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48回国会衆議院1965/04/07

予算委員会防衛図上研究問題等に関する予算小委員会 第7号

発言数
99
登壇者
8
会派数
2
開催日
1965/04/07

会議録

松野頼三自由民主党

○松野小委員長 これより小委員会を開会いたします。  防衛図上研究問題等に関する件について調査を進めます。  質疑を行ないます。高田富之君。

高田富之日本社会党

○高田小委員 今日までいろいろ三矢計画なるものにつきましての質疑応答がございまして、政府のほうで出されました「昭和三十八年度統合防衛図上研究について」と称する刷りものの中に、いままでの質疑応答を通じまして追加するとか、あるいは若干訂正をするとか、そういった多少手を加えなければならないというふうに政府においても感ぜられる点が出てきておるのではないかと思いますが、もしございましたら、あらかじめこの分はこういうふうにということを申していただきませんと、これからいろいろ具体的な問題についてお伺いする際にこれをもとにお伺いするわけでありますので、都合が悪いのですが、もしございましたらあらかじめお話し願いたいと思います。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 先般当委員会に御提出申し上げました説明資料を多少手直しする点がありはしないかというようなお考えと拝承しましたが、いまのところ私どものほうでは、その説明資料で特に訂正を要するとか、あるいは補足をしなければならぬとかいうようなことはいまの場合考えておりません。

高田富之日本社会党

○高田小委員 私は相当御訂正になるところが生じたんじゃないかと実は想像したのでありますが、そういうことでございますならば、いまの御答弁に基づきましてこれから具体的にお伺いをしてみたいと思います。と申しますのは、この資料につきましては石橋委員も指摘いたしましたように、三矢研究というものについては、政府の考えとしては総体的には特に憲法に違反しているとか制服の政治介入だとか、そういうことではなくて、たまたま回答者の中のことばづかい、表現、文章というようなところに誤解を招くようなところがあるというような取り扱いになっておりまして、シビリアンコントロールが確保されておるとか政治介入の意図はないとか、ほとんど全体が問題はないというふうな趣旨に貫かれておるわけでございます。そこで、いままでにわが党のほうで発表いたしました研究問題に関する資料、ごく一部分でありますが、この資料につきまして考えてみましても、そうではなくて、相当訂正を要する点が出てきている、こう思います。そこで、すでに指摘された分もあるわけでありますが、もし重複しますれば簡単にイエスとかノーとかいう程度の御答弁でもけっこうでございますので、一応内容的な問題についての政府の御見解を確かめたいと思います。  まず第一は、この三矢図上研究なるものの状況判断の前提になっておるものであります。この種の図上作戦というようなものをやります場合には、どうしてもある程度具体的な状況というものを想定しなければそれに基づく戦略、戦術、用兵の具体的な方針というようなものが立つはずはないと思いますので、当然必要な状況を想定する、こういうことになるんじゃないかと思いますが、いままでの質疑応答の中では、いわゆる仮想敵、政治的な意味での仮想敵というようなものとは違う意味でやはりそういう対象国というものを考えるんだというような御答弁が何回か繰り返されておるわけでございます。そこで、この研究自体は、きわめて具体的に朝鮮における紛争というものを前提として想定をいたしまして、そこから対象国であるとかいろいろな問題が明らかにされ、さらにそれの波及拡大というふうになってまいりまして、これに基づくこまかい図上作戦の研究が行なわれておる、こういうことになるわけです。そこで、そういうふうに想定するということ自体、朝鮮において紛争が起こるということをきわめて具体的に想定しているのは、おそらくいまの日本の置かれている状況からして、またアジアにおける状況から考えて最もあり得べきことと、単なる全然ありっこないようなことを想定しても問題にならぬと思うのでありまして、最も可能性のある、具体的に危険性のある、可能性の高い事態というものを想定して行なったものと想像されるわけでございます。したがって、そういうふうな朝鮮で第二次の戦争といいますか、紛争が起こるというようなことを前提として想定いたしまして、この種の図上作戦計画というものを考えること自体は当然のことである、あたりまえのことだ、適当なことだ、何ら不当なことではない、かように政府としてもお考えになっておるものでございましょうか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 この仮想敵国の問題は、従来しばしば申し上げたとおりでございまして、政治的な意味でなくて、全く図上演習をするための一つの想定、いわゆる相手方、対象国というものを仮想敵国という文字であらわしたのでございまして、この点は、前にも申し上げましたとおり対象国とすることが適当であって、仮想敵国というようなことばを使ったことは適当ではないということを申し上げておるわけでありますが、同じ対象国を想定するにしても可能性の問題であると思いますが、これもいま高田委員の申されますとおり、だれが考えても全然あり得ないというようなことを想定するわけでもないということは、私もおそらくそうじゃないかという感じがいたします。といって、また一方、高田委員が当然起こり得べきことだ、いわゆる可能性を信じて想定をするということも、これもまたそういうような推論もなさるでしょうけれども、当然こういうことが起こるであろうということを前提としてそれを想定に取り上げたというふうにお考えいただくことも、私は想定を出した当事者の意向と相当の違いがあるのではないかと考えておるわけでありまして、朝鮮半島における事態というものは、御承知のようなかつて朝鮮事変があったというような関係で、またそういうこともあり得るというようなことで、一つの演習の想定に取り上げたにすぎないのでございまして、必ず近い将来そういう事態が起こるであろうというような前提のもとにこの想定を取り上げたというふうに解釈をしていただきたくないと思うのでございます。全く可能性のあり得ないということもないでしょうが、また当然起こるべきことだということを考えて想定をつくったということでもない、あくまでも図上演習上の一つの想定だというふうにお考えいただきまして、可能性の有無ということは想定を設定した者の頭になかったものであるとわれわれは解釈をいたしているのでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 全然あり得べからざるような空想的なことでは意味をなさないという点は、おっしゃるとおりだと思うのですが、おそらくいまの日本の置かれている立場の防衛という見地からこの種の図上演習をやるということになりますと、最も可能性があり、最大の日本の防衛上の任務として考えなければならない事態はやはり第二次の朝鮮に起きるであろう紛争、こういうふうな想定をしてかかったということ自体は、そのこと自体は適当である、至当である、そうすると、政府としてはこういうふうにお考えなのですね。

小幡久男防衛庁参事官(長官官房長)

○小幡政府委員 ただいま長官から申されましたように、あり得る場合の一つとして想定したわけでございますが、何ぶんにも数年前に現実に起こりました事件でございますので、いろいろ材料等も豊富でございますので、一つの研究をするにはある種の実感も伴う、また現実にあったことであり架空論ではないというような一つの条件もございまして、将来の侵略の様相というものは必ずしもこれが唯一絶対、あるいは最も濃厚なものとは思いませんけれども、そういう意味であり得る一つの場合といたしまして、それから始まりましていろいろの侵略の様相の展開状況を適度に想定いたしまして今度のような研究をいたした次第であります。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そういたしますと、そういうふうな事態が起こったという場合に、当然のことでありますが、いまの韓国とアメリカとの関係からいいまして、米国の韓国に対する支援のための作戦行動というものが起こってくる、このアメリカの朝鮮における作戦行動に対しまして、わが国が積極的にこれを支援する、こういう基本方針で対処するんだ、こういうことがやはり前提になっておるわけでありますが、そういう積極的な方針を持って支援していく、そういう方針は堅持されるということでありまして、この点についても、政府のお考えは、それでよろしい、当然そうだ、こういうことでございますね。

小幡久男防衛庁参事官(長官官房長)

○小幡政府委員 これは、前から何回も申していますように一つの研究で、一つの想定上の検討でございますが、現実に発端は朝鮮半島と想定をしておりますが、自衛隊が積極的に行動をするというかまえになります前には、西日本に対する現実の侵略もあるというふうな条件も想定した上での話でございまして、いろいろ想定の世界でそういった思想が展開されておるということは、その限りにおいては事実でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そうしますと、そこまでの朝鮮戦争が起こる、そうしてそこに米軍が介入していく、これに対して今度はこれが国連軍としての行動をするであろう、いままでの政府の方針といたしましても、当然のことながら積極的に朝鮮における米軍の作戦行動には協力していく、こういう方針で臨んでいく、こういうことになるわけですか、そこまでのところは、そうすると政府の考えもそのとおり、想像した事態ではありますけれども、かりにそういう事態があれば当然だということで、そこのところまでは食い違いはない、こう了承してよろしゅうございますね。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 これは想定でございまして、前から申し上げておりますとおり、統幕でこの方針が決定をされたものでもございませんし、あくまでもこれは幕僚の研究想定でございますので、いま御指摘のようなことは、その答案を作成した幕僚は、そういうふうになるであろうというふうに考えて書いたものには相違ございませんけれども、それが政府の方針であるとか、また防衛庁が実施の面においてもそういうような見解を支持し採用していくものではないのでございまして、あくまでもこれは結論も出していないし取捨選択もしておりませんし、また実施の段階等においては、これはもう相当の距離がある問題でございますので、その幕僚の考えましたこと、書きましたものを、これが政府の方針と同一であるかどうかという御質問がありますると、これは全然それとは別個のものでございまして、政府がこういう方針を決定するという場合には、これまた別個の次元においてさらに政府見解というものがおのずから別にきまるものでございますので、一幕僚の答案をそのままそれが防衛庁の考えであるかとか、政府は、そういう場合にはこれに書いてあるような方針を是認して、これを認めるのかというような御質問にはちょっとお答えを申すわけにはいかない面も多うございますし、また具体的な問題でなければならない場合もありまするので、そういう御質問に対しましては的確なお答えができないわけでございますので、あくまでも一幕僚でそういうふうに考えた者もある、一幕僚は、そういうような事態にはこうせざるを得ないであろうというような答案が出たという、いわゆる全くの想定の上における答案とだけ御解釈をいただきたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 おことばを返すようですけれども、一幕僚の一幕僚のとおっしゃるのですが、しかしこの前提条件は、これは統裁官を中心にしてあらかじめきめられた状況であり、この状況下における研究については何べんか慎重な合同討議も行なわれておりまして、単なる一制服の方の個人的な、気まぐれ的な意見というようなものではないことは、大臣もよく御承知のとおりだろうと思うのでありまして、だから私どもこれは重大視するわけなんです。だから、この研究そのものはある一定の仮定に基づくものだ、もちろん図上研究ですから、仮定に基づいてでなければできっこないと思うのです。それはそういうものでしょうけれども、しかし政府の方針というものは明確であると思うのです。だから、もしこの研究で行なわれておりますようなことが、政府の基本方針に関するようなことで、とんでもない間違いがあるということであれば、はっきりと、この場合政府は全然そんな考えは持っておらぬ、政府の方針と違う、そういうことはもうまかりならぬというふうにはっきりされるか、さもなければ、それは当然のことであって、政府だって、そういうアメリカの朝鮮における作戦行動というようなことがあれば、当然のことだから、いままでもそうだし、今後もそうなので、これを積極的に支援するのは当然です、こういうことになるか、どっちかになりませんと、どうも答えられない、仮定のことだどうだと言われたのでは、国民の疑惑は解けないと思うのでありまして、その点はもう少し親切にお答えいただきたいと思います。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 やはり政府の方針というものは、具体的にその場合に応じまして日本の安全というような見地からきめていかなければならないのでございまして、具体的な問題が起きまして、それから初めて決定をするのでございますので、幕僚の一つの想像による全くの図上演習による想定である、それをまた政府決定として一応これを厳密に図式を取り上げまして検討したものでありますならば、いまの高田委員の仰せられますとおり、こういう問題では政府はこういう見解をとるのだ、こういう想定は間違っておるからこれはとるべきではないということがはっきり申し上げられるのでございますが、最初から申し上げておりますとおり、取捨選択がまだ行なわれておらないというただ答案だけの集積でございますので、私は具体的な問題がそこにはっきりしてこなければ政府の見解として的確なお答えは申し上げにくいということを申し上げておるのでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 はっきりしたお答えができないということはちょっと私はおかしいと思うのでありますが、それではこういう点はどうでしょうか。この研究が行なわれます始まりのころに、米国の国防次官であるギルパトリック氏が日本に来た、そしてワシントンへ帰って記者団に、日本の防衛力というものは急速に拡大されていって、南朝鮮を守るに足るぐらいの戦力を持つようになるだろう、そうなれば韓国にもう一度紛争が起こっても、アメリカは特に兵力を増強しなくても済むだろうといったようなことを発表したということが、いろいろなところでもうすでに論ぜられておるわけでございます。いずれにしましてもこの朝鮮における事態というものを想定し、これに対して日本の自衛隊というものが相当大きな寄与をするのだというところに、この図上作戦の全体の根本の前提というものがあると思うのですよ。これは、やはり相当国の基本方針にかかわる問題だと思いますので、これらの点はそのとおりなんだ、あるいはそうじゃないんだ、どっちか明確にしないと、やはり国民の日本の防衛力というものについてのもやもやしたものは明確にならぬと思うのです。その点はいかがでしょうか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 アメリカの国防省当局のそういう将来を想定してのいろいろな発表とこの研究とは全く関係はないのでございまして、そういう発言からして、関連があってこういうような朝鮮の事変が起こるということを想定したのではないかというようなお考えで問題を見てまいりますと、いま高田委員が申されるようなことにも、そういうようなお考えも出てくるかもしれませんけれども、これは全くそういうことは関連がなしに、いろいろな事態を想定して図上研究をしたということにとどまるものであって、私どもは先ほどから申し上げますとおり、その想定に対して政府の見解を研究したこともなく、こういう場合はこれをとるべきか、あるいはこういうことをなすべきでないというようなことをば内局でもまた長官の手元でも全然やっていないということが事実でございますので、その点御了承をいただきたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 この問題が明らかになりまして以来、国民は非常な不安を持っておるわけです。率直に申し上げまして。もし第二次の朝鮮戦争がこの研究で行なわれているように実際起こったらどうなるのだろう、これはいま最大の心配ごとなんです。現にベトナムでああいう事件がありますだけに、これは深刻な不安を呼び起こしていることは間違いないのです。  そこで、次にこういうことをお伺いしたいのですが、もしかりに朝鮮でそういうふうな事態がこの想定のように起こったという場合に、日本の政府としましては——かりにこれは朝鮮でなくてもいいのです、いまのベトナムでも同じでありますが、近隣の地域に万一そういうふうな戦争状態、武力衝突、紛争というものが起こった場合には、まず第一に政府として徹底的に力を入れてやらなければならないことは一体何なんだろう、これがわが国に波及しないようにしよう、このために全力をあげて活動するということが私は日本政府の当然の仕事でなければならぬし、憲法にそれを命じておるわけだし、また国民全体もそれを望んでおる、こう考えるのでありますが、その点いかがでしょうか。そういう態度で臨むかどうかという問題ですね、いかがでしょう。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 もちろんわが国にそういう戦火が波及しないようにということが、これが国の防衛のために最も必要なことでございますので、その点の念願をし、また国内においてでき得る限りの努力をすることは当然でございますけれども、海外派兵というようなものはこれはできないというような、おのずから御承知のような限界がございますので、あくまでも国を守る防衛という立場に立って、戦火がわが国に波及をしないという努力には全力をあげて傾倒するでありましょうが、やはりこういう問題も、具体的に問題が発生してまいらなければ具体的な自衛隊の行動というものをここに申し上げるわけにはいかないと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 もう何とかして近隣の地域に起こりました武力紛争というものがわが国に波及しない、波及させないということを政府としては第一義的に全力をあげなければならぬということで、それを国民は期待している、これは申し上げるまでもないと思うのですよ。ところがこの研究者たちの考え方では、そういう考え方をはっきり批判していますね。こういう文章でこれをやっております。「未然防止、波及防止についてどのように考えるか」この「答解の問題点」ということで書いておりますから、これはかなり皆さんで討議された基礎的な問題点、整理された見解だろうというふうに受け取るわけですが、この「未然防止、波及防止についてどのように考えるか」ということでございます。これをずっとかなりこまかく書いてございますが、これに流れております考え方というものは、いままで政府のやってきたような波及を防止しようということにきゅうきゅうというようなことはいかぬとここにあります。「だからといって、何らなすところなく、従来どおりの、現実の火の粉がかからぬようにすることに汲々たる方針を持ち続けてよいものであろうか。政府はあらゆる情勢を判断して、今ここで要綱に示す国策をとることが」最善の方策なんだというふうに、非常にそういう点については不満を持っている。いまの制服の諸君は、そういった波及を防止するというような態度、それに非常に不満を持っておるということがここに書いてあるわけであります。ですから、この点については、政府としてはこういう考えはとらないならとらないということを明確にされるか、さもなければ、当然やはり波及する危険性はそのほうが大きいと知っても、朝鮮の事態を防ぐためには協力してやらなければならぬという立場をとるのか、その点はやっぱりここで明確にしていただくことが必要だ、こう思います。

