運輸委員会 第20号
- 発言数
- 59 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1966/03/25
会議録
○古川委員長 これより会議を開きます。 小型船造船業法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。中村運輸大臣。
○中村(寅)国務大臣 ただいま議題となりました小型船造船業法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 現在、総トン数五百トン以上の船舶の製造または修繕を行なう事業につきましては、造船法によりその施設の新設等について運輸大臣の許可を要するものとされておりますが、総トン数二十トン以上五百トン未満の小型船の製造または修繕を行なう小型船造船業につきましては、運輸大臣に対する届け出のみで事業を営むことができることとなっております。しかも、小型船造船業者は、そのほとんどが中小企業者であり、設備の著しく不備なものや適格な技術者を欠くものが少なくなく、ことに、近年において木船部門から鋼船部門へ進出した小型船造船業者につきましては、特に設備の不備と技術能力の不足が目立っております。このような事情から、かねてより、小型船造船業の健全な発達をはかるため、設備の近代化と技術能力の向上が要請されているととろであります。 一方、小型船につきましては、その大部分が内航船及び漁船でありますが、内航輸送形態の変化、漁業における遠洋漁業の比重の増加を反映して、その運航形態に大きな変化を生じてまいりましたが、それにもかかわらず、その船質の改善がこれに伴わず、小型船の安全性に問題を生じている現況であります。これは、小型船の海難により毎年おびただしい人命及び財産の損害が発生していることからも明らかであります。小型船の隻数は全体の一一パーセントに過ぎませんが、その海難件数は全体の五六パーセントを占めており、このうち、小型船の構造の不備、船質の劣弱等の理由に基づくものが少なくありません。したがいまして、内航船、漁船等の船主の船舶に関する知識が十分でない事情を考え合わせますと、直接小型船の製造または修繕を行なう小型船造船業者が積極的に船質の向上をはかる必要があるわけであります。 以上のような現状にかんがみまして、小型船造船業の健全な発達をはかるとともに、小型船の船質の向上に資するため、小型船造船業における造船技術の適正な水準を確保する必要があるのであります。 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。 第一に、小型船造船業を登録制とし、船台、ドック、クレーン等の設備が運輸省令で定める技術上の基準に適合していない場合は登録を拒否しようとするものであります。なお、この設備が技術上の基準に適合しなくなった場合におきましては、運輸大臣が、小型船造船業者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができることといたしております。 第二に、小型船の製造または修繕の工事に関する技術上の管理を行なわせるため、事業場ごとに、一定の学歴または実務の経験を有する主任技術者を配置させようとするものであります。 その他、登録の取り消しに関する規定等必要な規定を設けております。 なお、この法律の施行の際造船法による届け出をして小型船造船業を営んでいる者につきましては、この法律の適用を二年間猶予することとし、その間に十分な指導または助成措置を講ずる所存であります。 以上が、この法律案を提案する理由であります。 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
○古川委員長 これにて提案理由の説明聴取は終わりました。 なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○古川委員長 次に、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。田邉國男君。
○田邉委員 今回の自動車損害賠償保障法の一部改正についてでございますが、その第一点でございます原動機付自転車を対象車種に含めるということ、それから第二は保険の金額を引き上げること、その他の事項については、いずれも現在の激増しつつある自動車事故の実態にかんがみまして、法の目的とする被害者保護の立場を達成するためには非常に必要な措置である、この点について異存のないところと考えております。 そこでこの法律が昭和三十年七月に制定をされて十年の経過を経た今日、この問自動車が非常に激増しておる、また人身事故も急増しておる、被害者保護の一そうの達成を要請しておるときに、この自動車損害賠償保障法をあらためて検討すべき時期がきたのではないか、私はかように判断するわけでございます。 そこで、まず第一に、この法案が審議されました昭和三十年七月の第二十二国会の本委員会において附帯決議がなされておる。これは八項目にわたるものでありますが、当時の三木運輸大臣は、この附帯決議について善処する旨の答弁をしておるわけでございます。その後十年を経た今日、この決議について、八項目のうちいかなるものを検討を加えたか、またその趣旨が実現するようにいかよう女措置を講じてきたのか、またその結果、現状においてそれがどうなっておるか、この点について運輸省に伺いたのですが運輸大臣よりもむしろ自動車局長に聞くほうが具体的な問題ですからよろしいと思いますので、自動車局長の答弁をいただきたいと思います。
○坪井政府委員 附帯決議は御指摘のように八項目にわたってございまして、各項目についてこれを実施の過程においてどういうように実現してきたかということについての詳細については、ただいままとめた資料を持ち合わせておりませんので、これについてさらに事項別に調査しまして御報告したいと思います。
○田邉委員 もう一度はっきり伺いたいのですが、この附帯決議の内容について、一から八項目の内容を局長はおわかりなんですな。
○坪井政府委員 この中にはいろいろ現在実施しているものもあると思いますし、また実施の困難なものもあるわけでございまして、その十年間の経過といいますか、そういうものについて一応拾い上げて、後ほど御報告したい、さように思っております。
○田邉委員 たとえば第六に「自家保障については、速かに一定の基準の下に相互保険へ移行せしめる」という項目があります。これは当時の委員会の速記録を見ますと、この問題について非常に強い要請があり、そしていろいろの質疑がかわされた経過がございます。そういうものについて、すみやかにこの趣旨に沿うような方向でやる、こういうことが言われて十年たっておる。この点については、運輸省としてはどういう方向で御検討なさったことがあるのか、その点を伺いたい。
