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48回国会参議院1965/01/29

本会議 第5号

発言数
54
登壇者
19
会派数
5
開催日
1965/01/29

会議録

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。  この際、おはかりいたします。田中清一君から、病気のため三十一日間、江藤智君から、海外旅行のため明後三十一日から三十二日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。       内閣委員長    下村  定君       地方行政委員長  高野 一夫君       法務委員長    木島 義夫君       外務委員長    青柳 秀夫君       大蔵委員長    村松 久義君       文教委員長    野本 品吉君       農林水産委員長  温水 三郎君       商工委員長    梶原 茂嘉君       運輸委員長    野上  進君       予算委員長    寺尾  豊君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。  いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、  常任委員長の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。

亀井光自由民主党

○亀井光君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。

柳岡秋夫日本社会党

○柳岡秋夫君 私は、ただいまの亀井君の動議に賛成いたします。

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 亀井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって議長は、  内閣委員長に柴田栄君を指名いたします。    〔拍手〕  地方行政委員長に天坊裕彦君を指名いたします。    〔拍手〕  法務委員長に石井桂君を指名いたします。    〔拍手〕  外務委員長に小柳牧衞君を指名いたします。    〔拍手〕  大蔵委員長に西田信一君を指名いたします。    〔拍手〕  文教委員長に山下春江君を指名いたします。    〔拍手〕  農林水産委員長に仲原善一君を指名いたします。    〔拍手〕  商工委員長に豊田雅孝君を指名いたします。    〔拍手〕  運輸委員長に松平勇雄君を指名いたします。    〔拍手〕  予算委員長に平島敏夫君を指名いたします。    〔拍手〕      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。  科学技術振興に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名からなる特別委員会を、  公職選挙法改正に関する調査のため、委員二十名からなる特別委員会を、  また、産業公害に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名からなる特別委員会を、  それぞれ設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって、科学技術振興対策特別委員会、公職選挙法改正に関する特別委員会及び産業公害対策特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十条により、議長は特別委員を指名いたします。その氏名を参事に朗読させます。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。柴谷要君から、裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、  裁判官訴追委員、検察官適格審査会委員予備委員及び北海道開発審議会委員各一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。

柳岡秋夫日本社会党

○柳岡秋夫君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。

田上松衞民主社会党

○田上松衞君 ただいまの柳岡君の動議に賛成いたします。

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 柳岡君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。  よって議長は、  裁判官訴追委員に伊藤顕道君、  検察官適格審査会委員予備委員に向井長年君、  北海道開発審議会委員に米田勲君を指名いたします。      —————・—————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)、  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。野上元君。    〔野上元君登壇、拍手〕

