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49回国会衆議院1965/10/04

大蔵委員会 第9号

発言数
69
登壇者
12
会派数
2
開催日
1965/10/04

会議録

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 これより会議を開きます。  税制、関税及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 最初に、関税局長にお伺いをいたします。実は具体的な案件が最近一つございまして、関税のあり方について私もやや問題があると思いますので、本日は少しその問題について触れておきたいと思います。  具体的な案件と申しますのは、ことしの春ソ連のイルクーツクで平和友好のための青年学生の友好祭が行なわれまして、そこへわが国から青年学生の代表者が二百名ばかり参加して平和友好祭の行事が行なわれたわけであります。その行事の際に、ソ連のあっせんをする当局のほうからカラーフィルムの贈与を受けまして、そのカラーフィルムでこちらの団員がその友好祭における日本の団員の状況の撮影をいたしまして、そしてフィルムにして持ち帰った。これを現像いたしまして、その取り扱いをする段になって、輸入としての関税の措置を受ける、こういうことになっておるということであります。現在の関税定率法では、ニュース映画は一メートルにつき十円でありますが、ニュース映画以外は、税法上は五十円ということになっておるようであります。実は、この問題のニュース映画とその他というものは、一体どこが判断をして、どういうものがニュース映画で、どういうものがニュース映画でないのか、ここに第一法律の運用上の問題があろうかと思います。一体大蔵省はどういうふうなところをニュース映画の限界と考えておるのかを承りたいと思います。

佐々木庸一大蔵事務官(関税局長)

○佐々木説明員 御指摘のように、なかなか微妙なところがある問題だと考えておるわけでございますが、映画のフィルムの中で何をニュース映画のフィルムとして扱うかということにつきましては、いままでの取り扱い上、こういうことにしておるわけでございます。時事を取り扱ったものでありまして、政治、経済、文化、スポーツ、その他のことを内容とするものであって、それが速報性、つまり早く知らせることを非常に重んじておるもの、大体申し上げますと、そういう考え方になっておるわけでございます。  現実の通関手続の実際を申し上げたほうがおわかり願えるかと思うのでございますが、はなはだこまかいことから申し上げて恐縮なんでございますが、ニュースリールといいますものの一番多く着くのが羽田でございます。しかも、御承知のように、飛行機で、航空便で夜間着くということになっております。そこで、羽田においてやらせておりますのは、五百フィート未満のものにつきましては夜間も通関しますということになっております。通常深夜の時間に参りますので、取り扱い上いろいろ紛糾が起きますといけませんので、一応夜間通関をしますものは、長さで基準をきめまして、それを越えますものは事前に連絡を願いたいということにしてございます。それから、大体が露光済みではございますけれども未現像なものが入ってまいりまして、その中身が、いわゆるニュースに該当するかどうかということは、現像しなければわからぬという問題があるのでございますが、それをやかましくやっておりますと、急いで事務処理ができないということになりますものですから、実際には写しました人がこの中身は何であるかということを書いた書類を添付してもらうことにしております。それによって中身を判断いたしまして、未現像のものでも通関することにしておるわけでございます。  もう一つ、ニュースという以上は一般に早く知らせられるというものでございますから、個々人の方がニュースフィルムを輸入されるということは、原則としてなかろうということに考えておりまして、実際にそのような輸入をやっておりますところは、新聞社、通信社、テレビ放送をやるところに限られておるわけでございます。ニュースフィルムというものは何かということになりますと、非常にむずかしい抽象規定となるわけでございますけれども、現実の問題としましては、そのようにニュースを放送なり、上映なりされる機関に限りまして税率の適用をやっておるわけでございます。現実問題としまして、それ以外の例は、過去において問題になったのはあるようでございますけれども、最近のところはいま申し上げましたような実際の手続のところで済んでおると見ておるところでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 あれは関税定率法の別表ですね、ですから法律の一部でありますが、ニュース映画とその他に分けた趣旨ですね。ニュース映画は安い、その他は一挙に非常に高い税率になりますね。ニュース映画は十円、その他は定率法の定めるところなら五十円、暫定三十円ですか、法律は五十円ですから一対五の割合になっているわけです。いまの問題で、一対五に関税の差があるということは、かなりニュース映画というものは優遇されている。そういうことになると、やはりその優遇されたものというのはかなりきちんとしてないと、言うならば、五百フィートであると、場合によっては、そういう通信社その他が輸入をする場合には、事実はニュースでなくても五百フィートなら入る可能性があるんでしょうね。一々調べてない。おまけに未現像となれば、未現像のものを輸入するのに、ニュース映画と一体どうやって判断しているのか。それは通関上の事務を促進することとしてはいいと思いますよ。いいと思いますけれども、未現像のものがニュース映画であるかないかというのは、一体どこで判断するのか。向こうでこうですと言ったら、それをまるのみにするというほどに関税定率法というのはゆるやかな法律なんでしょうか。

佐々木庸一大蔵事務官(関税局長)

○佐々木説明員 初めの税率の点から申し上げますと、こういう考えで現在の法律はつくられておるわけでございます。三十年ごろまで従価三〇%という税率を持っておったわけでございます。ところが、従価ということになりますと、そのフィルムをいかに評価するかという非常にめんどうくさい問題が生じます。税関は、普通は物理的なコストと申しますが、物としてのフィルムの代金、そのフィルムを現像する費用というようなものだけに着目していればいいという考え方もあったのでございますけれども、実際の取引といいますものは、上映した場合の収入等も見込みましてきめられておるというかっこうになっておるものでございますから、いろいろガット交渉等で、現在の税率を上げないで維持することができないかというような交渉を三十年ごろ受けたりいたしましたけれども、実務上の要請から、そのころの輸入されました映画のうち、御存じの売り切り買い切り制というものがございます。歩合制のものと売り切り買い切り制のものがございますが、歩合制のものは、税関の扱いとしては不可能なものがございますので、売り切り買い切り制のものの過去の実例を調べまして、それの平均価格に対しまして三〇%をかけたら幾らになるかという計算をいたしたことが記録に載っております。それは一メートル当たり約五十円という価格になって、税金額が約五十円という形になって出てまいりましたので、それをベースにするということにいたしたわけでございます。現実の適用税率はガットでその後譲許をいたしまして、まあ私どものほうで計算しました場合には五十円になるわけでございますが、各国の例等を見まして、三十円に譲許をするという形でガット税率ができております。先生のほうのお話で引き取っていただきました最近の分も、そのガット税率を適用して三十円というようにしたわけでございます。それから、 ニュースフィルムのほうは、そのような計算でやりますと、実は二十円見当に出ておったわけでございますが、それをニュースの公共性といいますか、それからまた、そのようなフィルムは御承知のとおりひんぱんに入ってくるものでございますので、ひんぱんに入ってくるものを、コストの面等を考えまして、公共性ということをそのフィルムには強調しておるわけでありますが、計算のものよりも半分に下げたということにしておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 なるほどいまのお話を聞いてみますと、ニュース映画その他に対する関税の取り扱いは、要するに、大体売り切り買い切り制ということで、上映を目的とし、その映画自体が収益性があるというその本来の、過去の従価のたてまえからするならば価格がかなりあるものというものが前提になっておるわけですね。それの平均値をとって、そうして三〇%をかけて五十円が出たという経緯から見まして、私は今度の問題を取り扱ってみて、いまの税制の問題の中にちょっとそういう点で一つ問題があるのは、確かにニュース映画というのが一つありましょう。ニュース映画とは何ぞやという議論は、なかなかそう簡単にいかない問題だと思う。ニュース映画の場合、一体ニュースとは何ぞやということになりますね。ニュースというのは、それじゃ常に新しくなければならないかというと、できごとが新しくなくても、その問題によってはニュース性のあるものがあるわけですね。だから、ニュースとは何ぞやなんという議論をここでやれば、なかなか時間がかかって、本来の行政の目的をちょっと複雑にするだけになりますから言いませんが、なかなか問題がある。しかし、いま言われるようなニュース映画と、片方には劇映画を主体としたような収益性のあるもの、この谷間にまだ映画というのはあるわけですね。いまちょうど、イルクーツクでそういう実写をとって帰ってきた。それが八ミリなり十六ミリでとったものならば関税の対象にならなかったでしょうが、たまたま向こうでもらったフィルムが三十五ミリだったものですから、それでとったということで、何か劇映画と同じような取り扱いを受けてしまった。しかし、ものは記念品のようなものであって、記念撮影をした、それを八ミリでやらないで、たまたま向こうからただでもらった三十五ミリでやったということのために、本来なら私どもはそんなものは関税がかかるのかな、と常識的には思うようなものが、関税は劇映画並みに取られるということになると、これは、いまの関税定率法が最近の従量税ですね、それに変わってきた経緯から見ても、やや問題があるような感じがするのですね。そうしてみると、私はこの間に入るものというものがもう一つあっていいのではないか。上映を目的とするといいますか、興行を目的とするような映画、その中にはもちろんドキュメンタリーのようなもの、実写のようなものも入るでしょうけれども、しかし実写といえども、興行を主体とするものと、そうではなくて学術用にいろいろなものを写してくる――おそらく学術用の映画であってもこれはひっかかるのでしょう、ニュースでなくても。それは入らないのですか。そこのところをはっきりしてください。

佐々木庸一大蔵事務官(関税局長)

○佐々木説明員 先生御指摘のように、はっきり線を引きませんけれども、中間に入るものはあるわけでございます。そのようなものを、たとえば興行用のものとそうでないものと何で区別するかという御指摘のような問題もあり得るかと思います。私どもの観点から申しますと、興行用でないということでやって興行用に供された場合にどうするかという問題、これは過去の為替管理法上の割り当てをやっていましたときにいろいろ紛争があったわけでございます。そのような紛争を招くのがどうも好ましくないんじゃないかという感じがいたしますので、実際の扱いといたしましては、旅行者が携帯して帰られますフィルムのうちに、身の回り品として認めてもいいというのが、御指摘のように出てくるわけでございます。国際的に見ますと、OECDでありますとか、観光に関します観光旅行のための通関上の便宜供与に閲する条約とかというようなものがございます。それらは小型撮影機及びそのフィルムというようなことで、通関上これらのものに関税を課さなくてもいいではないかというふうな考えを表明いたしておるわけでございます。そのときに、小型撮影機及びフィルム、こういうことを言っております。若干幅を持たせてあるといいますか、あいまいである点がありますけれども、各国ともそのまま使っております中で、インドだけが、小型というのは八ミリ及び十六ミリをいうのだ、こうかたり鮮明にいたしております。私どものほうの税関の実務といたしましても、このような考え方を基準にいたしまして、八ミリで写して帰られましたフィルムにつきましては、身の回り品としておおむね無税通関にいたしております。御指摘の十六ミリの場合、学会や研究会にお出になりまして、その模様、講義内容等を写したものを持って帰られました場合には、便宜身の回り品と同じように関税を課してはおりません。ただし、いずれの場合でも三十五ミリになりますと、一般の個人のところで上映されるフィルムにはまずはならないと見られますので、これは課税せざるを得ないと考えておるところでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いや、私がいま議論しているのは、その学術用でも三十五ミリのフィルムはあり得るんじゃないかということです。そうすると、そういう学術用のフィルムというものが、本来そういう興行用の目的に供せられないものだということはわかっていると思うのですが、その小型であるということは、まあ一般の普通の対象の場合それでいいと思うのですけれども、やはりそういう学術的なものその他ですね、本来の興行の目的でないように写されたものが、いまの興行用の税率と同じような税を取られるということは、ちょっと私は筋道としてはいかがかという感じがするわけです。だから、いまの現状の問題の中で私が今度当面して感じたことは、ニュース映画の問題はまずそれでよろしい。それから興行映画のほうはそれでよろしいのですが、その中間に位するようなもので、質として見ると、実は十六ミリ、八ミリと同じような性格のものであって、たまたま三十五ミリであったら、それはとたんに税金を取られるというのは、税としての考え方からすれば、ややどうかと思われる。税を取る目的からすると、何も大きさの問題じゃないはずです。要するに、これの沿革から見るならば、従価制の当時からそれが収益を上げる土台になっておるのかどうか。そのものの価格に関連をしての沿革からきておりますから、そういう意味では、そういう収益性の対象にならないことが明らかであるものについて何らかの税率上の措置が講じられていいのではないか。だから、今度の問題は、私は一応現行法としてある程度やむを得ないと思っているから、そのことは議論しようとは思わないのですが、今後のあり方として、私は、いまのニュース映画と劇映画――まあ極端に言えば劇映画がほとんどウエートを占めておるが、その中間に、もう少し税率の安いもので、言うなれば、いま十円、三十円というのなら、中をとって二十円でもいいでしょうし、場合によっては十円でもいい、ニュース映画と同じ取り扱いであってもいいけれども、税率の低いもので、要するに、ある特定の人たちの報告のためにとか、そういうことのために用いられるような部分を一つ新たに設けてもいいのではないか。それだけで法律を改正することにはならぬと思いますけれども、今後いろいろな取り扱い上はそういうものがあってもいいのではないか。これは諸外国はいま全部二本立てですか、ニュースとその他というのは。

