運輸委員会 第1号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/08/04
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。 衆議院規則第九十四条により、委員会は会期中に限り議長の承認を得てその所管に属する事項について調査ができることになっております。つきましては、今国会におきましても、一、陸運に関する事項、一海運に関する事項、一、航空に関する事項、一、日本国有鉄道の経営に関する事項、一、港湾に関する事項、一、海上保安に関する事項、一、観光に関する事項、一、気象に関する事項、以上の各事項につきまして調査をいたしたいと存じますので、この旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ————◇—————
○長谷川委員長 この際、運輸大臣及び政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。中村運輸大臣。
○中村(寅)国務大臣 ただいま御紹介をいまいただきました中村でございます。 このたびはからずも運輸大臣を拝命いたし、運輸行政を担当いたすこととなりました。 運輸省へ参りましてから、まだ日は浅いのでございますが、海陸空にわたる運輸行政には、現在各方面に重大な問題をかかえておりますことを痛感いたしている次第でございます。 私は運輸行政につきましては、まことにふなれでございますので、皆さま方の深い御理解と御支援によりまして、これらの重要な問題の解決に当りたいと念願いたしておる次第でございます。 この機会に、当面しております運輸行政の重要事項につきまして、私の所見を簡単に申し述べまして、皆さま方の御指教を仰ぎたいと存じます。 まず、わが国経済の安定成長のかぎである国際収支の均衡をはかるため、海運、航空、観光等の貿易外収支の改善に努力するとともに、船舶、鉄道車両等の輸出の振興を強力に推進いたしたいと存じております。 特に海運については、企業集約により強化されつつある経営基盤のもとにおいて、船復の大量建造を中心とする一連の施策を推進し、貿易物資の安定輸送と国際収支の改善に寄与したい所存でございます。 航空につきましては、将来の国際航空路線の維持拡張には容易ならぬ困難が予想されますが、特に、年来の懸案となっております日航のニューヨーク及びそれ以遠乗り入れの問題につきまして、八月十日から再び東京で交渉を正式に開始することになっておりますので今後とも国民的世論を背景に交渉に臨み、その現実をはかる考えであります。 次に港湾、鉄道、空港等の整備に関しまして公共投資を促進し、慢性化する輸送力の不足状態を緩和し、さらに将来の経済の発展に対応する輸送基盤を確立するとともに、地方開発による地域格差の是正をはかるための方策を講ずる必要があります。 港湾の整備の問題につきましては、港湾取扱貨物量の予想以上の増大等に対処して策定されました新港湾整備五カ年計画に基づく、事業の促進を行なう所存であります。 鉄道輸送力の増強に関しましては、国鉄において今年度から総額約三兆円にのぼる新長期計画を実施することとし、政府としても、これを強力に推進することになっているのであります。この計画を達成するため焦点となります所要資金の確保につきましては、財政投融資の拡大にも限度がありますので、運賃の改定に依存するほかなく、この計画達成のためには抜本的な改定の必要があると考え検討を進めております。 なお、鉄道輸送網を整備するとともに、地域格差の是正に資するため、日本鉄道建設公団による新線建設を一段と推進する所存であります。 さらに、大都市における交通混雑は、依然として改善されぬまま大きな社会問題となっておりますが、運輸省といたしましては、地下鉄道を中心とする高速鉄道の整備、トラック・ターミナルの整備等の諸施策を引き続き進めてまいりたいと存じております。 空港の整備につきましては、先国会において成立を見ました新東京国際空港公団法によりまして、将来の航空の発展に対応する大規模な新東京国際空港の建設に着手するため、早急にその位置の決定を行ない、公団の設立をはかり、新空港の整備を促進いたしたいと存ずる次第であります。 次に、運輸関係企業の経営につきましては、各運輸事業の近代化、合理化対策を積極的に推進し、あわせて運賃料金の適正化をはかりたいと存じております。 特に内航海運の近代化、中小私鉄の振興等に関しましては特段の努力をいたしたいと考えております。 最後に、運輸行政の基本的使命であります交通安全の確保につきましては、従来から安全諸施策を強く実施してきたところでありますが、先日不幸にして大阪港内における遊覧船事故、国鉄品川駅構内の電車衝突事故等相次いで発生いたしましたことはまことに遺憾に存じておる次第であります。 今後、なお一そう、交通機関の事故防止対策を進め万全を期する所存であり、交通関係事業者に対しましては、安全最優先の思想を徹底させるとともに、交通従事員にはその使命に対する自覚を喚起したいと考えております。 また、海上保安業務、防災気象業務等につきましても、その充実強化につとめ、災害の防止につとめてまいりたいと存じます。 以上、運輸大臣就任にあたりまして、今後の運輸行政の方向につき簡単に申し述べさせていただきましたが、皆様方のご協力を重ねてお願いいたしまして、私のあいさつを終わりたいと思います。(拍手)
○長谷川委員長 福井運輸政務次官。
○福井政府委員 今回はからずも運輸政務次官を拝命いたしました福井勇でございます。 顧みますると、第五次吉田内閣の文部政務次官のときも、委員各位の格別なる御支援を賜りまして、いまも感謝を続けておるところでございます。 当今運輸行政は諸懸案山積しておるときでございますので、委員各位の格別なる御支援と御鞭撻によりまして所期の任務を達成いたしたいと思いますので、何ぶん格別の御協力をお願い申し上げまして、私のごあいさつにかえさしていただきます。(拍手) ————◇—————
○長谷川委員長 航空に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許します。矢尾喜三郎君。
○矢尾委員 大臣就任早々、アメリカとの経済閣僚会議に出席されまして、日米航空協定の問題についてアメリカ側と交渉をされてまいりました大臣に対しまして、いま日本が直面しております日米航空協定改定の重大問題解決のために、本月の十日から正式な会議が開かれることになっておりますので、私はそれを前にいたしましていろいろお伺いしたいこともございまするけれども、この会議に支障を来たすようなことがあっては一大事でございますから、そういうことは差し控えまして、またそういうような諸問題につきましては、会議終了後における結果を見まして、私たちも十分われわれの考え、またわれわれの決意も申し述べたいと思うのでございますが、この際二、三お尋ねをしておきたいと思うのでございます。 それは、先般の日米経済閣僚会議に出席されまして、その結果につきまして新聞などにも報道されたおりますが、これは、アメリカの在某国三使館文化交換局から最近に出しましたニュースを見ますと、こういうことが書いてあるのでございます。「中村運輸相は両国間の民間航空協定の不公平を正し、日本航空機の航路をニューヨーク以遠へ延長し、世界一周航路を完成できるようにすることを要望した。中村運輸相は、この問題はいまや日本の国家的な問題となり、議会も全会一致で現航空協定の改訂を支持している、と述べた。」こういう報告が出ておるのでございます。そうしてまた、この会議全体といたしまして、こういうことが出ておるのでございます。共同声明を出されました。それについて、いろいろこの会議は——これはアメリカ側の発表ですが、この会議は成功である。特に「共同声明は、委員会はこんどの会議が日米両国関係の強化に大きく寄与したことに意見の一致をみた、と述べているが、具体的な成果ともいうべきものを挙げれば、日本の民間航空をニューヨーク以遠へ延長する正式交渉が八月十日東京で開かれることになったこと」である。これが第一番に取り上げられていることです。ほかの会議のことについては抽象的な問題をずっと羅列しておりますけれども、この日米航空協定の改定の問題が成果の第一として取り上げられて、そうして十日から具体的な交渉が始まるということが書いてある。私はこれを見まして、この十日からの会議に対しましての大きい期待を持っておったのでございます。しかし、だんだんとアメリカ方面の情報、また特に一昨日の朝日新聞の夕刊あるいは読売新聞の夕刊等を見ますると、見出しに「米、妥協は考えず?」こういうことが言われておるのでございまして、要旨を読んでみますと、日航のニューヨーク乗入れおよび以遠権を認める代償として、シアトル線、中南米延長線などの放棄、東京以遠無制限運航など、約十にのぼる日本側の譲歩を要求する。これはあくまで一括して交渉するもので、ひとつひとつの項目について譲歩することはしない」という包括取引(パッケーケージ・ディール)を強く推し進める方針である。すでに米側首席代表には、スノードン国務省国際航空協定課長が内定しているが、消息筋では「代表に“大物”が起用されなかったことからいっても、米側が今回“政治的妥協”を考えていないことは明らかである。おそらくスノードン首席代表は、従来の強硬方針と変らない、余裕や弾力のない主張をくりかえすだろう」と見ている。米民間航空業界の圧力も依然強く、東京へも、パンアメリカン、ノウスウェストなど有力八社の代表が“お目付役”として同行することになっており、スノードン代表が自発的に“おみやげ”をもたらす可能性はまったくない。しかも米国務省では、運賃競争など経済面を重視する日航や国民感情を代表する国会の強硬論と、日米関係全体を考えて何とか妥結したいとあせる日本政府との間の微妙な食違いを察知している。従って、もしも米側がもう一度大きく態度を変えるような時があるとすれば、東京交渉の行詰りを見て日本政府が「協定の廃棄」を本当に覚悟した場合であろう」。こういうことが強く主張されておるのでございます。 そこで、私は運輸大臣にお伺いしたいのでございまするが、この会議に際しまして、この問題につきまして、どのような程度までの話がありましたのか、すべては八月十日の会議にまかすというような決定になっておりますのか。また、新聞の報ずるところによりますと、中村運輸大臣に、三木通産大臣あるいは藤山経企長官等が強くバックアップをして交渉に当たられたということでございますが、その際におきましては、内容的にはどういうような状態でであったかということが、もしも許されるならばお話し願いたいと思うのでございます。どういう状態でございましたか、許されるならばお聞かせ願いたいと思うのです。
