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48回国会参議院1965/03/06

予算委員会 第5号

発言数
208
登壇者
17
会派数
2
開催日
1965/03/06

会議録

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告いたします。  本日、田畑金光君、亀田得治君、戸叶武君、山崎斉君、櫻井志郎君が辞任され、曽祢益君、稲葉誠一君、永岡光治君、中野文門君、栗原祐幸君が選任されました。     —————————————

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) 次に、理事の補欠互選を行ないます。  現在当委員会におきましては、理事が二名欠員となっておりますが、本日は都合によりまして、理事一名の互選を行ないたいと存じます。その互選につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認めます。それでは高山恒雄君を理事に指名いたします。     —————————————

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) 昭和四十年度一般会計予算、昭和四十年度特別会計予算、昭和四十年度政府関係機関予算、以上衆議院送付の三案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。木村禧八郎君。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 佐藤首相は、人間尊重の政治、失われた人間性を取り戻す政治を行なうことを繰り返し公約してまいりました。しかし、予算の裏づけなくして幾ら人間尊重の政治を強調いたしましても、それは見せかけのスローガン、絵にかいたもちに過ぎないと思います。四十年度予算は、この失われた人間性を取り戻す政治を強調された佐藤首相のもとで初めて編成された予算であります。したがいまして、われわれが国民にかわってこの予算案を審議し、検討する場合の着眼点の一つは、はたしてこの予算案が、人間尊重の政治の裏づけとなっているかどうかという点にあると思うわけであります。こうした観点に立ちまして、私は経済問題、特に税金、物価、中小企業の三つの問題を中心に、それらと予算案との関係、人間尊重の政治との関係について質問いたしたいと思います。  具体的質問に入る前に、まず佐藤首相に確認しておきたいことがあるわけです。それは、政府が国会で公約いたしましたことは責任をもって守るつもりであるかどうか。これは国会だけでなく、あるいは公党との関係もあると思いますが、特に国会で政府が公約した点につきまして責任をもって守る御意思があるかどうか。これは言うまでもないことでございますが、ここであらためて確認をしておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 公約した事項——国会において、国会の場で公約した事項、これは忠実に実行する責任が政府にある、かように考えております。ただいままでも、そういうことについては最善の努力を払っておると、かように確信いたしております。

藤田進日本社会党

○藤田進君 関連。ちょっと気になる点がありますので、確かめておきたいのです。  国会だけで、公党間にとか、党と政府との間にとか、そういったいわゆる一連の約束については、これはどうなんでしょう。これは当然守られなければならぬと思うわけです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま話し合いあるいはお互いに約束をする、こういうような事項につきましては、もちろん責任があると思います。国会運営にあたりましても、両党間——自社両党間において話し合うことがございますが、そういう事柄については、もちろん忠実に責任を負うと、かような立場でございます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 関連。総理の答弁に関連して……。ただいま総理の発言がございましたが、総理のいまの答弁とは、実際は非常に違う問題がございます。それは法案について与野党の間でこれを通過させるためのいろいろな話し合いの際に、政務次官が加わり、別室には大臣まで待機している。そしてお互いが協議して、その法案を通過させるためのある一つの前提になるべき条件をとりきめた。お互いに固い約束をした。そして社会党は政府与党に協力して法案を通過させた。法案が通ってしまったあとに、この約束を破ってやらないということを政府がやった場合には、総理のいまの発言とはたいへんな違いが起こってくるわけです。実際に私のほうで、一つそういう問題にぶつかって、いまたいへんなことになっているわけですが、こういうことについて総理は知っておられて、先ほどの発言をなさいましたか、それをお伺いします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私具体的な事項についてのただいまの発言かと思いますが、私は一般的に申しまして、やはり約束事項はこれは誠意をもってそれを処理しないと、これから後の信用にも関する、かように私は思います。それで私は、率直に私の所信を表明いたしたのであります。ただ、いろいろお話を聞いてみまして、片一方で約束事項と言い、また片一方ではそういうような具体的な約束がなかったとか、こういうような事例がしばしばあるのです。申し合わせをした事項についての両者間の言い分の相違がしばしばございます。こういう点は、両者間においてその相違がどういうところからきたのか。ただ単に、約束事項だと、こうきめつけないで、そういう点は十分話し合っていただいて、そうして両者の意見の相違、それはこの点から出てきたのだ、こういうことが明確になりますと、この後の交渉、その他におきましても信用を失わなくて済み、おそらく円満に解決ができる、かようなものではないだろうか、私かように考えます。

米田勲日本社会党

○米田勲君 私のことば足らずで……、実はいまの総理の答弁を聞いて、私急いだものですから、あまり時間をかけないでお聞きしましたので、もう一度申し上げます。  両方の主張に、その後になって、約束を一方ではしたと言い、一方は約束まではしなかったと言う。そういう場合には、多分に問題が別になります。ところが、社会党もこういうふうに約束をしたと言い、自民党の部会もあげて、あげてです、約束したと言い、政務次官も約束をしたと言っておる。それを確認しておる、公式の会談で。それにもかかわらず、あなたの閣僚の一人は、この約束を知りつつ、自民党の部会のすべての人がそれをやってはならないととめているのにかかわらず、強引に閣議にかけてこのことを実行してしまった。そういう事実があって、いま紛糾しておる、実は。ですから、私は総理の先ほど答えたとおりであるべきだと思いますので、この問題は、いまここで私は長々と関連質問ですから続けませんが、総理の発言のとおりに決着をつけてもらいたい。そうでないと、正常なる国会の運営も、お互いの信頼も、そこなわれてしまうことになるのでありますから、そういう点を十分に配慮して今後善処してもらいたい。総理に再度お聞きします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 簡単にお答えいたします。約束があればもちろん私が申し上げたとおりでありますが、しかしながら、交渉事におきましては、両者の言い分の基本的な点に誤解があり、その認識を同一にしない場合がしばしばございます。ただいまは米田さんは、これはもう絶対にそういうことはないと言っておられますが、それぞれの言い分があるだろうと思います。もう一つは、非常にはっきりした約束はした。その後、誠意をもってこれを解決しようとした。しかしながら、実情等の点でどうしてもそれができないという場合もあります。このときに、やはり子供の話し合いではございませんから、それらの事情が十分わかれば、やはり誠意がある処置をとってくれたが解決ができなかった、こういう場合もありますから、そういう場合は、その誠意を了として、そうして他の解決方法をはかっていただく、かように私はしたい。これが両党これからいろいろ問題があるだろうと思いますが、そういう方向でないと、ものごとが進んでいかない、かように思いますので、どうかよろしくお願いしたい。

藤田進日本社会党

○藤田進君 関連。米田君の指摘する問題も非常に明確な問題であります。約束して、実行しないというのに実行してしまったという問題であります。それから私は、ここに新しい二つの実例を引きますが、その第一は、実行するという約束のものを実行していないという、これはまた逆のあれですね、あと努力してみたが、だめだと言いましても……。私が指摘するのは、通産大臣との間に電気事業審議会について、これはもうはっきりと書きものにして約束がしてある。これが実行なさるのだと私は思いますが、いまだに——事の性質上すでに発足すべき審議会がいまだに発足していない。これなどは非常に明確なんですから、これは実行するのだ、すみやかに約束どおり守りますということは言えるのじゃないだろうか。総理大臣並びに通産大臣に具体的な例ですからお伺いしておきます。  もう一つの例は、いま私どもの手元にこうして山ほど積まれておりますが、私いろいろ調査いたしました。立法府の権威にかけても処理すべきものだと思っってやっておりますが、附帯決議についてほとんど、ほとんどと言ってよろしい、政府は実行していない。先般の予算委員会でも経済企画庁長官に関することを一つの例として指摘して、総理も企画庁長官を督励してやりますと言われましたが、この国会には何の措置もないということなんであります。この附帯決議については、いま一々それを御答弁願うことは無理かと思いますから、これなどは、ひとつこの際、閣僚を督励されてイエス、ノーをはっきり、もう選別される段階にきておると思います。資料は収集しておりますから、必要があれば逆に政府にこちらが提示いたしますが、実行してもらいたい。最近は附帯決議がその場のがれの形に、政府もそうだが、また議会側にも若干そういうきらいはなしとしないのであります。これから本会議並びに委員会における議決は守ることを前提にしてやっていきたいという意味で、指摘いたしましたわけであります。これらについて総理並びに通産大臣の御答弁を賜わりたい。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま電気事業審議会の委員の問題について具体的にお尋ねがあった次第でございます。  前大臣以来、種々経緯がございましたが、藤田委員ともお話をいたしまして、この範囲ならばできるのではないかというようにだんだん話が詰まりまして、藤田委員から覚え書に署名をしておいてくれと、こういうことで、私もこの程度ならばできると、こう思って署名をいたしました。しかし、その後におきましてその署名どおりに実行すべく努力をしてまいりましたが、その署名の内容が法律的に見て多少表現がどうかと思われる点もございまして、また審議会を発足せしめる以上には、将来にわたって円滑にこの審議会が運営されることが適当であるというようないろんな問題が起きてまいりまして、私が誠心誠意これを実現したいと思いましても、そういうような批判が出てまいりました結果、これはどうもぐあいが悪いということで、この席上でたいへん恐縮でございますが、藤田委員には、どうもあれは私が間違っておった、これはお許しいただきたい、こういうふうにおわびを申し上げたのであります。もとより、私はいまでもできるだけ、当時一応お約束したのでありますから、何とかその近いところで解決をいたしたい、そこで現在話の間に入っていただく方々もございまして、いろいろ検討していただいておる次第でございますが、すでに私としては、これは軽率にそういう覚え書きに署名をしたのである、これはまことに相すまなかったということで、藤田委員におわびをし、しかしできるだけのことをいたしたいと、目下努力をしておるようなわけでございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろ問題があるようですが、こういうことばは、これは最も大事なことですから、一般的に申しまして、約束は、そう簡単に約束を取りつけないこと、将来とも気をつけること、そういう意味で一そうよくなるだろうと私は思います。  また、ただいま御指摘になりました附帯決議等におきまして、ただいま仰せのごとく、あるいはときに気休め程度の附帯決議である——これは私は全部さようだという意味ではございません。もちろん、国会の決議でございますから、真剣に決議されるものが大部分であり、そういう例外はきわめてわずかだと思いますが、そういうことが間間将来に問題を残す、こういう事柄につきましても、真剣に双方で十分検討して、しかる上で、結論を出す、約束することは約束する、また約束のできないことは約束のできないこと、こういうような扱い方をすれば、よほど変わってくるのではないか。私も大臣をしております際に、附帯決議のそれぞれついた事例がございます。そのつど、政府の所信として、御趣旨に沿うように善処いたしますと必ず発言をいたしておりますが、これがあとで、ほごになるようでは、これは何とも申しわけのないことだと思います。ただ、時期的にそれがいつの時期か、この次だと、かようにまでは申していないかもわからない。しかしながら、おそらくあの附帯決議は、早急にそれが実現することを、だれもが期待するのでありますから、そういう意味で、こういう点につきましては一そう慎重に扱われること、また政府側も、そういう意味が十分検討なしに、この際附帯決議でこの案件は済むと、こういうような安易な気持ちにならないで、まじめな気持ちで取り組むことが国会の審議をして一そう権威あらしめるものだ、かように私は考えます。  ただいまの通産大臣の事件につきましては、これはたいへんお約束もございますから、私がさらにまた善処することも考えてみたいと、かように思います。ただいま通産大臣は非常に率直にその困難な点を申し上げて御了承を願ったようでありますが、しかし、なかなかそういうことじゃ了承できない、こういうお立場でございます。さらに私もよく検討することにいたしたい、かように思います。

藤田進日本社会党

○藤田進君 通産大臣にお伺いしますがね。私はあなたの真意を確かめた上で判断をいたしますが、昨年の十月の九日に署名しておきながら、しかもこの内容に何らの無理もないのに……。これは実行できるのですか、できないのですか、あなたの御答弁はまことにあいまいです。おわびする以外にはない、しかしできることならそのように努力する——一体どうなんですか。これは総理見てくださいよ。二十名もある委員に総評の一名入れるといって、ちゃんと、二名を入れるという約束を、一名にしてくれと言うから、協力する意味で一名にまでしているのに、それがまただめだなんというなら、ここで幾ら質疑をやってみたところで何の価値もない。何の問題についても、そんな見識のない約束であったのかどうか、はっきりしてもらいたい。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) まことに申し上げにくいのでございますが、こういう覚え書きに署名をしたというその後におきまして、この国会における速記録その他からして、これはどうも通産大臣行き過ぎじゃないかと、こういうような御批判も起こりました。それで私も速記録等を見ますと、なるほど表現その他どうも穏当でない点がございます。そこで私としては、せっかくお話し合いが進んで、こういうことになったのでありますから、これを実現すべく——実際これは藤田委員よく御承知だと思うのであります。きょうまであらゆる努力をしてまいりましたが、この署名されたものが表に出ておりますと、なかなか問題は多うございまして、批判を受ける、そういうことで人選が進まぬと、こういうことから、これはどうも私が当時事情を十分知らずにこの署名をしたものである、だからこれはどうぞお許しをいただきたいということを申し上げておるわけであります。しこうして、この書面の中からは実現のできる範囲もございましょう。したがって、いま間に入っていろいろ御奔走願っておられる方もあり、私は解決をしたいという誠心誠意で本日までまいっておるわけであります。また私として、行き詰まっておりますから、第三者の方にもお願いをしてお話し合いを詰めておると、こういうわけでございます。ですから、実現のできない面もございましょう。しかし、あるいはお気持ちの一部を実現することもできましょう。いろいろあるのでございまして、この点は、重ね重ね、藤田委員にも、また私のほうの政務次官からも、るる申し上げておるところでございます。

