P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
48回国会参議院1965/04/27

石炭対策特別委員会 第16号

発言数
23
登壇者
7
会派数
2
開催日
1965/04/27

会議録

小柳勇日本社会党

○委員長(小柳勇君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  委員の異動について報告いたします。去る二十四日、佐藤芳男君、田中啓一君及び斎藤昇君が委員を辞任され、その補欠として石原幹市郎君、吉武恵市君及び川上為治君が選任されました。     —————————————

小柳勇日本社会党

○委員長(小柳勇君) 参考人の出席要求に関する件をおはかりいたします。  日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所爆発事故に関する件について、本日、日鉄鉱業株式会社取締役社長田所怜君及び同社伊王島鉱業所長宇野直之君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小柳勇日本社会党

○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————

小柳勇日本社会党

○委員長(小柳勇君) 当面の石炭対策樹立に関する調査として、日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所爆発事故に関する件を議題といたします。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、御出席いただき、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。  それでは、まず、政府から、伊王島炭鉱爆発事故に関するその後の経過について御説明願います。

川原英之通商産業省鉱山保安局長

○政府委員(川原英之君) 伊王島炭鉱の爆発に関しまして、その後もいろいろ先生方に御心労をおかけしておりますことをまことに恐縮に存じます。  先般の御報告に引き続きまして、その後の状況を概略御報告申し上げます。  罹災者の救済を終わりまして、十日から坑内の現況調査に入りまして、今日まで調査を継続いたしておる次第であります。現在までの段階におきまして、いろいろと坑内の倒ワクその他の状況から見まして、D九号ゲートに最重点を置きまして調査を行なっておる次第でございますが、その後、九号ゲートにおきますガスの停滞試験その他を行ないました。深い状況から見まして、爆発はおそらく九号ゲート坑道から進んでおるのではないか、かように現在の段階では考えられております。で、停滞試験等から見まして、一番九号ゲートの奥部に爆発限界のガスが停滞するということが見られましたので、その付近に重点をしぼっておるわけでありますが、これに伴いまして、ただ、これがいつごろからそのような状態になったかということにつきましては、現在関係の会社の方及び生存者にいろいろ具体的な聞き取りをいたしております段階で、そのいつごろからというような問題につきましては、なお現在詰めている段階であります。  なお、問題となります火源でございますが、これはその地区におきましての火源としまして考えられます動力線、それから、信号線及び電気機器、ハッパというようなそれぞれの火源につきまして、それぞれの必要な試験を、現在その必要な品物を坑外に搬出いたしまして試験を行ないますと同時に、並行的に聞き取りを行なっておるという段階でございますが、これらのそれぞれにつきまして具体的なテストの結果が出るのを待ちまして、その原因をさらに最終的に詰めてまいりたいと、かように存じておる次第でございます。私どもとしましては、一日も早くこの最終的な点を詰めていきたいと思いますし、また、そうできると現在の段階では思っておりますが、なお、ただいまのところで、最終的にこれという裏づけのきめ手をつかむまでにはまだ至っておりません。  それから、その後の病院に入院しておられます患者の状態でございますが、二十六日現在で、当初入院されました十二名のうちで、六名はすでに退院をされております。一名は長崎大学に転院をいたしまして、大腿骨折でございますので、これはなお相当の治療期間を要するものと、かように存じます。  なお、遺族の問題につきましては、先般御報告申し上げましたように、労災補償金はすでに支払っておりますけれども、その後の会社側からの弔慰金及び未亡人の就職という問題につきましては、現地に県及び職業安定所を中心といたします相談あっせん機関を設けまして、そのあっせんに応ずる体制だけはつくっておりますが、もちろんこれは第一次的には会社のほうでいろいろとこのお世話をされることでありますけれども、なお現在労使間において団体交渉が継続いたしておるように聞いております。それらの結果を待ちますと同時に、未亡人のいろいろ気持ちがだんだんに定まって、これから先の方針等もきまりますのを待ちまして、われわれとしては積極的にそういう方法を講じてまいりたいと、かように存じておる次第でございます。  現在の段階におきまして、伊王島炭鉱爆発に関するその後の状況の判明をいたしましたのは以上のとおりでございます。

