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50回国会衆議院1965/10/27

日本国と大韓民国との間の条約及び協定等に関する特別委員会 第4号

発言数
230
登壇者
19
会派数
2
開催日
1965/10/27

会議録

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 これより会議を開きます。  日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案、右各件を一括して議題とし、質疑を行ないます。小坂善太郎君。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 昨日の委員会の冒頭におきましてはなはだ混乱をいたしましたので、そのために聞き苦しい点があったかとも思うのであります。そういう意味で、若干冒頭の問題点だけ質問を補足する意味で、総理にお伺いしたいと思うのでございます。  まずもって、この十四年になんなんとする長い間のむずかしい交渉をまとめ上げられましたるところの椎名外務大臣はじめ閣僚、関係者各位の御努力に対して深くこれを多といたしますと同時に、この歴史的な決定に断を下された佐藤総理の勇断に深く敬意を表したいと思うのであります。  私は、昨日に引き続きまして、この条約、諸協定に対して国民の聞かんとするところをきめこまかく御質問いたしたいと思いますから、どうぞそのおつもりで御答弁を願いたいと思います。  世論調査等を見ましても、国民のほとんどの大部分が、最も近くにあり、しかも歴史的に非常に関係の深い、しかもまたわが国から独立した韓国との間の国交を一日も早く正常化することは当然であるという考えを持っておると理解せられますけれども、なお一部には反対論もあるわけであります。この反対論は、数におきますと、大体世論調査では一二、三%となっておるのでありまして、非常に少数でございますが、その反対の中にまた二種類ございまして、一つは、条件つき反対論といいますか、かくかくいう点をもう少しがんばってもらえばよかった、こういうような反対論。もう一つは、絶対的反対論と申しますか、自由主義陣営に属する韓国との国交は絶対に反対である、こういう考え方でありまして、この条約というものは、よく私など聞かれるのでありますが、一体今度のできばえは何点くらいだろう、こういう質問を受けます。私は、これに対しまして、この条約は盲点満点をとれない性格の条約であるんだ、何となれば、これは戦争のあと始末であって、しかもわが国から独立した韓国に対する国交正常化のための諸条件の協定であるから、これは、日本が百点満点をとって韓国が非常に不満足、あるいは韓国が百点満点をとって日本が非常な不満足ということでは、日韓の正常化というものは今後においてできないのだ、そういう性質のものである、こう申しておるのであります。  この条約は、韓国におきましてはあらしの中で国会で批准されていったというふうにいわれておりますが、しかし、現在では情勢が非常に落ちついて、反対論者の非常に強硬のものも変わりつつあるというふうに聞いております。私は、この日韓の国交正常化というものは、との条約はいわばスタートラインに立つことであって、今後はこのスタートラインに立った双方がお互いに歩み寄って、正しい国交の親善の姿というものを具現していかなければならない、こういう意味で、今回のこの国会の批准もできるだけ早くやっていただきたい、われわれとしてはやりたい、かように思っておるわけでありますが、先ほど述べましたるところの絶対反対論者が、条件つき反対論者を一〇〇%利用して、そしてこの批准をおくらせようとしておるのでございます。  そこで、首相に絶対反対論者の言い分というものを一々きめこまかく弁駁していただきたい、こう思って昨日質問をしたのでございますが、昨日は、いわゆるNEATO論というものもまことに根拠のないものだ、あるいは南北統一を阻害するというような議論もまことにから宣伝であって根拠のないものである、こういう御答弁があったわけでございます。  そこで、きょうは、戦争に巻き込まれるぞというような議論がございますので、その議論のうちのおもなものを雑誌等からとりまして、三つに分けて御質問をいたしたいというふうに思うのであります。これらにつきまして、日韓条約というものは平和のための条約だ、善隣友好のための条約であって、およそ戦争などとは全く縁の遠い、戦争に巻き込まれるなどというようなことは全く的はずれもはなはだしいものであるということを、ひとつ明確に答弁していただきたいというふうに思うのであります。  まず第一の点は、こういうことでございます。わが国は、外交の一つの大きな柱として、国連中心主義をとっておる、国連の憲章の目的並びに原則というものを尊重するということをあげておるのであります。今度の日韓基本条約におきましても、前文と第四条におきまして、国連憲章の原則に適合して緊密に協力するということをうたっております。ところが、一部の論者は、その中にございます「国際の平和」と「安全の維持」ということばをとりまして、これが軍事的な性格、軍事条項であるということを言うのであります。何となれば、これは日米安保条約の中に同じことばが出ている、こういうことを申します。もしそういうような一部論者の言うことが傾聴に値するものであるとかりに仮定いたしまするならば、同様の文書が日ソの国交回復のための共同宣言にも使われておる、あるいはポーランドと日本、チェコスロバキアと日本との国交回復の条約に使わておるのでありまして、これらはみんな軍事同盟条項であるという、まことに笑止千万な議論になると思うのでありますが、この点につきまして、ひとつ政府の詳細な御説明を求めたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまの日韓条約の基本的な考え方はどうか、これは昨日もお答えいたしたのでございますが、昨日は混乱中でありまして、お聞き取りができなかったことだと思います。  お話のうちにもありますように、これをは申すまでもなく善隣友好の条約であり、同時に、平和に徹しておるわが国の基本的な態度でもあります。申すまでもないことでありますが、隣の国と戦後二十年間も友好親善関係を結ぶことができなかったということ、これは異常な状態といわなければなりません。おそらくサンフランシスコ条約が締結されたその際に、一緒にこういう問題も解決すべきではないか。お話にありましたように、戦争のあと始末の問題だ、こういう立場でこれが処理されていたならば、もうすでに問題が片づいて十数年を経過しておる、こういうことになるのではないかと思います。しかし、両国間の両当事者が、いままでの方々が非常な熱意をもって交渉されたにかかわらず、なかなか最終的な妥結を見ることができなかった。これは、両国のために惜しむばかりではありません。アジアのため、また、大にいたしましては国際平和のためにも、まことに残念なことだったと思います。しかしながら、今日までそれぞれの衝に当たられた方が熱心に、また熱意をもって交渉を積み重ねられた結果がようやく去る六月二十二日の調印と、こういうことになったのであります。これは、たまたま私どもがその際に政局を担当していたということでありますが、私は、調印を終わりましてまず感じたことは、過去の関係の方々がたいへんな努力をされた、小坂さんもその御一人である、かように思いますが、たいへん御努力があった、かように私は思います。  しかしながら、今日この問題が片づきまして、韓国においてはいち早く批准の手続を終えられた、国会で承認を求められて。これを、わが国におきましても、時期を失せず批准の手続を終えることが、とりもなおさず、国際信義の立場においての当然の責務だと私は思います。今日国会に提案いたしまして全面的な承認を求めておりますのも、かような意味合いでございまして、私どもが国際信義にもとらないように、こういう立場で、ぜひとも皆さま方の御承認を得たい、かように思いますし、また、過去の関係各位の方々の努力に対しましても、一日も早く承認の手続を終えたい、かように思うのであります。そういう意味でお願いをいたしております。  ところが、これにつきましては、韓国におきましてもいろいろ問題があった。また、わが国においても同じような問題があるようでございます。韓国におきましては、大多数の世論の支持を得ておりますが、それにいたしましても、国会が混乱をいたしましたことは、すでに報ぜられております。その反対された方々の御意見のうちには、わが国にもちょうど同じような理由で反対されておる方があると思いますが、どうもこの条約は韓国にとって非常に不利だ、こういう意味の反対が大多数であったように思うのであります。わが国におきましても、小坂君はただいま条件つき反対があると言われましたが、国民の一部には、譲歩し過ぎたのじゃないか、そういう意味でどうも不満だ、こういう意味の反対が出ておるようであります。韓国側の反対というのは、ただいま申し上げるようなものが大部分でありまして、日韓間の本来の正常関係を樹立する、そういうことに根本的に反対だという声は、私はほとんど聞かないのであります。しかし、韓国側が譲歩し過ぎた、それは将来のためにならないのだ、こういう意味の反対だったように思います。しかし、ただいまお話がありましたように、この種の問題は、これで百点満点という、満点のとれるような交渉はできるものではない。これも、十四年間にわたる相互の互譲の折衝、互譲折衝して初めてこれが解決したのでございまして、私は、大局的視野に立って初めて理解のできることだろう、かように思います。そういう意味で、皆さま方の、また国民大多数の御理解ある御支援を得たい、かように私は心から望むものであります。  今日まで、二、三の世論調査が出ておりますが、絶対に反対だというものは、わが国の世論調査に出てきたところでは、あるいは一一%といい、あるいは一二%といい、これはもう絶対反対だ、かように申ておりますが、その反対の中にも、ただいま申し上げるような、日本が譲歩し過ぎた、こういうものがあるようでありますので、どうしても両国間で親善関係を結ぶのは不都合だ、こういうものはきわめて少数ではないかと思います。この点は国民の大多数の方々が御理解をいただいておると、私かように信じておりますので、必ず国会におきましてもこの国民の支持が審議の上にも出てくるのではないか、かように期待をしておるような次第であります。  ただいまの、この絶対反対だというもののうちの、いわゆる軍事同盟につながるものだという、これは、御承知のように、いままでも、あるいは沖繩問題、あるいはベトナム問題、これらと一環の問題なんだ、それで日韓交渉の妥結を急いでおるのだ、かような非難を受けてまいりました。しかしながら、十四年の長きにわたってわれわれ交渉しているこの問題が、ただいまのようなベトナム問題と直接関連のないことは、国民の皆さん方もみんな御承知のとおりだと思います。これに直接関連があるような言い方をすることは、これは故意に国民に不安を与えておる、かように申しても、当たらないとは言えない、かように私は思います。ただいまのような問題があるし、また、ことにアメリカがこの問題に関係しておるという一つの疑いがあるようでありますが、十四年間の長い交渉の途中におきまして、アメリカがこの間に割って入ったようなことは全然ございませんし、また、日韓間におきまして、直接軍事についての話し合いをしたようなことも、記録にはもちろんありませんし、また、話題にも出ておらないのであります。この点は、過去の交渉された方々から直接聞きましても、さような事態はないのであります。私は、この際に、軍事的な同盟を背景としておるものではないことをはっきりいたしたいと思います。ことに、国民全体がいま支持しておる憲法の精神から申しましても、かような事柄は考えられないんだ。私は、社会党の諸君が、憲法につきまして絶対支持だ、かような立場から、この憲法にももとるような事柄が行なわれておるのじゃないかといって非難されるという、その気持ちがわからないことはありませんが、われわれも忠実にこの憲法を守っておりますので、さような意味で、この社会党の非難は当たらない、国民もまたその点は十分御信頼をいただけるんだ、かように私は思います。  次に、戦争に巻き込まれる、その心配があるんだ、ことに国連中心、そのたてまえから見まして、この条約の条文を引例して、そしてこれが危険なんだという非難があります。しかし、今日私どもは、国連中心主義、そういう立場から、国連の決議を尊重し、国連の決議の趣旨に基づいて大韓民国を承認するのでありまして、この点では、いわゆる国連中心主義、御都合のいいところだけつまみ食いするような考え方ではなくて、全面的に私どもは、国連中心主義、国連の決議をどこまでも尊重していく、こういう立場であるのでありますので、七十一カ国の諸君とともに、この国連の決議を尊重して大韓民国を承認した。したがって、この大韓民国を承認することが南北の統一をはばむ、こういう議論がありますが、もしもそういうことがあるとするならば、北鮮または大韓民国を承認しておる国々が、すでに北鮮を承認しておるものが二十カ国以上、二十二カ国か二十三カ国、また大韓民国を承認している国が七十一カ国でありますので、これらの国々はそれぞれの立場において承認されたことだと思いますが、いわゆる南北朝鮮の統一をはばむ、そういう責任をこれらの国々も受けられることだろう。日本から申せば、これらのほうがわれわれの先輩のような感じがするのでありまして、私どもがいわゆる大韓民国を今日承認したからといって、日本だけが南北統一をはばむその責任を負うべきものではない、このこともよくおわかりだと思います。  また、基本条約に規定いたしております問題で、いわゆる国連中心主議の、いわゆる国連憲章の第五十一条、このほうの規定の適用があるのではないかという御心配でございますが、ただいまおあげになりましたように、もしもそういうような御心配があるならば、日本が締結しました日ソ協定でも、また日本とポーランドでも、日本とチェコ、それらの国々においても同じような条文を設けているので、これまた軍事同盟だといわざるを得ない。私は、そうではなくて、国連の平和的な条項、経済的な条項、そういうものでお互いに仲よくしていく、その国交を増進する、こういう規定を私どもが引用した、かように御理解をいただいて、また、お尋ねになりましたのはそういう御理解があるようでございますから、申し上げるまでもないのでありますが、国民の皆さまに対しましても、同じような条約の締結をソ連やポーランドやチェコスロバキアともしておるんだ、このことを御理解いただきまして、韓国だけに特殊な条約規定をしていない、かように御理解をいただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 われわれから見ますと非常に児戯に翻したような法文解釈であっても、大新聞の名前を冠し、あるいはそれが発行しておるような雑誌がいろいろとあるわけでございますが、これにいろいろな論文を書く人がある。われわれも経験があるのでありますが、学生のころは一生懸命これを読むわけであります。専門家から見るときわめて取るに足らない議論であっても、若い人たちはそれを引用し、真剣にそれを研究するという場合もあるわけでございます。そこで、これらの論文の中にある他の二点を拾ってみますので、これは総理からのお答えは、あまり法文解釈に過ぎるかもしれませんとお考えになりましたら、条約局長でけっこうでございますから、この二点をお答えを願いたいと思います。  その第二はこういうことであります。韓国には国連軍がいる、ところが、その国連軍は実は大部分は韓国軍隊である、——この点は私は事実に反すると思いますけれども、その前提でいいますと、今年の三月十七日に国連軍は領空権を韓国軍に渡しておる、だから、韓国の憲法によると、韓国というのは全朝鮮を支配、管轄するということになっておるから、韓国の空軍というのはいつでも北鮮を爆撃することになるじゃないか、そうすると国連軍が自動的に戦争に巻き込まれる、そうすると日本にいる米軍がやはりそこに加担していく、そうすると——これからまたずいぶん変なんですが、日米安保条約というものがあって、これはもう事前協議の対象にならぬ、とにかくアメリカ軍同士だからそっちへ行ってしまう、そうすると吉田・アチソン交換公文によって日本は自動的に協力していく、だから戦争になるのだ、こういう論理なんです。この点は井手以誠君が本会議で、吉田・アチソン交換公文をやめる意思はないかというようなことを総理に質問しておりましたから、若干この議論と関係があるように思いますので、特にこの点を伺うわけでございます。  私はお答え願うにあたりまして特に強調していただきたいと思いますことは、国連軍というものは平和のためのものであって、国連軍が北に侵略するということは絶対に性格上ないことであって、その前提を考え違いされているというところに議論の非常な混淆があると思うのでありますが、こういう点につきましてひとつ明確にお答えを願っておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 井手君の本会議の質問の中に、武力北進ということばがありました。私はあまり聞かないことばで、最近はこういうことばを聞かない、あまり聞かないことばですということでお答えいたしたのでありますが、その武力北進について何か特別にお聞き取りのものがあれば私は教えていただきたいと思います。私どもはむしろいまのように大韓民国が北鮮を爆撃するという、ことよりも、北鮮で最近声明いたしましたように、南北統一は共産主義によってこれを統一するのだという、このほうが私はむしろこわいので、ただいま言われるような武力北進ということは私はあまり耳にしておらない、かように思いますので、この機会に、ただいまお尋ねになりました事柄、これは条約局長でいいかと思いますが、一言私の感じました点を申し上げ、南から北を攻めていくようなことはただいまの状態では考えられないということ、そのことを一言お答えいたしておきます。あとは条約局長からお答えいたします。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 領空権ということば、どうも耳なれないことばでございますが、おそらくこれは米軍が、国連軍側から韓国軍のほうに航空管制の技術的なことを移譲されたというようなことを意味しているのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、飛行機であろうが何であろうが、北に向かって武力行動をとるということはこれは休戦協定違反でございまして、大韓民国のほうも、平和的手段によってのみ南北朝鮮の統一をはかるのだということは繰り返し声明しておるところでございます。吉田・アチソン交換公文の点につきましては、これは交換公文の文字からも明らかでございますように、国連加盟国軍が日本及びその付近において朝鮮における軍事行動を支援することを許す、そしてこれを容易にする、そういう、いわば許容の面の義務を規定したものでございまして、日本から積極的に何か武力その他の方法でこれを援助する、そういう趣旨の規定ではないわけでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 そこで、いまの御答弁で尽きておりますが、もう一点、日本におります米軍が、かりに韓国に何か問題があった場合に出ますときは、これは当然事前協議の対象になるというのは、もう安保条約の解釈上確定していることであろうと思いますが、この点はひとつ次のとひっくるめて御答弁を願っておきたいと思います。  もう一つは、第三点は、第五回の国連総会の決議があって、これは一九五〇年十月七日の決議というのでありますが、これによりまして、在韓国連軍が北進いたしまする場合には、国連はこれを無条件に認めておる、だからあぶないのだ、こういう説であります。これも実に非常におかしな言いがかりであると思いますが、いま問題になっておりますのは、先ほど総理の御答弁の中にもありましたように、むしろ北からの浸透、共産主義、全体主義によるところの全朝鮮の統一ということのほうが必配であろうと思うのでございまして、国連軍というのはまさにそういうものを食いとめるべき立場にあるものである、こういうふうに思うのでありますが、こういう点につきましてひとつ御答弁をわずらわしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 第一の点は、もちろん事前協議の対象になります。これはさすがに外務大臣をやられたからよく御承知のとおりで、これはもうはっきり事前協議の対象になる。  第二の問題につきましては、先ほども藤崎条約局長が申しましたように、ただいまの休戦協定違反、そういうことはもちろんしない、これを守るのが国連軍でございますので、その協定を十分順守していくという立場にあると思います。ただ、私がいま披露いたしました事柄が問題を起こしましても困りますけれども、いままで新聞の報道するところではさように申しておりますので、このことを私は注意すべきだ、かように申しておるのであります。北からの浸透、あるいは共産主義による統一、さようなことが行なわれないなら、また行なわれては困るのですが、たいへん希望するところでありますので、こういうことが事実とは違うのだ、新聞の報道するところは違うのだ、こういうようなことであれば、たいへん私はしあわせだと思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 北からの南への浸透ということについて、総理は現実の問題として懸念しておられるということではなくて、一つの議論の立て方としてのお考えを述べられた、かように私は理解して、御質問を申し上げております。  そこで、この三つの問題につきまして、実はよく考えてみますると、こういう問題がいろいろ提起されてはおりますけれども、日韓条約とは実は関係がないことなんですね。日韓条約がなくても、これはすでに現在ある安保条約、あるいは共産軍と自由陣営の対立といいますか、そうした関係からいろいろ対処すべき問題となっておることで、日韓条約というのが結ばれて初めてこういう事態が起きるのでないということなんでありますが、どうもこういう点について、私は、外務省の役人にもっと勇敢に、こういう雑誌の論文なんか、そういう点になったら、条約解釈で問題になりませんということを言ってないで、課長でも何でも断然ひとつ議論を買って出て、雑誌でも何でも投稿されるような勇気ある行政官を総理はひとつ養成されんことを望むのであります。これは質問ではございませんが、御意見がございましたらどうぞ……。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 御指摘のとおり、こういういわゆる俗説に対して、無関心な、高踏的な態度をとるということは、やっぱり考えなければいかぬ。でありますから、俗説は俗説としてこれを粉砕する方法を今後とってもらいたい、こう考えております。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われましたので、私は非常に国民にもみんな理解していただきたいと思いますのは、いままであった議論だ、そうしてこれが日韓条約ができて初めてこういう問題が起こるのじゃないのだ、この条約があろうがなかろうが、もうすでにそんな議論がされておるのだ、その議論されていて、今度日韓条約を締結した、それによってこの状態が一そう拍車をかける、こういうような疑問を持つことがおかしい。私はただいま言われるように、こういうものは平和の条約であって、最初からかようなことをねらっておらないのだ、どこまでも平和の条約だ。だから、むしろこれができたことによりまして、いままでありました議論に終止符を打った、かように私は考えるべきことだ。そうして、ことに、先ほどお話がありましたが、スタートラインに立つのだ、これこそはスタートラインに立って平和が進められ、また両国の親善関係が深められる、こういうことでございますので、この点をむしろ逆に十分理解していただきたい。いままでのが謬説であるが、同時にこれでいままでの間違った点を一切払拭する、そうして新しくスタートラインに立って平和への道が開ける、このことをぜひ御理解いただきたいと思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 非常に明快であると思います。  そこで最後に一点伺っておきたいのは、日本の経済が韓国の経済を征服する、あるいは搾取するというような議論があるわけです。これは韓国側からなされるのは別といたしまして、これがわが国の左翼陣営からなされておるということはまことに驚くべきことといわなければならぬと思うのであります。試みに、ある雑誌に出ております「西方への戦略」という中にこういうことがあります。これは三つばかりありまして、「第四は対米ガリオア・エロア債務を、改めて日本から韓国に対する資本輸出とし、これによって南朝鮮に日本の資本市場を設定し、ひいては民間資本の進出を可能にしようとしている。」こういうのです。私も実はガリオア・エロアの問題を扱いましたが、こういうばかげた話というものはとうてい考えられないことであります。これなども少し言論の自由の行き過ぎではないかというような気分がいたします。私はむしろこの際心配いたしますことは、韓国とわが国の賃金を比べますと、先方が非常に低賃金であるわけです。そこで日本の市場として、韓国が拡大されるというよりも、韓国の経済が日本の技術と資本を使いますことによって非常に伸びていく、日本の市場が逆に侵されるということがむしろ懸念される問題ではないかと思うのです。しかし私どもは、さしあたりそういうことは確かに懸念されますけれども、そうしたものを越えてやはり日韓国交の正常化というものは必要だ、将来アジアの平和と繁栄と安定のために必要なんだという見解をとるべきだ、こう思っておるのでありますが、この点いかかでございますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は韓国が安定し、同時に繁栄するということ、これは大局的に見まして、わが国の安全にも、また繁栄にもつながるものだ、かように考えて喜んでおるのであります。今回の経済協力もそういう考え方に立ちまして、どこまでも韓国の経済力が強化されるという意味に経済協力が使われることを心から願っておるのであります。そうしてただいままで懸念されております。たとえば自由主義の国でございますから、お互いに協力しながらも片一方では競争をする、その競争の立場に立つほうを大きく見ますと、日本は困るのじゃないのか、たとえば韓国の低賃金がわが国にどんどん入ってくるとか、また入ってくるまでもなく、韓国の産業の基礎において低賃金である、そのために非常に経済が強化されれば国際競争力が強くなるのだ、こういう意味で日本はたいへんだろうという心配が一部にあるようであります。これはかつて日本が低賃金の国だということで各国からもそういう点を指摘されました。これは私は、場合によれば国際競争も大いに歓迎すべきだ、かように実は思います。国際競争に負けないようなりっぱな経済ができることが望ましいのであります。また、いまの低賃金そのものも、経済が発展し、そうして生活が向上してくれば、いつまでも低賃金ではなくなるだろうと思うし、私どもが経済的な協力をすることも、韓国の経済がそういう立場になることを心から願っておるのでありますので、非常な短い期間でものを見ないで、長期の視野に立ち、また大局的立場に立って見ますると、必ずこの経済協力は効果をあげるのだし、日本はまたそういう意味でこれを支持しているし、ことに隣の国が経済的に安定する、このぐらいいいことはないので、これで初めてお互いに安全でもあり、また繁栄への道をたどるのだ、かように私は思うのであります。この両国の幸福、これは積極的に経済協力することによって初めて開けるのだ、またさらにいろいろ進んでまいりまして、それぞれの国にそれぞれ特異の問題があるだろうと思いますが、そういうようなことになれば、いわゆる競争も、それぞれの立場においての分野というものがそれぞれきまるということで、たいへんしあわせな世の中になるんじゃないかと思います。いずれにいたしましても、積極的に強化してやる、そうしてそれを繁栄へ導いていく、協力する、そうして生活が安定すれば同時にまた政治も安定するということで、望ましい結果になる、かように思います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 きょうは財産請求権の問題解決並びに経済協力の協定について、あるいは法的地位について、あるいは竹島その他の法律上の問題等について御質問を続けてまいりたいと思いますが、その前に、智漁業協定の問題について質疑をいたしましたが、その際非常に懇切な御答弁が外相、農相等からあったわけでございますが、その中で私ちょっと、若干気になりますことは、李ラインが完全に撤廃されるということは非常に明確になりました。非常に自信を持ったわけでありますが、その際に外務大臣は、韓国の国内法のことに言及されたのであります。わが国会でございますから、韓国の国内法の処理のことまで心配するのかというような気持ちがちょっとするのでございますが、その点について何か御意見があれば承っておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 韓国の漁業資源保護法なるものが、従来公海においてわが国の漁船を拿捕する国内法上の根拠となっていたものであるとすれば、今回の日韓漁業協定の締結に伴いまして当然改廃されることが望ましい、こう考えておりますが、協定を実施するため、韓国の国内法制上いかなる手続をとる必要があるかとか、あるいはそういう必要がないか等の手続問題は、もとより韓国側の国内問題である、日本としては韓国でいかなる取り扱いぶりをしようが、とにかく協定によって日本漁船の操業の安全が確保されるという以上、この際特に国内法の問題にいろいろ差し出がましいことを言わないつもりでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 財産請求権の問題と経済協力について伺ってまいりたいと思います。  講和条約第四条にございます請求権の問題は、今次の交渉中の最大難関であったのでありまして、十四年の交渉と申しますが、五年前までは全然請求権という問題については触れてこられなかったのであります。ですから、その困難さがわかるわけでございますが、その後の過程において、請求権というものは法的根拠のあるものに限るというようなことを掲げた時代もございますけれども、しかし、よく考えてみますると、敗戦の直後を経過し、または朝鮮戦争を経過いたしまして、法的根拠といいましても、その証拠書類というものはあるいは消失したりして一切散失しておる。そこで、大きな主張の食い違ったこの問題につきまして、経済協力協定に置きかえたという大平・金協定というものは、まことに天来の妙音と申しますか、言い得て妙というべき非常ないい協定であったと思わざるを得ないのであります。  そこで、まず伺いたいのは、交渉途次に、先方から出しております八項目の内容を示せという議論がしばしばございましたが、われわれはそのときは国会では審議中であるから出せません、こう申し上げてまいったのでございます。そこでこの際、その内容及び請求権問題の処理が、どういうふうにして経済協力に置きかえられたかという点をお述べ願いたいと思うのです。簡単でけっこうです。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 御指摘のとおり、韓国側から八項目にわたって請求権の内容を提示してまいりました。しかし、その法律上の根拠並びに事実上の証明の問題、これらにつきましては、日本側から見ますときわめて不明確な点がある。これはその間にだいぶ時日も経過しておるし、それから朝鮮動乱というものがございましたし、それらの点から考えて、これをいかに追及しても、これはもう究明することができないということが分明してまいりましたので、そうかといってこれを放置するということは、国交正常化をいつまでも長引かすということは、これは両国のためにとらないところでございますので、この問題をただいまお話の大平・金会談において経済協力——無償、有償の経済協力というものをこの際とりきめて、そうして一面においてこれと並行的に請求権の問題は完全かつ終局的に消滅したものとする、こういう大局的な見地に立って問題の解決をはかったのでございます。  さような経過でございますので、御了承願います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 八項目は、いずれ資料ででも出していただくようにお願いしておきます。  それから無償三億ドル、有償二億ドルというこの協力は、賠償の性質を持つものかどうかという点ですが、これは韓国側は賠償的なものであるというし、わがほうはそうではないというので、意見が食い違っておるということを、これは十月の二十二日の読売新聞朝刊には書いてございます。問題にしておられる点でありますから、この点について伺っておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 経済協力はあくまで経済協力でございます。それで、請求権というものの趣旨を貫くことができない。そこでこれは完全かつ最終的に消滅する、これと並行して経済協力という問題がここに浮かび上がったのであります。それで賠償的な性格をもし帯びるものであるならば、そういうことが協定の細部にあらわれるはずでありますが、ごらんになって御了解のとおり、あくまで経済協力として取り扱っておる、こういう状況でございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 平和条約の第四条(b)項で、日本はアメリカ軍の処理の効力を承認しておるわけであります。ところがここでもだいぶ問題になりましたけれども、例の軍令三十三号による私有財産の没収というものは、へーグの国際陸戦法規ののりを越えておるものじゃないか、こういう考え方をわれわれもとっておるわけなんであります。そこで、そういう財産が没収されておるということを頭に置いて、請求権問題の解決をはかるということを従来とってまいったのでございます。  そこで、今度のこの経済協力問題を解決するにあたりましても、やはりわれわれはそういう考え方を持つ。しかし、先方はいわゆる三十六年間の圧制という問題を頭に置いておる。そこで、こういう解決になったと思うのでございまするが、問題は(a)項にあります請求権の問題が——(b)項の問題だけは解決されたわけで、今度は(a)項にある全部——北の部分というものは一体どうなるか、こういう問題が残っておるわけでございます。そしてわが国としては北には大きな投資を持っておるのでありますが、この部分について、将来の問題ですが、どういう考え方を持って政府は解決しようとしているかという点を承っておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 第三条に国連の決議一九五号を引用して、そして韓国はこういう性格の国であるということを引用しておるのでありまして、したがって、これに関連して、請求権の問題の取りきめにつきましても、休戦ラインの北には実際上の支配、管轄権は及んでいないということを念頭に置いて処理をしておりますので、この問題はいわば残されておる問題である、こういうことであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 北には請求権があるというふうに解釈しておられるものと了解します。  そこで、もう一つ伺いたいのは、経済協力の適用される範囲は、韓国が有効に管轄をする範囲でありますが、そこでベトナム賠償の場合は、全ベトナムを対象としたわけです。ところが韓国の場合は北を包含していない。これはどういうわけでこういうふうに分けたのか。韓国の場合とベトナムの場合と、どうしてこう違うのかという疑問が国民にあると思うのです。その点をひとつ解明していただきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 南ベトナムの支配権が全ベトナムに及ぶという前提のもとにこれは取りきめをされたものでございますが、なおその詳細につきましては条約局長から詳しく申し上げます。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 ベトナムの賠償は、国家と国家の関係におきまして、本来の意味の賠償について取りきめたものでございます。しかるに今度の財産請求権の問題は、大韓民国の管轄のもとにある財産請求権、それから日本の管轄のもとにある財産請求権の処理をいたしたものでございまして、賠償とは全然性格を異にするわけでございます。  なお、それと離れまして、ベトナムでも賠償で供与されるものは、実際上はベトナム政府が管轄している地域にしか及び得ないわけでございます。それと同様に、請求権の問題と並行して取りきめられました経済協力も、その実施は実際上北に及び得ないことは、現実の問題として当然のことであるわけでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 合意議事録の4によりますと、一億五千万ドル以上の消費材の供与が予定されておるのでございます。   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お静かに願います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 これが無償供与の三億ドルのワクの中であるのか、あるいは別ワクであるのかということについて、議事録の面からは明らかでないという説があります。私は内ワクではなかろうかと思うのでありますが、この点明瞭にしておきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 その点は事務当局からお答え申し上げます。

