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49回国会衆議院1965/08/18

大蔵委員会 第6号

発言数
117
登壇者
10
会派数
2
開催日
1965/08/18

会議録

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日は、宇佐美日本銀行総裁が参考人として御出席になっております。  参考人には、御多用中のところ御出席をいただきありがとうございます。  まず、当面の金融情勢について、宇佐美日本銀行総裁から御意見を述べていただき、そのあと質疑を行なうことといたします。宇佐美日本銀行総裁。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 委員長の御指名によりまして、私から当面の金融、経済情勢に関しまして所見を述べさせていただきます。  最近の景気の情勢は、去る七月二十一日にこの本委員会において申し上げたことと根本的には変わっておらないと存じます。すなわち、国際収支は、輸出好調、輸入の落ちつきと、引き続き順調でありますが、国内の景気はなお停滞している状態を続けているものと思われます。しかし、前回御説明申し上げました以後一ヵ月余りの間に、部分的にはやや明るさをあらわしておる面も出ているように思うのであります。  第一には、国際収支はますます好調ぶりを示しております。六月の経常収支は、前月、すなわち五月に比較いたしますと、これを上回って、六千八百万ドルの黒字となっております。四月-六月は大体季節的に輸入の増加するときでございまして、したがって経常収支は赤字となりがちでございますけれども、本年についてこのようにかなりの黒字を計上し得ましたことは、ひとえに、輸出がきわめて好調を続けている反面、輸入が落ちついているということだろうと思うのであります。最近の輸出は前年同期を約三割方上回る増勢を維持しておる反面、輸入は前年同期を五ないし六%上回る水準にとどまっております。  第二には、商品市況面にやや明るさが出てきておると申していいのではないかと思うのであります。もちろん、大勢といたしましては、現在でも需給のアンバランスから引き続きさえない状況が続いておるのでありますけれども、その中にありまして、たとえば鉄鋼とかセメントとか、これまで市況の軟調が著しかった商品のうちで幾ぶん回復の気配も見られるものが出てまいっております。たとえば、鉄鋼のうち条鋼類など一部品種につきましては、七月以降――七月後半でございますが、若干の反発商状が見られております。これは鉄鋼業が七月以降粗鋼の一割減産に踏み切り、本腰を入れて生産調整を行なうようになったためと思うのでありまして、需給の回復にも一応のめどが立って、これが好感されているということだろうと思うのであります。  第三に、生産、出荷の状況でございますが、前回御説明申し上げました後に判明した六月の計数に限って見ますれば、四月、五月にかけて連続かなり減少を示しましたのと異なりまして、六月には増加に転じております。もちろん、反面においては製品在庫の減少が引き続きはかばかしくないのでありますけれども、われわれとしましては、六月の生産、出荷の増加によって、これで生産が回復基調に転じたものとは判断しておりませんけれども、それでも四月、五月の生産、出荷減少を思いますと、あるいはこのまま生産が当時ずるずる下押しするのではないかというふうに思っておりましたのが、ある程度この危惧が薄れたといってもよいのではないかと思うのであります。  第四には、最近の株式市場の動向があげられると思います。前回この委員会に私が出席しました当時は、市況はダウ平均株価がいまにも千円を割ろうというような状態であったのでありますが、現在では千百五十円内外の程度まで押し上げてきております。これは市況における内部要因、たとえば日証金残高の低水準であるとか、あるいはまた先般打ち出されました政府の景気対策の本格化などが好感されたためと見られるのであります。それとともに、市場心理と申しますか、政府、日本銀行を込めまして、先般来の各方面における市場対策がこのところ一応その効果がだんだん出てきて、落ちつきを取り戻しているように思われるのであります。  以上申し上げましたように、最近の情勢はなかなか複雑でございます。部分的にはやや明るい面が出ているのではないかと申しましたが、さりとて現段階で回復への方向にはっきりと一歩を踏み出したと判断するのもやや早いのではないかと思うのであります。企業の投資動向は引き続きかなり鎮静しております。先行きについてもそれが活発化するような気配は容易に感ぜられないわけであります。しかし、先般政府において財政支出の繰り上げ、財政投融資の増額など、積極的な景気対策の実施を決定せられましたことは、今後の景気回復にとって次第にその効果を発揮してくるものと思われます。一方、金融面におきましても、年初来の緩和政策の効果が、徐々にではございますけれども、だんだん業界に浸透しつつあるように思うのであります。現在部分的ではありますが、明るい面が見られてき始めておるということは、こういった財政面、金融面の諸政策における効果の一端とも申せるのではないか、かように思うのであります。  これに関連しまして、最近の金融情勢について一言申し上げますと、銀行券も落ちつきを引き続き示しておりますが、金融市場は引き続き緩和基調を続けております。目先については、食管会計の払い超などによりまして、季節的にも一そう緩和し、コールレートも軟化傾向をたどると思われるのであります。一方、市中銀行の融資態度は従来までの慎重さを依然失ってはおりませんが、貸し出し金利につきましては四月以降逐月下げ足をたどっております。金利の低下傾向は漸次進んでいるように思われるのであります。そうして、こういう金融面の動向が企業にとって調整活動を進めやすい条件を形成し、また財政面からの需要喚起策とあわせて漸次景気回復への素地を醸成していくものと期待しておるようなわけでございます。  以上、はなはだ簡単ではございますが、最近の当面の情勢に関して御説明申し上げた次第でございます。     ―――――――――――――

