予算委員会 第17号
- 発言数
- 408 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/03/02
会議録
○青木委員長 これより会議を開きます。 昭和四十年度一般会計予算、昭和四十年度特別会計予算、昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 一般質疑を続行いたします。竹本孫一君。
○竹本委員 私は、第一に、日本の政治の姿勢の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 池田政治を批判されましたときに、佐藤首相が、今日の政治は政治不在である、あるいは人間不在であるということを非常に強く強調せられました。私ども非常に賛成であります。そこで、きょうは、最初にその政治の姿勢についてお伺いをいたしたいと思うのであります。 たまたまある外国人が日本の政治を批判いたしまして、非常にうまい批判をいたしておると思うであります。こういうふうに言っております。今日の日本人は、心理的に、哲学的に、根なし草のようである、過去に結びつきを持たず、未来に対しても無関心で、まるで現在に酔っぱらっているように見える、というのであります。私は、日本の政治を批判したいろいろな批判がありますけれども、これは全く同感であります。過去に正しい結びつきを持たない、未来にビジョンを持たない、ただ現在に酔っぱらっておる。バカンスである、レジャーである。この日本の政治をこのまま続けていったならば一体どうなるであろうかという点について、日本の政治の姿勢をいまにして正さなければならないと思うのであります。 そこで、第一に伺いたい点は、この日本の政治のあり方について、政府全体はどういうふうに考えておられるのであるかということであります。 官房長官、見えますか。
○青木委員長 いますぐ参ります。——官房長官、見えました。竹本孫一君。
○竹本委員 では、官房長官がお見えになりましたから、もう一度申し上げます。 日本に政治不在、人間不在ということを佐藤さんが池田政治の批判として指摘されたことは、まことに当を得たものであり、われわれの共感を覚える点でありますが、同じような事情がたくさんあります。その中で、ある外国人が、今日の日本人は、心理的に、哲学的に、根なし草のように見える、過去に結びつきを持たず、未来に関しても無関心であって、ただ現在に酔っぱらっているみたいだ、こういう批判をいたしました。これは、日本の現代の政治のあり方を批判したものとして最も手きびしい、しかも、最もポイントをついたものであると私は思うのでありますけれども、そういう批判の前に、われわれは日本の政治をどう正していくかという、その政治の姿勢の問題として真剣にこれは考えなければならぬ問題であると思うのでございます。 政府として、こういう批判、あるいはこういう政治のあり方についてどういうふうな反省とどういうふうな決意を持っておられるか、これをまず官房長官に伺いたいのであります。
○橋本政府委員 ただいま竹本委員からの御質問でありまするが、総理大臣が、通常国会の劈頭の施政方針でも、あるいはその後における予算委員会での皆さんの御質問に対しまして、いま申されました政治の姿勢についての見解はしばしば申し述べてありますので、官房長官たる私が発言する必要もないようではありますけれども、一心同体の立場でありますからして、私自身が感じておりまする佐藤総理の施政の方針を御理解願いたいと思いまするが、当時施政方針の中でも申しておりまするが、今日の日本の新しい情勢、戦後二十年を経て、いわゆる日本というものが成年を迎えたものである、その成年という立場からして、いまみずから人間性を考え、日本の新しい姿勢を取り戻していくべき時世に際会しておる。いわゆる未来からの呼びかけ、人間存在については、総理は人間尊重ということばを言われております。こういう基本的な姿勢に立って、これからの社会開発あるいは外交問題等につきましても、その観点から出発していこうということを漏らされておりますので、施政方針等を参酌の上御理解あらんことをお願い申し上げます。
○竹本委員 イギリスの労働党の党首ウィルソンがこの前の選挙のときに国民に呼びかけたことばが、私は非常に印象的であります。御承知と思いますけれども、この前の十月の総選挙の際に、労働党の党首のウィルソンは、イギリスをして再び偉大ならしめよ、メーク・ブリテン・グレート・アゲーンと申しました。このアピールは国民に非常にいい反響があったと思うのでありますが、私は、ただそのことばだけでなくて、今日のイギリスの経済の再建、あるいは政治の再建の面において学ぶべき点が多々あると思います。 〔発言する者あり〕
○青木委員長 静粛に願います。
○竹本委員 それは何か、一言にして申しますと、このウィルソンの呼びかけでもわかりますように、正しい祖国愛の上に立っておる。さらに、彼が選挙で訴えました政策のスローガンは、社会主義を科学と結びつけ、科学を社会主義と結びつけよということでございました。すなわち、イギリスの今日の政権を担当いたしておりまするウイルソンの政治の悲願は、どこまでも社会主義を正しい祖国愛の上に立たせるということと、近代科学の上に立たせるということでございます。私は、これからの政治というものはその二つの足の上に立たなければならぬと思うのであります。 今日の政府は、私どもと所見を異にいたしまして、自由民主党、自由民主主義の上に立っておられる。しかし、それなりにやはり正しい祖国愛の上に立ち、正しい科学の発達を取り入れた、その基礎の上に立たなければならぬと思います。この点についてのお考えを承っておきたい。
○橋本政府委員 おっしゃるとおりでありまして、当時私は浪人中の国会議員の一員でありましたが、三年前に佐藤現総理とイギリスを訪問いたしました際に、当時の労働党党首のウィルソン氏にもお目にかかって、二時間余にわたっていろいろ懇談をいたしました。その際に、ウィルソン党首が、われわれ今日の考え方は科学主義の上に立って考えなければならぬ、ある意味においては、イデオロギー論争はすでに時代おくれである、そういう意味のことを申されましたが、私も大いに痛感するところがあったわけであります。 おっしゃるように、今日の政治、経済その他を考えましても、文化の面でも、広い意味での科学主義の上にものごとを合理的に考えていく、そこに祖国愛と申しましょうか、新しい愛国心の基礎も、そうした科学と人間性の上に立って初めていわゆる新しい祖国愛あるいは愛国心、あるいは世界の中の日本というものが生まれてくるのではなかろうか、その意味を佐藤総理は今回の施政方針でも申し述べておられるような次第であります。
○竹本委員 官房長官のお答え、一応ごもっともに承りますけれども、問題は、その具体的な政治の裏づけがついておるかどうかということであろうと思います。しかし、きょうは時間の関係もありますので、一つだけ建国記念日の問題について私は向いたいと思います。 そこで、法務大臣にお伺いをいたしたいと思うのです。法務省は、祝日法の改正案について総理府から見解を求められたときに、二月五日であったと思いますけれども、省の意見をまとめられまして、現状では時期尚早である、早過ぎるということの結論を出されたやに承っておりますけれども、それは事実であるかどうか、承りたいのであります。
○高橋(等)国務大臣 これは、行き過ぎの報道でございます。ちょうど法務省でほかの問題で局長会議をいたしましたときに、一、二の人がこの問題について自由な意見を述べたことは事実でございます。しかし、法務省としまして、紀元節が適当であるかどうかというようなことを決定すべき立場でもなし、私も、そうした局長会議があることも知っておりません。全然ほかの問題で局長会議をやりました際に、そうした反対というのではなしに、もう少し慎重にやったらどうかというようなことを言った者が二人ほどいるそうでございます。それがいかにも法務省が反対であるというようなことをきめたというように誤り伝えられているというように御了承願いたいと思います。
○竹本委員 法務省としては、紀元節の問題については慎重論が二人ほどおった、これが誤り伝えられたのであるというようなただいまの大臣の御答弁でございました。 それでは重ねて伺いますが、法務大臣は、記念日の問題については、二月十一日の紀元節復活ということで御意見を持っておられますか、それに対するお考えを承りたいと思います。
○高橋(等)国務大臣 私は、二月十一日を建国記念日といたすことには、古くから現在に至るまでそうした考え方に賛成でございます。
○竹本委員 法務大臣は、紀元節復活、二月十一日賛成という御意見でございます。 そこで、新聞紙の伝えるところによりますと、昨日あたりも自民党のほうではこの問題についていろいろと協議をされたように承りますけれども、また一部には、この問題はもうずいぶん長くなっておりますので、いつまで待っても改正案については見通しがつかない、この辺で政府案を決定いたして、その政府案でひとつ中央突破をやってまとめてしまおうというようなお考えもあるように聞いておりますし、橋本官房長官は、先日来、この問題についてはもう近く結論が出るのだというようなお考えであるように見受けますが、政府のこの問題の取り扱いについてのお考えを、またその経過を承りたいと思います。
○橋本政府委員 国民祝日法案につきましては、皆さんが御承知のとおりに、数次国会にわたって議員立法として提出されてまいりましたが、今日までそれの解決を見ておらぬような次第であります。もちろん、建国記念日というものがその国々に従って必要であるということは、あたかもお互いの誕生日がありまするように、その問題の点につきましては論議のないところのように承知しております。 ただ、問題は、その建国記念日が何日であるかというところにいろいろな議論があるように聞いております。もちろん、日本のように非常に長い歴史、古い歴史を持っておりまする国におきましては、その建国記念日がいずれであるかということを科学的、学問的に出すということは実際上困難があるようであります。これは、もう数次の国会の論議でも見られるとおりであります。御承知のように、古事記は稗田阿礼というおばさんが口述せられてでき上がったものでありますから、そこにはたして科学的根拠があるかどうかの問題はありましょうけれども、長い歴史、古い歴史を持った国においてつくられました伝説、神話、これは、やはりその民族の持っている精神として尊重すべきものと考えております。したがって、今日、もちろん学問的根拠ではいろいろの問題がありましょうけれども、明治以来なれてまいりましたこの日、われわれが建国の日であると考えてまいりました日、国民が神話として、あるいは伝説としてこれが尊敬せられている日をもって建国記念日とするという考え方のほうが、常識的にも、民族的感情にも合致するというような考え方で、建国記念日を二月十一日という日をわれわれは予定する。 そうして、その他、たとえば、御承知のように今回のオリンピックを見ましても、日本の国民の体位というものは世界の国々に比較しますればまだ不十分である、そういう点からして全国民がみずから体育にいそしむ、一部の選手、あるいはスポーツマンをつくるだけでなく、国民全体が体育というものに関心をみずから持ち、体育の練摩に当たるという意味で体育の日をつくるべきではなかろうか。また、最近敬老思想というものがいろいろいわれておる。そして、最近は盛んに老人の日が尊重せられております。こういうような老人福祉法等の関係もありまして、少なくとも日本の民族の感情からしましても、敬老の考え方をこの際は取り入れるべきであろうということで、その日も検討の対象になっておる。あるいは祝日と重なった場合においては、もちろん議員立法でもさようなことが出されておりますが、これを繰り下げて休日を利用するというような点につきまして、目下政府は原案の作成を検討中であり、また従来の手続上からいたしましても、与党側とも連絡をとる、かような方針で目下検討中であります。
○竹本委員 建国記念日につきまして、われわれ民社党の考えておるところをまず申し上げます。 われわれは、建国記念日につきましては、これを設けることには賛成であります。いずれの国でも建国記念日を持つ、当然のことでありまして、これはぜひ設けなければならぬと思っております。この点については政府と同じ考えかもしれません。 ところが、問題の二月十一日を建国記念日とするということにつきましては、私どもは反対の意見を持っております。これは、申し上げるまでもなく、神話を基礎としたものであって、歴史的事実に基づいていないということが中心であります。 さらに、それだけではありません。一部の右翼団体が二月十一日、紀元節の復活ということを非常に強調し、固執しておりますけれども、それらの考え方というものは、超国家思想に結びつく危険性があるので、いま記念日を二月十一日として定めるということは、政府の意図が何であれ、結果においては行き過ぎで、右翼の全体主義思想を復活させる、そういう役にしか立たないという点を非常におそれるからであります。 さらに、一般的に申しましても、先ほど長官から御指摘がありましたように、国民の中には、二月十一日が歴史的な根拠のないものであるということについては、いまやこれが常識化しつつあります。 そういう意味で、建国記念日というものを設けるということは当然でございますが、しかし、それだからといって、直ちに二月十一日を復活させるということには非常に慎重でなければならぬと思うのであります。 そこで、私どもの考えを申し上げますと、この問題につきましては、もちろん全然設けるなという議論もありましょう、しかし、大部分の意見というものは、建国記念日は設けて、やはり先ほど私が申しました正しい祖国愛の上に立った日本の政治でなければならぬ、そういうお考えは皆さん多いと思うのです。しかも、この記念日というものは、憲法の問題でもそうでありますけれども、ひとたびこれを定めれば、やはり全国民が心から記念日としてお祝いをする、あるいは祈りをともにする、誓いをともにするということでなければ意味がないと思うのであります。定められた日が、何だかこれは歴史的根拠がないんだそうなということになれば、かえって逆効果になる。そういう意味で、私どもは、建国記念日を設けるについてはよほど慎重でなければならない。 その具体的な方法といたしまして、建国記念日は国民の納得する日を定めなければならないということにおいて、各政党、学識経験者等を集めて十五名か二十名ばかりの権威ある委員会をつくっていただいて、そこで国民の大部分が納得し得る線を出す、こういう慎重な態度をとるべきであって、政府の一部から、これはもうだいぶたな上げされていてかなわないから、この辺でやろうというようなことで、早急に原案をまとめられまして、それを押し切るような形で建国記念日をつくりましても、これはせっかく建国記念日をつくりながら、かえって国民の中にむだな矛盾と対立を呼び起こすだけでありますので、これは、よほど慎重でなければならぬと思いますから、重ねてお伺いをいたします。 第一は、この建国記念日を設けるという方向において、政府は慎重に委員会をつくり、各政党ももちろん代表を出すべきであります。政党の代表、学識経験者、あらゆる人を網羅し、特に佐藤内閣は委員会や審議会をつくるのは非常にお好きなようでありますから、この重大な問題については特にまじめな審議会、委員会をおつくりになって、慎重に検討をして結論を出すということにされる御意思はないか。あるいは政府は、政府でいままとめられつつある、御検討中のこの二月十一日案をしゃにむに押し切っていく御意思であるか。その二つの点を伺いたいと思います。
○橋本政府委員 竹本さんの御意見でありますが、政府といたしましては、目下のところ世論の状況にかんがみ、かつまた従来の歴史的な事情から考えましても、二月十一日が国民感情に沿うたものであろうということで、もちろんこれにつきましては、学者等の意見も、総理府において、総務長官の手元においてやっておられるようであります。かつまた、最近の調査によりましても、これは神奈川県下のある高等学校のようでありますが、やはり過半数以上の者が、建国記念日といえば二月十一日であろうというような数字も出ているやに聞いておりますが、それらの具体的な検討方法については総務長官の手元でやっておりますので、こまかい数字については総務長官から答えてもらいたいと思います。
○竹本委員 それでは総務長官にお伺いいたしますが、まず第一に、この問題については総務長官のところにおいていろいろと検討をせられておる、学者の意見も聞いたといわれるのでございますけれども、一体、どういう範囲のどういう学者の御意見をお聞きになったのか。 また、総務長官は、これにつきましては非常に強い、科学的な根拠に立った反対論もあるが、それをどういうふうに評価しておられるのか。 さらに三番目には、これを二月十一日と定めて学校でもいろいろと行事をやるということになった場合に、学生、児童が質問、疑問を出した場合に、それを説得するのに十分な自信があるのか。以上の三点をお伺いいたします。
○臼井政府委員 お答え申し上げます。 ただいま総理府において検討中の、現在ございます国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきましては、建国記念日ばかりでございませんで、敬老の日とか、あるいはまた体育の日、こういう問題等を総合して案を練りつつあるのでございます。 ただしかし、その中で一番問題なのは、建国記念日に二月十一日の日を選ぶというところに一番議論があることは、私もよく承知いたしております。いまの御質問もその点にしぼっての御質問でございますから、申し上げますが、二月十一日についていろいろ議論のあることは承知いたしておりますが、しからば二月十一日以外の日にするということをかりに考えた場合におきましては、一月元旦がよろしいとか、あるいは二月四日、これは日が変わりますけれども、春分の日がよろしいとか、あるいは憲法公布の五月三日がよろしいとか、あるいは八月十五日がよろしいとか等々、十五ぐらいに、意見がたくさんに分かれてしまう。ところが、二月十一日ということにつきましては、その点で、過去のいろいろの調査等におきましても、まとまって二月十一日ということがこれらと比較しますと非常に多いということが第一点でございます。 それから学者も、ただいまお話しのように、歴史家におきましては二月十一日の神武天皇が御即位された日というのも不確実である、こういうことから、学校で説明するのも困るじゃないかといういまの御質問かと思うのでありますが、これも、御承知のように、日本書紀に神武天皇が御即位されたのが正月元旦である、こういうことで、それを太陽暦に直すと二月十一日ということで、明治六年にこれが決定せられました。自来七十年間、明治時代から終戦前に至るまでの間、いわゆる紀元節として国民の間にこれが歴史的にも非常にしみ込んでおるのでございます。したがいまして、歴史的根拠がないというお説でございますけれども、日本書紀というものは日本で古事記とともに最古の文献とせられておりまして、それによっているということが第一点である。日本書紀が当てにならない、歴史的に実証ができないという歴史家の説でございますが、それは学説といたしましてそうでございましょう。しかしながら、日本の悠遠な二千年からの歴史ということを考えると、これは、やはり太古にのぼれば神話的なことも含まれておるわけでございまして、したがって、神話としても、あるいはまた日本書紀によった歴史的な根拠というものに基づいても、他よりは最も古く、建国記念日を選ぶとすれば、これまた適当であろう。学校においてこれを教えることは非常に困るということでございますが、私どもは、決してうそを教えろということじゃございません。したがいまして、今日までの戦後の歴史は、学校においてはほとんど歴史を教えていないというところに、義務教育においても非常な欠点がございました。したがいまして、この建国記念日をつくることによりまして、学校においても当然歴史を教えざるを得なくなる。そこで、二月十一日は決してうそを教えろというのではなくて、このあるがままをお教え願って、日本書紀にはこういうことが書いてある、日本書紀というものをそこで勉強することにもなりますし、決してこれは教育上もマイナスになるどころではなく、これによって日本の古い伝統、歴史ということも勉強する機会にもなろうかと考えるのであります。したがいまして、いま言ったような理由で、現在のところでは二月十一日が建国をしのぶ日としてはまことにふさわしいものであろう、かように考えておる次第でございます。
○竹本委員 総務長官の御答弁でございますけれども、この問題はここで学説を決定するわけにはまいりません。いろいろむずかしい要素がたくさんあります。また同時に、建国記念日といったような問題の中には、多くの神話的要素があるということも避けられない点であります。しかし、それだからといって、やはり非科学的なものを押しつけていくということは、どうも納得できません。 ここでもう一度私お伺いいたしますけれども、そういう問題について唐突に法案ができて、それをまた多数決で押し切るというような形でなくて、先ほど来申し上げておりますように、これをもう一ぺん再検討されるまじめな委員会をつくって検討をされたらどうだろうということを、もう一度お伺いいたします。
○臼井政府委員 お答え申し上げます。 審議会をつくったらという御意見は御一理あるかと思うのでありますけれども、しかし、この問題は、すでに終戦直後に現在の国民の祝日の日をきめる際に、二月十一日を建国の日にしたいということが、当時の国会の文化委員会で満場一致できまったのだそうであります。ところが、これが当時GHGの非常な反対にあいまして、とうとう中止せざるを得なくなった、こういう理由もございました。その後日本が独立いたしましてからも、すでに二回ほどこの法案は議員立法として衆議院を通過いたしまして、そのほかの回にはいろいろ国会の関係上流れたわけでございますが、すでに長い間これは論議の対象になっておりまして、学者の説にいたしましても、国民の世論にいたしましても、一応もう表面にあらわれております。そこで、今日におきましては、政府の責任においてこれを出すことが適当と考えておりますので、これを現在審議会に付するという必要はない、かように考えております。
○竹本委員 時間もありませんので、この点は最後に要望をいたしておきますが、先ほど来、論議の中で、何回もこれが流れておるということ自体がすでに問題なのであります。やはりこれは、国民の大部分が共感を覚えるような取り上げ方であり、解決方式であれば、何回も流れるはずはありません。事実は流れておるのです。だから、その流れているところに問題があるということを私は指摘して、この重大な問題について慎重にやっていただきたいということ、さらにこれは、国民全部が共感をして、ほんとうに心からお祝いをするのでなければなりませんので、私は、その点を皆さんが慎重にひとつ取り扱われることを希望いたしまして、きょうはこれ以上の論議をいたすことは差し控えます。 第二に、外交の問題について私は論じたいと思います。 一般に、一九七〇年の危機とか、あるいは昭和四十五年の転機とか、いろいろいわれております。これは外交だけの問題ではないと思いますが、政府全体として昭和四十五年あるいは一九七〇年の転機もしくは危機ということについてどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。
○椎名国務大臣 一九七〇年は、ちょうど日米安保条約の十カ年の期限が到来するときでございます。そういうことから危機ということを言っておるのではないかというふうに私は推測しておるのでありますが、しかし、七〇年になりまして、日米安保条約の期間が全部終了するのではなくて、それから米あるいは日本、そのおのおのが一年の予告をもってこの条約を廃棄することができるという、その十カ年目の期限ということになっておりますから、そういうことがない限りはこの条約は続いていくものと考えております。
○竹本委員 実は一九七〇年の転機あるいは危機の問題は、単なる外交的な問題だけではない。政治問題、経済問題、いろいろあると思うのでございますけれども、時間の関係もありますので、これから外交の問題にしぼって御質問をいたしたいと思います。 そこで、いま外務大臣の御答弁の中に一つありました、これは非常に世の中に誤解があると思いますので、私は、賛成、反対の問題を論ずる前に、事実認識としてひとつもう一ぺん確認をいたしておきたいと思います。 それは安保条約の問題であります。これはもうすでに御承知と思いますけれども、実は一般の新聞等におきましても、一九七〇年には安保条約の期限が切れるというふうにいっております。ところが事実は、安保条約の第十条を読んでみるとそうでない。いま外務大臣がおっしゃいましたように、「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」こういうことになっております。したがいまして、この安保条約というのは、世間の一般が誤解しているのとは違って、事実は半永久的な条約である。ただ、「もっとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。」ということになりますので、すなわち、十年たって一九七〇年以後になれば、この条約をどちらかが希望すれば、その意思を通告して、一年後に終了させることができる。そういう段階に入るということだけであって、条約自体は本来的に言えば、これは半永久的な条約である。こういうふうに考えて、その上に立って議論をしなければならぬと思います。そこで、私は、事実認識として外務大臣からもう一ぺんその点をはっきり、すなわちこの安保条約というものは、いまの形では半永久的な条約であるという点についての御確認をいただきたいと思います。
○椎名国務大臣 半永久的といいますか、それは、いろいろ解釈上の問題がございましょうが、とにかく十年たてば一年間の通告をもって廃棄することができる、こういう段階に入るのでございまして、その通告がない限りは、お説のとおり、国連がほんとうに平和維持の機能を十分に備えたときまでと、こういうことになるわけであります。
