大蔵委員会 第1号
- 発言数
- 138 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/07/31
会議録
○吉田委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 国の会計に関する事項、税制に関する事項、関税に関する事項、金融に関する事項、証券取引に関する事項、外国為替に関する事項、国有財産に関する事項、専売事業に関する事項、印刷事業に関する事項及び造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行なうため、議長に対し、国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、 さよう決しました。 ————◇—————
○吉田委員長 理事の補欠選任についておはかりいたします。ただいま理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。それでは、天野公義君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○吉田委員長 小委員会設置の件についておはかりいたします。 税制及び税の執行に関する調査、金融及び証券取引に関する調査、並びに農林漁業用揮発油税に関する問題調査のため、それぞれ小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、設置することに決しました。 なお、税制及び税の執行に関する小委員並びに金融及び証券に関する小委員の員数はそれぞれ十三名、農林漁業用揮発油税に関する小委員の員数は十五名とし、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任、補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 では、後刻委員長において小委員及び小委員長を指名し、公報をもって御通知いたします。 ————◇—————
○吉田委員長 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。 金融及び証券に関する小委員会において、来たる八月四日、金融に関する件について、全国銀行協会連合会会長岩佐凱実君及び金融制度調査会会長堀武芳君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○吉田委員長 税制に関する件について調査を進めます。 去る六月十一日付の昭和四十生二月改正一租税特別措置法の取り扱いに関する通達について、国税庁当局より説明を求めます。小宮審理課長。
○小宮説明員 お手元にタイプで打ちました横に長い用紙か一枚入っておりますが、これは先月税制小委員会及び大蔵理事会におきまして重要事項の説明をせよという御指示がございました後、国税庁が提出いたしました通達につきまして、要旨を書いてあるわけでございます。その中で昭和四十年三月、つまり、ことしの春の租税特別措置法の改正につきまして、取り扱い通達を六月十一日付で出しているわけでございます。改正措置法の中におきましても、ここに書いてございますのは、いわゆる利子所得及び配当所得の関係でございまして、あらましはその右の要旨に書いてあるとおりでございますけれども、お手元にその原文もお配りしてございますので、御必要があれば、それを参照していただきながらごく簡単にポイントだけを申し上げたいと思います。 この通達は、利子所得及び配当所得の源泉徴収関係につきまして、いわゆる解説と申しますか、税法の読みにくいところ、納税者が間違いはしないかといったような点をくだいて、できるだけわかりやすく解説するということを目的にいたしてございます。同時に、この仕事は、主としていわゆる徴収義務者、つまり、配当の場合であれば、発行している会社、利子の場合であれば、銀行その他の金融機関といったようなところが実際には税金を徴収するわけでございますので、その徴収義務者のいろいろな手続の便宜と申しますか、そういうような点のいろいろなやり方をあわせて書いてあるわけでございます。 利子所得関係につきましては、これは期限が延長されているわけでございますけれども、取り扱い通達といたしましては、従来のものを吸収したわけでございまして、特別に加えている点はございません。 配当所得の関係につきましては、これももうほとんど解説的なものでございまして、その解説と申しますか、一例をちなみに申し上げますと、たとえばこういうことを書いてございます。原文について申しますと、八八ページのところでございますけれども、法律の第八条の二第一項の規定は、配当所得の分離課税というのは、一〇%の税率を適用して所得税を課税することによってその課税関係を完結させることを定めたものだからといったようなこと。その意味は、つまり証券投資信託の収益の分離課税について一〇%の税率で税金を課せば、それですべて課税関係を終結してしまおうということで、実際にはそういう方はいないわけでございますけれども、それを、たとえば申告をして納税義務を果たすという方の場合には、これは全然関係ないと申しますか、つまり一 〇%取りきりということで済んでしまうのだ、証券投資信託の収益の分配についてはそういうものだという分離課税の意味をくだいて説明しているという趣旨のものでございます。 それから一般の配当につきましては、源泉分離課税の選択の問題でございますけれども、これにつきましても、証券投資信託と同様に、この場合には税率は一五%でございますが、一五%の税率を適用して所得税を課税することによりその課税関係を完結することができるということをくだいて書いてあるわけでございます。 それからあと徴収義務者の立場として比較的重要と思われますのは、源泉分離課税の選択申告書を出しました際に、その会社が合併その他でいろいろ変動が起こってくる場合があるわけでありまして、特に最近企業合同がありますと、こういう事例が現実に起こるわけでございますけれども、その際に、徴収義務者の実務といたしましては、すべての会社に、たとえば甲という会社と乙という会社が二つありまして、甲が乙を合併した場合に、あらためて源泉分離の申告書を出してもらうということが、徴収義務者の株式実務としてはきわめて便利でございますので、法律の規定から原則論はそうだということで、源泉分離の選択申告書をあらためて出すということを原則にいたしました。ただ、乙という会社を甲という会社が合併をしたような場合に、たとえば、私なら私という株主が乙という会社の株と甲という会社の株とを両方いままで持っておりまして、両方について源泉分離の選択の申告をしているといったような場合には、完全にその人格が吸収されてしまうわけでありますから、あらためて出すというほどの実益もないだろうということで、この場合にはあらためて提出することを免除するということで、産業界の実務というものを重視いたしまして、できるだけ徴収義務者に便利なようにそういうことをしているわけであります。 それからあともう一つだけ申し上げますと、配当所得の源泉分離課税選択申告書というのは、これはこういう場合が起こるわけであります。たとえば、半期決算で配当が二万五千円、一年決算で申しますと五万円までは今度申告をしないでよろしいと申しますか、所得に算入しないことができるという規定が別に入っております。そういたしますと、たとえば、納税者の中には、半期で二万五千円をこえたらば源泉分離課税をしてください、それ以下だったら、必ずしも源泉分離課税をしたくない、こういう場合があるわけでありまして、それをどうするかということでありますか、基本的には、これは租税特別措置法施行規則という規定で、幾ら幾ら以上は分離を選択します、こういう付記と申しますか、添え書きを付することができるという規定がございますが、それについて、たとえば二万五千円とか五万円とか、そういうような金額を納税者の方が全く自由意思によって、納税者の方が考えて、税法の規定に照らして御自分に最も有利な限界と申しますか、そういう段階でそういう付記をすることができるという、注意的な、そういう解説的な取り扱いを定めたわけでありますが、こういうようなことをしているわけでございます。 大体重要なポイントは、以上申し上げたようなものでございます。 ————◇—————
○吉田委員長 石油ガス税法案を議題とし、審査を進めます。 —————————————
○吉田委員長 おはかりいたします。 本案につきましては、すでに前国会において提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これを省略することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、省略することに決しました。 —————————————
○吉田委員長 これより質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。小山省二君。
○小山(省)委員 ただいま議題に供されました石油ガス税法案について、一、二御質疑を申し上げたいと思います。 先般内閣が改造されまして、大蔵大臣が田中さんから福田さんにかわられたわけでございますが、以来財政金融両面にわたりまして、かなり考え方に幅を持つようなお考えを持たれておるように私ども承知いたしておるわけでございますが、税制の面に関しましても、私は同様なことが言えるのではないかというふうに思うのでございます。したがって、その後、LPガスに対する課税をしようとする基本的な考え方の上にも多少の変化があったのか、そういう点について、当面の責任者である局長からひとつその後の考え方をお伺いいたしたい。
○泉政府委員 大蔵大臣がかわられまして、税制の改正につきまして、従来と違った考え方がいろいろ出てまいっております。これは、たとえば、長期減税の構想をもって長期の減税計画を検討したらどうか、こういうような点、あるいは従来の均衡財政の考え方に対しまして、歳出をすべて租税収入などの経常収入だけでまかなう従来のやり方は反省すべきではないか、こういったようないろいろの考え方が出てまいっておるのでございますが、このLPGに対しまする課税の関係につきましては、揮発油税とのバランス上、自動車の使用するLPGに対しては課税をして、両者の権衡をとる必要がある、こういう点については、別段お変わりはないように承っておるのでございます。
○小山(省)委員 長期減税計画というようなものを、いま当局においてはいろいろとお考えになっておられるようですが、われわれはそういう長期にわたってできるだけ国民負担を軽減したいという考え方と、今回石油ガスに課税しようとする考え方、これは私は一見矛盾する面もないではないと思うのであります。このLPガスに課税しようとする場合にいろいろ派生的な問題か起こってくると思う。たとえば、現在自動車の料金等につきましても、現行料金のもとでは非常に経営が困難だ。したがって、いまこの困難な事態を乗り切っておるのは、一にかかってこのLPガスに依存しておるからだ、したがって、このガスに課税されるということになると、当然料金改定という問題が起こってくる。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)したがって、わが党は物価を安定させる、公共料金を据え置くという基本的な考え方から、これを検討してみますと、当然そういう面に波及されるおそれがなしとは言えないと私は思うのであります。したがって、そういう面についてどのように考えておられるか。 それから、単に国家財政のつじつまを合わせるというだけでは済まされない面があるわけであります。私どもは、そういう面で現在LPガスに課税をしようとする考え方に立ちました場合に、当然起こり得るそういう対策について、当局はどのようにお考えになっておられるか伺いたい。
○泉政府委員 お話のように、福田大臣になられまして、長期減税の構想を打ち出されておるのでございますが、先ほども申し上げましたように、LPGに対しまする課税を新しく起こしますというのは、同じ自動車の燃料に使用されます揮発油あるいは軽油とのバランスからいたしまして、LPGに軽度の課税をしようというものでございまして、これは長期減税と必ずしも関係のない事柄でございます。 それから、お話のように、最近大都市の、特にタクシーはLPGに転換するものが非常にふえております。大都市のこういったタクシー料金につきましては、おおむね三十八年、あるいは三十九年に改定されまして、その料金がきめられておるのでございますが、その料金がきめられました当時は、まだ実はLPGを使用する自動車はあまりなくて、揮発油を使用する自動車を基準にいたしましてそういった料金を定められたというふうに承っておるのでございます。ところが、その後運転手の賃金の上昇など、いろいろの原因がございまして、経営が窮屈になったというようなことを承っておるのでございますが、何といたしましても、揮発油を使用するのに比べまして、LPGを使用したほうがコストが安くなる、したがって収益が多い。こういうことからいたしまして、LPGの使用の自動車、ハイヤーがふえてまいったことは事実であると思うのでございます。したがいまして、LPGに対する課税は、その関連におきまして、揮発油とのバランスをはかろうとするものでございまして、一キログラム十七円五十銭、一リットル当たり約十円の課税を行なうことにいたしましても、揮発油の場合は御承知のとおり一リットル当たり二十八円七十銭の課税が行なわれておりますので、それとのバランスからいたしますと、LPGを使用したほうが揮発油を使用する場合よりもなおメリットが多いという関係になると思います。したがって、LPGに新しい課税を行ないました場合には、タクシー料金が同じでありますれば、従来より収益が減るということの心配は確かにあるのでございますが、しかしその程度はさほど大きなものとは思われないのでございます。あくまでも同じ自動車燃料に使用される揮発油と軽油、LPG、この三者のバランスを考慮いたしまして、新しく課税をしようとするわけでございます。したがいまして、料金に及ぼす影響がさほどないと申しますのは、タクシー料金の中に占めまする燃料費のウエートはきわめて小さいのでございます。タクシー料金は、従来から揮発油について増税を行ないましたときにもいろいろそういうお話がございましたが、料金が改定されましたのは、どちらかと申しますと、人件費の高騰の場合に、それを理由にされた場合が多いのでございまして、揮発油税が増徴になったから料金が改定されたということはないといっていいわけであります。したがいまして、今回LPGに対する課税を行なうことにいたしましても、それがゆえにタクシー料金を引き上げねばならぬということは起こらないのです。むしろそれ以外の、たとえば人件費などの理由によってタクシー料金を改定する必要があるいは起きてくるかもしれませんが、それは新しくLPGに課税を起こすということのためではないというふうに私どもは見ておるわけでございます。
