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48回国会参議院1965/04/08

外務委員会 第12号

発言数
89
登壇者
9
会派数
2
開催日
1965/04/08

会議録

小柳牧衞自由民主党

○委員長(小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  航空業務に関する日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、提案の理由の説明を聴取いたします。外務大臣。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいま議題となりました航空業務に関する日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  日本航空株式会社は、昭和三十三年にシンガポールへの運航を開始し、昭和三十七年に路線をジャカルタまで延長して現在に至っております。このシンガポールへの乗り入れは、わが国と英国との間の航空協定に基づいて行なわれていたものでありますが、昭和三十八年九月にシンガポールがマレイシアに併合されたため、マレイシアとの間に新たに航空協定を締結する必要が生じました。よって、政府は、昭和三十九年にマレイシア政府と協定締結のための交渉を行ないましたところ、合意が成立しましたので、昭和四十年二月十一日にクアラ・ランプールでこの協定の署名を行なった次第であります。  この協定は、わが国とマレイシアとの間に定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、両国の航空企業がそれぞれ業務を行なうことができる路線を定めているものでありまして、わが国がこれまでに締結した二十カ国との間の航空協定と、形式においても内容においてもほぼ同一であります。  この協定の締結により、両国の航空企業は、それぞれ、両国間の定期業務を運営する権利を与えられるのみならず、わが国とマレイシアとの間の経済上及び文化上の友好関係も一そう促進されることが期待されます。  よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。

小柳牧衞自由民主党

○委員長(小柳牧衞君) 以上で説明は終了いたしました。  本件の補足説明及び質疑は、後日に譲ることといたします。

小柳牧衞自由民主党

○委員長(小柳牧衞君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  この際、外務大臣から発言を求められております。これを許可いたします。外務大臣。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 日韓会談の最近の進捗状況について御報告いたします。  李東元外務部長官及び車均禧農林部長官の訪日により、日韓会談は大幅に進捗し、四月三日、漁業問題、請求権及び経済協力並びに在日韓国人の待遇の三大懸案について、それぞれの合意事項にイニシアルを行なうに至りました。  まず、漁業問題については、両国の納得のいく線で漁業に関する水域、魚族資源保護のための暫定的漁業規制措置及び漁業協力等の諸問題につき大綱の合意に達し、この結果、日韓間の漁業問題に関する合意事項がイニシアルされました。  漁業に関する水域については、済州島付近の一部の水域を除いて、最近の国際的傾向に従って、これを沿岸の基線から測定して十二マイルまでの範囲に合意できたこと、また、共同規制水域における出漁隻数及び漁獲量についても、わが国の漁業実績がほぼ確保されたことは、わが国として満足すべきことであります。  さらに、それ以上に、このたびの合意により、韓国側は公海自由の原則並びに公海における取り締まり及び裁判管轄権の旗国主義の原則を認めました。その結果、わが国が過去十数年にわたって要求し続けてきた李ラインの撤廃と、日本漁船の安全操業とが確保されることとなり、これは実に画期的な意義を有するものであります。  次に、請求権及び経済協力問題に関しては、昭和三十七年の大平・金会談に基づきその大綱の了解はできていたのでありますが、今次外相会談において、諸般の情勢の進展を勘案し、細目についての話し合いを詰めた結果、今度の合意事項ができ上がった次第であります。  これにより、日韓間の請求権問題は、通常取引により発生したものを除き、一切解決することになります。拿捕漁船の問題は、諸懸案が一括解決される見通しがつきましたので、この際、大局的見地から請求権問題の一環として解決することにいたしました。請求権及び経済協力の問題の解決は、単に過去の請求権問題を最終的に解決するという消極的な面にとどまらず、平等互恵の精神により、韓国経済の発展のため援助を与え、もって韓国の民生安定をはかり、日韓両国の経済面における緊密な協力関係の基盤をつくるという積極的な意義を有するものであります。  在日韓国人の待遇問題に関しては、永住許可の範囲、強制退去事由及び処遇について、大綱の合意に達したのであります。在日韓国人の取り扱いは、わが国の長い将来にわたる社会秩序の問題に関係する重要問題でありますので、われわれは特に慎重に交渉に臨みました。永住許可の範囲については、在日韓国人の特殊な歴史的背景にかんがみ、子々孫々にまで永住権が認められるべきであるとの韓国側の強い主張があったため交渉は難航しましたが、結局、終戦以前から引き続き日本に居住する者、その直系卑属で協定発効後五年間の過渡期間が終わるまでに日本で出生する者、及び、これらの子で日本で出生する者に永住許可を与え、その後のことについては、二十五年以内にあらためて協議することで合意が成立した次第であります。また、退去強制については、内乱、外患、国交に関する罪、無期または七年以上の懲役禁錮という重罪、麻薬常習犯等を犯した者は退去強制ができることに合意しました。さらに、処遇問題についても、教育及び生活保護等につき妥当な考慮を払うという基本原則を確認いたしました。以上を全体として見ますと、善良な在日韓国人が日本において平和で安定した生活を営むことを保障したいという両国関係者の希望は、十分に達成されたものと考えます。  今後は、できるだけすみやかに、今回イニシアルが行なわれた三つの合意の大綱の条文化を行なうとともに、竹島問題等残された懸案の解決をはかる所存であります。  歴史的、地理的に、また、文化的、経済的に最も密接な関係にある日韓両国が国交を正常化し、もって永久の善隣提携関係を樹立することは、まことに当然であり、きわめて自然のことであります。最も近い隣国と仲よくすることができないようでは、とうてい平和外交は推進できるはずがありません。わが国世論が日韓国交正常化交渉を支持しているゆえんもここにあると存じます。  ところで、世上一部に、韓国との国交正常化は、朝鮮の分裂を永久化し、その統一を阻害するものであるとの議論があります。しかしながら、朝鮮の統一方式に関し、韓国は、国連監視下の全朝鮮自由選挙に基づき全朝鮮単一政府をつくるといういわゆる国連方式を終始一貫支持しているのに反し、北朝鮮側は朝鮮統一問題に国連が介入することに反対の立場を維持しているところに、統一が容易に実現しない原因のあることは周知の事実であります。北朝鮮側が国連の権威と権限を認め、国連方式による統一に賛成しさえすれば、朝鮮の統一は実現し得るものであります。したがって、日韓国交正常化は、南北朝鮮の統一を妨げるものではありません。われわれは、申すまでもなく、朝鮮の統一が一日も早く実現することを祈ってやみませんが、これは、まさに国連の場において純粋に平和的な動機によって達成さるべきであると思います。  日韓交渉は、また、平等互恵の原則に基づく善隣友好関係を日韓両国間に確立するという観点から行なわれているものであり、両国の平和と繁栄を意図する以外に他意はありません。  韓国政府は、目下工業化への基盤造成、国民経済の体質改善を通じての自立的成長を目標に五カ年計画を進めており、米国をはじめ、ドイツ、イタリア、フランス等の国々が韓国のその努力を支持して、これに諸般の協力の手を差し伸べております。かかる時期に際し、隣国である日本が韓国の国民生活の向上、繁栄をもたらそうとする国際的共同事業の一翼を分担し、できるだけの寄与、貢献をしようとするのは、あまりにも当然の責務であると思います。  わが国の一部には、今回の交渉において、わがほうが大きな譲歩を行なったとの批判があるようでありますが、決してそのようなことはないのであります。他方韓国側においては、今回の交渉結果に必ずしも満足ではないとの批判があるのであります。十四年の長きにわたるこの困難な交渉をまとめるためには、相互の歩み寄りによらざるを得ないことは言うまでもありません。今回の成果は、双方が互譲の精神によって大局的見地からお互いの国民の納得のいく線で合意をはかったことを立証するものであり、その意味で、日韓両国間に新しい友好関係ができ上がった事実を裏書きするものと確信いたします。  日韓交渉は、種々の紆余曲折を経た後、このたびようやく三大懸案につき合意が成立したわけでありますが、これは、アジアの平和と安定を希求するわが国外交の基本的姿勢に基づくものであり、われわれはこのような積極的外交を今後も推し進めていく覚悟であることを、ここであらためて明らかにしたいと思います。

