予算委員会 第3号
- 発言数
- 346 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1965/08/10
会議録
○委員長(平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。 昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)を議題といたします。 昨日に引き続き質疑を行ないます。藤田藤太郎君。
○藤田藤太郎君 きょう出されたこの操業度の調査というのは、これはあとのほうに出ておりますけれども、まだ十分といえないと思うのです。これはまあ引き続き資料を出していただくということにして、私は藤山長官とそれから通産大臣に御質問したいと思うのです。 きのうのお話でありますと、貿易は順調に伸びていると、こうおっしゃるわけであります。しかし、私はこれだけのたくさんの設備拡大をやって生産力をつくりながら、これくらいの操業しかしていないということになると、日本のいまの生産力からいったら、もっともっとたくさんな貿易ができるはずだと私は思うのであります。ところが、残念ながら、輸入をする条件がない。だから輸出が伸びない。こういうことになると思うのですけれども、そこらあたりの見解を聞きたい。
○国務大臣(三木武夫君) 輸出が伸びが少ないというお話でありますけれども、今年度の第一四半期、輸出の伸びは約三〇%ですが、それだから、これはもうたいへんな、やっぱり予定したよりも輸出の伸びは大きいということであります。ただ問題は、将来にわたって、このような輸出貿易の趨勢というものがずっと長く続くかということについては、いま御指摘のような、たとえば低開発国に対する輸入などもこれはやはり開発もしなければならぬ場合があろうし、あるいはまた信用の供与ということもありましょうし、今後、低開発国に対しては、輸入量を、向こうから買う品物をふやすという点について一段の配慮がなければ、輸出貿易を伸ばしていく上において将来問題があることは事実であります。しかし、現在の輸出貿易の伸びというものは、これはきわめて順調である。将来にわたってはいろいろくふうしなければならぬ点があることは御指摘のとおりだと考えております。
○藤田藤太郎君 私の言いたいのは、設備拡大と国内消費と貿易というものがノーマルな形で進んでいくところに正常な経済がある。こう思う。世間で言われているように、日本の設備過剰は国民総生産から見て、毎年二兆以上の過剰設備投資をしているのではないか、こういうことが言われておるわけです。だから、いま伸びていると言われたけれども、私はやっぱし、自分の国が力が強いから外国に品物を押しつけるという態勢では貿易は伸びない、輸出は伸びない。だから、輸入する条件を国内でつくる、この三者が、バランスがとられる、私はヨーロッパを見てまいりましたけれども、どの国も生産力の拡大に応じて消費の拡大をやっている。で、それでバランスをとりながら貿易もふやしていく、こういうことと比べて見て、日本はものすごい操業短縮で、そうして宝の持ちぐされ経済をやっている、これしか言えないと私は思うのです。その犠牲は、きのう議論がありましたから私は申し上げませんけれども、国民がみんなかぶっている、こういうことを言わざるを得ないのでございます。 そこで、私はきのう少し申し上げましたけれども、外国が一二、三%国民総生産に設備拡大をしているのに、日本は国民総生産に対して、二〇%から高いときは二五%も拡大をしている。これが過剰投資になっている、こういうことになるとですね、単に国民需要、国民生活を守る費用に使いようがなくて、そうして、そういうところに片寄った——この根本というものにメスを入れない限り、日本の不況対策という問題の根本は直らないのじゃないか。大蔵大臣のごあいさつを聞くと、ことしの秋から繁栄に一路邁進するとおっしゃっておるんですけれども、とてもそんなことは考えられない。だから、いまの、ことしの投資の民間設備投資を見ると六兆をこえている。これを外国並みで日本がいかぬというなら、少しふやして一五%くらいの水準にきめても、二兆からの財源は投資しなくても済むということに私はなるのではないか。この点についてですね、私は総理から聞きたいんでありますけれども、不況の対策を、とにかく深刻な不況の対策をやるとおっしゃるのでありますから、設備投資の行き過ぎについてもメスを入れてバランスをとるような方向をとっていかれるのかどうか。この根本は、私はやはり需要をふやそうとしたら、社会保障と低所得の減税以外ない、そこから始めない限りは、国民購買力というものは生産と消費のバランス、まず一番先にやるところは、そこから始めるべきではないかと思うのですけれども、総理の意見を聞きたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、不況克服で、設備投資、これを調整する要がある、こういうお尋ねかと思いますが、これはもちろんそういう意味で、新規設備投資をただいま押えている、あるいはそういう意味の金融はなるべくしないようにしている、業種間におきましても、いろいろ話し合っているという実情をごらんになれば、ただいま御指摘になった方向に進んでいる、かように御理解いただいていいと思います。問題は、ただいままで設備投資、この過大投資、これがいろいろ自由競争のもとで行なわれた、いわゆるシェア競争、こういう形で行なわれた。これが今日の経済のひとつの負担になっている。これも御指摘のとおりでありまして、これが稼働率がどの程度が適正なものか、あるいは八〇%が適正だという、あるいは七五%なら適正だというような話もありますけれども、これが、ところがたいへんひとつむずかしい問題があるのです。というのは、各会社とも、生産能力、これを維持する、こういう意味で、本来ならばスクラップにすべきものもまだなお帳簿上はそういうものが残っている、こういうことも実はあるように聞くのであります。こういう点がなかなか政府のしかねるような問題だと思います。いずれにいたしましても、正確な資料をつかむ、そういう意味におきまして、実情に沿ったように業界を指導していく、これが私どもの仕事だ、かように思います。
○藤田藤太郎君 私は総理大臣にもう一つお聞きしたいのでありますけれども、昭和三十五年を一〇〇にして、たとえば賃金がどういう趨勢にあるか、労働者の賃金がどういう趨勢にあるか、名目賃金は要造業で四十年の、ことしの三月を見ると一二六です。ところが実質賃金になると九五・四、これは政府の統計です。実質賃金は九五・四なんです。これをどうしてカバーしているかというと、期末手当で生活のカバーをしている、期末手当の多いところ、少ないところ、ないところ、これは三十人以上の政府の統計でありますけれども、これ以下の労働者の実質賃金というのはいかなる位置にあるかということを考えてみると、この物価値上がりが三十二%しておりますけれども、その関係において、大きくは所得倍増計画で倍にするのだとおっしゃる、そしてどんどん設備だけこしらえておいでになったのですけれども、この事態はどう総理は見ておられるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いわゆる景気がいいという場合に、諸経費等がかさんでいくというか、やや高騰するというか、上に上がっていく、これはそのとおりいいと思いますが、それが一体適正なる上がり方というものはどの程度なのか、これが羽目をはずしたときに問題が起こる、それが物価高を招来したり、あるいはインフレへの方向をたどる、こういうことになると思います。ただいま賃金のお話が出ておりますが、三十五年以来私どもが政治の目標として非常に努力をしてきたものに、いわゆる所得の平準化あるいは賃金の平準化、こういうものが行なわれたと思います。ただいま御指摘になりましたように、大企業と中小企業の間、本来生産性が違っておるのだから、その賃金が同一であるというようなわけにはなかなかいかない。しかし、政治の目標とすれば、その賃金を平準化する、こういう方向で努力するのはあたりまえだと思います。また、同一産業の中にも非常に景気のいい、利益を上げておるところもある。しかしながら、同一産業でも利益の上がっておらないところがある。しかしながら、これも同一産業だという、いわゆる賃金の平準化、これが強く要請された。また政治の目標も、そういうものが同じように、同一産業なら同一賃金、これは望ましいことだ、こういうことで私どもは努力してきた。これもある程度の方向としての適正なものではある。また原則はそうなきゃならないものだと思いますが、経済の実情はそういうものを許さなかった、こういうところに物価構成上の欠陥も生じてきた。ただいま言われるように、名目賃金と実質賃金が違う、こういうようなことがだんだん出てくる。だから好景気で物価の上がることはいいけれども、それが適正でなきゃならぬ、それが適正であるということは非常に低い率だと私は思います。しかしながら、何度経済成長下におきまして、これは非常に高い率だ、しかも、これは関係者一同が高い率でなければがまんしなかった、こういうところに私はあるのだと思います。これは別に労働者が悪いというわけじゃありません。また、政府が悪いというわけでもない、これは全部が、いわゆる繁栄への道をたどる、そういう意味で所得をふやしていく、こういう努力をした。しかしながら、その見方が一方的であると、ただいまのような欠陥を暴露して、そうしてそれが苦しい状況になってくるのだと、かように私は実情を申し上げておるのであります。こういう状況はいいかといいますと、これはよくない。幾ら賃金が上がりましても、これは名目に過ぎず、実質はそれだけ豊かにならない、こういうことがあってはならないのだと思います。また、私どもの基本的な態度から安定成長、そういう意味から通貨価値を維持する、こういう点に立ちましても、これはたいへんに問題だ、かように私は思いますので、こういうことをなくすることが、いわゆる安定経済への道だ、かように御理解をいただきたいと思います。
○藤田藤太郎君 私はよくわからぬのだけれども、安定成長だとおっしゃる。倍増計画、二十何兆の投資をした、そこで生産のにない手である労働者の実質生活が三十五年を一〇〇にして九五・四に下がっている。月々の標準報酬は下がっている。そういうことが私は大問題だと思う。私はちょっと聞いたのでありますけれども、池田内閣から佐藤内閣に続いているわけですが、下村治君というバック・ボーンと言われた人は卸売物価が低帯した、卸売物価が低滞するというのはおかしいのであって、生産性が上がってコストが上がれば下げていけばいい。これが動かない限りは物価問題に心配がない。消費者物価が上がるのはサービスを含んでいるから人間の価値が上昇しているのだ、こういう理論を吐いている。これが自民党のバック・ボーンとしての経済学者の言。それから最近に至っては行き過ぎた過剰の、四兆という過剰投資の購買力を早くつくらなければならぬと言っておられるようでありますけれども、政府の、いまの佐藤内閣になってからいまの現実がこういう状態であるから、根本的に過剰設備投資にコントロールを加えて、そうしていままでの行き過ぎた面においては購買力を上げて、そうして中小企業初め物価を押さえて国民の購買力をつくらない限り、不況対策といったってどうにもならぬのじゃないか。だから業者の援護だけをしておってもどうにもならぬので、生産と消費、消費の面の大衆消費、国民の購買力を上げるというところにもっと重点をお置きにならない限り、今日の宝の持ちぐされ経済というものは解消しないのではないか、私はそう思うのですが、御意見をお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大衆購買力を上げるという、これはとにかく消費をささえる、こういう意味でもちろん考えなければいかぬ。先ほど輸出のお話が出ておりますが、やはり国内において大部分が消費にささえられる、こういうことで産業は拡大していくと思います。そこで大衆消費、購買力をふやす、こういう意味なら直ちに賃金を上げたらいいじゃないか、こういう結論が出るかと思いますが、しかし、賃金は先ほど来御指摘がありますとおり、名目賃金である限りにおいてはこれは上げたってしょうがない。賃金を上げて、そうして通貨の安定ができる。言いかえれば物価が安定している、その形において上げる、そのためには何といっても生産性を向上しなければならない。また、生産性に見合うだけの購買力がなければならない。そういう意味で、この点ではお互いに循環し、お互いに錯綜し合っているものだ、かように私は思います。これはたいへん困難な、いわゆる一つのきめ手というものは実はないように思います。ただいまそういう点を見まして、いわゆる国民経済としての国民の力をひとつふやしていく、こういう意味から、あるいは税の問題、あるいは貯蓄奨励の問題、あるいはただいまのような賃金も、そういう意味において上げていく、いわゆる生産性向上で上げていく。こういう意味からいわゆる中小企業その他の生産力の増強だとか、近代化とか、あらゆる努力をしておるわけであります。簡単なものではないということを申し上げておきます。
○藤田藤太郎君 私の言っているのは、単に賃金を上げるという議論をしているわけじゃない。経済の施策が片寄っているから、大企業だけは守られて中小企業や労働者や農民、それが物価の値上げで資金が調達される傾向の中で労働者の実質賃金はこうなっていますよ、こう言っている。これは労働者ばかりでなく農民もみんなそうだ。私はそう思いますから、そのことを言っているわけであります。だから、何といっても、まず一番先に私は行き過ぎた設備投資に規制を加え、そこから手をつけていくことにならない限りどうにもならぬのじゃないか。今日までの行き過ぎた分に対する国民の、私はきのう確認したように、生産はだれのためにするのか、国民の幸福のためにするというのなら、そういう政治経済の方式をとるというのはもうこれは原則ではないかということにつけ加えて、いまの話をしているわけであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど申し上げましたように、行き過ぎた設備投資、これが今日の原因でもある、こういう意味で新規の投資は抑制しておる。これが自主調整、こういう形の上で行なわれておるということを申し上げました。ただいま設備投資、これにメスを入れるべきだ、その方向にただいま動いております。
○藤田進君 関連。どうも聞いておりますと、若干答弁にズレもあるように思われるので、確かめておきたい点が三点ございます。 その第一は、いろいろ言われていて、本院予算委員会においてまだ明確でない点は、第一に、所得問題が、いまひいては過剰生産処理方式についての論及がありましたが、中期経済計画、これは前三月の議事録によりますと、高橋経済企画庁長官は、電子計算機、人間よりよほどえらいものがこれをきめたので——聞いておられるでしょう。電子計算機を何べんも振りかざしました。きょうは来ていない。きのう彼に言ったのですが、きょう来てくれと。まず絶対に間違いない。これは三カ月くらい後に一体どうなったのだろうか。藤山企画庁長官の所論を見ますと、これは景気が浮揚するまでたな上げだというようなことを中心に言われている。しからば安定成長というふうに切りかえたのかといえば、どうもその辺があいまいであります。 安定経済成長とは、過去の自民党としての党是であったはずの高度経済成長、所得倍増政策というものがどうなったか。長期経済計画の今日的位置づけはどうなっているか。それから、高度経済成長、所得倍増政策というものが、佐藤内閣の安定経済成長というものとの関連において、これはどうなったのであろうか。これが第二の点であります。 第三は、いま総理から言及されました過剰設備、したがって過剰生産、これが抑制のために自主調整、いわゆる操業短縮、これには池田さんの経済的論理のいわゆるバックボーンでございましたでしょうか、下村君の説もここにありますが、長文にわたって、福田蔵相をはじめ経済会議等が言っている縮小再生産というか、縮小均衡というか、これに対して論駁をしている。同じ内閣総理大臣の自民党の背景をなしたものでさえそういう対立があるわけです。とすれば、いずれにしても、ここでこのような景気の浮揚論争についてはかなり長期になされておりますが、その時期のめどについても、いや秋ごろからとか、来年早々からとか、いや来年の秋とか言われているように、なかなか容易ならざる状態であります。とすれば、ことばはどう言うにいたしましても、過去の高度経済成長政策というか、超高度設備投資経済、投資景気というものの経済指導というものは適当でなかった、まあ失敗だったというか、そういう点をどう規定されて、再出発されようとするか。 この三点については、非常に論議の基礎になりますので、明確な、簡単でよろしゅうございますから、御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 第一は、ただいま言われるように、政府自身が経済に一つの計画、中期計画、こういうものを持たなきゃならぬのだが、現状でいわゆる中期経済計画、この前つくったものを一体どう考えておるのか、こういうお尋ねでありますが、この点はしばしば申し上げましたが、私、ただいま一番当面して政府が力を尽くさなきゃならないのは、当面の不況克服です、こういうことを実は申し上げました。ただいま真剣に取り組んでおるのがこの不況克服、そうして不況を克服して、その上で中期経済計画というものと今度は見合っていく、かように御了承いただきたいと思います。先ほど藤山企画庁長官が、しばらくたな上げしておくのだ、こういう話をした。たな上げというようなことばになりますか、私のいま申すのも藤山君の言うのも同じ考え方だと思います。政府は当面する問題、これとひとつ真剣に取り組んでいく、そういう考え方であります。 第二は、いわゆる安定成長ということを言っておる、これは高度成長政策に対応するものだと思うが、この安定成長の態度というものは一体どこにあるのか、このお尋ねだと思います。これがただいまの中期経済計画にも関連してくることでございますが、いわゆる私どもは経済の性格をどこまでも安定基調に乗せるということが大事なことだ。安定成長、これはすべてがバランスのとれた、いわゆる不均衡のない状況においてできるだけの成長をするということでありますから、別に成長をとめるというものではございません。高度経済成長はその点がやや不明確だ、いずれにいたしましても成長さえすればいいのだという感じがあったというように一部ではとられておる。しかし、高度経済成長にもりっぱな理論がありますから、そんな乱暴なものではなかった。しかしながら、今日指摘されるようなあるいは不均衡、あるいは不安定な状態が各産業間相互の関係において見受けられるようになった。だから、この点があるいはひずみの是正だ、こういうような表現をされておりますが、高度経済成長の持ったひずみの是正、こういうひずみ、こういうものをなくしていくというのが実は私どもの安定成長のねらいであります。この安定成長はただいまの不況対策と同時に並行して推進していかなければならない、これが当面する二つの課題であります。したがいまして、この安定成長というものがいわゆる現在の不況を克服して、その上でまた、克服の大体見当がついた、そういうところで安定成長というものを考えていく。そのときにいわゆる中期経済計画、こういうものとこれをあわせて考えてみよう。中期経済計画はもちろんことしだけの一年こっきりの問題ではございませんので、これは五カ年計画のものだ、こういうことでございますから、そういう意味でいわゆる安定経済成長ともあわしてみる、こういうことをいたしたい、かように考えております。 第三の問題でありますが、ただいまの設備投資、これについては片一方で過剰設備ということがいわれておりますし、そういう意味から自主調整をしておる。しかしながら、設備といいましても、ものによりましては、設備の工事期間、あるいはその竣工に二年、あるいはものによっては三年等を要するものもあります。したがいまして、今日この設備を全部オールストップだ、こういう単純なことにはいかない。将来の経済の成長ということを考えますと、やっぱりかき乱さない状況のもとにおいての設備投資は計画していかなければならない。だから、ただいまやられておりますいわゆる自主調整相互の間におきましても、いわゆるシェア競争におちいらないように、そういう意味においてもお互いの話し合いは率直にしておるようであります。これは必要なことだと私は思います。しかして今日現状において設備がすでに過剰の状況であります。したがって、それをフルに使ったらその生産品がはけないという状況になります。昨日もお話がありましたが、そういうものが滞貨金融の形でただ貯蔵されるだけだ、こういうようなことになれば、これは事業の収益性も非常に下がってくる、こういうことがありますので、ここでいわゆる生産をお互いに自粛する、こういう問題があると思います。したがいまして、ただいまの操業率というものが下がっておる、こういう場合におきましても、これがいわゆる自分のところの生産をして、そういう生産が必ず消費につながっておる、売れる、こういうふうな状況のもとにおいての生産をたどっておる。しかし、私どもの考え方では、こういう場合にもちろん自由競争、こういうたてまえをとっておりますので、これがもしも不当にただいまのような事柄が行なわれ、そうして価格がそのためにつり上げられる、あるいは定着する、こういうようなことがあって、消費者の保護が万全を期し得ない、そういうことがあってはならない、かように思いますので、この場合におきましても、各種の弊害に対して政府はやはり目を光らせていかなければならない、かような状況でございます。 ただいまお尋ねの第三点は、片一方で自主調整とはいいながら、しかし、これがいわゆる独禁法そのものにぶつかるようなことでは、これは許されない。また、そういう意味で監督も十分しておる。しかして、これはただ単に設備だけの問題ではないし、それが同時に、生産の過程におきましても、やはりだんだん生産が落ちる、こういうことになる。昨日お話のありました滞貨金融をやって収益率を下げるようなことは避けるということになってくるのであります。そうなりますと、いわゆる会社の収益率も下がってきますが、また働く労働者自身としてもこれは特別な給料等の引き上げにも支障を来たすでしょうし、あるいはその他の出来高払い等におきましての収入も、特別な生産はない、こういうようなことになり、非常に困難な状況になる。これが最近の勤労者の所得がやや減退しておる、そういうような形において出てくるのじゃないかと思います。しかし、ただいまのところ、まだ積極的に雇用の面まで大きな状況が出てくるとは思いませんけれども、いわゆる安定成長というものも、安定成長のもとで完全雇用を意図しておる。結局経済であるが、同時にお互いの生活の安定、これをねらって初めて安定成長ができるのでありますから、そういう意味の努力をするということであります。
○藤田進君 まず第一の点ですが、中期経済計画は、藤山企画庁長官の言をかり、ほぼ同一である、つまりたな上げだと。しかし、これは昭和三十九年度を初年度として、今年四十年、あとあなた三年ですよ。所得倍増政策そのものについてのどうも功は問うが罪は問わない、単なるひずみといったような、非常に軽くものを考えて表現されております。しかし、中期経済計画ということ自体が高度経済成長というものに対する一つの手直しという論もあったように、これを一時たな上げして、いまの不景気がいわゆる過剰生産である、これを何とか自主調整なりなんなりして当面押えていきつつ、これは金融政策等を中心におやりになることだと思うのですが、しかし、それも中小企業等の倒産があり、金融面ではむしろ国家財政においても繰り上げ執行をする、一割留保はこれを解くとか、混迷に混迷を続けていて、結局つかみどころのないことになる。私は、中期経済計画そのものもしかりであるけれども、過剰生産というこの状態が、ここ二年や三年で再び、池田内閣以来のいわゆる高度経済成長の線にまた戻ってくるのだとあなたは言われますが、そういうこと自体がどうも現実に即さない議論ではなかろうか。これがわが国の国内の不況だけではなしに、世界経済から見ても過剰生産期に入りつつあるわけです。すでに入っている。ですから、設備の近代化といったようなことにおける設備投資にあるとしても、新規生産力増強という意味ではかなり問題が残っている。そこに私どもは、高度経済成長というものは、何といわれても、重大なるここに転換をされなければならない。このセンスがなければ、ことばだけで解決するものではないと私は思うのです。 他にも関連があるようでございますから、長くは申し上げませんが、藤山さん、あなたはまあ財界出身といわれているが、どう受けとめて、どうしようとされるのですか。日本の経済政策をどのように指導をしていかなきゃならぬと思われるのか。中期経済計画、あるいは高度経済成長、過剰生産といったようなものをここに背負って、この悪条件をどう切り開いていこうとされるのか。いままでの御主張ではつかむものはない。藤山さん、どうです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知のように、いわゆる所得倍増計画というもののある程度の修正を考えたものが中期経済計画ではないかと思います。したがって、そういう意味において中期経済計画というものは若干の高度成長に対する批判的な形をもってあらわれてきたと思います。しかし、今日の事態から申しますと、すぐにこの中期経済計画の線に乗せていくと、あるいは中期経済計画どおりにやっていくということは、私は適当でないので、やはり今日は、まずいま申し上げましたような不況の実態、そういうものを、第一は刺激をいたしまして、そうして不況から脱しなきゃなりません。しかし、ここまで来た不況が、いまお話もございましたように、設備投資が非常に多かったということはわれわれもまあ認めざるを得ないのでございまして、したがって、将来設備投資をある程度押えていくと。押えていくということは、今日の状況、過去の状況から申しますと、いわゆる銀行の系列融資その他の弊害も出てきておりますし、あるいはシェア競争というものもそれに伴って刺激されてきていると思います。そういうような意味において、その辺から自粛もしなきゃならぬし、ある程度行政指導も私はしなきゃならぬ。 で、そういう立場に立って、さて安定成長というものを考えてまいりますと、中期経済計画というものはもう一ぺん私は再検討をしてみる必要があるのじゃないか。ただし、その再検討をするのは、こうした景気の最悪の事態におりますときにするよりも、いま少しく景気を浮揚して、そうしてある程度現状から脱却するようになったときに、ほんとうの今後の長期的な展望に立って一つの計画を策定する、それが私どもの申しておりますような安定成長の路線の指導指標になりますようなものをつくっていくということが、私は大事なのではないか。そこで、いますぐに中期経済計画を手直しをするということよりも、むしろいまはまあそっと触れないでおいて、そうしてそういう時期になったら再検討をしてみると、こういうことが必要だと、こう考えておるのでございまして、大体総理もそういう考え方だろうと思います。
○藤田進君 高度成長政策をどうするのですか。藤山さん、答弁漏れだ。高度経済政策並びに所得倍増政策との関連はどうなるか。それはもうやめたんでしょう。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ですから、いわゆる所得倍増計画といわれておりましたですね。
○藤田進君 七%です。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 高度成長政策でございまするが、これは中期経済計画でも、ある程度それを修正するような気持ちで中期経済計画が私はできたと思います。それでなければ中期経済計画をつくる必要はなかったのであって、あのままの形で押していけばいい。しかし、そうでございますから、中期経済計画をまあつくられたと思います。が、しかし、今日の状態では非常に、このいわゆる高度成長政策、そうして中期経済政策を立てた時期どおりにいっておりませんので、したがって、高度成長政策というものはむろんわれわれはこれを転換してまいらなければならぬ、その転換は安定成長の路線だと。そこで安定成長ということは私はつり合いのとれた成長を見ると。たとえば公共的な事業に対する投資、道路と産業との格差が非常にあり過ぎる。産業の大きさに対して道路が十分な役割りをしていない。あるいは輸送も同じことがいえると思います。したがって、そういう意味でもってつり合いがとれてこなきゃならぬ。また、資本構成においても、大、中、小と違った資本構成、あるいはそれらの発達の過程が、合理化の過程がちぐはぐになっている、それを同じような状況でもって伸びていくように指導していかなきゃならぬ、こういうのが私は安定成長だと思う。 その結果として、それが七%になるか、一〇%になるか、六%になるかということは、パーセンテージの問題でなくて、一〇%でも安定成長で行き得るときがございましょうし、あるいは六%でも安定成長路線としては十分だというときもあろうと思うのです。ですから、これは伸び率のパーセンテージでなくて、全体の産業がバランスがとれて、業種間においても、あるいは企業別に、農業と工業もそうだと思いますし、そういうものが安定し、そろって成長していくということが安定成長だ、それが物価を安定させるゆえんでもあり、それから輸出貿易を伸ばすゆえんでもあると、こういうふうに私考えておるのでございます。
○木村禧八郎君 関連。
○委員長(平島敏夫君) 関連質問はできるだけ簡潔にお願いいたします。