○竹本委員 それでは重ねて伺いますけれども、佐藤内閣は、この問題につきましては、一九七〇年になれば、安保条約は一方的な通告によってそれをなくすることができるというような条約的な基礎があるわけでございますが、それに対して、その通告をするという方向で政治を進めておられるのか、あるいはしないという方向で進めておられるのか、あるいは修正をしようという考えを持っておられるのか、大きな政治の流れの問題として承っておきたいと思います。
○椎名国務大臣 これは、もっぱら極東の平和、安全、すなわちこれと日本の平和と安全、そういう問題を中心として、国際情勢いかんということが決定する問題だと思います。
○竹本委員 それでは、いまのところは、まだ十分な考えは定めていない、あるいは国の方向としての方向は決定していない、ただ、そのときの情勢いかんによってそのときに判断をする、こういうことでございますか。
○椎名国務大臣 ただいまの状態が続く限りにおいては、やはりこの安保体制を堅持すべきものである、かように考えております。
○竹本委員 私どもは、安保条約につきましては、いまの政府と若干違った考え方を持っております。その意味で、いまの情勢が続く限りはこの条約の継続を前提にして考える以外にないというような外務大臣のお考えのようであります。そこで問題は、全部を受け身で考えるか考えないかということであります。国際情勢のいかんによってその場においてきめるのだ、かような結論になるといたしましても、その国際情勢というものは、日本の政治のかじのとり方、あるいは最近は日本の積極外交ということばも出ておりますが、積極的な働きかけのいかんということによっていろいろと情勢の変化を来たし得るし、また情勢の変化を来たさなければならない、条件を変えていかなければならない、そういうような問題があろうと思うのです。したがって、政府がどれだけ意欲的に動くかということによって安保条約のあり方にも、あるいはその一九七〇年における国際情勢、アジアの情勢のあり方にも非常な違いが出てくると思うのであります。この意欲的な努力ということを抜きにして、ただ、そのとき情勢がどうであるからどうであるというようなお考えだけでは、はなはだもって外交の姿勢というものが弱い。私どもは、佐藤首相も非常に意気込みを持っておられるのでございますから、この際アジアの平和のために、あるいは世界の平和のために、日本がどういう役割りをするか、どういうような情勢づくりを、基礎づくりをやるかということについて、もう少し積極的なものがあっていいのではないかと思うのであります。その点についてのお考えを伺いたい。
○椎名国務大臣 日本の国際情勢に対する働きかけというものも含んだ上での国際情勢のいかんということで対処してまいりたいという意味であります。
○竹本委員 そこで、日本の積極的な意欲ももちろん含んだ上での判断である、そういう結論でなければならぬと外務大臣もおっしゃいました。私は、その意味において、これから若干の質問を、国連軍の問題を中心にお話を伺ってみたいと思うのであります。 私は、国連軍について非常な期待を寄せておりますが、しかしながら、その中で、政府におきましても国連警察軍、あるいは国連平和軍のあり方についてはいろいろと御意見が新聞等に漏れ、あるいは外務大臣は、国会においてもお話しになったことがあります。最初に官房長官に伺います。官房長官は、昨年の十一月二十七日の新聞記者会見のときに、こういうことをおっしゃったと伝えられております。国連軍「の創設には協力すべきだが、日本がこれに参加すべきかどうかは別問題である。国と国との紛争に関与するものには参加できないが、最小限度の、警察行為などを行う軍ならばいいのではないか」こういうふうにおっしゃったように新聞に出ておると思いますが、そのお考えはいまだに変わりがないのかどうか、承りたいと思います。
○橋本政府委員 私も実は竹本さんから質問があるというので、面食らっておったのですが、新聞の切り抜きを見ましたところが、十一月二十八日にそのことについて私が述べておるようであります。ただいまお話がありましたように、国連待機軍といいますか、予備軍といいますか、いろいろなことばが使われておるようでありますが、北欧三国あるいはカナダ等が提案しておる形式とその他の国が提案しておる形式とがあるようであります。ただ、これは佐藤内閣に限らず、自民党内閣が今日までとってまいりました姿勢は、御承知のように、国連中心の外交であり、国連を中心としての世界平和機構の強化である。これは、もう自民党内閣が従来続けてまいった精神であります。その精神の発するところは、御承知のように、憲法第九条において、いわゆる国際紛争の解決は武力によっては行なわないという規定が中心となって、私は国際連合に参加し、かつまた国際連合の機構を通じて世界の平和あるいはアジア、極東の平和を念願しておるという姿であろうと思います。したがって、その趣旨に沿うような制度が生まれるとすれば、この憲法第九条に触れない範囲内において、あるいは経済的にあるいは精神的に協力は惜しむべきものではない、かように考えておる次第であって、その点を御理解願いたいと思っております。
○竹本委員 私は、政府の国連中心外交というものに非常な疑問を持っております。いまも長官もおっしゃいましたけれども、一体国連中心ということはどういうことであろうか。国連の総会が開かれます。外務大臣が行って演説をされます。それだけが一体国連中心なのか。先ほど安保条約のときにも、外務大臣もおっしゃいましたけれども、国連が世界の平和維持機能としての十分な役割りを果たさせるようにするということが国連の基本的な課題であります。そのことに対して、日本が、しかも先ほど来お話のありましたように、意欲的な外交をやろうというその意欲的な努力がなければならぬ。一体国連中心というのは、ことばの上で国連中心ということを言うだけであって、たまに外務大臣その他関係官僚が出張するだけであって、それ以外に、国連中心に日本がどれだけの犠牲を払うのか、どれだけの努力をしておるのか、これが私は大きな問題であろうと思います。そういう意味から、たとえば国連憲章の第二条等を見ましても、これは、各国が誠実にその義務を果たさなければならぬ。その義務の中にもいろいろあります。若干の問題をいま御指摘いたしましたけれども、とにかく日本の国連中心というのは、国内に向けても単なる放送である、国連自体についていっても、これは単なるリップサービスにすぎない。だから、松平大使の失言問題といいますか、発言問題といいますか、かつて問題が起こったことがあります。松平発言の内容について私はかれこれ言うのではありませんけれども、日本が国連中心と言っておりながら、実は国連中心外交のために犠牲を払って、みずから積極的な努力をしておるとは私は思わない。この点について、外務大臣のお考えを承りたいと思います。
○椎名国務大臣 現に国連の平和維持機能の強化のために、日本が財政的にも、あるいは優秀な人をこれに送って、この機能の強化のために努力をしておる次第でございます。
○竹本委員 外務大臣、財政的援助をしておるというようなことをおっしゃいましたけれども、日本の財政的な寄与があまりにも少ないということは国際社会で常識であります。あるいはもの笑いになっております。日本は、池田総理のことばで言えば、世界の三本の柱になったとか、一流国に復活したとか言いますけれども、国際社会のために、あるいは国連の平和維持機能を強化することのために財政面でどれだけの努力をしておるか。誇りを持って国会に報告でき、あるいは国際社会に発言できる、それだけの物的な寄与をしておるという自信がございますか。
○椎名国務大臣 誇るべき分担をしているかどうかということでございますが、これは、まあ考えようでございますが、応分の寄与をしておる次第でございます。
○竹本委員 これは、見解の相違でございますが、おそらく外務大臣自身も十分に御認識をいただいておると思いますけれども、日本の国連に対する寄与というものは、先ほど人のこともおっしゃいましたけれども、何人どの程度の人が行っておるか、財政寄与の問題についてどれだけのことをしておるか、きょうは時間もありませんので、詳しく申しませんけれども、私は問題にならない。日本の国連外交は単なるリップサービスである。もう少し真剣に国連と取り組まなければいかぬ。これは、私どもがいわゆる平和憲法のもとに、平和の理想というものを大きく持てば持つほど重大な課題であります。ひとつこの問題は真剣に、それこそ前向きに取り組んでいただいて、国際社会において、なるほど日本は戦争をやめて、放棄して、そして新しい国際社会に平和文化国家としての理想を掲げておる国民である。なるほど財政は苦しくても、これだけのことは寄与し、貢献をして、協力をしておるという事実をあげるように、私は前向きの努力をしていただきたいと思うのであります。さらに、その前向きの努力の一つでございますけれども、先ほど来お話がございました憲法との関係において、日本の国連軍についての考えは、いろいろ制約を受けておるというようなことも言われました。 そこで、私は憲法との関係が問題である。この前、十一月二十六日参議院におきまして、天田議員の質問に対しまして、椎名外務大臣がお答えになりました。北欧三国やカナダなどの考え方、すなわち自国の軍隊以外に待機部隊を設置するという、国連警察軍の考え方は時宜に適するものだということを御発言になりました。そこで、外務大臣にお伺いをいたしたいのでありますけれども、そのお考えはいまもなおお持ちであるかということが一つ。次に、日本としてどう対処するかは憲法上の問題もあるので、目下法制局で研究しているはずであるということもそのとき言われたのであるか、承りたいと思います。
○椎名国務大臣 御承知のとおり、国連が平和維持機能を完全にいま発揮しているとは思わない。でありますから、二国間あるいは多国間の間に防衛上のいろいろな取りきめが行なわれておるような現状でございます。でありますから、われわれの理想としては、どうしても国連が平和維持機能を完全に発揮する。そして、だんだんにこれに見合って軍縮を逐次実行する、こういうことが私は理想であると思うのでございますけれども、現状はそうなっておらない。少なくともその現状を理想に近づかせるためにどういうことをすればいいかということをわれわれは真剣に考えざるを得ない。国連待機部隊の設置というものもその努力の一つである。かように考えて、われわれはこれはけっこうなことである、こう考えております。
○竹本委員 そのとき憲法上の問題もあるので、法制局に研究をしてもらっておるとかいうようなことをおっしゃいましたか。
○椎名国務大臣 申した覚えがあります。
○竹本委員 あります……。
○椎名国務大臣 はい。
○竹本委員 そこで、法制局長官がお見えでありますから、長官にお伺いをいたしたい。 国連警察軍、あるいは国連平和軍でもけっこうですが、それに対して憲法上いかなる疑義があるのか、また、憲法上の問題があるので、目下法制局で研究しておるという御答弁であったけれども、どういう問題をどういうふうに研究されたのであるか、その問題点と、研究をされた結論を承りたいと思います。
○高辻政府委員 お答え申し上げます。 ただいま外務大臣が仰せになりましたように、国連軍というものも、これは憲法上の問題でございますので、当然ほかのその種の問題と同じように検討を加えております。その検討の結果を申せということでございますが、国連の協力関係というものが、実は現在の事象といたしましては、いろいろな形がございます。したがって、その形に応じて実はどうであるかを考えなければならぬことでございます。その協力の内容は、実はこれまた現在確定しているという段階ではなしに、そのつどに適宜の措置としていろいろな行為が行なわれておる。そういう場合についていろいろ具体的に考えていかなければならぬものでございますから、十ぱ一からげにいま直ちにどうという結論を出すのは、いかがかと思いますけれども、ごく大まかに結果を申せということでございますから申し上げますれば、御承知のとおりに、先ほど官房長官も仰せになりましたように、憲法九条には、国際紛争を解決する手段としては、武力の行使、威嚇はしてはいけないというきわめて厳格な規定がございます。そこで、いままでの国連協力の関係を見ましても、これは将来の姿も入りますが、国際社会の理想的な形が現出いたしました際に、国際社会を一つの社会と見て、その社会における秩序の維持をその団体が国家——一々具体的な国家を超越した形でもってその秩序を維持していくというような観点からするものについては、憲法九条の国際紛争を解決する手段として、一国対一国というような関係は出てこないだろう、そういう意味では、いわゆる国連常設軍なんというのは、それに近いものだと思いますが、そういうものはまず問題ない。ところが御承知のとおりに、一九五〇年の朝鮮国連軍とか、一九五六年の中近東国連軍とか、あるいは一九六〇年のコンゴとか、あるいは一九六四年のサイプラスとかいうようなことになりますと、いま申し上げた姿と違っております。まあ典型的には朝鮮の場合をお考え願うといいのでありますが、あれは、御承知のとおりに、総会が勧告をしまして、各国が実は集団的にと申しますか、その勧告に応じて出かけておる。そういうものにはやはりいまの憲法の規定からいいますと、日本の兵力が武力の行使をするというのは、やはり憲法九条上多大の疑問があるといわざるを得ないだろうというようなことでございます。
○竹本委員 法制局長官のほうに希望をいたしておきますけれども、時間があまりありませんから、ポイントだけ、たとえばいま私が伺っていることは、国連軍を日本が持つということについて、憲法第何条と何条のどこに問題があるかという点を、その問題点をあげてください。また、問題がある理由、それについての検討した結果を聞かせてください。私どもは、先ほど来申しますように、日本が、佐藤首相のおことばによれば、平和に徹する、その平和に徹するということからいって、どれだけの努力をするかということを前向きにいま議論をしているわけであります。でありまするから、国連警察軍が憲法上問題があるならば、第何条と第何条のどのところに問題があって、その点をどういうふうに検討しておるということを伺いたいのです。要点だけ言ってください。
○高辻政府委員 では、簡単に申し上げます。 先ほど触れたと思いますが、憲法第九条の「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」「国際紛争を解決する手段としては、」という解釈問題になろうかと思います。
○竹本委員 長官の御答弁がどうも私の要求するところとぴったり合いませんから、私のほうからそれじゃ具体的に問題を出して伺います。 日本の兵力を海外派兵をする、それが憲法の第九条に触れるじゃないかという問題だろうと思うのですね。そういう点でまず第一に、日本の兵力ということになると——この場合の日本の兵力とか兵力でないとかいうことは、砂川判決で最高裁が出しておるようなあの最高裁の解釈、すなわち、日本が管理権、指揮権を持つものでなければ日本の兵隊ではない、日本の軍隊ではない、この解釈はどうですか。
○高辻政府委員 御指摘のように、憲法九条二項の戦力の保持ということについていいますれば、その保持するのは、日本政府が管理、指揮の主体になるということでございます。これは、最高裁の判決にもあったとおりでございます。
○竹本委員 そういたしますと、国連軍ができて、国連が管理し、国連が指揮するというような体制ができた場合には、問題は全然ありませんね。
○高辻政府委員 先ほど第一段の段階で申し上げた姿がそれでございます。
○竹本委員 次には、日本の兵力としてでなくて、個々の日本人が義勇兵、志願兵というような形において、国連に十万あるいは三万、幾らでもいいが、とにかく相当多数出ていくというような形がありましても、それは憲法上疑義がありませんか。
○高辻政府委員 国民個人がいま仰せになりましたような義勇兵として出ていくというのは、政策的にこれを禁止するかどうかの問題は別にありますといたしましても、憲法九条直の問題ではございません。ただし、それが行くについて国の意思がそこに働くということになれば、おのずから話は別でございます。
○竹本委員 国の意思がそこに働くとき問題になるということでございますが、国の意思が働くときに、どの個条にどういうふうに問題になりますか。たとえば、単独立法をつくりまして、日本の平和的な意図を特に強く表明する意味において、国連義勇軍あるいは国連警察軍に対する単独立法をする、こういったような場合、これは国の意思も大いに入ってくる、そういうことは憲法のどの個条にどういうふうに触れるか、その点です。
○高辻政府委員 問題は、先ほども申しましたように、個人が個人として義勇兵としてなっていくということは、これは憲法九条の問題でございませんが、先ほど申しました後段の点について申し上げましたのは、憲法九条の脱法的な行為として出ていくかどうか、それは認定はむずかしゅうございますが、そういう場合には、憲法九条があれば、国家の意思がそこに介在をして、国民が大量に国際紛争を解決する手段として武力を行使すると実は実態において同じであるということがもしありますれば、それは九条の問題にならざるを得ない、こういうわけでございます。
○竹本委員 それでは、法制局並びに政府のお考えでは、いろいろ聞いてみると、紛争を解決する手段としては放棄するということがありますので、それじゃあらゆる場合に、国際紛争を解決するという問題に関連する場合には、あるいは紛争があるという場合には、日本の意思を加えて、その上での行動は一切できない、こういうお考えのように承りますけれども、そうであるか。 時間がありませんから、ついでにあわせて伺いますけれども、国際紛争を解決する手段というのは、憲法学の普通の解釈によれば、御承知のように、戦争を三つなら三つに分けて、制裁の戦争、自衛の戦争、侵略の戦争といった場合に、その侵略の戦争ということにおおむね学者は一致しておる。したがって、国連が国連の立場において平和維持のために純粋にやっておるそういう活動——もちろん、今日の国連のあり方にも批判があります。われわれ遺憾に思う点がありますけれども、これは一応政治論としてでなく、法律論だけに限定をいたしまして、国際紛争を解決する手段というのは、これはいわゆる憲法の常識からいうならば侵略戦争のことである。国連にはその侵略戦争はあり得ない。その国連のために国連の指揮のもとに動く、そういう国連軍に国の意思を含めても参加協力するということが、はたしておっしゃるように国際紛争を解決する手段云々の問題でその条項に触れるかどうか、伺いたいと思います。
○高辻政府委員 「国際紛争を解決する手段としては、」というのは、おおむね、いま御指摘になりました侵略戦争ということに普通には同一視しております。大体においてそれでいいと思いますが、要するに、国家間で主張の対立があって、その一国が自己の主張を押し通そうというわけで相互に紛争の状態にある、それを日本の憲法は、平和的に解決しろ、こういっているわけでございます。むろんそれとは別に、紛争の有無にかかわらず、他国からとにかく暴力をもって向かってきたという場合には、その憲法はくたばってしまえといっているわけではなくて、その暴力を排除することは憲法は否認はしておらない、こういうわけでございまして、いわゆる自衛はかまわない。 もう一つ、いま御指摘のように、国連の活動がございます。これは、仰せになりましたように、国連がその管理、維持の主体となり、その指揮のもとに行動するというような形のものであれば、私も、先ほど申しましたように、これは国際紛争を解決する手段ということではない、こういうふうに思います。
○竹本委員 そうすると、大体こういうふうに概念整理してよろしゅうございますか。憲法第九条でいう「国際紛争を解決する手段としては、」云々の条項は、やはり憲法の常識に従って侵略戦争の意味である。したがって、自衛の問題については、自衛の措置を講じ、自衛の力を持つことは、当然憲法は認めておる、同時に、国際社会において国際正義の上に立って国連が活動するような場合にこれに協力するということは、憲法に抵触するものでない、かように解釈してよろしゅうございますか。
○高辻政府委員 大体において——大体においてと申すのははなはだ失礼でございますが、きわめて私どもは事こまかに考えるものでございますから、そういうことばを使わしていただきますが、大体においてそのとおりだと思います。
○竹本委員 そこで、外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。 ただいま憲法において疑義があるということを言うと、憲法の知識の足らない人は、何だかたいへんなことのように思うのであります。しかし、よくこまかく研究してみると、いま私が言い、また法制局長官も大体において賛意を表せられたような解決になるわけです。したがいまして、日本がほんとうに平和に徹するということであるならば、国連警察軍の取り上げ方というものはもう少し積極的であっても憲法上何ら心配はないのです。ところが、君子危うきに近寄らずで、政府の答弁等を見ますと、たとえば佐藤総理のこの前の参議院であったかの御答弁でも、費用を負担すること、厚生施設について、技術面あるいは農業や商業の面での協力をするといったようなことはよかろうと思いますということを言って、大体憲法論に触れるようなところはみんな避けて逃げておられる。これは、政治的配慮でありましょうけれども、いまはっきりしたことは、国連軍の問題について、国の意思も含めて、それがほんとうの意味において平和に殉ずるものであれば、平和のために戦うものであるならば、何ら憲法上問題はない、こういうことが私ははっきりしたと思うのです。 そこで、政府に私はこれから一、二の問題を提案し、あるいはお伺いいたしたいと思うのです。 すなわち、その一つは何かと申しますと、いままでのように、こわいもの、あるいはおそろしいものにはさわらないといったような関係で憲法の大事なところを避けて逃げるというような形でなくて、もう少し前向きに取り組んでいただきたい。この前提において、たとえば国連の憲章第四十三条には、御承知のように、いわゆる国連軍のことについて規定をいたしております。佐藤総理は、この間国会における答弁の中で、この問題についてはまだ内容もはっきりしないのだから、あまり積極的なことはまだ考えられない、あるいは準備段階に入っているといってもそこまでいっていない、こういうような御答弁もあった。速記録に出ております。しかし、私はここで事実を明らかにいたしたいと思いますけれども、国連憲章第四十七条による軍事参謀委員会は、一九四六年から翌年にかけて特別協定の審議に従事いたしまして、一九四七年の四月にはその一般原則について報告を行なっておる。十章四十一カ条にわたっておるということを聞いております。したがいまして、特別協定の問題等につきましても何ら国連自体においてもまだ話がはっきりしていないんだから、日本はもう少しのんびり考えて、受けて立てばいいんだ、こういう考え方は事実とも相違しておると思いますが、その点、外務大臣いかがですか。
○椎名国務大臣 政府委員から答弁を申し上げます。
○藤崎政府委員 軍事参謀委員会というのが一九四六年から四八年まで作業いたしまして、この四十三条の兵力の編成を律する一般原則ということについて合意に達しようとしたのでございますが、実は、これは合意に達することに失敗いたしました。これは、主としてアメリカとソ連が意見が一致しなかったからでございます。
○竹本委員 政府の基本的な態度として私はお伺いいたしましょう。四十三条による特別協定がなければ、いわゆる本格的な国連警察軍はできないと思います。しかし、これにつきましては、大臣の国会における御答弁の中にもありましたと思いますけれども、安保理事会が拒否権を持っておる、そういう点に関連をいたしまして、一つは、「安全保障理事会の要請に基き」と四十三条には書いてありますから、その要請があるかないか、また、要請があっても、安保理事会には拒否権があるということになると、どうも焦点がぼけて困るではないかというような御議論があろうと思うのです。しかし、私はそれを乗り越えてここで問題にいたしたいのは、たとえば安保理事会の要請という問題につきましても、日本も国連に参加いたしておるのでございますから、こちらに全然受け入れ体制がなければ、もちろん向こうから働きかけがないかもしれぬ、しかし、そこが積極的意欲の問題で、日本のほうから働きかけて、そして日本のほうから働きかけたことも含めて安保理事会の要請を取りつけて、われわれは正式な——世界でまだ例がないから——憲法第九条も世界に例がないのです。世界の平和に徹するという考え方においても日本が一番真剣であるかもしれない、その意味において、むしろそれを表現する政策の一つとして、日本が特別協定の基礎の上に立った本格的な国連警察軍をつくるということについて相談を持ちかけられたらいかがかと思いますけれども、この点について政府のお考えを承りたいと思います。
○椎名国務大臣 国連の平和維持機能を現状よりもまだまだ強化するということについては、その方向についてはわれわれは双手をあげて賛成するものでありますが、具体的な問題としてこれを日本がどういうふうに切り出していくかということにつきましては、これは慎重に研究をいたしたいと存じます。