小柳牧衞自由民主党

○委員長(小柳牧衞君) これより、当面の国際情勢について質疑を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 いまの御報告に関連して二つ、三つお伺いしたいと思いますが、一番最後まで残った竹島の問題は、どうして最後まで残ったのですか。政府は、かねがね国際司法裁判所に提訴する方式をとる、韓国は第三国の調停にまっておる、こういうことのようですが、日本が第三国の調停によらないで国際司法裁判所に提訴しようという理由。韓国が、どうして国連提訴に反対をして第三国にたよろうとするのか。その二点を伺います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) われわれは、ただいまの方針といたしましては、やはり国際司法裁判所に提訴し、そして韓国がそれに応訴して、この国際司法裁判所の客観的な厳正な審理によってその帰属が決定されることを望んでおるのでございますが、そのいきさつにつきましては、政府委員から詳しく従来の経過を申し述べることにいたしたいと存じます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ちょっと……。私の伺っているのはそんなむずかしいことではなくて、韓国は第三国の調停にまっており、こっちは国際司法裁判所に提訴しておる。なぜ韓国が国際司法裁判所提訴に賛成をしないのか。それから、日本側から見れば、向こうの言う第三国の調停にまかせようということに同意できないという、その理由を聞いておるのです。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 第三国の調停と言いましても、具体的にいろいろこの調停をすべき国について問題がありますが、まだそれが具体化しておりません。わがほうとしては、あくまでまず国際司法裁判所によって決定されるのが最も適当である、こういうことで今後も努力をいたすつもりでございます。別にどっちがどうという具体的な比較検討をする段階でもございませんので、まず国際司法裁判所によってこの問題の解決のめどをつけたい、まあ、こう考えておるわけでございます。で、韓国がこれに応じない理由といたしましては、その理由といたしましては、詳細の点につきましてアジア局長から申し上げさせていただきたいと思います。

