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48回国会参議院1965/02/17

本会議 第7号

発言数
44
登壇者
11
会派数
3
開催日
1965/02/17

会議録

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。館哲二君から、病気のため二十八日間、野上進君から、病気のため十二日間、曽祢益君から、海外旅行のため来たる十九日から十日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 日程第一、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(国立近代美術館評議員会評議員)を議題といたします。  内閣から、衆議院議員稲葉修君を国立近代美術館評議員会評議員に任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。  同君が同評議員につくことができると議決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 日程第二、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(畜産物価格審議会委員)を議題といたします。  内閣から、本院議員温水三郎君を畜産物価格審議会委員に任命することについて、本院の議決を求めてまいりました。  同君が同委員につくことができると議決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 日程第三、緊急質問の件。  羽生三七君から、緊迫せるベトナム情勢に関する緊急質問が提出されております。  羽生君の緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言を許します。羽生三七君。    〔羽生三七君登壇、拍手〕

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 私は日本社会党を代表して、緊迫せる最近のベトナム情勢を中心に、数点についてお尋ねをいたします。  アジアの危機の頂点にあるベトナム問題は、長い間、世界の重大な関心事でございましたが、特に最近の情勢は予断を許さぬ重要な局面に立たされていると存じます。また、アジアの地域に位する日本にとっての重要性は、あえて指摘するまでもないと存じます。問題の本質は、そもそもどこにあるのか、この点をまず私は次のように考えてみたいと存じます。  まず第一にあげ得ることは、本来、思想や信条の問題であり、さらに人民の生活等に属する範疇の問題を、機関銃や爆弾で解決しようとしているアメリカの世界戦略の誤りであります。第二は、一九五四年及び六二年のインドシナ問題に関するジュネーブ協定、これを無視するアメリカの外交及び軍事政策の誤りであります。第三としては、反植民地、民族独立闘争という世界史的な時代の流れに対する理解がアメリカに乏しく、なお依然として旧植民地時代の観念から脱却できないということでございます。もちろん、これ以外にも多くのファクターは存在するでありましょうが、根本的には以上の三点に要約できると思います。  さて、そこで私のお尋ねしたい問題は、  第一に、ベトナム問題を中心とする日米関係、特に安保条約との関連性であります。この種の問題を論ずるときに、だれしも、またいずれの党も、祖国の防衛と安全保障を度外視して考えることのあり得ないことは、言うまでもございません。この場合、私見を述べれば、今日、日本を取り巻く国際情勢のもとにおいて、日本に対し、何らの理由なく外部からの直接の攻撃や侵略が加えられる危険性は、われわれが予見し得る近い将来には、まずあり得ないと思います。私は、この場合、永久にという表現は使いません。「予見し得る近い将来」と限定して申しておるのであります。では、もし日本に危険な事態が起こるとすれば、どのような情勢のもとにおいてでありましょうか。それは次のような場合と思います。すなわち、日本が他国に軍事基地を提供し、直接的には日本にかかわりのない他国の紛争に巻き込まれる場合であります。もし日本に危機が訪れるとすれば、このケースのような場合でございましょう。これを日米安保条約に照らして考えた場合、どういうことになりましょうか。  具体的にお尋ねをいたしますが、ベトナムは安保条約第四条に規定する「極東」の範囲とどういう関連性を持つかということであります。ここで私がなぜ関連性という表現を用いたかと申しますと、この問題については、昭和三十五年二月、日米安保条約審議の際、当時の岸総理大臣が一応の統一見解を示しているからであります。そこでは次のように述べられております。すなわち、「ところで、その『極東』でありますが、一般的な用語としては、別に地理学上正確に画定されたものではありません。しかし、日米両国が条約で言っております通り、共通の関心を持っているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということであります。この意味で、実際問題として、両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域ということになるわけであります。こういう区域としては、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれるということであります。新条約の基本的な考え方はこういうことでありますが、この区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいはこの区域の安全が、周辺地域に起こった事態のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するためにとる行動の範囲は、その攻撃または脅威の性質いかんにかかる次第でありまして、必ずしも前に述べました区域に局限されるわけではないのであります。」、以上が当時の岸総理大臣が述べられた統一見解の要旨でございます。  これによっても明らかなように、これを一言にして申せば、ここではその区域を一応限定をしながらも、情勢いかんではこの区域に局限されるものではないということが明らかになっております。そこで、今日ただいまの情勢下におけるベトナム、ただいまの情勢下です。ただいまの情勢下におけるベトナムはどういうことになりますか。さきに引用した統一見解に示されている内容をもう一度申しますが、その一部分であります。「米国がこれに対処するためにとる行動の範囲は、その攻撃または脅威の性質いかんにかかる次第でありまして、必ずしも前に述べました区域に局限されるわけではないのであります。」こういう見解、これを、今日のベトナムにおける米軍の行動及びその攻撃または脅威の性質という、現実の事態と対比した場合に、これは、いうところの極東の範囲として考えられるのかどうか、日本政府としてはどう判断しているかという点でございます。  以上が質問の第一点であります。  第二点は、ベトナム情勢が発展して、米軍が日本の基地、施設等を使用しようとするようなことが起これば、当然、事前協議の対象となるが、この場合、日本政府は絶対使用を承認すべきではないと思うが、この機会に佐藤総理の明確な見解を承りたいと思います。  第三点は、去る八日ライシャワー米大使が記者会見の際に語った談話に関連してでございます。その談話によると、こうなっております。「駐日米軍が現地に直接出撃することは、日本政府と事前協議なしにはできない。しかし、部隊が一たん別の地域に移動し、さらに移動して、戦争に関与する可能性はある。」、こう述べております。もしこのような抜け道を認めるならば、条約は全く骨抜きにされ、空文にひとしいものとなるが、このような場合には日本政府としてはどのような方針で対処しようとするのか、この機会にお尋ねいたします。この問題はラオス問題の発生したときにもございました。  第四点は、万一事態が急迫したような場合、米側から協議を求められなくとも、日本側が進んで協議を求め、日本の真意を——この真意という場合はもちろん平和的立場に立ってのことでありますが、この真意を米側に伝えるような方法も考慮されてよいのではないかということであります。なぜなら、今日のように、ボタン戦争ともいわれる、十秒、一分を争うような戦争の態様のもとで、ゆうちょうな協議など実際にやれない場合が想定されるからでございます。なお、これは近く開催されると思われる日米安保協議委員会、これはライシャワー大使から外務省に申し込みがあったはずでありますが、日米安保協議委員会の席上においてもわがほうの見解を率直に述べるべきであると思いますが、いかがでございますか。  第五点は、今日のベトナム情勢が、日本にとっても世界平和のためにも、最も重要な事態となっているときに、日本政府のとるべき態度についてでございます。ベトナム問題の解決策については、ドゴール大統領やウ・タント国連事務総長も、それぞれ一応の見解を示しております。ウ・タント国連事務総長は、「解決への道を戦場から会議のテーブルに移すような措置が、国連の内外で緊急に見出されるべきである」ということを述べております。われわれは、この問題の解決は米軍の撤退にあると思いますが、現実問題としては、さきのジュネーブ休戦協定の線に沿って、新たに会議を開き、その精神を生かすことであることを確信をいたします。総理は昨日衆議院での答弁で、関係国から求められればと言っておりますが、そんな消極的な態度ではなく、世界平和のために日本政府としても積極的な役割りを果たすべきであると考えますが、総理の所見はどうでございますか。  佐藤総理も、就任以来、自主外交とか日本独自の外交とか力説されておりますが、今日の段階、この時限では、抽象的な形容詞の羅列では何らの意味もございません。平和の危機ともいうべきこの重大な局面を前にして、アメリカに対して単に不拡大を希望するというような消極的な姿勢ではなく、積極的にその解決のための提案を示すべきであると思います。特に、昨日のソビエト放送が、米国に対し、新たな北ベトナムへの爆撃は世界大戦のおそれありと、重大な警告を発したこの時限においては、なおさらでございます。今日要請されている自主外交とはそういう性質のものであり、また、それこそ自主外交の名に値するのではないでしょうか。マレーシア問題に関する政府の動きは承知しております。私がいまここで言うのは、ベトナム問題に対する政府の具体的なる平和政策について伺っておるのであります。  第六点は、ベトナム問題と関連して、質問というよりもむしろ警告の意味をもってお尋ねしたいことは、椎名外相の訪韓についてであります。  日韓問題の具体的な事柄につきましては別の機会に譲るとしまして、いまここで問題にすることは、韓国がベトナムへの出兵を行なおうというこの時期を選んで、しかも国会開会中に、あえて訪韓を急ぐ政府の真意についてであります。もし佐藤総理が真にベトナム問題の不拡大を希望し、またその平和的解決を志向しているとするならば、韓国のベトナム出兵がまさに現実の問題となろうとしているこの時期を選んで訪韓するなどは、全く外交のセンスを疑わざるを得ないのであります。(拍手)また、訪韓の意図を曲解されても弁解の余地はありますまい。  これと関連してこの際承知しておきたいことは、これら一連の動きを推しはかると、東北アジア軍事同盟につながる杞憂なしとしません。どうでありますか。この問題については、先年、当時の池田総理にただしましたところ、そのようなことは絶対にしないと、予算委員会の席上断言されましたが、佐藤総理の見解はどうか、この機会にお尋ねをいたします。  なお、他国の内政に関することでありますので、多くを言うことはできませんが、全くの私見を述べれば、南北朝鮮双方がそれぞれ不可侵宣言を行なって、南北朝鮮の平和的統一の基礎を築くような努力こそ必要なのではないかと考えます。  結論をいたしますか、私は、昨年の夏、党の使節団の一員として、ソ連及び東欧社会主義諸国を訪問し、さきに退陣をしたフルシチョフ首相をはじめ、ソ連、東欧社会主義諸国の最高指導者と、長時間会談する機会を持ちました。これら諸国の平和共存政策は、単なる宣伝の具ではなく、すでに国民大衆の中に深く根をおろし、かつ、まさに定着した外交路線となろうとしている事実を、確信をもって知ることができたのであります。しかし、もしソ連の平和共存路線をくつがえし、ソ連をして強硬政策に転ずることをよぎなくさせ、世界平和に重大な危機を招来させることがあるとするならば、それは、ほかならぬアメリカの世界戦略であり、戦争挑発政策であることを知るべきでありましょう。ベトナム問題に関連してのみならず、今日では国連の危機すらが、あるいは権威すらが問題とされております。今日、国連を守り、その機能を正常に発揮させるためにも、アメリカの反省を求める点は多大であります。もちろん、それは日本政府にとって勇気の要ることでございましょう。しかし、そうした試練を経てこそ、日本外交は成長し、また正しい意味での日米友好の基礎が築かれるのではございませんか。民族独立と植民地解放という世界史的な流れを理解することのできない国は、どんなに経済が発展しても、また生活が豊かであっても、必ず世界から孤立するであろうし、歴史の記録の外に置かれるであろうと思います。そうして、もしまた記録に残ることがあるとしましても、それは名誉ある記録でないことを知らなければならぬと思います。ベトナム情勢の重大な局面を前にして、世界平和のために、いまこそ佐藤総理が勇断を示すべき時期であることを指摘して、私の緊急質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  まず第一に、極東の範囲についてのお尋ねでございます。そうして、ただいまお読みになりましたとおり、安保国会において政府の統一見解なるものをお示しいたしました。その前段同様、今日もこの政府の統一見解は変わっておりません。ただ、お読みになった部分以外の末尾につきましても、この際に私が追加して読み上げてみたいと思います。これは同時に、ただいまのお尋ねにも関連のあることであり、米国の本来の考え方がこの末尾のほうで明確になると思いますから、しばらくお許しを得たいと思います。  先ほどお読みになりましたその次に、「しかしながら米国の行動には、基本的な制約がある。すなわち米国の行動は、常に国際連合憲章の認める個別的または集団的自衛権の行使として、侵略に抵抗するためにのみとられることとなっているからである。また、かかる米国の行動が戦闘行為を伴うときは、そのための日本の施設の使用には、当然日本政府との事前協議が必要となっている。そして、この点については、アイゼンハウワー大統領が岸総理大臣に対し、米国は事前協議に際し表明された日本国政府の意思に反して行動する意図のないことを保障しているのである。」、かように申しておりますが、これとあわせて、ただいまの極東の範囲、並びに、わが国における米軍の施設等を今回の問題に関して戦闘作戦の基地として使うかどうか、——もしもわが国における米軍の施設等を、今回のベトナム紛争に際しての戦闘作戦基地として使用するのでありますならば、事前協議の対象になります。しかし、さようなことでないならば、これは事前協議の対象にならず、安全保障条約に別に抵触するものでないということを、はっきり申し上げます。  なおまた、ライシャワー大使のお話が引用されましたが、私は、ライシャワー大使がどういうふうな話をされましたかよく知らない。また、ライシャワー大使の話を私がとやかく批判する立場にないことを、御了承いただきたいと思います。  ただいまのベトナムの問題につきましては、申し上げるまでもなく、これは極東における各国々、ことに日本にとりましてもたいへん心配しておる事態であります。私どもは、ベトナム住民が長い戦火に包まれ、その中で苦しんでおる、これに対しましては心から同情いたすものでございますが、そういう立場から、一日も早く平和を回復し、治安が回復され、情勢が安定することを、心から実は願っておるものであります。しかし、ただいまのお話にもありましたように、ただいまの情勢、これはいかような処置になるだろうか、おそらく終局的には、国際的な会議が持たれ、話し合いでこの問題についての決着がつくことになるだろうと、私も思います。また、アメリカ自身もさように考えておるやに見受けるのであります。国際会議なるものは、ただいまお話になりましたように、一九五四年並びに一九六二年にジュネーヴ会議が持たれました。その構成のメンバー国がまず第一に話し合いに登場してくるのではないか。私ども日本は、もちろん極東にある国といたしまして、この問題を、ただジュネーヴ会議に参加した連中が取り上げてくれればいいというだけでなしに、もっと積極的な意思を持っておりますが、少なくとも、ものごとの進め方につきましては、さような会議が開かれるような環境が整備されることが、それがまず第一に大事なことだろうと、かように考えるのであります。そういう意味合いにおきまして、私どもは一々アメリカとの話し合いの筋を詳細には報告いたしませんけれども、十分このベトナムの重要性については、過日訪問した際にも、意を尽くしてベトナム問題についての意見の交換をいたしました。その後におきましても、外務省を通じまして、それぞれ連絡を持っている。こういうことだけを申し上げて、多大の関心を示していることで御了承をいただきたいと思います。  次に、椎名外務大臣の訪韓についてであります。これは私どもがたびたび申し上げますように、日韓関係の親善友好を深めるという親善使にほかならないのでありますが、しかし、ただいま仰せになりますごとく、韓国自身がベトナムに出兵を決定した、そういう際に出かけることは当を得たものであるかどうか、こういうお尋ねでございますが、私は、韓国自身が韓国の立場において決定をしたこと、それは私どもがとやかく考える筋のものではない、むしろこの訪韓の機会に、韓国側もベトナム問題の重要性に十分理解を持って、そうしてこれが早く平静化するようなそういう意味の協力を求めることが、両者の間で話し合いとして進められるなら、これに越したことはない、社会党の皆さんが心配している点もこれによりまして解決する、かように私は考えます。  また、一たん事ある際、さようなわけでもないでしょうが、東北アジア軍事同盟、かような考え方はもちろん私は一切持っておりません。この機会に、この点につきましては明確に答えておきます。(拍手)    〔羽生三七君発言の許可を求む〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 羽生君。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 自席から……。