○中村(寅)国務大臣 ただいま矢尾委員から御質問がありましたように、先月、アメリカとの経済閣僚委員会におきまして、アメリカの新聞発表のように、私は、いまの日米航空協定は不平等な航空協定であると思うので、これを平等な線に訂正したい、その一つの大きな焦点は、日本の航空企業にニューヨーク以遠−欧州−東京に帰ってくる完全な世界一周コースを認めてもらいたいということを強く主張いたしました。それについて、向こうは、いろいろ条件もあるというところから、そういうことは次の段階にして——できるならこの間の委員会で大筋だけの話し合いがまとまるなら大筋だけひとつまとめて、話し合いがまとまったという線で共同声明には入れたい、こう考えて当たってみたのでございますが、なかなか向こうもかとうございまして、日にちが非常に限られておりましたので、とてもそういうところまで話が煮詰まる状況でもなかったのでございましたので、私は方針を変えまして、八月一日から東京で正式交渉を開いてこの問題の解決をはかりたい、こういうことを強く要請したのですが、向こうとしては、それは困る、八月一日から日本の東京で正式交渉を開くということになっても、もしも妥結せぬようなことになるとアメリカとしても非常に困ったことになるので、できるだけ話が煮詰まって交渉妥結の見通しがついてからにしたいという意向を主張したのでありまして、私は、いつまでも両方がもたもた非公式交渉のようなことでやっておりましてもなかなか簡単に煮詰まる状況でもないので、正式交渉でどうしてもひとつ一本勝負でやりたい、こういう決心をしまして八月一日からということを強く主張いたしました結果、三木通産大臣、藤山経企長官、福田、椎名氏とか、いろいろ全閣僚が総力をあげまして向こうのラスクとひざ詰めをやりました結果、大体八月の十日から正式交渉に応じようということになった次第でございます。そういうことであります。
○矢尾委員 いまの大臣の御答弁は、具体的なことのお話もなかったようなことでございますが、この問題につきまして、日米航空協定が不平等であるということは、先日六月十一日から約二週間、長谷川委員長を団長といたしまして、四人がアメリカに渡りまして、そして上下院の航空関係の有力者にお目にかかりまして、一人一人われわれの情勢また現在の協定の内容等を英文に印刷いたし、また国会の決議、賛成討論一切を英文に訳しまして、そしてそれを見せて一人一人が話をいたしました。これは、ワシントンに一週間おりましたが、一週間かかって一日に二人ないし三人ずつずっとお話をしてきました。上下院ともに、また下院議長また上院の航空小委員長等にもお目にかかりましたが、その日本から持っていきました資料を見て、これはひどいと言うて、だれ一人これは当然だということを答えた国会側の人は一人もなかったのでございます。特に上院の航空小委員長のモンロニー上院議員のごときは、小委員を全部集めてくれて、そしてその内容を説明し、約二時間半ないし三時間にわたりまして話を交換いたしました。そうしたところが、このモンロー氏も、そこに出席しておりました各州から出ておりまする上院の方々も、これに対しまして、一日も早く是正しなければならぬ、そのためにはわれわれは国会を通じて、いわゆる立法府であるから行政府に干渉することはできないけれども、しかしながら個人的にでも大統領あるいは国務長官などにも会って十分話をしよう、こういう強い意思表示をされておるのでございます。そしてその間にまた、国務省の要路あるいは航空関係の方々にもお会いいたしましたが、これらの人々は行く先、行く先におきまして、われわれがだんだんとお話をしていきますると、話に詰まってしまって、この問題はこうやると抽象的なことを言うから、そういうような抽象的なことでなく、關谷さんのごときは強く具体的に、日本の主張のどこが間違っておるのかということを具体的に説明をしてくれというような強い要求をいたしましたところが、黙ってしまって言わない。こういうような情勢の中に、われわれは一週間のワシントン滞在期間中において、相当アメリカ方面に対しましての理解を与えたつもりでございます。 先般の委員会におきましても私ちょっと申し上げたのでございますが、日本の政府の代表者がアメリカなどに参られますと、いつも日本からサンフランシスコを経由してワシントンへすっ飛んでいって話をして、パッパと帰ってくる。それでアメリカ内においても、われわれが行って初めて航空関係の議員、上院の議員、下院の議員も理解するというような程度でございまして、アメリカの国民というものは全然知らないのです。航空協定がどういうものであるかということを知らない。それで私たちの方針といたしましても、ハワイへ着けばハワイにおいて外人記者会見をやり、サンフランシスコに着いても、行った先、行った先で外人記者会見をいたしまして、われわれの主張というものをやりました。そして帰ってまいりまして、私たちはサンフランシスコにいて帰りに新聞を見ました。どういうことが書いてあるか。日本の国会議員が四名渡米してきた。これは大きな成果をもたらした。 アメリカは御承知のとおり日本と国情を異にしておりまして、新聞関係においても日本においては「朝日」「毎日」「読売」であるとか、あるいはその他五つか六つの新聞に載れば、これは全国的に報道されるけれども、アメリカは地方地方に大きな新聞があって、そういうところに載らなければ、中央のワシントンの大新聞に二、三載ったとしても国民には徹底しない、こういうような情勢であったので、この記者会見をしたということについても大きな成果があった。今後外国から日本へ来る人々を通じて国民にそういうようなことを知ってもらうということも——不平等、不平等と言うておっても、日本は小さいから一度新聞に出ればわかりますけれども、アメリカにおいてはなかなか浸透しない。 アメリカという国はやはり世論の国ですから、国民の世論が盛り上ってくれば、そうしたならばそういうようなことについても解決の方向に強く進むということでございますが、これを阻害しておる大きな理由というものはどこにあるかといえば、それは私が申し上げるまでもなく、御承知のことであると思うのでございますが、在米の世界を圧しておるところの航空会社のいわゆる圧力というものが相当大きくかかっておるということでございます。だから、私たちはこの八月十日から行なわれます航空協定改定にいたしましても、われわれが行き、また運輸大臣が行かれまして交渉をされました、いわゆる日本の飛行機がアメリカのワシントンを越え、そうして大陸を横断する——サンフランシスコから大陸横断して、そうして、ロンドン、いわゆるビヨンドを認めさせるということについては一応了解したようなことになっておるのでございます。その点においては、私たちとしても問題はないと思いますが、しかしそれに加えて、十二も十三も、われわれがとうてい受け入れることのできないような要求がなされておるのでございます。そこで私は、アメリカがいつも極東において、あるいは日本においていろいろと取り上げられておる問題については、私はどの人にもどの人にも言いました。アメリカにおいてはベトナムの攻撃においても正しいと思っているだろう、あるいは日本にやっていること、韓国にやっていること、台湾において、フィリピンにおいてやっていることも正しいと思っておられるだろう。かつて日本も、いわゆる大東亜共栄圏という大きな看板を掲げて、そうして日本の主張は正しいのだ、そう言って東亜において各国に呼びかけ、また戦いをしておった。しかしながら、受け取るほうにおいては、日本の政治のほんとうの真意というものを認められずして、いわゆる日本帝国主義をぶっ倒せというようなことになった。私は戦争中においても従軍記者として中国に何回も行きまして、至るところにおいて私たちはそれを現実において見てきております。 そういうようなことを考えますと、アメリカは極東において、あらゆるところにおいてやっておることは正しいと思ってやっておられるだろうけれども、その真意というものが伝えられておらない。しかしながらそういうようなものは別としても、この日米航空協定の不平等性というものは、だれが見ても、世界二十二カ国の国がアメリカと航空協定を結んでおり、そうして、二十一カ国までがニューヨーク、ワシントンに乗り入れをさせておる、首都から首都まで乗り入れをさせておるにもかかわらず、日本だけが除外をされておる。この一つを見ても不平等でないということは言い得られないということを私たちは強く主張してまいりました。そしてわれわれの主張というものはあらゆる面から支持されました。そうしたところが、今度アメリカ側から十二、三というような要求をつきつけられた。その要求というものは、もう私たちはどうしてもそれを承認することのできない条項であると考えておるのでございます。私たちはこういうような条項について一々反駁し議論をしておる時間もいまないと思います。この十日に開かれる会議に対しましての見通しでございます。この見通しについては、アメリカは期日として何日ぐらいを見ておると運輸大臣はお考えになっておりますか。ごく短時日の間において話を進めたいという方針であるというようなことを承っておるのでございますが、この会議につきまして運輸大臣といたしましては、期間というものはどういうようにお考えになっておりますか。ちょっとそのことを聞かしていただきたい。