小幡久男防衛庁参事官(長官官房長)

○小幡政府委員 御意見のごとく、波及のおそれがある場合には、何をおきましてもこの波及を防止して平和に事が終わるように努力することは当然でございます。ただいまお読みになりましたような個所におきまして、軍事専門家でありますので非常に簡単に触れた程度でございますが、私は気持ちは同じだと思っております。ことにその文章の中の一字一句とらえましていろいろ議論されますと、ちょっと私のほうも御了解を得たいと思いますのは、その文章の中にも実は意見の一致をなかなか見ない、むしろ討論することが研究の主たる目的であるというふうに書いてある個所もございまして、なかなかそういう議論につきましては甲論乙駁がありまして、未整理なものも入っておる個所もございますので、その点ひとつ御了解をくださいまして、われわれとしましては、どこまでもそういう波及のおそれあるときは波及を防止するためにまず平和的な措置がとられるんだということは、いずれもみな日本人であります以上考えておりますことをひとつ御了解をお願いしたいと思っております。

高田富之日本社会党

○高田小委員 その未然防止、波及防止についての考え方というのがここでるる説明されておりますと同時に、他の個所で具体的にいろいろな問題があります。これは、石橋委員の質問にもあったかと思うのですが、たとえば基地や施設・区域の使用については全面的な包括承認を得る、これは安保条約六条の事前協議の包括承認のところなんかにも出ておるわけなんですが、そのことによって戦火がわが国に及んでくる、波及してくるということは当然だということをちゃんと書いてあるのですね。その危険をおかしてもやらなければならないんだ、そうすれば、また国内で戦時体制のような体制を整えたり準備したりすることは、同時にまた共産側のわが国に対する直接後略を誘引することになるんだということを認めながらも、それでもなおかつやるんだという、これは全体がそういうことで一貫しておるわけなんです。ですから、いまの文章の中には多少あいまいのような文章がありますけれども、全体を見ますと、非常にその点は考え方が一貫性があると思うのですよ。この研究そのものは、朝鮮における事態、それに対しましては波及防止というような消極的な考えではいけないんだ、むしろ包括承認をしてでもどんどん日本の基地を貸して、そして行動を自由にやらせる。また日本自体も海外出動までやって協力していくんだ、また国内では戦時体制をとっていくんだ、そうすることによって逆に向こう側からの、共産側からの侵略を誘引することになるんだ、危険はますます増大するんだ、しかし、それをおかしてもなおかつやることが自由陣営のために大きな目で見ていいんだというような主張でこれは全体が貫かれておるわけなんですよ。私は、こういう考え方自体は非常に危険だし、これはもう国民の最もおそれていることだと思いますので、この際そういうふうな考え方を政府、防衛庁長官の立場から、これはとんでもない間違いだ、そんな方針はわが国の防衛の方針にはないということをぴしっと言っていただけるんだったら言っていただきたいのです。言えないのだったらこれはやむを得ないですが、いかがでしょう。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 私は、想定であったにいたしましても、想定の出し方その他については十分内局も長官も実態を把握して、慎重な態度をもってこういうような研究を今後やっていかなければならぬと申し上げておるわけでございますが、やはりそういうわが国の防衛上の問題は、御承知のとおり、憲法上、安保条約、その他いろいろと制約があるわけでございますので、ちょっとしたことばの使い方でもいろいろな誤解を生ずるおそれも多分にあることは私どももこれを認めて、今後は慎重にしなければならないと申し上げておるわけでございます。  そこで、こういう問題を政府は是認するのかどうかというようなことにもなりますが、やはりこれはその当時の具体的な問題によって、基地の使用その他いろいろな面において問題が波及しないように、戦火の渦中に入らないように、またわが国の防衛を全うするように、非常にむずかしい問題でございますので、やはり具体的な問題によってこういう問題は政府がきめていくべき問題でございますから、この想定をここで取り上げて、こういう場合にはいけない、こういう場合はいいのだというようなことを申し上げることは、私は考え方によってはまたさらに誤解を生ずるおそれもあると思いますので、あくまでも具体的な問題によって政府の決定的な考え方を打ち出していくべきでございます。  なお、今後想定等の問題について誤解があるような問題は、われわれは十分慎重を期していきたいと考えておる次第であります。

高田富之日本社会党

○高田小委員 単なる誤解ということでなしに、そういう考え方で一貫しておると私どもは見ておるわけなんです。だから、そういう考え方は非常に危険な考えであるし、わが国の防衛の基本方針としてはそういう考え方はとらないんだということがすぱっと言えるのでないと、平和憲法を持っておるわが国でございますから、そういうことでは私は国民は納得しないと思うのです。ですから、わが国に火の粉が降りかからぬように全力をあげて波及を防止するということが国策の基本でなければならぬと思うのです。ですから、そういう点は、制服の諸君の考えというものはいささか好戦主義的といいますか、仕事の性質上そういうふうに走りがちな危険性は当然あると思うのですが、それはやはり押えなければならぬ。そこがシビリアンコントロールじゃないかと思うのです。そういう意味で、国を思う一念からとはいえ、主観的意図は私も決して否定はいたしませんけれども、それは非常に危険なんだ、そういう考えをわが国は持たないということをすぱっと言えないのだったら、あの憲法の前文、九条を持つわが国としてはお話にならぬと思うのです。この点はきっぱりと割り切って言えるのでなければならぬ、こう私は思うのです。  そこで、まだいまのお答えでは非常にあいまいなんですが、そうすると、いまのに関連いたしますけれども、この点はこの間石橋委員から質問のあった点でございますが、これはどうですか、簡単にそうだとかそうでないとかいうようにお答えが願えるでしょうか。いまの波及防止の問題と関係するのですが、三つあるのです。  第一は、安保条約五条の適用を見ない場合、すなわち現実にわが国の施政下の領域における日米いずれか一方に対する武力攻撃がまだない、そういう事態にまだなっていないという場合でも、なおかつ日米共同作戦を実施するのだ、こういうふうなことはあり得ない、条約のたてまえからいっても明文からいっても、そんなことは絶対にあり得ないのだ、またいまの波及防止という考え方からいっても、こんなことをすれば完全に日本を戦場にするようなものですから、そういうふうなことはあり得ないのだということをすぱっと言えるかどうかということが第一点。  それから第二点は、いまちょっとお触れになりましたが、海外に派兵をする、この中にはずいぶんありますが、領空を越え、領海を越え、領土を越えて、そして対象国の領海、領空、領域へ行動を拡大するということがはっきり書かれておるのですが、そういう意味での海外派兵ということは絶対ないのだということをすぱりと言い切れますかどうですか。  第三番目は、さっき申しましたように、基地や施設の区域の使用について、全面的包括承認、いつ、どこを、どういうふうにでも御自由にお使いくださいというような事前承認なんということは絶対あり得ないのだ、ばかげたことであるというふうにすっぱりと御言明できますか、どうですか。以上三点について……。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 お答え申し上げます。  第一の安保条約第五条の発動以前における日米共同作戦の実施ということはあるかないかというお尋ねでございますが、ここに書いてございます第五条発動前の日米共同作戦行動ということばが実はよくわからないわけでございます。私防衛局長として従来国会で御説明しておりますその考え方からまいります日米共同作戦という意味でございますれば、そういうものはあり得ません。  第二の点の海外派兵でございますが、これも再々申し上げておるように絶対にございません。  第三の点でございますが、基地の包括承認ということになりますと、これはその場合の状況によって異なってまいります。したがいまして絶対ないとは申し上げられませんけれども、常にそういう形をとるということを前提にすることもまた誤りである、こういうことでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 はっきりした点もあるのですが、しかし、その最後のところあたりは、そういう場合もあると言いますけれども、これをやったらもう完全に日本の国土というものは戦場になるわけなんです。ここにも書いてありますけれども、こんなことをやったら文句なしに、完全に戦争の渦中にみずから進んで飛び込むようなことになるわけです。そういうふうなことがあり得るかもしれないという御答弁は——これはこの前相当こまかく石橋委員からも質問がございましたね。ですから、この点については少し訂正を要するのじゃないかと思うのですが、いかがですか。訂正しないでよろしゅうございますか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先ほど来大臣からも詳細にお答え申しておりますように、これはあくまで研究の場合の想定でございます。研究でございますので、言うなれば理論的な検討が主でございます。したがいまして、そういうたてまえから理論的な筋道を追ってまいりますと、基地の包括承認ということも禁止されていることではないというふうに感ずるといいますか、解釈するわけでございます。しかし、現実の場合そういうことが行なわれるかどうか、これは毎々大臣から御説明しておりますように、その当時における政府の判断の問題でございます。したがいまして、これをどうこうと予見することは間違いでございます。私がそういうことを申しましたのも、理論的に申しましてそういうことがあり得ないわけではない、しないというわけではない、それは一に当時の政府の判断になるわけだ、こういうことがお答えしたつもりでございまして、状況下におきます政府の判断というものをああだこうだと予見して申し上げることは適当でないと思いまして、そのようにお答えしたわけでございますが、私個人の判断を申し上げますれば、包括承認というようなことはおそらくは実際的にはないのではないか、こういう考えでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 法理論的にあり得るかあり得ないかというようなことではなしに、やはりこれは、あくまで日本に戦争の火の粉が降ってこないように全力をあげるのだというたてまえからいっておるわけです。ですから、これはどんなことがあっても、基地の包括どころではない、基地を貸すということ自体が問題だ。現にもうベトナムの問題でも、外国からはいろいろ日本に対して厳重な注意、警告も来ておる。日本政府は貸してはおらぬ貸してはおらぬと言っておるような事態なんです。しかし、私どもは、これだけ基地があり、それからアメリカとの共同作戦ということを考えますと、常にその危険があるわけでありますから、そういう点についていやしくも包括的にこれを一括するということになりますれば、たちどころにわが国は対象国からの攻撃の目標になりますことは当然でございます。そういう点は、平和主義の上に立っての国防なのか、昔の日本軍と同じ軍隊なのかというけじめが明確でないのでは、これは私は大問題じゃないかと思うのですが、いかがですか。もう一ぺん、今度は大臣からお答え願いたい。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 基地の包括承認の問題でございまするが、理論的にはそういうことはあり得ないのでございまして、また実際的にもそういうことは私はあってはならないことだと考えております。

