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49回国会衆議院1965/08/12

社会労働委員会 第4号

発言数
124
登壇者
10
会派数
2
開催日
1965/08/12

会議録

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 きょうは、暑いところ非常にお気の毒と思いましたけれども、二、三どうしても至急にお尋ねをしておきたい点がございますので、あまり人権を侵害しない程度に質問さしていただきたいと思うのです。それは医療のいろいろの調査についてでございます。  まず、第一にお尋ねをいたしたいのは患者調査です。これは数年前に、小山前保険局長が局長になって間もなく、健康保険組合が患者調査を始めました。当時私は、これは人権問題にも関係することであり、こういう調査はやらないほうがいいという強い主張をいたした。そして当時、小山保険局長はそれをやめさせるということでやめさしたわけです。ところが、最近、再び患者調査が行なわれ始めておるわけです。御存じのとおり、非常に詳細な調査なんです。それで患者がこれを書くことができないのです。そこで、当時患者は私のところに持ってきて、先生これを書いてください、こう言うわけです。そこで私は、これを見て実はびっくりしたわけです。御存じのとおり、医療というものは秘密なんです。医師は、患者のいろいろのことについて秘密を保持しなければならぬ義務があるわけです。ところが患者さんが、組合からこういう紙をもらいました、受診記録というものを出せと言われました、書かなければならないから、書いてください、こう言うわけです。私がこれを書くとすれば間違います、間違ったらいかぬから、先生書いてください、こういうことになる。そこで、これは書いてくれと言われるので書かなければならぬ感じもするし、書くとこれは病名も何も書くことですから、ばらすことになる。こういうことがいま公然と行なわれ始めたわけです。  いま、大臣御存じのとおり医療協議会が再開をして、それぞれお互いに共同の土俵に上がろうとしておるときに、こういう人間関係を阻害するようなものを患者に調査させる。そうすると一方、これは労務管理に用いられる可能性がある。おまえは医者に行った日にちと行かない日にちを書け、代理をやったら代理と書け、こうなりますと、労務管理に用いることができる。おまえは病気だといって休んでおるが、薬取りはしょっちゅう代理がやっておるじゃないか、おまえ自身がこういう調査を出しておるじゃないか、こういうことになる。したがって、医師と患者の人間関係を阻害する。それからいま言ったように、これが労務管理に利用される。秘密保持の上からいって非常に問題である。これは大臣、全く診療報酬請求明細書と同じことを書くわけです。こういうことを、私は厚生省が黙って許していいかどうか。いまから数年前には、これはいかぬからやめさせますと言ってやめた。ところが、また公然と行なわれている。一体これは、大臣、どうするつもりなんですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 いまの滝井さんのお話の患者調査でございますが、これは、厚生省としては従来の方針と変わりがないのでございまして、実は役所のほうからそういうことを求めたり、指導したりしてはおりません。一部の保険組合のほうでやっていることではないか、こう思うのでありますが、今後十分連絡をとりまして、注意をしてまいりたいと考えております。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 ただいま大臣が申し上げましたように、先生御指摘の患者調査は、健康保険組合連合会のほうで、被保険者教育のために一定のフォームに基づきました調査をやるということで行なわれている調査の中身だろうと思います。  それでこれは、病気になっておる者あるいはかからない者、そういった者を含めまして、医者にかかる場合、あるいは医者にかかった場合は、あなたは医者のところへ行くかあるいは薬屋に行って薬を買うかとかいうふうな、いわば被保険者の健康保険につきましての利用の程度あるいは病気に対しての認識の程度、そういった主としてPR的な、啓蒙的な意味での調査をやるというふうに考えまして行なった調査でございまして、見ようによっては、先生御指摘のようないわば少したちの悪いといいますか、そういうふうな形になるのではなかろうかという誤解を招く点もあるかもしれません。実体はそういうことでございまして、被保険者教育が主体であるというふうにお考えいただきまして、私どものほうも、この程度の調査ならいいだろうというような形になっておるいきさつがあるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、いまの大臣の答弁と食い違う。そんなら私も開き直りますよ。このくらいの調査ならやってよろしい。こんな詳細な調査は請求書と同じですよ。患者が書けますか。不正確なことを書いて、出てきた請求書とこれと違っておったら、これは医者がインチキしているか患者がうそを言っておるか、どっちか調べなければならぬことになる。そうでしょう。そうしなければ、これは正常な、いわゆる病気の認識とか利用の度合いを知ることはできない。もしこれを健康保険組合連合会がやっているならば、健康保険組合連合会には請求書がいくわけですから、だれが病気になっておるかということがちゃんと請求書を見たらわかる。請求書にこれと同じようなことが書いてあるわけです。しかも患者は、自分の組合の中に——こういう大きな組合というものは全部病院を持っているのですが、その自分のうちの病院には患者は幾ぶん不信感を持っておるから、これは外に出るでしょう。外に出た患者にこれを持ってきて調査されれば、おまえはよその病院に行ったらこんな調査をするぞということになって、他の病院に行くことを抑制することになる。一方考えれば、これは明らかに医療の内政干渉です、こういうことをすれば。もしこういうことを許しているというならば、この前にも私が言ったのですが、健康保険組合の経理をひとつ全部ここにお出しなさい。そんなに医者と患者との間の人間関係で医者を疑うということになれば、何の注射をしたか、いつ往診したか、一体どういうつけ薬をもらったかということを疑うならば、ひとつ健康保険組合も疑わなければならないから、全部出しなさい、こういうことになる。そうでしょう。そういうことではいかぬ。お互いに、自分の経理というものは正しい監査を置いてやっているんだから、そして医者の請求書だって監査をやるでしょう。この点はあとで質問をしますが、監査の強化をやるでしょう。どうですか、これをすらっとやめると言えないのですか。言えないならば、私は徹底的にやりますよ。この前、あなたの前任者は、これはよくないからやめますと言った。そうしたら、またぞろこれをやっておるじゃないですか。ここで見てくださいよ。こんな正確なことを一体患者は書けますか。見てください。   〔滝井委員、鈴木国務大臣に書類を示す〕

滝井義高日本社会党

○滝井委員 診療報酬の請求書よりかもっと詳細ですよ。もしそれが患者が間違っておったら、請求書と突き合わしてみて、これはどっちが間違っておるかを組合長が調べざるを得ないことになる。しかも秘密保持の責任というものはないわけでしょう。だから、こういうところは、行政がやはり断固たる態度をとってきちっとしなければいかぬですよ。組合が医療の内容に立ち入ることでしょう。病気とこの注射は違うじゃないか、おかしいじゃないかということになる。患者も、この注射は、先生一体何の注射をしたか教えてくださいと言いますよ。ところが、医療というものはきわめて心理的なものがあるから、長く睡眠薬をやっておって、これ以上睡眠薬をやっては睡眠薬の中毒を起こすおそれがあるからということになれば、ときには乳糖をやることもある。そうしたら、そういう不眠症の患者に乳糖をやるとは何事だと言われる。先生この薬は何です、この赤紙に包んでいるけれども、このとん服の内容は何ですかと聞かなければならぬ。だから、そういうことで、いまのような大事なときに、医師と患者の人間関係というものを阻害してはいかぬですよ。これだから厚生行政はだめだと言うんだ。そこなんです。もう少しこれは健康保険組合側にも言いなさい。もし言わないならば私が言ってやる。日本の医療関係というものが、いまのようにお互いに疑心暗鬼の中で行なわれるからこそいけないんですよ。もう少しフランクな立場になって堂々と——それだったら患者に言わずに、医師会に言ったらいいですよ。支払い側と療養担当者のお互いの共通の場をつくって話すのですから、そこでやったらいい。こっそりそんなことをやったって、患者が医療機関に持ってくる。先生、書けないからひとつ書いてくださいということになる。どうですか。きちっとやめさせると言えませんか。法的根拠なんか何もありはしない。こういう詳細な調査をやる権限はないですよ。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 確かに、先生おっしゃるように、法的根拠をもとにしてやっておる調査でも何でもございません。繰り返し申し上げますけれども、健康保険組合としては、やはり日ごろ、そういう指導といいますか、そういう予防的な面あるいは疾病治療の面で、いろいろな患者教育もひとつやる使命もあるわけでございます。協力をしていただくという意味で、強制的なものは全然加味しないというふうに私どもも聞いております。ただ、非常に誤解を招くという点におきましては、滝井先生の御指摘のとおりでございまして、そういう誤解を招かないような方法でやるということを、たしか前のこの調査を行なう場合にも、よく健保連のほうにも話をしたはずでございますが、誤解をされておるという結果であるとすれば、やはりそういう点は、非常に遺憾であったということは言わざるを得ないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 やめさせるかやめさせないかということを言っておるのですよ。あくまでもそれはほったらかしておいて、調査をやらせるならやらせるでいいですよ。やらせるなら、私もこれから徹底的に洗います。どうですか、やらせるのですかやめさせるのですか、どっちですか。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 実はこの調査は終わったというふうに私は聞いておりまして……。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 終わったのはやむを得ぬから、これからです。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 今後再びこういうことをやるかどうかにつきましては、十分慎重に検討してまいりたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この前、小山君はすっきりやめさせると言ったのですよ。あなたの代になってから行政の方針が変わったのですか。——これはもうあなたを相手にしなくていい。大臣、どうですか。もしこういうことをやるとするなら、あなたが幾ら医療協議会を開くと言ったってだめですよ。全国の医師に不安感がうつぼつとしてわき起こっているわけでございます。各地の医師会では、もうこんなものを出す組合は診療しないと言っている。頭を横に傾けておるけれども、そういうことがあるのです。全体に不信感がある。私のところにわざわざそんなものを持ってきたのです。前には、私のところに患者が持ってきて私に言った。先生、お気の毒だけれども書いてください。患者が私に書いてくださいと言うのです。だが、それは医者に書いてもらうべきものではない。患者が書くべきものでしょう。ところが、私は書けません、わからぬと言う。そうですよ、わからぬですよ。しかもこれを書いたら、労務でこれは私の出勤状態その他を調査するんじゃないだろうか、こういう懸念を持ってきている。だから、そういう一点でもお互いに医師と患者の間の人間関係を阻害する、あるいは患者が健康保険組合に疑いを持つようなことをやらせてはいかぬですよ。そういうことをさせたいと思うなら、請求書が出るのだから、どんどん医者を監査したらいい。五十八億も監査、審査のために金を出して、予算委員会で説明しているじゃないですか。どうですか、これをきちっとやめさせると言えないのですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 保険医療の場合におきましては、いろいろと患者の人間関係、相互の信頼関係が、私は非常に大切である、これが基本である、こう考えておりまして、そういう心がまえで医療行政の正常化に、私は就任以来当たってきておるわけであります。この受診記録なるものは、実はいま初めて滝井さんから御指摘を受けてこれを知ったわけでありますが、このことが、滝井さんが御指摘のように、いろいろと患者の信頼関係を阻害するということであっては、医療の根本をこわすということに相なるわけでありますから、私は、これを行なっております団体とも、さような相互の不信を生み出すようなことのないように、今後調査をするにいたしましても最小限度の線でやるように十分指導してまいりたい、かように考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 すこぶる歯切れが悪いですね。しかし、こういうことはいいことはないですよ。思想調査と同じですよ。ていよく、いまだからこういう状態で何か医師と対立をしたような関係になっているから、そんなものをやっていいように感じておりますが、実際は裁判所の決定と同じで、末端へいったら二重の医療ですよ。患者と医師というものとの間について、何か上のほうの経済のことを考える人は、医者をこれでおどせると思っているのかもしれない。健康保険組合では、名前は患者の医療に関する知識の普及とかなんとかいっても、実際は医者がインチキをしているのかということしか植えつけないですよ。大臣は、これを悪いと思ったら、すぱっとやめさせます、こういうくらいの言明をしないと、そんなあいまいもこたる八方美人的なことではだめですよ。うまく話もできない。もう末端では、それをもってごうごうとしておるですよ。大阪あたりに行ってごらんなさい、ぼくらもそれでつるし上げられた。四、五年前にそれと同じことをやったんだ。前の局長のときはこれをやめさした。ところが今度は、何か熊崎君のところではやってもいいようなことを言うから、そういうあいまいなことではいけないですよ。だから、いまの大臣の言明を信頼して、ひとつこういうことは今後やめさせる、やるとしても、それは十分医師団体と話し合って了解の上でこういうことをやりますよ、あなたのほうも全国に出してください、こういうフェアプレーでやらなければいけない。そうすると患者側にも流す、医師会側にもこういうことをやるぞと流す。そうなれば、患者さんが行ってもわかるわけです。ところが、患者もそういうものをもらって、これは正確に書かなければいかぬと思うですよ、そんなりっぱな印刷物でくるのですから。わからないから医者に持っていく。何だ、おまえの組合がそんなことをやるならおまえは見ないと言われれば、たちどころに人間関係というものはこわれちゃう。病人の心理というものは微妙なんだから、そこらあたり、考えなければいけない。やるならばもう少しフェアプレーでやる、お互いの了解の上でやる、こういう形にしなければいかぬ。いま大臣が、できるだけ最小限度のところでひとつやるときにはやるということですから、その際には、ひとつ診療団体とも話し合ってやるように指導を願いたい。  次は、保険庁で社会保険の知識調査というのをおやりになっておるかどうか。