西山昭外務事務官(経済協力局長)

○西山政府委員 合意議事録で一億五千万ドル以上に予定されております原材料につきましては、この合意議事録が協定を引きまして、両国間の合意となっております。そのもとの協定は、この協定に基づきまして日本国は大韓民国に対しまして三鷹ドルの無償の生産物及び役務を提供するということになっておりまして、その生産物の中には一億五千万ドル以上の原材料を含むことが期待される、こういうぐあいになっておりまして、当然一億五千万ドルというその解釈は三億ドルの中の一部、こういうことに相なるわけでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 三億ドルの無償供与は、わが国から見ると多いという説もあります。ところが年にしますと三千万ドル、そこで例のこげつき債権を引きますと年間二千五百万ドル程度でございます。ところがアメリカの援助は年間一億ドル以上ということで、韓国側の反対論の中に、この日本との協力によって、非常にわずかなものを得て大きなものを失うのじゃないか、これはすなわち韓国の国益に反するという議論もあるように聞いております。そこでわが国の側から見ますと、対韓援助というものは、明年度ベースでいって海外援助費の中で大体何%くらいを占めるものであるかという点を伺っておきたいと思います。

西山昭外務事務官(経済協力局長)

○西山政府委員 日本の昨年度の対外経済協力の総額は、約一億五千万ドルでございます。今般の協定に基づきまする対韓協力資金は、無償三億、有償二億でございまして、この有償二億、無償三億を十年間にわたって均等に支出するわけでございますから、一年間にいたしますと約五千万ドルになるわけでございます。この五千万ドルを、もし韓国政府がこげつき債権の分を無償で支払うということを希望しますればそれだけ減りますので、その分を差し引きますと、約四千五百万ドルになるわけでございます。したがいまして日本の一年間の昨年の実績の二億五千万ドルの経済協力のうちの四千五百万ドルということになりまして、約二〇%ぐらいでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 次に伺いたいのは、あまり二の矢を放たぬことにしてどんどん先に進みますが、有償、無償の経済協力が利権化されるおそれはないかという議論があります。これはあってはたいへんなことでございます。何でそういうことが言われるのかといいますと、第一議定書第三条に、使節団は政府の認可を受けたものとある。すなわち一般業者が政府の認可さえ受ければ直ちに使節団になってくる。使節団は外交特権を持ってくる。それから為替銀行なども何でも基準額でやれるのじゃないか、指定を受けられるのじゃないか、そういうところからいろいろな問題が起きるのじゃないか、こういうことが言われております。そこで巷間さようなことが言われる以上は、やはり私はこれを質問申し上げて、そしてそういうことがないということを明確にしておきたいと思うのであります。政府の御答弁を願います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 経済協力は、韓国の国民経済に役立つものでなければならぬという大前提のもとにこれが設定されております。それで、いかにしてその目的を達成せしめるかということにつきましては、日韓において、それぞれの立場においてこれに協力をするということになっておりまして、いろいろこまかい配慮が今後講ぜられることになるのでありますが、その大綱といたしましては、韓国側に与野党を含めた資金管理委員会というものができる。日本は日本で、いろいろこれらについての協力の体制をつくるのでありますが、日韓両方から委員を出して合同委員会を組織して、そしてこの実施上の誤りなきを期するということになっておる次第でございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 次に請求権が完全かつ最終的に解決されますことで、いままで拿捕された漁船あるいは漁民諸君の損害賠償請求が向こうからはとれないということになるわけです。そこで、国内的にはこの問題の処理が必要となってまいりますが、これはどういうふうな扱いをなさるか、また金額等についてもお聞かせいただければはなはだありがたい、こういうことであります。見舞い金でやるか、補償でやるかということです。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 拿捕の漁船に対する賠償の問題については、そのつど要請いたしておりましたのでありまするが、御存じのとおり、いろいろ請求権について全部御破算ということに相なりました一環として、これもその中に入ったわけであります。さようなことからいたしまして、国内的にこれらの問題をどうしても解決しなければなりませんので、これらの点について、大体今日までも約十五億数千万円の解決はいたしておったのでありまするが、なおそれにつけ加えまして給付金として大体四十億円、そのほかに長期低利の資金十億ということで解決をいたしたい、かように考えておる次第であります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 次の問題は、経済協力に請求権というものが置きかわったわけでありますが、請求権というのは個人を対象としたものでありますし、経済協力とはちょっと質が違ってくるわけです。そこで、いままでわがほうの法務省に供託されておった未払い賃金とか郵便貯金があるわけですが、こうした個人請求権というものは一体どういうふうになるのか、こういうことです。これは韓国側のことになるかもしれませんが、あわせてこの際伺っておきたいと思います。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 韓国の内部におきまして、こういう請求権をどういうふうに扱うか、経済協力をもらってそれを各個人の請求者に配るのか、あるいは全然それは別途処置するのかという点については、先方でもいろいろ国内に議論があったようでございまして、一時はもうそういうものは全然各個人の請求者については処置をしないというような議論もあった時代もございましたですが、最近向こうの政府当局者が言っているところを見ますと、証拠書類のはっきりしているものについては、政府から一定の補償をするというラインで考えるというようなことを言っておるようでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 最後に、三億ドル以上と期待されまする民間信用供与です。これは何か裏づけのようなものの約束があるのでしょうかということでございます。こういうふうに書きまする以上、一般商取引以上の何かの恩恵を与えることになるのかどうかということです。これはもちろん東南アジアのいろいろな国との間の賠償に付属する民間信用供与というものがございますから、それと同種のものかとも思いますが、その点についてひとつ政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 三億ドル以上の民間信用供与はあくまで民間信用供与でありまして、これは政府において何ら責任を負うべき筋合いのものではございませんけれども、その中にいわゆる九千万の漁業協力資金というものがある。このうちには特に零細な漁民に対する資金供与ということも予定されておるのであります。これらの振り分けを一応いたしまして、零細漁民については特にこういうことが期待される、その他の漁業資金についてはこれくらいの条件が期待されるというふうに書いて、そういう取りきめを、交換公文かと思いますが、それで響いてございます。これはそういうことがあくまで期待されるということでございまして、これを政府が引き受けたという性質のものではない。  なお、漁業協力資金のほかに…千万ドル程度の船舶資金というものがございます。これらにつきましても、できるだけ安い金利のものが必要であるという向こうの希望がございましたが、これはやっぱりあくまでそういう期待額である、そういう点を明瞭にしてありますので、これは決して政府において責任を持って裏づけをするというようなものでないということを御了解願います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 次に法的地位の問題に入りたいと思います。  在日朝鮮人は昭和二十年の八月には、すなわち終戦の直後には二百万人おったというふうに了解しておりますが、現在は何名おるのであるかということです。また、ついでにお答え願いたいのは、今度協定ができまして、永住を申請する韓国人というのはどのくらいの人数に達するであろうかという点とあわせて御答弁を願いたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 お答えいたします。  在日朝鮮人の三十九年度の現在数は、終戦前から居住していた者及びその子を含めまして五十九万九千人余りでございます。なおそのころ現在で、戦後入国した者が約二万人あるわけでございます。これは永住の請求の資格のない人でございます。(「委員長、声が小さくてよく聞こえない」と呼び、その他発言する者あり)また法的地位ができるようになりましたならばどういうことになるかという問題に対しましては、この問題ができましたらどのぐらい在日朝鮮人がだんだんふえていくか、あるいは減っていくかという問題等につきましては、まだ検討をやってみなければわからないのでございますけれども、相当生活のほうが安定する状態になるということを考えますると、いいほうに数がふえるほうに向こうのではないかと思うのでありますが、これは想像でございまするから申し上げられないのであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 協定第一条で認められる永住権者の範囲が広過ぎるのではないか、こういう意見があるわけでございます。その批判者の説を紹介しますと、今年は一九六五年である、そこで五年間申請を認めると一九七〇年になる、そこで生まれた人が子供を生める年齢が大体五十歳としまして、その生まれた子供が八十歳まで生きるということになると二一〇〇年になる、すなわち二十二世紀までこの永住権者——その人が永住権を受け取れることになるので、どうも非常に範囲が大きいから、これは譲り過ぎだという議論を打ち立てる者もある。先ほど私が申し上げたように、これは双方の合意でございますから、こちらの思うとおりにいかぬわけでございますけれども、そういう説がございますので、こういうことを定めた事情をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 この際ちょっと御注意申し上げておきますが、人々の声によってマイクによく入る声とよく入らぬ声とありますけれども、おおむね大きい声で御答弁願うようにおはからい願いたいと存じます。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ただいまの将来の予想、在日韓国人等の在日人口の予想等につきましては、いまお述べになりましたが、これに対する見解は事務当局から申し上げます。

正示啓次郎自由民主党外務政務次官

○正示政府委員 お答え申し上げます。  協定の対象となっております在日韓国人は、終戦前に日本人として来日し、現在まで引き続き居住している大韓民国国民で、日本に……(「事務当局じゃないじゃないか、だめだ。大臣大臣……。」と呼び、その他発言する者あり)

