社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 103 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/09/30
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
○小林委員 大臣にお尋ねしますが、大臣が就任されまして非常に期待をしているのでありますけれども、どうもその後の実績を見てもさっぱり厚生省の実績があがらないようであります。その点非常に残念だと思いまして、きょうはひとつ大臣に、終日厚生行政のあり方についてこの委員会における多年の経緯等を申し述べて、大臣の新たなる決意を促したいと思います。 ところが、たまたま、何か佐賀県の藤川という医師がアリナミンの名称を詐称して、おかしな薬を飲ませるというようなことで同僚の八木君がおやりになる。私の時間を三十分に制限されたのであります。三十分じゃどうも一何も言えない。これはまことに私は残念でありますけれども、しかし、やはり一つのパーティーである以上は人の立場も尊重しなければなりませんから、したがって、大臣にじっくりお話し申し上げる機会がないのは残念であります。さしあたって項目だけを申し上げます。 一体、いまやっておりまするこの薬価基準の問題ですが、中医協は初めて軌道に乗ったような形で出発をしておりまするけれども、やはりまだ答申の結論が出ないでいるのですが、薬価基準の改定というものは、これは大臣の専決事項じゃないのですか。中医協に諮問をする事項ですか。しかもこれは、毎年毎年、年一回ずつ薬価基準は大臣が改定せられるシステムじゃないですか。なぜ一体これを諮問などをして、こんなにがたがた時間を食っているのか。それが一つ。 しかも、その諮問のしかたがいかにもまずいです。これは私が言わぬでも、中医協の中でも論じられているが、私は医者や歯科医師会の代表でもない。国民の一人として、被保険者の代表の一人として言うのでありますけれども、薬価というものは診療報酬と不可分なんです。切り離せないのですよ。これは大臣、イロハのイの字ですよ。しかもこの診療報酬は、この国会の委員会で何度も問題になっている。甲乙二表などというのは、ここにいるせがれのおやじですが、橋本厚生大臣があれをおやりになった。妥協の産物で非常に矛盾だらけなんだ。だから、ああいうのは早く改めなければならぬという世論を代表して、国会の中で私たちは何度言っているかしれない。あなたは、そういうものをすっかりほおかむりしておいて、そうして薬価と診療報酬の不可分、不離一体のその薬価だけを取り上げて、しかもそれを諮問して、また医療行政をさらに新しく混乱せしめるようなことをおやりになっている。大臣、いかがでございますか。
○鈴木国務大臣 小林さんの御質問でございますが、ただいま中央医療協に諮問をいたしておりまするのは、薬価の改定に伴って、引き下げに伴って出てまいります余裕分の三%を医師の技術料に振りかえる、こういうことについての諮問をいたしておるのでありまして、薬価を改定するということは、これは大臣の権限として実施してまいる所存でございます。 それから、お説のとおり、診療報酬と薬価基準の改定というものは密接な関連があるわけでありまして、そういうような関連を考えながら施策を進めてまいっておるのであります。
○小林委員 薬価基準の四・五%の切り下げは、あなたの権限でおやりになる。切り下げで生まれた余剰金といいますか、金の処分方法についてのみいま中医協に諮問をしておられる、こういうわけなんですね。それならば、ここで私も議論のやり方をながめていて、実に矛盾しているのですが、ここであなたと法律論争をやろうと思っていないんだが、一体医療報酬、診療報酬というものの性格は何ですか。診療報酬の学問的性格をひとつあなたにお聞かせを願いたい。この性格を明確にしていない以上は、問題の解決には至りませんよ。診療の報酬とは何ぞや。大臣お答えにならぬならば、局長でもよろしい。
○熊崎説明員 診療報酬といいましても、小林先生の御質問はおそらく社会保険の診療報酬だと思いますが、これは社会保険におきまして、医師に、社会保険の医療給付を行ないます場合に対価として支払われる、厚生大臣の告示をいたしました社会保険診療報酬の点数のことだろうと思います。この社会保険診療報酬点数表といいますのは、社会保険の医療給付として、医師に保険者から支払われる報酬でございます。
○小林委員 社会保険の問題は、それはいいですよ。別といたしまして、社会保険の前に至る、ともかく医師の診療、治療に対して払う、あなたのおっしゃる報酬というものは一体何ですか。
○熊崎説明員 医師の技術に対しまして支払われる対価、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
○小林委員 医者に対する技術料というものは一体何ですか。
○熊崎説明員 いわば医師といいますのは、医療行為を行ないまして、その医療行為をもって業をいたしておる職業でございますので、その医師たる身分に基づく業を行なっております場合に、その医師の持っております経験知識に基づく技術があるわけでございますが、その技術に対する報酬である、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
○小林委員 そこで私は、経験知識に基づくその技術というか、医療行為に対して支払われるというものは、一体、いわゆる医業経営の実態調査をしなければ——私は、その前にひとつ、時間がないから聞きたかったんだけれども、一体厚生大臣は、診療報酬の点数制というか、診療報酬をお変えになる気持ちがあるのかないのか、私はそれをまずお伺いしておきたい。きのう、あなたは岩手県だか秋田県に行かれて、ずいぶんひまがあるとみえて、一日厚生省なんかやられた。そんなことはやらないで、あなたはこの委員会に出られれば、あんなものは、大臣の責任にあるわけじゃないのだから、ひまのときにおやりになったらいい、この委員会に正確に答えてもらえばいい。これは大臣の崇高な責任の一つなんです。国会の場はここなんですから、ここで正確に言ってもらわなければいかぬですが、あなたは診療報酬を改定をせられる意思があるのですか、ないのですか。
○鈴木国務大臣 診療報酬体系の適正化をはかるという問題は、いま各方面から検討もされ、また要請されておるところでございます。ただいま小林さんから御指摘がありました医業経営の実態調査をやり、それに基づいて適正な診療報酬をきめるべきじゃないかという御意見もございました。また、甲乙二表に分かれております問題につきまして、この一本化をはかるべきではないかという御議論もございます。また、物と技術の分離を徹底させるべきではないか、こういう問題もあるわけであります。それから薬価基準の適正化をはかるべきであるという御意見もあります。いろいろ改善を要し、検討すべき問題を含んでおるのでありまして、私は、今回の諮問案が中医協で御答申がなされました後におきましては、中医協に対しまして、ただいま申し上げましたもの全体を含めて御検討を願いたい、つまり診療報酬体系の適正化というものについて諮問いたしたい、かように考えておるわけであります。
○小林委員 私は、厚生省がその診療報酬のそういう諮問をあと回しにして、そして薬価基準等だけの問題を先に取り上げたこの諮問のしかたに対しては反対でございます。これは反対というだけではありません。あなたがいまおっしゃったように、あらためて早急にこの問題を取り上げて諮問して、早急に結論を出して、その結論に基づいて現在の赤字対策なり医療体系全般の改正をおやりになるまでは、私は、残念ながら厚生省においておやりになるもろもろの法案に対して賛成することはできません。その点だけは、私はあなたにはっきり申し上げておきます。これが先なんですから。 それで、私はお伺いします。今度は、先ほど局長が言われた、いわゆる経験知識に基づく技術だ、医療行為だ、それに対して正当な支払いをするんだというならば、一体その経験や知識に基づく技術とか医療行為というものが、どうして経営の実態の中から出てくるのですか。技術の評価、知識の評価というものが、一体どうして医業の経営の実態を調査しなければできないのですが。私はこれが非常におかしいと思っているんだ。こういうことをおやりになっているということは、あなた方が非常に国民の生命や健康というものを粗末にせられている証拠なんだ。われわれ国会議員なんかもいくじがない。いよいよ自分たちのもらっている俸給に自信がなくて、第三者機関を設けて国会議員の歳費の実態を調査してもらう。ばかなことを言うなと言うんだけれども、まあそれはそれでいいだろう。それとこれとは違うけれども、そういうばかなことをやっているんだからね。(「あまり脱線するな」と呼ぶ者あり)脱線じゃない、そういう考え方をあなた方がおやりになっていることが非常に矛盾だと私は思っている。どうですか、一体。経営の実態だとか生活の実態を調べる方法について——その前に、この医療行為というものの経験料、技術料というものを、広い意味における労働報酬だと私は見ている。広い意味における法律上にある労働報酬です。労働賃金ですよ。どうですか、あなた賛成しませんか。労働報酬、労働賃金であるならば、それを一体どう評価するかという評価のしかたは、これは現在総評の諸君や労働者の方が一番先におやりになっている。あるいはマーケットバスケット方式だとか、あるいはエンゲル係数に基づく、食費が生計費の中に幾ら占めているか、そういうことで賃金や報酬の計算をやってみたけれども、結局そんなことから正当な結論が出ないということで、総評自身も、労働者自身も彼らの賃金の標準を、いわゆるヨーロッパ並みの賃金をよこせ、日本の経済力と日本の近代化を比較対照して、労働者の賃金の正当な要求の基準となるべきはヨーロッパの賃金だ、ヨーロッパ賃金並みの報酬をよこせ、こういう主張をしている。私はこの主張は正しいと思う。ならば、同じく広い意味における労働報酬の計算に、総評までも、そういうバスケット方式やエンゲル係数の計算なんかもう捨ててしまって、先進国ヨーロッパ並みの賃金をよこせと言っているときに、厚生省はまだ古い概念にこだわって、医療の報酬、技術の報酬を、やれ生活の実態をながめて出さなければならぬというようなことは、いかにも能がなさ過ぎるのだ。何という、厚生省という役所は、勉強しないで権力の上にだけまたがって、近代的感覚を持っていないところだろうと私は思う。 私はいま時間がありませんから議論しませんが、ひとつ局長、大臣、書面でよろしいです、診療報酬の性格は何だということを書面で回答していただきたい。これは、私の言うように広い意味における労働報酬、労働賃金であるというならば、その評価のしかたというものは、そんな医業経営の実態なんか出すのじゃなくて、もっと標準は別に求めなければならぬ。これが間違っているかいないか、書面で回答していただきたい。これは重大問題です。今回の医療行政を進めていく上に重大なポイントですから、診療報酬の性格について書面で回答していただきたい。 それから第二番目に、保険三法の改正はどうなりますか。大臣、あなたがおやりになったことは問題のポイントをみんなはずれておるように思うのですが、どうですか。
○鈴木国務大臣 保険三法の改正につきましては、ただいま社会保険審議会で御審議を願っておるわけでありまして、その答申を待ちまして、さきに答申が出されました社会保障制度審議会の御答申とあわせて十分検討した上で、早い機会の国会に提案をし、御審議を願いたい、かように考えております。
○小林委員 答申の出ないことは私もわかっているのです。私の言いたいことは、もはや予算編成期に入っているのでしょう。四十一年度の予算を固めているときなんでしょう。もう十月に入るのですよ。あなた方は四十一年度に、この保険三法の改正に基づいて、予算をどのようにいまその仕上げをされているのか、あるいは総報酬制あるいは薬価の半額患者負担というようなことを、あなたはおやりなのかどうか。パーパーで全部やっているのか。一国の厚生大臣となったら、そうそうパーパーというわけにいかぬです。みずからの所信がなくてはいかぬ。どうですか、総報酬制、薬価の半額負担の問題等は。
○鈴木国務大臣 審議会にお願いをいたしまして、御審議をわずらわしておるのでありますが、十分審議会の答申、御意見というものを拝聴し、これを検討した上で、最善の案をつくりたい、このような形で取り組んでおるわけでありまして、いましばらく、答申が出てくるまで私の最終的な考えというものはお話し申し上げる段階でない、かように考えております。
○小林委員 大体、一番重大な問題をあなた方はみんな避けていかれる。そうして一年や二年の大臣の期間だけ、現場だけ糊塗しておいていこうとするから、何十年たったところでこの厚生医療行政というものはちっとも軌道に乗らない。みんな自分の在任期間だけ、ちょこちょことうまくやっていこうとする。だめですよ、大臣。もみ抜いてもみ抜いてどうにもならなかったのを、あなたが就任されても、もう十月になるじゃないですか。いいにも悪いにも、十二月になれば予算を組んで、もう新予算でやらなければならぬ段階になっているのに、まだ慎重にかまえて、意見を聞いてそれによってあらためて自分の意見をつくろうなんということで、よくあなた厚生大臣をやられましたな、実際。そんなことじゃいけませんよ、あなた。いやいや、大臣なんというものは、こまかいことはいいけれども、そういう大局の問題に対しては信念を持って、腹を持って、おれが厚生大臣になったらこれをやるというものが一つや二つなくちゃいけませんよ。そんなことで、あなたどうしますか。国民はみんな弱っているのですよ。 そこで、あなたにひとつ申し上げたいことは、問題は保険三法じゃないのですよ。これも今度の国会に、ここにこうやってあなた方のほうにお出しになった。何ですこれは。大蔵省主計局がつくって、自民党医療基本問題調査会に提出した「医療費問題について」などという実にくだらぬものを出している。こんなものを中心にして日本の医療行政を論ぜられたらたまらない。大臣、何で一体いま赤字が出ているのですか。いま国保も私が申し上げたように、日雇い健保も、もうみんな赤字、政府管掌保険が七百億とか八百億とか赤字が出ている。その赤字が出た原因はどこなんですか、大臣、お聞きしたい。もう時間がありませんが、八木さん、ちょっと待ってください。原因だけひとつ言ってください。この原因の追及が足りないですよ。こういうものを見ているけれども、何で赤字が出たか、何でこれほど赤字になったかということに対する追及が何もない。何もないと言っちゃ悪いけれども、ほとんどない。しかも全部官僚の責任回避です。大臣、聞きましょう。原因はどこにある。
○鈴木国務大臣 保険財政が近年急速に悪化してまいりました原因は、いろいろあろうかと思います。受診率も非常に高まっておりますし、また薬価との関係もあろうかと思います。さらにまた、監査その他をもう少し徹底をしてやるべしという御意見もございます。いろいろ原因があると思うのでございますが、そういうことを審議会のほうでも御検討をいただいておりまして、今回の保険財政の急速に悪化してまいっておる現状に対しまして急速に財政対策を立てろということを、当面その問題を中心に御審議を願っておる、こういう段階でございまして、私は今度の臨時国会には、答申を待ちまして早急にこれに対する対策を確立したい、かように考えております。
