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51回国会衆議院1966/04/20

運輸委員会 第28号

発言数
62
登壇者
10
会派数
3
開催日
1966/04/20

会議録

古川丈吉自由民主党

○古川委員長 これより会議を開きます。  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。竹谷源太郎君。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 自動車損害賠償保障法案につきましては、たくさんの委員からもろもろの方面からの御質問がありましたので、あるいは私重複するようなことがあるかもしれませんが、どうか温厚なる委員長のお許しをいただきたいと思います。  この法案について二、三の点について御質問いたしたいと思います。  最初に、この法律の第三十四条、第三十五条を改正して、審議会の委員十一名を十三名として、二人定員を増加する。一人は関係行政官庁、他の一人は学識経験者、各一名を増加するという改正案でございますが、関係行政庁というのはどういう方面から選ぶのであるか、また学識経験者についてはどういう部門の学識経験者を選ぼうとするのであるか、その点お伺いしたいと思います。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 現在委員の定数は十一人でございまして、うち四人は行政機関の職員のうちから大蔵大臣が任命し、七人は民間から大蔵大臣が運輸大臣の同意を得て任命することになっております。今回委員を二名増員することにいたしましたのは、被害者保護、交通安全の行政分野において地方公共団体の果たす役割りが非常に大きいこと、及び原動機付自転車を責任保険の対象に加えることに伴いまして、この付保率を確保するために市町村の協力を得ることが必要である、さように考えられるのでありまして、地方公共団体を管轄する自治省の参加を求めることを予定しております。学識経験者である委員につきましては、ただいまのところどの分野からということについては予定しておりません。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 今度原動機付自転車も保険の対象に入れるということになるので、これに関係の深い地方公共団体関係から選ぶというのは行政官庁であり、他は学識経験者、これはまだ方針が決定していないということでございますが、これは委員でございますから、執行機関ではないので、多少数がふえてもそう支障はございません。ただ、こういう委員などは、あまり人数を多くすると責任が分散をし、数ばかり多くなってかえって審議が粗雑になるという危険なきにしもあらずと思うのですが、この点いかがでありましょう。経費を多く要することになって、しかも何ら実効があがらない、こういうことでは法の趣旨に反すると思う。他の法案等においてもいろいろな審議会の委員を増加する、あるいは公社、公団等の理事、役員等を非常に増加する傾向が最近非常に強い。これはむろん執行機関ではございませんから、随時必要に応じて委員が集まって審議をする、こういうのでありますから、その弊害は比較的少ないと思うのでありますが、十一名も委員があって、各方面からそれぞれの学識経験者あるいは関係者が出ておるのであって、員数をあまりふやすということはおもしろくないと思う。運輸大臣いかがに考えますか、お考えをお聞きしたいと思います。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 この審議会の使命にかんがみまして、非常に重要な役割りをやっていただいておるわけでございますが、ほかの委員会に比較しましてもそう人数が多いというふうには考えられません。運営について十分内容を充実していきたい、さように思っておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 大臣から答弁ないですか。