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 これは事情をいろいろ伺いたいと思いましたけれども、質問の時間等の関係もありますから、これはまた後日文書にでもして御提出を願いたいと思います。  そこで、次に伺いたいのは、協定によりますこの永住を申請しない者も、法律百二十六号というもので、日本におられるわけでございます。そこで、そうなりますと、永住権者の待遇というものと、それから法律百二十六号で日本におる者の待遇、この間がどういう関係になるのかということです。   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お静かに願います。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 百二十六号を定めました事情を含めて御答弁を願いたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 法律第百二十六号は、平和条約の効力発生に伴い、いわゆるポツダム政令たる出入国管理令が同条約発効後も法律として効力を有しております。存続する法理でございます。同法の第二条六項の規定は、平和条約発効後、新たに出入国管理令の適用を受ける朝鮮人……。終戦前より引き続いて本邦に在留していた者について、一般外国人と区別しようとする趣旨でございます。すなわち、彼らは自己の意思に基づかないで、日本国籍を失ったことであり、またすでに日韓会談においてその法的地位が検討されていたことなども勘案いたしまして、将来彼らにどのような形で本邦に在留させることが最も適当であるかを十分に検討する必要があると思ったわけでございまして、平和条約発効までに出生した彼らの子も含めて別に法律で定めるところにより、その者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間は、出入国管理令の在留資格、在留期間に関する規定を適用しないで、引き続き従前どおり在留できることとしたものでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 総理大臣に一言お伺いいたします。  十月二十一日の衆議院本会議におきまして、社会党の井手君の質問に対して、総理大臣と法務大臣の意見が食い違っておるのではないかということがいわれておりますが、この点について御答弁を願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は別に食い違っていると思わないのです。ことに井手君のお尋ねが、朝鮮籍から韓国籍、あるいは韓国籍から朝鮮籍と、政府が何だかその間に厚薄あるいは不公平な扱い方をしているのではないか、特別な好意を寄せたりあるいは好意を見せなかったりというような点がお尋ねの趣旨であったと思います。私はそれに答えまして、政府はそういう点については干渉はいたしておりませんということを実ははっきり申し上げたのであります。もしもそういうような点があれば御指摘を願いますとまで実はお答えをいたしたのであります。その後立って法務大臣が現在取り扱っておる実際の問題を説明したようであります。私の申したのは、ただいま申し上げるような基本的な態度の問題であります。また実際に今日扱われておるのはその点が違っておるというので問題が起きたようでございますが、実際の処理は、これは実際の問題として事務的な処理をしておるのでございまして、お尋ねになりましたように政府が云々ではございません。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 そういうことであろうと思います。そこで外国人登録法の登録上の戸籍欄に韓国あるいは朝鮮と書くことにつきましていろいろ議論がありますが、これについての政府の見解を求めたいと思います。また、いま運営の問題等もございましたので、実際の運営状況という点についても触れてもらいたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 大韓民国あるいは朝鮮の記載についての政府の見解ですね。在日朝鮮人は、もと朝鮮戸籍に属しておりまして、日本国内に居住していたまま日本国籍を失いまして外国人となりました特殊の事情から、旅券またはこれにかわる国籍証明瀞を所持していないので、便宜の措置といたしまして朝鮮という名称を国籍欄に記載したものでございます。この意味におきまして、朝鮮という記号は、かつて日本の領土であった朝鮮半島から来日した朝鮮人を示す用語であって、何らの国籍を表示するものではないのでございます。ところが、それらの者の中から、韓国、あるいはいまの大韓民国でございます、への書きかえを強く要望してきた者がありますので、本人の自由意思に基づく申し立てと、その大部分は韓国代表部発行の国民登録証を呈示させた上、韓国への書きかえを認めた、このような経過によりまして韓国と書きかえたものであり、しかもそれが長年にわたり維持され、かつ実質的に国籍と同じ作用を果たしてきたいきさつ等にかんがみますと、現時点から免れば、その記載は大韓民国の国籍を示すものと考えざるを得ないと思うておるのでございます。  最近韓国に書きかえた者の一部から朝鮮に再書きかえを希望する者が出てきておるのでございますが、右に申しましたとおり、外国人登録上の韓国という記載が大韓民国の国籍を示すものと考えられる以上、もともと国籍の変更が単に本人の希望のみによって自由に行なわれるものでないという国籍の本質にかんがみますと、本人の希望だけで再書きかえをすることはできないものと考えておる次第でございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 他に伺いたいこともございますけれども、どうも時間の関係があまりないので、少し取り急ぎます。  そこで、協定第一条によって永住権が与えられる韓国人につきまして、教育、生活保護、国民健康保険に関する事項というのがございまして、この優遇措置が他の資金持ち帰り等についての考慮と一緒になされているのでございますが、この中で国民健康保険というのは、日本国民の健康保険ではないか、これは譲り過ぎではないかという議論がございます。  それからもう一つこの際伺っておきたいのは、生活保護を適用するということになりますと、これはどのくらいの対象人員があるのか、あるいはどのくらいの金額になるのか、これは鈴木厚生大臣から伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 生活保護の問題でございますが、生活保護法におきましては、原則として外国人はその対象にならないのでございますが、現実に生活に困窮しております者につきましては、行政措置といたしまして、準じた処遇をいたしておるわけであります。現在外国人で生活保護を受けております者は、五万二千人ほどおります。国が支出をしておりますのは、三十六億円程度にのぼっておるのでございます。その大部分は朝鮮人でございますが、今回の協定によりまして永住許可を受けた韓国人は、合意議事録によりまして、従前のとおりの保護を受ける、こういうことに相なっておるわけであります。したがいまして、今後におきましての生活保護の取り扱い、処遇は従前と変わらない、こう御了解をいただきたいと思うのであります。  国民健康保険についてでありますが、国民健康保険の制度は、地域住民の相互扶助、連帯意識を基礎にしてできておる制度でございますので、本来外国人にはこれを適用いたしておらないのであります。ただ、特に市町村におきまして、条例で加入を認めた者に限りまして国民健康保険に加入をいたしておる、こういうことでございます。今回日韓の協定におきまして永住の許可を受けた者は、この市町村の条例をまつまでもなく、政府が省令等によりましてこれを自動的に加入せしむるという措置を講ずることに相なっておるのであります。永住を許可される者は、長い間日本に住んでおりまして、地域の結びつきも濃い、今後生活の安定をはかっていく必要があるということで、これは永住許可の結果当然の措置と考えるわけであります。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 他にいろいろ伺いたい点があるのですが、たとえば朝鮮籍から韓国籍に移る、あるいは韓国籍から朝鮮籍に移るということの問題について、その間に差等がある、それは人権宣言の趣旨に反するのじゃないかとか、いろいろな問題がありますが、これらについては新聞に統一見解が出されたようでございますから、それに譲ることにいたしまして、一つだけ承っておきたいのは、一時帰国した者の問題でございます。これは御承知のように、一時帰国した者についてはGHQ当時入国を禁止しておったのでありますが、その人たちがわが国に帰ってきた。これについてあと取り扱いがどうなるか。出入国管理令によるところの永住権を認めるべく、好意的に考慮中ということも聞いておりますが。この際法務大臣からその考えを明らかにしておいていただきたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 終戦前から来ておって一時帰国した者があるのでございます。これらの者は、事情非常に気の毒なものがありまして、特別な取り扱いをすべきじゃないかというようなことで、私の、法務大臣の考えで何とか特別な許可をするようなことにいたしたいというような方法を考慮中でございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 文化財協定について伺いますが、これは一点だけにしておきましょう。  私は、この文化財の返還というものは、日韓両国の間に非常にいいことであると思います、ぜひこの趣旨を徹底されたいと思いますが、ここにそういう例が他にあるかということです。たとえばインドが独立した、パキスタンが独立した、ビルマが独立した、そのときに、イギリスが持っておった文化財をそれらの国に返した例があるかということです。私はこれはないんじゃないかと思っておるのでありますが、それだけに非常ないいことをすることだと思うのです。これは政府の持っておる四百三十四点を返すのでありますけれども、そのほかに民間の持っておるものも返すように勧奨するということばがございます。しかし、勧奨はするけれども、すすめるということはあるのだけれども、それに対して何か報償金のような対価を考えているかどうか。これも関係者が相当あると思いますから、この際明らかにしておいていただきたいと思います。

中村梅吉自由民主党文部大臣

○中村(梅)国務大臣 文化財返還に関する協定がととのいましたが、これは国が所有しておるものだけについてでございます。民間のものについては、そういう意見はあったようでございますが、協定上約束をいたしておりません。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 最後に、国内法の関係で二点伺っておきたいと思いますが、この法律は韓国人にかかわる財産、権利並びに利益を処理しているものと思われるわけでございますが、北鮮系の人、この人たちの同種のものについてはどうするのかという点が一つ。  それからもう一つは、合意議事録の2の(f)によりまして、不動産について日本側は慎重な考慮を払うと述べたといわれております。しかし、それはどういうことでそういう慎重な考慮を払うと述べたのか、この理由と、それからその結果はこの法律においてどのようにあらわれているかという点を明瞭にしておきたいと思います。御答弁を求めます。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 事務当局からお答えいたします。

藤崎萬里外務事務官(条約局長)

○藤崎政府委員 北鮮の関係のものは、従来どおりに置かれるわけでございます。不動産につきましては、その不動産を現に保有している者にそれを帰属させることにするという処理でございます。特に慎重な取り扱いをすると申しましたのは、不動産の場合にはよく第三者の権利がその上に設定されているというようなことがございますので、その点についての考慮を十分払うように、そういう趣旨でああいう文言が入ったものでございます。

小坂善太郎自由民主党

○小坂委員 以上、時間をいただきまして、非常に取り急いで意を尽くさぬ点も多いのでありますが、これは申し合わせの次第でございますから、正確に時間を守りまして御質問いたしました。  以上申したように、非常に各種の問題がございますが、いずれをとってみても、これは早く解決したほうがよいと思われる点ばかりでございます。そこで、これをいたずらに遷延することによって何らわが国の国益には利するところはないのでございますから、私どもは一日も早くこの批准がなされることを期待するわけであります。ただ、ここに約一日を全くつぶしまして、分離論というものが出てきたわけでございます。これは院議によって、この条約、諸協定、法律等は一括して本会議に付託されて、社会党の諸君も代表してこれに対して質疑をされておる。すなわち一括付託ということは、もうすでに理由づけられておると思うのです。そこで、一括付託したものは一括採決するということが、当然前提となると思う。そういう趣旨で私どもは一括採決というものを心から望んでおるのでありまして、これは院の決定すべき事項でありますから、大多数の委員を送っておるわが党の希望はそうであるということを申し添えておきたいと思います。  以上をもって質問を終わります。(拍手)

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後は二時より再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ————◇—————    午後二時十分開議

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を行ないます。松本七郎君。

松本七郎日本社会党

○松本委員 私は、日韓問題について質問に入る前に、まず、佐藤首相にただしておきたいことがあるのです。  日韓条約批准についての佐藤内閣全体の態度といいますか、いままで実質的な審議に入るのにかなり時間がかかったとはいえ、これはやはり国会の運営上の法規、慣例に基づいて運営してきたということからそれだけの時間がかかったのであって、これからいよいよ実質的な審議を通じて、私どもは、この条約の実体、それから、かりにこの条約が批准された場合に、政府が言われるように、ほんとうに日本と韓国の間の親善友好が発展し得るかどうか、こういった問題を十分にこの委員会で論議をしようとしておるやさきですが、そのときに、佐藤内閣の単に国会の審議に臨む態度ばかりではなしに、全体的に私は非常にファッショ的なにおいが強いように感ずるのであります。それは、これからだんだん審議すれば、おそらく私は国民の前に明らかになると思いまするが、そこで、社会党は、国民とともに、議会政治の擁護という観点からも、この問題については特に強い関心を抱いているわけです。佐藤内閣のこのファッショ的なやり方の最もよい例は、実はもう昨日のあの国会運営のしかたに出ていると思うのです。総理は、われわれには聞こえない質問に対して答弁をしきりにやっておられた。それから、質問もないのに、与党議員の何か合い図のようなもので、それによって答弁をされておる。委員会は国政について慎重に審議をする場所であって、決して証券取引所ではない。それは、あなた笑っておられるけれども、五年前の安保のとき、ごらんなさい、この場所でしたよ、行政協定も審議しないうちに、扇子一本であのときは採決に持ち込んでしまったじゃないですか。あれと同じようなことを、もうすでにやろうとしている気配が十分見えるのです。事態がこのように紛糾したそもそもの原因は、私はやはりこの条約議案の提出の形式にあると思うのです。これは単に形式だけの問題じゃないのです。あとで、これは交渉過程その他にも関連のある問題ですから、実情を明らかにしたいと思いますが、国会の審議権を縛って、そしてファッショ的な一括提出をしたということに、私は佐藤内閣の本質が非常によく出ていると思うのです。このような無理押しを重ねる態度を見るときに、先ほども申しましたように、私は五年前のことを思い出さずにはいられないのです。これはほんとうに真剣にあの当時をあなたも思い出してほしいのです。あなたのやり方は、あなたの兄さんである岸信介氏以上のやり方ではないかと思うのです。岸さんといえども、委員会の冒頭からごり押しをするようなことはしなかったのです。ところが、きのうのようなやり方は、議会史上空前なことですよ。兄さん以上のことをあなたはやったし、今後もまたやろうとしている。しかも、このことは、韓国の国会運営を知るときに、私は一脈通ずるものがあるような気がする。韓国では、人民を軍隊で弾圧しながら批准を強行した。これをやってのけた朴政権のファッショ的なやり方と全く呼応したやり方を、いまあなたはやろうとしているのじゃないですか。昨日の委員会運営は、まさにぺてん、インチキ、八百長です。それと同じように、この条約の本質も、これからだんだん明らかに必ずなると思いまするが、結論的に言えば、ぺてん条約、インチキ条約、八百長条約なんです。あなたが交渉された韓国でも、八百長ということばはないそうですか、これをアベック条約、アベック交渉と呼んでおる。その点を今後の審議を通じて……(「インチキは取り消せ」と呼ぶ者あり)取り消す必要はないのです。これから審議をだんだん重ねていくうちに、これがいかにインチキなものであるかということがだんだんわかってくるのです。これからそれを一つずつ明らかにするつもりです。  したがって、この機会に、私は佐藤総理に要求したいのは、昨日のやり方を真剣に反省して、あのような国会運営は絶対にやらないことを、あなたは自民党総裁としてこの席で約束できますか。この条約を徹底的に審議する、そのためには質疑を打ち切ったり強行採決は絶対にしないという確約をまずここでやってもらいたい。   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お静かに願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  ただいま日本が当面しておりまする重要な問題が幾つもございますが、私は、日韓条約の批准は当面する外交の重要な問題の一つだと、かように考えております。したがいまして、これは一括皆さま方に御審議を願うということで特別委員会まで設置され、御審議を願っておるのでありますが、これに対する態度は、しばしば申し上げましたから重ねては私申し上げません。どこまでも国民の納得のいくような審議を尽くして、そうして条約の承認を早く求めたい、かように私は思っておるのであります。この意味で、皆さま方にお願いをし、去る十月五日に臨時国会が召集されたことは御承知のとおりであります。ところが、この特別委員会は、昨日ようやく審議に入った。私はまことに残念でございます。これは政府として申し上げるのでございまして、国の重要なる案件が、ただいま申し上げるように、実質審議に入ることが非常におくれた。まことに私は残念であります。ただいま松本君も、その実質的審議に入りたい、かように仰せられますから、私も、おそきに失したとは申しましても、これからは審議が尽くされることだと、かように思います。そうして、国民は、この重要な案件についての与野党の意見を真剣に聞き取ることだと思います。どうか、そういう意味で審議を尽くしていただきたい。  また、昨日の状況についてお触れになりましたが、出時の状況は、私もいまだかつて見ない議事妨害。かような状態はいまだかつてなかったように思います。まことに残念に思います。今後はかような状態がないように、政府自身も十分努力するつもりでありますが、たいへんいいお話をなさいましたので、社会党の皆さん方からも積極的な御協力を心からお願いいたします。(拍手)

松本七郎日本社会党

○松本委員 昨日の委員会を議事妨害とあなたは言われるけれども、一対、どういう経過を経てあの事態になったか、あなたは御存じなんですか。理事会で万端打ち合わせて了解のできたものを、委員長が職権をもってこれをくつがえしたところに、そのあれがあるのです。議事妨害と言われるから、私はそういう真相を言わざるを得ない。議事妨害じゃない。   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お静かに願います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 議事妨害じゃないですよ。   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お静かに願います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 多数を持っておる与党が、理事会の申し合わせを忠実に守るという指導性さえ発揮していけば、私はこういう事態にはならないと思う。だから、総裁であるあなたにわざわざこれを聞いているのです。私どもは、委員長との間にすでに一応話がついて、これに入っているのですから、総裁であり、首相であるあなたが議事妨害と言われれば、私どもは真相をまた明らかにしなければならない。   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お静かに願います。お静かに願います。(発言する者あり)御静粛に願います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 私ども一社会党は、日本国民とともに、このたび上程されました日韓条約案件というものはきわめて危険な内容を含んでいると考えております。端的に申しますならば、今度の条約は、南朝鮮人民を銃剣で弾圧したあの買弁的な軍事ファッショ朴正煕政権と日本の一部支配層の政治的やみ取引の所産だと考えておるのです。そのやみ取引の実体も、だんだんこれから審議を尽くすにつれて明らかになってきます。さらに、海の向こうのワシントンからもやはり強力な支援があったということは、たび重なる日韓両政府の参観交代によっても明らかな事実であります。国民は、今度の条約を結んだ勢力、特に佐藤総理はじめ岸さん、賀屋さんらを中心とする右派勢力の責任を、五年前の安保条約の戦いを思い起こしながら、これと戦おうとしているのです。もし、かりに、あなた方が半世紀にわたるこの大陸侵略と植民統治の歴史的罪悪を真に反省したなら、私は、今度のような条約はつくらなかっただろうと思います。われわれは、この条約を粉砕してこそ、真に日本と朝鮮民族との友好親善が始まるという確信を持っているのでございまするが、佐藤総理は、このような私どもの強い確信に対して、一体どういう考えを持たれるか、この機会に率直に意見を披瀝していただきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  御承知のように、この条約は、十四年の長きにわたる交渉をいたしております。したがいまして、この間にやみ取引に該当するような状態はございません。国民が与野党ともに監視をしている、いわゆるガラス張りのもとでこの条約交渉が行なわれた。これは国民がみんな信用しておると思います。また、ただいま米国の干渉があったというお話をされますが、これまた、さような御心配はないように願いたいのであります。いままでもしばしば申し上げておりますが、これはどこまでも友好、善隣、平和のその観点に立っての条約締結でございます。どうか、こういうことが基本でございますだけに、われわれがどこまでも善隣友好を願い、また、平和に徹しておる、そうしてその所産がただいまの条約であるという、これだけは国民の皆さまも十分御理解をいただきたい、かように私は思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 それは、あなたはそう信じておられても、これから審議が重ねられるにつれて、いかに国民の疑惑が正しいものであるということは、私はだんだんわかると思います。それは今後に譲ります。  いま総理が言われるように、いかにあなたがこの条約を善隣友好の条約だと強弁なさっても、現に調印式が行なわれた翌日の六月二十三日、この日における世界各地の反響は一体どうだったか。はっきり世界の反響は二つに分かれていた。つまり、極東における反共自由陣営の結束強化を歓迎していた、ソウルはもちろんのこと、ワシントン、それから台北、サイゴン、これらの諸政府の声明が一方にありました。それから、他方には、これが極東に新しい緊張を引き起こすものだとして抗議をした、平壌、北京、モスクワ、ハノイ、こういったところの声明があったのです。このように世界の反響ははっきり二つに分かれてしまったのでございまするが、こういった日韓関係についての世界の反響、世論というものを一体どう評価されるか、この点も伺っておきたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま御意見を述べられましたように、この問題について二つに分かれておる、これは御指摘のとおりであります。たいへん遺憾ながら、共産圏諸国はこれに反対だ、自由主義諸国はあげてこれに賛成だ、これがただいまの国際情勢そのものでございます。私どもは、かような状態にあることをしばしば指摘しております。私どものこの国、日本が自由主義陣営の一国であるということ、これにはもう間違いはないんだ。私はしばしば申し上げておりますが、私は共産主義はきらいだ、かように申しております。しかしながら、共産主義はきらいだが、いずれの国とも仲よくはしていくんだ、そこに平和に徹した私どもの考え方、日本の考え方があるわけであります。ただ、その場合におきまして、相手の国も日本の独立、相互の独立を尊重すること、お互いに内政に干渉しないこと、これで初めて仲よくできるんだ、かようなことを私は申しております。この考え方で今後ともわが国を進めていきたい、これが私の気持ちでございます。私の考え方でございます。御了承いただきます。

松本七郎日本社会党

○松本委員 いま、総理は、共産主義はきらいだが、その主義いかんにかかわらず、どのような国とも仲よくしていきたい、これが今後の日韓条約の審議についても一つの重要な点になると思います。これらは具体的にこれから各議員から明らかにしていきたいと思いますが、いまの朴政権について、私がこの機会にひとつ申し上げておきたいのは、いままでの自民党政府が国会を通じて説明してきましたのは私どもは、やはり相手国の政権の政策というものを重視しなければならない、そういう点から、たびたびこれは外務委員会等でも論議したことなんですが、クーデターによってできたこの朴政権、その当時から、一体これが韓国の民主主義の発展に役立つかどうかという論議がずいぶんなされた。当時から、クーデターは起こったけれども、尹フ善という大統領が選挙によって選ばれた、大統領制度というものがある限りは、やはり民主的だ、こう言えるというのがいままでの政府の答弁だったのです。したがって、これで民主主義が成長することが期待できるという一貫した答弁をしてきているわけです。ところが、今日すでに、その選挙によって選ばれた大統領というものはなくなってしまっておる。朴政権がクーデーターによって政権を奪い取っている。そうして日韓交渉を急ピッチで進めてきたときに、日本の反動勢力の一部は何と言ったでしょうか。あのときに、日韓交渉のようなやっかいなことは、軍事政権が安泰なうちにやってしまうに限る、こういうことまで放言したのです。日本と韓国、それから台湾、それが合衆国をつくるべきだというような、いわゆる合衆国論を発表した人もいたはずです。あなたよく御存じだと思う。ここにおられる椎名外相、あなた何と替われたですか、覚えておられると思います。朝鮮、満州を支配統治したことを帝国主義というなら、それは栄光ある帝国主義である、あなたはこんな放言をしておるのですよ。一体、このような言動が、日韓両国の間には不幸な時期があったなどと言って朝鮮人民に謝罪したことになると思うのかどうか。総理のこれに対する見解を承りたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 松本君はいろいろ韓国の政体等について御批判になりました。私は、外国の政治形態その他についての批判はいたしません。冒頭に申しましたように、私は共産主義はきらいなんだ、しかし、その国がそれぞれ選んでおる政治形態があるのでありますから、そういうことについて私はとやかく申しません、いずれの国とも仲よくしたい、これが私の考え方だ、かように申しておりますので、ただいま韓国政府についての松木君の御批判の点は、私はいたしませんから、その点は御了承いただきます。私は、この日韓の条約を締結することによりまして、とにかく隣国、韓国と仲よくなる、これは言えることであります。また、今後ともこれをより増進していく。これはスタートラインに立ったというだけでございます。ぜひ今後ともこの親善友好関係を深めていく、そうして経済的にも繁栄の道をたどる、これが私の念願でありますので、ただいまのような批判めいたことは申しません。