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 続いて質疑に入ります。通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ただいま最近の経済全体の情勢についてのお話がございました。私が本日お伺いをいたしますのは、最初に、現在の現状分析の上に立っての日本経済の今後の見通しの問題をまずお伺いいたしまして、二番目には、そういう問題に関連をいたしまして、いま非常に論議の中心となっております公債問題についての日本銀行としてのお考えをお伺いし、三番目には、その問題にやはり関連をいたしまして、今後の金利及び日本銀行としての金融調節機能の問題についてお伺いをいたし、最後に、証券金融についてお伺いをいたしたい、大体こういう項目についてこれからお伺いをいたしたます。  一番最初に、現在の現状分析については、ただいま総裁のお答えをいただいたわけでありますが、この現状分析の上に立って、さらに先ほどお話しになった政府の財政支出の繰り上げ、財投二千百億の増加、こういうものが、今後の日本の景気に、大体タイミングとしてはいつごろからどの程度の影響を与えるというふうにお考えになるのか、その点をちょっと最初にお答えを願いたい。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 お答え申し上げます。  現在の情勢をどう分析するかということにつきましては、ただいま一応の考えを申し述べたような次第でございますが、先般来、ただいま堀委員からお話がございましたとおり、いろいろの手が打たれておるわけでございます。金融面からはことしの初め以来三回の公定歩合の引き下げをはじめ、いろいろの手を打って、またその効果ははなはだ緩慢ではございますけれども、市中金利も次第に下がってくるように思うわけでございますし、また金融もゆるんできつつあると申して差しつかえないと思うのであります。一方、政府におかれましても、先般来、ただいまお話しのとおり二千百億の景気対策をお出しになった。そういうようなものがいろいろからみ合いまして、やや明るい面を出しておる。しかし、実際問題として、それではただいまの政府の施策がどういう効果を出すかということにつきましては、私どもが政府から伺っておるところでは、なるべく早く財政支出も進めたい、またその効果が十分あるように、たとえば、ただ土地を買い上げるということでなくて、これが日本の経済に効果があるように考えて支出したいということもお話がございますので、また私どもも、二千百億といいますけれども、この出しようによっては、これは相当大きな効果が出てくるのじゃないか、あるいは二倍、あるいはうまくやれば三倍くらいにもなってくるのではないか、またそれが呼び水になりまして、産業界、民間のほうにも非常に効果が出てくるのではないか、政府だけの施策でなく、それが呼び水になって一般民間にも効果があるということにならなければいけない、かように考えておるわけでございます。したがいまして、いつごろそれらが効果をあらわすかということは、今後のいろいろのやり方いかんによって変わってくるのではないか、また海外のいろいろの情勢もございますし、しかし、まあ一般的に、これはきわめて腰だめ的のラフな考えでございますけれども、やはりだんだん出てくるわけで、いつごろよくなるということははっきり申し上げかねるのでございますが、この暮れあたりには相当いい効果が出てくるのではないか。たとえば、懸念されました農作物なんかも、天候によって今後予想できないのでありますが、かりにこれが相当のいいできだというようなことも相まちまして、初めに心配されたような状態よりはよくなって、秋口には少し明るくなる、年末にはその効果が出てくるのではないか、しかし、いまのいろいろの情勢を考えますと、はっきり、非常にいい景気が出てきたというようなことには、まだちょっと時間がかかるのじゃないか、かように考えておる次第であります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実はいま総裁がおっしゃったように、今度の財投の二千百億でありますけれども、これをそう三倍にもうまく乗数効果が出るように使うというのにはかえって時間がかかるのではないか。乗数効果が少なくなってもいい、要するに、早く需要をつけるというつけ方ならば、私はタイミングが少し前に出ると思いますが、これは乗数効果をたくさん考えれば、やはり効果の波及はかなりうしろへなるわけでありますから、その点で、実はこれは企画庁の試算でありますが、経済見通しについて新聞に発表されているものを見ましても、現在のてこ入れでは総需要の増加を約四千億くらいにしか見ておりません。これはやはりいまの倍程度の増加、あとでさらにもう一回てこ入れをやるならば、総需要の増加が、三十一兆五千六百十億でありますか、約七千五百億くらいに見積もっているわけでありますけれども、私はどうも現在とられております措置の範囲では、あまりこれ以上もう落ち込まないだろうと思います。大体ここらでだらだらとした状態がしばらく続くのではないかと思いますけれども、それ以上には浮揚力をつけるだけの需要効果というものはあまり起きてこないのではないか。その点で実は私心配をいたしますのは、最近の政府の施策がややもすると、財界からの強い要求といいますか、そういうものによって徐々にとられてきているような感じがいたすわけであります。この点は、実は私ども六月の初めに新しい内閣ができましたときに福田大蔵大臣にここへ出ていただいて、最初の委員会でいろいろと論議をいたしました。そのときの大蔵大臣の御発言というのは、非常にオーソドックスな考え方で、やはり生産調整のほうが先だ、公定歩合なりそういう財政支出の問題というのは、まず財界の側が十分生産調整を行なってからではないかというような非常にオーソドックスなお答えでありましたし、赤字公債は出さないということをはっきり平岡委員の質問に対して答えているわけでありまして、それが選挙中の約一カ月の間にがらがらと変わりまして、御承知のように、それが全部変わったわけであります。私公定歩合の問題についても触れましたけれども、そういう必要がないのじゃないかというのが六月上旬における大蔵大臣の見解でございました。これが六月中に公定歩合も引き下げられ、いろいろな形の変化が出てきたわけであります。私が心配をいたしますのは、そのいまの二千百億の財投なり政府の施策を、証券界もそうかもしれませんし、あるいは財界一般が少し過大評価をしておられるのではないか。これは少し時間がたってきますとその実態がだんだん明らかになってまいります。そうすると、これではいけないということで、さらにいろいろな要求がまたここへ出てくるのではないか。その要求の出方の一つには、すでに一部の人たちは言っておりますけれども、第四次の公定歩合引き下げの問題、こういう問題がかなり再燃してくるのではないかということが第一、第二としては、やはり何らかの形での有効需要をつける。これは、この際は財政による以外に手がないというかっこうでさらに財政におぶさるということになる。財政に今後おぶさるということは、言うなれば、本年度の現状でも赤字であります国庫の収入に対して、より多く赤字を増加させることになるわけですから、このことはやはり赤字公債の発行を必然的なもととする。公債になるか、借り入れ金になるかはあとの問題でございますが、そういう赤字公債的なものをさらに大きくさせる要因になってくるのではないか、こういうふうな不安を私は実は少し持っておるわけであります。  そこで、そういうものに対して、私は、やはり経済のいまの状況というものに二つの側面があると思います。一つは、やはり企業におけるコストが上がってきたということだと思います。損益分岐点が高くなっておるということが一つの側面であり、一つは、やはり過剰設備からくるところの過剰生産というもの、この二つの側面によって現在の不況というものは基本的には生じておるのではないか、ところが、いまのような形で非常に――あとで公債発行論議をいたしますが、公定歩合もさらに下げる、あるいは公債の額もふやすということは、やはり通貨の問題にはね返ってくる可能性が十分にあるのではないか。通貨にはね返ることは、やはり労働者を含めて勤労者の実質的な所得に関係をしてまいりますから、勢いこれは賃上げを誘発するのは当然でありまして、それは当然またコストの中に大きくはね返ってくるという形の悪循環になる可能性も非常に強くなると思うのです。こういう感じがいたしますが、いま私が申し上げたようなだらだらとした状態では、ある程度のそういう過剰設備に対する生産調整その他の問題が本格的に軌道に乗って、そして対外的な問題を含めて需要が本式に回復してくるということにならない限り、私はそう簡単にこれがどんどん景気が上昇するなどという局面ではないという判断をしておりますけれども、そこらの今後の見通しについて総裁のお考えを承りたい。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 お答えを申し上げます。  大蔵大臣が御就任早々ここでお述べになった、やはり本格的の生産調整から始まっていくべきだというようなお考えにつきましては、私もさように考えるわけでございます。現に、先ほどもちょっと申し上げましたように、やや明るいきざしと申しますか、出てきた業種はいずれも生産調整が進んできているものでございます。セメントもそうでございますし、鉄鋼あるいは繊維、紡績も最近そのようなことでございます。生産調整の機運は五月、六月あたりよりは相当進んでおるように思うのであります。ただ、それらの問題もなかなかむずかしい問題でございますので、てきぱきとはまいっておりませんけれども、確かに前向きに進んでおる、そういう状態でございますので一方この景気対策がとり得るということになってきたのではないか、したがいまして、堀委員のおっしゃった方向はやはり当初大臣がおっしゃったのと同じことではないかと私どもは考えておるわけでございます。しかし、ただいま御指摘のとおり、二千億余りの財投がこれですべて解決するとは私どもも思っておりません。先ほどもちょっと申し上げましたとおり、一つの施策がほんとうに効果をあらわすような方面に出てくるということ、これが、たとえば設備投資をどんどんやらせるようなことになってきてはたいへんだと思うので、この金額もさることながら、この使い方が非常に問題ではないか、またちょっと使い方がよろしきを得れば、民間のほうも、先ほどちょっと申し上げましたとおり、ついてくるといいますか、この計画の中に、たとえば造船というようなことがございますが、造船なんかは非常に関連産業が多い、これをうまく使えれば、民間のほうにずっと――何倍といっては大げさかもしれませんが、乗数効果が出てくるのではないか、この使い方が一番問題なのだ、タイミングだ、計画はできたが金の出方が実際おそくなるというのではやはりいけない、そのやり方によってやはり相当の効果がある、これをまずくやれば、おっしゃったとおり、あるいはもっと悪くなるかもしれない、かように考えております。したがって、ただいま公定歩合の第四次引き下げというお話もございましたけれども、この公定歩合というのは、あらかじめスケジュールを組んで、こういうふうになったらこうというものではございませんし、そのときの経済情勢、金融情勢によって判断すべきものだと思います。私どもは現段階におきましてはそういうことをいま考えてはおりません。しかし、これは情勢によって判断すべきもので、現段階としての私どもの考えを申し上げるよりいたし方がないわけであります。そういうわけでございますので、私どもは、今後おっしゃるとおり、将―― 将来といっても近い将来でございますけれども、これがどういうふうになるかというようなことでは、むろん絶対的な意見というようなことは申し上げられないわけでございますけれども、まあ最近の情勢、民間のわれわれが接しております産業界の人たちの気分といいますか、言っているところは、政府もこれだけやるんだからわれわれも何とかしなければならぬ、大いにやっていかなければならぬという気分、それは非常にと申してはまだなんですが、接する限りにおいてはかなり出てきておる、こういう気分が出てきておるということはやはり私どもも認めて、そうしてそれを進めるようにやっていかなければいけないんではないか、かように考えておる次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 公定歩合の問題は、私もいつ下げるかとか、そういう角度でお伺いすべき性格のものだとは思っておりません。ただ私、いま公定歩合は当面はというお話もございましたが、これをいつやるかとか、やるやらないという問題を離れて、いまの日銀の公定歩合がさらに一厘なり二厘なりもし下げられる場合には、やはり開放体制下の経済としては、国内の面だけでは問題が解決のつかないところにくるのではないか。現在の日本の金利を諸外国と比較をしてみましても、いまアメリカが四%、イギリスが六%、西ドイツはこの間〇・五%上げましたから四%、日本が五・四七五%、こんなところにきておりますから、国際的に見ましても、もう大体国際的水準に比較的近づいている段階にきておりますし、さらに私は、先ほどの最初のお話で国際収支は現状としてはまあいいということでありましたが、この国際収支というよりも、貿易収支でございますが、この問題は、実は確かに年率三〇%程度昨年よりは伸びておりますけれども、十二月までのこれからの第三・四半期は日本の輸出時期でありますから、私もあまり不安はないと思いますけれども、来年の第一・四半期に入ってまいりますと、やはり輸入が、輸出の増加に見合って実は非常に伸びが小さいわけで、いま御指摘のように五・六%くらいしかない。これはやはり輸入素原材料の在庫というものが非常に圧縮されておるという状態にほかならないのではないか。そういたしますと、また来年の第一・四半期になりますと、ある程度の在庫補充も必要になるでありましょうし、片面、その輸出の問題については、私は現在のベースがずっと維持できるとも考えられません。中身を少し調べてみますと、貿易外のほうはずっとまあ赤字でありまして、これもなかなか改善される見通しはない。資本収支のほうも、長期資本収支はやはりだんだんとスローダウン傾向――アメリカのドル防衛がだんだん徹底をしてきておるようでありますからこのほうはスローダウン、短期収支のほうも必ずしも楽観を許さない。そこで、最近の外貨保有高は大体ここ四カ月連続して三千万ドル内外減少を続けておるわけでありますから、四カ月で約一億ドルはもう減少したわけです。全体としてのトレンドというものは、もう一に三〇%という異常な輸出でささえられておるわけでありまから、もし国内の需要が少しついてくれば、現在ある程度の出血輸出が――そういう内需の関係から圧力がかかって輸出が三〇%伸びておる、こう見ておるわけでありますが、そういう国内的な景気がまあ徐々にでも上昇しかけるという場合、国外的ないろいろな条件を含めて、私はやはり来年の第一・四半期以後国際収支の問題というのは相当注意を払わなければならない段階にくるのではないか。また、いまの公定歩合の問題は、現状でも輸入貿手は一銭六厘に押えられており、私実はこれはちょっとおかしいと思うのです。その金利を下げるときに、その金利効果を片面で押えなければならぬような処置のしかた、標準金利が一銭五厘でございますか、そのときに輸入貿手だけは一銭六厘に押えなければならぬというのは、これは輸入ユーザンスとの関係という政策配慮でございますが、さらにこれをもう一、二厘下げても依然として一銭六厘というわけにはまいりませんでしょう。またさらに、金には色がついておりませんから、今度はやはり標準商手の割引で金を取ってそれで輸入をすることも、企業とすれば、外貨の問題だけに限らず、企業収益という面に徹すれば当然起こることです。いろいろな面を考えますと、国際収支は安全だというのがいまの一般の経済論議の一つの前提になっておりますけれども、私は、国際収支はかなり注意を要する段階にすでに入ってきたのではないか、その際における公定歩合の処置というものは、日本の外貨準備の現状から見ましても、これは相当に慎重な態度が必要なのではないだろうか、こう考えるのでありますが、これはいつやる、やらないの問題よりも、現状の日本経済の置かれておる位置との関連における公定歩合の今後の引き下げということに対して、どういうふうにお考えになっておりますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいま堀委員がおっしゃいましたこの日本の金利、特に公定歩合につきまして、国際的な面から考えなければいかぬのではないか、さらにその基調をなしておる輸出の問題、貿易収支の問題についてもそう楽観はできないのではないかというお話でございますが、私も全く同感でございます。国際収支につきましては、二日前に行なわれました最高輸出会議におきましても大いにやろうということにはなっておるわけでございますし、また、あれはことしの輸出目標をきめる会議でございますので、お話しのとおり、当面は、少なくとも年内あるいは来年早々くらいまではいいだろうという点は私もそう考えておりますが、これで日本の経済がだんだん回復しますと、原材料不足の日本としては輸入がふえてくるということも当然でございます。ただ、従来よりも輸入がそんなにふえないのではないか、これはいろいろな条件が整ってまいっておりますので、それほどふえなくてよいのではないかと思うのでありますが、従来の、景気がよくなると輸出がやたらにふえるという、ああいう状態にはもうならないと思うのでありますが、御指摘のとおり、やはり何といいましても原材料不足という問題が起こってくる、したがいまして、各国の最近の情勢を見ますと、輸出は各国とも非常に奨励を始めておりますので、日本の国際競争力がついたとは申しながら、これはなかなか容易ではない。したがいまして、そういう面から決して楽観は許さぬ、さらに貿易外収支のこと、資本収支のことにつきましても、やはり長期のものも短期のものも従来は非常に大きく黒字を示して日本の全体の国際収支をまかなっておったけれども、ああいう大きな資本収支の形というものはとうていもう考えられない。そういうようなことを考えますと、やはりそういう貿易面からの金利に対する制約というものは当然考えなければいけないのではないか。かりに、万々一にもインフレというような状況が日本に出てきましたら、これはいま日本が開放経済下にありますだけに、外国からもいろいろな注文が出てくるだろうと思いますし、そう簡単に金利を日本の封鎖経済のときのように決定できないことは御承知のとおりであります。そういうことを考えますと、やはり国内的の情勢と同時に海外の情勢を――外国と日本の金利にうんと格差があるときにはよいのですが、ここまで接近してまいりますと、簡単には金利の引き下げができない、単に国内的の事情だけでなく、そういう面もあることは、ただいまお話しのとおり全く私もさように思っておるような次第でございます。したがって、簡単に公定歩合を引き下げるというようなことは、そういう内外のいろいろなことを考えてやらなければいけないという点は私どもも重々考えておるところでございます。したがいまして、そういう金利を下げることによって不況対策を整える、具体的に言いますと、たとえば第四次の公定歩合を引き下げるという面は、これはよほど慎重に考えなければいかぬというふうに日本銀行として考えておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 次に、いま非常に論議の中心になっております公債の問題について少しお伺いをいたします。  本月の十三日でございましたか、十四日の新聞でございましたかで、日本銀行の総裁が記者会見で、公債の日本銀行の引き受けは、原則として反対である。いろいろと各紙ニュアンスに差がございましたけれども、一般的に全部見まして、そういうふうな御発言の趣旨であったように思います。ひとつこの御発言を中心として、現在考えられております公債問題というのは、まだ政府の側でもあまりコンクリートにはなっていないようでありますけれども、しかしそういう御発言をなすったその立場から、現在の公債問題に対する日本銀行としての見解を伺いたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 先般新聞に出ました公債についての私の意見、これは御承知のように、いまの公債問題はいろいろのものがこんがらかってきております。それで、大体私どもも、大蔵省から、ことしは歳入の不足が相当出そうだ――これは税収が減るという面と、それからやはりどうしても出さなければならぬ、両方から見て不足する、したがって、これから九月の決算という問題もありますし、金額はわからない、またいろいろな支出の面もわからない要素が非常に多いのでわからないけれども、結論的にいって不足しそうだ、これの対策を一方において考えているという程度のお話しか実は承っておらないのであります。また、そのわからないという御事情を承ると、もっともな点があるわけでありまして、それ以上私のほうから追及してなにをするわけにはいかないわけであります。したがって、ただばく然と、あるいはそういう赤字になる、不足が起こる、そのときにいろいろな方法を考えなければならぬけれども、日本銀行としても、そういうお話を承った以上、考えなければいけないという段階でございます。  それからもう一つは、根本的にそういう非常対策的なものと、それから来年以降の財政、これも大蔵大臣その他のお話を総合しますと、いままでのように単年度の長期均衡財政じゃいかぬ、これは私どももよくわかるので、いままでは、何といいましても毎年自然増収が非常に多かったわけでございますが、安定経済ということになってきますと、なかなかそう一本調子でいくわけがない、したがって、そういう場合に、公債問題と、不足を補うのはどうかという問題との二つ、大きく分ければそういうことになるのじゃないかと思うのであります。  当面の問題につきましては、いまお話ししたように、記者会見におきましても、そういう何も決定した要素がない、また金額いかんによってもこれは変わるものであるから答えられないということを申したのでありますが、それに対し、原則的な考えはどうかというお話で、原則的な考えといいますと、やはりこれはもう申し上げるまでもなく、公債というものは日本銀行が直接引き受けるという方法は、これは法律的にも避けるべきである、またそういう法律問題を離れても、日本の経済、金融の面からいうと、そういうものは極力避けるべきである、何といいましても、やはり消化をするのは国民の貯蓄、蓄積でなければならぬ、こういうようなお話をいたしました。したがって、それをまた記者諸君がいろいろ解釈して、御指摘のとおり、いろいろなことになったのだろうと思っております。それで、根本的といいますか、理論的にいいますと、やはり公債というものは、日本銀行でなければ引き受けられないという公債では困る。やはり最後には国民の蓄積でこれを持ってもらうというようなことでなければならぬ、かように考えておるところでございます。したがって、これから具体的の問題が出てきてからまた研究したいというふうに考えておる次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまお答えの点は、原則なのですけれども、これはいま財政法が定めておることでございますから、私ども当然日銀としてはかくあるべきだと考えておりますし、特に私はいま公債問題がやや安易な形で論議され過ぎておるのではないかと思うのです。何か公債に対してインフレ恐怖症だというようなことばも出ております。私どもは何も公債だけがインフレを起こす要因だと思っておりませんけれども、しかし、われわれの過去の歴史は私どもに非常に苦い経験を与えておるわけでありますから、前車の轍を踏むなということわざのとおりに、この問題はきわめて慎重に考えるべきで、私は世上論議されておるあり方は少し安易に過ぎるという感じがいたします。ですから、この問題については大蔵大臣も、実はこれも新聞を通しての発言と国会の発言とが重なるけれども、どうも右往左往といいますか、右顧左べんといいますか、何か御自身で確信をお持ちになっていないのではないのか。日銀引き受けで、借り入れ金のようなかっこうでいいのじゃないかという御発言があるかと思うと、宇佐美さんの原則として日銀の引き受け反対という御発言があると、すぐそのあとで、今度はいや日銀引き受けはやらないという発言が、これは新聞報道でありますけれどもはね返ってくる。そこで、そういう政策の中心にある人たちは、きまらないことはあまり軽々に言うべきでないのではないか。確信を持ったときに初めて言っていただきませんとすべての者を迷わせる結果になる。これは私は非常に遺憾だと思うのです。これは宇佐美さんに申し上げているのじゃなくて、大蔵大臣の発言についてちょっと私触れておるわけであります。  そこで、私は宇佐美さんに申し上げておきたいのは、日本銀行は一番大きな面として通貨価値の安定という大きな責任を負っておられるのでありますから、何にも増してこの日本銀行の引き受けのあり方については原則として姿勢を正して処置をしていただきたい。このことはどういうことかと申しますと、いま総裁のおっしゃったとおりに、もし公債が確かに国民の貯蓄でまかなわれるならば、これは通貨の問題にあまり直接関係してこない、通貨価値というものは維持できると思いますが、しかし、結果として――当初はそうではないかっこうで、たとえば運用部なら運用部に何か持たせてそこから借り入れる、しかし、そのしりはもう政府の言いなりに運用部の金融債なり事業債なりを安易にオペレーションをすることになれば、これは形式としては、なるほど日銀の引き受けではございませんけれども、内容においては、同額のものが同額で処理されれば日銀引き受けと同じ結果になる。同様に、これが民間の公募になったといたしまして、まあ一般の個人消費その他は二、三割ということで、あとの六、七割というものはシンジケートによっておそらく都市銀行その他が一応は買い入れるということになりましょう。しかし、その買い入れたしりを、今度はほかの金融債なり政府保証債を日銀がまたオペレーションをするということになりますれば、これもやはり形は変わりますけれども、日銀引き受けになる。ですから、ここでよく歯どめの問題というのが議論になっております。私どもは現在の公債問題については、まだどちらにすべきかという議論の前に、ちょうどさっきの公定歩合の問題と同じように、理論的な議論が必要なのではないかと思う。その理論的な問題の歯どめという点については、私はやはり三つのパターンが考えられる。三つのパターンといいますのは、要するに量的なものに対する歯どめ、それから質的にかけられる歯どめもあると思います。発行のパターンによってかけられる歯どめもあるのではないか。これはほかにもあるかもわかりませんが、私は一応そういう形が歯どめの効果ではないかと思います。しかし、いまのようにしりを全部――金融債なり事業債を日銀がほぼ同額のオペレーションをするようなかっこうになれば、これは形式的には日銀引き受けではなくて、全然歯どめの作用をしない発行形態になると思います。ですから、私はいまの量的な歯どめというのは、いろいろ考えてみましたけれども、結局そのあとの公募になりましたもののオペレーションのあり方というのがプライスメカニズムの中で働くようにしておいていただかないと、ストレートに右から左に動くのでは私は歯どめの効果がないと思う。ですから、結局そこにプライスメカニズムが働いて、ある程度以上出せば、これはもう公債の発行価格はどんどん下がってきて、その他の金利にもいろいろ影響するという形で、自動的に歯どめがかかるという形がとれない限りは、私は市中公募という名のみの市中公募は意味がないのではないかとまず第一に考える、それが第一点。第二点のほうは、質の問題でありますけれども、これはやはりいま一般会計のようなところで出すとなれば、なかなか歯どめはかかりまん。何らか特別会計によって出すということにもしなるならば、特別会計としてのワクがありますから、多少質的な歯どめになるのではないか。最後の発行形態というのは、さっき申し上げましたような形で終プライスメカニズムの関係がどう働くのか、あるいはその公債が短期的なものなのか、長期的なものなのか、金利のつけ方、そこらに多少歯どめとなる要素も考えられる余地はあるかもしれない、こんなふうに考えるわけであります。ですから、その点で私が特に総裁から伺いたいのは、安易に、たとえば本年度の赤字を切り抜けるために資金運用部で処置をしようと、そのしりはあげて日銀が見るというようなことでは、さっきの、原則として日銀引き受け反対とおっしゃる、その形式の問題ではなく、実質としては同じ結果にたる。ですから、そこらに何らかやはり日銀としての自主性といいますか、そういうもので歯どめの効果が起こるような措置をはっきりととられるかまえがあるか。これは市中公募の都市銀行が持ったものに対するオペレーションと同じことになると思います。その点について、少しはっきりした日本銀行の見解を承りたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいまお話しのように、私も、よく公債を出すとインフレになるというような考え、それはお説のとおり、そのほかにもいろいろインフレになる要素があるわけでございまして、また公債も出しようによってはインフレになる、しかし公債自体がインフレに必ずなるということではない、かように根本的に考えておる次第でございます。したがって、ただいまお話しのとおり、どういう公債を出すのか、また出し方をどうするのか、あるいはまた消化をどういうふうに考えるのか、条件をどうするのか、いろいろのことを総合しないと、公債がいいとか悪いとか言えないのではないか、かように思っておるのでございます。同時にまた、ただいま御指摘のとおり、ごまかしはいかぬということも私は考えておる次第でございます。したがって、かりに日本銀行がこの問題について考える場合には、やはり根本的の問題から考えなければいけない、ただ一がいにインフレになるというような公債恐怖心を持つ必要はないけれども、しかし慎重に考えなければならぬ。ただいまもお話がございましたとおり、われわれはこの公債の問題については苦いインフレの経験を持っておるわけでございます。しかし、当時の情勢から比較しますと、今日はいろいろの情勢が、政府も違いますし、またこういう問題を御審議なさる国会の状態も違いますし、また国内の状態も違いますし、また先ほどもお触れになったように、海外の国際的条件等、はなはだ抽象的な言い方でございますが、私は歯どめがいろいろあると思っております。そしてまた、歯どめの役の中に日本銀行も大きな役割りをしなければならぬ、かように考えておる次第でございます。そういう根本的の考えから、ただいまの量的の問題につきましては、これはまず第一に非常に慎重に考えなければいかぬと思います。当面の問題は、私のほうにもまだお話し申し上げる資料がございませんけれども、やはり今年度の問題に限りましても、こういう根本的の考えは、公債を出すということになった場合には変わりはないと思います。ただ、いろいろの特殊事情もあるわけでございます。年度の始まりから計画的に出したものと、それからもう年度が押し詰まって出したような場合と、これを機械的に論ぜられない場合もあるのではないか、したがって、根本的の問題に沿うものならば、あるいはそういう特殊事情もある場合においては勘案しなければいけないのではないか、しかしできる限りその根本のものに沿っていく、したがって、本年度の場合については、私どもいまここで何にもどうということを申し上げられないのでございますが、かりに来年度からやはり公債を本格的に出していくということになりましたら、ただいま御指摘のような点は十分考えて、そして日本銀行としてどうしても賛成できない、こういうものを続けた場合にはインフレになるおそれがあるということがあった場合には、強く政府に申し上げたい、かように考えておる次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は、いま具体的に本年の問題、来年の問題として伺うのは、なかなか御答弁がしにくいだろうと思いましたから、それはそれとして多少理論的に伺っておるわけなんですが、その理論的に伺うことについて、さっきのごまかしはよくない、したくないというお話は、要するに、しりをオペレーションで見るということは一つのごまかしでございますね、直接引き受けるか、ワンクッション置いて、異質のもので引き取るかということですから。そういうことが私はやはりいまのごまかしということに該当すると思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 こういう論議をする場合に、ごまかしというような不明確なことばを申し上げてはなはだ恐縮なんですが、要するに、こういうわけで出すんだ、たとえばの話ですが、本年度公債を出すのにこういう方法でやる、来年度はもう本格的に出すんだからそれはいけない、その、こういう理由で出すんだという理由が納得できるということならば、これはごまかしではないと思います。ただ、どういうふうに納得するかということでございますが、これは十分国会でも御審議になるだろうと思いますけれども、日本銀行としても責任をとって、政府が言ったからというのでなくて、われわれもこれはこれでいけるんだというふうな自信があることならばやはりごまかしではない、かように思います。そのごまかしでないという証拠はどういうところであらわすかというと、いろいろの点がございましょうが、その一つは、やはり日本銀行が、政府の非常に押し詰まったような状態で、準備がかりにできないとか、いろいろなことがあった場合にはまた考えなくちゃいけないと思うのですが、第一は、今度のなには財政をふくらますというのでなくて、その不足分を何とか調達しなければならぬ――これが財政をふくらますということだと、また話は別でありますが、これはどうしても何とかしなくちゃいけないということになり、資金調達の方法になってくる、そうしますと、時間的にいってなかなかほかの方法はむずかしいという場合には、あとですぐ処理できるような問題それをわれわれがあとで処理できるという考えが日本銀行の立場から見まして納得できれば、それはまたそのときで考えなければならぬ、かように思うのであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 何か焦点が少しぼんやりしてきたようで、ちょっと禅問答的要素が入ってきたようでありますが、経済というのはやはり非常にきちっとしたものでないと議論がはっきりいたしませんので、私、具体的な問題というよりも、ものの考え方でございますが、はっきり伺っておきたいことは、資金運用部が引き受けて、では資金運用部にそれだけ財源があるかというと財源がないという場合には、やはりこれは何らかの処置を資金運用部に対してしなければならないと思うのですが、ただ、私が申しあげたいことは、いまの財政規模の問題も一つございましょう。その他いろいろな条件がありましょうけれども、日本銀行としては、要するに、通貨価値の安定という立場からの姿勢は政府の姿勢とはおのずから異なるものである、ですから、そういう異なるところは明らかにしていただいていきませんと、政府が三千億出す、ともかく三千億オペレーションしろというようなことでは、日本銀行としての責任は果たせないと思うのです。そこで日本銀行として、現状の段階ではまあ千億はどうしてもやむを得ないだろう、仮の話ですが、三千億オペレーションしてくれという話があっても、千億は現状としてやむを得ない、その範囲ならば通貨の問題については関係がないというようなき然とした態度でこれを処理していただかないと、財政というのはどうしても押せ押せになるというのがこれまでの例なんです。