加藤威二厚生事務官(社会保険庁医療保険部長)

○加藤説明員 知識調査と申しますと、どういう——私はちょっと知識調査というのを保険庁がやっておるというのを承知いたしておりませんが、どういう内容のものでございましょうか。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 総理府の広報室に依頼をして、去年の十一月五日から九日までぐらいの間にやっておるはずですがね。たとえば、医療保険の皆保険があるということを知っておるかとか、年金の保険のことについて知っておるかとかいういろいろな調査……。

加藤威二厚生事務官(社会保険庁医療保険部長)

○加藤説明員 それはおそらく保険庁が主体でやっておるんじゃなくて、内閣のほうで一般国民を対象にして、社会保険のことをどれだけ知っておるかということの調査じゃないか、世論調査じゃないかというぐあいに考えますが……。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは私が見た記事ですが、総理府の広報室にあなたのほうから依頼をして調査をしているわけです。で、私がいま患者調査と関連してこの問題を言うのは、こうして内閣でおやりになっておるのですからね、だからこの資料を国保連合会なり健保連に差し上げたらいいのです。あるいは健保連の協力を得ておやりになったらいい。特定のAという健康保険組合が、自分の傘下の組合員だけにそういう紙を出してやるということになると、これはさいぜん言ったように人間関係を阻害するし、あるいは労務管理に利用されるわけです。ところが、Aという組合の中からも十人、Bという組合の中からも十人、Cという組合の中からも十人、そうでない政府管掌の組合からも百人なら百人、こういうように出して、そして全国的に社会保険の知識を普及させるとかということであれば、そう問題は起こらぬわけです。その資料を健康保険組合に差し上げたらいいのです、何も自分のところの組合員だけの問題じゃないわけですから。そうでしょう。こういうのをおやりになっておる。社会保険庁の社会保険知識調査、これを去年の十一月五日から九日までおやりになって、そして国民皆保険ということを知っておる者が六三%、それから社会保険審査請求権なんというのがあるですね、この不服審査なんかあるのを知っておる者は二七%しかなかった。こういう調査というものが、私は医療の知識を向上させ、普及させ、社会保険の協力態勢をつくるので、おまえは何日の日に一体何の病院に行ったか、そこでどういう注射をしてもらったか、どういう内服薬をもらったか、こういう調査というのは医療内容の干渉ですよ。だから、そういう調査をおやりになるということは問題なんです。しかもこれは、秘密を保持しますと書いてある。秘密を保持するというならば、何か患者に医者の秘密をかぎ取ってこい、そうすればおれのほうは外に出さないという、一体法律上秘密保持の規定があるのかどうかということですよ。ないでしょう。健康保険組合の職員が診療内容を知って、それを漏らしたからといって、その責任は医者になるのです、医者がそれを書いてやったり、その患者にいろいろ加勢をしてやったりしたら。だから、そういう非常に微妙な問題をはらんでおるのですね。もう少し、こういう医療問題がこんなに紛糾しておるときには理性的にやらなければいかぬ。  それから、もう一つ医務局にお尋ねしますが、救急医療の調査をおやりになっていますね。これはこのごろ私も書きました。私は七月のたぶん十八日に書いたと思います。この救急医療の調査は非常に詳細に調査する。しかしこれは、いわゆる救急医療の経験を持っている患者を調査しておるわけじゃないのです。医療機関を調査しています。やっていますね。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 救急医療実態調査を、昭和四十年七月十八日から二十四日の一週間にわたってやっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 こういう調査もやっておるわけです。そうすると、これは今度は、医師会とそれから厚生省の名前で、医務局ですか、両方で共同でやっておるのでございますから、これは非常にスムーズにいっておる。末端にそれがずっと流れている。実に詳細な調査です。これは同時に過去の救急医療のことも調査しています。それから、おまえのこの日の調査をしてくださいというので、いまの一週間ばかりの間で一人一人の医者に十八日担当、十九日担当、二十日担当、こういうように指定をして、そうしてその日が休みだったら、休みでも救急の患者があったかどうか、中毒とかあるいは交通事故の患者があったかどうか、その支払いはどうだったか、そのお金は幾らかかったか、こういうことまで詳細に調査をしている。これはお互いに手をつないで、いわば厚生省の医務局と日本医師会が共同でやっています。これは問題がない。  そうしますと、私は、いまの患者調査、それから総理府に保険庁が委託をした社会保険の知識調査、いまのような救急医療調査、こういうようなものからいろいろ考えてみますると、いま問題の、今後中央社会保険医療協議会で問題になる医業経営の実態調査、これに私は何か接近していくことができる感じがするのです。で、いまのような患者調査を先行さして、そうして人間関係を阻害をしてしまうと、もうおまえのほうは患者調査をやったじゃないか、医業経営の実態調査をやる必要はない、各組合はそれを集めて、何の注射と何の注射をやったのを、おまえのほうの請求書を引き合わせて見れば医者はどのくらいお金が入ったかわかるから、おまえのほうでやれ、こう言われたらどうしますか。みな終わったというならば、それでひとつ資料をやれ、健康保険組合の連合会に要求しますから、その調査をしてやった資料を出してくれとだって言えるでしょう。こういう大事な医業経営の実態の調査という、大事なことを前に控えているわけでしょう。だから、こういうことは、やっぱりきちっととめておって、そうして土俵の上に上がらせなければいかぬというのが、実はきょうはこういう忠告を大臣にしたかったから——あなたのほうは成功している。だから、この成功した例を持ってこなければいかぬですよ。医業経営の実態調査をおやりになろうとすれば、それから同時に、診療報酬の請求書というものは、基金にそのときは全部各医者は出しているのですから、各医者がどの程度の一ヵ月の請求点数を出しておるか、それで十円かければその医者の収入の九割七、八分は出てくるわけです。おそらく九割は出てくる。そういうところをある程度十分医師会等とも話し合ってやれば、裏打ちというものは出てくるのです。  それから医業経営の実態調査のことを少し聞くのですが、最近、医業経営の実態調査をいよいよ政府はおやりになる。神田さんのときにおきめになっているのですが、その予算は一体どのくらい計上しているのですか、四十年度予算は。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 三十九年度には五千万円計上しておりましたが、三十九年度におきまして、医師会とその実施につきまして折衝いたしまして、かなり具体的な話し合いまで入っておったのでありますが、ついに話が最後につきませんでして実施できなかったので、四十年にはこれを計上していないのでありますが、話し合いがつきまして実施することになれば、予備費から出していただくように話はしてあります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その調査のやり方と調査の項目というのはどういうものですか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 いまここに具体的な数字、表等を持ってきておりませんが、医療機関の病院、診療所等によりまして抽出率を少し違えまして、病院のほうが十分の一だったかと思います。それから診療所のほうはもう少し抽出率を低くといいますか、たくさんの中から一つというふうにしておりまして、それの施設の状態とか従業員の状態、実情、それからそれに伴います経費の支出の状況、そういうようなものを調べるように、相当こまかい項目につきましてこちらが案を立て、また医師会側とも折衝を始めておったのでありますが、合意を得ませんで、まだ具体的にこれをやるという項目はきまっていないわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私企業の調査ですね。たとえば米価をきめるときに、一軒一軒の農家に調査表を出してやっておりますか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 米価の関係、私詳細には存じませんが、一般的には、各家庭家庭の全部にわたって調べているということはないのではないかと思いますが、私担当でございませんので、そこまで確認していないのが残念でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、このやり方は、千軒なら千軒の診療所を抜き取り、各県別に一応配分をして、そうしてそれを抜き取り調査でやることになるのですか。やるとすればそういうやり方ですか。二十七年の三月、十月調査というのは、病院二百幾つかと、診療所はちょっと数を忘れましたが、それをばらばらと抜いてやりましたね。やはりああいうやり方でやることになるのですか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 まだ話し合いがついておりませんので、こういうようなやり方でやるということは申せませんが、われわれの計画しておりましたのは、病院と診療所、歯科診療所、これを層別いたしまして、それのうちで十分の一とか三十分の一だったかと思いますが、無差別、無作為抽出でやっていく、こういうような方法でやろうと計画しておったわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、大体二十七年の三月、十月調査と同じような方式でやるわけですね。大体傾向としては似ておりますね。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 二十七年の調査の考え方で大体考えているわけであります。しかし、その項目等につきまして、また収入と支出の対比をやる方法等につきましては、多少考え方を変えておるのがあったのであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その場合に、一番大きな問題は、診療状況というか、結局経費と支出の関係になるわけですね、一番大事なところは。そこで救急医療の調査というのも、あれは相当詳細です。それから過去の未収金から何から、全部今度は医師会が別に資料を出してくれというふうに言っておるようであります。そうしますと、救急医療の調査でそういう形が共同でできておるのですから、したがって、医療経営の実態調査というものをおやりになろうとすれば、特に私的医療機関の実態調査をおやりになろうとすれば、やはり医師会の協力を得なければならぬ。これはもう権力でやると言ったって、私企業の中に権力で入れるものではない。権力で私企業の調査をした前例は、日本では資本主義だからないと思う。いわんや自由民主党の政権のもとでそれができるならば、自由民主党の中の政治資金の経理の中までやらなければならぬことになる。そういうことはなかなかできないので、したがって、これは医師会の協力をどうしても得なければこの目的は達成できない。達成できないから、あるいは患者調査その他で側面的にやっているのかもしれませんが、そんなものは、いよいよ公の場に出るとものにならぬわけですね。やはりどうしても共同の調査をやらなければならぬということになる。  そこで、政府と大臣にお尋ねしたいのですが、いま私は、患者の調査なり保険庁の総理府依頼の調査なり救急医療調査、三つのことをちょっと簡単にあげたんですが、この医療経営の実態調査をおやりになるときには、もう私は権力ではこれは絶対できないと思う、いままでできないから。医師会の協力は絶対得なければいかぬ。協力を得ないとまた書きもしないでしょう。出してくれと言っても書かないでしょう。書かないからといって、またこれに刑罰を科するということも、こういう社会保障の調査ですからできない。それで大臣としては、一体どういう方法で医療団体の協力を得て、医療経営の実態調査というのをおやりになろうとするのか。医師会は、ある程度項目その他の話し合いがついてそして医師会との共同調査とするならばやってもよろしいというニュアンスの文章を、私専門誌その他でちょっと見たことがあるのですがね。そういうところまできておるかどうかは局長に答えてもらうとして、一体大臣としては医療経営の実態調査というものをいかなる方法で——方法というか、医師会の納得を取りつけてやろうとしておるのかですね。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 医療保険制度のもとにおいて、保険医の医業の実態調査をやるということは私は必要なことである、こう考えておるわけでありますが、これを実施いたしますためには、ただいま滝井さんもお話しがありましたように、どうしても医療機関の協力を得なければならない、このように考えております。そこで私は、医療機関、医師会側におきましても正しい医業経営の実態、内容を明らかにして、そして診療報酬等の適正化を実現するようにしていきたいということで、保険医療に携わる医師会、医師の側においても私はそれが非常にいいことではないか、こう思うわけであります。これが今日までどうして医師会の協力が得られないで医業の実態調査が行なわれなかったかということに、私は非常な疑問を持っておるのでありますが、これはやはり役所と医師会の意思の疎通、また保険団体と医師側の相互不信感といいますか、そういうものを払拭をして、そしてガラス張りの中で保険医療が行なわれる、そうすることが医療に携わる医師としても有利である、そして経営の安定も期せられる、こういうことに相互に理解し合って、初めて私は協力が得られ、医業の実態調査が実現できるものだ、かように考えておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 医師会の協力を得るということはよくわかるのですが、そうしますと、一体これは共同してやる意思があるのかどうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 それは私は、協力を得る形で行ないましても、また共同でやる形をとりましても実効のあがるものであればいい、別に形にはこだわる必要はない、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 すでに救急医療の前例ができたわけですから、形はこだわらない。いままで形をこだわっておったのですね。共同では困ると、形をこだわっておったのです。これは大前進です。