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49回国会衆議院1965/08/10

社会労働委員会 第3号

発言数
141
登壇者
9
会派数
3
開催日
1965/08/10

会議録

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の母子保健法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 母子保健法案の昨日の続きで、少し逐条的なところをやらしていただくわけですが、第七条でございます。実は私たちは児童福祉行政の中の児童福祉審議会でいままで母子保健のことをやってきておるわけですが、今後もなお母子保健のことを各段階の児童福祉審議会でやるということについては問題がある、この際母子保健審議会というような独立の審議会をつくって、そして母子保健行政の推進をはかるべきであろうという主張をしておるわけです。この点について一体政府としてはどういうおつもりで、児童福祉審議会というような児童福祉法の中の借りもので母子保健をやることに決意をしてきたのか、その点を明らかにしておいていただきたい。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 現行児童福祉法におきまして、児童及び妊産婦の福祉に関する事項の一分野といたしまして、母子保健に関する事項についても児童福祉審議会がその専門的な審議機関の役割りを果たしておるわけでございます。この法案を提出する際にあたりましても、児童福祉審議会の中に母子保健に関する特別部会を設けまして審議をいただき、その中間報告をもちましてこの法案の作成に当たった次第でございますが、今後の問題といたしまして、児童福祉審議会の中でやるか、あるいは単独に母子保健審議会をつくるか、こういう問題につきまして検討をいたしたわけでございますが、審議会につきましてできるだけ今後ふやさないという政府の方針もございますし、また実際上の問題といたしましても、母子保健と児童福祉の関係が非常に密接でございます。たとえば例をあげますと、心身障害児の予防という面からいたしましても、母子保健の問題が非常に関連が深いわけでございますので、そういった観点からいたしますと、児童福祉審議会の中で特に母子保健に関しての専門的な委員をさらに拡充いたしまして、児童福祉審議会の運営によってやっていきたいということを現在考えている次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、都道府県段階までは児童福祉審議会は必置でしょう。必ずつくらなければならぬという義務があるでしょう。そうすると、市町村段階は任意設置なんですね。現在一体市町村段階に児童福祉審議会というのが、全国的に見たらどの程度設置されているのか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 都道府県におきましては、それは必置でございますが、市町村におきましては、御指摘のとおり任意でございます。この点につきましては、現在手元にございませんので、さっそく調べまして御返事いたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 おそらくいままで児童福祉行政というものの中の母子保健については県までしかやっていないわけです。市町村段階は積極的にやっていない。そうしますと、市町村の児童福祉審議会の設置というものは、そんなに全国的にきちっと系統的にできているものじゃないと思うのです。そうしますと、今後あなた方は、法律のこの目的を近い将来達成しようとすれば、市町村の児童福祉審議会を県と同じように義務設置にしないと、今度は県から市町村に本格的に移管する場合に支障を来たすことになる。そういう意味で、私はこの法律の中に、八条ですか、ちょっと条文がすぐ見当たりませんが、とにかく必置でないわけです。したがって、これをやはり義務設置の方向に持っていくことが必要ではないか。この点については、こういう審議会をつくってもその経費はわずかなんです。わずかしか要らないわけですよ、三十万かそこらを計上しておけばいいわけですから。こういう点についてあなた方はどう考えておるのか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 市町村の児童福祉審議会につきましては、現在児童福祉法においては任意でございます。しかしながら、母子保健法によりまして市町村に移譲する、こういう内容でございますので、これは市町村におきまする母子保健事業の実施の推移を見まして必置するかどうかということについて検討いたしたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 義務設置にするかどうかということは検討するわけですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 さようでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ようやく思い出しましたが、児童福祉法の八条は「置くことができる。」となっております。だから、当然これは今後本格的に母子保健行政というものを、市町村段階を強化していくということになれば、やはり義務設置にしないといかぬですね。これは与党さんのほう、金がかからぬと思うので御協力をいただかぬといかぬと思うんです。だから、これは附則でほんとうは直しておく必要があったわけですよ。ちょっと上手の手から水が漏れておった。  それから、この八条で、母子保健の行政について保健所の所長が必要な協力を行なう、こういうことになっておるわけです。具体的にその協力というのはどういうことになるのか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 これは主として都道府県の設置する保健所の場合でございますが、保健所の管内が相当広いということがあります。そういった場合に、ここに規定しておりまする市町村の仕事につきまして、必ずしも専門的な技術職員が得られないというような場合、あるいは開業医の先生方、助産婦の方、こういった方の協力を得にくい場合もございます。そういった場合につきましては、保健所がたとえば移動保健所といったような形で実際に応援をする。また管内の市町村の運営につきまして保健所が共同保健計画というものを作成する際に、市町村の衛生担当の者につきまして母子保健に関していろいろ指導をする、こういうようなことを内容として考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いまのおことばで言うと、日本の保健所はオールマイティみたない感じがしますが、実際は、特定の保健所はそうでもないのですが、いなかのほうの保健所に行くとかんこ鳥が鳴いておる。たいして人が来ていない。そういう意味で、ここらあたりは保健所自身が今度のこの法案を契機としてやはり再検討してみる必要がある。そうして本格的に政府が——私は、やはりときどき人間というものは便乗することも覚えておかなければいけない。佐藤総理が人間尊重を言ったら間髪を入れずにやはり保健所を強化する、こういうことを言われなければいけないと思います。これはあなた方だけではなく医務局長にも来てもらって、ほんとうは一緒に言うておかなければいけないと思いますが、そういうように間髪を入れず便乗することがないんですよ。あまり便乗してはいけないが、大事なところは便乗すべきであると思います。総理が人間尊重と言ったら、まずそれは保健所の強化だ、保健所の現状はこうじゃということを新聞にアドバルーンを上げなければうそですよ。保険局その他はうまくアドバルーンを上げるが、あなた方はアドバルーンを上げるのが非常にへたですよ。そういう点はもう少しじょうずにアドバルーンを上げて、いまのような大事な問題は——いま河野さんという声がうしろであったのだが、なくなられた河野さんのようなアドバルーンの上げ方をしていただきたいと思います。  それから、この九条の二項で、市町村長が医師以下栄養士に至るまでの非常勤の職員を知識の普及その他に活用することになっておるわけですね。私はこれはきちんとした母子保健に対する主体というものが確立されて、その上でこういう人たちに協力を得るということになればいいと思うのです。ところが現実には保健所に主体が確立されていない。あるいは主体があってもそれが非常に脆弱である、あるいは全国的に母子健康センターというものが、保健所の手の届かない市町村に整備されていないという段階で、医師以下栄養士に至るこれらの非常勤の職員の協力を得るということになってしまうと、これが主体になってしまう。そうしてあそこの町には医師の薬剤師も歯科医師も保健婦も助産婦も看護婦も栄養士もみんなおる、だから専任は当分置かないでいいじゃないか、金があったら巡回訪問にでも使えというような安易な道に流れる可能性がある。だから、私は初めからこういう「業務を行なわせることができる。」という軽いものが本筋になるおそれがあると思う。こういう点は、在野職員の積極的な活用ということは、主体が確立をした上で行なう、こういうことでなければいけないと思いますが、あなた方の所見は一体どうですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 市町村長に母子保健の仕事を移譲いたしまして、その実際的な保健指導あるいは訪問指導、そういうような実際の運営につきましては、ここに掲げてあります専門の技術の方々に非常勤としてお願いする。それは各市町村にそういう専門の方々を設けること自体非常にむずかしい段階でありますので、私どもとりあえずこういうものをやりたい。  なお、市町村の中にそういう主体と申しますか、母子保健に関する組織というものが必要であるということは私どもも同様に考えておるわけでりあますが、それは来年度以降その職員の充実ということにつきまして努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それならその第九条の知識の普及というものを市町村長がやる場合に、具体的に一体どういうことをやることになるのですか。たとえば家族計画とか、それから結婚前の指導とか妊娠、出産、育児等の知識の普及というようなものを市町村長が個別的、集団的に指導助言を行なうときには、一体具体的にどういうことをだれがやることになるのか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 集団的指導及び助言と申しますのは、市町村長の主催のもとに地域婦人会等を中心に、講演会、講習会等を開催いたしまして、母子保健に関する一般的知識の普及、伝達をはかる、あるいは青年会あるいは職場、こういったところを通じまして、主として未婚の男女を対象に、家族計画、受胎調節、母子栄養等につきまして知識を普及する。もちろん個別的な指導助言につきましては、受胎調節の具体的な方法を個別的に普及をするということでございますが、だれがやるかということにつきましては、管内の専門のお医者さんを主体にいたしまして、助産婦の方、保健婦の方を活用していきたい。またそういった面につきまして適当な人が得られない場合は、第八条の保健所の協力によりまして実施していきたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大体いままでそういうことをどの程度おやりになっておるのですか。たまにアサヒグラフを見ると、農村では一番受胎調節の話に花が咲いているんだ。しかしそれもどこか一カ所か二カ所の特定なモデル地区の状態が出ておるだけであって、全国的にいまのような地域婦人会とか青年会とか職場とか未婚の婦人とかというような人たちに、そういう専門医が続々と講習会をやっておるなんということを聞いたこともないわけですよ。たまにアサヒグラフその他にモデル的に載っておるのを見たことがあります。それから受胎調節の話はわりあいみんなよく聞くのですけれども、それだってそう計画的に行なわれておるわけではないわけです。そういうことがどの程度行なわれていますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 具体的な数字はまた資料としていろいろ準備したいと思います。保健所の活動として、あるいは市町村の活動といたしまして、赤ちゃんのコンクールというのがよく行なわれておるわけでございますが、そういった機会あるいは三歳児検診の場合、それからまた栄養指導という場合には、重点的に母子の栄養というような問題が出てくるわけでございますので、こういった点につきましては、都道府県及び市町村においてもかなり実施されておるというふうに聞いております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 かなり実施されておるということを聞いておるということで非常に主体性がないわけですが、問題はそういう講習会やその他をやるためには市町村にそういうことを専任にやる職員が必要なんですね。そうすると問題は、今後県から市町村に移していくからには市町村に専門の職員というものを確保しなければいかぬです。一体確保の見通しというものがあるのかないのかということです。御存じのとおり、いまは公衆衛生をやろうという医者は非常に少ないのですね。少ない中からまず心棒のそういう技術者というものを持ってこなければいかぬ。そしてその心棒に協力をする保健婦とか助産婦とか看護婦、栄養士というものをもってこなければいかぬでしょう。栄養士はわりあいおりますよ。ところがこれが看護婦、助産婦となるとどっこいそうはいかない、いないです。これがいま御存じのとおり医療機関は給料が安いのです。斜陽産業とまではいかないけれども、午後三時か四時くらいの産業です。そうすると、それよりかもっと高い初任給で雇う産業が幾らもあるからみなそこへ行ってしまう。そうして助産婦、看護婦、保健婦等に来る人が少ないということになれば、これは市町村のそういう専門職員と中核になる医師、歯科医師、薬剤師を配置するということが非常に困難ですね。ここらあたりの見通しというものを行政をやるからにはっけなければいかぬわけですよ。そうでなければ結局普通の事務の職員がきわめてビジネスライクにこういう問題を処理することになる。人間の問題をきわめて機械的に、事務的に処理しておると、これは赤ちゃんの死亡率を減らそうと思ってやったことがかえって死亡率は横ばいであったということにもなりかねないわけですね。だからそういう点、一番かなめの職員の確保というものについてどういう考え方をあなた方は持って母子保健行政というものを推進するつもりか。これは修正をされて県段階になっても根本の考え方は同じです。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 専門的な職員を市町村に設置していくということにつきまして現在非常に困難な状況にあることは私どもも承知いたしておるわけでございますが、しかしながら、私ども市町村に移譲してやっていくという場合に、現在国民健康保険で持っております保健婦の方々の専門的な知識を十分活用していく、またその援助を仰ぐ、こういうような考え方があるわけでございます。御承知のとおり現在市町村で国保の保健婦は、その設置状況が約七〇%近くあるわけでございますし、そういった方々の御援助をいただいて母子保健の仕事をやっていく。もちろんこの法案が成立いたしまして市町村へ移譲されるその暁におきましては、市町村自体の保健婦の設置も進めてまいりますけれども、とりあえずこういう職員の問題といたしましては、事務的な職員あるいはいま申し上げました保健婦の設置ということにつきましては、ことしは交付税その他でも残念ながら実施できなかったわけでございますけれども、来年度以降につきましては職員の設置について努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 問題は、まず市町村に確保するということと、いま一つは、確保しようとしても人間が不足をしておるということ。問題が二つある。市町村が確保するためには、初任給その他が他の産業における給料と負けないだけの初任給を十分出す、こういう形でないといかぬわけです。そうしないと優秀な人が集まってこない。それからいま一つは、こういうものになりてがなくなったというもう一つ根っこの根本の問題がある。この二面を同時に解決していくためには、よほどの努力をしないとそうはいかないわけですよ。こういう点についての努力というのが、もうここ数年来不足をしておる。われわれが代議士になったときから六割から七割程度の充足率です。そのままでしょう。それがずっと九割とか一〇〇%充足したためしはない。むしろいまは充足率が減る可能性がある情勢です。だから、そういうときにこういう行政をおやりになるのですから、さらにそういう専門技術者を県段階から市町村段階に拡充しなければならぬ。ところがそういう客観的な情勢というのは非常に困難な情勢にある。だからこれを乗り切らなければ、法律をつくったけれども魂が入らない。魂が入っても、血と肉が通わない。躍動する母子保健行政ができない。だから、躍動する母子保健行政をつくろうとすれば、まず魂に匹敵する人間を確保する形をとらなければいかぬ。そのためには予算を持ってこなければいかぬ。こうなるわけです。それが三分の一の補助そこそこじゃどうにもならぬですよ。昨日も言ったように、佐藤総理のお声がかりで、僻地の子供に給食をやろうとした。これが総理のお声がかりだからできるかなと思ったら、市町村のほうで、私たちの負担する金がありません、こうなってきた。そこらあたりはもう少し考えていただいて、ひとつ児童局にもがんばってもらいたいと思います。  次はこの十二条の三歳児検診です。現在三歳児検診の現状というのは一体どのようになっておるのか、それをちょっと簡単に御説明願いたいと思います。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 三十八年度の三歳児検診の状況でございますが、三歳児検診を受けます対象といたしましては、約百二十万あるわけでございますが、実際に受診をした子供は七十三万で、大体六〇%というのが受診率と申しますか、受診した人たちでございます。その実施につきましては、栄養の問題及び身体の発育状況、目、耳、鼻とかいうそういう身体の各部にわたる障害、それから言語障害、精神発達上の障害、こういったような点について診査をいたしておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、今度母子保健の法律が独立をしてあなた方が情熱をもってやるということになると、この七十三万——百二十万の対象に対して七十三万、六割というものが拡大をする見通しが出てくるのかどうか、しかも拡大をするとすれば、どの程度の金がいまより要ることになるか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 この法案によりまして市町村へ移譲するわけでございますが、これはできるだけ住民に近い段階において責任を持って仕事に当たっていただく、こういう趣旨で移譲をするわけでございます。したがいまして従来六〇%程度の受診率であったわけでございますが、これは市町村の努力によりまして、この受診率がもっと上がるということを期待いたしておるわけでございます。  また予算につきましても、そういった面につきましては地方交付税でありますけれども、従来以上の地方交付税の基準財政需要額に算定してもらっている、こういう次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 三歳児検診を現状で六割しかやっていなくて、あとの四割はやっていないわけですね。これを実効あらしめるためには、——予防接種、たとえば種痘その他の予防接種だと八割ぐらいいくでしょう。たぶん八割ぐらいになっておると思うのです。予防接種ぐらいには上げなければいかぬと思うのです。そうしますと、六割というのでは、この十二条から十三条のように、一歳、二歳というものもやる。これは必ずしもそれほど人口に膾炙していないです。知れ渡っていないです。しかし三歳児検診というのは相当知れ渡っているわけです。その三歳児検診というのが六割しかできないというのは一つの問題だと思うのです。少なくとも母子保健行政の筋を通していこうとするならば、何といっても三歳児検診というのは非常に大きな筋ですよ。もう五つぐらいになると、こういうことを知らなくなっちゃう。