○小林委員 私はあなたの意見をお聞きしているのですよ。審議会の意見を聞いているのじゃありません。ただしかし、あなたの言われた中にも、この保険財政が赤字になった理由、薬価あるいは監査の粗雑——監査の粗雑だということはどこかに不正がある、こういう言い方になるわけだ。それから乱診だとか乱売だとか、そういうところに原因をお求めになっている。それが私は間違いだとは言わぬけれども、それが本質を誤っていると言うのです。大臣、いまこれほど保険財政が混乱をし、窮乏し、赤字になっている根本の理由は、日本のいわゆる保険体系の多岐性といいますか、乱立にあるのですよ。保険というものは、私が言わなくたって、金のある者もない者も、持てる者も持たざる者も、一緒になって相互に助け合っていこうというのが保険の精神ですよ。ところが日本の社会保険は何ですか。持てる者は持てる者だけで組合保険をつくって、あるいは国家公務員が共済年金をつくっている、あるいは地方公務員は地方公務員でつくっている。そのほか、持たざる者で三百人以下五人以上のような小さな中小企業者は、政府管掌保険をつくっている。それよりもっと貧乏な、生活も満足にいかないような、地方の市町村税も納められない者が、国民健康保険をつくっている。日雇いの労働者、その日の日給でようやく生命線を彷徨しておる者が日雇健康保険をつくっておる。船員は船員保険である。そのほかにまた教職員共済保険だ、いや農林省職員の共済保険だというあらゆるものを乱立せしめて、貧乏人だけで保険をやれ、その日の生活に追われている者だけでもって健康保険をやれ、こういう形がついに行き詰まって、今日のこういうような大きな赤字になってきたのですよ。あなたはなぜ一体それを言わぬ。大臣、原因は薬価じゃないですよ。貧乏と病気は隣同士だ。裏表なんです。貧乏人はなおさら病気になる。病気になるから貧乏になる。その一番病気になる貧乏人だけで組合をつくっておるから、その組合が赤字になるのですよ。それを何もしないじゃないか。それだから、こういう問題について社会保障制度審議会、大内委員会も昭和三十七年にはあのとおり、やはり組合の乱立する形を統合しなさい、統合しなければ保険行政はだめですよと報告しておるじゃないですか。あなた方、やらないじゃないですか。なぜやらないのですか。これが一番根本問題である。そういう根本問題を、三年たっても四年たっても五年たっても手をつけないじゃないのですか。答申を無視しているじゃないですか。われわれもこの国会の中で何回それを言ったかわからない。統合をしなさい。しないじゃないですか。あなた方は日経連や金持ちがおっかないのでしょう。そういう一番富裕な諸君と貧乏人の組合を統合すると、あなた方のスポンサーからおこられるからおっかないのでしょう。鈴木さん、あなたはなかなかりっぱな人です。あなたは謹厳実直にして不正をなさる方ではありません。あなたには常に明るい影がつきまとっておるけれども、あなたの所属しておる政党にはそういうものの影があるから、こういう中心問題をやらない。どうですか。私どもはこれを何十回言っておるのです。制度審議会も何十回答申しています。勧告をしています。あなたの答弁の中にそのことばが、その矛盾が一つも出てこないじゃないですか。この問題はどうですか。おやりになるのかおやりにならぬのか。こんなことを等閑視して、そして赤字になったから、貧乏な組合は、国保は国保の組合であと始末をせい(「総評は反対だった」と呼ぶ者あり)総評と社会党は違うのだ。おれは社会党だ。貧乏人の組合だけで赤字の始末をせい。貧乏な組合だけで、赤字になってきたのはおまえが悪い、政府はめんどうを見ませんよというのがいまの保険の赤字だ。赤字の解決等じゃありませんか。そんなことで、あなた各組合の統合ができますか。統合問題をおやりになるかどうか。これ一つだけでもあなたがおやりになったら、厚生大臣になったあなたの功績はばく大なものです。これ一つおやりなさい。あっちこっち何もかも食い荒らして、そして時期がきたら逃げ歩くような、そういう無責任なことを言わないで、これ一つだけでも厚生大臣として腹をきめてやる。根本問題です。どうですか。
○鈴木国務大臣 わが国の医療保険制度がいろいろ分かれておりまして、その一元化によって合理化をはかるべきであるという御意見は、基本的には私も全く同感でございます。しかし、これらの制度は、いろいろの事情また歴史がございまして今日に至っておるわけでございますが、その内容にも、また財政の面、給付の面その他格差が相当ございます。そういうものを一挙に統合するということには、非常にむずかしい、また過渡的に大きな混乱も予想されることでございますので、まず各制度間の格差を是正しながら、いま小林さんが御指摘になった保険医療の統合という方向に向かって前向きに進んでいきたい、このように考えております。
○小林委員 私はもう時間がありませんから、この問題はこれで終わりまするけれども、これはむずかしい問題じゃありません。五年も六年も十年も叫び続けてきた問題だ。この問題をあなた方が、かわった大臣、かわった大臣が出て同じような答弁をして、そしておやりにならないで、当面の赤字は赤字で、これも大蔵省から金も来ない、政府も責任を持てない、貧乏団体で処置していけというような、そういう保険三法やらあるいは現在の赤字対策の主張をやったところで、私どもは同調できません。これははっきり申し上げますけれども、できませんから、どんなことをおやりになったところで、この委員会ではその問題に私は協力できません。大臣の首が二つ、三つ飛ぼうとも、社会党としては賛成できません。決意のほどを表明しておきますから、この問題を処置していま少し政府がお出しになるということなら別ですよ。これは基本問題だから申し上げておきます。(「興奮するなよ」と呼ぶ者あり)興奮じゃありません。非常に冷静です。 次に、時間もありませんが、医務局次長いますか。——次長はいない。医務局長は病気で寝ているそうだけれども、次長は何も寝ているわけじゃないでしょう。いませんか。——あなたは薬務局長ですね。 これはあれしておきましたけれども、献血の問題で、新潟の日赤で、日赤が友愛号などという自動車を持っていって献血を得た。その友愛号から得た献血を捨てたという問題がある。これは非常に問題になっている。一体なぜこれを捨てたのか。これは新潟県会でも大きく取り上げられました。
○坂元説明員 お答え申し上げます。 新潟県の献血問題としまして、新潟の赤十字の血液センターのほうで、ただいま御指摘のように採血をいたしました血液を一部捨てたんじゃないか、こういう御指摘でございます。実は先般先生からも非公式にそういうお話を承りましたので、早急に新潟県のほうにいま事情を照会しております。近日中に具体的な報告を持って県の責任者が参ることになっておりますので、現在まだ具体的な詳細な実情を、はなはだ恐縮でございますが、承知しておりません。いずれ近日中に参りましたら御報告を申し上げたいと思います。
○小林委員 この問題は非常に奇々怪々な問題があるのですけれども、それではあなたが調査になってから、私も全部の資料を提供して、ひとつその問題をゆっくりやりたいと思います。 その前に大臣にお伺いします。 この献血という問題については、閣議の決定か何かあって、日本は献血を主にしていって、買血あるいは預血——預血はしていくが買血はやらないといわれているそうですか、現在献血でいわゆる要求を満たしているのは大体二五%、全国的では三〇%までいっていないかもしれません。わが新潟県のごときは三〇%までいっておりません。しかも、厚生省が日赤等を主にして献血をおやりになっているが、日赤でおやりになっていることもなかなか官僚的でもあり、そしてその運営もなかなか円滑にいっていない。だからどうも血の集まりが、需要を満たすところまでに至っていない。そこで調べてみたら、世界の各国においても、献血一本でおやりになっている国はないようですな。アメリカあたりもやはり買血、献血両方でおやりになっているようであります。この問題は、ライシャワーさんが何か輸血で弊害が出たというようなことから、政府がだいぶおあわてになったようでありますけれども、その弊害は検査を十分にすればいいのであります。いま少し買血に対する監視、監督を十分にすると同時に、いわゆる買血の料金、買い上げの金などというものも適宜に見ながら、いま少し国民の需要を満たすような方策をおとりになったらどうか、こういうことです。もっと具体的に言いますと、買血の買い上げ料金は各県において県知事がきめる。ところが某県において、買血の売り上げ金を県知事に申請して少し高めに上げてもらおう、時代に適応した値段に上げてもらおうと思ったら、厚生省のほうで圧力をお加えになった。これはいやしくも赤十字を中心にして献血一本にしていくという方針があるから、そういう買血の価格などを上げるということは、どうも日赤を中心にした献血運動に重大なる支障を来たすから、そういう値段を上げるなという圧力をおかけになったということです。非常に問題が大きく波を打っている。潜行いたしております。大臣、いかがでございましょう。これは大臣の問題です。こういうことは、閣議の決定があるならば、閣議の際に献血問題等も大臣から発言をしていただいて、改めていかなければならぬと思うのですが……。
○鈴木国務大臣 この献血運動を推進しようということは、御承知のように血清肝炎等の事態が発生してまいりまして、どうしても健全な血液を確保する必要がある。こういうようなことから献血に重点を置いて血液対策を進めよう、こういう基本的な方針を立てておるわけであります。そこで、これが今年になりまして相当成果をおさめつつありますことは御承知のとおりでございまして、今後献血の組織また配給の機構の改善、そういう面につきましても十分意を尽くしていきたい、こう思っておりますが、そのために買血は一切いかぬ、こういうような考えではございません。献血で十分必要な血液を充足するまでの間、やはり買血というものも大きな役割りを果たしておるものである。したがって、厚生省がこの買血に関して圧力をかけるとか、そういうようなことは考えておりません。
○小林委員 献血が大きな成果をあげているという問題については、いま申します新潟県の具体的な日赤の例で、具体的に例をあげてあとで質問いたしますけれども、決してあなたの考えているようにうまくいっておりません。例をあげて申し上げます。いずれにしても国民の生命に関する血の問題ですから、血が濁っちゃいけないし、そういう常習者から黄色い血を買うようじゃいかぬ。そっちのほうの監督は厳重にすると同時に、やはり買血のほうも、正しいものを需要に応ずるだけに援助していくという考え方がなければ急場の間に合いません。そこら辺を、価格の問題等も含めて、厚生省がいま少し、官僚的な圧力を加えて正当な価格の値上げも押えるようなことのないように、大臣はないとおっしゃったがあるのですから、私がいま言うことを聞いて真実を調べてもらいたい。 私はあと一問で終わります。医務局の総務課長に対してですが、歯科技工法という法律がある。その歯科技工法に基づく技工士の試験制度というものを、臨時制度調査会、佐藤委員会、あそこで一応廃止したらどうかという意見があった。ところが今日、特に国民の健康に所属する問題であり、歯科医師三万名に対して技工士一万二千名がいて、これはやはり兄弟相補いながら日本の歯科を通じての健康を保存しておる。むしろこういう方面の技術を高めて衛生思想を普及せしめ、高度にやはり協力していかなければならぬから、そういう制度や法律の改正はとんでもないということをあなた方も調査会に言われたろうし、国会のわれわれも中心になって反対をした。その主張が通ってそのまま残った。それに基づいて今度は技工士の養成学校、養成機関のいわゆる充実をはかっていく、程度も高めていこう、こういう主張が内外ともに通じてきた。その具体的な方策として技工士学校の養成者は、いわゆる高校卒業生にして、なお二年間技術を学んだ者に技工士の資格を与えよう、こういうことになった。われわれも事前に話を受けて、よかろうというので賛成した。それが省内の局議にいった。どこまでいったのですか、医務局の局長の承認までいったかな。ところが、それが途中で変更せられた。変更せられたのみならず、今日までじんぜんとして、それが可もなく不可もなく置き去りにせられておる。こういうようなことは行政のやり方として非常にまずい。その後この問題は一体どうなっているのですか。
○中村説明員 ただいま先生のお話がございました歯科技工士の養成所の問題につきましては、先生お話しのとおり、歯科技工士会から、高等学校卒業者を資格とするような学校の入学資格にするという省令の改正の御意見がございました。そういう線に沿いまして検討しているところでございますが、一方これに対しまして日本歯科医師会のほうから、このことについては歯科医業としても非常に関連があるので十分検討いたしたいというお話がございまして、歯科医師会のほうでもこの問題について目下検討されておる、そういうことで、私どものほうといたしましては、そういう歯科医師会の御意見等も承りまして決定いたしたい、こういうことで目下検討いたしております。
○小林委員 あなた方が省内でそれをおきめになるまでには、歯科医師会の要求もちゃんと聞いておられる。歯科医師会の了承するようなそういう署名もある。技工士会と歯科医師会と両方の主張をお聞きになってあなたのほうはおきめになったのですから、私どもの聞いたとき、九分九厘までだいじょうぶだ、両者とも賛成しています、だから、もはや九分九厘までこの問題は決定せられたというように聞いています。そう言うものだから、片一方のほうでは、もはや法律は通過されたものとして、祝賀会まで聞いてお祝いをしておる。そうして途中から、今度は歯科医師会が反対というのはおかしいじゃないですか。ちゃんと賛成しているじゃないですか。証拠もあるじゃないですか。どういうことなんですか。そうすると、私らに言わせれば、歯科医師会の反対ではなくて歯科医師会内部における一部の者、強力なボスの行動と厚生省の中における一部のボスとの不明朗な取引、そういうことによって、こういう臨時調査会からあらゆる機関を通じて持ってきた問題が妨げをされておると私は考えざるを得ない。この問題はどうですか。
○中村説明員 ただいま仰せのとおり、当初は、歯科医師会方面におきましても歯科技工士会と同じ御意見であったやに承ったのでございます。ところが、その内部事情は私どもはよくわからないわけでございますけれども、その後、歯科医師会とされましてもうちょっと検討させていただきたい、こういうことで、いまそういう御意見等が十分熟するのを待っているという段階です。
○小林委員 時間がきましたので、いま児童局長にもいろいろお尋ねしようと思ったのですけれども、残念ながら後日に譲ります。あなたの言うように、調査の内容を知らない答弁はだめです。やはりよく調査をして、明確にしてやってもらいたい。しかもこれは入学期は過ぎている。来年度の入学生もとらなくちゃならない時期にきているときに、じんぜん日を過ごしていい問題でありませんから、ひとつ責任のある体制で早く処置してくださるようにお願いいたします。 それでは、私の質問はこれで一応終わります。
○松澤委員長 八木昇君。