○木村禧八郎君 簡単に二つ質問いたします。 ただいま安定成長について政府の説明ございましたが、企画庁長官からもお話がございました。要するに、安定成長ということはいろんな、まあ各産業間、あるいは生産、国際収支、その他バランスのとれた、そういう経済状態だ、あるいは農業と工業ですね、あるいは都市と農村、その所得水準の高さとか、そういうものがバランスがとれていると。これはいまさらそんなことを言うのはおかしいと思います。高度経済成長、所得倍増計画をお読みになってごらんなさい。所得倍増政策にははっきりと、所得倍増政策というのは昭和三十六年までに生じてきたいろんなひずみを直す、ひずみ是正ということがちゃんと書いてある。都市と農村、あるいは金持ちと貧乏人、大企業と中小企業、そうしたひずみを直しつつ高度に成長させることが所得倍増政策の目的であると、はっきり書いてある。ただ、それをやらなかっただけなんです。そのとおりにやらなかっただけなんです。そうして重化学工業に重点を置いて投資優先型をやったわけでしょう。そうしてその投資の行き過ぎを抑制できなかったのです。作文としては、いま政府が言われているような、バランスのとれた経済のもとで、より高度の成長をすることが望ましい、これが所得倍増政策だったんでしょう。いま言ってることと内容はちっとも変わらないんですよ。ただ、そのために、そのとおりのことを実際政府がやらないで、単なるこれは目標である、実際には日銀の貸し出しを中心としまして、そうして設備は行き過ぎたんでしょう。それを抑制できなかったところに問題があるんでしょう。そうしてそれを是正すると称して、中期経済計画を立てました。 ところが、中期経済計画を見ましても、今度は逆に投資優先型のパターンがあって、むしろ中期経済計画のほうがむしろ投資優先型になっているのです。高度経済成長型になっている。その証拠には、個人消費比率を昭和四十三年までに大体五〇%まで低く下げていくんでしょう。六〇%ぐらいから個人消費を昭和四十三年までに五〇%以下に下げる案であったんですよ。ですから、個人消費と投資との間に一そうアンバランスができるというのが、中期経済計画なんです。逆なんです。ですから、均衡のとれた安定の経済に持っていくというなら、中期計画は全くそれの反対なんですから、個人消費比率と投資比率を、いままでと逆に持っていかなければならないのであって、個人消費比率を少なくとも六〇%以上に上げなければ、投資と消費との均衡のとれたそうした経済にならないのです。この点いかがですか。この点が第一です。 それから、政府は不況を克服すると言いますけれども、どの線までに——たとえば昭和四十年度予算編成にあたりまして、主要経済指標を発表しました。これについては、成長率は名目で一一%、実質七・五%、鉱工業生産は九・五%、農林水産の生産指数は二・九%、それから卸売物価は〇・五%のアップで、消費者物価が四・五%、この四十年度予算を編成するにあたって、政府が見通したこの経済の指標は、現状とはどうなっているか、現在との見通しはどうなっているか。たとえば成長率の伸び率は七・五%ですけれども、いまの見通しでは、このままではどのくらいになりますか。この相違を計数的に説明していただきたい。これはきのう質問しようと思いましたけれども、時間ありませんでしたから、これはできていると思います、通告してございますから。四十年度の予算編成にあたって政府が見通した、またわれわれに発表しましたこの計数と現状との見通しは、どれくらい食い違いがあるか。そして不況の克服とは、計数的に一応めどを見るとしまして、大体この四十年度に予定した、これは安定成長の前提でつくられたと思うのです。ここまでこれを回復することが、大体四十年度の予算のときに見通したその程度までに成長率が伸びない、鉱工業牛雄なり、あるいは物価なり、そこまで持っていくのがいまの不況克服のめどであるのかどうか、この点はっきりさしていただきたい。この二つの点。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知のように、高度成長政策においても、経済というものが安定成長的にバランスがとれて成長していくということはだれでも考えたところなんです。ですから、そういう目標で策定されたと思いますけれども、しかし、そのこと自体がうまくいかないで、今日の状況になっておる。そこで、中期経済計画というものができて、御指摘のような点もございます。それですから、われわれとしては、新しくやはり今後の事態に対処してどうやっていくかというような指針をこの際つくることが必要じゃないかということはわれわれも考えております。ただ、いますぐにそれを策定するということが、また非常に今日の事態から見て、私は必ずしも、材料等を集めてみましてもむずかしい状況でございますから、いましばらく安定した後にひとつそういうものをつくって、そして今後の資料にしていきたいということでございます。 それから、第二の点、昨年の予算編成のときに、四十年の見通しというものについては、申すまでもなく、相当今日の現状から申せば違った状態にございます。したがって、今後これをどういうふうな当初見通しのとおりの成長率に持っていくかということは、非常にむずかしい問題だと私は思います。しかし、今日われわれとしては、先般七月二十八日にきめましたような景気刺激、浮揚のための方策を通じまして、この下半期における経済活動というものを刺激してまいりたい、こう思っております。それがどの程度刺激されるかということについては、これまた非常にむずかしい問題で、影響が出てくる時期等もございます。今日経済は御承知のとおり心理的影響も大きいものでございますから、両者あわぜて浮揚力としてまいらなければならぬと思いますが、そういうものがはっきりしてまいりましたときに、私は本年度の見通し等についても十分な修正を加えて、さらに、来年度の予算編成にあたっても、来年度の予算編成をいたすべき資料の整備をやってまいりたい、こういうふうに考えているのでございまして、いま過渡的な状況の場合に、数字をただいじくり、並べてみましても、必ずしも正確なものができてこないと思いますので、そういう意味においていましばらく待っていただきたいということを、この間総理が申し上げたのもそういう点でございます。
○木村禧八郎君 答弁になっていないですよ。そんな答弁では満足できません。
○委員長(平島敏夫君) またの機会にお願いします。
○木村禧八郎君 委員長、いまの答弁で満足できないのですよ。
○委員長(平島敏夫君) 自分の持ち時間の埋め合わせを関連質問でやっていくというのでは、ほかの方が迷惑しますよ。
○木村禧八郎君 簡単にやりますから。
○委員長(平島敏夫君) それでは木村君、簡単にやってください。
○木村禧八郎君 具体的に質問しているのでしょう、具体的に。個人消費支出を六〇%以下にしているということは、これはますます生産と消費のギャップを深める、投資規制型になるから、今後は中期計画を考える。今後の中期計画は、これは再検討しなければならぬといいますけれども、安定成長に持っていくには、個人消費支出をどのくらいに持っていくのかと、少なくとも六〇%以上にしなければいけないんじゃないかということを聞いているのですよ。この点について何ら具体的に説明をしていないのです。 第二は、はっきりと四十年度の予算編成の前提になったこの経済指標と、現状との違いを説明すべきですよ。なぜ説明しない。していないじゃありませんか。たとえばいまの見通しでは、予算編成のときには、実質七・五%、名目で一一%の見通しだったが、現状をもとにすれば一一%の成長率の見通しは、あるいは七%あるいは四%なのか。それによって税収の見積りとか、そういうものの見通しもついてくるのですよ。ですから、そういうものの計数があるのですから、この計数に準じて、これはこういう見通しですと、一一%の見通しは現状ではこの程度ですと、実質はこの程度ですと、消費者物価は四・五%見込んだけれども、いまのままならこの程度になりますと、鉱工業生産は見通しはこれだけれども、現状の見通しではこの程度ですと、なぜそれを説明されないのですか。そのことと、不況克服というのは、四十年度の見通しはこの程度の水準にまで、いろいろな景気の浮揚力をつけてこの線にまで、このめどにまで持っていくのかどうかということを聞いているのです。不況克服というのはめどがなければならぬでしょう。すぐ藤山さんは、数字的に云々というけれども、めどというのは、数字がなければめどがないのですよ。そのためにきちんとやるほかありませんよ。そうでなければなぜこういうものを発表するのですか。政府が数字的に経済見通しの指標を発表するのは、大体の目標、めどというものをつける——めどなくて何の不況対策ですか。たとえば有効需要をつければどのくらいの線まで大体成長率は回復すると、どの線まで鉱工業生産は回復させるのだと、こういう説明がなければ具体的じゃないじゃありませんか。まるでごまかしですよ。抽象的に、ただ口をあけたてしているだけじゃありませんか。口をあけたてして声を出しておるだけじゃありませんか。何の説明になっておりませんよ。もっと誠実に答弁してください。真剣にみな国民は、この不況がどうなるのか、そのめどがどうなのか聞きたい点なんです。もっと具体的に説明してください。そんな不誠実な答弁では困りますよ。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 中期経済計画をやります場合に、いまお話しのような問題がございますから、われわれも再検討してみようということで、安定成長に乗せます場合に、過去の過剰投資というものをある程度押えるということも考えなければなりませんし、また、いまお話しのような個人消費の問題等についても、われわれは過去のいきさつから見て、どの程度が適当であるかということをこれは考えて、そうしてやってまいらなければならぬので、いま六〇%がいいかどうかということを一がいに申し上げかねますけれども、そういう趣旨でやっていかなきゃならぬことだけは私どもも認めておりますから、将来中期経済計画というものを改定してみよう、こういうことでございます。 それから今日の状況におきまして、われわれも二千百億円というこの財投その他の資金を出して、そうして景気を刺激させております。これの決定しましたのは、御承知のとおり七月二十八日でございまして、われわれはいまそれらの効果によって数字をはじいていって、確たるものをこの秋にはつくり上げて、そうして示していかなければならぬので、あまり不確定なものをつくりまして、かえってマイナスしたり、間違ったりするということは、私は必ずしも適当だとは思いません。むろん四十年度の成長率を実質七・五%程度に見たものについて、それに見合うようにすぐになっていくかというと、上半期の成長率というものは十分でございませんから、必ずしもあの景気刺激策だけでそういくかどうかということは、これから十分計算してみなければ、また、波及効果というものを調べてみなければ、ただ理論的に、こういう鉄道に対する投資はこれくらいな波及効果があるのじゃないかというようなことだけでなしに、もう少し実質的にそれらのものを調べてから、そうして確たるものを出していくということが御審議その他の上にも私は適当であって、かえって不適当なものを出しまして、そうして御審議が渋滞する、混迷するというようなことがないようにいたしていきたいというのが私の考え方でございます。
○木村禧八郎君 これは資料をどうして出さないのですか。現状とのギャップをどうして出さないのですか。現状のものはどのくらいであるか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 若干の数字はございますから、事務当局から。
○木村禧八郎君 見通しと、現状とのギャップを数字的に説明してください。
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 具体的な数字につきましては、特に算定しておりませんので、年度当初に、ことしの一月につくりました見通しと比べまして、現在どんなふうに数字が動いていくだろうかということにつきまして、ごく簡単に御説明申し上げたいと思います。 国民経済計算をはじく場合の基礎データについてでございますが、まず、国際収支の面で、輸出につきましては、当初見通しでは七十六億五千万ドルという数字をはじいておるのでございますが、その後非常に順調に伸びておりまして、ことしの四月−六月の水準でほぼ横ばいに推移いたしましても、おそらく年度間といたしましては、為替で八十四億ドルぐらいの台になるのではないかという感じがいたします。それから輸入についてでございますが、これは年度当初の見通しでは七十三億ドルという数字をはじいておったのでございますが、非常に停滞ぎみに推移しておりますので、おそらくこれは七十億ドル前後におさまるのではないかという感じがいたします。したがいまして、貿易収支面でほぼ十四億ドルぐらいの黒字になるのではないかという感じでございます。それから、貿易外の収支でございますが、これは最初の見通しでは六億ドルの赤ということで見ておったのでございますが、これはどうもその後の推移を見ますと、若干赤が大きくなりそうな感じがいたします。したがいまして、この面で大体七億近くになるのではないかと思います。そうしますと、貿易収支と貿易外収支とを差し引きいたしまして、経常収支で約七億ぐらいの黒になる可能性があるのではないかという感じでございます。で、この経常収支につきましては、年度当初の見通しでは二億五千万ドルの赤ということでございますので、経常収支面では相当大きく黒が予想されると思います。これに対しまして資本収支の面では、年度当初の見通しでは二億五千万ドルの黒を見込んでおりましたけれども、その後の状況を見ますと、むしろ長期収支面では逆に赤になる可能性があると思います。これはどの程度に赤になるかということについてははっきり申し上げられませんが、おそらく一億ドル以上の赤になるのではないかという感じがいたします。結局、こういたしますと、基礎的な収支で五、六億ドルの黒といったような感じになるだろうと思います。なお、短期の資本収支については、これは相当赤が出るのではないかという感じがいたします。これにつきましては、まだ十分な見通しを持っておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、これはかなり赤になる可能性があるのではないか。結局、総合収支面では、年度当初の見通しでは差し引きゼロというふうに見ておったのでございますが、総合収支を見た場合には、おそらく若干の黒ということになる可能性があるかと思います。このようなことで見たときに、おもな国民経済計算の構成項目について感じを申し上げますと、これも、ただいま長官が申しましたように、現段階でどっちのほうにシフトするかということを申し上げるのは、はなはだある意味では冒険かと思いますが、はっきり数字を申し上げられるような段階でございませんけれども、感じを申し上げますと、まず、個人消費支出でございますが、これは当初見通しといたしましては一二・七%のアップということを見通しを持っておったわけでございますが、これは若干停滞ぎみに推移しておりますので、この伸びは当初の見通しをやや下回ることになるのではないかというような感じがいたします。それから民間設備投資につきましては、これは三十九年中に非常に高水準で推移をいたしまして、四十年に入りましてやや停滞ぎみに推移をいたしております。それから在庫投資の三十九年度の下期から、かなり水準が低下しておるように思われます。これらの民間投資は、諸般の施策の影響もありまして、今後回復が予想されると思います。しかしながら、おそらく年度間の見通しといたしましては、当初の見通しを若干下回るのではないかという感じでございます。それから、これに対しまして、個人の住宅投資は引き続いて堅調に推移しております。それから、輸出入関係その他の国際収支面についてはいま申し上げたとおりでございます。このようなことで、鉱工業生産でございますが、これは生産調整の進展を反映いたしまして、非常に停滞を続けておるわけでございますが、これは、先般来とりました景気回復策がおそらく秋口ごろから次第にあらわれてまいりまして、秋ぐらいになりますと、おそらく上昇基調に来るのではないかという感じでございます。総じて申しまして、経済は秋ごろから本格的な回復過程に乗っていくのではないかという感じでございます。 項目別に見ました大体の感じを申し上げますと以上のとおりでございます。
○木村禧八郎君 成長率は。
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 結局、おそらくこういうことで試算した場合にどうなるのかということでございますが、成長率自体としては、上期は非常に低迷した姿で推移しておると思います。したがいまして、この間の景気回復策は、おそらく下期にはその効果をあらわしてくると思います。しかしながら、上期に停滞したということの影響もあって、これは感じでございますが、成長率そのものは若干当初の見通しを下回る可能性があるという感じがいたします。これはしかし下期の推移も、政策効果の発現状況を見てみないと、その辺のことは断定的に申し上げられません。
○木村禧八郎君 感じだけではどのくらですか、見通し。
○政府委員(宮沢鉄蔵君) 上期は非常に停滞して推移したのではないか、これは感じでございますが、おそらくほとんど横ばいで推移したのではないかと思います。
○藤田進君 佐藤さん、いまのように、経済指標ないのです。
○藤田藤太郎君 いまの四十年度の見通しと、現状についてひとつ資料にして出して、お願しておきます。 それから、いま総理大臣は、生産調整、労働雇用問題云々と、こうおっしゃったけれども、今日までにものすごい過剰生産設備ができているわけですから、これを使って生産を高めて、これだけ国民の、要するに需要の面をあげていくというところに力を入れない限り、根本的に解決せない問題ではなかろうか、私はそれを思うのであります。ただ生産を下げて、企業家の利益だけを守るという施策によって、安定成長ということじゃ、私はやっぱり今日の事態というものは解決せないのではないか、私はそう思う。だから、ここでそれに関連して申し上げてみたいのは、税制の問題です。で、国民が物価の値上げでああいう状態になって苦しんでおる。所得はふえるというけれども、実際は実質生活は切り下げられている。税金はどうかといったら、日本は標準家族で五十四万円、アメリカが百三十三万、フランスが百二十七万、ドイツが八十八万、イギリスが八十九万までが免税点なんであって、そういうことについても、これは大いにひとつ考えてもらわなければならない問題であると思う。この問題を、税制の問題をどうしていくか、それから中小企業の倒産が三十八年までは千件台のやつが、昨年は四千九百台になっている。これに対する中小企業の保護施策をどう計画をしていくか。もう一つ、社会保障でありますが、社会保障はあとで質問しますから、根本的に、つくった工場を生産調整するのじゃなしに、つくった工場はフルで動かして、国民の幸福のために経済活動をしていくというのが政治経済の原則じゃないかと私は思う。それにおっかぶせて行き過ぎな投資をやらして、それもまた、こしらえた生産機関はほこりをかぶってとまるというような、そういうところの根本にメスをかけない限り、私はどうにもならぬじゃないか。ちょっと聞かしていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 税制をどうするかというお話でございますが、本年度においてもお話しのような考え方のもとに、企業、個人を通じて減税をいたしておるわけであります。また来年度におきましても、減税をさらに進めていきたい、さらに長期にわたりましても、企業、個人を通じまして、大幅な減税をいたしていきたい、さように考えております。
○藤田藤太郎君 それじゃあなたの、免税点をどこまで引き上げて、全体のこれは事業では、免税点は四十万円ですよ。だから、それをどこまで上げて、零細な所得の人をカバーしていくかという方向を示していただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 来年は、個人につきましては免税点を六十万円までもっていきたいということを考えておるわけでございます。またこれと並行して、企業の体質改善という考え方のもとに、減税を考慮したい。さらにこれと並行いたしまして、長期にわたってどういうふうに国民負担を軽減するかという構想をこれから進めようといたしておるわけであります。税制調査会等もあることでございますから、よくそういう方面の御意見等も承りまして、慎重を期してまいりたい、かように考えております。
○国務大臣(三木武夫君) 中小企業の倒産についてのお話がありましたが、これはいま政府が景気浮揚策をとっておることも、大企業と中小企業は敵対関係にあるわけではないわけで、全体としての景気をよくするということが、やはり中小企業に対しても経済活動を活発にするわけであります。大企業と密接不可分な関連を持っている。ただ中小企業に対して下請代金の遅延とか、いろいろしわがよりやすいわけでありますから、これらに対しては下請遅延防止法の改正などによって、この改正法律案をできるだけ厳重に履行するとか、あるいは地方の通産局ごとに金融懇談会のようなものをつくって、そして役所も事業所も金融機関も一体になって、中小企業の倒産が非常にふえていくような傾向を防止するための処置も講じておる次第でございます。
○亀田得治君 ちょっと資料について。藤田君の質問が一区切りつきまして、別な問題に移るようでありますから、この際、先ほど外務省のほうから配付されました資料につきまして、ひとつその性質その他につきまして、まず、御説明をさしてほしいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 政府委員をして説明をいたさせます。
○政府委員(後宮虎郎君) きょうとりあえずお配り申しました資料は、提案理由の説明と、それからこの六月二十二日署名が済みましたあとで、韓国の各問題についての代表が、政府の国民に対する日韓交渉のPRのために報告会をいたしましたその内容をとりあえずお配りしましたわけでございます。この議事録そのものにつきましては、これは実は韓国側の制度の関係で、すぐにこれをこちらへ公式に引き渡しを、交付を受けまして、そうして日本で公開することができるかどうかにつきまして、いま実は韓国側と打ち合わしている最中でございまして、そうしてその上で、もしできるだけ早く交付を受けましたら、翻訳をいたしまして配付いたしたい、こういうふうに思っております。なお、きょうの午後には間に合うと思いますが、韓国の政府が各協定につきまして逐条の解釈を公開いたしております。これはいま鋭意印刷中でございますので、きょうじゅうには配付できる、そういうふうな考えでございます。
○亀田得治君 ちょっと事務的な点をまずお伺いをしておきますが、韓国の国会の会議録というものは公開されておらぬのでしょうか。何かそういう印象、感じのするようなお答えがあったわけですがどうなんでしょう。
○政府委員(後宮虎郎君) 日本でありますと、官報で一般に市販されるわけでありますが、韓国においては市販されていないわけであります。ですから、これを得ますためには、向こうの政府ないし国会当局の特別の好意によらなくちゃいけない。それからまた、そうして得ました場合も、それを翻訳をして、外国の公開の席上で利用できるかどうかという点について、いまソールで先方と折衝させておる、そういう段階であります。
○亀田得治君 会議自体は公開されておるわけですから、したがって、その会議録が努力をして手に入らないというふうなものでは私はなかろうと思います。それは直接政府間でそういう話し合いをする場合もあるでしょうし、あるいは関係の国会議員なり、そういう方々を通じてでもこれは手に入るものなんですね。おそらく日韓会談に関してあれだけ世論が高まっているわけですから、民間の人もやはり自分たちの筋の国会議員を通じておそらくちゃんと手に入れておると思います。そういうものが日本政府になかなか入らない、そうしてこういうところに出してくる資料を見ると、何か新聞の記事というものから転載したものを出してくるというふうなことは、はなはだ私、この重要な問題に対する取り組みとしては、熱意が足らぬのじゃないか。この資料の集め方一つについてもそう思うわけでありますが、そういうふうにやれば当然もっと早くこれは入手できるものだと思うのですが、どうなんでしょうか。おそらく前田事務官等では、何らかの方法ですでに入手しておるのじゃないでしょうか、どうなんですか。
○政府委員(後宮虎郎君) 御指摘ごもっともでございまして、国会の審議自身は秘密会でないわけで、公開でやっておりますから、その議事録が公開できないというのは不思議じゃないかということで、先方と話し合っているわけです。確かに個人的の好意や何かで見せてもらえることはございましても、たてまえとしましても向こうが公開できるということを一札とってからでないと、個人的に、好意的に見せてくれた人に対して迷惑がかかるということがございますので、その点をはっきりしました上でというのが現状でございます。
○亀田得治君 ちょっと中身のことはあとにして、どうもそういう点を右から左、さっぱりとはっきりさせない。これはやはり中身が日本政府の説明と矛盾したりしていて出しにくい、そういうところがやはり根本ではないかと思うのです。いずれにしましても、外務省が幾らおしぶりになっておりましても、こういうものは日がたてばもちろんわれわれにもいずれは手に入るものなんですから、とにかくそうぐずぐずしないで、早くこういうものはひとつはっきりしてほしいというふうに、これは強く要求しておきます。 それから、資料がただいま二つ出され、午後さらに、丁総理の、逐条に関する見解を述べたものを出されるということでありますが、外務省にはもっともっとたくさんこの日韓会談に関する資料があるやに漏れ承っておるのですが、どうなんでしょう。出されたものは、提案理由の説明と、そうして五名の方がこの条約について演説等をされた、それだけしか出ておらぬわけでありますが、これだけの資料では私はなかろうと思う。また三名相当専門家を派遣しておられて、これだけの資料しか手に入らぬ、そういうものでは私はなかろうと思うのですが、これだけしかないのかどうか。もっとあるのであれば至急に全部出してもらいたい。昨日の、羽生委員なり私たちの要求は、そういう意味で要求しておるわけです。自分の都合のよさそうなところだけを抜き出して出す、そういうものではございません。 それから、このナンバーですが、たとえば厚いほうは資料25となっております。それから、この「韓日会談白書」というやつは資料11となっております。このナンバーのつけ方から見ましても、相当何か抜けておる。ここへ出されておるものが、抜けておるように感ずるわけであります。ナンバーの説明もついでにちょっとやってもらいたいと思うわけです。
○政府委員(後宮虎郎君) もちろん会談関係の資料といたしましては、たえずこちらで集めておるわけでございます。しかし、一番おもなものといたしましては、向こうの新聞雑誌等にあらわれました日韓会談に関するいろんな人の論説等を翻訳して資料にしております。それを一連番号にしておるわけでございます。それで、いままで白書、それから、きょうお配りいたしました向こうの代表の公式の席上における発言、それから、きょう午後やはりお配りいたします政府の逐条解釈、これ等すべて公的な立場のもとにある人が公式に発言したものでございますので、これが一番資料としては国会等で御審議いただくのにいいと思いましてお配りしているわけで、別に隠しておるわけではございませず、向こうの秘密文書等とれませんから、いろいろな資料等、大体文書は向こうの新聞雑誌等に出ましたいろんな朝野の人の発言等を取りまとめたものでございます。 それから、お話にございましたそれ以外の資料につきましても、向こうの国会審議を、日本側で、いまの段階でわれわれに都合が悪いから抑えているということではございませんで、むしろこちらのほうでも、国会で、審議の状況を出すということを申し上げた以上、実は、われわれとしても、できるだけ早く向こうとの話し合いがついてお配りできるようになればいいと思っている次第でございます。
○亀田得治君 そうすると、この点も要求しておきます。ナンバー11とか25とか、これはまあいただきましたが、それ以外の部分ですね、秘密のものは一つもない、向こうで公開されたものを自分たちが資料にしてるんだといういま趣旨のお話でございましたので、これは委員長から、とくとそういうふうに要求をしておいてもらいたいと思います。よろしいですか、その点は。
○委員長(平島敏夫君) もっとはっきり言ってください。
○亀田得治君 1から全部全資料を出してほしい。まだほかにあるということはいまおっしゃった。
○委員長(平島敏夫君) ただいま要求されました一からずっとそろえてというあれ、どうでございますか。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(平島敏夫君) それじゃ速記を起こして。
○政府委員(後宮虎郎君) 先ほど申しましたように、公開の資料でございますから、別に差し控えるあれがございませんが、何ぶんずっと前からの資料で、リプリントする必要がございますので、その時間的余裕を与えていただきまして、できるだけ早く提出できるようにしたいと思います。
○委員長(平島敏夫君) 亀田君、いいですか。
○亀田得治君 ちょっと稲葉君が……。
○稲葉誠一君 いまいろいろとお聞きしておったのですけれども、韓国の国会の議事録が外務省に当然入手してあるわけでしょう、これは。ことに仮調印以後のものなんか当然あるわけですね。私自身は韓国の議事録持っているわけなんですから、あなたのほうは当然あると思うのですが、東京の本屋に頼めば幾らでも入るわけです。それはあなた知っているわけですからね。当然韓国の国会の議事録が外務省に入って、それが翻訳されていろいろの資料として配られているのじゃないですか。その点はっきりしてくれませんか。
○政府委員(後宮虎郎君) 向こうでは議事録は市版されていないのでございます。それで、資料入手のソースをはっきりすることは、かえって向こうに迷惑をおかけする場合もありますので、その点、どうせ公開の議事を議事録にしたのだから公式に利用さしてくれという点の了解をつけた上で配付したい、いままで入手径路といたしましては、先方の好意に従って向こうに出張している者が——ですから、全部が全部というわけにいかないわけでございますが、できるだけ現物を見せていただくように努力はしているというのが実情でございますが、公然と市販はされていないわけでございます。
○稲葉誠一君 外務省にあるのですかないのですか、議事録があるのかないのか。
○政府委員(後宮虎郎君) そういう状況でございますから、全部はそろっておりませんけれども、一応できるだけそろえるように努力はしているわけでございます。
○亀田得治君 若干あるのですから、ある部分だけでも出さしていただきたい。よろしいな。一々念を押しておかんとごまかされる。委員長どうです。
○委員長(平島敏夫君) 必要な部分だけでいいでしょう。
○稲葉誠一君 あしたそれに基づいてぼくはあれしますから。
○政府委員(後宮虎郎君) 先ほど申し上げましたとおり、政府と申しますか、外務当局として、別に向こうの資料をたまたま手に入っているものを出ししぶるということではないのでありまして、向こうの協力してくれた人の迷惑等の問題も考えまして、先方とはっきり了解をつけた上で、できるだけ早く翻訳をして出せるようになったらお配りする、そういうつもりでおります。
○亀田得治君 ちょっとおかしいですな、これは余分な時間ですから、この程度にしておきますが、とにかくさっぱりと出してもらいたい、持っているものは。それから、明日どうせ社会党の時間でこの問題についての御質問もあると思いますから、私もこれで終わりたいと思いますが、ただ、この資料を拝見して、明日は佐藤総理おられませんので、ぜひこの場でひとつさらに確めておきたい重要なことが資料に書いてあるわけです。それば、昨日あなたが羽生委員の質問に対してお答えになったそのことと全く相反することが書かれておるわけなんです。で、私は、こういう資料は外務当局としても、外務大関なり最高責任者、総理に見せるべきだと思うのです。総理なり外務大臣はそのようにおっしゃっておるが、向こうではこういう資料がありますよ、公の資料。そういうことが一体されているのかどうか。中身を指摘しないとどのことを言っているかわからないと思いますので御指摘申し上げますが、李外務部長官の提案理由の説明の中で、韓国の管轄権につきましてこういうことを言っているわけです。読みます。「「韓半島における唯一の合法政府」であることを、日本をして確認せしめることによって、われわれの国際地位をさらに一層宣揚したのみならず、日本の外交面において、両面政策の可能性を封鎖した。」、こう書いているのであります。この意味は、明らかに韓国の管轄権は南北全部だという立場に立ち、したがって、北朝鮮との外交交渉というのは日本政府はできないのだ、これはもうことばの意味からはっきりするわけであります。で、それに対して、資料25の三ページによりますと、同じ部分につきまして、もっと明確な表現を使って見解を明らかにしております。その点を沈みます。「したがって、われわれと基本条約を締結した以上今後日本は、北朝鮮と外交関係を樹立できるとか、領事関係を樹立できるとかいった道は完全に封鎖されている。このような意味で、わが大韓民国政府の法的な性格をはっきりとここに規定したわけである。」、こう書いておる。昨日、総理大臣は羽生委員に管轄権の問題につきまして答えまして、羽生委員が念のために、この条約によって北朝鮮との国交回復を妨げるものではないという理解をしてよろしゅうございますねと、こう念を押したのに対して、総理は、この条約、協定は北朝鮮には全然触れておりません。その点を御了承いただければ、ただいまお尋ねになりましたこともおのずからわかるだろうと思いますと、これはだれが読んでも、羽生委員の質問に対して肯定的に答えておるわけであります。そういう意味のことは、従来も外務大臣その他からも発言があるわけでありますが、昨日は公式の統一的な見解として出されたわけなんです。それと政府から配付されましたこの信頼するに足る資料とが全く相反しておるわけですね。こういうことは放置できないことでしょう。その点を総理大臣としてはどう考えるのか。そういうものをあいまいにしておいていいとはおそらくおっしゃらぬだろうと思う。 それから、もう一つは、けさのNHKの放送によりますと、竹島は韓国の領土であることは、椎名外務大臣も認めておるのだと、こういう意味のことを、昨日、さらに李外務部長官が向こうの国会で発言をしておるわけであります。だから、はなはだしくこの両者の意見の食い違いがある。しかも、それは私は一日も放置できない大きな食い違いだと思うのです。この放送は、あるいは総理大臣も直接お聞きになったかもしれませんが、この二点につきまして、ひとつ総理の考え方をあらためてここで明確にしてほしいと思う。