佐々木庸一大蔵事務官(関税局長)

○佐々木説明員 先ほどの私の答弁が不十分でございましたので補足いたしますが、学校や教育施設が輸入しますもの、それから研究機関がその学術研究のために輸入しますものは、定率法の第十五条にあります特定用途免税で三十五ミリのものも免税になる場合がございます。これはそういう利益を受ける対象は特定されております。  それから、あとのほうの御質問の立て方の問題でございますが、外国は現像したもの、未現像のもの、ネガのもの、ポジのものとか、いろいろ区分けがございまして、非常に複雑になっておりますけれども、いま先生御指摘の、ニュースとその他のもの以外の区別がないかという問題につきましては、これはないのが一般的でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、いま特定免税という問題が一つ出てきたわけですけれども、それはどういうことになっているのでしょうか。いまのような、学術と限れば、広い解釈のしかたではそのジャンルで処理ができたんじゃないでしょうか。そういう特定の免税の措置として、私はそこのところの法律をちょっとつまびらかにしておりませんが、どういうことになっておるんでしょうか、法律の条項は。

佐々木庸一大蔵事務官(関税局長)

○佐々木説明員 定率法第十五条の規定は、こまかく書いてありますが、それを飛ばしますとこういうことになっております。「左の各号に掲げる貨物で輸入され、その輸入の許可の日から二年以内に当該各号に掲げる用途以外の用途に供されないものについては、政令で定めるところにより、その関税を免除する。」こうなっております。第一にあがっておりますのは、「国、公共企業体若しくは地方公共団体が経営する学校、博物館、物品陳列所、研究所、試験所その他これらに類する施設又は国、公共企業体及び地方公共団体以外の者が経営するこれらの施設のうち政令で定めるもの」――いろいろな学術研究用品等の免税の規定のほかに、教育用のフィルムというものが例示されておりまして、「その他これらに類する物品」が免税になるという書き方をしております。したがいまして、国とか公共企業体が経営するもののほかは、政令で指定を受けるという手続によりまして、大蔵大臣の指定を受けるという手続をとらなければならないわけであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 指定を受けるのは、施設が指定を受けるわけですか。

佐々木庸一大蔵事務官(関税局長)

○佐々木説明員 そのとおりでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それだけ学術用というものに特例があるならばあれですが、私はたまたま今度の三十五ミリという点に多少問題があったかと思いますけれども、今後の問題として、その谷間にあるものというものがどうも私はあるような感じがしてならないわけです。これはただ一つの例でありますから、いまの特定の免税の方法を何らかのことによって利用する方法があり得るような――時間が非常に切迫しておったものだからそういう処置にしたわけですが、いまのは、場合によれば、どこかの学校に寄付をして、学校が受け取ってくれればその処理ができるということであったのかもしれない。どうも何かニュース映画というものとその他のものとの間にギャップが現実にはあるような感じがしたので、きょうは少し議論をしたわけであります。私のほうの検討が不十分であった点もあるので、いまの特定の免税ですか、それらの点をもう少しこちらで再検討してみますけれども、先ほど収益性のあるものとないものと――ニュース映画といえども実は収益性があるのですから、興行館でもやっているわけですし、テレビでやったり、いろいろしている面は収益性の対象になっているものもあります。ですから、全然収益の対象にならないものから非常に多額の税率で取るというのは、私はどうも常識論としては納得ができないわけです。この平和友好祭で写してきたものは、興行の対象になるものではなくて、そういう関係者の中で上映をされる範囲にしかすぎないというものが一メートル三十円なら三十円の税を取られておる点――片方は不特定多数ですけれども、いまのは特定者の中でしか見て意味がないものですから、そういうものがこういう税を取られている点については、やや常識論としていかがかという感じがいたしましたのできょうちょっと議論したわけです。一応大蔵省当局においても、今後そういう収益の対象にならないもの、特定のものの中でしか公開されないような性格のものについての税率については、ひとつ検討をしてもらいたいということを要望いたしまして、この件についての質問を終わります。  次に、前回の委員会で、実は池田さんの四十九日でございますかの関係でちょっと時間が短縮をされまして、そのとき残っておりました酒税関係について、本日質問さしていただきたいと思います。  最初に、政務次官にちょっとお伺いをしたいのですけれども、政務次官、いま日本の酒の税金というのは高いと思いますか、安いと思いますか、どうですか。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 私、まだ十分よその国の酒の税率について研究しておりませんので、比較論の話ができないことをまことに遺憾に思いますが、ただ私は、一般論としてやはり酒の場合に、もう少し、特に二級酒、ここら辺を中心に下げる研究をすべきではないか、こういうふうに日ごろ考えております。したがって、いまの御質問に対しては、私個人としては、二級酒中心に、われわれ日本人にとりまして重い感じがする、そういうことでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 政務次官が、そこで個人の感覚のお話だけでは、ちょっと私のほうでは答弁として十分でないわけです。やはり大蔵省を代表して、あなた、きょうは大臣のかわりでございますから、そういう立場から見ても、私は、日本の酒税というのはその他の諸外国と比べても大体重いと思っているのです。その理由は、諸外国の酒税のうちでは、大体ワインとか、日本の清酒程度までのものはあまり酒という感覚で扱っていないんではないか。大体スピリッツに類するものが酒であって、それはかなりな税金を取るところがあるようでありますが、ワイン以下のものというのは、言うなれば、飲みものの範囲で酒税などとあらたまっていうほどの感覚ではないのではないかという感じがいたします。税制二課長がそこにおられますが、フランスのブドウ酒は一体税率幾らですか。アルコールの度合い幾らで、税率幾らか、ちょっとお答えいただきたい。

吉田富士雄大蔵事務官(主税局税制第二課長)

○吉田説明員 これは私どものほうで調べたサンプルでございますが、フランスで、アルコール度数が十二度のブドウ酒で、税率が一キロリットル当たり一度で三百五十二円でございます。参考に日本のブドウ酒の税金は、やはり一キロリットル当たり一度二千円でございますので、日本の大体一八%程度でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまお話のように、フランスのブドウ酒というのは、言うなれば日本の日本酒に該当するものだと思うのですが、それがブドウ酒で換算して一八%というのですけれども、日本のブドウ酒の税率というのはおそらく清酒の税率より安いと思うのです。日本の清酒の二級と比べたらブドウ酒はどのくらいになりますか。

吉田富士雄大蔵事務官(主税局税制第二課長)