○八木(昇)委員 大臣の時間が十二時過ぎくらいまでだそうですから、最初はおもに大臣のほうへの質問にしぼって質問をいたしまして、そうして具体的な関連する問題につきましては、各局長にお伺いたしたいと実は思っております。 すでに大臣、十分御存じのことだと思いますが、九州の佐賀県でいわゆるニクビタン事件という問題が起きております。これは聖医会という病院、藤川さんという方が理事長でございますが、この聖医会は病院を二つ、診療所を四つ持っておる病院でございます。その理事長の藤川さんは、佐賀県医師会の専務理事をしておられ、その他各般の医師会関係の役職を兼ねておられまするし、またあわせて社会保険診療報酬審議委員、国民健康保険診療報酬審議委員などをやっておられる非常に有力な方でございます。ところが、この聖医会におきまして、保険薬診療で認められていないニクビタンというのを実際には使用しながら、活性ビタミンアリナミン剤を投薬したということで請求をした。その期間が二年数カ月間にわたって百七十六万錠というふうにいわれており、金額につきましてもいろいろいわれておりまするが、結局一千数百万ないしは二千万の不正であるという疑いがかかっておるわけであります。さらに、このほかに無診療投薬の疑いもある。ある工場のこの病院の診療所では、従業員が百名くらいであるのに対しまして、毎月八百五十件前後の受診件数がずっとあっておった。どうも無診投薬の疑いがある。それから三番目には、さらに百五十数件余り架空請求のおそれもあるようだ、こういうようなことで、御承知のように県当局並びに厚生省も問題にしておられる。問題の発端は、県議会でこのことが問題になったことから表面に出ておるわけでございます。ところが、いま佐賀県の保険財政事情を見ますると、昭和三十九年度の政府管掌健康保険の赤字は十三億二千万円に達しておりまして、保険料収入は月に六千万ないし七千万に対しまして、支出のほうは月々一億六千万前後というようなことでございます。聞くところによりますと、佐賀県は、受診率は全国最高ということも聞いております。国民健康保険のほうも一億八千万の赤字をかかえておるというような状態のときでありますだけに、県民に非常な衝撃を実は与えておるわけでありまして、これはまことに不幸なできごとだと私は思っております。そこで、国民健康保険連合会あたりも臨時総会を開いて決議がなされるというような状態で、県下の各市町村は、国民健康保険税等も去年に比べまして平均四割七分五厘の引き上げをやっております。ある町のごときは、一挙に三倍も保険税を去年よりことし上げておる。私の住んでおります町のごときも、国民健康保険税は去年に比べまして二倍になっております。こういう事態のときでありまするだけに、これは非常に重大な事態であるといわざるを得ないわけであります。 そこで私は、こういうような不幸なできごとが起きた原因と、それから今後起こらないようにするためには一体どうすればいいかという問題を中心に実は質問をいたしたいのでございますけれども、しかし、その前に、若干事実関係についてやはりたださざるを得ない、こう思っておりますので、まず若干事実関係をお伺いしたいと思っております。 まず第一に、この事件について厚生大臣はすでに御承知だと思いますけれども、御承知であるかどうか。そうして厚生大臣は、おくればせながら監査権を発動されまして、先般監査官を派遣されたようでありますが、すでにその詳細なる報告をお聞きになっておるかどうか、まずそれから伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 ただいま八木さんが御質問になりました佐賀県の、未登載の薬品をすでに登載されておる薬日品の名のもとに不正に振りかえ請求をしたという事件、これは私も報告を受けまして承知をいたしております。 そてで、県のほうにおきましても、七月末から八月末にかけまして指導に乗り出しまして、いろいろ調査をいたしておったのでありますが、さらに本事件の重大性にかんがみまして、今月の二十一日に、県と厚生省が共同いたしまして監査を実施いたしております。まだその最終的な結果は得ておりませんが、事務当局から、監査の今日までに判明いたしました内容を御報告いたします。
○熊崎説明員 御報告を申し上げます。 今月の二十一日に、本省から係官二名を派遣いたしまして監査を実施いたしました。中身につきましては、先ほど八木先生が御指摘のとおり、ニクビタンの購入量につきましては五ミリグラム百七十六万三千錠、五十ミリグラム三千七百錠というのがございまして、ほかに、先ほど御指摘になりませんでしたが、今年の八月の十八日でございましたか、藤川医師から、アリナミンとニクビタンとの差額二百七十一万二千円を支払い基金の過誤調整として措置されたいという文書を提出しておりました。これも写しをとってまいりました。八月十八日、藤川医師より県の保険課あてに提出された中身でございます。その他三医療機関につきまして監査をいたしたわけでございますが、監査の模様を私ども係官より聴取いたしますと、藤川医師自体はこれら医療機関の開設者ではある、しかし、管理者は別個にあって自分が直接診療に携わっておらない、詳細はわからないということを申しまして、監査の中身につきましては、明確なものにつきましては把握が非常に困難であるという報告を承っております。しかし、大体昭和三十七年五月ころから昭和三十九年の九月ころまでに、そのようないわゆる代替請求が行なわれたという事実があることは確認されております。 ほかに、いわゆる出張診療というものにつきましての監査も行なったわけでございます。これは藤川病院から勤務医師を毎週定期的にグリコ乳業その他三事業所に、診療時間を定めて出張診療を行なっておったわけでございます。時間は、毎日昼間一時間半ないし一時間というふうに時間をきめて行なっておりましたが、その中身を見ますと、いわゆる診療の請求をいたしました患者数に比べまして、そのわずか一時間ないし一時間半の間に診療いたしました患者数と時間数とを比べまして患者数が非常に多うございましたので、これは無診投薬、つまり医師が立ち会わないで看護婦が投薬をやったという疑いが多分にあるという事実も発見いたしておるわけでございます。 その他一部負担金の未徴収の問題、あるいは管理者、保険医の異動の報告を適当に行なっておらない等、いろいろ問題点がございまして、その他を総合いたしましてどのような結果を出すかということにつきましては、目下私どものところで、なお県当局とも連絡をとりながら総まとめをやっておるという段階でございます。 なお、警察当局において、九月十二日に県警本部から捜査が行なわれておるとかうことを付言いたしておきます。
○八木(昇)委員 実はこれは西日本新聞の切り抜きを持ってきたのですけれども、こういう非常にセンセーショナルな見出しでございます。「がっかりの厚生省調査、聖医会事件真相なぜ糾明せぬ、疑問を残す事情聴取」、こういう見出しとなっております。そしてこの調査に行かれました小野寺事務官との一問一答というのが載せてありまして、県民は事の真相はよくわかりませんが、こういう報道からどうも十分に取り調べが行なわれたのであろうかという非常な疑惑を残しておるように見受けられる。 そこで、さらにちょっとお伺いをしたいのですが、監査をされた状況は、結局藤川さん御本人にいろいろお聞きになっただけであって、患者の人とか病院で実際診療に当たられた医者の人とか、こういう方に直接当たっての調査は行なわれていないような模様でございます。しかもその監査もこの日一日だけでございますね。一日やって、もう翌日はお帰りになっておる。二十一日の午後一時からやって、翌日はお帰りになっておるということのようでございます。したがって、それだけの短時間の調査であるということにつきましては、ある程度の確信を得られてもうこれでいいと思われて帰られたのか、あるいはそうでないのか、いろいろな方面からいろいろな疑惑の問い合わせがあったようでございます。そこで、実際にこのニクビタンというものを買い入れたという事実を御本人が認めたのか、そしてそれを相当期間、相当数量使ったということを認められたのであるかどうか、そういった事柄について、これは一日で一応終わって帰られたという以上は、当然相当の確信を突きとめてお帰りになったものと常識的には理解せざるを得ないのでありますが、その点どうですか。
○熊崎説明員 冒頭申し上げておきますが、私どものほうで監査をいたしましたのは、このような場合に行なわれます通常の県当局の監査とあわせて厚生省の監査と、共同監査ということをたてまえにいたしまして、普通の監査と同じような方法で行なわれたわけでございます。監査の対象になりました主たる相手方は、開設者であります藤川医師でございまして、藤川医師自体が、自分が開設者であるということで責任を持って答弁をするという形で監査に立ち会ったわけでございます。そのときに医師会の方ももちろん立ち会っておりますが、先ほど申し上げましたように、こまかい点になりますと藤川医師は言を左右にして自分は直接診療に携わっておらないということで、明確な回答は避けておるわけでございます。したがって、監査としては非常に困難な事態であった。しかし、その場において藤川医師のいろいろな弁明を聞きますと同時に、監査を終わりましてあと、元藤川病院勤務の保険医であります江頭元治という方にも、監査に出かけました係官は事情を聴取いたしておりまして、それも私ども詳細報告を聞いておるわけでございます。しかし、同時には立ち会っておられない。それからニクビタンその他の医薬品の購入数量、伝票等につきましては、藤川医師が一応伝票のメモを持っておるということを私ども係官から聞いておりましたけれども、詳細につきましては、県警本部のほうに関係書類が押収されておりまして、購入台帳その他につきましては事実は当日確認できなかったということで、購入数量その他につきましては、警察のほうの捜査課長のほうから係の者が数量等は聞きただしてきておる、こういう状況であります。 〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
○八木(昇)委員 そこで、その事実関係につきましては、警察の取り調べと厚生省の監査との関連、そういったものについてあとでちょっと伺いたいと思いますが、大臣に先に質問したいと思います。 この問題が発生をいたしまするや、一部の人々は代替使用そのものが大体差しつかえないのだ、ある程度代替使用というものは実際上認められておるのだという言い方をする向きが実はあるわけです。それで、かりにニクビタンを大量に使用してアリナミンだということで請求をしておったとしても、これは代替使用である、代替使用は実質的にはある程度是認されておるんだ、こういう意味のことを主張する向きがあるようでございますが、そういうことがございますか。
○鈴木国務大臣 保険医療におきましては、未収載の薬品を収載されておるものの代替として使用するということは、厳にこれを禁じておるわけでありまして、そういうものを暗黙に厚生省が認めておるというようなことはございません。今後も絶対にさようなことはさせない方針でございます。
○八木(昇)委員 たとえば代替使用する場合に、悪意の場合はこれはもう当然いかぬ。値段が薬価基準よりも実際安い品物を、しかも薬価基準に載っておるその薬よりも薬の効果もたいへん劣るもの、あるいは異質のものを使用して、そして薬価基準に登載しておる薬を使用したものとして請求するというようなことは許されないかもしれないけれども、実際には善意の場合があり得るんだ。その薬は、薬価基準に登載されておる薬よりも値段も高い。したがって医師側は、実は損をするんだけれども、治療上どうしても不可欠だ。そうしてそれがまだ薬価基準に登載されていない。しかし、まあ使用をした。しかし、相手は非常に貧乏な方である、貧しい方である、なかなか現金を取るというわけにいかぬというようなことから、善意に行なわれるという場合はある程度やむを得ないというような、これが常識であるかのごとき話等も仄聞をいたしますが、そうでありましょうか。
○鈴木国務大臣 事情はわからぬこともないのでございますが、そういうことをあいまいにいたしますと保険医療の秩序が非常に混乱してくるということでございまして、さようなことは絶対に避けなければいけない。ただ、相当優秀な、新しく開発されましたところの新薬が未収載のままに放置されておるというようなことは、医療の面からいたしましても、私は早く改善する必要がある、こう考えておりまして、きわめて近い機会に、優秀な効果のあるりっぱな新薬は早く登載をするようにしたい、こういう方針でおります。
○八木(昇)委員 ところで問題は、これは医師の側に反省すべき幾多の問題を含んでおることは申すまでもございませんが、一方において最近の製薬業者の目に余る宣伝、それからセールス、こういうことが当然問題にされなければなりません。今度のこのニクビタンの製造元は北陸製薬という会社でございますが、年間約三十億円ぐらいの製品を生産しておるようでございますから、相当大きなメーカーであると考えられます。しかもこの北陸製薬はいわゆるダイレクトメーカー、主として製品は医療機関に北陸製薬から直接納めるという、直接販売のメーカーであるということのようでございます。そこで、佐賀県内にも伊万里と、それから佐賀県のじき隣合わせの久留米の二カ所に出張所を設けまして、そして佐賀県を東西に二分してそれぞれの出張所が担当をして、数年前に出張所を開設しましてから数年間に、セールスも、各出張所は初め一人、二人で始めたのが、一挙に十人くらいになっておるようでございます。しかも、伝えられるところによりますと、このニクビタンを販売するにあたりまして特売期間というものを設けまして、定価は五円ということでアリナミンと同じ価格に大体なっておりますけれども、特売期間には五十銭で売ったとも、あるいは一円程度で売ったとも、いろいろいわれておるようでございますが、その特売期間だけでも県内で約二百万錠売れたといわれております。しかもこの売り方は、どうも詐欺を教唆するような売り方を非常に露骨にやっておる。図表を医者に配りまして、自分の会社の薬の中で健康保険で使えないものは、この薬の場合にはこの図表にある他社のこの薬の名前で請求すればよろしい、それから見かけ、形等も酷似しておるということを言っておるわけでございましょう。そういうようなことを言い回って売りつける。しかも大量に購入した人にはハワイ旅行招待、それから景品にブルーバードをやる。実際にブルーバードを景品にやり、ハワイ旅行を何人かしたそうですね。ちょっと目に余るのです。こういう非常に悪質なる業者についてはどういう態度をもって今回臨まれたか、そうして今後臨まれようとするのか。何か事件が起きてからこれを処断する、それももちろんやってもらわなければならぬのですが、こういう事態を防止するについてどういうことを考えておられるか。以上お伺いしたい。
○鈴木国務大臣 御指摘の北陸製薬の商行為、特に誇大宣伝の件につきましては、いま八木さんからお話があったとおりでございます。こういうぐあいに誇大な宣伝、過当競争、またいろいろな商売のためには手段を選ばぬというようなことは許されないことでございまして、厚生省としても業界に対して厳に自粛を実は呼びかけておるのであります。この北陸製薬につきましては、会社の首脳部を招致いたしまして、こういう誇大な行き過ぎの宣伝というものを厳重に警告をいたしますと同時に、その結果、医療機関に直接配付してございますところのニクビタンは、会社において全部回収をさせることにいたしました。ただ、薬事法上、そういうことを法規によって取り締まる、規制するという面がいまのところないわけでございまして、商取引上の問題、特に過当競争なり誇大宣伝という面につきまして、今後十分自粛自戒させるように指導してまいる方針でございます。
○八木(昇)委員 先ほど小林委員の質問にもございましたが、鈴木厚生大臣個人につきましては私も信頼をしておりますけれども、自民党内閣全体としてはそうでもないわけです。この間の臨時国会の本会議で私自身が質問したのですが、誇大宣伝の代表的なチャンピオンの一つである大正製薬の社長さんが現内閣の大臣ですからね。ですから、どうも製薬会社に対して甘いというか、厚生省としての十分の行政上の指導なり、現行法のワク内においてでもやれる範囲内に手が抜かれている、こう私どもは感じざるを得ないわけであります。 そこで、いまの問題ですが、これは医療機関に現在なお残っているニクビタンについては回収せしめたというのですが、それ以外に行政上の措置として何かやる手はないのでしょうか。懲罰的な行政上、現行法上においてもやり得る、またそれを案出すべきだ、こう思いますが、どうでございましょうか。