○国務大臣(佐藤榮作君) 昨日、当方の考え方をメモではっきり申し上げました。きょうもきのうと変わったことはございません。重ねて昨日申したとおり、だということを申し上げておきます。 それから、ただいま配っておりますのは、これは韓国政府の資料でございますから、これは確認した資料だと言われると、政府自身が認めた資料だと、こういうことのようでもございますが、ただいま議論のいろいろありますことは、竹島問題などについては、すでに紛争事件だということを申しておりますので、これは御了承がいくだろうと思います。ただいま韓国政府のまた向こうで説明された資料を皆さま方の要求で提出したわけでございますから、その点は誤解のないように願います。 また、韓国側におきましての説明等におきまして、これはよく聞いてみなければわかりませんことでございますが、あるいは不十分ではないだろうか、あるいは意を尽くしてないのじゃないだろうか、こういうようなこともございますが、こういう点は、いずれもっと事態が明らかになりまして——もちろんこれをこのままにしておくつもりはございません。
○亀田得治君 このままにしておくつもりがないという意味は、これは当然だと思うのです。これほど大きな食い違いは、これは放置できないことです。総理として、どういうふうに——これだけはっきり違った表現が出されてきているわけですね、どういうふうに措置されるおつもりか、まあこまかいことまではおっしゃらぬでもいいですが、どうなさろうとするのか、そこをもう少し御説明を願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) この基本条約、あるいはその他の条約によりまして、日韓間の友好善隣関係を打ち立てようとしておる、そういうことでございますし、この条文、あるいは協定を協議いたしました際に、両国政府とも完全に意見の一致をみたのでございますから、この協定、これが意見の一致をみて調印をした。しかも、その事実に基づき、今後友好親善の関係を結ぼうという立場に立って話し合ってまいりたいと、かように思います。
○亀田得治君 非常にしつこいようですが、御質問を申し上げた以上は、はっきりしたいわけでありますが、親善友好の立場に立って話し合っていくつもりだというふうに言われましたが、それは正式に国会に批准手続をとるまでにその間の事情を明確にするという意味でしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) とにかく私どもは、日韓間の国交を正常化させよう、こういうことで今日まで努力してきて、そうしてあの基本条約その他の協定の調印をいたしたのであります。そうして調印するまでに両当事者が完全に意見の一致をみたのでございますから、ただいまお説のように、批准国会をそれぞれそのうち開きたい、ただいま韓国が開いておる。私のほうも、少し時期はおくれますが、これもそのうち皆さま方の御審議をいただくつもりでございます。もちろんそういう祭には、ただいま議論されておるようなことについて、さらに誤解のないように、一そう掘り下げてまいるつもりでございます。
○亀田得治君 最後に、外務大臣に一言お尋ねしておきますが、その一つは、今朝のNHK放送で言われたこと、これはおそらくあなたが直接お聞きにならぬでも、秘書かだれかが、重大なことですから、連絡があったろうと思いますが、そのことについての御説明を、ひとつこの際、承っておきたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) どういう放送か、私は直接聞いておりませんが、とにかくわがほうは、竹島は日本の領土であると、韓国側は、これは韓国側の領土であると、こういうことを主張して両方とも譲らなかったのであります。事実はそのことだけでございまして、私は向こうの説に同意したというようなことはありません。
○藤田藤太郎君 いまの減税問題や中小企業の問題の説明、非常に不十分でありますが、総体的に国民生活を上げる、そういう国民生活を中心に生産と消費のバランスをとっていくという、この基本の上に立って努力がされなければならぬと思うのですけれども、私は、残念ながら時間がないので、次の問題に移りまするが、この点については心してやっていただかなければ、いまの不況対策は、秋から繁栄にいくのだというようなことは、そのときになってどういう答弁をされるか、私は待ちたいと思います。 そこで私は、社会保障が次の大きなファクターだと思うのであります。国民生活を引き上げ、また所得、購買力を引き上げる消費の面の一番大きなファクターでありまして、いまヨーロッパの各国を見てみても、生産と消費のバランスに、社会保障というものが非常に重要な役割りを持っている、私はそう思うのであります。そこで、たとえばILOの資料によっても、西ドイツは、国民所得に対して一二%の社会保障費を出しておる。それからフランスが一八・八%、イタリアが一六・八%というぐあいなのに、日本は六%ぐらいでございます。ですから、政府は社会保障についてどういう理解を持っておられるのか。救貧から防貧へということも議論されたこともありますけれども、主権者国民の生活援護、そしてそのもとの社会保障というのは、むしろ経済、生産と消費の中に重要な位置を占めるということになるのではないか。私は、そういうことをヨーロッパの各国はやっていると思うのですが、総理としてはどういうぐあいに社会保障を理解されておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) あらゆる手を尽くして社会保障の充実をはかっていく、これが私の基本的な態度でもあります。御承知のように、私は人間尊重ということを申しておりますし、また同時に、社会開発ということを政治の理念としておりますから、こういう点からも、できるだけ社会保障の制度を充実さしていく、かような方向でございます。
○藤田藤太郎君 いや、私は、総理のいまの御意見ですが、疑問を持つわけであります。たとえば、今度の中期経済計画を見ても、社会保障を国民所得に対して七%に押えるというわけです、四十三年度に。第一施策じゃなしに第三施策として。企業本位の中期経済計画。いま、中期経済計面についてはいろんな意見があります。個人消費についてもむしろ下げていく。こういうかっこうで、社会保障の伸びるファクターがないわけです。それはどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま基本的態度を説明したのでございますが、藤田さんは、ことしはどうするか、来年はどうするかというような具体的なことをお尋ねになったのでございますから、これらの点は厚生大臣に詳しく説明させます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 社会保障につきまして、わが国が欧米先進国におくれておることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、近年におきましては、国民所得の伸びに即応いたしまして社会保障費も相当な伸張を見せておるわけであります、昭和三十六年には一千八百億程度でございまして、一般会計の総予算額に比べまして、一一・四%程度でございましたが、昭和四十年度におきましては、五千二百億程度に相なっておるわけでありまして、一般会計の総予算額に比しますと一四・一%程度に相なっておるわけであります。今後におきましても、社会保障の充実には政府として力を入れていきたい。欧米諸国との関係でございますが、日本は欧米ほど、道路でありますとか、あるいは住宅でありますとか、そういう社会資本の蓄積がございません。戦後におきまして、そういう府に政府は努力をいたしつつ、一方において社会保障の拡充を進めておる、こういう段階でございまして、今後とも一そう力を入れていきたい、かように考えております。
○藤田藤太郎君 私は藤山長官にお聞きしたい。 社会保障というものは、経済の生産と消費の重要な一要因として各国は考えているということを私は申し上げたのです。ところが日本は、経済のひずみで、いまこれが役割りを果たしていないわけです。そこで私は、所得保障や医療保障を含めた社会保障物価対策の冒頭にも、社会保障と減税ということは企画庁の資料にあるじゃないですか。国家予算で一四%になってふえたといっても、国民所得からいったら二%ですよ、社会保障の政府支出は。二〇%以上の社会保障をやって、働けない人には所得保障及び生活を見る、疾病は社会の仕組みでなおすという、その全体の中で、社会保障をむしろ経済の幹として、社会保障を高めていかなければならぬ。そうして国同士が貿易をして共に発展していくということでなければ意味がないと私は思う。そのことについて企画庁はどう考えますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 社会保障を充実させてまいりますことは当然でございまして、ことに私は、日本の小企業問題を取り扱ってまいりますと、いわゆる零細企業というものは——大中は別でございます。また小企業まではあれだと思いますけれども、零細企業というのは、現状においては、これはやはり経済要因だけではなかなかやっていけないのじゃないか。したがって、やっぱりそういう経済的な問題を考えてみましても、零細企業というものの救済というものは、単に資金を供給するとか、税金をまけてやるとか——現に、もうすでに税金をまけてもらっているような階層が零細企業ですから、ですから社会保障の面を充実していくことによって、いわゆる零細企業というものの一つの解決策があるのじゃないか、こういうふうに考えております。
○藤田藤太郎君 どうも私は、いまのような日本の経済のやり方をやっておったら、結局、先進国との間に差ができてきてしまう、日本は、物をつくる設備だけこしらえて、そうして国民を犠牲にして物をつくる設備だけこしらえて、人間尊重ということをやらない、こういうことをやっておったら、先進国の中から置いてきぼりになるのじゃないかということを私は憂えるから、社会保障の概念を聞いているわけです。どうもいまぴったりした御返事がないわけです。 今度の厚生白書を見ても、今後の社会保障を進めるのには、国民の負担を主にした、国民全体の中で進めていくのだ、物価値上がりやその他で国民が非常に低生活で困っているのに、また、社会保障を進めるにはそこに荷を課していくのだというようなことが厚生白書にも出てきているわけです。今度医療費に少し赤字が出たら、外国の一部負担の面だけずっと並べて、外国も一部負担はこうなんだ、こういう資料を厚生白書に並べている。ところが、イギリスにしたって、全体の八割まで国家が持っている。フランスにしたって、その掛金の八割まで使用者が持って、労働者は二割だ。イタリアは七割まで使用者が持って、労働者は三割ぐらいの負担だ。そういう条件のもとに少し一部負担が課せられている。ドイツのように、フィフティー・フィフティー、日本と同じようなところでは一部負担というものはないわけです。ところが、そういう作為的な形で国民にアッピールしていって、国民から取り上げて、国民の負担によって社会保障を進めていくということじゃ、結局私は、いまの日本の経済にとって重要な社会保障という要因、また経済のひずみを解決する道にはつながらないのじゃないか、私はそう思うのです。これはひとつ、藤山さんと厚生大臣に聞きたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、いまお話し申し上げましたように、日本の現状からいえば、やはり経済面だけで自立していくことが非常に困難であるもの、いわゆる零細企業の八百屋さんとか魚屋さんとか、それらがございましても、それが十分経済的な立場を持って仕事をしていけるかというと、なかなかそういかない現状である。したがって、零細企業というものに対しては、やはり社会保障の面の充実ということが生活を救っていくのだ、そうして従来の経済的仕事を続けていけるのだと、こういうふうに考えておるわけであります。したがって、社会保障の充実ということについては、私は極力今後とも推し進めていかなければならぬ、こう考えておる次第であります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 社会保障におきます一部負担の問題でございますが、これは、医療保険の場合を例にとりました場合には、国民健康保険、また組合健保、政府管掌の健康保険、あるいは日雇い健保等々、いろいろ制度が内容的に違っておりまして、国民健康保険の際には一部負担を現にやっておるわけでございます。しかし、市町村民税の非課税者というような要保護世帯に対しましては、これは全額国庫でめんどうを見ておるような次第でありますが、こういう面につきましては、日本におきましても十分その間のことを配慮しながらこれらの制度の運用をやってまいりたい、こういうことでございます。健康保険の面におきましては、雇用主と被雇用者との負担、それに国が事務費その他を援助をいたしておるわけでありますが、政府管掌の健康保険につきましては、近年非常に保険財政が悪化をいたしておりますので、これが財政対策を、ただいま社会保険審議会、社会保障制度審議会に諮問をいたしておる段階でございまして、この保険財政の建て直しには相当国としても国庫負担等の措置を考えなければならない。かように考えておるわけでありまして、政府としては、社会保障の面につきましては、医療保障あるいは所得保障、各般の社会保障につきまして国としても今後特に力を入れていきたい、かように考えております。
○藤田藤太郎君 まあ、社会保障制度審議会や社会保険審議会で議論されておる問題ですから、あまり触れたくありませんが、私は政府の考え方を言ったのです。自分に都合のいい文句だけ並べて白書になるかということを言いたい。 そこで、医療保険で、いま薬価の問題が非常に重要な問題になっておる。これは、電気製品やその他と違って、自由に販売して無統制の中でメーカーにまかしておくべきものじゃない。一兆円になんなんとする医療費の中の三〇何%を占める薬価、これが自由放任だ。この点について、薬価の自由価格について、医療制度という国の制度の中で今後どう規制していくのか。この点をひとつ聞きたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 薬価につきましては、医療保険の中におきましては薬価基準を定めてやっておるわけでありますが、この薬価基準は、薬価の実勢に応じたように改定をされなければならない、このように考えておるのでありまして、この三年半余り、薬価基準の改定が、いろいろな事情で行なわれていなかったわけでありまして、現在の薬価の実勢とは相当の格差を生じておるのであります。私は、できるだけ早い機会に、実勢に応じた薬価基準の改定を行ないたい、かように考えておるわけであります。なお、薬の統制の問題についてでございますが、ただいまは薬業経営の合理化なり、あるいは相当業界の競争もございまして、年々薬価は値下がりを見ております。したがいまして、私は、薬価につきまして、いま統制をするとか、さような必要を認めておりません。ただ、私が薬業界に注意をいたしております点は、過当競争のあまり、広告料その他に相当の費用をかけている、こういうようなことをできるだけ自粛して、患者負担の軽減になるように、こういうぐあいに指導いたしておるような現状であります。
○藤田藤太郎君 いまの薬価基準の問題、バルクラインの問題、実際に国民が買っている薬品が非常な違いをもって国民に渡っている問題、そういう問題を考えてみるときに、いまの厚生大臣の言われるようなことでは解決せないのではないか。だから、薬品というものを医療制度の中のファクターに入れるというなら、私は、国民が納得するような薬価というものをきめなければ、どうにもならぬのじゃないかということを書いたいのであります。これは、もう一つ深く突っ込んだ見解を聞きたい。 それから、いま政府管掌の健保と日雇い、船員と、こうかかっておるわけですが、たとえば、政府管掌の健保を見てみても、零細な事業、標準報酬の低いところだけが政府管掌になっておる。こういう政府管掌の健康保険に対しては、昭和三十三年のあの経済が悪くなったときに、特別な保護、援助をしていかなければいかぬのじゃないかということが議論されて、そういうかまえが当時できた。私はやはり定率で政府管掌の健保を守っていく、こういうことでなければ解決しないと思うのですが、この考えを聞きたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 薬価につきましての重ねての御質問でございますが、御指摘のように、一般の市販されております薬の値段と、医療保険で採用いたしております薬価基準との間には相当の開きがございます。これをできるだけ早い機会に、薬価の実勢に応じた安い薬価基準に改定したい、こういうことで努力いたしておる段階でございます。 なお、政府管掌の保険財政についての御指摘でございますが、近年とみに悪化をいたしておりまして、昭和四十年度におきましては法の改正をしないでこのまま進んでまいりますと、約五百四十九億程度の赤字が予想されております。それに、いままでの累積の赤字を合算いたしますと、七百二十四億というような非常に大きな赤字が生ずる見通しでございまして、私は、これをこのままに放置いたしますれば、社会保障の大きな柱である医療保険に重大な支障を来たす、かように考えておるのでありまして、ただいま社会保険審議会、社会保障制度審議会に、当面の財政対策につきましての諮問をいたしております。これを解決をいたしまして、将来の保険財政の健全化、基本的の問題をさらに検討してまいりたいと思うのでありますが、その際におきましては、過去における累積の赤字をどう処理するかという問題、それから今後国民保険等とのにらみ合いにおきまして、どのように中小企業を中心とした政府管掌の健康保険に国が負担をしていくか、こういう問題をただいま審議会で御検討願っておる段階でありまして、その答申をまちまして十分な対策を講じてまいりたい、かように考えております。
○委員長(平島敏夫君) 一時五十分再開することとし、これにて休憩いたします。 午後零時五十分休憩 —————・————— 午後二時十四分開会
○委員長(平島敏夫君) ただいまから予算委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。本日、原田立君が辞任され、その補欠として山田徹一君が選任されました。 —————————————
○委員長(平島敏夫君) 次に、昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)を議題とし、質疑を行ないます。藤田藤太郎君。
○藤田藤太郎君 次に、国保の問題についてお尋ねをしたいのであります。国民健康保険は昭和三十六年皆保険として出発をした。ところが、いまの国民健康保険の市町村の実施状況を見ると、非常に問題があると私は思う。一つの問題点は、憲法で示しているように、地方自治——要するに住民の希望によって地方自治体が事業をやる、その事業については、本来、独算制——地方公営企業法という法律で縛っている。ところが、国が責任をもってやらなければならぬことが、むしろ地方自治体の一般会計から国保の赤字を補てんしなさいというかっこうになって、国は法律できめた事務費の問題、その他の約束を果たしていない。将来どういうぐあいに国民健康保険、日本の皆保険を進めていくか、ひとつ見解を承りたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国民健康保険の財政事情でございますが、先般政府におきましては、三十九年度の精算不足額につきましては四十年度予算から百十一億繰り上げ支出をいたしました。また、臨時財政調整補助金といたしまして四十億円を予備費から支出をいたしたのでありますが、その結果、三十九年度の決算状況を見ますと、三十八年度の決算よりも財政事情は改善をされておるわけであります。ただいま御指摘になりました地方団体の一般会計からの繰り入れにつきましても、いろいろ調査の実態によりまして事情があるわけでございます。私どもは国保の事務費につきましても、四十年度予算におきましては、 いままでに見ない大幅な改善をいたしておりますし、今後国保財政の健全化につきましては、さらに一そうの努力を払ってまいりたいと考えております。
○藤田藤太郎君 それではお尋ねしますが、いま市町村が保険料をものすごく値上げをしてカバーしている。高い所になると、高額所得者は年間十万円も保険料を出すような所もある。私は、これが適正なのかどうか、厚生省としても野放しでやっていいとは言えないと思う。いま事務費の不足部分と調整金の分を予備費から出したとおっしゃるけれども、四十年度分の先食いではいままで事務費の不足分として赤字を出してきたものの処理ということにはなっていない。それからもう一つは、その九・五値上げの四十五億、ことしのこれはどうして出そうとしているのか。いずれにしても、標準の保険料がいかにあるべきかということを一ぺんつくってみて、それでも足らない特殊な所は国が見てやる。法律できまった事務費は明確に出す。それでもまだ私は足らないと思うのでありますから、定率を——市町村長会議できめている二五%を四〇%にするというぐあいに、定率を引き上げるという覚悟があるのかどうか、そこら辺をひとつお聞きをしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 特別の調整金につきましては、その年度につきましていままでやってきたのでありますが、今回は保険財政の事情を考慮いたしまして、緊急是正の分につきましては、明年度にまたがりまして六カ月分措置をいたした次第でございます。なお根本的な対策とされまして、標準保険料を設定をしたらどうかという御提案でございますが、今後、保険財政の基本的な再建策とともに、あわせて検討したいと考えております。
○藤田藤太郎君 将来、検討していくと言われるけれども、四十年度分の先食いをして赤字分の補てんをしたとおっしゃるが、それでは四十年度の決算になってきたら、これはどうなるかという問題が出てくるわけです。三十九年度までの赤字の処理をどうするかということを明確にしていただかなければならぬし、九・五の値上がり分の四十五億はどうするのか。まあ世帯員七割給付にするのであるけれども、その四分の三しか持たない。これでやっていけるのか。ここらのことをもう少し詳しく言ってください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 三十九年度の赤字額は三十四億円でございます。三十八年度の決算におきましては三十七億、三十九年度は三十四億ということでございまして、幾らか三十八年度よりも三十九年度の決算は改善されていると思います。これは御参考までに、赤字市町村の数でございますが、三十八年度は三百九十二市町村、三十九年度におきましては二百二十七市町村と、こういうぐあいに幾らかでも改作の方向に向かっているわけであります。で、三十九年度の精算不足分について四十年度から繰り上げた分についてはどうかというお尋ねでございますが、この百十一億につきましては近い機会に補正予算で措置されることに相なるわけでございます。
○藤田藤太郎君 私は、そんなことを聞いているわけではないのですよ。赤字が減った原因は、何で赤字が減ったか。厚生大臣、地方自治体の一般財源を繰り入れて赤字を減らしているんじゃないか。そういうことを——たとえば大阪だけを見ると、三十六年は六億二千万、それから三十七年は十一億、それから三十八年には十億、三十九年に十一億という繰り入れを大阪市だけでもやっている。そういう状態でいいのかということを聞いているのです。私は自治大臣にもひとつ聞いておきたい。地方公営企業法で市町村がやる事業については独算制で、一銭も出したらいかぬといった規律をしていて、国保にはこれだけの財源を一般会計から繰り入れをしている。地方自治体というものは、このために非常に苦しんで、返上決議を全国の会議でしているじゃありませんか。地方一般会計から繰り入れるのはやめよという決議をしているじゃありませんか。また、国保は持ち切れぬから返上するということを議会できめたところもある。実際上、国民生活の生命に関係しているから簡単に返上できないにしても——できないところを見通して、あなたのおっしゃるような議論——結論は、黒字になってきたからというような議論は、国保の根本的な解決にならないということを、私は言っているのです。そこのところを踏まえて言っている。言えといえば私は全部言いますよ。赤字繰り入れ補給……。
○国務大臣(鈴木善幸君) 藤田さんが御指摘のとおり、一般会計からの繰り入れが相当ございます。この状況を見ますと、三十九年度に八十九億の一般会計からの繰り入れがなされております。この繰り入れを理由別に分析してみますと、保険給付費に充てるため、保険料の賦課収納率が低いために一般会計から繰り入れましたものが三十億円。それから法定以上の給付をしているため繰り入れたものが二十億円。それから過去の累積赤字解消のために五億円。事務費の不足のために十九億円。それから保健施設費に充てるため——これは国保だけでございませんで、一般地域住民の保健衛生のために使う——国保事業の中でやっているんでありますが、そのために八億円。繰り入れの理由の明らかでないものが六億円。こういうような状況でございまして、一般会計から繰り入れをするにあたりましては、いろいろな事情がそこにあるわけでございます。しかし、私どもは、もとより満足しておるものではございませんので、国保の保険財政の健全化ということにつきましては、今後も一そう努力してまいりたいと考えております。 なお、家族の七割給付を年次計画をもって進めておるのでございますが、それに見合って国の負担金、補助金を増額するように努力をしてまいりたいと考えております。
○藤田藤太郎君 国保の保険財政の健全化というのは、その制度の中で処理をするということです。一般会計から繰り入れてバランスをとるというのなら——どこに欠陥があるかということを指摘して、国が援護しなければならぬなら、いまの補助薬を上げるなら上げる。この根本の問題に触れない限り、市町村は全部苦しみっぱなしということになる。皆保険として打ち出した国保は、これでいいとは、あなたも言い切れないでしょう。佐藤内閣としてもほっとくわけには私はいかぬと思うんです。そこまで考えてもらわなければいかぬと思う。自治大臣、ひとつ御意見を承りたい。
○国務大臣(永山忠則君) 国保の赤字解消は、根本的には医療社会保険の総合調整しかないと思うんでございます。とりあえずのところは、厚生大臣が申しましたような政府の助成処置を強化する方法をとる以外はございません。
○藤田藤太郎君 あなたは地方自治体を預かっているんですよ。その地方自治体を預かっているあなたは、地方自治体が膨大な資金を国保の財源に——いまお話を聞くと、八十何億出している。これで地方自治体は厚生省のおっしゃるとおりやむを得ないと、こうおっしゃるんですが、自治体を守るという積極的な施策はないんですか。
○国務大臣(永山忠則君) そのゆえに総合調整を進めてもらいたいと申し上げておるのでございます。これは社会保障制度審議会におきましても、総合調整へ前進すべきであるという答申を出しております。この点は厚生省並びに社会保障制度審議会で十分検討して進んでいきたいと考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 あなたは、地方自治体に対して責任を感じないんですか。
○国務大臣(永山忠則君) 責任を感じておりますので、総合調整をして抜本的に解決をいたしたいと考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 それでは労働問題について質問したいと思います。 まず、藤山長官と労働大臣に、きのうからきょうまでの経済の議論があったのですが、その中で雇用問題というものの見通しをひとつお話し願いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまの現状から申しますと、雇用問題は非常に重大でございますが、過去において雇用不足の面があった業種その他が相当ございます。こういうような時代に、そういう方面の求人は、何と申しますか、満たしていくというようなことも考えられますので、当面すぐに失業問題等起こるような状況ではないのではないか、こう考えております。
○国務大臣(小平久雄君) 雇用の状況でございますが、昨年後半期後におきましては、経済界の状況を反映いたしまして、概括的に申しますならば、弱含みの持ち合い状況、こう蓄えるかと思うのでありますが、これを具体的に申しますと、求人の状況につきましては、本年の四月−五月におきまして、前年同期に比べまして大体一六%ほど減少をいたしております。しかし、求職のほうにおきましては、大体前年度と同様でありまして、やや下回っておるという緯度でございます。そういう結果、雇用の面におきましては、伸び率は非常に減少いたしておりますが、これを昨年に比べますというと、大体二%程度ふえておる、こういう状況でございます。 今後につきましても、産業界等によりまして若干の相違がございますが、特に一般産業におきましては、雇用の伸びは緩慢になっておる。ただし、第三次の産業におきましては、これはやや堅調になっております。でありますが、これを全体として見まするならば、経済界の不況が御承知のような状況で続いておりまする間は、大体現状でいくのではなかろうかと、かように見通しております。
○藤田藤太郎君 家庭待機とか、帰休制度を採用するとかいううわさが出ておるが、藤山さんも、労働大臣も、心配はない、こういうことで御答弁なされたから、それを聞いておきましょう。ぜひそういうぐあいに努力をしてもらいたい。 次に、殺到率の多い地方には、産業別、地域別労働力配置計画をお立てになりまして、工場の地方配置をするということを労働省は発表され、国民に訴えられた。そうして、私は、これをやろうとすると、たとえば指導するとか、補助する、援助するとかいういろいろの問題が要ると思うのです。私は、この計画に基づいてどれだけ今日進められているか、まず大蔵省、通産省、自治省、労働省から、この労働力配置計画、工場配置計画の今日の進み方について承りたい。
○国務大臣(三木武夫君) ただいま労働省が中心になって、そして、われわれ通産省も協力をいたしてやっておるのでありますが、具体的な案が出るのは本年の秋ころだと聞いておるわけであります。これは御承知のように、若年労働者あるいは技術労働者の不足あるいは労働の流動性、産業間、地域間の流動性、こういうことを考えてみると、こういう大きなやはり労働の展望、労働流動性に対する展望をもって産業政策と雇用政策とをできるだけマッチしたものにすることが必要である、そういう点で通産省も労働省と緊急な連絡をとって、この案をまとめ上げたいと努力をいたしておる次第であります。
○国務大臣(福田赳夫君) 労働の流動性は、これは政府の経済政策の非常な大きな重点でございます。大蔵省といたしましては、労働省その他関係庁と十分協議連絡をいたして、その措置に当たっている次第でございます。
○国務大臣(小平久雄君) 御指摘の産業別、地域別の計画につきましては、昨年六月にその試案をつくりました。本年の秋までにはこれを完成をいたしたい、かような目標をもってただいま進んでおるのであります。これを具体的にどう推進していくかということにつきましては、もちろん一般の産業政策なり経済政策なりと十分連係をとり、かつ、民間の協力も得まして、逐次、年次の実施計画等もつくりまして、本来の目的であります雇用の円滑化あるいは労働力の有効活用というねらいに沿うてこれを活用してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○藤田藤太郎君 次は、労働災害の問題についてお尋ねをしたい。 今日、一日以上の災害は七十万人、八日以上の補償をする災害が四十万人を数えておる。これを何とか対策を立てて、これだけ、もったいないことを直さなきゃならぬ。この計画についてお聞かせを願いたい。 それから炭鉱災害の問題について、時間がないので簡単に言いまするが、炭鉱災害が繰り返されているのは、一つは、災害事故責任がいつまでたっても明らかにならとぬいうこと、これが一つ、鉱山保安が、生産を中心にする通産省の鉱山保安局にゆだねられている、これが二番目であります。いま起きている先日からの四つのガス爆発について、中毒者、それから死亡者に対する援護措置を積極的にやらなければならぬと思いますが、この点についてお答えを願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘の炭鉱災害は、やはりまず第一番に、労使双方とも保安に対する自主責任感というものが要るという御指摘は、私もそのように考えておるわけであります。しかし、そればかりではまいらぬのであります。たとえば保安の施設であるとか、あるいはまた保安の訓練であるとか、こういう点が伴わなければならぬし、根底には産業政策の面と申しますか、石炭鉱業というものが今日非常に不況にある、こういうことから、ともすれば保安というものがおろそかになる傾向なしとしないのであります。根本にさかのぼれば、石炭鉱業というものが長期に安定をしてやれるような石炭政策というものが打ち出されなければならない。それに加えて、いま申したような保安に対する施設、訓練、事故責任、こういうものを、こういう災害がひんぱんに起こるものでありますから、従来もやっておったけれども、一そう、これは一段とこういう政策を強化して、災害を未然に防止することに全力を傾けたいという所存でございます。
