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49回国会衆議院1965/09/02

大蔵委員会 第7号

発言数
122
登壇者
13
会派数
3
開催日
1965/09/02

会議録

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 これより会議を開きます。  国の会計、税制、金融、証券取引及び外国為替に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 公債問題について大臣にお伺いします。  この前の大蔵委員会で私は公債発行の問題について大蔵大臣に質問しましたが、そのときもいろいろと話が出ましたけれども、現在のこの深刻な不況に対して、大臣からいろいろ公債発行についての御議論がございました。ところが、この公債は、初めは日銀にやらせるという話でございましたが、これがまた変わって、民間にやらせる。一体どういうようにこれをやるのか。これは大蔵委員会でございますので、新聞記者会見と違いまして、はっきりと明言をしていただきたいのは、一体公債発行についてどのような方法でおやりになるのか、この点をあとでいろいろ変更されぬように、まず大臣から説明していただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 しばしば申し上げているのでありますが、公債発行ということについては、二つの場合に分けて御理解願いたいのであります。当面のこの不況を切り抜けたあとの経済の運営をどうするか、これは安定成長基調で運営する、こういうふうに申し上げておるのでありますが、その際におきまする財政運営の根本方針としては、減税ということを申し上げておるのであります。同時に、公債政策を導入する、こういうことも申し上げておるわけであります。その二つのことが基軸になって財政運営が行なわれる、かように御承知願いたいのであります。なぜそういう考え方をいたしますかということにつきましては、私は予算の使用につきましては、極力冗費を節し、重点的、効率的な実施をいたしてみたい、こういう決意でございますが、しかし、財政の趨勢を考えてみますると、財政膨張の勢いを変えていくということはなかなかできないし、住宅でありますとか、道路でありますとか、上下水道でありますとか、そういう方面の所要というもの、また、社会保障、農村対策、これは財政の任務としていよいよウエートを増してくるであろう、こういうふうに考えるわけであります。  それで、戦後ドッジ以来とられた財政均衡方針によりますると、どうしても今後はそういう財政需要を充足するためには増税をしないと充足ができない、こういうような事態になるように思うのであります。しかし、いま増税が一体できるかということを考えてみますると、今日の国民負担の現状をもってしても、なかなかこれはつらいことであります。ことに企業においては、皆さんも御承知のように、経理内容が非常に悪くなっておる。自己資本比率というものが低下しておるわけでありまして、先進諸国とまさに逆のような比率に転落をいたしておるわけであります。それから、個人につきましても、住宅をはじめその蓄積が非常に弱い。そういうようなことを考え、また日本自体の一人一人の国民所得というものを考えてみますと、これは非常に貧弱な状態でございます。そういうような日本の企業また家庭に対しましては、今日の税制でも非常に重いのではないか、むしろこの際減税を断行して、そうして企業なり国民に蓄積を持たせるという考え方に転換をすべきではないか。戦後ドッジ以来とられた均衡方針というものは、これは私はそれなりに大きな意義があったと思うのです。つまり、戦後日本の復興過程におきましては、やはり政府が中心にならなければならぬ、その政府が借金財政をしておった、こういうのでは国自体の立ち上がりに大きな支障があったと思います。そういう意味から、均衡方針というものは大きな役割りを果たしてきたと思うのでありまするが、今日日本の国力というものは相当充実し、少しくらいな借金をいたしましても国の信用にどうのこうのという問題はない。そういう段階にきたわが日本としては、ただいま申し上げましたような企業、国民の状態を考えまするときには、企業や国民が借金をすべきものを政府がここで肩がわりをするというくらいな意気込みをもって財政運営に当たるべきではあるまいか、そういうふうに考えるわけであります。さような意味から公債政策導入ということを考えるに至ったわけでありまするが、この発行する公債は、これは日銀引き受けというような形はとりません。市中消化ということでこれを運営していきたい、かように申し上げているわけでございます。  ところが、その安定成長経済政策、またその一環としての大幅減税、公債発行という段階に入るその玄関先において、いま不況問題というのに取り組まざるを得ないという状態になっているわけであります。ことしの予算の状況を見ますと、歳入が減ってきておる、また歳出要因もある。そうすると相当多額の歳入不足を生ずる状態になるのであります。それを一体どうするかという問題に当面するわけでございますが、まああらゆる税外収入捕捉の努力はいたします。また、歳出におきましても冗費を節約するというための努力をいたします。しかし、それにいたしましても、それだけの不足財源を充足することができないのであります。その充足する財源は、私は当委員会でも申し上げているとおり、借金していくほかはない、こういうのであります。その借金の方法としてはどういうことが考えられるかというから、これはいわゆる借り入れ金ということも考えられます、また公債をこの際発行するということも考えられる、こういうふうに申し上げておるわけでありますが、その意味における公債というものがあるわけであります。その意味における公債につきましても、当委員会で私は、これは市中消化という努力をいたすつもりである、こう申し上げておるのであります。しかし、それが回り回ってしりが日本銀行に行くということが予想される、しかし、そういう事態がありましても、これは通貨の増発とか、インフレを招くというような事態にはなりません、こういうふうに申し上げておるわけであります。決して考え方を変えておるというようなことではありませんことを御了承願いたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 福田さんは今度大蔵大臣になられたのですが、いままで公債発行なんということは、内閣の禁句になっておったと思うのです。ところが、福田さんは運がいいのか悪いのか知りませんけれども、いままでの歳入の大部分を前の大蔵大臣のときにほとんど使い果たしてしまって、しかも不況と取り組まなければならぬという状況だと思うのですが、一体赤字公債はどのくらいの見当で発行されるのか。それから赤字公債は今年度だけにするのかどうかという問題と関連して、どういうお考えを持っておるのか、伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 本年度において公債によるか、借り入れ金によりますか、これはまだきめておらないのです。どっちがいいか、利害得失を検討中であります。しかし、いずれにしても借金をしなければならぬ、その借金の額が幾ばくになるであろうか、こういう御質問かと思うのでありますが、この借金の額はいままだここで申し上げがたい状況であります。と申しますのは、歳入の面におきまして相当の不足になるだろうということは想像されるのでありますが、しかし、まだ景気が非常に流動的である、その景気の動きを受けまして、歳入がはたしてどのくらい減るであろうかということにつきましては、まだ的確な見通しが立たないのであります。それから、歳出面におきましては、率直に申し上げまして、給与の問題がある。公務員給与の勧告を受けておるわけでございますが、これに対してどういう決定をいたしますか、これはただいま慎重に検討中でありまして、まだ結論を得ていないような状態になっております。それから米の問題があるわけであります。生産者米価が引き上げになりまして、それに伴いまして相当額の食管会計赤字となるのでありますが、それに対して、消費者米価を引き上げるか、引き上げないか、こういう問題があるのであります。これも政府の物価政策の一環として、また財政上の見地というようなことを考慮しながら、これも今後検討いたしていかなければならない問題であります。そういうような不確定要因が非常に多いのであります。しかし、いずれは補正予算を組まなければならぬ。十一月末になりますか、十二月初めになりますか、そういう段階において最終的な決定をする。そうすると、その他の要因ともあわせまして、今年度借金をするその額がきまってくるのであります。今日まだこの席では申し上げがたいのであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 ちょっと泉主税局長にお尋ねするのですが、税収の今年度の見通しは昨年度に比べてどのくらい少ないのか、概略でけっこうですから、ちょっとお答え願いたい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 租税及び印紙収入の実績の現在判明いたしておりますのは、七月末の数字でございますが、これによりますと、七月末までの累計が九千二百五十八億八千四百万円となっておりまして、前年同月末が八千九百二十四億五千八百万円でございましたので、これに比べますと三百三十四億円ばかり前年の実績よりは多いことになっておりますが、その収入割合を見ますと、昨年が、決算の数字に対しまして三〇・三%の収入割合でありましたのが、本年は二八・二%となっておりまして、二・一%収入割合が減っておるのでございます。もっとも、本年は御承知のとおり政令改正などに伴いまして歳入の年度所得区分の変更をいたしましたので、前年度実績を本年度とほぼ同じベースに調整して比較いたしてみますと、収入額では八百五十二億円前年より増加しておるけれども、収入割合において〇・八%低下しておる、こういう状況になっておるわけでございます。これはおもに法人税の収入が企業収益の低下によりまして伸び悩んでおります。特に収入の大宗を占めます三月決算の実績が前年に比べまして九八%の申告税額になっておるということ、それからまた、間接税におきまして、景気停滞と、それから特に酒税につきましては夏の比較的涼しかった関係もございまして、ビールの売れ行きがよくなかった、そのビールの売れ行きがよくないのみならず、清酒のほうが、一月、二月に値上げの関係で早期出荷が行なわれましたその後の出荷割合が順調でないこと、そのほか、物品税につきまして夏場商品の需要が停滞しておる、こういったようないろいろな事情がからんでこのような収入低下を来たしておると思うのでございます。  それでは、今後四十年度の税収がどの程度不足するようになるかという見通しにつきましては、まだ法人の九月決算の見込みが明確でございません。新聞雑誌等によりますと、増収減益決算になるであろう、その減益の割合は九六%くらいではないか、こういった予測数字も出ておりますが、まだ正確な見通しができないということ、それから、そういう企業の状況を反映いたしまして十二月の賞与が前年に比べてどの程度になるのか、こういった問題、それから年末の酒類などの消費見込みがどういうふうに変わるか、それから申告所得税の確定申告の状況がどういうふうになるか、こういったまだ未知数の要素がいろいろございますので、現在の段階におきましては、まだ正確に本年度どの程度の予算に対して収入不足になるかということを申し上げかねるような段階でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 税収が昨年よりは減るということは、各税務署を調べてもらえばわかるのですが、そういう問題と関連して、大臣から、赤字公債の問題が出ておるのですが、しかし、赤字公債を出すといっても、これは財政法の四条、五条というのがあるので、そういう問題をどういうふうに処理されていくのか、そういうものを改正してもこの際赤字公債発行のためにやっていく決心なのか、その点、私たちは、少なくとも財政法の改正というのは非常にたいへんな問題で、まあ戦前にもインフレの傾向のあった問題もあるし、それから現在の財政法はそういう点を非常に制限しておると思うのですが、大臣はどのように考えられておるのか、この点を伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 財政法は、一般の歳入をもって歳出を支弁せよ、ただし、建設的な用途に充てるという場合はこの限りではない、こういうふうに規定をしておるわけでありますが、ことしの公債の問題——将来の問題でなくて、ことしの問題を一体財政法から見てどういうふうに考えるか、こういう点につきましては、ことしはまあ異常な事態であって、途中で税収が不足を来たしてきた。つまり、これはすなおに事実を見てみますれば、歳入に欠陥を生じた、こういう事態になるわけであります。したがいまして、そういうような意味合いにおいて、財政法の例外としてことし公債を発行し得るかということになりますると、出す公債なりあるいは借り入れ金は建設的なものと言えるかどうかという点にかかってくると思うのであります。そこで、これは建設的なものじゃないんだから、あっさり財政法の特例法を出したらどうだ、こういう意見も出てきます。しかし、どうせ補正予算を組むんじゃないか、そこで、この本年度の予算を全部通覧してみますれば、当初予算の中にすでに相当多額の建設費があるんだから、その建設費引き当てとして出すんだ、したがって、財政法第四条ただし書きの建設的用途ならば例外的に借金をしてもよろしいという規定と少しも背反することはないんじゃないか、こういうような両論が実はあるわけであります。そういう両論を前にいたしまして、一体どういうふうにその事実を財政法第四条に適用していくべきかということにつきまして、ただいま財政制度審議会なんかもありまするし、財政法というのは国の相当重要な法律でありますので、軽々にその結論は出せぬ、出すにはまだ時期が早いんじゃないかというような観点から検討をいたしておる最中でございます。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 まあ、財政法の重要なことは御存じでございますからこれ以上言いませんけれども、ただ、福田さんにちょっとお尋ねしたいのは、私たち野党としては、ずっとこの二、三年間、予算編成の場合において——まあ、田中大蔵大臣は野党からも比較的好感を持って迎えられた。みんなに総花的なことをやったので非常に受けはよかったと思うのですが、しかし、福田さんはおそらくそういうことについては専門家ですから前から心配されておったと思いますけれども、一体、大蔵大臣になる前に、現在のようなこういう不況の時代と同時に、財政の収入に欠陥が出るというようなことを予測されておられたかどうか。これは非常に重要な問題でございますから、あなたの御意見を率直にひとつここでお聞かせ願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 非常に大きな立場から申しまして、どうも景気が非常に威勢がよ過ぎる、その反動がくるだろう、これは経済基調を安定的なものに転換をしなければならぬ、こういうことはもうっとに感じておったわけであります。現に、昨年七月に自由民主党の総裁選挙があったわけでありますが、あの総裁選挙では、私は、経済政策なんかは、そういう見地から大きく転換したほうがよかろう、それには内閣がかわったほうがよろしい、そういうふうに考えまして、佐藤総裁擁立のために大いに努力をいたしたのであります。私の当時の票読みからいいますと、この総裁選挙は、十票や二十票は必ず勝つ、そうすると、もう佐藤内閣だ、そうすると新しい政策を掲げなければならぬ、その際に、経済政策では安定成長政策でございますが、その表裏をなすところの財政政策におきましては、これはやはりこの際大幅な減税をする、佐藤さんもその当時三千億、こういうふうに言っておられたわけであります。と同時に、公債政策を導入するということをきめておったわけなんです。ところが、残念ながら総裁選挙はうまくいかなかったわけであります。それで六月まで推移したわけでございますが、私は、そういう大きな意味におきましてはこれは非常に苦しい事態になるのであろうということは想像しておったわけであります。しかし、ことしになってから今日まで見られるような深刻な状態が展開されるであろうということは、ざっくばらんに申し上げますと、これまでは想像いたしておらなかったわけであります。したがいまして、今日当面しておる問題というものは、私といたしますと、予想よりは非常に深刻な問題であり、それだけにいろいろ苦心も要る、こういうことと御了解願いたいのであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それから、この間あなたが何か日本能率協会の講演会で国際収支のことについてお話しになっておるのですが、大体貿易の収支が十三、四億ドルの黒字で、貿易外収支の赤字が六億ドルから七億ドルだ、そういう関係で、結局総合収支じりでは三億ドルくらいの黒字になるであろうという予想を発表されておると思うのですが、こういう見通しはあとになってみなければわかりませんけれども、どうも楽観に過ぎはしないか。これはまだ池田さんが在世中に、私は大蔵委員会で総理のときに話を伺ったのですが、そのときにも池田さんは、最低六年か七年くらいまでは貿易収支に赤字があるのでなかなか黒字になりませんということを率直に言われましたが、どうも今年度もそういうような福田さんの見通しだけれども、残念ながらこれもなかなか黒字にはならないのじゃないかというように考えておるわけです。これはいろいろな関係で非常に重要な問題でありますが、どういうふうな根拠で三億ドルくらいの黒字が出るのか、これもひとつ御説明願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 輸出が非常に好調であることは御承知のとおりでございまして、おそらく八十三、四億ドルまではいくであろう、これに反しまして、輸入は当初よりは減ってきておるのであります。七十億ドルを出る程度のところぐらいではあるまいか、差し引きいたしまして十三、四億ドルの貿易収支上の黒字が出る、ところが貿易外収支のほうは依然として逆調でありまして、その逆調が多少ふえぎみの傾向もあるわけであります。これが七億ドル前後のものが赤字となるのじゃないか、そうすると、経常収支では、輸出が非常にいいものですから六、七億ドルの黒字になるわけであります。ところが、経常収支外の資本収支におきましては、御承知のような世界の金融情勢を反映いたしまして、日本から出ていくもののほうが多いわけであります。この面では三、四億ドル赤字になってくるのじゃあるまいか、こういうふうに想像するわけです。そうすると、結局経常収支では七億ドルも黒字が出るのに、ネットの黒字の残高は三、四億ドルになる、こういうことを申し上げたわけでありますが、現時点で見ますと、大体私はそういうふうに動いておるというふうに見るわけでございます。しかし、国内の経済の動きが一体どうなってくるか、景気がどうも回復しないというような事態がありますれば、またいろいろの施策も必要があると思います。また、景気がよくなればよくなるで、物の需要が国内において高まってくるわけでございますから、そういうことを考えますると、今後、ただいま申し上げたことに対しても若干動きはあるかもしれませんが、まあそう大きな変動はあるまい、こういうふうに今日では見ておるわけであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それから、これも先のことでありますが、いま各省から概算要求が来ておりますが、明年度の予算編成方針の大綱をどのようにお考えになっておるのか。実は先ほども建設の問題が出ておりましたが、私は先月約三週間ばかりソ連に行ってきまして、モスクワの現地で住宅政策の徹底的なやり方を見て非常に感心したのですが、どうもいろいろかけ声は大きいけれども、なかなか日本の住宅問題というのはできていない、そういう点で、建設公債を出したらどうかというような意見もありますが、こういう問題は別にいたしましても、先ほどもちょっと大臣から触れられましたが、四十一年度の予算の編成方針についてはどのようにお考えになっておるのか。そのための赤字公債がどうなるかということが問題になるわけですが、そういう点についてはどのようにお考えになっておられますか、伺っておきます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 来年の予算の素材は目下着着収集中であります。その一つは、ただいまお話しのように、概算要求が一昨日大蔵省に各省から提出されておるわけであります。その概算要求あるいは経済の動きあるいは国際経済情勢、そういうものを総合いたしまして予算の編成方針をきめるのでありまして、その時期は十一月末から十二月初めにかけて固まってくる、こういうふうに御了承願いたいのであります。しかし、いずれにいたしましても、明昭和四十一年度はことしの景気の影響も受けまして、非常に窮屈なことに相なろうかというふうに思います。公債はいずれにいたしましても発行するという考え方をとるわけであります。同時に、しばしば申し上げております減税もできる限りやっていく、こういう考えでございます。同時に、長期的な財政の見通しも立てまして、そしてこの四十一年度予算が長期的な財政の一こまとして役割りを果たすようにということも考えておるわけでありますが、具体的なことは十一月末、ころかと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それから、これは私たちがいつも政府を攻撃するのですが、どうも政府は計画性がないということであります。それは、過剰生産になったから、有効需要が不足したから財政面から需要を喚起しなければならぬとか、あるいは企業利潤が減ったから法人税をまけよとか、民間部門が健全財政のしわ寄せを受けて、銀行ではオーバーローンになっても、財政部門が赤字ではいけないとか、非常に身がってな意見が出るわけですが、これは政府に一定の定見もないし、何か時の事情に動かされてやっていくようなおそれがあるのじゃないかと思うのです。どうもそういう点で これは資本主義制度の中で計画性を持てということは無理な注文かもしれませんけれども、やっておられる政策が一貫性がないようにも考えられますが、その点は福田さんはどのようにお考えになっておられますか、伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 自由経済でありまするから、好況と不況、また不況と好況というような景気循環があることはやむを得ないと思うのですが、その景気循環の山と谷があまり高い低いということは、私は避けなければならぬし、また避け得ると思うのであります。それにはやはり基本的に経済政策に対する考え方を固めなければならぬ、安定成長政策という方向でこれを固めていきたい、こういうふうに考えておるのでありますが、そういう方向において金融政策もこれをやり、あるいは財政政策もこれに即応してやる。財政のほうは、たとえば、非常に景気が悪いという際には財政の活動を活発にする、あるいは景気の状況が非常に好調である際には財政を引っ込ませる、そういうようなことが公債政策を通じて非常に容易になる、こういうふうに思うわけであります。今度は財政金融政策を通じまして、景気がそう過熱することのないように、また落ち込みが深刻になるというようなことがないようにということを努力していきたいと思うのでありますが、同時に、そういう政策を運営するためにはある程度の長期的な展望も持っていなければなりません。そういう展望を腹に置きながら当面当面の財政金融政策を進めていけば、まあ山と谷がそう深刻でない運営ができるのではあるまいか、こういうふうに考えている次第であります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 景気政策つまり景気の刺激政策を最近おやりになっておるので、きのうあたり株がべらぼうに取引があったということがあるわけですが、どうも選挙目当てにやったり、それからときには、福田さんが大蔵大臣になられてからでもどうもそんなにおいのするようなことが間々あるのですけれども、しかしそれは一時的には非常にいいけれども、その被害を受けるのは国民である。そういう点で、これは政府にも反省をしていただかなければならぬと思うのですが、田中さんが大蔵大臣のときには、吹き玉のようにぽんとふくれあがって、中はがらんどうであっても、そういうことがあったのでありますが、このような不景気が来ると——御承知のように、地方に行くと非常に深刻な不景気が来ておるわけですけれども、こういう点について、やはり国民に迷惑をかけないような経済政策をとってもらわぬと困ると思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国民に迷惑をかけない最大の道は、経済の変動の幅が少ない、こういうことだろうと思うのです。そういう点に今度は全精力をあげてやっていきたい、かように考えております。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 それからもう一つ伺いたいのですが、この間、これも能率協会でお話しになっておるのですが、公債を発行してもインフレにはならない、政党や政府が良識を持ってやっておる限りは絶対にそういうことはないというようなお話があったようでありますが、しかし、何といっても公債の発行ということは戦後初めての大きな転換であって、この影響は相当大きなものだと思うのですが、その点はどのように評価されておるのか。また、この問題についてはいろいろ議論もありますし、いずれまた同僚委員からもいろいろ質問があると思うのですが、私たちは非常に心配しておるわけです。この点は一体どのように受け取っておられるか、これを承っておきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国の経済全体に及ぼす影響、公債発行がどういう影響を及ぼすか、こういう問題であると思うのですが、一番大事な、基本的なことは財政の幅の問題だろう、こういうふうに思うわけです。つまり、国家は国の経済の中における最大の消費者である、その最大の消費者である政府の財政が、これが物を使い過ぎる、あるいは金を使い過ぎる、あるいは労働力を使い過ぎる、そういうようなことから、他の需要あるいは供給を圧迫するということになると、そこに不均衡を生じまして、インフレの要因をつくると思うのでありまするが、とにかくそういうふうに考えますので、予算の幅をどうするかということにつきましては、最大限の努力を尽くしまして適正にいたしたい、こういうふうに考えております。予算の幅が適正にきまりますれば、その財源を税によるか公債によるかという第二次的な意味の問題になると思うのであります。つまり、税によるということは、国民の資産なりあるいは所得なりを政府に取り上げる、こういうことでございまするが、公債によるということは、国民の資産なりあるいは所得なりを国民の手に残す、そうして、その手に残った国民の資産、所得を政府が借用する、こういうことでございまして、予算の規模の問題とは性格を異にする問題なんであります。私は、先ほど申し上げましたような今日の日本国民の蓄積の状況、あるいは日本国民の一人一人の所得の低い状態、そういうような問題を考えますると、この際、国民に資産を持ってもらう、こういう考え方こそが大事である、そうすると、その財源をどうするかというと、政府が肩がわりしなければならぬことでありますが、肩がわりいたしましても、政府は多少のことはありましてもびくともしないような状態に成長してきた、こういうふうに判断いたしておるわけであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 われわれはいま大臣の公債発行については賛成しがたいのですが、しかし、国の健全財政ということがいわれておる立場上から言えば、むしろ財政を縮小して、借金をしないでやっていくほうが、将来の日本のためになるのじゃないかという見解を持っておるわけです。しかし、これは意見の相違でございますから、追及しても——大臣がやると言われることをわれわれが反対しても、これは多勢に無勢ですからあれでございますけれども、どうも少しそういうような立場から、福田さんは特に大蔵省の重要なポストを何べんもやってこられて、戦後二十年たって初めてこういうことが行なわれるのですが、非常に冒険じゃないかと心配しているのですが、心配はありませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 絶対に御心配をかけないようにいたします。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 もう一つ、私はこの前の質問の中で共産圏貿易についていささか質問したのでありますが、私はソ連に行ってきたのですが、この前はだれも見向きもしなかったのに、この間永野さんが行かれて、今度は植村さんが行かれるというような、これは非常に大きな転換だと思うのです。ソ連のほうも日本に対して貿易を非常に望んでおるようなことを私は現場で見てきたのですが、この点について、だいぶ民間のほうでは転換しておるようでありますが、政府はこれをどのようにお考えになっておるのか。この前福田さんは。パーセンテージは少ないというようにお話しになったのですが、少ないといっても、去年三億ドル、今年度は四億五千万ドルぐらいいくのじゃないかといわれておりまして、このような日本の不景気のとぎにそういう貿易ができるということ自体が有利になるのじゃないかと思っておりますが、この点はお考えが前と同じでありますか、その点について伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 共産圏貿易に対する考え方は、私は少しも変わりはないのです。つまり、政経分離という根本方針のもとに経済の交流を拡大する、これは私は好ましいことで、これを推進していくという考えであります。特に、ソ連貿易につきましてはその根本原則に沿っての拡大が目下行なわれている、こういうふうに考え、またこれをさらに拡大をしていくべきだというふうに考えております。そういうような見地から、所管の行政としてもできる限りの努力をしてみたい、かような考えであります。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 もう一点、現在非常に国民との関係が深い物価の値上げの問題でありますが、これは郵便料金あるいは鉄道、米価、いろいろな面で値上げの傾向が出てきておるのですが、政府は一体この値上げを押えることができるかどうか、これは大蔵大臣の責任でありますが、どういうふうにお考えになっておりますか、これも伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 安定経済成長政策を進める上には、物価を落ちつかせるということがどうしても必要なことなんであります。そういうような見地から、私どもも全力をあげて物価対策に取り組む決意でございますが、しかし、当面非常にむずかしい事態に立っておりますのは、不況対策という問題と取り組んでおるわけであります。この閲題が若干物価対策に対しましてマイナス的な要因を持つことは当然かと思うのでありまするが、しかし、それにいたしましても、その不況対策の影響が、今後やっていかなければならぬ物価安定、また安定経済成長政策、これに大きな傷となるというようなことがあっては断じてならぬというふうに考えておるわけでありまして、そういう複雑な要因を迎えつつ、最大限の努力をしていきたい。それから公共料金につきましては、そういう角度からなるべくこれを低位に押えていきたいという考えでございます。できれば上げないで済むに越したことはないわけでございまするが、しかしその個々につきましては、企業の内容とか、あるいは財政の事情とか、いろいろあります。そういうものを総合的に勘案いたしまして、できる限りの努力をしてみる、かように御了承願いたいと思います。