後宮虎郎外務省アジア局長

○政府委員(後宮虎郎君) 先方は、いままで公式の席上では、なぜ国際司法裁判所がいやだという具体的な理由は述べておらないのでございますが、公式的に言う先方の申し分といたしましては、竹島は自分の国の領土であるということを自分たちは確信しているのであるから、これをいまさら裁判所なんかに持ち出す必要はないということを言っております。ただ、そのほかいろいろ向こうの新聞論調等を見ておりまして推察される他の理由といたしましては、やはり国際司法裁判所は国連の機関である、その国連にいまだ韓国は入っていないというようなことも、第一印象的に国際司法裁判所というものになじめない節があるのではないかというふうにこれは推察している次第であります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 この問題は、お伺いすると、第三国の調停だと韓国が言いながら、日本の椎名さんが、外務大臣が聞くと、どこが第三国だということも言わない。両方がそんなに真剣になってこの問題をやり合ったことはないわけですか、文書の往復だけで。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まだ先般来の会談においては、この問題は持ち出しておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 持ち出なさい理由はどういうことか。それから、新聞では、朴大統領がアメリカに行くとき、あるいは帰るときに寄って、佐藤総理と会って、一発で話をきめてしまう、いわゆる政治的判断によって解決をする、こういうふうに伝えられております。政治的判断とは、いわゆる足して二で割るようなことなのか、浪花節的なことを政治的判断と言うのか、どういうふうにわれわれ理解したらいいのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 別に、政治的判断という特別のことばを用いなくともいいのでありまして、結局、事務的なレベルでこれを幾ら討議しても、すでに討議し尽された問題でございますので、これをこの間の事務レベルからずっと系統立てていろいろ折衝いたしましたが、そういう性質のものじゃない。それで一応片づけておいて、そうしてこの竹島問題はそのあとに折衝を始めたい、こういう考えであと回しにしたわけであります。事柄それ自体は、そう詳しいデータをせんさくして論議を進め、積み重ねていくという性質のものではございません。いま向こうが応訴さえしてくれれば、めどは一ぺんについてしまう、こういうわけでございますから、その点を推していきたい、こう考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 向こうの言う第三国の調停とは、第三国といっても、あまり遠いほうの人ではまずいでしょうから、何かといって、アメリカあたりを、だれが考えても、その候補に韓国は考えていると思うのだが、その点については一考もする価値がないと判断しておるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まだ第三国云々という問題は、どうしても竹島問題の国際司法裁判所による解決が向こうとしてものめない、何かこっちの納得のいくような理由があって、なるほどと思えば、これはこの方法は断念せざるを得ないと思うのでありますが、ただいまのところは、われわれはそう思っておらないのでございまして、この問題を持ち出して向こうに交渉をしたい。どうしても不可能な場合には、やはりめどはつけなければなりませんが、第三国の調停であるとか、あるいはその他に適当な方法があれば、別に排斥するものではございませんけれども、とにかくその次善の策についてこの場合においては考えなきゃならぬというふうに考えます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 韓国の言い分がおかしいのは、国際司法裁判所は国連の一つの機関だと言いながら、自分は、自分の国の存在を明らかにするためには、その国連の決議の、しかも都合のいいとこだけ取り上げて、合法的な唯一の政権だなんてなことを言うのはけしからぬと思うんだが、その点どうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 国連の機関であるからそれによるのはいやだというようなことは、これはもう通らない理屈であって、どうも納得しがたいのでございますから、その点はひとつあらためて折衝してみたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 話はさっぱりしておらないんだが、言いたいことはどんどん言わなきゃだめですよ。大臣、引っ込んでいちゃ。なまくら問答みたいなことを言ったって、相手は強いんだから、その点しっかりしてもらわにゃ困る。  今後、大統領が行ったり帰ったりする機会にちゃんときめるつもりですか。きまると思いますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) もうこれはぜひきめたいと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで、きょう私が聞きたいと思うのは、日本におる韓国人の法的地位の問題であります。どなたが考えても、独立した韓国が、戦前と違いのないような形で日本国内における、かつて日本人としての既得権をそのまま持っていこう、そして子々孫々までも永住する権利を確保していこうというのは、ちょっとこれは納得がいかないと思うんです。政府の説明では、子々孫々ではないと、平和条約の以前からいた者、条約発効後五年間に生まれた者、あるいは、これからできる協定ができた五年後までに生まれた者の子供が永住権を持つ。しかも、その後のことについては、処遇という名目で、二十五年の間に、どうするかということを相談する。年数を足していきますと、相当長いことになると思うんですが、政府は子々孫々までではないと言うけれども、私らの見るところでは、事実上、子々孫々あるいは問題を二十五年後までに延ばしたんだというふうに思うが、この点の説明を伺います。大きいことだから、外務大臣から。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 二十五年ぎりぎりになるか、それとも二十年ぐらいで協議をするということになるか、とにかく、いまあんまり子々孫孫というようなことで向こうはいきり立っておるし、少なくとも、両国の間にこの後の問題を協議するというためには、まずスタートをしてみる。そして、その間にいろいろな状況というものも落ち着いてまいると思います。そういう環境のうちにまたあらためてそのあとの処遇問題は協議したほうが、より合理的な解決が生まれてくるんではないか、こういう考えから、二十五年間にその後のことは協議する、こうきめたわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 二十五年というのは、どこから割り出したんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 発効後五年内に生まれた者、それはまず第一世永住権者になります。前から永住している者、それからその子供で五年以内に生まれた者、これには永住権を与える。今度それらの子供が生まれるのは、二十年くらいたてば早いのは子供が生まれるでしょう。そこまでは保障してやっていく。そのあとのことはひとつゆっくりと協議したい。こういうわけなんです。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、二十五年の五年の中には、協定発効後の五年という、協定発効後ですから、かりに今年協定ができたと仮定すると、昭和四十五年までに生まれた者は永住権があって、その子供がさらに二十五年たったときに問題になるのですか。