中村寅太自由民主党運輸大臣

○中村(寅)国務大臣 審議会の運営あるいは構成等につきましては、いま局長の言ったとおりでございますが、今後は指摘されたような点を十分注意をいたしまして、運営がスムーズにいくように努力をしてまいりたい、かように考えております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 いたずらに委員ばかり多くして、そしてたくさんの人によく相談したのだから官庁としての義務を果たしたというような責任のがれの態度じゃなしに、りっぱな審議会の運営を行なえるように、大臣としては十分御留意願いたいと思うのです。最近、政府はすべての問題について何もかもいろいろな審議会、委員会等をつくって、それにかければ十分に審議したかのようなカムフラージュをして責任をのがれるという傾向が非常に強い。この点、十分この問題につきましても御留意あらんことを希望いたしておきます。  次は、法律第四十条を今度改正をして、原動機付自転車を保険することになりますが、これにつきましては政府が再保険をしない、こういうことにしよう上しているようであります。その再保険に付さない理由を、たくさんの委員からいろいろな角度で御質問がありまして、いろいろその理由を聞きましたが、どうも私はその答弁いずれにも納得がいきません。  そこで、結論だけお尋ねしたいのだが、この原動機付自転車については政府が再保険をしなくとも十分やっていけるという見込みが立つからやらないという結論でございますが、しからば同じような料率、その保険事故に相応する料率で一般自動車もやっていけば再保険をしなくとも十分だ、こういうことになるならば、従来の自動車に対する再保険もやめてもいいんじゃないかということになりますが、これは大蔵省どうお考えですか。今度やる原動機自転車については再保険をしなくとも確実に保険金が支払えるということであり、きょうわれわれの手元に配付された原動機付自転車の保険料率の算出基準という資料、これはまだ十分私検討しておりません、数字的にこれと従来の自動車に対する保険料率との関係を検討いたしておりませんけれども、このような算出基準によって行なうところの原動機付自転車の保険料率でいけば、再保険をしなくとも心配はないというようならば、これは従来の自動車についての保険料率等と相照応させてできたものであろうと思うし、原動機付の自転車については再保険の必要がないというならば、従来の四輪車も、一般自動車についても再保険の必要がなくなる、こういうことになりはしないかと思うのですが、この点いかがですか。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 お答えいたします。  この問題はいままで御質問も数々ございまして、大蔵省あるいは運輸省からも答弁をいたしておりますとおりでございますが、重ねて申し上げますならば、再保険の必要性、その意義の根本と申しますのは、それに伴う危険負担の分散であろうと思います。したがいまして、この自賠責法が発足いたしました当時におきましては、いろいろと未知の要素が多うございました。民間だけでこれをやらせるという場合には、この制度の運用につきましていろいろな支障が起こるのではないか、こういう問題がございまして、現在のような再保険制度が立てられておるわけでございます。その後十年たちまして、いろいろと経験も積み重ねてまいりましたし、料率の算定のやり方もかなり改善されてきた。こういう時期に原動機付自転車を新たにこの制度の対象に組み入れることになるわけでありますけれども、その際に、御承知のとおり車両数にいたしまして、原動機付自転車の車両数は自動車とほぼ匹敵するほどの数、ボリュームがございます。また一方におきまして、原動機付自転車の起こします事故率と申しますか、あるいはまた事故の態様、一事故によって引き起こしますところの損害の金額と申しますものもそう大きくない、こういう見きわめがついておりますので、この際いままでの経験等から考えまして、原付自転車を入れるに際しましては国の再保険の必要性はもはやないのではないか、このように考えたわけでございます。  先生おっしゃいますように、しからばいままでの自動車についてももはや再保険の必要はないのではないか、こうお考えになろうかと思いますが、そのような意見も一部にはございます。しかしながら、何ぶんにもこの自賠責制度と申しますものは、第三者保護のためにこの制度が円滑に運用されていくということが主眼であろうかと思います。したがいまして、現在の自動車につきましてはなお今後の検討にまちたい、このように考えておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 一般自動車に比べて原動機付自転車のほうが事故率が少ない、三分の一くらいだということで、この保険料率もそのように低くなっておるだろうと思う。しかるに数からいいますと、原動機付自転車は一般自動車と同じように、七百万台もある。やはり事故は七百万台の一般自動車の三分の一くらいは発生するわけなんです。それに応じて保険料率も決定されているのだろうと思いますが、これはどうも一般自動車と原動機付自転車とを、力は再保険に付し他は付さないというけじめをつける理由がないように思うのです。もし危険分散をして被害者を十分に保護するという立場から再保険が一般自動車に必要であるとするならば、原動機付自転車についても同様でなければならないし、原動機付自転車の場合、この保険料率ならば再保険しなくとも十分これは心配なしにやっていけるという確信があるならば、むしろ原動機付自転車を持つ人は一般自動車の所有者に比べて、資力も少ないことであろうと思う、負担能力も乏しいのであるから、原動機付自転車の保険料率はもっと下げて、そして原動機付自転車所有者の利便をはかるようにする。しかしそれが一般の被害者に影響を及ぼす危険があるならば、再保険を一般自動車と同じようにやって、料率も低めていくというのがほんとうではないか。従来の自動車に相変わらず再保険でいく必要があるならば、今度は原動機付自転車につきましてはここに示された料率よりも保険料率を下げて、そして資力の乏しい人が持つところの原動機付自転車に対しては負担を軽からしめて、しかも被害者には何ら支障がないような賠償もできる、こういうふうに原動機付自転車についても一般自動車と同じように再保険に付す、その危険を分散さすために政府がこれを再保険するというふうにするほうが、一般の被害者に対しても、また原動機付自転車の利用者に対しても非常に親切な、合理的なやり方ではないかと考えられますが、この点いかがですか。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 お答えいたします。  再保険をすることと保険料率との関係でございますが、国が再保険をいたしますれば、国の再保険料率と申しますか、国の収入すべき保険料が安くなるというシステムではございません。御承知のとおり国は六割、民間は四割、こういった四対六の比率でもって純保険料を分け合うわけでございます。それから、純保険料率というのは、御承知のとおり、事故率、従来の保険成績、この実績をトレースいたしまして計算をいたしておるわけでございまして、国が再保険をするからそこに補助的に保険料率をまけるという思想は、この制度にはないのでございます。のみならず、現在運輸省におきましては再保険特別会計の運営をされております、そのための経費、これは一般会計からの繰り入れによって補てんしておる。したがいまして、その再保険関係の事務費につきましては別に付加保険料と申しますか、経費率を付加していない。純保険料につきましては四、六の割合で分けている。なお、保険会社のほうの再保険関係の事務的経費、これは付加保険料の中に入っております。したがいまして、どちらかと申しますと、保険料率といたしましては、再保険をしないほうが若干、ごくわずかでございますが、低くなる、こういうシステムでございます。再保険する、しないといいますのは、保険料率の負担云々ではなくて危険の分散、こういう問題でございます。原付自転車につきまして再保険をして料率を安くしたらどうかという御質問でございますけれども、そのようなことにはいたすわけにはまいらない、このように考えております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 その点はわかりますけれども、しかし保険料が相当高い。そして十分資金の蓄積が保険者においてできるということになれば、支払い能力が十分できてくることは間違いない。だから、料率と保険金との関係はその意味では関連ができてくるだろうと思う。そうした場合に、一般・の自動車については政府が六割の保険料をとって保険金を出す、こういうことにして危険を分散するというのですが、一面において、いま農業協同組合その他からこの保険を自分のほうにもやらしてもらいたいという意見も出ておる。もしそういうようなことになれば、そういうところは資力の貧弱な、従来の保険会社よりも資力の貧弱な場合もできてくるのではないかと思う。そうだとすればなおさら、危険負担を分散してこれを政府も受け持つ、こういうふうなほうが円滑な運営ができると思うのですがね。むしろ私はその点、別の方法で保険料率を下げながら、その危険負担は政府も受け持つということにして、自動車所有者の負担を軽からしめる。そして被害者の利益を損傷しないようにするほうが妥当ではないか。どうも一般自動車と原動機付自転車につきまして再保険について差別を設ける理由は、全く見当たらないようにも思う。原動機付自転車については再保険をして危険分散をする必要はない、こういうのであるならば、一歩進んで、自動車も原動機付自転車もともに保険料率をもっと下げて、もしくは同じならば死亡の場合、保険料率を上げないで、百万円に今度五十万円増加しますが、二百万円なり二百五十万円なりにこの保険金を上げることはできないだろうか。そこまでいけないかどうか。そんな方法をとるべきではないか。どうもこの仕事はもうかるんじゃないか、こういう疑いを差しはさんできます。それならむしろ、百五十万円をこの際二百万円くらいにしたらどうか。現実の問題として最近、この自動車の事故による死傷等に対する損害賠償の金額に関する判例も、どんどん上がってきております。現実にもたくさんの支払いをしなければならぬような状況になっておる。そうしますと、自動車所有者に対して、事故発生をした自動車にとっては、この保険金額が高くなればそれだけ負担が軽くなる、こういうことになるのでありますが、この点いかがですか。今度死亡について保険料率を上げないで百万円だったものを百五十万円に上げた。これを二百万円なり二百五十万円くらいまで上げられないものかどうか、この点もお伺いしたいと思います。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 先般この委員会に提出いたしました保険金額の引き上げに関する保険料率の算出の基礎につきまして御説明しましたように、現在の営業保険料を据え置きましても、純率部分には七〇数%以内、つまり実際の事故率等から考え合わせますと、七八・九%で足りる。つまりその逆数の二一・一%、この部分が余裕がある。こういうところから、現在の保険金額百万円を百五十万円に上げる、あるいは傷害の限度額も上げる、後遺症の金額も上げる、こういう計算をいたしました結果、一〇四・四六%となる。一〇四・四六%となると、現行料率で若干はみ出しがある。しかしそのはみ出し部分は、従来の保険料の中には既往の赤字を償却するために積み増している、つまり純粋の純率にプラス既往の赤字償却分というものが入っているので、現在の成績をながめます場合、もはや赤字は償却してしまっている、そういうぐあいに考えられまするので、このはみ出す部分は、赤字償却分、黒字が若干出ている、そういうものを逆に償却することによってとんとんでいくのだ、収支がペイするのだ、こういう計算が出ましたものですから、保険金額の引き上げ、給付内容の改善を料率据え置きのままやることにいたしたわけでございます。  それでは、百五十万円を二百万円、あるいは二百五十万円に上げることはできないかという御質問でございますけれども、これは現在の保険成績あるいは事故率というものから考えまする場合は、どうしても保険料率を上げないと、そのような保険金額の引き上げは、いまも御説明をしましたような数字になりますので、これは不可能であると考えております。  再保険を国がいたしますればもっと保険金額を上げられないか、このような御質問、これは前にも別の委員の方から御質問がありましたのですが、これは何度も御説明しますように、国が再保険をすることによって料率を下げるといいますか、料率をまける、こういうシステムではございませんので、国の再保険云々と保険金額を引き上げる、あるいは料率を下げるということとは関係がないというぐあいに御了解願いたいというふうに考えます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 現在の支払うべき保険金額では二、三〇%くらい金が余る、こういう計算が出ておるようでございまするが、しかるに、今度死亡については五〇%、百万を百五十万、それから、死亡に至るまでの医療費等については従来が三十万円ですか、それを五十万、すると、これは五、六〇%上がることになる。そうしますと、三〇%弱の余裕しかないのに五、六〇%も支払うべき保険金を増額する、こういうことになると、計算上どうも赤字を出すこときわめて明瞭なふうに見えるのですが、この点はいかがですか。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 保険金額、死亡の場合は百万が百五十万に上がります。といいますのは、約五割ほど保険金額としては支払い要素としては上がることになりますが、傷害は御承知のとおり、限度額が三十万ということになっておりますので、現実のいままでの支払いの平均を見ますと、十五、六万ないしは二十万足らずというようなことになっておるわけでございます。つまり、軽傷もあれば重傷もある。