○吉田説明員 日本の清酒の二級が一キロリットル当たり十六度で八万五千八百円でございますので、十六で割りますと約五千三百円くらいでございます。そうしますと、先ほど申しましたのはキロリットル当たり一度で三百五十二円でございますので、二十分の一までいきませんが約七%程度でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 フランスとわが国とはいろいろな面で国情その他非常に似ていると思うのです。非常によく似ている国のフランスの国民が主として飲むブドウ酒が、いまのように日本の二級酒の七%くらいしか税金がかかってないということになると、これは政務次官、やはりちょっと高いどころの騒ぎじゃないですね。日本というのは、税制上酒税におんぶしておるという点が非常に高いのじゃないか。実は、わが党はかねてから酒税の減税法案を出しておるのですけれども、さっきのあれでいうと、与党のここへ御列席の皆さんも酒税はおおむねわれわれと同じように、もう少し安くていいのではないかというお感じではないか。政務次官でも個人的にはそうだとおっしゃるくらいだから、一般的にそういうことであろうと思うのですが、しかし、実は減税ということがなかなか行なわれない。私は、この前一ぺんこの減税問題で少し議論したときに、密造酒の問題が東北地方にありまして、そういう密造酒というのは健康によくないから、そういうものを飲まなくてもいいようにするためには、少なくとも二級酒というのはもっと税金を安くして、もう密造酒をつくらなくても二級酒が飲めるようにしたらどうかということについては、当時の田中大蔵大臣が、大いに前向きに検討しようとこの委員で約束したことを覚えておるのですが、実は依然としてこの酒税の減税というのが行なわれないということなんですね。この間はビールの減税問題についてだいぶ主税局長からお話がありましたけれども、私は酒税についてよく冗談に言うのですけれども、ビールなんというのはじょうずにせんを抜かないと、ぱっとふき出ると、要するにビール代のほうはふき出てしまって、残ったのは税金ばかり飲むようになるからじょうずにあけなさいという話をよくするのですが、しかほどさように日本の酒税は高いということであります。私は、今後の問題として、所得税の減税は毎年行なわれておるし、この前泉さんとの約束でも、もうそろそろ間接税は減税をしなければならぬときが近づいてきましたね。三年か四年にはどうしても減税はしなければなりませんというのが、あなたの予算委員会における答弁であったわけですね。幸いあなたはずっとここ主税局長で、私もたいへん都合がいい。局長がかわると、そんなのは知りませんということになる。あなたは自分で言ったのだから、おそらくお忘れはないと思うのですが、あなたのほうでは、間接税の減税問題というのは、国会に答弁したことを正確に税制調査会に伝えているのでしょうか、どうでしょうか。主税局長から、国会におけるあなたのほうの答弁を税制調査会に正確に伝えて、間接税の減税については、国会にはこういう答弁をしております、大体次のめどはいつごろにはやらなければならぬと思います、という説明はしておられるのかどうか、あわせてちょっと主税局長にお伺いしておきたいのです。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 私ども、税制調査会には国会におきまする論議はそれぞれお伝えしてございます。ただ、私がこの前申し上げまして、間接税につきましても、できれば三年か四年に一回見直すようなことを考えたいということを申し上げたのでございますが、その後いろいろ検討してまいりますと、何と申しましても、所得の増加に伴う負担の増加という点からいたしまして、所得税の減税がどうしても中心にならざるを得ない。間接税につきましては、やはり三、四年に一回というのは、だんだんむずかしくなってきまして、それよりも、もう少し長い期間で見直すことにならざるを得ないのではないかというふうに感じております。税制調査会におきましても、昨年末長期答申がございまして、やはりそこでは年数を区切っておりませんけれども、間接税につきましても数年に一回程度見直すということを言っております。その数年が何年かということは、具体的に申しておりませんけれども、ただ、間接税につきましては、少しずつ何回も減税するよりも、できるだけ一回にまとめて、その減税の効果が消費者に影響を及ぼすほどまとめて減税をしたほうがいい、こういうことを言っておりました。そういうことでございますので、まあ、いつ減税を行なえるかということは、まだ正確にめどが立たないというのが、率直に申し上げまして、現状でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、泉さんが三年ないし四年には間接税の減税はしなければならないと言われたときのその理由ですね、それがいまのように数年ということになってきたようですが、それは一体どこに原因があるのですか。その前提となるところが動いたから、あなたも前回の発言について修正をいまされたのだろうと思いますが、それはどこに理由があるでしょうか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 それは、何と申しましても、ここ数年における所得の伸びが非常に大きかったわけでございます。ところが、それに対しまする所得税の控除の引き上げあるいは税率の緩和というのが、率直に申し上げましておくれております。そのために所得税の負担が非常に重税感を伴うようにまでなっておりますので、したがって所得税の減税に最重点をさかざるを得ない、こういうことからいたしますと、間接税のほうはどうしても優先順位が下がらざるを得ない、こういうふうになってまいっておるのでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、所得税を納めておる人と納めていない人があるのですが、いまあなたのほうの調査では、所得税の納税者と所得税を納めていない非納税者との世帯におけるウエートは、本年度どうなっておりますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 本年度の調査はまだできておりませんが、昨年調査いたしましたところでは、所得税の納税世帯が全世帯のうちの五三%になっています。所得税を納めない階層におきまして間接税の負担のあることは、堀委員も御承知のとおりでございまして、したがって、もちろん私どもとしましては、所得税の税負担の軽減だけでなしに、間接税についても考慮は払わなければならないわけでありますが、しかし、先ほど申し上げましたような事情からいたしまして、所得税の負担軽減が何といっても優先順位は先になるわけでありますので、間接税の負担軽減につきましては、いろいろ考慮はしなければならぬとは思っておりますが、優先順位としてどうしてもあとにならざるを得ないというのが実情でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私も所得税の減税をやめろと言っているのではないのですけれども、しかし、いまの国民の中の五三%が納税者、四七%が非納税者であるとするならば、四七%の国民は毎年毎年減税から置き去られて、物価の上昇だけにさらされておるわけですよ。よろしいですか。片方は、まあ税金が払えるだけ所得があるというのはたいへんけっこうなことです。言うなれば、まだ四七%の人に比べれば五三%の人は恵まれているのですよ、まだ税が払えるだけの収入があるのですから。この人たちも物価は上がりますけれども、この人たちに上がる物価の上がり方の負担感と、四七%の残りの納税できない程度の低所得の人にかかる物価の上昇の負担感と、あなたはそれではどっちが重いと思いますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 お話のように、所得税の非納税者でも間接税を払っているわけでございますから、そういった世帯が四七%もありまして、それが物価高の影響を受けるということはお説のとおりでございます。ただ、間接税につきましては、御承知のとおり消費者の選択の余地があるわけでございますので、ものによっては必ずしも選択できない場合もございますけれども、概して消費の選択ができますので、やはり重い負担を避けて、軽いものに選択をすることができる。ところが、所得税の場合におきましては、御承知のとおり、所得の増加が最近給与所得者の増加が一〇%をこえて給与所得が年々増加いたしておりますが、それだけ増加いたしますと、その税負担は御承知のとおりの累進効果によりまして、一〇%ではなしに、二〇%も、それ以上も増加する、したがって、その負担率が非常にきついことになってまいります。そういったことから所得税に重点を置いた減税を近年やっておるわけでございます。間接税の場合におきましても、負担が伴わないということは決して申し上げないのでございますが、やはりある程度の選択はできる余地がありますので、そういった点をある程度がまんしていただく、もちろん、物価が上がることによる影響を税で全部救うことはできませんので、やはりある程度は所得の増加ということによってこれをまかなっていただくよりほかはないものと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私が言いたいのは、要するに、初めごろは三年、それが四年になり、今度は数年になり、間接税というのはともかく主税局は頭にないのじゃないかという感じがしてならないのですよ。そうすると、一体、局長どのくらいを数年というのでしょうね。私は税なんというのは非常にきっちりしたことを扱っておるので、その中で数年なんということは、やや無責任な答申のような感じがするのですが、ちょっとここで今度の税制調査会では、その数年とは何年から何年までのうちというように答申を改めてもらうような指導をお願いしたいわけでありますが、数年とは、あなたは何年と理解しておりますか。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 数年という解釈にはいろいろ問題があろうかと思いますけれども、私どもはまあ数年という以上は、少なくとも一五、六年くらいをこえてはいけないものだと思っております。五、六年がせいぜいだと思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 まるで禅問答みたいになりましたから、そこの部分は一応おきますけれども、しかし、今度の減税の中で、また法人税の減税問題とかいろいろあるのです。特別措置についても、あなた方のほうがこの間やったような配当の分離課税その他の特別措置を計算したら、あのときでも四百五十億円くらいそっちへいってしまっていると思うのですよ。いろいろ計算してみると、私はやはり低所得の四七%の国民にもう少し国が税制上で配慮していいものがあるのだ、こう考えております。いまは持てる階層にばかり上積みをして減税しているのです。所得税の減税はけっこうですけれども、その上に、要するに利子、配当等の租税特別措置をやって上積みをして、そちらの上積みだけはどんどん行なわれて、下積みのほうに対する減税が五年も六年も放置されていいなどということは、私はやはり人間尊重にならないと思うのです。政務次官どうですか。人間尊重というのは、金持ちだけ尊重するのではなくて、やはりそういうふうな意味で国民ひとしく税制上のメリットが均てんをするのが、私は人間尊重の政策だと思うのですが、政務次官、そういう意味で、要するに間接税の減税問題、あなた個人の感覚でなく、ひとつ大蔵省の責任のある立場でどうすればいいのか、お答えいただきたい。

藤井勝志自由民主党大蔵政務次官

○藤井説明員 まだ大蔵省としてこの問題が一つの結論としての線が出ておりませんので、したがって私は、大蔵省を代表した答弁はいまの時点でできかねる、こういう意味であります。  いまの間接税の問題でございますが、おっしゃる趣旨はよく私もわかりますし、同感の点が多々ございます。ただ、先ほど主税局長から答弁しましたように、選択の自由があることと同時に、やはりその課税されている品物自体がどうしても生活上のっぴきならぬものであるかどうか、こういった点からもある程度負担をしてもらうということになっておると思うのでありまして、むしろ、現在国の財政状態を考えて、間接税の中の奢侈品的なもの、こういったものについてはもう少し検討して、そして物品税そのものを全体的に一ぺん検討し直す、そしてバランスのとれた税体系をつくっていく、こういうことの必要性は私は痛感いたしておりますので、この問題については、せっかくの御意見、私はごもっともな点が多々あると思いますので、できれば大幅減税を打ち出している福田財政でございますから、直接税のみならず、間接税も含めて税体系を検討し直す時期ではないか、こういうふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は酒税も間接税に含めておるつもりでおりましたが、どうかひとつそういう意味で、そう三年だ、四年だ、五年だ、六年だということでなく、やはり私は一応検討する段階にきておるのじゃないか、こう思います。特に、御承知のように、国民酒であるところの清酒の二級酒がいまフランスのブドウ酒に比べて七%ということは、逆にいえば約十四倍くらいだということだと思いますから、同じ国民が――酒はさっきも主税局長の言うように選択性がないのですよ。選択性をつけようと思うと密造酒になるのです。ですから、そういうことがないようにするためには、やはり税率を下げるということにならざるを得ないと思いますから、国民の保健上からいっても重要な問題でありますので、政務次官は個人的感覚として私と同感のようでありますから、ひとつ政務次官在職中に全精力を傾けてこの問題の御検討をお願いいたしておきます。  次に、前回清酒の値上がりをいたしましたあとで、いわゆる前替えという状態が横行しましたので、私三月十七日の当委員会でこの前替えの状態についての調査をお願いいたしました。この調査の結果をひとつ御報告いただきたいと思います。聞くところによれば、値上げが行なわれたのは二月でございますが、依然としてまだ続いておるやのようなうわさも聞くわけであります。そこまでくれば前替えでなくして、リベートになったのでありましょうが、値上げ部分がまるまるリベートで出せるような値上げなどは、国民の側として納得がいきませんので、ひとつ前替えについて皆さんのほうで詳しい調査をなすったようでありますから、それの御報告をお願いしたいと思います。

松本茂大蔵事務官(国税庁間税部長)

○松本説明員 本年の二月以降清酒の値上げがいろいろな企業で行なわれました。その状況は、大体二月から始まりまして、四月、五月あたりで大体終了したのではないか、こういうふうに思っております。その結果、その際におきます前替えの状況でございますが、全部の企業について調べるというわけにまいりませんので、全国の卸業者につきまして、全国で百八十五の銘柄につきまして前替えの状況を調べたわけでございます。  その状況によりますと、前替えの期間が全くなかった例というものもございます。しかし中にはかなり長期間にわたっておるものもございます。大体日数で申しますと、ゼロと申しますのが百八十五のうちの三十一、一日から十日の間のものが三十二、十一日から二十日までのものが三十五、二十一日から三十日と申しますのが三十二、一ヵ月、三十一日をこえまして四十日に至るものが二十三、四十一日から五十日までが十、五十一日から六十日にわたっておりますものが八、六十一日以上をこえておりますのが十四、こういう状況になっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大体いまの御報告によると約三分の一近くが一ヵ月以上にわたって行なっておるわけですね。この問題は私はあとで議論をいたしますけれども、前替えということで私が非常にこだわったのは、前にも申しましたように、この間の清酒の値上げは、米の値上がり、原料米の価格が上がったから、それでともかく生産者が主としてやっていけないから値上げをしてくれ、こういうことだと理解をしておったわけですね。ところが、生産者は値上げをしておきながらこれまでどおりの価格で二ヵ月も三ヵ月も売られたのでは、そんなに早く値上げをする必要がなかったわけですね。値上げをしなくてもやれたにもかかわらず値上げをして、それを自分たちの経営の中に入れないで、依然として値引きの形で出したということですから、その点が値上げという問題に結びついて、これは非常に問題がある。今後の問題については、ことしも生産者米価が上がりましたけれども、少なくともことしの春の状況を見れば、現在のリベート等から見ても当分清酒については値上げの必要はない、こう判断をしておるわけですが、ひとつ国税庁長官でも、どなたでもいいが、今後原料米の割り当てをなさる――酒米価格は、この間たしか九月の終わりごろに食糧庁との間に決定をしたと思うのですが、やはり一升当たり幾らかの値上げになると思いますけれども、私は現状では当分の間そういうものは必要ない、こう考えますが、いかがでしょうか。

