法務委員会 第2号
- 発言数
- 180 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/08/05
会議録
○委員長(和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 本日は、まず、法務大臣及び法務政務次官、並びに最高裁事務総長及び事務次官から就任のあいさつをいたしたいとのことでございますので、順次ごあいさつをいただくことといたします。最初に石井法務大臣から……。
○国務大臣(石井光次郎君) 今般、はからずも法務大臣の重責をになうことになりました。御承知のように、法務省の仕事につきましては、従来全く未経験の私でございます。法務委員会の皆さま方の格段のお力添えによりまして無事にこの仕事をやっていきたいと思っておる次第でございます。何ぶんともよろしくお願い申し上げます。 なお、この機会におきまして少しく私の心持ちの一端を申し上げておきたいと思うのでございますが、まず第一番に、国家の法秩序を維持いたしまして平和な国民生活を確保するということは、あらゆる国政の根本でありまするから、法を尊重する精神をさらに徹底させるために格段の努力をいたしたいというのが私の一番の心がけでございます。 第二番に、検察権の運用につきましては、あくまでも不偏不党、公正な態度をもちまして、検察の伝統を尊重いたしまするとともに、さらに検察の威信を高めることに意を用いたいと存じております。特に、国政全般の連帯を真に実効あらしめるためには、これに携わる者がみずからの姿勢を正すことが根本の要請であり、これなくしてはいかなる施策を講じようともとうてい国政に対する国民各層の理解と協力を得ることはできないと考えるのであります。この意味で、この際、公務に奉仕する者の綱紀の粛正につきましては特に留意いたしたいと存じておるものでございます。 最後に、民法、商法、刑法、司法試験法等の基本的法典の改正につきましては、鋭意検討を進めておる次第でございまするが、これらの法典の重要性にかんがみまして、今後とも十分な研究を重ねまして、成案を得次第、順次国会の御審議を願いたいと存じておるのでございまするが、その節はまたよろしくお願いする次第でございます。 まことに簡単ではございまするが、以上私の心持ちのおもな点を申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。何ぶんともよろしくお願い申し上げます。
○政府委員(山本利壽君) このたび、石井法務大臣のもとで政務次官をつとめるようにとの任命を受けたのでございますが、まことに浅学非才でございまして、その任の重いことを痛感しておる次第でございます。ひとえに皆さま方の御指導と御協力とによりましてつとめを果たしていきたいと存じますから、何とぞよろしくお願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(岸盛一君) 私は六月十八日付で最高裁判所事務総長を命ぜられました岸でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 御承知のとおり、憲法は法の支配と国民の基本的人権の擁護ということを強くうたっております。そうして、それを現実に担保するものとして裁判所は重い責任を負わされておる次第でございます。ところが、この裁判所が弱体でありましては、憲法の負託にこたえることもできず、憲法の保障も画餅にひとしいものとなってしまうわけでございます。従来、当委員会の皆さまの深い御理解と力強い御支持によりまして裁判制度の充実がはかられてまいりましたが、特に今日は例の臨時司法制度調査会の意見の実現をめぐる重要な問題もございますので、なお一そうのお力添えをお願いいたしまして、ごあいさつにかえる次第でございます。
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 七月一日付をもちまして最高裁判所事務次長に任命されました守田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 事務総長を助けまして司法行政の円滑な運営に努力する覚悟でございます。何とぞよろしく御支援のほどをお願いいたします。 簡単ではございますが、これをもってごあいさつといたします。 —————————————
○委員長(和泉覚君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題として調査を行ないます。稲葉君。
○稲葉誠一君 警視庁の捜査活動に関する件という題ですが、ちょっと抽象的でおわかりにくいかもわかりませんが、最初に一般的なことからお尋ねをしていきたいと思います。 警視庁管内における犯罪の件数は、いままでの統計で、これは一番新しいものでどういうふうになっておるのか、ちょっと説明を願いたいと、こう思います。
○政府委員(日原正雄君) 警視庁の犯罪の中で刑法犯の発生件数でございますが、昭和三十九年が二十四万五千九百十八件、それから昭和四十年、ことしの一月から六月までで発生件数が十一万六千八百六十三件になっております。これを罪種別に申し上げましようか。
○稲葉誠一君 いや、いまの刑事事件で三十九年度の二十四万幾らというのは、警視庁にわかった犯罪の件数だと思うのですが、発生件数はどのくらいになっているわけですか。これは発生件数ですか、あるいはいわゆるその中で警視庁の扱った件数という意味なんですか。
○政府委員(日原正雄君) これが発生件数でございますが、届け出のない発生というようなものは出てまいりません。したがって、扱ったものにもなるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、発生件数の中で、検挙といいますか、あるいは在宅でやる場合もあると思いますが、事件として処理されたものがどの程度あるのですか。
○政府委員(日原正雄君) 検挙件数は昭和三十九年が十四万六千五百七十二件、昭和四十年の一月から六月までの検挙件数が六万四千七十六件あるわけであります。
○稲葉誠一君 そうすると、三十九年度で約十万が未検挙の件数ということになるわけですか。
○政府委員(日原正雄君) そのとおりでございます。未検挙の件数は九万九千三百四十六件ということになります。
○稲葉誠一君 どうしてそういうように未検挙があるのでしょうか。全体の割合からいうと、発生件数のうちで四割くらいになるわけですか、四割まではいかないわけですか。
○政府委員(日原正雄君) 検挙率と申しますか、検挙できたものということになりますと、昭和三十九年が六〇%、昭和四十年の一月から六月までが五五%。この一月から六月までの未検挙のものが五万二千七百八十七件であります。
○稲葉誠一君 この刑事事件の発生件数というのは、届け出があった件数、警視庁にわかっている件数ですが、それ以外に、実際に発生しておるけれども届け出がないとか、いろいろそういうのが多いと思うのですが、それは概略以外に考えられませんが、どの程度考えられますか。これはほんとうに大ざっぱになりますがね。
○政府委員(日原正雄君) 結局、私どもの知らない事件ということになりますので、件数はどの程度あるか、ちょっとわからないのですが、届け出のない事件として知能犯というようなものが非常に多い。窃盗などについても相当な数が考えられるわけでございます。
○稲葉誠一君 だから、これは統計的にはもちろんはっきり言えないのですけれども、概略どの程度あるのですか。大体いまわかっておる二十四万、それから見ると、半分くらいあるのですか。これはまあちょっとわかりにくいかもしれませんね。統計的にはもちろん出てこないことなんで、概略あなたのほうの勘というと語弊があるけれども、どの程度あるのですか。相当あるんではないですか。ちょっとわからないかな。
○政府委員(日原正雄君) ほんとうに想像になりますので、ちょっと見当がつきかねるのですけれども……。
○稲葉誠一君 まあいいでしょう。相当あることはあると思うのです。ことに知能犯なんかは、詐欺といっても、どこまでが詐欺なのか、金銭の貸借なんかも、見方によっては詐欺になることも出てくれば、ちょっと見当がつかないと思いますが、検挙率というのは、これはあれですか、あらわれたものの検挙率ですから、あらわれないものを含めるともっと検挙率が低くなるわけですが、検挙率というのは、警視庁として非常に満足した検挙率なんですか。
○政府委員(日原正雄君) 私どものほうは絶えず一〇〇%の検挙率を目標にしているわけでございますので、決して満足した数字とは申し上げられないと思います。
○稲葉誠一君 まあそれは、そんな問答していても始まりませんけれども、具体的にいうと、未検挙のものはどういうのが多いのですか。