佐藤觀次郎日本社会党

○佐藤(觀)委員 最後に、これは大臣に質問するのはおかしいかもしれませんけれども、関連のあることでございますから……。先日、非常に公平だといわれておりました渡邊公取委員長が突如なくなりました。私たちも長い間親しい関係もありまして、非常に残念に思っておりますが、まことに近来まれな苦労人で、公平な人であったと私は考えております。そこで、公取の委員長として委員会や本会議等にもたびたび出席されましたが、公取の委員長としてはまことに公平な人であって、そして自分の主張をあくまで守った、りっぱな人だと思いますが、その後任の問題で、あるいは公取の委員長をああいう方向と反対の人を選んだらいいのではないかという声もあったり、いろいろしておるのですが、これはおそらく大蔵大臣の権限外だと思いますが、その点について何かお考えがあるのかどうか、これはこういう公の席で質問するのはちょっとどうかと思いますけれども、重要なことでありますので、最後にひとつ大蔵大臣にお伺いしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公取の委員長は、財界と消費者との間に立ちまして、最も公正に行動しなければならぬ重大な地位であると思うのであります。したがいまして、その後任につきましては、さような公平な立場を貫き得るということを最大の基準として選考すべきである、こういうふうに考えているわけでありまして、この考え方につきましては、私は、おそらくだれもそう異存はないことだと思いますので、私の所管ではございませんけれども、私に相談がありますればそういうふうな意見を述べたい、かように考えております。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 午後零時三十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後零時四十六分開議