高田富之日本社会党

○高田小委員 いまの非常にはっきりした御答弁でけっこうだと思うのです。そうでなければならぬと思うのですよ。わが国のたてまえ上当然そうでなければならないと思います。ですから、そういうふうな政府の明確な——平和主義に徹するということを総理も言っておるのです。実際におやりになっていることはどうかということは一応別にいたしましても、佐藤さんははっきり国会において何べんも言明されておるのです。わが国のたてまえとすれば当然だと思うのですよ。平和に徹するというたてまえからこの防衛ということも考えなければならないのであって、昔の軍隊と同じことを考えられたのではたまらないわけです。ですから、ただいまの御答弁はけっこうです。しかしそうなりますと、最初私が申し上げておりますように、この三矢研究というものは、単にことばがちょっと誤解を招くとか、表現がどうとかというようなことでお出しになっていることは、やはり私は訂正を要すると思うのです。考え方の中に非常に間違っている点がある、政府の方針と大きく違っている点もある、間違いもあるということがぴしっと指摘されないようなことではいかぬと思うのですよ。ただ弁護さえすればいいというような資料では、これはいかぬと思うのです。ですから、最初そういう点を私が申し上げたわけでございます。  それから次に、これはちょっと関連もございますが……。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 先ほど大臣からお答えいたしましたことについて、若干補足さしていただきたいと思います。  日本から行なわれる戦闘作戦行動のための基地として施設・区域を使用するということに関連しましての御質問であるわけでございます。米軍に提供している施設・区域を戦闘作戦行動の基地として使用させるということは、これは法理的にはもちろん可能なわけです。わが国が承認を与えればこれは当然可能なことでございます。ただこれをどういう場合にやるかということにつきましては、先ほど来大臣からお話がありましたように、具体的な情勢を判断し、わが国の安全の上から不可分であるかどうか、ぜひ必要であるかどうかという判断に基づいて行なう、こういうことでございます。おそらく大臣が先ほど理論的には不可能だと言われた意味の包括的承認という意味は、要するに日本のどこを施設区域に使って戦闘作戦行動をしてもよろしいというようなことは、これは理論的にはあり得ない、こういう御趣旨ではなかったかというふうに思いますので、補足させていただきたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 せっかくいま大臣が高い政治的な見地に立っての国の方針を述べられたのに、何かあなた不服があるみたいな、補足と申しましても訂正にわたるようなことばがあったと思うのですが、これはいかがかと思います。私は大臣のおことばのほうを、当然政府の方針だとして了解いたします。それでよろしゅうございますね、大臣。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 私が先ほど申しましたとおり、包括承認というようなことはあってはならないことだというのが政府の考え方でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 それからこの研究者たちの考え、これも前提的なことですから、一制服とかなんとかという問題じゃないと思うのですが、朝鮮半島に紛争が起こり始めておる、そして相当危機的な情勢も迫っているというような状況判断の中において、なおかつ日韓国交回復を主張しているのです。日韓の国交回復が望ましいということをあちらこちらに強調されておるわけです。これは前提的に主張しておるのですから、おそらく一、二の意見じゃないと思うのです。これは全体の考えじゃないかと私どもは想像するのでありますが、そうしますと、いま日韓交渉というのは、これは大きな政治問題にもなっております。政府も一生懸命進めているわけなんですが、国民は、いまの日韓交渉というものはどうも軍事的なにおいが非常に強いのじゃないか、東北アジア軍事同盟でまた戦争に日本が引っ張り込まれるのじゃかなわぬというふうな印象を持っていることは事実なんです。たまたまこれを見ますと、全く驚くべきことですが、もう紛争は起こりかけておる、いつ大戦争になるかわからないというような状況下において国交回復を一生懸命主張しておる。これは全く軍事的な立場、戦略的な立場からの要請なんです。そうしますと、日韓交渉というものはそういう軍事的立場からの要請というものが少なくとも相当強く働いておるのだなというふうに認識せざるを得ないのですが、いかがでしょうか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 この三矢図上研究とただいま政府が行なっておりまする日韓交渉とは、これはもちろん図上演習の想定でございますから何らの関連はないことでございます。そしてまた、現在の日韓交渉、日韓の国交回復というものが、日本と韓国との軍事的な取りきめというようなものに及ぶのではないかという意味のお尋ねと存じますが、現在政府が行なっておりまする日韓交渉はあくまで社会的、経済的な協力でございまして、何ら軍事的な取りきめではない。またそういうものを意味しておるものでもないし、われわれとしてもそういうことにこれが発展をするというようなことは毛頭考えておらないのでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 もしおっしゃるようなことであるとすれば、制服の諸君がもっぱら軍事的な戦略的な立場に立って日韓の国交回復というようなことを論じておるということは、これは不適当である、悪いことであるということでございましょうか。それともそういうこともまたよろしいということでお認めになるのでございましょうか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 よろしいということももちろんございませんが、先ほど来申し上げますとおり、これはわれわれがまだ最終的に取捨選択して結論を出したものでもございませんので、あくまでも作戦運用上の研究がそこまでいったというようなことでございます。だから私どもは、そういうところが多少の行き過ぎがあったのではないかというふうに考えておるわけでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 行き過ぎであるというおことばもございました。しかし、この問題はどこまでも疑問として大きく残っておるというふうに申し上げたいと思うのです。軍事的な要請というものが相当強く働いておるというふうに考えることのほうがむしろ常識的だとすら考えられるわけでございますが、ただいまそれは行き過ぎであるというおことばもございましたので、一応そういうことで先に進みたいと思います。  さてそこで、自衛隊のことでございますから、防衛ということが重大な職責になっておるわけでございまして、防衛力を発動する場合というものは当然非常な事態であることは申すまでもないわけであります。そういう非常事態になった場合を想定いたしまして、そういうときにも現在の自衛隊が十分能力を発揮できるような条件をいまから整備しておくという要望を持つのはあたりまえだろうと思います。そういう点から申しますと、いろいろ前のほうの御答弁もあったようでございますが、現在の状態では、もし実際に行動に移らなければならぬというような非常事態の際には、非常に行動を制約するようなぐあいの悪い法令なり何なりがあるし、また必要な法令で、どうしてもなければならぬものでないものもたくさんあるわけでございまして、そういうふうなことは当然防衛庁としては職責上ふだんから御研究になり、そしてなるべく早い機会にそれを成規の手続で国会にお出しになって制度を整えておくということは、当然の責任であろうと思います。そういうふうな点から申しますと、いま研究があったからどうとかいうこととは一応離れましても、現在そういう事態を想定して、防衛庁当局、政府当局としましてはどの程度そういうふうな法制上、制度上のいろいろな点についての整備ということに具体的に作業が進められておりますか、できるだけ具体的に御説明を願いたいと思います。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 お答えいたします。  現在の自衛隊法におきまして、防衛出動とか、あるいは治安出動というものが下令されました場合における自衛隊の行動上の権限とか、あるいはいろいろな措置というようなものにつきましては、一応自衛隊法でできておるわけでございます。最小限必要という程度のことは処置をしておるつもりでございますが、何にしても十分だというわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては外国の法制なりの資料を取りまして研究はいたしておるのでございますが、何ぶんにも非常事態の法制というものは、法理的にもいろいろむずかしい問題があるわけでございます。したがいまして、具体的にどういう法案をどういうぐあいに作成しておるというような段階までは至っておりません。しかし、絶えずふぐあいな点は是正しなければならぬという基本的な考え方に基づきまして、寄り寄り研究はしておるという程度でございまして、具体的に文書でどのようなものを用意しておるという段階には実はないわけでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 たしかに参議院の予算委員会における御答弁だったと思うのですが、たとえば例をあげておられて、航空管制が必要になるだろう、燈火管制についても規定する必要がある、あるいはまた自衛隊の行動で橋がこわれたというような場合の損害賠償の関係などがどうなるかとか、あるいは土地を作戦上使用した場合の、その収用の関係、補償の関係というようなことが全然規定がないとか、ゴーストップがどうとか、たくさん例をあげられているわけです。これほど具体的な問題で困るということが出ておって、それについて何にも具体的な研究がないということもおかしいと思うのですが、それはそのままほったらかしになっておるという状態なんですか、どういうことなんですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま高田先生がおあげになりました実例は、私が当時参議院の予算委員会において御説明した具体的な例でございます。そういう点について、先ほど麻生参事官も申しましたように、非常時に際してのいろいろな部隊行動上必要と思われます法制がいまだ整備されていないことは事実でございます。私どもはそういうものが逐次整備されることを期待しておるわけでございますが、何ぶんにもいろいろな過去におきます情勢というものは、そういうものを取り上げて研究をし、先ほど先生は国会に所要の法律を出したらどうだ、こういうお話がございましたが、そういう空気でなかったことは事実でございます。したがいまして、防衛庁といたしましても、これがそれぞれの問題についての防衛庁の案だというものはまだ持っておりません。ただ、幕僚監部あるいは防衛庁の内局の担当部局におきましては、それぞれの部局におきましての考えと申しますか、こういう点はこうすべきであろうというようなものは持っておりますけれども、これはまだ今後十分に検討をし、防衛庁以外の関係のところとも十分御相談をしなければでき上がらない性質のものでございます。その点について準備に遺憾があるという点につきましては、私どもまことに申しわけないと考えておりますが、幸い今日までのところは、日本に対しての直接侵略あるいは間接侵略というものが差し迫っておるという情勢ではなかったということも手伝いまして、まだ具体的なものにまとまっていないことは事実でございます。しかし、今回の研究等によりまして、いろいろとそういう点について、当然防衛庁はそういう用意をすべきではないかという御意見もいただいておりますので、今後私どもはそういう点の研究と準備を重ねていきたい、こう考えておる次第でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そうしますと、そういうふうなことは内局のそれぞれ専門の部局においてはかなり詰めた研究もできておる、こういうことでございますが、私ちょっとふしぎに思いますのは、この三矢研究の書類の中には種類がきちっと分かれておりまして、現行の防衛関係諸法令の実施を容易にするための改正二十七件、自衛隊の行動を容易にするため制定を要するもの二十八件、それから防衛目的を達するために直ちに制定を要するもの二十二件というふうになっているのですが、ただ空想的にこういうことを書いたというのはちょっとおかしいと思うのです。ただいま御説明のように、内局あたりと十分連絡をとりながらいままでに研究の進んでいるものが、法案になっているかどうかそこまではわかりませんが、いずれにしても具体的な問題としておのおの二十七件、二十八件、二十二件というようなぐあいに、考えられる程度のものはある程度煮詰めた研究が進んでいる、こういうことでございますね。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先ほどの私の御説明と、ただいまの高田先生のおことばとは若干ニュアンスと申しますか、程度の差異がございます。と申しますのは、私が申し上げましたのは、それぞれの部局においてその限りにおけるいろいろな考え方、案があるということは、先生のおっしゃったまだ煮詰まってないものがあるという形でございます。これは事実でございます。煮詰まったものであって、いつでもこれだというものが出せる状況ではございません。これは私は真実のところを申し上げている次第であります。それでは、どうしてここにこういうふうなものの件数が掲げられているかということになるわけでございますが、先ほど来先生のお考えを承っておりますと、先般御配付になりました資料に書いてございます「国策要綱に応ずる当面の施策の骨子」以下のところがみんなで検討したものであり、したがって一幕僚の私案ではないのだという前提をとっているわけであります。これも、先般私が申し上げましたことがございますが、実は岡田議員の御配付になりました資料の七ページ以下のところがどうしてこの答解に関係があるかよくわからないのであります。と申しますことは、六ページまでは一応まとまったものでございますけれども、一番はっきりしておりますことは、同じ部類でございますけれども、この十八ページのところにも、経済政策につきまして「門外漢たる研究員にとっては全く重荷である。」ということが書いてある。ということは、この答案があくまで個人的な、それぞれの研究員の答案であるということをはっきりと証明をしているというふうに考えるのでございます。先ほど来申し上げておりますように、これは決してみんなで研究したものではございません。答案の初めにバックグラウンドというようなものが出ておりますが、そういうものが公の文書につづられるはずがないわけであります。したがいまして、その辺のところを私どもが従来から調査いたしまして、真実と確信しているところを申し上げている次第でございますから、どうか私どもの御説明をそのようにお考えいただきたいのであります。ここに二十七件、二十八件、合計幾らという数字がございますが、これはそういう意味におきまして、私どもが必要な法制的措置の例としての数とは考えておりません。