小柳勇日本社会党

○委員長(小柳勇君) 次に、宇野参考人から、事故の概略について御説明願います。

宇野直之日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所長

○参考人(宇野直之君) 御指名によりまして——その前に、このたびの事故につきまして、先生方はじめ、官庁の皆さまに非常に御迷惑、御心配をかけましたことを深くおわび申し上げる次第であります。また、調査団をお送りくださいまして、何かとアドバイスいただきましたことを、厚くお礼を申し上げる次第であります。  ただいまから、伊王島鉱業所の概略と、このたびの事故について御説明申し上げます。  長崎の町がこれから約十キロのところにあり、ちょうど長崎の港の防波堤のようなかっこうで伊王島というのがございます。これは沖ノ島と伊王島と両方の島からなっておりまして、人口は約七千人ばかりであります。そのうち、炭鉱の従業員は千三百八十人であります。これはもちろん職員その他全部含めての数字であります。坑口は、この沖ノ島のこの中央の地区にありまして、これから約二十度四十分で卸しをおろしております。約七百メーターで、宙士坑道と私のほうでは申しておりますが、この富士坑道に着きまして、それから水平坑道千二百メーターでこの四卸しという位置まで来るわけであります。四卸しは十八度の傾斜をもちまして、また卸しをつけておりますが、これからこれが約六百五十メーターばかりあります。その坑底からまた水平坑道で千二百メーター行きまして、ちょうどこの位置になるわけですが、ここでこれからまた二十五メーター、実際は上部のほうになります。ここで今度の災害を引き起こした次第であります。炭層といたしましては、ここにありますが、上から五尺、三尺、十尺、二尺、十一尺、こういう五層の炭層を採掘いたしておりまして、現在稼行しておる炭層は、上から二番目と三番目のこれが三尺層、これが十尺層でありますが、その二層を現在稼行いたしておるのであります。区域といたしましては、ここにこういう断層がありまして、第一断層と申しております。ここに第二断層、それから、こちらのほうに灰脇断層、こういうのがありまして、おのおのこれは百メーター以上の食い違いをしております。区域といたしましては、この区域を現在採掘いたしております。私のほうでこれを三区と申しております。三区の区域を現在採掘いたしておるのでありますが、出炭は月に三万三千トンであります。年間四十万トンという目標でやっておるのであります。図面が非常に込み入りまして、非常に見にくいと思われますけれども、大体申し上げますと、私のほうでは、この上の五尺と三尺を上層分と称しておりまして、十尺それから二尺、十一尺、この三層を下層分として採掘をいたしております。上層分は五尺層、大体この近所にあるのでありますが、まあ海底下大体二百メーターから二百五十メーターくらいの区域でありまして、まあ危険予防——これは水に対してでありますが、危険予防ということで採掘を中止いたしております。一部ここでやったことがあるのですが、約二、三立方の水が出たことがあります。現在そこからは約一立方くらいの水が出ておりまして、そういうことでこの区域の五尺層は採掘を中止、現在は三層一層だけ採掘いたしております。下層分は、これはこの区域ほとんど全域にわたりましてこの三層は逐次採掘をいたすのでありますが、現在では十尺から、上からだんだん下に下がっていく方針で採掘をいたしておるのであります。この山は、やはりガスがかなりの量あるので、炭じんもありますし、あるいは、それに海底でありますので、水も用心をしなければならぬ、こういうことで、この三つについては、私はじめ、みな相当神経を使ってやっておるのであります。この三層の上層のほうは、ガス量から申しますとわりに少ないのでありまして、下層分はそれに比べますと非常に多いので、ここを採掘をいたしますには、全部下盤に坑道を持ちまして、それから上層に切り上がって採掘をいたしておるのであります。これは全層を払うので、重圧の関係と、それからガスその他の問題につきましてそういう採掘方法をとっておるのであります。だから、この四卸しでありますが、これもこれから下約四十メーターのところを掘進してきております。これも約二十メーターくらいの掘進を、この全層の下のほうの坑道を岩石掘進を全部やっておるわけであります。しかしながら、ここで断層の状況が少し変わりまして、あとからも申し上げますが、この辺では十尺層を切り抜いております。現在、払いといたしましては、赤く塗ってありますこの十尺の払いと、ここに塗ってあるこの十尺の払い、ここが三尺層のこの層の払い、それから、ここに小さい払いが一つあるのですが、この四つをもって現在出炭をいたしております。この三尺層は一メーター内外の山たけでありまして、これは一片で払っております。この長さは約百四十メーター、こちらのほうとこれのほうは、この十尺層は約四メーター二、三十の山たけがありますので、半分ずつ切りまして採掘をいたしております。これから上を先に払いまして人工天盤をつくります。人工天盤と申しますのは、一番下にアングル・ビームを一メーター間隔で置き、それに帯鉄を入れまして、その上に金網を張っております。そしてその上層二メートルを払いまして、約十五メートルから二十メートルおくれましてこの下層のほうを追っかけて払っていく方法であります。こういうものは全部このコンベアその他によりましてポケットをつくり、その下の片盤——片盤と申しましても岩石坑道ですが、この卸しもやはり二十メートルから十五メートル下の坑道であります。これは片盤もそうでありますが、それに全部おろしまして、下で箱に積んで坑外のほうに運搬する、こういう状態になっております。通気でありますが、通気は、こっちの二本の、昔ほこれは中央式を用いまして、片方は入気、片方は排気となっておりましたが、現在立て坑がここにありまして、この連絡坑道によりまして、二本の坑道ともに入気で、こういうところを洗ったものは全部こちらのほうを通りまして、こちらもこう通って、対偶式にいくようになっております。  この現場につきましてまた御説明を申し上げます。これは私どものほうで四幹線と申しておりますが、この坑道の先のほうが、この図面がちょっとこれは小さくて申しわけありませんけれども、見にくいと思いますが、この坑道になるわけであります。ここがここの位置になりますが、ここでは断層がもう出ておりまして、あれからぐっともう持ち上がっております。これからこれがさいぜん申し上げました十尺層でありますが、ほんとうはこの十尺層の下をずっとくぐってきておったのであります。そうしますと、この辺で二尺層あるいは十尺層で、ちょうど炭層がこういうふうに傾いておる関係から、これを上走りへいって、これは水平でありますが、層からいきますとこの十尺層の上に出ておる、こういう状態であります。これから水平坑道にこういきまして、ここから今度また上っております。上りまして、ここのこれが三尺層の沿層坑道ですが、上についておるわけです。この差は約二十五メートルであります。この十尺層とこの三尺層、この差は大体三十八、九から四十メートルの間隔を持っておりますが、さいぜん申し上げましたように、これは上走りといったものだから、ここでは二十五メートルになっておるのであります。ここにこれはポケットができておりまして、これからこの下の片盤のところにポケットをつくりまして、その下の片盤に運び出す払いは、ちょうどこれから払い始めまして、こういうぐあいに斜めに赤の線を承ってありますが、ここまで払ってきておるのであります。これはさいぜん申しましたように、ホーベルで百四十メートルの払いの長さを持っております。この石炭は、ここで積んだものは、ここでゲートのコンベアがありまして、これからこちらのほうに運搬して、石炭はこういうふうにこれで運搬されて、ここでポケットに入れたものは下の箱に入れて、電車その他によって坑外に出る、こういう仕組みであります。  一方、ここに中央の払いが、これが八号の払いであります。これが九号の払いになるのですが、ここに切り羽をつくるために、ここにこういう坑道を持っておったのであります。それから、  こちらが片坑になって、これがこういうぐあいに伸びておったのでありますが、この辺の地層は、非常に断層がここにこう出ておりまして、これからぐっと持ち上がってここへずっとまいっておるのであります。大きく申しますと、小さく非常に出入りが多い、出入りといいますか、高低差が非常に多くて、ストライクの方向も非常に変わるような状態になっております。ここで申しますと、ここからこちらのほうにだんだん上りになって、それから下りになって、これからまた水平になって、それからまた上ってきておる。詰めのほうでは約二十度近くになっておるという状態でありまして、こちらのほうではやがて断層が出るのじゃないかというふうな状態のところであります。こういう状態のところにおきまして、ここでこれから掘進目抜きをとるために掘進をいたしておったのであります。  災害のありました九日の日の繰り込み状態は、この払いに二十九名の採炭員、それと職員が一名、それに助手が一名、ここの掘進に四名、この掘進に四名、これの係員が一名、それとここのこれは肩風道になるわけですが、ここの仕繰りに、切り上げワク入れでありますが、これに二人、そのほか電気の係員が一名、それから電工が一名、修繕工が一名、合計四十五人ほど繰り込まれて仕事をしておったのであります。そして災害のあった時間は九日の午前六時十分でありますが、その当時は、ちょうど仕事が終わっておったのではないかと想像をされるのであります。この肩のここの作業状態は、私のほうでは大体一番、二番、三番と三交代で仕事をしておりまして、一番は朝の七時から始まるわけです。それから二番が三時、それから三番が夜の十一時から朝の七時まで、こういうぐあいな作業方式でありまして、ちょうどこの払いは二方採炭をいたしておるのであります。その事件のありました先週は一番方と二番方で採掘しております。ここに小さい払いがあると申しましたが、それとこれがちょうど三番で仕事をしておる。そしてこの週は二番、三番で仕事をして、この小さい払いは一番、この二つの払いで一、二、三というような繰り込み方をして仕事をしておったのであります。それで、ちょうど六時十分と申しますと、坑口に上がるのに約五十分要するのであります。だからこの作業もみんなやめて、この付近、あるいはこの付近、あるいはこの付近、こういうところで着がえをちょうどやっておったときに突然の爆発のために罹災されたのではないかと、こう思います。四十五名と申しましたが、その中の採炭員の中の一名は、むすこさんの用事があるんだということで十分間ばかり早く上がったのだそうで、それで、その方は坑外に上がるまでこの事件は知らなかったと、だから実際に罹災したのは四十四名でありまして、その中の三十名が殉職いたしました。十四名が負傷いたした次第であります。それの殉職者の位置を申しますと、ここは、これはホーベルの払いの取り口のところになるわけでございますが、この付近で七名、それから、これが風道でありますが、ここで八名、それから、このこちら側の風道のほうで六名、それから、この掘進で四名、それから、ここの掘進で一人、この辺で二人、ここの辺が一人というふうにばらばらでありますが、この掘進で四名、それから、この辺で一人、合計三十名殉職いたしましたのであります。  この原因につきましては、ただいま保安局長さんからお話がありましたのでありますが、原因は、やはりメタンガスの爆発と思われるのであります。私のほうといたしましても、これが事件につきまして詳細な調査をやる予定にいたしておるのでありまして、現在まで少しずつやっておりますが、いままで証拠物件になるような日誌とか、あるいはここに使ってあるケーブルその他、そういうものを全部没収されておりまして、詳しいことがまだ私のほうとしてはできておりません。しかしながら、このことにつきましては、私は私なりにまたよく調査をいたしましてこの原因その他をつかみ、将来の保安に万全を尽くしたい、こう考えておる次第でございます。  非常に簡単でございますが。