こういうことをやるのは三つまでですよ。われわれが学生のときは先天性弱質、下痢、腸炎、肺炎というのが一番死亡率が高かった。いまや子供の死亡率というものはずっとあとになっておるのでしょう。脳溢血、ガン、心臓病ですよ。それからいわゆる交通事故その他のアクシデントですよ。そうしてそのあと二つ三つくらいに結核と子供の病気が並んでいるわけです。しかし、世界的に見れば、子供の死亡率はなお高い。今度の厚生白書というものは、あまり政府の批判をしておこられたので、国際的な比較というものを中核に出してきている。そうすると、国際的な比較のところまでいく前に、まず日本の国内における児童のいろいろ大衆的、集団的に処置をやる予防注射その他と検診とを比べてみる必要がある。国際的にやる前に国内の他の児童を取り扱う問題と比べてみると、これは予防接種に比べてみたら、低いわけですよ。たとえばポリオのワクチンの注射ということになると、わんさと並んでくるでしょう。やはりあれくらいの魅力をこの母子保健における三歳児の検診に持たせる必要がある。これを一体どうして持たせるかということです。それは赤ちゃんを見るのに優秀な医者を持ってくるということです。それから常時の啓蒙宣伝というものが行き渡っているということですよ。こういうかなめかなめ、ポイントポイントをきちっと押えた政策というものをやらなければいかぬ。たとえば、われわれのところでやるのに、赤ん坊会というものをやります。わんさと押し寄せてきます。しかし、それは九大の遠城寺教授という、福岡県においては名前がすみずみまで知れ渡っている有名な医者が、全部の子供をみずから手にとって見てやり、指導してやる。そうして悪い子供は残して、さらに詳細な相談に応じよう、なお手が要るならば、大学に来なさい。こういう二段、三段の手を打ってやるから、もう引く手あまたです。一人のお産婆さんに、あなたの推薦する人数は十人ですよとか、二十人ですよと割り当てておっても、それが今度は五十人割り当てしてもらわなければ困るといって、産婆さんのほうから主催者側に申し込んでくる形になっておる。こういう形に三歳児検診がならなければうそですよ。天下の母親がきゅう然と三歳児検診に集まった。こういう盛観な状態をつくるだけの情熱をこの十二条にぶち込んでもらわなければいかぬ。そのためにはもう少し金を出さなければうそですよ。現状は六割でしょう。六割でいっている金は三分の一で三千三百八十万でしょう。百二十万の次代の日本を背負う子の中から総理大臣が出るかもしれませんよ、厚生大臣が出るかもしれませんよ。将来の日本を背負う百二十万の子供の中で検診を受けている者は六割しかいない。そうすると一歳や二歳のときはこんなに来ないのかもしれない。市町村によっては、義務制ではないから、やらない。そうすると、三歳児検診というものは、生をうけて初めて大々的な国家的なみずからの肉体の検診を受けるいわゆる第一関門ですよ。ここをきちんと母親を教育し、そういう習慣を日本国民につけるということは非常に重要なことなんです。そして今度は第二段階で、小学校に入学するときにもう一ぺん体格検査をやるのだから、そこで六歳の検診というのが出てくるわけでしょう。昔は、それから二十歳に徴兵検査があった。もう今度は徴兵検査はないのだから、ここいらあたりで三歳児その他を中心にして何かつくっていく必要がある。昔のことはともかくとして、三歳児の問題をどうするか。これにたったの三千万円ということはなさけないと思う。他の政策はともかくとして、ここいらあたりには全部国がこれを持ちますと、社会党の天下なら言いますよ。自由民主党さんですから、まあこの際三分の一を二分の一くらいにふやしたらどうですか、これが非常に謙虚なわれわれの主張なんです。これについて、一体あなた方はどうお考えになっておるのかということです。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 三歳児の検診につきまして、現在六〇%程度の受診率でありますことは、まことに残念なことだと考えておるわけでございますが、この市町村への移譲によりまして、こういう三歳児の検診につきましてもっと活発に行なわれるということを期待いたしておりますし、ただいまお話がございました予防接種等に劣らないだけの受診率に上げたい。これには、お話がございましたけれども、優秀な医師というのが確かに魅力のあることでありますし、母親たちの信頼を得るということがその三歳児検診の一つの魅力になるのじゃないかということは、私も全く同感でございます。現在三歳児の健康診査につきましては、この第九条によりますPRということも非常に大事なことは御指摘のとおりでございまして、両々相まって今後の三歳児検診につきましての運営ということに努力をいたしたい、かように考えております。  現在、予算におきましては三千三百万でございますが、約一億の全体の事業費になるわけでございまして、今度の四十年度の交付税につきましては、これをさらに内容を充実したものにいたしたい、こういう考えで検討いたしておるわけでございますが、大体交付税の基準財政需要額といたしましては二億程度の算定をいたした次第でございます。この点につきましては、地方交付税では、交付税という形で必ずしもひもつきではございませんけれども、算定の内容としては従来よりも充実した内容であるということを申し上げたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 やはり政策にはどこか一つ筋が入っていることが必要だ。そうすると、母子保健で子供のところで一番力を入れるというのは、いままでの慣例から見ていくとやはり三歳児のところだと思う。これを必ず検診をしなければならぬというふうに義務的に格づけをしたからには、やはりそこに集中的に人と金を一ぺんつぎ込んでみる、そして子供の実態を把握していく、そして疾病と見られる者あるいは股関節脱臼その他があると見られる者については適切な処置をそこで与えていくという形をとるためには、相当の啓蒙宣伝費が要るわけですね。その第十二条をいまのように啓蒙宣伝してやるとすれば、当然結核予防との関係が出てくるわけです。一体いまの三歳児検診では、ツベルクリン反応やBCGをやりますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 BCGあるいはツベルクリン反応の問題は結核予防法で処理するわけでございますので、三歳児検診の内容には入っておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そこで、いまごろやるとすれば、母親は忙しいのに暑いところを子供を背負って来るわけです。そのときに、やはりからだを見てやるだけでは意味がないのですね。やはりツベルクリン反応をして、そしてもう一ぺんBCGをやるという総合的な検診体制をとる必要があるのですよ。これはやっているところがあるのです。検診をやり、あるいは体重をはかったり股関節脱臼その他皮膚病を見る、内臓も見るということのほかに、同時に今度はツベルクリン反応をやって、そして日をおいてBCGもやる。ここまで三歳児検診が結核予防法と一体になって総合的に行なわれる形になりますと、魅力ができてくるわけです。やはり六〇%をあなた方が上げようとすれば、単なる検診だけでは六〇%は上がらないです。いまごろやるとすれば、やはりこれから夏にかかってポリオが流行するから、ポリオの予防接種も一緒にやってあげるとか、あるいはいま言ったような結核——一番やはり結核がいいと思う。ツベルクリン反応、BCGを一緒にやる。そうするとこれはやってきますよ。どうせ行かなきゃいかぬのだから。そういうように何かくふうをこらして、大きく三歳児検診というものにアドバルーンを上げてみる必要があるんですね。そうして思い切って国から金をもらう。こうなれば、あなた方の母子保健の職員だけじゃなくて、結核予防のほうの職員も一緒に来てやるわけですからね。われわれが赤ん坊会をやるときには助産婦会と医師会が一体になってやります。助産婦が全部出てきますよ。それから医者もほとんど全員、午前中と昼からと二交代でやるわけですね。そうして千人ぐらいを一挙にやってしまう。それはいま言ったようにたくさんな人が来てやるわけですから、さっと簡単には見られない。相当丁寧に全部の人を計量から何から全部やって、そして悪いところは、どこが悪いということはちゃんと医者が見て書いておるわけですから、その最後のカルテが主任診査員の遠城寺教授なら遠城寺教授という小児科の権威のところに行けば、要点はちゃんともう書いてきておるわけですからすぐわかる。そしてそれをさらに丁寧に見る。そうすると千人おってもその中でほんとうに悪いというのはこれは一割もいないです。その一割ぐらいの者を、今度は教室の助手も全員連れてきて見る。こういうことをやるから、人口二十万かそこらの中で何か特異の病気を持っている子供というものはほとんど出てきている。もちろんその千人の中には非常に健康で優秀なものも出てきています。こういう形のものを少し金を入れて、これは医師会主催でも国が主催でもいい。あるいは医師会、助産婦会に国が金を出してやらせてもいい。やり方はどちらでもかまわない。そうして全国的にそういう形のものを——ある程度の日にちと優秀な小児科の医者を主任に持ってこなければ集まらぬですから、といってそんなに千人も二千人も優秀な小児科医おるわけでないから、何十人、何百人でしょうから、そういう人を中心にして全国的に北海道から鹿児島まで一つの三歳児の検診波をつくってみたらどうか。やっぱりそのくらいのあっというようなことをひとつ竹下さんどうですか、おやりになる必要あるですよ。それには来年度予算にひとついまから要求して、社会党のやつがなかなかうるさい、ひとつぜひこれはやりたいといって一ぺん一億円ぐらい取ってやってみたらどうですか。あんまりけちくさいですよ。いつもいつもあなたの児童局というのは痛めつけられておるもんだからスケールが小さくなって、そうしていま日本の子供がその姿になっておる。どんどん背は伸びるけれども体力がないでしょう。いわゆる朝はコッペパンかパン、昼はインスタントラーメン、これではオリンピックに出ても耐久力で日本人は負けちゃうです。だからやはりずっとからだが上に伸びたら、日に当たらないモヤシのようなからだではなくして、やっぱり背も高くがちっとしているという子供をつくってもらいたいんですがね。そのためには、どうですか、いまのような、来年度は全国的にはできないでしょうから、少なくとも何県かをとってやってみる。八月十五日になったら、大東亜戦争を思い起こしてということで慰霊祭をおやりになることになりましたが、あれと同じですよ。ひとつ一億くらいの金をとって全国的に五、六十か百カ所くらいそれをやってみる。そうするとずいぶん違う。なるほど厚生省はこれは母子保健について本腰を入れだしたなということを市町村が見ると、県でなくてもわれわれにひとつもらおうかという気持ちがきゅう然として下から起こってくる。どうですか。そういう形をやる意思はないですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 三歳児検診につきまして適切なお話でございます。私どもも来年度の問題につきましては御趣旨に沿いまして努力をいたしたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これは大臣答弁をもらわなければならぬところだが、お二人で相談してやられたから……。それからこの三歳児検診の費用の問題ですが、いまBCGなりツベルクリン反応まで一括してやってもらうということになると、医師とか看護婦とか事務員とかというのの雇い上げの経費、こういうのが相当かかるわけですね。それで自治体としてはいま一回二十万円くらいですか。きのう十万単位で四十三万くらい計上しているといわれましたから、十万単位で結局二十万かそこらしかないわけですね。その二十万ぐらいでは、——交付税で今度四十三万計上している。実際はいままでの倍です、こうおっしゃるけれども、二十万かそこらで一体できるのかどうかということですね。今度は経費ですけれども……。いま非常に安いお金でそれぞれみんな協力をしているわけです。医師にしても看護婦にしてもみんな協力をしてもらっておるわけでしょう。ところが、これをやはりある程度のお金を払ってやるということになると、いまの経費では非常に不足をしているということになるじゃないか。こういうことを本格的におやりになろうとすれば、やはりサービスばかりを長く続かせたのでは長続きしないですね。一回か二回ならサービスしますよ。しかしこれを恒常的な、定期的なものにして、地域社会に根をおろさせようということになると、相当のものを支払ってやらないと快くやらないですね。やってもそれが非常に粗雑になる、こういう関係があるわけですね。その経費の関係というのはどういうことになっていますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 現在三歳児検診の費用として、本年度判定いたしましたものは、三歳児検診にあたりましての必要な医者、心理判定員、看護婦こういった方々の雇い上げの費用、報酬でございます。それから、歯科を含めましての薬剤の関係の、たとえば試験その他を行なうための費用でございます。それから、三歳児検診を行ないました結果として、異常が発見された場合に、精密検査の必要な子供が出てくるわけでございますが、この精密検査の委託費、こういったものが内容でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この母子健康手帳ですが、市町村長が妊娠の届け出をした者に対して厚生省令の定むるところで母子健康手帳を交付しますね。この費用はどこが持つのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 四十年度におきましては、市町村が費用を持つわけでございまして、この費用はやはり同じく交付税の内容として入っているわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いままでその経費はどこに入っておったのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 従来は児童福祉法によりまして、都道府県が費用を持っておったわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、もし運営の主体を県に返したというような場合には、母子健康手帳の費用というのはどうなるのです。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 都道府県が持つことになります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、もしこの運営主体を県に返した場合は、いままでと同じことになりますね。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 さようでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は十七条の、妊産婦の訪問指導についてでございますが、この二項で、「都道府県又は保健所を設置する市は、妊産婦が前項の勧奨に基づいて妊娠又は出産に支障を及ぼすおそれがある疾病につき医師又は歯科医師の診療を受けるために必要な援助を与えるように努めなければならない。」という、この「必要な援助」の内容ですね。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 それは主として昨日来問題になりました、妊産婦の死亡率の中では一番高いと考えられます妊娠中毒症を考えておるわけでございますが、そういった妊娠中毒症の場合に医療を受ける、そういう医療を受ける場合の援助をするということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、いままで児童福祉法の概念から言うと、福祉政策ですから、ボーダーラインとか生活保護とかいうような人は、こういう必要な援助を与えなければならなかったわけです。そうでない、普通の家庭の婦人が妊娠中毒の状態だというときには、一体必要な援助を与えることができるのかどうかということですね。あなた方の説明のほうを見ると、「都道府県又は保健所を設置する市は、経済的理由によって、本条第一項の勧奨を受けた妊産婦が、医師又は歯科医師の診療を受けることが著しく困難であると認める場合には、必要な援助を与えるように努めるべきことを規定したものである。」こうなっておるわけです。すなわち優生保護法ではないけれども、経済的理由というものを説明では入れている。しかし本文のほうではないわけです。児童福祉法ならば、これは福祉行政ですから一般の人はその法律の対象にならないことはよくわかる。しかし今度は母子保健だから、一般の人が対象になるわけだ。低所得なり生活保護の人は生活保護でやれるわけだ。保護は受けていない、しかし病気になったら医療保護だけは受けられる、こういうことで、何もこれに書かなくてもいけるわけです。今度のはこれは天下万民に適用する法律なんですね。それをわざわざ解説の中で「診療を受けることが著しく困難であると認める場合」なんという福祉的な概念をここに持ってくることはおかしいのじゃないか。だから当然これは、妊娠中毒症なんというのは数が少ないのだから、そういう人を見つけて、そして勧奨するからには、やはり国が金を持ちますよということでやってあげる。子供は国の宝である、国のものであるという一つの概念があるわけでしょう。それを金持ちは自分で見なさいということでは、これは妊娠中毒なり母体の保護はできない可能性が出てくるわけですね。日本にはなおしゅうととかしゅうとめの、お金持ちでもなかなかやかましいところがあるのですから……。いままでのこの説明は児童福祉法の概念で説明をしているし、条文は新しい近代的な母子保健法の条文の書き方になっておる。説明のほうがどうも古くさいのじゃないか。この説明は、局長九ページをごらんになると、九ページの条文と十ページの説明とが少し違っておりますよ。逐条説明ですが……。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 この十七条の二項におきまする説明で「著しく困難」と書いてあるわけでございますが、実際上の運営といたしまして現在考えておりますのは、月額所得税四百円未満の世帯まで援護費を負担するということでございまして、従来の生活保護あるいはこれに準ずるものよりも範囲を広げておるということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、これは一つなかなかいい言質を得ました。去年は妊娠中毒症の対策訪問指導費が二千三十二万ですね。それに医療のほうはちょっとわからぬですが、この二千万ばかりの金の中に医療費が含まれておるのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 この訪問指導費は、訪問指導に要する費用でございますので、医療費は含まれておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうするといままで妊娠中毒症で経済的に著しく支払い困難だ、医師の診療を受けることができないような貧しい人という実績はどの程度あるのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 四十年度予算で妊娠中毒症の対革質として考えております対象は約七千五百人程度でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 わかりました。そうすると、去年は幾ら見たのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 三十九年度予算で二千八百十万六千円でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 人数は。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 対象は大体同じと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 四十年度は所得税四百円まで拡大をした、こうおっしゃって、そうして人数は七千五百人で同じということではちょっと筋が通らぬのではないか。問題は妊娠中毒症の患者が日本全体に一体どの程度あるのかということですね。そうしてその中の七千五百人というのは何%に当たるのか。

