社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 302 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/08/09
会議録
○松澤委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 アメリカの基地労働者の雇用対策について、これはいままで当委員会におきましても懸案事項でございますので、あらためて申し上げる必要ないと思いますけれども、さらにその後いろいろ新しい事態が発生いたしておりますので、したがって、あらためてここで基地労働者の雇用問題につきまする政府の指針というものをただしてまいりたい、かように考えるわけであります。 御案内のように、米軍基地で働いておりまする労働者の諸君というものは、その地位というものがきわめて不安定でございます。一昨年も、アメリカのいわゆるドル防衛政策とその戦略変更によりまして、六千名に及ぶ大量の解雇が行なわれたわけでございます。その当時も、これはたいへんなことだということで、政府に対しましていろいろ善処を要望いたしてまいったのでございますが、しかし、実際には駐留軍労働者というものは年齢構成が非常に高い、こういうことが主たる原因となりまして、そしていろいろやかましくいわれてまいりましたけれども、実際には再就職をいたしてまいりましたのは六千名の三分の一の程度、すなわち二千名程度というものが、まあどうやらこうやら再就職ということに相なった、こういう実情でございます。したがって、この一昨年の大量解雇というのは一つの大きな山場でございましたけれども、引き続き私どもも、この問題につきましては得三再四、何とかしろというようなことを指摘いたしてまいったのでございます。ところが、それに対しまする対策というものにそういたして見るべきものもない、そういう情勢の中で、また今度王子におきまするキャンプ閉鎖という問題が起こってまいりました。このように基地で働きまする駐留軍労働者の雇用というものは非常に不安定である、したがって、それらに対しまする政府の強力な対策というものが必要である、こういうことがしばしば当委員会においても繰り返されてまいったのでございますけれども、実際にはほとんど対策の見るべきものがない、しかもその間にまたそういう閉鎖ということが行なわれる。この基地労働者というものは政府雇用でございますので、したがって、政府は一体そういう政府雇用についてどういう責任を感じておられるのか、これは基本的な態度でございますけれども、きわめて重大な点でございますから、あらかじめ政府雇用に対しまする政府の態度というものについて、ひとつ労働大臣と防衛庁のほうから率直な御見解を承っておきたい、かように思います。
○小平国務大臣 駐留軍関係の雇用者が漸次整理、解雇せられて減少しつつある、こういうことでございまして、それに処して御承知のとおりすでに例の臨時措置法等の法的措置も講じておるわけでございますが、それにいたしましてもこれらの諸君が非常に不安な立場にあるということにつきましては、私どももよく承知をいたしておるのでございます。しかし、また一面、確かに政府雇用の労務者には違いございませんが、率直に申しまして一般の雇用者とも若干——若干と申しますか、本来、何しろ駐留軍の雇用でございますから、そこにやや異なった性格と申しますか、性質を持っておることも事実ではなかろうかと存じます。そういう関係もありますので、臨時措置法等によって特別の扱いをいたしておるところでございますが、万一失業者等が出た場合につきましては、労働省といたしましてはこれが再就職等につきまして、御承知のとおりに、あらゆる方途を講じましてでき得る限りの努力を講じておるところでございます。一般の失業者についても、もちろん労働省としましては努力を払っておりまするが、駐留軍労務者等の特殊な性質等にもかんがみまして、さらに一そうわれわれは再就職についての努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○井村政府委員 駐留軍の雇用関係は、御承知のとおり国の雇用ということになっておりますが、ただいま労働大臣が答えられたとおり、少し特殊の状況であることは御存じのとおりであります。これが退職等についてはいろいろ問題もあるようでございまするが、先ほどお話しのありましたような臨時措置法によりまして、できるだけ万全の措置を講じたいという考えでございます。また、本委員会におきましてもいろいろその問題が議論されておりますが、かなり複雑な問題もございますので、これらの打開の点、また再就職等については、とくと関係各省と連絡をとりまして、十分な措置を講じたいという考えを持っております。
○河野(正)委員 なかなか答弁はきれいですけれども、現実に政府はどれだけの責任を感じておられるのかということについては、実績を見てまいりましても明らかなように、ほとんど見るべきものがないというのが現状でございます。そこで、いま御答弁の中に、臨時措置法等によって万全の措置をはかってまいりたいというようなお話等もございました。いずれそれらの点につきましては後ほど触れるとして、私は具体的な点からだんだんと話を進めてまいりたい、かように考えます。 そこで、せっかく王子製紙のキャンプ閉鎖の問題が出てまいりましたから、これを一例として取り上げてまいりたいと思いますが、今度の示されました解雇計画によりますと、九月末までが三百名、十二月二十四日までが百四十五名、それから明年の六月末日までが残りの二百三十名ということで、合計六百七十五名が解雇される、こういうことに相なっておるわけでございます。ところが、私どもが強く指摘をいたしたいと思いまする点は、九月末には三百名の首切りが通告されておる。ところが、現実には、その細部の問題点については全く具体的な明示が行なわれておらない、こういう事情がございます。簡単に解雇しておるけれども、切られるほうの立場になってみると、何ら具体案が示されぬまま解雇をされるということについては、全く承知できぬというのが率直な感情だろうと思うのです。 それから、きょうは時間がございませんから、私は続けて申し上げますが、いま一つは、いままで王子製紙においてはたいした人員整理というものがなかった。それから米軍側の責任者も、この施設というものは地図をつくる施設でございますが、この施設というものは恒久性がある、恒久性があるわけですから、労働者の職場というものは安定性があるんだ、こういうふうな言い方をしてきた。しかも念が入っておりますのは、この一カ月前には、欠員補充をするのだということで新規採用の要求を出した、こういうことがございます。このように九月末には三百名という大量の解雇を行なうわけでありますけれども、何ら具体案が示されておらない。しかも、いままで従業員に対しましては、この仕事というものには恒久性があるんだ、永久性というものがあるんだ、だからおまえたちの職場というものは安定性があるんだ、そこで一カ月前には新規の欠員補充をやるんだ、そういうふうな指導をやっておりながら、唐突として実は今度の、基地閉鎖ですから全員が解雇される一こういうような重大な方針というものが示されておる。これでは私は、全く労働者にとっては踏んだりけったりと言わざるを得ぬと思うのです。したがって、首を切られるほうの従業員、労働者あるいまたその家族、こういう従業員、労働者あるいはその家族というものは、非常に大きなショックだったろうと私は思うのです。こういうふうな実情というものがはたして政府によって承知され、そうしてそういう点を十分含んで軍交渉というものが行なわれておるのかどうか。どうも私は、そういう実態に対しまする認識が非常に欠けておるのじゃないか。そこが、さっき私は労働大臣あるいは防衛次官にお尋ねをしてお答えをいただいたわけですけれども、万全を期しておる、こういうことではほんとうに万全を期したと言われるのかどうか、私どもは非常に大きな疑問を持たざるを得ない。これが率直に聞きたい第二の点でございます。これらの点について、ひとつ労働大臣、防衛庁、それぞれから御見解を承っておきたいと思います。
○井村政府委員 王子キャンプが閉鎖されるということは、今年の七月の七日の日に書簡をもって通告されました。四十一年の六月三十日までに六百七十五名を解雇するという通達でございます。もとより河野委員のおっしゃったように、こういうふうな急選とした通達では、職業訓練をやるにしても、また就職あっせんをやるにいたしましても、きわめて期間が短いので、こちらといたしても非常にこれは困難な問題でございます。したがいまして、さっそくこの出先キャンプのほうの米軍へ、さしあたり九月三十日までの三百名、とにかくこれを延期できないかどうか、できるだけこれを延期してくれということを強硬に申し入れてあると同時に、配置転換その他についても十分心してくれということを申し入れてあるわけでございます。漫然とこちらが受け入れておるわけでもございません。また、出先米軍と連絡をとりましたところ、出先米軍といたしましても、これは本国政府のほうから、やはり国防省の経費節約のために、政府からの命令でございますので、簡単にこれを延期するとかあるいは減員するというふうな答弁が得られぬため、近く外交ルートを通じて外務省から向こうのアメリカ政府のほうへ、直接この問題についてひとつ協力方を要請いたしたいという心がまえをいたしております。
○河野(正)委員 質問しますと、なるほどりっぱな答弁があるわけですけれども、しかし、戦後二十年間の実績を見てまいりますと、私どもはそういう答弁に満足するわけにはまいりません。特にこの王子基地におきましては、先ほど申し上げますように恒久性があるのだ、職場は非常に安定性が強いのだ、こういうことが言われてきた。そこで、従業員、労働者というものも、そういう当局側の安定性がある、あるいは恒久性があるということを前提としてのいろいろな生活環境というものが成り立ってきていると思う。たとえば、永久性がある、あるいは恒久性がある、そこで、ひとつここでしっかり腰を落ちつけて子弟の教育に当たっていこうじゃないか、あるいは家庭の基盤もつくっていこうじゃないか、そういうふうな生活環境というものが生まれてきていると思うのです。ところが、いま申し上げまするように唐突として閉鎖が通告される。そういうことになりますると、政府というものは、一体アメリカ側の通告というものを事務的に唯々諾々としてのんでいくというのが政府の任務であるのか。私は、むしろこれは政府が雇用をしてアメリカ軍に対して労務を提供しているわけですから、したがって、やはり政府の責任においてそういうことについてアメリカ側の反省を求めていく。なるほど、これは軍の命令だからそこで外交ルートを通じて解決するのだ、こうおっしゃっているけれども、これはいま始まったのじゃないのです。基地縮小というものは、もう最近ずっと引き続いて行なわれておる。私は、やはりそういう政府の姿勢と、政府の基地労働者に対しまする取り組み方、こういうところに非常に大きな問題があると思うのです。いまのようにアメリカ側から通告されればそれを労働者に押しつけていく、これなら、私は何も防衛庁長官も要らぬし、施設庁長官も要らぬと思うのです。それこそ私がさっき申し上げまするように、これは一等兵でもいいと思うのです。そういう政府の姿勢を正してもらわぬ限りは、こういう問題というものは——基地の縮小というものは、いま国際的な趨勢でございます。ですから、私は政府の姿勢を正す以外にこの問題の解決方法はない、これが私どもの率直な所感でございます。 そこで、今後政府は、基地労働者に対しまする姿勢をどう考えていかれるのか、これは基本的な問題でございますが、非常に重要な点だと思う。これなくしては臨時措置法の問題も解決しないし、私どもがいま国会に訴えております雇用安定の問題も解決しないと思うのです。ですから、今後こういう基地労働者の問題に対して政府はどういう姿勢で取り組んでいこうとするのか、これは非常に重大な問題でございまして、これなくしては、今後の紛争というものはいつまでたっても私は断ち切ることはできぬと思うのです。そういう意味で、この基地労働者に対しまする政府の姿勢というものをひとつ政府から率直明快にお聞かせいただきたい、かように思います。
○小幡政府委員 王子キャンプの今度の整理に対しまする態度につきましては、先ほど政務次官からお答えしたとおりでございます。私も着任いたしましてしょっぱなにこの問題に遭遇いたしまして、直ちに米軍の参謀長と話をいたしまして、九月三十日の早期整理はぜひ延期してほしい、その理由は、先ほど来先生もおっしゃっていますようにいろいろ急な話である、それから労働者自身を調べてみますと二割程度は五十歳以上である、それから地図というものに専念しておりますので特殊な技能者である、その技能に向く転職先が見つかればいいが、それだけに就職先の範囲が狭い、それから景気もなかなか一時ほどは、就職が可能でない、そういうような事情を申し述べまして参謀長に反省を促したところ、参謀長は、非常に困難と思うが、陸軍省の指示でもあり、本省に連絡をするという回答を得まして、あわせて、先ほど政務次官から申しましたように、外交チャンネルを通しましても、日本側としてもなおこれに協力して延期方を申し入れるということにしたわけであります。基地労働者につきましては、御承知のように相手が米軍でありまして、しかも政府雇用であるというふうな関係から、一般の企業の労働者と違いまして、企業採算によらざる整理というものを予算でやってくるというふうな特殊事情もございますし、その他米軍がその給与を支払うというふうな特殊事情もありまして、必ずしも整理と再就職の間が民間企業ほどには円滑にいかない点は十分承知いたしております。今後、その面につきましては特段の努力をしたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 もちろん、私は、王子キャンプの問題は唐突として起こってまいった問題でございますから、したがって、延期の問題その他もあろうと思います。しかし、私がいま承っておりますのは、そういう具体的な問題もございますけれども、そういう問題が今日までしばしば繰り返されている。その繰り返されている問題をここで抜本的に解決するためには、やはり政府の姿勢というものを正してもらう以外にないのだ、そういうことで実はお尋ねをいたしておるわけです。特にいまも施設庁長官からお答えがありましたように、駐留軍の労働者というものは、いつなくなるかわからぬという職場の特殊性というものがございます。基地がなくなりますと直ちにその職場というものがなくなる、この点が一般産業労働者と非常に違う点でございます。もちろん失業者が多発いたしますと、その再雇用、再就職については、政府が責任を持ってもらわなければならぬということは当然でございますけれども、いま申し上げまするように、基地労働者というものは、もう常々から非常に不安定な職場である。基地がなくなりますとすぐ全員が失職しなければならぬ、こういう状態であることはもうわかっているわけですから、そこで、なぜ一般産業労働者と違うそういう不安定な職場である基地労働者の雇用対策というものが抜本的に打ち立てられていかないのか、樹立されていかないのか、そういうところに私どもの今日お尋ねを申し上げまするゆえんがあるのでございます。そこで、いまお答え願いましたように、なるほど王子キャンプの問題につきまして減少されますることは後ほど申し上げます。けれども、単に王子キャンプのみならず、基本的に、根本的に基地労働者の不安定な雇用というものを一体どうするのだ、そういう姿勢というものを確立することが先決じゃないか、そういうことを私は御指摘を申し上げておるのでございます。そこで一ひとつその点については、施設庁長官もけっこうでございますが、労働大臣も、そういう一般産業労働者と違った特殊な不安定な職場にある労働者の安定雇用というものについて、どういうような対策を立てようとされておるのか、この点をきっちりしてもらわぬと、こういう紛争というものはいつまでたってもあとを断つことができぬと思うのです。そういう意味で、私は労働大臣からもこの際ひとつ御所見を承っておきたい、こういうように考えます。
○小平国務大臣 基地の米軍関係の労務者が非常に不安定な状況にふだんから置かれておる、こういう特色のございますことは御指摘のとおりだと存じます。そこで、従来政府としましては、先ほど申しましたが、例の臨時措置法によってこれを特別に扱ってまいっておるところでございますが、これだけで足れり、かように申すわけにはもちろんまいらぬと思います。しかしながら、一面、また現在の措置法以上に一体どういう措置を講ずることが一番適切であるかということにつきましても、もちろん労働省としても検討はいたしておりますが、これという結論も、率直に申しましてまだございません。したがって、解雇等が行なわれた場合におきましては、さきに申しましたとおり、極力これが再就職ということにつきまして、もちろん訓練等も含めましてあらゆる努力を払っておるところでございます。今後におきましても、もちろん現実にこれを米軍との関係においてどうするかということは防衛庁のほうのお仕事でございますが、われわれは、解雇者が出た場合においての対処策ということは十分積極的にやってまいりたい、かように考えております。 〔委員長退席、澁谷委員長代理着席〕
○河野(正)委員 具体的な問題は後ほど触れますが、そこで私は、ここで率直に承っておきたいと思いまする点は、先ほどから繰り返して申し上げまするように、駐留軍労働者というものは政府が雇用主である、したがって、解雇された駐留軍労働者の再雇用の問題については、私は当然政府が責任を持つべきだ、こういうふうに考えるわけです。政府雇用である駐留軍労働者、それが一方的な軍の命令その他によって解雇されれば、当然その再雇用については政府は責任を持つべきだ、こういう考え方を私どもは持つわけです。そこで、政府雇用である駐留軍労働者についての再雇用というものは、政府が責任を持つべきであるという考え方についてはいかがでございますか、率直にお聞かせ願いたい。
○小平国務大臣 先生御指摘のように、政府雇用の労務者であるから、米軍がこれを必要としなくなった場合においては政府が責任を持つべきである、これは確かに一つの考え方かと存じます。しかし、一方、政府の立場から申しましても、元来が米軍が必要とした人員でございますから、これをそのままそっくり政府において責任を持って引き続いて雇入れるということも、事実問題として、 これは予算あるいは定員等の問題もございましょうし、そのとおり直ちに引き続いてやっていくということは、私は困難な面が多いのではないかと存ずるのであります。そこで、今回のような事態が起きた場合におきましても、労働省としては、でき得る限り各省において、この程度はひとつぜひ定員その他が許す限り採用してほしい。現に割り当て的にまでいたしましてあっせんをいたしておるのでございまして、先生のようなお考えも確かに一つの理由のあるところと存じますが、実際問題としてそのままそっくり引き続いて政府が責任を持っていくのだということは、相当困難があるのではないかと考えられるわけであります。
○河野(正)委員 いまのような大臣の答弁に私どもは非常に不満を持つし、不安も持つわけですね。と申し上げますのは、政府雇用であるから、それが自己退職ということになれば別でございましょうけれども、一方的に軍によって解雇されるということになれば、これは政府が雇用して提供しておるわけですから、それに対する責任というものは、当然私はあると思うのです。私は、そういう責任体制というものが確立されぬ限りは、このような紛争、不安というものはいつまでたっても除去できぬと思う。そこで、ひとつそういう問題をこの際一挙に解決してしまおうじゃないかというのが私どもの主張です。私どもは、何も不安定な基地の中にいつまでも職場を持つことを希望しておるわけではないので、やはりすみやかに安定した雇用に入ることを希望しておるわけです。ですから、いつまでも基地に使ってくれとわれわれは言っているわけではないのです。少なくとも政府が雇用してアメリカ軍に提供されたということになれば、もしそれが首切られたならば、何もベースにおる必要はない、安定した雇用にちゃんと再就職さしてください、こういうことをわれわれは言っているわけです。ですから、それはいま大臣がおっしゃっているように考え方でなくて、当然理屈だと私は思う。要は、中高年齢ということ、あるいは技術がないというようなことでなかなか困難な面もありましょうけれども、姿勢としては、いま申し上げまするように、政府が雇用して提供した以上はやはり再雇用については政府が責任をとるべきだ、この考え方というものをきちっと確認してもらわぬ限りは、このような紛争、このような首切りというものはいつまでたっても解決しないというように考えられるわけです。そこで、それも一つの考え方だということじゃなくて、そういう考え方に立って今後政府は強力な対策を立てる、こういう姿勢を示してもらわぬ限りは私ども納得するわけにはまいりません。端的に申し上げて、政府が雇用主である駐留軍労働者にとっては、その再雇用については政府が責任をとっていただく、この基本方針だけはぜひひとつここで確認していただきたいと思うのです。いかがでございますか。
○小平国務大臣 政府雇用の駐留軍労務者であるから、駐留軍のほうでそれを必要としなくなった——原因はいろいろございましょうが、結論的には必要としなくなった、あるいは雇用を継続することができなくなったという場合において、政府がなお引き続いて責任をとれ、こういう御趣旨と思いますが、先ほど申しましたとおり、元来が駐留軍労務者の場合には、なるほど政府が雇用してこれを駐留軍に提供するという形はとっておりますが、もともと駐留軍の必要に基づいて雇用を政府がいたしておるわけでございますから、駐留軍のほうの必要がなくなった場合においてもなおかつこれを全部政府が責任を持ってそのまま引き続いて採用していくべきだ、全責任を持つという意味がそういう意味でありますと、さきにも申しましたとおり、政府におきましては申し上げるまでもなく定員の問題もありましょうし、予算の問題もありましょうし、そういう本来政府自体の必要で採用しておる人々でございませんから、そういう点で非常に困難があるのでなかろうか、 こういうことを私は申し上げておるわけでありまして、もちろんそれらの方々の雇用が安定しなければならぬ、そのために政府がやはり責任を持って再就職等について、その間、もちろん訓練等も含めまして責任を持ってやっていく、こういう心がまえは私ども十分持たなければならぬし、また、現にさようにやってまいったところでございますが、さきにも申しましたとおり、先生のおっしゃる責任を持つという意味が、引き続いてそのまま全員を政府が雇っていくべきだ、こういうことになりますと、なかなか実際問題として困難ではなかろうか、かように私は考えておるわけであります。
○河野(正)委員 端的に申し上げまして、とにかく再雇用について責任を持ち切れぬということなら、労務提供を拒否したらどうですか。責任を持てないなら、アメリカ軍に対して労務提供を拒否したらどうですか。私は、政府が政府の責任において労務を提供すれば、やっぱりそれに対する責任は当然とらなければならぬ、アメリカ軍の言いなりになって責任がとれぬとおっしゃるなら、当然労務提供を拒否すべきだと思うのです。これはいかがですか。拒否しなさい。
○小平国務大臣 話がそこまでまいりますと、政府が確かに雇用して駐留軍に提供しているには違いありませんが、政府がいわば強制的にこれを雇い入れて提供した、こういうことではなくして、もちろん政府も御本人たちのいわば自由意思に基づいてこれを雇用し、駐留軍に提供しておる、こういう関係でございますから、政府が労務提供そのものを拒否するということはいかがか、かように私は考えます。
○河野(正)委員 少なくとも政府が雇用をして、そして労務提供する以上は、私は政府に責任があると思う。これを一方的に、労働者がかってに希望したんだからいいじゃないか、それでは私は筋が通らぬと思うのです。そういうことで私は納得するわけにまいりません。特にさっき私が王子キャンプの問題を取り上げましたけれども、この王子キャンプの問題を一つ取り上げてまいりましても明らかでありますように、この職場というものは永続性があるんだ、おまえたちの職場というものは安定性があるんだ、安心して働けと言っておきながら、九月末には三百名が首切りになった、こういうむちゃくちゃなことをやるアメリカ軍じゃないですか。それなら労働者を雇用するときに、アメリカ軍は当てになりませんよ、おまえたちいつ首切られるかわからぬぞ、はっきりそういうことを明示して雇用しなさいよ。これは全く労働者をペテンにかけているんじゃないですか。おまえたちは永続性があるんだ、安定性があるんだ、安心して働きなさいと言っておいて、唐突と首切りを通告しておるじゃないですか。それなら私は、やはり政府が責任を持つべきだと思う。しかし、どうもアメリカ軍が信用ならぬとおっしゃるならば、当然、そういう信用ならぬものについて労務提供するわけにはいかぬということで私は拒否すべきだと思う。国民がかわいそうですよ。労働者がかわいそうですよ。労働者も日本人でしょう。もう少し姿勢を正してもらわなければこの問題は解決いたしませんので、率直にお答えいただきたい。
○小平国務大臣 実際に労務を提供するにあたっての募集等はどういうふうにいままでやってまいったのか、また、現にいまお話に出ております王子キャンプの場合に、はたして将来とも安定した職場であるということを前提として、特にそういうことを申し添えながら募集したものかどうか、これは施設庁のほうから御説明があると思いますが、いずれにいたしましても駐留軍関係において雇いますときには、もちろん相当程度の長期にわたって必要だ、こういう見通しでやるものと思いますが、それが何らかの事情で予想以上に早期に必要がなくなったと申しますか、続いて雇っていくことができなくなった、そういう事情で変更される場合もあると思いますので、いずれにいたしましても私どもとしては、先ほども申しましたとおり、政府が全然責任がないと申しておるのではございませんで、これを引き続いて政府が全部雇っていくべきだという点では実際問題としていかがか、こう申し上げておるので、再就職等については、少なくとも労働省の立場から申しますならば、十分積極的に努力をいたしてまいる、このことを再三申し上げておるわけでございます。
○河野(正)委員 そこで、私は大臣に非常に不満があるわけですよ。あなたは最善を尽くしておるようにおっしゃるけれども、それなら労働大臣がはたして最善を尽くされたかどうか、私は一例を提起いたします。 先ほども駐留軍の労働者の離職者については、臨時措置法で万全を期していきたいというようなお話もございました。ところが、そういうことで今日の駐留軍の労働者について万全を期していかれるのかどうか。私が非常に労働大臣に対して不満を持っておりますのは、たとえば雇用奨励金の問題にしてもあるいは就職促進手当の支給問題についても、炭鉱労働者、それから金属鉱山の離職者についてはそういう適切な処置が行なわれておる。政府雇用である駐留軍の労働者が、なぜ炭鉱労働者、金属鉱山労働者以下の処遇であっていいのかどうか。あなたは、万全を期す万全を期すと言われておるけれども、炭鉱労働者、金属労働者以下の処遇を受けておるじゃないですか。それで政府が責任を持ったといわれますか。その点についてはいかがですか。政治問題だから大臣から……。
○小平国務大臣 炭鉱労務者との比較の問題でございますので、その現実の取り扱い方がどの点でどのように違っておるのか、私の聞いておる範囲では、実際問題としては炭鉱労務者の場合と比べまして、そう別段不利ということでもないように実は聞いておるのでありますが、具体的によく局長から御説明申し上げたほうが適当かと思いますので、どうか局長からお聞き願います。
○河野(正)委員 具体的じゃなくて、いま私が指摘いたしました雇用奨励金とか就職促進手当がついておるわけです。なぜ政府雇用でありながら、そういう民間の炭鉱労働者、金属鉱山の労働者以下の処遇をされるのですか、こう言っておるわけであります。
○小平国務大臣 その点で私のいままで報告を受けておるところでは、形の上では御指摘のとおりになっておることも私も聞いておりますが、実質的には、必ずしも炭鉱労務者に比して処置が下回っておらぬというふうに聞いておりますので、具体的に局長から御説明申し上げたい、こういうことです。
○河野(正)委員 炭鉱労働者、金属鉱山労働者よりも劣悪な条件でないとおっしゃるならば、なぜ雇用奨励金なり、あるいは就職促進手当が出されぬのですか。
○小平国務大臣 ですから、いま御指摘のような手当が駐留軍労務者の場合になくても、実際の問題としては炭鉱労務者に比して劣悪な取り扱いをしておらぬというふうに私もいままで実は報告を聞いておりますので、その点をよく局長から御説明を申し上げたい、かように思っておるわけです。
