、それをこういうふうに——あなたも新聞を読んでいらっしゃるとわかるのだが、広告で何十隻か毎日売りに出ている。買う者はこの商社に行って、あれを買いたい、こうやればうまいぐあいにいく。大体売ったり買ったりということが商売として成り立っているのだから、売ったり買ったりの契約ができさえすれば水産庁は継承許可ということで判こを押してくれるということが前提にいつでもなっているだろうと思うのです。そうでなければ、あなたが言ったように、漁業権というものは財産権じゃないということになりますからね。これは、漁業権は財産として処分をしようとしているわけなんです。財産権として取り上げるからには、水産庁でいま右から左とはいかなくても、大体右から左に無条件でそのまま認めてくれるということがあるから、財産として移動しているとは思うのです。だから、こういう制度については、私はしろうとでありますが、一ぺん一斉更新を機会にやはりきちっと検討をもう一ぺんしてみたらどうかと私は思うのです。私も検討はしますが、そういうところに問題が一つございます。ついてはこの一斉更新の場合には、いかなる理由かわからぬが、一ぺんとにかく——漁種の制限上二つの漁種について私が漁業権を持っているとします。その場合に一つは売った——売ったというか、どなたかに名義を貸した、そういうのが現実にあるのですね。どなたかに名義を貸してやっている、そういうのでも、一斉更新の場合にはやはり私に許可がもらえる。いわゆる既得権というか、そういうものが出てくる。だけれども私らの主張としては、そういう名義貸しというようなものを許すべきではないと思うのです。それから売買についても、あなたがおっしゃるとおり継承許可の範囲のあることでありますから、拒否されたものはあまりないと思うのですが、私は、中身をもう少しきちっと割ってみれば、漁業権の存在からいっても非常におかしいものがあると思うのです。そういうものには一斉更新の際には御遠慮願うというのがたえまえではなかろうかと思うのだが、これはどうですか。
○亀長説明員 現在許可の承継をし得る場合は法律上限定されておりますので、それに該当しないものはいわば正規の名義書きかえができない。そこで前の人の名前で新しい人が事実上やっておるという例は、漁業の種類によってかなり程度は違いますけれども、大なり小なり各業にわたってあるものと私は考えております。したがいまして、これは少なくともいまの漁業法というたてまえに立てば、当然これは制度上認められないことでございますので、一斉更新等の場合には、これについてはしかるべき処置を私どもとしても考えていきたいと思っております。ただこれも行政上のテクニックとして非常にむずかしい問題でございますが、名義貸しなりや前の人がやっておるのかどうかという点の把握というものは、これはなかなかむずかしいという技術上の問題がございますが、水産庁の考え方といたしましては、一斉更新の際にはこういうものはできるだけなくするという努力をやりたいと思っております。
○久保委員 時間もありませんから先にいきまししょう。 そこで一斉更新なり、あるいは指定漁業というか、そういうものを認可する場合は、やはり一歩進んだ形で今後——今後というか、もうやるべき時期じゃないかとわれわれは思っているのです。それはどういうことかというと、すでに三十七年か三十八年に運輸省、水産庁——海上保安庁も入ったかもしれないが、そういうものが連名でいわゆる漁船船員の給与体系の改善、こういうことを出しているわけです。その中身の一つは、御案内だろうと思うのでありますが、大仲制度による全歩合制度はもはや前時代的な給与体系であるから、これを改めて、固定給プラス能率給というか、奨励給というか、そういうものに直すべきだというのを毎年たしかそれぞれの向きに勧告をしていると思うのです。それによって運輸省は特に当面の職務として、この推進というかそういうものをはかっていると思うのでありますが、こういうものについて、一つにはやはり一斉更新の場合の条件といっては語弊があるのでありますが、そういう制度を取り入れているものに限って優先的に許可をしていくというようなことも考えていいではないか、こう思うのだが、そういう点は水産庁どうですか。
○亀長説明員 今度一斉更新がございますけれども、一斉更新の際にももちろん現在の要望に盛られておるような趣旨でわれわれ十分運用してまいりたいと思いますが、全部を白紙に返しまして、たとえば労働問題で非常に施策のいいところから許可をしていくというほどの積極性のある漁業法ではございませんので、やはりこれはそれぞれの労働法規でやっていただく、いまの漁業法では特段の事故と申しますか、そういうことのない限りは継続的に許可を与えられるんだという一つの保証条項も漁業法にはございます。したがいまして、一斉更新もまるっきり白紙でやるというわけにはまいりませんので、先ほど御質問ございまして私がお答えしましたように、労働関係の法規についてあくまで漁業法というものは協力的な立場でいく、こういうことでやってまいりたいと思います。