○政府委員(日原正雄君) 検挙率のほうから見ますとやはり一番多いのは窃盗でございます。この窃盗の検挙率というのは非常に低い。これは大都会特有の現象でもあるわけでございますが、窃盗の状況から申しますと、昭和三十九年の発生が十六万百十件、そのうちで検挙できておりますのが六万四千九百九十件ということで、九万五千百二十件というものは未検挙になっております。それから昭和四十年の一月から六月で申しますと、七万八千七百九十二件発生しておる中で、検挙できておるのが二万八千三百十件ということで、五万四百八十二件というものが未検挙になっておるわけでございます。この検挙率は一昭和三十九年で申しまして四一%、過半数が検挙できないという状況で、これがまあ一番未検挙の状態のひどいものでございます。
○稲葉誠一君 その刑事事件の件数というのは、世界のほかの都市と比べて、東京は犯罪が多いところなんですか、非常に少ないところなんですか。そこら辺はどういうふうになっているのですか。
○政府委員(日原正雄君) それぞれの国によって犯罪の統計のとり方は非常にまちまちになっておりますので、なかなか正確なところがわかりかねるのでございますが、ごく大ざっぱに申し上げれば、それほど変わりはないのじゃないかというふうに考えておるのですが、ちょっと比較するのに正確な比較ができにくい統計の状況でございます。
○稲葉誠一君 警備関係では事件数というのはどういうふうになっているのですか。ただ、警備の場合は、事件数というものの考え方がちょっと刑事警察とは違いますから、説明の前提としていろいろ条件があるかもわかりませんがね。
○政府委員(秦野章君) 正確なところはちょっといま持っておりませんが、年間大体千件くらいであります。
○稲葉誠一君 千件くらいというのは、おもにどんなことのわけですか。
○政府委員(秦野章君) 法律的には、刑法犯も含んでおりますし、ほかに特別法もあるのでございますが、いまちょっとその内容の資料を持っておりませんので、後日お答えをいたします。
○稲葉誠一君 いまの警備の年間約千件というのは、これはあとで、どういうふうな事件のものなのか、統計表みたいなのを出していただきたいと、こう思います。 そこで、警視庁の人員というのはどういうふうになっているわけですか。全体として何人くらいいるわけですか、警視庁としては。刑事関係が何人、警備関係が何人、交通関係が何人というようなのは大体わかりますか。
○政府委員(日原正雄君) いまちょっと担当の者が来ておりませんので、すぐに来るように手配をいたします。
○稲葉誠一君 全体として三万四千人くらいいるのですか、警視庁の職員というのは。
○政府委員(日原正雄君) 私とりあえず持っております資料で申しますと、二万九千四百二十人ということになっております。
○稲葉誠一君 それはいつのやつですか。
○政府委員(日原正雄君) これは四十年四月一日現在であります。
○稲葉誠一君 ちょっとその正確な数字——ただ、警視庁の職員という場合の職員の範囲がどこまでを警視庁の職員と言うのかによってもちょっと違うと思うのですが、これはどの程度ですか。まああとでもいいと思いますが、それはあれですか、ニューヨークとかロンドンとかその他と比べると、警視庁の職員の数は多いのですか。まあこれも非常にラフな考え方ですがね。
○政府委員(秦野章君) 担当の者がいま来ておりませんが、手元の資料で申し上げますと、警視庁の政令できまった定員が三万八百六十でございます。先ほどの稲葉委員さんのお話のように、職員の内容をどういうふうに見るかで違ってくるのですが、これは警察官の定員でございます。このほかにいわゆる一般職員、警察権のない一般職員が大体三千数百名おったかと記憶しておりますが、そういうことでございます。他の世界の大都市、ただいまお話しの関係で比較してみますと、ニューヨーク市の警察が制服警察官が二万四千五百九十、ロスアンゼルスの警察が四千六百八十五人といったような資料だけしかここにないのでございます。
○稲葉誠一君 それはそれほど重要な問題ではないのですが、ニューヨークの警察官に比べると東京の警視庁のほうは約一倍半だと、ロンドンから比べると二倍だと、こういうふうなことが言われておるので、事実かどうか確かめたのですが、これはまたあとであなたのほうで調べてお答え願えればけっこうだと思います。 それから装備の関係で、ピストルだとかこん棒だとかいろいろな装備がありますね。警視庁としては、どんな装備がどの程度あるのですか。
○政府委員(秦野章君) いま担当の者がその点につきましてもおりませんので、後ほどお答えいたします。
○稲葉誠一君 それからピストルの所持というのは、警察官はだれでも持っているのですか。
○政府委員(秦野章君) だれでも持てることになっておりますが、現実に職務についている者が全部そのときに持っているかというと、それはそうではなくて、やはり必要に応じて大体持っておる、状況により場合によって持っていない場合もあるということでございます。
○稲葉誠一君 そのピストルを所持するというか、所持できる根拠はどこにあるのですか。
○説明員(後藤信義君) 警察法の六十七条に規定がございまして「警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。」というこの規定に基づいております。
○稲葉誠一君 イギリスでは警察官が普通ピストルを持つことは禁止されているという説もあるのですが、これはどうですか。わかりませんか。いまわからなければ、あとでもいいのですけれども。
○政府委員(秦野章君) いまこれも担当がおりませんが、私どもが従来聞いておりますところでは、全部持つことができますけれども、これもやはり大体集中的に管理しておって、必要な状況が出たときに持たせるというふうに聞いております。
○稲葉誠一君 そのイギリスの警察官がピストルを現実に所持している場合というか、法律的に所持できる場合と、現実に所持している場合とはどういう場合なのか、これは調べてあとで返答願いたいのですが、いまのあなたのお答えになった範囲だと、日本の警視庁の警察官がピストルを持っているのとはちょっと違うのですか。持ち方というか、持つ範囲というか、持つ状態というのがイギリスの場合と日本の場合とでは違うのですか。
○政府委員(秦野章君) 詳細なところがわかりませんので、たいへん恐縮ですけれども、定員の問題、それから拳銃の問題等につきましては、担当の者があとで来るようにいたしますので、その節にひとつお願いをしたいと思います。
○稲葉誠一君 それからフランスの警察官は話がイギリスに行ったりフランスに行ったりするんですけれども、フランスの警察官というのはピストルを持てないんだ、ふだん持っていないんだという説があるわけですが、これは事実なんですかね。これもあとでいいんですけれども、どうもそこのところが日本の警察がピストルを持っている持ち方というか、許されている使い方と、イギリスなりフランスの警察官がピストルを持つのが許されている使い方と非常に違いがあるというふうに聞くんですがね。それは法制上と現実の所持の場合とが違うのかもしれませんが、その点は、じゃあとでひとつ明らかにしていただきたいと思います。 警視庁が持っているものというのはどんなものがあるのですか。いまのピストルが何丁くらいあってこん棒がどのくらいあるのかあとで明らかにしていただきますが、そのほかに何かあるのですか。
○政府委員(秦野章君) 催涙ガスとか、あるいはまた、装備ということになりますと車両、それから投石やなんかを受ける場合にこれを防護するための防具、そういったようなものが用意されております。
○稲葉誠一君 いま私が質問したのは装備のことを質問したわけですが、そうするとなぜ装備のことについてぼくが質問するのに警備局長がお答えになるのですか。
○政府委員(秦野章君) これは刑事でも警備でも直接の担当じゃございません。担当の者が実は今日参っておらぬのでございますので、便宜的にお答え申し上げました。
○稲葉誠一君 それは警備警察のために主として使うから警備局長がすぐぴんときて答えられたということになるんですかな。
○政府委員(秦野章君) 投石等の場合、私どもが実際警備関係で大体日ごろ被害者のような形になっております。そういうことで、投石等の問題はそうでございます。それから催涙弾などの場合ですと、先般の凶悪犯逮捕なんかにあたっても使われておるわけでございますが、これは例が非常に少ないので、警備だとか刑事だとかいうふうに必ずしも言えないと思うのであります。
○稲葉誠一君 警察官が定員が三万八百六十人だと、こう言われた中で、刑事警察の関係にはどの程度警視庁ではいるわけですか。何か非常に少ないように聞くのですがね。二千八百人と言う人もあるが、ちょっと数字が少な過ぎると思いますがね。もっとも、どこまでを刑事警察というか、これまたなかなか範囲がはっきりしない点がありますが。
○政府委員(日原正雄君) 刑事関係は四千九百四十一人であります。
○稲葉誠一君 警備関係はどのくらいですか。
○説明員(後藤信義君) 三千五百十一名でございます。このほかに機動隊がございます。
○稲葉誠一君 機動隊は約三千人くらいですか、二千七百何人ですかね。