小柳勇日本社会党

○委員長(小柳勇君) それでは、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 ただいま鉱山保安局長から、その後の経過と、現地の所長さんから、伊王島炭鉱の現状、さらに、また、坑内の状況等について御説明がありましたが、ただいままで説明された内容について具体的に質問をいたしたいと存じますが、その前に、この際、私どもの考えを本日の参考人のお二方に申し上げておきたいと思うのでありますが、それは、最近の石炭経営者の態度を見ますると、爆発事故が起きた際に、国会に参考人として来ていただきまして、私ども議員がお尋ねをすることについて非常に不満があるやの話を承っております。なるほど、考えてみますれば、石炭産業それ自体は私企業でありまするからして、私企業に対して国会がとやかく言うのはけしからぬではないかという議論も成り立つかと存じます。しかし、議員である私どもの立場から考えてみますると、これは伊王島鉱の爆発にとどまらず、あらゆる炭鉱の爆発に当然当てはまることでありまするが、非常に多くの犠牲者を出し、とうとい生命を失わせしめたということは、まず、道義的に経営者として対社会に対して責任を負わなければならぬだろうということを私は感ずるのであります。特に私どもは、鉱山に働く労働者の生命を守るために鉱山保安法というものが制定をされ、その法律に基づいて規則その他が現在あるわけでありまするが、もし、しばしばこの種の事故が発生をし、とうとい犠牲者を出すというような結果になるといたしますれば、われわれとしては、いま制定されております鉱山保安法、あるいは鉱山保安規則というものそれ自身に不備があるから人命がそこなわれるのではないかという考えを持たざるを得ないのであります。したがって、爆発事故というものが不可抗力であるといたしますれば、抜本的に法律の改正を、われわれ議員の立場においては、議会においては考えざるを得ないという問題が一つあります。また、今日の石炭企業は、私から申すまでもなく、私企業であることは間違いありませんけれども、国家から手厚い保護を受けている、たとえば他の企業では見られないほどの借り入れ金を政府関係金融機関等を通じて行なっておる、あるいは、また、先般のように、炭価の引き上げ問題については、調査団の答申というものを背景にして、事実上政府と調査団が需要者側と炭価の交渉を行なうというようなことであります。あるいは、また、保安面に関しては無利子の金をまたお借しするというようなことで、言うてみますれば、金を借りることから採掘された石炭を売るまでの間に、非常に多くの国家的な保護措置を法律上、予算上受けられておるのであります。したがって、それだけの法律上、予算上の保護措置を議会が政府を通じて行なっているといたしますれば、当然のことといたしまして、私どもは石炭産業それ自身に対して関心を持たざるを得ない、こういう立場にありますからして、爆発事故というものが再び繰り返されないようにという前提で、各社とも、しばしば参考人として当委員会にお招きをして御意見を承っておるのであります。そういう意味で、私どもはなぜ参考人の方々を呼ぶかという私どもの立場を、この際、ひとつ御理解を願いたいと、こう存じます。そこで、この問題が将来法律的にどう発展をしていくかということになりますれば、これは国会の場で議論する問題ではない、刑事上、保安責任者ないしは社長が責任を追及されるかどうかという問題、これは申すまでもなく、検察庁その他でこれからもなおおやりになることでありまするから、私自身そういう問題に触れるという気持ちはございません。ただ、私どもも、鉱山保安法というものを、現在、鉱山の保安維持のための柱としてつくっておりまする関係上、もしこの鉱山保安法に不備があって、そのために事故が起こるということでありますれば、当然のこととして、法律の改正をしなければならない。また、保安法の中である種の基準があるといたしますれば、その基準が今日の炭鉱情勢に適合しているものかどうかということも判断しなければならないのであります。  そこで、いま所長さんから今日までの経過の概要の御説明がありました。ただ、残念なことには、どこでおおよそどういうような経過に基づいてこの種の事故が起こったかということについては一言も触れられておらない、なるほど、これが刑事上の責任が発生をするといたしますれば、その調査をしなきゃならぬという立場から、検察庁その他が坑内にある諸物件を持っていかれて調べられることは当然であります。したがって、最終的に原因が何であったかということは、もちろんこれは言えないことでありましょうけれども、しかし、今日、爆発があって幾日もたたないうちに坑内はおおよそ原形に復旧をし、しかも、原形に復旧をした中で試験を行なった結果、ガスの滞留が認められるということでありますれば、当然のこととして、どこが一体爆発の地点であり、おおよそ熱風なり圧風なりというものがどの方向に走っていってるから、おおよそここが中心と思われる、あるいは、また、なぜそこにガスが停滞をしたのかということも私はわからないはずがないと思うのであります。特に私は先般の委員会でも指摘をいたしておきましたが、私自身、当委員会の調査団の一員として参考人が経営されておりまする山に行きませんでしたから、当時のことはわかりませんが、その経過の中には、明らかに当時ガスが滞留していたということを示しているわけです。そうなってまいりますれば、私は、やはりなぜガスが滞留をしていたかということは、おそらく現地をあずかる所長さんはおわかりになっておることと思う。したがって、単に現在調査中であるというような御発言ではなしに、なぜ一体ガスが停滞をしたのか、その理由はどこにあるのかということを御説明願いたいと思いまするし、それから、また、火源は一体何なのか、ケーブルなのか、あるいはその他付属する設備が原因であったのか、信号線が原因であったのか、いろいろあると思われまするが、もし火源というものが具体的に指摘できないといたしましても、幾ら火があっても、ガスがなければ爆発がないわけでありまするから、もし火源がわからなければ、ガスがなぜ停滞をしていたかということは私はおわかりになると思う。ですから、この際、具体的に、なぜガスが停滞をしたかということについて、最終的に絶対これだということを述べることは困難だと思うのですが、およそこういう理由のためにガスが停滞をしたということは、私は言えるのじゃないか、そういう意味で、所長さんから、いま私が申し上げたことについて御答弁がいただけるならばお答えを願いたいと存じます。