藤田進日本社会党

○藤田進君 このことは、突如として出たのではない。電気事業に関連して、いま厚生大臣である神田博——当時の衆議院商工委員、始関商工委員会理事、福田通産大臣、宮本公益事業局長、瀬川技術長というふうに段階を経てきちっと話がきまって、それを変更するというから、文書にしてあなた方がおっしゃるとおりにしようといって、おっしゃるとおりのことを文書に皆さん書いておいて、みずからまた、その次もだんだん外堀から埋めていくようなやり方は私は承知しないというのです。これは総理も若干事情は御承知のようでありますから、総理がどう善処なさるか、再度、恐縮ですが、お答えをいただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、これは政府部内の問題も関連いたしますので、他の大臣ともよく相談をいたしまして、できるだけ御期待に沿えるように私どもも努力したいと、かように考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 こういう問題がここで問題になるのは非常に遺憾だと思います。当然、国会で公約したことは守るのがあたりまえですよ。それが守られないということがこの国会で議論になるなんということは非常に醜態であり、遺憾だと思うのです。あとでまた、この問題については具体的に私は質問いたします。  そこで、これから具体的な質問に入りますが、第一に税金問題について質問いたしたいと思います。  まず、総理大臣に伺いますが、この四十年度予算は、御承知のように、三兆六千五百八十億八千万円、「年じゅうハレバレ予算」と言われていますが、その財源として税金収入を三兆二千八百七十七億円と見積もっておりますが、この歳入見積もりは、最近の税収実績から見まして過大見積もりであると思うのでございますが、はたしてこれだけの税収を確保できるとお考えかどうか、まずこの点伺いたい。これはまず包括的に総理大臣に伺って、あとでまた大蔵大臣にこまかいことを伺います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) これは、御承知のように、税の見積もり方法を、専門家でいらっしゃるから、よく、私が申し上げるまでもなく、御承知のことだと思います。いままでの実績等を勘案し、また、四十年度の経済成長の見通しを立て、そうして各税目別にこれを計算して、そうしてそれを集計したものであります。ただいま、これは過大ではないかと、かように言われまするが、まあこの点は、私どもは確信を持って、これはだいじょうぶだと、かように考えておるのでございます。あまり多くを申し上げなくとも御承知のことだと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣ね。この税収見積もりを行なったときと、その後の情勢が非常に変わっているのです。  そこで、大蔵大臣に伺います。三十九年度のこの税収の実績見通しを伺います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 一月末におきます税収の、補正後の予算額に対する収入歩合は七七・八%ということでございます。前年同期の決算額に対する収入歩合は八〇・五%でございますから、二・七%税収としては減っておるということでございます。しかし、これは絶対的な数字ではなく、御承知の、昨年の補正予算を六百五十億計上したわけでございますが、この二・七%下回っておりますというのは、法人税等におきます延納を大幅に認めておるというようなことで、現時点における収入額は減っております。しかし、延納しましたものが大体二月に入るというような事情になっておりますので、現在の状態では、多額の自然増収を期待するということはできません。まあ大体補正額の六百五十億ぎりぎり一ぱいの収入だろうと、こういう考え方でございまして、三十九年度の補正六百五十億を含めた歳入財源は予定どおり確保できると、こういう考え方でおります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そんな楽観的に考えてよろしいのですか。この補正予算のときにすでに法人税百二十億、物品税三十八億ですね、これは減収、減額見積もりをしたわけですね。その後、九月末の歳入不足は三百十一億、十月末が五百五億、十一月末が七百三十二億、十二月末が六百三十六億、一月末が八百六十六億と、歳入不足が毎月ずっとふえておるのですよ。これで一体、この二兆九千六百九十三億の歳入が確保できますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 三十九年度の税収はほぼ確保できると、こういうことでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 「ほぼ」って、これは、この趨勢からごらんになりまして、二月、三月、もっとこれは減ります。一番問題になるのは、法人税、物品税、所得税の源泉分ですよ。これはもっと具体的に、ただそんな感じじゃなく、この趨勢からいって、これは重大な問題ですよ。いまここであなたは当座をのがれるためにそういう御答弁なすっても、今後わかるのですから。われわれこの予算を審議する以上、今後歳入欠陥が生じたら、これは重大な問題——すでに補正のときに歳入欠陥が生じて、二百十三億節約したのでしょう。節約したのでしょう。今後そういう問題が起こらぬといえないですよ。これはもっと具体的には主税局長からでも伺ってもよろしいのですが、それは、この趨勢から見て、そんな、「ほぼ」なんて、そんな問題じゃございませんよ。いままでこんなことはないですよ。これまでの経験上。毎月ずっとこんなに減ってきている、こういう傾向はございませんよ。これは主税局長から具体的に伺いたい。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) お答え申し上げます。  お話のように、三十九年度の税収は、従来のように年度経過中に前年度の実績の収入比率に対しましてそれを毎月毎月上回っていくというような情勢でなく、税収の伸びが少しずつ鈍化してきておる、これは木村委員の御指摘のとおりでございます。結局、現在の経済情勢からいたしまして、特に法人企業の収益が減ってまいりまして、それが大きく響きまして、また物品税とか、有価証券取引税なんかにつきまして、取引がそれだけ少なくなっておる、こういった事情が反映していることは確かでございます。しかしながら、現在の段階におきまして、三十九年度の歳入に欠陥を生ずるかどうかということを検討しますにあたりましては、問題になる点が三点あるわけであります。  一つは、御承知のとおり、補正予算で六百五十億の増加を見込んだわけでございますが、そのうち二百五十億は申告所得税で見ておる、四割を。自然増収の四割を申告所得税で見ておるわけでございますが、これは、御承知のとおり、三月十五日までの確定申告時限に納付いたしますので、三月末の収入を見ないと、それだけの自然増収が期待できるかどうか、はっきりいたさないわけであります。もし、この金額が期待どおり入ってくれますれば、三月末に入りますと、前年に比べて収入歩合がそんなに落ちない姿になってくることと存じます。  それから、いま一つは、税収のウエートで大きく占めておりまする法人税につきまして、昨年九月決算の分が十一月に入ってきたのでございますが、そのうち延納になっておる割合が、前年は三三・七%でございましたが、これが昨年九月期の分は三八・二%と、約四・五%延納率がふえておりまして、これが、先ほど大臣が申し上げましたように、二月末に入ってまいります。  それからいま一つは、一月末に、前年の実績に比べまして二・七%収入歩合が落ちておりますが、これは、御承知のとおり、一月三十一日が日曜日でございまして、月末が日曜日になりますと、税の納入は翌日に延期してよろしいということになっております。二月一日に税収になっておる分があるわけでございます。それがずれております。それから二月の二十八日も日曜日でございますので、これがやはり三月一日にずれる。こういった事情がございますので、そういった事情を含んで計算いたしてみますと、現在の段階におきまして、三十九年度において歳入欠陥を生ずるかどうかということは、まだ軽々に判断できない問題でございます。私どもといたしましては、現段階においては、自然増収を生ずることは困難であろうと思いますけれども、予算の収入程度は確保できるのではないかと、かように見ておるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 主税局長のお話でわかりましたがね。この申告納税に今後非常に重点を置いているわけですよね。そこで徴税強化をやれば、税収は確保できると思いますよ。そこが問題になってくると思う。そこで、さらに今度は四十年度ですね。これからの景気の見通しにもよりますけれども、もし税収が予算どおりいかないという場合ですよ。ここに徴税強化の問題が起こるわけですよ。政府としては、どうしても、歳入欠陥が生じたらたいへんだから、基本的には、私は、どうしたって徴税強化をやれば、とれないはずはありませんよ。いまの実態から、税務行政からいきまして。ここが問題です。ここで、そういうことはやらないということをはっきり——これから更正決定の時期を控えまして、いま伺いますと、非常に申告納税に重点置いておりますから、この点ははっきりと御答弁願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 三十九年度の税収見積もりにつきましては、主税局長が答弁したとおりでございまして、徴税強化をやってつじつまを合わせるというようなことは絶対いたしません。四十年度の経済見通しは一月二十二日に決定したわけでございますが、その後の経済の推移は、大体政府が予想いたしました状態で推移をいたしておりますので、大体税収は確保できるという考え方に立っておりますが、少なくとも、税収が見込みどおりにあがらないということで徴税強化を行なうというような考えは全くありません。また、この徴税強化につきましては、いろいろ投書があったり、また陳情があったりいたします。個別のものについても、私からも国税庁、地方国税局のほうにも通知をいたしまして、そういうことがあるかないかということさえも十分検討せしめておりますわけでありますから、歳入を確保するために徴税強化が行なわれるというようなことは絶対ないと、またいたさないということを明言をしておきます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いま大蔵大臣は順調にいっていると言うけれども、きょうの新聞を見ますと、山陽特殊鋼が更生法の適用を受けるようになっております。日本特殊鋼もそうだったのです。そんなに順調にいくような情勢ではないでしょう。この点は重大問題ですから、関連して通産大臣に、この山陽特殊鋼はどうしてああいう更生決定を受けるようになりましたか。今後の影響は非常に重大ですよ。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 山陽特殊製鋼の問題につきましては、昨年の暮れの資金繰り当時から逼迫をしておりまして、私どもも非常に心配をしておったのであります。いまのところ、その原因等がなかなかつかみにくいのでございますが、大体の見当としては、この事業というものがまだ、発足いたしましてからそう期間がたっておりません。それが、増資の状況などを見ますと、急速に資本を増大せしめる、またそれに伴う設備の拡充というようなことをやってまいったと思うのであります。非常にその辺に無理がございます。ところが、この特殊鋼メーカーといたしましては、そういう無理をしながら、シェアは二番目くらいなところまでにのし上がっていったのでございます。最近におきましては、この特殊鋼業界が、非常に不況でございます。したがって、非常に過当な競争をしたようでございますが、山陽特殊鋼は率先値下げなどをいたしまして、同業間の批判を受けた、こういうことでございますが、そういう過当競争をしつつ、他面におきましては高率の配当をずっと続けてまいりました。そういうようなことが重なって、そして今回の破局になったと思うのであります。  私が非常に遺憾に思いますのは、主力銀行の神戸銀行あるいは三菱銀行等から重役が派遣されまして、常勤もしております。それにもかかわらずこういう実態がつかめなかったということについては、非常に不信感を持ったのでございますが、いろいろ調べてみますと、ここの荻野という社長が非常なワンマンでございまして、そのためにこの経営実態もつかみにくかった。日本特殊鋼の場合でもそういう事実がございました。昨日も大蔵大臣、日銀総裁と話しまして、今後こういう金融機関から派遣される重役はもっと慎重にやってもらわなければならないというようなことを申しておったところでございますが、しかし、すでにこういう会社更生法の適用を申請しておる段階でございまして、この会社がもしこのまま生産をやめるということになりますと、ただいま申したように、特殊鋼業界としては非常に大きなシェアを占めておりますので、それに伴う影響もございますから、現在関係五銀行などが中心になりまして、生産はとめず、そして整理をしていくというような方針で対処しておるわけでございますが、何せまだきょう会社更生法の適用を申請をした段階でございまして、あまり詳細に申し上げかねる点があるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 中小企業の問題についてはまたあとで伺いますが、そこで次に質問いたしたいのは、四十年度の税制改正にあたりまして税制調査会の答申を尊重したかどうか、この点について伺います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 税制調査会の答申を基本的におおむね尊重したというたてまえをとっております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 税制調査会の答申には二つあります。日本の基本的税制のあり方という答申と、四十年度の税制改正の答申と二つあります。この両方含めて尊重しているかどうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 両方含めて大体尊重いたしている、こう御理解をいただきたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 政府は、税制調査会というものを何のために設けておりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 基本的税制のあり方、また予算編成に際しまして緊急に減税等を行なう場合、また増税というか、新設税の場合もそうでございますが、税制全般に対して答申をいただくということでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そんなことを聞いているんじゃないんです。その目的、これはですね、政府が税制改正等をやる場合に、一つの民主的な手続として、広く学識経験者等の意見を尊重する、聞いて、それを参考に税制改正をやり、基本的税制をやる、ここに真の目的があるんじゃありませんか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 政府が税制改正を行なう場合に、政府だけの考えでやることでなく、広く民間の意見、有識達識の意見を聞く、そうして参考にする、こういうことでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは一つの民主的手続ですよ。また、国会というものも一つの民主的手続になるわけです。いま尊重されたと言いましたね。尊重しておりませんよ。尊重どころか、むしろ逆行しているんです。これから具体的に質問してまいります。  まず、総理大臣に伺いますが、総理大臣は、昨年七月四日の新聞記者会見で、所得税中心に三千億の減税をすると天下に声明いたしましたが、四十年度の所得税の減税は幾らでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 初年度八百二億円、平年度九百二十二億。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは総理大臣に伺っているんですが、大蔵大臣から聞いてでも——これは総理大臣が三千億の所得税を中心とする減税を声明されたんですから、わからなければ数字を概略大蔵大臣から聞かれて、まず総理の責任において——こまかいことはあとで質問しますが、三千億の減税、これは衆議院でも問題になりましたが、一体どう考えているか。八百二億ですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 三千億減税は、私が本会議その他においてお答えいたしましたように、ただいまの税負担、国民の負担がなかなか重い、こういう意味で軽減をしたい、私の減税の気持ちを率直に表現したのが三千億減税でございます。しかしながら、あらゆる努力をいたしましたが、今年はようやく、ただいま申すように八百二億という程度でございまして、私としては引き続いて何としても減税を遂行して、いわゆる国民負担を軽減し、同時にまた国民を富ます政策をいたしたい、かように私は考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 税制調査会の四十年度の減税額は幾らですか、税制調査会の答申。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 所得税だけですと、初年度八百九十億。平年度千二十五億。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 政府の四十年度の所得税の減税額は、税制調査会の答申より減っております。約九十億初年度で減っております。なぜ減らしたのですか。さっき尊重すると言ったでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 八百九十億と八百億とでありますから、答申を尊重しておる、こういうたてまえに立っております。しかも、これは単年度のものではなく、税制調査会の答申にもございますとおり、これからも引き続いて減税を行なうという基本姿勢でございますから、税制調査会の答申は基本的には尊重しておるということでございます。  何で一体九十億減らしたのかということでございますが、御承知のとおり、いままでのような自然増収が十分見込まれるという状態でございませんし、他に減税をしなければならないというようないろいろな問題もありますので、より広い立場から政府が最終案を決定いたしましたときに、答申の線からは初年度九十億少なくなったということでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣、少しことばを慎まれたらどうですか。九十億くらいのことだからたいしたことない、大体尊重している。——九十億ですよ。問題になりますよ、そういうような軽率な御発言は。尊重すると言ったでしょう。尊重しているということになるのですか、大体九十億くらいなんて。  それでは、次に伺いますが、実質減税は幾らなんですか。実質的な減税は幾らですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私は税の専門家ではございませんが、減税とは名目減税を減税という、こういうことでございまして、きっと、昭和三十八年に検討せられた物価の値上がりというものを考慮した場合、一体幾らになるか、こういうことだと思います。これは必ずしも実質的減税という意味でそういうものを引かなければならないかということに対しては、議論がございます。ございますが、三十八年度につくりましたものを基準にして計算をして当てはめるということになると、八百億マイナス六百億イコール二百億、こういうことになります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣は税制調査会の答申をちっとも読んでいないですね、尊重するなんて言って。減税の場合、実質所得に対する減税というものが基本でなければならぬということは、三十八年の税制調査会の答申にちゃんとあるのです。だから、物価調整というものを三十八年からやるようになったのです。この物価調整分は幾らですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 物価調整分というふうに断定的に御発言がございますが、三十八年当時の大体発表せられたものを基準に計算しますと、六百億です。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは物価が上がる、名目的に所得がふえる、それに累進課税がかかる、そのために増税になる分ですよ。そうでしょう。これは低所得層ほど増税分が多くなるというのが答申ですよ。そこで、六百二億ですか、これの計算の根拠を明らかにしてもらいたい。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) お答え申し上げます。  これは木村委員からの御要求によりまして、資料として差し上げておると存じますが、三十八年度のときの数字と同じように四十年度につきまして検討いたしましたときは、名目所得の増加額が、三十九年当初予算に見積もりました額に比べまして一三%名目がアップする。他方、消費者物価が、三十九年度当初は御承知のとおり四・二%政府の見通しではアップするという見込みでございましたが、最近の実績、見込みによりますれば四・八%になるわけでございます。そこに〇・六%の差が出てまいります。それに四十年度の経済見通しにおきましては四・五%消費者物価がアップするというふうに見ておりますので、それを相乗いたしますと、五・一%のアップになるわけでございます。それを計算いたしますと、実質所得の伸びが七・五%になるわけでございます。そうして、税収の弾性値が二・〇というふうに算出しているわけであります。これは、三十八年のときは弾性値がもっと多かったのでございますが、これはご存じのように、三十五年、六年という日本の異常な高度成長期のときにおける税収の弾性値と、それから最近のように、賃金の伸びはある程度ございますけれども、三十五年、六年程度ほど大きな伸びを示していない四十年度におきましては、弾性値がどうしても落ちてまいりますので、それで計算いたしますと、物価調整をすべき率が二三・三%になるわけでございます。これが三十八年のときは二八・九%と、約三〇%近い数字であったのでありますが、その辺が、弾性値の関係と、それから物価騰貴率が少し下がっているというような情勢からいたしまして、そのような数字になるわけでございます。これに対しまして、所得税の自然増収額のうち利子の分、それから非居住者の分、この分についてまで物価調整をする必要はないというふうに認められますので、それを差し引きいたしました二千六百十億円にいまの二三・三%を乗じますと、六百八億円という金額が出てまいるわけであります。  ただ、ここで、木村委員御承知のことでありますけれども、若干注釈をつけ加えさせていただきますと、これはマクロの数字でございまして、厳密に見ます場合には、所得階層別に、その階層の消費資金の支出がどうなっている、消費構造がどうなっている、それに対して名目所得に対する税負担率や実質所得に直した場合の税負担がどうなるか、これを検討すべきものであろうかと思います。これは単純におわかりになるように、たとえば一億の所得の人にどれだけ物価調整をする必要があるかというような問題もあるわけでございます。やはりマクロだけで見たのではいけないので、所得階層別にもっとこまかく分析していく必要があろうかと思います。それから、物価騰貴の及ぼす影響は、低所得者には著しい影響があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、相当所得の高い人に対する影響率は少ないということも考えなければなりません。そこで、やはり減税をする場合には、どちらかというと、低所得者に重点を置いた負担の軽減をすることによって物価調整をはかっていくことができる、このように考えている次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 一応さっきの所得階層別の減税のあれは、資料として出していただきたいのですが、三十八年のとき出しましたね。あれと同じような形で出してください、どこまでの所得が減税になって、どこまでが増税になるという……。  マクロ的に見まして、大体三千億の所得税の減税を公約されたのですが、総理大臣がさっき弁明されましたが、それが八百二億ということになりました。いま物価調整分、つまり物価値上がりによって名目所得がふえる、累進課税がかかって、実質的増税になる分が六百八億、差し引き百九十四億。三千億の公約が百九十四億になる。これはどういうわけですか。  さらに、地方税について伺いたい、自治省のほうに。地方税について物価調整の計算をどういうふうにされたか、これも資料をいただきましたが、この資料について詳細具体的に伺いたい。地方税については、これまで全然物価調整をやっていないのです。これは非常に問題です。基礎控除は九万円。据え置きでしょう。国税のほうは十二万円まで上げています。地方税におきましては、基礎控除を全然上げない。ですから、物価が上がって、所得がふえている。所得税は常に増税になる。したがって、この調整についてどう考えるか。四十年度の調整をどういうふうに考えるか、調整分ですね。

細郷道一自治省税務局長

○政府委員(細郷道一君) 住民税につきましては、四十年度の課税分は、御承知のように前年の所得に対する額を基礎といたしましてやるわけでございまして、その点、所得税が当年課税のものでありますのと若干の相違があるわけでございます。で、ただいま所得税につきまして、国税のほうから御説明申し上げましたと同じような算式によりまして、住民税の場合をマクロ的に計算をいたしますと、物価調整に要するものといたしましては一八・一%、で、三十九対四十の自然増収七百八十六億に対して一八・一%は百四十二億、こういうような数字になるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 この百四十二億というのはどういうものですか、内容は。

細郷道一自治省税務局長

○政府委員(細郷道一君) 百四十二億と申しますのは、先ほどの所得税におきます三十九対四十の場合の物価調整を要する額と同じ算式によりまして、三十八対三十九の数字を置きかえて計算をいたしたものでございます。御承知のように、住民税は一年ズレの課税をいたしておりますので、所得税につきまして三十九対四十の所得の伸び、あるいは物価の伸びを基礎にいたしまして計算をいたしますのに対しまして、三十八対三十九のそれぞれの指数によって計算をいたしたものでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、この百四十二億は物価の伸びに伴う実質的な負担である、そこで、地方税の減収額ですね——減税とは言えませんが、二百三十億のうち百四十二億が物価調整に相当すると、だから残り八十八億が実質的な税負担の軽減分であると、こういうふうに解していいわけですね。

