日本国と大韓民国との間の条約及び協定等に関する特別委員会 第2号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/10/25
会議録
○安藤委員長 これより会議を開きます。 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案、右各件を一括して議題といたします。 ————————————— 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件 日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案 〔本号(その二)に掲載〕 —————————————
○安藤委員長 辻原弘市君より議事進行に関する発言を求められておりまするので、この際、これを許します。辻原弘市君。
○辻原委員 委員長から議事進行についての発言の許可をいただきましたので、政府の趣旨説明、審議に入るに先立って、議事進行について発言をいたしたいと思いますが、その本論に入る前に、ひとつ委員長並びに政府・与党の責任者である総理にただしておきたい点がございます。(「総理が出席しておらぬじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)したがって、官房長官が見えておられますが、私の自後の議事進行についての発言には、どうしても総理・総裁である佐藤さんの御意見を承らなければならぬ重要な個所がございますので、ぜひ総理の御出席をいただきたいと思います。
○安藤委員長 ただいま辻原委員より御要求のございました佐藤総理大臣の出席につきましては、即刻政府側にこの旨を伝えまして、出席を求めます。——辻原弘市君。
○辻原委員 総理が御出席になっておりませんでしたので、たいへん私の発言が中断をいたしました。重要な特別委員会の審議でありまするし、本日はしかもその冒頭であります。当然、私は、総理は御出席になっているものであるという前提で委員会に臨んだのでありまするが、当初から御出席なさっておらなかったことについてはまことに遺憾であります。自今そういうことのなきよう、これは委員長においても特に政府に対して要請をしておいていただきたいと思います。 そこで、私が議事進行本論の前にと申し上げたことは、けさの新聞またはテレビ、ラジオの放送で驚いたのでありますが、与党の政調会長であり、重要な役職を占めている赤城さんが、京都において発言をしております。内容を見て私は驚いた。おそらく一般の国民も驚いたであろうと私は思いますが、いまだ特別委員会の審議にも入らないその状態の中に、議案を審議してくださいと言ってきた政府を持つ与党の重要な幹部が、国会の審議に対してとかくこういうような発言をし、しかもその内容は政府がいままで言ってきたこととは全く違う話であります。ここに赤城さんがおられませんから、私は赤城さんの発言についていまとかくをしようというのではない。しかし、そういう報道がなされている以上、私は、事は今後の委員長のこの特別委員会における運営のやり方、また議案の審議を求めた政府の責任者としての佐藤総理のお考え方、同時に与党の総裁としての総理の所見というものを明確にする必要があると考えたのであります。社会党やその他のものがこれに強く反対をするから強行採決もやむを得ないなどというのは、まさに論外であると私は思う。全くけしからぬ発言であると思います。これは単に一部新聞の報道だといって見過ごせる問題ではないと思います。したがって、この際委員長にも、しかと今後の委員会運営についてのあなたのお考えを明確にしておいていただきたいと思うし、また、ただいまの私が申し上げた赤城政調会長の発言に関連をして総理はどういう所見を持っておられるか、赤城さんの発言についてあなたはどういう御見解を持っておられるか、同時に、われわれこの特別委員会に対して、また国会全体に対してあなたはどういう見解でもって審議を求められようとしておるのかを明らかにしておいていただきたい。いやしくも強行採決などということはもってのほかであると思います。お答えを願いたいと思います。
○安藤委員長 辻原さんの御質問にお答えいたします。 委員長といたしましては、皆さま方の御協力のもとに、本特別委員会に付託となっておりまする条約、関連法律案等についてその審議を尽くすことができるよう、最善の努力をいたしてまいります。
○辻原委員 ただいま委員長が、円満にいくように最善の努力をしたいというお話であります。私も個人的には安藤委員長をたいへん信頼をいたしておりますから、その言を信じたい。しかし、この間理事会の席上でも私が申し上げたように、巷間いろいろなことが伝わってまいります。社会党がぐずぐず言うなら、ひとつ委員長の職権で委員会を開いてでもやってしまうのだ、私は、そういうことを、今後の円満な、しかも慎重審議をするという委員会のたてまえからして、まことに遺憾千万なことだと考えましたから、あえて委員長にその点をただし、委員長の見解をそのときにお聞かせを願ったのであります。その際、委員長は、そういうことは私は毛頭考えておりません、委員長職権があるとはいえ、職権でもって委員会の開会をやったり、あるいは採決をやったりするというようなことは万々いたさないつもりでありますということを、その際にもお聞きをいたしましたし、いま重ねて委員長から、法規典礼、慣行等に従って公正円満にやりたいというお話でありますから、その言を信頼をして、私どもは委員会運営に関する限り審議に入ろうと思いますので、どうかひとつ、後日においてわれわれから本日の委員長発言を糾弾されることのなきよう、お取り扱いを慎重にお考えおきを願っておきたいと思います。 総理から答弁を願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 本会議の質問でもお答えをいたしましたように、まことに重要なる国の外交の問題でございますから、十分慎重審議、委曲を尽くす、こういうことを申しました。そして皆さま方の御協力をお願いする、こういうことを本会議ではっきり申し上げたのであります。ただいまその考え方に私自身変わりはございません。 また、ただいま赤城君の京都における発言というものについてお尋ねがございましたが、私と、どういう話をする、そういう事前の打ち合わせはもちろんございませんし、また、どういうような話をしたか、私も存じません。したがいまして、ただいま冒頭に申しましたように、私の基本的な態度、これを御了承いただきまして、御支援のほどをお願いいたします。
○辻原委員 本日のところは、私は、ただいまお答えになりました総理・総裁の言を信頼をいたしまして、自後の質疑に入りたいと思います。 私が議事進行を求めましたその本論のゆえんというものは、今回の日韓条約に関する案件について、去る十月五日に政府は国会に条約案等を提出いたしてまいりましたが、その議案提出の方法について私どもは重大な疑義を持っておるということであります。このことは自今の審議についてきわめて重要な影響を及ぼすものでありますから、あえて冒頭に発言をいたした次第であります。 きょうの公報にも記載をされておりますように、条約、協定、交換公文を一括条約第一号、すなわち日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件としている点が、きわめて不法不当であるとわれわれは思うのであります。当然、従来の先例にもよって、これをそれぞれ、条約、協定あるいは交換公文を一括して審議するというような不届きなやり方ではなくて、条約、協定、交換公文一つ一つがそれぞれの人格を持っているわけでありますから、これを、第一には基本条約、第二には漁業に関する協定、第三には請求権・経済協力に関する協定、第四には法的地位に関する協定、第五には文化財の協定、第六は紛争解決の交換公文と、常識的に分割をして審議に付すべきであります。 さらに、政府が単に当委員会並びに国会に参考として提出している文書には、案件として付託をしたそれらの内容ときわめて密接不可分の関係にあると同時に、何らそれらとの軽重の関係にない重要なものがたくさんございます。すなわち、交換公文では六つあります。合意議事録は五つある。往復書簡として二つ。討議の記録として二つ。両国政府並びに日本国政府の声明というのが二つございます。これらを考えてみますると、あるものについては案件として承認を求めてきておる。あるものは単なる参考として、これは承認を求めていない。ここにもわれわれはその取り扱いにきわめて不可解な点を持っているのであります。したがって、これを、漁業協定に含ましている直線基線に関する交換公文、また漁業の水域に関する交換公文の例にならって、この際これらをそれぞれの条約、協定に合まして議題とすべきであります。 この際、私は、いま申し上げました私の見解についての政府の意見をただし、同時に、委員長においてその処理について善処をされんことを要求するものであります。
○安藤委員長 政府の所見が述べられましたあとで、私からお答えいたします。
○橋本政府委員 御承知のように、条約の内容は、政府は日韓関係の正常化につきましては一括してこれをきめていただきたい。したがって、基本条約その他の協定、公文に至るまで、それらは日韓正常化に必要なる、一つも欠くことができない政治的な意図を持っております。こういう例は従来もあることでもありますし、もちろんこれは、これらが、法律的に言えば、一つが否決され、他が賛成される場合もありますけれども、政府の意図というものは、これらを一括して承認を求め、これが成立することによって日韓関係の正常化が成り立つ、こういうたてまえでありますので、一括してこれを一つの案件として皆さんの御審議を願ったわけであります。 こまかい点については、政府委員、法制局長官等から答弁いたさせます。