したがいまして、非常に少ない支払いで足りる方から、最高は限度を突き抜けてたくさんのものを払わなければならない、こういういろんな要素があるわけですが、その限度が三十万というぐあいにきめられておるのを、今度は五十万に引き上げるわけでございますので、その限度額の引き上げ率と同じだけ支払い金額が上がるということにはならないわけでございます。もっと下のほうでとどまる、こういう計算が従来の実績から可能でございますので、いまおっしゃいましたように、計算が合わないではないかと言われますけれども、これは限度だけ比べますとそうなりますけれども、平均支払い金額でいきますと、ただいまの約二二%でもって現在考えておりますところの給付内容の改善が可能である、こういう計算になっておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 保険の別の問題についてお尋ねしたいのですが、この自動車損害賠償保険という仕事は、保険といいましても一般の生命保険や損害保険とは違いまして、いわゆる相互保険的なものではなしに、むしろ国民一般、不特定のいつ起こるかわからぬ事故に対する補償という非常に公共的な仕事である。こうした仕事は全部国営でやるべきではないか、そして被害者に対する万全の救済を行なうのがほんとうではないか、こう思いますが、この点については運輸省並びに大蔵省はどのようにお考えか。最初は国営でやろうという考えもあったやに承っておりますが、いまこの問題をどうお考えになっておるかお尋ねしたい。運輸省と大蔵省両方からお伺いしたいと思います。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 本保険は被害者保護のために自動車保有者に、いわば国家権力によりまして付保を強制しております、まことに特殊な保険でございます。自由意思に基づく保険と違う。そういうことからきわめて社会保障的な色彩の濃厚なものでございますだけに、これを受け入れる保険は営利性を排除した相互保険または国家保険でやるべきである、そういった議論が立法当初から盛んに行なわれたわけでございます。そういったことで、国が現在六割の再保険をしているということは、そういった声にこたえまして、この強制保険の運営において国が積極的に関与しているという実をあげている、そういったことでございますので、われわれとしては現在の制度でよろしいのではないか、さように思っておるわけでございます。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 ただいま自動車局長からお答えがございましたことと大体私ども同感でございますけれども、強制保険であるということが必ずしも国営保険でなくてはならぬということには実はなりません。御承知のように、原子力の災害のための保険制度がございますけれども、これは現在保険会社において取り扱っておるものでございます。これについては、もちろん国営ではございません。のみならず、国の再保険ということも実は行なわれておらないわけでございます。要はそういう保険の仕事というものが現在の損害保険会社の業務としてきちっと行なわれるかどうかというところにあるわけでございまして、そこが制度の目的に沿って確実に行なわれるということであれば差しつかえないわけだと思います。ことにヨーロッパ諸国の例、先生も御承知のように、これは全部民営保険の仕組みに乗せて行なわれておるわけでございまして、国による再保険というものも実はヨーロッパではどこにも行なわれていない、わが国のいわば独自のしかけというような面もございまして、その点は私は、国営でなければ目的を達し得ないというものであれば、先生のおっしゃるようなことになろうかと思いますが、その点は今日そういうことではなく、民営によって十分行なわれるということだと考えております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 一般の保険営業と違いまして、これは当局も認めておりますように、社会保障的な制度でございます。したがいましてこれをできるだけ安い料率で、しかも被害者に対しては可能な限り高額の賠償ができるようにする、そのためには各省が十分この保険事業については国家的な管理統制を加えておるから弊害もなかろう、こういうことでございますが、しかしやはり営利会社に行なわせる以上は損害のないようにさせなければならない、また査定なども非常に厳重に行なわれて、十分の保険金が支払わられておらないというような問題も起こってくるのであるから、これは国営でやって、その事務をそれぞれの保険会社あるいは協同組合等そういった団体に行なわせればいいのであって、国家機関が末端までの事務を行なう必要は一つもございません。根元を国家が押えて、できるだけ安い料率で、そして十分なる補償ができるような制度にしまして、事務をそれぞれのこうした機関に行なわせるように、適当な営利会社やその他の団体があればこれを通じて行なってもいいが、根本は国営でやるほうが一そう低い料率で、しかも十分なる補償ができるのではないか、こう思いますが、これはいかがでございましょう。この仕事で保険会社やその他の団体は一文ももうける必要はないはずだ、事務費をまかなえればそれでいいと思うのですが、そういうふうにすれば一そう合理的な、この法律の目的を達し得るような仕事が可能になると思います。いかがでございましょうか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 この点は私こう思います。料率が安ければ安いほどいい、これは先生のおっしゃるとおりだと思うのでありますが、先ほどから保険二課長が御説明申し上げておりますように、その料率というものは一体何できまってくるかといえば、やはり事故の発生率と申しますか事故率、これのいわば長期観察からくる大数法則からきまして出てくる筋合いのものでございます。もし先生のおっしゃるような趣旨で大数法則で一応計算をしてみるけれども、その出た料率をもっと下げて加入者負担を軽減しようということになりますと、そこでどういうことが行なわれなければならぬかということになりますと、おそらくはその場合に、つまり第三者が何らかの形で負担をしなければならぬ。国営というと、おっしゃる意味はおそらく国庫負担をしろということではなかろうかと思います。現在でも御承知のように厚生年金保険とか、あるいは共済組合の年金あるいは健康保険、ああいったような保険三法等において見られますような点は、確かに給付費について国が補助をいたして、国庫負担をいたしております。しかしそういう国庫負担をする必要があるかどうかという問題として、これは考えなければならぬと思います。しかしこの場合に、自動車によって人身事故を起こした、そうしますと、その人身事故に対しては当然民事上の損害賠償をしなければならぬ。これはやはり私人と私人の関係でございまして、そこはやはり自分の責任においてけがをさしたからには、自分の責任においてその賠償をしなければならぬ。ただ、その場合に、いつ事故が起こるかわかりませんので、そういう不測の事態に備えて何らかの形でそういう危険の分散をしておくという必要は、これはあると思います。それはいまの保険制度によって分散をしていく、非常に合理的な制度になっておると私は思います。したがって、いわゆる厚生年金保険でありますとか、各種社会保険の制度といったようなものとは、どうも私はこれは本質的に違うのではないか、こう思います。したがって、現行制度をもって、むしろそのほうが合理的であるというふうに実は考えておりますので、御了承いただきたいと思います。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 一個人があるいは一私法人が他人に故意または過失によって損害を与える、それを賠償する、これはむろん民事上の問題でございますが、交通事故は、時世の進運に伴うスピードのある交通機関というのは、社会的必要から出てきている。しかもその走る道路は、国家や公共団体が施設したものであり、また交通標識やその他も公共的なものである。事故が起こる問題は、必ずしも一私人の故意、過失のみとも言い切れない、どちらかわからない、判断に迷うような状態が非常に多い。社会全体の活動のための公共的な一つの事故の場合が多い。そういう点から勘案をして、自動車のほうのみに責任が全部あるとも言い切れない。被害者にあれば、むろんその損害賠償の額はそれだけ軽減されるわけでありますが、どっちにもつかないような、時代の必要による公共的なスピードという不可避なものが事故を起こす事態が、非常に多いと私は思います。そういう観点から、これはやはり公共的な事故の分野も多一ので、この問題は普通の、ある人が他の人に不法行為を行なった、その賠償を保険するのだということで割り切ってしまっては、これはあまりに問題の解決が簡に過ぎる。もっと深いところに交通事故という問題が存在するのであるから、そういう点を重視して、この問題は被害者に大きな損害、苦痛を与えるものであるので、私は、これは国営で行なうべきものである。普通のいわゆる損害賠償という問題とは、別の要素が入っている問題である。こういう観点から、私はこの事業は国営で行なうのがほんとうではないかと思うので、いまのような議論をするのでございますが、これは普通の単なる不法行為の賠償とのみ片づけないで、問題を今後考えていただかなければならぬ、こう思います。これは議論にわたりますので、この程度にいたします。  次に、この保険につきまして、農業協同組合等から、自分にも扱わしてもらいたいという要望が熾烈でございます。ところで現在共済保険をやっておる団体、またその事業等を見ますと、ずいぶん多いように思う。その一例をあげますと、火災共済協同組合あるいは農業協同組合、全国水産業協同組合共済会、日本食品衛生協同組合、全国食糧事業協同組合連合会、日本専門店連盟、あるいは東京都個人タクシー協同組合、生活協同組合——生活協同組合はたくさんいろいろとある。労働組合でも、国鉄労働組合、全造船労働組合連合会あるいは東京旅館業環境衛生同業組合、全国理容環境衛生同業組合連合会というようなもの、また公法人でも都道府県会館あるいは全国公営住宅共済会、全国競輪選手共済会、モーターボート選手会あるいは簡易保険加入者協会、中小企業経営者災害補償共済会、日本教職員組合、あるいは地方公共団体では川口市などがやっております。これは生命の共済あるいは損害の共済だと思いますが、その中で生命共済をやっておるものだけを私調べたところでは七団体もある。こういう組合が自動車損害賠償保険をやりたいという希望を持っておりますが、その中でも特に農業協同組合の共済組合関係では、従来も広範に生命並びに物的の損害に対しまして共済事業をやっておりますが、これをいかが取り扱おうという方針であるか、農政局長お見えになっておりますが、共済農業協同組合がこの事業を行なうならば、十分にその事業を遺漏なくやれるものでございましょうかどうか、御意見を承りたいと思います。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 現在農業協同組合は共済事業を御指摘のように実施をいたしておりますが、それは農業協同組合法に基づきまして、その事業の実施の態様に関する事業の根拠法規を持っております。あわせて保険業法における大蔵大臣の監督と同趣旨の監督権限を農林大臣が持ちまして、この事業の本来の公益性をそこなわないように指導監督をいたしておるわけでございます。竹谷委員からお話のございましたように、この組合で自動車の損害補償に関します問題の取り扱いをさせてほしいという要望がございまして、私どもとしてもいろいろな観点から検討いたしたのでございますが、団体側の要望を拒む根拠は私どもとしてはないという判断で関係各省とお話し合いをしてまいったわけですが、現在御審議をいただいておりますこの法律が予算関係法案でありまして、国会提案の時期等の制約がございます関係もあって、お話し合いを完全にいたします時間がございませんでしたので、私ども事務当局としては将来の問題に残して、今回はここへ手を触れないで政府の原案を提出いたしましたといういきさつでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 農村ではことに、今回この保険法に含めることになりました原動機付自転車の台数が非常に多いと思うのです。これをいままで共済組合の保険に付しておった。今度はこれに付さなければならぬ、こういうことになるわけです。そうなりますと、二重に保険に加入することも非常に負担が多くなるので、法律によって強制せられるこの自賠法のほうにたくさん入ってくるということになれば、従来やっておった農業協同組合の共済のほうから抜けてしまう、加入者が少なくなるというようなことになって、その方面にとっても非常に大きな支障を来たすと思うのです。だから自分のほうに自賠法をやらせてもらいたいということになったのであろうと思う。そうした場合に、もし共済組合にもこれを取り扱わせるということにするとすれば、一体この法律の趣旨を十分に生かして運営できる能力を持っているかどうか、それを農林省ではどう見ているか。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 私どもとしては農業協同組合の共済事業としてこの自動車損害賠償の仕事をやりたいという団体側の希望は、拒む理由がないというふうに先ほども申し上げましたが、要するに、農業協同組合がこの仕事をやっても、それは本来の農協の事業の趣旨に反するわけでもございませんし、また被害者保護という点においても欠くることはないだろうというのが、農林省としての判断でございまして、そういう判断を前提として関係省とのお打ち合わせをしてまいりましたけれども、時間的に最終的な政府としての結論を得る余裕がございませんでしたので、今回は将来の検討事項として見送らしていただいた、こういう趣旨でございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 そこで同じ農林省の、これはあるいは農政局長の所管でないかもしれませんが、全国水産業協同組合共済会、それから日本食品衛生協同組合、次に全国食糧事業協同組合連合会、これらは農林省所管でございますが、これらもやはり個人生命共済をやっておるのです。こうした団体からも要請があったら、これは認めたほうがいいと農林省はお考えかどうか。