○久保委員 これは運輸省にお尋ねしますが、いま水産庁に申し上げたとおり、この給与体系はもう前々から問題になっております。しかし直ちに大仲制度廃止という法的な強制というか規制を加えるということはなかなかむずかしいということで、運輸省、水産庁の連名で指導要項として末端の指導をしてきた。その結果については、これは水産庁であとから資料を出してほしいのだが、そういう大仲制度を廃止して指導要項どおり移行している件数というものは漁種別にどの程度あるか、地域的に変化があるのかないのか、そういう資料はあとで出してもらいたいと思うのだが、少なくとももはやこれは法律的に規制というか規定をしてもいい段階ではないかと私は思うのです。これは水産庁の直接の所管ではございませんで、むしろこれは船員法によってきめていいはずだと私は思うのであります。そういう考えは運輸省としてはまだ持っていないのか、持っていないとすれば少し反省をしたらどうか、こういうふうにいま思っているわけであります。
○深草政府委員 お尋ねの大仲制度の廃止ないし是正でございますが、御承知のように、三十九年から行政指導をいたしております。その結果、三十九年の四月から十二月までの件数でございますが、廃止をいたしましたものが二百二十一件でございます。そのほか、これと考え方は同じようなものでございますが、全部の歩合給を一部固定給に切りかえたものが同じ年で四百三十八件ございます。それから固定給の割合を引き上げたものが六百四十八件、こういうことで逐次向上はいたしておるわけでございます。 ただ、これを法制化したらどうかという問題でございますが、御承知のように船員法の体系は一般の船につきましての基準が主でございまして、労働時間とかあるいは給与その他につきまして、漁船の特殊性を考えまして適用除外になっている点が非常に多いわけでございまして、これをどの程度一般の船に近づけるかという問題もございますので、御質問の件につきましては、今後水産庁とも十分連絡をとりながら検討してまいりたいと考えております。
○久保委員 どうも前向きで進むという話じゃないので、非常に落胆というかがっかりしているのでありますが、大体四年もやれば様子はわかるのであって、しかもこれからまたお話し申し上げる、たとえば船員法七十三条は、毎回御指摘申し上げるように、中身については何もきまっておらぬ。労働時間等についてきまっておらぬ。指導要項では、たとえば原則として八時間労働に近いようなもの、あるいは休日は少なくとも月二回はどうだろうというような指導要項をお出しになっているわけなんでありますが、その程度の規定を法律の中へ入れることは、漁業界の労働力、しかも優秀な労働力をこれからも持たねばならぬということであるならば、水産庁も運輸省も思い切ってやる時期だろうと私は思っているわけであります。いままでのように賃金は大仲制もしかたがないのだ、歩合給もしかたがないのだ。そうすると不漁の場合には一銭ももらえないで、前借ということで少しばかりの金を船主から借りて、その次たくさんとったと思ったら、今度は魚価が暴落して、魚の量はとったが値段はさっぱりで、それで前借も返せないというようなこと、そして働きづめに働いて、休みなどは全然ない。そうなれば当然、外洋へ出た場合に事故の原因にもなってくる。あるいは魚族資源の確保の問題からいっても、出たとこ勝負で、出てきた魚は根こそぎとってしまえというようなことが今日あるわけであります。これは漁業の将来を考えれば、もはやそういう態度ではいけない。われわれが主張するように、いわゆる賃金にしても労働時間にしても、きちっと近代的なものに置きかえていくということが私は必要だと思います。それをいまの答弁のように、どうもなかなかできないということでは、一斉更新しても、日本の漁業界というのは、なるほど一斉更新で漁業権は更新したが、中身はちっとも更新しないで、明治か大正の時代と同じである。海難は続くし、りっぱな労働力は海にはこない。特に魚とりのほうにはこないということになってしまった場合は、はたして日本の漁業はどうなるか。さっき申し上げたとおりであります。そういう点から言っても、もう少し精を出してやるべきだと思うのです。くどいようだが、水産庁と運輸省の考えをもう一ぺん聞きたい。大体運輸省は作業はどうなっておるのか。小型船舶はもう終わったころだ。その次に漁船という約束だが、もう終わったでしょう。今度は漁船に手をつけるのはあたりまえです。それはどうなっているか。
○深草政府委員 お説の点につきましては、当初大型船につきましてやりまして、次に小型船、その次に漁船でございますが、漁船についてはまだ終わっておらないのが実情でございます。