野上元日本社会党

○野上元君 私は、先般行なわれました総理の施政演説並びに蔵相の財政演説に対しまして、日本社会党を代表して、若干の質問を行なわんとするものであります。  まず最初に、総理に対して、政治に対する基本的姿勢について、過去における総理の言動等にも触れながらお伺いしたいと思います。  私は、世紀の大選挙戦と言われたケネディとニクソンとの間に戦われた前後四回に及ぶテレビ討論の内容を、詳細に検討してみたのであります。そして私がまず発見したものは、政治家にとって首尾一貫した政治節操がいかに大切であるかということでありました。また、政治家の言動は、二度と訂正できないほどきびしい戒律を要求されていることを知ったのであります。あなたは、昨年七月の総裁公選の前後を通じて表明された、幾つかの池田政策批判を、覚えておられることと思います。すなわち「池田の政治は人間不在の政治であり、もともと政治は人間が目標でなければならないにもかかわらず、いまや金と物が主人公で、人間は疎外されている。まさに本末転倒の政治である」と批判したことは、有名なことであります。それは池田政策に対する痛烈な批判というよりも、池田政策の否定であると言っても過言ではありません。そのあなたが総理になるや、手のひらを返すがごとく、池田政策の継承を明らかにしたのであります。このことは、国民の最も不可解に感ずると同時に、知りたいところであろうと思うのであります。しかも、それは政府姿勢に関する本質的な事柄である以上、時間と場所とを問わず、あなたに終始つきまとって離れないでありましょう。総理に対して抱く国民の疑惑、これこそ政治不信につながる最も大きな要素の一つだと言わなければなりません。ここで私の言いたいのは、政治家は、特に首相の重責にある者は、みずからの言動には絶対の責任を負わなければならぬということであります。集中的権力の座にある者の当然の責任であろうかと思うのであります。昨年十一月九日、佐藤さんは六十二代目の総理に就任されました。あなたを加えて三十九人ということになります。しかし、いまわれわれは幾人の名を思い出すことができるでありましょうか。池田さんは、昨年七月総裁三選をかちとったとき、「歴史の上に名をとどめる」と言われたそうであります。確かに、池田さんの残した業績は、専門の政治史と、今後だれかによって書かれるかもしれぬ伝記には、記録されるでありましょう。しかし、国民生活の歴史の上には、おそらく別のことが書きとめられるのではないでしょうか。それは、「貧乏人は麦を食え」、「中小企業の倒産何するものぞ」という、かの有名なせりふであります。これは確実に国民生活の歴史に不滅の文字を刻み込まれることでありましょう。ある総理の名が、忘却という風化作用に耐えて長く歴史の上に生き抜くことは、容易なことではありません。しかし、歴史上に名をとどめるのがとうといのではなくして、それぞれの時代の国民のために何をなしたかが、より価値あるものと思うのであります。(拍手)あなたの今日までの言動から推して、池田路線の踏襲は、あなたの本心ではないと思います。「あやまちて改めざる、これをあやまちという」、あなたはいま、まさにそれを犯さんとしているのであります。池田路線と訣別してこそ、佐藤新時代の出発は可能と思うのであります。あなたの施政演説を評して、新味なしという新聞の批評と、そらぞらしいと感じた国民の偽らざる感じは、そのことを最も端的に示すものと思うのであります。政治姿勢に対する総理の確固たる所信を伺いたいのであります。  先日の総理並びに蔵相の演説を聞きながら、私は、なぜかアンデルセンの「裸の王様」の話を思い出しました。自分が身につける衣装のことしか考えないこの王様は、しまいには「不正直者には見えないという着物」をペテン師から着せられ、裸のまま町を歩く、家来どもは、その、ありもしない着物のすそを、うやうやしく捧げ持ち、いともおごそかに行列を組んで町を行くのです。ところが、純真で正直なはずの子供たちが、裸の王様だと騒ぐのを聞いて、初めてペテンにかけられたことを知って、おこり出すという、愚かにして、あわれな王様の物語です。話の筋からして、もちろん王様は、総理あなたであります。ペテン師は、あまりにも多いので、だれだかよくわかりませんが、おそらく官房長官か、それとも予算編成の魔術師と言われる田中蔵相あたりではないかと思うのであります。(拍手)いずれにしても、物価は下がる、住宅は準備する、病気や老後の心配なし、野菜はふんだんに食える、公害も交通禍もなくなる、都会に、農村に、そして漁村にも、輝く太陽があたたかい光を一ぱい送ってくれるというのであります。全くすばらしい贈りものの山であります。内容は盛りだくさんで、文章もりっぱだ。しかし、それは紙の上に書かれたものがりっぱだというのであって、現実の姿とは全く無縁のものであるということを総理は忘れないでほしいのであります。(拍手)国民は、これまで、国会が開かれるたびに、何回となく同じうたい文句を聞いてまいりました。かつて所得倍増計画のスタートにあたって、政府は何と言ったか。高度成長が進むに従って経済の二重構造は解消に向かい、各種の格差は是正されると言ったではないか。国民は決して忘れはしない。忘れているのは政府自身なのであります。そして、その結果はどうなったか。ひずみはますます拡大していったのであります。物価上昇は天井を知らない、地域格差、所得格差は増大する、中小企業は将棋倒しに倒産する、公害は天から地から降ってわくのであります。あまつさえ天災という名の人災が相次いで起こり、最近においてはビルの谷間の奇病までつくり出すといったありさまであります。いまや国民は、政府がうたう高度成長の賛美歌を聞きながら、文字どおり恐怖と残酷のジャングルの中にあって、歴史を刻む無気味な歯車の音に耳を傾けながら、人間性の喪失に焦燥を感じながら生きている、といっても過言ではありません。「国民福利は最高の法なり」といわれておりまするが、総理は、これらのひずみを是正することのできる確実なる方策をお持ちでありましょうか、自信のほどをお聞かせ願いたいと思います。  総理は、正月四日、伊勢神宮参拝に際しての記者会見で、「ことしは金融がゆるんで、冬来たりなば春遠からじの気がする。国際収支も明るい見通しであり、あと半年ほどしんぼうしてほしい。」と語ったことを覚えておられるでありましょう。神前における総理の誓いでありますから、国民はさぞ大きな期待を持ったことだと思います。しかし、専門家筋によると、総理がどういうつもりであんなことを言ったのか、よくわからない、金融緩和によって確かに一時は景気が上向くかもしれない、しかし、それがかえって、あだとなって、秋ごろには国際収支の悪化とともに再び危機が訪れる可能性のほうが強い、総理の見通しは甘過ぎる、というのであります。もっとも、総理が甘過ぎるというのは、名前がサトウでありますから、やむを得ないことかもしれません。いずれにしても明るい見通しの根拠をお示し願いたいと思うのであります。と同時に、経済企画庁長官の見解をもあわせ聞いておきたいと思います。  総理は就任直前、私が総理になれば三千億減税を実施すると言われたが、この公約は、総理就任とともに、うたかたのごとく消え去ったのであります。私は、ここにも総理の二枚舌を見るのでありますが、ここでは、既往は問わず、実現できない理由を明らかにしてほしいと思います。政府の推計によれば、四十年度における税の自然増収はおおむね四千六百五十億円というではありませんか。本気になってやろうと思えばできたのではないでしょうか。蔵相の説明によると、平年度千二百四十億円ということですが、初年度は、たしか八百十八億円のはずでありますから、公約とはあまりにもかけ離れているではありませんか。また、財源難の理由が、もし、かりに別の公約の一つである社会開発の実行にあるとするならば、それは手段が目的そのものを破綻させることになり、税の自然増収と財政投融資という名の借金政策によってささえられている高度成長政策そのものの破綻を意味するものではないでしょうか。総理及び蔵相の見解をお伺いしたいと思います。  最近における社会悪の中で最も大きなものは、国民を苦難の海に突き落としている異常な物価の上昇であります。しかし、この問題は、いまに始まったことではなく、所得倍増計画とともに進行してまいったのであります。池田さんは、かつて物価問題の質問に対して、「卸売り物価が安定している以上、消費者物価の上昇は心配の要なし。高度成長期における消費者物価の上昇は人間価値の上昇を意味する」と答えて、かえって物価上昇を礼賛するがごとき態度を示したのであります。はだせるかな、その後、数多くの物価対策が打ち出されたにもかかわらず、三十五年を一〇〇とすれば、昨年十二月は一二八・一というおそるべき上昇を見たことは、当然の帰結というべきでありましょう。総理も施政演説の中で幾つかの物価対策を述べておられるのでありますが、おそらく国民は大きな期待を持たないでありましょう。なぜならば、今日まで繰り返しいわれてきたことのむし返しにすぎないからであります。しかも、消費者に協力を求めるという段階は、すでに政府に万策尽きたことの証左にほかならないのであります。あるときは消費は王様といい、都合が悪くなれば消費は悪徳だといわれて、どうして国民が政府の言うことを信用するでありましょうか。さらに私が失望したことは、あなたが総理になられてから、すでに、米価、医療費、バス料金の値上げを認めたことであります。あなたは、かつて池田政策を批判して、「いやしくも政府の責任者が物価上昇はやむを得ないというがごとき考え方を持つことは、明らかに誤りである」と言われたのであります。しかるに、今次の施政演説の中では、「これらは、自由経済のもとに、それぞれの分野における正常な運営を確保するため、やむを得ずとった措置だ」と言われているのであります。やむを得なかったと言われているのであります。あなたは、もはや昨年のあなたではなくなっているのであります。君子豹変する何ぞ早きかなであります。「やむを得ないというのは圧政の口実である」というのは、ミルトンのことばでありますが、よくよくかみしめてもらいたいものだと思うのであります。しかも値上げの理由が「自由経済のもとに、正常な運営を確保するため」というのであります。この論理を推し進めるならば、それはストップ令の解除につながっていることを知るのであります。もしこの考え方が物価上昇を食いとめるというのであれば、それはあたかも、高い壁をめぐらして、迫りくる夕やみの侵入を防ぐにひとしいといわなければなりません。物価安定を至上の使命と認めるならば、断固たる決意が必要であります。まずここ二、三年は、いかなる理由があろうとも、公共料金の値上げは一切拒否するの決意が絶対に必要であります。いまこそ物価上昇にとどめを刺すときであります。さもなくば、物価上昇が佐藤内閣にとどめを刺すでありましょう。総理はいずれの道を選ばんとされるのでありましょうか。  総理は、施政演説の中で精神主義をうたい、中でも青少年の教育を強調しておられるのでありますが、ここではおそらく道徳教育のことであろうかと思います。もしそうであるなら、よくよく考えてみなければなりません。人間は、生まれたときは御承知のように無心であります。その後つくられた社会の中で次第に変貌をとげていくものであります。子供は親の鏡だといいますが、そのことは、青少年は社会の鏡だと言いかえることができるでありましょう。現在の社会の相を青少年の中に映しているのであります。おとなたちの思慮浅き青少年批判は、まさに天に向かってつばきするのたぐいであります。われわれは、まず、どちらを先に正すべきでありましょうか。いろいろな形で怪しげな文化が町にはんらんし、官立大学でなければ学校にあらずとするがごとき、ゆがんだ価値観が創造される資本主義のもと、飽くなき物欲に狂奔しているおとなたち、このような中でつくられたいわゆる「期待される人間像」なるものが、はたして青少年にすなおに受け入れられるでありましょうか。福澤諭吉は「道徳教育は、耳から入るものではなくして、目から入るものだ」と言っております。オスカーワイルドは「子供をよくする最善の方法は、彼らをしあわせにしてやることだ」と言っているのであります。さらにフレーベルは、「子供は五才までにその生涯に学ぶべきことをすべて学び終わる」とも言っているのであります。いわんや、そのもくろまれている教育の内容が、支配層に都合のよい現状肯定の思想であるとするなら、決して青少年を引きつけることはできないでしょう。なぜならば、現状肯定の思想には進歩が含まれておらないからであります。総理や文相は、もっともっと若い層と語り合い、彼らが何を求めているかを知るべきであると思うが、見解をお聞きしたいのであります。総理は特に鳴りもの入りで社会開発をうたわれているのでありますが、まだ、だれもその内容をはっきりつかみ得たものはありません。総理は先般、突然、社会開発に関する委員多数を任命されたようでありますが、このことは総理自身がまだ何も持っていないことを表明しているのではないかとさえ疑われるのであります。「からの容器ほど大きな音をたてる」ということわざがありますが、この場合にも当てはまることを私はおそれるのでございます。総理は、社会開発の内容と具体的実行方法を国民の前に明らかにする義務があろうと思います。  総理の施政演説は高度の文化国家建設を高らかにうたい上げているのでありますが、蔵相の財政演説とは一体どんな関係にあるでしょうか。四十年度予算復活折衝の大詰めで幾つかの問題が残されたようでありまするが、私の特に関心を引くのは、防衛費と教育費との関係であります。蔵相は、防衛費の復活は、いとも簡単に認め、教科書の無償配付の拡大は、これまた、あっさりと拒否したのであります。また、大蔵原案にあった五百数十億円の給与改善費は、いつの間にか姿を消してしまったのであります。F104三十機、警備艦、潜水艦は、それぞれ一隻、それは初年度五十六億円、計画規模で二百七十三億円の復活であります。教科書や給与改善を認めず、兵器の生産を認めるというところに、この内閣の性格をはっきりと見ることができるのであります。(拍手)この間の事情を蔵相は明らかにすべきであると思います。と同時に、田中蔵相が総理の片腕として活躍されていることはまことにけっこうであります。しかし、地獄への案内だけは、やめなければなりません。未来の首相に一言警告しておきたいと思います。  次に、農業問題について総理並びに農相にお伺いをいたします。今日、高度成長政策による最大の犠牲者は農民であろうと思います。しこうして、今日の農村には、あと継ぎがいないという、文字どおり農村の浮沈にかかわる重大な問題にまで発展してきたのであります。そして、農村にあと継ぎがない理由としては、生活が貧しい、所得が低い、将来に希望が持てない、封建的で自主性がない、嫁に来手がないといったものが、一般に認められている理由であります。また、次に申し述べるような考え方で長男をも離農させている場合があります。すなわち、両親がまだ働ける。むすこを就職させればまず年収十五万から二十万になる。かりに年収十五万を農業経営でプラスするためには、水田で五十アールの増加が必要であり、養鶏では三百羽、酪農なら成牛三頭、果樹にしても相当な増設を必要とするのであります。これを増設するには数十万から百万以上の資本が必要である。もし資本を投じ得たとしても、米以外の部門については将来の価格不安がつきまとい、資本回収の自信がないというのであります。そこで親は、自分のむすこに働き手の嫁をもらいたいのであるが、自分の娘は、かわいそうで、とても農家には嫁にやれないといった、矛盾した気持ちを持っているのであります。とても二十世紀後半の話とは思えないのであります。この救いがたい貧しさは、最近農林省が発表した「農業と農家の経済事情」によっても明瞭に裏打ちされているのであります。私はここに数字をあげる余裕はありませんが、この農林省の報告書に記述されている傾向が今後も続くとするならば、ついに農村には夜明けは来ないということになるのであります。農地はますます細分化され、しかも、手伝い人が男性で、本職が女性に変わりつつある現状を、政府はどのように判断しているのでありましょうか。これでは農民は、殺さず生かさずの封建時代と何ら選ぶところがないではありませんか。田園まさに荒れなんとするこの状態を、どのような方法で救われようとするのか。農民は民族の苗代であるとか、革新的対策を、といったことばをもってしては、今日の農村は絶対に救えないのであります。総理及び農相の具体的対策をお聞きしたいと思います。  次に、ILO八十七号条約について、総理並びに関係大臣にお尋ねいたします。  まず私は、ILO八十七号条約が結社の自由並びに団結権の擁護に関する条約であり、その第二条にいう、「みずから選択する団体を、事前の認可を受けることなしに設立し」、 また、三条にいう、「完全な自由のもとにその代表を選び」、という条項を想起し、あわせて、ILOに提訴した労働組合側の意図が、政令二百一号によって奪い去られた罷業権を含む広範な基本的権利の復活を企図していたことを留意しながら、質問をしたいと思うのであります。  今日ILO調査団を日本に迎えることになった経緯については、この際、省略いたします。昨年九月ジュネーブにおいて、青木大使が日本政府を代表して、今日まで八十七号条約が批准されないのは労働組合側に非があるとし、批准遅延の正当化を試みんとしたことは、黙過することのできないものであります。これこそ顧みて他を言うの最たるものと言わなければなりません。事実は全く逆で、私は、政府側にこそ、その責任があると断ぜざるを得ないのであります。そもそも八十七号条約を批准するにあたって絶対的に改正すべき国内法は、公労法四条三項及び地公労法五条三項のみであったのであります。しかるに政府は、刑罰強化を含む多くの法律を改正することによって、条約の批准の効果を事実上骨抜きにせんと企図いたしたのであります。この事実こそ今日の混乱を招いた最大の根源であることは、識者のひとしく指摘するところであります。かつて世紀の悪法といわれた治安維持法が男子普通選挙法と抱き合わされたという史実を顧みるとき、民主的諸権利の解放を恐怖と感ずる支配層の変わらざる心理を、ここに汲み取ることができるのであります。(拍手)いま一つの大きな政府の責任は、倉石修正案をいとも簡単に、ほごにしたことであります。倉石修正案こそ、総理のことばを借りるならば、まさに寛容と調和の結実と言えるのであります。このことによってわが党並びに総評に対して大きな不信感を与えたことは、いなめないのであります。この二つが今日の混乱をもたらした原因であり、そのほかには原因は見当たらないのであります。さらに事態を悪化させた原因は、政府が新政府案を作成するにあたって、社会党及び総評を無視したことであり、さらには、ドライヤー調査団の調停中にもかかわらず、政府に法案の提出権ありとの理由のみによって、強引に国会に提出したことであります。これらの事実から推して、政府には初めから本問題解決の意思がなかったものと断ぜざるを得ないのであります。しかも二十六日の閣議において、調査団が提案している話し合いというのは、労使、政府混合の懇談会であるとの解釈を下しているのでありますが、このような懇談会を持つためにILO調査団のアドバイスが必要であったのでしょうか。佐藤内閣の看板である自主独立とは、こんなみじめなものであったのでございましょうか。基本的人権は言うに及ばず、労働組合の基本的権利は、国家の寛容によって与えられるものではありません。いわんや、時の支配者の寛容によって与えられるものでは断じてないのであります。それは固有の権利として与えられているものであって、いまや至るところで奪い取られているこれらの諸権利を取り戻さんとする行動は、自由と進歩にとって不可欠のものであるとの認識が必要であると思うのであります。(拍手)  「世界史とは自由の意識の進歩以外の何ものでもない」という、かのヘーゲルのことばを、われわれもまた容認すべきであろうと思うのであります。労働基本権に関する総理及び労組の見解と、八十七号条約の批准に関する真剣なる打開策をお伺いいたします。  なお、この際、私は、愛知文相に次のことばを贈りたいと思うのであります。「会って直談するのが悪感情を一掃するための最上の方法である」というのは、リンカーンのことばであります。これをあなたに贈りたいと思います。  なお、この際、公共企業体等の団体交渉に関する当事者能力について、総理並びに関係大臣にお伺いいたします。  昨年春闘に際して早期解決を必要とした池田総理は、太田総評議長との会見に踏み切り、いわゆる池田・太田会談によって事態の解決をはかったのであります。その際、両者の間に幾つかの内容を持つ覚え書きが交換され、その中に、公労協の団交がいたずらに長引くのは、当局に賃金交渉に関する当事者能力が欠除しているせいだという意見の一致を見、今後このことについては池田総理が善処を約したのでありますが、今日、関係各省並びに公企体の予算の内容を見ると、依然として改善のあとが見られないのは、一体どうしたことか。これでは政府当局の誠意を疑われても弁解の余地がなかろうと思うのであります。少なくとも、総理が約束したことは、事の軽重を問わず必ず実行されるという慣習をつくり上げなければ、事態の改善は期すべくもないのであります。近づく春闘を前にして、総理並びに関係大臣の所見をお尋ねしたいと思います。また、ここでは便宜上郵政大臣にお尋ねをいたしますが、四十年度予算は、来たるべき組合の賃金交渉に応じ得る準備はできておるでありましょうか。もし、できていないとするならば、郵政大臣は賃金交渉に関しては当事者能力なきものと認めざるを得ないのでありまするが、能力なき者がどのようにして春闘を乗り切ろうとしておられるのか、具体的に責任ある答弁を願いたいと思うのであります。なお、この問題に関する労相の見解もあわせてお聞かせ願いたいと思います。  最後に、最近とみにマスコミ界で問題となり、また国民の関心を高めております放送事業について、総理並びに郵政大臣にお尋ねいたします。  近時、ラジオ、テレビの飛躍的発展は、国民の日常生活に深く浸透し、これが一般国民の人格形成に及ぼす影響は、けだし想像以上のものがあります。しかるに、ラジオ、テレビ番組の低俗化は、いまだに改善されず、しばしば社会問題となっております。青少年教育、文化の向上、人間尊重の政治を高唱される総理は、昨今の放送番組についてどのような見解をお持ちでありましょうか。あたかも本年は放送局の一斉免許の時期でもありますが、従来の事業者にそのまま無条件で再免許を与えられる方針なのか、先ほどの番組低俗化にも関連して、総理並びに郵政大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  次に、昨年九月臨時放送関係法制調査会の答申についてお尋ねいたします。FM放送の免許申請は逐年増加し、今日では、実に二百十社、四百十七局の多きに達しておるのであります。臨時調査会の答申が、FMについては、一応NHKのみを対象とし、他はしばらく使用を見合わせるべきだとしている事実とも関連し、郵政大臣の所見をお伺いいたします。  次に、放送行政機構の問題でありますが、臨時調査会は、放送の公正、中立並びに一貫性を確保するためには、強力な権限を有する委員会の設置が必要であると答申しておるのでありまするが、総理並びに郵政大臣の所信をお伺いしたいと思います。また郵政大臣は、電波法とともに放送法の改正案を今国会に提出されることを表明されたのでありますが、その進渉状況をもあわせてお伺いいたしたいと思います。  以上でありまするが、総理並びに各大臣の誠意ある御答弁を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  御承知のように、池田経済成長政策、これはそれなりにりっぱな効果をあげたと思います。今日の経済的繁栄は、とりもなおさずこの政策の成功であったと、かように私は考えます。しかしながら、私どもが、この成長をもたらした経済政策について反省をいたしてみますると、いろいろの問題があるわけであります。まず第一に、経済も政治も、人相手の問題であります。この高度経済成長、その陰に人間が忘れられてはいないか、これが私の主張であります。今日も私はかような考え方を持っております。絶えず政治家に必要なことは、その政治についての反省を繰り返していくこと、はたして私どもの政治が真の目的を達しつつあるかどうか、これを考えていかなければならない、かように私は考えております。私の政治に対する所信は、すでに所信表明また施政演説にも詳しく述べたつもりでございますので、これはしばらく預からしていただきます。私は考えますのに、今日の経済成長そのものから生じたひずみ、ただいま申すような人間疎外、こういう点について、私どもがその原因がどこにあったか、これを考えてまいりましたときに、これは、とりもなおさず経済の安定成長をもたらさなかったところにある、かように考えますので、今日佐藤内閣におきましては、経済の安定成長への道をたどる、これに万全の力をいたしておるわけであります。しかして、このことはやはり長期的観点に立ってものごとを見ていただかなければならない。しかしながら、政治の現実の面において今日の物価はどうするか。今日お互いの生活が非常に苦しい状況に追い込まれているではないか、これはどうしてくれるのだ、かような現実の問題もございますので、経済を安定成長へ導くことも、また、もたらすことも、しばらくの時間は必要でございますが、今日の問題とも真剣に取り組んで、今日の問題の物価等の問題と真剣にこれと取り組んでいく、これが今日の私どもの態度でございます。  金融の問題につきましていろいろお話がございました。しばらく——半年もたつならば、今日の状態は明るい状態になるだろうということを申し上げましたが、国際収支の先行きは、私の見るように、はたして信用がおけるのか、かような御心配でございます。私は、一年以上にわたる金融引き締め、これは確かに効果があった、かように思いますが、効果はあげつつも、他の面において非常な苦痛を与えてきている。中小企業の倒産その他経済問題におきましてもたいへんむずかしい状態を起こしました。したがいまして、私が組閣いたしまして以来、やや金融をゆるめる、かようにとれるような政策をとってまいりましたが、しかし、基本的態度としての金融の引き締め方策には、まだ変わりがございません。条件その他等は緩和いたしまして、公定歩合等の引き下げは行ないましたが、しかし、基本的態度には変わりがないということ、これを御承知願いたいと思います。  次に、三千億減税、これはどうしたかというお話でございますが、私は、今日の国民の税負担の問題はずいぶん重いと思います。政府は、絶えず税負担を軽くするように、引き続いて今後とも続けてこの減税を施行してまいるつもりでございます。  物価の問題につきまして国民の協力を求めるということは、政府としては、これはたいへん対策として弱い結果そういうことになるのではないかという、おしかりでございますが、私は、今日の経済状態のみならず、あらゆる面において国民の協力なくしては何もできないものだと思います。私は、政府自身が相当の力を持っておると、かようにも考えますけれども、やはり主権は在民であり、国民こそその協力を得るもの、いかにして私どもが協力を得るかという、この政府自身が協力を得る、国民が喜んで協力するような、さような道を開くことが、私どもの政治の大事な点ではないか、かように思いまして、国民の協力は今後とも引き続いて求めるつもりでございます。  公共料金は二、三年これをストップしろと、たいへん思い切ったお話をしていらっしゃいます。公共料金は、かような事情下における賃金は全部ストップと、こういう意味かと思いますが、私は、二、三年ストップするということは、これは経済の正常化から申しまして許せることではない。一年間公共料金のストップをした前内閣の英断、これは私も賛成いたしますが、おそらくこれをストップした結果は、ずいぶんこの事業といたしまして苦痛があった。いわゆる経済の正常運営という面から申しますと、これをストップしたことだけでは物価そのものは解決しない。むしろ、それよりも、もっと広い、長期また高い次元に立ってこの物価問題と取り組んで、はじめて効果があるものだと、私はかように思います。したがいまして、二、三年これをとめるということには私は反対であります。  教育の問題につきましては、これは申すまでもなく、教育は最も大事な問題であり、私も力をいたしておるものでございますが、問題は、りっぱな日本人になるということと同時に、りっぱな世界市民として成長する、かような意味合いにおいて教育を進めてまいりたいと思います。  次に、経済開発と社会開発についていろいろのお話がございました。私は、経済開発と社会開発、これは車の両輪のような姿において進められてこそ、りっぱな生活に対する経済発展の効果が及ぶものだと、かように考えております。したがいまして、経済開発に対しても、同時に社会開発の理念を結びつけて、そうしてこの開発を進めていくところに妙味がある、かように考えますので、経済開発の理論を特に申し上げております。ことに、経済開発の観点に立って今日の姿を見ましたときに、最もおくれておるものが住宅である、かように考えますので、住宅問題とは真剣に取り組んで、その具体化の問題も予算化もしたわけでございます。  次に農業問題につきましていろいろお話がございました。農業の問題で一番私どもが関心を持ちますものは、御指摘のとおり、農業のあと継ぎができない、在来は、次男、三男対策が叫ばれたのでございますが、いまや農業自体、そのあと継ぎ問題にこの問題が発展をしておる、たいへん重大な段階にきておる、かように思います。最近農林省で出しました農業白書を見ましても、第二種兼業農家が非常にふえてきておる。ここらに農業が変貌しつつある姿を如実に物語っておると思います。専業農家の育成強化はもちろん必要なことでありますし、これにつきましては農林省におきまして特に力をいたしておりますが、同時に、私どもが政治をいたします面から考うべきことは、やはり農家収入をいかにして増加するか、こういうことを考えることも一つの方法ではないか、かように考えておるのございます。  次に、ILOの問題につきましてお話がございました。ILOは、今日八十七号条約批准案を私ども提案いたしております。どうかILOの基本的精神にぜひとも皆様方の御協力を得まして、早く批准ができますように、この上とも御協力を願いたいと思います。いままでの経過等につきましては、労働大臣より十分説明をいたすはずでございます。  なお、放送事業について、その番組の低俗化等、これの是正、あるいはその関係者が十分かような点に意を用いよ、こういう御注意、十分私もごもっともだと思います。私は、番組編成についてさらに十分関係者が注意されることを心から望みます。(拍手)    〔国務大臣高橋衛君登壇一拍手〕