○辻原委員 これは、ただいま官房長官が政府委員云々と言われましたが、私は政府の基本的な考え方をただしているのであって、法律的見解については、法制局長官おっしゃりたいことがあれば、あとで私はお尋ねをいたしたい。 いま私が申し上げたのは、一括提出をしてきている内容には六つの条約・協定並びに交換公文が含まれている。もちろん、それぞれの事柄は、いずれも日韓間における取りきめであって、その意味においての関連性を持っていることは、われわれも否定はしないのであります。しかしながら、条約、協定、交換公文というものは、また一つ一つ独立をした内容を持っている。たとえば、基本条約においては漁業協定については触れておらない。漁業協定それ自体は、かりに基本条約がなくても、これは取りきめの可能な内容である。かく考えるならば、一つ一つは独立したものである。それをすべて一緒に審議をしろといった場合に、審議が進んで、この議案についての表決をわれわれに求められた場合、ある者は、基本条約はこれは根本的に反対である、しかしながら、日本と韓国の歴史的な関係から申しまして、たとえば法的地位については私は賛成であるとする者もあるかもしれない。また、文化財、経済協力の関係については、これも両国の歴史的な関係、文化財の由来から考えてみて、これは賛成であるというふうに、その内容においていろいろ個人の表決、意見、見解の表明というものが異なることは常識的に当然であります。一体、一括承認を求められた場合、そういう一つ一つの独立したものについて、われわれ議員としての固有の権利である表決権をどういうふうにして行使をするのか。これは、具体的処理としても、われわれはいかんともいたしがたいと言わざるを得ない。同時に、法的にもきわめて重要な疑義を私は持っておるのであります。なぜならば、ただいま申し上げたように、言うまでもなく憲法では国会が立法府であり国の最高機関である。同時に、憲法の条章に従えば、議員固有の権利としての意見、表決権というものは保障せられておるのであります。その表決のしかたに困るということは、これはわれわれが自由な意思に基づいて国会議員としての職務、権限を果たせないということである。とりもなおさず、これは行政府である政府が立法府である国会の権限を侵すと同時に、議員個々の憲法上の表決権を制約するものである、こうわれわれは考えざるを得ないのである。この点について総理は一体どうお考えになりますか。簡単に、これらは、都合がいいから、先に行った場合一括でやっておいたほうが都合がいいからという、御都合主義で取り扱われる筋合いのものではないのであります。要は国会と行政府の基本的な問題であると私は思うが、出したのは政府なんですから、まず政府の見解をはっきりさせなければ、われわれは表決の行使すらできない、こういう立場に今日追い込まれておるから、あえてこの問題を政府にもただしておるのである。いかにお考えになりますか。ただいまの官房長官のお答えでは、ただ関係があるから一括付したという御説明だけであって、私をして、さらに国民をして納得をせしめる説明ではなかった。したがって、総理は、いま一度明確に、私がただした点をお答え願いたいと思います。
○橋本政府委員 辻原さんの御質問でありまするが、先ほど簡単に申し上げましたが、密接なる関連性ということが政府の重要な提案の理由であります。したがって、今回の日韓条約は、韓国がわが国から分離独立したことに伴いまして、同国と正常な国交関係を開くために必要となる一連の措置を規定したものであります。すなわち、いずれも、両国及び両国民間の関係の歴史的背景の上に立ち、善隣関係を打ち立てるため、その障害を除去するとともに、新たに正常な関係をそれぞれ所要の面で設定するという一連の措置をとるためのものであります。したがって、基本条約あるいは漁業協定、請求権関係、そうして法的地位に関する問題、文化財並びにいわゆる紛争解決の公文、これらというものは、一つを除いても、歴史的な関係をこの際新たに打ち立てようという、日韓関係の正常化にはどうしても欠くことができない事情でありますので、国会がどう取り扱われるかは別問題としましても、政府がこれを一つの案件として出した理由は、以上のような事由によるものであります。
○辻原委員 私は政治論をいま承っているのではないのである。政府の提出をした理由というのはいろいろある。それもまた必要だから後刻承りましょう。ただいまの官房長官のお答えにも私どもは賛成しがたい。歴史的な関係があるから一括出した、結論はそうなんだけれども、しかし、それと、それぞれの条約、協定の内容が独立をしておって、それにわれわれが審議をし賛否の表決ををするという場合の取り扱いの問題とは、これはおのずから別な問題である。私が特にいま問題にしているのは、一体どういう形で私どもがこの膨大な六案件を一括していくものについて、一つ一つ重要なしかも独立をした内容を持っている問題について意思の表明をすることができますかと言っている。それは憲法上重大な疑義があると、こう言っている。その点についてお答えを願いたい。
○橋本政府委員 法律的な問題でありますからして、法制局長官をしてお答えいたさせます。
○辻原委員 ちょっと待ってください。 〔発言する者多し〕
○高辻政府委員 お答え申し上げます。 御承知のように、条約は、憲法が規定しておりますように、その締結については国会の承認が必要であります。したがって、政府は、この大韓民国との諸協定につきまして、それぞれの締結についての承認を一括して国会に求める形式をとっているのであります。したがって、政府の取り扱いが憲法上疑義を生じるということは少しもございません。問題は、個々の独立した条約を締結するについて、その方式いかんという問題でございますが、この問題は、実は国会自身がその方策についていろいろお考え願うべきであればお考え願わなければなりませんが、私ども政府といたしましては、どういう方式でやるかということを申し上げるのはやや行き過ぎではないかと思いますので、それは控えさせていただきます。
○辻原委員 私は法制局長官の答弁は求めておりません。これはなぜ私があえて申し上げておるかといえば、それは、この案件を提出せられた最高責任者として、しかも私がいま指摘をしている点は、国政運用、議会政治、民主政治の基本に関し、さらに、われわれにとっては議員の身分に関する重要な問題であるから、したがって、最高責任者としての総理の御見解をまずわれわれは承る。総理の御見解で納得をすれば以下の質問は不要なのであります。したがって、まず総理からお答えを願い、さらに法律的な問題が私はあります。あるから、その点については法制局長官から後刻答弁を求めますということを、最初に私は申し上げているはずだ。どうか、総理、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど官房長官からお答えをいたしましたので、私があえてお答えする必要はないと思っています。先例等によりまして一括提案したのでございます。先例によりまして皆さん方が御審議されればいいと思います。
○辻原委員 これは私は総理から異なことを承る。先例ということは、その先例のうち大多数の先例に従うべきが先例という価値がある。いま、たまたま総理がそういうことを言われたが、それならば私はただいまの総理のおっしゃったことについて先例についてのわがほうの見解を申し上げるが、総理は先例に従ったというのならば先例に従っていただきたいと思う。戦後、重要な条約案件について特別委員会を設けて審議をした例は、今日まで四回ある。第一回は、たしか第十二国会、すなわち平和条約並びに安全保障条約についての審議であります。第二は、二十五国会の日ソ共同宣言特別委員会に関する件であります。第三には、三十四国会のいわゆる安保条約審議のための特別委員会である。第四には、先般の四十八国会のILO特別委員会であります。ILO特別委員会は、これは条約においても一本である。国内法はそれぞれ相当数ありましたけれども、条約については疑義はなかったから、これは先例に私はならぬと思う。したがって、いま申し上げました十二国会から三十四国会に至るこの三つの特別委員会の扱いが先例とならなければならぬ。ところが、どうでありますか、総理。まず十二国会は安保条約と平和条約というものを一本にして出しましたか。そうでないでしょう。分けていますよ、明らかに。しかも国会においてもこれを分けて採決をしておる。条約一号平和条約、二号は安全保障条約、明らかに分けているではありませんか。二十五国会の日ソ共同宣言の特別委員会においてはなお明瞭であります。すなわち、この際には四つの条約案件がある。それをことごとく、第一条約、第二号、第三号、第四号、これは別個に全部分割付記をいたしております。提出をしております。第三の先般の安保条約の審議の際にも、明らかに、安保条約と協定、すなわち行政協定とはこれもまた別個に提出、付託をいたしておるのであります。いずれの先例を見ても、総理のおっしゃったようにどこにも一括をしたという先例はないのですよ。なぜ総理はそういうことをおっしゃるのですか。先例はありません。
○佐藤内閣総理大臣 いま一括して委員会に付議したことは官房長官が説明したとおりであります。また、特別委員会を設置する、そのことについての御疑問のようですが、この段階になりまして特別委員会についてのお話を受けようとは私は思わなかった。各党で話し合った上で特別委員会はできた。なお、ただいま言われます先例云々というのが御疑問ならば、法制局長官から詳しく説明いたさせます。
○辻原委員 私の申し上げたことを総理はお聞き違いになっておられる。私は特別委員会の設置についてとかくを申しておるのではないのです。これはもうお聞きになっておる皆さんが明瞭になっておると思いますが、総理は何か私が特別委員会を云々しておるようにお聞きになっておられるが、そうじゃありません。政府がなぜこれだけの重要な幾つかの条約、協定、交換公文というものを一括付託をしたか、それは総理は先例に従ってやったとおっしゃったから、そういう先例はありませんということを私は実証したまでなんです。だから、そのことが誤りであって、あなたがお聞き違いであり、さらに、先例に従ったということが間違いであるならば、お取り消しを願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 特別委員会の問題は、辻原さんも御了承のようですから、特別委員会は進むだろうと思います。一括して提案いたしましたことは、官房長官から詳しく説明をいたしました。また、その審議は先例によって審議したらいいでしょう、こう言ったのです。だから、これは、よくおわかりにならなければ、法制局長官に詳細に説明いたさせます。
○辻原委員 総理、よく私の発言をお聞きになっておいていただきたいと思う。私が申し上げたのは、かかる一括提出、一括付託ということは、自後におけるわれわれ議員としてのこれに対する意思表明が著しく拘束をせられる、もっと端的に言うならば、意思の表明のしようがないと言っているのですよ。それは、憲法にいう立法府の国会における審議権、議員個々にすればやはり憲法にいう表決権を左右するものである。重大な問題であるから、それをお出しになった、そういうことをやらかした総理の基本的な御所見をここで御答弁願いたいと思います。法律の端々じゃないのです。侵さないとおっしゃるなら侵さないとお答え願いたい。疑義があるならば疑義があるとはっきりお答えを願いたい。単なる法律の端々を私はお尋ねしているのじゃありません。
○佐藤内閣総理大臣 これは十分御審議が願えるように私は思っております。皆さま方の御審議の内容について、私どもがとやかくは申さないつもりです。政府はそれに干渉はしないつもりでございます。皆さま方のおきめになることでございます。