宇野直之日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所長

○参考人(宇野直之君) 大矢先生のお尋ねにつきましてお答え申し上げます。まあ私がさいぜん決定的なことはわかりませんと申しましたのでありまして、しかしながら、現在の状態で想像のつくこと、まだ十分な調べはついていないのでありまして、そういう立場でありますので、そのつもりでお開き願えれば非常に幸いと存ずるのであります。  さいぜん御説明の中で、三尺層は非常にガスが少ないと申しておきましたが、実際にガスはないかと申しますと、絶対そうじゃなくて、ガスはあるのであります。大体こういう払い、あるいは掘進をやりますと、〇・三から〇・四というくらいのガスはつくのでありまして、もちろんこれは通風を遮断しますと次第に濃厚なガスがたまるくらいの状況のところであります。一番問題になるのはこの九号ゲートと考えております。この掘進は一月ごろから始めた掘進でありまして、去る四月のこれは二日でありますが、ここにボーリングの穴が一つあったのであります。それはボーリングと申しますのは、この上層のこの辺を掘進いたしておりまして、この三尺層を掘進いたしておったのであります。それからこの下に、どういう炭層状況であるか、ボーリングを打っておったのであります。これは三十五年の三月に仕事をしたのでありまして、その当時約一カ月間を要しまして百二十メーターのボーリングを打っております。そうして、その当時も幾らかガスがそのボーリングの穴から出ておったようでありますが、幾らかというのは〇・一%足らずと申しておりましたが、それをボーリングの目的を終わりまして、セメントを約十袋入れて一応ふさいでおったのだそうです。そのボーリングの穴に、この先でありますが、つきまして、一時ガスが少し出たことがあります。しかし、まあ一、二時間、三時間くらいで全部排除いたしまして、その当時のガスがやはり〇・六、〇・七くらいのガスがかかっておったのであります。そういうような状態で、これはまだ掘進をいたしておりまして、大体それから後、掘進は三方から掘進をいたしておりますが、その後、そこの観測状況を見ますと、やはり〇・六くらいのガスがかかっておったのであります。それ以前は、いま申しましたように、〇・三か〇・四であったので、その差だけはやはりこのボーリングの穴からガスが出ておったのであります。しかしながら、通風は扇風機をかけておるのでありまして、それであればそう危険はなかったものと考えております。その後、七日の日に、ここに入口を入れたのでありまして、その入口を入れるときに、その前にケーブルも通っておりまして、それから風管も通っておる、あるいは圧気管、押し上げ管、そういうものもこの前に通っておったわけですが、そこを七日の一、二、三で切り広げまして、冠ワク差梁を入れたようであります。そうして八日の一、二、三、ここで掘進をいたしております。三尺層は私のほうではハッパを許しておるのであります。三尺層と岩石坑道だけはハッパを許しておりまして、下層群その他には絶対ハッパをかけることは禁止いたしております。もちろん何かの支障のためハッパをかける場合は技術保安管理者の許可を得ましてやることにいたしております。しかしながら、三尺層のほうでは、大体いま申し上げましたように〇・三%くらいのガスでありますので、これにハッパを許しております。そういうことでハッパをかけた。かけるときには、やはり風管を一応切らなければならぬのであります。切らないでやるということになると、これは結局ハッパのために風管をこわしてしまいますので、そこのハッパをやる場合に風管を切る。切ったあとをはたしてつないだかということがここで疑問になるわけであります。七日の日の両方のものの経過を聞いてみますというと、この詰めで〇・六くらいのガスで、八日の日のものが全然私のほうではわからぬのでありますが、おそらく風管を切って切りっぱなしにしたんじゃなかろうか。そうしますとここにガスがたまるのであります。これは監督官のほうでもそこのガスコンターを出しております、約六時間。これはもう私のただぱっと聞いたのを申し上げるのでありまして、数字その他は間違っておるかもしれません。六時間とめまして、大体詰めで四五%、それから十五メーター下がりまして、天井で二五%、下で八%というような話を私ちょっと聞いております。そうしますと、結局その方においてハッパをかけたあとを風管をつながなかったということでここにガスがたまって、たまたまそのガスのたまったことと何かの火源によって爆発したと、こういうぐあいに判定されるので、その火源はそれでは何かと申しますというと、さいぜん申しましたように、上りになっておりまして、ここのホイストが二十馬力のホイストを使っております。それから、また今度は下りになりますけれども、これはここのこれから先の図面がここの図面であります。だから、こういう傾斜を書きますと、こういうぐあいにずっと上がっていっています。それで、ここに二十馬力のホイストがありまして、ここに十馬力のポンプを据えてあります。ここが船底になるので、わずかな水でありますが、水がたまるわけです。それでここにポンプを一台据えてあります。それからずっと掘進していきまして、今度上りになるものですから、ここに二十馬力のホイストを据えております。まあそういうことで、電源といたしましては、ここにケーブルをここまで一段落、それからまたホイストを据えて、そのホイストに対する合い図線がここに張ってあるわけであります。そのポンプはいつ据えたかと申しますと、これは一月の二十八日に据えております。それから、ちょうどこれからこの間に百三十五メートルのケーブルを持っていって一月の二十八日に据えております。それから、ここから今度上りになりまして、ホイストを据えたのが三月二十五日、これは八十三メートルのケーブルをもってやっております。合い図線はこちらのほうで七十五メートルの線を使っております。こちらのほうは百三十五メートルの合い図線を使っております。  それで、ここで問題になるのは、火源と申しますと、結局ハッパによるものと電源によるものもそのほか摩擦とか何とかありますけれども、そういうことはここではおそらく考えられません。結局電源のものか、あるいはハッパのものかということになるのですが、ここでハッパを事実かけておりますので、それを見ますと、石炭とその上の約七十センチぐらいの天井を落としまして坑道をつくることになるのですが、その下の石炭だけを取りまして、上の天井落としの穴を八木繰り、火薬が詰まったままであります。そうしてこの下の石炭も十分出ていなくて、少し、われわれはハチを打つと申しますが、そういう傾向を示しております。だから、どうも三番方の仕事量から申しまして、あまり十分な仕事をしていない。それから、詰めのワクを入れたのを見ますと、このワクは五十キロの企梁を使っておりますが、このワクを入れると向こうの穴が繰れぬような状態のワクを入れてあります。結局そういうことはハッパのあとからワク入れをしておるというふうにも見受けられます。そうしますと、仕事量からいくと、どうもあそこの最初のハッパがこの金ワクを倒したのではないかと思われます。ここは冠ワク差梁を入れておりまして、どうもこの金ワクを倒したのじゃないかというように思われますが、私その辺を確かめておりません。