○小山(省)委員 LPガスについては、さらに別な面から、たとえば公害の面からもいろいろ検討してみなければならない面が相当あるわけであります。われわれは、これが使用量の増加をはかればといっても、これが減退を来たすような方向については、大きな基本的な考え方として賛成がしにくいわけでございます。とりあえず問題を一つ一つしぼっていろいろお聞きしてみたいと思うのでありますが、今後課税をされた場合を仮定いたしまして、大体現在までの経過に徴して、予定どおりの実収をあげるということは期待できますか。その点についてお伺いしたい。
○泉政府委員 石油ガスに対しまして課税を新しく行なうということにつきましては、実は昨年の暮れにそういう方針を決定いたしたのでございますが、当時の見込みにおきましては、自動車用に使用される石油ガスの数量を四十万トンという前提で通産者のほうで需給計画を立てておられたのでございます。ところが、その後、御承知だと思いますが、LPG使用の自動車の数量がだんだんとふえてまいりました。そのために、現在では四十年度におきまして五十三万二千トンという計画に改定になっておるわけでございます。この予算に見込みました国税と地方税を合わせまして約八億の収入は、四十万トン計画を前提といたしておりますので、五十三万二千トンという計画改定になりますと、実は予算より多い収入が期待できると思うわけでございます。したがって、予定どおり一月一日から課税を開始することになりますれば、予算の収入を上回ることになるであろう、かように予測いたしております。
○小山(省)委員 大体、当局から示された資料によると、四十万トンから五十三万トンですか、非常に使用量がふえておるように資料が提出されておるわけでありますが、私どもの聞きました範囲におきましては、つい先日までは非常な供給不足であったというような点も業界から聞いておるわけであります。また、一面におきましては、将来課税をされるであろうというようなことを業界では予知いたしまして、順次これを他の重油関係に切りかえるような発注が相当メーカーになされておるというように聞いております。したがって、この課税をされたあと、予定どおりの実収をあげるかどうかという点については、相当一考を要するのではなかろうか、相当検討の余地があるのではないかというふうに私ども承知いたしておるわけであります。ことに、このLPガスの計量器が、業界の言うところによりますと、まだ完成されたものがない。要するに、通産省におきまするそれらの指導方面を聞きますると、現実にはまだそのような課税を目標としたいわゆる業界の指導というものが行なわれておらない、したがって、現在の計器を使用する場合においては相当の誤差が起こるのではないか、こういうところで、業界の一部もたいへん心配をいたしておるように聞いておりますが、いわゆる関係各省との連絡というものは一体どうなっておるか、その点についてお聞きしたいと思います。
○泉政府委員 お話のように、本年一月から四月ごろまでにかけましては、家庭用プロパンの需要が冬季多くなるという関係と、それから先ほど申し上げましたように、LPG使用の自動車も急激にふえてきた、こういう二つの面からいたしまして需給がかなり逼迫いたしたのでございます。そのほかに、生産側のほうの事情といたしまして、若干の輸入タンカーの故障が起きたとかあるいは精油所の故障があったとか、こういったことも加わりましてそういった逼迫状況を来たしたことがあるように聞いておるのでございますが、その後だんだんと需給は緩和されまして、特に関西方面から相当需給は緩和されてまいりまして、一時はLPG自動車がスタンドへ行きましてLPGを詰めてもらいたいといっても、それがないといったようなこともあったようでございますが、最近におきましてはそういった事情は解消いたしてまいっているように承っておるのでございます。 それから、昨年九月現在でLPGを使用いたしまする営業用の自動車は四万台、それから営業用のトラックは四千台、こういうことであったのでございますが、本年四月現在におきましては、さらに営業用の自動車が五万六千台、乗用自家用車が一千台、それから営業用のトラックが四千台、自家用のトラックが三千台、合計六万四千台というふうに、昨年九月からさらに二万台増台を来たしておるのでございまして、そういう点からいたしますと、LPGに課税をするということが、実現はいたしておりませんけれども、政府の方針として決定されてからあともなおそういった自動車がふえているという状況からいたしますと、LPGに対する課税が行なわれましてもLPGの使用が減るということは考えられないわけでございます。やはり揮発油とのバランスからいたしますとなおメリットが残る、したがってLPG使用の自動車がふえてまいっておる、このように考えるのでございます。 なお、計量法に載っておらないという点は、確かにお話のような事情があると思います。そういう事情はあるようでございますが、しかし実際には取引が行なわれておるわけでございます。また、課税にあたりましては、重量にいたしますと一キログラム当たり十七円五十銭、それからそれを容量に換算する場合には一定率をきめて容量に換算するという方法をとることにいたしております。実際の取引はそれによって行なわれるわけでございます。そういった点において支障は生じないもの、このように考えております。
○小山(省)委員 私のちょっとお聞きしたいという点、それは、こういう新しい課税をしようとする場合、関係各省との連携、つまりそういう問題に備えてそれぞれ関係の各省がどのような指導を業界において行なっているか、そういう点であなたのほうでそういう関係各省に連絡をとり、またそういう業界の指導に当たっておる。そういうことを行なっておるかどうか、そういう点をちょっと伺いたい。
○泉政府委員 その点につきましては、通産省と運輸省とそれぞれ連絡をとりまして、こういうLPGに対する課税を行なう場合にお互いにいろいろな問題が出てくるわけでございますから、その問題をお互に連絡をとりながら解決していく、こういうことでそれぞれ、たとえば運輸省とはただいまお話しの料金の問題であるとか、通産省にはLPGの供給、それからいまの計量法の問題、こういった問題をそれぞれ連絡いたしましてあやまちのないようにやっていきたい、このように考えて、やっておるわけでございます。ただ、何ぶんにも法律がまだ通過いたしませんので、法律の通過を前提とした措置はまだなかなかとりにくい、こういった事情にあるわけでございます。
○小山(省)委員 どうも私は連絡が十分でないというふうにいろいろの点から考えられるわけです。第一は、最初に大蔵当局が出された資料については、本年度の需給計画大体四十万トンと押えておる、その後通産省のほうからの資料を見ますと、五十三万トンというふうに、かなり大幅な数字の変更が出ておるわけです。しかも、それはそう長い期間でなくそういう資料が別個に出ておる。これらを、単に一例ですが、見ました場合においても、十分な連絡、打ち合わせが済んでおらないのではないかというような感じを持つわけです。また運輸省関係を見ましても、なるほどLPガスに課税したからといってそれが直ちに料金改定に及ぼすとは考えられないという、その一点をとって考えると、あるいはそうかもしれない。しかし、現在自動車料金というものが妥当であるかどうかは別として、業界がこれの改正を望んでおることは事実なんです。いわば、これは一つのきっかけとなる憂いがあるわけです。したがって、公共料金値上げということはできるだけ避けなければならないというのは、これはひとり現内閣ばかりでなく、前内閣以来の基本的な考え方です。したがって、そのような方向に持っていくような政策はできるだけ私どもは考えてみなければならぬじゃないか。現に何らかの形で料金を改正してほしいということが業界の中から強く要望されておる。そういう時期に、かろうじて何とか料金改定にいかずに営業を続けておるというのは、要するに、こういう一つの抜け穴というか、多少生きられる道が他方にあるところに、どうやら自動車料金の改定という問題がそう表面化せずにおるわけでありますから、その逃げ穴をわれわれのほうの手でふさいでしまうということになると、当然料金改定ということが大きくクローズアップされることは自然の勢いだろうというふうにわれわれは考えておるわけです。したがって、揮発油税の昨年度の減収ですか、大体五十六億と聞いておるのですが、大体予定どおりの実収をあげられなかったという点は、そうしたLPガスの使用量がふえるということによってガソリン税の実収というものは減ってきた、こういうふうに当局ではお考えになっておるかどうか、その点もちょっとこの機会にお聞きしておきたいと思います。
○泉政府委員 お話のように、大蔵省と運輸省、通産省など、行政当局の間の連絡が十分でないじゃないかというおしかりに対しましては、私どもその点を十分反省いたしまして、今後さらに連絡を緊密に保ってまいりたい、かように考えるのでございます。ただ、御指摘の自動車用のLPGの需給計画は実は、通産省のほうでは昨年四十万トンという計画を四十年度についてお立てになったのでございますが、その後の自動車の数量の増加が非常に多いということから、本年三月にそういう改定をされたのでございます。その当時はもうすでに予算が提出されておった、こういう事情があることを御承知いただきたいのでございます。それからいまのLPGに対する課税を新しく行なうということによって、さなきだに料金改定を熱望している業界に、その料金改定の口実に使われるということは、確かにお話のような点があろうかと思います。ただ、公共料金全体のあり方としましては、この課税関係とは別に、なお深く検討すべき点があるかと思うのでございます。それらの点につきましては、公共料金全体のうちで今後どのように考えていくか。公共料金も、ただ動かさないというだけが能ではないわけでありまして、そのそれぞれの事情を勘案してどのように措置していくかということを検討していくべき問題であろう、かように考えております。 それから、お話のように、三十九年度におきましては、揮発油税収入におきまして五十六億、地方道路税におきまして十億、合わせまして六十六億の予算に対する歳入不足を生じたのでございます。この原因がどこにあるかということにつきましては、いろいろの御意見があることと思うのでございますが、お話のように、確かにLPG使用の自動車かふえてきた、これが大きな原因であることは確かであろうと思うのであります。先ほど申し上げましたように、三十九年九月現在におきまして、LPG使用の乗用車及びトラックが四万四千台ございました。もしこの自動車がLPGを使用しないで揮発油を使用しておったならばどうであろうか。この計算はなかなかやっかいでございますが、かりにこの四万四千台全体が揮発油を使ったといたしますと、年間百四十一億揮発油税と地方道路税の収入がふえておったはずである、こういう計算も出るわけであります。ただ、もちろんこの計算には、この四万四千台がいつLPG使用に転換したかということによって、フルに年間を計算するわけにはいかない、こういった点もあろうかと思いますが、いずれにしても、九月ということは、ちょうど年度の半ばでございますので、そういった点から計算いたしますと、かなりLPG使用の自動車がふえたことによって、揮発油税及び地方道路税が減収していることは確かであろうと思います。しかし、予算に対して六十六億減ったことが、直ちにそれだけがLPG使用の結果であるというふうにも即断はできない大きな理由にはなっていることと思いますが、そのほかの原因ももちろんあることと考えなければならぬ、かように思っております。
○小山(省)委員 それでは、質問をできるだけ急ぎたいと思いますが、LPガスの課税義務を、充てんする販売業者に指定していますが、これが販売業者はほとんど中小企業者であります。したがって、中小企業者に対する負担というものが非常に加重されるおそれはないか、そういう義務を課せられることによって、業界の負担というものが非常に重くなるというふうに業界では訴えておるわけです。そういう点について、どういうふうに当局はお考えになっておられるか。
○泉政府委員 お話のように、LPGの課税を行ないます場合におきましては、充てん場で課税をいたすことにいたしております。この充てん場は、概してお話のように中小企業者が多いわけでございます。しかしながら、このLPGに対しまする課税は、消費税の一つといたしまして、消費者に転嫁するということを前提にいたしておりますので、この課税を起こしたからといって、その販売に従事する充てん場、すなわちスタンドにおきまして、事務的な負担はいろいろあることと思いますけれども、金銭的な負担が特に増加するということは考えておらないのでございます。もちろん消費者に転嫁し得ないというようなことになりますと、いろいろ問題の生ずるおそれがございますが、しかし、他の揮発油、軽油等の場合等を考えますと、これは転嫁し得るものと、このように考えておりますので、特にそういうスタンド業者を圧迫するということはないかと思います。しかしそういう点もございますので、この施行を来年の一月一日からというふうに延ばしておるような次第でございます。