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) どうぞ御登壇ください。    〔羽生三七君登壇、拍手〕

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ただいまの質問の第二点の一番重要なところが答弁が漏れております。それは、ベトナムについては、事前協議を当然米軍が行動する場合には求めるであろうと、こう答えられましたが、それははっきりしております。事前協議を求められた場合に、日本の基地から発進すること、施設等を利用して発進することを、事前協議の場合拒否できるかどうか、そういう決意を総理はお持ちかどうか。これが一つと、それから、もう一つは、事前協議を求められなくても、重要な場合にはこちらから相手側に日本の意思を通告するために協議を求めてもいいのではないか。また、来月予想されている日米安保協議委員会でそういう考え方を述べてもいいのではないか。こういうことを申し上げているので、その点を具体的にお答え願いたい。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  先ほど読み上げたので実はその点にお答えしたと思ったのであります。御承知のように、事前協議をいたしますのは、作戦基地としてこれを使うという場合には事前協議の対象になる、しかし、今回のような場合にはならないのだ、こういう意味でお答えいたしたのであります。また、これが作戦基地として利用される、そういう場合には、当方が事前協議——それに対してどういう答えをするか、その協議の場合には、私どもは独自の立場において協議をいたします。しかも、先ほど読み上げましたうちに、アイゼンハワー大統領が答えて、アメリカが承認しておりますことは、これは日本の独自の考え方を拘束しない、それに従うという、それを先ほど読み上げましたので、これまた明確ではないかと思っております。  また、日米安保協議委員会を開催されるそういう際におきまして、私どもの立場を十分説明すること、また、主張すべきものは主張する、これはもちろん御期待に沿うようにいたすつもりでございます。(拍手)      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 日程第四、国務大臣の報告に関する件(農業基本法に基づく昭和三十九年度年次報告及び昭和四十年度農業施策について)、  赤城農林大臣から発言を求められております。発言を許します。赤城農林大臣。    〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 先般国会に提出いたしました「昭和三十九年度農業の動向に関する年次報告」及び「昭和四十年度において講じようとする農業施策」について、その概要を御説明いたします。  申すまでもなく、これらの報告及び文書は、農業基本法に基づいて、政府が国会に提出いたすものであります。  まず、「昭和三十九年度農業の動向に関する年次報告」について申し上げます。  この年次報告は、「第一部、農業の動向」と「第二部、農業に関して講じた施策」に分かれております。「第一部、農業の動向」につきましては、農業基本法の趣旨に沿い、他産業と比較した農業の生産性及び他産業従事者と比較した農業従事者の生活水準の動向に焦点を置き、これに関連する農業の動向を、三十八年度を中心としてできる限り最近に及んで明らかにいたしております。  その概要を申し上げます。  農業生産は、三十八年には気象災害などもあって、前年に比べ二%ほど減少いたしましたが、三十九年には前年に比べ相当増加したものと思われます。  農業の生産性及び農業従事者の生活水準につきましては、まず、就業者一人当たりの実質国民所得で農業と非農業の生産性を比較いたしますと、三十八年度には農業は非農業の二九%であり。前年度と同程度であります。なお、専業的農家と思われる経営耕地一町五反以上の農家を取り上げて農業の非農業に対する比較生産性を見ますと、おおむね四〇%ないし五〇%と、やや高い水準になっております。  次に、世帯員一人当たりの家計費で農家と勤労者世帯の生活水準を比較いたしますと、農家は全国の勤労者世帯の七七%となっており、前年度に比べて、数字としてはごくわずか改善されておりますが、おおむね横ばいと申してよかろうと存じます。なお、専業的農家の所得及び家計費の水準について、生活環境の類似した地方小都市や町村在住の勤労者世帯と比較いたしますと、世帯員一人当たりにいたしまして、経営耕地一町五反以上層ではおおむね九割に相当いたしております。  三十八年度において、農業と非農業との生産性の格差がほぼ現状を維持いたしました背景としては、農業労働力の減少が五%に及んだというように、従前にも増して激しかったことや、農産物価格の上昇が他物価に比べて大きかったことによる面が大きいものと考えられます。したがって、格差是正が本格化したとはまだ言いがたい状況であります。さらに、農家生活の向上は、兼業所得の増加に負うところが大きく、三十八年度には、農家所得の中で農外所得の占める比率は五一%に達しております。  農業に専念する上層農家では、引き続き経営改善が行なわれ、生産性も生活水準もかなり高くなっております。農家経済調査によれば、農業所得の高い農家が年々着実に増加を続けております。しかし、他方、農業経営の発展を困難としている種々の事情が見られることも事実であります。農業労働力の減少に加えて、生産性の低い第二種兼業農家が総農家数の四二%を占めること、冬作の作付面積が相当減少していることなど、今後の農業生産が順当に行なわれることについては、必ずしも楽観を許さないものがあると考えられます。  さらに、わが国農業をめぐる国際情勢を見ますと、開放経済体制への移行に伴って、今後、農産物の輸入数量制限の撤廃、輸入ワクの増大、関税の引き下げ、国際商品協定の締結等の国際的要請が漸次強まるものと思われます。したがって、今後、国民食糧の安定的な供給及び農業と他産業との格差の是正をはかり、わが国農業の国際競争力を強化いたしますために、農業生産の増大と生産性の向上をはかるとともに、零細経営を特徴とするわが国農業構造の改善を進めることを根幹として、農業の近代化を一そう強力に推進しなければならないと考えるのであります。なかんずく、生産性が高く、農業で自立できる農家を農村の中核としてできる限り数多く育成するよう、農業経営の改善拡大を積極的に進めるための諸条件を整えるとともに、兼業農家を含めて農業の協業化を助長し、生産性の向上と生産の維持増強をはかる必要があると存じます。以上が第一部の概要であります。  次に、「第二部、農業に関して講じた施策」について申し上げます。これは第一部と同様、三十八年度を中心としてできる限り最近に及んで、政府が農業に関して講じた施策を、農業基本法第二条に掲げる施策の全般にわたり、農業の動向との関連及び施策の実績等にも言及して、記述したものであります。  次に、昭和四十年度において講じようとする農業施設について、その概要を申し述べます。  この文書は、年次報告にかかる農業の動向を考慮して、四十年度において政府が講じようとする農業施策を明らかにしたものであります。最近における農業の動向は、ただいま御説明したとおりでありますが、このような動向に対処いたしまして農業の近代化を促進することは、わが国経済の均衡のとれた発展をはかる上できわめて重要な課題であります。政府といたしましては、農業基本法の定める施策を着実に具体化することを基本的な態度として、農業施策を講ずることといたしております。  四十年度において講じようとする農業施策の重点といたしまして、  まず第一は、農業生産基盤の整備と農業技術の開発改良及び普及により、農業の生産性の向上と総生産の維持増大をはかることであります。労働力の減少に対処し、機械化の推進などにより農業生産の基礎を固めるため、圃場整備、農道整備、基幹かんがい排水施設の整備の諸事業を強力に推進することといたしております。特に農道整備につきましては、従来から実施している事業を拡充実施するほか、新たに地域の農業振興をはかり、あわせて農村環境の整備に資する観点から、農林漁業用揮発油税財源の身がわり事業として、農業用道路の整備を大規模に推進することといたしております。また、農業生産の選択的拡大と農業経営規模の拡大に資するよう、開拓、干拓、草地改良等の事業を拡充するとともに、八郎潟干拓地にわが国農業のモデルたるにふさわしい新農村を建設する構想のもとに、八郎潟新農村建設事業団を設立して、所要の事業を行なわせることといたしております。さらに、新しい技術の開発をはかるため、国及び都道府県等の試験研究機関における試験研究を一そう充実するとともに、普及事業を強化し、農家の要望にこたえ、普及指導体制の確立をはかることといたしております。  第二は、農産物の需要の動向に即応して農業生産の選択的拡大をはかることであります。畜産につきましては、新たに国営草地改良事業及び農地開発機械公団による共同利用規範牧場の設置事業の実施をはかる等、飼料自給基盤の確立につとめることとあわせて乳牛を大規模に育成するため、国の種畜牧場の活用や地方公共団体等による育成事業の充実等によって、多頭飼養を推進し、生産性の高い酪農経営の育成をはかってまいることといたしております。  また、野菜の安定的供給と経営の安定をはかるため指定産地制度及び生産安定事業を拡充強化するほか、合理的な果樹園経営の育成、養蚕経営の近代化等の諸施策を充実することといたしております。このほか、米麦その他の主要農作物について、集団栽培方式の普及、高性能の機械の導入等により経営の近代化と生産性の向上をはかることといたしております。  第三は、農業経営規模の拡大等を進め、農業構造の改善をはかることであります。生産性が高く、農業所程の水準も高い自立経営農家を育成するためには、自立経営を目ざす農家の経営耕地規模の拡大がはかられることが重要でありますので、農地取得のあっせん、取得資金の貸し付け、農地の売買等の業務を行なう農地管理事業団を設立して、移動する農地を経営規模の拡大へ方向づける事業に着手することといたしました。この事業団は、当面農業近代化の機運の高まっている市町村からパイロット的に事業を展開することとし、四十年度には百市町村において農地取得のあっせん及び長期低利の取得資金の貸し付けの業務を実施することといたしております。このほか、農業経営規模の拡大に資するため、農用地の整備開発、国有林野の活用、協業の助長等の施策を講ずることといたしております。  また、農業構造改善事業につきましては、事業に新たに着手する地域数を拡充するとともに、地域の実情に即して事業が円滑に実施され、事業成果が確保されるよう措置することといたしております。さらに、農業近代化のにない手たるべき農業後継者の育成確保等の諸施策を強化することといたしております。  第四は、農産物の価格安定、流通改善及び農業所得の確保をはかることであります。米麦その他重要農産物につきましては、引き続き価格の安定と農業所得の確保をはかるとともに、需要の伸びに対して生産の適応体制のおくれている畜産物、青果物等について、生産の安定的増大と流通合理化の施策を拡充強化することといたしております。  特に、酪農につきましては、牛乳乳製品の需給の安定及び酪農経営の安定向上をはかる観点に立ち、飲用乳の比重を高めるよう考慮して、国内産牛乳による学校給食の計画的増大をはかるとともに、生乳の価格安定制度の改善のための調査検討を行なうことといたしました。  また、生鮮食料品の流通機構につきましても、中央卸売市場の整備、生鮮食料品総合小売市場の設置等、その改善合理化をはかってまいることといたしております。  第五は、以上の施策に関連して、農業金融を改善拡充するとともに、農業改良資金の拡充をはかることであります。農業近代化に必要な長期低利資金の円滑かつ十分な供給を行なうため、農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金の融資ワクを大幅に拡充するとともに、資金融通が円滑かつ迅速に行なわれるよう貸し付け手続等の改善をはかることといたしております。また、無利子で貸し付けを行なう農業改良資金の貸し付けワクについても、一そう増額することといたしました。  なお、この文書においては、農林省所管事項にとどまらず、各省所管事項を含め、農業に関する施策全般にわたって記述しております。  以上、年次報告及び四十年度農業施策について、その概要を御説明した次第であります。(拍手)