吉岡英一国税庁長官

○吉岡説明員 お話のように、ことしの初めに行なわれました値上げに際しまして、前替えのやや行き過ぎと申しますか、通常、従来からの慣例でありますと、約一ヵ月程度の前替え期間があるのが慣習だったようですが、国税庁が、値上げと関連いたしまして、なるべく短縮するように指導いたしましたにもかかわらず、なお相当多数の者が前替えを継続いたしまして、そういうものはある意味での過当競争的な動きが見られたのはまことに遺憾なことであったと思います。国税庁のほうでも調べまして、そういうものが著しく明確でありましたものについては、特に関係者を呼んで厳重な注意、戒告をいたした次第であります。御指摘のように、本年度の酒造米につきまして、先ごろ農林省で価格の値上げがきまったわけで、値上げ率にいたしまして八%余りの値上げになるわけでありますが、ことしの初めに原料米の値上がりを理由といたしまして先ごろ値上げが行なわれたわけでありますが、その際の原料米の値上げが約二年間にわたりまして一九%であったわけです。今回は八%ということでありますが、おそらく一升当たりにいたしまして六円程度の原価高になるのではないかという推算をいたしておりますが、原料米の値上げに伴って酒自体の値上げが行なわれるかどうかの問題でございますが、もう十分御承知のように、原料米だけではなしに、人件費の状況、あるいは市況の状況その他いろいろの問題も含めて考えられなければならない問題であります。ただいまのところ、いまの八%、一升当たり六円程度のコストアップをどういうふうに吸収すると申しますか、企業合理化等の努力も続けておるわけでありますから、そういうことでどの程度かかり、あるいは人件費その他の関係がどういうふうになりますか。いま御指摘のように値上げは必要ないんだというふうに断定するわけにもちょっとまいらないと思いますが、ともかく、本年度の値上げの際の一九%というような激しい原料価格の値上げではないことは確かと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、最近の日本の物価情勢でありますと、やがてはまた値上げをしなければならぬ時期も来るかと思います。それはだいぶ先のことでしょうが、そこで、やはり酒類問題をやっておりまして非常に問題になるのは、過当競争の問題ですね。その過当競争が、消費者を相手に過当競争が行なわれておるのなら、これはまた私は角度を変えて議論があると思うのですが、現在の過当競争は、酒でもビールでも、料理飲食店に対してだけ過当競争が行なわれておる、あるいは生産者が流通に対して過当競争を行なっておるだけであって、消費者はその過当競争の恩典にはほとんど浴さないというのが、いまの酒類全体の実情であります。そこで、まず問題になります一つは、清酒は、御承知のように、三千八百でありますか、多数の業者がひしめき合って同じものを生産しておりますから、この中ではいろいろな競争は起こり得るのが当然でありますけれども、少なくともその競争は、よい品質のものをつくるという競争であるのか、大衆消費者に安く売るという競争であるのか、その二つが主要な柱であるべきであって、その他、たとえば小売り店を温泉に招待をするとか、要するに、主として小売り店向けに対して生産業者が各種のリベートを出し、そういう招待をやり、記念品を贈り、いろいろなことをやっておるわけですけれども、これが次第に中小から大手にまで広がりつつあるというのは、私は消費者の立場から見てまことに遺憾な現状だと思うのです。この点について長官はどういうふうに思っておられますか。

吉岡英一国税庁長官

○吉岡説明員 卸、小売りの段階におけるリベートの問題は、ある程度は商習慣と申しますか、そういう意味で普通に行なわれるものがあっても当然だと思うのでありますが、御指摘のように、行き過ぎまして、正常取引と申しますか、流通の正常化を非常に害するような程度になってまいりますと、非常に問題だと考えます。いま状況を見ておりまして、御指摘のように、われわれもやや行き過ぎの感がある感じを持っております業界に対しては、そういう意味で、たびたび警告と申しますか、注意をいたしております。ごく最近の状況でありますが、業界自身も――本来問題は業界自体の問題であるわけで、過当競争をすれば困るのは、第一義的にはまず業界自身でありますが、そういう意味で、業界ももう少し姿勢を正さなくてはいけない、東京、大阪というような大きな市場におきましてそういう業界の動きも見られるようでありますが、私どもとしても、現状はやや行き過ぎであって、それは姿勢を正す必要があるというふうに感じております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、やはり実情を知らないといけないが、あなたもそういう感じだとおっしゃる。私はもちろん調査はする能力もありませんから、いろいろと耳に聞く簡囲でやっているわけであります。そこで、ひとつ私が国税庁にお願いをしたいのは、これは抽出もあまり狭い範囲でなくて、三千の業者があるのなら、せめて十分の一、三百六十くらいになりますか、これをさらに五分の一にするかは別として、もう少し調査対象をふやして、法人決算の側から――要するに、酒類の問題は売り上げ高が非常にはっきりわかっているわけですから、その売り上げ高から換算をして、リベートといわれるものが大体どのくらいあるのか、これは、あるいは形としては広告宣伝費であったり、あるいは交際費であったり、いろいろな形になっておろうかと思いますけれども、ひとつ法人決算の側から、温泉招待その他全部含めて、少し詳しくそういう形のものを出してみたらどうか。それは温泉招待とは言わないが、ここは交際費が幾ら、宣伝費が幾ら、リベートのようなかっこうで幾らと、経費のほうで出てくるものがかなりあると思うのです。そこで、皆さんのほうで当然考えられる広告宣伝費、交際費というものは、その企業における売り上げに応じて平均的なものがあろうかと思うのでありますが、そういう平均的なものを越えてそういう交際費、広告宣伝費、あるいはリベートというかっこうで出ているものはどういう実態になっておるのか。やはり業界に対してものを言うときには、まずそういう実態調査を少し皆さんの側の手で明らかにしていただいてからでなければ説得力がないのではないか、こう私は思います。  もう一つの点は、清酒の流通の段階については、この前もちょっと申し上げたかと思いますが、私は、現在の原料米の割り当ての制度というものはやや複雑に過ぎるのではないかという感じがいたします。これは、私が当委員会に参りまして、泉さんがたしか間税部長のときにこの酒の割り当て問題の論議をいたしましてから、おそらくもう五、六年になろうかと思いますけれども、実はだんだんとこの制度が複雑になる方向です。簡素化されるのならまだしも、ますます複雑になって、業者自体は、その年に一体米が幾ら自分のところに来るのか、計算をしてもなかなかよくわからない、こういうことのようであります。私どももかなり専門的にやってきて自信があるのですけれども、毎年説明を聞かないとわからないほどに実は複雑な方法になりつつあります。私はこの前もちょっと申し上げましたけれども、原料米の割り当ての制度をここらで一ぺん抜本的にひとつ再検討してみる必要はないのか。もっと簡素化をして、一々何々加配何々加配というようなことをやることは一応打ち切って、総体的に、ほんとうに必要のある、要するに販売能力のあるところにそういう米が行くようにするような方法をとるのが、必要以上のリベートその他がなくなる一つの道ではないのか。アローアンスの制度についても、実はアローアンスというのは、私どもはそれなりのことばとして理解しておりますが、いま九八%ぐらいとっておりますし、ことしもこの米の生産については、全般的に不景気だから減産をしてもらいたいという声が強いようでありますが、これはあとで議論しますが、アッパーリミットがきまれば、これに対しては、減産を主張された県も、やはりおそらく九〇%をこえて米はおとりになるので、どうもそこら辺論理の倒錯があると思いますけれども、そういう結果は必ず毎年起きている。そうすると、それはやはりアローアンスの制度自体の中にやはり問題があるからそういう結果が起こるのではないか、こういう感じもいたしますので、私は、その法人決算等に基づいて、総体的なリベートのあり方によって、そういうリベートその他のものをたくさん出しておるところは、米のアローアンスの段階を三段階ぐらいに限って、最初のほうは御遠慮願う、リベートの少ない方はできるだけ三段階全部とれるというような、何か制度上の改善を含めた、原料米の割り当てにリンクをしたところのリベートに対する取り扱いというものを少しここらで抜本的に検討していただいて、原料米割り当て方式の基本を少しさわってみたらどうか、こういう感じがするのでありますが、長官、それについての調査の問題と、そのあとに引き続く原料米割り当てについての抜本的再検討の問題についてお考えを伺いたい。

吉岡英一国税庁長官

○吉岡説明員 お答え申し上げます。  第一の調査の問題でありますが、お話のように、リベートの問題は、現在のような行き過ぎというような状況になってまいりますと非常に大事な問題だと思います。従来、国税庁はサンプル調査という意味で百五十程度のものをとって調査をいたしておったわけでございます。先生御承知のように、リベートはいろいろな名目の経費の支出になっておりまして、リベートの実態を突きとめるにはかなり手数の要る問題かと思います。そういう意味でかなり手間がかかるということがありまして、全国的に約百五十のサンプルで調査をいたしておるわけでありますが、お説のように多少少な過ぎるという感じは、私いたさないこともございません。ただ、いまの手数の問題とあわせまして、御指摘のように、もう少し、倍の三百ぐらいまでふやすかどうかの点につきましては検討さしていただきたいと思います。  第二の酒造米の割り当て方式の問題でありますが、御指摘のように、現在割り当ての方式として、大きく分けて三つぐらいのカテゴリーになるかと思いますが、要するに、過去の実績を基準とした基本割り当てと申しますか、こまかく分けますと、基準指数のもの、均等割りのもの、小醸造家の加配の問題、この三つぐらいが過去の実績を基本とした分け方であります。それから第二に、御指摘のような自主性を反映せしめるために設けた制度ということで、移出数量制と希望加配米があるわけであります。さらに、第三に、最近にきめました近代化合理化を促進するという意味の特別加配の制度があるわけであります。これは税制全体について私そういうことを感ずるのでありますが、非常にいろいろな意味の政策的な要望があり、それにきめこまかいいろいろな措置をとってまいりますと、だんだんものごとが複雑になっていって、現実に扱う執行機関のほうはもてあますような事態が起こりかねないのであります。そういう意味で、制度自体について、御指摘のようになるべく簡単にするほうがいいという点が確かにあると思います。また、御指摘のように、やはりいろいろな政策的な配慮できめこまかにする必要もあろうかと思います。いま御指摘の、リベートのいかんによってまた割り当て方式を変えるということになると、もう一つまた複雑になるということで、政策的な配慮のこまかさと実際の取り扱いの両方をにらみ合わせていかなければならないかと思いますが、ただ、私の聞いておりますところでは、昨年酒造業の近代化計画を立てまして、五年間に一応の計画をつくったわけであります。その際に、割り当て方式があまりぐるぐる変わったのでは計画の立てようがないというようなことで、原則的には、まず五年間、近代化計画が実現するまでは基本的には変えないというような約束になっておるようであります。したがって、去年それをきめまして、ことし直ちに再検討して根本的に変えるということにはまいらないと思いますが、なるべく御趣旨の点なども一考慮いたしまして、改善すべき点は改善してまいりたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 近代化五ヵ年計画に入ったんだから、ぐるぐる変わるのは困るということはありますけれども、私は、近代化を進めるためになお必要なのではないか、少しこれを変えるほうがより必要なのではないかという感じを持っているわけです。ですから、ことばどおり近代化の方向にいっていただくのならいまのようなうしろ向きのいろいろな事態は起きないのであって、すべて前向きになってくれば、とやかく私どもがここで議論しなくてもいいのでありますが、残念ながら、この酒類の業界は、生産者に限らず、製販三層を含めて、どうもなかなか前向きにならないで、ややもするとうしろ向きの問題が多いところでありますので、もちろんそういう約束のあることを全部御破算にするわけにはいかないと思いますけれども、しかし、少なくとも皆さんでひとついまのリベートの問題等を含めて検討していただいて、近代化に役に立つことは積極的に取り入れて簡素化するということに踏み切っていただかないと、紙に書いた近代化では近代化は進まない、特に酒類の場合には進まない、私はこういうふうに感じますので、要望いたしておきます。  いま近代化の問題が出ましたから、ひとつこの近代化資金についてお尋ねをいたしたいのでありますけれども、御承知のように、この近代化資金について、清酒の場合には協業または合同化の条件になっておりますね。中小企業庁見えていますね。これはほかの業種を少しこまかく調べてみますと、いろいろなものがあって、格差があります。くくり方もいろいろだろうと思いますが、無条件のものもあり、いろいろな条件になっております。私は、その清酒の近代化の問題というのは、いまもちょっと申し上げてきておりますように、三千八百もの業者があって、これが三千八百もの銘柄の酒をつくっていたのでは過当競争にならざるを得ない、いろいろな面があろうと思います。ですから、なるたけ近代化が進むことが望ましいけれども、近代化はどういうことかといえば、合同、協業、たいへんけっこうだと私も思うのです。けっこうだと思うのですけれども、片面的には、いま国税庁でも指導しておりますけれども、系列おけ売りの問題、そういう形を通じての近代化というものも片方の側面にはあるわけですししますから、私は、近代化計画に沿って、その規模がそういう協業または合同でなくても、そこに達成されることが明らかなものについては、必ずしもそういう企業合同または協業を前提としなくとも、それが内容的に近代化に役に立つものについては近代化資金を出すように考えていただいたほうがいいのではないのか、こう考えますけれども、大体これはもとは金の問題ですから、皆さんの方だけではなかなか言いにくくて、主計局との関係もあろうかと思いますが、しかし、その金の問題はまたあとで私は主計局と議論してもいいと思うのですけれども、あなた方の問題を通じてでないと主計局との話もできませんから、まず中小企業庁としては、いま置かれているそういう酒類産業の実情から見て、確かに近代化に役に立つということであれば、そうして、その規模が、すでに計画が出されてそれに認められるということであるならば、協業あるいは企業合同以外でも資金を出してやっていいのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