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。平岡忠次郎君。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 私のきょうの質問は、一つは四十一年度予算編成について、二つは公債発行論の中の公共投資公債、つまり建設公債の世代配分論の是非について、それから三つには本年度予算の赤字補正について、以上三項目にわたっての質問であります。  順を追って質問をいたしたいと思いますが、現在の日本経済が非常な危機にあるということ、その背景の中にこれらの問題が提起されておるわけですから、この点につきまして序論的な話をまず申し上げておきたいと思うのです。  現在の経済危機の実態というものに対しまして、私どもは次のようにとらえておるわけであります。昭和三十五年以来の民間設備投資は所得倍増計画に対してすら八兆二千億円も上回り、そうした過剰投資の結果の過剰生産が現在の経済危機の根本的要因であると考えております。したがって、過剰生産の圧迫はかなり長期にわたってなべ底型の不況を続ける要因となると思っております。大企業は日銀の信用造出によってばく大な投資を行ない、他方物価の値上がりによって三十兆円をこえる国民の貯蓄は五年間に十兆円近い価値を収奪され、個人消費は国民総需要の四六%に低下し、生産と消費のアンバランスを拡大いたしております。また、外資借金政策の報いである資本収支の悪化と、農業軽視に基づく食糧輸入の増大のため、国際収支の前途は必ずしも楽観を許しません。政府が金科玉条として喧伝いたしておるところの貿易収支の黒字、すなわち輸出の好調すらも、その内実にメスを入れますと、金融のための出血輸出が圧倒的であると考えます。たとえてみますと、日産のブルーバードのCIF価格が二十五万円、富士重工のベレットのCIF価格が二十八万円、御承知のとおり、内地の販売価格はそれぞれ六十万円前後の車の例であります。鉄鋼、肥料、化学等のわずかなアイテムの例外を除きますと、好調日本の輸出の実態は、おおむねかくのごとく採算割れの出血輸出であるわけであります。出血輸出がいつまで続くか、この点は実に憂慮すべきことでありまして、政府の特に銘記せらるべぎところであると考えておるわけであります。  さて、従来の、経済成長率を大幅に上回る放漫な財政膨張は、本年度国税収入だけで三千八百億円以上の財源不足を生じ、今後財政破綻は一そう拡大すると見られるわけであります。かかる背景のもと、四十一年度公債発行必至論が登場いたしてきておるわけであります。すなわち、政府、財界は、金融緩和では足りず、ついに公債発行を中心とした財政による景気刺激政策に踏み切らんといたしております。しかし、公債発行によるインフレと物価上昇は、有効需要の縮小、国際収支の悪化をもたらすという反作用があるわけであります。財界は資本構成の異常性の是正に名をかりまして、赤字公債によってこれを救済すべきことを政府に要請し、政府はこれに応諾しようとしておるわけであります。また、政府は、外に向かっては過剰生産のはけ口を求めて、韓国その他アジア諸国へ進出し、アメリカのアジア戦争政策に協力して、特需受注を当て込む冒険に乗り出しておると私どもは判断いたしておるわけであります。ここに国民を戦火にぶち込む外交的危機すらもあるわけであります。かつて戦時中の財政が戦争予算の財源調達を日銀引き受けの公債発行で行なった、その結果、財政の崩壊を来たし、これはとどまることを知らずインフレを増高し、こうした反省から財政法が生まれてきておるわけであります。言うなれば、現在の財政法は日本憲法とうらはらの財政憲法でありまして、これに手を染めることはまことに重大な事柄だと私どもは考えております。しかし、現実に政府の予算が非常に逼迫し、不景気の結果法人税をはじめとする減収が顕著でありまして、この苦況をどう乗り越えるかというのが大蔵大臣に課せられた非常に大きな使命であります。私は、有能な大蔵大臣ですから、必ず日本国民のために国民経済的にこの問題を克服していただけるものと期待いたすものでありますが、こうした背景のもとに私の論議を進めていきたいと思うのであります。  それでは、まず順を追って、第一に四十一年度予算の規模のおおよそのめどについてお示しを願いたい。編成の基本方針につきまして、均衡財政であるのか、膨張財政をとらんとするのか、あるいはデフレ的な緊縮財政をとらんとするのかを具体的に明示されたいのであります。つまり、四十一年度の予算規模のおおよその数字的めどがここで示されるならば、そのことは、やがていま申し上げました、あなたが考えているのは均衡財政論でいくのか、膨張財政論でいくのか、あるいはかつて二十九年の不況の後に三十年度予算を組みました小笠原三九郎大蔵大臣のときのように、前年度比較予算の絶対額を減らすというデフレ予算も議論としてはあり得ると思います。そういう意味におきまして、まず四十一年度予算の規模につきましてのおおよそのめどをお示し願いたいのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 ただいまこの段階で来年の予算が一体どういう規模になるかということは、これはせっかくのお尋ねでございますが、まだ申し上げる段階に至っておりません。その段階はことしの十二月と、かように御承知を願いたいと思います。ただ御承知おき願いたいのは、ことし相当財源の不足が生ずるのであります。その最も大きな原因は、税収が予定のとおりいかない。この額が相当になるだろうと思うのですが、税収が減ったからことしの予算の歳出の削減によって対処するか、こういう問題でありますが、歳出のほうはどうも切ることがむずかしい。これは節約はむろんします。しかし、そういう大規模の歳入不足に対処するだけのことはできません。そこで、ことしはどうしても穴があく、こういうことになるわけですね。その状態が四十一年度にまた持ち越されるわけであります。四十一年度はおそらく景気も今日のような状態ではない。したがいまして、自然増収が期待されるわけであります。とこうが、自然増収の基礎になるもとの歳入額は、これはことしの現実の歳入額であります。一方、歳出のほうは、歳入の実施する額よりは何千億か大きいわけであります。その大きな予算が、また私のただいまの見通しといたしますと、相当ふえてくる、こういうふうに見るわけであります。したがって、昭和四十一年度の予算の歳出の規模はふくれますが、普通歳入との間には相当の開きが出てくる、こういう状態下において予算の編成を行なう、こういうふうになるわけであります。過去において二四%ふえてきた歳出でございますが、その後膨張率は漸減をいたして、昨年は一二・四%ということになっております。ことしの予算に比べて来年度は一体どうなるかというと、まあ必要な費用が相当あります。これを切り詰めるわけにもいかぬというような状況でございまして、かなりの膨張がある、こういうふうに御承知願いたいのでありますが、その規模を一体どういうふうにするか。これは今後の経済の推移というものと十分ににらみ合わしていかなければならぬ関係もありまして、先ほど申し上げたように、今日ではまだ予測できない、年末に至らなければ概貌は申し上げにくい、こういうふうに考えておるわけであります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 まあそういうお答えであろうことも予期いたしておったわけです。ただ、あなたはこの中旬から十月の初めにかけましてアメリカにいらっしゃると聞いております。その間大蔵省の事務当局が手をこまねいているわけにはいかぬだろうと思うのですね。ですから、少なくとも大蔵省の事務当局に対しましては、おおよその予算の規模とか、そういうものはあなたからやや具体的に明示をされて、そしてその心がまえをつくらしていくという、これは当然そういう措置があってしかるべきだと思っております。必ずそうなすっておることと思うのです。ですから、その程度のことにつきましては、やはり国会のこの場で明らかにしていただいてもいいのではないか、そういうふうに思うのであります。もっと具体的に言いますと、新聞にもあるように、大体本年度の前年度比較増加率が一二・四%であるということ、それから比べるならば、大体景気が鈍化していっているわけですから、それが一〇%とか九%とか、もう少し落ち込む可能性のほうが私も多いと思うのです。かりに一〇%としますれば、四十年度の当初予算が三兆六千五百八十億ですから、約四兆円あるいは四兆一千億円ということになろうと思うのです。その程度のことは、大体あなたのめどとしてお持ちになっておることと思うのですが、どうですか。もう一回お答え願いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まだなかなかそこまでいかないのです。私がこの九月一ぱいにやらなければならぬ仕事は、各省でどういうことを考えているか、これをこなさなければいかぬ、それから同時に、いわゆる既定経費ですね、いままでの経費について硬直化したというような批判を受けているわけでありますが、できる限りこれを効率的に使うという見地からの検討をしなければならぬ、そういう問題があるわけであります。同時に、長期財政の展望、そういうものにつきましても、ただいま財政制度審議会、また税制調査会に歳入歳出両面にわたりまして検討をお願いしておりまするが、そういう問題について大蔵省自体も取り組まなければならぬ、いろいろ予算編成上の基礎的な諸問題につきましては鋭意これを検討するのでありまするが、ただ、最後の締めくくりの予算の幅をどうするかというようなことになりますると、今後の経済の推移、こういうものもよく見て、その至近距離においてきめるということが適切である、これは御了解願えると思うのですが、そういう意味合いにおいて、十二月にならなければ、最後の結着、結論は出てこない、かように御了承願いたいと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 たいへん不満でありますが、現実にやはりそういうデータの重要性も無視するわけにはまいりませんから、もう少し日がたちましてからこの点はお伺いをいたしたいと思います。  それでは、公共投資公債、すなわち建設公債についての世代配分論というものが巷間に起こっておるわけでありますが、このことにつきましてお尋ねをしたいと思います。  その前に幾つかの御確認を得ておきたいと思うのであります。  まず、六月七日の日でございましたが、私あなたと初めて質疑応答をいたしました。そのおりは平林委員の時間の中に私少しく時間をちょうだいしてお尋ねしたわけでありますが、当時のあなたのお答えの趣旨のとおり、いまなお赤字公債を出してまで企業減税をする必要はないとの御所論に変わりがないかどうか、この点の御確認をまずいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 さようなお話を私が申し上げた記憶はありませんが、私の税に対する考え方は、これはもう何回も申し上げていることですが、今日非常に大事な問題は、企業、国民ともどもにその蓄積を持つことにある、こういうことであります。先ほども申し上げたのでありまするが、大幅な減税を行なう、そうすればどうしても財源に不足が生ずるわけであります。そういうための減税をする目的をもちまして公債政策を導入する、こういう考え方に相なるわけであります。企業減税をする目的のために公債を発行はしないんだということは申し上げてはおりませんですから、御了承願います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 速記録でごらんいただくと、私の言うニュアンスでのお答えがあったと考えております。それはそれといたしまして、公債を発行するに値するのは各種の社会開発財源としてである、さりながら、国民の負担はこれを減らしていくこともまた同時に心がけていかなければならないという御発言が確かにあったわけであります。そこで、その御所論の後段の意味ですが、企業減税の財源としての公債発行説は大蔵大臣としてはとらない、減税はむしろ大衆の所得減税を重点として考えておる、ということは、オーバープロダクションの有効需要を喚起するというような意味におきまして、この点は非常に重大だと私どもは考えておりますので、あなたのおっしゃられたことも、やはり企業減税の財源としてよりはむしろ大衆の所得減税を重点として心がけるものであると解して誤りがないかどうか、この点につきましてお答えをいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まあ、減税を行ないます以上、まず何といっても個人所得ですね、これに重点がかかるわけであります。しかし、私が常々申し上げておるように、いま企業のほうでも税負担という大きな問題に当面していると思うのであります。そこで、蓄積を企業に与えるというような意味から企業減税もこれを軽視することはできないので、所得税減税により重点を置きつつも、企業減税につきましてもこれを重視する、こういう考え方で私は税制改正に臨みたいと考えます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 あなたが両方の減税をしたいとおっしゃる趣旨は、われわれはそれに対しての意見はありますが、一応あなたのお考えがそうだということはここでは了解いたしておきます。ただし、相当極端な、かってな財界からの放送とか、そういうものがありますから、あまり極端な主張に対しましては、少しあなたから否定的なお答えをいただきたいと思うのです。  そこでもう一つだけ確認を願いたいのですが、財界方面からの放送の老朽設備買い上げ公債論、企業減税の公債発行論、これはどうも私どもにひっかかるものがあるわけでございます。この減税論は企業の資本構成のアジャストメントの目的で中古機械等を政府によって公債で買い上げさせる、企業がこれをもって市中銀行に対する借金の返却に充てる、市中銀行はまたこれを日銀からのオーバーボローイング解消の引き当てとする、結局、企業資本構成を改善するという美名で、国民の犠牲によって、大企業あるいはこれにつながるところの市中銀行等のために赤字公債を発行するという意図は、政府においては少なくともないであろうと思うのですが、この際御言明がいただければ幸いでございます。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 公債を発行して過剰設備を買い上げるという構想は、ただいま持っておりません。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 では、以上の御確認を得ましたので、公債世代配分論の是非についてお教えを願いたいと思います。  社会開発ないし社会資本充実のため、いわゆる公共事業債発行の積極的な論拠として、負担の世代間の配分の公平ということが財界からの放送によって案外一般受けがいたしております。つまり、道路などの建設は、当代の国民の税負担だけにたよらないで、後代の国民にも負担してもらうのが公平だから公債財源によるほうがよいという、こういう立論であります。当代の国民としては、なるべく子孫に借金を残さず、負担をかけないように心がけるべきだというのでしたらわかりまするけれども、後代国民の意思も聞かず、一方的に割り勘を押しつけることによって当代の負担を少しでも軽くしようというのは、これは少しどうもこのごろの世道人心も大いに変わってきたものというよりほかないのでありまして、私どもいただけないのであります。これはある新聞にもやゆ的にこんな批評が出ておるわけであります。西郷隆盛の、子孫のために美田を残さずということは、われわれとしても感動的に聞こえることですが、財界、政府一体になって子孫、のために借金を残すべしという赤字公債論となりますと、よしそれが公共事業の財源だとしても、私どもはこれに対して何かつかえるものがあるわけでありますが、その理由は私自身あとで述べますが、まず大蔵大臣の御所見をお聞きしたいと思っております。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 平岡さん、少しひがんだような議論をされておるようですが、公債発行論というのは、別に財界から言われてどうのこうのということは全然ありません。先ほど申し上げたとおり、これはすでに昨年ずいぶん私どもは検討いたしまして、佐藤政権がでぎたらこれでやろう、こういうことからきておるわけで、当時は佐藤さんが総理になるかならぬかわからないような状態で、財界が佐藤さんに圧力を及ぼすというような情勢もなかったもとにおいての結論なんです。公債は後の世代の負担になる、そのとおりでありまして、今日長い寿命を持ついろいろな施設をすると、これは後代の人にも利益があるわけでありまするから、それを今日の国民だけの負担にさせないで、公債という形で将来の世代に負担を願おうという意味において公債政策というものは是認声をされるんだ、こういう議論は、これは財界のでも何でもないのです。これは昔からある。現に、私どもが学校において財政学を習ったそのときからすでに公債というものはそういう意味合いがあるんだというふうに教わってきております。そういうことでございますが、私がいま現に公債を発行するというのは、そういう財政学者の議論とかに発想をしておるのじゃないのであります。これは今日の日本の経済自体を見まして、どうも非常に不安定だ、その不安定な根源はどこにあるかというと、これは企業、個人を通じて蓄積がない、この一点だ、これをひとつ是正しなければならぬ、それには思い切って減税をして、それを刺激する、こういう考え方によるべきである、それは財源がない、そこでそれは公債に求めるんだ、こういうことなんでございまして、学者の言うそういう議論はもとより十分承知はいたしておりまするけれども、それだから公債を発行するんだという足がかりとして立っておるわけじゃないのでございます。さよう御了承願います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 財界からの云々は取り消してもよろしゅうございます。あなたのおっしゃるのは、減税が第一なんだ、そのために公債発行をしたいという御主張であります。しかし、公債で国民の税負担が長期的に軽減されるというようなお考えは間違いであると私は思います。なるほど、一時的には公債の収入分だけ減税することはできますが、公債の元利償還には租税が必要でありますから、長期的には減税とならないばかりか、むしろ利払い分だけ租税負担はふえる道理であります。したがって、減税のための公債発行が意味するところは、特定階層の租税に対しての減税であって、減税公債保有者と、公債費のための納税者しの利害の対立であり、当代国民階層間での利害の衝突ということが主要な問題となってくるわけやあります。公債による減税は特定層に向けらるべき意図に発するものであり、蔵相が、減税は第一に大衆減税だといいながら、決して企業減税を取り下げていないところにこそ、率直に申し上げまして、私どもはうさんくささと申しましょうか、それを感じざるを得ないのであります。赤字公債による減税が企業の資本構成改善のためである限り、他の一般国民の税金が、現世代はもちろんのこと、子々孫々までにわたってその公債費負担のためのしりぬぐいとして使われるということになると思うのであります。  結論的に申し上げますと、公債は、税にかわるものではなくて、税の変形にすぎないものであるという認識に私どもは立っておるわけであります。また、政府の赤字公債減税論というものは、負担の世代分担論ではなく、また国民全般を潤すところの減税でもむろんございません。当世代国民間の税負担機造の再編成を推し進めるものでありまして、国民大衆の側により大きな負担を、インフレの禍害と公債費負担の両面から押しつけるものと理解せざるを得ないのであります。私はこういう考え方をいたしておるのですが、御反論がありますならば、ぜひお聞かせ願いたいのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 お話を伺っておりまして、いよいよどうも平岡さんひがんでおるような気がしてならないのでございますが、私どもの公債論は、これは全く国民的視野から出発いたしておるわけであります。つまり、るる申し上げておりますように、予算の規模、これは非常に重大なことである。私どもは厳粛にこの規模の決定には取り組んでいくつもりであります。しかし、その財源を一体どうするかという問題になりますると、これはいままでの方式では租税でやっておった。実際の予算、財政の趨勢を考えてみますると、これはだんだんと膨張してくると思うのです。住宅政策一つとりましても、これは焦眉の急じゃありませんか。また、道路だ、下水道だ、これは他の国に比べまして何十年というくらいおくれておるわけであります。これも大いにやっていかなければならぬ問題だ、こういうふうに思うわけです。社会保障はどうだ、これも充実していかなければならぬ。形は整っておるが、なかなか中身は整わぬ、こういう問題をかかえておるわけであります。そういうことを考えると、どうしても財政の規模はふえるのです。そのふえる趨勢に対処するというためには、もうすでにそういう傾向が始まっておりますのは、二、三年前までは国民総所得における税負担は二〇%である、ところが今日はどうでしょうか。ことしはもう二二%というところまできておるわけであります。これは増税しなければやっていけないということなんだが、一体増税はできるか、これはとても私は増税の余地というものはないのじゃないか、皆さんも御反対をされるに違いないと思う。