和田正明農林事務官(農政局長)

○和田(正)政府委員 いま御指摘の共済会等につきましては、実は現実には団体側からもぜひやらしてほしいという申し入ればないわけでございますが、そのうち全国水産業協同組合共済会は法律の根拠を、農業協同組合の共済事業と同様に持っており、監督規定も備わってはおりますが、現在まだ事業の取り扱い数量等から考えまして、全国的な組織としては未発達の過程にございますので、現実の問題としては自動車損害補償のような全国的な視野でものを考えます場合には、現段階においてはまだ不適当ではないかというふうに判断をいたしております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 銀行局長にお伺いしたいのですが、農林省としては農業共済組合はその能力が十分にあるし、希望もある、こういうことを承った。そのほかにたくさんの各省所管のいろいろな共済組合がございまして、それらのうちで全国特定郵便局長生活協同組合、労働者共済生活協同組合並びに連合会、こういうものが生命保険共済をやっておりますが、こうした団体はいかがですか、これに取り扱わすということは銀行局としては適当であると考えるか適当でないと考えるか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 この点につきましては、しばしばこの委員会におきまして御質問がございました。やはり保険というものと共済というものとは、そこにいろいろ違いがございます。したがって、共済事業をやっておるところにおいてこの自賠責を扱うということは、どうも適当じゃないのじゃないか、こういうことで政府提案として出ております案には、そういう共済関係は入っておりません。これは農政局長がお答え申し上げたとおりでございます。まず基本的にはそういうことでございます。  それでただいまのお尋ねは、いわゆる農業協同組合以外にいろいろなものがあるじゃないか、いろいろな協同組合があるようだが、これについてどう考えるかというお尋ねかと思います。この点実は私ども、いわゆる共済事業をやっておりますもの全体に対して一つの考え方を持って見ておるわけでございますが、この共済の中で、一つははっきりした法的規制と監督というものが行なわれておるものと、それからそうでないものとがございます。その行なわれておりますものの一番いい例は、先ほど農政局長が申しました農業協同組合法によるところの農業協同組合、それからその連合会でございます。もう一つは中小企業等協同組合法に基礎を置いたところの火災共済協同組合並びに連合会というものがございます。さらには水産業協同組合法によるところの全国水産業協同組合共済会、この三つは一応法的規制と監督が行なわれておるというふうに見てもいいのではないか。ところがそれ以外のものになりますと、どうも法的規制並びに監督の面におきましては、ほとんど見るべき制度になっておりません。  そこでもう一つの点は、いわゆる全国的な危険分散と申しますか、そういうような仕組みというのは、やはりこの保険事業なり保険に近い共済事業を考えます場合に確かに必要な要素だと思います。そういうような面から見ますと、つまり特定の業種なり、あるいは特定の地域なりといったようなものにだけ限定されておりますものが相当ございます。全国的なベースになっておりますのは、さっきの農業協同組合は、単位農協としては地域的な組合でございますけれども、これが県連なりあるいは全共連なりを通じて全国ベースにまで広がっておる、そういう形をとっております。したがって同じ共済事業の中でも、そういう法的規制がはっきりしていて、監督体制もきちっとできておること、さらには全国的な危険分散体制がとられておること、もう一つつけ加えますと、やはり何といっても、その損害がだんだん累積した場合のそれに対する抵抗力がなくてはいかぬと思います。それははっきりした担保力を持っておるかどうか、こういうことがまた第三の要素となろうかと思います。そういう意味からいって、まあまあそういった三つの要素を兼ね備えておるというふうに見られます共済事業としては、おそらくは農業協同組合の関係であろうかと思います。  ただ、先ほど先生のお話の中で、農業共済組合というおことばがございました。農業共済組合というのは、御承知のように農業協同組合とは別のものでございまして、農業災害補償法に基づいてつくられた農業共済組合、同連合会、これは御承知のように大体クロップ・インシュアランス、農作物共済あるいは蚕繭共済、家畜共済といったようなことを主たる任務としてやっておるものでございますが、それが片手間にだんだんに建物共済なんかを手がけるようになっておる。これはさっき農政局長が申された農業協同組合とは全然別のものでございますので、これは全然性格が違う。最初に申し上げましたように、自賠責の保険を扱うということになりますと、これはやはり共済事業でやるというのは適しないという基本は、繰り返し申し上げておるところでございますので、御了承をいただきたいと思います。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 次に、別の問題に移りますが、これは運輸省のほうにお尋ねしたい。  免許のない者が運転をして事故を起こす、あるいは運転者が全然無過失だ、不可抗力もしくは被害者の過失によって事故が起きたという場合には、これは自賠法の適用を受けて保険金がとれるかどうか、お尋ねいたしておきたいと思います。——質問わかりませんか。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 もう一度……。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 免許をとっていない者、無免許の者が自動車を運転して事故を起こした、あるいは運転する者に全然過失がない、不可抗力もしくは被害者の過失によって事故が起きたという場合に、この保険金が支払えるかどうか、こういうことです。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 無免許運転の場合でも、その運転者に過失があれば当然保険金は支払われます。したがって、無免許であるかどうかは問題ではないと思います。ただ、過失が全然ないというような場合でございますが、これは無免許であろうとどうであろうと、過失がないという場合には——三条の責任が発生しているときには支払いが行なわれるわけでございます。すなわち「ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。」したがいまして、完全に無過失であるという証明がつけば責任を免れる、そういうことでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 それではひき逃げをして、結局加害者がわからないという場合にはどうなりますか。それで結局加害者に過失があるのかないのか、被害者だけの過失で事故が起こったのかどうかわからない場合、これは保険金を払っているのじゃないかと思うが、どうですか。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 ひき逃げの場合には、加害者が判明しませんので、この場合には国が保障事業として保険金と同額のものを支払う、そういうことになっております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 そうしますと、被害者はどっちにしても非常に不幸なことですが、ひき逃げされたら払ってもらえる、されないで、運転者の無過失が証明されれば保険金がもらえない、こういうことになりますが、この点非常に不合理になりはしませんか。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 運転者が完全無過失であるという証明はほとんど不可能ではないかということで、実際問題としてこういったケースはほとんどいままでもないようでございます。この第三条は無過失責任のような体制をもっておりまして、ただ理論的にこういったことが、責任法の上からいって、完全無過失ということが立証されれば、それは責任がないという責任論から規定されておりますけれども、実際問題としては無過失を証明するということは不可能ではないかということ、また実際にそういったものは例がないということでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 次に、この法律の第十三条で「責任保険の保険金額は、政令で定める。」こういうことになっておりますが、この改正案は四月一日から施行するというので法案が出ておりますね。ところが四月ももう半ばを過ぎておる。こういうことになって、この改正法律案の施行がおくれるということになると、一般の国民は四月一日から、死亡の場合いままで百万円だったものが百五十万円とれる、こういう期待が裏切られる。一日に三十人くらいの自動車事故の死亡者があるような統計になっておりますが、これは四月一日から現実に施行ができませんけれども、そういう場合に経過規定をどうなさるつもりですか。この法律が施行になったときから百五十万円にする、それまでは百万円でやっていくのかどうか、経過規定はどうお考えになっておるか。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 この保険金額の決定は政令で定められることになっておりますが、これは新たな責任保険についての額をきめることができるのでありまして、すでに契約を結んでおる車についてはこの十三条では適用ができませんので、今回は、百万円を百五十万円に死亡の場合に引き上げるということは、車によって新たなものは百五十万円、古い車は百万円という二面的になることを避けるために、旧契約についても政令で改めることができるように今回の改正法案に立法したわけでございます。そういった意味で、われわれとしましては被害者保護のために、車によって差別ができることがないように、できるだけ早く本法を通していただきまして、早く保険金額の引き上げを一斉に実施したい、さように思っておるわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 その点、でこぼこができたりしないで手落ちなくやれますか。結局、この法律施行のとき以後でないといけないことになりますか、遡及させますか。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 遡及はできませんので、本法施行後直ちにやりたい、かように思っております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 次に、経過規定第三条についてお尋ねしますが、この第三条のおしまいのほうに「当事者は、当該原動機付自転車につき自動車損害賠償責任保険の契約が締結されたときは、旧契約を解除することができる。」こういうことになっておるのですが、この旧契約というのは任意保険であろうと思うのです。この当事者というのは保険会社とそれから自動車保有者、当該原動機付自転車の保有者、両方であろうと思うのです。どっちからも旧契約を解除することができるかどうか。解除するのはおそらく保険会社であろう。そうすると、かってに民事上の自由契約を結んだそのものを保険会社が自分の都合で契約を解除してしまうということになると、事故が起こったときに、百五十万円の保険は払えるが、五百万円の損害賠償をしなければならぬというときには三百五十万円足らぬ。それを保険するために五百万なり一千万の保険をつけておった。それを解除されてしまうと、百五十万円しか強制保険で支払えないから、あとの三百五十万を、従来の任意保険を解除されているので、自腹で損害賠償をしなければならぬというと、不測の損害を原動機付自転車の保有者は受ける、こういうことになる。そういう一方的な都合のよい権限を保険会社に与えるということは、どうも一般法律の原則からいってもこれに違反するように思うのですが、これはどういう意味でございましょうか。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 保険契約のことでございますので、私からお答えいたします。  第三条の第一項は、保険会社のほうから解除することを主眼に考えたものではないのでありまして、現在原付につきまして任意の保険契約を締結して保険料を払っている、こういう契約者があるわけでございます。今度強制保険、この自賠責制度に入りますと、この五条によりまして、自賠責保険を締結してないと運行ができない、こういうことになりますので、どうしても別のこの自賠責保険というものを締結しなければなりません。そうしますと、これは百五十万が保険金額になると思いますが、百五十万の強制保険をつけさせられたら、前に強制保険がなかった時代につけていた契約、そのために払った保険料はむだである、こう考えられる契約者があるかもしれない。つまりこの強制によりましてよけいな保険料負担を加重するということは避けるべきではないか、そういうような主眼から、両当事者という形になっておりますが、解除をすることができる権限、権能を与えたわけでございます。保険会社のほうから見ますると、普通の場合、私が考えまするに、いままでせっかくお客さんをとっておるのに、これでもって保険会社のほうから解除するということはまず考えられないのではないかと思います。また、むしろ、百五十万というような自賠責保険が締結されましたあとには、従来は三百万つけておったかもしれないけれども、それじゃそれをやめてさらに上乗せで二百万くらいのものをほしい、こういうことがあり得るかと思います。その場合には、当然この解除が働きました後に新しい契約を締結する、またあとのほうの条項ではそういった手当てもいたしております。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 しかし保険契約の当事者は、双務契約ですから、二人あるわけですね、保険会社と被保険者と。この条文では保険会社が当然解除の権限を持つことになる。都合の悪い保険契約は保険会社のほうから解除できるわけですね、この規定では。それはできないとは言えないんじゃないですか。ないだろうとおっしゃるんだけれども、これはいかがでございましょうか。被保険者のほうはいいとして、保険会社がかってにやっちゃ困る。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 かりに保険会社が、あるいは保険会社でなくても解除をいたしますと、二項の規定が働きまして、政令で定める金額の解約返戻金、これは普通の場合の解約返戻金とは違いまして、保険会社といたしましては、正確な期間計算をした解約返戻金を払い戻さなければなりません。権利といたしましては、一応条項には解除権があることにはなります。しかしながら、そのような解除権を行使するということは、おそらくそう例がないであろう、こう考えられるわけでございます。むしろ契約の当事者と申しましても、契約者のほうがこの解除権を行使して新しい保険料負担をまぬがれる、こういった道を置いておく必要がある、これが主眼であったわけでございます。