八木正男法務省入国管理局長

○政府委員(八木正男君) 非常にややこしいのであれですが、その考えのもとは、こういうことでございます。要綱で、戦前からいた者、それから、協定発効後五年までに生まれた者——この五年というのは、実は在日韓国人というのは現在六十万前後いるのですから、これが、そういった永住権の取得や何かの手続をするのにそのくらいはかかるだろうというようなことは、前々から議論されておりました。それで大体五年ということになりました。それで、その五年までに生まれた者は永住権を与えられる。それから、五年後までに生まれたその永住者の子供、これも永住権を与えられることになりました。ただ、それの次の代——孫の代になりますと、全然何も合意ができておりません。そこで、その孫というのは、一番早いのがいつごろ生まれるかということをいろいろ考えますと、先ほど外務大臣おっしゃいましたように、五年後が終わったすぐ直後に次の子供が生まれる、これも永住権を持っておるわけです。それの子供、前から言うと孫に当たる世代が生まれてくる時期は、大体いまから二十五年くらいあとになるだろう。そこで、その孫のことについては何も協定しませんので、そういう問題を含めて二十五年までに協議をすると、そこで二十五年という数が出たわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一体、いまから二十五年、三十年後に、在日韓国人五十七万から八万いるうち、韓国籍を取得したいとしている人は二十万くらいおるでしょう、三分の一くらいおるでしょう、そうすると、これから二十五年後くらいにはどのくらいにふえるという計算ですか。相当ふえますよ、これは。

