産業公害対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/02/19
会議録
○委員長(紅露みつ君) それではただいまから産業公害対策特別委員会を開会いたします。 まず、理事の補欠互選を行ないます。 委員の異動に伴い理事が一名欠員となっております。この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(紅露みつ君) それでは御異議ないと認めまして、指名させていただきます。理事に大谷藤之助君を指名いたします。(拍手) —————————————
○委員長(紅露みつ君) 次に、産業公害対策樹立に関する調査を議題といたします。 で、産業公害の現状及び対策に関する件のうち、建設省、警察庁、運輸省及び農林省関係について、関係当局からそれぞれ説明を求めます。 説明者は、建設省が鮎川都市局長、警察庁が大津保安局長、運輸省が自動車局の宮田整備部長、航空局の梶原飛行場課長、農林省は農地局の永田参事官、水産庁の山中漁政部長、こういうことになっておりますが、この中にはいろいろな委員会の都合で説明員の御出席のところもございますけれども、まだ本委員会は開いたばかりの委員会でございますので、悪例を残さないために、説明員でなく政府委員の出席を求めるということの理事の御意見でございますので、短い時間なりといえどもできるだけそれを要請するということに決定いたしております。万やむを得ない場合は、また理事のお話し合いにゆだねたいと思います。御了承願います。 それでは建設省から始めたいと思います。鮎川建設省都市局長。
○政府委員(鮎川幸雄君) 建設省におきまして公害に関してとっております対策の概要について御説明申し上げたいと思います。 建設省におきましては、都市局のほかに関係各局といたしまして計画局、また河川局等が公害対策についての事業をやっておるわけでございますが、便宜私から取りまとめて御説明を申し上げたいと思います。お手元に「公害関係資料」という資料を差し上げてありますが、これによって説明を申し上げます。 まず最初に目次でございますが、建設省におきまして公害関係の事業はどういう点があるかという点を、この目次によってまず概括的に申し上げたいと思います。なお、その前にちょっとお断り申し上げたいのでありますが、公害という範囲、内容というものは非常に複雑でございます。また非常に内容も固まっていない点もあるわけでございまして、ここには建設省が公害と考えるべきであるという点を取りまとめておるわけでございます。 まず第一は、建設工事に関して起こる公衆災害に対してどういう防止対策をとっておるか、これは計画局の関係の問題でございます。次は汚水の処理、またこれが河川の汚濁にも関係いたすわけでございますが、この汚水処理対策としてどういうことをやっているか、これは主として下水道事業に関する問題でございます。次は河川の汚濁対策、特に都市周辺の河川が非常に汚濁しておりますが、これに対してどういう対策をとっておるか、これは主として河川局に関する問題でございます。その次は土地の利用によって発生するいろいろな公害、これが地域地区制度に関する問題でございまして、これは都市局の関係の仕事でございます。 次に、一ページからそれぞれ現在建設省においてやっております公害対策の概要を申し上げたいと思います。 まず、建設工事における公衆災害の防止対策でございますが、先ほども申し上げましたように、これは主として建設業者が——土木建築業等に従事する者が工事施工中に工事に伴って起こる危害等の問題でございまして、ここにもございますように、工事施工中に施工粗雑によって公衆に非常な危害を及ぼすことがございますが、こういう場合には建設業法に基づきまして行政処分あるいは指導を行なっているわけでございます。行政処分の内容といたしましては、指示をしたり、営業の停止または登録の取り消し等をやっておるわけでございますが、また、はっきりした危害ということにはなりませんが、ほこりをたてたり、あるいはひどい振動を起こしたり、騒音とか交通障害等、危害とまではいきませんが、いろいろ迷惑をかけるというような問題もあるわけでございまして、これは建設工事が適正に行なわれないという点からも発生する問題でございます。こういう点につきましては、建設業法第四十条の二によりまして指導を行なうことができることになっておりますので、業者に対して指導を行なうということをいたしておるわけでございます。このような点につきまして、従来どういう行政処分や指導を行なったかという点につきましては、ここにもございますように、昭和三十八年におきまして行政処分が五件、その他が八十七件というものをやっております。三十九年におきましては、行政処分が九件、その他四十一件という指導等を行なっているわけでございます。 なおこのほかに、先般のオリンピック関係工事あるいは市街地における道路工事等によりまして、道路工事現場等において一般にいろいろな迷惑をかけるというようなことも起ったわけでございまして、さきに中央建設業審議会から「市街地建設工事の現場事故の防止対策について」という建議がございました。これに基づきまして建設省におきましては、「市街地土木工事公衆災害防止対策要綱」というものを作成いたしまして、未然に市街地における土木工事等によって危害が発生することを防止するような措置を、ただ建設業者のみならず、発注者の立場である官庁等も、こういう考え方に基づいてできるだけ一般に迷惑を与えたり、あるいは危害が発生しないようにしたらどうかというような点を、いろいろ検討いたしておりましたが、ようやく建設省部内において、市街地土木工事公衆災害防止対策要綱というものがまとまりまして、これに基づきまして予防的にこういう問題を取り扱うという方向で、ただいま進んでいるわけでございます。以上が建設工事における公衆災害の防止対策の概要でございます。 次に、公共用水域の汚濁防止対策について申し上げます。 これは、主として都市局の下水道課の問題でございます。公共用水域の汚濁問題は、申すまでもなく下水道の事業のみならず、広い立場において考えなければならない点があるわけでございます。河川の面からはもちろん、こういう汚濁の原因となる工場、企業場等の面におきまして、企業者の責任においてやってもらう、こういう点。工場排水の規制あるいはどの程度汚濁というものが許容できるかという点から、水質の基準という問題もあるわけでございますが、公共用水域の汚濁防止につきましては、総合的な立場からこの防止に努めなければならないわけでございまして、これに対して、しからば下水道の面からはどういう考え方でこれに対処しているかという点が、この二の各項目に掲げている内容でございます。 