○坂元説明員 私からかわりまして御答弁申し上げます。 北陸製薬の販売態度あるいは広告の態度、こういうものを含めて、今回の問題はいろいろ世論の批判を仰いでおるわけでございます。ただ、いま大臣から申し上げましたような態度で臨むつもりでおりますが、ただいま先生の御指摘のように、全般的な問題として、もうちょっとこの製薬会社のあり方について規制する方法はないか、こういうお尋ねでございます。大臣からも御答弁申し上げましたように、私どもが現在所管しております薬事法というような法律は、先生御存じのように衛生法規という性格を持っておるわけでございます。製薬会社の販売の態度あるいは販売方法、そういうようなものにつきましては、現在の薬事法ではどうも法的規制がずばりなされないわけであります。ただ、御存じのように、販売の方法として今回行なっておるやに伺っております景品の添付、ハワイ招待旅行あるいは自動車の提供というようなことにつきましては、一応現行法の取り締まりの法規としましては、不当景品類及び不当表示防止法という、いわゆる公正取引委員会の所管する法律があるわけでございます。それに基づきまして不当な景品の提供行為というものを制限しているわけでございまして、この不当景品類及び不当表示防止法におきましては、景品の提供を制限しておりますけれども、現在までのところでは、懸賞行為に基づく景品の提供というものを制限しているわけでございます。したがいまして、今回の北陸製薬事件は、私どもが承知している範囲ではどうも懸賞行為ではなさそうでございます。一定のニクビタンをこれだけ購入した場合には、ブルーバードを提供しますとかいうような単純な景品になっているように聞いております。そういうわけでございますので、現行法におきましては、不当景品類及び不当表示防止法ではどうもずばり取り締まりの対象になりかねるというふうに、現在私どもは判断しているわけでございます。ただ、全般的な問題としまして、大臣からも申し上げましたように、製薬メーカーのあり方については確かに行き過ぎがあったように見受けられますので、社の責任者を招致しまして厳重に今回の事件を警告するとともに、今後こういうことのないようにということで製品の回収、それからこのような販売方法、世論の批判を仰ぐような行き過ぎた販売方法というものを、この際断固として中止するように責任者に警告を申し上げているところでございます。
○八木(昇)委員 これはあとで、今後の薬業資本の規制問題等につきましては、若干具体的に質問したいと思いますが、やはり根本的には、公取委の問題だけであってはならないと思うのです。公正取引委員会はやはり商取引というようなことで、商品の取引関係ということにウェートがかかっておりますから、こういう医薬品の場合には、人間の生命に関する問題の商品ではありまするけれども、性格を大いに異にしておる。それから現在のいわゆる公取の規制の範囲内では、テレビなんかで、はでにやっておるわけなんですからね。歌のタイトルマッチというようなことで、優勝者はヨーロッパに招待旅行さすというようなことが公々然と行なわれておるわけであります。それをやはり不当景品だというふうに直ちに当てはめられない。しかし、たとえばそういう歌のタイトルマッチなんかやっておる製薬会社の場合、その薬の販売やその他につきまして明らかな違法行為がない場合にはやむを得ないのですが、この北陸製薬の場合には明らかな違法行為をやって、あわせてこういう不当なる景品やその他のやり方が付随しておる。こういうわけでございますから、やはりそういった問題につきましては、ここで何らかの知恵を働かせる、また法が不備であるならば、法令が不備であるならば、それを当然改正すべきであると考えます。これらは後日いずれこの委員会等でやることにしたいと思います。 そこで、次に、時間の関係ではしょって進めますが、今回のできごとは、ニクビタン並びにダイオミンというものを扱っておるわけであります。ほかにもこれ以外の薬でこういう代替使用、健康保険法違反、こういうような事実は全国的にないのかどうか。去年、この不正請求のゆえをもって四十四人の医者が保険の指定医取り消し処分を受けておる。これも非常に少ないと思うのです。いまの監査制度の中で浮かび上がった件数でございますから、実際はこれに該当するような医師がまだ相当あるんじゃないかということが考えられるわけでございますが、ともかく去年四十四件の指定医取り消し処分が行なわれておる。こういうニクビタン、ダイオミン以外にそういった類似したできごとというものが過去に相当あったかどうか、この点、これは局長でもけっこうです。
○熊崎説明員 従来とも保険医療機関並びに保険医の監査の結果、取り消し対象になっておる対象者の数は、例年逐次ふえつつあるわけでありますが、いわゆる不正請求という形で取り消しの対象になるいままでの全部の事例か、いわば全部架空請求といいますが、実際に患者を診断してでなくて、架空の請求をしたということでそれが発見されまして、取り消しなどがあったというのが大部分でございます。
○八木(昇)委員 いまの不正請求で保険医取り消しになった四十四件は、架空請求等であって、こういう薬の大量の代替使用というような問題は一つもないというところがふしぎなんですね。それがふしぎなんです。ただ北陸製薬だけがやったわけではないと思うのですね。多かれ少なかれ、いろいろな製薬会社は、目の色を変えての激しい売り込み競争ですから、現に各病院に相当種類の保険薬登載以外の薬が売り込まれている事実は明らかなんですから、病院は買った以上はそれを使用しているはずです。今度のできごとも、監査の中で発見されたとかなんとかということでない。そうではなくて、聞くところによりますと、医者の内部から一つの正義感に基づいてか、あるいは何か個人的な事由があったか、それは知りませんけれども、内部からこれを暴露したといいますか、そういうことから初めてわかったところに問題がある。これはあとで若干の時間質問いたしたいと思うのですが、要するに、いままでの監査の分の中では、いわゆる代替使用という今回のようなものを発見されたことがなかった。これは大臣いまお聞きのとおりです。こういう点、今後の問題として十分にチェックしておいていただきたい、こういうふうに思います。 そこで、せっかく警察庁の刑事局長に来ていただいておりますし、長くお待たせするのもなんでございますから、刑事局長にお伺いする分、ほんの一、二点でございますが、お伺いいたしたいと思います。 警察としましても、今度の事件につきましてすでにいろいろと捜索をされまして、いろいろ取り調べをやっておられるようでございますが、どういう観点からこれを事件としてとらえられ、現在発表可能の範囲内でけっこうですが、取り調べの進展段階、これを簡潔に御説明願いたい。
○日原説明員 容疑事案の内容でございますが、聖医会の理事長が、健康保険法によって厚生大臣が定めた医薬品以外の医薬品ニクビタンを被保険者に使用しながら、保険診療報酬を請求するにあたって、あたかも厚生大臣が定めた医薬品アリナミンを使用したように虚偽の申請をして数百万円を騙取した、こういう詐欺の容疑事案でございます。現在の捜査の進捗状況は、九月の十二日に関係個用十一カ所を捜索実施いたしまして、押収した関係書類を検討いたしております。それから同時に、関係人などにつきまして、証拠固めを行なっている状況でございます。もう少し捜査は早く進捗する予定でございましたが、関係書類をいろいろ突き合わせる関係で、まだ被疑者の取り調べに至っておりません。 なお、金額その他につきましても、現在のところ証拠の裏づけをいたしておりますのが、三十八年から三十九年にわたって約五百万円の金額というふうに——これは後ほどさらに送致の段階になりませんと、はっきりした数字が確定いたしません。現在までの状況では、それだけの裏づけをいたしております。 以上でございます。
○八木(昇)委員 特にあえて警察のほうとして、今回の措置に出られた動機といいますか、そういったものを御説明願えれば幸いだと思います。それと、容疑は詐欺容疑一本でございますか。
○日原説明員 容疑は、現在のところは詐欺容疑一本で捜索その他を実施いたしておりますが、送致の段階になりまして、ほかのほうの事案が出てきますれば、それもつけることになろうかと思います。現在のところは詐欺一本でございます。 それから動機と申しますと、捜査の端緒ということになるわけでございますが、これはことしの六月の中ごろ、佐賀市内の有名病院が、安いしかも薬価基準外の薬品を使用しながら、高い薬価基準の薬品を使用したようにして医療費を請求して暴利を得ているという風評——この風評の原因はお話しのような状態であるかもしれませんが、そういう風評を聞いて、それで内偵を行なった結果でございます。別に他意はございません。
○八木(昇)委員 そこで、北陸製薬に対してはどのような態度でお臨みでございましょうか。
○日原説明員 北陸製薬の関係は、先ほど申し上げましたように、私ども、さしあたり詐欺罪の証拠固めに必要な限度でいろいろ関係者の取り調べを行なっております。
○八木(昇)委員 北陸製薬それ自体は、刑事問題になる容疑というのはないというお考えでございましょうか。
○日原説明員 さしあたりこの詐欺罪の証拠固めがまず第一段階でございますので、この捜索にいたしましても、北陸製薬関係の販売所二カ所を加えて捜索をいたしております。いまのところ詐欺罪の証拠固めをとりあえず急いでおる状態でございます。
○八木(昇)委員 警察のやられますことにつきましては、これはもう当然警察のほうが自主的におやりになることでございまして、私どもがとやかく言う筋でございませんから、まあ参考までにお聞きいただければ幸いだと思いますけれども、取り調べの段階で非常に悪質なる売り込み、そしてこの健康保険法違反をいろいろな形でそそのかすというような事態がもし発見されるようなことがあるとするならば、これはやはりある種の教唆犯ではないかというふうにも私ども考えまするし、将来のことを考えまする場合に、やはり相当きびしい態度がとられてしかるべきじゃないかという気持ちを持っておりますので、これは御参考までにお聞き取りいただければ幸いだと思います。 そこで、先ほど保険局長のお話では、どうもなかなか代替使用の事実関係の把握が困難だというようなことでございましたが、事実関係を調べ上げる専門はこれは警察でございますから、そこで厚生省と警察当局の取り調べとの有機的関係、こういうものはどういうふうにしておられるか、双方の局長から御答弁いただければ幸いだと思います。
○熊崎説明員 私どものほうの監査といいますのは行政的な監査でございます。警察とは全然関係がなしに行なっているわけでございます。
○日原説明員 私どものほうは、この事件を検挙いたしましてから、社会保険庁長官が私の同期でございますので、電話がございまして、どしどしゃっていただきたいということでございます。私どものほうも、当然、うわさがあった問題でもありまするし、どしどしやってまいりたい。ただ、こういう問題は非常に証拠の固めにくい問題でございまして、たまたまそこにっとめておったもとの医師とかあるいはそういうふうな関係者から出てくる場合もございますけれども、普通の場合に非常に証拠は固めにくい事件でございます。まあこういう事件が契機になって、今後ともこういうようなことがあればどしどしやってまいりたい、かように考えております。
○八木(昇)委員 その辺が必ずしもすっきりしないのですがね。たとえば厚生省の監査では事実がわからなかった、それで行政処分は行なわれていない、警察のほうのあれでは事実関係が把握された、それで刑事罰になったということもなくはないわけですね、いまのお話から。そこで、これはみずから監査をすると同時に、特にこういう刑事問題等になったような場合は、警察のほうからも資料を得るとかというようなことは、これは全然あり得ないことなんでしょうか。
○熊崎説明員 先ほどちょっと申し落としましたけれども、今回の監査の場合にも、現地の警察におきましては、必要な書類についてはいつでも監査員に御協力申し上げるというきわめて好意的なおことばをいただいております。たまたま監査とそれから犯罪捜査というものと二つ重なった事例でございますので、このような場合にこういう形で行なわれることはあり得ることだ、当然あってしかるべきだと思っております。先ほど申し上げましたのは、普通の場合、厚生省が監査を行なうといった場合には、警察のほうとの連絡はされずに行なわれるということを申し上げたわけでございまして、犯罪の事実が捜索の対象になっておるといった場合には両方ともよく相談をしながらやっているというふうに御解釈をいただきたいと思います。
○八木(昇)委員 そこでこのあとは、今度のような不幸なできごとが起こったにつきましては、ある意味では起こるべくして起こったと私は考えておるのです。現在の医療制度のもとでいろんな矛盾がそのまま放置せられておる。一方においては製薬資本の非常に強大なる圧力がある。そういう事情の中からこういうような不幸なできごとも起こったわけであって、すべて悪いのは医者だというふうには私は考えておりません。むしろ多数の医者はいろんな点で非常に困り抜いているという事情を十分にわれわれは考えなければならぬというふうに考えておりますので、このあと今回のできごとが起こったに関連して薬価基準の問題とか、先ほど来から出ておりましたが、社会保険の診療報酬体系の問題とか、薬業資本の規制の問題とか、あるいは監査権の問題等々、具体的な点をあとで局長に伺いたいと思いますので、なお三、四十分の時間をいただきたいと思っておりますが、大臣には最後に今度のできごとそのものについての、これの処置についての厚生大臣の最終的なお気持ち、それから今後に処するについての大臣としての姿勢、そういうものをお聞かせいただきたいと思います。 十二時までだそうでございますし、本島さんがなお若干時間をもらいたいということですから、質問を中断しますので、お願いします。
○鈴木国務大臣 この不幸な事件は、私は保険医療の中に内在しておりまする、御指摘のように改善を要する問題点がある原因になっておる、こういうぐあいに考えておりまして、先ほども申し上げましたように、診療報酬体系はじめ保険医療に関する諸問題を十分今後制度的に検討し、改善を加えていくようにいたしたい、こう考えておるわけであります。と同時に、今回の事件につきましては警察当局におきましても捜索中でございますが、厳正に調査あるいは監査を政府として進めまして、法に触れるようなことがございますれば、法に照らし厳重に措置いたしたい、このように考えております。また今後に教訓を生かしまして、かような事態が起こらないように関係機関と協力をして十分努力をしていきたい、かように思っております。