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。櫻井志郎君。    〔櫻井志郎君登壇、拍手〕

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君 ただいま御説明のありました年次報告と農業施策に対し、自由民主党を代表して、内閣総理大臣、農林大臣及び関係大臣の御所見を承りたいと存じます。  わが国農業は、すでに三十八年度末において専業農家が二四%に減少したとなっておりますが、ここで、質問に先立ち、まず申し上げたいことは、この階層区分の定義の問題でございます。この定義のうち、専業農家とは、家族の何びとも自家農業以外の業務に携わらないものを言うのであります。この考え方自体が昔の発想をそのまま踏襲しているものであり、現代には全く適合しないものと思うのであります。かかる前時代的定義のままで農政の基本を論ずることは、農業に対する誤認を深めることともなり、すみやかに改むべきではないでしょうか。  そこで、第一に総理にお尋ねいたしたいことは、問題は、農外所得が農業所得よりも大きくなりつつあること、及び農業総生産の伸びが停滞傾向にあることについてであります。もちろん、農業近代化の施策が農民諸君の意欲に受け入れられ、その努力の結果、労働の生産性が上がり、余剰労働力を農外において燃焼すれば、農外所得の増加は当然の理でありますが、ただ、白書が指摘をしていますように、農業人口の減少が農業近代化の契機となりますのは、農家戸数がそれに伴って自然発生的に漸減し、離農と自立経営農家の規模拡大が相互関連を持ちつつ一必然的に起こる場合でありまして、先進国の農業はまさにそのような方向をたどってきたのであります。しかるに、わが国では、人口が流出いたしましても、戸数の減少率は、はるかに少なく、相対的には第二種兼業農家がふえ、これら階層農家の耕作による土地生産性が著しく低下してきているのであります。総理は、さきの施政演説で、社会開発に情熱を吐露し、農林漁業の近代化をはかることを言明されたのでありますが、はたして、このような傾向の推移の過程において、農業近代化が政府の意図するがごとく達成されるとお考えであるかどうか。いつの日にか国際農業と対決せざるを得ない日本農業の近代化の推進のためには、農業基本法で明らかにしているように、自立経営を中心とした農業に体質を変え得る環境を整備するとともに、協業をも促進し、また、みずからの自由意思に基づき他産業に流動しようとする人々には、安定雇用と離農援助の諸施策、並びに、農地の流動化による経営規模拡大の政策を、車の両輪として推進することが必要と思われるのでありますが、総理の率直な御所見を承りたいのであります。  第二は、農地流動化と農地法の改正についてであります。政府は、経営規模拡大のため、農地管理事業団構想をまとめ、これに必要な法案並びに予算案を策定されたことには、敬意を表するものであります。しかし、農地の価格が今日のように高く、現行農地法による農地貸借関係の硬直性が堅持されている限り、第二種兼業農家も土地を手放すことにちゅうちょし、現に農地の信託制度も遅々として進みません。したがいまして、農林大臣にお伺いいたしたいのでありますが、農地管理事業団の事業の推進と同時に、現行小作料をいま少し現実的、合理的価額に改定されるお考えはないか。一方で請負耕作のような、現行農地法から見ますれば、少なくとも、そのうちの経営請負耕作のごときは違法手段であり、しかも、ただ法律をもって規制しようといたしましても不可能なこの経済の自然発生的現象を、むしろ農業の近代化に寄与する方向にこれを活用し、かつ、現行農地法の耕作権保護に関しては、現状及び将来に融合せざる点を是正するなど、農業全体の近代化に寄与できるよう、過去の立法精神に強くこだわることなく、農地法を急速に改正される意思はないか、お伺いを申し上げます。  第三には、離農援助対策であります。自立的経営促進の農政を確立し、また、近代的協業の基礎固めをはかるためには、安定雇用による他産業への流動対策を確立する必要があり、規模拡大と離農援助対策とは、まさに表裏一体をなすものと思うのであります。したがって、農林省は当初、離農者援護資金の制度を考え、前述の農地管理事業団の制度と相まちまして、規模拡大による自立経営育成対策を打ち出し、日本農業の将来に明るい希望を提示したのであります。しかるに、事業団構想も縮小され、離農援助対策もまた全く影を没し去ってしまったのでありまして、農政評論家の中には、これを「霞ケ関に立った蜃気楼」とさえ批評している者もあります。農業基本法は、その第二十条で、希望する農業従事者やその家族が適当な職業につくことができるようにするため、教育、職業訓練、職業紹介、農村工業の振興及び社会保障の拡充をはかる施策等を講ずべきことを規定しているのであります。農林大臣並びに大蔵大臣は、このような離農援助対策なしに、農地管理事業団構想が円滑に農政に寄与するとお考えでありますかどうか。もちろん事業団の行なう事業計画案は、来年度はテストケースのようでありますが、しかし、であればこそ、なおさら、当初から規模は小さくとも、構想としては合理的なもので臨むべきではないでしょうか。大蔵大臣並びに農林大臣のお答えをお願いいたします。  さらに、農林大臣及び労働大臣にお尋ねいたします。離農者に転職資金等を融通し、職業訓練手当、指導手当を支給する等の必要性について、どうお考えになられますか。炭鉱離職者対策に準ずる措置は、現行法上可能かどうか。もし可能であるとすれば、現行実行の程度はどうか。あるいは不可能であるとすれば、新たなる対策についてどうお考えであるか、お伺いを申し上げます。  第四は、構造改善政策につき、次の諸点をお伺いいたします。まず、土地改良あるいは構造改善事業等の補助残融資の問題であります。これらの事業につきましては、国の相当額の補助が行なわれているとはいえ、工事費の絶対額が比較的高額でありますため、地元負担者の立場からいえば、これまた容易ならぬものがあり、農業収益の本質から見て、その償還はなみなみならぬ労苦を伴うのであります。国は、せめて農林漁業金融公庫融資の利率を引き下げることにより国際競争力の培養に寄与するため、いま一段のてこ入れが必要と考えますが、大蔵大臣及び農林大臣の現行補助残融資の金利負担改善に関する御所見を承りたいのであります。  次に、国有林開放問題であります。国土のより高度利用の見地から、農業に利用でき得る国有林を積極的に開放して、農業の近代化に寄与し、農民所得の向上に役立たしめようとする方向については、熾烈なる民意にこたえ、農林省も、あるいは次官通達等でその意図のあるところを現地営林局長に指示しているようではありますが、現実には、開放問題の処理が渋滞している事実を各地に見聞するのであります。政府は、農政に寄与する諸政策を網羅して率先範をたるべき立場からいたしましても、本問題に対し心を新たにして、強力な推進策を立てるべきではないかと考えますが、農林大臣の御所見を伺います。  さらにまた、最近、大型高性能機械の導入は、労働の生産性向上に著しく寄与しているものもありますが、ライス・センターの施設や、コンバインを見ましても、年間の使用日数はわずかであり、かなり高度な設備資本が遊休化しているのであります。これは農業の特殊性でいたし方ないといえば、それまででありますけれども、他面、せっかく圃場整備の整いました農地で、裏作なしに放棄されているものがはなはだ多いのは、まことに惜しい気がするのであります。外国から輸入されている飼料がすでに六百万トンにも及ばんとする今日、土地の高度利用、飼料自給の強化と裏作奨励、大型機械施設の利用度向上を、新たなる角度からお考えいただく御意思があるかないか。そのためには、あるいは農協等に裏作だけの賃貸契約制度等をも考える必要があると思いますが、農林大臣はいかにお考えでありますか、お伺いをいたします。次に第五は、価格政策についてであります。選択的拡大あるいは主産地形成の展開にも伴って、農産物価格安定制度を、より実効あるものに改善する必要があると思いますが、御所信を承りたいのであります。成長農産物だ、選択的拡大だといっても、価格安定施策について必要最小限度のものを欠くことができないのは言うまでもありません。いま、政府は原料乳の不足払い制度を実施する意図のもとに、本格的調査を開始せんとし、また、市乳の学校向け給食を逐年大幅に増加しつつあることは、国民体位の向上、消費拡大、価格安定等、諸般の見地から、まことにわが意を得たものと申すべきでありますが、他面、今回の白書が、豚肉、乳製品等の畜産物の価格安定対策の効果について、あるいは試験的に行なっている特定青果物の価格安定対策の成果と、それらを補正強化すべき諸点について、具体的に現状報告を行なっていないのは、まことに遺憾であります。農基法第十一条には、「その価格の安定をはかるに必要な施策を講ずるものとする」とあり、第二項には、「政府は、定期的に、前項の施策につき、その実施の結果を農業所得の確保や国民生活の安定等の見地から総合的に検討し、その結果を公表しなければならない」と規定をいたしております。もちろん、自由価格制度下では、政府の施策だけでその実効を期待することは、なかなかに困難であり、農民、農業団体その他国民各階層の理解と協力がなければならないことは言うまでもありませんが、いずれにいたしましても、第十一条に規定する公表が、別にかつてなされたことがないのでありますが、国民の理解と協力を受けるためにも、たとえそれが困難な事項であることは理解できるとはいえ、早急に公表されるべきものと考えますが、農林大臣の御所見をお伺いいたします。  第六は、山村振興についてお伺いいたします。山村の地域差、所得格差の懸隔は著しく、人口流出は最も多いのであります。総理の施政方針演説の中にも、山村等未開発地域の開発が約束されているのであります。ただ、このような未開発地域の開発には、単に農林業のみでなく、平地農村以上に各省の総合施策が必要であります。しかるに、地方の実情に即した農林行政を推進するための現在の地方農政局には、山林行政は抜けておるのであります。この点にかんがみ、わが党では、議員立法により山村振興法案の提出の準備も整えているのでありますが、総理は現状を直視され、各省庁の総合施策の推進に当たるお考えがあるかどうか。また、農林大臣は、地方農政局が山林行政あるいは水産行政を欠いている点等について再検討して、改善策を講ぜられようとする御意思があるかどうか、率直な御所見を承りたいのであります。