これまで財政規模が縮んだ例はほとんどないわけでありますから、そこで、結局私どもが心配するのは、押せ押せのしりを全部日銀が唯々諾々として見るということであれば、これはゆゆしき問題で、日銀の存在の理由にも関係してくる。ですから、その点から、通貨価値の安定、そこの番人としての国民に対する責務は、多少政府と意見が違おうとも果たすんだという、そういう確言を私は持っていただきたいと思っておるわけです。具体的な金額その他については、それはその場合における問題でありましょう。かまえがはっきりしていなければ政府の側の発行態度もやはり安易になりがちではないのか、こう考えるわけでありますから、その点についての日本銀行としての姿勢をはっきりさせていただきたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいま公債に対する日本銀行としての姿勢についてお話がございましたが、私も全く堀委員と同じ覚悟でおります。政府が言うことを私ども頭から常にこれを否定するものではございませんけれども、われわれとしては、どうしても通貨価値の安定といいますか、通貨価値を維持するということが大きな使命になっておるわけであります。もしも、今回はやったが、ということが一つの前例になりまして、将来財政が不足するたびにその前例を適用されるというようなことになってはゆゆしい問題だろうと考えております。したがって、日本銀行といたしましては、あくまでも日本銀行の立場から、納得できないことは政府に反省をしてもらうという立場をとりたいと思っております。したがって、かりにこの問題についてどういうふうに出てくるかわかりませんけれども、日本銀行としては、やむを得ずということでなくて、こういう理由で処理したのだということは少なくとも明らかにしなければならないと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 まだ問題が少し熟しておりませんから、もう少し政府の見解が明らかになりましたら、またひとつ当委員会にお越しをいただいて、いまの問題についての詰めた議論はもう一回させていただきますけれども、私は、いまのお話で、日本銀行が十分理解でき、納得できる処置の範囲ということは、おそらく私どもも客観的に見て日本銀行が納得をする範囲、こういうふうに理解をしたいと思います。ですから、その点について、これはまだ仮定の部分が多過ぎますが、ただ私は、かまえとしては、日本銀行が必ずしも唯々諾々と政府の方向に追随するものではないという御答弁は非常に大きな問題だと思っております。その点はひとつ十分旗を高く掲げて日本銀行の方向を守っていただきたいというふうに考える次第でございます。  次に、時間もだんだん進みますので、金利と金融調整機能の問題について少し話を進めますが、この金利の問題というのが、実はまた公債発行の問題等に関連をして問題が出ておるわけであります。いま政府保証債がたしか七・〇三%ですか、何かそこらくらいの利回りになっておると思います。この政府保証債と国債との兼ね合いというものでおそらく国債発行金利はきめられてくることになるのではないかと思いますけれども、市中伝えられるところによれば、公債といえどもできるだけ金利は安いほうが国としては望ましいわけでありますから、そういう国債消化を促進するためには預金金利その他の金利を下げるほうがいいのではないのかという形の論議がかなり進んでおるかのよ与な感じがいたします。そこで、この公債発行問題に関連をして、預金金利の問題についてそれにさわるというような方向でお考えになっておるのか、そこらの点について、預金金利の今後の方向でございますね。これは政府にも関係のあることでありますが、日銀の側としての御見解をひとつ……。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 金利の問題につきましては、御承知のように、日本の金利体制といいますか、これはいろいろ論議されておるわけでございます。長短金利の問題もございますし、幸いといいますか、一番問題でありましたコールレートがかなり大幅に下がってきました。その点、やや異常であったものが取り除かれたという点は確かにございますけれども、しかしやはり何といいましても、まだまだ金利の点はこれから研究をしていかなければならない。ただ、堀委員もよく御承知のとおり、金利というものはある面においては比較の問題でございまして、なかなかむずかしい問題でございますが、むずかしいといってほっておけないというふうなことで、いろいろ研究をしておるわけであります。それで、そのうちの一つとして、ただいまお話しのように、公債を出すということになると、公債というものは国の信用で発行されるものですから、最も信用度が高いということは当然でございますけれども、やはりこれも一つの証券でございますから、これだけ特別のものといろわけにはまいらないわけであります。一つのワクの中で一番いいといろところをとらざるを得ない。したがって、そういう問題から見ますると、預金金利を下げたらどうだという御議論があることも承っておるわけであります。しかし、国としては公債の金利は安いほうが当然いいわけであります。そうかといって、それを望むからといって、一体それじゃ預金金利をほかの考慮をしないで下げてもいいかということになりますと、私は問題ではないかと思います。したがって、公債論から出発して預金金利をいじるということは、私はその出発点としてはおかしい、もっと総合的に考えていかなければならないのではないか、かように思う次第でございます。この預金金利の問題につきましては、これもいろいろ御議論があるわけでございますが、根本的に日本の金融全体としまして、直接投資が少なくて、銀行その他を通じての間接投資のウエートが大き過ぎるというその根本的の問題は、私もさように考えるわけでございます。しかし、なかなか日本におきましては、株式にしましてもいまのような状態でございますし、また公社債にしましても市場もない、こういろような状態、環境をよくしないで、いきなり金利だけでやれといっても無理ではないか。したがって、長い、あるいはやや長期的に見た考えは先ほど申し上げたとおりでありますが、当面の問題としますと、やはり間接の金融方式を無視しては進み得ない、私はかように考えております。  それからもう一つは、やはり根本的の問題でございますけれども、そういう貯蓄というよらな立場から見ますと、物価の問題もからんできますし、やはり直接預金をする方が一々物価指数を頭の中に置いているわけじゃございませんけれども、やはり感情的、心理的のことを考えますと、物価の問題もあるし、そういう問題を総合的に考えてまいりますと、いまもう少し慎重に預金の問題は考えるべきではないか、かように考えております。ただ、預金の問題は、これは法律的に言いますと、大蔵省のほうに指導権があるので、それ以上申し上げると、いろいろ大蔵省のほうからしかられますので、まあそういうところで……。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私も、いま宇佐美さんのおっしゃったように、公債の利率のほうがほかを動かすてこになったりするのはおかしい。やはり預金金利の問題というのは、全体としての角度からの問題であり、特に消費者物価の問題は、本年度はまたおそらく六%をこえてかなり上昇を予測されるわけでありますから、そういう点を考えるならば、やはりきわめて慎重な処理が必要なのではないか。これも最近は、さっきの公定歩合問題、金利問題及び公債問題等、いずれも少し安易な論議が多過ぎるのじゃないかという感じがいたしますので特に触れたわけでありますが、ただ、いまの預金金利の考え方は非常にはっきりしましたので、けっこうであります。  次に、コールの問題でありますけれども、私、この前お越しいただいたときに、できるだけコールが下がって、それが安定的に長期に続く状態をひとつ望みたいと申しております。幸いにしていまだんだんと下がってまいりましたが、これから九、十、十一月にかけまして政府のほうはかなり大幅な散超になりますから、資金はゆるんでまいりましょう。特に農中を通じての米の供出代金の支払い等でたいへんゆるんでまいりましょうから、新聞で承っておるところでも、大体今後一厘なり二厘なりは下がるだろう、こういうふうに伝えられております。ただ、私どもはその場合に、一厘、二厘ここから下がることは非常に歓迎をするわけでありますが、年が変わるとまたとたんにタイトになって、これから揚げ超に転ずるわけでありますから、この揚げ超になったときにこれがまた二、三厘戻るのだということになると、いまお話のあった公社債市場の育成等の問題についても非常にマイナス部分をもたらすのではないかと思う。ですから私は、そういう意味では、ここでもし二厘下がったとするならば、そういう状態、二厘下がったままがいいのか、そこらはまだ多少考えなければなりませんが、少なくとも二厘下がって、またすぐ二、三厘上がるなどというようなコールの動きというものはできるだけ排除をしていただきたい。そのためには、やはり新しい金融調節方式というもので、これはオペレーションなりその他で必要な資金は十分供給しながら金融緩慢の状態を多少日銀の指導のもとにつくっていくような状態を続ける必要があるのではないかと、こう考えるわけであります。その点についてのお考えと、いま問題になっております新しい金融調節方式、長期債によるところのオペレーションは、そういうような公定歩合との関係から見ましても必ずしも歓迎されない面もあるかもしれませんし、考えようによっては、そういうオペレーションは、せっかく公定歩合を下げたことの意味を削減する方向にも働くわけでありますから、二律背反といいますか、変なことになりかねませんから、おそらく新しい金融調節方式もお考えになっているだろうと思いますので、この二点について……。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 最初のコールの問題でございますが、御承知のように、最近まで急激に下がってまいりました。いまの私の見通しといたしましても、なお金融情勢から見ますと、米の代金その他が非常に出てまいりまして、さらにどれくらい下がるかはとにかくとしまして、ゆるむ傾向に向かうことは確かだろうと思うのであります。その間の処置といたしまして、私どもは、コール市場にいたしましても、要するに金融につきましても、変化の波といいますか、それが大きくなってはいげないという意味から、むろん現在としては、われわれは金融の緩和基調というものは阻害しちゃいけないと思いますが、これからお話しのように農業関係の資金が豊富に出てくるという堤合には、これをある程度吸い上げて、そうして過度にふくまないように、過度にふくれますと、必ずその次に反動的に問題が起こります。ことに、ただいまのお話しのように、下がるのはいいけれども、また来年これが必ず苦しくなってくるのは当然でございます。そのときにまた二厘も三厘も上がるようになってはかえっていけないのじゃないか、私も全くさように考えておりまして、それで、非常にゆるんだときも余剰資金というものを適当に日本銀行が吸い上げるということを考えておるわけでございます。この余剰資金のもとは、御承知のように農中でございますので、目下農中といろいろ話し合いをして、まだ結論に達しておりませんけれども、早急にひとつやって、とにかく基調は変えないのですが、もうそれ以上のものは吸い上げておかないと来年非常に困るという点は、堀委員のおっしゃるとおりでございます。その点は十分考えてまいりたいと思っておる次第でございます。いまここで私が申しますと、もうそれで決定的ということになりますと困るので、具体的のことはちょっとお許しを願いたいと思います。  それからオペレーションでございますが、御承知のように、新資金調整方式というものを日本銀行が出しまして、それがオーバーローンが非常にふえてきましたので、日銀の発券高よりも超過するというようなことになってきたらたいへんだということで、その後に至りまして、オペレーションを中心としてやろう、これはいわゆる公開市場操作というようなことを言っていますが、実はそうではないのでありまして、市場がございませんので、われわれのほうは取引銀行と相対でやっておる、その値段も日本銀行がきめるというようなことでやっておるわげでございます。したがって、われわれとしては変則なオペレーションと思っておるわけでございます。このごろのように金利がこういうふうに下がってきて、そして長期債を対象にしていくということになりますと、これは金利の関係でもういまの方式のオペレーションはできなくなってくるということで、七月後半の分と八月はとりやめました。これは証券のほうでも、金を出しましたので余裕もありましたし、また実際困れば貸し出しでいこうということでとりやめたわけでございます。九月以後の問題をいま研究しておるわけでございますが、九月、十月、十一月は、御承知のように財政散布の金がよけいに出るときでございますから、さしあたりはどういうふうにやるか、この問題も、実は先ほど申し上げました今後の二、三ヵ月の問題は農中が一番大きな影響があるものでございますので、そちらを固めてから当面の問題をきめたい、かように考えておりまして、いま至急農中とお話をして、それがきまってきませんとほかの問題がきまらない、まあ数千億何とかしなければならぬ、かように考えておるところでございます。オペレーションの問題は、今後われわれとしても実際本格的にやるとすれば、市場がなければできない、そこで市場をどういうふうにつくっていくかというようなことを考えておるのでございます。一方、もう御承知のとおりでございますが、日銀貸し出しという名目の中でも内容が非常に変わってまいりましたので、そういうことをもあわせて考えていかなければいけない、為替関係あるいは証券関係が全体のうちの非常に大きな部分を占めるようになってきている、そういうものもあわせ考えまして、貸し出しをどうするか、オペレーションをどうするかということをいま研究しておるところでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 研究中だというお話でございますから、もう少し私伺えるかと期待をしておったわけでありますけれども……。それで、いま総裁もおっしゃったように、私はかねてからこれはオペレーションだと思っておりませんで、ローンだと思っておったわけであります。ただ私は、山際さんのときにもちょっと申し上げたことがあるのでありますが、ローンはローンでも、もう少し何か金利に幅がつくとか、何かもう少し方向だけでもオペレーションの方向に向いてもらいませんと、いつまでもローンだということでは、さっきのごまかし的でしてね。私はどうもオペレーションということばが適当なのかどうかと感じるわけでありますが、そういたしますと、今後の方向は、そういう金利機能をも加味した形のオペレーションの方向というものをお考えになっておるわけでございますか。その点をちょっと……。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 それはむろんそういう面も考えまして、また短期のものもどうだうらか、対象ですね。あるいは手形、そういうものをいろいろいま研究いたしておるところでございます。当然一定の金利だけできちっと――そういうやり方は、おっしゃるとおりもう全く公開市場操作の変形というよりも貸し出しの変形というほうがもっと当たっているかと思うくらいに固定したと考えておりますので、やはりこういうふうになってまいりますと、これは考えていかなければならぬ、かように考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 対象の問題は、政府の証券もありましょうし、おっしゃるよろに証券でもいろいろあると思うのでありますが、やはり私はこの前から何年か公社債市場の育成について声を大にして言ってきましたけれども、こればかりはどうも非常に抵抗が強くてなかなか進まない。最近も証券市場で公社債の値つけの問題をやっておりますが、大蔵省のどこからブレーキがかかるのか、依然としてどうもブレーキのかかり方が強くて、わからぬわけではありませんけれども、少し勇気が足らないのではないかという感じが私はしてならないのであります。それがやはりおくれればおくれるほどひずみが残るわけでございますから、私は、さっき申し上げた公債その他の問題はプライスメカニズムでコントロールができるような状態にいかにして早くするかという方向で考えない限り、さっきの金利の問題、金融調節の問題、公債発行の問題も、この金融に関係した問題というのはなかなか前進できないのではないか。ですから、その環をどこで破るかはなかなかむずかしいところだと思いますが、私は日本銀行として破れるところ、環を切るところはひとつ勇気を持って切っていただかないと、私はこれはやはり依然として一つの輪の中だけをぐるぐる回らざるを得ないというような気がいたしますので、その点は特に積極的にひとつお考えをいただきたい。  農中の問題については、実はきょうは午後に農中の理事長をお呼びいたしておりますのであれでありますが、ちょっとここで資金偏在の関係について、これは所管は大蔵省でありますが、銀行局長もおりますから、あわせてちょっと銀行局長の所感も聞こうと思いますけれども、御承知のように、宇佐美さんは都市銀行の御出身でありますが、都市銀行は常に資金不足で、その他の金融機関はおおむね資金が多少余る。特に農中におきましては、この余資を今後どうするかということは、おそらく大きな問題になると思います。現在信連、農中と合わせて五千億くらいコールに出ておりますから、さっきのコールの問題についても、ともかくこれはあと二厘ぐらい下げるということになりますと、農中もあまりこれまでのような楽な姿勢では処理ができない。奨励金を切るなり、いろいうな形で系統金融の内部的な合理化を促進させることが必要だ。やはり五千億のコールを出しておる、そこにコールが下がるという作用が働いてきたときに、これはやむを得ざる措置として、系統金融のコストが下がっていくのではないか。もちろん限界がございましょうけれども、下がると思います。そういう意味で、私はコールが緩慢になってきたことは望ましいと思いますし、もう一つの面は、コールがまた下がりますと、信金その他の金融機関の出し手の側としてはやはリコストに関係している。これは私の試案でありますけれども、実はコールにマーケットを通ずるものと直取りとがございます。あと残りのインターバンクがあるわけでありますが、私は、コールがマーケットを通ずるものだけになるようになったほうがどうもいいのではないか。その直取りは、できればもうインターバンクとして集約をしてしまって、直取りのようなものは認めない。それはインターバンクの預金ということにする。そうしますと、いまは臨金法でちょっと制限がありますから、そんな安い金利ではとても預けられないという問題もありましょうけれども、しかしコールが下がってまいりますれば、臨金法を多少動かすにしても、小幅に動かすことでその措置ができるのではないか、そのほうが出し手としても安定をしておりますし、取り手としても見通し、計画が立てられるし、裏返して言えぱ、わずかな部分かわかりませんけれども、ドレッシングをそこで少し整理もできるのではないのか、こんな考えをば持つわけでありますけれども、そのことは、農中と都市銀行との間は臨金法のワク外になっておりますから、ここは金利は都市銀行と農中が話せばどうでもできることなんですけれども、何らかひとつそういう形で資金の流れというものが、いまのような状態よりももう少しパイプがきちんとなったかっこうでルールの整理をされたらどうか、こういう感じを持っておるのでありますが、これは主管は大蔵省でありますけれども、先にちょっと宇佐美さんから感触をひとつ……。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 農中の問題は、これは歴史的の問題でもございますので、なかなかむずかしい問題でございますが、私は、これは私の個人的考えでございますけれども、やはり農中系統といいますか、農林系統金融機関、これも金融機関である、そういう意味から、私のしろうと目から見ますと、やはり非常に合理化の余地があるのではないかというように感じておるわけでございます。われわれの日本銀行は農中と預金取引もいたしておりますし、貸し出しもいたしておるわけでございまして、われわれの取引先であるわけであります。したがって、こういう農中の資金を日本銀行の立場から考える場合には、はなはだ率直でいけないのですが、農中の収益というものを考えるよりも、われわれは農中をやはり資金謝節の一つの相手として考えなければいけないのではないか。いま農中のコストが非常に――非常にといっては悪いかもしれませんが、やや高いというふうに言われております。自分のところは非常に高いから、コー一ルとの関係で、いままではコールが非常に高かったからよかった、低くなっては困るというようなことは、ほんとうを言いますと、日本銀行に言われると困る問題なわけでございます。したがって、これは急にはいかぬと思いますが、そういう方向でひとつ農中系統の金融機関も考えていただきたい。ただそうかといって、いままでのコールが非常に高いところから急に下がってまいりましたので、これを今日どうということはやはり無理な点もあるかと思うのでございますが、方向としてはそういうふうに考えてもらわないと困る、これはまだ個人的な印象でございますが、さように考えております。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 ただいま堀先生の御指摘でございますが、つまり、直取リコールというようなものは、コールという本質から見ていささか変則ではなかろうか、これはむしろ金融機関の預かり金、インダーバンクの預金という形でむしろ整理をしたほうがいいのではないかというお話でございますが、これは確かにごもっともな点でございまして、かねがねそういう考え方は実は各方面にあるわけでございます。現に三年前でございましたか、金融制度調査会におきまして例の都市銀行のオーバーローンの解消問題、あの審議が行なわれました際も都市銀行側からそういう強い御主張があったわけでございます。ただ、これが現在御指摘のように、臨時金利調整法の告示によりまして、インターバンク預かり金、これは三ヵ月以上のものは一銭五厘ということでございます。そうなると、なかなか預金という形では入りにくい、勢い金融機関借り入れ金なりあるいは直取りの形になるととは御承知のとおりでございますが、そこでおっしゃるような形で預かり金というような整理をするということのためには、そこに金利の問題がどうしてもからむわけでございます。一説によりますと、むしろそういうインターバンクの預かり金については、臨金法の適用外にしてはどうかという御意見も実は一部にございます。もう一つは、適用はするけれども、その適当な金利をきめてはどうか、こういう二つの考え方があるわけでございます。この点、私どもかねてからいろいろ考えておるのでございますが、その二つの考え方にやはりそれぞれ問題がございまして、つまり、適用対象外にした場合にその金利は一体どうやってきまるかという問題、これはおのずから金融機関、取り手と相手の契約ということになりましょうが、そこに競争等が起こった場合に一体どうなのか。経緯を考えますと、実は臨金法制定当時、先生御承知のように、インターバンクの預かり金については規制をしておりませんでした。ところが、それが朝鮮動乱で非常に金融市揚が逼迫してきたというところでインターバンクのレートが急騰したわけでございますが、これではいかぬ、当時混乱が起こったのでそこを規制しようということで、二十五年でございましたか、規制した。そういう先例もございまして、これを完全に適用外にした場合に起こる影響等々も十分考えなければならない、そういう場合に、それじゃ適用はするが、しかるべき金利を取る、こうなりますと、一体その金利は何を基準にきめていったらいいのかという問題が出てまいりまして、おそらくはこれはそのときどきのコールレート等を参酌してという話になると思いますけれども、さればといって、それが預金という形をとる以上は、通常の預金金利とあまり懸隔があるというのもいかがであろうといろ問題もございまして、実はいろいろ検討を要する問題が多いわけでございます。確かに御指摘のような考え方をとりますと都市銀行の姿は非常によくなるわけでございますね。直取りと金融機関貸し金でたしか三月末あたりがほぼ六千億円ぐらいございましたでしょうか、その六千億のものが預金という形になる、これは外部負債がそれだけ減って姿はよくなるといろ形は確かにあろうと思いますが、ただいま申しましたようないろいろの問題がございますので、今後とも十分ひとつ慎重に研究をさしていただきたい、かように思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまの問題で私が特にそういう考えを持ちましたのは、コールはやはりさっきの公社債市場の関係で、できるだけ下げていきたい。ところが、コールがどんどん下がることで信用金庫その他に多少摩擦も起きてくるわけですね。これは私は別途に救済をすべきだ。そのつなぎといいますか、過渡的な段階で、インターバンクの金利に多少弾力性がついておれば、それを徐々にコントロールすることによって急激な変化を避けながら、しかしオープンマーケットのコールはぐっと下がった状態でおくということができるのではないか。ですから私は、取っ払えというよりも、やはり法律としては、大臣が政策委員会の意見を聞いてきめる、こうなっているわけですから、ある一つの幅をきめて、日銀の政策委員会に少しまかしたらどうなのか。そこで日銀当局としては、コールのコントロールと合わせながら、いまの臨金法のインターバンクの金利というものを、そうしょっちゅう変えては困りますけれども、政策委員会である程度決定しながら、いまのコールの緩慢という条件のはね返りを多少そこでカバーしながら処理をしたらどうか。これは私の試案でありますから、ひとつここらについては御検討いただけばけっこうであります。  最後に、証券金融の問題についてお伺いをいたします。  そこで、銀行局にちょっとお伺いをいたしますが、これは各行の名前をあげますけれども、これは監査報告を見れば出ておることだと思いますから、興業銀行、富士銀行、三菱銀行の貸し倒れ準備金は一体現在幾ら積まれておるのか、ちょっとお伺いします。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 ちょっといま手元に数字がございませんので、早急に調ぺまして、後ほど御報告申し上げます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 それでは日銀のほうにお伺いをいたしますけれども、実は五月の終わりでございましたか、山一に対する二十五条の適用がございました。最初に、日本銀行として日本銀行法の解釈といいますか、お考えを承っておきたいのでありますが、日本銀行法第二十五条は「日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ為必要ナル業務ヲ行フコトヲ得」こうなっておるわけですね。片方、日本銀行法第二十条の二号で「手形、国債其ノ他ノ有価証券、地金銀又ハ商品ヲ担保トスル貸付」が行なえる、こうなっておりますから、貸し付けは原則として担保が要るということを業務のほうでは規定がしてございます。今回の問題は、全然担保がないわけではないのでしょうが、ほとんど無担保というかっこうでその貸し付けをする必要上二十五条が適用された、こう考えておりますけれども、その点で、この信用保持という問題と育成と二つございますね。育成については、私はこの前たしかその他の処置がとられておったことは承知しておりますが、信用保持というのは、新しい日本銀行法が制定されまして今回が最初だと思います。これはやはり信用保持に限られておるかどうか、育成が入っておるかどうか、そこのところをちょっと総裁にお伺いをいたしたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 先般山一証券に対して特別融資をいたしましたときは、信用の保持ということが日本銀行の目的でございますので、その線でやったつもりでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 信用の保持ということがはっきりいたしました。  そこで、実はこの前私当委員会でこの問題を少し議論いたしましたときに、この法律のたてまえからいたしますと、信用保持ということは緊急の、場合の信用保持ということだうらと思うので、私、銀行局長に、この信用保持というのは緊急避難といろ形のものではないのかと尋ねましたら、まあそういうことだというふうに銀行局長は答えておるわけでございます。総裁もやはりこれはそういう緊急避難的に信用制度を保持するための取り扱いだ、こういうふうにお考えになるかどうかをちょっと伺います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいまの御質問のとおり、私どもも、あのときの情勢から判断いたしまして、やはりこれはそのままほうっておくといろいろな信用不安が起こりゃしないかというつもりで、まあ緊急というつもりでおります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、いま山一証券と大井証券に日本銀行が二十五条の適用によって貸し出しをしておられるわけでございますが、この現状と仕組みでございますね、その貸し付けをなすった仕組み、おそらくこれは都市銀行を通じて貸し付けをしておられると思いますが、この仕組み、担保の有無、要するに日本銀行としての担保の有無等についてちょっと承りたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 現在の山一証券及び大井証券に対する詳しい数字は、これはいろいろの関係がございますので、お許しを願いたいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、すでに申し上げてあるような相当の赤字を持っておるわけでございます。したがって、銀行を通じて貸し出しといいましても、担保は全然ないわけじゃございませんが、きわめて不安定、不足であるということで二十五条を適用したわけでございます。ただ、その後の成り行きを申し上げてみますと、現在両社とも七月あるいは八月というふうに、落ちついてまいっております。たとえば、問題の運用預かりでございますね、あるいは担保関係のものにいたしましても、問題の起きました五月の末から六月一ぱいは非常な不安定でございましたが、七月になりますと落ちついてまいり、八月になりましてみますと、非常な安定した状態にきておるように思うのであります。この運用預かりの状態は、五月二十一日から六月末日まで、山一の場合でございますと、この間においてかれこれ三百億近いものの引き出しがあったわけでございますが、これが七月中になりますと六分の一に減っております。そうして、八月になりますとほとんどゼロに近くなっております。また大井証券にいたしましても同様でございます。一方、山一証券の場合で申し上げますと、確かに当初再建計画というものを立てておりまして、あのときから見ますると、非常に危機に瀕したときは出来高も少のうございますし、非常に困ったわけでございますが、七月になり八月になりますと、出来高も御承知のように非常にふえてまいりましたし、一方整理のほうも非常に進んできております。したがいまして、むろん山一の場合にいたしましても二百五十億ぐらいのたな上げがございますし、特別融資もやっておるというようなことで、会社自体としてのなにでございますが、当面、日々の、毎月の経常赤字というものは非常に小さくなり、あるいは今後なお、これも市況いかんによるのでございますけれども、当面の第一目標である経常収支のほうはまあ何とかいくというふうな状態にきておるように報告を受けておるわけであります。したがいまして、今後この市況いかんあるいは努力いかんでございますが、私どもとしては、整理も相当進んでおる、かように見ておるところでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ちょっと私の伺ったことに対する御答弁がなかったのですが、私が伺ったことは、いま山一にたしか二百八十二億、それから大井に四十七億出ておると思います。これはいずれもたしか興業銀行がメインバンクだと思います。そこで私ども疑問がありますのは、おそらく山一の手形か何かがこれらの都市銀行に入って、その都市銀行がその手形を持って――日本銀行に持っていらっしゃるかどうか別でありますけれども、何かそういう形式的な処置がとられておると思います。その際に、何か銀行として二割だけは担保が日本銀行に入れてある、こういうふうに聞いておるのでありますけれども、その点は事実はいかがでございましょうか。ちょっと時間がございませんので、少し簡単に……。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 これはそういうことにいたしておるわけでございますが、しかし、当時の情勢また事柄の性質から、われわれとしては形式はそもいうふうになっておりますけれども、当時の緊急避難という処置のたてまえから考えまして、この二割の分をそれぞれの銀行に負担さすということは、最後のところに来ましてどういうふうになるかわかりませんけれども、というのは、整理がどう進むかによってきまるわけでございますが、かりにどうにもならぬというふうになったときは、これは性質上、それぞれの銀行に形式上負担さした担保というものは解除しなければいけないのじゃないか、かように大蔵省とも相談してきめているわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私はその点ちょっと疑問がございますのは、担保を入れた、しかしそれはリスクがないのだ、そういう場合、担保の効力はしないという担保なんていうものが一体あるのかどうか。それじゃなぜ日本銀行がそういうような担保をお取りになったのか。担保というのはリスクがあるということにおいて担保なんじゃないかと思うのです。私が金融の専門家の宇佐美さんにこういうことを伺うのも恐縮なんでございますが、リスクのない担保なら初めから取らないで処置がされたって同じじゃないか、なぜリスクのない担保を二割でも出させておるのか、それが一点でございます。  二番目は、さっき聞きました貸し倒れ準備金でございますけれども、実は法律に基づきまして無税で貸し倒れのために準備金が銀行に積み立てられておると思います。一体この貸し倒れ準備金というのは何のために使う準備金なのか。メインパンクが、山一なんかの場合にはかなり長期にわたって役員を派遣しておられて、そうしてその結果としてこういう事態になったわけでございます。私は何もメインバンクの責任だとは思いませんけれども、しかし役員を派遣しておられたメインバンクが、そういう際に、ともかく自分たちはもうノータツチで、担保は出すけれども、これもリスクのない担保だという楽な姿勢でこの問題が処理されているということになると、私は銀行の貸し倒れ準備金の制度はやめるべきだ、全部有税にしてやっていただきたい、こう思うのです。無税にしてこれまで積んでおるのは、こういう場合にこそ取りくずすというために積んでおるのではないのか、こういう感じがいたしてならないのでございます。そこでちょっと念のために、一体どのぐらい貸し倒れ準備金が積まれておるのか聞いたわけでございます。