下水道事業は、申し上げるまでもなく汚水の排除、汚水を集めてこれを処理するということのほかに、雨水を排除したりあるいは低湿地帯の滞水を排除する、こういうことを主要な目的としているわけでございまして、汚水の処理のほかに、都市における排水をうまくやる、雨水の排除ということをも重要な使命といたしているのでございまして、この両者が相まって下水道の機能を有しているわけでございますが、この両方が同時に満足されるようなことで計画をいたしているわけでございます。しかし、最近におきます都市化の傾向、あるいは工業化によりまして、河川の汚濁水が増大いたしてきているわけでございますが、このため大都市周辺の河川、特に隅田川や寝屋川あるいは淀川等の汚濁度が非常に高くなっておりまして、河川の水自体が臭気を発するまでに至り、附近住民の健康にまで影響を与えるということになっているわけでございます。そこで、この点につきましては、下水道事業のみならず、いろいろな諸施策が相まってこの対策を講じなければならない、こういう段階に至っているわけでございますが、下水道につきましては、これに対してどういう考え方で将来やっていこうかということでございますが、それは二ページの2のところにも書いてございますように、下水道につきましては厚生省の関係部局とともに仕事をいたしているわけでございまして、生活環境整備緊急措置法、昭和三十八年にできました法律に基づきまして、下水道につきましては五カ年計画をつくることになっております。 で、この五カ年計画の考え方は、昭和五十五年度までに市街地の全域に、また昭和四十五年度までに市街地の約四〇%に下水道を整備するということを目標といたしておるわけでございます。この目標に合致しますよう、その五カ年計画は、昭和三十八年度から四十二年度までに事業費三千三百億円を投資する計画で仕事を進めておるわけでございます。この五カ年計画の内容は、このまん中の欄にもございますように、国庫補助対象事業費が二千百二十億円、地方単独事業費が千百八十億円、合計三千三百億円になっております。 次に、昭和四十年度はどういう考え方でおるかという点は、この下段にありますように、この五カ年計画のちょうど三年目に当たるわけでございますが、三十九年度の当初予算額は八十八億余円でございましたが、これに約三三%増の百十六億九千万円を計上いたしまして、なおこのほかに、地方債についても約二八%増の二百六十四億円が見込まれておりますので、この資金と、さらに地方負担と合わせまして、昭和四十年度におきましては、約六百十億円程度の事業を実施する計画でございます。 この事業は、どういうことを目途としてやるかという点が、次の三ページの上段のイ、ロ、ハ、ニに掲げておるわけでございます。まず、イといたしまして、「同一流域内の多数の都市の下水道事業を効果的に遂行するため、流域単位の下水道の建設に着手する。」、まあ流域下水道に力を注ぐという点でございます。 それから次は、「隅田川、淀川等、水質の特に悪化している河川の汚濁を解消するため、下水道の整備を推進する。」、こういうことで、特に隅田川などは三カ年計画等を設けてやっておるわけでありますが、こういう汚濁の著しい地域において下水道の整備を推進する。 それから、「新潟、東京、大阪、尼ケ崎等の地盤沈下地帯その他の低地域の浸水を防除するための対策を増進する。」、それから、「新産業都市等地方開発の拠点となる都市及び大都市周辺の新市街地における下水道を先行的に整備する。」、こういう点が四十年度事業の重点になっておるわけであります。 なお、次の表は三十九年度と四十年度との事業費の比較でございます。 なお、このほかに、三ページの下段にもございますように、下水道事業を最も計画的に、また総合的に実施いたしますために、いろいろな調査、特に汚濁防止対策の樹立のための調査を実施いたしておるわけでありますが、この点はこの3の「水路水質汚濁防止調査」というところで掲げておるわけであります。この点はこまかく次に掲げてございますが、これは、こういう調査を実施して、特に汚濁防止対策を考えたいということでございます。 四ページに、過去の経緯及び三十九年度事業の内容等を掲げております。四ページの三十九年度で申しますと、こういう水系の水質汚染につきましては、九十二カ地点のうち、荒川、隅田川、淀川等その他の地点におきまして、調査を実施いたしておるわけであります。 それから、その次の五ページが、昭和四十年度の事業計画の内容でございまして、昭和四十年度におきましては、放流水の調査、水質汚濁状況の調査等をいろいろと実施をいたすことにいたしておるわけでございます。 以上が下水道関係の事業の概要でございます。 次に、六ページに「都市河川の汚濁対策」を掲げておりますが、これは先ほども申し上げましたように、河川局において所掌いたしておる仕事でございます。最近、都市周辺の河川の汚濁が特に著しく、住民の生活環境、都市美観に悪影響を及ぼしているという実態にかんがみまして、この対策の欄に掲げておりますように、汚濁の原因は、工場の排水や一般家庭の排水などによるものではありますが、これについては先ほども申し上げましたように工場排水の規制とか、下水道の整備、こういう面とともに、河川もあわせてこの浄化対策をやらなければならぬ。こういうことで、特に東京都、名古屋市、及び大阪市の市内河川のうち汚濁の著しい河川につきましては、まず第一に、堆積した汚土の除却、しゅんせつをやっておるわけでありまして、このしゅんせつ工事に対して国庫補助をいたしておるわけであります。なお、このしゅんせつ工事に対する国庫補助のほかに、東京都の偶田川の浄化対策につきましては、特に三十九年度より新たに荒川から新河岸川に至る導水路をつくりまして、隅田川に流れる維持用水を増加しようという計画で、仕事を進めているわけでありまして、この工事は三十九年度に完成をいたすわけでございます。それで通水の結果は、汚濁度はおおむね三分の一程度に減少いたしているのでありまして、先ほど申し上げました下水道の整備とともに、河川における維持用水を増加いたしまして、都市河川の汚濁問題は漸次いろいろな面から対策が講ぜられているわけでございます。 六ページの下のほうに、三十九年度の河川汚濁対策事業費と、四十年度の河川汚濁対策事業費を掲げているわけでございます。 以上が、河川の汚濁対策でございます。 次は、七ページの「都市における土地利用の適正化対策」という問題でございます。 都市においては、申し上げるまでもなく、複雑な生活が行なわれ、機能も非常に複雑になっているわけでございますが、特に各地域におきまして、工場と住宅が混在する、こういうことによって居住環境を悪化し、また都市機能を低下するという現象が見られているのであります。こういう問題に対しまして、この地域地区制の適正な運用をはかるということが必要になってまいるわけでございまして、まずこのために、「人口六万人以上の都市について」というのは、ミスでありまして、「五万人以上」でございます。