高田富之日本社会党

○高田小委員 これはもう前から何べんも申し上げておりますように、一幕僚がただ答案を書きっぱなしにしたものでないということは、あの日程表にもありますような念の入った共同研究等もありますし、それからまた答解作成についての問題点の整理等もありますし、いろいろこういうところを見ましても、著しく考え方の違うものであれば、それは議論の中で訂正されているはずであります。これはおおむね研究者全体に、こまかいところまでどうとは申しませんが、承認されているものだということにならざるを得ないと思う。そうでなければ、せっかく大々的に半年もかけた図上研究が何にもなりません。そうではなくて、これは、今後施策の上に逐次反映していくための重要な資料として研究の成果がとりまとめられているわけでありますから、当然そんな無責任な、一人一人のばらんばらんのものでないという考え方が当然だと思います。それから最後にあなたが御指摘になった、経済の問題では手を焼いた、専門家にやらせなければならないと書いてあるからということでありますが、これは、制服の連中にやらせたからあたりまえのことだと思います。だから、この基本だけはみんなが共同討議しても、そのとおりだということに大体なっておると思うのです。あとこまかいところは、それぞれの専門機関で当然やるべきである、やらすべきだ、やらないのは怠慢なんだということに通ずるわけなんで、結局この程度のところまでいけば、図上研究としては目的を達しておるということであって、あなたの弁解されるようなことにはならないのじゃないかと思うわけであります。  それから、またさらに、第二グループのところにありますこの問題は、何べんか質疑もされておるようでございますが、「国家総動員体制に移行させるもの」「防衛目的を達成するため情勢の推移に応じ制定を要するもの」こういうふうなことが出ておるわけであります。こういうことにつきましては、これははっきりした御言明をもう一ぺん伺っておきたいと思うのですが、国家総動員体制というようなことを云々すること自体がけしからぬことなんだ、いけないことなんだ、これはもう全くの行き過ぎというふうに、はっきりと御言明をいただけますか、どうでしょうか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 国家総動員体制ということばの意味の問題になってまいります。これも先般来御説明申し上げておりますが、日本の国が外敵の侵略を受け、これと戦うという場合に、国家は総力をあげてこれに応じなければならないのは当然のことであります。その意味で、従来使用しておりましたことばを使えば、国家は総動員体制をとるべきでございます。これは当然そのとおりでございます。ただ、しかし、国家総動員体制、こう簡単に申しますと、一般にはかつての国家総動員法というものを連想いたします。そこで、国家総動員体制をとるということは、かつての国家総動員法的な法的整備をやるのではないか、こういうふうに考えられることは、私は一応筋があると思います。そういうことになりますので、従来も申し上げておりますように、用語の選択、表現等きわめて不十分な点があるということでありまして、ただ論者が書いておりますことは、国家は、総動員的な体制をとらなければ外敵には当たり得ない。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊のわずか三十万そこそこのものだけで戦うわけにはいかないのだということを言いたかったもの、こういうふうに私どもは判断しております次第を何とぞ御了察いただきたいと存じます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 ことばが誤解を招くからいかぬという意味であるというような御説明でございますが、しかし、この内容を見ますと、要するに経済の戦時統制、これについても、この前の戦争中行ないました物動計画だとか、資金統制だとか、そういうふうなものを非常に参考にいたしまして、ただ若干違うだろうということもいっておるのです。要するに、生産力があのときより飛躍的に大きくなっている、そのわりあいに軍需品の比率というものが小さくなっておる、そういう量的な若干の違いはあるが、ということを書いておるのですが、質的な面、内容ではほとんど同じ考え方であります。経済につきましても、生活必需物資、戦略物資、物価の問題、金融の問題、輸送、それから経済力の動員、戦略物資の貯備の問題とか、ずっとほとんど全面的な物動計画と、またそれを行なうための経済統制というようなことを経済の範囲では考えておりますし、単に経済の範囲ばかりでなしに、そのほか国家の総力を発揮するというたてまえから、労務の動員、徴兵、徴用の問題から、機構の確立の問題から、言論、報道の問題、交通輸送の問題、あらゆる面にわたりまして戦時体制に沿うような、戦争に向けて総力を発揮できるような体制にもっていく、そのために必要な立法措置ということでございます。ですから、そういう内容の国家総動員体制への移行というようなことを考えることが至当なのか、政府として行き過ぎなのか、いけないことなのか、こういうことであります。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 この点は、先ほど来の考え方をあらためて申し上げることに相なる次第でございますが、本来制服の幹部というものは、自衛隊の運営についての責任を持っておるわけでございます。したがいまして、その限りにおきまして、その部隊の運営について必要な条件が整備され、現行法制上ふぐあいな点は除かれるということを規定するにとどめるべきでございます。しかしながら、ある意味においては具体的にどういうことを書くのかということは、その関係者からいろいろと意見を述べることは当然のことでございます。そういうことを考えてまいりますと、いま先生のおっしゃったような部面についていろいろ適当な法制がつくられることが必要である、こういうふうに考えることも当然でございます。その内容につきましては、したがいまして先ほど申し上げたように、経済について専門家でない、同様法制についても制服の諸君は専門家ではございません。したがいまして、それがどういう内容であるべきやいなやということは何ら触れておりません。そういう問題についての法制の整備が必要であろうという希望が表明されているということでひとつ御了解願いたいと存じます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そうしますと、そういう希望が表明されている、それはもっともな希望の表明である、したがって政府としてはその希望に沿った方向で現在も検討しているとか、早急に検討するとか、こういうことでございますね。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先ほど関連法令についての素案があるかということのお尋ねに対して私がお答えしましたと同じでございまして、私どもは、従来こういう点について確かに不勉強でございました。今後私どもは関係部局とも緊密に連絡をとって、具体的な検討を進めていきたい、こう考えておる次第でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そういたしますと、ここに出ております国家の戦時体制を整えるという問題、国策要綱に応ずる当面の施策というような問題につきましては、これらの要望は正当な要望として政府は取り上げ、これを必要な部局で検討している、また今後必要なものは検討するということでございますから、そうすると、その点は制服の諸君と政府の考え方は一致しているということになりますね。よろしゅうございますね。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 御説明が不十分で申しわけないのでございますが、私が申し上げましたのは、そこに書いてありますことの内容というもの、意味というものをくみ取ってみると、部隊が行動するために必要な法制というものは整備されねばならない、あってほしい、こういうことの希望の表明である、こういうことを申し上げた次第でございます。その点は、先般来いろいろな機会に私からも申し上げておりますし、大臣からもはっきり申されておりますが、部隊が行動上、任務を果たしますために必要な体制というものを整備することは私どもの責任でございますから、今後そういう点につきましては、関係の部局、具体的には国防会議の事務局等とも関連が出てまいりましょう。その前に防衛庁内部におきましても、どういう法制的な措置が必要であるかということについてのまず防衛庁としての検討の完成ということが必要となってまいります。そういうことを今後進めていきたいということでございまして、三矢研究の記事の中にありますような考え方がすなわち政府の考え方であるということでは絶対ございませんので、この点はひとつ私がただいま御説明しましたように御了承願いたいと存じます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そうすると、現在までにそういう問題で検討をしているものと、これから検討するものとあるわけですが、それじゃ具体的に、そういう非常事態というものを想定し、そのときに自衛隊が行動しなければならぬということが前提なんですから、そうなりますと、そのための環境づくりということで、国家の総力をあげた体制というものをつくる必要があるということで、経済の問題がありますね。これに順応したような生活必需物資、軍需品の経済の計画なり統制ということが必要になる。それから第二には労働力。これは自衛隊やその他、これにもちゃんとありますが、警察とか、そういう方面の優先順位まできめてありますが、強制的な労働力の配置、そういう問題がございます。それから言論、統制の問題がございます。こういうふうなことについて、そういうことは必要ないというのですか。それは、たとえばいま私が申し上げた経済の問題、言論、報道の問題、それから労力のある程度強制力を持った配分、配置というような問題、こういうことは当然考えなければならない問題であるのか、そんなことは考うべきことではないのですか、どうですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 これは、私防衛庁の防衛局長という立場でお答えするわけでございますが、たとえば防衛庁設置法の第三章に国防会議につきましての規定がございますが、この中には第二号に「防衛計画の大綱」とございます。第三号に「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」こういうものがございます。先ほど申しましたように、国家が外敵に対処するという場合には、このような国家的な計画が必要であるということは、この法律がすでに認めておるところでございます。しかしながら、先ほど来申しましたように、私どもはこういう計画につきまして具体的にいろいろと検討を進めることにつきましては、いろいろな事情もございまして進んでおりません。したがいまして先ほど来、今後こういう点につきましては、私どもは当然なすべきことをやっていきたいということを申し上げておる次第でございます。  なお、具体化に一つの例を申し上げますと、たとえば非常時の場合に海上保安庁長官というものは防衛庁長官の統制を受けることになっております。しかし、どういう形でこれが統制されるかということにつきましては、海上保安庁長官を通じて統制するということがきまっておるだけでございまして、海上保安庁に所属しておりますところの船舶、職員等を具体化にどのような形において防衛庁長官が統制するかという具体化な詰めにつきましては、まことに申しわけない次第でございますが、まだ具体化にはまとまっておりません。それはやはり海上保安庁の立場、あるいはわが防衛庁の立場。いろいろな解釈上実は問題がございまして、これ一つをつかまえましても、まだ不備な点がございます。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたこと、それがすべてということでございませんが、わが自衛隊が出動する際に必要な事項につきましては関係の計画の立案が必要でございます。その計画を遂行するための法制等の準備も必要でございます。こういうことにつきましては、現在までのところまだ十分の案がない、それは今後の検討にまつべきものである、こういうことを先ほど来申し上げておる次第でございまして、ひとつ私の申し上げております意味をぜひ御了承願いたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そういたしますと、いまのところはまだたいした検討は進んでおらないが、これからどうしてもやらなければならない問題だというふうになりますと、この項目の一々は別として、大体この三矢研究で要望されておりますようなことに沿う検討というものが政府によって行なわれるものである。こういうことにただいまの御答弁でなるわけでございます。それはよろしいですね。それでいまの私のあれはよろしいですね。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先ほど来私が申し上げておりますのは、高田先生が事務的に、そういう計画案が関係部局においてはもうすでに煮詰まっておるのだろう、こういう御質問でございましたので、そういうものはないということの関連でずっとお話が進んできた次第でございまして、今後そうするのかどうかということは、これは、政府としては今後の問題でございます。私が申し上げましたのは、現状を事実を申し上げた次第でございまして、今後の政策の問題は全然別個でございます。  なお、先般来あらゆる機会に大臣から御説明しておりますように、三矢研究の内容というものと具体的な防衛庁の施策というものは、直接これが直ちに関連のあるものではないということでございまして、ひとつこの点も従来私どもが御説明したところを御了承願いたいと存じます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 いままでのところはたいして研究は進んでない、これからやるかどうかは政府の決定するところだ、決定してない、こういうことなんですが、この研究者たちが要望しておりますような大体性格を持った国家総動員体制というものは、いま内容を一々申し上げたわけでありますが、労務だとか物資だとかいろいろなものに関することになるわけなんですけれども、そういうふうな性質の国家総動員的なことは、おそらく日本の憲法においては全然想像もしてないことであって、これはたいへんなことだと思うのです。これは、ある意味では公然と交戦権を主張する軍隊を持って、そうして戦争もやる、国土も戦場になるというような想定があって初めてできることなんであって、日本憲法ではそんなことはもう夢にも想像しておらないわけですね。あの前文を見ましても九条を見ましてもないわけですよ。だから、ここで要望されているような形での国家総動員体制的な考え方、戦前のあの戦時体制的な考え方を基本にしましたような考え方というものは、これは許されないもの、全く相いれない性質の要望なんであった、ですから、むしろき然として、そういうことはあり得ないというふうにお答えにならなければ、これはいつの間にかずるずるずるずる全く憲法無視の戦争体制、こういうことになってしまうと思うのですよ。ここのところはやっぱりもう少しはっきりした御答弁を願わなければならぬと思うのです。この点、ひとつ大臣からお答え願いたい。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 国家総動員法的なことを考えることは、これはもう申し上げるまでもなく間違いでございます。また将来そういうことを考えるべきではないのでございまして、三矢研究に高田委員のいま指摘されましたことは、そういうことでなくして、先ほど防衛局長からも幾たびも申し上げましたとおり、国家が一致した行動をとり得るように、そういうことを希望するということを申し述べたものであると私どもは解釈をいたしております。戦前の国家総動員的な法令とか、あるいはそういう考え方は、これはもうはっきり間違いであると申し上げたいのでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 ですから、間違いであるということでございますので、そうしますと、この報告書の中にそういうことが全然触れてないのですが、こういう重大な問題については明確に誤りがあるのだということを指摘されなければならぬということになると思うのです。特にここのところなんかはたいへんなことが書いてあるわけでありまして、憲法ではむずかしいということをちゃんと知っておって、徴兵徴用の問題を出しております。これはむずかしいのだ、疑義があるのだということも書いてあるわけなんですが、それでもやはりできることならばそういうふうにしなければならないだろうというふうなことで、かなり強い要望があるわけですね。こんなことはほんとに日本憲法のもとにおいてはもってのほかのことであって、徴兵徴用に類するようなことはあり得べからざること、平和憲法下において考えも及びつかないことだと考えますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますね、政府の方針は。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 三矢研究とは離れまして、そういう徴兵徴用ということは、これはもう間違いであることは申し上げるまでもございません。