したがって形はこだわらない、こうおっしゃっておるのですから、救急医療のよき前例ができたのだから、それを基礎にして医業経営の実態調査というものがスムーズに行なわれるように、ひとつぜひ努力をしてもらいたいと思うのです。  そこで、私的医療機関の医業経営の実態調査というものは、いまのように共同ででも何でもやれるということになった。次は、公的病院の実態調査というものが出ておらなければならぬはずです。これが出てこないのですよ。いま世間は私的医療機関ばかり問題にしておるけれども、公的医療機関の実態調査の姿が、青写真が国会に全貌が示されないのですよ。だから、まず先にここを第一にやる必要がある。そこで、そのためには、私、次会までにその全貌を要求をいたしたいのは、もうこの際ですから、全貌をやはり明らかにする必要があると思う。国立病院の一つ一つの病院の経理、赤字か黒字か、それから日赤、済生会、それから全社連、いわゆる熊崎さん所管の健康保険のモデル病院がある、これらの経理内容、それからできれば安田さんのところの事業主の病院の実態、健康保険組合経営の病院の実態、これは安田さんたちは患者調査までおやりになるくらい熱心ですから、全部わかっておるはずですから、それを次会までに全部出してもらいたいと思うのです。まずわれわれは、私的医療機関の共同調査ができる前に、日本の医療の方向を示す、税金のかからない、安い国家の金を借りているその実態を明らかにしておくことが必要なんです。これがまだ明らかになっていない。幾ら資料を出せと言ったって出さないのです。だから、ひとつ健康保険組合の全病院の実態を、少しかかってけっこうですから、次の臨時国会までに出してもらえばいいですから、健康保険組合を全部洗って出してみてください。特にそれらの病院の薬を買っている実態を出してもらいたい。一体どういうように薬を買っているのか、これはもうこの際ですから、国立病院から全部一ぺん洗う必要があると思うのです。国立病院、それから今井さんのところの共済組合病院の実態を——税金のかかっていない公的病院を一ぺん全部出してもらいたい。これさえ明らかになれば、日本の医療の全貌は明らかになるのです。これが出ていないのですよ。これが出ていなくて私的病院のことばかり言うけれども、いま日本の病院のうちで、医療費の六割というのはこれらの病院が取っておるのです。だからここが明らかになると、医療の全貌は明らかになるのです。それがいままで国会に明らかにされていない。だから、それはひとつこの際勇断をもって明らかにする。典型的なところは虎の門共済病院とか、聖路加病院、こういう税金のかかっていないところ、あるいは日赤、済生会、こういうところをひとつ明らかにしてもらいたい。  このごろ国税庁に言いましたら、国税庁がこんなことを言っておる。滝井さん、聖路加病院は税金を取っておりますと言うから、断じて取っていないと言ったら、おりますと言う。調べてみたところが、いやいや間違っておりました、あれは税金を取っておりませんでした、税金を取っているのはあの食堂でござましたというナンセンスな国会の答弁があるのですが、そういう実態です。だからこういうデラックスな、いわゆる日本の一流病院の実態調査をまず明らかにしておく必要がある。そして小さなところそれから入っていく。これがわかれば、日本の医療の全貌はわかってしまうのです。一体それがどういう実態になっておるか。ですから、ごめんどうでもこれはぜひ出してもらって、そうして医業経営の実態調査のまず先駆的な資料としてもらいたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 公的医療機関の実態調査は、三十五年にやっているわけでありますが、私が就任いたしましてから、まず国立病院その他の公的医療機関の経営の実態調査をやるべきじゃないか、そうして私的医療機関の協力のもとにおける経営実態調査を進める、こういうことを事務当局に指示いたしまして、早急に公的医療機関の実態を明らかにするように命じているわけであります。滝井さんの御指摘の臨時国会までに全部それが出せるかどうか、これはここではっきり申し上げかねるのでありますが、私もすでにそういうことを事務当局に命じている、できるだけ早くその調査の結果を当委員会にお示しをする、こういうことを申し上げておきます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは全部で病院が六千くらいあって、数は忘れましたが、その中の相当のものが公的病院ですから、全部は出ないと思います。しかし日赤、済生会、国立病院、それから健保連の病院、事業主病院は出るはずです。事業主病院は非常に安い単価でやっておるわけですから、その実態。それから直営診療所、共済組合の病院、こういうところはすぐ出るはずです。そういう典型的なところだけは、ひとつ至急に次の臨時国会までに出していただきたい。そういう形でまず隗より始めよで、みずからのところの足元の病院の全貌を明らかにする。それから徐々に私的医療機関を、いまのような共同調査でやって明らかにする。こういうことになると、日本の医療の姿というものはガラス張りになってくるわけです。これはガラス張りにしなければいかぬと私たちは思っておるのです。いまの点数その他は非常に矛盾が多いわけですから、ぜひひとついまのとおりやっていただきたいと思います。  次は、九・五%のアップをされたわけです。ことしの一月一日から九・五%アップをしたのですが、どうもあれこれ人の調査したのを聞いてみますと、九・五のアップになっていないというのが定説になってきつつある。そこで、国立病院とか日赤とか厚生連とか自治体病院でお調べになっているのがあるはずです。一体九・五のアップになっているかどうかということです。もう一月、二月、三月、四月、五月、六月、七月と七ヵ月になっておりますから、社会保険の基金では、御承知のごとく五月というのは大々的な調査をやるわけですから、これはまず、あなたのほうから九・五のアップになっているかどうか、国立病院や日赤、厚生連、済生会、自治体病院、どこでもいいから、わかるところをしていただきたい。  それから保険局のほうに——これはあるいは加藤さんのほうかもしれませんね。基金に毎月診療報酬請求書が出ているはずです。一人一人の医者が幾らということはわからぬにしても、診療所の請求書の総ワクというものが、一月一日九・五上げる以前の状態と上げた後の状態とで、九・五上がっているかどうかという資料は、あの診療報酬請求明細書の総計からわかってくるわけです。これは五月には大々的な調査をやっているはずですから、その実態は一体どうなっているのか、加藤さんのほうかこっちか、どっちかわかりませんけれども、所管のほうでひとつその二点についてそれぞれ説明してください。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 医療費改正によりまして、診療報酬がどういうふうに上がっているかというお尋ねでありますが、国立病院につきましては、二月分を、改正前の点数と改正後の点数と比べましてやりましたところ、入院一一二・七、一二・七%アップ、外来で一・五のアップ、合計としますと九・一プロ・アップです。日赤は二月中の一週間だけについてこれをやっておりますが、九・二プロ・アップです。厚生連が九・一プロ・アップ、それから自治体病院が一〇・八%アップ、こういうふうな状態になっておる。経営体によりまして多少の差はございますが、九プロ以上一〇プロくらいまでのアップになっております。なお、この経営体の中におきましても、いろいろ施設別によってだいぶ差があるようであります。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 先生御指摘のように、支払い基金のほうに出てきます。いわゆるレセプトによります九・五の医療費の影響がどうなっておるかということにつきましては、実は診療所、病院別に集計をするということはやっておらないわけでございまして、先生も御承知だと思いますが、政府管掌健康保険におきましても、入院、入院外、歯科という形で影響率の試算はできるわけでございます。ただいま、恐縮でございますが、資料は持ってきておりませんけれども、実は社会保険審議会におきましても、三法の関連と三法の改正の審議の過程におきまして、この影響率がどの程度かということも議論になりまして、私のほうから資料を出してございます。正確には覚えておりませんが、一月、二月、三月、四月までの実態が出ておりまして、大体平均して一・九四から九七、ただ三月におきまして少し九を割っておりますけれども、これはおそらく想像でございますが、三月にはかぜが多かった、かぜが多かったために件数は伸びておりますけれども、結局件数のわりに診療費の中身は非常に簡易な診療でございますから、九をちょっと割っておる数字だと思いましたが、そのような影響があるのじゃないか。しかし、平均してみますると九・四七、つまり九・五に近い数字が出ておるというので、これは社会保険審議会のほうに、はっきりした資料を出してございます。いずれ資料としてお届けいたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、いまお聞きのとおりでございます。熊崎君のところよりこっちのほうが熱心に調べておったわけです。結局国立病院、日赤、厚生連、自治体と調べて、しかも入院と入院外とに分けて、入院で国立病院が一二・七でしょう。それから外来が一・五でしょう。そうすると、今度の九・五のアップの重点というのは入院に置いたわけですから、医療協議会の答申も入院に重点を置くべきだ。物件費と人件費というのは入院のところでよけいかかる、こういうことだったわけです。最後に手直しして、入院に重点を置いたわけです。そうなりますと、診療所を中心とするところは一・五でしょう。外来も一・五です。診療所というのは外来が多いわけです。したがって、入院の三百、四百、五百のベットを持っておる大きな病院でも九・二しか上がっていない。自治体病院だけが一〇・八です。これは一つの例外です。みんな九・一、九・一、九・一でしょう。いま熊崎さんのきわめてグローバルな、大ざっぱな非常に不親切な答弁でも九・四とか九・七を出しておる。非常に保険局長として不親切です。もう少しこういう大事なところを、きちっとした正確な数字を出していただきたい。一番大事なところでしょう。しかし、外来はとにかく低いということは事実です。九・五を上がっていないということです。こういう実態は、やはりすみやかに、天下の注目を集めているところだからはっきりしなければいかぬ。六カ月たったらもうあなた方が国会にみずから進んで来て、九・五のアップの結果はこうなっておりますと言わなければいかぬのですよ。そんなものを、やかましく言われなければ言わない。あなたも資料を、きょうは質問があるのに持ってきておらぬ。そういうだらしのないことでは、この難局は乗り切れないですよ。  それからもう一つは、それに関連をして、医療費というものが大半、そういう大病院に集中的に上げたものが行き始めている。したがって、今後の赤字対策というものも、さいぜん言ったように、実態調査を、小さな病院をやることも必要だけれども、それより前に、もっと税金のかかっていない医療費の支払い総額の六割程度をとっているものを先にやらなければならぬというのは、こういうところからもきているわけです。こういう実態をやはり明らかにしておかなければいかぬわけです。  もう一つは、いまから十年前に健康保険の改正のときもそうであった。いまから十年前に、かんかんがくがく与野党で健康保険の改正案を論議したのです。そうして、もちろん国会にもたくさんな動員があり、陳情がありました。ところが、政府管掌健康保険法の一部を改正する法律案が国会を通る前に、保険財政が黒字に転化したのです。もう患者負担はかかる、保険料は上がる、わんわんと言ったものだから、国会でわあわあ言っておるうちに上がったものだから、大衆は思い込んでしまったのです。そうして受診率その他がずっと下がり、萎縮診療も行なわれて、そうして御存じのとおり、政府管掌の健康保険の一部を改正する法律案が国会を通る前に黒字になってしまったのです。私は今度も同じことが起こるぞと言っておったら、同じことが——あのときほど黒字にはならぬけれども、とにかく医療保険の支出がぐっと鈍化し始めた。これは総報酬制でボーナスまで保険料を取る、それから医者に行ったら薬の半分を窓口で取られるぞということになったものだから、医者のほうも、待て待てという気持ちになる、患者も、それじゃ売薬でいこうかということで、みんなアンプルを飲んで死ぬ人が出た、こういう形になってしまったのです。そうして何もかも集めてみると百億くらい見積もりが多くなったり少なくなったりして、結局去年の十二月ごろ八百二十億赤字があったと言っておったら、ことしの二月ごろになって大山保険庁長官が私のところに来て、いや、先生、暮れは八百二十億と言っておったけれども、あれは間違っておりました、健康保険は六百五十九億でございます。そうしたらまた七月の十日ごろに発表したときには、政府管掌の赤字というのが、累積赤字は八百七十五億ある、こう言っておったわけです。ところが、一週間たった七月十七日に社会保険審議会に行ったら、四十年度末の累積赤字は七百六十七億になる、こういうように減っておる。厚生省の数字というのは、百億単位で上がったり下がったりするのです。こういうように百億単位で上がったり下がったりする理由は何かと言ったら、いや、ちょっと四万人被保険者の数を見積もりそこなっておりました。かつて久下さんは七十万人くらい見積もりそこなっておった。前のあなたたちの先輩である久下保険局長はそう言っておったのです。今度は四万人だから少しは少ないけれども、経済が不況で四万人だけ少なかった、こういうことらしいのです。そうして同時に、医療費が鈍化してきたわけですね。いまのように減ってきつつありますが、そうなりますと、これは政府管掌健康保険をわあわあ言っておったけれども、いまのような状態になってくると、借り入れ金が四百六十二億くらいありますね。この前大臣は、こういう長期の赤字についてはたな上げする。そのままいくのだ、こう言っておったわけです。そうすると、七百幾らから借り入れ金を引くとあと三百億になっちゃう。三百億を国から入れたら政府管掌は片づきますよ。私はこの前大臣に初めて御質問申し上げたときに、いまから十年前に五十八億の赤字のとき三十億入れた、そうすると、今度累積赤字が七百億になればその十倍、三百億を入れたらちょうどいいですよ。そうしたらわあわあ言う必要はない、これで片づくわけです。(「冗談じゃない」と呼ぶ者あり)冗談じゃないと言っておるけれども、いまから十年前の総理大臣と大蔵大臣と厚生大臣は三十億入れたのです。そのときは赤字は五十八億ですよ。そしてあれだけの大騒ぎをやった。今度は、自分たちの施策が悪くて、自分たちの見そこないのために七百六十億台の赤字を出したのですから、その中の借り入れ金四百何ぼをずっとたな上げしていけば、あと三百億入れたらいいことになる。そうでしょう。そうであるかどうか聞いておるのです。