○辻原委員 それでは、総理、いまのお答えはこういうことですね。政府は一括提出をいたしましたが、しかし、自後の審議については、ここらは国会のおやりになることですから、国会でおやりを願いたい、こういうことですね。もっと何すれば、一括提出したけれども、分けようと何しようと、それは国会のかってだから、それは国会の審議の中でおやりを願いたい、こういう趣旨ですね。そうですか。
○佐藤内閣総理大臣 御審議を願っておりますこれは一括したという、これは、先ほど官房長官から、非常に密接な関連があるからこれは一括して御審議を願っておる、こういうことを申したのであります。また、その御審議は、皆さま方が賛否をおきめになるのは国会のことだ、かように私は申し上げておるのです。ただいまそれを分割するとかどうとか、そんなことは私は申しておりません。
○辻原委員 それじゃもう少し具体的に総理の——総理も国会議員なんですから、お互い議員としての身分については重要な関心を持たざるを得ない。それで、私はさっきもちょっとお聞きしましたけれども、たとえば私が言いました、一つの協定にはこれは賛成だ、文化財協定には私は賛成だ、しかし、他の協定には反対だと、論理的に理論的にこういう場合があり得るのですよ。そうした場合に、その一つの協定に賛成、他の協定、条約にはことごとく反対という場合の意思の表明は、佐藤総理、この議員席におられるならば、どういう形で表明をしますか。どうしてやりますか。それをお教え願いたい。その方法があるならば、私はこの質問はやめてもよろしい。どうやりますか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの点は、今日私どもが国会の承認を求めておること、そのことは一体どういうことなのか、こういう法律論と関連がございます。したがいまして、法制局長官からよく説明をさせます。お聞き取りをいただきます。(発言する者あり)これは私の言うことを聞いていただいたらいい。とにかく、法律論と関係がございますから、法律論でございますから、しばらくお聞き取りをいただきたい。
○辻原委員 私は、これはお互い議員として重要なあれがあるからという前提で話を総理から聞いているわけです。佐藤総理も議員であることには間違いがない。その場合に、議員である佐藤総理としては、当然私のような疑問が出ると思う。その場合に一体どうしてその表決に加わりますか。かりに佐藤総理が、一つの協定には賛成なんだ、他は反対なんだという場合に、どうしてそのことの意思をそのまま表決の上にあらわしますか、議員としての佐藤さんならどうこれを処理されますかと、こうお聞きしているのです。そのことについて伺っている。
○佐藤内閣総理大臣 辻原さんが疑問にしていらっしゃる点は、ただいまのこれは完全な法律問題なんです。だから法制局長官に説明さす。これをひとつお聞き取りをいただきたい。
○高辻政府委員 先ほどから総理の御答弁を求められております中で、お答えが十分でなかった点もございますので、補足いたします。 まず第一に、数個の条約のそれぞれの締結についての承認を一括して国会に出したことがあるかないか、何が先例であるか、これは申し上げるまでもなく御存じと思いますが、両方ございます。確かに両方ございますが、そのことだけをはっきりひとつ申し上げます。 それから、もう一つは、政府が出しました議案の形式によって国会の表決権が曲げられるとお考えになることが少しおかしいのではないかと、私はそう思います。大体、政府の案件を出しましたのは、数個の条約のそれぞれの締結についての承認を一括して国会に求める形式をとっているのでございまして、それぞれの条約についてのいろいろな国会における御批判というものはむろんあり得ることでございます。それについていかようにその処理をなさるか、これは国会自身がお考え願わなければならぬことだ、こういうふうに考えております。少なくもはっきり申し上げたいことは、議案の形式によって国会の表決権が左右されることはないということだけは明らかなことでございます。
○辻原委員 ただいまの法制局長官のお答えに私は反論があります。そういうのは、これは法律的な問題としても私は答弁ではないと思う。しかし、法律の問題についてはその後に起きる問題で、いま私が提起をしているのはその前段なんだ。具体的に例をあげて、お互い議員として議会の運営上、運営の問題としてどうするかという点について、私は総理に議員として伺っているわけなんです。しかし、それは法律問題だ、法律問題だということで、だから総理に、その点答えがないのですから、一体どういうふうに表決をされるかということを伺っている。総理にもうちょっと伺ってから、法制局長官の御答弁について私は見解を申し上げます。
○佐藤内閣総理大臣 これは、過去のいろいろの議論を調べてみますと、たとえば重要なる人事案件を皆さん方の国会の承認を求めておりますね。これが一体候補者を決定するのか、その任命を決定するのかという法律論があるはずです。皆さん方がこれを承認を求められているのは、そういうような候補者じゃないと思う。この条約の承認を求めるのも、それによく似た形でこれをやるのです。御承知のように、条約は、これは審議権は国会にございますけれども、締結権は、これは行政権なんです。これははっきりしている。したがいまして、これの修正権だとか、あるいはこれの一部の了承だとか、こういう一部は反対だとか、こういう事柄がただいま申し上げる国会と政府との関係になるわけです。そこのところをよく頭に入れていただかなければならぬから、法制局長官に説明をさす、これが私の言い分でございます。
○辻原委員 ちょっといま総理が重要な発言をした。正確に全体はわかりませんが、総理、そうすると、修正権だとか部分的云々とかいろいろ言われたが、条約については修正権があるとおっしゃったのですか。
○佐藤内閣総理大臣 それは修正権はない。
○辻原委員 ほんとうにないのですか。条約については決定的に修正権はないのですか。
○佐藤内閣総理大臣 私はかように考えております。したがいまして、これを行政権の範囲に立法府が入るということはない、かように考えております。
○辻原委員 先ほどからの私の疑問は依然として総理のお答えでは解けません。どういうふうにして表決するかという表決については、ただそれは法律問題である、ある場合には、それは国会の問題だ、それは国会の問題だということならば、一つの回答かもしれない。それは国会の問題ですか、総理。前にはそう言っておるのです。国会の問題ですか。——あなたに聞いておるのじゃないですよ。法制局長官、あなたに聞いておるのじゃない。国会の問題ですかと聞いておるのです。
○佐藤内閣総理大臣 これは与野党の国会の審議の問題だ、これは間違いがないのです。私ども政府が国会の審議権に干渉しようとは思わないということをさっき冒頭申しました。そのとおりなんです。
○辻原委員 そうすると、一つの総理の見解が出たのです。一つの総理の見解というのは、提出権は政府にある、締結権も政府にある、提出をするまでは政府の権限だけれども、出した以上はこれは国会の問題であります、国会の審議の問題でありますということは、これは、政府は一括付託したけれども、その取り扱いについてはあげて国会の審議の中にゆだねる、こういうことですね、総理。それは間違いありませんね。
○佐藤内閣総理大臣 国会が審議権を持っておるということ、政府はこれに干渉しない、これは何度も申し上げたとおりでございます。これはもう与野党で編成しておられるのだから、この国会において十分御審議をいただく。
○辻原委員 そこで、私は委員長に、この際いまの総理の御答弁を前提として委員長の見解を明確にしておいていただきたいと思うのだが、なお、政府の一括提出について官房長官が答えられたとおりには、これは具体的におっしゃっておらない。官房長官が言ったとおりだと言っておられますが、官房長官の述べられた点にもわれわれは重大な疑問がある。なおまた、さっきから法制局長官が——私はあまり聞いておりません、求めていないのだから。しかし、それの法律的なあれにも疑義がある。意見があります。そのことはひとまずおくとして、いま総理の言われた、提出までは政府の権限であるが、出した以上は国会の審議にゆだねる。いかようにこれをなさろうとも国会の審議に干渉するつもりはありませんということを前提にしてあなたに伺いたいのだが、そういうことになれば、われわれ議員がこの一括の形で審議を進めていって、内容的に私どもがそのおのおのの条約、協定、交換公文等について意思の表明が困難であるということを主張しておるのでありますから、当然これは、自後の審議、採決等は、これは国会の審議の都合、国会の審議のゆだねられた権限として当然分割をしておやりになると思うのでありますが、その点の委員長の見解はどうでありましょうか。
○安藤委員長 お答えいたします。 委員長といたしましては、付託となっております条約、関連法律案について、委員会において審議することは、もちろん法規、先例に従って善処いたしたいと存じております。
○辻原委員 そこで、委員長がいまお答えになったのはきわめて紋切り型で、私が具体的にお尋ねしたこととはぴったりお答えにはなっておらない。ただ私は重要に聞いたのは、委員長は先例に従ってとおっしゃる。私は先ほど戦後における四つの特別委員会、なかんずく三つの重要な条約案件についての審議の先例を示した。その先例に従えば、当然分括をして提出もされ、審議もし、採決もしておるのが通例である。委員長のおっしゃった法規典礼、先例という意味は、私が申し上げたことを当然意味しているものと解するが、そういうふうに理解をしてさしつかえないか、明確に承っておきたい。
○安藤委員長 お答えいたします。 委員長といたしましては、委員会に現在院議によって付託となっております。これを、条約、関連法律案等、それらについて、その審議を慎重に進めることが必要と考えるのであります。これ以上にはこの場合お答えいたしかねます。
○辻原委員 そばでそれでいいだろうと言うのですけれども、決して私はよくはないと思います。せっかくの委員長の御発言で、私もわかったようなことにしたいとは思うけれども、どうにもわからない。これは総理にも先ほどお伺いをしたんだが、私は、国民から選ばれた議員の一人として、ほんとうに心から疑義を感じているのです。いろいろな審議を尽くして、その結果、自分の意思をこれらの条約、協定、交換公文に一体いかなる形で表明するか、私は国民に対する責任としてもほんとうに困っておるのです。だから、委員長、そのことについてひとつ解明をしていただきたい。総理にお尋ねをし、政府に尋ねたけれども、これはお答えはできない。しかし、あえてそれは国会審議の問題だから国会でおやり願いたいと総理はおっしゃるので、ひとつこの委員会の責任者である委員長にこれはお尋ねをせざるを得ない。そこで、先ほど私が申し上げた、たとえば一つの協定に賛成だ、他は反対だ、もっと具体的に言いますと、ある人は、文化財、文化協力についての協定については、これは歴史的な過程から見て賛成してもしかるべきだ、しかし、他はいずれも日韓の正常化にあらず、こういう判断でもって文化財賛成、他は反対という意思の表明を自分で決定した場合に、それを当委員会において、国会においてどう表明するかということを、ひとつあなたは委員長としてお示しを願いたい。この疑義を解明していただきたい。
