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48回国会衆議院1965/03/12

予算委員会防衛図上研究問題等に関する予算小委員会 第3号

発言数
90
登壇者
9
会派数
2
開催日
1965/03/12

会議録

松野頼三自由民主党

○松野小委員長 これより会議を開きます。  防衛図上研究問題等について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを順次許可いたします。江崎真澄君。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 昭和三十八年度統合防衛図上研究、すなわち三矢研究なる極秘文書が何者かの手によって防衛庁内から盗み出され、その盗まれたと思われる文書が社会党の岡田春夫君の手にわたりまして、先般来その内容が予算委員会において問題になったのであります。そして、この三矢研究なるものをめぐって自衛隊のあり方が問題になり、今日まで社会党の一方的な議論に終始してまいりました。そのため、国民に一種の不安と疑惑を与えていることは事実であります。われわれは、今日までしばしば審議の開会を要求したのでありますが、社会党の諸君は、この三矢研究の原文が出なければ審議には応じられないということで、われわれが、原文はなくても国民に向かって明らかにしたいと思う点、われわれの疑点等についてはいまだ一つも明らかにされておらないのであります。一昨十日小委員会に提出されました防衛庁側の文書によれば、この三矢研究なるものは、幕僚監部の一部の幕僚によって、一つの仮想のもとに非常事態に対処する自衛隊の指揮、運用及びこれに関連する問題の研究、いわばゼミナールを行なったものである、そうして、防衛庁においてはその内容に責任の持てるようなものではないということを明らかにされたのであります。  私は、この際お尋ねしたいのは、今日まで図上研究というこの種の研究は当然しばしば行なわれておったと思います。この図上演習というものは、防衛庁の文書にも多少あらわれてはおりまするが、具体的にどういう目的でどのようにして行なわれておるものか、また、従来はこれをどういうふうに取り扱ってきたか、こういった点を承りたいのであります。そうして、もう一点、図上演習のうちで、今回公にされた三矢研究というもの、これは一体どのようなものですか、格づけというか、防衛庁内における価値についても承りたいのであります。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 お答えを申し上げます。  図上演習なるものは、御承知のとおり、自衛隊の任務の一つといたしまして年々行なっておりまするが、毎年の図上演習の規模その他が同一というようなわけではございませんで、ただいま問題になっておりまするいわゆる三矢図上研究なるものは、例年行なっておるものよりは、人員構成その他においては多少大きい意味を持つ研究であったのでございます。  そこで、統合幕僚会議におきましては、陸海空の三自衛隊の部隊の統合的運用に関する諸問題を検討して、そしてまた、あわせて関係幕僚の識能の向上に資するため、毎年図上演習というものを行なっておるものでございまして、先ほど来申し上げますとおり、三矢研究はこの種の研究の一つとして行なわれたものであり、部隊の運用について図上演習の方式を用いて行ないましたが、これに対して審判、講評等を行なって、取りまとめと申しますか、一つの結論を出したものではないのでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 防衛庁には権威のある計画として、防衛庁長官も決裁をしたいわゆる年度統合防衛計画というものがあります。この年度防衛計画といま問題になっておる三矢研究とは一体どういう関係になるのか。提出の文書によりますと、直接的には関係がないということを言っておりますが、制服の幹部が約五カ月間——これは相当な日数であります。しかも、いま承れば、いつもの図上演習よりは大規模なものであるとの御説明であります。こうした研究の結果は、当然防衛庁として権威のある年度統合防衛計画の重要な参考資料として取り上げられると解するほうが常識だと思うのであります。その点は一体どうでしょう。具体的にひとつ承りたいと思います。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 いままでの図上研究において、ものによっては取り上げたものもあるのでありまするが、このいわゆる三矢図上研究のものにつきましては、しばしば申し上げておりますとおり、想定のもとに幕僚が研究をした答案をまとめただけということでございまして、これをどういう結論づけをしているか、そういう、各幕僚の意見を調整をして一本にまとめるとかというような作業の段階に至っておりませんので、この三矢図上研究は防衛計画に取り入れられてはいないのでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 全然取り入れられていない、そういうお話ですが、これは取り入れられていいのじゃないですか。これだけの研究の成果ならば、むしろ取り入れるべきだと思いますが、どうですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま年度の防衛計画あるいは年度の統合防衛計画との関連においての御質問でございます。私、長官を補佐する立場で防衛計画のほうを担当いたしますが、この年度の統合防衛計画というものは、昔で申しますといわゆる作戦計画に当たるものでございます。毎年その年度の始まります前の各自衛隊の能力というものを基礎にいたしまして、その年度にもし直接侵略あるいは間接侵略的な事態が起こった場合にはどの程度のことができるか、どういうことをするのかということを検討するのがこの年度の統合防衛計画、これを受けまして各自衛隊で計画を立てております。したがいまして、その年度の統合計画あるいは防衛計画というものは、先ほど申しました、昔でいいますと作戦計画とお考えいただいたらいいと思いますが、そういうものとの関連でございますと、これは先ほど大臣が御説明いたしましたように、三十八年の二月から六月まで相当長期にわたりまして統合幕僚会議事務局の幕僚あるいは各関係の幕僚が研究いたしましたものは、第二次計画が始まりました初年度及び二年度になるわけでございまして、いろいろと非常事態を想定しましての検討をした結果というものは、逐次取り入れられてくるものであろうと思います。しかし、その演習そのもの、あるいは研究そのものが直ちに当該年度の防衛計画に反映する、こういうものではないのであります。ひとつ、その点はそのように御了承願いたいと思います。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 そうすると、それは一つの作戦計画である、したがって、絶えず制服が頭を練り、自衛隊々運用する、機宜の措置等を訓練するもので、年度統合防衛計画には参考になるものがあれば取り上げるが、この三矢研究においては直接取り上げるものはなかった、という意味ですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 このことは、先般の参議院の予算委員会でも御説明いたしましたが、当時、御承知のように、第二次の防衛力整備計画の始まった年でございます。したがいまして、二次計画は四十一年度で終わるわけでございますが、四十一年度には、自主的な三自衛隊をもって一応の事態に対処したいということは当時考えられておりました。したがいまして、そういう非常事態の場合を想定いたしますと、一体どういうふうな問題があるだろうか、どういうふうな行動が考えられなければならないかということの研究をすることがこの三矢研究の目的でございますから、したがいまして、いま先生のおっしゃいましたように、結果的には取り入れられるものもあるわけでありますけれどもしかし、直ちには反映していない、こういうことでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 その点、よくわかりましたが、防衛庁提出の書類によりますと、この研究を実行するにあたって事前に内局に連絡があった。こういう研究には内局はいつもどういうふうに関係しているのですか。これは少し具体的に御説明願いたい。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 この種の研究というものが行なわれます場合には、当該研究を、あるいは演習を担当します班長なり課長なりが内局の関係の課長のところに、こういうことをやりたいと思う、ついてはどういうような点について考えたらよかろうかということを連絡するのが通例になっております。この三矢研究演習そのものは、先ほど大臣が申されましたように、相当大規模なものでございますし、わりに長期でございますので、今度こういうような演習をやってみたい、研究をやってみたいということの連絡が当時ございました。それで、毎年行なわれます図上研究のすべてについてそのような連絡があるわけではございません。ただ、御存じのように、毎年業務計画というものを長官が決定されます。その業務計画の中には、当該年度におきましてどのような演習が行なわれるか、あるいはどのような研究が行なわれるかということが記載してございますので、その業務計画の決定、決裁ということによりましては、内局の関係部局及び大臣は御存じになる、こういうことでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 いまの御説明でよくわかりましたが、内局に連絡があったということは、お答えがあったように、大臣も知っておった。その当時の防衛庁長官は志賀健次郎君ですが、志賀防衛庁長官も知っておった、こういうことですか、防衛庁長官。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 当時この種の研究を行なうということは、当時の林統幕議長から志賀長官に口頭で簡単な報告があったということは聞いております。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 当時の防衛庁長官はこの研究の行なわれることを承知しておった。先ごろ来小泉防衛庁長官が予算委員会で御答弁をなさったのによっても、先ほど来の説明によっても、防衛庁として責任の持てるものではないと言っておられますが、前の防衛庁長官はこのことが行なわれるのを知っておったと申します。そうすると、防衛庁として責任が持てるものではないという点と大臣が知っていたという点はどういうふうに解釈したらよろしいのですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 お答えを申し上げまするが、当時の長官は、こういう研究を行なうという統幕議長からの簡単な報告を聞いて了承をしておったのでございますが、その研究の内容については詳しく知悉していなかったのではないかと考えます。また、私が予算総会等で申し上げましたことは、研究はいたしましても、たびたび申し上げておりますとおりに、研究員各自の答案の集積でございますので、その答案をどういうふうにするかという段階にいっていませんので、防衛庁としては、いわゆる正式な書類でなく、正式な決定事項ではないという意味で、研究そのものは知っていたけれども、その研究の成果、内容等については責任を持てる段階のものではないと申し上げておるのでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 わかりました。なるほど制服が長い期間をかけて演習をやっても、防衛庁としてもこれを取り上げるもの取り上げないもの等いろいろあるという状況がはっきりいたしました。防衛庁として責任の持てないものであるという点もはっきりいたしました。そういうものを一々政府が表に出すということは、内容の性質上、国際的にも影響するところもありましょうし、誤解を招きやすいものだと思います。責任の持てない書類を、国会で要求があったからといって、政府が何の確信もなく無責任な書類を出すということはできない。立法府・行政府の立場で見解が異なることは当然あるはずです。したがって、出す必要はないという意見があります。そうかと思うと、ここまで問題が提起せられ、世間を騒がせた以上は、原文を出し、事を明らかにして、一方的な議論による国民の疑惑を払拭すべきだという意見もあります。社会党の諸君は、原文そのものを出さなければ一歩も審議には入らないと、強硬な態度で今日に至っております。先日来参議院においても、社会党から原文を出せと強い要求があるようであります。総理や防衛庁長官は、なおできるだけ資料については協力するというようなことを言っておられますが、一体原文は出せるのですか、出せないのですか。これははっきりと所信をおっしゃっておくことがいいと思います。防衛庁長官のお考えを承りたい。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 いまの御質問にもございますとおり、資料と申しますと、やはり防衛庁において責任の持てる正式の文書であるべきでありまして、私ども国会議員の常識といたしまして、国会の資料と名のつくものは、その官庁が責任の持てる資料というふうに解釈をいたしてきているのでございます。この三矢研究のいわゆる原本というものは、たびたび申し上げますように、各幕僚のそれぞれの答案、図上演練の集積でございますので、これが調整されてもいなければ、結論がつけられてもおりませんし、また、防衛庁が正式に決定した文書でもございませんので、こういうものを資料として出すことは他にもいろいろ影響がございまするし、また、これを資料として提出することによって、そういう決定がされていない正式でないものが防衛庁当局の正規の見解であるというような誤解を世間に与えてもなお困るのじゃないかということで、今日まで慎重に検討をしてきたわけでございまするが、先ほど来申し上げておりますような考え方から、この原本を資料として国会に提出することは適当ではない。さらにまた、先ほど江崎小委員の御質問の中にもございましたとおり、仮定の想定をしてそれに幕僚が答案を出したものであり、たとえ仮定のことであったといたしましても、及ぼす影響がいろいろ広範にわたるのでございますので、こういうものをば正式に資料として国会に提出することは、さらに誤解を生ずるというようなことも私ども憂えまして、最大限度国会の審議に御協力しなければならないという立場において、一昨日小委員会に提出いたしました、三矢図上研究なるものはかようなものであるというものを作成いたしまして、これを資料として御提出申し上げたわけでございます。参議院におきましても連日この問題が提起されまして、総合いたしますると、結局は、原本そのもの、いわゆる私どもが申しておりまする各幕僚の答案そのものをば全部出せ、かような要求でございますけれども、これは御提出申し上げるわけにはいかないという考え方といたして、御質問に対してこれを繰り返しお答え申し上げて今日の段階に至っておるような次第でございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 原文がなくても問題点は明らかにされておるのですし、先般要約された文書も出ておるのですから、質疑を続けることによって一つずつ疑問の点を明らかにしていくことは可能だと思います。早く審議を進めたいと自民党は主張してまいりましたが、社会党のいれられるところとなりませんでした。三矢研究は、一つの仮想に基く設問に対して思い思いに答案を書いた個人的性格の強いものである、したがって防衛庁として責任の持てるものでない、それを出せと言われても出せない、それはそれで私は一つのりっぱな主張だと思います。来年度予算の審議という重大問題を控えておる現実はわかるのですが、あなたの出せないといういまの議論も私は主張として堂々たるものだと思うのであります。遠慮せずに防衛庁は防衛庁としての立場を率直に主張されていいと思います。今後資料提出に協力されるといいますが、それはどの程度のことが考えられるのですか、この点……。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 委員会の審議にできる限りの御協力を申し上げるということは、総理大臣からもたびたび申し上げており、私も、その一つのあらわれとしてああいうような説明の資料を御提出申し上げたわけでございまするが、今後も委員の方々の御質疑に応じて、私どもは最大限この審議に御協力を申し上げるという立場で、お答えできる限り十分詳しく御説明を申し上げて、この三矢図上研究なるものの実体を明らかにしていきたいと考えておる次第でございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 出せないという防衛庁の立場はよく了解しました。しかし、その内容の全貌とおぼしきものが暴露されて、岡田君がたくみに国民をあおり立てられた結果、国民に疑惑を与えておることは事実です。  したがって、以下それらの若干について私お尋ねしたいと思います。三矢研究においては、政治の場で取り扱うべき問題について、たとえば臨時閣議の決定事項を問題として、それに答えを求めております。自衛官が部隊運用の前提としてある程度政治とか外交、経済の事項を想定することは、必要でありましょう。しかし、おのずとその必要には限度があると思います。岡田君の質問等によりまして、世間では、政治の場で取り扱うべき問題に制服がいろいろかってな計画をしている、これは制服の政治介入を意図するものだ、いわゆる作戦計画の範囲を逸脱しておるものだというような疑問があります。この点はどうですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 自衛隊の制服の諸君が、この三矢図上研究においては政治に介入する意図があるのではないかというような御質問もございまして、世上の一部に大きな疑惑を生じておることも承知いたしており、私は、この疑惑に対してはまことに遺憾であると考えておるのでございまするが、この三矢図上研究を行なった諸君並びに現在の自衛隊の諸君の間には、これがこういう問題になりましたことについては、自分らがさような政治に介入をするとか、あるいは憲法に抵触するものであるとかと、さような意図は毛頭ないのである、そういう疑惑が一部世上に流布されているごとはまことに遺憾にたえないと、彼らはむしろ自分らの研究がそういうふうに一部に伝えられたことにがく然といたしておるというのが事実でございまして、さような意思は毛頭なく、またそういうことは全然私どもは考えられないのでございまして、今後は、この研究の想定その他につきましても、長官が事前に慎重にこういうものをもって誤解を与えないように十分な指導をしなければならないということを私は考えておる次第でございます。  なおまた、詳しいことは政府委員から答弁をいたさせます。(「おかしいじゃないか、それはあるのかないのかわからない、そこをはっきりしないと」呼ぶ者あり)さようなことはございません。政治介入とか、そういう意図は全然ございません。