大久保一郎通商産業事務官(中小企業庁計画部助成課長)

○大久保説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、ああいうふうなしぼり方をいたしましたのは、いまおっしゃたとおりでございまして、三百キロリットル以下の企業が八五%もあるというような状況でございますので、どうしても近代化をするためにはこの協業化が必要ではなかろうかということでしぼったわけでございますが、いまおっしゃったようなこともございまして、これは大蔵省とも協議いたしまして、今後検討いたしたい、こういうふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 資金の問題はありますけれども、やはりできるだけ全体を近代化していかないと、なかなか協業とか企業合同だけでは解決のつかない面もあると思いますから、その点はひとつ十分御検討をいただきたいということを強く要望いたしておきます。  その次は、ことしの酒の製成石数の問題でありますけれども、大蔵省告示第二百十七号で「中小企業近代化促進法第四条第一項の規定に基づき、昭和四十年度における清酒製造業の中小企業近代化実施計画を定めたので、同条第二項の規定に基づき、その要旨を次のように告示する。昭和四十年七月七日大蔵大臣福田赳夫、昭和四十年度における清酒製造業の中小企業近代化実施計画要旨、一、生産の目標、昭和四十年度における製成数量の目標は、百七万八千キロリットルとする。」こういうふうに大蔵省告示第二百十七号で告示がされておりますね。この百七万八千キロリットルというのは、石数で換算いたしますと大体何石になるのか、これをおきめになった大体の経緯をちょっと伺いたいと思います。

松本茂大蔵事務官(国税庁間税部長)

○松本説明員 百七万八千キロリットルは市販酒に換算いたしまして、石数で大体七百四十七万石という数字でございます。清酒製造業が指定業種となりまして、三十九年度から近代化計画が始まっておるわけでございますが、基本計画におきまして、最終目標年度であります四十三年度の製成石数を百二十六万六千キロリットル、こういうふうに掲げまして、各年度の目安も同時にその中で示したわけでございます。それによります計画第二年度である昭和四十年度におきます生産の目標がこの百七万八千キロリットルということになっております。ところで、この年次計画を毎年つくっていくわけでありますが、この年次計画は会計年度で考えておりますので、四月に入りますれば、なるべくすみやかにその年度の年次計画をつくって方向を示していくということが必要なわけでございます。その中で生産の目標を掲げることになっておりますので、比較的早い時期にこの目標をその中で示さなくてはならないということになるわけでございます。そこで毎年の現実のつくりをどうするか、その場合のアッパーリミットをどうするかということは、毎年秋になりまして、十月、十一月ころになりましてきめておるわけでございます。それを待っておるわけにもまいりません。そういう事情がございますので、基本計画をつくる場合にきめましたマクロの方法によりまして一応私ども試算してみたわけでございますが、それによりますと、これはマクロの計算のことでございますので、将来の予測につきましていろいろ見方があるわけでございますが、一応私どもがやってみましたところでは、百八万三千キロリットルという数字が出てまいります。これを市販酒石数に換算いたしますと、七百五十万石程度ということになるわけでございます。それで、この新しい数字を採用することも考えたわけでございますが、まだ計画二年度のことでございまして、すでに計画の数字が違ってくるということも、この計画に対する信頼度と申しますか、そういったことでいかがであろうかというふうな感じもいたします。同時にまた、この実施計画で掲げます生産の目標というのは大体の目安でございまして、必ずしもその年の具体的な生産のアッパーリミットというものを示すものではございません。それをまた秋になりましてきめるということでございますので、一つの目安でございます。そういったことで、基本計画に掲げられました第二年度の数字、この百七万八千キロリットルというのをこの年次計画に取り入れましてもそう大きな差異はない、こういうふうに考えまして、この数字を生産目標の中に掲げたわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ただいま、いまの近代化計画に基づいて七月当時、六月ころでありましょうか、検討をなすった結果としては、逆に百八万三千キロリットルという数字が出てきた。この数字はその時点における流通の状態、それから今後における消費の見通し、そういうふうなものを勘案をして計算されて百八万三千キロリットル、こういうものが出たわけでございますね。

松本茂大蔵事務官(国税庁間税部長)

○松本説明員 清酒の基本計画をつくりますときに、過去の実績をもとにいたしまして、将来の消費数量なり移出数量なり生産数量なりをどういうふうに予想していったらいいか、いろいろ専門家の方にも多数お集まりいただきましていろいろ検討いたしたわけでございます。その結果、一つの制度と申しますか、一つのやり方というものが出てきたわけでございます。それによりますと、実質国民所得と清酒の総体価格指数、これを基礎にいたしまして、過去十年間の時系列データを用いまして、一つのマクロの予測方法を採用したわけであります。この実質国民所得と清酒の総体価格指数を使いまして、これに清酒の消費需要画数、これは過去の経験から出てくるわけでございますが、これを当てはめますと、一つの式によりまして消費数量というものが予測されます。この消費数量が出てまいりますと、次に、これに移出函数というものが過去の経験から出てまいりますので、これによりまして一つの数式によってやってまいりますと、移出数量というものが予測できるわけでございます。この移出数量がわかりますと、やはりこれもまた過去の経験値からの函数でございますが、製成函数というものを使いまして製成数量を予測することができる、こういうわけでございます。   〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕 こういう方法によりまして、実質国民所得がどの程度になるであろうか、また清酒の総体価格指数はどういうことになっておるかといったようなことを、当時として考えられるところに従いまして当てはめまして計算したのが、先ほど申しました七百五十万石という数字でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 非常に科学的な方法論を用いて推計された結果が七百五十万石ということであるようであります。私は、やはりこういうものの生産の見通しというものは、過去におけるそういうデータと今後の見通しとが科学的に組み合わされて推計する以外に推計の方法がありませんから、その点ではいまの推計方法は非常に科学的なものだろうと私は思いますし、おそらく今後、これは昨年度からの試みでありましょうけれども、昨年推計をされたことについては、ことしはちょっと昨年の推計時よりは実質国民所得の伸びなどは少し停滞をしておりましょうから、その点であとにおける補正をしてみたらどうなるのかということは、結果としてまた出てくるでありましょうけれども、要するに、そういう点では科学的な数値でありますから、今後いろいろ議論がありましょうけれども、いまそういう科学的数値はやや予定計画を上回っているけれども、その点は予定計画まで下げたということでありましょうから、その点はそういう伸びをやや低目に見積もったということに結果としては相なろうか、こう思います。  そこで、本年度の生産の問題でありますが、私、過般大蔵委員会から調査に参りましたときに、各地で本年度の製成数量は少し控え目にしてもらいたいという要望がかなりございました。私もその点はことし大幅に伸ばしていいなどとは考えておりませんけれども、しかし、御承知のように、酒の生産数量というものは、四季醸造の蔵などもかなりできてまいりましたけれども、一年限りの生産方法が主体をなしておるわけでありますし、近代化の問題というのは、私は、やはりややそういう競争があるといいますか、そういうものがある、それでなければなかなかこういうものの近代化というものはむずかしいのではないか、みんながあぐらをかいてしまったような状態では、現状でいいではないではないかということになりかねないという感まもいたしますので、そういう意味ではある程度のややゆとりのあるといいますか、気持ちとしては少し多目というとどうかと思うけれども、少な目でない程度にはあるべきではないかというふうな感じで私は本年度の生産を見ておるわけでありますが、先ほどちょっと申し上げたように、アッパーリミットがかりにいまの告示の七百四十七万石ということにきまったとしたら、ほんとうは生産を減らしてくれとおっしゃった府県は、手を上げないでおいでになると、自動的に、アッパーが七百四十七万石ですから、七百二十万石にもあるいは七百十五万石にもなり得る可能性があるわけです。ですから、あとはもう業界の自主性におまかせをして、要するに、自分たちは全体としてつくりたくないとおっしゃるところが多いようで、皆さんが手をお上げにならなければアッパーリミットは自然に下がるという仕組みにはなっているようですから、そういう意味で私は、大体この告示をめどとした生産の方法で処理をしていただいたらいかがか、こういう感じを持っているのです。庁のほうでは十月の終わりか十一月の初めになれば、もうそろそろこの問題は最終的な方針をお出しにならなければならない時期だと思うのでありますが、いまどういうお考えでいらっしゃるか、ひとつ国税庁側のお考えを伺っておきたいと思います。