その仕事量からいいますと、ちょっと疑問があるように私は思っております。だから、結局そこで風管を切ったということが一番問題になるわけであります。  災害のあとの犠牲者の位置を見ますと、ちょうど入り口の前で先山が倒れている。そうしてここで函が巻き上げられているような状態でありました。その函が押しやられて二、三メートルほどロープがゆるんでおりました。ここに二人死んでおり、それから、この巻き方がここへ出て倒れておる。それと保安係員のハッパ係員がここで倒れておる。そうしてこの係員はちゃんとハンドルを持っておる、そうしてハッパ機はここにあるということで、まさかハッパをかけたときに入り口に人が倒れておるということもちょっと考えられませんので、結局ハッパによる事故というものは考えられぬような気がいたします。  今度は、電源でありますが、このケーブルは、一月の二十八日にポンプを据えるためにこのケーブルを入れたのでありますが、この全部のケーブルはみんな性能のいいケーブルを使っております。これはクロロプレン・キャップタイヤ・ケーブルを使っておりまして、これは三種のものを使っております。しかも、ここに張るときには、これは倉庫から新品を受けてきております。抵抗試験もやったようでありまして、大体基準といたしましては一メグウォームもあればいいのを、これをはかってみますと百メグウォームの抵抗のものを使っておりまして、十分りっぱなものを私は使っておると思っております。  それから、この三月二十五日にこれを張ったのは、ここのケーブルも同じケーブルでありますが、これは新品ではなくて、新品をどこかに一応ちょっと使って、そうして坑外に上げて、それをまた整備をいたしまして下げたケーブルであります。程度としてはこちらに劣らないくらいの程度でありまして、やはり下げるときには、全部電気抵抗その他を調べております。これもやはり百メグウォームの抵抗を持っておりまして、十分な品と考えておるのであります。  また、この合い図線でありますが、合い図線は、これは三・五のキャップタイヤ・ケーブルを使っておりまして、これもやはり程度の非常にいいものを全部使っておるのであります。だから、自然的に劣化して火を吹いたというぐあいには考えられないのであります。また、下げて坑内に持っていって使った時期からいっても、そう日にちはたっておりませんし、劣化による自然的な火花を出すというようにも考えられぬ。そうしますと、衝撃によるとか何とかということになるわけですが、その衝撃はどうしてそういうぐあいになったのか、まだはっきり私としても考えがつかないのであります。まあどこかでとにかくやったんだ。それで、この現場を見ますというと、ここの要するにポンプから奥のほうはほとんどワクもいたんでおりません。ただ、この付近で一ワクだけ倒れたのがあり、それから、この辺に大きな岩も一つころんでおるのですが、それから、この詰のほうへ行きますと、逆に金梁が少しずれているように見受けます。それから、こちらのほうは全部このこれからこれにかけまして、これは七尺の鉄梁に木の柱のワクであります。全部ではないが、ほとんどこれはこちら向きに倒れている。そうして前に述べました函がここにあったのが逆に押し上げられてとまっている。それから、ここにポケットがありますが、この向こうのほうにノーフェーズ・ブレーカーといって、遮断する自動遮断機を置いておった。こちらの方面に対する電力を、何かの衝撃があった場合には自動的に遮断するように、そのブレーカーをここに置いたのです。それは五百ボルトのものでありますが、ここに償いておいたのであります。それが吹っ飛んで、このポケットの上まで飛んできているというようなことから想像いたしますと、どうも火源はやはりこれから奥にあって、これから吹いて、こうやって近所を洗っていったと、こういうぐあいに想像されるのであります。  以上であります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 いま所長から火源とおぼしきもの、また、ガスがなぜ滞留したかということについて御説明がありました。もちろん坑内の安全を維持していく上におきましては、一つには火源と思われるものは坑内から逆にこれを排除しなければいかぬということが当然だと思います。しかし、今日の炭鉱の技術、設備、能力その他から判断をしてみて、坑内から一切の火源と思われるものをなくするということは、およそ私はむずかしいのではないかという感じがするのであります。たとえば電気系統、あるいはハッパ、あるいは、また、金属の接触、あるいは、また、もし炭車が入っているとすれば、その炭車等々、いろいろと火源となるものが現実には存在をするのでありますからして、したがって、坑内から一切の火源をなくするために努力をすることは当然でありますが、これ自身は、およそ私は不可能に近いことだと思うのであります。したがって、今日も保安を確保する上においてなさなければならないことは、たとい多少の火源はあっても、ガスがなければ爆発はしないわけでありまするから、爆発を起こさない最も近道は、坑内に停滞留のガスをなくして爆発を未然に防止をするということがまず重要なことだと、私はこう思っております。そこで、ガスがなぜ滞留をしたのかということについて、ただいま所長は、ビニール風管が切れておそらくガスの排除ができなかった、したがって、停滞をしたのではないかというようなお話のように私は承りました。しかし、あなたは、かつてのボーリングのあとから少しづつガスが出ておるから、こういうことも原因ではないかというようなお話にもとれる面があります。しかし、あなたの説明によると、〇・三ないし〇・六程度のガスしか測定をしてみてなかったというお話であります。今日、零コンマ台のガスで坑内が爆発を、かりに火源があったとしても、することになりますれば、現在の鉱山保安法なり保安規則なりというものは、おおよそ無意味にひとしいのであります。零コンマ台で爆発が起こるなどということは、今日の炭鉱の保安技術では想像もできないことであります。私は、はかった当時はあるいは〇・三ないし〇・六であったかもわからないが、しかし、爆発をしたときには、かなりの濃厚な停滞ガスがあったことは、爆発をしたという事実によって私は立証されると、こう思います。  そこで、こまかい面のこういう点の指摘はいろいろありまするが、本日もかなり時間もおそいようでありますので、結論だけ私はお尋ねをしたいと思う。この種の事故は未然に防止をすることができるものではなかったのかということであります。たとえば特質ガスがあり、たまたまその特質ガスが出たところに火源があって爆発をしたというような場合には不可抗力ということばを使うことができるでありましょうが、風管が切れたとか、ボーリングの個所を密閉したが、その密閉のあとからもガスが出てきたとか、そういうことは不可抗力とは言いがたい問題であります。特に爆発をしたという事実は、このことを明瞭に物語っていると思うのでありまするが、現地の保安をあずかり、また、現地で実際の作業をあずかる所長として、今回のこの伊王島事故というものは不可抗力であったのか、あるいは、まだまだなすべきことがあったにもかかわらず、手抜かりであったため事故が起きたのか、この点だけを私は明確にお答えいただきたいと思う。