○説明員(後藤信義君) 二千五百八十六名でございます。
○稲葉誠一君 二十四万件発生する刑事警察ですね、これに対して四千九百四十一人しか人がおらないのに、一年間に約千件発生する警備事件には三千五百五十一人警備がいるんだ、そのほかに機動隊が二千五百八十六名いるということは、警視庁全体の体制というものが警備警察に重点を置いた形で人員が編成されていると、こう常識的にみられますね。そう見てよろしいわけですか。
○政府委員(秦野章君) 警備の立場から申し上げますと、警備事件というのは、確かに件数からいけば問題にならないほど少ないのでございます。しかし、警備部門の仕事の性質と申しますか、機能と申しますか、これは犯罪が発生することを事前に予防する、たとえば警備実施なんかの場合にかなりの警察官が出るわけでございまして、デモの警備にしましても、あるいは災害とか雑踏警備とか、そういったような問題の場合にも、警察官の量的に出る数というものは非常に多いのでございますけれども、それなら事件がそのときに必ずたくさん発生するかというと、必ずしもそうではない、むしろ事件が発生しないようにということで、いわば予防という立場で警察官が出るわけでございます。また、警備事件というものの中には、テロだとか、とにかく発生してしまったのでは非常に困る、治安上も影響が非常に大きいということで、やはりこれは事前にこういったようなものが起きそうなそういう状況というものは十分これを視察内偵をしてこれに対して備えておくということが警備の任務でございますので、そういうことで、事件の件数から比較すると、非常に警察官が多く配置されているような感じを受けるのでありますけれども、多く配置された警察官が事件を扱うということ以前の仕事で非常に力をそがれるのでございます。そういう意味におきまして、私どもの立場としては決して警備が偏重されているというふうには考えておらないのでございます。
○稲葉誠一君 それは一つの見解だと思います。が、その点の見解については私はちょっと理解できないのですが、これは論戦はまた別の機会にして、そうすると、警視庁の刑事なり警備なりがここ四、五年間人数がふえてきた割合ですね、人数がふえてきた程度というもの、これを明らかにしていただきたいと思うのですが、これはいまでなくても、あとでもけっこうだと思います。 そこで、そうすると、刑事警察なり警備警察についての警視庁の全体の予算ですね、予算はどの程度あって、それがどういうふうに刑事警察と警備警察に配分されておるわけですか。
○政府委員(秦野章君) 直接のお答えにならぬで恐縮でございますけれども、警備、刑事の問題は、原則の扱いが全国同じようなものでございますので、全国的な観点で申し上げますと、こまかな数字がないのでございますけれども、大体お尋ねの予算の問題で申し上げますと、刑事のほうは補助金がございます。警備のほうは国費でございます。そこで、補助金のほうは、地方に参りますとこれが倍額になりますので、そういうことを十分含んで全体の総額を比較すると、大体二十二、三億、同額程度になっているというように考えておりますが、詳細なところは別途資料を出したいと思います。
○稲葉誠一君 私のお聞きしたいのは、全国的なものもいただきたいと思うんですが、特に警視庁の場合の刑事警察と警備警察——警視庁では警備警察と言うのかどうか、警備部というのと公安部というのと両方あるんですか、両方含めてですが、その中でどういうふうに費目が分かれているか、いろいろ分け方があると思うんですが、捜査費なら捜査費が刑事のほうはどの程度全体としてあるのか、それから警備のほうは捜査費がどの程度あるのか、警備のほうは捜査費のほかに情報収集費というような名目のものがあるわけですか、そこはどういうふうに分かれているのですか。だから、刑事関係と警備関係の捜査費がどういうふうになっておるか、警備関係の場合には捜査費プラス情報収集費とかなんとか、いろいろな形のものが、捜査費の中に入っているのか、あるいは別になっているのかわかりませんが、そういうものを含めるとどういうふうになっているんですか。
○政府委員(秦野章君) 先ほど申しましたように、予算の詳細につきましてはあとで資料をお出しいたしますか、いまお尋ねのことにつきましては、捜査費と活動旅費というふうに分けて、いわゆるお話しの情報収集費というのは捜査費のほうでまかなわれるということでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、警視庁の場合は、都から補助金がどの程度出ているわけですか。警備関係は出ないわけですね。刑事関係とか保安とか交通とか——保安や交通はいいですけれども、どの程度全体として出ているわけですか。
○政府委員(日原正雄君) 刑事関係の費用は、純粋の国費の場合とそれから補助金の場合とありまして、補助金の場合には同額が都道府県の費用から出るというかっこうでございます。
○稲葉誠一君 それは一般の原則ですよね。警視庁の場合はどうなっているんですか。刑事警察の場合でも、国家警察で全部国費でやられるものもあるわけでしょう。
○政府委員(日原正雄君) そういう原則でございますが、実際の額は、東京都について調べて参っておりませんので、後ほどまた……。
○稲葉誠一君 警視庁の人員とか予算関係を聞くというようなことのぼくの通告も十分でなかったから、あなたのお調べも十分でないかと思いますが、それはあとで知らしていただきたいと思います。 そこで、話がだんだん本筋に入っていくわけですけれども、東京地検で特捜部があるんですね。特捜部というのは元来これは何をやるところなんですか。どういう目的で特捜部というのはできているのですか。
○政府委員(津田實君) 特別捜査部は、東京地検、大阪地検に置かれております。その所掌事務は、検事正があらかじめ指定する事件の捜査及び処分の決定に関する事項、それからこの事件に関する資料の収集整備に関する事項、及びこれに関連する事項ということが検察庁事務章程できめられておるわけでございます。そこで、東京地検におきましては、特捜部の所管になっております事件は、警視庁の刑事部捜査第二課から趣致あるいは送付された事件、それから直受事件 財政経済関係事件、そのほか検事正の指定する事件でありまして、さらに、常時各般の情報の収集をいたして、それを端緒といたしまして検挙を行なった事件がある、それらの事件は断然所管になる、こういうことでございます。
○稲葉誠一君 なぜ東京と大阪、特に東京に特捜部というふうなものを設けられたのでしょうか。そこのところを端的に言うとどういうことなんですか。
○政府委員(津田實君) これは、一般的にいえば、各地方検察庁には、一般刑事をやる者、あるいは財政経済をやる者等、いろいろ所管を分けておりますが、一般刑事事件のうち特に指定するものにつきましては、その捜査に関するいろいろなあらかじめの情報収集でありますとか、捜査の手を要する点、そういうような点を考慮いたしまして、検事正が指定して特別に一般の刑事部でなくてこれをやらせるという必要性がある、それが東京とか大阪のような大都市にその必要性が強いという意味において東京、大阪に置かれておるわけであります。
○稲葉誠一君 刑事訴訟法で、捜査というのは本筋は警察官がやることになったのじゃないですか。昔のように検事が警察官を指揮してやるということでなくなったのでしょう。警察がやるのが本筋じゃないのですか。
○政府委員(津田實君) 現在の刑事訴訟法によりますと、警察は捜査をやるべきであり、検事は必要があれば捜査をすることができるわけであります。したがいまして、警察が当然第一次の責務を有することはもちろんでありますが、検察官におきましても必要があればこれをすることができるわけであります。そういう意味におきまして検察官の捜査が行なわれると同時に、検察官は別に警察から送致した事件等につきましての公訴提起あるいは公訴維持の義務がありますので、それはまあ本来の捜査事務とは別個にやる、その前提として必要な捜査をやるということはあるわけでございます。
○稲葉誠一君 これは俗に言えば、こんなことを言うと法務省としては答えにくいことになると思うのですけれども、俗に言えば、やはり警察ではやりにくい事件というか、やれない事件と言うとことばが悪いが、やりにくい事件がある。だから、それを地検のほうで特捜部を設けてそこでやるというのが、これが設けられた趣旨じゃないですか、と聞いて、そうですとは答えられないでしょうが、あなたのほうも、そうですと答えたらあとでたいへんなことになるから、答えにくいでしょう。しかし、地検の特捜部の検事はみなそういうふうに言っておりますよ。そういうことでこれが設けられておると思うのです。これが本筋ではないのではないのですか。