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 櫻井君、時間がまいりました。

櫻井志郎自由民主党

○櫻井志郎君(続) なお私は、農業後継者の問題、日本農業と南北問題、義務教育段階における教育者の農業に対する理解の問題等、お尋ねいたしたいのでありますが、時間がありませんので、以上で私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  農業問題、この見方、これと取り組む場合に、いろいろの観点からの取り組み方があると思います。一つは農業生産、その立場に立ってその生産性を向上する。第二は消費者の立場、国民としての食糧の安定供給を受けたい、その立場。また所得対象としての農業、その意味においての農家収入をいかにして確保するか。さらにまた山村あるいは農村地域、その地域開発、こういう観点からこの問題と取り組む。それぞれが別に相矛盾するものではありませんが、その見方によりまして、それぞれの力の入れ方がある、かように思います。農林省におきまして、また私どもが今日まで考えたことは、ただいま農業生産を向上すること、そうして近代化を進めていくことが、とりもなおさず国民に、食糧の安定的供給、これの確保にもなるし、また農業自身の生産性を高めるのでありますから、農家自身も潤って来、またそれによりまして、農村も今日の状況からさらに生活の向上ができる、かような観点でこの点をすすめておるのであります。これが農業基本法のねらいであり、また着々とその方向で効果をあげておるとは思いますが、しかし、何ぶんにも、農業の高度化なりあるいは近代化というものは、短期間には実を結ぶことができないものでありますから、たいへん長期にわたる努力によって、農民の協力により、また、政府の施策のよろしきを得て、初めてその成果をあげることができる、かように思います。  しかして同時に、わが国の農業の特殊性というものは一体何か、ただいま言うような専業農家をつくることが容易でない。いわゆる零細農業というものが非常に多い。これが今日の問題をかもし出しておる根本のように思います。したがいまして、この零細農業であるがゆえに、農業生産は思うように伸びていかない、あるいはまた農民の所得を増加していくことも非常に困難、また専業というわけにもいかない、そこで兼業の農家というものも同時に出ておるわけであります。ことに、ことしのグリーン・レポートなどは、第二種兼業農家が四二%にもなる。もちろん農家という定義にも、ただいま御指摘になりましたように、もっと実態に即した定義があってしかるべきだ、かように私は考えますが、とにかく従前からのような定義、そのもとにおいてすら四二%の第二種兼業農家がいる。これは日本農業が零細農業であるという、そこにその特殊性があるということを認めなければならない。そうしてその立場に立っていろいろ対策を立てていく。しかし、専業農家はだんだん上がってまいりましたし、またその規模も拡大されつつあるやに伺っております。またこの専業農家の従事者は、これは他の産業に比べましても、一般のような比率ではなくて、あるいは他産業とまだ格差はございますが、その四割あるいは五割という程度にまで上がってきているということであります。現在のこの専業農家の格差、これはまだまだ大きいのでありますから、われわれはその格差を縮めることに一そう努力しなければならないことはもちろんであります。少なくとも専業農家であれば、いわゆる自立農家というものができていく、かように思います。しかし、現状において兼業農家の多いその姿、そしてその点についての改善は、手っとり早く申すならば、農業という立場よりも、農家収入を確保する、農業としての収入よりも、農家収入をふやしていく、そこに兼業農家の生活の安定があるんだ。かような意味合いにおきまして、地方開発だとか、あるいは工場誘致だとか、あるいは都市における工場分散、かようなことによって労働の雇用機会が増大することを願っていく、それによりまして農家収入が確保される、同時にまた、それが離村しなくても済むということで、農村がさびれるというような点もまたないと思いますが、しかし、一面におきまして、この第二種兼業農家で、その土地にとどまるということなしに、御指摘のように、離農する、あるいはまたその土地を去る、離村するとか、こういう方もいろいろあるのでありまするから、農家に対する施策としては、やはり職業訓練その他転職につきましても、これを容易ならしめるように、また同時に、土地そのものが耕作者が離農することによって荒蕪地に帰する、こういうことはたいへん国家的観点に立ちまして見のがすわけにいかない、かように思いますので、これらについても施策を講ずる。そして、離農の際において、その土地自身を放すこと、あまり農家自身が迷惑をこうむらなくても済むように、施策を農林省自身で考えていくということでございます。したがって、先ほど御指摘になりましたような、車の両輪と言われるもの、これは片一方で専業農家をつくり、片一方で、ただいま申すような零細農業であるという立場から、農民あるいはその町村自体の疲弊、これの対策に対しても、われわれが絶えず意を用いていくということでなければいかないと、かように思います。  その次に、山村の振興についてのお話がありましたが、ただいま御説明をいたしましたような気持ちで山村問題とも取り組んでいく、これが私どもの政治的態度であります。したがいまして、御指摘のように、山村振興は、ひとつ農林省だけの仕事ではなくって、これは総合的施策によって初めて救済ができるものだ、そしてそれはたいへんな期間を要するものだが、同時にまた各方面にわたる努力を必要とする、かように思いまして、総合的施策をまんべんなくいたしたいものだ、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 私に対する質問の第一は、農地法を改正する意思があるかどうか、ことに小作料の改定に関連して、改定する必要があるじゃないかという御質問でございます。農地管理事業団を設立することになりまして、農地の所有権による流動化を推進することになりますので、それに関連しまして、農地法の中で小作地の所有制限を撤廃する、管理事業団が所有することになります場合に、そういう必要がございます。あるいは賃貸借契約の改善についての制限、あるいは権利移動の制限等、そういう点は改正をするつもりでございますが、小作料の改定につきましては、私も現状に即しないとこれは思っています。しかし、小作料の改定は、賃貸借によって農地の経営規模を拡大すると、こういう点から、適当な小作料にすることが必要でございますが、一面において、経営の安定、小作によって経営する者の安定という面がございます。そういう面で、両方衝突する面がございまするので、そういう面の調整が必要でございます。でございますので、農地法全体との関連において、小作料も改めなくちゃならぬというようなことで、いま検討を続けておりますので、本年は小作料の改定につきまして農地法を改正することは、この点は含んでおりませんが、目下検討しておる状況でございます。  これに関連しまして、請負耕作をまあ奨励といいますか、請負耕作に対しての考え方はどうかということでございますけれども、これは私は、請負耕作が経営を全部まかせるというような形までいきまするというと、農地法や農協法等に抵触する面があろうかと思いますが、作業面等において請負耕作という方向へいくことは、私は必要であり、また望ましいことだと思います。ことに、本年度の予算等におきましても、農協等に大型機械を購入するような方法によって、共同耕作といいますか、協業化に進めていくという方途をとっておりますので、そういう面の請負耕作は好ましいことだ、また進めていいと、こういうふうに考えております。  それから、農地管理事業団によって経営規模の拡大をはかる、その反面、離農対策がないじゃないか、こういう御質問でございます。経営規模の拡大は、いま流動している農地を経営規模の拡大の方向へ持っていこうということでございますので、必ずしも直接離農をさせて農地の拡大を期するということではございませんから、直接的には離農とは関連を持っておりません。しかし、移動する、手放す農地が多くなれば、経営規模の拡大の方向がより強化されるのでございますから、離農についての円滑化あるいは対策等も講ずることは、これは必要であろうと思いますが、本年度はその離農の対策等につきましては、特に政策として考えておりません。ただ、現在労働省の関係の中高年齢の失業者の就職促進措置というようなことがありまして、就職指導手当とか職業訓練手当等が出ることになっていますが、これは農業者の失業という場合にはこれに該当するものと思います。この点につきましては、労働省と連絡をとって検討いたしていきたいと思います。  第三に、構造改善その他、土地改良等の補助残、これについての金利等を十分考えてみる必要があるのじゃないか。農家の負担というものを軽減する意味におきまして、補助残でなく、補助等につきましても、今年度は圃場整備とかあるいは農道等につきましては増額をいたしたのでございますけれども、その他、土地改良、構造改善の補助残等の金利は、ただいま六分五厘になっております。これにつきまして、昨年この金利を軽減することにつきまして相当考慮をいたしたのでございますが、実現いたしませんでした。ただ、償還期限あるいは据え置き期間等につきましては考慮を加えたのでございますが、金利の点につきましては六分五厘ということが直っておりません。この点につきましては、さらに検討を加えていきたいと思います。  国有林の活用について、次官通牒が出ておるけれども、思うようでないじゃないか、こういうお尋ねでございます。確かに、比較的大面積の国有林の活用等につきましては、調査が長引いているとか、あるいは土地の配分計画がおくれているとか、あるいは立木がありますので、立木の収去等に時間を費やしておるというような面がありまして、国有林の活用につきまして思うように進んでおらないという点はございます。しかし、こういう点は、あらためて地方農政局、営林局あるいは都道府県と連絡をとりまして、活用が十分いくように進めたいと思います。  大型機械の活用をもっとはかったらいいじゃないかということでございますが、これは先ほど申しましたように、農協等によりまして、共同作業等を大型機械を通じて行なわせるような措置をとっております。ことに裏作の放棄につきましては、その対策を講じていきたいと思います。  価格政策でございますが、農産物の価格政策につきまして総合的な検討をすることに、農業基本法ではなっておるが、それが、定期的に農基法で行なう報告がおくれておるじゃないかということでございますが、これは三十六年以来、専門委員会に付議いたしまして、農政審議会で検討いたしておりますので、近い機会に報告をすることに相なると思います。  地方農政局の機構問題でございますが、山村問題等もあって、農政局に林野あるいは水産の方面を担当させたらどうかということでございますが、これはそういう案をもって提案をいたしたのでございましたが、こういうものは排除されたいきさつがございます。この点につきましては、さらに検討を加えていきたいと、こう思っております。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(田中角榮君) 農林大臣からお答えになりましたので、簡単に申し上げます。  第一は、離農の円滑化対策でございますが、これは他産業の雇用機会の増大、雇用条件の改善、社会保障制度の充実、農地制度の改正、地価の安定対策等、総合的に施策を講じていく必要がございます。具体的には、職業紹介、職業訓練等の施策の活用において、その推進をはかっておるわけでございます。また、炭鉱離職者のようにという御提案もございましたが、性質が違う問題でありまして、直接的対策を講ずることは、なお多くの問題があると考えられるわけであります。  第二点は、補助残融資の金利についてでございますが、農林大臣がお答えしたとおりでございます。(拍手)    〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 離農者に対して炭鉱離職者並みの扱いを考えたらどうかという御質問でございますが、これについては、いま農林大臣と大蔵大臣がすでにお答えになりましたので、農業基本法の二十条によりまして、私どもは、職業訓練、職業あっせん、その他の努力はいたしております。また、中高年齢層に対しましては、職業訓練手当を支給した上の訓練、あるいは一般の中高年齢層の雇用促進施策を適用いたしまして努力はいたしておる次第でございます。しかしながら、先ほど大蔵大臣の答弁にもありましたように、炭鉱離職者とは、おのずからその性質が違いますから、同様の扱いをするということは困難であると思っております。(拍手)