宇野直之日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所長

○参考人(宇野直之君) お答え申し上げます。その点につきましては、いまから私はもうこれは徹底的に調査をいたしまして、その大矢先生の言われる結論を出したいと思っております。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 先週、鉱山保安局長さんから承ったのとほとんど変わりがなくて、まだ原因がわかりませんということですから、あと始末でお忙しいところ来ていただいて、将来の参考のためにお伺いして、私どもの立場でできることがあればということではるばるおいでを願ったわけですが、原因がまだ全然わからぬということなら、これはやむを得ないことですが、ただ、大矢委員と所長さんとの質疑応答の中で、私二つ三つふしぎに思うことは、所長さんはいま風管のことを何度も、断定はしておりませんけれども、もしやということをおっしゃっているんですね。そこで、私は、当時、小柳団長のお供をして調査に参った一人ですが、その問題をあなたの所長室で、そこら辺に疑念はありませんかと言いましたところが、九州保安監督局の人もおったわけですが、私そんなこと全然関係ありませんという、きつい否定をされたことばであったわけです。そこで、私は、どうもふしぎにたえぬので、ここにおられる川原保安局長と帰り道、道々、ハッパがどんときて、石が飛んできて風管がかけて、風管の用をなさなくなったので、そこら辺からやったんじゃありませんかと、ぼそぼそ話をしたのでありますが、あなたのほうの技術者と、九州の保安監督局の派遣されておる方が否定されるものですから、ぼくたちは国会に対する報告書からカットした。いまさらそれが出てくるのはおかしいということが一つと、それから、もう一つどうも納得できぬのは、保安日誌その他を押収されたから云々ということをおっしゃっている。なるほど保安日誌を押収されれば、参考にして調査の判断にはできないかもしれませんけれども、私、日鉄鉱業の会社の内容なりその職制というものはどういう方法になっておるかわかりませんが、しかし、おそらく伊玉高鉱業所においても、各切り羽なり、あるいは卸し別なり、あるいは区域別なり、保安日誌が何冊もあるわけです。ところが、その保安日誌が長崎県弊に押収されているか、保安監督署に押収されているかわかりませんが、少なくとも三交代で現場の係員——一番方係員、二番方係員、三番方の係員、あるいはそこの主任というか係長というか、あるいは課長、最後にあなたのところまでいって決裁を受ける。ですから、確かにその保安日誌は押収されて、あなたの手元にはないかもしれませんけれども、どういうことを書いたくらいは、どなたも警察に勾留されておらぬわけですから、少なくとも二冊の保安日誌は数人によってやはり見られているわけですから、それがないためにわかりませんということは、どうも私理解に苦しむのですよ。ですから、その点が第二ということです。  第三点は、こういうところでいったんでないかということで、私なりに保安局の報告等に不明なところがありましたが、今日の段階では、もう専門のあなたたちがわかりませんということですからあれですが、いま病院に入っておる人、との人にやはり健康体になってからお聞きするという話もありますが、いま病院に入って治療を受けている人は、干渉計を持ってガスの測定業務に携わっておった人たちはない。ですから、あの人たちは、ガスが三%あるか五%あるかわからないわけです。幾ら全快されてもとに戻ってもわからない。ですから、あの人たちが何%ガスの含有量があったかということは、とうていあの人たちによって知ることはできないのでなかろうかと私は思う。  それからももう一つお尋ねしたいことは、そこの二十馬力ですか、ホイストのベルトが焼けておったわけです。そういう事実はないわけですか。ホイストのゴムベルトがありますね、そのベルトが焼き切れておったということを聞いたのですが、いまその報告がなかったので、その点をお聞きしたいのですが。

宇野直之日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所長

○参考人(宇野直之君) お答え申し上げます。保安日誌がないからわからぬということですが、これはやはりただ聞いたばかりでは、証拠というものについて両方からこれは見ていかねば、ほんとうにその人がそういうことを言っているだろうかということも一つの証拠になりはせぬかと私は考えておるのでございます。もちろん調べるには逐次調べて現在いっておるのでありますが、最初のうちは、調べることより、まず遺体の搬出、そのほか種々なことに取りまぎれましてその機会がなかったのであります。また、大体一段落つきますというと、当事者全部警察あるいは監督官の調書その他ありまして、その時期がだんだん延びてきておりました。このごろ時期がきましたのでやっておるというのであります。その間、早くやれば先生のいわれるようにできたかもわかりません。しかしながら、あの現場といたしましては、なかなかできなかったのであります。御了承のほどをお願いいたしたいのであります。また、病院に入っている方の話も、もうすでに大部分の方が退院をされましたので、これも十分に調べておるのであります。  それから、ホイストのベルトと申しますか、ホイストはベルトは使っていないのでございますが、ギア・モーターのホイストでございますか。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 一番初めにいいました、風管をハッパで断ち切ったのじゃないかという問題はいかがですか。

宇野直之日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所長

○参考人(宇野直之君) その風管はそうでありません。ハッパをかけるときには、風管をやはり切らなければならないような状態であります。だから、風管をおそらく切りまして、そしてあとすぐつないでおけばよかったのをつながなかったのじゃなかろうかと、こういうことなんであります。あの坑道の幅は三メーターくらいのものでありまして、その間に風管がこうあって、それでこちらのほうに直角に入れ口を入れるので、 ハッパでぼっと切りますと、ここに何があってもこわれてしまう。だから、ケーブルとか何とかそういうものは全部地下にいけましてその保護策をとって、そしてこういう風管の大きいものですから、結局一時切りましてマイトをかけて、あとまたつなぐと、こういう順序の仕事になるのであります。