細郷道一自治省税務局長

○政府委員(細郷道一君) 昭和四十年度におきましては、住民税につきまして課税方式の統一、給与所得控除の引き上げ等によります減税が二百三十億でございますので、いまお話しのありましたような百四十二億という物価調整部分を除きますと、八十八億という数字になるわけでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 二百三十億の地方税の減収分は、これは減税ではないですね、全部減税ではありません。まあ、所得控除に多少減税分ありますけれども、大体においてこれは課税方式を変えたためにこれだけ減収になるのであって、したがって、純粋の減税分として見ますると、これは私はもっと少なくなると思います。大体六十二億が結局地方税の減税分——二百三十億というまあ一応減税のように見えますけれども、結局六十二億、それを引きますと、国税のほうが百九十四億の実質減税で、これから地方税のほうの実質減税六十二億——物価調整による分を引きますと百三十二億ですよ。三千億の所得税減税が百三十二億になるんですよ。こういうように税負担は実質的に見なければなりません。ただ、総理大臣は三千億所得税……。国民はわかりませんよ。こういうように具体的に税負担は考えてみなければなりませんし、物価との関係を無視して、これから離れて減税といったって無意味であるということがこれでよくわかると思うんですよ。この点、総理大臣どういうふうにお考えですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、いろいろの問題があると思いますが、私は、先ほど来冒頭に申しましたように、とにかく国民負担は、できるだけ機会をつかんで、そうして軽減をしていくようにこれは努力しなければいかぬものだ、かように私は思っております。私の三千億減税、これは具体的な数字であります。そういう意味でいろいろ責められることもよくわかりますけれども、私は、現状のままではこれはいかぬ、負担を軽減しよう、そういう意味の最善の努力をする、この気持ちが率直に出ているのでありますが、ただいま申し上げますように、一年ぽっきりの問題ではもちろんございません。今後とも引き続いて機会あるごとに負担軽減、そういう方向に努力してまいる、これが私の考え方でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣の意のあるところはよくわかります。しかし、減税の問題は、いまお話しのように物価との関係があるのですから、今後は、総理大臣は税金は重いということは認められておるのですから、減税に努力されておる誠意も私も十分理解いたします。したがって、今後はそういう面も含めてほんとうに家計負担が軽くなるような減税をとられたい。  そこで、次に伺います。米価引き上げが一月一日から一四・八%引き上げますが、これによる国民負担は三十九年度及び四十年度、どのくらいになりますか、これは農林大臣に伺いたい。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 消費者米価の改定によって三十九年度に約六百三十五億円、四十年度に約九百三億円、これがいわゆる赤字が埋まっていくことになりますので、これは消費者のほうの負担のほうに回る、こういうことになるのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、三十九年、四十年含めて千五百三十八億円国民負担がふえる。これは一種の大衆増税みたいな形じゃありませんか。政府の米価は独占価格です。したがって、配給米を上げた場合、これは低所得層ほどそうですが、負担分を、どうしてもこれを支給わざるを得ない。ある種の、一種の強制的な作用をもっておる。ただ、税金と違うところは、取引関係ですから、米というものを受け取りますから、その点は違いますけれども、値上がり分については、独占的な価格については、大衆増税と同じような、そういう意味を持っていると思いませんか。そういうようなことも考えられてやはり米価の引き上げのことは考えられたのですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) いまお話しのように、対価でございまするから、税金のようには考えませんけれども、消費者に影響するところどれくらいになるかということを計算に入れまして、そして引き上げをはかったと、こういうことでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 計算に入れれば私は消費者米価、これは上げられないと思うのですよ。あとでまた質問いたしますが、財源がないわけじゃないのですから、ほかにあるのにどうしてこのような大衆負担のような米価引き上げをやったか。これは所得税を納めることができないような人も負担するのですよ。そういう大衆課税的なものですよ。あるいはまた日雇いのおばさん、一日五百円くらいの所得の人も、松下幸之助さんは三十八年度、これは税務署の調査ですと長者番付の一番、年間所得四億二千万円です。松下さんの負担も、日雇いの五百円のおばさんの負担も同じですよ。こういう非常な大衆課税的な米価引き上げをやって、千五百三十八億ですよ。そうして政府はどうして減税なんて言えますか。先ほど減税を、だんだんこれを実質減税に換算してまいりますと、百三十二億じゃないですか。片方では千五百三十八億も増税をしておる。しかも所得税を納めることのできないような人までも負担する。大衆増税と同じじゃありませんか、その点どうです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほど農林大臣がお答えを申し上げましたとおり、米価の引き上げに対しましては慎重に検討いたした結果、引き上げられたわけであります。食管の四十年度の予算をごらんになればおわかりになるとおり、四十年度の食管特別会計の一般会計からの繰り入れは千九十六億でございます。でございますから、国民負担という意味からいいますと、米価を値上げをすることも国民の負担でございますし、また税でまかなうということもまた国民からの負担であること、間違いございません。でありますから、食管会計という会計制度のたてまえ、また、この制度の存続を考えた場合、そういう場合に適度な米価の調整を必要とするということは事実でございます。ただこういうものが大衆課税になるというお説でございますが、大衆課税にならないようにできるだけ努力をいたしておるところに、一般会計から千九十六億もの多額の繰り入れを行なっておることはそれを意味しておるわけでございます。まあ、いろいろ御議論はございますが、米価を引き上げないで生産者米価は引き上げられるか。生産者米価は引き上げなければいけない、消費者米価は据え置き、もしくは下げなければいけない、減税をしなければならないということになると、この食管制度はもたないわけであります。でありますから、やはり食管制度というもののあり方を検討しまして、やむを得ざる限度において引き上げを行なったということでございます。これは大衆課税になるということでございますが、確かに低所得者の負担が増大することは事実でございまするので、生活保護者等に対しては政府も扶助の単価の引き上げとかいうような措置を行なっておるわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣に伺いますが、税制調査会の答申どおりに税制改正をやった場合と、政府原案——いまの政府の案との間で税収についてどのくらいの開きがありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 減税額は先ほど申し上げたとおり、所得税において九十億ということでございます、初年度。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 全体をね。もう私ここで時間がありませんから繰り返して質問できないのですから、すわったままで申し上げますから、委員長御了解願います。(「それはおかしいよ。すわったまま発言しちゃおかしい。」と呼ぶ者あり)だって、大蔵大臣聞かないじゃないか。じゃ、あんた説明してください。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) 所得税の点について申し上げますというと、御承知のとおり税制調査会の答申では、税率の改正が含まれております。それからまたそれとの関連におきまして基礎控除が二万円引き上げることになっております。これを政府案におきましては基礎控除の引き上げを一万円にとどめ、そのかわりに配偶者控除を一万円引き上げる。そうして税率の改正は見送ったのであります。その結果といたしまして、低額所得者のところでは、政府案に、独身者の場合を除きまして、夫婦者以上でございますと、所得の低い階層では政府案のほうが最低税率の八%を一〇%に引き上げる影響はございませんので、それだけ政府案のほうの負担軽減が大きい。しかし、たとえば夫婦、子供三人の場合でございますと、百万円以上の年収の場合になりますと、政府案に比べまして税制調査会の答申の案のほうが負担が軽くなる。これが夫婦、子供三人の世帯で申し上げますと、二百万、三百万になりますと政府案と税制調査会の答申の案との差がだんだん大きくなります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そういうことを聞いておるのじゃないのですよ。全体の税収総額。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) 総額は先ほど大臣がお答えしたとおりであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 所得税だけじゃないですよ。全体ですよ。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) 税制調査会の答申は、国税におきましては平年度七百八十五億、初年度五百三十五億の減税を行なうということになっておりましたが、そのほか、国税にするか地方税にするか未定でございました石油ガス税の分が平年度七十億、初年度五十五億ございます。それから物品税の期限到来によりまして暫定措置を、税制調査会の答申は廃止することになっておりましたが、それが平年度百五十一億、初年度百十三億の増税になっておりますので、それらを全部合わせますと初年度四百二十二億の減税になっておるのでございます。政府案におきましては、先ほどお答えいたしましたように、国税におきましては初年度八百十三億の減税になっておるのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと税制調査会の答申どおりに税制改正をやれば、約四百億の財源が出てくるわけですよ、四百億の。なぜ尊重しなかったのですか。そうして、それを、米価引き上げを全部とめることはできないかもしれませんが、さっき言ったように、米価の引き上げは非常な低所得者層までも負担させるのですから、せめてその分でも米価引き上げ率を引き下げることはできなかったかというのです。これは総理大臣どうですか。人間尊重の政治、失われた人間性を取り戻す政治、これはそういうところに私は気を配るのがほんとうの人間性を取り戻す政治じゃないかと思うのです。ただ口先で人間尊重と言ったって、そういう財源があるのですから、財源がないというのじゃないのです。なぜそれをやらなかったのですか。——いや、総理大臣。人間尊重の政治だから、総理大臣からです。それからあとで……。こまかいことはいいとして、趣旨についてです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 人間尊重は、これは政治の姿勢でございますので、あらゆる機会にそういうことを考えていかなきゃならない。ただいま仰せのごとく、ただいまの、消費者米価を上げるにいたしましても、その家計費に及ぼす影響などももちろん考えていかなければならない。ずいぶん上げ率は大きい。金額は非常なものだ。しかし、私どもが、家計費に及ぼす影響、これはまず一%程度ではないか、かようなことを考え、また特殊な階層に対する徳用米制度も考えていく、こういうことがやはり人間尊重でございます。ただいまも言われるように、税負担、その点ばかりからも、ものは考えられない。今回の減税によりましてやはり最低課税が引き上げられるといいますか、標準家庭においても相当の余裕ができてきた、こういうようなことがやはりこれ人間尊重——大きな意味の人間尊重の立場において私間違っておるとは、かようには思いません。しかし、もちろん人間尊重これはそれぞれの立場においてさらにさらにこまかく追及していくべき問題だと、かように考えますので、この政治的態度はどこまでも私堅持してまいりたいと、かように考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 ただいま総理大臣が、お徳用米の制度なんて、——お徳用米だって上がるんですよ。八・四%上がるんですよ。せめてお徳用米くらい上げないで済ませられないですか。そのくらいの——四百億税制調査会の答申どおりにやればいまより税収がよけい上がってくるのですよ。そんなに低所得者に配慮するならば、なぜせめてお徳用米くらいは上げないで済ませられないか。農林大臣は先ほどそういう点考慮したというけれども、考慮してないじゃありませんか。財源があるのですよ。四百億ありますよ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 食管につきましては、先ほど申し上げましたとおり十分な配慮をいたした結果、引き上げになったわけでございます。これは、引き上げたことが大衆負担を増大せしめたという立場からの見方と、またもう一つは、千九十六億一般会計で負担をしておるのであります。でありますから、食管会計という、まあ、普通であれば自由販売になるべきものを、国の主食である、国民の主食であるというために、食管会計制度をつくって国民負担と国の負担との調和をはかっておるわけであります。こういう制度の上で千九十六億という大きな数字を一般会計から繰り入れておるわけであります。でありますから、食管会計を維持していく限度においては大体千億程度一般会計から負担をして、それだけ国民負担を軽減しておる。消費者負担を軽減をしておる。こういう見方で検討をしていただくべきだと思います。  それから、先ほど、税制調査会のいうとおりにすれば財源はあるじゃないかということでありますが、その一つは、物品税の平年度百五十一億の財源があるじゃないかということでございますが、これは御承知のとおり、物品税を急激に基本税率までに引き上げられないということで、暫定的に引き上げる、もとに戻すということをやったために、税制調査会が答申をしたとおりの、直ちに基本税率に引き上げるということをいたさなかったわけでございます。  それから、もう一つは、五十万円の貯蓄免税限度を百万円に引き上げるというような問題、また、証券市場、資本市場の育成強化という意味におきまして税制上の優遇措置を行なったというようなことで、現に御審議をいただいているわけでございます。これは現段階において生産効果を十分評価をして調和をとったものだと考えておるのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 全然答弁がなってませんよ。財源があるんですから、なぜ人間尊重の政治の裏づけとしての予算を組むならば、それをせめてお徳用米を値上げしないで済ますことができなかったかというのですよ。私はむちゃなことを言ってるんじゃないですよ。全部やめろというのも、これもむちゃでしょう。もちろんわれわれは、具体的にできるところは改良的なやはり改善をしていかなければ、予算委員会でこうやってわれわれが予算審議をしたって意味ないじゃありませんか。こういうところでとっくりできるのになぜやらないかというのです。しかも、これからあとで質問しますが、配当ですよ、配当の減税あるいは利子の減税、両方合わせますと四十年度で千十九億の減税になるんですよ。所得税法三十七条そのとおりに実施するのと、いまの特別措置によってやるのとでは千十九億の違いが出てくる、減税をしてるんですよ。そこにも財源があるじゃありませんか。なぜこういう努力をしないのですか。財源がないのに私は無理を言ってるんじゃありませんよ。せめてお徳用米の八・四%くらいなぜ——これは物価対策としても重要じゃありませんか。それがなぜできないんですか。むちゃ言ってるんじゃないですよ。財源はあるんですよ。まあ総理大臣、ひとつ総括的でけっこうです。人間尊重を言い出したんですからしようがないですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この制度の問題、ことに国政の問題、税で国庫の支出をいろいろしている、そういう場合に、これは税負担でまかなうのがいいものか、あるいは利用者、受益者その個人が負担していくのがいいのか、そういう議論がありますが、同時に、また、生活そのものを個々の米価その他からのみ見ないで、いわゆる生活保護、社会保障の観点から見るのがいいのか、いろいろ議論があると思います。私は、今回の米価の値上げは、そういう意味でやはり消費者が負担することが本来の筋だろう。しかしながら、消費者自身が負担できない部分については、これは国がやはりめんどうをみていく、こういうのがいいのではないか、かように思いますし、また、生活自身がそのために困るという場合の社会保障、そういう問題も国がみるか、あるいはまた医療保険のごとく、保険料によって依存することが大部分だと、こういうものもあるわけでありまして、それぞれの制度、それぞれの品物等によりましてやはりその扱い方を異にする、かように考えるべきだろうと思います。ただいま減税の財源があったのだ、それならばこの点では税負担でまかなうべきではないか、このお説でございますが、食管会計の赤字を税負担ばかりでまかなっていくのがはたしていいかどうか。これはとくと議論のある点だろうと、かように考えますので、全部を総合していかに運営されているか、かような判断に立って御批判をいただきたい、私はかように考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私がなぜこういう質問をするかと申しますと、それは池田内閣の当時の御答弁ならばいいですよ。佐藤総理大臣は非常に高い政治理念を打ち出したんでしょう。人間尊重とか、失われた人間性を取り戻す政治という、非常に高い政治理念ですよ。で、池田内閣とそこで違わなきゃならぬですよ。その違う点は、いま話したように、財源があるならば、ここではっきり低所得層のほうをいたわるような、そういう施策まで気を配るのがほんとうの佐藤内閣の人間性を尊重する政治の裏づけになるんです。ちっとも裏づけになってないじゃないですか。ただあなたは弁明だけしている、それじゃ池田内閣と同じですよ、ここを違わせなきゃならぬ。われわれ期待を持ったけれども、全然がっかりですよ。  次に伺いますが、医療費の九・五%を引き上げると、国民負担は幾らになりますか。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) お答えいたします。九・五%是正による増加額は、三十九年度では百十四億、それから四十年度では三百六十七億です。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 もう一度——よく聞き取れませんでしたから。それは国民の負担ですか。そんな少なくはないでしょう。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 国民負担です。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いや、全体の医療費の増加と、そのうち政府負担がどのぐらい、国民負担がどのぐらい。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) お答えいたします。三十九年度におきましては、国庫負担が三十一億、それから保険料負担が五十三億、患者負担が三十億、合計百十四億です。  それから四十年度は、国庫負担が百十四億、保険料負担が四百二十三億、患者負担が百五十六億、合計六百九十三億、こうなります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 どうも私の質問の趣旨がよくわかっていないようですね。九・五%引き上げますと、総医療費がふえるわけでしょう。大体四十年度は九千億から一兆円といわれておりますよ。九・五%上げますと、大体九百億といわれておるのですよ、医療費の増加は。そのうちどのくらい国民負担がふえるのかということなんですよ。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 私が申し上げましたのは厚生省関係の医療費、こういうことで御承知を願いたいと思います。  なお、総括必要であるならば申し上げましょうか。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それを聞いておるわけですよ。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 医療費の総額は、三十九年度が六千二百十五億、そのうち国庫負担が八百四十八億、保険料負担が三千八百三十七億、患者負担が千五百三十億でございます。  それから四十年度は、総医療費が八千七十四億、国庫負担が千二百五億、それから保険料負担が四千六百二十五億、患者負担が二千二百四十四億でございます。先ほど申し上げましたのは九・五%是正による増加額、こういうように御了承願いたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 要するに、四十年度の総医療費八千七十四億ですか、それは九・五%値上げをしてですか。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) そうです。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうして九・五%上げることによってどれだけ負担がふえて、そのうち政府がどのくらい負担して、どのくらい国民負担することになるか、それを聞いているんですよ。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 昭和四十年度の総医療費は、先ほど申し上げましたように、八千七十四億でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 どのくらいふえますか。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 三十九年度に比べてですか。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうです。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) 政府委員から答弁いたさせます。

小山進次郎厚生省保険局長

○政府委員(小山進次郎君) ただいま大臣が申し上げましたのは、厚生省所管の健康保険と国民健康保険と船員保険のこれを申し上げたわけでございます。これの三十九年度における医療費の総額は六千二百十五億でございます。この中には九・五%の引き上げによる分は入っております。その入っておる分が先ほど申し上げたように百十四億でございます。  それから、四十年度においては、ただいまの保険の分が八千七十四億でございます。その中に入っておりまする九・五%の引き上げ分によるものが六百九十三億でございます。  それから、それぞれの内訳について申し上げた数字は先ほど申し上げたとおりでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そのうち、国民負担と政府負担八百七億というのでしょう。

小山進次郎厚生省保険局長

○政府委員(小山進次郎君) わかりました。申し上げます。昭和三十九年度の六千二百十五億のうち、ただいま仰せの国民負担に該当するものは、患者負担の千五百三十億と保険料負担のうちのほぼ半分、御承知のとおり折半負担が原則でございますが、組合等においては事業主の負担が六割程度になっておりますので、若干多くなっておりますが、それを考慮いたしますというと、三十九年度におけるそういう意味での国民負担はほぼ三千二百億程度でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 どのくらい負担がふえるかということを聞いている、九・五%の値上げによって。

小山進次郎厚生省保険局長

○政府委員(小山進次郎君) その負担がどれくらいふえるかということは、先ほど申し上げました三十九年度における百十四億のうちで、国民負担というべきものとして考えておられる内容に当たるものは、患者負担の三十億と、保険料負担五十三億のほぼ半分、つまり五十億見当、こういうことになるわけであります。四十年度を申し上げましょうか——四十年度は八千七十四億のうち、患者負担が二千二百四十四億、保険料負担四千六百二十五億のほぼ半分二千三百億見当でございますから、合わせて四千五百億見当が国民負担でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それで、そのうち増加……。