竹谷源太郎民主社会党

○竹谷委員 普通はそう考えられますけれども、中身は保険金額が非常に高くとも、実情は保険料はそう高くない。だから比較的安い保険料で、大きな、たくさんの賠償を払わなければならないような事故が起こった場合を心配して、契約者が高額の保険を付しておる。しかも料率は金額の割合には高くない、こういうことで契約している例がなきにしもあらず。そこで、幸い今度強制保険に付されるので、保険会社には解除権ができたから、低い料率の保険料の契約に対してそういう不利な、高い保険金を払わなければならぬというような場合には、やはり解除権を私は保険会社は行使するだろうと思う。だからこれは、契約者だけに解除権を与えて保険会社には与うべからざるものだと考えるのですが、これはいかがでしょう。もしくはこの第三条第二項による、政令で罰則的な、高額な契約解除返戻金を出させることによってそれを防止するか、何らか考える必要があると思うが、その点いかがでしょう。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 御指摘の点はよくわかります。ただ私は、普通はそういうことは全然予想できない。むしろ保険会社といたしましては、せっかくいままで任意保険をとっておった、その保険料を返してまで解除をするということは非常にきらうのではないかと思っております。しかしながら、この条項の運用につきましては、契約者の希望に応じてものごとを処理する、つまり契約者から解除権の行使の申し出がありましたらそれを受ける、何もなければそのままにしておく、あるいはまた先ほど申しましたような、いままで三百万つけておったけれども、今度は任意のほうは二百万にするというような申し出があれば、それに応ずるというようなぐあいに十分指導いたしたいと思います。

古川丈吉自由民主党

○古川委員長 久保君。

久保三郎日本社会党

○久保委員 これは銀行局からの資料かと思うのでありますが、原付の保険料率の算出資料、きょう出ております。この中で、ちょっと見なれない文字を使っているのがあるのですが、この参考というほうで、一番上の統計表の分類の第一原因、第二原因となっていますが、第一原因と第二原因というのはどういうことなのか、ちょっと説明していただきたい。

田辺博通大蔵事務官(銀行局保険第二課長)

