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49回国会衆議院1965/08/06

法務委員会 第2号

発言数
95
登壇者
9
会派数
3
開催日
1965/08/06

会議録

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。  なお、きょうは特にお暑うございますから、法務大臣並びに政府委員の方々上着をお脱ぎください。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私は今回の参議院議員選挙に際しまして、選挙違反が続出しているのをまことに遺憾とするものであります。一番いま問題になっておりまするのは、専売公社関係の小林章氏の関係、これは官権候補といわれています。もう一つは全共連と申しまして、全国共済農協連合会の会長であり、立候補いたしました岡村氏の関係、これは金権候補だ、こういわれておるわけです。その他これに類する選挙違反は多数あると存じますが、この二つの選挙違反につきましてがいま非常に問題になっておりますから、まずこの二つの選挙違反に焦点をしぼりまして所見をお伺いしたいと思います。  その第一は、選挙違反と申しますと、公職選挙法違反に対する事実を摘発して、それに対して処罰をする。さらには連座規定でその当選を無効にする、こういうことに焦点をしぼられるのでありまするが、私はここにさらに考えなければならないと思うのは、共済連の岡村候補は、動いた金は五、六千万円に達するのではなかろうか、こういわれておりまするが、岡村氏自身にはこのような金はないと私は思います。どこからこの金が動いたかと申しますると、やはり全共連を中心とした全国の農協、ことに農協中央会、これから出た金ではないかと思うのであります。したがって、私はこの際大臣にお聞きしたいのは、この行為は、これは選挙違反になると同時に、さらに刑法上の背任、横領の問題に関係すると思うのであります。したがってこの取り調べにあたりましては、単に選挙違反だけでなく、背任、横領の刑法上のこの責任が、私はさらに重大ではなかろうかと思います。それに対するところの捜査の方針等について承りたい。  なお、あわせてこの小林章氏の関係、これは先日来参議院の議院運営委員会におきまして、阪田総裁並びに官房長官も出られまして、その責任を認めておった、そういうことの経過がありまするが、これは単に総裁がやめるだけの問題ではない。この専売公社に関連して選挙違反に問われた者は、公金を流用しておる。公金流用というのは、公金に対する背任、横領の問題だと私は思うのであります。したがって、捜査においては、刑法上の問題については、選挙違反に対しても重大でありまするけれども、なお重大だ、こういうふうに考えまして、双方を捜査して、そうして処分をしなければならない、こういうふうに考えますが、まずこれに対する大臣の御所見を承っておきたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 今度の参議院選挙の違反事犯につきましては、厳正なる態度をもってこれに向かうように検察当局に特に指令をいたしまして、いまその方針に従って検討を行なって、まだ終了いたさないのでございますが、その中で、お尋ねの小林章、岡村文四郎、この両人に関連いたしましての選挙違反事項というのは非常に広範にわたっておりまして、まだ完全に調べ上がっている状態ではありませんが、たくさん全国であがりました中でも一番目立った存在だと思うのでございます。その内容につきましては、まだはっきりしない点も多々あると思いまするが、いままでわかっておりまして、申し上げ得る点につきましては詳しく刑事局長から申し上げさせることにいたします。お聞き取り願いたいと思います。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 ただいまお尋ねの小林章派の選挙違反につきましてでありますが、同事件は、日本専売公社地方局、支局、出張所の職員が、その地位に伴う影響力を利用いたしまして、全国区候補者小林章のために選挙運動を行なったという公務員等の地位利用、すなわち公職選挙法第百三十六条の二、第二百三十九条の二の事犯を中心とする全国的な規模にわたる選挙違反でございます。現在、これらの違反につきましては東京、山形その他合計二十九検察庁におきまして、個々の違反事件の実態はもとより、これに関連して供されたとうわさされる資金関係につきましても、鋭意捜査を進めております次第でありまして、次第にその違反の全貌が明らかにされつつあるのであります。  八月四日までに法務省に入りました報告によりますると、小林派の違反事件におきまして検察庁が受理いたしました違反者の人員は、公社職員関係で百九十五人、業者関係で百二十九人、合計三百二十四人でございます。  それらの者の違反の態様といたしましては、公務員等の地位利用をはじめといたしまして、事前運動、文書違反、戸別訪問、供応、買収等の多岐にわたっており、そのほか証拠隠滅関係も若干存在するようであります。  なお、右人員中に公社職員関係の相当数の者は逮捕、勾留をされて取り調べを受けておりまして、また、これまでの報告によりますと、すでに東京、水戸、山口、山形の各地方検察庁におきまして、合計十三人を公務員等の地位利用によりまして公判請求をいたしております。  以上が小林幸派の選挙違反の現況でございます。  次に、岡村文四郎派の選挙違反でありますが、同事件は、全国共済農業協同組合連合会長である岡村文四郎候補のため、同連合会の幹部役職員が主体となりまして、全国農業協同組合中央会、全国販売農業協同組合連合会等と関係団体及びこれら傘下の各種団体の役職員等を交えて行なわれたものでありまして、買収、文書違反、戸別訪問等の各種事犯が検挙されております。これらの違反は、東京をはじめ約十七地方検察庁において鋭意捜査を進めておりまして、次第にその全貌が明らかにされつつあるのであります。  八月四日までに法務省に入りました報告によりますと、岡村派の違反事件で検察庁の受理いたしました人員は百十人であります。そのうち四十六人が身柄を拘束されております。その内訳は、買収六十一人、戸別訪問三十人、文書違反四十六人となっております。なお、これまでの報告によりますと、すでに東京及び水戸の各地方検察庁におきまして六人を買収及び文書違反で起訴いたしておるのでございます。  なお、お尋ねの小林派及び岡村派の違反で買収資金として流れた資金の関係であります。選挙資金ないし買収の疑いを持たれております金員の額及び出所につきましては、目下検察当局において鋭意捜査中でありまして、遠からずその真相が判明するものと考えられるのでありますが、現段階におきましては、まだお答え申し上げられるものはないわけでございます。  なお、この選挙資金ないし買収の疑いを持たれる金員が、日本専売公社または全国共済農業協同組合連合会等の資金から、これらの団体の事業目的と無関係に支出されたものであるかどうかという点が問題になるわけでありますが、もし無関係に支出されたものであることが明らかになった場合には、それらの支出行為が横領、背任等の刑法犯に触れることの疑いも生ずるわけでありますが、その点につきましては、目下鋭意捜査中でありまして、いまだ確定的なお答えを申し上げる段階には至っておりません。  以上であります。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 そこでもう一つ、これは刑事局長でけっこうですが、この岡村派の事件でこの選挙の主体となるものは入院あるいは逃走をしておる。これは新聞によりますと、計二十一人が岡村派については逮捕されておりますが、さらにこの総括主宰者、全共連黒川泰一常務理事、これは入院中としてある。それから出納責任者、農政研究会職員細江芳久、岡村議員の秘書、全共連秘書室能勢調査役、いずれも逃走中、こういうのがございますが、これについては、厳重にいまのうちに、逃走中のはこれをあばき出してやらなければいかぬ。入院中というのは、こういう地位の高い者で金の自由になる者は、病気を仮装して入院する者がある。そういう点については厳重にこれを究明してその捜査を進めなければならぬ、こういうふうに考えられるわけですが、その点についての処置はどういうふうになっておりますか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 ただいま御指摘の具体的な人につきましては、一々調査をいたしておるわけではございませんが、入院者等が出る場合ももちろんございますので、その場合には厳格な医者の診断を受けさせることによりまして、これが取り調べにたえ得るかどうかということを十分検討いたしまして、取り調べにたえ得る者につきましては取り調べを行なっていく、こういう態度を堅持いたしておるわけでございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 なぜ私がこういうことを質問するかと申しますと、従来の例によりますと、入院中とか逃走中といって——いわゆる選挙についてはある一定の時期に捜査の打ち切りということがある、それをのがれればいいというので、結局選挙違反については、大きい選挙違反であり、また有名人その他、こういう地位にある人の選挙違反については、竜頭蛇尾の感がある。幸いにいま外務大臣をしておる人の選挙違反については、その主宰者が、沖繩に逃げかかっているのが鹿児島でつかまりましたから、その全貌がわかるということになった。なお、前回の参議院選挙の際の鮎川義介氏親子の選挙違反については、これはその捜査が急速に進められまして、その内容が判明いたしましたから、ついに両氏は、当選したせがれのほうも、その当時参議院議員であった鮎川義介氏も、その職をいさぎよくやめられて、そうして前非を悔いて、その裁判に対しての情状の点については、これは相当考慮があったと思いますが、そういうような処置に出られた点もあるわけです。  ところがこの専売公社の問題につきましては、阪田総裁が責任をとると申しましたけれども、小林章氏は自民党と離党しただけで、何ら責任の点を考えていない。岡村氏派の選挙違反につきましては、その総括責任者は入院をしておる、その重要なる選挙の参画に当たった者は逃走中である。もしこれをいまにして逮捕し、あるいは入院者に対しては臨床尋問、こういうことでもして急速にやらなければ、その真相の把握はできない、こういうふうに考えられるわけであります。本件については、小林氏についても岡村氏についても、本人自身は何ら反省の色がない。ただ自分の所属する政党に迷惑をかけてはならないというところで離党しておる。しかしながら、選挙というのは参議院議員の選挙であり、当選をしておる。その当選をした者が、このような選挙違反が出た以上は、半年あるいは一年後の裁判の処置を待つまでもなく、この参議院議員の職を辞して天下にその恥をさらし、天下に申しわけないということを証明しなければならない。私は法は違反者を処罰するだけではなくて、それによって当選した議員そのもの自身は反省をしなければならない、それでなければ選挙の粛正も、公明な選挙も、幾ら口に言い、かね太鼓で騒いでもその実現はできない、こういうふうに思うわけであります。したがってこの岡村派の捜査については、その重要な者が逃走中であり、入院しておる、こういうことになっておりまするが、この点については早急に、どういうお考えを持っておりまするか、ひとつ大臣の御所見を承っておきたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 岡村派の嫌疑を受けた人たちが、どういうふうになっておるかということは、私は個々の場合は承知いたしておらないのでありまして、どういうような情勢で、入院中の診断が——そこで調へるというようなことが不適であるやいなやということも研究いたしまして、それができることでありますれば、事件を早く片づけるという意味におきましても、入院中でも調べをやれるというものならばやっていくというぐらいな心組みで話は進めていきたいと思います。十分調査した上でいろいろやっていきたいと思います。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 時間がございませんから、個々のいろいろの問題についてはまた別の機会に譲りまして、もう一つお伺いしたいのは、これだけの、全共連にしましても、五、六千万円の金が動いておる、これに対して私は、岡村氏自身の金は、これは失礼だけれども持ち合わせがないと思うのです。やはり全共連に関係して金が支出されておるし、なお全共連にしても、これだけの金を支出する以上は、岡村氏に関係なしに、また岡村氏の承知なしにこういうような金の支出はできないと思うのです。私は、当選をすればその者に対しては捜査をあまり強くやらない、そこに欠点があると思うのです。やはりこれだけの金を動かした岡村君に対しては、刑法上の関係があると私は確信をいたします。この点について私は厳重な捜査を進めてもらいたいと思うのであります。  さらに、この専売公社の関係にいたしましても、公金の流用ということがいわれておる。この事件は地位の利用もありまするが、やはり専売公社の公金が買収その他に使われていると思う。その点については厳重なる捜査を進められると同時に、これを支出するについてはたばこ業者との重大な関連を持つところの小林氏に関係なしにこういうことはできないと私は思う。したがって私は、小林、岡村両人に対して徹底的な捜査の手を進めなければ、ほんとうの今度の選挙違反の核心はつかめない、こういうふうに思うわけですが、この両名に対する捜査の方針はどういうふうに考えておられるか。  さらにもう一つは、この公金の流用並びに全共連その他農協関係の金が出ておることについての問題は、先ほど刑事局長の御説明では買収としてのことを中心にして調べられておりまするが、いわゆる背任、横領の問題、この問題についての捜査はどういうふうにしてやっておられるか、買収が明らかになればそれに付随して背任、横領の問題も自然と出てくるから、その際に起訴をするとか、そういうふうな捜査を進めるか、こういう点について承っておきたいと思います。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 先ほども申し上げましたように、当該事件に関連する選挙資金、ないしは買収の疑いが持たれている議員につきましては、検察当局において、その出所等に関して鋭意捜査中であると申し上げましたが、そういう意味において資金の出所を捜査中であり、また資金の支出関係について、背任、横領等があれば当然これは捜査の対象にいたしておることも先ほど申し上げましたとおりでございまして、その方針で進んでおるわけであります。でありますが、具体的にどういう内容を持った事実が明らかになっておるか、あるいはどういう証拠をつかんでおるかという点につきましては、私はもちろんただいま存じませんし、またこれはちょっと申し上げかねる次第でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 小林、岡村この両人に対する捜査は進めておられるかどうか、どういうふうにされるか、その点承りたい。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 ただいま申し上げましたように、本件ですでに起訴をされておりますし、またあるいは犯罪容疑で捜査している者が多数にのぼっているわけであります。その捜査に関連いたしまして、いまの選挙資金あるいは買収にかかる金の出所というものを捜査いたしておるわけであります。その間に、どういう端緒をもってこの候補者自身に捜査の手が伸びるかどうかということについては、いま何とも申し上げかねる次第でございます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 これで質問を打ち切りますが、やはりこの事件は小林、岡村両君の選挙に際して生じたものであり、この町名が、そのみずからの多数の選挙違反に対して関連がないとは申し上げられないと思うのです。ですから、その点について十分留意して、その派の選挙違反を調べる。