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 戸叶武君。    〔戸叶武君登壇、拍手〕

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私は、日本社会党を代表して、ただいま赤城農林大臣より説明のありました「昭和三十九年度の農業の動向に関する年次報告」及び「昭和四十年度において講じようとする農業施策」に関して、佐藤首相並びに関係大臣に質問いたします。  私が第一にお尋ねしたいことは、農業基本法が昭和三十六年に制定されてから四年を経過しておりますので、その最大のねらいであった農業と他産業との間の生産性並びに所得の格差が、この間に、佐藤首相が先ほど言ったように、着々是正されたかどうかについてであります。農業の生産性を比較すると、三十八年度は、製造業に対し二七・九%、非農業に対して二九%であります。これと、うらはらの関係にある農業所得は、就業者一人当たり十一万七千円で、製造業は四十一万八千円、非農業は四十万三千円であります。農業と他産業との生産性並びに所得の格差は、依然として三分の一以上です。農業の国民所得に占める比率は、ついに九・二%と、一〇%以下に後退いたしました。思い出せば、十年前の昭和三十年に、農業所得が国民所得の二〇%に低下したので大問題となったことがあります。それが三十八年度には、わずか八年間に、その半分の一〇%に低下したのであるから、実に驚くべきであります。欧米諸国では、農業と他産業との生産性並びに所得の格差が三〇%になると、重大な政治問題となるのであります。    〔議長退席、副議長着席〕 それなのに、日本では、三対一の大きな格差がいまだにそのまま軽視されておるのであります。これでは、「農政なき政治」と、世論から農政の貧困を攻撃されても、返すことばがないでしょう。農業は、自民党政府の高度経済成長政策の暴走から被害を受けた最大の被害者であります。そのひずみ是正を金看板とする佐藤首相から、あらためて、岐路に立つ農政の基本政策を承りたい。  第二の問題は、農業経営の動向としての専業農家と兼業農家との問題であります。三十八年十二月の農業調査によると、総農家五百八十三万戸のうち、専業農家百三十九万戸、第一兼業農家百九十八万戸、第二兼業農家二百四十六万戸となりました。専業農家が二四%に減少したのに対し、兼業農家は七六%に増大したのであります。この事実は、政府の自立経営農家育成を名とする専業農家相手の三割農政の、四分の一農政への転落を意味するのです。専業農家と兼業農家との比率は、昭和八年から十年には、専業農家七四%、兼業農家二六%、それが三十年間に逆転するに至ったのであります。農家所得も、三十八年度には、農業所得が四九%に落ち、農外所得が五一%に上がり、日本の農業の体質上の弱点を遺憾なく暴露したのであります。この農業の、なだれのような急激な変革に当面して、政府はろうばいし、農政の方向づけに自信を失っております。その証拠として、政府の提出した農業白書の農業施策は混乱しております。その前段においては、「農業所得の増大という観点からすれば、兼農機会の増大と兼業収入の安定化が重要問題である。」と主張しているかと思うと、後段においては、「兼業化のより一そうの進展は、農業生産の停滞と生産性の低下を招くおそれが強い。農産物の安定的供給の確保という観点からすれば、専業農家の経営の発展と所得の増大を図ることが重要である。」と述べております。佐藤・赤城農政は一体どこに行こうとしているのか。その苦悶のほどはわかるが、ハムレット型の農政では国民が当惑するばかりであります。池田前内閣の方針を踏襲し、専業農家本位の農政を進め、兼業農家切り捨てを強行するつもりか。それとも佐藤内閣の農政の特徴は何か。もっと明決な説明を願いたいのであります。  第三の問題は、農業における労働確保の問題であります。総理府の労働力調査によれば、農業就業者数は、昭和三十二年度に一千四百七十万人あったのが、三十八年度には一千二百万人と、この六年間に二百七十万人減っております。最近、特に激減しておりまするから、この調子だと十年間には五百万人以上減少するでしょう。農業就業者数は、総就業者数の四分の一に落ち、三十八年度の農家世帯員の他産業への就職者数は九十三万四千人に上り、そのうち二十七万七千人の新規学卒者が都市に流出しております。このようにして若者が農村を去り、農業従業者の女性化と老齢化が著しくなってまいりました。田園まさに荒れんとす。農業は重大な危機に直面しております。農村の運命を双肩にになって、孤軍奮闘している農家のあと継ぎの援護、農家の嫁さがしのむずかしさ等に対し、政府は、農家の人々の前途に希望を与える、いかなる具体策を用意していますか。あるとするならば、それを承りたいのであります。  次に、近年深刻な社会問題となってきた農村の出かせぎ者の保護の問題であります。政府の三十八年の調べによると、約三十万人とのことですが、社会党農民部の最近の調査だと、百万人を突破しているだろうということです。その四七%が世帯主で、四二%があと継ぎであるという統計上の数字は、零細農は出かせぎによって農外収入を獲得せねば、生活が成り立たなくなっていることを物語るものであります。東北地方の農村では、男たちが出かせぎで離村しているため、火事が起きても消防自動車を出動させられないというところがあります。また、夫婦で離れ離れの生活をしているため、至るところで家庭悲劇が続出しております。大都市のアパート住まいの夫婦共かせぎの家庭のかぎっ子以上に、農村の出かせぎ者の留守宅の子供たちの境遇は、父なし子のような気の毒な状態であります。政府は、出かせぎ労働者の労働条件の向上にいかなる努力を払っておりますか。その緊急対策を承りたいと思います。  第四の質問は、貿易の自由化に対処する農業保護の施策についてであります。貿易自由化の嵐の中で、世界各国とも、貿易の自由化と自国の農業保護の施策とを、どのように調整するかについて、真剣に取り組んでおります。わが国の食糧輸入額は、三十七年度四千億円、三十八年度五千五百億円、三十九年度七千億円とウナギ登りです。そうして輸出でかせいだ外貨を食糧輸入で吐き出しております。三十八年度には食糧自給度が八一%に低下いたしました。国際収支安定の見地からしても、食糧自給体制確立が急務であると思うが、この問題に関して、佐藤首相の確固たる信念を示してもらいたい。  質問の第五は、昭和四十年度に講ずべき農業施策についてであります。  その第一点は、農業生産の選択的拡大と農作物価格の安定の問題であります。政府は、選択的拡大を強調しながらも、主要農産物、酪農製品等の価格の安定に責任を持たないところに問題があります。政府は酪農を奨励したのであるから、牛乳の価格とその配分の問題についても行政指導をすべきであります。牛乳一合二十円の場合は、先進国と同様に、その半分の十円は農家の手に入るようにしてやってほしいものです。次には、過剰生産との理由のもとに安く買いたたかれている鶏卵の問題であります。卸相場はキロ百六十円前後、農家の庭先相場は百五十円前後です。飼料は値上がりし、鶏卵相場は底値なので、養鶏家の倒産が続出しております。政府は早急に救済の手を打つべきです。また、豚の二月暴落説にも十分に警戒してもらいたい。二度と養豚農家に被害を与えないようにしてもらいたい。農産物価格の安定の問題は、農政の中で一番むずかしい問題ですが、これを解決しなければ農業経営の安定はあり得ません。米に準じ、生産費所得補償方式で価格を決定することが可能なのは、タバコ、ビール麦等です。いずれも契約栽培ですから、政府さえ腹をきめれば、専売公社もビール会社も、いやと言えないと思う。農家所得の増大は農産物価格の安定から取り組むべきであります。  第二点は、農業生産基盤の整備と農業経営規模の拡大の問題であります。政府は重点施策の一つとして、農地管理事業団の設立に力を入れ、これによって農地取得の促進をはかろうとしております。しかし、発足前の準備段階での研究調査の不備から、失敗に終わることは明らかではないでしょうか。  第三点は、飼料の暴騰に対する警告であります。政府は、畜産農家に大打撃を与えた飼料の一斉値上げを、なぜに事前に押えることができなかったのか、不可解であります。家畜がふえれば濃厚飼料の需要が増加するのは、あたりまえの話ではありませんか。畜産は十年間に三倍以上ふえております。農林省の三十九年の調べによると、家畜飼育数は、乳牛百二十四万頭、豚三百四十六万頭、鶏一億二千七十万羽となっております。飼料の輸入は、三十七年度八百四十九億円、三十九年度は一千三百億円を突破するでありましょう。政府は、いままで畜産を奨励しながら、いかなる理由で飼料対策を怠っていたのですか。この機会に、不明朗きわまる飼料行政に対して警告を発し、飼料自給対策の確立、飼料輸入の方式の検討、配合飼料の検査機構の不備、飼料規格の取り締まりのルーズさ等に注意を喚起いたします。  私は、最後の結びとして、政府の農業基本法に取り組む姿勢に対して、農業白書批判を通じ、不満にたえないことを表明いたします。それは看板に偽りが多いからです。農業施策の推進には、予算及び財政投融資の裏づけがなければ成果はあがらないのであります。昭和四十年度の農林関係予算は三千七百億円で、国の予算の一〇・一%との説明ですが、前年度の一〇・三%より低率であります。社会保障質的食管会計への繰り入れ金一千九十六億円を引くと、わずか七・四%で、農林予算として最低線であります。昭和二十八年度から見ると半分です。財政投融資関係においても、政府は産業投資計画総量五百五十七億円のうち、輸出入銀行には二百九十億円出資しながら、農林関係には前年度よりも大削減し、百五十六億円しか出資しないではありませんか。政府は、農林漁業金融公庫の新規貸し付け計画額を拡大したと宣伝しているが、実際の運用面で、少数の富農層しか、これを利用しがたいところに、問題点が今後に残されております。与党の代表からさえ、霞ケ関に立ちのぼった蜃気楼と冷笑されるほど権威を失った農業基本法、その空白地帯で空転している農業白書の中から、以上のように問題点を指摘いたしました。  農政の基本問題並びにその方向づけについては佐藤内閣総理大臣より、また、それぞれの事項については、赤城農林、田中大蔵、石田労働の各大臣から答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  農政につきましては先ほどもお答えいたしたのでありますが、ただいま同様なお尋ねのように、私、聞いたのでございます。ことに、農政なき政治だと、かくまで批判を受けましたのですが、御承知のように、農業基本法が制定されまして、そうして農業のひずみを直すといいますか、生産性の向上と真剣に取り組む、かような立場に立っていることは御承知のことだと思います。三十一年から三十七年までに、農業生産の伸びは年々三・九%、こういう伸び率を示しております。私は必ずしも、これは農業のような立場におきまして、低い伸び率だとは思いません。しかしながら、先ほどお話がありましたように、専業農家の育成強化、なかなか困難な問題であり、これまた時間のかかることであります。これには、長い、不退転の決意のもとに努力を続けていくという、このこと以外には成果をあげることはないだろうと思います。先ほど御指摘になりましたように、現状におきましては兼業農家が非常に多い。専業農家のパーセンテージは減って、兼業農家は四二%にも上がったという、これは御指摘のとおりであります。ちょうど逆になったような形になっております。これは、先ほど申しましたように、わが国農業政策の特異性からきている問題だと思います。したがいまして、現状においては、この兼業農家というものを私どもも無視するわけにいかない。