○坪井政府委員 附帯決議の第六の「自家保障については、速かに一定の基準の下に相互保険へ移行せしめること。」この項目につきましては、制定当時にいろいろ論議がかわされまして、この保険が強制保険であるというようなことから、それを営利保険に強制することについて議論もありましたし、さらに相互保険という考え方を導入すべきであるという有力な意見があったわけですけれども、これらにつきましては、われわれとしても、この保険の性格にかんがみまして、そういった相互保険への移行という問題については十分検討すべき価値あるものと思って、いろいろと努力はしておりますが、また一面において、保険行政との調整といいますか、そういった問題もからんでおりますので、この点について、いまもって解決に至っておらないわけでございます。
○田邉委員 それでは、その点について大蔵省は検討したことがあるか、ひとつ銀行局長から伺っておきたいと思います。
○佐竹政府委員 たいへんおくれて参りまして失礼いたしました。 ただいまのお話の自家保障制度を相互保険に移行せしめるという附帯決議があることは、私も承知をいたしております。それにつきまして、その後運輸省においてもいろいろ研究を積んでこられたと思いますし、同時に私どものほうといたしましても、実は今日までいろいろ検討をいたしてきておるわけでございます。ただ、この点、先生非常によく御承知のように、釈迦に説法のようなことではなはだ恐縮でございますけれども、これはなかなかむずかしい問題がございまして、自家保障制度並びにその運営につきまして、いろいろ実は問題があるわけでございます。そういったような問題について、いろいろ具体的な、従来における取り扱い状態等々というようなことも分析検討しながら、一体どういうふうに持っていったら一番真の目的を達し得るのか。これは、要は、御承知のように、賠責制度というものは、何と申しましても、これはいわば被害者保護と申しますか、つまり自動車等による事故を受けた方々に対する救済措置に違いない。そうなりますと、そういう観点から見て、一番いい仕組みというものは、一体どうしていったらいいのかということを私どもとしても実は日夜考えておるわけでございます。そういう意味で実はなかなか問題が多いものでございますので、ただいま先生から十年たっておるのに一向前進せぬではないかというおしかりをいただいておるわけで、はなはだ私ども恐縮に存じておるわけでございますが、何ぶんにも非常にむずかしい問題であるだけに、そうなかなか速急な結論をつけがたい。おそらくは運輸省においても今日までさしたる進展を見ておらぬというのも、やはりそういったような事情にもよるものじゃないかと思うわけであります。私どもは、何と申しましも、当委員会における御決議でございますし、私どもとしても、御決議の趣旨というものは、これは十分御検討を申し上げなければならぬという気持ちで今後とも引続いて研究をしてまいりたい、かように考えております。
○田邉委員 銀行局長のお話を聞くと、早急には結論は出ない——早急に結論は出ないという話は、一年ぐらいの話なら、早急に結論は出ないということでありますが、十年という歳月を経て、まだ早急に結論は出ない、こういうことは、私としては、局長の答弁とすれば非常に納得しがたいのであります。なお大蔵省銀行局編集の「銀行局金融年報・二十九年版」というものには、これは前向きに検討するということがあなたのほうの発行のものの中に書いてある。それだけ前向きにやっておると、附帯決議の当時の銀行局で出した出版物にはそういうことを書いておきながら、これをなるべく時をかぜいで、延ばしていって、保険会社以外にはやらせたくないという形で持っていくから、そういう結果になるだろう。私は、これをもっと前向きにやろうという姿勢であるならば、とうにできておると思うのです。そういう点について、銀行局長がいま言われた、早急に結論は出ないというけれども、十年たっておるのですから、これはこの際すみやかに対策を考えるべきである、かように考えるわけでございまして、この点については、答弁は求めません。 次に、この自動車損害賠償保険は強制加入をたてまえとしておる。事実上は無過失責任主義の立場をとっておる。ですから被害者保護という社会保障的な性格が強く出ておるわけであります。そこで通常、この種の事業というものは、国が直接実施をするか、または、営利を目的としない事業体をしてこれを行なわしめることが妥当であると私は考える。現在これを保険会社のみに独占的に実施させている理由はどういうわけか。この点について私は自動車局長に伺いたい。
○坪井政府委員 この法律は、自動車事故の被害者の保護を目的として、加害者に賠償能力をつけるということが目的でありまして、そのために保険制度を利用することが非常に合理的であるということから、強制保険という制度を考えたわけであります。これを強制であるから営利会社にやらせることは不適当ではないか、国が直接やるべきではないかという御議論もむろんあったわけであります。われわれももっともな点であると思うわけでございますが、その当時の理由としましては、国が直接やるといいましても、そういった組織もありませんし、また現に保険会社が全国的に組織網を持っておるし、ある程度の実績も持っておるということからこれを活用する、それで国としては、これに対して六割を再保険することによって、保険収支を明確にしてガラス張りの運営をさせ、実質的に国が運営すると同様の効果をあげよう、そしてその保険については営利性を排除する、そういったことを再保険を通じても十分監督できる、そういうことで現在の制度ができたわけでございます。
○田邉委員 ただいまの問題については、銀行局長はどう考えられますか。
○佐竹政府委員 お答え申し上げます。 これは先生先刻御承知のように、今日の保険会社は保険業法という法律に基づきます大蔵大臣の免許事業でございます。厳重な検査監督の規定もございまして、その業務の運営につきましては大蔵大臣が責任を持って監督をいたしております。これはどうしてこういうことになっておるかということでございますが、やはり不特定多数のいわゆる保険契約者と申しますか、そういう人たちの利益を害してはならぬ、やはりそういう仕事としては全く公平に、私心をまじえずやってもらわなければいかぬわけでありますから、その仕事の性格からいいますと、いわば公益事業と申しますか、そういう性格が実は非常に強い、公共性の非常に強い仕事だと思います。かるがゆえに、保険業法という法律を設けまして厳重な監督をいたす、こういうことになっておるわけであります。したがってただいま御指摘の、営利会社にやらせるべきではないというお話でございますけれども、保険会社はもちろん株式会社であり、ことに損害保険については株式会社組織でございますから商法原理によって運営される面がもちろんございます。ございますけれども、それに対して公共原則というものから政府が介入をいたしまして厳重な監督をいたしておる、こういう面でそこは営利性というものを公共性の面から強く抑制をされておる、そういう特殊な性格を持っておるものだと私は思います。したがって、そういう厳重な制度のもとに行なわれておる保険会社でございますので、決してこれは通常の、単に営利のみを目的とする私企業の仕事とは違う。