松本七郎日本社会党

○松本委員 そこで、首相の考えとしては、この条約ができれば友好親善が深まる、こういう確信でおやりになっているのでしょうが、これは、私どもが条約の内容、それから交渉過程から言うならば、決してほんとうの親善が深まるどころか、かえっていろんな紛争の種さえこの条約はたくさん持っておる。それはいまから一つ一つ明らかになると思いますが、私は総括的な質問で、いまごく大ざっぱにこの条約の本質的な問題に触れたわけですから、ひとつ具体的な例をもって、いかにこの見解の相違なり、それがやがては日韓同国の、あなたの友好と言われることに大きなひびをもたらすものかという点を少し明らかにしたいと思うのです。  最初に伺っておきたいのは、私はその例として竹島問題を中心に少し伺いたいと思うのですが、竹島の現状は一体どうなっているのかということを、まず御報告願いたいのです。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ごく最近の実情につきましてはつまびらかにしておりませんが、竹島についてわれわれが知り得る最近の情報といたしましては、若干の、警官か軍人かよくわかりませんが、とにかく武装した者が二十人程度あそこを占拠して、そしてこれに近づく者があれば発砲する、こういうような状況になっておりますので、最近、国会議員の有志の方々が竹島の実情を視察したいという御希望がありまして、審議の関係上実情を見られるのはしごくけっこうなことであろう、こう思って状況を探ってみたのでありますが。依然としてそういう状態にある。でありますから、これに近づくことはきわめて危険であるということで、これはまあ穏やかな話でこの問題を解決しようとしておるのでありますから…   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御静粛に願います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 そういう、向こうを刺激して、いたずらにただ紛議をかもすということは適当でない、条約関係の交換公文におきましてすでにこの問題の解決のめどはついておるのでありますから、ことさらにそういう危険をおかす必要はない、こう考えて、これはとりやめになったような次第であります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 いまその調べられたというのは、それはいつごろですか。いつ現在でいまの状況を確認されたのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 政府委員から……。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 本年二月十三日に海上保安庁の巡視船がこの竹島上に韓国の官憲が駐在しておることを認めましたので、四月十日付で正式に抗議を提出いたしまして、即時退去を要求した経緯がございます。

松本七郎日本社会党

○松本委員 そうすると、韓国政府のほうに竹島の実情についての報告を求められたことはあるのですか。そういうこちらの巡視船で遠くからながめるということでなしに、韓国政府自体から竹島の実情についての報告を取り寄せられたということはないのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 向こうの報告をとるということではなしに、こちらのほうから自主的にさような事態を観察した、こういうわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 日本では、竹島は従来からわが領土だと言っておるわけですし、それから、今度の条約においても、あの交換公文でも紛争の対象になっておるんだと政府は言われるんだから、そしてそれを韓国も了承しておるというのなら、お互いに紛争の対象として了解しておるのなら、それは報告書を求めて向こうの政府からとられることもできるはずだし、それから、日本の国権の最高機関の国会が自分の領土としてお互いに紛争の対象になっておるところを調査に行きたいというのに、発砲してこれをさせないというような、そんな不届きなやり方がありますか。やはり、紛争になっておるということをお互いに認めて合意しておるのなら、そのくらいの便宜をはかってもらうことはできそうなものじゃないですか。それもできないのでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 全く御指摘のとおり、不届き千万なやり方であります。ただ、これに対して実力を行使してこれに対抗するということは、これは日本としてはあくまで慎みまして、平和的な手段でこの問題を片づけたい。でありますから、条約発効後に両国の間に相当友好的な雰囲気が出てきましたのを機会に、穏やかな話し合いをもってこの問題の解決に進みたい、こう考えておる次第であります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 いや、条約発効後友好的な雰囲気が出てきたらといつも言われるけれども、これはお互いに自分の領土だと主張し合っておるのですから、それをこの条約で何とか解決しようというのがいままでの政府の公約だったし、それから、この間、二十一日の本会議場で佐藤首相は、解決ができなくてまことに残念だったと、こう言われる。それがいまの現状でしょう。だけれども、それはやはり紛争としてこれから先々解決しようということに両国政府が合意を得たと、こう言われるんだから、それなら、あなた、実情調査に行くのに発砲してこれを追っ払うなんという、そんなことは、——対抗して実力行使をやれと私は言っておるのではないのですよ。そんな乱暴なやり方を向こうの政府にやめさせる交渉くらいは、条約発効前からできないものでしょうか。当然これをやって、その上で友好というものは発展する。それをやられないから、一方的な解決を向こうにのさばらせて、そしてやがてこれが条約が効力を生じた後にかえって紛争の種になるということを私は感ずるから、このことを聞いておるわけです。そういう交渉をやるお気持ちは全然ないのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この国会で批准の御承認を得まして、そして有効にこの条約を発効せしめて、そしてしかる後にこの問題の平和的解決をはかってまいりたい、こう考えております。

松本七郎日本社会党

○松本委員 これはあとでだんだん明らかにしていきますが、それじゃもう一つ伺っておきますが、竹島には日本国民でいろいろ利害関係を持っておる者があると思うのです。いまそこの地にいなくても、政府としては当然国民の生命・財産を保護する義務があるわけです。いつでしたか、数年前に問題になった鉱山採掘権の問題とか、そういうものについては、現状ではどういう保護対策をとっておられるのでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 アジア局長から答弁させます。

後宮虎郎外務事務官(アジア局長)

○後宮政府委員 竹島の産業権の問題につきましては、御承知のとおり、鉱業権の問題と漁案のほうの問題がございますが、鉱業権につきましては、一度あそこに鉱業権を獲得した日本人が韓国の占有のために鉱業権が行使できなくなったことについての損害補償の裁判があったことは、御承知のとおりでございます。その当時は、一応日本政府としては補償の責めに任じないという判決が下っておりまして、その後そのままになっております。なお、漁業につきまして、どの程度の漁獲高があり、それについてどういう要望が現地等から出ているかにつきましては、水産庁に詳しい資料がございます。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 お答えいたします。  竹島におきます漁業は、戦前はアシカをとっておりました。その後におきまして、ワカメ、岩ノリ、テングサ、アワビ、サザエ、ナマコ、ウニ、タコという岩礁の生産物をとることを中心にいたしまして、終戦前におきましては一種の共同漁業権が許可されておりましたが、終戦後はこれが行使できなくなりまして、昭和二十八年に一応第一種漁業権の更新を行なっておりますが、実際問題としてはとりにいけない、こういう現状でございます。

松本七郎日本社会党

○松本委員 そうすると、今後はどうするのですか。かりに条約ができて、批准されて、紛争は交換公文によって処理するのだという日本政府の方針からいうと、そういう問題は、紛争が処理された後でなければ今後の解決策は出てこないということでしょうか。どうでしょうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 領土問題という基本問題についての紛争、事件でございますので、したがって、日韓いずれかに帰属するということがきまらなければ、その次の専管水域の問題は出てこない、こう考えております。

松本七郎日本社会党

○松本委員 そこで、総理大臣、長い間自民党政府は一括解決ということを公約してきたのですね。日韓が妥結するということには一括解決が前提条件だといって強く主張をされてきた。それが、竹島は解決できない。遺憾の意をこの間二十一日の本会議では表明された。日本国民に対して総理としての責任は、そんな程度でいいのですか。これはできませんでした、まことに遺憾でした、これで済ませるような問題でしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 この前も申し上げまして、一括解決するという、日韓間の諸問題一括解決、こういうことで臨んだのでございます。そういう意味から申せば、竹島問題も最終的な解決がされる、かように一部で期待されたことだと思います。その意味で、その期待に反したということはまことに残念だ、申しわけない、本会議でそういう意味の説明をいたしたわけであります。しかし、今日まで最終的な解決は見ませんでしたが、この竹島問題が平和的な方法で解決するその方向がきまった、それで御了承をいただくということで言っているのでございます。本来、領土問題、これは解決すべきだ、それにかかわらずなぜこういうものを取り上げたか、こういう国民には一部の疑念が残っていると思います。私は、この竹島の問題は、ただいま申し上げるように、平和的方法で解決するめどがついたということで、そうして、日韓間の国交が正常化する、そのほうに重点を置いて今回この条約の調印をしたということ、これが政府の考え方であります。私は、全体を見ました際に、大局的見地に立つと、ただいま申し上げるように、竹島問題を放棄したわけではない、しかし、これが平和的解決方法はちゃんとその方向がきまったというその状態で、ただいま申し上げるように、日韓間の条約を調印したわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 再三再四にわたってあなたは、この平和的解決の方向がきまったとか、あるいは解決はしなかったが解決のめどがついたのだ、こういうことを言われる。ところが、この交換公文を中心にして検討すればするほど、実は解決のめどさえついていない。これはこれからだんだん質疑応答で明らかになると思うのですが、それは、あなたの言うとおりに、解決のめどがはっきりついて、解決の方向がもうこれでだいじょうぶだ、あとは交渉を待つのみということになれば、それは、これが一つの友好促進の役にも立つというあなたの論理が正しくなるでしょう。ところが、もしこのめどが実はついていないのだということになると、この問題は逆に将来紛争の種になる、友好どころではないということになってくるのですから、私どもはそのことを非常に重視しているわけです。竹島問題は一つの例にすぎない。李ラインにしましても、あるいは管轄権にしても、これは単なる条約文の解釈の相違というようなことではない。非常に重大な一つの日本の政策の対立というようなものを含んだ私は重大な問題があると思うのですが、そこまできょうは問題を広げるわけにいきませんから、いま一例としてこのことをもう少し質問したいと思うのです。だから、交換公文でも、総理の言われるように解決のめどをつけるためには、「紛争(竹島を含む)」、そのくらい念の入った規定のしかたがあれば、これは多少期待できるかもしれない。それでも私はあの韓国の政府のいろいろな論議を聞いているとあまり期待できないと思うのですけれども、そういうことは両方とも書いてない。だから、日本の立場から言えば、「紛争(竹島を含む)」という立場でしょう。韓国側から言えば、逆にそれは「紛争(竹島を除く)」ということにいままでなっている。そういう解釈をしているわけです。それにもかかわらず、解決のめどがついたということになると、一体何を根拠にしてあなたはそのめどがついたと言われるか、その根拠を聞きたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 松本君も、これが紛争なりやいなやということについて、ただいまのような両国がそれぞれの固有の領土権を主張している、こういう立場にあると言われる。私ども日本から考えると、これは紛争だといって、はっきりこれは紛争事件である、かように私は思います。日本が固有の領土権を主張し、韓国は韓国の固有の領土権を主張している。そこが、固有の領土権を主張しているのだから紛争だという。日本でははっきりこれは紛争だと言っている。韓国ではこれは紛争ではないと言っている。問題はそこにある。こういう事柄は、その当事者が紛争でないと言ったから紛争じゃないのだとか、紛争だと言ったら紛争だ、そういうことで紛争がきまるわけじゃない。だから、ただいま申し上げるように、これが紛争だということは、当事者が紛争でないと言ったから紛争じゃないのだ、こういうものじゃないのです。この点ははっきりしたい。お互いの意見が違っていて、そうして双方が領土権を主張している。ここに、第三者が見まして、これは明らかに紛争だ、これはもうはっきりしておる。韓国がこれは紛争でないと言ったから、これは紛争でないのだ、こういう議論には私は賛成しないのです。

松本七郎日本社会党

○松本委員 問題の焦点にちゃんと答えてください。   〔発露する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御静粛に願います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 もっと問題の焦点にちゃんと答えてもらわないと、審議が促進できないです。紛争だとあなたは言われる。その紛争の解決のめどがついたと言われるから、一体その解決のめどは何を根拠にされているのかということを聞いている。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま紛争だということは御了承いただいたようですが、紛争ならば、両国間の紛争、これを解決する交換公文がある。それによって処理するということであります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 だから、交換公文というのは両国で結んだものでしょう。それの理解のしかたがちぐはぐになっていて、あなたは紛争だと言う、相手は紛争でないと言えば、せっかく交換公文で規定した解決方法というものも現実化しないおそれが出てくるじゃないですか。それを言うんですよ。解決のめどと言われる以上は、この交換公文できめたところの紛争の解決方法というものが、少なくとも両国で合意があって、そしてそれが現実化するという根拠がなければ、これは国民は納得しませんよ、あなた一人がさか立ちしても。その根拠を聞いているんですよ。だから、それが交換公文だと言われるなら、私は交換公文についてこれからその実体を明らかにしていきましょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま答えたのでよくおわかりだと思いますが、どうもわからないとおっしゃるのだが、この紛争解決の手続が交換公文できまったということでございますから、その点はおわかりだと思う。ただ、私どもはこれは紛争だと言っているけれども、韓国はこれは紛争でないと言っている、だから、幾ら紛争処理の交換公文があったってだめだ、こういうことを言われるようですが、その当事者がこれは紛争でないと言ったから、それは紛争からはずれて紛争じゃないんだ、こういうものじゃない。当事者の意思いかんにかかわらず、とにかくこれは客観的に紛争がきまるんです。だから、そのことを申し上げておる。どうか御了承いただきます。

松本七郎日本社会党

○松本委員 紛争ということばの論争にすりかえてはだめですよ。その交換公文に書いてあることがこの紛争の解決にはたして役立つものかどうかということは、両方が合意しなければ、これで解決しましょうという気持ちがなければならぬ。それでは、そういう内容にわたってこれからやりますよ。もしも、そういうことでこれで解決するんだ解決するんだと言っていることになると、結果においては国民をペテンにかけることになるから、私はそれをやかましく言っているんですよ。客観的にはそうなるんです。その点をそれではこれからやりますよ。  との間これらの点をひっくるめて宇都宮代議士も外交時報にいろいろ書いておられるのですけれども、宇部宮さんのこれは非常に大事な点だと私は思う。これはもちろん全部読みはしませんが、こういうことを言っておられる。これは総理大臣もよく玩味して考えてもらいたいと思うんですが、「両国外交当事者の国民に対する説明は全く喰い違っている。もし、両国の政府が本心で喰い違った説明をしているならば、この条約は両国政府の合意によって調印されたものとはいえない。お互いに相手の真意を誤解したままの調印であり、両国間に親善より紛争の根強い種を撒くことになる。若しも、両国の外交当事者が、真実は一致しながら国民に対してだけ体裁のいい説明をして国民の目をごまかして推進を完了し、いづれかの国民に不利な条約関係を既成事実として押しつけようというのであれば、それは自国民に対して不信不実の政治家であり「売国的」といわれてもやむを得ない。」、私は、宇都宮さんのこのとらえ方というものは、やはり条約なり交換公文なり、交渉の過程を非常に正確につかんだ上の断定だと思いますよ。どうでしょう。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほど来申したように、私が道が開けたということを申しましたが、この道が開けてこれから交渉するについてはいろいろの手続等がありますから、そういう点は外務大臣から説明させます。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 まず、紛争の解決の問題は、紛争であるかどうかということについては大体御了解のようでございますから申し上げませんが、とにかく、絶体にこれは自分の領土であるということを言って、国民にもそう言っているくらい深刻な紛争である。両国の紛争でおもなものはほかの条項で片づけてあります。これは、日本が三十数回抗議を提出しておるし、向こうは向こうでまた二十数回抗議文を提出しておる。日韓間にこんな紛争はないんです。それが、この紛争から竹島問題を除くということはどこにも書いてない。でありますから、これはもうイの一号でやる紛争に間違いないのでありまして、この解決の方法といたしましては、両国国交正常化の後においては、正常の外交ルートによってこれを交渉いたしまして、もしそれでどうしてもできないという場合には調停にかける。調停は仲裁に比較して拘束力がないし、これは効力としてはきわめて薄弱ではないかというような疑念をあるいは持たれるかもしれませんが、国際紛争をきわめる場合に、あるいは調停、あるいは仲裁、いろいろな手段が講じられておるのでありまして、調停必ずしも悪くはない。この調停を始める場合には、両国の合意する方法によって調停者を選んで、そうしてその結論に基づいて両国が善処する、こういう順序になるのでございまして、ちゃんとそのめどがついておるのであります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 それは、いまあなた自身が御説明されたように、その調停の方法というのは、両国の合意がなければならないわけでしょう。それじゃ、あなたはそれを十分得られるのですか。合意が得られるという確信がおありですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この調停の問題につきましても、国内的に、伝え聞くところによると、いろいろな説明をしておられるようでございますが、いかなる調停にも服しないというようなことは絶対できない。それならなぜこういう交換公文を取りかわしたかということになるのです。でありますから、いかなる調停にも服しないということは、これは国際信義の上から通らない理屈でございます。調停の具体的な方法に異議があるというならそれはわかる。わかるけれども、どんな調停にも服しないということは、これはもう国際条約の上からまことに不信義きわまることでございます。まさかそういうことは韓国としては考えていないと思うのであります。でありますから、調停の方法につきましては、究極においては向こうを追い詰めることができると私は考えております。なお、そういう場合に、それでは適当でないから他の方法によろう、あるいは仲裁、あるいはまた国際司法裁判というようなことになるかもしれない。しかし、そういう問題を、この調停ということによってそういう道をふさいでおるわけではございません。そういうわけでございますから、必ず両国の友好的な雰囲気が高まるに従ってこの問題の解決のためにいろいろな手段方法をとることは非常に容易になると私は考えております。