付随的の調べでなくて、もっと積極的に、小林にしても、その地位の利用についても、あるいはたばこ業者の買収等についても、公金の流用については小林自身が関係があると思う。またこの全共連その他農協関係の五、六千万の金が出るということについては、これはやはり刑法上の因果関係が必ず岡村氏自身にあると思う。これを厳重に捜査をし、そうして処罰しないことには、やはり大ものに対する、またこういったものに関連しておるものの選挙違反の今後の戒めにも私はならないと思うのでありますから、ひとつ大臣はじめ、この点については現在の国民感情に反しない、また竜頭蛇尾に終わらないような捜査を進め、厳重な司法上の処置を要求されるということを要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この機会に、大臣就任以来初めてでございますから、やや一般的な問題も含めて大臣の所見を伺いたい。  まず第一に、南漢宸氏に対する法務省と外務省との扱いに、いささかニュアンスの違いがあるようであります。法務省は、新聞の伝うるところによりますと、原水禁大会参加のためという入国目的からは逸脱しているが、内政干渉的な発言として過大視する必要はないとの判断から、特に政治問題として取り上げない方針をきめた。外務省のほうは、明らかに内政干渉と見て取り上げておる。法務省の立場はそれより多少弱いのであるが、八木入管局長は、南氏の入国に対して代理申請をした日本原水協関係者に遺憾の意を伝え、今後南氏らが慎重な行動をとるように要望を伝えられておる。他方、失礼な話でありますが、大臣が国民政府並びに韓国と非常にじっこんな歴史的な関係があるという意味において、これは近く来日する国民政府の外交部丘に対する、まあ気がね的な政治的な意味があって、取り上げるならとことんまで取り上げてもいいんだけれども、国民政府向けにこの問題を取り上げておる。政治的に南漢宸氏の発言を取り上げておる。いままででもこういうことはあったのだけれども、特に外交部長向けにこの問題の処理を考えたという政治的判断があると伝えられておるのでありますが、南漢宸氏に対する問題について、法務大臣としてどういうお考えなのであるか、率直な御意見を伺いたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 南漢宸氏並びにその御一行二十数名が日本の原水協の会に列席するために出てくるということでの話は、日本側の世話人から申し入れがございました。昨年は十五名ほどの人を許しておった。あるいはそのくらいの人を許したらどうかという意見もあり、いろいろな考え方があったわけでございますが、ずっとその人たちの経歴等を調べまして、特にこの際この人はいま日本に来ては好ましくないという人を取り上げて指名する必要はないようである。それならばこの際人数や期間で値切ってみたって同じことだから、きれいに許そうじゃないか。そのかわりに、その人たちにはひとつ注文を出しておいたらよかろう。日本においでになって、そうして日本の公安を害するような、日本の平和を乱すような言動があってはならぬことはもちろんでありますが、友好国との関係を悪くするような言動は十分慎んでいただきたいということをよく話しておいて、それを了承して来ていただくように言ったらよかろう。これは事務的に取り扱おうというので、これは私が私の配下で扱うただ入国管理の問題として、入国管理局長から、それぞれの関係部署にそれだけの注意をして入国を許したわけであります。ところが、奇異なことに、この間の南漢宸氏の歓迎会においての発言は、あまり好ましい発言とは私も思っておりませんが、発言があったわけです。この間の入国の際の約束とは少し離れておる。で、当該局長から日本の世話役の人に、これは入国の際、君らを通して御本人たちにも伝えてあるはずだが、少しくそれておると思うのだがということ、決してそれをそのまま認めておる心持ちではないということをはっきりと伝えておいたほうがよかろうということを、私は当該入国管理局長に話をいたしまして、入国管理局長から事実を確かめて世話役の人に伝えたか、伝えることにしておるわけであります。それはまだ伝えてないかもわかりません。外務省とどういうふうな関係になっておりますか、私は外務大臣とは打ち合わせも別にやっておりません。内政干渉になるとかならぬとか、そういうふうな打ち合わせも別にいたしておりませんが、これはおのずから別問題でありまして、法務省としての扱いといたしましては、そういう関係のみで、非常に事務的に、冷静に扱って冷静な態度でやる。私がコレアン・ロビーとかフォルモサ・ロビーとか言われる。言われたって一つも何とも思いませんが、それがためにこういうことを右左するようなちっぽけな考えは持っておりません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 重ねて別な角度からお伺いいたしますが、先般、吉田書簡には、三木通産大臣によって、政府は拘束されないという答弁がありました。要するにそれは貿易関係に関しましては、三木発言はゆるやかな線をとる、こういうふうに考えたものだと思うのであります。さすれば、これは明らかにひとり通産大臣のみならず法務大臣としても、入国管理に関しましては、貿易の問題については、今回の三木発言並びにそれに関連する政府閣僚の発言と同じように、いままでよりはゆるやかな立場で考える、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 三木発言が少し誇張されて伝えられているのじゃないかと私は思うのであります。三木君の発言も、要するにあれは私信であると言うたのでありまして、私信に違いないのでありまして、法律上にそれが日本の政府の行動を縛るものでないことは当然のことであります。これは前からきまっております。総理大臣も年じゅうそれを聞かれていることであります。だから、いまさら三木君のああ発言したことを、新聞の諸君が取り上げているのがおかしいのでありまして、いままでと変わらないわけであります。私も新聞出身ですが、よほどそのとき紙面があいておったのだろうと思っている。それは冗談でありますが、私は中共との貿易は前向きでやってけっこうだという意見なんです。前向き論者です。ただこの前からの輸銀の問題の扱いについては、私は反対意見、私は法務大臣としてでなく、政治家として反対意見を持っている。これは政経分離という立場から、商売されるなら、商売は商売でやったらいいじゃないか、商売ベースでやるもので、日本の商売人も輸銀なんかにたよらないで、自分の商売ベースで市中銀行と話し合ってやったらいいじゃないかということが、私の非常に素朴な考え方なんでありますが、それはそれとして、貿易は盛んにすべしという考え方であります。三木君の発言のあるなしにかかわらず、貿易はやっていく、盛んにしてよろしいという考え方であります。ただいま、何だか中共との貿易はとまっているような状態に見えるのは、ニチボーのプラント輸出の問題に輸銀問題、それからもう一つは、日立造船の場合の問題というようなときに、かってに輸銀問題の話が出ておって、中に入った人がかってなことを言うておったかどうか知りませんけれども、意思がお互いに疎通し合ってなかったんだろうと思うのであります。それだからちぐはぐになってしまった。どちらも約束違反じゃないと思うのでありますが、意思の疎通がなかったんだと思うんです。ああいうことのないようにちゃんと話し合いをして、できるものならできる、できないものならできないということでやったらいい。輸銀問題などは、これは日本の国の政府が、日本の国が自主的に考えるべき問題であって、台湾から言われたからあれは断わったとかなんとかいうものじゃないと思うんです。そのときも私はそう言いました。台湾に行ったときにも、台湾の諸君にもそう言ったんです。これは台湾の蒋介石政権の反対があってやめたんでも何でもありません。日本は日本の自主的な立場によってやるのであります。これは私はそう思っておる。今後もこの問題は日本は自主的に考えていくべき問題だと思っています。貿易はやっていくという方向も打ち出しておる。この間の三木君の発言によって、あらためて日本の政府が中共と貿易をしようというんじゃないのです。中共のほうが輸銀問題ですねられたようなかっこうになっておったのを、平たい心持ちになって、そうして商売を商売のベースによってやろうとされる行動がどんどん起こってくれば、私どもはそれに賛成の意を表します。その関係で日本に来られるような方たちに対しましては、できるだけの便宜をはかりましょう。それにかこつけてほかの行動をされる場合には反対するかもわかりません、そのビジネスのためならどんどん賛成します。文化交流その他の交流では、いままで反対しておることは一つもありません、そうそう心組みです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 さすがに、失礼ですが大物大臣といわれますが、歴代の法務大臣に比べますと、率直に所信を披瀝されたことを感謝します。ただ私の理解からいいますと、吉田書簡は、大臣が言われるほど形式論の問題ではないように私は理解しておるのであります。といいますのは、吉田書簡が出されるときには、総理もこれについて了解を与えられたという節が当時あるのであります。今日それは政府の知らぬことだ。いま大臣のおっしゃるような単なる、と言っては失礼ですが、形式論としてその当時から取り扱えばいいのでありますが、一たん政府が拘束されるということを議会で言ったのであります。それがいま拘束されないという答弁に変わったのであります。その点はきわめて私は重視せざるを得ないのであります。いま大臣がおっしゃるように、貿易ならどんどんやってくれ、そして輸銀を利用するかせぬかは輸銀で自主的に判断すればいい、こういうふうにそれだけおっしゃるならば、私も翻然として了解いたすのでありますが、あなた個人としては輸銀を使うことに反対だ、こういうふうにおっしゃるし、それから歴史的なそういう拘束される、されないという経緯がありますだけに、三木さんの発言というものが政治的に角度を変えたんだという私の主張は国民がそう思っておるんだ。  それでは、あらためて二点お伺いいたします。輸銀を使用するかしないかについては、これは政府の関知したことではない、輸銀の自主的な判断にまかせると理解してよろしいかということ。  もう一つは、ほかの例を引きますけれども、貿易であるならばどうぞ御自由に、共産圏といえども入国を認めるにやぶさかでないということは、北朝鮮の貿易問題についても同様に言い得られるものであるかどうか。その二点をお伺いいたします。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 輸銀関係の問題は、原則的に私はいま申しましたとおりのことは当然だと思っております。実際問題といたしまして、いま起こるべきことではないと私は思っておりますが、趣旨としてはそのとおりである。そしていつかはそういう問題がもっと用いられるときもある、用いられないときもあるというような時代がいろいろくるということもあり得る。そういうことには、よそのほうの指図は受けない。平たく言えば、中共からも指図を受けない、台湾のほうの蒋介石政権からも指図を受けない。日本は日本自身で考えたいという心持ちだということに御了承願いたいと思うのであります。  それから北のほうの朝鮮から、経済的に貿易あるいはプラント輸出とか何とかいう問題のときに来る場合はどうだという問題でありますが、これはただ商売をしたいから入国さしてくれというだけでは、いまのところ簡単に許せない。と申しますのは、ただそういうだけなら、おれは商売するつもりだといってかってにどんどん来られると、自由交通と同じことですから、目的欄に商談のやめ、貿易のためと書けばいいというだけでは私はいかぬと思う。ところが具体的に何らか話し合う、たとえばどこかのプラントを日本から買おうという話が進んだ、しかしそのプラントをぜひ見て、その部分品の工場なんかはどうなっておるのか、自分のほうでできるのか、あるいはこちらの部分品の工場もついでに見ておくとどうなるかというような、そこまでくらい、資金の手当はこういうふうにできておる、もう話がほとんどコンクリートのものにだんだんなっておるというような場合になって、これにはこういう技術者とこういう技術者と、こういう関係者が日本に来てもらいたいんだということが、日本側と向こう側の話し合いの当事者から申し出があれば、それは私は許すつもりです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大臣としては、きわめて常識的な話だ。ところが大臣、そのこと自身もいままで許さなかったのですよ。私も二、三体験をしたことがありますが、やはりブラント輸出があって、横浜付近に工場がある、その工場を引き取りに行くために、検査のために、来日を許してもらいたいということも、二、三年前は具体的事件でありますがだめだった。大臣が、それじゃあらためて過去を調べてみる、そういうことはいかぬから、もう一ぺん変えるとはおっしゃらないと思いますが、少なくとも北朝鮮からの貿易上の入国については、いままではきわめて厳格に、もうネズミの子一匹も通さぬ、来させぬという状況であったということだけは、大臣ひとつ御認識を願いたい。大臣がいまおっしゃるように、純然たる貿易で取りきめがきちんとできておるならば、ケース・バイ・ケースで認めていこうというふうに公式におっしゃったことは、私はきわめて意義のあることだと思います。そういうことについては過去、あるいは御存じなかったかもしれませんけれども、今日以降そういうふうに理解してよろしゅうございますね。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 いまあなたもおっしゃったとおり、ケース・バイ・ケースで審査いたしまして、現に一つ話が私の耳に入っているのがあります。書類で出ておるかどうか知りませんが、それは、話を聞きまして、それはよかろうじゃないかということで、口頭で私は賛意を表しております。そういうものが話が進んでくるようになれば許すつもりであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次は、先ほどの選挙違反の問題でありますが、私は法務大臣であるあなたと、閣僚であるあなたと、両方から質問をしたいのであります。  先ほど坂本さんからいろいろお話が出ました。もっぱら法務大臣としては、閣僚としてのお立場のようでありましたから、その意味で御意見を伺いたいのでありますが、私は岡村派といい、小林派といい、その選挙違反が出てくるべき条件があった。たとえばたばこの小売りの認可であります。三十八年までは、小売りの認可の期限は三年の更新だった、それを二年に変えた。だから二年になったから、ことしの参議院議員選挙の直前に認可の期限がきたわけであります。そうしたら、今度はまたそのときに三年にしたわけであります。三年にしたか、未来永劫小売りの認可をするのは参議院議員選挙の直前になったわけであります。ですから、今回あったことは、三年後も六年後も九年後も同じ条件に参議院選挙でわっとなっているときに、小売りの認可をする時期にくるわけであります。それを大蔵委員会で私数日前指摘しましたら、それじゃ二年ごとにまたするということに直したわけであります。そういうことを変えたことはともかくとして、変え方がまた私は、今度は別な角度で問題になる。先ほども理事会で、同僚委員諸君と笑っておったのでありますが、お酒の認可は、これは期限の更新はないのであります。一たん認可したら、悪いやつは取り消しをする。今度は参議院選挙には関係ないけれども、お酒と全く違って、たばこと塩は、いままでは三年だったものを今度は二年ごとにいじめられる。だから私は、あなたが選挙違反を厳重に公務員のあり方として追及をし、違法なものは処分をさせるという立場をとられると同時に、閣僚として、今度の参議院選挙によって学び得た経験というものを、一番よく知っている立場になるわけでございますから、この問題を前向きに解決をしてもらいたいと思います。  もう一つは、いま言った小売りの認可の問題の方法であります。酒が未来永却、悪いことをしたら取り消すけれども、悪いことをしなかったらずっと認可される。たばこと塩だけは、三年ないし二年ごとにいやらしいことを言われる。