○国務大臣(小平久雄君) 産業災害でございますが、これの発生率は御承知のとおり、三十二年度をピークといたしまして、やや下降の傾向にございますが、産業規模が逐次拡大をいたしておる、あるいは新しい産業が興っておるというような事情もございまして、発生件数の点では、三十六年度まで、むしろ増加の傾向にございました。三十七年度以降は若干下降を示してはおりますが、絶対数におきましては、ただいまお話がございましたとおり、年間七十数万件もまだ起こっておる。死者だけ考えましても、六千人をこえておる、こういう状況でありまして、はなはだ残念に存じておるところでございます。 そこで、労働省といたしましては、もちろん災害の防止のために大いに努力をいたしてまいっておるところでございますが、特に、御承知のとおり、昨年、労働災害防止団体等に関する法律、あの法律が通りましたので、民間における自発的な災害防止の態勢を整えてもらうために、すでに六団体ほど、その結成を了して活動を開始いたしてもらっております。 さらに、役所のほうの態勢といたしましても、昨年、災害対策部の設置をお認めいただき、さらに、監督官も二百名ほど現地に配置をいたしまして、指導監督の強化をはかっておるわけでございます。しかしながら、この問題はもちろん役所だけでできる問題でもございませんし、広く国民一般の災害防止に対する認識を深めていただいて、これを現実に実施をやはり強力にしていただく。特に経営者あるいは従業員の諸君にも、もちろんみずから進んでその努力をしてもらわなければならないと存じます。 今後におきましても、新しい産業等が相当出てまいって、最近の傾向ですと、一たん災害が起こりますと、比較的大規模の事故が生ずるというような傾向もございますので、そういう点にも十分注意を払いながら、今後の労働省の施策の最重点として取り上げて努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 これは最後になりますが、私の申し上げたことは、災害の事故があっても、事故責任の所在がいつまでたっても明らかにならないで、事故を繰り返している、これが問題だと。それから、鉱山保安局から労働省に保安行政を移さなければ根本的に解決しないんだということ。もう一つは、一酸化炭素の中毒者の対策がおろそかだから、これを処置しなければならぬということをお聞きしたのですから、これをひとつあとから答えていただきたい。 最後に私はお尋ねしますが、農業問題について農林大臣の意見を聞きたいのであります。農業労働者は非常にいま困窮している。耕作反別の多い東北地方まで出かぜぎしなければ食えない、生活ができないという状態になっている。そこで、失業保険問題が起きている。で、労働省は失業保険の会計から失業者の締め出しをやろうとしている。農民にとってみれば、生活ができない問題だから、何とかして暮らしの立つようにしてもらいたいというのが、農民行政ではないか。米の生産を——米その他の食糧の生産を高めるのは農業労働者です。農業では食えないから、中学、高校の各卒業者は、農業から離れて工業労働者にほとんどなっていく。その一面を持っておって、また主人が出かぜぎしなければ食っていけない、そして失業保険をもらって農繁期に生活の足しにするというようなことでいいのかどうか。大問題だと私は思うのです。そういう深刻な状態があるのに、営林局の状況はどうなんですか。営林局は、六カ月とか八ヵ月雇って、あとは首を切って、その労働者が四万近くもおるのです。日本のような気候温度のところで一年間の生活計画が立たないはずがない。こんなぜいたくな労働力を使っている国がどこにあるか。身分を安定した雇用関係で営林行政計画を立てていくところに、私は政府としての任務があるのじゃないか。まずここから姿勢を正していかなければならぬと私う。だから、農民の生活、日本の食糧問題一農業行政をどうしていくか、営林局のこの事態をどうするかということを明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(坂田英一君) ただいま藤田委員からの御質問に対して、二つくらいに分けて申し上げたほうが便宜かと思うのであります。 一つは、全般的な農業政策としてどうするかという問題になりますると、私どもとしては、やはり農業基本法の原則にのっとり、また、地方の実情によく即応させて生産政策、構造政策等を取り進めてまいる。それにはいろいろな事業があります。構造改善、基盤整備その他の問題がありますが、そういうことの問題を中心にする。しかし、御存じのとおり、非常に進歩がおそいのは農業の特質であります。特に日本の農業は過小、いわゆる小さな農業でありますから、なおさら時間がかかるということでありますから、その間は、やはり価格政策が非常に重要であると思います。 なおさらに、小さな土地で好んで喜んで農業をやろうという者があり、また、単作地帯の米作地帯では、どうしてもプラス・アルファが必要になることは言うまでもございません。そのプラス・アルファの仕事をつけ加えてまいりまする意味において、畜産とか、園芸とか、いろいろな仕事がありますが、一面は、地方開発と関連して、そこに職業及び雇用の機会を増大していくということも重大であると思います。 そのほか、やはり中堅の農業者の若い人をやはりとどめておきたいという点から、またその問題はあると思うので、それらの問題に本格的に力を注ぐべきものであると思います。 第二の回題といたしましては、いま申しました農業労働者の保険の問題であろう。これは人は非常に少のうございます。大体農業労働のこの失業保険の問題等は、数においてそう多くはない。多くはないけれどもだいぶあります。それから山林のほうもいまおっしゃったように、八万何千あります。これらの問題については、季節的な問題でありますので、労働者を失業保険のほうから見ますと、どうも趣旨の面においては、あまりよくないというようなことから、検討を加えておるようでありますが、農業の面から言いますと、なかなか——特に東北地方のごときは転職もできないわけでありますので、また、山林のほうは特に山の中でありますから、なかなかほかの仕事をやるわけにいかない、そういう関係がありますので、これらのいわゆる季節労働的なものでありますが、やはり保険の問題については、他の職業との関連、よく均衡を見、また、転職しがたいという特殊の事情をも見まして、これらの問題を十分検討すべきものであると思いまして、目下労働省ともよく折衝を続けておるようなわけであります。営林署の問題としましては、国有林のほうで、国有林のほうは大体強制加入でありまするので、このほうはいきまするのでありまするが、それで結局、通年労働ができないというので、それは非常に困った問題でありますので、営林署としては、でき得る限り通年労働というものをふやしていくようにいたしたい、こういうので努力をいたしております。そこで、機械化によって伐採の問題あるいは造林の問題等も冬の間でもできるようにするといったような方向に向かって非常な努力を払っておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 ちょっとさっきの通産大臣と労働大臣の三つの問題、答えてくれ。答弁だけしてもらう。
○国務大臣(三木武夫君) 保安行政を労働省に移せというお話、これは石炭というものはやはり地下労働であって、生産の条件もときどき変わるものですから、生産と保安というものがちょっと切り離せない面があるわけであります。そういう点で明治以来通産省が保安行政をやってきたわけであります。総理も研究してみるようにというお話があって、検討を加えようと思っておりますが、そういう経緯があります。 それから責任、これはやはりそのとおりだと思います。事故が起こったときに、その責任といいますか、その原因、これは、やはり究明しておく必要がある、そういうことで、私もまあ就任以来、山野炭鉱の善後処置に当たったわけであります。これに対してそういうことで、この原因、前にもさかのぼって原因というものをやはり明らかにしないと、その次のやはり保安というものに対しての徹底を欠くということで、そういうことで究明をいたすことにしております。一酸化炭素は、最近これに対してはいままでのような行き方ではいかぬだろう、もっと根本的な対策を考えなければなるまいと思っております。
○国務大臣(小平久雄君) 鉱山保安の所管の問題につきましては、ただいま通産大臣から御答弁がありましたし、先般総理からも、これを検討するようにと、こういう御答弁もあったわけでございまして、私といたしましては、労働者の人命を尊重し、これを保護する、こういう立場から全産業について労働省において一括してこれを所管するということは、理の通ったことでございますし、望ましいことだと、かように考えますが、何ぶんにも、従来のいきさつもございますし、これをいわゆる所管争い的に扱うということは本意でもございませんので、今後よく関係当局と御相談の上で善処してまいりたいと、かように考えております。 当面の措置につきましては、先般も申し上げたかと思いますが、通産省と十分連係をとりまして、労働大臣の持っておる勧告権等を、事情に応じましてはこれを発動し、さらに、基準監督機構と保安監督機構との連係というものを従来以上に密接にいたしまして、人命尊重の本来の目的を達し得るように、今後も十分努力をいたしたい、かように考えておるところでございます。 さらに、一酸化炭素中毒患者のことでございますが、このことにつきましては、先生もよく御承知のとおり、病理学的に、あるいは生理学的にわが国の医学の水準をもっていたしましては、まだ明確な治療方策、治療法等もはっきりいたしてない面もあるようでありまして、こういう点から、労働省としましては、すでに特別研究費等のシステムを願いまして、学界の権威者にこれが医学的な検討をすでにお願いをいたしておるところでございますし、すでに発生をいたしました患者の皆さんにつきましては、委員会をつくりまして、治療の基準等も設定をいたしまして、できる限りの手を尽くしておるわけでございます。さらに、もちろん、これは単なる治療ばかりではなく、いわゆるリハビリテーション等につきましても、その施設を行ないまして、十分治療後の就職等もできる限りめんどうを見ていく、こういう考えで、できるだけの努力をいたしておるところでございます。
○委員長(平島敏夫君) 藤田君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(平島敏夫君) 次に、鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 私は公明党を代表して、財政問題、IMF、不況、物価、公債、こういうような国内経済問題等について若干の質疑を行ないたいと思います。 初めに、これは大蔵大臣に特にお伺いをしたいんですが、三十九年度の租税並びに印紙収入の決算額、これをいただきました。これを見てみますというと、一般会計分で百九十六億三千五百万円、こういう赤字が出ております。この表では、四月一日に三月三十一日付の政令が出ておりますが、その政令九十九号の措置で、四月一日以降四十年度の税収分から四月分の、当然四十年度の税収に入るべき分が繰り込まれておる。その金額は幾らくらいになるか、それをまず伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 五百七十九億円でございます。
○鈴木一弘君 五百七十九億円という膨大な四十年度の当然税収に入るべきものが、政令九十九号の措置によって移ったわけでありますけれども、政令を読んでみますというと、いままでのところは、納付のときがその年度に入っておった。それが今度は、申告をした日の属する年度ということになった。そうなりますと、今後この政令の改正でいままでの財政の行き方というものはすっかり変わってきたわけであります。なぜこういう措置をとらなければならなかったか、伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 三十九年度の決算では、ほっておきますと歳入の不足が七百七十五億円出そうな形勢であったのであります。それに対しまして、いまお話しの政令改正による五百七十九億円、それからその他雑収入なんかを充当いたしまして、結局、剰余金二百四十億円を出して決算をするということに相なった次第であります。
○鈴木一弘君 この国税収納金整理資金法施行令というのですか、その改正措置は、大正時代以来いままでずっとわが国がとってきた会計期間の原則というものがすっかり変更されたわけです。そうして、この会計期間の変更ということは、言いかえると国家の会計の継続性という原則、あるいは財政の健全性の原則というものをすっかり打ち破ったことになるわけです。非常に大きな問題なんですが、こういう原則を打ち破り、それが緊急になされたわけであります。それについて大蔵大臣の所見を聞きたいのですが。
○国務大臣(福田赳夫君) 会計年度過ぎまして、引き続く会計整理期間中に収納された額を、次の年度にいたしますか、前の年度の歳入といたしますか、これは説がいろいろあるわけなんです。つまり、租税、国の租税債権の発生主義によるか、あるいは収納の期日主義によるか、こういうことで、いままで収納の期日を基準といたしまして、年度をきめるというたてまえをとられてきたわけでありますけれども、それがいいのか、あるいは債権発生主義がいいのかということは内々、議論が戦わされてきたようであります。たまたま歳入が不足な傾向があり、そういうような時期に際しまして、制度的にこれを発生主義に変えておいたほうがよかろう、こういうふうになりまして、今回の決算と相なった次第でございまするが、これは制度を変えたんです。でありますから、四十年度の決算をいたす場合におきましても、あるいは次の年度の決算をいたすにいたしましても、この制度によって運営されるものでありますから、これによって会計の健全性がそこなわれるということはないものと理解をいたします。
○鈴木一弘君 先ほどの説明で、七百七十五億円の歳入不足を生じる、七百七十五億円の歳入不足というのは、ほんとうは税収の不足でしよう、七百七十五億円というのは。歳入不足ということになると、先ほどの説明だと雑収入そのほかが入っているわけですから、何か答えがすり違えられたような感じを受けるのですが、この税収の不足が、繰り上げをやらなければ幾らになり、そのほかの雑収入等は税外収入でありますから、そういうものはどのくらいになっていくかということです。そのプラスあるいはマイナスがあったと思いますが、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員をして答弁させます。
○政府委員(谷村裕君) 問題を二つに分けてお答えいたします。もし政令改正がなかりせば、おっしゃるとおり五百七十九億円の税収がなかったことになります。そこで税収の不足は、三十九年度の決算では百九十六億円と出ているわけでございますが、もし政令改正等がなかりせば、合計七百七十五億円の税収不足を生じておることになります。しかるところ、別途先ほど大臣が御説明になりましたように、雑収入の増加、あるいは税外収入と申しますか、及び歳出の不用額というのがございまして、それこれ合せまして、本来の決算上の赤字がどのくらい出たかと申しますと、三百三十九億円という数字に相なります。
○鈴木一弘君 その、五百七十九億円の四十年度税収の先食いをやったその内容は、税目別にするとどういうふうになっていますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 申告所得税が六十億円、法人税が百八十六億円、酒税が二百四十五億円、砂糖消費税が十八億円、揮発油税が十五億円、物品税が五十四億円。
○鈴木一弘君 そうすると、この前の通常国会で通過をした四十年度予算には、この五百七十九億円というのは財源の中に考えられているわけですね。考えられているとすれば、ここで四十年度予算案そのものを、もう一度改定し直さなくてはならなくなるのではないかと思いますが、そういうお考えはないかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) しばしば申し上げておるのですが、四十年度は、税収の見込み額に対しまして相当不足を生じそうな形勢でありまして、いずれこれは予算の補正を必要とするというふうに考えております。
○鈴木一弘君 いずれ補正と言われたのですが、いずれというのは、いつごろをさされておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) これは歳出要因もあり、歳入の不足もあり、歳入の不足が一体どうなるか、今日まだ的確な見通しはつけにくいのであります。なるべく先にいって、まあ誤りない数字を見積もりたい。それから歳出要因のほうも、まだ今日の段階ではなかなか予定はできないのでありまするが、それらを総合いたしまして、見当のつく時期に補正をいたしたい、かように考えております。
○鈴木一弘君 次の国会になりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 次の国会というのが、まだ私ども正式には承っておりませんのでありますが、どうしても十一月以降になると思います。
○鈴木一弘君 これは総理に伺いたいのですが、実際に今度の四十年度予算の経過は、三月三十一日に予算が成立したわけです。そうすると、翌日に同時にこの政令が出て、税収不足が、当時の答弁で、当時の予算委員会での田中大蔵大臣からの答弁では、税収不足の見込みが二百億円ぐらいの印象を受けておった。それが実際には七百七十五億円というようないまの答弁からうかがえるわけですが、そういう不足になってきた。やむを得ず緊急に政令の改正をやって、そうしてどうやらこうやら二百四十億円という三十九年度の剰余金を出したということですから、言いかえるといろいろな、山陽特殊製鋼にしても、そのほかについても粉飾決算ということでかなり問題にされていますけれども、この国の予算そのものも、こういうような緊急の政令でもって改正して、大正以来数十年間続いてきた会計の原則を破ってやったということは、粉飾決算を国がみずから示したということになるわけです。そういうような政治姿勢というものは、強く反省しなければならない。三月三十一日に国会を通過したのですから、その審議も結局何の役にも立たなかったというような印象を受けるわけですが、その点についての責任と所信というものを伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 先ほど来大蔵大臣から詳細にお答えいたしましたように、当時の実情が緊急不足の状態であった。したがって、ただいまのように制度自身を改正することによってこれをまかなっていったわけであります。いわゆる先食いだとか、あるいは粉飾だとか、こういうこととは違うと申しますか、政府自身の問題でありますので、さような意味で御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 まあ総理はそうおっしゃるんですけれども、制度それ自体を動かすということは、非常にこれはわずかなことであればけっこうでありますけれども、一ぺんに四月分の税収だけでも、いまの答弁のように、所得税だけでも六十億、法人税百八十六億、酒税で二百四十五億というような膨大なものがあるわけです。もちろんこの中に、延納をしたためにこういうふうになって、四月へきて非常に納まったものもあるかもしれませんけれども、それにしても、四十年度算予を三十一日に通過さした、その翌日からもう決算を合わせるために、われわれは変にとれば、悪くとれば、つじつまを合わせるために粉飾をやったととれるわけです。これが今回だけに終わればけっこうでありますけれども、やむを得ない、四十年度予算のいよいよ決算をしなければならぬときになって、四月分だけじゃ食えぬからといって、また政令をちょこちょこといじって、さらにその先をということは、まあそういう心配はなかろうと思いますけれども、その点について、総理大臣に一応お願いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはただいま申したように、原則をどこへ置くか、あるいは発生主義に置くか、あるいは現実に納めたその時期によるか、こういう議論もあることだと思います。しかし、いろいろの誤解を生ずるような事柄でありますだけに、これは厳正でなければならない。ただいまの鈴木君の御意見等も十分勘案いたしまして、将来誤解を招かないようにいたしたい、かように考えます。
○鈴木一弘君 ここのところの税金の状態を見ておりまして、物品税だけが収入ぐあいが非常に悪い、そういうようになっております。それから、関税の収入も三十九年決算を見るとよくない。この二つの原因はどこにおありと思いますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 物品税につきましては、一般の組済情勢を受けましてその消費が減ったという点にあるわけであります。それから、関税収入が少し減ったわけでありますが、これはやはり経済情勢を受けまして、輸入が全般的に鈍化しておる、ことに重機械なんかの輸入の伸びが、予定よりは少なかったということ、それからまだ幾らかアメリカの港湾ストライキというようなものも影響あるようであります。
○鈴木一弘君 そこで、総理にお約束を願いたいんですが、こういうように歳入が窮屈になってきますと、どうしても出先の税務署といいますか、徴税強化に走りやすい。前年度のときからずっと見ておりまして、酒税、酒の税金あたりの徴収の状態というのは、かなりきつかったんじゃないかという感じさえするわけでありますけれども、そういう徴税強化ということによって大衆にしわ寄せをする、そういうことは絶対にやらないということは、お約束願いたいと思いますが。
○国務大臣(佐藤榮作君) こういういわゆる税収がとかく思うようにいかないというので徴税強化する、かようなことは絶対にいたしませんし、また大蔵大臣自身がその担当責任者といたしまして、さようなことはしないということをはっきり申し上げます。
○国務大臣(福田赳夫君) 蔵入が減るからという理由のもとで、徴税を強化するというようなことは絶対にいたしません。
○小平芳平君 関連。この制度を変えたということですが、どうして急に制度を変えたのか。鈴木さんが指摘しているように、三月三十一日に予算が通ったとたんに変えたという、そのいろんな考え方のあることも、政府自体が制度を変えたということもいま御説明ありましたが、どうして急に変えたか、その辺の理由を鈴木さんが指摘しているように、金が足りないから変えたということだったら、そういうふうに御答弁願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、歳入不足の状態であり、そしてほっておきますと、歳入不足のままで決算をしなければならぬというようなことにもなるわけです。ところが、たまたま前から租税は発生主義で収納すべきや、あるいは収納の期日主義によるべきやという議論があった問題がありますので、それを採用いたしまして、制度的にこれを改正して、今後新制度でやっていこうという結論に到達したものであります。
○羽生三七君 ちょっといまのに関連して。その租税と関連して、国民所得と税の負担率ですね、これは将来どうなるのか。実はこの春の予算委員会の質問に対して、田中前大蔵大臣は、税制調査会の答申、それを二一、二%と読みかえるものとすると理解していただきたい……。若干答申を上回った線を出すわけですね。それで公債を発行して減税をおやりになるというのですが、減税をやるという計画もあるんでしょうが、この際、国民所得に対する税負担率は改正される意思があるかどうか。これも調査会の答申を待ってと言われるかもしれませんが、政府としてはどういうふうにお考えか、これは総理にお伺いいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 特に私というお名ざしでございますが、私は大蔵大臣時分に、国民所得に対して大体二割、そのくらいのことを実は申しました。それが昨年は二一%あるいは二二%、こんな数字になっている。そこでいろいろ言われるわけでありますが、とにかく税を安くしよう、ただいまの率も、もちろん大事なことでございますが、国民自身が税負担が安くなった、こういうものにいたしたいものだと、こういうことで税制調査会あたりでも十分審議してもらう、かようないま態度をとっておるわけであります。
○羽生三七君 大蔵大臣どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 長期減税計画を立てたい、こういうことを申し上げておるわけでありまするが、そうなりますれば、自然私は国民所得に対する租税の負担率、これは下がってくる、こういうふうに見通しております。
○鈴木一弘君 次に、IMFの功績については言うまでもないことだと思うのですが、いま問題になっているドルとポンドとを中心にした国際通貨制度それ自体が持っている矛盾があるわけです。ドルの流動性というものの不足、こういうようなことが強く言われて、金本位制であるとか、新国際通貨の創設案だとか、英米の通貨改革案だとか、こういうようないろんな案に分かれているわけでありますが、近いうちに再び会議が持たれようとしております。それに対して、日本政府は国際通貨体制の再検討というこういう世界的な流れがあるときは、どういう態度で臨まれようとしているか、大蔵大臣からお願いいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 最近国際通貨の流動性の問題というものは、非常に真剣に論議されるような時代になってきたわけです。これの出てきたゆえんは、いままではともかくアメリカのドル、それからIMF、これが二つの柱で、国際流動性を動かしてきたと言っても過言でないかと思うのでありますが、その一つの大きな足場であるアメリカが、国際収支の均衡方針を堅持する、しかもこの方針が実現できる、こういう見通しになってきたわけであります。そうしますと、自然アメリカからのドルの流出というものがなくなる。一方、世界経済はやっぱり日進月歩で成長しているわけでありまするから、この成長する世界経済に応ずる世界通貨の体制をどうするかという問題が起こっているわけであります。現に私が日米経済合同委員会に出席するためにアメリカへ参った。そうしますと、アメリカの財務長官から私に対しまして、アメリカの内外の世論はアメリカの国際収支の均衡を堅持せよと言っている。そうすると、どうもドルが世界的に逼迫するということになると、世界の流動性の問題というのが深刻な問題となるので、これを討議するために何らかの国際的な相談会、準備会でも開いたらどうかというような感じを持っているんだがどうだろう、こういうような話があったわけであります。私はそれに対して、それはもうたいへんけっこうなことだ、アメリカが踏み切ってそういう見解をとられることはたいへんけっこうだ、ひとつお進め願いたいというふうに申し上げたのでありますけれども、この問題は、わが国といたしましては、一つは金が少ないんです、日本の保有金が。そういうような状態を考えますると、新しい流動性問題は金に直結する形できめられるということは、わが国にとっては不利だ。それからもう一つの問題は、とにかくドルとIMFというものが中心になって、国際決済に当たっておる、通貨制度の維持に当たっておる。こういうことを考えますと、この現実から非常に飛び離れた解決案というものは、生きておる経済の立場からいいまして、いかがであろうかというふうにも思うわけであります。でございますから、そういう現実も見ながら、それとかけ離れず、また、わが国の国益とも合致するという方向で解決されることが好ましいというふうに考え、近く新しい流動体制をどうするかということについての専門家の意見が、つまりオソラ報告というものが発表になります。そういう局面に対しまして、わが国としても意見をきめなければならぬわけでありますが、ただいま申し上げたような考え方を軸としまして対処していきたい、かように考えております。
○鈴木一弘君 金の規律を強いものにしようとすることになれば、わが国の金の保有高が少ないということから、非常に困難なことはよくわかるわけでありますが、現在のように、今回のIMFへの払い込みにしても、わざわざアメリカから金を購入して、またすぐIMFがアメリカに預託をする、こういう形をとる、言いかえれば、どこまでいってもドル本位の体制ですし、IMFがドルの補助機関のようなかっこうになっている。アメリカが、いまの大臣の説明のように、ドル防衛とか国際収支の改善をはかっていけば、ドル不足を起こしてきたり、他国がデフレ、インフレの現象をどうしても起こしやすいわけであります。そこで、それに対しての、その中でおやりになっていこう、そういう現実にあわせて考えていきたいという話でありますが、一体日本としての提案はされるような決意で今後しぼっていかれるのか、その専門家の意見が発表になるであろうということから、日本政府の態度をきめたいということでありますが、いつごろ日本政府としての態度がきまっていくことになるだろうか。
○国務大臣(福田赳夫君) いわゆるオソラ・リポートというものは、もう非常にすみやかなる機会に発表されると思います。それについて各国が反応を示すわけでありますが、これからの国際行事といたしましては、九月二十七日から十月二日までIMFの総会がワシントンで開かれるわけでありますが、そのときは、公式であるにせよ、非公式であるにせよ、そういう問題についての話が相当出る、それに臨むにあたりましては、わが国としては、ある程度の基本的な考え方はまとめておく必要があるであろうというふうに考えます。
○鈴木一弘君 話は小さくなるのですけれども、今回の再評価の対象になった金の問題でありますが、この全部で十三・四トンですか、その内訳と、三十四年になぜ再評価をしなかったのか、三十四年に一ぺん再評価をやっております。それをやらなかったので今回おやりになったのだろうと思いますが、なぜ先回やらなかったのか。
○国務大臣(福田赳夫君) そのいまお話しの十三トンでしたか、それは、その後、三十六年かと思いますが、その後接収が解除されまして、日本銀行に移ったわけであります。したがって、その前の再評価のときは、まだその問題が起こらなかったので、今回前に準じてこれを評価がえしよう、こういうことになったわけであります。
○鈴木一弘君 それから金地金の購入の手数料の問題なんですが、前回、三十四年でしたかのときには、ロンドン市場で買われ、手数料は約一〇%です。ところが今回ニューヨークの準備銀行ですかでやられた、約二八%です——〇・二八%、前は〇・一%という手数料を払った、なぜわざわざ高いほうの手数料を払わなければならないようになっているか。
○政府委員(鈴木秀雄君) お答えいたします。前回も今回も同様に、アメリカの財務省の持っております金を買うわけでございまして、手数料等は同じでございます。
○鈴木一弘君 今回特別に増額というものを十六カ国だけ受けている。その中にわが国は入っているわけでありますが、財政難のことは先ほどの答弁からも、財政の答弁からもわかるわけでありますけれども、そういうようなきついときに、どうしてこれはお断わりにならなかったか、むしろ確かにワクがふえるということはうれしいことでありますけれども、身内のほうのふところに火がついているときに、わざわざそれをしなければならなかった、この点は非常に解せないわけであります。大臣の答弁をお願いします。