○中村(寅)国務大臣 私はこの間参りまして、いろいろ向こうと当たってみまして得ました感じでは、これはいま矢尾委員が仰せられましたように、委員長はじめ四名の方がアメリカへ行って、あらゆる人に日本の不平等に対する主張を強く話していただいたことがやはりアメリカの態度に対して大きな影響を与えておったということは、私も強く認めたのであります。そういうことが、やはり今回アメリカが日本に足を踏み込んでくるということになった一つの力であったとも考えております。 それから先ほど新聞にあるということで矢尾委員が仰せになっておりました、アメリカはこれは絶対に譲れないのだという態度に最近固まっておるというような事があるということでございましたが、私はこれは、アメリカがどこまで腹をきめておるかということはわかりませんけれども、絶対に譲れないということであるなら、これは交渉というものにはならないと思います。私は、交渉に応じて正式交渉を始めようという気持ちがあるということは、これは一〇〇%譲れないという線はくずれておる。また私らのほうとしましても、これはいま発表する段階ではございませんが、向こうがいろいろ言っておりますこと、これを全部否定してしまって、こっちも一〇〇%要求が通らなければ日本は交渉しないのだというなら、これも交渉には初めからならぬと思います。 そこいらいろいろかね合いだと思いますが、私は国会の強い決議というものは、これは国民の総意であると考えます。先国会の決議の趣旨を尊重しまして、それを背景にして交渉を進めたい、かように考えておりますので、そう簡単に交渉が短時日のうちにまとまるものとも考え得ませんけれども、それかといって、こういう問題は日にちを長くかけたからといって、また片づくものでもないと思います。どのくらいという予想はつきませんけれども、そういつまでも長くかかるというようなことでなしに、私自身としては早期解決の線でいきたい。白になるか黒になるかは別としまして、決定を早く、早期にきめたい、それで向こうがわれわれの要求をいれない場合には、じんぜん日を引っぱられるというようなことには応じないという気持ちを持っています。十日から始めまして、八月一ぱいくらいには解決したい、こういう私の気持ちでございまして、向こうと打ち合わせたわけでも何でもございません。
○矢尾委員 ただいま運輸大臣の力強い国会の決議の尊重の意思がございましたので、私も力強く思うのでございますが、特にこの際に申し上げたいと思いますことは、アメリカ側としては、この航空協定は不平等ではない、こういう考えを持っておるのでございまして、アメリカは日本に対して、太平洋海岸のサンフランシスコあるいはロサンゼルス等に三カ所も許しておるじゃないか、その代償として日本には東京しか入っておらないじゃないか、こういう考え方、ニューヨークというのは世界一のいわゆる航空基地のように考えておるのであって、ニューヨークやワシントンへ入るということに対しては、これは膨大なところの日本の権益のごとく解しておるのだから、このくらいの要求は当然じゃないかというような考えで、この会議に臨んでくるのであろうと私には想像されるのでございます。 そういうような点におきましても、今度の交渉というものは、ここまでいっておけば次のときというようなことを考えずに、この会議がもう最後の会議であるということを覚悟して、そして最後の場面であるということをお考え願って、いろいろ難関もございましょうけれども、難関を突破してもらうということ、そして、もしも日本の政治あるいは日本国民の総意を結集いたしました国会の満場一致の決議を尊重していただきますならば、その決議案が出ましたときに、椎名外務大臣も、「本決議の御趣旨を体して、なるべく早い機会に本件交渉を再開し、全国民の宿願を実現すべく一そうの努力を傾ける所存であります。」こういうことを決議案のあとで述べております。続いて担当大臣でありました松浦運輸大臣が、「ただいまの御決議の御趣旨に沿い、現行航空協定の破棄をも辞せずという強い決意を持って交渉に当たり、もってニューヨーク以遠権を獲得し、全国民の御期待に沿うことのできるよう全力を尽くす所存でございます。」こう述べておるのでございます。「私はそういうような意味におきまして、最後に一言運輸大臣に——私がこういうようなことを申し上げるということはなまいきなようでございますけれども、政治家の使命は何になるべきかということではなくて、何をなすべきかということが政治家の大目的でなければならないと思うのでございます。中村運輸大臣が就任早々この難問を解決されることこそ、中村運輸大臣の政治家としての大使命を果たされて、何をなすべきか、これをなすべきであるという決意を持ってこの難局に当たられますことを望みますとともに、われわれも及ばずながら、この航空協定の改定に対しましては、側面的にでき得る限り与野党ともに一致いたしまして御協力を申し上げたい、こう考えておるのでございます。どうかただいまおっしゃいました国会の決議を尊重して、この協定を解決するためにはもう日本が破棄を決意する、破棄するということは、国交を断絶するというようなことではなくて、こういうような不平等条約というものが現在の状態では期間がない、今後十年でも二十年でも、あるいは五十年でも六十年でも続くやつを一年間の期間をつけるということでございます。いわゆるこういう不平等条約はもう一年しかわれわれは承認することができないという、期間をつけることでございますから、私はそういうような意味におきまして、航空協定の破棄ということについても十分にお考えくださいますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○長谷川委員長 關谷勝利君。
○關谷委員 私は一点だけお尋ねをいたしておきたいと思います。 私は、今回のアメリカ首席代表がスノードンであるという発表を見ました際に、内心憤慨をいたした一人であります。私たち国会議員が出かけてまいりまして、いろいろと向こうへ説明をいたしまして、その事柄は上院、下院の議員連中も納得をいたしたのであります。国務省の次官補、あるいは次官、長官というふうなところも、われわれの説明と申しますか、話し合いをいたしました結果には、同意と申しますか、納得がいったはずであります。それで私たちは今度参ります代表は必ずや大ものが出てきて、そうしてそこに政治的な裁量がその場でできる人が来るのであろうというふうなことを考えておりましたのに、スノードンが代表。スノードンと申しますと、向こうの課長クラスであります。まことに日本に対して礼儀を失するような代表だというふうに考えております。昨年は栃内航空局長が六十日間待たされて、その上で逆提案等をせられて追い返された。これに対しまして、私たちが、アメリカの国務省側に対しまして、まことに失礼ではないかということを詰問をいたしました際には、そのとおりでまことに相済まない、昨年のようなことを繰り返したくないということをはっきりと言うておったのであります。ところが今回また代表を派遣いたしますのは、まことに小ばかにしたような代表をよこしておるのであります。私は憤慨にたえません。これに対して、私は発表を見ました際に、すぐに航空局長には電話をいたしまして、スノードンが代表だというが、あまりにも小ばかにしておるじゃないか、取りかえる意思はないかどうか外務省を通じて申し入れるように言いましたが、その結果はどうなっておるのか。申し入れをしたのかしないのか。もししたというのなら、どのような回答が来ておるのか、この点伺っておきたいと思います。
○佐藤(光)政府委員 今回の日米交渉における米側代表団の構成については、まだわれわれとしては最終的にきまったというふうには了解しておりませんで、いま關谷先生からお話がありました代表団の構成についての当方の考え方については、御指摘のように外務省を通じて米側に当方の意向を伝えるようにお願いをしてございますが、まだ回答をもらっておりません。
○關谷委員 向こうへ申し入れをしたのかしないのかということがはっきりしませんが、申し入れしましたか。
○佐藤(光)政府委員 これは、通常の交渉における代表団の選定は相互にいたします関係上、いろいろそれぞれの立場があるわけでございますが、申し入れをするように外務省から現地の公館には話をしてございますので、われわれとしてもその結果を実は待っておるところでございます。御指摘もございますので、その間の具体的なやりとりについて、なお現地公館に重ねて照会をいたすようにいたしたいと思います。