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高橋衛君) 私に対する御質問は、来年度の経済の見通しについて、総理の本年の後半ごろには明るくなるであろうというお話に関連して見解を求められた点でございます。  御承知のとおり、昭和四十年度の経済見通しは、政府といたしましては実質七・五%の成長といたしておるわけでございます。したがって、昭和三十九年度のただいまの見通しであるところの実質九・四%よりは相当低目になっておるわけでございます。したがって、成長率に関する限りにおいては、相当低目になっておりまするが、先ほど総理から御答弁がございましたとおり、経済の成長が漸次安定的な基調に移ってまいっております。もちろん、その過程において、中小企業などに非常に困難な状態が生じてまいりました。これに対する対策、きめのこまかい措置をとってまいったわけでございますが、金融の一部緩和等も行なわれ、漸次安定的な基調において成長が着実に行なわれるということを考えまするときに、やはり後半ごろには相当に明るさを増してくるという見方が期待できるのじゃなかろうかと、かように存ずる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私からお答え申し上げる点は、三点でございます。  まず、第一点は、金融緩和と国際収支の問題でございます。御承知のとおり、昨年末までは、政府が当初見通しましたよりも、国際収支の状況はよくなりました。七月には貿易収支、八月には経常収支の均衡が保てるようになりまして、十二月の末から御承知の預金準備率の引き下げ、また、一月には公定歩合の引き下げを行なったわけであります。それから、金融緩和をすることによって国際収支がまた逆調になるおそれはないかということにつきましては、——三月を見ましても、輸入期ではありますが、信用状の収支等の動きも非常によくなってまいりまして、年度間を通じまして一億五千万ドルの赤字を考えておりましたものが、わずかではありますが黒字に転換をするだろうという見通しでございます。しかし、イギリスの国際収支改善の問題、米英加の公定歩合の引き上げというような問題もありますので、これがわが国に対する影響に対しては十分注意をしながら、引き続き輸出振興、貿易外収支の改善策等を積極的に推進をしてまいりまして、国際収支の長期安定の道を確立してまいりたいと、こう考えておるわけであります。また、安定成長を目的として、経済運営につきましては慎重な態度をとりたいと思いますので、三十九年度はもちろん、四十年度も引き続き均衡が保てるような施策を進めてまいる予定であります。  第二点は、三千億減税と四十年度における税制改正についての御質問でございます。三千億減税とは、申すまでもなく、減税に対する基本的態度を明らかにせられたものであります。私宅また、この三千億減税に対して、総理の意向を実現すべく、現に真剣に検討を続けておるわけであります。この問題は、現在の税制の姿がほぼ理想的だといわれておりますが、私は、現在の税法のたてまえを、新しい立場で、より積極的に検討をしなければならないと考えておるのであります。現在は、御承知のとおり、直接税中心主義でありますので、所得税や法人税が非常に高い、一般的減税を必要とするという状況であります。また、一般的なことを申し上げますと、国民消費も非常に堅調でありますので、現在の制度よりも直接税と間接税との調和をもう少し考えるところに所得税や法人税の大幅減税が可能なのではないかというような問題もありますので、十分検討を続けておるわけであります。私は、総理が三千億減税ということを言われたことが、これから何年間、将来に向かっての減税政策の推進の原動力をなすものだと、その発言を高く評価しておるのであります。また、今年度の減税が非常に少ないということでございますが、御承知のとおり、当初、税調が世に明らかにし、また世の識者が想定をしました四十年度における減税は、自然増収を四千九百億と押えまして、その二〇%、すなわち九百億を目標にいたしたわけであります。その九百億の減税財源に対して、一般減税率を八〇とし、企業減税その他を二〇といたしましても、まず七百億の減税ができるかできないかということが論議せられたわけであります。それが所得税におきまして平年度九百二十二億、法人税において三百十四億、相続税において五億、合計平年度千二百四十一億という、思い切ったと言うべき減税が断行されたわけであります。財源が非常に乏しい中で精一ぱいの減税をやったという事実に対しては、理解と評価を願いたいと思います。  第三点は、防衛費と教科書問題でございます。この予算は地獄行き予算ではないかと言いますが、地獄行きではありません。私は、政府が精一ぱいの姿で、まじめなつもりで予算を組んだわけであります。防衛予算に対して非常にに甘いと言われますが、防衛予算は、予算全体の中で社会保障、公共投資、文教施策等の均衡を十分考慮いたしまして、第二次防衛力整備計画に沿って防衛力の向上をはかることを目標にいたしておるわけであります。予算を対前年度で簡単に申し上げますと、社会保障が一九・一%増しであります。公共投資は一五・五%増し、文教、科学振興費は一四・四%アップであります。一般会計は、御承知のとおり、一二・四%でありますから、かかるものにいかに重点を置いたかはおわかりだと思います。防衛費は、潜水艦も軍艦も飛行機も言われますが、対前年度比九・二%アップであります。これらの数字的な面も十分ひとつ御検討、評価を願いたいと思います。教科書無償を削ったというようなことでございますが、御承知の教科書無償の制度は昭和三十七年度から発足いたしまして、三十九年すなわち今年度で小学校五年まで無償交付を行なっておりますが、文教施策の中の緊要度を十分勘案をいたしまして、本年度では小学校五年まで、四十年度には小学校六年まで全部無償にいたしたわけでございますので、御了解をいただきたいと思います。(拍手)    〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○国務大臣(赤城宗徳君) 農村のきびしい現状を御指摘なさいまして、結論として、労働力が相当流出しているが、その対策と後継者確保をどうするかという御質問のように承りました。  第一は、まず少ない労働力でもやっていけるというような態勢をひとつ整えなければならないんじゃないか、そのためには農業の機械化を、従来とも進めておりますが、なお進めていく、あるいは技術の高度化、あるいはまた、兼業農家が、第二種兼業も四二%にもなっておりますが、兼業農家を含めて協業の推進ということを進めていきたいと思います。  第二は、何といたしましても、農業が魅力あるといいますか、農業にとどまり得るような態勢を整えるということが必要であると思います。そういう意味におきましては、農業の近代化によります生産の確保、あるいは、どうしてもこういう時代でありますから、体質改善をしなくちゃなりません。構造改善事業を推進していくということ、あるいは土地基盤の整備等を進めていく。昨年の予算に比べれば、土地なども二二%増の九百二十億というような予算を計上いたしておりますが、そういう土地基盤の整備、あるいは自立経営農家の育成というようなことを進めていかなくちゃならぬと思います。  第三には、具体的に後継者対策はどうかということでございますが、近代化のにない手といたしまして、農業経営をやっていけるような青少年の養成確保につとめなくちゃなりません。そのためには、やはり一つは近代化のにない手としての教育研修等が必要であると思います。そういう意味におきまして、研修農場あるいは農業高等学校等を通じて、研修教育、あるいはまた後継者が独立して自立的にやっていくというために資金が必要である、こういうために無利子の資金を供給をする、こういうような対策等を講じているのでございます。そこで、たいへんきびしい状況で、白書にもありますように、他産業との格差、生産性の格差は二九%の横ばい、あるいは生活水準は七七%というような横ばい、非常にきびしい面もあります。しかしまた全体の農業を見まして、新しい、いい面もないわけではございません。たとえば農業所得の点につきまして、年間の農業所得が六十万円以上の農家の割合を調査したものがあります。これは一万五千戸の調査で、農家経済調査でございますが、三十四年には二・五%でありましたが、三十六年が五・三%、三十七年が九・三%、三十八年に至りまして一一・五%、こういうふうにふえております。こういう面もあるのであります。しかし、政治といたしましては、悪い面を認識してこれをよくするということが政治だと思いますから、いい面だけを見て、私はこれをもってよくなったというふうにやっていこうという考えを持ちません。悪い面をよく見て、政治といたしましては、これをよくするということに万全の努力を傾けるということにいたしたいと思います。(拍手)    〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) ILO八十七号条約は、政府といたしましては、ぜひすみやかに批准をいたしたいという方針のもとに、御承知のごとく、関係国内法を一緒にすでに一月二十二日に国会に提出いたしたところでございます。  で、御質問の中で、ドライヤー委員会が来日調査をしている間に提出した理由はどうか、こういうことがございました。これは、できるかぎりすみやかに批准を終わりたいという意図のもとに、ドライヤー委員会に対しても、すみやかに国会へ提出するということをたびたび表示いたしまして、その上で提出したのでございます。  それから関係国内法は、前国会におきまする特別委員会の審議において、その当時の政府原案と、いわゆる倉石修正案とについて、いろいろ論議が行なわれ、前任者である大橋前労働大臣が答弁をされた部分、さらに政府がILO当局と文書を交換した点、その他を考慮いたしまして、前の原案をかなり直して提出いたしました。これについては、御承知のごとく、ドライヤー委員会の提案の中にも、今度の提案は、提訴者並びに審問の経過というものの重要な部分を取り入れていると認めるということばがありましたことは、御承知のとおりであります。  それから、その提案の中に示されておりまする政府、使用者、労働者の代表たちの懇談の性格でございますが、これは、この問題が御承知のように非常に長い時間を経過いたしました背後には、相互の信頼の欠如ということがあると指摘せられておりました。その相互の信頼を回復いたしますために、いま申しましたように、政府、使用者及び労働者の代表たちが定期的に共通の関心を持つ問題について話し会うようにという勧告がございました。また、それとは別でございますが、佐藤総理大臣の施政方針演説の中にも、労政の基本的姿勢として、あとう限り話し合いの場を求めていくということを表示されておるのでありまして、この両方の上に立って、すみやかに具体策をつくり上げたいと思っておるのでございます。その具体策をつくり上げるにあたりましては、むろん労働側の御希望等も十分聴取してまいりたいと思います。そうしてすべての問題について必ず結論が得られるとは限りませんけれども、信頼の回復のためには、やはり善意と相互互譲の精神をもって、でき得る限り結論が得られるように、相互の理解が得られるようにつとめてまいりたいと存じております。  それから、労働の基本権に対してどういう認識を持っておるかということでございますが、言うまでもなく、憲法二十八条によって保障されております。われわれはこれを尊重することをむろん労政の基本としてまいらなければならぬことは言うまでもないのでありますが、同時に、憲法十二条、十三条におきまして、公共の利益のもとに一定の制約があることは御承知のとおりであります。昭和二十八年弘前の事件に関連をいたしました最高裁の判例によっても明らかなとおりでございます。  また、公務員及び公共企業体の従業員諸君が、公労法その他によって労働の基本権の制限を受けておることでありますが、これは、今回八十七号条約は団結の自由でありまして、直接には罷業権とは関係はございませんけれども、結社の自由委員会の見解といたしましても、労働条件についての法令保障措置あるいは代償保障措置があるならば、必要欠くべからざる職種については労働権の制限があることは、これは労働基本権を侵害するということにはならないんだという見解が示されておりますことは、御承知のとおりでございます。  それから、批准の打開策でございますが、御承知のごとく、提案の中には、ILOとしては、八十七号条約の批准を、それに直接関連がある公労法、地方公労法の改正にまず注意を向けるべきだという勧告がございました。ただいま野上さんのお話の中にも、この条約はこの二つを改正すればこと足りるんだというお話がございました。したがって、野上さんの御意見もよくわかりました。政府といたしましては、むろん関係国内法と一緒に、その成立とともに批准を行ないたいと思うのでございますが、この提案の中に示されておりますることを留意しつつ、誠意をもってできる限り早く批准を終わるように、政府も努力いたしまするし、皆さんの御理解ある御協力をお願い申し上げたいと存ずる次第であります。  それから、当事者能力の問題でございますが、先般来、関係次官会議を開き、具体策を検討中でございまして、政府といたしましては、この公共企業体の当事者能力については、広い視野から長期的な解決策を求めてまいらなければならないということについては、一致しているのでありますが、それには法令の改正その他時間を要します。この具体策は、ILO関係法案の中にございます公務員制度等の審議会で御検討をいただくことといたしまして、その恒久的な処理ができますまでの間は、現行法のワク内で、合理的な運用によって当事者能力があるように運用していくという方針を定めている次第でございます。(拍手)    〔国務大臣徳安實藏君登壇、拍手〕