小幡久男防衛庁参事官(長官官房長)

○小幡政府委員 政治介入の計画があるかどうかという点につきまして、私からお答えいたします。  先般の衆議院では、閣議で決定されるべき政治の方針、行政措置が正規の自衛官によってつくられており、また国策要綱、国内体制の戦時編成及び国会に対する干渉事項が具体的に計画されているのは政治介入であると指摘されたわけであります。実際にその記録を調べてみますと、たとえば総動員体制につきましては、いささかも計画としては考えておりません。ただ、非常時における自衛隊の行動の前提条件として予想される事項についてその項目を列挙したのにとどまっております。また、一例をあげますと、たとえば経済政策につきましては、専門分野の今後の研究に期待したい旨を述べて、それぞれ権限ある機関において処理されることを期待しておるようなわけであります。また、いわゆる戦時諸法案と補正予算案の国会提出とその成立につきましては、即座に本会議において上程、可決させることを書いておるという御質問がございましたが、これは、御質問のあった議員から配付されました資料によりましても、即座に本会議に上程する等、国民の防衛意識を背景にしまして国会は政府の国策要綱の実施に協力する態勢で終始したとございまして、国会に対しまして立法を強制するかのごとき記述はございません。したがって、政治介入の意図ないし計画はございません。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 これは、さっき申し上げたように、岡田春夫君が一方的にあおり立てられた結果国民に疑惑があってはなりませんので、防衛庁長官はどう考えておられるのか、お聞きいたしたのであります。  そこで、私は次にシビリアンコントロールの問題についてお伺いいたしたい。政治介入はなかったと言われますが、今度の問題を契機にして、わが国のシビリアンコントロールが何となく危惧されております。自衛隊は、外に対しては直接、間接の侵略からわが国を守り、内に対しては国民のために民主主義を守る存在であります。その自衛隊は、国民の利益や意向に反しては何事も行なえないはずであります。独自の考えで暴走するようなことがありといたしますならば、それこそそれ自体、民主主義の破壊的行動といわなければなりません。本来シビリアンコントロールがしっかり確保されておれば、自衛隊が作戦計画としてどのような計画を持とうと、政府は、完全に自衛隊を押えておるのだという前提がありますから、国民に自衛隊の暴走を心配させることはありません。むしろはっきり安心感を与えることができます。そこにシビリアンコントロールの権威があります。近代民主主義国においては、政治が軍事に優先する制度をとっています。この制度のもとにおきましては、自衛隊に暴走の危険があるかないかというようなことは、自衛隊の問題としてよりもむしろ政治の問題であり、政治の責任であります。政治の無力こそ国民に危惧の念を与えるものだというも過言ではありません。たとえば、この文民優位の制度を早くから行なっておるアメリカにおきましては、ペンタゴンの権力は相当強いものがありますが、ホワイトハウスの統制力は、これを完全に掌中に収めております。それは、アメリカ市民の名において実に厳然たるものがあります。この際政府は、日本国民の名においてしっかりと自衛隊を統率し、自衛隊に対して責任を持つべきは、当然であります。そこで、三矢研究をめぐり社会党の一方的議論に終始したため、世間の一部に、これは自衛隊のクーデター計画につながる、一種のクーデター予備計画ではないか、というような疑惑もあります。社会党の諸君は、しきりにそういったことをいってあおり立てておられます。シビリアンコントロールについては、先般お出しになった文書にも確信のほどは見えておりますが、この際、防衛庁長官からはっきりこの点について伺いたいと思います。そうして、社会党の諸君が言われるように、暴走の心配があるのかないのか。そういう憂いがちょっとでもあれば、これはたいへんなことだと思います。その辺に対する防衛庁長官の考えをお示し願いたいのであります。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 わが自衛隊があくまでも文官優位の原則を貫かなければならないということは、いま江崎委員の申されたとおりでありまして、最も重大な問題であろうと思います。わが自衛隊は、今日、民主主義擁護を最も身上といたしまして、上官も部下を指導するに、常に民主主義の擁護というものを念として、細心の注意を払って教育をいたしておりますし、また隊員全体、あげて民主主義の体制のもとにおいて、日本の国防というものに全きを期さなければならぬと鋭意努力をいたしておるわけでございます。もちろん長官はじめ、このシビリアンコントロールという問題には常日ごろ最も重大な関心を払い、またこれは厳として今日までも行なわれておりますし、その点においてはいささかも心配がないということを私は断言ができるのであります。いわゆる三矢図上研究の問題が世上の問題になりましても、先ほども触れましたが、自衛官の諸君は、シビリアンコントロールの点において疑惑が持たれているとかなんとかということに対しては非常に驚いておりまして、彼らは、そういう政治介入とか、そういうような一連のことに対しましては、私どもから見ればむしろ神経過敏なくらいに非常な慎重を期しておるわけでございまして、さような懸念は断じてございません。今後また私どもは、責任を持って文官優位の原則を貫く、またクーデターなんということは、それこそ夢想だにもできないことでございまして、そういうことを行なおうと考えておるものは一人もおりませんし、そういうことが行なえるようないまの体制でもないということをここにはっきり申し上げて、一部にでも国民にそういう心配がありますることをひとつぜひとも解明をして、了解をしていただきたい。私ども、国民の一部にそういう心配があるととをきわめて遺憾に存じておるわけでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 非常に確信に満ちた御答弁であります。要するに、この自衛隊員の教育は民主主義に徹して行なわれておる。したがって、そういう暴走とか、ましてやクーデターなどというようなことは、社会党の諸君が何といわれようとないんだ、という趣旨はよくわかりました。そこで、この三矢研究というものができたいわゆるバックグラウンド、すなわち自衛隊員の心がまえ、また、自衛隊の民主主義教育というものはどういう形で行なわれておるか、これは、ひとつ確信のある資料を防衛庁からお出しいただきたい。いかがですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 ごもっともなことでございまして、なるほどそういう問題についてもぜひ国民の前に明らかにする上において、平常の自衛隊の教育の実態について検討いたしまして、資料として御提出を申し上げるものがあれば、早急に作成をして提出するよう検討をさせていただきます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 これはお願いをしておきます。  私は、このシビリアンコントロールの問題は、われわれ政治家たるものは、真剣にこの機会にシビリアンコントロールについて静かに反省しなければならぬと思います。それは、防衛庁提出の文書に見ましても、また防衛庁設置法に見ましても明らかにされておりますように、自衛隊というものは完全に国会の手におさめられております。自衛隊の行動については、重要な行動は国会が最終的にすべてを決定する仕組みになっております。この機会に真剣に自衛隊のあり方を再認識し、反省してみる必要があるというのはその点であります。過去政府及び私とも自民党におきましては、憲法九条へのこだわりもあったりしまして、自衛隊の実体を国民の前にはっきりとさらすことに勇気を欠いていなかったか。説明不足があったのではないか。これはわれわれ政府及び自民党の者は十分反省しなければならぬ問題だと思います。  たとえば今日の段階において、自分の国は自分の手で守るんだということは、国際的公理であります。その公理すら持ち合わせない国民があるということはまことに遺憾でありまして、これは、政府・自民党としての努力不足ではなかったか、という反省も出てくるのであります。自衛隊というものは、たとえば人間に自衛本能というものが与えられておるように、自衛のための軍隊であるならば、私どもは憲法以前の問題であると思います。自衛隊は文字どおり自衛隊としてあるならば、ちっとも遠慮の要らない存在であると考えております。しかし、何といっても国民に確固たる防衛意識がなかったり、自国の自衛隊の実態を十分知らなかったりしたのでは、そういう国民を背景に持っておったのではほんとうのシビリアンコントロールは育たないのではないか、もっともっと国民に対して防衛意識を徹底させる必要があると思うのであります。また社会党の諸君は、先ほどからいろいろ不規則発言をされますが、戦争の惨禍がたいへんなものであった敗戦の憂き目は、国民に耐えがたいものでありました。その虚脱状態を機会として、社会党は非武装中立というようなことを唱えて、国民を扇動してこられました。一体、社会党は、わが国に対しにわかに不正の侵略が行なわれたときに、どうして日本の安全を保障されようとするのか、具体的には一言もこれに触れておられません。今日では、大多数の国民は、社会党が主張しておられるあの中立論というものは一体正しいかどうかということを議論する前に、中立ということは可能か不可能かを知っています。このアジア地域に、大戦後のきわめて悲しい現象である分裂国家が三つもあって、そとでは争いが相次いで起こっている。その危険が日本に及ばないとだれが断言できるでしょう。それにもかかわらず社会党の諸君は、中立とかなんとかいっておられるが、中立、中立といっておれば平和に必ずつながるのだという具体論を私どもには一言も聞かせてくれません。具体論のない政治論というものは、これは、政治論として権威のないものだと思います。いつまでも社会党の諸君は自衛隊を否定しておられます。自衛隊を一体認めるのかどうか。これは、自分の国を自分の手で守るのか守らないのかということに即時つながる問題であります。自衛隊を頭から否定し、しかも、国防政策については何らの具体策も持ち合わせずに、この三矢研究の内容をとやこう議論せられても、国民やわれわれは何となくそらぞらしい感じがするのであります。こういうことが国民の防衛意識を混迷におとしいれておる。責任政党であるべき社会党のこの無責任さはなじらなければならないのであります。  こういう姿は、われわれ自民党においても社会党においても、防衛政策に関する限りその貧困と無責任のそしりを免れないと思います。だから、慎重に社会党の諸君も反省せられる必要があると思います。政府は、防衛意識の薄い国民を背後に持っておるのですから、もっともっと正しい防衛意識を徹底させる努力が必要だと思います。政府は、これを契機によほど決意を新たにしなければならぬと思います。政府のこれに対処する方途、決意といったものを率直に承りたいと思います。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 シビリアンコントロールの確立が国民全体の国防に対する正しい認識というものの最も基本的な問題であるということについては、私も同感でございまして、文官優位の原則というものは、国民全体の手によって守られなければならないことであるとも考えます。またいままでの自衛隊のあり方については、やはり正々堂々と国の平和を守り、国民の安全を守るために自衛隊というものが存在をいたし、また隊員の任務もそこにあるという崇高な任務に徹底をいたしまして、私は、正々堂々自衛隊は国民の前にその歩みを続けていかなければならぬということを、長官就任以来強調をいたしておる次第でございまして、今日までのところ、あるいは何と申しますか、一部の自衛隊の反対論者に遠慮する向きがあったとか、いろいろな点もございますが、これからはそういうことでなしに、やはり国民に深い理解と協力を求めて、自衛隊は国民とともにある、国民もまた自衛隊とともにあるのだ、国民と自衛隊はこん然一体のものであるという事実をば積み重ねていくことがいわゆる日本の国防と平和を全うするゆえんであるということを、常に私は訓辞の中にも申し上げて力説をしておるわけでございます。  今日私は、この三矢研究文書をめぐって文官優位の問題がさらに論議せられることは、たいへんけっこうなことだと思いまするが、また一面、この文官優位の原則に不安があるというような感じを持たれることを遺憾とし、御承知のとおり、予算はもちろん、一切の防衛計画、また人員一人ふやしますにも全部国会の御承認を得なければ今日自衛隊の活動ができないことは、国会議員である諸先生が最も御承知のとおりでございまして、私は、国会の権威を信ずる一国会議員といたしましても、文官優位というものはいささかもぐらついてはならないと確信をいたしておる次第でございます。  本問題の提起を契機といたしまして、この小委員会の場を通じて自衛隊の真の姿を披瀝さしていただき、また先生方のいろいろな疑惑の質問にもお答えをいたしまして、私は、この問題を契機として、ただいま江崎小委員が申されましたような、自衛隊は国民のものである、そうして国民が正しい理解をして、一そう国防意識が高揚さるるようなことに持っていきたいと衷心から願っておる次第でございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 確信に満ちた決意のほどを承りましてけっこうだと思います。シビリアンコントロールは、政治家や一握りの防衛文官の諸君が制服を統率するということだけではない、文民優位ということは当然国民優位であります。国民の意向や利益に反しては自衛隊は一歩も動けないことであります。政府は、もっともっと国の防衛や自衛隊の問題を率直に国民に理解させるようにしなければならぬと思います。われわれ政治家も、もちろんそれを推進しなければなりません。自衛隊は、直接的には政府が統率のもとに置き、間接的には当然国会が責任を持って国民に臨むものであります。シビリアンコントロールは、国民的な支持を背景にしてこそ完全であり、権威づけられるものであります。今後十分国民に向かって防衛認識を徹底させようという小泉防衛庁長官の決意を聞いて力強く思います。  社会党の諸君も、国の安全保障、国の防衛、わが国の独立と平和を守るという問題を真剣に考慮せられたいと思います。いつまでも非武装中立などという抽象論に低迷をせられずに、一歩を進めて自衛隊を認める、そうして、もっともっと自衛隊に深く立ち入って、三矢研究を大いに検討し、大いに論議しようということにならないものか、国防会議や自衛隊の内容にもっと深く立ち入って研究をされることこそ国民に忠実なゆえんだと思うのであります。一向そういうことには深い関心を示さず、自衛隊を全面的に否定し、空論の、架空の中立論で三矢研究に立ち向かわれても、声がどんなに大きくても国民はちゃんと知っております。そういうそらぞらしい議論には迷わされないと思います。この機会に、防衛庁長官は、いま御決意のように、防衛意識の高揚を推進するといわれるが、その方法について何か新たに閣内で提起をするとか、総理とはかって、こんなことでもしたらいいとか、何か抱負でもあればこの際承っておきたいと思います。いかがですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 あくまでも今後自衛隊のあり方というものを、一そう国民全体に理解をしていただき、協力をしていただきまして、そうして、日本の国防の万全を期さなければならないという重大責任を痛感するわけでございまして、国防会議その他等についても、私の乏しい体験の上から幾多改革をしていかなければならない、また充実をしていかなければならない面もあると考えておりまして、私見としては、総理に一、二、二人の間で私の一応の感じ方を申し上げたこともございまするが、本日は、この正式な小委員会でございますので、もっと具体案がまとまりましたならば表明をいたしますが、私は、大いに今後国民全体の自衛隊の任務完遂のために万遺憾なきを期するよう、いろいろな面において改革をしたり、また足らざるを充実していかなければならない面があると考えますので、こういう面に、これを契機として格段の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。

松野頼三自由民主党

○松野小委員長 本会議のため、この際暫時休憩いたします。    午後二時十分休憩      ————◇—————    午後四時二十七分開議

松野頼三自由民主党

○松野小委員長 休憩前に引き続き小委員会を開会いたします。  江崎君の質疑を続行いたします。江崎真澄君。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 休憩前にはシビリアンコントロールについて防衛庁長官の確固たる御信念のほどを聞いて力強く思ったのであります。さて、この三矢研究について、過日の予算委員会の席上すなわち二月十六日に三木喜夫委員に対しまして、防衛庁長官は内容について、用語の不適当な点、また内容の行き過ぎの点など大いに検討を要する、こういうことを言っておられますが、それは具体的にどういうことでありますか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 前回の予算総会の席上における私の答弁の意味は、政治家の申し上げまする政治的な仮想敵国という意味と、演習図上研究等における想定に基づく仮想敵国というものは、おのずから意味が違うのである。いわゆる国会において、総理大臣や防衛庁長官は従来ともたびたび仮想敵国はないということを答弁を申し上げたのでございまして、そういう意味の仮想敵国と、図上研究等に取り上げた演習上の想定による仮想敵国というものとは全然意味が違うのであって、もちろん仮想敵国という用語は不適当でありまするけれども、そう言う意味は、おのずから違いがあるということを申し上げたのであります。  私は、また社会党のほうの方から仮想敵国ということばがありましたので、それを引用しまして、いろいろな作戦演習に想定をする場合に、対象国を設定する必要があって、こういうことばがあらわれたのであろうというようなことを申したのでございます。もちろん先ほど来申し上げておりますとおり、国会における仮想敵国という政治家の発言とは全然意味が違うのでございまして、もちろんこういうことばが適当であるということは申しておりませんで、でき得ればこういうことばは不適当であるから、十分慎む必要があるという前提に立っての説明をいたしたのでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 いまの御説明で、なるほど政治の問題とは全然別の問題で、三矢研究は、あくまで図上演習、一つの仮定を設定して、いろいろな自衛隊の動き、すなわち、そのときどきの自衛隊をどう動かすか、というようなその場面場面、せつな的な問題に重点があって、あくまで使われている用語は政治的な意味は一つも含んでいないという御説明はよくわかりました。それでは、岡田君が、たとえば核兵器の米軍による持ち込みの了解などの問題をいろいろ質問されたのでありますが、これなどはどう解釈してよろしゅうございますか。いまあなたがおっしゃったとおりでよろしゅうございますね。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 あくまでも演習想定の上の対象物としての設定のことばに使われたものであると考えておるわけでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 要員確保の問題なども、想定の中に出ております。また、海外派兵の問題等、これらは、すべて政府及び自民党においては従来はっきりとした方向が打ち出されておる、政策的には確立されておる問題であります。これらはどういうふうに触れておるのか。いまの御説明では簡単な一つの仮想に基づいたものというふうに承りますが、その辺はどうでありますか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 このことに関しまして記述がございますので、政府委員から詳しく答弁をいたさせます。