松本七郎日本社会党

○松本委員 韓国がこの交換公文に調印したのだから、いかなる調停も拒否するというようなことは国際信義にもとる、これで追い詰めれば必ず何らかの方法は受けるだろう、こういうことを言われるのですが、ところが、その調印した交換公文には竹島は含まってないという解釈を相手がしているんだから、これはどうにもならないじゃないですか。そういう解釈をしておる相手に向かって、これは調印したのだから国際信義上おまえは受ける義務があるぞと言ってみたところで、話が全然違う、初めから私どもは竹島はこの中に入ってないという解釈をあなた方にちゃんとしているじゃないですか、ちゃんと伝えてあるじゃないですか、こう出られたら、国際信義も振りかざす遊具にならないのですよ。宙に浮いてしまう。そういうことでこれをまかり通ろうというところに、私はこのインチキ性があるとさつきから言っているのですペテンはここにあるのですよ。  それなら、どのくらい韓国政府側がこの竹島問題について強硬に一切の調停を拒否すると言っているかということを、少し具体的に明らかにしましょう。韓国の国会議事録というのは、一部が日本経済新聞にだいぶ出ました。それから最近は読売新聞で三回にわたってあれしてきてあるわけですが、ここに、実は韓国から直送された一部ですけれども、抜粋があるのです。それは文章がちょっとわかりにくいので少し整理しておりますが、私は、総理並びに外務大臣にこれを聞いてもらいながら、事実を少し確認したい点があるのです。  最初は、第五十二回の国会議事録第三号、これはことしの八月三日です。これは李東元外務大臣が提案理由の説明をしたときの説明なんですが、「次は、独島問題に言及いたします。」、竹島ですね。「独島はわが国の厳然たる領土であり、領有権を論争する余地がありません。皆さんも御存じのように、日本は独島が日本の領土だと主張し、領有権に関する論争を国際裁判を通じて明らかにしようと、強硬な態度を十余年間継続してきました。今度の会談妥結のときにも、この問題を解決しなくてはならないとの態度を見せました。しかし、政府は、独島がわが国の領土であるから、国交正常化ができないことがあっても、日本の主張を受け入れることができないだけでなく、この問題で日本と論議する余地がないことを明らかにし、われわれの立場を最終的に貫徹させました。」、こう言っています。  これは両国の条約、協定、交換公文ですから、私どもは、日本政府が、主権者である国民のお使いとして、その独自の判断で条約に調印すべきだ、交渉妥結すべきだという方針でやられるのはいい。これは政府の権限ですから。(発言する者あり)しかし、いま、どっちを信用するのだというやじが出ておりますが、そういう問題じゃない。お互いに事態を明らかにし、日本政府はどういう主張をしているか、韓国政府はどういう主張をしているか、一致しているのはどこか、対立点はどこか、これをお互いに国会々通じて明らかにして、そうして理解を深めてこの条約が調印批准されるのでなければ、私は、将来かえって禍根を残す、こういう心配をすればこそ、いまこういう点を一々詳細に出しているわけです。その点はひとつ総理大臣もよく考えていただきたい。  さらに、こういうことを言っております。これは八月五日です。八月五日に外務部長官が、これは答弁の形で言っているのです。さっきのは提案理由の説明で述べたのですが、今度は、独島の問題はこれからどのようになるかという質問がありまして、そういう質問に対する答弁です。「独島問題は、現政府の政策としては、われわれの領土であり、われわれが領有権を所有しているがゆえに、韓日会談の対象となることはできませんし、また、この政策についてはこれから何ら変わることがありません。昨日鄭一亨委員から、売国外交と、独島問題を日本に譲歩したというお話がありました。日本では社会党が佐藤首相に向かって、独島問題を売り渡した、売国奴だと国会で非難したという記事を見ました。極端に対照的なことばが両国会においてありましたが、このことについては、私の話したのが最も正道であります。」、「独島問題は……」として、「独島はわが国のものであり、わが国のものだと日本が了解しておりますし、また、日本社会党が佐藤首相に対して攻撃したように佐藤首相が私に独島を売り払ったこともなければ、私が受け取ったはずもありません。」、「平和線改定に対して多少言及します。」ここで今度は平和ライン、李承晩ラインのほうに移るわけでございますが、そういった中で、今度は八月八日の、これも李東元外務大臣の答弁です。「独島はわが領土であります。わが領土の領有権を日本……異国である日本外務部長官」、椎名外務大臣のことです。「日本外務部長官のところに行って保障してもらってこいと言われることばを私はきわめて遺憾に思います。」、つまり、独島が韓国の領土なら、日本の椎名外務大臣のところに行って、これは韓国の領土だということを保障してこい、こういう要求、質問があったわけです。だから、「ことばを私はきわめて遺憾に思います。」、ここで「場内騒然」と書いてある。そうして、その翌日の九日、さらに李東元外務大臣は続けて答弁しています。「独島問題について日本とわが国代表間に多少鋭いことばがかわされ、対立したことは事実であります。しかし、独島問題が韓日会談の懸案問題になったこともなく、また同時に韓日会談の中枢的な役割りの対象になったこともありません。その理由は、わが政府の政策が過去も現在も、また末来もそうでしょうが、終始一貫しています。独島はわが領土であり、独島の領有権はわれわれのものだ、それゆえ日本とこの問題については協議、協商」、つまり交渉ですね。「協商する必要がないと、きっぱりと立場を明らかにしました。去る二月に日本の椎名外相が韓国に来たとき」、外務大臣、あのときに、「牛耳洞の某所」と書いてある。仙雲閣という料亭です。覚えているでしょう、椎名さん。あそこで「私に独島問題について話そうと言いました。その話を持ち出されるや、私がすぐさま椎名外相に言いました。椎名さん、人も住まず、犬さえいやだと住みつかない独島、われわれは、自分の領土だから、しかたなく守るけれども、あなたたちは何のためにそんなことで一生懸命言いがかりをつけるのかとこう語りました。その後韓国に滞在する間に椎名外相が二度と独島問題について言及したことがありません。また私が日本に行ったときに、独島問題について椎名外相が言及しました。」、今度は李東元外務大臣が日本に来たときの話。「ちょうどここにそのとき同席した金東作大使も延亜州局長もおりますが、外相会議ですべての問題が締結された後に、日本の椎名外相が私に、独島が韓国の領有権であるということを否定するものではない、しかし、独島問題を一種の韓日間の紛争対象として認め、第三国家または国際裁判所に提起して今後審議を受けるというところまでは合意してくれ、こう言った。そこで私はすぐに席から立ち上がり、椎名外相に話しました。私が今度愛国国民たちから卵までぶつけられながら日本に来たのは、韓日間のあすの親善関係を結ぶための調印に来たのに、あなたは独島問題を持ち出して、韓日問題を妥結しようとしないのか。日本においては独島問題が政治問題であるかもしれないが、韓国においては国民感情を爆発させるダイナマイトである。だから、独島問題について二度と言及するときには、私はふろしき包みを取りまとめて韓国に帰ります、こう言ったのでした。また、率直に尊敬する委員の皆さんに申しますが、今度日本に行ったわれわれの代表、自分を含めて、車均禧農林長官、金東柞大使、みな四十代です。今後約半世紀以上との地に住まなければなりません。万一独島問題で皆さんを一時だまして売り渡したり譲歩したりしたなら、これは時間がたてばばれてしまいます。それが明白になったときには、私たちが今後この地に住めないだけでなく、子孫代々、売国奴または逆賊、その他ありとあらゆる悪口を聞くでしょう。人は本能的に自分のからだと自分の名誉を惜しむのは、野党議員であろうと、与党議員であろうと、政府にいる方だろうと、すべて同じです。私たちも、自分をかわいがり、名誉を重んじ、自分の将来を重んじ、自分の将来を大切にします。何のために、このような重要な国家的な問題を、歴史が時間的に立証する問題を、臨時的にある種の政治的な便法で批准同意を受けると皆さんの前に出てうそを言うことができるでしょうか。」、こういう真情を吐露しているわけです。「第四に、紛争解決のためのノート交換があるのだけはこれは事実です。しかし、これは国際会議慣例上の常識であります。幾ら親善国家間に結ばれた条約も、一定の時間がたつにつれて誤解が生ずることもあり、摩擦があり得るのが、歴史的に証明されたことです。だから、今後、特に漁業問題や請求権問題等々において万一誤解が生じたり紛争が生じたりするときには、これをどう解決するかという、解決策に対するノート交換がありました。これには独島問題が包含されていないということを、椎名外相、また日本の佐藤首相が了解しました。」と、ちゃんとある。  さらに続けています。「その次に、独島、平和ライン、また旧条約無効時点等について、日本に行って日本の外務大臣の覚え書きを持ってこいという話がありました。」、これは委員からそういう要求が出たのです。「これについて答弁をいたしますと、さきにも説明いたしましたが、独島はわが領土であり、われわれの領有権であります。われわれの領土で、われわれの領有権を、異邦国家である外国日本に行って、日本外務部長官に、どうぞこれがわれわれのものだと保証してくれ、覚え書きを書いてくれと言えますか。平たい言い方をすれば、私が連れ添って同居しておる自分の妻を、隣の他人の男のところに行って、君、これはおれの妻だと保証してくれと言えというのですか。これと同じですよ。」、外務大臣はこういうことを答弁したのです。そうしたら、翌日になって金大中委員がこのことを引き継いでこう言っておる。「私が自分の女房と住んでおるのに、隣家の男のところに行って、これがぼくの女房だと証明してくれという必要がどこにあるかと長官は言われる。しかし、李東元長官夫人や私の女房と自分が一緒に住んでおる分には、だれが何を言うはずがない。その妻に対して隣のやろうがしつこく自分の女房だと言うんだよ、君の言い方をすれば……」、外務大臣に対してこうやっておる。「お前の女房でないから返せ、おれが一緒に住むんだと言うから問題なんだ。確かに自分の妻なのに、相手の者がどうしても返せというから問題なんだよ。あなたが代表として行き、これは私の妻だということで解決をしてきたというから、あなたに聞くのは当然だよ。その解決した証拠を見せろ。」、こうやって迫ったわけです。   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御静粛に願います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 それから、続いて専管水域の問題をそれぞれ述べて、「しかし、独鳥は終始一貫してわが政府の韓日会談とは関係がなかったし、また韓日会談の懸案として対象にしなかったし、われわれの主張する独島の領有権は、われわれのものであり、また同時に、独島の領有権、管轄権を現在大韓民国が行使しています。私の知っておる限りでは、おそらく十名余り」、外務大臣はさっき二十名くらいの警察か軍隊と言われたのですが、その時点では、向こうの政府の説明では、「十名余りの警察が独島に行って守っています。もちろん、過去、李承晩博士時代以来、独島問題は韓日間に論争の対象になっていたことだけは事実です。このたび私が日本に行ったときにも、前にもこれについていきさつの詳細な説明をいたしましたが、日本は独島問題を解決しようとしました。その解決方法として、国際裁判所に持ち出さなければ、第三国家に調停を依頼しようとしました。これが日本の立場であったし、われわれの立場は、どこまでも独島はわれわれのものであるから、これは国際裁判所であろうと、第三国家であろうと、協議の対象にならない、これがわれわれの立場でありました。万一このようなわれわれの立場が貫徹されないときには、韓日会談に調印できないと私は断言しました。その結果、日本がわれわれの立場を許容したし、自分らの立場を廃棄したので、独島問題を最後にして、韓日会談に対する正式調印がありました。もちろん、いつ、どの国といわず、幾ら友好国家間に結ばれた条約でも、ときには紛争が生じます。そこで、国際外交慣例上、特に重要な条約を結ぶときには、紛争解決に対する対策が交換文書として交換される例が数多くあります。このたびわれわれも日本と紛争解決に関する交換公文があります。これはどこまでも独島を包含したものではなく、今度調印された韓日会談に対するすべての懸案問題に対して紛争が発生する場合には、これをどう解決するかについて、金委員が、日本が万一佐藤政権でなく他の政権になって、独身問題に言いがかりをつけて問題化したときには、この交換公文を通じてどんな結果をもたらすかという心配を表明された。国民もみな同じことを心配しておると思います。しかし、すべて手続がちゃんとあります。」、ここで外務大臣がさっき言われた調停の話をやっておる。「ここでは、仲裁ではなく、調停だということになっています。解決すると法的に規定したのではなくて、解決をはかるとしました。そこで、独島問題は紛争の解決に関する交換公文とは関係ありません。しかし、万一これと関係あるということにしましても、独島問題は永遠にわれわれのものとして領有権を行使し得るよう、すべて法的な条件がそろっております。」、こういう説明のあとで、今度は文徳周外務次官が説明しております。「政府は韓日会談を進めるにおいて、独島は全然韓日会談において懸案問題として扱われたことはありませんが、日本は独島問題を自分の領土だと主張したし、これは過去三十余回にわたる正式外交文書で要求してきたのでありました。このような独島問題が韓日会談に直接関連して論議されたのではありませんが、基本条約を締結する段階に至って、独島問題を再び日本が持ち出したといういきさつは、昨日外務長官答弁にありました。その当時、昨日の外相答弁のように、日本は、あくまでも基本条約の調印、少なくとも調印前か同時に、この独島問題に対する言質を得ようと努力したのは事実であります。しかし、外務長官や会談代表は、これはどこまでも別個の問題だ、基本条約の調印をやらないことがあっても、独島問題に対してはいかなる妥協もできない、調停に応じる用意さえないというような要求が互いに交換された結果、わがほうとしては、日本が独島問題において要求を撤回しないなら基本条約に調印しないといったいきさつがあって、日本がそれ以上独島問題に対する固執をしなくなってから調印がなされたのであります。したがって、このような経緯を経て調印がなされた以後、いまとなって日本が再びこれに対する問題を論議するということは不当であり、われわれは継続してその不当性を指摘し、今後この問題についてはき然たる態度で処理するということをもう一度ここで申し上げます。次は、第三に紛争処理に関する交換公文について質問がありました。」、ここでもう一度この外務次官がさっきの外務部長官の説明と同じことを繰り返しているのでございます。ここは省略いたしますが、最後にこの外務次官がこういうことを言っております。「独島問題等々に関して日本がいまわれわれと相反する主張をしているのに、これに対してどんな対策をするか。われわれとしては、旧条約の無効時期問題や、以北」、北朝鮮ですね。「以北の管轄権問題において、協定上の厳格な解釈により、全く異論をはさむ余地があり得ないほどに明白だと考えます。日本がそんなことを言うのは不当だということをもう一度繰り返し、われわれは、万一今後日本がこのようなことをしても、いま話しましたようにこれを処理することを繰り返し申し上げます。」、そうして、最後にさらに続けて言っています。「しかし、いま金委員が言われるように、日本が、異論の余地のあり得ない解釈」、自分たちの解釈のことを言っているわけです。「異論の余地のあり得ない解釈とは違った解釈をしているのもまた事実であります。この問題については、今後私たちが、国交正常化になれば」、国交正常化になってからですよ。あなたは、国交正常化になれば友好的になるから、解決のめどがつくだろうと言われるけれども、この政府の答弁では、「国交正常化になれば、ことばをかえて申せば、この条約が発効することにより、日本をこれで拘束させ、また、これについては政府が日本を拘束させる自信があるということを申し上げ、実際に今後国交正常化されたあと行動で立証します。」と断言しているのであります。  こういう強い態度で韓国政府が臨んでおる。これでもなお解決のめどがあるということを、さっきの答弁だけで国民が納得すると思いますか。これはどうしても納得できないですよ。だから、もう少しそういう交渉の過程と、それは日韓の将来の友好のために、竹島はなかなか対立して解決しない、だから、これは実際は永久的なたな上げになっても、日韓の友好のためにはしかたがないのだというなら、それは一つの説明であり、筋が一貫している。けれども、こういう状態で対立している問題を、その調停の方法さえ合意が必要なんだから、一切受けつけないと言っておる相手を、これからあなたは解決のめどがある相手としてやられるように言われるから、私は、そうなれば詐欺だ、欺瞞だということを言わざるを得ないでしょう。ひとつここで答弁をお願いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 たいへん長い速記をお読みになりましたので、これで、両国の意見が食い違っておる、それぞれ意見が違っておる、これははっきりし、そのことが紛争であることは皆さんがみんなおわかりだと思います。しかし、紛争であるが、同時に、非常な強い主張を両国ともしておる。必ず解決できるのだ、かようにも言っておるし、また、片一方は、どんな話があってもそれには応じないと言っている。そういう実情にあること、これもおわかりだと思います。ただいまの記録で非常にはっきりしている。ただ、その記録をたどっていまお読みになりましたが、私は、たいへん、野党はどこでも同じようなことを言っておるのだ、こういう感じがするのです。たとえば、売り払ったと言う。これを李東元外務部長官は、金をもらった覚えはないと言っているし、売り払ったこともないと言っている。これなども、私どもが、この竹島問題をたな上げにしたとか、あるいはこれを放棄したんだ、売国的な外交をしたんだ、こう言われておりますが、同じようなことを向こうでも言われておる。そしてまた、向こうは、韓国は、それだけ政府が自信があるのなら、椎名君のところへ行って保証してもらってこいと言われている。ちょうど皆さん方も、それだけ自信があるなら、韓国政府のところへ行って、そして紛争を処理する、こういうことをちゃんと確約してこい、こういうようなお話、たいへん私は、野党諸君としては同じようなことを言っておる、かように実は感ずるのであります。私は、ただいま詳しくお読みになっただけに、国民の各位も、松本さんの朗読を通じて、この問題が紛争であることをよく承知しただろうと思います。また、この問題について両国の主張が非常に強い、これは容易なことではなかなか解決がむずかしいだろう、このことも国民がよく了承するだろうと私は思います。だからこそ、こういうような領土問題こそは、これは国をあげて、挙国一致して当たらないと、なかなか本来の主張を徹底さすことはできないのだ、かように私は思いますけれども、ただいま詳細の速記録による朗読がありましたので、実情はたいへんはっきりしただろうと思います。ただ、その中にありますように、この問題が最後に椎名君やあるいは私自身が了承してそれでこれが調印を得たという、そういう言い分がありますが、その点は、全然さようなことはございません。もともと条約そのものは、書いてあること、書いてないこと、これは区別する。書いてあるところによりましてそれぞれの国が規律せられるのでありますから、書いたところの文字で判断していただく、それ以外のことはないということをはっきり申し上げておきます。  また、もう一つつけ加えて……   〔発言する者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御静粛に願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 もう一つつけ加えて申し上げておきたいのは、紛争処理の問題が交換公文のあることは確かだ、しかし、日本と韓国の間では漁業関係や経済協力の問題でも紛争があるから、そういうものの処理のためにこれを残したんだと言われますけれども、漁業並びに経済協力には、紛争があればその協約の中に解決する方法がちゃんときめられています。だから、その点は明確にきめてありますので、誤解はないだろうと思います。  ただいまの、これは速記だろうと思いますが、その朗読されたことで私もたいへんはっきりさしていただいたように思いますけれども、ただいま申し上げるような感じで私は聞いた次第であります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 ちょっとここで確認しておきたいのですが、いま読んだ向こうの公式の報告によれば、佐藤総理が了解したということを向こうは言っているのですよ。その点はどうなんですか。事実なんですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、その点は、ただいまはっきり、そういうことはございませんと申し上げます。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 総理と同様、私は了解した覚えはございません。  それから、これほど両国の間で非常に熾烈に争った問題が、まさに紛争であることは間違いない。それで、もしも——いまお読みになった議事録に随所に出てきますが、もうすべて私が唯々諾々として了解したように書いてあるように聞きましたが、それならば、この紛争から竹島問題を除外するということを書かなければいかぬはずなんです。書いてないんです。まあそのことによっても、私は厳正な態度をもって終始この問題に対処したということがおわかりになると思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 さっき総理はいろいろ答弁されたけれども、結局焦点は交換公文そのものが問題なんですよ。交換公文で処理方法を書いている。それに向こうが応諾して乗ってこなければ、処理というものは具体的な問題になり得ないんだから、そこのところぐらい了解点がきちっとしていないことには、これはそれじゃいつ解決のめどがつくんだということさえ国民にはわからないですからね。それを、あたかももうこれで平和的な解決の筋道はできたんだというようなことを言われるから——しきりに世間であなたはそういう宣伝をしているじゃないですか、国会で答弁しているだけじゃなしに。それは結果において客観的には国民をごまかすことになりますよ。だから、私は、ぺてん条約であり、インチキだと言っているんだ。だから、もしそれは、これに書いてあるようなのは韓国政府の誇強なんだ、国会の答弁の一つのあれとして誇張されて、真実じゃないというなら、私どもはやはり公式な——これは私どもは公式な文書をいまもとにしたんじゃないんだから、あるいは新聞——新聞で、私は間違っている点もあると思うのですよ。きのう小坂さんがちょっと質問されましたが、あのアズ・スペシファイド、これは、英語で形容句として使うということを小坂さん断定されたが、それはそれとして、韓国の文章で、私は韓国語はわからないけれども、専門家に言わせれば、あれは副詞として韓国の文章にはなっている。だから、それはどっちが正しいとかいうことではなしに、韓国自身は副詞として原文をちゃんと使っている。それだから、あの百九十五の国連決議でも、形容詞とすれば、そのとおりの、——日本的に訳してあるように、その決議にあるとおりのとして、全部包含した意味になっているわけだ。ところが、韓国のほうは副詞に使っているから、つまり日本語で言えば「の」たった一つで変わるわけですね。とおりの、という形容詞になれば、あの決議全部を包含するわけだ。ところが、「の」をとって、とおりと副詞にすれば、その浮かび上げた、焦点になっている「唯一の合法政権」というところだけを修飾して、そしてそこの説明になる。そういうふうな解釈をしているんですよ、向こうは、だから、そういうただ条文の解釈だけじゃないのですよ。条文の解釈でもそういうふうに違っている。たった「の」を入れるか入れないかでそういうふうな開きが出る。これで管轄権問題が遠く離れてしまう。その管轄権の見解の相違によって、これから、北朝鮮との問題だとか、そういうふうな政策の点にも開きが出てくるわけです。そういう点を考えれば、これは条約ができれば親善ムードができますなんて、そういうことを国民の前で私は軽々しく言うべきものじゃないと思う。だから、私どもは、やはり韓国国会の議事録を——われわれはこうして断片的にしかあれしてないけれども、議事録をやはり国会に提出すべきだ、そういうことを言っているわけです。政府は確かに外交の交渉権はありますよ。けれども、いま日本の憲法によったって、国権の最高機関は国会です。それは修正権の問題だとかいろいろ条約についてはあるけれども、しかし、何といっても内閣がもう少しいまの憲法下における日本の国会というものの権威を考えてしかるべきじゃないかと思う。それがないからああいう一括提案という問題も出るのです。それはさておくとして、韓国もやはり、大統領がああいうふうにクーデターでずいぶん乱暴なことをやっていも、大統領制はとって、やはり憲法では人民に主権があるという規定がされておる。昔なら王様のあれを得て交渉に行った。そしてその条約に調印してきた。その交渉の内容をつぶさに御主人さまに報告もしないで、使節が王様や皇帝に報告もしないで、いいかげんな答弁でそれをごまかすということになると、これはたいへんです。私は、いまのこの議事録の一部だけれども、そういう相違があるということを見ますと、お互いの政府は、自分の主人公である国民に、いいかげんな答弁で親善ムードをあおり立てておる、(発言する者あり)いや、客観的にはそういう結果になりつつあるから私は言うのです。もう少し真相を明らかにする必要がある。そういう意味から、私はこの際やはり政府は議事録を国会に出すべきだと思うのです、どうしても。これは国会の権威を尊重するばかりではない。ほんとうにお互いがよく理解して、日本と韓国の将来永久にわたる親善の土台をこの条約で築くというあなたに確信があるならば、それは、交渉過程なり、あるいは議事録をさらけ出して、そして事実を事実として協議を進めていくということは絶対に必要だと思う。だから私は要求しておるのです。ひとつ出していただくように話を進めてください。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 最後にいま結論として、韓国側の速記録を出せというお話ですが、私は、その前の問題でございますが、御意見として韓国側に非常に強い主張がある、また日本側も韓国に劣らない強い主張をしておる、このことを重ねて申し上げたいのです。竹島問題はそれほど両国に真剣な本来の主張のあること。そこで、なかなかこの問題がむずかしい状態だということであります。ただ、私は、先ほど申し上げましたように、韓国にしても、わが国にしても、竹島問題にこだわっていて、日韓の条約を調印しないということ、これはまことに残念だ、かように思いまして、大局的な見地から、竹島の問題の方向、めどがついたところで、実はこれの調印をいたしたのであります。この点は先ほど来たびたび申し上げました。  また、最後に、韓国の国会の速記録を出せというお話でございますが、これは、私は、いままで伺っておりまして、当委員会が十分審議もし、政府側の意向も聞いて、政府側が出さないという、そのことを了承されて、今日もう始まっておるのだ、かように私は理解いたしておりますし、また、ただいま新しい問題だとは、かように考えておりませんので、これは、私自身がそういうことをすぐ受ける筋のものでなくて、当委員会がおきめになることだと思います。