○政府委員(津田實君) 第一次の捜査権は、先ほど申し上げましたように警察にあるわけでありますから、警察がやりにくいということは理論的にはあり得ないと思います。しかし、実際的には、やりにくいのでやらないのか、あるいは端緒を得ないのでやらないか、それはわからない事件もあるわけであります。そういう事件につきまして、その捜査の端緒を得たものについては検察庁がみずから捜査に乗り出すということはあるわけでありまして、その警察と検察庁と両者相まってこの方面に万全を期するというような制度だというふうに考えております。
○稲葉誠一君 じゃ、ここ二、三年でもいいですが、東京地検の特捜部で扱ったのはどんな件数があって、どんな事件がおもなものがあるのですか。
○政府委員(津田實君) 先ほど申し上げましたような職務と申しますか、所掌事務の範囲内において取り扱いました事件の受理の状況は、昭和三十七年におきましては、いわゆる直告事件、すなわち直接検察官に対して告訴、告発がなされた事件は八、百九十七人、その他検察官が認知いたしました等の事件が百七十四人、三十八年は直告事件が千三十二人、その他検事認知等の事件が百五十一人、三十九年は直告事件が九百三十人、その他事件が百二十九人になっております。昭和四十年におきましては、六月末までで、直告事件につきましてはちょっと集計ができておりませんが、検事認知等の事件につきましてはその人員が八十八人となっておるわけであります。
○稲葉誠一君 おもな事件はどういういう事件があるのですか。私が聞いた範囲では、特捜部というのは、たとえば汚職と脱税と選挙違反、この三つを大体中心としてやるんだというふうに特捜部の一部の人は言っておるんですよね。これは個人的な話の中で出てきたことですから、これ以上言いませんけれども、そうすると、おもな事件としては汚職事件などがあるわけでしょう。地検の特捜部でやった汚職事件その他おもな事件はどんなものがあるのですか。
○政府委員(津田實君) 俗称でありますが、地検が直接取り扱った事件としては、太平洋テレビジョン株式会社の法人税法違反事件、外国為替及び外国貿易管理法違反事件、それから赤羽信用金庫、豊信用金庫の役員による不正金融事件、武蔵野信用金庫役員による不正金融事件、東京都議会汚職事件——これは昭和三十八年のもの、いわゆる産業スパイ事件、いわゆる熱海八丁園事件、いわゆる平岡事件、それから昭和四十年の東京都議会汚職事件、いわゆる帝銀事件にからむ偽証事件、いわゆる吹原産業事件というようなものがあります。
○稲葉誠一君 いま言ったようなものがおもなものですが、その他のものもあると思うのですが、そうすると、警視庁で扱った汚職事件は、ここ二、三年どんなものがありますか。
○政府委員(日原正雄君) 最近警視庁が検挙したおもな汚職事件でございますが、運輸省航空局職員らの消防自動車等の購入をめぐる贈収賄事件、税務署職員の法人税賦課をめぐる贈収賄事件、電話の新規架設者名簿等をめぐる贈収賄事件——これは三十九年、東京通産局職員らの重油ボイラーの設置許可をめぐる贈収賄事件、郵政省電波監理局職員らの無線通信士国家試験をめぐる贈収賄事件、首都高速道路公団職員らの贈収賄事件、これらが昭和三十九年、最初の二つが四十年でございます。それから東京都の職員関係の事件としては、東京都建設品等の橋梁建設にからむ贈収賄事件、これは昭和三十九年。東京都住宅局職員らの都営住宅入居事務をめぐる贈収賄事件、これは昨年度でございます。それから東京消防庁職員らの贈収賄事件、これはことしでございます。それから都議会関係の贈収賄事件としては、熱海——大島間航路の免許をめぐる贈収賄事件、これが昭和三十四年、それから青果市場の許可をめぐる贈収賄事件というのが、これはだいぶ古くなりますが、昭和二十四年ごろにございます。
○稲葉誠一君 いまの中で、東京都の職員の汚職のことについては、ある程度検挙したりなんかしているわけですが、東京都の議会の汚職の事件というのは前にもあったんですが、三十八年にもあって四十年にもあったんですが、これは東京地検が全部取り上げておって、警視庁で取り上げなかったというのは、これはどういうところに率直に言って原因があるんでしょうか。全然わからなかったんですか。東京都議会に議長選挙をめぐって汚職があるとかなんとかということは全然わからなかったのですか。
○政府委員(日原正雄君) 私ども当時のことをよく存じておりませんので、あるいは法務省のほうが御存じだと思いますが……。
○稲葉誠一君 そうじゃなくて、内容は法務省といったって東京地検がやったんでしょうけれども、私の聞いているのは、東京都議会にいろいろ汚職があるということは警視庁のほうではわからなかったんですかと聞いているんですよ。
○政府委員(日原正雄君) 当時の事情を詳しく調べておりませんので、何とも申し上げられませんが、おそらくそういうことであろうと思います。
○稲葉誠一君 じゃ、その当時の事情を詳しく調べてからお答え願いたいと思うんですが、東京都議会に議長の職をめぐっての汚職があるというようなことは、どうして警視庁にはわからなかったんですかね。警視庁が一番近いところだし、これだけの人数がいるんですから、当然キャッチをしていなければならないはずなんですね。それがどうして警視庁にわからなかったんでしょう。わからなかったというのか、わかっていたんだけれどもやらなかったというのか、わかっていてやろうと思ったところを地検のほうで先にやってしまったと、こういうのか、いろいろあると思いますが、そこのところはどういう関係なんでしょうか。これはやっぱり世人が非常な疑惑を持っていることじゃないですか。どうしてそういうふうに警視庁が東京都議会の汚職というものに手をつけられなかったんですかね。
○政府委員(日原正雄君) 前の汚職の事件のことは詳しく調べないとわかりませんが、先般の状況から申しますと、先般の事件については、警察が探知しておれば当然検挙に着手をしておるわけでございまして、全く探知していなかったというところに原画があるかと思います。
○稲葉誠一君 それはどういうわけで警察が探知していなかったんですかね。これは警備警察なんて毎日情報を収集して歩いているんでしょう。これだけ人数がいて情報を収集して歩いているんだから、これは警備警察の仕事じゃないかもしれぬけれども、当然探知できなければならないはずですよ。探知できなかったということについて、警視庁自身として、捜査の能力とかなんとかに欠陥があるとかなんとか、そういう点についてはどういうふうに考えますか。
○政府委員(日原正雄君) 地検のほうが探知できたん、だから警察のほうも探知できたはずだと言われればそれまでの話でございますが、実際問題として警察より先に検察庁が探知したわけでございます。私どものほうもそういう意味ではこの前も非常に残念だと申し上げたわけでございますが、まあ全般的に申して、検察庁が先に探知する場合もあり、警察が先に探知する場合もありましょうけれども、われわれとしてはできるだけ先に探知するように努力をしてまいりたいと思います。
○稲葉誠一君 答えとしては答えにくいとぼくは思うんですね。答えにくいところをわざわざ聞いているわけだから、答えにくいのも無理はないわけですけれども、東京都議会のあれだけの汚職事件というものを警察が探知していなかったというのか、探知していたけれどもやろうと思ったところを地検のほうにやられてしまったというのか。探知していなかったとすれば、どっかに警視庁の捜査能力に欠陥がなければならないですよ。欠陥があると考えるのが普通の人の考え方だと、こう思うのですがね。警視庁の捜査のやり方ですね、ことに知能犯に対するやり方ね、これが足りないというか、欠陥があるんじゃないですか。結論としては、東京都議会の場合には警視庁の捜査能力というものにどっか足りないところがあった、こう言わざるを得ないのじゃないですか。
○政府委員(日原正雄君) お話のとおりだと思います。私どものほうとしては、知能犯関係について、探知その他の面においてさらに今後能力を広げるように努力していかなければならないと考えております。
○稲葉誠一君 東京地検の特捜部が取り扱ったいまの太平洋テレビから赤羽信用金庫、武蔵野信用金庫、ずっといろいろありましたが、これだけではないと思うのですけれども、これはほとんど知能犯事件ですね。知能犯事件が、どうしても、警察というか警視庁も優秀な人を集めているのでしょうけれども、足りないということがそこに出てくるのじゃないですか。だから、会社犯罪などで、警視庁がやったのは相当ありますか、会社犯罪ということばもいろいろ内容がありますけれども、警視庁で取り扱った会社犯罪というのは具体的にどんなのがいままであるのか、いまここで明らかでなかったら、急にいかなければ、あとで調べてくれませんか。 で、ぼくは、さらに意地悪く言えば、東京地検の特捜部が扱って津田刑事局長が言った一つ一つを警視庁としては全然知らなかったのか、あるいは知っていたけれどもそこまでいかなかったのか、こういう点について聞くんですけれども、そこまで聞くのもまあいかがかと思ってこっちも遠慮しているところなんですが、(笑声)こういう地検の特捜部が取り扱ったこれだけの事件を、あれですか、捜査の端緒はいろいろあるでしょうけれども、警視庁は全然知らなかったのですか、これはずっと。