○小山(省)委員 局長のほうから見ますと、業界の負担はたいしたことはないだろうというふうに考えられますが、もちろんその負担にもいろいろの面がありまして、私は精神的な負担、それから金銭上の負担、両面から考えてみなければならぬと思うのです。需要者にかわって税を納めるという、しかもそれはあやまちないような方法において税を納めなければなりません。かりにこの販売が掛け売りでしておるような場合もあると思うのです。そういう場合、あるいは滞納で——滞納といいますか、販売した先から料金が取れないようなことも起こり得るわけです。現金で販売とばかりはいかない現状から見まして、そういうふうないろいろな予測しない事態も起こることを考える。それに対して、当然税の面は、滞納しても納めなければならぬと私は思うのです。そういう面も一つありますし、それから事務的な面も、私は比較的中小企業者はそうした事務的能力が欠けておるというふうに考える。当然それによって新しい人件費負担が増加するということも考えてみなければならぬと思う。したがって、課税の義務を負わされた業者がたいした負担にならぬとお考えになる点は大いに私は考えが違うのじゃないか。精神的、物質的に相当の負担過重になるということをわれわれは考えて、ひとつこれに対する何らかの措置をお考えになってみてはどうかと思うのであります。 それから元売りに課税できない理由として、大体八〇%ぐらいの免税手続をとらなければならぬ、そういう複雑な手続が必要だという関係から、いわゆる販売業者にその責任を負わしておるわけであります。免税手続というものがどの程度の複雑さがあるかは別として、そういう事務的な手続というものがきわめて困難だという点をあなたのほうで認められて、要するに、元売りでなく販売業者に課しておるわけです。したがって、販売業者がそういう事務的な面を一々代行するということになると、これは私はそれと同様に販売業者の負担が過重されるということは、当局がお考えになっておるよりも以上な負担過重になるというふうに私は考えておるわけです。こういう点でも実態をひとつよくお調べを願いまして、できるだけ業者の負担が過重されないような事務的な簡素化をはかるという面に一段とお考えを願いたいと思います。 それから、実際に税を課せられるということになりますと、このスタンドをつくった建設費といいますか、そういう面の償却ということが私は相当問題になってくると思うのです。あるいは従来あなたのほうでは課税されてもガソリンの価格から見ましてそう心配する点はないということを言っておるのですが、業者のほうから見ますと、相当それに備えて車を改造するとかあるいはディーゼル車に切りかえるというような措置を講じておる点等を考えますと、このLPガスに切りかえたその負担が回収されないうちに課税されるという面で、かなり困難を訴えておる面が多いわけですが、そういう面について、主税当局では何らかそうした建設費に対する特別な措置、そういうものをお考えになった点があるかどうか、そういう点もあわせてお聞かせを願いたいと思います。
○泉政府委員 スタンド業者がLPGを販売いたしました場合、これは御承知だと思いますが、大きなハイヤー、タクシー会社におきましてはみずからスタンドを持っておりますので、自分の持っておるスタンドにまでLPGを入れまして、そのスタンドでLPGを充てんして、その充てんした車が充てん場を出るときに課税を生ずるということになるわけでありますが、同じ会社内でございますのでその点は問題ございませんが、普通のスタンドにおきまして自動車が来ましてLPGを充てんいたしました場合におきましては、一カ月の延納を認めることにいたしております。したがいまして、その移出いたしまして後七十五日で納税すればいい、こういうことになるわけであります。したがって、お話のようにそれほど金銭的負担が多いということはなかろうと思っております。現実にはツケで、あるいは手形で取引する場合もございましょうが、現金で取引する場合が相当多いと思われますので、七十五日あれば十分ではないかというふうに考えております。 それから、なぜスタンドで課税するかという点、これはお話のように、LPGは家庭用燃料としても使用されますけれども、家庭用燃料として使用される部分が非常に多いわけでございまして、これに課税しないで、もっぱら自動車用に使用される場合に揮発油税とのバランス上課税しようというわけでございますので、小売り段階より前の製造者の段階あるいは元卸の段階で課税することは、そのLPGの消費目的が判明いたしませんためになかなか容易でなく、かつまた多量の家庭用のものについて免税手続をとるということが、非常に業者にとってもむだな手続になりますので、スタンドで課税を行なうということにいたしておるわけでございます。 それから、お話のように、スタンドを設けますと、LPGの場合におきましては、高圧ガス取締法によりまして危険を防止するような厳重な設備をしておかなければならないということからいたしまして、相当多額のそういった意味での投資が必要でございます。ところが、新しくLPGに対する課税を行ないますと、そういう設備投資の償却ができなくなりはしないか、こういうような御心配、まことにごもっともでございますけれども、先ほども申し上げましたように一キログラム十七円五十銭、一リットル当たり約十円程度の課税を行なうことによっては、なおまだ揮発油との間におきましてはメリットが、残っております。したがってLPGの使用が急激に減るということは考えられませんし、現にLPG使用の自動車もだんだんとふえておるような状況でございます。したがって、この建設費の償却ができなくなるというようなことは考えておらないのでございます。ただ、業界の一部におきましては、LPGに対する課税が行なわれると、今後は軽油を使用するのが一番コストが安くなりはしないかというようなお話があるようでございます。しかし、軽油自動車は現在三社が生産をいたしておるだけでございますし、その生産数量もきわめて限られたものでございます。そういった点からLPGの使用が軽油使用にかわるというようなことを考えるほどのこともなかろう、このように考えておる次第でございます。
○小山(省)委員 大体質問を終わりたいと思いますが、特にこの際、私が強く当局に要望しておきたい点は、このLPガスに課税することによって公共料金値上げの口火にならないように、慎重にひとつ配慮してほしいという点であります。 それから、LPガスの使用は、公害防止の上からもできるだけガソリンにかわって、これが使用をむしろそういう面からいけば奨励しなければならぬような立場にあるときでもありますから、そういう面に逆なブレーキ的な役割りを果たすようなことがあって、これが使用の減退を来たすというようなことがないように、特に私は慎重な配慮を大臣にお願いしておきたいと思います。 時間だそうでございますので、一応私の質問は以上をもって終わります。 ————◇—————
○吉田委員長 国の会計、税制、金融、証券取引及び外国為替に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。有馬輝武君。
○有馬委員 大臣の当面の財政政策につきましては、せんだって二十一日の所信表明、それからそれをめぐる佐藤委員、横山委員、武藤委員の質疑応答と、それから昨日の財政演説、この三つを通じて大体その概要については大臣のお考えを私たちうかがい知ることができました。ただ、これらの所信表明なりあるいは質疑応答、昨日の演説を通じて、せっかく国民が期待しておることについて、具体的な面で答えられていない面があるように思えるのです。私たちが聞きたいことは、たとえば物価政策にいたしましても、物価を安定させなければいかぬということは政府も望んでおるし、国民も望んでおることなんです。問題は、その物価を安定させる意欲というものを示すことだけに終わっては財政演説ではないと思うのであります。そういう意味で、私本日は二、三の問題についてお伺いをしたいと思うのであります。 まず第一に、不況対策についてであります。経済不振の見方につきましてはいろいろありますが、また、それを何と呼ぶかという点についてはいろいろあるでしょうけれども、問題が深刻なことは事実なんでして、それに対して経済閣僚会議で当面の対策をきめられました。四十年度の予算一割八百五十億留保解除、それから二千百億にのぼる財政投融資計画の増ワク、それから政府関係中小金融機関の利下げ、長期的な財政政策として大幅減税と社会資本充実のための公債、大体大まかにいいますとこういうことだろうと思うのでありますが、問題は、その不況の原因がどこにあったかという点の認識であります。昨日の財政演説では、この問題についても具体的に触れておられるようであります。「このような状態をもたらしたおもな原因は、数年来の急テンポの設備投資などによる経済の量的拡大の反面、資本構成の悪化、収益率の低下など、質的内容の充実がこれに伴わなかったところにあると思うのであります。したがって、不振の現状を打開するには、安易な気持ちでこれに臨むわけにはまいらないのであります。」と、少なくともここで不振の原因としては体制的なものについて触れておられると思うのでありますが、この具体策として出されたものが、この体制的な不振の原因の除去にはじかに役立たないのではないか。やはり対策としては同じスタンザでこういう実態があるからこういう対策ということでなければならぬはずでありますけれども、このスタンザがずれておるのではないかという感じを抱くのでありますが、この点についての大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 現状並びに現状に立ち至りました原因、これに対する認識、これと私どもが当面とっておる政策は完全につながっております。その認識そのものから出発して、そのための対策、こういうことになっておると考えております。そこに一点のズレがあるとは考えておりません。
○有馬委員 それではお伺いしますけれども、こういう措置によってつくり出されるところの有効需要というものは、民間部門への波及を含めまして幾らくらいになると見ておられるわけでありますか。
○福田(赳)国務大臣 有効需要の問題は、これは主として財政面の対策が関連をしておるわけです。もとより、金融面におきましても金融緩和政策、そういうものから相当有効需要に関係してくるということも考えますが、当面おもなものは財政施策との関係だろうと思います。さきに政府のほうでは繰り上げ支出ということを財政並びに財政投融資の面で決定をいたしたわけですが、財政面では約千億円、それから財政投融資の面では千三百億円の繰り上げを行なう、こういうことになりまして、さらに先日財政投融資につきまして追加支出を行なうということを決定いたしたわけであります。なぜ繰り上げ支出をまずしたかと申しますと、政府の支出計画をきめましてから準備に手間どるわけであります。本年度の予算はもう一切の準備を了しておるわけでありますが、それを繰り上げるという措置をとりますることは、直ちにこれが実施に移される、こういう観点からまず繰り上げをいたしたわけでありますが、さらにそれに追加してこのワクの拡大をやるということにいたし、繰り上げ支出に続いて有効需要の喚起ということをねらったわけであります。 今回の措置は財政投融資でありますが、これは一般会計でなく財政投融資でありまする関係上、すべてこれは経済界に密着をいたしておるわけであります。特に私どもがこの二千百億円のワクで考えておりますのは、経済波及効率の最も高いものということに観点を置いておるわけであります。したがって、住宅でありますとかあるいは運輸通信でありますとかあるいは輸出でありますとか、上下水道でありますとか、そういうものに問題をしぼっております。また同時に、公共事業を行なうあるいは経済活動を行なう場合におきまして土地を買収するということは、これは経済活動にそうさした関連がないのであります。なるべく土地買収は避けるという趣旨におきましてこの予算の実施に当たっていこうという基本的な考え方を持っておるわけであります。それで、公共投資また財政投融資が行なわれるという際におきまして、それが転々として、最終個人消費まで入れますと、相当の倍率をもって経済効果を生むわけであります。その倍率をどう見るかということにつきましては、いろいろ説があるわけでありまして、これを何倍というふうに規定してかかることは、私は適当ではないと思うのでありまするが、今回のように、ものに直結をする、ものを中心とした事業に結びついておるという際におきましては、この効率、効果というものは相当高いのではあるまいか、こういうふうに考えております。二千百億円の財政投融資支出を見ても、これが数倍の効果を生ずるということになるとすれば、本年の国民総所得は二十六、七兆億である、それに対比してみましても、かなり大きな影響を及ぼすのではあるまいか、かように考えておる次第であります。
