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48回国会参議院1965/03/09

内閣委員会 第10号

発言数
19
登壇者
4
会派数
2
開催日
1965/03/09

会議録

柴田栄自由民主党

○委員長(柴田栄君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告申し上げます。  三月四日、田畑金光君が委員を辞任され、その補欠として赤松常子君が選任せられました。     —————————————

柴田栄自由民主党

○委員長(柴田栄君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。質疑の通告がありますので、これを許します。なお、政府側からは、臼井総務長官、増子恩給局長、秋吉大蔵省給与課長、胡子自治省給与課長が出席いたしております。伊藤委員。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 前回に引き続いて、まず恩給に関する通算問題について質問を続けたいと思いますが、ただ、ここではっきりさせなければならないことがございますので、まずその問題から申し上げたいと思います。  いままで、総務長官とか恩給局長、さらには恩給問題審議室長、こういう方々の答弁を聞いておりますと、まあそれぞれ新任の方々であるのでやむを得ない点もございますけれども、従来の当内閣委員会での審議の状況についてはあまり認識がないようです。あまり認識がないというと当たりがいいわけですが、私どもから見ると、きわめて認識が薄いということはまことに遺憾の意を表さざるを得ないわけであります。もちろん、恩給とか給与について恩給局長は精通されておることにはこの前申し上げたように変わりがないわけですけれども、一般論でなく、こういう特殊な問題についてのまだまだ認識が不足しておるようです。そこで、この薄い、きわめて不十分な認識の上に立って答弁されておりますので、前任者の統一見解からはるかに後退しておるということを従来指摘してまいったわけです。そこでこのままこの時点に立って審議を進めても、どうも一歩も前進が見られないということで、貴重な時間を空費するだけでございますので、そこで、日本政府の機関であるという満鉄等について、満鉄等の本質は日本政府の機関であるという根本義についてひとつ申し上げてみたいと思うのです。  私がここで指摘するまでもなく、日露戦争はよかったか悪かったかということは別問題として、とにかく十万の英霊と、当時の金で二十億の国祭を費やしてただ一つかちえた戦果というのは南満鉄道株式会社であったわけです。そこで、このことについては、当時の朝野あげて満鉄の形態については慎重審議されて、結論としては、外国領土であるということ、それから当時の世界の国際情勢を慎重に考えられたこと、こういうことから、どうも政府の直覚としてはまずいという結論になって、名は株式会社という、そういう形態をとったわけです。で、明治三十九年勅令第百四十二号をもって満鉄を設立したわけです。そこで日本国特殊法人として発足したわけであります。こういうここまでの経過については御認識はあろうかと思うのですが、まず順序としてこの点からお伺いするのですが、この点については御理解いただけますか。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○政府委員(臼井莊一君) この点につきましては、先般の当委員会においてもお答え申し上げましたように、全然政府機関であるということはなかなか困難といたしましても、広義に解釈すれば、日本の政府機関と非常に似ているということは申し上げられるということを申し上げる次第でございます。また、当時の日本としての国策上から非常に国としても重要な機関であったということは、これはもう私どももよくわかるのであります。ただ、全然政府機関と同じであるということについてはちょっと困難な点があるので、それからいろいろの問題が派生して出てくると、こう考えております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 総務長官、まだ日本政府に似ておるというような表現をなさっておるので、まだまだ認識がないと思いますので、さらに深めてお伺いすることにしたいと思います。  そういうふうに、当時の世界情勢とか、あるいは外国領土であったということの配慮から、名前だけは株式会社にとった。しかし、その事実を見ますると、次に申し上げるような、いわゆる厳然たる事実があったわけです。たとえば株式の半数は常に日本政府がこれを分担して保有したということ、それからその出資は一般会計から支出したということ、それから役員はすべて政府が任命してきた。政府の任命です。それから経営の基本方針の決定はすべて政府の監督のもとに行なわれたという点、それから関東軍司令官も事軍事に関する領分についは必要に応じてこれを指示し得たということ、それから戦時、事変に際しては政府は必要な命令をなし得たということ、それから会社の決議とか、あるいは役員の行為で法令あるいは会社の目的に反する場合は政府はその決議を取り消さしたり、あるいは役員を解任しておるという、こういう事実、さらには会計検査院の会計検査を受けしめた、こういう厳然たる事実があるわけです。これらの命令は公法上の監督権に基づく命令であって、上級官庁が下級官庁に対して発する訓令と何ら異なるところはなかったわけです。こういう厳然たる事実を踏まえて考えた場合に、日本の政府とその機構組織が似ているという表現では当たらないと思うのです。形式的には日本政府そのものではないけれども、政府が行なわしめたのだから、実質的には代行機関、こういう内容を持ったこういう権限を持った株式会社はほかにこざいましょうか。比較すべきものはないと思うのですね。こういう、これはまだまだこまかい点を申しますと際限がございませんが、おもだった点をあげても、こういう実質を備えておった。