○竹本委員 どうも慎重ばかりで、実際は何もない。そこで、私が先ほど申しました、国連中心外交というのは単なるリップサービスだけに終わるではないかという点を私は心配するわけであります。どうかひとつ、この点はもう少しそれこそ積極的に意欲を持って国連に働きかけて、日本の平和に徹しようという真意はここにある、現実の姿はこうである、こういう形で、国連外交においても、人の演説を聞くだけでは能はありません、日本自身がイニシアを持って、日本からひとつ積極的に働きかける、たまには積極的に提案をする、そのくらいの積極外交をやってもらうのでなければ、全く——私ども聞いてみればすべてみな慎重の一語に終わって、あと何も出てこない、これでは問題にならぬと思います。 そこで、外務大臣にもう一度お伺いいたしますけれども、特別協定を結ぶということについて積極的な働きかけをなさってはどうかという点について、もう少し具体的なお話を承りたい。 第二に、これと関連いたしますけれども、いわゆる総会の勧告による待機軍構想、これは大臣も非常に賛成だということを言っておられる。ところが、その賛成される中にも、これはいろいろ調べてみると、デンマークの場合、ノルウェーの場合、ギリシアの場合、あるいはその他の国の場合、カナダの場合、いろいろと内容が違っておるかもしれない。また、今後の国連平和維持能力を強めるということについて、いま考えられておる姿が正しいかどうか、これも問題があろうと思います。そこで私は、日本が国連外交の一つの具体的なあらわれとして、先ほど申しました、第一には、特別協定に基づく国連警察軍についての具体的な働きかけをやったらどうか、第二には、それもむずかしいとおっしゃるならば、国連の中に小委員会を別に設けることを日本が要求して、その中で——国連警察軍の案についてはソ連の提案もあります。これについて政府も賛成するがごとく否定するがことく、後にはまた賛成されたようにちょっと私ども見受けておりますが、その結論がどうであるかは別といたしまして、ソ連の提案あるいはデンマーク、ノルウェー、ギリシア、カナダ、それぞれの国のあり方、これらを含めて、将来の国連警察軍のあり方はこういうものにしようではないかということを、日本のイニシアによって小委員会をつくらせるというぐらいの積極的な働きかけをなさってはどうかと思います。その点についてのお考えを承りたい。
○椎名国務大臣 先般の国連総会におきまして二月十八日から長期休会に入ったことは、御承知のとおりでありますが、その最終日に、平和維持活動委員会というものが設置されることにきまったのであります。この委員会は、国連の過去、現在及び将来にわたる平和維持機能をあらゆる面から検討いたしまして、一応本年の六月十五日までに報告書をまとめるという予定になっております。この委員会は、日本を含む三十三カ国からなっておりまして、その動きはきわめて注目すべきものがある。この場において、いまお示しのあった諸点につきましても十分に研究討議をいたしたいと考えている次第でございます。
○竹本委員 外務大臣に対する質問はこれで終わりますが、最後に要望でございますけれども、日本が国連外交を口にするだけでなく国連の舞台の場において、世界の平和、アジアの平和、また平和日本の建設のあり方について、特に具体的には国連警察軍の問題についてイニシアチブを持って働きかけてもらいたい。そうでなければ、何かまだ国連というのはそれ自身いろいろ問題もありますし、問題があるからやれないんだということになれば、結局何にもやらないことになります。どうかこの点は、ひとつ外務大臣あるいは政府におきまして国連の舞台を使って、日本はほんとうに平和国家の理念に徹していくんだ、こういう具体的な行動をとるんだという点の具体的な働きかけをやっていただきたい、これは要望いたしておきます。 最後に、時間が少なくなりましたけれども、私は中小企業の問題を一言御質問いたしたい。 中小企業の近代化促進法というものができております。さらに、中小企業の問題につきましては、中小企業基本法というものもできております。政府は、先ほど一九七〇年ということについて、外交上では安保条約の問題等について触れまして、そのことを述べられましたけれども、私どもがいま一番心配しております点は、物価の問題あるいは中小企業の問題等の経済問題についても、中期経済計画が終わるであろうその昭和四十五年のころには、いま問題の、よくいわれます二重構造がますます拡大をいたしておって、それがために、経済問題の面から見ても、所得倍増政策の矛盾というものが拡大されてそこで出てくる。そういう意味で、一九七〇年は、安保条約の問題だけではなくて、経済的な問題からとらえても重大な転機に立っておると思いますけれども、経済企画庁長官のお考えを承りたい。
○高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、中期経済計画は昭和三十九年から四十三年までを計画期間として計画を立てたわけでございますが、一九七〇年はちょうど四十五年に当たります。それで、四十三年までに大体年率八・一%の成長をもって安定した成長の基盤に日本経済を持っていける、かように存じておる次第でございます。
○竹本委員 それでは、経済企画庁長官の認識においては、一九七〇年には日本の経済の矛盾というものは激発する心配は全然ない、したがって危機はない、少なくとも経済的な面からとらえるべき危機というものはないであろうというお考えのようで、さように解してよろしいか、それが一つ。 ついでに、もう一つは、いわゆる中期経済計画を終わるころ、四十三年には、いま問題になっておりまする中小企業の二重構造、格差の問題、これはどの程度解決するということをねらいにしてやっておられるか、どの程度解決し得る自信があるか、その点について伺いたいと思います。
○高橋(衛)国務大臣 この計画期間中におきまして日本の経済構造は相当に変わってまいりまして、いわば欧米諸国におけるところの先進国の型に漸次近づいてくるものと想定をいたしておる次第でございます。たとえば農業、中小企業等におきましてその点が最も顕著でございますが、農業について申し上げますると、農業についてはいままでも大体年率三%程度の人口が他の産業に移増してまいっております。それで、そういうふうな結果といたしまして、就業人口の構成比を見てみますると、昭和三十八年度には二七・八%でございましたが、それが四十三年度には大体二三%程度になるという想定をいたしておる次第でございます。しかしながら、これを外国の事例をとってみますると、英国は非常に少ないのでございまして、これは四、五%、アメリカが、これは一九六一年度でございますが、九・三%でございます。それから西ドイツを見てみますと、一九六〇年の数字でございますが、これが一四・四%ということで、なお、外国のような事例になることがいいかどうかという問題はもちろんございますけれども、大きな傾向としてはそういうふうなことがどんどん進められるかと存じます。 しこうして、中小企業の面についてただいまお話がございます。それで、中小企業につきましては、御承知のとおり、日本におきましては、大企業と中小企業におけるところの生産性の格差が相当大きく存在しておるわけでございます。農業と他の産業との間におきましてもこの生産性の格差が存在するわけでございますが、その格差が漸次狭まり、それが中小企業と大企業におけるところの賃金の格差にも相当大きな影響がございます。これは過去の実例でございますが、昭和三十五年と三十九年とを比較してみますると、これは労働省の毎勤統計によっての調査でございますが、これは、五百人以上の事業所を一〇〇といたしました場合に、三十人から九十九人までの事業所におけるところの賃金の割合は、三十五年におきましては六〇・一でございました。これが三十九年には七一・四ということに相当改善を見ております。また、さらに五人ないし二十五人の場合をとってみますると、三十五年のときは四七・九でございましたが、これが六三・二というふうに相当な改善を見ております。しこうしてこの点につきましても、中期経済計画では、今後なおこの傾向が相当続くものと想定はいたしておりまするが、数字的にしからば何%になる、それから生産性の格差がどの程度縮小するかということの数字的の計量はいたしておりません。しかしながら、いままでの傾向がさらに漸次続いて、そして目標年度の四十三年度においては、これがさらに改善されるであろうという想定をしておるわけでございます。しかしながら、ヨーロッパの諸国について見ますると、大企業に対して中小企業におけるところの賃金指数というものが大体八〇から八五程度が普通の状況でございます。そこに至るのにはまだまだ相当の期間を要するというふうに想定をいたしておる次第でございます。
○竹本委員 四十三年に中小企業の格差がどの程度解決するか、数字的なことはなかなか言いにくいというお話でございますけれども、実はその数字的なことがやはり重大な問題であると思うのであります。特に佐藤首相が社会開発を言われる場合に、中小企業の格差がだんだん縮められていく、これは政府の御努力もあり、中小企業自体の努力もありまして、解決する方向に向いておると思うのです。問題は、それがいつごろまでにどういうテンポで解決するかということになると、その具体的な数字の問題が、ただいまお話のありました八五%ということはむずかしいと思います。しかし、八〇%くらいまで近づかなければ、社会開発を言われる佐藤内閣として、中小企業の格差の問題について一歩前進したということはぼくは言えないと思うのです。この点は、時間もありませんのできょうはこの程度で終わりますけれども、どうか真剣に、どこまで持っていくかという、それこそ未来のビジョンというものを描いて、そのための具体的な努力を積み重ねていただきたいと思うのです。 そこで、私は例をあげて具体的に伺いたい点が二つあります。一つは、三十九年度における設備投資、この中で、私が調べたところによると、中小企業はほとんど伸びていない。前年度比一・九%くらい。これに対して大企業のほうは二六、七%伸びている。今日は物価問題の解決についても、中小企業の近代化が必要であるといわれておる。あるいは国際開放経済のもとにおいて中小企業の競争力を強めるという意味からいっても、近代的設備投資が大垣だと言っておられる。しかるに昨年の数字の動きを見ると、中小企業の近代化への努力、それの資金的な裏づけという面から見れば、大企業のほうは三割近くあの不況下にも伸びておるのにかかわらず、中小企業はさっぱり力が伸びていないと思いますけれども、具体的な数字においてそれをひとつ示していただきたい。
○高橋(衛)国務大臣 御承知のとおり、昭和三十八年度におきましては、設備投資の伸びのうち、中小企業のほうが大企業よりもずっと多かったのでございますが、昭和三十九年度に入りましての実績は、まだはっきり判明いたしておりません。昭和三十八年度の設備投資の実績が大体四兆一千五百億円、それで、三十九年度の大体の今日の見通しは四兆六千五百億円ということで、五千億円の増加ということに相なっております。したがって、割合から申しますると、八%から九%程度の状況だと存じます。それで、その間、ただいまお話しのような数字は、私どもまだ見当をつけておりませんが、中小企業における伸びと大企業における伸びとを比較すれば、その点、中小企業の伸びのほうが少ないというふうな大体の傾向であるということは、私どものほうでも見ておる次第でございます。
○竹本委員 そこで、いま大臣もおっしゃったようですけれども、中小企業のほうを近代化し、中小企業のほうを伸ばしていかなければ、格差の問題もその他の問題も解決しない。しかるに現実は、昨年の数字で見ると逆になっておるということでございます。 私は、そのもう一つの例をあげて質問を終わりたいと思いますが、最後に櫻内通産大臣に伺いたいと思います。 それは、近代化促進法という法律ができました。そして、それによって基本計画だとか、あるいは実施計画だとかいうことがいわれております。そこで、この基本計画、実施計画は、指定業種についてやっておられるわけでございましょうけれども、その昭和三十九年度における指定業種について、その指定業種が何種類あって、それの実施計画がいつどの程度にまとまったかということが一つ。 さらにもう一つは、最後のポイントでございますが、その実施計画について必要とされた資金の裏づけは幾らであって、それに対する政府がめんどうを見た金はいつ幾らであるか、これを承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 お答え申し上げます。 指定業種の近代化基本計画の概要は、二十五種類できております。大体五十億円の見当でございます。
○竹本委員 三十九年度の実施計画というものは、いつできましたか。私の聞いておるところでは、官報に告示されたのが八月十二日、そのときの告示の中を見てみると、大体二十数種類の業種に五百億の金が要るということになっておる。しかるに大蔵省と折衝をして、この金が十億円前後出たのは二、三日前の決定だと聞いておる。はたして事実であるかどうか承りたい。
○櫻内国務大臣 お答え申し上げます。いまお尋ねのとおりでございまして、三月一日から三十九年度の十億円が使える、こういうことに決定したことは事実でございます。
○竹本委員 中小企業の近代化がこれだけ叫ばれて、中小企業基本法ができ、近代化促進法ができ、あるいは資金の融通法ができております。しかるに実施計画は、いまお聞きのように、官報に出たのが八月、それの裏づけの決定が出たのが二月の末、いよいよ実施になるのが三月一日、一体、通産省あるいは佐藤内閣の会計年度は三月に終わるのか、三月に始まるのか、はっきりしてもらいたい。
○中野政府委員 お答え申し上げます。 近代化促進法の指定業種は四十五業種ありまして、そのうち十九業種が近代化実施計画ができております。所要資金につきましては、このたび大蔵省との話し合いで、中小企業金融公庫の特別ワク、特利八分五厘でございますが、これで、特定の施設につきましてことしから来年にかけまして五十億ないし六十億の金を中小公庫の金でめんどうを見たい。もちろん、これ以外に商工中金あるいはその他一般の市中金融機関等で、所要資金のめんどうについては十分見たいと思っております。
○竹本委員 これで終わりますが、最後に、もう一度よく承っておきたい。三月に初めて金を出すということなんでしょう、三十九年度は。私どもの理解では三月に終わるんです。一カ月しかないじゃないですか。中小企業近代化のために実施計画を立てる、基本計画を立てる、ことばはたいそうりっぱであるけれども、現実に中小企業に金の裏づけを出していこうということは三月一日からです。全くこれは問題にならぬと思うのです。三月一日に始めてあと一カ月しかないじゃないか、これで中小企業の近代化のために基本計画を立てる、あるいは立てておる、そんなことは問題にならぬと思うのです。政府においてこの点を十分に反省していただいて、中小企業のためにもう少しあたたかみのある、まじめな政策をとっていただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいま長官からお答え申し上げましたとおりに、指定の業種に対するものでございます。政府といたしましては、竹本議員がよく御承知のように、高度化資金、近代化資金というものを用意しておりまして、これを無利息で府県に出し、近代化の促進につとめておるわけでございます。たとえば三十九年におきましては、これが府県に参りますと、大体高度化資金のほうでは九十八億円、近代化資金のほうでは百四十三億円という資金量に相なっておるわけでございます。いま長官の言ったように、特利でやる特別のものが、いろいろ折衝の都合で、あるいは計画の策定の都合でおくれて、実施が三月一日になった、こういうわけでございまして、ただいま御質問の御趣旨については、十分その意を体して努力をいたす考えでございます。
○青木委員長 これにて竹本委員の質疑は終了いたしました。 次に田中武夫君。
○田中(武)委員 私は、中小企業政策と独禁政策についてお伺いしたいと思うのですが、まず最初に中小企業の倒産についてお伺いいたします。 御承知のように、昨年一年間に四千二百件、これは負債一千万以上の企業です。これが倒れておって、その負債額が四千六百億円であります。また二月になると、これが五百二十一件、その負債額が九百五十九億五千七百万円、こういうように史上二番目になっておる。政府は、こういうようなことにつきまして、まず第一に、この中小企業の倒産について的確な資料をお持ちであるかどうか。いま申し上げておるのは、東京商工興信所の資料であります。政府においてお調べになりました倒産の数字がございましたら、お示し願いたいと思います。
○櫻内国務大臣 倒産が非常にふえてまいりましたのは、昨年の上半期以降でございます。そこで、政府といたしまして、従来政府直接の倒産状況の調査の機構というものを持っておりません。したがって、いまお話しのように、民間の多年調査をしておる機構のそういう資料を中心に考えることが至当ではないか、そういうことでいまお示しのような数字を中心に考えておるわけでございますが、なお通産省としては地方の通産局がございますので、それらの数字をもとにいたしまして、また金融機関との関係においていろいろ検討しているものも総合いたしまして、倒産の実態をできるだけつかもう、またそれに対処しようと努力をしておるようなわけでございます。
○田中(武)委員 いま通産大臣は、政府自体が倒産についてこれを調査する機関を持たない、したがって民間の興信所の調査にゆだねておるというか、まかしておるというか、それにたよっておる状態であります。そういう状態でいいのでしょうか。昨年一年間に四千二百何ぼという中小企業を含む——大企業も一、二ありましたが、倒産、しかも、これが社会問題にまで発展しております。そういうときに、政府自体がそういう資料を握っていないということはどういうことなんですか。それは機構の上に問題があるのですか、予算がないのですか、それとも真剣に倒産の問題と取り組む姿勢がない、そのためでありますか。
○櫻内国務大臣 ただいま申し上げましたように、倒産が非常にふえてまいりましたのが昨年の上期以降でございます。昭和三十九年度の予算当時に倒産が非常にふえて、相当な調査人員を要するかどうかということについては、当時考えておらなかったというのが実態でございます。したがって、三十九年度には調査の人員もありませんし、また予算もなかったというわけでございます。 それでは四十年度はどうか。四十年度につきましては、むしろ行政機構の整理ということのほうが中心になっておりまして、企業倒産のための調査員を非常に多く求めるのがいいのか、それともいままで多年の経験を持っておる興信所を中心としての資料に基づきまして、できる限りの実態を把握するように努力するのがいいのか、この辺は非常に迷ったところでございますが、遺憾ながら機構の拡充とか、あるいは予算の点からいたしまして、現在多年の成果を持っておりますところの興信所を相手にするのがよかろう、しかし、それだけでは不十分であるから、さらに実態に即すように、地方通産局を中心にして実情把握につとめておる、こういうところが偽らざるところでございます。
○田中(武)委員 三十九年度は上半期ごろから倒産がふえてきたので、三十九年は予算がなかった。しかし去年一年は、史上最大と言われたのですよ。そういう倒産があったのにかかわらず、四十年度においてすらこれを調査する意思が通産省にはっきりとあらわれていない。もしそうであるなら、そのための調査費として幾らの予算を要求し、あるいはどういう態勢で臨むことをきめておりますか。
○櫻内国務大臣 実は、このたびの予算審議の過程におきましても、この問題について種々御質問をちょうだいしております。そのおりにも申しておるのでございますが、個々の企業に立ち入っての調査をしていくということを政府の機関でやるのがいいのか、役人が、不渡り手形が出たから、あるいはあの会社の状況がおかしいぞといっていろいろな調査をする、当然立ち入り検査などの必要も起きてくると思うのであります。そういうことを政府としてやるのがいいのかどうかというようなことも考えますときに、多年にわたって興信所がやっておる、相当な成果もあがっておるので、これをまず材料にいたしまして、そして、金融機関との密接な連絡の上にも立ちまして、また地方の実情にもよく通じておる地方通産局を中心にして実態をつかんでいくのがよい、こういうことに結論を得たのでございます。
○田中(武)委員 いなかに行くと、興信所を私立探偵社のように考えております。こういうのが調べるほうが政府で調べるよりかいい、こういう結論になるのですね。しかも興信所の資料は、負債一千万円以上のものを調べておるのです。それ以下のものは資料としてあがってこないのです。そうするならば、一千万円以下のいわゆる零細、政府でいう小規模事業、これなんかの倒産については政府は何ら関知せず、こういう考え方なんですか。
○櫻内国務大臣 今回の予算をごらんいただきますとおわかりのように、地方の商工会あるいは商工会議所等に指導員がございます。また企業診断センターもございます。 〔委員長退席、二階堂委員長代理着席〕 そういうようなものがおりに触れて実態をつかみ得る立場にあろうかと思うのでありますが、確かに民間がやるがいいか、あるいは政府がやるがいいかということについて、いま御疑念をお持ちであったと思いますが、調査ということになりますと、どうしても立ち入りをしなければならないというようなこともございいますから、それを役人がやるのがいいかどうかということについては、にわかに私はいいというほうの判断ができないのであります。しかし、従来多年にわたるところの調査をやっておるのでありますから、これを活用していくのも実情をつかんでいく上に一つの行き方だと思うのでございまして、ただ単にそれだけではなくして、総合した結論を得るようにいたしておるということは御了承いただけると思うのであります。
○田中(武)委員 興信所のやつは一千万円以上の負債のやつしか調べていないのです。したがって一千万円以下、言うならば小規模あるいは零細企業のことについては何らつかまれていないわけなんです。だから、昨年一年間で四千二百件あったといったって、それは一千万円以上なんです。したがいまして、それ以下のものが幾らあるかわからぬのです。数字もつかめないし、他人さままかせであってはたして倒産対策ができますか。
○櫻内国務大臣 先ほど申し上げましたように、全国の各銀行にも協力を得ておるわけでございますが、その場合に取引停止処分を受けたもの、こういうものはわかってくるわけでございます。これは別に負債額一千万以上というようなところには相なっておらないのでございまして、少額の倒産につきましてもある程度はつかめると思います。
○田中(武)委員 それでは、ことしての二月の点についてはあとから触れますが、昨年に四千二百何件、この中でいわゆる中小企業、これは基本法による定義でいきましょう、資本金五千万円以下云々の企業が何件ありますか。さらに負債一千万円以下であっていわゆる零細企業、こういうものの倒産が幾らありますか。お伺いいたします。
○櫻内国務大臣 興信所の調査の結果は、中小企業がどの程度とか、大企業がどの程度というようにははっきりつかんでおらないようでございます。ただ、最近における倒産の状況からいたしますと、大きなものが倒れましたときには、たとえばサンウェーブが倒れたとか、日本特殊鋼が倒れたとかいうようなことで、特に顕著なものだけが表に出ております。したがって、私どもは、概括的に中小企業の倒産である、こういうふうに一応頭に置いておるわけであります。
○田中(武)委員 人ごとのように言ってもらっては困るのです。東京商工興信所は一千万円以下は調べていないようでございます——ぼくは何も東京商工興信所のことについて聞いておるのじゃないのです。通産省あるいは中小企業庁が、中小企業、ことに零細企業の倒産をどのようにつかんでおるか、どのように把握しておるかということを聞いておるのですよ。それとも通産省は、いや政府は、中小企業、ことに負債一千万円以下で倒れるようないわば零細企業、政府が、いうならば経済べースに合わないような、そういうものはいつ倒れたってかまわないのだ、ほっておくのだ、そういうことを確認されるならよろしい。中小企業のうち、ことに一千万円以下の負債で倒れるものはわれわれは考えておりません、そういうことをここで明言されるなら、次に進みます。
○櫻内国務大臣 お尋ねの点でございますが、先ほどからお話しのとおりに、負債一千万円以上のものが数字としてあがっておるのでございまして、一千万円以下のものにつきましては、実態を十分把握しておりません。なお先ほども申し上げましたように、この倒産のかかる状況というものが三十九年上期以降の状況でございまして、それがために三十九年度の予算措置の上にも、また機構の上において人員も持っておらなかった。また四十年についてはどうするのか、これには非常に多くの人員も要することでもございましたので、従来の実績のある興信所の数字を一応中心にいたしまして、さらにそれを掘り下げる点については、地方通産局を中心とする御承知の金融懇談会等において実態をできるだけ把握をいたしたい。またさせるようにしておりますが、お尋ねのように、それでは一千万円以下は何件で、そして額は幾らか、こう言われれば、いま現在その数字はございません。
○田中(武)委員 そのことは、結局零細企業については、政府は倒産しようがどうしようが考えていない、関知せず、こういうことを物語ったと受け取ってよろしいですね。
○櫻内国務大臣 一がいにそういうふうに断定をされても困るのであります。これは、政府の三機関においてたえず金融をしておるわけであります。国民金融公庫のごときは、おそらく零細企業に対する金融機関でございまして、いまの御質問は、一体どれくらい倒れておるのか、どれくらいその件数があるのか、こう言われますので、その数字はつかんでおらない、トータルが出ておらない。しかし、政府三機関を中心として零細企業に対してできるだけの措置を講じておるということは、当然でございます。
○田中(武)委員 それでは政府の三機関、これの資料によって大体零細企業の倒産状況がわかりますね。ならば昨年一年間の負債一千万円以下、いわゆる小規模、零細企業の倒産状況を資料として出せますか。
○櫻内国務大臣 すでにいまお答えしたとおりでございまして、現実においては数字をつかんでおりません。しかし、国民金融公庫は、対象が零細企業中心となろうと思います。ですから、大体の見当につきまして、最近においてはどの程度逼迫しておるかとか、倒産がどの程度あるかとかというような、そういう概略的な傾向というものはわかると私は思いますが、しかし、これは国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫の責任者に聞いて、もし御質問のようにある程度の何か資料になるべきまとまったものが出るならば、これは私も求めてみたいと思います。