○河野(正)委員 そうじゃないのです。中身を聞こうと思わぬのです。炭鉱労働者、金属鉱山労働者については、雇用奨励金ないし就職促進手当が支給されておるわけです。それがなぜ国が雇用した駐留軍労働者についてはそれ以下の手当しか出されぬのですか。だから、あなたが万全を期すとおっしゃるならば、炭鉱労働者、金属鉱山労働者についてはそういう処置が行なわれるわけですから、その程度のことをなぜおやりにならぬのですかと言っておるわけです。
○澁谷委員長代理 ちょっと河野さん、いま大臣と局長とのあれに食い違いがあるかもしれぬから、局長から一応話してみたらどうですか。
○河野(正)委員 同列だとおっしゃるから、これが欠けておるじゃないか……。
○澁谷委員長代理 局長から一応説明を聞いて、その上でまた大臣に……。
○有馬政府委員 炭鉱離職者の場合も駐留軍離職者の場合も、要は再就職を保進するということに目標があるわけでございますが、炭鉱離職者の場合には、炭鉱離職者の臨時措置法に基づきまして、御指摘のような雇用奨励金制度並びに就職促進手当制度が創設されておりますことは御承知のとおりでございますが、その後一昨年の職安法の改正によりまして、こういった駐留軍の離職者の対策を念頭に入れつつ職場適応訓練制度というものを創設いたしました。この制度によりまして、事業主には奨励金を平均いたしまして五千二百八十円、それから本人には一万四千四百十円という手当を支給する制度が炭鉱離職者の臨時措置法以後にできたわけでございます。したがいまして、われわれとしましては、一昨年の改正によってできました職場適応訓練制度を駐留軍の離職者の場合に集中的、優先的に運営いたしまして、この制度でもって再就職の促進をはかっていこう、こういう体制でございますので、再就職という最終目的からいたしますと、石炭の場合も駐留軍の場合も、いずれが有利である、あるいはいずれが不利であるというようなことは、なかなかこれは比較がむずかしい。私どもの促進対策といたしましては、職場の適応訓練制度を十分活用していけばその目的は達成するもの、かように考えております。
○河野(正)委員 有利であるか不利であるかは、労働者が判断するわけです。だから、職場適応訓練制度もけっこうです。しかし、炭鉱あるいは金属鉱山の場合には雇用奨励金があるわけですから、なぜ雇用奨励金という処置もおやりにならぬのですかというのが、私どもの主張なんです。それがどっちが有利か不利かは、労働者が判断すればいい。いいほうを措置してもらえばいいわけです。だから、炭鉱離職者あるいは金属鉱山の離職者については雇用奨励金を出す、片一方はいま言うような別な方法でやる、そういうことをやるのでも、こういう制度があるならそういう制度でやられたらどうですと、われわれは言っているわけです。どっちが有利であるか不利であるかは、労働者が判断すればいい。
○有馬政府委員 石炭離職者の場合には、石炭離職者の今度の合理化の特殊性に基づきまして、いま申しましたような促進手当制度がございますが、これが駐留軍の場合にはないというふうな御指摘で、まさにそのとおりでございますが、駐留軍の場合には駐留軍の退職に伴う特別給付金制度というふうなものもございますし、問題は離職後の再就職という観点から、再就職を促進するための援護措置がいかが相なっておるかという点が私どもとしては最大の関心事で、そういう点から考えまして、石炭の離職者と比較して駐留軍の離職者の促進措置としては、いまの職場適応訓練制度を集中的に、優先的に運営すれば十分対処できる、かように判断いたしておるわけでございます。
○河野(正)委員 あなたはできると言うけれども、離職者のほうは納得しておらぬわけです。だから、政府雇用であるならば、私は、炭鉱ないし金属鉱山に優先せいと言いません、せめて政府雇用であればその並みの処遇というものをやってもらいたい。それをなぜ別な形でやらなければならないのか。それがいま職安局長が言っておるように、どちらが有利か不利かということは、これは離職者が判断すればいい。そういう差別されること自体に私どもは納得がいかぬわけです。感情的に言えば、政府雇用ですから、民間雇用よりも優先してほしいという感情はあります。しかし、私どもは言いません。やはり炭鉱離職者の場合も金属鉱山離職者の場合も、同じようにお困りですから私はあえて言いませんけれども、駐留軍の労働者の感情から言わせれば、やはり政府雇用であるから、もっとわれわれは優先してほしいという気持ちがあろうと思うのです。にもかかわらず、なぜそういう別途な措置をとられるのかというところに、私は非常に大きな不満を感ずるわけです。それから、いみじくもいま局長が給付金制度があるとおっしゃるけれども、これだっていろいろ制約はございますね。非常に不安定です。たとえば今度の王子キャンプの問題についても、九月、十二月、それから来年六月ですから、どうせ来年六月には全部首切られるということですから不安定だ。この際、安定雇用というならば自分から職場でもさがして出ていこうかということになれば、給付金制度だってこれは消えてしまいます、自己退職ですから。いま大臣は、あまりそういう知識がないから適当なことを言っておられるけれども、その給付金制度についてもいろいろ問題があるわけですよ。だから、私どもは、すみやかに臨時措置法を改正してほしいという要望をやっておるわけです。これは施設庁長官御承知のとおりです。そういう問題をたなに上げておいてこういう制度もあるじゃないですか、こういう制度もあるじゃないですか、それで万全ですと言われても、私どもは納得するわけにはまいりません。そういう制度があるならば、そういう制度ももう少し完ぺきにしてもらわなければならぬ。それならば臨時措置法をすみやかに改正される御意図がありますかどうか、これは施設庁長官にお尋ねしたい。
○小幡政府委員 この問題につきましては、先ほど労働省からお答えになりましたように、いろいろ関連する施策との問題がございますが、また、衆議院の内閣委員会等でいろいろお話があることも聞いておりますが、よく関連した施策との関係を検討いたしましてわれわれも考えたいと思います。
○河野(正)委員 臨時措置法を御改正願う御意図があるかないか、イエスかノーかということです。
○小幡政府委員 先ほど申しましたように、十分関連施策との問題を検討して考慮したいと思います。
○河野(正)委員 検討したいということでは納得するわけにいきませんよ。検討して善処したいということをお約束にならなければ、片一方は、労働者は給付金制度があるじゃないかと言っておる。ところが、給付金はいま言ったようにいろいろ規制があるわけです。だから、そういう問題が完ぺきなら、労働省のおっしゃる答えでいいのですよ。だから、私はあえてあなたに聞いておるわけです。そういう問題になる給付金制度その他についての臨時措置法については、改正の御意図がございますから。それを完全にしてもらえば、それはいま局長のおっしゃることで納得しますよ。それを不備なままで置いておいて、給付金制度があると言っても納得しません。どうですか、はっきり言ってください。
○小幡政府委員 さっき申しましたように十分関連施策との関係を考慮いたしまして検討したいと思います。
○河野(正)委員 検討では納得いきませんよ。もう少し確信のあるお答えを示してもらわぬ限り納得できません、私は何べんでも繰り返しますよ。
○小幡政府委員 先ほどの承別給付金の支給につきましては、暫定的に出せるように、この問題についてはいま善処してございますが、臨時措置法の改正につきましては、いろいろ経緯もあり、また、関連施策との関係もございますので、十分検討したいと思います。
○河野(正)委員 十分検討したいということは、何べん聞いてもそのとおりでしょう。もう少し前向きな御答弁をなさらぬ限り納得しない。同じことですよ。それじゃ、子供の質問じゃないのですから、はいそうですかと言うわけにはいきませんよ。ですから、もう少し前向きな答弁をなさいよ。
○小幡政府委員 先ほど申しましたとおりの点でひとつ御了承願いたいと思います。
○河野(正)委員 いや、了解できぬから尋ねておるのじゃないですか。前向きで答弁しなさいよ。
○小幡政府委員 現段階で私の立場としましては、先ほど申しましたように、十分関連施策との間を推しはかりまして検討したいと思いますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
○河野(正)委員 了承できぬよ。どういうことですか、その意味は。検討というのはどうなんだ。繰り返し、繰り返し恐縮ですけれども、それでは子供の一問一答みたいなもので、それではものが解決せぬと思うんです。ですから、その検討をわれわれがどういうふうに理解していいのか。ただ検討しっぱなしということじゃ困るので、その検討の中身については私どもがどういうように理解をし、判断したらいいのか、もう少しわかるように答弁してください。
○小幡政府委員 この問題は、先生も御存じのように、内閣委員会等に野党からそういう案が出た経緯も知っています。いろいろ経緯もございますので、私ども着任早々まだ一カ月少しでございますので、責任のがれじゃございませんけれども、十分検討いたしまして、その上で判断して検討したい、このように考えております。
○河野(正)委員 もう少し誠意のある検討を示してくださいよ。何べんお尋ねしても、ただ検討して検討してということじゃ私どもは納得できない、さっき申し上げましたように子供の一問一答じゃございませんから。そこで、検討というのは前向きの検討が行なわれるのかどうか、その辺をもう少しはっきりしてくださいよ。これじゃ議事は進行しませんよ、大臣ももうぼつぼつお帰りになる時間がきているのですから。
○小幡政府委員 善処したいと思います。
○河野(正)委員 そこで、雇用の安定の問題については、率直に申し上げて、きょう必ずしも満足するような答弁を得られなかったと思うのです。しかし、臨時措置法については善処されるわけですから、私ども非常に前向きな答弁というふうに理解をいたしております。しかし、現実の問題としては、この問題が明確に解決したわけではございません。 そこで、今度の王子キャンプの閉鎖についての解雇の問題ですが、そういう一切の問題が前向きに解決せぬ段階で、六百七十五名の解雇ということは私どもは納得できません。そこで当然、この解雇は、いま申し上げまするような諸懸案が解決せぬ段階においては、やられることは困るわけです。もしその解雇をやむを得ぬというならば、いま申し上げたようなことをすみやかにひとつ解決してください。そういう意味でこの解雇についてどういうふうに対処されるお気持ちであるか、ひとつ明快にお答えをいただきたい。
○小幡政府委員 今度の解雇につきましては、先ほど申しましたとおり、九月を延期してもらうということにつきましては、在日米軍並びに駐米大使館から向こうに申し入れてもらうように努力しておりますが、なおあわせまして、施設庁内の王子関係の離職対策、緩和につきましては、せめてひとつ就職あっせんでも強力にお手伝いをしまして、中央離職対策協議会にお願いし、また、労働省を中心とする各省にもいろいろあっせん方をお願いするという態勢をやって、何とか少しでも就職の打開に協力をしたいという姿勢をとっております。
○河野(正)委員 当面、九月末というのは非常に近いですね。この三百名については延期せしめることは可能ですか。
○小幡政府委員 これにつきましては、私ども在日米軍と折衝しましたところ、この閉鎖の原因は、ドル防衛、それから陸軍部内の統合再編成の結果、この地図局の一部はワシントン、一部はハワイへ行くということで、地図局が閉鎖になるのではありません。ただ日本でやらないという意味の閉鎖であります。したがいまして、陸軍省レベルで決定したことでありまして、非常に困難であると思っております。また、参謀長も、非常に困難であろうということは予見しておりますが、それにもかかわらず、こちらからの申し入れに対しまして在日米軍から陸軍省にも照会はするし、それをヘルプする意味で日本側も駐米大使館を通じて外交チャンネルで折衝してみたい、かように考えております。
○河野(正)委員 解雇はいつ出ますか。
○小幡政府委員 九月三十日をさかのぼる四十五日というのが一つの時点になっておりますので、何とかそれ以前に相当余裕を持ってほしいと思っておるのですが、いままで得た情報では十一、二日ごろではないかと言っております。なお、現在のところ、まだ正式回答はございません。
○河野(正)委員 先ほどちょっと臨時措置法の問題について触れましたが、いま申しましたように、すでに九月末、十二月二十四日、それから六月末というように小刻みの首切りが行なわれるということで非常に不安定ですね。ですから、この際、どうせ不安定だから、早く収拾策を見つけていこうというような方々もおられると思うのです。ところが、そういう際には給付金制度——この際は閉鎖ということですし、配置転換も考えられないし、しかも期限を切って何月何日まではどれだけ、こういうことになっておるわけですから、これは特殊事情ですね。そこで私どもは、臨時措置法の改正がすみやかに行なわれることを希望するわけですが、時間的に間に合わない。そこで、一応この際、希望退職者に対しては、いわゆる人員整理と同列に取り扱うということを強く要望したいと思うのです。この点はいかがですか。
○小幡政府委員 その点も実は米軍とも折衝いたしまして、七月七日にこちらに文書で正式に通知がありましたようにお伺いしております。整理を予見して、みずから職を退かれる諸君に対しましては、整理退職として見てもらうということに了解を得ております。
○河野(正)委員 職業訓練、それからもう一つは例の広域職業紹介でいく場合は、住宅の問題が非常に重大になる。そこで、ある程度賃金をもらっても住居が困る、住宅に金をとられるという問題があるので、これらについては、ひとつ御善処を願うことと思うけれども、具体的にどういうことをお考えになっておりますか、明快にひとつお答えいただきたい。
○有馬政府委員 いよいよ解雇をされるということになりますと、われわれとしましては職業相談をはじめ職業のあっせん、それから訓練ということで万全を期してまいりたいと思いますが、御指摘のように、広域職業紹介を行ないましたときには住宅が一番問題でありますので、これには移転就職者用のアパートを極力用意する、また、住宅等の借り上げについては、住宅確保奨励金を支給するというような対策を講じて住宅の確保をはかってまいりたい、かように考えております。
○河野(正)委員 大臣、時間がありませんから締めくくりを申し上げますが、そこで一番問題になりますのは、基地を閉鎖する、これを閉鎖しっぱなしでは困るわけですね。これは地域でも困ると思うのですよ。ですから、この閉鎖後の施設は日本政府に返還するのかどうか。これは板付周辺でも、閉鎖しておっていつまでも遊休施設として残しておる。それで地元では非常に困っています。王子キャンプの場合は完全閉鎖です。ですから、これは返還するのかどうか。これは例の臨時措置法に関連してくるわけですが、返還するなら基地労働者に利用させてもらいたい、こういう問題があるわけです。ですから、この施設は閉鎖後返還するのかどうか、この点はどうですか。
○小幡政府委員 その点につきましても向こう側に照会いたしましたところ、とりあえず地図局を閉鎖いたしましても、なおしばらくは在日建設事務所その他数個の機関が残りまして、まだ若干残留部隊がおりますので、この部隊の運命がはっきりするまでは、施設を返還するかどうかということは明確に申し上げられない。また時期を得まして再度折衝したいと思っております。
○河野(正)委員 そこで、大臣も時間がありませんから伺いますが、基地を閉鎖するわけですから、施設の返還を強く要望してもらいたい。それから、それについては臨時措置法で払い下げその他貸し付けについて優先するという法律の規定があるわけです。その際には、労働大臣もひとつぜひ御協力いただきたいと思います。
○小平国務大臣 ただいま河野委員の御質疑の点はごもっともと存じますので、なるべく御趣旨に沿うように努力したいと思います。 ————◇—————
○澁谷委員長代理 先国会より継続されております、内閣提出の母子保健法案を議題とし、審査を進めます。 —————————————
○澁谷委員長代理 提案理由の説明を聴取いたし ます。厚生大臣鈴木善幸君。
○鈴木国務大臣 ただいま議題となりました母子 保健法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 政府は、かねてより児童福祉行政の一環として妊産婦、乳幼児の保健指導等の母子保健対策を講ずることにより、その健康の保持増進につとめてまいったところでありますが、先進諸国に比べて、わが国の妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、また、戦後著しく改善向上を見た乳幼児の死亡率、体位、栄養状態等についても、その地域格差が依然として縮小されない等、なお努力を要する課題が残されております。 このような状況にかんがみ、今後、母子保健の向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護のための措置を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策の充実強化をはかる必要があると考え、第四十八国会にこの法律案を提出いたしましたが、本国会に継続審議となった次第であります。 次に、母子保健法案の内容について、その概略を御説明申し上げます。 最初に、この法律案におきましては、母子保健に関する原理として、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護及び尊重並びに心身ともに健全な人として成長していくための条件ともなるべき乳幼児の健康の保持増進がはかられるべきことを、明らかにするとともに、国及び地方公共団体は、母性及び乳幼児の保護者とともに、母性及び乳幼児の健康の保持増進につとめるべきことを明確にいたしております。 次に、母子保健の向上に関する措置の第一として、母子保健に関する社会一般の知識の啓発及び従来児童福祉法において都道府県知事または保健所長の事務とされておりました妊産婦・乳幼児の保健指導、健康診査、新生児の訪問指導等につきましては、今回これを市町村長が行なうべき事務とすることにより、母子保健事業が、住民により密着した行政として一そうその効果が期待できるように配意するとともに、いわゆる未熟児に対する訪問指導及び養育医療については、その事業の特殊性にかんがみ、都道府県知事または保健所長において行なうようにいたしております。 第二に、妊産婦及び乳幼児に対する栄養の摂取に関し、市町村が必要な援助につとめることを規定いたしております。 第三に、妊娠または出産に支障を及ぼすおそれのある疾病にかかる医療についての妊産婦に対する援助でありますが、これは妊娠中毒症対策を中心とする母体または胎児の保護のために必要な援助につき、都道府県が努力すべきことを明らかにしたものであります。 最後に、母子保健施設に関する規定でありますが、これは、従来から、市町村における母子保健事業の拠点として重要な役割りを果たしております母子健康センターについて、市町村がその設置に努力すべきことといたしております。 以上、この法律案の提案の理由について御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ————————————— 〔澁谷委員長代理退席、委員長着席〕
○松澤委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤よし子君。
○伊藤(よ)委員 ただいま大臣から御提案になりました母子保健法案につきまして、かねて前国会におきまして、本会議で提案されましたときに私は御質問を申し上げました。そのときに、総理大臣に私が御質問申し上げたのですけれども、そのままそのとき御欠席で御答弁いただいておりませんので、厚生大臣が総理大臣にかわって御答弁をいただきたいと思うわけでございます。 かねがね私ども社会党におきましては、母子保健ということがほんとうに大切な、重要な問題であるということを前から考えておりまして、数年前にも母子栄養保障法案とか、昨年の四十六国会には母性の保健及び母子世帯の福祉に関する法律案を提出しております。これらの法案は残念ながら審議されずに廃案になっておりますけれども、こういう法案を、おくればせながら母子保健ということの重要性にお気がつかれて単独で出されたということについては、私たちもたいへんけっこうだと考えておるわけでございますけれども、問題はその内容でございまして、ただいまも御提案の御説明がございました。その目的となさるところは、たいへん私ども同感でございましてけっこうなんですが、その内容が非常にお粗末でございますから、それについて、かねがね総理大臣は人間尊重ということをいつもおっしゃっております。でも、私ども考えますのに、人間の生命を生み出す母体、母性というものを尊重することは、一番人間単重ということの基本的な問題ではないかと考えるわけでございます。それについて、せっかくお考え方はけっこうなんでございますけれども、この法案の内容を拝見いたしますと、社会保障制度審議会でもその諮問に対して答申で言っておられますように、まことに未熟、不備、不徹底な法案でございまして、こういう、従来母子保健対策としてやっておいでになった以上に特に取り立てて言うべき内容もないような法案を母子保健法としてお出しになったことについて、これで総理大臣がいいとお考えになっているかどうか、総理大臣の人間尊重といういつもの御主張のたてまえから言って、この程度の法案でほんとうに母子保健ができるとお考えになっているかどうか、その点を第一にお伺いしたわけでございますけれども、当時御欠席でございましたので、最初に申し上げましたように、厚生大臣からその点について御所見を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣 佐藤総理が人間尊重の政治ということをおっしゃっているのでありますが、その人間尊重には、まず何よりも人間の生存権を尊重する、これが根本であろうと考えるのであります。このためには、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるところの母性の保護、それから人間の成長の過程で最も重要な時期にありますところの乳幼児の健康の保持、増進ということが私は最も大切である、このように考えるわけであります。このような観点から、政府といたしましては、福祉審議会の御意見をお聞きいたしまして、その中間的な答申でございましたが、その線に沿うて今回の法案を提案いたしたような次第でございます。 内容につきましては、御指摘のとおり私も必ずしも十分ではない、このように考えておりますが、今後児童福祉審議会の最終的な答申を待ち、また、各方面の御意見を伺いながら法の内容を充実強化してまいりたい、かように考えております。
○伊藤(よ)委員 今回の法案が出る前から、新聞等で、母子保健基本法が出るとか母子保健法が出るということを、盛んに一月ごろから厚生省の談とかいろいろ出まして、一般には非常にこの法案に対して期待が多うございまして、各方面から、法案の内容がまだはっきりしないうちから、ぜひ母子保健法は通してもらいたいというような陳情やらいろいろな陳情が、前もって各団体から私どもの手元へもまいりました。ところが、法案がはっきりいたしますにつれて、これでは私たちの考えているような法案の内容ではないというので、今度はいろいろな方面から、こういう点を修正してくれなければ困るとか、あるいはこんな状態ではむしろ現在の母子保健事業が後退するから、こんな法案なら廃案にしてほしいというような御要望やら、この法案をめぐって御陳情がございました。そしてまた、私たち——いまちょっと大臣のおことばの中にございました、中央児童審議会の母子保健部会の中間報告というのによって今度の法案が出されたということが新聞等でも伝えられ、そしていまの大臣のおことばの中にもあったのでありますけれども、この中央児童審議会の母子保健部会の中間報告なんでございますが、この中に盛られている重要な点も、この母子保健法、今度の法案の中にはあまり盛られていないように考えるのでございます。この点は、私ども法案を拝見して、だんだんいろいろ調べてみればみるほど、ますますこの法案というものがたいへん未熟な、不徹底な法案でありまして、何のためにこういう法案をお出しになったか、もう少しちゃんとした法案にしてからお出しになってもおそくはないので、せっかく母子保健法というものをお出しになるならば、もう少しりっぱな法案をお出しになるまで延ばしておおきになったらよかったのじゃないかということをつくづく考えるわけでございますけれども、なぜこのように不備なものを急いでお出しになったか、その点たいへん私たちは不審に考える次第でございます。 そこで、最初に私はもう一点、こまかい点に入る前にちょっと伺いたいのでございますけれども、最近私どもの手元に、母子保健法は本国会で必ず成立するように先生の絶大なる御尽力をお願いするという陳情書が、七月二十二日付で、まいっております。これはかねて私どもに、最初保健法を通してくれとか、またいろいろ修正してくれというような御要望があった団体でございまして、一々ここに読み上げなくてもいいかと思いますけれども、国民健康保健中央会、あるいは主婦連合会とか、全国母子健康センター連合会とか、東京都の家族計画協会、あるいは日本看護婦協会、助産婦会とか、そういうような非常にたくさんの団体からの御陳情でございますが、この中でたいへん私たち考えさせられたことは、「さきの国会で母子保健法が継続審議になりました。そのため、従来から行なわれてきた母子保健対策が全国的にストップし、おかあさんと子供の健康を守る大切な行政が空白状態になっています」というようなことが書いてありました。こういうことが、実際あるのでございますが、母子保健法がこの委員会で審議されるのはきょうが初めてでございます。もちろん、提案されたからといって、過程においてほんとうにこの法案が成立するかどうかはこれからの審議にかかっているわけでございますけれども、法案が成立するかしないかわからないのに、すでにこのような母子保健対策が全面的にストップするような状態がほんとうにございますのかどうか、その点についてはどういう状態になっておりますか、お伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
○竹下(精)政府委員 母子保健法案が前国会におきまして継続審議になった次第でございますが、その関係で、法案の通過を前提といたしまして、厚生省といたしましては行政指導をいたしておったわけでございます。すなわち、大部分の母子保健の仕事につきましては市町村移譲を法案の中にうたっているわけでございますが、その財政措置としましては地方交付税によってまかなう、こういうことでございましたので、県の指導としましては、できるだけ市町村に予算措置をするように指導していただくということをやっておったわけでございますが、継続審議という状況になりましたので、継続審議になりますと現行の児童福財法によって仕事が行なわれる、こういうことでございますので、それにつきまして私どものほうといたしましては、児童福祉法によって行なわれる状況であるので、都道府県に現在責任がある、したがいまして、都道府県がその仕事をやってもらいたい、また、財政措置につきましては、財政当局と話し合いをしまして、それで十分予算措置その他を考えるからやっていただきたいということでやっております。したがいまして、県の指導によりまして市町村で予算化したところもございますが、実際の仕事はやはり法案が通ってからやるということになっておりますので、現在では都道府県がこの問題の指導並びに実施に当たっているようでございます。そういう面で、一部府県によりまして、どちらともつかないというようなことで手を控えていることもあったように聞いておりますが、現在のところでは、都道府県が実施をいたしておるという状況でございます。
○伊藤(よ)委員 そういたしますと、ストップをしてなかったとおっしゃるのでございますね。都道府県に母子保健対策費としてずっと補助金が出ていたのを取り上げて、切り上げてしまって、そしてその業務がストップしていたというふうになっているわけですけれども、ストップはしないで、いままで保健所を通じて都道府県がやっていたことはそのままやられていて、全国的にストップしたという状態はないということでございますか。
○竹下(精)政府委員 全国的にストップをしているというふうには私ども聞いておりません。一部の府県におきまして、混乱と申しますか、手をつけないような時期があったことは聞いておりますが、現在では予算措置をするということを明らかにいたしましたので、都道府県のほうでやっておるということでございます。