萩島武夫厚生技官(児童家庭局母子衛生課長)

○萩島説明員 大体一二%くらいはその対象になるわけでございまして、そのうちの約九%が実際に援助を必要とする対象になると推計いたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そういたしますと、七万五、六千人のいわゆる妊娠中毒症の患者が出るわけですね。そのうちの一割二分、そうしてなおその援助を必要とするのは九%そこそこだ、それが七千五百人に当たるわけですね。これをいままでは所得税をどれまでやっておったかわからないのですが、四百円まで拡大したということでどの程度ふえることになるのですか。七千五百人、七千五百人と同じでは拡大した意味がないということになる。去年とことしでそう妊娠中毒症の山が一挙に谷になるということもないと思いますが……。

萩島武夫厚生技官(児童家庭局母子衛生課長)

○萩島説明員 この対策が三十九年度から発足いたしております関係で、いまのところ先ほど申し上げましたような対象になるという予定で一応予算をはじいているということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも母子保健行政に対する透徹した認識というか家庭児童局の母子保健を扱うスタッフがりっぱに確立されていないというか、どうも大事なところにくると全部すきっとした答弁ができないので非常に残念ですが、もう少し母子保健の陣容を、こういう法律ができたら強化してもらう必要がありますよ、いまの状態では。やはり一番大事な未熟児とか妊娠中毒症とか三歳児検診とかいうようなところは、議員が質問したら打てば響くがごとく答弁ができる体制をつくっておかないと、大蔵省のがんこな主計官を相手にしてやる場合には、それじゃとても予算は取れないですよ。もう少しがんばって、勉強もしてもらって、そうしてスタッフをそろえてやるように希望しておきます。  いまの妊娠中毒症にしても、ほんとうに母と子が大事だ。最近参議院の選挙等を見ますと、みなスローガンに母と子の暮らしを守る政治を行ないます、台所を豊かにする政治を行ないます、平和を守る政治を行ないます、たいがいこの三つはみな掲げている。ところが母と子を守る政治をやるというけれども、一向に母と子の大事な娠妊中毒症やら未熟児問題というのは、当選してみたら知らぬ顔の半兵衛だということでは困るんですね。だから七万かそこらしかいないのですから、みな金を出してやったって、そうひっくり返るわけでもないですから、もう少しここらあたりはあなた方もがんばってもらわなければならぬ。保守党の政調会長赤城さんは、農家で土の出身だから、農村では一番多いのだから、暮夜ひそかに一ぺん行って、そうしてしょうちゅうを傾けながら赤城さんと話してみる必要があるんですよ。そうしてそこらあたりの頭を洗脳しなければだめですね。ぼくも炭鉱で医者をしておりましたが、炭鉱における衛生を前進させようとしたら、労働者を啓蒙することも必要だけれども、まずおやじ教育ですよ。首脳部がそれにならなければ、こんな弱いところの行政というものは進むものではない。だから、まず大臣の頭も啓蒙するが、一ぺん局長、課長さんが、暮夜ひそかに行く必要はないから、夕方でもひとつしょうちゅう一本さげて赤城さんのところに行って、そうして一ぺん説得してみる必要がある。  次は、低体重児の届け出の問題です。赤ちゃんが生まれて二千五百グラム以下、いわゆる未熟児だったら保健所に届け出る。届け出たら保健所は一体何をしてくれるのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 届け出によりまして、所が把握をいたしますとともに、それによりまして訪問指導あるいは簡易保育器の貸し出し、養育医療の給付、こういう順序になるわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一体その実績はいまどういう実績ですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 昭和三十九年度の未熟児の届け出数でございますが、総数が七万七千百九十六という数字になっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ちょうど妊娠中毒症の妊婦と同じ数だけ未熟児が生まれてきているわけですね。われわれが学生のときは先天性弱質というか、この未熟児が多かった。しかもこれが一番死亡率が高かった。最近は保温器その他がだんだん発達してきたし、育児のやり方も非常にうまくなってきて、未熟児の死亡というのは、かつてわれわれが学生のときに比べてずっと少なくなっていることは事実です。そうすると、七万七千百九十六の中で保温器を貸したり積極的な訪問をやらなければならぬ数というのはどのくらいなんですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 三十九年の実績によりますると、養育指導をいたしました実人員は六万二千三百六十二人でございまして、訪問の延べ人員が十万八百六十五、それから簡易保育器を貸し出した実数でございますが、千六百五十八というようになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、養育医療が六万二千三百六十二やって、延べ十万人程度の訪問をしておりますが、この養育に要する医療の費用というものを支給するのですが、この経費の支給はやはり妊娠中毒症の場合と同じような方式で支給をするのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 これはお手元に資料第七の参考資料というのがございます。これによりますると、三十八年度の給付状況は、給付件数が七千三百六十六件でございまして、費用額はここに掲げてございますように公費負担の分と、それから自己負担の分と社会保険による各法負担、大体こういうような内訳になっておるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私がお尋ねしておるのは、七千三百六十六人の養育医療をやった。ところが、あなたの説明では六万二千三百六十二人、そうするとこれは延べですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 先ほど申し上げましたのは、訪問指導を行ないます対象を申し上げたわけでございまして、その中で養育医療と申しますのは、病院等へ入院させまして治療したということになるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、その七千三百六十六人のうちでその費用を全部公費で持つのは、一体どういう所得階層まで持つことになるわけですかということなんです。さいぜん妊娠中毒症のときに所得税を四百円まで拡大したとおっしゃるから、それと同じ方式ですかという質問をしているわけです。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 養育医療につきましては、妊娠中毒症の公費負担よりも範囲が広くなっておるということでございますが、正確な資料をいま持ち合わせておりませんので、これは後刻申し上げます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうも大事なところは全部後刻後刻になっちゃって、どもならぬな。どうして私がいまのようなことをお尋ねするかというと、積極的に国が母と子を守ろうという意欲がおありになるならば、その数は一千万とか二千万とかおるわけではないわけですから、いまの御報告でも中毒症も七万、未熟児も七万、こういうところでしょう。先日重度精神薄弱児扶養手当法というのが出た。一体重度の精神薄弱児というのは二十歳以下で幾人おりますか、三万人でございます、じゃ二十歳以上は幾人おります、四万人です。これも合わせて七万人。そして二十歳以下の三万について月に千円差し上げます、二十歳以上は、これはやらないのですね。そう言わずに二十歳以上もおやりになったらどうですか、四万おやりになったって八億か十億以下の金で片づくじゃありませんかと言ったのだけれども、がんとして聞かなかった。聞かなかったから、今度は水上勉さんが、ああして自分で中央公論に「拝啓総理大臣殿」という一文を書いた。書いてすぐ時の内閣の官房長官の黒金さんが池田さんにかわって返事をくれた。しかしあれから一体政府は何をやっているのだ、おれの細腕で書いた小説からは三千万円も税金を取るけれども、一体私のかわいい子供の直子のためにその後何をやってくれた、何にもやってくれぬじゃないかと開き直られたでしょう。それと同じですよ。これはやはりあの重度精神薄弱児に対する冷酷な政府の扱いが一貫をしてこういう未熟児にも流れてきている、あるいは妊娠中毒症にかかっている妊婦の取り扱いにも流れてきているのです。一貫しているのです。だからこういうものの考え方をぶち破らなかったら児童福祉行政、母子保健というものは前進をしないのです。いま言った養育医療についても、この二十一条をごらんになると、やはりお金を持っておったら全部金を取ることになっておるのです。二十一条の三項をごらんになると、「第一項の規定により養育医療の給付に要する費用を支弁した都道府県又は市の長は、当該措置に要する費用を、当該措置を受けた者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。)から徴収しなければならない。」とちゃんと書いてある。そして、「ただし、これらの者が、経済的理由により、その費用の全部又は一部を負担することができないと認めるときは、この限りでない。」こうなって、養育医療を受けたら全部お金を取ることが原則になっておる。ただし、と言って、貧しい人だけは例外ですよ、こういうことになっている。お金を取ることが原則になっているのですよ。だから、先天性弱質の子供が生まれたということはもちろん親にも責任がないとは言いません。あるかもしれないけれども、いまのようなせちがらい世の中になっているのだから、これはやはり何か国が積極的に見てあげましょうというのは、先天性弱質の子供がそうであるように、重度精神薄弱児についてもそう言われたわけでしょう。片一方は奇形、かたわ、片一方は全身的ないわばかたわですよ、機能が精神より劣っているわけですから。こういう点で二十一条の三項に歴然として血も涙もない政治、ヒューマニズムがあらわれていないのですよ。だからまずこれは無料を原則とするけれども、特にお金のある人からは徴収することができる、こういう形ならいいですよ。逆でしょう。こういうところが母子保健行政が大衆的な協力が得られないところですよ。だから、母子保健行政を大衆の基盤の中にがちっと根をはやそうとすれば、いま私の言ったような書き方にしなければならない。原則はお金は取らないのです。しかしお金を持っている人があって、そして金を出すと言うならそれはいただきますよ、こういうことにしなければならない。金を取ることを原則にして、貧乏の人でやむを得ない人は取りませんよというのでは逆ですよ。これは全国民を対象にするものじゃないでしょう。生まれながらにして非常に気の毒な人たちを相手にする法律ですから、逆にしなければいかぬのではないかという感じがするのですが、その点に対して何かあなた方は努力してきたのかどうかということです。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 これは児童福祉法だけでございませんで、他の法律におきましても原則として収入の多寡に応じていただくということになっておるわけでございますが、実際の運営におきましては、この参考資料の十ページにもございますように、自己負担は全体に対しまして四・三%程度でございますので、実際の運営としては御趣旨に沿うような運営を考えておるということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 運営は御趣旨に沿うようなことを考えておるなら、初めから条文をそういうように書いたほうがいいんですよ。条文がこうなると、法治国家ですから、やはり条文のとおりに、原則は金を取ることだ、例外は金を取らぬことだ、こうなる。原則は金を取らないことであって例外は金を取ることだというのとずいぶん違うでしょう。月とスッポンくらいな違いがありますよ。内容は滝井の言うとおりだ、こういう御答弁ならここも直さなければならぬな。  それから少し前に返りますけれども、十条は「市町村長は、妊産婦又は乳児若しくは幼児の保護者に対して、妊娠、出産又は育児に関し、必要な保健指導を行ない、又は医師、歯科医師、助産婦若しくは保健婦について保健指導を受けることを勧奨しなければならない。」というように、三歳児の場合と違って、これは保健指導をぜひ受けなさい、こういう形になっているわけです。それから健康診査についても、十三条で三歳児以外は同じように健康診査を受けることを勧奨しているわけです。この費用は、やはりいまの二十一条のところに、十条と十三条の規定による保健指導と健康診査に要する費用を支弁した市町村の長は、当該措置を受けた者またはその扶養義務者から当該措置に要する費用を徴収することができる、こういうようになっているわけです。養育医療や妊娠中毒等については費用を徴収しなければならぬ、こう書いておきながら、今度は任意的な、義務でない保健指導、保健診査については費用を徴収することができる、こういうように、非常に重大なほうについては原則としてお金を取りなさいといいながらも、重大でないほうについてはお金を徴収することができるという、取っても取らぬでもいいような条文にした、三項と四項との違いはどうしてこういう違いになったのですか。むしろ四項のほうを、これは自分で希望して受けてきたんだから徴収をしなければならぬとして、前のほうを、することができると軽くしなければならないのに、逆にしている。この条文の書き方はどういう理由ですか。   〔委員長退席、齋藤委員長代理着席〕

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 養育医療の給付の内容と、それから保健指導、健康診査に要する費用の内容には相当違いがあるわけでございます。したがいまして、三項につきましてはかなり多額な公費負担もいたしておるわけでございます。そういう関係からいたしまして、三項につきましては徴収しなければならない、四項につきましては徴収することができる、こういうような違いができたわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 どうもちょっといまのような説明では、妊娠中毒とか未熟児というものは命にかかわる問題でしょう。そういう命にかかわる問題については金に糸目をつけないというのが普通のものの考え方ですよ。しかし片一方の四項のほうは、これはお行きなさい、お行きなさいといって勧奨しただけですから。一方は義務ですよ。一方は勧奨ですよ。義務でやったほうから金を無理やりに取るということはおかしいのじゃないか。しかもそれが重体ですよ。重いんですから。だから重いほうについては政府のほうは金を取るのはゆるやかにして、勧奨して自発的にきたものについては、それは希望して自分で好きで来たのだから、われわれと同じように−好きで代議士になってきておるのですから。世の中をよくしようというその情熱を持ってきておるわけですから、それを好きだとこういうわけです。これはもう難におもむいているわけです。崇高な使命感を持ってきているわけです。それを庶民的なことばで言うと好きで来ているというわけだ。そこで、だからおかしいと私は言うのです。あなた方だってそうでしょう。常識で考えておかしいですよ、これは。だから、こういう三項と四項を見ても、児童局の頭はむしろ倒錯をしておるわけです。アナクロニズムですよ。こういうところをやはりもう少し直さなければいかぬですよ。われわわれしろうとが読んでみてもそういう感じがするのだから。だからこういう条文の書き方も眼光紙背に徹するということで、もうちょっとすっきりしてもらわなければいかぬ。そうでしょう、これは。