○安藤委員長 辻原君にお答えいたします。 委員長といたしましては、先ほどお答えいたしましたように、院議をもって付託されておりますのですから、その付託された条約、関連法律案等について、皆さま方の御協力のもとに審議を慎重に進めていく以外に方法はございません。
○辻原委員 それでは私は委員長にあらかじめ要望いたしておきます。先刻、これは私は政府・与党を代表して総理がお答えになったものであると私は聞いておるし、私の質問もそういう前提を置いてお尋ねをしたはずである。そのお答えが、国会は国会でおやりを願いたい、委員長はそれを受けて、法規典礼、先例に従って処理をいたします、こういうことでありますから、この問題については国会独自が判断をいたさなければならぬ時期であります、自後の審議について。したがって、私は、本問題について、私の議事進行が終わった直後において理事会を開催せられ、徹底的にこの疑義を解明し、われわれの納得のいく形において自後の審議に入られんことをあらかじめ要望、要求をいたしておきます。
○安藤委員長 ただいまの辻原君の御要望に対しましては、この委員会が済みましたるあと、御要望のとおりに理事会を開かせていただきます。 〔発言する者多し〕
○辻原委員 私はなおこの席上において解明をしておかなければならぬ二、三の問題があります。したがって、それらの点をことごとく終わったあとにおいて取り扱われたいということを要望いたしておるのであります。 そこで、次に私はお尋ねをしたいのでありますが、それは、第二段に私が要求をしました参考資料と付託案件の点についてであります。私が要求いたしておりますのは、繰り返しませんけれども、ある交換公文についてはこれを案件の中に含め、同じ交換公文であってもそれは単なる参考資料として提示をする、また、重要な合意議事録あるいは両国政府間における往復書簡、またこれらについての重要な政府の声明等は単なる参考資料としてこれを持ち出しておる点は、これは条約の審議のたてまえ上きわめて私は不適当であると思うし、そういう軽重がどこから出たかということの根拠についても承らなければならぬ。そこで、まず冒頭から承っておきたいのは、提出された政府側は、条約というもの、協定というもの、あるいは交換公文、合意議事録、こういったものには国際法上それぞれの軽重があるのかどうか、一体何を根拠にしてそのような軽重をつけたのか、その点をまず明らかにしていただきたい。
○高辻政府委員 憲法七十三条三号を引き出すまでもございませんが、条約の締結については国会の承認を事前に、もしくは事後に経ることが必要とされております。そこで、条約というものが一体何であるかということに帰着するわけでございます。御承知のとおりに、条約と申しますのは、これは憲章であろうと、協定であろうと、議定書であろうと、名称は何でもよろしゅうございますが、わが国が、他国、あるいは場合によっては国際機関であることがございますが、そういう国際機関との間でする文書による合意であること、これによって相互の間に国際法上の法律関係が設定され、その限り国権の拘束をそこに生ずるというようなものが条約だと解されております。したがって、その条約というものは、実質的に——いまおっしゃいましたように、この基本条約をはじめ、協定、交換公文等を承認を求めるべく御提出申し上げておるわけでございますが、そういうものの実質的性格ではない、たとえば政府声明なんというものは——政府声明にもよりますが、他国との間に権利義務の関係を設定するというようなものではないもの、こういうものは、憲法上の条約とは解されないのであります。したがって、いままでも、国会の御承認を得るものとしては条約、協定、交換公文等を御提出しておりますし、そうでないものについては、これは御参考として御提出をいたしております。今回特にその点が変わったわけではございません。全然その取り扱いを異にしておりません。
○辻原委員 どうも法制局長官のお答えは、私は法律論としてもていさいをなしておらぬと思うのだ。全然それは支離滅裂ですわ。どういうことなんですか。あなたの発言をずっと聞いておりますと、条約、協定、交換公文はいずれも軽重がないかのごとき発言をしているかと思えば、あるいは、往復書簡等については権利義務を設定するものじゃないのだから、これはよかろうというようなことを言っておる。私は内容審議をきょうはやるつもりはありません。内容審議に触れるんじゃありませんが、たとえば、あなた方が参考としている商業上の民間信用供与に関する交換公文一つを見たって、政府は権利義務の設定をしているのですよ。あるいは漁業協定の中の標識に関する交換公文にしてみても、やはり標識についてのお互い両国間の権利義務を取りきめているのですよ。中身は違います。中身は違うけれども、やっていることは、両国間の権利義務を取りきめなければ交換公文の意味をなしません。だから、あなたの御説明は、権利義務を取りきめておるのではないから、これは単なる参考である、権利義務を取りきめておるのだから、これは当然案件の中に含ましむべき交換公文である、こうおっしゃるならば、また一つの理屈かもしれぬ。しかし、それらは軽重はありませんということをまた言っておる。さっぱりわからないんですよ。一体どっちなんですか。
○高辻政府委員 私の御答弁がことばが足りなかったかも存じませんが、私は先ほどこういう趣旨で申し上げました。憲法のいわゆる条約というのはかくかくのものである、実質的にとらえて申し上げました。その実質的にとらえられた条約、これが現在の現実の形として条約であるか協定であるか、名称はさまざまでございましょうが、そういう実質的なものにつきましては国会の御承認をいただく。しかし同時に、そういう実質的な意味の条約に当たらないものは、かりにその名称またさまざまではありましょうが、そういうものについては、その締結について国会の御承認を求めるということはない。それは、場合によっては国際関係に法律上の関係を生じないものもございましょうし、また、基本の条約あるいは協定あるいは交換公文等によって生じた権利義務の関係、法律関係、それをさらは細目的にきめる、その最初のものがきまればそれがおのずからきまってくるというようなたぐいのものもございます。そういうものについては、憲章、条約、協定、議定書、そういうものについての、先ほど申し上げた実質的な意味の条約について御承認をいただくというようなことにいたしております。その点は先ほども申し上げたことでございますが、いまに始まったことではございませんで、いままで御承認をいただいたものについてもそのような取り扱い上の区別がなされておるわけでございます。
○辻原委員 ますますわからない。憲法七十三条三号は、ただ条約についての政府権限を取りきめておるだけで、条約とは一体何ぞやということは、あなた方の議論では、政府の判断すべきものである、こういうことをいまおっしゃったのだと思います。そのおっしゃった前段は、条約とか協定とか、そういうことの名前にとらわれないで、実体が条約であれば条約なんだ、そこまではわかるんですよ。だから、そういう一つの見解で政府が出してきた。だから、名前は違うけれども、案件に付託したものは、協定であれ何であれ、それは条約的効果を持っておるものと政府は判断した、こういうわけです。しかし、両国間の権利義務を生じないような、そういういわば細目的なもので値しないものは、要するに、それは条約という概念には含ませないのだというあなたの見解ですね。そうでしょう。そこでぼくが疑問を生じているというのは、まあいろいろあります。基本的にいろいろあるが、一つの例として言えることは、漁業協定の中に、それではなぜ水域の直線基線、あるいは漁業に関する水域に関する交換公文だけはこれを案件としたかという点について、どうも納得がいかぬというのですよ。必要がなければなぜこれをはずさないのか。その他に漁業協定については幾つかの交換公文があります。漁業協力に関する交換公文、漁業協定附属書に定める標識に関する交換公文、安全操業に関する往復書簡等——書簡は別といたしましても、そういったいずれをとってみても、それでは水域の直線基線、水域に関する交換公文と、漁業協力に関する交換公文が両国間の取りきめにおいて軽重があるのかと言いたい。一つ一つ考えてみたら、漁業協力に関する交換公文は、単に細目をきめたものか。そうじゃないでしょう。基本的な漁業協力をきめているのでしょう。そういう点について、あなたのお話では何ら疑問が解明されません。だから私は、いずれを考えてみても、あなた方は日韓条約は重要だとおっしゃるならば、少なくとも他に六つも交換公文を参考資料として出すような、そういう不都合な、不届きな、てまえがってなやり方をおやりにならず、なぜそれらを一括、この漁業協定に取り扱っていると同じような方式でもってそれぞれの条約、協定の中に含ませないか。また、これは交換公文にしても往復書簡にしても、あなたが言われるように、これは単なる往復書簡であり、両国間に経済的あるいは法的に権利義務を生ずるものではないというならば、そう私どもは理解をいたしますよ。そういうつもりで審議をしますよ。それでよろしいか。
○高辻政府委員 個々の交換公文につきまして、含めたものと含めないものがある。その文書上は、参考と書いたものと、そうでないものとがあるわけでございますが、それについて一つ一つをここで御説明するのもいかがかと思いますが、要するに、たとえば漁業に関するいわゆる専管水域等の分につきまして申し上げますれば、これらは実は公海上に一線を画してそれが非常に大きな問題になるわけでございます。したがって、そういう意味で、どこに引かれるかということが大きな法律関係上の基本になるわけでございます。そういうわけでこれは含めておる。そのほかの——単にそれをもって細目というわけにはまいりません。したがって、そういう取り扱いをしているわけでございます。もし必要なら外務当局から説明をしていただきます。