五万人以上の都市につきましては、必ず地域地区を指定して、土地の利用の適正をはかるように指導いたしているわけでございます。従来の地域地区の中では不十分な点もありますので、特に先ほど申し上げましたように土地が非常に混在して利用されますと、生活環境に悪化を来たしますので、住居専用地区あるいは工業専用地区という専用地区制度を積極的に進めるということが一つでございます。また最近におきましては、なおそのほかに特別用途地区制度というものを活用することも検討いたしているわけでございます。特別用途地区制度と申しますのは、千葉県の埋め立て地域についてちょっと具体的に申し上げますと、海に沿って臨海的な工業地域ができるわけでございますが、その工業地域の背後に住居地域ができるわけでございます。その間に特に特別の工業地区、まあこれは純粋な工業地区でもないし、また住居地区でもない。その住居地区と工業地区との間に特別な工業地区を設けて、それに必要な、特に倉庫とか、両方の地域に関連した建物の建築を認める。まあ、こういう特にその地域に合った用途地区を設けるようなことをやっておるわけでございます。これは例は少ないわけでございますが、そういう点を考えて、特別用途地区制度を活用していきたいというふうに考えておるわけでございます。 次に、緩衝緑地の設置の問題でございます。緩衝緑地と申しますのは、先ほど申し上げました地域地区の指定の適正化をはかるということと関連しまして、大規模な工業地帯におきまして、工業地域との分離をはかるために、その中間地域に帯状のグリーン・ベルトを設けようという計画でございます。特に最近におきましては、新産業都市あるいは工業整備特別地域等において各工業地帯が新たに整備されつつあるわけでございますが、そういう地帯が整備される計画の一環として、工場地域に接続してすぐ住居地域ということでは、いろいろな弊害を発生しやすいことになるわけでございますので、その中間地域に緩衝となるグリーン・ベルトを設けていろいろな弊害を除去しようということでございます。これは新潟における災害等の経験に徴し、現にこの点について一番進んだ研究をしているのは大分県の鶴崎地区でございます。まあ、これもまだ実施の数も少ないわけでございますが、こういう方向で緩衝緑地帯を設けようということで、逐次各地区ともに、各地区の実情に即して検討を進めておるという状況でございます。 以上、建設省関係の公害対策の概況の御説明を終わります。
○委員長(紅露みつ君) 次は大津警察庁保安局長。
○政府委員(大津英男君) 警察の公害関係の取り締まりにつきまして御報告を申し上げたいと思います。 騒音、震動、ばい煙等、各種の公害の中で、警察が取り締まりに当たっておりますのは主として騒音でございまして、しかもその騒音の中でも、警察が直接取り締まりに当っておりますのは、交通騒音の一部及び日常生活等で発しまする一般騒音が主たるものでございまして、自動車のばい煙発散防止につきましてもできるだけのことをやっておるということでございます。 いわゆる騒音には航空機、自動車等による交通騒音及び工場、事業場、建築現場等の作業騒音並びに人声、ラジオ、商業放送等の一般騒音の三種があるのでございますが、警察取り締まり対象といたしておりますのは、道路交通法の第五十四条によりまする警音器の取り締まりについての規定、それから同法第六十三条の二の消音器その他騒音防止装置についての取り締まりの規定、この規定によりまする自動車騒音、それから軽犯罪法の第一条第十四号の人声、楽器、ラジオ等の騒音、こういう一般騒音並びに東京都ほか三十六の地方公共団体で制定しておりまする騒音防止条例等で掲げております屋外商業放送等、その他の一般騒音でございます。また、車両のばい煙発散防止につきましては、道路交通法の第六十三条の二のばい煙発散防止装置についての取り締まりの規定によってやっておるという状況でございます。 警察の騒音取り締まりにつきましては、根拠法令が統一されておらないこと、それから取り締まりの態様が事実活動としての注意、警告等が大部分でありますこと並びに統計が必ずしも十分でないというようなことから、全国的に計数をもって正確に申し上げることができないのでございますが、警視庁その他主要都市の取り締まり状況から見てまいりますと、次のようなことが言えるのではないかと思われるのでございます。 まず、昭和二十八年から三十年前後にかけまして、横浜市、京都市、神戸市、福岡県、東京都等の主要な都市におきまする騒音、特に屋外放送宣伝の騒音、それから自動車の警笛騒音に対する関心が高まりまして、この規制を要望する世論もありまして、現在の騒音防止条例の大部分はこの当時に制定されたものでございます。したがいまして、この時期におきまして警察も非常に努力を払いまして取り締まりをいたしまして、現在では条例の制定地域の屋外放送宣伝等の騒音に対する規制の基盤が確立されまして、この種騒音に関する違反並びに苦情が激減をいたして現在に至っておるということでございます。昭和三十三年から三十五年にかけまして、全国的に町を静かにする運動が展開せられましたが、主として自動車騒音、特に警笛騒音の激増に対する規制として行なわれたわけでございまして、これが契機となりまして、道路交通法の第五十四条、第六十三条の二の規定が整備強化されて現在に至っておるのでございます。それから全国的に警笛騒音が激減を見まして、現在に至っておる次第でございます。このように警察の騒音取り締まりは、特に二つの面において大きな成果をおさめたわけでございまして、この二つの騒音が減少して、その苦情等も減ってまいりまして、現在においては警察の騒音取り締まり件数も、従前から見ますと、総体的に相当減少しておるのが実態でございます。このように騒音の減少を見ましたが、全体的に見た都市における騒音は、自動車台数が増加し、走行騒音がふえておる。また工事等の建設騒音の増加によりまして、従前よりも全体としては悪化しておるというような現状でございます。都市騒音が悪化しておるにもかかわらず、全体としましては、苦情件数は減少傾向にありまして、これを反映しまして警察の警告等の件数も減少しておるというようなことでございます。これは宣伝放送の騒音及び警笛騒音は減少しましても、他方において、先ほど申し上げましたように、自動車台数の増加ふくそうに伴う走行騒音、エンジン騒音の増加並びに設備の拡充、道路工事等による建設騒音が増加しておることによるものであります。前者の騒音は多数車両の複合騒音でありまして、一車両によるものでないために、警察の警告等が技術的にむずかしい面もございます。また、後者の建設騒音は、軽犯罪法はもちろん、大部分の騒音防止条例も規制の対象外といたしておる。これにつきましては警告等が適当に行なわれないということで、警察官による事実上の注意活動によって一時的に中止を見ましても、根本的解決にはならないので、おのずからこれに対する苦情がありまするが、直接訴え出た数字は減少しておるというふうに考えられるわけでございます。