○田辺説明員 これは三十九年の警察統計による事故者数を掲げたものでございます。第一原因と申しますのは、警察庁の統計表に載っております第一原因、これは原因を主従に分けまして、車と車が衝突したというような場合に、どちらが——過失のパーセンテージの問題であろうと思いますが、どちらが主因になって事故を起こしたか、そういうことで第一原因。第二原因のほうは、むしろ過失の度合いが少ない、従の関係にあるほうを統計をとっておるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 それはそれでわかりました。  次に、先般御質問申し上げたいわゆる改正しようとする原付自転車は、従来ある国の再保険から、それを除く、いま竹谷委員からもお話がありましたが、多少私の質問だけを見れば、誤解して、われわれの真意を曲解される心配もあるので、あらためてこの問題を申し上げたいと思うのです。竹谷委員の御質問の中でも、多少そういう傾向が見受けられました。と申しますのは、今回の原付を再保険からはずすということならば、従来あった再保険というのはやめてもいいんじゃないか、こういう話に帰結するがどうか、こういうような質問があったわけであります。私も先般そういう形の質問をしたと思うのであります。これに対して、それぞれの答弁は必ずしも的確ではありません。そこであらためて申し上げるのでありますが、先ほど来答弁された第二課長、あなたの答弁では再保険というものを一この再保険だと思うのでありますが、これは危険分散に重点を置いて再保険の価値というか、そういうものの必要性をお述べになったと思う。なるほど一般的な再保険ということは、危険分散の方法として保険の方式の一部にあるわけであります。しかし、この自賠責自体の法律制定の趣旨、その当初の構想、それから従来やってきた経緯、そういうものが必ずしも一般的な保険体系というか、そういうものの中の再保険、危険分散ということだけではないと私たちは考えております。なるほど危険分散ということは、今日扱っております保険業者から見れば、初めて扱うことでありますからかなり危険である。だから、国がやろうとするならば、その過半の六割を再保険してほしい、こういう要求が出たことも事実だと思うのであります。ところが、十年たった今日、保険財政というか保険経理というか知りませんけれども、そういうものはいままでの答弁のごとく、漸次好転してまいった今日ただいまでは、将来の見通しを加えても好転するであろうということだから、保険料率は据え置きのまま、死亡の場合は最高限度を百五十万に、五〇%値上げをしましょうということなのです。ところが、考えてみれば、この自賠責そのものの法律というのは、先ほどもそれぞれお話がありましたが、当然これは国営方式でやるのがあたりまえではなかろうかというのであります。これは法制定の当初においても、そういう論議は政府部内においても、国会の中でもされたことは事実であります。ところが、初めてのことであると同時に、ややといっては語弊があるが、言うなら半分くらい保険的な形をとっていくのがいいだろうということになったわけであります。そこで、そういう全国的な組織から考えても、あるところの保険業者の手を通してやったほうがいいし、またそれ以外になかなか無理だろうというので、保険という形をとってきた。しかし先ほど申し上げたように、やってみてもどうも危険が多いのではなかろうかということで、過半数の六割再保険にしたということが一つの理由にあると思うのです。  それからもう一つは、国営方式にいくことが当然だという思想からすれば、それはできないけれども一国はその過半の六割という責任を負うという理屈から、これは再保険というふうになったと思うのです。保険業であるから一般的な大蔵省の監督をすればいいという話があるかもしれません。だからそういう意味からいって別に再保険の必要はないのだ、こういう話も最近あるようであります。しかしそれは違うと思うのです。一般的な保険業を監督する国家の監督権だけでやるというようなものではない。というのは、保険としても非常に特殊な保険——特殊な第一点は、雇うまでもなく法律によってこれは強制されるということ。それから、この法律は単なる保険ではなくて、被害者救済という保険です。いわゆる保険料をかけたもの、その関係者の事故を救済するというものではないのです。しいて言うならば、民法で救済すべきものを肩がわりするということであったのです。しかしこれは理論としてはあまり採用できないことではないかと私は思う。結局そういうことからいくならば、強制保険をやっていくのでありますから、法律をたてにして、いかなるものといえどもこの保険に入らなければいかぬ。いわゆる保険料を支払った後でなければ車は運行できない。その強制は国家の権力によって規制する。だからこの保険全体をやはり国家の権力というか、国家において責任を負う形がなければいけないと思う。一般的な保険と同じような監督行政では、私は違うと思うのです。強制保険であるということです。だから言うならば、これは特殊な監督が必要であります。特殊な監督というのは、いまやっておる方法がやはり必要であると同時に、積極的には、いままで当委員会で論議しました、たとえば保険収支の利益金はどうなっておるのか、運用利益はどうしておるのかということまで手を入れて監督する必要がある。だからそういう意味からいっても、やはり再保険は私は必要だと思うのです。単なる危険分散の必要性からということならば、逆な話になりますが、再保険の価値はもうない、こういうことになる。ところが政府提案は、何回も申し上げたように現在ある車は全部再保険、これから入れようとする原付だけは再保険からはずす。いままでの答弁の中で自動車局長、銀行局長も残念ながら理論的に適確な説明はしなかった。しなかったというよりは、それはできないのです。何がゆえに原付だけを再保険から落とすかわからない。できないというのは表向きできない。裏を返せばこれはできる。しかしこの法の精神に相反するということを言わざるを得なくなってくる。これは運輸省と大蔵省との妥協の産物なんです。国会に対して、政府部内の妥協の産物を白昼公然と出してきた法律案というのは、これ以外にいまだかってない。だからこういうものは立法府の良識において処置しなければならぬ。われわれは、この法律というものは何回も言うとおり、被害者の立場にのみあって、それ以外の立場は考慮されないでもいいというふうに極端には考えない。しかし、それはあまりにも極端だが、少なくともこの法律、この制度は、自動車事故による被害者の立場においてのみ成立するものだ。ところが提案してきたこのもの自体を見れば、残念ながら政府自体ははたして被害者の立場に立っているのかどうかわからぬ。銀行局長は首をかしげているし、二課長はあくびをしている。この前もあくびをしていた。あくびをして悪いことはないけれども、君らはこういうものをそういう態度でも通るのだという自信を持って来ている。静かに反省してもらいたい。運輸大臣もおられるが、あえて運輸大臣の答弁を私は求めませんけれども、こんなものをやってくるからには、私は断じて妥協も理解もできません。危険分散の必要がなくなったのなら、これは保険料率を下げるか給付をもっと上げるということです。それとは違いますと言っているが、違うことはないのです。直接関係はないが、関係はある。たとえば、いま再保険して保険収支の利益金というものは全体で年間百七、八十億ある。これの四割しか保険業者には歩どまりはないわけです。当然のことだ。六割は政府の手元にある。だから再保険をやめれば百七十億全体が保険業者の手元に残るわけです。私はだれが利益を得ようとも、正当な手続によって利益を得られることは決して反対はいたしません。しかし、この自動車事故による被害者救済は、いまだ初歩的な段階にある。初歩的な段階とは、言うならばやっとこの法案改正で、死んで最高百五十万程度が出てきた。いまは百万。ところが、死なぬで済むような今日ただいまの医療制度になっているかというと、救急設備その他が十分でないために、死なぬで済む人が死んでいく現実は毎日ある。後遺症によって、長年死にもまさるような苦しみをしている被害者もおられる。しかしそこまでは法の手は伸びていない。だから、せめてこの保険財政の歩どまりにいわゆる黒字があるとするならば、国家の手によってこれはそういう方向に財源を回して確立するのが当然です。言っておくが、われわれは一保険業者、共済組合その他の者の立場を擁護するために今日論議はしていないとはっきり申し上げます。だからそういう点からいっても、この原付自転車の再保険取りやめというものは、断じてわれわれは許すべきではないと思う。だから、これについてもう一ぺん銀行局長と自動車局長は答弁してほしい、みんなが、ああなるほどそうかとわかるように。  それからもう一つ言うが、そういうことならば、この制度はもはやいわゆる保険業者の手によって、あるいはその他のそういう者の手によって運営されるものではなくなったとわれわれは考える。あらためて国営方式に移行する時期ではなかろうか。近い将来そういう方向で行くのが正しい。言うならば、私の意見は大体そのとおりであります。いままでの質疑応答の中で誤解される向きがあるかもしらぬ。はっきり申し上げてそのとおり。だからそれぞれ御答弁をいただいて、なるほど私の話が間違っているというのならば、それは法案はそのまま通ることでありましょうし、そうでなかったならば、これはもとに戻すということが正しいと思う。率直に答弁してほしい。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 久保先生のお話、まことに論理を重んじ条理を正すという意味で、実に理路整然としてお考えになる。その意味において私拝聴いたしておったわけでございます。ただこれは先般もお答え申し上げましたように、やはり先生は、強制保険なるがゆえに国営なるべしというお話、この点は先ほど竹谷先生の御質問にお答えいたしましたとおりでありまして、強制保険なるがゆえに国営ということは必ずしも結びつかない問題である。と同時に、強制なるがゆえに国の再保を要するということ、これも論理からは出てまいりません。  そこで先ほど二課長がお答え申しましたように、要するに再保険制度というものは、そもそもいかなるときに行なうべきであるかといえば、これは危険分散ということ以外にないわけでございます。そこで、しからば原付について再保険をはずしたのはおかしいじゃないか、こうおっしゃいます。しかし原付は、今回新たに対象として取り上げられようとしておるわけであります。したがってこれは再保を廃止するというのではなくて、あるいは再保からはずしたというのではなくて、新たに原付というものを入れてくる場合に、はたして再保の必要ありゃなしやということを論議してみて、その必要なしということであればこれをとらないというだけのことでございます。今日原付については再保の必要がないということについては、運輸、大蔵両省において全く意見が一致しておるところでございます。そこで、それならばさらに論理を進めれば、自動車についてもいまや危険分散の観点から見るとかなり進歩してきたから再保の必要がないのじゃないか、こういう御指摘もございます。しかし、その点につきましては、今日直ちにもうすでに再保の必要が全くない段階に至ったかどうかについては、これはなお慎重に検討を要するところ、確かにおっしゃるような方向に進んできておることは事実でございますけれども、直ちに今日もう再保を打ち切ってよろしいという段階に到達したかどうかということを断ずるには、私はまだちょっと早いのではないかという感じでございます。したがって、これについては今後とも十分慎重に検討してまいるというふうに実は考えておるわけでございまして、国営方式をとるかとらないかという問題につきましては、先ほど来私申し上げておりますように、これは確かにいわゆる被害者保護の制度には違いございません、ございませんけれども、つまり基本はやはり自動車事故を起こすということによる私人対私人の民事上の問題、その損害賠償の支払い能力というものを、一体どういう形で日ごろから備えるかという問題でございますので、それには保険という制度に乗せてこれを行なっておる。これは世界各国の例をごらんになりましても、国営方式をとっているところはございません。すべて損害保険制度というものを利用してやっておるわけであります。そこで国営についてはそのようなことでございますので、御了承いただきたいと思います。