高田富之日本社会党

○高田小委員 でございますと、いろいろ増原さんが言われているというようなことで岡田委員からも指摘があったわけでありますが、戒厳令に似たようなこと、昔の戒厳令そのものはできないかもしれないけれども、それに似たようなことで、あの昔の戒厳令の中のある部分というものはいまの憲法下でも実施できるのだ、またする必要もあるのだというような御議論もあるようでございますが、政府としましてはそういう考えでございますか、それともまっこうからそういうことは否定されるのでありますか、いかがですか。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 お答えいたします。  増原さんが話されました戒厳令のようなことということの趣旨は、行政的な機構を非常時の場合にはできるだけ一本化してやる必要があるということを言われたように聞いておるのであります。行政機構をどういうぐあいに簡素化して強力にこれを運営するかということは、別に憲法に違反するという問題ではないのじゃないかというふうに考えております。

高田富之日本社会党

○高田小委員 ここに要望されておりますような戦時体制というようなことは、その内容は日本憲法ではとうていできないと思うわけでございますが、これをあえて行ないたいということになれば、どうしても戒厳法的な構想ですね、名前は何と呼ぼうとも、何かそういうふうなものを想定いたしまして、そうして内閣総理大臣が非常事態の宣言をするといたしますと、それによってある区域を限り、あるいは全国的な範囲において既存の法令にかかわらず緊急の措置が有効的になし得るということにでもしない限りは、これらの要望のどれ一つにもこたえた戦時的な措置というのは私はできないと思うのです。したがって、そういう意味での必要性を認められて、昔の戒厳令そのものではないけれども、それに似たような措置が可能であり、また必要だ、こういうふうなことになるわけなんですね。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 お答えいたします。  私が先ほどお答えしましたのは、要するに行政機構をどうやって配分してやっていくかという問題について増原さんはお話をしたというふうに聞いておるわけでございます。いま御質問の趣旨は、一定の区域を限定して、そこで国民の基本的な権利を制限するような処置がどうかというような御質問のように思いますので、その点、私がお答えいたしましたことと御質問の趣旨とだいぶ面が違うんではないかという感じがするわけでございますが、それでは非常の場合、いま御質問がありましたような非常事態の宣言のようなものをつくって、何かそれぞれ行なって、一定の地域について非常的な措置をどうするかというような問題は、これはきわめて高度の法律的にもむずかしい問題でございます。御承知のように、憲法調査会におきましても、これができるという議論をされる方もあるし、憲法上の規定がなければできないというような議論もあるようなきわめて高度な法律上の問題でありますので、われわれといたしましては、そうした議論にも十分耳を傾けまして、慎重に検討してみたいという感じを持っておるわけでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 慎重に検討してというようなことになりますと、現在の憲法下においても何かそういうふうな方法をとればやれるということを検討して、そうしてこれらの要望にこたえていこうという姿勢なのか、これは非常な大きな問題だと思うのですがね。いまの憲法というものを真正面から解釈すれば、どなたが解釈されてもそういうことは思いも及ばないことだと思うのです。現在の憲法体制とは相いれない、氷炭いれない構想だと思うのですよ。しかし、何とかしてくふうしてそれが憲法に触れないような方法が見つかればそれによってこれらの要望に応ずるような戦時的な措置というものが法制的にできると、こういう姿勢で政府は検討しているのですか。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 さいぜんお答えいたしましたように、われわれといたしましては、非常な事態においてどういうような法理が働くかというようなことはきわめてむずかしい問題でございます。で、先ほど申しましたように、各国の法制等も調べまして、慎重に研究をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。現在の段階といたしまして、特定のことを、いま御質問がありましたような、たとえば三矢研究で取り上げられて問題になっているような事項を実現しようという方向でこれを研究しているという段階には実はないわけであります。単なる一つの法理論的な問題としてどういうことが考えられるかというようなことを研究している段階であるということで御了承願いたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 法理論としての研究ということでございます。そうすれば、法理論の研究ということを離れまして、政治論としまして、責任ある政府として、そういうふうなことは現憲法体制のもとにおいて、また国の平和に徹するという基本方針からいって、そういうものをつくるなどということは毛頭考えておらぬと、そういう政治的な方針であると了解してよろしゅうございますか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 自衛隊はあくまでも憲法を守っていくのでございまして、憲法に違反する、憲法をいささかも犯すようなことは毛頭考えてもおりませんし、考えてはならないことでございます。また、ただいまの問題になっておりまする戒厳令というようなことは、これは現憲法下許されるべきものではないのでございまして、毛頭さようなことは考えておりません。

高田富之日本社会党

○高田小委員 それでは次の問題に移りたいと思いますが、シビルコントロールの問題ではいろいろ石橋委員から質問があったわけなんですけれども、こういう点はいかがでしょうか。日本の自衛隊が在日米軍あるいはアメリカの軍事顧問団との間に直接いろいろな緊密な連絡を持って、公的あるいは私的に非常に緊密な連絡をとっておるというようなことは、これは当然想像できることでございますし、事実あろうと思いますが、そういうふうなことから、ややもしますと、専門の軍人同士の話でございますので、非常に話もスムーズに進む、よくわかるというようなことから、知らない間に相当深入りをしたいろいろな打ち合わせなり、申し合わせなり、あるいは秘密的な協定に類するようなものまでが話し合われていくというような傾向があるのでございましょうか、ないのでしょうか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたような傾向というものはございません。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そうしますと、前に岡田委員から質問がありましたことで、調査してみなければはっきりしたことが言えないからというようなことで、その後調査をされて、参議院の予算委員の質問にはある程度お答えになっているかと思うのですが、FTSとか、FTC、こういうふうな機関、こういうものがどういう内容のものであるかというようなこととか、あるいは昭和二十八年に日米両政府の間で了解覚え書きと称する取りきめのようなものができておるのじゃないか、それを知らないのじゃないかというような御指摘があり、さらにフライングドラゴンの問題につきましても、よく調査をしてお答えするというようなことでございまして、そういうものが調査の結果どうだったか、ひとつお知らせ願いたいと思います。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 当時私が調査いたしますということを申し上げましたのは、ただいま先生のおっしゃいましたような事項についてでございます。で、この前提といたしまして、私は日米間に日米の共同作戦計画というものはない、日米双方は有事の場合に緊密に協力して行動するけれども、その指揮系統はそれぞれ別個である、こういうことを申し上げております。したがいまして年度の防衛計画というものを立案する過程で当然必要となってまいりますし、有事の場合にこの日米双方がどのような協力体制をとればいいかということについては各幕僚レベルでいろいろ研究はしておる、このことも申し上げてございます。  これだけを前提といたしまして、先般御質問ございました事項、すなわちFTC、あるいはFTS等につきましては、参議院の委員会において申し上げましたが、調査いたしましたところ、FTCというのはフリートーキングコミティというものの略でございます。FTSというのはフリートーキングサブコミティというものの略でございます。そのほかになおFTGというのもございまして、これはフリートーキンググループというものの略でございます。了解覚え書きというようなことばにつきましては、これは、そういう幕僚間のいろいろな相互の意思調整の結果をメモとしてまとめる場合にはメモという形をとっております。これを場合によっては日本語として了解覚え書きということばを使うこともございますが、これは、そういうことばからあるいは日米間の政府間の協定のようにおとりになる向きもあるかとも思いますけれども、これはそういうものではございません。単純な関係幕僚間のメモでございます。そういう次第でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 しかし、そういうことが行なわれておる、そういうものもあるというようなことが、今度のこの事件が起こり、質問があって初めて調査されてわかったというのでは非常に心もとないのでありますが、ふだんからそういうものがあるならば、そういうものの内容についても相当知悉していなければ、これはとてもコントロールどころじゃないと思うのですが、これはどういうことなんですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 私が当時調査してお答えしたいと申し上げましたのは、FTCとかFTSとかいう略語の意味を正確に把握する必要がありましたから申し上げた次第であります。防衛庁におきましては、いろいろな略語、ニックネーム等を、これは米軍との関係もございますので、使用いたしておりますので、私のうろ覚えの記憶で間違ったことを申し上げては申しわけないという立場から、調査いたしたいと申し上げておる次第でございます。日米間の幕僚間の研究につきましては、従来三矢研究問題が取り上げられます以前におきまして、内閣委員会等におきまして、私が先ほど申しましたような、有事の場合に、日米双方が相互に緊密な協力をする、そのやり方等につきましては、再三御質問がございまして、私からそういうことはお答えしてございます。すなわち幕僚方がそれぞれのグループで研究をしておるということは、先般の委員会において初めて申し上げたものではございません。繰り返して恐縮でございますが、FTCとかFTSとかいうことも、正確な意味を期するために調査をしたい、こう申し上げた次第でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 日米共同作戦計画というものはないとおっしゃるのですが、この資料の別紙第1の、「用兵の基本に関する事項」の1のところを見ますと、「直接侵略に際しては米軍の強力な支援を確保し、日米共同してこれに対処する。」その「(1) 日米共同作戦の準拠は先に定めた「日米共同作戦要領」によるものとする。」ここまではっきりいっているということになりますと、やはり何らかの共同の取りきめというようなものがなければならぬというふうに考えるのが常識だと思うのですが、これはあくまでないのですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 日米両国が共同して事態に対処するということの目的から考えますと、そこに当然に日米共同の計画がなくてはならない、こう考えてくるのが当然のことと思います。ただこの問題は、先般も御説明したかと思いますが、非常にむずかしい問題をかかえております。すなわち指揮権をどうするかという問題もございます。双方の実力の差をどうするかという問題もございます。したがいまして、今日までのところでは、そういうものについて共同して作戦計画をつくるということは実は行なわれておりません。ただしかし、たとえばもし万一ことし何かあった場合にどうだろうかというときには、一応のたぶんこの程度の協力はできるだろう、この程度の協力の期待は差しつかえなかろうというような幕僚間のいわゆる意思の疎通、これは必要でございますので、最小限度それを行なってきておるというのが実際の姿でございます。そこの御引用になりました、「先に定めた「日米共同作戦要領」」でございますか、その「先に定めた」という形容詞はございますが、これも私責任をもって全部通読をいたしましたが、先に定めた「日米共同作戦要領」というのはございません。ただそこにありますのは、日米共同の対処方針というものが出ております。そのことをいったのか、何をいったのか、実は正確には私どもにはわからない次第であります。ひとつこの点はそのように御了承願いたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 内閣委員会等では、従来いろいろ専門的な立場で御議論はあったと思うのですが、私ども常識的に考えてみまして、現在の在日米軍と日本の自衛隊というものの関係、それから安保条約の関係、こういうものを考えてみますると、これはいろいろな作戦計画の問題であるとか、あるいは共同で行動する場合でありますとか、相当の問題について直通的にアメリカの軍の当局の考え方が日本の自衛隊のほうへ伝わって、そして日本の自衛隊の考え方と一致点を見出して固まっていく、こういうふうになるのが自然だと思うのですね。そうなりますと、その上部機関であるべき国防会議、さらには日本の政府、さらに内局の諸君というようなところは、あとからそれを追認させられる、追認していくというようなことになるのであって、指導性といいますか、統制力、こういうものは実際問題として、私はしろうと考えで考えましても、やはり在日米軍顧問団というところに実際上これは移っているのではないか、こう思うのであります。その点、私は非常に心配するのです。さっきはそういうことはないようなお話だったけれども、もしあれば正面に私は言っていただきたいのですが、あれば、それはどうしたら——これは日本の自衛隊なんでしょうからね。どうしたらそういう弊害を除いて、そうして国防会議なり政府、さらには防衛庁の内局というもののコントロールがびしっといくようにするかという問題が重大問題として残ると思うのですけれども、そういうことは全然ございませんと言われると、ああそうですかということにはどうも納得しかねるのですが、もう少し率直な御答弁を願いたいと思うのです。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま先生は、在日米軍事顧問団との関係ということをおっしゃいましたが、アメリカの軍事顧問団は、いまおっしゃいましたような作戦関係では全然権限がございません。責任もございません。軍事顧問団の任務といたしましては、従来たびたび御質問がございまして、そのつど政府側から御説明しておりますように、主としてアメリカから援助されます武器、この武器の使い方、あるいは手入れ等につきましてのいわゆる軍事知識をわがほうに与えるという目的のためにおる者でございますから、はっきり申し上げられますことは、顧問団はそういう作戦関係については全然関係がない、これが第一点でございます。  次に、日米が共同して外敵に対処するという場合の相手方は在日米軍司令官になります。この場合、しかしながら、先般御説明いたしましたように、現在在日米軍部隊としては総数約四万おりますが、そのうちいわゆる実動部隊として意味のありますものは米空軍だけでございます。陸軍は通信とか補給とか病院とか軍事郵便とか、こういうことでございまして、この間、陸上自衛隊との間に共通して共同で作戦行動云々という点は何もありません。米海軍のほうは、主として横須賀、佐世保等の基地におきます管理整備の要員でありますから、これと共同で作戦行動云々という問題も出てまいりません。そうしますと、自衛隊として米軍と共同するということになりますと、これは実際問題としては米空軍だけになります。この米空軍とわが航空自衛隊との間におきましては、これも先般参議院でございましたか、御説明いたしましたが、それぞれ空域を分けて任務を分担するということで十分であります。と申しますことは、新しいレーダーサイトによりますところの情報というものは、逐次個々の飛行機にそのそれぞれの諸元が通報されてまいりますので、空域を分けましてその目標を与えますことによって双方の共同行動ができます。したがいまして、単一の指揮官があってこれを双方にらみ合わせながら指揮するということの必要性は必ずしも絶対的なものではございません。単一の指揮官が指揮したほうがベターな点は当然ございますけれども、しかし、それが絶対な問題ではないということから、日米どちらが指揮するかというきわめて微妙な問題にも関連いたしますので、現在までのところでは、航空自衛隊の実力とも関連いたしまして、相互に協力するというたてまえで十分である、こういう判断でございますので、今日までそういう体制できているわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような、日米共同作戦計画というようなものが、それも、なければならないものでありましたならば、万難を排して私どもはつくるわけでございますけれども、それがなくてもやっていける状況でございますので、つくってない、これが実情でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 そうしますと、この資料の「第3動研究問題」というところの「No16 7月22日実施した統幕と在日米軍司令部間の具体的調整事項を述べよ」こういうのがあるのですが、この内容が統幕と在日米軍司令部の間の、これは想定なんでしょうけれども、かなりこまかく出ておりまして、これによりますと、アメリカ側の要請というものがかなり率直に、なるほどと思われるアメリカ側の要望しそうなことがずっと出ておりまして、これは相当重大なことがアメリカ側から出され、それに対していろいろ統幕側で答弁したり要望したりやっておる、こういうふうなことなんですが、おそらくこれなんか見ますると、こういう戦略的な基本に関する重要問題について直接米軍司令部のほうから統幕に対していろいろなことがどんどん言われる、それに対して論議をする、話がまとまって調整事項ができたり何かする、こういうふうな関係がここにちゃんと出ておるのですけれども、こういうことは絶対にあり得ないことなんでしょうか、それともふだんこのくらいのことはしょっちゅうやっておることなんでしょうか、どうなんですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先生の御質問が、このようなことは絶対にないのか、それともやっておるのか、こういう御質問でございますので、非常にお答えがしにくくなるわけでございますけれども、そこに書いてございますことは、大臣も再々御説明、御答弁申し上げておりますように、一つの想定でございます。先般、石橋先生の御質問に対して私核兵器の持ち込みについてお答えいたしましたように、私の判断としまして、日本に核兵器を持ち込む必要はないということを申し上げたわけでございますが、その想定では、それが持ち込まれることが討議されておる、こういうことでございますので、その答案を書いた人の考えとしましては、そういうような討議が行なわれるであろうということを想定したという次第でございまして、私はそこに書いてあるような討議がそこに書いてありますような形において行なわれたとは考えておりません。ただ、先ほど来申しますように、幕僚が相互にいろいろと有事の場合に備えましての意思の疎通をはかっておりますので、そういう点につきましての意見交換は行なわれますが、それとそこに書いてありますこととはやや趣を異にしておりますので、私はそこに書いてあるようなことが行なわれておるかということにつきましては否定的にお答えいたしたいと存じます。