小幡久男防衛庁参事官(長官官房長)

○小幡政府委員 まず最初に要員の確保に関する問題でございますが、この答案の中では、要員の確保の記述はございますが、そのための強制措置につきましては、当面これを保留しておりまして、情勢の推移に応じまして決定すると記述しております。なお、解答者自身がその説明の中で、現行憲法の範囲では強制措置については疑義があるとしておりまして、国民の防衛意識を高揚することが可能ならば、人員確保の強制措置も当面は不要であろうし、これが不可能ならば、強制措置を行なっても真の国家防衛力とはならない旨を述べておりまして、明確な記述はなくてわりあい慎重に扱っておると思われます。  それから、なお核兵器につきましては、答案の中でも、状況真にやむを得なくなった場合におきまして米軍の核兵器を持ち込むかどうかについての記述が若干ございますが、これを認めるかどうかは政府の決定すべき事項であるといたしまして、最高の政治判断にまつことにしております。政府は、従来米軍の核兵器持ち込みは認めないと言明しておりますので、この種の問題については、たとえ仮定でありましても、私は、慎重に取り扱ったほうがよかったというふうに考えております。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 やはり誤解を受けるような問題に言及した点については、今後十分戒められることが必要だと考えます。いまのお話で、根深い意向を持ってのものでないということは私どもも了解できるのであります。しかし、今日の政府機関においていま触れたような問題が研究されないから、だれもきめてくれないから、われわれがやったんだというようなもし自負心があるとしたら、これは大きな誤りだと考えるものであります。そこで、今後この種の研究について取り扱い上改善する必要は当然あると思うのですが、その辺の心がまえについて防衛庁長官及び政府委員の諸君から御意見を承りたい。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 先ほど、この三矢図上研究なるものを当時の長官が知っておったのかという御質問に対して私が答えましたのは、大体の研究をするということを口頭できわめて簡単に統幕議長から報告を受けておったにすぎないという意味のことを申し上げたのでございますが、ただいま江崎小委員からの御質問にもありますとおり、こういう問題は誤解を受けないように、きわめて慎重に対処する必要があるということを痛感いたしておる際でもございますし、私は、今後はやはり想定の出し方、あるいはそういう答案等に対しましても、長官が直接詳しく事情を聴取をいたし、そうしてできるだけ細部にわたって指示をするというようなことが肝要ではないかと考え、今後は、年度ごとに恒例に行なわれる幕僚の図上演習であっても、できるだけ事こまかに、慎重を期して報告を受け、指示も与えていかなければならないと考えて、今後万遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。

小幡久男防衛庁参事官(長官官房長)

○小幡政府委員 ただいま長官の申されたことに尽きるわけでございますが、このような図上研究は、年々部隊の運用のために各方面で、いろいろテーマは違いますが、やっておるわけでございます。今後、ただいま長官から申しましたように、だからといってどこまでも限度がないというものでもございませんので、事案の性質に応じまして、事の軽重によりまして、重いものほど上がよく知っておるという体制をつくるように長官の指導を受けてやっていきたいと思っております。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 三矢研究のような図上研究を今年度やりましたか。また来年度においてやる計画はありますか。

島田豊防衛庁参事官(教育局長)

○島田(豊)政府委員 本年度は、この図上研究は二回実施しております。一回は五月、七月、それぞれ二日間行ないました。二回目は七月と十一月、これもそれぞれ二日間ということでございまして、内容は世界情勢に関する長期的な見積もりを内容といたしております。最初の第一回は、統幕並びに各幕の幕僚六名が加わっております。第二回目は十八名。なお来年度の予定につきましてはまだ明白にきまっておりませんが、大体三回程度行なうという予定であります。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 用語が不適当であった、また内容において多少行き過ぎもあった、こういうような経験は、過去の図上演習を含めて今回が初めてですか、どうです。また、ほかにも機密が漏洩して用語上問題が起こるというようなことはありませんですね。この点はいかがですか。

小幡久男防衛庁参事官(長官官房長)

○小幡政府委員 私の知っている範囲におきましては今回が初めてでございまして、その他いろいろ国会で問題になりましたのが二、三件ございます。これは、いずれも個人のほんとうのメモがわりのものが問題にされたことはございますが、このような図上研究では今回が初めてであると考えております。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 図上演習はしばしば行なわれている。しかし、今回のものは仮想のもととはいえ、重大な問題を想定に含めております。いま防衛庁長官も、ことばの行き過ぎや、内容においても誤解を受けるような点については今後十分注意をしていきたいと言っておられます。そうしていただきたいものです。しかし、制服は制服としてその任務に忠実であれば、絶えずいかなる相手からにわかの侵略を受けることがあるかしれないという想定のもとに、わが日本国民を守るために十分自衛の策を研究することは必要です。そうでなければ、自衛隊信ずるに足らずということになりかねません。用語とか想定については今後御注意いただかなければなりませんが、だんだん承った次第では、制服の諸君がたいへんな行き過ぎをおかし、政府として処罰をしなければならぬという社会党の諸君が言われるようなことは全然必要ないと私たちは了解するものであります。防衛庁長官はどう思われますか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 いままで私どもがこの問題について検討いたしました点においては、先ほど来申し上げておるとおり想定の出し方その他用語等には不適当なものもございまするが、その研究をやったそのこと自体というものは、いわゆる自衛隊の任務の上に熱心な研究を続けたということでございまして、これを処罰するとかいうようなことは、今日の段階において考えられることではなく、やはりこの自衛隊法を何ら逸脱したものではない。ただ、将来にわたっては、一部用語の不適当の点がありまして、これは大いに戒心を要し、また注意をしてこういうことがないようにしていかなければならないという点は考えておるようなわけでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 いま御答弁のありましたように、図上研究をはじめ、その他の運営においても運営上の御注意を十分願っておきたいと思います。また、今回こういう問題が起きたことに関連して、われわれ政治家は、国の防衛ということをいささかもなおざりにしてはならぬと思います。私はさっきも触れたのですが、社会党におかれては日本の安全保障ということについて責任のある回答がありません。この際、われわれ政治家の責任も厳粛に反省しなければならぬと思っております。  そこで、私は次にお尋ね申し上げたいのでありますが、防衛庁長官が責任を持つことのできないほんの想定問答程度のものであったとはいいながら、文書の性質上極秘文書であったことはもちろんであろうと思います。極秘文書が当事者以外の手に渡ったというとと、これは重大な問題であります。機密保全の観点から、今回の秘密文書漏洩について一体どういう処置をしておるのか、調査状況はどうなのか、その点はっきり承っておきたい。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 この種の庁内において機密文書とされておるものが部外に漏洩をしたということにつきましては、私ども当局者として全く何とも申しわけないことでございまして、将来こういう問題について、この絶滅を期すべく私がさっそく指示いたしまして、次官を委員長とする秘密保全の対策委員会を設置せしめまして、どういうふうにしたらこういうことがないように今後絶滅をすることができるかということで鋭意検討を進めておるのでございます。また、いわゆるこの三矢研究文書の漏洩そのものにつきましては、目下厳重な調査を続けておるのでございまするが、今日の段階においては、まだ的確な御報告を申し上げるところまで参っておりません。もちろんこれが明確になりますると、自衛隊法の規定によりまして厳重に処分をしなければならないと考えておるわけでございます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 調査の結果責任者が出た場合には、自衛隊法に基づいて厳重に処置する、これは、綱紀粛正の点からいってもそうあってしかるべきだと思います。また、今後そういうことを二度と繰り返してはなりません。調査の結果漏洩経路がはっきりしたとき直接の対象者を処分することは、御答弁ではっきりしたわけでありますが、その場合、シビリアンコントロールという制度下においては、やはり文官にも責任があるのではないか。処分について文官をどう扱うのか、この点についても承っておきたいと思います。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 先ほどいわゆる三矢図上研究の文書につきまして、事実が明らかになりますれば自衛隊法に照らして厳重に処分すると申しましたが、もちろん自衛官だけではございません、内局においてもそういう秘密漏洩に至るような事実が上がりますれば、同様厳重な処罰をしなければならないことは当然であろうと存じます。