○關谷委員 すぐに外務省の出先から向こうへ交渉して、そうしてその返事が来ましたら、どのような返事であったかをひとつ聞かしていただきたいと思います。こんな代表が来るということにつきましては、局長が腹が立たなければならぬのです。相手の課長と同じように見くびられておる局長だと思ったら、局長が腹が立って、そのくらいのことを早く申し入れるのがほんとうでありますが、私たちが言うて初めて申し入れをするようなことでは、私は、これから先の、局長が相手との交渉の際のいろんな、何と申しますか腹がまえというものあたりが、まことにあやしくなってくる、たよりないというような気持ちがしますので、少し、相手がそういうふうなことをした際には、敵がい心というとこれはちょっと語弊がありますが、相手に対しまして武者ぶるいくらいの気持ちは起こしてもらって、ひとつ強く突き当たるというような気概を持ってもらいたいと思います。この点は局長に強く申し上げておきます。 それで、大臣に申し上げておきたいのでありますが、最初の態度からこのとおりのアメリカの出方でありますので、そろそろ大臣の腹の中では、航空協定を破棄するのだというようなことの腹がまえがなければならないと思います。この点はどうなんでありましょうか。ひとつはっきりと伺っておきたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 私は、先ほど申しましたように、国会の決議の趣旨を尊重して力強く交渉するという決心をいたしております。その決心の中には航空協定破棄ということももちろん含まれておると御了解願いたいと思います。
○關谷委員 戦後国会で、共産党まで賛成をしたという、全会一致というこの姿は初めてなのであります。大臣が行き過ぎて間違いましても、国会の責任で、国会の決議どおりやったのだと言えばそれで済むのでありますが、大臣が行き方が足らないで、押しが足らなくて妙な協定ができますと、これは大臣の責任になりますので、ひとつ行き過ぎる目に交渉していただきたいということだけをお願いして、私の質問を打ち切っておきます。
○長谷川委員長 久保三郎君。
○久保委員 時間もあれですから、二、三お尋ねしておきます。航空局の国際課長が最近、十日から始まる交渉の下打ち合わせで渡米したという新聞報道があるが、そのとおりであるか。そのとおりだとするならば、どういう打ち合わせをしてきたか、あるいはしているのか、それをお聞かせいただきたい。
○佐藤(光)政府委員 御質問のとおり、先週の土曜日の夜、国際課長を在米大使館に派遣をいたしております。要件は、今回八月十日から行なわれます日米間の正式交渉の諸般の下打ち合わせであります。
○久保委員 その下打ち合わせは米側との下打ち合わせか、それともアメリカ駐在大使館を通しての交渉下打ち合わせか、どっちなんですか。国際課長が直接米側担当官との打ち合わせに行ったのか、それともアメリカ駐在大使館を通じての交渉に行ったのか、どちらですか。
○佐藤(光)政府委員 当方から派遣しましたのは在米大使館との打ち合わけでございまして、まだ具体的の連絡はその後ございませんが、今週に入りまして米側と現地の公館と非公式の接触が持たれておるということは考えられますので、その場合には国際課長がその席に参りまして非公式の会談に参加をするということもあり得るかと思います。
○久保委員 それは、十日から行なわれる会談の手順について打ち合わせに行ったのか、それともいわゆる下交渉に行ったのか、どちらですか。
○佐藤(光)政府委員 派遣しました任務は、会談のいろいろ準備についての、おっしゃいました手順といいますか、手順につきましてやりましたのが主たる任務でございます。
○久保委員 そこで、いま關谷委員からお話があった米側の代表団の構成について、国際課長にはその意を含めて向こうに当たらせているのかどうか、これはどうですか。
○佐藤(光)政府委員 谷委員からお話がございました構成につきましては直ちに連絡をとりましたが、原田課長にも、その件についてのひとつ早急な連絡の結果を知らせてもらいたいということは申しております。
○久保委員 その会談の手順について打ち合わせに行ったというんだが、当然その場合は、關谷委員から忠告がなくても、わがほうとして、両側の構成メンバー、そういうものについて必要があれば交渉するというのが下準備だと思うんだが、国際課長はそういうことについてこちらの、本国の意思を持って行っているのかどうか。もしも行っているとするならば、どういう程度のものの会談にしたいという申し入れをしているのかどうか。それはやっているのか。やっていない、とにかくさっき運輸大臣からお話があったように、この間アメリカに行っての交渉の結論として、それじゃ八月十日東京でお話をしましょうということの単純な意味の話だけになって、構成メンバー等については何も注文はつけてないというふうに考えていいのかどうか、どちらですか。
○中村(寅)国務大臣 私は、これは正式の交渉というわけじゃございませんが、向こうの民間航空委員長のマーフィと話しましたときに、十日から東京でやるということにきまったので、アメリカからもひとつ大ものをよこしてくれぬか、こういうことを申し入れましたが、大体アメリカでは、大ものとかいうことでなくて、航空協定を結ぶのに、アメリカのほうの意向というものは大体出ておるので、実務的に話をまとめるのに都合のいいような者を出すことになるから、その点は御心配ないように、こういうことを言っております。しかし私はやはり十日から短時日のうちにとりきめたいので、ある程度の政治的な裁量はできるくらいの者をよこしてもらいたい、こういうことを申しておったのでございますが、正式には外務省が窓口でございますので、さっき局長が言いますように、窓口を通じてやっておるわけでございます。
○久保委員 あまりこまかい点でありますから、この辺でやめますが、そうしますと先ほど關谷委員から指摘がありましたような課長でも、いまの運輸大臣の御答弁では、実力者、いわゆる日本流でいうところの実力者、これは大体担当者だからこれで話はつく、こういうふうに運輸省並びに外務省はいま了解しているのですか。先ほどの關谷委員からの御忠告というか連絡で、何か向こうへは言ってやったが返事はまだありませんといってのんびりしているというところを見ますというと、別に反応がなければ実力者であろうというような軽い意味でおとりになってのことですか、その辺をひとつ。
○中村(寅)国務大臣 私は先ほども、それを申し入れましたときに、向こうは担当の者をよこして、それはやはり日本と交渉を進めておる過程において、アメリカにすぐ決裁を求め得るような段取りがついておるから、出先機関の強弱によってそれほど大臣が心配するようなことはないから、ということを申しておりました。しかし私はやはりある程度の者が来てくれたほうがいいと考えますので、先ほど局長が言いますように、向こうに下交渉の過程においてそういうことを相談さしておるわけであります。
○久保委員 それじゃ大臣にお尋ねしますが、この間あなたが渡米しての会議、それから今日に至るまでのアメリカのこれに対する取り組み方、いまの、その代表団の構成を含めて八月十日からの東京における会談で、いわゆる日米航空協定は改定するという意気込みでアメリカはやってくると見ているかどうか、いかがですか。
○中村(寅)国務大臣 それは私は、アメリカも強い決意を持ってくると思います。それは、八月の初旬に東京で正式に交渉を開きたいという申し入れをいたしましたのに対して、ラスク長官がこれに容易に応じなかったときの理由が、もしも東京に行って交渉がうまくまとまらないで帰ってくるというようなことになれば、自分は大きな政治責任を負わなければならぬというようなことになるほどこれは重大な問題だから、交渉がまとまる見通しがつかないのに八月の初旬から東京に行くということに応じかねる、こういうことを強く言っておりましたので、そういう経緯もございますから、東京でやろうという決心をいたしました。アメリカの態度は、やはり十日からの正式交渉によってまとめたという強い意欲を持ってくるものと私は想像しております。