坪井為次運輸事務官(自動車局長)

○坪井政府委員 たびたび申し上げますように、私どもとしましては、この法律の制定当時、いろいろと国営保険とか灘保険とか論議があったと思うのであります。と申しますのは、再保険と強制保険とは確かに理論的には直接に結びつくものではないと思います。しかしこの保険が、国家権力によって被害者保護のために自動車保有者に付保を強制しておるということから、社会保障的色彩がきわめて濃厚なもので、したがって、受け入れ保険というものは、あくまでも営利性を排除したものでなければならぬ、そういう考え方から見ておると思うのであります。そういったことからいろいろと論議が行なわれた結果、いわば妥協といいますか、そういった形で国が関与するという一つの方式として、国の六割再保というものが法律で定められたというふうにわれわれ考えておるわけでございます。このことによりまして、いわばこの保険が、純保険料につきましてはその六割は最も純粋な形で国が運用しておりますので、したがって完全無欠に営利性が排除されておる、そういったような仕組みになっておりまして、いろいろとこの営利性の排除のために監督規定もありますし、われわれも十分監視はしておりますけれども、最も純粋な形で国が六割を再保するということによってそれが保たれているというふうにわれわれは思っておるわけでございます。そしてそれらの資金というものは財政資金として国家目的のために使用されまして、それらの利益はすべてまたこの保険勘定に繰り入れられている、そういうことで国営保険の実をあげているというふうに考えておるわけでございます。また再保険を通じまして、国は保険金の支払い状況等につきましても一件一件審査しまして、そういったことはないと思いますけれども、いやしくも営利性のために保険運営がゆがめられることがないように、あるいは被害者保護が犠牲にされることがないように国として十分監視していく、そういった意味合いから国の再保という意味をわれわれは高く評価しているわけでございます。  今回原付につきましては、先般来申し上げましたように、諸般の情勢によりましていろいろと検討しました結果、趣旨としてはわれわれは再保すべきであると思いますけれども、事務その他の関係で今回はこれをしないでやることに運輸省と大蔵省と意見が一致したわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 自動車局長のお話は言いにくそうなお話で、胸まで上がってきたのだが、ちょっとこの段階では申し上げられないといったほうがいいのじゃなかろうかと思うのです。銀行局長はたいへん理論的に御答弁のようでありますが、何の理論もないのです。強制保険だから国営というか、そういうものでということには理論上なりません、何で理論上ならないか、その理論はちっとも展開されておらない。理論上なりませんと言っている理論が展開していないのだから、これは無理論だ。この論議をここでしているひまはないし、また値打ちはないと思うのです。いまの二人の答弁を聞いてみて、どっちがいいか悪いかなんという答弁じゃなくて、二人とも困った話をしている。なるほど強制保険だから再保険しなくちゃならぬという理屈は、理屈としてはありませんといえばありません。再保険のほうは政府なんです。強制するからには政府も責任を持ちますということからいけば、再保険しなければいけないことになる。しかし再保険は危険の分散だけだ、こう考えている保険の理論からいえば、その必要はないかもしらぬ。それとはまた別だと思うのです。いままでの保険理論の本には書いてない理論をぼくは言っているわけだ。もっとも理論的な御説明は何にもないから、別にどうこう申し上げる必要はないが、国営方式にいけないから少なくとも、政府が強制する、そのかわり責任は終局的には政府が持つのだというような形、それから保険財政というか、そういうものは、局長はわずかに抵抗を示して言ったが、その中身について、やり方について、やはり特別的な権力で見なければいかぬ、それだけの責任はあると私は思うのです。そのためにやはり、再保険という方式は危険分散とは離れた形であるはずです。  それから原付を除くというのは、いろいろ論議した結果というが、どういう論議をしたんだか、どっちからも話はない。論議はしないんだ、論議しても、さっき私が申し上げたように、この委員会で白昼堂々とはそういう論議の中身は御披露申し上げられないということで二人ともできない。これは答弁になりませんぞ。いろいろ論議した結果原付については再保険の必要なしと認めてそういうふうにまとめました、それじゃ中身はどうかというと、ちっとも何も言ってない。最初とまん中を抜いて結論だけ言っている。中身がないのです。もなかで言えば皮だけで、あんこがない。これをからもなか論というんだ。大体政府部内でそれぞれ知識もある専門家がそろっておって、国会議員に説明できないような法案は引っ込めるのが先だ。しかしわがほうも、百万から百五十万に上がるというのだから、一刻も早くこれを通さなければならぬと思うが、変な方向のやつは断じて困る。私の理論は理論的でないような銀行局長のお話ですが、あなたのお話も理論的じゃない、はっきり言っておく。ぼくらは実務家として言うが、とにかくこんなものをはずして公々然と国会へ出してくるところの政府の真意を私は疑いたい。だから佐藤総理でもなんでもいいから連れてきて、ここで申し開きがきっちりできるのならば、そのままでいいかもしらぬ。おそらくできない。だから私はもうこの辺で質問はこの件はやめますが、少なくとも間違った考えは起こさぬようにしてほしい。

關谷勝利自由民主党

○關谷委員 関連。私はいま銀行局長の御答弁を聞いておりまして、私の頭が悪いせいか一向わかりません。わからないから教えていただくのですが、この自賠責の法案を制定いたしました当時には再保険の必要があった。それから事情が変わってきて、いまは再保険の必要がないのだ。立法当時には危険分散のたてまえからいって再保険の必要があった、いまはないのだ、この御答弁でありまするが、どう違ったからその必要がなくなったのだという御説明を願いたい。私はどうも論理が飛躍し過ぎて、私のような頭の悪い者にはわからないからお尋ねするのですが……。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 それは従来当委員会でしばしば私申してまいったわけでございますが、先ほど久保先生もちょっとお触れになりましたように、いわゆる自賠責保険制度というものをわが国に取り入れようということになりまして、これは先生一番よく御存じのことでございますが、何ぶんにもわが国として初めての制度、したがって過去におけるいろいろ保険の基礎データとなるべき統計等も必ずしも十分そろっていないといったようなことから見て、いわゆる適正料率の算定その他、これは相当経験を重ねないとむずかしいという事情があることは、先生よく御承知のとおりでございます。その場合に、そういうことではあるけれども、やはりこれはどうしても必要な制度だから、被害者保護という大目的に沿ってこの制度は実行していかなければならぬ。その場合にこの実行を円滑に持っていくというためにも、当時の事情からいうと、そういう未知の世界に踏み込むというようなことで一般に不安感が持たれておった。それに対して国がいわば後見役に立とうということであったと思います。その後、これはもう先生よく御承知のことなのであまりくどく申し上げることもないと思うのですが、だいぶ経験を経てまいりまして、統計も出てまいった、こういうことでございます。