このような騒音取り締まりの現状につきましては、大体次のような点が問題としてあげられると思うのでございます。自動車の走行騒音、エンジン騒音等は、法規制のみでは防止できないところにきておるということで、根本的には自動車構造による技術開発に待つほかはないのではないか。それから建設騒音、工場騒音等は軽犯罪法はもちろん、各種の騒音防止条例も原則的には規制を加えていないということで、警察の取り締まり対象外でございまして、この面においても、根本的な解決は技術開発その他適切な処置を待つ以外ないのではないか、かように考えるわけでございます。警察が強制的に騒音やばい煙等の取り締まりをいたしますには、指示騒音計やばい煙濃度計等の器具を使用いたしまして、極力努力をいたしておるのでございますが、先ほど申し上げましたような困難がございまして、今後の騒音取り締まりの方途としましては、交通機関、建設機械等の騒音発生の抑制をはかるための技術開発の推進をはかっていくということが根本的な問題ではないか、かように考えるわけでございます。 なお道路交通法、軽犯罪法、騒音防止条例等の運用によりまする取り締まりの状況を、数字的に簡単に申し上げますと、交通関係では、年間統計はございませんが、三十九年の七月一カ月間全国について調査したところを申し上げますと、消音器等整備不良車両は検挙千四百二十六件、送致千三百四十三件、それから警ら器吹鳴の検挙が二百二十四件、送致百六十件、ばい煙発散の検挙三十七件、送致二十七件、それかう軽犯罪法の関係で申しますと、昭和三十八年中の全国統計でございますが、警告をして騒音防止をしたものが六十九件、制止をきかずに騒音を発し検挙したものが、始末書の徴取で警察署限りの措置にしたものが九百二十一件、検察庁に送致いたしましたものが四件でございます。それから騒音防止条例の関係では、昭和三十八年の統計で見てまいりますと、条例で警告をしてやめさせたものが千九百十九件、検挙してその後始末書を徴取して警察署限りの措置にしましたものが三百四十二件、検察庁に送致しましたものが四件でございます。それから警視庁管内でございますが、東京都の騒音防止条例の適用状況を三十八年、三十九年について調査しましたところ、注意をしてやめさせたものが三十八年が三千四百七十一件、三十九年が四千三百八十五件、警告書を交付しましたものが三十八年に三百三十五件、三十九年に二百二十四件、送致しましたものが三十八年に三件、三十九年に十八件となっておりまして、苦情の受理状況を調査いたしましたところでは、一般騒音については三十八年が二千三百七十二件、三十九年が二千四百二件、交通騒音については三十八年が七十八件、三十九年が百二十四件、工場騒音については三十八年が七百七十四件、三十九年が八百二十五件ということでございまして、その多くは警察署あるいは派出所に対して申告のあったものでございますが、投書あるいは陳情という形をとったものもあるわけでございます。 以上、警察の取り締まりの概況を申し上げました。
○委員長(紅露みつ君) 次は運輸省でございますが、先ほど申し上げましたとおり、理事諸君の御了承を得まして、今日は宮田自動車局整備部長の説明を求めます。
○説明員(宮田康久君) 運輸関係の公害のうち、まず自動車の騒音防止について御説明申し上げます。 お手元の資料にもございますように、自動車の種類、エンジンの種類、あるいは大きさ、あるいは速度等によりまして、自動車が走っております場合の走行騒音が変わってまいりますので、これに対しまする法規制といたしましては、自動車の構造装置につきまして、道路運送車両法の第四十一条に基づきまして、運輸省令の道路運送車両の保安基準で騒音の大きさを具体的に定めております。すなわち時速三十五キロにおきまして八十五ホン以下というような規定をしております。この規定に適合しない車は運行の用に供してはならないという規制をしているわけでございます。原動機付自転車につきましても同じように、四十一条に基づきまして保安基準で規制をいたしております。その規制を具体的に確保いたしますために、自動車の車両検査の際に、この規定に当てはまっているかどうかを検査いたしまして、不良車両についてはこれを排除をしております。なお、先ほど説明がございましたように、道路交通法に基づきまして、街頭における取り締まりが実施されているわけでございます。さらに自動車の整備の不良によりまして、非常に音量が増大いたしますので、道路運送車両法の四十八条に、自動車の使用者は自動車点検基準に従って定期点検整備を実施しなければならないという規制をいたしております。さらに運送事業用の自動車につきましては、道路運送法に基づきまして、特に行政罰をも加味した規制をして、その実効をあげるように努力している次第であります。 なお、新型の自動車が自動車メーカーから販売されます場合に、その事前審査を運輸省で実施しておりますが、その際に騒音問題につきましては、使用の過程におきまして、どうしても整備状況によりまして騒音が大きくなっていく傾向にありますので、先ほど申しました保安基準の線よりも十分下回った線が確保されますように、行政的な指導をしております。 特に騒音の中で、ディーゼルエンジンを使っておりますバスでございますとか、大型のトラックの騒音、またオートバイ、スクーター等の二輪自動車の騒音が、自動車の中では高いほうでございますが、特に二輪自動車につきましては、昭和三十一年に——当時非常に問題となっておりましたので、その騒音につきまして、特に科学技術試験研究補助金を交付いたしまして、運輸省の技術研究所と共同で研究をいたしまして、当時騒音を七・五から一四ホン程度下げる成果をあげております。したがって、現在出しております二輪自動車も、新車のものにつきましては非常に騒音が下がっております。 さらに、この騒音につきまして、最近は、御承知のように高速道路等ができまして、自動車が高速で走るようになってまいりました。高速になりますと、どうしても騒音が高くなります。この点につきまして、やはり技術的に騒音を下げる技術開発をしていかなければならないわけでございまして、特にタイヤ関係でございますとか、車体関係でございますとか、先ほど申しましたエンジン関係以外の点からの騒音が相当問題になってまいります。その点で、音源に対しまして徹底的な解析をしていかなければならないわけでありまして、三十九年度に東大の研究所に研究委託をしております。四十年度も引き続き研究委託をいたしまして、私ども運輸省の研究所とともに、騒音防止についての究明をしていきたいと思っております。 