○国務大臣(福田赳夫君) この話は、昨年の秋、東京で開かれました国際金融会議、つまりIMFの総会で出た話でございます。その後、この春になりましてから、それぞれの機関によって正式にきまったわけでありますが、ともかくIMFはただいま申し上げましたように、いま国際流動性の中心機構になっているわけです。これを各国が共同してひとつ強化しよう。こういう際に、わが日本といたしまして、その国益のためから考えましても、これに参加しないというようなことはできないことは、御想像にかたくないと思うのであります。そういう次第もありまして、困難なときでありますけれども、あえてこれに参加することにいたす、こういう方針をとったわけであります。
○鈴木一弘君 総理に不況問題でお伺いしたいのですが、六月九日に第一回の経済政策会議が行なわれた。それに対して、第四回の会議の不況対策が出るまでに、約五十日という日時を使ったわけであります。その間、景気あるいは公債問題について、閣僚、与党首脳、こういう方々の発言というものがてんでんばらばらといいますか、一貫性を欠いていた。そういうわけで、経済見通しも景気診断も、また、各省、大蔵、通産、経企、日銀というふうにばらばらであり、非常に混乱を招いたわけであります。五十日という日時を使って、その間に強行審議まで出るというような行き方となって、いろいろ政策を出されても、小出しということで、大きな効果をあげることはできなかった。せっかくの政策も効果を失うわけでありますが、そこでこれはどう考えましても、不況に対しての取り組み方というものが非常に不足ではなかったか、そのために五十数日という日数を使って空転をしたんではないかと思うんでありますが、その責任はどうお感じになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、六月から始まってこの対策が非常におくれたじゃないか、こういう御指摘でございますが、また、各省間の意見もまちまちではないか、かような御挑戦であります。御承知のように、この総合対策というものはなかなか複雑な、また各省を動員しなければならない種類のものであります。そういう意味でその決定までの中間におきまして、ただいま御指摘のような印象を与えたことは、まことに私残念に思います。しかしながら、それだけによく各省とも勉強したと、かように思っておりますので、最終的な結論を出したことについては、私は満足をしておるような次第であります。 なお、この間におきましては、選挙があったり、あるいは日米合同委員会があったり、全閣僚がそろうということもなかなか時期を得ない、しかも、そういう事柄がそのために時期を失したんじゃないか、こういうような批判もございますが、私は時期を失したとは思いません。ただいまこういうような措置がとられたことによって、財界のいわゆる自主的な振興対策、これとも相まって十分効果をあげておるじゃないか、かように私は思い、それをまた期待しているような次第であります。
○鈴木一弘君 不況は現在底をついたと、こういうふうに見られているのか、秋ごろ底をつくというふうに見られているのか、その辺のところが違っているようでありますけれども、これはいつごろ底をつくというようにごらんになっていらっしゃるか、企画庁長官。
○国務大臣(藤山愛一郎君) われわれが対策をやりますときには、どういうふうに悪くなっていくかということをむしろ心配しまして、対策をやりましても、底をつくっていくということを考えて対策をやったわけでありまして、したがいまして、今日の対策がきいてまいりますれば、おおむね底になっていくということでございます。
○鈴木一弘君 ということは、現在が底であるということですか。おそらく金融緩和の問題、それから粗鋼の一〇%減産というような不況、勧告操短、そういうような決定や紡績関係の操短の話し合いが進んでいる、こういうことから生産調整の問題とからんで、それで言っていらっしゃるのか。それとも、ここで対策をつくったんだからだいじょうぶだと、こうおっしゃって、いまはそうなんだと言われるのか、どっちなんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 底にするためにわれわれとしては対策をつくって、それを打ち出してきたわけでございまして、したがって、この対策がきいてまいりますれば底になってくる。しかし、いまの粗鋼の勧告操短というような問題も、通産省において並行的にやっておられて、そうしてそういう面からいろいろ問題が起こってくることをチェックしておられるということになろうと思います。
○鈴木一弘君 政府の統計を見ますというと、経済指標がきております、それを見ていますと、在庫指数は、五月で多少横ばい、そういうかっこうになっていますが、やはり一月以来の累増してきたその姿はあまり変わらない。というのは、生産指数や出荷水準、そういうものと比べると非常に高いところに在庫指数がいつまでもある。もしここで、底をつくるのだというお話ですけれども、この在庫減、在庫の減り始め、そうして市況が底つきになって反騰する、それが直ちに起きるというわけにはいかないだろうと思う。いま発表したからといったって、いますぐ底であると、こういうわけにはいかないだろう。そこが見通しが甘いのではないか。大体いま打たれている手がよくいったとして、いつがそういう反騰に移るときか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん対策でとりました諸般の政策が影響を持ってくるのは、時期の遅速がございます、それぞれの対策で。したがって、そういうものが総合的に出てくるというのは、秋口から年末近くになってくるんじゃないか、こう思います。
○鈴木一弘君 そこで、秋口から変わってくるであろうということですが、それについてですが、政府の出した経企庁の経済報告、こういうのを見ても、需要不振ということを明らかににおわしております。需要喚起というものは、効を奏さないことには、先々考えましても、産業界のいわゆる縮小したところで均衡する、そういう形になるおそれがあるわけです。確かに残業手当も出ない、消費購買力、最終需要というものは減ってまいります。そういう心配の点について、この需要喚起の問題でありますが、最終需要喚起に対して、どういうようにお考えになっておりますか、経企庁のほうのお考えをまず聞きたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) いままでとりました手が、それぞれ需要喚起の効果をあげ、在庫調整もできると思いますが、同時に、これはやはり輸出を十分振興して、そして輸出の方面に、ことに、何と申しますか、電気冷蔵庫とか、そういう種類の耐久消費財、そういうようなものについて——電気冷蔵庫が適当かどうか知りませんが、できるだけ輸出方面に向けていくということで、さらに政府は輸出振興について一段の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 縮小均衡でおさまって、不況が停滞するという心配はありませんね。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、経済が縮小均衡になってはいかぬと思っておりますので、できるだけ縮小均衡にならないように努力をして、そうして在庫調整等もやってまいって、この効果をあげていきたい、こう思っております。 〔委員長退席、理事大谷藤之助君着席〕
○鈴木一弘君 財政政策で需要が喚起される、そういう景気刺激策について国民は非常な期待を持っておるわけです。ところが、大体いまの長官の答弁からもわかるように、政策が効果を奏するのは半年とかあるいは三ヵ月とか九ヵ月とか必要なわけです。その間に在庫が増加して生産調整がさらに進んで一段と景気が落ち込む、そういうような心配はありませんか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回のとりました措置が、心理的にも相当な好影響を経済界に与えておるように思います。したがって、経済自体は心理的影響も相当大きいものでございますから、そういう意味できいてくる場合が多いと思います。しかし、こういうような経済の状態ですから、いろいろな条件の変化が起こらぬとは限りませんので、それらに対しては、十分万全の注意をしてまいらなければならぬことはむろんでございます。 それから輸出の方面については、さらに一そうの努力をして、在庫をそのほうに振り向けられるものに振り向ける、こういう考え方でございます。
○鈴木一弘君 公取の佐久間君が来ておるようでありますので、ここでちょっと横っちょへいきますけれども、不況カルテルの問題を伺いたい。 鉄鋼メーカーが、今回勧告操短ということで生産調整をやっておりますけれども、これについて公正取引委員会は反対の意向であった、ところが、現在は静観というような状態に回っておるそうでありますが、その理由を伺いたい。
○政府委員(佐久間虎雄君) お答えいたします。 お話の粗鋼の勧告操短は、経済的に見ますと、業者の申し合わせによります生産制限と同じような効果を持っているのでございますが、この関係から公正取引委員会といたしましては、できるだけ独占禁止法上の不況カルテルとして処置をしていただくように希望し、かつ、要請してまいったわけでございます。しかるところ、御承知のように、鉄鋼業界の内部は非常に複雑でございまして、大手相互間あるいは大手の高炉メーカーと中小の平、電炉メーカーとの間に、話し合いなどが容易につきませんので、一方また政府の不況対策としまして、総合的に緊急な処置を要するというような事情も加わりまして、業者間のカルテルを結成する事情にございませんでした、そういうように私ども承知いたしております。しかし、勧告操短は、往々にしまして業者間の共同行為を伴います関係上、今後勧告操短の実施の状況等につきましては、推移を十分に監視いたしまして、法律に違反するような事実がございますれば取り上げますし、また、関連業者等に対しまして不当な不利益を与えるような事態が発生いたしますれば、通産当局に対しまして、善後処置を要請するつもりでおります。
○鈴木一弘君 これは、どう考えても明らかに独禁法による許可認可というものが必要だということはわかっているわけでありますけれども、それが緊急の措置だからやむを得ないということだと、今後とも、緊急の措置だからということで、ありとあらゆる業界というものが、いわゆる勧告操短の実施ということができるようになる、それは公正取引委員会としては、今回のはやむを得なかった、次回もやむを得ません、その次もやむを得ませんというふうになってきたらば、これは損害を受けるのは国民大衆ばかりです。こういう甘いような態度でずっといかれたのではたいへんなことになるわけでありますが、今後の決意というものだけはきちっと伺っておきたい。
○政府委員(佐久間虎雄君) 御指摘のように、勧告操短につきましては、この両三年来、私どもとしましてもきびしい態度をとっておりまして、ほとんど行なわれていなかったのでありますが、先ほど申しますような事情で、全く緊急避難的な例外の処置として行なわれたものでございます。したがいまして、現に鉄鋼の製品、たとえば厚板等につきましては、現に不況カルテルの申請が参っておりまして、ただいませっかく審査中でございまして、おそらく今後かような例外は全く少ないんじゃないかというふうに信じております。
○鈴木一弘君 通産大臣、ここのところで、鉄鋼メーカーの経営内容をちょっと調べてみるというと、配当率も下がっておりません。配当率を見ても、三十九年三月の決算から四十年三月の決算まで見ていっても、ずっと変わらないし、資本金に対する利益率、売り上げ金に対する利益率、そういうものを見ても、ほとんど変化が見られないところが多いわけであります。あえてこういうように踏み切らなければならなかった、こういうようなカルテル結成という理由が見つからないのに、勧告操短をしなければならなかった、まあ通産省のほうがおやりになったわけでありますけれども、どういう理由をもっておやりになったのか、勧告操短に踏み切らしていったかということ。
○国務大臣(三木武夫君) 鈴木委員も御存じのように、この鉄鋼の価格というものが平均して二、三割——公販届け出価格というものがある。それが現在の市価価格に比べてみますと、たとえば中型形鋼、これがトン当たり四万円、これが届け出価格。市中価格が二万九千円になっております。小型棒鋼が、公販届け出価格が三万九千円、これが市中価格が二万八千円。まあ二割、三割近く公販の届け出価格よりも市中価格が安くなっている。こういう状態を続けていくならば、これはもう企業はやっていけなくなる。平均生産費を下回っておることは事実であります。したがって、こういう場合には不況カルテルをつくることが一番好ましい。けれども、いま公取からもお話があったように、約八十社ばかり平炉、電炉のメーカーがある。大手筋、これは話がなかなかまとまらない。それでこれをそのまま置いておったならば、これはこういう状態ではやっていけないわけですから、鉄鋼のごとき基礎産業をこういう不安な状態に置くことはいけない、産業政策として緊急な処置を必要とするということで行政指導を行なったわけでありますが、これは異例のことであります。こういうことを次々の産業にやっていこうという考えはないのであります。そういうことで御心配を、通産省が次々にこういう形で独占禁止法の裏をくぐっていくような考え方は持っていないのであります。
○鈴木一弘君 次に、これは企画庁と大蔵大臣とに伺いたいのですが、現在の不況が設備投資、在庫投資の鎮静と一緒に、末端の消費需要が伸び悩んでいる。百貨店の売り上げ高というものを見ていっても、売り場面積から見て、そう大きな伸びというどころか、前に比べれば、なだらかな線をいっております。結局最終需要として出たものが設備投資、在庫投資というものを動かす原因となってくるわけでありますけれども、特に中堅以下の所得者層の消費というものが現在は伸び悩んでおるのではないか、可処分所得の伸びも少ないわけであります。ところが、この一年間の家計収入の伸びを見ると、約七%、消費者物価の上昇は約一割近いものがあるわけです。これは実際の低所得層を考えるとそうなるわけでありますが、そうすると、中堅の低所得者層の実質所得を増大させなければならない。これが何といっても減税ということになるだろうと思うのでありますが、その減税の規模が、一千億減税ということを前に言われた、あるいは千五百億減税とも言われたのですが、大部分を所得減税というものに充てなければ、こういう最終需要の喚起はできないだろう、こういうふうに思われるわけです。これについて、景気のほうを見ている経済企画庁長官と大蔵大臣と、両方から御答弁をいただきたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 景気を回復する過程において、最終需要をある程度喚起するということは、望ましいことでございまして、今日のような落ち込んでおります経済を立て直す場合に、特にそういう意味で必要だと思います。したがって、所得税減税等を、お話のように物価問題とも関連して適当に大蔵大臣に考えていただくことが必要じゃないかというふうに考えております。
○国務大臣(福田赳夫君) まあ最終需要といいますと、国民の生活消費、これはもとより一番大きいわけであります。まあそういう国民所得の面につきましては、ことしも減税を行なったわけです。それから来年度におきましても、中央地方を通じまして、平年で一千億円以上のものをいたそうということを声明いたしておるわけであります。その実行にあたりましては、お話のように、所得税減税を主にいたしまして、免税点を六十万円までは持っていこう、なお、これと並行しまして企業の体質改善のための減税措置も講じていく、こういうふうに考えておるわけであります。
○鈴木一弘君 一千億のうち、どのくらいが所得税減税に回るわけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだその一千億円以上というものは、内容をこまかにきめておるわけではないのです。これから税制調査会に御審議を願って、そうして皆さんの意見を聞いた上で政府案を固めていこう、こういう段階でございます。
○鈴木一弘君 先ほどの藤山企画庁長官の答弁によると、輸出の伸展によることを考えなければならない。きのうの三木通産大臣の答弁では、貿易の伸張は順調にいくと思うと、こういう見通しをされたわけでありますが、世界景気の見通しについては経企庁の発表によれば、アメリカは現在のような株価の低迷ということから見てみますと、景気後退になるのではないか、そういうおそれがあるということが経企庁の発表に出ている。またイギリスの場合も、ポンド危機から景気停滞をあえてしてもやっていこうということを言われております。そういう政策をやっている。そういうふうに見てまいりますと、先進工業国のいわゆる経済拡大のテンポというものは今年の上期よりも下期のほうがずっとおそく、悪くなるのではないか、低下するのではないか。このように見なければならない。むしろそうなると輸出伸展ということが世界景気の状況から見ると、思うように伸びていかないのではないかと思うけれども、その点についての見通しを通産大臣と企画庁長官から伺いたいのですが。
○国務大臣(藤山愛一郎君) アメリカの今日までの——上半期でございます、昨年の暮から今年上半期にかけてアメリカは非常に景気がよかった。それに対してアメリカ国内でも連邦準備銀行の総裁のマーチンのように、非常に警告を発している人もありますにこの間、日米合同委員会のときに大統領の経済諮問委員会のアクレイに会って話しをしてみましたけれども、アクレイ自身は、アメリカの景気は必ずしもマーチンの警告しているようなふうに非常に困難になるだろうというふうには見ておりません。同氏の話によれば、もう四年半も続いているからもうそろそろ景気が下がるのじゃないかというような一般的感じがそういうところにあるのではないか。しかし上半期が非常に伸びておりますから、それと同じようにいくかどうかということは、これは必ずしもそのとおりにいかないにいたしましても、アメリカの景気自身、が非常に悪くなるということではないと思います。また、ヨーロッパのほうは、御承知のとおり、イタリア、フランスが昨年から今年の春にかけて非常に悪かった。これはだんだん回復してきております。しかし回復して来ましても、いまお話しのようにイギリスの問題がございますし、あるいは西独等の状況もございますから、必ずしも非常に昨年よりもいいとも申しかねると思いますけれども、全体として見て、上半期に伸びたような、非常な勢いではない、鈍化はしてくるだろうけれども、非常に不況におちいるというような状況ではないようにわれわれは判断しております。
○国務大臣(三木武夫君) いま企画庁長官のほうから言われているように、私も欧米を一回りして感じたことでありますが、景気後退のきざしはない、拡大基調である。それに対して多少の上期と下期との伸びの変化はあっても、世界の経済は拡大の基調にある。したがって、輸出の前途はそう手放しで楽観もできません。これは非常な努力を必要とするわけでありますが、輸出振興に対しての努力を続けさえいたしますならば、日本の輸出貿易は伸びていく、また伸ばし得る余地を持っておる、こういうふうに考えておるわけであります。
○鈴木一弘君 通産大臣は非常に楽観的でありますが、IMFの統計から見た世界貿易の伸びというものは非常に鈍ってきていることが指摘されております。輸出はそう簡単に楽観していいのだろうか、これはだれでも思うことです。需要を喚起しなければならない、輸出を伸ばさなければならない。ところが、その輸出がそういうようにあまり甘く考えていらっしゃるのでは、非常に心配なんです。イギリスが今年の九月ですか、日本で行なわれる博覧会に対してはものすごい力を入れてやっていくということを、そういう熱意を入れるということを聞いているわけでありますけれども、日本政府としても、政府自体でこの輸出伸展のために特別の対策というものを、ただ輸出の振興をはかります、延べ払いをやりますというようなことじゃなくて、一体どうやって売り込んでいくか、その熱意というもの、対策というものはどうおありになるのか。
○国務大臣(三木武夫君) 輸出振興にはあの手この手が要ると思います。それはいろいろな延べ払いも、あるいはまたクレジットを供与する場合もあるし、ことに低開発国に対する輸出を伸ばすためには特段の工夫が私は要ると思う。しかし、一方においては、いま御指摘になったような見本市のようなもので、イギリスも日本でやることになっていますが、これもまた輸出振興の上において、日本の商品を紹介する上において非常に大きな役割りを果たしている。最近もモスコーの日本の見本市に私は行ったわけであります。非常な関心を呼んで、短期間の間に五十万人ぐらいのソ連の入場者があった。こういうふうな海外にいまジェトロが中心になって、一般の見本市は昭和四十年度五カ所、専門の見本市が十カ所、それから博覧会はニューヨークの世界博覧会に日本も出品してやっております。それからトレード・センターの特別展、これを三十五カ所、東アフリカに対しては巡回広報展というものをやっている。相当日本も、これで十分だとは言いませんよ。しかし、相当そういう点で日本の商品を海外に紹介するという努力をしている。だからこれは、私は非常に楽観しているのではない。非常な日本も努力はしなければならぬけれども、輸出はもうこれでだめだというふうには考えていない。努力と相待って伸ばし得る余地がある、こういうことで手放しの楽観論ではないということを御承知を願いたい。
○鈴木一弘君 次に、公債の問題について大蔵大臣に伺いたいんですが、公債一発行の額は四千億だ、しかも年度内に大体発行したいというようなことを言っておられるということを聞いているわけでありますけれども、これは事実でございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 今年財源が予定のとおりうまくいかないんです。それから歳出で補正要因というものもあるわけであります。そういうようなものを考えますと、相当の歳入欠陥が出るわけでございますが、それに対して、私はまああらゆる努力はしますけれども、とてもそれで財源を充足し切れない状況じゃないか。その際には、今年は今年の臨時的な措置として公債を発行するか、あるいは借入金を行なうか、その二つの道を考えている、こういうふうにいま申しているわけです。ただ、その額につきましては、歳入の不足額がそのまま公債発行額になるわけじゃありません。これも普通財源をあらゆる努力をしてみます。それから歳出のほうでも切り詰める余地がないか、こういうことも考えてみます。どうしても足らないという分だけが公債または借入金になる、かように御承知願いたいと思います。
○鈴木一弘君 総理に伺いたいんですが、いまの大蔵大臣の答弁によると、できるだけ経費を切り詰めていきたい、そういうことによって万やむを得ないときには公債を出そう、そういう考えのようです。それは当然の考え方だと思いますが、私は今回の本会議におけるわが党の代表質問にもありましたけれども、公債発行の前に、農地報償のようなこういうものについては、むしろ散布してしまうかっこうよりも、事業費としてまとめて別のところで活用していく、そういうようなものの考え方をすることはできないのか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの農地報償なんか流用することはできないか、こういう御意見でございますが、御承知のように、農地報償はこの法律をつくったばかりであります。これをただいま変更するような考え方は持っておりません。しかして、ただいま大蔵大臣がお答えいたしましたように、ことしの処置についていわゆる歳入減が予想される、しかるに同時に歳出増も考えなければならない。本来ならば、歳入減があれば、予算を切り詰めてそれに合わすのが普通かもしれませんが、しかしそういうこともできない状況である。むしろ積極的にふやさなければできない。こういうようなことでございますので、ことしの処置について大蔵大臣が苦心している。そのことはおわかりいただけるだろうと思います。ただ、いま申す農地報償そのものは、これは財源としてこれを振り向けるというような性格のものでもありませんし、いまつくったばかりでございますから、これを変更するというわけにはいかないと思います。
○鈴木一弘君 つくったばかりであろうとも、こういうような国家が非常に苦しいときであります。先ほどの一番最初の財政の問題のときには、五百七十九億円という費用を一ぺんにつじつまが合わないとたいへんであるということから、政令一本ですぐまかなったわけでありますが、それと同じような考え方でいかれていただいたらよろしいんじゃないか。むしろ、債券発行後十カ年おたちになっておりますけれども、これを何とか食い延ばすとか、そういうふうな方法を考えていかなければならないのではないかと思う。ここで、公債発行の問題について、日銀引き受けか民間かということがだいぶ論議されております。きのうの御答弁からだと、日銀引き受けということは考えないというお話でありました。それでは民間の資金というものの余裕が十分にあるとごらんになっておるのか。一番公債発行で問題になるのは、いつやるか、どういう目的でやるか、金額はどのくらいか、最大の条件というのは経済情勢だろうと思うのですが、それだけを市中の金融機関で引き受けられるだけの、消化するだけの余裕というものがあると、こういうふうにごらんになっていらっしゃるのかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま経済が非常に不況状態である、停滞状態である。そういう関係から民間の側の資金需要は大きく観察しておりますと、非常にひっこんでくるわけであります。したがいまして、金融は緩慢な状態である。そういうことでございますから、政府がここで借り入れ金をいたすにいたしましても、あるいは公債を出すにいたしましても、政府に対する資金の供給というものはそう他を圧迫することなしに行なわれる、こういうふうに見ておる次第でございます。
○鈴木一弘君 総理はどうごらんになっておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体同じような考え方をしております。
○鈴木一弘君 非常に先のことで、まだ具体的な答弁は容易でないかもしれませんが、公債発行の条件でありますが、大蔵省は新聞によると金利は年六%台に持っていきたい、こういうことを大蔵大臣が意向を固めたということが八月四日の新聞に出ているわけでありますが、金利をきめるのに、六%台というと、六%だけにするのか、六・五にするのか、まあいろいろあるわけでありますが、独自の考えでこちらで金利をきめて自動的にやるのか、金利体系全般の中から受動的にそれをきめていくような方法をとるのか、どちらを考えられるのか、まずその一番基本的な方針を伺っておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 公債の金利は、これは金利体系に非常に重大な影響がありますので、これは慎重にきめなければならぬわけでありますが、きめるにあたりましては、またその逆に金利体系全体というものも見てきめなければならない。両方相にらんでやらなければならないという関係にあるわけであります。私は無理やりに金利を引き下げるということには賛成をしませんけれども、日本の金利水準というものはもっと下がったほうがいいというふうに考えておりますが、そういう下がり得るような環境が、自然にそういうところにいくということがいいと思うのであります。そういう全体の金利の中で公債がどういう利率をつけるがいいかというふうな考え方できめていきたいと考えております。
○鈴木一弘君 全体の金利を引き下げたほうがいいという話がちょっと最初あったのですが、そうすると、そのきめ方ですが、預金金利までも引き下げるという考え方ですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 預金金利を下げるということは、これはその波及するところが非常に広いわけであります。私は金利水準全体としては下がったほうがいいと思うのでありますけれども、預金金利を引き下げるがいいかどうか、これは慎重に考えてみたいと、かように考えております。
○鈴木一弘君 非常に微妙なところに入ってきたのですけれども、いま国債が戦前のものが六・四%ぐらいですね、政府保証債が七%、割引債が六・二%、利付債が七・三%、預金金利が五・五%、そういう状態ですから、公債の金利を金融債より低く持っていったときにはどうなるか、これは一般の金利のほうがいいわけですから、未消化になってしまう。日銀の引き受けをさせるを得なくなってしまう。今度の公債だけの利回りを下げて、預金金利だけをおいておくというかっこうでもやはり公債は消化できないでしょう。また両方下げるということになれば、物価の上昇率も考えなければならない。預金の金利が下がって物価の上昇率が高いのでは、だれも貯金するものがなくなってしまう。また割長や割興のようなものよりも金利を下げるというか、上げるといいますか、そうすると、同じような程度に上げるということになれば、公債の消化というものはできなくなってしまうわけです。 〔理事大谷藤之助君退席、委員長着席〕 一体そういうからみ合いが一ぱいあるわけですから、慎重にということはわかるけれども、いままでの国債が六・三%、それから利付が七・三%、政府保証債が七・〇五%ということでいま均衡を保っておるわけです。そうすると、前の慎重にということになれば、いままで出してきた国債と同じような金利でいくということなのか、あるいは全面的に下げたいという話なら、割引債から政府保証債から全部下げるようにする。そうして公債の消化しやすいように持っていこうとするのか、大体そうなると、六%台の中でも六・何%程度、政府保証債よりは安いとか高いとか、あるいは割引債よりは、金融債よりは安いとか高いとかというめどがついてくるわけでありますから、その辺のめどはどうお考えになりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど大蔵省では六%のことを考えたとかという新聞をごらんになったというお話でありますが、まだ実は私のほうでは固まったその考え方を出していないのです。おりませんが、これはもう国債の金利をきめる場合におきまして、どういうふうにきめるか、これは金利体系全体を見回しましてきめなければならぬ問題でありまして、いまこれをどういうふうに引き受けするかというようなところまで検討が進んでいないのでございます。いずれその検討が進みました段階におきまして、また御披露いたしたいと思います。
○鈴木一弘君 その検討はいつごろつくのですか。非常に大きな問題だと思うのです。市場の金利というものはすっかり狂ったり動いたりしますから、いつごろそれを決定されるかということです。
○国務大臣(福田赳夫君) これは公債の発行問題でありまするので、私はそういうような問題は大蔵省の財政制度審議会の各位にもとくと御意見を承ってみたい、こういうふうに考えております。まあそういうこと、それからことしの一体予算の執行の結果がどういうふうな見通しかという見通しも立てなければならぬ。また来年度の予算をどういうふうにするかという方法も大まかなことも見てまいらなければならぬ。それらが大体検討のつく、まあ十一月以降になると、そういう問題に対する考え方が固まっていく段階になるのじゃないか、ただいまのところでは一応そういう考えをしております。
○鈴木一弘君 それから、先ほど民間の資金がかなりいまあるのではないかというお話だったのですけれども、相互銀行とか信用金庫、こういうほうだけではかなり考えられると思うのですけれども、市中銀行はあまり余裕が少ないというような話を聞いているわけです。そういうあたりが全銀協あたりの考えのようなんです。その点は大蔵大臣は、一時借り入れをやるにしても、公債を発行するにしても、一体どこから持ってくるか、都市銀行なのか、そういうような相互とか信金とかの金を、あるいは農林中央金庫ですか、そういうものから考えていくのか。