八木正男法務省入国管理局長

○政府委員(八木正男君) これも別にはっきりした、大体このくらいという見通しは立ちにくいと思います。第一に、現在いる在日朝鮮人のうちで、韓国籍を申請し、その結果、永住の申請をして許可をされる人間というのはどのくらいかということも、私どもには全然見当がつきません。全部が全部取ったところで六十万ですが、そんなことはまずないと思いますので、たとえば、いま大ざっぱにいわれておるのは、大体三分の一ぐらいが韓国籍を取るだろうといわれておりますが、これも、現在北鮮系の総連と南鮮系の民団とで、お互いに去就をはっきりしない連中を自分のほうへ取り込もうという運動が非常に盛んに行なわれておりますので、この五カ年の申請期間の間に、はたして何%の在日朝鮮人が韓国籍を取得するか、全然見当がつきません。したがって、ただいま御質問の、二十五年後の時期にどのくらいの人間になるかということも全然見当がついておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 やはりそういうことはいろいろ試算するというのもありますからね。こういうことは、こういうふうに長くなってきますと、いろいろ国の予算も、韓国人の生活の保護であるとか、いろいろな点で予算を支出しなければなりませんからね。地方自治体などにも相当な負担がかかる。そういうことで、やはり試算をするくらいのことは、商売の法務省ではやっておかなくちゃいかぬと思うんですが、この問題、こまかく入ったら、とてもじゃないが、動かなくなっちまうから、ここで抜け出して、外務大臣は初め、永住権の範囲とそれから強制退去の事由、この二つでとめておこうというので折衝したが、向こうのほうは年が若くてエネルギッシュなもんで、おじいさんのほうはくたびれて、いまの待遇の問題までに大譲歩をした。法務省はかんかんになっている。この点どうなんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) いや、むしろこっちのほうが十分に体力的に余裕があるくらいなんで、そういうことで大譲歩したのではございません。処遇問題は、永住権の範囲と強制退去の問題に比べて、わりあいにこれはこまかい問題である。そして、ほんとうならば、これは国内法で一方的にきめてしかるべきものでございますけれども、しかし、従来の取り扱い、あるいは両国の関係から見て、その問題も協議をしようということになったわけであります。これはしかし、さしあたり、このイニシアルをするということから一応取り除いて、そして綿密に初めから審議をして、そして、終局的な署名までに間に合えば、それでよろしいという、いろんな時間的な関係との、これに当たる事務関係の都合等によりまして、そういう予定をしておったところが、どうもそれだけでは不安だと、この居留民団のほうから、とにかく処遇問題について一つも触れないということは、在日朝鮮人のこれは不安の種であるから、ぜひこれを取り上げてもらいたいというような意向を訴えたようでございます。向こう側の大使館に対して訴えた。そういうようなことで大使館のほうの切なる希望がございまして、それじゃあというので、処遇のごく原則的な問題だけを取り入れて、そこで仮調印をしたと、こういういきさつであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私らが聞いているところでは、最初閣議であなたから話があって、処遇の問題は引き続き討議の題目としようというふうにしたんですが、いまのお話のように、あおられてまた閣議に持ち出して、そしてこれを変えていった。こういうふうにわれわれ了解するのですが、そこら辺は、やはり世間にいう大きな譲歩ということにはなるわけですね。しかも、あとあと問題を二十五年間も引き続きもたもたするようなことを予想しつつ、問題を未解決のまま延ばした、こういうふうに非難されてもしかたないじゃないのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 処遇問題のただ原則をうたっただけでありまして、決して譲歩したというものじゃないのであります。それから、二十五年の問題は、どっちかといったら、大体もう既成事実というものがだんだん進行いたしますから、そういう情勢下において静かに両国の間で協議するほうがもっと合理的であろう、こういうことで、あまり将来のことを一ぺんにきめてしまうということじゃないほうが、もっと合理的に話がまとまる、こう考えたわけでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 佐藤内閣にしても、椎名外務大臣にしても、そう日本を四分の一世紀も拘束するような、そういうものを軽々にやるということは、たいへん外交上間違いだと私は思うのです。法務大臣どうですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) 朝鮮人の従来の日本との関係ということは、まあ、これは申し上げるまでもなく、御承知のように、日本人として終戦前日本におって生計の基盤を築いたものが、それが終戦によって自己の意思に反して日本人の資格を失った、こういう立場にあるわけでございます。したがって、これらの者に対しまする法的地位の問題は、他の外国人と比べまして、相当そうした要素を加味して考えていきたいというようなことから、ただいま申し上げましたように、まあ協定のイニシアルをやったわけでございまするが、二十五年先の問題は、国際情勢、あるいは両国間の関係、日本に住んでおりまする韓国人の状況等によりまして、あるいは帰化する人も出てくるでしょうし、いろいろなことが想像いたされます。まあ長きに失するといえばそういうわけではございましょうが、いまのような理由で、法務省といたしましては、こうした原案をもちまして外務大臣に交渉をお願いいたしたわけでございます。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと関連して。戦前日本国籍を持っておって、その後本人の意思に反してこれを失った。そういうことで、そういう事情からいまの問題が起こったというような話ですが、その場合、一体、韓国人が日本の国籍を今後とも求め、帰化して日本国人になりたいという意思なのか、韓国籍のままいつまでも永住したいということなのか、その辺はどうなんです。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) それは、そのときにおきまするその個人個人の事情によります。事情によってきまることと考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 帰化というのは、全部自発的なものなんですか。こういうような場合には、日本人と違うところは、公務員になれないとか、あるいは選挙の公民権がないとか、あとはもう全部持っている。それならばいっそ、自分の意思によらずして韓国に戻されたのなら、また元へ戻っていいですな。いたらどうだ、帰化したら。そういうことは説得とかいうことはできないものなんですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) これはあくまでも本人の自由意思の問題でございます。そして、帰化の条件がかないますれば、これを許可するという通例のやり方でやっていきたい、こういう考えでおります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私の伺ったのは、もちろん本人のやることはそうでしょうけれども、過去の諸外国の例や何かで、帰化する場合慫慂するということはないのか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) 政府としては、別に慫慂する意思はございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで、大きな問題で椎名さん、まあ新聞などにもたくさん書いてありまするが、いわゆる少数民族のような形で国内に残り、今後問題が起こりはせぬかという点についての御判断はいかがですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ、処遇問題をどういうふうにするかということは、今後両国の折衝できまってまいりますけれども、それが非常に向こうにとって有利に結論が出たにしても、いま森さんがおっしゃった公民権ですね、参政権、あるいは官公吏になる資格であるとかいうものは、これはもう絶対に認めるわけにはまいらぬというのが大体の定説でございます。そういうことで、越えることのできない一線が画されるわけでございますから、もう韓国語も忘れ、日本語だけまあ覚えている、日本の環境にずっと育ってきた者の自由意思は一体いずれを選ぶであろうかということを考えると、私は、まあ帰化する希望の人がだんだん多くなるのではないか。これに対して何か特殊のグループの幹部がこれを妨げるというようなことが起きれば別でありますけれども、しかし、それは、そういうことがはたしていつまでもできるものかどうか、自然に、やはり水が低きに流れるようになるものと私は考えますので、国内に少数民族のグループができるというようなことを、一いまからあまり心配する必要もないように考えますが、しかし、これに対しては、いろいろなまた指導というものも加えられるものと思いますが、その点をあまり具体的に深く論究はまだしておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私は、外務大臣がこういう問題に交渉されるときには、もう韓国は過去を忘れてですね、独立に向かって国内開発もやり、大いにその繁栄に向かって進んでいるおりから、人手も要るだろうから、どんどんそれを国の発展のために国に戻してやるという、やらせるように韓国側にこれは言うのが当然だろうと思うのですね。そういうことはやらなかったのですか。誇りある独立国ともなれば、みんなそうするのが普通ですよ、独立したら帰りたくないというのじゃおかしいのだから。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) どうも、やはりそこらあたり違うようですね。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 何が違うのか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) やはり、とどまってそうして日本に永住したい、そういう希望の者がわりあいに多いようでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それで、このほかにもたくさんありまするけれども、これに足突っ込んでまた動かなくなって、時間的にあれすると……

