外務委員会 第5号
- 発言数
- 34 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1965/02/25
会議録
○委員長(小柳牧衞君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 本日、和田鶴一君が委員を辞任され、その補欠として大野木秀次郎君が委員に選任されました。 —————————————
○委員長(小柳牧衞君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本政府とフランス共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。まず、補足説明を聴取いたします。
○政府委員(永田亮一君) 日仏二重課税回避条約についての補足説明につきましては、条約局の佐藤参事官から説明をさせていただきたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
○説明員(佐藤正二君) 日仏租税条約について補足説明を申し上げます。わが国が従来アメリカ、イギリスをはじめといたしまして、十二カ国との間に租税条約を締結しておりますのでございますが、今度は、この議題となっておりますフランスのほかに、カナダとも条約を結びまして、また、今回一緒に議題になっておりますアメリカ、スェーデンの改訂の議定書をつくったわけでございます。この租税条約というものは、フランスもさようでございますが、カナダも大体同じような形の条約になっておるわけでございます。それから、いままでつくっております十二の条約も、大体同じ型の条約になっておるわけでございます。これはOECD、いわゆるヨーロッパの機構でございますが、OECDにおきまして、こういう租税条約というものが非常に技術的なものでございますために、なるべく各国の租税条約を同じ形にしたらどうだ、そうすればいろいろ各条約に関する間のそごが起こらない、そういうことでOECDで研究いたしまして勧告をしている条約の型というのがあるわけです。それに大体のっとりまして二重課税の条約を各国が結んでいるというのがいまの実情になっているわけです。したがって、フランスの条約を御説明いたしますと一緒にカナダの条約も御説明できるような形になるわけでございますが、租税条約の一般的な構成というようなものを御説明したほうが——これはもう当然御承知のことと思いますけれども、説明の便宜上簡単じゃないかと思いますので、御説明いたします。 租税条約というのは、同一の——一つの所得に対して二つ以上の国で課税が行なわれる、いわゆる国際的な二重課税、そういうものが起こるのを防止するために締結される条約なわけでございますが、こういうような、近年のように国際的な経済関係が非常に密接になってまいりますと、個人も法人も、自国においてのみならず、外国においてもいろんな経済活動を行なって、あるいは投資をしたりして所得をあげることが非常に多いわけでございます。その場合に、その個人や法人が自分の住んでいる、いわゆる局住地国において全所得に対して課税されるというのと一緒に、外国であげた所得については外国においても課税をされる、こういう形になるわけでございます。そこで、同じ所得に対して国際的な二重課税というのが起こってくるわけでございますが、これは非常に国際的な経済発展に対しては阻害要因になるわけでございます。そこで、これを回避するためにどうすればいいかということを考えますれば、一つの考え方としては、居住地国——個人が居住地を持っている国のほうが所得が起きる源泉地国か、どちらかが課税しなければ二重課税というのは起こらないわけでございますから、そういう形で、どちらかが課税権を放棄すれば問題は解決するわけでございますけれども、そういう形で考えたのが、外国でかかった税についてはこれは日本の——日本のと申しますか、居住地国では外国の税額を控除してしまう、こっちで取る税から控除してしまう、そういう制度を考えたわけでございます。この形では、自国居住者が外国で納付した租税額は自国の税額から控除すると、こういう制度が大体各国において国内法で行なわれておる制度です。こういう形で大体二重課税を防止しているわけでございますが、これでは居住地国が一方的に源泉地国に譲っているという形になって、課税権を放棄しているという形になりますものですから、これではちょっと困るという考え方で、さらに進んで相手国——いわゆる源泉地国で取られる税金を一般的なものより下げてもらおうという要求が出てくるわけでございます。そこで租税条約の交渉というのが始まりまして、向こうで——相手国で受ける所得、たとえば配当だとか利子だとかいうようなものを一般より軽減してもらおう、そういうような形の交渉をやって、その結果が条約になる、そういう形になっているわけでございます。ですから、この交渉の焦点というのは、両国の経済関係の度合い——後進国とか先進国とかいうような度合いによって違ってくるわけでございます。