○辻原委員 内容についての一つ一つ、それは主観の問題ですよ。一つ一つ主観に基づいてやっておった日には、みんな、ある者は、あるものについてこれが重要だと考える、ある人は、こっちの交換公文のほうが重要だと考える。そんな主観の問題で、尺度がないということなんです。 そこで私は、いままでの政府すなわち外務省の見解をこの際あらためて思い出してみたいと思う。これは本日かつて外務委員の方々もおられるし、そういう方々の意見も聞いてみないとわからぬと思うのだけれども、私の聞いている範囲では、従来政府の公式声明、公式態度は、条約、それから協定、交換公文等については、国際法上何らその軽重はないという態度を示しておったように思う。誤りであればお答えを願いたいし、また、同僚議員等でそれらについて質疑をやった人たちもおりますから、私はさらにその点を解明してもらいたいと思う。どうですか、政府は、それは軽重があるのですか、ないのですか。
○椎名国務大臣 内容によることでございまして、実質的な内容によって判断すべきものである、かように考えております。
○辻原委員 外務大臣は自信なげにそういうことをおっしゃったので、それでは私は、後日、これは理事会で取り扱われるということでありますから、その参考に、法制局長官からも、あなたもさっきからしきりと言いたがっておるから、ひとつ答えていただきたい。その点についてはどうですか。内容についてそういう取り扱いをするのですか。
○高辻政府委員 先ほど申し上げましたように、あるいは条約という名称をつけたものは条約として国会の御承認にかける、条約という名称をつけなかったものは憲法上の条約ではないとして国会の御承認にかけないというようなことがあっては、これは私はたいへんいけないことだと思います。名称はどうであろうと、条約という性格を憲法が予定しておる性格のものであれば、これは条約であろうと協定であろうと、やはり同様に国会の御承認にかけるべきであるという考えで、条約に限らず、協定も交換公文も御承認をいただくような手続をしているわけでございます。そういう観点から、条約というのは、外務大臣仰せのとおりに、条約という法律上の観念から申しますそれにぶっつかるものについては御承認をいただく、そうでないものについては、憲法が予想しておらないものでございますから、御承認はいただかない。しかし、それにいたしましても、御参考のためにそれを添付して御判断をいただくということにいたしておるわけでございます。
○辻原委員 それじゃ、議論はなお後刻やるといたしまして、これだけ確認しておきたいと思うのですが、法制局長官、外務大臣の答弁を受けていまあなたがおっしゃったことは、名称、スタイルのいかんにかかわらず、条約ということに該当するものは、これは交換公文であっても、当然承認を求めなければいかぬ、その他の、案件にしないものは、条約という国際法上の取りきめではない、こういうことだから、これは提案をしないのだ、こういうふうに理解してよろしいですね。具体的に言うと、先ほど私がたびたび指摘をしておりますように、交換公文でいえば、八つありまするけれども、二つは条約に値するもの、その他六つは条約に値しないもの、こういうことで、片やは案件に含ませる、片やは単なる参考資料、こういうふうにあなた方は解釈をして出した、こういうふうに確認してよろしいですね。確認をいたしますぞ。
○高辻政府委員 条約の実質的な意味については先ほど申し上げましたが、この条約の中身についてさらに、先生もおっしゃいましたが、細目的な取りきめをしているものがございます。そういうものについては、細目的な取りきめという意味においてはやはり一種の両国の取りきめには違いございませんが、それは細目的であるという意味において、特に国会の御承認を得る必要があるというふうには考えておらないのでございます。その例は実はこれも前々からございまして、一番それについて論議がごさいましたのは、申し上げるまでもなく御承知でございましょうが、前の安保条約における行政協定がそれでございます。行政協定につきましても、詳しく言うことは避けますが、最高裁判所でも、それについて国会の承認を経ないでいることについて、別にそれを違憲であるというようなことにはなっておりません。これは有名な事件でございますので、あわせて申し上げておきます。
○安藤委員長 関連発言を求めておられます。この際これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 ただいま法制局長官と外務大臣から取り扱いの問題についてお話がありましたが、特に外務委員会において従来政府を代表する外務省が条約、協定等を提案される場合におきましての解釈と、いまの椎名外務大臣の解釈との間には、いささかズレがあると思うのです。もう一ぺん整理いたしますと、形式上または名目が条約であろうと協定であろうと、交換公文であろうと覚え書きであろうと、場合によれば、政府を代表する行政機関が相手国の政府を代表する行政機関との間に、文書によらざる口頭による約束をする、それらによって生ずる、合意によって生じた国際関係の取りきめは、文書の形式はどうであろうと、あるいは口頭によるものであろうと、すべてこれは広い憲法における条約等に含まれるものである、したがって、それらはすべて事前または事後に国会の承認を要するものである、こういうことを明確にして今日まできておるわけです。したがって、いまお話のあった両協定に付属いたして参考文書として出されておる標識等につきましても、これは日本側の権利義務を規定しておる内容を持っておるものでございます。したがって、合意によってでき上がりました取りきめというものは、文書であろうと、また文書の形式がどうであろうと、口頭によるものであっても、すべてこれは国会の承認を得るのが政府の当然の義務である、こう解釈すべきものだと思うのです。ただ、参考資料として、承認を求めないでいいものは、一方の政府がその取りきめに関して一方的な声明を出して、それを文書にした場合においては、これは一方的なものでございますから、必ずしもすべてについて相手の合意を取りつけていない、したがって、これは参考資料として出すこともまたやむを得ない。しかしながら、今度参考資料として出ておりますものすべてを見ますと、これはすべて単なる事務取りきめではなくて、それがわがほうに対する義務または権利を付随内容としておるものでありますから、これは当然国会の承認を得べきものである、憲法の規定による条約等に包括さるべきものである、これが従来政府を代表する外務省の意見であったわけです。それが、ただいま伺いますと、はなはだしく違っておる。それが一点。 それからもう一点、関連でありますからお尋ねいたしておきますが、その場合に、外国政府または多数国との間で合意を伴った取りきめを、この部分は国会の承認を必要とする、この部分は国会の承認を必要としないという選別の判断ですね、その選別は一体だれがなすことができるか、すなわち、国会であるか、あるいはまた政府であるか、それに対しても、この際、佐藤総理または椎名外務大臣から明確な態度を明らかにしていただきたい。これは単に事務上の言いがかりをつけるのではなくて、条約審議にあたって、これから長い将来において重大な基本的な問題でありますから、政府と国会との間における承認権の問題である、憲法上の問題であるという立場で私は重要に考えておるわけです。従来の法律上の解釈からいきましても、慣例等からいきましても、このたびのお取り扱いは、その提案の形式において明らかに不当である、または違法であるものもあります。その点は具体的に明確にしていただきたい。 質問の要点は二点でありますから、再質問を要しないようにお答えをいただきたいのです。
○椎名国務大臣 条約論としても非常にこまかい議論でございます。正確を期する意味において、条約局長から詳細にお答え申し上げます。
○藤崎政府委員 先ほどから法制局長官がお答えになりましたように、私どもは、憲法に、条約の締結については国会の承認を求めなくちゃならない、その条約は、条約という名称の国際約束だけではない、そういうふうに考えております。他面、それではすべての国際約束は国会の承認を求めなくてはならないか、それはそうではなくて、これも法制局長官が言われたように、実質的な意味において判断して条約と認められるものを国会の承認を受ける。それでは何がそれに当たるかということについては、先ほど法制局長官のお話もありました、国際的にもそれぞれだんだんエスタブリッシュされてきている慣行と申しますか、どこの国でも、一応行政当局限りでやる取りきめというような、たとえば貿易協定というようなものもございます。それで個々の場合についてそういう判断を下すわけでございますが、これも先ほど申し上げましたように、今度初めてそういうことをやったわけではございませんで、いままでのずっとやってきました原則、先例に照らしまして今度の諸文書を検討いたしまして、これだけのものは国会の承認案件とすべきである、こういう判断をいたしたわけでございます。
○穗積委員 私の質問に対してお答えのない部分がありますので、遺憾ながら再質問いたしますが、その承認を求むべき文書であるか、参考資料として出すべき文書であるか、いずれかの判断は、一体だれがするのですか。これについては総理にお尋ねいたしますが、先ほどあなたは辻原委員の質問に対して、政府は一括して提案した、それを受けた国会のほうは自主的な立場でそれを判断して、提案の形式について、つまり、承認を求める案件としてわれわれが受け取る場合の態度は、国会の自主的な判断によって決定すべきであると言われた。そうであるならば、いま私が申しました、参考資料として出すべからざるものを参考資料として出しておった場合に、これは国会の承認を得べきものであるという判断は、政府とはまた違って、国会自身にあるわけでありますね。その点を明確にしておいていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 どうも総理が答弁しないといかぬと言われるからお答えいたしますが、御承知のように、政府は日韓の条約並びに協定その他につきまして国会の承認を求める、また法律案等は成立を期する、こういう意味で提案して、ただいま御審議をいただいておるのであります。したがいまして、基本的には政府はぜひともこれらの案件が成立することを心から願っておる。しかし皆さま方の審議権に私どもは干渉する考えはございませんということを申し上げておるので、そこは与野党におきまして十分御審議の上これをきめていただくということであります。私どもの希望というものははっきり目的があるわけでございますから、そういう意味の御協力を得たいというので、ただいま御審議をいただいておるのであります。そうしてその中身の問題につきましては、先ほど来藤崎君からも、また外務大臣からもいろいろ説明しておりますように、過去の先例等を勘案し、またその慣行等にもより、そうしてその範囲をきめておる。これは政府がきめておるわけであります。