○有馬委員 たとえば、私は一つの例で見まするけれども、有効需要を高めるためには、やはり現在の、これは総理も、中小企業なり農村の問題についても触れておられましたけれども、勤労者の購買意欲というもの、これを高める必要があるんじゃないか、そのためには、やはり賃金の問題についても考慮を加えていかなければいかぬと思うのであります。たとえば勤労者の収入について総理府が五月の家計調査をいたしておりますが、きのう発表されたものによりますると、勤労者世帯の収入は、前年の同じ月、五月に比べましてわずか四・四%の増で、これを物価の値上がりで調整すると、収入は実質的には前年同月よりも三・五%も減っておる、こういう数字が総理府の統計局の発表いたしたものによって明らかになっております。したがって消費支出というものもぐっと減ってきておる。具体的な数字は申し上げませんけれども、やはりこういう点に手を加えていかないと、これは大臣も触れておられるように、設備投資の拡大によりまして、実際には滞貨がふえておる、この解決がなければならぬと思うのでありますが、こういう点について、具体的になぜ触れられないのか、私は疑問に思うのであります。この点について大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 今日の経済の現状を大まかに見てみますと、個人消費は前から比べますと多少伸びが落ちぎみではありまするけれども、しかし相当高い水準で伸びておるということは言い得ると思うのであります。それから輸出にいたしましても、あるいは住宅投資にいたしましても、相当の伸びを示しておる。ただ問題になるのが、設備投資が頭打ちの状態であり、去年に比べると、あるいはかなり引っ込むのではないか、こういうふうに見られておるわけであります。お話の個人消費の問題につきましては、いま五月の生計費のお話なんか伺いますと、あるいは設備過剰の状態というようなことから、残業でも減っているのではないかという感じをちょっと持ったのでありますが、まあ有効需要を高め、みんなに働いてもらって、そして収入がよくなるようにという方向に努力をいたしていきたい、こういうふうに思っております。
○有馬委員 私は具体的な数字として論議をしておりますので、抽象論は、これは何も種にならぬと思うのです。大臣も指摘されておりますように、確かに残業の時間の減等もこの収入の減の大きなファクターになっておることは事実であります。いずれにいたしましても、実質収入が減ってきておる、こういう中で有効需要が高まっていくはずはないのでありまして、やはりこれに対する具体策があってしかるべきだと思うのであります。これについてお伺いしておるのであります。
○福田(赳)国務大臣 やはり経済が活況を呈するということが私は基本だと思うのです。それには今日の経済の状態がよってきたる原因を、私どもは設備過剰の状態と認識して、有効需要を喚起することがよろしい。つまり、有効需要を喚起する、政府がそのために財政投融資を大幅に拡大するということになりますると、これが関連事業に相当波及的な効果を及ぼす、これはだんだんと金の行く先を追っていきますると、相当部分が賃金となっていくわけでありまして、そういうふうな状態におきまして、ただいま御指摘の問題も解決されていくんじゃないか、かように考えておるわけであります。
○有馬委員 次にお伺いしたいと存じますことは、物価対策についてであります。この点については、この前武藤委員も私鉄の運賃の問題について触れられて、それに対して大臣の答弁は、ケース・バイ・ケースで、その企業の実態を見ながらきめていくというような、大まかに申しますとそういう答弁であったと思うのであります。昨日の財政演説でも、物価の安定に非常な意欲を燃やしておられることはわかるのですが、それに対する具体的な手だてというものは何ら触れられておりませんでした。私は具体的にお伺いをしたいと思いますが、この武藤委員の触れられた私鉄の運賃については、ケース・バイ・ケースで上げるということを認めていく、はっきりそういう方向をたどっておられるのかということが一つ。それから、当面の問題として、消費者米価の問題が当然上がってくると思うのであります。これは御答弁次第では、福田さん、しゃもじの総攻撃を受けられることだと思うのでありますが、私は、少なくともきのうの総理の演説の中で一番私たちを打ったのは、極貧の層にある、こういうところにあたたかい手を差し伸べなければならぬというくだりであったと思うのです。そういう人たちにとってこの消費者米価という問題は大きな問題であります。そのために食管特別会計の本来的な性格があると思うのです。生産者米価が上がったから直ちに消費者米価を検討するというのでは、これは食管特別会計なんというものはなくなったほうがいい。そういう意味で、消費者米価についてどういう考え方でおられるか、この二点を明らかにしていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 公共料金につきましては、昨日も総理から表明がありましたのですが、合理化を行ないまして、そうして公共料金の値上げをできる限り低位に押える、こういう基本方針をとっておるわけです。それを具体的にどういう事業においてどういうふうにするかということは、今後の物価情勢の動き、また経済の全体の動きや、それから企業自体の状態、そういうものを総合的に観察してきめなければならぬと思いますが、ともかく基本的な気持ちはそこにあるというふうに御了承願いたいのであります。 それから米価につきましては、先回の大蔵委員会でも申し上げたのですが、ただいまのところ、これを引き上げるという考えは持っておりません。これも先ほど申し上げました公共料金一般に関する基本的な考え方に従って今後考えていく、こういう問題と御了承願いたいのであります。
○有馬委員 ただいまのところがつくから困るのです。ケース・バイ・ケースがつくから困るのです。私たちが伺っておるのは、政府が物価政策に対して本腰になって取り組む意欲があるかどうかということを伺っておるわけです。いままで私鉄についても、その他の問題についても、その企業の実態を見て低位に押えていくという口上のもとにすべて上げられてきたではありませんか。いまのところというところを取り消していただく気持ちがあるかどうか、いま一度お聞かせいただきたい。
○福田(赳)国務大臣 ただいまのところといたしましては、これを引き上げる考えはありません。公共料金一般の原則に従って考えていきたい、かように御了承願いたいと思います。
○有馬委員 この物価問題については、福田さんもやはり野にあるときにはシビアーな批判をしながら、やはり大臣になると非常にイージーになってくるとしか思えないので、(「田中さんの答弁と似てきたぞ」と呼ぶ者あり)これはこれ以上続けると、いまやじがありましたように禅問答になってしまいますから続けません。 次にお伺いしたいのは、証券対策についてであります。 きのうの東証ダウ平均が千九十七円二十銭ということで、大体千百円台に近づき、また千円を割るのじゃないかと思っておりましたが、少し持ち直してきたようでありますけれども、しかしこの内容を検討してみますと、私は決して立ち直りの方向を示すあれとは考えられない。ここでお伺いしたいと思いますが、大臣ももう前の経緯については聞いておられるでありましょうが、山一のその後の再建対策が銀行関係でスムーズにいっておるか、それから不動産の処分がどのように進んでおるか、具体的な点は担当局長からでいいですが、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。人員整理の面等についても具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 山一証券につきましては、これを再建をするという基本的な方針のもとにいま指導を行なっておるわけであります。ただし、日本銀行から市中銀行を通じまして山一に融資をした、これは山一自体の救済というのではなくて、これによって運用預かりをしておった一般大衆というような方々に不測の御迷惑がいかないように、また同時に、こういう巨大な企業が倒れたために、一波万波を呼んで、証券界、つまり日本の信用制度に大きなひびが入らないようにということでああいう異例の措置がとられたわけでありますが、その趣旨に沿うようにこの山一問題が解決されることを期待しながらただいま行政を進めておるわけであります。詳細につきましては証券局長からお答えいたします。
○松井政府委員 個別企業の問題でございますので、経営の枢機に触れることはまた別の機会に詳しくお話し申し上げたいと思います。 御存じのとおり、この前ここでお答えいたしましたときの再建策の基礎になりました市場取引の水準が一応八千万株ということでお話をいたしたわけでございますが、その後六月の出来高を見ますと、はるかにそれを割っておるということにつきまして、それで一体再建策がうまく進んでおるかどうかという懸念なしとしない。また、御質問の御趣旨もそういう点にあるのではないか、こう考えておりますが、あのときに申し上げましたとおり、八千万株を基礎にいたしまして、あの当時として最善と思う再建策をつくった、しかしなお一そう経費の節減あるいは収入増等で、出るべきものは大いにはかることによって再検討を継続いたしますということをお答え申し上げたわけであります。したがいまして、六月実績だけについて見ますと、手数料収入が大体計画十一億といっておりましたが、これが八億ベースに落ちておりますが、一方経費の面につきましては九億五千万円くらいのものを八億ベースに減らすという予定で進んでおったところが、さらにそれ以上に経費の節減が進んでおります。大体七億四千万台に進んでおりまして、かつまた六月にはまだ金利のたな上げが全面的に実施されておりませんが、もしそれが六月から響いてくるといたしますと、すでに六月の実績につきまして手数料収入は相当減ったにもかかわらず経費の節減が上回っておる関係上相当改善されてきておる、この見込みでいきますならば、九月末までには完全に経常収支が合うという自信を得るに至っておるのが現状でございます。先ほども申し上げましたとおり、もっと徹底した——経営者としては非常にきびしいことでございますが、徹底した合理化をさらに進めるという計画をいまやっておるところであります。 なお、店舗につきましては六月中に十三店舗減らしております。それで現在七十七店舗ということに相なっております。それから人員につきましては、四月末が六千八百六十八人、六月末で六千五百六十五人、大体三百余名減っております。それから不動産の売却等につきまして、四−六ベースで四十八件の店舗の用地、それから閉鎖店舗、それから厚生施設その他の不動産を売却いたしております。簿価七億二千万円を九億六千万円という形で不動産の処分も進んでおります。そのうち主要なものは、大きなグラウンドであるとかあるいは茅場町にあります車庫その他非常に大きなものの処分もわりあいに順調に進渉しております。 なお、最近市況が幾ぶん活況を呈しておるといいますものの、気をゆるめることなく、さらにまだきびしい事態が続くという前提のもとにおきまして困難ではありますけれども、合理化をさらに一段と進めていくという決意に燃えていま経営者は合理化に専念しておるところでございます。
○有馬委員 あわせて証券局長、二十一日、日銀総裁は三条件のうちの一つ、前役員のあれは全然返っておらぬというお話ですが、どうですか、あれは返さぬつもりですか。
○松井政府委員 日銀総裁並びにうちの大臣からお答えがあったと思いますが、やはり旧経営者に対する責任追及ということにつきましては、私もここで私の決意を申し上げておりますし、社会的批判、あの企業以外の全体の企業に対する影響ということが非常に大きいことを承知いたしておりまして、目下着々準備を進めております。まだ確定的な計画なりあるいは実行行為には移ってはおりませんが、旧経営者も相当自覚と申しますか、自分の責任の自覚もいたしておりますし、いま過去何年間の、どういう範囲の経営者に及ぶかという問題、あるいはどういう範囲の責任、額の問題にも及びまして、いま慎重に審議かつ手続が進められておるところでございまして、近々のうちにおおよその計画というものはでき上がるものと思っております。
○有馬委員 次に、大臣にお伺いしたいと存じますが、この前、日米経済閣僚会議で後進国への経済援助ということについて、昨年の二億六千万ドルを、ことしは国民所得の一%程度ということに話し合いをきめられたようでありますが、そうなりますと、五、六億ドルということになって、私は大きな負担だと思うのでありますが、最後にお尋ねする財政問題とからんで、もちろん後進国への援助も必要でありましょうけれども、私は時期的にきわめて疑問を持たざるを得ないのです。この点についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 後進国の援助につきましては、援助の質の問題と量の問題とが国際的にいま論ぜられておることは御承知のとおりかと思います。特に私どもが非常に困難を感じておりますのは質の問題なんです。たとえば償還期間を二十五年以上にしなさいというようなことでありますとか、あるいは利率の問題でありますとか、そういう問題なんでありまするが、それに対しましては、こういうふうに考えております。わが日本はこの後進国援助に積極的な気持ちは持っております。しかしながら日本自体が財政が非常に窮屈な状態であります。後進国に援助を行なうという際におきましては、利息のつかない政府資金を用いるということはなかなか困難であり、したがって、援助をするとする民間資金を使わなければならない、こういう事情に置かれておる。したがって、この条件等につきまして、他の先進国のように非常に寛大なことをいたすことはきわめて困難な状態である、こういうふうに申しておるのです。量の問題につきましては、三十九年度におきまして、約二億ドルくらいな援助をいたしておるわけでございまするが、これにつきましては、質の問題についてそうきびしいことでなければ、できる限りの努力をしてみたい。別にいま有馬委員からお話しのように取りきめをしたとか、合意をしたとか、そういうものではございません。が、DACの会議で採択をされており、かつわが日本としてはこれに対して賛成であるという意思表示をいたしておる国民所得の一%程度というところまで、二、三年のうちには持っていきたいもあだとせいぜい努力をしておるところである、こういうふうに言っておるわけであります。さよう御了承願います。
○有馬委員 ということは、結論的に言うならば、国民所得の一%というのは、ここ二、三年の一つの目標であって、本年度の援助額ではないということですね。
○福田(赳)国務大臣 さよう御了承願います。