この点は先生十分御承知だと思いますので何でございますけれども、まずその一点がございます。またさらに、いわゆる強制加入であって、いわば無過失責任というような体制であるだけに、いよいよもってその公共性は一段と強いというお話、これはもう先生御指摘のとおりでございます。この点は私どもも全く同感でございますが、さればといって、それでは今日の保険業法に基づく保険会社にそういう仕事を扱わせる資格がないかと申しますと、私はそういうことはないと思います。現に強制加入の保険で、他に実はいろいろ例がございます。たとえばこれは先生よく御承知の原子力による災害補償保険というものがございます。これは強制加入でやっておるわけでございますけれども、御承知のように、これは今日損害保険会社が取り扱っておるわけであります。 そういうことをいろいろ考えますと、制度的に見て保険会社が取り扱うということはむしろ当然のことではないかというふうに実は私どもとしては考えておるわけでございますが、ただここでわれわれ常に心せねばならぬと思っておりますのは、ただいま先生の御議論にお出になりましたような、保険会社は営利会社ではないか、そういうものに扱わせていいかという御批判は、これは先生のみならず、世間の一部からもやはりときどき出てまいります。出てまいりますということは、私ども保険会社を監督する立場から見て常に三思三省、自粛自戒をせねばならぬ非常なポイントだと私は思うのです。つまりそれは万が一にも、保険会社というものが保険業法本来の趣旨を逸脱してその業務が運営されたり、あるいは大蔵大臣の監督というものが行き届かないというようなことから世間の御批判を受けるということになっては、これは私どもとしてまことに申しわけない次第でございますので、その点は従来とも心がけてまいってはおりますけれども、万が一にもそういう御批判を招くような、公共性に反するような営業態度とかなんとかいうものがもしあるとすれば、これは断じて許すべからざることでございますので、その点につきましては、私ども今後とも保険業法の精神を体して厳重な指導監督をいたしてまいるつもりでございます。
○田邉委員 この保険は非常に公共性のあるものである、しかも被害者保護の立場にあるものである、だから保険会社は営利会社であっても保険業法に基づいて厳重なる監督のもとにやっておるから心配はない、ただし公共性に反するようないろいろの問題が生じ、また被害者保護に反するような問題があれば厳重に監督をしなければならぬというふうに銀行局長は明確にお話をされておるけれども、一昨年保険会社は、保険料率が低いのでどうしてもこの料率ではもうからないから、自動車保険はやりたくないといって逃げ回った事実があります。そうして一昨年保険料率を三倍に上げて、これならば保険会社は十分バランスがとれるということになって、この自賠責保険というものを保険会社が積極的にやるようになった。これは裏を返せば、営利会社であるから常にバランスを見てやっているからそういう言動をはいておるわけです。そういう点について、先ほどの銀行局長の答弁と二年前の保険会社の実態というものは、大きな食い違いがある。 私がなぜこういうことを言うかというと、やはり結論は公共性を強く要請をしておる。しかも、これは社会保障的な性格のものである。そういうことから考えたときに、営利会社である保険会社がこの問題について、保険料率の問題では二年前に非常な反対をして、自動車保険の強制保険を積極的に取り扱わなかった事実がある。そういう現実から考えて保険会社にやらしてはいけない、保険会社と同等あるいはそれ以上に公共性を持つ団体にやらしても差しつかえないじゃないか。強制保険であるから、被害者保護の立場に立てば、当然そういう考え方に立たざるを得ないと私は考える。その点について局長どうですか。
○佐竹政府委員 この自賠責の法律に明示されておりますように、この自賠責保険に関する限りは保険事業に伴って、もうけてもいけない、損をしてもいけない、つまり損得なしと申しますか、適正な原価を償うということが、御承知のように、たてまえで、ございます。そこに営利目的の介入ということを禁止する条項がございますことは、先生御承知のとおりでございます。したがって、今日まで私どもはその法の精神に従ってやってまいったわけでございます。 ただいま御指摘の、保険会社が自賠責の引き受けについていろいろ難色を示したというようなお話でございますけれども、おそらくその問題は、何ぶんにもいわゆる自賠責制度というものが発足日浅く、それの現実の事故率算定等々について、まだ非常な長期の観察に基づく経験値というものが必ずしも確立されておらない。したがって、その料率算定にあたりましても、いわゆる収支相償う、つまりもうける必要はないですけれども、損をしてまでやれとは言っておらぬわけでありまして、そういう適正原価を償うという保障が必ずしも確立していないといったような不安が、あるいはあったのかもしれません。私も当時おりませんものでしたから、その辺の事情はつまびらかにいたしておりませんけれども、まあおそらくは、問題がかりにあったとすれば、そういうことじゃないか。しかし、そういう点はあくまで適正な料率を算定するということでいかねばなりません。したがって、保険会社は自賠責の引き受けというものを拒否してはいかぬということに御承知のようになっておりまして、いままでもそういうことを拒否した例は聞いておりません。先生の御心配ごもっともと思いますけれども、そういうことがないように、実は、大蔵大臣が厳重に目を光らせておるわけでございますので、万一いろいろ至らざるところがございましたら、びしびし御指摘をいただきまして、私どもとしても今後一そう監督の万全を期したい、かように思います。
○田邉委員 それでは農業協同組合、また中小企業の団体等が、その構成員のためにかような事業を実施することについてどう考えておるか、これは運輸省自動車局長にお伺いします。
○坪井政府委員 ただいまの相互保険の問題とも関連する問題でございますけれども、現在強制保険のほかに自家保障という制度がございまして、担保能力が十分であると思われるものについては、強制保険の対象外にしております。この関係で農業協同組合の責任共済制度、こういったものがあるので、これを強制保険のほうから除外してはどうかというお話もございまして、われわれとしてもいろいろ検討いたしたわけでありますが、この問題につきましては、まだ農業協同組合の実態そのものについてわれわれとしても十分知識もございませんので、よく農林省にも内容を伺いまして、はたして強制保険に対抗できるようなしっかりした内容のものであるかどうかというようなことについても十分検討させていただきたい、さように思っております。 それから、そのほかの相互保険といいますか、あるいは共済制度というようなものにつきましては、ただいま法令の根拠に基づいたしっかりしたものがございませんので、われわれとしてもそういったものの実態について十分今後も検討しなければならぬ問題だと思いまして、ただいまのところ、これをいまどうするというような決断する資料は持ち合わしておりませんので、ちょっとお答えできないと思います。