佐竹浩大蔵事務官(銀行局長)

○佐竹説明員 本年の三月末現在でございますが、富士銀行の分は二百一億五千百万円、それから三菱銀行が二百十億七千三百万円、それから日本興業銀行が百九十二億五千五百万円でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまお聞きのように、各行ともに約二百億円の貸し倒れ準備金を過去において無税で積み立てておるわけでございますね。私は、こういう場合に何も全部をかぶれとは申しませんけれども、やはりメインバンクならメインバンクらしい措置が当然とられるべきではないのか。私はややこのメインバンクの姿勢が安易に過ぎるような感じがいたしてならないわけでございます。もう取りくずさないのなら、私ども次の国会で銀行の貸し倒れ準備金については全部有税にしようということを当然当委員会としてきめなければならない、こう考えるわけでございます。その点についての総裁のお考えをひとつ伺いたい。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 今度の処置は、御承知のように、運用預かりを主体として――そのほか若干ございますが、私どもあの時限以降の問題を解決するということでございます。したがって、たとえば、いま問題になっております山一に対しまして各銀行が取引をいたしておりますね。そこで、私どもは山一の再建を何とかやりたいということで努力をさしておるわけでございますが、万々一にもつぶれた場合に、山一にそのほか固有の銀行が貸し出しをいたしておりますが、その問題に対してはわれわれは何ら関与しない。固有の問題につきましては、やはり最終的には貸し倒れ準備金なり何なりでそれぞれの銀行が責任を負うものだ、かように考えておるわけでございます。したがって、証券会社に対する貸し出しが全然これで免除になったんだとは決して思っていないわけでございます。したがって、貸し倒れ準備金は、ほかのもろもろの取引先と含めまして、やはり私は必要なものだと思うのであります。だだ、特殊な日本銀行が大蔵大臣の承認を得てやりました貸し出しにつきましては、これはそこまで追及するのはいかがか、かように考えておる次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 もう一つだけ、担保として働かないものを担保としてお取りになったのはどういうことなのですか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 それは日本銀行の手続上担保手形といろ形式――これは担保で貸し出しをしたものですから、したがって貸し付けの場合の担保手形並びに貸し付け金額の二〇%相当分は、証券で入れさすということになっておりますので、それを山一が出せぱいいのですが、出せないということで、銀行も本来ならば、山一が持っておればそれを銀行に出しまして、そうして日本銀行に出させる性質のものだろうと思うのでございます。そういう状態で緊急にそういうことにいたしたわけでございますが、主力銀行とはいいながら、ここまで責任を負わすのはいかがかということで、あの日から以降のこの特別扱いにしたものだけについて免除する、決して山一全体の各銀行の貸し出しの責任を解除した、こういうことではございません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 時間がありませんから、終わります。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 只松祐治君。

只松祐治日本社会党

○只松委員 時間があまりございませんので、問題点だけお尋ねしたいと思います。   〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕  公債の問題についてお尋ねしたいのですが、政府なり日銀のほうでも、あるいはさっきからの御答弁を聞いても、公債についてまだ全般的な、あるいは最終的な検討が終わっていない、固まっていないようでございます。ただ、いま当面の問題とそれから長期的な面からの公債の問題が御説明ありまして、論議もそういう形でおよそ行なわれておるわけであります。私たちは、こういう面とともに、一番国民が懸念しておるのは経済の動向だろうと思います。政府は政治をやっておるから特にそうでしょうが、景気が間もなく上向く、あるいは福田さんのことばを借りれば、つま先上がりによくなっておる、こういうことを口を開けばおっしゃっておる。こういうふうに景気が好転する見通しが早期にあるということなら、私はいま言ったように、公債はそんなに大げさに論議する必要はないだろうと思うのです。私は、なかなかこの経済の動向が容易ではない、財界がかつてない圧力を政府や日銀にかけたということも、そういうことにあると聞いておるわけですけれども、なかなか景気が好転する見通しがないから本格的な公債というものが真剣に論議される、こういうことになっておるのだと私は理解するわけです。日銀総裁として金融面を預かっておられる宇佐美さんのほうで、この関係、特に経済がそんなに簡単に立ち直るというふうにお考えになっておられるかどうか。公債の問題はほんとうに論議するなら、私はここから論議を始めていかなければならぬわけですけれども、きょうは時間もございませんから、問題点だけにしておきたいと思いますけれども、この点について、ひとつお考えをお述べいただきたい。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 終戦後の経済の動向を考えてみますると、いろいろの紆余曲折はございましたけれども、一本調子で日本の経済はいわゆる供給不足という形、したがって、設備をふやして物を生産すれば売れるし、売れれば利益があがるという、とにかく物不足の経済で今日に至ったわけでございますが、両三年前からこの様子が変わってまいったことは御承知のとおりであります。したがって、今後の経済はいままでのような調子ではいかない、一年ごとに調節していくということがあるいはむずかしいのではないか、したがって、その間に、景気の過程におきまして、資金が不足するということも、財政のほうで歳入が不足するということもあるでございましょうし、またいろいろの関係でいままでのように一年ごとに超均衡財政は今後――安定経済ということを言いますけれども、安定経済といいましても、経済自体は動いておるわけでございます。したがって、そういう間におきまして、将来、たとえば建設公債のようなものは出してもいいのではないかというようなことで、公債論が起こってきているのではないか、景気回復という問題もございますけれども、しかし、それよりも本質的に、日本の経済がこういう状態になってくるとその問題が当然起こってくるのではないか、いままでのように、常に自然増収を追っかけてやっていくということはむずかしくなってくるのではないか、その年によっていろいろの――経済はなるべく安定して進めなければならぬ、しかし、国の収入のほうは必ずしもそれに沿っていくとも限らない、そういうようないろいろの点からいって、これはやはりへたな出し方をすると確かにインフレにつながりますけれど気インフレにつながらないような方法を公債発行ということでやっていくときではないか、私はかように考えております。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私の質問にずばりではなくて、はずされたような答弁でございますが、私は経済の動向、特に当面の景気の動向と公債との関係をお聞きしたわけです。私はさっき言いましたようなことだと思っております。  それでは次にお聞きをいたしますが、公債を発行するには、無制限、無放任にできるわけではなくて、いろいろ制約もあります。特に財政法の四条あるいは五条、七条、そのほかにも公債との関係の規定があるわけなんです。こういうことを御存じですか、御存じでないかということはたいへん失礼だと思いますけれども、それは当然公債を論議される場合には御存じになっておるものと思いますけれども、これにはいわば禁止規定といいますか、こういうときにはしてはならないというような規定のほうが多いわけなんです。当面出すのと長期的な公債と、二つの場合がありますけれども、当面の公債を出すということは、これは過日本委員会においても約二千億から二千五百億くらいの本年度の税収の見積もり不足が出てくる、こういうことを主税当局も明らかにしておるわけなんです。これは推定でございますけれども、当局側が一応正式に答弁した数字です。そういたしますと、この二千億から二千五百億に達する赤字が、さっき総裁も当面のものは赤字というような形で御答弁があったように聞いておりますけれども、しかし、この財政法では赤字の公債というのは一応認めていない、こういうふうに理解するのが正しい財政法の解釈だろうと私は思うのです。そういたしますと、財政法からいくと、これを変えれば別でございますけれども、少なくとも現在の財政法を常識的に解釈して――まあ自衛隊でも拡大解釈してできるわけですから、そろいう極端な解釈をすれば別でございますけれども、少なくとも常識的に解釈していく場合にはなかなか赤字公債はできない、こういうことに解釈していいんだろうと思う。政治的な立場も多少ありますけれども、それよりもむしろ技術的な面を預かられる総裁としては、そのことは正しいとお考えになるかどうか、ひとつお聞きしておきたいと思います。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいまお話しのとおりでございまして、財政法において禁ぜられておることをやるわけにいかぬわけでございますから、これは政府のほうでおきめになることでありまずが、必要があれば、どうしてもいけなければ財政法を直すとか、あるいは特別立法するとか、これは私どもが申し上げる範囲内のことではございませんが、政府においていろいろお考えになっているのじゃないか、かように考えております。したがってその問題は、日本銀行としては、これは政府と国会でおきめになることなんですが、その後に出てくる問題についてわれわれは考えなければならぬ、かように思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 私たちもそれはそれなりに努力はいたしますけれども、直接あるいは間接的にこの公債を取り扱われる日銀としても、ただ政府が言うから、あるいは国会が言うからというようなことで、きめればすぐそれを引き受けるとかということでなくて、いま御答弁のような趣旨からかと思いますけれども、日銀のほらで直接引き受けないというような、これは正式談話ではございませんけれども、何かいろいろ新聞に書かれております。ひとつぜひそういう点を御要望申し上げたいと思います。この点よろしゅうございますね。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 いま申し上げましたのはそういうことでなくて、そういう公債を出すということは、法律論としてのことで、われわれが申し上げることではない。しかし、政府が御発行になりましたものをどういうふうに消化するか、あるいはお出しになるにしてもどういう条件でお出しになるのか、そういう点につきまして、つまり消化の面からは、私が先ほど堀委員にも申し上げたのでございますが、やはり終局的には国民の貯蓄で消化しなければならない、その条件に合うようなものでなくては困る、また時期としてもいろいろの金融情勢も考えていただかなければならぬ、そういう点は私どもも十分政府に申し上げなければならぬ、かように思っておるわけであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 政府でございませんから法律論はいたしません。ただ、いまお答えになりました国民の貯蓄の面からという話ですけれども、国民は、戦時中ではございませんから、そら強制的に国債を買え買えと言って隣組を通じて売るということもできないでしょうし、具体的には私は銀行なり相互銀行、信用金庫、金融機関がどうやって引き受けていくかということだろうと思うのです。そういうことであればあるほど金利という問題が一番問題点になるだろうと思うのです。新聞では六分から七分の間とか、いろいろいわれておりますが、公債の金利は、これも最終的にきまっていないといえばそれまででございますけれども、少なくとも、すでに具体的に日程にのぼっておる当面の公債の問題等については、およそ論議がされておると思いますけれども、公債の金利は大体幾らにしたいとお考えになっているのですか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 この金利ということは、やはり政府がおきめになることでありますが、そういう環境のほうから見てわれわれがいろいろ政府にも申し上げなければならぬことがあると思うのです。決定なさるのは政府であります。したがって、その環境の中にはいろいろの問題がございますので、いまこれを何厘にしたらいいかというような点について私のほうから申し上げるということは差し控えたいと思いますし、差し控えたいというよりも、できないということを申し上げるのがほんとうだろうと思います。まだそこまで結論がいっていないように思うのであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 新聞には、日銀筋からとかいろいろな形である程度のものが流されておるわけです。本委員会で答弁なさるのは半ば公式になりますから、なかなかむずかしい点もあるかと思いますが、およそこういう点が望ましいと申しますか、たとえば一つの限界は七分であるとか七分以上であるべきが望ましいとか、あるいは七分以下、六分と七分の間とか、そういろ大体の線くらいは、これだけ公債問題が論議になっている以上お考えがあろうと思いますけれども、ひとつそろいう望ましい線でもけっこうですからお答えをいただきたい。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 新聞でどういうことが出ておるのか、私も新聞は読んでおりますけれども、私に無関係で出しておりますので、何ともそれについてお答えのしようがないわけでございますが、どれくらいという線もこれから研究いたしませんと申し上げられない――決定できぬことを申し上げられないわけでございますが、さっき申し上げましたとおり、やはり国民貯蓄が消化できるというのが一つのワクではないか、かように思うわけであります。同時に、やはり国債というものの信用度もむろん考えの中に入ってくるだろうと思います。したがって、信用の高いもので、しかも国民が消化できるというと、おのずから一つのワクができてくるのじゃないか、そういうふうに考えておるわけであります。ここで何厘というようなことはとても申し上げられないと思うのであります。 