小山進次郎厚生省保険局長

○政府委員(小山進次郎君) 増加六百九十三億のうち、いまのものとしては患者負担の百五十六億と保険料負担四百二十三億の半分、合わせたものが三百六十七億程度、これを一番最初に申し上げたわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大体それでわかりました。九・五%医療費の引き上げによって国民負担が四百十七億ふえるということになりますね。三百六十七億と五十億でしょう、ですから四百十七億ですね。だから三十九年と四十年にわたってそれだけふえるわけです、そうでしょう。一月一日からですからね。三十九年は入りますけれども、国民負担がふえますね、約四百億。米価引き上げによって千五百三十八億負担がふえることになる。医療費引き上げによって約四百億また負担がふえる。そうして減税は八百二億が百三十何億になっておる。これでは大増税じゃないですか。実質的には、国民負担は、そういう税金とすれば大増税じゃないですか。減税の名による大増税です。全くその点は、私は、国民の家計から見まして、佐藤人間尊重内閣の性格がここにはっきり出ておると思うのです。この点どういうふうに総理大臣はお考えですか。減税の名による大増税ですよ、実質的に見ますと、国民負担は。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど答えましたように、たとえば米の値段、あるいはいまの医療保険、こういうものは税とは違ってまいりますから、いわゆる国民負担の増高には違いありませんけれども、これを税の問題で一緒にして解決することは私は不適当だと、かように先ほど申したのであります。この種のものは、やはり利用者、受益者負担、こういうことが望ましいのではないだろうか、こういう立場で議論して、そうしていわゆる一般負担の税は税としての使い方があるのですということを申し上げたのでございます。くどくなりますので、これはよくおわかりになると思いますから、この辺で……。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 米価とか公共料金等、独占的な料金は一種の税金と同じような性格を持っておるのですよ。これは取引とは違いますからね。税金と同じじゃありません、対価があるのですから。しかし、電気、ガス、水道料金が上がった場合にも、使わないわけにいきませんよ。国鉄料金が上がって使わないわけにいかないでしょう。ですから一種の強制的な力を持っておるのですよ。税金と似たところがあるのですよ。いやがおうでも負担せざるを得ない。しかも、それはどんな貧乏人も、どんな金持ちも同じに負担する、こういう点があるのですよ、この点は。ですから、国民は、減税減税というけれども、他方でそういうような増税に似たような料金がどんどん上がるでしょう。政府の減税なんか信用できませんよ、これでは。この点はあとでまた伺いますが、次に伺いますが、四十年度の税制改正で、配偶者控除と基礎控除をなぜ同額にしなかったのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私は、配偶者控除につきましては、妻の座をより向上せしめるためにやりたいという姿勢でございまして、主税当局にもこの問題に対しては十分考えるようにということでございましたが、税制調査会の答申で、必ずしも妻を同額控除すべきであるというような答申がなかったことと、御承知のように、基礎控除を一万円引き上げるということをいたしましたので、私は、将来こういうものは最重点的に考えなければならないとは考えておりますが、私が当初企図しておりましたような状態にはならなかったことは遺憾だと考えております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣は、事務当局に、いろいろ引き上げたいなどというようなことを言っておりますけれども、この前の予算委員会であなたは私に何と御答弁しましたか。昨年の三月十六日ですよ、基礎控除と配偶者控除を同額にすべきであるという私の質問に対して、田中大蔵大臣は、「来年度の財源の問題を今日ここで申し上げるわけにはまいりませんが、来年度減税がまたやれるような状態であれば、いまのお説のようなものは優先的に考えるべきだというふうに考えるわけでございます。」こう御答弁しておるのですよ、大蔵大臣は。  そこで、総理大臣伺います。一番最初に私が総理大臣に質問したのは、具体的にはこの問題もあるから、大蔵大臣ははっきりと、昨年三月十六日に、配偶者控除と基礎控除を来年度——四十年度ですよ、減税をやれるような状態であれば、最優先的にやると言っているのに優先的にやっていない。この点は、先ほど総理が最初御答弁になったことと食い違うわけです。これは四十年度ですよ。これはぜひ私はやらなければこれは食言です、違約であります。どうしていただきますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) この配偶者控除の趣旨につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。また、私はあなたの質問に対しまして御答弁を申し上げたことも事実でございます。なぜ一体やめたかということでございますが、税制調査会の答申の九ページ、「所得税の控除及び税率」、この項に、「配偶者控除は基礎控除と同額であることが望ましいという意見もあるが、配偶者控除も生計費控除の一環として考えるべきであり、この面からはこれを基礎控除と同額にすべき理由に乏しいと認められる。」、こういう答申があったわけでございます。その理由はもう申し上げなくともおわかりだと思います。私としては妻の座の向上のためにも、私がかつて御答弁を申し上げたような精神でおります。でありますから、できるだけやりたいということでございます。四十年度には財源が乏しくできなかったことははなはだ遺憾でございますが、将来に対しましては、これが実現に努力してまいりたい、こういう姿勢でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私はそんなことで了承できません、はっきりと約束しておる。税制調査会の答申がどうであろうと、政府は税制調査会の答申にないことまでやっているじゃありませんか。答申がないからやらないというなら、配当の分離課税はどうですか、そんなことは税制調査会の答申にはありませんよ。これは全くあなた責任問題ですよ。さっき総理ははっきり言われたでしょう。ちゃんと速記に残っている。泉さん、主税局長もはっきり言っているでしょう。こう言ってますよ。理論的には配偶者控除と基礎控除は、「できるだけ一致することが望ましいということは、お説のとおりと思っております。」、しかし、財源がことしはなかったのでできなかった。そこで、「中山調査会長が言われておりますように、配偶者控除と基礎控除とは同額に持っていくように今後考えていきたいと、かように考えておるのでございます。」、はっきり答弁しております。そうして大蔵大臣は、「来年度減税がまたやれるような状態であれば、いまのお説のようなものは優先的に考える」、そこで了承したわけであります。ところが実現されていない。これは重大な問題ですよ。来年考えるとか考えないという問題ではない。国会ではっきりと約束したものが守られない。なぜ税制調査会のときこの問題を取り上げなかったのですか、国会で約束しているんですよ。国会でこうやって質疑しても約束したことが実現されなければ無意味じゃありませんか。何のためにこうやって審議している、一生懸命。この点総理大臣いかに処置されますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 考えないわけではないのであります。十分考えたんです。ですから先ほど申し上げたわけです。やりたい、こういうことでございましたが、約束じゃありません。私がいまの木村さんの御質問に対して基本的考え方を申し上げたわけであります。でありますから、これを全然一顧だもしなかったということではないのであります。私が主税当局に対しましても、本件に対しては十分考えてくれと、原案の段階においても考えてもらいたい、また税制調査会の意見も聞いて、これが実現をはかりたい、こういう姿勢であったことは事実でございます。でございますが、先ほど申し上げたとおり、税制調査会からは配偶者控除についての答申があったわけでございます。必ずしも現時点において基礎控除と同額にすべき理由に乏しいと認める、こういうことがございます。でございましたが、自民党の税制調査会との関係におきまして、妻の控除に対して一万円という引き上げを認める。こういうようないろいろな過程を経て、最終的に私が前段申し上げたように、四十年度の税制改正ではこれを織り込むことはできなかった。そういう事情でございますが、私は現在もうこの問題はやらないんだという考えではありません。また来年度の——来年度と申し上げるとまことに恐縮でございますが、四十一年度の税制改正の場合にも十分考慮をして、その実現をはかってまいりたいという考えであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 委員会における政府の御答弁は、信用できないじゃありませんか。これでは今後続けてやっておりましても——。税制調査会の答申といわれますが、三十八年、中山税制調査会長のときには同額にすべきという答申なんです。それが今度木村元一さんになって、必ずしも同額でなくてもよいという答申になっておる。政府は公約した。中山さんのときは同額にすべきということになっているんですよ。これは五千円上げるとか一万円という問題ではない。理論的にはっきり同感だと言っているじゃありませんか、主税局長は。それをどうして実現しないんですか。こうなると、ここでこれからいろいろ質疑をしまして、政府は公約します。全然これは当てにならぬことになります。重大な不信行為ですよ、これは。総理、どういたしますか。今後われわれ予算委員会でいろいろ審議して答弁されても信用できない、また政府がひっくり返ると——。こうなったら国民に与える影響はいかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) もう一点だけ申し上げますが、この問題は真剣に検討したのでございます。こういう事情もございますから申し上げたいと思いますが、独身者の課税最低限は、基準生計費を一万一千五百八十二円しか上回っておらないわけであります。しかし、妻帯者は四万三千九百六十三円上回っておる。こういう場合、この均衝という面も考えなければならないので、将来の問題としては、もちろん配偶者に対しては同額の控除を認める、その実現が好ましいとは思うけれども、現段階においてはこういう事情もありますので、ということで一万円引き上げて最終原案をつくったわけでございます。でありますから、国会で私たちもそういう答弁をいたしておりますし、自分みずからがそうも考えておりますし、また主税当局もそういう姿勢でありましたので、答申になかった妻の控除一万円を引き上げる、こういうこともやったわけでありますので、政府の前向きの姿勢ということに対してはひとつ御理解を賜わりたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 理解できませんよ。どう処理されるんですか、これは政治的な問題ですよ。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの大蔵大臣の二度、三度にわたり考え方を説明いたしましたが、私おそらく、木村さんも大蔵大臣の誠意のあるところはおくみ取りいただけたろうと、かように思います。私はこういう問題はやはり実現しなかったというだけで、責めることも当然でございまするけれども、約束と違うから。そういう意味で木村さんがおっしゃることもよくわかりますが、私、全然これを考えていないとか、あるいは軽視している、こういう態度でないことがよくおわかりができるならば、必ずこの解決の時期もあるだろう、かように私思いますので、今回ただいまの四十年度には計上されておりませんが、こういう事柄が近く実現するように、私も十分大蔵大臣と話し合ってみたいと、かように思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 近くというのはどうですか、補正の場合とか、そういうことですか、来年度ですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 本件に対しましては、先ほどから申し上げておりますとおり、独身者との均衡の問題、またヨーロッパ、アメリカのように、夫婦共かせぎの家庭が大半であるということになれば、当然こういうことをやらなければならぬわけでございますが、日本の現状においてはまだそういう事態でもないし、見送っても他に一万円の引き上げを行なったり、手段方法はありますので、これが実現を見なかったわけでございますが、総理も可及的すみやかにと、こういうことでございましたが、可及的すみやかは、いま出しておるものをまた改正をするということではないわけでありまして、まあ来年、来年といって御信用がなければ、昭和四十一年度税制改正には、これが実現をはかるべく大いに努力をいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私は信用できません。また来年——これはもう国民の批判を仰ぐよりいたし方がない。これは政治問題ですよ。そうして幾ら上げたという問題じゃないのです。同額ということなんです。これが問題なんです、はっきりと。私は誠意がない。これは政府のこれからの答弁は信用できない。これではですよ。これでいいんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 先ほどから国会における発言に対して、るる政府側も答弁をしておるとおり、国会は国民に対する場でありますので、政府も姿勢を正して、誠意をもってやっているわけであります。しかしいろいろななかなか複雑な状態がございまして、テンポの早い、実情に即応する施策を、緩急よろしきを得てやらなければならないという政府の使命もあるわけでございます。でございますので、まあ国会において発言をしたことはこれ法律なり、こういうことも考えておるわけでありますから、これからはもう本件を契機として一切政府の発言は信用しない、こういうことではなく、政府の発言が信用できるように、大いに御鞭撻、御教示のほどをお願いいたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは予算審議の重大問題ですよ。野党のほうは、いつもだれが考えたって最もな意見があっても修正できない。オール・オア・ナッシングで、いつでも政府予算案が通ちゃう。一つも公正な、だれが見ても、衆目の見るところ正しくてもこれが修正できない。しかも、政府が約束しているものまでも実現しないということになれば、これは独裁じゃないですか。これは予算審議上十分今後考慮しなければならない。これだけの勢力があって、全然予算案については何らそれが反映しない、しかも、政府が約束しておりながら反映しないということは、これは重大な問題ですよ、今後。私は時間が、こういうことをやっていると、制限がありまして、たちますから、じゃこれは懸案にしておきます。私は承服できません。  次に伺います。四十年度税制改正による所得税の課税最低限幾ら、そうしてこれは夫婦子供三人でいいです。そうしてその根拠となった標準生計費、これについて御説明願いたい、特に食費について。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) お答え申し上げます。夫婦子供三人のいわゆる標準世帯と目されておりまする世帯におきましては、今回の改正によりまして、昭和四十年分の所得税についての課税最低限は五十四万四千二百五十九円に相なります。それに対しまして、私どもがマーケット・バスケット方式によりまする食料費を基準にして算定いたしましたいわゆる基準生計費、これは先日発表申し上げまして、お手元に資料として差し上げておると存じますが、この基準生計費は消費支出金額が五十三万五千六百九十六円と相なっております。課税最低限との差が八千五百六十三円となっております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 いや、その食費について。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) 食費の内訳でございますが、これは例年のとおり、国民栄養研究所に委嘱いたしまして、成年君子が二千五百カロリーのカロリーを摂取をするに足る簡素な献立をつくっていただきまして、それを物価によりまして計算いたしたので、マーケット・バスケット方式によってどの程度の金がかかるかを計算いたしまして、つくったものでございまして、これもどういう献立であるかはお手元に資料を差し上げておるはずでございます。ごく簡単に申し上げますと、これは春夏秋冬につきまして、それぞれ三つの例だけをあげているわけでございます。もちろんそれぞれの季節によりまして、一日当たりの食費は変動いたすわけでございますが、これを年間を通じまして申し上げますと、成年男子の場合、一日の食費が百六十七円四十八銭と相なっております。なお、物価につきましては、前年までは、前年の七月からその年の六月までの物価指数でやっておりましたが、今回に限りまして、三十八年の九月から三十九年の八月までの物価で算出いたしました上に、さらに三十九年の十二月までの消費者物価の上昇率を乗じまして計算いたしておりますので、実質的には今回の食費の数字は、三十九年一月から十二月までの物価を基礎に算定してある、かようにごらんいただきたいのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、四十年度の物価値上がりはこれは入ってない。消費者米価の値上がりも入ってないんですね。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) さようでございます。これはまあ材料になります食料費の購入単価をきめてやっておりますので、それが四十年中に幾ら上がるか、なかなか見通しも困難でございます。まあ平均的に四・五%消費者物価が上昇すると言いましても、そのうちの野菜が幾ら上がり、とうふが幾ら上がるかという計算まではなかなかできません。従来から実績の数字を基礎にやっておるのでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 常識から考えまして、成年男子が百六十八円で標準生計費が——主婦の方にいろいろ聞いてみました。大体酢ぶたが非常に多いんですよ、この料理には。大体豚肉は一回で百グラム七十円ぐらい。それにニンジンとかあるいはシイタケとかあるいは竹の子とか、これを入れますと、これだけでもう一回分だけで百五十円から二百円かかっちゃうんですよ。一体どういう頭脳の人が標準生計費として計算して、しかもこれが最低生活の保障、標準生活——それで私は伺いたい。厚生大臣に伺いたいのです。東京都のような一級地における生活扶助者の食費、これは一日幾らぐらいですか。

神田博自由民主党厚生大臣

○国務大臣(神田博君) お答えいたします。五人世帯で百十三円六十銭、一人当たり一日。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 百十三円幾らでしょう。これで一体——ライスカレー一ぱい食ったって百円ですよ。どこかに五十円のライスカレー、三十円のライスカレーがありますか。お話にならぬじゃありませんか。これで最低生活扶助、これで一体生活できますか。それから標準生計費が百六十八円というと、あまり最低生活扶助と変わりませんよ、物価値上がりを考慮すれば、ことしのですね。これが課税最低限なんて非常識きわまるじゃないですか。それは人間尊重の政治なんて言わなければいいですよ。非人間的政治をやるというならいいわけですよ。いやしくも人間尊重の政治なんて非常な高度の政治理論を掲げた以上は、いままでと着想を変えなければいけないんです。こういう点を変えることこそが人間尊重の政治じゃありませんか。この点いかがですか、総理大臣。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) いま主税局長申し上げましたとおり……(「総理大臣に聞いているんですよ」と呼ぶ者あり)