○政府委員(日原正雄君) これは、それぞれの事件について私どもも調べてみないと何とも申し上げられませんが、お話のように、全然知らなかった場合とそれからもう一つ、私どものほうで手をつけるまでにいかない事件で先に地検のほうが手をつけられる状況になったという場合とがあろうと思います。ただ、考えてみても、知っておって遠慮してというようなものはないと思うのですが、それぞれの事項については詳しく調べておりませんので、あらためてお答えをいたしたいと思っております。
○稲葉誠一君 知っていて遠慮した事件があるかないかぼくは聞いていないんですがね。(笑声)そういう意味であなたのとられたのはなかなか考え方が純粋だと思って感心しているのですけれども、それは別として、どういうわけで警視庁がこういう事件が探知できなかったのですかな。だから、地検のほうから言わせれば——ぼくは地検と警視庁の仲をさこうと思って何も分離作戦をやっているわけじゃないですけれども、地検のほうから言わせると、いわゆる知能犯関係というものが警視庁のほうは非常に弱いということを盛んに言っているわけですよ。それに対する答えはいいですけれども、いま言った地検の特捜部があげたような事件を警視庁が探知していたのかいないのか、そういう点をあとで明らかにしてもらいたいと思います。 そこで、問題は別のところへいきますが、吉展ちゃん事件というのが前々からもちろん長い間捜査をされて、今度小原というのが逮捕されたわけですが、ぼくが疑問に思いますのは、この前に小原という人を二回ぐらい調べたんですが、調べたときに、この事件がわからなかったんですか。その間の事情はどういうことになっているわけですか。
○政府委員(日原正雄君) 小原につきましては、二回、今回のものと合わせて三回になるわけでございますが、二回以前に調べております。第一回のときには業務上横領と詐欺、第二回目のときには詐欺で調べております・そのときももちろんいろいろな状況からして吉展ちゃん事件の犯人ではないかということでいろいろ追及したわけでございますが、自供も得られず、確実な証拠も得られずして終わったわけでございます。
○稲葉誠一君 その二回というのはいつといつで、最初が業務上横領・詐欺で、あとから詐欺ですか、この事件を調べてどうなったんですか、この二つは。いま刑務所に入っているのは、この事件ですか、別の事件ですか。
○政府委員(日原正雄君) 業務上横領は、三十七年八月ごろ、目ざまし時計六個を他の古物屋にかってに売ってしまったという事件でございます。それから詐欺の事件は、三十八年の二月二十三日ごろ、タクシーの無賃乗車及び旅館代を友人から騙取したという事件でございます。その二つは起訴猶予になっております。それから三番目の事件は、築地の、三十八年七月三十一日オリンパスカメラなど一万八千円相当のものを詐取した事件で、これで実刑を受けておるわけでございます。最後の事件は窃盗事件でございます、オリンパスカメラ一万八千百円相当を盗んだというのは。
○稲葉誠一君 ああ、窃盗ですか。今度の事件で起訴されたわけですが、その前にこの小原を調べたんですが、小原が吉展ちゃんを殺したということを今度の場合自白しなかったとしたら、あれですか、はっきり逮捕というか犯人ときめるだけのものがあるところまで捜査はいっていたわけですか。
○政府委員(日原正雄君) 結局、小原の犯行と結びつく明らかな証拠としては声しかなかったわけでございます。あとは金の出所不明という容疑、それからアリバイがないという容疑、そういういろいろの容疑はございますが、直接の問題としては声だけであったわけでございます。そこで、金の出所不明という容疑をついていくという取り調べ方法になっていくわけであります。それを横領したのだとか盗んだとかいろいろ供述を変えて、少しも最後までそれが出てこなかった場合には、声が直接のきめ手にまだならない現状でございますので非常にむずかしかった。そこで、今度もしあれで自供が得られなければ、もう一回声の面の精密な鑑定を依頼して、もうあらゆる証拠そのほかをそろえてそうして再度やるということになったろうと思います。
○稲葉誠一君 これは捜査の問題ですから、これ以上ぼくも聞きませんが、一応お聞きしたいのは、吉展ちゃん事件で、犯人としてか、あるいは参考人としてか、一体何人ぐらいの人が調べられたんですか。ということは、純粋の参考人は別ですよ。たとえば被害者の方とか近所の人とかそういう人は別として、いわゆる犯人と目された人で何人ぐらい調べられたんですか。調べられ方はいろいろあると思いますがね。
○政府委員(日原正雄君) いろいろ程度がございますので、事情を聞くということになりますと何千人ということになりますが、ある程度容疑をもって調べたというのは八人でございます、小原を入れまして。それから逮捕までいかずに事情を聞いたというようなことになりますと三、四百人になります。そんな状況でございます。
○稲葉誠一君 吉展ちゃん事件に関連をして、それはもちろん逮捕状なり何なりの中には明らかに出さないとしても、ほかの脅迫だとかあるいは詐欺だとか全然別のことでこの事件を調べるというのを主目的として逮捕して調べたというのは、いまの八人だけですか。もっと多いのじゃないですか。
○政府委員(日原正雄君) 八件と一応報告を受けております。これはもちろんもっと容疑がありましても、これは逮捕した事件でございますので、逮捕の容疑がなければ逮捕できないわけでございますから。
○稲葉誠一君 逮捕の容疑がなければ逮捕できないのはわかりますが、私のお聞きしているのは、吉展ちゃん事件の犯人らしいという一つの目安をつけて、そうしてあるいは寸借詐欺だとか、ちっちゃな横領とか、無銭飲食とか、いろいろあるでしょうけれども、こういうような事件で調べたり逮捕したのはどれくらいいるわけですか。八人くらいですか。もっと多いのではないですか。あるいは逮捕まで至らなくて三百人か四百人調べたというのですが、これはどういう目安で調べたわけですか。
○政府委員(日原正雄君) 結局、容疑がはっきりしないわけでございますので、ほんとうの参考人としての取り調べでございます。 それから逮捕して調べたのは、いまの八人だというふうに報告を受けております。
○稲葉誠一君 八人というのは、私の聞いたのはもっと多いように聞いているんですけれども、八人というならば……。 そうすると、それらを逮捕するときにどういう罪名で逮捕したのですか。
○政府委員(日原正雄君) 人によって違いますが、一番多いのは詐欺でございます。そのほか、脅迫、公文書偽造行使というようなものがございます。
○稲葉誠一君 それらの人はどうなったのですか、別件で逮捕されて。
○政府委員(日原正雄君) 一人が懲役一年二カ月、もう一人が懲役一年、それからもう一人が懲役二年、あとは起訴猶予になっております。
○稲葉誠一君 そうすると、小原を除いて七人のうち、三人が別の事件で実刑になって、四人が起訴猶予ですか、そういうわけですね。
○政府委員(日原正雄君) そういうことであります。
○稲葉誠一君 そうすると、起訴猶予というのは、どの程度の事件ですか。
○政府委員(日原正雄君) いずれも詐欺でございますが、それぞれ人によって違いますが、現金七千円とか九千円、あるいは八万円、これを騙取した。一人は四十八万円になりますが、いろいろでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、それらの人は、して調べるときには、その勾留した事実は、だとか何とかそれは最初から認めていたのでしょう。どういう理由ですか、その逮捕状を請求した理由は。
○政府委員(日原正雄君) やっぱりいずれも詐欺事件でございますので、それぞれの詐欺事件を見てまいりますと、数回犯している疑いもあったのではないかというふうに考えられますが、簡単に調べて認められたものについてはまちまちでございますが、十日間くらいで帰しておるのもございますし、二十日前後になっておるのもございますし、いろいろでございます。
○稲葉誠一君 だから、逮捕状を請求するときにはどういう理由で逮捕状を請求しているのですか。
○政府委員(日原正雄君) それぞれの犯罪事実で請求して、証拠隠滅のおそれあるいは逃走のおそれということで勾留をしております。
○稲葉誠一君 そうすると、それは詐欺の事件について証拠隠滅のおそれとか逃走のおそれがあったと認めたわけですか。
○政府委員(日原正雄君) そういうことでございます。
○稲葉誠一君 現実には起訴猶予になるような事件ですから、それほどの事件でもなかったんじゃないかと、こう考えるんですが、それは吉展ちゃん事件の犯人だということを中心として、それを調べる目的で逮捕し勾留したということは間違いないわけですね。
○政府委員(日原正雄君) 一応吉展ちゃん事件での別件逮捕ということになろうと思いますが、ただ、それもやはりこういう勾留をするのにはその犯罪事実でいかなければならないわけでございますので、それぞれ勾留するだけの理由があって逮捕・勾留をしたというふうに考えております。