○久保委員 次に、国際航空における東京というものの価値判断についてです。アメリカは、ニューヨークが国際航空上大きな価値がある、こういうふうに思っているでありましょう。またそういうことだと思うのですが、東京はそれに劣らない国際航空上のいわゆる重要なポイントであるということの認識をアメリカは今日持っているかどうか。持っていても、先ほど来のお話からいうと、ことさらにこれを回避して、ギブ・アンド・テークのいままでの方式をさらに推し進めようという気がまえが強いのか。現行協定破棄というのは、単に一年間だけ様子を見ましようという破棄をわれわれ国会としては考えているのじゃない。だめなら永久に国際航空協定なるものは破棄です。先ほど關谷委員からあったように、国会は漏れなく全員がこの決議に賛成したのです。不平等だから賛成したのです。だから、そういう意味を十分納得されないままに、たとえば先ほど新聞記事を御披露になりましたが、包括妥結というような、包括交渉というか、そういうものはわれわれ国会は考えておらない。 あなたがアメリカに渡って交渉最中に当委員会が開かれました。その際に私から申し上げたことは、伝えてほしいと言ったのだが、運輸省も外務省も卒直にいってあなたには伝えなかったと思うのです。伝えなかったと思うから一言言うのでありますが、われわれがこの問題に熱意を込めているのは、不平等だからです。だから、不平等であるかどうか、不平等でありますという認識に向こうが立たない限りは、前進はしないと私は見ているのです。何か非公式に、ギブ・アンド・テークの形で、いろいろ現在持っている権益以上のものをアメリカは要求してきたということも聞いております。そういうものと引きかえに不平等条約は改定さるべきものではない。だから、交渉の気がまえとしては、まず第一に不平等であるという前提に立って、不平等のその部分、いわゆるビヨンド・ニューヨークを日本に与えるということが一つ解決されることが必要なんです。それが解決されないままに、次のいろんな案件を含めての解決は私たちはあり得ない、こう思うのです。だから、大臣は、この間アメリカに渡られましての交渉のときに、先ほどの御答弁では多少明確ではないのでありますが、私が申し上げているようなことを順序立てて先方に伝えているのでしょうか、どうでしょう。いわゆる不平等の点をわれわれは直してほしい。そのあとの国際航空全体のアメリカと日本との関係の問題は、これはまたギブ・アンド・テークの問題があるから、これはこれでやる。しかしこれは別、まずもってニューヨーク・ビヨンドの問題を解決することが先決だという主張をなさって、向こうは了解しておりますかどうですか。いかがです。
○中村(寅)国務大臣 私のほうは、やはり久保委員のおっしゃるように、不平等であるというたてまえを根拠にして、その不平等を是正する意味で、まず東京——ニューヨーク以遠−欧州−東京という線を一つの柱として立てた。向こうは、いまおっしゃるようにやはり不平等であるとは思ってないかも知れません、しかし私らは不平等であるという主張をしましたが、向こうはあるいは不平等であると納得したのかしないのか、それはわかりませんけれども、日本としては、やはり不平等の線に立って是正しようということで、強く主張したのであります。アメリカは、ニューヨーク以遠を先に認めてしまえということで、それだけを切り離して解決するという日本の態度にはやはり応じないという線が強うございました。私はやはり日本の主張を通します。たてまえは強く持っておりますけれども、話し合いでございますから、こっちだけの言分を聞いて、おまえのほうはこれで無条件で聞けということでは、おそらく向こうも出てこないのじゃないか。やはり話し合いをしようということでございますから、一応ニューヨーク以遠、東京に帰る一周だけでなくて、それに付随するいろいろのことをこっちも言っておりますので、向こうも日本のその主張を中心にまた言い分を言っております。そういう点をひとつ十日から正式に交渉しよう、こういうことでございますから、日本が考えておるほどに不平等であるとは向こうは考えておるわけではない、しかしそれは私らは、できるだけ、不平等であるという線を強く打ち出してはおります。そういう事情であります。
○久保委員 いまの大臣の御答弁はまことに穏当な御答弁でありまして、これから交渉に入る大臣としては無理からぬことだと思うのでありますが、少なくともいまの御答弁では、アメリカの立場を十分御考慮いただいての答弁だと思うのであります。この際は、米側の立場を考慮したのでは不平等は直せないということでありまして、その点だけはどうも、われわれ国民の一人としても了解に苦しむ点であります。それは普通のことなら、お互いの立場もあることだし、やはり話し合いでは向こうの言い分も聞きますということでありますけれども、これは問題が違うのでありまして、そういう認識をやはりきっちりさせないと、いままでの単なる外交交渉と同じような轍を踏むのじゃないかと私は思うのでありまして、やはりその点を認識をされることが一番大事じゃないかと思うのです。私は決して非難をいたしませんが、言いにくいことでありますけれども、そういう心がまえでは——それがほんとうのあなたの心がまえだとするならば、政府の心がまえだとするならば、これは間違いだと私は言わざるを得ないのですね。不平等なんでありますから、これを直すというのが先決なんであって、向こうさんの言い分を聞いていたのでは、不平等は永久に直らぬはずなんでありますから、そういうところは理屈に落ちて恐縮でありますが、そういう心がまえでは、先ほどの国民的世論を背景に交渉を展開するというごあいさつとはちょっと違うのじゃないか。国民的世論を背景にというならば、私が言うことがいわゆる国民的世論の背景でありますから、どうぞその背景をお忘れなくやっていただきたい、かように思うのであります。いずれにしても、私は前途を悲観するものではありませんが、容易ならぬことであろうということはだれでもわかると思うのでありまして、いままでの二回にわたるアメリカへ行っての交渉のように、だらだらと交渉していても、これはきりがつく話じゃありません。だからあなたがおっしゃるように、今月一ぱいやって様子を見て、だめなら一挙に、国会で結論を出したように現航空協定は破棄、それは単なる一年間様子を見ましょうという意味の破棄ではない、問題が片づかなければ永久に航空協定はなくてよろしいというふうに割り切って進まぬ限りは、国民的世論は背景にならないのではなかろうかと思うので、一言つけ加えておきます。
○長谷川委員長 田邊国男君。
○田邉委員 運輸大臣にお願いを一つ申し上げておきます。 実は先般日米経済合同会議に御出席の際、航空協定の問題につきましては大臣き然たる態度で臨まれたことにつきましては、私ども深く感謝をいたしておるわけでございます。ただその交渉の際に、アメリカの要求と申しますか、さまざまな提案があったかのごとく私ども聞いております。しかしきょうはこの内容については、私は立ち入って伺おうとは思いませんが、しかし容易ならざるものがある。その背景にはやはりアメリカの民間航空が非常な圧力をもってそしてアメリカの国務省に強く迫っておるという現実を考えましたときに、私は十日から行なわれる日米航空協定の会議につきましては、容易ならざるものがあると思います。それにつきまして日本側の代表になる政府の委員の方々でございますが、私は過去の航空協定の経過を考えますと、非常に心配なものがある。と申しますのは、航空協定を今日までやってまいりましたいろいろの問題点においては、私ども納得しないような問題がいろいろあるわけでございます。それについては私は外務省、運輸省の衝に当たる人たちが、過去にアメリカと交渉した経緯のある人たちが、これに深く入ることは非常に問題があるんじゃないか。一つのたとえがありますが、かまれた犬はどうしても弱いというたとえがあります。私は、そういう意味におきまして、新しい観点に立ってそうして不平等協定はどうしても国民的な要望としてこれは正しい姿でやるんだ、だからとにかく不平等を戻すのだという決意でやっていただきませんと、過去のいろいろの経過を十分承知し、その経過の中で交渉をやってきた方々は、非常にアメリカに対して間違った理解を持つ危険がある。そういう意味で今度は日本で行なわれるわけでございますから、大臣、非常に強い決意を御披瀝なさっておられて、非常に私どもは期待をしておるわけでございます。特にこの交渉に当たる委員の諸君に大臣からひとつ大臣の意思を十分体し、国民的背景においてこれを交渉していく、そういうき然たる態度をもっていっていただきたいことをこの際お願いを申し上げておきます。
○中村(寅)国務大臣 田邉委員の仰せられましたように、アメリカから来る代表にはアメリカの業界という強い圧力のあることも事実であります。私は、日本のほうにはいままでかつてない国会満場一致の決議という強い圧力——これ以上強い圧力はないと思います。その圧力を背景にして、全員が力を合わせて、交渉の目的を達したい、かように思います。
○長谷川委員長 そこで中村運輸大臣、ただいまこの委員会で關谷さんあるいは久保さん、みなお話があった問題ですね。やはり向こうへ行っておる国際課長に、向こうの代表団の編成について、国会でこういう議論のあるということを伝えてもらうことが、私はいいと思うのです。大臣のほうから特に航空局長を督励してやってください。 ————◇—————
○長谷川委員長 次に、日本国有鉄道の経営に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