○滝井委員 ちょっと関連。いまのこの問題は、私はここ数回にわたって鈴木さんの前の神田さんの時代から口をすっぱくして政府に警告をしたわけです。それは現在薬価基準に五千種類のものが登載されている。なおあとにメジロ押しで千五百種類のものを政府は全く政治的に登載をしない。こういう科学の問題に政治を交えるということは非常にいかぬ。日進月歩の科学に順応していかなければならない医師という科学者を順応できない形にしておくと、必ず代替請求というものが起こるのだということを私はここで何回も言った。だからすみやかに政府はおやりなさいと言った。あなたは、いまもまた小林さんの質問に近い将来やります、こういうことです。実は私はこの質問をするときにはきわめて具体的な例をあげたのです。アリナミンというものは錠剤は認められております。武田製薬はアリナミンという錠剤を出して、これは薬価基準に登載されておるが、アリナミンの末というものは同じ効果があって登載されていない。これを錠剤よりか末のほうが安い。しかもそれは同じアリナミンである。こういうばかなことはないじゃないか。その場合、アリナミンの末で請求したら、いまの藤川君と同じ運命になる。こういうことをさしてはいかぬという質問をしたら、政府はどういう答弁をしたかというと、たとえば小さな赤ん坊、ゼロ歳の子供は錠剤は飲めないのだ、その場合はこれは粉末のほうがはるかに飲ませるのに適合しているのだ、そういう場合に医師が粉末を使ったら一体どうするのだと言ったら、何と当時の保険局長は答えたかというと、それは錠剤をつぶして飲ませたらいいと言う、粉末を固めて錠剤にするという手間をかけなければならぬ。それだけ金がかかって薬が高くなっておるわけです。保険経済がこんなに赤字のときに、ちょっと粉末を登載したら安くなるわけです。そういうことをやらないのですよ。全く保険経済というものを政治的にやって、科学的にやっていない。こういうところに非常に大きな間違いが起こってきているわけです。だから今度は薬屋のほうがその厚生行政の上手をいって、色も何もニクビタンと同じようにして、これはニクビタンと同じです。こう言って売ってしまえば、これは買うことになっちゃうのですね。だから、こういう科学者が悪におちいるような制度にしちゃいかぬということを私はここで何回か言った。現実に千五百種類の薬がどんどん使われているとすれば、これはだれが使っておるのですか。患者が現金で医療機関に払って使っていますか、使っていないでしょうが。それで代替使用というものが行なわれる。どこが薬が出たときに一番最初に使うか。大学その他の公的医療機関が使うじゃありませんか。そういうところに代替使用の悪をやらせちゃいけませんと幾度か言った。ところがあなた方はのらりくらりとものごとを政治的に判断してやっていくから、こういうことになる。それはもはや医療協議会というものを待たずに、あしたでも千五百種類の告示をすべきですよ。あなたの権限でできるのですから……。もしあなたのほうで全国の大学を呼んで一挙に監査をやってごらんなさい。これがどんどん出てくる。それは学者の側の科学的良心からすれば、これでなければ病気をなおせません。先日こういうことがありました。七十キロのスピードである病院の運転手が保健所に血清をとりに行っておった。そうしたら、今度はあとを白バイがだあっと追ってきてつかまえて、おこりつけた。何でおまえは七十キロ出した。はい、私は、実はいま子供が死にそうで、先生がすぐに行って血清をとってこいというので、行っておりました。そのおまわりさんは何と言ったか、よろしい、わかった、それならば行け、こういうことなんですね。交通違反だといっても、一人の命を救うためにはおまわりさんもそれを見のがさなければならぬのですよ。そういう形があるのですよ。だから、私はそういう問題をやっぱり早くやらなければいかぬということを再三再四やっているわけです。こういうように医者を悪い方向にさせるというのは、結局政治も悪いのです。医者も悪い。そういうことをやる医者も悪いけれども、政治も悪い。だから、そういうことのないような制度をやるべきだと思うのです。いまあなたは小林君の質問に、近い将来できるだけ近くやると言った。私にもそう言った。そうすると、医療協議会が結論が出るまではやれないということなんです。その間にいま言ったようなことが行なわれるわけです。この前私は言いました。シノミンという薬がありますが、それをあなた方の保険医の講習会では、使いなさい、使いなさいというのです。これは流行性感冒によくきくからお使いなさいと言うのです。ところがそれは薬価基準に載っていない。保険医の講習では厚生省は使いなさいと言っても、登載されておらぬ。使ったらいまと同じです。一方では使いなさい。これを使って患者から現金をもらったら保険法違反です。それだったら製薬企業を許可しなければいいのです。つくったものを許可しなければいいのです。いま皆保険ですから、こういう矛盾したことになる。政治的な立場にこだわって、ほおかぶりしていくとたいへんなことになる。ますます医師を追い込むことになる。全部が犯人になりますよ。だから、この際私はあえて言うが、医療協議会の結論を待たずに、千五百種類のものはあなたの権限でできるのだから、登載すべきだ。できますか。こういうところを勇断を持つことが大事なんですよ、政治というものは。歴代の厚生大臣に私は口をすっぱくしてここ一、二年言い続けるけれどもやらない。どうですか、これは何ぞ来年を待たんやというのです。浅見絅斎が通鑑綱目という書物を教えたときに、弟子が、ひとつ来年から教えてくれませんかといったら、何ぞ来年を待たんやと、大みそかからやった。ちょうどきょうは三十日ですから、みそかですから、何ぞ来年を待たんや、何ぞ医療協議会の結論を待たんや。こんなことはみんな保険者は喜ぶですよ。被保険者も喜ぶですよ。いい薬を使えるのですから。薬価基準に登載さえしてくれればいいのですから、そうでしょう。どうですか、これは。
○鈴木国務大臣 就任以来当委員会の御意見等十分私尊重いたしまして、いま御指摘になりましたような方向で早期に未登載のりっぱな新薬はこれを収載をするという準備を急いでおります。きわめて近い機会に御意見のとおり措置する方針でございます。
○本島委員 ただいま佐賀県で起こりましたニクビタン問題については、かなり詳細に御質問があけましたので、私は簡潔に結論めいたことで大臣の御所見を承りたいと思うわけであります。 今回の事件は佐賀県の医師に起こったことでございますが、件数が非常に多いということなんですね。巷間伝えるところによりますと百三名くらいであろう、警察の捜査のほうで私伺いましたときに、三十から六十ぐらいの医師の方々にあるんじゃないか、これは明確にお答えにはなっておりません。私自身現地に参りまして視察をして思いましたことは、ほんとうに医療行政のひずみというものが今回の事件にすべてあらわれてきておるというような感じがしたわけであります。そこで先ほど御質問にもなったわけでございますが、医療担当規則の十九条、これについて先ほどからも御答弁になっておったようですが、未登載分については現にそれはやっちゃならぬ、こういうふうにいわれておるから、私自身はそうかなと納得したいところですが、実際現地の医師会に参りまして、いま滝井委員が言われたように、実は佐賀県医師会での表現では、千三百種の未登載分について全部使っております。こういう答弁です。したがってニクビタンだけがどうして悪いのか、こういうことをいわれたときに、一体厚生省としてこの十九条についての解釈と、並びにこうしたことが現に公々然と行なわれておるということ、またこれが佐賀県医師会だけでなく、全国的に行なわれておるということ、これがはっきりと医師の口から言われたときに、大臣はこの点の解釈と今後に処する考え方は一体どこにあるんだろうか、こういうことをまずもってお尋ねいたします。
○鈴木国務大臣 第十九条にはっきりと明記いたしておりまするように、私どもこの保険医療の薬品の使用につきましては、先ほど御答弁申し上げましたような方針を堅持してまいりたいと考えておりますが、先ほど来お話がございました、開発されておるりっぱな新薬について、早く未登載のものの収載をやりまして、そしてこういうような不幸な事態が起こらないように早く措置したい、このように考えております。
○本島委員 今後の問題を申されたようでありますが、それは当然のことであろうと思います。しかし現に法律できめられておるそういうものを、未登載は使ってはならぬとなっていながらも、全部使っておりますというような医師会の答弁を聞いたときに、一般の人々はどう考えるのか、こういうことになるんじゃないでしょうか。この点が私重大な今回の事件の問題点であろうと考えるわけなんです。したがって、こういう点について強制監査までなさっておりながらも、これが明確にされなかったということは、機構上に大きな欠陥があるんだろうと思います。 〔坂村委員長代理退席委員長着席〕 先ほどから言われておるように、この事件は大体年があけて、ことしになって早々にうわさが立ったのです。佐賀県警では四月ごろから——先ほど六月とおっしゃったのですが、現地では四月ごろから裏づけ捜査に入っておったということを言われたわけです。同時に、これが県会で問題になったのが御承知のとおり今月の六、七、八と、こういうところで、民社の古川議員、社会党の宮田議員、こういう方々がこの問題について非常に詳しく質疑をされたわけであります。その場合におきましても、未登載分についての保険料請求については、これは詐欺になるんだろうということで、だいぶ突っ込んでおられるわけでありますが、しかしいま大臣がお答えになったように、十九条の解釈というものが適正に行なわれていなかったという、こういう観点から見れば、こうした県会における質問の中からは、とうていこの問題に対する厳然たる態度というものは、県の保険課としても、厚生部長としても出てこなかったということなんです。したがってこの問題が一地方議会の問題でなく、全国的な問題である。こうしてマスコミ等にも——御承知のことと思いますが、これだけあって、まだたくさんございます。私が佐賀県から送られたものをずっと張ってみてもこれだけたくさんの記事に登載されておるというようなわけです。それほどに県民は関心を持ち、医療行政に対しての不信感というものが、この事件を通して非常に強く起こってきたということになるわけですが、こういう点について、いまの大臣の答弁ではなかなか現地の人は納得できないと思うわけですけれども、もう一度この十九条の解釈について、今後徹底的な究明と調査をされる意思があるかどうか。こういう点を承りたいと思うわけであります。
○鈴木国務大臣 十九条のたてまえについての政府の方針は、先ほど来申し上げておりますように、今後あくまでその態度を堅持してまいりたいと考えております。ただ今回の事件は、三十七年から三十九年の九月ごろまでに事実行なわれた事柄でございまして、相当期間時間的に経過をいたしております。それからまたニクビタンという薬が、形状や色彩等が非常によく似ておることも、それから時間が経過しておりますために患者さんのほうの調査等が、記憶が薄れましたり、いろいろな困難な条件がございまして、監査が困難をきわめておる、むずかしい面があるわけでございますけれども、しかし私は先ほど申し上げましたように、警察当局の捜索とも力を合わせましてこの事件を究明をいたすと同時に、今後このようなことのないように、諸般の改善を加えていきたい、こう考えるわけであります。
○本島委員 時間が来た様子ですが、あと二点だけちょっと大臣の御見解を聞いておきたいのですが、たとえば今回の事件は県段階において早く耳にしておった。しかしそれを調査するという権限があまり知事にはない、県にはない、そういうようなことで非常に困難を来たしたいということをいっておるわけなんです。社会保険医療担当者指導要綱というものがあって、それに制約されておる。だからうわさはあっても、また実際の面で監査をする場合において、県ではむずかしいということを言われたのです。しかもこういう問題が過去にもいろいろあって、地方公共団体ではこの要綱を改正してくれということで、たびたび厚生省に陳情されておったそうでありますが、しかし陳情しておったほうの言い分としては、医師に対して監査がましいようなことをやるつもりで言うわけではない。しかし現在かりにそういう風聞があり、また審査の過程において疑問があったとしても、現実の面ではできない。ということは、佐賀県において請求書が大体七千枚だといっておられます。そうするとほとんどめくり業みたいになってしまって、個々別々に調査をして、これはけげんげ、不審だというようにチェックすることはむずかしいことなんです。そういうようなことからして、今回県会においての追及の場合においても怠慢でないかと責められても、自分たちはできるだけのことはやってきたけれどもそれ以上には手が出なかったんだという答弁があるはずであります。したがってこういう点について、地方公共団体がしっかりとした医療行政の中に、健全な、適正な方途を見出そうとしてもできないという、こういう現実があるわけですから、こういう点について厚生大臣は今後いま少しく——お医者さんが全部悪いことをするとは考えていない、私どももそう思わない。けれどもたまたま不幸にして今回のように長期にわたって大量に、しかも多数の医師がやったというようなこと、しかもうわさが相当前から立っておった。そういうことでさえも、県段階ではなかなかこの監査ができない。こういうことについて大臣はどうお考えになり、なおかつこれについて将来改正をするという御意思があるかどうかを承りたいと思います。
○鈴木国務大臣 通常監査にあたりましては知事にお願いをして行なう場合、また厚生大臣がみずから監査を命ずる場合があるわけでありますが、私どもは通常の場合は県に監査をお願いをいたしておるのでございまして、それにあたってもいきなりそこに不正があるとかいうようなことでなしに、できるだけこれを間違いのないように指導をし、そして必要があればさらに監査をする、こういうようなことでこの指導、監査が円滑に行くように実は今日まで努力をしてきておるわけでありまして、厚生省のほうの制約によって県の指導なり監査なりができなかった、こういうような事態ではなかったと思うわけであります。なお、その間の関係につきましては事務当局から御説明いたします。
○熊崎説明員 県当局のそういうふうな意見の表明があったということにつきましては、実は中身は私のほうはそういうことにとらわれずに各県の保険課長会議その他の場合にも、監査については厳正公平にやれということを厳重に申し渡してございますので、県当局がどういう意図でそういうふうに申し上げたかはちょっとはっきり把握いたしかねますが、私のほうとしては正しい方法でやってもらうということを期待しておるわけであります。
○本島委員 この点について県会で御説明された場合に、強制監査が行なわれて、後に役人さんが急遽この問題を引き合いに出して、そのためにできなかったんだという御説明だったのです。同行いたしました県会議員が不審に思って、これは監査にいらっしゃった小野寺さんか村浦さんが教えたんだろう、こういうことを現地では言っておるわけですが、そういうようなただ言いのがれのためのそうした答弁であってはならぬと思うのです。したがって、この要綱については多少県段階において制約される点があるということでありますので、これは御検討願い、また私どももあとの時間で御質問して、改正されるものならば改正の用意をしていただきたいと思うわけであります。 大臣にあと一つお尋ねいたしますが、この北陸製薬の問題については先ほども申されたのですが、過当競争であるということ、生産過剰による過当競争がこういう一結果を生み出したというように一般にいわれておりますけれども、何といっても異常な常識をはずれたやり方で売り込みをやったわけです。そこでこの薬価の問題についてまた後ほど御質問いたしますが、こういうような例外規定というもので法律上特殊指定をすることができるわけですね。そういたしますと、薬の問題で人命に関係することですが、いま言われたように千五百種類も今日まで三年半も放置されておる。そうして保険薬としてはまだ認められていない。こういうものが公然と使われる。使わなければならないのだ、医師は全部使っています。こういうことになるということになれば、こういう便法もあるのですから、こうした問題でほんとうに人体に効能のあるものであるならば、こうした法律を適用してでもできなかったものかということです。三年半、とにかくこれは放置されたままになっておるのですから、いま滝井議員の仰せられたように、こういう問題はあとからあとから起こってくる。現にやっているだろう、こういうことが当然言われるわけです。医師としても過日新聞紙上にも出ておりましたが、自分たちは正当な技術において医師という権威を保っていきたい、しかし現在の段階では薬のいわゆる利ざやによってある程度カバーをしておるということ、こういうことは最も恥ずかしいことだということを言われておる。こういうことを考えてみましても、私どもは適正なる薬価基準の決定、未登載分についての登載、こういうようなことによって——将来じゃなくて現に起こっておると私は察知できるのです。そういう意味からしてこの問題について、いますぐにできないとしても特殊指定というようなことができないものかどうか。そうしてできるだけこういう事犯の防止をするということが厚生大臣としては最も大切な措置ではないか、こういうふうに思うわけで、この点をお尋ねいたしたいと思います。