そういうことを考えると、逆にこの際大幅減税をして、民力を涵養すべきである。つまり、予算の一定の規模の中において租税で全部これをまかなう、こういう方式のほかに、今度は公債政策も取り入れようということでございまするが、公債と租税が違うのは、租税のほうは、国民の資産を政府が取り上げることになります。しかし、公債の場合はそうではない、資産はそのままに残すのです。残して、それを政府が借用をしよう、こういうことになるわけであります。そういう政府の需要に応ずる人に対しまして、政府が一定の利息を支払う、これは経済原則上当然のことだろう、こういうふうに考えております。つまり、私の基本的な考え方は、経済を何とか安定したい、政府の財政が、普通歳入のみによって均衡されるという形だけが経済が安定する姿じゃないのであって、逆に、国民大衆のほうから安定をしていかなければならぬ、家庭も企業も全部安定してこそ初めて日本経済の安定がある、こういう考え方に立脚いたしておるわけでありまして、この公債政策によって特定の階層を稗益しようとか、そういうことではなく、国民全体が均てんし得る国民皆富政策だ、つまり、国民が全部資産家になってもらうということを念願をいたしておるわけであります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 大蔵大臣、高度経済成長政策が非常なひずみをもたらしたということは、これはあなたも御確認願えると思います。ですから、何か、いまあなたの議論を聞いておりますと、そうしたひずみの是正という問題に対して少し鋭敏ではないように思うのです。要するに、いまの増強された施設それ自体が、操業短縮をしなければならぬほどに非常にむだな投資になっておるわけです。言うならば、これは政府もあおったかもしれませんけれども、企業はばくちを打ったわけでして、そうして過大施設を持ってきたわけです。だからこそ、企業減税もやらなければならぬということがどうしても私にはひっかかるわけです。その点を申し上げておるわけであります。私の主張したいところはそういう点であります。むろん、日本社会党は公債論には一から十まで反対だということではないと思います。しかし、政府の考えている路線での公債論に対しては相当監視の目を光らせなければならぬということがわれわれの考えであります。私どもの賛成し得る公債論もあるわけなんです。たとえば、各国政府は、フランコのスペイン政府は別で、あれは二年に一ぺんですが、大体一年の単年度予算を組んでおる。しかし景気の波長の長さというものがそれにはまらないということは事実なんですね。二年になるかもしらぬ、二年半になるかもしらぬ。そういうところで景気の波長と単年度予算とは時間的に合わないという点から、かなり長期的に足らず前のときには膨張政策で公債を発行してもよろしい、しかし余った場合にはそれを回収する、そういう意味におけるいわゆるフィスカルポリシーとしての公債論はあります。それでしたら、それはケインズあたりが積極的に言っていることですから、私どももそれは応諾できるのです。私どももそういう公債論なら正統な公債論として、しかも即近代的な、昔の教科書で教わったことではないものとして、こういう問題はどんどん取り上げていいと思うのです。しかし、どうしても企業減税というものに対してあなたは縁を切り得ないという点が私どもにひっかかるわけで、あなたはひがみと申されるかもしれませんけれども、こういうことでこの赤字公債それ自体がどんどん進展しますと、これは伊藤斗福じゃないけれども、政府によるところの伊藤斗福的な自転車操業になりかねないということを私どもは心配しておるわけであります。そういう点をぜひ御理解を願いたいと思っております。福田大蔵大臣は非常にエキスパートでありますし、事務当局関係の方も非常にエキスパートなんです。しかし、最初の六月七日ごろの私どもとあなた方との応答と、その後のあなたの公債論に対する考え方は、二カ月くらいでずいぶん変わっているということを心配しておるわけなのです。これは釈迦に説法かもしれませんけれども、公債論におきましては、あなたの確信に沿うて、これは何ものにも影響はされていないのだということならけっこうですけれども、風潮的に保守党内閣それ自体の歴代のスポンサー関係から、ついに習い性となって、これは人から言われたことだけれども自分のものだというふうに思い込まれたら、それこそもう収拾つかない事態であると思います。私は、福田大蔵大臣が国民経済のために自分の所信を貫くのだという清新にして強固な意思に期待したいと思うのです。そういう意味で申し上げておりますので、お耳ざわりの点もあるかもしれませんが、やはり率直に私どもの意見を聞いていただきたいと思っております。右の点で何かまた御所見を承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 たいへんいろいろと承ってありがとうございますが、しかし、私どうしてもわからない点がありますのは、企業減税は全然しないでいいんだ、つまり法人税の軽減は必要ないんだ、この平岡さんのお考えを進めていきますと、法人というものからは全部税を取ってしまえ、こういう議論にもっながるわけかと思うのであります。利益は残す必要はないんだ、こういう議論に発展をする議論のようでありまするが、そういう議論で一体日本の経済というものが運営できるのだろうか、日本の経済が運営できず、また、経済の発展なしに大衆の利益があり得るのであろうか。その辺をどうお考えなのか、私はもう全然わかりません。しかし、しっかりやれというおことばに対しましては、満腔の謝意を表しておきます。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大臣は平岡さんの質問を多少ひがみじゃないかとおっしゃるのですが、われわれが多少ひがまざるを得ない現実が少しあるのです。それはどういう問題かと申しますと、現在非常に経済が不況だといわれておりまして、企業の収益が上がっていない、こうなっておるわけですね。大体去年の九月決算、三月決算ともに、要するに増収減益だというかっこうになっております。これの中身を点検してみるならば、増収で減益になった分というのは、前期比で見るならば、税法によって償却が厚くなったことによって減益になっているわけです。その減益になった分というのは、自己資本に、内部留保に回っておるわけですね。ところが、内部留保にそれを回して、それは少なくとも減税が所なわれたわけです。一つは、減税が行なわれて増収減益になっておるところで、さらに法人税を軽減をしろという声が非常に強く出ておるということですね。もう一つは、御承知のように、現在の租税特別措置法というものが、大企業には非常に有効に作用しておりますけれども、中小企業には必ずしも作用しないような仕組みになっておることも、これはもう大臣御承知のとおりだと思うのです。そうしてみますと、現在の法人税は諸外国と比べて高いのか低いのかという議論が先にないと、要するに、ただ企業を強くするためには減税さえしてやればいいのだ、減税した部分が利益にだけはね返るようなそういう安易なあり方が、企業のあり方として正常なのかどうかという点には、私どもは大きな疑問を持っておるわけなんです。ですから、そういう意味で私どもは、日本の税制の中にはいろいろ問題がありましょう、自己資本をふやすためには現在の配当分に対する課税の問題等いろいろありましょうけれども、これまで逐次内部留保を蓄積するような方向で政府は施策を今日進めてきたと思うのです。そういうふうに進めてきておって、今回の不況というものが起きてまいりましたのは、それは政府にも責任がありますけれども、同時に、われわれは企業の側にも責任があるということを明らかにしておかなければならないと思うのです。企業の側に責任がありながら、不況になれば、すぐ減税によって、そういうふうな増収分のある部分で法人税で吸い上げられる部分を利益に置きかえようという安易な姿でいいのかどうか、これが、私どもが法人税の減税について、特に大法人の減税について大きな疑問を持っておる点なんです。ですから、この点をひとつ大蔵大臣もやはり冷静にお考えをいただかないと、単なるひがみで私どもがそういう議論をしておるのではないのです。そういう意味では、現在関西の財界は、この間大臣が関西においでになったときにお聞きいただいたと思いますけれども、安易なる国債発行については反対だということを大体申しておると思います。そのことは何かといえば、関西の経済人というものは、まず自分でやれることはやろう、どうにもならなければしかたがないけれども、まず自分でやるのが現在の資本主義経済としてのたてまえではないのか、関東における財界はややその点では政府にもたれかかり過ぎておるのではないのか、みずからやることをやらずして、すぐ政府に助けを請うというのは、資本主義経済としてはおかしいのではないかというのが、私は関西の経済人の考えだと思うのです。私は社会党でありますけれども、資本主義はやはり当然そうあるべきであって、みずからが合理化その他、自分たちで行ない得ることを行なった後に、なおかつ国際競争力その他の面で問題があるならば減税、こうなるのが至当ではないか。ですから、そういう意味で私たちは、安易な法人税の軽減を国債発行等によって置きかえては困るのだ、こういう姿勢で問題を伺っておるのでありますから、決してこれはわれわれのひがみということではなくて、冷静な分析の上に立った私たちのものの考え方でありますので、その点をひとつお考えになった上で、もう一ぺんこの問題についての御答弁をいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 今日の経済不況は、私は財界も一半の責任があると思うのです。これは財界が反省し、財界がほんとうに姿勢を正すということがなければ、私は日本のこの経済難局は打開できないとまで極言をいたしておるわけです。そういう立場から財界にも反省を求めて、今後こういうことを再び繰り返さないということを、組織的、計画的に考えてもらいたいということをおすすめいたしておるわけです。その点は全く同感なんです。しかし、いまの日本の法人税を見てみますと、諸外国と比べて必ずしも高い、過酷だとは私は見ておりませんけれども、しかし、実際の日本に当てはめてみる場合に、はたしてそれが経済安定、発展に支障を来たしておらないかということを考えてみますときに、諸外国と非常に違いますのは、いま日本の企業の資本構成が非常に弱体化しておるという点なんです。自己資本と他人資本の比率なんか、外国とは逆のようなかっこうにまで転落をいたしておるわけです。それが非常に災いをなすという点——今度こういう景気停滞になったその原因について、財界は責任がありますことは申し上げたとおりなんですが、しかし、それとは別にいま不況状態が非常に深刻に露呈をされておるのであります。それは何かといいますと、景気循環ばかりじゃなくて、もう一つの問題は、ただいま申し上げました企業の資本構成が非常に劣悪である、この点が大きな原因をなしておる、こういうふうに考えるわけです。つまり、他人資本は利息を払わなければならぬ、元金も払わなければならぬ、そういう企業でありますから、一たび過剰設備を生ずるというような状態になりますときには、設備が過剰だからといって利息を払わぬでもよいというわけにもまいらぬ、また元金も払わなければならぬ、こういうことになる。そういうようなことから企業収益——ほかにもいろいろ原因があります。設備は遊んでおるけれども、さればといって首を切るわけにはいかないというような人件費的要素ももちろんあるわけでございますが、相まちまして企業収益を非常に悪化させ、九月期決算なんかは減配、無配という会社も多く出る状態でありますので、これがもし自己資本が相当充実しておるという状態であれば、そういう景気循環に対する抵抗力というものは非常「強い景気循環でありますからそれなりの影響は受けますけれども、今日のようなこういうひどい落ち込みになる事態ではなかろうと思うのでございます。そういう事態は、大きな心を持ってこれは是正してやる必要がある。これは企業の責任論とか、そういうのとは別の問題であります。日本の企業が諸外国と競争して、自由経済下において競争力を持つためには、どうしても蓄積を持たせなければならぬ、それには法人といえどもその税負担を軽減するということにすれば大いに役立つであろう、こういうふうな考えを持っておるわけなんです。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私どもも法人が内部留保を厚くしなければならぬことは承知しているのです。私の伺いたいのは、それでは景気のいいときはどういうことであったのか。要するに、交際費を年間五千億円も使っておるが、本来ならばそれは内部留保に回ってよかったものだと思う。そういうものを内部留保に回さないで、税法上それが経費で落ちるならば落とせるだけ落とせといってやってきた企業が、いざ悪くなったら、そういうものの見合いは税でまかなってもらいたいというのは、私は少し虫がよ過ぎるのではないかと思うのです。もちろん、内部留保が厚くなるような税制の仕組みの問題は考える余地があるかもしれません。しかし、少なくともただ慢然と法人税を軽減するということでは、いま大臣のおっしゃるような方向にっくのではなくて、それは単に税金分が利益というかっこうでともかく出てくるだけにすぎないのではないか。そういうような安易な法人税の軽減は私はやめてもらいたいと思うのです。メリット、ディスメリットが明らかになるような方向で企業努力をした者、そうして内部留保を厚くするような姿勢に立つ者にメリットがくるような税制について考えるということならば、またそれは前向きでありましょう。ただ、いま言われておることはそうではないのです。不況によって利益が減った、法人税率を低くしてもらえばそれだけはプラスになるではないかというような安易な、要するに助けを求めておるようなかっこうの救済をする必要はないのではないか。日本の今後の内部資本の充実を目ざしての方向で、税の仕組みの問題として考えるというのなら、これは私は話は別だと思うのですが、その点大臣いかがでしょうか。仕組みの問題としてはまだいろいろ問題がありましょう。たとえば、現在は配当に課税をしております。ところが、われわれの党では、すでに現在この法人擬制説というのは実態に合っていないということで、配当分は税金を取る必要はないのだという、要するに、法人実在説的な考え方の税法を党の方針として出しておるわけです。それが内部留保を厚くする一つの方法かもしれません。借り入れ金にたよるよりは、要するに増資をしたほうが有利だ、しかし増資をするためには証券市場その他の問題が整備をされてこなければならないし、貯蓄が一体どちらへ回るのかという問題から考えていかないと、単に法人税を軽減したから内部留保が厚くなるという簡単なものではないと私は考えておるのです。もしそれなら、これまでも法人税の軽減をしてきたのですから、もっと厚くならなければならない。償却を厚くすれば当然内部留保に回りましょう。だから、方向はあなたのおっしゃることに間違いのない点もあろうかと思いますが、いま言われておるのはそういうものでなくて、安易な現在の不況の回復のための一つの手段と考えられておる。そのようなことではわれわれは納得がいかないのであります。関連質問でありますからこの辺で終わりますけれども、この点は法人税ということばの問題ではなくて、中身、仕組みの問題として、もしおやりになるとするならば、ひとつ十分慎重な検討の上で、それが明らかに内部留保を厚くするものにいくのだ、単なる見せかけ上の利益の振りかえではないということは、ここでひとつはっきりお答えを願っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 堀さんのお話を伺っていますと、たいへん誤解があるようですが、私どもは不況対策としていま税制改正を考えているのではないのです。減税、公債政策の採用という考え方は、日本の経済を安全させようという恒久的な考え方から出発しておるわけでありまして、これはいささかも、いま非常に企業が苦しんでいるからそのために救済するのだという考え方から出発しているわけではないのであります。その点ひとつよろしく御了承願いたいと思います。  なお、法人税の軽減につきましては、これも申し上げておりますとおり、これは何とかして蓄積を持たせるようにしたい、こういう考え方です。その具体的な方法論は、いま税制調査会にもおはかりをしておるようなわけでありまして、いまここで申し上げますとおしかりを受けますから私の考えは申し上げませんが、そういう方向でだんだんと検討をしていく、そういう点につきましては、堀委員と考え方はそう違いはないのであります。前提だけがだいぶ違っているのであります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 最後の質問のテーマであります本年度歳入予算の赤字とその補正についてお伺いをしたいと思います。  まず総括的に、本年度におきまして国の一般会計と地方財政でどのくらいの不足を生ずるかをお教えを願いたいのであります。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 先ほど申し上げましたが、まだ的確なことはわからないのです。わからないのですが、税収はことしは少なくとも二千億円以上不足をしてくるのではないか、これは以上ということで、プラスアルファがどのくらいになりますか、まだこれからの景気の推移等もありますので申し上げるこは適切でない、こういうふうに考えております。それから、国税がそういうふうに減ります結果、地方交付税の減収が、かりに国税が二千億円減る、こういうふうに想定いたしますと、四百三十億円くらい減収になろうか、かように見ております。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 四十一年度の予算編成についてはデータがないということですが、四十年度の補正はもうすぐ目前に迫っておるのですから、相当詰めた数字が出てくると思って、われわれもこれをトレースしておったわけです。それで、実はそこに泉主税局長もおられますけれども、最終的に本年度の赤字を大別しまして、国税の収入減、これがいまあなたのおっしゃったとおりであります。とおりでありますというのは、弾力的に二千億円から二千五百億円の間であろうということで、先ほど泉さんにひざ詰め談判しましたら、大体二千三百億円くらいだというところまで煮詰まってまいったわけであります。向こうの席で泉さんが手を振っておりますけれども、手おくれです。ですから、おおむねその程度と理解して誤りないと思っております。内訳等を申しますればいろいろありましょうが、法人税の減少が主たるものでありまして、結局いまのような数字になるということ、それから、赤字というのは、国税収入が減るということだけでなしに、歳出増があるわけです。歳出増による赤字というものは、結論的には千五百億円と出ました。内訳を言いますと、健康保険などの義務的費用精算不足分が約二百五十億円、このうち健保関係が約半分の百十一億円を占めております。それから公務員給与改定なんですが、これはいつから始めるかということによって違いますが、昨年の例ですと九月からということになります。九月からですと四百四十億円一応こういうことになりそうであります。それから災害の補てんということになりますが、八月十六日現在で報告された災害の総額が八百八億円、ところで、四十年度において補てんしなげればならぬものは、経験的な数字からいうと一五%ないし二〇%だそうですから、これはおおむね二〇%として百六十億円、それに問題の食管会計の赤字補てんであります。かりに値上げに対応する分をそのままやはり国家のほうから出すということになりますと、これが六百五十億円であります。以上を締めくくりますと約千五百億円ということになるわげであります。  次に地方財政の問題ですが、これはあまり問題に出ていないのですが、案外深刻な事情になっておるようであります。結論的には、地方財政は千六百二十億円の財政不足となるように計算が出ます。内訳を申しますと、先ほど大蔵大臣も触れられましたが、二千三百億円くらいを国税収入減といたしました限りにおぎまして、地方交付税の落ち込みというものは四百七十億円くらいになります。それから地方税そのものの収入減、おもなるものは法人税割り、それから法人事業税でございますが、この分で今年度に減収となるものが、両者合わせまして六百二十億円ということになります。その他遊興飲食税とか、そういうものも不景気ですから減ってくることと思いますけれども、そういうものを除外しまして、法人税割りと法人事業税において六百二十億円の減収が見込まれる。それから地方公務員の給与費の増額でありますが、これまた昨年どおり九月から実施ということになりますと、四百九十億円になります。それから、中央で補てんすべきところの災害対策は必然的に都道府県負担分を招来しておりまして、先ほどの中央負担の災害費が百六十億円といたしますと、これも経験的に八対この割りになるそうですから、四十億円ということになります。このそれぞれを合わせますと、地方財政において千六百二十億円の赤字を生ずる。したがいまして、国税の一般会計で三千八百億円、地方財政で千六百二十億円——二十億円はとりましても千六百億円ということで、おおむね五千四、五百億円程度帰赤字の総額になるわけです。この点が当たらずいえども遠からず、煮詰まった数字であると思いますが、念のため担当の政府委員方から御確認かいただきたい。