阿部竹松日本社会党

○阿部竹松君 所長さん、あなたのところにおじゃましたときに、ハッパをかけて風管のあと始末をせぬ、そのためにガスが滞留したのでございませんかとお尋ねしたところが、そういうことは直接関係ありませんと、皆さん方のような専門家がおっしゃるから、私どもはそうかなと思ったので、いまそれをまた風管云々とおっしゃるから、どうもふしぎであるのでお尋ねしたのです。そこで、もう一つだけお尋ねしますが、私ども常識論ですから、専門家の皆さん方にちょっととっぴなお尋ねになるかもしれませんが、あのガスは大体三〇%から一二、三%かで爆発するのです。しかし、最も強力に威力を発揮するのは五、六%から九%ぐらいまでですね、大体そうでしょうね、あまり多くても爆発せぬわけですから。そうすると、あの坑道、三方を向いて走っている威力というものは、一時間や二時間でたまったガスではなかろうと、しろうと判断ですが、そうしますと、保安日誌に明確にどこは何%、どこは何%といって、係員は、作業現場はもちろんのこと、あぶないというところは、これは毎日はからなければならないといって、保安係員という人ははかっているはずなんです。私は簡単に、所長さんのおっしゃったように、三十三年にボーリングのときから、その後不注意にしておったものがたまったものとは考えられない。すでに所長さんおっしゃるように、ガスが〇・五とか〇・六ではなくして、いずこかに相当なガスが充満しておったと私は判断する。そう簡単に、あれだけの威力を発揮するガス量ですから、伊王島さんはカロリーが商い石炭ですから、メタンガスが単純に爆発してどんといったかもしれませんよ、坑内ですから。それにしても相当威力を発揮する、鉄砲のたまをうつのと一緒で、少ない量でも被害は大きいわけですが、それにしても、三時間や四時間、一方分くらいのガスの滞留によってあれだけの威力を発揮したとは私は思わない。平素どの坑道にどの程度たまっておったかということは、しろうとですから申し上げませんけれども、たまっておったということは、どうもそこらあたり、将来のために宇野所長さんにお尋ねしておきたい。

宇野直之日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所長

○参考人(宇野直之君) 阿部先生の、ただいま風管を切ったのではないかということにつきましての山におけるあれは、実に申しわけないと思っております。そうではないのでありまして、やはり風管を切ったということだろうと私は思っております。それから、いまのガス爆発の問題でありますが、これはもう爆発したその瞬間には相当のガスが停滞しておったものと判断いたしております。しかし、それが何で停滞したかということが原因になるわけですが、そのことについては、ただいま判断をいたしました範囲内では、結局は風管を切って、そのまま何時間かほうっておいたからじゃないかという想像をいたしております。まだそのことにつきましては、帰りましたならば徹底的に調べまして、大矢先生が言われました、要するに不可坑力か、あるいは何とか対策はなかったのかという問題にもつながっていく問題でありますので、研究いたすつもりでおります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 社長さん、所長さんおいでになったところでありますから、私も実は遠慮しいしい発言しているのですよ。私は口の悪いことときびしいことでは、国会でもかなり指の中に入れてもらっているほうなんだけれども、やはり私も炭鉱屋だから、ある程度のことはわかっているつもりだし、あなた方の立場もわからぬわけじゃないから、そこで、私も特によそ行きのことばを使ってきょうは質問しているわけです。ただ、私は、そういう自分の気持ちがあっても、なおかつ割り切れないことが一つある。それは、特に社長さんにお尋ねをしなければならぬのだが、元来、爆発事故がありますと、必ず会社を代表する方がお見えになって、委員会で正式に御発言をなされるか、あるいは委員会を開会する以前に御発言をなされるかは別として、御発言をなされるのであります。それはもちろんおわびを中心としたごあいさつになるだろうと思うのです。しかし、私がいままで見ておる限りにおいては、ほとんどの社長さんは、まあ間違いが起こらないようにということで、紙にいろいろとお書きになって、それを読み上げて深甚なるおわびのことばを述べられるというのが通例なんです。ところが、先般、社長さんお見えになって、委員会が始まるまでのごあいさつを承りますと、社長さん、だいぶ演説には自信がおありになるのかわからぬけれども、紙も持たないでかなりの時間ここで述べられた。そのことばの中で、どうしても私理解できないことばがある。それは、先般、社長さんがお見えになったあとの委員会でも、私は強くこのことは言ったのでありますが、あなたのことばの中に、保安対策については、ある程度のことはやったつもりであるということばがある。これは私が幾らあなた方の立場を理解しても聞き流しにできないことばなんです。もちろんこれは速記をつけたわけではございませんから、正式に議会の記録としては残らないにしても、私は、そういう発言をされて、はい、わかりましたと言うことはできません。特に私ども炭鉱屋として見てもそう思うのです。ですから、私は、この際、あなたがそういうことを言われたことについての考えは那辺にあったのかということを念のために承っておきたい、こう思います。  それから、もう一点、社長が幾ら上のほうで旗を振ってみたところで、また、きょうここに出席しておる鉱山保安監督局長さんが一生懸命東京から指令や指示を流してみたところで、現地の所長さんや、さらに部下の第一線の職員なりその他の者が、真剣に、いかにして保安を確保していくかという気持ちが生まれない限り、災害というものは防止はできないと私は思う。だから、ひとりこれは社長の責任ではないということも私はわかります。わかりますが、あなたの会社の爆発事故によってかなりの多くの影響が他にも出ていることは間違いないことですから、ですから、そういう意味であなた自身もお考えいただきたいと思うのでありますが、特に先般の委員会で私は強調したことは、この種の事故が起きて、かりにその事故のために半年なり一年なりという長期にわたって現場を再開することができないという場合もありますし、また、一週間か十日間でワクを組んだらすぐ採炭できるという爆発事故も現実にある。したがって、先ほど社長さんが、盛んに原因が明らかになるように私は最善を尽くしたいとおっしゃる。だから、私は、鉱山保安局長に、そういうお気持ちがあるならば、原因が明らかになるまで現場を再開しないという態度をとったら一体どうなのか、あるいは、また、この種の事故というものは相当きつい立場でなければ、将来ともにこれを防ぐことはできないから、この際、われわれは立法をあずかる国会でありますから、行政権にまでくちばしを入れるということは越権の感があるけれども、もし原因その他が明らかになれば、対策が立てられないうちは企業の再開をさせるなというくらいのことをわれわれはこの委員会にまかしたらどうかというくらいにまで、強くこの間保安局長に申し上げた。そういうような経過を踏まえて、今日、社長さんに来ていただいたわけでありまするが、いま私が申し上げたようないろいろな考え方、立場について、最高責任の立場にある社長としてどうお考えになっておられるか、この際、最終的にひとつ質問しておきたいと思います。時間もかなり過ぎておりまするから、私も本日はこれ以上触れる気はありません。ただ、社長がほんとうにどういうお考えを持ってこれから対処されようとしているか、そのことだけを聞いておきたいと思うのです。