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 ちょっとその前に。そうしますと、いまのお話を聞いておりますと、韓国籍を持っている者ならば全部永住権が与えられるということにほかならないと思いますが、どうなんですか、この点は。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) そのとおりでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そのとおりですね。そうすると、子々孫々に至るまでという期限の問題は二十五年で切れているだけで、それまでは全部の韓国人が永住権を持つと、こういうことになりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) ただいま外務大臣からも御説明がありましたように、この協定発効後五年間に韓国籍を取得した者、それの子供、それから従来ずっと日本に住んでおった者の子供、これは永住権が与えられるのでございます。その孫につきましては、これはまた二十五年の際に、五年間の間にその法的の地位その他協定でまた協議してきめるわけでございます。そこに違いがあるわけであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 関連。そういたしますと、協定発効後五年というのが一つの区切りですが、それ以後に生まれた子供、さらにはそれの孫というのは、これはどういうことになりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) ひっくるめて言いますれば、五年間の間に韓国籍を取得した者、これは、ずっと日本に永住しておった人とその後永住して韓国人でおった人または韓国籍を取ってなかった人、これが一定の手続によりまして五年間に韓国籍を取るわけです。そういう者の子供は一生涯永住権を与え、この協定でやっていく、こういうことであります。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 私が聞いたのは、たとえば五年までの間に生まれた子供は永住権を持つ。そうすると、その次に五年の境に生まれた子は永住権がない、五年後、六年目に、たとえば五年以内に生まれた子供の弟とか妹とか、六年目からの者は全然永住権は与えられない、普通の外国人の取り扱いである、そういうふうに解していいですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) 説明が少し足らないかと思いますが、とにかく五年までに韓国籍を取得した人ですね、ひっくるめて言いますとその人の子供は永住権があるわけですから、五年過ぎてから生まれた子供も永住権があるのであります。ただ、その永住権は、五年からあとに生まれた子供の孫については、これはこれから取りきめる、こういうわけでございます。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 韓国籍を持つ者は、大体推定で幾らあるのですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) 現在韓国籍を持つと思われます者は、約二十二万ぐらいじゃないかと思います。ただ、北鮮系の国籍を持つ者も、約五十五万ないし六十五万の中にはあるわけですけれども、その二十二万引いた全部が北鮮系だという判断は、これは間違いなんであります。北鮮でもない、南鮮でもないという分子が相当多数あるわけでございます。こういう人が五年間にどういう自分の地位を選定しますか、国籍を選定しますか、これはこれからのことであって、予想はつかないわけであります。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 そうしますと、北鮮系の人あるいは中立——どっちにもつかない人、そういう人たちに対する法的地位といいますか、特に処遇、そういうものはどういうことになりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○国務大臣(高橋等君) この問題は、今後日本として取り組まねばいけない重要な問題の一つになるわけでございます。これはすべて、日韓交渉の条約が批准されまして、法的地位が確定したあとで取りきめていきたいというように考えております。ただ根本精神は、やはり日本人であった者が自己の意思によらずして日本の国籍をなくしたという、こういう点においてはお互いに共通したものがありますので、そうしたことは考慮の中に入れたいと思いまするが、また一方において、国交未開国である、あるいは強制送還の事由をきめましてもこれを北鮮側が受け取らないというような問題とか、いろんな考慮をせにゃならない問題がたくさんあるわけであります。そうしたことを考えあわせながら、いま申しましたような精神を根本に置きまして、協定が、条約が批准されました後においてこれらの問題を考えていきたい、こういう考えでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 一つ大臣に伺いますが、請求権の中の文化財が残っていますね、文化財の返還。公有のものは返すという方針だが、向こうは個人が持っているものも返せというふうな交渉があるようですが、これはどういうふうに対処しますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) いろいろ話し合った結果、個人がただ持っていたのではありませんで、相当の対価を払って持ち来たったものでございますので、これらについては大体向こうはあきらめている。ただ、日韓の間の文化協力を推進するという意味において、国有財産のうちから適当な部分を向こうに寄贈をする、こういうことで大体話がついております。しかし、そういうにかかわらず、個人としては、新しい韓国の建設に対して御祝儀と申しますか、そういう意味で、持っておる者からこれをただで寄付しようというような篤志家もぼつぼつ出てきておるようでございます。そういうものは、まあ向こうは受けるだろうと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 いま日韓問題でお話がありまして、あと私たち当面の問題でお聞きしようと思ったところが、何か時間がないので、非常に時間的制約を受けておるわけですが、またあらためてやってくれというお話ですけれども、そうあらためて先へ行くようなゆうちょうな問題でもなさそうなので、ごく概括的にひとつ外務大臣からお答えをいただきたいと思うのですが、たとえばこのバンドンにおける会議ですね、AA会議の十周年記念に川島副総裁を派遣されて、そして中共の周恩来首相と接触されるとか、あるいはまた同時に、日中間の大使級会談を考慮されるとかいろいろいま問題が出ております。ですが、これは佐藤総理大臣個人としての単なる思いつきなのか、十分外務省も検討して、そういう方針に進まれつつあるのか。こまかいことを一問一答をやっている時間があまりないので、いまのそれらの問題について、大局的に見て外務省当局はどういう考え方を持って進んでおられるのか、総括的にひとつお答えをいただいて、もし時間があれば、まだほかにも御質問の方がありますから、順次質問を続けたいと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 主催側のインドネシアの大統領スカルノ氏も言っておるとおり、バンドン会議はあくまでこれは式典である、それでこのバンドン会議として特別の政治的問題をとらえて決議をするとかいうようなことはない、こういうことを言っております。しかし、各国から政治家が集まるのですから、思い思いに適当な機会をとらえて、そして懸案の問題なりあるいは国際情勢なり、そういうものに対して話し合いをするということは、これはもう当然行なわれることになると思います。それを禁ずる意味じゃないと思います。そこで、周恩来首相も出るようでありますから、それとの話し合いの機会を故意に避ける必要は一つもないのであります。また、向こうがいやがるものをどこまでも引きとめてやろうというものもありません。ありませんが、非常に自然的にそういう話し合いの機会が出た場合にどういう心がまえで接するかといったようなことにつきましては、詳しく申し上げるわけにまいりませんけれども、一応外務省といたしましては心覚えを特使に差し上げて参考資料に供したい、こういう程度のことを考えております。それから、きのうですか、大使級会談もあえて辞さないという程度の総理の話は、これにつきましては、まだ十分な外務省として相談を受けた問題ではございません。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それで大体わかりましたが、いずれにしても、まあ中国側が積極的に拒否すれば別ですが、そうでない限り、かなり前向きな姿勢で今度の会議を有効に利用する心がまえと、そう解釈して差しつかえありませんか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 差しつかえございません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 日中関係の問題について二、三お聞きしたいのですけれども、例の日立造船の船舶の輸出の問題について、中国側は、日本側が輸出入銀行の資金をつかわない、つかうということをはっきり言わないというようなことから、日立造船との契約の解除をいたしました。これは、単に日立造船からの船の輸出の問題ばかりでなくて、その前にあるビニロン・プラントの輸出の問題とも関係を持つ。もっと深く言えば、吉田書簡との関係だと思うのです。