加藤威二厚生事務官(社会保険庁医療保険部長)

○加藤説明員 昭和四十年度の累積赤字は、先生おっしゃいますとおり七百六十六億でございまして、そのうち四十年度単年度の赤字は、行政努力を見込みませんと五百九十二億、約六百億でございますが、四十一年になりますと、一応推定では単年度赤字が八百億をこえる。結局医療費は二〇%くらいのぺースで伸びておるわけでございます。前のときにも先生に御説明申し上げましたように、昨年の暮れに見込みました伸び率よりも若干伸び率が鈍っておりますけれども、やはり依然として二〇%くらいのペースで医療費が伸びておるわけでありますから、その伸び率が来年以降、がたんと鈍化するということは、私どもとしてはそういう見通しを立てるのは危険である。ですから、二〇%くらいの伸び率で伸びていくということを考えますと、相当根本的な対策を立てないとまた来年赤字が出る、こういうことになろうと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私に恒久的なことはいま尋ねておるわけじゃないのです。累積赤字が四十年度末になったら七百六十幾億出てくる。そして借り入れ金を除くと、三百億だけ、いま国と言っているけれども、手当てを出したらいいでしょう。先のことは健康保険法改正その他があるのだから、当面四十年度、いまの段階では政府も大転換をやったのでしょう。初めのうちはハレバレという予算をお組みになった。三兆六千五百八十億八千万円というのをお組みになって、これで全部うまくいける、こういうことだった。ところが、が然不景気になったら財源不足が二千五百億、補正財源が千五百億だ、だから四千億程度の借り入れ金をやるか公債を発行せざるを得ない、こうなったのでしょう。これは全くいまの当面の対策なんです。その当面の対策としては、四十一年度になったら単年度八百億の赤字けっこうです、これはこれで別に考えたらいい。これは健康保険法改正で考えてもらいますが、とりあえずいまの段階では、健康保険法がまだ改正になっていない。なるかならぬかわからぬ。なるかならぬかわからぬということは、なっていないということを前提にしてものを考えれば、三百億だけ金をどこからか持ってくればよろしいでしょう、こう言っているのです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 いろいろの御意見があると思うのでありますが、私としては保険三法の改正をできるだけ早い機会にやりたい。ただいま社会保険審議会、社会保障制度審議会に審議をお願いをしておるわけでありますが、その答申を待って、秋の臨時国会には改正案を提案いたしたいと思うわけです。その際に過去の累積赤字をどうするか、また、今後その年々の保険財政をどういう形で持っていくか、そういうようなことを総合的に私は判断をいたしまして、保険財政の再建措置を講じたい。滝井さんのおっしゃるように、とりあえずこれだけ入れる、また来年もこれだけ赤字が出たら入れるというようなことでなしに、過去の累積赤字はどうやって処理するか、それからこれからの保険財政につきましては、それが保険財政としてバランスのとれるような形で、その際に国が幾ら国費の負担をするか、そういうことを総合的に勘案して法案の改正並びに財政措置を講じたい、このように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私もそのとおり考えておるわけです。しかし政府は、よくわれわれが尋ねると仮定の問題は答えられません、こうおっしゃる。これは健康保険の改正になるかどうか、いまの段階ではまだ仮定の問題です。いまではきわめて冷ややかな、厳然として現在の健康保険千分の六十三で、いまの標準報酬で取るしかないのですから、これから先は、あなた方がここに言っているように、こういうことしかないわけでしょう。結局、標準報酬の適正化、すなわち平均標準報酬の月額が二万五千百二十一円と、前年度実績に対して一一%増くらいを確保するようにしなさい、こういうことを通知を出しておるでしょう。それから、全被保険者についてこの標準報酬決定の実地調査をやれ。それから、定時決定の事務処理期間中、社会保険事務所においては当該事務処理に全力を傾注しなさいというようなことを書いている。それから、保険料の収納率を上げよ。九五・三%と、前年より〇・五%上げなさい。それから、保険給付の適正化をやれ。診療報酬の請求明細書の点検とか、それから被保険者本人分については全数点検をやりなさい。いろいろ書いてある。とにかくいろいろこういうことをやって、いまのワクの中で収入を増加して支出を減少する施策をやれ、こういうことをやっているのです。だから、いま大臣の言われることは、当面の対策と、恒久的な対策については保険三法の改正でおやりになるのですが、それは仮定の問題で、いまの段階で七百有余億の財源不足が出てきている。累積赤字が出る。その中で四百幾億をこえる額は借り入れ金でやってきているのだから、あと三百億円だけ、ことしとりあえず財政負担をすればいいでしょう。その三百億は、私は国庫負担と言うけれども、大臣は財政負担と言う。それでもいいのです。額を三百億確保すれば、政府管掌はとりあえず今年はいいでしょうね、こういうことを質問しているのです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 どうするかという対策を滝井さんがお尋ねになっておりますので、私としてはこういう考えで措置をしていきたい。これは国会の御承認を得なければできないことでございますから、また、国会で私どもが提案したものをどういうぐあいに修正をされますか、そのときには国会の御決定を基礎にして財政措置等を考える、こういうことでございますが、私に対して、こういう保険財政の現状に対してどういう手を打つか、どういう措置をするか、こういうお尋ねでございますから、私としてはこういう方向で努力いたします、こういうことを申し上げておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはわかりました。だから私が確認をしたいのは、累積赤字が八百六十二億くらいと言っておったけれども、七百六十億台に下がってきた。そうしますと、四百六十二億の借り入れ金があるんだから、あと三百億を、今年度については何らかの措置をしたらいいんじゃないでしょうか、その額はそれでいいんですか、こういうことを言っておる。いろいろな対策は大臣と同じでけっこうです、こう言っている。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 いまの算術計算としての額は三百億になる、こういうことでございます。そこで、過去の異積赤字をいままで措置しております分だけにとどめるか、あるいは法律改正のその時点までの累積赤字をどう措置するか、そして法律改正後の財政措置をどうするか、いろいろ考え方があると思うわけでありまして、いずれ社会保険審議会の答申を期待いたしておりますし、それを十分検討いたしまして対策を立て国会の御承認を得るようにしたい、こう考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも私の真意がわからないらしいんですが、私は、来年度は八百億円単年度赤字が出ますということもよくわかっておるわけです。お聞かせいただいたから、わかっておる。しかし、今年度を限って見ますと——これはもちろん今年度を限って見ても、今年度法律を改正すれば今年度からその施策が実施されるわけですから、したがって、今年度にも施策が影響してくることは当然です。ただ私は、数字を確認いたしておきたいというのは、赤字が七百六十億台に八百六十二億から減ってきました。そうすると、借り入れ金が四百六十二億ありますから、それを、この前大臣の言われたように借り入れ金というのはたな上げしていく、このまま持っていくということになりますと、あと三百億というものが、実質的に今年度とりあえずやらなければならぬものになるんじゃないか。もちろん、来年度の八百億円を見越して、今年度三百億を解消して、来年度の八百億を解消していく施策を当然やらなければならぬことはわかっております。わかっておるけれども、今年度の数字はそういうことですか、その数字を聞いているのです。

加藤威二厚生事務官(社会保険庁医療保険部長)

○加藤説明員 数字の上からだけ申し上げれば、先生のおっしゃるとおりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 だから、その数字の上だけをはっきりしてもらえばいいわけです。それから先は、政府の施策と社会党の施策は違ってもいいわけです。だから私はさいぜんより、社会党としては三百億なら三百億の国庫補助をひとつやってください。それから今度は、保険財政がとんとんではいかぬ、幾ぶん余裕を持たなければいかぬから、余裕分については考慮する必要が出てくる。そこに健康保険法の改正の限界が出てくるわけですから、それがわかればけっこうなんです。そこを聞いている。  熊崎さん、ときどきあなた忘れることがあるから、さいぜんの資料だけは忘れぬようにすみやかに届けてください、大事な資料ですから。それから医務局等も十分ひとつ……。  次に、国民健康保険財政について、これは簡単にお聞きするんですが、七月二十二日の閣議の後に、鈴木さんや福田さんや永山さんや橋本官房長官等がお寄りになって、そして午後の持ち回り閣議で、三十九年度分の調整交付金の不足分の相当額四十二億は、本年度に限って臨時財政調整補助金として四十億を予備費から出すことになった。これは間違いないですね。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 そうです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それから三十九年度の療養給付費の国庫負担金の精算不足分百十一億円のうち百億円については、四十年度予算分から繰り上げ交付した。これも間違いないですね。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 そうです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これはそういう決定をして実行されたそうですからお尋ねをするのですが、この四十億の臨時財政調整補助金を予備費から出したとすれば、これは補正をするのかしないのか、もう予備費から出しっぱなしで次の臨時国会において補正をせずにいくことになるのか、それとも決算等の関係があって、適当の機会に補正をすることになるのか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 臨時財政調整補助金は、市町村団体の財政事情並びに保険財政の現況を考えまして、臨時の今年限りの措置といたしまして四十億円を予備費から支出する、こういうことに決定いたしたのでございまして、これは予算補正をする必要はないわけであります。ただ、四十年度から繰り上げ支出をしておりますところの三十九年度の精算不足額の百十一億、この分につきましては四十年度の分をそれだけ先食いをしておるわけでありますから、次の補正予算編成の際に予算補正をする、こういうことに相なるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三十九年度分の調整交付金の不足分の四十二億のうち、四十億は予備費から出すので補正予算を組まない、今年度限りである。そうすると、この配分は一体どういうことになるのですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 これは先般厚生省としての方針を決定いたしまして、四十億円の配分を決定いたしております。この内容は事務当局から……。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 四十億の交付方式につきましては、これを三つに分けまして、第一は、世帯数による配分といたしまして、これは調整交付金の中身が、世帯主の給付改善交付金が御承知のように入っております。それに見合うものであります。世帯数による配分といたしまして大体十六億。それから二番目は、財政力による配分といたしまして、中身は普通調整交付金に該当するものでございますが、これが大体十五億。それから三番目の残りは、赤字解消のための配分といたしまして、三十九年度において実質赤字を生じております五百七十五の市町村につきまして、自己財源の調達に努力していたと認められる三百四十九の市町村に対しまして、赤字解消のための配分をする。これが金額で八億以上。大体四十億円の配分を、大蔵当局とも相談いたしまして決定して各県に流しております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いまの赤字が五百七十五で、そのうち努力をした三百四十九だけに差し上げると言うが、自治省の資料によりますと、三十九年度の赤字団体は二千百五十四、百九十二億になっております。これといまの数字は違うのですが、これはどういうことですか。自治省の資料によりますと、三千四百八団体のうち黒字が千二百五十四、赤字が二千百五十四、赤字総額が百九十二億千八百万円、こうなっております。いまの厚生省の答弁では、赤字は五百七十五で努力したのが三百四十九、そこに八億配分するということでは自治省と少し数字が違うのですが……。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 自治省のほうの赤字団体としての認定は、一般会計から繰り入れをしておる団体、これを繰り入れをせざるとすればこれだけの赤字団体である、こういう数字であろうと推察をいたすのであります。厚生省といたしましては、繰り入れ等の財政措置をそれぞれやった、また、今度の四十億を配分したその結果の現状をとらえての数字でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それは岡田さん、間違いありませんか。

岡田純夫自治事務官(財政局財政課長)