○伊藤(よ)委員 この点は、これは単にこの陳情だけではなくて、ほかからもそういう問題を聞いておりまして、たいへんこの点はけしからぬと申しましょうか、おかしなことだと思うのです。少なくとも新しい法案が成立するまでは、現状の母子保健対策というものがストップするような状態、あるいは直ちに四月から保健所のそういう関係の補助金を切り上げるというようなことがもし事実あったとすれば非常に重大な問題ではないかと思うので、少なくとも法案が成立するまでは、従来行なわれていた程度のことは十分にやられていかなければならないと考えますので、こういうことが陳情の中に出ておりますから、この点はいまごろではおそいかもしれませんけれども、十分な御配慮をいただきたいと思うわけでございます。 続いて、私は、この中央児童審議会の中間報告の中にございます点について触れていきたいと思うわけでございますけれども、この中央児童審議会の母子保健部会などでおっしゃっておりますように、諸外国では母子保健ということを非常に重要視されておりまして、妊娠とか分べんということが単に個人の営みではなくて、国家社会もそれについて責任を持って、次代をになう健全な子供を育てていくためには、まず母体というものを——妊娠、分へんということが個人の営みではないという考え方に立って国家がやっていかなければならないのでございまして、そういう考え方でやっている国もずいぶんございますから、ぜひ、この母子保健法ができるにあたってはそういう考え方を基本的な考えとしてやっていただきたいし、そのとおり具体的なこともやっていうてもらわなければならないと考えるわけでございますけれども、この中央児童審議会の母子保健部会の中で一番の重要な問題としては、分べん対策というようなことがまず重要な一つの問題として取り上げられておりますか、今度の法案の中には、具体的にこの分べん対策としてはどういうことが盛られておりますか。法案を拝見しますと、どうもないように思うのですけれども、この法案の中に分べせん対策についてはどういう対策がとられておるか、その点をお伺いしたいと思います。
○竹下(精)政府委員 母子保健法案の中に、分べん対策についてどういう対策がとられているかということでございますが、御指摘のように、母子保健法案は、現在児童福祉法で行なっております妊産婦の保健指導あるいは乳幼児の訪問指導、健康指導、診査、そういう点を重点的に取り上げて移したわけでございまして、分べん対策そのものにつきましては、現在のところまだこの中間報告におきましても、適切と申しますか、直ちにやるということにつきましては、まだまだ今後整備すべきことがたくさんあるというようなことになっておるわけでございますので、その最終報告を待ちまして、分べん対策につきましては対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。 母子保健法案の中で一つの具体的な問題としましては、御承知のとおり母子健康センターがございますが、これは主として分べんの施設に恵まれません農村あるいは山村、漁村、こういったような、保健所からも遠いし、また産院その他の施設もないといったところに、従来母子健康センターを設けておったわけでございますが、こういった予算措置の規定を新たに法案の中に入れまして、分べん対策の一つとして取り上げたわけでございます。 御承知のとおり、児童福祉法によりまして、現在助産施設という規定がございますが、この問題につきましては、もっと根本的な対策を要することはこの中間報告にも指摘してあるとおりでございまして、こういった点は今後私どものほうでも実態調査もいたしますし、また、中間報告の最終的な取りまとめをお願いいたしまして、次の問題として処理いたしたい、かように考えておる次第でございます。
○伊藤(よ)委員 ただいま申し上げましたように、分べんとか出産、育児手当制度などを整備していくことは、母子保健制度の中の重要な問題と考えますので、ぜひこの点は、今度の法案に盛られておりませんでも、今後この法案ができましたことによって、いまの分べとか出産とか育児手当制度の整備をしていく点も十分これから御検討になりまして、母子保健法ができることを機会にこの方面の検討をしていただいて、将来ぜひこういう対策が十分にできるようにしていただきたいと思うわけでございます。 それから、もう一つお尋ねいたしますけれども、最近、初回妊娠を人工中絶する若い女性などが非常にふえておりまして、妊娠の初期の母性保護に関する知識の欠除によって、先天的な異常児の発生等の事例がたいへん多いのでございます。そしてまた、たいへん母体がそこなわれていくというような点が心配をされております。こういう点につきまして、従来も家族計画の指導というようなものがされてきたと思うのでありますけれども、今度の法案の中で、こういう家族計画の指道守というものがどうも十分に取り上げられていないように思うのでございますが、この点について伺いたいと思います。
○竹下(精)政府委員 この中間報告の母子保健事業を推進するための具体的方策といたしまして、家族計画と婚前教育の推進ということをうたってあるわけでございます。この問題につきまして法案との関係から申し上げますると、第二章の「母子保健の向上に関する措置」の第九条、「知識の普及」という規定がございます。「市町村長は、母性又は乳児若しくは幼児の健康の保持及び増進のため、妊娠、出産又は育児に関し、相談に応じ、個別的又は集団的に、必要な指導」をするということが書いてございます。そういったことからいたしまして、家族計画ということばをこの中にもぜひ入れてもらいたいということが経過的にはあったわけでございますが、一般的にこういった問題についての知識の普及ということで、この中にそういった家族計画を含めて一般的な規定を置いたわけでございます。もちろん、非常に大事な問題でございますから、知識の普及につきましては、重点といたしましては、家族計画とまた結婚する前からの教育を強化していきたいというのが本法案の趣旨でございます。
○伊藤(よ)委員 この点はたいへん重要だと思いますので、あとでまた費用の点等にも触れたいと思いますけれども、家族計画の問題、その指導というものは、婚前の教育を含めてぜひ十分されますように——その点、もう少しここにはっきり家族計画の問題が入っていたほうがいいんじゃないかと思うのですけれども、これでやっていかれるのでございましょうかね。
○竹下(精)政府委員 第九条の中で私どもはやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○伊藤(よ)委員 この点は、私は、費用の点におきましても、従来よりはこの母子保健法ができることによって家族計画の指導が十分にできるような予算的な裏づけもしていただくようにしたいと思います。 それから、今度の法案で一番問題になる点でございますけれども、市町村に移譲するという問題がございます。この点につきまして、従来保健所を中心にやってこられた母子保健の業務を、市町村に移譲することが今度の法案の大きな柱になっているわけなんでございますけれども、この点は、私が本会議のときにも御質問申し上げたように、はたして市町村に移譲することによって実際母子保健の業務が現在よりもよくなっていくか。市町村に移譲するということは、地域の住民に密着するためにやるということになっておりますけれども、そういうことに事実上なりますかどうか、その点を今度の法案の中では一番私どもは不安に思うわけでございます。大体国民の保健という問題でございますから、やはり保健所が中心になって、何もかもやるということではございませんけれども、保健所の指導によって、そして市町村が地域において協力してやっていくということのほうが本来いって筋ではないかと思うのでございますが、その点についてどうお考えになりますか。
○竹下(精)政府委員 中間報告の中にも指摘してございますように、現在保健所につきましては人口十万に一カ所、こういうような行政区画と申しますかをもって運営されているわけでございます。しかしながら、妊産婦あるいは乳幼児というような特にあまり遠くへ出かけられない、むしろ遠くへ出かけること自体が健康につきましての支障があるというようなことでございますので、できるだけ住民に密着した行政を行なうという必要があるわけでございますので、そういった観点から市町村へ移譲するということを考えたわけでございます。また、実際問題といたしましても、妊産婦、乳幼児の指導につきまして、保健所を持っております政令市を含めまして、市町村では、大体六五%程度は実際市町村で実施されているということでございます。また、御承知のとおり国民健康保険が全市町村に実施されておるわけでございますから、こういった面でも、保健衛生に関する認識というものは、従前と違いまして市町村自体も非常に関心が深くなっておる、こういう実情からいたしまして、市町村移譲を考えたわけでございます。
○伊藤(よ)委員 大体保健所というものが、私、手元のちょっと調査しました表によりますと、保健所の定員というのが、医師をはじめ保健婦、看護婦、助産婦につきましてもたいへん充実してないわけなんです。今度保健所で十分にできないから市町村に移譲するとおっしゃるのでございますけれども、これはいままで保健所が充実してないからできなかったのか、十分に機能を発揮していても十分都市に一カ所の保健所ではできなかったのか、保健所が充実してないから母子保健業務というものが十分にできなかったのか、充実させようとなさらなかったのか、できないということはどういうことでできなかったのでございましょうか。
○竹下(精)政府委員 保健所の問題につきましては、御指摘のとおり技術職員の充実が非常にむずかしいという点があるわけでございまして、そういう面で、厚生省としましても保健所の職員の充実につきましてはかねてから努力はいたしておるわけでございますが、実際問題としては、なかなかそれが充実を期せられなかったという問題がございます。なお、母子保健の問題につきまして保健所はもちろん重要な役割りを占めておるわけでございますが、諸外国の例を見ましても、単に保所健だけでそれをやるのではなくして、むしろもう一段階下がった市町村段階に母子、乳幼児だけの健康センターといったようなものを持っておるというのが実態でございまして、そういった面からいたしますると、母子の健康という問題につきましては保健所のブランチと申しますか、そういった形でもう一段階下がったところに母子等は置かれるべきではなかろうか、かように考えておるわけでございます。私どもが現在母子健康センターを実施いたしておりますけれども、そのねらいは、そういったところを考えて今後拡充していきたいと考えておる次第でございます。
○伊藤(よ)委員 もう一度お尋ねしますが、保健所の医師が充実しないということは、しようと思ってもなかなか現状において困難だという問題もわかるように思いますけれども、この保健婦や助産婦などについても、ずっと統計によりますと、三十五年から三十九年に至っても一向にふえておらないわけなんですね。なぜ定員だけでもふやせないか、どこに原因があるとお考えになりますか。
○竹下(精)政府委員 保健婦、助産婦の充実の問題につきましては、第一に、これらの人たちが比較的長い養成期間と申しますか、そういったことが必要だということ一それから第二には、ほかの問題も同様でございますが、処遇の改善という問題が、やはり公務員であります関係上どうしてもほかとのバランスが十分とれなかった、こういう点で充足ができなかったというふうに考えております。
○伊藤(よ)委員 ただいま局長のおっしゃいましたように、私も保健婦や助産婦さんが——必ずしも、助産婦さんの場合なんか、ないということではなくて、やはり待遇の問題にかかるのではないかと思うのです。保健所につきましても、単価というのですか、補助金による単価では、いまは三分の一補助でございまして、それだけではできないということと、そうしてまた、三分の一の補助をもらっても、現状では、単価が低いためにやはり雇えないということがあるのじゃないかと思うのです。それで、それを市町村に移譲なすったからといって、市町村において、いま低い充足率の保健所においてやれないことが、また市町村に移したからそれ以上のことができるというふうには、どうもそこのところは考えられないわけなんですけれども、たとえば市町村に移す場合に、少なくとも保健婦なり専門の事業をやる人、助産婦なりが配置されなければなりませんし、また、配置する場合にも、保健所で充足できなかったようなものが、市町村ではたしてできるというふうにお考えになっているか。人口十万の都市で一つの保健所でやるよりも、市町村に移していくという考え方は、私もこれは確かに地域の住民に、もし十分な配置ができれば、いいと思うのでございますけれども、できるとお考えになっているかどうか。その点、非常に私どもは疑問に思うわけなんですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
○竹下(精)政府委員 現在、市町村におきまして、これは国民健康保険の保健婦でございますけれども、こういった国民健康保険の保健婦を設置しております市町村が大体七〇%近くあるわけでございまして、そこに働いておりまする保健婦さんは約五千五百名ほどございます。 〔委員長退席、齋藤委員長代理着席〕 もちろん、これは国民健康保険の保健婦さんでございますから、保険施設活動として行なっておるわけでございますが、余暇をさいていだだきまして、市町村の一般的なそういった母子保健事業にも御援助いただくということも考えておるわけでございます。 また、第二の問題としましては、予算の問題でございますけれども、現在予算の内容といたしますものは、必ずしも市町村に常勤の職員を雇い上げる、こういったものではございませんで、むしろ市町村在住の開業医のお医者さんまたは助産婦さんの援助をいただきまして、市町村の母子保健事業を実施していこうというのが今年度の考え方でございます。いずれこういった問題につきましては、職員の充実は私どもも必要だと考えているわけでございますが、これは漸次努力いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○伊藤(よ)委員 私は、その点非常に重大だと思うのでございます。大体、先ほどもまだそれを御答弁いただかないように思うのですけれども、人口十万のところの保健所ではできないということの原因が、職員が充実しないということにあるのか、人口十万に一つだからできない、もう少しこまかく配置していけばできるというならば、やはりそこでできるような、いまの保健婦なり助産婦というものが市町村に少なくとも常勤で置かれなければ、一人や二人の職員、保健婦なりが置かれなければ、いま保健所でやっておるよりもむしろ質が低下した母子保健業務になるのではないかと考えるわけなんですけれども、順次やっていくとおっしゃっているわけでございますが、私はいま現状やっておるよりも低下する状態になりはしないかと思うのです。先ほどのお話によりますと、現在六〇%くらいのものを市町村でやっているからとおっしゃるわけなんですけれども、その六〇%、本来は保健所でやるべきことがやれなくて市町村でやっておるということの実態は、やはり保健婦なり助産婦あるいは保健所の職員の充足ができてないからできないのでございますか、根本的に言って保健所がそういうことができないというのか、そこらのところを、もう少し御所見を聞きたいと思うのでございます。
○竹下(精)政府委員 保健所の活動と申しますのは、母子保健活動以外に、結核予防あるいは伝染病予防、その他栄養指導等々たくさん仕事があるわけでございます。そういった面からいたしまして、保健所が主体となって実際上実施していくということは、全市町村に及ぼすことは現在の職員その他の状況ではおそらく困難であると考えておるわけでございます。そういった面がございますので、市町村が自分で実施をし、また、保健所の協力を得てやっておるのが実際ではないかと考えておるわけでございまして、市町村の実施しております内容といたしましては、先ほど申し上げました国保の保健婦さんの保険施設活動というものが大部分を含めておるということは、実態としてはあるように聞いておるわけでございます。
○伊藤(よ)委員 その場合に、今度母子保健法ができることによって、国保の保健婦さんを使うということだけではなくて、積極的に保健婦なりを市町村に配置するということが行なわれると同時に、そしてやはり母子保健事業でございますから、それの中心になる指導というのですか、連絡をとって、ばらばらではなくて指導していく。保健所が何もかもやるということではございませんけれども、そういう機構というのですか、そういうものが必要じゃないかと考えるのでありますが、その点どのようにお考えになっておりますか。
○竹下(精)政府委員 全部の市町村につきましてそういった担当の職員を設けるということはなかなか困難であろうかと考えますけれども、少なくとも市あるいは相当規模の町におきましては、母子保健事業についての常勤の職員を今後つくる必要があるというふうに考えておる次第でございますが、財政的には、先ほど申しましたように、四十年度の問題といたしましてはそういう常勤の職員の設置ができなかったわけでございまして、やむなく非常勤の開業医のお医者さんあるいは保健婦さん、助産婦さんを非常勤職員として嘱託をするということで今年度は考えておる次第でございます。
○伊藤(よ)委員 その点は、少なくともかなり重要法案だとされるこの母子保健法をつくるにあたりましては、困難だとおっしゃるけれども、やはり少なくともその程度の常勤の保健婦なり助産婦というものが各町村に配置をされるという前提のもとにされないと、これはいずれ、何といいましてもこういう母子保健法ができるのですから、従来できなかったのをやるとすれば、それくらいの配置をしてから市町村に移譲するならするということをやられないと、やはり保健所の中にもいろいろ、たとえば東京都の保健所のように、かなり母子保健業務というものを充実した形でやっておられるところがございますけれども、地方は必ずしもそのようではなくて、市町村でやらなければならないような状態が現実にあると思うのです。ですから、母子保健法ができるということならば、やはり市町村にそういう常勤の人を置いて移すということじゃないと、現状よりもむしろ後退するという状態が起きるのじゃないか。その点を私どもは非常に感じるわけでございまして、単に市町村に移譲するということだけで、頭の上でそうすれば地域の住民に密着した保健業務ができるというふうにはどうしても考えられません。その一つのあらわれといたしましては、前国会の末期に各市町村長から要望書がまいっております。皆さんのお手元にもきていると思うのでございますが、読み上げてもけっこうです。これは五月二十七日でございます。「母子保健法案は、目下国会において審議中であるが、これが実施に伴い市町村は多額の経費負担が予想されるのみならず、技術職員の確保が極めて困難であるので、母子保健行政の徹底を期するため、市町村の受入れ態勢が十分に整うまで、事務移管が行なわれないよう経過措置を講ずるとともに、」云々という陳情がまいっております。こういうことからも、私は証明がつくのではないかと思うのでございますが、少なくともこういう点がはっきりいたしませんと、単に市町村に移譲するということだけでは、地域の住民に密着した保健行政ができると思いません。むしろ現状よりも後退するおそれがあるのではないかということを考えるわけですが、この点についてもう一ぺん御所見を伺いたいと思います。
○竹下(精)政府委員 市町村への移譲に伴いまして、交付税の内容といたしまして、私どもといたしましても職員の確保の問題と、それから従来ありました補助金が交付税になった場合に十分実施できるような体制をつくるべきではないか、かように考えまして努力をいたしたわけでございますが、今年度につきましては、内容の充実といったような点で交付税の内容がきまったわけでありまして、残念ながら、技術職員の設置ということにつきましては来年度以降の問題として残されたわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、とりあえずの問題といたしましては、地域に相当の開業医の方、助産婦の方もおられるわけでございますから、そういった協力を得て実施する、先ほど申し上げましたように国民健康保険の保健婦さんの協力も得る、こういうことによりまして実施できるというふうに考えた次第でございます。
○伊藤(よ)委員 この問題についてはもう少しいろいろお伺いしたいと思いますので、一応休憩をしていただきまして、午後にまたもう少し……。
○齋藤委員長代理 午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時九分休憩 ————◇————— 午後一時三十九分開議
○松澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。伊藤よし子君。
○伊藤(よ)委員 私は前の質問に続いて、もう少し保健所の問題で、政務次官おいでになっておりますから、これから伺いたいのですけれども、保健所がたいへん充実してないわけなんですが、これを充実させておいでになる努力をされているのか。保健所の医師とかいろいろの定員でございますね。そういう点についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
○佐々木(義)政府委員 保健所の充実問題でございますけれども、政府のほうもせっかく努力中でございますが、必ずしも現状は満足すべき状況ではございませんので、今後とも一生懸命充実に努力申し上げたいと存じておる次第でございます。
○伊藤(よ)委員 そういうお答えだけでなく、どうして充実しないとお考えになっているか、たとえば人がないのか、それとも十分その費用がないために人か集まらないのか、そこらの点、どういうところに充実しない原因があるか、そういうことを……。
○佐々木(義)政府委員 現状ではお説の両面でございまして、国の予算の関係もございまするし、同時にまたなかなか適材の人も得られない、こういう状況でございます。
○伊藤(よ)委員 そこで、今後は充実するように努力をなさるということでございますね。 そこで母子保健に関してでございますけれども、先ほどから御質問をしておるわけですが、たとえば、母子保健業務について、現在東京都などの場合には母子保健業務がわりあい充実して行なわれていると思うのです。こういうモデルのようなところもあるわけでございますから、地方の場合、十万都市に一カ所だから十分にできないということじゃなくて、もし所定のような人員が充実いたしますれば、東京都のようにかなりうまくいっているところに準じてこれからやっていけるのじゃないかと思うのでございますけれども、その点どのようにお考えになっておりますか。
○竹下(精)政府委員 東京都の場合と、その他の都道府県の保健所の場合とは、ちょっと同一には論ぜられないかと思います。と申しますのは、東京都の場合には、たとえば一つの区に二つないし三カ所の保健所があるわけでございます。また、交通の画から申し上げましても、妊産婦、乳幼児が保健所へ通うのにそんなに手間がかからない、こういう問題がございます。しかしながら、都道府県の保健所の場合は人口十万でございますから、管轄区域が非常に広い場合が多いわけでございまして、こういった面からいたしますと、妊産婦、乳幼児を連れて願いるということにつきましてはやはり不便があろうかと考えます。そういう面で、たとえ人が充実いたしましても、なかなか市町村の方が利用するには問題があるし、またそれを補う方法として、出かけていくにつきましては、職員の充実が十分でない、こういう隘路があろうかと考えております。
○伊藤(よ)委員 私もそういう問題伊あると思うのです。やはりそこらを、地方の町村の場合には保健所の数が少ないということに大きな問題があるわけですから、それにかわるようなものを市町村でつくっていかなければいけないという点については同じような考えを持っておるわけですけれども、その際にも、少なくとも従来保健所でやっておりました母子保健業務の質が低下するような状態になってはいけないので、やはりその点は十分な考慮をして、保健所も充実するけれども、人口の割合に少ないからできないという点は、ひとつ先ほど来お話を申し上げておるように、市町村で保健所にかわるような、十分な業務ができるような配置をする必要があるということを特に要望をしておきたいと思います。 それから、先ほどの市町村への移譲の問題でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、現状のままで市町村へ移譲すれば、母子保健業務を担当する職員などもすぐできないというようなことも大きな問題でございますから、この点について、市町村に移譲されました場合に、先ほどもちょっと私がここで読み上げましたが、市町村長からの、現状のままで移譲されればかえって困るというような陳情がありますが、そういう点について、自治省のほうではどういうふうなお考えを持っておられますか。
○石川説明員 母子保健対策に関する財政措置といたしましては、地方交付税の算定におきまして標準団体——これは人口十万の団体でありますが、標準団体で全体の需要額といたしまして約九十万円、全市町村を通じますと約十億円を財政措置として算入いたしております。
○伊藤(よ)委員 それは算定はしておいでになるわけでしょうが、交付税がいかない不交付団体というのが百六十八ございますね。特に現状におきましては地方財政が非常に逼迫いたしておりまして、財政の困難なところでは、必ずしもその交付税がまいりましても、それをそのまま義務になっていないとすると、使わないところもできてくるのじゃないかと思いますし、地方によってたいへんアンバランスができてぐるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
○石川説明員 まず不交付団体の問題でありますが、これは母子保健事業に限らず、そのほかのことにつきましても、基準財政需要額と基準財政収入額との差のあるものについて交付税を交付する、こういうたてまえになっておりますので、その措置に限りませんで、一切不交付団体になります場合には交付税としては措置をいたさない、こういうことになるわけであります。ただ理屈だけから申し上げますと、基準財政収入と申しますのは税収入のすべてではなくて、市町村の場合には百分の七十五の率で算定いたして二十五は余りがあるわけであります。その中から交付税で見ておる以外にいろいろな仕事をやっていくというたてまえになっております。不交付団体につきましては、基準財政需要額が基準財政収入額を下回るということになりますので、一応現在の制度から申しますと、税収入その他で充ててまいる、こういうことになるわけであります。そのこと自体、具体的な問題としてはいろいろ問題がないとは申し切れないと思いますが、制度的にはそういうことで、不交付団体については別段の措置は設けてないわけであります。 それから、各団体につきましては積算の基礎の中に入るわけでありまして、本質的にひもつきではございませんので、そういう仕事が一応やっていけるように財政措置を全体として見ていく。その中で、計算といたしましては、いま申しましたようなやり方で標準団体を基準として各団体ごとに一定のやり方で交付税の基準財政需要額の基礎に入れてまいる、こういうことにいたしております。
○伊藤(よ)委員 私は、実際問題として交付税の場合には、やはり市町村によってやれないところができてくるのじゃないかということを非常に心配いたします。 それからもう一つは、この前自治大臣に本会議で御質問をしたのですが、その人員の配置の問題なんでございますが、母子保健業務を保健所から移譲された場合にやってくる人員の配置は十分にできるかということを御質問申し上げたのでありますが、大臣は、配置転換によってやっていくとおっしゃっておったのですが、その点は、ただでさえ市町村のいまの業務が非常に多くなって市町村の職員が困ってお手あげのような状態の中で、単に配置転換というようなことではとうていできないと思うのですけれども、その点はどのようになっておりますか。専任の職員を置かなければできないと思うのですが………。
○石川説明員 これは厚生省からお話がありました際に、職員を置きたいというお話であったわけでありますが、われわれといたしましてはこの移管というのは大きい仕事でございますし、市町村自体といたしましても実態がいろいろでございます。それで本年度は、初年度のことでもあるしいたしますので、当面配置転換で補いをつけたい、こういうように考えておるわけでございます。今後どうするかということにつきましては、十分実態を見てさらに厚生省と御相談をいたしたい、こう考えております。