この満鉄に対して大体、このかっこうが政府機関と似ておったということを御答弁として繰り返されたのでは、まだまだ私どもとしては理解できない。組織が似ておったのじゃないでしょう。形式的にはなるほど株式会社だ。したがって、政府機関そのものでない。これははっきりしておるのですね。しかし、こういう実賞を持った特殊法人であるから、実質的には政府そのものであり、また、代行機関であるということがはっきり言えるわけですね。こんな会計検査院の検査を受けるという一つとってみても、一般の株式会社は会計検査院の検査を受けますか。役員をすべて政府が任命している株式会社というのはちょっと考えられない。出資も半分出している。こういうことをよくひとつお考えいただいて、政府機関と似ているということでなく、やはりことばが足りないと意味が十分尽くせないわけです。したがって、形の上では政府そのものではない、これは言えると思うのです。形の上では、形式的には政府そのものではない。しかし、こういう御説明申し上げたような内容が実在しておった、こういうことから考えて、実質的には政府機関そのものであったし、代行機関であるということがはっきり言えると思うのですね。この点はいかがですか。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○政府委員(臼井莊一君) 私といたしましても、ただいま申し上げましたように、実費的には政府機関とこれまた非常に似た部分が多いということは確かに言えると思うのでございます。しかし、この実質といたしましても、政府の機関そのものというわけにはいかぬわけでございまして、したがいまして、当時の運用を見ましても、たとえば、いま問題になっておる恩給法につきましても、公務員の日本の内地の恩給法そのものを、やめられた方にも満鉄として適用されていたわけはないようであります。そこには多少の違いがあるということは言わざるを得ないと考えます。しかし、いまお話のように、お説のように、非常に日本としても重要な、いわば国策的な機関であったということは、これは言えるわけでございますし、また、実質の内密も非常に政府の機関と似ていた。こういうことで、株式会社であったから、これは日本政府で全然知らぬのだというわけでございませんし、いまお話のように、資本金も日本政府が半分出しておる。役員も日本政府として相当発言するという立場にあったということからも言えるわけでございます。したがいまして、まあ、恩給法の上におきましても、できる限りの従来の処遇といいますか、取り扱いはそういう意味においてやっていたはずでございます。ただ、たびたび申し上げますように、全然政府機関であるというわけにもまいりません関係上、多少そこに不十分な点もないとは言えないと思うのでございまして、そこで、これらの点についても、なお検討を要する面がある、こう考えておる次第でございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 まだまだおわかりないと思いますので、さらに掘り下げて申し上げてみたいと思いますが、まず満鉄の業務そのものを検討してみると、これはこの前にも御説明申し上げたように、勅令によって設立されているということ、それと逓信、大蔵、外務、この三大臣の命令によって、公法上の義務としてこの業務は設立されておるという点、それはもう明らかなんです。そこで業務の内容ですが、まず満鉄というと、南満州鉄道株式会社というから、一般の人は鉄道だけ経営しておったという感じが深いわけですけれども、軍事を除くほとんどすべての行政権に至るまで満鉄が経営しておった、そういうことを明確にしたいと思います。そこで鉄道、港湾、それから自動車、水路及びその附帯事業一切、あるいは炭鉱、製鉄、あるいは製油、さらには附属地における土木、教育——教育は大学から幼稚園まであげて満鉄が経営しておったわけです。たとえば奉天の医科大学、大連の南満高専等々、全満の各地に、幼稚園から大学に至るまで満鉄がこれを経営しておった。教育行政はあげて満鉄の経営です。それから衛生、殖産、それから産業助成、あるいは賦課金の賦課徴収——いわゆる平たく言えば税金も満鉄が扱っている、こういうふうに各般の行政権の実施はあげて満鉄がやっておったわけです。それだけではなく、東亜——当時のことばで東亜一円における政治経済万般、さらには満蒙における産業開発、こういう広範なる国家事業を代行して行なったわけです。こういう土木、教育、衛生、殖産、いわゆるこれはもう純然たる行政です。土木行政、教育行政、衛生行政、こういう行政万般あげて満鉄が代行しておったわけです。政府にかわって行なっておった。だから実質的には日本政府機関そのものであるということが言えると思うのです。ほかに小学校も中学もなかったのですよ。満鉄だけがこれを経営しておった。そういうことで、なるほど日本政府そのものではない。それは株式会社という看板を掲げているわけですから、それは総務長官も言っておられるとおり、それはわれわれも認めているのです、形式的には。しかし、当然政府が行なうべきこういう各般の行政を満鉄が行なっておったということは、政府の代行機関であるということははっきり言える。実寅的には政府機関そのものであり、かつまた、一面によっては代行機関ということは言えると思う。これを政府機関に似ておるとか、そんな表現では当たらない。似ているとか似てないとか——組織が似ている、似てない、そういう範疇じゃない、そういう観点から言っているのじゃない。こういう点はこの程度の御説明で理解していただけると思うのですが、これに異論はございますか。重ねてお伺いいたします。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○政府委員(臼井莊一君) いまるる御説明がございましたが、まあその御説のとおり、普通であれば、むしろ国家がやるべき行政ともいうべき部面まで満鉄が介入していた、こういうことが言えるわけで、ただしかし、当時としても、私どもはいわゆる半官半民というようなことばで、満鉄などもやはり国策の機関ではあるが半官半民の国策機関と、こういうようなことでたしか言ったと思うのです。