松野頼三自由民主党

○松野小委員長 関連質問の申し出がございます。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 いまの点について、ちょっと関連してお尋ねをしておきたいのですが、日米共同作戦要領というのは、確かに名前だけ出てきているわけですけれども、その前提となる思想というものはほかの部分に明確に出されておるわけです。たとえば「昭和38年度統合防衛図上研究の想定(概要)」「第3動」、この中に「7月22日、統幕事務局と在日米軍司令部は、安保協議委員会の決定に基き、日本防衛準備に関する細目調整会議を開催した。その席上、在日米軍司令官は在日米3軍の朝鮮作戦支援と日本防衛作戦とにおける指揮関係について次のとおり補足説明をした。」という部分に、「ロ」として明確に「日本防衛のため必要な準備作戦(哨戒、偵察、警戒、作戦準備等)については、現在すでに在日米軍司令官のコントロールが承認されており、今後起るべき日本直接防衛のための作戦については特別のものを除き、在日米軍が指揮する。」こういう形で出されているのですね。だから、突如としてこの「日米共同作戦の準拠は先に定めた「日米共同作戦要領」によるものとする。」というものが出てきているわけじゃない。明らかに第3動の想定の中にも、もう既定の事実として在日米軍司令官のコントロールというものは承認されたものだ、こういうような出され方をしているのですけれども、この点についてはどういうふうに考えておられますか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 この点は、参議院の予算委員会におきまして私が岡田議員の配付になりましたものと私どもの研究いたしましたものとの差異について例としてお答えしたわけでございますが、この上のほうに書いてございますように「在日米軍司令官は在日米3軍の」と書いてございまして「指揮関係について次のとおり補足説明をした。」ということが書いてございます。これは、アメリカの陸海空軍の指揮関係を在日米軍司令官が説明をしたというくだりでございます。この「ロ」に「在日米軍が指揮する。」と書いてございますが、ここはきわめて重要でございますので当時申し上げたのでございますが、これは、在日米軍司令官が指揮するということでございます。そのことによりまして、ここに書いてあることは、在日米軍司令官が米軍の陸海空の軍隊を全部握って指揮するんだということを書いたもの、こういうふうに私は判読をするわけでございます。その辺のところが、これだけをお読みいただきますとおわかりにくいかと思いますが、決して米軍の司令官が日本の陸海空自衛隊を指揮するものではないということは、これは、先ほど来私が説明しておりますところに基づきましても明確でございまして、ここは、原文ははっきりと在日米軍司令官が指揮する、しかもそのまくらになっておりますところは「在日米軍司令官は在日米3軍の」こういうくだりがございますので、それをあわせて読みますと、先ほど申しましたように、在日米軍司令官がアメリカの陸海空三軍を統括指揮するのだ、こういうことに読むことが正しいものと判断いたしております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 先ほどの答弁の中にも、実際に戦闘が行なわれる場合に指揮命令が二途に出るということが非常にマイナスだということは、防衛局長も認めておられるわけです。これは、私しろうとが考えましても当然のことだと思うのです。実際にこういうふうな事態に直面した場合に、日本は日本、アメリカはアメリカ、別途の指揮のもとに戦闘が行なわれ、戦争が行なわれるというような考え方をとられておるようですけれども、それに対して制服に対してはどういう説得を行なっておるわけですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいまの点は、制服側は統一の司令官の必要を要求し、内局のほうがこれを押えるというようなことにあるいはお考えになっておるかもしれませんが、そうではございません。これは、従来のところは、制服、私服とかいう着ておりますところの服いかんにかかわりませず、日本政府といたしまして、在日米軍司令官との間の指揮関係等につきましては、現在の状況がずっと続いておるということが事実でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 たとえば朝鮮戦争一つとってみましても、韓国の軍隊はアメリカの司令官が兼任しておるところの国連軍司令官の指揮下に入っておるわけですね。今度ベトナムに行った場合にも、当然アメリカの司令官の指揮下に入っておるわけです、韓国の軍隊は。そういう形でなければ、私は、有効な戦闘というものは遂行できないのではないか。現にNATOのような場合にもそういう形がとられておるということは御承知のとおりだと思う。そうすると、純軍事的な立場から考えてみた場合に、いま制服の諸君もそういう意図は持っておらないとおっしゃいますけれども、いま表面に出ておるか出てないかは別として、そういう議論は当然出てくる。現にこの三矢研究のあちらこちらにもそれらしきことがうかがわれるわけです。それからいま私があげたのでも疑いを持ったわけですが、やはり軍事的に突き詰めていけば、そういう意見は当然出てくると私は思いますよ。指揮命令が二途に出てどうして戦いが有効にできるか、こういう議論が出てきたときにどう対処されますか。いま出ていなければ将来の問題としてでもけっこうです。どういうふうにしてあなた方は説得されるつもりですか、こうお尋ねしておるわけです。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先生のただいま御指摘になりました点は確かに非常に重要な問題でございます。指揮命令が二途に出るという表現は、ばらばらの命令が出るというふうに誤解されるおそれもございますけれども、二者が相互に緊密であれば、二途に出ることがすなわち二つの異なった行動になるというわけでもございません。しかし一般的に考えますと、単一の司令官がものをきめることのほうが、先ほど申し上げましたようにベターな面は確かにございます。しかしながら、国を異にする人々の相互協力、しかもそれが単一の指揮官がということになるといろいろ問題が出てくるわけでございます。実例を申し上げますと、かつて第二次世界大戦におきまして、アイゼンハワー大将のもとにモントゴメリー元帥がその指揮を受けたということがございます。これは当時のヨーロッパにおきます勢力関係上当然のことであったと思いますけれども、その指揮を受けました元帥のほうでは、これほどの屈辱はないという意味の回顧録を書いておるということを想起したいと思います。そういうふうに、それぞれ階級を持った部隊司令官でございますと、そこにそれぞれの実力関係を反映してくることがきわめて困難な場合がございます。したがいまして、今日までのところは、先ほど申しましたように、具体的には在日米空軍との協力ということが実際問題として非常に重要でございますが、その面は先ほど申しましたように、それぞれが空域を分けて相互に情報を交換し合うということによって日本の防衛というものが確保できる、こういう判断に立っておりますので、今日までそのような形できておるということでございます。しかし純粋に客観的に考えますと、そこに統一指令部の必要があるかどうかということは一つの問題であることは事実でございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 少なくとも統一指令部というものが設けられるということが最も望ましいと軍事的な立場で考えた者は言うでしょう。それがないとするならば、せめてどういうふうに、それではあなたがおっしゃるように緊密な連携のもとにやるか、総ワクをきめ、あるいはその中で細密に具体的に計画というものが持たれなければ、共同作戦というのは遂行不能、こういうことになるわけなんです。だから、統一指令部というものがつくられて指揮系統がはっきりするか、せめて日米共同作戦要領というかどうか知りませんけれども、それらしきものがなければ共同作戦の遂行はできない、こういうふうにユニフォームの諸君が考えておるのは、彼らの視野の中で突き詰めていけば当然の帰結じゃないかという感じが私はするわけなんです。それを、あなたは両方とも否定されるわけですね。そういうことではたして説得ができるのだろうか、その点で非常に心配をしてきておるのです。現に私は、あちらこちらに出てきておると言いましたけれども、具体的に「状況下の研究No11」「日本の直接防衛作戦」というところを見ましても、アメリカのほうから日本の自衛隊にああしてくれ、こうしてくれというのが次々と出されておりすすね。これは、お読みになって十分知っておられると思いますが、一、二の例をここであげてみましょう。たとえば日本側でこういうことを言っております。「敵の奇襲に対しては、防衛準備の万全を期し、最善の態勢を確立する。また、米側の朝鮮作戦に対しては、可能なかぎり最大限の協力を実施するとともに、今後情勢推移を判断しつつ必要があれば直ちに防衛出動発令の用意がある旨回答した。」そのあとでまた日本側が「日本周辺地域の警戒哨戒行動および後方補給支援等については、従来に引続き可能なかぎり、さらに積極的支援を与えることについて説明した。」これに対してアメリカ側は「日本側の協力には感謝するが、この際日本および朝鮮に対する近海の海上交通保護作戦、対馬、津軽、宗谷の海峡封鎖作戦、米海軍基地の港湾警備等に対しても積極的に協力を要望した。」どんどんどんどん要求が出てきております。こういう形になることは当然でしょう。一体こういうことをそのつどそのつどやるわけですか。この辺のつながりがどうも私たちとしては理解できないのです。やはりユニフォームに対する説得という面からいってもこういう事態が想定されてくる。これに対してそのつどそのつどといっておれないのじゃないかと思うのです。指揮系統がはっきりしておればそこで解決がつく、あるいは日米共同作戦要領的なものが、名前がどうあろうともそういうものがあれば、ある程度そこで解決のめどがつく。あなたがおっしゃるように、こういう緊急事態があった場合に、そのつどそのつど相談をやりましょうということで一体戦闘が遂行できますか、こういう質問をしておるわけです。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 先ほど来御説明いたしておりますように、現在までのところは単一の統一の指令部を設けて、単一の指令官がこれを指揮するという形は考えておりません。ただ、しかし現在の状況におきましてできますことは、少なくとも両方の指令部、すなわち幕僚というものが同じ場所におるということはできるわけであります。先ほど来申しておりますように、具体的な協力の実態は空軍関係でございます。この双方の指令官が同じ建物に、同じところにおる。作戦幕僚は同じ部屋で作戦を考えるということは現在においてもできることでございます。有事の場合にはそのようにする手はずになっております。先般予算御審議の際に申し上げましたバッジシステムというものが完成いたしますと、いわゆる空の情報というものは機械的に電子計算機の処理によりまして瞬時的にそれぞれのところに伝達されます。したがいまして、日米の具体的な共同作戦ということは、先ほども申しましたように、空域を定めどのような形でそのつどそのつど仕事を取り運んでいくかということの、そのときにおきますところの大綱的な了解ができますれば、あとはそれぞれのところにおきまして共同の戦闘行動がとれる、こういうことが私どもの現在までの結論でございまして、繰り返して申し上げますが、制服のほうが単一の司令官の設置を希望し、いわゆる内局のほうがこれを押えておるということではございません。先ほども申しましたように、それぞれ階級を持ちます部隊の協力というものは、なかなかに微妙な問題がございますということをひとつ御了察願いたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 それでは、私は表現をかえてもいいのです。制服のほうではそういうことをきめようときめまいと現実にもうちゃんとやっておりますということなんです。あなたもいま一部はお認めになりました。特に航空自衛隊とアメリカの空軍との関係を引用されましてお認めになりました。だから、そういう指揮系統というものがあるとかないとかいう議論をする前に、あるいは共同作戦要領なんというものがあるとかないとかいう論議をする前に、すでにもう支障を来たさない程度にユニフォームのほうでは一体になってやっておるという事実があるということなんですよ。それをあなた方が国民の前に明らかにすることをおそれておる、こういうふうに表現すればわかりがいいのじゃないですか。現実に航空自衛隊の場合などはほとんど英語でやっております。あなたはバッジも引用されました。それからナイキの部隊に行っても、全部あれは英語でやっておるじゃないですか。何のために英語でやるのですか。これは、やっぱり一体の作戦遂行という面でそのほうが便利だということで英語でやっておるわけでしょう。だから、そういう指揮系統がはっきりしておるとか共同作戦要領があるとかないとかいうことの以前に、制服のほうではもう支障を来たさないように一体になってやっておる。こういう事実を私は指摘したいと思うのです。もうこんな指揮系統がどうだとか、作戦要領があるとかないとかいう議論以前に、共同作戦の遂行に支障を来たさない程度にもうちゃんと万事日ごろからやっております。この事実が明らかになった、これだけ指摘しておきたいと思います。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま先生の御指摘になりました事項、すなわち制服のほうではもうちゃんと実態ができておるじゃないか、こういうおことばでございますが、これは、実は制服のほうだけではございません。防衛庁としてそういう体制をとっておるわけでございます。それにつきましては私ども内局の関係職員、大臣まで、すでにそういう体制をとることにつきましては過去において御決裁を得ておるわけでございます。このことは過去の内閣委員会におきましても、たとえばレーダーサイト等における日米両軍の指揮関係はどうなっておるかということも御質問がございました。その際詳細に御説明してございます。米軍の指揮を受けておるじゃないかという御質問がございました。したがいまして、一昨年でございましたか、社会党の先生方のお供をしまして私北海道に参りまして、当別のサイトを御案内いたしましたが、そこにおります者は二名、三名の米軍の連絡員であるということも、当時御認識を得たわけでございまして、日米は双方にそれぞれ相互に情報を交換する、交換されたものがそれぞれの指揮系統を通じて上に上がり、上からの指揮を受けて行動するということは、これは決して私の形容ではございません。実態でございます。そういうことを行なうことにつきましては、過去にさかのぼりまして防衛庁としてそういう方針を決定したものであることをひとつこの際御了承願いたいと思います。