○田邉委員 自動車局長の話は、まだ検討の時期に達しておらぬということなんですか。
○坪井政府委員 強制保険の対象外に置くということにつきましては、やはり被害者保護の見地から十分格の高いものでなければならぬ。すなわち、組織とかそういったものについて、十分被害者の保護に欠けることのないようなものでなければならぬ。そういう考え方でございますので、その辺について現段階において、たとえば個人共済というのがございますけれども、こういったものがはたしてそういったものに耐え得るかどうかというような問題もございますので、慎重に検討したい、かように思っております。
○田邉委員 大蔵省はその点について、銀行局長、どう考えておりますか。
○佐竹政府委員 大蔵省もいろいろ検討いたしております。農業協同組合につきましては、これは実は保険に限らず、その他信用業務、あらゆる面で、非常に大蔵省と密接な関係がございますので、かねがねしさいに分析、検討をいたしておるわけでございます。ただ、これは理屈を申しますといろいろなことも言い得るのではないかと思いますが、私も実はそれほど保険の専門家でもございませんので、理屈は申しません。ただ、いろいろ調べてみますと、やっぱりなかなかむずかしい問題が多いことは、事実でございます。したがいまして、これについては、今後とも十分慎重にいろいろ検討してまいりたいという気持ちでございます。
○田邉委員 農林省はその点についてどう考えておりますか。
○和田(正)政府委員 田邉委員御案内のように、農協は昭和二十六年ごろから、事実上共済事業の開始をいたしておったようでございますが、昭和二十九年の六月に、国会の御審議をいただきまして、農協自身が共済事業を行なえますような法律制度が整備をいたしたわけでございます。先ほど大蔵省のほうから、保険業法に関連をいたしまして、この自動車損害賠償保険の制度の公益性についてお話があったわけでございますが、その二十九年にできました法律制度で、ほぼ保険業法におきますと同じように、事業の実施をいたします場合の認可、あるいはその事業の内容等についての認可、その他十分な監督規定が農林大臣の権限として備わっておりまして、また他面では、農協は、御承知のように、非営利団体でございますということにおいて、私どもは、農協の共済事業は、そういう意味では非常に公益性の高いものだというふうに考えておりますることが一つ。 それから第二には、現在農協及び農協の組合員が所有しております車両の数は、本年末ぐらいで大体六百万台をこえるというふうに推計をいたしておりますが、これらの農家あるいは農協がこの法律によります強制保険に加入をいたしますためにも、農協が農協の共済事業としてこれらの事業ができますことが、組合員のためにもきわめて便利であるというふうに考えておりまして、ぜひこの制度の中へ農協共済事業を取り入れてもらいたいし、また取り入れてしかるべきものであって、被害者保護に欠けるような制度ではないということで、運輸省等にそういう希望を申し入れてまいったわけでございますが、この法案の中には盛り込めなかった、そういう事情でございます。
○田邉委員 ただいま農林省の見解と、それから大蔵省の見解とは、私は大きな食い違いがあると思います。と申しますのは、大蔵省は、保険会社が最も妥当である、その他の農協等の団体がその構成員のための事業を行なうということについては、検討をする必要がある、こういうことで、まことにことば巧みに大蔵省は核心をそらしておる。しかし裏返せば、農協の行なう共済事業というものは損害保険事業に比して非常に見劣りがするんだ。だから、これは不適当であるのだ。だからなるべく時期を伸ばしていく。そしてまた、この監督の件の問題についても非常に問題点があるということは、口には出さないけれども、大蔵省と農林省のその答弁の食い違いを聞いておりますと、そういう感じがいたします。これは私は勘ではなくて、実際にそうだと思う。それは銀行局の考え方はそうだ。 そこで、私は大蔵省に重ねてお尋ねするけれども、いま農林省は農協にやらしても、十分共済制度をやっておる、建物共済もりっぱにやっておる、地震保険もやっておる。そういう中で、今日までりっぱな業績をあげておる。それにもかかわらず、この農協等にこの事業を実施させるということについては、能力が十分備えられておらないがごとき表現でございますが、その点はいかがですか。
○佐竹政府委員 私の先ほどのことばが足りませんでしたために、あるいは誤解をいただいたのかとも思いますけれども、私は決してそのようなことを申したつもりはございません。農政局長の和田君の考えは私もかねがね十分承知をいたしておりますし、農協が現在、現に火災共済あるいは建物共済を営んでおりますこと、これはまぎれもない、厳然たる事実でございます。これはこれでりっぱにやっておられるわけであります。したがって、ただいま先生御指摘のように、農協というものがそういう共済事業、保険事業に適しない、あるいはそれだけの力がないというふうなことを実は申しているわけではないのです。むしろ、ここでいろいろ問題がございますので、今後慎重に検討してまいりたいと私が申し上げました趣旨は、これは御承知のように、確かに農協は建物共済等もやっておりますが、ここで、当面問題になっておりますところの、いわゆる自動車賠償責任保険、先生先ほどからしばしば御指摘のように、強制加入という問題でございますとか、被害者保護、特に第三者の利益を守るという問題等々、つまり他の保険にない一つの特色を持った性質のものだと思っております。そういうようなものにつきましては、実は技術的にもいろいろな問題があるわけでございます。つまり料率算定あるいは被害査定の統一査定と申しますか、そういったような全国的な一本の基準に基づいて、そこに差別あるいは区分というのが起こらないような形で運営されなければならぬという制度、これは本来当然のことであろうかと考えます。そういったような、いろいろ技術的な問題がある。そういう技術的な問題について、これを円滑に施行して、そして所期の目的をきちっと果たしていくということは、これはどうしてもやらなければいかぬわけでございます。そういったような問題もございますし、そういうもろもろの問題について、もちろん今日までいろいろ勉強もいたしてまいりましたけれども、まだまだ実は勉強不足の感がございます。そういう意味で、私どもとしては、今後とも、先生のおことばを借りれば、前向きで検討をする必要があるということを感じておるわけであります。決して農協が共済事業に適さぬという、そんな不遜なことは毛頭考えておりません。