さらに最近、国際的にも非常に騒音問題が問題になってまいりまして、昨年の二月に、国際機関でございます国際標準化機構、ISOという機構がございまして、この機構が世界共通のいろいろな問題についての標準規格的なものをつくりまして、いろいろ各国に勧告をしておるわけでございますが、そこで、この騒音の測定方法についての勧告草案を出しております。これに基づきまして、ヨーロッパにおきましても、各国でその測定方法を採用する動きがございますが、私ども、日本といたしましても、現在の測定方法が、車両検査等の際は比較的問題はございませんけれども、先ほどお話がございましたように、街頭取り締まり等で測定をなさる場合には、現在の方法が必ずしも適切ではございませんので、この国際的なISOによる勧告草案に基づきまして、具体的に、さらに簡易な測定が随時できますように、その機器の開発にいま努力をしております。さらに、やはり、この騒音防止の対策を進めてまいりますためには、もちろん、各メーカーの研究を推進していかなければなりませんが、こういう性質上、国の研究機関がやはり積極的にやりませんことには、この種の技術的な開発が進みませんので、運輸省の研究所といたしましても、この点につきまして十分の充実をいたしまして、研究を促進していきたいと考えております。なお、先ほど申しましたように、自動車の整備の程度によっても騒音がふえてまいりますが、車の使用方法、急加速をいたしますとか、あるいはトラック等で非常に過積載をいたします、そういう場合には非常に騒音がふえます。その点で、一般使用者に対して、やはり正しい運転のPRも必要かと考えております。いずれにいたしましても、騒音防止について、さらに技術的にいろいろ開発をして、積極的に騒音防止につとめたいと考えております。 次に、自動車の排気ガスの問題について御説明申し上げます。 自動車の排気ガスが大気汚染に影響いたします事項といたしまして、おおよそ三点考えられます。第一は、排気ガスの中の一酸化炭素、炭化水素、鉛化合物というようなものによる有毒件、有害性の問題であります。第二点は、やはりディーゼル自動車の黒煙というような問題がございます。第三点は、自動車の排気ガスが、スモッグとどういうような関係があるかという点でございます。 第一点の排気ガスの有毒性、有害性の問題につきましては、厚生省のいろいろのお調べによりますと、東京都内の主要地点におきます最近の汚染状況は、世界でも一番この点を取り上げておりまして、早くから規制をしておりますロサンゼルスの状況に比べますと、まだ大幅に下回っておる状況でございますが、御承知のように、自動車はどんどん増加をしております。私ども決して、この点ないがしろにはできないと考えております。 第二のディーゼル自動車の黒煙の問題でございますが、この黒煙は、内容はすすでございまして、それ自体の毒性という点では、きわめて少ないのではございますが、いずれにいたしましても、黒い煙を出しますので、環境浄化の点からも、もちろん好ましくございませんし、また交通の障害にもなる問題だと考えております。 第三のスモッグとの関連でございますが、スモッグ生成の原因といたしましては、工場でありますとか暖房等のばい煙、あるいは自動車の排気ガスというようなものが取り上げられておりますけれども、現状では、自動車の排気ガスの影響は、まだ比較的少ないのではないかと考えられております。この排気ガスは、いずれにしても好ましいものではございませんので、これをどうして防止してまいりますかという問題でございますが、第一に、有害ガス、黒煙の排出状況は、エンジンの整備状況が不良になりますると、非常にふえるものでございまして、アメリカにおきます研究の結果によりましても、定期点検を適正にやっておりますると、一酸化炭素及び炭化水素が六〇%も減少するという結果が出ております。それから有害ガス及び黒煙は運転のやり方等によっても非常に変わってまいります。急加速をいたしましたり、急停車をいたしました場合は、多量に排出されます。またトラック等で過積載をしております場合には、非常に多量に排出されます。したがって、車両の適正な使用、運転、操作ということが問題になります。 それから、この有害ガスの排出量は、燃料の種類によっても変わってまいります。有害性の一番多いものはガソリンを使った場合、その次は最近非常にタクシー等で使っておりますプロパン、ブタン、いわゆるLPGと申しますか、これを使いますと、ガソリンの場合の半分以下というように非常に減ります。さらにディーゼルはプロパンよりも少ないというように、燃料の種類によっても変わってまいります。 それから特に、ロサンゼルス等で皆さん御承知のように、補助装置をつけまして、排気ガスを浄化するというような規制を一部やっておりますが、これの研究もぜひわれわれとしても開発を進めていかなければならないと考えております。現在ロサンゼルスでやっておりますのは、ブローバイガスと申しまして、エンジンのクランク・ケースに出てまいりましたガス、これは一酸化炭素ではございませんで、炭化水素を主体としたものでございますけれども、これが全体のエンジンから出ます炭化水素の四分の一前後でございます。これにつきましての発散防止装置をロサンゼルスでは規制をしております。ただ先ほど申しましたスモッグの生成の原因としまして、ロサンゼルス等の気象条件等と、たとえば東京等におきます気象条件等では、いろいろ異なっておりますので、その辺の条件によりまして、これの装置をつけますことの効果という点についても、いろいろ検討を要する点があるかと思います。いずれにいたしましても、こういう補助装置の技術開発を急速にいたさなければならないと考えております。 さらに、防止対策につきまして、いま問題点を幾つかあげましたが、自動車の走行条件、整備状態、燃料の種類、自動車の種類等によりまして定性的には有害ガスの状態がわかってまいっておりますけれども、さらに定量的に把握をいたしまして、実用的な有害ガスの測定検査装置等の開発をいたしていかなければならないのでありますけれども、さしあたりの問題といたしまして、先ほど申しました整備を完全にしていくというような問題がとりあえずの問題と考えまして、一昨年、道路運送車両法の第四十八条を全面的に改正いたしまして、先ほど申しましたように、定期点検整備の義務づけをいたしまして、完全整備の励行によりまして、実質的な排気ガスの清浄化を促進いたしております。 道路交通法では、先ほどお話がございましたように、街頭での取り締まり等をなすっておられますが、さらに運転の適正、不適正によりまして、先ほど御説明いたしましたように、非常にこの内容が変わってまいりますので、適正な運転へのPRも必要だと考えております。さらに私どもといたしましては、いま申しました排出状況の実態を十分把握いたしまして、適切な、実用的な測定検査装置をぜひ完成いたしまして、さらに具体的な取り締まりの基準を研究の結果、すみやかに制定をいたしまして、それに基づきまして適正な規制をしていかなければならないと考えております。やはり、この基準になりますのは、厚生省等から御説明があったと考えますが、大気汚染許容限度がどの程度のものであるかというような点、それから自動車排気ガスの大気汚染に及ぼします影響度合いがどうであるかというような検討、それがやはり前提になることでございますので、この辺の実態把握が一番急務だと考えますが、いずれにいたしましても、排気ガスが有害であることは間違いないことでございますので、私どもといたしましては、研究所、運輸省の直轄研究所をはじめ、各国の研究所とよく連絡をとりまして現在技術開発を進めておりますが、さらに民間の研究機関でございますとか、あるいは大学等の研究機関に対しまして、三十八年度、三十九年度それぞれ研究委託費、あるいは研究補助金等を出しまして技術開発の促進をしておりますが、さらに四十年度におきましても継続いたしまして、この辺を促進してまいりたいと考えております。 以上、概要についての御説明を終わります。
