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48回国会参議院1965/04/09

産業公害対策特別委員会 第5号

発言数
24
登壇者
7
会派数
2
開催日
1965/04/09

会議録

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) それでは、ただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について報告いたします。  去る三月三日、赤間文三君、川上為治君、井野碩哉君及び小林武治君が委員を辞任され、その補欠として、久保勘一君、丸茂重貞君、栗原祐幸君及び後藤義隆君が、さらに三月三十一日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として田畑金光君が、四月二日、小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として北條雋八君が、それぞれ選任されました。     —————————————

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) 次に、理事の補欠互選についておはかりいたします。  四月二日、小平芳平君が委員を辞任されて、理事が欠員になっておりますので、この際、補欠互選を行ないたいと存じます。  互選は、投票の方法によらず、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) 御異議ないと認めます。それでは理事に北條雋八君を指名いたします。     —————————————

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) 参考人の出席要求に関する件について、おはかりいたします。  産業公害対策に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) 産業公害対策に関する件を議題といたします。  先刻御決定を願いました参考人として、産業構造審議会産業公害部会長進藤武左衛門君、東京工大教授清浦雷作君、中央電力協議会公害対策会議委員長白沢富一郎君、全国メッキ工業組合連合会会長東平孝徳君が御出席になりました。  議事に入る前に、一言、参考人の方にごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず、本委員会のために御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員皆さまにかわりましてお礼を申し上げます  それでは、参考人の方から順次御意見をお述べいただくわけでございますが、時間の関係等もございまして、大体二十分というところに目安を置いておりますので、その程度におまとめを願いたいと思います。  それでは、参考人の御意見につきまして、進藤武左衛門参考人から御意見を伺わせていただきたいと存じます。進藤参考人。

進藤武左衛門産業構造審議会産業公害部会長

○参考人(進藤武左衛門君) 御指名によりまして、産業公害問題に対して私の意見を申し述べたいと思います。  実は、ただいま、産業公害とは何ぞやという、法規上と申しますか、問題が非常にばく然といたしておりますので、産業公害の取り締まりの限界とかなんとかいう問題が実ははっきりしておらぬと思いますが、一般に産業公害といわれておりますのは、最近、近代産業が非常な発展をいたしましたこと、あるいは都市に人口が非常に急激に集中したという、この二つが原因になりまして、工場の排出ガスのために大気が汚染する、あるいは自動車の排気ガスのために空気が汚染するというふうな問題と、それから工場の排水のための河川の汚染、それから海水の汚染という問題あるいは工場の操業のための騒音あるいは振動というふうな問題、それから、これは数年前から問題になっておりましたのですが、工場の工業用水の過度のくみ上げ、地下水のくみ上げのために地盤沈下をいたしておる、こういうふうなものを大体産業公害というふうに言っておるわけでございますが、ただ、産業公害だけだったらそんなに社会の害にならない問題でも、一般公害がそれを一緒に発生いたしまして、産業公害と一般公害とからんだものでいわゆる公害ということになりまして、現在非常に問題になっている点が多いと考えております。特に、さっき申し上げましたように、大気の汚染と、それから川の水がきたなくなる、この二つは、われわれの人間生活に必要な水と空気の問題でございますからして、実は非常に切実な問題になってまいっておるわけでございまして、産業公害対策としまして、いままで重点的に置かれましたのも、河川水の汚染、それから大気の汚染、この二つの問題が中心になっておりますし、また、いままで政府のほうでいろいろ法規をおつくりになり、あるいは取り締まりをなさったのも、この河川水の水質保持の問題、それからもう一つは大気の汚染防止の問題、この二つだったろうと考えております。  そこで、産業公害の原因でございますが、これは、もちろん近代の工業の非常な発展に付随して起こった問題でございますが、何せ、ここ十数年の間に産業が非常な発展をいたしましたために、また、国の要請で、生産をしっかりやらなければならぬという点で、生産第一と申しますか、そういう点が中心になりまして、施設におきましても公害防止というふうな問題は比較的閑却されておったんじゃなかろうかと考えておるわけでございます。結局、生産の増強と、それから産業公害の防止と、この二つの問題をはかりにかけまして、どちらへ中心をおくか、つまり、両方を調和しながら取り締まりをやっていくということにいたしませんと、現在一番問題になっておりますのは、産業公害の発生源に対する批判と申しますか、いろいろの論議が集中されておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、産業公害と一般公害との関連で、この公害がひどくなっておる点が相当ございます。  それから生産の増強をどうしてもやらなくちゃならぬという点もございますので、あるいは、昨年以来の貿易の自由化等によりまして生産品のコストをできるだけ下げていかないと、海外の貿易の競争に打ち勝てぬわけでございますから、こういう点で、コストを上げても産業公害の防止施設をやらなければならぬ、あるいは貿易の伸長と並行して、それを調和しながら、この産業公害の防止施設をやったらいいだろうということを目安にした取り締まりでありませんと、いまのような状況でまいりますというと、実は、われわれおそれておりますのは、何と申しますか、角をためて牛を殺すと申しますか、非常に公害が大きくクローズ・アップされまして、たとえば沼津の例のように、あすこに会社を、コンビナートをつくろうとしても、地元の方の御賛成が得られないというような点があるわけでございますから、こういう点を考えた公害の防止をぜひやっていただきたいと考えております。  いずれにしましても、産業公害に対する終局的の責任は、私は企業側にあると考えております。そこで、企業の方が、防止施設あるいは防止に対するいろいろの処置を十分とっていただかなくちゃならぬことは当然でございますが、しかし、企業が幾らとりましても、いまの公害が防げるかというと、私は防げませんと、また、公害ばかり力を入れまして産業そのものが衰微するということも起こりかねないと思いますので、そこで、責任の分解といっちゃ、ちょっとことばが適当でないかもしれませんが、施設をいたしますのに、産業家も企業家も、当然の自分の責任としてやらなくちゃならぬが、しかし、国の要請で生産は上げなくちゃならぬ、そういう場合は、国としてどこまでのことを持つかという問題をはっきりさせて、お互いの責任の分野を明確にしながら、両方で力を合わせて産業公害の防止をやるということが必要であると思う。また、一般公害が盛んになってまいっておりますから、国がやはり産業公害の公害の程度を、一般公害でさらにふやしていく点を防がなくちゃならない。そこで、一般公害の防止に対しまして、やはり国なり地方公共団体がしっかり力を入れませんと、幾ら産業公害だけを防止しましても、公害が防止されたということにはならぬと考えております。  ところが、最近の都市の急激な膨張によりまして、いわゆる公共投資と申しますか、その点が日本では非常におくれておるというふうに考えておるわけであります。たとえば、公共下水道にいたしましても非常におくれた、あるいは、し尿の処理にいたしましても、いま非常におくれておりますので、産業公害の防止と一緒に、一般公害の防止施設に対し、国あるいは公共団体等がこれとピッチを合わせて、この公害防止に進んでいただくということがたいへん大切なことだと思います。  それで、冒頭に申し上げましたように、産業公害とは何ぞやという問題をもう少し明確にしなくちゃなりませんが、それには、何と申しますか、技術的の研究がまだたいへん不足しておるじゃなかろうか。つまり、産業公害に対する技術の開発問題を取り上げていただいて、どの程度までの公害は許容できるか、あるいはどの程度の公害はこれを徹底的に取り締まらなくちゃならぬかというふうな、または測定等に対しましても、いま技術が非常に、不完全とは申しませんが、完全ではございませんので、測定をどういうふうにするか、どういう基準でどういう測定をして、その測定によって取り締り法規をきめるというふうな問題もからんでまいってくるわけでございます。  それからもう一つ、この産業公害の問題に対しましては、現在の公害防止と将来の公害防止と、二つ対策があると思います。現在起きておるものに対しましては、いま申し上げたようなことをぜひ至急やっていただかなくちゃならぬと思いますが、将来の問題に対しては、結局、これは大きくいえば、日本の国土計画、あるいは都市計画、工場立地計画、こういうふうな問題をしっかり取り上げていただいて、たとえば昨年きまりました新産都市に対しましては、十三都市に対しましては、あらかじめその都市の公害の防止をどうしたらよいかという問題も、産業の計画、産業の、何といいますか、立地計画のうちに取り入れていただいて、あるいは事前に風向きを調べて、そして不適当な工場は誘致しないとか、またはできるだけ公共下水道をしっかりつくっておいて、そして、産業がスタートいたしましても、その下水道によってこれを処理するというふうな事前の調査と、それから計画に産業公害防止の一つの柱をぜひ入れた公害対策をつくっていただきたいと考えておるわけでございます。  それから、それと並行しまして、今度工場に対しましては、この程度の施設は公害防止としてしなくちゃいかないというふうな、国の工場に対する施設の一定の基準をお示しになることが必要でありまして、これを今度企業側が守っていくというふうな方向にぜひ持っていっていただきたいと思います。  それからまた、公害防止に対しましては、公害を発生するほう、それから公害を受けるほう、この二つの関連を十分解明して対策を講じませんと、いまのように公害の発生源だけの取り締まりをいたしますと、受けるほうの、あまり影響がないのに煙はこれだけにしなくちゃいかぬとかなんとかいって、施設を画一的にしますと、私は非常に経済的に問題じゃないかと思います。でありますから、工場としても一国の要請上、ここにつくらなくちゃならぬという場合には、公害を受けるほうの住宅は、それではこういう方向に持っていくとか、こういうふうな住宅計画をやろうというふうに、発生源と被害者側との関連を十分検討いたしまして、その結果によって、最もその経済的あるいは能率的な産業公害防止をするのにどういうことになるかという結論を出した上で処置をしていただきませんと、非常に画一的になり、非能率的になる心配が私は多分にあると思いますので、こういう点をぜひひとつ御検討をお願いいたしたいと思います。  いずれにいたしましても、産業公害問題は、最近の——最近と申しますか、近代産業の急激な発展と人口の集中によって起きた問題でございますから、いずれの問題を取り上げましても、対策はまだ非常に不完全だろうと思いますので、これから、じみちに、しかも非常に合理的な、あるいは技術的な基礎をはっきりおつくりになって、それを土台として進んでいきませんというと、むだな対策を講ずる心配が出てきやせぬかということを実はおそれておるわけでございます。  今度、事業団が発足するそうでありますが、たとえば事業団の運営にいたしましても、これはもう、公害というものは非常に範囲の広い、関係の複雑な問題でございますから、焦点を十分おつかみなすって、そうしてしかも最大の効果をあげるところから順次この事業を開始していただく。つまり、全国的にまんべんなくやることはないと思います。そうしますと、まあ、四十年度の予算を拝見しますと、二十億円程度でございますが、この金がほんとうに有効に使われるということにはならぬと思います。  それから、いままで申し上げましたように、公団だけでこの問題を取り上げましても、なかなかそれは完全にいかないのでありますから、公団事業の運営に対しましては、地方の公共団体あるいは政府のいろいろの計画との関連、あるいは企業側の操業に対する関連というふうなものとの関連を十分組織的におつくりになりまして、そして全国的に重点的に、問題のあるところから、いろいろの関係者全部が一緒になって防止対策を講じていただく、そうしてその実施の推進に事業団が当たっていただくという形が私は一番望ましいだろうと思います。  で、いまのような問題を見まして、公害におきましての現在の問題に対しては、企業家だけではできない点が相当ございます。特に中小企業等におきましては、技術、対策、知識あるいは資金等におきまして、なかなかむずかしい問題がございますが、しかし、さっき申し上げましたように、水も空気も、われわれの生活に非常に密接な関係がございますから、ほうっておくわけにまいりません。そこで、どの程度、国あるいは公共団体が助成したら、この問題が具体的に解決するかという線をぜひ出していただきますのと、それから将来の問題としましては、いま、ばい煙排出規制の法案もございます、あるいは工場排水の規制の法律もございますが、こういう法律も、まだ実は、その法律を出しましても、たとえば規制区域を指定するとか、あるいは水質の調査、規制の河川の指定とかというふうな問題も、まあスタートして三、四年でございますから、進んでおりません。また、そういう問題が技術的に検討の余地も相当ありますので、これは時間がかかるのはやむを得ぬと思いますが、法律を実施します上におきましては、こういうふうに法律に付帯してやらなきやならぬいろいろの水域の指定でありますとか、区域の指定であるとかいうふうなことは、できるだけすみやかにやっていただく。そうして、国民全体がこの公害防止の一つのレールの上にみんな乗って、同じような方向に持っていくということを、ぜひやっていただきたいと思います。  それから、中央、つまり政府と公共団体との規制の取り締まりの関係、これなども、地方によりましては、公害取り締まりに関する地方の規定等も出していらっしゃいますが、中央地方のこういう、国で受け持つ分、それから公共団体が受け持つ分、それから企業家は、さっき申し上げましたように、原則としては自分の責任においてやっていただきたいのでありますが、しかし、企業の経営と公害防止とのけじめと申しますか、どこで境を引くかというふうな問題になりますと、なかなかむずかしい問題がありますが、こういうふうな問題を、できるだけ目標をはっきりさせていただいて、そうして公害の取り締まり、現在起きている公害の取り締まり、あるいは予防等に対しましては、できるだけすみやかにやって、将来の公害の防止に対しましては、先ほど来申しましたように、都市計画でありますとか、あるいは防止技術の開発でありますとか、あるいは規定の整備であるとか、こんなふうな問題をいまからしっかりやっていただいて、そうして公害をできるだけ少なくして、これは絶無と言ってはむずかしいのでありますから、どの程度まで一体その公害を規制したらよいかという、その目標をはっきりしていただいて、これをみんなで実施して、早く住みよい社会をつくっていただきたいと考えております。  非常に大ざっぱな議論でありますが、私の考え方は以上であります。