○伊藤(よ)委員 その点についてはもう私は、今年だけはしかたがないからといって、現状の保健所でも充実してないところへもってきて、それよりも低下するような状態になっては困るので、この点は十分に市町村の受け入れ体制がはっきりできるまでは移譲すべきではないというような考えを持っております。これは私の考えでございますが、現状においてはとにかく自治省としては現状のままでやるということでございますね。 次にもう一つ、私はこの法案の中で非常に重要な問題で厚生省のほうへお伺いしたいと思うわけですけれども、十四条に「市町村は、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、栄養の摂取につき必要な援助をするように努めるものとする。」ということがございます。これは努力規定でございまして、必ず市町村がしなければならないということになっておりませんので、せっかくの今度の法案の中の唯一の具体的な問題だと思うのですけれども、この点ははっきり義務にしないと市町村によってはやれないところが出てくるのじゃないかということを考えるわけです。 それともう一つ関連してお伺いしたいのは、今度の予算の中で、生活保護あるいは低所得の階層の妊産婦、乳幼児に牛乳を配付する、そういう予算が一億八千万円でしたか計上してございましたが、最近それが母子保健法が継続審議であるから七月くらいから実行するのを、この母子保健法とは別に十月から実施をするようにするということを新聞でちょっと拝見をいたしましたが、この前払が御質問したときも、この栄養の摂取は今度のこの母子保健法案とは関係がないということをおおっしゃっていたように思うのでございますけれども、私はそういう低所得の階層のみでなくて、一般の妊産婦や乳幼児にもぜひこの栄養の摂取については牛乳などが全般に渡るようにということを常々主張しているわけですが、さしあたって全般にすぐいかないまでも、今回のような栄養のために牛乳が低所得階層だけでも渡るということは一歩進歩だと思うのです。しかし、それですらも法的な根拠がございませんと、せっかく予算をお組みになってそういう措置をおとりになっても、市町村によってもらえるところともらえないところもできてくるのじゃないかと思います。せっかくのこういう母子保健法ですから、「栄養の摂取につき必要な援助をする」というこれは義務に改めていただきたい。そうして、低所得階層に牛乳が一日に一本渡るというそういうものをなぜこの法案の中に盛り込んで義務としてやっておいでにならないのか、法案とは別個に行なわれておるということがちょっと理解できないわけなのですけれども、そういう点についてひとつ御説明いただきたいと思います。
○竹下(精)政府委員 十四条の規定は栄養の摂取に関しましての援助を規定しているわけでございますが、栄養の援助につきましての内容は、一般的に妊産婦、乳幼児の栄養に関する指導——どんなものを食べたほうがいいとかそういうような指導が一つでございまして、もう一つは実際に栄養物を与えるという内容になるかと思います。現在各都道府県あるいは市町村がやっておりますのは、前者のほうはほとんどの市町村が保健所でやっておるわけでございますが、後者に関しましては、たとえば牛乳を支給するというところもございますし、あるいはビタミン剤を支給しているところもございます。そういった点で、いろいろ区々でございます。そういうことでございますが、予算は、御案内のように低所得者階層の妊産婦、乳幼児につきましてそれぞれ牛乳を一本九カ月支給するというのが内容になっております。これを義務規定にするかどうかという問題につきましては、何しろこの予算措置自体が初めての措置でございまして、どれくらい市町村が実施してくれるかという点につきましてもまだわからないというような状況でございますので、これに関しましては今後の市町村の状況を見まして考えたいということでございます。そういった意味で努力規定にしたわけでございます。 それからまた具体的な問題としまして、市町村でミルクを支給する際に、私どもの調査によりますと、特に農山部におきましては牛乳を飲んでいるという実績がない。これは好ききらいの問題もあろうかと思いますが、そういう面から見まして、これを義務規定にするということにつきましては、実際問題としてもいろいろ問題があるのではなかろうかと考えている次第であります。
○伊藤(よ)委員 もう一ぺんお尋ねいたしますが、そうしますと、今度新しくこの予算が組まれる前にも、いまちょっとお話の中にあったように思いますが、実際栄養の補給をしていたのでございますか。どの程度にやっていたのでございますか。
○竹下(精)政府委員 なまの牛乳を支給していました例は岩手県で二カ町村ほどございます。それから富山県におきましては脱脂粉乳を生活困窮の家庭の妊産婦に支給していた実績もございます。
○伊藤(よ)委員 それは市町村が独自にやっておいでになったことでございますか。私は、いまのお話にございましたけれども、今度母子保健法ができるにあたっては、市町村がやってくれるかどうかわからないということでなくて、義務にして少なくとも法的にはっきりした根拠をつけてやらないと、市町村の財政いかんによってはやらないところも出てくるのじゃないかと思いますので、内容を牛乳にするかそれとも牛乳がいけないところならばあるいはほかの栄養物にするかという問題は二の次の問題といたしましても、栄養の摂取についてはぜひこの点はこの際義務にする必要があると考えます。そうでもないとせっかくの母子保健法が生きてこないと思うのでございますが、その点いかがでございましょう。
○竹下(精)政府委員 先ほど御説明いたしましたとおりに、初めてのことでございますので、どれくらいの市町村が実施するかということにつきまして今後今年度の実績を十分検討いたしまして義務にするかどうかということを考えたいと思っております。
○伊藤(よ)委員 この点はぜひ義務にして、市町村によってアンバランスが起きないように、市町村の財政のいかんにかかわらず妊産婦、乳幼児に少なくともいまの牛乳一本程度のものが渡るような、そういう方向にぜひしていただきたいということを要望しておきます。 次に、私は、これは母子保健法が制定されようとしているときにあたりまして、ぜひ伺いたいことなんでございますけれども、このごろ働く婦人の数が非常に多くなっております。雇用関係にある婦人も多いのでありますが、はっきりした雇用関係を持たないまでも、働く婦人というのが年々ふえております。今度の母子保健対策の中の重要な一つとしては、結婚をしていて働いている婦人の対策、その母性の保健の問題というものは非常に大きな問題として取り上げていかなければならないと考えるわけでございますが、今度の法案の中には、特に働く婦人の問題としては取り上げられておりませんが、将来こういう問題は、一般の婦人の中でも特に共かせぎなどで働く婦人が多くなっておりますので、ひとつ条項を改めて、働く婦人の対策というものをこの中へ加える必要があると私は考えますけれども、そういう点について、厚生省としてはどういうお考えを持っておいでになるか、ひとつ伺っておきたいと思います。
○竹下(精)政府委員 この法案におきまして考えておりますことは、一般的に母性に関しましての共通的な保健指導あるいは訪問指導、健康診断その他の、主として保健を主体にしておるわけでございますが、そういう意味で総則にも母性の尊重ということで一般的に規定を設けておるわけでございます。もちろん母性の保護に関しましては、ILOの百三号及び勧告の九十五号、こういったものがあるわけでございますが、これは主として被雇用者であります女子の労働条件の改善、出産に関しまする金銭または医療給付の内容の改訳をはかろうとするものでありまして、母子保健の見地からいたしますと、この点は望ましいことではございます。ただし、その関係の国内法としましては、労働基準法あるいは社会保険各法が主体となりますので、それぞれの分野におきましての全般的な啓蒙改善と相まって、漸次内容の充実に尽くしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○伊藤(よ)委員 この際、母子保健法ができますので、私は、これはあるいは労働省と厚生省という省が違うかもしれませんが、母子保健というたてまえから、そしてただいまも申し上げましたように、非常に働く婦人がふえている、結婚しても共かせぎの婦人がふえているということでは、決してこれはおろそかにできない問題だと思いますので、その点連携を非常に緊密にしていただいて、働く婦人は、特に母体の問題は一般の婦人よりもいろいろ重要な問題が加わってくると思いますのでやっていただきたいと思いますが、この際、現在、働く婦人の母体の保護の問題について現状がどのようになっておりますか、労働省のほうにちょっと伺っておきたいと思います。
○谷野政府委員 働く婦人の母性保護につきましては、労働基準法が規定いたしております。婦人少年局におきましては、この労働基準法に基づいております諸規定がよく施行されますように、基準局に常に援助をするような立場をもちまして、働いている婦人の働く実情の調査をいたしまして、またその調査の結果に基づきまして基準局にいろいろの意見を申し上げまして、十分にこの基準法がよく施行されますように注意をいたしております。なお、この母性保護の規定がよく実施されておりますかどうかにつきまして、女子年少者労働基準規則で、労働基準法に規定されておりますところの保護事項を年々調査をいたすことになっております。この調査におきましては、大体日本の基本的な三十人以上の事業場をカバーできますような方向におきまして、女子保護規定がどのように実施されておりますかという実情についての調査をいたしまして、労働者並びに使用者の皆さまに御参考に供すると同時に、労働基準法の適用につきまして私どももこれを見ながら進めてまいっているのでございます。
○伊藤(よ)委員 基準法によります礎前産後の休暇等は婦人労働者でとられているかどうか、これはあとで資料をいただいてもけっこうなんですけども………。
○谷野政府委員 ただいま御説明申し上げました女子年少者労働基準規則に基づきます調査は、「母子保護の概況」ということで皆さまに差し上げてございます。これは年々一回調査を実施いたしておりまして、詳細につきましては先生のお手元にあとからお届け申し上げたいと存じます。
○伊藤(よ)委員 そこで、ILOの百三号条約あるいは九十五号の勧告などいろいろございますけれども、ぜひこの際、母子保健法が制定されるとすれば、その機会に母性保護の条約など批准の促進のための努力をしなければいけないと思いますが、その点についてどういうようなお考えを持っていらっしゃいますか。
○谷野政府委員 ILOの母性保護に関します百三号条約につきましては、日本の労働基準法が規定いたしております母性保護の条件よりもかなりなところが高度になっておるのでございます。たとえば、産前産後の休養期間あるいはまた保育しております乳児の保育時間に対する給与の問題でありますとか、あるいはつわり休暇その他につきましてかなり高度の内容を持っております。日本ではこの労働基準法の規定を十分実施いたしますために基準監督官と婦人少年局とで努力をいたしている実情でございまして、この法律の現状におきましてはやはり食い違いがございますので、将来にわたりまして、この条約が批准できます前にはやはり社会の皆さんの御理解をいただき、あるいはまた労働組合の皆さまも、法律にたよらないで、労働協約その他について法律の足らない部面などにつきまして努力をしていただくことも必要かと存じますので、婦人少年局におきましては、ILOの条約の要求しておりますことと、それからこの法律の施行の実情につきまして皆さまの御理解を深め、また特別な啓発活動といたしまして、働く婦人の福祉運動その他につきまして、社会の皆さまの御理解をいただくように努力をいたしておるのでございます。
○伊藤(よ)委員 いま局長のお話の中にもありましたつわり休暇の問題等は、これはやはり流麗なんかにもたいへんつながっていくことでございますので、ぜひ今後私どももそういう機運を高めまして、つわり休暇などもとられるような状態にしていかなければならぬと考えておりますので、いま局長のおことばのように、私どもも努力をいたしますけれども、政府におかれましてもぜひこういうふえております働く婦人の母体保護の問題について格段の御努力をいただいて、百三号条約などが批准されますよう進めていただきたいということを御要望申し上げて、いま関連質問があるそうですので、一応……。
○竹内委員 ただいま伊藤委員からILOの条約のうちの母性保護に関する件について政府の見解をただしたわけですが、私は、それに関連しまして、つい最近ILOにおいて採択になりました家庭の責任を持つ婦人の雇用に関する勧告、いわゆる第百二十三号勧告、この採択されました勧告につきまして政府はどういう態度をとるのか、これについて御説明願いたいと思います。
○谷野政府委員 家庭に責任を持ちます婦人に関する最近採択されました勧告につきましては、最近の日本の現状からいたしまして、特に有配偶婦人が全体の三分の一を占めるようになってまいっておりますので、特に私どもといたしましても、非常に大事な問題だと思っております。婦人少年局におきましては、婦人少年問題審議会の委員の先生方にただいま研究をお願いいたしておりますのは、婦人労働力の有効活用ということでございまして、その有効活用の中心のテーマの一つに中高年の婦人、特に家庭に責任のある婦人の問題につきまして、先生方の御意見を伺いながら私どもが今後努力を進めていく方法につきまして御指導いただきたいと思っておるわけであります。したがいまして、このILOの勧告に盛られております事柄は、私どもが今日これから努力をしようと思っております点並びに婦人少年問題審議会委員の先生方が御研究していてくださる点とちょうど一致するわけでございまして、この先生方の今後の努力すべき方向につきまして御意見が出ました場合には、私どもはその方向についてできるだけ努力をさせていただきたいと思っております。
○伊藤(よ)委員 だいぶ時間のお催促があるようでございますので、私はもう一、二点で終わりたいと思います。 母子健康センターの問題でございますけれども、これは十年間で千カ所くらいにするということでありますが、母子保健センターは、私どもといたしましてはぜひ保健川のないような町村全部にわたるように、この母子保健法案ができました機会に早急にやっていただかなければならないと考えるわけでございまして、十年間に千カ所というのはたいへんのんびりした少ない数だと思うのですが、もう少しこれを積極的にやっていただくという考えはないか。そしてまた国の補助金も非常に少ないわけですから、これでは地方の町村ではやりたくても負担分が多くでできないというような点もございますので、国としては母子健康センターなどを設置する場合にはもう少し補助金の額を多くいたしまして、地方の町村の負担を少なくしてどこにでもできるような、そういう措置をやらなければならないと考えますが、その点についてお聞かせいただきたい。
○竹下(精)政府委員 現在母子健康センターは三十九年度末で三百四十二カ所でございまして、ことし六十四カ所つくる予定でございますので、ことしの終わりには四百六カ所になる、こういうような状況でございますが、従来母子健康センターにつきましては保健所から非常に遠い、また医療機関にも恵まれません山漁村あるいは農村にこれを設置したわけでございまして、そういった面から見ますると、分べん用のベッドをある程度付置した母子健康センターというものを設置してきたわけでございます。しかしながら、この母子保健法の制定にあたりまして、母子健康センターは従来の助産施設の性格を持ちますと同時に、都会におきましてはむしろ積極的に母子保健に関しましての保健指導ということをやるべきではなかろうか、かように考えておるわけでございまして、そういう面で都会型と農村型、そういった型を今後は進めてまいりたい、かように考えております。 御指摘のように補助金といたしましては、現在は設置に対しまして三分の一を補助いたしております。運営費につきましては国庫補助はございませんけれども、これは現在のところ特別交付税によりまして運営費を見てもらっている、こういうような状況でございます。
○伊藤(よ)委員 ただいまの運営費の問題なんですが、補助金の額も三分の一ということでありますと、地方の負担分が多くてなかなかできないので、ぜひこの点はせめて二分の一くらいに縮めていただくとともに、運営費の点もぜひ国としての御配慮がいただけませんと、せっかく設置をされても十分な運営ができないと思いますので、母子健康センターをこれからふやしていかれるについては、そういう点についてもぜひ考慮していただきたいと思います。この点は強く御要望を申し上げておくわけでございます。 それから、私はいろいろ御質問もあるのですが、時間もないようですし、ほかの先生方も御質問があるようですから、御質問をいいかげんに終わろうと思っておりますけれども、私は最初の御質問にも申し上げましたように、母子保健法に盛られた精神というものは私どももたいへんけっこうなことだと思っておりまして、ぜひその精神に従ってその法律の内容もそれに伴ったようなものにしていっていただかなければいけないと考えるのですが、それは文字どおり、最初に申し上げましたように、社会保障制度帯議会の御答申にもあったようにまことに不備、未熟、不徹底なる法案だと思います。こういうものが少なくともこの間の国会などでは政府のほうで重要法案の一つだと言ってお出しになったにしてはあまりに内容が粗末でありまして、私は問題は今後にすべて残されているのじゃないかと思います。いろいろ重要な点について、市町村の移譲の問題とか、少なくとも保健所の指導、統括のもとにこれらの保健行政はやらなければいけないという点、また労働婦人が非常に多くなっている、その対策等をも含めてあるいは出産手当の問題とか、あるいは児童手当の問題等もからまって検討されなければならない問題だと私は考える次第ですけれども、いずれにいたしましても、母子保健というのは非常に重大な問題でございますので、こういう問題については母子保健審議会というような——従来の審議会が幾つもございますが、あまりその審議会が機能を発揮しておいでになるとは考えませんけれども、こういう母子保健という非常に重要な問題については、ぜひとも私はあらためて母子保健審議会というものをつくられまして、それによっていろいろ専門の方などにお集まりいただいて、日本の母子保健対策というものが、今後これを機会にどういう方向にもっと充実していかなければならないかという点、ただいま申し上げましたいろいろな点についてもっと真剣に討議し、審議をされていかなければならない。それでそういう審議と相まって、この法律をもよりよく改正をしていかなければならないと考えますが、そういう母子保健審議会というようなものについてどのようにお考えになっておられますか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○佐々木(義)政府委員 前段の、この法案の精神はまことにけっこうですが、その内容はもっともっと充実の要があるのじゃなかろうかという御趣旨は、全くそのとおりと思いますので、今後さらに事態が進展するに伴いまして充実いたしたいと存じます。 最後の母子保健審議会の問題でございますが、この点は先ほどお話ございましたように、現行児童福祉法でやっておりますが、独立した母子保健審議会をつくりまして、これでさらに問題を深めていくという問題に関しましては、今後十分検討していきたいと思います。
○伊藤(よ)委員 まだあとにうちの委員のほうもたくさん御質問を控えておいでになるようでございますから、いまのことを御要望申し上げて、一応私の質問を終わります。
○松澤委員長 竹内黎一君。
○竹内委員 まず私は佐々木政務次官にお尋ねしたいと思うのでございます。と申しますのは、母子対策の大きな柱として、いわゆる児童手当というものがすでにいろいろな方面からも言われており、また、現在厚生省においても検討中であると私ども承知しておるわけでございますが、いまの厚生省の検討の模様からいきまして、一体これの実施というようなものをいつごろをめどにお考えになっておるのか、その点まず御説明願いたいと思います。
○佐々木(義)政府委員 児童手当の問題でございますが、厚生省といたしましてもいろいろだだいま研究中でございますけれども、準備の整い、次第可及的すみやかに実施に移したいと思っておりますが、いまのところはただいま即刻という状態ではございませんので、少し時間がかかることを御承知おきを願いたいと思います。
○竹内委員 いわゆる中央児童福祉審議会の中岡報告の中におきましては、児童手当の一部としての妊娠手当を支給するという、そういう制度を設ける必要があるというような中間報告をしておるわけですが、この考え方について、厚生省当局はどういう御見解をお持ちですか、伺っておきたいと思います。
○竹下(精)政府委員 児童手当の一部としての妊娠手当の問題につきましては、これを一部実施することがいいか、あるいは児童手当として全体的に実施するかどうかという問題があるわけでございますが、いまのところそういった問題の検討を行なっている段階でございまして、まだ結論を得ていないというのが実態でございます。
○竹内委員 私は、いわゆる母子保健の問題を考えていく場合において、見のがすべからざる問題は、人工妊娠中絶、特にやみの人工妊娠中絶の問題、これは決して軽視できないと思います。そういう意味におきまして、厚生省の統計で、届け出があったものについては大体九十五万人ぐらい、こういう届け出だと思いますが、それ以外に、不幸なことですが、かなりやみの中絶があると推定されておりますが、一体どれくらいのやみ中絶があるのか、そういう点、何か御調査なすったものがございますか。
○竹下(精)政府委員 これは私どもの推定でございますけれども、届け出られたものを含めまして約百五十万件ぐらいではなかろうかというふうに考えております。
○竹内委員 届け出分も含めて百五十万でございますか。
○竹下(精)政府委員 さようでございます。
○竹内委員 そこで、また政務次官にお尋ねするわけでございますが、いまの数字でもおわかりのように、かなりの数字のやみの人工中絶というものがありまして、その弊害というものも相当にわれわれは心配しなければならぬと思うのでございますが、こういった問題についての政務次官の御所見がありましたら、伺っておきたいと思います。
○佐々木(義)政府委員 私は、この問題は、単に母子の保健の問題のみから考える性質のものじゃなくて、もっと広範な人道的な立場から問題を処理すべきじゃなかろうかというふうに考えております。したがいまして、具体的な法的な規制その他の問題ということになりますといろいろ議論もあろうかと思いますが、根本的な考え方といたしましては、ただいまも申し上げたように、人道的な立場に立ちまして、かたがた母体の保健という点も加味しながら、その対策を早急に考えるべきであるというふうに考えております。
○竹内委員 いま厚生次官の御所見も承ったわけですが、対策を考えるべきであるというお話でございまして、実は私どもも同感でございます。ただ、と申しましても、私は早急に、現在いろいろとやみがある、これを取り締まるためにもつともっといまの制度をきびしくするという論には、私個人としては、むしろ問題があって反対なんでございますが、この問題はいずれまた別の機会に譲ることにいたしまして、次の質問に進みたいと思います。 現在母子の、ことに妊婦の健康を考える場合において、その死亡率の原因の大きなものを占めるものとして、妊娠中毒症があるわけでございます。妊娠中毒症につきましては、この法案によってさらにまた新しい援助を考えられると思うのですが、これ以外にも、いろいろとまだ妊産婦の死亡率として大きなものがあるのに妊娠中毒症だけが何か援助の対象になっているというような印象を受けるわけですが、その点の御説明を承りたいのです。
○竹下(精)政府委員 妊産婦の死亡率を考える場合には、大きく分けまして妊娠中毒症の関係、それから出血によるもの、あるいは子宮外妊娠によるもの、こういう三つの大きな要素があると考えられるのでありますが、その中で一ばん問題になります、またその占める割合が四〇%近くあるのは妊娠中毒症でございます。したがいまして、妊娠中毒症を、妊産婦死亡率を考える際の最も大きな問題として取り上げておる実情でございます。最近明らかになりました点といたしまして、たとえば未熟児の死産につきましても、妊娠中毒症と非常に密接な関係がある。御承知のとおり、未熟児の場合には心身障害児となる可能性もかなり高いわけでございますので、そういう面では妊娠中毒症対策を行なうこと自体が心身障害児の予防対策にも通じておる、こういうような考え方でございます。
○竹内委員 私は実は過日脳性小児麻痺の子供さんたちを収容している病院を訪問いたしまして、そのときいろいろと先生方からお話を伺いました。話がややこまかくなって恐縮でございますが、脳性小児麻痺の問題として、いわゆる母子の血液不適合の問題がある。日本の場合には特にABO不適合が多いのですが、外国はRh因子不適合のほうが多いということです。これなどもお産をした直後におきましてすぐ母子の血液を調べてみて、血液交換によって予防できるのだということを伺っておりますが、お医者さんのお話では、残念ながら日本においてはそういう生まれた直後においての血液検査をするような習慣になっていない、こういうことを伺っているのですが、そういう点は何か御指導になっておるのですか。
○竹下(精)政府委員 妊娠の場合の血液の検査、その他につきましては、特にそういったことを行なうようにという十分な指導はやっていないように思います。ただ現在行なっておりますのは未熟児の養育医療として、すでに発生した子供につきましてはそういうことをやっております。
○竹内委員 現在やっていないというお話なんですが、私どもは脳性小児麻痺という病気のおそろしさを考えれば、これはぜひともやってしかるべきだと思うのですが、これについて予算とか何か不都合な点が予想されるのですか。
○竹下(精)政府委員 予算的な問題も関連があるわけですが、現在妊産婦の保健指導につきましては、この法案を出したあとにおきまして従来のやり方を十分検討いたしまして、新たにいま御指摘のような点を加えていきたい、かように考えておるわけであります。
○竹内委員 その点は御指摘の今後を待つといたしまして、母子保健の問題を考えるときには、私どもは所得格差の問題と同時に相当地域格差の面を考えなくてはいけない。農村、山村、漁村における母性の保護というものは非常に重要だと思うのです。その意味におきまして、先ほど伊藤委員からも御指摘があったのですが、母子健建センターの条項が努力義務的な規定というのは、私どもいささか不満なわけでございまして、これはやはり「設置するように努めなければならない。」を、設置しなければならないというように、ぜひとも改めるべきものではないか、これは私個人の考えなんですが、もう一度、その点御答弁願います。
○竹下(精)政府委員 厚生省といたしましても気持は全部につくりたいという気持ちでございますけれども、何ぶんにも現在設けられております市町村自体がきわめて少ないわけでございます。これを一朝一夕に整備いたすということもなかなか困難でございますので、現在のところ努力規定ということで考えている次第でございます。
○竹内委員 いまの答弁で、はいそうですかと引き下がられないわけですが、苦しい立場もわかります。 私農村におりまして、いろいろ何くれとなく母子保健の問題に気をつけておりますと、農村の御婦人の一人一人が自分の自発的な意思によってお医者さんに行くとか、あるいは保健所に行くというようなことは、実は家庭の環境上非常にむずかしい事情にある。要するにそういう農村の母子保健の問題の対策を進めるためには、家族全体あるいはまた地域社会全体といったものの理解がないと、都会の御婦人と違って、いろんな面からみずから進んで保健所に子供を連れていく、あるいは妊婦の間のいろいろな指導を仰ぎにいくということはむずかしいわけです。そういう意味におきまして、私どもは農村における指導のやり方というものは、むしろ一人一人というのじゃなくて集団的に、いわゆる母親学級であるとか、若い母親の会であるとか、そういうような方法でやらないと、なかなか農村のほうは対策が進めにくいと思うわけでございますが、政府のほうにおきましてはこの法案の制定を機会にそういった農村の方面の保健対策の指導というのはどういったお考えを持っておられますか。
○竹下(精)政府委員 ただいま農村の母子健康の指導その他につきましてまことに適切なお話がございましたが、私ども全く同感でございます。厚生省として現在やっておりますことは、戦前母子愛育村という組織がございまして、これは地域の婦人会を中心にいたしまして組織活動として母;保健対策を推進していく、こういうような組織をつくってやっておったわけでございますが、戦争にあいましてこれが消滅したというような状況でございまして、現在これの復活ということで、母子愛育村活動をもっと農村には重点的に行なうべきじゃないかということで指導いたしているわけでございます。先ほど申しました母子健康センター、こういった一つのセンターがありますこと自体がこういう活動の中心地になるということ本十分考えられる次第でございますので、こういった母子愛育村活動あるいはそういう地域活動というものを母子健康センターを中心にして今後とも伸ばしていきたい、かように考えている次第であります。