○鈴木国務大臣 薬価基準の実勢に合うように改定をするという問題、それから未収載の新薬をすみやかに収載をするという問題につきましては、御指摘のとおり私も全く同感でございまして、そういう方向で努力をいたしております。過去三年間、いろいろな事情がございましたけれども、私はきわめて近い機会にこの御指摘の二つの問題を解決いたしまして、保険医療の健全な運営ができますように最善を尽くしたい、こう考えております。
○本島委員 大臣お急ぎのようでございますからどうぞ。 刑事局長もお急ぎのようですから、刑事局長にちょっとお尋ねをいたしまして、八木委員のあとからまた質問さしていただきます。 私が県警に参りまして、不正請求ということによって、詐欺容疑だということで徹底的にいたしますというお答えだったものですから、氷山の一角というような形における今回の事件だ。だから先ほども質問の中にも申したように、これが佐賀県だけで起こっておる問題ではなくて全国的な問題である。また北陸製薬がニクビタンを売ったというのが四年有余にまたがっておるのですから、こういう点を調べていけば、現にそういうものが使われておるということは明確にわかるはずだ。しかも佐賀県医師会の人々に言わせれば、自分の県だけがやっているのじゃないのだ、よその県もやっているじゃないか、だがどうして佐賀県だけがやられるのか、こういう話が出たものですから、これは全国的な捜査はできないものか、こういう質問をしたわけなのです。そうしたら、それは現在の法のたてまえ上できないということを言われたのですが、強豪庁として製薬会社が過去四年間ずっと売ってまいったわけですから、各医院が使っておる、こういうことで、明らかにニクビタンはアリナミンとして請求されたということは推察できると思うのです。また国民の中でも、自分たちはアリナミンを飲んでおったのか、ニクビタンであったのか、またその他のいかがわしい薬であったのか、こういう気持ちを持っておると思うのです。したがって、全国的な捜査に入ることができないかということをお尋ねしたいのです。
○日原説明員 確かに販売の状況から見るともっと広い範囲に行なわれていないかという推察も成り立つわけでございますが、私どもこういうような事件を詐欺罪でやっていく場合にはやはり証拠が得られるか得られないかということが問題であるわけでございまして、ほかのほうの事件の開業医につきましても、詐欺について証拠が得られるような状況にあれば当然検挙することになろうと思います。問題は証拠が得られる状況にあるかどうか、今後そういう状況になるかどうかというところにかかってくると思います。
○本島委員 いま申されたことは後に私厚生省のほうに、この点をなさる意思があるかどうか、捜査を検察庁に譲られるかどうか、お願いされるかどうか、この点聞いてみるつもりであります。しかしいずれにしても割り切れないものを持っておる、あれだけの事件で佐賀県だけというのは。しかも伊万里販売所並びに久留米販売所の販売した行く先は、福岡県はおそらく佐賀県の十倍以上使っているだろう、また長崎県は倍以上だ、熊本県も相当使っている、こういうことが言われている。だのにそういうところに——不正は不正なんですね、先ほど申し上げたように未収載分についての使用、そしてアリナミンその他の薬として保険料を請求した場合には不正なんですから。そういうことが現にやられておるのにそれがどうしてできないかという疑問、また、この際医療行政についていろいろのひずみもあるだろうがこうした問題をきっかけとして将来正常な運営ができるようにという期待は国民みんな持っておるわけです。しかしこういう不正ということについては、やはり不正は不正として明らかにしてもらいたい、こういう考え方に立つのは当然だと思うのです。 そこで、刑事局長に、たとえば調査にあたって——私、これは医師会に行ったときに言われたのですが、一万錠を犬に飲ませました、人間に飲ませたわけじゃございません、こう言われた。これはその場では爆笑でしたが、しかしそういうことにおいて捜査の裏づけがとれない、またそういうことばによって捜査本部ではうやむやにされるだろう、それからなおかつ医師会がかなり多数の人であるということから、医療機関に相当の混乱が起こってくる、こういうことからはっきりと医師会長は藤川医師に対しても、先ほどから言うところの未収載分ということについては三年半も放置されておった、しかもいい薬があるのだ、それを医事に使うのは着意によるところの投薬である、こういうような解釈から悪いことだとは思わない、したがって嘆願をするということを言われたのです。この場合に県民として、私が実地にいろいろの方々に会ってまいったときの印象ですが、そういうことにおいてこれがうやむやにされる危険性があるのじゃないかという不安を語る人が多いわけです。こういう点について、今後の捜査についての態度、またかりに多数に及んだ場合においても、それは明らかに不正は不正として摘発される意思があるかどうか、こういう点を承りたいと思うわけです。
○日原説明員 この事件そのものについて私どもうやむやにするつもりは毛頭ございません。 それからほかの医者の関係でございますが、一方に確かに、一罰百戒的な意味を含め、あっちこっちに捜査の手が伸びれば、明らかに医療機関として混乱する状態になるということも考えられます。しかし犯罪は犯罪として検挙される以上、同様な事件につきましてはやはり検挙しなければならぬ問題であろうと思います。ただ、その規模、態様そのほかはまちまちでございましょう。したがって、私どもの今後の方針としては、この事件は徹底的にやる、それからまた他の医者につきましても、先ほど申し上げましたとおり証拠の面についての制約がございますが、この面さえやれます状況にありまするならば、捜査に着手をしていきたい、こういう心がまえでおります。
○本島委員 もう一点承りたいのですが、過誤払い精算請求書についてでございます。これはまたあとで厚生省にもお尋ねしますが、結局県としては、そういう混乱も引き起こってくるということを予想いたしまして、ニクビタンをアリナミンとして請求した人たちについては過誤払い精算請求書というものを出したらどうかということを二回にわたって話をしたというのです。ところが医師会に参りますと、制度上そういうものがないからそれは出す必要がないのだ、こういうことをはっきり言われたわけです。そこで保険局のほうにも伺ったのですが、制度上ないわけでもない、ただこういう例における過誤払い精算請求書というものはいままで出されたことがなかったのだということになると私は解釈するわけなのです。そこで県の考え方で、そうしたものを反省の色を見せて、自分たちはこういうものを間違って請求して受けたいのだということであるから、まあ情状酌量というたてまえも出てくるだろうからという、好意で言った、こういうことなのです。しかし県警本部長は、そういうものは犯罪捜査とは全く関係ありませんから私どものほうはそういうものをお出しになろうがなるまいがそういうことに関係ありません、こういうことであったわけです。しかし、これはいろいろのことを私が想像いたしまして、こうした精算書が出る出ないにかかわらず、ある程度医師会におけるひとつの診療混乱というような面が強く浮かび上がってくるものですから、そういう意味合いでかりにこうしたものが出た場合において処罰がどういうことになるか、具体的にいまはっきりおっしゃらないからわかりませんが、そういう場合に情状酌量をする余地があるかないかということを伺いたい。
○日原説明員 最初の問題は、過誤払いということなのですが、間違って請求したのかどうかという問題があるわけでございます。間違って、過失で、ということになりますと、これは初めから犯罪にならなくなってまいりますので、それは過誤払いというあやまって請求をしたという形じゃなくて、初めから欺罔して騙取するということで私ども犯罪の成立を考えておるわけでございますから、この事件は、まさにいろいろな手段を講じてそうして欺罔して騙取したのだということをいま立証を固めておるわけでございます。したがいまして、その犯罪が成立する以上は、そうした後においてそれだけの金を返そうが何しようが、犯罪としては一たん成立するわけでございます。つまり、金を請求して受け取った場合、それが欺罔してとったのだということになれば、以後の行為は一切犯罪の成立には関係ございません。ただ、御承知のように裁判になりますると、たとえば詐欺犯にいたしましても、犯罪の成立したあとで被害者にいろいろ弁償いたします。そうしますと、そういう点で弁護士が被害も与えなかったのだからということで情状酌量の弁解に使う、これは裁判所の判断で情状酌量の面で刑の量定に影響を及ぼすことはあると思いますが、私どものほうはこの過誤払い精算請求書の有無とは関係なしに欺罔して騙取したという詐欺罪の成立だけを立証していく。あとその弁償を多少しておるという点は、むしろ裁判所における情状の面での判断の一資料にすぎない、かように考えております。
○本島委員 大体もう一週間もすればはっきり公表もできると思うということが言われておるのですが、どのくらいのめどでございましょう。
○日原説明員 これは当初もっと簡単にいくと考えまして、押収捜索後大体被疑者の取り調べに一週間くらいでやろうと思うのだという話を聞いておりましたが、いろいろ帳簿の照合、関係人の取り調べ等がおくれておりまして、いまのところ確たる日にちはまだ聞いておりません。できるだけ早くやりたいと考えております。
○滝井委員 ちょっと二点だけ関連をして、前の八木さんのときにもございましたが、いまの過誤払いの問題ですが、二百七十一万二千円を過誤で返しておるわけですね。この二百七十一万二千円を返すに至った動機というのは、県会その他で問題になったので、本人が自分で計算をして返すことになったのか、それとも支払い基金で計算をしてこのくらいになるだろうということで本人が返してくることになったのか、そこらをまず明らかにしていただきたいことと、それから過誤払いとして返ってきた二百七十一万二千円の計算の基礎をここで明らかにしていただきたい。 それからもう一つは、この北陸製薬がつくっておりますニクビタンというのは、北陸製薬自身がずっとこのビタミンを処方から錠剤になる過程まで全部やっておるのか、それともどこかの製薬会社からビタミンのもとを買ってきて、そして錠剤だけにする、いわゆるバルクは買ってくる。そしてそれを錠剤にして売っているというものなのか、その二点をひとつ明らかにしてもらいたい。
○熊崎説明員 過誤精算払いにつきましては、藤川医師本人は過誤精算払い願い書というのを佐賀県の保険課長あてに八月十八日に出しておるわけでございますが、金額は県の保険課のほうは受け取っておりません。それからこの願書につきましては、本人は八月十八日に出した以降、あの願書はひとつ返してくれということでしばしば県のほうに書類返還の要求にきたようでございますが、これは拒否をいたしておりまして、そのまま証拠書類として私どもがとっておるわけでございます。 したがいまして、金額につきましては、県の保険課は受け取っておらないわけでございますが、金額の計算をなぜ二百七十一万二千円になったかということにつきましては、そういうことで金額を私ども受け取っておりませんので、向こうのほうの積算の基礎は、推定くらいはできますけれども、明白にはなっておらないわけであります。
○滝井委員 二百七十一万二千円を出すについては何か根拠がないといかぬし、しかも願い書までつけて持ってくるからには、県で聞いておらぬはずはないわけです。それをまた聞かずに願い書なんか受け取ったら、そんな保険課長はどうかしているのです。いま二百七十一万二千円というのが出たから——八木さんのさいぜんの質問の中に、ニクビタンというのは、私、価格は知りませんでしたけれども、ニクビタンは五十銭か一円だったというのです。普通アリナミンは一日三錠ですよ。三錠だと十二円でしよう。十二円だったら、十五円以下の薬は六円ですよ。そうするとニクビタンは一円にしても二円にしても、十五円以下の薬は六円ですから過誤がないわけです。それを過誤が出てくるからには何かそこに過誤をするものがなければいかぬので、いまちょっと聞いたらこういうことじゃないか、こうおっしゃっておるから——それは県が受け取っておらない。初めからこんなものだめだと言って突っ返しておれば別ですよ。二百七十一万二千円というのが出て、願い書を受け取っておるわけです。受け取ったときには、一体これはどういう根拠でこういうことになりますか聞いておかなければ、監査をやろうといっても、何も話にならぬでしょう。そんなことを全然聞いておらぬのですか。そんな手の抜けておる保険課長なんてないですよ。
○熊崎説明員 本人がどういう理由でこういう願書を出しましたかということにつきましては、私どもも多少推定の話は聞いておりますが、明らかにしないほうがいいと思うのです。 それから本人はああいう願書を出したことについては、自分としては本意じゃない。本意じゃないからすぐそれを取り返したいという申し出があったのを、願書を出した限りにおいては返さないということで、現地で再三の要求にもかかわらずこれを拒否しておったわけでございますから、本人がどういう意図で願書を出したかということについては、想像をする以外にはないわけでございます。 それからまた推定をいたしましたということにつきましては、大体本人の申し出の錠数等が当時推計をされまして、しかも本人は一日六錠使っておるということで、こちらのほうは使用延べ回数等を計算をいたして、それでアリナミンとそれから普通薬であります分との点数の差が大体このくらいになるだろうという推計でございまして、その辺は単なる推計をいたしておるということだけでございます。その点ひとつ御了承願います。
○滝井委員 ここらあたりは、やはりあなたのほうは二百七十一万二千円の過誤のものを一ぺん受け取って、そうしていまそれを握って返さない、こう言っておるわけです。私はその行為がいいとか悪いとかということを言っているのじゃないのです。二百七十一万二千円というものを本人が出してきて、その願い書を一応受け取っているわけですから、その根拠は一体どう出るかということくらいは、保険局でも推定をしておるならば、ここで発表しておってもちっとも差しつかえないのじゃないかと思うのです。それは本人がそういうものを出してきておるわけですから。そうでしょう。こんなものを隠す必要はちっともないので、一応やはり根拠を明らかにしておく。私がいま言ったようにそれはもし最低のものでいっておれば、アリナミン三錠でいっておれば、五錠とか六錠とか飲ませると、いま言ったように、六円が二十二円になるのです。いわゆる三十円以下の薬になり、そして十五円をこえるわけですから価格が上がるわけです。だからそこらあたりのことをやはりはっきりしておく必要があるわけです。本人が一ぺん出してきておるわけです。そうしてあなた方が握って返さないで持っているわけです。 その点が一つと、それからもう一つは、一体北陸製薬の薬というものは、ビタミンというものはこれは自分でつくっておるのか、それともバルクを買うてきて、どこかから買い入れてやっておるのか、その二点を明らかにしてもらいたい。
○熊崎説明員 推計だけでございますから、それは根拠につきましては御存じだと思いますが、本人の申し出の錠数自体も実は言を左右にして、必ずしも本人が明確に認めておらないわけでございます。しかし当時においてそういう錠数の推定をやったわけでございますし、また一日当たり使用量につきましても、必ずしも一日六錠というふうにはっきり認めておるかどうかについても、本人はその後明白にこれは言ってないわけでございますから、単なる推計として申し上げますれば、一日使用量六錠で百一万七千錠を割れば使用延べ回数が十六万九千五百日になる、これはあくまでも推計でございます。本人が認めておるか、認めてないかは別としまして、十六万九千五百日になる。それで普通薬の点数は、一日当たりでやるとしますれば、三・四点にはなる。内訳は先生御承知のように、調剤料が一日〇・八点、それから処方料が二点、それから薬剤料が、これは十五円以下になりますから〇・六点合わせて三・四点、これが十六万九千五百日分で五十七万六千三百点、三・四点に十六万九千五百日をかけますと五十七万六千三百点というのが出ます。それをアリナミンの一日の点数にかえますと、薬剤料だけが〇・六点でなしに二・二点になるわけです。その他は一緒でございますから五点、五点に先ほどの十六万九千五百日をかけますと八十四万七千五百点というものが出る。この差し引きが二十七万一千二百点ということになりまして、ちょうど数字的に二百七十一万二千円に該当するということになるわけでございます。これは推計でありますから、あるいは逆に計算した数字かもしれません。しかしそういう推計で二百七十一万というものが出たということに私どもは想像いたしておるわけでございます。それからあとの点については薬務局のほうから……。