○稲葉誠一君 逮捕までに至らなかった三百人とか四百人というのは、それはどういう形で警視庁は呼んで調べたわけですか。
○政府委員(日原正雄君) ちょっと正確な資料を持って来ておりませんが、たとえば声が似ておるとかというのが非常にたくさん投書が参っております。それの関係で一応参考人として来てもらう、あるいは、その他いろいろの状況から見て—— 一万数千件の容疑情報が入ってきておりますから、そういう中でいろいろの状況から見て犯人に近いと思われる者について聞いたという状況であろうと思います。
○稲葉誠一君 これは解決してたいへんよかったと、こういうふうに考えているんですが、そこで、もう一つの事件といいますか、例の少年がライフル銃で撃ったという事件がありましたが、あの事件は現在調べの範囲ではどういうふうなことになっているわけですか。いままでの経過で差しつかえない範囲のことをお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(日原正雄君) 一応事案の概要を御説明申し上げたいと思いますが、こまかい点は現在まだ捜査中でございますので、こまかく検討してまいりたいと思っておりますが、概要は、七月二十九日の午前十時四十分ごろ、大和署に、「ひばりケ丘で子供四、五人が標的をつくって空気銃を撃っているから来てくれ」という一一〇番による届け出があった。これは、その後の調査では、犯人の電話ではなくて第三者からの電話のように思われますが、依然として届け出た者を発見するに至っておりません。 それから届け出がありましたものですから・本署の指示によりまして、鶴間派出所の田所康雄巡査がモーターバイクで、続いて芦原・谷山両巡査がパトカーで現場に急行をいたしました。 菅原・谷山両巡査が座間町の栗原地内林道上で田所巡査のモーターバイクを発見いたしましたので、両巡査が下車いたしますと、付近の草むらの中からヘルメットをかぶった若い男があらわれて「こっちだ、こっちだ」と誘った。そこで、その男のほうに近づくと、いきなり両巡査に拳銃を突きつけて「ホールドアップ」と脅迫したので拳銃の撃ち合いとなって、その犯人の発射した弾丸二発のうち、一発が菅原巡査の大腿部を貫通し、他の一発が谷山巡査の帯革金具に命中した。 谷山巡査は、付近の加入電話で即刻その状況を本署に急報いたしまして、これによって所轄署員が現場に急行したわけですが、すでに犯人は逃走しておりました。駐車していたパトカーから五十メートルぐらい離れた林道上で、重傷を受けて倒れている田所巡査を発見しました。この田所巡査は、病院に収容後、この日の午後二時三十五分に死亡いたしております。 それから犯人は、その後、同町栗原七〇八の宮坂方に行きまして、「警察の者だが車を出してくれ」と同人にマツダクーペを運転させて逃走いたしましたが、さらに通りかかった自動車の運転者を拳銃で脅迫して、これに運転させて途中二回にわたり自動車を乗りかえまして、そうして都内小金井市の小金井公園を経て、この日の午後六時少し前ごろ、この犯人がかつて猟銃を購入して知っている渋谷のロイヤル商事銃砲店に乗りつけた。 犯人は、店内に居合わせた店員等四名に拳銃を突きつけて脅迫し、店員にライフル銃に弾丸を装てんさせましてこれを強奪した上、三名の店員を連れてこの店の二階に上がり、そうしてこの犯人の所在を認知して急行したパートカー等に対してライフル銃等を発射いたしました。 ロイヤル商事を包囲した警察隊は、再三にわたって説得を試みたが、犯人はこれに応ずることなく銃を撃ち続けて抵抗するので、やむなく催涙ガスを使用して、この日の午後七時十九分、この店の前の路上に出てきた犯人——被疑者と申しますか、を殺人未遂並びに銃砲刀剣類所持等取締法違反の現行犯人として逮捕し、そうして田所巡査から奪った拳銃等を差し押えました。 それから逮捕後、強盗殺人罪の逮捕状に切りかえをいたしております。 負傷者は、このロイヤル商事の逮捕現場付近では、警察官六名、一般人十一名、合計十七名の負傷者を出しております。
○稲葉誠一君 この事件は新聞あるいはテレビ等であれしておりますから、事件の概要はわかるのですが、問題点としてどういう点とどういう点が犯罪の捜査の上で問題になるのでしょうか。ということは、警察としてこの犯人の少年が長い間つかまらなかった。渋谷まで来ておるわけですから、その間の経過の中でそういう長い間つかまらなくて都民や何かを非常に不安におとしいれたということについてのその原因なり、あるいは捜査上のまあ反省といいますかね、そういうふうな点はどういうふうに警察としては考えておるわけですか。こういうふうにすればもっと早くこれが防げたとか、いろいろあると思うのですがね。そういう点は、締めくくり的にお尋ねするわけですが、どういう点にあるわけですか。
○政府委員(日原正雄君) 私どものほうとして今後この種の事案に対処するための検討を重ねておるわけでございますが、大きな方向として今後考えていかなければならないというふうに考えておりますのは、やはり都会地における検問方法というものを改善をしていかなければならない。それがためには通信関係の問題も出てこようと思います。それから都道府県警察相互間における連絡共助体制というものもさらにもっと緊密な連絡がとれるような体制も考えていきたい。また、さらに、捜査用車両に対する無線機の整備その他いろいろの事項が考えられますが、これらの点をさらに厳密に検討していって今後の捜査体制というものを考えていきたいと思っております。
○稲葉誠一君 どういうにすればもっと早くつかまえられたんだ、どういうふうにしたらよかったんだという点は、具体的にはありませんか。
○政府委員(日原正雄君) これはいろいろ意見が出てくると思いますが、この事件の特徴としては、当初における事件の内容が不明であったというところに事実を確認するために相当時間を要しておる。この点をどういうふうに改善をしていくか。それからもう一つは、この犯人のように次々と車を乗りかえて行動した場合、乗りかえた事実の確認にも時間を要して、次の検問所に手配を徹底することが若干おくれがちであった。それからもう一つ、東京のような交通ひんぱんな地域であらゆる車両を一時停止させて検問するということは実際にも困難が伴うわけでございますので、そういう点にも今後研究の余地は残ろうかと思います。 とりあえずのところは、少なくとも検問とパトカーその他の無線器材を使っての連絡の緊密化ということについてはさらにもっと徹底した方策を講じていかなければならないというふうに考えております。
○稲葉誠一君 ちょっと、私、役員会で呼びに来ていますからあれしますが、結局、逮捕の場合に、何か反省をするというか、あの状態ではあれだけの人が出なければやはり逮捕できない状態だったんですか。もちろん、ライフル銃を持っているから、危険な状態はわかりますけれどもね。何かきょうの新聞を見るというと、常人が体当たりして、そして犯人を組み伏せたんですか、そこで警察官が行ってやったんだと。警察官は、だから、犯人が猟銃を打ち終わってからだと思いますが、体当たりというか、そういうようなことをやらないで、普通の人がやって、そのあとを警察官がつかまえたんだというふうなことがきょうの新聞の投書欄かなんかに出ておりましたね。あれは事実なんですか、朝日新聞だかなんだか。
○政府委員(日原正雄君) 逮捕の現場で民間人の協力者がおるかということは、私ども特にもう一度念を入れさせて調べさしたんですが、現在のところでは、あの隣人のものが——最初は警察官が逮捕に飛びかかって行って、あと二、三人行くときに隣人の一名がこれに加わって一緒にやったということだけで、新聞で一番最初体当たりをしたんだというような記事が出ておりますが、そういう事実は確認できておりません。 それから先ほどの人員の問題でございますが、これは、一つは、ああいう場所で非常に繁華街で、そういう方面の何と申しますか、やじ馬の整理と申しますか、そういう方面にも人員が要る。それから一方においてまた、相手方が人質を使ってそして自分を防いでいるというような特殊な事情があって、人員をよけい出し、また時間もかかったという、実情にあろうと思います。
○稲葉誠一君 それからいまのライフルの場合は、この前もちょっと問題にしたことがあるんですが、売買や所有権の移転といいますか、これは現在どういうふうになっているわけですか。
○説明員(雨森和雄君) ライフル銃と言うておりますのは、通称猟銃でございますが、これは現在銃砲刀剣数等所持取締法によりまして、欠格条件がございませんければ、所持の申請をいたしますと、公安委員会から所持の許可が出ることになっております。これは満十八歳以上でないと持てないことになっております。
○稲葉誠一君 そうすると、ライフルに関連をして、銃砲等所持取締法ですか、その改正というか、あれはライフルだけではなくて、全体を含めて何か改正をするとかということがちょっと出ておったんですけれども、その点について何か検討をしておるわけですか。