○委員長(紅露みつ君) 次は運輸省航空局から大沢技術部長が出席されましたので、説明を求めます。
○説明員(大沢信一君) 航空機の騒音防止につきまして御説明申し上げます。 お手元の資料の三枚目の下のほうからでございますが、まず現状はどうなっているかと申しますと、航空機の騒音で特に問題になっております空港は、東京国際空港と大阪国際空港でございまして、この二つの空港のうち、特にジェット機の運航回数が多いといわれるのは東京国際空港でございますので、それがこの対象になるわけでございます。そのために、東京国際空航に発着いたします航空機の騒音を受けます地域として、品川、大田の両区がございますが、この二つの区の居住者代表、それから両区の区長、東京都の公害部長、国内あるいは国外の日本に乗り入れております航空会社の代表、それから航空局の関係官というメンバーで、東京国際空港騒音対策委員会というものを昭和三十五年に設けまして、逐次研究を行なっております。 それで、その対策でございますが、まず第一にどのくらいの音が出ていたかという騒音の測定でございます。騒音に対する対策を立てますには、まず騒音の実態をつかまえなきゃいかぬということで、航空局で昭和三十七年以来、毎年東京及び大阪国際空港周辺におきます騒音の調査をやってまいっております。この調査は、ただ航空機が自由に運航した場合の騒音の実態はどんなものであるかということを知るためでなくして、航空機の離着陸に際してとります経路、あるいはエンジンのふかし方、そのコントロールのしかた、あるいは飛び方、運航方式といったものによる騒音軽減のための有効な対策がないものかということを開発いたしますために、非常に重要な役割りを果たしております。 それで、東京国際空港におきましては、夜間ジェット機の発着を禁止するという措置をとりました。これは昭和三十七年十二月二十一日の閣議了承に基づいておりますが、次のような内容でございます。 まず、東京国際空港においては、原則として夜、午後十一時から翌朝午前六時までの間はジェット機の発着を認めない。そうして、この措置は昭和三十八年四月一日から実施をする。ただし、航空会社というものは、大体半年前にスケジュールを決定いたしますので、スケジュール調整上やむを得ないものに限りまして三十八年の十月一日まで猶予期間を認める。こういう原則的な禁止措置に対しまして、厳密に実施いたしますと、航空機の性格上、非常に運航に支障が生ずるおそれもございます。したがって、故意的でない飛行機の発着のおくれ、あるいは緊急事態の発生というような場合、あるいはその他騒音が住民の生活、特に安眠と休息に耐えられないような害を及ぼす程度に至らないというような場合、こういう場合は、この原則の例外措置としてある程度認めておる現状でございます。 それから三番目に、騒音測定塔の設置でございますが、航空局では、航空会社に対しまして、東京国際空港におけるジェット機の騒音軽減のため、空港の陸地側——西北のほうになりまして、ちょうど大森地区でございますが、あの陸地側から着陸する場合、あるいは陸地側へ離陸する場合には、できるだけ海面を使うように、つまりなるべく陸地を避けて海へ旋回するように指導をしております。これは先ほど申しました、たびたびの騒音調査の結果から見ましても効果があるようでございますが、ややもしますと、こういう運航方式を完全に守りたがらない、あるいは守らないことがございますので、三十九年度の予算として、これを監視しますために測定塔をつくるということで、予算をいただいております。この測定塔は人はおらないのでございますが、常時自動的に記録をしておりまして、特定の騒音がございますと、すぐに管制塔のほうに警告してくれるということになります。 それから次は、東京国際空港滑走路の延長と進入路指示灯の設置でございます。これは東京国際空港騒音対策委員会の要望もございまして、陸地側、つまり北向きの離陸の際の騒音被害問題を解決する非常に有効な方法として、滑走路を海のほうへ伸ばすということ、それから陸地における離着陸の際の旋回を夜間でも確保するために進入路指示灯をつけたらどうかという検討を行なっておりまして、昭和四十年度の予算でこの調査費をもらうことになっております。 その次に書いてございますことは、公害防止の面から見た航空機騒音防止対策の性格として考えられることを四つばかりあげてございますが、航空機そのものによるもの、これはまずいたしかたないとして、これをむしろ押える、あるいは公害を受ける地点で防御するというようなことで、今後の問題として考えていくことになっております。 簡単でございますが、以上で終わります。
○委員長(紅露みつ君) 次は農林省に移りますが、ちょっと順序を変えまして、松岡水産庁長官が出席されましたので、まず説明を求めたいと思います。
○政府委員(松岡亮君) それでは、水産業関係の公害につきましてその資料を御説明いたします。 お手元には一枚紙で「水質汚濁による農林水産業被害の現況」というのと、「漁業被害事例」という数ページにわたる資料をお配りいたしてございます。 申すまでもございませんが、日本の沿岸近海における漁業資源は、ほぼ開発されておるわけでございます。それでさらに沖合いへ、遠洋へと漁業を外延的に拡大いたしまして、今日まで非常な漁業生産をあげるに至っておるのでございますが、沿岸におきます漁業生産は、これは零細な漁家による生産が大部分でございます。しかも、その資源はほぼ限界に達しておる。うっかりいたしますと減る可能性があるという現状でございます。その減る可能性の最も大きなものの一つといたしまして、埋め立て、干拓等もございまして。これによる漁場の喪失もございますが、水質の汚染によるものが非常に大きいわけでございます。で、沿岸ばかりでなくて、内水面、つまり河川とか、湖水等におきましても内水面の魚族がございます。これの被害もかなり大きくなっておるわけでございます。