専売公社の総裁に言わせれば、今度だって、取り消しをしたものは二百軒か三百軒くらいしかないんだから、こうおっしゃっておる。しかしあとの数万軒の人たちは、いやらしい顔をして見られるわけです。そのいやらしい顔は、今度どういう顔をして言われるかということになってくる。  それから第二番目の問題として、今回の選挙違反の問題が、ほとんどといっていいほど、地位利用であります。つまり、過ぐる選挙制度の審査会で与野党が一致していたしました高級公務員の立候補制限、そこに前向きに問題を持っていかなければ、百年河清を待つようなものではないか。大臣は、民間出身の方でございますから、この点がよくわかっていただけると思うのでありますが、そういう高級公務員の立候補制限のほうに問題を前向きに持っていかなければならぬのではないか。あるいは公社の内部監査制度、私は公社の公社たるゆえんは、一つの自主経営の幅を認めるということであるから、それを監督権限を強めるということについては、私は角をためて牛を殺すたぐいであり、これは賛成しません。しかし公社としても、それぞれりっぱな人がおるはずだから、なぜ内部監査制度をもっと徹底して行なわれないのか、内部監査の制度を徹底をするという方向に持っていくべきではないか。  それから最後は、総理がおっしゃっていらっしゃる姿勢を正すということであります。総裁は今度おやめになりますけれども、何といいますか、おやめになる雰囲気というのは、必ずしもいい条件、いい雰囲気ではなく、まあ追われ追われてやむを得ずやめるというような雰囲気、これは総理大臣や、あなたがこの間ここでおっしゃったような姿勢を正すというような立場においておやめになったのではないような雰囲気でございます。そういうような高級公務員の姿勢を正すことに、ひとつ法務大臣として、閣僚として御努力を願いたい。あなたのこの間本委員会における所信表明を承りましたところ、非常に私感銘をしたわけでありますが、大臣におなりになったときに、自分が法務大臣でおることによって、おのずから一つの威圧といいますか、動かざる威圧、沈黙の威圧といいますか、それだけの自信を持ってあなたは法務大臣におなりになったと思うのであります。この経験を前向きに生かすようにひとつ御努力願いたいと思いますが、二、三、例をあげました問題について御意見を承りたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 まことに適切な御忠言でございまして、公務員が国民から信頼感を失うということは、やがて政治に対する信頼感を失うということになる大きな点でございます。これについて、どう公務員を信頼せしめるかというような問題に、今度のような問題は一つの転機となりまして、考えなければならぬ問題が幾つかあると思うのであります。いま専売のたばこ、あるいは塩等の認可の期限、そういうことによって、やむを得ずいやいやながらこういった選挙の渦の中へ巻き込んでしまうというようなこと等も、十分考慮しなくちゃなりませんし、また第二におっしゃった公務員の立候補は、一体公務員をやめてすぐしていいものか、これは前からよく話がある問題でございまして、何とかもう少し進んで規制をすべきではないかという声は、在来ともあるわけでございます。こういう問題等も取り上げまして、そうしていまおっしゃった、われわれとともに公務員が、ちゃんと姿勢を正して仕事ができるというような方向に持っていけるように、私も閣内において、党の諸君とも、国会の方々の御援助を願いまして、そういう方向に話を進めるよに努力いたしたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ちょっとだめを押すようで恐縮でございますが、高級公務員の立候補制限につきましては、法務大臣としては、御賛成と承ってよろしゅうございますか。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 方向は賛成でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 次は、森脇事件であります。森脇事件はその後本委員会も参議院選挙で取り上げておりませんが、現状いまどういうことになっておりますか。まず、その後の経過を伺いたいと思います。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 いわゆる吹原産業関係の事件のその後の捜査状況でございます。お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁におきまして、本年四月二十三日から七月十九日までの間におきまして、吹原弘宣、森脇将光、株式会社森脇文庫平本方、大和銀行京橋支店の元支店長東郷隆次郎、及び同支店長代理木村元を、詐欺、私文書偽造、同行使、恐喝未遂、法人税法違反、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反及び商法違反(特別背任罪)によりまして、それぞれ東京地方裁判所に起訴をいたしております。起訴済みの概況につきましては、吹原弘宣と森脇将光との共謀関係におきまして詐欺罪による三つのものがございます。  第一は、すでに当委員会で申し上げました三菱銀行長原支店から通知預金証書合計額面三十億円を騙取した事実、これは本年五月十四日起訴いたしました。  次には東洋精糖関係でありまして同じく吹原、森脇共謀の上、額面五億円の約束手形、額面二億円の小切手、時価約三億円相当の宅地建物の権利書を騙取した事実、これは本年七月十二日起訴いたしました。  また同じく吹原、森脇共謀関係におきまして額面十三億二千五百万円の約束手形、時価七億二千万円相当の株式約四百万株、被害者は朝日土地興業株式会社、これも本年七月十二日公判請求をいたしました。  さらに吹原単独の詐欺罪といたしまして、時価約十三億円相当の株式七百五十万株を伊藤忠商事から騙取した事実であります。これにつきましても本年七月十二日起訴、公判請求をいたしました。  次に、商法違反関係であります。これは特別背任でありますが、これは吹原弘宣と、先ほど申し上げました大和銀行の支店長の東郷隆次郎、木村元と共謀のものでありますが、被害総額二百九十四億七千七百万円、これは大和銀行関係の被害、これは本年五月三十一日に起訴、公判請求をいたしました。二百九十四億円と申しますのは、これは累計額でありまして、一時期においてかような高額に上っておるものではありません。  なお、これに関連いたしまして、さらに捜査いたしました結果、株式会社森脇文庫についての法人税法違反、すなわち脱税の事実が明らかになって、これを起訴いたしました。これは昭和三十七年二月から昭和四十年一月三十一日までの三年度にわたりまして合計三十八億五千二百三十八万八千八百六十円の法人税法違反によって、株式会社森脇文庫及び森脇将光を起訴いたしました。  さらにこのほかに株式会社森脇文庫の業務に関しまして、昭和三十七年十一月一日から昭和三十八年十月十五日までの間、前後二百三十回にわたり大橋富重なる者に対しまして合計四百八億七千六百四十六万四百円を貸し付けるにあたりまして、法定利息百円につき一日三十銭までは処罰されないわけでありますが、その利息合計十八億九千八十四万二千百二十四円を、二十六億二千四百四十五万七千四百七十六円こえる合計四十五億一千五百二十九万九千六百円の利息の契約をしたという出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反、この事件につきまして株式会社森脇文庫及び森脇将光を起訴いたしました。  それから、なおこのほかにいわゆる黒金念書等関係の私文書偽造がございまして、その私文書偽造につきまして、およそ九つの事実について起訴いたしております。これは吹原及び森脇の共謀にかかるものでございます。  そのほか森脇につきまして、三菱銀行に対して通知預金証書にかかる預金の返還を求めるに際して恐喝の行為がありました。その恐喝未遂の行為につきまして起訴をいたしておりますが、これはすでに前回の国会で御説明申し上げたとおりであります。  大体、現在までは以上の点につきまして、処分を終わっておるわけでございます。  それで、現在なお捜査中の事件といたしましては株式会社リコー関係、間組関係、あるいは藤山氏関係、平和相互関係の詐欺事件がありまして、これはいずれも告訴にかかる事実であります。この事実につきましては目下鋭意捜査中でございまして、まだ結論を得ておりません。  なお、前国会におきまして、吹原弘宣をめぐる金銭の出入りについても、各事件関係におきまして鋭意調査をいたしておることを申し上げておりますが、その調査につきましても引き続き調査をいたしておりますが、まだ最終的な結果を得るに至っておりません。  以上が現状でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大臣は参議院に行かれるそうでありますから、ちょっと本件に関しまして大臣にお伺いしたい点だけを申し上げて、大臣参議院に行っていただきたいと思います。  それといいますのは、前法務大臣が参議院選挙の直前に、いきなり病院から出てこられて閣議に出て、新聞記者に会われて二つのことを言われたのであります。一つは、本件は参議院選挙前に片づくとおっしゃったこと、一つは政治家には関係がないとおっしゃったこと、この二つを言われましたので、衆参両院の法務委員会は一斉にこれを取り上げて、まだ捜査——検察陣が主力をあげて調査しておるうちに、これに水をぶっかけたようなものだ、これは明らかに第二の指揮権発動に類しておる。政治家に関係がないならば、ない理由を示せ、いま言わなければならない理由は何があるか、明らかにこれは自由民主党の選挙対策に類するものではないか、こう言って鋭く追及をいたしたわけであります。私は新任の法務大臣として、そのような世間に誤解を与えるようなことをおっしゃるまいと思いますが、大臣になられてから、いわゆる森脇、吹原事件について、いまどういうようなお考えで督励をしていらっしゃるか。  それに関連いたしまして、実はこの森脇事件が驚くべき脱税事件に発展をいたしまして、いま国税庁でやっておるわけであります。あとでその具体的な点は刑事局長並びに国税庁にお尋ねするのですが、私の承知したところによりますと、三年だけやっておる。なぜ脱税事犯に関連する五年までさかのぼらぬか、こういうことが私のあとで聞きたい点でありますが、庶民としては、おそらくこれはとれないだろう。いやとれないのではなくて、ようとらないのであろう。中小企業やあるいはその他零細企業についての非常な追及がありながら、森脇のようなべらぼうもない、数十億、概算いたしますと国税、地方税を含めますと百億に達するといわれる脱税事犯について、ようとらない、それだけの度胸がないだろう。あらゆる法網をくぐっておる脱税でありますから、形式論、法理論からはあるいは問題があるかもしれないけれども、結局それだけの勇気がないであろう、こう庶民は言っておるわけであります。こういうようなことは、あとで具体的にお伺いをすることでありますけれども、検察当局と国税庁との連絡なり、関係なりは、一体どういうことになっているだろうか。なぜ一体五年まで脱税がとれるのに、三年しか訴追をしないのであろうか。話によりますと、刑事訴訟法の二百五十条によって、四年、五年になると、裁判になると負ける、公訴ができない、だからとても四年、五年は自信が持てないから三年にとどめる。脱税の問題は五年までできるのでありますけれども、国税庁もみすみすやらない、刑事訴訟法もそれを結局空文化している、こういうような法理論があるようであります。この事実についてはあとでお伺いをするわけでありますが、結局大山鳴動してネズミ一匹で、私どもに言わせれば、政治家に関係あるらしいんだけれども、そいつは指揮権発動で政治家はポイしちゃった。それで、脱税はこんなにあるといいながら、結局はようとらない、最後には、森脇、吹原に問題をしぼっちゃって、問題をあいまいにしてしまうのではないか、こういう庶民の検察陣並びに国税庁当局に対する非常な不信の感がいまあるわけであります。こういう点について、大臣の御意見を伺いたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 前の法務大臣がどういうことを言ったか、そういうこともそのとおりだと思うのでありますが、私は、この事件の途中では、皆さん方の御質問があれば、捜査に差しつかえない範囲において御報告はするという以上にいろいろな問題を発表したくない、そして全貌を明らかにすることが一番大事である、そしてその処分を的確にやるというような方向に検事当局はものを運んでいくというようにいたしたい、こう思っておるのであります。いま中間において、今後どういうふうなことを発言するというようなことを考えておることは、一つも私自身としてはございません。  なお、いまおっしゃった大山鳴動してネズミ一匹というようなことにならぬように気をつけろという問題でございます。いろいろなお差し示しになりました点等につきましは、検事当局も十分考えて行動しておると思いますが、なお、お話しになった点等は伝えまして、刀遺漏なきを期するようにいたしたいと思います。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 志賀義雄君。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 大臣退席される前に、一言だけ伺います。  いま横山委員からの質問の中で、朝鮮民主主義人民共和国との貿易について、いままで政府のほうから、公式には積極的に発言がなかった問題について御発言がありました。ただ、気にかかりますのは、三木通産大臣の発言は、新聞のほうが取り上げたのはどうもおかしいぐらいで、初めからそうだと言われましたが、橋本官房長官が発言して吉田書簡には拘束されない、こういうふうに記者会見で言われたことを、佐藤総理は衆議院の委員会で公式に拘束される、こう言われたことがあります。本日の大臣の発言は、きわめて重要であると思いますが、あとになって佐藤総理または椎名外務大臣のほうから、公然と否定し、あるいはそれとなく否定するようなことがあるのかないのか、その点は十分お打ち合わせがあるのか。その際、今後起こり得べき否定あるいは妨害ということについては、それを積極的に排除しても、きょうの発言を推し進められますかどうか、その点についてだけ、一言お伺いしたいと思います。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 あれは私信でありますから、政府がそれに拘束されないというのは、あれをもう少し具体的に三木君が言うならば、法律的にはと言うておけば、一番間違いなかっただろうということだと思います。そうすれば説明はつくと思うのであります。それから先の動きは、実際中共との貿易をどうするかという問題は、三木通産大臣が通産政策としていろいろ考え、そして大方針として動き出すという問題は、いろいろあるでしょうが、あの問題に関する限りにおいては、法律的には拘束されないということだとおとり願って、あまりそれにこだわらぬようにお願いしたいと思います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 私の言うのは、朝鮮の問題です。朝鮮の問題についてお答え願いたい。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 さっき横山さんのとき、ちょっと私申し上げましたが、北鮮にも貿易問題、プラント輸出の問題が起こってくる。現に起こっております。これは個々のケース・バイ・ケースに考えまして、これはできる話だ。そして、できてしかるべき話だという見当もつきましたら、そのために人が工場を見にくるなり、あるいはそれの関連産業を見にくるなり、この程度の人は来てもよろしいということであれば、その契約のため、あるいは契約に関連して日本に人が来ることも許す。貿易も、そうやってプラント輸出も、延べ払いも、あるいは自然にできるというようなことになり得ると思っております。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 そのときにまたあとで佐藤総理なんかが……。