吉岡英一国税庁長官

○吉岡説明員 お話のように、本年度の生産数量の見込みは十月の末か十一月の初めに決定するのが毎年の例のようであります。したがって、そういう目途で私どもも検討をいたしております。御指摘のように、業界の中には現在がやや生産過剰ぎみであるためにリベートの問題その他、先ほど御指摘があったような問題が起こるので、もう少し生産の見込みを下げてほしいという御要望が一部にあることは確かであります。また、逆に一部には、相当の合理化が進むと申しますか、相当生産し、販売し得る見込みがあるところではもう少し上げてほしいという御要望もあります。そういう点を総合勘案いたしましてこれから決定をするわけでありますが、私どもの大体の気持ちとしては、堀委員ただいま御指摘のとおりのような感じをいたしております。要するにアッパーリミットと申しますか、上限の数字でありますから、多少余裕があって、ほんとうに力があってつくれる人はつくれる、つくっても売れる見込みのない人は、その範囲内で自分で自分の数量を決定することでありますから、適当にきめていただく、そこで大体妥当な決定に落ちつくということになるべきだという感じがいたしますが、堀委員から前にも御指摘がありましたように、希望加配米の受け方に問題があって、どうもそこを大きくしておくと、力がなくても希望加配米を受けて生産してしまう、ダブつきぎみになるというような、実際の制度でなしに、運用の問題でいろいろ問題があるようであります。したがって、その辺もよく考えまして、今後御趣旨のようなことも十分検討してまいりたいと考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私の要望の線と非常に近い線で御理解をいただいておりますので、私もその線でひとつ御検討いただきたいと思います。特に、せっかくいろいろ科学的な検討を経てこういう百七万八千キロリットルというものを近代化計画の目標としてお出しになっておるわけでありますし、そういう目標が毎年やはりぐらつくのはよろしくないということもお話の中にありましたけれども、多少の差はやむを得ないと思いますけれども、できるだけこの目標とあまり大差のないかっこうで、ひとつこれはアッパーリミットでありますから、決してそれが生産数量として決定した数量ではないわけでありますから、その点は十分にひとつ御配慮をいただいて、生産についての方針をおきめいただきたい、こんなふうに考えます。  次に、食糧庁入っておられますか。――ここのところ毎年酒米の割り当てが、少しずつではありますがふえておりますから、皆さん方にとりましては、需給上の問題として、過去二年ぐらいでありますか、準内地米をもって一部これに充てるということに結果としては相なっておろうかと思います。この準内地米の取り扱いについては、いろいろと業者の諸君の話を聞いてみますと、どうもやはりにおいがこれについて残って、このにおいは幾ら少量に薄めてみてもにおいだけはなかなかとれないというのが、生産業者の非常に大きな悩みのようであります。これは最近酒造組合の中央会あるいはその他の関係者が海外へ参りましていろいろ調査をしてみますと、現在日本で輸入をしております準内地米よりもさらに酒の生産に対する好適米がアメリカでもその他でもあるかのような報告を実は私聞いておるわけであります。そこで、これはすぐことしの問題ということにはならないと思いますけれども、清酒業界はこれまでは酒米は全部内地米で出してもらいたいという要望でありましたけれども、日本の米の生産の状態なり酒の生産の増加状態なりを考えてみますと、そうなかなか理想どおり日本の米だけで生産をするというわけにはいかないのが現状ではなかろうか、こう考えるわけです。ですから、その点を含めて私は、準内地米の買い取り方法について、これは普通の飯米とはやや違いまして、かなり高い価格で日本の場合も好適米は買い取っておるようなわけでもありますしするので、今後のあり方として、この酒造米の好適米については、一応業者なり酒造組合中央会なり、そういうところで適当なる商社と話をして買い付けをして、その諸君が酒類の好適米をどういう準内地米にするかは別でありますが、ひとつ買い付けて、その品目について食糧庁が輸入の取り扱いをしていただく、そういうふうな形にしたらどうか、そうなれば、当然皆さんのほうは、買い付けておられるものが前よりは高い米を輸入することになると思うのでありますが、食管の輸入の中ではこれはわずかな額でありますから、私は、必ずしも主計局としてその部分まで食管の赤字の穴埋めに安い米でなければならぬということにはならないのではないかという感じもいたしますので、そういう意味で、場合によっては作付から契約をして、そういう酒類好適米の準内地米の輸入というものについてもう少し改善の余地はないのか、こういうふうに私ちょっと感じておるのであります。これは今後の問題としての方向の問題でありますが、食糧庁としての感触をちょっと伺っておきたい。

馬場二葉農林技官(食糧庁業務第一部長)

○馬場説明委員 最近の米の需給で、一両年来内地米の需給が若干引き締まってまいりましたので、主要食糧と同様、酒米のほうも準内地米を若干使っていただいておるわけであります。御指摘のように、昨年使っていただきました加州米等につきまして若干のにおい、ないしは色がつくという御批判をいただいております。その後は若干そういうことを改める意味で加州米から台湾蓬莱米に切りかえたわけでありますけれども、これについてもまだ十分でないという話も聞いておりますので、食糧庁といたしましても、酒米は非常に原料の特性を選ぶ性質でございますので、できるだけ今後輸入の産地なりあるいは品種なりをよく食糧庁と相談いたしまして、御希望に沿うよう、買い付けについては改善の努力をいたしたいと思っておるわけでございます。しかし、この酒米の需給は内地米でするというたてまえで現在考えておりまして、足りなくなって初めて準内地米ということでございましたので、買い付け方法が必ずしも現在研究がまだ進んでいない段階でございまして、ただいま先生からそういう御指摘をいただきまして、一体そういうことが可能かどうか、これはほかの用途との関係、あるいは価格との関係等がございますので、十分慎重に検討さしていただきたいというふうに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 内地の米の需給の問題は私は大体ここらが限界で、これより非常にたくさんとれるというようなことは、もう耕地面積が減りつつある段階でもありますから期待はむずかしいのじゃないかと思う。片や、酒の生産のほうは、近代化五ヵ年計画では五年目が百二十六万六千キロリットルといいますから、いまからまだ二割の余がふえる見通しになっておりますので、どうしてもそこでは少しそういう基本問題を含めて――酒屋さんは内地米がいいと言いますけれども、それだけでは私は解決がつかない問題になるのじゃないか、こういうふうに思いますので、私は農林担当の主計官も呼んで話をしようと思いましたが、入っておりません。これは国税庁のほうでも食糧庁と話をしていただいて、前向きに検討して、せっかくつくるものなら品質のいいものをつくるということにならなければ、ただつくればいいというだけのことではないので、皆さんのほうも、製品の品質の目標を「品質は消費者の嗜好に即応したものとし、」云々と、こういうふうに書かれて近代化を進めようということですが、近代化ということは、ともかくたくさんつくればいいのじゃない、いいものを合理的につくるということにあるはずですから、御検討をひとつお願いしておきたいと思います。  生産の問題はそこまでにいたしまして、次に、酒類の流通の問題でありますけれども、実はこの間小売りの組合のほうで消費者に対する実態調査をなすった報告書を私拝見いたしました。私はこういうふうな実態調査をしていただくことは一歩前進だと思う。何にしても、私どもは実態を知らないでの議論、ある一部分だけの話を聞いた議論では全般を論ずるわけにはいきませんから、その意味で私はこの小売りの実態調査については敬意を表しておきたいと思います。その中で特に目につくことは、小売りの方に対する要望というものの中に、全部の酒類に値札をつけてくれという要望が五十何%か出ていて、これが消費者のそういう小売り業に対する一番大きな要望になっているわけです。実は私は当委員会でこの問題は何回かやってきたわけです。現在清酒は、一級酒で見ますと七百十円から七百十五円というところが全体のウエートの中の七五%であります。六百九十円から六百九十五円というのがウエートで一一%、六百八十円から六百八十五円というのが一〇%、かなり大刻みに見ても、上から下までの間に大体この三つの価格の差がございますね。さらにもっとこまかくずっと各段階に十円刻みでありますけれども、それは地域的な価格になるのでありましょうから、全国的に見ればこの三本くらいが大きな価格の違いではないかと思います。その次に二級酒に参りますと、五百二十円というのが約一四%、五百二十円から二十五円というのが九%、五百十円から五百十五円というのが七八%、これも大体三通りくらいは格づけがされておると思います。しかし、実際に私ども消費者が酒類の小売り店へ行きますと、こういうふうに三段階に分かれておる酒が、どれが三段階に分かれておるのかは一つもわからないわけですね。ですから、店でこのお酒を下さいと言えば、向こうが恣意的に言う価格で買う以外には手がないというのが、いまの日本の一般の酒類小売り店の実情だと思うのです。その意味で、この小売り店の実態調査を拝見しておりますと、非常におもしろい点が出ておりますのは、大体現金で買って持ち帰るという人が八五%内外、もうちょっと上のほうにあるようであります。残りの一五%くらいがツケで買って運んでもらう。それを所得格差で見ると、低所得の側のほうがおおむね現金で買って持ち帰る。高額所得の側は電話か御用聞きに言いつけて運搬してもらう、これはツケ買いになっているわけですね。そうすると、ここの調べでひとつ問題があるのは、現金で買って持って帰る人というのは、小売り店から見れば、要するに人件費としても非常にロスが少ないし、金の回転はいい、これがしかし事実は一番メリットがない。電話をかけて持ってきてもらうものは、このごろはおそば屋でも配達料は十円か五円か取るのですから、配達料を取らないで配達をして、月ぎめで買うわけですから、サイドは長くなるわけですし、場合によっては転居か何かで取れない場合もあるというリスクすらある。そういうのが実は小売の実態調査で出てきておるわけです。これを見てもう一つ感じるのは、逆にその現金買いをする人がいろいろな食料品その他を酒屋で買っているかというと、それは酒屋であまり買わない。酒屋で食料品を買うのは、逆に言うと、いまのツケの連中が買う。ツケの連中はなぜ酒屋で買うか。運ばせてツケで買えるから酒屋で買っている。現金で買っている者は町に買いに出てきているから、ほかの店を歩いてみて、価格表示のある安い物を選択して買う、こういうことになっている。裏返してみると、酒屋が置いている食料品はほかの店のものよりも高いということに結果としてなっている。こういうことが調査の統計の中から見られるわけです。それで私は、そういういろいろなものを勘案してみると、なぜ価格の表示をしてもらいたいかというと、その現金買いをしている八五%の人の中に要求があるわけです。私どもは、この八五%の人の要望にこたえるような流通の指導がなくてはならない、こう考えますので、ここは私は、ひとつ価格について、レッテルを張る、正札を張るといいますか、あらゆる酒類みなそうでありますが、ビールなんかきまっておりますからいいですけれども、特に清酒については、びんに価格をはっきり表示させるという指導を強力にしてもらいたい。この間ちょっと小売りの関係の方にお話を聞いてみましたら、小売のほうはやってもいいのですが、生産者のほうがそういうことを好みませんということですが、私は、生産者が好まないなんということもおかしいのであって、そこにあいまいなリベートが入り込む非常に大きな問題点があるし、前替えのああいうことも起こる原因があると思いますので、この際、生産者がどう言おうと、小売り店における清酒については一びん一びんに必ず値札をつけて、消費者に選択の自由を与えるという指導を強力にやってもらいたいと思うのですが、その点、長官いかがですか。