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) ありがとうございました。  参考人の方々への御質疑もあろうと思いますが、全部御意見を聴取したあとにいたしたいと存じます。  それでは清浦参考人にお願いいたしたいと存じます。

清浦雷作東京工業大学教授

○参考人(清浦雷作君) ただいま御指名をいただきました東京工業大学の清浦でございます。  お手元に若干の参考資料をお届け申し上げてございますが、「亜硫酸ガスの公害および除去法」というほうの資料を用いて御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、公害には、大気汚染、それから水質汚濁、騒音、振動その他悪臭、そういう問題がございますが、まず大気汚染の問題につきまして日本並びに諸外国の例を申し述べまして、その次に水質汚濁に関しまして日本並びに諸外国の例を簡単に御説明申し上げたいと思います。  大気汚染の中でも最も多くの公害を起こしておりますのは、亜硫酸ガスによる公害でございます。その例を申し上げますと、世界的な事故を起こしました例としましては、ミューズ渓谷あるいはドノラのスモッグ事件、それからロンドンのスモッグ事件などが知られているのは、よく御案内のところでございますが、最近、日本でも、四日市のコンビナートにおきます工業廃ガスによる公害が報道されておる次第でございます。  そのうち、ミューズ渓谷事件は、一九三〇年の冬でございまして、これは、谷間に存在します深い谷底のようなところに精錬所がございまして、そういう非常に地理的に不適当な場所に廃ガスが多量に発生する精錬所が存在しておりましたために、そのときの気象条件、つまり非常に無風な状態が発生いたしておりますが、そのために、亜硫酸ガスが谷間にただよいまして、六十三人の死亡者が出て、二百名が健康を害したという事例がございまして、これは主として亜硫酸ガスが原因であるとされております。  その次に、一九六二年の事例でございますが、ただいま申しましたのはミューズでございますが、それ以外に、先ほど申しましたように、ドノラ、これもやはり亜硫酸ガスが製鉄所あるいは亜鉛精錬所等から、当時の気象状態とからみ合いまして、非常な災害を起こした例でございます。  それからロンドンのスモッグ事件は、一九五二年でございますが、の十二月発生しております。これは主としてロンドン市内の暖房にたいておりました石炭その他の燃焼から発生するばい煙の中に含まれております亜硫酸ガスが原因になっておりました。ロンドンのスモッグと無風、その両方がからみまして亜硫酸ガスの最高値〇・六から〇・八PPM、非常に高い値に達しておりまして、そのために、四千人の呼吸器疾患のための死亡者が出まして、通常時の死亡者の約九倍に及ぶ死亡が発生したということが報告されております。  わが国におきましても、大都会あるいは立地条件の不利なコンビナートにおきましては、この種類の公害が年々増加する傾向にありますので、事故を未然に防ぐように関係者の協力を期待するものであります。厚生、通産両省に公害課が設けられたことは時宜を得たことでありまして、今後の政策を大いに期待するものでございます。  諸外国の大気汚染の対策を申し上げますと、この資料の三ページでございますが、3としまして「西ドイツの大気汚染対策」、これを簡単に御説明いたします。  西ドイツの連邦議会に、議員グループから大気汚染防止に関する法律の制定を提案しましたのは約十年前、一九五四年でございましたが、当時の状況では、まだ適当な科学的データがないということで提案が不採択となっております。その後、一九五七年に、V・D・Iと申しますドイツ技術者協会の委員会からの提案が連邦政府に提出されております。V・D・Iと申しますドイツ技術者協会の中に設けられました大気清浄委員会あるいは大気汚染対策委員会と呼ばれます委員会がございまして、これは合計百四十三名の委員が各分野で活躍しております。委員会の構成は、ここに記載してありますように、たとえば医者十二人、その他各界の代表で百四十三名となっております。  その次のページ、四ページに参りまして、「ドイツおよび外国における大気汚染の現状」。——いま御説明いたしましたのは、法制あるいは委員会の構成でございますが、大気汚染の現状はどうであるか、それからそれに対する対策はどうかということを簡単に申し上げますと、ドイツの場合に、ただいまのドイツ技術者協会の中に設けられました大気汚染防止委員会に対しまして、連邦政府は調査研究費としまして、たとえば一九六一年には三億二千三百万円を計上して支出しております。で、特に亜硫酸ガスがドイツでも問題になっておりまして、それについてドイツの連邦政府はどのような規制を考えているかと申しますと、亜硫酸ガスにつきましては、現状では経済的に実施することのできる処理の方法がまだ確立されていない、そういう理由のもとに、亜硫酸ガスの放出濃度を法律をもって規制するところの基準をいまだ定めておらないのでございます。その理由は、ただいま申しましたように、ドイツの国内の技術をもってしても、亜硫酸ガスの適切な処理施設をまだつくることができない、であるから排出濃度規制を実施しないということでございます。日本と比較いたしますと、日本はすでに、たとえば火力発電所の廃ガスにつきましては、亜硫酸ガスにつきまして〇・二%以下に押えろという規制がすでに実施されております。  次に、イギリスの例を申し上げますと、大気汚染に対しますイギリスの対策は、イギリス、ウェルズ及びスコットランドでは、ほとんど同等に実施されております。で、イギリスでは、この大気汚染の法律は、アルカリアクト、アルカリ法と呼ばれる法律がございまして、これは歴史的なものでございまして、英国で、炭酸ソーダ、つまりアルカリ塩でございますが、それをつくりますルブラン法の工業が初めて生まれたときに、その工場から排出される廃ガスが害を及ぼさないようにいろいろ規制をした、その歴史的なことから、今日も、大気汚染に関するいろいろな法律はアルカリアクト、アルカリ法という名前で、百年前の名前がそのまま踏襲されております。この現在実施されておりますアルカリ法の趣旨は、工業を圧迫することなく大衆の要望と保護に当たるものである、こういう内容を持っております。もう一度申し上げますと、このアルカリアクトは、王立委員会の勧告を受け入れまして立法化されたものでございますが、その趣旨は、工業を圧迫することなく大衆の要望と保護に当たるものである、こういう趣旨を含むものでございます。時代の変遷とともに、このアルカリ法は数回にわたって修正されましたけれども、人民の保護とイギリス工業の発展の助長、この二大目的を常に達成するように立法され、かつ実施されているという点をわれわれは重視し、参考にすべきであると存じます。  その次に、実際にそれでは英国でどのような大気汚染防止対策が実施されておりますかという事例を申し上げます。資料の七ページの5のところを御参照いただきます。  これは、ロンドン市における廃ガス規制とその処理例でございますが、ロンドンのテームズ川の河畔に、英国の電力庁の発電所がございます。御案内のように、英国の電力は国営でございまして、その国営のバンクサイド・パワー・ステーションと申しますロンドンの発電所がございますが、その煙が、対岸にございます国会議事堂と、それからウェストミンスター寺院の建造物、それからセンポール大寺院の伽藍に煙が舞いおりて被害を与えるということで、イギリス議会が、この廃ガスの処理をしなさいという勧告を決議したのでございます。そのために、バンクサイド・パワー・ステーーションには、世界に初めての廃ガスを洗浄処理する除害装置が取りつけられまして、発電所の大きさは百二十メガワット、つまり十二万キロでございますが、これにミルク・オブ・ライムと申します、つまり石灰を水でどろどろにいたしましたミルク状のものを塔の上から降らせまして、発電所の廃ガスを洗浄塔で洗います。そういうことで亜硫酸ガスを除去するという方法を実施してまいっておりますけれども、これにつきましては、ときには良好であるが、気象条件が悪いときには、洗浄することによって廃ガスの温度が非常に低下する、そのために今度は洗浄後の廃ガスの大気への拡散が非常に阻害されまして、かえって局地的に冷たくなった煙が舞いおりてきて害を及ぼすということで、非常に評判が悪いのが現状でございまして、この英国の電力庁の技術首脳部も、私に語っておりますところでは、この方法は二度と英国では採用するつもりはない、今後はできるだけ煙突を高くすることと、それから廃ガスの温度を高く保つことによって十分大気中に拡散させるという方式を採用していきたいということを述べております。  それから次に、米国のロスアンゼルスのスモッグと、その大気汚染について簡単に申し述べます。  ロスアンゼルスは、御承知のように、非常に特異な気象条件と地形を持った場所でございますが、このような地形と気象条件を持っておりますところは、日本の大都市にはちょっと見当たらないのでございます。で、ロスアンゼルスのいろいろな事例を直接そのまま日本の事例として参考にすることはあまり適切でない、と申しますのは、ただいまのような地形と気象の特異な条件であるからでございます。それと日本と逆な気象もございます。たとえば、日本でございますと、東京の例をとりますと、冬のほうがスモッグの頻度が多いのでございますが、ロスアンゼルスの場合は全く逆で、夏霧がかかり、スモッグに襲われる頻度が大きいのでございます。それからロスアンゼルスの場合は、非常に車の数が多いということも一つの特異な条件になっております。  で、自動車の排気ガスにちょっと触れてみますと、除害装置をぜひつけるべきであるという声が十年も前から出ておりましたけれども、その車につける適切な除害装置がまだ製作されない。それが妥当な価格で販売することができないという理由で、つい先年まで除害装置の取りつけは法律に規制されないままになっておりましたけれども、たしか昨年でございますか、新しい車を買うときは必ず除害装置をつけろという法律が出てまいりました。で、それは、経済的で、かつ除害装置の効果もあるということが、ようやく昨年になりまして、つまり使うことができる、使用できる、除害装置の製作と販売が経済的なことを考慮しても実現できたということで、法律として適用になったのでございます。その間、一社あるいは二社が独占的にその製作ができるということでは、独禁法にも関係するからいけない、もう少し数社がこの製作ができるという時期になるまで待ったという事情もございます。  それからロスアンゼルスの大気汚染の対策でございますが、大きな火力発電所ではどんな除害装置をつけておるかと申しますと、サウザアン・カリフォルニア・エジソン・エレクトリック・カンパニー、つまり南カリフォルニア・エジソン電力会社という会社がございます。これは、ちょうど東京電力とほぼ同じくらいの大きい会社でございますが、そこの火力発電所の一部に、これは重油専焼でございますが、廃ガスを処理するために、石灰の粉末を煙突下部の煙道に吹き込み、廃ガスの中の硫酸分だけを石灰で中和して、それをバッグ・フィルターで集めて取るという処理方法の試験を完了しております。で、この煙の中の硫酸分を取ることには一応成功しておりますけれども、大部分の亜硫酸ガスを吸収して、そうして除害をするという技術には全然まだ成功しておりませんで、「もしこの亜硫酸ガスを何とか除害することができれば、非常にロスアンゼルスの当社としてもありがたいことである、ぜひ日本と共同研究をして、この実現を推進したい」というようなことも、同電力会社の当局者が私に提案しております。  その次に、ロスアンゼルスの例を終わりまして、ドイツでは技術的に現在どのような方法を開発しつつあるかということを簡単に申しますと、それは資料の十ページと十一ページでございますが、ライン・ルフトプロセスというのがございます。これは十一ページのほうに簡単な説明図が書いてございますが、まず、廃ガスを、活性炭を充填いたしましたところの吸収塔に導きまして、そこで活性炭に亜硫酸ガスと硫酸ガスを吸着させます。そうして除害をいたします。その次に、亜硫酸ガスと硫酸ガスを吸着いたしました活性炭を塔の下のほうから連続的に取り出しまして、この温度を上げることによりまして、亜硫酸ガス、あるいは硫酸を回収するという方法でございます。そこで、原理的には非常に簡単のようでございますが、これを実施する技術的な問題になりますと、まだまだ非常に多くの問題点がございまして、ドイツのこの発明者が述べておりますように、経済的かつ技術的に可能であるというようには、今日の段階では私は受け取っておりません。むしろ、まだまだ不経済、経済ベースには乗らないし、かつまた技術的にいろいろな多くの解決すべき問題点を持っておると考えるのが現状でございます。  その次に、その他の亜硫酸ガスの除害回収法でございますが、これは資料の十二、十三あるいは十四と、その事例を述べてみました。  十二には、二酸化マンガンによります除害回収法と、それから十二には、米国のT・V・Aでございますね、テネシー渓谷開発公社で開発をいたしました、二酸化マンガンによります亜硫酸ガスの除害方法でございますが、これも小規模なパイロット試験を行なっただけでございまして、これ以上の開発に進むことはできておりません。  それから、日本でもいろいろ石灰乳を使うとか、その他の方法で若干試みられましたけれども、火力発電所のような大規模のものにこれを実施することは、とうていできない技術のレベルでございます。  その他、現在わが国で開発中のものとしましては、先般発表されておりました三菱重工業と中部電力の共同研究によります二酸化マンガン法による乾式補集法と湿式再生法の組み合わせによる除害法と、それから東京工業大学で小官が中心となりまして開発中の完全乾式法による硫安回収除害法などがございますが、いずれも、まだ、技術的にも経済的にも未完成でございまして、今後の研究を待つ必要がございます。  以上で、大気汚染、特に亜硫酸ガスの公害及びその除去法を中心といたしまして、世界並びに日本の現状を簡単に御紹介いたしました。  時間がございませんので、次に、引き続きまして、水質汚濁と産業廃水の問題を簡単に申し述べます。もう一冊の資料を御参照いただきます。  この水質についてはどういうものを汚濁といい、どういうものが清浄であるか、という一つのものさしはどういうことかと申しますと、この資料の二枚目、四十二ページにございますが、そこに、「表2・2」というところがございます。そこに「水質の等級と水の用途」という表を御参考に掲げました。かりに水質に等級をつけるとすれば、A、B、Cと、それからその次に汚濁の限界点、それからD、E。——Aは、たとえば水道用水にすることができるし、水泳もすることができる。次第に水が汚濁してまいりますと、最後のDEになりますと、工業用水としても、あるいはかんがい用水としても不適当である。もちろん水道用水にすることはできない、というような、いろいろ水質に等級があるということをこの「表2・2」で御説明することができます。  それから先年わが国に水質基準が設定されましたのは御案内のとおりでございますが、その例としまして、この資料の四十四ページに、江戸川の水質基準が設定されましたときの例を簡単に記載してございます。この水質基準が決定されましたときの考え方というものにつきましても、資料に簡単に記載してございますが、産業と、それから農業、水産業あるいは水道水源等の水質保全、そういういろいろな問題の相互の協和をはかってできた水質基準であるということに相なると思います。  その次に、産業廃水によりまして水質汚濁が発生する、それに対してどう今後対処するかということでございますが、四十八ページから四十九ページには、それの事例としまして、欧州のドイツあるいはスウェーデン、フランス、その他の事例を簡単に参考のために記載してございます。その中で特に注目すべき点は、五十ページにございます「都市下水と工場廃水の共同処理」という項目がございますが、これはドイツのライン川に工場廃水を流入いたします工場と、それから同じくライン川に都市下水を流入いたしますドゥィスブルク・カッツエルフェルトという付近の都市下水の処理場、工場廃水と都市下水を共同に一カ所に集めまして、そうしてこれを処理しております事例でございます。これは、おのおの単独に工場が廃水を処理したり、あるいは都市下水を単独に都市が処理するよりも、両方集めて一緒に処理するほうがお互いの成分がお互いに助け合って作用するために処理が非常に有効になり、かつ経済的であるという事例でございます。  わが国でも、たとえば、前のほうにちょっとページがさかのぼりますけれども、四十六ページの終わりから四十七ページの地図をごらんいただきますとわかりますが、たとえば四日市のコンビナートにおきまして、雨池川と申します川に廃水を放流しております数工場がございますが、これらの廃水を共同して処理場を設けて処理をする、そうするほうが、はるかに、各工場が新しく廃水処理場を設けて水質汚濁の防止をねらうよりも、共同処理によりまするほうが、各廃水相互の混合によりまして非常に有効に処理が推進できるという技術的な理由と、それからこれを共同処理的に実施するということで規模の大きな処理装置を設置するということで、廃水単位量につきましての処理費が経済的に上がるであろうというねらいが考えられますので、四日市の廃水の共同処理ということなどは、コンビナートにおきます公害対策の一つの大きな今後の方針として非常に重要なものであり、かつ時宜を得たものであると考えるのでございます。  以上、簡単に、大気汚染と水質汚濁の日本並びに海外の事情を申し述べました。御清聴ありがとうございました。

