外務委員会 第19号
- 発言数
- 27 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/05/25
会議録
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 千九百六十三年十二月十七日に国際連合総会決議第千九百九十一号(XVIII)によって採決された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○森元治郎君 まとめて二つばかりお伺いしておきます。 一つは、この間大臣にも少し笑いながら申し上げて失礼したんですが、部分的核停条約会議を開かれたらどうかということをお尋ねし、これが外交の手としていいんじゃないかという進言をしたつもりなんですが、核の問題が中国の核実験以来非常に反響を呼んで、アメリカあたりも、最近の新聞を見ると、核停条約がだめになったときの実験準備として太平洋の島で水中実験をやる準備をしているというような発表の新聞の報道もあるし、一方また、中間核実験によって、核を持たない、核兵器を持たない国が心配するだろうから、その場合にはひとつアメリカが、自由陣営のほうの国々に対して心配するな、自分が防衛してやろう、あるいはまた、イギリスあたりの報道によれば、多角的核戦力を極東のほうにでも置いたらどうか、こういうようにいろいろな動きがあるわけであります。そこで、どうも中国があれをやったために、米ソあたりの大国が、部分核停条約を結んで一年半、約二年になりますが、何だかそろそろ窮屈になって逃げ出したいというような傾向があるように見えるのです。ですから、問題は二つあって、一つは米、ソ、イギリスのような大きな保有国が部分核停を依然守っていく、守っていかせる、こういうことと、中国など、あるいはこれから核実験をやろう、核兵器を持とうというものに、それをさせないようにするという二つの問題が出てくると思うんです。大臣に伺うのは、私は、核停条約を結んだばかりで早くも、こわれたならばというようなことを言いだし、脱退の事態も起こるんだというような思わせぶりな情報も出ているし、米ソともに依然として地下実験を続行している。こういうことを押えるために、ひとつ結んだままになっている核停条約を、よいチャンスとして呼びかけて会議を開いて、核実験を地下を除いてやらないといういまの部分核停をお互いに再確認をして、同時に、地下実験についてもやらないように、核拡散をどうやって防ごうかという問題もあわせて研究するよい場だと思うんですが、その点をひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国連の場においてそういういま動きがあるというような徴候はないのでございまするが、しかし、客観的に見て、この核停条約をさらに推し進めて地下実験まで——全面的な実験停止というところまで持っていこうという、この大義をとらえた御意見は、きわめて時宜に適した貴重な御意見だと思います。
○森元治郎君 私が申し上げるのを短いことばで言えば、米英ソ——あれに調印をした国々——は、あの条約を今後とも守っていくということが一点、そして一方で、中国などこれからやろうとするものには実験をしないように押えていく、この二つだと思うのです。いまの情勢ではどうも競争になってしまって核停条約は分断をし、中国の核爆発にただ対抗していくのだというような形勢は危険だと思うのですが、そこで松井大使が国連でこの間演説したポイントは、核保有国の責任を強調し、持たない国の協力を要請し、第三点は国連の百十四カ国全部の軍縮委員会からジュネーブの十八カ国委員会に対して核拡散防止の問題を最終的に取り上げるという演説をしているのですが、私は、それも一つの方法であるが、強いのはやはり、危機と言うと大げさですが、部分核停の会議を通じてやるほうが強いのじゃないか。条約の内容を見ると、改正のときだけが会議が行なわれるように書いてはありまするけれども、政治的にやることが世界を鎮静——静かにするのに役立つのじゃないか。イギリスの労働党内閣は、独自の核戦略は持たないという方針でいたのが、中国の核実験以後になってからは、これはスエズから向こうのほうではあぶないから、やはりもう一ぺん再考しなければならないというふうに変わってきて、いまでは非常に危険だと思うのです。ですから、日本は強い立場をとって各国に呼びかけて核競争へ進ませないようにすることが大事だと思うのです。 もう一点は、ドミニカ問題、ベトナムも入りますが、国連というものが紛争解決の大きな機関であるとわれわれも期待して、政府毛国連中心主義というような表現まで使われておったのですが、ドミニカの問題を見ると、アメリカは自分の足元に火がついた、こうなれば自衛権、そしてまた憲章で許されている地域的集団安全保障体制を利用して、とにかく自分の利益のためには、憲章を中心に動くというよりは、まず現実的に自分の国の安全、利益を守るのは自分の国しかないのだ、だからやるのだといういまの行き方は、国連の目ざす大原則とは違うのじゃないか。ウ・タント事務総長は数日前その点を憂えたような国連中心の発言をしておられるのですが、国連の大きな理想とそれから現実の事態にはまったときに、理想なんて言っていられないのだ、独自の行動をとらなければならぬのだ、アメリカのジレンマといいますか、この点について私は、やはりドミニカくらいの小さい場合は、そうあわてなくとも、国連を通じ必要手続をもって臨むべきではないか、そうしないと国連というものは弱くなっていくのではないか、この根本の原則的なことを大臣から御判断をお伺いいたします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 米国が当初単独行動をとってドミニカの問題に対処いたしました。その後、ドミニカ問題に対するすべての方針を米州機構にこれを移して、この米州機構の世論というものによって右左をきめるという形をとったことは私は適当であると考えております。さらに進めて、国連の機構、すなわち安保理事会の方針に従うということを、米州機構によって処理するということは、排除した意味ではないのでありまして、結局、国際世論というものを尊重して、その線に沿うていこうという、こういう考え方は、大体米州機構によると、直ちに国連にかけ込んでその方針に従うのと、趣旨においては同じだと思います。ただいまのアメリカのドミニカに対する方針というものは、私は適当であると考えております。