さらに河川にはサケ、マスとか、アユとか、遡河性の魚類——非常に貴重な資源が遡上いたすわけでございますが、この河川にまた汚水が流れ込み、その資源を枯渇させ、あるいは絶滅させる危険がある、こういうことでございます。まあ御参考のために申し上げますと、アメリカとか、カナダにおきましては、サケ、マスなどの資源についてきわめてきびしい規制と非常に丁重な保護を加えておる。たとえばカナダ、アメリカ両国の国境にありますフレーザー川という、サケ、マスの非常に大きな遡上河川がございます。そこでは、発電所の設置も規制し、その他いろいろな工作物の設置あるいは漁獲、いわゆるスポーツ・フィッシングによる漁獲などに対しましても、きびしい制限を加えて保護しておるのでございます。ところが、わが国におきましては、最近水質の汚染とか、そういった産業の開発に伴います漁場の被害が非常に多くなってきまして、貴重な資源が失われつつあるという状況でございます。そこで、この最初の表によりまして、最近の概況を申しますと、水質汚濁による水産業の被害は年々増加しておるのでございますが、昭和三十七年度だけを取り上げますと、沿岸と内水面におきまして千二十八件——これは、まあ事例として顕著なものでございます。三十一年度から三十七年度までの累計は五千四百九十一件となっておるのでございます。その被害を原因別に、産業別に、また年次別に分類いたしますと、その下の表のとおりでございまして、鉱業——これは、まあ石炭業が多いわけでございますが、その他の鉱物の採集などに伴うものもかなりございます。それから食品が非常に多いわけでございます。食品の中ではでん粉でございますが、これは北海道におきましても、南九州地方等におきましても、今日では住民の重大な関心問題になっております。 それから繊維製品、このうちでは染色加工などが多いわけであります。それから紙・パルプ工業、これの廃水、化学工業、金属工業。紙・パルプもかなり大きいものでございます。そういったものの合計が五千四百九十一件となっているのでございますが、それを次のページからの表で申し上げます。どういう事例になっているかということを、御参考のため分類しながらあげたわけでございます。 たとえば、一番最初の鉱業・石炭で申しますと、これは茨城県、北海道はじめ六道県で、被害の事例は三十件になりますが、これは三十七年度だけでございます。その原因は洗炭をするときの廃水によりまして、その微粉粒、それから泥土が漁場へ流れて、河床、海底に堆積いたします。その結果としまして魚類がそこから逃げてしまう。それから魚類のえさになったり、あるいはそこに住みつくところの藻類——モなどの同化作用に障害を起こしまして、この資源を非常に減らしていくということになるわけでございます。被害生物といたしましては、サケ、マス、アユ、ホッキ貝、アワビ、カキ、ワカメ、カジメ、コンブ、そういったものでございます。 それから少し違った例としまして、食品。そのうちのでん粉でございますが、これは宮城県、鹿児島県、茨城県、北海道をはじめ十六の道府県で、被害の事例は百八十件にのぼります。これはでん粉かすを多量に含む廃水が漁場に流れるわけでありますが、これが滞流、腐敗発酵する。これは、その近傍に行きますと、非常にくさいことは御承知のとおりであります。無酸素状態であります。二次的には水わた(水生菌)を多量に発生させます。この水わたが魚介や藻類のえらにからんで窒息させたりする。それから漁具にからみまして操業を非常にむずかしくする。その結果、被害を受ける生物は、アユ、コイ、フナ、ウナギ、ボラ、サケ、マス、ホタテ貝、シジミ、ノリ、ワカメなどでございます。 そのほか、社会的に世間の耳目を驚かした事例をあげますると、これは、どなたも御存じかと思いますが、三十三年に熊本県の水俣で起こりましたいわゆる水俣病の病源になりました、例の水銀が主因と思われる水俣病の発生源となった汚水でございます。これによって四十人が死亡したわけでございます。それが非常に顕著な事例でございます。それから最近四日市の周辺で、あそこに石油化学などが非常に発展いたしましたために、あの伊勢湾の中の魚類が悪臭を放つようになりまして、非常に魚価を下げてしまった。これは非常に恒久的にこういう事態を起こしてしまって、これをなおすことにつきまして、目下関係省で調査を進め、対策を考慮しておるわけでございます。 それから、これは変わった事例といたしまして大きなものでございますが、外国の船舶が東京湾の中へ廃油を流しまして、ノリの漁場に非常な損害を与えたという事例がございます。これはアメリカ大使館等を通じて、相当な見舞金を出してもらうことにいたしておるわけでございます。 なお、もう一つ例をあげますと、逆に農薬の——農業から受ける被害でございます。最近、PCP等のかなり毒性の強い農薬が使われておりますために、有明海、琵琶湖等で非常に水産資源に大きな被害を与えた、こういう事例がございます。これらにつきまして、それぞれこういう大きなものについて対策をとっているわけでございますが、たとえばただいまのPCPの場合におきましては、魚族に対する毒性の強い農薬の使用を制限、禁止する、毒性の少ない農薬を普及するというような方法、またそのときに対処しましては補償等の問題もあったわけでございますが、そういった方法で解決をはかってまいっております。 全般的には水質二法によりまして、河川の、あるいは沿岸の流域の調査をやり、その結果水質基準をつくっておるわけでありますが、まだこの水質基準の設定が必ずしもはかばかしくまいっておりません。また水質基準をつくられてもそれを守っていただくことについては、これは産業側からいいますと、経営上の問題などがありますので、かなりむずかしい問題かと思います。それらについてまだ十分な措置をとるに至っていないわけで、水産庁といたしましても、この水質二法のほかに、水産資源保護法というのがございますので、保護水面を設定するというような目的のために、来年度からさらに調査を十二水域について実施いたしまして、水産資源保護法による保護水面の設定等の措置をとってまいりたいと考えておるのでございます。 以上、概括でございますが、御説明申し上げました。
○委員長(紅露みつ君) それでは次に、農林省佐々木計画部長の説明に移ります。