○有馬委員 次に、問題の公債発行についてお伺いをしたいと思います。 その前に泉主税局長にお伺いしますが、昭和三十九年度の決算で、租税印紙収入の予算に対する実質的な赤字額は幾らになっておるか、あれを明らかにしていただきたい。
○泉政府委員 昭和三十九年度の決算におきましては、百九十六億円の租税及び印紙収入における赤字を生じたのでございます。もっともこれは前に申し上げましたように、従来は四十年度の収入になっておりました間接税の納期延長分につきまして、政令の改正を行ない、さらに従来からいろいろ問題のございました所得税及び法人税の延納分につきまして、国税庁長官の通達によりまして、従来は四十年度の収入にいたしておりましたのを、これは事柄の性質上三十九年度の租税収入にするのがいいということ、これはかねてから会計検査院からも指摘されておりましたが、そういう措置を講じた後、なお百九十六億の赤字となったのでございます。もしそういう措置を講じません場合には、そういう措置によりました分が五百七十九億でございますので、それらを合わせますと八百億近い実質的減収があったということになるわけでございます。
○有馬委員 大臣にお伺いしますが、これは先取りということは一種の紛飾決算じゃないですか。それが政令改正によってできることなんですか。
○福田(赳)国務大臣 紛飾というわけにもいきませんが、便宜さような措置をとったわけであります。
○有馬委員 えらい簡単に答えられるので、こちらがびっくりするのですが、これは当然来年度もやらなければ同じことを繰り返しますね。それが政令で簡単にやれるものかどうかお伺いしておきたいと思います。
○泉政府委員 技術的な点でございますから私からお答え申し上げます。 これは政令改正を行ないましたので、もちろん明年度におきましても、明年四月中に国庫に入りまする二月移出分の間接税の納期延長分は、これは当然四十年度の収入に入ることになります。これを政令で行なうことが適当かどうかという点につきましては、いろいろ御意見があるかもしれませんが、三十九年度の場合について申し上げますと、三十九年の二月中に移出いたしました酒類あるいは物品税につきまして、三月中に申告納税するわけでありますが、それにつきまして一ヵ月の納期延長が慰められておるわけであります。この年度区分をいつにするかということにつきましては、いろいろの基準があろうかと思いますけれども、すでに三十九年度中に租税債権として調定されたものが出納整理期間中に入ってくるものでございますので、そのものは前年度の収入にして一向さしつかえない。これは従来からもそういう点については問題がなかったわけではないのでありますが、ただ、従来は、御承知のとおり自然増収が相当多額でありまして、そのために自然増収の二分の一は国債整理基金に積み立てることになっておりますが、現在の国債の発行額から申しますと、必ずしもそれほど積み立てる必要もないというような事情からいたしまして、従来は新年度の歳入に組み入れておったのでありますが、しかし租税債権の発生した年度の収入にするという、いわば発生主義的な考え方からいたしますと、今度改めましたように、三十九年度中に租税債権として調定されたものにつきましては、三十九年度の歳入にする、出納整理期間中に入ったものはそういうふうにする、これが正しい整理のやり方である、このように考えております。
○有馬委員 理屈というものはどうにでも立つものだなという印象しかいまの泉局長のおことばを聞いておると聞こえないわけですね。会計検査院から指摘され、またそれが筋だとするならば、なぜ財源難の今日行なわないで、事前に行なわなかったのか、それをお伺いしておるわけです。
○泉政府委員 この点につきましては、お話のような御意見もあろうかと思いますが、従来は自然増収がありまして、無理に国債整理基金に積み立てるほどの必要もないということからいたしまして、新年度の収入にいたしておったのでございます。昨年、御承知のような事情になりまして、決算として全体として赤字になることが好ましくないというようなことから、そういう措置をとることになったのでございます。
○有馬委員 これは実に窮鼠何とかということばがありますが、どたんばになればアクロバット的なことを何でもできるものだと感心せざるを得ないわけなんです。感心するのも、これは技術的な面に感心するので、筋としてきわめておかしいと思うのです。こういう状態の中で公債問題が出てきまして、この前には武藤委員あるいは佐藤委員等の論議の過程におきましては検討をするという域を出なかったのであります。きのうの財政演説で、明らかに公債発行に踏み切る、それも、とにかくいままで政保債あるいは公団債なり、広義の意味での公債は発行されておりましたけれども、一般会計、特別会計において長期内国債をとにかく考えるということになったわけでありますが、私どもはこの公債発行によって起こるいろいろな問題を論ずる前に、やはり政府がこの公債発行に踏み切るという点について検討しなければならない条件というものが幾つかあると思うのです。 まず第一にお伺いしたいと思いますことは、日本の販政金融の条件が公債発行を可能にする、そういう条件が存在するからこそ踏み切られたと思うのでありますが、それに対する大臣の所見をまず第一にお伺いしたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 私が昨日意見表明を申し上げました公債発行ということは、とにかく当面の不況を切り抜けた後の財政金融の持ち運び方、これについて申し上げたわけであります。私は、いま租税負担ということは非常に重く企業、個人にのしかかっておる、これを何とか減税をしていくという考え方をとらなければならないと同時に、また予算についてはつつましやかにこれを慎重に使いますが、しかし、社会開発投資あるいは社会保障というような費用はだんだんとふえていくものと想像しなければならぬ、それらのことを考えますと、これは租税一辺倒でやってきたこれまでの方式とは別に、公債政策もこれを取り入れるという考え方に踏み切っていいのじゃないか、こういう考え方からそういう準備を始めるということを申し上げたわけなんです。それで、ことしあたりは、これは予算を御審議願いましたが、この御審議願いました予算におきまする歳入見積もりに比べまして収入が相当減ってくるのじゃないかということをただいまおそれておるわけであります。と同時に、歳出面におきましては、御承知のように追加要因がいろいろある、こういうようなことを考えますと、今年度でもなかなかこれはやりくりがむずかしい状態であります。それはなぜかというと、結局経済界が不況状態であるからである、ことしのようなこの状態がまた来年度にどういう影響を、引き継ぎを持つかということを考えて、来年度の財政なんかも考えなければならぬわけでございますが、ともかく少し長い面、つまり不況克服後におきましては本格的な公債政策を用いる、それからそれに至る前の不況期間におきましてはこの不況期間に応じた臨機の方法で対処していく、こういう考え方を持っておるわけであります。
○有馬委員 それではいま少し具体的にお伺いしたいと思いますが、現在公債発行論議というものは百花斉放の感があって、いろいろな立場からのいろいろな形の公債発行論というものが行なわれております。それで、きのうの財政演説では企業減税のための公債発行というぐあいにとれるくだりがありましたけれでも、この際はっきりとさせておきたいと思いますので、現在あるその公債発行論をずっと並べますから、そのうちのこれだということを明らかにしていただきたいと思います。 一つは経済成長促進のための公債発行論、それから社会資本充実のための公債発行論、企業減税公債論、それから老朽設備買い上げ公債論、技術的公債発行論、これは政保債その他をあれするやつです。それから金融正常化のための公債論、物価対策のための公債論、公共用地買収のための公債論、これは藤山さんあたりが言っておるやつですね。このうちのどれを大蔵大臣としては考えておられるのか、この際明らかにしていただきたい。 〔「財源ひねり出し公債だ」と呼ぶ者あり〕
○福田(赳)国務大臣 不況克服後における計画的な公債発行は、企業及び個人を通じてその蓄積を高めていきたいということを目標とするものであります。 それから、当面、ことし、来年度にまたいろいろ公債またはこれに類似した問題が起こってきますが、これは不況に関連した臨時措置である、かように御了承願います。
○有馬委員 そうなりますと、現在の財政法の厳格な公債発行制約の規定というものが、当然検討されなければならないと思いますが、これについては次期国会に財政法の改正として出されるのかどうか、この点も明らかにしておいていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 今後ことしの財政収支の赤字をどうするか、また来年度の予算をどう組むかということは、これから総合的に検討してみなければ結論が出ませんけれども、かりにこれを借り入れ金でまかなうとかあるいは公債を発行するとかいう結論が出た場合におきましては、法的措置が必要であるかどうか、それはその方針とにらみ合わせましてあわせて検討してみたい、ただいまそういうものを検討いたしております。
○有馬委員 その方向なり何なりというものが明らかにされないで、この大問題について公債発行に踏み切ったんだということを言われると、いま山中委員から話のありましたようにひねり出し論、当座しのぎのひねり出し論としか受け取れないのでありますが、そういったいいかげんなものではないと思うのです。この発行の条件というもの、金融情勢というものについても慎重な配慮が加えられ、またその起債目的についても明らかにされ、それから償還期限等についても明らかにされなければならぬと思うのです。たとえば、岩佐全銀連会長なんかも、千億くらいは引き受けるということを言っておられますが、その発行額はどの程度になるのか、そういう点について、いま考えておられる骨格というものをこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。
○福田(赳)国務大臣 公債発行といいますか、広く民間の資金を政府の財政に充てるということでございますが、これは二つの場合を考えております。一つは、この不況をとにかく切り抜けたあとの財政全般の考え方からの問題でありまして、これが昨日財政方針表明において申し上げたところなんです。それまでの事態、つまりことしの問題があります。また来年度の問題もある。幸いにして来年度はことしのような状態でないというならば、それはけっこうなことでありまするが、少なくともことしの財政収支の赤字をどうするか、こういう問題があるわけであります。それで、前の問題、つまり不況後の問題につきましては、財政法の方針に準拠してやっていけると思えるのでありまするが、さあことしのやりくりの問題というものにつきましては、財政法でやっていけるかどうかということについてただいま頭をひねっておるという段階でありまして、まだ具体的に申し上げる段階には立ち至っておらないわけであります。
○有馬委員 たとえば、いまその不振を克服するためにということですぐ思いつきますのは、先ほどあげました企業減税公債というようなものが浮かび上がってくるのですが、現在の租税制度というものは、これはその質、内容の面において相当再検討されなければならぬ面が多い、特に租税特別措置その他については再検討を加えるべき時期にきておるのに、逆な方向をたどるのじゃないか、企業の責任不在といいますか、そういう傾向を政府みずからが助長するのじゃないか、私はこうとられてしょうがないのでありますが、この点についての大蔵大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 特別措置につきましては、私も一般原則論といたしましては、ああいうものがだんだんと整理されていくことを念願しておるのです。しかし、現実の問題としますと、あれを一つ一つ洗ってみますると、なかなか取り上げにくい問題か多いのでありまして、お話のようなわけになかなかまいらない。ただ、根本的な方針としてはそういうふうに考えておりますので、できる限りそういう方向での努力はしてみたいと、かように考えております。
○吉田委員長 関連質問を許します。平林剛君。
○平林委員 いま、公債発行につきましては、当面の不況を切り抜けたあとの条件、特に社会環境の補整だとか、その他いろいろな事業を興すのに公債発行政策を考えているのだというお話がございました。いままで私どもがお尋ねをしたときには、公債発行については慎重な態度でいくし、追い詰められた形の公債発行というのは考えない、赤字公債というのは考えないという一つのワクがあったわけでありますけれども、いまのお話では、そのワクは越えてないのだという感じはしたわけです。受けた感じといまのお話とはずいぶん違うことはわかったのでありますけれども、ただ、それでは環境整備がすっかり整って、それならもう世間で心配しておるようなインフレだとか、あるいは公債を発行したら雪だるまのようにふくれ上がるというようなことの心配がないとかというためには、相当慎重に環境を整備しなければならぬということを考えなければならぬと思うのです。これは大臣もお考えになっておると思うのです。ところで、その環境整備という問題についてはいろいろあるわけですね。私ちょっとお尋ねしたいのは、いま有馬さんが、財政法の改正を考えておるかと聞かれたのに対して、それについては、いまのところ考えておらないと言われたが、それでは、日銀法などの改正はどうなんですか。つまり、環境整備という意味あるいは公債発行の持っておる一面の危険性を押えていくためには、やはり日本銀行法の改正を一つの前提として、大蔵大臣は考えておるのかどうか。日銀法改正については、いま、不況を切り抜けた後の公債発行のときに同時に考えているのだ、日銀法を改正して、そしてそういう全般の整備を終わったときに公債発行というようなことに積極的に踏み切れる、こういうふうにお考えになっておるかどうか、日銀法改正というのは、その前提になっておるかどうかということを聞きたい。