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) ありがとうございました。  次に、白沢参考人にお願いいたします。

白沢富一郎中央電力協議会公害対策会議委員長

○参考人(白沢富一郎君) ただいま御指名を受けた白沢でございますが、電気事業の公害対策について意見を申し上げさせていただきます。  お手元にお配りしております「電気事業の現状」と、それから「電気事業における公害防止対策」という二つの資料につきまして申し述べたいと存じます。ただ、事の性質上、先般衆議院において中央電力協議会の山崎専務理事が申し述べましたことと重複する点が多いということを御海容願いたいと思います。  御高承のこととは存じますが、関連もありますので、まず最初に、電気事業の現状について概要を申し上げ、次いで、電気事業の公害防止対策の当面の問題並びに今後の公害防止対策についての考え方、最後に、政府施策への要望等について申し上げたいと存じます。  電気事業の現状については、お手元にあります「電気事業の現状」という資料がありますので、これについて申し上げてみますと、わが国の産業経済の発展と文化生活の向上に伴いまして、電気の需要は年々著しく増加いたしております。その増加率は、国民総生産の伸びよりも常に二、三%多いのでございまして、この増加率は、もちろん欧米にもその例を見ない高さでございます。その実情は、二ページのグラフをごらんいただきますと、おわかりになりますように、昭和二十六年の九電力会社の発足した年に対しまして、十二年後の三十八年の需要は実に四倍になっておりまして、しかもなお、今後におきましても年々一〇%程度の伸びを示すものと予想されております。電気事業といたしましては、この需要に応じて安定的な供給をするため、四ページの下のほうに書いてございますが、年々約二百万ないし四百万キロの電源開発をしております。なお、これに付随しまして、送電、変電、配電設備も建設をいたしてまいりましたので、その結果、近年に至りまして、供給力は需要を十分まかないまして、なお必要な供給余力を持つようになったのであります。しかも、四ページの上の図でおわかりのように、現在はすでに火力発電のほうが水力より少しく多くなっておりますので、本年ただいま六五%というような渇水でございますけれども、その場合におきましても、また発電所に多少の事故がありましても、広域運営等の効果等もありまして、支障なく安定供給ができるようになっております。  電気事業といたしましては、良質の電気を豊富、低廉に安全に安定して供給することを本来の使命といたしておりますが、電気料金は二十一ページの右の上の図にありますように、欧米と比較いたしましても低位にありますし、また、国内の他の公共料金と比較いたしましても、その下の図で示されますように、戦前との比較において、その倍率は最も低くなっております。  この効果をあげるに至りましたのは、官民各位の御協力のもとに、新技術の導入、諸般の企業の合理化の成果によるものでありますが、そのおもなものについて申し上げてみますと、十七ページにありますように、従業員の生産性が約四倍に向上したこと、送、変、配電のロスは二十六年当時には約二五%あったものが九%台に減ったこと、また熱効率が著しく向上しまして、昭和二十六年当時には一キロワットアワーを発電するのに、石炭換算で〇・八六キログラムを要したものが、三十八年度では〇・四一キログラムと、半分以下に減っておるわけでございます。  以上申し上げましたような実情でありまして、九電力会社発足当時よりだんだん火力が多くなりましたのでございまして、昭和二十六年当時におきましては水力が八というものに対して、火力が二の割合でありましたが、昭和三十八年度で大体水力と火力が同じになりました。今後昭和五十年度を推定してみますと、二十六年当時と全く逆になって、水力が二、火力が八というような割合になることが推定されております。これは四ページの下の図でわかりますように、青い部分の建設というのはだんだん少なくなっておるのでございます。これは、経済的に開発できます水力資源が次第に先細りとなったこと、また、石炭は御承知のとおり、増産が困難であるということから、石炭火力にもあまり多くを望めない。原子力という問題がありますけれども、これもまた、技術上その他いろいろな問題がありますので、今後十年ぐらいの間には、あまり多くを期待するというわけにはまいらぬと思います。したがいまして、今後十年間ぐらいは、どうしても油火力が主体とならざるを得ない。油専焼の火力発電が主体とならざるを得ないというのが実情でございます。  ところが、電気事業は、さきにも申し上げましたように、良質低廉な電気を安定して供給するという責務を持っておるのでございまして、この目的に沿うためにも、その主体となる火力発電所を、またそういう目的に沿う以外に、本来の性質から、火力発電所という性状からいたしましても、火力発電所という地点はできるだけ需要の中心に近く、燃料の輸送に便利で十分な冷却水が得られるような場所が必要なのでございます。  そういう実情でございますが、現在、電気事業の中で公害ということが問題となっておりますのは、残念ながらこの主力をなす火力発電所についてでございます。この火力発電所の中でも、公害の原因と見られるのは、騒音、排水、あるいは大気汚染の三つでございます。しかし、排水と騒音の問題につきましては、その対策をいろいろと施しておりますし、あるいはノリのごときは、その土地との補償関係が済むということで、現在問題となっておるものはないわけでございまして、ほとんど、現在火力発電で問題になりますのは大気汚染という煙の問題でございます。  電気事業といたしましては、この排煙に対しましても、早くから相当な費用を投じまして、積極的に対策を実施しておるのでございます。  なお、今後新設される火力発電所につきましても、もちろん、既設のものについても諸般の対策を考究して改善をはかるとともに、積極的に新技術を開発して、公害を防除するように万全を期する考えでございます。  電気事業の公害防止の現状と今後の対策につきましては、お配りしてあります小冊子の中の、まず三ページにございまする「当面の公害防止対策」から申し上げます。  大気汚染に関する問題でございますが、この火力発電には、御承知のように、石炭を燃やすものと重油を燃やすものと二つありますが、石炭を燃やす火力発電所におきまして、「すす」と粉じんが問題であり、また重油を燃焼する発電所の場合には、先ほど清浦先生からお話のありましたように、SO2——亜硫酸ガスとSO3——無水硫酸が問題になるのでありまして、これらについては、先ほども話がありましたように、すでに法によって排出濃度が規制されておるのでございます。  これらに対します対策といたしましては、火力発電所におきましては、「すす」、粉じんを除去するために、煙道に高性能の機械的のものと電気的のものの集じん装置を設置しておりまして、ボイラーから排出される煙を清浄化し、かつ発電所出力と環境に応じて、ある適当な高さにいたしまして、排煙を希薄化するということにつとめておりますし、また、使用石炭の品質におきましても、これはいろいろございますが、なるべく低サルファの石炭を選ぶということで吟味を加えておりますし、その他、燃焼する場合に、その制御装置を十分にしませんと、御承知のように、黒い煙が出たり、未燃粉が出たりしますので、燃焼管理についても万全を期しておる次第でございます。  そういう状態でございますので、現在すべてが法の規制する基準の中で運営されておるわけでございます。特に、近来は集じん装置がだんだんと進歩改善を加えられてまいりましたので、石炭火力におきましては、ほとんど問題はなくなるのではないかと考えておる次第でございます。  次に、重油火力発電所の場合におきましては、先ほど申しましたように、また先生からお話がありましたように、SO2あるいはSO3が問題になるのでございますが、これを除去する実用的な技術がまだ開発されていないというのが実態でございまして、しかしながら、重油火力というものが日本で用いられるようになりましたのは昭和三十六年以降のことで、最近に開発されたものですから、そのボイラー等も最新鋭のものを使用しておりますし、また、そういう火力をつくります場合に、立地する場合に、気象条件等を十分勘案し、また出力に応じて高い煙突を施設し、また、二・七%以下というような——サルファは普通二・五ないし三・五%の含有量でございますが、二・七%以下というようなものを使うというようなことをやっておりますし、それから優秀な燃焼制御装置を用いまして、テレビなどで良好な燃焼管理等も行なっておりますので、現在いずれも法の規制する基準以内で運営されておる次第でございます。  なお、現在、排煙中の亜硫酸ガス、無水硫酸除去方法の開発及びばい煙の除去装置や拡散効果による濃度の希薄化などの開発、改良について種々研究中でありまして、これらについても、新設はもちろん、既設のものについても実用化できる新方策があれば積極的にこれを取り入れていく考えで、また、すでに取り入れたものもあるわけでございます。  特に、今後新設する重油火力発電所につきましては、ユニット容量、単位容量がどうしても大きくなければ、需要が多くなるので間に合いませんので、どうしてもだんだんとユニット容量が増大するという実情、それから地域産業も、日本の産業がだんだん発達してきて、どうしても集中してくるというようなこと、あるいは環境の改善に対する社会的要請も次第に大きくなってくるというようなことを十分考えまして、これらに対する対策としては、当面次のようなことを考えておるわけでございます。  