江崎真澄自由民主党

○江崎小委員 こういう問題は、やはり政府全般に影響する問題であります。何も防衛庁に限ったことではありません。外務省などにも起り得ることでしょうし、十分秘密漏洩の経路を調査し、責任の所在を明らかにして、こういう失敗を繰り返してはなりません。こういう文書が世間に無責任に出されますと、国際的にも誤解を受けやすいのであります。ぜひ十分注意せられることを喚起いたしておきたいと思います。  私は、自衛隊が警察予備隊として発足して以来、きわめてじみちに、しかも誠実に成長を遂げてきたことを認めておるものであります。自衛隊の諸君は、日本の平和と独立を守る青年隊としての歩みをしっかり真剣に歩み続けております。私は、自衛隊に関しまして自分なりの一つの考え方を持っております。  たとえば、われわれの目に虫が飛び込もうとすると、私たちの目は反射的にぱっと虫が飛び込まないように目を閉じます。またボールのような大きなものが外から飛んできますと、何らそこで意識しなくても直前に反射神経はこのボールを手ではねるのであります。これは人間に与えられたいわゆる一種の自衛動作、いうところの自衛本能に発するものであろうと考えます。自衛隊は、われわれ九千万国民の自衛本能体です。日本の自衛本能機関、こういった形で存在するのが自衛隊だ。自衛隊は、すなわち国家のまぶたであり手である。人間そのものに与えられた自衛本能は、当然憲法以前のものであります。自衛隊はあくまで自衛のために存在する戦力である限り、その必要をだれしも否定することはできないものだと思います。これは、憲法以前の当然の存在だというふうに確信をもって言い切ることができるのであります。私は、この自衛隊を手にたとえたのでありまするが、この手が相手をなぐりつける手であってはなりません。それは、政治家が国民に責任を持って規制する厳粛な問題であります。過去にはなぐりつける手であった。だから、またなぐりつける手になるのではないか、そして、またなぐり合いが始まるのではなかろうか、これは想像できる問題だと思います。しかし、絶対なぐる手にはしないという保障をわれわれ政治家がするのでなければなりません。防衛庁の文民優位、シビリアンコントロール本然の姿勢が要請されるのであります。政府としても、確固たる信念のほどを先ほど来私の質疑に対して披瀝せられたのでありますが、われわれ政治家も、これは政府だけにまかせるべきことではなく、政府と一体となって責任を持つもので、国民に十分防衛意識を徹底させて、国民とともに自衛隊を管理するというか、自衛隊をしっかり握っていく、統率していくということでなければならないと考えるのであります。私は、重ねて、社会党の諸君全員御出席でありますから、率直に申し上げたいのですが、社会党はいつまでたっても自衛隊廃止論から一歩も出ようとされません。しかも非武装、中立という、先ほども率直に申し上げましたように、不可能なまぼろしのような政策に低迷しておられます。国民がなるほどと納得するような、日本の安全保障について具体的な政策をお示しにならないのであります。毎年毎年内閣委員会を通じて、また今国会でも自衛隊設置法の一部改正法律案とかいろいろな法案を審議せられておりますが、今日までの自衛隊の厳然たる既成事実、これを社会党の諸君は率直に認めようとされません。率直にこの厳然たる既成事実の上に立って、自衛隊に不満があるなら自衛隊に対して大いに不満を議論せられて一向差しつかえないと思います。あるいは防衛予算の問題、国防会議のあり方、そしていま議論になっておりますシビリアンコントロールの問題等に真剣に取り組んでいかれる必要があるんじゃないか。野党としては、そこに当然の責任があると思うのであります。初めから自衛隊を否定してかかり、自衛隊の欠陥をつかれても、それは権威のない議論であると言わなければなりません。どんなに三矢問題を取り上げて深刻ぶって国民をあおり立てようとなさっても、自衛隊を否定し、しかも非武装、中立論だけでは、もう国民の大多数はだまされないのです。そんなことでは何の権威もくそもないということを社会党の諸君に申し上げたいのであります。そのことがはっきりすれば、わが国の防衛問題に確固たる方向づけができることであるし、シビリアンコントロールがほんとうにわが国においても国民のものになるのだというふうに考えるのであります。この点は、社会党の諸君の無責任な、あおり立てるような議論に対して私は、御忠告を申し上げたいのであります。私どもは、政府と一致してもっともっと国民に防衛意識を徹底させ、防衛意識を高揚させるべきだと思います。そして、国民と一緒に自衛隊をどうあらしむるべきかを考えてゆくべきです。純真な自衛隊が、着実な一歩一歩を歩んでくれることを心から希望いたしまして一応の質疑を打ち切りたいと思います。

松野頼三自由民主党

○松野小委員長 続いて発言の通告がございます。石橋政嗣君。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 岡田議員の発表いたしました三矢研究なるものが国民の重大な関心を呼んで、また非常に大きな疑惑の的となっておることはもうおおい隠すことのできない事実だろうと思います。これに対して、先ほど来、自民党の江崎議員が社会党の一方的な宣伝によるものだというようなことをおっしゃっておりますけれども、これは事の真相をいまだに把握しておられないことばではないかと実は思っております。ほんとうにこの問題を虚心な立場で受けとめるならば、一番最初に予算委員会で岡田議員から発言がありましたときに受けましたショック、これを当然受けると私は思う。佐藤総理においてすら、あのときに、はっきりとそういう態度を示しておりますし、この解明には全力を尽くしたい、その点では、社会党の協力もいただきたいとすら言っておるわけです。こういった基本的な態度が、その後、時日を経過するにつれてゆがめられていったことは、まことに私は残念だと思います。政府がいまだに私たちの要求いたしております資料そのものを出そうとしないということも、一そう国民の疑惑を深める原因になっておると思う。したがって、私たちは真相の解明のために、今後とも予算委員会の理事会で確認をし、あるいはまた書記長・幹事長会談の際に確認されました線に沿いまして、引き続き資料の提出を要求し続けることを最初に申し上げておきたいと思います。その点について大臣としても全面的に誠意ある態度で協力をしていただきたいと思いますが、そういう態度をお持ちになっておるかどうか。その点を最初にお尋ねしておきます。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 政府におきましてたびたび申し上げておりますとおり、この小委員会を通じて事態を解明をしていきたい、社会党の方々にも御協力をいただきたいと総理が申されましたが、私の考えも同じでございまして、われわれはできるだけこの小委員会を通じて実態を明らかにすることに努力をする。また現に御協力をいただいてこの審議を進めていただいておるわけでございます。そこで資料の問題でございまするが、たびたびあらゆる委員会において繰り返し申し上げておりますとおり、御要求の資料というものは、国会でいういわゆる資料と名づくべきものではない、これは提出いたしかねるということで、本委員会に先般提出いたしましたものをば作成をして資料として御審議を願っておるわけでございまして、これが、防衛庁といたしましては資料の面においては最大限の努力の結果であるということをば御了承をいただきたいのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 まことに心外な答弁です。しかし、この点はここでまたむし返しましても少しも前に進みませんから、いま申し上げましたように、社会党の立場におきまして今後とも引き続き資料の提出を要求し続けるということを申し上げるにとどめたいと思う。  十日の日に出されました、昭和三十八年度統合防衛図上研究(三矢研究について)というもの、これが、いまお聞きすると最大限のものだというようなことを言っておりますが、研究の内容が一体どこに書いてありますか。千四百十九ページ、五分冊という三矢研究の資料が、この中に何万分の一が入っておるというのです。全然これは関係のないものです。いわば弁明書じゃありませんか。そういうものを出しておいて、これで最大限の協力だ、そういう態度で本委員会に臨まれましても、この小委員会がつくられた目的を果たすことは、私はできないと思います。これは、単に野党という立場ではなくて、与党の諸君をも含めて、なぜ小委員会ができたかという根源にさかのぼっていま一度考えなければならぬ問題だと思う。制服の諸君が逸脱行為をやった。このことは政府側も与党の諸君も内心では認めておられます。それにもかかわらず、極力これを秘匿しよう、そうして弁護、擁護につとめる。こういう態度をおとりになっておられれば、私は長い将来にわたってたいへんな悔いを残すことになると思う。政府与党の立場から言いますと、一時的には確かにマイナスかもしれません。しかし、そういう現状を何とか糊塗するというような態度で臨まれますと、一時的なマイナスで済まないと思う。私は、ある意味においては災いを転じてしあわせとなす、そういう考えをいまこそ持たなければならないのではないかというふうに考えております。しかし、先ほど申し上げたように、このことだけで時間をとるつもりはございません。さしあたり出されましたこの弁明書を中心に私は質問をしてみたいと思います。  三矢研究の内容については、これから先相当の期間をとって十分にやりたいと思います。先ほどの大臣の答弁、あるいはこの文書を読んでみましたら、こういった研究は従来も引き続いてやっているのだ、ただ三十八年のいわゆる三矢研究と称せられるこの研究は、従来のものに比べて非常に規模の大きなものであった、参加人員も多かった、期間も長かった、こういうふうな御説明があったわけですが、私は、この研究というものについて、何のために研究をするのかということをまず考えてみたいのです。頭のトレーニングなんというふざけたことばは使ってもらいたくないのです。空想とか妄想とか、こういうことはある意味において隊員の諸君を侮辱したことばにもなると思いますし、国民の側から考えていけば国費の乱費ということになります。不謹慎なことばだと思います。一体、何のために研究をするのか、訓練をするのか、やはり目的がなくちゃならぬ。具体的に言えば、この中でも盛られておりますように、防衛計画の作成のために基礎作業としてやる、こういうことがやはり柱にあると思う。そういう目的なしに研究や訓練が行なわれるはずはないと思う。もう一つ、実際にでき上がっておる防衛計画をさらにこまかに具体化するという場合もあるでしょう、研究訓練という場合に。いずれにしても、何らかの正当な目的というものがあって、そうして訓練が行なわれ研究が行なわれる、こういうものでなくちゃならぬと思う。この点はちょっと江崎委員が触れておりましたが、いいところを質問しよると思っておったら、いつの間にかしり切れトンボになってしまった。これに対してあなたは、従来は確かに年度総合防衛計画というものに取り上げるという場合があったけれども、三矢研究に関しては全然取り上げておりませんと答えました。これに対して防衛局長は、一部取り上げておる、こう言いました。私は、防衛局長の言っているのがほんとうだと思う。しかし、そのことの前に、明確に食い違っている答弁を統一していただきたい。どちらがほんとうなんですか。間違っているほうがあやまって取り消してください。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 もちろん研究は、部隊の運用のためにいろいろな場合を想定をして研究をいたすのでございまして、全然目的がないというわけではございませんが、それがまた直ちにいま石橋小委員が申されたとおり防衛計画に直接結びつくものではないという意味でありまして、現に、先ほど来申し上げますとおり、これは幕僚の研究であって、その各幕僚の意見の相違点等をば調整をし、決定をし、正式見解として防衛庁が責任を持って決裁をしたものでもない、そういうことでございますから、それが何年かの間にはその中にありました研究の一部が将来の計画に織り込まれることもございましょうし、また、いままでかつての研究においても、織り込まれた部分もあれば、全然織り込まれていない部分もあることは、これはもうだれしも常識上考えられることであります。