○坂元説明員 お答えします。 ニクビタンの成分分量でございますが、御存じのようにただいま佐賀のほうでニクビタン「ホッカ」糖衣錠というものが問題になっておるわけであります。これは私どものほうで製造許可いたしましたのは三十五年四月二十七日でございます。製造許可した当時の成分分量を申し上げますと、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸カルシウム、タウリン、こういうものに強力オキソレンジン末を加えました配合製剤でございます。でありますので、実は本日正確なことは申し上げられませんが、先生御指摘のようにほかから製剤を買ってきて配合したというのが真実だろうと思います。
○滝井委員 そうしますと、その北陸製薬が買ってきたビタミンその他は、その会社のものは薬価基準に載っていますね。買い入れ先の、たとえばAという会社から買ってきたならば、Aという会社のビタミン類は薬価基準に載っているのか。
○坂元説明員 登載されております。
○滝井委員 わかりました。それでけっこうです。
○八木(昇)委員 刑事局関係は質問は終わりました。 実はもっとこれから先が具体的に今度の事件にからんでのいろいろな矛盾、それから今後厚生省当局として改善してもらわなければならない問題でございまして、これを中心に質問したいと思ったのですが、こういうようなかっこうになりまして非常に残念でございますが、詳細は臨時国会が始まりましてからまた質問をする機会もあろうかと思います。このあとがむしろ質問の重点と思っておりました点でありますけれども、あと本島委員も若干質問したいということでありますし、休憩を抜きにしてという考えでありますから、できるだけはしょって質問します。端的に御答弁願いたいと思います。 そこで、先ほど滝井委員から言われたように、新薬がどんどんできておるにかかわらず五年間にもわたって新しい薬価基準の登載を引き延ばしてきたということは厚生省の重大な責任であります。そのためにいろいろな矛盾が出てきておる。現在薬価基準登載外の新薬がどの病院でも診療所でも相当種類、相当多量使用されておるということは、いかに厚生省が否定されましょうともこれは現実ですね。今度の事件が起きましてから、私は医療関係者からもたくさんそのことを聞きましたし、業者からも聞きました。そこで、そういう状態をそのままにしておいて、今度たとえば藤川病院についてこの行政上の処分をした場合には、それは片手落ちじゃないかという非難が一部から出てくる。どこの病院もどこの診療所も代替使用というものが半ば公然と行なわれておるのに、藤川病院だけがやられるのは片手落ちじゃないかという非難が必ず出てくる。一方被保険者や患者の側からは、こういう事件をうやむやにして済ますということは断じて許されない、しかもどこの病院でもどこの診療所でもこういうことが実際にたくさん行なわれておるとするならば、その戒めのためにでも今度の藤川病院の問題については断固たる処置をすべきである。だからこれに手かげんをすると、今度はそっちの側から激しい非難が出てくる。厚生省は進退きわまっているのじゃありませんか。忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、まさしく進退きわまった立場に厚生省はいまや追い込まれておるけれども、それはみずからのまいた種であるということでございまして、その点はひとつ重大に反省をしていただいて今後対処をしていただくように、この点は要望をいたしておきたいと思います。 第二の点は、現在の監査の仕組み、それからこれとの関連において、こういう健康保険関係の診療報酬の請求やら支払いの方式、こういうところに幾多の問題があると思いますので、その点をお伺いいたしたいと思います。 まず一つの大きな問題は、厚生省と日本医師会及び日本歯科医師会との申し合わせ、昭和三十五年二月十五日のがございます。これはこの監査の実施については次のような要領で監査をやるということを非常に具体的に規定をしたものでございまして、この申し合わせに基づいて、さらに同じく昭和三十五年二月二十五日に、厚生省の保険局から「社会保険医療担当者指導の具体的取扱いについて」ということで詳しく指示がされておるわけでございます。これによりますと、すでに御承知のとおりでございますけれども、実際問題として、行政官庁は社会保険医療に関する問題については事実上監査ができないというところに近いような状態になっておる。たとえば医療監査をやるといっても、普通の業務監査と違ってこの場合には医療担当者の指導ということをあくまでも第一義的に考えなければならぬ。したがって、あらかじめ医師会、歯科医師会、両団体に連絡して協力を求め、両団体と協調的にやらなければならぬ。それから実際監査をやるという場合でも、あらかじめ医師会に連絡をして、医師会の責任者の立ち会いのもとにやらなければならぬ。それからそのことをやった場合でも、患者の署名捺印などを求める必要はない。その他、そういうようなことになっておるわけでございます。この点はなるほど医療の問題でございますから、私どもは医者の良識というものを十分に認めなければならぬ。そうして行政権があまりにも介入することは、診療を受ける患者の立場からいたしましても必ずしも歓迎ができないという基本を認めるにやぶさかでございません。でございますけれども、しかし今度のようなできごとが実際に全国各地で起きているということを考えますと、これは型通りに診療費の請求をしておる良心的な医者、それから一方良心的な患者、こういう人たちがばかをみておるという結果にもなりかねないおそれがある。そういう点から考えまして、この厚生省と日本医師会及び日本歯科医師会との申し合わせ、五年前のこの申し合わせについて再検討の余地があるのではないか。これはほんとうは大臣に伺うべき問題でございますが、局長としてどうお考えか端的にお答え願いたい。
○熊崎説明員 監査の具体的な方針等につきましては、私どものほうで社会保険医療担当者監査要綱というものを昭和二十八年につくりまして以降、それに準拠してやっておるわけでございます。ただ昭和三十五年の、八木先生御指摘の厚生省と日本医師会、歯科医師会との申し合わせ事項につきましては、これができました原因が実はあるわけでございまして、不幸な事件が続いたわけでございます。それに従いまして従来の監査方法について改善の余地がありはしまいかということで、当時の保険局長と医師会の会長以下代表の方々と会談をいたしました結果があのような申し合わせになったわけでございまして、中身につきましては、従来の監査要綱を根本的に変える中身にはなっておらないと思います。それからまた、先ほど先生御指摘のように、いわゆる行政監査というものにつきましては、あくまでも医師の良識というものを尊重しなければならぬという立場でございますし、やはり不正なことを本人が意識するか意識しないか、無意識のうちにある程度誤りをおかすという場合もあるわけでございますので、やはり社会医療担当者として守るべき準則なりその他は十分よくわかっていただかなければならない。それをやるためには、あくまでもまず医師の良識を信頼をいたしまして指導を主体にする。しかし指導をしてもなお悪が断たないといった場合には、これは監査の対象にするのが本来的なたてまえでございまして、やはりあくまでも指導というものが主体である、行政監査のたてまえは、特に相手の医師の良識に訴えるという意味で、これがたてまえであるということは私どもも認めておるわけでございます。またそうなければならないという考え方も私どもは持っておるわけでございまして、やはり指導を主体にし、なお不正がある場合には、これは監査対象に移すということでなければならないというふうに私どもは信じております。したがいまして、いわゆる抜き打ち的な監査をやるといった場合には、相当慎重に事を取り運ばなければならないわけでございます。先ほどの話以来、こういう医薬品の代替請求のような不正請求をどのようにして発見していくかということにつきましては、非常に調査が困難である。これはやはり薬の実態というものがどの程度把握できるか。形状その他一切一緒であるとすれば、患者自体としてもどういう薬をもらったかということをはっきり認識しておらない。調査としては非常に困難な調査でございます。しかしこういう薬を使わないに指導するということは、まず私どもとしては全国の医療機関に徹底していかなければならない問題だというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、あの申し合わせ事項自体は監査の方法論として行なわれたというふうに私は解釈をいたしておりまして、不正を許すというふうな考え方は毛頭持っておらない。あくまでも正すべきものは正すという姿勢で従来とも監査を続けておりまして、三十五年以来の統計的な数字につきましては、最近は監査対象数も当時に比べまして大体五倍から十倍近くふえておりまして、取り消しの対象になったものも十倍近くふえております。したがいまして、監査が行なわれてない、それに手心が加えられておるということのないことは、統計的にここ五年間の数字をもってしても明らかでございまして、特に日本医師会におきましても、指導並びに監査につきましては、あくまでも正すべきは正すということで、今回の佐賀事件につきましても、厳重な処分に付すべきだというふうな、むしろ積極的な御意見を私どもはいただいておるわけでございます。ただ、先ほどの申し合わせ事項につきましては、監査を行なう場合の方法論だけの問題であるというふうに御理解をいただきまして、要は、医師会のほうも積極的に行政監査に協力していくという形がつくられて、納得ずくで正しい監査が行なわれていく、指導監督、が行なわれていくということを私どもは期待いたしておるわけでございます。
○八木(昇)委員 監査の場合にはいま御指摘の方法論が問題なんです。そこで、これはすでに五カ年間、この「取扱いについて」という指示がなされてからの実績がございますから、その過去の実績に照らして、ひとつこの際もう一度十分に検討してもらって、適正に改善すべき点は改善してもらうように、この機会には要望だけにとどめておきたいと思います。 それから次の点ですが、監査をやる以上は、いろいろな事態がわかり得るという仕組みでないと無意味です。ところが、いろいろな点を私ども調べてみますと、わかり得る仕組みになっていないのです。たとえば現在監査をするといいましても、注射の本数も、薬の量も種類も、結局カルテに書いてあるものと請求書の内容とが合っておるかどうかを調べるだけであって、極端な場合には、医者はまず請求書のほうを書いて、請求書のそれに合わせてカルテのほうにそれを書き込む。そういうことはないと思いますけれども、要するに、その両者が合ってさえおれば、もう全部無条件で支払基金から金が出る、こういうような形になっている。だからそれ以上突っ込んだところを見なければ監査にならない。もう一つは、実際にアリナミンならアリナミン、何という薬なら薬をこれだけ使ったという請求書になっておりました場合に、一〇〇%それを信用する以外に何ら手段がないという話であります。そこで、その診療所あるいは病院がどういう薬を、どれだけの量、いつ購入して、どれだけ使用して、現在どれだけ在庫がある、そういうことを調べることができなければいけない。それをやらなければいけない。それと請求書と数量が一致しておるかどうか。少なくともそういうことができなければ監査にならないのですけれども、その病院がどれだけの品目の薬をどれだけ購入して、使用量がどれだけ交現在どれだけの在庫がある、こういうことは全然監査の対象外だそうですね。それでは監査にならない。もう一つは、患者が病気にかかって診療を受けたという場合に、本人負担分を窓口で現金で支払うという場合も、実際に開業医は全然領収書も書かないわけです。公立の病院あたりでは簡単な領収書を出しておるようでございますが、少なくともこれは領収書を発行するようにすべきではないか。一応保険証に点数等は書き込むことになっておるそうでございますが、それも書き込んでいない場合が相当ある。結局、私はしろうとでございますから、こういう話を聞きますと、全部しりが抜けているという印象を受けるわけです。こういう面について改善する意思があるかどうか、これをお伺いしたい。
○熊崎説明員 いわゆる診療報酬請求書の中身につきまして、もう少し監査対象になり得るような詳細なものを書いたらどうだという御意見でございますが、これにつきましてはいろいろと問題があるわけでございます。片一方におきまして、非常に手続が煩瑣である、事務の簡素化をすみやかにはかるべしという御要望もありますし、領収書その他につきましても、確かに今後検討の余地があるという要請も片一方にある。やはり医師の良識を信頼をしてもらいたいという要望もあるわけでございますから、この点は、先ほど申し上げましたように、指導監督という形でそういうふうな不正な誘惑にかからないような措置を各医師会の会員お互いに自重していただくというような方法も二つの方法として考えられて、いま医師会のほうはそのPRにつとめておるわけでございます。在庫品の使用状況その他につきましては、これは必ずしも監査対象にはならないとはいえないわけでございますが、ただ在庫品を調べてそれからトレースしていって何日かかってどれだけの注射なり投薬をしたかを調べていくということにつきましては、つき合わせをいたしまして、はたして正確な数字が出るかどうかということについては、根本的に疑問があるということを現地では申したと思います。 それから初診の本人の負担分をどうするかという点につきましては、いろいろと問題かあるところでございまして、私どもとしましても、将来、先ほどの二つ、三つの点を含めまして改正すべき点は今後改正するように十分検討し努力してまいりたいと思います。