徳安實藏自由民主党郵政大臣

○国務大臣(徳安實藏君) お答えをいたします。  当事者能力の点につきましては、ただいま石田労働大臣が御説明されたとおりでございます。私は、限られた範囲ではございますが、能力ありとして、事に当たりたいと考えております。もちろん郵政事業は、予算等に対しまして御承知のように国会に審議権があり、公企体としてのいろいろな制約は受けております。しかし、いまお話がございましたように、あとう限り当事者能力を発揮できるように、行政処置等も考えまして、労組との間におきましては、お互いの間の不信感もさりながら、誠意をもって話し合いを続けたい、かように考えている次第であります。  ラジオ、テレビ放送番組につきまして、ただいまいろいろとお話がございました。私も同感であります。低劣にして国民のひんしゅくを買うようなものがときどきございましてまことに遺憾に存じておりますが、しかし、私が就任いたしまして、各関係者の諸君に常に注意を喚起いたしておりますが、最近はよほどよくなってきたのではないかと考えております。願わくは自主的に向上改善をせられることを深く望んでいるものであります。また、再免許にあたりましては、法令の定めるところによりまして、こうした問題について厳重なる審査を行なうことは当然であります。  FMの放送免許でございますが、お話のように、たいへんたくさんの免許申請がございます。この事柄は非常に重大なものでございますので、ただいませっかく検討を急いでおります。まだ検討中でございまして、結論は得ておりません。  放送行政に関しまして強い権限を持つ委員会を設置したらどうかという調査会の答申がございます。これにつきましては、ただいま電波法、放送法の改正案と並行いたしまして審議をいたしております。日ならずして結論が出ると思います。どうかしばらくお待ちをいただきたいと思います。  電波法、放送法の改正でございますが、これは前内閣からの公約もございますので、なるべく早く国会に提出いたしたいということで、ただいま成案を急ぎつつあるわけでございまして、近いうちに御審議を願うようになろうかと思います。(拍手)     —————————————

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 和泉覚君。    〔和泉覚君登壇、拍手〕

和泉覚公明党

○和泉覚君 私は、公明党を代表して、佐藤内閣の施政方針演説について若干の質問をいたします。  まず初めに、このたびの施政方針演説の内容でありますが、あまりに総花的で、具体性を欠いているというところの印象を強く受けるのであります。内政面と外交面のそれぞれどこに重点を置いて施策を実行しようとするのか、この際、明確に示すべきであると思います。政治姿勢として総理は寛容と調和を強調されておりますが、一昨日来の答弁やILO問題に対する政府の態度を見ましても、寛容といい調和というも、言うはやすく、行なうはかたいように見受けられるのであります。自己に対しては寛容で、他に向かっては調和を求めるという一方的な態度では、国民は納得できないのであります。国政の場において話し合いの原則を貫くのは当然として、国民生活に密着した問題に対しては、労働組合であれ、政府と反対の立場に立つ民間諸団体に対しても、十分話し合いの場をつくっていくことこそ大切であります。総理並びに閣僚全員に、はたしてその決意がおありかどうか、お尋ねをしたいのであります。  総理が、昨年の総裁選挙の際、立候補の弁として、池田内閣は何もやらない内閣だと、きびしい批判を行なったことは、周知の事実であります。しからば、それを裏づける佐藤総理の大きな政治目標は一体何であるのか。また、その反面、組閣に際して、池田路線を受け継いで云々といわれましたが、池田内閣のとった政策は、見せかけの繁栄は築いたかもしれませんが、国民生活を窮乏に追い込んだことも事実であります。現代政治においては大衆福祉こそ何ものにも優先すべきであります。それを十分に承知の上で佐藤内閣は第一歩を踏み出したのでありますから、ついては、いかなる理想のもとに国家的利益の確保につとめられるのか、お答えを願いたいのであります。  次に、外交についてでありますが、私が最も不審に思うことは、分極化、多元化の方向に急速に向かっている国際情勢に対して、一向にその分析と意見が示されないことであります。したがって、口には自主外交を唱えながら、今回の施政方針においては、いたずらに前内閣のワクに閉じこもって、何一つ積極的な提案がなされていないのであります。そこで、まず佐藤内閣は、世界情勢の分析と、新しい世界環境の建設を目ざす積極的な提案を持っているのかいないのか、明確に示していただきたいのであります。  次に、総理の訪米報告に対して、国民が期待し、聞きたいと願っていたことは、自画自賛のあいまいな美辞麗句ではなくして、日米間の諸懸案が一歩でも半歩でも打開の方向へ進んだかどうかということであります。沖繩、小笠原の施政権返還について、総理はジョンソン氏に具体的要求を出したのかどうなのか。また、総理は、切実な個々の問題につき具体的に話し合いを進めたといわれておりますが、しからば、航空協定、利子平衡税、綿製品の問題、漁業交渉など、代表的諸懸案についての話し合いがあったのかどうなのか、その内容を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。  さらに、懸案事項の解決を進めるためには、総理のアメリカ参りをもって終わりとすることなく、また、対等自主外交の実をあげるためにも、米政府首脳陣の訪日を要請すべきであると存じますが、総理のお考えはどのようであるか、伺いたいものであります。  次に、アジア外交でありますが、幾多の佐藤構想はあっても、結論は、先進各国の方針とにらみ合わせ、延べ払いだけでなく経済借款など世界に先んじた強力な内容で貿易量の拡大をはかるべきであると考えますが、この点どのようにお考えか、具体的なプランを伺いたいと思うものであります。また、ソ連首相から総理へ訪問の要請があるとのことでありますが、総理は進んでこれに応ずるだけでなく、また、訪日要請もすべきであると思うものであります。そして平和条約締結への努力、そして北方領土に対する話し合いを進めるべきであると考えますが、総理のお考えはどうなのか、お伺いをしたいのであります。  次に、日韓問題については、いつ妥結するつもりであるのか。そして、問題は個々の解決でも応ずるつもりでおられるのか。われわれは、李ラインの撤廃、領土問題を含んだ一括解決をせよと主張するものでありますが、これに対して所見を示していただきたいのであります。  中国問題に対しては、いままでどのように情勢が変化しても、政府の方針は一向に変化も進歩もなかったのであります。最小限度と思われる大陸との経済交流さえ、はかばかしい進捗はみられなかったのであります。中共を国際社会の舞台に迎え入れる努力をする気があるのかどうなのか、漫然とアメリカとともに進むだけを能としているのか、政府の意のあるところをお伺いしたいのであります。  次に、予算案についてお尋ねをいたします。総理は健全均衡財政を堅持すると言明したのでありますが、三十九年度の予算を見ても、補正後の予算額に対して、法人税、酒税等の伸び悩みから三百億円くらい歳入不足となるとみられております。また、四十年度予算は、現在のところ、国民所得の伸びからみて、財源がぎりぎりか、あるいは不足かという状況で、とうてい補正予算を組めない見込みであります。  そこで、第一に、総理はこのような均衡のとれない予算案に対して、やはり健全均衡といわれるのかどうか伺いたいのであります。  第二には、新規の歳出要求に負けて、まさに破綻状況の予算となっておりますが、どう対処しますか。  さらには、第三に、社会開発の美名による新政策も、四十年度の歳出を減らし、四十一年度以降に事業のしわ寄せをしているものが多くみられます。そのために四十一年度以降は著しく財源が不足をしてまいりますが、このような不健全な要素を含んでいるのは、公債発行を正当化するための伏線ではないかということであります。  第四に、特に申し上げたいことは、明年度には中学一年生まで教科書の無償配付がされる予定であったのが、政府の無定見な予算編成のために小校学だけにとどまったことは、大衆福祉の上から、とうていわれわれは承服できないものでありまして、新規政策を削っても復活して、大衆の利益を守るべきだと思いますが、この点いかがでございましょうか。  次に、税金についてお伺いをいたします。政府は、昭和四十年度の減税のうち、特に所得税に対して大幅な控除を行なったと自賛しております。なるほど夫婦と子供三人の標準世帯における免税点を四十八万五千円から五十六万四千円に引き上げたのでありますが、総理府の家計調査によれば、標準世帯の年間生計費は五十六万二千円であります。別の調査によれば、単身世帯でも年四十万円かかるのであります。したがって、生活水準ぎりぎりの減税であります。これでは全く非文化国家の所得税であって、憲法にいう健康にして文化的な生活の保障はどこにも見当たらないのであります。少なくとも、余裕ある生活を保障するため、一方では、利子所得、配当所得に対する一千億円にのぼる減免措置を廃止すると同時に、年収百万円までの勤労者の所得については免税にすべきであると考えますが、総理のお考えを承りたいのであります。政府は、あとう限り減税を行なうとしばしば言明しておりますが、国民の生活水準はどの程度であればよいと考えておられるのか、また、大衆福祉のための所得税はどのように減税すべきであると考えておられるのか、国民大衆に安心できる生活目標を与えるため、年次計画を提示していただきたいのであります。また、財源難を理由に、地域住民に対する税外負担の増大は目をおおうものがあります。小中学校の増改築に伴う兄父の負担、道路改良、舗装工事、警察、消防等々、公共寄付の重圧に国民は怒りを感じております。人間尊重を唱える総理は、かかる税外負担を勇断をもって廃止する意図はないのか、お答えを願いたいのであります。さらに、地方税における電気ガス税は、特定企業には免税されて、一般大衆にのみ負担をかける悪税であります。早くから撤廃が叫ばれております。毎年一%の減税ではなく、直ちに撤廃する意思はないのか、お答えを願いたいのであります。  次に、物価についてであります。総理は、中期経済計画によって、実質成長率七・五%、消費者物価の上昇は四・五%にすると言っておりますが、三十九年度を見ても、実質成長率七%、消費者物価上昇が四・二%の当初計画を上回って、景気調整期にありながら、九・四%の成長率、四・八%の物価上昇となる見込みとなっております。したがって、金融緩和に向かう四十年度は、それを下回るとは考えられないのであります。政府の経済見通しは、そのことだけで全く誤りをおかしていると判断せざるを得ないのであります。また、これまで物価抑制策はたびたび示されましたが、何ら効果をあげることができなかったのであります。一般大衆は、賃金の上昇を上回る生活必需品等の上昇に、生活を危うくされておりますが、総理は、賃金を四十年度は何%引き上げて生活の安定をはかる気か、その意図をお聞かせ願いたいのであります。総理は、消費者教育の充実を行ない、また、健全な消費者活動を通じて物価安定に協力してほしいと言っておりますが、これは物価抑制の対策を真剣に行なわないで、消費者に責任を転嫁させるものであります。政府において適切な需給計画を立てて、経済の安定成長と配分の適正に努力すれば、このような破局は迎えなかったと言えるのであります。  全く政府の高度成長政策の失敗であり、生産第一主義ではいけないと言明した総理は、これをどのように考えておられるのか、国民の責任なのか政府の責任なのか、その見解を明らかにしていただきたいのであります。  次に、住宅対策についてお伺いします。政府は、住宅供給会社を設立し、持ち家建設のための資金の計画的な積み立てと住宅の供給を行なうこととしております。その条件は、建設費の二〇%を積み立てさせ、積み立てを終えた人に供給するというものでありますが、実際の建設費が予算単価を上回れば、それだけ個人の自己負担はふえてまいりますが、これに対する保証はないのか。さらに、公社は、積み立てのできる階層を年収六十万円以上と見ておりますが、一万円前後の家賃を払いながら毎月一万円ずつ積み立てることになると、八十万円か九十万円以上の年収がなければできないのであります。これでは高額所得者を対象とするようなもので、いま一番必要に迫られているところの勤労者にとっては絵にかいたもちとなるのであります。このような大衆を置き去りにした住宅対策を改める意思はないのかどうか、また、加入できる対象を所得の低い層まで広げるため、積み立て期間を延長する考えはないのかどうか。また、住宅対策のガンは、地価の高騰と、これに対する的確な施策がとられていないことでありますが、宅地確保のための地価対策をお示し願いたいのであります。政府施策住宅は全体で三十四万戸であり、前年度に比べ、二万二千五百戸ふえることになっております。これでは現在の四百万戸をこす住宅不足は、いつになっても解決できないのであります。今後の住宅対策をどう進めていく考えなのか、明示していただきたいと思います。  宅地を充足さすための一環として、国有地などを整理開放し、特に大都市においては、公営住宅は高層建築に限るようにして、確保につとめることが必要と思うのでありますが、どうか、また、いつまでに住宅難を完全に解消できるのか、明確なる御答弁をお願いしたいのであります。  次に、公害についてお伺いします。わが国の産業設備の急激な発展に伴う煤煙、河川の汚濁、大気の汚染、騒音、ガス等の公害は、年々増加の一途をたどり、いまや一大社会問題であります。京浜地帯、北九州市、四日市の場合など最も顕著な例であります。  政府は、産業公害を防止する措置として公害事業団を発足させると称しておりますが、多額の国費が単に事業者側の資金擁護に傾いてはならないのであります。また、事業団の発足で、はたして全面的に公害排除ができるという確信があられるのか、事業団という隠れみのを着て、政府はその責任の転嫁をするのではないかという疑惑を抱くのでありますが、この点はどうか、お尋ねをします。公害排除の眼目は、むしろ法的規制とその資金手当であります。そこで、公害を受ける国民の立場に立って、国民の利益を擁護する上から、水質保全法、工場排水規制法、ばい煙規制法など、事業者側に立った「ざる法」を改正し、公害防止に関する必要な新法律を制定して今国会に提出する用意はないか、この点を明らかにしていただきたいのであります。また、著しく立ちおくれている公害防止技術の開拓についてはどう手を打つつもりでありますか。今後、具体化し、進められていく新産都市の形成にあたっても、当然配慮されなければならないのが公害対策であります。この点については、将来どのような措置をもって臨むのか、お尋ねをしたいのであります。現在まで、政府は大企業の利益を守るのあまり、歴然とした公害に対しても、調査に名をかりて漫然とその日を送り、大衆にぜんそくや眼病等の被害を与えたのでありますが、これを真剣に対処するとすれば、いつまでに公害の解決をされるつもりか、明確なる答弁を願いたいのであります。  次に、選挙法についてでありますが、佐藤総理御自身が熱心な小選挙区制推進論者であると言われておりますが、この点いかがでございましょうか。国民大衆の間では、選挙の腐敗が政治不信の大きな原因ともなっているのであります。しかし、それは選挙区制の改正によって解決される問題ではなく、むしろ、それとは異質な選挙運動のあり方、政治資金規正法、違反者処罰等、現行法規の不備によるものでありますが、総理はいかにお考えでありますか。また、小選挙区制を強行することは、多数党独裁体制をつくるものであると強く非難されておりますが、いかがでしょうか。主権者である国民の投票が、場合によっては七割近くも死票になるという反民主主義的な悪制度であると言わざるを得ないのであります。  これに対して総理の見解を伺いたいのであります。  これに関連して、現在の第三次選挙制度審議会の構成が、保守的人物に片寄り過ぎて、必ずしも民意を代表していないという意見もありますが、この点どのように考えておられるのか。この際、構成メンバーを再検討するお考えはないかどうか、この点もお伺いしたいと思います。  次に、大学生急増対策であります。文部省の推計によりますと、大学入学志願者の数は、いわゆる大学浪人を含めて、三十九年度に比べ、四十年度で六万人、四十一年度で実に二十万人ふえることになっております。これに対し、全国の国立、公立、私立大学の定員増はその両年度で六万七千五百人の計画であります。そのうち五万二千五百人は私立大学の定員増であります。この計画によりますと、三十九年度に十四万人足らずでありました大学浪人が、四十年度には十七万人、四十一年度には二十四万人となるのであります。これはまさに未曾有の受験地獄であります。しかも、このことは、すでに予想されていたことであり、ただ、財源難ということだけでは済まされない大きな社会問題であります。総理は、この事態にどのような熱意を持って対処されようとするのか、全国の父兄の心情に思いをはせて、明快なる答弁を望むものであります。また、その対策として、大学院を設置する国立大学にも夜間部を設ける考えはないのかどうなのか、お伺いしたいのであります。  さらに、さきに申し述べましたように、大学教育が私立大学によるところはきわめて大きいものがあります。当初、十万人と予定した定員増が六万余人に減じたのも、私立大学の事情によるものであります。また、国立大学と私立大学の授業料、入学金など、教育費の差額は大きく、父兄はその負担に困っているのが実情であります。したがって、政府はこの際、私立学校振興会法を改めて、新たに私立学校助成法を制定し、父兄負担の軽減と教育の機会均等の立場から、入学金、授業料のワクを定めるとともに、経営費の補助を含む抜本的対策を講ずる必要があると思うのでありますが、総理のお考えを伺いたいのであります。