高田富之日本社会党

○高田小委員 それでは論点を移しまして、もうあと、一、二問が終わりたいと思うのですが、実はこの報告の中にも、資料の中にもありますが、こういった事態が起こりますと、最初の大きな任務としては、やはり国内治安の問題ということであります。具体的にかなり国会がどうとか、官庁が占領されたとか、米軍の基地がどうとか、ずいぶんあるわけでございますが、これはもともと自衛隊法の中にもありますし、日本の自衛隊自体の任務のそもそもの始まりから、やはり国内治安ということが相当のウエートを占めておるということだろうと思います。したがって、この想定におきましても、治安出動ということで、間接侵略に対してこれを排除するというようなことが相当事こまかに状況を想定しながら出されておるわけであります。それで、ずいぶんこういうことは議論されたことだと私思います。おそらく内閣委員会あたりでずいぶん長いこと議論になったことじゃないかとは思いますが、あらためてこういう具体的な想定の中で私ども痛感するわけなんでありますが、いわゆる間接侵略に対する対処ということで、ことばとしましても、この中に非常になれないことばでありますが、対象勢力なんということばが使ってあるのですね。仮想敵と言わないで対象国と言う。これは、対象勢力というようなことで、国内の反政府運動というようなものを総称しておるようでございます。私こういうことにつきましては、何べん議論しても過ぎることはないと思うのですが、いやしくも日本の防衛に当たろうという任務を持つ自衛隊が、自国民に対しまして仮想敵扱い——仮想敵と同じことばですね、対象国、対象勢力なんというのは。そういうものに対しまして、これを排除するというようなことをふだんから考えているというようなやり方、これが一体——これは全く国民に理解できないと思うのですよ。戦前の日本の軍隊にこういうのがありましたか。大体間接侵略ということば自体が、これは国民になじんでいないことばだと思うのですよ。これは法律にもちゃんと出ておるし、あなたのほうの報告にもちゃんと最初に出てくることばなんですが、こういうことについて、もしほんとうに、先ほど来話のありましたような、アメリカの軍隊や何かの影響というものをそのままうのみにするというようなことじゃなくて、自主的に日本の立場で考えるということであれば、このことばあたりからだって考え直さなければいけないんじゃないかと思うのです。そういう点につきまして、間接侵略ということに対しまして、対象勢力とか間接侵略とかというようなことを言っておるんですが、——日本の場合ですよ。少なくともこの日本の場合にそういうことを考えることは、自衛隊として非常に重要な任務だと言われておるんですが、それでよろしいものなんでしょうか。少し違うんじゃないですか、考え方が根本的に。いかがなものでしょうか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 これは、御意見でございますが、私どもはあくまで法律の定めるところに従いまして任務を遂行せねばならぬ責任と義務がある。ただいまの先生の、間接侵略という事態を想定すること自体、これはきわめて不幸なことではないか、私もそのように思います。しかし、そういう事態が万一の場合にはあるだろうという想定のもとに現在の法律はできておるわけでございます。その万一の場合に備えての自衛隊の任務遂行がいかにあるべきかということを考えることは、これは現在の法律下におきましては、私どもにとってはやらねばならないことだ、そういうことを考えることがいいか悪いか、これはおのずから別の問題と思いますが、しかし、私どもとしましては、法律に間接侵略に際しての規定がある以上、これを研究することは当然のことかと考えております。

高田富之日本社会党

○高田小委員 間接侵略ということばはいつから始まったことばなんですか。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 お答えいたします。  間接侵略ということばは、まあいつごろからという私もちょっと時期を覚えておりませんが、国連の総会におきまして、いわゆる侵略の定義をどうすべきかということが問題になりまして、特別の委員会を設けていろいろ検討したことがあるわけでございます。その当時、間接侵略ということばも中に散見しておったと思うわけでございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 私は専門家じゃないのですけれども、ダレスさんが初めて言い出したことばじゃないかという記憶が実はあるわけですよ。それで、ところによってはそういう事態が適応するようなことがないとは言い切れないのじゃないかと思うのです。しかし、少なくとも日本ですよ、わが国においてこういうことを考えるということは、何とこれは自主性のないことか。これは、いま法律があるのですから、おっしゃるように、局長は法律のある以上はそれに従うとおっしゃる。法律に従っていただくことはけっこうだけれども、これから法律を直してでも、新たにつくってでもやろうという先ほど来のずっとお答えの中で、不都合なことがあればやはり直さなければいかぬでしょう。ですから、そういう意味で、これは政治的なことですから大臣からお答え願いたいのですけれども、私はこれは非常に恥ずかしいことだと思うのです。日本で間接侵略に対処するのが自衛隊の重大な任務だという、恥ずかしくてしようがない。そんな自信のない政府なんですか。そんな団結力のない国民なんですか。これは、国内で反政府運動は起こるでしょう。そんなものは政府に自信があり、民主主義がきちんとしておれば阻止できるという確信の上に立っているんです、日本の憲法は。日本の政治もそうでしょう。間接侵略、日本人同胞を使ってよその国が間接に日本を侵略する、それに対処するのが主要な任務だ。これが対象勢力だ、仮想敵だ、何です、これは一体。こんなばかばかしいことを、この図上演習の中でも対象勢力というものを考えて、これをやっつける訓練をやったりする、これはお話にならぬと思います。私は率直に言って、この考え方は日本の考えではないと思うのですよ。アメリカの人が日本に来ておりますと、いつか何か起こると、アメリカの基地をやられはすまいか、自分たちが朝鮮で戦争をやっているうちに、国内でそれに反対する運動が起こらないかと考える、そういう外国人に対する恐怖心があると思うのですよ。それに対する対処策としての考えならこれはわかるのです。在日米軍の考え方ならわかるのです。しかし、いやしくも日本の自衛隊がいつまでもこんなことばを使って、そんなことを想定して、敵扱いにした訓練までしなければならぬという恥ずかしいばかげたことが一体許せますか。これはひとつ大臣、どうせこういういろいろな問題が大きく出たときですから、改めることがあればどんどん改めると先ほど来皆さんが言っているのですから、そういうことこそまっ先に改めるべきだと思いますが、いかがですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 政治論といたしましては、ただいま高田委員が言われるとおり、民心をおさめ、りっぱな政治をやり、そういうことを絶対あらしめてはならないのでありまして、その点私も同感でございます。ただ、この三矢研究においては、あらゆる場面を想定をしたということでありまして、あってはならないことではございますけれども、これまた絶対にあり得ないことだということも何人も断言はできないのではないかと思うのであります、遺憾なことではございますけれども。そこで、あらゆる場面を想定をして研究をした場合に、そういうことも出てきたというわけでございますが、私どもが先ほど来申し上げておりますとおり、今後は図上研究にいたしましても、想定の出し方その他についても十分慎重な配慮をいたさなければならないと考え、こういう点においては慎重を期さなければならないと考えております。