石井光次郎自由民主党法務大臣

○石井国務大臣 いや、それは御心配ないです。

横山利秋日本社会党

○横山委員 大臣どうぞ……。  先ほどの森脇に関連して、今度は国税庁にお伺いしますが、私が大臣に質問したことを聞いていらっしゃったからおわかりだと思うのですが、森脇の脱税事件について、国税庁は検察陣がこれを摘発する前は何をしておったのか、これが庶民の声です。それから、摘発をして、それじゃおれのほうもやるかということになったけれども、ようとらないだろう、とるだけの力がないだろう、これが庶民の声です。この二つにお答えを願いたい。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 森脇文庫の脱税事件に関連しまして、通常の脱税事件でございますと、御承知のとおり、国税局の査察官が調べまして検察陣に告発をし、それによって検察庁が起訴をしていくという事実上のルールで動いておるわけであります。ところが、森脇文庫につきましては、すでに御承知のような巨額な脱税でありながら、一体それまで査察もやらず、また、税務署の段階におきましても申告をうのみと申しますか、よく調べていなかったじゃないか、どうしたのだということでございまして、その点、私どもも非常に遺憾に思っておるわけでございます。森脇氏につきましては、昭和二十三年ごろでございましたが、すでに一度同じ貸し金業につきまして、脱税容疑で査察を行なっているわけであります。しかも、その税金が、億をこすような税金が、なお十分に完全に徴収されておりません。さような、いわば問題人でありまするので、当然これに対しまして、税務当局としては十分な課税調査、あるいは査察立件ということを行なうべきであったじゃないかという御批判は、まことにごもっともであろうと存ずるのであります。いろいろとその後国税庁におきましても、反省、検討をするために、事実を詳細に調べておりました。そうしますと、いろいろ理由もございますが、数年前におきまして、ほかの刑事事件によって森脇文庫の証拠書類等が検察庁に押収されたというようなことで、帳簿書類等について調べることが不可能であったというような事情も確かにあったようであります。ですけれども、それがいつまでも続いているわけではなくて、かりにその後にいろいろ注意しておれば、ある程度の調査のめどというものも、糸口もつかめたじゃないかということも確かに考えられるのであります。たまたま、きのう国税庁におきましては、この事件を反省をいたしました結果、一体どういうところにこの欠陥があったか、これをどういうような方向で除いていけば将来よろしいかということの現段階における取りまとめをいたしまして、今日の新聞にも若干載っておるようでございます。結局いろいろと見てまいりますと、先ほど横山先生のおっしゃいました、勇気がないとか、度胸が足らないとかいうようなことに、必ずしも結びつかないと申しましょうか、限られた人数で調査いたします場合に、また税務行政は、脱税事件を私どもが査察でやっておりましても、通常十中八、九、九十何%というものはおそらくそうなのでございますけれども、やはり納税者の方の税務行政に対する理解と協力ということの期待の上に立ちまして行政が行なわれている面が多いわけであります。その場合に、本件について見てみますると、この利息収入につきましては、ほかの貸し金業がいろいろとございますけれども、それと比較してみましても、結果的には確かに赤字の申告ということになっておりまするが、利息収入の面から申しますと、資本金四百万円の会社だということは、これは資本金は名目でございまして、実質をあらわすものではないと存じまするけれども、ほかの数千万円の貸し金業としての会社、数億円の資本金の貸し金業者としての会社などの利息収入というものなどから見ますると、森脇文庫につきましては、同業者間の比較検討というところから考えまして、それほど極端に、一見でたらめでとんでもないというようなことに思わなかったろうということにもなっておるのであります。  それからなお、本人のところへ、もちろんほかの家族関係者等の名義による不動産の取得というようなことも資料としてございまするし、いろいろと調査に当たっておったのであります。ですけれども、先ほど申し上げました税務行政におきまして非常に私どもがお願いしたい、また必要不可欠と考えておりますところの協力という面になりますると、全然これは得られておりません。というようなことで、かたがた税務署としましては日常多くの数をかかえまして忙しく仕事に追われるというところから、ついつい税務署では手に負えなくて国税局のほうに連絡をしたものであったというようなことにつきまして、これはやっぱり一つの局署の管理体制の問題といたしまして、今後こういうことがあってはならないという意味で上がってきた問題でございます。  一方、査察のほうにおきまして、これは単に任意の調査では課税標準の調査ができないから、国税反則取締法に基づきますところの強制捜査を行なうというわけにはまいりません。やはり捜索令状をもらいますためには、査察官といたしましては令状をもらえるだけの具体的証拠をそろえまして裁判官の令状が初めて得られるわけでございます。森脇につきましても、法の課税面がさようなことでございまするけれども、決してこれは注意をしていなかったわけではございません。もっとも査察立件をしない段階における査察官の権限というものは、すでに御承知と思いますけれども、間接強制を伴った実地検査権もないわけでございまして、全くの任意の検査権しかございませんが、それにいたしましても、種々の観点から苦心をいたしまして、たとえば預金につきましても、これはもちろんすべて架空名義等でございまするので、はっきりと森脇氏個人ないし森脇文庫の名称によるところの預金はないわけでありますけれども、いろいろな観点からしておそらく森脇文庫なり、少なくとも森脇関係の預金ではなかろうかといったような架空名義も、かなりの額をつかんでおったことは事実であります。ですけれども、先ほど冒頭申しましたように、申告面におきまして利息収入がかなりの額を計上しているのであります。そういたしますると、やはり金を回転しながら貸していくわけでございますから、ある時期におきましては相当の額の預金というものがある。またそれに、それは架空名義を使うかもしれませんが、さようなことの金が、事業資金の回転の途上におきまして、これは単に所得の純然たる蓄積という意味ではなくて、回転途上におきまして預金がある期間ある金融機関に滞留するということもあり得るわけでございます。さようなことからいたしまして、私どものほうが査察のほうで極力把握をして、これは本人のものらしいと推定した金額によりましては直ちにこの査察立件をいたしまして、本人に脱税容疑ありという確証を持って裁判官に令状を請求するというまでの段階に至っておらなかったことは事実でございます。  さようなわけで、いろいろとそれぞれの言い分なり立場もございますが、それぞれの立場におきましては、現在の段階におきましてできるだけの配慮は払っておったつもりでございますけれども、いかんせん、結果におきましてかようなことになりましたことは、私ども非常に反省をいたししまして、申しわけないと思っておる次第でございます。したがいまして、今後におきましては、かようなことのないように、いろいろと時間をかけてじっくりと、それにこだわらず、継続的にあるマークすべきものをマークしていくという態勢をがっちりととりたいと思っておる次第でございます。  なお、本件につきまして先ほど刑事局長からお話がございましたように、本税額のみだけで申しましても約四十億円近い額が課税されておるのであります。これは、検察庁がほかの先ほど申し述べられました詐欺あるいは私文書偽造、同行使あるいは恐喝といったようなこと等の捜査の過程におきまして、脱税容疑も把握されまして、そのころから私どもとの接触につきましては十分に密にしておったつもりでございます。と申しますのは、ただいま御指摘のとおり、せっかく課税をいたしましても、これが実際に徴収にならないことには何にもならぬのでございます。ましてやこの貸し金業という性質からいたしまして、やはり課税額を完全に徴収をするということが、本人に対する打撃という点から申しましても最も大事なことでございます。さようなわけで、私どものほうとしましては、その課税の面におきまして、一歩おくれをとったということは申しわけない、面目ないことでありますけれども、しかし、いずれこうなった間におきましては完全徴収を目ざすことがわれわれに残された大きな使命であるということから、検察庁のほうも全く同じことを考えておられたわけでありまして、非常に密接に連絡をとりまして、起訴の段階で連絡を受けますと同時に、税務署といたしましては直ちに決定を行ない、また国税徴収法によりまして繰り上げ徴収の措置を行ないまして、把握されておる財産につきまして差し押えの手続を即日から始めておるわけでございます。ただ、昭和二十三年の脱税がなお滞納されておるままで完全に徴収されていないということは、繰り返しますけれども、われわれのほうが勇気がないとか努力が足らぬというようなこととも必ずしも面が違うことでございまして、つまりこれは、申しますと純然たる法律面での法律闘争でございます。本件の場合につきましても、いま申しましたように、本人の預金ということで課税しておりまするが、その預金はほとんど架空名義、他人名義になっておるのでございます。また、不動産等につきましても、どうも先ほど申し上げましたように、本人の名義は使っておらぬようであります。さようにいたしますると、これははたして本人のものでないというようなことで、いろいろと法廷闘争的なことが十分考えられるわけでございます。私どものほうといたしましては徴収部の全力をあげまして、とりあえず本人のものであるという信念のもとに、徴収上の差し押えを行なっておりますけれども、これが訴訟の段階におきましていかようになりまするか、こういった純然たる法律上の闘争の問題として予見される次第でございます。しかし、いずれにいたしましても、課税の面におきまして、本人のものという前提のもとに起訴もされ、課税も行なっておりまするから、私どもはあくまでも実質が本人のものであるという前提のもとに、あらゆる努力を傾けまして、完全徴収のための最大の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 志場さんの苦衷というのは、わからぬわけではないのです。私も大蔵委員をやっておりまして、あなたのいろいろ説明されたことがわからぬではない。わからぬではないけれども、国民的な説得力というものは、私は残念ながらそれではないと思うのです。だからといって、本税だけで四十億、県・市民税、利息、重加算等、全部含めたら百億になんなんとする金が、押えに押えたけれども取れぬかもしれぬということでは、国税庁の威信といいますか、納税者に対する今後の説得といいますか、これはきわめて納税意欲を失わせた問題であると思うのです。きょう私は、あなたのお話の国税庁の対策をずっと拝見をいたしました。そしてつくづく思い出すのでありますが、かつて私が大蔵委員会で、大企業なり大きな組織の脱税を、断固として追求せよと数年前に言ったときに、原長官の答えたことはこういうことだったのです。いまでも記憶に残っておるわけでありますが、大きな会社やそういうところは、ちゃんと内部監査も行き届いて、そんなは悪いことはやろうと思ってもやれるはずがない。それに比べて中小企業は、同族会社であるから、ちょっと見ただけで、もう帳面上の誤りは幾つもある。だから、査察が中小企業重点ではないかという御批判が、結果としてそうなるかもしれないけれども、大企業にはあまりそういう余地がないのですよ、そういうお答えであった。ところが、いま山陽特殊鋼をはじめ、大会社の粉飾決算は、もう世間周知の事実となってきた。単に親会社だけではわからぬ。子会社も総合的な目で見なければ、粉飾決算もわからぬ。ますます国民の目というものをばかにしておる。不公平きわまるものだ。特に調査査察部は何をしているんだ、こういうことになってきた。そしていま森脇の問題が出て、反省の中にも一、二問題は摘出されておりますけれども、何か前向きの姿勢をとったものの、さて一体これがどうなるだろうか。あなたのお話のように人が足りません。やるだけの人間は集めてみるけれども、人が足りません。それから法律上の問題がありますということでは、結局これらの問題は国民の期待にこたえられないということを、あなたは率直に、いまやることはやるけれども、結果としては十全を期しがたいということを言うているにひとしいと私は思うのです。これでは困るのです。きょうは志場さんに、そういうことを総合的にお答えを願うのは困難だと思いますが、私は大所高所から、そんなべらぼうな話はないという国民の意見だけを申し上げて、少し具体的にお伺いをします。  第一は、この森脇事件によって引き起こされるいろいろな問題点があると思うのです。一つは、先ほど森脇の脱税を三年だというお話だそうでありますが、これはどういうわけでありますか。私の承知するところでは、刑事訴訟法では刑が軽いと、結果としての罰則が軽いと四年、五年は公訴ができないという話がある。森脇は当然そこまで刑事訴訟法がいかないから、脱税容疑として税法、国勢通則で五年までできるけれども、裁判では負けるから三年だけに限定して脱税の摘発をするというお話でありますが、これはそういうことですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 本件で、どの年度までの脱税を摘発するかという問題になると思います。