火力の設置にあたりまして、気象条件を十分考慮して、スモッグの発生あるいは逆転層の発生等の問題についても十分注意をいたしまして、公害防止設計を十分やる、あるいは既設と新設の火力の重なりその他を十分考慮いたしまして立地条件をきめる。それから排煙の拡散性を高めるために、その排出速度を早める。これは、御承知のように、煙突から出る煙のスピードが弱ければ、ダウン・ウオッシングと申しまして、煙が下へ押しやられるということもございますので、煙突の出口におきますスピードを毎秒二十五メートル以上にする。それからまた、その温度が高ければ煙が上空にのぼるわけでございますので、その温度を百三十度以上に保とうというようなことも、でき得る限り、そういうようなことをいたしまして、煙突の有効高さを二百五十メートル以上になるべく保ちたいというようなこと、それからまた、煙突を配置する場合でも、風の主方向に向かって段違いにして重なりを防ぐというような配置をするとか、あるいは現在研究されておりますように、この図面にもありますように、一本づつ、おのおのセパレートしたほうがいいのか、これは四本一緒にまとめた図面でございますが、こういうことにすることによって、温度が、排煙のところの高い温度のものが重なりますので非常に上に上がるというようなこと、そういうようなことについても適正化をはかっていく。それからまた、特に先ほど清浦先生からの話の中にもありましたが、SO3、無水硫酸はある程度取れるというような話がありましたが、これもなかなか金のかかることでございますので、その場所によっては、環境が非常に悪いようなときには、排煙中の無水硫酸を取って、そしてアシッド・スマットと申しますか、酸性「すす」のかたまりが落ちることに対して、これを防いで清浄化をはかるというような、ばいじんの排除装置を設置する。また、ばい煙の排出の場合、いまのように守りましても、先ほど進藤さんからもお話がありましたように、その他いろいろの条件が重なって、規制警報が発令されるというような場合をも想定をいたしまして、そういう場合には、低硫黄の重油を備えておいて、これを使うという、そういう設備をするというようなことを現在考えて実施中でございます。  このようなことでございますので、火力発電によって公害を起こすということはほとんどないものと考えておりますが、しかし、他産業、他企業の排煙あるいは自動車の排ガス等が重なり、排煙の抑制を要請されるような場合を考えまして、特に次のような対策を実施して、これに協力するつもりでございます。  先ほど申し上げましたように、低硫黄、硫黄分の少ない重油を備蓄しておいて、緊急時にこれを使用し、排煙中の亜硫酸ガス、無水硫酸等の含有量を一段と減少するとか、あるいは地域間の電力融通によって、そのほかの地域から電気をもらって、そういう警報が発令されている間は、その土地の地域の重油火力発電所の負荷を減らす。あるいはまた、そういうところにあります石炭火力におきましても、ある程度の重油を混焼しておるわけでございますが、その混焼率を下げる、そういうような方法をとって、これらに協力していくという方針をきめて、これを実行に移しております。  また、今後の推進方向でございますが、公害は、前にも申しましたように、いろいろの事情によって発生するのでありますから、よくその原因を調査探求して、その防止対策を講ずべきものであるということを私も考えております。いま、まだなかなか、公害があった場合に、その原因を突きとめるということが十分でないことは事実であると思いますが、電気事業におきましては、各社とも、この公害防止という問題に積極的に対処してきたわけでありますが、なお、昨年の二月から大気汚染防止研究会を設けまして、各般の問題を研究するとともに、特に重点研究項目として、排煙中のアシット・スマット——先ほど申しました酸性「すす」でございますが、の除去方法、あるいはSO2、SO3の脱硫方策の研究並びに拡散の効果的な方法の研究を電力中央研究所に依頼しまして、技術開発につとめてまいっておるのでございます。なお、さらに先般、これを一そう強力に推進するというたてまえから、二月一日に、中央電力協議会の中に公害対策会議を設けまして、その委員長を私がやらされておるわけでございますが、この公害問題と積極的に取り組んで、その防除につとめたいと考えておる次第でございます。  これらによって、いままで研究された事項につきましては、先ほど一部申し上げましたように、実用化できるものから次第に実施しておるわけでございます。しかしながら、なお多くの研究問題が残されておりますので、これらにつきましては、国あるいは民間の研究機関と強力な共同体制を固めて、一そうの効果をあげることに努力する所存でございます。  特に、次に述べるような抜本的な技術開発を進めて、排煙による公害の解消をはかりたいと考えておるわけでございます。  それは、SO2、SO3を除去する実用的な技術の開発、これはいろいろ研究では一部曙光を見ておるわけでありますけれども、それは二百分の一とか、そういう小さいものの実験でありまして、これが大きくなった場合に、そういう効果があがるかどうか、というようなことについては、目下一生懸命研究中でございます。それからなお、排煙の中から取るという問題のほかに、燃料油、重油の中のサルファそのものを取るという方法がないかどうかという問題についても研究を進めておる次第でございます。  以上、大体電気事業におきます公害に関する考え方を申し上げたわけでございますが、先ほど進藤さんからも話がありましたように、公害の原因は多種多様でありますが、これらの公害の原因に関係あると考えられる企業は、積極的に最善の対策を実施するということはもちろんでありますが、一般国民各位におかれましても、公害というものの実態を、科学的な調査に基づいて、正しい認識と御理解をいただきまして、感情的に、ことさらに経済成長の根幹である生産活動の発展と国民生活の向上を阻害することのないように、ぜひお願いしたいと考えておるものでございます。また、国においては、法による規制等を行なうような場合にも、産業の発展を阻害するということのないように、特段の御配慮が願いたいと存ずるのでございます。  なお、公害防止問題につきましては、先ほど清浦先生からお話がありましたように、通産、厚生両省、並びに科学技術庁におきましては、たいへん御努力をいただいておりますし、また、御指導等もいただいておりまして、心から感謝いたしておるものでございますが、電気事業といたしましては、でき得る限り積極的に、前向きに、自己の責任において公害問題と取り組んで、効果的な対策を講ずる所存でありますが、なお、次の諸点について、特別の配慮を願えればしあわせだと考えるわけでございます。  公害防止策について経済的な助成措置を講じていただきたいことでございまして、その具体策といたしましては、現在石炭火力におきましては、すす、粉じん処理設備について固定資産税の免除や耐用年数の短縮等の配慮を賜わっておるわけでございますが、本措置をさらに広げまして、高煙突にする問題とか、排水処理の問題とか、騒音防止の問題とか、そういうものにも適用して、この公害防止対策が実施しやすいように、なお一段の御配慮を願いたいということでございます。  それから公害防止対策のためには、いろいろ多額の追加投資額を要するのでございまして、すでにある程度実施されて、相当な効果はあげておるようでございますけれども、電気事業に対しましても開銀資金等の低金利の融資をしていただき、対策の推進をはかりたいと考えておるものでございます。  なお、公害防止対策について、なおひとつ公害防止対策準備金というような制度を設けてもらいたいということでございますが、これは先ほども話が出ましたように、実験的には一部成功の曙光を見たというようなことで、これを大きく実施するためには相当な金を要するわけでございまして、そういうことに備えること、あるいはまた公害防止という観点から、経済性を離れた地点に火力発電所の立地を持っていかなければならぬというような問題も発生してまいりますことを考えますと、公害防止対策準備金というような制度を設けて、これに対する特別な税制措置をとっておいてもらって、電力料金の長期安定に資するというような方策も御配慮をいただければ、しあわせだと考えておるわけでございます。  それから、先ほど来話が出ました公害防止事業団、これは趣意書その他を読ましてもらいましても、非常によく調査されて、目的、対策等は私は非常にけっこうだと思うのでございますが、ただ資金が二十億という程度では、公害防止対策というような大きな問題と取り組むには少し少な過ぎると思いますので、これを増額して、効果をあらしめていただきたいと思うのでございます。  なお、公害防止の新技術開発推進をはかるということから、通産、厚生両省や科学技術庁における公害防止対策、これはすでに相当やられておるわけでありますが、なお一そう予算を増加されて、この官民に対する研究機関に助成金の交付を一そうふやして、活発に実用的な新技術の開発の促進をはかっていただけるならば、非常にしあわせだと考えるものでございます。  ざっぱくでございますが、以上で終わります。