○政府委員(新井裕君) この前衆議院の委員会で安井委員からお尋ねがございましたので、十八歳以上であれば持てるという現在の体制がいいのかどうかというお尋ねでございましたので、実はこの前十四歳から十八歳に三年前変えたわけですけれども、その際に二十歳に思い切って変えるべきだという議論があったわけでございます。それは、猟銃というか・狩猟の許可が二十歳であるから、それと合わせるべきだという議論が実はあったのですけれども、火薬類の取り締まりが十八歳ということをリミットにしておるものですから、それに合わせてやったいきさつがございます。それで、こういう事件もあった際であり、少年に非常にガンブームというものがもしあるのだとすれば、これを引き上げればそういうものに非常に鎮静作用があるならば思い切って変えたほうがいいのじゃないかと思って、検討しているということを申し上げました。
○大森創造君 いまの事件でちょっとわからないところをお尋ねしますけれども、ロイヤル商事という銃砲店ですか、そこで犯人を取り押えるためにどれくらいの警察官が出動したんですか、人数は。
○説明員(後藤信義君) 制服のほうでは、機動隊を中心にしまして、機動隊だけで約五百名出ております。そのほか、所轄の渋谷署、それから白バイ、パトロールカー要員、これが出ておりますので、総数では七百名ぐらい現場に出ておったと思います。
○大森創造君 それから、こっちから銃を撃ちましたか。
○説明員(後藤信義君) 私のほうで調査いたしましたところでは、数発撃っております。正確には八発でございます。
○大森創造君 それは犯人を目がけて撃ったのですか。
○説明員(後藤信義君) 犯人に致命的な傷害を与えない程度の足あたりをねらって撃ったものでございます。
○大森創造君 しかし、ロイヤル商事にはあわてふためいた人がたくさんいるだろうし、そのときに五発でも八発でも撃つということは非常に危険があったでしょうね。結果的に見ると、そのための損傷はなかったのですか。
○説明員(後藤信義君) この撃ちました警察官は、いずれも拳銃の……
○大森創造君 名人か。
○説明員(後藤信義君) 名人と申しますか、上中初級とございますが、そのうちの上級の合格者でございまして、射撃のほうの警察の部内では名手でございます。人質もいることでございますから、その点は十分に用心をいたしまして、少しでも人質に対して危害が加わるようであれば、これはそういう命令は出さなかったわけでありますけれども、そういう犯人だけが特に人質と離れて行動するような場合、そのときをねらって射撃さしたものでございまして、このために特に損傷を与えたという報告には接しておりません。
○大森創造君 撃った時期はいつごろになるんですかね。向こうがじゃんじゃん撃っていて、ここらが適当だということで「撃ち方始め」ということをだれかが言ったのですか。私の想像では、五発でも八発でも警察が撃ったということになると、向こうがよけい興奮して多く撃つという状況ではなかったのですか。
○説明員(後藤信義君) これは拳銃を使わないで当初は何べんも銃を捨てろということを警告をしているのでございますが、一向に捨てませんし、盛んに乱射をするということで、もう他に手段がないというので、ガスも使用いたしましたが、さらに犯人を目がけて撃たざるを得ないということで踏み切って、これば警視庁の警備部長がそういう判断を下しまして、射撃を命じたのでございます。
○大森創造君 七百人もの警察官が出動した場合に、催涙ガスを使って、その場合にはこっちから撃つ必要はなかったのではないか。警備部長ですか、最後の断を下したのは。警備部長は現場におられたのですか。
○説明員(後藤信義君) 警備部長は現場におりまして、総括の指揮をとっております。
○大森創造君 別の問題でちょっとお尋ねいたしますが、さっきの稲葉さんの質問で、地検の特捜部というものと、それから警視庁のほうで扱う事件、聞いてみるというと、それぞれの問題でその捜査をするという、どっちにも同じような権限があるということであるけれども、これは相互に連絡はないんですか。この問題については、警視庁のほうである程度探知をしているけれども、これは地検のほうでやってもらったほうが適当であるとか、あるいは特捜のほうでやってもらったほうが適当であるというようなことでやるのか。そういう意味での連絡がなくて、それぞれゴーイング・マイウェイでやるということなんですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 地検の特捜部で扱います検察官認知事件を分けますと、二つあると思います。一つは、検察庁が独自でそのまま捜査をしてしまう場合、それからもう一つは、一応実質的には検察官のほうでやりますけれども、警視庁とお話し合いをいたしまして、警視庁のほうに捜査をお願いする場合もあるわけでございます。そのことからもおわかりいただけますように、警視庁の特に捜査第二課の関係の事件が多いわけでございますが、捜査第二課の手のかげんでございますとかあるいは特捜部の検察官の手のかげんというものをにらみ合わせまして、常に特捜部長あるいは次席検事というところが警視庁の幹部のほうと連絡をとりまして、個々具体的の事件の捜査をどちらでやるかということを判断しているのでございます。
○大森創造君 そうすると、ばらばらにかってにやるのじゃなくて、ある程度のけじめをつけて、これは特捜部でやるとか、これは警視庁でやるとかということでやっているわけですね。
○説明員(伊藤栄樹君) 大体お尋ねのとおりでございます。ただ、地検特捜部独自でやることにきめました事件につきまして、その内容をあらかじめ警視庁に御連絡するというようなことを常にやっているわけではございません。御連絡申し上げた上で地検独自でやる場合も中にはございますが、地検独自の判断で、地検の手のかげんもぐあいがいいし、事件の性格からも検察官が直接担当したほうが処理が早いというような判断になりますと、警視庁に御連絡しないでそのまま検察庁でやるということもあるわけであります。
○大森創造君 全然別なことをお聞きしますけれども、吹原産業事件というもの、あれはいまどういう段階になっておりますか。
○政府委員(津田實君) 吹原産業事件につきまして現在手元に資料を持っておりませんが、すでに新聞でも御承知のとおり、吹原、森協関係につきましてまず最初に問題になりました三菱銀行の告訴関係事件、つまり三菱銀行の長原支店から通知預金証書を騙取した事件につきましては、これはすでに起訴いたしておりますし、そのほか関係の告訴のありました事件について詐欺あるいは私文書偽造等について起訴をいたしております。それから関連いたしまして森脇関係の事件について、森脇についての法人税法違反、株式会社森脇文庫についての法人税法違反、これを起訴をいたしております。現在の段階におきましてはなおいまだ告訴関係の事件が四件ばかり吹原をめぐってありまして、その四件の応訴事件につきまして目下捜査中であります。で、ただいまの段階におきましては、その四件の関係事件の捜査が完了いたしますと吹原事件の捜査は一応完了するということが見込まれているわけでございますが、その時期につきましてはまだはっきり申し上げかねるというのが現状であります。
○大森創造君 この問題は、地検が始めて、そうしてこれはすでに起訴されたのですか、まだ起訴されていないのですか。
○政府委員(津田實君) この事件は、御承知のとおり、三菱銀行が通知預金証書を騙取されたという告訴を東京地検に提出いたしまして、それが捜査の端緒となりまして捜査を開始いたしました。それで、吹原関係をめぐる諸事件に伴いまして森脇をめぐる諸事件というものが出てきたわけでございます。現在、先ほど申し上げましたように、吹原をめぐる諸事件のうちのまだ数件、大体四件でありますが、四件がまだ捜査未了になっているということで、他のおおよその事件はすでに起訴になっているわけでございます。
○大森創造君 その起訴状とかいうものは出せないでしょうけれども、いままで皆さん方が調査されたものを非公式の文書でもいいから私のところに書いて出してもらうわけにいきませんか、技術的に。どうでしょう。
○政府委員(津田實君) 現在までの起訴事実の要旨につきましては、私の手元に、いま持っておりませんが、資料をつくっておりますので、もし御必要であれば当委員会に提出してよろしゅうございます。
○大森創造君 そのことをお願いしますと同時に、渡部さんといいましたか検事正、あのときはいつでしたか、新聞で見たのですが、参議院選挙の最中でありましたけれども、この事件は政治とは無関係であるという談話を発表された。法務大臣もそういう談話を発表された。あれはいつでしたかな。法務大臣は政党人だからいいけれども、検事正なるものがそういう談話を発表するということは私は異例のことだと思うのだけれども、あれは検事正独自の判断でやったのか。