御承知のとおり法人税法の脱税の規定の罰則は、三年以下の懲役ということが——その他罰金がございますが、規定されております。そうしますと、刑事訴訟法によりますと三年の時効にかかるわけであります。したがいまして、この犯罪の既遂の時期ということになりますと、これは申告期ということになる。そういたしますと、理論的に申しますれば、森脇文庫の場合三十七年の三月期、つまり六年の二月一日から七年の三月三十一日までの期についてもまだ時効にかかっていない。それ以前のものは当然時効にかかっている。でありますが、その期の脱税について捜査をいたしました結果、証拠等の関係で脱税が認められないのかどうかという点については、私はいま承知いたしておりませんが、おそらくそういうような何らかの事情によりまして、時効をぎりぎりまでの年度にさかのぼって起訴することができなかったものというようにいま推測しておる次第であります。具体的にどういう理由によったかということについては必ずしも明確でございません。なお、一般的に申しまして、ぎりぎりの年度にさかのぼりましてやります場合には、その脱税の発覚の時期によりまして、いろいろ人によって二年度分やれたり三年度分やれたりするというような問題もあります。いずれにしましても、犯罪は成立して時効にかかっていないのだから、当然やるべきだという議論はあるわけでありますが、脱税全般を考えた場合に、そういうような点で二年度ないし三年度というような、標準をどこにとるかというような問題は、全般的な公平を考えるという意味において一つあろうかと思いますが、そういう点を考慮したのかどうかも明らかではございません。しかしながら、この三年度にわたりまして、これだけの脱税額につきまして起訴をいたしますれば、この法人税法の法定刑の範囲内においては、十分懲戒の目的を達せるだけの刑を盛り得るのではないかということは一面考えられるわけであります。いずれにいたしましても、具体的事件につきまして、どういう理由によりましてもう一年度さかのぼらなかったかということにつきましては、いま明らかではありません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そうすると法人税法、国税通則法では五年まで脱税を訴追できる、けれどもそれは証拠があってやっても、結局裁判になり、刑事訴訟法で公訴ができる期間は三年であるから、裁判になったら国税庁は理論的に負ける、こういうことになるわけですか。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 お答え申し上げます。  その前にちょっと申し上げますが、先ほど徴収の面につきまして全力を尽くしますけれども、いろいろと向こうは名義等が違うということの理由で、法廷闘争に持ち込んでくるであろう。しかし、それにかかわらず私どものほうは、課税面とあわせまして、実態に即した理論を突っ張りまして、完全徴収をすべく最善の努力を尽くします。こう申し上げたのでございまして、決してこれはおそらくとれないであろうということを申し上げているわけではございませんので、念のために申し上げておきたいと思います。  それから、なおただいまの問題でございまするが、これは実は税制調査会でも問題にされたことがあるわけでございます。課税の時効は、通常の場合すなわち隠蔽仮装、いわゆる脱税がない場合は三年の除斥期間により課税を消滅させるわけであります。ところが隠蔽仮装、実質的な脱税がある場合におきましては、過去五年間につきまして課税権を行使できる、こういうことになっております。ところがいま刑事局長が申されましたように、刑事訴訟法の規定によりまして、これは税金のみではございません、あらゆる法律に関連いたしまして法律的にそれぞれの行政法規に盛られている罰則の最高限度が三年以下の懲役刑であるというふうに規定されているその犯罪につきましては、公訴提起時効は三年間であるというこういう制約を受けております。したがいまして、私どものほうにおきましては、いまから刑事訴追されました前の二年分、四年前、五年前につきまして、検察庁のほうからいろいろ資料を見せていただきまして、そうして課税をすべく直税部のほうで準備をし、努力しておる段階でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは明らかに法人税法、国税通則法が空文化している。三年間は証拠があがっておる。三年以前、四年、五年にさかのぼっても脱税の事実があるということは常識である。常識でああるけれども、それをもう訴追できない。訴追できないならば、志場さんの言うように、裁判闘争をやらぬならぬから、これはあきらめざるを得ない、こういう結果になると私は推定する。だから私は、この時効というものは、刑事訴訟法で規定されておることについて何でも異議を言うわけではない。しかし、国内法において明らかにこれは矛盾している。一方では五年までやれといっておいて、五年までやってあったけれども、これは何の意味がない。必ず二年間は裁判で負けるぞ、こういうことを片方では規定しているということは、これは全くおかしなことである。志場さん、いままで査察で五年やった事案というものはあるのですか、ないのですか。裁判に関係したことがあるのですか。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 査察官の査察は、国税犯則取締法に規定されてございますように、犯則の心証を得ました場合には告発をしなければなりません。告発をしまして、検察庁において起訴するということで起訴の前提としての、法律が前提ではございませんが、前段階としての査察でございます。したがいまして、検察庁に告発いたしましても、すでに公訴時効は経過しておりまして公訴できないというものにつきましては、これは査察官の職務のほかというふうに解釈されております。したがいまして、この査察に着手するときには、なお公訴時効の範囲内である三年前であったということでもって査察立件をいたしまするが、調査が長引きまして、そのうちに三年が過ぎてしまう、四年前になってしまうという場合もございますわけです。そのときは告発しますのは三年間のみでございます。じゃ、四年前のところはどうしたか、これは課税上の資料といたしまして、課税部門のほうに査察部門のほうから連絡をし、そして課税部門のほうでは国税通則法の規定によりまして、五年間課税権はございますから、課税は課税として行なうということにしておるわけでございます。なお、査察立件着手するときに、すでに四年前になっておるという年度につきましては、ただいま申しました公訴時効の関係から申しまして、査察官といたしましては積極的にそれを調べる権限について疑問がございますので、調査をしないで、これは直税部のほうの課税上の調査にまつということになっておるわけでございます。  なお、関連して申しますると、税制調査会で数年前にこの三年と五年、つまり刑事訴訟法の規定と税法の罰則との関係につきまして、あるいは除斥期間との関係につきまして問題にされましたそのときに、じゃあ、この刑事罰の懲役刑の最高限度、いま三年以下であるから公訴時効が三年になるのだ。したがいまして、それをたとえば五年以下の懲役というふうに各税法を改めますると、刑事訴訟法の規定によりまして、私の記憶に間違いがなければ、この時効は五年間に伸びるはずでございます。そういうふうな改正を各税法に罰則の強化という意味でつけるか、あるいは刑事訴訟法に対しまして特例を設けまして、税につきましては五年間課税期間が脱税につきましてあるわけだから、刑事訴追も一般の行政事件に対する刑事訴訟法の時効の特例を設けまして、それにかかわらず税金の脱税につきましては五年間の公訴時効にするという規定を設けるべきか、いずれにせよ、いずれかの方法によって合わせたほうが妥当ではないかという議論が行なわれたことはございます。ですけれども、まあ全般の行政につきまして、法律的に刑事訴訟法に規定されているものにつきまして、税についてのみ特例を設けるのはいかがなことかということと、もう一つ懲役刑の三年をそのことのために五年にするということも、先ほど津田刑事局長からお話がございましたが、この処罰の目的あるいは程度からいたしまして、いまにわかにそれだけの必要もないのではないか、引き続き検討しようではないかということで見送られたという経緯があるわけでございます。  なお、アメリカ等の例につきまして、私の承知しているところを申しますると、課税上の時効と公訴時効とはやはり必ずしも合っていないようでございます。アメリカにおきましては、脱税につきましての課税時効は、無期限のように聞いております。何年前でも課税はできることになっておるようであります。しかし、やはり刑事訴追の面におきましては、公訴時効があるのでございまして、その面におきましても、その両者間の乖離がございます。さようなわけで、まあ三年と五年といったような短い乖離ならば埋めてしまって、一本の五年にしたほうがいいではないかということにつきましては、今回の事件を契機といたしまして、また主税局並びに国会のほうで御検討していただければ、国税庁のほうといたしましても幸いであるというふうに感じておる次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 津田さん、別な意見があれば……。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 脱税事件でございますが、何と申しましても、これは脱税犯について刑事罰を科するということになりました場合に、その法定刑をどうするかという問題があると思います。法定刑はいろいろ御議論もございましょうが、現在においては三年以下ということで、必ずしも現在三年の頭打ちという事件があるかと申しますると、頭打ちという事件はほとんど見当たらないというような状況から考えまして、これは法定刑そのものの三年というものについては余裕があるというふうに考えられる。したがいまして、法定刑そのものを動かすことはいかがなものであろうかということになってまいります。そうしますと、今度は公訴の時効と国税徴収、あるいは課税上の時効ということの問題との関係でございますが、これはまあ私どもの立場から申しますれば、事件としてはこの脱税そのものは、刑事事件として進行していくわけでございます。申告額に脱税額をプラスしたものが必ずしも常に課税額として相当かどうかということはいえないわけでございます。これは脱税につきましては、脱税そのものの犯意を要するわけでございます。ところが課税の面につきましては必ずしも犯意というものとは無関係でありますので、刑事上の脱税額と実際の脱税と申しますか、過少申告額との差額というものは、これは違うのがあたりまえなんです。したがって、刑事訴訟でこれだけの脱税額を認めたから、それ以上の課税をすることは違法であるということはいえない。それはあくまでも行政事件として解決すべき問題だと思います。行政訴訟として解決すべき問題だと思います。したがいまして、その時効の点につきましては、それは課税、課税として行なう、また課税に争いがあればこれは行政事件として争われることになるというので、全く別だというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは志場さん、さっきの答弁はないのですが、五年やったという事例はあるのですか。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 それはいま申しましたようにいわゆる脱税といたしまして検察庁に告発する年限は三年と限定がございまするので、その意味での告発は四年前、五年前はございません。ですけれども、いま申しましたように、査察調査の途中で、三年前よりも前になった、あるいは四年前になった、あるいは極端な場合五年前になったという場合もあるわけでございます。その場合につきましては、必ず調査をしてございますから、これは課税部門のほうに引き継ぎまして、課税部門のほうはこれによって決定しております。これは間違いございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 事実をもって話さなければわからぬですか。私の承知するところでは、五年というのはほとんどない。これはいずれあらためて大蔵委員会でやってもいいのですが、理屈はわかりました。理屈は別だということはわかったけれども、結局はそれで三年になると法人税法、国税通則法は空文になる。やむを得ない、こういう欠陥では。それを強く指摘しておきます。  それから、時間がなくて恐縮ですが、ついでですからもう一つ二つ聞きたいのですが、公務員の守秘義務というもの、これが一つの問題だと思うのですが、私は森脇脱税事犯はあらゆる意味ですっきりやっていただきたいという意味なんですが、これは検察陣は国家公務員法によって守秘義務がやはりあるわけですね、漏らしてはならない。それは国税庁に全部知らしてもいいのかどうか。それから国税庁はまたよその官庁、たとえば自治省ないしは公庫関係に出された書類、を聞くか、またよその官庁は国税庁に自分たちの知り得た本人の所得をみんな知らしておるのか、知らしていいのか、公務員法による守秘義務の範囲というものは一体どういうことなのか、津田さんにひとつ聞きたいのです。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 これは非常にむずかしい問題というふうに私どもは考えております。