○竹内委員 いまの局長のお話でわかるわけですが、私ども見ておりましても、農村でお子さんを育てておっていろいろと一番むずかしい時期は何であるかと申しますと、離乳時の障害があるように私ども見受けるわけです。離乳になかなかうまく成功しない。そこでいろいろな障害が出てくるように私ども見受けるわけでございますので、そういった面からも、どうしても農村において集団的にこれを指導するということに政府のほうがもっともっと積極的なくふうをこらしていただきたい。これは希望を申し上げておきます。 それからまた母子保健対策部会の中間報告に返りますが、いわゆる小児の専門総合病院のことを中間報告では述べております。内容はすでに御承知だろうから私一々指摘はいたしませんが、一体こういう小児専門総合病院について現在どのような対策をとっておるかを御説明願いたいと思います。
○竹下(精)政府委員 小児専門総合病院につきましては、古くからこういった施設についての要望がございます。厚生省といたしましては、国立の小児専門総合病院をつくるということで、世田谷病院をこれに充てるということで現在その整備を急いでいるわけでございます。一部はもうすでに仕事を始めておりますけれども、総合的なセンターとしての役割りを今後ますます充実していくという方向で努力いたしたいという考えでおります。
○竹内委員 現在世田谷病院云々というお話でございますが、これは東京一カ所で済むものでないということは申し上げるまでもないわけです。これこそできるだけ早く、数もたくさん全国各地につくりたいと思うのでございまして、この点はぜひひとつ政務次官に御尽力を賜わりたいと思うのでございます。 それから先ほども牛乳のお話で伊藤委員からお話がございました。牛乳一本九カ月間、これは決して悪くはないのですが、はたしてこれを低所得者層だけに限るべきものかどうか。いわゆる低所得者層でなくても、いまの家庭の御婦人、特に日本の妊婦というものの栄養状態は決してよくないというぐあいに伺っておるわけでございますので、これは当面は予算の関係上やむを得ないかと思うのですが、ひとつできるだけ早く妊産婦全体の栄養改善としてこれを全婦人に及ぼすべきものだ、こう私は考えるのでございます。つきましては、いろいろと牛乳の問題あるいはまたビタミン剤の支給の問題等々もあるわけでございますが、厚生省といたしまして、これは将来の問題になるかと思いますが、やはり牛乳だけでなくて、やがては栄養物と申しますか、ビタミン剤とか、そういうものの支給までやりたいというお考えでございましょうか、当面はもっぱら牛乳だけでやっていくつもりなのか、その辺のお考えがあったら伺いたい。
○竹下(精)政府委員 ことしから低所得者階層につきましては、ミルクの無料支給ということを始めたわけでございますが、もちろん理想といたしましてはそれをできるだけ早く全般に及ぼすということでございます。ある府県におきましては、今回の厚生省のとった措置に付加いたしまして、全妊産婦につきまして、これは無料じゃございませんけれども、安い牛乳と申しますか、割り引きをした値段で配布するというような方法をとっておる県もございます。そういったことで、だんだんと一般的にもこういった仕事の重要性が認められてきますれば、先ほど申し上げました理想に近づくのもそう遠くないのではないかというふうに考えております。 現在の、ミルク以外に栄養剤その他を考えるかということでございますが、当面はミルクをもってやっていきたいと考えております。と申しますのは、やはり必要な栄養の内容というもの、それからまた価格という点からいたしますと、ミルクが比較的価格も安くて、かつ必要といたします栄養を包含している、そういう意味でできるだけミルクの普及をはかっていくという方向で努力をいたしたいと考えております。もちろんこれ以外に、都道府県におきまして栄養剤等を支給しているところもございますが、これは任意の措置としてしていただくことは非常に望ましいことだというふうに考えております。
○竹内委員 最後に、いわゆる重症心身障害児の対策についてお尋ねしておきます。 鈴木厚生大臣が就任されましてからいろいろな機会に重症心身障害児対策をもっともっと充実するという談話をいろいろ伝えられて、私ども喜んでおるわけです。お話の中で、国立のそういったセンターというものを現在よりももっともっとふやしたいというようなお話もございますので、いま当局におきましていわば明年度予算の要求にからんでどの程度のことをお考えになっているのか、御説明を賜わりたいと思うのです。
○竹下(精)政府委員 重症心身障害児の対策につきましては、第一は国立の施設をブロックごとにつくっていきたいということで、これは年次計画をもって整備していきたいというふうに考えております。 それから第二番目としては、現在のすでにできております施設につきまして、赤字の問題あるいは職員がなかなか集まらないというような問題があるわけでございますが、そういった面は今後赤字の解消あるいは職員の処遇改善という点につきまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。 それから第三の点といたしましては、都道府県あるいは社会福祉法人等でこういった施設をつくりたいという希望を持っておる方がいらっしゃるわけでございますが、現在の補助の率がどうしても自己負担をある程度持つというような仕組みになっておるわけでございます。そういった面は従来の補助率よりも高率の補助を適用いたしまして、国あるいは都道府県でもって設備はつくる、運営につきましては法人その他におまかせをする、こういうふうなことで、自己負担をできるだけなくしたいという方向で努力をいたしたいと考えております。 それから第四番目は、収容いたします児童はまだまだ少ないわけでございまして、施設が整備されるまでにはやはり相当期間がかかるかと思います。したがいまして、その間どうしても在宅で指導を受けるというような子供さんが残られるわけでございますので、在宅指導を強化いたしたいということで、これは各都道府県に児童福祉司あるいは精神薄弱者福祉司あるいはお医者さん、婦さん、保健婦さん、そういった方々を対象にいたしまして、巡回指導の講習会等を行ないまして、そういうことができるようにいたしたいというふうに考えております。 それから第五点といたしましては、こういった重症の方々はなかなか社会復帰ができない方が多いわけでございますので、永久と申しますか、終身収容して保護を加える必要があるわけでございます。こういう体系といたしましては、いわゆるコロニーと申しますか、心身障害児あるいは心身障害者の村というような構想が出ておるわけでございます。何ぶん日本にはまだこういった構想が十分熟しておりませんので、来年度は世界の先進諸国の勉強もいたしますとともに、そういう施設にふさわしいところを日本内でもさがしていきたい、こういう調査、準備の費用を考えております。 それから第六点といたしましては、現在重度精薄児につきましては扶養手当が支給されております。しかしながら、重度の身体障害児につきましては何らそういう手当は支給されていないわけでございまして、そういう面のアンバランスもありますので、支給の範囲を広げるとともに、額を引き上げまして、また従来ございました重度の精油児扶養手当が所得制限で実際にもらう人が非常に少ない、こういう問題がございますので、所得制限の撤廃をいたしたいというふうに考えております。 その他の予防的な措置といたしましては、直接研究の費用あるいはこの母子保健対策の強化をしてまいりたいというふうに考えております。
○竹内委員 ただいまの局長の御説明なさったこと、まことにけっこうだと思うのです。問題はこれをできるだけ早く実行するということで、これは単に厚生省当局のみではなく、われわれ国会議員にもまた責任がある問題だと私は考えるわけでございます。お互いに力を合わせて一日も早くその対策の充実を進めたいと思います。 これで終わります。
○松澤委員長 本島百合子君。
○本島委員 先ほどから母子保健法については一歩前進という形におきまして、いままでの母子福祉に対する施策が非常に脆弱であったところに、この法律である程度の問題は解決していくような気もいたします。しかし、実際問題で非常に心配になることが多い法案でございますので、この点で前国会も継続審議という結果になったのだと思うのです。 そこで第一番にお聞きいたしたいことは、先ほど伊藤委員が言われましたように、婦人団体でこの法案に賛成したわけでございますが、その後に至って反対される。それからなおかつ、全国の市長会あるいはまた町村会、こういうところでも反対陳情が参っておりますが、先ほども言われておりましたように、予算措置ということが一番大きな問題になって出てまいっておるわけです。この法律を完全に実施しようとするならば、一体どのくらいの予算を考えておられたのか。そして四十年度幾らで、四十一年度については大幅にどの程度に見るつもりであるのか、こういう腹案がおありになると思うのです。そういうことを示していただかないと、町村会並びに市長会等ではこの法律が通過いたしましても受けて立つことがなかなか困難だ、こういわれておりますから、その点ひとつ腹蔵ない御所見を述べていただきたいと思います。四十一年度予算についてはこれからの折衝でございましょうが、大体この程度のことを考えておるということを、お差しつかえなければお漏らしを願いたいと思います。 同時に、東京二十三区のような場合、各保健所の職員の人々の、猛烈なこれに対する反対運動が起こっているわけなんです。地方と東京都における保健所のあり方というものは、かなり違う点もあろうかと思いますが、どういうわけで反対されておるのかということは、私どもよりはむしろ厚生省のほうでおわかりになっておると思います。そういう点で、あなた方が考えているように理解をされていないために喬の反対が出てきておるという点がはっきりしていらっしゃると思うのですが、それはどういう点なのかということをひとつ前もってお知らせ願いたいと思います。
○竹下(精)政府委員 三十九年度は母子保健事業は補助金でもって運営をされたわけでございますが、四十年度は、市町村移譲に伴いまして、大部分の補助金を交付税に移しかえた、こういうような経過があるわけでございます。したがいまして、三十九年度におきまして、額としましては約一億八千二百万程度の補助金があったわけでございまして、それを事業費と申しますか、補助率が十分の八であるとか三分の一とかいろいろございますけれども、それを全額の費用に直してみますると、約五億二千七百万程度の事業が行なわれておったというふうに考えてよいかと思います。したがいまして、四十年度これを交付税に回しました際に、この事業費総額をできるだけふやしていきたいというふうに考えたわけでございます。もちろん、理想的に申し上げますと、先ほど問題になりました市町村の専任の職員を置いてやるというようなことが非常に望ましいわけでございまして、そういった点もあわせて要望したわけでございますが、四十年度の交付税として算定されました数字は、先ほど交付税課長からも話がございましたように、約十億の事業費というような算定がなされたわけでございます。こういった点から見まして、補助金でやっておりましたときよりも少なくとも二倍近くの事業費が組まれたということは言えるかと思うわけでございますが、交付税の性格上、これはひもつきでないという点に問題があったわけでございます。 それから、第二点の東京都の問題でございますが、この母子保健法案は市町村に仕事を移すということが非常にねらいであるわけでございまして、そういう一面では市町村移譲という原則を立てたわけでございます。東京都の場合は、市町村移譲ということになりますと、特別区がその移譲を受ける主体になるわけでございます。したがいまして、東京の特別区におきましては、特別区が事業実施の主体になって、保健所が従来やっておりました仕事というものが東京都の特別、区のほうへ移る、こういうようなことになるわけでございます。これにつきまして、保健所のほうで反対をされたわけでございますが、その反対の理由といたしましては、特別区と申しますのは二十三区でございますけれども、その中に保健所が五十二ほどあるわけでございます。したがいまして、私どもが考えておりました住民に密着をしたきめこまかい母子保健対策事業を行なうという場合に、東京都の場合は市町村の場合と違いまして、保健所のほうが数が多いからむしろ保健所のほうでやったほうが本来の趣旨に沿うのではないかというのが保健所のほうの反対の主たる意見だったわけでございます。私どものほうといたしましてはこれに対しましては、東京都も特別区へできるだけ権限を移譲していくというのが今後の方向でございますし、そういう面で特別区が責任を持つと申しますかそういうことにしていきたい。もちろん保健所−と特別区の関係といたしまして一朝一夕に特別区がそういった能力ができるとも考えられませんので、実際の実態といたしましては特別区においては従来どおりほとんど保健所がやることにはなろうかと思いますけれども、責任の主体はあくまでも特別区が持つのだ、こういう考え方でこの法案を進めたわけでございます。
○本島委員 いまの御説明はあとでまた質問いたしますが、その次に問題になっているのは、技術職員の確保がきわめて困難である、こういうことになっておるのです。技術職員ということになりますと、いまの保健所職員と先ほど一言われていた健康保険の職員、こういうものを合わせてとにかく発足しよう、こういうお気持ちのようですが、はたしてそれでできるのかという疑問が生まれてくる。というのは、法案の内容から見まして、受胎から出産に至る後までのことをずっと見ていくと、そういう場合において訓練されていない人々がはたしてやれるのかという疑問、これはしろうとでも持つわけです。したがって、この強い反対の意見の中に、技術職員を持つことが困難であるからということがうたわれておるのですが、この点はどういうふうにして補充をされていくのか。また発足してもそれができなければこの法律が死んでしまうということにもなるわけですが、この点もう少し詳しく御説明願いたい。
○竹下(精)政府委員 母子保健の保健指導あるいは訪問指導、こういうようなことは確かに御指摘のように技術職員をもってやるということにはなっております。しかしながら、全部の市町村が全部こういった技術職員を自分のところに専門職員として常置するかどうかという問題につきましては、必ずしも常置する必要はないのじゃないか。実際問題としましても、医者でありますとかあるいは保健婦、助産婦の方々は非常に数が少ないわけでございますから、なかなかそういった人人を組織として常置していくということは私も困難であろうかと考えておるわけでございます。しかしながら、こういう仕事は必ずしも常勤の職員をもってやるということではございませんで、むしろ地域社会の協力によりまして運営をやっていきたい。特に医師、助産婦の方々につきましては、大部分の市町村にはこういう方々がおられるわけでございますから、そういう方々を市町村の嘱託としてお願いいたしまして保健指導その他声、やっていただこうというのがこの予算の内容であったわけでございます。もちろん一定規模の市あるいは町の段階におきましては行く行くそういった専門の方々も常勤職員として迎える必要があろうということは考えておりますけれども、当面の問題としてはそういう地域の協力を得てやりたい。また足りないところは保健所からも協力をいただく。それによってこの母子保健対策を進めていこう、こういう考え方でございます。
○本島委員 先ほどからもそれを聞いておるのですけれども、実際問題としてそれでやれるかどうかということは私ども常に危慎するところですが、たとえば非常勤職員とこうおっしゃるが、月額幾らお出しになるのでしょうか。この非常勤の問題については、各委員会とも、ことしの国会でも昨年の国会でも問題になって、非常に給与等がアンバランスです。そして厚生省所管のものはいつもその給与が安いわけなんです。それで働く分野においては、他の官庁と比べて非常に住民に密着してやらなければならぬから、二十四時間勤務になろう危険性もある。こういうものが多いわけです。そういう意味で一体月給はどのくらいお出しになるのか。 それからもう一つは、いま言われました技術職員というのはなかなかいますぐに得ることはできないと言われたのですが、この二十三区保健所からの反対陳情の中にこれが強くうたわれておったと思います。先ほども伊藤委員が言われておったようですが、保健所職員でも非常に人員不足ということ、専門的な技術職員を得るということが困難な際である。その困難な原因は給与が安いということなんです。そういうことで厚生省所管における職員の給与は非常に低いということで、たとえば医師一人得るにしても、職員一人得るにしても、給与が他のところに比較いたしまして二割から三割安い。こういうことで結局特別の人でない限りはやってこない、こういうような関係があって人員不足というものを大きく来たしておったわけなんです。そういうやさきに技術職員がどうしても要るという母子保健に対して、もしそれが欠如した場合においてはうまくいかないだろうというのは、これは私どもばかりでなく、一般が不安に感じる、そういうところだろうと思います。ですから非常勤職員がどういう程度の時間を提供し、またそういう相談にあずかり指導するのか、そしてそれに対する給与はどのくらい出されるのかということを承りたいと思います。
○竹下(精)政府委員 算定の基礎として考えておりますのは、たとえば三歳児健康診断につきましても、規模によりますけれども、大体一日か二日でやる、こういうようなことになっておるわけでございまして、そういう面から見ますると、そういう嘱託の先生方を月ぎめで雇うというような考え方ではございませんで、そのつどお願いをする、こういうような関係でございます。お医者さんの場合でございますと大体一日に二千二百円、それから看護婦さんの場合は八百五十円、こういうようなことで算定がされておるわけでございます。
○本島委員 こういう点に私は反対の理由の大きな原因があったと思うのです。現在保健所の職員の方々が誠実に仕事をしようとすれば、現在の五倍くらい職員を持たなければやれないというくらいにいわれておるのですから、それが手が抜かれてきておった。それでも保健所というものは発足して非常に年月がたっておりますから、住民の親愛と信頼とを持たれるようになってきた。それが今後母子保健のほうになってきて市町村のほうにまかせていくということになってくると、ここに一つの不安が出てくる。しかも、それがそのつどの御依頼だということになれば、その方自身にも力が入ってこないんじゃないか。しかもこういう問題にかかってくるときに一番問題になるのは、先ほども竹内委員が言われたように、低所得層に多いと思うのです。それから異常な状態の人に多いということになるのです。通常の人はほかの方法をもってしてもできますが、そういう人たちはたよっていくところがないから、どうしても先ほど言われた健康センターにしてもあるいはまた保健所にしても、たよる率がそういうところに多い。そうした場合に、そのつどつどでこれが運営できるのかという不安が反対の理由の一つの原因であったと思うのです。この点について、本年この法案が通過いたしまして発足いたしますとして、ことしは充実できないとしても、来年度にはそういう嘱託的なことでなくて、もう常勤的な性格を持たしてもらわなければいけないんじゃないか、こう思うのですが、こういう点のお考えはどうでしょうか。
○竹下(精)政府委員 本年度の交付税の算定にあたりましては、職員の充足が得られなかった関係上、内容の充実という点におきまして折衝いたしたわけでございますが、母子保健法が通りました暁におきましては、当然職員の充実ということが次の問題でございますので、来年度につきましては、職員の充実に努力を傾けたい、かように考えておる次第でございます。
○本島委員 いままでの厚生省関係のいろいろの点を見てまいりましたが、大体一週間を五日くらいの非常勤という形での勤務で嘱託をお願いされておったように思うのです。今回の場合だけそのつどということはどういう見通しの上に立ってなさったことですか。
○竹下(精)政府委員 私が申し上げましたのは、たとえば三歳児の健康診断をやる場合にはこういうような方法でやりますということを申し上げたわけでございまして、妊産婦の主として訪問指導に当たりまする助産婦さん等につきましては、やはり実態といたしましては、そういう一週間に五日くらいの活動ということで実際上はいっておるというふうに考えております。
○本島委員 そうすると、相当数の助産婦さんを採用されるということになるわけですね。どのくらい考えていられましょうか。それと費用。
○竹下(精)政府委員 助産婦さんの妊産婦訪問指導につきましては、大体一件幾らというような考え方でございまして、一人を訪問する際に二百円というような算定をいたしておる次第でございます。
○本島委員 いつも予算編成のとき問題になってきている優生法の指導員、たとえば助産婦さんたちが家族計画について指導いたしますときの値段——一件二百円でございますね。そういたしますと、これではやっていけないのです。たとえば、交通機関が発達しているような場所ですと二カ所ぐらい乗りかえていかなければならぬ場合もあるのです。歩いていくには、歩いていくだけの範囲内と規定されて委託されておるような様子でございますが、いろいろ相談する、行ってすぐ十分や十五分ではいさようならして帰ってくるわけにはいかぬ。こういうわけですから、持っている範囲の非常に広い方々になりますと、一日一件二百円ではどうにもならぬということを言われておったのです。ことしの予算において家族計画の費用は削減を受けておると思いますが、そういうことでほんとうに家族計画をしなければならぬ家庭はどういうところにあるかというと、これも先ほどから言われておるように低所得層並びに遺伝性を持つ家庭、こういうところでは特に熱心に指導していかなければならぬのですが、そういうところが大体野放しになっておるというのが現在のマスコミ等によって報じられるところでございます。そういたしますと、一件一人二百円というきめ方にも大きな問題があるんじゃないか。これではたしてこの非常に大きな母子保健という立場に立っての新しい機構が発足するときにいいものか。便法上やるというくせが非常に厚生省はついているのじゃないだろうか、こういうことにも一般の不等があるわけなんです。そういう点についてやはり恒久化していく。同時に助産婦さんたちも一件幾らではなくて、やはり非常勤勤務の場合に、月額大体一万五、六千円が最低のように各省のものを見ておりますと見受けております。そういう形で身分を安定さしてその仕事に専念してもらうほらが効果があがるんじゃないか。こういう点について今回の厚生省の構想についても一般の反対される人々は不安に思っているということでございます。ですから、男の感覚と女の感覚で違うかもしれませんが、こういう点で、すべて今度の母子保健法に盛られておる運営のしかたということに対して、今日保健所関係で働く人はもちろん、また一般の人々も、母子保健法を実施されるのは早過ぎるんではないか、準備不足ではないか、こういうことが言われておるわけでございますので、そういう点、現在のままでいくとされても、これは遠からず身分の保障という形が生まれてこなければならぬと思いますので、そういう点をどう考えられるか。
○竹下(精)政府委員 先ほど申し上げました助産婦の方が妊産婦あるいは新生児を訪問指導する際一件二百円と申し上げたわけでございますが、従来これは補助金で出しますときは一件八十五円というように非常に安い単価になっておったのですが、できるだけ交付金におきましては実態に近づけるというところで二百円まで上げてもらったわけでございます。もちろんこれでもう十分だというわけじゃございませんけれども、そういう内容の面といたしましては従来より数歩前進をした内容を考えたわけでございます。私どももこういう助産婦の方々の活動につきましては、もちろん常勤で活動していただくということが望ましいし、そういうことで努力してまいったわけでございますが、今年度につきましては実現を見なかったわけでございますので、今後は常勤の職員としてぜひやっていきたいという方向で努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
○本島委員 そこで、この法案が出ます前に、民社党は、御承知のように母性福祉保障法という案を議会に提出いたしまして、御審議の資料にというような状態であったわけでありますが、その点で考えてまいりますと、民社党が主張しておりましたことは、たとえば妊婦になり出産が近くなってくる。そうした場合に、ホームヘルパーというような形の人がいないと、臨月に近い妻を持っておるつとめ人の方々はどうにもならない。また、農村におきましても、働き手であるところの、千手観音的な存在とさえいわれる農村の婦人たち、こういう人たちの場合でも、手が家族にあればいいけれども、現在ではほとんど家族内における手というものはないわけです。そうすると、妊婦がそのままほってあるかっこうになっておりますが、ホームヘルパーの組織はどういうふうになさったわけでしょうか。
○竹下(精)政府委員 ホームヘルパーの措置につきましては、この法案におきましては入っておりません。これは今後の内容充実の際に考えていきたいと思っております。
○本島委員 出産にあたって安心して出産するということが一番大切なことであるわけですが、いま一番困っているのはその問題だろうと思います。出産した後における家庭のまかない手もないというような状態で、またいろいろの問題がそこから起こってまいるわけなんですから、これは私はやはり民社党が主張しておるように、妊娠から出産に至るまで、ちゃんとした社会組織の中で安心して子が産めるというようにさしていくことが最も大切ではないだろうか、こう思うわけなんです。同時に、職業婦人についての指導、たとえば最近職場結婚等が非常に多いわけですが、その場合、こういう機関ができましてもそこまで尋ねていくことができないのです。そういう場合の指導はどういうふうになさるわけでしょうか。
○竹下(精)政府委員 民間の企業の場合におきましては、まだ現在全般的とは言えませんけれども、こういう母子衛生に関しまして、ここにあげてありますような家族計画あるいはその他の指導を引き受けてやっている団体がございます。そういったところで民間の企業は利用してやっておられるというのが実情でございますけれども、私どもの立場といたしましては、そういう民間の活動も、もちろん今後も続けていただきたいと思いますし、保健所その他を通じ、また関係婦人団体その他を通じまして、そういう母子保健の指導、知識の普及につとめてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○本島委員 母子保健の立場からいって、そういう家庭にある婦人ということよりも、勤労婦人の中に一番問題が多いわけですが、そういう点が盛り込まれていないものですから、この母子保健法がかりに通過いたしましたとしても、来年度あたりにもつと充実した内容にさしてもらいたいというのがおかあさん方の要望でございますので、それを代表して申し上げておきます。 先ほど妊娠中絶のお話が出ておりましたが、依然としてやみからやみといわれるものを含めまして、先ほど厚生省の統計では七十万とかおっしゃったが、一般では二百万をこえているといっておりますね。出産と同じくらいの数、あるいはそれ以上の数がやみからやみに葬られている、こういうことでありますが、これはいまの厚生大臣ではなくて、前の厚生大臣のときに、優生保護法を改正して、そうして現在やられているものより非常にきついものにするということが一般に流れてまいったわけです。そこで私は、経済的理由によるという条文があるわけですから、そういう意味合いで——今日妊娠中絶をなさる方々は経済的理由によるという点が非常に多いわけなんです。そういうことから、もう少しその点を拡大してもらって、やみからやみというような形でなく、合法的に、中絶はすべきではないけれども、まあ中絶せざるを得なくなった妊婦に対して幅を広げることができないか、こういうことをかつて大臣に申し上げたことがあるわけです。この考え方は一体どういうふうにお思いになるでしょうか。いま優生保護法を強化して中絶するのを困難にさせる。平たく言えばそうですね。そういうことがいいのか、あるいはまた、経済的理由によりというこの解釈を拡大してもう少し楽にさしてあげるということのほうがよいのか。これは政務次官の所見を承りたいのですが……。