○政府委員(津田實君) 本年の五月三十一日、森脇将光を詐欺、私文書偽造行使、恐喝未遂、それから吹原及び東郷、木村というのを商法の特別背任罪によりまして起訴をいたしておりますが、その際に新聞記者の求めによりまして若干の説明をいたした。それが新聞に検事正談といいますか、という形であらわれたものであります。しかしながら、その検事正談につきましては、前国会においてもいずれの委員会でございましたか御説明申し上げましたとおり、これは検事正談の内容そのものは、三菱銀行関係の三十億円の通知預金証書の騙取事件をめぐる金銭について政界方面にこれが流れたという証拠はないと、こういう趣旨のことを検事正が述べたというふうに私は報告を受けておりますし、その程度の説明を検事正がいたしたものというふうに考えております。
○大森創造君 検事正がいないから、これ以上追及することもできませんけれども、ああいう談話の発表というのは、あなた考えられてどうなんですか。ぼくは異例のことだと思うし、あんなことを声明する必要はないと思うんですがね。まだまだ捜査をして裁判をやるというのだと、これは庶民の感覚として政治と関係があると思っているんですからね、事実はともかくとして。わざわざ政治とは無関係でございますなどということをあの際に検事正が発表するということは、検事正でないあなたにお伺いしますけれども、あなたはどう思いますか、適当と思いますか。
○政府委員(津田實君) いわゆる吹原事件というのは、俗には政界と非常に関係があるということが言われておりますし、国会におきましてもその面についての御調査といいますか御審議があったわけでございます。ところで、現在、著名事件と申しますか、世間の耳目を聳動した事件につきまして処理をいたしまする場合は、もちろん起訴の内容を公表するということはいたしておりませんが、起訴いたしました場合に、その内容を事実上新聞に知らせるということはいたしております。その際に、いろいろ新聞側から質問等があります場合、若干関連した内容を説明するということは一つの従来からの慣例になっております。したがいまして、渡部検事正の談話そのものも、その慣例の範囲内において行なったわけでありますが、その内容自体は、やはり国民が当時三菱銀行の通知預金証書騙取について金が動いている。その金が自民党の総裁選挙に関連があるのではないかというような疑惑が盛んに行なわれていた、疑惑があるとされていたわけであります。その点に触れまして、その三菱銀行の預金証書騙取の関連においてはさような事実はないという趣旨のことを述べたものと私は記憶しております。
○大森創造君 この事件は三菱銀行の通知預金証書ばかりではないでしょう。相当大きな事件であり、さらに捜査するというとなかなか末広がりになってくる事件だと思うのに、通知預金証書の面だけつかまえて検事正の談話などを発表するということは、私は不適当だと思うのですが、どうでしよう。
○政府委員(津田實君) 当時、この通知預金証書の三十億円という総額になっておりますその金の問題につきましては、その後明らかになっておりますが、現実に金の授受はなかったわけであります。その金そのものをめぐって、その金が動いたとか動かないとかいうようないろいろ疑惑があり、それがいろいろな方面で論議をされておりますので、新聞社側におきましてその問題はどうですかということを質問するということは当然あり得ることであります。その場合に、それは全然わかりませんと言うか、それは言えないと言うか、あるいは、明らかになっておることであればさよなことはないと言うかということはあり得るわけです。で、明らかになっておる限度においてさようなことはこの問題に関する限りはなかった、こういうふうに検事正が述べたわけでありまして、それは通常捜査事件を処理いたしました場合の検察官の慣例上の態度としては、私は必ずしも相当なものでないとは言えないと、こう思います。
○大森創造君 法務大臣もそれと同じようなことを言っているですね。そうすると、それは、あなたの感覚からするというと、いまの御説明のとおり、あの際に政治と関係がないと言うようなことは、これも常識的に当然なことだというふうに御判断ですか。
○政府委員(津田實君) 法務大臣が申しましたのは、それよりしばらく前の状態であったと思います。で、法務大臣に対しましては、当時は高橋法務大臣でありまして、この吹原事件、三菱銀行が告訴をした事件というものの捜査の進展状況につきましては、必要なポイントポイントは私が検察庁から報告を受けて法務大臣に説明をしております。その段階におきまして、法務大臣は、黒金念書のうちの一通が偽造であるということは、は法務大臣も御承知で、そういう関係から見て、御自身の判断としてこれは政界に関係がないというふうに判断をされまして、本委員会あるいは他の委員会におきましてさような発言をされたものと思うのでありますけれども、当時検察庁側からはさような結論の判断についての報告は何も受けておりませんし、私は当時さような報告をしたことはありません。ただ事実の報告を法務大臣が独自の判断でさように言われたものというふうに私は考えておりますし、当時そういうふうに私は衆議院の法務委員会で御説明をしたと記憶しております。
○大森創造君 そうすると、検事正が談話を発表したのは五月三十一日ですか、それで法務大臣が談話を発表したのはいつでしたかな。
○政府委員(津田實君) ちょっとはっきり記憶いたしておりませんが、五月の中ごろであったというふうに思います。
○大森創造君 五月の中ごろね。そうすると、よけいはっきりしないときに、五月の中ごろに早くも政治とは無関係であるということを法務大臣が発表したということなんですね。私はそういう説明もわかるけれども、法務大臣とそれから検事正という権威のある人が、吹原産業というのは怪しいと思っているときに、こういう談話を公正なる検事正が発表する、さらに法務大臣が発表するということは、よけい一般の市民が首をかしげるような感じがするのですがね。そうすると、あなたの判断では、事件の捜査の途中であって、まだ黒白がわからないそのことを法務大臣が自分で判断をして、政治とは関係がないということをやったわけですね、法務大臣が。そうですね。
○政府委員(津田實君) 法務大臣に対しましては直接私あるいは法務省の事務次官から報告をいたしておりますが、その報告はあくまでも事実に基づく報告でありまして、意見についての報告はいたしておりません。したがいまして、その事実を法務大臣が判断されまして五月中ごろ御発言になったというふうに私は理解しております。ただ、五月三十一日の検事正の談話の中にあらわれました自民党の総裁選挙にこの通知預金関係の金が流れているという事実はないということは、これはあくまでも当該通知預金証書騙取事件を捜査した検察庁として、さように考えているということを述べたものであります。 なお、当時その談話がありました直後、国会におきましてその点についてのやはり御審議がありました際に、私は、はっきりと、これは三菱銀行をめぐると申しますか、三菱銀行の当該通知預金騙取に関する限り政界とは関係ないという意味であるということをはっきり申し上げているのでありまして、その他の事件、つまり吹原をめぐるすべての金銭の出入りについてはなお各種の事件の間において調査を遂げつつあるので、いずれそのすべての事件の捜査が終わった際に明らかになると思うということを申し上げているので、将来のことについては何もそのときは申しておりませんし、検事正自体も、将来の問題については何も談話の発表といいますか、談をしていないというふうに確信しております。後にさような報告を受けております。
○大森創造君 この問題はきょうどうということございませんけれども、私の感じから言えば、三菱銀行の通知預金証書を調べただけでもって検事正が談話を発表し、重ねてその前に法務大臣がそういう談話を発表するということはいかがなものかと思うのであって、黒金念書その他の問題をだんだん調べていきますというと、私はもう政治とは無関係とは思えないのでありますから、きょうのところは、いままでに皆さん方のほうで調べられたその起訴状はまずいならまずいとして、その他調べられた内容を先ほどお約束のように私のほうにひとつ御提出いただきたいとお願い申し上げまして、終わることにいたします。
○政府委員(津田實君) ただいままでに起訴いたしております起訴事実の要旨につきまして、私のほうで編集をいたしたものを、当委員会の御要求であれば提出をいたしたいというふうに考えておりますが、なお関連事件はまだ四件ばかり捜査中でございますので、その事件については、現在何も申し上げることを差し控えたいと思うのであります。
○委員長(和泉覚君) ただいまの提出をお願いいたします。
○大森創造君 それはいつまでに出していただけますか。
○政府委員(津田實君) 今週中に提出することにいたします。
○委員長(和泉覚君) 本件については、本日はこの程度にとどめます。 次回の委員会は八月十日午前十時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時八分散会 —————・—————