でございますから、日本政府の機関そのものであるということは、この点は言えないということは御了承いただけているようでございますが、そこで、似ているといっても似ている程度はどこまでかということは、これは非常に似ているということは当然言えるわけでございまして、したがって、恩給におきましても相当その点を考慮はいたしており、日本からあちらに赴任する者につきまして公務員を出す際にも、そういう意味でいずれはまた日本にも戻る際には公務員として戻れるこういうようなことを了解の上で行っているわけでございます。しかし、満鉄の社員を全部内地の公務員と同じに扱うということも困難なことは、やはりいま申し上げたように一日本の政府機関そのものであるわけではない。また、あちらの満鉄の社員もいわゆる株式会社である満鉄の社員であるという表面のあれもございまするし、実質は、非常に日本の政府機関と似ている満鉄の仕事を実質にはやっていたといたしましても、日本の公務員であったということも言えないというところに、旧社員の方々に対しましてその後の処遇において完全に御満足のいくようなことを行ない得ない点もあるわけだと、こう考える次第でございます。まあいろいろ御不満な点も多々あろうと存じまするので、いまのお話の点につきましても十分さらに検討いたします。なかなかこういう問題は数多くある問題の一つでございますので一気に解決というわけにいかない事情もありますので、そこでいま少しひとつ検討さしていただかないと、われわれとしては、十分そういう点も了承し好意は持ちながらも、ここにそのことをやりますということについての確言を申し上げるわけにいかない、ひとつもう少し検討さしていただきたいということで、われわれもひとつ努力をしてみるつもりでございますけれども、なかなかそういう問題はいろいろ波及する面もございますので、軽々に取り扱うわけにいかぬという点もひとつ御了承をいただきたいと思います。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 私が繰り返し申し上げておる表現ですね、形式的には政府機関そのものではないけれども、実質的には政府機関そのものでありかつ政府の代行機関であるということについては、前任者の総務長官、恩給局長はもう確認されておるのですよ。それで、今度後任の方々がそれぞれの立場でうっかりそんなことを認めてしまうとこれは容易ならぬことになり、該当者がたくさん出てきて予算を相当食うだろう、そういう配慮が先走っておるのじゃないかと思う。これだけの事実をあげて、これは厳然たる資料がございますので、それをさらに御勉強いただければわかると思うのです。その要点だけを私が申し上げておるのですが、そういうことを御理解いただけば、形式的に政府の機関そのものではない、それも私は認めておるわけです。ただ実質的には万般の行政を政府にかわって行なったんだから政府の代行機関でしょう。似ておるというようなことをまだ言われておることははなはだ不満なんですが、組織が、形が似ているとか、似ていないとか、そんなことを言っているんじゃない。実質的に——なお極言すれば、軍事以外の行政はあげて満鉄が経営しておった。ただ鉄道一本の株式会社じゃないんです。しかも勅令により役員は政府が任命し、会計検査院の会計検査を受けるというのは、政府機関でなければやらぬことをやっておる。それは当然なんです、政府の代行機関だから。せめてそこまで認識がないと、前任者の方々の認識までいかないわけなんです。審議を重ねるごとに後退したんでは意味がないということで、満鉄の本質についていま申し上げておるわけなんです。おそらく賢明な総務長官も恩給局長も頭の中では、これはよくわかっておりながら、うっかり政府の代行機関などとはっきり言うと、そんなら満・日のケースをひとつ実施すべきだと言われることをおそれて、それでなかなかそういう表現をせぬというふうに解釈せざるを得ないわけです。  そこでなお大事なことがございますから、ここで申し上げておきたいと思うんですが、以上申し上げた全貌は従来の満鉄について申し上げた。ところが、たしか昭和十二年だったと思いますが、満鉄附属地の地方行政権はあげて満州国に移譲されたわけです。だからそれを契機としてもう満鉄の以上説明申し上げた行政権は満州国へ移管されてしまったんじゃないか、こういう疑問も出てこようと思うんです。そこでこの点をはっきりしておかなければならぬと思うんですが、これは日満両国間の秘密議定書というものができて、これに基づいて満州国の国防と交通、これを日本政府は掌握したということです。それとさらにそのことに加えて、満州国の鉄道・水路、港湾、それから自動車経営並びにその建設、それから、それら附属地における警察権に至るまで、これは主として鉄道警察権ですが、附属地においては一般警察権も行使しておったわけです。あげてこういう事項を満鉄が経営しておったわけです。いわゆる附属地の行政権移譲後もこういうものはあげて満鉄か経営しておった。そこで考えなければならぬのは、こういう特殊性格の使命を持った機関というものは、いろいろ世界の歴史を調べてみてもちょっと見当たらないわけです。日本史には当然こういうものはないわけです。で申し上げておるように、名を株式会社にかりて、実は国家機関として全面的に政府にかわって満蒙経営に当たった、行政権の掌握のもとに満蒙の経営に当たった。したがって、満鉄は結局国家の代行機関であり、また国家機関であるということが当然に解釈されてしかるべきだと思うんですね。したがって、附属地の行政権移譲後もこういう事情であったということをあわせ考えて、移譲後はもう状態が変わってしまったという認識でははなはだ困るわけです。これも厳然たる事実であるので、あわせて認識いただきたいと思うのですが、この点はいかがですか。