○佐々木(義)政府委員 私もこの問題はアメリカに参りました際に、かつて科学技術庁におったころですが、科学アタッシェの人々が非常に忙しいというものですから、いろいろ聞いてみますと日本に堕胎に来る人たちが多くてその手続で実は多忙だということでした。御承知のように、いま経済的な理由等でどうしても中絶をやむを得ないという事情の人もありますし、あるいはまた人道的な立場、母体保護の立場からもっと厳格にしろという意見もございまして、それがまた、法的に直す場合にもいろいろ問題があろうかと思います。そういう点を考えまして、いずれを主にして問題を進めるべきかということは、早急には判断がつかぬ問題と思います。しかし、経済的理由による人にはそれに相応するような考え方をふえんし、同時にまた、母体保護あるいは人道的な立場からこれを厳格にすべきだという面に立ちまして、それに即応するよう両方考えながら、その調和をとりながら問題を処理していくのが一番いいではなかろうかというふうに実は考えている次第でありますが、なかなか慎重を要する問題でありますので、一生懸命ひとつやってみたいと思います。
○本島委員 この問題は婦人の問題としても非常に大きな問題で、私ども会合に出るたびに聞かされる問題なんです。前回くらいの大臣でございますが、先ほどから言われるように、日本は楽だからわざわざアメリカ婦人が来ておろすというのです。優生保護医というものがあるのですから、そういう機関を通して、法律に合致できるような形においてこの妊娠中絶が行なわれる。そうでなければもうはっきりとそういうことをさせないように、計画出産ということを指導していかなければならぬと思います。最近産児調節ということがあまり言われなくなってきております。また、保健所あたりでも、やってこない人が多いわけですね。いままでせっかくそういう受胎調節の指導機関を設けていただいていても、やってこないんです。どういうことかということで調べてみますと、大体そういう方面に知識のある方はちゃんと調節されておるのですが、そういう調節をされていない階層はといえば、さっきも言いましたように低所得層とか、子孫を残してもらっては困るような疾病を持っておる人、こういう人たちが来ないわけなんです。ですから成績の上から見て、この優生保護に関するところの家族計画費用というものはあまり利用されていないからということで削減の運命にあったのではないか、こういうことを皆さんがおっしゃるわけなんです。むしろいまは、来るのを待つのではなくて、出ていってでも指導しなければならぬという段階じゃないだろうか、こう思うのです。こういう点について大臣何か特効薬的なお考え、ありましょうか。私は過日予算委員会——もう三、四年か前のときに、宣伝車の小さなのを買って、あれで密集地帯から下町地帯、こういうところにそういう指導をするように婦人会と連絡をとってやってもらったらどうかということを提案したのですが、それはそのままになっております。私、いま思い出すのは、サンガー夫人が日本に参られて、あの下町に行ったときに、ちょうど時間が夕暮れどきになりましたが、二百か三百人のおかあさんたちがどっと集まっちゃうのです。いまに飲み薬で調節ができる時代がくるから、それまでは加藤シズエさんがやっていらっしゃるような方法で、ひとつ皆さん、ほしいときに赤ちゃんを生むようにしてくださいという演説だったのです。それが非常にかっさいを得たのです。いまその飲み薬は出ておるのですが、まだ厚生省は認可されていないと思います。その論議をめぐって医師会でも二論あると思うのですが、それはどういうふうなことになってきたか。それから今後そういう受胎調節のほうに対して、妊娠する前の問題として積極的な施策があるかどうかということをお尋ねいたします。
○竹下(精)政府委員 第一の飲む避妊薬という問題につきましては、先生御指摘のようにこれは賛成の議論また反対の議論と両論ございまして、まだ厚生省としても最終的な結論に達していない、こういう状況でございます。 それから第二番目の家族計画あるいは受胎調節ということにつきましては、先ほど伊藤先生の質問にもございましたように、母子保健法案におきましては第九条の「知識の普及」の中に当然これは入れなければならないというふうに考えているわけでございますが、その具体的な方法としましては、私どものほうでは保健所を中心に、あるいは市町村を中心にいたしまして婦人会等に呼びかけまして、この普及をはかっていきたい。特に、やはりこういった問題につきましては、結婚する前からの教育が必要であるわけでございますので、こういった面につきましては社会教育の面とも十分連絡をとりまして、婦人教室、婦人学級というようなところ、あるいはまた厚生省の関係といたしましては、家庭生活の相談所というものを各地につくるようにいたしておるわけでございますが、そういうところも通じまして普及さしていきたい、かように考えておる次第であります。
○本島委員 宣伝カーで行くというのはどうでしょう、大臣お考えを……。
○佐々木(義)政府委員 私、宣伝車の話はよく存じませんので、その後の経過はよくわからぬですが、御趣旨はたいへんけっこうだと思います。もう少し内容を吟味いたしまして、できるだけ御希望に沿えるようにいたしたいと思います。
○本島委員 大臣はあんまりこういうほうに詳しくないようですが、職場における指導は最近非常に徹底してまいっております。それで成績も上がってきておるようですが、一般地域——いま申し上げたように密集地帯、それから特に優生学上種族を残さないほうがいいだろうと思われる人々、こういうところに普及徹底していないのです。人権問題もからみますから、なかなかそういう後段に述べたような人の場合にはうまくいかない。ですから、保健所におきましても、もし母子健康センターでもできたときに、こういう点の指導というものが一番大切ではないだろうか。あるいは酒飲みでアル中にかかっているような家庭、こういうところから非常に精薄者が生まれたり、あるいはまた心身障害児が生まれるとさえいわれておるのでありますから、そういうところの指導というものが非常に大切ではないか。そこで九条のところの問題は、妊娠してからの問題よりは妊娠前の、母性になるべき女性、そこからの啓蒙がいま一番要望されておると思うのです。そういう点にひとつ力を入れてほしいということを要望しておきます。 次に二十条の指定養育医療機関、この機関は大体どういうことを主体としてなさるのか、ちょっと御説明を願いたいと思います。
○竹下(精)政府委員 これはこの法案で初めて手がけた問題ではございませんで、児童福祉法の中ですでにあった問題であります。現在こういった指定養育医療機関としましては約千ほどございます。主として小児科を持っております医療機関というものの中で選んだわけでございます。
○本島委員 この問題について先ほども御質問があったようですが、特殊な子供を持っている、この子は異常ではなかろうか、おかあさんが不安に思って相談に来ますが、こういうところで発見はしてもらっても、結局は入院したり治療したりということがなかなかむずかしいと言われるのです。要は、その異常を発見されたときから治療しておればうちの子供はこんなことにならないで済んだろうという恨みをみな持っておるのです。それはどういうところに原因があるのでしょうか。
○竹下(精)政府委員 二十条に規定しておりますのは未熟児の養育のための医療機関でございます。未熟児の中から心身障害児が出る可能性が多いわけでありますが、養育を行なっております機関では異常というものを発見するのはちょっとむずかしいかと考えます。むしろ退院をされまして、成長する過程におきましてそういう心身の異常が出てくるということではないかと思います。そういった場合にはまず保健所が身近かな相談所でございますが、その他の施設としましては、現在では肢体不自由児施設でありますとか、あるいは児童相談所、そういったところに御相談いただくということになろうと思います。
○本島委員 そこのところが非常に問題で、そういうおかあさんたちが恨みごととして言うのは、ちゃんと見てもらっていたのだ、そうして自宅に帰って二、三カ月くらいで異常をおかあさんが気がついて病院に相談に行くのですね。相談に行ったからといってすぐその子供が入院治療を受けられるという形にもなっていないのです。一般の病院に入ろうとすればたいへんな競争率で、なかなか受けてもらえない。そして結局背中におぶって行っておるところを見ますと、何と言いますか矯正する柔道の先生とか、足がちょっとおかしいからというようなことで……。あるいはまた何か魔術みたいなことをするところに行っているんですね。そんなところに行ってもなおらないから医師に正規に見てもらいなさいと言ったら、医師はこれはどうしようもありません、痛みなら痛みどめくらいの程度でということでたいして見てもらえなかったと言う。これはどこの会へ行っても言われるのです。そこのあたりの機関なんかないのだろうか。安心して継続してそこで見てもらえなくても、この病院に行きなさいという指導、そうして適切に治療の受けられるところ、そういうようなものはないのか。この法案を見ておりましても、そこが空白で、そういう機関の問題がないような気がするものですからお尋ねするのです。 〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
○竹下(精)政府委員 母子保健法案におきましては、そういった心身の障害の問題につきましては触れていないわけでございますが、この点につきましては児童福祉法によって当然対象として考えるわけであります。ただ、実際問題としては御指摘のように、たとえば脳性小児麻痺のような場合にはなかなか専門の機関が少ないし、また、ありましても、そういったベット等が現在のところほとんど満員でありますので、なかなか入れてもらえない、こういうことではないかと考えるわけでございます。現在そういったものとしては肢体不自由児施設におきまして、大体三分の一程度は少なくとも脳性小児麻痺の方々が入っているわけでございまして、専門的な機関としましては、各県に置かれております肢体不自由児施設を使っていただく、こういうことでございます。ただ全部の肢体不自由児施設が通院とか外来とかをとっているわけでございませんので、今後の問題といたしましては、そういう肢体不自由児施設がそういう場合の相談の機関、あるいは通院して訓練を受ける、そういうようなセンター的な役割りをつけていくようにいたしたいというのが私どもの感じておるところであります。
○本島委員 そういたしますと、いまこの法文から見ていって一番穴になっていると申しますか、漏れたような感じのするところだけ捨ってみたのですが、そういう点が私ども母親として一番心配なところなんですね。先ほどの御質問にあったように、肢体不自由児、脳性麻痺なんというような重度な、重い十字架を背負っておるようなこうした子供たちに対して、もっと積極的な母子保健という形において何らか手を打てなかったのか。もちろん施設がないからそれはできないので、そういう施設の増設ということ、今度の大臣は非常に熱心で、主張されておりますから、近い将来にはそうした危倶もなくなってくるだろうと思いますが、現在そういうことに悩んでおられる方々、そうした方々を、これは家庭ではとうていどうしようもないのです。やはりりっぱな施設に入れていただいて、そして治療をしていただく以外にないのですから、それ以外に安心する道はないのです。ところが、たとえばその病気が発見されて、重度の心身障害者になってしまって、それから先の子供たちの施設は幾らかある。それでも一〇〇%入ることはできなくて、いま三割程度でしょうか、そういう施設に入ることができる数というものは。こういう点について母子保健法という法律ができることは決して悪いことではないけれども、それに伴って子を持つ親の悩み、苦しみを解消させるということになれば、そうした点が最も大切なことなんで、こういう点で大臣、いかがでございましょう。せっかくの主張でありながらも、来年度どのくらい施設が拡充されるかどうか。そういう御意欲がおありになるはずですから、その点もお聞かせ願って、足りなければ当然予算獲得に私どもも動かなければなりませんので、お漏らし願いたいと思います。
○竹下(精)政府委員 現在提案いたしております母子保健法案におきましては、心身に障害のある問題につきましては積極的に触れていないわけでございます。と申しますのは、そういった児童につきましては児童福祉法によってまずやるという考え方でありまして、現行の児童福祉法の二十一条の十一にも、身体障害のある人に対する療育の指導ということで、まず第一の窓口は保健所でございまして、保健所が先ほど申し上げました肢体不自由児施設あるいは整形科を持っておりますような総合病院を指定しまして、そこで育成医療その他を受ける、こういうような形になっておるわけであります。もちろん私どもといたしましても心身障害児の対策につきましては今後重点事項として努力をいたすわけでございます。先ほど申し上げましたように、各ブロックに国立の収容施設をつくっていきたいということでございます。それから肢体不自由児施設のほかに通院のそういうセンターを設けていきたい。こういうようなことで来年度考えてみたいと思っておる次第であります。
○本島委員 大臣がお答えになりませんですから、もう一つつけ加えて大臣に聞きますが、福祉法人でない場合、なかなか補助をいただけない。方々に精薄者の場合でも、あるいはまた肢体不自由児の場合でも、せっかくいろんな施設が民間にはありますね。そういうものに対して何らの援助を得られないということ、見るに見かねる点が非常に多いのですが、そういう篤志家の方々に対して政府は大幅に援助をして、そういう方々が施設にちゃんと入れるようにしてあげたらどうか。その問題で私はあれはずいぶん前の大臣のときに質問いたしましたところ、よく昔からもらい子殺しみたいなことで、一生役に立たない子供だから預ければ預っけぱなしで、預かったものも扶養する手当がこない。世界でも至るところにこういうケースがありますと言って答弁されたのですが、そういう預かりっ子を殺したというような事件が世界じゅうにあるそうです。だからこそ民間でせっかくそういう方面に熱意を持ってやってくださるところには積極的な援助の方法を考えていただけないかということです。
○佐々木(義)政府委員 この母子保健法案そのものの中に織り込ませるにいたしましても、ただいまの御趣旨はたいへんけっこうなことだと思いますので、できるだけそういう方向に進み得るよう考えてみたいと思います。 〔橋本(龍)委員長代理退席、竹内委員長代 理着席〕
○本島委員 私ども常日ごろ考えておる母子というもののあり方で世の中に忘れられておる点、それが母子保健法案に盛られていなかったという点を捨って御質問してみたわけなんです。それほど母子というものに対して、積極的な政策がとられるということがおくれてきたという日本の現状なんです。いままでは妊娠しようが出産しようが、その人の個人の力において何でもやられてきた。それがようやくこうした機関ができて積極的な保護を加えてまいろうといたしておる。こういう場合において、かりにこの法案が通過いたしましたとしても、これはほんとうに不備である。ですから年年これを改正してよりよいものに積み上げていっていただかなければ、今回の母子保健法案だけでは、ほんとうに誇りを持って言えるというところまでまいらないと思うのです。先ほど全国の市長会並びに町村会で財政の措置というのが非常に強く言われておるようですが、それがひもつきでないためにはっきりとした安定感を持たないのであろうというお話ですが、これはひもつきでもいいんではないか。ひもつきでこれをやりなさい、これくらいにやっていかなければできないのが現在の地方自治体の財政状態ではないだろうか、こう思います。そういう意味で厚生省は積極的にその施策を遂行させるだけの確信があるかどうか、そうしてまたもしつくらなかった場合どうするか、そういうような点、ひとつ大臣からお聞かせ願いたいと思います。
○佐々木(義)政府委員 いろいろとほんとうに貴重な御意見をちょうだいいたしまして、この母子保健法案そのものは、いわば出発点でございまして、これからだんだん進行の過程において内容を充実していくのがわが省の任務かと思いますので、お説の点はよく検討させていただきまして、今後充実させていきたいと思っております。
○竹内委員長代理 橋本龍太郎君。
○橋本(龍)委員 ただいま議題となっております母子保健法案の提案理由の説明の内容からお伺いをいたしたいと思います。 この提案理由説明の内容を拝見しておりますと、「先進諸国に比べて、わが国の妊産婦死亡率がいまだに高率にとどまり、また、戦後著しく改善向上を見た乳幼児の死亡率、体位、栄養状態等についても、その地域格差が依然として縮小されない等なお努力を要する課題が残されております。」厚生省当局も提案理由説明の中にこうした文言を載せられております。今日までこうした母子保健の問題というものは、私の知っております限りでは児童福祉法をその根本規定として遂行されておったように思います。児童福祉法は、御承知のとおり児童福祉に関するその基本的な条項を書き並べた法律でありまして、それ以前の問題、この母子保健についての基本法とするには根拠として非常に弱かったと思うのです。その観点から見て、今日この母子保健法が提案され、政府としてこうした問題に真剣に取り組まれる、その基本法をつくられるとする努力に対して、まず私は敬意を払います。それと同時に、ここに載せられております文言の中に「わが国の妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、」とあるが、ヨーロッパあるいはアメリカ等の国に比べてわが国の妊産婦死亡率はどの程度の数字的な開きがあるか、またわかるなら、その死亡原因について、一体日本がどういう点で他のヨーロッパあるいはアメリカの国々に対して高い死亡率を上げているか、それをまずお聞かせをいただきたいと思います。
○竹下(精)政府委員 わが国におきまする妊産婦保健の現状でございますが、およそ二十年前のわが国の妊産婦死亡率は、先進諸国に比較いたしますると、むしろ低い数字を示しておったわけでございます。ところが、先進諸国におきましては、過去十年間に二分の一以下に減少いたしておりますのに対しまして、わが国は三〇%程度減少した状況でございまして、いわば取り残されておる、こういうような状況でございます。具体的に数字を申し上げますると、妊産婦の死亡率を出生十万対で見てまいりますと、各国の状況で一番わかっておりますのは昭和三十六年の数字でございますが、日本が出生十万対一二〇・四、イギリスが三三・八、アメリカが三六・九、スエーデンが二一・〇、こういうような状況でございますので、スエーデンに対しましては六倍近い、イギリス、アメリカに対しましては三倍程度、こういうような状況になろうかと考えます。この妊産婦死亡のおもな原因としましては三つあげられるわけでありますが、妊娠中毒症のものによるもの、それから出血、それから子宮外妊娠、大体この三つでございますが、その中でも妊娠中毒症が昭和三十六年では全妊産婦死亡の三六・三%を占めて、これが日本の一つの特徴みたいになっておるということでございます。なぜ妊娠中毒症が日本で高いかと申しますと、これは日本の母親の置かれている状況、家庭環境あるいは社会環境にあろうかと思いますが、その原因につきましては、これは医学的にもまだ確定した原因がわかっていないような状況で、私の聞いております範囲では栄養の問題、また労働過重と申しますか、そういった問題と密接な関連があるというふうに聞いておる次第でございます。
○橋本(龍)委員 いまのお答えを拝聴いたしておりますと、ヨーロッパまたはアメリカの諸国に比べて、出血死あるいは子宮外妊娠等の死亡率に関しては大差がないように拝聴いたしました。ところが栄養あるいは労働過重、こうしたものを原因とする妊娠中毒症によるわが国での死亡率、これが非常に高いために、他の先進諸国に比べてわが国の妊産婦死亡率は依然として高率をとどめておる、これは私は非常に大きな問題だと思います。医学的に究明されていないなら、国としてこうした病気を究明する何らかの処置をとっておられるかどうか、あるいは国立の研究所とかあるいは大学病院等に対して、こうした問題に対する真剣な研究を国として行なっておられるかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
○竹下(精)政府委員 妊娠中毒症の研究の問題につきましては、厚生科学研究費等を支出いたしましてこれが研究の委託をしております。昨年の十二月に総合愛育研究所という、児童に関しましての研究所ができたわけでありますが、その中に母子衛生、特にこういった妊産婦の死亡率をいかにして低めるかというような問題もお願いしておるわけでございますが、ただこういった問題はそういう研究所だけではできないわけでございまして、広く大学等の研究機関と密接な連絡をとりながらやっていくということが必要だ、こういうように考えております。
○橋本(龍)委員 そうした意味での原因の探究というものに対する努力は、幾ら払われても払い切れたという極限はないはずであります。今後ともできる限りの深い研究を国としてもお続けいただきたい。それをお願いいたしておきます。 それと同時に、ここには死亡率のみを問題に掲げておりますが、おそらく罹病しながら生命を取りとめられた妊産婦の方も多いでありましょう。そうした場合、はたして健全なからだと健全な知能を備えたお子さんが、そうした病気にかかられたお母さんからも生まれてくるものか。健全な妊産婦から生まれたお子さん、罹病しながら生命を取りとめた、しかも出産に成功したという言い方はおかしいのですが、無事出産されたお母さん、その両者から生まれたお子さんの中において、肢体不自由あるいは精神薄弱その他のいわゆる心身障害児の発生率に違いはないものかどうか、あるいは心身障害児の発生率に違いがあるか、どのような症状の不幸なお子さんの出生率が多いか、そういう点がわかりますか。
○竹下(精)政府委員 妊娠中毒症の場合に生まれます子供につきましては未熟児が多いというふうにいわれておるわけであります。普通の場合、未熟児の場合の心身障害児と、正常な分べんで生まれた子供の場合と比較いたしてみますと、やはり未熟児の場合が心身障害児の発生は倍以上に達しておるというように聞いております。
○橋本(龍)委員 こうした死亡に至らないまでも、罹病したお母さん方、こうした不幸な存在のお子さんが多数ある、これはまことに残念なことであります。そうした上からもこの法案の精神が生かされ、一日でも早くこうした不幸な生まれつきをなさるお子さんが少しでも減るように、できる限りの努力を願いたいと思います。 この法案を拝見しておりますと、母子保健に対する、いわゆるその事業の拠点となる母子健康センター、その名前が大きく掲げられ、この提案理由説明の中でもうたわれております。これはまことにけっこうなことでありますし、むろん充実をしていただかなければいけない。そして、それについてのさまざまな御意見も、先ほどから多数の方々が御質問され、それぞれお答えを拝聴しました。ただ、こうした問題ははたして国だけが取り組んでいくべき問題なのか、あるいは従来も国だけがこうした母子保健の問題に取り組んできたのか、私は寡聞にしてその点を存じませんが、民間施設でこうした問題に取り組んでこられたものがいままでにあるかどうか、また、いままでになかったとしたら、今後そうしたものを育成していかれる考えはないのか、いわば母子保健対策というものを国の手のみによって行なうのか、民間の協力を得ていかれる考えがあるのかないのか、その点をお尋ねしたいと思います。
○竹下(精)政府委員 現在民間の施設としましては、児童福祉法にあります助産施設というのがございます。そういった助産施設も、当然こういう活動と同じような活動をお願いするわけでございますが、そういう民間のものと、市町村立の母子健康センターと共同して、こういう仕事をやっていくべきだというふうに考えておる次第でございます。
○橋本(龍)委員 私は飛び入りの質問者でありますから、簡単に終わりたいと思います。いま、民間施設のお話が出ました。こうした民間施設に対して、国として何らかの助成的措置をとっておられるか、とっておられるとすれば、どのような方法によって行なってきたか、その点について……。
○竹下(精)政府委員 現在児童福祉法によりまして、こういった助産施設は低所得者の方々の助産についての援助を行なう場所という性格を持っているわけでございます。したがいまして、こういった方々につきましての分べん費の援助ということを、この施設に対しては行なっております。ただ、母子健康センターと同じように、運営費というようなこと、あるいは設備の拡張その他につきましては、まだまだそういう面が欠けておると思うので、そういう方向で今後は努力すべきであるというふうに考えております。
○橋本(龍)委員 こうした民間施設に対しては、いわゆる振興会の融資というものは受けられませんか。
○竹下(精)政府委員 社会福祉法人または財団法人、そういったような場合には、振興会の融資ということは十分考えられると思います。
○橋本(龍)委員 私はこれで終わりにいたしますけれども、一点だけ御注文を申し上げておきたいと思います。 従来、わが国において、こうしたさまざまな保健あるいは福祉関係の仕事に関して、国の足りない点を相当大幅に民間施設が補ってまいりましたことは御承知のとおりであります。ところが、必ずしもそうした民間施設に対する国の助成措置あるいはその他の優遇措置というものは非常に恵まれておらない。そうして振興会の、ただいま例にあげました融資にいたしましても、福祉法人の資格をとることがほとんど前提条件のようになりました。ところが、いろいろな条件のために、あるいはその事業主体のさまざまな立脚要因あるいは立地要因、こうしたもののために福祉法人をとり得ないで、なおかつこうした福祉事業あるいは保健事業に従事しておる、こうしたものに対する国としての助成措置が非常におくれておったように思う。私は必ずしも福祉法人にならなくても、どうしてもなり得ない事情があるなら、福祉法人でない状態であっても、なおかつこうしたものに協力をしてくれる団体に対し、できる限りの国が優遇措置を講ずることは当然であると思うのです。現在のところでは、遺憾ながら十分どころか、配慮の対象として考えられるチャンスすら与えられておらないような気がする。また、そうした訴えを事実私どもは受けております。こうした問題は、国だけが努力をいたしましても、それだけで済む問題では決してありません。今後あらゆる母子保健あるいは児童福祉、その他の問題を考慮していかれます際に、国としての施策とともに、こうした民間の協力者に対して少しでも仕事がやりやすくなるような状態を与えてくださる、この点だけは強くお願いしておきます。
○竹内委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 母子保健法について御質問申し上げますが、実は時間があれば保険の問題について少しお尋ねをあわせてしたいと思うのです。先に少し急いで母子保健をやらしていただきます。なお、残ったところは、あす大臣がいらっしてからやらしていただきます。 御存じのように、最近日本の人口構造が急激に変わり始めております。いわゆるピラミッド型からつり鐘型になり、つり鐘型からとっくり型と申しますか、そういう形になってきております。すなわちこのことは、老齢人口が非常に増加をして、十五歳以下の青少年人口が減っているということ、それだけに、佐藤内閣が人間開発の政策を出そうとする場合には、十五歳以下の子供の政策というものも当然人間開発の重要な一環としてとられなければならない、政策的にとられなければならないポイントだと思います。そういう意味で、今度母子保健法という、児童福祉法から独立をして一つの法律ができるということは、これは喜ばなければならぬと思うのです。ところが、この法律案を通観をしてみますと、どうも人間尊重の佐藤内閣の政策、母子保健法としては非常に不徹底であるということで、何らその財政的な裏づけがないということです。一体政府は、この法律案を出すにあたって、財政的にはどういうことをお考えになり、これをお出しになったか、これをまずお尋ねをしておきたい。
○竹下(精)政府委員 この法案の考えておりますところは、母子保健の仕事につきまして、できるだけ身近なところで、また住民に密着したところで仕事をするという趣旨でございまして、従来保健所を単位として行なわれておりました母子保健事業を市町村へ移譲する、こういうような考え方でございます。市町村へ移譲するということになりますと、現在行なっております予算の補助金では零細の補助金にもなりかねない次第でございまして、そういう点から考えますと、市町村へ移譲するときには、交付税でこれらの費用をまかなう、こういう考え方のようであります。ただ、三十九年度の補助金事業費として行なっておりますのは、約五億二千万余りでございますけれども、これを、できるだけ実際に使っております単価その他をつかみまして、実情に沿うようにいたしたい、こういうことで、交付税の算定につきまして努力をしたわけでございますが、大体十億近くの金がこれによりまして算定をされたということで、内容の充実を交付税の算定にあたって十分考慮していただいている、こういうふうに考えている次第でございます。
