産業公害対策特別委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 6 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/10/04
会議録
○理事(大谷藤之助君) ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。 派遣委員の報告に関する件を議題といたします。 先般、当委員会が行ないました産業公害の現状とその対策の実情調査のための委員派遣について、それぞれ派遣委員から御報告願います。 まず、第一班九州班の御報告を願います。原田君。
○原田立君 去る九月二十七日より十月二日まで六日間、紅露委員長、森中委員及び私・原田委員は、福岡県、長崎県及び熊本県を視察いたしました。以下、その概要を報告いたします。 まず、福岡県においては、県庁を訪問、県庁及び北九州市の当局者から福岡県下及び北九州市における公害の状況とその対策等について説明を聴取するとともに、八幡区及び大牟田市を視察いたしました。八幡区においては八幡製鉄所の公害対策の状況を、また大牟田市においては大牟田市長及び被害者の代表等から説明を聴取した後、大牟田川の汚染の状況、九州電力新港発電所及び三井化学大牟田工業所を視察いたしました。 次に、長崎県においては県庁を訪問、県下における公害の状況等について県当局から説明を聴取した後、三菱重工業技術部長崎研究所を訪問、所員から産業公害及び公害対策、特にばい煙に対する研究に関して説明を聴取するとともに、ばい煙の風洞実験等を詳細に視察いたしました。 次に、熊本県においては県庁を訪問、県庁及び熊本市の当局者から熊本県下及び熊本市における公害の状況とその対策等について説明を聴取するとともに、熊本市及び八代市を視察いたしました。熊本市においては有明製鉄所の公害の状況とその対策を視察するとともに、事業主に将来におけるその対策に関して説明を聴取した後、付近の被害住民から被害の実情をつぶさに聴取いたしました。次に、八代市においては、市長及び被害者の代表等から、八代市における公害の実情等について説明を聴取した後、興国人絹パルプ八代工場及び十条製紙八代工場における公害の状況等を視察いたしました。 以上が今回の視察の概要でありますが、われわれが視察いたしました範囲におきましても、公害がはなはだしく、その対策等に関していまだ不十分であり、早急に改善を要すべき事業所もあり、また、汚染のはなはだしき河川もあり、ただ事業主の努力のみによっては改善も困難と思われるので、政府及び地方公共団体においてもさらに一段と強力な指導と助成が必要と思うのでありますが、詳しくは報告書を提出いたしますから、それによって御承知願いたいと存じます。 また、視察いたしました県、市及び地域の被害者からも、早急に善処を要する点等、多々要望されておりますが、これも報告書によって御承知願いたいと思います。 最後に、今回視察いたしました三菱重工の長崎研究所においては、公害対策に関して無心に研究を行ない、具体的事例に関しても研究を重ね、その対策を樹立して公害防止に協力されている所員の皆さまに対して心から敬意を表するとともに、今回の視察に際して、訪問した県及び市の当局者及び通産省、厚生省、福岡通産同等の関係者の方々の御協力に感謝して報告を終わります。
○理事(大谷藤之助君) 次に、第二班、中国近畿班の御報告を願います。柳田君。
○柳田桃太郎君 産業公害対策特別委員会委員派遣第二班といたしまして、植木委員と松澤委員と私の三名は、去る九月十二日から五日間、山口県、岡山県、大阪府における産業公告の現状と対策の状況を調査してまいりましたので、以下、各地の実情を簡単に御報告申し上げます。 まず、山口県においては、宇部市役所を訪れ、市の公害対策の概況について説明を聴取し、次いで宇部興産を視察いたしました。 宇部市は、かつて、市内の各事業場から排出する降下ばいじんの量は、国内外の諸都市に比べて圧倒的に多く、ピーク時の昭和二十六年には一平方キロメートル当たり月間五五・八六トンでありましたが、その後、市議会がこの問題を積極的に取り上げるとともに、市議会議員、市当局、関係事業場、学識経験者より構成する対策委員会が中らとなって、その対策について検討を重ねる一方、各企業も自主的にばいじんの防除につとめ、対象事業場が十三億円を投じて三十九基の集じん機を備えつけた結果、昭和三十九年におけるばいじんの降下量は、ピーク時の四分の一の一四・二四トンまで減少したのであります。 これは、ばいじん対策において一応の成果をあげた例といっていいかと思いますが、この成功をもたらした原因は、宇部における企業の利害と地元住民の利害が一致していたという背景もありましょうが、まず第一に、市議会と市当局が本問題に真剣に取り組んだこと、次に、当地方における学者が地域社会の問題を調査分析し、これを行政に反映させたこと、さらに、発生源たる企業が行政に協力し、対策委員会の技術部会において各事業場の技術関係者が企業の秘密主義を捨てて、ばいじん防除のための技術を提供し合ったこと、以上の要素が有機的に一体となって働いたことにあると思います。 このように、ばいじん対策においては相当の成果をあげた宇部におきましても、最近は石炭から石油への燃料転換に基づく重油の使用量の増加に伴って、亜硫酸ガスの発生が逐年増加の一途をたどっており、これに対する新しい対策を迫られている現状であります。 