○岡田説明員 いま厚生大臣の言われましたとおりでございます。  なお、自治省の数字も、まだ三十九年度いたしましては若干推計が入っております。たいして違いないと思いますけれども、根本的には、いま厚生大臣が言われましたように、一般会計から持ち出すものの大半は療養給付会計の赤字に基因いたしますので、自治省といたしましては、実質赤字になりますものを入れますと、ただいまおっしゃいましたような二千百五十四団体というふうに見ておるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、一般会計から一生懸命に繰り入れたところは、四十億の臨時財政調整交付金をもらえぬということになるでしょう。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 これは、約三十億円という額は保険税、保険料の収納率が非常に低い。ほかの市町村の平均の収納率よりもずっと下回っておる。そこで、その収納率の成績が悪かった町村が一般会計からそれに補てんする、こういう性質のものが三十億ある。それから法定の基準の給付額を上回っておるということで、一般会計から繰り入れをしたものが約二十億ございます。そういうようなことでございますので、これは一般会計から入れてしかるべき至当な理由がそこにあるということが言えると思います。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕  それからなお、国保の事業の中で、一般住民を対象とした保健婦の活動であるとか、いろいろな仕事をやっておるわけでありますが、そういう費用にも一般会計から一部出しておる。これは十九億ぐらいだったと私記憶しておるのでありますが、そういう現況でございまして、一般会計から繰り入れをすることに依存をして、厚生省は財政努力を怠っておるというようにおしかりをこうむると思うのでありますけれども、そういう性質のものも含んでおる、一般会計からの支出にはそういうものも含んでおるということを御説明申し上げたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一般会計から繰り入れるものについては、これはもうずっと前の保険局長等とわれわれが議論をしたのですが、いま大臣の言われるように一般住民の利用する、国保の被保険者ばかりでなくて、健康保険や共済組合の被保険者、家族も利用するような保健婦活動あるいは直営の診療所というようなもの、それからいまあなたの言われるように、収納率が悪かったからとかあるいは給付が上回った分というのは、これは一般会計から繰り入れるほかに、そういうところは保険料を上げているんです。高い保険料を取っておる。そして、なお足らないので一般会計から入れるという努力をしているわけです。そういう高い保険料を取ってなお不足を一般会計から入れていく。もちろん私たちは、いま言ったような直営診療所とか保健婦活動というような一般住民に広くいく活動、国保の被保険者だけじゃなく、一般にいくものについては、これは一般会計から入れることはいいと思うのですよ。しかし、いま言ったような高い保険料を取っておって、なおやっていけないというものについて、一般会計から入れておったから今度この臨時財政調整交付金ももらえぬということになると、前向きの前進の努力がなくなっちゃいますよ。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 いま保険局長から御説明申し上げましたように、約八億幾らという赤字団体に対しての赤字解消のための配分金額は、いま滝井さんがおっしゃったように収納率も相当成績をあげておる、また、保険料についてもできるだけの、現状としてはこれ以上上げられないというようなあらゆる努力をいたしまして、なお赤字がそこに出てきておる、こういうものに対して八億幾らを赤字解消のためにやった、こういうことでございまして、努力をしたものに対してこちらからも応援をしていくという滝井さんの御趣旨は、貫いておるつもりでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国保のそういうこまかい問題は、時間がありませんからいずれ機会を改めてやりましょう。  そうすると、第二点の百十一億のうちの百億だけ繰り上げた分については、四十年度予算に穴があくので、これについては次の臨時国会で補正をする、これははっきりしましたからわかりました。そうすると、そういうことをやったために、きのうか何かのラジオの放送を聞いておりましたら、これでやったために国民健康保険の赤字が三十五、六億になってしまった、赤字団体は二百くらいになった、国民健康保険万歳というような放送をしておったのですが、一体そういう実態に国民健康保険がこれでなるのですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 私は、三十八年度の国民健康保険の決算の結果と三十九年度の今回の措置による決算の結果、これを見ておるわけでありますが、三十八年度の決算におきましては三十七億、三十九年度の決算におきましては三十四億、こういう赤字が残ったのでございます。また、赤字団体につきましては、三十八年度は三百九十八でございますか、三十九年度はいま申し上げたように二百二十七、こういうように三十八年度決算よりは三十九年度の決算が改善をされておる。しかし、これをもって私は満足いたしておるのでございませんで、今後もさらに保険財政の安定のために、確立のために努力をしたい、このように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その場合に、なるほど三十八年度決算が三十七億で、三十九年度決算が三十四億の赤字だ、赤字の額が三億減っておる。しかし一方、見落としてならぬのは、一般会計からの繰り入れと保険料率の引き上げというものがあるわけです。これは昨年、三十九年度において小山君の言をかりると、全国平均二七%の引き上げだ、そのときに、四十年度は一八%程度の引き上げでやれば何とかやっていけると言っておった。ところが、最近の新聞等を見ると、四十年度は一七%とか八%じゃなくて、三五、六%か四〇%くらい引き上げなければやっていけない、こうなっておる。だから、それは間違いないでしょう。今年は、全国平均したら三割以上の引き上げをしなければならぬ。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 三十九年度の比率が二六%になっております。四十年度は三五・七%の予定になっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一般会計の繰り入れはどうなっておりますか。

熊崎正夫厚生事務官(保険局長)

○熊崎説明員 一般会計のほうの繰り入れは、これは決算を見なければわかりませんし、何とも申し上げられませんが、ただ、こういうことを私どものほうは考えておるわけで、御了承いただきたいのでありますが、今度の四十億の措置をもしやらなかった場合に、結果的にどうだったかといいますと、大体七百九十二の市町村が実質赤字だということでございまして、これは先ほど大臣が申されましたように、三十八年度の赤字町村が三百九十二でございましたので、倍以上の市町村が赤字であったはずである。ところが、四十億の予備費の支出の結果が二百二十二に減ったということになりまして、四十億の予備費の支出によって、赤字は相当解消されたということは言えるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 四十億ぐらいの金で何か万歳というようなことになったのではないということを私は言いたい。その背景には、去年二割六分上げて、今年初め一割七分か八分上げたらよろしいと、小山君のときには言っておったのです。それを倍に上げなければならぬというような状態になって初めて四十億が出てきてよかったわけですから、そんなものは、総医療費が二千八百億にもなって、そうしてその中で保険料が三割五分も上がっていくということはたいへんな負担ですよ。しかも一般会計からは、この前の説明では九十五、六億ぐらい入れておるわけでしょう。そういうように、もう少し、やはり大臣に教えるときには、いまのいいところの決算のしりだけを教えて、三十七億が三十四億に減った、赤字団体の数もこうやって減ったんだからいいのじゃということのほかに、血のにじむような一般会計の繰り入れと、それから保険料のアップがあったということも同時に、この四つを大臣に言わせなければいかぬですよ。そのいいところばかりを言わる、こういうところが補佐が足らぬと言うのです。そんなものは、しろうとのところに行って言うたらなるほどと思うけれども、われわれは知っておるから、そんなものは——いまの二つを言っておかなければならぬ。その国民の血のにじむような努力のところは言わぬで、自分たちのやったことを言って、四十億で万歳ということはたいへんな間違いだ。自治省、もう少ししっかりしておいてください。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 政府といたしましても四十億だけで万歳と言っているわけではございませんで、三十九年度に国が国民保険財政のために負担いたしましたのが九百二十億程度でございます。四十年度におきましては千二百億というようなことで、元におきましてもすでに三百億ぐらいの国庫負担増を努力いたしておるわけでありまして、政府としても決して国保の財政をそのまま漫然と手をこまねいておるのじゃない、最善の努力を払っておるということだけは、ひとつ御了承をいただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実はその三百億というのは自然増であって、そう積極的な施策が出ていないんですよ。積極的な施策が出たといったら、一月から三月までと、四月、五月、六月と、この九・五上がった十二億と十五億を出したぐらいで、あとは義務的に、掛け算的に上がっていくのです。医療費が上がったから自然増です。ことしの国民健康保険の中には新しい施策というものはないのです。前大臣が努力せられたということは何もないのです。あなたの前任者は、役所のみんなから非常な不信感を持たれておる。そうして政府管掌健康保険を百億取ってきたらいいのを、たった三十億しか取ってこない。何ですか、この大臣。そしてやめるときには、二人の次官と局長をぽんと首を切って出ていった。非常な不信感を持っているんですよ。ひとつ大臣にそういうことを言っておかなければだめですよ。  時間がないからこれもやめますが、薬価基準の問題ですが、むずかしいところに入ると時間が長くなりますし、八木さんがあとお待ちしておりますから……。この薬価基準に未収載の薬品というものが、ますますふえつつあるということです。いま保険で使う薬は五千幾つ使っています、薬価基準に登載されている、保険として使えるやつ。ところが、すでに熊崎さんが薬務局長のときに、私一ぺん質問した。今度薬務局長が坂元さんにかわったわけですが、あのときから未収載薬品はどの程度ふえて、いまどのくらいになっていますか。

坂元貞一郎厚生事務官(薬務局長)