重宗雄三自由民主党議長

○議長(重宗雄三君) 和泉君、簡単に願います。

和泉覚公明党

○和泉覚君(続) 最後に、総理は施政方針の中で、「経済の危機よりも、さらにおそるべきは精神力の欠除である」と申されておりますが、このことばは、高度成長のひずみという政府の失政のしりぬぐいを国民に責任転嫁したものでありまして、とうてい納得のしがたいところであります。むしろ、政府自体が猛省すべき問題であると思います。大衆を思う慈悲の心が政治に反映されてこそ、国民の政治への信頼が高まり、真の愛国心が生まれるのであります。総理は、国民に精神力欠除を訴える前に、まず政府部内から血税のむだづかいや汚職の追放等、綱紀の粛正をはかり、真の人間尊重の精神に徹した政治を実行すべきであると私は思いますが、総理の御見解をただして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  まず、政治姿勢について、寛容と調和ということを言っているが、おのれに寛容にして外に対しては調和を求めるのじゃないかという、こういう御意見のようでありますが、私は、現在の国内情勢、また国内の姿を見ているときに、至るところに対立抗争があり、この対立抗争をなくすことが今日の最も必要な大事なことではないか、かように私は考えるのであります。    〔議長退席、副議長着席〕  そういう立場から、民主主義の本来の姿である寛容、その立場に立ち、同時にまた調和をはかっていく、そうして、対立抗争のない、対立抗争が解消される、そういうような社会が望ましい、かように考えて、寛容と調和を唱えておるのでございます。  次に、私が総理になります前にいろいろ党内で議論いたしましたことを御引用になりましたが、私どもの政党はたいへん民主的な政党でございまして、党内におきまして忌憚のない意見を交換するのでございます。本来これは内輪の議論でございまして、外へ向かってとやかく言ったわけではないので、外であまり取り上げていただきたくない、これは内輪の問題としてこの議論をこのまま了承していただきたい、さように私は考えるのでございます。  外交の問題について、自主外交、自主外交という以上、積極的な提案があってしかるべきじゃないか、かようなお話であります。これは確かに一つの見識のある考え方だと思います。ただいま私どもも、自主外交、これは申すまでもなく、日本の国家的利益を主張するその立場に立っての本来の考え方、これを自主外交という表現をいたしておるのでありまして、この国家的利益を主張する、そういう場面になりました場合に、具体化がそれぞれ出てくるわけであります。ただいまお尋ねになりました日米間の諸懸案、これは自主外交によってどんどん進めていったらどうか、たとえば漁業条約、あるいは航空協定、あるいは繊維関係等についてもいろいろ問題があるのだから、積極的にこれの解決に乗り出す、こういうことでございます。私どももワシントンに参りまして、これらの点に、いままでの経過もございますが、今後これらのものを真剣に早期解決をするようにこれを取り上げてほしい、また、その意向であることも、今回の会談で看取されたのでございます。また、当方から出かけたのなら、必要があればあるいは日本に招待するのも当然じゃないか、かようなお話でございますが、お説のとおりに、ジョンソン大統領の訪日をおすすめしたようなわけでございます。また、ソ連との関係におきましても、ソ連に行くばかりでなく、やっぱり向こうの首脳者を日本へ呼べと、こういうお話でございますが、これはただいま私どもが招待を受けていて、それを実行しない前に直ちにソ連の方を呼ぶということは、国際エチケットに反する、かように私は考えますので、しばらく時期を見たい、かように思います。  また、アジア外交を推進する際に、できるだけ出かける、歩く外交をしろ、また借款を供与するだけではなく、その他の面でもなすべき事柄があるだろう、こういう御注意でございますが、私の施政演説にもすでにその一半を披露しておりまして、私は機会があればアジアの諸国も訪問したい、そうしてお互いに首脳者同士で胸襟を開いて話し合いをする、こういうことをいたしたいということを表明しております。  ソ連との間では、長い間懸案になっております北方領土の問題を解決すること、これが国民といたしまして一番の重要な関心事だと、かように考えます。いろいろ経済問題その他もございますので、両国の間を一そう緊密にすることがこの際は必要のようにも考えます。  日韓交渉、中国問題、これらにつきましては、いずれもこの会議場を通じましてしばしばお話をいたしておりますように、日韓交渉はできるだけ早期に、大多数の両国国民が納得するような方向で解決したい、かように考えておりますし、また、中国の問題につきましては、台湾と私どもが正規の外交関係を持っておる。同時に、中共に対しては政経分離のたてまえで接触を保つという、かような状態にあるということを御了承いただきたいと思います。  予算、税金その他についてのお話がございましたが、いずれ大蔵大臣からお話しいたすと思いますが、特に予算編成にあたりまして私が注意いたしましたことは、今日の経済情勢から見まして、ぜひとも均衡のとれた健全財政、こういうことに特に留意をいたしたつもりでございます。これは内容をよく説明をお聞きくだされば、政府の努力のあとがおわかりかと思います。また、税金につきましては、私、本来国民負担を軽減する、こういうたてまえで強く税の問題と取り組んでまいっておりますので、今後もあらゆる機会に税負担の軽減、その方向に進んで努力いたしたいと思います。ことに御指摘になりましたような、税負担もさることながら、税外負担が非常に多いんじゃないか、こういう点について私もまことに遺憾に思っております。今日の状況、これは国家自身が税負担を軽減するという方向でまいっておりますので、いわゆる税外負担等につきましても、各自治体等におきまして十分の御理解をいただいて、税外負担が多くならないように、これが解消されるような、また、一般市民のこの悩みを救うような方向で解決したいものだと思います。  電気ガス税等についてのいろいろの御提案がございましたが、私もお説のようにこれは悪税だと思います。しかしながら、今日までの電気ガス税のあり方、地方財政のあり方等から見まして、これを一挙にやめるわけにもいかないというのが現状でございますので、いましばらく軽減方法——お示ししているそのたてまえで電気ガス税と取り組んでいくつもりであります。  物価問題についてたいへん熱意のある御説明を伺いました。ひとり公明党ばかりでなく、私どもの政府も、今日の物価問題、これはたいへん重要な問題だと思っております。本来かような問題が起こりましたことは、たびたび御説明しておりますように、その原因を十分探究いたしまして、その原因に対する重点的な対応策を立てて、はじめてこういう物価問題などが解決されるのだと思います。あるいは生産性の低いものを生産性を上げるとか、あるいは流通機構を欠いたためのものであるならば、その流通機構を整備するとか、あるいはまた、そのほか一般の問題でこの原因を探求して、それに対応する対策を立てる、こういうことでなければ十分の効果があがらないと思います。そうして大まかに申しまして、何といっても経済を安定成長の基調に立て直す、これが一番必要だと思います。しかしながら、これはしばらく時間のかかることでありますので、対症的にも今日何とかしなければならぬ、こういう物価問題もありますので、そういう意味の問題も、そういう立場のものとも分けて政府においては真剣に取り組んでまいっております。  なお、住宅問題について、たいへん和泉さんの熱心な熱意のあるお話を聞かしていただきました。私は、今日住居費がたいへん高くて庶民生活を圧迫しておる、かように私も考えておりますので、政府が社会開発、この立場に立ちまして住宅問題と取り組んで、今回の質疑におきましても、社会開発として見るべきものはほとんどないとの御質問でありますが、住宅問題については、予算編成上においても特に留意したそのあとを御了承いただきたいと思います。  また、公害の問題についていろいろ御要望がございました。公害は、今回の事業団をつくっただけではだめだ、やはり十分科学的にその対策を立てることが必要だ、こういうのが私どもの考え方であります。これはひとり企業者の立場から、企業者の負担が重くなるというばかりでなく、また、公害をこうむっている方々の立場に立ちましても、科学的な対策を立てることが、今日最も必要であり、それが叫ばれておる、かように私は思います。  次に、選挙制度についてのお話がありましたが、ちょうどただいま選挙制度審議会が開催されておりまして、今年の七月になればその任期が来るわけでございます。おそらく七月までに答申が出てくるか、あるいはまた、もう少し時期がおくれるかとも思いますが、いずれにいたしましても、選挙制度につきましては、私の個人の考え方もさることですが、この審議会の答申を待ってしかる後に政府の考え方をきめたい、かように考えます。  大学生急増対策等については、夜間部を設けろとのお話もございましたが、これは文部大臣からお答えをいたしたいと思います。最後に、との政府自身がなすべきこと、それが最も必要ではないか、政府自身はみずからが綱紀を粛正し、そうして庶民の範となるような行き方でなければいけない、国民の範となるように姿勢を正せ、こういうお話でございます。私はつつしんでその御注意を承っておきます。ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 私がお答えしなければならないのは三点だと思います。  第一点は、四十年度予算編成に関して、健全均衡が貫かれておらない、あまり予算の中に山がないというような御質問だったと思います。もちろん開放経済体制下にありまして、経済の長期的安定をはかるという基本態度を前提とした以上、税収その他の財源ということを多く期待できない状態にあるということは、御理解いただけると思うわけであります。限られた財源の中で予想よりも多く減税をするということをその前提にしまして、なお重点的に項目をしぼりながら、可能な限り最善を尽くして予算を組んだということであります。  予算書を見ていただけばわかると思いますが、政府としましては、安定成長を前提にしながら、国際収支の長期安定、また物価の抑制等を目標にしながら予算を組んだわけであります。  で、四十年度の中に財源を盛らないで、四十一年度以降の後年度に歳出が必要になるように組んだのであって、これは公債発行を促すということを前提にして組まれたものではないかという御指摘がございましたが、きのうも申し上げたとおり、公債発行ということについては、いままで健全均衡財政の基調を守りながら、公債発行をしないでまいったわけでありますし、物価や国際収支の安定を前提にいたしますと、国債特に内国債の発行に対しては、より慎重でなければならないという考えに立っておるわけであります。ましてや、公社債市場の育成等、環境整備がはかられておらない現在、刺激的な公債に財源を求めるという考えはありません。また、四十一年度以降に大きく財源をずらしたというようなこともございません。  また、乏しい予算の中で減税を可能な限り最大にやったわけであります。減税に対していろいろ御注文がございましたが、先ほど野上さんにお答えいたしましたとおり、当初は、おおむね自然増収四千五百億の中で二〇%、九百億程度の減税が一体やれるだろうか、やれれば最も好ましいということが、大体世の常識になっておったわけであります。とても、安定成長を前提として九百億の減税はむずかしいであろうということでございましたが、先ほど申し上げたとおり、所得税だけでも初年度にいたしまして八百二億、法人税が百八十四億、相続税が二億、計九百八十八億、一般減税だけでも、平年度に直すと千二百四十一億、予想をはるかに上回る減税を行なっておるということを、ひとつ御承知いただきたいと思います。しかも減税は、単年度だけではなく、過去十カ年に、一兆二千億に及ぶ減税を行ない、その八〇%余は、所得税を中心とする一般減税を行ない、その上なお財源の乏しきにもかかわらず、四十年度の減税政策を行ない、将来もまた、この路線を守りながら減税に精を出していくという政府の基本的な態度を理解していただきたいと思います。  それからもう一つは、総理からもお答えがありましたが、税外負担の排除の問題がございます。御承知のとおり、三十五年から地方財政法を改正いたしまして、当該年度に九十億を計上し、三十九年には、この税外負担の排除のために約三百二十億という数字を計上し、税外負担の解消に努力をいたしておるわけであります。  電気ガス税は悪税であるということでございますが、三十七年、三十八年、三十九年と、年各一%ずつの減税を行なってまいったわけであります。また今年度も、電気の免税点の三百円を四百円に、ガスの免税点三百円を五百円にという、大衆免税の方向を十分実現をいたしておるわけであります。これが一ぺんに減税できないということは、地方財政の中で約五百億にものぼる重要な財源であるという問題もあるわけであります。これらの問題に対しては、総理がお答えいたしましたので、御理解いただきたいと思います。  最後に、小学校の教科書の問題について御質問がございましたが、先ほども野上さんに申し上げたとおり、文教政策の中で重点的に十分考えまして、三十九年度は小学校五年までに無償交付を、四十年度は小学校六年、来年度で小学校は全部教科書は無償になるということにいたしたわけでございまして、他の重点施策との関連もあったことを申し述べ、御理解を得たいと思います。(拍手)    〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(櫻内義雄君) 公害についてのお尋ねでございました。すでに総理がお答えしたのでありますが、公害防止事業団におきましては、昭和四十年度には、東京の隅田川周辺、あるいは四日市等、問題の多い地域の公害の解決に積極的な施策を講じたいと思うのであります。新産都市につきましては、建設基本計画にあたりまして、公害の事前防止のため、総合調査をいたしまして、御心配のないようにしたいと思います。公害防止技術につきましては、技術院の中に新しい部を設けまして、技術の研究開発をはかりたいと思います。  要は、御指摘のように、政府の施策だけで、法律だけでどうと、こういうわけにも私もいかないと思います。万全を尽くすことはもとよりでございますが、これからの経営者は、災害や公害問題を起こして、多数の国民に迷惑をかけることのない、そういうような心がまえが必要であると思いまして、私としては極力そのような線に沿っての指導をしておるのでございます。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○国務大臣(愛知揆一君) まず、大学の志願者の急増の問題でございますが、これは昨日も御説明いたしましたが、四十一年度がピークになります。その四十一年度を含めまして、大体ただいまの計画では六万七千人程度を、大学と短大の定員を増加いたしたい。そのうち四十年度におきましては、一万八千九百人余りの定員増加になるわけで、これは国立、公立、私立全部を含めての計画でございます。  大学につきましては、申すまでもないところでございますけれども、大学に入りたいという希望は、できるだけかなえてあげなければならないことは当然でありますけれども、同時に、大学教育の質的な向上ということが非常に大事なことでございます。また教授陣容を充実し、かつ、これを補充していくということも、どうしてもこれは必要なことでございます。それから一方では、社会的な需要といいますか、社会情勢の変化する見通しなども、やはり十二分に考慮に入れていかなければならない問題でありますので、これらの点を総合いたしまして、ただいま申しました四十年度の計画というものは、大体こうしたいろいろの要請を充足し得る程度じゃないかと考えているわけでありますが、四十一年度につきましては、さらに四十年度のこれからの志願状況、あるいは入学試験の状況、あるいは社会的ないろいろの要請ということを勘考いたしまして、さらに具体的に検討いたしたいと思います。  大学に夜学部を設置するという御要請でございますが、これは御承知と思いますが、現在国立大学におきましては、七つの大学に十の夜間学部を現に持っております。それから二十二の夜間の短期大学を現に開設いたしておるわけでありますが、四十年度におきましては、夜間の短大のうち、とりあえず二つを五年制の夜間学部に転換昇格することにいたしましたし、七つの短期大学に、十の学科を増設することに予算化をいたしたような次第でございます。  それから先ほどの大学生の問題に関連いたしまして、私学の問題でございますが、御指摘のとおり、国立大学と私立大学との間には、たとえば授業料で申しますと、一万二千円の国立大学と、最近の平均は六万一千円余りになっております私立大学の授業料との間には、相当な開きがある。これをどういうふうにとらえていくかということは、確かに一つの大きな問題でございます。やはり私学の助成を充実していくただいま私どもの考え方としては、私学振興会にできるだけ多くの金を用意してもらって、それを長期低利で私学に貸し付けをする、この方法は何としても充実し、実行していかなければならないことでありまして、同時に、私学振興会の仕事自身もこの際その責任に徴しまして拡充強化しなければなるまいと考えております。そのほか経常費につきましては、昨日もお答えいたしましたように、若干は現に特定のものについては、やっておるのでありますが、これ以上広げることがいいか、あるいは他にさらによりよい方法があるかというような点につきましては、この国会に御審議を願いつつありますが、臨時私学助成方策調査会というものを法律によって設置していただきたい。そして、あらゆる面からがっちりひとつ討議をしていただきまして、四十一年度以降の諸施策に具体的にこれを反映させていただきたい、かように考えている次第でございます。(拍手)     —————————————