○福田(赳)国務大臣 その前提につきましては、何といっても、私は、歯どめの問題をどう考えるか、また、これが広く国民に保有していただけるような方法をどういうふうに進めるか、公社債市場の問題、そういう問題を考えているのですが、ただいままでのところでは、日銀法のことは念頭にはなかったのです。ただ、御指摘の点もありますので、考えてみたいというふうに思います。
○有馬委員 いま平林委員からも指摘がありましたが、私たちがこういう問題について明らかにしておきたいと思いますのは、やはりその前提概念として、戦後あの巨額な国債がインフレによって実質的な償還をされてきた経緯を忘れることができないわけです。そういう意味で、現在そういった構想について固めつつあるという御答弁なんですけれども、それはいつごろなんですか、私どもにお話し願えるのは。
○福田(赳)国務大臣 御承知のように、財政制度審議会があるわけであります。それから金融制度調査会もあるわけであります。そういう諸機関にも意見を求めたいと思っております。なるべく来年度の予算の編成の前には、私はおおよその構想というものを固めておきたい、かように考えておるわけであります。
○有馬委員 いずれその機会にこの公債発行問題については再び論議をすることにいたしまして、本日の私の質問は、これで終わりたいと思います。
○吉田委員長 横山利秋君。
○横山委員 私は、きょう大臣に、歴史的経過とでも申しますか、大臣がいまお考えになっておる、特にきのうの財政演説で二つの道という非常に意味のあることを言われました。いわゆる短期的な問題と長期的な問題をどういうふうに結びつけるか。特に結語として言われたところには非常に意味があると思いますから、それを歴史的に見て、ひとつ大臣のお考えをいろんな角度からただしたいと思うのであります。 まず最初に、大臣は野にあられるときには、いわゆる高度成長経済を批判された立場であります。私どもが承知をしておる意味においては、それは過剰設備投資であり、また、ある言い方によっては人間不在の立場があるのではないか、こういうことで指摘されたと思うのであります。それがきのうの財政演説におきましても、このような状態をもたらしたおもな原因は、数年来の急テンポの設備投資等による経済の量的拡大の反面、資本構成の悪化、収益率の低下等、質的内容の充実がこれに伴わなかった、そして経済の沈滞感は容易に払拭し得ないと、きわめて率直に言われた。それから佐藤総理大臣の演説を聞きましても、景気回復の足取りは予想外に緩慢で、経済の各分野に深刻な様相が続いている、これはかなりきわめて率直な意見だと思います。そのことは、ともあれ、当初おっしゃった高度成長経済に対するあなたの批判というものを大臣になられてからもなおかつ持ちこたえられておる、そういうふうに理解をするのでありますが、いかがでございましょう。
○福田(赳)国務大臣 最近の数年間に対する経済の見方、私の意見は少しも変わっておりません。
○横山委員 そこで、さもありなんと思うのでありますが、その主張を持っていらっしゃるとすれば、基本的に、当時もおっしゃったごとく、その批判に対処する対策としては、どうしても景気刺激策を長期的には避けるということ、それからまたある程度成長率を落とすということ、あるいはまた産業の再編成をしていくということ、こういうことがあなたの経済政策の基本になっておる、当然そうなる。これは長期的な立場ですよ。そう考えられるのですが、いかがでございますか。
○福田(赳)国務大臣 成長率を落とすというお話でありますが、これは落とすと言ってしまうとちょっと誤解を招くおそれがあるのです。私の考えは、国際収支、物価というものを常ににらんで、そしてその天井の下においての高い成長をやっていかなければならぬ、しかし天井があるのですから、そこでおのずから制約がある、それで、経済が非常に高度に成長した、あるいはその反動としてまた停滞期がある、また過熱をする、停滞期だ、これを反復しておりますよりは、安定的に、まあそうでこぼこがない形で毎年毎年の成長が進められていったほうが、長い目で見ますと、高い成長をより短い期間でやれることになるんだ、こういうふうに考えております。また、でこぼこがありますると、その経過におきましていろんな不均衡が出てくる、その不均衡、ひずみというものを出さずにいけるのじゃあるまいか、こういうふうに考えておるわけでありまして、したがって、経済政策のあるべき姿としては、なるべくでこぼこがないように調整をとりながら、またその背景といたしましては、常に国際収支と物価というものをにらみながらいきたい、こういう気持ちでございます。
○横山委員 それは確かに承知をいたしました。そこで、あなたが大臣になられ、この自分の基本的な財政経済政策を実行する自信を持って登場され、そして就任当初あなたもまた総理大臣も、春までには何とかなるだろうと言われ、また次いでは、秋までには何とかなるだろうと言われた。そのことばの裏には、みずからの一つの長期にわたる財政経済政策があり、同時にまたもう一つの問題としては、今日の経済状況について、やや楽観をしておられた形跡があったのではなかろうか、こういうふうに私は考えるのです。みずからの基本的主張を堅持し、それを推進をする長期的な政策のために、当面いたします経済政策について何をなさんかとする点について、基本的主張と矛盾するのあまりタイミングを失ったことが今日の結果を招いておるのではあるまいか、そう私は推定をしたわけであります。と言いますのは、かくまで総理大臣が、景気回復の足取りは予想外に緩慢で、経済各分野に深刻な様相が続いている——予想外と言われることは、よほど決意をしておっしゃったと思う。つまり、自分はかくまでなるとは思わなかったという総理大臣の演説であります。なるほど、生産を押えても商社の買い控えで売れない、弱気の連鎖反応が続々起こっておる、そういうような状況にいまや立ち至ってしまっておる。言うならば、長期のビジョンを構想し、それを推進をしょう、その信念があるのあまり、短期的な対策並びに経済の認識に欠くるところがあったのではあるまいか、なすべき時期になすべきことがおくれた点があったのではあるまいか、いまにわかに——私はあえて言うのですが、にわかに景気刺激策を次から次へとぶっ放す、二日前の新聞ときょうの新聞とでもう話のテンポが違うというのが今日の状況だと思います。公債発行論についてもしかり、あるいはまた政府の公共事業費を一割削減、いやもうそれもやめだというような景気刺激策のテンポというものは、日を経るに従って急激な一途をたどるのみであります。このことは、私はあとの結論があるので仮定としてお話なり私の意見を申し上げているのですが、そういう点で、あなたのきのう言われた二つの道、基本的なみずからの財政経済政策の道と短期的な道との間にあなた自身が矛盾を感じられる。したがって、その矛盾をどう解決するかということが自分の使命であると、きのうわざわざ——私最後だと思ったら、わざわざつけ加えられたところに、私の指摘したようなことが現実あなたの腹の中にあるのではあるまいか、こう思われるのですがいかがですか。
○福田(赳)国務大臣 きのうの所信表明におきましても私は非常に注意深くその点は申し上げているのです。私が取り組むべき問題は、当面の不況対策が一つだ、それから不況対策を乗り切ったあとの国づくりというか、経済政策に乗り出すことがもう一つの問題である、こういうふうに言っておるのですが、まあしかし当面は不況対策だというふうに最後に結論づけておるわけでありまして、私は大臣就任以来二ヵ月になるのですが、ほとんど不況対策に没頭しておるわけです。まだ本格的な問題につきましてそう時間をかけるわけにいかないという状態なんです。しかし、この不況をうまく乗り切るというところに、おのずから今後の経済成長発展への道が順調に開かれてくる、こういうふうに確信しつつ努力をしているわけであります。
○横山委員 あえてもう一度申しますが、あなたの経済理論、あなたの経済的政策の基本というものはこの高度成長経済に集中されて、皮肉にもいまやあなたはこの不況対策のために自分の基本的な所信と逆なことをせざるを得なくなっているのではあるまいか、こういうふうに私は考えておるわけであります。しかも、その原因とするところが、みずからの信念があり、そして経済の分析について、かくまで深刻であるとは思わなかったという点において、ますますその矛盾が大きくなっているのではあるまいか、そのために不況対策は日を経るに従って、まさに、もう火事場に来て、これはいかぬといわれて、とにかく何でもいいから火を消せ、何でもいいから火を消すのあまり、みずからの基本的な進むべき道もいまやたなの上に上がっているのではあるまいか、こういう感じすら受けるのです。それが証拠に、それではたなの上に何があるか。あなたは敢然として高度成長政策を非難し、指摘をされ、その対策を堅持をされておるとするならば、一体それはどういう方向にこれから進もうとなさるのであろうか。いまあなたがやろうとしておられることは、とにかくいま言われたように、二ヵ月間不況対策に一生懸命になっておったということは、いまでは不況対策はなるほどある程度出尽くしておるような気がしますけれども、出尽くす過程においては自分で矛盾を感じられたのではないか、そのためにテンポがゆるんだのではないか、タイミングを失ったのではないか、こうまでやらなくても済んだのではあるまいか、私はそう思う。いかがですか。
○福田(赳)国務大臣 これは長期政策と短期政策が矛盾するというような性格じゃないのです。つまり、いまわれわれがやっている仕事は、いままでの経済の反動として今日生産過剰というような事態が展開されておるわけですが、これを克服しないと次の道が開かれないわけであります。しかし、この問題を巧みに解決するということが今後の安定成長にも重大な関係があるという意識のもとにやっておるわけでありまして、決して矛盾している、相対立して考えておるというような気持ちではございません。
○横山委員 私の言うことがわかっていらっしゃるような気がするのですけれども、私は、いまあなたが言われる、もうとにかく火を消すということについてこれを克服しなければ次の道がたどれないということはよくわかる。けれども、火を消すということは、火を消すというその方法については、本来高度成長経済を批判をされたその論理、その方向とは、過程においては多少矛盾するということはお認めになるのではないかと思うのです。具体的な引用でもしなければいけませんか。おわかりになっていると思うのです。
○福田(赳)国務大臣 これは矛盾するとか、そういうような性格のものじゃないのです。もうこれは緊急措置として今日の施策をとっておるわけでありまして、これはもう緊急措置としてやむを得ざる措置である、こういうものであり、何ら矛盾感を持ってこの施策をしておるわけではございません。
○横山委員 それではあえてもう一度言いますけれども、総理大臣の言う予想外にというのは、どういうことでしょうか。佐藤総理大臣はこのような不況を予想しなかった、こういうんですね。あなたも予想しませんでしたか。
○福田(赳)国務大臣 予想したかしないか、これは程度の問題でありまして、佐藤総理の予想外にこれは深刻だということは、文字どおり思っておったよりはなかなか悪いということ、だろうと思いますが、私は、前からこの設備投資を中心とした繁栄、高度成長が続けば続くほどその設備投資が顕在化する、つまり生産能力化した場合におきましては、工場ができた場合におきましてはたいへんなことになりはしないかということを心配しておったわけでありまするが、ただいまそういう心配に現実のものとして当面をいたしておるわけであります。まあ非常に設備投資圧力が高いわけでございまするから、したがって深刻度も相当なものである、かような理解をいたしておるわけであります。
○横山委員 ただ普通にこういうところで予想外にとおっしゃるのと意味が違って、こういう総理大臣並びに大蔵大臣の財政演説は、閣議で何回も整理をされ、一言一句手直しをされておることは御存じのとおりでございます。そういう演説の中で、「景気回復の足どりは予想外に緩慢で、経済の各分野に深刻な様相が」出ておると総理大臣は言われ、あなたはあなたで、非常に深刻な現実認識として現下の経済情勢というものを克明に書かれております気持ちは、善意な意味でいえば、実態を国民によく知ってもらう、その上から一つの決意を生み出すということであったであろうけれども、しかしながら一面においては、かくも整理された文章の中で予想外に深刻であったと総理大臣みずからが言われたということは、現実認識を誤っておったという率直な見解だと思うのです。そうでなければおかしいと思うのです。私は、その現実認識を誤っておったという認識というものが、いわゆる安定成長、これは佐藤総理、大蔵大臣の当時からの持論でありますが、しかし、いま安定成長ということばが、今度は逆に不景気政策というふうに見られがちな状況であります。安定成長は、申すまでもなく長期にわたるビジョンだと思います。けれども、安定成長論者である佐藤さん並びに福田さんが、いま安定成長は一応たなの上に上げて、緊急にあらゆることをやって火を消すために狂奔せざるを得ないという、安定成長ということは言うけれども、さしあたりの問題は、とにかく失礼ですが、何でもかんでもとにかく火を消すというところにある。私、かかくまで言う意味はどういう意味かといいますと、そういう矛盾があるからこそ、「われわれはいま、二つの問題に直面しております。第一は、今日の不況を一日も早く乗り切ることであります。第二は、これまで築き上げてきた経済発展の成果を基礎として、さらに、つり合いのとれた福祉社会建設への歩みを進めることであります。」と言っておられるが、そのつなぎであります。つまり私の言わんとするところは、何でもかでも火を消すというのではいかぬのじゃないか、それを通じてあなたの言う第二のビジョンのほうへ道を開いていかなければならぬのではあるまいか、そういうことはお考えでしょうねということを、あなたの経済理論のベースに立てば、あえて忠言をいたしたい、その点はどうです。