○坂元説明員 結論だけを先に申し上げます。  現在までのところ、六月末で一応計算いたしますと、千五百品目になっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣御存じのとおり、薬務局で、あなたがこの薬の製造は間違いない、りっぱである、大いに医学に活用してよろしいと許可を与えた薬が千五百あるわけです。ところが、今度熊崎さんの時代がかわって、最近までは薬務局長だったが、今度は保険局長になったわけです。世の中というものは、こういうようにあざなえるなわのごとくだから、前にいいことをやっておかないと、あとで刈り取らなければならぬことになる。熊崎さんが薬務局長のときに千五百あるのですが、どうしますか、私のほうは早く使ってもらいたいと思いますが、保険局がどうしてもやってくれませんから、やむを得ぬと言っておる。今度はみずから保険局長になったのです。みずから今度はやれる地位になったのです。これはもう二度目の質問です。やらなければ何回でもすることになるのですが、一体これをどうするつもりですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 中央医療協におきまして、薬価基準の改定の問題を御審議になるわけでありますが、その答申を待って薬価基準の改定引き下げをやりたい。それと一緒に、いまの未登載の分につきましては、これを登載するように措置したい、こう考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 去年からそう言っているのですよ。それじゃ一体、いつ薬価基準の改定の問題が片づくかというのです。見通しがつかないでしょう、いつ、つくということは。去年から同じことを言っているのです。こういう日進月歩の科学の力が具現をして、それを使ってよろしいというのを厚生大臣がお認めになったのです。それを使ってよろしいとお認めになったものを、今度は同じ厚生大臣がストップをかけるという、こういう矛盾をしてはいかぬのです。薬価基準を下げるのは、話し合いで下げてもいいのです。新しく登載するものは何も関係がないのです。それを、こういう近代の科学を利用しなければならぬのを、患者も困るのです、医者も困るのです、なぜ一体押えなければならぬかということです。これは大臣の権限でできるのです。どこに尋ねなくても大臣の権限でできるのです。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 私はそういう方針で進んでおります。そこで、いまの薬価の引き下げの問題は、これは厚生大臣限りでできますし、登載も厚生大臣の権限でやれる、こういうことでございますが、滝井さんも御承知のように、この薬価の問題につきましてはいろいろ問題があるわけでございますから、私は全体として早急に措置したい、こう考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 こういうものは、そう政治的に取り扱うべきものでないと思うのです。薬価基準の引き下げの問題は、これは非常に政治問題になっておるからいいと思うのです。ところが、三年も前から認めておるものを、そのままほうっておくということがいけないということです。いまどんどん使っているのですよ。製薬会社もつくってどんどん売れているのです。だからこの前も言うように、大臣、医務局長を呼んで、東京大学やらその他の大学病院や国立病院をお調べになってごらんなさい、千五百種類の薬をみな使っておるから。使って、保険局長はこのごろこういう通達を出していますよ。薬価基準に未収載の薬品を保険で使用してはいかぬ、これは登載してないから使用してはいかぬ、しかし、患者さんが了承するならば、保険でなくて現金を取ってやりなさい、こう言っている。保険証を持ってきた患者さんに、一体薬価基準に登載されていない薬、しかもそれがたとえばIDUという薬がありますよ。これは角膜のヘルペスに非常によくきく、これを使わなかったら目がつぶれるという場合だってあるわけです。それは薬価基準に登載されていないために使えないのだ。こういう緊急な場合には、私は使わせるべきだと言ったのです。そうしたら前の局長は、そういう場合は使ってもよろしいという答弁だった。ところが、そのときに同席しておった、今度参議院へ再び当選をしてきた徳永政務次官が、滝井さんの話を聞くともっともだ、私が責任を持ってやらせます、こう言ったんですよ。そのうちやるかと思って私はじっと見ておったけれども、やはりやらないんですよ。やらないから、また言わなければならぬことになってくる。こういう問題を政治的にしちゃいかぬですよ。なぜ政治的にしなければならぬのですか。薬務局でこれを使ってもよろしいと太鼓判を押しておって、それを保険局は選んで大事なやつは入れたらいい。この前も私が言ったけれども、あなたのほうや医師会や共済組合で主催をする保険医の講習会がある。そこに学者が来て——あるいは医療課長がおるかもしれぬが、この薬は使ってもよろしい、大いに使いなさい、こういう宣伝をしておるわけです。そこで流感にはこういういい薬ができておる、これを使いなさいと言うて、保険医の指導講習会では発表するんですよ。末端の開業医あるいは保険医がその講習に出て、帰ってこれを使おうとすると、薬価基準に載っておらぬから使ってはならぬ、こんなばかなことはないでしょう。学問の指導者の講習会では、使え使えと厚生省主催の会で言うて、末端で使おうと思って、これを使ってもいいですかと聞いたら、だめだと言うんですからね。そういう非科学的な行政というのはないですよ。こういうところこそ、大臣が勇断を持ってやらなければいかぬ。これは何も政治的なものはないですよ。あるものを登載するだけですからね。これは実勢価格と薬価基準と差があるからという問題にからませる問題じゃないでしょう。前にあなたは、私はやりたいのだけれども、保険局がと言った。今度は保険局長になったのだから、やっていいんでしょう、何か悪いところがありますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 これは局長のやることではない、私が決定することであります。きわめて近い機会にやるように準備を進めております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 近い機会というても、いま言ったように医療協議会が開かれて、そうして薬価基準の問題が片づかなければできないなんということは、私は納得しない。こういう学問の問題を政治的に結びつけたらいかぬですよ。それを政治的に取り扱ってきているんですよ。前は小山君ががんとして聞かなかったと言うんですよ。ところが彼は、いまは首になっていないんですからね。だから今度は薬務局長が、受け身の立場の人が局長になっているのですから、やらなくてはいかぬですよ。大臣、もしあなたがそれを疑うならば、今度医務局長に命じて、東京大学や共済組合や聖路加病院を全部調べさせてごらんなさい、千五百種類の薬が使われていないかどうか。必ず使っていますよ。どうして請求しておるかというと、代替品で請求しておる。こういう悪いことを医者にやらせたらいかぬですよ。医者は、それを使わないと患者を助けることができないから使うのです。そういうことを公然とやっているんですよ。大学病院に行って調べてごらんなさい。こういう未収載の薬品をどんどん使っているのだ。それを一々患者から現金を取らなければやれぬというようなことを言う必要は何もないじゃないですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 滝井さんのような御意見、私もよく聞いております。そこで、いま申し上げましたように、きわめて近い機会にこれを実施するということで準備を進めておるということを申し上げておきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私、くどいようでありますけれども、それを薬価基準の引き下げの問題とからませてはいかぬということです。これを大臣がからませないと言うなら、私は時期をまかせます。これは科学ですから、科学を尊重するという厚生省が、科学的に自分が左の手で認めたものを、右手で認めぬというばかなことはないですよ。モハメッドは右手で剣を持ち左手でコーランを持ったというけれども、そういう政治はいかぬです。いまわれわれの民主政治というものは、右に鉛筆を持って左に投票用紙を持つ政治になっているのですから、そういう点は学問を重んじて、学問的に、科学的にやらなければいかぬから、きちっと登載しなければいかぬです。患者が困っておるし、医者が困っておるし、製薬企業みな困っておるでしょう。こういうまじめにやっておるところを困らしてはいかぬですよ。こんなもの、千五百種類もためるということがそもそも問題です。少なくともその中から緊急に必要とするものだけでもよってやるとか、あまり緊急でないものはおいておくとか、こういうことでやらなければいかぬですよ。どうですか。私は時期は大臣にまかせます。しかし、実勢価格と現在の薬価基準の差が医療協議会で結論が出るまではやらぬとかいうけちなことでなくて、これはすなおにやっていいと思うのです。だから、それを別にやるならやると言ってください。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 これはからませておるようなことはございません。私は医療行政全体の懸案事項を早く解決したい、こういうことで、この問題も同時に解決をしたいということをさっき申し上げたのでありますが、決して政治的にからませるとかなんとかいうことでございません。御趣旨は十分承知いたしておりますので、できるだけ早く、しかも私、ただこの場をのがれるために申し上げておるのじゃなしに、準備も着々進めておるような次第でございますから、実行いたす所存でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 じゃ私、臨時国会まで待ちましょう。待ちますが、少なくともそれまでにはやれますか。臨時国会が始まるときには、千五百種類は、これは希望しないものは別ですけれども、希望するものについては薬価基準に登載する、これでならば私了承します。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 時期は私におまかせを願いたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 時期をまかせるといったって、こんなものは何もないでしょう。大臣、そんなに奥歯にもののはさまったような——前例はないのですよ。いままで大臣はみんなやってきたのだから、このときだけになってどうしてそんなに言わなければならぬですか。これはそんなに政治問題ですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 いままで三年間どういう事情かわかりませんが、私になりましてから準備を進めておりまして、きわめて近い機会にそれをやる、こういうことでございますから、私におまかせを願いたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それならば近い機会というのは、これは半年も一年もすることはないと思うのです。次の十月の初めに始まる臨時国会までにはぜひひとつしてください。私はそう理解をしておきます。  これで終わります。