これは具体的の場合、場合でないと一がいに申せないわけでございまして、要するに個々の担当の職員が、個人的に他の官庁に漏らすということ、これはできないことは明らかでございます。しかしながら、官庁の組織そのものとして、他の官庁あるいは他の行政の遂行を円滑ならしめるために、ある程度の協力をするということは、これは政府機関相互のやはり一つの有機的な政府としての行政事務を行なう上において必要なことだと思います。したがいまして、その場合にそれでは具体的にどういう程度までの協力ができるか、これは組織としてでございまして、国家公務員個人ではありません。組織としてどういう程度の協力ができるかという問題はしばしば議論になりまして、私どももしばしば議論をいたしましたが、完全に割り切った解決がついていない問題というふうに私ども考えております。  たとえばこれは一例でございますが、生活保護を受けているかどうかという点についてはやはり秘密があるわけであります。それを、それでは課税当局に生活保護を受けておるか、受けておらぬかということを、報告していいかどうかというような問題があるわけです。そういうような問題をかつて議論したことがあるわけでございまして、その場合も行政機関、あるいは政府機関相互の組織的な協力という面と、それからその法律がその守秘義務を認めておる趣旨というものを具体的に考えまして、それを比較考量してどちらかのほうの利益、つまり法益が高いということになれば、それに従うというふうに個別的に考えるほかはあるまいというふうな大体の結論を私どもは持って臨んでおるというわけでございます。でありますから、たとえばいまの東京地検で捜査した結果を、国税庁に連絡をするかどうかというような問題につきましても、やはり同じような観点から考えまして、まあ適当であると認められる範囲において行なっておるということが言えるだろうと思うのであります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それじゃ、志場さんのほうに聞きますが、森脇脱税事犯について、必要にして十分な資料の提供を受けておるわけですか。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 これは私、査察部長といたしましては、査察を立件いたしませんで、結局起訴になりましたあとの国税庁内部における担当部門は、課税及び徴収という面における税務署長の立場になるわけでございまするが、私から便宜申し上げますると、ただいま津田局長からお話のようなことで、これはやはり法益全体の立場から考えまして、やはりすみやかに課税上の決定を行ない、また徴収確保のためにすみやかに繰り上げ徴収等、徴収上の許される措置を迅速にとる必要があるという判断のもとに連絡を受けたのでございます。もちろん、税務署といたしましては、そういった課税上の各期ごとの所得計算に必要な事項、あるいは財産の差し押えのために必要なる財産の目録と申しますか、の中身につきまして、この連絡を受けたと承知しております。ただ、いろいろと今後公訴上の問題もございましょうから、差しあたり必要でない部分まで連絡を受けておるとは思いませんが、必要にして十分な連絡は受けておると思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 その次は、これも刑事局長に伺いたいのですが、森脇事件で一番問題の焦点になったのが、架空名義ですね。銀行の架空名義については国税庁が対策の中でも最も力点を置いておる問題です。いま私から説明していいかどうかわかりませんが、国税庁と銀行協会との間に協定があって、預金者保護という立場において、一般の質問検査権が銀行にはすなおにとおらないことになっておりますね。横山商店の架空名義の調査をするという場合においては、税務署長の証明書なり何かを持っていって、質問検査権を行使するということになっているわけです。この預金者の保護というにしきの御旗のために、税の質問検査権の行使が一部不公平になっておるということなんです。私はこの銀行調査をすることについての実際上、運用上の問題を、いま議論をするのは避けますが、法理上そういう税法に許されておる質問検査権を、一部行政上の協定——行政上の協定ではありませんが、相手は銀行協会ですから、そこでチェックするということは一体どういうことと解釈されるか。あえて言いますが、この運用上の問題についてはいろいろ私も議論がありますけれども、この場合、法理上の問題として、質問検査権が一部の国民だけに行使を途中で妨げられておるという点はどうなんですか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 理論的に申しますれば、当該事件、つまり課税事件なら課税事件、租税の賦課に関しまして必要とされる所得税法、あるいは法人税法、その他の税法上の質問検査権の要件に当てはまって、しかもそれを行使することが合理的だと当該職員が判断する場合には、それは当然その範囲は合理的な制限以外には何もないということが言えると思います。したがいまして、その意味においては無制限だということも言い得ると思うのであります。しかしながら、これも先ほどの問題と同じような問題でありまして、国の行政を行なう全般的な関連において、質問権をどの程度の限度において行使するかということにつきましては、やはり一つの政策なり方針なりというものを立てることは、必ずしも法律が禁止しているということは言えないと思うのであります。したがいまして、その全般的な行政を運営する方針といたしまして、預金については、この限度までやるのが通常であるというようなことが、最も現在の行政を運営する上において合理的だと判断されるということのもとに、そういうリミットをつくるということであれば、それを直ちに違法ということは言えないというふうに私は考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 どうも刑事局長の話も志場さんの話も、お二人の話は回りくどくてしようがない、さっきから時間がかかってしようがないのですが、架空名義の預金というものは、利益をそういうところへ隠しておくという前提に立つわけですが、明らかにこれは脱税行為ですね。そう考えてよろしいですか。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 脱税の手段として利用される場合が多いと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そこで私は機会を改めて、これは単に法理論だけでなくて、大所高所からこの一番いまネックになっておる架空名義の問題について、別な角度で伺いたいと思うのですが、いま国税庁がここまで架空名義の問題について問題の焦点にしておられるのでありますが、この点について今後どういうふうになさろうとするのですか。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 架空名義が非常に横行しております一つの根源といたしましては、私どもの現在の考え方でございますが、無記名預金制度がいわば公認されているということと非常につながりがあるような感じがいたします。無記名すら許されるのだから、こういうことがあると思いますので、私どもといたしましては、そもそも有価証券、無記名債券というものとは違いまして、預金等につきましては相手方がわけがわからぬというようなことがないわけでございますので、こういうような無記名預金制度につきましては、ひとつ考え直してもらいたいという気持ちを持っております。  次に、架空名義そのものでございますが、これはたとえばアメリカならアメリカのように、ある程度サインというようなこと、あるいは社会保障法のことで全部全国民に一番から何千万までの番号がふってあるということになりますと、おそらくこういうものの存在はないようでありますけれども、わが国の場合におきましては、預金者の都合等を考えますと、そこはにわかに架空名義であるかどうかを銀行に確認義務を負わせまして、架空のものと知りながら受け入れてはならないというようなところまで罰則の規定をもって強制できるかどうか、この点につきましてもなお検討いたしたいわけでございますが、先ほど申しましたように、いずれにしましても、架空名義というものが往々にして多く脱税の手段として用いられておるということもございますので、何らかこの機会にできる範囲におきまして、その是正方について銀行局ともいろいろと協議の上、改善善処方をはかっていきたいということに考えておるわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これは志場さんにはちょっと無理な質問かもしれませんが、こういうふうに私考えるわけです。それはいまの無記名、架空名義が日本の非常な特殊な要件である。多くの企業、多くの個人がそういうものを持っておる。それは裏預金と称し、一つの脱税の問題の焦点になっておる。それを一挙にいま無記名預金の国家の保護を廃し、それから架空名義を一切なくするためには何か呼び水が要る。ただもうこれから絶対いかぬということで法律で禁止しましても、必ずしもこれは実効をあげない。これは本日の新聞で国税庁が判断しているところだと思う。そうだとすれば、何か呼び水をやる必要がある。私のある知り合いの人でありますが、こういうことを私に言ってきました。業界が全部といっていいほど特調ないしは査察に引っかかっておる、私のところだけじゃない、私のところもそういう問題がないでなはい、したがって、この際もうこの次の申告には全部申告して出したいと思う、しかし申告で出せば三年前にさかのぼって課税され、重加算その他がかかれば、とても自分のところとしては出す気にはなれない。それが悪いことであることはよく承知しているがどうしたものかというので、まあ私も大蔵委員であり法務委員でありますから、まあ重加算だけは自主的に修正申告をすれば何とかなるけれども、あとはどうもむずかしいといって答えました。それを、ある、あなた方の同僚みたいな人にお話ししましたら、こういうことを言いました。そういう真摯な気持ちで自分の修正申告を全部出すというのであるならば、ひとつその人に限って、というような雰囲気でありますが、考えようじゃありませんか。私は、その事、その人個人を頼むつもりにいまなっているのじゃないのです。いまの企業、いまの個人全般について、何かこの際、森脇事件で架空名義やあるいは無記名預金について、天下の声となっておる機会に、ひとつそういうことを政治的に考える必要はないか。そういうやり方をしなければ百年河清を待つようなものだ。いまの銀行協会に対して国税庁がどんなことを言ったって、なかなか応じないと思うのですね。それを、そういうことをしておる預金者たちに、また企業及び個人に、やったほうが得である、こういう脱税なり何なり、いつまでもやっていいものではない。いま表に出して自分の健全経営をしたほうがいいという気持ちにならせるような方法をこの際考えるべきではないか。法理論、税理論から言えば、これはまことにおかしなことだと思われるけれども、この際国税庁がそこまで気負い立ち思い立っておるならば、何かひとつ政治的にもう少し呼び水を考えなければいかぬのじゃないか、こういうふうに私は考えるのでありますがどうでございますか。これは大臣や長官にお尋ねすべき問題かと思いますけれども、お答えがありましたら出してもらいたい。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 先日の衆議院大蔵委員会でも同様な御質問があったというふうに承っておりますが、いまお話しのとおり、問題は政治的と申しましょうか、制度的な問題でございまして、私といたしまして、この席でお答えいたす立場にございませんが、まあ私の個人的な感触だけを申し上げますならば、やはりそういった筋道を正すということにつきましては、どうも王道と申しましょうか、時間はある程度かかるかもしれませんが表道をじっくりと歩いていくよりしようがないのじゃないか、こういう感じでございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 ちょっと関連して。先ほど来聞いておりますと、たいへんこの事件によって徴税方法を反省してみた、そうして、けさの新聞を見ると、特別管理班を設けた、たいへん御勉強になっておるようですが、いまの御答弁を聞いておると、どうも架空名義をされたら方法がないというふうに聞こえる。そういうことではいかぬと思う。やはりこうすればこうなるということは、私はこまかいことのテクニックは聞きたくないが、これはまだできておらぬのですか、それともこれからひとつ考えようということですか、それをひとつ聞いておきたいと思う。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 本日の新聞に載っておりますのは、先ほど申しましたが、国税庁といたしまして森脇事件を契機にして、今後の対策について検討いたしました結果、現段階では国税庁として内部でやれるものはこれだけのことをやりたい。しかしまた銀行局とか主税局とか、制度その他の金融機関に対する問題もございますので、それはそれぞれの部局があるわけでございますので、それに対しては国税庁の希望というものを率直に申し述べ、今後できるだけすみやかにその方向に向かって改善されるように働きかけることにきめたという段階でございます。