○国務大臣(福田赳夫君) 公債を発行するにあたりまして、つまり、これはこういう考え方が必要だと思っております。都市銀行、また一般銀行ですね、それから相互銀行、信用金庫とか、あるいは信用組合もあります、あるいは信託銀行もある、保険会社もある、いろいろな金融機関がありまするが、それらに集まる預金の総量ですね、それと公債とのかね合いというものを考えて、公債が出ても、そのために民間の金融を圧迫することがないようにということを、とくと心がけなければならぬ。またさらに、その場合においては、中小金融について、その影響がいかないようにという配意を特にしなければならぬ、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 そこで、いま中小金融云々の問題が出たわけですが、中小企業に、公債発行、借り入れをやった場合、非常に影響する。特に公債発行の場合は影響すると思いますが、現在の銀行等の資金コストを見ると、七・五とかいうことになっているわけです。コールレートも、ここのところで調べてみると、無条件のもので六・九四%という状態ですから、これを余裕があるということで、ぎゅっと押しつければ、それだけ相互銀行あるいはその他の銀行でも、かなり資金コストが高いだけにやりにくく、経営も困難になってくる。そういうときには、そういうコールの見返りに公債を引き受けたということになるわけですから、コールを出していたのを公債を引き受けるわけですから、中小企業に直接的に相互銀行の場合には響いてくるだろう。都市銀行の場合にも、現在でさえも中小企業向けの貸し出し残高というものが年々低下している一方です、総貸し出し残高中に占める中小企業向けの残高。そういうことから見ると、さらにこれを圧迫することになるのではないか。これが一番大衆に響くわけです。中小企業というのが日本の企業の中での九〇%をこえておるわけですから、その点についての配慮というものはどうなるのですか、全然お考えになってないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことがないように、公債の額をきめ、またそれの消化方策をきめなければならぬというふうに考えております。つまり、国の総貯蓄というか、それは大体見通し得るわけであります。それが中小企業にどの程度回るか、公募の公債にどの程度充当されるか、これは全体の配分になるわけでございまするから、その配分の結果、中小企業なんかにしわ寄せがいかないようにという配意は、これはもう十分とっていかなくちゃならぬ。つまり、たとえば相互銀行だとか、あるいはその他の中小金融機関、そういうものに公債がこう、力で割り当てられるというようなことにはいたしたくないものだと、かように考えております。
○鈴木一弘君 公債発行、年度内ということを言われているわけでありますが、今後先々を見なければわからぬということですが、散超の見込みが九月から十二月までですか、それからまた揚げ超に変わってくるわけです。そのときに行なおうということを考えていらっしゃるのかどうかということです。
○国務大臣(福田赳夫君) そのタイミングはどうとりますか、まだそこまで考えておりませんけれども、つまり、政府資金の散布超過の時期におきましては、一般の金融が緩みがちの傾向になるわけでございますから、公債を消化するということについてはいい環境になる時期だと思います。しかし、そればかりというわけにもまいらぬかと思うのです。政府の財政上の需要というような問題もありまするし、あるいは予算を編成する、そのこと自体がまたタイミングがなかなかむずかしい問題でもありますので、いろいろな要素を総合して、その発行の時期はきめられる、かように御了承願います。
○鈴木一弘君 いままではそういうときに売りオペをやり、また資金不足のときに買いオペをやるということで、資金需要に対しての調節をやってきたわけであります。すると、今度は散布超過のときに公債で引き揚げていく、この次、公債出すわけにはいかないわけですから、そのときはやはり日銀が引き受ける。それは散布されて公債を引き受けるというかっこうをつくっていくわけですから、あるいはいままでと変わりなく、さらにそれに加えていわゆる買いオペ等の措置をとって資金需要というものにあわせていこう、こうなさるか。
○国務大臣(福田赳夫君) 売りオペレーション、買いオペレーションは、これはそのときの金融情勢に応じまして弾力的に適宜行なわれるわけでありまするが、公債が出るということになれば、そのオペレーションの対象として公債も使われるわけでありますから、さらに弾力性が強まる、こういうことになろうかと思います。
○鈴木一弘君 公債発行の問題の最後として総理に伺いたいのですが、公債発行ということになれば、どうしても各省が予算要求もかなりうるさくなるだろう。金がないといえば、さらに出せばいいじゃないかということに移ってくるわけです。そうすると、ここで放漫財政ということになりやすいわけでありますが、実際に放漫財政に移さない、そういうような方策、その覚悟というものがおありかどうか、そのことをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 公債問題をめぐりまして、たいへん質疑が重ねられておりまするが、たいへん関心を持たれる重大な問題でありますので、ことに一番大きい問題は、一たん公債を発行するようなことになれば、財政の健全性が保てるか、この点にあるものだと、かように思いますが、したがいまして、この各種条件等政府が考えなきゃならない場合がございますが、その場合におきましても、まず第一に財政の健全性を保つ、このことだけは厳に堅持しなければならないことでございます。で、ただいま圧力団体あるいは党の情勢等につきましても、いろいろ御心配をいただいておるようでありますが、踏み切る際には、こういう点につきまして十分注意するつもりでございます。
○鈴木一弘君 次に、物価について若干伺いたいのですが、現在の物価が経済構造上の問題だと、こう言われているのは久しいわけであります。ところが、今回発表になった物価対策を見ましても、従前までの対策を見ても、いずれも総体的な対策になっている。つまり、私の申し上げたいのは、所得階層別になっていない。高額所得の人と低所得の人とは、おのずと購入する物資も違うでしょうし、生活環境も違っているわけであります。ところが、消費者物価指数を見ても、すべての物価というものをならして一つに立てていくわけですから、どうしても対策も総合的にならざるを得ない、総体的にならざるを得ない。そこで階層別の物価というものに対しての対策を立てるべきではないか。特に、高所得の人ならば、毎月のように必要な品物でも、低所得の人にとっては一年に一度か二年に一度しか必要でないものもある。浴場の入浴料というものは高所得の人には関係ないかもしれませんが、低所得の人にとっては甚大な影響がある。そういうことを見て、所得階層別に物価というものを調べ、特に月によっては非常に物価の上昇率が高く、ある品物だけが著しく高くなっていくものがある。そういうものに対して集中的な対策を直ちに打つということは、これからの物価対策としては一番必要になってくるのではないかと思いますが、その点について総理にお考えを伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま鈴木君のお尋ねにぴったり合うかどうか、ちょっと疑問でございますが、私はこの物価問題は、かねて言われておりますように、これというきめ手はなかなかないのだ、しかし、私どもは物価問題と真剣に取り組んでいく、そういう場合に特に力を入れるものが消費者物価だと、こういうことをしばしば申しておりますが、ただいまのお話によりましてもわかりますように、われわれが特にこの物価問題を取り扱った場合に、いわゆる底辺に住む人々、こういう者に対しての十分の考慮がなければならない、こういうことは御指摘のとおりであります。私はそういう意味で物価問題と真剣に取り組んでおるわけであります。もちろんこれは総合的な施策のもとにおいて初めて目的を達するものでありまするし、そういう意味で、これと取り組んでいるのであります。ことにまた公共の料金の扱い方につきましては、これまた底辺に住む諸君が最もその負担の重いことをかこちやすいものでございますから、そういう意味で、公共料金の引き上げというものは慎重にならざるを得ないのであります。私どもこれを池田内閣当時に全面的なストップをいたしましたけれども、全面的ストップをすることが、これが解決の方法でもないように思います。また期間を経過したあとの混乱等を考えますると、そういう方法には私は賛成しかねる。むしろケース・バイ・ケースで処置をとり、同時に関係者一同の経営合理化等の苦心によりまして、そうしてできるだけ値上げをしなければならない条件、そういうものを征伐していく。そして値上げをしなくてもすむように、また最大の努力をいたしまして、上げる場合もこれを最少限度にとどめるように、そういうふうにいたしたいというふうに思います。そういう場合に、ただいま言われました階級別対策という、いわゆる底辺に住む諸君に十分の思いやりをする、かように私は申し上げる次第でございます。
○鈴木一弘君 総理の答弁で意を強くいたしますけれども、いままでのところは、そういう実際問題としては機能が動いていない。やっとここのところで企画庁の中にいわゆる国民生活局ですか、あるいは物価課というものができてきた。やっと大衆の立場に立って、そういうものを考えるというようになってきたわけであります。そこで、これはやはり物価の一番大きな問題でありますけれども、経済法というのがわが国では非常におくれているように思う。その経済法がおくれているために、いろいろな混乱が大衆にきている。たとえば、はっきり申し上げれば、組合価格の問題でありますが、組合価格の場合も、あるとうふ屋が十円で売っている、片方の組合のほうでは多数決で二十円にきめたから、十円でやれるところも二十円に売らなきゃならない。これなんか、はっきり言えば、一つの法律違反でもあるし、いま一つは暴利、不当な高値をとっているということが言えるわけです。そういうような点が非常に欠けている。そこで、そういうような原価計算をやってみたりしてみれば、実際の価格はどれくらいであるべきかということが出てくるわけであります。十円で実際に売れるところがあるのに、一方では二十円で、組合できめたから全部が二十円にしなきゃならぬと。これは非常な大衆に対しての圧迫になるわけです。そういう不当な高値というものを、戦前の暴利取締令みたいなふうにはいかぬと思いますけれども、何か規制する法律を考える必要があるのではないか、研究する必要があると思うのです。その点についてお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの状況で、いわゆる価格統制令、かような強い処置をとる必要があるかどうか、これは十分検討をしてまいることでございますが、私は必ずしもそういう処置をとらないことがいいんじゃないか、それぞれが社会的責任を果たしていく、こういうことで、りっぱに経済秩序を保てる、かように私は思います。ただいまあげられました例、いわゆるとうふの問題などにいたしましても、こういうことが考えられるからこそ、いわゆる中小企業の設備の近代化、これがどうしても必要なのでありまして、また、そういう意味で、個人的な問題でなければ、これがやはり組合的にそういう設備の近代化をするとか、いろいろ工夫をしてもつことによりまして、安い品物を、しかも良質なものを消費者に提供することができる、そしてその業者自身も立つ、かようになるのでございます。だから、いわゆる指導、中小企業庁あたりの指導が、ただいま申し上げるようなところへ徹底すること、非常にこまかなことのようでありますが、これをひとつ進めていきたい。最近は設備の近代化、これがちょうど進んでおりますが、この点では私は順次期待に沿えるようになるのではないか、しかしながら、なかなか金額的にも少額だし、またそれを利用するということについても、なかなか徹底しかねるということでありますので、ただいま鈴木委員の御指摘のような点は、いまなお残っておりますので、政治のあり方、行政のあり方とすれば、そういう方向へ指導すること、それが最も大事なこと、かように私は思います。
○鈴木一弘君 公正取引委員会の佐久間さんに伺いますが、組合価格というのは多数決決定で行なわれる、これは明らかに違法行為だろうと思うのです。そういうような違法行為を行なったり、不当高値ということで、十円でできるところ、十五円でできるところを、三十円、五十円の組合価値で売り飛ばす。そういうことで設備の近代化がされたところは、ますます膨大な利益を得て、大きな新しい一つの財閥形態になってくるわけでありますけれども、そういうような多数決決定というものによる組合価格、これははっきりと違法であるということが言い切れますか、また、それに対する考え方を。
○政府委員(佐久間虎雄君) ただいま御指摘の点でございますが、組合には中小企業団体法に基づきます組合、あるいは環境衛生法に基づきます同業組合等種々ございますが、御指摘のとうふに関係いたしますものは、商業組合に属しておるわけでございまして、とうふに関する限りは、私どもの承知いたしますところでは、価格の協定は認めておらないはずでございまして、各自任意に売価をきめてきたはずでございます。したがいまして、十円あり二十五円があるというふうになっていると思いますが、往々にして、御指摘のような申し合わせによりまして、価格をきめようとする動きがありますので、さような事実が判明いたしました場合には、法律違反として指摘することにいたしておりまして、現に昨年一ぺん違反を指摘いたしたような次第でございます。中小企業関係の価格につきましては、とにかく便乗値上げの風が出てまいりまして、法律で認められております以外に、価格を協定しようとする動きが間々あるのでございますが、先ほど総理が御指摘になられましたように、中小企業の価格の問題は、結局設備の近代化、合理化によってのみ解決されるのじゃないかというふうに私どもも感じておりまして、価格協定のほうを押えるということは、結局近代化、合理化のほうへ追いやる一つの手段でないかとさえ考えている次第でございます。なお、中小企業は、御承知のように、大企業に比べまして、非常に力の弱い立場にありますものですから、そういう点におきましては、保護すべき点につきましては、十分法律の許す範囲で保護するような施策をとっております。
○鈴木一弘君 総理に伺いますが、不況対策で、ここでてこ入れをする、非常にことし注意しなければならないことが、高度成長の繰り返しといわれるのです。で、もしもそういう高度成長の繰り返しが、たとえば、行なわれることになれば過熱をするところが出てきて、これが物価を引っぱっていく。その後で企業別の不況対策、経済政策ということがどうしても必要になり、企業別、産業別のことにならざるを得ないわけであります。それに対してどう臨まれるかというお考えを伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは昨日来いろいろお尋ねをいただいて、私お答えしておるのでありますが、いわゆる安定成長という、そういう表現をしておりますので、均衡のとれた、そうして不安定が除かれたそういうもとにおいてできるだけの成長を遂げ、また生産もふやし、完全雇用もねらい、そして国民生活の安定もさせよう、こういうわけでございますので、いわゆる本格的に安定基調に乗れば、ただいまのような御心配は私はないと思います。しかしながら、いずれにいたしましても、自由経済のもとにおきますと、ただいま言われたように、景気がいいとすぐ走り出す。これがいわゆる過熱ということになりますし、また、景気が少し悪いと、いわゆる過度の萎縮がすぐ出てくる。そしてムードによって経済が動いておる。これはたいへんなことであります。こういうことで、政府自身が絶えずその動向に注意をいたしまして、そうして経済自体を安定成長の基調へ乗せるのだ、こういうことであらゆる努力をしていかないと、ただいま御指摘になりましたように、また走り過ぎる高度成長を来たしまして、いわゆるひずみ、そういう事態を起こして、またたいへん苦労することになるだろう、かように思いますので、十分動向に留意して、これが最も大事なことだと、かように私は思います。
○鈴木一弘君 安定成長ということを言われたのですが、企業のほうでは、ものすごく伸びていくのが安定成長だと思っているところも出てくるでしょう。そういう過熱を非常に心配するわけです。 そこで、ここで別な話になりますが、国鉄料金を上げる、郵便料金も上げたい、消費者米価もというような、こういう話が出ているわけです。国鉄料金、郵便料金、消費者米価について、一体時期はいつごろというような予定でいらっしゃるか、その点お尋ねいたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど、公共料金を引き上げるということについてはよほど慎重でなければならぬ、かように私は申しましたが、しかも、ただいま世間でうわさされておる、鉄道も郵便料金も消費者米価も、さらに薬価まで上げる、こういうことでは、一どきになればたいへんな負担増になります。こういうことになれば、いよいよ注意しなければならぬ、慎重の上にも慎重にということでなければならないと思います。しかして、ただいま申し上げるようなそれぞれの問題をかかえておるのでございまして、それらの間の緊要あるいは緊急性等につきましても考えていかなければならぬのではないか、かように思います。政府は、そういう意味でたいへんだだいま苦心しておる状況である、かように御了承いただきたいのであります。
○鈴木一弘君 緊急度の度合いはどうお考えになっていますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これも、それぞれの立場におきまして自分のところが一番緊急だ、かように申しますので、総理自身が判断いたします。最終的には全部の材料がそろった上で判断をしなければならない。これはやはり総理としての責任ではないだろうか、かように思いますが、ただいま緊急度等につきましても軽率に申し上げられませんので、しばらくこれだけは預からしていただきたいと思います。
○鈴木一弘君 いずれにしても、大衆保護ということを一番中心に考えていただきたい。 水道料金の問題でありますが、この水道料金値上げが各地方団体でずっと行なわれてきて、東京都の場合はああいうような状態になった。この内容を見ると、営業収支と資本収支に地方団体の場合は特別会計が分かれているようであります。資本収支の、いわゆるダムをつくったり水道管を入れたり導水路をつくったりというほうの勘定までが水道料金で支払わねばならぬというところから値上げの問題が起きてきて、あくまでも資本投下した分は営業収支と資本収支を分離して、料金は営業収支だけで考えて、そういうような建設部門のほうは一般会計からの財源で補うというようなことを考えなければ地方団体というのはほとんどがパンクするような事態になってしまいますけれども、これについて大蔵大臣と自治大臣にお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 公営企業もこれは企業体でございまするから、その資本支出、営業支出、そういうものは区分して考えるべきところでございまするが、しかし、これ、なかなか、いまの公営企業は歴史を持っておりまするもんですから、いまそれをせつ然と区分いたしまして、そうして資本支出はこれは借り入れ金でやるんだというふうにもまだ言い切れない状態かと思うのであります。これは非常にむずかしい問題でございまするから、いま政府のほうでは公営企業審査会というものを設けまして秋ぐらいには結論が出るという話でございまするが、まあ非常に専門的な検討を経てまあその結論を出すようにしたい、こういういま作業の進行途中でございます。
○国務大臣(永山忠則君) ただいま大蔵大臣が申しましたとおりでございます。
○鈴木一弘君 そんなのはない。大蔵大臣のほうは、これは当然国のほうとして金を出さなければならぬことですからこれは慎重にやりたいという答弁があるだろうということはわかりますけれども、自治大臣としたならば、地方団体の安定ということを一番根本に考えられるんじゃないですか。そうすれば水道料金値上げの問題がこれだけ騒がれて、またその経営内容というものがよくなかったりして、どうすればよくするか相当考えなければならぬ。それは当然そうなると、企業会計の内容が営業収支と資本収支に分かれておれば営業収支のほうだけの料金を考えるとか、資本収支のほうはほかの財政援助でもやってまかなっていくようにしようとか当然考える立場に立つのが自治大臣の立場だと思うのですけれども、大蔵大臣の言ったとおりでございますということは、それじゃ全然見捨てようというわけですか、地方団体は。
○国務大臣(永山忠則君) 大蔵大臣が申しましたように、きわめて重大でございますので、地方公営企業調査会でこの問題を鋭意検討をいたしております。十月ごろ結論が出るようになっておりますので、それを中心に十分ひとつ考慮いたしたいと考えております。
○鈴木一弘君 大臣として、地方団体に対して、自分はそういう答申云々はあるけれども、これは守っていくにはこういう方法がほしいとかほしくないということはありませんか。
○国務大臣(永山忠則君) 自治大臣といたしましては、きわめて地方財政との関連において重要でございますので、調査会で十分審議をしていただくというようにいたしておるのでございますが、大蔵大臣の申しましたように、独立採算制のたてまえで来ておりますので、資本関係をこれを一般会計その他政府の補助金でやるということに対しましてはきわめて重大でございますので、この点に対して審議をいたしておるのでございます。
○鈴木一弘君 大臣個人の考えは。
○国務大臣(永山忠則君) なお、個人的な考え方は、これは制度調査会でせっかくやっておりますので、十分ひとつ論議を続けていきたいと考えておるのでございますが、ただいまの調査会での論議をされております点につきましては、やはり独立採算制の原則は堅持されるべきものであるということがございますが、しかし、元金償還と減価償却とのギャップについては、これに対しては政府は相当考慮を要するものである。したがいまして、本年度は、水道におきましては、償還期限を五年延ばしまして三十年に政府資金はいたしております。公営企業資金は五年延ばして二十二年というようにいたしております。それでもなお四十年の減価償却でございますから、その間のギャップについても何らかの方途を講じて、そうして水道料金を値上げしないように、また適正なところへ安定せしめていくというような論議が強く行なわれておるのでございます。われわれもまたそれらの論議を中心に将来を十分考慮いたしたいと考えておる次第でございます。
○小平芳平君 関連。いまの水道の問題ですが、前に東京都で非常に水がなくなって、それこそ空前の水の危機だというようなときが何回かあったわけです。そういうときにも、私はこの委員会でよく厚生大臣、大蔵大臣に質問したことがあったのですが、そういうときには、大体政府の答弁は、池田内閣時代は、金は心配するな、水利権の問題さえ話し合いがつけば、建設のための債券もそういうワクはあるのだから、命の心配はないからということを答弁していたのです。ところが、いま大蔵大臣あるいは自治大臣の答弁の内容からすると、そういうような問題は、金が独立採算でいくとか、歴史があるとか、そういうことですりかえているだけであって、いま現に市民は料金値上げで脅かされている。また、実際市町村で水道を持っているところは、赤字、赤字でたいへんな火の車だ。こういう困っている現状というものをただほったらかしたような形で、こういう国会の論議というものがそんな程度で済まされるものかどうか。政府はもう少しはっきりした——前に私が聞いたような、そのときの答弁ならば話はよくわかるのです、筋は。金はあるが、水利権があるという問題ならばわかる。ところが、いま、ただ答申を待っているのだというようなことじゃ相済まぬと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 問題が二つあると思うのですよ。それは採算の問題ですね。つまり、料金を上げなければ収支が追いつかない、こういう問題と、また、いまおっしゃられるように、金さえあれば幾らでも仕事はということは、これは水道事業という問題だろうと思うのです。この前の収支採算の問題につきましては、これが関連して水道料金の値上げ問題というものが来るわけでございますが、東京都という一地区の公営企業の採算を補給するという意味において国が金を出す。つまり、全国民からの租税収入をもってその金を補給するということは、私は慎重に考えなければならぬ、そういう考え方です。 それからもう一つの、金さえあれば仕事はどんどんというような意味における問題は、これは東京都の考えられる水道事業、これが規模がどうなるか、それに対して資金調達はどうなるかという、まあこれは起債問題にもつながるわけでございまするが、そういう面におきましては、私は、国も東京都の事業計画遂行に協力すべきだ、そういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 千葉の県立公園の手賀沼でありますが、ここがディズニーランドをつくると言ったのがつくらなくなって、そうして宅地として分譲したいということを言っているということなんですが、公有水面を埋め立てた問題でもありますし、経過と事実というものをまず御報告していただきたいと思うのですが、大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) これは私のほうの所管とは全然関係がないので、建設大臣ですか、あるいは農林大臣ですか、そちらのほうからお聞き、取り願います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いまお話しの手賀沼のいわゆる埋め立て地の問題ですが、これは調査してみましたところ、昭和二十九年の六月九日、第一工区の埋め立てばそういうことで、第二工区については三十六年の十二月二十七日付で千葉県知事が我孫子レクリエーション株式会社というのですか、それからもう一つは全日本観光株式会社、これに埋め立ての許可をした。ところがその後、この権利を全日本観光株式会社に統一してそれが免許になりまして、両工区ともことしの二月二十六日付で観光の認可をいたしております。埋め立ての権利と申しますか、公有水面使用権は知事の認可事項になっておりますが、その際は地元の我孫子町の意見を徴して、いまお話しのように、観光基地といいますか、観光施設にするということで埋め立てを許して、その面積は第一工区が三万九千八百五十平米、坪にいたしまして一万三千百五十坪、第二工区は十九万三千七百十七平米、坪にいたしまして六万三千九百二十七坪こういうことになっておりますが、いまお話しのように、他の目的にこれを売り渡すということは話はあるそうでありますが、まだその実行ということは私のほうではわかっておりません。問題は埋め立ての目標と申しますか、それがいまだに観光と申しますか、レクリエーション施設ということになっておりますので、これが直ちにわかりましたから、千葉のほうにも連絡をいたしまして、目的以外に、また地元の意思と反して不当な処分をしないように指導をいたしたい、こういう考えでおります。
○鈴木一弘君 農地もかなり埋めておるようでありますけれども、これについて。
○国務大臣(坂田英一君) 農地の転用の問題じゃないかと思いますが、これは私はっきり記憶しておりませんのですが、数年前に転用の許可を受けたものじゃないかと思っております。詳細についてはなお調査中であります。
○鈴木一弘君 質問の内容については、問題が問題ですから、時間をかけて二日前にこれはお知らせしてあるわけなんです。農林大臣のほうでこれをつかんでないというのはおかしいのですが、農地二万七千坪を現在は埋め立てて、公有水面と一緒に埋め立てて、十万坪になっておるわけであります、十万坪近くに。初めは千葉県の開発公社が、いわゆるディズニーランドであるということでは無理であるということで、県の開発公社でこれを買い上げて雑地にかえて、それが地目変更をしてから観光開発にトンネルでもって渡した、こういうようなことをいわれておるわけでありますが、その辺の事実についてわかりませんか。
○国務大臣(坂田英一君) 事務当局から説明いたさせます。
○政府委員(大和田啓気君) お答え申し上げます。 埋め立て地の背後地の農地は二万坪とちょっとでございますけれども、これは公共的なと申しますか、大衆的なと申しますか、千葉県の開発公社が昭和三十六年五月に、農地法五条の許可を受けて農家から譲り受けたものでございます。それを三十七年十一月に千葉県の開発公社から全日本観光株式会社にこれも観光目的で譲渡したものでございます。
○鈴木一弘君 どうしてじかに全日本観光が農地を買わなかったのですか、理由は。
○政府委員(大和田啓気君) これは当時のことをまだよくつまびらかにいたしておりませんけれども、三十五、六年でございますから、農地転用が相当きびしい運用をいたしておった時代でございまして、一会社の観光ということでは農林省としてはむずかしいという事情があったのではないかと思います。したがいまして、この千葉県の開発公社というのは公益法人でございまして、千葉県の開発公社が、ディズニーランドといいますか、大衆的あるいは公共約なレクリエーションの施設を設けるということでございましたので、農林省として許可をいたした次第でございます。
○鈴木一弘君 時間がありませんから、あまり突っ込んでいかないのですが、実際は全日本観光に初めからやるということがわかっておって許可をやったという感じを受けるのです。今度は公有水面の埋め立ての問題で本省のほうから横やりが入って、千葉県に千五百万円、全日本観光から支払ってもらって黙認したということを聞いているのですけれども、これは実際でしょうか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) そういう事実があるかどうか、現在承知しておりませんので、調べたいと思います。
○鈴木一弘君 そういう状態だから前もって通告しておいたわけです。当然きょうは調べた結果が出るだろうと思って期待したわけです。もう少しまじめにひとつ大臣やってください。 この許可条件、公有水面埋め立ての許可条件、転用許可、埋め立て許可ということになるわけですけれども、その許可条件に合わないようになったときには、これを原形に復させますか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど事前に通告してあるからというお話でありますが、その辺のそういう事情は全然わかっておりません。 それから、それを原形に復するかというお話でありますが、これは残念ながら、いわゆる公有水面埋め立て許可権が知事にあるわけであります。それは行政指導として、さきほど申し上げましたように、地元の意向等を徴して善処する、こういうことでございます。
○鈴木一弘君 これで最後にしますけれども、まあ農民からは坪二千円ぐらいで、あと補償金を千円ぐらい払う。坪三千円ぐらいで買っている。埋め立て工事の公有水面のほうにしても、どちらにしても、埋め立て費が坪三千円から四千円、まあ一坪六千円から七千円ででき上がっているわけでありますけれども、これを我孫子の町に申し入れて、ディズニーランドから普通の宅地にしてこれを売ろう。しかも、その言いがかりが、湖面がだいぶ濁ってきている、汚水が入っているというたったそれだけの理由で宅地にして売ろう、坪二万五千円ぐらいで売ろうという話でありますが、それだけで二十億ぐらいになるわけでありますけれども、これはどう考えても不当な行為じゃないか。公有水面は当然公益の使用以外には使えないわけであります。それがいつの間にか一観光会社の私腹を肥やすためのものの行為に変わってきている。これは当然許可できるものではないと思うわけであります。いろんな関係がありますから、これについては農林大臣と建設大臣、自治大臣、答弁願いたいと思います。 なお、こういうような国有財産といいますか、と言うとおかしうございますけれども、そういうような公有水面そのほかに関する不正行為については、総理としては徹底して粛正していく気がおありかどうか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 十分調査の上で、調査いたさせたいと存ずるわけであります。