只松祐治日本社会党

○只松委員 大体六分七厘くらいの線というのが一応出ておるということは御存じですか、御存じないですか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 六分何厘というのを、私は新聞では見ましたけれども、それが適当かどうかというような点は、私としては知っているが、申し上げられないという性質のものじゃないのでございまして、これはあくまでもいろいろの各般の情勢を判断なすって政府が御決定になるので、私としては政府には希望なり意見を申し上げる機会があるかもしれませんが、それは政府が御決定になるもので、私がそれをここでどうあるべきだというようなことを申し上げるのは私の権限外でございます。どうぞ御了承願いたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 御承知のように、金融債が七分三厘前後、貸付信託が七分三厘七毛、これは五年ものの金利です。それから多少差はありましょうが、市中銀行で貸し出しに要する預金コストと申しますか、費用が市銀で六分七厘前後、信用金庫で七分三厘から七厘くらいかかっておる、こういうふうにいわれております。そういたしますと、いま日銀関係から流されておると申しますか、出ておる六分七厘前後、六分から七分の問、こういう線になってまいりますと、いまかかっておる預金コストよりもこれはいずれも市銀ではおっつかっつということになりますけれども、相互銀行やあるいは信用金庫やその他こういうところを含みますと預金コストを割る、こういう形になっていくかと思うのです。そういうことが、さっき堀さんのほうからも質問があったようでありますけれども、いわゆる定期預金金利の引き下げ、こういう問題もこういう面からも出てきておるやに私は聞いておるのです。定期預金の金利を引き下げていかないことには、公債を今後こういういわば低利のもので買わされて、保証債その他より低いやつで買わされて、そうしてそれがどの程度になるか、押しつけられてくると、公債を買って損をする、こういう形にもなりかねない、こういう意見がいま金融界の中、特に信用金庫や相互銀行関係者の中にささやかれておるということは御承知だと思いますけれども、こういう点から見ても、いわばこの公債が出てきて、その金利がどうなるかということで金融関係者が非常に動揺しておる、こういうことが言えるわけです。したがって、私たちからするならば、こういう機会に、少なくともこの六分七厘が妥当であるかないか、あるいは妥当であるかないかということが言えなければ、少なくともこれを下回ることはないというようなことでも明らかにされておかないことにはいろいろ迷惑をする。さっきから言われるように、金融機関でさえそうですから、一般国民がこういう安い利回りのものを買って、金融債とかあるいは貸付信託あたりの七分から出ておるものをやめて、そうして国債を買う、こういうことはあり得ないと思うのです。これはどうしたってやはり高い金利のものを買って、そうして政府なり日銀としては押しつけていかなければならない、こういう形になってくるわけでございます。それからその結論は、さっき堀さんが言っていたように、形式上は結局市中銀行なり信用金庫等が買っても、実際上は日銀からの振り出し、買い入れ、こういう形にもなるということは、金利一つを少し論議していっても私は明らかになってくると思うのです。時間がございませんので、私は金利の面から多少論議しようと思ってきょうは準備してきておったのですけれども、この金利の問題についてあまりあやふやというか、ぼかさないで、ひとついま私が御質問している範囲内でもけっこうですから、金融界その他に動揺を与えないように、少なくとも六分七厘を下回らない、あるいはこういうことは必ずしも妥当ではない、こういうことぐらいこの席でおっしゃっておかれたほうがいいのではないか、こう思いますけれどもいかがでしょうか。   〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいま日本銀行からこういう話が流れておる、あるいはまた金融界でいろいろ論議をされておって不安動揺があるというようなお話は、日本銀行に関する限りそういうことは絶対にないと思いますし、また私の関知している限りにおいてそういうことを日本銀行がやっているとは決して思わないわけであります。また、金融界におきましても、いろいろお話がございましたが、私が聞いている限りでは、そろいうことは、その問題が出ておりますのでいろいろ論議はされておると思いますが、それによって不安、動揺が起こっているとは私は思わないわけであります。先ほど申しましたとおり、この問題は、いま幾らにするかというようなことを私が申し上げる立場ではございません。ただ、国民の貯蓄で引ぎ受けられるという一つのおのずからなワクというものはあるだろう、かように考えておるところでございます。数字をもって、これを幾ら以上でなければならぬとか、あるいは預金金利の問題が出ましたが、先ほど堀委員にも申し上げましたけれども、公債を持たすために、その目的のために預金金利を下げるということは私はすべきではない、かように考えておるわけであります。

只松祐治日本社会党

○只松委員 最後ですからしつこくなりますが、六分七厘という一つの線が妥当であるか、あるいは妥当であるということが言えなければ、きわめて不満足なものであるか、その点について重ねてお答えをいただきたいと思います。  それから、公債のために預金金利を引き下げない、これはそのとおりだと思いますけれども、公債のためではなくて当面この預金金利を引き下げる、一般論として金融政策上預金金利を引き下げる、こういうことがあり得るかどうか、ひとつお聞きしておきます。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 再三申し上げましたが、妥当であるとかあるいは適当でないとかということを数字について申し上げることは私は差し控えたいと存じますので御了承願います。  それから、預金金利につきましては、これはただいま申し上げましたよらな国債との関係でございますが、一般につきましては、これは非常に影響するところが多いものでございますから慎重に考えなければいけない、この預金金利を下げるということは、ほんとに各方面に影響がございますので、軽率に日本銀行の立場から申し上げるべきことではない、かように考えております。はなはだ御不満だろうと思いますが、御了承願います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 全部答弁をぼかされたようですが、慎重にするということは、それはよくわかります。しかし、逆言するならば、当面は下げない、金利には触れない、こういうふうに解釈していいということでございますか。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 この問題は、ただいま申し上げましたとおり、いろいろ考えなくちゃならない問題でございます。きょう下げるか、あした下げるかとおっしゃれば、いまそういう考えはないと申し上げるよりしかたがないのですが、しかし、金利というものは決して一定不変のものではないわけでございます。いろいろの情勢を判断しまして総合的に考える問題で、これは皆さんに申し上げるのは失礼なくらい私は原則的な問題だろうと思ろのでございます。さよう御了承願いたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そういう禅問答をしているのじゃなくて、少なくとも国会で論議をしている場合には、当面というのは、本年内なら本年内のことをさしてお互いに論議しているわけなんです。来年の三月までが本年度の予算でございますけれども、当面私たちが論議しているのは、十二月までの本年内なら本年内のうちにそういう金利操作があり得るかといろことの論議をしている。一日、二日とか、あしたとか、そんなばかなことを論議しているのじゃない。そんなことを言って私の質問を終われといっても終われるものじゃない。私はもろ時間がきているのに質問しているのだけれども、本年内にそういうことをされる意思はない、こういうふうに理解していいか、こういうことを聞いているのです。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 その問題は再三申し上げましたとおり、スケジュール的に申し上げかねる、こういうふうに御了承願います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 それはわかっているのですよ。だから、金利を下げますかと言ったら、下げないといろ意味でもない。それでは本年度内くらいは下げない、こういうふうに理解してよろしゅうございますかと言っているのだが、それは言えない。あるいは本年度内にあるということならば、その発言は非常に重要です。重要だからぼくは聞いているので、重要でないことを国会で論議する必要はない。だから、下げるなら下げる、下げないのなら下げないということをひとつはっきり言ってください。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐美参考人 ただいま申し上げましたとおり、スケジュール的の問題ではないと思います。さらに、根本的の問題といたしましては、これは大蔵省が発議なさらぬと、預金金利の問題は、はなはだ法律的の問題になりますのでなんですが、私から発言はできないわけであります。大蔵省から発議があって、政策委員会でこれは論議すべき問題だと思います。その段階におきまして初めて私どもは申し上げられる問題でありますので、差し控えたいと思います。

只松祐治日本社会党

○只松委員 そのくらいはわかっているんですよ。日銀総裁としてきょうお見えになったのだから、日銀総裁としてどういうお考えをお持ちですかということを聞いているのです。単なる宇佐美さん個人ではない。日銀総裁というのは日本の金融界の第一人者です。総元締めですからその考えを聞いているんで、それが大蔵省あたりから全部が全部――それは大蔵省と話し合って、あなたは下げたいと思ったけれども大蔵省は下げるなということもあるでしょう。いろいろあると思いますよ。しかし、日銀総裁として本委員会においでになったのですから、日銀総裁としてお開きしておるわけです。  まあいいですよ。私は、さっきあたりの答弁から総合すると、なかなか苦しい答弁のようでございますけれども、一日、二日のうちにはないとしても、本年度内に操作することがあり得る――皆さんはどうお考えになるか知らないが、私は少なくともそういうふうに受け取った。こういうふうに理解して、質問を終わります。

宇佐美洵日本銀行総裁

○宇佐見参考人 ただい申し上げましたとおり、日本銀行総裁だから御返事できない、こういうことでございます。したがって、私が御返事しないことをどういうふうにおとりになるか、私には全然責任がないわけでございます。それだけ御了承願いたいと思います。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 これにて宇佐美日本銀行総裁に対する質疑は終了いたしました。  参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいだだき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  午後二時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ――――◇―――――    午後二時八分開議