○福田(赳)国務大臣 私は二つの問題に取り組んでおるということを申し上げておるわけですが、とにかく火を消すことである、しかし、この火を消すことが第二の問題の妨げになっては困ることは、これはもちろんであります。しかし、だからといって、この火を消すことに、何というか、熱意を出さないというわけにはいかぬのであります。まあその辺は、両々にらみながら、しかし有効的に火を消すということに最善の努力をする、こういうことに御了承願います。
○吉田委員長 関連質問を許します。武藤山治君。
○武藤委員 大蔵大臣のただいまの答弁を聞いており、さらに昨日の演説を聞いて、いまの不況を乗り切るのがとにかく当面の最大課題だと言われる。私が心配しているのは、当面、いま不況を乗り切ろうとして真剣にあの手この手で需要の喚起をやる、ところが、本来なら外債の発行でもできるなら、外国からの資金を導入して需要を喚起する方法もあるでしょう。しかしいまの資本収支の状況を見ると、どうも資本の導入はどんどん減る傾向にある、したがって思うように外債発行はできないという環境に置かれている。もう一つの心配は、世界の貿易の伸びは大体七%程度だろうと予想されてきている、一〇%台からもうことしの下期から来年はずっと七%台になるだろう。日本の貿易は大体三〇%とにかくいっている。これは世界貿易の伸びと比較した場合に異常な姿になっている。こういう姿がいつまで続くかということを私は真剣に考えてみると、いま自民党政府が、不況さえ乗り切ればいいのだといって、いろいろ国内需要喚起策をやっても、不況乗り切りができるかできないかの段階で、さらにそういう国際環境からの圧迫によって大臣の考えるビジョンが達せられないのではないか。実はこういう不況と国外からの環境というものが日本に与える影響というものを大臣はどのように把握しているか、この二つの点からどう考えておるかを聞かしてもらいたい。
○福田(赳)国務大臣 人によりましては非常に気軽に不況対策をどしどしやれ、こう言う人もあります。ありますが、武藤委員のお話しのように、国際収支ということは常に頭に置かなければならぬ問題であります。その国際収支の見通しからいいますと、幸いにいま輸出が非常な好調です。好調でありますが、御指摘のように、欧州経済なんかが少し停滞ぎみの傾向にあるようでもありますし、また、三〇%というあまりにも高い輸出伸び率がそう長続きをするということ、これも過信をしてはならない問題でもありますし、国際収支の将来につきましてはでき得る限り細心な注意を払いながらやりますが、ともかく、いま輸出が輸入に比べて十億を相当上回るという状態におきましては、ただいま政府がとっておるような景気対策ではそう支障があるようには考えておりません。しかし、できる限り注意をしながらはやっておるということだけを申し上げておきます。
○横山委員 そこで私は、火を消すために将来の差しつかえになりそうなことをこれから列挙をしてみます。 第一は、先ほどからもいろいろ議論が出ましたが、物価値上げの問題、総理大臣の演説とあなたの演説とでニュアンスに相違があります。総理大臣は物価問題についてなるべく低位に押えると言っている。明らかにこれは、総理大臣は物価の値上げについて、公共料金その他の値上げについて、やむを得ざるものは認めるという立場であります。あなたはそれについて触れてはおりませんけれども、しかし「画期的な減税を行なうためには、まず、何よりも物価の安定を実現しなければなりません。」また結語として、「政府としては、当面、経済の不況克服に全力を尽くすことはもちろん、物価問題についても今後真剣に取り組む決意であります。」と結んでいる。つまり、総理大臣は公共料金については低位に押える、上げるということを言っておるわけです。あなたは逃げているわけです。これは端的な言い方をして恐縮なんですけれども。いま火を消すために国鉄の運賃値上げを認める、あるいは財政的な困難のために米価の値上げを認める、そしてまた、本委員会で議論されておりますように、LPガス税の増税を認める、こういうことが火を消すためにやむを得ないこととして認められるかどうか。
○福田(赳)国務大臣 これはケース・バイ・ケースの問題かと思うのです。物価は総合的に考えなければならぬ問題でありまして、中には下がるものもあります、上がるものもあります。その総合が大体均衡しておるということであればまあまあと、こういうように思うわけでございますが、具体的な米価あるいは運賃という問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、あらゆる角度から検討して、そしてその個々の結論を出さなければならぬ、こういうようにただいまでは考えております。
○横山委員 そうしますと、総理大臣の財政演説と福田さんのお考えとには径庭はない、相違はない、したがって、公共料金、運賃、米価あるいはその他は低位に押えるという立場、つまり値上げを認めるという立場でございますね。
○福田(赳)国務大臣 低位に押える、ああいう表現を総理はされております。私は、それは上げるが、低いんだ、こういうふうには受け取っておりません。できる限り押える努力をする、こういうふうに理解をいたしておるのであります。その限りにおきましては私は賛成であります。
○横山委員 それは大臣、少し詭弁じゃないですか。あの演説は値上げを認めないということではなくて、低位に押えるということは、何といっても値上げを小幅にするということに努力するというふうに、すなおに解釈をすべきではありませんか。
○福田(赳)国務大臣 私の受けた印象ではそうじゃないのです。できる限り努力してこれを押える気持ちである、こういうことかと思います。
○横山委員 これは聞く人が判断をしてくれることでありますが、しかし大臣、それは私はいささか率直ではないと思います。 第二番目の火を消すために起こる問題として、企業家の責任であります。いますべての中小企業なり国民が言っておりますことは、たとえば山一であります。先ほども同僚委員が言いましたけれども、銀行や証券会社はつぶれぬ。政府がつぶされない。どんな悪いことをしても、と言っては語弊があるけれども、経営がだらしがなくてああいう不幸を招いても、これは多くは政府も責任がありますけれども、しかし経営者に若干のことがあっても、大きな意味の投資家保護、大きな意味の預金者保護、という隠れみのによって経営者の責任が追及されない。たとえば、先ほどの話の、退職金を日銀や政府が言っても返さない。それで済んじゃうわけです。それからまた、例は悪いけれども、森脇の問題がありますね。あの森脇についても、結局は税金はとれまいと思っている。それから、大臣はきわめて率直なことばで一銭一厘といえどもという文句をお書きになりました。これは実に端的な心境のあらわれだと思います。その一銭一厘でもどころではなくて、専売公社についての経営責任というものが、いつおとりになるか、どうもわかりませんけれども、なおざりになっている。政府が火を消すために何でもいいからとにかくやれというあまり、経営責任というものがなおざりになる。これについてどうお考えでありましょうか。
○福田(赳)国務大臣 山一証券に対しまして特別融資をいたしましたのは、経営者を救済しようというわけじゃないのです。先ほども申し上げましたように、運用預かりを不特定の多数の人がやっておる、これらの人に迷惑がかかってはならぬし、またあれだけの大企業が万一のことがありますと、経済の中枢の一つである資本市場に大きな不安を与える、こういう見地から、形は山一というところに融資をいたしたわけでありますが、精神はそこにはないのであります。企業家の責任、これは全く別の問題として、私ども徹底的に対処していきたい、かように考えております。
○横山委員 その別な問題というのが結局はなおざりになると言っているのです。端的に言うならば、銀行の一つや証券会社の一つ、つぶすならつぶしたらどうだ、そこまで腹をきめたらどうだと私は言いたいくらいです。あなたは基本的には投資家保護、それから預金者保護、それは大蔵委員会共通の伝統なんです。伝統なんだけれども、その隠れみのによってつぶれた大きなものは一つもないじゃないか。また、退職金の返済はほんとうに山一がしたのか。そういう大きな隠れみのによってこの企業家の責任がなおざりになっていくぞと警告をしているわけです。あなたは別な角度でやるというならば、どういう方法で企業家の責任を追及なさるおつもりですか。
○福田(赳)国務大臣 これはお説のとおりの考えでいくべきものであって、山一の具体的な問題は先ほども証券局長からお答えをしておりますが、これは別の問題として厳粛に対処していく、かような考えでございます。
○横山委員 専売公社も同様ですか。
○福田(赳)国務大臣 これも同様でございます。
○横山委員 その次の火を消すのあまりという問題で、これはあるいはお考えになっていないかもしれませんけれども、先ほども有馬君でしたか質問をいたしましたが、いま非常な過剰設備が遊んでおる、そこに仕事を回せば、金を回せば、それが動く、ないしは予ての過剰設備をなくする、買い上げるという、いわゆる湊さんたちが言っているようなことですね。そういうことが一体妥当だとお考えでありましょうか。もしそれをフルに動かすようにし、かつて繊維関係でありましたように、その過剰設備、老朽設備を国が企業家から直接に買い上げる、そういうことをやることもこの火を消すことの一つの方法ではあります。方法ではありますが、それは将来にわたってあなたのビジョンに対して非常な影響を与えていくわけですね。こういう過剰設備に対する態度はどういうお考えですか。
○福田(赳)国務大臣 過剰設備に対しましては、これは過剰の程度が非常に高いと、こう見ておるわけであります。したがって、多少の景気対策をとりましても、なかなか過剰の状態がそう早急に解決し得るような状態ではない、かように考えておりますが、私は、経済政策全体といたしまして、この災いを転じて幸いとなす、そういう気持ちでいくべきじゃないか、そういうふうに考えておるのです。つまり、過剰設備と言いますが、その中には相当陳腐化されたものもあると思うのであります。そういうものはここで廃棄していくということでいいのではないか、そうして近代化、合理化投資にこれを置きかえる、そういうことが広範に行なわれますならば、これは自由経済の世界の大勢に臨む日本の産業のあり方としては、災いを転じて幸いとなしたという形になり得るのではないか、そういうような傾向がありますならば、金融政策上何か大いに協力をしていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
○横山委員 私がお伺いしている点はそういう一般論でなくて、現実論として、湊さんたちが言っている問題、つまり、いま非常な過剰設備がある、片一方では生産調整をする、そうして片一方では陳腐化をしている老朽機械その他を廃棄をする、それについて政府が手伝うということはどういうことなのか。生産調整はともあれとして、老朽、陳腐化した過剰設備を廃棄することに手伝うということは、湊さんたちはそれを公債をもって買い上げろと言う。公債をもって買い上げて、買い上げた金は銀行に行って、銀行はそれを日銀のお金の返済に充てる。そうすると全般的に金はふえる、こういう立場でそれを主張しているわけです。公債発行論と結びついているわけです。あなたの言うそういう過剰設備の廃棄ないしは更新ということを政府が手伝うということは、ある人は、福田さんは湊さんとたいへん親しいから、相当影響力もあるからこれは実現の可能性があるのではないかと言うておるのですが、あなたがこの過剰設備に対して政府が手伝うという意味は、いわゆる公債発行論なり湊構想と軌を一にしておるものですか。そうだとすれば、これは私はゆゆしい財政経済政策だと思うのです。どういう方法でおやりになるのですか。
○福田(赳)国務大臣 湊構想というのは私も聞いておりますが、ただいま陳腐化施設を政府が交付公債を渡して買い取る、こういうことは考えておりません。おりませんが、先ほど申し上げましたように、経済政策全体の気持ちとしては、こういう機会にこそ陳腐化したものが近代化、合理化設備と交代をされていくというその傾向が望ましいのでありまして、そういうことは財政金融政策の運用において頭に置かなければならぬことである、かように申し上げているわけであります。
○横山委員 私は、いま火を消すために何でもやっていいと言うものではない、それには歯どめが要る、歯どめをきちんとしておかなければ、あるいはその道を誤れば、あなたの言うところの基本的な経済政策に支障を与えるという意味で二、三の例を出したわけですが、それでは、あなたの基本的な政策、あなたの言う第二の道、さらにつり合いのとれた福祉社会建設への構想というものはどういうものであろうか。その道筋、方向によっては、いまやっていることが矛盾をするという私の論理になるわけですが、大臣としてはいままでそういう構想についてあまり明らかにされておりません。いままであなたが言われたことは、大幅減税であり、あるいはこれを軸にした財政金融政策であり、あるいは公債政策にとどまっておるわけであります。この間総合政策研究会があなたと総理大臣に会って、緊急対策として、まさに、とにかく何でもやれと言わんばかりにいろんなことを提案をいたしました。しかし、新聞の伝うるところによりますと、佐藤さんもあなたも、基本的に政府の考え方と一致しており、今後の具体政策のなかに取り入れていきたいという意向を示されたそうであります。そのとおりでありますか。
○福田(赳)国務大臣 これに対して意思表示はいたしておりません。たいへん御検討願って、どうもありがとうございます、よく勉強さしていただきます、こういうことでございます。
