外務委員会 第11号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/03/25
会議録
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 去る十七日小林武治君が委員を辞任され、その補欠として和田鶴一君が委員に選任されました。 —————————————
○委員長(小柳牧衞君) 本日は、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘークで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約の締結について承認を求めるの件、及び千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の締結について承認を求めるの件、二件を便宜一括して議題といたします。 これから質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○曾祢益君 今度改正された協定に直接関連することじゃなくて、むしろ現協定の問題かとも思うんですけれども、どうも原産地表示に関する虚偽の申告等を防止するこの協定が、当然のことかもしれないけれども、まど言い出しっぺであるフランスだ、あるいはポルトガルだ、イタリアだというようなところの特にブドウ酒その他の利益擁護がきっかけでもあったようでもあるし、したがって、日本でブドウ酒つくったって、たとえばシャンペンなりシャンパーニュということばは絶対に許さない。ブランデーはいいけれども、コニャックなんかつけたら、これは地方の名前だからいかぬというような制限法は非常に多いけれども、一体日本のほうにとって、こういうものによって保護される利益というものはどこまであるのか。それから、一体そういう原産地の地名を表示することについて、たとえばオードコローニュなんというのは、ほんとは「ケルンの水」という意味なんだろうけれども、オードコローニュだけはかまわないんですか。シャンペンはいけない、コニャックはいけない、オードコローニュはかまわない。そこら辺の取り扱いはどうなっているのかね。もう少し現実の利害から見て、あまり専門的じゃなくして、どうなんですかね。そこら辺のところを知りたいんだけれども。
○説明員(佐藤正二君) お話しのとおりでございますが、たとえばシャンパーニュにコニャック、これはフランスの地名でございまして、しかも、ブドウの生産物に関する商品名でございますから、したがって、これだけで原産地の虚偽表示というふうに認められる場合には、この条約の違反になるわけでございます。したがって、これはいろいろ条約締約国の中でも問題があるようでございますが、これに対して、メード・イン・ジャパンとはっきり書いてしまえばいいというふうにわれわれは了解しております。 もう一つの問題のオードコローニュにつきましては、これはブドウの生産物でないということ、それから、これは非常に名称が通有性がある、いわゆる一般名詞になっているというふうに申し上げれば一番いいと思うのですが、そういうふうないわゆる商品の名前になっているという意味で、このマドリッド協定の四条によって、——四条といいますか、マドリッド協定全体で通有性があるものは、はずしておるわけでございます。これはそういう違反の問題は起こらないというふうに考えております。 それから、日本側の利益がどれだけ尊重されるかというような問題は、これは、まあ個々の問題でどういうふうな問題が起こっているかというと、私も詳しく知っておりませんのでございますが、やはりだんだん日本の商品が、御承知のとおり、海外に出てまいりまして、こういうやはり日本の商品というものが強くなっていけば、だんだんこちらの保護を受ける率が多くなってくる。一般的に申し上げれば、そういうふうなことになると思います。 個々の問題については、特許庁長官から。
○政府委員(倉八正君) 曾祢先生の第一問でございますが、どういう利益があるかということについては、二つ利益があると思います。一つは、日本もこういう協定に入りまして、いわゆる原産地虚偽表示の禁止ということに協力する以上は、外国もそれを同じ程度で協力するというのが条約の精神だろうと思います。したがいまして、日本のいまの商品の場合について、輸出商品のバラエティーというのが非常にふえまして、大体戦前は日本の輸出商品というのが、関税品目でいえばまあ五百ぐらいであったのが、いまでは二万ぐらいというふうにバラエティーが大きくなっております。そのバラエティーの多い中に、日本が非常に得意とするものが多いわけでございますが、たとえばファンシー・ルックといいますか、ノベルティーという陶磁器の置き物がありますが、そういうものはドイツなり日本というのが世界の通有性——あるいはイタリアがそれに加わってくると思いますが、そういうものをたとえばアメリカに出したというた場合に、アメリカのほうで、アメリカのたとえばバイヤーならバイヤーがそれを日本から持ってきたものを、たとえばイタリアから輸入したというふうな虚偽表示をした場合には、これに真正面からひっかかるわけでございます。