○穗積委員 外務大臣、私の外務大臣に要求いたします答弁は、こういう趣旨です。先ほど条約局長は国際的な慣例等によりと言っておられますが、われわれは、取り扱い上国際常識から見て妥当であるか不当であるかと言っているのではない。国内法の最高法規である憲法の規定によって認められておる国会の審議権の問題です。わが国独自の憲法である。したがって、国際関係でこういうものは参考資料として出して、承認を求めないで通しておるという問題ではないのです。国際慣例の問題ではなくて、この際は憲法によって規定された政府の外交権に対する国会の承認権の問題なんです。したがって、いま申しましたような点については、政府はこれは妥当なりと考えて参考資料としてお出しになったのでしょう。ところが、国会において、それは不当である、この合意文書は、効力においては、条約であろうと協定であろうと、交換公文であろうと、その他の文書によっても、合憲によって権利、義務を生じたものについては、国際法上の法律的効果は軽重がない。すべて国際法上の権利義務を生ずる。したがって、そうわれわれ国会側が判断をして、その場合には、これは参考資料は承認を求める議案として正式に提出しなさいということになれば、当然——憲法の規定に従ってですよ、国際慣例ではありませんよ、憲法の規定に従って国会がそう判断し、結論を出すならば、当然政府は提案の形式について国会の決定に服すべきものである、こうわれわれは考えるわけです。あなたがせしめました条約局長の答弁は、その点がはなはだしく不明確でありますから、大臣からその点を明確にしておいていただきたい。
○椎名国務大臣 もう一度それでは条約局長から申し上げます。
○藤崎政府委員 日本の憲法では、条約の締結については国会の承認が要ると書いてあるわけでございますが、先ほど申し上げました趣旨は、各国の憲法では、国会の承認を必要とする条約の種類を内容的に限定している立法例がわりに多いのでございます。(穗積委員「わが国にはないよ、そんなものは。」と呼ぶ)日本の場合にはそれがないわけでございますけれども、しかし、また他面、世界じゅうの国で、すべての国際約束について立法府の承認を必要とするという国もまたないのでございます。そこで、いまの日本の憲法も、先ほど来申し上げているように、実質的に条約と判断されるべきものについて承認を必要とする、そういうふうに解釈するのが合理的であろうということで、これはいまに始まったことじゃなくて、新憲法制定以来やってきておる政府の態度でございます。
○穗積委員 国会が、参考資料として出しておる文書も、国会の審議、承認を経べきものだという判断をしたときには、政府はどういう態度をとるかということを聞いているのです。それを答えていただきたい。それは外務大臣からお答えを願います。
○椎名国務大臣 先ほど総理からもたびたび申し上げたように、御審議をお願いしておる審議の内容については、われわれはとやかく申し上げません。
○辻原委員 いま外務大臣がお答えになったことで、この問題についての判断は、あるいは法的見解は、いままでの条約局長の御説明でも私は納得できがたいが、いま外務大臣が、先ほど総理がおっしゃったように、提出までのことは政府の権限であるが、国会にゆだねた以上、私が第二段に申し上げ、ただいま穂積議員が質問をいたしました、これを案件とすべきかどうかということについても、国会の判断によっておやりを願ったらいいんだということを確認をいたしておきます。 そして次に私は、なお残っている問題の一、二を政府に対してただしておきたいと思うのでありますが、最初に私が提起をいたしました、議員の固有権である表決についての問題も解明がせられておりません。そこで、なおこの点について、もう少し私は伺っておきたいと思うのでありますが、官房長官、あなたが政府を代表していろいろ言われた、それらを聞いておりますると、これは政府のいわゆる御都合主義による政府の解釈にすぎない。言いかえてみると、これは単なる政府の政治論にすぎぬと私は思う。したがって、総理のおっしゃったことも、政府はそういうふうに考えておる。国会のこの問題についての取り扱いは別個でありますという意味は、これは政治論として不可分のものであると判断をするが、法律論としては可分であるという見解を示されたものである、こういうふうに理解をいたしますが、どうですか。
○橋本政府委員 再三お答え申し上げましたように、これは、前の国会においても、政府がこの日韓関係の正常化はこれを一括して解決するということを皆さんにも申し上げでおります。一つがどうであるという考え方じゃなくして、政府は、一切を含めて、この際に、歴史的やいろいろな関係のあった日韓関係を正常化に戻すのだ、これが今回の日韓条約の関係である。したがって、以上の観点から政府としては一括してこれを案件として出したのでありまして、一つをどうということではないのでありますからして、政治的、あるいは事情を申し上げるよりも、そういうたてまえで政府がおるということを御了承願いたいのであります。
○辻原委員 答弁にならない。私がお尋ねをしているのは、政府の言うところの理由は、これは政治論なのか法律論なのか、これを詰めてお尋ねをしているのである。政治論としては私はお聞きをいたしておきます。政治論としてはわれわれには異なった意見があることは、先刻から申しておるとおり。しかし、これを純粋客観的な法律論として政府がそういうふうに言っているなら、これは重大な法律論争の問題になる。したがって、これは法理論としてあなた方は可分不可分をやっておられるのか、いや、政治論としてそれはやっているのであって、法理論は別だとおっしゃるのか、この点を詰めてお答えを願いたい。
○高辻政府委員 条約の承認案件の一括方式でやるか、個別方式でやるかということにつきましては、それぞれ政治的な判断で、おっしゃるとおりにそういう関係でそのときどきに考えてやっております。ところで、今回の議案は、数個の条約のそれぞれの締結についての承認を実は一括して国会に求めているわけでございますから、個々の承認案件について、この承認は賛成、この承認はどうも賛成しがたいということがあるのは、理論的な問題としては、これをそうではないと言うことはできません。理論上、法理上の問題としては、それぞれの条約についての承認、不承認ということはあり得ます。ただ、何としましても、その背景になりますのは、やはり政治的な取り扱いの問題がございますから、それを官房長官は仰せられましたし、われわれもそういう考えで一括してこれを御承認いただく。一括してと申しますか、条約のそれぞれの締結についての承認を一括して国会に求める形式をとったのでございます。
○辻原委員 一応私の質問に対して、法制局長官は、それに対しては明快でありました。すなわち、政府の言っておるのは、これが政治論であって、法律的には、法理論としては、これは可分であるというお答えでありますから、それを承っておきたいと思います。 さらに、私は次の問題でもう一つの疑問がある。それは今後国会において協議すべき問題となったわけでありますが、先刻いろいろ法制局長官も言われたし、総理にあえてお尋ねをいたしました。国会側が不当にも、この種の案件について、あくまで議員の個々の条約に対してのいわゆる表決権を制約する意味における一括ということを強行する場合、一体、それでは議員個々は、そういう最終段階においてどう意思を表明するかという問題が依然として残るわけです。その場合の意思の表明というものは、一体これは何だ。いわゆる法理的に、そのこと自体の意思の表明というのは——それは私はいろいろの事例も調べてみた。たとえば、地方自治法の関連において、部分承認、部分不承認という問題も発生をしておる。あるいは条約においてたった一つ、内容的に関連があるもので、万国郵便協定について一括をやっておる例もある。しかし、これは、内容的に考えれば今回の例とはならぬ。したがって、それらを省いてみると、一体意思の表明というものは、これは部分承認なのか、あるいは修正意見なのか、それは分離をせざる場合には、その表明というものは一体何になるかということの疑問が依然として残る。これは、私は純粋客観的なものの言い方をしておるのでありますが、それについての解明もここで明確に与えていかなければ、今後の議事の際に常にこのことがまつわって審議が渋滞することは大いにあり得ると思うので、明確にすべきだと思うのであります。
○高辻政府委員 私が先ほどお答えしたうちで一部お答えしてございますが、条約につきましては、申し上げるまでもなく、条約を締結するのは内閣でございます。その締結について承認をするかしないかを御決定になるのが国会でございます。したがって、承認をするかしないかというものにつきましては、部分的に可分なものであれば——不可分のものもむろんございますが、不可分のものは、これは別でございます。当然言うまでもございませんが、可分なものなら、ある条約について承認、ある条約について——ちょうど、前の自治法上の問題を御引例になりましたが、それと同じように、これが可分である以上は承認、可分である以上は、また他のものを不承認ということは、理論上は可能であります。ただ、この条約の締結については内閣が権限がございますので、それを国会がおやりになります場合には、承認するかしないかを御決定するのが、憲法の予想しておる国会の御権限であろうと思います。したがって、条約の中身についてこれを動かすか動かさないかというようなことは、これはいままでも私は申しておりませんし、これはかつて安保条約のときに、御承知のとおりに大論争がありましたが、終始一貫してこの修正という問題については、先ほども内閣総理大臣が仰せになりましたように、条約そのものの修正ということは国会の権限の及ばないところ、こういうふうに解しております。
○辻原委員 いま私は、主題ではありませんから、そこの議論をやろうとは思いません。そこの議論等をやろうとは思いませんが、そう断定されると、これは一言言わざるを得ない。それは、この前の安保国会のときにおいてもいろいろ議論があったが、政府の見解は確かにそうであったけれども、しかし、それぞれの法学着なりあるいは国会事務当局等の見解においては、条約必ずしも修正権なしとは断定しておりません。たとえば国会法の八十五条にある両院における協議という問題は、これは修正権を前提にしなければ両院協議というものはあり得ないという解釈を、これは前の事務総長の鈴木さんもとっておられる。したがって、あなたがいま言われたように、われわれは、条約については承認案件だからことごとく修正権というものはないのだというような前提は、これは黙ってお聞きするわけにはいきません。しかし、本日私はそれを議論するわけではありませんので、これは後日またあなた方との間に徹底的に議論をいたしたいと思います。しかし、いまあなたのお答えによっても、私どもが先ほど疑問としておる議員個々の表決権の解明は、依然としてできておりません。なお同僚議員において、これは重大な疑問を持っておりますから、さらにこれについて委員長のお許しを得て、私は解明をしてもらいたいと思います。