谷口善太郎日本共産党

○谷口委員 関連ということになりましたので、時間がわずかでしょうから、一応二、三の問題を一括して政府にお尋ねいたします。  この法律案は、第一章で母子保健の原理を明らかにするというふうにいって、母性の尊重と保護あるいは乳幼児の健康の保持、増進ということを強調しておりますけれども、現実には全くこれと逆のことが行なわれている点を私はまず指摘したいと思うのであります。  その第一でありますが、婦人労働者に対する政府と資本家による乱暴な健康破壊と権利侵害の問題であります。まず残酷な労働強化の実情について申し上げます。カメラ工場、トランジスタラジオ工場、各種の繊維工場、製薬工場、食品工場それから火薬製造工場などでは機械やコンベアーの運転速度を猛烈にスピードアップすることによりまして、またフィルム製造工場、生命保険や損害保険、電電公社、専売公社、政府の簡易保険局や貯金局、こういうところでは主としてアメリカ帝国主義の技術指導に基づいて、電子計算機あるいは自動化機械の導入等によって、いずれもかつてない残酷な労働強化が行なわれております。全く婦人労働者は奴隷のような状態にあるのは事実であります。こういう中でありますから、婦人労働者のほとんどが今日では筋肉障害あるいは精神、神経障害あるいは呼吸器疾患、不妊症等の症状があらわれております。少なくとも数年のうちには現在働いている職場では無能力者になるという状態にあるのは、われわれの持っている資料によって非常に明らかであります。  次に、婦人労働者に対する民主的権利の剥奪の問題でありますが、この問題では、今日婦人労働者に対する無条件的な首切りあるいは配転、それから強制帰郷等の事実が普遍的に起きているばかりでなく、さらに進んで婦人労働者の若年定年制それから結婚退職制、こういう制度をとる企業さえふえております。これは京都市、中国電力、住友セメントなどがその典型でありますけれども、これは憲法及び労働基準法に反する不当な男女差別制度だというふうにいえますので、母性の尊重並びにその生活と健康を守る上で許しがたい暴挙といわなければならぬ。さらにその上に、現在では休憩時間の事実上の削減それから生理休暇の剥奪、それに産休への圧迫とそれをきっかけとする解雇、それから育児時間の一方的変更と賃金カット、こういうように労働基準法に規定されております女性保護の諸規定が犯罪的に破壊されておるという事実があります。私どもの考えによりますと、女性はすべて母性であるわけでありますから、したがって母性の尊重と保護等を強調したこの法案で、これらの問題に対して何の対策も示してないのは一体どういうわけだと聞かざるを得ないのです。昨日の委員会で政府は、これらの問題は労働基準法その他に規定する問題であるから、したがって本法の範囲外であるというような意味のことを答えておられます。しかし、法律の趣旨から申しまして、そのように逃げることは許されない。これは政務次官からこの点に対する御所見を伺いたいと思うのです。  それから第二の問題でありますが、三歳児の定期健康診査に関連して若干問題があります。この定期診査それ自体についての不備欠陥につきましては、昨日からきょうにかけて滝井委員からもかなり詳細に追及がございましたが、私はさらに、診査の結果について何の責任も何の対策も講じていない点について非常に大きな疑問を持つものであります。ただ治療を受けるとか、あるいは療養を受けるということの勧奨をするだけで、あとの対策がないのであります。政府の考えでは、健康保険法その他の諸制度によってそれはカバーできるというふうに考えておるかもしれませんが、こういう制度では不十分であるからこういう法律案が出ざるを得ないことになっておるというふうに私どもは考えます。幼児に対する一斉健康診査ということの目的は、正常な健康な子供たちをさがし出すことではない。反対に不幸なかわいそうな各種の身体障害児や病弱児を早期に発見して、すみやかに適切な対応処置を講ずることが目的でなければならぬ、こういうふうに私どもは思うのであります。これに対して政府は、それは児童福祉法その他にやはり規定することだというふうに答えられるかもしれませんが、それならこういう法律案を出す必要もないわけであります。この法案が母子保健法と名乗っておる以上、この三歳児の定期診査におきましても、その他第十三条等の健康診査におきましても、この点の積極的な国の責任体制の確立と、それに対応する施策を抜きにしましては何も意味がない、こういうふうに私どもは思うのです。しかし考えてみますと、政府にその意思がないということを現実の事実が暴露しておるではないか。すなわち三十九年度の厚生白書によりましても、肢体不自由者等の身体障害者の総数は約九十万といわれております。それにもかかわらず、これに対する厚生施設等はわずかに国立が一カ所、それから地方自治体の施設を合わせましても、九十万に対して収容人員が千八百八十人にすぎない。この一点を見ただけでも国の、つまり政府の国民を愚弄しておる欺購的態度が非常に明らかだと思うのであります。不幸な精薄児につきましても、小児麻痺患者につきましても同じ状態であります。私どもは、昨年暮れに自民党の発表しました「国民の健康、体力増強に関する基本要綱」という文書を読みました。これを見ますと、国民の健康をはかるのは、労働生産性を高め、経済の原動力をつちかうためだ、こう言う。つまり、利益独占の搾取のための人的資源の開発というのが自民党政府の考え方でございます。これでどうして人間尊重と言えるか。この法案にはさすがにこういう露骨なことは書いてありません。そういう点では一種の進歩だとは言えるかもしれませんけれども、しかし、このことにつきましては、私どもは非常に激しい怒りを感ぜざるを得ないのであります。この点も、これも大臣いらっしゃいませんから、政務次官からの御所見を伺いたい。  第三に、どうやら本日この法案について社会党、自民党、民社党、三党の修正案が出るというふうに伺っております。どういう内容か重要なことはわかりませんが、聞くところによりますと、修正点は母子保健諸事業を市町村に移管しろというこの原案の規定をもとの児童福祉法の規定と同じく、都道府県、つまり保健所を中心に移すということ、それから、交付金方式を補助金制度に戻すというこの二つの点がおもな修正内容のようであります。これを事実としますと、この修正案につきまして若干の意見はございますが、その意見を申し述べる前に、いずれにしましても母子保健という新たな諸事務が増加するのでありますから、したがって、市町村であろうと保健所へ戻りましょうと、関係職員の定員を確保し、またはふやすことなしには、職員の労働強化になることは明らかであります。しかるに、これに対して、政府原案では市町村に移すという場合には、非常勤の職員を委嘱するということの規定があるのみで、関係常勤職員の任用あるいはその定員の増加等の予算措置の規定は何一つないのであります。また、修正案が通りましたといたしましても、そうしますと、保健所へ主体が移るわけでありますが、これまたたいへんなことになる。なぜかと申しますと、これも昨日から明らかにされておりますとおりに、現在の保健所には職員定員の充足率がわずかに七〇%弱であります。職種によりましては十何%というのすらあります。ほとんど定員が満たされていないという状況があるのでありますから、こういう状況から見まして、事務の増加は、必ず殺人的な労働強化が来るし、また母子保健行政の内容低下を一そう決定的なものにする条件になると思うのであります。これは労働者の立場に立つ者の許せないことでありますので、この点についてどういう対処をされるか、これも明確にお答え願いたい。  最後に、私ども共産党は母性並びに乳幼児の保護と尊重というこの問題を一つの重大な勤労者の権利の問題として位置づける。したがいまして、現在のこの労働基準法等の完全な実施、またそれの違反者に対する厳罰、こういうことと同時に、保健所の全国的な増設、同時に保育所、厚生施設の大量の増設、その職員の確保と法定数の増加とその完全な充足を要求したいと思います。必要経費はすべて政府資本家の負担として、住民からの徴収は、これは絶対にやめる、こういうふうに反対するものであります。法案に関します限り、すでに申しましたとおり、修正案が出るようでありますが、これは主として社会党の努力によってなされたようなことでありますが、これはしかし、政府の地方住民に密着すると称して、財政的に苦しんでおる地方自治体、市町村等、地方住民に一切の負担を転嫁しようという、政府の陰謀に一点の反撃を加えておると私どもは思います。そういう点で、若干の評価をするものであります。しかし、たとえば修正案の第二十七条に、都道府県知事は政令の定むるところにより、この法律に基づいて、その権限に属する事務を市町村長に委任することができる、この事務は、第十九条の規定による未熟児の訪問指導及び第二十条の規定による養育医療の給付に関する事務を除く、こういう条項があるようであります。これを都道府県知事に移管をしても、政令の定むるところによってその事務を市町村に委任することができるということをきめるものでありまして、この拡大解釈をやりますと、せっかくの修正が全く内容がもとのとおりになるというおそれがある問題もございますし、それから、従来私が申し上げました重要な諸問題につきまして何一つ解決していないのが修正案の内容でありますので、これはあえて反対はいたしませんが、賛成しかねるというのが私どもの態度であります。同時に政府原案に対しましても、もちろん反対であります。  そうして、以上申しました諸点をすみやかに積極的に解決することを要求し、また、法案に努力規定となっております諸点、すなわち栄養摂取援助の規定やあるいは健康母子センター設置の問題等は、これはやはり国の義務として規定づける必要があると思いますので、その点を強く要求したい。  それから、牛乳の問題でありますけれども、これも昨日から問題になっておりますとおりで、生牛乳を全勤労者の妊産婦とその乳幼児にただで配給するということをはっきりさせるべきだと思います。  以上、この法案に対する私ども党の態度を明らかにすると同時に、幾つかの問題点を申し上げまして、一括して政務次官の御回答をいただきたい、こういうふうに思います。

佐々木義武自由民主党厚生政務次官

○佐々木(義)政府委員 一番初めの婦人労働者の労働強化並びに民主的な権利が侵害されるという問題でございますが、母子保健法は、読んでおわかりのように、いわば基本法みたいなものでございまして、一般的な母子保健に対する保護あるいは育成と申しますか、そういうものを規定したものでございまして、労働基準法等、具体的な実際の婦人労働者そのものに対する問題は基準法等で規定しておりますので、本法案と両々相まって母性の保護に当たりたいというのが法の趣旨でございますので、そういうふうに御理解いただければたいへんけっこうではないかと思います。  二番目の三歳児検診のお話でございますが、お話のとおりでございまして、今後この内容をいかに充実していくかという点で、先ほど滝井先生からもるる御指導にあずかりましたが、皆様の御意向を体しまして努力してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、市町村職員の労働強化の問題とか、あるいは保健所、保育所の増設の問題でございますが、これはできるだけ職員の充足につとめまして、また、保健所、保育所の増設の件はきのうもいろいろお話がございましたとおり、今後ますます充実に努力申し上げたいというふうに考えております。  その他法案の修正案の問題が出ましたのですが、私どもはまだその内容を検討しておりませんので、その答弁はごかんべん願いたいと思います。

齋藤邦吉自由民主党

○齋藤委員長代理 滝井さん、どうしますか。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あと一つ、二つで終わります。

齋藤邦吉自由民主党