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 田畑金光君。    〔田畑金光君登壇、拍手〕

田畑金光民主社会党

○田畑金光君 私は、民主社会党を代表し、佐藤総理以下関係閣僚に対し数点の質問を行ないます。  質問の第一は、経済運営の基本的姿勢についてであります。日本経済は、昭和三十年代、年率平均一一%という驚くべき高度成長を遂げております。しかし、この高度成長は、大企業本位であり、生産財中心であり、金融も税制もこれが推進に奉仕し、いまその矛盾が一時に表面化しております。格差は拡大し、農業・中小企業はますます困窮を深めております。消費者物価の上昇、地価の高騰、株式市場の低迷、社会資本の立ちおくれによる交通難、住宅難、公害難をもたらしております。イギリスの「エコノミスト」が、いみじくも指摘したように、日本経済の高度成長はまさに大胆不敵の成長を遂げたのであります。総理の演説によれば、「中期経済計画を基本として安定した成長を達成したい」と申されております。私は中期計画の八・一%すら高すぎはしないかと疑問を持ちますが政府は、来年度予算編成にあたり、同計画の予定した行政投資規模を大幅に上回る措置を講じておるのであります。今日の異常な物価高が構造的なものであると見られている現状において、通貨の価値の安定、国際収支の安定などから見ても、安定成長に質的に切りかえる重大な段階に来ていると考えますが、この点に関する総理の見解を承ります。  第二は、経済の現状と見通しについてであります。日本経済は、いま、過剰投資の結果、憂慮すべき事態にあります。すなわち、金融引き締め下にかかわらず、三十九年度の成長率は一二%をこえております。すべての企業は、金利と減価償却費など資本費の増大にあえぎ、損益分岐点は上昇し、利益率の低下、資本効率の悪化に悩んでおります。その最大の犠牲が農村と中小企業にあらわれております。これを「利潤なき繁栄」、「数量不景気」と呼んでおります。過去四十七カ月間という長期の好況を持続してまいりましたアメリカ経済も、今年下期以降は下向くであろうと見られております。ヨーロッパ経済も、インフレ傾向と労働力不足のため成長の鈍化が予想されております。さらに、イギリス、アメリカ、カナダの公定歩合の引き上げ、最近の西ドイツの公定歩合の引き上げなど、世界はいま、わが国のそれとはすれ違いに高金利時代に入っております。また、アメリカの金利平衡税の強化が予想され、わが国の外資流入はますます困難が加わる見通しであります。このような環境のもとで、政府、日銀は、金融緩和に踏み切りましたが、国際収支の制約から、この秋ごろにはまたまた引き締めに移行せざるを得ない状況になると見るのでありまするが、経済の現状と見通しについて、高橋経企長官、田中大蔵大臣の見解を承ります。  質問の第三は、来年度予算を中心に二、三お尋ねいたします。  その第一は、来年度の財政規模を見ますと、一般会計は一二・四%増、財投計画は二〇・九%増となり、いずれも経済成長率一一%を上回っております。ことに、財投は一般会計のしわ寄せを受けて高度に伸びているのであります。今日まで財政は常に景気に刺激的であり、これが高度成長に拍車をかけてまいったのであります。佐藤内閣の使命が経済の安定成長にあるとするならば、明廣度財政規模は少なくとも経済成長率一一%の範囲内にとどめ、総花的ではなくして、重点予算に徹することこそ、私は必要であったと考えまするが、佐藤総理の御見解を承めます。  明年度予算の内容を見ますると、財源難にもかかわらず、法定経費や、当然増経費、既定経費などいよいよ増大し、予算の硬直化はますます強まっております。財源捻出のため、産投会計への繰り入れを減らして利子補給を導入したり、前年度剰余金の減債基金への繰り入れ率を二分の一から五分の一に減らすなど、かろうじて約七百億の新規財源を確保いたしております。ところが、この財源も、またまた行政機構の拡充や事業団の新設などに充当され、後年度負担増の端緒をつくっております。その結果、佐藤総理の公約である社会開発、ひずみ是正は、全くかけ声に終わったのが、本年度予算の実態であります。たとえば社会保障関係費は、本年度の一九・二%増に対しわずか一九・九%増であり、文教及び科学振興費は一五%増と横ばいにすぎず、住宅対策費は本年度の二一・六%増に対し二一・七%と変わりばえもなく、中小企業対策と農業構造改善対策費はかえって後退しております。財投計画も似たり寄ったりであります。要するに、明年度予算を、ひずみ是正予算、人間尊重予算と呼ぶには、実体がなさ過ぎると私は見ますが、健全均衡財政どころか不健全予算であり、近い将来必ず赤字公債発行の道を開く予算であると考えます。世間では、田中大蔵大臣が手がける予算編成もこれがおしまいで、それに田中さんの人柄も加わって、あれもこれも予算をつけた、こう言っているわけであります。うそであれば幸いでありますが、個人のふところから金を出すならばけっこうであるが、国の財政をあずかる態度としましては、私は無理があったのではなかろうかと考えまするが、総理、田中蔵相の見解を承っておきます。  次に、減税についてお尋ねいたしますが、政府は、明年度八百三十億の純減税を計画いたしております。この減税規模は、明年度租税自然増四千六百四十七億円に対し一七・五%にすぎず、税制調査会が適正減税規模と考えた自然増の二〇%の目標をみごとは割っております。さらに、政府は同税制調査会の答申を骨抜きにし、中堅所得者の負担軽減のための税制改正を見送り、反対に利子所得の分離課税を存続さしたばかりか、新たに配当所得についても源泉選択制度と確定申告不要制度を強化し、資産所得優遇措置を講じ、資本蓄積と貯蓄奨励のためだと言っております。しかし、資本蓄積と貯蓄奨励は、一部の高額所得者を優遇することによってではなくして、国民全体の可処分所得をふやすことによってのみ可能であり、また、多くの効果も期待できるものと考えます。先ほど来問題になっておりまする、昨年七月総裁選挙に際しては、佐藤総理が、所得税を中心とする三千億減税を公約されたというこのことは、国民全体が忘れることができない問題でございまして、それと今回の減税の内容を比べましたときに、国民はまただまされたかという感じを禁ずるわけにはまいりません。私は、この問題について、佐藤総理が謙虚に、自分の不明であったならば不明であったということを、この壇上から明らかにしていただきたいと思います。  第四点は、金融政策についてであります。去る一月九日、公定歩合は一厘引き下げられ、政府は金融緩和に乗り出しました。同時に、政府、日銀は、公定歩合の引き下げを契機に、金融機関の選別融資を強化し、並手形金利を据え置いて、金利自由化の手がかりにしようとしております。そこで、金融緩和は再び設備投資意欲を刺激し、過去のわだちを踏むおそれはないかどうか。また、選別融資の強化と並手形金利の据え置きは、中小企業の高金利難を強めることになりはしないか。これが対策いかん。同時に、わが国経済の安定成長をはかるには、金融正常化が不可欠の条件であります。従来、「産業は銀行にもたれ、銀行は日銀にもたれ、日銀は政府にもたれかかる」という、もたれかかりの経済、寄りかかりの経営が、異常な信用膨張となり、不健全な高度成長をつくり上げてきました。これが是正には、銀行法を根本的に改正し、金融市場から産業への資金の流れを規正することが必要であると考えますが、田中蔵相の見解を承ります。  第五点は、物価政策についてであります。昭和三十五年以降の消費者物価の上昇はきわめて顕著であり、国民生活をはなはだしく圧迫しております。昭和三十三年を一〇〇とした欧米の消費者物価指数の推移を見ますると、昨年五月現在で、アメリカが一〇七、イギリスが一一五、西ドイツが同じく一一五、フランスが一〇八、イタリアがやや高く一二三となっております。これに対し日本は一三一で、世界第一の高物価国となっているのであります。ことに、地価の高騰は言語に絶し、社会開発上最大の障害となっております。佐藤内閣になりましてからも、消費者米価の一四・八%の引き上げをはじめに、医療費の九・五%引き上げ、さらには、バス、水道料の引き上げを認めているわけであります。しかも、明年度予算には、物価安定のため、いかなる措置が講ぜられておりましょうか。中小企業、農業の近代化対策はスズメの涙程度、逆に健保財政の赤字対策としての保険料の引き上げ、薬剤費の半額患者負担など、国民生活に追い打ちをかけているのであります。さらに、授業料、入学金の大幅引き上げが予想されるなど、かれこれ勘案いたしますときに、明年度消費者物価の上昇は、政府見通し四・五%をはるかに上回り、六ないし七%に達することは明らかであります。政府が自分のやるべきことをやらないで、所得政策で賃金を押えたり、消費の健全化を唱えて、物価上昇の責任を国民に転嫁しようとしていることは、本末転倒もはなはだしいと言わなければなりません。この際、先ほど来いろいろ御答弁がございましたが、政府の物価対策や地価対策について、もっと具体的な方針をお示しいただきたいと考えております。  質問の第六は、所得政策についてであります。昨年七月、高橋経企長官は、物価安定の一環として所得政策を取り上げましたが、池田前総理の「時期尚早」ということで、さたやみになったのであります。所得政策という概念は、一般的には、賃金、企業利潤、地代、利子など、各種所得の上昇率をば国民経済全体の総体的生産性上昇のワク内にとどめ、それによって物価の安定をはかり、あわせて完全雇用の維持と経済の高度成長を実現することを目的としたものであります。しかし、わが国における所得政策論は、現在の物価上昇の主因が、大幅な賃上げにあるとして、賃金抑制をねらっているところに問題があるのであります。ヨーロッパ諸国で所得政策が取り上げられた背景には、完全雇用が維持されているということ、団体交渉による賃金決定が普遍化しているということ、コスト・インフレ現象が出てきたということでありますが、わが国の今日の実情とは大きく異なるものがあるのであります。私は、春の賃金闘争が、民間でも、公企体関係でも、ようやく高まろうとしている今日この時点において、政府の所得政策並びに賃金政策のあり方に関し、総理、経企長官、労働大臣の御見解を承っておきます。  以上見てきたように、本年度予算措置の中に、佐藤総理の社会開発、人間尊重の実体はどこにも見出だすことはできません。佐藤総理は、施政方針演説で愛国心を強調されました。愛国心もけっこうであります。しかし、ほんとうの愛国心は総理の号令によって生まれるものではありません。政治が特定の金持ち層や一部特権者への奉仕でなく、最大多数の幸福に奉仕すること、そうして政府が公約を忠実に守るというときこそ、国民自然の感情が発しては愛国心になるものと考えるのであります。一般国民や下級公務員にだけ法の順守を求めるのではなくして、高級公務員も、政府要路にある大官も、法を守り法に従うことが、健全な社会発展の基盤であると考えます。  その意味で遺憾にたえないのは、過般、医療費緊急是正に際し、神田厚生大臣のとられた措置、態度であります。われわれもまた、医療費の緊急是正が必要なことは、これを認めるものであります。しかしこれは、ルールを尊重することが前提でなければなりません。政府が医療費をきめるにあたり、医療協の決定を尊重すべきことは、法の要求するたてまえであります。しかるに神田厚相は、このルールを無視し、職権告示という非常手段に訴え、ただですら混乱を重ねている医療行政に、さらに混乱の度を加えたのであります。厚生大臣のやるべきことは、医療費引き上げに伴う被保険者や支払い側の負担をどう軽減するかということでなければなりません。当然やるべきことをやらずして、職権の乱用に走ったということは、これは許すことができないのであります。今日大事なことは、神田厚生大臣がみずから責任をとって医療行政の姿勢を正すことであると私は考えるのであります。このことがまた、政治を軌道に乗せる正しい道であると信ずるのであります。私は、この際、総理の所見を明確に伺っておきたいと思うのであります。  次に私は、本国会最重要課題でありますILO八十七号条約批准について、佐藤総理の所信と決意のほどをお伺いいたします。  総理は、アジアにおける最大の工業国家といわれる日本が、世界で初めてILOから結社の自由実情の調査を受けたことに対、、どういう感想をお持ちでしょうか。国内の恥辱をILOという国際機関の舞台に臆面もなくあばき立て、さらけ出し、調停にたよらなければ労使間の問題処理ができないというこの実態が、高度の文明社会を目ざす日本のいまの現実だとすれば、あまりにも情けないとはお考えになりませんか。とにかく、私は、問題をここまで混乱させた最大の責任は、政府・与党が負うべきであると考えます。今回、ILO調査団は、労使の間に、もっと仲よくやれ、お互いがもっと、かたくなな態度を解きほぐすようにやれ、しかし、そのイニシアは総理がとれ、こういうことを指摘しております。政府は調停案を全面的に受諾することを回答しております。しからば、今後、問題の中央交渉を含め、労使間の話し合い、信頼関係の樹立について、いかなる具体案をお持ちであるか、あらためて労働大臣にお伺いいたします。  私は、これに関連いたしまして、社会開発懇談会なるものが最近できまして、五十名ないし六十名の委員を政府は委嘱されておりまするが、その中に労働代表が一人も加わってないということは、いかがなものでありましょうか。戦後、西ドイツにおいては、御承知のごとく、共同決定法あるいは経営参加法という法律により、労働者をも経営に参加させ、経営の民主化を通じドイツ経済の今日の隆々たる基礎を築いたということを考えたときに、私は、今後の日本政府のとるべき産業政策があくまでも産業民主主義の立場に立ち、企業のにない手である労働者の声も聞きながら、全体の均衡ある発展を求めることこそ、佐藤新内閣のとるべき道であると考えまするが、あわせて総理の見解を承りたい。  また、今回の調査団提案によれば、いわゆる分離批准を認めているのであります。このことは、わが党が長年主張してきたところであり、また、昭和三十四年二月の労働問題懇談会の答申も、八十七号条約批准には、最小限、公労法四条三項、地公労法五条三項の削除のみで、こと足りることを明らかにしております。政府も、各党も、労働組織も、この際、初心に立ち返り、この国会で批准を完了し、もって国家の信用回復に協力しようではありませんか。総理の決意をうながして、この問題の御答弁を求めます。  最後に、私は、沖繩問題について若干お尋ねいたします。総理は、去る二十日の記者会見に際し、「沖繩の祖国復帰は時間の問題であり、必ずできる、もう少ししんぼうしてもらいたい。」と言われております。このことばは、沖繩住民はもちろん、国民に非常な希望と勇気を与えました。しかし、共同声明で確認された「極東における自由世界の安全保障上の利益がこの希望の実現を許す日を待望している」という米側の見解は、実は一九六二年のケネディ声明から一歩も出ていないのであります。それだけに、総理の確信的発言の真意は那辺にあるのか、この際明らかにしていただきたいのであります。  次に、日米会談の唯一の具体的成果といわれる日米協議委員会の機能拡大の問題も、本来はケネディ政策の再確認にすぎないのであります。同政策においては、沖繩住民の安寧、福祉及び経済援助について、日米協力が約束されていたにかかわらず、池田前内閣の外交上の失策のため、経済技術援助だけの協議機関に後退したのが、現在の日米協議委員会であることを、思い起こしていただきたいと思います。今回の日米協議委員会の機能拡充とは具体的には何を意味するのか、自治権の拡充、施政権返還という高度の政治的問題も議題に取り上げ得ると理解してよろしいかどうか。  第三に私がお尋ねしたいことは、共同声明によれば、両国は共同して、沖繩住民の民生安定、福祉向上に、今後とも継続的努力を払うことを確認し合ったにかかわらず、去る二十五日、ジョンソン大統領が議会に送った一九六六年の予算教書によれば、琉球政府及び経済開発援助は本年度と同額の千二百万ドルに据え置かれております。わが国は、来年度予算において援助額を増額しているにかかわらず、……