○安藤委員長 関連発言を求められております。この際、これを許します。石橋政嗣君。
○石橋委員 非常に重要な問題でございますので、私もお尋ねをしておきたいと思うのです。 結局、いま問題になっておりますのは、大きく分けまして二つあるわけですが、まず最初の点です。結局今度の場合に六つの条約、協定、交換公文を一つの議案としてまとめて国会に提出しておる。これが、われわれから見ると、非常に不当だという感じを受けるわけなんです。政治的な議論をすれば、政府の立場でいえば、これはぜひ一括して承認してもらいたい、こういう気持ちは政治論としては理解できます。ある意味におきましては、そういう点ではオールオアナッシングという立場を政治的にはおとりになっておられるのかもしれません。承認する場合は全部承認してくれ。不承認の場合は一つでも反対があれば全部不承認なんだ。こういう立場をおとりになって、一つの議案にしておられるのかもしれませんけれども、しかし、実際に承認するかしないかを審議する本議院といたしましては、そういう政治的なあなた方の立場で拘束されてはたまらないわけです。やはりこれは法律的に可分だということを法制局長官も認めておるわけですから、可分である条約、協定である以上、一つ一つの条約、協定について院の意思表明ができるような形をとらなければ、これは結果的に、法律的に議会の審議を拘束することになる、こういう印象を受けます。特に、法制局長官がその政治論をまぜて答弁なさるというのは、これは私は非常に心外だと思うのですが、それでは法律的な立場で法制局長官にお尋ねいたしますけれども、議会が一つ一つの条約、協定について意思表示をする方法をお尋ねしたいわけです。
○高辻政府委員 私はつとめて法律論の見地から申し上げたつもりでございます。先ほどのように、承認案件におきまして可分の場合に、その可分のものについては承認をするとかしないとかきめることが可能であることは、これまた私案はきょう初めて申し上げることではなくて、前からそういうことを申しております。私にとどまりませんで、政府当局からそういうことを言っておりまして、私は新しく何ものもつけ加えて申しておりません。 ところで、その表決の方法でございますが、これはどうも国会の議事運営にかかわる事項でありますために、私十分な研究もいたしておりませんし、自信をもってお答えすることができません。
○石橋委員 あなたは非常に謙虚なような態度をお示しになっておられる。かっこうだけですよ。それは国会でおやりになることだというようなことを言っていますが、前任者の林さんはそんな態度を示しておりませんです。あなたも知っておられるでしょう。そういう場合にはどうなさいということを林さんは言っているじゃないですか。なぜあなたは言えないのですか。国会が審議する場合に、一つ一つの条約、協定について承認するしないということができないような形で出しておいて、そして国会を尊重するようなことを言ったって、これはだめじゃないですか。国会でいくら——それじゃここでいまから研究したって方法がないということになるじゃないですか。オールオアナッシングだということになるじゃないですか。従来の政府の答弁をお聞きしますと、この一枚のぺらぺらが議案でしょう。承認を求める件というのが議案でしょう。そして列挙してあります条約、協定、交換公文というのは参考付属文書でしょう。この点は見解に間違いありませんでしょうね。もう一度確認しておきます。
○高辻政府委員 過去にも御指摘のようにこういうたぐいの議論がありまして、いま仰せのとおりに、私ではございませんが前任者が答えたことがございます。しかし、それは議案としてはぺらぺら一枚だということを仰せになりましたが、しかし、その議案は、実は具体的な条約の締結について御承認をいただくことになっております。したがって、その具体的な条約の中身がわからないで承認をするとかしないとかいうことはできないわけでございますから、その締結について国会の御承認を求めている条約の内容を添付といいますか、同時に御提出しておりますものでお示しをしておる、そういうものでございます。
○石橋委員 それではちょっと前任者の林さんの答弁と食い違ってきますよ。私は正確を期するために、ここに速記録を写してきておりますから、読んでみましょうか。安保特別委員会のときに、この問題が非常に議論になったわけです。そのときに、林前法制局長官ははっきり言っておられます。「それにくっついております条約は、その議案の付属文書でございまして、もちろん、これと切り離し得ないものでございますけれども、いわゆる国会の議決の対象になるのは、承認を求めるの件、この点だと思います。」その前にも、長くなりますから、いま簡単な部分だけ読みましたが、何度も言うておるのですよ。承認を求めるの件という、これだけが議案なんだ。ここに列挙してあります条約、協定、交換公文というのは付属文書なんだ、もちろん切り離すことはできないけれども、付属文書。そうしますと、一つの議案が出てきているわけですよ、承認を求めるの件。そして日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、議案は一つなんです。そして付属文書が六つ並べてあるわけです。そうすると一つ一つの条約、協定、交換公文について、承認か不承認かということをやりようがないじゃないですか。やりようがないような方法で国会に出しておいて、そして議会の審議権を尊重いたしております。もってのほかですよ。これがまずいま第一問題になっておる点です。明らかです、あなたが答えられないのだもの。 それから第二の問題で、自分のほうでこれは国会の承認を必要とする、これは必要としない、かってな分類をやっておられるわけですね。これがまずおかしい。しかも、その中で、今度はあなた方が一体承認を得られるほうに入れているのか、承認を必要としないほうに入れているのかわからないものもあるんですよ。その一つの例をあげてみましょう。財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定、これは議案の付属文書の一つとしてあげられております。だから承認を求めておるような感じもいたします。これは間違いないです。ところが、その中に第一議定書、第二議定書というのがある。これはこの中に入って承認を求めているのか、ここからはずして承認は要らぬという考えをとっているのか、まことにあいまいもことしている。なぜならば、この協定も二つの議定書も、それぞれ別個に代表の署名があるのです。これは承認を求めているのか、求めていないのかもわからぬ。とにかくおかしいですよ。審議しろとおっしゃっても、委員長、いまの問題だけでも審議できないです。いまからひとつ理事会あたりで十分に議論をしていただいて、どういう形でこれから進行していくのかやっていただかないことにはどうにもならぬ事態であるということを申し上げて、質問を終わります。
○高辻政府委員 ただいま二点のお尋ねがございました。一つは、審議の案件が何であるかということに関連しての前の事案についての答弁を御引用になりました。私は、先ほど申し上げましたように、あくまでも、内閣が提出しておりますのは、これこれの条約の締結について国会の承認を求めるということでございます。それは、承認を求めるの件の中身をごらんになれば、きわめて明白であります。それで、その内容の条約を——実は先ほど申したことでありますが、条約がわからないでは、その締結について承認すべきかすべからざるべきか、その辺がわかりませんので、と申しますと、えらく技術的になりますが、いずれにしても内容を明らかにするための条約が同時に提出されておるわけでございます。これはまさに承認を求めるの件の内容を差し示すものでございまして、それを付属文書と言うか言わないか、その言い方を争っていてもしようがないことだと私は思います。あえて付属文書と前任者が申しておりますから、それをある観点からいえばそういうふうにも言えましょうが、要するに、問題は、その条約がなぜ提出されているかということこそが問題でありまして、それは承認案件の中身を示すものとして出ておるというわけでございます。 それから次に、この条約について先ほど来御質疑がございましたが、この中には入っているもの、入っていないもの、わからぬではないかということがございまして、実はただいま仰せになりましたような点をかなりわれわれは勉強をいたしました。勉強いたしましたというのは、どういう表現にすべきかということを考えたわけでございます。むろん第一議定書、第二議定書は御承認をいただいておるということにいたしております。それの根拠は、まず第一に、実体的に第一議定書も第二議定書も、それをごらんになればわかりますように、先ほど御指摘の協定の不可分の一部とされておる、文書自体がそういうことになっておりますから、その牽連関係はきわめて明白であります。それから形式上もこの請求権、経済協力関係の協定のつづりと一緒にとじてあります。そういうことから見ましても、たぶん御疑問が生ずることはない。実質的には、先ほど申しましたように、その議定書自身が協定の不可分の一部をなす、こういうことが明記されていることからいって、御了解いただけると思います。
○辻原委員 ただいまの石橋委員に対する法制局長官の御答弁も、われわれの納得するところではありません。しかし、この問題は、さらにその他の部分についても重要な幾つかの問題がございます。したがって、先刻私が指摘をいたしました問題並びに同僚各議員が提起をいたしました問題を含め、自後の国会審議並びにわれわれ議員の審議権に重大な関連のある事項でございますから、直ちに委員長におかれては理事会を開いてこの問題を解明し、解決されんことを要求いたします。
○安藤委員長 午前はこの程度にとどめ、この際休憩し、午後一時三十分再開いたします。 午後零時二十四分休憩 ————◇————— 午後二時二十九分開議
○安藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、午後四時まで休憩いたします。 直ちに理事会を開きます。 午後二時三十分休憩 ————◇————— 午後五時十三分開議
○安藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、理事会において協議をいたしました条約審査に関する問題につきましては、委員長から御報告申し上げます。 一、案件については可分もあり得るので、その 取り扱いを別に具体的に検討する。以上であります。 それでは、各案件について政府より提案理由の説明を求めます。椎名外務大臣。