○齋藤委員長代理 それではどうぞ。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は妊娠中毒症の場合には、政府のさいぜん御説明になった資料等を見ても、あるいは養育医療の給付状況等の費用の負担の区分を見ても、社会保険各法負担というのが相当あるわけですね。それでこの場合に各種社会保険における分べん費の負担の問題です。分べん費の給付ですね、これは現金給付で現在やっているわけです。ほんとうはわれわれは一挙に妊娠中毒症なり未熟児に対しては国が全部その費用を持って、保険のごやっかいにならなくてもという主張をしたいところです。しかしこれはまあわれわれ社会党は現在それだけの主張をしても、それを実現するだけの議会勢力がございませんから、泣く子と地頭には勝てないで涙をのまざるを得ないのです。こっちのほうが泣かざるを得ない。どうも現在の分べん費の保険の支給額があまりにも少ないわけですね。現実に分べん費の全額を保険の給付をしていただく。現金ではまかない得ないという現状があることは御存じだと思いますが、これを一体保険局その他とあなた方がお話し合いになって分べんにおける現金給付というのを引き上げていく意思があるかどうか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 私、所管でございませんが、前の仕事の関係上、若干状況を知っておりますので、お答えいたしたいと思います。  健康保険法の改正が一時議題になったときがあるわけでございますが、そういった際にどういう点の改善を行なうかということを検討いたしたわけでございますが、お話しの分べん費の現金支給の点につきましても、これを引き上げるという方向で検討したことはございます。しかしながら、御存じのとおり、その後の健康保険財政がとみに悪化をいたしました関係で、そういう改善の内容というものを引き続いて行なうというような事態に参っておりませんので、現在はこの問題はストップをいたしておるわけでございますが、今後改善の機会があるというような場合には、私どもの立場といたしましてもぜひこの給付の引き上げを提案しお願いいたしたい、かように考える次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大体いまあなた方の見るところでは、正常な分べんの費用というのはどのくらいかかるとごらんになっていますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 入院をいたしまして分べんをするというような場合につきましては、たしか三万円前後というふうに記憶をいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 都市においては入院分べんがたぶん七割ぐらいじゃなかったかと思います。農村地帯になると四割そこそこだと思うのです。最近この数字というのは、家庭で分べんするよりか産院、病院等で分べんしたほうがいいという、こういう傾向があらわれてそういう数字にようやくなってきているわけですね。今後保健所の手の届かないところに母子健康センターをつくって、そしてそこに分べんをする施設を設けることになっていますね。そういう形になってきますと、やはりこの費用というものが一つ大きく問題になってくるわけです。そうしますと、国民健康保険、健康保険、政府管掌の共済組合等で分べん費の支給というのがまちまちなんですね。こういうところ、同じ子供を産むのに金を支給する額が違うということもなかなか問題だと思うのですよ。やはり人間というのは呱々の声を上げたときから人生が始まるわけだから、そこからもらう金が差別があるということでは、やはりよくないと思うのです。やはり社会保険のアンバランス、格差をなくそうとすれば分べん費からまず始めなければならぬ。揺籃から墓場までというから、死んでいくとき入れられる棺おけがちっとはよくたってまずくたっていいけれども、しかし呱々の声を上げるときには、やはり桃から生まれた桃太郎さんも、そうでない女の子も、これは一緒でありたい。分べん費は一緒にもらいたいですよ。ここらあたりの統一をまずやる。給付はいま三千円か、四千円くらいでしょう。たぶんそのくらいだと思うのです。いまあなたの言うように三万円かかるというと、一割五分かそこらの給付しかもらえない。あとの八割程度は全部自費負担ということになると、農村地帯における四割、それから都市における七割ちょっとの施設に入ってお産をするという数は頭打ちになる可能性が今後ある。そうすると、もうあと農村における六割前後と都市における三割前後というところ、ここのほうがむしろ大事なんですね。いま施設に入ってお産をしたいと思ってもできないという層にあたたかい手を伸ばしてやるということが大事なんです。それは皆保険だからみな保険証を持っている。ところがこの保険が三千円しかくれないので、やむを得ず自宅で、こういうことになるわけでしょう。そういうことで妊娠中毒症があったり、未熟児が生まれる比率が高いのですから、この関連をよくお考えになって、まず政策を統一しようとすれば分べん費から統一をしていく、これは非常に大事なところなんですね。これは保険財政が苦しいからといって人間の命をなくすわけにいかぬと思うのです。だからまず私は揺籃から墓場まで——ゆりかごに乗るときからひとつそろえてもらいたいという希望を持っておるわけです。それをやはり保険局にも言わなければならぬけれども、児童局から強い要望が出てこないと、保険局も動かないですよ。だからあなた方のほうからその声を上げてもらう、なかなか声を上げてもらうことが多いですよ。多いけれども、やっぱりがやがやと言わないと、いかぬですよ。言わないと入りませんからね。これはひとつ積極的にやる意思がありますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 私どもの理想といたしましては、現在現金給付その他やっておりますけれども、むしろ出産というのは疾病でないという理由で、現在健康保険の対象になっていないわけでございますけれども、現物給付というのを実は理想として掲げておりますし、またその実現に対しまして努力をいたしたい、かように考えております。御指摘のようにとりあえずの段階といたしましては、分べん費の支給を各保険が格差をなくするということは非常に望ましいわけでございまして、私どもも声を大にして関係の局と折衝いたしたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひその手当をふやす方向に努力をしていただきたいと思うのです。それが一定の額になりますと、今度は現物給付の形に転化していくことができるわけですね。お金は要らなくて、保険証を持っていけば十分な治療が受けられる。で、いまのような四千円かそこらの、五千円程度の現金給付を現物給付にかえても、これはやっぱり差額を出さなければだめだ、こういうことになるわけなんですね。それでは同じことなんです、現物給付をしても……。だから、その点はぜひひとつ前進をするように努力してもらいたいと思うのです。  それから母子保健でここまで言うことはどうかと思うのですけれども、これは母子保健のとき言わないと言うところがないのですが、それは妊娠手当、分べん手当の問題です。今度妊娠中六カ月とお産があってから三カ月の九カ月ミルクを一本ずついただけることになりました。これは非課税世帯以下の貧しい人たちに差し上げることなんですが、こういう政策ができれば、これからだんだんそれより上の人に、所得をそれ以上とっている人に拡大は可能になってくるわけです。しかしこの妊娠手当と分べん手当の問題はまだまだそこまでいっていないわけですね。幸いにいま一つ児童手当という問題が出てきた。子供が生まれたら手当を差し上げます。これは日本の人口構造が変わってだんだん子供の生まれる数が少なくなってきた、子供を大事にしなければいかぬということと同時に、新規若年労働力の不足、そしてそのことが終身雇用、年功序列の賃金体系というものをこわす形が出てきた、こういう両極から児童手当の必然性が出てきているわけですね。いわゆるヨーロッパ型の人口構造です。そして労働力の不足、こういうことで児童手当の思想が出てきた。だからお産をしたら分べん費は出します。子供が生まれたら子供には児童手当を出しますよ、こういう思想が日本にようやく定着しようとしているわけです。ところがいまあなたがいみじくも言ったように妊娠というのは病気ではない、生理的な現象ですということで、医療保険ではなかなか赤字が多くて病気もまかなえないときに、生理的な現象のこのお産に金がそんなに出せない現状だということをいみじくも言ったのだけれども、そういうものの考え方でいきますと、これは妊娠手当とか分べん手当というものは出ないですね。これもやはり体系的に一つ一つくずしていく必要がある。一つ一つ実現をしていく必要があると思うのです。お産をしたらお産の経費は現金で払う、生まれた子供には児童手当を出すという情勢、四十一年から政府は実現をしたい、こう言っているのだから、したがって今度は妊娠中の妊娠に対して食える政策をもってこなければならぬ、お産をした後のしばらく働けない間の食える政策というものを何かもってこなければならぬと思う。いまこういう制度がないでしょう。これについてどう考えるか。母と子を大事にするというときには、まだ母が子供と分かれる前の母と子が一体のとき、つまりおなかの中に子供があって一体のときにまず妊娠手当というものを考えなければいかぬ、生まれてからしばらくの間は、今度は母と子のために分べん手当を考えなければいかぬという問題があるのです。こういう問題は母子保健を前進する上の非常に根っこの基礎のところなんです。その点は一体どう考えておりますか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 御承知のように、中間報告の中におきましても、児童手当の問題に関連いたしまして、その一部として妊娠手当を支給することが望まれる、こういうようなことが入っております。現在被用者のおかあさんにつきましては、御存じのとおり出産手当金というものが休業中の費用として出されていることは御存じのとおりでございまして、むしろここに掲げてあります妊娠手当と申しますのは一般的に範囲を広げ、健康保険法の関係なしにそういった妊娠手当を出すということをいわれているものと考えるわけでございます。児童手当として一本として出すかどうか、あるいはここに掲げてありますように児童手当の一部として先に妊娠手当を分離して出すか、こういう問題があるわけでございますが、そういった問題につきましては児童手当の準備を進める段階において十分検討いたしたいというふうに考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 検討はわかるのですけれども、その場合に検討をして一体どういうところでそれを出そうということにするのか、たとえば健康保険とか国民健康保険のところでそれを扱うのか、それとも児童手当と同じように、これは国が管掌をした保険みたいな形態をとろうとすることになるのか、これはいろいろ方法があるのですよ。それとも思い切って全部国がまず貧しい人のところから見てあげましょうということになるのか、過度的な措置としてそういうことも考えられるし、どう見たらあなた方のいままでの母子保健行政の上から一番いいとお考えになるのか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 ただいまのどこでやったほうがいいかという問題、あるいは児童手当の一部としてやるのか、あるいは各保険がそれぞれ出したほうがいいか、こういう問題があろうかと思います。現実的な方法といたしましては、保険財政の問題さえなければ、実現の可能性が多いのは保険でやはり出していったほうがいいのではないかということを私は考えておるのでございますが、この問題は、根本的には先ほど申し上げましたように児童手当の方法をどういうふうにやっていくかということに非常に関連が深いわけでありますので、ただいまのところまだ結論を得てないという段階でございます。   〔齋藤委員長代理退席、委員長着席〕