松本七郎日本社会党

○松本委員 委員長、少し経過を言いますから。第一、国会の始まる直前でしたが、官房長官が公衆の前で、テレビを通じて討論会で、必要があれば——これは民社党の西村書記長の要求ですよ。そのときに、出しましょう、こう言ったのです。その後出さないというようなあれはだんだん強くなってきたので、この前私はNHKの討論会で官房長官と一緒になったときにその話を持ち出したら、それは国会開会前だったから出せなかったけれども、今度国会が始まれば出しましょうと言われておるのですから、だから、委員長、資料の要求は、委員会の決議というものはいまはこの国会法では条件になっていないということをあのときに辻原君からちゃんと言ったじゃないですか。だから、個人の、委員としての要求があれば、当然これは要求しなければならない。委員長が……。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お答えいたします。

松本七郎日本社会党

○松本委員 もう一つ追加がある。八月四日の予算委員会で、わが党の野原覺委員から、やはりこの問題について、この紛争の対象になっているかということでやはり資料要求をしたことがある。あのとき外務大臣は、必ず審議が始まる前には納得のいく資料を出します、こう言ったでしょう。ところが、出してきたのは全然納得のいく資料じゃない。自分の見解だけを述べている。いまのように両方の対立した点を明らかにするという公的な文書がなければ、これは明らかにならないですよ。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 お答えいたします。  ただいまの韓国国会の議事録を要求せられましたる松木君の御意見につきましては、本委員会の散会後、理事会において御協議申し上げることに  いたします。

松本七郎日本社会党

○松本委員 もう一つ、私はきのうの小坂さんの質問に関連してちょっと触れたい問題があるのです。きょうはもう、理事会の申し合わせのように、法的地位の問題で横山委員の質問がありますので、管轄権その他は省略しますが、きのう小坂さんの質問で、竹島問題に触れられたときに、独島の専管水域の話が出たわけです。そのときにやはり外務大臣は、これは紛争中であるから、いまのところは独島専管水域は設定しないんだ、こういうことを言われた。ところが、この点についても非常に食い違っている。これは事実を少しはっきりしていただきたいと思うのですが、八月十日の李東元外務大臣の答弁には、漁業協定を詳細に読めば、独島も専管水域があるようになっています、こう言って、これはあとはずっと続いて独島の領有権の問題に入るのですけれども、そのあとで、翌日の八月十一日に車均禧農林長官が、専管水域に関しては、漁業協定第一条を見れば、そこに、締約国はそれぞれ自国の周辺で基線から十三マイルまでを専管水域として設定できる、それを相互に認める、こうなっていますということを言っている。それといまの外務大臣の答弁を一緒にしますと、当然独居には専管水域を設定しているわけですね。これは地図にもちゃんと出ています、向こうで出している地図には。これは御存じだと思いますが……。それで、こっちは、紛争なんだからまだ設定しない、こう言われても、向こうはおれの領土だから当然設定するんだということになると、これはおかしなことになりはしませんか。向こうの設定をそのまま放置しておくのですか。何か抗議でもするのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 まだ協定が発効しておりませんから、専管水域を設定しているはずがありません。しかし、いわんや独島の領有権はいま両国の紛争になっておりますから、さようなことはあり得ないわけであります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 向こうはそう言っているからね。それじゃ、向こうの主張はこれはうそだということを確認されましたか。そんなはずはないじゃ済まないですよ。向こうは政府が国会を通じてちゃんと言っているのですからね。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この日韓条約が全面的に発効して初めて両国の間において十二マイルの専管水域ができ上がるわけであります。でありますから、かりに独島が、かりにですよ、かりに向こうのものであったにしたところが、まだ条約の発効以前に専管水域をつくってみたところが、それは効力を発効しない、発生しないということになります。

松本七郎日本社会党

○松本委員 これはちょっと発効後の問題もいろいろあるのですけれども、関連して楢崎君が質問を求めておりますから……。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 楢崎弥之助君から関連質問が出ております。これを許します。楢崎弥之助君。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 いま松本委員から、竹島を例にして、両国の合意が成立をしていないという論争を展開されたのです。私も、両国の合意が成立していないという一つの証拠として、韓国の主権の及ぶ海域を地図で示していただきたい。農林大臣、地図でお示し願いたい。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 どうも、まだこっちに持ってきておりません。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 農林省のほうにはちゃんと連絡がしてあるはずです。あなたの意を受けて、どういう要求があるかという連絡がありましたから、私は要求をあらかじめしておりました。あなたは連絡を受けていないのですか。   〔「地図ぐらい持ってこい」「早く張れ」と呼び、その他発言する者多し〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 御静粛に願います。   〔地図を掲示〕

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 いまそこに示されている地図は、日韓漁業協定の中に明示されております漁業に関する水域並びに共同規制水域を全部それは明示しておりますか。農林大臣、もう一度お尋ねします。いまそこに張られた地図は、日韓漁業協定で合意に達した漁業に関する水域並びに共同規制水域全部を示しておりますか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 政府委員に説明いたさせます。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 御質問の御趣旨は、いまここに張った地図が専管水域及び共同規制水域の全部を網羅しておるかという御趣旨と拝承いたしました。  これは、まず第一点として、略図でございます点を御了承願います。  それから、協定の本文に基づきますところの共同規制水域、それから交換公文に基づきますところの暫定漁業水域及び交換公文に基づきますところの直線基線、このすべてを網羅したつもりでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 協定第二条によりますと、(a)項に「北緯三十七度二十分以北の東経百二十四度の経線」と書いてあります。ないではありませんか。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 御指摘の点は、この点でございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 この(a)項の条文のとおりにいくと、「以北の東経百二十四度の経線」、ずっといっているんじゃありませんか、  いま一つ、十一の項の牛岩嶺高頂はどこですか。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 牛岩嶺高頂は、この線を北にずっと伸ばしまして、牛岩嶺の山頂を望む線であります。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、この協定に示されている共同規制水域あるいは漁業に関する水域全部を示していないじゃありませんか。いま認めますか、それを。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 協定の本文に基づきます全部、たとえばこの線の最終線までは入っておらない点は御指摘のとおりでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 協定では共同規制水域になっているじゃありませんか。そこをなぜ略すんですか。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 御指摘のとおり協定ではなっております。御趣旨が、今回の協定に関係する地図を用意せよということでございましたので、この点を中心に用意をいたしたわけでございます。御趣旨がもっと全貌ということでございますれば、当然伸ばして出すわけでございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 この問題は、松本委員から指摘をされました両国の合意が達していない事実について重要な関係があります。だから、われわれがそれを論証しようとする点で非常に必要でございますから、出していただきたいと思います。漁業に関する水域並びに共同規制水域全部を明示した正確な地図を出してもらいたい。いま一つ、その水域は両国の間で合意に達した分を明確に出してもらいたい。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 事務当局として、至急作製いたしまして、御提出いたします。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 なお、私は、これは非常に重大な地図であると思いますから、当特別委員会の委員全員に資料としてこれを出してもらいたいと思います。委員長、いかがですか。

安藤覺自由民主党

○安藤委員員 農林大臣、資料として出されますか、出されませんか。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 さようにいたさせます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、この地図に含まれていない分は留保いたしまして、当面、この地図に含まれている分で、おもに竹島の専管水域についてお伺いをしたいと思います。  竹島はどこにありますか、お示しを願います。農林大臣、どこにありますか。

丹羽雅次郎水産庁長官

○丹羽政府委員 鬱陵島がここでございますから、竹島はこの辺にございます。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 重要な問題である、あなた方も強調されている紛争事項の竹島がないということは、どういうことなんですか。問題にしてないんですか。何という地図ですか、それは。だめです。これでは質問できませんよ。

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 この地図を要求されたことについて、私は存じておりません。そこで、ただいま承りましたので、その問題については十分考えまして出します。これは政府委員室の政府委員においてつくられました地図でありまして、私は存じておりません。よくわかりました。   〔「いまの答弁は重大ですよ、そんなばかなことはない」と呼び、その他発言する者あり〕

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 あらためて全部包含した地図を持ってまいりまするから、それまでお待ちを願います。   〔発言する者多し〕

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 私は、政府の連絡員が私のところに見えて、それであれされましたから、正式に私は要求しているんです。それを農林大臣が知られないということでは、私は納得できません。さっきの答弁は、私は納得できません。農林大臣の再答弁を求めます。   〔「大臣として無責任ですよ」と呼び、その他発言する者多し〕

坂田英一自由民主党農林大臣

○坂田国務大臣 ことばが足りませんでしたが、とにかく完全なものを出すことにいたしますから、御了承願います。

楢崎弥之助日本社会党

○楢崎委員 それでは、お約束をされましたから、正確な地図が参るまで私の関連質問は保留をいたします。

松本七郎日本社会党

○松本委員 お聞きのとおり、まだまだ決して合意に達しているとは思われないような問題点がたくさんありますし、それから、きのうの答弁でも、しきりに総理は軍事的な面なんてないと、こう言われるけれども、これから審議を進めるにつれて、この条約の軍事的性格というものはだんだん明らかになってくると思うのですよ。だから、私どもも問題点をたくさんかかえておりますが、きょうは、理事会で申し合わせまして、法的地位の問題、この間本会議でああいう食い違いの答弁をされて、統一見解がきょう出たばかりですから、非常に国民の関心もありますし、このほうに移りたいと思いますが、ただ、ここで申し上げておきたいのは、私に言わせれば、公約違反は竹島の未解決ばかりじゃないと思うのです。まだたくさんありますよ。特にこの法的地位の問題では、これも長い間国会で論議してきました。いよいよ日韓会談が妥結する場合に、いわゆる南朝鮮、韓国系統の在留朝鮮人と、それから北朝鮮、いままでの政府の言い方をすれば、朝鮮の符号を希望した朝鮮人、条約ができても差別待遇はしませんというのが、これはやはり、竹島の平和的解決と同じように、一貫して主張してきた、これ公約の一つですね。そうなんですよ。それがこの統一見解で、片方はちゃんと国籍と、こうなる。それでは、今度は公平に扱うためには、せめて朝鮮民主主義人民共和国の代表部ぐらい設置して、そうして何か前向きに解決するというような政策が打ち出てくれば、これまた問題は別だけれども、それがなされない限りは、私は、不公平な扱いになることは必至だと思うのです。  そういう問題がいろいろありますので、きょうは、私の質問はこれでやめまして、あとお約束しておる横山さんに引き継いでもらうことにしたいと思います。委員長、よろしくお願いいたします。(拍手)

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私がこれから政府にお尋ねをしたいのは、この間本会議におきまして総理大臣と法務大臣との間の答弁に伴い、本日法務大臣から本席においてお話がございました、いわゆる外国人登録上の国籍欄の韓国あるいは朝鮮の記載についての見解、この問題に限定をしてお尋ねをしたいと思うのであります。  特に限定をいたします理由は、今回のこの政府の決定というものが在日六十万の韓国人に甚大な影響を与えたからであります。しかも、その結果がはね返って、日本の国内の問題として地方自治体にも非常な影響を与えることは、もはや火を見るよりも明らかであります。  したがって、いま一度本会議の何から起こったかということについて両大臣とともに思い出したいのでありますが、まず、総理大臣はこう言われました。「韓国民についての処置は御承知のとおりでありますが、朝鮮国籍というものにつきまして私どもが認めておらないというところで非常なむずかしい問題、法律的な問題があるようであります。しかしながら、この点は今回の問題で別に条約上の義務を生じておるわけではありません。したがいまして、これは日本国内問題として処理するつもりでありますし、在来よりも悪い扱い方はもちろんしないつもりであります。また、国籍の変更につきまして、御指摘のように、朝鮮から韓国への国籍の変更を進めるが、韓国から朝鮮はこれを断わるとか、かようなことはもちろんございません。どうか、そういうような不公平な処置をしておるというようなことがありましたら、これは御指摘を願いたいのでありますが、ただいまのような状態でございますので、かような事実のないことをこの席からはっきり申し上げておきます。」、これが総理大臣であります。これに対して、法務大臣は、その直後にこういう答弁がありました。全文は省略しますが、要点だけ言いますと、「それだけの準備と用意をしてやったのでございまするから、朝鮮へこの際韓国から切りかえということは、そう簡単にはできるものではないということで、原則としては、これを認めないという方針をいまとっておるのでございます。(拍手)これは……(発言する者あり)ただいま説明の途中でございます。原則としてそういう方針をとっておりまするので、これは私どもといたしまして、人道に違反するとも、また、これは、さっきお話のありました人権宣言にも違反することではなく、私どもはりっぱな道を通ってきたのだと、こういうふうに信じておるのでございます。」  この二つの答弁について、きわめて常識的に、おそらく与野党を通じてちょっとおかしいなと思ったと思うのであります。このおかしいという考え方についてはいろいろ要素があるでありましょう。しかしながら、公式にはこの問題について政府にただした者はない。政府がみずから、ひとり相撲のようにいろいろと協議をなさって、きょうこの韓国あるいは朝鮮の記載についての見解を発表なさった。私がまず第一に伺いたいのは、見解を統一した理由は何であるか、どういう理由で見解を統一したのか。私がこれからお伺いすることは、歴史的な問題をもからんでまいります。しかし、今回は一法務大臣がやったのではない。これは総理と法務大臣の答弁上の問題から発して、関係主管庁並びに大臣が責任を持って相談をして、ここに見解を発表されたのでありますから、必要ならばそれは事務当局でやむを得ないにしても、これほどの重要な問題でありますから、総理並びに各大臣からひとつ責任を持った答弁が願いたい。また、そういうことになっておる。そういう条件であるから御答弁が願いたい。第一は、いま言いましたように、見解を統一した理由、原因は何であったか、それをお伺いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 統一見解を出したのはどうかということですが、私はあまり違っておるとは思いませんけれども、一部、一見違っておるような印象を与えておる、こういうことでありますので、大事なことですから、統一見解を出した、こういうことでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この見解は、それでは従来の見解と、政府の態度と、これから先の政府の態度について違うところはないのか。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 ただいままでやっておったことと、これから先のやり方は、国籍欄の、国籍問題については、扱い方については、変わらないと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の聞いておるのはそういうことではないのです。従来政府がとってまいりました見解と、これから先の見解に違いが生じたのだなと、こう言っておるのです。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 これは歴史的にいろいろございますので、これは横山さんよく御承知だと思うのでございますが、いままでにはずっと昔、と申しましても、昭和二十五年のころに法務総裁談話といたしましたころに、国籍ということをはっきりとしない場合があったのでございます。それはどういうことかというと、この機会でございますからはっきりしておいたほうがいいと思いますから、少しくどいようでございますが、申し上げておきます。  昭和二十五年の二月に、法務総裁談話が出ました当時は、わが国は占領下にあったために、他国を承認したり、外国人の国籍を判定し得るような立場になかったことと、朝鮮戸籍に属する者は、外国人登録上は外国人とみなされてはいたものの、日本国籍をまだ有していたところから、単なる用語であると言わざるを得なかったのでございます。そのころは、それで朝鮮とかあるいは韓国とかいうことは単に用語であると言うておったわけでございます。ところが、二十七年の四月二十八日平和条約の発効によりまして、日本国は大韓民国を承認し、かつ元朝鮮戸籍の者は、日本国内に居住していたまま外国人となったが、これらの者の法的地位は確定されないまま、昭和二十七年の法律第百二十六号によりまして、一般外国人と違った待遇で日本におることになったような関係でございまして、このような法的地位及び待遇を一律に受けている者といたしまして、朝鮮といい、または韓国といっても、法律上の取り扱いを異にしないという意味から、これを用語として用いた場合もあったのでございます。しかし、現時点におきましては、これを見ますると、朝鮮から韓国へ書きかえを認めてきた経過、これが長年にわたって維持されてきた事実、また韓国が実質的に国籍と同じ作用を果たしてきたいきさつ等にかんがみまして、その記載は大韓民国の国籍を示すものと考えざるを得ないのでありますから、この見解を明らかにしたのでございまして、この考え方によって韓国は国籍として扱い、朝鮮は国籍でないという扱いにしておるようなわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 質疑を明らかにするために重ねてお伺いしますが、そういたしますと、見解が出ます前までは、朝鮮といい、韓国といい、大韓民国ということは用語であたったという政府の見解である。しかし、この瞬間から、この韓国ということばは国籍とみなす、そういう違い、そういう変化が始まったのだ、政府はそういう態度をこれからとるのだ、こういうわけでございますね。   〔委員長退席、木村(武)委員長代理着席〕

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 ただいま申しましたように、初めは日本の力が独立状態にないころでございまするから、そのころにおきましては、いわゆる符牒あるいは用語という状態でございました。その後におきましては、私どもは、これを国家というふうに韓国を扱ってきておったのでございますが、これはこういういきさつがあるのでございます。大部分の者は韓国の国籍欄に記載するにあたりまして、国民登録証の呈示を受けておる……(横山委員「私の質問に答えてください。あなたの答弁は違います。」と呼ぶ)いやいや、どういうわけでそれを言うておるかということを御説明します。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の質問しておりますのは、統一見解が出るまでは、朝鮮といい、韓国といい、大韓民国ということばは用語であったのだな。統一見解になってから韓国だけは国籍と見るのだな。それに対してイエスかノーか言えばいいのです。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 そうじゃございません。そうではないということを申し上げておる。歴史的な事実を申し上げておるわけでございます。途中で結論だけ言うと間違いが起こりやすいので、ちょっとお聞き願いたい。そこにいく道程も、これも聞いておいていただきたい。よろしゅうございますか。(横山委員「先に結論を聞かしてもらえませんか。」と呼ぶ)これはこういうことでございます。法務省が国籍欄の書きかえの手続上、国民登録証の呈示を要件といたしましたのは、昭和二十六年の二月の通達からでございます。その以前には、そういうことなく、個人的に動いていたというようなことがあるような場合があるのでございます。これが一体それじゃどうだということでございまするが、これらの人たちが朝鮮から——一ぺん朝鮮に入れられた者が韓国に移る場合においては、代表部に登録いたしまして、みんな国民登録証を持っておって、このような者が書きかえの申請を行なったのでありまするから、この事実を取り上げまして、私どもは、実際上においてそれから先の国民登録証を持っておる者と同じことである、いわゆる韓国籍を持っておる者と同じだということによって、韓国籍を持っておる者だという扱いをしておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 もう一度同僚の皆さんとともに理解をしたいのですが、私の質問は、この見解がきょう初めて出た、公式の国会においてきょう初めて出た、きのうまではずうっとあなたの言うところの昭和二十五年二月二十三日法務総裁談話以来、昭和二十五年八月十五日の通達、二十八年十二月二十五日の通達、三十一年一月七日の通達、すべての政府の通達は用語説をとっているではないか。そうでしょう。それならば、なぜ一体この見解を出したかと言って聞いているのだけれども、それはあとにして、それならばあなたは以前に、その当時からも国籍であったという理由は、政府の見解と矛盾するではないか、ずっといままで用語説をたどってきて、いま初めて公式の記録、公式の国会においてこうおっしゃったではないか。それならば今日から国籍とみなす、きょうからまた政府の見解は変わった、こう見るべきではないかとお尋ねしている。きょうから政府の見解が変わったのかといって聞いている。これをあなたはさかのぼって変わった、そう言うのですか。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 ごたごたするようでございますから、間違いのないようにこまやかに当該局長から趣旨を説明させます。