○田中(武)委員 通産大臣の御答弁によると、結局は零細企業のことについてはつかんでおられない。そのことは、昨年あれほど騒がれた中小企業の多くが倒れた倒産問題にあまり関心を持っておらなかった、そういうことだと断定いします。そのように関心がないのだから、その原因がどこにあるか聞いてもわからぬと思うのですが、その原因はどこにあったと思いますか。
○櫻内国務大臣 田中委員の御指摘の点は、私十分わかるのであります。しかし、倒産というのは答えのほうでございます。ですから、いま私が就任以来努力をいたしまして、大蔵大臣や日銀当局やあるいは企画庁にいろいろ言うのは、毎月の倒産数も多い、来月は一つ減らしたい、その次はもう一つ減るようにしたいというような気持ちで、私は対策のほうに非常に奔命しておるのでございます。しかし、その結果が非常に思わしくない、こいうわけで、これは、場合によれば私の不徳のいたすところかと思いますが、しかし、現に就任以来倒産に対する対策をいろいろと私なりに努力しておることは事実なのでございまして、通産省の機構をあげて何とか防いでいきたい。しかし、結果がいま田中委員のおっしゃるようなことになっておる。あるいは結果が出まして、その実態をよくつかんでおらぬじゃないか、そういう御非難をこうむることだと思います。
○田中(武)委員 その実数をつかまなくてはほんとうの対策を立てることはできないのです。大蔵大臣、税務署関係で倒産状況がわかると思うのです。廃業届けたとかなんとか。それから労働大臣、職業安定所の窓口でつかめませんか。失業保険の給付とか企業の届け出。昔はそういう方面から倒産状況はわかっていたのです。労働省か、それから税金の面で大蔵省か、どっちかでわかりませんか。
○石田国務大臣 お答えいたします。私のほうでは、離職をした人がどのくらい安定所に参るか、そういう数はつかめまけれども、倒産した件数というほうは、実態をそれぞれ安定所あるいは基準監督署で足でかせいだと申しますか、こちらから積極的に調べております数字はございますが、それが実数かといわれますと、こちらで足でかせいだ数字でございますので、完全な実数とはいえないと思います。
○田中(武)委員 不完全なものでいいですから、数字をお示し願えませんか。
○石田国務大臣 これは、東京の商工興信所の調べのもので、負債総額一千万円以上倒産した件数というのはす……(田中(武)委員「それはわかっている」と呼ぶ)これは、先ほどからのお答えのとおりであります。そこで私のほうで積極的に調べた数は、三十九年の四月には三十六件、六千五百八十六人、それから五月には三十四件、五千五百七十九人、それから六月に二十七件、二千九百九人、それから七月には二十件、二千百一人、逐月申しますと、二十四件、三千二百八十七人、それから十八件、千八百三十一人、次は十八件、千八百十八人、次は三十五件、六千百八十三人、それから十二月には四十四件、四千二百九十二人という数字が私どものほうにはあがっております。
○田中国務大臣 税務署で調べるということよりも、現在全国銀行協会の連合会で調べさしております。これでございますが、ただ、個人におきましては負債総額千万円以上、法人に対しては資本金百万円以上、こういうことで取引停止処分になったものの件数及び額から推算をいたしておるわけであります。法人において百万円以下というものをなぜ集計できないかということでございますが、これは、御承知のとおり、銀行取引口座を持たないもの、また取引停止処分を受けたからといって銀行からの金融が少ないもの、そういうもので、なかなか集計できないわけでございます。 まず、百万円から千万円までのものを申し上げますと、十月は八百九十四件であります。十一月は八百七十七件、十二月が八百十七件、三カ月の件数の総数は二千五百八十八件、これが大体十月、十一月、十二月は八百件ないし九百件という数字でございましたが、一月は五百七十五件でございますので、相当数は減っておるということは事実でございます。 それから個人でございますが、個人は十月が五十九人、十一月が六十一人、十二月が六十四人、大体六十人台でございましたが、一月は二十九人、大幅に減っておるわけでございます。 負債金額の判明数を申し上げますと、十月が八百七件、十一月が七百九十九件、十二月が七百五十五件、大体七百件ないし八百件という数字でございましたが、一月は三百九十六件、大幅に減っておることは、いまの大体原因別にどういうふうになっておるかということでございますが、この件数の中で、設備投資の過大——並びに資本の過小——これをお持ちになっておれは、どうぞそれで御承知ください。
○田中(武)委員 もう一つの、労働省として安定所の窓口で調べたのは十分の一ほどしか出ていない、こういうこと、それから、大蔵大臣の言われた件数でいくと、東京商工興信所の数よりかだいぶ上回っておる。そういたしますと、大蔵大臣の言いましたというか、全国銀行協会連合会の調べたところの件数から東京商工興信所の発表の件数を引いたのが、いわゆる負債一千万円以下の零細企業である、こう見ていいわけですか。
○田中国務大臣 私がいま申し上げたものは、取引停止処分を受けたもの、すなわち破産につながるものの数字でございまして、東京商工興信所の数字との間には相当の開きがございますので、これから東京興信所の数字を単純に差し引いたものがそれ以下の倒産件数であり、負債金額ではないわけであります。
○田中(武)委員 それでは、同じ資料を持っておるようですからわかるだろうと思いますけれども、いま大蔵大臣が言われた不渡りによる倒産、これのうち、中小企業基本法の定義に基づく五千万円以下の企業が何%あるか。
○田中国務大臣 百万円から千万円未満が十月で……。
○田中(武)委員 いや、中小企業基本法の五千万円以下だけでよろしい。
○田中国務大臣 百万円から千万円未満を、十月にして九一・九%、千万円から五千万円未満が六・八%でありますから、これを合わせますと九八・七%というのが、中小企業基本法に基づくものであります。
○田中(武)委員 いまお聞きのように、倒産のうちの九八%がいわゆる中小企業で占められておる。そうするならば、通産省ないし中小企業庁は、この倒産の問題に対して大きく取り組まねばならないと思う。その倒産の原因をひとつお伺いいたします。ただし、銀行協会の調査による売り上げ金の回収だとか何とかいうようなものでなく、根本的にどういうところに中小企業に欠陥があってこのように多くの中小企業が倒れていったのか、その原因をお伺いいたします。
○田中国務大臣 他のものはまた別に申し上げますが、御承知の設備投資の過大及び資本が非常に小さいというものが、昨年の十月現在で一九・八%、コスト高、人手不足というのが少しございます。業績不振が二五・九%、売り上げ金の回収難三四・四%、その他一五・八%ということでございます。
○田中(武)委員 その原因はどこから来ていますか。
○田中国務大臣 金融引き締めのときには非常に中小企業の倒産が多いものでございますが、私は、今度の中小企業の倒産というものは、金融引き締めだけの問題ではないというふうに考えております。また、公定歩合が一厘引き下げられましたときも申し上げましたが、中小企業の倒産は依然として高い水準にあると思うので、中小企業に対する金融その他格段の措置を講ずべきであるという基本的な姿勢を明らかにいたしておるわけでございます。率直に申し上げると、具体的な問題はたくさんございますが、戦後三つの段階にいま分けております。 第一段階は、戦後の非常にものの少なかった時代、ものさえつくれば、金さえ借りられればもうかるという、こういう時代であります。 第二の段階は、昨年の三月までの段階でございますが、これは、量的拡大から質の時代に転換をしつつあった時代でございます。 第三の段階は、昨年の四月一日から、いわゆる国際経済の中に開放体制として日本の経済が国際レベルにおいて考えられなければならない、全く質的な環境に突入したわけでございます。そういう意味で、やはり中小企業そのものが量的拡大から質的な時代に移らなければならない過程における一つの現象だというふうにも考えられるわけであります。もちろん大企業がみずからの資本圧力等によるしわを中小企業に寄せておるという面もありますので、下請代金支払遅延等防止法等の的確な施行も十分考えなければならないし、またこれらざる法だといわれておりますものに対しても、十分新しい角度から再検討をしなければならないのではないかというふうにも考えております。また、企業間信用が、過去五、六年の数字を見ますとおわかりになるとおり、国民総生産は約倍になった時代に、企業間信用は約三倍にふえておるわけであります。こういう不正常な金融の状態において、中小企業が非常に困難な状態になっておるということも考えられますので、中小企業向けの資金量を拡大していくとともに、金融の正常化もはかっていかなければならない、こういうことも大きな原因だと思います。まあさまざまな原因がございますが、いずれにしても新しい体制、国際的な視野で見た事業の状態をつくらなければならない過渡的な時代における一つの現象でありますので、政府も国民もあらゆる角度からこの中小企業の倒産というものは避けるようなあらゆる方策を立てなければならない、こう考えておるのであります。
○田中(武)委員 中小企業の倒産についていまいろいろと大蔵大臣は述べられましたが、本質には触れていないと思うのです。日本銀行が公定歩合を引き下げ、金融を緩和したというが、それ以後の二月が五百二十一件とふえておるのですね。その一番の原因は、市中銀行をはじめとする、地方銀行も含みますが、そういうところのいわゆる選別融資なんです。私が特に大臣の答弁を聞いておって感じることは、中小企業の倒産というようなことは避けられないのだ、何だか自然現象のような考え方です。これは、人為的なんですよ。政府の政策の結果なんですよ。政府の政策の結果、中小企業、ことに零細企業をどんどん倒しておりながら、その実態をも把握できないというのが現在の政府のあり方ですか。通産大臣は東京商工興信所の資料しか持たない。大蔵大臣は得意然として言われましたが、それも全国の銀行協会の調査なんですよ。政府自体が実態を把握しなくて、そこにどうして中小企業、ことに零細企業の倒産についての対策が立てられますか。どういう対策をいまお持ちなんですか。しかも、三十九年にあれだけの倒産が出たが、すでにどういう対策を行なわれたのか、ひとつ具体的にお伺いいたします。
○櫻内国務大臣 田中委員に申し上げますが、先般閣議で決定しまして、中小企業に関する年次報告、これをお持ちであろうと思います。ここへこの倒産、不渡り等の状況の総合的判断は書いたわけであります。 それから、いま御指摘のように、おまえのほうは興信所の資料、それから大蔵省のほうは銀行協会の資料。これは、私のほうにも全部まいっておるわけでございます。そこで、実態の把握が不十分であるという先ほどからの御指摘でございますが、私どもとしては、なかなかこれは実際上つかみにくいことであるというふうに思います。そこで、繰り返し申しておるように、これらの資料を全部統括をいたしまして、そして地方の通産局を中心にして出先の、大蔵省でいえば財務局長であるとか、あるいは日本銀行の支店長であるとか、あるいは地方公共団体であるとか、あるいは親企業であるとか、また信用保証協会もございましょう、そういう人たちが全部寄って、そこで金融懇談会をやりながら地方地方の実情をつかみながらそれに対処していく、こういう方針をとっておるわけであります。そこで、いま金融が緩和されたけれども、しかし倒産はふえておるじゃないか、だから緩和した効果はあがっていないじゃないか、この御指摘でございますが、これは、田中委員が重々御承知で御質問なさっておると思うのであります。昨年の十一月、十二月の年末の金融、これに対処いたしまして、そのために塩町の手当をいたした面も相当ございまして、したがって、この二月の末から三月、四月の上旬ぐらいまでは相当中小企業は困るのではないか、こういうことで、先般の閣議におきましても、どうも今月も倒産数が多いようだから、できるだけのことをしてもらいたい——また、できるだけのことをする場合に、政府の三機関がまず中心でやるべきでありましょう。それから各金融機関に協力を求める必要があると思います。したがって、御承知のように、日銀ともあるいは銀行協会の代表とも懇談会もしつつ、通産省の見解というものを十分浸透させるようにしてまいっておるわけであります。しかし、それがあまり効果があがっておらないということはきわめて遺憾でございますが、できるだけの対策を講じておるということを申し上げておきたいと思います。
○田中(武)委員 きわめて遺憾であるというだけでは済まされない問題なんです。そこで、このことばかりにひっかかっておっても時間は過ぎていきますので、大臣諸公に聞いてもどうも的確なものが出ないので、私のほうからひとつ提案をしたいと思うのです。 通産大臣のほうへ指をさされたから通産大臣になりますが、通産大臣の所管の法律で中小企業業種別振興臨時措置法というものがありますね。これは、業種別に中小企業を振興さそうというわけなんです。かりにそれを積極的政策とするならば、倒産を救っていく、あるいは倒産になったものをどう救済していくか、こういうことを私はかりに消極的政策とでも申しましょう。そうするならば、中小企業倒産の原因別あるいは業種別とでもいいますか、そういう政策が必要ではないか、こう思うのですが、実態すら把握していない政府でありますから、おそらくは原因別対策というようなことはできないと思いますが、これからでも原因別対策をお考えになる用意がありますか。いかがでしょう。
○櫻内国務大臣 先ほどからお答えをしておりますように、倒産の原因別を正確に把握することが非常に困難ではございますが、しかし、今後取り組んでいかなければならない問題であると思います。どの程度できますか、私としては最善の努力を払って研究をしてみたいと思います。
○田中(武)委員 あまり自信もなさそうな答弁でございましたが、通産大臣、これから人さままかせでなく、まず政府の手で的確に倒産の実態をつかむ、それを原因別に選別する、それに従って対策を立てる、このことを約束せられますか、いかがでしょう。
○櫻内国務大臣 ただいま田中委員がお話しのようなやり方も、一つのやり方だと思います。いま中小企業庁長官が私に申しますには——これは正直に申し上げるほうがいいと思います、目の前で行なわれておることでありますから。むしろ通産省としては実態をよくつかんでやっていきたい、実態別でいきたい、こういうふうに長官が私に申しておりました、これも一つの方法でございます。しかし、現に通産行としてさように実態別でいろいろ検討しておるという事実は、申し上げておくほうがよかろうかと思います。
○田中(武)委員 実態別、それもけっこうなんですよ。それなら実態をつかまなくちゃならぬ。その実態がいまつかまれていないというところに問題があるのですが、まあこの程度にして次にいきましょう。 少しおかしな質問になりますが、法務大臣、昔から大の虫を生かすために小の虫を殺す、こういうことばがあります。親を生かすために子を殺す、こういう法律が、あなたの管轄している法律にあるとするならどうでしょう。大の虫を生かすために小の虫を多く殺していく、子を殺して親を生かす。たいてい親が子の犠牲になって子供を助けるというのが母性愛です。ところがその逆な現象があるのです。そういう法律があるとするならば、どうします。
○高橋(等)国務大臣 非常に抽象的な御質問ですが、そうした法律はどういう法律があるか、どういう問題点があるか、ひとつ具体的に御指摘をお願いいたします。
○田中(武)委員 それでは具体的に聞きましょう。中小企業の倒産が起きて社会問題化していることは、先ほど来述べておりますが、ことにがまんができないのは、相当基礎のある大きな会社、たとえばサンウェーブを例にあげましょう。二十八億六千万円という資本がある。それには五百に近い下請が連なっておる。ところが突如として会社更生法の適用を受ける。私は、会社更生法の悪用とでも申しますか、便乗とでも申しますか、そういうものだと思うのです。ここで一千万円以上の負債で、サンウェーブが会社更生法を適用しただけで倒れたのが、十九社あるのです。もっとあると思うのです。これすべて会社更生法という法律である。この会社更生法によって、親企業は適当なところに逃げ込んで自分だけの保身をする。ところが下請なりそれに連なる零細企業は、そのことによってばったばったと倒れていく。会社更生法は、つぶすには惜しい、更生の見込みあるものに対して更生せしむるというのが法律の精神であります。にもかかわらず、これがそういったような悪用をせられておる。この実態について、この法律の所管大臣として、法務大臣、通産大臣は、自分の管轄している中小零細企業が、親企業がこういう更生法に逃げ込むことによってばったばったと倒れていく、その現状を見て、会社更生法についてどのようにお考えになりますか。
○高橋(等)国務大臣 更生法の乱用につきましては、これは許すべきものでないことはもちろんであります。裁判所におきまして十分なる調査を遂げ、審理を遂げて決定をいたしておるのでございます。
○櫻内国務大臣 サンウェーブの倒産の場合、あるいはその前に東京発動機の場合などがございますが、これらの倒産の場合に私どもが一番関心を持たなければならぬのが、御指摘のとおり連鎖倒産だと思います。会社更生法が連鎖倒産とどうだということは、私はこれは別だと思うのであります。私の立場からいえば、倒産が出たら、連鎖倒産ができるだけないように措置をする。そのためには、とりあえずは政府の三機関を動員をする、また民間金融機関の協力を求めるというような具体施策になっていくと思います。会社更生法のことは、その後に起きる別の問題とは言いませんけれども、実際に必要なことは連鎖倒産に対する措置であろうかと思います。 〔二階堂委員長代理退席、委員長着席〕
○田中(武)委員 その日突然会社更生法を申請しなくてはならないというようなことになったとは思わないのです。その前から相当な準備がなくちゃならぬと思うのです。しかし、実際を見てみますと、そういう期間においても、どんどん下請に発注をしておるのです。そうしておいて、融資銀行その他大口大企業に対しては連絡をとり、下請企業等はつんぼさじきに置いておいて、突如として会社更生開始手続を申請するわけなんですよ。そこで、まずその点からお伺いしたいのですが、会社更生法は、株式会社ならばだれでも適用になるような条文になっております。しかしながら、実際会社更生法に便乗というか、利用して自分が生きる道を選べるのは大企業だけなんです。中小企業の株式会社であっても、法律上は適用になるが、実際は適用にならないのです。たとえば同法の三十四条に、予納金制度があるわけです。中小企業では、かりに会社更生法で生き延びようとしても、これはできないわけなんですね。しかも法務大臣は、裁判所において決定する。なるほど裁判所が決定をいたします。しかし、それ以前に債権の保全処分というのがなされるわけです。問題はこれなんです。保全処分がなされたら、もうその会社の財産は凍結せられる。それで、そこからもらっておる約束手形、こういうものは全部動かすことができない。したがって、予納金の制度の問題あるいは保全処分を決定するにあたって、無担保の債権者、下請企業の代表者に裁判所が意見を求める、そういうことも必要でありましょう。また、手続がなされたときには、裁判所は税務署と市町村長に連絡することになっております。しかし、無担保債権者はわからない。税務署と市町村長に連絡するということは、これは、税金だけは抜け目なくとろうということなんです。したがって、まず第一の提案、会社更生法が中小企業にも十分に適用せられるように、予納金の制度、あるいは先ほど申しましたようないろいろの手続、こういう点を改正する必要があろうと思います。さらに申請が出たときに、現在の法律では市町村長とか税務署等にだけ通知をするようになっておりますが、これは無担保債権者——そこに下請協同組合があるならばそれでもけっこうでしょう、そういった人にも通知をする。こういうように改正をする必要があろうと思いますが、いかがでしょう。
○高橋(等)国務大臣 私からお答えするだけのことを申し上げて、足らないところがございましたら政府委員から補足をさすことにいたします。 会社更生法は、窮境にあります再建の見込みのある株式会社につきまして、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しつつ、その事業の維持更生をはかることを目的とするものであります。下請会社の利益にも、更生手続において十分考慮しなければならないことは申すまでもないのであります。このような利害関係人の保護の手続は、更生法において種々配慮されておるところでございます。更生手続開始にあたりましては、裁判所は破産回避等の目的で更生手続開始の申し立てがなされた場合、あるいは更生の見込みがない場合、その他申し立てが誠実にされたものでないときなどは、更生手続開始の申し立てを棄却しなければならないことになっておる。このような事由の有無は、裁判所が職権によって調査をいたさねばなりません。裁判所は、この調査の際に、会社の幹部のほか、重要な債権者、労働組合等の意見を徴するのが通例であります。場合によりましては、調査委員を選任して、更生手続の開始が適当であるかいなかについて意見書を提出さすこともあるのであります。また、更生手続開始の申し立てがあったときは、裁判所は会社の業務を監督する業政庁等にその旨を通知して、会社の更生手続について意見の陳述を求めることができることになっておる。したがいまして、下請会社の利益は、これらの手続において十分に考慮することが可能であると考えております。(田中(武)委員「もういい」と呼ぶ)私はお答えを申し上げております。 次に、倒産に際しまして、税務署等に行なう通知義務の問題をお尋になっております。これは、御存じのように、更生手続開始の申し立てがありましたとき、裁判所は、会社の業務を監督する行政庁、会社の本店の所在地を管轄する税務署の長並びにその本店所在地の都道府県及び市町村またはこれに準ずべき公共団体の長に、その旨を通知しなければならない。監督行政庁等は、更生手続について、裁判所に対して意見を述べることができることになっておる。これは、第三十五条第一項、第三項であります。会社の債権者等に対しては、このような通知をすべき旨の規定はございませんけれども、更正手続開始の決定をするについては、裁判所は、職権で必要な調査をすることもできることとされていて、裁判所は、更生手続開始決定前に債権者その他……。
○青木委員長 法務大臣、簡潔に願います。
○高橋(等)国務大臣 利吉関係人の意見を聴取することが可能でありますから、更生手続開始の申し立てのあった段階における措置としましては、その程度で十分であろうと思います。裁判所が更生手続開始の決定をしましたとき、一定の事項を公告するほか、借財人、会社並びに知れております更生債権者、更生担保権者及び株主に、更生手続開始決定の主文、管財人の氏名または名称その他の事項を通知し、さらに、会社の業務を監督する行政庁、法務大臣及び大蔵大臣に通知をいたす、そういうわけでございますから、この通知の範囲もこれをもって十分であると、こういうように考えておる次第でございます。
○田中(武)委員 いまの法務大臣の答弁はすれ違いですから、これは時間から抜いてもらわぬと困ると思います。 大臣、通知には二つあるんですよ。開始手続前にする通知と後にする通知。あなたが読んだのは、後のことまでとっととっと読んだんです。私が言っているのはそういうことじゃないのですよ。問題は、裁判所が決定をしますが、それ以前に、具体的に言うならば、サンウェーブの場合について言うならば、会社の申請を決定する以前に——これはもう申請してから二、三日で保全処分がなされておる、それから決定がなされたわけです。私が申し上げるのは、この保全処分の問題なんです。保全処分をしたときに、すでに債権債務は凍結するんですよ。そうすると、いかに下請があせろうとどうしようと、どうにもならないのだ。そこで、保全処分をするにあたって考慮するような条文にする必要があるのじゃないかということが一つ。 それから、あなたが法律をもってお答えになったのだからお伺いいたしますが、この決定は口頭弁論を要せない。それは裁判官の任意選択になっている。いいですか。会社更生法の講義なら、こっちが申し上げます。したがって、会社更生手続開始決定は、必ず口頭弁論を経なければならないというように改正する。そういうことについてはいかがでしょうか。聞かないことはよろしい。聞いたことだけでよろしい。
○青木委員長 新谷民事局長。(田中(武)委員「いや、これは立法論の問題だから、政策の問題だから」と呼ぶ)一応お聞き取りください。新谷民事局長。
○新谷政府委員 一応事務当局からお答え申し上げます。 いろいろとむずかしい問題でございますが、最初の予納金の問題でございますが、これは、更生手続を開始するまでの経費を予納金の形で納付するわけでございまして、それ以後の経費につきましては、会社の財産から支払う、こういうたてまえになっております。したがいまして、予納金が更生手続の全部の経費をまかなうというものではございません。 それから、先ほどの口頭弁論でございますが、これは、会社の更生手続を開始するかどうかにつきまして、訴訟の形態によらないで、ただいまお話しのような職権調査主義という形をとっております。これは、口頭弁論の形にいたしますと、一般の訴訟と同様の形になりまして、これは経費もかかるし、日時もかかります。また、手数も膨大なものになる危険性がございます。できるだけ早く更生の見込みのある会社の更生をさせるためには、口頭弁論の形式を経ないで、むしろ裁判所が職権をもっていろいろのことを調査し、さらに調査委員等によりまして諸般の問題を調べまして、それに基づいて裁判所が公正な解決をはかろうというところに法の趣旨があろうかと思いますので、口頭弁論形式にいたしますことについては、若干問題があるように私ども考えております。