つまり、資本や技術を輸出する先進国が、輸入する後進国と租税交渉をやる場合には、なるべくその配当や利子やロイアルティーというものに対しては税率を軽減しろという交渉をするわけでございますから、後進国のほうはなるべくたくさん取ろうと、一方には外国の技術を輸入したいという気持ちはあるわけでございますけれども、自国の、何と申しますか、国庫の収入源を確保するという意味でたくさん取りたいと、そういうところで、何%何%といういわゆる源泉地国で取る課税の数がきまってくるわけでございます。まあ、所得の種類によっては、いろいろ相手国では課税しないということになっている所得もあるわけでございます。たとえば学生の受ける所得とか教援の受ける所得とか、そういうものは大体相手国では免税するということになっているわけでございます。大体こんなところが租税条約というものの一般的な構成ということになるわけでございます。 それで、フランスの今度の条約につきましては、大体このOECDのモデル条約にのっとったものでございまして、特にいままでの多くの租税条約とは違ったところはございません。OECDの条約に非常に忠実につくってございますものでございますから、いままでの条約よりも少し条文の数が多くなっている。それから、フランスの税制というものが少しちょっとほかの税制と違っているところがございますものですから、非常に技術的なものでございますけれども、その点向こうと相談しまして、いままでの租税条約とは違った規定が少し入っていると、この程度のことでございます。 こまかい問題は、御質問によって、お答えしたいと思います。
○委員長(小柳牧衞君) 以上で説明は終了いたします。 これから質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 質疑というより、もう少し説明していただきたいことは、大まかなことはいまのことでわかるんですが、具体的にいってこういうことがあるからこうすればこうよくなるというような事例を一つ二つあげていただくと、のみ込めると思うんですが。
○森元治郎君 法人と個人に分けてね。
○羽生三七君 何か例示を一つ二つしていただけば、たとえばという……。
○説明員(佐藤正二君) 大蔵省のほうからそれではお願いします。
○説明員(大倉真隆君) 大蔵省の国際租税の者でございます。ただいまの佐藤参事官の御説明を若干具体例というもので補足させていただきますと、たとえば日本に住んでおります個人の方がフランスの会社で出しております債券を買うということが起こったといたしますと、それにつきましては、条約がございませんければ、フランスの国内法どおりの課税が行なわれる。その場合にフランスの動産所得税の税率が一二%でございますけれども、そういう税金がかかる。それに対して条約があれば、これが一〇%に制限される。それだけ、条約がない場合に比べまして、フランスに納める税金は減るわけでございます。ただし、日本に住んでいる方でございますから、その利子について日本で税金がかかるということは、これは変わりません。 ただいま利子を申し上げましたので、あまり違いはないではないかという御印象をお持ちになるかもしれませんが、これがロイアルティレーでございますと、二四に対して条約では一〇になるということで、かなりの違いが出てくるわけでございます。法人の場合も同じように、かりにそういう投資をいたしますと、やはり条約がない場合に比べて相手国へ払う税金は減ってまいる、こういうことになります。ただ、相手国へ払う税金が減る減らないは、いまの投資面について生じてまいりますけれども、実はもっと実質的な問題は、事業所得でございますが、日本の企業がフランスに進出して商売をやりますという場合に、条約がございませんと、フランスの国内法どおりに課税される。それはフランスに物を売れば、フランスが買ったから初めて所得が生ずるのではないかという理由で、フランスが課税することは可能なわけでございます。現実にはそれは支店がない場合に実際どういう課税を起こすとか、いろいろ問題がございますけれども、たとえば駐在員事務所を置いてあると、それはやはり商売をしておるんだから税金を納めなさいということになるわけでございますが、条約がございますと、駐在員事務所のようなものでも、それが恒久的施設になれば初めて課税が起こる。恒久的施設になるかならないかは、それが物的な施設を持っておるか、どういう商売をやっておるかということできまるのであって、情報宣伝、広告宣伝というようなことだけをやっておる駐在員事務所でございますね、そういうものは条約上恒久的施設にならない。したがいまして、これは仮定の上でございますが、たとえば日産がフランスに自動車を売りたい。で、セドリックというのはいい車であると言って、駐在員を置きまして大いにセドリックの宣伝をしたい。こういうことをいたしました場合に、普通ですと、駐在員事務所があるんだから、フランスで売ったセドリックの分は所得税を取るということになりかねないわけでございますけれども、その条約で、そういう駐在員事務所というものは支店のような恒久的施設とは見ない、したがって、フランスではその税金は取られずに済むということで、事業所得の課税の範囲が非常にはっきりいたしてまいります。そういう点に実は私ども一番実績があるのではなかろうかという考えでおります。これは、問題を逆にいたしまして、フランス側から日本に進出してまいります場合も同様でございます。もちろん、相互的にやっております。