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 ただいまの統一見解の話でございますが、私、関係者として最近協議してまいりましたので、従来の経過並びに今般のいわゆる統一見解の内容について御説明申し上げます。  従来、ただいま横山先生から御指摘のように、昭和二十五年の韓国への登録の書きかえを認めた法務総裁の談話が発表になりまして、その中に御指摘のような文句があった。それをその後も使用しておるということの意味であります。それで、ただいまその理由につきましては、法務大臣からいろいろ用語とする理由の説明がありました。そこで国籍欄の記載の問題につきまして、これがわれわれが従来用語であるといったような見方をしてまいりました理由は、それが従来この問題は常に国籍欄の青きかえの問題ではなくて、朝鮮人の待遇の問題に関連して質問がありまして、その関係で直接的にその問題に論議が集中したことがありませんでした。私どもは、それをいまになって弁解がましく申し上げたくありませんけれども、従来、この昭和二十五年の法務総裁談の出ましたときはまだ占領中でございまして、日本は司令部の勧告に対してそれを拒否するわけにいかない、そしてそれを受けたわけでございます。そしてそれを先ほど法務大臣から申しましたようないろいろな理由から、あくまで用語としてそれを受け取るというふうにとってきてまいったわけでございます。そしてその後平和条約が発効しましたときに、いまにして申しますれば、日本は完全に独立したわけでありますから、その際に日本は自分の立場で国籍の認定をしてよかったわけでございます。   〔木村(武)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、もし平和条約発効の際に、そういうことについてはっきりした政府の見解というものがきめられて、それに基づいて諸般の行政が行なわれておりましたら何も問題はなかったわけでございますが、結局この点につきましては入管に直接責任がある。と申しますのは、入国管理庁というのは昭和二十六年に初めて設立されまして、日本には従来外国人管理行政というものはほとんどなかったわけでございます。そのときにわずか数戸名の全然経験のない役人を集めまして、入国管理庁というのが発足をし、そしてそれが六十万に近い朝鮮人の問題を扱う。当時密入国であるとか、強制退去とかいろいろ問題が山積しておりまして、理論的にそういうものを詰める余裕がなかなかなかったということが、結局われわれの今在用語という立場に立って説明をしてきた経過でございますししたがいまして、このたびいろいろ問題がありまして、この際はっきり見解を固めておく必要がある。そういう点でいろいろ協議いたしました結果、すでに本人が自由な意思をもって韓国の国籍であるということを申請し、それを裏づける国民登録証という国籍証明の文書があるということになりますれば、これをもって韓国の国籍と認めるのが当然であるという結論に達した次第であります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の質問をもう一ぺん言います。ここで政府は見解を統一したという。きのうまでは用語説であって、きょうから韓国という名前は国籍だと変えたんだなと言って、それだけ聞いておる。うんならうん、違うなら違う、違うならどうだとなぜ言わない。きょうから日本政府は韓国という名前は国籍であるときめたのか、こう言っておる。

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 お答えいたします。きょうからといって、きょうから変わったので、きのうまではそうでなかったんだというのでありませんで、従来国籍と見るべきものであったにもかかわらず、われわれが、入管当局がそういうことを言明しなかったというだけでありまして、すでに前から国籍と認めておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 きわめてかってな話であります。同僚諸君もお聞きだと思うのですが、昭和二十五年二月二十三日、法務総裁の談話の要点でけ言いますと、「右は単なる用語の問題であって、実質的な国籍の問題や国家の承認の問題とは全然関係なく、「朝鮮人」或は「韓国人」、「大韓民国人」のいずれを用いるかによって、その人の法律上の取扱を異にすることはない。」。同じく昭和三十一年一月七日付民事甲第二五六八号民事局長の回答も同様、昭和二十五年八月十五日付民事甲第二一七七号通達も同様、それ以後もすべてそういうことになっている。八木さん、あなたは気の毒だけれども、あなたがそういう言い方をするなら、従来とも国籍だと考えておったと言うならば、昭和四十年、ことしだ、三月の十八日、参議院の法務委員会であなたは何を言ったんだ。用語説をとっているではないか。——まだ答えろと、言っていない。それで韓国を国籍だ、韓国という名称を国籍だと言った者は、総理大臣以下末端の地方官吏に至るまで一人もいない。いまここで政府は、どういう事情だか知らぬけれども、国籍とみなすという公式の答弁をした。だから私はくどく言うのだけれども、これからそういう態度をとるのだな、こう言っている。いままでは何にもそれを言わなかったのだから、これからだなと言っている。それに大臣答弁しなさいよ。こんな明確なことについて大臣が御答弁できないはずはない。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 これからでなく、いままでから韓国は国籍であるということの起こりになったことは、こういうところから起こったと、ただいま説明したとおりでございます。また、われわれはきょうあすにそういう問題をしただけでなく、ただいまお読みになったもの等もございますが、また現在問題になっております——朝鮮籍から韓国へ移るのを問題にしておりませんが、韓国籍から朝鮮籍へというのは、これは国籍からそうでないところへ移るのだから、これは違うというような心持ちでありましたのか、三十八年、だれか局長からだと思いますが、通達が出ておるように、あなたに差し上げたその書類の中にもあるように思いますが、そういうふうな取り扱いを現実にやっておるのでございまして、現実的にはもう韓国というものをちゃんと前からずっと認めておるということでございます。その扱い方において少しくはっきりしなかったということをおっしゃられると、どうも私ども手落ちの点がなかったとは申し上げないのでございます。そういう意味で御了承願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ふしぎなことを聞くものですね。大臣、いいですか、もう一ぺん考えなさいよ。私は親切にも、あなたに、きょうから見解を統一したから、これからは韓国を国籍です、こういうふうにおっしゃるだろうと援助をしておる。あなたは違う、こうおっしゃる。きのうもおとついも八木局長が参議院の法務委員会で答弁した、この符号説、そういうものも押し切って、ずっとどこやらまでさかのぼって、いやあれは国籍であった、こう言うつもりですか。じゃ、どこまでさかのぼるのですか。あなた答弁してください。これはいつからだ。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 さっき申しましたように韓国の人たちを日本の戸籍簿が外人登録として受け入れたとき、すなわち何年がございますか、三十六年でございますか、そのころ初めて日本で、韓国というものを朝鮮というところに入れて、それから韓国というものの登録をしたところにさかのぼると私は思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 いいですか、もう一ぺん言いますけれども、六十万の朝鮮人の人々は、まさにきょうがきょうまで、自分たちの主張はともかく、日本政府は、すべて韓国も、それから大韓民国も朝鮮も、みんなこれは符号だ、政府が言っている用語の問題だと聞かされてきた。けれどもきょうに至って突如として十年も前に、いやあなたの答弁は二十六年のことだと思うから、十四年も前にさかのぼって、政府の言ったのはあれは違っておった、あれは国籍だ、こう言い張るつもりですか、どうですか。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 さっき申しましたように、初めから韓国籍に移る人たちは国民登録証を持ってまいっておるようであります。韓国籍になりたいというものが大部分であったということは間違いないと私どもは了承しておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 総理にお伺いをしますが、これはだれが聞いてもおかしな話であります。きのうまで政府はずっと一貫して、末端の区役所の吏員に至るまで、大韓民国といい、韓国といい、朝鮮は、用語の問題ですと言うて指導されてきたものが、一挙に十数年も前にさかのぼって、あれは国籍である、こういう説明を法務大臣はしておる。そんなばかげたペテンにかけたようなことが許されますか。いやしくも世界の固有の個人の権利である国籍の問題ですよ。国籍の問題を十数年も前にさかのぼって、あれは用語だ、どの名前を使おうと、何も国籍に関係ないのだと言っておいて、いまになって十数年もさかのぼってあれは国籍だぞと、これはペテンじゃないか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは御承知のように、国籍の取得、喪失というようなことは、国籍の属する国とその人との問題ですね。だから、たとえばいま韓国の国籍を朝鮮人が持つということは、それは韓国とその朝鮮人との間の問題で、日本がきめる問題ではない。これはそのとおりだ。いわゆる国籍選択の自由というのはそういうところだ。また人道上から見ましても、いつの間にか他国の政府が、君は韓国人だときめてしまうことは、こんな不穏当なことはない。この点は横山君も御承知だと思うのですね。ただ、私が本会議で説明し、また今日問題になっておりますのは、御承知のように日本に住んでいた朝鮮人、これは全部日本人だった。しかしながら、これが戦争に負けた結果、全部日本国籍を失った、こういう状況なんですね。これは本人の意思に関することなしにそういう状況になった。その登録を一体どういうふうにするか。その際はまだ独立その他の問題がないというので、ただいまのような用語で、朝鮮あるいは韓国、大韓というような扱い方をした、かように思います。しかしながら、本来はこれは当方のではない。国籍取得は本人と国籍の所属する国できめることだ、この点は間違いのないようにしておきたい。私は、お尋ねがありました点は、これはいますぐの質問に直接関係はありませんけれど、この点が大事に、誤解を招くから一応申しげるのですが、井手君からお尋ねがありましたのは、日本の政府が朝鮮国籍から韓国へ移るのは進めるけれど、韓国籍から朝鮮国籍へ移るのはじゃまをするとか、あまりこれを扱ってくれない、こういうお話があった。しかし、これは本来から申せば、その国籍を選んでいる人がその国籍の属する国との問題なんで、日本が面接関する問題ではございませんから、日本政府がそういう事柄について干渉するようなことはいたしません、こういうことを実はお答えをいたしたのであります。問題は、国籍の取得あるいは喪失は、その国籍のある国とその人との問題だということをまず第一に頭に置いていただかないと、ただいまのような問題の解釈がいろいろまちまちになる。問題は個々にあるのでございます。御了承いただきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 答弁になりません。私の質問に対する答弁ではない。くどく言いますけれども、これは重大な問題だ。政府がきょう見解を明らかにした。そのきょう見解を明らかにして、きのうまではずっと一貫して用語説をとっておった。その用語説をとっておったものを、いきなりきょうは、いままでそう言ってきたけれども、実はおれはそう腹の中では思っておったんだ、だから国籍とみなす、しかも十四年前にさかのぼる。こういうことは、あなたのことばを引用すれば、あなたはへーグの条約を言っておられると思うのだが、「国籍のてい触についてのある種の問題に関する条約」の第一条に、「何人が自国民であるかを自国の法令によって決定することは、各国の権限に属する。」云々となっている。しかりとするならば、いま日本政府が六十万の人々の死命を決する、その国籍を決するにあたって、何の相談もなく突如として十四年前にさかのぼって、あれは国籍だった、こういう乱暴しごくなことが言えますか。それをあなたに聞いておる。——総理大臣に聞いているんですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいまその基本的な問題はおわかりをいただいたと思います。ことに在日韓国人の問題は、いままでもGHQ時代からいろいろの変転があって、そうして大韓民国の独立という事態になったおけでありますが、こういう事柄について日本政府がこの扱い方をはっきりさせないことはまことに残念であった、こういう意味でございます。ただいま一応用語にいたしましても、朝鮮というようなことばでは、これは明確を欠く。しかし、大韓あるいは韓国、こういうことならば、これは国をあらわしておるから、そういう意味で用語としても適当な、まあ国籍とみなしても適当ではないかというのが今回の処置だと思います。もちろん、こういう事柄も本人の意思によるものですから、本人が、おれは韓国籍はごめんこうむるんだ、こういうことで新しい登録がえをするというなら、これまた別であります。そういう点については、私どもはとこまでも公平に扱うのだということを今日まで申してきた。だが、今度日韓条約ができまして、そうして在日朝鮮人の法的地位が今度は新しくきまってくるわけであります。そこで、いわゆる永住権の登録申請をするとか、こういうような問題がありますから、そういう際に、国籍問題は非常にはっきりしなければならない問題だ。だから、ただいま申し上げるこの条約批准を見ました暁は、それによりまして今度ははっきりして、どうもおれは韓国の国民に扱われるのはごめんこうむるんだ、いままで用語例だというから、ただ韓国という登録をしたら、いつの間にか韓国国民になっておる、これは困るのだ。こういうような方があれば、これは韓国とその本人との問題で、日本政府とすれば、皆さん方の、韓国人の意向を聞いて、そうしてただ事務的な処理をするだけの問題なんです。だから、その点において日本政府がこれを決定した、国籍を決定したというのは、これは言い過ぎでございますし、そういうことはない。だからその点では、横山君のいまお尋ねになりますへーグの条約を引き合いに出されましたが、そのとおり日本はやっておるということでございます。私が本会議で答えたのはその趣旨であります。また、法務大臣が答えたのも別に食い違ってはおりません。実際にいま取り扱っておる登録のしかたを説明しただけだ、かように私は考えておりますので、そこに食い違いはないように思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 まだ私のことばに答弁しません。もう一ぺん言いますよ。きょう統一見解をきめた。その統一見解が、きのうまでの用語説、符号説を押し破って十四年前にさかのぼっていいものか、乱暴きわまるではないか。きょうから無効とか、きょうからこういうふうにきめたからこれからとか、あるいは協定が発効してからそうするとか、それならばまだ別な議論ではあるけれども、まだ筋が立たぬとは言わぬ。しかしながらいきなり、これほど国籍問題、登録の問題があらゆる全国津々浦々で問題になってきたときに——政府は一貫して用語説をやってきたじゃないか、そのためにトラブルが起きたではないか、それでたいへんな問題をでかしてきて、一生懸命に用語だ、符号だと言っておった政府が、事もあろうに、いままで言っておったことは全部うそで、十四年前から国籍とみなす、こういう論拠がどこから出るか。法理以前の問題ではないか。政府の責任の問題ではないか。これについて何らのあなたは答弁をしない。総理大臣にお願いしています。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 法制局長官から法律的な説明をさせます。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 国籍というものがいかにして決定されるものであるかということについての基本問題は、ただいま総理が仰せになりましたとおりで御了解いただけると思いますが、要するに、国籍はその属する国と国民との間できまる問題であって、他国の政府がこれをかってにきめられる問題ではないというのが基本でございます。国籍選択の自由ということがよく引用されますが、それはむろん国民が一方的な恣意で、ほしいままに自分の国籍をかってにきめられるということでないことも御了解いただけると思います。  ところで、いままでの御質問の趣旨は、用語だ、用語だと言ってきたのを、きょうになって突然にそれが性格が変わったのかという点が御質問の要点のようでございますが、要するにこの問題は、用語だと法務当局がかつて言ってまいりましたことも事実でございますけれども、用語だ、用語だという見地から、その国籍的な表示をかってに変えられることができるかどうかの問題が実は本質問題でございます。  そこで、先ほど法務大臣が仰せになりましたように、実は韓国籍というものを取得いたします場合には、本人の意思ばかりでなしに、実は韓国政府の認定といいますか、先ほど申し上げた基本原則に立ってのことが備わっておりますので、その備わっている事項を破るに足るものがないのに、日本政府がかってにそれを変えることはできない、こういうふうな取り扱いといいますか、これは実はきょうきまったということでなくて、原理原則としては当然あったわけでございます。それをいままでの見方、考え方をこの際整理いたしまして出しましたのがいわゆる統一見解でございます。その点で御了承いただけると思いますが、なお御質問があればお答え申し上げます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは要約すれば、法制局長官の考えはこういうことですね。用語だと言い張ってきた事実は認める、けれども腹の中では国籍だと思っておった、それをいまはっきりした、こういうことですね。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 この点も先ほど法務大臣からお答えになりましたが、この外国人登録令上の登録の問題として、当時それまで日本人として——それまでといいますか、その後も実は平和条約が発効するまでは法律的には日本人であったわけです。その日本人であった者に対して、実は国内法の取り扱いといたしまして外国人とみなす措置をとったわけでございます。そのみなす措置において朝鮮という表示をいたしたわけでございます。したがって、少なくもその当時用語であったことは言うまでもない。朝鮮という国籍を表示したものでなかったことは明らかでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたの言うことは、私が整理したのと違うのかね。用語だと言ってきた事実は認める。国会のみならず、全国あらゆる市町村、区役所、村役場で用語だと言ってきた事実は認める。けれども実態は国籍だと考えるに至った。だから、腹の中では国籍だと思っておった、これを表に出しただけだ、こういう意味ですね。

高辻正巳内閣法制局長官

○高辻政府委員 当初用語であったということはただいま御説明したとおり、朝鮮という国籍であったということをいかに何でも申し上げるわけにまいりません。そうしてその後、朝鮮ということから韓国に移しかえてくる、表示を変えるという場合には、日本政府がかってにそれをやったんではなくて、本人の意思もさることながら、韓国政府の意思もそこにあらわれておりますので、つまり先ほど申し上げた原則から言いますと、その国と国民との関係できまっておりますので、それを今度変えるについては、申し出があったから、きょうは朝鮮、あすは韓国、また朝鮮というふうにかってには変えられない。こういうことを申し上げておるわけです。そういう取り扱い上の問題として、それは国籍のものとして取り扱うべき実態があるということで、かってに変えられないという意味合いにおいて、いま申しましたような見方の統一見解を出したわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたはいろいろなことを言いますけれども、やはりこれは総理か法務大臣に聞かなければなりません。私の言っていることに間違いがあるならば指摘してください。三月十八日の参議院法務委員会をはじめとして、過去にずっとさかのぼるまで、全国あらゆる津々浦々の村役場から区役所に至るまで、この国籍問題の紛争がありまして、そうしてすべて用語説を政府は一貫してとっておった。いま高辻法制局長官の言うことによれば、腹の中では実は国籍だと思っておった、そういう事実がずっと積み重ねられていま表に出ただけだ、こういうような説明です。そうすると、私が端的に言うならば、きのうまでは用語と説明してきたけれども、実は腹の中は国籍だと思っておった、こういうことなのかというのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これはたいへんむずかしい話なんですが、朝鮮、これはもうはっきり用語だとこれは考えてよろしいですね。そこで韓国あるいは大韓民国、こういう書き方をいろいろしております。しかし、日本国籍を失った半島人とでも申しますか、朝鮮人であることには、それは全部が同一であります。同じだと思います。したがって、いままでは、こういう方をいわゆる国籍として処理するのに不適当であったと思います。しかし、その中でも朝鮮だと言われている方もあるのだから、これは確かに明らかに用語例で分類せざるを得なかったと思う。ところが、韓国あるいは大韓民国といっているものは、これは国籍と見るのが適当ではないか、こういう考え方にいまなっておる、そういうことになっておるわけです。今度はこの条約、協定を批准すれば、これによって永住の登録があるということでございます。ところが、いまもっと小分けいたしますと、二十七年以来、今度は韓国の韓国籍を有する証明書を呈示されて、そうして韓国と書いたのもあるわけです。こういうのは明らかに韓国人、韓国の国籍を持っておる。きょうからというような意味ではございません。ただ、いま問題になっておりますのは、この韓国の政府のそういう証明書なしで、本人の意思で登録をしたときが二十五年あるいは二十四年時分にわずかな期間あると思います。そういう方の取り扱い方がいま問題になっている、かように私考えますが、横山君もその事情はよく御承知のことだと思います。だから、そういういわゆる本人の意思だけで選択をされた、かような分について、韓国をあらわしておるという場合には韓国籍を持っておる、かように考えるのが適当ではないかというのであります。だから、はっきり韓国の政府が発行した身分証明を出しておる分は、これはもう問題なしに韓国人だ。それ以後の、それを出さないで一時登録した、本人の意思だけで登録をした、その時期がありますので、ただいま問題になっておると思います。しかし、これも二十五年以後三年目ごとに確認して登録いたしております。登録がえをいたしておる。だから、そういう分については、またその説明のしかたもやや違ってくるのじゃないかと思います。私はそういうように考えてこの問題を扱っていきたい、かように思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務大臣にお伺いします。  総理をもってするも、私の質問に対して明確な答弁をなさいません。法務大臣、あなたはどうお考えですか。少なくとも、きょうこれから韓国を国籍とみなす、こういうことならともかくとして、あなたの指示で全国至るところで、用語だ、用語だと言って在日朝鮮人諸君と紛争を起こしてきた諸君に、十四年前から国籍と韓国のものについてだけは考えるという指令を出すつもりですか。それであれだけの紛争を続けてきた担当者を納得させることができると思いますか。在日六十万の諸君が今日まで用語だと日本政府に言われてきて、いや、十四年前から国籍であるとみなすと言われて、それを納得させられ得るとあなたは思いますか。まさに日本政府の責任の問題ではありませんか。これは国としての責任問題だとあなたは考えないのですか、法務大臣の御意見を伺いましょう。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 私は、そういうことは、あなたのおっしゃるような、そう大きな問題になるとは思ってないのであります。いままでと変わりはないのでございます。扱い方も変わりませんし、それからその人たちがそれによってどう待遇が変わるかということも変わらない。その人たちの国籍をどうしようというのでもありませんし、私らのほうの外国人の国籍欄の解釈だけの問題でございます。その扱い方は、ずっといままでもやってきておったとおりでございますから、そう変わるとは思っておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 だれが聞いても、おそらく総理も法務大臣も自分で言いながら自己撞着におちいっておると思うのです。この私とあなた方との論争をこの部屋で聞いておるすべてが、あなたのことばに納得しませんよ。それでは別のことばでちょっとお尋ねします。  八木さんを引用して恐縮ですが、昭和四十年三月十八日の参議院法務委員会で、稲葉誠一委員からの質問に対して、「韓国代表部では、外国へ登録のところの国籍が朝鮮と書いてあると、これを受け付けないのか。」という質問に対して、「私はそういう点をまだ向こうに質問したことはございません。しかし、会議の席で時々おりに触れて彼らに言っておりますのは、外人登録というのは、ただ市町村がこういう外人が住んでいるという届け出を受けたというだけのものであって、別に国籍なり何なりを証明する文書とはわれわれ絶対に見ていない、そういうことをはっきり言っております。先方も必ずしもそうじゃないとは言っておりませんから、その点は私は問題はないと思います。」このほか、あなたは用語説に基づいて国会において答弁をしておる。国会でですよ。この答弁はい左どうなるのですか。取り消すのですか、取り消さぬのですか。