日本のノベルティーの輸出というものはこれによって非常に確保されるという輸出上の利益がございます。 それから、輸入のほうにおきましても、従来の日本の輸入は、御承知のように、原料物資の輸入というのが九割二分ぐらい占めておったのでございますが、最近のように貿易が自由化してまいりますと、非常にいろいろな製品が入ってくる。たとえば一番具体的な例を申しますと、イタリアの帽子は、先生も御承知のように、世界で一番名が通っている。そのイタリアの帽子ではない、よそから入ったものをイタリア産のごとく装おわれますと、消費者が非常に不便を感ずる。あるいは商道徳が乱れる。そういう場合にはこの条約を働かし、あるいはこの裏にあります不正競争防止法というのと一体になりまして、そういう違反的なものの阻止に当たると、こういう利益が、条約と国内法と合わせて、あろうかと思います。
○曾祢益君 それで、たとえばオードコローニュぐらいになると、これはもう商品名で、つまり普通名詞ですね、固有名詞でないという、そこら辺の限界というのは一体どこら辺にあるのですか。同じ飲む水でも、エビアンとか、スパーとか、ビーシーとかいうのは、これはやはり原産地でがんばっていますね。どうなんですか、そこら辺は。
○説明員(佐藤正二君) その限界というのは、まあ一般的には常識的な限界があると思いますが、マドリッド協定自体できめておりますことは、第四条で、各国の裁判所にこの決定をまかせると……。
○曾祢益君 そうすると、当事国の裁判所の決定に……。
○説明員(佐藤正二君) さようでございます。
○曾祢益君 そうすると、非常に有利な決定が下されるわけだな、大体。自国擁護的な。
○説明員(佐藤正二君) 大体そういうことになろうと思います。したがって、日本の場合には不正競争防止法がこれで働きますものですから、不正競争防止法がこれの裏にありますものですから、不正競争防止法による裁判所の決定と、こういう形に具体的になるわけであります。
○曾祢益君 それで、いま当局のお話、抽象的にはわかるんです。これが働いているために日本の消費者の保護にもなると、それから、日本の輸出品の保護にもなる。ただ、たとえばいま何かノベルティーとかおっしゃいましたね。これはしかし、商標でしょう。地名、原産地じゃないですね。日本のあれだったら、たとえば瀬戸とか有田とかいったことは、原産地証明で絶対にほかに使わせない、こういうことはできるんですか。陶器の場合にはそういう点はどうなっていますか。
○説明員(佐藤正二君) いまのノベルティーということには、曾祢先生御指摘のまさしくそれは一般名詞でございまして、土地の観念はございませんが、その場合に日本から輸出する場合につきましては、その地域的な、たとえばこれは名古屋が圧倒的に多い。九割以上は名古屋でございますが、その場合にはメイド・イン・ジャパンというだけで国外には出しておりまして、メイド・インナゴヤだとかメイド・イン・サガケンだとか、こういうことはしておりません。
○曾祢益君 そうすると、日本の場合には、これはいわゆる美術品になると、やはり有田だとか、伊万里とかあるけれども、通常の商品とした場合には、メイド・イン・ジャパンというのが原産地証明になるわけですが、結局、それをごまかしたやつは虚偽もしくはどういうことになります。
○政府委員(倉八正君) 原産地、これは国内の実際問題から申しますと、国内の商品取引と輸出の場合はちょっと違いまして、日本の輸出という場合には、原産地表示というのは大体国を単位でやっております。九州でできようと、北海道でできようと、メイド・イン・ジャパンということで、もうこれは例外が大体いまのところはないと思います。例外はわずかにあろうかと思いますが、ほとんど全部がメイド・イン・ジャパンということで、輸出品は大体そういう形態になっております。
○曾祢益君 最後にもう一つ、先ほど外務省のほうからの御説明の中に、ちょっと聞きたい高がある。それは、たとえば日本でブドウ酒をつくってそれにシャンパン——といっても、シャンパンと書いておいて、ただしメイド・イン・ジャパンと書いておけば、これは現行法上虚偽の申告にはならぬわけですか。違法になりませんか。フランスでだいじょうぶ勝てますか、法廷で。
○説明員(佐藤正二君) この点は、実はフランスあたりの裁判所でどういうふうに考えるかという問題がございますのでございますけれども、イギリスあたりのところでは、そういうふうな解釈をとっております。はっきりした虚偽ではないという考え方でございます。日本というものが入っている限りにおいては、シャンパーニュという場所が書いてあるにもかかわらず、それは日本ということが入っているから虚偽ではないという考え方でございます。
○曾祢益君 そういう、意見が違い得るということはあり得ることなんですけれども、そういうことをなくするために、ときどき、こういう協定を変えたりするわけでしょう。ことにフランス人なんかというのは有名ながっちり屋ですから、ことにシャンパーニュの場合にはフランスなんだからね。フランスの法廷で勝てるようなあれでなければ、外務省が幾らシャンパーニュ、ただしメイド・イン・ジャパンと書いたからといって、対抗力はないじゃないですか。そういう不明確な解釈じゃ困るじゃないですか。どうなんです。もっとも、日本の実際業者に対しては、ずいぶん外務省なり通産省なり特許庁の方が行政指導においてはそういうことはやめたほうがいいということはなるべくやっておられるとは思うけれども、ただ、条約論、法律論としてはどうなんですか。そんな不明確なことじゃ困るじゃないか。フランスの原産比証明を、がんばったところで、対抗力のある解釈じゃなければ意味なさない。イギリスでそれが通ったってしょうがない。