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいま楠見農林中央金庫理事長が参考人として出席されております。  参考人には御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございます。  これより質疑に入ります。  通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 本日は農林中央金庫の楠見理事長にお越しをいただきまして、現在の金融全般の中におげる系統金融の問題というのは、これは当委員会としてはこれまでもたびたび議論はいたしましたけれども、当事者の皆さんに来ていただいて論議をいたしますのはきょうが初めてでございます。この系統金融の問題は、農林中金は金融機関だというふうに考えておりますけれども、末端にまいりますと、これは農業協同組合という単位になれば、信用事業と購買事業でございますか、各種の事業を総合しておやりになっておる単位になっておりますから、その点で非常に複雑な仕組みがあると思いますけれども、本日は金融の面から、この系統金融の現状における問題点と今後のあり方、あるべき系統金融の姿と申しますか、そのあるべき系統金融の姿と、それとの関連での全体の金融の問題、こういう角度から少しお尋ねをいたしたいと思います。  私いま資料等で承知をいたしておりますところでは、現在農協関係の預金というものは二兆円をこえる非常に大きな預金量になってまいっておりますが、その預金が必ずしも十分に利用されていないといいますか、農業の本来の目的のためには必ずしも十分活用がされていない、そしてその余資がだんだんと上に上がりまして、農林中金では現在直取引を含めてコールが六月末で五千五百六十七億円と、非常に大きな資金がコール市場あるいは金融機関に流されておるわけであります。皆さんも御承知のように、ようやく金融が緩慢になってまいりまして、本日午前中に日本銀行の総裁に来ていただいて、少し議論をいたしましたけれども、これからの第三・四半期は米の供出代金が農中を通じて大幅に散布されますから、さらに金融緩慢の情勢は進んでまいるであろう、大体、巷間、さらにコールレートは二厘ぐらいは下がるのではないか、こういうふうにいわれておるわけでございます。そうなりますと、現在の農中のコストから見ると明らかに逆ざやにもなるわけでございましょうし、これについては資金運用の面から、これは一つ大きな問題点が農林中金の前に出てきた、こういうふうに感じるわけであります。午前中字佐美総裁と議論をいたしました中で、急激にコールが下がったり上がったりということは金融運営上必ずしも適切でないので、下がることは私は賛成でありますけれども、下がってまた来年の第四・四半期に入ってすぐ揚げ超が続くために金融がまたタイトになるというようなことでまたコールが上がったりすることは、現在の新しい金融秩序をつくっていこうという立場からは必ずしも望ましくないがどうかという話をしましたら、それについてはやはりできるだけなだらかな形で処理したい、特に農林中金との間には現在いろいろと、今後の散超になる部分をいかにして日銀に吸い上げるかについては目下協議中であるということで、具体的なお答えはなかったおけでございます。しかし、どっちにしても、この散超になります部分を日本銀行が適度に吸い上げませんと著しいコールの低下というようなことにもなりかねないわけでありますしいたしますので、そこら辺はオペレーションといっていいのかどうなのかわかりませんが、そういう形での吸い上げが行なわれるだろうと思いますが、いまのこの時点に立っての農林中金の今後の資金運用のあり方といいますか、それらの方向についてひとつ楠見さんのお考えを承りたいと思います。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 組合金融と私ども申しておりますが、その組合金融の現状、その中における問題点等についてだんだんとこれからお話があると思いますけれども、その一端としてお述べになりました農林中金の現状については、ただいま堀さんからお話しになりましたとおりの実情でございます。ただ、私どもいろいろ組合金融の点について御説明申し上げます際に、これはもちろん堀さんそのほうの専門家でいらっしゃいますから、十分その間の事情は御承知のことと思うのでありますけれども、往々にして、単協の段階と農林中金の段階における機能についての混同等が従来ございます。その点は十分御承知の堀さんでありますから、これは前提として申し上げたほうがいいかと思いますけれども、詳しく申し上げることを省略いたします。  組合金融についてただいまもお話がございましたが、従来一般的にいわれておりますことは、組合金融では預金を集めることには非常に熱心である、しかし貸し出しについては必ずしも預金ほどの熱心さはない、特に農村における資金需要というものは非常に多いにかかわらず、その資金需要には応じておらないではないか、あるいはかりに応ずるとしてもその金利は高いではないか、こういうことがよく従来からも組合金融に対する外部からの批判としてはいわれておったことでございます。一面、それは真実をついておりますけれども、一面、また考えてみますとやむを得ない点もあるように思います。それが実は問題点として一番重要な点でございます。と申しますことは、たとえば、農協が非常な努力で二兆円の貯蓄を昨年の暮れに達成いたしました。これは貯蓄達成のかけことばといいますか、これから農業の近代化なりあるいは農村における生活環境の整備なり、いろいろのことをやるにあたって資金が要るんだ、その資金を自己蓄積といいますか、自分たちの力で集める、そのことの必要というかけことばのもとに二兆円の貯蓄達成が非常な努力でできたわけでございます。そうしますと、その二兆円という貯蓄、そのうちの――従来の傾向で申しますと、単協の段階で二兆円が貯蓄されますと、大体半分程度が単協の段階で貸し出しに回されまして、いまお話がございましたように、残りが余資として信連に上がってくる、信連で同様のことが行なわれまして、その半分程度のものが金庫に上がってくる、したがって、単協の段階で二兆円の貯蓄ができると、金庫には四分の一の五千億が上がってくる、こういう状況でございます。そこで、コールあるいは私ども乙種短貸しと称しておりますが、銀行に対する貸し出し、これを合わせてお話がございましたように六月末では五千五百億をこえておる、今日六千億くらいになっております。これは昨年に比べますと、ちょうど二千億から三千億ぐらいの増加になっております。普通の状態は、いまの二兆円というものに対して、これも御承知のとおり、支払い準備というものを金融機関でございますから持たなければならない。系統全体でもって支払い準備を持つわけでございますが、単協の段階ではほとんど支払い準備というものは持たずに、信連のいま申し上げました預金の形で上に上げ、あるいはまた、信連から金庫に対する預金の形で上に上げる、その系統全体でもって支払い準備というものが行なわれるわけでございます。現在財務処理基準等で支払い準備についての率の行政指導の基準がございます。たとえば定期性預金については幾ら、短期性預金については幾らというふうに支払い準備の指導基準が示されておりますが、かりにその最高の二割というものを支払い準備で持つということになりますと、四千億が何らかの形で支払い準備になるわけでございます。ちょうど従来で申しますと、信連の段階あるいは金庫の段階で、いまお話がございました金融機関貸し出しあるいはコール市場放出等含めまして、合わせて四千億程度のものがコール市場あるいは金融機園貸し出しというかっこうで出ておりまして、いま申しました支払い準備にちょうどそれが当たる、こう見ていいと思うのであります。ところが、いまお話がございましたように、また申し上げましたように、現在六千億に近い、あるいはそれをこえるものがコール市揚あるいは金融機関貸し出しに流れておる、これは結局支払い準備としての分を超過したことになるわけであります。従来はこの点について、いわば金融市揚が非常に逼迫しておりまして、コール市揚も金利が高かったというところで、これはことばは適当ではございませんけれども、その金利高がいわばかせぎ場になっておりまして、それが組合を通じ、組合員にも利益還元をされるということにもなるし、後ほどいろいろお話が出るかとも存じますけれども、単協の経営を非常に楽にしておった、あるいは単協合併が行なわれるにあたって必ずしも当初の目的どおりはメリットは出ておりませんで、場合によっては逆メリットも出ておるのでありますけれども、そういうものをカバーし得るようないわば財源になっておった、こういうことでございます。したがって、今日金庫だけではございませんで、系統全体で問題になっておることは、コール市揚がこういう状況になり、これも余談でありますけれども、先ほどお話がございましたコール市場の金利が急に上がり下がりするということについては、私どもも実は非常に困るわけであります。たとえば、コールが下がってくる、金融の正常化が行なわれるのではないかということでそういう働きかけをしようとしておると、急にまた上がってくるということになりますと、従来そういう例がずいぶん繰り返されたのでありますが、そうしますと、系統全体として、たとえば外部の情勢に即応して金利を下げる、いわゆる低金利の姿勢に向かおうとしてせっかくそういう努力をしかかったときに急に上がるというふうになると、またもとのもくあみになるということになりますから、コール市場が急に上がり下がりするということは、実は非常に私ども自身も困るのであります。今回の情勢及び今後の見通しは、従来と違って低金利の水準と申しますか、情勢がだんだんと進んでいくのではなかろうか、これは公社債市場の育成の問題とかいろいろな問題、客観的な条件もあろうかと思うのであります。そういうふうになってまいりますと、今回は従来と違って、よほど組合金融全体としても本腰を入れて低金利の情勢に即応するような、いわば体質改善をしなければならないのじゃないか、こういうことを考えておるわけであります。したがって、今回の金利低下の情勢をもって、これも、ことばは適当ではございませんけれども、災いを転じて福となすといいますか、そういうような立場で組合金融全体の今後のあり方というものを考えていかなければならぬ。ということは、率直に具体的に申しますと、従来組合金融はコスト高であった。これも御承知のとおり、単協の経営は単協の他の購買、販売事業がすべて信用事業にしわ寄せされておるといいますか、おんぶしておった、これは必ずしも適当な姿ではないわけでございますが、それができるような情勢は、いま申し上げましたような金融情勢のもとにおいて許されておったわけでありますが、それがだんだん許されなくなってくる、だんだんとシビアーになってくるということになりますと、組合金融全体――金融だけではございませんで、農協全体の経営について真剣にこれと取っ組んでいかなければならない時期になったのではないか。そういう意味で、急激な変化は避けなければならぬと思いますけれども、できるだけ私どものほうもそういう情勢に対処いたしますために、金庫の預金支出、これは信連に対する支出でありますが、利息を、奨励金その他を下げていく、この九月から下げていく、来年の三月からはさらに奨励金を整理していくというよらな体制をだんだん整えまして、組合金融あるいは農協経営全体を立て直す、こういう行き方にいたしたいと考えておるわけであります。  繰り返して申し上げますが、コール市場の今回の――今回と申しますか、年度初めからの急激な連続の低下というものを私どもとしては相当恒久化するという前提のもとに努力してまいりたいと考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまお話しの方向は私それとして理解いたすわけですけれども、実は支払い準備の問題はコールだけを支払い準備に考える必要はないわけでありますから、有価証券の手持ち等も農中に七百五十億くらいあるわけでありますし、そういうものを総計してみるならば、やはりいまコールに出ておる資金というものは多過ぎる、伸びても多過ぎると思います。この多過ぎるもとを私は少し分析してみる必要があると思う。実は農家経済調査報告その他をずっと見ますと、いま単協段階で資金が非常にたくさん集まっておる地域というのは、南関東であるとか、東海あるいは近畿というようなところが非常にふえておるわけでございます。この非常にふえておるところは、農林省の統計で見るところの特殊地域という形の中に含まれるのではないか。現在、単協が三十七年で約一万でございますか、その単協の中で千六百四十というのが、そういう都市的農村地帯という形のところにあるわけです。ころいうところでは、これは農家所得の面から見ましても、農業所得と農外所得に分けてみますと、すでにこれらの地域では農外所得のほうが農業所得を上回っておるような地域になっておる。農業に対する依存率から見ても、それだけにとどまらず、五〇%を割っておる農業依存度の低い地域というものがかなり出てきたわけです。そういたしますと、この地域の問題は、結局農外所得が多いということは、二種兼業が非常に多くなってきておるという農家の就業状態の変更が非常に大きくあらわれてきておる。本来ならやはり山中さんのおられるような南九州のようなところは純粋な農村地帯でありますから、こういうところにおける単協、その上にある信連という形までは私はやはり農業系統金融としての姿を保っておると思いますけれども、いま申し上げたようなところは、はたして単協自体が農協なのかどうかがやや疑問なような単協が相当に出てきておる。おまけに、そこに都市周辺の土地売り払い代金のようなものがある程度農家収入になってきて、それが入ってくるということになりますと、本来が農業関係から入ってきた資金でないものがそういう特殊な単協を通じて信連に集まり、それがさらに上へ上がってくる、こういうことが昨年とことしのコールが、昨年は三千億台のものが六千億台に三千億もふえたという大きな原因の一つではないのだろうか。ですから、農中の問題というのは、いま御指摘のありましたように、確かに単協の問題というものが少し分析がされ、それに対する指導と対策といいますか、そういうものが少しはっきりしてまいりませんと解決のできないものが一つの側面としてある。もう一つの側面は、これは今度は逆に純粋な農村地帯というところでは、皆さんのほろの資料でありますけれども、「農協の部門別益金状況」というサンプル調査を拝見をしましても、信用部分であげたものを購買部、販売部、倉庫部、加工利用部、有線放送部その他とみんなで分けて取ってしまって、ともかく本来なら信用事業としてはそんなに高いコストで処理しなくてもいいものが、これらの事業によってコストアップさせられておるという問題があるわけですから、私は、やはりこの問題の基本的なところは、単協の合理化といまの単協の中でのそういう特殊部分についての取り扱いの問題という単協段階の問題がある程度はっきりしてこないと、なかなか農中だけではどうにもならない問題なのではないか、こういう感じがするわけです。これは楠見さんに単協をどうしなさいというわけにもいかないのだろうと思うのですけれども、ただ、私は午前も話をしたのでありますが、コールが非常に安いという一つの外圧を使って、この外圧が農中にいき、農中はそれを信連に寄せ、信連は単協に寄せざるを得ないわけですから、そういう外圧によって、いまのいろいろな問題というものの中でいま少し整理をされていくべきものは整理をされていいのではないか。私は、実は最近もこの委員会でやりました中には、この前御承知の山陽特殊鋼が倒産をいたしましたときに、あの地域におげる飾磨農協の約七千万円を会員貸し付けという形で荻野社長に貸しておりました。これが荻野社長個人に貸したものであるにもかかわらず、山特が借りた形になって銀行信託か何か、その他の株式が担保に入るというようなかっこうになっておりまして、私ども非常に摩訶不思議な農協だという感じがしたわけでありますけれども、そういうふうな問題がある。もう一つ私どもがほかの面からぶち当たってきましたのは、けさも少し議論をいたしましたけれども、今度の山一、大井証券に対する日本銀行法二十五条の適用で処理しました中に、実は運用預かり以外に有価証券預かりというものの解約が相当にあって、それを補てんするために日本銀行が融資したという例があるわけです。どうも私中身を調ぺてみると、ほとんど信連がそういう形で有価証券を無担保で預けておったという事実がここへきてあらわれておるのです。これはちょっと午前中日本銀行との間の議論を詰める時間がありませんでしたけれども、私は、まことに適当でない措置を信連が講じておった、こう思うのであります。信連といえども無担保でそのようなことをすれば、もしそういう不測の事態があったときには、個人のやっておることはいたし方がありませんが、信用機関としてはそういうことを行なうことの不適当であることは論議をするまでもないことでありまして、なぜそういうことが起きるかというところにいまの信連としての問題があるからそんな形が出てきておるのではないか、こういう感じがいたすわけであります。  そこで、話をあまり広げ過ぎるとあれでございますから、楠見さんの立場から、いまの単協のそういう問題については現状をどういうふうにお考えになっておるか。そして、それは今後はどういう方向に進むべきなのか、私はいま申し上げたコール低下という圧力の中で合理化のお題目を唱えてもなかなか合理化は進まないと思うのですが、そういう圧力の中での合理化についてはどういう方向に単協が進むべきなのか。そこらのことについて具体的にお答えを願いたい。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 いま二点について御意見を拝聴いたしました。私は、大体といいますか、ほとんど堀さんと結論的には同じような気持ちを実は持っております。第一点の、コールが多過ぎる、ほかにも有価証券が支払い準備としての意味があるではないかという点も同感なのであります。ただ、従来は、御承知のとおり公社債市揚というものが育成されておりませんでしたために、私どものほうは実はだんだんふやしてまいりまして、いまお述べになりましたように七百億くらいですけれども、ほんとらは現在の金庫の預金量等から見ますと、コール市揚でしょっちゅう上がり下がりがあるものよりも堅実な有価証券を持っておったほうが安定すると思うのでありますけれども、先ほど申し上げたように、いままでは有価証券の市場というものが育成されていない、そのために勢いコールのほうに回ってくる、しかもそのコールが昨年に比べて本年は非常に多いというのは、いまもお話がございましたように、信連の段階でいろいろ外のほうに出ておりましたものが、こういう金融情勢で金庫へ預金の形で上がってきて、それが金庫としては余裕金の形でコール市場に放出せざるを得ないという実態もあるわけです。そのもとは、第二段の点でお述べになりました、都市特殊地帯という――役所のほうはそういうことばを使っておるようでございますけれども、私どもは都市化地帯、都市化しておる地帯の農協というようなことばを使っております。これもお話がございましたような農外収入であるとか、あるいは最近の土地代金収入というものが相当大きな部分を占めておる貯金、その貯金が単協を通じて信連へいく、しかも、この農外収入による貯金あるいは土地代金による貯金というものは、性質上高利回りを要求するということから、一般銀行との間に競争がありましたり、一般証券会社との競争がある。いろいろ御承知のような状況があった。これが高金利を要求する。もちろん農村の内部でも必ずしもそういう状態が絶無とは言えないことは、これも御承知のとおり、農村内部にも最近はだんだんに階層分化が行なわれて、借金層と貯金層という分離がだんだん行なわれてきて、その部分における貯金は、やはりできるだけ高利回りを要求するというようなこともございますけれども、大きく言えば都市化農協におけるその貯金が一番それを要求する、それが信連へ、信連から金庫と、こういうふうになりまして高利回りを要求する、こういうことになるわけでありますが、同時に、先ほど申し上げましたように、そういう情勢で、いわば温室と申しますか、そういうことが単協のいまお話がございました部門別収支の明確化ということを不明確にすることになり、またそういうことが許されるような温室の環境になってきておる、こういう状況でございます。したがって、外圧を活用してというお話がございましたが、私は別のことばで、これはことばは適当じゃありませんけれども、先ほど申し上げましたように、こういうシビアーな状況になってきたことを、いわば災いを転じて福となす、そろいう意味で、今後の単協のあり方としては部門別収支を明確化するという――これは農協としては数年来そういうことを掲げて、合理化を、あるいは体質改善運動を全国農協中央会が中心になりましてやってまいりましたけれども、それがうやむやのうちになるような温室の状況であった。それがそうでなくなったということでありますから、本来の姿に戻るべき時期ではないか、また系統全体としては、そういう点にわれわれとしては目を向けて、われわれの力だけではできませんが、全国段階あるいは県段階、それから市町村段階というものが、力を合わして本来の農協の姿に戻る好機として、今後努力をしていかなければならないのではないか、かように考えるわけであります。  また、もう一つの問題の都市化の地帯の農協、しかも組合員というものは農業者はあまりいない、こういうようなところは一体どうするのか、ころいう問題が残るわけであります。昔は、御承知のとおり、私どもの農林中央金庫も、戦争前までは産業組合中央金庫と称しまして、その産業組合の中には、農村の産業組合も市街地におげる産業組合、あるいは市街地信用組合も一つの傘下におさめておった時期がございます。一体そういうような昔の姿に戻るのがいいか、あるいは都市化の、ほとんど農民もいない地帯――東京にもそういう地帯がございますし、関西にもそういろ地帯が多い。そういう地帯の農業協同組合というものが昔の産業組合という形に戻って、一つの地域共同体といいますか、単に農民といろだけでなしに、一つの地帯における組合の利益の向上をはかるという産業組合当時に戻るのがいいか、あるいはそれはもう相互銀行あるいは信用金庫という形に改組したほうがいいかということになりますと、これは私どもの問題というよりも、一つの大きな政策問題になるわけでございます。むしろ政府のほうでそれはよくお考えをいただきたいと思うのでありますが、一応組合といたしましては、農業の立場からいいますと、やはり従来のような、戦争前の産業組合のような時代に戻ったほうがいいのではないか。と申しますことは、これはいういう問題がございまして、単に都市化農協だけではなしに、農山村あるいは農漁村というふうになりますと、現在農山村には農業協同組合と森林組合がある、あるいは農漁村には農業協同組合と漁業協同組合というものがそれぞれ並存をしておる、これが戦争前の産業組合というものになりますと、その地域内の農業者も、あるいは森林関係者も、あるいは漁業関係者も一つの産業組合という姿の中に包摂されて、そして地域共同体として生産事業、購買事業、販売事業というものが一本の組合でやっていけるわけでありますから、協同組合の立場から申しますと、かねてそれは産業組合の姿に戻りたいという要求を掲げておるわけであります。しかし、これは政府の政策の問題としてそういう姿がいいのか、あるいはそのうちの市街地の農業協同組合、しかも信用事業だけをやっているというものはそういう産業組合に戻らずに、今日は信用金庫なりあるいは相互銀行というものがあるのだから、そういうものに入ったほうがいいのじゃないかという考え方も一つの政策の問題だと思います。そういう点は政府のほうでもお考えいただきたいと思いますが、一応協同組合としては、いま申し上げたような立場をとっておることを御参考までに申し上げておきます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまのは確かに政策の問題でありますから、農林省あるいは大蔵省等で検討されるべきでありますが、最近、さっき申し上げた信連の有価証券無担保預かりのようなことができたり、あるいは三億七千万の融資ができたり、各地で都市農協は、浮き貸しとか、実はいろいろ問題が多いわけであります。その反面、金融機関としての監督規制はないし、調査能力はないし、やはり非常に危険な状態にきておるのではないか。ですから、ある意味では、やはりもうそろそろ新たな法律規制といいますか、金融機関としての法律規制、たとえば単協一人頭の人員で幾う以上の預金量をこえた場合には、もうそれをすぐ信用金庫にするとか組合にするとかいうことはなかなか困難かもしれませんけれども、単に県知事が、特に県知事の下にいる農林部長あたりが監督したりする段階ではないのではないか。やはりこれは、当然金融機関としての規制を受けるようにしておかなければ、組合員に対しても不測の被害を与えるおそれが多分にある段階になってきておる。その性格も、いわゆる農業協同組合よりはるかに信用部門が膨脹した金融機関的性格が強くなっているので、ここうについては、農林省当局も少し真剣にもう考えなければならない段階になってきているのではないか。大蔵省のほうは、共管とはいいながらも農林中金にしか影響がないということにもなりますから簡単にいかないのだと思うのですが、われわれ金融サイドから見ていると、この問題はもうこのまま放置をしておくべき問題ではない、こういう感じがするわけなんです。これは、農林省は経済局長のところではない、農政局長ですか、農林省側でひとついまの私の問題提起に対してちょっと答えていただきたい。

森本修農林事務官(農林経済局長)