○国務大臣(永山忠則君) 自治省といたしましては、開発公社は、昭和三十七年の地方自治法の改正によりまして、地方公共団体が資本金の二分の一以上の出資をしている場合は、地方議会が公共の経営状況について常に関知できるようにしてあるので、そして適正な運用を期待しておるのでございますが、ただいまのお話のものは、その条件にはまっておりません。いわゆる開発会社が公益法人としての運営を法令に準拠して行なっております関係において、自治省には特別の指導監督ができない情勢になっております。
○国務大臣(瀬戸山三男君) これはよく調査せなければ明確な答弁はできませんから、調査いたさせます。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国有の原野、林野、あるいは国有の土地、あるいは公有水面等のこれらの活用といいますか、こういう点については、まちろん活用しなければならぬと思いますが、しかし、それはどこまでも国民全体の利益に合致すると、こういうことでないといかないと、かように思います。特殊の会社や特殊の団体にこれが不公平な扱い方をされて特例な利益を与えるというようなことであってはならないと思います。私はそういう意味で、たとえば国有の原野、林野、これは特に東北地方、あるいは北海道方面に多いのでありますが、こういうものの払い下げその他がございますが、関係省に対しましては、そういうものの払い下げは特にひとつ注意してくれないか。大体は土地のような限られたもので、そしてふやすことのできないもの、たいへん雑地等はありますが、ふやすことのできないもの、そういう場合には公有のままでこれを活用できるような方法を考えてくれないか、いわゆる払い下げということはできるだけ避けるような方向が望ましいのではないかということで、基本的な態度をとっておるつもりであります。ただいまのような事態が次々に起こり、そうして疑惑の種をまいていく、こういう事柄につきましては、これは厳に注意しなければならないことだと思います。関係省も十分これらについて調査して、そしてその上でお答えする、かように申しております。これはほんとうに事柄の性質が性質であるだけに、十分注意をして、そして精査して、しかる上でお答えしたいと、かように申しておるのでありますから、これがただこの場限りの答弁だと、かようにお考えにならないで、しばらく時間をかしていただいて、そして十分精査し、納得のいくような話ができるようにさらに調査を進めてまいる。そしてこれが納得がいかないというような場合におきましては、政府自身といたしましても、それぞれの関係のところに十分注意をし、いかに処置していくか、これもよく考えてみたい、かように私は思います。私自身がただいま申し上げるように、国有、公有、そういうものについてどこまでも扱い方を、大衆のために活用していく、こういう見地に立っていることを申し添えておきます。
○鈴木一弘君 調査ということでなくて、調査する前の姿勢を私は聞いたわけですが、いまの総理の答弁で各大臣も真剣にやってくださるだろうということを期待して質問を終わりたいと思います。
○委員長(平島敏夫君) 鈴木君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(平島敏夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。本日秋山長造君が辞任され、その補欠として光村甚助君が選任されました。 —————————————
○委員長(平島敏夫君) 次に向井長年右。
○向井長年君 私はまず外務大臣に質問をいたしたいと思いますが、シンガポールがマレーシアを脱退して独立が伝えられております。これにつきまして見通しと、なお詳細をどう政府はつかんでおるか、外務大臣から答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 昨日、すなわち八月の九日、ラーマン・マレーシア首相とシンガポールのリー・クアンユー首相は八項目から成るシンガポールのマレーシアからの分離独立を認めるシンーガポール独立協定、これに署名をしたのでありますが、これで八月九日をもってマレーシアはシンガポールに対する主権及び管轄権を放棄いたしました。シンガポールはマレーシアの一州ではもはやなく、マレーシアから分離独立した主権国家となったのであります。これはマレーシアにおきましてはラーマン首相の宣言として、それからシンガポールにおきましては特別官報の形で書きおろされたのであります。 協定の概要でございますが、この協定はマレーシアとシンガポールとの間には相互防衛援助条約が締結され、シンガポールにある軍事基地等はマレーシアによって使用されることが認められることに定めてあります。また、経済的にも両国は密接な関係を維持することを約束しております。そしてその独立と国防に相互に有害となるような条約、協定等は締結しないという約束をしております。これが協定の概要でございます。 ここに至るまでのいきさつを簡単に申し上げますと、御承知のとおり一九六三年九月にマレーシアは成立を見たのでありますが、人口の七割五分が中国系住民で占められておるシンガポール州と中央政府との関係はかねてからその成り行きが注目されていたのであります。しかるに昨年七月初め偶発的事件を契機としてシンガポールにおきまして中国系住民とマレー系住民との間に流血を伴う闘争が発生した。かような人種的な抗争をめぐる政策を主軸にいたしまして、中央政府とシンーガポール政府との立場は次第に微妙なものになってきた。かかる両者の微妙な関係の上にさらに穏健な政策をとるマレー国民統一組織——これはラーマン首相の率いる政府与党であります一と進歩的な社会主義政策をとるシンガポール政府の与党、すなわち人民行動党との間の確執というものは根深い状況にだんだんなってきた。かかる状況を背景に本年初頭以来中央政府首脳とシンガポール政府、それからマレー国民統一組織党と人民行動党の間にお互いに非難し合うような事例が続出いたしまして、その対立は次第に露骨となってまいりました。ついに今回ラーマン首相の帰国を待って急遽事件の話し合いが促進されるに至った。こういう状況であります。 今後の見通しでございますが、シンガポールは独立したとは言いながら、地理的関係及び従来の歴史的関係から見ましても、シンガポールの利益を維持しつつ、特に経済的にはマレー半島と密接な関係を維持していくものと思われます。 それからマレーシア紛争との関係でありますが、シンガポールの独立により事態は複雑となることは回避できないが、シンガポールが独立を契機にインドネシアにかかわりを持つというようなことは独立協定の内容からいって考えられない。 わが国とマレーシアとの間にいわゆる決済問題がございましたが、本件の成り行きにつきましては、当然これは今回の事件によって問題は非常な形を変えることになるのでありますが、しばらく静観をしたい、こう考えております。いずれにいたしましてもシンガポールの成立は中国人がその人口の七割五分を占めているということでもあり、国民政府、中共政府との関係においても複雑な問題を生ずるであろう。それから同地域が東南アジアの通商上重要な地位にあることを合わせ考えますときに、今後のシンガポール国の動向には十分注目する必要がある、かように考えております。
○向井長年君 いま外務大臣がいろいろと情勢なり見通しを説明されましたが、非常に複雑な状態を持っていると思うのです。ところが、まっ先にインドネシア・スカルノ大統領はこれに対する承認を与えるというようなことが報道されておりますが、こういう状態の中で、やはり日本といたしましても、相当関連を持つシンガポールだと思うのです。そういう中から日本政府はこれに対してどういう態度で臨むのか、その点、外務大臣からひとつ答弁を願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 各国のこれに対する動静をいま観察しておりますが、イギリスはいち早くきょう、つまり、十日付をもってシンガポールの独立を承認するという報に接しております。わがほうといたしましても、従来、シンガポールとの取引その他の関係から申しまして、九日付をもって承認すべく手続をただいまとりつつある次第でございます。
○向井長年君 承認することをきめられたわけですか、「とりつつある」というのは、閣議でもうきめられた……。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 手続中であります。
○向井長年君 次に、沖縄問題につきまして総理にお聞きしたいのですが、総理が近く沖縄を訪問されるわけでございますが、この当面の課題といいますか懸案事項は、何といっても住民自治の拡大だと思うのです。したがって、これについて具体的にどうしなければならぬか、こういう問題がいろいろと考えられていると思いますが、それを実行する用意をどう持っておられるか、お聞きしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 当面する問題としては、御指摘のとおり、住民自治の拡大でございまするが、しかし、日米協議委員会でもまだ十分議は練ってございません。しかし、すでに担当大臣が現地に参りましてワトソンとも下話をし、同時にまた、松岡主席ともいろいろ下話をしております。これが具体化することが望ましいと思いまして、ただいま準備をいたしておるような次第でございます。ただいま、相手のあることでもありますし、その内容を一応申し上げるという段階にまでには至っておりませんが、ただいま御指摘のごとく、基本的には私どもが施政権返還、これをちゃんと胸のうちに持ち、そうして今日可能ないわゆる施政権、住民自治権の拡大、これをはかっていく。在来からも相当の金額が沖縄に出ておりますし、皆様方の御審議もいただいて、総務長官のところで予算等も御審議をいただいたわけでございますが、今回さらにその中身を充実させようと私が出かけて相談するつもりでございます。
○向井長年君 何といってもこの自治権拡大の問題は、やはりプライス法案の改正を見なければ、これはできないということになるのじゃないですか。そういう意味におきましては、プライス法案の改正をアメリカと話し合う、こういうことをいま総理が言われたのかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のようにプライス法で金額が限られて、そうしてこれはアメリカ政府におきましても、これを改正するというのは、私が参りました際にも、当方の希望もあるし、向こうでもそういう考え方がある。しかし、なかなかうるさい問題があります、こういうことを申しております。しかしてプライス法自身の扱い方は、そういう意味で私はしばらく時間をかせばいいと、かように思っておりますが、いずれにいたしましても、沖縄自身はわが領土といいますか、潜在主権がある、この観点から、いわゆる日本人、かように私どもは考えておりますので、行政水準を高める、そういう方法でいろいろ苦心しておるわけであります。最終的には日米協議委員会と申しますか、この委員会で決定すべき事柄でございますが、つぶさに実情に私みずからが接し、そうしてこの行政水準を高める、かような方向、これが私が言う行政水準を高めることが自治権の拡大ではないか、かように私は思いますので、そういう処置をとるつもりでございます。
○向井長年君 いま総理が言われる行政の水準を高めるということですが、何はともあれ、これに対しましてはやはり予算の増額といいますか、この問題が必要になってくるわけですが、プライス法では一千二百万ドルですか、こういう形できまっているわけなんですね。本年度は二十八億程度でしたか、これだけ日本が出しておるのですが、この問題は、やはり水準を高めるといっても、やはりプライス法案を改正する方向に日本が提案せざるを得ないのではないか、こういうふうに考えるわけです。だからこの点は日米協議委員会において総理が提案したい、こういうことに解釈していいかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) このプライス法で一千二百万ドル、そういう金額の制限がある。それより以上日本が今後沖縄へ出せないか、こういう問題があるわけです。したがって、これを改正しろという話、しかしこれは必ずしもこの限度を越しちゃいかぬ、こういうわけのものでもないだろうと思います。いずれにいたしましても、日米協議委員会でとくと相談すべき事柄だ、かように思うのであります。ただいままで内話をいたしましたところでは、ややアメリカ自身も自分たちの援助をするその金額、これを限度にというような気持ちもあるやに聞きますけれども、これは非常な強い意見だとは必ずしも思えないのです。しかし、私どもがものごとを進めていく上におきまして、これは沖縄の施政の実情あるいは生活の実態等を考えまして、適当な処置をとるべき事柄、かように思います。御指摘になりましたのもそういう意味だろうと、かように思いますので、十分努力するつもりでございます。
○向井長年君 いま総理が言われましたのは、大体プライス法以外の、沖縄に対しても一般府県並みに交付税方式をとる、またとり得るのだ、こういう考えだと思うのですね、そういうふうに解釈していいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一足飛びにいわゆる内地の県と同じような行政の水準にする、こういうことをお約束するわけではありませんが、ともかく私どもが沖縄というものを自分たちのところへ帰ってきた場合に、これは差しつかえないようにやはり行政水準を高める方向に努力をしてまいる、こういうことを実は申しておるのでございます。この点、誤解のないようにお願いしておきたいと思います。
○向井長年君 しからば、いま沖縄の住民が非常に強い要望をしておるところの教育費は、これは内地並みの補助措置をぜひやっていただきたい、こういう強い要望があるようでありますが、せめてこれくらいの先ほど言った行政基準の引き上げ、こういう中から、総理、早急にできないものですかどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまその話を聞きまして、教育費の半額というか、これはしかし半額をこちら側から出すというだけでは、これは意味のないことなんで、むしろ教育水準が高まって、そうしてその半額を持つというならばこれは意味のあることなんで、向こうが出しておるものをただ帳面の上から私のほうがそれを持つのだというだけでは十分でないように思います。また、それが向井料の御指摘でもないだろう。そういう機会に教育水準を高めろ、こういう話だろうと思います。そこのところを十分出かけて相談してみたいと思います。今日安井大臣も参りましてこの点を強く主張しておりますが、私は、いわゆる教育費の半額負担、この内地並みの行き方、これが必ずしも当を得たものでもないだろう、かように私は思うので、日米協議委員会において十分審議されることにこの問題は譲りたい、かように思いますが、しかし、ただいままで、たとえば沖縄大学が独立したが、どうも医学部が十分設置されていない、こういうような問題がございますが、こういうようなことは、積極的に私どもがやり得ることじゃない。ただいまの状況で、できていないこと、これをひとつやること、これは望ましいことじゃないか。ただいまの教育費の問題も断わるつもりはございません。が、ただいま申し上げるように、この援助が出て、それによって行政水準が、教育費の水準が非常に高まる、こういうことならば、私はそれは望ましいことだけれども、ただ、今日までやっているその金額の半分を日本政府が持ったというだけでは意味がないことだと実は思っておるのであります。この辺をとくと相談もしなければならない、こういうことでございます。
○向井長年君 次に、時間がございませんから、ベトナム問題に関連する問題ですが、きのうでしたか、自民党の川島副総裁がインドネシアを訪問し、それからアラブ方面に行くというようなことが載っておりますが、これは政府としての資格がどうなるのか、やはり日本政府の使節として行かれるのか、あるいは行く目的は何か、この点をまずお聞きしたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 川島特使が今度参りますのは、インドネシアの独立記念日の祝賀の式典に招かれまして、これに参列するためにインドネシアに参るのであります。けさの新聞で私は初めてあのことを読んだわけでありますが、まあ行ったついでにそういう問題に触れるというようなことを新聞記者に漏らしたのが記事になってあらわれたのではないか、この程度に考えております。
○向井長年君 インドネシアへの目的は、独立記念日の祝賀の式典に参列するんですが、アラブ方面に——新聞報道によると、いわゆるベトナム平和解決のための打診をするように報道されておるんです。これは、日本政府としてそういう立場をもって行かれるのかどうか、こういうことなんですが……。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは出かける前にさらに打ち合わせも十分するつもりでおります。ただいま、きょう昼間も相談をしたところでございますが、今回の直接の要務は、ただいま言われるように、インドネシアの独立の祝賀の特使として出かける、ほんの一週間ばかりで帰ってくる、かように申しておりますが、これははっきりした親善使節、かようにお考えをいただいたらいいかと思いますが、同時に、あらゆる機会をつかまえて私はベトナム問題の平和解決には努力すると、この前よりしばしば申し上げておりますが、こういう場合も、やはり私どもは川島君に働いてもらう余地があれば働いてもらいたい、かように思います。いずれ出発の前にさらにもう一度川島君とは懇談をするつもりでおります。
○向井長年君 それは佐藤総理が言われる無条件の話し合い、こういう基本方針にのっとってアジアの諸国に、あるいはまたアラブの諸国に、そういう意図を伝えつつ、同調した場合には働きかける、こういう意味であらゆる機会ということを言われたと思いますが、そういうことですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外交の基本方針は二分や三分では終わりますまい。これは厳に方針は堅持したいと、かように思いますが、しかし、相手の国もあることでありまするから、ときにいわゆる情報の交換に終わることがあるかもわからぬ、こういうことも含めて御了承置き願いたいのでございます。
○向井長年君 次に、ベトナム問題に関係しての問題ですが、板付基地とかあるいは先般沖縄の問題がございましたが、いわゆる安保条約の事前協議という、このいわゆる事前協議という概念をひとつ外務大臣、聞きたいのですが、わかりますか、概念。事前協議とはどういうことなんですか、具体的に。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 安保条約において事前協議というのは、特殊の意味を持っていることは申し上げるまでもございません。これは第六条の実施に関する交換公文において、一定の事項を限定いたしまして、そうしてアメリカが事を行なう事前に日本政府と協議をしなければならないということをきめてある。そして岸元総理大臣とアイゼンハワー大統領との共同コミュニケによって、アメリカ大統領は岸その当時の総理大臣に対しまして、安全保障条約のもとにおける事前協議にかかる事項については、アメリカ政府は日本国政府の意思に反して行動するということはない、そういう行動をする意図はないということを保証しております。でありますから、その一定の事項を実行する前に、日本政府に対して事前協議の形をもってアメリカから申し入れがございました。日本政府はこれに対してイエスと言うかノーと吉うか、自己の判断に基づいてノーと言った場合には、アメリカはその行動をとらないということを、すでに政府の最高首脳部に約束しております。こういう形のものでございます。
○向井長年君 ただいまの説明でございますと、いわゆるわが日本政府が拒否権があるという——われわれが、日本政府が了解しなければこれは実施しない、こういうことであるならば、拒否権がある、こう解釈してよろしいですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 拒否権というとまたいろいろなふうに概念が入ってくると思うのでありますが、その当時、事前協議に同意しない場合にはアメリカは実行することがない、そういう約束であります。まあ協議、概括的に言うとそういうことになるかもしれませんが、拒否権ということばは、もっと特別ないろいろな法律上の概念が入ってくるおそれがありますから、それで私はその点を注意して申し上げるわけでございます。
○向井長年君 外務大臣ね、日本の意思に反してそういうことは事実行なわない、こういうことが明確になっておるとするならば、日本政府がそれは反対である、してもらっては困る、こういうことを言えば向こうはやらないということになれば、これは拒否権じゃないですか。いわゆる拒否するところの権能を持っているということじゃないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) あえて拒否権と言わなくても事は簡単、よくわかりますから……。そのとおりでございます。
○向井長年君 そうですね。 次に、不況対策で若干お聞きしますが、やっぱり重復するかもわからぬのですが、特に景気回復の時期、めどについて、総理は七月四日の衆議院において、「大体明年度は」、こういうことを言われておる。あるいはまた藤山経企長官は、「まず秋ごろには」、こういうことを言われているわけなんですよ。したがって、これは結局政府の統一見解というものは、来年度は嫌気が回復すると、また、させなければならぬ、こういう立場に立っての発言だと思うのですが、この点、見解はどうなんですか。若干こう表現を変えておられる。秋ごろ、明年度、こういうように言われておるのですが、統一見解はどうなんですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 政府としましては、いまやっております景気浮揚策、諸般の対策というものが実行に逐次移ってまいると思います。それにはおのずから対策の性質によりまして若干時期に遅速がございます。そういうものがしたがって全部景気に影響してくるのは今年の年末くらいからであろうということに私は考えておりますので、来年度からということに相なろうと思いますが、目標としては年末くらいになってくるのじゃないか、こういうように思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) あの対策を決定しただけで、御承知のように株式市場は活況を催しております。これで大体の方向はきまったのだというように思いますが、しかしなお、私どもはいろいろ経済の現象を見まして、心配の点もございますので、いましばらく模様を見よう。ほんとうにいつも時期が食い違うというとあとで責められるものですから、なかなかむずかしいことなんですが、私は、いまの年度、年末、あるいは年が明けたら、あるいは来年はというような言い方が、まあ大体そういう方向ではないだろうか。私はこのことは、私どものそういうようにありたいということもございますが、大体いまの推移からは、さように判断されるのではないか、かように私は思います。
○向井長年君 大蔵大臣にお聞きしますが、これは景気変動、回復、この問題はやっぱり予算編成に大きな影響をもたらすわけですね。来年度予算、あるいは九月か十月に予定されるところの臨時国会においても、第二次補正というものが考えられると思うのです。そういう問題から考えて、これは非常に重要な問題になってくると思うのですが、特にこの刺激策として、次のまあ第二次補正予算の中でどういう編成をやろうとするか、これをひとつ具体的に説明願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 財政投融資で繰り上げをやり、かつその幅を二千百億円拡大をするということは、ただいま実施中です。それから一般会計でも千億円の繰り上げをするということがただいま実行されておるわけです。大体そういう財政施策と金融緩和政策、また貿易促進政策、そういうものが総合されると、ただいま企画庁長倉が申されたように、景気は上わ向き傾向になっていくであろうと、こういうふうに見ておるわけであります。ただいまのところ、景気を刺激するという意味合いをもちまして補正手簿を組むという考えは持っておりません。ただ補正予算はその他におきましていろいろ要因がありますので、これは準備をいたしております。
○向井長年君 その準備の具体的内容をお聞きしたわけです。
○国務大臣(福田赳夫君) この間医療費につきまして百十一億円の繰り上げ支出をいたしましたが、医療費その他義務的経費の不足を補うための支出、それからまあ台風がもうこれ以上ないことは念願をいたしておりまするが、一吹きやられますると、またそのためのことも考えなければならぬ、あるいは消費者米価が一体どうなるか、こういう問題もありまするが、もしかりに消費者米価が上げられないという場合における食管会計の赤字補てん、そういうよらないろいろなものがあるわけでございます。これが総合的に財源と合わせて具体化されていくのは十一月以降かと、こういうふうに見ておるわけでございまするが、ともかく第二次補正は必至であると、こういうふうに見ております。
○向井長年君 時間がないですね。もうちょっと聞きたかったのですが、この問題は終わりまして、物価問題で、先ほど鈴木委員の質問がありましたが、経企庁長官にお聞きしたいのですが、最近特に国鉄の問題あるいは郵政の問題等々を各大臣が所信を出されているわけですね。これに対して総理は、先ほどから非常にむずかしい問題だから十分慎重にと、あるいはケース・バイ・ケースでやりたいと、こういうことを言われているのですが、これはやはり次期予算に関係をするのですね。こういう点については、やはり現在の実情をどう把握して検討をし、最小限度どうしなければならぬか。ああいうことが新聞に出るだけで、国民は非常に不安な状態に思っている。郵便料金が上がる、国鉄が上がる、あるいは私鉄が上がる、水道料金も出てくるでしょう。そういう問題がだんだんと新聞に出ますと、いかにも物価は押えるのだというように言っても、相当な不安を感じつつあるのです。この問題については、やはり経企庁としては、具体的にこういう個々の問題についてどう対処し、どう取り組むか。この点予算にも織り込まなければならぬ問題と思うのですが、この点について経企庁長官の、一般物価とそれから公共料金との関係をどうこれから対処するか、具体的に説明願いたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) いま御指摘の中で、郵政に関する問題はまだ当該大臣から現実に私どものところにそういうようなお話がございません。したがいまして、今後そういうお話がございますれば検討してみなければならぬ。国鉄のほうは、現状におきましては、昨年度のストップの関係がございますので、大体われわれのほうも国鉄の考え方はわかっておりますし、また引き続き検討もいたしておるわけでございますから、そういう問題については慎重に考えてまいらなければならぬと思いますが、むろん公共料金そのものは、御承知のようにストップをしたからといって、経営上の問題からくる赤字というものが解消するわけじゃございません。ただ物価の発生学の上から申せば、ストップすることによって他に波及する効果もこれは大でございますから、物価の面だけを考えてまいりますと、そういうことをわれわれも考えたいのでございますけれども、しかし同時に、国鉄自体が今日当面しております諸般の問題を解決するということも考えていかなければならぬ点もございます。したがって、それらの点につきましては、全体を料金に依存するのかあるいは何らかの形でもって政府が援助の手を差し伸べることができるのか、そういう問題については、今後財政問題ともからみ合いまして、われわれは予算編成までに十分検討しまして、そうしてそれらの問題に対する対策をとっていく、こういう考え方でございます。検討は、そういう意味で続けておることでございます。
○向井長年君 一般物価につきましては、一月から六月までに、すでに消費者物価は前年に比較いたしまして七・七%ですか、上昇を示しておる。こういう状態で公共料金の引き上げあるいは不況カルテルによる卸売り物価は横ばいだといっておりますけれども、これも上昇してくることはもう必然だと思うのです。そういう中から、次のいわゆる本年度の物価の上昇率をどれくらいに見ておられるか。この点説明願いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御指摘にありましたように、本年四月を昨年の四月に比べますと、九・九%上がっておるわけであります。これは非常に高い。しかし、授業料が上がったりなんかしたわけです。その後、野菜その他諸般のものが下がってまいりまして、八・二になり八・一になって六月になっております。六月の全国平均をとってみますと、そして下半期が過去のトレンドそのままを持っていきますれば六%であり、また、七月における東京都の消費者物価の指数を過去のトレンドでそのまま横にしていけば、五・五%ということになります。しかし、いままで申し上げておるように、消費者米価の問題もございます。来年一月からあるいはいつから国鉄の運賃を上げるか上げないかという問題もございます。したがって、そうした問題が正確にきまってまいりませんとなかなかむずかしいことでございまして、過去における消費者米価値上げの例によりますと、三十七年十二月のときは配給米、非配給米の対前月の上昇は十二月のCPIを一・一三%引き上げたことになっておりますが、四十年一月のときはこれが一・二五%となっております。そこいらを十分考えてみていかなければならないものですから、いまにわかにどのくらいの水準でいくかということはむずかしいので、先ほど申し上げましたような過去のトレンドだけでいまの状態でならしていけば、申し上げたような状態でございます。
○向井長年君 卸売り物価がいま横ばいだというようなことを言われたのですが、横ばいで満足すべきではなくして、いろいろ設備近代化等で逆に卸売り物価は下げるという方向で消費者物価の値上げを押えていく、こういう形が望ましいと思うんですよ。だから、工業製品なんか特にそういう面が出てくるのじゃないかと思うのですが、これは政府としてはどういう方針で指導するつもりか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 卸売り物価がやはり下がることは望ましいことでございます。現状まででも、卸売り物価の内容について見ますと、生産性の上がったもの、近代化の進んだもの、合理化の進んだものは、相当下がっておるものもございます。しかし、全体として引っくるめますと保ち合いだというようなことになっており、現在弱含みの状態でございます。そういう状態でございますから、できるだけ卸売り物価も低目にきまって平均がいきますことが望ましいことは申すまでもないわけでございます。これは、やはり、合理化を進め、生産拡大をして、そうしてコストを下げていくということが大事だと思いますし、また、不当なカルテル行為等があれば、それに対して十分公取等から注意をしてもらって指導してもらうということが必要だろうと、こう思います。
○委員長(平島敏夫君) 向井君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(平島敏夫君) 次に、滞日正一君。 〔委員長退席、理事吉江勝保君着席〕