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 委員長注意してください、総理大臣です。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 単価によりまして国立栄養研究所が一つの基準献立をつくったわけでございます。百六十七円というものが非常に安いということ、ライスカレー一ぱいと言うのですが、ライスカレーもうちでつくるということで、外で食うということではございません。毎日毎日外食したらこれはたまったものじゃございませんから、そういう意味で計算をしておるわけであります。まあ、あれが出ましてから、大蔵省食堂をつくったらどうかというような意見がまいりますので、私も真剣に検討いたしたわけでございますが、あんなものを出さないで済まないものかと、こう言ったのですが、いや、毎年出すことになっていますので、ということでございます。計算もしてみますと、大体昭和十一年計算で一番上がっているものが、大根の七百倍ということでございますが、大体生鮮食料品の値上がり率は五百倍と見ればいいと思います。大体昭和十年ないし十一年の朝めしが七銭、昼めしが十三銭、夕めしが十銭ないし十五銭、こう見まして、五百倍というと、大体百五十五円から百六十円ぐらいになるわけであります。いま防衛庁の一体成年男子で労働しておる人たちが、どういうもので食っているかということで、国家予算でいま御審議をいただいておるわけでありますが、一般の成年男子は二千五百カロリーでもって百六十七円と出しておりますが、防衛庁の食料費は三千六百五十カロリーということで、百六十五円の単価でまかなっておるということも承知していただきたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理大臣は御答弁にならないのですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの大蔵大臣の説明で、ただいま防衛庁あたりでやっておる単価と比較してみまして、これはうまくできておる、これでやっていけるのじゃないか。しかしながら、私考えますのに、こういう事柄が、いわゆる生活向上という立場に立ってみました際、さらにさらにふえていくこと、これは望ましいことですし、ことに、主食のごときものはバラエティーに富まないと、これはただ単にカロリー計算だけでもいかないだろう、かように思いますから、そういう意味の生活向上、これはこれから努力してまいりたい、かように考えます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 委員長、ちょっと、訂正をいたしたいと思いますが、自衛隊は三千六百五十じゃなくて三千三百六十カロリーと訂正いたします。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 私はもう多くは申しません。人間尊重の政治の裏づけとしての税金の最低課税限の食費の内容、これは国民が常識から見ておかしいということは判断している。これは、朝日新聞の二月二十六日の「天声人語」の最後にこう書いてあります。「成人男子が、一日百六十八円でどんなものが食えるか。首相、蔵相は赤坂村の料亭で、ユックリおためしになるがよい。」、こう書いてある。これだけ申しまして、私は次の質問に移ります。  間接税の問題、大蔵大臣、大蔵大臣は一月十九日記者会見で、物価の抑制、資本蓄積のための現在の税制を直接税中心から間接税中心に変える必要がある、大体千五百億円ぐらいの間接税を増徴したい、こう語っております。これは事実でございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 間接税を増徴しなければならない、こういうことを端的に申し上げたのではありません。いつでも国会で問題になりますとおり、三千億減税とは一体どうか、これは総理が、政治の姿勢である、こう答えておりますし、しかも、減税を重点施策として考える姿勢を明らかにしたものだと思っておりますが、三千億減税も好ましいということを前提にして私は話をしたわけであります。いまの税制は、アメリカ税制でありまして、必ずしも日本の現状においてこれが最上なものだという断定のもとにだけ考えないで、テンポの早い現状に徴して税制そのものを絶えず検討する必要がある、その意味では、現在いまの税制は直接税六〇%、間接税四〇%という程度でございますが、フランスは、八〇%程度まで間接税を徴収しておるという制度もあるのでありますから、間接税の状態も検討しながら、私は、ある面において間接税の増徴をはかろうとしたならば、直接税三千億の減税も不可能ではない、こういう話をしたわけであります。まあ三千億の中で千五百億間接税が増徴されるとしたならば、平年度千五百億プラス千五百億、三千億平年度において減税することも不可能ではない、こういうことを申し上げたわけであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そうしますと、大体今後の日本の税制の基本的あり方としまして、間接税にウエートを置いて考える、こういうことなんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) ちょっと時間をいただいてひとつ私の考え方を申してみたいと思います。直接税は最も負担能力に適応した税であります。これは御承知のとおりでございます。しかしその反面、負担が重過ぎると事業意欲も勤労意欲も阻害して、資本蓄積や経済成長に悪影響を与えるということもございます。また、納税者に非常に強い負担感を与えます。また、税務執行上の問題としまして、所得種類ごとの把握の難易の差もあります。課税の公平を維持するということに対しては、きわめて苦労が多いことも御承知のとおりでございます。一方、間接税は一般に逆進的であるということをいわれてはおりますが、他方、負担感が少なく、安い徴税費で多額の収入を上げるということができるわけであります。これは現在のガソリン税とか酒税とか、たばこ消費の面を考えてみれば、十分証明できるわけでございます。しかし、この大衆課税論につきましては、課税対象品目の選定、免税点や税率の配慮、こういう面でこまかく事を運んでまいれば、ある程度負担能力に即応した税制も行なうことができるのではないか、こういう意味で私は率直に考えておるのであります。ガソリン税の消費は、昭和二十七年から道路の財源に使われるようになりましたけれども、昭和二十八年度のガソリン税収入の総額は二百四億だと思います。今年度、いま御審議いただいておる予算書におきましては、二千八百八十億、こういうことでございます。ただこれが全部大衆課税になるという議論も強いわけでございますので、大衆課税にならないように十分考えながら税制をつくることは不可能なことではないとい考え方を一つ持っております。  もう一つは、税制の中に政策を織り込むということは、税制を非常に複雑にして、税を徴収するほうだけがわかって、国民全般が理解しにくい、こういう税制は理想的な税制とは言い得ないのであります。でありますから、私は、間接税というものにある程度ウエートが置けるという状態がくれば、税は徴収はしますが、そのかわりに歳出面において国が負担をし、国が補助し、国が支援をしなければならないものに対しては、明らかにその制度上、国民すべてが理解できるような状態をつくるということも、一つの考え方だと思います。税制の中にたくさんの政策が織り込まれると、自分は一体国の恩恵を受けておるのか、保護を受けておるのか、こういう自覚、判断、評価というものも薄れがちであることも事実であります。でありますから、税制というものについては、現にフランスが間接税中心の税制を敷いておってうまくやっておるのであります。私は、率直に申し上げて、いまの直接税中心の税制というものは、政府としては、いろいろな問題はありますけれども、財源確保には確かにりっぱな税制だと思われます。これが間接税中心になりますと、どうしても、不景気になるというような場合、また物価が上がるので、国民がある時期に不買同盟を行なうというような場合は、税収はもうぐんと減ってしまうわけであります。また、好況の場合には、政府が企図したよりもよけい税収が上がるというような、いわゆる財源確保という意味から言うと、いまの税制に比べて確かに議論の多いところでありますが、私は、いまの税制だけで、この税制以外に間接税というものを研究してはならないという考え方でおることではなく、もっと広く世界の情勢も十分検討しながら、より合理的な税制をつくるという意味では絶えず検討していくべきだと考えております。しかし、四十一年度の税制改正で直ちに間接税に移行するというような考えではなく、税制とは、最もその時代に適合した税制をつくるべく、絶えず努力するという考え方であります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 その間接税としてどういうものをお考えになる——売り上げ税とか、あるいは取引高税みたいなものですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私個人としては、取引高税というものは、取引高税が一番いいことだと思っております。しかし、取引高税というものに対しては、あつものにこりてなますを吹くということで、ちょうど時期が悪かった。まあインフレ時代でもあったし時期が悪かったので、もう取引高税というものは全く悪い、もう取引高税というものは議論さえしないというお考えでありますが、私は、そうばかり考えておってはならない。とにかく年間百万円の売り上げしかない小さなものにも税金はかかります。中小所得者にもかかるのです。しかし、十億も二十億も、大きくいえば百億も事業をやっておっても税金はかからない企業もございます。私は、そういう事態を十分検討するときに、何か流通税というようなもの、まあこれは私の発言が既定路線のように受け取られることは遺憾でありますが、そういう意味ではございませんが、私は間接税というものを考えれば考えられないことはない、こう思います。少なくとも応益負担という立場で税収をはかりながら、国がほんとうにめんどうを見なければならない生活保護者、そういう者に対しては、もっともっとより多い国の恩恵をもたらす、国が責任を持ってこういう方々の処遇をするということも一つの考え方だと思います。まあしかし、取引高税——一時、広告税というものが問題になりましたが、これはいつの間にやら消えました。広告税を取ろうというような、そういう考えをいま持っておるわけではありません。ありませんが、先ほど申し上げたとおり、わずか十二、三年前には、二百億であったガソリン税が現在二千八百八十億になっておるという考え方を私静かに考えるときに、間接税に手をかけてはいかぬという考えでは、日本の税制に進歩はない、こういう考えであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは、田中大蔵大臣はガソリン税についてはずいぶん前からいろいろ御経験を持っておりますから、そういうお考えになることもわからないわけではないのです。しかし、さっきフランスの例がありましたが、しかし、学者の意見ですと、ヨーロッパで間接税がかなり日本よりもウエートが置かれておるのは、これは戦時的な税制の遺産、残りであって、実は好ましくないのです。必ずしもそれがいいのじゃない。戦時中やったのがまだ残っておる。これは間接税は戦時財政としては一番楽なんですよ。ふだん軽い税率でやっておいて、いざ戦時というときには、ぐっと税率を上げればいいのですから。どうも私は、間接税を大蔵大臣言われたので、三矢研究と関連があるのではないか。三矢研究の税制の一環として、先手を打つために研究されておるのじゃないか、そういうふうにもとったのですが、しかし、これは憶測でございますが、税制調査会はどういう答申をされていますか。直接税のあるべき地位、間接税のあるべき地位につきまして、日本の税制の基本的あり方についてどう答申されていますか、伺いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 税制調査会は、三十七年、八年、九年と三カ年間の作業をやっていただいたわけであります。その第一年度、昭和三十七年には、大幅な間接税の減税を行ないました。また、現在の間接税及び直接税の割合は、おおむね妥当であろう。でありますから、国民負担の軽減については、間接税と直接税とのバランスをとりながら、両方において国民負担を軽減していく方向を答申いたしておるわけであります。いま、まあ私は、この税制を私の代に抜本的に改正できるものだとは思いませんが、あつものにこりてなますばかり吹いておることはいかぬ。もう一つ率直な意見を申し上げますと、直接税中心ですと、どうしても納税人口が多くなる。多くなります。大体二千万人。ところが、これに対して、ほんとうに公平な徴税を行なおうとすれば、どうしても徴税人員が非常にふえます。現在もうそういうことができない時代でございます。もう一つは、私は日本人がなぜいまの制度に対して順応しておるかということに対して、自分でもひそかに考えたことがございますが、これは申告納税の制度をとっておりますけれども、直接税中心主義ですと、プライバシーが侵されたり、個人の秘密が侵されたりすることが、いまの税制では非常に強いわけであります。税務職員が行けば、あなたは間違った申告をしておると思います、調べますよ、検察庁から、また警察庁と話しをしながら、また裁判所から令状をもらって査察が動けば、何でもできます。そういう意味でも、私はやはり人間尊重、こういう面から考えましても、やはり酒を一合毎晩飲んで、あとの二合分は妻や子供に何か一つ買ってやろうと、こういう人は税金の負担が少ない。三合も五合も飲んで、明け方まで飲んでおる、こういう人からはやはり税金をよけい納めてもらうということだって、やはりまじめに私は考えていかなければ、真に人間尊重の政治は築かれない、こういう考えでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それは、大蔵大臣のいまの御所見承りましたがね。しかし、税制調査会の答申とこれは逆なんですよ。だから、尊重すると言われて、その逆な御意見を承るというのは、ずいぶん——大蔵大臣、それでいいのですかね。税制調査会は、これは所得税中心が税体系としては理想だ。——これは、じゃなぜその点を基本的な税制のあり方を諮問されたのですか。その答申がちゃんと来ているのですね。それと全く逆の、間接税中心の御意見を伺ったのですよ。それで、田中大蔵大臣の個人としての御意見ならいいですよ。大蔵大臣が税制調査会、諮問機関に諮問して、せっかく長期税制のあり方を諮問して、その答申が直接税中心にいけというのに、どうも大蔵大臣の御意見は、それと違うのです。個人ならいいですよ。これは私問題じゃないかと思います。しかし、時間がございませんから、次に伺いますが、どうも政府は税制調査会の答申をあまり尊重されておらないようなんですから、そこで、特に伺いたいのは、租税特別措置に対する、その中で特に配当及び利子課税に対する税制調査会の答申について伺いたい。どういうふうに答申されていますか。租税特別措置、特にこの利子課税と配当。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 租税特別措置につきましては、効果があがったものからだんだんとこれは廃止をしていくべきだという基本的な姿勢は、絶えずいわれておるわけでありますし、私たちも、政策効果があがったものに対しては、できるだけ基本的な税制に返すべきだと考えております。しかし、今度の答申につきましては、税制調査会の答申を十分尊重しましたものは、五%から一〇%に、利子所得等につきましては行ないました。しかし、資本関係につきましては、株式配当所得三万円まで提出する——限度額をきめなさいというものを、五万円に引き上げている。それから五十万円の小額貯蓄制度等に対しても、これを百万円に引き上げるというような、政策的に必要上、答申よりも違った政府案を決定したのであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 答申と違っているより、答申に反して逆なんですよ。これで一体尊重と言えますか。税制調査会の答申をこの租税特別措置のあり方に対する一般的なあり方、負担公平原則や租税の中立性を阻害し、総合累進税率の構造を弱め、租税というもののモラルに悪影響を及ぼすなど、多くの短所があるから縮減すべきだ、で、特に資産課税に対する優遇措置は廃止すべきだ、こうなっているのですよ。「廃止すべき」ですよ。これは一部の高額所得層に不当に優遇を与えるものであって、これは廃止すべきだ。そこで、税制調査会の四十年度の税制改正では、利子課税については、一応五%を一〇%に上げて、しかし、これは総合にして二〇%で分離課税を存続するということだった。これは一歩の前進なんですよ、廃止のほうへ近づく。ところが、逆なんですよ。五%を一〇%に上げて、やはり依然として分離課税、そうして非課税限度を五十万円を百万円に上げたでしょう。しかも、配当所得については、これは廃止すべきだというのに、むしろ強化してしまったのじゃありませんか。あなたは、一五%の分離課税をついにやった。池田内閣でできなかった一五%の分離課税をやります、これはたいへんな不公平な税制ですよ。廃止すべきだというのに強化している。これで尊重と言えますか。逆行ですよ。いかがですか、この点。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 税制調査会の答申尊重という基本的な線でございますが、でございますから、所得税減税の財源にするために、答申をよく守って、利子所得の五%を一〇%にしたり、そういうことで財源をつくり、できる限り大幅な所得税中心の減税を行なったわけであります。この面からいうと、税制調査会の答申は十分尊重しておると、こういうたてまえでございます。ただ、利子所得や配当所得に源泉分離のままとか、また配当所得に対しては源泉選択制度を採用した、こういう面が全く相対立しておると、こういう御指摘だと思います。答申から言えばそういうことになりますが、政府がより広い立場、より高い立場で現在の日本の状態、特に八条国に移行して開放経済下にあって、日本が国際競争場裏においてどうしていくべきか、また非常に高い成長率を誇っておるにもかかわらず、日本の状態を見るときに、優秀企業であるというものさえも倒産に追い込まれ、この倒産は一つの企業が倒れたというのではなく、何十万何百万の中小企業やそこに働いておる人たち、家族にも大きな影響があるのであります。いままでは年々労働生産性を上回るような賃上げが行なわれてまいりましたが、これが開放経済になったからといって、一ぺんにとどまるものではありません。まだまだ賃金の平準化も行なわなければなりませんし、いろいろな面から日本の状態を考えるときに、ある時期税制上の特別措置をあえて強化することも、ひいては日本人全体の福祉を守るものである、こういうことがあり得るわけであります。また現在国会におきましても、外国から金を借りるな、また一体自由化をやっても、日本の自己資本比率の状態を見ると、国際競争力に太刀打ちなどできるわけがないじゃないか、こういう御指摘がいつでもあるわけであります。戦前六一%だった自己資本比率は二三%に低落をしております。そういう状態から考えまして、また日銀信用による通貨膨張を防いだり、また企業間信用を正常なものにしなければならない、金融の正常化をもはかるように御注意をいただいておりますが、これをやるためにも、どうしても産業資金調達の場である資本市場や公社債市場の育成強化をはからなければならぬことは、全くいま焦眉の急であるとも思っております。もう一つ、私はあえて長い答弁をするつもりはありませんが、イギリスの状態を見るときに、一体ポンド不安はあるのか、また現在のポンドを維持できるのか、こういうことが世界的な議論になっておるわけでありますが、この状態を見ても、やはりイギリスのような状態になってはならない。国際収支の改善、長期安定というものは、日本人自体全体から考える場合に、最も私は深刻な問題であり、最も切実な急を要する問題であるという観点から、税制調査会の答申とは多少異なりますが、利子所得及び配当所得に対して特例を強化をいたしたということでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これは国民からたいへんな不信を抱かれていますよ。税制調査会は答申でもこの資産所得に対して、つまり働かないで入ってくる不労所得に対する利子配当等の、こういうものに対する税制上の優遇措置は、一部高額所得者を不当に優遇するものである。もちろん資本蓄積のこともあるけれども、しかしこの不当に優遇して租税負担の不公平、こういう納税上のモラルを阻害するということを補うに足るほどの政策的効果も実証に乏しいというのですよ。これで、はたして資本蓄積に役立つかどうかということが疑問だということが書いてある。実証できない。配当分離課税をやっても、株はどんどん下がっているじゃありませんか。千二百円を割ろうとしている。銀行預金も入れたからといって、これで預金がふえるという実証はない。むしろ逆の場合もある。しかも国民が非常に不満に思っているのは、税制調査会が所得税八百九十億減税しろというのに、政府は八百億に減らして、その分をこういう一部の高額所得者の減税に回しているんじゃありませんか。そういうことになっているんですよ。だから、この間、私はあるテレビで税金の討論をやりました。一般のサラリーマンの人が代表に出てきましたが、怒りを感ずると言っていますよ。これは日立のサラリーマンの人です。政府のこのように所得税のほうを八百九十億減税せよというのを八百億に減らしてしまって、それを一部の高額所得層の減税に向ける。しかも所得税は、さっき言ったように、実質的の増税です、物価の値上がりを考えれば。七十万で夫婦、子供三人で、その人は五千円くらいの減税ですが、四・五%物価が上がれば三万円くらい家計費負担がふえるのです。こんな減税をしておいて、そうして高額所得層の資本蓄積に対して、こんな減税をするということは、たいへんな不信感を与える。税制調査会と多少意見が違うどころじゃない、逆なんですよ。これで答申を尊重したと言えますか、逆行なんですよ。これは先ほど総理大臣は尊重すると言われましたが、これで尊重していると言えますか、むしろ逆なんですよ。これは総理に。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 税制調査会の答申を尊重したかしないか、これは先ほど言われておるように、増収分の二割、これを減税に充てろ、今回は一九%だ、かように思いますから、大筋においては大体私は尊重したものだと、かように思います。しかし、ただいまの利子所得に対する課税の問題等につきましては、これはいろいろの御意見があると思います。今日、もちろん税はどこまででも公平でなければならない、公平の原則によるのだ、これも一つのりっぱな考え方でありますから、私どもはそれも守ってまいりますが、しかし同時に、今日混迷している経済界の実情等から見まして、やはり資本市場育成、あるいは貯蓄の奨励などとか、こういう点につきましても思いをいたしていくこと、これが望ましいのではないか。とにかくある種の対策を立てろと言われる場合に、必ず皆さんから口を開かれるのは、税制、金融、予算、あらゆる面において対策を立てろといっても言われている。こういう点は、特に今回二年の短期の処置である、こういうことにも勘案されまして、これが常時永続的なものなら、ただいまのような御批判も当たるかと思いますけれども、私は短期的な処置として、当面経済の実情に対してはこの種の処置もやむを得ないのじゃないか、かように考えまして、この案を採用いたしたわけであります。私は、しかし税制調査会の委員の方々とも二、三この問題について意見の交換もいたしました。同時にまたその後の世論、ただいま木村さんのような御意見もございますけれども、他の一面におきましても、これに賛成する向きもございます。これは私はあえて証券業界、あるいは金融の方たちがかように申すわけではございません。いわゆる経済評論家の方々でも、やはりこの制度を支持なさる方もある。とにかく問題の多い処置ではございますが、政府としてはこのほうを今回採用した、かような状態でございます。あえて、私がたって御説明申し上げるのも、その実情等を十分御勘案願いたい、かようなお願いからたってただいままでの経過をまた私どもの考え方、その大要を申し上げた次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 総理は尊重しているように言われましたがね、そのたった一つの論拠が自然増収の二〇%近いものを減税していると言いますけれども、しかし形はそうなんですよ。しかし中身は全然違うのです七たとえば東京へ来るというのに、北海道から来るのも東京へ来る、鹿児島から来るのも東京へ来る。東京へ来ることは同じなんだ。北海道から来るべきものも鹿児島から来ているのも同じことです。中身が逆行しているのです。ただ幾ら金額が減税になったからといったって中身が問題ですよ。ですから実質的にこれは逆行なんです。尊重ではない。しかし賛成している人もあるというのは私も知っております。経済評論家、この人たちは証券界あるいは財界につながっている人です。そういう人が賛成しているのです。私も知っております。ですから賛成しているからといって、これは一般の国民が賛成しているのでないのです。この点は私ははっきりさせておきたいと思います。  それから諸外国で分離課税やっているところございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 源泉選択の制度は、現在イタリアが採用しております。日本も源泉選択税率が一五%でありまして、基本税率が一五%でありますので、イタリアの源泉選択制度と同じ。イタリアではなんでこういうことをやったか。国際収支も悪いし、物価が上がるし、しかもコストインフレになる。増税もやり、所得政策でもって賃金ストップもやり、その上になおこういうことをやらざるを得ないということでやったわけでありますが、イタリアのようになりたくない。ならないためにはこういうことをやっていきたい、こういう考えであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 イタリアだけでしょう。ほかではやっておりませんよ。よくお調べになって、大蔵省に資料がございますから。こんな不合理な税制改正はありませんよ。ほかのほうにもっと減税するならいいですよ。しかも全体として、租税特別措置による配当と利子課税に対する四十年度の減税額は幾らですか、減収額。