○久保委員 先ほど大臣就任のごあいさつの中で、国鉄の長期計画について言及されましたが、その中で、この長期計画の必要財源についてであります。これはお話によりますれば、財投の拡大というか、そういうものにも限度があるので、この際は運賃の改定に依存する以外に方法がないというようなことを言い切っておられるわけであります。しかも運賃の問題については抜本的な改定の必要がある。これは先般、聞くところによりますれば、経済閣僚懇談会ですか、公共料金の問題についても一応佐藤内閣が当面の方針を出したそうであります。その詳細についてはよくわかりませんけれども、大ざっぱにいうと、公共料金はいままでのストップをやめて、極力低目にするけれども、公共料金についても上げざるを得ない、こういうことだそうであります。そうしますと、たとえばこの公共料金のストップを解除するというだけの話の中でも、だいぶ抜本的な改定ということと、極力低位に押えるということとたいへん違いが出てくると思うのです。 そこで、その問題は別として、当面所管大臣として国鉄の今年度のいわゆる国鉄自体の計画、こういうものはどういうふうに処理されるのか、これをまず最初にお聞きしたいと思うのです。聞くところによりますれば、どうも四十年度予算審議の際に私どもから申し上げたように、国鉄の今年度の大きな財源である運輸収入は、過大見積もりじゃないか。これは計画に非常にそごを来たすのではないかというようなことも指摘しておいたのでありますが、事実は大体そういうことになってきているということが一つ。もう一つは三千億が大体財投その他で、改良計画をするのでありますが、そのほかに三百億という債務負担行為を含めて改良計画は初年度約三千三百億。ところが三百億についてはいまだ債務負担行為のままでいるわけでありまして、何らのめどがついておらないと思うのです。ただし先般、最近の決定的な不景気対策として何か考えられたようでありますが、その中で国鉄に対しては約二百億の財投をやろう。財投とは言ってないのでありますが、何か銭を回して仕事をやらせようということをきめたようであります。これはどういうことなんですか。財投でおやりになるのか、それとも別なところから金を持ってくるのか、これはどういうことになっておるのか。当面の話はそういうことについていかがに考えておるか、これが一つ。 それからあと運賃の問題については、それをお聞きしてからお尋ねしたほうがいいと思うのです。当面の話だけ申し上げたいのであります。
○中村(寅)国務大臣 運賃値上げの問題ですか、この間政府の経済閣僚会議で公共料金の値上げはできるだけやらぬ、しかし、やむを得ないものについてもこれもできるだけ低位に押えていくという方針がきまったことは、御承知のとおりだと思います。私は民間の企業等を見まして、やはりいまの交通地獄の状態とにらみ合わせますときに、いまのままでは国民の輸送というものは確保されない、そういう実情であることは御承知のとおりであります。このまま放置しておくということは、どうしてももう限界に来ておる、かように考えますので、政府のほうに対しましては、できるだけ輸送機関の面については特別の考え方を持って臨んでもらいたいという考え方を持っておるわけであります。
○久保委員 運賃の問題でありますが、これはいずれまたその時期になれば論議の大きな対象になると思うのでありますが、ただ一言申し上げておきたいのは、利用者の負担でやるというのが運賃改定の趣旨だと思うのであります。過去において日本の経済、特に戦後二十年になりますが、この間における経済の発展というか、そういうところに国鉄を含めて輸送——これは海運もそうでありますが、特に内航はそうでありますが、含めて輸送がいわゆる資産食いつぶしというかっこうも途中でありまして貢献してきた、いわゆるてこ入れしてきた、そういうこともあって、今日輸送力が逼迫した、あるいは施設が老朽化しているということがいわれるわけでありますから、単にいまの長期計画を、財投には限度があるから、もう運賃値上げで、利用者だけでひとつまかなってもらおうじゃないかという安易なしかたはすべきではないし、政府の責任を完全に行なったものとは言いがたいと思うのです。その前に国としての施策、運賃値上げによらない施策を考えて、なおしかる後問題があるというならば、そのとき国民経済に及ぼす影響、そういうものもはかりながら運賃の改定、というよりは、運賃の不合理があるとすればこれを是正するということが第二段階だと思うのです。第三段階は言うまでもなく、それでもなおかつというときに初めてここにお述べになった運賃改定ということではなかろうかと私は思う。そういうことを考えずして、単に運賃値上げで長期計画をやりましょう——長期計画の中でも疑問に思うのは、国民的な感情も一つでありますが、東海道新幹線が今日東京−大阪までできております。これまた不完全でありまして、この秋のダイヤ改正までに相当整備しなければ計画どおりの列車を入れられないということであります。 〔委員長退席、田邉委員長代理着席〕 ところが片方、先般新聞を見ますると、国鉄当局は大阪以遠について長期計画の中でこれはやっていこうという。ところが、なるほど山陽筋における輸送の逼迫、これもわからぬわけではありませんが、日本全体を見た場合には、そういうところばかりが輸送の逼迫をしておるのではないのであります。特に、地域格差の是正という問題は輸送を根幹として是正する以外に方法はない。たとえば北海道、あるいは九州、こういうものの輸送の実態を見ますと、山陽に比べてかなり深刻なものが出ているわけです。そういうものもほったらかしにしておいて、またまた、片方の不完全な新幹線をそのままにしておいて、新幹線を延ばしていくというようなことば、これは地域格差を是正する方向にもならないばかりか、全体の輸送を高めていくという方向ではないだろうと私は思うのです。そういうことを考えると、特に運賃を単純に値上げしてやっていこうというようなことは、断じて許さるべさ方法ではないと私は思う。この点は前もって申し上げておくわけであります。これは時間もありませんし、後ほど運賃の問題を論議する機会がありますから、そのときやります。 当面、先ほど言った景気刺激対策というか、二百億金をつけるというが、これは金の裏づけはどうなっておりますか。
○堀政府委員 先般景気対策といたしまして、全体として二千一百億のうち国鉄の分として二百億ということがきまったわけでございますが、この二百億というものは政府保証債であるのか、あるいは利用債、縁故債または特別債的なものであるのか、これはまだそこまで事務的に詰まっておりません。何がしかは政府保証債のものが入るというふうには聞いておりますけれども、そのうち幾らが政府保証債で、その他は利用債、縁故債という形になるか、その点はまだ詰まっておりません。
○關谷委員 関連。この間から物価の安定策その他について、経済閣僚会議が開かれたということを承知しておるのでありますが、その席上でいろいろ議論せられた結果が、輸送を円滑にすることが物価安定の一番のきめ手だというようなことも言われたということも新聞等で聞いておるのであります。経済閣僚会議には、もちろん運輸大臣が入っておるものだ、このように私たち考えておりましたところが、あの経済閣僚会議には運輸大臣は入っておらないのだというふうなことを——これは、もし入っておるのなら私の聞き間違いかもわかりませんが、経済閣僚会議の中には運輸大臣はそのメンバーに加わっておらないのだというふうなことを聞いて、私はあ然としたのでありまするが、この経済閣僚会議には、大臣はメンバーの中に入っておりますか、入っておりませんか。
○中村(寅)国務大臣 経済閣僚懇談会には入っておりますが、政策会議のほうには入っておりません。党との話し合いをやっておるのには入っておりませんが、関連がある場合には出ております。
○關谷委員 これは政策会議の際にも中へ入るべきだと思いますので、これは総理のところへ大臣のほうから、入れてくれなければ交通政策については責任を持たないぞと言えば入れざるを得ぬと思います。ひとつ大臣のほうから積極的に割り込んでいただきたいと思います。運輸を伴わない経済政策というものはあるべきものでないと思います。私はこの点もいささか憤慨をいたしておりますので、ひとつ大臣のほうから積極的に総理に言って、そうしてそのメンバーに加わるようにしていただきたいと思います。
○中村(寅)国務大臣 総理とよく相談したいと思います。
○久保委員 いま堀鉄監局長から話がありましたが、二百億は何になるかわからぬ、わからぬものを発表したって、景気対策になりっこないと私は思います。景気対策は別として、三百億の債務負担行為の肩がわりである、そうなんですか。
○堀政府委員 三百億の債務負担行為とは別でございます。
○久保委員 それでは、その三百億の債務負担行為は現ナマにかえられる見通しは今日あるのかどうか、いかがですか。
○堀政府委員 前の年の予算の時期のときの話し合いでは、三百億はとりあえず債務負担行為としてつけておくけれども、これは一月以降の運賃是正によってこれをカバーするのだという話し合いになっております。
○久保委員 それは部内の話し合いであって、少なくともそれは国会で答弁する話し合いではない。国会にはとにかく債務負担行為三百億として出てきておる、それが結局国会に法案を、運賃改定の問題を出さぬで、来年の一月から運賃を改定するから、それに対し三百億だというがごときは、国会答弁でできるはずはないですよ。それは不見識ですよ。国会の権威を傷つけることですから、それはだめです。だから公式の話として聞いておるのです。そういう裏話もあったかもしれないが、三百億は結局いま宙に浮いておる形ですね。
○堀政府委員 一月から運賃是正ということが前提になっておりますが、それがそうならなければ先生のおっしゃるような宙に浮いたようなかっこうにならざるを得ないと思います。
○久保委員 そうすると、いまのような話だとすると、雲をつかむような話になってきて、最近の国鉄の収支の状況というか、特に営業収入の上がり高ですね、予算と比較して収入のしかたはどうなんですか。
○豊原説明員 ただいまのところ、天候の関係それから景気の増高ということによりまして、少なくとも二百数十億程度の年間収入不足が見込まれております。
○久保委員 年間二百数十億の赤字ですね。
○豊原説明員 予算に対し……
○久保委員 そうしますと、景気対策で、二百億どこかから金を見つけてきてやっても、これはその面ではとんとんということになりますね。あとの三百億は始末のしようがない。これは鉄監局長の言っていることは国会では通らない。来年一月から運賃値上げを予定して三百億をつけたということは、話にはなるかもしれないが、国会の正式の論議にはなっていない。そうしますと、国鉄は長期計画自体が初年度から大体完全にはできかねる、そういうことになりますね。そういう実態だろうと思いますが、そうですか。