泉美之松大蔵事務官(主税局長)

○泉説明員 まず、税収の点でございますが、先ほど大臣から御答弁がございましたように、本年度の金額といたしましては、まだ二千億円ないし二千五百億円、はなはだばく然として申しわけございませんけれども、先ほども申し上げましたように、本年九月決算の法人税収がどうなるか、それを受けて年末のボーナスが前年に比べてどうかるか、それからさらに、今後年末までの間の酒の消費等がどういうふうになるか、こういった不確定な要素がありますので、正確に見積もった数字を申し上げかねるのでありますけれども、二千億円ないし二千五百億円、まん中をとれば二千三百億円くらいのところですかな、ということで申し上げておるのでございまして、正確な数字としてお聞き取りいただくのにはもう少し時間をかけないとはっきり申し上げかねると思います。  それから、地方税のほうは税務局長がお見えになっておりますから、税務局長のほうから……。

細郷道一自治事務官(税務局長)

○細郷説明員 ただいま地方財政の見通しについていろいろお教えをいただきました。実は、私どももことしの経済の情勢から申しまして、税収の見通しについて非常に難儀をしておるのでございます。実績は年度の経過によっておいおいとあらわれてくると思うのでありますが、現段階において見通しを立てうということになりますと、どうしても地方の場合でありますれば、御指摘のような法人税割り、法人事業税をどう見るか、これは法人税と同じベースで原則的に計算をいたしておりますので、達観いたしまして、法人税の減収額の大体半分というのが法人税割り及び法人事業税の見通しになるのではなかろうか、それから交付税につきましては、御承知のような三税の二九・五%、約三割でございますから、三税の収入見通しが明らかになりますれば、それによって自動的に出てまいると思うのでございます。  また、歳出のほうでは、給与につきましては、九月からやれば、現在の標準的な計算でまいりますと、大体御指摘のような数字になろうと思います。災害の点は、災害の補助費の出る科目によっていろいろ変わりますので、これも仮定の数字になろうかと思います。  えらく要領を得ないことでありますが、現段階におきましては、大体そんなこととお答えいたしておきます。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村説明員 いろいろ前提を置いての御計算でございましたが、かりに給与引き上げを九月から実施するとすれば御指摘の数字になると思います。それから食管は、いわゆる生産者価格の値上がり部分をそのままとれば御指摘のような数字になります。もっともこれは、買い入れ額を一応予定している四千七百万石でございましたか、そこに置いておるわげであります。それから例の精算不足の額は、これは精算でございますから、すでに決算もいたしておることでございますし、大体御指摘の数字が考えられるところであると申せます。  あとはいろいろの前提を置いたお話でございますから、一応そういうこととして承ります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 関係各位からおおむね及第点をちょうだいしました。したがいまして、総括不足がおおむね五千四、五百億円ということは、ややここで煮詰まった数字として理解して、お互いに確認できると思うのです。確認までしなくても、認めるくらいでもけっこうですが、そういうことになると、この補てんをどういうふうにしてなさるのかをお伺いしたいのでございます。大蔵大臣からお答えをいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 第一は、冗費の節約と申しますか、とにかく急がないで、しかも景気変動に差しつかえないというような費用を極力切り詰めてみる、こういうことであります。  それから第二は、予備金がまだ大部分残っておるわけであります。これを充当いたします。  それからさらに、税以外の面におきまして、財源があるかどうか、これをよく調べてみたいと思っております。それでもなお相当の不足が出るのでありますが、これは借金でやっていく、こういうことにいたしたいと存じております。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 バランスのほうは借金してやるということですね。そうすると、いまあなたのおあげになりました予備費ですが、これは当初に五百億円組んでありますが、すでに医療関係ですか、百三十一億円出ております。そういうことになりますと、三百億円ほどが使えると思います。もっとも、またひどい災害でもありましたらたいへんですが、一応三百億円くらいは予定できると思う。それから経費の節約が百五十億円程度、税外収入の増の見込みがこれまた百五十億円程度、それから日銀納付金の繰り上げですか、かなり苦肉の策であろうと思いますが、これが二百億円程度、その他を合わせて一千億円ぐらいは大体かせぎ出せるであろうということ、そういたしますと、先ほどの総括不足の五千四、五百億円に対しまして、まだどうも隔たりがうんとあるわけですね。そうすると、結局あとの四千四、五百億円というものの財源補てんをもう少し具体的におっしゃっていただぎたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 平岡さんの言われるのは中央と地方とをごっちゃにしてやっておられるようですが、そういうふうな財源をどうするかという問題になりますと、これは分けてやらなければならぬわけであります。分けてみた場合におきまして、中央財政では、ただいま申し上げましたような財源をもって補正を編成する、荒筋はそういうふうになろうかと思います。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 では、分けてお伺いします。  中央のほうが、先ほどの試算で、総括不足として三千八百億円であります。いまいろいろのアイテムからはじぎ出されたものが約一千億円といたしますと、二千八百億円ほどが不足すると思いますが、これは具体的に公債としてやるのか、政府保証債でやるのか、借り入れ金でやるのか、こういう点につきまして、もう少し詳しくお教えを願いたいのであります。もっとも、先ほど佐藤委員からの質問に対しまして、そういう足らぬ部分は公債発行か、予算の組みかえか、あるいは財政制度審議会にもう少し審査をさせるか、こういうお答えであったと思いますが、公債発行の場合には赤字公債はとらない、つまり日銀引き受けにはさせない。そこまではいいのですけれども、市中消化につとめた結果、買いオペの対象になるということはあり得るというこどですから、この辺は非常に弾力性があり過ぎて、私どもはあまりいい顔ができないところでありますけれども、公債発行に全部もたれかかるのか、あるいはあなたのおっしゃるこの予算組みかえの中には、先ほどの経費の節減とか、そういうふうなものも入っていることと思うのですが、先ほどの佐藤さんに対するお答えの中に、予算組みかえの中身があまりありませんので、この際お答えをいただければ幸いです。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 予算の組みかえと公債の発行と、それから借り入れ金というのは、これは両立さすべきものじゃないのです。相当多額の財源不足になりますが、それに対しては、まず歳出の節約をする、それからさらに予備金を充当する、その他普通財源も税外の財源もできるだけあさってみる、よって生ずる不足に対しましては、これは借金もいたします。その借金の方法は、借り入れ金によりますか、公債証書という形をとりますか、これはまだきめておりません。利害得失、いろいろあります。こういうことを申し上げておるわけであります。それが大体今日の段階では申し上げ得る限度でございます。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 あと一点だけ。地方債のほうは、これは国は知らないんだ、そういう言い方でもないでしょうけれども、地方債は別に質問しろということです。地方債の補てんにつきまして、当然それは国がめんどうを見なければならぬと思うのですけれども、あなたのおっしゃる意味は、地方自治体の自主的起債を認めていくという方向がこの際とられていくのかどうか、この一点だけお答えいただきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 今度の経済不況によりまして地方自治団体は非常な打撃を受けるわけです。それは、申し上げるまでもなく、交付税が減るという問題があります。また、地方の税自体が減収を来たすという問題があるわけです。そこへもっていって、また公務員給与をどうするかという問題があり、私は地方財政というものが非常にむずかしい事態になってくるのだろうと思いますが、今日ただいまの時点におきましては、まだ公務員給与に対する態度をきめておるわけでもないし、また税の収入がどうなるかという的確な見通しができる段階でもないし、地方自治団体におきましても極力冗費は詰めるという基本的態度はとってもらわなければならぬと存じておりますが、その他の財源不足対策というものはまだよほど時間がかかるのでありまして、今日はまだ申し上げるところまで至っておらないわけであります。

平岡忠次郎日本社会党

○平岡委員 ありがとうございました。現時点においては時間的に無理である、しかしもう少し時間が経過しましたら、あなたからもっと的確なお答えがいただけることを期待いたしまして、私のきょうの質問を終わりたいと存じます。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 武藤山治君。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 佐藤委員並びに平岡委員より多方面にわたる角度から御質問がありましたので、なるべく重複を避けて、大臣の見解をひとつ確認をいたしたいと思います。  御承知のように、前回の委員会でもここですでに論じられたのでありまするが、高度経済成長の矛盾の激化があらゆる面に明らかになってまいりました。そこできょうは、政府のとった高度経済成長政策の矛盾の激化というものが、どういう点に、どの程度あらわれているかということを具体的に各方面にわたってお尋ねをしたいと思うわけであります。  第一には、景気の問題について少しく尋ね、第二に、補正財源について、ただいま平岡さんから質問がありましたが、もう少々具体的に尋ねたいと思います。第三は、地方財政の危機といわれる市町村財政の今年並びに明年におけるたいへんな事態に政府はどう対処しようとするのか。第四には、資本主義の最も犠牲者になる中小企業の倒産の問題でありますが、依然として倒産や銀行の取引停止処分というものが衰えていない。こういう中小企業は今後政府の施策によってどう処理していくのか。さらに第五番目には、大臣は、先ほど国債は発行する、しかも市中消化でやる、こういう明快な大臣の判断を示されたわけでありますので、市中消化の場合の条件、そういう具体的な内容についてもきょうは伺ってみたいと思います。以上五点について、これから逐一お尋ねをいたしまするので、ひとつできる限り明快な御回答をいただきたいと思います。  最初に、昨日の株の価格の情勢などを見ますと、四億四千万株の取引があった。これはまさに戦後三回目の大きな商いである。こういう情勢が今日の不況感に与える心理的な影響は非常に大きいと思います。つい最近の八月中ごろまでは、ダウ平均千四十円、これはたいへんなことだと意気消沈をしておったのでありますが、先月二十六日ごろからウナギ登りに株の値が上がってまいりまして、すでに昨日は千二百六十円を記録した。こういう千二百六十円のダウ平均になったということは、今日の経済の実勢を一体反映しているのかどうか。なぜこう急激に株の値がぱっと上がったのか、その原因を探究してみると、好ましからざる条件が証券界の中に入っておるのではないか。すなわち、安定的投資、安定的な株価というものでなくて、非常に投機的な操作というものが行なわれ過ぎたきらいがあるのじゃないだろうか。そういう点から株価の今日の変化というもめに対して私どもは非常な関心を持つのでありますが、大臣、ここ二、三日、特に昨日のような状況というものを経済関連の上、どのように一体認識されておるのか、この辺を最初に承っておきたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 景気変動期におきまして株価が上下いたします。これは非常に敏感に動き、しかも経済の実勢に先行して動くというのが常例でございます。今度の株価の回復につきましては、やはり証券界が、日本の経済がもう底を固めた、これから回復過程に入るのだという判断のもとに、まだ経済の実態はそこまでいかないけれども、それを予見して動いておる、こういう現象かというふうに見ておるわけであります。景気は、この一、二カ月諸指標を見ますると多少改善の傾向があるわけであります。しかし、政府がとりました金融政策あるいは財政政策、特に財政投融資による公共事業の幅の拡大という問題は、まだ現実にはそう活発には動いておる段階ではないのであります。ああいうことをきめますと、ややもすると、それがきめたままで実施が手間どるということがありがちでありますので、そういうことがあってはこの緊急な事態には間に合わぬという見地から、私は非常に馬力をかけております。毎週毎週その進捗状況を点検するというくらいな努力をしておるわけでありまするが、大体において、今月、九月ごろから年末にかけてそれが全面的に実行に移されるというふうに見ておるわけであります。いま株価の動きが非常に活発になってきましたが、それはそういうような事態を予見をしての動きである、こういう見方をいたしておるわけでありまして、この見方が当たるか当たらないか、これは今後経済政策が着実に効を奏してくるか、あるいは民間の態勢が政府の施策と相呼応して動いていくだろうかというようなことにかかっておると思うのでありまするが、大体経済は株価にあらわれておる方向のように着実に回復していくだろう、こういうふうに私はいま見ておるわけであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そういたしますと、昨今の株価の情勢というものは、もう底をついた経済というものが、大臣のことばで言うならば、つま先上がりに上がりつつある、もう上昇局面に向かいつつあるというそういう先見が今日の株価を上げているのだ、決して投機的な機関投資家の故意に株価を上げようとする操作ではない、こう大臣は判断をされておるのですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 投機的に株価を操作しようというような動きではないと、こういうふうに見ております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そういたしますと、現在の株価の情勢がまた落ち込んで、今年経験したようなひどさよりももっとひどい次の落ち込みというものが起こる危険、そういうようなものを大臣は全然お感じになっておりませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 株価のことでございますし、私が株の将来はどうなるであろうというようなことを申し上げますことは、非常に重大な影響がありますから申し上げかねます。その点は私お答えいたしかねますが、とにかく経済はつま先上がりによくなっていくであろうということをもってかえさせていただきます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 大臣が答えられないような問題をなぜここに引き出したかというのには理由があるわけであります。政府は、株の値が暴落をしてたいへんだというときには、無制限、無担保、無期限でも金を出す、すでに、共同証券あるいは保有組合、山一証券、大井証券、合わせて五千三百億からの金がこれらにつぎ込まれている。しかも約五千億円というものは、株を凍結するための、たな上げするための資金として出されておる。落ち込んだときに国がそこまで見たら、あと今度は内部が非常な無統制あるいは投機的な意向で株価がつり上げられるようなときの指導というようなものに対しても、大蔵省としては、下がったときばかりではなくて、そういう無理な、何か実勢を反映していない株価の場合には適切な指導が必要ではないか、こう私は考えるのですが、そういうような考え方は大蔵省としてはとらざるところでありますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 株価が下がった、それで日本の経済の中枢が麻痺をする、ひいては経済界が大混乱になる、そういうような事態に対しましては、日本の信用制度維持の立場から政府は重大な関心を持っており、対策も講ぜなければならないわけでございますが、上がった場合に、そういうふうな混乱あるいは信用の破壊というものにつながってくるかどうかという判断はきわめてむずかしい問題であります。そういうようなことで、今日の株価自体がそういう混乱あるいは信用制度の基本に関するかどうかというと、そうは見ておりませんから、私どもが何ら手を出す必要はない、また出すことは害がある、こういうふうに考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 過去において池田財政、池田金融政策というものが、株の上昇というものをとにかく表現させようとして非常な無理をされて、その結果が今回の非常に落ち込みのひどい経済状態に追い込んだわけだと私は考えるわけです。ですから、投機的な操作というものが行われる際には、やはり証券局として、私は、適切な指導——強力な国家権力による表現、非常に露骨な対策というものは慎むべきであろうと思いますが、うまい指導をしないと、次の経済循環にこれがもっとひどい現象になってあらわれて、はね返ってくるのではないか、こういう点を心配するあまり、一応大蔵大臣に今後十分こういう点をもひとつ検討していただきたいと考えております。  それから、証券問題がきっかけに出ましたからちょっと尋ねておきますが、前回山一証券の再建案を当委員会で発表されたときに、一日平均八千万株程度の取引、しかも九月をめどにして約六十八億円からの時価相場の不動産を処分する、こういう再建案の骨子が発表されたわけでありますが、現在この不動産処分の目安はどうなってきたか、しかも、今回の株の上昇によって、大蔵省が指導した再建案がそのものずばりに再建できそうだ、こういう明るい見通しになってきたのか、それともまだまだ山一の問題には非常な困難があると考えておるのか、そこらの証券局の見解をひとつ明らかにしていただきたい。