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 簡単に願います。

田畑金光民主社会党

○田畑金光君(続) 施政権者であるアメリカが前年度並みであるということは、特に首脳会談の直後だけに理解に苦しむのでありますが、総理の御見解いかん。  これを要するに、沖繩は平和条約第三条によってその地位が定められております。しかし、第三条の法理からすれば、アメリカの沖繩統治はあくまでも暫定的なものであるというのが、おおかたの国際法学者の見解であります。それだけにアメリカが、「極東における脅威と緊張が存在する限り」というがごとき条件を、新たに条約テクストにリード・イントウするがごときは、許されぬと考えております。われわれは、法理論的にも、アメリカに対し、堂々と施政権の返還を主張し得ることを認識すべきであると考えます。私は、この点において、佐藤総理が勇気を持ってこの問題に取り組むならば、国民はあげて支援するであろうと思います。この問題こそは、党派をこえて、国民的力を結集し、その実現をはかられるように御努力されますことを、強く要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  経済運営の中心になるものはどういうことだと、これが第一のお尋ねでございます。御承知のように、今日の経済を安定成長の基調へ持っていくというのが私どもの願いでありまして、ただいまは中期経済計画、これを樹立し、そしてそれが予算編成の際にも取り上げられておることは御承知のとおりであります。したがいまして、この中期経済計画、これによることがあるいは質的な変化と見られるか、あるいはまた安定成長と、かように申しますことが、これがいままでやってきたことの質的変化と、かように言えるかということを考えますと、これは私は別に質的変化とは思いません。経済成長は依然として続けていきたい。ただ、あまり高度の経済成長はこの際好ましくないということで、この成長率を下げて、そして安定への道をたどっていこう、こういうことでございますので、考え方によれば成長政策には変わりはない。また、八・一%の成長率というものも、依然として高いのでございます。これらの点もよく御了解をいただきたいと思います。  予算編成に際しましては、重点主義的に各項目を取り上げて、そうして健全予算、これを私どもは貫いてきたと、かように思います。いずれ予算委員会等において、これらの点については詳細に意見をかわす機会があろうかと思います。  また、税制の問題につきましても、いろいろ御議論がございましたが、今回のいわゆる企業減税、それらのものが中小企業の救済に非常に役立っておる、この点を見落とさないように願いたいと思います。どうも企業減税は大企業だけが救われるのだ、かような言い方がはやっておりますけれども、これは田畑さんは経済の通でいらっしゃるから、中小企業を救うためにもこれが非常に役立っておる、このことを見のがさないように願います。  また、三千億減税、これがやはり今回も問題になりましたが、私は本来の姿といたしまして、税負担、これはいかにも重い。引き続いて減税、これとは真剣に取り組んでいきたいということを申しました。別にことばでとやかく言うわけではありませんが、三千億減税、これが一回で実現するとはだれも考えていなかったろうと私は思います。もちろん、これはことしだけの問題ではございません。かような問題で、時間を持ちまして、引き続いて積極的に取り組んでまいるつもりでおります。  次に、医療費の問題、先ほど来神田厚生大臣の責任をとれと、こういうお話が出ておりますが、私は総理大臣として神田厚生大臣を信頼しておりますし、ときには、この政治に勇断が要るんだということを考えております。職権告示、必ずしも望ましいことではございませんけれども、これをやらなければならなくなったその実情などにも十分の理解をいただきたい。もともと自分の気に食わないことをやるから、そこで責任をとれというような、そういう偏狭な考え方は私は賛成をしないのであります。  ILO調査団は、これはILOといたしましても初めてのケースであります。私は、このILOがわが国に参りましたことについて、別に不名誉とも思いません。しかし、このILOが来て、日本の実情を見た場合に、いかにも双方に不信感があるようだ、こういうことを申しております。これは十分実情を理解しないことから来たことだと思いますが、私どもも、この忠告には謙虚に考えてみたいと思います。やっぱり双方に不信感があるなら、これは双方これを払拭することに努力しなければならない。もともと私が申しておる対立抗争のない社会、いわゆる調和しようというのは、こういうことでございます。こういうことがないようになれば、私どもはより幸福な社会をつくることができると思います。  社会開発懇談会について御提案がございましたが、私もしごくごもっともなお話だと思います。社会開発懇談会は、もともとこれは法制によらない私的のものでございますので、別にかた苦しいものではございませんから、ただいまの御提案などはたいへんにけっこうなことだと思います。  次に沖繩の住民について、ことに沖繩の復帰について、政府は非常な熱意を示しておりますが、これをもっと真剣に、国民打って一丸となった一億国民の念願だとして、これを、施政権返還を要求するなら必ずできるだろう、かような強い御協力、御支援をいただきまして、私はたいへんうれしく思います。これはひとり百万の沖繩住民の願いだけではありません。九千万国民がひとしく祖国復帰を熱願しておるのでありまして、あらゆる機会に、このことを続けてまいりたいと思います。ただ私は、この際に、この復帰、それを念願いたしますが、そのもとにおいて、やはりアジアの平和、またわが国の安全、そのために、ただいまのような基地が必要だという、まことに残念な状態にあることを、同時に国民ひとしく理解すべきだ、かように私は思いますので、この点も御理解をいただきたいと思います。  なお、沖繩の援助について、金額が従前同様千二百万ドルだ、佐藤が行ったばかりで、ずいぶんひどいじゃないかと、こういうお話でございますが、これは御承知のように、ただいまプライス法という法律がございまして、そのプライス法の限度が千二百万ドルということになっております。アメリカ政府におきましては、このプライス法を改正して、二千五百万ドルの限度に引き上げたい、千二百万ドルを二千五百万ドルにまで引き上げたいと、かような、かねてからの企てを持っておりましたが、今回もこれが上院においていれられず、政府としては遺憾ながら実現しないということでございますけれども、今後とも、あらゆる機会に、このプライス法の改正と真剣に取り組んでいく、かように申しておるのでございます。いずれ、これが改正されましたならば、さらに増額されることを期待するわけでございます。(拍手)    〔国務大臣高橋衛君登壇、拍手〕