片一方、専業化を進めていく、同時に、現状に対しての、存在しておる兼業農家、これの育成強化をはかっていく、この観点に立ちますいろいろの施策をしていることは御承知のとおりでありますから、私は重ねて申し上げません。  ただ、私が申し上げたいのは、こういう状況のもとにおいて、わが国の食糧自給度、これは、わが国においては、農産物全体から申せば、その自給度は八一%といわれておる。しかしながら、食糧に関しては八六%、かようにいわれております。このことは、まずまずの形ではないかと、かように思っておりますが、この自給度を確保するということは、これは、外資節約の面からも、また農村の所得を確保する面からも、国民の食生活を安定さす面からも、いずれから見ましても大事なことだと思いますので、政府は、この食糧についての輸入ということについては、十分警戒をして取り組んでまいるつもりでございます。しかし、外部からのいろいろの情勢の変化があり、今日、貿易自由化が全面的だ進められておる際でもありますので、私どもは一そう農業の専業化に力を入れ、そして競争力の強化に尽くしたい、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 農業白書に言っているところが相当矛盾しているじゃないか、一方では、専業農家、自立農家を育成するといいながら、一方には兼業農家がふえておる、どこに重点を置くのか、ということでございますが、専業の自立経営農家が多くなることは、農業の健全化になることでもございますので、非常に望ましいことでございます。しかし、いま現状は、兼業農家が非常にふえておる。ただ、櫻井さんのお話の中にもありましたが、兼業農家の統計でございますが、一人でも家族の中に農業外の収入を得ておるということになっておりますと、統計上兼業農家に入れてあります。そういう点で、兼業農家の数が少し実態と伴わないような形もございますが、それは別といたしまして、自立経営農家を拡大することが、これが一番望ましいことであります。しかし、兼業農家が出てきておるということも、これはいなめない事実でございます。これにつきましては、農業面から見まして二つの方策があると思うのでございますが、兼業農家で、農業をなお進めていきたいという人が相当あるはずでございます。こういうものは、農業面から見ますれば、やっぱり協業の方向へ持っていくということが必要であろうと思います。そういう面で兼業農家が農業に寄与してもらいたいという面でございます。  それからまた、労働力の流出問題で、出かせぎということも非常にふえておる。また、兼業農家の面も相当ふえておるということでございますが、これは、収入の面から見まするならば、やはり、地方を開発して、就業の機会を近くに得られるということが必要であろうと思います。なお、出かせぎにつきましては、出かせぎに出るルートが、職業指導所等を通じないで出る面が多いので、これが社会問題化しておりますので、ルートを通じて職業につくというような形が必要であろうと思いますので、労働対策としても、その方面と連絡をとって、よく指導をしていきたい、こう考えております。  自由化の問題でございますが、日本の農業が非常に零細でございます。お話のように、日本の農産物は、国際的に非常に高くついております。酪農品のごときは二倍になっておる。米等につきましても相当高いのでございますので、自由化を漫然といたしますというと、日本の農業が滅びるというようなことになってまいります。しかし、国際的に開放経済下に入った現状として、自由化は免れないものでございますけれども、品目によって相当検討いたしまして、ことに主要食糧につきましての自由化は、当分これをやり得ないと私は考えております。自由化につきましては、慎重に取り計らっていきたいと思います。  物価対策でございますが、日本の農産物の七割は価格支持対策を講じております。例にとられました牛乳等につきましても、畜産振興事業団を通じて価格の安定をはかっておるのでございますけれども、お話にもございますので、さらに直接牛乳等の価格支持をする方法等もいま考究中でございます。あるいは、鶏卵等につきましても供給が過剰でございます。調整をしなくてはなりません。しかし、これが価格が下落するという方向でございますので、そういう際に対処するために、調整保管をするということを、昨年もそういう方法等をして、価格の安定をしましたが、ことしもそういう必要があろうかと思います。また、豚等につきましても、子豚の価格安定等を通じて価格安定をしていきたい。  飼料の問題でございますが、飼料が相当多額に輸入されているということは、畜産の問題といたしましても望ましいことではございませんが、現在そういう状況になっています。飼料需給安定法によりまして、輸入飼料につきましての価格の安定、あるいは数量等につきまして調整をいたしております。ただいまのところ、輸入でありますので、外の事情から上がってきておるというような状況がございます。こういう輸入飼料につきましても、アメリカからばかりでなく、東南アジア、アフリカ、そういう方面からの輸入というふうにしむけていきたいと思いますが、何といたしましても、国内の自給飼料の増産をはからなければ、この解決はちょっと無理でございますので、草地造成その他、自給飼料の面に力を入れていきたい、こう思っております。  それから、ことしの予算がほんとうに農業を推進していくだけの裏づけになっていないじゃないかということでございます。ことしの予算面から見まするならば、御指摘のようなこともありますが、内容を個々的にとってみまするというと、相当力を入れておるわけでございます。例をとりますならば、土地改良、生産基盤の整備等につきましては、昨年よりも一九・四%、九百二十三億、あるいは構造改善なども一七・七%増、あるいは生産振興等の費用も二〇・一%増というふうに、重点的に相当予算もつけてあります。あるいは金融面等につきましても、予算のワクが、公庫の金融が千二百四十億、あるいは近代化資金が七百億、あるいは改良資金が五十七億、ワク等もふえておりますので、相当農業面に力を入れてやっていける、こういうふうに考えております。(拍手)    〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私に対する御質問は、出かせぎ労働者に対していかなる保護政策をとっておるかということであると存じます。  まず第一に、現在の時点におきまするいわゆる出かせぎ労働者の数でございますが、先ほど戸叶さんの御発言にありましたように、農林省の調査では三十万ということになっておりますが、これは一カ月ないし六カ月の期間で出かせぎをしたものを対象といたしました調査でありまして、それ以上期間の長いものを加えますると、五十万から六十万くらいに達するのではないかと存じます。ただしその中で職業安定所を通しておりますものは十八万でございまして、まずその実態をつかみますために、でき得る限り職業安定所を通してもらおう。そうでなくても、各町村に職業安定協力員を配置いたしておりますので、その協力員と連絡をとってもらうということが第一必要であろうと考えておりまして、これを勧奨する努力をいたしております。  それから労働条件の維持向上でございますが、出かせぎ労働者が働きにまいります業種は、御承知のごとく、建設業、農林漁業、あるいは食品加工業等に限られておりまして、零細企業が多いことも事実でございます。それと同時に、先ほどの裏になりますが、縁故関係をたどって出かけて行く、あるいはまた、いわゆるやみ職安とでも申しますか、そういうものの手を通して行くというようなケースが非常に多いのでありまして、賃金の不払い等を含みます事件が出てまいっておりますことは、遺憾にたえない次第であります。これに対しましては、基準法に基づきまする監督行政を強化いたしますと同時に、出身地の職業安定所と、それから出かせぎ地におきます基準監督署並びに安定所の連絡を密接にいたしまして、監督をいたしますと同時に、各事業場には労働条件を明示させるように指導をいたしておるのであります。特にこの出かせぎ労働者が一番就業しております建設業種に対しましては、全対象事業場が約十八万六千事業場くらいございますが、それに対して、一昨年は四万三千場、昨年はそれを上回る数になっておると思いますが、それに対しまして、危害の防止、労働時間、休日の問題、あるいは超過労働に対する割り増しの賃金の問題等を、監督実施をいたしてまいりました。  それからもう一つは、この出かせぎ労働者諸君が、帰休時におきまして、それぞれの出身地において職業訓練を行なって、技能の向上を通じて収入の増加をはかるその手段も講じております。具体的に申しますと、秋田県におきましては、数カ所におきましてハッパ技師の訓練をやっております。また岩手県の高田市におきましては、大工、左官等の技術訓練を行なっておりまして、その訓練終了者はその後三千円ないし四千円以上の増収を見ておるのが実態でございます。さらに、留守家族への相談員の配置も本年度予算に計上いたしております。留守家族に対する指導にも当たってまいっておるところでございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(田中角榮君) 四十年度の農林予算が非常に少ないということでございます。農林大臣からもお答えがございましたが、少ないわけではございません。四十年度の農林予算としまして、御指摘のとおり三千七百億円が計上されておりますが、これは三十九年度当初予算に対する伸び率は一一%でございます。しかし特別の理由によりまして、年ごとに変動する食糧管理特別会計への繰り入れ、農業近代化助成資金の繰り入れ、災害復旧というものを除いた実質的な予算規模につきまして比較いたしますと、対前年度比伸び率は一八・一%という非常に高い伸び率でございます。予算の対前年度比一二・四%に比べますと、非常に高い率になっております。農林漁業金融公庫の融資ワクにつきましても、三十九年度の千七十億円から四十年度は御承知のとおり千二百四十億円とふえております。なお、農業近代化資金の融資ワクを、三十九年度の六百億から、農林大臣の御発言のとおり七百億に、農業改良資金の貸し付けワクを、三十九年度の四十五億円から四十年度は五十七億円に、それぞれ大幅に増額をいたしておるのであります。  第二は、財政投融資の面におきまして、農林公庫への出資が三十九年度に比べて減っておるということでございますが、これは実質的に減っておるわけじゃございません。一部を利子補給制度に切りかえたということでございます。その結果、百四十一億円の出資の減少ということになっておるわけでありますが、同公庫の貸付計画を見ていただくとおわかりになるとおり、三十九年度千七十億円に比べて、四十年度は千二百四十億円、このように大幅にふえておるわけであります。なお、資金運用部資金の借り入れについて見ますと、三十九年度の四百六十五億円から、四十年度は七百七十二億円というふうに、大幅に増加をしておるわけであります。輸銀に出資しながら農林公庫に出資しないということでありますが、戸叶さんも御承知のとおり、輸銀につきましては、諸外国からきわめて強い関心で見られておるわけであります。ガットの規定等によりまして補助金等の制度がとれないということがございまして、三十九年度、四十年度においても、従来どおり融資及び政府出資の方式をとっておりますが、政府出資の額についてみますと、三十九年度の二百二十五億円に比べまして六十五億円しかふえておらない、こういうことでございまして、これをもって足れりとしておるのではありませんが、乏しい中から可能な限り農林予算については重点的に配分をはかったわけであります。(拍手)    〔戸叶武君発言の許可を求む〕