吉岡英一国税庁長官

○吉岡説明員 小口の現金買いの消費者を保護するといいますか、そういう人たちの利益のために価格を表示させてはどうかという御意見でありますが、私も突然の御質問で実はよく検討をしておりませんので的確なお答えができかねるわけでありますけれども、いまよりも価格が自由でなかったと申しますか、基準価格時代にもそういう習慣、制度がなかったようであります。どういう趣旨でそういうことになっておりますのか、もう少し検討させていただきまして、御趣旨の点はよく含みまして検討させていただきたいと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私はいろいろ酒類の問題で当委員会で論議をいたしておりますが、言うなれば、そういういろいろな流通、生産、すべての段階で消費者不在の産業といいますか、そういうものはあり得ないと思うのです。まず何といっても、消費者に選択の自由があり、そこから適当な競争が生まれる、これがおそらく私は資本主義のメリットの一つだろうと思うのでして、それを各段階で遮断をしているいまの酒類の状態というものは、まことに遺憾だという感じがしてならないわけであります。ですから、たとえばリベートの問題一つをとりましても、私は何も五十円リベートを出したら五十円消費者に渡せなんてこの委員会で言ったことはない。五十円リベートを出しておれば、せめて十五円から二十円、十円でもいいのですが、それをひとつ消費者に渡してもらいたい。そうすれば、いまここで私が申し上げた五百三十円、五百二十円、五百十円という酒類のほかに――リベートはこれはみな大体出ておると思うのです。五百三十円はあまり出てないかもしれませんが、五百二十円、五百十円、ほとんど出ている。二、三十円は常識だろうと思うのです。そうすれば、このほかにまだ五百円の二級酒というもの――いまのウェートの七八%の中にはリベートの中の十円をひとつここで消費者にお渡ししましょうというので、五百円の清酒だって私はあっていいのではないのか。ただ問題は、安かろう悪かろうというのでは、これは困りますから、私はこの前もちょっと酒の会へ行ったのですが、酒造組合中央会等で二級酒なら二級酒の中でひとつ品質の何かをやりまして、それこそ別にほかのやつはつけなくても、いいやつにだけは優か何かつけてやれ、そうすると、値段が安くても、これは二級酒の優だということになれば売れる、それで、そのような品質競争の中で消費の道が開けるという問題にもなるのではなかろうか。まず、二級酒ということになると。十ぱ一からげになってしまって、灘ものの二級酒がいいのだということになろうと思うのですが、地方でも私はいい二級酒もできていると思いますので、そこらは中央会の問題でありますからよろしゅうございますが、何とかひとつそういうリベートの一部が消費者に還元されるようになれば、価格の変化、バラエティーというものはさらに出てくるのではないか。私がここで拝見している資料というのは、これは庁の調査でありますから、リベート抜きの表に出た消費者価格ということでいただいているものの資料でありますが、しかし、この中には三十円、五十円のリベートのついておるものもあるだろうというふうな感じもいたしますので、そういう点を含めて、ひとつ価格表示というものが消費者のための流通の手段として非常に必要な段階にきておるということを申し上げて、特にこの点早急な検討をしていただきたい、小売りのほうもおそらく反対ではないと思いますし、せっかく調査をなすって、一番消費者の要望の大きいものがここへきておるわけですから、これについては善処されるだろうと思いますけれども、ひとつ国税庁の側としても、生産者を含めて、そういうかっこうで協力をするような指導体制を確立をしておいていただきたい、こんなふうに考えるわけであります。  以上、清酒の減税から流通まで、本日は清酒の問題について少しこまかく議論いたしましたけれども、意のあるところは十分ひとつおくみ取りをいただいて、政務次官も酒についていは御熱心なほうだと私は了解いたしておりますので、この際、ぜひそれらを含めて、前向きな御検討をお願いいたしまして、質問を終わります。   〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 佐藤觀次郎君。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 密造酒の問題をこの前私議論したのですが、二級酒の税金を下げれば密造酒がなくなる可能性もあるということも考えられるのですが、中央会の話によると、大体二百億くらいの密造酒が実は推定されるということですが、この取り締まりや方法についてはどんなような方法を考えておられるのか、これは泉さんでも吉岡さんでも、どちらでもいいのですが……。

松本茂大蔵事務官(国税庁間税部長)

○松本説明員 密造酒の状況でございますが、密造につきましては、大別いたしまして、集団的に販売を目的といたしておりますそういった一つのやり方と、それから農村におきまして自家用と申しますか、自分のうちで飲むためにという程度の、それを主眼としてつくっておるという、農村密造と称しておりますが、そういうやり方と、二つございます。かっては、密造は集団、農村ともに非常に多かったわけでございますが、年々いろいろ取り締まりをいたしますると同時に、他面におきまして密造酒を飲まないようにしようというふうな、そういう矯正運動を、いろいろその土地、その土地の有力者あるいは教育関係の人々、そういった人々にもお願いいたしましてやってまいりました。その結果、たとえば集団密造をやっております一つのグループといいますか、そういう区域でありますが、これも三十一年ころは四百二十四全国にあったように推定いたしておるわけでありますが、だんだん減ってまいりまして、昨年、三十九年あたりではこれが二百九十二くらいに減っているのではないか、こういうふうに思っております。  また、密造酒の数量につきましても、三十年ころは、集団密造で四万八千キロリットル、農村密造で十七万五千キロリットル、合計いたしまして二十二万三千キロリットル程度をつくっておったように推定し得るのでありますが、次第に減ってまいりまして、昨三十九年度におきましては、集団密造が一万三千キロリットル、農村密造が十万六千キロリットル、合計いたしまして十一万九千キロリットル程度、こういうふうな程度に推定し得るまでに下がってまいりました。しかしながら、これでもまだ不十分でございますので、今後さらに力を尽くして密造の取り締まりに当たります。と同時に、先ほど申しましたように、密造酒を飲まないようなそういう啓蒙矯正的な運動を展開いたしまして、こういったことを減らしていこう、こういうふうに思っておるわけでございます。  集団密造のほうにつきましては非常に危険を伴うことが多いわけでございますが、一時は非常に危険でございまして、現にそういった人も出ておるわけでございます。最近におきましても依然としてそういう風潮がございまして、たとえば、検挙に参りますと、つくっております納屋の近所に板にくぎをたくさん突き刺してそれを置いておく、知らずに入っていくと、それを踏みつけて足をけがをするとか、あるいは集団的な威力によりましていろいろと妨害を受ける、こういう状況がございます。そういう状況でございまして、税務署におきましても、そのやり方につきましては十分注意いたしますと同時に、警察あるいは検察庁、そういった方面とよく連絡いたしまして、警察官の護衛を受けてやる、その応援を受けて、共同して取り締まりをやる、こういうふうにしております。同時にまた、その実施につきましても、できるだけ機動力を発揮するように、あるいはまた、どこにあるのか探知しやすいような、そういう機械を使いますとか、あるいはお互いの連絡につきまして無線の機器を使うとか、何かそういうふうな方途を講じまして、できるだけ効果的にやるようにつとめておるわけでございます。  農村密造につきましては、東北あるいは四国、そういった方面になお根強く、残っております。こういった点につきましては、あるいは田植えの時期や刈り入れの時期、あるいはまた冬の時期を選んでやっておるわけでございます。特に農村密造につきましては、そういう取り締まりをやりますと同時に、矯正的なそういった団体の活動を活発にいたしまして、そういった方面から矯正をしていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。  最近 そういうふうにいろいろ検挙につとめました結果の状況でございますが、昨年をとってみますと、臨検した場数九万四千九百九十二場、それに対しまして出動いたしましたのは、税務職員が四万一千二百九十八名、警察職員が一万一千二百九十七名、こういう状況でございます。検挙いたしました件数は一万二千二百十八、こういう状況になっております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 何としても密造酒がなくなるようにひとつ徹底的なあれをしていただきたい。  それから、先回国税庁の長官にちょっとお尋ねしたのですが、この前銀行員が納税に協力しないときには相当な告発をする、こういうような新聞記事が出まして、非常に恐慌を来たしておるのですが、その点は、国税庁のほうは、そういう銀行預金の問題、中小の小さい銀行のそういうような立場をお考えになってやって、あるいは通達が出たかどうか知りませんけれども、そういうところの意図はどんなところにあるのか、この際国税庁長官に伺いたいと思います。

吉岡英一国税庁長官

○吉岡説明員 最近起こりました例の森脇脱税事件に関連いたしまして、大口、悪質な脱税者の資産隠匿の一つの方法として、銀行の無記名預金と申しますか、他人名義、架空名義の預金、分散預金というようなことがあったわけであります。そういう意味で、今後銀行になお一そうの御協力をお願いしたいと思っておりますが、前回佐藤委員が申されましたように、私どもといたしまして、小さいものまでそういうことをしようという気は毛頭ございません。やはりねらいは大口、悪質なものに限って銀行の御協力を得たいと考えておるわけであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 これは非常にデリケートな問題がありまして、この間朝日の記事にございましたが、この記事のために銀行員が相当告発されるというような立場になれば、これはたいへんなことになるということで、預金が相当減るのではないかというようなことが心配されておるわけです。吉岡さん、前に国税庁の関係でない役をやっておられた関係で、そういうような問題をどのように受け取っておられるのか。これはあとで佐竹さんに伺うつもりでありますが、ただ、徴税の立場だけならいいが、そういう点についてどういう反響があるかということをお考えになってやっていられるのかどうか、この点も伺っておきたいと思います。