○田中(武)委員 どうも法律の解釈というか、講義を聞いておるのじゃないのです。サンウェーブのことについて具体的に言いましょう。サンウェーブが会社更生手続開始申請をしたのが、十二月の十二日の午前十一時三十分。サンウェーブは十二日と十三日が手形の決済日になっておるのです。その十二日の手形決済日の十一時三十分に申請をしておるわけなんです。十二日に申請せられて、十五日に保全処分命令が出されておるのです。その間わずか三日間。そうして二十四日に開始決定がなされたわけです。それから更生計画提出が九月三十日。私の申し上げておるのは、このサンウェーブの場合は十五日の保全命令です。保全命令が出てしまうと動かせないわけですよ。そうすると、下請あたりが幾ら手形を持っておっても全部パーなんです。だから、この保全処分をする前に何らかの方法が考えられないかと、こう言うておるのです。通産大臣、中小企業、ことに下請企業の保護の上からどう思います。私は、会社更生法の講義を伺っておるのじゃありません。それとも、時間を与えてくださるなら、一条一条討論してもよろしい。会社更生法なら、私のほうが自信があります。いかがです。
○櫻内国務大臣 先ほどから田中委員から三十四条の予納金の問題、債権の保全処分に伴う各種の不当の事例、また手続についての改正の要があるんじゃないかという建設的な御意見をいろいろ承ったわけであります。実を申し上げますと、私自身この会社更生法の適用をした実例というものをそう多く知らないのであります。また率直に申しまして、こういうような法律がものというような事態では、これはもう当然出中委員もいけないと思うのでありまして、こういうふうにいま適用をして、そして、こういうふうにいろいろな例があがってきたわけでありますから、これは、私としては田中委員の御指摘の点を十分頭に置いて検討するのが、これが一番至当だと思います。
○田中(武)委員 法務大臣、どうですか。
○高橋(等)国務大臣 通産大臣もそういう御意見ですし、十分検討いたしてみたいと思います。
○田中(武)委員 法務大臣、ただいまの答弁は、会社更生法について検討する、このように受け取ってよろしいですね。
○高橋(等)国務大臣 ただいま御指摘の点につきまして検討してみたいと思います。
○田中(武)委員 それならば、保全命令を出す前に何らか中小企業、下請企業を保護するとか、何かの点について検討する、このように理解いたします。 そこでついでですが、この会社更生法は、詐欺更生罪というのがあります。これも開始決定後でないと犯罪にならない。問題はそういうことでなく、保全命令が出されるこの段階なんです。この段階で完全に中小企業は倒れるのです。しかもサンウェーブの場合は、不動産、固定資産だけでなく、在庫商品とか仕掛け品まで全部保全処分が出たのです。大体知っているところを見せると、会社更生法三十九条第一項の保全処分は、別に法律は制限をしておりませんが、固定資産になされるというのが大体の解釈のようです。それが、その他のものまでも保全処分が出たということ——あくまでもこれは裁判所がやったことですから、私は裁判の結果を批判いたしませんが、どう考えても中小企業が浮かばれない。小企業、下請は殺されて親を生かすという役しか会社更生法はしていない、こう考えます。したがって、会社更生法の検討を迫っているわけなんです。
○高橋(等)国務大臣 検討すると申しましたことは、法律を直すということとすぐ通じるわけではないので、いろいろな点について御指摘の点を十分検討したい、こういうことを申し上げたのであります。
○田中(武)委員 どうもこれをやっておってもらちがあかぬし、あまり御勉強になっていないようです。ただ、ここで私申し上げたいことは、昨年四千二百件倒産があった。中小企業は倒産即消滅です。しかし、会社更生法によって逃げ込んだといいますか、この企業は消滅じゃない、残るのです。いいですか。もちろんいま櫻内通産大臣が言ったように、ケースは多くありません。三十九年中に申請したのは三十七件、うち決定がなされたのが十四件、目下調査中というか、そういうのが九件、中には一度申請をしたけれども、自主再建をやるということで取り下げたのもあります。数としては四千二百件のうちの三十何件、こういうことでありますが、これは法の保護によって残るんですよ。ところが、これに関連した下請は全部消滅するんですよ。いまや会社更生法は子を殺して親を生かす法律である。大の虫を生かすために多くの小の虫を殺していく、この役しか果たしていないことを断言いたします。したがいまして、根本的に会社更生法を下請企業の保護という立場から検討を願いたいと思いますが、いかがです。
○高橋(等)国務大臣 ただいま申し上げましたとおりでございます。
○田中(武)委員 ただいま申し上げたとおりというのは、どういうことなんです。私が提案しているのは、会社更生法は、いまや先ほど言ったような役割りしか果たしていないというんですよ。したがって、下請対策、零細企業対策という立場から会社更生法を見直す必要がある、こう思っておるんですよ。そのことについて法務大臣が的確なる答弁ができないとするならば、総理を呼んでいただきましょう。会社更生法というのは、相当大きな法律ですよ。それとも田中大蔵大臣、総理大臣代理として確約しますか。
○高橋(等)国務大臣 御指摘の下請の問題につきまして、これを全面的に検討いたしたい、こういうことをお答えいたしておるわけでございます。
○田中(武)委員 下請代金支払遅延等防止法を若干強化する、そういうことでは救われないのですよ。この会社更生法がいま言ったような役割りをしておるのだ。したがって、中小企業、ことに下請企業対策の面から、もう一度会社史生法を見直す必要がある。いまやこの会社更生法は、下請をつぶして大企業というか、親企業を救うための役割りしかしていないということを言っておる。だから、その面から、ただ中小企業庁所管、通産省所管の法律だけではだめなんだ、こういうことを申し上げている。どうでしょう。
○櫻内国務大臣 先ほども田中委員の御指摘された事項について、私は、そういう問題があればやはりこれは問題である、こういうふうに感じております、したがって、更生法について当然これは検討する必要があろうかと思います。
○高橋(等)国務大臣 先ほどからお答えしておりますように、これを繰り返すだけでありますが、とにかく御指摘のような例が起こりましては、下請業者もいろいろたいへんなことでございます。そういうようないろいろな角度から十分検討をさせていただきたい。
○田中(武)委員 法務、通産両大臣が検討を約束したと、明確に確認をいたします。 労働大臣、あなたはものわかりがいいから私の質問ですぐ答えられると思うのですが、会社更生法百十九条には共益債権の規定があります。これには、御承知のように、手続開始前に生じたる従業員の六カ月間の給料、これを共益債権として優先しております。そこで、同じ労働者である直接つながっておる下請企業、ここの従業員の給料も、同じように六カ月間優先権を認める必要があると思います。民法の規定によると、親も下請も関係ないわけです。したがって、百十九条を改正して、下請企業の労働者の給料をも共益債権として認める、こういうようなことについて検討というか、改正の必要があるかないか。 それからもう一つ、これはもう大体常識でわかるのですが、会社がこの会社更生法の申請をしたときに、よく労働組合等との間に問題を起こすのですが、社内預金の問題について、同じく百十九条に「使用人の預り金」とあります。これは、社内預金を意味するものであろうと思います。さらに、労働基準法第十八条だったと思いますが、社内預金のことについていろいろの規定があります。ところが、そういう規定に従って手続をしておるのとおらぬのとある。こういう手続のあるなしということと百十九条の預かり金とは関係がないと思いますが、そういうこと、それから手続をしていないところの会社が社内預金をさせておることについてはどう考えるかということ、それからついでですから、大蔵大臣はこの社内預金ということについて、金利という観点からどう考えられますか。大体社内預金というのは、はっきり言えば労働金庫よりか高い利子で預かる、これが目的なんですよ。そういうことについて、あとでよろしいから大蔵大臣の御意見を……。
○石田国務大臣 御指摘のように、会社更生法百十九条によりまして、更生申告開始の六カ月間の賃金は、共益債権として先取り債権が認められております。その共益債権の範囲を下請企業にまで広げたらどうか、こういう御質問でございますが、先ほど通産大臣が御答弁なさいましたように、下請企業保護のための法検討の必要はあろうかと存じます。そうして、その法検討の結果としてそれが保障されるようになれば、下請企業の勤労者の賃金も保障されるのではないだろうか。直接的に下請企業の勤労者にまで共益債権の範囲を広めるということは、他の債権から問題があろうかと存じますけれども、しかしながら、私ども勤労者の生活を預かっておる者といたしましては、でき得る限りこの法律の不備の点の改正についての検討を求めたいと考えております。 それから社内預金は、基準法十八条によりまして、御承知のように一定の条件のもとに届け出をしなければならないと存じます。しかしながら、届け出をしないものでも、預かり金でありますから、これは会社更生法の決定を受けたその企業においては、むろん百十九条の範囲に入ると考えております。 そのほか、一般に債権の中におけるいわゆる賃金債権の先取り特権について、これは、私、いまから八年ほど前就任して以来、関係方面とその確立について折衝をいたしておるのでありますが、私どもの立場といたしましては、やはり賃金債権を優先すべきであるという立場を常に主張いたしておりますけれども、他の債権をお預かりしている立場との調整がむずかしくて今日に至っているところでございます。
○田中国務大臣 俗にいわれる社内預金は、労働基準法十八条に基づく預金であります、これは、もうやむを得ない現状に徴して労働基準法で規定をいたしたわけでありまして、私は、こういう制度には本質的には反対であります。こういうものはなくすべきであるという考え方でございます。しかし、現にこういう問題が存在し、また基準法に規定をしたわけでありますが、この問題に対しては二つの問題があります。一つは、金利が非常に高いから、社内預金というのは、従業員以外でもいろいろな名義でもって積み立てる。それが倒産した場合には先取り特権が確保されておらぬ。更生法の場合は、いま労働大臣が述べたとおりでございます。こういうところに問題があるわけでございます。私は、廃止をするにしくはありませんが、しかし、現実問題として短兵急にこれが片づかないという現状に徴しまして、金利の制限をやって——高い金利を出しておりますが、金利の制限をやって、そうして社内預金のうまみというものをだんだん押えて、同時に、優先債務といいますか、先取り特権を規定するというほうがより合理的じゃないか、こういうことをいま考えております。これは、なかなかむずかしい問題でありますし、すでに去年の三月ぐらいでん千億ぐらいのことを言っておりましたが、実際は一兆円以上にもなっておるということになれば、これはたいへんな問題でありますので、この先取り特権という問題と金利を自由にしておるという問題のバランス、調和をとらなければいかぬというふうに考えます。
○田中(武)委員 時間の関係もあるからはしょってやりますが、百貨店等が出しておる商品券は、昭和七年につくられた商品券取締法という法律によってなされておるわけです。これは、大蔵省所管だと思いますが、また百貨店は通産省の管轄でございますので、この商品券が現在幾らほど出ておるか、お伺いいたします。
○田中国務大臣 三十九年の十二月分で申し上げますと、残高は五十億四千四百九十万五千円でございます。
○田中(武)委員 これは、法律によって年二回、三月三十一日と九月三十日に残高を報告することになっておるわけです。その残の二分の一を供託するということになっている、倒産した場合は、その供託金の上に先取り特権がある、こういう法律のたてまえですが、現在五十何億円ですね。これは、そのときの届け出だけですが、一応一年間に商品券というものが幾らほど回転しているか、延べ金額にして幾らくらいだと考えられますか。
○田中国務大臣 数字の問題でありますから、的確の意味で政府委員から答弁します。
○松井政府委員 大臣から御報告申し上げました十二月分の残が五十億でございますが、その年のその月の回収高が二十五億でございますから、回収高と残高と比較して回転率を見ますときには、大体二カ月に一ぺん回転しているということが言えると思います。
○田中(武)委員 かりに五十何億として、二カ月に一回転さしたら年に六回、五十億の六倍で三百億円ですねしこれは、おそらくなにはできていないと思いますが、そのうち焼失とか紛失ということでいわゆる換物できないものが幾らぐらいあると推定されますか。
○田中国務大臣 紛失したのはありませんです。
○田中(武)委員 紛失、焼失なしとおっしゃるのですか。それじゃ発行したものは全部換物されておりますか。
○田中国務大臣 そういう調査及び統計をとっておりませんので、現時点においてはつまびらかにいたしておりません、こういうことです。
○田中(武)委員 ところが、先ほど申しました商品券取締法の第五条では、大蔵大臣は検査権と報告徴取権があるわけなのです。私、なぜ申し上げていると申しますと、まず下目に見て三百億円、この三百億の何割か知らないが——何割もいかなくても、何%か知らぬが、換物せられなかった場合は、それを発行した百貨店なりその他不当利得になるわけです。だから、こういう調査も必要だと思うのです。さらに、これは税金の関係だと思うのですが、商品券でなく、買いもの券とか引きかえ券だとかいうのが出されておりますが、こういうのはどういう性格です。この法律の適用を受けますか。
○田中国務大臣 お話がだいぶ専門的になってまいりましたので、政府委員から答弁します。
○松井政府委員 いまおあげになりました商品券取締法自体には、的確な定義は載っておりません。われわれのほうで監督いたしておりますのは、発行者に対する監督、監督いたします理由は、商品券を発行いたします業界の安定と、それから商品券を持っている人の保護という観点からでございまして、いま申し上げたのも、先ほどおっしゃいましたとおり、二の一の供託を要するものということについてわれわれ調査したものでございまして、これ以外にいろいろ類似の商品券がございます。しかし、供託を必要とするものかどうかは、法律にありますとおり、金額の表示があるものということに第何条かになっておったと思いますが、そうした類似のものがどういうものがあるか、それについて商品券取締法の全部の適用があるかどうかは、具体的な例を拝聴いたしませんと的確に申し上げられませんけれども、類似商品券というものは非常に多い。これを監督する意味におきまして、大蔵省にそういう権限が与えられておるものである、こういうふうにわれわれは理解しております。
○田中(武)委員 この法律の五条による検査権あるいは報告徴取権、こういうことは実際やっておられますか。
○松井政府委員 御存じのとおり、大蔵省本省ではやっておりませんが、財務局では適宜検査をやっております。 それから、新しい商品券類似のものが出てまいりまするときには、気をつけまして、発行者を呼びまして、いろいろ調査もいたしますし、問題の起こったものについては、本省に稟議して、どう扱うかをきめるというところまでやっております。
○田中(武)委員 なぜ突然商品券なんか言い出したかというと、これが倒産問題につながってくるわけなんですが、もう時間の関係もありますので、この点はこの程度にしておきます。 そこで、通産大臣にお伺いいたしますが、設備近代化資金の拡充ということ、これは、中小企業基本法第八条による年次報告一項、年次報告二項の、四十年度にとろうとする施策の中には、第一にあがっておるのが設備近代化拡充強化ということ、これの法律によって指定せられておるのが三十六業種、品目が百七十七品目です。そこで、これに対して政府の補助金というのは五十億。しかし、この設備近代化資金、俗に設備近代化助成金と言っていますが、これをまず第一にあげておられるのです。しかしながら、これは法律で見ても明らかなように、これは府県がやる事業に対して通産省が補助する、こういうたてまえですね。府県が高度化資金あるいは近代化資金の特別会計を設ける、それに対して国が補助をするという関係、こういうことになっておるのですが、これを第一番にあげるということは、地方自治体にやらしておいて、いかにも通産省がやっておる、中小企業庁がやっておるというように見せておるまさにスタンドプレー的なものだと思うのですが、この点、いかがですか。
○櫻内国務大臣 田中委員の御指摘でございますが、しかし、政府の財政投融資の金にいたしましても、これはやはり金融機関が実施をするとか、また、いまのような近代化資金あるいは高度化資金、こういうものは地方の自治体あるいはその関係で実施に移す、実施に移す上においては、そういう地方へまかすほうが広く浸透するのではないか、こう思うのであります。だから、その使い方についていろいろ御批判があろうかと思いますが、私は、実態に即しておると、かように思います。
○田中(武)委員 時間がないという催促ですから、列記的に並べてやります。ということは、設備近代化資金は、結局これは余裕のある県、あるいは高度化資金は実力のある業種あるいは組合、こういうところに強く行くわけなんです。貧弱な県は、たてまえは県がやって国が補助することになっているが、国がワクをきめて何々県幾らということをやって、その半分を出すわけですね。そこで、現実において国の補助金を返上した県があるのかどうか。それから、高度化資金にいたしましても、それも受け入れる実力というか、あるいは少しいいところでないと受けられないということ。このこと自体は、設備近代化助成金は結局中小企業の中に格差をつくっていく。これにいたしましても、頭金を用意できないものは借りられない。だから、余裕のあるものをつくっていくという、中小企業の中に格差をつくるという結果しか生んでいないのです。まとめて答弁してください。
○櫻内国務大臣 詳しくは中小企業庁の長官からお答えさせますが、私は、これは無利息資金でございますから、一がいにいま言うようなやり方が悪いとは思わないのであります。やはり県が実情に即して半分出す、また、今度は借りるほうは金融機関との協力のもとに出す、こういうようなやり方を一がいに悪いとは私は言えないと思います。無利息資金でございますので、多少そういう制限があるほうが適当ではないか、そういうふうに私は見ております。
○田中(武)委員 その頭金なんですが、頭金がないものは借りられない。あるいは富裕県と貧困県との間に、二分の一出さなければいけない、その分担が違う。したがって、これの役割りは、高度化資金にしても、それぞれ実力のある組合、業種ということになる。したがって、これは何をやっておるかというと、中小企業のうちでも力のあるものだけしか救っていないということです。 そこで、急ぎますが、今度三十万円まで無担保、無保証でといいますが、この資金を使うときの頭金、これもこの三十万円の無保証、無担保に入りますか、どうですか。
○中野政府委員 設備近代化資金につきましては、御承知のように、比較的規模も小さい業者であって、これが近代化をやりたいという意欲のあるものに出しておるわけでありまして、これが決して、中小企業の格差をかえって増大させるというようなものではないと思います。ただ、御指摘のように、国が半分金を出しまして、あとの半分は府県が出す、これは、府県が一番中小企業の実情をよく承知しておりますので、また、企業診断等をその前提としてやらせておりますので、府県を通じて無利子の貸し付けをやるということが適当だと思うっておりますが、そこで起こる問題は、現実の問題として、富裕県といわゆる財力の弱い県ということがございまして、特に財力の弱い県からは、国の補助率を二分の一でなくて、たとえば三分の二にしてくれというふうな要望もございます。そういうふうな要望もございますので、また、相当程度国も金を出しておりますし、府県の負担力にも限度があるんじゃないかという議論も出ておりますので、そういう点については十分今後検討してまいりたいと思います。
○田中(武)委員 だいぶ時間がないようですから、もう飛ばします。通産大臣、不当景品類及び不当表示防止法という法律を知っていますか。先ほど竹本君が触れておりましたが、中小企業近代化促進法、これによる現在までの指定業種四十五種、そのうちの三十八年度の二十種、うち十九種に対して今度五十億でしたね。そして三十九年度が十億、この点は竹本君が触れましたから触れません。しかし、それが、先ほど言っておったように、昨年の八月の十二日に官報で告示しておるのですね。しかもそれは全部で五百四億、三十九年だけで五百四億ということなんです。五百四億に対して三十九年度十億なんです。公正取引委員長、不当表示、誇大広告というのはどういうことです。何倍くらいのことを書いたら一体誇大広告になるのです。——もうよろしい。ともかく、五百四億を官報で告示しておいて、十億でしょう。まさに政府の中小企業政策は誇大広告の第一号にあがるべきものです。公正取引委員長、どうです、誇大広告になりませんか。さらに、これによって選挙を行なうとならば、公職選挙法による違反になると思うのです。こういうことについて、官報で発表した何十分の一にしか当たらないような予算あるいは財政措置しかしなくて、はたして皆さん方が中小企業あるいは零細企業に力を入れておると言えますか。小企業については、今年度大蔵省のやつまで入れて四十二億円。これは全体の予算から言って〇・一一ですよ。そこで、時間があれば大蔵大臣にも聞きたかったのですが、中小企業から一体幾ら税金を取っておる、そうして幾ら中小企業対策に金を出しておるのか。おそらくは何十分の一にも当たらない。そういうことなんですよ。そのことについて、それぞれの関係大臣からひとつどう考えておるのか聞かしていただきたいと思います。誇大広告の第一号だ、これは。 そこで、こういうことから誇大広告に入って独禁法に入る予定だったわけだ。ところが、残念ながら時間がないようですが、(「商工委員会でやれ」と呼ぶ者あり)いや、何ならそれは商工委員会でやるけれども、これは誇大広告である、選挙の利益誘導である、これだけを申し上げておきます。
○青木委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。 暫時休憩いたします。 午後一時四十四分休憩 ————◇————— 午後九時開議
○青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和四十年度総予算に対する質疑を続行いたします。 滝井義高君。
○滝井委員 同僚の議員の皆さんからいろいろと医療費問題について各方面にわたって御質疑がございました。私は、きょうは一、二の典型的な医療保険財政に問題を集約をして、大蔵大臣なり、厚生大臣なり、自治大臣なり、官房長官に見解をただしてみたいと思います。 まず第一に、これは官房長官にお尋ねをすることになるわけですが、現在医療費問題はなお星雲状態で、りっぱにおさまったわけではございません。こういう星雲状態にある医療費問題を解決をする政府の基本的な態度というものを、まずここで一応明らかにしておいてもらう必要があると思うのです。ここ二年ばかりこれほどもみにもんだわけですから、政府としては、支払い側とああいう了解事項をおつくりになったならば、大体医療費問題をこういう方向で解決をしていくんだという腹がまえができていると思うのです。その腹がまえをひとつまず述べていただきたいと思うのです。それからだんだん具体的に入っていきます。
○橋本政府委員 ただいまの滝井さんの御質問でありますが、政府は、この医療問題解決のためには、根本問題の問題もありますし、かつまた現時点の問題もあります。根本問題につきましては、仮称ではありますが、医療問題調査会等を将来考えまして、長期的な展望から根本的な解決をはかりたいと考えております。現時点におきましては、ただいま開かれております社会保障制度審議会並びに社会保険審議会の答申を待って、これを忠実に尊重する態度をもって、答申案を尊重する態度をもって前向きで解決に努力いたしたいと考えております。
○滝井委員 そうしますと、前向きに医療問題を解決をせられるということになれば、いままでの医療費問題に対する政府の態度は保険主義を貫いておったわけでございます。一切の赤字というものは被保険者あるいは患者の負担に負わせて、それを中心にして事態の混乱を防いでいこうとしておったわけです。それで、そういう方向でいくのか、それとも、佐藤総理の社会開発、人間尊重、歩行者優先の精神に徹する、すなわち、社会保障の精神に徹して、保険財政の現状、医療機関の現状、製薬企業の現状、こういう現状を正確に把握をして、そして、その正確な把握の上に社会保障の精神に徹した方向で医療費問題をやっていくのか、いままでどおり保険主義、患者負担中心の医療を行なっていくのか、それとも、国が現状をりっぱに分折をして、社会保障の精神に徹した方向で医療を進めていこうとするのか、二者いずれを選ばんとするか、これをひとつお聞かせを願いたい。
○橋本政府委員 滝井さんはその道の専門家でありますからして、あえて私が申し上げるまでもなく、現在の社会保険なるものは、御承知のように、保険給付に必要な費用は保険料収入を基本として法制ができております。したがって、原則としてはただいま申し上げたような原則ではありますが、いまおっしゃられたような二者択一の問題ではなくして、やはり国民健康保険とは性格が多少違っておりまして、その点、社会保険のほうは保険収入を中心にしておる、基本として考えておる。ただ、お話がありましたように、社会開発と申しましょうか、近代社会の発展に伴って、それらの措置については国民経済の立場からやはり今後考えていく必要はあると考えております。その意味においては、必ずしも二者択一ではなくして、総合的に考えて、近代医療保険、医療制度の問題は解決してまいりたい、かように考えております。