だから、私がこの三矢研究について申し上げたことは、このこと自体が直接防衛計画には取り上げられていないということを申し上げたのでありまして、将来この中のあるいは一部でもまた取り上げられるというようなことがあるかもしれませんが、これが直接正式の防衛庁の見解として防衛計画に当てはめられてはいないという意味の答弁をいたしたのでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 それではおかしいですね。防衛局長は明らかに一部は取り上げられておると言っておりますよ。そうではないのですか。それではもう一回言ってください。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 私の答えと大臣のお答えとが矛盾しておるようなお尋ねでございますが、私が申し上げましたのも、ただいま大臣から御説明があったと同じ趣旨と私は理解しております。先ほど私は一部ということは申し上げなかったつもりでございまして、直接には取り上げられていない、しかし、そういう研究の結果は結果としてあるいは間接的には取り入れられることがある、こういう直接間接という表現で言ったと記憶しております。これは、速記録を見た上でまたあらためてお答えさせていただきますが、一部ということばは使っておらぬつもりであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 大臣が言ったあとで局長がまた違った見解を述べるわけにはいかぬでしょう。しかし、先ほどはわりかたすなおな答えをしているのですよ。全然これが防衛計画の中に入れられてないというような立場で、そういうニュアンスであなたはお答えになっておりません。そしてまた、それが当然なんだと私は思うのです。全然あとで生かされもしないような研究などというものがありますか。そんな遊びの時間というものは与えられないはずです。先ほど申し上げたように、やはり衆知をしぼって——自衛隊の中ではほとんど優秀な頭脳の持ち主なんでしょう。そういう人たちが五カ月もかかっていろいろな立場から論じて——正しいか正しくないか、いいか悪いかは別ですよ。その中で何も取り上げられない、全部くだらぬ議論だった、観念論だった、そんなばかなことを国民が信じますか。中には逸脱もある、よろしくない面もある、しかし、なかなかいいところがある、この部分はこういうふうに織り込んでいこう、こうして初めて五カ月間という歳月と労働と、そして国費が生きてくるのじゃないですか。長い間一生懸命に議論をして、それが全部葬り去られた、こんなばかなことを言うから国民は黙っておらないのですよ。  それでは大臣にお尋ねしますけれども、従来は取り上げられたこともある、三十八年度の三矢計画なるものだけは全然取り上げられなかった、あなたはこういうお答えをしておられますが、その取り上げるとか取り上げないとか、取捨選択は一体どこでやるのですか。防衛庁のどの部局でやるのですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 これが防衛庁の正式決定になりまして、その決定の中から取り上げられるものも将来出てくるかもしれませんが、いままでのところでは何ら正式の決定をいたしておりませんから、私は取り上げられていないと申し上げたのであります。世の中にいろいろな研究がございます。もちろんその研究が将来実を結ぶこともある。あるいは薬の問題、機械の問題、たくさんのものが研究をされます。しかし、研究したものが全部が全部何らかその具体的な形をとってあらわれるということだけではない。研究の途中において、もうそれはそのままになって、別に具体的な問題として世の中にあらわれてこないという研究もたくさんあるわけでございまして、やはりこの図上研究の中でも、ただ研究のしっぱなしというようなことになっておるものも、いままでも私はたくさんあると常識上考えます。また、この三矢図上研究においても、将来この中の一部分が、あるいはこれから取り上げられたということにならないにいたしましても、結果から見ると、照合すると、この中にあると同じようなことが将来取り上げられたというような結果を生むかもしれませんけれども、そういう意味において、私は、三矢図上研究なるものは、いままでこれは研究のレポートとして集成はされておるけれども、これが正式決定をされ、この中の幾つかが正式な防衛庁の見解として採用をされて、それが防衛計画に取り上げられておるものではないということでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 決裁があったとかなかったというような、そういう問題じゃないのです。先ほどの答弁の中には、講評もなかった、こういう無責任なことをおっしゃっていますけれども、演習、訓練、研究なんというものをやって講評もないというようなことがほんとうに常識としてあり得ますか。何と弁明されようと、それじゃ研究のしっぱなしじゃないですか。  それじゃ、ちょっと立場を、表現を変えてお尋ねいたしましょう。三矢研究なるものを実施した責任部局はどこなんですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 政府委員から答弁をいたさせます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 ちょっと待ってください。あなた、これだけの重大な問題になっていることを、一体防衛庁のだれが責任を持ってやっているのかわからないのですか。しかも、毎年やっているというじゃないですか。その程度のことが政府委員に聞かなければわかりませんか。大臣、なんですか、それとも防衛局なんですか、統幕なんですか。私はこの三つしか考えられないのですが、どこの責任でやっているのです。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 三矢図上研究のことは、私の在任時代のことではございませんから明確な答弁を差し控えたわけでございますが、一般の図上研究というものは、統幕の事務局でやっておると私は承知をいたしております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 統幕の事務局がどういう権限に基づいてやりますか。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 先生御承知のように、統合幕僚会議に関連いたしまして、防衛庁設置法の第二十六条の一項一号には「統合防衛計画の作成及び幕僚監部の作成する防衛計画の調整に関すること。」、あるいは四号におきましては、「出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合調整に関すること。」というような事項があるわけでございます。統合幕僚会議の事務を、第二十八条で、「統合幕僚会議に、事務局を置く。」といたしまして、事務局においては統合幕僚会議の事務をつかさどるということになっておるわけであります。この統幕の長官に対する補佐の仕事を事務局が事務として行なっておるわけでありまして、この事務局長が、今回の研究にあたりましてはいわゆる統裁官という資格において、これらの統合的な見地から、一つのいわゆる幕僚研究と申しますか、そういう見地から、研究訓練をした、こういうことでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 長々とおっしゃいましたけれども、根拠法規は二十六条しかないのです。あなたは統合幕僚会議の責任だ、こう言いたいわけでしょう。法律に基づけばほかにないのだから、二十六条の統合幕僚会議の所掌事務を引用されましたね。しかも、この一号と四号を述べられましたが、この三矢研究なるものが一号と四号のどこに該当するのですか。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 統合幕僚会議といたしましては、こういう統合防衛計画の作成とか、あるいは幕僚監部の防衛計画の調整に関するという長官の補佐の仕事があるわけですね。それから、四号でありますと、出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本とか、統合調整に関するという機能を持っておるわけであります。この機能を事務局としては事務屋として補佐をするという立場に立っておるわけであります。したがって、それらの機能が十分達成できるように、これらに携わる幕僚の識能と申しますか、そういうものの向上をはかるということは当然やっていいことではないか、こういうように考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 事務的な補佐とかなんとかということは要りませんよ。私が聞いているのは、公務員が法令に基づかずして仕事することはあり得ない。そうすると、根拠法規というものがなくちゃならぬ。これだけの膨大な作業をやっておられるのだから、何らかの根拠法規に基づいておやりになっているのだろう、そういう立場でお尋ねしている。あなたは二十六条の一項一号というものをあげておられる。読みますよ、私が。「統合防衛計画の作成」、いいですか、「統合防衛計画の作成」ですよ。「及び幕僚監部の作成する防衛計画の調整に関すること。」、四号は、「出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合調整に関すること。」、この項に基づいて三矢研究なるものが出てきているなら出てきていると、はっきり言っていただいてけっこうですよ。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 例示として一と四だけをあげたのでございますが、それ以外に、二号としましては、「統合後方補給計画の作成及び幕僚監部の作成する後方補給計画の調整に関すること。」というものがあるわけです。いずれにいたしましても、こういうところの部隊の運用に関する機能というものを統合幕僚会議というものは持っているわけでございます。さらに追加させていただきますと、自衛隊法の二十二条、統合部隊を設けましたときの長官の指揮命令に関する補佐というようなものも、統幕としては持っておるわけでございます。したがいまして、こうした統幕の機能を、統合幕僚会議の事務局としては事務的に補佐をするという職務を持っておるわけでございまして、この本来の統合幕僚会議の機能というものをよく達成するためには研究訓練をしておくことが必要である、こういう趣旨から、こういうふうに考えております。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 統幕の事務局が、統幕の権限に属する仕事をする場合に、それができるようにいろいろとおぜん立てをし、準備をし、研究をする。わかりますよ。根本はその権限のところだと私は言っているのです。いいですか。統幕が法律によって与えられている権限というのは、みんなこの計画なんです。統合防衛計画の作成ですよ。あなたがまたあとでつけ加えられたのも統合後方補給計画の作成ですよ。こういう権限を与えられている。だから、三矢研究がここから出ているということになれば、私が先ほどから言っているように、計画作成のための基礎作業だというふうな認識を持たざるを得ぬじゃないですか。これと離れた研究なんというのがありますか。どこにありますか。これはあなたに幾ら聞いたってだめですよ、あなたはごまかすだけだから。