○羽生三七君 それから、ここにあるフランスの場合、現地法人八とありますが、具体的にはどういうことになるのか。
○説明員(大倉真隆君) それは、実は具体的に名前を出すのはどういうものかと思いまして省略いたしましたのですが、新聞に駐在員事務所がかなりございます。それから、支店は、御承知の東京銀行でございますね。あれが現地法人になっていると思います。フランスにつきましては、あと商社が何件かございます。そういうふうに私ども了解しております。
○森元治郎君 いままでは十二かね、これが十三番目だと思うのだが、これはみなOECD関係のは先進国——金持ち関係の国だけかと思うのだが、先進国に入らない国とのこういう条約というものはあり得るのか、どこかでやったことがありますか。
○説明員(佐藤正二君) 必ずしも先進国とばかりではございません。日本で十二つくっておりますが、読みあげますと、アメリカ、スエーデン、ノルウェー、デンマーク、パキスタン、インド、シンガポール、マラヤ、タイ、オーストラリア、イギリス、ニュージーランドとなっております。途中に入っております。パキスタン、インド、マラヤというところは、必ずしも先進国というものではないと思います。
○森元治郎君 たいへんこれが実施されると、たとえばフランスの場合、「経済、技術、文化の面における交流が一そう促進されるものと期待します」というのは、これは修飾語ですか。不便がなくなるとちょっと楽になるというだけで、「一そう促進される」ほどの大きな効果があがるのですかね。
○説明員(佐藤正二君) まあ、先ほど大倉説明員から、言われたように、不便がなくなるというのがおもな問題かと思いますが、不便がなくなればどうしても進出の度合いも多くなる、こういうことでございます。
○森元治郎君 そうすると、やはり提案理由の説明は、これは形容詞みたいなものなんだな、これは。もっと、こういう租税関係の説明にはあまりこういうふうな大げさな、「促進されます」なんということは、私はないほうがぴんと来るように思うのですがね。ちょっと御注意を申し上げたい。
○説明員(大倉真隆君) ただいま御指摘がございましたのでございますが、実はこういう条約をつくってどのくらい人間の交流がふえるかなんということは、これはなかなか予測のつきにくい問題でございます。ただ、経済の交流という点は、先ほど御説明いたしました点で御了解いただけるかと思います。文化というようなことがございますのは、これは実はその条約の中に、交換教授でございますとか、学生でございますとか、そういう人たちの短期間滞在についてお互いに滞在地国では課税しないでおこうではないかという規定が入っております。やはり条約がございませんと、一年あるいは二年、フランスの先生が日本に来て教える、あるいは日本の方でもかなり行っておられます。向こうの大学で講師をつとめます。こういう場合に、滞在地で税金を取られてしまうと、それだけ経済的には月給を高くしてもらわないとやり切れないという問題が出てきて、交流が妨げられると言うと大げさでございますけれども、やはりそれだけの障害になる。お互いに免税になっているからお互いに二年間交換しようじゃありませんかということで、話がやりやすくなりますということで、実は文化ということばが特に入っているというふうに御了解願います。
○羽生三七君 ちょっとそれに関連して、フランスではない、たとえばアメリカの場合、配当の課税を対等にした場合ですね、若干外資関係なんかで、何か影響起こり得るですか。
○説明員(大倉真隆君) ただいまアメリカの御質問がございました。これは後ほど御審議になるかと存じまするが、御承知のように、アメリカの居住者が日本の法人の株を持って受け取る配当につきまして、従来日本側は源泉徴収をしない、アメリカ側で二五%の税額控除をするということになっておりましたのを、今回の改定条約によりますと、一五%の源泉徴収を日本で受ける、それから二五%の税額控除はなくなるということになっております。したがいまして、現在日本の株を持っておる人たちは、いわばアメリカで受け取る手取りが減るわけでございますから、先ほど申し上げましたように、結果的にはアメリカでかかる税金は同じでございますから、そこから引かれる日本の租税というものがいままでゼロだったものが一五になるということでございます。しかし、やはり二五%の税額控除がなくなるという意味では、アメリカの税金を考えても、なおかつ、手取りは変わる。これはもう御指摘のとおりでございます。それによって従来アメリカ人が日本に持っておった日本法人の株を売ってしまうだろうかという問題を御指摘になっておるかと思うのでございますが、これはまあなかなか予測はつきませんのでございますけれども、一時にゼロから一五に上げますと、あるいはそういうショックがあるかもしれないということで、今度御審議願います改定議定書で特に経過措置を設けておりまして、条約が発効いたしましてその適用になってから二年間は、いままで持っておった人がずっと持っておる限りはゼロのままであります。三年目には一五%のかわりに半分の七・五%にしよう、四年目から改定後の本来の姿の一五に戻そう、こういう約束になっておりますので、制度が変わったということによるショックはそれでかなりカバーされるのじゃなかろうか、こう考えております。