○豊原説明員 先ほどの三百億の債務負担行為につきましては、これは予算で定められておるとおり、債務負担行為でございますが、これは御承知のとおり契約はできる。仕事にも着手が可能でございますから、ただいまの収入の減を何によってまかなうかという問題はございますけれども、長期計画の初年度といたしましては、私どもといたしまして計画どおり仕事を進めていきたい、こう思っておるわけでございます。
○久保委員 計画どおり進めるとおっしゃるから、金はなくても、国鉄はやりくりがうまいようでありますから何とかやっていくだろうと思いますが、ただ問題は、当面それじゃ東海道新幹線を 十月から輸送力増強をやっていくそうであるが、実際に計画どおりいっているのかどうか。計画どおり十月一日からいまの四時間運転を三時間運転 にして、かなりの輸送力をあげるというのは、それは計画どおりいくのかどうか、これはどうなんです。
○豊原説明員 東海道新幹線におきましては、この雨期の初まりにいろいろ事故が起りまして、ただいまそれに鋭意対策を講じておるわけでございます。何分にも国鉄の仕事といたしましては、安全が第一でございますから、その点についていま技術的な検討を重ねておる状態でございます、近く結論を出したいと考えておりますが、ただいま技術的な検討を重ねておる段階でございますので、十月から絶対にやるという御返事はいたしかねる段階でございます。
○久保委員 これでやめますが、とにかくわれわれとしては、三十八年から三十九年にかけての通常国会に、実は国鉄の整備に対する方針を出しました。これはことしの通常国会には一応出さぬことになっておりますが、問題は国鉄の再建というか緊急整備を単なる運賃値上げでやっていこうというようなことは、これはもう限界があってできないことは、過去において二回も三回も経験しておるわけであります。そのとおりなんであります。でありますから、先ほど運輸大臣が答弁したように、運賃値上げでひとつやっていこうというようなことだけで、政府が逃げるとするなら、やはりあやまちをおかすことになると思うので、われわれが出した方針についても十分検討されて、まず政府が何をやるべきか、それを考えて取り組まれるよう強くこの際要望して私の質問を終わることにいたします。 ————◇—————
○田邉(國)委員長代理 次に海上保安に関する件について調査を進めます。 この際、政府当局から発言を求められておりますので、これを許します。猪口警備救難部長。
○猪口説明員 この八月一日から二日にかけまして、大阪港並びに相模湾で海難事故が二件ございました。これにつきまして御報告申し上げたいと思います。 お手元にあります資料に基づきまして御報告申し上げます。 最初、大阪港内におきましての「やそしま」と芦屋丸の衝突事件について御報告申し上げます。事件の概要は、八月一日、大阪港内におきまして、大阪通船運輸所属の「やそしま」(二十二トン、乗組員四名、乗客五十五名)が、港内遊覧を終え、天保山桟橋に向け六ノットで航行しておりましたところ、たまたま、日立造船所所属引き船芦屋丸(百四十九トン、乗組員十名)が「やそしま」の左舷後方約二十メートルを桜島造船所に向け八ノットで航行中、突然右回頭を始めまして、午前十時四十五分、安治川信号所の二三九度、四一〇メートルにおいて「やそしま」の左舷後部に追突し、「やそしま」は瞬時に横転沈没いたしました。その際海上に投げ出されました乗客等は、芦屋丸及び付近船舶等によりまして四十二名、乗客三十八名、乗り組み員四名が救助されましたが、現場に急行いたしました大阪海上保安監部巡視艇は地元の警察船、消防艇、大阪府警のアクアラング隊等と協力いたしまして、行方不明者十七名の捜索等に当たりました結果、行方不明者は二日午前三時五十五分までに全員が死体となって揚収されました。死亡者は二十名でございます。乗客の五十五名中四十九名は、和歌山県橋本市菖蒲谷小学校の児童及びその家族で、犠牲者二十名中十九名までが同関係者でありました。これにつきまして海上保安庁でとりました措置は、大阪海上保安監部は一日十時五十分ごろ、情報を入手するや全所属艇に出動を指令するとともに、第五管区海上保安本部に対しまして隣接海上保安本部から応援を要請いたしました。大阪海上保安監部巡視艇「しまかぜ」は一日十一時零分、また消防艇「しらいと」は十一時十分にそれぞれ現場に到着、直ちに捜索を開始し、自後次々に合計十一隻が現場に到着、捜索、現場の警戒、調査等に当たりました。 大阪港長は潜水夫、アクアラング隊の水中捜索とクレーン船による「やそしま」の引き揚げの警戒のため、一日十一時以降、現場付近の交通の制限を行ないましたが、行方不明者及び「やそしま」船体の揚収によりまして、二日四時十分、制限を解除いたしました。 本件の捜査に当たりましては、大阪海上保安監部が主体となりまして、大阪府警と合同捜査することとし、両船の船長その他関係者の取り調べを開始するとともに、芦屋丸及び「やそしま」の実地検証を実施しております。芦屋丸船長は、舵取り機及び機関の遠隔操縦装置の故障を最初は申し立てておりましたが、八月二日に行なわれました芦屋丸の実地検証におきましては、上記の故障が認められなかったので、同日午後七時四十五分、船長を業務上過失艦船覆没同致死傷罪容疑で逮捕し、引き続き厳重にその原因を究明中でございます。 これにつきまして本日までわかりました状況をつけ加えて御説明申し上げますと、芦屋丸の船長については、まだはっきりと船長の操船のミスであるということを確認するに至っておりません。なお厳重に追及しておりますので、そのうち船長のミスであるかどうかということも、早晩はっきり判定できるようになると思います。 次に、大島付近海域の濃霧による海難について、お手元にある資料について御説明申し上げたいと思います。 八月一日及び二日両日の夜間から払暁にかけまして、太平洋高気圧から吹き込んでまいりましたあたたかい南風によりまして、伊豆大島及び銚子東方海域一帯にかけ濃い霧が発生し、このため一日早朝には、東海汽船会社の旅客船橘丸が、大島の岡田港口に乗り上げ、翌二日早朝には米国の貨物船アリゾナ号と油送船明興丸との衝突事件、またほかに衝突事件が二件、乗り上げ事件が一件発生いたしました。 そのうち貨物船のアリゾナ号と油送船明興丸の衝突事件につきまして詳しく申し上げますと、お手元の資料にもありますとおり、事故の発生いたしました日時は、二日の午前二時九分ごろでございまして、場所は大島と下田を結ぶ、ほぼ中間の場所でございます。「アリゾナ号」はアメリカのステート・スチーム・シップ・カンパニー所属の一万二千七百十一トン、乗組員が五十七名、旅客十二名、雑貨等七千二百トンを積載いたしまして、横須賀からマニラに向かう途中でございます。片や明興丸は、横浜市の明和海運会社の所属でございまして、総トン数九百九十五トン、乗組員十九名、お手元の資料に十八名と書いてございますが、その後判明したところによりますと十九名でございます。これは空船のままで四日市から千葉に向かう途中でございました。 この事故によりまして両船の被害状況は、アリゾナ号は船首部両側に擦過傷がある程度でございますが、明興丸は船尾部の約四分の一を切断されまして、船首部は転覆漂流し、現在サルベージ会社の手によりまして館山に曳航されて、本日はそれを巻き起こす段取りになっております。その結果、乗組員は一名救助されましたが、一名は死亡、それからけさまでにそのほか二名死体となって発見されております。行方不明が現在十五名になっておるわけであります。 事件の概要、救難措置等につきましては、二百午前三時三十八分、アリゾナ号が前記日時場所におきまして、漁船らしきものと衝突し、捜索中なる旨の緊急通信を発しました。その緊急通信によりまして、第三管区海上保安本部及び下田海上保安部は、直ちに巡視船「げんかい」及びビーチクラフ5〇2号機に捜索救助を指令するとともに、管下部署に該当漁船があるかないかという情報収集を指令したわけであります。巡視船「げんかい」は二日午前五時三十分下田出港、午前八時現場に到着いたしまして捜索を開始、またビーチは現場付近の濃霧の晴れるのを待ちまして、午後一時羽田を出発して捜索に従事いたしました。 その間、下田海上保安部は午後二時三十分、大島警察署から警視庁を通じまして、伊豆箱根鉄道所属の熱海−大島間の定期船伊豆箱根丸が午後十二時三十五分ごろ大島元町西方二・五海里付近におきまして、明興丸の二等航海士町田末義を救助し、大島に上陸せしめ、同人は岡田病院に入院、加療中である旨の情報を得ました。その後、昨日でございますが、この二等航海士につきましても、当時の状況聴取を行なっている次第でございます。 その後、三管本部におきましては、明興丸警備救難対策本部を設け、本部長直接指揮のもとに事件の処理に当たり、巡視船「げんかい」「しきね」「むろと」と航空機ビーチクラフト5〇2号機をもって救助船隊を編成し、捜索救難に現在も当たっております。 午後二時、巡視船「しきね」は、大島風早崎から二百六十九度、三・二海里におきまして転覆漂流中の船体及び無人転覆漂流中の救命艇、第一明興丸と記入いたしてあるものを発見、船体をハンマーでたたき、生存者の有無を確めましたが、何らの応答もございませんでした。なお、引き続き船隊による捜索を続行中でございます。 二日午後三時ごろ漁船第八上次丸が大島乳が崎西方三海里付近において水死体一体を揚収、大島警察に届け出ました。