○椎名国務大臣 ただいま議題となりました日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、大韓民国政府との間で昭和二十六年十月の予備会談以来両国間の諸懸案を解決して同国との国交を正常化するための交渉を行なってまいりました結果、先般ようやく全面的妥結に達し、昭和四十年六月二十二日に東京においてわがほう椎名外務大臣及び高杉代表と韓国側李外務部長官及び金大使との間で、基本関係に関する条約をはじめ、漁業に関する協定、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する協定並びに文化財及び文化協力に関する協定に署名を行ない、紛争の解決に関する交換公文を行なった次第であります。 基本関係に関する条約は、本文七ヵ条からなっており、両国間に外交及び領事関係が開設されることを定め、また、韓国政府が国連第三総会決議第百九十五号に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることを確認する等、両国間の国交正常化にあたっての基本的な事項について規定しております。 漁業に関する協定は、本文十カ条からなり、附属書並びに韓国の漁業水域に使用される直線基線に関する交換公文及び済州島水域における韓国の漁業水域に関する交換公文があります。この協定は、公海自由の原則の確認、漁業水域の設定、暫定的共同規制措置等、両国間の漁業関係について規定したものであります。 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定は、本文四カ条からなっており、これに協定と不可分の第一議定書及び第二議定書が附属しております。その内容は、両国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両国及びその国民の間の請求権問題の解決について規定するとともに、韓国に対する三億ドル相当の生産物及び役務の無償供与並びに一億ドルの海外経済協力基金による円借款の供与による経済協力について規定したものであります。 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する協定は、本文六カ条からなっており、戦前からわが国に居住している大韓民国国民及びその一定の直系卑属に対し永住許可を付与すること並びにそれらの者に対する退去強制事由及びそれらの者が日本国で受ける待遇について規定しております。 文化財及び文化協力に関する協定は、本文四カ条及び附属書からなっており、両国民間の文化関係を増進させるための協力並びにその一環として一定の文化財を韓国政府に引き渡すこと等を規定しております。 また、紛争の解決に関する交換公文は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は外交経路を通じて解決すること及びそれができない場合には調停によって解決をはかるものとすることを規定しております。 これらの日韓諸条約の交渉については、すでに累次の国会の本会議及び委員会における質疑等を通じて明らかにしてきたとおり、政府としては、近隣関係にある韓国との問題をすみやかに解決して両国及び両国民間に安定した友好のきずなを樹立すべきであるとの考えから、諸懸案の一括解決の基本方針に従って困難な交渉を打開すべくあらゆる努力を重ねてまいった結果、今般これら六件の条約とそれに関連する諸文書について両国政府間において妥結を見るに至った次第であります。こうして、両国が久しく待望されていた隣国同士の善隣関係を主権平等の原則に基づいて樹立することが、両国及び両国民の利益となることは申すまでもありませんが、さらに、アジアにおける平和と繁栄に寄与するところ少なからざるものがあると信ずるものであります。 よって、ここに、これらの条約等の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。 次に、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案の提案理由を御説明いたします。 政府は、大韓民国との間の諸懸案を解決し国交正常化を行なうため、昭和四十年六月二十二日に東京において、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約その他の諸条約に署名いたしましたが、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定は、その第二条において、日韓両国間の財産及び請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されることになったことを確認し、日本国にある韓国及び韓国民の財産等に対してとられる措置に対しては、韓国はいかなる主張もできないものとする旨を規定しております。したがいまして、この協定が発効することに伴ってこれらの財産等に対してとるべき措置を定めることが必要となりますので、この法律案を作成した次第であります。 この法律案は、三項及び附則からなっており、協定第二条3に該当する財産、権利及び利益に対する措置について規定するものであります。 まず、第一項におきましては、韓国または韓国民の日本国または日本国民に対する債権及び日本国または日本国民の有する物または債権を目的とする担保権を消滅せしめることについて規定しております。 第二項におきましては、日本国または日本国民が保管する物の帰属について規定しております。 第三項におきましては、証券に化体される権利について、韓国または韓国民がその権利に基づく主張をすることができない旨を規定しております。 なお、附則におきまして、この法律案の施行の日を協定発効の日としております。 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。
○安藤委員長 次に、坂田農林大臣。
○坂田国務大臣 日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案の提案理由及びその内容を御説明申し上げます。 まず、提案理由について申し上げます。 日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定第一条におきまして、日韓両国は自国の沿岸から十二海里以内の水域を、自国が漁業に関し排他的管轄権を行使する水域、すなわち漁業に関する水域として設定する権利を相互に認めております。このことに伴い、わが国においても沿岸漁業の保護をはかるため、必要に応じかかる漁業に関する水域を設定し、当該水域においてわが国が行使する排他的管轄権に関し、大韓民国及びその国民に対する法令の適用を明らかにする必要があるのであります。これが、この法律案を提案いたしました理由であります。 次に、この法律案の内容を御説明申し上げます。 第一は、協定第一条1の漁業に関する水域を政令で定めることとする規定であります。なお、この漁業に関する水域は、その設定の目的及び趣旨等からして最小必要限度にとどめるべきものでありますが、大韓民国漁船の装備の向上等に伴って、今後わが国沿岸における大韓民国漁業とわが国沿岸漁業との交錯を生ずることが多くなることも考えられ、これら情勢の変化に応じて漁業に関する水域を設定するため政令で定めることといたした次第であります。 第二は、漁業に関する水域において大韓民国及びその国民が行なう漁業に関しては、わが国の法令を適用することとする規定であります。これにより、具体的に適用される主要な法律は漁業法でありますが、同法及びその委任命令により大韓民国及びその国民の行なう漁業が規制されるほか、これらの規定に違反した大韓民国国民については罰則が課せられることとなるのであります。 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。何とぞ慎重に御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○安藤委員長 次に、石井法務大臣。
○石井国務大臣 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案について、その提案の理由を説明いたします。 日韓両国の友好関係を増進するためには、長年にわたりわが国に居住している大韓民国国民にわが社会秩序のもとで安定した生活を営むことができるようにする必要があります。このような観点から、日韓協定の一つといたしまして、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定が締結されたのであります。 この法律案は、右の協定を誠実に履行するために必要となる永住許可、退去強制等について出入国管理令の特別規定を設けようとするものでありまして、本文九カ条及び附則からなっているのであります。 以下、この法律案の内容の概要を申し述べます。 第一点は、大韓民国国民であって終戦前から引き続き日本に居住している者及びその直系卑属として一定期間内に日本で出生し引き続き居住している者のほか、永住を許可されているこれらの者の子として日本で生まれた者は、その申請により、法務大臣の許可を受けて本邦で永住することができるものとしたことであります。法務大臣は、一般外国人の在留管理にあたっておりますので、これを主管大臣としたのであります。 第二点は、永住許可の申請、その審査及び許可について手続規定を設けたことであります。すなわち、申請者の便宜をはかり、申請手続の窓口事務は居住地の市町村の事務所において行なうべきものとしたのでありますが、法務大臣が審査を行なうについて必要な事実調査は入国審査官または入国警備官をして行なわせるものとしたことでございます。 第三点は、永住許可を受けている者に対する国外退去強制事由について、一般外国人に対するよりも著しく制限を加えたことであります。すなわち、永住許可を受けている者に対しては、内乱、外患、国交に関する罪や麻薬関係犯罪等の特定の罪によって罰せられた場合のほか、七年をこえる重い刑に処せられた場合等に限って、退去強制の手続をとり得るものとされているのであります。 第四点は、虚偽の申請をして永住許可を受けた者や威力を用いて永住許可の申請を妨げた者に対する罰則を設けたことであります。適正、迅速かつ自由な申請手続を保障しようとする趣旨に出たものであります。 以上がこの法律案の提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○安藤委員長 これにて提案理由の説明聴取は終了いたしました。 質疑は次会に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十分散会