○田邉委員 銀行局長は非常にもの穏やかに、そうしてまことに前向きのお話をなさっておられるのですが、ただいまの答弁を聞いておりますと、農協は建物、火災等をりっぱにやっておる。それで、それには力がないとか適さないということを言っているのではないのだ。問題は、料率算定だとか被害査定のいわゆる技術的な問題、こういうものが円滑に処理されるということがやはり問題になるのだということになれば、いまの局長の言をもってすれば、農協にやらしてもいいのだ、強制保険をやらしてもいいのだ。ただ、この技術的な料率算定や被害査定の問題が残ってくるのだということになると、現在の建物共済にしても、それから火災にしても、これはりっぱに農協がやっているという現実を見たときに、この技術的な問題というものは議論の余地がなくなるのではないか。いまの局長のことばを借りれば、これは農協にもやれるのだ。だから、その機は十分熟している。ですから、大蔵省がこれを農協にやらしたいという気持ちがあればこれは完全にできるという裏書きを、いまあなたがおっしゃったのだと私は思うのですが、どうなんですか。
○佐竹政府委員 非常に好意的に解釈していただきまして、実は恐縮をいたしているわけでございますけれども、これは、実は先生にわざわざこんなことを申し上げるのはかえって何かと思ったので省略をいたしたのでございますけれども、御承知のように、保険というものと共済というものは、おのずからそこに本質的な区分がございますこれをめぐっていろいろ議論のあることも、先生よく御承知だと思います。しかし、今日の問題を考えます場合にも、やはり当然そういう問題が基本的にはある。あるけれども、私から先ほども申し上げましたように、現にそういう建物共済なんかが行なわれているわけですから、社会的な事実として確立されてきている、それを否定するわけにはまいらぬという気持ちもございます。同時に、やはりこういう問題を考えます場合には、一体だれが大事かということよりも、何が大事か、こういうことですべて問題を考えなくちゃいかぬと実は思っているのでございます。つまり、農協がやるとか保険会社がやるとかいったようなことは、枝葉末節だと私は思います。それよりも、本来自賠責の法律によって確立されたところの自賠責制度が完全無欠に行なわれること、被害者保護に全く欠くることなく理想的に行なわれるということこそ、われわれは最も念願すべきものでございまして、それがつまり何が大事かということで、つまり、そういうことが円滑に行なわれるという保証があるということが一番大事だと思います。だから、だれが大事だ、やれ農協だ、保険会社だ、そんなことは枝葉末節だと思います。そういう意味でございます。
○田邉委員 ただいまの銀行局長の発言は、重大な発言だと私は思う。保険会社がやるか共済がやるか、だれが大事かということになれば、そんなことは枝葉末節なんだ、自賠責制度が完全に行なわれなければならぬ、こういうことであれば、私は銀行局長に伺うが、いまの軽四輪の自賠責の普及率というものは何%になるか。三〇何%実施されておらない。それから普通の一般自動車においても、一一%実施されておらない。これはどういうところに問題点があるか。農家はみな車を持っておる。軽四輪も持っている。オート三輪も持っている。今度の原動機付にいたっては、おそらく四五%持っているでしょう。こういうものが把握できないところに、この自賠責の保険の盲点がある。そして、保険会社だけがこれをやっておるから、この強制保険というものが完全に把握できておらない。これを農協にもやらす。それから自家保障、それからこの保険会社、中小企業、こういうものにやらしたら、網をぴしっと張るから、あなたのおっしゃる自賠責制度というものが理想的に行なわれるのじゃないですか。その点はどうですか。
○佐竹政府委員 まあその点は、先生もよく御承知だと思うのでございますが、つまり強制加入という制度でございますね。つまり加入契約を結ぶ者からみると、どちらかというとあまり進んでやりたくない人間の本能がありますね。しかし、被害者のことを考えると、どうしても入っていてもらわなければならぬ。そこに、つまり人間の本能に基づいた、この制度をうまく持っていくためにいろいろむずかしい点が実はあると思うのです。ですから、何らかの形で、そういう一〇〇%強制付保というものが保障される何かもう一つ別のものが必要なのです。それは決して制度的に保険会社がどうとかいう意味ではなくて、本質的には実は加入者はどちらかと言えばいやだ、それを引っぱってきてぽんと入れさせなくちゃならぬ。現在自動車は、先生よく御承知だと思いますが、結局ステッカーを張って、車検のときにどうしても自賠責に入っていなければ車検を受け付けないぞというあの制度は、初めはなかったわけですね。どうもうまくいかぬということで、関係者がいろいろくふうしてみたところが、やっぱりこの車検というものに結びつけて、——車検が通らなければ車は走れませんね。いやおうなしですね。そして、そこへ引っぱり込んでいく。そこで、軽四輪の問題ですが、これはたしか車検制度がないように伺っております。私はこれは運輸省あたりでいろいろ御研究願って、その車検制度を当然軽四輪に拡大するなり、あるいは車検制度がもし技術的に必ずしも必要ないというなら、登録制度か何かきちっとしたものにするという、そっちのサイドの、つまり運輸行政の問題じゃないかと思うのです。ですから、保険会社がいやがってやらないとか、あるいは農協の守備範囲のところになかなか保険会社が入っていけないために実態がつかめないという問題ではない。むしろそういう裏付けがないために、そこからざるで抜けてしまうということじゃないかというふうに、実はしろうと考えでございますが、違っておりましたらお教えいただきたいのでございますが、そういう点で、私はむしろ運輸行政の面で、あるいは警察行政の面でもう一歩そこを進めていただけたら、それで相当解決がつくのじゃないかと思います。
○田邉委員 私は、銀行局長の話はまことに苦しい答弁のように見えるのでございます。いまの強制保険が、普通自動車も軽四輪もオート三輪も、今度の原動機付もできるだけ入れるようにする。ところが、本人は実は入りたくないのだ。だから、これは行政上に欠陥があって、たとえばいまの軽四輪は登録制度にすれば、これはそこでチェックできるから入るのだ、こういうお話なのですが、実はこれは行政的にやるからつかめるのだ。しかし、それでもなおかつ一一%抜けているのです。それは保険会社にその能力がないということなのです、私に言わせれば。ですから、全国的な組織を持つ、農村の地についた農協に、農村で持っておる車、そういうものをやらせれば、もうくまなくこれを把握できる。そういう意味で保険会社のほうの、要するに強制保険加入がうまくいかないことは、行政の責任であるがごとき表現をなさっておりますが、私はそれは根本的に違う。やはりこの制度というものが全体の被害者保護の立場に立つならば、どの業者も全部入らなければならない。それにはあらゆる機関を使ってこれをやるということ。だから私は保険会社がやってはいかぬということじゃないのです。保険会社も大いにおやりになってけっこうだけれども、ほかのやれる団体、すでに火災保険も建物もやって、りっぱにやっているところにもやらしていいじゃないか。要するに、社会保障的な強制保険であるから、当然あらゆるものにやらして、そしてざるから水がこぼれないようにきちっと下にビニールを張って、そして全部が加入できるような形にする。それには私はいろいろのものを取り入れてやる段階がきた、こういうことを申し上げているのです。