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) ありがとうございました。  それでは次に、東平参考人にお願いいたします。

東平孝徳全国メッキ工業組合連合会会長

○参考人(東平孝徳君) いま御指名をいただきました全国メッキ工業組合連合会の東平でございます。  中小企業における公害対策ということでございますけれども、   〔委員長退席、理事中野文門君着席〕  私どもメッキ工業者が、こういったところに参考人として喚問をいただいたということは、メッキ工業が過去においていろいろの事故を起こしている、多摩川水域におけるところのシアンの問題、各地方においてもシアンの問題で川の魚を死なせたり、いろいろの問題が起きているので、こういったことに相なったのではないかというふうに考えております。そういった見地から、特にメッキに関してのみの公害ということと、私どもの今後、国当局にお願いしたいことを簡単に申し上げさしていただきたいと存じます。  最近の産業の発達とともに、メッキが非常に多く需要または利用されるようになりまして、私どもの業界は全国に約三千五百という、たくさんの業者が分布されているわけでございまして、昔はあまり事故もなかったのでございますけれども、最近のメッキ技術の発達が非常に大きな公害にもつながるような状況になったというのは、メッキの企業は、規模がだんだん大きくなってきた。そんなところから特にシアンとか、クロム酸とか、いろいろと工業薬品の利用度合いが多くなってきている関係とも思われるわけでございます。もちろん、メッキ工業を始めるときには、いろいろと中和装置、その他を利用して、流れる水がある程度きれいにならなくちゃいかぬということが、うたわれてあるわけでございますけれども、いつの間にか、それがだんだん忘れられたということではないけれども、等閑に付されて、最近の事故が発生して、初めて大きな問題だということで反省をいましているわけでございます。特に昨年、私どもの業界が厚生省の取り締まりによるところの廃棄基準、メッキ液の廃棄基準が二PPMに指定されたということから、私どもの業界は非常に大きな打撃を受けている。こういったことをされたのでは、全国のメッキ業者がほとんど倒産するだろうということから、真剣に考え、御当局の御指導をいただきまして、そうして、この厚生省におけるところの廃棄基準の実施は、今年の十二月三十一日まで延期されておるわけでございますけれども、私どもはこの間におきまして、産業公害という大きな社会問題になることでありますので、いまその対策にいろいろと苦慮いたしているわけでございます。特に先ほど申し上げましたように、メッキの中で一番大きな問題を持っているのはシアンの問題でございまして、メッキ工場から流れるシアンの濃度というものが相当高いということから、この流域におけるところの魚とか、魚介類というものがほとんど絶えてしまうというようなことが言われているわけですけれども、このシアンの除去の問題、要するに除害装置の問題にいま私どもは一生懸命に取り組んでいるわけでございます。さりとて私どもは、そういった専門家ではございませんので、みずからがそういったことに携わるわけにはまいりませんけれども、こういった除害装置をつくるメーカーが最近は非常に多くなりまして、シアンの除害のための研究をしてくださっているわけでございますが、私どもが、ここでお願い申し上げたいことは、こういった問題が起きると、そういったときに、何かこの機会をのがしてはというような、いろいろの装置メーカーがたくさん出てくるわけです。いの一番に、自分の装置を売り込んで、ここで一もうけしたいというような業者も、たくさんと言っていいかわかりませんが、あるわけでございます。私どもは、これをひとつ御当局にお願い申し上げ、この装置の検定をしていただきたい。消防法できめられておりますところの消火器は、検定によってこの消火器は有効であるとされると同じように、このシアンならシアンの除害装置をした場合に、これならばだいじょうぶであるというようなものをひとつしていただきたい。こいうったお願いを申し上げますのは、私どもの業界には非常に零細企業が多い、三千五百といわれる私どもの業者の中で、二十人以下の企業、これがおそらく八〇%以上に及ぶ数でございまして、非常に零細企業が多いために、国からいろいろの助成をしていただいて、こういった機械を備えつけたとしても、これがすぐこわれてしまったり、有効な実績があがらなかったりというような場合、またこれをやり返すというようなむだなことがあっては、二度とこれは取りつけができないというようなことが起きるんではないかというようなことから、私どもはこの除害装置の技術開発と相まって、この機械の検定ということができなければ、推奨できるものというようなことで、確実性のある除害装置をひとつ開発していただきたい。まあそんなふうにお願い申し上げるわけでございます。  かりに、この機械を取りつけて、メッキ工場から流れる水は、もうすべてがシアンの除害ができておるんだ、そこから流れる水はだいじょうぶだろうといって、その水を使われて何か事件が起きるというようなことがあっては、逆に大きな問題を起こしていくんじゃないかというようなことから、私どもはシアンの除害装置については、いま大きな問題を持ってやっておるわけでございます。もちろん、国の助成をいただいてやらなければできない業種であって、非常にこの業界の多くの要望にこたえるということは、たいへんなことではございますけれども、先ほど来申し上げたように、いろいろの事故が発生しておりますので、何とかこれを解決しなくちゃならぬというので、私ども全国業界に指令を出して、業界でも対策委員というものをつくりまして、いまいろいろと研究をしているわけでございます。  先ほど来申し上げましたように、非常に私どもの業界が小さいということから、一々各企業にこの装置を取りつけたり、公害対策をやるということは非常に大きな問題でございます。で、先ほど来のお話にありますように、近く公害防止事業団ができると聞いておりますけれども、私はかつてより、私ともの企業を合同——合同ということになりますと、戦時中の企業合同とか企業整備というものが、いまだにまだ、しこりを持って、そういったことはできないという業者が多いわけですけれども、小零細企業を事業団のアパート化によって救済する方法はどうだろうというふうな考えを持っているわけでございます。二十名以下のそういった零細企業を工場アパートに収容して、そこから出るじんあいとか、ガスとか、シアンの問題、これを一括処理をしていけば公害対策の一環としてりっぱにやっていけるんじゃないか。いま私どもは近代化促進法の指定業種をちょうだいしております。いま近代化のために業界も努力はいたしておりますけれども、なかなかこういった問題ができてきますと、工場の近代化よりは公害に気をとられてほとんど近代化が進まないというような現状でもございますので、この近代化と、いまの公害対策を併用していくためにも、このアパート化は非常に私はよろしいんじゃないか。規模をどのくらにするかはその地域によって決定す−ると思うんです。二階なり、三階なり、このアパートに少なくとも十工場とか十五工場を収容するアパートをつくって、そうしてそこから出るいろいろな問題を一つで解決する。そんなふうにいたしますれば、このアパートに入居した企業の共同教育というもの、要するに、経営者教育とか、従業員教育とか、また従業員の宿舎であるとか、共同給食の問題とか、これはもうわれわれの業界の近代化のために一石二鳥どころか、何鳥にも及ぶ利便がありますので、私どもは公害防止事業団の中のアパート化に私はほんとうに大きな期待を持つわけでございます。  先ほど来、諸先生方から産業公害の重要性と今後の対策についていろいろ申し上げておりますように、私ども小零細企業といえども、やはり人に迷惑になるようなことは、企業をいたしておる以上、今日ではできないわけでございますので、今後はほんとうに前向きの姿勢になって、この公害対策に取り組んでいきたい、まあそんなふうに考えているわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、小零細であるために、ぜひひとつ国の助成を仰がなくちゃならぬというふうにも考えております。  いま白沢先生のお話のように、税制問題につきましても、この装置が固定資産税の対象にならないようにひとつお願いしたい。特に、この除害装置をしましても、機械を取りつけただけで事済むものではご、さいませんので、仕事をする限りにおいて、これを完全に稼働させるためのランニング・コストが相当かかるようでございますので、非常に私どもメッキというものは下請であり、そうして一番しわ寄せを受ける業種でございます。三千五百という数を申し上げましたけれども、今日では非常に業界そのものも多過ぎる感があって、過当競争にもすぐなってしまう。その中で、こういった生産に何ら寄与しないところの公害問題に大きな費用がかかることになりますと、これはもう、われわれは、みずからがつぶれていくのを待つというようなことにもなりますので、そういった施策につきましても、十分今後の国の助成をひとつお願いしたいというふうに考えるわけでございます。  いま申し上げましたように、特に私どもこのアパート化につきましては、通産省におきましても一時は、団地化のおすすめもずいぶんございましたのですが、この団地化ということは非常にいいようであるけれども、小零細企業には適しない。と申し上げますのは、団地化ということになりますと、どうしても東京周辺の適当な地域に参りませんと、安い広い土地が得られない。そういったことになって、土地は安くて広いものが得られるけれども、要するに、私どもはメーカーとのつながりが非常に深いわけでございます。ですから、長い道中を、幾ら車があるといっても、今日の麻痺状態のような交通難のおりからでは、とうていお客さんの要望にこたえられない。むしろ遠くへ行った人はほとんど仕事がなくなってしまう。お客さんの周辺に無理をしてもおった人は仕事が繁盛してうまくいったという、そういった例もございます。ですから、できるだけメーカーの多くある地域に適当な土地を見つけて、そうしてアパートをつくったらどうだろう。特に、私どもは先般も紅露委員長さんにおいでいただきましてつぶさに現状を視察していただいたのでございますけれども、ほとんどゼロメートル地帯というような地域でございまして、雨が降ったりなんかしますとすぐ水が出てくる。水が出ますと工場と家庭の水がほとんど一緒になってしまう。普通の家庭の中にシアンの水が入ったり硫酸の水が入ったりということで、非常に公害面から考えても重大なことでございますので、これをひとつアパート化するならば、こういった面も一挙に解決するのじゃないだろうかということでございます。私どもは、メッキ工場の小零細を救済するものはアパート以外にはなかろうかというふうに、いまのところ考えているわけでございまして、公害防止事業団のできましたとき、ぜひそういった面の推進をしていただきたいということをお願い申し上げまして、まことに簡単ではございますが、自分の業種だけのことをお願い申し上げてたいへん失礼いたしましたが、以上をもちまして私の申し上げたいことをお話しした次第でございます。たいへんどうもありがとうございました。   〔理事中野文門君退席、委員長着席〕