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 お答えいたします。  ただいま先生が御指摘になりましたとおり、外国人登録証の国籍欄に書いてあります国名と申しますのは、これは日本が国籍を証明した文書ではないと私はその席で申しましたとおりでございます。と申しますのは・先ほどからたびたび総理はじめ御説明がありますように、それから先生の御引例になりました条約にもございますように、国籍というのは本人の意思と本人の属する国の間で決定がある、どちらか一方ではないわけでございます。いわんや、その外国人と関係のない日本政府としては、その国籍を決定するなどということは、その権限もないし、その立場にもございません。したがいまして、今度の永住協定の中で、永住を申請する韓国人から旅券もしくはこれにかわる文書の提出を求めるということは、たとえば、現在外国人登録証の国籍欄に韓国と書いてある、これで、われわれはこの統一された見解に基づいて国籍と見るわけでございますけれども、いよいよ永住申請を受け付けるときになって、この外国人登録証さえ見せればそれで国籍が証明されるものとはしておりません。と申しますのは、永住申請は、条約が批准されれば今後五年間にわたって行なわれる。人間はいつ国籍が変わるかわからないわけです。したがいまして、その永住申請をしたときに、確実に韓国籍を持っておったかということをもう一度確認する必要がある。その意味におきまして、この外国人登録証だけで永住の申請が許可になるわけではないわけでございます。その反面、先ほどから申しておりますように、この外国人登録証の国籍欄に書いてある韓国というのは国籍と見るのが正しかったという見解が統一された。そして……(「いつから」と呼ぶ者あり)それはもちろん先ほども申しておりますように、現在の時点から見れば全部そうでございます。  そこで問題は、たびたび先生のおことばの中にございますが、国籍というのはたいへん大事な問題であることは、御指摘のとおりでございます。いわんや、ある人間が地方の市町村役場に出頭しまして、自由なる意思から、私は韓国の国民であります、このとおり国民証明書を持っております。韓国の国民であるということを書いてもらいたいという申請があったときに、日本政府は外国政府でありますから、それはおかしい、おまえは韓国人でないだろうと言ってその記載を拒否するということは不可能でございます。われわれがここへ韓国と書いたのは、その韓国人が韓国人であるということをわれわれが決定したからではないので、彼らが韓国人であることを証明したから書いていただけのことでございます。われわれが先ほど釈明と申しますか、遺憾の意を表したわけでございますが、平和条約発効のときにこういうことをはっきりすべきであった、それにもかかわらずわれわれがしなかったために、それはいわば入管の怠慢と申されてもしかたがないのでございますが、われわれはやむを得ず用語ということで処理してまいりました。しかしながら、ただいま法務大臣が申しましたように、たとえば用語というやり方で処理しておったにしても、今後これを国籍として見るということにはっきりさせましたから、われわれの処置としましても同じことでございます。われわれは、彼らがたとえば集会をやったり、デモをやったりしましてこの国籍の欄の記載の変更を要求しましても、それだけの理由で、自分の意思だからというだけの理由で、この国籍欄の変更をするということは不可能でございますし、従来もしておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたは、そうすると、三月十八日の国会における答弁は撤回しない、こういう意味ですね。三月十八日の参議院におけるこの種の答弁に修正を加えるつもりはないというわけですね。

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 私の本年三月の答弁につきまして、この中で、私、実はこの議事録をこの間から調べてみておりますが、たとえば、先ほど御指摘のありました日本が国籍を証明した——外人登録証というのは、日本が国籍を証明した文書ではないという点は全然取り消す意思はございません。ただ、私が非常に言いそこなったと申しますか、おわびせねばならぬと思っておりますところは、一番最後の一句でございます。私は、私事にわたって恐縮でございますが、この前の国会が生まれて初めて国会というものに来て答弁しましたので、はなはだお粗末きわまる支離滅裂でございました。私、この答弁資料を一生懸命読みまして感じましたことは、私は、枝葉末節的なことに非常にことばを費やしておって、肝心の一番大事なポイントの説明がなかったということでございます。そして、その最後の文句というのを読んでみますと、「しかし、これが是が非でもこれを書きかえてほしいという強い要望がありましたら、私どもいつでも直すことにやぶさかではございません。」という文句でございます。そこで、この文句が朝鮮総連などでは印刷に付されまして、全国に配られ、市町村の窓口に、おまえたちの主管の入管局長がこう言っているじゃないかということをたびたび言われまして、はなはだ申しわけないと思っております。ただし、これはしいて訂正と申しますか、補足さしていただきますれば、私の最後の弁明には二つの部分がございます。それは、「これが是が非でもこれを書きかえてほしいという強い要望があるならば」というのが前段でございまして、「いつでも直すことにやぶさかではない」というのが後段でございます。そこで、この強い要望というのは、ただ国籍欄の変更の申請書にいたずらに激越な文句を置き、やたらに形容詞を羅列することが強い要望という意味ではないのでございます。われわれは個々のケースを審査しておりまして、その中にほんとうに胸を打たれる、家庭的な、あるいは個人的な理由に基づくケースをときどき見るわけでございます。そういうものに対して、われわれは血の通った人間を扱っている入管の行政としまして、そこにおいてできるだけのことをしたいという気持ちをここで表明したわけでございます。舌の足りなかったところは御了承いただきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 総理大臣に伺いますが、いま政府側の答弁を要約しますと、私がしつこく聞いておる、つまりきょうから国籍ではない、過去十数年にわたって用語説をとってきたけれども、韓国については国籍である、こういうことにみなすのだということであるならば、韓国国民は申すに及ばず、在日朝鮮人六十万に日本政府はうそをついてきた、こういう結果になるということについて御答弁がありません。その点をあらためて聞きます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま在日韓国人六十万、こういわれる。これは、全部の方がただいま言われることにひっかかりがあるわけではないだろうと私は思います。これは、それぞれ身分を証明するものが韓国政府から出されて、そうして登録されておるような方は、いまさらこういうような事柄を申しましても別にそれが問題にはされないと私は思います。きわめて少数の方がただいまのような扱い方を受けることによって不都合が生ずる、かような場合があろうかと思いますけれども、しかし韓国あるいは大韓民国とかように登録証に書く、そのこと自身が、やはり国籍を持っていると、かように考えるほうが普通ではないでしょうか、通例ではないでしょうか。だから、これは国籍じゃないのだ、あれは用語なんだ、かような意味で、おれはあらためてやはり国籍をとるつもりでいたのだ、あれはただ用語だけでやられていたのだ、こういうような方は少ないのじゃないですか。ただいま言われることは、私は実際には必ずしも声を大にされるほどのことではないように思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 言語道断な話だと思うのです。私は、一国の総理が六十万の人々に対して、韓国も大韓民国も朝鮮もあれは全部用語だ、符号だ、こう言ってきた日本政府の責任者として、いままで言ったことは全部うそで、韓国と書いたものは全部国籍だ、こういう説明が世論を納得させるとあなたは思いますか。  法務大臣に伺います。私がここに持っておりますのは、「朝鮮人の国籍の取扱について」東京地方裁判所民事第十二部から法務省の民事局長あての照会に対して回答を受けたものであります。これはどういう事案かといいますと、「国家賠償法第一条に基づく損害賠償を求める被害者は現在の所謂南鮮において出生し 昭和十五年頃から引き続き日本に在住している朝鮮人である。この場合、国家賠償法第六条と関連して次の事項が問題になるが、法務省としての取扱及びその根拠を示されたい。」とした。これに対して回答は、現国籍は一律に朝鮮人として取り扱っておるという回答をした。で、国家賠償法は相互保証規定が中心になっているから、日本に国家賠償法があるけれども韓国になければ相互保証規定は適用されない。いまのところ日本政府は韓国政府と正規の国交回復をされていないからという立場をとっておる、したがって、この事案については却下されておると思われる。もしも韓国を国籍として見れば、賠償法の適用がさかのぼってあることになる。つまり、この回答は、いま初めて政府が確立をしようとした回答から言うと、間違った回答えを地方裁判所に送り、間違った解釈をもって判決をし、間違った解釈によって被害者は被害を受けたことになる。それらは一体どうなるか。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 ただいまのお手紙の趣旨の問題は、これは個々の問題でございますから、入管局長から説明させます。   〔発言する者あり〕

新谷正夫検事(民事局長)

○新谷政府委員 私、実は昭和三十一年の回答というものを、正直に申し上げて、存じません。存じませんが、民事局に対しましてそういう照会をしてまいりました趣旨は、おそらく、私どものほうで帰化あるいは国籍の離脱という行政事務を扱っております。そういう関係で、前から日本に在住しておる朝鮮人を国籍上どういうふうに扱っているかという照会ではないかと察するわけでございます。ただ国籍事務の——これは日本国内における国籍事務でございますが、事務上の扱いといたしましては、ずっと前から一貫いたしまして朝鮮ということばを使っております。韓国とかあるいは大韓民国ということばは使っておりません。と申しますのは、日本に在住しております朝鮮人、ことに戦前から日本に住居を持っております朝鮮人の方々、こういった方が帰化を申請いたします場合には、ほとんど生活環境も日本人同様になっております。そういう実態でございますので、ことさらにそこに朝鮮とか韓国とかいう区別はしないで、ただ、かつては朝鮮戸籍令の適用があった人たちであって、日本において国籍を失った人たちということを表現する意味において、その朝鮮ということばを今日まで引き続いて使っておるわけでございまして、特にその朝鮮ということばによって国籍をあらわすものではございません。また、朝鮮ということばに国籍的な意味、あるいは国家の名称を示すというふうな性質のものでないことは、先ほど法制局長官のお話にもございましたとおりでございますので、私の理解いたしますところでは、そのような趣旨で回答したのではないか、このように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたの答弁はやはり要領を得ていません。もう一度言いますけれども、あななの前任者だというけれども、民事局長の回答、つまり裁判所の判決に影響のあった回答は、照会が、南鮮において出生し、昭和十五年から引き続き日本に在住しておる朝鮮人だ、この人間は「韓国または北鮮のいずれの国籍をもつとみるべきか、そのいずれの国籍をももたないとすれば、いかなる国籍をもつか。」という照会だ。それに対して民事局の回答は、「平和条約第二条(a)の規定に則り、それらの者の現国籍は一律に朝鮮であるとして取り扱っている。」こういう回答である。つまり韓国国籍を認めなかった。この認めなかったがために国家賠償法の適用がされなくて却下された。被害者は、この本人はこれによって損害を受けた。裁判の判決は従来までの用語説に基づいておった。いま過去にさかのぼれば、私は、まだ次から次へと出すのだけれども、こういうようなことがある。現実にあなたは、総理は、北朝鮮の、朝鮮民主主義人民共和国の国籍を希望する者に影響はないとおっしゃったが、次に出して話します。そういうような、あらゆる問題が起こってくることを承知の上で、十四年前にさかのぼるというのか、これです。この判決について政府はどういう責任を持つか、法務大臣に伺いたい。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 個々の場合のケースは、いまここで申し上げる状態でございません。とくとそういう問題についてはまた研究をいたすことにいたします。なお、いまの問題につきましては、さらに御要求がございますれば、民事局長からお答えいたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これはまことにふしぎなことだと思う。私は、だから、この統一見解は、もうきのう、おととい、さきおととい、私が横から見ておっても、政府はもう速日連夜のごとく協議して、きょうの新聞とあしたの新聞とちょっとまた違うというふうにまで議論を重ねたものだ。その重ねておいたことで、こういうことが議論になっていないはずはない。議論になっていないはずはないですよ。それに法務大臣が、過去にさかのぼることによって起こるべき事態について答弁ができないというばかげたことはないですよ。答弁しなさいよ、あなた。

新谷正夫検事(民事局長)

○新谷政府委員 先ほど来、法制局長官の答弁にもございましたが、外国人の国籍の認定と申しますか、外国人の国籍がこれこれであるということを日本政府として断定できる立場にはございません。まして法務省の事務取り扱い上、裁判所から照会されました具体的な朝鮮人について、この者の国籍が何かと、こう問われましても、これに対して答えるすべはございません。ただ、民事局としましては、国籍に関する事務を扱っております関係上、その事務の取り扱い上の問題としては朝鮮として扱っておる、こういうふうに答えたものと私は了解したいわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 いま政府のこの見解があるならば、裁判に影響があったはずだ。しかも、この見解は、十四年前にさかのぼるというならば、この被害者に対して救済がされなければならぬ。それに対して法務大臣御答弁願います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 関係局長に答えさせます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 御答弁ができないようでありますね、あなたは。それじゃ次に伺います。  朝鮮に不動産があって、韓国籍にいまなっている者がある。その人は、きょうがきょうまで用語説として、商売の都合上、韓国籍を自分の外人登録にしてもらっておった。けれども、いまここに政府の見解で、おまえには用語といっていたけれども、さかのぼって国籍にすると、こういうわけだ。そうするとどうなるか。朝鮮と韓国はそれぞれ日本と同じように外国人の資産に関する法令がある。一挙に朝鮮民主主義人民共和国における資産を失うという結果になる。その点についてどうするつもりですか。

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 ただいまの問題でございますが、詳しい点を調べてみないとわかりません。ただ、私がお話の筋から了解するところでは、ある朝鮮人がおって、これが市町村に、私は韓国人ですと名のり出て、韓国の国民登録証を示して外国人登録証の国籍欄を韓国と書き直してもらった人で、それが財産整理のために韓国に渡ったとなりますと、その人は韓国代表部から韓国の旅券をもらっております。そして今度は入管にやってきまして、韓国へ行って用が済んだらまた日本へ帰ってきたいから再入国許可をくれと言ってまいります。それで、その場合に、この人は韓国の旅券をもらったということで、すでに韓国の国民であることははっきりしております。もしお話がそれだけのことでございましたら、これは韓国国民であって、したがって、ただ希望だけで登録証の韓国という欄を消すというわけにはいかないわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 見当違いの答弁をしないでもらいたい。法務大臣、もう一ぺんあなた聞いてくださいよ。朝鮮民主主義人民共和国にずっと前に不動産がある。それがいま日本にきておって、外人登録証の場合に、韓国と名のっておったほうが商売が都合がいいということもあり、政府が用語説だとどうしても言うから、それならば、用語ならばというわけで韓国籍にしておった。しかし、それがいま過去にさかのぼって国籍だということになるならば、これは一挙に朝鮮民主主義人民共和国における財産を失うことになる。(発言する者あり)これは諸君はいろいろなことを言うけれども、私はいろんな事例を引用して、政府に十四年前にわたって、このさかのぼるということのいかに問題があるかということを次から次へと言おうとしておる。この点についてどうなんです。

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 御質問を誤解いたしまして申しわけございませんでした。御質問の趣旨は、ある朝鮮の人があって、韓国に国籍を登録しておる。そして財産は北鮮にある。そこで、財産整理等のために北鮮へ行きたいけれどもできない……。

横山利秋日本社会党

○横山委員 違います。   〔「商売の関係で」と呼ぶ者あり〕

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 同じだろうと思います。そこで、その場合でございますが、先ほど申しましたように、国籍欄に国籍を申請して記載をし、旅券をもらっておるような——失礼、まだ旅券までいっていないわけですね。そこで、その問題がありまして、もしそういう点でその人が登録を消してくれといわれても、私どもの限りでは、国籍である以上はかってに消すわけにはいかない。その場合の救済策としては、裁判に訴えて、政府のやり方が不当であるという判決をとっていただくとか、あるいは韓国の代表部に出頭して、自分は韓国民でないという証明書をもらいまして、それを私どものほうへ持ってきていただけばその日にかえてあげます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 入管局長、あなたは自分で省みて恥ずかしいと思いませんか。あなたはきのうがきのうまで、本会議において総理と法務大臣の答弁があるまで、用語説の主張者であった。そうしてあなたは国会においてもそのとおりに主張してきた。そのあなたがいまや百八十度の転回をして——あなたはその責任者ですよ。百八十度の転回をして、用語ではない、従来から国籍であるという立場に立って、いまのような説明を得々とすることを恥ずかしいと思いませんか。

八木正男法務事務官(入国管理局長)

○八木政府委員 従来、われわれの事務所でいろいろとっておりました立場、いわゆる用語説といいますか、そういった言い方をもとに問題を処理してきたという点が、今度政府で見解を統一した、法務省として見解を統一したことにつきまして、責任を感じるかという御質問でございます。非常に、多分に感じております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 責任を感ずるという答弁がありました。これは、ただちに入管局長のみならず、全国この問題で十数年の間担当してきた人々の気持ちにならなければだめだ。その人々はいろんな紛争のときに、あらゆる問題のときに、用語です、符号ですと言って断わってきた。いまあなた方は、まあそう言っちゃ何だけれども、警官に守られて、護衛されて、そうしてここでかってな答弁ができる。けれども、全国津々浦々の担当者は一体どうなるのです。おまえはうそをついてきたじゃないか、きのう来たときには用語だ、符牒だと言っておったじゃないか、それが何だ、十四年も前にさかのぼって国籍だとおまえはほんとうに言い張れるのかと言われたときに、担当者は何と答えると思いますか。そういう国籍選択の問題を、用語だ用語だと言っておいて、いまさらくるっとひっくり返って、おれは実は腹の中では国籍と思っておったけれども、おまえとけんかしたのだ、こういうような言い方というものが、末端において現実に説得力があり得るか、全国の諸君に対して政府はどういうように説明をするつもりか、総理大臣からその所見を伺います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 政府の考え方は、先ほど来この国会を通じまして申し上げております。おそらく、この話は、重大な問題でございますから、みんな関心を持って聞き取っておることと思います。今度政府の考え方についてははっきりしておる、かように思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の質問している意味とは違いますね。私は、全国津々浦々の担当者が、きのうまで、用語だ用語だ、符牒だ符牒だといって紛争をやってきた人間に、十四年前から政府は国籍と考えておったということを言えというのですか。それによって受ける諸君の気持ちは、総理大臣としてはどう考えるのかといって聞いている。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 先ほどもお答えいたしましたが、韓国、あるいは大韓民国、朝鮮、こういう三つの書き方をしている、こういうことでございますが、朝鮮というのはもうはっきり用語だ、これは先ほど横山君も了承されました。ただいま韓国あるいは大韓民国と書いたもの、これは国籍をあらわすのじゃないか、今度はかような意味になるわけでございます。だから、全然その用語が間違いだとかいうわけではございません。ただいま申し上げるように、朝鮮と書いたものは、これは用語であることには間違いございません。今日もまだ用語でございます。もしこれが国籍をあらわす、かようにお考えになったら、これは間違いでございますから、これは御訂正願っておきます。朝鮮は用語でございます。また、韓国あるいは大韓民国、これは二つの書き方をいたしておりますが、これはそれぞれの国籍をあらわすものだとすることが適当なり、かように私どもは考えておる、かように申しております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 本日の答弁は、全く私の端的な質問についてお答えが願えないのであります。私は一回速記録を十分に整理をして、あらためて質問をいたしたいと思います。まだ私は、国籍離脱の条件並びに外国人登録のやり方、国籍とする要件、それからそのほか多岐にわたっておるのでありますけれども、この点、政府の先ほどまでの答弁の速記録を一回検討いたしまして、あらためて質問をいたしたい。質問を留保して終わりたいと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  なお、理事会を開きますので、理事の方はお残りをいただきます。  これにて散会いたします。    午後五時二十四分散会

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