○森本説明員 先ほど来楠見理事長からも農協側の御意見あるいは理事長個人の感想ということでお話がございました。御指摘のように、最近の農村の状況を見ますと、あるいは階層的にもきわめて変化をしており、地帯的にもきわめて多種多様の様相をとっておるわけであります。そういう関係から、先ほど来金融のサイドから見まして農協のあり方というふうなお話がございまして、確かに最近の実態をつかまえますとそういった検討を必要とし、また、何らかの対策を考えなければならない段階ではなかろうかという気もするわけでありますが、また他面、御承知のように、農業協同組合におきましては、いままで総合農協主義というようなことで、購買事業あるいは販売事業――これが指導実態として営まれてまいりまして、そういう形で系統組織が構成され、運用されてまいったわけであります。したがって、そういった他の事業と信用事業の関連といったようなことを含めまして、農協系統全体の今後のあり方はどうかというふうな観点からも検討を加えなければならぬといったようにも思うわけであります。そういうことで、実は直接私の所管ではございませんけれども、農政局におきましては、先ほど来言われましたような、実情に即して今後の農協の組織はどうあるべきか、運営はどうあるべきかといったようなことについて基本的に検訂討しようといもことで、近く検討会を発足させるという段階になっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、話を少しもとへ戻しまして、いまの問題は、要するに預金の側からの側面でずっと申し上げてきたわけですが、今度は貸し出しの側面からですね。この資料を拝見しながら、貸し出しの側面として農協段階で貸し出しが、昨年は会員に対して七千五百十九億くらいだったのが、ことしは九千百二十三億、五月末の対比になっております。会員に対し千三百億くらいふえているわけです。大体単協でもこの貸し出しの金利はかなり高いのだろうと思うのですが、一体この単協の平均的な会員に対する貸し付け金利というものは幾らぐらいになっておるのか。そして、この五月末現在で会員に対する貸し出し金の九千百二十三億というのは、主としてどういう目的のもとに貸し出しがされておるのか。農協段階では、員外の貸し付けというのは比較的少なくて二百四十二億くらいでありますが、農協段階における員外貸し付けというのは、一体これはどういうものなのか。これはお答えいただける方にお答えしてもらいたいと思います。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 私から知っていることを申し上げて、あとは政府のほうからお答えがあるかと思います。  農協の貸し出しは、本年三月末は九千四百五十億でございます。これはもう大部分農協組合員に対する貸し出しで、その用途は、これは組合員の要求するものあらゆるものになっております。ただ、九千四百五十億のうちで五百億だけは、たとえば財政資金として公庫を通じて流れるものがその中に含まれております。これは、御承知のとおり長期の、しかも施設資金に限られておりますが、それを除きます部分は、中期のものも若干ございましょうが、大部分は短期購買資金であるとか、あるいは営農資金であるとか、若干生活資金も入っておると思いますが、そういうものになっております。  それから金利のほうは、これは先ほど来話がございますように、信用事業にしわ寄せされておる関係もあるわけでありますけれども、金利は、一般論として、先ほど申し上げましたように必ずしも安くない。大体一割以上の金利で出ておる。もっともこれは、その地方の信用金庫なり相互銀行の実質利回りといいますか、実質金利に比べますと必ずしも高くはないと思うのです。そこで、よく農協の金利は高いではないかという声に対して、私どもはこういう言い方をしております。それは、銀行あるいは相互銀行、信用金庫のその地方における相場というものと単協を比較すると、決して高くない。実質利回りの点でございまして、表面利回りは別であります。ただ、高くないけれども、農民はそういう高い金利ではやっていけないのだ、農業というものはそういうものなんだから、他の金利に比ぺては高くないという金利であっても農業では高過ぎるのだから、それに対しては努力しなければならない、こういうことを申しておるわけであります。したがって、政府の資金も、安いものは三分五厘とかいうような資金が財政資金として流れてきております。これは貯金を給源としておるものから見ると、どんなにしてもとても太刀打ちできないものでありますけれども、しかし、できるだけ金利は安くして努力すべきことが農業の特質だ、こういう見方をいたしております。  それから、員外貸し付けの点は、市町村の段階ではこれはほとんどないと思いますが、かりにあれば、町村への貸し出しというような、短期ですけれども一時の立てかえ貸し出しといいますか、そういうものが主であって、上の段階等で行なわれておるような、そういうものはあまりないのではないか、かように私は承知しております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私のいただいておる資料では、四十年五月末で貸し出し金が九千三百六十五億で、会員が九千百二十三億、員外二百四十二億でありますから、比率としては小さいのですけれども、二百四十二億というのはかなり大きいものですから、そこらがどういうところへいっているのかよくわかりませんけれども、ここでちょっと私が気になりますのは、一体この員外貸し付けというのはやはり同じ率で貸しているのかどうかという点ですね。会員と会員外とに区別をしているのかどうか。そこらのところは、単協では実態はどうでございましょうか。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 私、詳細承知しておりませんからお答えできませんが、大体同じじゃないかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は農業闘係はしろうとなんですけれども、この系統金融がこういう形で置かれておる真の意義が、実はどうも系統金融の中で具体化してないような気がしてしかたがないのです。ということは、いまのお話の一割内外のような金利では、まず第一に、農業をやるための資金としては全く不適当ですね。その全く不適当なものを、ほかの購買、販売その他で総合的にこうなっておるから、一割で借りてもそのメリットはほかの分で受け取っておるからいいんだという、そういうことでこの問題は過ぎておるのだと思うのでありますけれども、私は、やはり問題の性格上、さっきお話しになったように、部門別にこれはもう少し整理がされていかないと、全部が突っ込みで上げて、そのしわだけを信用部分で処理するというのはおかしいと思うのです。この余資の問題というのは別ですが、余資の問題以外に、いまの会員貸し付けという問題が当然もう少し真剣に考えられていいのじゃないか。特に農林金融で制度金融のほうが金利も安いし、それを借りるのなら制度金融――そこではいま四千億でありましたか、そのくらい出ておるだろうと思いますが、こっちのほうは金が六千億余っておる。まことに私は妙な金融形態だという感じがするのですね。ですから、本来言うならば、制度金融の金は系統がまかなえるようになってしかるべきではないのか。そうして、そういろ方面で実は会員の貸し付けの問題もあるべきだし、員外貸し付けの問題については、市町村のようなところはいいのですが、その他のところの貸し付けが会員と同じだというのが、私は協同組合の精神からするとややおかしいのではないかというような感じもするわけなんです。  そこで、いま単協の段階ではそういうことだと思うのでありますが、話を少し上に上げまして、信農連の段階にまいりますと、信農連のところも、貸し出し金五千八百十四億のうち会員貸し付けというのが三千六百五十四億。ここにきますと、金融機関貸し付けが千九百六十七億、これが非常に大きなウエートを持ってまいります。その他の員外貸し付けが百九十三億、預け金の形であとは系統の上にいくけれども、しかし、系統外にも四百九十八億も実は預け金が出ていくというかっこうになっておるのですが、ここでの問題点というのは、ここにおける会員貸し付けと単協段階の会員貸し付けというのはどういうふうな相違があるのか。上に上がってくれば、さらにコストが高くなっておるのではないかという感じがする。その点はどういうことなんでしょうか。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 制度金融と組台金融の関係、特にいまお話しのように、組合金融でもって制度金融に置きかわるのが理想だ、こういうようなお話ですが、実は先ほども申し上げましたように、組合金融の金は一般の預金コストの資金でございますから、したがって、現在の制度金融で一部七分五厘というようなものもございますけれども、たとえば三分五厘とか四分であるとか四分五厘というような資金には、どうしてもこれは太刀打ちができない。しかも三分五厘とか四分とかいうようなのは、これはまた日本農業の特性といいますか、そういう安い、しかも長期の資金でなければ土地改良もペイしないというようなことから、どうしても制度金融にたよらざるを得ない。いまお話がございましたように、組合金融は金があるのだから、その金を何とかうまく活用ができないかというのが、御承知の近代化資金制度であります。現在国、県が利子補給をしまして、末端金利六分五厘というような制度が行なわれておる。私どもは、そういう制度金融による利子補給がなくとも、せめて制度金融として、現在農林漁業金融公庫が出しておる共同利用施設の七分五厘くらいのものは、組合金融の努力によって達成しなければいけないんじゃないか、財政資金には限度があるんだから、その限度のある財政資金は基盤整備等に重点的に使っていただいて、少なくとも共同利用施設のようなものはわれわれのカで努力すべきものではないかというので、昨年から金庫の段階で七分五厘の共同利用施設というものを始めたわけであります。そういうようなできる限りの努力をするし、できない部分は、近代化資金制度のような利子補給というものでまかなっていかなきゃならない、ころいうふうに思っております。  それから、信連段階における貸し出し金利は単協段階に比べて高いか安いかの問題ですが、普通の状態で申しますと、私はよく変な例を申しておるんですけれども、運賃をかけて預金は単協から信連へ、信連から中金にくる、その間、各段階に奨励金というようなものがつきまして、貯金のコストは逆にだんだんと高くなっていく。貸し出し金利は、それじゃ同じように運賃をかけて、かりに中金の金がだんだんと下にいくという場合にはそういうふうに高くなるかと言うと、必ずしもそうじゃなしに、むしろその逆の現象がございます。たとえば、いま申し上げましたような金庫で七分五厘は出せるというのは、ほかの資金運用でかせいだものをつぎ込んで、預金コストに比べると逆ざやであってもそれをあえて出せる。だんだん金利の状態がこうなってまいりますと、それがいままでどおりできるかどうかの問題もございますけれども、そういうことで信連の段階から単協の段階にいく場合も、金庫の段階におけると同様の状況で、必ずしも単協の段階よりも高くない、あるいは同等と言うよりは、むしろ信連の段階から単協にいく場合は安い金利のものがいく、こういうような状況ではないか、こう思っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、いま信連のほうが安い、農中のほうが安くなるというのは、これまで高いコールのようなものがとれているから安かっただけですから、これから裸になってくれば、これは当然その運賃がはっきり出てくる。奨励金を切ったところでコストが高くなるというのほ当然のことじゃないか、こう思います。そういうことになりますと、これは八月十六日の夕刊ですが「運用、成算あり」というので、楠見さんがお書きになったか、お話しになったことが出ておる中で、大体来年の三月にはコストを七%くらいにできるだろう、こういうお話があった。だいへんけっこうだと思うんですが、農中段階でのコストが七%ということになりますと、単協では、いま私が申し上げたような角度から見ると、もうちょっとコストが低くなければならないわけですね。もしそれがたとえ六・八にして幾らかでも安くなってきますと、これは私は、すでに単協段階で制度金融にかなり匹敵する措置ができてくるようになるのではないか、またしなければならないのではないか、また、そこへもってきて近代化資金のような三分補給をしますならば、これはもう三%台の金利になってきて、十分日本農業の資金需給にマッチするということになるんじゃないか、こう思うんですが、それは絵にかいたもちなのか、方向として努力をすればそういう形にいけるのか、そこらをちょっと伺いたいんですが……。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 これは結論的に申しますと、方向としてはそういう方向にいかなきゃならぬと思います。ただ、先ほど来再々くどいように申し上げておるのでございますけれども、単協の今日の姿が信用事業にすべておんぶしている、これをあすの日からすぐに信用事業は信用事業として――これは一時、信用事業分離論が単協の段階で起きたことがございますが、町村段階では、信用事業を分離するということは、農協それ自体の組織を壊滅に瀕させるということで、依然として、組合員といいますか、農協内部では総合農協論を支持しておるわけでありますが、しかし、その総合農協がいま申し上げますように信用事業におんぶしておる。この状態を、これは直ちにというわけにはいきませんけれども、そういう方向に向かっていく、そして少なくともその近代化資金の利子補給がなくとも、現在の近代化資金の金利に当たるようなものはそれでやっていける。これは一番端的な、数字をあげてのお話でございましたから数字をあげて申しますと、現在一年定期が五分六厘、一般五分五厘で、農協は五分六厘でありますけれども、それに、たとえば信用部門のコストをかりに一分ということにしても、六分六厘というものがコストになるわげで、そういう段階になれば、あるいはまた一般預金金利が下がってくれば、それよりも下がってくるということに数字の上からはなるわけです。だけれども、現在の農協の実態がそうではない。それを、そういうふうに努力するのに日をかけていかなければならない、こういうことだろうと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 ですから、方向としてそういうことであるなら、もう少し中身のアカウントをきちんとしたらどうだろうか。借りる金は安いんだ、しかし、その購買部で要るものが少し高くなったら高くなるんだ、そういうことのほうがやはり近代的なんではないのか。ともかく全部ひっくるめておいて、そのしわを信用部門だけでしりぬぐいして金利が出てくるというのは、これは金融というサイドから見たらまことに摩訶不思議な制度になっておるのですから、利用する者が利用したことに応じてその積み上げる部分を負担するんだという形で、しかし何もそれを一ぺんに分離ができなければ、アカウントの上だけでは明らかにして処理ができるということにならないと、どうもそういういまのあり方、特にかぶり方がひど過ぎますね。皆さんのほうの資料でちょっと拝見してみましても、大体貢献度というので、信用部門で三二六というプラスを出しておいて、購買部で一一・五、販売部で四四・三、倉庫部で二入・二、加工利用部で五八・五、有線放送部で三二・七、その他が六〇というようにみんなマイナスで、結局差し引きが一〇〇になるというようなことは、幾らかぶさるにしてもかぶさり過ぎて安易に過ぎるのではないか。ですから、その点は、私は非常に問題があると思うのです。その貸し出しの問題は、私は、員外貸し出しというのは、本来農協ではもっと切っていいのではないのか、いまの段階としては。そして本来、農業系統金融というのはやはり農業向けですから、できる限り農業のほうに還元してしぼっておいて、そして余資ができたら――その余資ができるというのは、やはりさっきのような都市農協的なものがある限りは余資ができてくる。これを全部農中段階に上げて、そしてそこで何らかの一括した処理が、もう少し合理的に処理されるということになったほうがいいのではないのか。姿としては、単協、信連における員外貸し付けというものはあまりありませんけれども……。  そこで、現状の金庫の段階における貸し出し金の状態をちょっと伺いたいのですが、この五月末で貸し出し金は七千五百九十六億、系統千五百八十六億、関連産業二千四百六十一億、あと短期、長期と内訳がありますが、短期が非常にウエートが高いのです。こういう内容を見てまいりますと、乙短コールなり乙短なりコールなりがこれの中でも非常に大きくなっておるのですが、いまの系統及び関連産業についてはどういうところに融資がされ、金利等はどういうふうになっておるのか、その点をちょっと伺いたい。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 系統貸し出しと、いまお話がございましたよろに関連産業貸し出し、それから先ほど申し上げましたように乙短、それからコール、大体そういう点、あとは有価証券、こういう運用のしかたでございます。系統のほうは、これはずいぶん私ども努力をしておりまして、系統からの申し出に対して、これは一〇〇%といっていいのですけれども、資金需要を断わったことはございません。ただ、これはだんだんと単位組合あるいは県の信連段階が力がついてまいりまして、それぞれ自まかないができるという状況になってまいりました。一時、たとえば六月の候とかあるいは八月の候の、いわゆる組合企業のボトムに当たる端境期のようなときに、東北の一部あるいは南九州の一部に資金繰りで私どもが信連を通じてお金を出すというような事態はいまでも若干はございますけれども、大部分は信連が力がついてまいりましたから、系統貸し出しというものはずいぶん伸ばそうと努力をしておりますが、なかなか伸びない。しかし、先ほど申し上げましたように、昨年から制度融資との交通整理で、共同利用施設に対する貸し付けは、もう農林漁業金融公庫からはやめてほしい、われわれの力でやるんだから、そちらのほうはやめてくれというようなことで、政府貸し出し制度、共同利用施設あるいは近代化資金の分量は、いま申し上げたように、一部の地方では不足してくる、そこでそのほうにどんどん出すと端境期に支払い資金にも困るというようなことになるといけませんから、共同利用施設に七分五厘の金を百億以上出すとか、構造改善事業で地元負担もございますが、地元負担について金を出すとか、そういうようなことで努力をしております。ことしから中期の運転資金、たとえば養鶏なら養鶏をやる、ひなを買ってから卵を産むまでに一年半とか、そういう期間がかかる、その間は卵を生まぬわけですから、そういう中期の運転資金を出すとか、あるいは、最近やかましく言われております農村住宅建設の資金を新たに貸そうとか、そういうようないろいろな努力を実はいたしておるわけでございます。その金利は、これは後ほど申し上げますけれども、関連産業貸し出しの金利とは別に――関連産業貸し出しの金利は、一般市中金利に即応しまして、一般市中金利が上がれば関連産業貸し出しも当然上がり、下がれば当然下がる、こういうことでございます。けれども、系統貸し出しのほうは、一般の金利情勢いかんにかかわらず下げる努力をずっと続けてまいりました。前は長期の資金は、高いものは一割というようなものもございましたが、現在は九分が最高でございます。これは母船建造資金のようなものは九分になっております。信連等を通じて出します長期資金は八分五厘ということでやっておりますが、これもいま申しますように、一般の金利情勢いかんにかかわらず下げる。これは先ほどもちょっと申し上げましたが、他でかせげるということのほかに、それがだんだんかせげなくなってきた場合に、一方では、金庫としては自己資本がございます。たとえば貸し倒れ準備金だとか、そういう無利子の金というと少し極端ですけれども、そういう自己資本で運用益というものがそのほうに回るということになりますから、従来ほどではございませんけれども、系統貸し出しは常に下げる努力をしておりましたし、また、今後もやっていきたいと思っております。  それから、関連産業貸し出しのほうは、先ほど申し上げましたように、市中金利と同様の動きをしておりますが、若干市中貸し出し金利よりは高うございます、これは表面金利でございます。実質利回りになりますと、これは銀行その他によってずいぶん最近はやかましく言われておって、歩積み、両建てがだんだん大蔵省のほうの指導によって少なくなってきておりますが、実質利回りからいいますと、これはもちろん市中銀行にはあるいは及ばないかもしれません。これは詳細に調ぺておりませんが、表面約定金利は市中金利よりは若干高うございます。ただ、長期金利になりますと、興長銀の金利と大体同様の動きをいたしております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、いまおっしゃるように、その資金運用の金利の下がっておるのは、内部留保を多少運用しておるからだ、こういう話があるわけですけれども、私は、やはりそれはあまりノーマルな姿ではないのであって、これまでそういう高いコールに依存していたときに、すでにそういうことであったろうとしますると、今後はなかなかこれはむずかしいところに来るのではないか。いまの貸し出し金関係の伸び率を見ましても、貸し出し金全体としては、前年比で五月には五三・六%くらいで、系統の伸びは一六・四%、関連産業二七・四というのに対して、乙短コールは一一四、乙短が九九、コールが一二七、いずれも伸びておるのはこちらのほうが伸びておるだけでございます。ですから、その伸びたほうが今度は大幅な逆ざやがくるということになりますと、私は、いまお話しのような問題、特に関連産業に貸している問題は、今度はよその金利がだんだん下がってくるわけで、おっしゃるように、歩積み、両建てといろ点で、両建ての部分がなければ、これは間違いなくこれまでは有利であったと思いますけれども、私どもは、少なくとも両建てはやめろ、金利もできるだけ――コールが下がればこれは一般的に下がる条件が出てくるわけですから、そうなりますと、関連産業貸し付けという問題もまた一つの壁になってくる点もあるのではないか。ですから、その点を見ますと、やはり私は、今度のコールの低下ということと、それの長期的な持続ということは、好むと好まざるとにかかわらず系統全体の合理化をかなり大幅に促進をすることにはなる。ただ問題は、そういうことに対処できる体質なのかどうかという点に一つ疑問があるわけです。特に私は、こういう表に出た資料だけから見ておりますと、農中の役割りとは一体何ぞやというような感じもちょっとするわけでありまして、そこらについて、そういう体質の点では耐えられるのか、それから、いまのこの姿を見て、農林中央金庫というのは本来はこういうことのためにあったのだろうかなというような気がするのですが、そこらについて……。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 体質が耐えられるかどうかという点ですけれども、これは耐えるようにしなければいけないわけですね。またしたがって、だんだん中金、信連、単協というようになってきますと、先ほど来申しますように、下にいくほど体質がひよわであります。しかし、体質が耐えられないということになれば、農協それ自体をこれはもう壊滅させるといいますか、ということにならざるを得ないので、どうしても体質をそういうふうに改善せざるを得ない。しかも、先ほど来申しておりますように、部門別収支の明確化というのも、もう農協としては全国運動として七、八年も前から太鼓をたたいてやってきたのが、実はできなかった、あるいは単協合併なんかも、そういう目的で単協合併が行なわれたのが、実はメリットがちっとも出てこない。それは外部のそういう事情が幸いしたというか、災いしたというか、そういう状況であったのだから、そういうことができなくなった今日の情勢からいえば、どうしてもそこで本来の姿に農協を持っていかなければならぬ、また、そういう体質にしなければいけないのではないか、こういうことで、結論はやはり預金コストというものを下げて、そうして信用事業におんぶするというようなことがないような体質に変えていかなければならぬ。これほどうしてもそういう方向にいかざるを得ないし、またいかなければ、農協というものの存在価値はなくなる、こういろふうに考えております。  それから、金庫の性格は、これは御承知のとおり、金庫は大正十二年にできたのですが、その当時は農村に――単協の段階もそうですし、それから信連の段階もなおさらそうですけれども、金がなくて、むしろ今日の公庫のように資金運用部の金、あるいは簡易保険積み立て金の金を産業組合中央金庫の窓口を通じて末端に流しておったわけです。ところが、だんだん力がついてまいりまして、極端な言い方をすると、たとえば、堀さんは兵庫県ですけれども、兵庫県の信農連からは一文の借り入れ申し込みがなくて、すべて兵庫県の信連でカバーして、その余った金だけが出てくる。こういうふうに、昔とは全く違った形になっている。ただ、先ほど申しましたように、ごく一部の地方にはそういうものがある。それでは、今日の金庫の機能といいますか、それはどういうことかといいますと、やはり現在も若干ある。その一部地方との資金調整といいますか、そういった、兵庫だとか、愛知だとか、大阪だとかいう余った金を東北だとか、あるいは山陰だとか、南九州のほうに回してあげる、こういうことと、それから同じ協同組合でも、農業のほかに漁業協同組合、あるいは森林組合がある。それで、農業関係では、系統貸し出しの中で五百億くらいでありますけれども、漁業関係では、これは預金のほうは百億ぐらいしか水産関係からは金庫に上がってきておりません。けれども貸し出し関係では、組合も含めて千億より以上のものが出ていくとか、あるいは森林組合は預金は全然ございませんけれども、そのほうに百五十億とか二百億の金がいくとか、そういった協同組合の中の調整ということと、それから、これも御承知の、またお話がございました、いわゆるアグリビジネスという観点から、関連産業に貸し出しをしていく、関連産業が伸びることは組合が伸びる、組合が伸びることはまた関連産業が伸びる、いわゆるアグリビジネスの観念で関連産業に貸していく、それともう一つは、組合全体の支払い準備機関といいますか、昨年から農協預金者の保護制度というものが全国的に普及しましたが、それの一つの預金者保護の中心になるというような、いろいろそういう点の機能はこれからも伸ばしていかなければならぬ、こういうふうに考えます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 おっしゃるような調整能力も必要なんですが、全体の資金量を見ますと、調整部分というのは非常に小さくなってしまいまして、どうもそうでない部分が非常に大きくなってきている。そこらがどうも、私は中金として、何かあるべき中金の姿ではないほうにゆがめられているのじゃないかという感じがしたものですから……。  そこで、いまお話のアグリビジネスの問題ですけれども、一体アグリビジネスというのはどこがアグリビジネスなのか。どうもそこら辺の限界点が今度は非常に問題になってくるわけですが、それにしても、これも伸び率は小さくて、前年比二七くらいですから、その他のものに比べると、いま全体の貸し出しのトータルが五三%くらいですから、伸びが非常に小さいわけですが、そのアグリビジネスの限界ですね。これは具体的に業種別ではどういう部門を考えていらっしゃるのですか。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 これは具体的な例を申し上げますと一番よくわかるのですけれども、関連ということになりますと、どこまでが関連があるのか、たとえば、肥料はこれは一番よくわかる、あるいは農機具が一番よくわかる、しかし、そのもとの鉄はどうだ、鉄鋼はどうだ、石炭はどうだということになると、これはどうも関連ではなさそうだということで、限界がなかなかたいへんなんです。私は、これは時代の進みぐあいといいますか、それから金庫の実力といいますか、資本力といいますか、資金力といいますか、それによって、自由法論という法律論ではありませんけれども、自由法論的に解釈してもらっていいんじゃないかと実は思っておるのです。しかし、政府のほうも監督の立場から申しますと、これは金庫法の最初のたてまえ――四十何年前の最初の法律がそのまま生きておりますから、その法律の解釈も、いまの自由法論的に解釈できないものだろうかということをしょっちゅう申し上げてはおるのですけれども、政府のほうと私どものほうが常に解釈が違う。そうすると、政府の御方針に従わざるを得ないということになりますけれども、できるだけ自主的に私のほうも実は特にきめておるわけなんです。たとえば、一般汎用物資でございましても、全購連を通じて流す、いわゆる組合マークのような製品をつくっておるもの、しかも、その関連度が一〇%以上のものであるとか、いろいろ関連度を実は自主的にはやっておるのですが、時代によって法律解釈を変えてもいいじゃないかということを申し上げた一つの例として、たとえばかん詰めがあるのですね。かん詰めの空かんというものは、具体的の例をあげると悪いのですけれども、御承知のように、頭にすぐお浮かびになるような会社の空かん、これは七割ないしは八割、ほとんど八割程度のものは農水産物を入れるものなんですね。だんだん容器の改革、改善ということから、この空かんというものは、農水産物にとっては欠くべからざるものである。しかし、ある時代には、かんの手前で関連産業である、こう言っておった時代があるのです。ところがだんだん進んで、食生活も変わり、あるいは流通加工段階の進歩ということ、それからまた、金庫がそれに対して資金が出せるというような力もついてきたときに、空かんのところも関連産業と見ていいんじゃないか。それは七、八割は農水産物を入れているのだからというふうに、時代の動きで変えていいのではないかという個人的な感覚を実は私は持っておるんです。しかし、これは法律によって政府の認可を受けてやることになりますから、常に政府にもそういう意見を申し上げて、できるものは、解釈をそこまでしてみていただくというようなことはいたしておりますけれども、なかなかこれは問題点があるわけでございます。 (「倉庫業はどうですか」と呼ぶ者あり)倉庫はやっております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまのかん詰めの例、確かに適切だと思うのですけれども、アグリビジネスというものとの関連で、私は関連産業ということになるなら、一つの問題点は、それが農業関係に物がいくときには、特にその他に比べて何かメリットがあるということになれば、私はそういう角度の関連産業の見方があると思うのです。ところが、中へ詰める物は別にコマーシャルベースでやるんだということになっておれば、そのかん詰めのかんをつくっておるのは、要するに商売でつくったわけでございますから、中に何が入ろうと、そんなことは、極端な言い方ですけれども、おかまいなしだという感じもするわけなんですね。ですから私は、ある意味でこういう系統の関連産業というものは、やはりそこにできるだけそういう両建て――これからは別ですが、これまでのようにわりに両建てもあって金利が高い、そういうときに、少し安く貸すけれども、それのメリットが直接農民にはね返るというようなことが私は関連産業貸し出しの本来の意義じゃないか、関係さえあれば貸してやるということは、単に借りたほうはコマーシャルベースでいくのならば、言うならば系統金融の金をうまく利用したということで企業がもうかっただけで、農民には何らメリットがこないというようなことでは、私は関連産業という意味に問題があるんじゃないかという感じがするのです。これからのところはなかなかむずかしいかもしれませんが、これまでのところは、何かそういう農中がお貸しになったものは農民にメリットとしてはね返るような関連産業というのはあったのでしょうか。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 おっしゃるように、農業協同組合なりあるいは農民にメリットがない、あるいは全然関連度がないというものには貸さないわけです。だから、たとえばいま例として空かんをあげましたけれども、空かんも、七割ないし八割は農業者の生産物を入れてくれて、そうして、それがどんどん売れるということによって農民が利益を得る、こういう立場で関連産業というものを見ているわげです。そこで、先ほど申し上げましたように、たとえば、少なくとも一〇%とか一五%とかというようなものを最低限に見ておる。ただ、これも実は問題があるのです。あると申しますことは、たとえば肥料会社は、御承知のとおり、前は肥料だけをつくっておった。ところが、一時肥料が非常に不採算であったため、肥料のウエートを少なくして、他の化学工業品をつくるようになった。そのために現在でも、たとえば東洋高圧のように、会社内部では肥料は六〇%以上のウエートがあるけれども、ある会社は今日もう一〇%――一○%ということをきめることによって、それが九%になったら貸せないかということになると、総合化学会社は、その肥料の部門はそれでも、資金需要はどんどん大きくて、絶対額としてはふえているのだけれども、これだけでは食っていけないからというのでやるものですから、そこでその割合の点はずいぶん出てくると思うのです。  それから、端的に農民のためにメリットがあったかなかったかという点になりますと、たとえば、先ほども例にあげましたが、協同組合のものを一括して買ってくれる。たとえばイモならイモをアルコール会社が買ってくれるとか、こういうのは確かに販売上はメリットがあるし、それから、あるいは養蚕なら養蚕で、繭は製糸家がしっかりしておるということによって――私どもも実は昔役人をやっておったときに、養蚕家がずいぶん泣かされたことがあるのです。生糸の相場いかんによって手付でなま繭を買って回って、相場が下がると、資力の弱い繭買い人等は、ことばは適当でありませんけれども、そこで小便しちゃって、もう繭を買わない、ガは一週間たてば出てくる、こういろことになって、ずいぶん養蚕家が泣かされたことがあるのです。そういう買い手がしっかりしておってくれることが養蚕家には非常に必要だ。売る場合はそうです。買う場合は、肥料なり農機具なり、そろいうものがしっかりしておってくれるということが、設備も改良する力ができ、またコストも安くなる。これは私少し書生論みたいなことを申し上げて皆さんに申しわけないのですけれども、日本の金融資本というものは、第一次関連産業には非常に冷淡なんですよ。だから、非常に金が余っているときには同等に大事にしてくれますけれども、一たび金が詰まると、日本の金融資本というものは非常に冷淡で、系統産業、系列第二次、第三次産業には一生懸命やりますけれども、第一次関連産業には非常に冷淡だ。ふだんはちっとも弊害があらわれないのが、そろいうときにぽかっと弊害があらわれてくる。だから、ふだんからアグリビジネスというもののめんどうを見なければならぬ。ところが、めんどうを見るのは、口幅ったい言い方ですけれども、金庫がめんどうを見なければ、いまどこがめんどうを見るんだ、こういうような気持ちで実は取り組んでおるわけです。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまの後段のほうは全くおっしゃるとおりだと私思うのです。ところが、実は私阪神間におる者ですが、酒なんかもまさにいまの第一次産業で、主として米を買ってつくっておるわけです。ところが、これの資金需要のときに私何回か銀行局にものを申してきたのですけれども、私はどうもこういうものこそ農林中金がもっと見ていいのじゃないかと思うのに、実はあまり見ていただけないので、そこで商工中金に話をしたり、あるいは都市銀行その他に話をしてワクを増加してもらった例が何回かあるんです。私がさっき申し上げたのは、どっちかというと、原材料をとっている。いまのイモのアルコールとか、米の酒とか、純粋の第一次産業ですね。いまの製かん業なんかになると、一次産業であるか二次産業であるか、ちょっとわからないのですけれども、肥料なんかに至っては、私は実にいやだと思うのは、国内の農民に売っている肥料より国外に出している肥料のほうが安いなんというようなことになると、どういうふうな感じを持つかというふうなことで、これは生産の関係とか、いろいろな関係があるかもしれませんけれども、そういう点では、私はアグリビジネスというものの順位のあり方はもう少し再検討なされていいのではないかと思う。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕特に短期と長期を拝見いたしますと、短期が二千百六十七億に対して長期は二百九十四億ですね。しかし、現在の状態は余資は十分あるのです。ですから、長期のものだって、そういう第一次産業なんかは、いま酒なんかもかなり四季醸造というようなことで設備投資はしておりますけれども、これはみな市中金融機関や何かのほうにいかざるを得ないというようなことです。私は、アグリビジネスというものに対するかまえ方という点では、いま後半でおっしゃった第一次産業に最も密着したものから優先順位をつけるというような形、そうして、それは必要に応じて、ただ短期だけにとどまらず、長期といっても限界がありましょうけれども、資金運用については、現在これだけの余資があるのですから、短期の二千百六十七億に対する長期の二百九十四億なんというのは少な過ぎるのではないかというような感じがするのですが、そこらはいかがですか。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 いまお話しの酒は、私どもも積極的に取り上げておるのです。それで、おそらく堀さんお帰りになりますとおわかりになると思いますけれども、灘の酒屋さんなんかも、ほとんどといっていいくらい私のほうが実はいまお世話をさしていただいております。ただ、従来の銀行と取引があって、何か市中銀行のものを取るのではないかとか、競合するのではないかというようなことをよく言われるのですけれども、さっき申し上げたように、ほんとうに困ったときはどこがめんどうを見てくれるのだということになると、私どもがめんどう見なければいけないのではないか。というのは、間接的にあるいは直接的にすぐに農民のほうにはね返ってまいりますから、したがって、酒なんかは特に私どもは重きを置いておりまして、灘も大きなところは、従来の取引関係からいってなかなかそうもいかなかったのでございますけれども、最近はほとんどといっていいくらい、特に地揚産業育成ということを私は盛んに言っておるのですが、そうなってきますと、地場産業として、昔からということになりますと、地方地酒といいますか、地方酒の醸造者に対して、私どもはずいぶん力を入れてやっております。それから長期のほうも、一般的な設備投資の自粛というようなことからではございますけれども、私どももできれば――短期もそうですけれども、むしろ資金の安定的な運用という面から見ると、長期のほうが望ましいわけであります。これは特別のやかましい法律的な制限もありますけれども、できるだけ長期のほうも伸ばしていきたい、こういうふろに考えております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、実は昨年、御承知のようにタマネギが年初非常に安かったのが、年末になって異常に暴騰いたしました。私も、実は淡路島が私どもの選挙区にありますから、ここへ行ってみまして驚いたわけですけれども、この前、県知事に話をしまして、一体タマネギがああいうふうに暴騰して――私は農民がもうかったのならまだいいと思うのです。ところが、実は農民はでき過ぎたというので、これは農林省の指導のあり方に私はミステークがあったと思うのですけれども、そこで一斉に売ってしまったわけです。そこで安く売り払ってしまった。それを中間業者が倉庫にじっと入れておいて、そうして抱いておるものだから、そのうちに市況がぴゅっと上がってきた。上がってきたところでぼつぼつ出すということで、結局消費者も損をし、生産者も損をし、中間業者だけがもうけた。そこで私は、うちの兵庫県知事に、タマネギの冷蔵倉庫をもっとひとつ大規模なものをつくったらどうなのか、そうして、やはり比較的安い費用で、農協で入れなくても個人でも入れられるというくらいに何か処理をしたら、いまのような場合に、おそらくもし上がってもそれは農民の手取りのほうになるし、そうかといって、そんなに上がらないうちに、これは何も農民は投機を目的としておるわけではありませんから、除々に出すから価格も比較的安定するのじゃないか、こういう話をしたら、いや、堀さん、なかなか金がありません、こういうことを話していたんです。私は、金はあるんですよ、使い方なんでしょうという話をしたんですがね。いま山中君とも生鮮食料品の倉庫の話をしましたが、私はタマネギ問題の話をしたら、南淡町の町長がえらい喜んでくれまして、そう言っては悪いけれども、自民党の代議士さんでなかなかそこまで考えてくれる人はいない……。(山中(貞)委員「やかましい」と呼ぶ)これは淡路島の話です。ともかくタマネギの価格が幾らになってどうだということまで考えてもらって非常にありがたいということを町長は言っておりましたけれども、しかし私は、やはりいまの生鮮食料品の流通段階というものは、そういう大規模冷蔵倉庫といかますか、そういう貯蔵問題というものが解決されていないために問題がある、たまたまそういうのに便乗して、吹原事件ではボーリング場が建ったりするというような世の中ですから、まことに嘆かわしいと思うのですけれども、やはりこれだけの金を遊ばしておくべきではないのではないか。やはり国民生活に前向きに役立つ、農民の生活に役立つようなそういうアグリビジネスについてはさらに積極的に開拓をして、貸し付けをしていく、もし法規上そういうものに制限があるなら、それは法規のほうを直すべきであって、その点をもう少し積極的に考えるべきではないのか、ころ私は思いますけれども、ひとつその点いかがでしょうか。