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 時間がありませんが、何ですか戸叶君。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 再質問。答弁漏れがあります。

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 時間がありません。     —————————————

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 中尾辰義君。    〔中尾辰義君登壇、拍手〕

中尾辰義公明党

○中尾辰義君 私は公明党を代表いたしまして、ただいま農林大臣より報告がありました農業白書に対し、政府の所見を承りたいと思うのであります。  最初に、総理にお伺いをいたしますが、最近農村を歩きますと、政府の農業政策に対する農民の不満の声がまことに大きいのであります。供出米価は上がりましても、肥料や諸物価の値上がりで、少しも生活は楽にならず、飼料は高く、酪農や養鶏はさっぱり採算がとれません。農機具の機械化は、かえって農家の重い負担となり、増産すれば豊作貧乏、減産になれば社会問題となり、農民は生活の見通しの不安と焦慮にかられ、全く今日ほど政府に強い農業政策が望まれるときはないのであります。これを裏書きするように、今回の白書は、高度成長下の日本農業が、ますます兼業化の一途をたどり、自立経営を中心とした近代化農業と全く逆の方向に進んでおり、わが国農政の行き詰まりを暗に示しているのであります。すなわち、兼業農家は七六%に達し、裏作放棄や荒しづくりで、耕地利用率の低下により、農業生産性は七年ぶりに二・一%も下がり、農業所得の格差はますます増大し、むしろ兼業農家のほうが専業農家よりも高くなっているのであります。これでは、一体、日本の農政はどちらを向いているのか、農政の基本姿勢が確立しないことには、国民は不安と危惧を抱かざるを得ないのであります。総理は、就任以来、農業のひずみ是正には大いに力を入れると言明されておりますが、このような自立経営の育成と兼業化増大との矛盾をいかに指導しようとされるのか、また、今後わが国農業をどのような方向に進めるのか、その基本方針について所見を承りたいと思うのであります。  第二に、農業に対する保護政策について、総理並びに農林大臣にお伺いをいたします。  白書の報告によれば、食糧の自給度が三十五年の八五%から三十七年に八四%、三十八年に八一%と落ち、逆に農産物輸入がものすごい勢いで増加し、その輸入額も十五億ドルの高水準に達し、総輸入額に占める農産物輸入額の比重は二二・三%に高まっております。そうして四十年度は十八億ドルに達するのではないかと危ぶまれていますが、わが国の国民経済からいっても、このような大量の農産物を輸入する貿易構造が、はたして健全な経済の発展をもたらすかどうか、はなはだ疑問であります。政府は、農産物に対しては主要品目の非自由化政策をもって保護しておるように見えまするが、畜産の選択的拡大に伴い、まずトウモロコシ、マイロ等が、なしくずし的に大量に輸入され、また、自由化をしなくても、麦作転換を契機として、小麦の輸入も三十八年度は三百十七万トンもあり、その量は年々伸び、三十九年度は麦類の輸入が四百万トン、金額にして一千百五十億円とされています。これでは、米や、小麦といえども実質的自由化とあまり違わない状態となっており、政府は、なしくずしに米麦の自由化を意図していると言えるのであります。国内の農産物市場を外国に制圧されるようになり、外国農産物の輸入に依存する安上がりの農政で農業の構造改善を進めることは、農民に対する人間疎外であり、やがては日本の農業を崩壊に導き、結局は国民経済を破局に導くもとになりはしないか。また、資本の立場からいいましても、農産物の輸入が総輸入額の半分にも達するようになれば、必然的に工業のための原材料の輸入が制約せられ、輸出の伸びを押える要因ともなりかねないのであります。政府は、食糧の自給度を何%に持っていくのか、農業の保護政策をいかなる構想で進めていくのか、また、国民経済構造の中において、農業をどのように位置づけていくのか、お伺いをいたします。  第三に、農産物の価格安定について農林大臣にお伺いをいたします。  わが国の農産物は、米を除き、価格はきわめて不安定であり、野菜等は各年ごとに需給のバランスがくずれ、暴騰暴落し、豊作貧乏を繰り返すのが常であります。また、鶏卵は、生産の増加と需要の伸び悩みにより、四十年度は前年度のキロ当たり百八十円を相当下回ることが予想され、酪農に至りましては、乳製品の輸入と飼料の値上がりにより深刻な様相を呈しておるのであります。したがって、農産物の全国的な需給計画が必要と思うが、これに対し農林大臣の御意見を承りたいと思います。また、政府は、鶏卵、蔬菜、牛乳等の価格安定のためには、輸入によるのか、それとも価格支持政策をとるのか、その応急策としてはどのように対処するのか、土地や技術の不足により行き詰まりを生じた飼料の自給策及び飼料の値上がりに対する対策はどうなっておるのか。さらに、果樹、蔬菜等の成長農産物にまで価格安定策を拡大する意思はないか、お伺いをいたします。  第四に、農地の流動化対策について農林大臣にお伺いします。  兼業農家が年々増加するにもかかわらず、農地の流動化が進まず、農地の信託制度も開店休業の状態であります。政府はこの打開策といたしまして、農地管理事業団の発足を決定いたしましたが、事業団を本格的に活用するには、農地の所有並びに貸借ができるように農地法の思い切った改正がなければ、その効果が期待できないと思うのであります。また、兼業農家対策の一環として、兼業農家の農地を借地とし、その経営を請負専門の農業法人に委託させることが農政上望ましいが、どのようにお考えか。さらに、農地の価格について、事業団の存在がかえって農地価格の上昇を招くことになるのではないかと思うのでありますが、どのように対処するお考えか、お尋ねをいたします。  第五に、開拓農民の実情について農林大臣にお伺いいたします。  戦後、政府の指導あっせんにより、農業の経験のない者が資金を借り受け、入植させられた農地開拓者は、現在自立経営できる者とできない者とに、はっきり分かれてまいりましたが、干ばつ地帯などに入植された農民は、経営が成り立たず、莫大な借財をかかえて全く生活が困難になっております。北海道では、医者にもかかれず、病死をしていく農民もあり、離農しようとすれば農協の借金があるために圧力がかかり、離農できないというのが実情であり、その姿は涙なくしては語れないのであります。われわれは、政府が入植させた開拓者に対し、一切の債務をたな上げし、かつ、十分な離農資金を与え、政府が責任ある対策を講ずべきであると思いますが、農林大臣の所見を承りたいと思うのであります。  第六に、山村僻地対策について、総理、農林、建設の各大臣にお伺いいたします。  白書は、農業と他産業との格差が著しいことを述べております。特にそれは山村僻地においてはなはだしいのであります。このような地区の大部分は、農業構造改善事業にも取り残されており、僻地を牧草地に変え、酪農を始めましても、雪が降れば生乳を輸送できないような僻地が多いのであります。僻地対策の最も必要なのは道路整備であります。政府は、山村振興林道に対する六億六千万円の助成を考えているようでありますが、林道、農道、一般交通道と同時に、一部は観光道路としての開発もあわせ考え、関係各省の予算を合わせ、この際、大規模な山村振興総合道路計画を、また、積雪地帯には雪害防止施設事業などを実施し、農閑期における農山村の労働力を利用することにすれば、山村の所得補給のためにも、出かせぎ対策にもなると考えますが、政府は、このような山村僻地振興のための総合計画を進める考えはあるのかどうか、承りたいと思うのであります。  第七に、農業金融について大蔵大臣並びに農林大臣にお伺いいたします。  農業金融の柱は、何といっても農協金融でなければなりません。全国の農業協同組合の貯金額は、昨年末ついに二兆円を突破しております。しかし、この伸び方は、必ずしも農業所得の増収を物語るものではなく、農家の兼業収入の増加と、工場や住宅敷地への農地売却代金の増大等によるものであります。農協信用事業の目的は、農協内部で蓄積された資金をもって、農家への還元融資をつけることでありますが、現実においては、農協は膨大な貯金を擁しながら、その貸し出しは貯金額の四割程度であり、農業経営に意欲を持つ農家でも、担保力も政治力もない者は、全く借りられない。しかも貸し出し金利は、高いところでは一年で一割三分近く、全国平均一割という高利であります。普通銀行の七分から八分という金利よりかなり割り高であり、農家の激しい非難を受けております。現在の三段階制の農協信用事業の組織を改め、農家に対する金融の円滑化と、金利の引き下げを積極的に推進する必要があると思うでありますが、政府のお考えはどうか。