鍛冶良作自由民主党

○鍛冶委員 とにかくこの問題が、ここでなかなか困難でございまして、うまくやれませんという結論だとなったら、ますます脱税いたしますから、研究どころじゃなく、これはこうすれば必ずやれるという方針を立てられなければいかぬものだと思うのですが、その点どうでしょう。

志場喜徳郎大蔵事務官(国税庁調査査察部長)

○志場説明員 私どもといたしましては、架空名儀の預金にいたしましても、無記名の預金の問題にいたしましても、きょうの新聞に出ておりますような方向で一日も早く実現したいものという決意でおるわけでございます。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 志賀義雄君。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 選挙局長お急ぎのようでありますから、簡単にまず伺います。  実は私どもは今度の参議院の東京地方区に、日本共産党(日本のこえ)から神山茂夫を立候補させましたところ、日本共産党代々木派のほうではこれを告訴したようであります。アカハタによりますと、選挙局長はこれについて抗議を受けたところ、困った困ったを連発されて、善処されたと約束されたそうでありますが、どういうふうに善処されるおつもりでございますか。

長野士郎自治事務官(選挙局長)

○長野政府委員 日本共産党(日本のこえ)の問題につきまして、参議院選挙の際に、日本共産党の関係の方が見えたことがございます。その際に、いろいろお話がございましたが、日本共産党(日本のこえ)というものについての考え方といいますか、そういう政治団体を認めるべきでないというような意味を持ったお話があったように記憶しております。しかし従来から、現在の政治団体の名称、あるいはその組織等につきましては、公職選挙法、あるいは政治資金規正法におきまして、何がそうだということをそれほどはっきり規定しておるわけではございません。ただ、いままでの取り扱いといたしましては、同一の名称を用いられるような政治団体がある場合、政治活動の上でも、選挙運動の上でも、非常に困難をいたしますが、それにつきまして何々といいますか、そういう区別をいたしまして、それが明らかになるような取り扱いを従来から指示をいたしておるわけでございます。今回の場合は、日本共産党(日本のこえ)ということで届け出があり、選挙公報その他の所属をあらわすものにもそういうようになっているので、日本共産党のいまお話のように代々木派と申しますか、そちらのほうからの話は、非常に選挙妨害だということでお話があったわけであります。私どものほうとしては、そういう取り扱いがあるので、それ以上のことについて善処するというか、何とかしろというお話がございましたけれども、それ自身をどうするという法律上の立場といいますか、行政上の指示権といいますか、そういうものを持っておりませんので、それについては私の記憶では、そこで何か善処すると言ったつもりは実はないのでございます。ただそれ以外に、立ち会い演説会等における秩序維持の問題、いろいろなことで御注文がございました。そういうものもございましたので、私どもとしては秩序維持をはかるべきことは当然でございますので、そういう面でできるだけのことは考えてみなければならないというふうなことは、そのとき答えたかもしれませんが、日本共産党(日本のこえ)がけしからぬから、それを何とかするというふうに善処をするといったふうなことは記憶がないのでございます。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 そうすると、立ち会い演説会ではあなたのところに話にこられた方の申し分を認められたわけですか。

長野士郎自治事務官(選挙局長)

○長野政府委員 いまちょっと立ち会い演説会のことを申し上げましたのは、立ち会い演説会で各党各派所属のいろいろな候補者が演説をされる。時間を限って演説をすることであるから、反対党なりあるいは自分たちと違う考えの方々の聴衆が入っておって、やじなり妨害なりをしてくるおそれが非常にある。したがって、これは一般的な問題でございますが、秩序維持について十分気をつけるようにしておるかどうかというような話でしたので、それは日本共産党(日本のこえ)との関係において特に申したわけではございません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 それはよろしゅうございます。それでは選挙局長はお急ぎのようですから、これでよろしゅうございます。あとは刑事局長に伺います。  先ほど吹原事件について横山委員からも質問がございましたが、いままで出されました起訴状でございますね。これはここでも重要な質疑応答がございましたが、それは公表されたものとして法務委員会にもお示し願えますかどうか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 ただいままでに起訴いたしました関係の公訴事実の要旨につきましては、私のほうで取りまとめたものがございますので、御必要ならば当委員会に提出してもよろしゅうございます。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 そのようにお願いします。  そこで伺いますが、吹原、森脇両名はまだ保釈にもなっていないようであります。また弁護士のほうから保釈の費用及び裁判の費用にといって、ある金額を保管している旨を検察庁のほうにも通じたが、それも結局押えられた、こういうふうなことがあるようでございますが、なお両人がいるのは追起訴があるからでしょうか。その問題があるからなお保釈しないで置いているわけでございましょうか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 ただいままでに、当該両名に関する事件につきまして証拠隠滅のおそれがあるということによって保釈になっていないというふうに私どもは承知しております。  なお、この勾留中に、他の事件についても取り調べを行なっております。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 他の事件というのは、今回やられたのは、例の手形のパクリですね。これで私文書偽造とか、あるいは恐喝未遂とか、いろいろなことが出ておりますが、その範囲でしょうか、それ以外の件でございましょうか。通常国会の終わりに坂本委員が質問されたときに、はなはだ意味深長な御答弁がございました。というのは、例の松屋の事件に関して、そこはまだ調べていないということでございました。そういうことも含めてお調べなんでございましょうか。松屋のことは、松屋の重役の方から毎日新聞に投書がありまして、まだ払ってもらっていないのが多いが、これは吹原氏に対しては請求するつもりだというようなことがあったから、これはうわさではなくて事実でありましょうが、そういう件もお取り調べなんでございましょうか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 先ほど来御説明申し上げましたすでに起訴済みの各事件、並びに現在告訴に基づいて捜査中の事件が四件ございます。その四件につきましては、ただいま捜査進行中であります。なお、これらのすでに起訴済みの事件及び現在捜査中の事件の捜査の間におきまして、前回国会で問題になりました松屋関係の小判でありますか、大判でありますか、そういう貴金属に関する問題これはどうなるかということでありますが、これはこれらの事件の捜査の過程におきまして、吹原をめぐる金銭のすべての出入りについて調査をいたしております。それはもちろんすべての出入りにつきまして、別に犯罪を構成しているわけでも何でもないのであります。犯罪を構成しているものもあるかもしれませんが、それはまだわかりませんが、要するに吹原をめぐる金銭の出入りについては、調査するということを前回申し上げたわけであります。それは引き続いていたしておるわけであります。したがいまして、これらの事件の捜査が全部終了いたしました際には、それらの調査結果も明らかになるというふうに考えております。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 若干の雑誌などによると、いま吹原、森脇に出られては、いろいろまた問題が起こるだろう、そういう意味で入れられているんだろう、こういううわさもございます。そこでまたこういうことも言われております。なるほど高橋法務大臣と渡部検事正が発表なさって、当時うわさされたような政界の人とは関係がない、こういうことでございました。大判なんかも、お調べになれば、案外森脇に行ったのが一番多いかもしれません。そういう点はある程度おつかみになっているだろうと思いますが、何かそのほかお調べの範囲内で、いままで前大臣並びに検事正が否定された以外に、新しく政界の人の名前が出ておりますかどうか。これはどうでしょか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 前回の国会の終わりごろ黒金念書の問題、並びに大和銀行の関係の特別背任及びその以前に告訴しておりますところの三菱銀行長原支店関係の通知預金証書騙取の事件、これに関連して渡部検事正が新聞記者の求めに応じて説明をしたところによりましても、それらの関係においては自民党総裁選挙等に資金の出る余地は全然ない。金額は特別背任等であがっておるけれども、これは森脇、吹原間の金銭貸借の利息等の累積の結果であって、特段に他に流れるような多額の金がその間にあるということは認められないという趣旨であったかと思います。そういう趣旨の答えをしたということでありました。その当時そのことは当委員会で御説明を申し上げたとおりであります。したがいまして、そのときに私が当委員会で御説明申し上げました中に、これはそれらの事件に関連した限りのことを検事正は述べたのであって、それ以外の多くの事件について、今後の捜査の結果どうなるかということは申し上げられないし、またその当時はわかっていないというふうに申し上げたのであります。したがいまして、その後捜査は進展いたしておりまして、起訴すべきものが起訴され、現在捜査中のものが数件残っておるということであります。そのほかに、吹原をめぐる金銭の出入りについての調査というものも、これらの事件の捜査の過程において検察庁はいたしておるわけであります。そこで、それらのすべての捜査が終わりました際、吹原をめぐる金銭の出入り関係が明らかになると思われるのであります。そのときに、その出入り関係と申しましても、日常の生活、その他、日常の交際とか、いろいろなものがたくさんあると思いますが、その中で犯罪に関係のあるものがほかにあれば、また当然それを端緒として捜査が開始されるわけであります。その辺につきましてはまだ結論を得ておりませんので何とも申し上げかねるということであります。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 ただいま多くの事件というはなはだ示唆に富んだおことばがございました。お調べになったのは吹原、森脇に関する手形のパクリですね。これを追及して、あるいはその間に生まれた私文書偽造とか、それから印鑑盗用になりますかどうか、そういうこともあったでしょう。しかし、それに限定してお調べになったので、それ以前あるいはそれ以外のことはお調べになったのかどうか、多くの事件という中にそれが含まれるのかどうか、その点はいかがでしょうか。お調べになっているのでしょうか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 この事件は、御承知のとおり、三菱銀行が吹原を通知預金証書三十億円の詐欺罪によって告訴をしたということが捜査の端緒となって今日に及んでおる。そのほかに、もちろん手形の駒取というものについて、被害者から告訴があったものもございます。そういうものが次々に捜査の端緒として進められておるわけであります。したがいまして、そういう一連の関係がいわゆる吹原事件というものでありますけれども、国会における御審議の過程において、あるいは一般言論その他において、国民の疑惑になっておる吹原をめぐる金銭の出入りについても、その捜査の過程において調査を進めておるということを申し上げた。検察庁といたしましては、およそ世の中のことをすべて調査するというわけにまいりません。これは犯罪としての容疑があるものについて調査を開始するわけであります。したがいまして、いままでの捜査の過程において、犯罪の端緒が得られたもの、たとえば森脇関係の脱税事件なんというものは、当然そこで捜査を開始し、起訴をした、こういうことになっております。したがって、捜査の端緒が得られたものについては逐次捜査を進めてまいるわけでありますけれども、しかしながら、そうでない一般の国民の日常生活の調査をするということは、検察庁の権限外のことであります。そういう意味におきまして、どういう事件があらわれてくるかということにつきましては、その捜査のそれぞれの過程において出てきた端緒からあらわれてくること、あるいはまた他の契機によってあらわれてくること、そういうことから起こる問題なんです。したがって、どういう事件を今後捜査するかということはもちろんわかりませんし、現在どういう端緒をつかんでおるかということについても申し上げられないわけであります。私も現実には承知いたしておりません。そういう点でありますが、少なくとも先ほど申しました関係の現在告訴等がある事件、あるいは検察庁で独自に端緒を握った事件については捜査を進めておる、こういうことであります。先ほど多くの事件と申し上げましたのは、この事件の公訴事実の要旨を申し上げてもこれだけにのぼるわけで、多くの時間を費なければならぬ、そういう意味において私は多くの事件ということを申し上げたのでありまして、ほかに多くの事件があるということを申し上げた趣旨ではございません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 まだ、この事件は起訴状などが出されています。それからまた、いずれ裁判にもなりましょう。そうなりますと、いろいろ新事実が出てまいりますから、それの進展の状況に応じて相当長時間にわたっていろいろと伺わなければならないことも出ると思いますけれども、なお、これはどうも裏金というものはすぐうわさの広がるものだねと私は申しましたところ、野党というものは案外質問が十分にいかないなという意味で、反語的な激励を受けたことがございました。それでいろいろ私どももまだ調べておりまして、いろいろ興味ある事実は今後申し上げたいと思うのでありますが、宇佐美総裁も三菱銀行をやめられて、御承知のとおり退職金——退職慰労金でございますね、その慰労金のことについてもまたいろいろ話があるようでございます。これを辞退なさったとか、はなはだ時局柄いいことかと思うと、それの五、六倍もするような別のものをほしがっておられるとかなんとか、それで三菱銀行の中でもそれが大問題になっているとか、いろいろありますが、こういうことは刑事問題にはならないかもしれませんが、時節柄、こういうことは検察庁のほうでも考慮に入れられておいて、宇佐美さんに、またぞろそういうことをやらせておいて、これはどうだというように法務委員が待っておって、わなにかかった、やつけてやれというんでなくて、あまりそういうことのないようにしたいものと私は思っておるのであります。そういう点も検察庁でも十分御考慮なさったほうがいいんじゃないかと思います。  最後に一問だけ伺います。私は通常国会で広布産業事件のことについて質問いたしました。その後広布産業といっておった社長の佐々木環、まあこの人物についても検察庁はいろいろと刑事上の問題は御存じで、私は全然この人物がどういう人間であるかということも知りませんが、告訴状を取り下げたそうでありますね。事実でありますか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 まだ正式に報告の書面を見ておりませんが、告訴を取り下げたというふうに口頭では承知いたしております。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 その告訴状を取り下げるような場合に、検察庁では告訴状取り下げの事情は聴取なさるのでありますか、告訴状は取り下げますと言ったら、はい、そうですかと言ってその告訴状を返すものでしょうか。どうでしょうか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 告訴状を返すということはもちろんいたしません。これはもう事件になっておるわけですから、取り下げ書を出す、あるいは取り下げの趣旨を調書につくるということになると思います。したがいまして、告訴状そのものを返すということはいたしません。もちろんその際に、どういう事情かということを聴取するのが通常でありますので、当該事件についてもおそらく聞いておるというふうに思います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 せっかくここで問題になったのでありますから、事情聴取されたならば、公表し得る範囲のことはここで公表していただけますかどうか。その点はいかがでしょうか。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 それは調査いたしました上で、差しつかえない範囲においてお答え申し上げたいと思います。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 と申しますのは、私どもの伝え聞くところでは、東洋棉花から二千六百万円だけは佐々木に返したそうです。告訴状によりますと、総計九千七百万円取られたということになっておりますね。それで今度は、じゃその差額はどこに行ったのか、佐々木自身がほんとうのことを言っておるのかどうか、そこにも水かけ論があるようでありますが、東洋棉花自体の中で、九千七百万円と二千六百万円の差額について、背任横領があるのではなかろうかということが問題になっているとか、なっていないとかいうことでありますが、そういう点について背任、横領というようなことまでも何か問題になっておりますか。検察庁のほうに出ておりますかどうか、この点いかがでしょう。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 その点は、おそらく広布産業事件の捜査はそれほど進展はしていなかったのではないかと思うのです。吹原事件等もありましたししますので、したがいまして、どういう内容が取り下げまでに明らかになったかというようなことは、いまのところ私どもは承知いたしておりません。したがいまして背任、横領というようなものが、別にその間にあるのかどうかということについても何もわかりません。