○滝井委員 わかったようなわからぬような御答弁ですが、神田厚生大臣、あなたは、口を開けば社会保障を前向きにやっていくのだとよくおっしゃるわけです。そこで、いま官房長官から総合的にやっていくというお話があったのですが、しかし、これは、保険主義に徹していくのか、それとも社会保障の方向に、いわゆる前向きにやっていくのかによって、今後の制度運営や国庫負担のやり方がずいぶん違ってくるわけです。そこで、あなたとしては、一体主管大臣としてどういう方向に医療制度というものを持っていこうという所存なのか。
○神田国務大臣 ただいまお尋ねがございました、この健康保険制度を社会保険制度に持っていくか、社会保障として前向きに音頭をとるか、一体どうかというお尋ねでございました。政府の方針といたしましては、やはり社会保険は社会保険として育成していきたい、こういう考えでございますが、一面において、御承知のように、この社会保険が非常に医療が伸びてまいっております。そこで、収支の均衡を非常に失していることも御承知のとおりでございます。こういう異例の際におきましては、できるだけ国庫財政も投入しまして、そして社会保障の道も開いて、両々均衡を得たような措置を講じたい、こういう考えでございます。問題は、いまの保険法の改正を意図するところは、社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会に諮問をいたしておりますので、この答申を尊重いたしまして、そして御審議を願いたい、こういう考えでございます。
○滝井委員 答申をしておるのは、現制度のもとにおいて非常に赤字が多いので、被保険者あるいは患者大衆に大幅な負担をさせようという血も涙もない政策なんです。そこで、これをやはり、政策転換をしないとぐあいが悪いと思う。そういう制度でいけば、保険主義に徹してしまう。あなたの言うようになかなかそうはいかないわけです。そこで、いまのような御答弁だと、依然として一切の収支は患者あるいは被保険者に負担をさせて、国はまあ赤字が出たときにちょっぴり赤字を埋めていくということになるのですか。
○神田国務大臣 お答えいたします。 そういう冷たい考えを持っておらないことは、厚生省の予算編成を仕組んだ際の事情をお考えになっていただけば御了解できると思います。社会保険制度を立てながら、そうしてまた、国庫財政で調整していきたい。しかし、その考え方は、現段階におきましては、いま両審議会に諮問いたしておりまして、この諮問をしております点の良識の答案と申しましょうか、答申を待ちまして、そうして御審議を願う、こういう考えでございます。
○滝井委員 根本的な問題はいずれ機会を新たにすることにして、次にお尋ねいたしたいのは、いま社会保険が収支均衡を失しておる、こう言ったわけですね。すなわち、現在社会保険は健全でないわけです。いわゆる病をなおす社会保険が病気の状態にあるわけです。そこで、これを健康にしなければならぬ。そこで、まず病状を見てみる必要があるわけです。どの程度の熱があるか見てみる必要がある。 そこで、まず第一にお尋ねをいたしたいのは、一体、政府管掌の健康保険というものはどの程度の赤字を三十九年に持ち、四十年に持っているか。日雇い健康保険は三十九年にどの程度の赤字を持ち、四十年にどの程度の赤字を持ってくるか。まず典型的なこの二つ。それから一緒にずっと立ってもらうために自治大臣にお尋ねをいたします。国民健康保険は三十九年にどの程度の赤字を持ち、四十年には、九・五%の医療費の改定によって、あるいは給付率の引き上げ等によってどの程度の赤字が見込まれるのか。それから、大蔵大臣に、共済組合は一体どの程度の赤字を三十九年に持ち、四十年は持つ見込みであるか。それから、厚生大臣に、健康保険組合は一体どの程度の赤字を三十九年に持ち、四十年に赤字を持つ見込みであるか、これをさっと言ってください。
○小山政府委員 厚生省関係の分についてだけ申し上げます。 まず最初にお尋ねになりました政府管掌健康保険は三十九年度の末におきまして約二百億程度の実質赤字を持つ予定でございます。この年には積み立て金を百九十億ほど持っておりますので、結果として二百億強の赤字でございますが、実質収支から見れば、約三百九十億程度の赤字が生じた、こういうことでございます。それから、四十年は、まあ全然特別な対策を講じないとしたらという前提でございますが、そういう前提でございますと、約六百六十億程度が赤字が出そうだという見込みでございます。 日雇い労働者健康保険制度は、先生御存じのとおり、いままでにすでに相当の赤字を持っておりまするが、さらに、三十九年度におきましては約六十億程度赤字が加わる見込みでございます。従来の赤字と合わせまして百三十八億程度の累積赤字になる見込みでございます。四十年度は、健康保険について申し上げましたのと同じような前提で考えますと、さらに八十五億程度赤字がふえる、こういう見込みであろうと思います。
○滝井委員 船員保険もついでに……。
○小山政府委員 船員保険は、三十九年度におきまして八億程度赤字が出る見込みでございます。四十年度におきましては、いままで申し上げましたのと同じ前提で進むといたしますと、さらに赤字が十七億程度にふえる、こういう見込みでございます。 それから、健康保険組合についてお尋ねがございましたけれども、健康保険組合は、現在のところ名目上赤字を持っておるものは非常に少のうございます。いずれも、かなり大きい支出増に対応いたしますために、保険料率を相当程度引き上げております。はなはだしいものは、すでに千分の八十という、法律できめられました最高限にまで引き上げているというのがございます。達観して申し上げまして、千三百程度ありまする組合のうち、かなり財政状態が危険だと思われるのがおよそ一割程度でございます。 それから、国民健康保険は、昭和三十八年度において、赤字を生じました市町村の数が四百九、この赤字を生じました市町村の累積赤字額が、未払い額を含めまして四十七億程度ございました。三十九年度は、いまのところまで確定的な見通しをつけるところまでまいっておりませんけれども、大体の見当といたしましては、この赤字保険者の数が四百九の三倍強、赤字がおよそ二倍半程度にふえる見込みでございます。四十年度につきましてはこれからの問題でございますが、収支が均衡するようにいたしますためには、現在の国庫負担を前提といたしまして、平均して保険料率をおよそ一八%程度引き上げなければなるまい、こういう見込みでございます。なお、三十九年度は、平均いたしまして、市町村はおよそ二六%強の保険料の引き上げをいたしております問題は、その程度で済むかどうかということがいまのところかなり憂慮されている、こういう状況でございます。 以上でございます。
○田中国務大臣 国家公務員共済組合の赤字は、三十九年度約五億であります。四十年度は不明であります。
○吉武国務大臣 国保の赤字でございますが、判明しておりまするのは、三十八年度の決算におきまして、国保の赤字として三十七億であります。そのほかに市町村等の繰り入れ金が九十五億ございまするから、これを合わしますと、実質的に百三十二億の赤字だと思います。三十九年度はまだ出ておりませんので判明いたしかねますが、若干それを上回ることは予測するにかたくないと思います。
○滝井委員 大蔵大臣、いまのあたりにお聞きのとおりです。まさにこれは三十九度くらいの高熱です。したがって、この対策を講じなければ、もはや保険主義ではやっていけなくなっておるわけです。それは、大蔵大臣御存じのとおり、国民健康保険の被保険打は、所得三十万円以下というのが七割以上おるのですから。七割近くは所得三十万円以下です。政府管掌の健康保険は、昨年十月の標準報酬の定時決定でも二万三千円そこそこです。そうすると、あなたのほうがこのごろ、イカのさしみにしょうゆはかけないけれども、出した五人世帯の標準生計費というのは五十三万四千七百円程度です。五人世帯の標準世帯で五十三万四千七百円なければ生きていけない、こういうことなんです。それ以下は栄養失調になると、こういうことでしょう。そうすると、それらの被保険者の諸君は、所得三十万円以下の層がほとんどなんですね。政府管掌の健康保険は被保険者千二百十二万人、国民健康保険は四千三百万人です。国民の半数以上を占めている層がこれらの保険に入っておるのです。これを保険料だけでまかなおうといったって、それはもはや木によって魚を求むるたぐいなんです。高熱であれば、やっぱり熱を下げてやらなければならないわけです。 そこで、お尋ねするわけですが、一体いまのような状態がはっきりしたのですから、厚生省にお尋ねをいたしますが、国民健康保険の昭和四十年度の総医療費の見込みは、九・五%アップした結果一体幾らになるかということです。
○小山政府委員 ただいまお尋ねの昭和四十年度における国民健康保険の医療費の見込みは二千八百九十七億でございます。
○滝井委員 そうしますと、それを保険者と患者の負担に分け、同時に、保険者の負担というのは国の負担と保険料とに分けられますね。これを分けてみてください。
○小山政府委員 ただいまの二千八百九十七億の内訳は、国庫負担が一千九十五億、保険料の負担が六百七十三億、患者の負担が一千百二十八億、これは端数を捨てておりますので、若干の出入りはございます。
○滝井委員 そうすると、九・五%分はどういう形になりますか。
○小山政府委員 ただいま申し上げました二千八百九十七億のうち、九・五%分が二百四十九億でございます。これを先ほど仰せの分担別に申し上げますと、保険料の負担が四十四億、国庫の負担が百八億、患者の負担が九十七億、こういう内訳でございます。
○滝井委員 そこで、厚生大臣にお尋ねをするわけですが、二千八百九十七億のうち、九・五%に当たる分が二百四十九億です。二百四十九億のうち、あなたが大蔵大臣と折衝をして、そして四、五、六の三カ月分十五億だけ国庫補助の措置をしたわけです。あと九カ月分が残っておるわけです。この残っている九カ月分というのが四十四億に当たるわけです。この四十四億を患者に負担をさせることになる。そうしますと、さいぜん小山君が説明をしたように、国民健康保険は、すでに昨年二割六分強の保険料の引き上げをやっておる。ことしはさらに一割八分の引き上げをやらなければならぬ、むしろそれ以上の引き上げをやらなければならぬ、こういうことなんですね。そうしますと、去年からことしにかけて四割五分以上の引き上げをやることになるわけです。一体、いまのじいちゃん、ばあちゃん、かあちゃんの三ちゃん農業になりつつある日本の農村の四千三百万の皆さんがこれだけのものを負担できるかというと、これはできないでしょう。 そこで、私が言いたいのは、この四十四億の未処置のものを一体どうするかということです。十五億円三カ月分だけは見てくれた。あとの九カ月分は見ていないのです。これを一体どうするかということです。あなたとしては一体どうしますか。
○神田国務大臣 お答えいたします。 今年は四、五、六でございましたが、昨年といいますか、三十九年度は一、二、三とこう見まして、御承知のように、半年見たわけでございます。従来の例から半年以上見ないというようなことでございまして、はなはだこの点は残念でございました。
○滝井委員 そうしますと、はなはだ残念であるけれども、これは被保険者に負担をしてもらう、これはそういうことですね。
○神田国務大臣 いまの段階ではそういうようなことになっております。
○滝井委員 そうしますと、先日私は、予算分科会で吉武自治大臣にお尋ねをしたわけです。地方自治体の赤字の大きな原因は、国民健康保険の事務費がいわゆる名目どおり来ないということなんだ。そこで、三十九年度は被保険者一人当たりの百五十円の事務費が二百円になったわけです。ところが、自治体では最低の要求として、二百八十八円出してもらわなければやっていけないのだということを出しているわけです。吉武自治大臣も、これはいただかなければますます赤字になりますと、こう言っているわけです。それから、あなたのほうも二百八十八円の要求をしたわけです。そこで、二百円しか認められなかったのだから、最低八十八円だけ手出しをしなければならぬことになる、実際はもっと手出しをするのですが。そうすると、被保険者を端数をどけて、四千万と押えると、約三十五億の金が要るわけです。三十五億自活体が出すことになる。いま吉武大臣は、国保というものは百三十二億の赤字が三十八年度までに出ている、一般会計から九十五億を加えると百三十二億だ、三十九年度はそれを上回ると言った。私がざっと当たったところでは、これは二百億ちょっとこえるようです。そうしますと、この事務費がまたこの上に四十年度は重なってくるわけです。吉武さんとしては、当然これはもらわなければならぬと言っているのです。一体主管のあなたはこれをどういうように処理しますか。
○神田国務大臣 予算要求の際にそういう折衝のあったことは、いまお述べになったとおりでございます。国保の人件費の引き上げにつきましては、ここ数年間一人十円というようなことでございましたが、今回は五十円を上げる、この赤字解消はなかなか一度にできないから、ここ二、三年の間に解決したい、従来十円ずつ上げたのを、今度だけは五十円上げる、そしてまた、この次もその次も増額して解決しよう、こういうようなことでございまして、努力したが、一ぺんではなかなかよう解決しなかった、こういうことでございます。 なお、国保の三十九年度の予想される赤字については、約百三十一億でございますか、これは別途に処理しよう、こういうようなことになっております。
○滝井委員 その国保の百三十二億は別途に処理するような話はあるのですか。そんな話は、大蔵大臣、あるのですか。
○神田国務大臣 まだ年度の途中でございます。途中といいますか、終わりでございますが、正確な数字を調べまして、これは追加に支払うという交渉を進めております。
○滝井委員 それは、いわゆる三十九年度の医療給付に対する国庫補助金の未済額をまだ精算していない部分が、昨日か一昨日大原君の質問で答えた九十億ちょっとのものがある。これのことは、田中さん、そういうことを言っているのです。いまの吉武自治大臣の言う百三十二億というものは、そんなことになっていないでしょう。何か田中さん、見ざる言わざる聞かざるのように、耳をあなたの言うときにつぶしよるですよ。閣僚の間でそういうあれをしたのじゃ困るですね。田中さん、向こうはいずれやってくれるだろうということを言っているのですよ。あなた、左の耳をつぶしておるのですけれども、神田さんのほうはそう言っているのです。はっきりしてください。どうするのです。
○田中国務大臣 ただいま申し上げましたように、百五十円から五十円ふやし三百円にしたわけであります。一般会計の対前年度の伸び率は一二・四%しかないわけであります。でありますから、できるだけ実情に合うような数字にしなれけばならないという姿勢はとっておりますが、今回は毎年十円程度であったものを五倍、二百円に引き上げたという熱意を、ひとつ御理解いただきたい。現在の財政事情でこの単価を補正をするというような気持ちはございません。
○滝井委員 それなら、それではどうするのですか。それから、さいぜんの三十五億のほかに、神田さんが言ったのは、百三十二億についてもいずれやってくれるんだということを言っているのですよ。百三十二億、さいぜん吉武さんの御答弁になった、国保の赤字が三十八年度三十七億ある、その他市町村繰り込み九十五億等の百三十二億についても、神田さん、百三十何億はやってくれるように話がついているのだとおっしゃったでしょう。
○神田国務大臣 ついていると言うと言い過ぎになりますが、大体ついているようなところまで交渉している、国の負担分でございますから。
○滝井委員 いま、ついているようなものだとおっしゃっているのですよ。ついているようなものだとおっしゃっている。これは閣内不統一ですよ。ついていると言っている。
○田中国務大臣 もっとはっきりやってください。精算分か、もしくは……。
○滝井委員 三十九年度の医療給付に対する国庫補助の精算分は、もうこれは、大原君にあなたが、やるということは——これはやらなければならぬ、義務経費だから。ところが、吉武自治大臣が言うように、三十八年度までの累積がすでに三十七億あり、その他市町村の繰り込みが九十五億あって、百三十二億の実質赤字が出ている、こういうことを言っているわけでしょう。その処置はどうしますか、百三十何億は話がついている、こうおっしゃるから……。
○田中国務大臣 累積赤字につきましては、この制度は精算して補助するということにはなっておりませんから、さかのぼって累積赤字に対して国庫が負担をするという考えはありません。
○滝井委員 違う、違う。一体、百三十何億やってもらうというのは、何をやってもらうことに話がついたのですか。
○神田国務大臣 義務負担分の精算。私、ちょっとことばが足らなかったですから訂正いたします。
○滝井委員 そうしますと、義務負担分についてやってもらう、これはもう先に答弁しているのです。そうすると、事務費の三十五億についてはもうどうにもならぬ、これはもうあきらめですか。事務費の三十五億はどうにもならぬ、あきらめてしまうのですか、これは。
○神田国務大臣 この段階ではそういうことになります。
○滝井委員 そうしますと、もう一つ尋ねて自治大臣さんにいきますが、世帯主本人の五割から七割給付を昭和三十五年の十月から実施をいたしました。これについては四分の三の補助をすることになっております。これは、一体予算のどこに入っていますか。
○小山政府委員 世帯主の七割給付に伴う補助金は、調整交付金の中に入っております。
○滝井委員 おかしいじゃないですか。調整交付金というのは、貧しい市町村に対して、交付税交付金と同じように、総医療費の一割、すなわち、二千七百億円あれば二百七十億を出すことになっておる。その中に本人の五割から七割に上がったものを入れるなんというのは、一体どうしてそんなことをやったのです。どうしてそういうことをやったのです。そんなからくりはわれわれは法律を通すときには許していないですよ、立法者の精神として。どうしてそういうことをやったのですか。——ちょっと待ってください。あなたじゃない。事務担当は法律解釈だ。神田さん、どうしてそういうことをやったのですか。
○小山政府委員 これは、昭和三十八年に国民健康保険法を改正いたしましたときに、その中にこれを含めるということで、そういうことで御審議をいただいて、あの際に、それまで五%でありましたところの調整交付金のワクを実質上一〇%にふやすということをいたしたのであります。これは、法律を改正して、あの際に内容を明らかにして御審議を願って、そういうふうにきめていただいたのでございます。
○滝井委員 そんなことは法律に書いていないですよ。私が五%上積みして、五%を一割の折衝は私が当たったのですから、私がやったのですから。私が折衝して与党と一割にさせたのです。そのときにはそんなことをやった覚えはありません。調整交付金というのはそういう性質のものじゃないのです。これは貧しい市町村にやるのです。こういう、われわれ国会議員が知らぬうちにかってにやるというのは、けしからぬです。これは政令ですよ。法律はそんなことは書いていない。ここなんですよ。これで一体幾らになるかというと、この額が百四十億になるのです。一割のうち半分はこの負担分ですよ。そうでしょう。小山さん、言ってごらんなさい。そうでしょう。
○小山政府委員 ただいま仰せの分は、おおむねそのとおりでございます。なお、先生がおっしゃっているのは、これは記憶違いでございまして、三十七年度に確かに国会審議の過程において非常に強く御主張になって、その結果、それまで二割であった義務的な補助率というものが翌年度において二割五分に上がったという事実はございます。それと混同しておられるわけでございます。
○滝井委員 混同しておりません。混同していない。今言ったように、調整交付金というのは、そういう形でやることになっていない。たとえば、今度の家族を五割から七割に上げた分については、あなた方はその中に入れていないですよ。それだったら、ほんとうはそれも入れるはずなんだ。それは入れてないですよ。それは別にちゃんと七十億出している。だから、こういうところにからくりがあって、その負担というのは、一切吉武さんの自治省に来てしまう。事務費の三十五億にしても、いまの四十四億の九カ月分にしても、全部これは被保険者負担になる。そうしますと、被保険者はその保険料を払えないですよ。払えないから穴があく。穴があくとどういうことになるか。一般会計から入れざるを得ない。吉武自治大臣、そういうことでしょう。現在の地方財政の赤字の大きな原因の一つに、国民健康保険のこういう、あまりにもわかりにくい、そして、それぞれの補助金は四つも五つもつけてやっているところに一つの大きな原因があると思うのですが、ひとつ自治大臣の見解をお聞きしたい。
○吉武国務大臣 赤字の原因については、私のほうでははっきりわかりませんが、先ほど申しましたのは、決算において出た数字でございます。ただ、事務費につきましては、従来百五十円でございましたので、相当の繰り入れがあっただろうと思われますので、昨年末の予算折衝で、先ほど大蔵大臣の御答弁がありましたように二百円に上げたわけでございます。なお不十分だという点もあろうかとは思いますけれども、まあ、先ほどの大蔵大臣の答弁のように、財政の状況に応じてこの程度しかやむを得なかった、かようにわれわれも存じております。
○滝井委員 存じておるんだけれども、はなはだ困るということだと思うのです。 そこで、時間の関係がありますので、次に行きますが、次は、政府は政府管掌の健康保険の赤字をことしの初めには八百四十億と説明をしたのです。ところが、それから一カ月たたないうちに、政府管掌健康保険は、いま御説明があったように六百六十億程度になってしまったのです。一カ月で百八十億赤字が減ったのです。一体この原因はどこにあるのですか。神田厚生大臣、この原因はどこにあるのですか。
○神田国務大臣 赤字の推測をどういうふうにするかというところに原因があるわけでございます。と申し上げますことは、最初八百億というような膨大な赤字は、前二カ年の統計に合わせまして、医療費の伸び、それから歳入の伸びと比較いたしまして、その割合にかけるのが八百億になった。しかし、医療費を改定いたしますと、いつも支出の伸びがとまるような傾向がございますことは、従来から御承知のとおりでございます。そこで、今回もそういうことがあらわれるのではないかというような考えをもちまして、前三カ年の平均をとった。要するに、前二カ年の平均をとったか前三カ年の平均をとったかという違いでございまして、前三カ年をとったものをこれに見合うようにして計算をした、こういうことでございます。
○滝井委員 そうしますと、前三カ年の平均をとったら、赤字は八百四十億だった、二カ年だったら六百六十億に減った、こういうことですか。
○神田国務大臣 逆でございます。二カ年をとったら八百億でございますが、三カ年をとりましたので六百六十億、こういうことでございます。
○滝井委員 厚生省の数字がいつもあいまいもことして、ぐらぐら、ぐらぐら変わるということで、これはもう大蔵省も、それから国民大衆もなかなか信用しないのです。こういうところは、これは扇でいえば一番かなめですよ。これから大蔵省と予算について折衝をし、戦争をしようというときに、二カ年とったら赤字が多かった、三カ年とったら少なかったなんという、そういうあいまいもした予算折衝のしかたでは、これは田中さんのほうから鎧袖一触されちまう。そこで、そういう注意を今後してもらわなければいかぬ。いまのようなあいまいなことではわれわれは納得がいかないのです。それならば、六百六十億の赤字はいかなる方針で処理をする方針なのか。六百六十億の赤字の処理方針。
○神田国務大臣 この赤字の処理方針につきましては、いま考えております、ちょうど両審議会に諮問しておりますが、いろいろ議論がございましたが、総報酬制をとるか標準報酬制をとるかというようなこと、これを総報酬制に直そうというふうなこと、それから一部薬価負担を負う、こういうような考えをもちまして、両審議会に諮問をしていることは御承知のとおりだと思います。
○滝井委員 その六百六十億のひとつつじつまを数字で合わしてみてください。
○小山政府委員 ただいま申し上げました六百五十九億、端数がついておりますが、これの内訳は、総報酬制の採用によって三百十八億、一部負担制度の改正によって二百五十三億、国庫補助三十億、行政努力その他で五十八億、合わせて六百五十九億、こういう内訳でございます。
○滝井委員 六百五十九億を、総報酬制三百十八億、一部負担と言ったけれども、薬価の二分の一負担ですね、これで二百五十三億と国庫三十億と行政努力五十八億。そうしますと、一体総報酬制というものをいかなる根拠からとることになったのか。いままでは標準報酬制を厚生省は一貫をしてとっておる。それが総報酬制というような政策転換をしなければならない理論的な根拠は一体何なのか。
○神田国務大臣 標準報酬制をとるか、総報酬制をとるかの利害得失につきましては、いろいろ議論のあったことは御承知のとおりかと思います。なぜ総報酬制によったかということは、御承知のように、だいぶ会社によりましても給料の格差が違ってまいっております。医療費においても所得配分というか、そういうようなことも加味していいんじゃないかというような考えを持った点も採用した一つの重大な理由でございます。ただしかし、私どもは、この制度もやはり無制限にとろうという考えはないのでございまして、幾らか頭打ちをしたいという考えを置きながら、しかし、そういうことはひとつ両審議会の答申にまって考えたい、こういう趣旨でございます。