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今後の課題として児童福祉審議会等で分べん費の引き上げの問題なり妊娠手当、分べん手当の問題もぜひ真剣に検討していただいて、まずそういう啓蒙宣伝をやる、そうして実現の方向に持っていっていただきたいと思うのです。日本の有権者の数は女性のほうが二百万くらい多いわけです。だからこれをやるということは、これは圧倒的な女性の支持を受けますよ。だから政治家は反対しない。こういうところはそういう機微を一〇〇%に活用して思い切って出す必要がある。それに反対する政治家はこの次落選ですよ。だからそういう点に思いをいたして人心の機微を握って、きちっと出していただく。  それからもう一つはホームヘルパーの問題です。最近の厚生白書をごらんになっても日本では核家族が多くなってきておる。これは昨日も言ったように、二DKくらいかせいぜい一DKくらいな住宅に住んでおるとなかなか子供もよう産めぬという形もあるわけです。都市で七割と農村で四割ということになると、家庭で産む妊婦が相当おるわけです。そうすると、これは都市で例をとってみると、核家族になると入院をしないとお産というものはなかなかできかねることになる。さあ赤ちゃんが生まれるぞ。会社におる御主人をお隣の奥さんが呼んでくれた。そうして湯をわかしてたらいに入れた、子供が生まれたら洗う用意をする。われわれのうちなら母親がおるから母親が助勢してくれる。ところが核家族になるとそうはいかぬでしょう。奥さんが分べんをじたからといって入院できるだけの金がないのだから、自己の家庭で産ませた。一週間も十日も主人がうちにおって子供を洗う湯をわかしたり炊事の準備まで全部するなんていうこともなかなかたいへんなことなんです。ここにやはりホームヘルパー制度で少なくともお産をしたら十日かそこらくらいはそういう人たちが来てくれて安心をしてやれるという形ですね。こういうことが炭鉱離職者、炭鉱で災害を受けた未亡人の仕事にも結びついていくというようなことを考えてもらうと非常にいいわけですよ。これは全部助かる。炭鉱でガス爆発を受けた未亡人も助かるし、お産した御婦人も助かる。そういう制度が日本にはいまないでしょう。核家族という、明らかに夫婦と子供というこういう世帯が非常にふえてきておる。そうしてそういう家庭は今後新しく子供をはぐくみ育てていく要素を多分に持っておる家庭でしょう、核家族というものは。そういうところにホームヘルパーの制度というものを、母子保健を前進させる上においては考えなければならぬ制度だ。これは母子保健以外にもホームヘルパーの制度というのは考えなければいかぬと思いますけれども、特に母子保健に関連をして、分べんのときに、出産の前後一定の期間来ていただいて、安心して子供が産めるという姿、後顧の憂いなき体制をつくらなければいかぬ。昔は、日本においては里帰りというのがあった。お産をするときには家に帰るという制度があったのです。しかし、いまはみんな都会に出てきて、そうはいかぬですね。東京から鹿児島の果てまでお産に帰るというようなことはなかなかですよ。こういう御婦人たちが心の底でほのかに考えておることをやはり実現をしてやる必要がある。こういうのがかゆいところに手の届く制度だと思うのです。そういう点は考えたことがあるか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 ホームヘルパーの制度につきましては、母子保健法の中にはないわけでございますが、現在このホームヘルパー制度は老人福祉対策として取り入れられてあると思います。今後の問題といたしましては、このホームヘルパーは単に老人あるいは分べんの場合というだけにとどまりませず、重症の心身障害児の問題としても出ておるわけでございますので、ホームヘルパーの制度についての拡充と、またその内容の充実ということにつきましては、私どもとしましても努力をいたしたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ホームヘルパーの制度というのは、母子保健対策の一つの重要な問題点だと私は思うのです。特に核家族ということをことしの厚生白書であなた方がおうたいになったからには——これは一人でお産ができるわけではない、昔から取り上げばばあというのがちゃんとあるわけだから。そういう点で産婆さんが取り上げてくれるけれども、あとの家事その他に妊婦は非常に心を使うものですよ。そういう点で、男の私がそれだけ気づくくらいだから、いわんや婦人というのはもっと痛切に考えていますよ。  これで終わりますが、最後に、母子保健の政策というものを今後実行していくためには、母性の総合的な研究機関というものをつくる必要があるんじゃないか。お産というのは、御存じのとおり、何回しても安心できるものではない。そのときそのとき、はらはらしながら、手に汁握ってお産というものはするものなんです。したがって、それだけ千変万化のものなんです。母の保護、妊婦の保護というような総合的な研究機関というのはいま日本にないでしょう。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 昨年発足いたしました児童問題研究所、すなわち日本総合愛育研究所、こういうところがあるわけでございまして、従来から母子保健の問題については研究をしておったわけでございます。また今後も、この問題については母子保健部というのがございまして、そこで研究を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはどういう機構になっておるのですか。法律上の根拠のあるものではないでしょう。何か任意にできている団体でしょう。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 法律上の規定はございませんが、社会福祉法人であります受育会に国が全額国費を出しまして、委託をして運営しておるという機関でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、私、愛育会は知っておりますけれども、これは相当小児科でも有名な先生もいらっしゃいますし、知っておりますが、そこでそういう母性の総合研究をやっておるということはいま初めて聞いたわけですが、どの程度の予算で、何人くらいのスタッフがおって、主としていまどういうことを研究しているのですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 四十年度の研究関係の委託費としまして、二千五百万円出しております。中の所員につきまして、二十名ここに仕事をしてもらっておるわけでございますが、研究の内容と申しますのは、母子の保健の問題、それから児童心理その他、そういう児童の問題も含めまして、家庭環境あるいは社会環境、こういう非常に広範な研究範囲をもってやっていただいておるということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 愛育研究所は主として出生後の児童の健全育成が中心でしょう。私が言っておるのは、そういうことも少しやらなければいかぬけれども、都道府県の母性の保健とか妊産婦保健とかいうようなものを、やはり全国的な統計資料も集めて、学門的にも、公衆衛生学的な立場からも総合的に研究するようなことをやってみる必要があるのじゃないか。これはいまの日本総合愛育研究所を拡充して、そういうところにもう少してこ入れをしてでもかまわぬわけです。しかしそれはたとえば公衆衛生院ですか、ああいうところに置いて、本格的に国が乗り出してやってみたらどうだ、こういう意見なんです。公衆衛生院があるのですから、こういうところに少し力を入れて、金もつぎ込んでおやりになる、こういうことになると、だいぶん違ってくるのじゃないかと思うのですがね。受育研究所も児童の問題については相当期待もされている。しかしそれはむしろ児童福祉的な見地からやられるので、母子保健的な見地とは少し違うわけです。だからやはり今後公衆衛生という立場で——児童福祉ということになると、非常に視野が狭くなるのですよ。それは貧しいところだけを対象にするというような錯覚におちいりがちなんです。広く国民一般を見るという目が幾ぶん薄れがちなんです。だから、広く一般ということから、今度は個別的な貧しいところはどうだ、こういう形にいくほうがいいのじゃないかという感じがするわけです。だから、これは私、婦人科その他の専門家の医者からもそういう要望があるのできょうは取り上げたわけですが、ぜひひとつ今後考えていただきたい、こういうことです。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 母子愛育会の発足自体が、滝井先生も御存じだと思うのでございますが、皇太子の御誕生を記念いたしまして、母性と子供の両方の保健ということでスタートをしたわけでございます。したがいまして、児童という問題ももちろんございますけれども、母性の保健という問題も大きな旗じるしとして出発したわけでございまして、母子愛育会の活動、母子愛育村といったようなところ、これを主体にして実は運動しておったわけでございます。そういう面で母性につきましてもここは現在の研究機関としては非常に権威があるものでございますし、また私どもも各大学と十分連絡をとって中心的な取りまとめの研究機関に育て上げたい、こういうふうに努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 母子保健法について昨日以来いろいろ政府に対して御質問を申し上げましたが、その中で特に問題となる数点を大臣においでいただきまして、大臣の最終的な御見解を聞かしていただきたいと思うわけです。  それはまず第一に、母子保健の中における非常に重要なポイントである三歳児の検診の場合に、健康審査に要する費用については、いままで国がその三分の一を負担をしておるわけです。そのほか新生児の訪問指導とか妊娠中毒症の対策、訪問指導費等も三分の一でございます。これらのものは予算的な補助であって、法律的にきちっと三分の一ときまっておる。三歳児の検診については人間尊重の政治をおやりになる佐藤内閣で、まず人間尊重の最初は揺籃の時代、すなわち子供のときから始まらなければならぬと思います。ところが今度こういうものが一括をして普通交付税に持っていってしまっておるわけです。そこで私たちとしては、こういう重要な政策が市町村の一般財源である交付税になってしまうということについてはどうしても納得がいかないわけです。そこで交付税をやめてもとの補助金に返してくれ、そのためには運営の主体というものを長期展望に立てば、最終的に市町村に持っていくことについては賛成である。しかし現時点において一挙に市町村に母子保健の運営主体を持っていくことは困る。この際は大乗的な見地に立って県段階に戻して、そして県段階において母子保健行政をやる場合の三歳児の検診については、特に三分の一の国庫補助を二分の一に前進させるべきであろう。これが佐藤内閣の人間尊重における第一歩の政策にもなる。だからこれを二分の一にしたらどうだ、こういう強い要請をしておるわけです。昨日以来、自治省当局も来てもらいましたし、政務次官なり児童家庭局長とか、いろいろ御答弁がございましたが、その点についてはあいまいもことしておるわけです。そこで三分の一の健康診査に関する費用の国の負担分を二分の一にやってはどうだ。これに対する大臣の見解をお伺いしたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいま滝井さんから御指摘がありました健康診査の費用に対するところの国の補助額を三分の一から二分の一にすべきではないかという御指摘でございますが、私もこの問題につきましては最善を尽くして御趣旨に沿うように努力いたしたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まず鉄は熱いうちに打たなければならぬと思います。そういう意味で、もし与野党によってこの法律が修正をされまして予算をもとに返すということになりますと、来年になるとまた鈴木さんが栄転されておるかもしれぬ、できればひとつ四十年度予算からそういうことについて実現に御努力を賜わりたい。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 そのように努力したいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひ四十年度からそうしてもらって、四十一年度においては隴を得て蜀を望むアンビシャスを抱いていただきたい、こう思うわけです。  次は、いまの健康診査というのは三歳児を中心にやる場合に非常に前向きな積極的善処をしていただくことになったのですが、今度は三歳児のほかに一歳児、二歳児というような健康診査をやることになる、またあるいは妊婦を随時に健康診査をやる、こういう形になりますと、これの補助は予算補助なんですね。そうすると、市町村としては、県にしても同じですが、そういうものを積極的に都道府県知事が熱意を持ってやろうとしても、国が、これは君のほうはことしはやるというけれども予算がないぞということになると、国の予算の補助のワクが少なくてこないなんということになると、せっかく熱意を持った——佐藤内閣の人間尊重の政治を身をもって実践しようとする都道府県知事の熱意、情熱を阻害することになるわけです。したがって、この健康審査を随時行なうもの、いわゆる政府が管掌する分についてもその補助を高率補助にする必要があるのじゃないか。法律で二分の一なら二分の一を補助いたします、こういうようにやる必要があると思うのです。これについてひとつ大臣としてはどうお考えになりますか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 母子保健法もできることでございますから、この問題につきましても前向きで検討いたしたい、かように存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 前向きでやるというのが池田さんの内閣以来田中大蔵大臣の得意とすることばであったのですが、同じ池田派だから鈴木さんにうつったわけではないと思いますけれども、ぜひひとつ、言ったからには武士に二言はないということで実行をしてもらいたい、実践をしてもらいたいと思うのです。  次は、今度の法律で母子保健を前進させるための審議会として、児童福祉審議会を借用して活用することになっておるわけです。そこでわれわれとしては児童福祉審議会というのを借りて、母子保健行政をやるよりか——なかなか審議会が多いというのは問題があるけれども、この際は母子保健という一つの大きな柱を立てたのだから、母子保健審議会というものをこの法律につくって、児童福祉審議会の借用をやめたらどうか、こういう主張をしてきておるわけです。これはなかなか与党のほうの理解をいただけないのですが、ひとつこの際、大臣目をつぶって、清水の舞台から飛びおりるつもりで母子保健審議会をおつくりになったらどうか、こう思うわけですが、これに対する大臣の見解はいかがですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 審議会につきましては、先般閣議におきましても、できるだけ審議会あるいは調査会等を整理をしたい、こういう方針を確認いたしておるのでありますが、いま御指摘の審議会につきましては、児童福祉とも関連の深い点もございますので、児童福祉審議会の中に母子保健について特に造詣の深い委員の方をお願いをいたしまして、委員に委嘱をいたしまして、御趣旨に沿うように運用してまいりたい。運用によって十分目的を達し得るものと考えます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 泣く子と地頭には勝てぬということばがございます。多数党が大臣答弁をもってそういうことになるということになると、なかなか泣く子と地頭には勝てぬので、われわれも下がらざるを得ないのですが、ぜひひとつわれわれの真情と情熱をくみ取っていただいて、この際はぜひひとつ、母子保健というものは非常に専門家を必要とすることは大臣御指摘のとおりですから、したがって児童福祉審議会に少なくとも半数程度の母子保健に造詣の深い人なり、母子保健の専門家を入れていただきたい。こういうことを要望いたしておきます。  次は、母子保健に関する知識の普及の点です。最近における日本の堕胎の数というのは大臣御存じのとおり相当多いわけです。生命が母胎に宿って、それを中途にしてなくするということは、キリスト教その他の見地からいうとたいへんな問題もあるのです。そこでこれは計画的な家族計画をほんとうに指導していく必要があるわけです。そういう点どうも日本においては欠けておるわけです。最近、優生保護法なり薬事法等の問題で、優生保護を延長したり、経済的な理由で堕胎ができるようにしました。