増子正宏総理府恩給局長

○政府委員(増子正宏君) 満鉄の性格等につきましては、かねてから伊藤先生の御説明を承っておりまして、私ども理解しておりますところは、結論的には先生の結論とあまり変わっていないというふうに私ども考えているわけでございます。すなわち、本日も総務長官から申し上げましたように満鉄がやっておりました業務についてみますれば、まさに国が行政機関を通じて行なうべき性質のもの、そういうものであったのでございますから、そういう実質的に見まして、日本政府の機関あるいは日本政府の代行機関と見るべき実態を持っておったということについて、私どもいままで異論を申し上げておるわけではございませんので、その点は、先生の御指摘のように理解をしておるわけでございます。私、実はいままでこの委員会で伊藤先生から御指摘になりまして、代々の総務長官なり、前恩給局長がお答えしております速記録等も調べておるのでございますが、御質問に対して政府委員がお答えしております内容は、実は私どもが先般来お答えしております点とほとんど同様であるというふうに理解をいたしておるわけでございます。すなわち、前恩給局長にいたしましても、私が現在理解をしておると同じような立場でお答えをしておったということでございます。  そこで、一つ申し上げたいと思いますのは、私ども、満鉄が先生のおっしゃるように、実質において国の機関と同様であったという前提に立ちましても、それがゆえに直ちに在職期間が全部通算さるべきであるという結論にはならないというふうに、私どもは考えておるわけでございます。その点が非常に重要な点ではなかろうかということでございます。前提として国家機関もしくはそれに準ずべきものであったということは一つの要件ではございますけれども、それがその後の公務員期間と通算すべき唯一絶対の要件ではない——一つの要件ではありますけれども、それだけが満たされれば直ちに全期間通算という結論が出るほどの要件ではないというふうに考えておるわけでございます。すなわち、そういう前提があるからこそ通算の対象には考えられるわけでございますけれども、その通算をどの程度にどのようにするかということは、まだそこにいろいろな配慮があって結論が出るというふうに考えておるわけでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 いま御説明のあったことについては、いま少しこう満鉄の職員の本質についてもこの際申し上げておいて、しかる後にいま増子恩給局長が御答弁になったことについて私どもの考えを申し上げたいと思うのです。やはり満鉄それ自体の本質あるいはそこにつとめておった満鉄職員の本質、これは切り離せない問題ですから、そういう前提に立って論議を進めるほうが合理性が出てまいりますから、いま御答弁は、満足したとかしないとかそういうことでなく、後刻申し上げたいと思います。  そこで満鉄の職員の本質について申し上げてみたいと思うのですが、先ほど来るる申し上げてまいりました会社の本質、これとあらゆる国策と使命を自覚して、四十年間とにかく国運の発展に挺身してきた。こういう事実、そこで軍とか官吏にも及ばない面は見方によってはあろうと思いますが、全面的に軍隊にも劣らない、官吏にも劣らない実際の面での行動が数多く指摘できるわけです。たとえば一つの例を申し上げると、満蒙にあったような軍隊の輸送、これは全部満鉄がやっておったわけです。それからその先駆車輸送列車の前に先駆車、先駆列車というのがあるわけです。非常に危険を警戒しながら、輸送車をいきなり出すのではなくて、その輸送車の前にまた先駆列車というのがある。こういうものは当然軍人が運転するわけです。これは調べていただければわかりますが、軍隊の輸送はそういう軍人が当たる。満蒙の急を告げた、特に戦時中でもあえて満鉄社員がやっている。これは先ほど申し上げた代行機関であり、実質的には政府機関そのものである、そういう満鉄社員の使命感と満鉄職員の本質上、これは当然に軍属にもならないで、軍から給与も受けないで軍隊の輸送に当たっている。平時における軍隊の輸送を申し上げているのではないわけです。戦時における軍隊の輸送、これは当然軍人が担当すべきだ。にもかかわらず、満鉄職員はそういう会社の本質に基づいて、結局使命感から、そういう軍属にもならない、軍の待遇も受けないで、満鉄社員としてそういう危険をあえて当然のこととして行なってきたわけです。こういう厳然たる事実をひとつまずかみしめていただきたいと思うのです。これは結局こういう一つの事実からも、軍人あるいは官吏の業務と何ら変わるところ、遜色がないということがはっきり言えるわけです。それと、以上申し上げてきた諸般の事情とあわせ考えていただければ、満鉄職員というものは、また満鉄職員の実体というものは、平時においては国家公務員と何ら選ぶところがなかった。戦時においては軍人と同一であったわけです。その内容は同一であった。したがって、満鉄職員の性格は実質においては国家公務員であると当然に解釈できると思うのです。これは当然のことをいま申し上げているのですが、この点はいかがですか。