○説明員(佐藤正二君) 実際問題としては、その商品がフランスに輸出されまして、これに対して利害関係人が差しとめ命令を出した。そこで、裁判所できまる。これが最も優先的な形できまる形だろうと思います。そういう形がまだ一度も出てきたことがございません。
○曾祢益君 だけれども、その場合にはフランス人はフランスの法廷に訴えるからね。大体フランスの一番厳格な解釈と認められるものが通るのにきまっている。だから、そういう不明確なことを残しておいてはいけないと思うので、その点は明確にしてほしいという要望にとどめておきますがね。
○長谷川仁君 長官にお尋ねしたいのですがね。十年くらい前でしたか、スワン万年筆が非常に大きな何かトラブルを起こしましたですね。これは解決しておりますか。
○政府委員(倉八正君) 私は、そのいま御指摘のなにはちょっとはっきりしておりませんが、当時問題のあったことは知っておりますが、いま特許庁に対する係争事件はそれがございませんから、それから、東京高等裁判所にもたしかその問題は、私のほうから通じていっておりませんから、もう解決したと思います。しかし、また詳しく調べましてあとでお答えいたします。
○長谷川仁君 それから、曾祢先生の質問に関連するのですけれども、たとえばメイド・イン・USA、これは一時笑い話になりましたけれども、これはメイド・イン・USAじゃない、メイド・イン・ウサだといって業者ががんばったというケースがございましたね。そういった場合に、今後どういうふうにそれを処置するのですか。
○政府委員(倉八正君) 昭和二十三年の例のあれは、確かにライターともう一つは一部の機械玩具でその問題を起こしまして、司令部で、これは当時の商工省がおこられたわけでございますが、そういう場合には、誤認を生じさせるというマドリッド協定及び日本の不正競争防止法の規定によりまして、今度はそういうものについてはそれを禁止する措置を法的にとる、こういうことになりました。
○森元治郎君 いま長官言ったマドリッド協定というのは、アメリカは入っていないのですか。
○説明員(佐藤正二君) 入っておりません。
○森元治郎君 それ、ちょっと説明してください。入っていないことの日本との利害、どうなんです。
○説明員(佐藤正二君) アメリカは、実はこれはこの協定の、先ほど御説明いたしましたような決定が裁判所の決定になる。したがって、州裁判所に対してこれの、何と申しますか、拘束力を与えるという面があるために、アメリカはこれいやがって入っておりません。したがって、原産地表示のマドリッド協定に関しまして、アメリカと日本との間は条約関係がなくなるわけです。ただ、最初に補足説明で御説明いたしましたとおり、パリ条約自体に、原産地と申しますか、この虚偽表示の一般法のような規定があるわけでございます。そのほうには拘束されることになるわけでございます。
○森元治郎君 それはアメリカという国の政治構造というか、憲法上の連邦政府と地方の州との問題があるために、アメリカ政府として代表して入れないわけですか。
○説明員(佐藤正二君) その問題だけであるかどうかということは私ども断言できませんが、その問題が非常に大きな問題だと思います。
○委員長(小柳牧衞君) 他に御発言もなければ、二件に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。 まず、千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約の締結について承認を求めるの件について、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小柳牧衞君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、及び千九百五十八年十月三十一日にリスボンで改正された虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定の締結について承認を求めるの件について、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。 別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより採決に入ります。本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小柳牧衞君) 全会一致でございます。よって、本件、は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、ただいまの二件について、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午前十一時六分散会