麻生茂防衛庁参事官

○麻生政府委員 先ほど石橋委員から計画だけということでございましたが、四号には、先ほど最初に述べましたように、「出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合調整に関すること。」というのがあるわけでございます。それから、自衛隊法によって、統合部隊を設けた場合の指揮命令に関することという補佐の機能もあるわけであります。したがって、そういう統合幕僚会議の機能を補佐する事務部局として事務局があるわけでありますから、その事務部局の職員がその職責を十分達成できるように研究訓練を行なうということは、これは行なっていいのじゃないかと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 だから、何度も言うじゃないですか。四なら四でもかまわぬですよ。出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本を統合幕僚会議としてはやらなくちゃならぬ、定めておかなくちゃいかぬ、そのためには三矢計画というようなものが必要だ、ここから出てこなければならぬじゃないですか。これと離れて何の研究があるかと聞いているのですよ。そんなべらぼうなことはゆだねていませんよ、何もかも。明らかに統合幕僚会議が法令によって委任されておる権限に基づいて、そうして三矢計画も何も出てきておるじゃないですか。これを離れてあり得ない。どの条項を、どの項目をあなたが持ってこられようとも、どこかに関連があるわけです。統幕の権限に関連があるわけです。これを離れた研究なんてあり得ないですよ。これはもうあなたに聞かないと言っているのですから、大臣に聞きますよ。大臣が何度も何度も私たちが言っていることを否定されているのですから、防衛計画には関係がないのだと。採用しようと採用しまいとそんなことは問題ではないのだ。いままでの答弁の中には、先ほども申し上げましたように、頭のトレーニングだとか、あるいは隊員の空想だとか妄想だとか、そんなことを言っていますけれども、少なくとも統幕の事務局長が主宰して行なっている研究にそんな無責任な研究なんてありません。法令に基づいて、与えられた権限に基づいて任務遂行のためにやっているのです。そうすれば、与えられた権限というのは、先ほどから麻生さんが読んでいる二十六条しかないのです。全部ここに根を持ってくるのです。これを離れた訓練や研究がどうして許されますか。一号であろうと二号であろうと三号であろうと、みんなかまいません。いずれかに関連のある研究として行なう。当然じゃないですか。法令順守の義務を大臣以下全部持っているのです。この権限を離れて研究などというものはあり得ようはずがありません。いかがです。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 これは何らかの関連があるということは私もよくわかります。しかしながら、先ほど来申しましたとおり、すべての研究というものは必ずそういうものに結びつかなくちゃならぬというわけのものでもないし、世の中のあらゆる研究で、研究は研究でそのままで終わるものもあるのでございまして、これはあくまでも幕僚の識能の向上のために研究をやった。その三矢研究そのものがそういう目的に全部取り上げられるということはない。将来になって取り上げられる分もありましょうし、また研究は研究で終わる場合もあるということを私は申し上げておるのでありまして、この幕僚の識能の研究向上のためにも、やはりこれは一つの研究として役に立つことであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 何度も申し上げますように、統合幕僚会議としてはこれだけの権限を持っているわけです。法律によってゆだねられているのです。統合防衛計画をつくらなければならぬ、作成しなければならぬ、あるいは各幕僚監部のつくった防衛計画の調整をしなければならぬ。いいですか。あるいはまた、出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本をつくらなければならぬ。こういうものをつくるために研究をさせるのです。これと関係のない研究なんてないじゃないですか。それこそ遊びごとになるし、法令に基づかないかって気ままな作業ということになりますよ、勤務時間中にやっているのですから。そんなばかなことは許されない。あなたは、そういった点で、基本的な問題ですから考え方を改めていただかなくちゃならぬ。そうしなければ責任回避になりますよ。一体だれの責任で訓練を命じておるのか。そうして、その研究なり訓練なりの成果についてだれが講評をし、そうしてどこの部局でこれを取捨選択するか。責任の所在がはっきりあるはずなんです。これを私聞いているのですよ、ポイントを。何となく集まってわいわいがやがや五カ月間やっていたんじゃないんです。もちろん最高の責任は防衛庁長官にあり、内閣総理大臣にあるでしょう。しかし、そういった事務的な責任者というものはこの場合だれなのか。当然、先ほどの答弁の中にもございました、林統幕議長が志賀長官に、こういう訓練をやりたい、研究をやりたい、了解してもらいたいと通告し、志賀長官が了承を与えた。そういう段階をはっきりあなたはお述べになっている。法令から言っても、これは統合幕僚会議議長、この責任において行なわれた研究である、こういう結論が出てこなければならぬと思うのですが、そうじゃないですか。わいわいがやがやですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 統合幕僚会議議長の責任において研究がなされたことはそのとおりでございます。さりながら、その研究の結果というものを、先ほども申しておるとおり、講評もしておりませんし、結論を求めたわけでもございませんし、正式決定したわけでもございません。それが、広範な意味合いからはやはり将来のいろいろな計画の中に参考になるでありましょうけれども、このこと自体が直接防衛計画にいままでのところ取り入れられたものはないと私は申し上げたのでありまして、ただがやがやわいわいやって何の効もないじゃないかとおっしゃいますけれども、私は、こういう研究が、結論において取り上げられ正式決定されなくても、やはり幕僚のいろいろな識能の向上には役立つものであると、かように考えておるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 ただの一つも結論について採択もせぬような研究が、何が効力がありますか。全部は採用できなくとも、相当部分について有効な結論が出された、こういう場合に有効と言えるのです。あなたは、全面的に三矢研究については計画の中に取り入れられておらぬ、こう言っている。結論としてはどれ一つとして役に立つものはないということになりますよ。こんなばかなことがありますか。あなたは、それでも統合幕僚会議の議長の責任においてやったということだけはお認めになりました。私は分けて聞いているんです。初めは、この三矢研究の結果について年度統合防衛計画に取り入れられたものがございますか、こういう質問をしたら、ないと言う。常識として私は納得できないけれども、あなたがないと言って譲らぬから、それじゃちょっと角度を変えてお尋ねします、何一つ収穫のないような研究を一体だれの責任でやったのか、やらせた人は当然法令に準拠してやらせておるはずだが、一体その条文はどこなんですかと、こういうふうに今度は角度を変えて質問している。そうしたら、また前に戻る。何も採択されなかった、取り上げられなかったと言う。戻らないでください。私はわざわざ角度を変えて聞いているのだから。しかし、いま統幕の議長の責任だとお認めになりました。統幕が与えられている権限は、先ほど麻生参事官が言うように二十六条です。この二十六条一項の一号から七号まで、これを根拠法規として、この任務達成のために研究をやらした。ところが、無能だったのか、逸脱が激しかったのか知らぬけれども、何ら取り上げるものはなかった、こういう結果になるのですよ。そうじゃないですか。統幕が何もかもかってなことをやれるわけじゃないんです。全部法律に基づいて、自分の仕事を完全に果たすためにいろいろなことをやるんです。所掌事務に基づいて。一般事務とおっしゃいますけれども、それも与えられた任務を全うするためにやるのです。事のよしあしは別として、結果はどうあろうと、自分たちとしては、この任務を果たすために、いまこういう研究が必要である、こういう訓練が必要だ、そういうような形でやるわけなんです。(発言する者あり)ほんとうですね。冒頭申し上げたように、いま不規則発言もありますように、もう少し実のある委員会にしなくちゃいけないと思うのですよ。私は、ある意味においてはあなたたちに解明の場を与えているんですよ。江崎議員のごとく、おまえら一方的に宣伝をすると言うから、一方的に宣伝をしない。一つ一つ解明してください。解明の機会を与えていることにもなるんですよ。それならば国民が納得いくように責任と良心を持ってお答えいただきたいと思うのです。一時のがれはやめてもらいたいと思うのです。ここでごまかしさえすればどうにかなるという問題でもありません。私は、いまのところ、明らかになったら、そのことについてあとからどうしよう、こうしようという意図も持っておりません。やはり野党の立場でこの解明をしたい。われわれはわれわれの立場で解明をしたい。そして、あやまちがあるならば二度とこういうあやまちをしないように、そういうまじめな気持ちでやっているわけなのです。決して三矢計画なるものは観念の遊戯でもありません。頭のトレーニングでもございません。はっきりとこういう防衛計画を作成するための一段階としてやっているのです。これがすなおな見方です。それを否定することはできないじゃないですか。私は、いままで幾たびかの質疑応答を聞いている中でも、三矢計画なるものに防衛庁は責任が持てない、そういう責任の持てないものを国会に出すわけにいかぬ。こういう答弁が心外千万なんですよ。結果のよしあしは別として、彼らは彼らなりに任務達成のために——あなたたちもこれに書いていますよ。「任務を達成するために、常に有効な部隊の運用について各般の研究や教育訓練を行なっている。」と書いておきながら、今度あとのほうでは、「三矢研究は、この研究訓練の一つであって、年度統合防衛計画そのものとは全く別個のものである。」、こういう矛盾したことを平気で言っているのです。そうしておいて、責任が持てません、責任が持てませんものを国会に出すわけにはまいりません、こういうことを何度もおっしゃるから納得がいかないのです。あなた方が責任を持てないようなことをおやりになったら、これに対する当然のチェックが行なわれなくちゃならぬでしょう。訓戒の一つでもしましたか。こんな責任の持てないことをやってもらっちゃ困るという訓戒の一つもやりましたか。私は、きょうの場合はまだ懲戒とまでは言いません。しかし、訓戒の一つもやってないじゃないですか。あなたたちがこの国会で議員の質問に答える形で国民に言ったことを、片っ端から打ち消されて、うちの子供たちは無責任なことをやって困ります、責任が持てません、そんな逃げ口上で国民が納得しますか。責任の持てないようなことをやったら、なぜ君そんなことをやるのだ、君、佐藤内閣の、あるいは自民党内閣の基本的な政策を知っているのか、あるいは日本の憲法を知っているのか、こういう叱責が当然出てこなくちゃならぬじゃないですか。責任の持てないようなことをやらしておいて、そうして何らの訓戒も叱責もない、そういう態度が許されますか。その点について大臣にお尋ねします。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 先ほどから申し上げておるとおり、私は非常な誤解があると思いますが、研究そのものが、世の中のことは全部結実するものばかりではない。中には研究は研究で終わる場合もあり、また、それがずっと将来にわたってその中から一部分役立って成果をあげるものもある。ただ、成果があがらなければ、直ちにこれが防衛計画にでも織り込まれなければ何らか成果があった研究だとは言えないというふうに断定するのも私はどうかと考えているわけでございます。