増子正宏総理府恩給局長

○政府委員(増子正宏君) 満鉄というものの本質なり性格につきましていろいろお話しありましたところと同様の点でございまして、そういった業務に従事しておった満鉄職員、その性格なりあるいは業務の内容が国家公務員とほとんど実質的に同様であったであろうということは、今日においても当然想像できる点であるというふうに私考えております。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 そこで満鉄だけについてここで明らかにしたのでは誤解があるわけで、私が要求しておるのは満州国、満鉄等についての恩給の通算問題ですから、そこで時間の関係もございますから、満州国についても一言触れておきたいと思うのです、やはり誤解があってはなりませんから。そこで形式的にこれを見た場合、満州国は外国政府です。また、満鉄は前に申し上げた説明で御理解いただけるように、日本の勅令によって成立された特殊法人です。これはもう明確です。さて、実質的にこれを見た場合、満州国、満鉄、それぞれ両者間に何らの差異あることを認めないわけです。何ら違うところはないわけです。これを区別すべき根拠は何ものもないわけです。ということを申し上げますと、満州国の成立以前には満鉄があげて満蒙経営一切を代行しておった。満州国成立後は、先ほど説明したように、満州国と満鉄が日本政府の活動をそれぞれ分担して、車の両輪のごとき関係で満蒙経営に当たってきたわけです。したがって、両者を合わして一本ということで日本政府の満蒙経営の使命に殉じてきたわけです。そういうことでありますので、実質的には日本政府の代行機関であった、こういうことがはっきり言えると思うんです。この点についてもはっきり認識して、この際ひとつ明確な把握をしていただきたいと思うんですが、この点はいかがですか。