坂村吉正自由民主党

○坂村委員長代理 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生行政の中で一番大きな社会保障の問題を中心の課題にしぼって、短い時間ですけれども、大臣に熱心に御質問を申し上げたいと思います。大臣の御都合もございますから、最初に大臣に集中して申し上げます。  大臣は、厚生大臣に就任されましてからいままで、私どもの見るところでは非常に熱心に取っ組んでおいでになるようにうかがえまして、その行政が大臣の手によってよくなることを非常に期待しております。ひとつ熱心に取っ組んでいただきたいと思います。そこで、実を申しますとゆっくりとした時間に御質問をしたいわけでございまするが、来年度の予算の準備をすでに厚生省でしておられます。また、大蔵省と折衝が始まるわけです。いつでも残念なことは、このような間に、国民の世論を厚生大臣に十分理解していただいて、その立場に立って予算要求をする、施策を進めるということが時期はずれになるわけです。十一月ごろの臨時国会では大ワクがきまっている、通常国会では法案が出てきて、その内容がいかに乏しくても、これは与党がいかぬのですが、予算修正ができないというような、国会の権限を侵害したような党決定があって、予算の修正が実際に行なわれないということですから、国政はそこで渋滞をする、少なくとも一年間そこでおくれるということがございます。そういうことを心配して、いま短時間しか厚生大臣がおられないのですけれども、御質問を申し上げたいと思います。  厚生大臣に社会保障問題を特に申し上げたいと思いますが、いま社会保障問題の中で一等間違って論議が展開されていることはどういうことか、厚生大臣としてお考えがあったら承りたいと思いますし、御就任まぎわで抽象的な御質問ではお答えになれなかったらかまいません。すぐほかの質問を続けさせていただきたいと思いますので、社会保障問題について全般的に非常に間違った感覚の論議が行なわれている、その点についてはどういうことをお考えでございますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 社会保障の問題につきましては、私は、国民が健康で文化的な生活ができますように、そういう社会環境なり社会福祉の向上というものをはかってまいる、ここに根本がある、こう考えるわけであります。わが国におきましては、欧米先進国に比べまして、社会保障の施策が非常におくれておるということは、私率直に認めておるところでございます。しかしながら、近年わが国におきましても、経済の成長、国民所得の向上に伴いまして、社会保障関係の予算も相当ふえておりますことも、これまた事実でございます。昭和三十五年に厚生省関係の予算は八千百億でございましたが、昭和四十年度におきましては五千百億というようなぐあいに、一般会計の予算の一四・一%に伸びてきておるということが言えると思います。しかし私は、今後におきましてもさらにこの社会保障を前進せしむるために努力をしたい。  ただ、私、ここで指摘をいたしたいことは、欧米各国におきましては、何といっても、住宅でありますとか道路でありますとか、そういう社会資本の蓄積というものがある。ところが、日本ではそれが非常に乏しい。だからそういう道路だとか住宅だとか、そういうことをやりながら、一面において社会保障も充実していかなければいかぬというような面があるわけでありますが、しかし私は、厚生行政を担当いたしました以上は、福祉国家への前進のために最善を尽くしたい、こう考えております。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣の善意及び熱意はわかるのです。厚生大臣は非常にりっぱな政治家で勉強家でおられるけれども、社会保障については、最近御担当になって非常にたくさんあるから、どんなに頭のいい人でも、熱心な人でも、まだ勉強が行き届いていない。それを補佐する厚生省がまことに間違った考え方をいままで持っている。ですから、初めから、学問から実態から鈴木先生が三年間ほど御勉強になれば、これは厚生省の人たちの補助を受けなくても完全な理解をされると思いますけれども、いま短時間で厚生大臣としての責任を果たそうと思ったら、いろいろな局長や何かの意見を聞いて、それを参考にされることになる。局長や何かに、なかなか割り切った考え方をしないで、旧来の陋習を守り、それでちっとも発展しないような考え方を持っている人たちがいままではおった。いまもいるかもしれぬけれども、まあいないほうがいいのですが、いるおそれがある。ですから、そういう点で申し上げてみたいと思う。  先ほども、いま五千百億円をこえているということをおっしゃった。そういうことを厚生大臣が御研究になったし、また、いろいろな資料を官房やら何かから持っていった。そのときに、それだけを説明しているような官房ではいかぬ。五千百億なんというのは非常にもってのほかの金額なんです。というのは、欧米諸国より経済が成長していないから何とかという理屈自体、非常に問題がある。そういう問題ではいけないということを厚生大臣は早く御理解になるような、そういうお手伝いをしない厚生省の幹部が実にけしからぬし、また、その点の問題だけでも五千百億幾らという問題、こういう問題については、四年ほど前に社会保障制度審議会の答申、勧告があって、そこに暫定試算表というものがついているわけです。ところが、歴代の厚生大臣に一々伺うと、ほとんど知らないわけです。その答申は総理大臣に行なわれておりますが、総理大臣は一回も続んだことはない。総務長官もそれを補佐したことがない。そういうようなでたらめなことをいまでやっておったわけです。これから鈴木さんの時代になったら、そういうでたらめを直していただきたいわけですが、ことしの予算は五千百五十七億、ところがこの暫定試算表というものがついた社会保障制度審議会の答申、勧告は、最低にしぼって、国の財政も全部しぼって考えて、どんなに少なくともこれだけはやらなければいけないという昭和四十五年度の目標を示したその昭和四十年度のところで、この五千百五十七億では最低の目標にぐっと離れるような状況になっている。厚生省はよく貨幣価値の変動をごまかして、相当やっておりますと言うのです、生活保護なんかも。制度審議会の勧告を守ってやっております。世の中にそういう悪宣伝をしておるらしい。ぼくらが突っ込むとへこたれて——貨幣価値で換算するとそうではありません。制度審議会のほうは、貨幣価値の変動がないものと見てその数字を出している。ですから、それは全然修正をしなければならぬ。世の中には人のいい人が多いし、そんなものも読まないから、度制審議会の勧告と同じくらいにやっている、いかにも厚生省が熱心にやっているように見えますけれども、そういうことではいけない。厚生省が熱心にやっているのは、いいかっこうをするというのではなしに、一生懸命やっているけれども、大蔵省はわからずやで、総理大臣がまだ理解が少なくてできない。国民の世論を厚生省自体にかき上げて、大蔵省にそういうことをわからせて、総理大臣も勉強させて、その制度審議会の勧告以上に厚生省がやるようにやらなければいけない。そういうことをほんとうに自己反省し、大臣にも理解してもらうことをしないで、五千百億あるから相当伸びたというような説明をしているようでは、日本の社会保障なんかとまってしまう。大臣もそういう点を考えていただきたい。五千百五十七億というのは、私どもが計算したところで、物価変動で全部修正しますと、社会保障制度審議会の暫定試算表の昭和四十年度の目標に比べて七六・七にしかなっていない。あの制度審議会では、各省の次官も入り、与党の方も入り、あらゆる権威者が入って、二年三カ月にわたって過去二百数回、延べ千時間の審議をしたもので、これでもっと希望をしたいけれども、いまの政府をもとにして、少なくともこれだけはどうしてもしなければいけないという答申の結果の暫定試算表、それがここでいまの予算だと七六・七%にしかならぬ。そうなると、制度審議会の少なくとも最低のところでも、いまより千七百億円ふえていなければならぬ。国家予算ですよ。国庫負担分だけ言っております。総費用ではなしに。そのくらいなんです。それを厚生大臣は御存じなかったと思うのです。御存じないのも無理はありません。厚生省の局長たちは、そういうような数字だけではなくて、そういうことを補佐する任務を怠っている。保険局長はむずかしい顔をしているけれども、そういう補佐をしていないわけだ。していると思ったら抗議をすればいい。そういうふうになまけているわけです。なまけているといっても、それは大蔵省の壁が厚いし、そういうことを言ったら大蔵省におこられる。そういうことがあるかもしれませんけれども、これは国民の問題ですから、大蔵大臣が何と言おうが、次官が何と言おうが、主計局長が何と言おうが、それは国民のためになぐり込みをするくらいの勢いでけんかをしなければならない。運動のしかたが足りない。決心のしかたが足りない。だから大臣が決心をしていても、補佐が足りないから、大臣がそういうことを言いにくいんですよ。だから、そういうことが、千七百億円一ぺんにことしふやしていただきたいということです。鈴木先生には、そういうことがあるということをぜひ理解していただいて、やっていただきたい。この前の予算の三割にとめるというときに、新聞で見ましたら、厚生大臣かなりがんばられたということで、私どもの一生懸命の努力がある程度厚生大臣の努力になってあらわれたと思うのですが、これはもう神田さんのときにはこっぴどく申し上げましたし、その前の大臣には三代ほど続けて言っている。五割の制限でもけしからぬと言っていのを、神田さんがへこたれて三割に制限された。へこたれておるから、こんな大問題を引き起こしている。神田さんのときに、あんなことでへこたれたから、そういう考え方で保険三法を組み立てて、世の中を大騒がせさせて、いまだにどうにもならないというそのもとは、あのような大蔵省だけのかってな、彼らの事務的なことを便利にするためのなまけた、怠慢なやり方からきているわけです。最後の査定はするでしょう。だけれども、その前に、便利なために最初の要求を五割にとどめてもらいたいなんというようなことは、ほんとうの大蔵大臣だったらそんなことは言えるわけがない。どこでも必要なものを出してきて、ほんとうに最後は財政でしぼらなければならない。一番最初の要求のときに五割にしぼらなければしぼりにくいというようなことは、すでに政治を忘れておるわけです。そんなことを一言でも言う者は大蔵大臣の資格はないし、そんなもの閣議できめるような総理大臣は総理大臣の資格はない。全部必要なものを出して、その中からどれを重点とする、どれをどうしなければならないということを審議して、最終的に予算のワクにしぼればいいのです。それを便利なために五割にとどめてくれ、またさらにそれを縮めて三割にとどめてくれ——来年の財政がいまの財政方針で苦しいことはわかっておりますが、どんなに苦しくても、十割でも二十割でも出さしたらいい。それをどの主張が正しいかということは内閣できめる。財政のワクに入れるときは全部査定するけれども、十割を認めることもあるし、百割を認めることもあるというようなことでなければ、ほんとうの財政の編成方針ではない。大蔵省がやりやすいから、全部五割にならせということが閣議でまかり通るということはけしからぬ。そういうことを各省の各大臣は言っておるけれども、なかなかやってこなかったのですが、鈴木さんはがんばられたそうで、その点非常にけっこうですが、がんばりが完全な形でなくて、一応三割に向かうような形にいま伺っておりますが、それについて経過をひとつ伺っておきたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 閣議の席上で大蔵大臣から、概算要求についての一応のめどをここに置きたいという御提案があったのでありますが、それに対しまして、私は、社会開発を政策の大きな柱にしておる佐藤内閣としては、社会保障に特段の力を入れる必要がある、特に厚生省の予算を見ておると自然増というのが相当ある、昨年はざっと見ましても、三十九年度から四十年度までの間に八百億近い自然増がある、そういうようなことであって、三割増のワクで抑えるということになると、自然増だけでもうワク一ぱいになる、これでは社会保障はちっとも前進をしない、こういうことになるので、社会保障関係の予算については特例として認めて、そして力を入れてやるべきであるということを申し上げた次第であります。これにつきましては、内閣全体としては趣旨を了承いたしておりますが、しかし、一応は、例外を認めるということになるといろいろ問題があるから、それは予算折衝の際に具体的に御相談をしましょう、こういうことになっております。趣旨は、総理大臣以下閣僚は十分理解ができておる、こう私は考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 その結果はこの前よりはましだけれども、ちょっと半歩前進したくらいのことで、それでは、しまいに財源が少ないからということでぎゅっと詰められると思うのです。ですから、これからも閣議は何回もありますから、佐藤さんが社会開発を言い——言わなくたって社会保障はやらなければならないのですから、何回でも、相手がどんなしかめつらをしてもこれを発言して、それを確認し、拡大をする方向をとらなければ、一応は鈴木さんの誠意のある発言に対して顔は立った形であっても、最後は、そうは言っても総ワクがあるし、どこの省も何とかかんとか言って、ほかの省がこれくらいで、厚生省はちょっとパーセンテージが多いのだからがまんしてくれということになりかねないわけです。ですから、厚生大臣の善意、熱意はわかりますけれども、これは執拗といわれるまで言って、それに対して、何回も、よけいなことを言うなということをもし大蔵大臣が言ったら、そこで開き直ってもとへ戻って、大体そんなワクをきめなければ財政方針をきめられないような大蔵大臣は資格がない、あなたやめなさいと言うくらいの意気込みでぶつかっていかなければ、最後はぐっと狭められて、十分なことができないことになるだろうと思う。そのくらいの意気込みでぜひやっていただきたい。最後のそういうほんとうの実額になるとき、財政的にしぼられるときには、厚生省がこれはどうしても通さなければいかぬということで、どうか大臣はじめ政務次官から、次官から、局長から全部集まって、通らなければ全部たたきつけるというような意気込みでやっていただきたいと思う。そのくらいの意気込みでないとこれは通らないと思う。そのくらいの決心をひとつ御披瀝をいただきたい。理由を言わないで結論だけを言ったからむちゃを言っておるようですが、理由のほうはおわかりだと思います。理由のほうはあとで申しますけれども、時間の関係で……。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 結局政治は最後の結論であり、実行しなければ意味ございませんから、ここで私が強がりを言ってもしょうがありません。しかし、私としては、四十一年度の社会保障予算には最善を尽くして取り組むつもりであります。  なお、この際申し上げておくのでありますが、社会保障の一番大きな柱でありますところの医療保障と所得保障の充実の問題、どうも医療保障のほうはある程度かっこうがついてきておりますけれども、所得保障の面につきましては非常におくれておる。厚生年金は、昨年、皆さんの御努力もございまして、一万円年金が実現したわけでありますが、国民年金につきましては来年が再計算の年でございますから、ぜひ厚生年金に見合って内容も改善をしたい、そして所得保障の面をもっと前進をさしたい、こう考えておるわけでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 短時間で、ちょっと質疑応答をしていますと時間がかかりますから、非常に僣越ですけれども、私の考え方をべらべらと言います。大臣、時間を延ばしていただければ十分やりますけれども、だめだとわかっていますので、それに協力するつもりで申し上げます。  いまの善意、熱意はわかるのですけれども、さっき一番最初にいきたかったのは、そこからいきたかったのです。いまの厚生省全体は、社会保険主義というものにとらわれておる考え方がある。これは全部大間違い。絶対に大間違いで、そういうことを言う学者は、厚生省に協力するという純粋な立場でなしにそういうことを言っておるわけです。社会保険主義というのは絶対間違いであります。憲法には社会保障ということは規定しているけれども、社会保険ということは一言も規定されていない。それは厚生省の大臣のあれなんかになると、社会保障は熱心にやりますとか書いてある。途中から社会保険の充実とかなんとか、すりかえてある。社会保険と社会保障というのは、一字の違いでも大違いだ。必要な人に必要な給付が直ちに必要な期間だけ十分にいく、それが社会保障であります。社会保険というものは、保険料とか掛け金というような性質のものを払って、その反対給付として、その割合に応じて受け取るというようなことがもとになったのが社会保険です。おわかりいただけると思います。もうとっくに御承知でしょう。そうなれば、社会保険主義ではほんとうの社会保障はできない。保険料の負担に十分に耐え得るような患者負担なんというのは、もってのほかですよ。こんなものは論外です。患者負担なんて考える者には社会保障を言う資格はないし、厚生省の役人の資格はないです。そんなことをちょっとでも考える連中は、全然資格はないですが、そこはおいて、次に、保険料の負担でも、保険料の負担に耐えられる人は金持ちだ。それを極端に言えば、金を一億も二億も持っていれば、一文も保険なんか要らないわけです。老齢についても病気についても要らないわけです。極端な場合でいくと一番わかりやすいですから……。ところが、保険料を支払う、それに応じて反対給付をするといえば、保険料負担に耐える人は、十分な給付をもらえる保険制度ができるということです。保険料負担に耐えない人は、不十分な給付しかもらえない保険になる。それでは社会保障にならない。それを社会保険だから何とか負担するのがあたりまえだというような、社会保障をひん曲げるような議論が世の中の三文学者に横行し、その影響を受けているのか逆に影響を与えたか知らないけれども、厚生省自体でそのようなことばがうかがえる。そのような考え方を払拭しなければいけないわけです。そういう点が医療保障にも所得保障にも全部出ている、そういうことであります。そういう点を厚生大臣はよく踏んまえて、お役人には勉強家もいるし熱心な人もいますけれども、いままでの悪い伝統で社会保険審議会がこうですなんて言ったときには、断じてそれをしかりつける。いままでの陋習にとらわれないで、ほんとうの社会保障の方向に進むように——一ぺんに社会保険を社会保障にせいと言っても、わが党ならできますけれども、いまの財政方針を五割くらい変えなければできませんから、一ぺんに変えろとは言いませんが、すべてのことを社会保障の方向に向かって現存の社会保険を変えていく。少なくとも、一時的にせよ社会保障の方向に逆行するようなことは断じて許さぬという方向で厚生大臣はやっていただきたいと思う。医療保障と所得保障は形態が違いますけれども、たとえば薬代の一部負担ということ、それを考えるような厚生省の役人は、厚生省の役人として資格がない。ただの一言も考えてはいけない問題です。そうして薬価負担をさせれば薬代の使用が少なくなるだろう、赤字が直るだろう、それは大蔵省の小役人が考えることであって、厚生省の役人の考えることではない。