次に、岡山県では、県庁で公害対策の概況の説明を聴取した後、水鳥臨海工業地帯を視察いたしました。 水島地区は新産業都市の指定地域でもあり、本地区における公害防止対策の成否は、今後、他の地区における産業立地計画に大いなる影響を及ぼす可能性もあると思います。各事業場においては、ばい煙、廃液の排出基準を守っているとはいうものの、かつて一時的なものではありましたが、ある石油化学工場の試験操業におけるフレア・スタックの不安定燃焼に伴う排ガスによる被害が生じたこともありましたし、呼松港水路一帯の魚の斃死等、種々の公害が生じております。また、岡山県の郷土産業の一つであります畳表の原料となるイグサの先枯れ現象がひどく、通常なら五センチで済むものが水島周辺約百三十ヘクタールにわたって、十五センチから二十センチも先枯れがあり、当工場地帯から発生する亜硫酸ガスの影響によるものかどうかを、現在、県の農事試験場で研究中であります。 以上のほか、本年八月に厚生省、通産省が行なった水島地区における風向などの気象条件の調査によりますと、水島工業地帯から発生するばい煙が同地区から約三キロ離れた東北方の谷間にある社員住宅の方向へ流れ込むという皮肉な結果が出ており、この地区の立地計画に当たって、防止のための科学的基礎調査が十分行なわれたかどうか疑問に思われるのであります。今後の企業立地、都市計画にあたって、事前調査を多角的に、綿密に行なうことによって、公害防止の措置を講ずる必要があります。 なお、県としては、公害対策調査会及び審議会を設けて、重要事項の調査研究に当たらせる一方、公害防止について企業の協力を求め、積極的にその指導を行なうとともに、倉敷地区の学童の健康調査を行なうなど、鋭意公害防止につとめており、四十一年四月には公害防止条例を制定する予定で、現在その内容の検討を行なっております。 次に、大阪府においては、まず府庁で事情を聴取したのち、堺泉北臨海工業地帯等を視察いたしました。大阪はあらゆる公害の多量に集積する都市でありますので、その中からおもなものについてのみ順次報告いたします。 まず、地盤沈下でありますが、工業用水のくみ上げによって、過去十数年にわたって沈下の著しかった西部地区は、地下水採取規制法、工業用水法、府条例によるくみ上げ規制措置によって近年沈下の度合いが緩和しておりますが、逆に、未規制地区の東部地区の沈下が進行しているので、これを規制の対象に入れるとともに、河内・攝津平野をも含めた広域的な工業用水道の普及の促進が必要と思われます。 大気汚染についてでありますが、ばい煙規制法施行後二年を経過しておりますので、府下の鉄鋼等大手二十数企業については、一部を除いてほとんどばい煙処理施設の整備を完了しているということであります。問題は中小企業でありますが、府としては大阪府独自の公害防止設備資金特別融資制度を設けて、三十九年度は総額六千万円を年利四分五厘、五年償還の条件で貸し付けるなど、中小企業の公害問題にも意欲的に取り組んでおります。 水質汚濁については、淀川、寝屋川、大和川等、いずれも汚濁の進行が著しく、特に大阪市の上水道源である淀川の取水点付近で三PPMをこえており、これを薬品処理することによってかろうじて上水道としての水質の基準を保っている状態であります。汚濁源は京都府の下水、染色工業の廃水、上流沿岸工場廃水等でありますので、これを解決するためには流域別下水道の整備など、府県、市町村にまたがる広域的施策が望まれるのであります。 最後に、堺泉北臨海工業地の公害対策でありますが、本地域への進出企業は、鉄鋼、電力、石油化学工業等六十七社であり、現在までに三十二社が操業しておりまして、大阪府はこの地域の造成計画を立てるにあたって、あらかじめ大気、水質関係の事前調査を行なうとともに、造成地の譲渡に際して、企業との売買契約条項に、公害防除に必要な措置を講ずべきことを解除条件としたほか、公害発生時の解決責任を企業に義務づけるなど、公害の未然防止につとめておりますが、背後にニュータウンなどの住宅地域を控えているので、昭和四十五年の全面操業時に公害の発生のないよう、企業に対する地方当局、国の指導監督の強化が必要であります。 なお、お手元に配付いたしました要望書の内容は会議録に掲載したいと存じますが、ごらんになってわかるように、特に、公害基本法の制定については、公害の定義をも明らかにし、これに基づき、国、地方公共団体及び企業の責任分野を確立し、法的規制の強化とこれに伴う資金計画の策定など、国の公害対策に関する基本理念を定めて、総合的、体系的な公害防止対策を樹立することの緊要性を痛感いたした次第であります。 なお、最後に、今回の視察にあたって協力を賜りました関係各府県の知事、市長並びに職員の方方、通産局、各企業の方々に心から感謝の意を表して報告を終わります。
○理事(大谷藤之助君) ただいまの第一班の御報告にございました文書による派遣報告書及び第二班の御報告にございました要望書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(大谷藤之助君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ただいまの御報告に対し御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、派遣委員の報告はこれをもって終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時四十三分散会 —————・—————