○久保委員 大臣、突然お尋ねしてはちょっと悪いのだけれども、いまのように、いわゆる船員法にも白紙の条文があるのです。そういうものが実はいまだ手がつかぬでいるわけであります。従来からわれわれはこの条文を埋めるようにそれぞれの手続を踏んでほしいと言うのでありますが、いまの官房長の答弁では、まだ漁船にまでは及ばない、こういうことなんであります。この及ばないというのは、運輸省の仕事の量からいってできないということではなくて、水産庁と歩調がまだそこまでそろわぬというふうにわれわれは聞いているわけです。だからむしろ水産庁と歩調を早く合わせてそれぞれの手続をとったらどうか、こう思うのです。突然のお尋ねで恐縮なんでありますが、あとで官房長からよくお聞きいただいて、最も前向きで考えていただくようにくふうをしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
○深草政府委員 その前に審議の実情を御説明いたしますと、船員中労委に昭和三十八年十二月に小型船等の小委員会が設けられまして、これは労働時間に限って申しますが、昨年の七月に小型船については一応の結論が出ております。引き続いて漁船関係について審議を行なっておるわけでございますが、漁船関係につきましては一応の実情調査は終わっておりまして、航海あるいは操業、停泊、それぞれ労働時間の区分がございますので、これが規制の核心をなすものでございますので、その点について現在議論をしておる段階でございます。小委員会が設置されまして、漁船関係につきましては十二回審議が行なわれておる実情であります。
○久保委員 そうしますと、官房長、あなたのいまの答弁だと、やってはいるわけですね。それではおよその見通しで、結論はいつまでにつきますか。
○深草政府委員 今年内には結論が出る見込みであります。
○久保委員 わかりました。 次にお尋ねしたいのは、これは前にも何回かお尋ねしておる古くさい話でありますが、いわゆる漁業の許可条件は、従業制限というか、そういうものでやっておられるわけですね。ところが指定漁業の許可条件は、総トン数というようなものでこれを許可しておるわけです。この総トン数による許可ということになりますと、船員労働の問題と、もう一つは船舶の安全の問題とで大きな支障があるということを何回かここで指摘しておるわけです。だからこれは少なくとも漁種別にその基準をきめるべきではないかという主張も前回からやっておるわけでありますが、この総トン数を許可基準とするやり方については、まずいと思うのだが、これは水産庁ではどう思っておりますか。
○亀長説明員 御指摘のとおり、現在漁船に対して、大部分が漁業の種類別に総トン数の規制を行なっております。ただしこの総トン数、これは各漁船の総トン数でございます。したがいましてこれに対する例外的にトン数をふやせる場合の扱い方につきましても、各漁業の実情によって多少相違をいたしております。また若干ではございますけれども、船員設備を拡充する場合には現在二割ないし一割の範囲内によってそれぞれ総トン数の増加が無条件でできるたてまえになっております。この総トン数制が妥当であるかどうかということでございますけれども、現在の漁業の許可制度、ある特定の人にしか漁業をやらせないという制度にいたしますと、その制度というのは、やはりこれは魚の資源の全体から見てその程度の船の数、許可の数しか適当でない、こういう考え方になるわけであります。しかし一たん許可をもらった以上、その人だけは幾らでもトン数をふやす、船を大きくしてもいいのかという議論が出てまいりますと、これは特定の人にだけしぼるというより、逆に小さい船でもっと数多くの人にやらすべきではないかという議論も出てまいるわけであります。したがいまして私どもとして、現在漁業の規制の方法として許可制度というものをとる以上、船のトン数だけは無条件に上げてよろしいのだという制度はやや公平を欠いた制度になるのではないか、かような考えを持っておりまして、現在までのところ、この総トン数制限が過去ずっと踏襲されてきておるわけでございます。ただその結果いろいろ人命の問題であるとか、船舶安全だとかいうふうな問題も出てまいりましたので、われわれとしましては、このトン数制限に併用しまして、漁船の性能基準をきめるとか、あるいは操業区域の制限を行なうとか、そのほかの規制を併用しまして人命の尊重、漁船の安全という趣旨に沿っていろいろ努力しておるつもりでございます。ただ、最近特に漁船の事故が非常に多いということにもかんがみまして、私が最初申し上げましたような論理から申しますとかなり問題はあるのでございますけれども、現在のままの漁船の各種の規制は別として、漁船のあり方がいいかどうかという点については、私どもとしても十分注意をしなければならぬ、かように考えております。したがいまして先般来、漁船に荷物をどのくらい積むのが妥当か——事故の大部分がとかく積み過ぎというふうなこともございますので、そういう問題についても過去数ヵ月来運輸省に御協力を願いまして、載貨基準と申しますか、このくらい荷物を積むのが適当であるという基準を設けて、今後漁業者にもその基準に従って漁船を運航するようなことを奨励してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○久保委員 いまあなたのお話では載貨基準まで話を言及されましたが、載貨基準は船舶の安全性の問題だけでございます。