増子正宏総理府恩給局長

○政府委員(増子正宏君) 外国政府という表現によって、満州国政府その他、大体大陸と言いますか、における政権を考えられたわけでございますが、この満州国政府、その一連としての満州国政府と、それからいわゆる特殊法人としての満鉄その他があるわけでございますが、それらの間において、いわゆる国策遂行というような観点から見ますれば、まあほとんど同様のものであったというふうには当然考えられるわけでございます。ただし、法律的な扱い方としてはもちろん違っておる点は言うまでもないところでございます。たとえば外国政府につきましての通算の問題は、実は昭和十八年の改正によりまして恩給法に挿入されておるわけでございます。その場合には、外国政府ということで、満鉄等にはもちろん及ばなかったわけでございます。それからなお、実質的に考えてまいりますと、先生御指摘のように、明治三十九年から満鉄が、いわば日本政府にかわって各種の行政を営んできた事実は御指摘のとおりでございますけれども、満鉄職員について恩給法が適用されるということは、その四十年の間全くなかったわけでございます。すなわち、実質的な評価につきましてはもちろん日本政府と同様に一般的には考えられておったと思いますけれども、恩給制度の上ではやはり満鉄は別扱いとされており、外国政府の場合におきましてかろうじて昭和十八年に通算の問題が取り上げられた、こういう経緯もございますので、これらを全く同様に扱うということにつきましてはやはり問題があるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 以上、まことに不十分ではございましたけれども、満州国の、また満鉄の本質、そしてその職員の本質について、一応ごく概略だけを申し上げたわけです。  そこで、先ほど申し上げたように、先ほど恩給局長から御指摘のあった問題、そしていままた、これは、前回にもそういう発言があったわけですけれども、こういうのを一括して、これに対して私の考えを申し述べたいと思うのです。  戦前に日本官吏で、官の命によって外国政府に二年以上勤務して、帰越後また日本官吏として一年以上勤務した場合は在外期間を通算する。この法律は、いま局長は御指摘になったように、昭和十八年の法律第七十八呼、恩給法の附則にあろうと思うのです。これを恩給局長は指摘されておると思うのですね。このことは、満州国官吏について、日・満・日あるいは日・満と満・日とを区別する一つの理由にはなろうと思うのです、満州国官吏については。ところが、先ほど来申し上げておる満鉄については何ら関係のない法律であって、満鉄社員についてだけ考えるならば、日・満・日、日・満と満・日とを区別する何らの根拠、理由はないわけです。というのは、日・満・日と日満の在職期間を公務員期間として認めておることは事実ですね、これは厳然たる事実です。これを事実とするならば、当然満・日の在満期間も同様公務員期間として当然認めなければ筋が通らぬと思う。なるほど恩給局長は、昭和十八年の法律第七十八号恩給法の附則だけをとらえて、この場合、だから恩給公務員でかつてあった者でなければこの法の適用は受けない、それはそうです。したがって、満州国官吏については、恩給局長の指摘したように、日・満・日、日・満と満・日とを区別する一つの理由にはなろうと思うのです。それはうなずけますが、だからといって、今度は満鉄については、先ほど来繰り返し申し上げておるように、満鉄の本質、満鉄職員の本質、これはもう明確になって、業務一切をあげて、軍事以外をあげて満鉄が経営し、職員は国家公務員と同様の責任と義務をもってこれを代行してきた、これはもうはっきり恩給局長も認めておるのだから、代行してきたということは……。そこで、そういう視野に立って、さて、日・満・日、日・満を認めてきておることも事実ですね。そうだとすれば、今度は、満・日のその満の在満期間を通算せぬという根拠はどうにも考えられない。その昭和十八年の法律第七十八号では解釈できないわけです。満州国についてはできますよ。満鉄については全然解釈ができないわけです。そうでしょう、そこのところを明らかにしていただいて、とにかく私は事実を指摘しているわけです。満鉄並びに満鉄職員の本質について、前任者は十分理解を持ったからこそ、そしてまた、当内閣委員会においては超党派で、全会一致で附帯決議が再三上げられておって、それに対する政府の所信の表明も、繰り返し申し上げたように、あるわけです。そういう事実から考えて、この日・満・日、日・満と満・日を区別する根拠はいままでの総務長官なり恩給局長の説明では理解できないのです。