加治木俊道大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○加治木説明員 お答えいたします。  山一証券のその後の状況でございますが、計画発表当時に比べまして、七月末で見ますと、店舗で十三店舗ばかりすでに閉鎖いたしておりまして、七十七店舗となっております。人員で約五百名弱、四百八十名ばかり減少いたしております。それから不動産でございますが、七十億弱の当初の処分予定でございましたが、すでに五十五億ばかり七月末までで売却済みでございます。具体的な個所等をこの席で申し上げるのは御遠慮させていただきますけれども、いまこういう環境下でこの程度の実際の処分の進捗率でありますと、かなりの進捗率とわれわれのほうでは見ております。それから経常収支のほうでございますけれども、まだ七月は例の金融機関のたな上げ措置が実際に働いておりません。内容的にはきまっておるのでございますけれども、いろいろな書類手続その他でおくれておりますので、まだこの面の効果が具体的に出ておりませんが、これは当初計画いたしましたとおり、六月にさかのぼって実施される予定でありますからその分を一応現実の七月の経常収支から差し引いて考える、それから七月にボーナスが出ております。したがって、こういったものを全部平月計算にかりにわれわれのほうでいたしてみますと、七月でほぼとんとんという状況になっております。八月はまだ締めておりませんけれども、かなりの黒字が出るのじゃないか、かように考えておりますが、しかし、八月の出来高の状況、収入ぐあいをわれわれは今後の合理化計画の前提として、予想数字として、大きくこれをふくらまして計画をダウンさせるような気持ちは毛頭ございません。しかし、結果的には八月は相当の黒字が出ております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 つい最近田中証券が倒れたときに、債権者が押しかけて、いまだ解決しない。かなり投資家には迷惑をかけたというので、週刊誌ものにまでなったわけであります。そこで私は心配をするのでありますが、いま証券法の改正以後いよいよ資本金を引き上げるという問題が決定されて、約八十社くらいの小さい証券業者が、資本金の底上げができないために、廃業か、もしくは合併をする、こういう実情だということが大蔵省の見解として日本経済に発表されております。そこで、この八十社がもし廃業したら、統合の場合は問題ないと思いますが、そういう場合に投資家というものに全く迷惑がかからないような処理の仕方、そういうものを大蔵省としては指導すべきであろうし、しておると思いますが、そういう証券業者八十社くらいのものに対する今後の処理の方針、あるいはもう一つの問題は、現在三十四カ所にある協会を、前々回か、堀委員から、これをもっと整備して全国一本にすべきだとか、あるいはどうしてもできなければ大阪と東京くらいに統合するとか、こういう注意がなされてきたわけでありますが、この際これらの問題についても大蔵省は指導しなければならぬ責任があると思う。そこらの状況はどのように進んでおるか、これもひとつ明らかにしてもらいたい。

加治木俊道大蔵事務官(大臣官房財務調査官)

○加治木説明員 新しい資本金基準に達しないというか、達することができない、しかも先行き、無理して投資しても自信がない、こういう形でやめたいという証券業者がどのくらいの数字になりますかはまだはっきりいたしておりません。おそらくそういう証券業者が出ることはたぶん予想されると思うのでありますが、その場合にそういう形でもって店舗を閉鎖することが、直ちに投資家に迷惑をかけるということにはならないと考えております。これは現実にそういう店の収支内容、財産内容等を具体的に洗わなければはっきりしたお答えはできかねますけれども、一番問題は、保護預かりを、お客のものを帳簿外で処理して、当然預かっているべきものがなくなっておる、しかも、われわれのほうの検査の結果では必ずしも把握できてない、こういう問題があると、予期できないような事態があるいは発生するかもしれませんけれども、資本金の二千万円弱という規模の会社でいまのところそういったものが相当多く出る、相当多くというのに片手ほども出るかというような、そういう感じは全然ございません。それから、全体の業界のそういう場合についての自助機構といいますか、お互いの間で将来の自己の営業規模、売買高等にスライドさせて一定の積み立て金をこしらえる、こういう前提で自廃する会社に対して何がしかの見舞い金という形でもって自廃をスムーズに行なわせる、こういう自助機構をこしらえようという機運が、特に東京を中心にしてかなり進んでおります。しかも、それはかなり具体的な形で進んでおります。われわれはこれは非常に歓迎すべきかまえであるということで、われわれとしても側面的にできるだけの協力なり指導を現在いたしておりますが、まだはっきりこういう形でこの程度の見舞い金を出すというところまできまったということを申し上げかねますけれども、かなりこれは期待していいような段階まできておると思うのであります。これを単に東京だけということでなく、これは業界自体の自助組織でございますから、権力でもって指導することはでぎませんけれども、できるだけ東京に右へならえということで指導することは、われわれとしては考えております。  それから、協会の問題でございますけれども、協会は、御承知のように、全国の証券業者を会員といたしておるわけであります。そのほかに取引所という会員組織があるわけでございますが、取引所会員である団体の規制は取引所を中心にかなかまとまりよく指導されておるわけであります。ただ、取引所会員の規制は、取引所の中における取引秩序の保持という点に重点が置かれておるわけで、協会としては、個々の証券会社の顧客に対する取引、営業の進め方、マナー、こういったものが協会としての指導の、あるいは規制の重点事項になるわけであります。そういう問題の性質上、地方的なカラーのある問題よりは、むしろそういう問題は全国的に統一した規制をしなければならない、そういう内容の仕事が多いわけであります。したがって私は、制度論としては、全国一本の機構でもってこれが本来の目的を達するようになることが望ましい、かように考えておりますが、これは協会自身の現在の制度のもとでは自発的な意思による組織になっております。それから全国一本という場合も、必ずしも一つの法人格を持った全国協会という形で考えなくても、個々の地方別の協会があっても、その全国組織というものが強化できれば同じ目的が達することになると思うのでありますが、現在連合会という制度がございます。ただ、連合会は、現在の実際のあり方は個々の協会の取りまとめだけであって、積極的な指導方針を打ち出す、また、それを下部の機構を通じて現実の規制方式に変えていくという、そこまでの働きをいたしておりませんが、その辺をもし協会がすることができれば、やはり同じ目的を達することができると思うのであります。いずれにしても、われわれとしては、そういう形でもって協会が本来の目的を達するように発展していくことが望ましいと考えておりますが、いま具体的にそ弘いう方向で進んでいるかという御質問がかりにあるとすれば、そこまではまだいっておりません。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 たいへん答弁のほうが長いので時間がなくなってしまいますから、ひとつ答弁は端的に答えていただきたい。  次に、資本主義の第二の矛盾の早くあらわれる面、中小企業の問題ですね。これは福田さんが大臣になられる前から、すでに三十八年の終わりごろから倒産件数がずっとふえておる。しかもそれが今日横ばいになっておる。数字を私が申し上げなくても大臣御承知のように、三十九年の一—三月が平均二百三十七件であったのが、その次の期からは三百三件、三百四十三件、十—十二月期は五百十一件、四十年に入ると四百七十七件、四月—六月が五百二十件、七月になってもさっぱり減らない。八月になっても、つい最近の報道を見ても倒産件数は横ばいに続いている。不渡り手形の枚数を見ましても、銀行取引停止処分の件数を見ましても、どうも多過ぎるような気がするわけであります。そこで、資本主義経済を運営する資本主義者である自民党の大蔵大臣は、うまい経済の運営——資本主義経済の功罰をもし評定するとするなら、うまい経済の運営というのは、一体中小企業がどの程度の倒産に押えられることが——まあまあ日本の資本主義を運営する上においてはこの程度はやむを得ない、最小限の倒産は常時あるんだ、そういう一つの経済運営の上におけるやむを得ざる倒産件数というのは一体どのくらいに大臣は認識されておるか。もし大臣がそれを数字で言うことができなかったら、銀行局長どうですか。うまい資本主義経営はこの程度でおさめなければならないというような点、これは私ほやはり一つの基準になると思う。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 倒産が中小企業にたくさんあることは承知しております。ことしに入ってからの経済は非常に悪いわげですから、ことに六月前後の状況はひょっとしたらこれは恐慌になるんじゃないかというくらいな情勢でございますから、小さい企業である中小企業がその影響を受ける、これは当然のことだったと思うのです。しかし私は、これから経済が発展過程のあとにそういう極端な落ち込みが出てくるというようなことをなくしていく、そういう経済運営を通じまして中小企業の安定をはかる、これ以外に道はないと思うのであります。また、そういう考え方の一環として、中小企業といえども蓄積を持つ、これが非常に大事だと思うのです。倒れた事業というのは、ほとんど借金をしておるがゆえに倒れる、こういうことだったと思うのでありますが、そういうことを是正するための施策、これをとっていく考えであります。また、金融につきましても、財政投融資方面の配慮とか、いろいろいたしまして、そういう面からの倒産も防いでいきたい。ただ、倒産がどのくらいの規模になったら安定状態かということになりますと、これは倒産の様相、内容にもよりますから、私は一がいに申し上げにくいと思いますが、そういう事態がなるべく少ない、そう目立たない状態というふうにいたしたいと存じております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 大臣、なるべくそういう倒産の事態が目立たないような経済、これがうまい資本主義経済の運営者——将来歴史家が、なるほど福田大蔵大臣は倒産件数はこのくらいに押えるような施策をやった、取引停止処分はこのくらいにおさめてやった、その場合の一応の過去の歴史上のトータルから判断はできるはずであります。そこで、私はちょっと参考に申しますと、昭和三十七年、八年当時の銀行取引停止処分というのは大体一万件前後です。毎月一万件前後が銀行取引停止処分を食らっておる。ところが、最近の様子は、取引停止処分だけでも、五月は一万七千、六月は一万五千、大体昭和三十七年、八年の初期ごろと比較して五割取引停止処分がふえているわけです。ですから、たいへんな数字だと思うのです。そこで、やはり資本主義というのは、必ず大資本のところはどんどん雪だるま式に太り、不安なときには政府がめんどうを見る、あるいは銀行が協調融資でもなんでもやってめんどうを見る。そういうめんどうを見てもらえない中小企業の諸君は、政府の施策をじょうずにやってもらわぬことには、これほどの数が出たときには彼らは政府を恨む以外に手がない。しかも、倒産をして、翌日からは女房が内職をやって食わしていくというような非常に悲惨な生活をしなければならない。これはまさに資本主義の最大欠陥であり、矛盾ですよ。これをどう減らしていくかという、大臣としてしっかりした態度というものをとらなければ、資本主義で中小企業が倒れるのは経済の原則だ、やむを得ない、そこまではいいですが、件数を比較してみて、毎月一万件取引停止処分を食うのと一万五千件食うのとでは、五割もふえているわけです。とにかくここ一年半の間ずっと続いているわけですから、どこかで早く切断をする方法というのは私はあるはずだと思うのです。山一証券や大井証券を投資家保護、信用保持という名目のもとに救うならば、この中小企業だって半分くらいは何とか救える方法はあるはずであります。きょうはその方法を大臣に教えるだけの時間がありませんから遠慮しますけれども、半分くらい減す方法は何ぼでもあると私は思うのです。それは、特に本人が無能で、でたらめで、もう倒産を覚悟でやったというものはやむを得ませんが、それ以外のものは救える道がある、半分くらいに減らせる。少なくも日本資本主義を運営するためには、取引停止処分は一力月六千件くらいでひとつ食いとめようという何か目安を持ってしかるべきじゃないかと思うのですが、そういう目安は何もなくて、時のおもむくまま、経済の自律作用の動くままに中小企業が倒れていく、これでいいのでしょうか。何か目安を、ひとつ銀行局長と大蔵大臣、しっかり御相談をして立てるべきではありませんか。そう思いますが、いかがですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赴)国務大臣 中小企業の倒産の中にはいろいろ原因があると思うのですね。経済の変動その他経営者の力ではどうにもならない原因で倒産するというものもあるし、また経営者自体の責任において倒産をするというものもあろうかと思うのです。経営者の経営の失敗から倒産をするものに対しましては、これはなかなか手の尽くしようもこございませんけれども、そうでなくて、経済全体の動きの影響として、自己の努力いかんにかかわらずつぶれていくというようなことは、これはどうしてもなくさなければならない。いま武藤さんのあげられる数字の中にはそういう両方のものが入っていると思うのです。でありまするから、どういう件数にしたらいいかということはなかなかむずかしいことじゃないかと思いますが、とにかく、中小企業者、その経営者の責任でない原因によって倒産をするというものは、これはなくしていくというふうな運営ができればまことにいい状態ではあるまいかと考え、そういうふうに努力をいたします。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 銀行局長、いま大臣が答弁しておる間に、過去の平均、たとえば昭和三十年ごろからの倒産件数なり、あるいは停止処分なりの数——経済がいいときでもこれだけつぶれているのだから、この線はやむを得ない、そういうやはりひとつの数字があると思うのです。あなた、銀行を監督する銀行局長として、この辺までの倒産で、あとは厳密に調査をして、つぶれるものはなるべく救っていく、やはり銀行局長がそういう一つの目安を持つということによって、中小企業は喜びますよ。過去の実績で答えられたら答弁してください。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 過去の好況期におきましても、先生御指摘のように、やはり相当数の取引停止処分があるわけでございます。たとえば昭和三十五年、六年あたりを見ましても、やはり十万件以上のものがあるわけでございます。ただこれはいわゆる法人の取引停止というもの以外に、個人の分、あらゆるものを含んでおりますので、必ずしもこの数字をもとにいたしますのがよいかどうか、いろいろその点は問題があろうかと思うのでございますが、ただ、先生のおっしゃいますようないわゆる適正倒産率と申しますか、非常にことばが悪いわけですが、そういうものは実際問題としてはなかなか定めがたい、まあそのときそのときの経済情勢の変化もございますし、それから、法人数の増減とか、いろいろな取引態様の変遷といったような複雑な要素がからみ合う問題でございますので、一がいに、この程度ならばいい、過去においてこうだったから今日もこのくらいというわけにもなかなかまいらぬのじゃないかと思いまして、御指摘の点、私どもとしてもいろいろ今後とも勉強はいたしたいと思いますが、御注文に即した計数的なものをぴたりと出しますことは、実際問題としてなかなかむずかしい事情にあろうかと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そう的確な数字をぴちっと出して指導しろなどと私は言っているのじゃない。やはり、日本資本主義は長く続くのでしょう。社会党が多数になれば変わりますが、まだ当分続きそうです。そのときに、おまえら倒れるのはやむを得ないのだ、資本主義なんだからといって、うっちゃっておるのです。大ワクで、中小三公庫に対するワクは広げたとかなんとかいうけれども、つぶれる中小企業の立場になったら、全く手が届いてないわけで、手形交換高の趨勢と不渡り手形の趨勢と比較しただけでも倒産が異常に多いということは明らかです。昨年の六月ごろから異常に多いということは明らかです。それが一年たっても食いとめられないのですよ。これが私は残念なんだ。この前予算委員会で田中大蔵大臣と池田総理に質問した際に、こういう不況のときには各市町村やあるいは政府三公庫に特別相談室をつくりなさい、そして、そういうものの半分くらい、かりに妥当なものは生かしておこう、これは救わなければ気の毒だという理由は調べれば一目瞭然わかるのですから。それが、そういうものを具体的に救済する手だては何もない、銀行にまかしておくわけです。銀行は、ちょっと気に食わぬからといって、ぴたりととめれば倒産です、取引停止処分です。一日手形の期限がおくれたといって交換所に回されれば、それで取引停止処分を一年、二年食うのですよ。そういう中小企業の立場、実態というものをひとつ十分認識して、もう少し血も涙もある施策ができるはずだ。いまのようなこういう事態のときだけは各市町村に一応相談所を置くなり、三公庫に特別なものを置いて、とにかく一週間後にあぶない、三日後には不渡りになりそうだという人は一応相談しなさい、その相談した中で、これはこういうわけであなたの責任ですよという経営分析までそこで話してやれば、倒れる場合でも、本人はなるほど自分の罪だと思いますよ。しかし、つい最近までは高度成長だといって、やれ相手に負けるなと、どんどん——九%は十年間心配ない、わしが十年間倍増政策をやっていきますよと総理大臣が宣伝しているのですよ、中小企業がその波にみんな乗ったわけです。だから、まるっきり政府は責任がないとは言えない。これはやはり政府の政策の掲げ方、スローガンの掲げ方にもかなりの問題があったからそうなってきた。だから私は、もうちょっと血や涙のある福田財政金融政策をこの辺で確立してもらいたい。個別にやれる方法があるはずであります。いまからでもおそくはない。どうですか。まだ不況は続きそうですけれども、つま先で上がり切るまでまだたいへんです。少しつま先に力が入った程度で、まだたいへんでありますから、いまからでもおそくはないと思いますが、大臣、何かそういう新手を考える御意思がありますか、検討する意思があるかどうか、ひとつ……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 たいへん参考になりましたから、よく検討してみます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 次に、先ほどの補正財源の問題で、平岡さんに答えて、大臣は借金でやるということだけは答えたわけであります。冗費を節約し、あるいは足りないものはどうしても借金でやる。予備費が三百億円ぐらい使える、あるいは冗費節約で二百億円ぐらいかりに出たとする、それでも一千億円足りないわけですね。その足りない一千億円は公債発行というわけにはいかぬでしょうね、補正予算は国会に来月出すのですから。まずその前に聞きましょう。補正予算を来月出しますか、出しませんか。それからひとつ……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 まだ補正予算は不確定要因が非常にあるわけです。特に歳入面で不確定な要因が多いわけでありまして、ぎりぎりというところでこれを編成するほかはない、こういうふうに考えておるわけです。したがって、補正予算を御審議願う時期は十一月になろうかと思います。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そういたしますと、十月に国会が召集されて、日韓の批准問題だけ少しごちゃごちゃやっていて、最後のぎりぎりの十一月になってから施政方針演説の中へ入らなかった補正予算問題が出てくるのですか。これもちょっと変則ですね。やはり国民の代表の場である国会には、開会されたらこの国会にはこれだけのことをやるのだという施政方針演説、財政演説があってしかるべきじゃないですか。じゃ、財政演説は今度は当初やれませんね。どうですか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国会開会劈頭に予算も提案をするというものも一つの考え方でありましょうが、とにかくいま経済がネコの目のように変動している時期であります。なるべくそういう変動のおさまりを見てやることが適切である、そういう見地から、国会も押し迫ったころ、こういうことがやむを得ない措置かと考えております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そうしますと、健康保険、政府管掌保険の社会保障制度審議会の答申が出たり、この間は大内さんを会長とする審議会も政府にすでに答申案をまとめて新聞発表までしている、こういう事態でありながら、いまここで補正予算が発表できない。先ほど大臣は借りてやると言われたが、借りてやるなら、もういまつくれると思うのですよ。借りるには、大蔵省預金部から借りるか、大蔵省証券の発行をするか——日本銀行から借りるのはちょっとまずい、こうなれば、この二つのうち、大蔵省預金部からもし借りるとしたら——さっき大臣の言明で、足りないものは借りるというところまではっきりした。じゃ、どこからまず借りられるか、借りる可能性のあるところ——まだ借り先は決定をしていない、借りられる可能性のあるところ、今日の財政上から見てどういうところから借りられますか。主計局長でもいい。もし大蔵大臣にわかっておれば、借りられ得る可能性のある機関というのは一体どういうところでございましょう。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 何といっても、いま経済が非常に不振な状態であり、金融は緩和基調でございますから、これは市中ですね。これが一番借り先としては量は大きかろうと思います。それからもう一つは資金運用部というお話ですが、これもまた借り先として考え得られるところかと思います。そういうところでしょうか。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 これは主計局長でわかりますか。預金部で持っている金融債は現在どのくらいの金額があるかわかりますか。