泉美之松大蔵省主税局長

○政府委員(泉美之松君) 租税特別措置のうち、利子所得及び配当所得に対する特別措置並びに有価証券の譲渡所得の非課税分これらを合わせまして、千十九億円、本法による場合との差額が税収になっております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 千十九億ですよ。これだけの特別措置をやっている。問題は今後一体大蔵大臣どうするのですか、今後、こういうあれを続けるのですかどうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 千十九億の内訳を申し上げますと、利子の分離一〇%百三十億、少額貯蓄百万円まで上げようというのが四百九十五億円、配当源泉徴収百六十五億、有価証券の譲渡所得等が七十億、こういうものが含まれておるわけでありますが、これ全部やめるというような状態にはないということは、これは私も考えております。ただ、政策効果があがったものに対しては、できるだけ特別措置は廃止をしていくという方向でございますが、私がなぜこのような木村さんにおしかりを受けるような税制をとったか。私も木村さんも同じように、やはり投票によって出てくるのですから、国民に憎まれるような政策はとりたくないのです、ないのです。これはもうあなたと同じことなんです。しかしなぜとらなければならないか。これは責任の立場に立って日本の将来と現在を考える場合に、ある時期やむを得ない、こういう状態でとった処置であります。私はそういう意味で日本が現在貯蓄が必要である、それから資本蓄積が必要である、これはもう私はどんな方々が考えても、この必要性は十分認識がされると思います。利子平衡税一つの問題が起きても、日本の経済状態ががたがたになるということは、他人から資本を仰いでおるからであります。西ドイツが同じ二十年間の戦後、どうして一体このような状態になったのか。西ドイツはある時期において、思い切った貯蓄政策、思い切った資本蓄積の政策をとったからであります。私はいま物価問題ということを非常に議論されておりますが、物価に対して一体どうして物価問題に終止符を打つか、これはいろいろ問題があります。経済安定とかいろいろな問題がございますが、しかし、ほんとうに激しい物価抑制策ということになれば、賃金ストップもしますし、税の増徴も行なわざるを得ない。しかし、どう考えても、いま税の増徴が行なわれるような状態ではありません。また賃金ストップが行なわれる状態にあるかというと、私は必ずしもそうでないと思います。そういう中で、やはり安定成長路線を確保しながら国際競争力をつけていくという一点に、この問題もかかっておるわけでありますから、私はそういう意味で貯蓄の増強をはかり、資本蓄積をはかるということは、一部の株主や一部の貯蓄をする人たちの利益を守るのみのものではないと私は考えておる。また、不労所得といわれるような人たちの利益を守るために、このような税制をとったんではありません。そうすることによって物価にも寄与し、正常な安定成長が確保できて、そしてそれがひいては国際収支の長期拡大安定につながる、それが私は国民全体の利益になるものだ、こういう考え方でこの政策をとったことを、十分ひとつ御理解を賜わりたいと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 税制調査会の答申では、そういう資本蓄積に役立つかどうかは疑問だと、そういう答申なんですよ。そして片方では非常に不公平になる、そういうものを埋め合わせるだけの積極的な理由がないと言っておるのです。だから問題があるのです。だが、あなたはいろいろ憎まれることはやりたくないと言っておりますが、これはだれでも知っております。銀行預金利子のほうが分離課税だから、株屋さんのほうからもあれをやってくれ、同じにやってくれと言われたのです。だから税制調査会の答申どおりに、資産課税についてはこれは分離課税はやめるべきですよ。所得税法三十七条二〇%の課税で総合する、ここに返えるべきですよ。そしてよく大蔵大臣は新聞記者にサルカニ減税論と、サルカニのおむすびとカキの種、それは一体どういうことですか、非常に興味があるのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) サルカニ論で御質問でございますからお答えいたしますが、いまとにかく食えない、食えないからとにかく少しでも税金を安くしてもらうほうがより豊かな生活が築ける、これはよくわかる。しかし、われわれの人生は悠久である、こういうことから考えますと、わが子どもがあるのです。子を思わざる者はない。孫もあるのです。われわれの民族の生命は悠久なんです。だから今日耐乏生活をあえてやることによって、将来より大きな利益を求めようということも、当然考えていかなければならない。あったとき勝負で、きょうあったらきょうみな食ってしまうという、こんなことで民族が栄えようはずはありません。そういう意味で私はまじめに考えるときに、確かに現状も豊かでない。しかし、現状も豊かでないけれども、その豊かならざるところから蓄積をしながら、一面においては物価はどんどん上がるけれども、物価に対して一体何が寄与するかといえば、どう考えても国民消費が最も大きく寄与をしております。第二番目は、御承知のとおり、財貨サービスが大きな比率を占めておるのでありますから、こういう意味から考えても、物価が上がるから早く買ったほうが得だというよりも、買わないで貯蓄をしておれば、物価が下がってより豊かなものになるのだということから考えれば、きょうのめしの問題も十分検討すべきではありますが、乏しいというけれども、乏しき中からあしたのためにたくわえをする、そしてより豊かな基盤をつくるということも考えなければいかぬ。だから、にぎりめしをみんないまのうちに食ってしまうということは、にぎりめしの話でありますが、腹はすいておるけれども、カキの種をまいて子孫のために美田を買おうかということも税制上考えるべきだ、こういう話をしたのがいま伝わっておるわけでございますが、私はやはりまじめな政治として、そういう姿勢も加味していってこそ、わが子わが孫の代に、われわれよりも豊かな生活が築けるという考え方を持っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 しかし、日本の現状は、貯蓄率が高過ぎるのですよ。社会保障が不十分なために、やむを得ず貯蓄をしておるのです。勤労者の貯蓄率は大体一五%、世界でも非常に高いのですよ。これは資本蓄積が大切大切というけれども、こんなに高率の資本蓄積を国民がやっているところありませんよ。ですから、あなたは消費を節約するために蓄積しろしろと言うけれども、だれが節約するのですか、もう節約してるんですよ。一五%も貯蓄している。社会保障が不十分だから、しかもサルカニ合戦には後日談があるのです。これはあなたは落としている。カキの種まいた、カキがなったらサルの手でみんな食べちゃってカニにぶつけたじゃありませんか。これがいまの資本主義のやり方じゃありませんか。そういうもとでの資本の蓄積ではだめなんですよ。その点どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) これは、非常に耐乏生活にたえながら、あえて将来に夢を託してカキの種をまいたら、カキはみんな資本家に食われてしまう、こういうところに問題があるのです。いま一体資本家などというもの、昔の資本論、いわゆる資本家というような観念が存在するかどうか、ここに問題があります。日本の産業そのものが、国民全体が資本家である。もう一つは従業員諸君、こういう人たちが一体、過去のように会社がうんともうけて、そして自分たちは低所得に甘んじておると、こういう状態ではないのです。労働生産性が上がらなくとも、とにかく物価が上がっているのだから賃金を上げなければいかぬ、こういう事態でありまして、いまの日本の産業は資本論でもっていうところの産業ではない。ですから、産業が非常によくなって、国際競争力がついて、そして外貨が十分あがなえるという状態になって、初めてその果実は国民全体のものになる。そういうところが、明治、大正、昭和の初年とはうんと違うわけであります。戦後は無資本の中から立ち上がっただけに、資本家というものをあえて言えば全国民であります。東京の取引所に上場されておる約千三、四百社、この株主の総数は千六百万人でございます。ですから、千六百万人でありまして、ダブっている者もありますから、一人が三コンマ幾株といえば五、六百万人と推定されるかもしれません。しかし、現在五百万人や六百万人が株を持っているから、だからそれは一般的減税にならないんだ、こういうことよりも、国民すべてが資本蓄積に参加し貯蓄をするというところに持っていかなければならぬ。そうしなければ、どうしても外国から金を借りたりするわけでありますから。日本人自体が確かに貯蓄性向二一というのですから世界と比べて高い。高いけれども、日本人はそういうたくましさを持っておるのです。ですから、貯蓄性向がいまよりも上がらない、こういう考えの中で、物価を下げようとか、安定成長にしようとか、国際競争力をつけようとか、われわれの生活をより豊かにしよう、こういうことを考えておっても、なかなかできがたいのであります。でありますから、貯蓄をし自己資本比率を上げるということが長期的にわれわれの生活基盤というものをより強固なものにするということは、これはだれも異論のないところであります。でありますから、分離課税とかまた銀行預金というようなものが大衆的なものではないという感じではなく、もうほとんど大衆的なものであります。同時に、国民全体が資本参加や貯蓄に参加することによって初めて安定的な日本ができ、われわれの将来があるのだ。現在の状態で会社がぶつつぶれた場合に問題があるのは何かといえば、何千人の労働者が会社に預けておる社内預金の何千万円、何億というもの自体がいま問題になっておるではありませんか。それだけではありません。会社がつぶれれば一体どうなりますか。どんどんどんどんと月給は切り下げられるようになる。こんな石炭企業のように日本をしちゃいけないのであります。いけないために、やむを得ずあえて苦難の道を歩いた、こうことであります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 大蔵大臣、国民みんなが資本家になるというのが社会主義なんです。特定の個人が株というものを持って生産手段を支配している、金融なりあるいは流通手段を支配しているというのが資本主義です。社会主義国に行ってごらんなさい、株なんかありませんから。そこが違うのです。資本蓄積といいますけれども、多くの勤労者は非常に貯蓄をしているのです。貯蓄は美徳といわれて、日本の勤労者は貯蓄をし過ぎるくらいしている。ですから、最近の家計簿を見てごらんなさい。十分栄養がとれていない。厚生省で発表している国民の栄養調査でも、五人に一人は栄養欠亡症だと言っている。十分栄養がとれていない、基準栄養量がとれていない、それほど社会保障が不十分です。貯蓄しているのです。だれにもっと貯蓄をしろと言うのです。松下さんのような四億二千万もある人に減税すれば、それは株を買う、銀行預金するでしょう、設備投資をして資本蓄積になるでしょう。しかし、これは設備過剰になるのです。そこで、一段の勤労者にもっと減税して国民の購買力をふやして、そうして生産と消費のアンバランスを直すというのが正しいやり方です。逆行しているのです、いまの政策は。税制上その点どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私もそういう考えなんです。ですから、減税の九〇%以上も所得税減税をやっているのです。ですから、いままで議論してもなかなかできなかった五%を一〇%に引き上げる。いま資本蓄積、貯蓄増強に対しては別に政策を行なわなければならないときでもある。とてもいまの段階においては所得税減税ができない。それで五%を一〇%に上げたんで、そうして財源をつくって九〇%以上所得税減税をやっておるわけであります。確かに可処分所得をふやさなければなりません。ふやしても、物価が上がるから使ってしまおう——まあ冬山へでも行こうとか、五百五十万人もどこかへ出たり、そういうことは、確かにそれは国民のレジャーも必要でありますが、そのときにそれを使うことも一つの方法だが、貯蓄をすれば税金が安いのだと、これはだんだん大きくなる。こういうことはやはり道を開いておかなければだめだ、そういう意味で、所得税減税を中心にやって、可処分所得を少しずつでもふやして——大幅にふやせとは申し上げませんが、確かに現状よりもよくなる。そのときには、それをストレートに消費につながらないように、消費につながるということになれば、これはもう二一%の貯蓄性向が限度だと、可処分所得をふやせばみな使う、こういうふうな議論になったら、これは物価に拍車をかける議論になりますから、私はそう考えません。ですから、いまみずからが月給を取っている会社のために、これを永続的にするために会社の株を買おう、こういう道を開いておくということがうまくいくのでありまして、私はやはり、貯蓄減税、また資本蓄積、また企業減税というものをかすかでございますがやったことは、将来評価されると思っている。いまどんなに私は批判されても、やはりこれは、日本全体のこれから五年、十年の将来を考えるときに、国民が豊かでない現状であっても、乏しきを抑えて貯蓄をすること、また資本蓄積に参加することによってわれわれの将来というものが確保されるのだという考えは、私はいまでも間違いないことだと思っております。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 何も資本蓄積を否定しているのではない。いまのような仕組みでは、これはほんとうの人間尊重にならないということです。  私はもう時間がなくなりましたから、物価対策について簡単に伺いたい。政府は、物価を安定させようとしておるのか、していないのか。消費者米価の値上げ、医療費の値上げによって、また日本の物価問題は新しい段階に入ったと思います。公共料金の一年間の料金ストップを解除するんでしょう。この状態を政府はどう考えているか、それから次々と東京都が十八項目の要求書を出した、この事態をどう認識され、これは値上がりムードの段階に入ろうとしている、これをどうとらえ、どういうふうに対処されてきているか、この点。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高橋衛君) 木村先生よく御承知のとおり、公共料金として政府がコントロールできる対象になるものの全体に対するウエートは二割でございます。しこうしてそのうち最も大きなものが消費者米価でございますが、これは最小限度ということで一四・八%の値上げをこの一月からいたした次第でございます。自余の問題につきましては、一年間の期限が経過いたしたものでございますから、これは自由主義経済のもとにおきまして、いつまでもこういうことを続けるべき性質のものではない、かような観点から、一応解除をいたしましたが、公共料金を抑制するという姿勢そのものを変えたわけではございません。したがって、個々の対象となる企業につきまして、また公営企業につきまして、能率的にやった場合におけるところの最小限度の程度を一々審査をいたしまして、その程度まで認めていこう、かようにまあ考えておるわけであります。  ところで、ちょうど各地方公共団体とも、来年度の予算をいま審議している最中でございますが、そういうふうな関係からいたしまして、各地方公共団体がそれぞれの公共団体の権限に属するところの、いろいろ公共料金について値上げを企図しておられることは、私どもも承知いたしておるのでございます。これが全体のムードとして、便乗値上げ等を誘うというようなことになってはたいへんだということで、木村さんもよく御承知のとおり、政府の、つまり、公共団体を含めたところの政府の財貨サービスの三分の二というものは、地方公共団体の手を通じてそれぞれ消費される、使われるわけでございますから、政府の非常に物価に対するところの強い態度、何とかして安定的な方向に持っていこうというこの心がまえというものに対して、地方公共団体もぜひ協力していただきたいという、最小限度のことは政府としてもそれに協力していくべきである、こういうふうな腹がまえのもとに対処しておる次第でございます。  しこうして、本年度は御承知のとおり、当初の見通し四・二%を四・八%というふうに改定いたしましたが、今日の段階、一月に、前月比較において二%上がりましたので、非常に心配いたしましたが、二月は大体横ばい、三月の上旬でも、ただいまの見通しでは、生鮮食料品等の需給の関係から見まして、大体四・八%以内におさまるという見通しでございます。しこうして、昭和四十年度につきましては、四・五%という見通しを立てた次第であります。これはもちろん、われわれの理想から申しますれば、非常に高い段階ではございますが、しかし、可能な程度ということを考えながら、これに向かってあらゆる努力を傾注していきたい。そうして絶対にこれを実現するという腹がまえでもって、各地方公共団体にも御協力を願いながら、施策を進めておる次第でございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 今後の物価の問題につきましては、これは総合的に長期的な対策を立てなければいけないと思うのですが、それについては、中期計画が政府の一つの基本になると思う。ところが、この中期計画は、これは逆に物価を上げ、ひずみを拡大するのじゃないか。内容を見ましたら、設備投資をふやすことになっておる。個人消費を減らすことになっておる。これは高度経済成長の型と同じですよ。そうして、これに八・一%、ものすごい資金が要りますよ。この背景に資金計画というものが一体あるかどうか。私は、所得倍増計画がああいうようになったのは、背後にしっかりした財政計画、資金計画がなかったからだと思うのです。これに一体、資金計画ございますか。財政計画ございますか。それがなければ、高度経済成長のもとでは、みんな各社がシェアの拡大競争をやって、それでこの資金が全く無統制になってしまう。日銀からどんどん貸し出しをする。だから、きちんとした資金計画がどうしても長期の物価安定政策には重要だと思うのです。その点いかがです。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高橋衛君) 御承知のとおり、中期経済計画は、経常収支において国際収支がバランスをとる、並びに消費者物価を安定させるという二つの基本的な目標を達成するというためには、いかなる経済運営をしたらいいかという課題を出して、そういう答えを出したわけであります。しこうして、なるほど御指摘のとおり、設備投資が相当急速に増すという数字にも相なっておりますが、御承知のとおり、設備投資は、過去十カ年間の毎年の伸び率は大体二割近く、一九%ということになっておるのであります。今回、その設備投資の伸び率というものがその半分に大体なっておるのが現状でございます。しこうして、個人消費につきましても、これは御承知のとおり、昭和三十六年度から八年度まで、三カ年度間、毎年一五%台の個人消費の伸びがございました。こういうふうな個人消費の伸びが急速でございますると、全体としてどうしても国民総需要を非常に急速に大きくするということで、需要供給の関係からデマンド・プルと申しますか、そういう面から消費者物価を非常に押し上げてくるという傾向を持っておる次第であります。それで、それを一〇%以内にとどめるような経済運営をいたしていこう、こういうことで、その後、それぞれ連関表を使いまして、整合性のあるところの計画を立てたのがこの計画でございます。  したがって、もちろん、西欧諸国またはアメリカとのパターンと比べますれば、日本のほうが八・一%という実質成長率になっておりますので、日本につきましては、なるほど、若年労務者等につきましては、むしろ求人数のほうが多くなっている。つまり、労働力の需給が非常に逼迫しているというのが実情でございますが、中高年層を含めて全体として考えましたときには、なお相当十分にその能力を発揮して労働市場に働いておられる状況であるというふうには、まだ私どもは判断いたしておらない次第であります。したがって、そういう方面において、労働生産性が今後の設備投資の増加によってどんどん引き下げられるということになれば、この程度の成長率をもっても、十分に安定的な成長で、つまり、経済成長を安定的な基盤に持っていけるという考え方のもとにこういう答申が出、また、政府といたしましても、その大きな方向についてこれを採用してまいっているような次第であります。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そんなことで、この中期計画によってひずみを直し、物価を安定することができますか。  大蔵大臣に伺いますが、これから社会開発——人間尊重の具体的な社会開発には、これが住宅、生活環境、災害、公害、社会保障、労働条件の向上、雇用の改善、国民支出の能力の向上、消費者保護、低生産部門の近代化、これをやるのには、非常な財政支出が要りますよ。これも、無統制に認めていったらどうなるか。特にひどいのは、公害防止事業団ですか、あれなんか、もう公害を公認するようなものですよ。こんなことで一体いいのですか。これではとてもひずみを直すことができない。だから、財政計画も資金計画もここにしっかり立てなければできない。資金計画はあるのですか。これは大蔵大臣に伺います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 中期経済計画、所得倍増計画の中のものとして答申を求めたわけであります。これが一段であり、これから実質的な計画に対しては、個別な計画を立てて、資金計画の裏づけをどうするかということが必要だと考えております。でありますから、そういう作業が二段にどうしても必要だと考えております。この所得倍増計画の中で前半のものと考えますと、政府が企図したものよりも非常に高い成長率が行なわれました。行なわれましたけれども、これはやはり的確な資金計画というものの裏づけがなくて調整が行なわれなかったというところに——もちろん、計画経済ではありませんから、すべてを調整するというわけにはいきませんが、しかし、全く金融にまかせておったというところが、そのひずみが起きた、非常に超高度成長の行なわれた一つの原因だと思います。私は、今度の中期経済計画が、いままで投資をしたデータを材料として機械的に出た結論に、人間の英知を加えて多少修正して中期経済計画ができたわけでありますが、このままでもって、東京や大阪中心、明治から百年間も続いてきておった基盤に、そのまま積み重ねていくということになると、あなたが言うとおり、これはえらい大きなひずみができると思います。ですから、さなきだに大きくない日本でありますので、国土計画、人口の再分布、また工場の状態、地方開発、そういうものを新しい角度からもう一ぺん検討して、この中期経済計画の数字を全国あまねく考えながら、どのように投資を行なえば、より合理的になり、ひずみの解消がはかれるか、地域格差の解消とか、業種間の解消とか、いろんな問題がございますが、そういうものを十分検討して、それに適合するような資金計画というものが必要だと思います。私は先ほどは申し上げませんでしたが、そういう意味で、やはり資本蓄積とか貯蓄の増強というものの、前段のおぜん立てというものが必要だという考え方があったわけであります。でありますから、このまま、八・一%ずつの成長を続け、また、予算が単年度であるから、なかなか長期的には、税収の見通しを見なければわかりませんというようなことだけでやっていくと、御指摘のような、いろいろなひずみも起こると思います。ですから、、中期経済計画の答申を求めたものはそこにあるのですから、およそ四十三年までの数字はわかったのですから、、一体、これをどのようにして進行し、どのように全国に当てはめるかということは、非常にこまかい計画は必要だと思います。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 そういうやはり資金計画みたいなものをおつくりになるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) まだ答申をいただいたばかりでございますから、とにかく、資金計画的なものの作業を必要とするというふうに考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 それから、公害防止事業団のことについて。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 公害防止事業団というものは、私は個人的には反対だったのです。こういうものをつくったら、あなたが言うように、反対だったのですが、どうも予算編成の過程に、世論に耳を傾けるとやはり必要である、こういうことで、やむを得ずつくったわけです。これはどういうことかといいますと、工場法に対する危害防止とか公害の防止、それから建築の認許可、それから自動車行政、これはみな昔は警察でやった、相当手きびしい取り締まりをやったわけです。ところが、それが戦後は、警察からみな離れてしまって、建築は区役所に移ってしまう、また、公害防止の問題に対しては通産省といいますが、通産省はどうしても産業育成という方向だけで、どうしても公害防止というような、金のかかる、コストがよけいかかるようなものには手をあまり出さない、それから車も、もとの警察と違いまして、このごろの状態を考えると、取り締まりというものは非常に薄いと思います。そういう意味で、自己責任ということでそういうものを確立すれば、公害の多いものが、千万人も人口の住んでおる東京に許されようはずはないのであります。にもかかわらず、東京や大阪につくることが、その単一企業の利益追求のためにはいいということで工場を認可して、それで公害というものはそのままになってしまうと、こういうことじゃ、どうにもならないわけで、ですから、八・一%ずつの年率成長を必要とする中期経済計画を実行する場合には、もうこういう東京や大阪、既成都市の中にはつくらせないというものなどは、明示をしないでこのままやってしまったら、ひずみが大きくなるにきまっているのです。ですから、先ほど国土計画そのものを十分検討してやらなければならないということを申し上げたわけです。ところが、現実問題として、これからは許さない、これからは条件を非常にきびしくするといっても、現にあるものに対して急激にこれをやれといえば、コストが非常に大きくなってたいへんな問題が起きる、社会問題としては一日もゆるがせにできない、やむを得ず公害事業団の設立を認めざるを得なかったということであります。  私はこのときにも、もう内閣でも、自分の所管だけにこだわらないで、警察に移すものがあったならば移すべきだ、こういう主張も強くいたしたわけであります。公害事業団だけでもって公害が解決できる問題でありません。私はやはり自己責任というものをもっと政府が強く要求すべきだと考えます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これはもう、人間尊重の具体的な内容としての社会開発も、これは非常に広範にわたっているわけですから、本気にやるならば、どうしたって産業資金計画、財政計画、これがなければだめですよ。いま言った公害防止事業団みたいに、あれをつくって、むしろ一生懸命公害をやって、あとは政府がみんなめんどうを見てくれるのだ、こういうことになりがちですよ。ですから、そういう点を考えなければ、ずいぶんむだが出てくる可能性があります、それに便乗して。この点は十分私は考える必要があると思う。  それから、時間がなくなりましたから、中小企業の問題について最後にお伺いしたい。  それは、さっき山陽特殊製鋼問題がありました。中小企業基本法に基づいて政府はこれまでやってきましたが、しかし、中小企業基本法によって、三十八年度に制定してやってきたけれども、ちっとも実効があがっていない。どこに根本の問題があるか。私は、時間がありませんから——社会党も中小企業基本法をつくりました。通産大臣御存じだと思う。あの社会党の中小企業基本法によってやれば、私はこういうことはないと思うのです。この点はいかがですか。  それで、今後のまた物価の問題も、中小企業の中で新しい段階に入ってきましたから、新しい段階に即応するような新しい物価対策なり、新しい中小企業対策を講じなければ、私は重大な問題になってくると思う。私は最後にこの点を質問いたしまして質問を終わります。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 社会党の主要中小企業施策についてもよく検討しております。しかし、これを私考えますのに、実行の方法ですね、その方法にいろいろ違いが出てくるのではないかと思うのであります。たとえば、「国および地方公共団体の出資により各都道府県に小規模事業向け特殊金融機関を創設する。」と、こういう御提案がございますが、小規模事業向けについて、いまの三機関を通じて金融をしていっても、決してこれは差しつかえないのじゃないか。しかし、それが量が少ないとか、あるいは貸し付け条件が悪いとかいう御批判が出ましょう。しかし、それは改善すべきであると思うのであります。あるいはさらには、今回御審議を願っておる小規模共済事業団のようなものをつくって、そうして、それから還元融資をするというようなことも方法だと思うのであります。あるいは、ここに「下請工賃ならびに小売マージンを確保せしめる」ような施策をとれ、こういう御提案がございます。これらの点につきましては、現在政府としては、全国都道府県にございます商工会とか商工会議所に企業改善の指導員を置いておりまして、そうして直接企業者と接触をしながら、いろいろな希望を聞き、それに対して御助力できることはしていくというようなふうに、この社会党がお考えになっておるねらいも、また私どもが考えておるねらいも、大体この方向は一致しておると思うのです。  ただ遺憾ながら、ことしの予算をいま御検討願えば、わずかに中小企業二百十八億円の予算はどうだ、こうなります。しかし、この点は、全体から見て三二%伸ばす、こういうことでございますから、予算折衝中には、ことしはこの範囲でやむを得なかろう、急にやはり予算をたくさん取ってみましても、行政能力もあることでございますから、私としては、最小限度のがまんできるところで予算折衝はいたす、こういうことでございます。

木村禧八郎日本社会党

○木村禧八郎君 これまで人間尊重の裏づけの予算について、いろいろ質疑してまいりましたが、非常に不十分でございましたが時間がありませんので、それでは私の質問を終わります。

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) 木村君の質疑は終了いたしました。     —————————————