○滝井委員 いままでの厚生省の一貫した主張は、こういう主張をしてきたのですよ。昭和三十一年、二年ごろの健康保険の改正のときに、三万六千円を五万二千円に上げたのです。私たちはこれをもう少し何なら上げてみたらどうだという主張をした。そのときに政府がわれわれのその主張を拒否した理由はどういう理由であったかというと、保険というものは一定の保険料を払います、その保険料に見合って保険金というものがきまってくる、いわゆる給付がきまってくる。医療というものは、お金持ちであろうと貧乏人であろうと、全部これは同じ疾病については同じような給付が行なわれるんだ。だから、したがって、青天井にして、無制限に診療報酬の頭をずんずん上げていくということは、これは保険のシステムに適合しません。だから、したがって頭打ちをしなければならぬ。その例は健康保険だけではない、国民健康保険もみなそうなっております。これが政府の一貫をした答弁だったのです。ところが、いまになったらそれがくるっと変わらなければならぬという理由がわからないのです。いま青天井——頭打ちするかもしれないけれども、大体青天井でしょう。いままで保険だから、保険というものは一定の保険料に定額の保険金がくるというのが保険ですよ。一円の保険料を出して百万円の金がくるなんということはないことなんです。その保険のシステムからいうと、当然医療というものはみんな貧富の格差なく平等なんだ、こういうことだったはずです。ところが、今度それが無制限になったでしょう。そうして、いまそれが社会保障だとこうおっしゃる。所得の再分配というのは社会保障でしょう。そういうことであるならば、保険主義というものはやめなければならぬことになる。政府管掌健康保険という非常に零細な、一事業所の従業員平均二十三人、所得二万三千円程度、こういう人たちの中の所得再分配なんといったって、そんなものはしれていますよ。再分配効果というのは非常に低いはずです。そうすると、いままであなた方の言っておった理論とは違うことになるのです、今度の理論は。
○神田国務大臣 そういう議論もあったことは私も承知いたしております。ひとつお答え漏れいたしておりますが、御承知のように、会社等によりまして、本俸でいくか賞与でいくか、たとえば賞与に重きを置く、あるいは毎月の賃金に重きを置くというようなことがございまして、賞与と給料との差が会社によっていろいろバランスが違っておりますので、そういうのをつかむのに総報酬制のほうがよろしいのではないか。これもおもなる理由でございます。
○滝井委員 それは、いままでの理論とはちょっと違うわけですよ。いままではきちっと頭打ちをきめたわけです。 それならばお聞きしますが、総報酬制をとった場合に、傷病手当金もそういうようによけいにくれることになるのでしょうね。
○小山政府委員 これは、審議会のいろいろな意見を聞いて最終的にきめるべき問題でございますが、常識的には、ある程度のところで最高限を設けざるを得まい、かように一般的には言われております。
○滝井委員 いいですか、傷病手当金は頭打ちをつくるわけですよ。だから、一貫しなくなるのですよ。いくら高くても、すべて給料というものは取ってしまうのだ。給料に保険料をかけるのだ。ところが、今度払うほうになると頭打ちをつくって制限するのだ、こういうことになる。そうすると、いままであなたのほうの社会保険出張所は、いわゆる保険局の末端機関の社会保険出張所は、厚生年金は、大臣の御存じのとおり標準報酬制をとっています。今度厚生年金の改正が出てきますが、同じところで事務をやっておるわけです。これは、もう夏の暑いときからカキの実が、陶工柿右衛門のあれじゃないけれども、黄色く色づくころまで社会保険出張所は営々ししとしてこれを計算するわけですよ。そうすると、今度は、厚生年金は標準報酬制、健康保険は総報酬制、こうなるのですよ。そうすると事務がたいへんですよ。社会保険出張所の事務員をよほどふやさなければならぬことになるのです。こういうことまでおそらく十分お考えになってやっていることだと思いますけれども、こういう問題があるわけです。傷病手当金は頭打ちになる。社会保険出張所の事務量はうんとなる。そうすると、今度厚生年金はボーナスは入れぬでしょう、入れますか。
○神田国務大臣 厚生年金の制度は変えようと思っておりません。
○滝井委員 どうして厚生年金にボーナスが入れられないのですか、同じように労働者の所得を基礎にしてやるわけでしょう。そうすると、健康保険のほうはやるけれども、厚生年金はやらぬ、傷病手当金は頭打ちだ、政策がちっとも一貫しておらぬじゃないですか。そうして、あなたとは関係のない労働省の石田さんのほうが総報酬制を失業保険でとっておるから、それをまねするのだと言いながら、自分のところはやっていない。船員保険はどういうことになるのですか。船員保険も同じ健康保険ですが、これは総報酬をやるのですか。
○神田国務大臣 船員保険は従来のままです。
○滝井委員 船員保険はやらないのですね。だから、ちっとも一貫性がない。だから、今度のこの政策は、なぜ一体われわれが反対をし、全国の労働者が反対をするかというと、結局保険の赤字というものを政府が責任を負わずに、まず第一にすべて被保険者なり患者の負担に転嫁しようとする、こういう意図が一つあるということ。それから、いま一つは、これだけ膨大な赤字、三十九度の熱の出ておるような膨大な赤字を一挙にこれは解決しようとする、いわゆる無謀な案ですよ。そればかりではない。さらに欲ばっておることは、第三番目には、これによって——あとでだんだん私は分析していきますが、この総報酬制によって赤字をなくすばかりではなくて、この赤字の火事場に乗じて、火事どろぼうのように、今度は、これによって将来の制度改革をやって、一挙に保険を黒字に持っていこう、こういうわけです。政府は金を出さない。そういう三つの意図があるわけです。今度の改革案には三つの意図がある。だから、みなは反対なんです。(「船員保険を変えたじゃないか」と呼ぶ者あり)船員保険は、標準報酬制を上に上げるわけですからね。そこで、そういう総報酬制だから、みなから総スカンを食うわけです。総報酬制は総スカン、こういう形になる。 それから薬の問題です。薬価の二分の一の負担を、この前大原君の質問に関連をして、事務処理が非常に困難であることを私は指摘しました。そこで、端的に、事務処理の場合にあなたがあらそれはどうかと、おそらく答え切らぬであろうことを一つ尋ねますが、もし一カ月のうちに内科と耳鼻科と両方行ったときには、二千円以内はどういうぐあいに負担しますか。
○小山政府委員 非常に専門的な御質問でございますけれども、相手が同一の医療担当者であれば、両方合わせて二千円という最高限度を考える、こういうことになると思います。
○滝井委員 同一の場合はと言ったって、内科と耳鼻科と両方はやらぬです。一日から十日までは内科に行った、十五日から二十日までは耳鼻科に行ったというときには、一体どうなるのかということです。こういう場合なんですよ。こういうようになかなかむずかしいのですよ。すぐ答弁ができないでしょう。こういうようなことは、しろうとでも患者さんでもわかるような形にしておかぬと、一体おれは幾ら金を持っていったら内科と耳鼻科に行けるのか、眠科と耳鼻科に行けるのか、わからぬですよ。こういうわからぬような制度を国民に押しつけて赤字を埋めようとしておるところに、あなたたちの政治感覚のにぶさがある。大衆的でないのですよ。ヒューマニズムがないのですよ。こういうところが問題なんです。 それから、もう一つ大臣、二分の一の薬価負担になったら、昭和四十年度の受診率は幾らに見ていますか。
○小山政府委員 いまのところ特に受診率には、特別な影響はないという前提で収支を見ております。
○滝井委員 そんなことはないはずです。いいですか、そんなばかなことはないです。薬代を二分の一負担するのですよ。これは、二分の一の場合が二つあるのです。二千円以下の場合は、それは二千円の半分です。しかし、二千円以上こえたときには、五千円に薬代がなったときには、患者は五千円病院に払わなければならぬのですよ。そうでしょう、神田さん。五千円に薬代がなったら、半分だけ払うのではない。五千円みな払うのでしょう。
○小山政府委員 やり方は二つあり得るわけであります。先生が予想しておられるように、一応五千円を払っておいて、三千円あとから償還を受ける、こういう場合もございます。それからもう一つの場合としては、医療機関の了解を得ておけば、その場合二千円だけ医療機関に払う、あと三千円は、医療機関が本人にかわって、保険者から、あるいは基金等を通じて支払いを受ける、こういうやり方もあるわけで、そういうやり方も含めていま審議会で議を練ってもらっている、こういう事情であります。
○滝井委員 いいですか、五千円とか一万円に薬代がなったときに、五千円か一万円払って、そして、今度あとから二千円をこえる分については返してもらうのじゃ、そうすると、一体これはどこから返してもらいますか。社会保険出張所に行くのですか、それとも保険者のところに行くのですか、どこから返してもらうのですか。患者は病院に行って金を払う。一万円払ったらあと八千円を今度はのこのこと遠いところの社会保険出張所なり保険者のところに行ってもらわなければならぬ、こんなばかげた制度を一体とれますか。あるいはいま言ったように、医者が保険者の了解を得たら、三千円は今度また医者がもらえるのだ、そんなばかげた、わからぬような制度を平然として一体実行できますか。これだからだめなんです。これは、これだけでもだめなんです。 それから受診率の問題ですが、一体薬の半額を負担したら、いま言ったように、一万円の薬代がかかったら一万円病院に払わなければならぬといったら、一体受診率がいまのままですか、そんなはずはないはずです。これをもしあなた方がいまのままで計算をしておるとするならば、たいへんな計算違いです。これは、私は、あなたのほうの統計を見ると、三十八年が二〇・六の伸びでしょう、受診率は。それから三十九年が二三・一の伸びでしょう。四十年は八・六の伸びしかあなたのほうは見ていないでしょう、三分の一になるのですよ。受診率が変わらないなんという計算は、もうこれだけでも非科学的です。横ばいでないはずです。小山さん、正直に言いなさい。
○小山政府委員 ただいま先生がおあげになった数字はそのとおりでございますが、なぜ三十七年度に比べて三十八年度が二〇%もふえ、あるいは二三%も三十九年度がふえているかといえば、これはもうよく御存じのとおり、受診率とか、あるいは受診日数というものに変化があったためではないのであります。一にかかって医者にかかった場合の医療費がふえているということなんであります。したがって、四十年度においてはそれだけの増加はあるまい、単位当たりそれだけの増加があるまい、こういうことでそういう計算になっているわけであります。
○滝井委員 八・六に切ったのでしょう。
○小山政府委員 ですから、受診率の変化ではなくて、医療機関にかかった場合の単位当たりの費用が、その程度にとどまるということで、そういう推算になっているわけであります。
○滝井委員 とにかくいままで二〇前後伸びておったのが八・六になるということは、もう確実なんです。逆を言えば、それだけ受診が減ったということなんですよ。で、こういうように、薬価の二分の一負担というのは非常に多くの問題をはらみ、事務的にだめなんです。だから、これも総スカン。これは被保険者ばかりではなくて、今度は療養担当者が好かないのですから、両方好かないのです。四面楚歌ですよ。 そこで、神田さんにお尋ねしたいのは、行政努力で今度は五十八億出す。この一体行政努力で出す五十八億というのは、これはどういうものですか。行政努力で五十八億ですよ。いままで国庫負担は三十億しか出さない、いままでの過去の日本の社会保険の歴史の中で、三十億出したのが最高なんだから、その国庫負担の三十億よりか多い五十八億が行政努力で出るというのは、これは一体神田さん、何ですか。
○神田国務大臣 滝井さんは専門家だから、詳しいことは私よりも御存じのことでございます。政府委員のほうから十分お答えさせたほうがいいと思うので、政府委員にさせたいと思います。
○滝井委員 ちょっと待ちなさい。こういう大事な——一億とか二億の金ならいいですよ。赤字が六百六十億程度ある。その約一割に当たるものが行政努力で出てくるんだ、しかも火の車でしょう。火の車の中で、行政努力で出てくるというものをやはり大臣が把握をしておかなければ——それが行政であり、政治なんですよ。そこらはもう少し明確にしないと、何もかにも事務当局、事務当局とまかしてしまっておったのでは、何のために大臣がおるかわからないですよ。こんなに重大な政治問題になっておるときに、もうちょっとやはり大臣、それは六時間寝るところを五時間ぐらい休むことにして看病しなければ、あなたの大事な社会保険が高熱を出してうめいているのだから、大臣も勉強して、この病気をいかにしてなおすかということを、肝胆相照らさなければうそですよ。われわれでさえも一生懸命、目の色を変えてやってきておるのですよ。きょうだって、社会党はお互いに大きな声を出しながら、けんけんがくがくやってきておるのです。だから、あなた方も何もかにも事務当局、事務当局じゃ、それは政治はないですよ。行政はあっても政治はない。
○神田国務大臣 これは、なかなかむずかしい問題でございまして、また重大な問題でございます。世論からも十分要望されている問題でございますが、御承知のようにレセプトの点検をやる、また現金給付の適正もひとつ厳重にやってみたい、それから監査、審査の協力も願う、そういった面で従来多少緩慢でありましたものを、今度こういう機会に十分運用したい、こういうことでございます。
○滝井委員 カルテの検査やら現金支出、すなわちこれは傷病手当金になるわけですね、そういうのを厳重にする、それから医者に支払う監査をやる、これだけで五十八億も出ますか。いま一体審査で幾ら出ておると思いますか。
○小山政府委員 三十八年度で、レセプト点検等でおよそ五億足らずという数字だそうでございます。
○滝井委員 五億しか出ておらぬですね。そうすると、あとは審査して、労働者の傷病手当金を切るということになる。そんな一割しか出ておらぬものを十倍の五十八億も行政努力で出すなんという、こういうばかげた予算を組んでおるから、いつも大蔵省からなめられるのですよ。もう少しふんどしを締め直してやらなければだめですよ。大蔵大臣、こういうのをあなたはお認めになるのですか。この予算は実にずさんな予算ですよ。過去の実績が五億しか出ていないものを五十八億も見るという、こんなのは大うその穴じゃないですか。そうでしょう。あなた、いま一体医師の監査をやったり、それから患者の傷病手当金を切ったりして五十八億も出ますか。
○田中国務大臣 何しろ六百数十億も赤字が出るということであります。これは何とかしなければならぬわけであります。しかし、患者に負担をしてもらうということもたいへんでありますし、また国が出すといっても、国民の税金でまかなわなければならぬわけであります。でありますから、今度はひとつ緊褌一番監査をやろう、厚生省も本格的に合理化をはかる、こういうのでありますから、まあその数字は信用する数字だと思います。
○滝井委員 ふんどしを締め直したって、そう簡単にいかないですよ。それならばお聞きしますが、私は、実は行政努力というのは、保険料の収納率を上げるのかと思っておった。いままで厚生省は、行政努力というときには保険料の収納率を上げることだった。今度は、四十年度には保険料の総報酬制に変わると、保険料の収納率は一体どういうことになるのですか。
○小山政府委員 総報酬制を採用した場合の収納率をおよそ九一%程度と見ております。なお、いままでの標準報酬制による収納率は、九五%をこえておったのでございます。 なお、先ほど若干申し落としましたが、先ほど申し上げましたレセプト点検は、全体のおよそ二割強程度をいま行なっているそうでございます。今度は全数について行ないますので、これでおよそ二十億程度はいける、ただおっしゃるように、全体として五十八億というのは、これはなかなかつろうございますけれども、何とか努力してやりたい、こういう数字でございます。
○滝井委員 あなたは、何億枚とあるやつを全部やるというのは、一体できますか。いま何億という枚数があるのに一体全数できますか。それだったら、審査員をいまの今度は五倍にしなければならぬ。そんなことはなかなかたいへんですよ。神田厚生大臣、いままでは九割五分取れておった保険料が、今度は九割一分に減るんですよ。ところが、労働者は給料から源泉徴収されるから、みな取られてしまう。そうでしょう。世にもふしぎなことには、労働者は源泉徴収で給料から取られてしまうから、労働者は一〇〇%払うことになる。ところが、それがいままで九五取れておったものが九一ということになると、事業主が払わぬことになる。そうでしょう。一体なぜ九五取れていたものが九一に減るのですか。頭をひねる世にもふしぎなことですよ。
○小山政府委員 これは、今度初めて採用するということを考えて、九一%見込んだわけでありまして、逐次慣熟するに従いまして、これが当然上がっていくわけであります。現在失業保険ではほぼ名目上九五に近いところまでいっているそうでございますので、いずれはそこまでいける、かように考えております。
○滝井委員 慣熟するにつれて——なれたら九五取れて、なれぬ間は九一というが、給料からみな差っ引いてしまうのでしょう。源泉徴収でしょう。みな被保険者が一々持っていくのですか、これは全部給料から取るんですよ。事業所は給料から天引きしてしまうんですよ。天引きするものが、なぜ九一に下がるのですか。わからないですよ。いままで九五取れておったものが、制度を変えたからといって九一に減る理由がわからない。こういうところに、私は財源を隠しているというんですよ。これは二千八百億もあるものだから、九五になるか九一になるかによって予算はばく大に違ってくるんですよ。一億、二億違うのじゃないのです、総医療費が二千八百億もあるのだから、こういうところに厚生省のからくりがあり、でたらめがあるんですよ、私に言わせると。大臣、もう少しこういうところをきちっと点検をして、やはりこういう大事なときには、こういうこまかいところまで見てしないとうそですよ。実はこれは、制度が変わってくるんですよ。いままでは告知方式でしよう。告知の納税が、今度は申告方式になるのでしょう、ボーナスその他、制度が違ってくる。やり方が。そういうこともある。それにしても、労働者は納めるのです。給料から取られてしまうのだから、そうすると、事業主が不正をするかどうかになる。もう少ししっかりしてもらわないと、どうも質問がかみ合わぬですよ。 それから、大臣もう一つ、一体今度借り入れ金を政府管掌健康保険は幾らやるのですか。
○神田国務大臣 政府管掌の健康保険では、二百億円ほどやる予定でおります。
○滝井委員 それは間違いでしょう。予算で幾らになりますか。それは、去年の赤字を泳ぐために二百億円借りるのでしょう。昭和四十年には借り入れ金は幾らになるのですか。
○神田国務大臣 さっき言ったのは、三十九年度でございまして、四十年度は四百六十億くらいになります。
○滝井委員 大蔵大臣、いままでこういう特別会計に四百六十二億円もの借り入れ金をした例がありますか。
○田中国務大臣 給付費がふえていきますし、それから保険料はそう高く上げられない、また国の財政も非常に多端の状況であるということになれば、借り入れ金でまかなっていくということは、あまりいいことではありませんが、やむを得ざる処置だと思います。
○滝井委員 給付費がふえて、借り入れ金がふえるのはやむを得ない、こういうことですね。いままでの日本の健康保険の財政にはないことです。予備費は幾らです。
○田中国務大臣 二百六十億です。
○滝井委員 これも二百六十億、これは日本の歴史にないことです。そうしますと、いいですか、大体正体がはっきりした。赤字は六百五十九億、借り入れ金は四百六十二億、予備費は二百六十億、これはすべて日本の歴史になかったことです。そして大臣——これは小山さんでけっこうです。日本で、健康保険の歴史が始まって一番多かった赤字は幾らです。そうして、その一番多かった赤字を処理するために幾らの国庫負担を入れたのが一番多いんですか。
○小山政府委員 いままでで一番赤字が多かったのが昭和三十年でございまして、七十三億でございます。このときから財政再建対策のことがいろいろと論議されまして、その後三十二年に最終的にきまったのでございますが、そのときの赤字は五十四億、国庫補助は三十億、こういうことであります。
○滝井委員 大蔵大臣、私はきわめて科学的にものをいま言ってきたわけです。そこで、一番赤字が多かったのは五十四億、五十四億のときに国庫負担を三十億入れた。この三十億をとるときに、時の内閣総理大臣の岸さんなり大蔵大臣の一万田さんなり、あるいは池田さんなりにかわったんですが、このときにそれらの諸公は何と言ったかというと、われわれの目の黒い間は滝井君、心配するな、この三十億円というものは赤字になろうと黒字になろうと入れていくんだ、こう言明されたんです。いいですか、赤字が五十四億のときに三十億ですよ。三十億国庫負担を入れたんだ。そして、そのときに一体借り入れ金は幾らあったかというと、その当時借り入れ金は六十億、借り入れ金は六十億しかなかった。そして予備費は十億円です。三十一年にちょっとふえて、十八億になりました。これだったんです。ところが、今度は赤字が五十四億の十倍以上の六百六十億の赤字になっちゃった、そして国庫負担は幾ら入れたかというと、五十四億のときと同じたった三十億しか入れなかった。そして、歴史始まって以来の大幅な借り入れ金四百六十二億円をやり、予備費を二百六十二億円やる、こういう形にしたのです。そこで、これは歯車がどこで違っておるかというと、赤字が十倍になっておるんですから、当然十倍の三百億ここに入れなければならぬ。私はこのごろからあなたに三百億と言うのは、ここなんだ。理論的な根拠を持って言っているんです。こういうように、政府管掌の健康保険は千二百万の中小企業の労働者です。自由民主党は、率直にいって中小企業の皆さん方の——社会党も民社党も票はもらっています。しかし、ほとんど多くの自民党の諸君は票をもらっているんですよ。その自民党の今日の政権の基礎を築いた中小企業の諸君に報いるに、こういう冷酷な形で一体いいですか。こういうところをもう少し——私はここまで理論に詰めてきたんだから、さいぜん私は——時間がないから結論に入りますが、とにかくまだ十分理論的なことをやらなければいかぬですけれども、時間がないからやりませんが、こういう形でずっときているんです。 そこで、このように非常な、異常な赤字がすべての保険に例外なく出ている。一体政府が典型的な政府管掌健康保険にとったこのような措置というものは異常に少ない。これではどうにもならぬわけです。だから、これだけの赤字がある限りにおいては、これは必ずいつの日にか保険財政が行き詰まることになる。そこで、一体政府はこういう状態のもとで、まず第一に私は特にお尋ねをしておきたいのは、いま保険関係の三法が社会保険審議会にかかっておる、あるいは社会保障制度審議会にかかっております。政府は個々の答申が出るまでは国会に三法は提出しないのかどうか。
○神田国務大臣 現在のたてまえは、両審議会の答申を尊重して処置したいと、こういうことになっておりますから、間に合わないのが現実の姿だろうと思います。
○滝井委員 間に合わないので、したがって答申が出るまでは法案は国会に出さない、こういうことですね。言明してください、はっきりと。
○神田国務大臣 そういう結果になると思います。
○滝井委員 そうしますと、この場合、田中さんに一つお尋ねをしておきたいのは、そういう事態になりますと、予算の裏づけである法律が出てこないことになるわけです。あなた方が一両日のうちに予算を通したいのはやまやまでしょう。その場合に、法律がなくて、しかも、各種保険がこれだけの赤字をかかえておって予算をすらっと通すつもりですか。法律と予算との関係は、政府としてはどういう態度を持って臨むつもりですか。
○田中国務大臣 予算関係法と予算案は、同時に御審議を願うことがたてまえでございますが、今般の医療三法の問題につきましては、御承知のとおりの状況でございます。でございますし、相手が動かないのです。動かないものから、動かして答申をいただいて、それを尊重して法律に書け、また書きましょう、こういう状態でありますから、事情御了承の上、予算だけは早く通していただきたい、こういうことです。
○滝井委員 そうしますと、相手が動かぬ。相手がてこでも動かぬのだから予算だけは動かしてくれ、こういうことになる。ところが予算を動かそうとすれば、やはりわれわれの言い分も少しは聞いてもらわなければならぬことになるわけです。そこで、われわれの言い分というものを政府が聞いてくれるかどうかということが問題になるわけです。そこで、私はお尋ねするのですが、私がるる短時間の間に申し述べたように、各種社会保険は全部赤字になっているわけです。そこで、これは支払い側との了解事項の当面の措置の中を見ても、現在の各種社会保険は健全でないのだ、だから、したがって、財政事情の許す限りにおいて極力国庫負担の増額をやる、特に国民健康保険や日雇は健康保険についての財政については、特段の配慮をするというようなことをおっしゃっているわけです。こういう了解事項もありますが、いまのような赤字の実態ですから、この各種の社会保険制度を動かしていくためには、これは赤字があっててこでも動かぬというわけではない。これは動かなければならぬわけです。これはひとりでどうしても動かなければならぬ。動かすためには、金が入らなかったら動かぬわけですから、金を入れて潤滑油の役割りを演じさして、各種社会保険制度の円滑な運営を——少なくともやはり答申があって、最終的に三法案が国会を通るまでには処置しなければならぬと思うのです。この場合に、赤字を動かすためには、やはり場合によっては借り入れ金をやらなければならぬ。たとえば、あなたのところは二百二億円の金がなかったら一月から三月まで動かぬわけです。すぐに二百二億の借り入れ金は大蔵大臣と相談してやってもらわなければならぬことになる。そうでしょう、神田さん。縦に頭を振っておるからそうなんだ。そうしますと、一体こういう状態の各種社会保険が支障の起こらないように、借り入れ金等の問題について政府が責任を持って積極的な措置を講じてもらえるかどうかということが、やはり動かぬものを動かすためには必要になってくる。これは、ひとつ大蔵大臣としての見解を伺っておきたい。