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) ありがとうございました。  これで参考人の方々からの御意見は全部聞き終わったわけでございまして、御質疑のある方は参考人にひとつ御質問なさっていただきましょう。

柳岡秋夫日本社会党

○柳岡秋夫君 せっかくの機会でございますので、今後私どもが論議をする参考に諸先生の御意見を若干お伺いしたいと思うのです。  先ほど進藤先生はじめ各先生も、この産業公害防止の基本的な理念と申しますか、その理念は一体どこに置くのかということについて、まあ国民の保護、そしてさらに生産の増強、それを調和さしていくことが大事だ。しかし、この国民を保護し一方で生産を上げていくということの調和は、これは言うべくしてなかなか困難な問題じゃないかと思います。先ほど白沢先生も言われましたように、産業の発展を阻害しないようにということにやはり重点を置かれている。また、中小企業におきましても、非常に零細な企業であるから、これについての生産に寄与しない施設のものについてはなかなか困難だというお話、しかも現在の経済におきましては、資本主義経済という形で、どうしても各企業は利潤の追求というところにやはり重点を置かなければいけない。こういうことで、両者を調和させるということは非常に私はむずかしいと思うのです。したがって、今度の事業団法案なんかを見ましても、まあこれはあとで議論するわけでございますが、どちらかというと、この産業の健全な発展を重点に置くような考え方に立っているわけです。これでは私は、やはり公害阻止という真の目的は達成できないと思いますし、したがって、もう一回、こういう理念をどこに置くかということについて、企業と国との責任の限界、ここにもありますが、国としてはどこの程度までこの問題をみるべきかどうか。これは非常に大きな問題だと思うのです。日本経済の成長率にも関係してきます。したがって、非常にむずかしい問題でございます。一応、進藤先生のお考えをひとつお聞きしておきたいと思います。

進藤武左衛門産業構造審議会産業公害部会長

○参考人(進藤武左衛門君) お答えいたしたいと思いますが、一口に言いますと、調和というのは非常に簡単のようでたいへんむずかしいと思います。しかし、少なくとも大気汚染あるいは飲み水に対する脅威、こういうものは、これは理屈じゃない、除去しなければならない。そこで、どの程度まで除去したらいいかという問題をつかむことが私は必要だと思います。先ほど白沢さんもお話しのように火力発電所は二百五十メートルの煙突を設けてて大気ヘガスを拡散してしまうというようなくふうもしておられますが、要するにわれわれが生存する地上から何尺かしらぬが、そこにある大気の汚染、あるいはわれわれの飲料水を取り入れるところの川の水の汚染というふうな問題を重点的に取り上げまして、そうして、現在あるものを処理していかなくちゃならぬということになりますと、目標が相当はっきりしてくるのじゃなかろうか。そうして、その現状をもう少し科学的にといいますか、技術的につかまえまして、それで必要以上のことはいまやる必要もないと思いますから、そういう点をまずつかまえることと、それから、どうして、も企業の生産は上げていかなきゃならぬ。しかし、この大気の汚染であるとか、水の汚濁は防止しなくちゃならぬというところになりましたら、企業のやれるところと、国のやる範囲をおきめ願う。と言うのはメッキの業者のお話がい左ありましたように、メッキはしなくちゃならぬが、しかし、企業の負担力が非常に弱いということになりますと、やはり国で助成金を出しますとか、あるいは技術の研究をやるとか、指導をやるとか、あるいはアパートをつくるとか、あるいは工場を移転して適地に持っていくというふうな問題は一体民間でどのくらいできるか、あとは国が一はだ脱いでやろうということでないと、当面の公害問題は私はなかなか防げないと思います。そういう点を、それじゃどの程度やったらいいかということは、これはただ感じじゃだめでして、もう少し技術的な深みのあることをやらなきゃいかぬ。たとえば工場を持っていくことは非常に金がかかって、その工場が成り立たないということになりますと、住宅、アパートをつくって、住宅のほうの移転をまず国がやって、公害を防ぐということも一つの行き方ではないかと、そういう問題をひとつ検討していただきたいと思います。  それから、将来の問題につきましては、これはいままで、ほとんど公害ということが念頭になかったといえば語弊がありますけれども、公害が騒がれたのがこの数年ですから、いままでほとんど野放しという状態だったと思います。そこで、いまある公害に対してはできるだけ処置しますが、これから同じことを将来また繰り返しては困ると思う。新産都市十三を全国に指定しまして、このきたない汚水と、それから大気汚染を全国的にばらまいちゃ困るのでありますから、いままでのにがい経験を土台としまして、少なくとも公害対策を含んだ新産都市の計画というふうなことはぜひやっていただきたいと思います。そのやり方については、さっき申し上げましたように、たとえば気象状況の調査を十分やりますとか、あるいは公共施設、まあ共同下水、こういうものをほんとうに初めからつくっておくというふうにいたしますと、いまのような公害に将来はならぬと思いますが、これはやっぱり国にしっかり力を入れていただくということが、私は具体的に仕事を進める一番根本じゃないかと思います。そういうことでこれから具体的にやるのは、事業団がやはりそういう問題を頭に置いて公害対策の指導的立場といいますか、事業の推進力としてぜひやっていただきたい。そこでわれわれから申しますと、ことし、これだけ大きな問題をわずか二十億円の予算というふうなことは、実はわれわれとしてももう少し現在の公害に対する処置に対して御理解を願いたいと思うのであります。まあちょっと時間がかかりますが、一つの例を申し上げますと、これは公害とからんでまいりますが、私、水資源開発公団におりますけれども、この間、三月一日から、利根川から荒川へ水を入れまして、そうして鴻巣から浦和まで荒川の自然流下をやって、そうして浦和から東京へ水道水源として送っているわけです。ところが鴻巣から荒川までの水質の保持に対する処置が実に頭を悩ましている、一年半以上も、こういう問題があると考えて頭を悩ましておるのでありますが、あの付近には御承知のように中小工場が百幾つかありまして、その排水が新河岸川へ入ってくる。それからもう一つはし尿処理がなかなか不完全であります。そこで、この間読売にも載りましたが、川へ白昼堂々とし尿を捨てるというふうな状態であります。それからかんがい用水が戦争前と違いまして最近は農薬を使う、あるいは化学肥料を使いますから、もうドジョウも住まないような水にだんだんなっている。そういうものがあそこに参っておる。ですから、大げさなことばになるかもしれませんが、日本の河川というものは川であるけれどもだんだん下水化しておる。淀川あたり、われわれいま開発をやっておりますが、淀川というのは考え方によりますと関西の一大下水というふうにも考えます。大阪の上水道の取水口に行きますと、とても見ておれないような水を処理しておるという状態ですから、そこでこれはどこかでやらなければならぬ、企業一つ一つじゃとてもできない。やはり国として、たとえば荒川へ並行しまして共同排水路をつくる、そうして工場排水であろうがたんぼの水であろうが、みんなそれへ入れてしまって、そうして下流のほうへ終末処理場をつくって、そうしてこれをもう一ぺん工業用水、雑用水に使うということも必要じゃないかと思います。現に東京都では毎日二百五十万トンばかり水を使っておりますが、そのうち二百五十万トンは排水になって下水から流れておる。でありますから、この二百五十万トンの下水を、伺%になるか知らぬが、これを再生しますと、現に三河島その他で東京都がおやりになっているようにりっぱな工業用水に使えるわけであります。こういう問題はやはり公共団体なり国でやらないとできない仕事なんです。こういう問題と産業公害との関連を考えますと、産業だけが全部それをやって、そうして産業がつぶれるというようなことにはなり得ないと思います。でありますから、どうか国がこの際踏み込んで国のやるべき分、あるいは国のやるべき分とそれ以上に産業をつぶさないための助成措置というものとの関連を考えていただいて、そうして事業団がその具体的推進機関として運営していただきたいと思うわけであります。

柳岡秋夫日本社会党

○柳岡秋夫君 この事業団が推進機関としてやっていくということについてはもちろんですが、確かにいま言われたように予算的な面、あるいはこれは国あるいは地方公共団体がどこまでこれに協力していくかということが非常に大きなかぎになると思います。  そこで中小企業の場合、いろいろ近代化資金なりその他の政府の融資資金があるわけですが、見てみますと、大体なかなか金利が高いとか、返還が困難だということで、完全にそれが消化をされておらないという面があるように思うわけです。こういう施設をつくって管理をしていくとコストが非常に高い、その上に返還もしなければならぬということになりますると、中小企業にとっては非常にいいようで、なかなか問題があるのではないかと思うんです。したがって、先ほどはそういう要望はなかったのですけれども、金利七分というようなことが、あるいは償還期限の問題を特にざっくばらんにどういう形でいいのか、ひとつお聞かせを願えれば幸いだと思います。それとやはり私は、そういう一つ一つの問題だけでなくして、中小企業の根本的なやはり対策というものがない以上、こういう問題も解決できないと思うのです。ここで取り上げる問題でございませんが、そういうところに中小企業対策としてやはりもっと重点を置くべきことがあるのじゃないかと思いますが、この際ですから、もしありましたらお聞かせ願いたいと思うのです。

東平孝徳全国メッキ工業組合連合会会長

○参考人(東平孝徳君) お答え申し上げます。  いま御質問のように、もしアパート化をはかる場合の資金の面とか、それから中小企業、特に零細企業が、こういった対策のために金利負担その他ができるかどうかという問題でございますけれども、いまかりに私どもの業界を考えてみましても、なかなか中小企業ではこういった金が実際に借りておられない。というのはやはり小、零細と申し上げますと、そういった借り入れの態勢ができていない。端的に言うならば経営がどうもどんぶり勘定である、こういった資金を借りるためにどういう手続を踏むのかというようなことができていないというようなことから、今後そういった経営を数理的にちゃんと求めなくちゃならぬということで、私どもは業界を指導しているわけです。さりとて、いまここで金利が高いので借りられないからできないということがあっては、この公害問題は解決できないということから、まず先ほどもお話がありましたように、こういった公害のための準備基金といいますか、こういったものを業界が、協同組合なら協同組合が一括責任を持って借り入れて、そしてそういった手続の取れないようなところに組合が保証人になってやるとか、まあ、そういったふうにも今後考えられるわけでございます。金利負担の点につきましては、特に公害問題については非常に安くなっているようでございますので、この点については問題はなかろうと思います。アパート化にした場合に、多額の借り入れ金の返済ができるかどうか、金利負担ができるかどうかということと存じますが、私どもは、この事業団によりますアパートについての償還は相当長期にわたるように聞いておりますが、まあメッキは世間では俗にもうかるといわれているのですけれども、完全な合理化がはかられていくならば、この金利負担とか償還には十分たえ得られる、個々ではなかなかそういったことは実行されませんけれども、集団化して協業化をはかるとか、いまのようなアパート化でやっていくとかするならば、こういったものは十分やっていけるのではなかろうか。私どももそんなふうに考えております。この問題について、まだ、こまかい数字をあげてはおりませんけれども、近いうちにそういった計画を立ててみたいというふうに思っております。まあ特に、金利負担とか借り入れがまだ十分できておらないということは、先ほど申し上げましたような経理上の問題、それからもう一つは、お金を借りるときによく担保がいわれるわけですけれども、担保能力の不足ということからもお金が借りられない。特に今後は、信用保証協会などの保証を得て、こういった公害問題については十分ひとつ借り入れのできるように推進していきたいというふうに考えております。