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) 次に、迫水久常君。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 現在国民が一番知りたいと思っていることは、佐藤内閣がどういうふうに池田内閣と違うかということだと思います。そこで、私は、この意味におきまして、特に基本的な数個の点について、かくあれかしという私の願望をも含めまして質問をいたしたいと思います。  池田内閣の当時、日本の国民経済は非常に成長して、生産設備も急激に増大し、国民生活も著しく向上して、政府の社会投資も大いに増大いたしました。これは私たちの誇ってよい池田内閣の功績だと思っております。しかし、この国民経済の成長を貸借対照表的に見ますと、生産設備の増大に見合っては、民間各企業の著しい借金の増加がございますし、国民生活の向上に見合っては、月賦の借金の増大が見られます。しかし、政府の行なった社会投資の増大に対しては、政府の借金はふえておりません。こう見てまいりますと、結果的には、政府は富んだが民間には借金が増大したと言ってもよいと思うのであります。この状態に対しまして、佐藤総理は、かつて、自分の政策は国民を富ましめる、国民に財産をつくらせる政策だと言われたことがありますが、今日でもそのお考えはお変わりになっていらっしゃらないか、お伺いいたします。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、私は池旧総理のあとを継ぎましたが、基本的には、与党は同一でございますし、自由民主党の本来の考え方でございます。もちろん、それぞれの持ち味が出てきたと、かように、私考えます。その意味で前池田総理が高度経済成長を唱え、その成果は見るべきものがあった、これはただいまの御説のとおり、私どもも大いに自慢していいことだと思います。しかし、それにかわりまして私が出てまいりました。この高度経済成長、その結果生じた当面する問題として、どういうことが問題になったか。先ほど来議論のありました、あるいは物価——いわゆる経済のひずみを直す、かような点が一番当面する問題であります。そういう際に、新しい政治的理念とでも申しますか、あるいは哲学ということばをつかうのはやや行き過ぎるかもわかりませんが、私はそこで、人間尊重の政治を必要とする、また、社会開発の理念を取り入れなければ、調和のとれた発展はなかなかできない。かような観点から、種々施策を進めておるのであります。そのうちの一つに、ただいま御指摘になりましたように、国民を富ます、国を富ます、それがすなわち政治本来の姿でなければならない。これから先は政府の力じゃないのだ、国民一人一人の力、それを結集して初めて国力が出てくる。かような意味から、国民を富ます政策——先ほど木村君からいろいろ御批判を受けました三千億減税などもその一つのあらわれでありまして、私は、国民が富むところにほんとうに国の力が生ずるのだ、かように考えております。したがいまして、ただいまも同じような考え方で進んでまいるつもりでございます。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 次に、財政のあり方についてお伺いします。  佐藤総理大臣も、池田内閣と同じように、健全財政、均衡財政ということを強調しておられまするが、池田内閣当時の日本財政を振り返ってみますと、常に租税は予算以上に収入がありまして、結果においては、いつもばく大な歳入超過となっておるのであります。私の理解するところでは、健全財政、均衡財政というのは、まず歳出をぎりぎりの線にしぼりまして、これをまかなうに足るぎりぎりの歳入をはかるということだと思っております。ややオーバーに申しますれば、もし年度間に災害等予測し得ないことが起こり、補正予算を組まなければならないような場合には、その財源は公債によってもやむを得ないというような、そういう状態の財政を、ほんとうの意味で健全財政、均衡財政というのだと思っております。私は、あり余る財源を保持する財政はむしろ放漫財政になり得る可能性を内蔵する財政であって、超均衡財政とは言えても、それは本質的には均衡財政とは違うものだと思っておる次第でございます。池田前総理のブレーンであったといわれる経済学博士下村治君の理論も、実は均衡財政を前提としたものであって、超均衡財政では違う結果が出てくる筋合いだと私は考えておるのでありますが、この均衡財政及び健全財政ということについての総理のお考えを伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私から。  政府は、健全財政の基盤を確保しながら、わが国長期の経済発展をはかってまいったわけであります。結果的に見ますと、健全財政、しかも超健全財政という御指摘でございますが、ある意味においてはそういうことも当たっておると思います。国債の残高は非常に少ない、いやないに等しい、こういう議論も成り立つわけでありますし、また、見込み以上の税収につきましては、二分の一は国債整理基金に繰り入れているというふうな状態でございましたので、確かに超健全とも言われる状態でございます。今年は当分二分の一繰り入れを五分の一に減らして、いま法律を御審議いただいております。ただ、いまお互いが心していなければならないものは、超健全財政とも言われるべき健全財政を貫いておってさえも、まだ超高度の成長を行なったり、それから、物価が非常に上がったり、国民消費も非常に堅調である、こういう面を考えますと、急激に超健全から健全へという名のもとに思い切った減税をしたり、そういうこともできない状態でもございます。また、外国から見まして、日本が国際収支が非常に悪くなっても、半年も引き締めをやるとじき直ってしまう、イギリスなどに比べると日本は神わざではないかなどと言われているのであります。そういう意味で、国際的地位というものも急速に上がってきている。利子平衡税でアメリカ市場を閉ざされたときも、こういう関係から、ヨーロッパ市場でとにかくつなぐことができたというような、対外的な評価も、無視することはできないわけであります。いずれにしましても、国の財政はつじつまが合っておるが、国民の財政は政府のようなものではない、こういう議論もあるわけでありますから、国も国民も健全な姿になるように十分配慮していかなければならぬと思います。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 ただいまの御答弁で、佐藤内閣では根本的には国民を富ましめるということを旨としているし、また、財政も急激にはいかないにしても、ほんとうの意味の均衡財政のほうを目標としておられることは明らかになったのでありますが、その結果必然的に考えられるものは、やっぱり大規模な減税だと思っておるのでありまするが、明年度においてはその大規模な減税を実行せられるおつもりではあろうと思いますが、一応お確かめをいたしておく次第であります。  なお、私は、租税政策を他の経済政策の手段として活用することは邪道であるという議論には私はくみしません。   〔委員長退席、理事村山道雄君着席〕 先ほども話のあった株式配当の分離課税の問題は、この点から私は高く評価しておることを申し上げておきます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) ただいま四十年度の減税等御審議いただいておるのでありますが、四十一年度にどうするかということをただいま申し上げる段階ではございません。ございませんが、過去十数年間にわたって大きな減税をやってまいったわけであります。単純に累計しましても、所得税を中心にして一兆二千億、いまの段階で計算すれば約十兆円、非常に大きな減税が行なわれてきたわけであります。特に昭和三十六年、七年、八年、非常に税収も大きく、高度の成長を遂げたわけでございます。しかし、先ほども御質問がございましたが、三十九年度は六百五十億の補正を加えて大体とんとんぐらいじゃないか。あまり自然増収を大きく期待することはできない状態でございます。四十年度も実質成長率を七・五%に押さえておりますので、いままでのように大きな自然増収は見込めないとは思いますが、総理も三千億減税と言われたように、減税に対する政府の基本的な考え方は定まっておりますので、財源の状況と勘案をしながら、減税に対しては一そう力を注いでまいりたいと思います。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 次には、金融に関する基本的な考え方でございまするが、私は、金融の元締めたる日本銀行は、従来通貨価値の維持という任務を果たすことにあまりにも重点を置き過ぎた結果、資金放出の抑制に偏した政策をとっているんではないかと思います。日本銀行はおそらくこの態度につきまして、企業というものはとかく放漫になりがちであって、資金が楽になるとみだりに設備を拡張したり、売れ行きを考えずに生産を増加したりして、いわば資金が不健全な方向に流れてしまうからと弁解すると思いまするが、しかし、この考え方は、水が漏れるから断水するというようなものでありまして、水が漏るなら鉄管を直すということが先決ではないかと思います。私は、資金が不適当な方向に流れるおそれのある原因というのは、市井の銀行その他の金融機関の営業方針に重大な欠陥があるからだと思います。自由主義社会においては、銀行その他の金融機関は、国家的の見地、社会的の見地からいつも中立的な立場から資金供給の寛厳を判断すべきであって、そうして、そのことが自由主義社会におけるいわゆる経済の自主調整の最も効果的な方法だと思っておるのでございまするが、現在、特に大きな銀行は完全に系列化してしまっておりまして、いわば銀行は系列産業の兵たん部に成り下がって、系列間の競争に巻き込まれて中立性を喪失しておるように思います。池田内閣では、ついに銀行の中立性回復ということまでは実現ができなかったのでございます。私は、政府が日本銀行と協力して、金融機関の当事者と常に密接な接触を保って、何らかの仕組みを考えて、銀行等が系列から離れて中立性を保持するように指導せらるべきだと考えております。そうすれば、日本銀行は資金放出抑制ということに偏することなく、拡大されつつある日本経済の運転に必要な通貨を安心して適正に供給するという最も重大な任務を果たす立場に立ちまして、現在倒産の最大の原因をなしておる企業間の信用膨張は平静化し、私製通貨のような手形は減少し、経済の動きの円滑を確保することができると考えておるのでございます。実は私は、日本銀行が通貨を供給する裏づけが民間企業の手形のみに依存しておる現在の状態については疑問を持っておるので、この点からも公債の問題を考えなければならぬのではないかと思いますが、きょうは時間がありませんからそれには触れません。以上申し上げました。ただ、この金融機関の金融政策の基本的な考え方について、政府、大蔵大臣のお考えを承りたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 日銀と公債との関係の部分を除きましては、大体私もあなたの御指摘のとおりだと思います。全くそう考えます。いままで、まあ率直な意見になりますが、政府も日銀も金融機関も、こう静かに見まして赤裸々に評価をしますと、あなたがいま指摘をされたような中立性とは違った、どうも民主化、自由化をそのまま消化をしておる。そうして、まあ自分で自主的にやるんですと、こういうことを言いながら、金のないときには資金を集めるために相当な資金獲得競争を行なう、それから、金があると貸し進む、こういうことでいろいろな問題を引き起こしてまいりました。日銀もなぜ金融機関に対しましてもっと強い姿勢をとりませんかというのですが、まあ、日銀が各金融機関の内部にまで口を差しはさむことはできるだけ避けたいと思いますと——これはまあ日銀はそういうためにあるのですから、他の金融機関にまでいろいろ口を差しはさむことはできるだけ避けたいと思いますというような状態だと、政府のほうでこまかい問題まで指図をしなければならないわけでありまして、政府が日銀の中立性を守って、日銀が政府にかわって金融機関の調整を行なうということであるべきであります。特に戦後新しい金融機関、日銀とは関係ないという系統金融機関に非常に金が大きく集まったり、それから、中小企業専門機関という相互銀行や信用金庫というものが非常に大きな資金を集めた。そういう意味で、日銀自体が調整できるものというと、公定歩合とか、窓口規制とか、そんなものしがなくて、もっと日々の金融政策に対してバランスをとってもらうことが必要だといままで考えておりましたし、日銀当局とも話をしてまいりました。あまりにも自主的だということで、それでまあ金融機関は表はいいのですが、内部に入ると、中は悪いものですから、一つの大きな産業に対して金を貸す場合には、例を言って申しわけございませんが、興銀でもって金を貸せると、あれは興銀の相手でございますから長銀は御遠慮申し上げる、長銀が貸せると、興銀のほうは御遠慮申し上げると、こういうことですから、まあ、都市銀行も同じもの、いわゆる石油産業だと全部石油産業は銀行の系列でもって下までやらなければならない。そういうところに、非常に大きな設備投資が行なわれ、景気の過熱が行なわれたわけです。ですから、いますぐ制度を全面的に改正するとか、そういうことができるわけじゃありませんが、日銀法の改正ということを契機にしまして、日銀はもっと金融機関の内部に対しての調整機能を発揮してもらいたい。そうすれば、政府がいろいろな銀行に対して、きょうあたり新聞に出ておりますが、山陽特殊鋼に対して、すぐ大蔵大臣のところにみんな集まってもらって、いろいろな指図をする要請をするということは日銀がやってもらう。そうすれば、もっと設備投資に対しても調整が行なわれますし、よりよい金融環境が生まれるだろう、こう考えておるのであります。日銀法の改正を契機にしまして、もう少し金融機関の公的責任といいますか、みずからを律する——産業界だけではなく、特に金融界も自立体制に入るという状態こそ望ましい、そういうものをつくっていきたいという考えでございます。系列融資その他の行き過ぎに対しては、今後は自主的に融資ルールをつくったり、いろいろなことをいま検討しておるようでございまして、資金があるから貸しますというようなことは避ける段階になっておることは同慶にたえないと思います。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 日本の経済は昨今不景気といわれておりますけれども、統計によりますると、前年同期に比すれば生産も売り上げも増加いたしておりまするし、人手不足というものは一そう深刻になり、労銀は上がる一方でございます。すなわち、日本経済は、マクロの立場から見ますれば決して悪くはないと言えると思います。近来、倒産の多いことについて、社会党の方々は、いまにも恐慌が来て資本主義社会が終わりになりそうなことを言われますが、あいにく、マルクスの申したことは現在では通用いたしません。私の見るところでは、近時倒産する企業には共通の要因があるように思います。  その第一は、経営がワンマン的であること、  第二に、金融機関との信頼関係が密接でないこと、  第三に、ただムードに乗って先ばかり見て事業を拡張したこと、  第四に、営業方針において販売ということに重点を置いていないというようなことが共通の要因のように思いまするが、合理的にしっかりした計算の上に自己のペースを守っている企業は、多少の曲折はあっても堂々とやっておりまするから、私は、適当な金融政策、いま大蔵大臣の言われたような立場において適当な金融政策がとられれば、現在の日本経済の歩調の乱れは容易にこれを是正し得ると考えております。近ごろ、青少年にはしつけがないから自由と放縦とを間違えて困る、社会生活をよりよくさせるためにはやはり適当なしつけが必要だという議論をよく耳にいたしまするが、経済の面においてもこの際若干のしつけが必要ではないかと私は思いまするが、それがすなわち政治だと思っておるのであります。私は、佐藤総理が経済の面においても政治が存在するような工夫をされることを切望をいたす次第でございまするが、ただ、こう申しまするというと、統制かとお考えになるかもしれませんが、私は戦時統制の担当者であった体験に顧みまして、統制ということは人間が神さまのまねをすることだと私は思っておりまするから、絶対に統制ということを考えているのではございません。経済の面に政治というものがあるようにするということについて総理に何か御所見がありますれば、承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の倒産事情等につきましていろいろ原因をあげておられますが、いずれもそれらのものは首肯できるものでございます。最後にお話がございますこういう際こそ政治が必要ではないか、こういうことを言われますが、私は、これは政治になるかどうかわかりませんが、いわゆる自由経済のもとにおいてそれぞれの経営者がいろいろの計画を持ち、また努力も続けてまいりまするが、そういう際に自由経済のもとにあるだけに責任の所在は明確にしてほしいと思います。みずからの責任において、そうしてすべての計画を遂行していく、こういうことであるならば、今日のような状態は起こらなくて済むことが非常に多いのでございます。もちろんいわゆる政治、特別な金融であるとかあるいは行政指導であるとか、こういう大きい意味を含めての政治も必要だ、かように考えますが、同時に、ただいま申し上げる点が一番大事なことで、自由経済であればあるだけに責任の所在が明確になり、自己の責任を遂行する、こういう心がまえでないとただいまのような状況がしばしば起こるのではないか、かように思います。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 池田内閣のように高度成長政策をとりますと消費者物価が上がってくることは、実はちょうどひなたにいれば黒い影がうしろにできると同じようなものだと私は思います。池田前総理の見識は、むしろこの影をあまり気にしないでずっとひなたに居続けたことだと思っております。それだからこそあれだけの経済成長ができたわけだと思うのでありまするが、これに対して佐藤内閣はこの影を気にする立場を最初からとっておられるようでありまするから、影を消すためには日ざしの弱いところに移らなければならないと同じように、当然高度成長政策は是正されて、いわゆる安定成長の立場に立たれることと考えておりまするが、それはさておきまして、消費者物価の騰貴について考えますと、卸売り物価が平静であり、為替相場にも異変がございませんから、消費者物価の騰貴は貨幣価値それ自体の下落によるものではないことは明らかであります。個々の物資自体の需給のアンバランスは別といたしまして、労賃の騰貴と無関係ではないように私は思います。この問題はいわば鶏と卵の問題でありまするが、少なくとも相互に関連することは否定できません。私は最近における労賃の高騰が生産性の向上を上回る傾向のあることも認めざるを得ないと思いまするが、この傾向が出ます一つの大きな原因は、実は生産界における労働力について需給がアンバランスであることに原因しているのではないかと思います。   〔理事村山道雄君退席、委員長着席〕 私は毎朝高速道路に乗りますが、高速道路でただお金を受け取って切符を渡すだけの用に若い労働力の豊富な青年が使われているのを見て、あんなことは年寄りでもいいじゃないかということをつくづく感ずるのでありますが、そういうことから考えまして、消費者物価の騰貴を不当ならしめないようにするためには、基礎的には労働力の配分の適正化について何かお考えになる必要があるのではないかと思うのであります。労働大臣のお考えを承りたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 労働賃金の上昇が物価に及ぼしていかないためには、その上昇が生産性の上昇のワクの中でとどまることが必要だろうと存じます。しかしながら、労務比率の高い産業におきましては、一般の労賃の値上がりに伴なって生じます値上がり分を生産性の上昇で吸収できない。したがって、ある程度物価と料金に影響をいたしてまいる場合もやむを得ない点もあるかと思いますが、それをカバーするためには、生産性の上昇の配分に大きな問題があると思います。生産性の上昇はむろん労働者諸君の協力と努力によるところが多いのでありますが、そのほかに、資本の投下もあります、あるいは技術の進歩もございます。そういうものを適正に配分いたしてまいりますと同時に、やはり常に大衆に還元するという心がまえでいかなければならぬと思っております。近年におきまして、昭和三十五年までは大体生産性の上昇率のほうが賃金の上昇率をある程度上回っておりました。三十一年ごろから三十五年ごろまではそのために物価はほとんど平静であったように思っておりますが、三十七年に賃金の上昇と生産性の上昇とのバランスがかなりくずれまして、それから三十八年、これはわずかでありますが賃金の上昇率は生産性の上昇率を上回りました。したがって、三十五年から三十九年までとりますと、三十五年を一〇〇といたしますと、生産性は一四一くらい、賃金は一四九くらいに相なっております。ただし、三十九年におきましてはかなりこの傾向が是正されつつあるのでございます。  それから労働力のバランスでありますが、御指摘のように、私も機会あるごとに申しておりますが、御指摘のように高速道路の切符集配人のごときは、これはもう当然中高年齢層でよいので、昭和三十五年に私労働省に参りましたときに、少なくとも政府関係機関が率先して労働力の配分について合理的な処置をとるように関係者を集めてすすめたのでありますが、効果が上がっておりません。したがって、昨年就任と同時に政府関係機関の責任者を集めまして、今度は職種を指定いたしまして、そして政府関係機関が中高年齢層で代替し得られる職種に若年層を先取りすることがないように強く指導をいたしております。お目にとまりました事案は、すでに採用された分につきましてはやむを得ないから来年度から直すという確約をとっておりますので、御了承いただきたいと思います。  わが国の労働力配分のアンバランスは、年齢刑のアンバランスもむろんございますが、そのほかに地域的なアンバランスが非常にあります。これを是正いたしますためには、やはり地方に新しい産業を誘致するという方法で地方に雇用を増大する計画を立ててまいらなければならぬと思います。  もう一つは、産業別のアンバランスが非常にあるのであります。戦後わが国の産業構造が近代化するにつれまして、第一次産業の就業者から第二次、第三次産業への移動が非常に目立ってまいりました。ところが、それが第二次産業へ移動をいたしますよりも、より多く第三次産業に移動いたしておるのであります。近代自由主義国家におきまして、第二次産業従業者よりも第三次産業従業者のほうが多い国は、日本とアメリカだけであります。アメリカは非常に高い生産性にささえられておりますからそういう経済も成り立つのかもしれませんけれども、わが国において生産性の向上はなお将来に寄せられなければならないことが多い状態におきまして、第三次産業への従業者の集中という傾向は是正してまいらなければなりません。これは何をおいても第三次産業のほうが収益率が高い。経済全体の妙なひずみがあるように思うのでありまして、これは労働行政だけではなく、税制その他から検討を要さなければならぬことだと存じております。これは私いつも感ずることでございますが、今回の倒産騒ぎでも、第二次産業よりも第三次産業にほとんど見られないのもこれはまことに奇妙な現象であります。産業構造上のアンバランスの是正ということも常にやってまいらなければならないことと思っておりますが、基準行政等を通じまして、たとえば女子の若い労働力が生産工場につとめると、途中で抜け出して、抜け出して行く先はたいがいはパチンコやゴルフ場だといわれておるのであります。こういうことを是正するために、そういう方面における基準行政上の監督の強化ということもつとめてまいりたいと思っておる次第でございます。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 ただいまの労働大臣の御答弁を伺いまして、実は私は時間があればそういう話をしたいと思っていたのですけれども、労働大臣のほうがよく知っているという私は感じです。しかし、それだけ知っているのに一体何も実効のあることをやらないのかと、まことにどうもふしぎだと思いまするから、どうかその該博なる知識をすみやかに実行にお移しにならんことを、大蔵大臣と御相談するもけっこうですが、お願いをいたす次第でございます。  次に、私は中共問題について申し上げたいと思います。あるいは言い過ぎかもしれませんが、中共を見まして、私は昭和初期における日本の立場を思い出してしかたがございません。当時、日本は、強大な武力を背景として、東亜を欧米の植民地主義から解放しようという趣旨のもとに、東亜解放という旗じるしのもとにシナに迫りました。そしてしきりに蒋介石主席を非難したのでありまするが、この事実は、今日、日本のシナに対する内政干渉として罪悪だといわれております。当時のシナでは共産軍と国民政府軍との間において内乱的な状態が随所にございましたが、日本に対する立場については両者は完全に一致して、若干存在したいわゆる親日派の人々を彼らは漢奸と言ったのであります。ところが、現在においては、ちょうどこれと正反対に、中共は大きな武力を背景とし、核兵器さえ持つという姿を誇り示して、世界の解放、日本の解放を旗じるしとしておるのであります。この場合の解放とは共産化するという意味でありますが、そういう立場で日本に対しておるのであります。私は佐藤総理をそこに見まして、当時の蒋介石はさだめし困ったろうと私は実は感じるのでありまするが、往年、日本は、列国から、国際連盟から脱退せざるを得ない状況に追い込まれまして孤立した結果、その後いわゆるABCD包囲というコンプレックスにみずからおびえて、あせって、ついに大東亜戦争に突入するに至りました。私は、今日ただ中共を国際連合から締め出しておけばよいという方針をとることは、何となしに往年の日本の国際連盟脱退後の状況を思い出さざるを得ないものがあるような気がいたします。中共としては、国際連合に入る以上、国際連合憲章を順守し、その線に沿う行動をするということは絶対の要件でございまするが、世界解放ということを教条主義的に表明している中共が、はたして国際連合憲章に沿った行動を国際連合内においてなし得るかどうか、実は疑問であるかもしれません。中共の国際連合加入をはばんでいる障害は、実はこの中共自身の態度にあるのではないかとも思うのであります。私は、先般、日本を仮想敵国として締結されたあの御承知の中ソ同盟条約の十五周年記念の催しが北京において盛大に行なわれたという事実をちょっと見のがすことはできないような気がいたします。佐藤総理は、中共に対して政経分離ということを言っておられまするが、池田内閣当時においても同じ標語のもとに中共に対しました。ただ、その当時は、具体的に問題になった経済上の関係をそのつど何とか始末をつける状態であったようでありまするが、佐藤内閣におかれては、どうぞそういうようなことにはとどまらないで、よく情勢を洞察して中共に対する政治を確立していただかなければならないと思います。総理が中共問題を前向きで考えると言われたことはこの趣旨だと存じまするが、この点について総理の御所見を承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、この委員会を通じまして、わが国のある姿、また基本的態度というものをたびたび申し上げてまいりました。ことに終戦後の新生日本、これは、どこからも誤解を受けない、真に平和に徹する、そして自由を守る、この立場に立っておるというその態度でございますから、いずれの国ともこれを敵視するというようなことはない、いずれの国とも仲よくしたい、そういう意味から、ただいままで政治的にはこれを承認するという段階に立ち至っておりませんが、しかし、隣であるという関係におきまして、経済的な交流はしたい、あるいは文化的な交流はしたい、こういうことで、政経分離というたてまえでどんどん進んでおるわけであります。昨日も中共貿易の実績の数字などいろいろお尋ねがございまして、そのときにもお答えいたしましたように、いずれも毎年とも輸入が超過しておる。さように、両国の貿易関係、交易関係は、輸入超過ではあるが、貿易額は逐年これが増加しておる、こういう状態でありますので、ただいま両国の関係は遅々として進んではおりますけれども、必ずやいずれのときか基本的な解決をするそのときが来るだろうと、かように私は考えます。日本の態度自身がはっきりいたしております際であるだけに、いわゆる国際環境におきましても、中共自身がより進んで、また国連等の場においてただいまいろいろ論議されておるものがやや変わり、そして解決が見出されるということを実は心から望んでおります。ただいままでのところ、一番むずかしい問題になっておりますことは、すでに御承知のことだと思いますが、中共の国連加盟、これを進める国々におきましてしばしばいわれております国民政府、これにとってかわる、いわゆる中国代表権問題、それをめぐっての論争であるように見受けるのであります。同時にまた、中国政府、中共政府自身の性格の問題も同時に批判されておるのではないかと、私はかように考えますが、一日も早くこの国連加盟ということが実現する、そういう日の来ることを心から望んでおるような次第でございます。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 数年前のことでございまするが、私は、河上丈太郎先生から、自分は社会党の力を強くするために全力を尽くして努力するのだ、社会党の力が弱くなれば共産党の力が強くなる、自分は日本を共産党の支配から守るために社会党の育成に努力しているんだというお話を伺って、私は感激したことがございます。私は、日本社会党は、その数次の声明のとおり、いまも共産党と強く一線を画しておられることと信じまするが、さきに申し上げましたとおり、日本は現在中共の日本解放、別のことばで言えば、共産党の日本支配ということに実は直面しておるのでございまするが、この場合において、どうして対中共の問題について社会党と自由民主党との間に共通の広場が見出されないのか、このことについて佐藤総理大臣の御所見があれば承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいままでのところ、日本社会党と私どもの間に、この中国観——中国に対する関係におきまして意見が一致しておらない、まことにこれは残念なことだと思います。いずれ、おそらく双方で十分話し合う機会もでき、また共通の広場を持ち、そういう立場に立って話が進められる日が来ることを心から望んでおります。