あるいは薬事法の改正で産婆さんに避妊薬を持っていってもらうということをやったわけです。しかし、もとの家族計画の知識の積極的な普及ということの配慮が、十ぱ一からげ的な知識の普及ということでやられてしまっているわけです。そこでこの際、家族計画という考え方を一本入れる必要があるのじゃないか。今度の参議院選挙で御婦人の議員が非常に登場してきたというようなことは、こういう御婦人のなかなか言えないところを御婦人の代表をもって言っていただこうという熱意もあったと思うのですよ。こういう微妙な政治へのあらわれをくんで、家族計画というようなことを政治の前面に積極的に出していくことが必要だ。そのためには相当の予算もかかるわけです。ところが今度のこの法案の中には、あんまり予算を食うようなことはやりたくないという考えかどうか知りませんけれども、家族計画ということばは知識の普及ということの中に入れられてしまっておるのですね。これではいかぬと思うが、家族計画についてさらに推進する意思があるかどうか。できれば法文の中に入れたいと思うが、どうか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 家族計画の重要性につきましては御指摘のとおりでございます。母体の保護の面からいたしましても、また厚生白書にあらわれております人口構造等の推移等を見ましても、家族計画を積極的に指導するということが必要であると考えておるわけでありまして、今後特段の意を用して努力いたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 日本の人口構造が非常に大きな変革をしておることは、大臣は厚生白書が新しく最近発表されたので、御存じのとおりだと思います。そういう意味で妊娠調節としての家族計画は非常に重要ですから、こうゆうことはなかなか主婦の皆さん方もそう人におおっぴらに相談できないことなんです、プライバシーに属することだから。したがってこういうプライバシーのところに、やはりそれとなくかゆいところに手が届くような状態で思想を普及していく。そのためには国が相当な金をつぎ込んでやるという形をぜひとっていただきたいと思います。  次は、栄養摂取に関する援助であります。日本人の栄養研究所の調査によりますと、日本の国民の二割五分というのは何らかの形で栄養失調状態にある、こういうことが言われておるわけであります。特にこの農村地帯における妊産婦あるいは低所得階層における妊産婦あるいは子供、乳児、こういうところに栄養上の欠陥があることはもう明らかです。特に離乳期における栄養指導というのは、日本の子供を育てる上に非常に大きな問題です。そういう問題点のあるところに今回政府が牛乳一本を九カ月間、乳児なり妊産婦に差し上げるということは、政策としては私は非常にヒットだと思うのです。ところが残念ながらこのヒットがどうもクリーン・ヒットにならぬおそれがある。というのは、十三万一千人くらいの方に差し上げるのだが、これが義務的な展望を持たないということ。こういういい政策ですから、一挙に義務的にきちんと国が一部を出す、あとは県なり市町村が出しなさい。なかなか一挙に広範囲にはそういう政策は実現できないと思います。だけれども学童の教科書のように、文部省でさえも義務教育については教科書無償を年次的におやりになったのです。そこでこういう日本における栄養失調の状態が全国民の二割五分もあるという実態を踏まえてこういう政策をおとりになる。母子保健の立場からもこういう政策を推進するとすれば、栄養摂取に関する援助を年次的に拡大する必要があるのじゃないか、こう思うわけです。これについて大臣は一体どうお考えになっておるのか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ミルクの無償支給の範囲を年次的に拡大したらどうかという御趣旨でございますが、私も年次的に拡大をしていきたい、このように考えておるわけでありますが、ただそれをどの範囲まで広げるか、どういう所得の階層まで拡大をするかという問題がいろいろそこにあろうかと思います。ただ滝井さんのおっしゃるような今回の措置をだんだん広げていくという御趣旨の方向で努力をいたしたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 実はさいぜんも私申し上げたのですが、これは大臣に特に知っておいていただきたいのは、先日佐藤総理が僻地の子供が給食を受けていないという実態を非常に慨嘆をされて、総理みずから僻地の子供に給食をやれという命令を出された。ところが間もなくしてはるかかなたの僻地の谷間からこだまが返ってきた。どういうこだまが返ってきたかというと、なるほど総理のそのおことばはありがたい。しかし全部国がお金を持っていただければいいんだけれども、そこに自治体の負担というものがあります。これでは私たちの市町村は財政が苦しくて総理のせっかくのおことばですけれども、実は給食ができませんといってきた。これは施設の設備費が要る。同時に今度は市町村の負担分がある。このミルクの問題も、大臣御存じのとおり、今度の十三万一千人の妊産婦、乳児に差し上げるにしても、生活保護階層は八割は国が持って一割、一割は県と市町村が持ちます。しかし非課税の世帯にいく場合は国が二分の一しか持たないでしょう。あとの二分の一は県と市町村が四分の一、四分の一を負担しなければならぬ。そこで、自治体として四分の一が出せないということになると、これは前進できないわけです。こういう問題をはらんでおることが一つ。  それからいま一つは、この価が一月百二十円ですか。ミルクは一本十五円です。ところがいまさがしてごらんになって一本十五円でミルクをくれるところは少ないのです。十六円、十七円のミルクになりますと、この差額は全部自治体が負担することになる。十五円の半分まで、七円五十銭は国が持ちますけれども、十八円、二十円にミルクがなりますと、その分は自治体が持たなければならぬということになる。客観情勢はミルクが十五円で入らぬという実態がある。調べてみますと、十五円で入るところは少ないのです。こういうところにこの政策の問題点がある。いま言った二点の問題点がある。したがって、将来は非常にいい政策です。いい政策ですけれども、この問題についてはぜひひとつ教科書と同じように、あるいは一方においては僻地における給食の問題のその欠陥をも御参考になって、順次年次的に拡大をしていただかなければならぬ。と同時にもう一つは、順次年次的に拡大をすることになると、どういうところに問題が出るかというと、日本の酪農業というものが学校給食にも脱脂粉乳をやめて、生乳を提供する。それから妊産婦、乳幼児にもなま乳を提供する。牛乳を提供するということになると、日本の酪農がその需要に応じ得るかどうかという問題が出てくるわけです。したがって、妊産婦と乳幼児の問題は学校給食の問題とも関連があり、日本の酪農産業の発展の問題とも関連が出てくるわけです。したがって、非常に高い視野からこの問題はやっていかなければならなぬという問題をはらんでいる。ぜひひとつそういう高い視野から——幸い鈴木さんは官房長官という地位を歴任をされておる。官房長官というのは御存じのとおり内閣の大所高所に立ってすべてをまとめるのですから、いわば総合する才能というのは満点です。満点の厚生大臣を迎えておるわけですから、ぜひ大所高所に立ってミルクの無償支給の実現が日本の母と子に向かってほんとうにミルクロードをつくるように、ミルクの大道を開くように、ひとつやっていただきたい、こう思うわけです。どうですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 無償支給を年次的に広げますためには、ただいま滝井さんが御指摘になりましたように、いろいろ問題がそこにあるわけでありまして、そういう点を総合的に検討してまいりたいと考えております。  値段の問題につきましては、四十一年度予算で考えていきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ミルクの無償支給というものは非常に政治力を要する問題ですから、大局的見地に立ってぜひ政治力を発揮して、四十一年度からミルクロードを母と子のために開いてもらいたい。  次は母子健康センターです。これもミルク問題と同じです。母子健康センターというのを現在四十年度までに四百有余をおつくりになっておるわけです。いわゆる保健所の手の届かない町村——市というよりも町村を中心におつくりになる。ところが将来政府の法案でお考えになっておったように、母子健康というものをほんとうに地域社会に移していこうとすれば、この母子健康センターというものが、保健所の手の届かない町や村にできているという態勢がないと、なかなか母子保健態勢というものはうまくできない。したがって母子健康センターを年次的におつくりになることが必要だと思うのです。法案には年次的につくることも義務設置も何もないでしょう。これは予算補助でやっていく、こういう形です。だからミルクと母子健康センターというものをほんとうに政策の筋金が入って年次的にやるという腹を政府がおきめになると、これで私は母子保健問題の八割は片がつく、目的の八割というところまでいくか、こういう感じを持つわけです。この点について今度の法案は画竜点睛を欠いているわけです。これを推進するお考えいかん。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 母子健康センターがいま御審議いただいております母子保健法を実施してまいります場合の最も大切な第一線の実施機関になるわけでありまして、この整備には政府としても今後も努力をしてまいりたい、ただ、法律で明記しませんでも、今後も予算的に補助予算として年次計画を立ててその整備に当たっていきたい、このように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 年次計画を立てて整備していただくということになりました。いままでの厚生行政というのは年次計画を立てたためしがないんです。そのアドバルーンは上げるけれども、それを省議で決定をし、それから同時に閣議決定まで持ち込んだ前例がない。ぜひひとつ官房長官をやられたという総合力のある鈴木さんですから、ぜひあなたの時代に厚生省に一つの歴史を書いてもらいたい。年次計画を母子健康センターなりミルクでつくってもらう。これができますと、その上に今度は医療保険なり年金の年次計画ができてくる。こういう揺籃から墓場までの年次計画が立つことになるわけです。人生はそういう計画をもって、六十で死ぬのでなく八十で死ぬぞといったら、八十で死ぬような計画にしてもらいたい。  次は母子保健の予算についてでございますが、三十九年度においては一億八千万の予算がついておった。これは法律的な補助なり予算補助一億八千万。大体三分の一が一億八千万ですから、三倍の仕事ができるわけです。いままで五億程度の仕事が母子保健でできておった。ところが政府のほうではかねや太鼓でこの母子保健法をつくりました。交付税で十億の金を出しましたから、いままでの倍の仕事ができる、こう言ってきた。そこでわれわれも初めのうちはほんとうかなと思っていたが、だんだん見ると、そうはいかぬ。御承知のとおり、これは齋藤さんもお認めになったわけですが、交付税はひもつき財源でないわけですね。自治体にいったら一般財源になってしまう。だから、母子保健に出すか出さぬかということは、市町村長の熱意による、それから御存じのとおり交付税は百六十五、六の不交付団体があるわけです。こういうところは、われわれのところは不交付団体だから母子保健の金はもらっておらぬ。だからそんなに母子保健に金を出すことはいかぬ、こういう形になって、職員も非常勤をちょっと使う、そうしてほんとうに本格的な職員を入れない。予算も交付税だから、まあ厚生省が見るんだから、お茶を濁そうかということになって、三歳児検診その他もお茶を濁すということになると、妊娠中毒なり未熟児は助からぬということになるので、これは佐藤内閣の人間尊重の政治にも反することになる。砂利トラックは大道を横行するけれども、歩行者はすみっこを通らなければならぬ、こういう形になるわけです。  そこで、今度は交付税をやめてそしてもとの補助金でやる、同時に運営の主体を市町村から再びもとの県段階に移していくということになると、今年は年度末、そうすると一体この予算はどうなるだろうという心配がまた一つ出てきたわけです。なるほど自民党さんの英断でもとに返していただいた。運営主体は県にしたけれども、予算はどうなるだろう。昨日聞いてみました。そしたら交付税はもとに戻るということになれば、それはやめになって、そしてこれは特別交付税になります、それから補助金のほうはことしは財政が苦しいのでいま言えません、こういう形なんですね、結論的に言うと。それでは困るのです。もはや夏も暮れんとして秋が来ておるわけです、もう立秋になったわけですから。立秋になってまだ本格的な母子保健の検診その他もできないということでは困る。いま細々しかやっていない。そこで、いよいよ今後の予算折衝というものは、昨日も大蔵省を呼んで言っておきました。しかし、これはわれわれが言うたところで、大臣がふんどしを締め直して母子保健行政を推進するんだ、そのためには一億八千万円の予算じゃだめだ、少なくとも十億の金があるのだから、まずとりあえずのうちは、私は十億みんなとりたいのだけれども、そうはなかなかいかぬでしょうから、五億出せ、補助金五億、こうなると十五億の仕事ができることになる。だから私はそれくらいやらなければいかぬのじゃないか。最初にことしはあなたの官房長官のときに五百億円予備費を計上していただいた。これはまた医療にも相当もらわなければならぬことになる。しかし五百億のうち一%もらったって五億です。一割じゃない。一%ですよ。きのう言いましたらもう災害その他に二百億以上使ったとおっしゃる。それならまだ三百億残っている。それの一%の三億、そうすると去年の一億八千万円に三億足すと、約五億になるのですから、この状態を救っていただかなければならぬ。まず揺籃が大事なように、予算も初めが大事です。母子保健法ができて、その予算が去年と同じように一億八千万円です。あとは特別交付税だ、こういうことでは前進しない。ぜひひとつこれはこの際大臣の政治力発揮の試金石ですから、これでひとつ一億八千万円を大きく前進させていただきたいと思うが、大臣の所見はどうですか。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 御指摘のとおり、昨年度は一億八千万円の予算がついておるわけでありますが、今回法案の改正に伴いまして、これは国が補助金としてはっきり出さなければいかぬことになると考えております。昨年の一億八千万円を上回る予算をぜひ獲得をいたしたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ぜひひとつ一億八千万を上回る予算を確保していただきたい。これが鈴木新厚生大臣の政治力があるかどうかのリトマス試験紙になる。こういう点で、ひとつ十分、政治力があるかないかのあれですから、ひとつぜひ……。  最後に、これはほんとうは修正者に聞かなければならぬのですが、さいぜん谷口さんもちょっと御質問になっておったのですが、県に運営の主体をわれわれは移したい。ところが政令の定むるところによって市町村に費用をやってそして事務を委託することができるという形を考えておるわけです。その場合に、政令で定むるということをかってにやられてしまうと困ることになる。これは大臣より事務当局に私は答弁をしてもらいたいところなんですがね。巷間こういうことがいわれておる。政府原案として、市町村に母子保健の運営の主体を移した、ところが社会党が反対をして都道府県に戻した、ところが社会党のやつしりが抜けておるものだから、この政令に定むるところによって今度は都道府県が市町村長に十条の規定による保健指導又び十二条の規定による健康診査を委託することができるということで、社会党の主張を骨抜きにしたのだ、社会党は案外人がいいということをいわれておる。だからこういうことが——さいぜん谷口さんもちょっと、そういうことがないようにやってもらわなければ困るぞという意味のことを言われておるのですが、だからそういうことのないように、これは政令の定むるところによりとこうなると、政令の内容によって法律が骨抜きにされるというのは、われわれ過去においていやというほど知っておるわけです。だからひとつ、社会党は人がいいぞといわれないように、やはり社会党が与党と一緒にがんばっただけのことはあるというだけのあかしは立てておいてもらわなければいかぬ。そうでないと、こういう妊産婦、乳幼児の問題で政治が国民大衆をごまかした、政治家がいいかげんなことをやっておったといわれては、これは困るのです。われわれの純真さ、われわれの母子保健に対する情熱がだめになる。だからこの点はひとつくれぐれも、そういうことはやりません、政令を定めるときにはわれわれに相談してもらわなければならぬと思うのです。いいですか。