柳岡秋夫日本社会党

○柳岡秋夫君 あと一つ二つ。公害には産業公害と一般公害があると俗にいわれております。そこで、きょう御出席の方々はほとんどまあ産業公害の面の関係ですが、公害対策として非常に——進藤先生も若干触れられておりますように、政府の所轄と申しますか、関係省庁が非常に多いわけですね。統一化されていないわけです。個々——たとえば厚生省、あるいは通産省、あるいは農林省、あるいは経済企画庁、あるいはというような形で非常にばらばらに行政が行なわれているわけです。政府のこうした行政組織ではたしてこの非常に問題の多い公害対策に十分であると考えておられるかどうか、また、そのことが産業に従事をされておる現場の責任者として、こういう現在の行政組織のあり方で不便を感じておらないのかどうか、問題がないのかどうかです。その辺どなたでもけっこうですから、ひとつお聞かせ願いたいことと、もう一つは、技術の開発に非常に重要であるということを各先生も言われております。しかし、日本の場合、非常に科学技術に対する国の積極的な取り組みというものがまだ非常に足りないと思うんです。したがって、こういう公害防止のための技術開発というものが非常におくれておる。で、工業大学あたりで大体どのくらいの年間予算をもってやっておられるのか、まあ参考のためにひとつお聞かせ願いたい。そしてまた、そういう技術開発も、先ほど言ったような行政組織のばらばらな形の中で、ばらばらに開発が行なわれておるということも、私はやっぱり国家的に見てロスが非常に多いんじゃ、ないかというふうに思うんですが、こういう技術開発も、これは民間のそれぞれの会社、工場で独自にやられることも必要でありましょうが、やはりそれを統括する、総括をするやはり組織がなくてはならないんじゃないかと、こういうふうに思うんですが、そういう点ひとつ清浦先生でもけっこうですから、お伺いしたいと思うんです。

進藤武左衛門産業構造審議会産業公害部会長

○参考人(進藤武左衛門君) お答えいたします。  行政組織の問題につきまして、よく議論が出るわけでございまして、実は私の関係しております水資源開発公団におきましても非常にむずかしいだろうという観測をする方もございます。しかし、私のほうは、まあ主管官庁は経済企画庁でありますが、仕事によりまして主務官庁というのが七つあるわけです。それでも仕事を水資源開発という一つの目的にしぼって、それを関係各省が何と言いますか、固めると言っちゃおかしいんですが、各分担をやって横の連絡を十分していきますと、私はちっとも、行政の機構のどうとかこうとかいうことは、実は問題にしておらない。今度の問題も産業公害というのは一口に簡単でありますけれども、非常に複雑な内容を持っておりますから、これを無理に一つの、つまりいままでの歴史を無視して一つの官庁に集めることがいいか悪いか。つまり理論としては成り立ちましても、現実のきょうの問題として成り立つかどうかといいますと、私はそのほうがかえっていかぬじゃないかと思う。それから将来、行政機構をどうするかという問題は、いま行政官庁その他でも御研究になっておりますから、それは一つの問題として、きょうの問題としましては、ことに産業公害に対しては、いま通産省と厚生省と両方で、しかも通産省でおやりになっていることは大体産業の公害であって、それから厚生省でおやりになっていることは、産業公害も含んだ一般公害の関係をお取り上げになっているわけであります。ですから行政機構を簡素化してどうとかこうとかいう議論は、将来は別として、当面の問題としては、そうわれわれとしては心配する必要はないというふうに考えておるわけであります。

清浦雷作東京工業大学教授

○参考人(清浦雷作君) お答えいたします。  最初の御質問の、官庁の組織の中に幾つか公害関係が分散しておって、これは連絡が非常に悪いんではなかろうかということに対しての私の考えでございますが、実は私もそのような懸念を数年前から若干持ってはおりましたけれども、実際にいろいろ最近の政府の活動その他に若干関係を持つ今日考えてみますと、この問題は現在非常によく円滑に動き始めておるというように私は実感を持っております。まあこれは国会議員の先生方が政府のお役人さんをずいぶん叱咤激励されますので、そういうことも有効に働いておるんじゃなかろうかと思いますが、非常に連絡がいい。たとえば今回の公害防止事業団にしましても、厚生省と通産省との両者の非常な緊密な協調のもとに、非常にむずかしい問題について十分解決に進んでおられる。これなど実は、昔は厚生省と通産省というと、問題によっては犬猿の仲であったような時代毛あったんじゃなかろうかと思うんですけれども、すでに今日の状態では非常によくお互いに了解ができておられて、非常にいいチームワークをしておられると思います。同じような関係が、やはり科学技術庁その他とも良好に運営されているように、私もいろいろ問題に参与するようになりまして、わかってまいりました。そういう実感を持っております。  それから公害防止に関しての政府の予算とか、あるいは大学の研究費とかいうことについて、どう考えるかという御質問につきましては、たとえば公害防除という問題は、日本の国民生活に最大な関係を持っておることでありますにもかかわらず、現在までこれに対して、国から支払われた財政的な経費というものは非常に少なかったんではなかろうか。驚くほど少ない。どうしてこういうことになったかということは、公害というものにつきまして、これは官民ともに最初は、できるだけああいううるさいものは、なるべく、あんまり取り上げないことにしておこう、問題を取り上げると、たいへん困難な事態がいろいろ出てきて、これはたいへんだというようなことを考える時代があったんではなかろうかと思いますが、これは非常に間違った、古い考えでございまして、日本のように非常に狭い国土に一億の人口を養わなければならない、おまけに資源は非常に乏しい。そうなれば、これは海外から工業原料を輸入してきて、そして日本の工業で加工して、これを輸出して、日本は外貨を得ていかなければならぬ。これは御案内のとおりでございますが、現在まあそういう工業原料を輸入しなければならないと同時に、日本は米麦の主食の一部さえ、あるいは家畜の飼料の大量を輸入しておる現状でございます。とにかく、日本は非常に外貨を食う国でありますから、何とか外貨をかせぐ、金の卵を産む鶏をたくさん飼っておかなければ、日本という国はどうにもならぬ。それじゃ金の卵を産む鶏は何かというと、とりもなおさず日本の工業であります。それじゃ金の卵のメカニズムはどうかということを簡単に申し上げますと、日本には石油資源がほとんどない、海外から大きなタンカーで、たとえばアラビヤ石油とか、その他外国の石油会社から原油を輸入してまいりますが、それが年間、非常にラウンドにした数字ですが、約六億ドルを輸入してまいります。それで今度は、いろいろな石油製品をつくりまして、日本でこれを産業の手に移しますと、約七十億ドルの価値を持ったものに加工されてでき上がるわけであります。つまり六億ドルが七十億ドルに、つまり約十二倍になるわけでございますから、まあいわばこれは金の卵を産む鶏と考え得るわけでございます。そうして今度は、七十億ドルの価値のものにつくって、そのうち六十三億ドルを国内でいろいろ消費する。たとえばわれわれのこの洋服にしても、あるいはこのテーブルにしても、最近ほとんどが合成繊維あるいは有機合成物でございますが、そういう国内の国民の生活資材に提供されるわけであります。そうして、なおかつ、その中から七億ドルを輸出にまわすことができる。そうすると、六億ドルで原料を買ってきて、七億ドル輸出をして、なおかつ国民が寒くないように衣食をしていくことができる。それでそこに一億ドル余裕がまたできるのだと、これで主食の米麦を買うことができるというような勘定に、簡単に申せばなるのではなかろうかと思うのであります。で、そういうように日本が世界のどの国よりも大きな工業を、国の財政経済の比率からいえば、持っていかなければ、日本の国は独立国として存立していくことはむずかしいんじゃないかということを、私も考えるわけでございます。で、それだけに日本の工業が狭い国土に密集しなければならないというときに、そこにもし妥当な、適切な措置が講じられなければ、必ず産業公害というものが起きてくるわけでございます。産業のあるところ必ずと言ってもいいほど廃ガスは出るし、廃水は出るわけでございます。で、たとえばわれわれが日常使います紙にしましても、この紙をたとえば毎日七十トンつくるパルプ工場に例をとりますと、毎日約十万トンの水を使いまして、十万トンの廃水を流さなければ、この紙はできないわけでございます。で、その十万トンの水を、それでは川が全然汚濁しないように、使う前の水と同じように処理して川に流せと言っても、これは全くできない相談でございまして、もしかりに相当きれいな水までこれを処理しなければならないといたしますと、そこでできてまいります紙の値段というものは非常に高いものにつく。で、今日、世界の情勢を無視しまして国内の産業を考えるわけにはいかない。これは御案内のとおり、もう開放経済の時代でございますので、もし日本の紙が外国の紙よりも高ければ、必ず海外の紙の会社は日本に売り込んでまいります。日本の紙の会社がまず不景気になって倒産をする。幾らここで政府が税制を講じて見ても限界がある。で、万一そういうことで非常に不況になって失業者が町にあふれるというような事態が出て、これが連鎖反応的に日本に広がるということになったらたいへんだ、そういうことをつくづく考えるわけでございます。それからそれでは、その公害をなくするようにいろいろもっと適切にやったらどうだ、火力発電所にしても、何も京浜工業地帯の近くに置くとか、あるいは四日市なら四日市の海岸に置かないで、もう少し離れた離れ島に持っていって、大きなものをつくればいいじゃないか。これはそういう考えもあるのですけれども、たとえば発電所は、需用地帯からある距離以上離れますと、相当な距離の送電線を置かなければならない。それが電力のコストに加算されるだけでなく、日本のように災害、たとえば台風にしても、それから落雷にしても、いろいろなそういう自然災害の多い国でございますと、いつ送電線が落雷あるいはその他、暴風雨等で障害を受けるかわからない。先般も一つの例がございましたが、川崎地区でわずか三十秒の停電が起こった、そのために五億とか十億の産業上の被害が起こっております。これはやはり長い送電線を使って、もし電力を送ると、そういう非常に大きな、われわれが想像もできないような、わずか三十秒の停電で数億の損害が起きてくるというように、現在の工業が非常に高度に発達しておりますので、簡単にその発電所をそれじゃいなかのほうに持っていって、ほうり出しておけということができない事情でございます。ここに、たとえば火力発電所をとりましても、その廃ガスでもし問題が起きるとしますと、これを何とかして技術的に解決する方法の研究ということが、現在の日本として最大の急務でございます。これは先ほど申し述べましたように金の卵を産む鶏を殺さないため、むしろふやしていかなければならないためでございます。それで、もしかりに日本が南極探検その他に、たとえば六億とか八億の研究費を投ずるということも、これは世界の研究の一つのチェーンとして、理学の基礎研究に必要なことでございますけれども、同時に国民生活に直結したこういう公害防除の問題に、かりに南極探検に前向きに八億を投ずるならば、公害防除のこの研究に百億を投じても惜しくはないであろうということを私は痛感いたします。この点、非常に南極探検も重要でありますし、一見はなばなしいテーマであります。それだけに、そのほうには金が出るが、公害防除というような、何かそういう問題には従来なかなか国家の予算が顧みられなかった。これは日本にとって、日本の今後の発展のために、非常な問題点であると存じます。  それから大学の研究費の一例を申せということでございましたが、いろいろ大学によって違いますけれども、私が奉職しておりますのは東京工業大学でございまして、大学院を付置しております大学であります関係上、講座費が若干、大学院を付置しない大学よりも増額されている現状でございますが、光熱、水道費とか雑費を差し引きますと、一講座——これは教授一名、助教授一名、助手二名、それから雇員一名、われわれはこれを一・一・二・一と呼んでおります。これが一講座の構成人員でございまして、これに対しまして年間われわれの大学で、実際に使い得る研究費——いろいろ消耗品を買ったり、それから小さな機械を買ったりします研究費が約二百万円でございます。一カ月にこれを割りますと、教授一人当たり約十万円にしかつかない。もちろんこれ以外に不定時に、いろいろ申請によりまして、まとまった機械を買う研究費の支給が、いろいろ科学研究費とかその他の名目でございますけれども、これは必ずしもそれをあてにして、必ずその研究費がくるという当てのもとに、研究を進めることができない金でございます。そういう意味で、たとえば公害関係の研究費にいたしましては、ようやく三十九年度に、初めて科学研究費の中へ公害部門が、大気及び水質汚濁という項目が盛り込まれました。それが三十九年度が初めてでございまして、これもごくわずかの研究費が配分されているという状況でございます。  先ほどから申し述べました日本の産業の重大性という点から考えまして、いかに公害対策に対する研究費予算が少額であるかということを繰り返して申し述べまして、国会の先生方はこの方面に対して、大いに政府に対して、先ほどと同じように、叱咤激励していただきたいと思います。どうぞよろしく。