田所怜日鉄鉱業株式会社社長

○参考人(田所怜君) お答えいたします。先般、二十二日の日だったと思いますが、この席にまいりましてからおわびのごあいさつをいたしました。そのときに、ある程度保安を私はやったつもりだ——その前に、私は保安第一主義でやったつもりだ、いままで保安優先ということで自分はやってきたつもりだ、相当やったつもりだ、こういうことを申し上げ、また、相当ということばは使いませんでしたが、そして、ある程度やったつもりだと、しかし、今度のこういう災害が起こった以上、私はどこかにやはり欠陥があったとこれは思わなければならぬと深く反省しまして、さらに原因を十分追求して、今後この種の災害を絶対起こさぬように私としてはやるつもりだ、こういうようなことを申し上げたと思っております。そのある程度ということが、あまりやっておらぬじゃないかというように大矢先生が御了解されたように伺いましたが、私は表現が悪かったかもしれませんが、真実としてそういうつもりで毛頭申し上げたつもりでありませんし、社内に、いままでにおきましても、保安がなくして生産はない、うちの会社は保安第一主義でいくぞ、それにはいろいろ方法はあるだろう、設備の問題にしたって、十分ひとつ保安設備についてはやっていくのだ、みんなその気持ちでやってくれよ、こう言って、私のほうの社内の幹部会、あるいは所長会議、保安担当者会議、そういうようなときにも重々もってやってきたつもりでありまして、したがって、自分としては、災害の防止については、絶対に事故を起こさぬように、一人の人を失うということもないようにやることがうちの会社の方針だというつもりで、毎々私は申し上げてきたのであります。したがって、伊王島のことにつきましても、私としては万全の措置をしたつもりだ、自分の気持ちにはそういうことがありましたけれども、また、そういうことで気持ちはおりますけれども、ただ、表現のしかたがふなれで、こういう席にふなれな点もありましたから、ある程度と、こういうことばを不用意に使ったことは私の趣意ではありませんというように申し上げておきたいと思います。  それから、社長一人が族を振ってみても、第一線の者が、あるいはその段階的な者がみんなその気持ちで、また、現実になってあらわれなくてはほんとうのものではない、これは当然のことだと私は思います。私自身も十分そういうつもりでやっているつもりでありまして、したがって、それを実現していく上において、それぞれ本社の保安の者、あるいは保安という別の形でなくても、ラインを通じまして、私は重々そういう私の意思を伝え、また、保安のために必要ならひとつ幾らでも言ってこいということで、山に対してもそういうことで、来るものに対して、私は、いままで保安なるがゆえにということで拒否したつもりはありません。みなうちの会社の者にも、私のその思想は浸透しているものだと、そういうつもりでやっているものだ、こういうように私は信じております。  それから、再開を非常に急ぐのではないかというように私はおっしゃったように承知いたしましたけれども、これは私は別に再開を急ぐということを申し上げたことはございません。また、自分がそういうつもりでもおりません。ただし、将来の保安対策が十分確保されるということでみなでそれが一致すれば、これはできるだけやはり早く再開してもらう。私のほうも一つの企業であるということは、これまた間違いありませんが、それは、ただし、保安の将来の確保の見通しいかんにかかわらず、そういうことをただ急ぐというような意思は毛頭ありません。社内の者にも、また、今度の伊王島のことについても、私は現地の所長にもそういうことを重々申してあります。  お答えといたしたいと思います。

鬼木勝利公明党

○鬼木勝利君 時間がありませんので、私、一、二問お尋ねしたいと思いますが、所長さんにお尋ねいたしたいと思いますが、今回の爆発はメタンガスの爆発だ、先ほどさようにおっしゃっておりましたが、私どももそうだと思うのですが、これは先ほど大矢委員からもそういうようにお話があったのですが、問題は発火源だと思うのですが、いつぞや新聞に、電気器具のいわゆる古いコードを使用してショートしたとか、あるいはいたんだコンセントでスパークしたとか、そういうふうな意味のことがちらっと新聞におたくの炭鉱の原因として載ったことがあるんですが、私そういうふうに記憶しておりますが、そういうような点については何にもまだお考え——まあ調査の結果、お心当たりもなければ何にもございませんか。その一点。  それから、もう一点お尋ねしたい。ただいま社長さんのお話で私よくわかりましたが、これは申すまでもなく、保安第一でなければならぬ、保安あっての生産だと、まあ当然なことだと思いますが、その保安の問題について、私どもがおたくにおじゃまいたしました場合に、労組の事務所を訪問しました。その場合に、労組の幹部の方が、今回の災害についてわれわれも非常に心痛しておるが、保安の点において日ごろ会社側と何ら打ち合わせも連絡もなければ、勧告の内容なんかも全然われわれ聞いていない、知らない。思うに、保安の問題というような問題は、したがって、生産の問題になるわけですが、互いにこれは労使協力してやるべきだと、われわれはそういう考えを持っておるが、そういう点がまことに遺憾だということを切々と私どもに訴えられた。その点につきまして、今日までおたくのとってこられた経営の運営の方法につきましてお述べいただいたら幸いだと思います。時間がございませんので、その二点について御所見を承りたいと思います。

宇野直之日鉄鉱業株式会社伊王島鉱業所長

○参考人(宇野直之君) 鬼木先生の質問にお答え申し上げます。新聞を私はよく読んでおりませんので、よくわかりませんが、コンセントからのスパークといいますと、ちょっと理解に苦しむのでありますが、コンセントみたようなものは現地では使っておりませんので、意味がよくわかりませんけれども、御了承願いたいと思います。  それから、労組との保安に対する協議でありますが、まあ正式なものといたしましては保安委員会というものがあるのであります。これによりまして、これは労組、職組、会社側、こういう三者からなっておりまして、議長は、この新保安法から、私がいたしております。そういうことで、この席で何でも保安に関するものは聞きますし、また、いいものはどしどし取り上げてやっております。また、この保安委員会をやる前には、私のほうは二日間ほどかけまして保安検査をやっておりまして、その間に悪いことは全部直すこと、また、改良を加えること、あらゆる面にわたりまして提議をいたしまして検討し、出てきたものは即日実施できるものはやりますし、また、日にちを要するものも、計画を立てまして実施をいたしておるのであります。また、私のほうの保安監督員補佐員も一月の十五日に届けられておりまして、この方も毎日坑内に下がり、その意見も徴しておるわけなんであります。また、そのほか労働部長というのが、私のほうでは第一労働部長、第二労働部長と二人おられるのですが、こういう方もときどき坑内、坑外を見られておりまして、そういう人の意見、また、上がってきますと意見もありますので、打ち合わせその他をやっておりまして、決して組合員が保安のことについて全然向こうとしてはノータッチだということではないと私は確信いたしておるのであります。常々私も、この保安については、これは労使一体となってやるべき問題でありますから、幾らこちらで太鼓をたたいても、みんながやはりその気持ちにならなければ保安の確保というものはむずかしいのであるということを強調いたしておりまして、先生の言われたようなことは私はないと確信いたしております。  以上であります。

小柳勇日本社会党

○委員長(小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件につきましての本日の質疑はこの程度にとどめます。  参考人の方々には、御多忙のところ、長時間にわたりまして、まことにありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会      —————・—————

国会会議録検索システムで原文を見る ↗