つまり、中国側は、台湾が日本と中国との関係に介入したという考え方に立っておるようです。そして「人民日報」あたりを見ましても、佐藤内閣に対して強い攻撃を始めておるわけであります。で、向こう側のそういうような態度は、——いい悪いは別といたしまして——日本側としては、今後中国貿易との関係についてどういう方針でお臨みになるのか。特に船舶とかあるいはプラントの輸出のようなものについて、その金融措置、期間、そういうものをどういうふうにお考えになっていくつもりなのか、はっきりしたことを示さないためにいろいろの混乱の起こっている面が多いと思うのですが、この点は外務大臣としてどうお考えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 日中貿易は、これはもう基本的にはいわゆる政経分離のたてまえでできるだけ伸ばしていくことを期待しておるわけであります。ただ、個々の貿易金融につきましては、これはいわゆる国内問題であるので、この点はひとつ大体おまかせを願いまして、大きな日中貿易に対する方針に沿うてできるだけのことを政府としてはやっていく、こういうたてまえです。  そこで、吉田書簡の問題は、何べんも申し上げたとおり、これは私信であります。ただ、たまたま政府の方針と合致いたしましたから、それでこの線に沿うてニチボーのビニロン・プラントの処理はなされたわけでございますが、今後の問題については、きわめて慎重にこの問題を検討して、いわゆる自主的な決定をしてまいりたい、こういうことでひとつ行政府のほうにおまかせを願いたい、こういうことでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 吉田書簡が私信であるというが、吉田さんが向こうに行かれたことについても、その吉田書簡についても政府が了解を与えている。それからまた、この輸銀の資金をつかう問題は国内問題だと、こう言っているけれども、吉田書簡で外国に対してそれをつかわないという約束を政府の了解のもとにしたということを、しかも、佐藤総理大臣みずから、この書簡に拘束される、拘束性を持っているということを言っている以上、これは単なる国内問題でもなければ私信の問題でもないんじゃないですか。政府として一体この輸銀の使用の問題を今後どうするか、これは国内問題だ、これは政府におまかせ願いますで済むような問題なら、今日こんな問題は起こらなかったはずだと思う。これからどうするつもりなのか。つまり、それは単に輸銀の資金のつかい方という経済技術的な問題だけではなくて、すでにこれは国際的な政治問題になっておる。もし今後バンドンでもって川島さんが周恩来とお会いになるような機会が生まれたときに、こういう問題について話がないということは考えられないのですね。お会いになるとすれば、こういう問題も話は必ず起こるだろうし、また、将来、佐藤総理が言われるように、中国との間の大使級会談が持たれるとするならば、そして前向きの姿勢で進むとするならば、必ずこの問題も出てくるだろう。それらに対する日本政府の方針というものは一体何なのか、それをお伺いしたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいまのところは、その話が出ましても、私がここで申し上げる以上のことはおそらく言えないだろうと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 その「言えないだろう」というのは、やはり台湾並びにアメリカに対するいろいろな考慮からということですか、その点をお伺いいたします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) いろいろな考慮からでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 いろいろと、いうことは、そういうことも考慮しているということも含まれているわけですね。それじゃあなた、自主的にきめるということにならぬじゃありませんか。どうですか。それでも自主的と言われるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) やはり日本としていろいろな情勢を考慮して自主的に決定するんであります。これは言われたとおりやっておるわけじゃありません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 次にお伺いしますが、台湾へ一億五千万ドルの借款を供与するという話が、これも岸さん、石井さんが行かれたときになされたわけです。これに対して、政府としてはどういうふうにお考えになっておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) これは前からの懸案でございまして、先般の経済協力委員会で、元総理の岸さんあるいは石井さんが行かれて、それでどうこうという話じゃございません。前々から懸案事項として引き継がれておった問題でありまして、私が就任する前からぼつぼつこの話が出ておった。どうぞそういうことで御了解を願います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 とにかく、日華協力委員会の際に、これがかなり明確な形になってきた。政府は、一方において台湾へはかくも多額なものを供与する。それを承認しておる。このことが、今後の日本と中国本土との関係の上に、やはりいろいろ政治的な影響を持ってきているんじゃないかと私は思うのですけれども、この問題について、政府は今後台湾にはこういうふうにする、あるいは政府のほうでは台湾にこれを供与して、そうして台湾のほうからあまり激しい反対のないようにして中国貿易を拡大する方向へ臨もうというようなお考えではなかったかと思うのですが、どうなんでしょう、そこのところは。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 解釈はいろいろございましょうから、適当にひとつ御解釈を願ってけっこうでございます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もう時間がないから次の問題に移りたいと思うのですが、今度川島さんがバンドンへ行かれる。そうして、その際にスカルノ大統領、スバンドリオ外相等と話しをされて、インドネシア・マレーシア間の紛争の調停に臨まれる。そうしてその結果、帰りにマレーシアに寄ってラーマン首相と話される。五月一日にはラーマン首相がこちらに来られる。こういうようなことがあるわけですけれども、すでに政府としてはインドネシア・マレーシア紛争に対して調停を試みるという態度を確定しておられるのか。そうしてその調停に臨むちゃんとした態度をもって川島さんをバンドンに派遣せられるのかどうか。さらに、クアラルンプールに川島さんを派遣されるのかどうか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本にできることならば、とにかく東南アジアから一切の紛争を取り除くために、日本としては何事でもできることはなすべきである、かように考えております。  マレーシア紛争につきましても、かつてそのあっせんをしたこともあるのでありますが、状況は依然として好転しない、こういう現状であります。そこで、いわゆる外交交渉以前の問題として、この情勢判断なりあるいはその他の問題について話し合うという段階は、これはもう当然あってしかるべきものである。で、今度川島特使が向こうに参ったついでにぜひ立ち寄ってもらうようにというようなことであれば、これはあえてこれを拒む理由はない、こう考えておるのであります。まだはっきりした成り行きは申し上げる段階ではございません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 向こうが立ち寄ってくれと言えば拒む必要はないというような、何か非常に消極的な御発言なんですけれども、実際はもっと積極的な面を持っておられるんじゃないんですか。すでにもういままでも十分打診ができている。今度川島さんが行かれてスカルノ大統領に会い、さらにラーマン首相に会い、ラーマン首相が東京へ来るということには、やはりそのためにもういろいろな下話もできておって、かなりこの調停に対しては積極的な態度をもって臨まれるということじゃないのですか。ただ行ってみて寄って、外交交渉以前の話をするんだというようなものなんですか。そういうたよりないものなんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) いや、たよりある、ないの問題ではないのでありまして、むしろ、そういう雰囲気を十分につくり上げるということが、いろいろな——調停問題に限らず——非常に必要なことだと思うわけであります。あるいはもうすでにそういうムードができておって、直接の外交ルートで交渉すればよいという場合もそれはありましょう。しかし、そうじゃない場合も相当あるのであります。決して、ぼんやりしたたよりないものというような考え方ではございません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 じゃ、積極的前向きの姿勢で臨まれるというのじゃないんですか。積極的前向きの姿勢で臨まれるのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) やっぱりこれは呼吸がございまして、向こうがそれほどじゃないのにこっちばかり熱を上げるというようなことも全く少しどうかと思いますので、そこらは慎重にやらなければならぬと思います。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 もう一言。