竹下精紀厚生事務官(児童家庭局長)

○竹下(精)政府委員 都道府県知事は必要に応じて母子保健事業を市町村長に委任して行なうという修正の内容があるようでございますが、この具体的な内容につきまして、現在もし委任するとしますれば、やはり全国的に統一をした方が必要ではないか、かように考えるわけでございます。そういった面から見ますると、とりあえず考えておりますのは、十六条の修正ができますれば、市町村長とありますのが都道府県知事に移るわけでございますが、その内容は母子健康手帳の交付の内容になるわけでございます。こういう仕事は届け出の問題と関連いたしまして、またミルクの問題とも関連いたしますので、市町村長がやったほうがむしろ適当じゃないか、かように考えております。あとの問題につきましては今後の推移を見ましてまた考えていきたいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 終わりました。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 ただいま委員長の手元に、本案に対し小沢辰男君、河野正君及び吉川兼光君より修正案が提出されております。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。小沢辰男君。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、母子保健法案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  お手元にすでに配付いたしてありますので、要約をいたすにとどめさせていただきますが、母子保健事業の実施主体が、政府原案では市町村ということに原則としてなっておりますけれども、今日の現実のいろいろな条件から勘案いたしまして、都道府県知事がその実施に当たるというふうに修正をすることを妥当と考えたわけでございます。したがいまして、都道府県知事は母子保健事業を行なうものとすること、市町村長は都道府県知事の行なう母子保健事業について必要な協力をするものとすること、都道府県知事は必要に応じ母子保健事業を市町村長に委任して行なわせることができるというような点を中心にいたしまして、修正案を提出をいたしたわけでございます。  なお、国は従前の児童福祉法にありますと同様に母子保健事業の実施に必要な経費を負担をしてもらいたい、こういう趣旨を明確にいたしましてこの修正案を提出いたした次第でございますので、何とぞ各委員の御賛同をお願いいたしたいと思います。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 この際、本修正案について国会法第五十七条の三による内閣の意見があればお述べ願いたいと存じます。鈴木厚生大臣。

鈴木善幸自由民主党厚生大臣

○鈴木国務大臣 ただいまの修正案につきましては、院議として決定されます以上、政府としてはこれを尊重する所存でございます。

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 修正案について御発言はありませんか。     —————————————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御発言がなければ、これより母子保健法案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、母子保健法案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 起立多数。よって、母子保健法案は小沢辰男君外二名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十二分休憩      ————◇—————    午後二時五十四分開議

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日公報に掲載いたしました請願百十三件を一括して議題とし、審査に入ります。  まず、請願の審査方法についておはかりいたしします。  その趣旨につきましてはすでに文書表によって御承知のところであり、また、先ほど理事会においても協議いたしましたので、その結果に基づき直ちに採否の決定に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  それでは、本日の請願日程中、第三ないし第五一、第五三ないし第一一一及び第一一三、以上の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 なお、本委員会に参考のため送付せられました陳情書は、都市環境施設整備費援助に関する陳情書外四十六件であります。  以上、念のため御報告いたしておきます。      ————◇—————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 この際、閉会中審査の申し出の件につきましておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお審査を進めることができますように、前国会より継続されております井手以誠君外十四名提出の最低賃金法案、中村高一君外十三名提出の駐留軍労働者の雇用安定に関する法律案、井手以誠君外十四名提出の労働基準法の一部を改正する法律案及び八木昇君外十二名提出の家内労働法案並びに厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件、社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する件、労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する件につきまして、議長に閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 次に、閉会中審査案件が付託されました後の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会中に委員派遣を行なう必要が生じました場合の承認申請等に関しましては、あらかじめ委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 なお、閉会中の理事辞任の件並びに欠員を生じました際の補欠選任につきましても、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松澤雄藏自由民主党

○松澤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十一日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後二時五十七分散会

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