○滝井委員 自治省いらっしていますか。
○竹内委員長代理 目下連絡中でございます。
○滝井委員 御存じのとおり、こういう母と子の問題というのは、地域社会というものに密接に結びついて処理していかなければならぬという点については、私も全く同感です。したがって、これが国と市町村の中間機関である県において行なわれるということになると、隔靴掻痒の感を免れないのです。そういう意味で、市町村に行くということについての、そのものの考え方は全面的に賛成いたします。しかし、ただ惜しむらくは、そういう思想の体系と申しますか、いわゆる地域社会でそれをきちっとやるというだけのイデオロギーがいま日本では確立されていない。それから同時に、地域の自治体の中にいう技術的な受け入れ体制がない。同時に、地域の医師会、その他についても同じように、そういう受け入れ体制が確立されていないといういろいろの欠点があるわけです。そういう欠点を十分認識の上でこれはそういう政策をとったのか。それともとにかく法律をそういう形でつくって、十億の交付税を出せばみんなが飛びついてくるだろう。その上で思想なり、受け入れ体制なりつくっていこうという考えでおやりになったのか、どういうことなんですか。それは。
○竹下(精)政府委員 現在の児童福祉法の中で行なわれております母子保健対策の仕事は、保健所が中心になってやっておるわけでございますが、実際には保健所自体も手が回りかねているというような実情もございまして、事実上は市町村が六割程度のこういった仕事を実際にやっておるわけでございます。そういった面からいたしまして、大部分の市町村がすでにこういうことをやっておるということ。また先ほどお話がございました受け入れ体制にいたしましても、たとえば国民健康保険の保険施設活動として、保健婦さんその他が保険施設活動以外に、市町村のそういった仕事に協力をしてもらっておる、こういうような実情もあるわけでございます。 医師会の受け入れ体制というお活がございましたが、御案内のように、医師会といたしましても、公衆衛生活動ということが、地域活動を非常に強調しておられます。そういう面で、もちろんまだそれが十分末端まで徹底しているかどうかについては問題があるかもしれませんが、受け入れ体制にしても、徐々にそういう体制ができ上がりつつあるし、この際市町村へ移譲して、さらに責任を持ってやっていただくほうがいいんじゃないか、かように考えた次第でございます。
○滝井委員 現在の児童福祉法にあります母子保健活動の対象になった子供の数というのは、一体どの程度過去においてありましたか。
○竹下(精)政府委員 保健指導を受けました妊産婦、乳幼児の延べの人員でございますが、妊婦につきましては、保健所活動として昭和三十九年度の実績でございますが、約四十四万九千人、市町村が実施をしておりますのが、二十三万三千人、それから産婦につきましては、保健町活動として約十三万六千人、市町村の場合が六万一千人、それから乳児につきましては、保健所が二百五十三万六千人、市町村が百七万五千人、幼児につきましては、保健所が百二十八万人、市町村が三十五万七千人、大体こんなような実情でございます。
○滝井委員 いまのような妊婦、産婦、乳児、幼児、まあ。パーセントにしたら、これはあまり高い数じゃないですね。乳幼児合わしたら九百万くらいでしょう。そうすると、まあ半分程度ですね。一体この中で、これだけの保健指導をやって、お金はどのくらいとっておるのですか。全部無料でやっておるのですか。それともお金はどれくらいの収入がこれからあがっていますか。
○竹下(精)政府委員 収入の点につきましては、手元に資料がございませんので、後刻取り寄せたいと思います。
○滝井委員 これはお金は取っておるわけですね。
○竹下(精)政府委員 取る場合がございます。
○滝井委員 いままで三分の一の国庫補助がありますね。予算補助あるいは法律補助がある。そうすると、その三分の一の補助を除いた二分の一が自治体の負担になるのですか、そして二分の一声本人に負担させるのですか、お金のある人には全額負担させるのですか。どういう形で——たとえば、典型的な三歳児の健康診査をやりますね。そのとき三歳児は法律で三分の一の補助があるわけです。そうすると、お金持ちの三歳児がやってきたときには、それはどういうことになりますか。無料になるのですか、それともやはり診査の料金を全部取ることになるのでしょうか。
○竹下(精)政府委員 三歳児の健康診査の場合は無料でございます。
○滝井委員 これはお金持ちの子でも全部無料ですか。
○竹下(精)政府委員 さようでございます。
○滝井委員 そうしますと、今度は三歳児以外の健康診査の場合はどういうことになるのですか。それから妊産婦の健康診査の場合はどうなりますか。
○竹下(精)政府委員 妊産婦の健康診査の場合には、血液検査というような場合には費用をちょうだいをしております。
○滝井委員 妊産婦の場合に健康診査をやるときは、血液検査の費用は取っても、他は全部無料でやる、こう理解して差しつかえないわけですね。そうすると、三歳児以外の健康診査はどういうことになりますか。たとえば六カ月、一歳、二歳の健康診査は。
○竹下(精)政府委員 健康診査をいたします際の精密健康診査、たとえばレントゲンをとるというような場合は、低所得者以外は費用をいただいておる……。
○竹内委員長代理 滝井さんに申し上げますが、大蔵省より平井主計官、自治省より岡田財政課長が見えております。
○滝井委員 そうしますと、三歳児の健康診査は全部無料、それから三歳児以外の乳幼児の健康診査はレントゲン等の精密検査をやるときだけお金持ちの子供からは金を取る。他は貧しい者は当然取れぬから取らぬ。そうすると、レントゲン以外のものはどういうものを取りますか。それから妊産婦の健康診査は血液検査だけが無料で、あとは全部尿の検査その他は無料、こう理解して差しつかえないですか。取るものは取るではっきり言ってください。妊産婦の健康診査でお金を取るのは何と何を取るが、その他は無料、それから三歳児以外の健康診査でお金を取るのは何と何かということですね。
○菊地説明員 妊産婦の健康診査におきましては、梅毒の血清反応、血液検査、それから胸部のレントゲン検査、それから血圧測定、尿のたん白、尿その他の検査がございます。そのほか今度この法案が通過いたしました際にはABO、できましたらRhの血液型の検査も行ないたい、このように考えます。そのほかに尿の糖の検査なども行ないたいと思います。さらに血液検査の中で貧血の子供の検査、こういったものまで今後行なっていろいろな検査を充実してまいりたい、かように考えます。 こういう検査のうち、血圧なり尿のたん白なりの非常に簡単な検査につきましては無料で行なえるものもございますけれども、その他の諸検査につきましてはその実費をいただくということで、従来保健所で実施いたしておりました際にも、保健所使用料手数料条例などによりましていただいておる例が多うございます。 それから乳幼児の場合でございますが、一般の健康診査あるいは栄養の指導あるいは離乳期の食餌の指導などにつきましては全部無料でございます。ただしクル病の健康診断、手首のレントゲン写真をとるわけでありますが、それから股関節脱臼のレントゲン撮影、そういったものにつきましては保健所使用料手数料条例によりまして実費ということでいただいております。 さらには今後行ないたいと思いますのは、精神薄弱児などの発生防止のための先天性の代謝異常の疾患、たとえばフェニルケトン尿症、そういったもののスクリーニングテストなども実施いたしたい、こういうように考えております。こういう検査につきましては実費程度、現在東京都なども行なっておりますが、無料で行なっておりますか、実費で行なっておりますか、都道府県で一部実施しておりますので、取り扱い等まだよくわかりませんけれども、場合によっては実費徴収ということも考えておるわけであります。このような現状でございます。
○滝井委員 そうしますと、妊産婦の場合は血圧とか尿とかいう場合は無料だ。その他は有料だ。それから乳幼児のほうはクル病とか股関節脱臼のレントゲン、それから精薄児の先天性のフェニルケトン症、こういったのは有料だ。一体こういう有料でどの程度府県財政に寄与しているのかということが問題なんですね。いままでそういう簡単な検査以外でレントゲンその他をやって一体どの程度の財政的な収入をあげているのかということですよ。御存じのとおり保健所というのは、そもそも発足のときはサービス機関としてできてきたわけです。ところが最近は保健所はサービス機関としての機能をだんだん薄くして、これは監督機関になってきておるわけです。ある人が終戦まぎわのころに一番おそろしいところはどこかと言ったら、税務署と保健所だ。保健所は料飲店その他に優という紙を張りに来て監督が激しい。保健所と税務署がおそろしいのだ。最近は建築の問題が出て消防署がおそろしい、こう言い出した。こういうことでは困るのですよ。だから私はこういうわずかの金は無料にすべきだと思う。そのためには、日本の人口構造が変化をして、赤ちゃんの生まれる数も二百五、六十万になっておった、昭和二十三年、二十四年、二十五年のベビーブームのときは。いまは百五、六十万でしょう。そうすると、生まれた子供は——あなた方の厚生白書にも書いてあるように、各家族も多くなったのだから夫婦と子供ということになってきておる。もちろんこれは二DKとか一DKとか、こういう住居がまた子供を生むことを規制するということになるわけです。住宅から規制されるということもあるわけですけれども、生まれた子供は非常に大事です。ということになると、こういう妊産婦や乳幼児の検査というものはまず何をおいても無料にしなければならぬということですよ。いつも言うように山一証券に二百億や二百五十億も貸すなら、それをこういうところに回さなければならぬ。しかしこれはあな方に言ってもしょうがないけれども、次の時代をあなた方が背負うのだからあなた方に言っておかなければならぬ。こういう財政収入というものが幾らあるかということがわかっていなければ、次会にお調べになってお出しを願いたいと思います。そこで、こういう零細なものをお取りになるのですが、これは保険証は通用しますか。お金を取るというならば、保健所に持っていったら通用しますか。
○菊地説明員 お答え申し上げます。 一般の保健所のクリニックを利用します際に、いろいろ症状などがございまして、健康保険、社会保険を利用して差しつかえない場合もございます。しかし、集団検診などにおきまして、集団的にレントゲンの間接撮影などをします場合には、保険の適用からは除外いたしております。
○滝井委員 たとえば、股関節脱臼というような病気、これはあなたも御存じのとおり当たってみればおよそわかるのですから、これは疑いあり、こうなれば病気の疑いですよ。だから、保険証でやるということは可能でないのですか。
○菊地説明員 可能でございます。
○滝井委員 そうしますと、そういう乳幼児、妊産婦でも集団検診をやってこれはあやしいと思われるものが保険証を適用されるということになれば、その費用の負担は少し軽くなるわけですね。そのかわり保健所は事務が非常にややこしくなる。だけれども、もしあなた方が乳幼児の保健あるいは妊産婦の保健指導体制というのを確立しようとすれば、病気と疑われる人については保健所の活用をやって、そして地域の医者にどんどん見てもらうというような一体の形をとらないといけない。いままで日本では結核が長くなおらなかった。というのは、おまえは結核患者だと言われても、そのあと始末をやらなかったのです。いまもできてないですよ。だからわれわれのような壮年にいま結核が多いでしょう。働かなければならぬ、治療をやりながら働く、こういう不徹底な形になっておるのです。だから一貫性を持って、竹下さんのところで仕事をやれば同時にそれは熊崎さんのほうも一体になり、地域の医師団体なり、薬剤師の団体なり、保健婦、助産婦の団体等も一体になって有機的な対策をやっていかなければだめなんですよ。今度のこれを見てもそれがないです。たとえば、結核その他はいままでどおり保健所でやる、母子保健だけは市町村に移す、そうすると、母と子は結核の場合は保健所に行く、いれからただ普通の健康診査のときは市長村に行く、こういう分裂政策が行なわれるわけです。分裂が行なわれる。こういう点はちっともこの法案は考えていないですよ。八カ月か九カ月の太鼓腹をして十万に一つしかない保健所に行くよりか、地域の市町村でそういうものが行なわれればそっちへ行ったほうがいいことはさまっておるわけです。それじゃそこでだれがその相談に応じてくれるか、力の強い中間機関の県でさえ、岩手とか秋田にいったら医師の充足率は二割八分か二割九分でしょう。全国平均したら七割かそこらでしょう。小児科専門の医者だっていないところがずいぶんあるわけです。あるいは産婦人科の専門の医者がいないということでは保健指導体制ができないのですよ。こういう矛盾が非常に多い。これをやろうとする場合熊崎さんのところなり医務局の尾崎さんのところがいかなる関心と協力体制を持っておるかというとおそらく何もないでしょう。こういうところが問題なんですよ。だから、いまのような点を十分考えてやっていただかなければならぬということなんです。とりあえずいまの経費を調べていただきたい。一体どの程度の収入があるのか、これを取らなければ都道府県が倒産、破産をするというほどのものを取っておるならば、私はもう文句を言いません。そのまま引き下がります。しかしそうでなくて、わずかに二千万か三千万というような金ならば、こんなものは全部国が持つべきです。そうでしょう。佐藤内閣は人間を大事にする政治をやろうというのですから、いわんやおかあさんと子供を大事にしない政治は人間尊重の政治には通じないですよ。だからそういう点でそれを次に出してもらう。 そうしますと、今度財政の問題を尋ねるわけですが、自治省いらっしゃっていますね。今度この法案が通ることによって母子保健の金の一億八千万円くらい、いままで三十九年度予算では一億八千万円、総経費にして市町村負担分も全部一県負担毛全部かけても去年で五億二千万円ですね。ところが、今度政府は人間尊重の政策を出して、十億円交付税に入れてくれたのでしょう。十億円交付税に入れてくれたということになっておる。これは知っておるでしょう、財政課長。
○岡田説明員 交付税課長から……。
○石川説明員 御指摘のとおりでございます。十億円基準財政需要額に算入いたしております。
○滝井委員 そうしますと、基準財政需要額として十億円入っているということは、これはたとえば三歳児の健康診査について、これは基準財政需要額になるから、一定の算定の基準ができて、十億円が積み上げられて出てきておるわけですね。そうすると、一番典型的なのは三歳児ですが、これは交付税にしたら幾ら入っておることになりますか。
○石川説明員 標準団体と申しますのは、大体人口十万の団体でございますが、人口十万の団体の基準財政需要額として四十三万五千円入っております。
○滝井委員 そうしますと、三歳児の健康診査というのは、いままでは定期的に全部義務的にやっておるわけですね。そうすると、これは人口十万のところでいままで一体幾ら金がいっていましたか。
○石川説明員 従来は市町村には入れておらなかったわけでございます。
○滝井委員 いままで十万やるのに経費は幾らぐらい……。
○石川説明員 これは県の中で従来はまかなってきたわけでございますが、今回、いま申しましたのは、市町村といたしまして標準団体で四十三万五千円算入いたした、こういうことでございます。
○滝井委員 したがって、今度交付税では十万円団体で四十三万五千円いった。ところが、交付税になる前の三分の一の補助金のときであったら、一体十万団体ではどの程度——十万の人間がおるところではどの程度赤ちゃんがおるということは、統計的にわかっておるはずだ。十万の人口のところには、一体何千人の赤ちゃんがおるということは大体わかっておるわけです。それを三歳児は人口統計をずっと積み上げていけば、十万のところではどの程度の数がおり、平均の数値はわかるわけでしょう。そうすると、それに一体幾ら金がいっておったかということがわかっておるはずだ。それがわかっておらなければ議論が発展しないでしょう。
○石川説明員 県の需要の算定、正確には申し上げることができないのでございますが、大体今回ので倍以上の額が入っておるものと思います。
○滝井委員 そうだと思うのです。倍以上の額が入っておると思う。そうなりますと、今度与野党話し合ってこの国会で話し合いがまとまった場合には、自治省としては、もしわれわれが話し合いをして、この法律を通すために交付税を補助金に変えた場合には、十万の四十三万では積み上げの十億の金というものはどうなるのです。そのまま取り得になるのですか。
○石川説明員 これは現在法案が審議中でございますので、われわれといたしましては、この原案によりまして交付税の算定をいたしております。いまお話しのようなことが出てまいりました場合におきましては、特別交付税で所要の措置を講じたい、こういうふうに考えております。
○滝井委員 そういたしますと、もし法案が——仮定の問題ですけれども、もとの補助金に返ってしまった——年度の途中ですからね、返ってしまったというときには、これは自治体はすぐに今度は、いま予算は何もついていないわけですから、この法律を出しているからいままでの法律というやつは幾ぶん休んでいるわけですね。どこか少しは、一歩か二歩余裕があれば前進をしているところもあるかもしれません、三歳児その他の検診については。しかし、多くの自治体は、特に市町村は休んでおるわけですね。それから県も休んでおるわけです。幾ぶん前進しておるところもあるかもしれないけれども、多くのところは休んでおる、市町村はもちろん休んでおる。ところが、母子保健の運営の主体がもとの県に返っていってしまった、そして補助金になったという場合には、これは法律が補助金になったのですから予算は何もついてない、交付税しかついてない。そのときに一体交付税の措置というものは、特別交付税に変わっていくのですか。
○石川説明員 普通交付税が一応いま算定に入っております。近く決定になるわけでございます。これはこの法案が成立することを一応前提といたしまして考えておりますので、もしいまおっしゃったようなことになりますれば、それに伴う県等の負担は特別交付税等で措置するよりほかないと考えております。
○滝井委員 そうしますと、そのときには十万団体四十三万五千が、そのまま特別交付税として県にいくことになりますか。これまた算定の基礎が違ってくるわけでしょう。
○石川説明員 母子保健法案が出ますので、厚生省のいろいろな御要望を伺いながら、三歳児の一斉検診の問題につきましては標準団体で四十三万五千円算入する、こういうことにいたしたわけでございます。いまお話しのように、また県にかりに戻るというようなことになりますれば、これは厚生省御当局の実施の状況等を勘案しながら特別交付税で措置いたしたいと考えております。
○滝井委員 これは現実になる可能性があるわけです。そうしますと、一番大事なところなんですけれども、いま十万団体で四十三万五千円というのは、実際はあなたが言うように四十三万の二倍くらいになるわけですね。そこで四十三万五千円、今度は特別交付税でいただけば、これはもうひもつきではないけれども、補助金と同じような形が出てくるわけですけれども、ここらあたり一体どういうようにするのか、ここでちょっと明らかにしておいていただきたいと思うのです。これは大蔵省いらっしゃっておりますね。平井新主計官にお尋ねするわけですが、いまのとおり、われわれは自流体、特に市町村の母子保健に対する受け入れ態勢はないという断定をしているわけです。そうしますと、これはいままでの機能を発揮しておった主体である都道府県に返さざるを得ない。返すとすると、これは予算措置をどうするかということが問題なんです。来年度はいいですよ、四十一年度は。しかし、四十年度の予算措置をどうするかということが問題なんです。一説には、これは予備費で出そうという話があったのだが、いま自治省から特別交付税ですという意見、新説が出てきた。これは一体特別交付税でいいのか、それとも予備費ででもやることになるのか、ひとつ大蔵省の主計官の立場から明らかにしておいていただきたいし、それから同時に、これは地方財政に重要な影響を及ぼすので、岡田さんのほうの見解もここでひとつ明らかにしておいていただきたい。
○平井説明員 この法案が、かりに先生ただいま御指摘のような修正がございました場合に、国の負担、地方の負担並びに一般的な国民の負担等がどういうふうになるかという問題でございますが、現在の段階で、私どもが加わっている会議におきましては、一応これに変わるべき補助金の部分、つまり国の負担の部分については、既定予算のやりくりの範囲内で大体何とかまかなっていけるのじゃないかという観測をいたしております。ただ、これに伴いまする地方団体の負担についてはどういうふうに措置するかという点でございますが、これは先ほど自治省当局の御説明がございましたように、現在の段階であれば普通交付税の配分の問題として処理いたしておりますが、かりに法案の修正がそのような形で行なわれるとする場合におきましては、普及交付税の配分の問題ではなくなってくるわけでございまして、当然特別交付税の問題として地方負担を考えるということになろうかと考えております。
○岡田説明員 いま平井主計官からお話がありましたとおり、補助金については国のほうで考えてまいります。当然、都道府県部分については裏負担が出てまいりますので、その分については、本年度は特別交付税でもって調整せざるを得ないであろう、かように考えております。来年度以降の問題あるいは市町村との関係、これらを総合的に勘案いたしまして、特別交付税によって処置する、かように考えております。
○滝井委員 そうしますと、まず第一に、地方自治体の分は大体わかりました。これはもう普通交付税ではどうもいかぬので、特別交付税でまかなう、こういうことになる。ところが、今度国の負担部分は、これは全部交付税に持っていったんだから計上していないわけです。そうすると、既定経費ということになると、これはどういうところから持っていくことになるのですか。児童局というのは、御存じのとおり厚生省の中でも一番圧迫されているところですよね。厚生省というところは、病気になったら医療保険で金を使う、貧乏になったら生活保護で金を使う、予防や子供のときには金を使っていない省なんです。そういう省なんですよ。だから、一番圧迫されてまま子扱いを受けているというのが児童局です。そのまま子扱いを受けている児童局が無一文のところから有を生み出すというのは、よほどの芸当がないと生み出せぬわけです。児童局として一体どういう既定予算の中から生み出しますか。まさか保険局や医務局の予算をかっぱらってくるわけにいかぬでしょう。
○竹下(精)政府委員 確かに御指摘の点がございますけれども、児童家庭局の予算といたしましても、現在三百数億の金があるわけでございまして、その中の児童保護費あるいは保健衛生諸費、そういった予算の中でまかなっていきたいというふうに考えております。
○滝井委員 そうしますと、三十九年度が一億八千万円ですね。一億八千万円全部それでまかなうことになるわけですか。
○竹下(精)政府委員 現在御承知のように、もうすでに数カ月を経たわけでございますが、都道府県あるいは市町村でその問題について若干、先ほど先生も御指摘のように、ゆっくり前進しているというような状況でございますので、一億八千万全部必要かどうかは私もまだわかりませんけれども、現在の私どもの持っております予算でまかなえるというふうに考えております。
○滝井委員 去年の予算、三十九年度予算は、みんなにいいよ、三兆二千五百五十四億円ですね。ことしは三百六十五日晴れ晴れ、三兆六千五百八十億八千万円、こうなっておるわけです。一割四分以上予算は増加しているわけでしょう。これは当然、母子保健の予算も去年と同じというわけにいかぬ。一億八千万がどんなに少なくたってやはり三億ぐらいにはいかなければいかぬわけです、こういう新しい法律をおつくりになっているわけだから。それは交付税を十億円出しているのですから、いいですか、去年何もかも入れて、都道府県分も入れて五億ですよ。ことしは新しい政策だというので、十億交付税で出しているのですから、だからその半分の五億ぐらいは国が出さなければ、そんなものは母子保健の前進ということは言えないでしょう。言えないのです。だから、ここで平井さんにお尋ねすることになるのです。これは佐藤さん、人間尊重と言っているわけですよ。これはあなた、不況のために二千五百億法人税が取れなくて財源が不足しました。補正財源千五百億円。四千億円借り入れ金か公債をやらなければならぬ、こう大蔵大臣が言っている。いままで二年先にやると言っていたのを、ことしからやると言うのですから、それなら四千億も金を借りるなら、その中に人間尊重の政策を四億ぐらい持ってきたっていい。四千億借りるのでしょう。そのうちの四億ぐらいここへ持ってきてもいいです。そうすると、一億八千万ありますから、四億持ってくれば五億八千万になる。そうすると、交付税の半分程度で国が負担する、あるいは三分の一負担する。三分の一負担すれば十五億もできるのですから、五億負担してくれれば、三分の一が五億なら、十五億の仕事ができることになるわけです。そこでこれは、それだけの大規模な前進を社会開発その他でおやりになろうとすれば、何といっても人間に金を入れることが第一ですよ。平井さんどうですか。ここらあたり、どうせこれはあしたもう一ぺん大蔵大臣なり厚生大臣を呼んで尋ねるのですから、きょうはトレーニングですから、ひとつ前もって一応ウォーミングアップしておいていただたきいと思うのです。一体どういうことになりますか。そういうことになれば、自治体はわかります。特別交付税でいくということはわかりました。しかし、これは残念ながらひもつきではないので、特別交付税をもらっても、市町村は、いや、わしは母子保健の金はもらっていないということになったらたいへんなんです。ですから、これはどうしても補助金できちっといかせなければならぬことになるのです。ぼくらは、特別交付税をいただかなければいただかなくてもいいのです。しかし、補助金のところだけは確立しておかなければならぬのです。それを予算は三兆二千億から三兆六千億に飛躍しているのですから、一割四分以上上がっておるのだから、特に母子保健という新しい法律を出して重点施策として打ち出したからには、特に三十九年度よりも大幅な金を四十年度に入れてもらわなければ、法律をつくったって意味がないのです。だから、それは前進のできる体制にあるのかどうか。私は、児童局の三百億の予算をちびり取るというのはいかぬ。ことしは予備費が五百億あるのです。このごろ国民健康保険に四十億出しただけだ。これはあとで尋ねますが、まだ四百億残っているのです。いろいろな災害その他に出して、まだ四百億残っているのです。その中の一割出せば四十億になりますけれども、一%出して四億ですからね。だからどういう処置を——こちらの金だけを出せというのは無理ですよ。だから、あなたのほうの予備費からも少しは出してもらって、処置をする必要があると思うのです。平井さんの考え方をひとつお聞きいたします。
○平井説明員 本年度予備費五百億を計上されておることは、御指摘のとおりでございますが、大体過去五年間の平均的な災害の発生その他等の状況を見ますと、約三百億を要するというような状況になっております。のみならず、その他一般的な予備費需要を考えますと、五百億の予備費も必ずしも十分でないというような考え方もございます。したがいまして、ただいま予備費から支出するということを私どものほうの立場として申し上げるわけにはまいらないというところでございます。 また、この法案の改正の御趣旨、実は私どもまだ詳しく伺っておりませんので、どういうたてまえでつくられてまいるものかよく存じませんが、一応基本的な考えとして、母子保健についての新たな政策をやっていくというたてまえにおきましては、できる限り国も協力してまいるのが当然である、この基本的な考え方については御同感でございます。ただ、年度の途中におきまして、当初予定した政策等と変わったことをやらなければならぬというような事態でございますので、その実行状況その他を勘案いたしまして、現在の段階では既定予算のワク内でまかなえるものであろうという推定をいたしておるわけでございます。