○佐竹政府委員 その点、実は私は先ほどちょっと数字を申し落としましたけれども、自動車につきましては、御承知のように、三十二年当時は加入率が七九・七で、実は八割に達しなかったことは、先生御承知のとおりであります。その後三十三年、三十四年、三十五年と見てまいりますと、ずっと八〇%台であって、これまたなかなか九〇までこないという実情であります。たしかステッカーでもって車検と直結さしたのは三十六、七年ごろでなかったかと思いますが、その三十七年度以降やはり急速にこの加入率が上がりまして、三十七年に九二・六%になり、三十八年には九六・一になり、さらに三十九年三月には一〇〇%に達する、こういう状態でございます。ですから、これはやはりそういう車検と結びついたことによって一〇〇%達成ができた、こう言っていいのじゃないかと思います。軽自動車のほうはいまのように五、六〇%台を彷徨しておって、昨今ぼつぼつ七割台にだんだんなってまいりました。これはひとえに運輸省の非常な御努力の結果じゃないかと私は思います。ただ、これを一〇〇%に持っていくにはやはり自動車と同じように、そういう同じシステムを使わないとなかなかむずかしい。ですから、先生のお気持ちは非常によくわかるのでございます。つまり保険会社だけでやるから水が漏れる、いろいろなところを動員してやったほうがいいというお気持ちも非常によくわかるのでございますが、どうもこの事柄の本質は、いまのこの数字が非常に明瞭に物語っておりますように、やはり私が申し上げておるようなところにむしろ基本的な事情があるのではないかと思います。
○田邉委員 銀行局長、私の言っていることは大体国民の大多数がそう考えていることなんですよ。私の気持ちがどうだとかという話をなさっているけれども、一体銀行局だけが保険会社のことばかり考えているのですよ。国民全体の考えていることは違うのですよ。被害者保護というならば、すべての車に全部保険がかかっていなければ困る。それを、車検制度をかえてくれればうまくいくんだということで逃げているけれども、その車検制度を一歩前進して、さっき言ったように農協も、建物共済も火災もやって、りっぱにやっているとあなたが保証しておられるのだから、そういうものにもやらせる。自家保障も全部やらす。網の目のようにきちんとやって、そしてすべての車が強制保険の制度に入っておるようにするということが、この強制保険のたてまえじゃないですか。これはもう私は国民全体の声だと思うのです。そこは私だけが主張しているような錯覚を起こされないようにひとつ理解をしていただきたい。 それを議論していると際限がありませんから問題を変えます。ひとつ農林省に伺いたいのですが、もし農協がこの制度、事業をやると仮定したならば、現状と比較してどういう利点があるか、その点を伺いたい。
○和田(正)政府委員 先ほども申し上げましたように、農協なりあるいは農協の組合員が所有をいたしております車両が、現在もう六百十万台くらいになっております。現在強制加入になっております車両につきましても、農協共済では事業が実施ができませんので、強制加入の部分を保険会社に契約をいたし、その他の上乗せをして、被害者に対する補償を全ういたしますための上乗せ部分と申しますか、そういう任意部分だけを農協共済が引き受けるというような形になっておる。したがいまして、農協共済が根っこのほうの強制保険部分から加入をできますような事業の形態になりますれば、農家自身もたいへん便利になるということが、何と申しましても一つあります。 さらに農家の便利の点では、御承知のように、保険会社の代理店舗は必ずしも全国の農山村にもないわけでございますから、自分の住んでおります村落にございます農協でそういう契約ができれば、これはまた組合員にとってはなはだ便利だということになります。そういう意味では、先生がおっしゃいますように、単に保険会社だけでなしに、農協にもこの仕事ができるようになりますれば、一面では車検等による運輸省の行政指導の効果もありましょうし、さらにいまのように農協共済がこの事業を実施するようになれば、当然付保の比率も高まる効果も当然に伴うものだというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○田邉委員 ただいまの農政局長のお話を聞きますと、やはり農協がこの保険を扱うことによって、非常に大きな利点があるということを言っておられる。この点については、運輸省は、農協がこの種の事業を実施するということについては異存はございませんか。
○中村(寅)国務大臣 私は、この問題は、先ほどから銀行局長が言っておられること、農林省の言うことを聞いておりましてもわかりますように、やはり銀行局長は、保険事業の本質に比重を重く見て話をしておる。私は、その考え方もやはり一つの正しい考え方だと思います。農林省の言っております考え方というものは、これは実態を中心にして現実に比重を置いた考え方であって、これもやはり私は一つの見識だと思いますから、運輸省といたしましては、この両方の意見をよく勘案いたしまして、実態に合うような方向で、銀行局長の注意をしておるような点を十分加味しまして、前向きの姿勢でひとつ検討いたしたい、かように考えております。
○田邉委員 自動車局長はこの衝に当たっておるのですが、あなた、自動車局長自体が考えて、どうお思いになりますか。
○坪井政府委員 基本的には大臣のお考えに従っておるわけでございますが、内容的に、われわれとしましては、農協の実態というものについてさらに農林当局の御説明をいろいろ聞きまして、われわれとしては被害者保護に十分欠けることがないということ、それからまた、それらに対する措置というものが十分確保されれば、この法律の目的は達せられると思うわけでございます。ただ共済制度と保険制度というようなむずかしい問題もあるようでございますので、その辺につきましては農林、大蔵でさらにいろいろ詰めていただきたいと思います。
○田邉委員 いま農政局長は、これは農協に非常に利点があるのだ、こう説明しているのですよ。そこで、さらに農林省とも相談の上ということでなくて、いま答弁を聞いておられて自動車局長は、これはなるほど農林省がそれだけの利点があるならばいいとか悪いとかいうことをはっきりなさったらどうでしょう。何か抽象的な、どっちにつくかわからぬような、大臣答弁みたいな話をせずに、衝に当たっておる当事者なんだから、その点をもう一度……。
○坪井政府委員 農協の実態について、われわれとしても十分検討さしていただきまして、被害者保護に欠けることがなければ運輸省としてはこれを取り入れるにやぶさかでない、そういう考え方でございます。
○田邉委員 そうすると、私が補足説明をすれば、自動車局長の話は、農政局長がこれを農協にやらしても非常に利点があるのだ、そういうことであるならば、これはやらすのにわれわれは賛成だということなんですね、はっきり言えば。
○坪井政府委員 農協の利点ということではなしに、被害者保護の観点からわれわれとして検討さしていただいておる、そういうことでございます。