○説明員(佐々木即君) 農業部門で産業公害と称せられます重要なもののうち、農業部門の漁業部門以外につきましては、農業用水が原因となりまして汚濁されまして所期の生産をあげ得ないとか、あるいは減産しておるという事実でございまして、この点につきましては、経済企画庁が中心になって進めておりますところの公共用水域の水質保全に関する施策に、農林省は深い関係のある一部門といたしまして積極的に関与いたしまして、問題が提起されますつど、農業用水の汚濁及びこれに伴う農業生産の阻害が適正に阻止排除されますよう主張してまいっておるのでございまして、全体の仕組みもしくは動きにつきましては、すでに企画庁からお聞きいただいたことと存じますが、このうち農業に関係の深いもので、すでに基準が設定されましたものは、木曾川水系の一部と石狩川の中流部でございます。これにつきましては、基準設定後、これがどのように守られて参りますか、あるいはこれに伴いまして農業にどのような影響が出て参りますか。これにつきましてはアフターケアと申しますか、そういった意味で調査を進めるように手はずを進めておるのでございます。 なお、汚濁の内容でございますが、これは銅、亜鉛その他金属鉱山から流れますところの重金属類、パルプ工場、紡績工場、でん粉工場あるいは都市の汚水、そういったものから排出されたところの窒素化合物類、化学工場、染色工場等から排出された塩類、それから炭鉱、焼きもの、製陶工場、そういったところから排出される非常に微粒子のもの、それから石油とか天然ガス、あるいは自動車工場から排出されるところの油脂類、それから鉱山から出ますところの酸性の強い水、こういったものが、最初に申し上げました農業用水としての価値を低からしめ、農業に対して被害を生ずるところの、いわば原因となるべき種類でございますが、こういうようなことをもとにしまして、お手元に差し上げました農林省の資料の六ページの「農地関係」といたしまして、昭和三十三年七月現在の都道府県の報告を集めましたところによりますと、……
○藤原道子君 もっと新しい資料はないですか
○説明員(佐々木即君) あとで御説明申し上げす。 汚濁されております面積は大体次のとおりであります。工場廃液によるもの、地域別は飛ばしますが、これが化学工業、染色工場、紡績工場、その他の工場から出されます廃棄物により被害ありという報告が四万五千二百ヘクタール、それから鉱山の廃水によるものが四万三千八百ヘクタール。このうち石炭、石油が約二万九百ヘクタールということになっております。その他が石炭、石油以外の金属、非金属による公害ということに相なると思います。それから硫黄、塩酸、燐酸を出します鉱泉、温泉の類、こういったものが九千八百ヘクタール。なおその他が三百ヘクタール。合計して九万九千二百ヘクタール、こういう数字が報告されておるのでございますが、その後、経済的な事情あるいは社会環境といいますか、いろいろな事情の変化で、これは当然動きがあるものと考えられるのでございまして、これにつきましては昭和三十四年度から国内全体で、どこでどのような農地の被害が起こっておるか、これを最近の事情で把握いたしました概算と申しますか、その予算を計上いたしておりまして、幸いお認めいただければ、それによって至急一番新しい、全国の現状の把握ということをいたすように準備いたしたい。
○委員長(紅露みつ君) よくわからなかったのですが、委員長からも申しておきますが、この資料について、最近のものをまとめるとおっしゃるのですか。ちょっと三十三年の統計というのは、少し古いようでございますので、新しい資料をまとめるとおっしゃいましたか。
○説明員(佐々木即君) 昭和四十年度予算に計上いたしまして、これから一年間で調査をします。
○委員長(紅露みつ君) 四十年度までは、これは要求できないでしょうけれども、もう少し今後は新しい資料を出していただきたいと委員長からも申し入れておきます。もうちょっと新しいものが何かあればできるはずです。
○説明員(佐々木即君) これはお答えいたします。全国的にそれぞれの原因を整理いたしまして、現状はどうなっておるかといったことについての調査資料は、まことに申しわけないのでございますが、現状はございません。個別的なものについてずっと拾うということは可能でございます。
○中野文門君 いまの話ですが、同じ種類の統計にしても、三十三年七月以降のこの種のあれは手元に資料がないのですか。ちょっと七年もかかっておる。別に詰問じゃないが、ちょっとおかしいじゃないか、いまごろ三十三年の資料を出すというのは。
○説明員(佐々木即君) お答えいたします。これにつきましては、いま申し上げましたように、個々の事例その他の報告等はございますけれども、全国一斉に、ある一つのものさしで、どれだけのものが被害面積としてあるかということは調査しておりません。
○中野文門君 いまの問題ですが、いずれにしてもこの委員会が衆参両院に初めて今回できた。その第一回の委員会に資料として少なくとも出す限りにおいては、六、七年前の資料をもってわれわれの手元で話をするというのは、何かおかしいですな。別に答弁はありませんか、その点についての。全然やってないのですか。あるいはあなたのほうの手元で、たとえばこの次の委員会なら委員会までに、もう少し新しいものを編さんできる内容の資料はあるのですか。それもないの、ちょっと昔話だね。
○説明員(佐々木即君) 現在、ただいま申しましたように、同じ基準で全国新しいところでどれだけあるという数字は、全国的規模のものはございません。
○中野文門君 これに類する資料は一切現在ないし、またここ一週間か十日でお手元の資料で編さんしても、それは見込みがないと、こうおっしゃっるのですか。何かおかしいね、いまごろ。
○説明員(佐々木即君) お答えいたします。その問題についての具体的な事例、どの種類にはどれだけの被害が現状起こっておるという事例的なものについてはございますけれども、全国規模で、同じスケールで、ある時点に限ってどれだけになっておるというものについてはございません。
○柳岡秋夫君 資料をちょっと要求しておきたいのですが、一つは、帰っちゃって困るのですけれど、建設省関係と運輸省関係ですが、建設省の建設工事における公衆災害の防止対策の中で、三十八年、三十九年の行政処分並びに指導をやっているわけですが、これの処分内容と、それがどういうことでそういうふうな処分を受け、また指導を受けたのか、これの詳細を出してもらうのが一つ。それから中央建設業審議会というのがあるそうですが、これのメンバーをひとつ。それと、その審議会から建議したもの、どういうものが出されたのか、それに関連して市街地土木工事公衆災害防止対策要綱、これをひとつ。もう一つは運輸省関係で、三十七年から国際空港に対する騒音調査をやっているということですが、その調査内容を、中間報告になるかどうか知りませんけれども、報告書を出していただきたいと思います。
○委員長(紅露みつ君) それでは、委員長から重ねて農林省に申し入れたいと思うのですが、これから調査とおっしゃっても、やっぱりそれぞれの部門に顕著な問題についてはある種の資料があるように思うものですから、もし統一的に全般を含めたというものができないのでございますならば、そのうちの顕著なものについて資料を出していただきたいということを申し入れておきます。 それでは御発言がございませんでしたら、今日はこの程度で審議を打ち切り、散会をいたします。 午前十一時五十五分散会