○森元治郎君 この日仏関係に限って、この条約が施行されたために個人や法人の受ける便益ですね、これは数字で大づかみにできるものなんですかな。これは実態はつかみにくいものなんですか。それは日仏間の経済通商貿易関係やなんかから判断して、大づかみに、どのくらいの便益が生じてくるのかね、これ。
○説明員(大倉真隆君) 実はほんとうはそういうことがわかりますると、私ども今後それではどの国と租税条約やろうということで非常に手がかりになるわけでございますけれども、残念ながら数字的にいままでの輸出がどのくらい伸びるであろうとか、従来八社しか行っていなかった会社が何社になるであろうかということは、実はちょっと予測するのはむずかしいかと考えております。
○森元治郎君 たぶんそういうお答えだろうとは思っておったけれども、これが通れば、大きな商社あたりは、ほんとうに政府ありがとうございましたというほどのことになりますか。パーセント私詳しくわからぬが。
○説明員(大倉真隆君) こういうことで、非常に相手側からどういう税金を取られるのだ、取られた結果、それは日本の税金との関係がどうなるということが、先ほど申し上げましたように、非常にはっきりするわけでございますね。従来は向こうでかりに税金を取られたとすれば、それについて争うのは、フランスの国内法を解釈し、フランスの国内法の手続で争う以外に方法がないわけでございます。こういう条約がございますと、それは条約上こうなっているではないかということで、もちろん、フランスにその企業が直接苦情処理、苦情申し立てができますけれども、同時に、日本の政府に対してその問題を相談しに来る。日本政府が、この条約に基づく協議条項で、それが条約の考え方としていかがであろうとか、条約上こうしたらいかがかという処理の方法が開かれる。これは企業が現地に出ます場合に非常に大きな安心感を与えるのではなかろうかと、こう考えております。
○鹿島守之助君 それに関連して、実業家の立場から見ますと、この条約はぜひやってもらいたい。私のほうでは、ビルマ賠償で、その税金かけて、ビルマが非常に高いんですよ。あれは賠償だから、それでだいぶ長い間議論しましてね、向こうからかけてくる税金といったら、日本よりもはるかに大きいんですよ。そうして個人の、われわれの送った労務者だとか、社員から取る税金、そういうようなものは、これはもう計算が非常にこまかい。仕事が済んで、散っちゃっているのに、それを一々向こうの、ビルマの税法によってやっている。たいへんなことです。あれば非常に助かる。これは私が実業家の立場から、事業する立場として、二重課税防止は一日も早くやってもらったほうが私はいいと思います。ちょっとそれの参考までに、森さんの質問に関連して申し上げました。
○森元治郎君 鹿島組のためにも……。
○鹿島守之助君 私の使っている労務者、技術者、そういう、みんながいいと思います。
○羽生三七君 フランスの法人で、日本に何か駐在所のあるものはあるんですか。
○説明員(大倉真隆君) フランス側は、お手元にございます資料のように、フランスから日本に対する株式取得というのが八件あるという資料がお手元に参っているかと思います。この八件は、現地法人的な、つまり経営参加的な株式取得が多いというふうに私ども聞いております。ほかに支店が十七来ております、フランスから日本に。これは業種といたしましては、やはり商社関係が多いというふうに聞いておりますけれども、支店は十七来ております。
○委員長(小柳牧衞君) ほかにございませんか。——他に御発言もなければ、本件に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件について、これより討論に入ります。 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認めます。 それではこれより採決に入ります。 本件全部を問題に供します。本件を承認することに御賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(小柳牧衞君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日は、この程度で散会いたします。 午前十時五十九分散会