これはもう満鉄職員の本質から申し上げておるわけであって、前回の御答弁の中で、給与政策とかあるいは政策的配慮、考慮、こういうことばを使われて説明があったわけですけれども、この満鉄に関する、日・満・日、日・満と満・日とのこの在満期間の通算の問題はそんな給与政策とか政策的配慮、考慮、そういうことでは解釈できないわけです。本質論を申し上げておる。したがって、法律第七十八号によってこの問題を解明することはできないと思うのです。これは前回の恩給局長の答弁、そうして本日の前後二回にわたる御答弁を一括していまお伺いしているわけであります。これを私が理解できるような御答弁をいただきたいと思います。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○政府委員(臼井莊一君) 法律問題というより、私のお答えはまあ常識的な感覚で申し上げるということになるかもしれませんが、いま申し上げましたように、満鉄が日本政府の行政機関であるというはっきりした形も実質もそうであるというので、まあ従来もやめた者には日本政府の恩給法が適用されているということであれば、これはもうもちろん問題ないのでありますけれども、ただそうでない、しかしまあいまお説のとおり、確かに満鉄は日本の半官半民であるが重要な国策機関として多年にわたって満州において活動をし、また、行政の部分に属するような部面にまでやっていたということは事実でございます。そこでまあ職員等につきましては、日・満・日あるいは日・満のものにつきましては、日本の政府の公務員として当時でいえば官吏でございましょうが、として就職をした、ところが一つは国策のゆえもあり、いま言ったような重要な機関であるというので、行政にも練達した日本の官吏を満鉄の職員として送り出す必要に迫られて、いわば本人に因果を含めてと申しますか、御本人のほうでは張り切って、むしろ国策のためということでございましょうか、行かれた。しかし、スタートは、いわば契約としては日本の官吏として就職したという当初のあれがありますから、そのかわりには当然いつの日にかは日本にも官吏として戻れる、こういう前提のもとにおそらく行ったのであり、また側からの理由で向こうでやめたにしても、当初の日本の政府の官吏として就職した契約といいますか、そういうものはやめるまでは変わりなかったたわけで、そこで最初の約束どおり満鉄の社員の期間も通算したということはそれはまた当然だと思うのでありますが、しかし、最初に日本の官吏として就職したのでなくて、あちらの、満鉄の社員として就職した者は満鉄の社員として契約に基づいて就職したわけであります。したがって、いずれは日本の内地の官吏に採用するというこういう契約で就職をしたとも考えられないわけでございまして、それはまあ中にはそういうあれがあって、そういう契約を取りかわしていたというものがかりにあるとすれば、これは私の話はまた別になりますけれども、大体まさか満鉄がこういうような戦争によってああなるというふうなことも予想しなかったでありましょうし、日本の官吏に将来ならうということで就職していたということよりも、満鉄のためにということで、国策会社に就職した。こういうことであろうと思う。したがいまして、これを全部在任期間を日本の官吏と同じように通算するということには、そこに最初の約束から言っても違っていたとも推測できるわけでございまして、また事実いま申し上げましたように、満鉄に就職し、そこでやめられた方は、別に内地の官吏と同じように恩給を支給せられたということでもないわけでございまして、しかし、まあ不幸にして満州がああいうことになり、満鉄も同時になくなってしまったということで、日本の国におきましても、あたたかい気持ちで、内地に帰ってこられた方は最初の約束ではなかったにしても、そういうわけで日本の公務員に就職したという方については、少なくともこの恩給がつく程度にはその期間を認めるという、そういうことまではまあいたしたわけでありますが、ただまあしかし、これを前に何十年間満鉄にいた人だから、これを全部通算するというわけにはいかないというのは、一つはいま申し上げたような最初のスタートの契約に基づくものではないかというふうに、これはきわめて常識的な考えかもしれませんけれども、私はそう思うので、そこにまあ差があるというのが今日までの実情であって、それをまあ全部御要望どおりできなかったゆえんだと思う。しかし、この点につきましては、なお他の事例等もひとつ検討いたしまして、さらに親心をもって広げるということにおいても、ひとつできることならしてあげたいというふうにも私ども考えるのございますけれども、しかし、これはまあいろいろ他に波及する問題等もありますし、したがって、満鉄につとめておったその期間を全部これを恩給年限にそれを入れるということは、現在今日までのところではちょっと困難であると、こう申し上げざるを得ないわけであります。