○春日正一君 時間が少ないので、主としてベトナム問題についての政府の根本的な態度、これを中心にして幾つかお聞きしたいと思うのです。 この問題では、総理は、一日も早く戦火がおさまるように、それは結局話し合いで片づけるということで、そうしてそれに協力をすることが私どもの当然のつとめだと、こういうふうに言っているのですけれども、きょうまでのここでの論議を聞いておっても、総理が一体どういう原則的な立場でどういう解決というものを考えておるか、そこのところをひとつ聞かしてほしい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 春日君にお答えいたしますが、これはいままで本会議やまたこの委員会等を通じて私の考え方はいろいろ説明したつもりでございます。やはり、この当事者としては、現在とっておる態度が一番望ましい態度だと、かように思っておるのではないかと思います。それからその当事者の態度をまあ批判めいた言い方をしても、それを当事者はなかなか納得してくれない。だから、そこで無条件でとにかく話し合ってくれ。話し合うことがまず第一だ。そうしてどういう方向になるかをその話し合いの場で見つける。とにかく話をしながら片一方でなぐり合いをするということもあるかもわかりませんが、私はまずないだろうと思いますので、とにかく話し合いをすることが先である。そうして両者が納得のいく方向を見つける、この努力をしてほしい、かような実は主張をしておるのでございます。これにつきましては、アメリカが北爆をやめることだ、アメリカ自身が引っ込むことだと、こう言う。しかしまた、片一方から言えば、そうじゃないのだ、北のほうからの浸透をやめることだ、これに対する援助をやめることだ、かようなことを言っておりますから、そういうことも善悪正邪を私どもが最初からきめてかかることは問題を紛糾させるだけである。それよりも、お互いがとにかく拡大はさせないつもりである、戦争は好まないのだと、かように言っておるのだから、少なくともお互いに戦争をやめるということについては共同したものがあるのだ、その意味においての話し合いをすることが必要だと、これが先決だと、かように申し上げておるのであります。
○春日正一君 とにかく話し合いと、こういうのですけれども、やはりものごとには道理もあるし、経過もある。そういう意味で、アメリカ大統領ジョンソンが四月七日以後繰り返して無条件話し合いということを言っておるのですけれども、あれをよく読んで吟味してみると、結局、第一に、ジュネーブ協定をないものにしてベトナム分割の現状を固定化する。第二に、ベトナム南部に対するアメリカの侵略を既成事実として承認させる。そうして、そのためにベトナム人民の独立と自山のための闘争、これをやめさせて、アメリカ帝国主義の支配のもとに服従させる。これが実現するまではアメリカは南ベトナムから絶対に引き下がらない、こういうふうに言っているというふうに思うんですよ、よく読んでみれば。だから、これはもう無条件どころではなくて、絶対条件をつけている、こういう形になっているわけですね。こういうことは、結局、一方でこういう無条件話し合いと平和を望んでおるのだというようなことを言って世界の世論を欺いて、そうしてあくまでベトナム侵略戦争を続け、侵略戦争の拡大をやっていく、そういう一つのぺてんじゃないか。現に、最近では五万人の米軍増強計画を発表したし、それがどんどんふやされていっている。こういうことで戦争の危険がますます大きくなっているし、日本の国民もそこのところを一番心配している。だから、総理の言う話し合いによる解決というのも、日本とアメリカとの関係とか安保条約ということを踏んまえて見れば、結局これに協調するということになるのじゃないだろうか、こういうふうに思うのだけれども、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は私なりに考えたつもりでございます。それがただいまアメリカに同調する、こういうふうな結論を出していらっしゃるようですが、これは私が私なりに考えたということで御了承をいただきたい、かように思います。ただいま申し上げる事柄が双方で食い違っている。いわゆるジュネーブで協議したこと、それを一体だれが一番先に破ったか、こういうことがいつも議論になっているんです。けれども、この点は、私どもが、こちらが正しいんだとか、いやアメリカが正しいんだと、かように言うことは、これはよけいなことではないだろうかと思います。それよりも、とにかくお互いに戦争は望まないんだと、かように言っているんですから、この点をつかまえて、そしてとにかくおまえら話し合ったらどうか、無条件で話し合ったらどうか、そして方向をその場で見つけたらいいんだろう、当事者だけで話ができなければ、それは国際的な話し合いの場でもいいじゃないか、そういうことを実は申し上げておるのであります。ただ、ただいまの段階は、春日君も御承知のように、自分たちが最も優位に立って、なかなか話し合いの場に出てこない、これが現状ではないだろうか。このことは間違っているんだ、かように私は思います。とにかく話し合いすることが第一だ、かように思っております。
○春日正一君 まあけんかの仲裁をするといったって、道理がわかって筋が通らなけりゃ、これはこけの仲裁になってしまう。そういう意味から言えば、ベトナム戦争の根本原理といえば、アメリカ帝国主義がジュネーブ協定を乱舞に踏みにじってそしてベトナムを侵略している、ここに問題の根本があると思うんです。これは、私、時間がないから議論しませんけれども、歴史的な資料を持ってくればはっきりする。だから、そういう状態なら、ベトナム問題を道理にかなった解決をやろうとすれば、どうしても第一にジュネーブ協定に立ち帰るということが前提になると思います。そういう立場から、アメリカがベトナム南部に対する一切の侵略行動をやめる。そしてアメリカとその与国の軍隊、いまたくさん行っておりますが、軍事要員、兵器を引き揚げたり、一切の外国軍事基地を取り払うということ。そして、第二に、ベトナム民主共和国、俗に北ベトナムと言われておる、ここに対するすべての戦争行為を停止する、そしてベトナム民生共和国の主権を尊重する。第三には、南ベトナムにどのような政府をつくるか、どのようにして南北ベトナムの統一を実現するか、こういうベトナムの内部問題についてはすべてベトナムの人民にまかせる。こういう基礎の上に立ってはじめてベトナム問題の平和的な解決の道が開けるし、話し合いということも筋に乗ると思うんですよ。この点については、総理は、民族自身にまかせるというのは言い過ぎじゃないかというようなことをきのう羽生君の質問に対して答えたと思うのですが、民族自身にまかせるということが問題だということになれば、じゃ大国主義的な干渉をやるのか、帝国主義的な侵略を認めるのか、こういう問題が出てくるのです。だから、ほんとうに民族自決——日本にとってもこの問題いま問題になっている。その立場を考えれば、よその国に対してはっきり民族自決の立場で臨むそのことが日本にとって特に大事じゃないか。だから、総理がほんとうにベトナムの話し合い解決ということを望むなら、当然この道理に立ってアメリカのベトナム侵略をやめさせなさい。この努力をしなければならぬ。そういう点をはっきり方向をきめて、それで具体的にどうするということが出てくると思う。それからまた、ベトナム侵略戦争のためにアメリカが直接間接に日本の基地を使っている、現に使っている、これを拒否する。物資や要員の提供をやっている、これをやめる。こういうふうにしなければ、日本の政府が口をきく資格がないと思うんですよ。戦争に加担しながら、一方でなぐるほうを手伝いながら、まあまあという話はないと思うんですよ。これをまじめにやる考えがあるかどうか、この点、総理の考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 時間もないときに春日君と議論するつもりはございませんが、大体、日本の場合に、ただいま仲裁するという話が出ましたが、とにかくそのけんかはまかせろ、こういう行き方がある。その場合に両者にも渡りをつけて、これはこういうようにおれはおさめるからおれにまかせろ、こういう話もあるようです。しかし、大体、東洋人にすれば、そのけんかはおれにまかせろ、こう言ったほうが大体結論が出やすいのじゃないか、こういうようにも思います。いわゆる無条件話し合いということは実はそういうことになると思います。 さらに、ただいまお話がありました民族自決、私どもはこれが平和的に民族自決されるなら何ら異存はございません。しかし、これが民主的でなくして力によっていわゆる民族自決という形がしいられることは、これは私どもたえられない。このことを特に私どもは言っている。今日、民族自決と申しましても、国際的にお互いにつながり合っております。だから、一つだけが独立してやるわけじゃないんだから、それをいわゆる力による民族自決、そういうことは避けるということが望ましいと、かように私は思いますので、いわゆる民族自決にまかすというのはやはり言い過ぎじゃないかと、かように思っております。
○春日正一君 その点、力による民族自決というけれども、いままで植民地の諸国が独立してくる過程で、大体植民地を持っておる帝国主義の国というものは、力による抵抗なしに引き下がったということはほとんどないんですね。まあああいう戦争になるか、そこまでいかないか、とにかく人民の非常な抵抗があって追ん出されている。だから、力による民族自決を否定するということは、帝国主義の支配を永久に甘受しろということにも通ずるわけです。そこに私は一番問題があると思っている。それから、そういうふうな態度をとるものだから、国民はますます不安でたまらない。総理が幾ら平和に徹するといっても、政府のやっていることを見れば、全くこれは逆なことをやっている。たとえば政府はアメリカのベトナム侵略を支持している。これはこの国会の会議録を読んでみても、当然の報復だというようなことを言って肯定している。それから物資や要員を現実に提供している。これはアメリカの国防総省が発表していますわ。それから北ベトナム爆撃を正当化をしているし、B52が沖縄からああいう不当な形で出て行っている。それからC130の大型輸送機が同じような口実を設けて入って来ている。これも安保条約に基づくものだから何とも異議はございませんという形で肯定している。 〔理事吉江勝保君退席、委員長着席〕 そういう形で実際に安保条約によって戦争を手伝っているわけです。そうして協力しながら、同時に、総理になってからでも、原子力潜水艦の寄港を許すとか、F105の水爆搭載機の持ち込みを許すとか、日韓会談を強引に調印する。この強引というものは文字どおり強引だ、ここでの論議を聞いていると。こういうことが結局ベトナム戦争とやはり深い関係がある。総理は関係ないというふうに言っているけれども、この日韓会談というものがダレス以来のアメリカ政府が追求してきた極東戦略の重要な一環だということは、これはいろいろな資料によっても証明することができるし、今回の日韓条約の調印によって実際どういう結果が出るかといえば、結局アメリカを頭にする極東反共軍事同盟の体制というものが事実上完成することになってしまう。特に国民が心配しているのは、南朝鮮、台湾、南ベトナム、この反共かいらい政権、これと実質上条約上の関係を結んでしまって、中華人民共和国とか、朝鮮の民主主義人民共和国とか、あるいはベトナムの人民共和国とか、そういう人民的な政権に対してはっきり条約上も反対し、縁を切ってしまうような関係です。これが日本のまわりで全部固まってしまっている。しかも、こういうものを相手にしている政府は何かといえば、現にアメリカとグエン・カオ・キの政府がベトナムで侵略戦争をやっている。南朝鮮の朴正煕の政府は南ベトナムへ兵隊を派遣しているし、北進統一を叫んでいる政府です。蒋介石も大陸反攻を生命にしている政府。みんな戦争をやろうとしている政府。これだけと手を結んでしまったら、一体どうなるか。それを国民が一番心配している。ところが、こういうことをやっている。だから、これを全体としてひっくるめて見れば、総理が平和に徹するとかベトナムの無条件話し合いと言っているけれども、何と言おうと、国民の良識から考えれば、自体が戦争と軍国主義への危険に引きずり込まれていっているということについて不安と警戒心を強めざるを得ない、こういうふうに考えるのですけれども、こういう方向にあくまで政府はお進みになるのかどうか、最近非常に総理は平和々々と言い出したのだけれども、そこで心境が変わってこの方向を変えるかどうか、ここではっきりしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの所論で、春日君と私とが基本的に違っている、これが実は明らかになった。私どもは日米安保条約、このもとに日本の安全が確保されている、かように思っております。しかし、日米安保条約を否定している共産党の立場、そのたてまえから議論を進めていくと、ただいまのようなお話になる、かように思いますので、これはどうも平行線でありますので、これより以上私は申し上げることはないと思いますが、われわれはどこまでも日米安保条約、これを堅持することによってわが国の安全を確保していく、そうして新しいいわゆる平和憲法を守り抜いて、そうして自由を守り、平和に徹している、この点では戦争は避けて、戦争はしない、また、戦争に巻き込まれない、この政治をはっきりととっていく、かようなたてまえでおります。しかもただいま問題の起きているようなのは遠い——遠いというか、これは東南アジアである。これはアジアに位する日本として、日本の安全に影響がないとは、私、申しません。しかしながら、当事者諸君が、このベトナムでは紛争は起こしているが、これはいずれもが戦争は欲しない、かように言っている。だからわれわれはその戦争を欲しない当事者、これにさらにどうかその戦争を欲しないと言っているその方向で物事を解決してほしい、これがわが国の安全でもあるし、また、平和を守るその態度にも合致すると、こういうことから、無条件で話し合え、かように申しているわけであります。
○春日正一君 結びだけ言っておきます。私のほらとしては、政府のそういう危険な政策には反対する、そうしてアメリカのベトナム侵略をやめさせる、日韓条約の批准をやめさせる、そうして日米安保条約も破棄して日本のほんとうの独立を実現し、平和と民主主義を守るために、日本の人民とともに戦っていく、こういう点を最後に表明しまして、非常に残念ですけれども、時間がないのでこれで終わります。
○委員長(平島敏夫君) 春日君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○委員長(平島敏夫君) 次に市川房枝君。
○市川房枝君 まず、佐藤総理に、先般の参議院議員選挙に関連して、一、二お伺いしたいと思います。 七月五日の開票日の夕方、東京地方区の結果が判明しましたときに、総理はNHKのテレビで、唐島氏との対談をしていらっしゃいましたね。ちょうど自民党の方が二人とも落選されたので、だいぶごきげんが悪かったのでありますか、共産党や無所属を出して一体どうなる、東京都民の政治意識を疑うといったような意味の御発言があったということで、私の多数の支持者から、だいぶ憤慨して知らせてまいったのでありますが、事実そういうことがございましたかどうか、まず伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは当時のことは私も忘れておりますが、とにかく東京都民の冷厳なる審判が下った後でもありますし、私どもさような意味におきまして、この冷厳な審判に対しましてえりを正しておるというのがただいまの心境でございますから、ただいまの心境をもちましてそれにお答えをしたいと思います。
○市川房枝君 いまの総理のおことばを伺いまして、それなら了解ができました。それ以上申し上げることはもう差し控えようと思います。 総理は、この参議院選挙の前にも、また本国会の所信表明でも政治の姿勢を正すとかあるいは清潔な政治ということをしきりにおっしゃっておいでになりました。これは当然のことであり、非常にけっこうなことばでございますが、その現在の時点において、佐藤内閣として、自民党として、また総理御自身としてどういうふうに正しておいでになろうとするか。それは国民としてぜひ知りたいことでございますので、具体的にお答えをいただけたらたいへんありがたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはお尋ねにあずかりましてたいへん恐縮でございますが、私は最近の政治のあり方、このことをほんとうに真剣に考えないと、いわゆる民主主義、この大本が失われるのではないか、かように思うのであります。その大本をもり育てていくという場合に一番大事なことは、政治家自身、その身を正して、そうして政治が国民大衆の中に直結する、これが一番大事なことじゃないだろうか、ただいままで考えてまいったのであります。しかしながら、事柄がたいへん基本的な問題でありますが、同時に長い間につちかわれてきた現状というものもございますし、また事柄が精神的な面でもあります。そういう意味でなかなかこの問題は一朝一夕に正される、かようには私も思いません。あらゆる機会にあらゆる努力をして初めてこの目的を達するのだ、かように思います。そういう意味から政治家自身の姿勢を正す、その場合に一番大事なことはまず清潔な政治ということが必要なんではないだろうか、国民と遊離するような形において、また国民から政治家が特別な存在であるように思われてはこれはたいへんなことだ。かように思いますので、そういう意味ではこの清潔な政治、しかし、このことを私が申しまして直ちにこれが直るという意味ではございません。非常な努力を必要とする。皆さま方にまたかような意味で責任をとっていただきたいと申しておりまするが、そのためには私自身総理として、その最高責任者として、政治の最高責任者として姿勢を正すことが、まず何よりも第一だと、かように私は思っているのでありまして、この話をいたしますと、なかなか長い、またむずかしい話でもあろうかと思いますが、非常にわかりやすく申せば、とにかく政治家だけのものではないのだ、国民のものなんだ。そういう意味で国民と直結する。また、そういう意味から国民と苦楽をともにできる、そういう気持ちにならないと、政治の姿勢が正せない。かように私は考えているのであります。
○市川房枝君 現在の日本の政治の状態、御心配いただいておること、私も同感でございまして、総理自身のいまの姿勢を正すというおことばの内容、具体的にはまだよくわかりませんけれども、しかし、そのお考え方は私はたいへんにうれしいと思います。だからそれを今後政治の上に生かしていっていただくことを私としては期待をしておるわけでございます。 次に、自由民主党の小林章氏は、先般党籍を離脱されましたけれども、その理由並びに御自身の自由意思からかどうか、総裁である総理からちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは自由意思でございます。私どもも小林議員自身がみずからかように出し出をされた。このことを非常に多といたしておるような次第でございます。
○市川房枝君 八月二日現在で小林氏関係の選挙違反は公務員の地位利用と買収とで二十四都道府県にわたって百二十五人拘引されておる。そのうち部長以上が十八人だということでありまして、専売公社の機能は麻痺をしてしまっている状態だと聞いております。この責任は私は、離党だけでは済まない。自発的に辞職をされるべきである。自民党としては辞職を勧告なさるべきではないか。これ自身がすなわち議員の姿勢を正すことである、政治の姿勢を正すことではないかと思いますけれども、総理いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、政治家の姿勢を正すうちに、一つは選挙の、清らかな選挙といいますか、公明な選挙と、こういうことを考えておりますが、そういうこととはまた別ですが、ただいまの、小林君が離党したということはただいまのような点でみずから考えた結果ではないかと思います。ただいま小林君がやめるべきではないか、こういうお話でございます。これは市川さんの御意見としては、私はそのとおりだろうと思います。また、私自身は一体どう考えるのかというお尋ねでございますが、議員の身分に関することだから、これは私自身がこれに関与するということよりも、いわゆる選良としてのみずからの道を選んでいくというのが当然ではないか、かように私は思います。したがいまして、ただいま小林君がやめるべきだとか、やめなくてもいいとか、そういうような議論は一切しないことにいたしたいと思います。
○市川房枝君 大体自民党においては、高級公務員だった方の立候補が地方区も全国区もともに非常に多くて、私がここに持っております資料——二十八年から今度までの資料によりますと、課長以上で立候補された方二百二名あって、そのうち当選者は百三十七名になっているという数字があるのでございますが、いずれも高点で当選されておりますが、これは明らかに、私は、公務員の地位を利用しておいでになるわけであって、将来も小林氏のような事件は出てくるのじゃないかと思います。で、また、高級公務員の方が立候補されるということは、ほかの候補者と比較して私は不公平だと思います。したがって、高級公務員の方々は退職後少なくとも二カ年ないし三カ年は立候補を禁止すべきだと思います。で、まあこの議論はしばしば出て、それは憲法違反だとか言って反対論が出ておりますが、憲法の問題あるいは法律によらなくても、私は、もし自民党でこの問題をお考えくだすって、それこそ政治の姿勢を正すというのだったら、この高級公務員を退職後二年なり三年間党で公認をしないということにしていただければ、この問題はある程度解決するのじゃないかと思いますけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 実は私も次官をやってから衆議院に立候補しました。いわゆる高級官僚として立候補した。参議院ではございません。しかし、それかといって、私がその際にはただいまのような、何というか、組織を乱用したと、こういうことはなかったように思いますし、また、全国区で立候補しておる人にいたしましても、いわゆる組織を利用して乱に乱れたということはきわめてケースが少ないのじゃないだろうか、かように私は思いますので、まあいわゆる高級公務員に限り二年間辞退しろとか、あるいは公認をするなとか、いろいろお話が出ておりますが、これが民主主義のもとにおいて適正な、適当な処置かどうか。私はこの問題をやっぱり含めて、ただいま選挙制度審議会が開かれておりますが、いわゆる非常に弱い候補が出ておったりしておりますが、こういうような事柄と一緒にするわけでもございませんけれども、選挙の公正をはかるという意味で、一度各方面でとくと意見を聞いてみる。そうして結論を出すということが望ましいのではないだろうか、かように思います。しかして、最近とにかく選挙違反というものが非常に普通のことのように考えられる、無関心に考えられる。こういうことは厳に慎まなければならぬし、ことに選挙自身が正しくなければ民主政治がりっぱに育たないのだ。ほんとうにここに思いをいたすと、この選挙の腐敗——これは買収、供応あるいは文書の乱用であろうが個別訪問であろうが、あらゆるものを含めて、ただいまの組織の乱用ももちろんのことでありますが、選挙自身が清く明るく行なわれる、こういうことに最善の努力を払う。立候補者はもちろんでありますが、同時に関係するもの、国民からもこれを監視してもらう。こういうような方向でないとこれはとんでもないことだと、かように私は思いますので、今回の選挙を通じましてもそういう意味で特に私は最近はルーズになったんじゃないかと、かようにまで私自身感ずるのであります。これは私があるいは責任の地位についたからそういうふうに感ずるのかもわかりませんが、幸いにして今回に限り特にひどいんだということでないことを心から願っておりますけれども、いかにもひどかったんではないだろうか、かように私はみずからこの事態を心配しておる一人でございます。
○市川房枝君 おことばのように、選挙違反が今度はずいぶんひどかったと思います。もっときびしく、やかましくしていただきたいと思います。 次は、国会議員の歳費の問題について伺いたいと思います。 国会議員の歳費は来たる九月一日から自動的に六万円値上げされることになっておりますが、新聞の伝えるところでは、去る八月六日のこの問題についての政府と与党との連絡会議の席上で、総理は、歳費の値上げはこの際世論の動向から見て望ましくないとの発言があったということを書いておりますが、それはそうでございましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私がどんな言動をしたかということは申し上げませんが、この歳費の問題は前回もこれはたいへんな問題になったと思います。前回で問題が解決したのかと思いますと、最近この問題がなかなかむずかしくなっている。これはどうも一般の経済の動向あるいは国民の実態等々からいろいろのことを議論しているのだと思います。しかして、事柄は実はこれは両院の議員、国会の方々の問題であります。政府がみずから進んで意見を述べることはいかがかと思います。国会は良識の府であり、また英知の集まりだ、かように思いますので、必ず善処されることだと、かように私は考えておる次第でございます。
○市川房枝君 私は総裁としての総理に伺ったわけでございますが、この前の、去年の暮れの値上げのときにも総理が御心配になって、実は一年たな上げになったのだと私は承知しております。今度も総理の総裁としてのそういう御意見でもしこれが延期になれば、私はそれこそ国民の信頼を得ることになって、姿勢を正すこと一番これはわかりいい。金の問題は一番これははっきりしておりますので、ほかの政策の問題ではなかなかわかりにくいようでございますけれども、そういう点で私は何といいますか、行動をしていただくとたいへんいいと考えておるわけでございますが、まあ歳費の問題と続いて税金の問題がございますが、これはこの前大蔵省から国会に対して手当の問題、通信手当十万円と滞在雑費十二万、合計二十二万円に対しての税金を払ってくれという申し入れがあったのですが、その後どうなっておりますか。これは大蔵大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私前半について、市川さんのこれは持論ですから、ただいまの歳費の問題があるいは税金の問題等についても今回の御意見も前々からも持論をつとめていらっしゃると思います。確かに昨年は私は強く主張して、そしてああいう法律をつくられたとかように私は記憶いたしております。したがいまして、ただいまもお話しいたしましたように、この種の問題が昨年で一応けりがついたのだということは、あの法律をつくったということでございますが、けりがついたとかように考えるが、ただいままた問題が起きておる、そういうことを含んで良識の府である皆さん方がきめられる、これが望ましいことだと思います。伺いますれば議長に一任されたというようなお話も聞きますが、衆参両院議長に一任され、そしてこういう事柄について善処されるというのがただいまの考え方ではないだろうか、かように思います。 税金の問題については私お答えいたしませんが、大蔵大臣から……。
○国務大臣(福田赳夫君) 議員の立法審査費、それから交通通信費、この両者につきましてただいま非課税の扱いをしております。この二つの費目につきましては事の性質上実費弁償であるというふうにも考えられまするが、これが支給される形態から言いますると、他の交通費だとかいうようなものとの関係から見まして課税対象じゃないかというような議論も起こってくるわけです。前の議論、つまりこれが実費弁償だという一面もありますので、私はこの二つの費目につきまして全額課税をするということはこれは行き過ぎかと思うのでありまするが、他の振り合いから見ましてその二つの費目の権衡上の問題から言いますると、また課税すべきかなとも思いまするが、ただいま、これはいずれにいたしましても最高の府である立法府の問題でありますので、まあ立法府のほうでもいろいろお考えのようであります。その折衝の経過等も承知はしておりまするが、なおしばらく経過を、推移を見たほうがいい。こういうふうに考えている段階でございます。
○市川房枝君 実費弁償ということでいままで税金を取らなかったわけですね。けれども一般の公務員、地方公務員、民間では渡しっきりというものは給与と認めるのだということを税務署が通牒を出しておって、そしてみなそれで税金をとっているわけですね。だから私は国会議員だからというので特別に税金を取らないということは国民に対して申しわけないのだ、それで私に言わせれば少しそれこそ歳費か、手当というのですか、ふやすならふやすとしても税金は国民と同じように支払うほうが国民感情としては気持ちがいいのだ、こういうふうに思うわけなんです。だからこの歳費の問題はかねてからの持論ですけれども、私は一本にしてそして税金を国民と同じように払う、そして一体いまのが高いか安いか、私は高過ぎると思う。けれどもある方には少ないかもしれないのですけれども。そこでどのくらいが適当かということも一ぺん第三者機関でよく審議をして、そして歳費の問題をきれいにすると申しますか、これが私は国民の国会議員に対する一つの大きな信頼になっていく。だからそれを何とか、もし今度一年間延期をなさるということでしたら、ひとつぜひその一律間の間にその点をはっきりしていただきたい、すっきりしていただきたいということを、特にこれはお願いを申し上げておきます。 それからついでに、これはもう一つ大蔵大臣に税金についてお願いをしたいのですが、先般、吹原事件との関連で拘引された森脇将光氏に対して、東京地検が八十数億円の脱税を発見して起訴をしたのでありますが、税務署ではわからなかったのか、国民はこういうのを見のがしておって、自分たちのわずかの収入に対して税金を取り立てられているということに対して非常な憤慨をしておるわけでございます。どうして税務署で発見できなかったのか、国民が納得のできるようにひとつ説明をしていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) それはですね。発見できなかったというわけでもないのです。森脇将光におきまして多額の脱税があるというので、税務当局ではこれが捜査をいたしておったわけであります。それが相当の段階にきまして、ある程度の資料もつかんだ。その際刑事事件が起こって、それに関連して検察庁のほうで調べてみると脱税もあると、こういうことで検察庁がこれを摘発すると、こういうことになったわけであります。しかし、いずれにいたしましても、こういう脱税があったということですね。森脇の問題は、これは貸し金業の問題でありまして、捜査も非常に、調査も非常に困難な性質のものでありますれば、それだからといって脱税を許すわけにはいかない。こういう機会に税務当局としては大いに反省して、特にそういう多額の脱税があるようなことのないようにと思いまして、いろいろ機構なんかも整えまして、全力をあげて再びそういうことがないようにという努力をいたしていきたい。さように考えております。
○市川房枝君 その金はですね、八十何億という金は取れるのですか。取れる見込みはありますか。森協氏は二十三年に約一億円近い脱税をしておって、そうしてその金まだ全部払ってないそうですね。だから、一体その金取れる見込みが、取れなければそれきりなのか、ちょっとこれは国民は承服できないというのですが、どうですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、脱税額に見合うだけの物件、財産、そういうものを押えております。しかし、その押えた財産が、今度は民事上の見地から、はたして森脇に帰属すべきものであるかどうかというようなことになると、ちょっと、これは争いの起きそうな点もあるのであります。それから時間がこれは相当かかる。つまりこれは、民事、刑事両方の事件に関連するものですから、しかし全力を尽くして、なるべくその債権を確保したいというふうに考えております。
○市川房枝君 ことしは不況の結果、税金が、まあ収入が少ないということですね。そうなりますと、税務署はずいぶん取り立てがきびしいことになる。結局取りにくいところは取らないで、取りいいところ、結局庶民の、わずかばかりの税金を払っているというか、苦労して払っている、そういう人のを取り立てる。いわゆる苛斂誅求ということにならなければいいと思って心配しておりますが、それはひとつどうぞその点十分御注意いただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのお話は、さような不当な課税ということには絶対にならないように注意しております。
○委員長(平島敏夫君) 市川君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして総括質疑通告者の発言は全部を終了いたしました。補正予算の総括質疑は終了したものと認めます。 明十一日は午前十時に委員会を開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十分散会