小柳牧衞自由民主党

○委員長(小柳牧衞君) もう時間が超過していますがね。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 一つです。短いお答えでいい。ベトナムの戦争の問題ですがね。ソ連からの申し入れといいますか、これに対して佐藤首相から返事が出ましたね。その中に、この問題について日本としてもアメリカを支持するばかりでないようにとられる、つまり調停に対しても日本として何らかの手を打ちたいともとられるようなものがある。それからまた、椎名外務大臣は、前にはだいぶアメリカのやることを当然の措置であるとして是認をされておったようですけれども、最近多少、まあ、時期が来れば何かしたいというような意味にとられる発言もしておるわけでありますが、松本特使を出し、そして松本特使の報告を聞かれた後にソ連にああいう返事を出したところから見ると、また、佐藤総理大臣の国会の発言等を見ると、何か政府としてはある方法を考究し、そしてある時期においてそれを打ち出すというつもりがおありなんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(椎名悦三郎君) まだそう具体的にどうこうということは言える段階ではないと思います。しかしながら、これはもう毎度申し上げるとおり、直接日本に緊切な関係を持っておる問題でありますから、絶えず、日本としてできることがあれば、この解決のために努力したいという気持ちを持って事態を見守っておる状況であります。

小柳牧衞自由民主党

○委員長(小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度で散会いたします。    午後零時四十四分散会      —————・—————

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