○杉原荒太君 この国連の軍縮委員会における松井大使の発言の中に、核の拡散防止の点について、まず、「核軍縮の実質的措置が同時に実施されること、特に全面核禁条約が全ての国によって締結されること、」、これを一つ関連せしめて言うならば、まず第一は、文字として「全面核禁条約」という非常に不正確なことばをつかっているのだが、こんなことを書いたらわからぬですよ。実験禁止なら実験禁止、核全面禁止と核禁条約とはどういう意味です。
○説明員(滝川正久君) 杉原先生のおっしゃる全面実験禁止——地下実験禁止まで含めた禁止という意味でございます。
○杉原荒太君 核禁条約、これは簡単にできないことばですよ、こんなことを書いたってわからぬ。これはむしろ普通の解釈だったら、核の保有禁止ということになりますよ。なぜ、こんなわざわざわからぬことを書くんですか。そうすると、なにですね、全体のたてまえとしては、つまりすでに持ってしまっておる——既存の核保有国の問題は別問題として全然取り上げなくて、これから新しく核保有をしようという国だけを縛る、こういう趣旨ですか。したがって、たとえば、中共のごときはこれは含まれぬ、その実験禁止の部分だけは含まるけれども、しかし、もう中共はああいうふうにとにかく核をつくるという技術、知識、能力というものはすでに持ってしまっておるのだから、これは禁止の対象にならない、もちろん、中共については含めない趣旨なのか、ここで言っている拡散防止というのは。
○説明員(滝川正久君) いまの御引用になりました発言における考え方は、そのとおりでございます。中共も、核実験禁止については、とにかく現在ある部分核停条約に入ることを勧奨し、もしこれが地下実験を含めるようになりました場合にも、中共が入ることを希望するのですが、そのほかの問題については、そこでは触れておりません。
○曾祢益君 意見は討論のときに譲りますけれども、質問で、ごく簡単なことだけ伺いたいんですが、これはほかの委員の御質問に対するお答えもあったかと思うんですけれども、今度の憲章改正案の政治委員会及び総会における採決の経緯にかんがみれば、少なくともこの憲章改正に必要欠くべからざるいわゆる常任理事国の積極的賛成投票が、はたしてだいじょうぶだろうかということに疑いを持たせるような投票をしているわけですね。すなわち、ソ連とフランスは反対投票、イギリスとアメリカは棄権、中国、つまり台湾政府ですが、中国の態度も非常に政治的にもやっとしている。このような状態で、その後の情勢がどう変わって——この資料によると、非常に楽観しておられるようですけれども、五月十七日、外務省の「両理事会議席増加に関する国連憲章改正の批准について」ですが、「他の常任理事国(米国、英国、フランス及び中国)も、すべて、本件改正を批准する方針を決定し、目下、このための手続を進めつつある。」、こういうふうに言っておられるんですが、われわれはそれに反駁するような別に材料を持っておるわけじゃないけれども、どういう意味でそういうふうに変わってきたのか。現状の分析に甘い点がないのかどうか。こういうことを伺いたいわけです。と申しますのは、これはあとで意見として申し上げたいと思っておるんですけれども、憲章の改正というのは、これは非常に重大であるし、大きな政治的意義がある。その憲章の改正をやるにしては、いささか正面から憲章の大きな問題に取っ組まずに、いわば議席数の改正ということで、安保理事会と経済社会理事会におけるAA諸国のふんまんのはけ口を、議席を加えることによってかろうじてパッチ・アップするびぼう策だ、こういう感じがするわけです。そのびぼう策について、私はこの方法が悪いと言うんじゃないけれども、いかにも憲章改正問題の取り上げ方としてはびぼう策的な取り上げ方で、しかも、日本が賛成してみたところで、ほんとうにこの憲章改正に伴う国連の機能が非常によくなるとは考えられない。そういうこともあるのに、あわてて憲章改正案に日本が賛成をするということは、一体いかがなもんだろうかという気がないでもないのです。これは意見ですけれども、どうしてその後の情勢でフランスなり、ソ連なり、アメリカなり、イギリスの態度が変わってきたのか。大勢順応だから、しいて反対はせぬ、積極的に賛成をしたほうがAA諸国に対する立場上ぐあいがいいんだというような考慮があるのかどうか、その辺の事情を御説明願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 滝川参事官から。
○説明員(滝川正久君) ただいま曾祢先生おっしゃいましたように、AA諸国に対する顧慮ということをおっしゃいました。それが一番大きな理由だろうと思います。かつては、棄権または反対しておった国——安保常任理事国が、最近に至りだんだん改正の方向に踏み切るということになりました点は、資料について御説明したとおりでございますが、そのいきさつというのは、やはりこのAA諸国の数の威力ということを考えたのだろうと思います。