○横山委員 それではあらためてお伺いしますが、この総合政策研究会の緊急対策にはまさに画期的なことが幾つも出ておるわけであります。 まず一つ伺いたいのは、「日銀法二十五条による緊急融資の結果、日銀に損失が生ずるような場合には、政府が補償の責任を負う旨の立法措置を早急に講ずべきである。」この点についてはいかがでございますか。
○福田(赳)国務大臣 二十五条融資によりまして日本銀行に万一損失が生じたという場合の措置だと思いますが、私が万一と申し上げるゆえんは、なるべく損失が起こらないようにいたしたい、つまり、山一証券はこれを再建し、そして日本銀行に損失のかからないような状態で終末を告げさせたい、こういうふうに存じておるわけでありまするが、万一損失が生ずるというような事態がありました場合にどうするか。この損失がありこれはました場合のその損失の性格であります。私は、日銀法二十五条の発動による損失となるのでありまして、基本的には日本銀行がその損失を負担すべきものである、こういうふうに思うわけであります。しかしながら、この二十五条が発動したそのいきさつ等を考えてみますると、これを日本銀行だけの責任に帰せしめるということも、またこれは行き過ぎではないかというような気がいたしまして、この収拾は両者の中間ぐらいなところに求むべきではあるまいか、さように考えるわけであります。具体的には、そういうような考え方から日本銀行の中に特別貸し倒れ準備金というような制度を設けまして、利益金の五%ぐらいを長期にわたって積み立てる、そして損失があった場合にはこれに対処していく、そういう方向でこの問題を収拾したい、かような考えであります。
○横山委員 日銀法二十五条は、「日本銀行ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ信用制度ノ保持育成ノ為必要ナル業務ヲ行フコトヲ得」となっておる。大臣が二十五条の発動について了解をされ、認可をされたその責任は政府としてもとる、こういうわけでございますね。
○福田(赳)国務大臣 そのいきさつにつきまして政府は責任を感ずる、こういうことであります。
○横山委員 いまのお話によれば、特別貸し倒れ準備金を積み立て、それをくずして損失を負担するということは、日本銀行がすべて損失の補償をしろ、こういうわけでありますか。
○福田(赳)国務大臣 日本銀行が損失の補償に当たるべきである、ただ、これは御承知のとおり、その特別貸し倒れ準備金を積み立てた場合におきましては、それだけ日本銀行納付金が減りまして、そこで政府との関係が出てくるわけであります。
○横山委員 なるほど、なかなかうまいことです。田中大蔵大臣は、大臣在任中に本件に関しまして、総合政策研究会が緊急対策として提言いたしました特別な立法措置を考慮する旨を本委員会で答えられたのでありますが、福田さんはそういう御意思はないということになりますか。
○福田(赳)国務大臣 さような考えは持っておりません。
○横山委員 政府への納付金が減るから、政府もそれだけの損害を分担するのだということについては、結果としてはそうかもしれませんけれども、私は、事の善悪——本来二十五条発動の善悪を議論をしたいのですが、それはさておくとしまして、大臣がかわりますと政府の立場も変わるものだなという気がいたしますが、そういう二十五条発動の申請を認可した政府が、ともあれ、形式論としては日本銀行が全責任を負えというのはいささか片手落ちのような気もせぬでもないのであります。二十一日でございますか、日銀総裁がここへおいでになりまして、同僚委員の質問に対して、本件については政府と話が進んでおる、しかし、私の口からはそれは言えない、政府に聞いてくれという話でありましたが、その日銀と政府との話し合いの結論はいま大蔵大臣がおっしゃったことでありますか。
○福田(赳)国務大臣 さようであります。
○横山委員 まあ、意見がありますけれども、時間の関係で省略をいたします。 その次に、総合政策研究会が言っております数多くの中で、「公定歩合の第四次一厘引下げを秋ごろに実施すべきである。これにより銀行貸出し金利を十分に低下させ、企業の金利負担を軽減する。貸出し金利の引下げが合理化だけで困難ならば、預金金利を引下げる。」実にずばりと言い切っておるわけでありますが、低金利政策について大臣の意見を前に何かの機会にお伺いしたことがありますが、この提言はどうお考えでありますか。
○福田(赳)国務大臣 まあ公定歩合をはじめ、預金の利子の問題、これは与える影響が非常に甚大でありまして、デリケートな問題であります。ただいまのところ、公定歩合を四たび引き下げるということは考えておりません。預金利子の問題につきましても、まあ、いろいろ御議論がありますので、考えてはみますが、ただいまのところ考えをまとめておりません。
○横山委員 時間がなくなって——一つ一つ重要なことでありますが、聞くと時間がございませんが、もう一つだけ聞きます。 「本年度の歳入は三千億円程度の歳入欠陥になる可能性がある。このさい財政法の改正、財政特別法の制定により、この事態に対処すべきである。さらに、有効需要の造出のため二千億円程度政府保証債を増発し、これを市中金融機関に引き受けさせ、必要に応じて日銀が買いオペを行なう。」この点は、どうお考えでありますか。
○福田(赳)国務大臣 市中にあります証券に対しまして日銀が売りオペ、買いオペをやっておるのは、これは御承知のとおりであります。ただ、そこでは、政府保証債を二千億発行せよ、こういうことのようでありますが、これは、この間政府のほうできめました財政投融資計画の中に、政府保証債発行ということは相当織り込まれておるわけであります。こういう発行されました政府保証債が、金融の状況に応じて、必要とあらばこれを日本銀行が買いオペの対象にするということは当然考えられることであります。
○横山委員 先ほど申しましたが、あなたの経済政策のビジョンについて、時間の関係上私の意見をある程度付しながらお伺いしたいのであります。 将来の、ビジョンというものについて、大蔵大臣としてはどういうお考えでありますか。第一の問題は、私どもがよく言うのでありますが、経済の二重構造を解消する方向でなければならない。これは高度成長経済というものが二重構造を非常に強化した。それで、一たん問題になると、しわ寄せが中小企業や労働者、その方向にいく、そこで経済の二重構造を解消する方向にいくのかどうか。第二番目には、中期経済計画に対する関連はどういうふうになるのか。第三番目は、十月ごろに増資という話があるが、この増資の時期的判断。それから第四番目が、私どものかねての主張でありますが、対米依存の形態、貿易とか、いろいろなことからいって、対米依存の経済から脱却をして、自主経済の方向へいくのかどうか。私どもの二、三の意見を申し上げますと、それを通じて国民生活の安定が期せられるという考えでありますが、あなたの言う高度経済成長政策を批判した立場、その立場からいう将来の経済の構造、それからアメリカとの関係、それから当面いたします中期経済計画との関係等からひとつ御説明を願いたいと思います。私は、抽象的になっても困りますから二、三の論点をあげたのでありますが、しかし、それにとらわれなくてけっこうであります。火を消すために将来の道をじゃましてしまうという私の心配に答えて、将来の自分の信ずる経済構造なり、経済の発展の方法なりというものはこういう方法でいくのだ、したがって、いま火を消すためにやっていることと矛盾はないという所説があるならば伺いたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 いままでお話のようにひずみということが言われておるわけでありますが、ひずみというのは一体どういうことか。私は、御指摘の二重構造も、ひずみの一つだ、また物価もこの経済成長の摩擦現象として出てきておる、いま克服はされてきつつありますが、国際収支が一昨年来悪化してきた、これもひずみの一つである、いろいろの不均衡というものがいわゆるひずみと言われておることではないかと思うのであります。私は、それらが出てきた根本原因というものが、ともかくあまりに急激に経済が発展したというところからかもし出されておる、こういうふうに見ておるのでありますが、今後のあるべき姿としては、常に国際収支と物価というものを車の両輪として考えていかなければならぬ、そうしてお話の二重構造というようなものが現存するわけでありますが、これが解消に向かって最善の努力をしなければならない、そしてその結果として、経済はそうでこぼこがない形で、安定した調子というものを持ち続けなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。なお、財政経済と特に密着する部面におきましては、企業でも国民でも蓄積、たくわえを持つという状態、これがまた安定した経済の発展の基盤として大事である、かように考えておるわけであります。
○横山委員 私の言いました中で、中期経済計画についてであります。こういう火を消すために必死となっておるときに、いま大臣の頭の中には中期経済計画というものは実際問題としてはないと思うのであります。ないからこそ、藤山さんも改定をする、しないというて、言ったり取り消したりなさっておるのでありますが、しかし、いずれにしても、この中期経済計画というものは政府の政策運営の指針として作成されたのが現実の問題であり、それに対して、所得倍増計画のある過程で、三十九年、去年の春から膨大な作業に入って、あらゆる機構を動員して経済計画をつくったものだけに、それはいまは知らぬよというわけにもまいるまいと思うのです。この中期経済計画は、三十九年から四十三年を計画年度として、この期間中の日本経済を、成長の潜在力がなお強く、需要超過型の体質を持続するとして、四十三年度で経常収支を均衡し、消費者物価の上昇率を年平均二・五%に抑えることにしております。したがって、この三つのうちで超需要超過型の体質を持続するという点と、物価の二・五%というものはもはや空なものになっているわけであります。しかのみならず、民間設備投資の総支出に占める比重は、三十八年度一八・五%に対して、目標年度四十三年度は、一九・九%となり、個人消費支出は二十八年度の五二・五%が四十三年度には五〇・七%に下げられております。したがって、高度成長論者の下村さんですら、設備投資の伸びを過大にして、個人消費や政府支出の伸びを過小に見積もっていることを遺憾として指摘をしております。この指摘は全く同感なことだと私ども当時から考えておるのですか、いまあなたの御意見を伺ってみましても、設備投資をもっとどんどんやる、あるいは個人消費や政府支出の伸びを小さく押えているという点については、いまのあなたでもこれは賛成できないと思うのです。要するに、この中期経済計画はいまや空なものになっておると思われる。したがって、これを空なものとしてやったけれども、あんなものはどうでもええというふうな感じをとるのか、それともこれを改定をして、現在の火を消すこと、それから将来についてのあなたのビジョン、それに合わせるおつもりであるかどうか、大蔵大臣としての御意見を承りたいと思います。
○福田(赳)国務大臣 中期経済計画の基本的な考え方ですね。つまり、経済を安定的に発展させようという点につきましては、これは私は尊重をしなければならぬところである、こういうふうに考えますが、その考え方に基づく具体的な指標ということになりますと、御指摘のように、まるっきり変わってきておるわけであります。基礎が変わっちゃった。したがいまして、今日の経済情勢に中期経済計画を当てはめて考えましても、なかなかそのつり合いというものがむずかしいのではないか、そういうふうに考えます。藤山長官も、当面はこの不況問題に取り組み、これを克服した後にこれはあらためて検討し直さなければならない問題である、こういうふうに言っておりますが、私もまさにそのとおりであろう、こういうふうに考えます。
○横山委員 話は変わるのですが、この間武藤委員が質問しましたことについて、あなたはややそこはそらしたという感じを持ったわけであります。それというのは、米軍がベトナムの戦争拡大に日本を基地として使う、そうして日本の不況も手伝いまして、域外調達を日本でやり、そうして業界に日本政府が円で払い、そうして日本が立てかえた金に見合う米国製兵器を米軍が日本の自衛隊に提供するという考え方は、一部の財界には、あのドッジ・ラインのころ朝鮮事変が起きた、夢よもう一度、向こう側の火事は大きければ大きいほどいいという意味も手伝いまして、かなりな浸透力を持っているわけです。また期待をする向きもあるとにらんでいます。これは、あなたはそのときの答弁で、アメリカにおいて私はそういう話は聞かなかった、こういう答弁をされただけであります。しかし、現実に日本国内において、アメリカの人が来て新聞に発表しているわけでありますから、財界なりあるいは防衛庁なりあるいは通産省なりにそういう動きが現にあるのではないかというのが一般の通説であります。いかがでありますか。
○福田(赳)国務大臣 私は、ベトナムの特需の話は現実にあるということは聞いておりません。それはまたありそうな話でないのですね。つまり、アメリカはいま国際収支均衡政策を堅持しているわけであります。少し遠方ではあるが、とにかくアメリカの品物をもって軍需を調達するという考え方につきましては、私は相当徹底したやり方をするのではないかというふうに見ております。ささいのことはともかくとして、特需が日本に対して大量にくるというような事態はないのではあるまいか、こういうふうに見ておるのであります。
○横山委員 そうしますと、この新聞報道で伝えました本件に関する限りは、全くそういう事実はない、こういうわけでございますね。
○福田(赳)国務大臣 新聞報道はどういうことか存じませんが、いま私は特需のことについて何事も聞いておりませんし、また多量の特需が、ただいま申し上げたような事情で、あり得るとも思いません。
○横山委員 私の質問はこれで終わります。
○吉田委員長 次会は、来たる八月四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十分散会