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 中尾君、時間がきました。

中尾辰義公明党

○中尾辰義君(続) 以上、七項目の質問により、政府のお考えをただしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  国民食糧の安定的な供給と、農業と他産業との格差をなくするということ、この目標こそ農業基本法のねらいであります。また、農政の目標とするところのものであります。したがいまして、今日まで十分のまだ成果をあげておらない、こういう点で、いままでの行き方が間違っておるのではないか、かような御批判もあろうかと思いますが、私は、この農業の近代化、あるいは高度化、あるいは構造改善、いずれにしてもたいへん努力を要するものだ、短期間ではこれをなしとげることはできない。どうかもう少しその成果があがるまで、不退転の決意のもとにその努力を続けていただきたい、かように思います。政府もこの面におきまして、あらゆる努力をするつもりであります。  また、農産物の自由化、いわゆる貿易構造の面から見て、いかにこれを守るか。また、国内の食糧自給度という観点に立って、いかに考えるかという点でありますが、先ほども農林大臣からお答えいたしておりますように、自由化につきましても、今日数量制限などいたしまして、対策を立てております。しかし、もうすでに九二%の自由化が行なわれておる、こういう立場にありまするので、それぞれの業界におきましても、国際競争力を十分養って、太刀打ちのできるような産業経営のもとに、この自由化貿易と取り組んでいただきたいと思います。農産物の八一%、これは国内で自給されておる。また食糧、これは国内で八六%が確保されておる。私はこの国内農産物、ことに食糧の自給度、これは今日相当のところに来ているのではないか。私はこれをもって満足するという考え方ではございませんが、十分自給度を高める、かような方向で努力してまいるつもりであります。  また、御指摘のように、ただいまの状況において兼業農家がだんだんふえておる。私は、第二種兼業農家、これがふえておることについては——まあ第一種兼業農家はこのパーセンテージは変わっておりません、最近ふえたのは第二種兼業農家、かような立場であります。この第二種兼業農家がふえたということは、農業生産の面で見まして、第二種兼業農家はその土地の生産性を十分に活用することができない、そういう不利がございますが、農家収入を確保しておる、そういう点では第二種兼業農家は他産業によりまして収入を補っておる、かような実情にあると、私、考えておりますので、いわゆる農家の方々の収入を確保する、生活を確保し安定さすと、こういう意味においては、必ずしも第二種兼業農家が悪い、こういうことは言えないと思います。私は、これがたびたびこの席に立って申しますように、土地が零細である、その零細農家が非常に多いということ、しかも農民がその土地に対する特別な感じを持っている。これはあえて所有欲とは申しませんが、土地に特別な愛着を感じておる。そういうところから、この種の第二種兼業農家は自然発生的にあるものだ。そしてこのことは、土地の生産性を十分生かすという面からは不十分だが、農家収入を増大していると、こういう意味においては、これはやむを得ない現状だと、かように私は思っておるのであります。したがいまして、先ほど来言われますように、専業農家を育成強化する、これはもちろん大事であります。農業基本法はその方面について格段の留意をしておる。しかしながら、農民と土地、農民の土地に対する愛着、これはまた特別のものでありますので、いわゆる合理的だけでは解決ができない、かように思います。  最後の山村対策でございますが、これも先ほどお答えいたしましたように、道路交通が一番先だ、林道にも力を入れてくれということでございますが、交通、通信、さらに文化、こういう面におきまして、山村は特に恵まれていない、かように思いますので、総合的な施策を立てるようにいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) お答えいたします。  非常に輸入がふえてきている、あるいは自給度が下がってきているということは、私も憂慮しているところでございますが、原因といいますならば、やっぱり日本農業が非常に経営が零細であるということで、他産業との競争力におきましても、国際的に競争力の低いというところに原因があろうと思います。そういうことでありますので、土地基盤の整備とか、資本の装備をよくするとか、一口に言いまするならば、構造改善をいたしまして、生産性を高めていくという方向へ進めていっておるわけであります。したがって、自給度をどの辺にするかということでございますが、中期経済計画の四十三年度等の見通し等につきましても、自給度が八〇%というふうに見ております。この自給度は、いま総理のお答えがありましたように、相当高いところにあると思います。でございますが、自給度が年々下がっておるということではいけませんので、自給度は八〇%程度にとどめていくといいますか、それを堅持していくということで農業政策を進めていきたいと思います。  農産物の自給対策を確立する必要があるじゃないかということでございますが、確かに農産物の需要はふえております。そういうことから輸入等もふえておるのでございますけれども、この自給対策につきましては、その計画がさきに発表をいたしてありますので、その発表の計画に従いまして自給対策を確立していくというふうに考えております。  第三は、農産物の価格の問題でございます。農産物の七割は、いろいろな施策によりまして価格支持をいたしております。米麦はもとより、繭にいたしましても、あるいは畜産物等におきましても、価格支持をいたしておりますが、ことに畜産物等の牛乳等につきましては、間接に価格支持をしておりますので、直接価格支持ができるようにいま検討をいたしております。あるいはまた、価格につきまして、一番支持の弱いのは生鮮食料品でございます。ことに野菜等につきまして、指定産地制度あるいは生産安定事業等を拡大して、この方面も価格の安定を期したいと、こう思っています。  第四に、農地の流動化対策につきまして、農地法の改正をするかどうかという御質問でございます。借地による経営規模の拡大ということから賃貸借による流動化を進めることは好ましいことでございます。そのために共同耕作、さらに進めて、これを法人による請負耕作等を認める必要がありはしないかということでございます。先ほど櫻井さんに御答弁申し上げましたように、全面的に経営を請け負わせるということは、現在の農地法、農協法等に疑問がございますけれども、これを耕作面等につきまして請け負いをする、させるというようなことは、これは必要であろうと思いまするし、そういう面は進めていいと思います。ただ、農地法の改正全体につきましては、小作料等も含め目下検討を進めておりますので、今国会にはその改正を出すというのには間に合わぬと思いますけれども、検討を進めている次第であります。  第五の、開拓に対する対策でございますが、開拓農家には、非常によくいっているものもありまするし、また、御指摘のように、営農が確立してない農家も見受けられるようでございます。三十八年度から、この農家のうち、政府の援助によって営農が確立する見込みのあるものに対しましては、営農施設資金の追加融資あるいは旧債の自作農維持資金への借りかえを中心とする新開拓営農振興対策を実施しております。また、立地その他の条件のために、政府の追加融資等によっては営農の振興を期しがたい、こういう農家につきましては、離農補助金の交付等によってその生活再建を助成する措置を講ずるとともに、その旧債の処理につきましては、政府資金として、国の債権の管理等に関する法律というものがありますので、大幅な履行延期の措置を講ずることにいたしております。また、公庫資金、系統資金は、関係金融機関の協力を得まして、開拓農家の実情に応じて、償還条件の緩和、取り立ての緩和等の措置を講ずることといたしております。  第六に、山村振興についての対策の御質問でございます。これは林業基本法におきまして、林業構造改善事業を本年度から着手することにいたしておりますので、その面からも山村振興に寄与いたしたいと思っておりますけれども、いま総理のお答え申し上げましたとおり、総合的に計画を立てる必要がございます。調査費等も計上しておりますし、これを政府提案にするか、議員立法にするか、山村振興の法制化等も考えております。  第七に、金融面でございますが、金融面について低利長期の農業金融に強力に踏み出す必要があるのではないか。——三十九年度に相当大幅に金利及び償還条件等を改正いたしまして、体系を相当整備いたしました。なお、本年度はそのワク等を広げたわけであります。しかし、農業金融そのものにつきましては相当問題がありますので、これにつきましては、農政審議会等にはかって、金融制度等につきましてなお改善を加えていきたい、こう考えております。(拍手)    〔国務大臣小山長規君登壇、拍手〕

小山長規自由民主党建設大臣・近畿圏整備長官・首都圏整備委員会委員長

○国務大臣(小山長規君) お答え申し上げます。  建設省といたしましても、山村僻地の振興については重大な関心を払っております。四十年度から着工いたしますところの国土縦貫高速自動車道、この大部分は山村僻地を通過する予定でありまして、この完成の暁には、山村僻地の様相は一変するものと考えます。なお、地方道の整備にあたりまして、逐次、山村僻地の改修に指向をいたしておりまして、四十一、二年ごろからは相当なスピードで進捗する予定であります。  また、御承知の奥地産業開発道路、これは御承知のように、道路五カ年計画では百十億を予定をし、四十年度では十六億円の予算を計上して進捗しております。  積雪寒冷地域の積寒道路につきましては、五カ年計画で三百八十億円を予定をして、そのうち四十年度では六十二億円を計上してさらに整備を進めていく予定であります。    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○国務大臣(田中角榮君) 農林金融につきましては、農林大臣からお答えがございましたが、そのうち一つ系統金融の問題について申し上げます。  系統金融については、資金量が非常に大きく自然にふえていくにもかかわらず、農業面に低利で還元がされない、こういうところがございます。年間五千億余も資金がふえるのでありますが、なぜ農業に還元されないかというと、理由はしごく簡単であります。利息が高いということでございます。その意味で、系統三段階制度そのものを検討したらどうかというような問題もございます。しかし、系統三段階の制度そのものにつきましては、地域的、季節的、また業種的偏在を調整するという機能を持っておりますので、系統金融機関の金を農業面にどのようにして低利長期に還元せしむるかという合理化については、慎重に検討をいたしておる次第であります。(拍手)

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会

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