○田邉委員 そこで最後に銀行局長、これは簡単に、あまり長い答弁は要らないのですけれども、なぜ農協にやらせて悪いか。いま農林省も運輸省も——農政局長は、これをやれば非常に利点があるのだとはっきり答弁しておる。自動車局長は多少そこを、まあ銀行局長の顔を見ながら言っているようですが、農協になぜやらして悪い。私は、悪いとは言っておらないのだと思うのですが、その点はいかがですか。
○佐竹政府委員 これは先ほどから申し上げておりますように、実は非常に問題が多いということを申しておるわけであります。多々問題がある。これはあまり長くお答えしてはいかぬと思いますから簡単にいたしますが、要するに、基本的には保険というものと共済との本質的な差異、これをめぐる問題、まずこれが基本的にあります。そのほかに自賠責制度というものの運営にあたって、幾つかのいろいろ技術的な問題も出てくるといったようなこと、いろいろ実は問題が多いわけでございます。したがって、農政局長が農協にやらしたほうがいいと言われるのは、これはもうあたりまえのことだと思いますが、大蔵省は、いま申しておるようにいろいろな問題点があるので、それらを十分慎重に検討してもらわなければならぬ、こういうことを申しておるわけでございます。
○田邉委員 先ほどから話を聞いておりますと、銀行局長の話は、私が質問をした範囲では、これはやはり農協等にやらしてもいいんだ、ただ技術的な問題が残っているのだという結論になると思うのです。 そこで、これ以上議論を進めていっても、なかなか銀行局長、きょうははっきりおっしゃらぬから、今度は別の問題に入りますが今回の改正案で原動機付自転車を対象の車種に含めることとなったのですが、この原動機付自転車に限って政府は再保険をしないということはどういうわけか。これは当初運輸省は、原動機付自転車については再保険をするという考え方であったと私は聞いております。その後、どういう事情で再保険にしないということになったのか、この点をひとつ自動車局長にお伺いいたします。
○坪井政府委員 運輸省といたしましては、この再保険の問題につきましては、この法律の制定当時のいろいろの経過等も顧みまして、いわば国営保険の性格も帯びておるものであるという見解を持っておりまして、今度新たに原動機付自転車を強制保険の対象とする場合には、当然にこの問題についても再保険を課すべきであるという考え方を持っておりましたが、何ぶんにも原動機付自転車というものは、数が自動車と同じように膨大なものでありますが、これらの被害状況は自動車とおのずから異なっております。自分がけがをするというような事故が相当多いとか、あるいは被害の程度が、バスや何かの転落のようなそういった大きなものにならぬというようなことから、危険分散の必要性も自動車ほどではないというようなことです。また、それらを全部再保険にするということは、相当な手間がかかるということ。それから現在自動車について再保険をやっておりまして、大体の保険の内容については、その自動車保険の再保険を通じてわれわれとしては十分把握できるので、原動機付自転車については、今後新たに加わるものであるので、そういったものを十分自動車の場合を類推していけば、料率の算定その他についても大体のところは算定できる。それらのことから考えまして、原動機付自転車については再保険をしないことに踏み切ったわけでございます。
○田邉委員 いまの自動車局長の話を聞いておりますと、再保険については、これは大体自動車の実情を見れば把握できるのだ、だから原動機つきについても大体の見通しができる。こういうことは裏を返せば、自動車の保険というものは、大体ペイしているのだ。だから再保険の必要がないのだというように私はいま受け取っておる。そこで一番問題になっておりますのは、この現在の自賠責保険事業というものが、私どもには真相がよくわからない問題が多いのです。ですから、この事業をさらによりよいものにしたい。それにはこの保険制度、再保険制度、こういうものの内容を私どもはひとつ十分検討をしたい。そしてこの自賠責保険事業の完全な運営と申しますか、被害者保護に立ったこの保険の十分な活用をする意味において、私は資料をひとつ委員会に提出をしてもらいたいと思うのです。私ども保険の問題はどうしても内容がつかめない、ですからまことに銀行局にとっては、いまだに出したこともないと思うのですが、私どもはそれを知らないと、この問題について核心に触れていかれない。 そういう意味でひとつ、自動車の年度別、車種別の付保率の表、事業開始以来のものを出してください。それから都道府県別の車種別の付保率、最近一年間。それから、営業用乗用車の保険料区分地域別付保率、最近の一年分。それから、都道府県別自動車損害賠償保険代理店数及びその従事職員の数、これも一年間。これは銀行局のほうにお願いします。 それから保険料率の問題で、年度別車種別の事故(死亡、傷害別)発生率及び損害率、これは事業開始以来のものをお願いします。それから、都道府県別車種別の事故発生率及び損害率、最近の一年分。それから、営業用乗用車の保険料区分、地域別事故発生率及び損害率、その一年分。それから損害率ですが、車種別純保険料率の算出基礎資料、現行のものを出してもらいたい。これは政府の自動車損害賠償保障事業賦課金の算出基礎資料を含むのですよ。その次に、車種別付加保険料率の算出基礎資料を出していただきたい。これは現行のものでいいです。付加保険料率というのは、社費だとか代理店手数料です。 それから経理の問題で、年度別車種別収入純保険料と支払い保険金の収支実績、これは責任保険事業、政府の再保険事業別です。これはわかりますね。それから年度別車種別付加保険料の収支実績、これは事業開始以来です。それから査定事務所というのがありますね、その従業員の数、そのうち過去において損保会社に勤務していた者を明確にしてもらいたい。それから査定経費ですが、予定査定経費と実際の査定経費との収支明細、これだけをひとつ次の委員会までに出していただきたい。 以上をもちまして、私の質問を終わります。
○久保委員 私は、いま田道委員から要求があった資料、この資料は膨大なものでありますが、できますなら来週早々に手元に届くように努力してほしい、こういうふうに思います。それがいやならば、法案は残念ながらずっとあとになることを政府は承知してもらいたい。これはあたりまえなんです。本来ならばこういう資料は法案提案と同時に、要求がなくとも出してくるのがあたりまえなんだ。政府委員席のほうでけらけら笑っているようだが、不届きしごくなんだ。だからこれについては、資料が欠ければ審議ができないんだから、ぜひ責任を持ってもらいたい。大臣もおられますから、そのとおりにお願いします。 なお関連して、よけいなことでありますが、いま申し上げたようにこの法案ばかりではない、すべての法案その他を審議の場合には、一々審議の途中で資料要求をせぬでいいように、あらまし、政府は質疑応答予想問答集をつくっているのだから、大体この程度の資料は必要であろうということで、見当がつくはずです。これから全部出していただかないと提案説明の聴取だけはするが、あとは審議はしない、こういうふうになる、あせわて申し上げておきます。 