○曾祢益君 そうすると、いきさつは、大体推定だけれども、そう推定されるが、結論的に常任理事国のすべての国の積極的賛成、批准が確実だ、こうはっきり言えますか。それだけ伺えばけっこうです。そこがあいまいでは困るのだ、だろうぐらいでは。
○説明員(滝川正久君) これは、事務当局としての見通しは、大体確実であるということであります。
○曾祢益君 これは事務当局では済まぬので、外務大臣の責任ある御答弁をお願いします。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 各方面からこの成り行きにつきましては研究いたしまして、その情報なり、あるいは情勢分析なりをいたしました結論といたしましては、だいじょうぶである、こういう確信を持つに至った次第であります。
○曾祢益君 けっこうです。
○委員長(小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。 これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○曾祢益君 私は、この憲章改正案に賛成いたします。ただ、ただいまの質問中にもちょっと触れたのでありまするが、憲章改正案としては、やはりどうも現在の国連の機構が、憲章上持っておるいろいろな問題の解決の方向としては、いかにもびほう策的な感じがしないわけではありません。国連憲章できてから二十年、こういう機会にこそ、国連主義に忠実な日本として、もう少し根本的な憲章改正に対する努力があってしかるべきではないか。たとえば、ほかの同僚委員からも御質問の形で出ておったと思いますけれども、まず、安全保障理事会の常任理事国と非常任理事国、これを区別をしておくということはどうなんであろうか。憲章をつくった経緯並びに今後のやはり世界の平和維持に、特に大国が中心でなきゃならぬということにわれわれ理解がないわけじゃございませんけれども、しかし、常任と非常任とはっきり分けることがはたしていいのかどうか、まず、これももう少しまじめに考えてみなければいかぬ。加えて、この拒否権の問題、拒否権を完全に禁止するということが現実的でないという議論もございましょうし、それについてはやはり政治論としての意義を認めないわけじゃありませんが、少なくとも、だれが考えても、拒否権の乱用を何らかの形で押えていくという努力がもっとまじめにとられてしかるべきではないか。最近はもうほとんど問題がなくなりましたけれども、国連の新規加盟の問題のときには、拒否権を使わないというようなことが考えられないものだろうか。あるいは、ほんとうに安全保障理事会が決定して侵略国に対する制裁を加えるというようなときには、どうも大国としては責任上拒否権が必要だという考えがあるとしても、侵略に対する制裁でなくて、平和の脅威というような問題については、拒否権を大国が乱用することはやはり適当でないという、こういう見方も確かにあり得るのです。そういう意味で、安全保障理事会に、もう少し拒否権問題の改正というようなことについての努力があってしかるべきじゃないか。したがって、そういう問題に関連いたしまして、安全保障理事会と総会との間の権限が、はたしてこのままでいいかどうか。さらには、いま問題になっている安全保障理事会のもとにおける国連軍というものの常設が、現実にはほとんど困難だ。そういうときになると、やはり国連平和待機部隊というようなものを、もう少し憲章の面で取り上げる方法があっていいのではなかろうか。 さらには、今度全然観点は違いますけれども、わが国のような敗戦国に対する特殊の規定というものを、これはだれが考えても、こんなものは当然削除すべき時期に来ている。 これらの問題、いろいろございましょうし、私はただいまほんの改正の望ましい点に対する、網羅的でなくて、ただ例示的に申し上げたわけでありますけれども、そういうような問題に対してのわが国としての取り組み方ということが、今度の安保理事会及び経済社会理事会の議席を、特にAA諸国の突き上げを緩和する意味の形で今度の改正をやったら、そういう基本的な改正のほうが何かそらされてしまって、気勢をそがれて、そういう問題についての努力がもし投げやりにされるというようなことがあるならば、今度の改正というものにあまり意味がないのじゃないか、こういう感じが非常に強いわけです。 したがって、この改正案そのものに反対ではありません。しかし、この改正に甘んじ、満足するのではなく、むしろ、こういうことが正しい意味の憲章改正運動に水をかけないように、政府は十分に腹を締めて、これらの正しい意味の憲章改正のイニシアチブと音頭とりを日本がやる、またその前提として、そういったような国連憲章の現実を踏まえながらも、常に理想に進むような憲章改正運動というものを政府が中心となってやるし、こういう問題こそ国民運動というような形で大いにやっていくというような努力を強く要望いたしまして、本件に対する賛成の討論を終わります。
○委員長(小柳牧衞君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。 本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小柳牧衞君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(小柳牧衞君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。 国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午前十二時散会