藤田進日本社会党

○藤田進君 関連。迫水委員のおことばの中に、あたかも社会党は共産党のために存立価値があるような、しかも河上委員長談話の形式で引用されているようでありますが、これは後ほど調べてみたいと思いますが、誤解のないように。社会党は、そのよって立つべき綱領があり、政策があるわけで、共産党に対抗するために社会党をつくってこれを強化すると、もし河上委員長が言ったとすれば、それはことばの片りんにすぎないのじゃないだろうかと思いますから、特に私は発言を求めた次第でございます。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 ただいまの藤田君の御発言に対して、私は、私の尊敬する河上丈太郎先生に御迷惑をかける気はありません。これはたしか数年前、私が東北地方に行きますときに、汽車の中で先輩としていろいろお話を承ったときに、そういうようなお話があったのであって、河上先生が社会党の目的は共産党と戦うためにあるということを言われたのではない。しかし、社会党が力が強くなければ共産党が力が強くなるんだから、自分としては社会党というものを一生懸命力を強くするんだと言われたのでありますることを申し上げておきます。  池田前総理は、しばしば日本は大国であるということを言われましたが、このことについて、私は岸元総理大臣が、先般北欧の諸国を巡回しての帰朝談において、これらの国はきわめて平和であって、国民生活の程度も高いが、これらの国の国民は世界全体の平和の維持に貢献するということとは無関係だという立場をとっているような気がする。世界における大国たる要件は、世界の平和に貢献する意思と力のある国、そのためには自己犠牲を忍ぶ心持ちのある国を指すのだと言われたことを覚えておりまして、きわめて同感であります。社会党の方々も、日本は世界平和に貢献せよと始終言われますが、その雰囲気は、むしろ日本の立場において積極的に貢献するというのではなく、ある意味における敗戦主義的な、無抵抗主義的な感じ、私はそういうふうに感じるのでございまするが、日本が大国であるならば、世界平和のため積極的な貢献をなし、また必要に応じて自己犠牲を払うべきであります。私はこの場合、当面日本の立場でなし得ることは、軍備管理、軍縮の問題について協力することではないかと思います。佐藤総理がジュネーブの軍縮会議に参加したいと表明されておるのは、この意味から申してきわめてけっこうだと思いますが、この点について少しく私見を申し上げることをお許しを願いたいと思います。  現在世界の平和は、いわば米ソ両国を頂点とする左右両陣営の軍事力その他の力の均衡の上に維持されていると申してもよいでありましょう。米ソ両国では、双方とも核兵器による攻撃に備えて、いわゆるセカンド・ストライクの研究をいたしておりまして、どちらか一方の先制攻撃によって他方が参ってしまうようなことは、もういまの時代では考えられなくなりました。かつて両国は、このままのバランスで相互に軍備を縮小しようと考え始めて、軍縮の前に、いわゆる軍備管理、アーム・コントロールが論議されておるのでありまして、部分的核停条約はその一つのあらわれであります。そこで、日本も軍備管理ないし軍縮の問題について、積極的に協力するために必要な態勢を整えていただいてはいかがと私は考えております。ことに核兵器の問題については、日本は世界唯一の実際の被害国として、その廃止、少なくとも核兵器の拡散防止に努力する絶好の立場にあるのであります。しかしながら、一口に軍備管理あるいは軍縮と申しましても、それには十分な専門的な知識が必要であります。いわゆるブラック・ボックスの設置の数について米ソ両国が合意に至らなかったために、核停条約が部分的なものになってしまったことなどを考えても、思いつきや抽象論ではどうにもなりません。専門的な科学的な知識が必要であります。いまのように外務省に一、二の担当者がいるだけという状態では、日本は軍縮会議に参助しても、積極的に協力する道はないと思います英国でも今回閣外の大臣ながら軍縮担当の大臣が設けられたと聞いておりますが、この際、この点について総理大臣のお考えを承りたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろお話を披瀝されましたが、岸氏あるいは社会党についての私の考え方はお預けをしておきます。  最後にお尋ねになりました軍縮大臣を置いてはどうかということでございます。私がアメリカに参りまして、初めてアメリカ政府に対して、また国連に対しましても、軍縮会議のメンバーの更送、そういう際には、ぜひ日本も参加させてほしい、かような要望をいたしましたことは、すでに新聞紙上等で報道しておりますから御承知のことだと思います。まだこのことが実現をいたしておりません。かつてジュネーヴの軍縮会議に、いち早く日本も参加したい、かような要望をいたしたと聞いておりますが、その際は米ソの間で意見がまとまらずして、ついに実現しなかったということでございます。  今後の問題でございますが、これはなかなか容易なことではないだろうと……。しかしながら、立候補だけははっきりしておくという意味で、そのことを申したのであります。これは申すまでもなく、私どもが国力相応の力によりまして、世界の平和に貢献したい、こういう考え方から、この決意をいたしたわけであります。しかしながら、今日の世界の情勢は、御承知のとおりに一方で非常に熾烈な軍縮、その希望がございますけれども、同時に、またこれと全然正反対の軍備拡張の気勢もあるわけであります。この両者がどこかで最終的な結論を出して、そうして一方的な軍縮への道をたどる、そういうような方向になってくれば、よほどつとめが楽ではないか。御承知のようにわが国は、平和憲法のもとにおきまして、これという軍備を持たない、わずかに持っておるのは自衛隊のみである、かような次第でございますので、今日の国際情勢そのものは、なかなかただいま仰せのように楽観を許さない。しかし、私は人類の全体のために世界の平和を維持する、その方向でつとめることができれば、われわれしあわせだと、かように考えます。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 総理に実はお尋ねをいたしましたのは、軍縮について、もっと日本も積極的な専門的な知識を持つ必要があるから、何かその仕組みを考えたらどうかということをお伺いしたのでありまするが、もし何かお考えがありますれば、その点についてお示し願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの経過を申し上げたのでございまするが、日本の国自体がすでに平和を守り、平和に徹する、また平和憲法を守り抜く、こういう立場でございますので、積極的な軍備拡張に参加してはならない。これは非常にはっきりしていると思います。これは別に技術的な問題ではないのでございますので、具体的な話が出てまいりました場合に、ただいままでのところは全廃という、そういう段階ではない。それぞれの国々の協力によりまして逐次その全廃への方向へ進んでいく、かような立場だと思います。したがいまして、今日まであるいは国連においてそういう発言をしばしばしておる、あるいはまた、核兵器を持たない国々がお互いに話し合って、そうして世界の平和へ貢献する、あるいはまた、核兵器の核拡散の政策に対してわれわれは反対である、かような意味で、日本などもいち早く部分的核爆発禁止条約を批准したとか、また、隣の中共に対しましても、この核爆発を続いて行なう、あるいは核兵器を持つということのないように、これはやはりモスコーの核条約に参加すべきだ、かような意味合いのことをしばしば申し上げておるのでございます。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 先日来、当議場でも三矢研究というものが論議されておりまするが、この問題につきましては、社会党の方々もいわゆるシビリアン・コントロール、文民統制の確立ということを強調しておられます。私は、文民統制とは、国防を自衛隊にまかせないで政府自身がこれを所管する意味であると理解しておるのでございますが、率直に申しまして、あの三矢研究という演習が、作戦用兵の部分は別として、いわゆる政治の面にまで及んで検討するならば、それは当然ユニホームの人々によって研究さるべきでなくて、ユニホームの人たちを統轄するシビリアンの立場すなわち防衛庁の本庁あるいは国防会議において検討がなさるべきであると思っております。社会党は、わが国が具体的に防衛しなければならない事態に追い込まれたことを仮想して、いろいろな研究をすることそれ自体がけしからぬというような御議論とか、あるいはあれは自衛隊のクーデター研究であるというような御意見もありますが、それは私は同意ができません。わが国土は当然われわれが防衛しなければならぬ立場であることは明らかでありまするから、そういうこと、すなわち防衛しなければならぬ事態に追い込まれたときにどうするかという研究は当然平素しておかなければなりませんが、しかし、それはあくまでもシビリアン・コントロール、文民すなわち政府がこれをなすべきであって、制服がなすべきではないと思います。私は今度の問題から考えまして、あらためて政府が従来日本国土の防衛ということを政治の重要問題として取り上げていなかったことを反省すべきだと思います。国家の安全保障は、独立国としては何ものにも優先する基本問題であります。内閣は常に国土防衛ということを国内政治の最重要な問題の一つとして取り上げ、各党派共通の問題として国民とともに努力すべき立場にあると思います。佐藤総理大臣は、衆議院の予算委員会において、民社党の永末議員の質問に答えて、防衛白書を考慮する旨を答弁せられましたが、まことにけっこうに存じます。私は国防の問題、及び前申しました軍縮の問題は、国権の最高機関たる国会自体が、たとえば国防と軍縮に関する委員会とでもいうべきものを設けて研究をするのがよいのではないかという私見を持っておりまするが、それはともかくとして、国防の問題について総理大臣のお考えを承りたいと思います。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(小泉純也君) 国防の問題は政治の上においても重要な問題であり、いわゆるシビリアン・コントロールの立場において今後一そう検討されなければならないという迫水委員の御所見については全く同感でございまして、私ども常にそれを痛感をいたしておるわけでございます。今回問題になっておりまする三矢図上研究なるものは、衆議院の予算総会等にもるる質問に対して申し上げてまいりましたとおり、幕僚の個々の研究のレポートの集積であり、また、図上におけるあらゆる場合を想定してのゼミナールとも言うべきものでございまして、これとシビリアン・コントロールとの関係は、私はまだそこまでまいっておらない、そのシビリアン・コントロールが働くずっと前の問題、あるいはその下の下の問題でございまして、これが相当、このレポートが調整をせられ、あるいは結論が出されて、この中からどういうものを取捨選択するかというような場合にシビリアン・コントロールが当然働いていかなければならぬのでございまして、この三矢研究文書とシビリアン・コントロールの関係はさようであると考えておるのでございます。しかしながら、それは別といたしまして、私どもはあくまでもこのシビリアン・コントロールの原則は固く守られなければならないと、また、私、今日わが自衛隊においてシビリアン・コントロールは完全に保たれておると確信をいたし、今後においてもこれが堅持にはできるだけの努力をしなければならないということを痛感をいたしておる次第でございます。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま防衛庁長官からお話をいたしましたので、防衛庁におきましても、先ほど来お話しになっておることはよく理解し、また、そのとおりだとかように申しておると思います。同時に、最高責任者であります私といたしましても、お話しになりました御意見はしごくごもっともだと思います。ただいま自衛隊はあらゆる面において国の安全確保に最善を尽くす、こういう意味で日夜勉強しておる、あらゆる方面の研究もしておると、それが今回問題になりました三矢図上作戦と、かようなことであるように思います。したがいまして、私はこの演習自体が問題ではないと思います。しかし、こういう機会にシビ・コントロール、こういうような問題が正面に出てきた。また、社会党の方もその他の各党の方々もこの問題をめぐりまして、そうしてわが国の防衛はいかにあるべきか、こういうことに非常な強い関心を示された。私はそういう意味では、いわゆるこれを契機にいたしまして、真の姿でわが国の安全、防衛、そういうことについて考える機縁ができた、かように私は考えて、非常にその意味ではうれしく思っておる次第であります。ただ防衛及び軍縮の特別委員会を設けたらどうか、こういう御意見が出ております。私は政府自身におきましては、御承知のように、国防会議並びに国防会議懇談会等のそれぞれの機関を持っております。国会におきましてもただいま言われるようなもの、これがどういうような形がよろしいのか、そういう点について御研究賜わるならばたいへんいいことだと、かように私は思います。問題は国会のことでございますから、政府からとやかくは申しません。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 次に、教育の問題について若干の意見を申し上げて、御意見を承りたいと思います。  私は、教育ということは、それ自体が目的ではなくって、常に教育ということは手段であると思っております。したがって、教育の確立ということは、まずもってその目的の把握が必要でございます。自由主義といい、社会主義といいますのは、もともと主として経済的に国民を幸福にする手段でありまして、どちらがより多く国民を幸福にするかということでありまして、私どもは社会主義では国民が幸福にならないと思うから自由主義社会を保持しようとしておるものでございます。教育はこのような問題を超越したもっと根本的な、あるべき人間像に合致する人間をつくることを目的として把握すべきだと思います。私は好ましき人間像というものを最も簡単に言いますというと、さっき大蔵大臣のお話の中にも出てきましたけれども、同次元的には、平面的にはガリガリ亡者ではない、国家という社会全体のために自己犠牲を忍ぶような人間、また、縦の時間的な立体的な関係では、人類の永遠の発展を考えて明日のために今日において犠牲を忍ぶ人間だと言ってよいと思います。今日の人間はガリガリ亡者が多過ぎ、明日を考えずに今日を享楽する人間が多過ぎると思い、私は、教育、特に義務教育の段階においては、自由主義、社会主義といったような問題にこだわることなく、このような人間をつくることに統一するならば、自民党・社会党両党も必ず一致し得ると思いまするから、そういう線において教育の確立をはかることを切望するものでございまするが、政府のお考えを承りたいと思います。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) 教育の問題につきましてはいろいろ申し上げたいことがございますが、大体のお考えについては、私も全く御同感でございます。私といたしましては、ただいま仰せになりましたような線と同じと思いますけれども、一つは歴史観とでも申しましょうか、立体的な考え方としては……。それから一つはグローバルに、国際的にものを取り上げ考え得るような、そういうムードというものが必要ではなかろうか。私としてはそういうような考え方を基本にしていろいろと考えておるわけでございますが、たとえば人間像の話も出ましたが、今年の一月、中教審の部会で期待される人間像というものの中間草案が発表されたわけであります。私はこういったような中間草案であってけっこうで、こういったような次代に期待される人間像というものはどう考えるべきであるかということが国民的に論議されることそれ自体に非常に意味があるのではなかろうか。だれがつくったものであろうが、あるいは中身がどうであろうが、これを一つの契機にして大いにこういう論議が国民的にかわされるということによって、いかなる考え方をしていったのがよかろうかということがだんだんと盛り上がってできてくる、それを非常に期待しておるわけでございます。しかし、同時に、期待される人間像というものをいわゆる鋳型にして、一つの文部省製期待される人間像というようなものを押しつけていくという考え方はとるべきでない、ここがなかなかむずかしいところであると思いますけれども、そういったような気持ちでこれから大いに前向きに、佐藤内閣の看板であります人間尊重ということ、これが非常にここにつながりがあるところでございますが、そういう気持ちで積極的に取り上げてまいりたいと思っております。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 次に、健康保険の問題に関連して伺いたいと思います。  健康保険は、御承知のように、政府管掌のものと各企業に所属するものとがございまするが、現在の状態では、各企業に所属するものはおおむね豊かであるのに対して、政府管掌のものは決して豊かではございません。われわれは、常に国民間の所得格差の是正ということについて努力をしてまいり、現に賃金等においては、その格差は大企業と中小企業との間における賃金格差も著しく是正せられつつあるのであります。社会党の方々もしきりに所得格差の是正ということについてずいぶんこまかい議論をなされまして、私も答弁に困ったことがあるのでありまするが、しかし、私は国民間の所得格差を議論する場合には、この健康保険の立場すなわち健康保険の内容において著しい所得格差的な問題が存在することを認めざるを得ないと思います。所得格差是正の見地から大企業の健康保険に属する人たちと、政府管掌の健康保険の被保険者との間の格差をどうして是正するかということを考えなければならないと思います。この意味におきまして、健康保険の統合、少なくともプール制について真剣に検討を始める段階だと思います。ある人は、それは企業と労働組合とを同時に相手にすることだから、進駐軍にでももう一度やってきてもらわなければ、自民党の力ではできまいと言われました。私は、もしそうなら、現在の労働組合はいわば大企業の労働組合であって、中小企業において働く人たちは閑却していると言われてもしかたがないと思います。社会党は大企業、中小企業間の所得格差の是正ということをあれほど強く追及しておられるのでありまするから、社会党はその健康保険の統合、またはプールということによる所得格差の是正についても、決して反対せられるような立場ではないと思いまするから、したがって、この点におきましては、自民党は社会党と共通の広場を持ち得ると思うのであります。この健康保険の問題についてのお考え方を承りたいと存じます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 健康保険に対する御意見は十分拝承いたしました。私もよく理解をいたしました。しかし、この問題に対してはいろいろな問題があるようでございますので、御意見を機会に慎重に検討する必要があると思います。

迫水久常自由民主党

○迫水久常君 私は、与党の質問でありまするから、もう少し次に大蔵大臣に対して追及をしたいような気がいたしまするけれども、これで終わりにいたしたいと思います。  以上を要しまするに、私は、佐藤内閣に対して各般の問題について、池田内閣以上に政治を確立することをお願いをいたすものでございます。政治が確立いたしまするということは、国家の値打ち、価値を国民をして認識せしめる効果をあげるものでございます。佐藤総理は、愛国心ということについても重大な関心をお持ちのようでありますが、戦争前、日本が愛国心の強い国であり、今日、アメリカ、ソ連、中共が愛国心の強い国となっているのは、それぞれの国民が国家の価値を強く認識している結果にほかならないと思います。今日、日本国民に愛国心が少ないということは、国民が国家の価値を認識することの少ないのによるものだと考えまするがゆえに、佐藤内閣は、日本の政治の確立について不退転の決意と絶大の努力をもって邁進せられんことを切望いたすものであります。  以上、私の質問を終わります。

平島敏夫自由民主党

○委員長(平島敏夫君) 迫水君の質疑は終了いたしました。  本日はこの程度にいたしまして、次回は、明後八日午前十時に委員会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会

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