中尾博之大蔵事務官(理財局長)

○中尾説明員 六月末現在で二千四百三十四億二千八百万円ございます。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そうすると、大臣、いま理財局長が発表したように、金融債を二千四百三十四億円預金部が持っている。この金融債を市中に売るなり、日本銀行に買いオペの対象にしてもらうなり、そういうような方法で財源をつくるという可能性もあり得ますか、あり得ませんか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 あり得ますが、その額は、いま理財局長から話したその額ができる状態ではありません。本年度の、今後の資金運用部自体といたしましていろいろと修正を要するところがあるのです。つまり、一般の会計におきまして補正が必要であると同様に、資金運用部におきましても補正がありまして、さて、ぎりぎり残ってそれを処分し得るという状態になった場合に、その額はきわめて軽少である、こういう状態になりそうであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 きわめてわずかしか使えない、だから、これは当てにできないという大臣の意向のようであります。たいして当てにできない。そうすると、大蔵省証券の発行という手しかなくなってくる。市中から借りるということになれば、やはり公債発行でしょう。公債発行は、いま市中銀行が年度内はわしらは困るという意見をちらほら新聞に出していますね。もし市中で公募するのならば、来年度からでなければ金融機関としては困るということを全銀協でもすでに発表しています。そうなると、なかなか年度内国債発行というのはむずかしいのではないかと思うのです。大臣、むずかしくない、こう答えられますか。年度内国債発行はむずかしくないんだと……。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国債を発行する形をとりますか、また借り入れ金によるか、これはいまどっちがいいか考えておるわけです。日本銀行あたりは、公債の形で出したほうが将来これを活用できる、オペレーションの対象になし得るというようなことで、便利だ、借り入れ金だとそういう弾力性がないというようなことで、公債の形を望んでおります。が、一方、借り入れ金にいたしますと、そういう国債のような弾力性はありませんけれども、ことしの非常措置だという性格が非常に明確化するようなこともありまして、それはどっちがいいであろうか、これは私どもはそう急いでおりません。まだ金の必要にも迫られておりませんから、いずれ十一月末ごろに補正予算を編成するまでにきめていきたい、こういう考えであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 主計局長、政府が金を借りる場合の方法というと、預金部や大蔵省証券の発行以外に借りるとなると、これは年度内に償還しなければならないのですか、それとも年度越しでもかまわないのですか。いま大臣の言う、もし借り入れという方法があり得るとすれば。

谷村裕大蔵事務官(主計局長)

○谷村説明員 ちょっと武藤先生の御質問がややまじっている点があると思いますが、御承知の短期証券、たとえば、いまおっしゃいました大蔵省証券のようなものは、これはいわゆる歳入としてあげるものではなくて、資金繰りとしてあげるものでございますから、御指摘のように年度内に償還しなければならないものでございます。それ以外に、いわゆる歳入として、いわば財源として充てるべき借り入れ金というようなものは、これは公債または借り入れ金でございまして、これは何年にするか、一年で借りるときもあれば、二十年で借りるときもあり、その条件はそのときいろいろきめられると思いますが、いずれにせよ、公債並びに借り入れ金というものは、現在の財政法の規定に従えぱ、第一項ただし書きの規定によって、先ほど大蔵大臣が述べられた公共事業費等の財源に充てる以外は、ただいまのところは、特別に財政法の例外をつくるのでなければ出せない、そういう形になっております。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 そうすると、いま大臣が言った、財源としてもし借り入れ金をするとすれば、この日本銀行の経済統計月報の国債欄でいえば、国債、短期証券借り入れ金、一時借り入れ金——現在一時借り入れ金は五百八十六億円しかない。借り入れ金という項は一千七百五十二億円もすでに借り入れ金があるわけです。これにさらに上積みされていく、あるいは国債に切りかえたとしても、内国債で四千百三十二億円もまだ残があるわけです。それにまたまた国債を発行していくと、将来の財政負担は、これはたいへんなものになっていくと思うわけであります。そういうような今日の市中の状況など考えてみると、大臣はこの間国債は必ず市中消化でやると言い切ったわけですね。全国民は、大臣の最終言明だから、これは市中公募でやるだろう、そう思っておる。  そこで、私はお尋ねしたいのですが、市中消化をするという場合には、いろいろ条件があると私は思います。現在の金利体系からいって、市中消化にするためには、幅が非常にわずかしかない。利回りの幅をある程度におさめなければ、市中銀行は気持ちよく引き受けない。たとえば七分あるいは六分五厘、その幅によっては市中消化が可能であるし、あるいはそれによっては、市中消化は弱権的に割り当てない限り、利回りが低い場合にはなかなかむずかしいという問題もある。そこらの金利体系全体と国債発行の利回りとのかね合いは、現在の検討状況ではどのようなことになっておりますか、そこらを伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 国債を発行しますと、どうしても利息を払わなければならぬ。政府としてはその利息がなるべく低いほうがいいのです。そういうようなことでありますが、その利息を低くするか、高くするか、低くすることができるかという可能性の問題は、お話しのように、一般の金利情勢が基本になってきめられることと思うわけです。そういうような意味からいたしますと、どうしても金融は緩慢な状態で、しかも金利水準というものが低いほうが国債発行にはいい環境である、こういうふうに考えておるわけでありまするが、人為的に金利水準を引き下げるということは、私はいたしたくない。金融緩慢な状態が出てぎて、自然にそういう状態になるならば、それはけっこうなことでありますが、国債を発行するために、無理やりに金利水準を何が何でも下げるんだというふうな考え方でなくて、自然に下がるならばまことに好ましいことである、またそういう状態であることが好ましい、そういうことを頭に置きながら金融政策を運営していく、こういう考えであります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 持ち時間がなくなりますからもうやめますが、大臣が国債を発行すると言明をし、市中で消化をすると言明したからには、諸般のいまの状況をじっくりひとつ検討しなければ、私は、せっかく市中消化という名目で出しても、これはまた日本銀行で引き受ける以外に手がなくなってしまう、こういう心配を持っております。いま公定歩合が年五・四七五%、あるいは銀行の一年定期が五・五%、利付金融債に至っては六・八%でしょう。さらに五年ものは七・三%、信託配当率は七・三七%、一流事業債は七・四〇八%、こういう点を考えてみると、投資家の立場からあるいは大衆の立場から見れば、やはり率のいいほうへ飛びつく、国のだから危険率がないからということで、少しは安くもあるいは消化するかもしれない。しかし、きめる範囲というものは、いま申し上げた金利のどの辺に定めるかということをきめないと、市中消化という大臣の言明が実行できないんじゃないですか。いままでの歴代の大臣は、委員会で言ったことや、新聞で取り上げたことは新聞記者が間違って書いたんだと平気で変更するのですね。そこで、福田大蔵大臣は市中消化でいくという言明に対しては、もう絶対変更しないと、ここで言明できますか。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 これはその考えでおります。