それで、三矢図上研究なるものは、やはり自衛隊が任務達成のために研究をいたしましたが、その最後の最終的な段階においては、これを正式決定をいたして防衛計画に取り組んだわけではないということを申しておるのでありまして、それが将来にわたっては、またこのある部分が参考になり、一つの資料になる場合もありましょうけれども、直接防衛計画にはこの三矢図上研究なるものを取り入れていないと申したのでございまして、私は、これが全部むだであってよけいな研究であったということは申しておらないのでございまして、いろいろなそういう図上の研究、演練をやることによって、やはり自衛隊の識能の向上に役立つ、ただ、結果においてこの三矢図上研究なるものを直ちに正式決定をして防衛計画に取り入れたものではないということでございまして、私は、石橋委員のお考えと根本においては何ら差はないというふうに考えておるわけであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 私が質問を先に進めたら前の答えをされるのです。いまの問題はお答えがないから、私は一応次の質問に移ったのです。それじゃやむを得ませんからもう一回戻りましょう。  とにかく、結果的にはいますぐ防衛計画に採用されなくとも、今後の将来においていつか採用される部分が出てくるであろう、こういうことはお認めになるのですね。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 それは、いろいろと広範な研究でございますから、あるいは将来そういうものの中から参考になって取り入れられる部面もあるかもしれないということは私も考えるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 あるかもしれないんじゃないのですよ。従来のそういう研究も後日随時防衛計画の中に取り入れられていている。この三矢研究においても、全部が取り上げられないかもしれぬけれども、逐次取り上げられていく、このほうがすなおですよ。将来にわたって全然取り上げられないということであれば、何のためにばく大な人員と費用をつぎ込んで五カ月間にわたって研究をしたのかと私は言っている。結果はどうあろうとも、少なくとも防衛計画策定のために必要な研究として、法律に基づいてやらしているのじゃないですか。そのことを聞いているわけなんです。だから、その最初の——それじゃもう一つ区切りをつけておいていただきたい。今後の防衛計画の中に生かされていく部分が三矢研究の中には当然出てくると考えるのが普通だと思いますが、いかがですか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 技術問題でございますので、私からお答えをいたしますことをお許しいただきます。  先ほどから問題にしておられますのは、三矢研究、石橋先生は計画とおっしゃっておりますが、私どもは三矢研究と言っておりますが、三矢研究の内容と年度の統合防衛計画と関係があるか、ないしは三矢研究の内容が年度の統合防衛計画に取り入れられるのかどうか、この二つの点が問題になっているように思うのであります。先生のお考えの筋をたどってまいりますと、当然にこの三矢研究の内容というものがその年度の統合防衛計画の中に反映しなければならないものだ、こういうおことばのように解釈するわけでございますが、(石橋小委員「年度はとってください」と呼ぶ)先生御存じのように、この統合防衛計画というのは毎年つくっておるわけであります。三矢研究の行なわれます前から、防衛庁としては毎年統合防衛計画を各幕は持っております。これは現につくっておるわけでございまして、先ほど江崎先生の御質問がございまして私申し上げましたように、本来の統合防衛計画というものは毎年すでにできております。   〔小委員長退席、西村(直)小委員長代理着席〕 この三矢研究の内容があそこに直ちに反映するようなものではないということは、先ほどから大臣が申されておる次第でございます。しかし、それでは何にも役に立たないことをやったのかという質問にまた返ってくるわけでございますが、そうではございません。先ほども申し上げましたように、第二次防衛力整備計画というものができまして、四十一年度には一応三自衛隊というものが自前の力でもって外敵の侵略に対抗するものになりたいということを政府としても決定したわけでございますので、一体自衛隊というものが年度のこの防衛計画等によりまして動いた場合どういうことになるだろうかということの研究、そういう面の問題点の把握ということは、これは常時やってしかるべきものだというわけでございます。それを、この三十八年度の統合図上演習におきましては、いろいろ具体的に起こりました事態というものを前提にしてものを考えていったということであります。ある意味では、従来考えておりました年度の統合防衛計画の筋が、はたしてこれでいいかどうか、それについてどういうものであるかということを検討したわけでございます。ただ、先ほど来大臣もお話がありましたように、これは先般も御説明いたしましたが、二十四の問題が出まして、その問題に対する解答というものは、たとえば海原なら海原という一佐が書きました答案は、みんながこれを審査したわけではございません。海原という男が出した答案はそのままの形で残っているわけでございます。したがいまして、全員が集まって、海原の書いた答案がいいかどうか、何点ぐらいつけられるかどうか、どこに問題があるかということは、実際やっておりません。したがいまして、先ほど大臣からも言われましたように、直ちに計画に取り入れるような形にはなっておらぬわけでございます。ただ、あらゆる状況下においていろいろと問題を考えて幕僚が答案を作成しても、その過程のいろいろ研究そのものに実は意味があるわけでございます。ただ、しかし、その結果は、先ほど大臣からも御説明しましたように、今後の計画を立案しますときに当然に取り入れられてくる面があるかというふうに感ずるわけでございます。しかし、この三矢研究の答案の内容が直ちにそのまま取り入れられるというものではない。この点を先ほど大臣が御説明になっているわけでございまして、私の御説明も全く同じ趣旨でございますので、ひとつこの点は、実体がそのようなものでございますから、三矢研究の内容は直接的に直ちに年度の統合防衛計画に反映されるものでなしに、またそういうものではない、しかし、この研究は、図演をやった結果は、各幕僚が真剣にものを考えた結果というものは当然にその職責の上に反映してくる、こういうふうに考えますことは決して矛盾ではないと考える次第ございまして、ひとつこの点は何とぞそのように御了承願いたいと思います。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 了承できませんよ、そういう常識はずれの答弁では。第一、各幕僚に想定を出して答解を求めるという、それだけだったら、五カ月間も何でグループをつくる必要がありますか。試験問題を一枚ずつやっておいて、答案を出せ、出したやつはそのままお蔵入り、そんな無責任な研究がございますか。明敏な頭脳の持ち主である防衛局長とも思われぬ、まさにごまかし答弁ですよ。しかも、将来の防衛計画に取り入れられるかもしれない、——かもしれないじゃないのです。この間出されたやつを見ても、三矢研究は防衛計画ではない、全然関係ないようなことばかり言おうとするから、私が問題にしておるのです。年度の統合防衛計画と言おうと、あるいはあなたの言うように第二次防衛計画と言おうと、とにかく防衛計画というものと離れた研究なんというものがあり得ようはずがないと言っているのです。結局、防衛計画というものをつくるために幕僚がいろいろと研究をする。もう一つの場合としては、冒頭申し上げたように、でき上がった計画に基づいて、それをさらにどういうふうに具体化していくか、どういう場合があるか、この場合はどうするか、こういう研究があり得るのであって、防衛計画を離れた研究などというものが、しかも、統幕の中で幕僚の人たちによって行なわれるなんということは、どんな詭弁を弄しても、われわれを納得させることができません。了承を求めますと言ったって、無理にここで了承すると言ってみたって、そんなことでは国民が納得しませんよ。それから、さらに私の質問は発展しているのです。先ほども、これはもうきょうだけではございません。三矢研究なるものには責任が持てないということを言う。政府として責任が持てないものをどうして国会に出せますか、こう言う。これが私にわからないのですよ。あなた方政府が責任が持てないようなことを、幕僚が集まって——あなた方に言わせれば個人的な答解かもしれませんが、われわれはグループの集団による研究に基づいた答解だと思います。解答だと思います。どっちにしてもけっこうです。とにかく政府の責任の持てないようなものを討議したり、結論を出したり、意見として述べたり、もっと突き詰めて言えば、そういう思想、志向を彼らが持っておるということ自体が問題にならぬのですか。私は、これからたくさん例をあげていきますよ。従来政府が国会を通じて国民の前に述べておるいろいろな政策というものに反するようなことを、あの人たちが考えておる。それを答案に書いておる。あるいは憲法、法令に逸脱するような、そういう考え方を持っておる。だから、責任が持てないのでしょう。そうすれば、そんな責任が持てないような、いわば法令に違反するような、憲法を無視したような、政府の基本政策に反するようなものを行なった研究というものがここに現存しておるのですから、そういうことをやった者に対して何らかの措置が講ぜられなければ、大きな顔をして責任が持てませんなんて言えないじゃないですか。責任が持てないというならば、そういう措置をしてから、責任が持てませんから、そういうことをやった人はこういうふうに処分しましたと、あわせてこういう報告がつけ加えられなければ、つじつまが合わないじゃないですか。それではなぜ責任が持てないのです。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、あらゆる研究で、ものになるものもあれば、最初はやはり何らかの成果を得ようとして研究をいたしましても、結果においてはものにならない研究もたくさんあるのでありまして、私は、初めからこれは何ら取り上げるものではないということで寡僚の諸君が研究をしたわけではないと思います。何らかのものに役立てようと思って一生懸命勉強した結果ではございましょうが、その結果については、防衛庁として正式な見解として取り上げなかった、決定もしなかったということでありますので、これには正式な文書ではないから責任が持てないと申し上げておるのであります。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 つじつまが合わないですよ。政府が責任が持てないということが問題ですよ。あなたは部下を掌握しているのですか。シビリアンコントロール健在でございますと、どんな作文を出してもだめですよ。どんな信念を述べたってだめですよ。あなたが責任を持てないような、内閣として責任を持てないようなものを、研究という名においてやることを許すのですか。そんなシビリアンコントロールがどこにあります。ほんとうに責任が持てないならば、処置をしなさいと言っておるのです。何の措置もせぬ、訓戒の一つもたれぬ、極端に言えば講評もせぬ、いいも悪いも言わぬ、そんな形で、内局の関係課長が出席しておりました、シビリアンコントロール健在でございます、ふざけないでください。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 当時講評もなく、結論も出さなかったのは事実でございまして、私は、事実をそのままに申し上げておるのでございます。現在シビリアンコントロールというものは確立され、堅持されておるということは、私は信じて疑いません。また、国会におきましても、国会の権威は厳として存在いたし、自衛隊の活動分野は、すべてこれは国会で規定をされて行なっておるのでございまして、私は、いささかもシビリアンコントロールというものはゆるぎはない、また、自分が長官としてこれを統率して、りっぱにやっておると確信しておるわけでございます。