少し派生しますけれども、その薬代の負担が多いということが一つの原因になって赤字ができたのだということが、いま世の中の脚光を浴びておる。薬代の上がったことがいけないようなことのように、みんなは思っている。鈴木さんは思っていられないと思いますけれども、もし思っているとすれば大間違いです。薬代が多くなったということは、いい薬がひんぱんに国民に使われて、長い病気が早くなおり、なくなる命が助かったということの現象なんです。その裏返しで、費用が少し多くかかって社会保険が赤になったという現象がある。ところが、その裏返しの現象だけが言われておるわけです。赤ということは悪いことのように見えるけれども、国民の命を助け、健康を増進したことによる赤なら、その赤は悪いことではない。なぜその赤が悪いかと言うと、国が社会保障を一生懸命やらないで、いままで赤になるような国庫負担しかしなかったから赤になった。赤が悪いといえば、国の国庫負担が悪いということに直通すると考えて間違いない。それを、とにかく薬代を使い過ぎるというような理屈に惑わされて、本筋を誤ってはいけない。むちゃくちゃに悪いのは取り締まったらいいし、むだなことはなくすようにすればいいけれども、むだなことがあるという理由のもとに、悪用する人があるからという理由のもとに、大部分の善意の者を苦しめるような制度をとることは、政治全体の姿勢としていけないことです。国民を悪人扱いするような政治はいけないことです。これは政治全般の原理です。それとともに、社会保障においてそういうような考え方をして、薬代の負担を少しでも増せばいいということになれば、これは国民の健康を守るという社会保障の本義を忘れたということになる。ところが、そういうことが残念ながらいま横行しておるようであります。厚生省の人たちはそういうことではなくやっておられると思うけれども、世の中に押されて、少しくらいしょうがなかろうというような案をこの前つくられた。少しくらいじゃなく、だいぶやっておりますが、またどこかの答申でも少しくらいはしょうがなかろうという答申が出たら、大蔵省に交渉しやすいというようなことを考えているかもしれない。もしそんなことがあったらたいへんなことです。けれども、そういうことがあるのじゃないかと思う。一体大蔵省の交渉なんか何です。国民の医療保障を進めるために、厚生省は断じて社会保障の精神に従って進まなければいけないということです。所得保障のほうもそうです。——これは鈴木さん、あと五、六分だけにします。たくさんありますけれども、一つ、二つ例をあげますと、国民年金のことをおっしゃいました。全体の大ワクのことをおっしゃったけれども、これだけは鈴木さんに御答弁を伺いますが、国民年金法で、目の見える人が国民年金に入って保険料を払って、一年目の間に目が見えなくなった場合に、それは完全な一級障害——福祉年金じゃないですよ、拠出年金の四千二百円プラスあの高いところの障害年金がもらえる。ところが、十九歳のときにめくらになった人は、どんなことがあってもそれがもらえないわけです。十八歳の人ももらえない。厚生大臣の善意のあるお考えで言えば、十九歳で目が見えなくなった人のほうが、二十一歳で見えなくなった人より気の毒だということになる。ところが、厚生省のよけいな考え方、社会保険事故だから、保険制度に入る者は、入ってから後の事故でなければ給付の対象にできないというような、国民をごまかすようなとんでもない理屈を考え出して、憲法にもどこにも書いていない理屈を考え出して、十九歳から視力のなくなった人には、福祉年金なり障害年金は絶対に支給ができないというようなことを言っている。鈴木さん、それはいいことだと思いますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 具体的な問題につきましては私研究しておりませんが、いま国民年金審議会で制度全般につきましても再検討を加えておる段階でございますから、この問題もぜひ研究をしてもらいたい、こう考えております。  それから、先ほどの社会保障と社会保険の関係でございますけれども、低所得階層につきましては特別な配慮をしていくべきではなかろうか、私はかように考えております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 短時間に私の申し上げたことをある程度御理解いただいたような御答弁で非常になんですが、そういうことがあるわけです。  厚生大臣は時間がないそうですからやめますが、年金の点で、いま言ったような点は社会保険の害毒が一ぱいあるわけです。ところが、私はこの年金の中間答申を読みました。これもすぐ配らなければいけないのに、厚生省はなまけていて、要求してやっとこさっとこ間に合った。厚生大臣も読んでいられないと思います。これはぼやっと全体の金額のことだけ書いてある。そういうようなことについては一つも触れていない。はっきり言うと、有沢さんに申しわけないけれども、国民年金審議会というのは厚生省の審議会だけれども、年金については社会保険審議会のほうがずっと稠密です。だからそのいい面を取り入れたらいいけれども、この国民年金審議会の答申だけで足れりとするものではないということを、厚生大臣覚えておいていただきたい。これは関係者は知っていると思いますが、国民年金審議会の数回の答申と社会保険審議会の答申を考えれば、社会保険審議会のほうがずっと指摘している。ぼやっとしているのは厚生省の取り組み方が悪いからだ。だから、こういう問題があるがどうですかと言えば、りっぱに取り組んでやる、そういうような方向で大綱の下準備をしなければいけない。いまの低所属層の問題はどうですかというようなことを言えば稠密なものが出る。この審議会の中間報告でも、五千円、五千円で、夫婦で一万円出る。よさそうに見えても、国民年金の開始年齢は六十五歳です。厚生年金は六十歳です。主人が五千円で奥さんが五千円、合計して一万円で厚生年金と同じになる、こんなことじゃだめなんです。六十歳と六十五歳では金額が猛烈に違います。六十歳で出すならまだ八十点くらいやるが、こんなものは六十五点くらいです。ですから、審議会を一生懸命やられるのはいいけれども、審議会のものを逃げるようなことは一切許されない。審議会の答申があって、もっと社会保障制度についてよくするということは、厚生大臣よく考えなければならない。国民年金の問題については、厚生省を一回ほめておくと、制度審議会も年金の勧告を前にやった。あれは一番成績の悪い答申です。いままで八十点平均のところが、五十点くらいの答申を出したわけです。わずかに、やめた小山君が、五十点の答申を政府が六十点にした例がある。福祉年金、障害者や母子について全然配慮のない答申を出している。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 八木君、大臣は時間がありませんから、結論を……。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そういうことですから、審議会の熱心な答申は絶対に値切っちゃいけません。だけれども、それよりよくすることは厚生大臣の責任です。社会保障制度審議会、社会保険審議会でどういう答申が出るかわからない。しかし、その中の委員には、いま赤があるからしょうがない、政府がしんどいからと言う、つまらない意見を言う連中がおる。だから、そういう制度審議会の答申であろうと保険審議会の答申があろうと、国庫負担を三割増せということになれば、厚生省はそれでは少ない、五割増そうという勢いでやらなければならないというような決心でやっていただきたい、そういうことです。保険審議会では年金のことはあらゆることをやりますし、医療保障のこともやります。日雇労働者健康保険のことをなさったかどうかわかりませんが、こんなものは恥ずかしくて持ってこられない。そういうような案を厚生省自体が出しておる。ちびちびと二十二日の傷病手当を二十七日にする。そんな恥ずかしいものをなぜ出すか。出さないよりはましだけれども、五年ぶりで出したものが五日。なぜ政府管掌と同じように出すという決心をしないか。そういう点で、まことに熱心にやっておられる向きはありますけれども、いままで大蔵省に押しつけられた伝統に縛られているわけです。厚生大臣は各局長に、断じて大蔵省に負けるな、国民のためにがんばれ、いままでの陋習は全部やめて、三割の国庫負担のワクは完全に鈴木善幸の責任においてはずすから、今度の厚生省の要求もそういうことにとらわれず、国民のための計画をつくって出せというようなことを各課各局に鈴木大臣として指示をして、そしてその態勢を固めていただきたいと思います。その強い決心を伺っておきたいと思います。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 八木さんの御趣旨は十分わかりました。最善を尽くしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 医務局長にちょっと伺います。大臣が帰られましたので医務局長に伺いますが、この前の国会に社会労働委員会におきまして、いわゆる理学療法士及び作業療法士法案という長い名前の法律、それが上がるときに政府を代表して答弁があり、それから附帯決議がつけられたのです。一般の町で開業しているあんま師、はり、きゅう師、この人たちにPT、OTの資格を得る受験資格を与えるという点のいろいろの意見の開陳があり、政府側の約束があって附帯決議がついたわけです。それを実際にやるのは省令でやることになっている。いま省令が審議されておるが、この前の委員会の経過、結論、これを全部尊重してやっていただく必要がある。それについて局長いかがですか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 前国会できめていただきました理学療法士及び作業療法士法の附則におきまして、附則の第四項、受験資格の特例のところで、理学療法士、作業療法士の新たに出てくるものでなく、現在リハビリテーションの仕事をしておられる方々の特例としての試験を受けるという資格に、病院、診療所に働いておる以外の施術師と申しますか、そういうところで働いておられる方で、その他のいろいろの資格がございますが、これに該当するものを受けさすように省令で特例を入れろというようなお話だったと思いますけれども、その線で省令をつくりますように、いま審議会にもいろいろ御相談しながらこの線で進んでおります。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 審議会にいろいろなことを諮問されるのはいいです。しかし、政府が国会において約束したことは、審議会は何と言っても実行しなければいけないということになる。それをはっきりお答えいただきたいと思います。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 審議会でわれわれは国会でのお話の線を十分申し上げて、その線が実行できるように——実行できるものだと確信しております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 話が少しぼけましたけれども、その線以外の点は審議会の意見ということです。最高機関の国会で政府が約束したことは、それを審議会でチェックすることはできないということです。それはあなたの御意見を求めているのじゃない。あなたに、審議会は国会で約束したことをチェックするようなことは許されないということを申し上げておきますから、はっきりしておられるかどうか、お答えいただきたい。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 審議会の御意見がいろいろございましても、国会で大臣がお話し申し上げました点、これはわれわれ行政府に働く者として実行するようにしております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そういう精神でやるということを言われたのですが、その精神の内容になるわけですけれども、あんま師、はり、きゅう師の方がある程度以上医師の指示でそういう療法をやっている、そういう人には受験資格を与えるということですが、ある程度以上というところはどこになるか。私もよく覚えておりませんが、私が数字を例として申し上げてその質問をして、政府が答弁をしておられますが、その線でやっていただきたいと思うのです。そこで申し上げたように、健康保険の扱いの請求ですが、非常に点数が少ないために、手数や旅費のほうが大きくなるから、医師の指示のもとにそういう施術をやっても健康保険の請求をやっていない例が多い。問題は、医師の指示のもとにそういうことをやっておったということの実質が問題でございますから、非常に複雑な問題でございますが、健康保険の請求点数でなしに、実際に医師の指示でやったということを、たとえばそういう団体の人たちを信用したやり方によって、そういう判定をするというふうにしていただくのが至当だと思います。これについて……。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 たしか一年二百例だというような先生のお話があったと思いますが、医師の指示のもとにリハビリテーションの仕事をやっておったということをどういうふうにして証明するか。団体でお互いに証明するのがいいのか、指示をした医師がやるのがいいか。保険でやるのが一番いいじゃないかと思いますが、そういうような要望につきましては、われわれとしては十分御趣旨の線でやっていくようにいたしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大体御答弁でけっこうですが、私は自分で言った数字を記憶しませんけれども、いまその団体の中でみんな相談して考えた点では、年間五百例くらい以上を認めてほしいという状況だそうです。そういう点は、これは実際にやった人が一番よく知っているので、そういう点を基準にしてお考えをいただきたいということと、それから、ただいまおっしゃったような団体の証明なり医師の証明ということが一番具体的だと思います。そういう方向でひとつお取り計らいになるようにぜひお願いしたいと思います。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 証明力の問題とか例数、またリハビリテーションのどういうような仕事をやっているか、かなり具体的な問題になりますと、私どもここですぐどうということを申し上げかねますので、審議会のほうとはかりまして、先生の御趣旨の点をよく審議会に伝えまして検討していただきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大体それでけっこうです。とにかく試験を受けさすのですから、それによって技術の変なものが入って困るということはないのです。ですから、これはそういう団体の要望を聞いて、試験の結果悪ければ、資格がないからそういうことはできないということになるのです。すぐそういう資格を与えるわけでないから、そういう団体の意見、要望を十分にいれていただきたい。  それからもう一つは、審議会がございますが、その定数は五十四名という話でありますが、そうですか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 五十一名でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 五十一名だそうでございますが、いまきまっているのは何か十四、五人だというふうに伺っております。そうですか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 この審議会の中に二つ部会がございまして、審議部会と試験部会——審議部会のほうにおきまして、試験をやる方法とか方針とかいうものをきめております。実際に試験をやる、実際に試験問題を出すとか実際に当たってもらうものは、試験部会のほうでございます。審議部会のほうの定数は十五名ということになっておりますが、現在十四名で、一名欠になっております。この一名は、なぜかと申しますと、これは関係者の方をぜひ入れるように、こう思ったのですが、この方は試験を受ける意思がございますので、試験を受ける方が試験委員になることはいかがかということで、いまあけております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そこで、要望申し上げたいことがある。いろいろ問題があろうと思いますが、このPT、OTの問題は、問題の性質上、はり、きゅう師の仕事と非常に密着しているわけです。それで十何名のうち一名ですから、町で開業している、病院のマッサージ師も必要でしょうが、そういう代表を入れて、こっちのほうの意見も入れるようにぜひ御配慮を願いたいと思いますが、それについてひとつ……。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 御趣旨のような点がありまして、一名あけているわけです。現在すぐ入れないのは、試験を受ける意思があるので、受けたい人を試験の方法を考える側に入れることはいかがかということで、将来入れることになっております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 もう一つ。PT、OTのほうは、視覚障害者も受けられるように法律はなっております。試験を受ける方が点字の受験ができるというふうにぜひしなければ、これは全然仏つくって魂入れずということになろうかと思います。その試験のほうをどうするということをひとつ明らかにしていただきたいと思います。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 点字の関係は、いま審議会のほうに、ぜひ、普通の文字で書くところを点字で書くというふうな方法で、できるだけ目の悪い人も受けられるようにやりたいということを言っておりますが、試験のやり方自体、はたしてそれだけで目の悪い方が全部受けれるようになるのかどうか、この辺を多少心配しまして、できるだけ受けれるような形に試験を考えたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 時間がありませんし、委員会に協力しなければなりませんからやめますが、こういういろいろなことで熱心に努力して、この点で国民の健康を守っていく団体ですから、その団体の意見を局長なり次長なり担当者が十分に聞いていただいて、十二分にその希望が入るように、あなた方がおっしゃっているように試験を受けるということですから、まずい者ははねられるわけですから、十二分に今後、そういうことについては、その団体の意見を聞いて、いれてやっていただくように御配慮を願いたいと思います。それを一言伺っておきたい。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎説明員 できるだけ各団体の御意見を十分お伺いする、これはわれわれも劈頭からそのつもりでおりますので、将来ともそういうふうにいたしたいと思います。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は九月三十日、木曜日午前十時より開会することとし、散会いたします。    午後零時五十五分散会

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