吉岡英一国税庁長官

○吉岡説明員 御指摘のように、私国税庁に参ります前にはほかの仕事をいたしておりまして、資本蓄積と申しますか、そういう意味の仕事をやっておったわけであります。したがって、佐藤委員御心配のような点は十分承知をいたしておるつもりであります。私、国税庁に来てみまして実は驚いたのでありますが、税務職員は銀行の非協力ということに対して非常に不満を持っておりまして、同時に、銀行側に聞いてみますと、銀行側はまた税務職員の調査に対してかなり不信の念を持って見ておるわけです。ILOじゃないのですが、率直に言って、非常に相互不信頼という感じがいたしまして、これはぜひとも直さなくちゃならないと思うのでありまして、やはり両方が、税務調査という公共的目的――片一方は資本蓄積と申しますか、預金増強と申しますか、そういう意味で両方とも公共的な目的を持った機関の両方の接点と申しますか、調和の問題であろうかと思います。したがって、私ども税務だけの立場からいえば、洗いざらい、すべて銀行に御協力を願ったほうが便利ではありますが、それだけでは適当でないと判断をいたしておるわけであります。したがって、こちらも大口の悪質なものに限って御協力をお願いする、銀行もそういうものに限っては現在以上の一そうの御協力を願いたい。とにかく相互が信頼をして、円滑に事務をやっていきたいという考えでおります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 徴税の立場からいえば、これは当然な帰結かもしれませんけれども、その銀行が、預金をしておる相手が不正であるかどうかということはなかなか判断がむずかしいと思うのです。そこで佐竹さんに伺うのでありますが、森脇の事件、吹原はまだ中に入っておりますし、それから、ここで問題になった三菱銀行とか大和銀行の支店長がばく大な金を貸したという問題が残っておっても、どうも弱い者いじめをするような形が出てくると思うのです。こういう点については、一体ああいう大きな問題が起きても――佐竹さんは最近局長になられたのだから、佐竹さんの責任ではないけれども、そういう問題は一体大蔵省ではどういうように処理されるつもりであるか、この点をひとつわれわれに理解ができるように、いまはあなた方は裁判中だから判決を待ってからという話かと思いますけれども、ずいぶん長い間の経過があって今日に至っておるわけで、そういう点はどのようにわれわれが理解していいのか、ひとつ御説明を願いたいと思います。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 ただいま御指摘の吹原産業事件等につきまして、本来非常な社会的信頼を受けていかなければならないそういう銀行が関与いたしておったということにつきましては、私どもまことに遺憾なことだと実は思っておるわけでございます。そこで、当時、事件が発生いたしましたあとで、あれは五月十二日付であったかと思いますけれども、金融機関全体に対しまして、いわゆる社会的な公器としての金融機関の経営のあり方を確立して、堅実な、また適正な業務の運営ということに徹するよう、厳重な内容の通達が、大蔵大臣名、依命通達が発せられたわけでございまして、そうして金融機関に対して強く反省を求めておったわけでございます。そこで、その後におきましても、どうもいろいろ安易な融資態度といったようなことが出てきたり、あるいはお客に対するサービスの面で、いわゆる行き過ぎの出てくるというようなことにつきましては、そういうことが起こらないように、極力内部体制の整備、綱紀の粛正といいますか、そういうことについて引き続いて十分監督上注意をいたしているわけであります。なお、この事件の関係者に対しましては、それぞれの銀行におきまして、やはり銀行内部の内規に従って厳重な処分が行なわれておりまして、綱紀をそこで粛正する、そして再びこのような事件が起こらないようにという措置がとられておるわけでございます。  それで、私どもとしても、今後とも十分行政面あるいは検査の面を通じまして、金融機関があくまで社会的な公器としての使命にもとらないように十分注意をいたしてまいりたい、かように考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 もう一つ森脇事件について。森脇は有名な高利貸しでありますが、こういう森脇氏との関係で、相互銀行、信用金庫でなくて、むしろ大きな都市銀行との関連で相当いろいろな問題が起こったと思うのです。しかも、日本銀行から特別な融資を受ける都市銀行が高利貸しのような森脇氏と問題を起こしたということは、私らはどうも理解ができないのですが、こういう問題についてもどのような処理をされるつもりであるのか、これもひとつ伺っておきたいと思います。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 この点につきましても、実はまことに遺憾なことでございまして、検察庁の捜査が始まりましたあとで初めてそういうものがあるということを私ども発見いたしました。そこで、直ちにその預金状況等も調査をいたしまして、中にいわゆる特利を付しておったものが相当ございました。その点は、実は佐藤先生も御承知のように、三十八年に特利禁止ということで通達が出されまして、当時存在しておりましたところの特利預金を一切報告をとりまして、それを一年以内に全部解消するということでやってまいったのであります。したがって私どもは、表向きの報告によれば、もう特利はそこで一掃されたというふうに承知をいたしておったわけであります。ところが、今回のようなことになりまして、そこで、それぞれの銀行の責任者を呼びまして厳重に注意をいたしますとともに、今後再びこのようなことがないように十分注意をするようにいたしております。と同時に、各銀行はそれぞれ相当の責任者に対して、内規に従ってそれぞれの処分を行ないまして、再びこういうことの起こらぬように措置はいたしております。と同時に、これは単に森脇預金のみならず、そのほかにもそういうものがよもやあるまいなということも、実は念を押しておるわけでございますけれども、極力こういうものは将来根絶されますように、今後とも検査等を通じまして十分努力をいたしてまいりたい、かように考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 そういう問題との関連で、今後国税庁のほうから脱税調査などに協力するよう、あまり好意的に動かぬ銀行員は告発するというようなきついお達しを出されるそうでありますが、結局これはデリケートな問題があって、銀行員のような気の弱い者がそういうことになれば、ますます小さい銀行は預金に困るのではないかというような心配がされておるわけですが、こういう点は、あなたは銀行局長としてどのように受け取られておるのか。そういう点について、いま吉岡君のほうの国税庁の立場と、あなたの銀行のほうの立場も違うようでございますけれども、これは相当な反響があったように聞いておりますが、この点はどのように考えておられますか。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 ただいまの点につきましては、大筋は、先ほど吉岡長官からお答え申し上げました趣旨に私も実は全く同感でございます。これはどうも考えますに、先生も御存じのように、やはり預金の秘密の保持という問題、何と申しましても、自分の財産を人に知られたくないという、いわば人情のしからしめることでございましょうか、人間の本能といいますか、そういうものが私はあると思います。したがって、みだりに他人の財産を第二者に知られるというようなことはすべきではない。預金者の秘密を守るということは、やはり預金増強とかなんとかいう問題以前の、もっと基本的な問題であろうかと思います。ただしかし、これとても、あらゆる権利についてございますように、要するに、公序良俗に反したり、あるいは公共の福祉に反するということをしてまで認められるべき筋合いのものではないんじゃないか。したがって、あくまで基本としての預金者の秘密保持というものは貫くべきであるけれども、明らかに脱税事件の該当であるとかいうことで捜査が行なわれておるといったような場合には、当然やはりその捜査に協力しなければならぬ。そこへきますと、預金者の秘密保持という美名に隠れて、これをただ伏せるというわけにはまいらぬのじゃないかというふうに思います。そこで、要は、そういう預金者の秘密保持の要請と、片やそういう公序良俗の確立といったようなものの要請をどこで調和させるかということに帰するのではなかろうかと思います。実は銀行に対する税務調査におきましては、どこまで税務署が入るかという、一つの境界線をどこへ引くかということをめぐって、多年金融当局と国税当局との間で、いろいろ苦心しながら線をだんだんに引いてきておることは御承知のとおりだと思います。ただ、現在の姿が必ずしも完全なものとはいえないと思います。したがって、むしろ今後はもっと一段とそこのルールというものをはっきりさせまして、そのルールに乗ってお互いに行動する、こういうことでないと、先ほど長官も御指摘になりましたように、見ておりますと、私もどうもやはり非常に相互不信感が強いようでございます。第一線にいけばいくほど非常にその感情的なもつれ、不信感というものがある。これではいけないのでございまして、それにはやはり一つには、だれが見ても一、これは公平、客観的であるというルールを確立しまして、そのルールに乗って行動する、と同時に、やはり当事者双方が相手の立場をよく理解するという、そういう心境に徹することがどうも先決ではないか、そうしないと、いつまでたっても相互不信というものはなくなりません。吉岡長官は、私もお仕えして非常に信頼を申し上げておる方でございます。われわれとしても、いままで多年懸案であったこの問題をぜひこの機会に、ほんとうに適正な、公平なルールを敷いて、今後に災いを残さぬような解決に持っていきたい、こういう気持ちで実はおりまして、極力税務調査に協力する態勢を考える、ただしかし、それが行き過ぎを起こすということになってはいかぬと思います。だから、先生先ほど御指摘のような無用の不安動揺を与えるということが、もともと国税庁長官の御真意でないと私も思っておりますし、それにはやはり公平なルールをつくるということで、現在の事務当局間におきましてそのルールについて打ち合わせを進めておる段階でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 これは非常に矛盾があると思いますが、預金者の秘密保護をなるべく守りたいということになると、結局いまの架空名義の問題、それから現在の架空名義の問題を悪いといたしましても、無記名定期なり無記名預金というものがある、これが問題になると思うのです。ところが、無記名預金、それから無記名定期のような場合に、初めから預金者は無記名でありますから、税務署に知らされぬだろうという欲を持っておる。そういう点で、徹底的にやるのにはそういう架空名義や無記名定期とか無記名預金なんというものを許さなければ、私はある程度までは銀行は協力すると思うのです。この点をどのようにあなたはやっていかれる方針であるか、どういう方法でやったらそういうことが銀行に不満をあらしめないようにできるか。これは銀行ばかりの罪じゃないと思う。そこで、最近コールが下がりまして、相互銀行や信用金庫は非常に困っておるのです。彼らは、日銀からの金利の安い資金が全然ないのです。そこらを考えて、こういうことがどんどん出てくるとますます苦境におちいるような可能性なしとしない。そういう点で、私は弱小の銀行業者というものは非常に不安を持ってくると思いますが、この点についての解決をどのようにされるのか。きょうはだいぶ時間がおくれましたからあまり追及いたしませんけれども、この点についての御解釈をわれわれにわかるように御説明願いたいと思います。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 問題は二つあるわけでございますが、無記名預金というものと架空名義というものを今後どう取り扱うか。無記名預金というものは、御承知のように、いろいろな沿革があって実は今日に至っております。これが脱税に利用されておるのではないかというような見方も一部にございます。しかし、そういうものでない、まじめな、善良な人が無記名預金を使っておるという例が多々あろうかと思います。したがって、一がいに悪いものだときめつけられない。制度として見ますと、いわゆる無記名という形の貯蓄形態というものが一切いけない、こういうことがはたして言えるかどうか、そこは私は非常にむずかしい問題だと思います。つまり、たとえば割引債を買う、これは実は無記名でございます。あるいは国債を買う、これも無記名となりますと、じゃ預金形態の場合だけになぜ無記名がいけないのかといって、開き直られますと、実際問題としては理屈はなかなかむずかしいと思います。  そこで私は、この問題は、要は、先ほどから出ております税務調査というものに対する金融機関の協力体制というものが合理的に行なわれてくるということであれば、そこでおのずから問題は解決さるべき問題であって、それでは、無記名定期を廃止したから脱税がなくなるかというと、必ずしもそういうものではないのではないか。先ほどお話の第二点の、つまり架空名義というものに入ってきますが、無記名がかりに廃止になれば架空名義に移るのではないかという見方もあります。それでは、架空名義を廃止してはどうかという御議論も出ようかと思います。しかし、これは実際に本人であるかどうかということを確認しなければ預金をできないという制度をとらない限り確保できません。そうしますと、米穀通帳とかあるいは住民登録票を持っていかなければ預金ができない、身分証明を持っていかなければお金が預けられないというしかけもはたしていかがであろうかということになりまして、実際問題として、架空名義を何らかの形で禁止するということは、どうも非常にむずかしいのではないかと思います。そうしますと、どうもこれはやはり架空名義なり無記名なりのそういう預金の形が悪いということよりも、むしろ問題はもっと根本にあるのではなかろうかというふうにも思いますので、そこらあたりもいろいろ十分考えて、こういったようなものの制度を今後どうするかということはよほど慎重に扱わなければならぬ、かように思っております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 最後に、私たちは、やはり中小の金融業者が非常に預金の不足で困っておる現在、一方においては大銀行も吹原事件でだいぶ信用を失ったと思うのです。そういう点で、やはり大きな銀行に対しては寛大だと思われるような処置をしないように、銀行局ではやはり悪いことは悪いこととして鉄槌を加えるくらいの英断が必要だと思う。と同時に、末端の弱い相互銀行とか信用金庫とか、これらは信用でやっておるわけですが、そういう弱いものに対してももう少し親心を持ってやらないと、そういうものが信用不安で預金が減ってくると危険性が生まれるのじゃないかというような心配が出てくると思うのです。そういう点について、ひとつぜひ十分な検討を加えて、もう少し明朗だと思われるような形をつくってもらいたいと思いますので、要望いたしまして、私は質問を終わります。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十二分散会

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