武藤山治日本社会党

○武藤委員 その他予定した質問事項がありましたけれども、竹本議員との交代の時間が参りましたので、後日の質問時間に保留をして、質問を終わりたいと思います。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 竹本孫一君。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 私は、時間の関係がありますから、きわめて簡単に一、二の点だけ伺いたいと思います。  その一つは景気の問題でございますが、政府がいろいろ放送をされておりますし、九月から景気がよくなる、十月、十一月説もある、秋という説もあり、あるいは来年という説もあります。国民もいろいろ迷っているだろうと思うのでありますが、この際福田大蔵大臣としての景気回復の見通しについての時期的な点を端的にお伺いいたしたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 景気が一体どういうふうになるか、むずかしい問題でありまするが、私は、今日が底である、これからつま先上がりに回復過程に入っていく、こういうふうに確信をいたしております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 これからということになりますと、非常にばく然としておりますし、しかもつま先上がりということばの内容もばく然としておりますので、はっきりいたしませんが、まあこれからはつま先上がりに上がるという大臣の御説明を承っておきたいと思います。  そこで、私の申し上げたい点は、これから景気がつま先上がりに上がっていくというその景気ということは、これは大臣によってそれぞれいまの政府の中でも内容が違うのではないかと思うのです。その点をひとつ明確にいたしたいと思うわけです。すなわち、最近におきまして、たとえば株は千二百五十円まで回復をした、輸出は、先ほど来お話しのように非常に好調である、商品の市況もやや好転し始めた、こういう楽観材料を求めてみれば幾つかあります。しかし、先ほど御指摘のありました企業の倒産は横ばいであって、少しも改善いたしていない。取引の停止処分を銀行から受けた者の数も横ばいであって、減少はしない。特徴的なことは、むしろ中小企業の小口のものの倒産や取引の停止示依然として減らないか、あるいはふえておるということであります。もう一つは、九月期決算を前にしていろいろの予想が出ておりますけれども、大体において三期連続の減益決算であるということは間違いないようであります。そうしてみると、景気はよくなるということ、あるいはつま先上がりにだんだんよくなっていくであろうということをあまり放送されると、国民は、特に日本国民はムードで動く国民でありますから、何だか問題は解決した、これで台風一過であるというような、きわめて安易な気持ちを起こしがちであると思うのであります。そういう意味で念のためにお伺いをいたしたいのでございますけれども、私は、やはり企業の倒産が、先ほども武藤委員もお話しになりましたように、相当程度減少を示す、決算においても増収減益というものでない形が出て、それぞれの企業が大臣の言われる実績のある企業へと前進を始める、そういう実態でなければ、ただムードの上で株が上がるとか、あるいは若干の思惑で、あるいは生産調整の効果が若干あらわれて商品の市況が少しよくなったということで、ムードの上だけで景気が好転したとか、好転し始めるということは、むしろこの際よほど注意をしないと、ミスリーディングな、非常に誤った考えを国民に与えると思うのでありますが、その点についての大臣のお考えを承りたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 景気が回復したというのは、いわゆるマクロ的にいいますれば、成長率が高くなってきた、こういうことであり、また、ミクロ的にいうと、個々の企業がその収益状態がよくなってきた、こういうことだろうと思うのであります。そこまでの段階に到達するきざしがあらわれてくるであろう、またあらわれようとしておるというのが、今日の時点だろうというふうに思うのです。ですから、景気がよくなって、いわゆる回復しちゃったというのではなくて、回復のきざしがこれから出てくるであろうということを言っておるわけであります。私は、いま経済界が非常にめいっておる、そのめいりの連鎖反応がこの五、六月、七、八月の経済情勢というふうになってきたことを考えまするときに、もう率直に景気は底であると私が見ておるその感じは申し上げたほうがよかろう、こういうふうに考えまして申し上げておるわけでございまするが、しかし、それだからといって、なかなか安心はできない日本経済だと思います。その点につきましては、十分注意もしていきたいと思います。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 そこで、念のためにさらに問題を分けて具体的に申し上げますが、私は、景気がほんとうに上昇を始めるということについては、一つは量的な問題といたしまして、先般来政府がおとりになっているいろいろの施策、あるいは財投の二千百億円といったような問題ではたして十分であるかというような問題があると思います。それからもう一つは、これは大臣が非常に勇敢にと申しますか、思い切って、今日の不況は構造的なものがあるということを御指摘になった、その構造的な問題にメスを入れるのでなければ、ほんとうの意味の日本の経済の体質改善はできないと思うわけであります。その二つの点だけ伺って、きょうは終わりにしたいと思うのですけれども、その前段の、先般来政府が七月二十七日の経済政策会議等でまとめられましたもので、いわゆる有効需要というものは一兆円くらいになるだろうということがいわれております。そこで私は、その一兆円ではたして十分なのであろうかという点が一つ問題になると思うのです。公債政策などが盛んにいわれるものですから、ムード的には、いままでめいっていた経済界がこれから方向転換をしていよいよ伸びるのだ、株もどんどん上がるのだということで、非常に勢いがついてまいりました。これはまたある意味においてけっこうなことでありますが、さて実需の裏づけがどの程度この秋にあるのだろうかということを考えてみますと、一兆円といっても、実際のところせいぜい六千億円か七千億円程度ではないだろうか。日本の経済のあれだけ大きな落ち込みということを考えますと、実際はこれもまたいろいろ説が分かれておりますので、三兆円という説もあるし、四兆円くらいだという人もありますが、少なくとも一兆円で不十分であるということは間違いないと思うのです。そういう意味で、量的な問題としても、景気刺激政策というものは、もう少し真剣な取り組み方、あるいはまたほかのことばで言うならば、第二の手、第三の手というものが必要なのではないだろうかということを考えるわけでありますが、その点を二つお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 政府では財政投融資の拡大だけをやったわけじゃないのです。金融緩和政策もやりまするし、輸出の増進政策もやりまするし、また、財政のほうでは繰り上げ支出もやる、それに合わせての財政投融資ワクの拡大、こういうことでありまして、二千百億円の財政投融資ワクだけを見て論ぜられるというやり方は少し幅が足りないのではないかというふうに思うのです。とにかく、ことしになって今日まで日本の経済は全体としては横ばいできたわけです。これから下半期どのくらいの経済活動があるか。下半期半年では十三兆円くらいの経済活動ではないかと思う。それに対しまして政府がとった経済政策、これがあなたのお見込みだと六、七千億円ですか、その六、七千億円にいたしましても、これは五%くらいにも当たる大きなウエートを持つわけであります。そういうようなことを考えますと、いまの財政投融資だけをとりましても相当の影響を持つわけであります。まして、それに金融対策、つまり民間事業活動というようなものを考えますと、私は、実質的にあの政策というものが大きな影響を持っ政策である、こういうふうに見ておるわけなんです。でありまするから、そういう状態を見てでしょうか、株式市場なんかはあの政策発表直後から回復に転じておる。私は、本格的な経済の回復過程というものがもう指標にも微弱ではありますが、ぽつぽつあらわれてきておるように見ております。今後この態勢で進めば、まずまず私が言うこれからつま先上がりによくなるであろうという見通しが実現をされていくのではあるまいか、こういうふうに考えております。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 実は、私も財政投融資だけを言っておるのではありません。もちろん政府の七月二十七日あるいはその前にきめられた問題全部を含めて論じておるわけであります。しかし、それを全部含めましても、私の見るところでは、先ほど申しますように、いままでめいってしまっておった日本の経済界に一つの明るさがさし始めたということであり、気分が転換した新しいムードが起きてきたということだけでありまして、いま大臣からも、微弱ながら何かがあらわれたというお話がありました。機械受注の面だけ見まして、これが船舶を除いたもので二一%から伸びてきたようですから、これだけがやや実質的な景気の上昇のてこになるものだというふうに私は見ております。もちろん貿易の問題がありますけれども、その他株とか商品市況というようなものは、多くはムード的な要素が多い。こういうわけで、先ほどの一兆円もしくは六、七千億円の需要喚起では不十分ではないかということを申し上げたわけであります。裏から申しますと、今日のムードがほんとうに景気の転換にまでつながるものであり、また、いま明るい気持ちになっておる株式界にしても、これが秋になってがっかりしないようにするためには、どうしても在庫投資あるいは設備投資といったような実質的な面が上昇過程に入らなければならぬと思うのです。そこで大臣の御答弁では、これからはつま先上がりということで、よくつかめませんが、一体大臣として設備投資あるいはその前段階の在庫投資といったようなものが、ほんとうの意味で上向きになるのはいつごろというお見込みでありますか。この辺を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 各部門によりましてでこぼこはあると思いまするが、ただいまお話のようないろいろなものをひっくるめまして、経済指標が経済の成長度というものにこれから逐次あらわれてくる、こういうふうに観察しているわけです。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 この問題は、むしろこれからの実績を見せていただくということで期待をしたいと思います。  そこで、もう一つ重大な点についてお話を申し上げてみたいと思います。それはいわゆる構造的な矛盾あるいは構造的な不況ということであります。日本の国民が、先ほど申しましたように、ムードで動き過ぎるという点と、もう一つ、私どもがまじめな経済政策、財政政策を論ずる場合に大切なことは、何もかもごっちゃにしてものを考えてはならないという点でありますたとえば、不景気になった、そこで救済をしなければならぬということで、何でも救済するということになる。それから上昇過程に入るということになれば、もういままでの非常に緊迫した、ある意味においてまじめな企業家の反省等もすっかりたな上げしてしまって、また景気が出るのだというようなことで調子に乗っておるというような傾向があらわれてはたいへんだと思うのであります。私、先ほど申し上げましたように、福田大蔵大臣が御就任早早に、構造的な問題があるんだ、また、ほかのことばでは、デフレの要素とインフレの要素と二つあるから問題がむずかしいということを御指摘になりました。そしてまたいろいろ対策を講じられておるわけでありますが、私は、構造的な矛盾あるいは過剰設備、過剰生産といったような問題はいまだ何ら解決していないし、いまのところどういうふうに解決するかということも実は具体的に示されていないと思うのです。そして、いまここでムードが一変いたしまして、さあ、日本の経済はまたひとつ底力を発揮するんだ、こういうことになれば、また、従来、一時不景気で、やむを得ずまじめに考えた企業の体質の改善、その他構造的なもの、体質的なものに対する反省とか企業努力とかいったものが全部たな上げされるような危険がありはしないか。それで私は先ほどもその御質問をいたしたわけでありますが、今後大臣としては特に勇敢に御指摘になりました構造的な矛盾と申しますか、あるいは過剰設備とかいう問題等について、少々景気が上昇し、株が上がっても、なお基本的な矛盾は解決されていないという立場で、やはりまじめな努力を指導していただかなければならぬと思うのです。その点についての大臣のお考えをひとつ伺いたい。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私はいま二つの問題に当面しているということを申し上げておるわけであります。つまり、日本の経済を平常な形で運営するという、少し長い目の問題ですね。この問題の中心はやはり構造的問題と取り組むという問題、特に大きな問題は物価の問題というようなことだろうと思います。それで、国際収支、物価そういうものを常に忘れることなくにらみながら、つまり好況のあとには強い不況が必ずつきまとうというようなことなしに日本経済が発展するような路線を敷く、こういう問題、これが一つの、一つというか、大きな問題であります。しかし同時に、もう一つ当面しております問題は、この四、五年間の非常な好況の反動としていま大不況に落ち込んでおるわけでありますが、これからどうやって抜け出るか、こういう火のついたような問題なんです。この二つの問題に対する施策は相矛盾するような面も出てくるわけであります。つまり、景気政策をとれば、物価政策に対してマイナスの面も出てくる、こういうようなことになりますが、これが大きなマイナスになるということは、私はどうしても避けなければならない。つまり、この二つの問題に取り組む姿勢としては、やはり二つの問題を同時にかかえておる。当面の景気対策をやっていくにつきましても、あとのこの長期的な安定成長政策に景気克服のあと始末がきわめてなめらかに乗っていくということを考えながらやっていくということかと思うわけであります。できる限りそういう方向で努力を尽くしていく考えであります。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 そこで、いまのあとのほうの問題でございますが、最近政府がいわれておることばの中に、長期減税計画というようなことがよく言われます。けっこうな話です。内容を見ないとよくわかりませんが、私は、やはりここで大事なことは、長期減税計画も必要だけれども、ほんとうは減税というものも国全体の総需要、総生産を考え、その中で財政の果たすべきプラス、マイナスの役割りを考え、さらに財政の支出についても、資本的な支出とそうでない一般的支出の配分を考え、そうした中での減税計画でなければ、ただ場当たりの減税計画であってほ、あるいは減税政策であってはならないと思うのです。  そこで、最後にお伺いいたしますが、長期減税計画をいわれる場合には当然のこととして、いまお話のありました長期経済、安定計画並びにそれに密着しておるところの長期財政計画というものがなければならぬと思うのです。大臣御就任早々のときの大蔵委員会において私も質問をいたしましたが、そのときには十分なお答えがございませんでした。いまあらためてその意味でお伺いをするわけでありますが、今度の財政制度審議会でございますか、そういうところにおいてとにかく長期減税計画をもその一環とするような長期、あるいは五年あるいは十年にわたる財政計画を策定されるお考えであるか、あるいは策定されるについてはどういう形で策定していかれるのであるか、その点をお伺いして終わりにしたいと思います。

福田赳夫自由民主党大蔵大臣

○福田(赳)国務大臣 私は減税ということか言っておるわけでございますが、これも一年かもってこれを実行するというわけにはなかなかいきませんものですから、これは長い目の目標を示して、その年々に踏むべき段階を具体的につくっていく、こういう考え方にいたしたいと思うのですが、その前提としてはやはり経済をどういうあうに持っていくかという長期的な考え方が必要であると思います。さらに重大な関係のある財政も同様な考え方をすべきであろう、こういうふうに考えております。ただ、そう私が申し上げましたからといって、何年度の財政の規模はどうするというようなことは、かえって政策の運用に弾力性を失わせるということになろうかと思いますので、考え方の基本を長期的にきめておくこういうことにすれば、それで私は財政運用上の指針みしては十分である、こういうふうに考えます。たるべく適正な長期目標というものを設定して、それに向かって邁進をしたい、こういう考えであります。

竹本孫一民主社会党

○竹本委員 きょうは時間がありませんので、最後に要望だけ申し上げて終わりにいたします。いま大臣が長期的な展望の上に立ってというお話でございました。もちろん必要でございますし、大事なことでありますが、私が先ほど来申し上げております点は、長期的であるとともに、総合的、計画的であつてほしいということであります。その点、先ほども申し上げました構造的な不況という問題については、そうした総合的な計画性のある施策でなければ、ストップ・アンド・ゴーの繰り返しになりますから、そこをひとつとくと御配慮願いたい。  さらにもう一つの要望でありますが、それは、その総合的、計画的な問題の取り上げ方の場合に、いま生産過剰の問題につきましても、行き過ぎた面、余っている面は非常に目についておりますけれども、しかしそうでない面、たとえば、人間の生活をほんとうに大切にするというヒューマニズムの上に立った、政府のおことばで申しますならば、社会開発といったような問題については、行ぎ過ぎではなくて、行き足らずなんです。その点で、それを引き伸ばすことも、やはり積極的な内容として総合的計画性の中に裏打ちされなければならない問題だと思います。そういう意味で、私は、一つには総合的、計画的な視野がこの際絶対に必要であるということと、その計画性の中には行き過ぎたものをコントロールするという面と、全然顧みられなかった問題、忘れられた面をヒューマニズムの人間尊重の立場からこの際特に プロモートしなければならない要素と、この二つをぜひ御推進を願いたいことを要望いたして、終わりにいたしたいと思います。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 次会は、来たる三十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時二十一分散会

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