それから、きょうは珍しく本委員会には大蔵省の高官が見えられて、保険についてそれぞれうんちくを傾けられて、たいへんわれわれも啓発された点が多いのであります。しかし時間の関係でしろうとのわれわれとしては、大蔵省が考えている保険事業、保険制度、こういうものについてはいままでのお話では不十分でありますので、次の委員会には銀行局長、いわゆる緒論から総論、各論というようなことで、これはまじめに質問しているんですよ、お願いしたいのです。保険の制度、さらに保険事業、その中で現在法案になって出てきている自動車損害賠償法、この講義をひとつしてほしい。よろしゅうございますか。——そこで、その講義を聞いてからまた質問をしますが、さしあたり、いままでの田邉委員の質問とその答えを総合すると、どうも運輸省がこういう法律を持っていて、保険業務というか、そういうものをやること自体が誤りでないか、むしろこれは銀行局長のほうにお渡しするのが当然かと思うのだが、いままでそういうことについて疑問は持っていなかったか。これは両方からお答え願いたい。これが一つ。 それからこれは銀行局長か自動車局長、どちらかだが、いわゆる保険事業というか、保険会社ですね、保険の事業をやる企業、そういうものの格の高いものと低いものが、あると先ほど答弁されたが、格の高いというのはどういう要素があるか、ひとつ参考のために聞かしてほしい。 それから、何が大事かという問答がありました。何が大事かというと、これは自動車の運行によって損害を人間に与えた場合に救済されるということが大事だという御訓示があった。なるほどそのとおりだと、いまさら思う。保険会社がどうあろうともかまわぬ、そのとおりだと思う。ついては、これはこの制度ができたときからどうもおかしいと私は思う。だから、そういう何が大事かということと、この改正案との関係はどういうふうに理解したらいいのか。これはだれでも、できる人でいいから答弁してほしい。 大体その程度さしあたりお伺いしておけば、この次さらに質問をずっとやりますから、逐一御答弁をいただきたい。
○坪井政府委員 格が高いとかいうことばがあったようでございますが、私が申したかったことは、共済制度にしても、総合保険にしましても、ただ不特定の者が集まって組織したという程度のものでは、この自賠法における適用除外といいますか、強制保険の強制を排除するに足るだけのものであるかどうか、なかなか判定しにくい、そういうことでございます。営利会社、保険会社の格とか、そういった意味ではございませんので、そういった組織体がしっかりした法令の根拠なり、あるいは被害者保護に欠けないだけの十分実体を持ったものであるかどうか、そういった意味で申し上げたのでございます。 それから、運輸省と大蔵省との関係につきましては、この自賠法については強制保険なり、あるいは被害者救済のために自家保障制度なり、そういった制度を通じまして被害者の保護、救済をはかっておるのでございまして、それらの全体につきましては運輸省が所管しておるところでございますが、保険事業につきましては大蔵大臣が所管しておる、そういうことでございます。
○佐竹政府委員 自動車局長のお答え申し上げましたところに補足して申し上げますと、いわゆる運輸省と大蔵省との関係につきましては、実は自賠責制度は共管になっておりまして、その点は、自動車行政というものは運輸省所管でございます、その自動車行政に基づいて出てくるこういったような保険制度、これは運輸省がいわば主体であろうと思いますが、同時に、それは保険制度というところから大蔵省に結びつきますので、そこで現在共管ということに相なっておるわけでございます。 それから、第三点に御指摘になりました、私が先ほど申しました、何が大事かということに関連して、今度の自動車以外のいわゆる原付自転車をさらに保険対象に加えてくるということは、どういうつながりを持つのであろうかというお尋ねであったかと思います。 この点は、要するに人身事故を起こすもとになるものは単に自動車だけでなく、軽四輪もございましょう。いわゆる二輪車、原付自転車というものもあろうかと思います。これが制度発足の当時におきましては、そのうちでなかんずく一番大きな部分を占めておりましたところの自動車というところから発足してきたわけでありますが、しかしだんだんやってまいりますと、やはり原付自転車による被害というものが現にあるわけでございますから、これも当然その対象に含めていくべきものであるということに相なってきたものと私どもは考えております。そういう意味から申しますと、これは何が大事かということと実は首尾一貫をいたしておる、だんだんに発展してきたものというふうに考えております。
○久保委員 それぞれ御答弁をいただきましたが、どうも保険はしろうとでありまして、よくわかりませんので、先ほど申し上げたように、資料が出てまいりましてから、来週じっくりお尋ねをしていきたいと思うし、お答えはもちろんないのがほんとうでありますが、冒頭私から銀行局長に申し上げたように、保険事業というか、そういうような制度というもののあり方について、この次には冒頭お話をいただきたい。形が悪ければ、もしかっこうをつけるのなら、参考人とか証人とかいうことになりますか、技術的なことはおまかせしますが、ひとつ講義を聞くということにしたいと思います。 それから、ぼくから申し上げるのはちょっと変ですが、田邉委員から要求があった膨大な資料は、ぼくの要求というか、希望どおり出るでしょうね。
○古川委員長 大蔵省、どうですか。
○佐竹政府委員 この点、もちろんこの委員会の御要求資料でございますから、私どもとしてはもう全力を尽くすということでございます。ただ、先ほどいろいろおあげになりましたものの中に、つまりすぐ集まるものもあると思いますが、多少時間のかかるものもあるかもしれません。かえって安受け合いをいたしまして、その場になって、いわばうそをつくというようなことは私はしたくございません。したがって、やはりできないものはできないということにせざるを得ないのでございますが、その点は私どもとしては全力を尽くします。全力を尽くしまして、どうしても二、三日で間に合わないというものがもしありました場合には、その点はお許しをいただきたいと思います。
○田邉委員 いまの銀行局長のお話ですが、全力を尽くしておやりになっていただくこと、これはお願いいたします。ただこれは料率算定会、それから保険会社というものはこういう資料ができておらなければ強制保険というものはできないのです。だから、当然これはもうできておるはずです。これから資料をそろえるのじゃなくて、現在あるものをまとめて持ってくるということなんですから、その点をひとつ御理解の上で、委員長からその指示をしていただきたい。
○古川委員長 運輸省、どうです。
○坪井政府委員 運輸省としましても、全力をあげて資料をまとめたいと思います。
○古川委員長 次会は、来たる三十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十九分散会