伊藤顕道日本社会党

○伊藤顕道君 総務長官も先ほどの恩給局長と同様に、昭和十八年法律第七十八号によって満州国に行った場合、かつて恩給公務員であったかなかったかということを基準にして、いま解明があったわけだけれども、そういうかつて恩給公務員であったかなかったかということだけにとらわれると、これは満州国職員については当てはまっても、満鉄については当てはまらぬということを先ほど来申し上げておるわけです。それと恩給公務員であったかなかったかにとらわれると、問題はますます複雑になってくるわけだ。この前申し上げたと思いますが、逓信大臣の勧奨によって電信電話工事株式会社が設立された。これは純然たる民間の株式会社です。その純然たる民間の株式会社の職員であった者が、ということは恩給公務員では絶対なかったわけです、民間の株式会社の職員ですから。これはまるまると通算しておる。これをどういうふうに解明するかという問題、あるいはまた、私鉄を買収した際に、その私鉄、これも株式会社、私鉄も純然たる民間の株式会社であった。これを買収した際、その私鉄職員期間をまるまる通算しておる。恩給公務員でないことはもう明々白々の事実です。こういうことを申し上げると、この前も御答弁があったように、これは特殊な場合だというふうに簡単に片づけてしまう。恩給公務員でなければならぬという絶対の基準であるならば、そういう例外はないわけです。満鉄などと比較すべくもないし、電信電話工事株式会社、あるいは私鉄の職員これは満鉄社員と先ほど来申し上げた満鉄社員の本質、こういうことをあわせ考えてきた場合、しかも、その満鉄については実質上は政府の代行機関だというところまできたので、日・満については通算を認めておるのです。そこまでは認めてきたわけです。だとすれば満・日の場合、満鉄の在満期間を公務員期間として通算しないということは当たらないということを先ほど来指摘しておるわけです。こういうものとあわせ考えた場合、かつて恩給公務員であった、なかったということだけで解明はできない。満鉄の本質、満鉄職員の本質を踏まえて事を処理しなければならないわけです。しかも、日・満・日あるいは日・満のケースで日本の官吏から満鉄へ入った場合、そうしてまた日本に帰ってきた、あるいは日本の官吏で満鉄に入ってそうして終戦で日本に帰ってきては勤務しなかった、こういうケースですね、これはもう現実に認めておるわけですから、そういう満鉄社員と、今度は満・日の場合に当てはまる満鉄の社員でどう違うわけですか。これは同一勤務個所に同時に同一条件で、同一労働条件で勤務し、使命を果たしてきたわけです。ただ内地の公務員の前歴があるなしだけでこれを簡単に片づけておるわけです。日・満・日と日・満の満鉄社員と、満・日の場合の満鉄社員と、その質とかあるいは性格は根本的に違ったということは言えないわけです。同じ人間で、同じ労働条件で、同じように働いてきた、それを区別するのはおかしいじゃないかということをお伺いし続けてきたわけです。そこで、いろいろな角度から満・日のケースについても日・満・日、日・満の場合と同様にその在満期間を公務員期間として当然に認めるべきである、こういう立場からここ三回にわたって主張してきたわけです。しかし、このことは、要約すれば、満鉄なり満鉄職員の本質を理解することによって初めて解決される問題であって、先ほども申し上げたように、給与政策でもなければ政策的配慮に云々でもないわけです。そういうことでは解釈されないわけです。そこで私は、繰り返し申し上げておるように、こういうことをあわせ考えた場合には、満・日の在満期間を公務員期間として当然に認めなければならない、これだけ申し上げて、まだまだおわかりがないようなので、このまま質量な時間を空費しても非常に意味ないことでありますが、ただ当内閣委員会にいま予備付託となっております恩給法等の一部を改正する法律案、これはやがて審議されることになっておりますので、この法案に直接関連した問題であるので、その際ひとつ徹底的にこの問題を追及したいと思うのです。そこで、それまで若干時間もございますからこの時間でまず満鉄とそして職員の本質についてさらによく御勉強いただき、再三にわたって当内閣委員会で超党派で全会一致の附帯決議がなされたことをも踏まえていただき、さらにはそれに対する総務長官の政府を代表しての統一見解としての所信の表明があったという点、その内容は議事録に明確に出ておりますから、こういう点を踏まえて、これらから数歩前進のある形で結論を出されるようひとつ強く要望申し上げて、本問題に関する本日の質問は、この程度にとどめておきたいと思います。それぞれのお立場からこの要望に対してのひとつ決意のほどを御表明いただきたいと思います。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○政府委員(臼井莊一君) いま、伊藤先生の御趣旨はよくわかるのでございますが、ただ一つ恩給公務員でなかった者でも、国際電気通信株式会社の社員あるいは電電公社の社員がその後恩給を受ける通算のあれになったではないかというこの点につきましては、私もいま申し上げましたように、そのときの約束というか、雇用契約いかんによることだと思うのでありまして、その点について、いま、満鉄の社員と日本の公務員とのあれを私申し上げたのですが、この国際電通株式会社と電電公社の問題につきましても当時連合国最高司令官から日本国政府に対する覚え書きによって、政府がこれらの会社を吸収した。そのときに特別の法律をつくりまして、国際電気通信株式会社等の社員で公務員となった者の在職年の計算に関する恩給法の特例等に関する法律案というややこしい名前のそういう法律をつくって、そうして政府が全社員を、希望の者はみな、これに公務員として今度は採用するについては、この特例法によって前の会社に在職した年限も通算いたしますよという、そういう一つの法難によって契約を結んだということでございますから、これは前に恩給公務員の資格がなくてもここに法律によってできたと、こういうことで、これはもう当然だと思うのでございますが、ただ満・日の方々に対しては、別にそういう法律に基づいたわけでもなし・したがって、日本の公務員となられた際に、日本政府との契約は成立したのではないか、こうも考えられまするので、そこで、しかしまあ公務員となられてもやめられた方は、多年にわたって満鉄においていろいろ尽くされたその功績に対しては全然無関心であるということは当を得ていないというようなことで、恩給年限に達するまでは、それを年数を認めよう、全部これを認めるということは、いま申し上げたようなわけで、できないというのが従来の解釈であったのじゃないかと思うのでありますが、しかし、いろいろお話もございまするし、引き続いてひとつ一そうこの点も検討してみたい、かように考える次第であります。

柴田栄自由民主党

○委員長(柴田栄君) ほかに御質疑はございませんか。ほかに御発言がなければ、本件の調査は、この程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会      —————・—————

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