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(高橋衛君) お答えいたします。  第一の点は、先般日本銀行は金融の緩和に踏み切ったが、海外の経済情勢等から見て、この秋ごろには、また引き締めに転じなければならぬのじゃないかという点であったと存じます。先ほど総理からも御答弁になりましたとおり、政府といたしましては、中期経済計画では成長率を八・一%と見ておるわけでございますが、これをさらに引き締めて、七・五%という実質成長率をもとにして経済運営をやっていこう、こういう考え方が一つ、また、その線に沿って財政もまた健全均衡の線を貫いていこうということ、それから経済全般について、田畑さんも御承知のとおり、企業も金融機関も、ともに昨年の暮れごろから非常に慎重な態度に変わってきておると、われわれは考えておるわけでございます。したがって、この程度の緩和をいたしましても、経済がまた過熱するというふうな心配はないと、かように考えておるわけでございます。  しこうしてまた、海外の情勢を御指摘がございましたが、政府といたしましても、本年度の、つまり三十九年度の世界貿易の伸びは大体一二%くらいになりはしないかと思っておりますが、それに対して、日本の輸出の伸びは二二%をこえるという見込みに相なっております。しかしながら、来年度につきましては、世界貿易の伸びを七・二%、また日本の輸出の伸びを一二・五%というふうに、世界の情勢の相当鈍化することを見通しまして、それに対応するような計画にいたしておるわけでございます。そういうような関係からいたしまして、この金融の緩和の措置を、さらにまた引き締めに戻すというふうな懸念はないものと判断をいたしておるわけでございます。  次に、物価の対策についての御質問がございました。物価対策は、これは非常にむずかしい問題ではございますが、政府は、今年の初頭にあたりまして、物価対策十項目を決定して、非常な決意をもって、これが対策に当たっておるわけでございます。先ほど来総理から御答弁申し上げましたとおり、やはり根本は、経済の成長を安定的な基礎に持っていくということが根本でございますが、そのほか、当面するところのいろいろな消費者物価に対するところの対策がございます。公共料金等につきましては、一年間の期間が経過いたしましたので、やはり経済の運営を正常な状態に戻すという意味において、これをケース・バイ・ケースでやっていくということにはいたしましたが、抑制をしていくという基本的な考え方には変化はございません。そういうふうな観点から、物価に対しては非常な決意をもって対処していくつもりでございます。  なおその際、消費の健全化ということを、政府としては国民に協力を求めておるのでございますが、この点に関していろいろお話がございました。われわれといたしましては、何と申しましても、過去三カ年度間、個人消費の伸びが一五%をこえるというふうな、非常な個人消費の伸びがあったわけでございます。これが、経済全体の、つまり国民の総需要を非常に大きくいたしました。これが消費者物価上昇のある程度の原因になっておることは、これは認めざるを得ぬと思うのでございます。したがって、消費そのものを抑制しようという考えはございませんが、その中に相当なむだがある、それを何とか健全化して、合理化して、そうしてこの一五%の異常な個人消費の伸びが、少しでも、つぼまるということが、物価に対して非常に好影響がある、こういうふうな観点から協力をお願い申し上げておる次第でございます。  第三点は、所得政策についてのお話でございます。所得政策が何ものかということについては、田畑さん正確に御指摘ございましたので、そのとおりであると私どもも考えておりますが、要するに、国民経済全体としての生産性の上昇というものと、それから賃金なり、業務所得なり、利潤なり、あるいはまた地代、家賃等、あらゆる所得の上昇の割合が見合っておれば、物価というものは安定すると、こういう経済の仕組みに相なっておると思うのでございます。しこうして、この所得政策につきましては、御承知のとおり、英国をはじめ、OECDの関係の場において常時これが論議されていることも御承知のとおりでございます。そういう点から、政府といたしましても、これが検討をすることは必要であると、かように考えておるわけでございます。  もちろん、この所得政策が具体的にどういうふうな方向でいけるかという問題については、日本はまだ完全雇用の状態でもございませんし、また、その他いろいろな条件が先進諸国と違っておりますので、これからの問題として検討をいたしていきたい。ただ、経済の仕組みとしてそうであるという点については、十分に国民に御理解を願いたい、かように考えておるわけでございます。  しこうしてまた、この所得政策と同じようなものの考え方から、一つだけ申し上げておきたいと存じますのは、やはり企業におきましても、生産性の上昇の範囲で賃金が上昇するのであれば、その企業においては、賃金コストの上昇という面から価格を上げる必要はない、こういうことが言われるかと思うのであります。ところで、製造業についてのいろいろの数字を検討してみますると、昭和三十五年度を一〇〇といたしました場合に、生産性の上昇は、三十八年では一二四に相なっております。これが賃金の場合には、同じく三十五年を一〇〇といたしました場合に、これが二二五というふうに相なっております。こういう面から、賃金の上昇というものが物価にある程度の影響を与えたということは、これは否定し得ざる事実ではなかろうかと、かように考えております。ことに、生産性の上昇というものが、ただ労働の強化等によって行なわれていることは普通あり得ない。設備投資によって、近代化、合理化が行なわれ、その結果として生産性の上昇がある。したがって、その設備投資に必要なところの資本費というものは、やはり生産性の上昇から差し引いて、その差し引いた生産性の残りと賃金の上昇とが見合った場合に、その企業においては、賃金のコストが上がることを理由に価格を上げるという理由はなくなる、こういうふうに私どもは理解をいたしておるわけであります。  以上であります。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(田中角榮君) 金融引き締めと経済見通しにつきましては、経済企画庁長官の御答弁がありましたので省きます。  財政と財政投融資とを見るときに、安定成長との問題で健全性が確保されておるかという問題が、中心でございましたが、三十六年、三十七年の一般会計の対前年度比は、二四・四、二四・三%という、非常に大きな伸び率でございました。三十八年は、対前年度比一七・四%増、三十九年度は一四・二%増、ただいま御審議を願っております四十年度の予算は、対前年度比一二・四%であります。財政投融資の伸び率は、今年度すなわち三十九年度は、対前年度比二〇・八%であります。それが、四十年度の財政投融資規模は、二〇・九%でございます。〇・一%の上昇でございます。規模から見まして、財政の健全性は、いま数字で申し上げましたとおり、相当強い姿勢で財政規模の圧縮をはかり、健全性を貫く方向で努力をしておるということをお認めいただきたいと思います。  予算の中で社会開発と声を大にしたけれども、あまり社会開発の政策が盛られておらないということでございますが、限られた予算の中で、人間尊重の理念に基づきまして、国民生活の向上とその環境の整備ということには重点を置いたわけでございます。低生産性部門の近代化、経済構造の是正、地域格差の解消、また、過密都市対策の促進等、社会開発政策に重点を置いてやったことをひとつ御理解いただきたいと思います。非常に対前年度比の予算の規模を申し上げますと小さくなったにもかかわらず、かかる予算には大いに重点を置いてやったという事実を申し上げたわけでございます。  それから、税制調査会の答申と違う減税をやったということでございますが、減税につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、税制調査会が当初考えたよりもはるかに大きい減税をやったことは事実でございます。同町に、税制調査会の答申の基本となるものは所得税中心の減税でございますが、所得税を中心として一般減税に七五%ないし八〇%をさいて、当初、国民各位が期待をしたものよりもはるかに大きい減税であることは事実であります。可能な限り精一ぱいの努力をいたしたわけでございます。企業減税等必要でないというような御議論、必要でないというよりも、もっと所得税減税に重点を置けということで言われたんだと思いますが、企業減税、資本市場の育成等は、開放経済に向かっておるわれわれ日本とすれば当然必要な事項でありますので、御理解をいただきたいと思います。  それから、公定歩合引き下げに伴い、選別融資とか並み手形金利据え置き措置というようなことから、中小企業にしわ寄せにならないかということでありますが、中小企業にしわ寄せになってはならないということを基本にしておるわけであります。もちろん中小企業の金融につきましては、中小三公庫の資金量をふやすとか、融資条件を改定するとか、前向きに対処をしておるわけであります。しかも、選別融資というのは、政府が中心になって民間資金を統制しようというのではないのであります。民間が自主的に限られた資金量をより効率的に運用せられることこそ望ましいということであります。全銀協を中心にしてこれらのことが議論をせられておるのでありますが、特にその過程においても、中小企業や農林漁業というようなものにしわが寄らないということよりも、より一歩進めて、中小企業や農林漁業の体質改善、近代化のために必要な資金は重点的に確保するということを、前提にいたしておるわけであります。  最後に、金融市場から産業への資金の流れを是正するためには、相当強い態度をとるべきである、特に日銀法や銀行法の改正をもってもこれに対処すべきであるという御議論でありますが、前段にも申し上げましたとおり、金融の正常化は、政府が資金を統制するというような考えによってできるものでもありませんし、また、その道を選ぶべきではないと考えております。日銀法とか銀行法の改正によって資金の流れを変えるというような考えは全く持っておりません。日銀法の改正は、別な角度から、前の予算委員会でも御指摘があったと思いますが、長いこと日銀法の改正が論議せられておったわけでありまして、現在大蔵省でも各界の意見を聞きながら成案を得る段階でございます。銀行法の改正につきましても、非常に重要な問題でございますので、検討はいたしております。いずれにいたしましても、限られた資金が自主的な姿において、より効率的に運用せられる方向が確立せられることこそ望ましいと考えているのであります。(拍手)    〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕

石田博英自由民主党労働大臣

○国務大臣(石田博英君) 私に対する御質問は、第一は、所得政策に対する考え方であり、第二は、ILO八十七号条約批准に関する御質問であると存じます。  所得政策につきましては、ただいま経済企画庁長官からお答えがございましたが、労働大臣の立場として申すなら、わが国と、所得政策を現に検討し、実行しております西欧各国の間には、大きな相違がございます。その相違は、現在賃金格差が縮小の過程にはありますけれども、なお存在しているということであります。その段階において、もし所得政策というものが、格差のあるまま賃金のガイダンスというようなものを設けるという考えであるならば、私はこれは適当でないだろうと存じます。しかし、消費の適正化をはかり、あるいは賃金と物価の悪循環を断ち切るために何らかの検討を加える。これは所得政策でありますから、その対象はむろん賃金ばかりであってはならないのでありまして、利子、配当すべてを対象とするものと考えている次第であります。  第二の、八十七号条約の批准にあたって直接関係のある公労法、地公労法の四条三項、五条三項を直すことにとどめて、これを急ぐべきだという御見解でございますが、御指摘のように、調査団の提案の中にもまずそれに注意を集中すべきだということがございました。また、先ほどの御議論の中にも、元来これはそれだけやれば済むものだというような御議論も承りました。十分これを拝聴しつつ留意をいたしますけれども、政府といたしましては、いま提出いたしておりまする関係法案の成立と同時に批准を行ないたいという方針のもとに、先ほど来の御議論並びに調査団の御提案に留意しつつ努力をいたしたいと考えている次第でございます。(拍手)     —————————————

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 野坂参三君。    〔野坂参三君登壇、拍手〕

野坂參三日本共産党

○野坂参三君 御承知のように、最近、世界の情勢、特にアジアの情勢は、アメリカにとってますます不利となっております。なかんずく中華人民共和国に対するアメリカの封じ込め政策の破綻は、だれの目にも明らかになっております。そして中国の国際的地位と影響が日増しに強まっております。いまや、中国問題の正しい解決は、世界の政治、とりわけアジアの政治にとって緊急の課題となっております。このことは、またわが国の独立と平和、経済の自主的発展、さらに国民生活の安定向上に、緊密に結びついた重要な問題であります。私は、この問題にしぼって、日本共産党を代表して政府の所信をただしたいと思います。  まず第一にお聞きしたい。かつて日本の軍国主義者は、中国の国土と人民に対して、略奪、破壊、虐殺、侮辱、あらん限りの残忍行為を行ないました。これは私自身この目で見てきております。日本の支配層及び政府は、とれに対する深い反省と謝罪の念をもって、中国問題に対処する根本的な態度としなければなりません。ところが歴代の自民党政府は、真剣に反省するどころか、反対に、戦後二十年を経た今日、いまだに中国との戦争状態をそのままにしており、佐藤内閣になってからは、中国敵視政策をますます露骨にしております。このような態度を政府がとり続ける限り、中国だけでなく、日本軍国主義にじゅうりんされたアジア民族全体との友好関係を発展させることは、とうていできません。  ここで、総理及び、かつていわゆる満州国政府の高官であった椎名外務大臣にお聞きします。あなた方は中国侵略に対して反省と謝罪の態度をとっておられるかどうか、これをお聞きします。  また、この際お聞きしますが、日韓会談の首席代表となった高杉晋一氏は、去る七日、外務省での記者会見で、日本軍国主義の朝鮮植民地政策を、もう二十年も続けるべきだったという意味のことを高言しております。このことばは、朝鮮、中国を含め、アジア諸国民が絶対に容認できないものであり、わが国民も同様であります。この暴言に関して、総理と外務大臣はどのように考えておられるか、お答え願います。  第二に、総理は、 ニューヨークでも、またこの議場でも、「中国の侵略的傾向」を繰り返し公言されております。理由として、朝鮮戦争に関連する国連の中国非難決議と、中国の核実験とをあげられております。これは全く白を黒と言うものにほかなりません。すなわち、アメリカ帝国主義は、中華人民共和国が成立して以来、一貫して中国に対して侵略を企ててきました。まず、朝鮮戦争を起こすとともに、中国の領土台湾を占領し、朝鮮では中国の国境に迫り、原爆さえ落とそうとしました。これに対して中国は自衛のために立ち上がったのであります。ところがアメリカは、自己の侵略をおおい隠すために、国連で、ソ連代表の不在につけ込んで、不当、不法な決議を行ないました。これらのことは世界周知の事実であります。次に、中国の核実験は、アメリカによる沖繩、日本本土その他、中国周辺からの核脅迫に対する自衛のためであります。しかも中国政府は、核兵器の全面禁止を繰り返し世界に提案しております。との提案を拒否しているのが実はアメリカ政府であり、また日本政府であります。こうした事実を見るとき、だれが侵略者か、だれがその共犯者か、明らかであります。それはすなわち、アメリカ帝国主義者と日本の反動勢力であります。その上、総理は組閣以来、アメリカ原子力潜水艦の寄港を許し、日韓会談の妥結を急ぎ、台湾に対しては一億五千万ドルの援助を与えようとしております。さらに日米共同声明では安保体制を再確認しました。総理は今日まで、中国に対して前向きの政策を宣伝してきましたが、何が一体前向きですか。現実にやっておられることは、中国敵視政策以外の何ものでもありません。総理の明確な答弁を求めます。  第三に、前国会以来、総理は「台湾を含めて中国は一つである」と繰り返し言明されております。問題はこのことばの内容であります。総理は日米共同声明で、アメリカの台湾永久占領政策に同調した上、日本は台湾との正規の外交関係をあくまで維持すると言っておられます。しかも、ことばだけでなく、政府は、アメリカの指図どおり、かいらい政権との日台条約を固守し、昨年十二月の日華協力委員会に際しては、あなたの実兄岸信介氏に託して蒋介石に親書を送り、さらに新たに大規模な政府借款を与えるなど、あらゆる手段をもって台湾政府への支援に力を尽くしておられます。また、前国会以来、総理は「国連から国府が追放されるという形で中国代表権が決議されるなら絶対同調できない」と述べ、あくまでも中国を国連から締め出す策謀の先頭に立っておられます。  以上、総理の言動にも明らかなように、総理の言う「一つの中国」とは、中国の一省にすぎない台湾であるということであります。これは中華人民共和国政府だけが代表できる全中国人民の権利を、アメリカのかいらいにすぎない蒋介石集団にあくまでも盗み取らせようとする企てであります。これは中国に対する重大な内政干渉であり、台湾を中国から切り離して二つの中国をつくり上げる策謀にほかなりません。総理にお尋ねします。中国の国連における合法的権利の回復は、何人も認めるように、もはや時間の問題になっており、これに対する態度の決定が迫られております。政府は、その場合どういう態度をとるつもりであるか、はっきりここで御答弁願いたい。そのときの情勢によってきめるなどと逃げることは、もはや許されません。  最後に、日本共産党は、わが国がアメリカへの従属を断ち切って、自主独立の外交政策をとり、中国に対する敵視政策をやめ、政経分離の原則なるものを捨て去り、国連における中国の正当な地位の回復に努力し、日台条約を破棄し、すみやかに日中両国の国交を正常化すべきであることを政府に要求します。  総理の所見をただし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  私は、同じ日本人であって、どうしてただいまのようなことばが言えるか。戦争後の日本というものを十分理解してほしいのです。戦前の日本は軍国主義であったかもわからない。しかしながす、戦後の日本は、これはもう平和主義に徹している。この平和主義に徹しているわが国の姿、これはひとしく野坂君も十分宣伝してほしいことであります。新しい憲法、そのもとにおいて私どもはどこまでも平和に徹する、そうして自由を守っていく、これが私は一番大事なことである。同時に、ただいまお話のように、観念的に、この国は侵略国であるとか、あるいは平和主義であるとか、こういうことは、あまり私は役立つことではないと思う。問題は、やっぱりもっと実態に即したものであってほしい。たとえば、いま野坂君のことばじりをとるわけではございませんが、核爆発は自衛のためなら必要だ、許せる、こういうことを言われる。私は、このことは、とんでもないお話だと思う。日本のように、新しく平和に徹しているこの国は、自衛のためといえども核兵器は一切持たない、これは国民に約束している。世界に宣伝している。その点は、よく、中共と特別な御因縁があるなら、この自衛のためと、そういうことでこれを弁護されないことを希望いたします。  また、そのほかにつきましても、いろいろお話がございましたが、これは御意見が非常に多いし、最後は私に対する要求でございまして、私は要求についてこの席からお答えする筋合いのものとは思いません。(拍手)    〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 高杉代表についてのお話がございまして、総理から御発言がございませんでしたから、その点を補足いたします。  いま、野坂さんのお話になったようなことは、全然私はあずかり知りません。何か記者団にあいさつされたときにしゃべったとか、しゃべらないとかいうことを聞いておりますが、同代表が韓国側代表に明らかに言っていたように、日韓交渉の妥結については非常な熱意を持って当たっておるのでございまして、かような一部に報ぜられておるようなことは、ためにする発言である、かように私は考えております。(拍手)

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 日程第二、参議院予備金支出の件を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長田中茂穂君。    〔田中茂穂君登壇、拍手〕

田中茂穂自由民主党

○田中茂穂君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件につきまして御報告申し上げます。  今回御報告いたします本院予備金の支出額は、昭和三十九年度分二百十六万円であります。この支出は、在職中死亡されました議員野村吉三郎君の遺族に対して支給されました弔慰金であります。  これは議院運営委員会の承認を得て支出したものでありますが、ここに国会予備金に関する法律第三条の規定によりまして、本院の承諾をお願いする次第でございます。(拍手)

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  本件を問題に供します。本件は委員長報告のとおり承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

重政庸徳自由民主党副議長

○副議長(重政庸徳君) 御異議ないと認めます。  よって本件は承諾することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十五分散会

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