○八木(昇)委員 普通の会社とかあるいは団体の監査の場合には、これは一番基本的な点ですからそういうところのしりは抜かしませんよ。必ずどういう薬をどれだけ購入して、そうしてどれだけ使用したというならば、幾ら残っておる。残っておる在庫量とそれから購入した量との差を出して、その数量がカルテと合っておるかどうかということをやらなければ、普通の経営とか団体の監査の場合には、これをやらなければ話にならない。監査にどだいならない。むろんそれが金銭であれば一銭一厘の違いがあってもなりませんけれども、これは一〇〇%合わないということはあり得ても、やはり非常に大きな不正が行なわれておる場合にはわかるわけですから、そういう点はひとつ十分研究してもらいたいと思います。これはできないはずはないと私は思います。しろうとだからかえって私はわかりやすい。できないはずがない。 そこで最後に一点だけ伺います。それは、現在の社会保険診療報酬体系そのものが非常に不合理なんですね。これはもうすでに厚生省もお認めになっておるから、きのうの夕刊あたりでは厚生大臣もこれの抜本的な検討を進めて、近いうちに改めたいというような意味の談話を出しておられるようでございますが、昭和三十三年でございますか、いわゆる甲表、乙表というものに分けたところのいまの社会保険診療報酬体系というものができたんですが、これはもうもともと大きな矛盾を私は持っておったと思う。特に乙表ですね。結局投薬とそれから注射、これを中心にした診療報酬体系、これが結局今日の矛盾をもたらしておる。これは統計上明らかでございますが、全部これは持ってまいりましたが、その統計の数字は示しませんが、最近投薬と注射がどんどんふえておる。佐賀県に例をとりましても、一点単価は一つも上がっていない。上げられていないのに毎年医療費は三割以上上がっておる。しかもその内容を見ると、主力が注射と投薬代が非常に増高しておる。こういうことは歴然たる事実でございます。で、結局なぜそういうことになっていったかということになれば、ここ数年来医療費の引き上げが押えられておりまするし、一方物価は上がる、それからだんだん医療の近代化は進む、各病院、診療所はそれぞれ競争が激しくなってくる。それがためには金が必要である。結局このオーバーな注射をやりオーバーな投薬をやる、それでもって成り立たせていく、こういう悪循環ということに実はなってきておるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。今回のできごとがありましてから、実は私のところあたりにはずいぶんたくさんの投書が来ましたし、それから医者、患者、保険者団体の担当者、いろいろな人からこういう問題がある、ああいう問題があるといってずいぶん話があったのですけれども、その中のたとえば一つ代表的な手紙なんか読みますと、開業医の問題点並びに事実ということが書いてあります。過剰診療ということが非常にまかり通っておる。その場合に、ここに例が書いてございますが、肝臓の機能障害の診療に行ったところが、その関係のない心電図をとったり、胃の透視をしたり、それからいろいろやって薬を五種類も投与された。こういうのは過剰診療だ。それから第二番目は無診投薬。ある会社の従業員は自分の好きな薬を医務室でかってにどんどんもらえる。保険証を置いていけばあとでカルテはつくられておるという実態である。それから三番目は水増し請求。胃の中にカメラかなんか入れてとる胃カメラというのがあるそうです。それのフィルムを一本で二人分とって実際には一本分ずつ請求するというような実態というものは非常に多い。それから病名を詐称する、あるいは無資格の看護婦、エックス線技師に処置、注射、撮影等をさせておるというような、相当いろいろなことについて私に陳情の文書が来るというありさまでございまして、結局、やはり根本的には診療報酬体系の持っておる基本的な矛盾、こういうところからもきておると思います。今度これを改めると言われるけれども、どういう方向にこれを改めようと考えておられるか、それからその時期、こういうものについて保険局長のお考えをこの際ちょっと説明しておいていただきたい。
○熊崎説明員 御指摘のように現在の診療報酬体系自体につきまして、医療関係者を含めまして関係者みな必ずしも満足をしておらないし、改正すべきであるということは共通した問題として論議の対象になっておるのでございます。ただこれを具体的にいつまでどのような方法でやっていくかということにつきましては、それぞれの団体あるいはまた団体の中の個々の方々につきましても、それぞれ意見が非常にまちまちでございまして、どういう方向に体系づけていくかということにつきましては、問題があまりにも多過ぎるわけでございます。しかし、私どもとしましては、今回の緊急是正に伴います薬剤費の振りかえ問題の諮問をいたしておりまして、これが答申が終わりましたら、引き続きまして診療報酬体系の合理化問題にぜひ東畑会長以下公益四人の人を中心にいたしまして、一応医療協議会におきましてすみやかに体系の刷新にとりかかりたいと考えておりますので、関係団体もそれをぜひこの際やろうというふうな気がまえも見えますので、相当早い時期に具体化の方向に進むのではないかというふうに存じております。
○八木(昇)委員 大体これで終わりたいと思うのですが、そこで私どもの考えは、やはりいまの薬をやりさえすれば、注射をどんどん打ちさえすれば医者の収入増になるというようなことになりがちなようないまの形というものは、これはぜひ改めてもらわなければいかぬ。そうして、やはり医師の技術と労働、これが適正に評価され、それがすなおに出てくる形の診療報酬体系、こういう点にやはり十分ウエートをかけて、そういう形の方向での改正を強く希望しておくわけであります。しかもその価格につきましても、診療報酬の値段につきましても、これは適正でなければなりませんが、それを適正にするためにはやはり国庫補助というものがもう少しく増額されなければ適正なものにならないという面があると思います。今度の藤川さんの事件にいたしましても、これはほとんどが政府管掌健康保険関係です。政府管掌健康保険は、もう昨今では年間二千億円以上の給付をやっておりますにもかかわらず、国の補助はたった五億円と、こういうわけでございます。しかも政府管掌健保というのは中小企業に働くところの労働者のための健康保険でございますから、やはりこういうところにも問題がございますので、その点、結局適正なる診療報酬というものを打ち立てるためには国の補助というものも大幅にこれが伴わなければならぬという関連もあるという点も十分お考えに置いていただきたい、こう思います。 そこで最後に要望でございますが、今度のようなできごとにかんがみまして、特に医者や患者の中の正直者がばかを見るような仕組みというものと同時に、被保険者に保険に対する信頼感を失わせることのないような仕組みということの必要性を特に痛感をしておるわけでございまして、これは佐賀県の問題ではございますけれども、佐賀県のような小さな県ではこの問題について世論が沸騰しております。それは厚生省の皆さんが中央でお考えになっておる以上です。村の集まりでも、何か雑談でも、極端にいうとこの話で持ち切りというてもいいくらいな非常な世論の沸騰でございまして、ひとつその点今後至急に根本的な対処をしてもらいたい。そうして一方医者の側につきましても、今度のできごとにからんでの医者に対する非難に対しては、医者の側からも確かに言い分があると思います。私は医者に同情すべき点も実は大いに感じておるわけでございますが、文藝春秋の十月号には論文が書いてございまして、医者の早死に、という論文が数ページにわたって書いてございます。結局老後の生活保障もないので、三十四、五歳から四十四、五歳の間にめちゃくちゃにかせぎまくる。それで結局命を縮めておる。これは医者の立場もたいへんだなということを私ども思っておりますので、要は、結局医者の立場と被保険者の立場、それから患者の立場、こういうふうなものが相互に協調がはかられるような仕組みというものの確立を望んでおるわけでございますから、その点強く要望いたしまして質問を終わります。
○松澤委員長 本島百合子君。
○本島委員 委員長にお願いしておきます。こういう問題はもう少し時間をちょうだいできるように運営していただきますように、前もってひとつお願いしておきますと同時に、この次の委員会におきましてもう一度質問さしていただけるように御配慮いただきたいと思います。 それから先ほど私が申しましたことについて、厚生省側の見解をもう一度確かめておきたいわけで、先ほど申しましたところの社会保険医療担当者の指導大綱について県側がいっていることは、医師会側の了承を得なければ監査も、また検査もできない、そういうことになっておるから、実質的に県ではどうも手の施しようがなかったということなんです。したがってこの点ではそういうことではございませんということをおっしゃいましたが、どういうことでございませんのか明確にしていただきたいと思います。
○熊崎説明員 私ども先ほど申し上げましたように、監査につきまして手を抜くようなことは絶対にまかりならぬことでもありますし、各県の保険課長には、どのような政治的な圧迫なりあるいは諸般の事情があったにしても正すべきは正すという正しい姿勢でもって指導監督に当たるようにということは再三申し上げております。しかし監査のやり方自体に行き過ぎがあって、かつてのように厚生当局が非難をされるというふうなことでは困るわけでありまして、その辺はよく県医師会の幹部の諸先生方にも御了解をいただいて、それで正しい監査、正しい指導監督を行なうということが望ましいということを常に付言しながら、監査の徹底を期するようにということを督励いたしておるわけであります。しかし県当局におきましては、ともすればいろいろな県内の事情もあるやに私ども受け取っておりまして、あるいはいろいろな人からの要望、陳情その他も聞かなければならないというふうなことで、一部ちゅうちょ逡巡する場合もなきにしもあらずと思いますが、これは私どもといたしましては、やはり行政官として正しく行なわねばならないものは正しく行なうという形で処理してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○本島委員 そこで問題は一つ残されておると思いますが、現在問題はニクビタンということになっておるわけですね。ところが医師会が県の医師会並びに郡、市の医師会役員会をお開きになって問題を提起した。そして注意したというのはダイオミンの問題だと言っておるんですね。ニクビタンの問題では注意したことはありません、こういうことになっておる。県のほうに聞きますと、ニクビタンの問題はかなり早くから風聞が立っておった。ところがどうしても医師会の了承が得られなかったと私どもは見るわけです。その監査はできなかった、こういうことであります。現在問題になっておるダイオミンについてはこれからだということになるのですが、ニクビタンの問題については、これだけの問題になりましたら今後使用しようということはなくなると思います。しかしこういう問題がすでに投げかけられておりますので、厚生省はもっとそういう指導監督にあたって医師会等の了承を得て、そして不正な投薬ということが未然に防がれますようにいま一度の勧告をされたらどうか、この思うわけです。 同時に、佐賀県警のほうではこの内容が詐欺容疑でいま調べられておるわけですが、ある程度の裏づけ捜査も決定して犯罪を構成した、刑法上の罪を背負ったということになった場合に、北陸製薬会社——先ほども八木議員が言われておったようですが、誇大な宣伝広告等によって医師に食い込んでいった薬局に食い込んでいったというようないきさつもあるわけです。そこで佐賀県民の多数の意向は、どうしてもとれを全国的な調査に向けてくれ、こういう御要望があったわけです。したがってそうした点について今後そういう契機があるとすれば、北陸製薬の販売網は本社を調べればわかることです。そういう場合にもちろん強制監査をされてもなかなか困難だということは今回このことでもよくわかるわけです。したがって警察庁のほうにその捜査を一任されることがあるかどうか。私の希望としてはできるだけそうしてもらいたい、こういう気持ちを持っておるわけなんです。いままでの御答弁から判断いたしますと、それはもうでき得ないというような雰囲気を受けておるのですが、この点どうでございましょうか。
○熊崎説明員 佐賀県の事件は、先ほど御報告を簡単にということではしょって申し上げたわけでございますが、実はこういう事件が起こる前に、すでに県保険課はある程度の情報をキャッチいたしまして、県医師会長並びに県の該当医院の方と再三懇談をいたしておりまして、しかもそのうわさが出たということ自体は、県医師会として非常に恥ずかしいことだ、ぜひこの際各会員に警告をしようということで、再三警告をし、また各会員に対して現品の回収をすみやかにはかれということを再三にわたって文書でもって出しております。したがいまして医師の良識といたしまして、このようなことは決して望ましいことではないということは普通の方なら当然わかるわけであります。この事件が起こりましてから、日本医師会におきましても、こういう医師の信用を失墜するような事件は二度と起こしたくないということを十分に各会員に徹底的に指導しようということも言っておりますし、それはやはり警察の手を入れて姿勢を正すということじゃなしに、そのようなことを二度と起こさないような日本医師会としてのはっきりした意思、お互いの今後の歩むべき道として正しい治療を続けていくということで解決するのが私は最も適当であるというふうに思っておるわけでございまして、こういう不幸な事件が再び起こらないような意味におきまして、今回の事件といいますのは非常に大きな警告になったのではないかということを、関係者は反省していただきたいということを私どもは申し上げているわけであります。警察の手を入れたり、あるいはこういう事件を契機として直ちに全国的に監査をやるとかなんとかいう性質の問題とはまた別に、やるべき監査は正しく行なうということで処置をいたしたいわけであります。したがいまして私どもの今回の佐賀県の藤川病院その他に対しまする監査につきましては、このような薬の不正事件があったということで監査対象それ自体を主体にして監査をするということではございません。やはり一般的な普通の監査として行なう。したがいまして、もしこれが中央の医療協議会で問題になるとすれば、このような薬の不正事件以外に、たとえば無診投薬があったかどうか、あるいは出張診療が適当であったかどうか、そういうような総合的な見地に立って、健康保険法違反であるかどうかが論議をされる、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
○本島委員 先ほど八木委員も申された根本的な改正というような点についても、厚生大臣が秋田で発表せられておる様子ですから、そういうことの改善なり、法的に非常に矛盾があると私は感じておりますので、そういう点の改正要望等もあらためていたしたいと考えます。なおかつ、いまの問題については、先ほどから繰り返し繰り返し言われたように、佐賀県だけの問題ではないのだという考え方が非常に強いということなんです。したがって、この際被保険者の立場からしても明確にしてくれというこの御要望というものは、この事件が長期にわたり、そうして大量に行なわれたというところにあるわけなんです。ですから、こういう点の抜本的な施策というものがやはり厚生省として断固行なわれていかれない限りは、皆保険下におけるいまの医療行政に対して信頼は得られないと思うわけです。そういう意味でまた後日そういう点についての質問をいたしたいと思いますが、ひとつこの不正は不正として、不正をなさらないで良心的になされている医師の数のほうが多いわけなんですから、不正は不正として、やはりとことんまで究明してもらう。そうして今後再びこういうことの起こらない、防止ということの点についての施策を厚生省が打たれるということを一日も早くやってもらわなければいけないのじゃないかと思うわけです。したがって、私の質問はこれだけにいたしますけれども、そうした抜本的な改正という点について今後の委員会において私どもも進言いたしますが、どうかこの事件については、先ほど局長さんがおっしゃったように、医師会においてもりっぱな人ばかりでない場合のあらわれで、こういうあやまちも起こってくることですから、そういうことのないように指導監督に厳重な、また強力な力を注いでいかれることを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。 —————————————
○松澤委員長 さきに各地に委員を派遣し、医療、公衆衛生及び社会福祉事業等の実情調査、並びに労使関係、労働基準及び雇用・失業対策等の実情を調査いたしたのでありますが、その報告が派遣委員より提出されております。これを本日の会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 本日は、この程度にとどめ、次会は明十月一日午前十時から開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時二十六分散会