楠見義男農林中央金庫理事長

○楠見参考人 先ほど来たびたび申しますように、私どもも積極的に――慈善事業じゃありませんから、要らぬところまで金を貸して回るとか、あるいは取れないものとわかっておって貸すとかいうことはいたしませんけれども、役に立つことなら積極的に、これは実に文字どおり積極的にいたしておるわけなんです。ただ、いまの倉庫の問題等も、関連度の問題も先ほど話がございましたが、そういうことが問題になるとひっかかると思いますけれども、たとえば農協がおやりになるとか、あるいは経済連がおやりになるということになれば、文句なしに私どもは、いまの関連産業じゃなしに、本来の系統の資金を系統内に流すのですから、しかも共同利用施設として公庫と同じ七分五厘で出せるのですから、そういう問題はどんどん突き上げていただきますれば、そうでなくても積極的に何かないかというようなことを言って回っておるくらいでありますから、どうぞよろしくお願いいたします。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大体単協から信連、金庫の段階にわたって預金の側面と貸し出しの側面についての一応の私の考えを述べ、お伺いをして、おおむね楠見さんと私はあまり考えに相違はないというふうに思います。特にやかましいのは、これからの合理化の問題のほうがむずかしいと思います。これぽ勇気を持ってやりませんと、なかなか簡単にいかないのではないか。しかし、やることは、やはり農民のためにもプラスになるし、筋が通ることがありますので声この点はけさほども宇佐美日銀総裁に申し上げたわけですが、何かと債券売買でいろいろと話があるそうですが、農中のほうもそう高いオペレーションをやってくれなんという、そういうことではなくて、この際はやはりコマーシャルベースでよろしい、こっちも踏み切ってやりますというくらいな姿勢でやっていただく、そのことがやはり信連に対しての影響になり、信連がさらに単協に対しての影響になる、こう思いますので、ひとつそういう姿勢で、これを皮切りに、私どもも少し農業金融というものの全体と、さらに日本の金融の中における農業金融のあり方という問題等をもっと合理的に考えていくべきだ、こう考えますので、これを機会にときどきおいでをいただいて、いまの積極的な成果をひとつ伺うことにしたいと思います。ひとつそういう意味でお骨折りをいただきたいと思います。どうもありがとうございました。

金子一平自由民主党

○金子(一)委員長代理 これにて楠見参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人には、御多用中のところを長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。      ――――◇―――――

金子一平自由民主党

○金子(一)委員長代理 専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 実は私、今月の十日の日に専売公社の阪田総裁に来ていただいて、ここで専売公社のあり方についていろいろと論議をいたしましたしまた。その前に専売公社の主計課長あるいは大蔵省の監理官に来ていただいて、専売公社の資金の流れの仕組みについて詳しい説明を聞きました。その説明を聞いた限りでは、公社内部に現金の滞留する部分というのは非常に小額のもので、用途もはっきりしたものだということが明らかでありましたから、そういうものが流用されるような事態があれば、すぐそれはほかのことに支障を来たす性格のものでありますからすぐわかるはずであるし、どうも仕組みとしてはそういう公金の流用がされにくいような仕組みになっておる、しかし、そこに非常に大規模な金額の現金が流れたような報道もありましたから、やや行き過ぎがあるのではないかという発言をいたしましたら、そのあくる日の新聞に、本社の企画課長でありますか、飯田某という人が、それは企画課長としての時代なのか、東京地方局における幹部としての時代なのかわかりませんが、要するに出張所長、支所長ですか何かを集めた会合で現金を渡した。現金を渡したが、それは販売報償費であって、買収資金ではないのだといったようなことが新聞紙上に伝えられておるわけです。私は事の意外に非常に驚いて、これがもし事実で、現金がそういう形で、販売報償費が支所長あるいは出張所長会議で渡されるような事実があるとすれば、私は、現在の専売公社の法規その他から見て違法な措置がされた結果の支出であるのではないかという感じがしたものですから、さっそく監理官及び公社にその事実の有無、もしありとするならば、これは選挙違反の問題以前の、公社における公社法というか規定というか、何かによって違法が行なわれておったという問題、公社のあり方としての問題が、その選挙違反の問題の前にあるのではないかという感じがいたしましたので、それについての調査をお願いをしておいたわけですが、ひとつ担当の向きから、これらの事実関係といまの公社の仕組みですね、そうして、もしそれがそういうことであるならば、どういう条項によってそれは違法なのか、そこらをひとつ明らかにしていただきたい。

大槻義公日本専売公社副総裁

○大槻説明員 御指摘の点でございますが、お話しのように、公社の予算の執行につきましては、公社法をはじめとして、あるいは会計規程その他もろもろの規定がございまして、それによりまして公社事業の能率的な運営あるいは予算の適正な執行ということが行なわれるように、いわば会計経理の基準がこまかく定められております。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕それによりますれば、公社の予算の執行上、予算の支出といろ点につき、現金をもって支出ができるという場合は、たとえば給与あるいは旅費その他常用雑費、その他限定されておりまして、それ以外には通常の小切手による支出というような方法しかない、こういう仕組みになっております。したがいまして、ただいま御質問のように、販売奨励金というものが現金をもって支所長等に支出されたということになりますと、この点は定められた規定から申しまして、御指摘のとおり、違法の、規定にそむいた支出ということになるわけでございます。したがいまして、私ども、御指摘のような行動につきましてそのような事実があるのかどうかという点につきましても関心を持つわけでございますが、現在関係の当事者あるいは帳簿等を警察のほうに押収されており、当事者も引き続いて取り調べを目下受けておるという段階でございますので、直接それらの実態についてまだ調査をいたすという手がかりを持たないわけでございますが、いずれそれらの点についても明らかにされることでもありましょろし、その上は私どもとしても事実をよく調べてみたい、このように判断している次第でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 公社の会計上は、これまではそういうような支出が過去においてあったことがあるか。その点はどうなんでしょうか。いまの問題は、お話を聞くと、当事者が拘束をされておる、書類が押収されておるから、いまちょっと調査のしようがないということのようでありますから、その点はそれらの問題が解決をしてから、あらためて、検察は検察、警察は警察でありましょうが、当然公社としても調査をして、その事実の有無を明らかにしてもらわなければなりませんけれども、いま物理的に不可抗力でありますが、過去においてそういう支出の例は一切なかったのかどうか、その点を明らかにしていただきたい。

大槻義公日本専売公社副総裁

○大槻説明員 公社は会計検査院による検査とは別に、自主的に内部監査の組織を持ち、毎年管下の組織について監査を実施しているわけでございますが、私の記憶しておりますところでは、過去においてそのような事例が指摘されたということは記憶がございません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 過去にないから今度もあるかないかは別ですけれども、過去にないことは私はたいへんけっこうだと思うのですが、いまの企画課長の飯田という人は、そういう事件のありました当時はどこの配置なんでしょうか。

大槻義公日本専売公社副総裁

○大槻説明員 今回逮捕されましたときには本社の企画課長でありましたが、逮捕の容疑としてはその前任時代、つまり東京地方局の総務部長時代のことについての容疑と承知しております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、総務部長というのは、出納関係の立場にある人間なのでしょうか。いまの総務部長という位置と、公社の定める出納官ですか、支出職ですか、何かありますね、それとの関係はどういうことになりますか。

大槻義公日本専売公社副総裁

○大槻説明員 会計経理の準則からいきまして、総務部長は出納役あるいは支出役というような役柄ではございません。全体の業務の運営の総括についての責任の立場にはございますけれども、会計上の責任ある役職というものは持っておりません。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、いまかりに販売奨励費というものを支局が次の段階に流す場合、それの責任者というのは、東京地方局では役職では何になりますか。

山口龍夫日本専売公社理事(管理部長)

○山口説明員 経理的な予算あるいは資金の面の責任者は経理部長でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、東京地方局での予算配賦その他の責任者は経理部長、そしてそれを具体的に小切手その他によって支出をする者は、その経理部長の命によって処理するのか、経理部長が支出役なのか、経理部長のもとに何か支出を担当する正規の支出職ですか、支出役か何か、そういうものがあるのですか。そういうものはどういう役職になっておりますか。

山口龍夫日本専売公社理事(管理部長)

○山口説明員 支出の関係につきましては、地方局に支出役というのがございます。これは経理部長が担当しております。もちろん実際の事務は補助者が当たっておりましてやっておりますが、支出役が小切手を振るということで、責任は支出役になるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 現在、その当時の地方局の経理部長は拘束されておるのですか。

大槻義公日本専売公社副総裁

○大槻説明員 さきに逮捕されまして、取り調べの結果、先般起訴されたと承知しております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、現在もまだ身柄拘束中だ、こういうことですね。

大槻義公日本専売公社副総裁

○大槻説明員 そうでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうなれば、この問題の調査はまことに困難な状態だと思います。私は、総務部長なら必ずしも支出に関係がないのではないか。特に支出に関係のあるものがもし拘束されていなければ調査が可能だと思ったのでありますが、それも拘束されておるとなれば、これも現状の段階では調査は不可能だと思いますけれども、事実はよくわかりましたが、仕組みとしては、現金は公社の内部では、いまお話しの旅費、それから給与、これなどは途中で流用のできる性格のものではありませんから流用できない、あと通常の雑費ですか、これもそんなに大きな金額ではないと思いますから、これもなかなか流用のできないものだろうということになれば、仕組みの上としてはまあ流用の余地がないという前回の私の質問はそれなりに間違っていなかった、こう確認をするわけですけれども、問題は、仕組みではそうであっても、出たかどうかというところがやはり当面は問題になってきているわけですから、それについては公社のほうとしては調査のしようがないということでありますから、調査ができる段階になりましたら調査をして、ひとつ当委員会にその事実の状態について報告をしていただきたいということを要望いたしまして、一応私の質問は終わります。

吉田重延自由民主党

○吉田委員長 次会は、来たる九月二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時三分散会

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