志賀義雄無所属

○志賀(義)委員 実は今度の所信表明でも、佐藤総理は、清潔な政治ということを非常に強調されておりますので、伺っておってあれでいいのか、ああいうことを言ってあとでかぜをひきはしないか心配しておるのです。というのは、吹原事件も関係がありそうだから言うのです。そういう点について一応ここでも取り上げましたから、告訴取り下げの事情その他について、一応われわれの納得のいくように御発表願えればよろしいと思います。委員長、そのようにしていただきたいと思います。きょうはこれくらいにしておきます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 吹原、森脇事件に関連しまして一言お聞きしたいのですが、お聞きするのは、われわれ弁護士として、どうもそうじやないだろうと思うからお聞きするのですが、起訴前であれば弁護人は三人に制限をされております。すでに二人の事件は、数件起訴されておるわけです。起訴になると弁護人三人の制限は解かれておるから、三人以上の弁護人が選任されてもいいんじゃないか。それが何でも吹原、森脇に対する面会を禁止しておった。本人に面会ができないから、弁護人の選任ができないというので、やはり三人に限られておるのじゃないか、こういうことを聞きますから、これは一つの人権の問題とも関連をいたしますから聞いておきたい。

津田實検事(刑事局長)

○津田政府委員 刑事訴訟規則の二十六条によりますと、「裁判所は、特別の事情があるときは、弁護人の数を各被告人について三人までに制限することができる。」こういう規定がございます。したがいまして、三人に制限するということもあり得るわけだと思いますが、当該吹原、森脇関係において、さようなことになっておるかどうかは、私は全然承知いたしておりません。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 その点ひとつ調査してもらいたいことと、もう一つは先ほど志賀委員からも質問があったのですが、まだこの両名に対しては、保釈の許可がないわけです。われわれとして、これに重大な関心を持っておりますのは、起訴状にもありますように、三十億のこの三菱銀行の預金詐欺ですね。いわゆる虚偽の預金証書をつくったというのは、自由民主党の預金——政治献金がたくさんあるから、その政治献金のうちの三十億円を預金するから、預金証書を出してもらいたい。そういうことで、三菱銀行支店は預金証書をつくった。まだ三十億の払い込みがないのに預金証書をつくった。その預金証書を担保にして、大和銀行から十億と二十億の小切手を出したというのが、最初の吹原、森脇の事件になっておると思うわけです。自由民主党の政治献金を預金するということで、まあそれはまくらことばかわかりませんが、しかしわれわれはそれに対して重大な関心を持ったわけです。しこうして、その吹原産業株式会社の株主は黒金君であるし、大平前外務大臣である。黒金氏の秘書が吹原産業株式会社の重役になっておるということで、これは政治的に重要な関係があるのじゃないか。われわれは当法務委員会で問題にいたしましたのは、これは何も自由民主党を追及するのでなくて、政治の明朗化をはからなければならないというのが基礎であったわけです。そうして、それの進展の過程において、高橋法務大臣が政治には関係ない、こういう発表をされるし、さらに渡部検事正が、吹原の問題については政界は関係がない、こういう発言を新聞記者にいたしましたから、なおわれわれは疑惑を深めておるわけです。ちょうど参議院選挙前でありますし、これはもっとはっきりしなければならないということで質問をいたしましたが、捜査の秘密ということで明らかになっていないわけです。そういう関係が一つ。  もう一つは、森脇を当法務委員会に参考人として呼ぶことに決定をいたした。そうしてその日がきまりまして、その前日に森脇が逮捕された。したがって、当法務委員会ではそれが出ていないわけです。したがって、われわれとしましては、保釈で出ましたならば、これは真偽のほどは別にしまして、やはり非常な疑惑があるから、この点は究明しなければならないものであるし、もうすでに起訴をして、二人だけだというので、そのままではわれわれの政治に関連するこの事件としては、このままに雲散霧消して解消するわけにはまいらないと思うのです。そういうような関係もありますから、あるいはまだもう少し、選挙は終わったけれども、ほとぼりのさめるまで面会も行ず、保釈もしないというようなことも、またそれは表面はそうでなくても、裏にはそういうことがいろいろ考えられるわけですから、私がここに関連として御質問をいたしますのは、三人に制限されて、あとは面会も許されてない、弁護人もついていないということを聞きますから、その真偽のほどをお聞きいたしたいのと、その保釈の点なんかについては、私は弁護人でも何でもありませんし、その希望もしておりませんが、一般的に考えると、森脇は相当の高齢であるから、起訴した後において、やはりそう長く捜査の関係上保釈もせずに置いておくということは、人権問題とも関連することであるから、われわれとしてはそういう点も考えて、この委員会で問題になったことであるし、政治の明朗化、参議院選に関係するところのその前後を通じてのこれは重大問題であるから、どうしてもこれは明らかにいたしたい、こういう考えを持っておりますので御質問をしたわけでありますから、本日に限りません、委員会外でも、この弁護の点なんかはすぐわかることと思いますから……。私なんかやはり刑事上の事件に関係しておりませんから、そのうわさを聞いただけでありますから、できたら、ひとつ調査をして知らせてもらいたいと思います。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 ただいまの坂本委員の発言に関連しますけれども、私から一言解明しておかなければならぬ点があると思うのです。  ただいま前回の通常国会中に、当委員会で森協将光を参考人として法務委員会に呼ぶことを決定してあったのにということがあったのですが、これは事実に反することで、確かにあの当時に法務委員会の理事会で森脇将光を参考人に呼ぶべきものかどうかというような話し合いはありましたが、理事会で決定したこともなければ、また法務委員会で正式に決定したものではない。これは事実でございますから、この点を私から解明をいたしておきます。

坂本泰良日本社会党

○坂本委員 私は多少誤解があるかもわかりませんが、経済罰則に関する法律案の審議で、その法案の参考人として呼ぶということで理事会できまりまして、日は忘れましたけれども、何日に呼ぶということがきまって——それはこの委員会を開くか開かぬかの関係で委員会の決定にはなっていないかと思います。私はなっていると思うのですが、日がきまって、実は森脇がここに来る前の日にパクられた、こういう事実を……。

濱田幸雄自由民主党

○濱田委員長 私から、もう一度重ねて申し上げますが、それは坂本委員の記憶違いであろうと私は思います。確かにこの委員会として、理事会でも決定もしていなければ、また法務委員会としての決定も、もちろんまだしていない。その話し合いはいたしたことは理事会ではありますけれども、このことをひとつお含みの上で今後の御質問をしていただきたいと思います。  これは一応よくあとで調べておきます。  次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十八分散会

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