この水死体につきましては、巡視船が明興丸の乗組員の家族を現場まで運びまして、その水死体の確認に当たっております。 三管本部は午後三時アリゾナ号の代理店を通じまして、事情聴取のため本邦もよりの港に入港するよう該船に要求いたしました結果、八月三日午前十時四十分横浜に入港いたしまして、自後三管本部におきましてこの間の事情を調べておる次第でございます。 転覆漂流中の船体は、先ほど申し上げましたが、甘糟サルベージの妙見丸によりまして館山まで曳航され、本日巻き起こす段取りになっております。 その他の海難は、別表のとおり五件ございますが、いずれも人命には異常ございません。ただ、橘丸及び第二日東丸につきましては、若干船体に損傷がありました。 このアリゾナ号につきまして、現在まで判明しております取調べ状況につきまして御報告申し上げますと、まずアリゾナ号は、先ほど申しましたように、昨日の十時四十分に横浜に入港いたしましたので、直ちに実況見分を開始いたしました。損傷個所あるいは船首についておりますペイント等を採取いたしまして、その鑑定を警察に委嘱しておる次第でございます。また、直ちに船長、二等航海士、操舵手、見張り員につきまして、米人の弁護士、それから米国のコーストガード司令官の立ち会いのもとに、現在取り調べております。また明興丸につきましては、生存しております二等航海士につきまして取り調べておりますが、現在まで判明しております両関係者の供述によりますと、ア号につきましては、濃霧中でございましたが、十七ノットで走っておった。それから観音崎からずっと霧中信号は継続しており、また船首に見張り員を立てておった。前方にあかりを認めた瞬間には、もうすでに船首にショックを感じて、先ほど申しましたような大きな事故を引き起こしたわけでございます。レーダーは常に使っておりましたが、その明興丸らしき船影はレーダーには認めていなかったということが、アリゾナ号の船長につきましては取り調べで供述されております。明興丸の二等航海士につきましては、当時の当直は二等航海士と甲板長、それから甲板員、この三名でございましたが、たまたま濃霧のために船長は船橋をおりないで、そのまま船橋で指揮をとっておりました。そのため二等航海士自体は、船位またはコース等につきましては全然船長から話を聞いていないので知らない、ただし、その当時の速力は十ノットだつたということを申しております。明興丸は霧中信号を行なっておったようでございます。また衝突の直前におきましても、何回か他船の霧中信号は聞いておるようでございます。おそらくアリゾナ号の霧中信号だと思います。現在までわかっておる両船の関係者の衝突に関係いたします供述内容は、以上のとおりでございます。なお、本日も引き続き両船の関係者につきまして取り調べを続行、責任の所在を追及する段取りになっております。 以上、大阪港及び相模灘付近の海難事故につきまして御報告を終わります。
○田邉委員長代理 質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
○肥田委員 私、この明興丸の沈没について若干質問いたしますが、この二日の日の新聞には、朝日新聞の記事でしたが、三時五十五分アリゾナ丸から保安庁——新聞にはそう書いてありますからそのとおり言いますが、うろ覚えの点が若干ありますから、その点はあとで間違っておれば訂正します。三時五十五分ごろにアリゾナ丸から保安庁に対して、衝突らしい強いショックを受けたという電報があった、こういうふうに新聞に書かれておる。これで見ると、三時三十八分に緊急通信があった、こういうことですから、若干の時間の違いですからいいのですが、そこで問題になりますのは、ここで事故の起きたのが二時九分ということになっておるのです。三時三十八分までの一時間二十九分という間については、これは調査で当然明らかになると思いますが、このアリゾナ丸は、さっきあなたの報告にあったように灯火を認めたということですから、明らかに船体と衝突したということはわかっておる。その場で一体どういう処置をとっておったのか。あなたのほうで調査がまだできていない、調査途中でしょうから、概略でいいですが、その間このアリゾナ丸は一体どうしておったのでしょうか。
○猪口説明員 午前三時三十八分、アリゾナ号から次のような内容の緊急通信が発せられたわけでございます。その内容といいますのは、八月二日午前二時九分ごろ、下田の東北東約十三海里のところで漁船らしきものと衝突し、目下捜索中である旨の緊急通信が発せられまして、これによって先ほど申しましたような救難措置を講じたということでございます。
○肥田委員 それから、そういうことですと、このアリゾナ号はその衝突というものを意識をして、直ちに救助体制とったということですか。
○猪口説明員 そのとおりでございまして、先ほど御報告いたしましたように、午後の一時三十分まで現場を捜索しておったわけでございます。ただし、濃霧中でございまして、船体も何もわからないで救助艇をおろす段取りにはされていなかったようでございますが、その間の事情も目下取り調べ究明中でございますので、そのうち判明いたすと存じております。
○肥田委員 われわれは一点、こういう点をふしぎに思うのです。衝突を明らかに意識をして、そしてその捜索に当たっておった、これはわかりますが、それでこの経過から見ると、船体をもう全然見のがしてしまっているのでしょう。こういう点はわれわれはどう想像したらいいのですか。その点一つです。まあ、いずれ調査の結果わかるでしょうからそれは聞くとしまして、衝突をして、そして相手がごぼっといきなり沈んでおったら、これは捜索をしても人が浮いてくるのがわからなかったということがあると思うのです。ところがこれで想像すると、船体は二つに切れているのですね。それで一つは見つかっておるのですね。一つは見つからないということになると、沈んでいるということになるのですね。そういうことですから、半分は浮いておった。半分浮いておる船体が衝突して見つからないというのは、スピードが速過ぎて、それで帰ってきたときにはもう全然わからなかった、こういうことが想定されるのですが、この点が一つ。 それから、この衝突地点から半分に切れた船のかけらが見つかったという地点までの距離、これはどれくらいあるのですか。
○猪口説明員 なぜ見つからなかったということにつきましては、厳格に申し上げますと海難審判庁で審査される内容だと思いますが、私たちの現場、当時の気象状況等を判断しての単なる推測でございますが、それから船長の先ほど申しました供述内容によりますと、両船は十ノットと十七ノットで行き会っているわけです。行き会って、その船体の後部約四分の一のところに十七ノットの一万二千トンの大型船がぶつかったということでございますから、おそらくその当時もその十七ノットというスピードはある程度持続しておったということははっきり言えると思います。しかもそれが視界ゼロの濃霧でございますので、ぶつかったとたんに十七ノットで相当な距離まで行っていると思います。それを引き返して探したわけなんですが、結局午後の一時までやはり霧が晴れないために、おそらく船体を発見することができなかったんではないかと想像せざるを得ません。また私たちの巡視船「げんかい」も午前八時には緊急通信の出されました位置につきまして捜索いたしましたが、やはり濃霧のために直ちに発見することができないで、午後の一時過ぎになりまして霧が晴れてすぐ発見できたということでございます。 それから発見されました位置と事故の起きました位置との距離的な差は約十海里くらい違うようでございます。発見されましたのはもう大島近く三・二海里のところで発見されましたし、衝突事故を起こしました位置は十三海里のところでございますので、相当な開きがあつたということがいえると思います。これらも私たちのほうで目下取り調べ中でございます。
○肥田委員 いまの問題についてはいずれ経過がはっきりわかるでしょうから、われわれここで想定がましいことは申し上げません。 それからもう一つお伺いしたいのは、こういうことを耳にするのですが、これは話ですから、ひとつそういうふうに聞いてもらいたいと思うのです。最近日本の近海を航行するアメリカ船が、それはベトナム補給の関係やいろいろな問題があるでしょうが、非常な高速度で走っておるということを聞くのです。それは同時に日本の近海の時に夜間航行、濃霧の際の航行、こういうものに対して非常な脅威を与えているのだという話を聞くのですが、これはあなたのほうに何かそういうものについての情報というものを持っておられますか。
○猪口説明員 そういう内容につきましての情報は、私たち持っておりません。
○肥田委員 まあそういう答弁しかできないだろうと思うのです。しかしこれは船の人から聞く話ですから、まんざら根のない話でもなかろうと思う。したがって、そういうところから思わぬ海難というものも起きるのではないかということが予想されます。私が申し上げたいことは、そういううわさが現に船乗りの人から出ていますから、調査という大げさなものではなしに、情勢を一応把握されるということも必要だろうと思いますし、もしそういうことが事実なら、それぞれの航行船に対しての適切な指示を与えられるということも必要だろうと思いますから、これだけ申し添えておきます。
○田邉委員長代理 次会は、来たる六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十三分散会