丸茂重貞自由民主党

○丸茂重貞君 本日は、公害防止に対しまして、御四方のいろいろお話を承りまして、まあわれわれといたしましても、たいへんじくじたるものがあるわけなんです。そこで御指摘になりました点はもう一々ごもっともでございまして、われわれは皆さま方ほど深い知識経験はございませんが、考える方向はみな一緒なんでございます。そこで問題は、産業の進展と公害の防止という線をどこに引くか、これは非常に大きな問題点であろうと思いますが、きょうは特に公害を防止するには、具体的にどういうふうにやっていくかという問題をお伺いいたしたいというつもりで、さっきからお伺いしていたんですが、やはりこれは、公害にももちろんいろいろあります。進藤先生御指摘のとおり、水があり、空気があり、騒音があり、臭気があり、その他の問題があると思いますが、やはり基本的には、もとを押えるということが一番大事だろうと思うのです。今後の公害防止事業団法にいたしましても、グリーンベルトというようなかっこうで、すでに広がったものから民衆を守るにはどうするかというふうなところに重点が置かれておるところに御不満の点があると思います。まあ、現在ではやむを得ない点もあるんですが、私は本職は医者なんでございます。したがって、たとえばガンのような病気のときには、原則は、なるべく小さいうちに片づけちまえ、取っちまえ、やっつけちまえ——おそらく公害のときにもこの原則は適用できると思うわけです。  そこで、たとえば、一つばい煙をとりましても、天を摩する煙突をつくって、百年も前から同じように黒い煙を吐いている。ところが、あの黒い煙というものは、実は不完全燃焼物で、あの中から何がまた貴重なものが出るかわからないわけですね。昔は、タールなんていうものは、アスファルトに使われるぐらいでありましたのが、いまは、タールは、薬品原料としても、たいへん貴重なものになってきているというふうなことを考えれば、一体ああいう煙突というものを、いまのままでわれわれはやっておいていいのかどうか。あれを真空吸引式かなにかで地下のほうへ持っていって、その過程において完全燃焼をはかるような処理はできないものかどうか。これは一例でございます。  私、しろうとながら、防災というものは、むしろそっちのほうへ向かっていかなくちゃならないんだ、そういう意味で、私も科学技術の委員をやっておりますものですから、大いにそっちのほうに日本の科学技術は向かわなくちゃいかぬ、原子力だけが問題じゃないんだという主張をしてるんですが、最近になって、どうやら防災科学研究所というようなものがあって、いわゆる暴風とか、ああいうもの、天災ですね。天災に対して何とか防ごうじゃないかというので、科学技術研究所ができております。緒についたばかりですから、たいした成果はあがりませんが、今後、公害防止という点についていいますならば、空気の汚染でありまする煙突のような問題ならば、一体相も変わらず天に向けて煙突を立てておいていいか悪いかという問題、あるいはメッキ工場の話がありましたが、それを、汚水が出て広がってからこれを処置するというのは、たいへんなことなんですね。  そこで、一番もとの、一番量の少ないところで、こいつを処理してやるということが、やはりかなめじゃないか。ところが、もちろん、各企業それぞれ精いっぱいですから、自分の力でそれをやるわけにはとうていまいらない。そこで、やはりお四方が申し上げられたように、国の大きなてこ入れをやらなくちゃならぬ。ところが、てこ入れをやる場所の、いまも認定がつかないわけなんですよ。そこで、これを、それぞれの工業によって場所の認定をするというのは、たいへんなことでしょうが、たいへんはたいへんでも、これをやらないと、費用というものは重点的に使われない心配があるわけです。そして、まあこれは、いずれ実施の段階になって、こちらからもお願い申し上げなければならぬことですが、広がる前に退治する。  私、この前千葉県で、研究所の名前はちょっと忘れましたが、あすこで、汚水処理で活性汚泥というのを使っております。これは皆さんも御承知だろうと思いますが、パププ工場から出る水が、活性汚泥を使うと非常にきれいになって出ておる。もちろんこれは、二十万トンというふうな廃水に使った場合に、費用の面からどうなるか。これは大きな問題だろうと思います。それにしても、ああいうことは一つの私は橋頭塗だと思うのです。今後は、費用がかかっても、そういうふうな前向きの研究に対しては、日本の科学技術の総力をあげてやっていかなくちゃ、これはとうていいかないんだという印象を非常に受けてきたわけです。  いま清浦先生のお話を聞きましても、まあ、科学に対する日本の国費の補助というものがまことにお恥ずかしいものでございます。これはまことに、われわれが責められているという感じを強くしたものでございます。及ばずながら、一生懸命がんばっていくつもりでございますが、公害の防止というものを大別すれば、おそらく、水、空気、臭気、あるいは騒音、幾つもに分かれないだろうと思うのです。そこで、それぞれの面に分けて、たとえば科学技術庁のようなものが専門的に総力をあげて研究していくという体制ができ上がらなければ、いかに議論をしても、どうしてもうまくいかないという感じがいたします。その点をお四方の先生方から余すところなく御説明いただいたと私思うわけです。ここできょうお話を聞いたのを聞きっぱなしにしておいては、まことにもったいない話です。われわれの責任も果たせないということでございますので、これは後ほど当委員会の問題にもなりましょうが、きょうお伺いした意見をどういうふうに建設的に、政治に具体的にあらわしていくかという問題が非常に基本的な問題になるだろうというふうな感じを強くするのです。  そこで問題は、たとえば、今後もお願いいたしたいことは、きょうは総論的な御意見を承りましたが、今度は、各論的に、一体空気の汚染に対しては、汚染源はどのくらいあるんだ、この汚染源に対しては、少なくも、こういうふうな広がる前に処置があるのではないか、こういう点は、科学技術庁は、研究所を設けてどういうふうにやっていくんだ、あるいはやっていかなければいかぬというふうな、具体的な御指示なり御要望をぜひとも当委員会に出していただきまして、当委員会が、これは科学技術振興対策特別委員会と密接な連絡のもとに、向こう側に強く働きかける、こちら側は向こう側の研究成果を行政努力の上にあらわすという連携工作がうまくいかぬと、とうていだめだという感じがいたします。  そこで、これは私、質問になりますか、御要望になるかわかりませんが、きょう参考人としておいでいただきましたが、きょう御意見を承ったというだけではなくて、今後一体どうやったらいいんだ、たとえば、メッキ工業にいたしましても、廃水が出る、これから広がるのだ、この時点をとらえれば一番効果が出るわけですね。たとえば、活性汚泥を利用するにいたしましても、一番広がる前の段階で押えつければ何とかなるということがあると思うのですよ。これを私は具体的に取っ組んでいかなければ効果はあがらないし、きょうの御意見を無にするところだというふうな気がいたします。  そこで、最初から全部を網羅するわけにまいらないと思いますので、たとえば、清浦先生は先生のお立場から、ばい煙処理に対して、いままでのような旧態依然として、ああいう高い煙突を立てて遠くへやればいいんだと、幾ら遠くにやっても人間がいるんですから、そうじゃなくて、煙突は地下にはわせる、そして完全燃焼させるということが研究上可能かどうか、少なくとも方向だけは可能かどうか、あるいは廃水の問題にいたしましても、とりあえず、費用のかかる、かからないということはおいていただいて、こういうところで、一番少ない段階で、広がる前の段階において、たとえば、活性汚泥を利用するなり、ろ過池をつくるならつくるというふうなことをやれば何%くらいの公害が防げるのだというふうな御意見を、ひとつ、私は、さらにこれを御縁に、引き続き当委員会に、何でもけっこうでございますから、強い要望としてお出しいただきたいと思います。きょうは時間がありませんので、いろいろ細部にわたってこまかい質問は省略いたしますが、この議論が建設的な方向に向かわなければ、私はもったいないと思う。そういう意味で、ひとつこれを御縁にいたしまして、せっかくわれわれしろうとを御指導賜わるような御意見をぜひともいただきたい。これは、本来ならば、委員長からお願いすることになるかもしれませんが、実は私、質問というよりは、そういう方向で当委員会の努力を全力をあげていくならば、なかなかそれはむずかしい問題ではありましょうが、おそらく、もう少し前向きに、建設的な方向の道が開けるというふうに考えます。それを受けまして、私はまた科学技術対策特別委員会において、科学技術庁に、そういう面も強くやれ、防災科学研究所をつくったように、公害科学研究所というものをつくって、専門的にそれをやれというふうな委員会の意向をまとめることもできる、こういうふうに考えますので、ひとつこれを御縁に、よろしくお願いいたしたいと思います。

紅露みつ自由民主党

○委員長(紅露みつ君) それでは、参考人の方々には長時間にわたりまして貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。お疲れでございましたでしょう。どうぞお引き取りくださいませ。(拍手)  では、本日はこれで散会をいたします。    午後三時五十分散会      —————・—————

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