關谷勝利自由民主党

○關谷委員 この法律ができますときに、私たちは修正をいたしました。最初は百人乗りの自動車が落ちても、十三人までしか払わぬというのです。それじゃこの保険法を出す必要はなくなるじゃないかということで、事故者全員に対して補償するんだということに変えたのです。それ以来ずっとやってきたのですが、その十三人しか払わないというようなことがふえたということは、それなら安全だからということで、私が何らかの数字に根拠を置いて出してきたのかと思ってその意向を問うてみても、そうではなかった。それならというのでそれを無制限に——それは一人に対しての金額の制限はありまするが、人員の制限はない、こういうふうなことに変えたのです。それ以来ずっとやってきましてもまだ保険に余剰ができたというふうなことで、それでも取り過ぎておるのが、あのときに十三人ということであったらどういうことになっておるのか。それほど勘定違いをしなければならぬほど大蔵省の保険というものに対する認識がないのなら、大蔵省におまかせをするわけにはいかない。あまりにもひど過ぎると思います。私たちが言うとおりにしてさえ余る。あなた方が最初考えたとおりにやったら、それこそ保険会社というようなものはどえらいもうけをすることになる。ほかの損保あたりでも大蔵省がよくわかって監督しておられるのかと思えば、いまの御答弁を聞いておりますと、大蔵省では何もわからないんだと言うのと同じような御答弁です。私は、損保というようなものはずいぶんもうけておるのだなあという気が、いま初めてしておるのであります。  それで、再保というようなことは、いまは要らないんだ、前は要るんだというようなことはおかしい。火災保険なら、集団しての事故、火災が起こるのです。地震の関係等のときは大火災が起こるのです。そのときには、危険分散からいえば再保の必要があります。また生命保険なら、流行病がどんどんあって、そのために大量の人がなくなる、そのために保険の再保をしなければならぬ。自動車にはそんなことが、たとい最初からでも考えられますか。自動車で一度に何百台、何千台、何万台事故が起こるというようなことは考えられますか。私はそういうことは考えられないと思う。そうするのなら、再保というものに対する考え方というものが、以前といまとでは変わってくる。危険分散というようなことからいうならば、私はおかしいと思う。危険分散からきておるのだということであなたが答弁を逃げようとするものだから、妙な御答弁ばかりしておられるので、どうも私たちにはそれがわかりかねるのですが、すっきりわかるような御説明をしていただきたい。いまの、最初わからぬということは、大蔵省が無能だということなんですよ。諸外国にでも自動車が多い先進国があるのに、それぐらいのことは調べて後に出すべきが常識なんです。それも調査しておられない。最初、事情がわからないというような御答弁は国会ですべきものではない。大蔵省無能だという答弁をみずからしておられるのと同じなんだから、そういう御答弁は御遠慮なさったほうがいいと思います。そうすると、危険分散からだけいかなければならぬが、危険が最初から起こり得ると考えておられるかどうか、この保険に対する大蔵省の答弁はまことに詭弁というのほかないという気がいたしますので、どうも頭の悪い私にわかるような——私がわからぬのなら国民全部がわからぬ。国民全部にわかるように、自動車保有者全部にわかるように御答弁願いたい。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 どうもおしかりを受けるような答弁ではなはだ恐縮でございますが、私は実は百も御承知のことかと思うものですから、ついはしょってお答えするのですが、やはり保険の料率等も経験を重ね、統計の整理につれて、トライ・アンド・エラーである程度いかざるを得ない、これも先生御承知のとおりだと思います。ことに制度発足以来数年間というものは、ずっと赤字続きでございました。それがその後だんだんに黒字が出てきている事情、これは統計が示しておるわけでございますが、その背後にはやはりいろいろわが国における自動車事情の変遷、車の台数が急速にふえてくるというようないろいろなことがございまして、それぞれ複雑な事情というものがからみ合って全体として動いてきている。したがって、料率というものは、そう一ぺんぴたっときめたら未来永劫それでいいというものじゃないので、高過ぎるものであれば下げる、あるいは低過ぎるものであれば上げるというような調整は当然のことでございます。したがって、今日までの生命保険料率にしましても、損害保険の一般の料率にしましても、やはり経済実態の推移に応じて逐次改定をされてきておる、これはもう歴史が示しておるわけでございます。そういう意味においては、この自賠責の保険料率についても例外ではないというふうに実は考えておるわけでございます。  先生は、何と申しましても法案立案当初の、最初にこれをおつくりになったこの問題については一番お詳しい方でございますので、私などがとやかく申すあれはございません。ございませんのですが、まあそういうことで、だんだん十何年間経験を積んでまいりまして、そこでこの際原付自転車というものについてこれの適用を広げていくという問題が実は出てきておるのですが、これは従来自賠責の審議会におきましてもいろいろ御審議をいただいて、これは原付に拡大するという方向はまあけっこうなことだということで実は出てまいりました。  さてそこで、それについて国の再保険を必要とするかしないか、この点は先ほど久保先生が御指摘になりましたような、つまり被害者保護という大目的がある、この大目的を確実に実現するという法の趣旨から見て、再保険を行なわなければその実現ができないか、あるいは再保険を行なわなくてもその法の趣旨を十分実現し得るという体制になっておるかどうかというところが問題になっておったわけでございます。それについて、国の再保険を行なわなくても自賠責の法の精神というものは十分完全に実現できるという体制にまで今日育ってきておりますものですから、そこで再保険が取り入れられなかったということでございますので、その点につきましては、先ほど自動車についても論理一貫しないというお話、したがって自動車につきましても、これは前回も申しておるのでございますけれども、一部には原付をはずせという議論もございます。(田邉委員「保険会社が言っているんだよ」と呼ぶ)保険会社が言っているわけでもございませんのですが、そういう意見も一部にはあるということでございます。ただそれにつきましては、これも基本的にはいわゆる自賠責法の大目的を達成するにつき国の再保を必要としない、国の再保を用いなくても確実に目的を達し得るというような時期が参れば、これはやはりそのときに検討なされて、再保険というものがはずされていくということは、これは理の当然ではないかというふうに考えております。ただ、いまがその時期かどうかということについては、先ほど申し上げましたように、まだそこまできているかどうかいま断定するのは早いのじゃないか、十分慎重に検討しなければならぬ、こういうことを申しておるわけでございます。

田邉國男自由民主党

○田邉委員 関連して、一つだけ銀行局長に伺いますが、先般私がなぜ原動機付自転車には再保険をしないんだと質問をした。そうしたら先ほど久保委員に答弁したようなお話をされておった。私は答弁をずっと聞いておりますと、保険会社がいわゆる純保険料のうちの再保険の分を除いて四〇%は自由に使える、これは滞留保険料といって一般の保険とからんで使えるんだ、そこでこれをいままでの計算でいくと、約九億の滞留保険料の中で利潤が出てくる、だから再保険をしなければこれが一〇〇%自分の会社で自由に使える金になってくる。私はここにポイントがあって、保険会社が一生懸命で、再保険はしなくてもいよいよもうかるから、危険はしょわないから、いいからこれをはずしてくれという理論が銀行局に強く要請をされて、銀行局長が心ならずもそういうお話をしておるんだ、私はそう推測をせざるを得ない。ところが今度は、一方において、片方では付加保険料は順次増加をしていく、だから今回は百五十万円に保険金は上がりますけれども、今回は上げないけれども来年あたりは保険料を上げよう、こう言っているのですよ。そうすると、いまの滞留保険料というものはどんどんそれによって利潤を生んでくる、それで付加保険料を十分カバーできる、そうすると付加保険料を上げなくても済むのです。その理論は切り離しておいて、再保険の必要はございません、付加保険料は将来上げなければなりませんという理論は、どう考えても矛盾がある。その点をひとつ答弁していただきたい。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 この点は繰り返し申し上げておるわけであります。つまり自賠責の保険というものは決してもうかってもいけない、損をしてもいけない。自動車局長がしばしば言われますように、営利目的を排除していくということですから、もし保険計算上非常にもうかるようだったら、それは料率が高過ぎるか給付が低過ぎるかなんで、そこは是正すべきものであるということだと思います。したがって、いま先生御心配になるような、つまり保険会社がもうかるからやりたがっているのじゃないかという問題は生ずる余地のない、また、そういうことを生じさしてはならぬ問題だと思っております。

田邉國男自由民主党

○田邉委員 そういう意味で、共済農協にやらせれば、両方が並行にやるから、保険の料率の問題にしても、給付の問題にしても、保険料にしても明確にわかると私は思う。そういう意味で、一つにやっておく弊害というものを除去する意味においては、やはり検討すべき問題である、私はかように申しておきます。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹政府委員 ですから、その点は、前々から申し上げておりますように、いろいろ問題が多いから、私どもも前向きで十分検討したいというふうにお答え続けてきておるわけでございます。

古川丈吉自由民主党

○古川委員長 次会は明後二十二日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会

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