もう一つこの許可の制度に対して申し上げたのは、乗り組んでいるところの漁船船員のいわゆる労働環境あるいは健康というか、そういう問題からいっても、やはり載貨基準を一応のあれとしてやるけれども、それだけでは十分じゃないとわれわれは思っているわけです。だからそういうことからいって、これは運輸省にお尋ねしたほうがいいと思うのでありますが、この許可の方法は、いわゆる総トン数というのはこの際少し考え直して、載貨基準では総トン数と結び合うことができますが、繰り返し申し上げておるように、船員の健康の問題、あるいは航海日数の問題、あるいは居住区の問題、こういうものをあわせ考えれば、載貨基準ではこれは解答は出ない。だからやはり総トン数許可というものはこの際もう一ぺん考え直したらどうか、こういうふうに考える。ついては、一つの案として積みトンというものもあわせ考えて、適正な比率によってこの基準をきめてやっていったらどうかというような考えも一つにはあるわけであります。この点についてどういうふうに考えているか。 もう一つは、載貨基準、安全性の問題とは別に、さっき繰り返し申し上げたような点から見て、この許可にあたっての総トン数制というのは改むべきだと思うのだが、この点はどう思うか、もう一ぺん聞きたい。
○亀長説明員 ある漁業によりましては、たとえば新しく漁業の許可が行なわれる、新しい資源が開発される、そういうような場合には、いわば新しい事態をつくるわけでありますので、そういう場合にはわれわれとしましても、いま先生から御指摘のように、漁船の船員設備基準をきめまして、それの適用が該当するような漁船を持ってきたものだけ許可をするというふうな制度を逐次取り入れております。しかしながら従来からある漁場で、相当人も多い、漁船の数も多いというふうな場合に、一挙にそれをすぐ実行に移すということは困難な面もございます。したがいましてわれわれとしましては、できるだけ新しい漁業については御趣旨のような点も許可に際して取り入れる、あるいは従来からの古い漁場については漁獲力がふえない、資源の枯渇も来たさない、あるいは、許可をもらっていない人の目から見ても、これはもらった人がその程度ふやすのは合理的であると思われるような妥当な範囲で実施をしていくほかはないのではないか、かように考えております。しかしながら、そのように新しく開発された漁場に出ていくというような場合には、船員設備基準というものを許可の基準として設けております。逐次そういうものを取り入れていくという考え方でやっております。
○久保委員 船舶局長にお尋ねしたいのだが、船舶載貨基準というのを水産庁と共同歩調でおつくりになったというお話がいまありましたが、これは運輸省としても、載貨基準というのは安全性からいって認めているというのでありますかどうか。
○芥川政府委員 ただいま農林省のほうからお話のございました載貨基準の作成につきましては、私のほうも協力をしてこれを作成したものでございます。それでこれを安全法の中へ取り入れてまいります点につきましても、ただいま水産庁のほうと協議しておるわけでありますが、具体的なやり方としましては、たとえば造船技術審議会に一度かけまして、そして安全の見地から妥当であるということが出ましたら、それを一つの安全の基準としてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。詳細については今後水産庁のほうと打ち合わせながらやってまいりたいと考えております。
○久保委員 そこで、載貨基準は法制化の段取りに進むだろうと思うのですが、そういうことで話を進めておられるのかどうか。もし法定されるとするならば、おおよそこれからどれくらいの期間内においてできるのか。これはどうでしょうか。
○芥川政府委員 安全のほうの見地から申しまする載貨基準、これをどう実施するかは、ただいま御説明申し上げたように、詳細は水産庁と打ち合わせておりませんけれども、安全法できめておりますいわゆる満載喫水線、つまりそれをオーバーして積めば直ちに罰則を適用するというふうな考え方をとるか、あるいは一つの指導の基準といいますか、たとえば漁船のような特殊の航行形態をとるものにつきましては、晴天の日はそれを若干オーバーしてもかまわない、けれども荒天のときはそれをオーバーしないというふうな弾力性のある運用をするか、これは今後の問題でございまして、詳細は種々打ち合わせてきめてまいりたいと思います。なお実施の時期につきましては、せっかくこの指定漁業の一斉更新が行なわれるにつきまして、これに対しましてこの行政措置が役立つように実施すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
○久保委員 私どもの考えでは、もう乾舷マークというか満載喫水線というか、こういうものは法制化してもいい時期だろうと思っているのです。問題は、いつでも水産庁のほうにこういう問題が問題として残るわけでありますが、生産部長としてはどういうふうに考えておりますか。乾舷マークをつけることについて。法定化するということについて。