高田富之日本社会党

○高田小委員 この問題は、ここで議論を申し上げてもなにと思いますけれども、どうせ出たことでございますから、もうちょっと私は考えを申し上げたいと思うのです。  間接侵略的な考え方というのは、アメリカの特有の考えではないかと思うのです。そのことを改めさせるのが日本の役目ではないかと私は思うのです。現在起こっておりますベトナムの紛争を見てもわかるのですが、これは、松本さんが帰ってきて、きょうの新聞なんかにも出ておりますけれども、幾ら北爆をやっても、そのことによってベトコンが戦争をやめるとはちょっと考えられないのだ、何のための北爆だかわからないのだということをおっしゃっていらっしゃる。これは間接侵略理論で、南ベトナムの中での反政府運動というものがなぜ起こったのか、そういうことに対する十分な検討を加えて、これに対する対処策がないままに、これはよそからそそのかされてやっているのだ、よそのもとをたたけば直るのだ、こういうことでやたらに戦線を拡大してぽかぽかやっている、こういうふうな現状にいまあって、アメリカ自身も困っているのではないかと思うのですが、これは、考え方自体が非常に違うと思うのですよ。間接侵略というのではなくて、その国自体の中にそういう原因があってそういうものが起こっている。しかし、それも民度の低い国とか、民主制度のない国とかでは、よその国——もっともよその国といっても、同じ国が半分に割られているのですから、よその国ということ自体当たらないかと思いますが、それにしましても、たとえば中共なら中共のほうからやってきた、これは確かによその国だということになりますが、よほど民度の低い国で、民生の安定も何もない国では、よそからそういう運動や援助や何かそういうものがあれば、多少の効果があるかもしれない。しかし、それはあくまで従属的なものであって、主たるものは、それが成功するだけの素地がそこにあるかどうかということが問題です。こういうふうに考えなければ非常に大きな間違いを犯すわけです。大きな戦争に発展するような冒険をいまやっている。アメリカのやっている間違いの根本はそこにあると思う。アジアの情勢に対する根本的な認識不足、これをただすのが日本あたりの役目ではないかと思うのです。ましていわんやこの文明国で、これだけ民主制度が発達し、民度が高い日本が、アジアのよその国あたりからそそのかされて間接侵略をやられて、それで日本の国がでんぐり返るなんということはあり得べからざること、そんなばかなことは問題になりません、そういう考えだけは。この際いまあらためて起こった問題じゃないですけれども、この三矢研究の文書を読むにつけて私は情けなく思うのです。日本の自衛隊の諸君がこういうことを考えているのかと情けなく思います。すみやかにこういう考え方を少なくとも日本の自衛隊の中からだけは一掃するということでなくちゃならぬと思うのです。この点は特に強く御指摘を申し上げておきたいと思います。  それで、実はもうあと一問だけで終わりたいと思うのですが、私もいろいろ今度この問題で考えてみますと、どうも非常に心配になるのは、日本の自衛隊の教育ということです。旧軍人の諸君が今度の研究でも大部分を占めているわけですし、また幹部の中でも相当の比重を占めておるわけですね。これにあらわれている思想的なものとしましては、一つにはいま言いましたように、アメリカ的な考え方というものがそのままなまの形で受け入れられているような印象を受けるところが非常に多いのです。朝鮮戦争に対してわが国が巻き込まれてもいいのだ、そっちのほうで手助けすることのほうが必要なのだというような思想、これは、やはりアメリカの戦略というものに非常に無批判的に追随していると思われる点であります。国土の戦場化ということをへいちゃらで書いている。こういう考え方は非常に危険だと思うのです。これが一つ。もう一つは、独ソ戦争が起こるときの御前会議の決定なんというものを考え出したり、あるいは戦争中の総動員体制のあの制度というものをそのまま考えてみたりするこの頭というもの、これは、私はやはり戦前の旧軍人の古い思想というものがそのまま生きている面だと思うのです。そのまま生きている面、それとアメリカの考え方、その両方がミックスされたような思想だと思うのですが、両要素とも非常に危険だと思うのです。そこで、国内の問題としましては、私は旧軍人の徹底的な新憲法に基づく再教育が必要なのだ、こう思うのです。それから防衛大学その他の新しく自衛隊の幹部になる諸君に対する教育なんかにしましても、新憲法というものと新憲法下における防衛というような問題についての徹底した教育が必要じゃないか。ただ私がここで非常に心配いたしますことは、自衛隊の存在そのものがこの憲法で当然問題になるわけですよ。議論のあるところでしょう。だから、憲法を改正しなければならぬという議論が自民党の諸君の相当部分を占めているわけだ。ですから、いまの自衛隊の存在自体が憲法によって否定されているのではなかろうかというものが根本にあるわけですね。そういうものと、そうじゃない、これは合憲なものなのだ——合憲なものとしても、一切の任務、行動、すべて憲法に照らしてあくまで合憲な動きを示さなければならないはずですね。そういう教育が一体できるかというのです。そういう教育を自衛隊が受け入れるだろうか。一体、自衛隊の教育の基本というものをそこに置いているのか置いてないのか非常に心配なのですが、いかがでしょうか。

島田豊防衛庁参事官(教育局長)

○島田(豊)政府委員 お答え申し上げます。  自衛隊における民主主義の教育の問題についての御質問でございますが、自衛隊の教育におきましては、もちろん憲法をはじめといたしまして、法令を順守するということは大前提でございまして、そのもとにおきまして、民主主義制度下における自衛隊のあり方ということについては、これはもう新隊員をはじめといたしまして曹あるいは幹部に至りますまで、あらゆる機会をとらまえましてそういう教育をいたしておるのでございます。それと同時に、自衛隊法の、五十二条に自衛隊の服務の本旨についての規定がございますが、この精神をさらに徹底させる、また先般防衛庁において作成いたしました「自衛官の心がまえ」というようなパンフレットも各部隊に配付いたしまして、そういう面での精神教育あるいは民主主義教育の指導をしておるのでございまして、学校の課程あるいは部隊の訓練等を通じまして、こういう面での教育の細目につきまして中央から指示いたしまして、それらに基づいて訓練をやっておるというのが実情でございます。  やや具体的に申し上げてみますと、防衛大学校におきましては、将来の幹部自衛官となるための教育をやっておるわけでございますが、特に広い視野を開き、柔軟性のある科学的な思考力を養い、さらに豊かな人間性をつちかうということを根本といたしまして、一般の大学に準ずるものとしての教育をやっております。この防衛大学校四年間の課程を経ますと、陸海空の幹部候補生学校におきましてそれぞれ一年初級幹部としての教育をいたしますが、その幹部候補生学校におきます精神教育につきましての教育目標並びにその準拠する点につきまして申し上げますと、教育目標は、幹部として必要な使命感及び徳操を養うということでございますが、その使命感に関しましては、民主主義国家の日本国民、なかんづく自衛官としてのいろいろな問題、戦争の防止ないし抑制を基調とする近代国防の意義と防衛力、ことに民主主義の統制下にありますところの自衛隊の本質と運営、こういう点につきましての明確なる基礎知識を与える、そして幹部自衛官としての誇りと忠誠心を確立させる、こういうことを実施上の準拠として示しておるわけでございまして、これは、防大ないし幹部候補生学校のみならず、一般の新しい隊員が入ってきます場合の新隊員教育におきましても、また昔の下士官、いまの曹の階級に昇進いたします場合、あるいはいろいろな学校、部隊におきますいろいろな教育、訓練を通じ、さらに幹部につきましては、幹部候補生学校以外のいろいろな学校の課程がございますけれども、そういう課程を通じまして、要するに民主主義国家のもとにおける自衛隊のあり方、ことに民主主義の統制下における自衛隊の本質、こういう点につきましても遺憾のないような教育をいたしておるつもりでございまして、そういう教育の実施が非常に不徹底である、あるいは教育方針が本来のあるべき姿と異なっておるというふうなことによる民主主義教育の不徹底ということのないように、いろいろの面で配慮しながら教育を進めておるというのが現状でございます。

高田富之日本社会党

○高田小委員 いろいろ御説明がありましたが、現在の憲法に対する認識を深めるということについて特別に力を入れて、これはむしろ教育の基本だというような立場での教育は、私はおそらく行なわれていないのじゃないかと思うのです。この文書の中にもあるのですが、「戦後18年、国家防衛に関してはまことに奇妙な伝統的風潮が平和の名のもとに我国に浸透しつつある。」なんということを言っておるのです。いずれにいたしましても、全体を通じてそうですが、いまの憲法秩序に対してこれは守らなければならぬというような意識はおそらく私は取り上げていないのじゃないかという心配があるのです。第一、憲法の前文あるいは九条というものを自衛隊員にどうやって教え込みますか。一体どうやって教え込む努力をしているかということです。私は、憲法改正論が政界で、国民の間で、あるいは学者の間で論議されておるということは、これはやむを得ないことであるし、当然のことだと思いますけれども、防衛に当たらなければならぬ武器を持っておる自衛隊の中に、現憲法体制否定の考え方があるということになったら、これはたいへんなことなんですね。万一将来どういうように改正されるかというようなことは別としまして、現在の憲法下における自衛隊なんだということを徹底的に植えつけなかったら、これはたいへんなことになると思うのです。それが今度のこの中にもはっきりあらわれているのですよ。そういう点で、昔ならば、軍隊の教育は軍人に賜わりたる勅諭というものがあって、この軍人に賜わりたる勅諭からすべては発するので、そういう精神で教育しろという基本がぴしっとしておった。いまの自衛隊に対しては何でいくかというと、私は憲法だと思うのですよ。ところが憲法でいくと、自衛隊自体の自己否定なんだ。だから、それができないんじゃないか。できないから、結局現憲法体制に対する否定の勢力とならざるを得ない。現にアメリカは、早く憲法を改正しろ改正しろ、こう言ってきている。政府自体も、自主憲法に改定しようという意見がだいぶこのごろは自由民主党、与党の中にも強くなってきている。与党の方針にもはっきり出てきている。そういう中ですから、制服というものがこういうふうなことで反憲法体制的な思想を持ち、そしてそれが非常事態、どんな事態が起こるかわからない、そういうときにあるいはそういうものが行動にあらわれるようなことがあったらたいへんだ。だから、武装部隊であるだけに、平生から徹底した、国民にそういうことでの心配感を与えない、安心感を与えるだけの責任ある教育というものをやってもらわなければならぬ。その体制はいまないんじゃないかと思います。ですから、この点についてはやはり根本的に考え直しをこの機会にしてもらわなければならぬ。この点についての大臣のお考えをお聞きして、一応私の質問は、今回のところはこの程度にしておきたいと思います。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 ただいまの自衛隊は、特に武装をしておるのであるから、憲法を守るに最も忠実でなければならぬという意味の高田委員の御意見に対しましては、私ども深く傾聴し、また大いに今後反省もしなければならぬと考えます。今回の三矢図上研究の問題が国会で問題化されましてから、私が今日まで会いましていろいろと話し合った部隊の高級幹部は、口をそろえて、われわれは憲法を守らないとか、あるいは憲法を軽んずるとか、あるいは国会に関与するとか、そういう考え方は毛頭持っておらないのであって、いかにしてわれわれは憲法を守り、そうして民主政治下の民主体制下における防衛の任務をいかに果たすかということに神経質なくらい気を使っておるのであるというようなことが、あらゆる制服諸君と私との対談の中にあらわれたことでございまして、その後陸海空三幕僚監部の監部会同も、これは恒例的なものでございまするが、東京において行なわれまして、私はその会議にも出席いたし、そうしていままで全然長官が出たことはないそうでございまするが、私はこういう場合に長官と幕僚監部と懇談の機会をつくらなければならない、今度から長官も出ると私自身申し出まして、事務当局に手配をさせまして、晩の懇談会、会食会にも私陸海空とも出まして、食事をともにしながらいろいろと懇談をいたしましたが、これらを通じてみますると、彼らはそういう誤解を受けてまことに遺憾にたえない、われわれはそういうことを毛頭考えておりません、今後もちろんどこまでも憲法を守り、民主主義体制下のもとにおけるりっぱな自衛隊としての任務を尽くしていかなければならぬということに細心の注意を払っておりまするので、その点はどうぞ御理解をいただきたいと思います。  さりながら、いま高田委員の申されましたことは、私はこれはほんとうにわれわれとしても傾聴すべき御意見であり、あくまでも合憲下の自衛隊、合憲、合法であらねばならないということは今後さらにさらに十分注意をしていかなければならない、また反省もしていかなければならないと私ども痛感をいたしておる次第でございまして、教育の面等につきましても、教育局長は十分民主主義教育はいたしておりまするけれども、今後なおこれが徹底に万全を期したいと存じております。

松野頼三自由民主党

○松野小委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十四分散会

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