○滝井委員 既定予算といっても、既定の予算はないのですよ。その母子保健についてはゼロなんです。みんな十億交付税で持っていかれてしまっておるのです。だから、IMFに二百十五億の金を出すときには、日銀の金の評価がえをやったり、外為のインベントリーの取りくずしには熱意を持ってやる大蔵省なんですから、いまや経済を動かしている人間が、健全なものに生まれ変わるかどうかという境目なんですからね。だからこれは、三百億が災害その他に要るというのはあなたの言うとおりにしても、まだ二百億残っている。その中から二億出してもいいのです。これは二百億全部出せとは言わぬ、二億でいいのです。一%で二億出してもらえは、既定経費で一億四千万もらえるのだから、四億近くになるのです。四億あれば、三倍だから十二億の仕事ができるわけでしょう。やはりこのぐらいは——いままで五億の仕事をやっているのに、これは年度の途中だからといって予算を全然ふやさぬというわけにはいかぬと思うのです。やはり新しい法律が母子保健のニューフェースとして登場してきたんだから、これは私は、大蔵大臣ととくと御相談いただいて、ぜひやっていただきたいと思うのです。これはきょう言えなければ、どうせそういう方向になるのです、いま与野党と話し合ったら……。それでいま与党の理事さんたちもなかなか答え切らない。まだいまいろいろ聞いてみると、妊産婦なり乳幼児の検診その他で、おそらくこれはたいした金は取っておらぬと思うのです。やはり無料でしてもらって、妊産婦なり乳幼児の生命を守っていくという、こういう形を私はとるのがほんとうだと思うのですよ。こういうところを倹約しちゃいかぬです。大企業が一つ倒れるに倹約しても、人間一人が生きていくことに、やっぱり一人の人間を大事にする政治、これが大事なんですよ。これがいま日本にはない。大企業が倒れるときにあわて回って救済する金があっても、一人の人間の命を失うときに出す金がないというのが日本の政治なんです。これを改めなければいかぬ。これを改めることが、われわれが代議士に出てきた目的なんですから、あなた方も政治をやっている、主計官になった目的はそういうところにあると思うのですよ。山一証券を助けるために主計官になったのじゃないと思うのです。人間あっての山一証券なんだから、人間を大事にするためには、思い切ってひとつ清水の舞台から飛びおりることが必要だ。こういうときですよ、清水の舞台から飛びおりるのは……。だから、ぜひあすまでに——一晩余裕を与えますから、もうこれでいいです、あすまでにぜひ考えてください。自治省さん、けっこうです。自治省さんも特別交付税という回答が出ましたから、これはもらい得になるわけです。特別交付税は、県は一応もらい得みたいな形になるわけだ。そうでしょう。補助金で出すことになるし、国の補助金は補助金で出すことになるわけだから、地元の負担分について特別交付税でいくということになるわけです。しかし、それは十億円あるわけだ。十億円あるから、十億円を特別交付税に振りかえてくれるわけでしょう。それが少なくなってしまったのなら話にならぬですよ、これは。だから、それはそのままもらうことにして補助金をふやさなければいかぬという議論をしているわけだから、それを普通交付税から特別交付税に回す分を削ってしまうということになったら、あなたたちは詐欺したことになる。十億円ですと言ってこの法律を出したのだから、地方自治体は十億円もらえると思っているわけだ。特別交付税へ切りかえたら、十億円が二億円になったということでは話にならぬわけです。だから、特別交付税をよけいにするためには、国の負担をよけいにしなければいかぬわけですよ。そうでしょう。
○石川説明員 特別交付税で措置いたしますのは、この事業の実施に伴う地方負担分相当分でございます。
○滝井委員 この事業を実施するのに必要な自治体負担分でしょう。したがって、国の経費が多くなれば地方負担が多くなっていくわけですよ。そうでしょう。私はそれを言っているわけです。だから、交付税をよけいに十億だけまるまるわれわれが取るためには、国の三分の一の額というものをふやさなければいかぬということです。それを私は言っておるわけです。だから、こっちからよけい出せばその金をよけいもらえるということで、よけいに仕事ができるわけですから、ただでもらえるというわけじゃないので、そういう意味のことなんです。したがって、平井さんのほうががんばってもらわなければいかぬし、こちらからもよけいに金を出してもらわなければいかぬ。そうすると、自治体は特別の交付税をよけいに取るという、こういうことなんです。だから、これが一億八千万円くらいしか出さなければ、あなたのところの特別交付税は三分の二しか出ないわけです。いま特別交付税の状態を見ると、さいぜんの三歳児でも三分の一の負担が三千三百八十万円ですね。ところが、普通交付税は一億九千四百六十三万出ておるわけです。 〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕 だから、これは三分の一ですから、これを十分の十にすると一億になるわけですね。そうすると、普通交付税ならば一億九千万ですから、あなたの言うように二倍出ているわけです。だから、これを特別交付税に切りかえていく。一億九千万円を特別交付税に切りかえるためには、三千三百八十万をふやすより以外ないのですね。そうすると、これはふえることになるわけです。それを言っておるわけです。だから、そのためにはぜひこちらをふやさないと、金がむだになってしまうということを言っているわけです。普通交付税として予算を計上しているのだからね、そうでしょう。
○石川説明員 普通交付税では、先ほど申し上げましたようなことで、市町村につきまして三歳児の一斉検診に限りまして四十三万五千円、標準単価でそういうふうに計算いたしております。先ほど仮定のお話でございますが、市町村がやらないで県がやる、こういうことになりますれば、市町村につきましてはこれは見られないわけであります。県分につきましてはどういうような形になりますか、これから実施のしかたその他定まっていると思うのでございます。それに伴う地方負担につきましては、普通交付税でなくて特別交付税で措置してまいる、こういうことでございます。
○滝井委員 わかりました。それでけっこうです。自治省、ありがとうございました。 それから、もう一つ大事なところを尋ねておきたいのは、ミルクの問題です。この法律の十四条に栄養の摂取に関する援助の規定があるわけです。御承知のとおり、すでにこの法律がなかなかもたもたして通らぬものですから、実際にミルクは実施しようとする準備態勢に入っていますね。そこでお尋ねをいたしたいのは、まず第一に、これはいつから実施するか。
○竹下(精)政府委員 実施の時期につきましては、すでに従来やっておりましたところは、実施しているところもあるわけでございます。なお、この交付の基準ができないために実施してないというところでございまして、私どものほうではできるだけ早くという指導をいたしておりますが、これは何と申しましても末端の市町村が予算化をするということが前提になるわけでございますので、市町村の予算化ができ次第して実施していただく、こういうふうに考えておるわけでございます。
○滝井委員 そういうことではいけないのであって、たとえば文部省あたりがボーダーラインの児童に対して脱脂粉乳の無料をやろう、およそ何月ころから実施する態勢をとれといってやっぱり通牒を出しておりますね。あなたのほうは、一体何月ころから全国の市町村が実施するように指導しておるのかということです。
○竹下(精)政府委員 先ほど申し上げましたような市町村の予算化の問題がございますので、大体そういった点を勘案いたしますると、十月の初のごろの実施になろうかと考えております。
○滝井委員 十月ごろ、わかりました。 そうすると、支給の対象、これは妊産婦、乳幼児、どういう形になりますか。支給対象。これは生活保護を受けている人と、それからボーダーラインと申しますか、市町村民税を納めていないのがありますね、しかし、生活保護ではない、こういう階層と違うわけでしょう。それは一体どういう形でやるのですか。
○竹下(精)政府委員 妊産婦、乳幼児でこのミルクをほしい、こういう申請を出していただくわけでございますが、その申請に基づきまして母子保健手帳の交付台帳によりまして、また、市町村民税を納めているかどうかということを調べまして、対象を確定する、こういうふうに考えております。
○滝井委員 だから、予算的に一億八千六百万円ですか、十三万一千人ですか、人数はきまっておるわけですね、予算もきまっておるわけですね。したがって、それが一体生活保護の世帯の妊婦というのもきまっておるわけでしょう。だから、それから子供もきまるわけですね。その数その他、どういういわゆる支給対象の内訳、人数ですね、あとで事務当局でだれか調べてください。 そうしますと、一体十三万一千人の費用負担はどうなるのですか。
○竹下(精)政府委員 生活保護家庭の世帯につきましては、市町村が十分の一、県が十分の一、国が十分の八でございます。それから市町村民税の非課税世帯につきましては、市町村が四分の一、県が四分の一、国が二分の一でございます。
○滝井委員 そうしますと、生活保護は八割国が見て、それから非課税世帯は五割国が見るということですね。そうしますと、先日佐藤総理が、僻地の給食を受けていない学童に給食をやらなければいかぬということを、特に佐藤総理のお声がかりでおやりになることになりましたね。そしてしばらくしたら、実施が全部できておるかと思ったらできていなかった。なぜならば、私のところの市町村はどうなる、なるほど僻地の子供だけれども給食費を出す金がありません、こう言ってきたでしょう。これだってそう言ってくる可能性がある。こういう施策をおとりになる場合に、生活保護八割、それから非課税山帯五割、そうすると、その数は非常に多いわけですね。いま十三万だけれども、だんだんこれから拡大をしていくと、数が多くなると市町村は負担ができなくなるわけです。こういうことが先日も、殷鑑遠からず、いま言ったように僻地の学校給食でも、その問題は返上が起こったでしょう。新聞に出ておった。そこで佐藤総理が、また何か、そんなことはいかぬ、全額国が見なさいという命令を下したとか下さぬとか新聞に出ておったでしょう。やはり政策をおやりになろうとすれば、これは十三万人の人間でしょう、しかも妊娠をしたら栄養失調になる可能性が多分にある妊娠の問題であり、生まれても先天性弱質か栄養失調になる可能性のある乳児でしょう。そうすると、そういうところに自治体にこんなものを負担させるというならば、自治体にやると言わぬですよ。そうでなくてさえ、いま全国の市町村はだんだん赤字傾向が多くなってきておるわけですからね。だから、おやりになるのなら全部八割なら八割国が見る、あとの二割というものを府県と市町村が自分で見なさい、これくらいならまずまずでしょう。そうしますと、これは牛乳一本幾らでお買いになるのですか。
○竹下(精)政府委員 予算の交付基準といたしましては、一本十五円と算定いたしております。
○滝井委員 いま牛乳を十五円で貰えるところがあるか、買えないですよ。一本十五円では買えないですよ。これは全国お調べになってみてください。十五円で買えるところは少ない。そうすると、十五円で買えなくて、それが十七円とか十八円するときには一体どうなるのかということです。その差額は県か市町村が負担する以外にないでしょう。一番末端へいく場合は、特に市町村が負担する以外にないでしょう。そうなるですよ。十五円のものが十七円になったときの八割一円六十銭、そのこえた二円の一円六十銭を国が見てくれる、生活保護並みで見てくれるというわけじゃないでしょう。国は十五円の八割しか見ていない。非課税世帯は五割しか、七円五十銭しか見ないでしょう。だから、もはや十五円でミルクが買えなければこれはやれないでしょう。いまさがしてごらんなさい、十五円牛乳なんかないのだから。さがしてごらんなさい。ぼくが当ってみたが、ない。ここにこの政策の一つの大きな欠陥がある。かねや太鼓で十三万一千人のものをやります。これは自由民主党の皆さん、だいぶ参議院選挙で、われわれはミルクをただでやると言って回って当選した人がおりますよ。これはインチキですよ。これは十五円ではもらえない。各県別に全部調べたものがあれば、ひとつ言ってみてください。牛乳一本十五円でくれる県が何ぼあるか。これは薄く水みたいにした牛乳なら十五円であれでしょうが、ほんとうにいま店に行ってごらんなさいよ。二十二円牛乳、二十円牛乳、十八円牛乳とこうありますよ。牛乳でも段階があります。二十二円だったら、なるほど牛のお乳のにおいがします。しかし、十七円くらいの牛乳だったら、牛のにおいはしないですよ。ヤギのにおいもしない。それはもう水くさい。そういうものを十五円牛乳だといって飲ませられても、赤ちゃんや妊産婦は栄養にならない。だから、これはあなた方も一ぺんお調べになってみる必要がある。十五円では飲めないのです。十五円でもらえる県というものは少ないですよ。それは御存じでしょう。そうすると、この政策というものは、十五円だということで政策をお立てになったけれども、十五円で市町村が買えなければ、その分を市町村が負担をしなければならぬという政策になると、これはなかなか前進しないです。これはひとつもう一ぺんお調べになって、あす答弁していただきたい。 それからもう一つ、私、小児科の医者だからこれは詳しいのですが、いま日本で一番困るのはどこかというと、離乳期の栄養なんです。九カ月以降における離乳期のところが一番困るのです。一体なぜ離乳期に牛乳一本ずつやる政策をとらないかということです。離乳期が一番困るのです。ところが、離乳期は盲点になっているわけでしょう。九カ月おやりになるけれどもね。
○竹下(精)政府委員 離乳則の問題につきましては、私どもの考え方としましては、四カ月以降が離乳期の時期に入る、こういう考え方からいたしまして、四カ月以降九カ月を実施する、こういう考え方でございます。
○滝井委員 まあ四カ月から九カ月やると離乳期もちょっと入りますけれども、御存じのとおり、日本の農村ではなかなか九カ月くらいからきちっと離乳期にいかないですよ。御存じのとおり、二歳までもお乳を飲むでしょう。だから、そういう点でやはりもう少し離乳期の問題というのは考える必要があるのです。 これ以上言いませんけれども、ぼくらこれを八月くらいから実施するかと思っていたら十月になって、私たちが初め考えたよりか二カ月おくれたようです。 それから、生活保護の世帯と非課税世帯というようにして分けてたった十三万人おやりになっても、これはたいして——その分についての十三万人だけは政策の前進があったかもしれないけれども、日本の母子保健と言うほどのものではないわけですね。だから、こういうものは、この法律にただ「努めなければならない。」というようなことでなくて、こういうことこそ、住宅と同じように年次計画を立てなければいかぬですよ。そして少なくとも日本の妊産婦と乳幼児については、九カ月分だけは必ず五カ年なら五カ年以内には全部行き渡るようにしますという、こういう年次計画をお立てにならぬといかぬです。道路や治山治水には年次計画が立つけれども、人間の問題については厚生省は一つとして年次計画を立て得ないでしょう。ここですよ。やはりあなた方も、河野一郎さんに負けぬように、人間の年次計画をお立てにならなければいかぬですよ。河野さんは建設大臣になったら、とたんに一兆一千億程度の道路を二兆一千億におやりになったでしょう。やはりそういうふうに年次計画できちっと五カ年なら五カ年におやりになるということをやって、そしてこれはミルクだって、それから母子健康センターだって年次計画をお立てになりまして、そして五年目には県から市町村に母子保健を移します、こういう政策目標をきちっとしておかないと、いつの口にかこれが市町村に移っていくかわからぬという、そういう暗中模索的なことでは人間政策は前進しないですよ。だから、そういう点では、私はやはり、ミルクの問題も母子健康センターの問題も年次計画を立てるべきだと思うが、児童局長どう考えておりますか。
○竹下(精)政府委員 現在、ミルクの問題あるいは母子健康センターにつきましては、的確な年次計画はつくられておりません。母子健康センターにつきましては、大体十年で一千カ所というような非常に大ざっぱな計画でございますけれども、御指摘の点につきましては十分検討してまいりたいというように考えております。
○滝井委員 母子健康センターにちょっと入りますが、一体この構成員というものはどういうことになるのですか。それから、ここでお産もやるわけでしょう。そうしますと、その構成員がどういうようになって、全国の設置状況の現状はどういうようになっておるのか。昨年は六十六カ所おつくりになった、それでその設置状況を、構成員と一緒に御説明してください。
○竹下(精)政府委員 三十九年度末で三百四十二カ所できておったわけでございますが、今年度補助金を出しまして設置する予定が六十四カ所でございます。したがいまして四百六カ所が四十年度末にはでき上がる、こういうことでございます。 それから、この運営でございますが、運営につきましては管理助産婦一名ということでございまして、そのほか小児科、炭婦人科の嘱託の医者をそれぞれ一人、なお国保の保健婦等があります場合には、こういった方を嘱託としてお願いしております。
○滝井委員 いま四百六カ所、実際は三百四十二カ所ですね。この三百四十二カ所に実際管理の助産婦が一人専任でおって、小児科と産婦人科の嘱託が、一体草深きいなかの健康センターにおるかというと、いないでしょう。実際問題としては、できたけれどもその運用はできないという実態じゃないですか。三百四十二カ所、歓呼の声をもって迎えられて、うまくいっておりますか。
○竹下(精)政府委員 管理の助産婦は必ず置くことになっておりますので……。ただ、医者の問題につきましては、場所的に必ず同じ場所ということでなくして、近隣のお医者さんにお願いをいたしている、また、保健所のお医者さん等にも御指導を賜わっておる、こういうような状況でございます。ただ、その施設が、そういう分べんの施設に恵まれない場所に建てられておりますので、それを持ちます市町村につきましては、たいへん喜ばれておるというのが実情でございます。
○滝井委員 私は、こういう母子健康センターをおつくりになる場合には、国が義務的に二分の一とか三分の二くらいの金を出して、それでつくって、人件費その他についても——御存じのとおり、いま助産婦はいないですよ。高等学校を卒業して三年行って国家試験を受けなければ助産婦になれないですからね。昔は、助産婦というのは、中以下の家庭の人たちの一番かっこうな職業として、わりあい簡単に助産婦になれた。ところが、いまや大学より一年少ないだけやるわけでしょう。だから、いまいないですよ。助産婦さんはみんなお年寄りですよ。中年以降です。若い、はつらつたる助産婦さんが非常に少ないです。さがして回るしかないですね。だから、今後助産婦の養成をどうするかということは、日本医療行政の中の一つの大きな盲点でしょう。そういう助産婦さんを、少なくとも全国三千四、五百ある市町村のうち、やはり二千くらいはつくらなければいかぬでしょう。二千つくらなくても、千か千五百カ所はつくらなければいかぬ。母子健康センターに専従の者を置くということになると、助産婦はなかなか得られませんよ。しかも医者が嘱託だから、優秀な、一人でたいがいのことをやってのけるという人でなければいかぬですからぬ。そういうことになると、これは木によって魚を求むるたぐいになってしまう。そういうこともお考えにならずに市町村にやろうというのですから、これは木によって魚を求むるどころじゃないですよ。火星の上から地球の魚を釣るようなもので、とてもこれはたいへんなことだ。そういう点では母子健康センターというのをもう少し年次的に計画をして、人間の配置をやって、その上でやるという腹がまえをぜひひとつつくっていただきたいと思うのです。 それから新生児の訪問指導、妊娠中毒症の対策訪問指導というのがありますね。この訪問指導をする場合に、往診料はだれが払うのですか。
○竹下(精)政府委員 医者によります訪問指導というのは原則的には考えておりませんので、医者の場合には、むしろ医者のところに来ていただくという考え方でございます。したがいまして、往診料については一応それを考えていないということでございます。
○滝井委員 そうしますと、助産婦、保健婦が指導、妊娠中毒その他の場合でも全部訪問するのですか。
○竹下(精)政府委員 そうでございます。
○滝井委員 それは結局訪問指導料というのは全部無料である、こういうことですか。
○竹下(精)政府委員 さようでございます。
○滝井委員 これは全部訪問指導に三分の一の予算補助がついているわけでしょう。この金はどこに使うのです。
○竹下(精)政府委員 助産婦さんの旅費あるいは手当、そういったものが内容となっておるわけでございます。
○滝井委員 予算面では新生児の訪問指導費と書いて三分の一の補助が、たとえば昨年の予算で見ると千三百四十万二千円ついている、これは結局人件費になるわけですか。それはちょっとおかしいな。
○竹下(精)政府委員 内容は、人件費と申しますか、いま申し上げました旅費あるいはその手当の費用でございます。
○滝井委員 そうすると、どうもこれはものを言わざるを得ないですね。新生児の訪問指導費とか、妊娠中毒症対策訪問指導費といって三分の一の国庫補助が出ている。結局それは人件費であるということになれば、これはこういう項目でやるべきでない。こういう項目でやるから人間が仕事に化けちゃうんですね。だから、やはり人間は人間の経費として、国は保健婦を、それぞれの保健所は人口何人について何人置きなさい、人口十万人については五人置きなさい、五人置くときにはその人件費が十五万円月に要ります、十五万円の三分の一の、月に五万円は国が負担をします、こういう形にしないと、新生児の訪問、それから妊産婦中毒対策訪問、結核予防、精神病予防、性病予防、この指導費が全部集まって保健婦の給料になるのだという形になるでしょう、結局。そういう人件費の組み方ではいかぬと思うのです。だから人が集まらないのです。それでは優秀な保健婦その他が充足できないのは無理ないです。医師のほうはそうじゃないでしょう。ちゃんと医師一人については何ぼと出ていますよ。予算書を見ると、保健婦も出ているでしょう。そうすると、結局事実はこういうものに使用されておって、そうして最後は人件費として集まっていく、こういう形では予算の組み方がおかしいと私は思う。それはもう医者が保健所の規模できまっているから、医者が何人、保健婦が何人、助産婦が何人、看護婦が何人、それに対する人件費を計算してやることが、私はほんとうだと思う。それによって——経験年数とか勤務年数等によって幾ぶん違いますけれども、しかし、それは、それぞれ各都道府県の自治体から申告させればわかることです。だから私は、これはまた仕事の費用かと思った。ところが、そういう人件費ではおかしいと思うのですね。それも、いま言ったように、保険の診療の往診料みたいなもので払うのかと思ったのです。
○竹下(精)政府委員 保健所の職員で助産婦の方、あるいは保健婦の方が十分充足されておる場合はそれでよろしいわけでございますけれども、遺憾ながら現状といたしましては、特に助産婦の場合は充足率が非常に低いわけでございます。したがいまして、そういった人の活動の費用としましては、やはり民間開業の方々の援助を得るという実態があるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、結局専任の職員がいない。したがって、嘱託その他の形で民間の助産婦なり民間の保健婦が、おるかどうかわかりませんが、国民健康保険その他から協力を得なければならぬ。得たものについて、手当みたいなものを結局こういう経費から出していく、こういう形になるのですか。
○竹下(精)政府委員 さようでございます。
○滝井委員 いや、それはちょっとおかしいです。これは主計局、こういう形では保健行政はできないですよ。どうも小学校に行ってみたところが、小学校の清掃や番をしたり、それから病院の清掃をやる人たちの経費が、何か食糧費みたいなものの中に入っておるというのと同じですよ。こういう予算の組み方は、私はけしからぬと思うのです。これからこういう法律を出して——斎藤さん、よくお聞きになっておいてくださいよ。だから私は、いまこれは美称経費にしてくれと言ったんです。こういう訪問指導というのは、全部人件費に化けるというのでは話にならぬでしょう。これはけしからぬですよ。こういうことはどうも初めてで、こちらも勉強しなくてうかつ千万だったんですけれども、新生児の訪問指導費というのは、これは往診料か何かで出すのかと思ったら、保健婦に差し上げるということになれば、実質は往診料みたいなものになるのでしょうね。人間がいないから、よその人を借りてきて行っていただく。そうすると、その分には借り賃を出す、こういうことではちょっとおかしいですよ。こういう訪問指導費と書いて、これをひとつ来年度から——今年はやむを得ない。来年のことを言うと鬼が笑うかもしれないけれども、こういう悪いことをやっているのだから、鬼に笑われなければならぬかもしれない。だから、これは来年からは、やはり人件費は人件費として計上すべきだと思うのですよ。これは訪問指導費というから、何かものの金かと思ったんです。あるいはせいぜい往診料みたいなものかと思っていたんだけれども、全然人がいない、その人を借りてきて、こういう経費で出すということはおかしいですよ。しかもそれが三分の一というような形をとっていてですね。だから、こういうものは、人件費は一括してやはりきちっと、助産婦、それから保健婦の雇い入れなら雇い入れという形で出すべきだと思うのです。そうしないとおかしいです。こういう訪問費で出していくのはおかしい。だから、そういう訪問委託費なら委託費でもいいです。人間にいくようにはっきりしないと、これは指導費と言うから、何かものを使う金かと思ったら、人間に使う金じゃおかしいですよ。だから、訪問委託費なら訪問委託費と書けば、嘱託に金を出すことになるのです。これじゃわからない。しかも、それらのものが、全部保健所の運営費補助金ということで一括されておるのですよ。だから、われわれが予算書を見るときにはわからないですよ。これは何に使われておるかわからない、予算得には、保健所運営費の補助金として一括何十億と出してきているのですから。これを今度初めて資料をもらって内訳を見ると、保健川運営費というのは、三歳児の検診費用も入っているのでしょう。なお、いまの新生児の訪問も入っているし、それから妊娠中毒対策の訪問費も入っているし、そういうものが全部十ぱ一からげで入っているでしょう。内訳を見なければわからぬ。内訳を見て、しかも、これも人間に出す金じゃないと思っておったところが、それは人件費。人件費というなら一括して、保健婦の費用が幾ら、運営費が幾ら、それから助産婦、歯科医師、医師の費用が幾ら、こういうようにきちっと分けて、そうして一人は幾ら、嘱託は幾ら、雇い上げは幾らとわかるようにしてもらわぬと困ると思うのです。こういう組み方は困る。人間は人間、仕事は仕事と別にしてもらわなければ困る。
○平井説明員 実は私、昨年までの予算の組み方の問題でございますから詳しくは存じませんが、ただいま私の手元にある資料を見た感じで申し上げて失礼でございますが、先生がおっしゃるように、確かにすべての経費というものは、人件費と物件費に分解されていくわけであります。人件費的なものは人件費的なもので総括し、物件費は物件費で総括するということも一つのお考えであろうと思います。ただ、保健所を中心にして行なわれます行政を、そういう形のいわば経費の質的なものによって分解していくことのほうがいいのか、あるいは大きな柱を立てて、それぞれの柱に必要な人件費なり物件費という分け方で見たほうがいいであろうか、これは一つの考え方、いろいろお説の分かれるところであろうと思います。したがいまして、いずれがいいのか、私も今後の問題といたしまして、この法律は、先ほど御指摘のありましたような形でもとの補助金のような形になる場合におきましては、来年度以降の問題として検討いたしてみたいというふうに考えます。ただ、ただい左の妊産婦並びに乳幼児の保健指導にいたしましても、そういった単純な報酬のみででき上がっているのならばそういう形でいいかと思いますが、それに伴う事業費でございますとか、あるいは委託料でございますとか、そういったものの共通的な事業単価というものを考え、あるいは件数をはじいてまいります場合には、縦横両方わかるという形が一番いいのでございまして、そういった形にだんだん近づけていくようにいたしたいと考えておるわけでございます。
○滝井委員 この新生児の訪問指導費千三百四十万、こう書いて、これが人件費でいくなら、一体新生児訪問のために何人の保健婦を使うかということがさっぱりわからぬわけです。しかも、保健婦は何も新生児のためだけに働くわけではない。性病のためにも、結核予防のためにも働く。各経費としてもらってきて、初めて滝井義高という者の保健婦の給料が成り立つというわけです。それでは保健婦というものは非常に哀れなものなんですよ。そうじゃなくて、やはり保健婦の給料は三万なら三万としてこれは別に組んでその中の旅費とかその他はこういう経費から出しますというならわかる。これは人件費にまでなってしまうと、それじゃ旅費も人件費ですよ。本元の給料はこれでいくということになったらおかしいです。われわれしろうとにはわからなくなっちゃう。 きょうはこれでやめます。積算基礎に入っていると言うけれども、われわれはわからないわけです。
○松澤委員長 今日はこの程度にとどめ次会は明十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後五時十九分散会