○亀長説明員 この載貨基準なり乾舷マークをつけることについては、私どもとしましても、当面はやはり関係業者を指導して、できるだけこの基準に近づけるというふうな方向でやってまいりたいと思います。それから漁業によりましては、当然、先ほど御質問のございました漁船の総トン数に対する例外と申しますか、緩和等もはからなければなるまいと思っておりますので……。
○久保委員 時間がないようで何かたいへんそわそわしているようですし、いつも大体採決のときだけたくさん集まってくるが、あとは散っていくのが定石なんです。そのあとはきょうは言わぬ。言うとまた議事録を訂正しなければならぬから。この次からはかんべんしない。 そこで私は結論的に申し上げますが、一斉更新、先ほど来申し上げておるように来年からでありますが、少なくともこれを法律化するかどうかは実際はいろいろ問題があろうかと思うのです。あろうかと思うんだが、もうだいぶ試みにお使いいただいておるわけでありますから、またこういうものをつけることがどこでも常識的になってきたんだから、安全を守るという立場からいえば、当然政府の作業としてはこれを法定化する、船舶安全法でやるのか、あるいは漁船法でやるのか、どっちかわかりませんけれども、結論としては、これはとにかくやっていくというたてまえで前進してもらいたいと思うのです。 それともう一つは、新しく来年許可を一斉更新するのだから、更新するときには、乾舷マークなどはどうでもいいんだという態度の漁業者に対しては一切許可は与えないくらいの気がまえが必要だと思うんだが、その心がまえのほうは、水産庁どうですか。
○亀長説明員 載貨基準、乾舷マークについて、私どもとしましても、できるだけこれは実施をするという方向で進みたいと思います。一斉更新の時期が参りますが、それにつきましては、その時期までに強制化、法制化するということについては十分検討した上で措置をしたいと思っております。と申すのは、やはり漁業の種類によっては、相当総トン数の緩和を認めなければ実行不可能な面がございます。したがいまして、そういう問題とあわせまして、できるだけ早く検討したいと考えております。
○久保委員 検討されることはけっこうだが、漁船によっては、漁種によっては総トン数を考えねばならぬ、こうおっしゃいましたね。それは過去において経験がある。ボーナス・トン数というのが、ボーナス・トン数じゃなくて、現実には魚を入れる倉になった、船倉になった。ほんとうは人間のためにスペースをよけいとる、そのために増トンを許可したのだが、実際はそれは守られないで、人間を入れるのじゃなくて、魚を入れるほうをふくらましてきたということが現実にあるわけですね。だから、いまやっているボーナス・トン数さえきちっと守れないところで、あなたの答弁はああそうですかと私は聞きたくないですよ。技術上からいっても乾舷マークなどは強制できないという主張かもしれませんが、私は乾舷マークをつけるという態度が先であって、そのあとの措置はあとでいい、こういうふうにさえ極端に思うわけであります。いずれにしても、早急に乾舷マークについてはきちんと整理をしていただきたいということを要望しておきます。 それから、あなたの答弁は忘れません。そういうふうに検討するというのでありますから、検討というのは二年も三年もかかるはずはないのでありますから、あなたがいまの現職におられるうちぐらいには少なくともできるだろうと思うので、あなたは何年になるかわからぬが、大体役人は一年ぐらいたつと羽がはえてどこかへ飛ぶのが定石でありますから、きょうあったのだから、来年のいまごろには間違いなくいけると思うから、忘れません。 あと二、三あるのだが、それではまた来週一ぺんもう少し整理して、同じことはやりませんけれども、来週に延ばすことにして、本日はこの程度にして打ち切らしていただきます。
○古川委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。 目下地方行政委員会において審査中の、地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)、地方公営企業法の一部を改正する法律案(安井吉典君外九名提出、衆法第三八号)、地方公営企業財政再建促進特別措置法案(安井吉典君外九名提出、衆法第三九号)公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(安井吉典君外九名提出、衆法第四〇号)について、地方行政委員会に連合審査会の開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古川委員長 御異議なしと認め、よって、さように決しました。 なお、連合審査会を開会いたします場合の日時等につきましては、地方行政委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。 次会は、明二十五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十九分散会