石橋政嗣日本社会党

○石橋小委員 一応きょうはこの程度にして、次に引き続いてやってくれという要請がありますから、その要請に私も沿おうと思っております。しかし、私の質問に対してまともにお答えにならないじゃないですか。シビリアンコントロールの問題について、私は一番あとでじっくりやるつもりです。あなたは確立しておるとおっしゃるが、私は確立しておらぬと思う。そんなことじゃいかぬ。これからわれわれは、あなたも私たちも含めて、どうしなければならぬかという立場に立ってやりたいと思っておりますよ。しかし、いま私が聞いているのは、その一つの例証として聞いているのです。政府が責任の持てないような研究をやっておって、不問に付しておいて、そうしてシビリアンコントロールが確立しているなんて言ったって、これは観念論ですよ。政府の政策にもとるようなことを考えたりやったりしておるならば、何らかの措置が講ぜられて初めてシビリアンコントロール健在と言えるんです。憲法を無視しようと、法律を無視しようと、政府の基本政策を無視しようと研究だからしようがない、そういう立場で弁解これつとめて、何のシビリアンコントロールですか。制服迎合じゃないですか。そんな大臣や局長なら、だれでもつとまります。専門的にやっている制服の連中に乗っかって、オー・イエス、万事オーケー、だれでもできますよ。予算を握っているからとか、人事を握っているからとか、形の問題じゃありません。形でシビリアンコントロールというものが確立できるならば、およそ民主主義というものを標榜している各国は全部軍隊を押えているはずです。完全に政治が軍隊を掌握している国が幾つありますか、民主国家と称している国でも。私たちは、だからこそこの問題を真剣に考えているんです。根本はこのシビリアンコントロールなんです。こんな一つの具体的な例が上がってきたのは幸いなんです。先ほど申し上げたように、これを今後うまくチェックできるように、みんなで心を合わせてやっていけば——そういうかまえがないじゃないですか。何をしようと、あなたたちは一生懸命隠してやる、弁解してやる。江崎さんは、さっき、国会がだらしないと言いました。私もそう思います。われわれの責任も回避しませんけれども、あなたたちの姿勢にも問題があるのですよ。何でも弁明しようとする。弁護しようとする。制服のやったことを合理化しようとする。そういうことでどうして本質的な議論ができます。そこに何のシビリアンコントロールがあります。あなた方が責任の持てないようなことを、研究の名においてであろうと制服がやった。それに対しては当然措置が講ぜられなくちゃなりません。公平無私の点で、政府の基本政策を無視した点で。私は、具体的に今後の質問の中で例をあげていきますけれども、これは、あなたたちが国会で答弁し国民に説明していることと全然違うようなことを考えている幕僚が一ぱいいるということを明らかにしたいのです。だから責任が持てない、そういう意味で責任が持てないというならば、その分について私は了解する。ところが、そう言うからには処断しなくちゃいかぬ。処置しなくちゃいかぬ。その裏づけの伴わない形で責任が持てませんなんというのは、無責任きわまりない内閣の権威、どこにあります。  それでは、具体的に例をあげての質問は後日に譲ってくれということでございますから、協力する意味において、きょうはこの程度にとどめます。しかし、再度申し上げておきますけれども、私たちもまじめに、事の重大性を意識してこの問題には取り組んでいるつもりですから、皆さん方も一時しのぎはやめてください。先ほど申し上げたように、真実をここで洗いざらい出されることは、あなた方の立場から言えばマイナスと思われるかもしれません。しかし、長い目で見たら、決して私はマイナスではないと思う。これは、政府与党の諸君にもう腹からお願いしておきたいと思います。きょうはこれでやめます。

西村直己自由民主党

○西村(直)小委員長代理 次会の小委員会の開会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十五分散会

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