○田中国務大臣 医療費に関する予算措置ができるまでは、各保険会計の運営に支障を来たさないように、借り入れ金等のあっせんなどを行ないたい、こう考えます。
○滝井委員 その場合に、御存じのとおり、政府管掌健康保険と日雇い労働者健康保険の二つはいままで借り入れ金があるんですね。船員保険は、ことしの予算を見るとないんですね。それから国民健康保険がありますね。それから共済組合がありますね。それから組合管掌の健康保険があるわけです。これらのものも、さいぜんそれぞれ所管の大臣が御説明になったように、全部三十九度までいかなくても三十八度ぐらいの、いわゆるふるえが来て熱が出つつあるのもあるのです。そこで、これらのものについてもやはり氷嚢くらいは当ててもらって、対策を講じてもらわぬとどうにもならぬ。こういうものについても、やはり当然特段の配慮をしてもらえるのでしょうね。
○田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、この制度を動かしていかなければならぬわけでありますから、諸般の事情を考えながら動くように努力をいたします。
○滝井委員 各種社会保険というものの中に、特に私は具体的な名前をあげて指摘をしたわけです。それらの問題については、動くように特段の配慮をしていただけると、こういうことであるので、そろそろ私たちも動きたいと思うのです。 それから社会保険審議会は、国会の情勢がこういう状態なものですから、何でも土曜日にまた再開をすることになっておるということを聞いております。そうしますと、この答申が出れば尊重をするということは、もう厚生大臣なり田中大蔵大臣なり佐藤総理大臣がるる言明されておるから、これは当然のことです。そこで、私たち社会党は、いまのようなたいへんな赤字でございますから、もう耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んで最低の要求をしたいと思うのです。それは、たとえば国民健康保険とか、船員健康保険とか、あるいは政府管掌の健康保険というようなものについては、やはり最低一割ぐらいは政府が思い切って今後国庫負担を出さなければいかぬのじゃないか。それは、さいぜん言ったように、非常な火の車の赤字なんだから、そのぐらいは出さなければどうにもならぬ。それからいま一つは、日雇い労働者健康保険はたいへんな借り入れを背負っている。ことしの四十年度の日雇い労働者の平均賃金は、去年が五百一円九十銭、今年は五百六十一円七十銭で、六十円以下のアップしかないわけです。したがって、こういうものにはわれわれ社会党は三割くらいは出さなければいかぬだろう。それから共済組合とか、健康保険組合の中にも、相当な赤字のものがさいぜん大蔵大臣も言ったように出てきておるわけです。そこで、これらのものについても、まず私たちとしては二割の要求を法案として出しておるけれども、一挙に二割といってもそれは無理でしょう。とりあえずその一部として、組合管掌なり共済組合に六十億程度出さなければならぬというので、私たちは六百八十三億を最低の要求として出しておるわけです。これは、社会党は非常につつましやかな要求だと思うのです。累積赤字その他を加えれば千五、六百から二千億になんなんとする赤字があるわけです。その中の三分の一かそこらをつつましやかに要求している。三分の一の政党だから三分の一というわけじゃないですが、要求しているわけです。そこで、一体大蔵省としては、このつつましやかな要求について、当然、答申が出て、そして具体的な補正予算その他を組もうというような場合には、社会党の意のある方向に向かって前向きの、前進的な、ヒューマニズム的な努力をすることができるかどうかということです。
○田中国務大臣 非常に重要な問題でありますから、しばらく時間をかしていただきたい。 国民医療費に対する国庫負担につきまして申し上げると、わが国の負担率は二二%であります。英国、ソ連を除けば世界最高の水準にあります。各国とも公費扶助診療につきましては国庫負担が行なわれておりますが、保険診療に対しまして、ドイツ、フランス等いずれの大国におきましても国庫負担は行なわれていない、こういうような状態もあるわけであります。公費扶助診療に対する国庫負担と、保険診療に対する国庫負担の額は、昭和四十年度の一般会計予算におきましては二千三百十六億円に達しておるのは御承知のとおりであります。これは、四十年度の予算における社会保障費関係五千百六十四億円の約四五%であります。しかも、その増加の年率が非常に高いということは、先ほど滝井さん御指摘のとおりでございます。でありますから、四十年度の一般会計予算のワクは、対前年度比一二・四%しかふえておらないのでありますが、社会保障費は一九・九%ふえております。一九・九%ふえておりますけれども、先ほど申し上げた医療費だけの伸びが三五・四%にもなっておりますから、そのために、言いにくい話でございますが、一二・四%の中でまかなうには、他の社会保障費はわずか九・八%という状態であります。こういう事情も皆さんにも十分御承知いただきたいし、やはり国民の皆さまからも、日本の予算の中における保険制度に対する国庫負担の比率ということも十分ひとつお考えになっていただて、より合理的な社会保険の制度が確立せられることが望ましい、こう考えます。 〔発言する者あり〕
○青木委員長 御静粛に願います。
○田中国務大臣 なお、いま御指摘がございました国庫負担その他の問題につきましては、このように財政の中で非常に大きなウエートを持ち、たいへんな状態ではございますが、いままでも財政負担もやってまいったわけでありますし、財政事情の許す限りにおいて極力負担に対し努力をしたいと思います。
○滝井委員 田中大蔵大臣がちょっと最後に反論を試みたから、その反論をちょっと私もやっておかなければいかぬと思う。やはりこういうところは大事な理論闘争の場ですから、きちっとしておく必要があると思う。 そこで、大蔵大臣はいま外国の例をあげましたけれども、イタリアは被用者が六・二しか負担してない。事業主は八二・二、したがって国家、公共が七・四、その他が四・二、それからイギリスは被用者が三五・九、事業主が三〇・七、国家が二六・五と、こう負担しておるわけです。日本は、これは一九五三年から五四年の統計ですが、被用者が三六・八で、事業主が四三・四で国家が一一・六、その他八・二と、こうなっておるわけです。
○青木委員長 滝井君に申し上げますが、持ち時間が切迫してまいりましたので……。
○滝井委員 医療費が非常に上がることをあなたは強調されました。なるほど上がっております。上がっておりますけれども、これは、大局的に見ると、平均寿命が延びてきたわけです。それから同時に、一件当たりの治療日数というのが、もとは五日、六日、七日、こうあった。最近は四・四日になっておる。それだけ労働力の順当な再生産のために医療費というのが寄与しておるわけです。それからもう一つ言いたいことは、国民総医療費と国民所得との関係です。これは、やはり重要なマクロの指標なんです。ミクロの指標としては、なるほど一律の金額の中で、薬代が三十五年に比べて三十八年は五割五分から六割程度上がっております。これは薬が上がっているのです。薬代の占める比重が上がっております。
○青木委員長 滝井君、持ち時間が間もなくまいりますから……。
○滝井委員 国民所得に対する医療費は横ばいなんですよ。これは非常に今後われわれが研究しなければならぬところです。国民所得に対して総医療費は三十三年が四・二です。三十七年が四・一六、三十八年が四・三八、三十九年は四・一七と減っているのですよ。ミクロの段階で薬というところがふえているわけです。そこで、これに対する対策というのはいろいろある。私、時間があればもう少し掘り下げてやるのですが、時間がないからやりません。しかし、いま田中大蔵大臣の言われたように、とにかく当面の対策としては、保険三法が何らかけりがつくまでは借り入れ金をやる、あるいはその処置がつけば、三法の解決がつけば、もし国庫負担をやらなければならぬというときには格段の前向きの努力をする、こういう言明がございました。ひとつこれを契機にして、もう少し政府自身もこの医療保険について掘り下げた検討をしていただいて、そして、これらのものが軌道に乗る方向にやはりすべてを持っていかなければならぬと思うのですよ。そこで、これを持っていくためには、まず政府がイニシアチブをとって、政府、被保険者、医療機関、製薬企業、事業主、これらの五者がみんな喜ぶ姿……。
○青木委員長 滝井君、時間が参りますから……、
○滝井委員 そして、五者がやっぱり一両損、五者五悦、八方一両損という形でやはり体制をつくっていかなければならぬと思う。 そういうことを配慮して前進をはかっていただくことを希望して、終わります。
○青木委員長 これにて滝井義高君の質疑は終了いたしました。 次に、岡田春夫君。 〔「総理大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長 いま見えますから、どうぞ御発言を願います。 〔「総理が来なければだめだ」と呼ぶ者あり〕
○青木委員長 岡田君、たいへんお待たせいたしました。内閣総理大臣が見えましたので、質問願います。
○岡田委員 総理大臣、からだがお悪いそうですが、私も実は二、三日前からかぜをひいておりまして、お互いに条件が悪い中で、これはきわめて重大なものですから質問を進めさしていただきたいと思います。お悪い総理大臣にぜひおいでをいただきたいということは、私の前会の質問に引き続いておる関係でございますし、総理大臣の前会の答弁がきわめて重大でございますので、そういう点からもおいでをいただいたわけであります。 それは、去る二月十日の衆議院の予算委員会の席上私が取り上げましたいわゆる三矢研究と称する防衛庁統幕会議の図上計画に対する質問に対して、佐藤総理大臣は概略次のように答弁をしておられます。私はその速記録を十分に読みまして、その主要点をまとめてみたわけでございます。 その第一点として、総理大臣は、新憲法の立場に立って、全体主義的な考え方、総力戦的な考え方は絶対にとらないし、またこれを排撃すると答弁をされました。 第二の点として、私がその席で述べました幾つかの事実について、仮定の問題としてもこれは重大であり、ゆゆしい問題であるから、絶対にこれは許せないということを、二回にわたって明言をされました。また、仮想敵国については、これは速記録をそのまま引用いたしますが、「この想定自体があまりにも現実とかけ離れている、こういう批判は十分受けてしかるべきだ」と、このように言われまして、仮想敵国の設定は明確に否定をされました。 第三点として、私がこれら述べました諸点について、総理は、そのあとにおきまして、速記録によりますと、「私がただいま責任を持っておりますので、この責任の立場においてこの問題を処理いたします。」そしてまたあるいは「したがってこれを十分調査いたしまして、私のほうで善処いたします。そのことをはっきり申し上げます。」と、二回にわたって問題の処理と責任者の処置を意味する意味の言明が行なわれたと私は理解いたしております。 そこで総理大臣にお伺いをいたしたいことは、第一に、これらの事実を調査するというように御答弁になりましたが、総理大臣は十分御調査になりましたか、どうですか。 第二の点は、調査の結果、三矢研究と称する私の述べた事実は確認をされましたかどうですか。 第三点は、このような図上作戦計画が統幕の制服によって行なわれたことは適切妥当なものであるとお考えになるか。特に仮想敵国の設定、戦時国家体制及び政治、国会に対する干渉支配についてはどのようにお考えになるか。 最初にまとめまして三点について御質問をいたしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 第一点、調査はいたしました。これは、経緯は十分防衛庁長官も知っておるはずです。 また第二点、あなたの言われたことを確認というよりも、いま言われたような……(「聞こえない」と呼ぶ者あり)声の小さいのは、きょうは少しぐあいが悪いものですから、そのつもりで静かにして聞いてください。ただいま言われるように総力戦的なこと、あるいは新憲法下においてあるべき姿、こういうことは私が申したとおりでございます。したがいまして、今回の三矢事件なるものは、いずれ小委員会が開かれて、関係の方々もその真相を知られるでしょうが、これはどこまでも演習であるという点は、これは申し上げたとおりでございます。 また最後の問題、この新しいもとにおいてのシビリアン・コントロールというか、これは、私どもが厳に守るつもりでございますから、そういう点でもしも行き過ぎがあるならば、これは気をつけなければならない、かように私は思います。
○岡田委員 それでは、総理大臣の最後の点の御答弁でございますが、統幕の制服によって行なわれたこのような図上作戦計画は、シビリアン・コントロールのたてまえ上、適切妥当なものだとは思わないという意味に理解してよろしゅうございますか。
○佐藤内閣総理大臣 この前段は、私は制服の連中が演習をするという、そのたてまえはちっとも間違いはない。しかし、さらにその後におきまして、いろいろここで指摘されるような総動員体制をとるとか云々のようなことは、これは制服のやることではない、かように私は思います。
○岡田委員 前段とおっしゃることは、軍事作戦上の問題はと、こういう意味でございますか。
○佐藤内閣総理大臣 戦闘作戦の図上演習というものはあり得る、かようなことです。
○岡田委員 これらの点は、あらためてあとでもう少し詳しく伺ってまいりたいと思いますが、私は、希望を含めて総理大臣に一点だけ申し上げておきたいと思います。この問題をあいまいに終わらせることは、かえって軍国主義国家体制の復活や、憲法、国会をじゅうりんするという意図を温存して、きわめて危険な状態を招く危険性がある。したがって、この問題を私が取り上げましたことを契機にいたしまして、政府も国会も一体になって徹底的に究明をしていただきたいと思いますが、この点について重ねて御意見を伺っておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 これは、究明かどうかわかりませんが、こういう事態は、小委員会を設けましたその趣旨はそこにあるのだ、もちろん皆さまも私どもも、わが国の安全、そういう意味においての国防の大事なことは、これは同一だと思います。社会党の方も同じように国のことを心配していらっしゃる。しかしながら、その防衛、あるいは安全、そういう点についてもしも行き過ぎがあって誤解を招くようなことがあっては相ならない。こういうたてまえでいわゆる小委員会を設置し、皆さま方にも十分検討を願っておる、かように私は考えております。
○岡田委員 それでは、小委員会でわれわれは徹底して研究をいたし、また調べることにいたします。そのためには、政府が小委員会に御協力を願わなければなりません。その点については、はっきり御協力をいただくということを明言されますか、どうですか。
○佐藤内閣総理大臣 これは国会の運営で、予算委員会もございますが、ただいまの、皆さま方の決議で小委員会を設置する、かような立場でございますから、どこまでも小委員会が成果をあげるように考えることは私どもの仕事です。
○岡田委員 予算委員会の決議で小委員会が設けられた。それならば、予算委員会の理事会において自民党も含めて正式に決議をされた資料、原文を提出せよというこの原文の提出は、ぜひとも御協力を願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 小委員会でどういうような取り扱いをしておられるかと思いますが、大体小委員会でやられるもの、私どもが差しつかえないものはもちろん協力いたします。
○岡田委員 予算委員会の理事会においては、文書によって防衛庁長官に対して原文を御提出いただくようにお願いをいたしたわけであります。ところが、防衛庁としては、これを正式に拒否するという決定をいたしたのであります。これは、国会法に基づく手続を拒否したという意味で、明らかに国会をじゅうりんしていると言わなければならないと思います。私たちはそういう点においても、総理大臣が小委員会に協力をされるとおっしゃるならば、重ねて防衛庁長官に資料を出すように総理大臣から御命令を願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 小委員会の資料の提出、これはどういうような決議になっているか、そのときはたしか考慮しろと、こういうことではなかったかと思います。政府自身が責任の持てることならば、また政府が差しつかえない、かように考えましたならば、その趣旨に沿う、こういうことを先ほどから申し上げておるのであります。その点は誤解のないように願っておきます。
○青木委員長 岡田委員に申し上げますが、ただいまの問題は、去る二月二十八日の予算委員会の理事会から防衛庁長官に申し入れたことについてのことと存じます。そこで、誤解があってはいけませんので念のために申し上げますが、私どもの理事会におきまして私から防衛庁長官に申し入れをいたしましたのは次のような文言であります。「小委員会の審議を軌道に乗せるため、必要な資料を提出されたい。」これが全体の考え方、「特に要求のあった答解作業、状況下の研究No11、12の提出についても考慮する等、審議促進に協力されたい。」こういうことでありまして、この資料を提出するか提出せぬか、これは理事会として決定することのできない問題でありますので、防衛庁にその点を考慮してくれ、こういうことを申し入れたのでありますから、念のために申し上げておきます。
○岡田委員 委員長にお伺いします。あなたがただいまお読みになりましたとおりに、必要の書類を提出せよと書いてあることは、その資料は原文を意味するのであります。ですから、当然この資料は出していただきたいのであります。No11、12ということには、別に原文ということを書いているのではありません。これは特に最初に11、12を出すことを考慮しろと言ったのであって、資料を出せということは、原文を出せということであります。委員長の御理解が間違っておりますので、御訂正を願いたいと思います。
○青木委員長 申し上げます。私、先ほど申し上げましたごとく、この書類につきまして防衛庁が提出できるかできないか、そのことは防衛庁自身がきめることでありまして、理事会として決定のできる問題ではありません。(発言する者多し)したがいまして、私どもは、「提出についても考慮する等、審議促進に協力されたい。」こういうことを申し入れたのであります。なお前段は、一般的の問題として、「小委員会の審議を軌道に乗せるため、必要な資料を提出されたい。」かように申し上げたのであります。
○岡田委員 国会法に基づく資料提出の手続からいって、正式に予算委員会の理事会が要求した資料を出すか出さないかは、防衛庁が決定するということですか。それは国会法の解釈がそうですか。そういう解釈は私は理解できません。これは委員長、理事会を開いてこれをおきめ願いたいと思います。理事会を開いてください。だめですよ、理事会を開いてください。国会法の解釈が違う、理事会を開いてください。 〔発言する者多し〕
○青木委員長 申し上げます。(発言する者多し)お静かに願います。——お静かに願います。(「理事会を開いてください。」と呼び、その他発言する者多し)お静かに願います。前段に申しておるごとく、「小委員会の審議を軌道に乗せるため、必要な資料を提出されたい。」このことを前文に書いておるのであります。 〔岡田委員「防衛庁が拒否する権限はない、理事会を開いてください。」と呼び、その他発言する者多し〕
○青木委員長 岡田委員に申し上げます。防衛庁自身まだ提出しないとも何とも決定しておるわけではありません。防衛庁の……(「だめですよ、理事会を開いてください。」と呼び、その他発言する者、離席する者多し)お静かに願います。——理事会を開きますから、お静かに願います。 この席において理事会を開きますから、理事以外の方は着席願います。岡田君に申し上げます。 先ほどの委員会発言は誤解があるようですから、次のごとく訂正いたします。 資料の提出については左のごとく了解願います。 すなわち、「小委員会の審議を軌道に乗せるため、必要な資料を提出されたい。特に要求のあった答解作業、状況下の研究No11、12の提出についても考慮する等、審議促進に協力されたい。」 以上であります。
○岡田委員 いまの御解釈にも、必ずしも私は全面的に了承するわけにはいきませんけれども、審議を進行する意味で続けてまいります。 小委員会がこのような形で停滞をいたしておりますのはきわめて遺憾であります。私たち社会党といたしましても、小委員会はできるだすみやかにこれを進行してもらいたいと思います。 そのためには、総理大臣にお伺いをしたいのでありますが、やはり防衛庁から関係の資料を出していただかなければ、われわれは審議ができないのであります。私たちは、私が提出をいたしました資料、この資料をもって審議をすることはできないのであります。国会というのは政府のやっておりますことを審議するのがたてまえでありますから、政府自身が資料を提出していただくことによって初めて小委員会は運営の万全を期すことができるわけであります。そういう意味で、資料をすみやかに提出するようにお願いをしたいと思いますが、総理大臣にこの点についての御意見を伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど答えたとおりです。
○岡田委員 答えたとおりというのは、資料はお出しになるというように私は解釈してよろしゅうございますか。
○佐藤内閣総理大臣 いまのこれは小委員会の問題だ、小委員会の問題、これは間違いないですね。いま予算委員会でやっていらっしゃるから、この事柄は小委員会の問題だ。その小委員会についての私の答弁は、先ほど、政府も責任が持て、また政府が差しつかえない、かように考えたものは資料を出します、かように申したのです。
○岡田委員 それでは防衛庁長官に伺いますが、いま総理大臣は、お聞きのとおり答弁されました。小委員会の運営のために必要ならば資料をできるだけ出すように努力する、直ちに資料をお出しいただきたいと思いますが、いかがですか。
○小泉国務大臣 資料の点につきましては、先般の小委員会の高田委員の質問に対しましても、小委員会の正式な御要求があれば考慮いたしますとお答えを申し上げておりまして、また二十八日夜青木予算委員長から、先ほど委員長が読み上げたとおりの要請がございましたので、資料の問題については目下考慮中でございます。
○岡田委員 小泉さん、考慮中ということは、この間防衛庁が資料の提出を拒否したというようにわれわれは聞いておりますが、これは間違いであった、今後は原文を出す可能性がある、このように考慮したのであると私は理解してもよろしゅうございますか。
○小泉国務大臣 庁議で決定したというのは、さような事実はございません。目下考慮中でございます。
○岡田委員 国会法の第百四条に「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告文は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」と、このように書いてある。考慮中ではだめです。求めに応じて提出しなければならない義務がある。小泉さん、提出を願います。
○青木委員長 内閣法制局長官高辻正巳君。
○岡田委員 違います。まだ発言中です。
○青木委員長 発言を求めます。高辻君。 〔発言する者、離席する者多し〕
○岡田委員 私は発言中。委員長、御注意を願いたい。
○青木委員長 わかりました。
○岡田委員 委員長自身は、私の発言している間に次の政府委員の答弁を促すということは困ります。私はいま小泉さんに発言、答弁を求めているので、これは「その求めに応じなければならない」という政府の義務があることを言っている。この義務について、この国会法の解釈は、政府の法制局並びに法制局長官が答弁するべきことではないのです。衆議院には法制局というのがあるのです。国会法の解釈は、この院の独立性において国会が解釈します。高辻さんは答弁する必要はない。一小泉さん、御答弁を願います。
○小泉国務大臣 防衛庁としては考慮中でございまして、そういう国会法の解釈は、私どもの法制局長官なりから答弁をさせてもらいます。
○岡田委員 国会法の解釈をなさるのならば、委員長、国会法の解釈をお聞きになるのならば、衆議院の法制局長を呼んでください。政府の法制局長官の答弁は私は求めません。——あらためて法制局長の出席を要求いたします。
○青木委員長 岡田委員に申し上げますが、防衛庁長官、すなわち政府側の法律解釈をお求めになりましたので、政府の法制局長官の答弁を求めてはいかがかと存じます。
○岡田委員 委員長、委員長、冷静にしてください。
○青木委員長 わかりました。
○岡田委員 私は法律解釈を求めているんじゃないですよ、小泉さんには。 〔発言する者あり〕
○青木委員長 御静粛に願います。静粛に願います——衆議院の法制局長、連絡いたしておりますから、その他の質問を——衆議院の法制局長をただいま連絡いたしておりますから、ほかの御質問をお願いいたします。質問をお進め願います。
○岡田委員 委員長に協力をいたします。局長の見えるまでにそれに関連する一点だけを御質問いたしますが、いや、御質問というよりも委員長に要求をいたします。これに関係ある必要の書類を提出していただくように、手続を委員長としてとっていただきたいと思います。
○青木委員長 申し上げますが、国会法をただいまお読みになりましたように、委員長の立場において要求するというものではなくして、委員会の決定によらなければならぬと存じます。
○岡田委員 私は委員長を通じてぜひとも資料の提出を願いたいと思います。
○青木委員長 国会法第百四条の委員会の決定ということでなしに、委員長個人において連絡せよということでございますか。
○岡田委員 個人などと言われてもしようがない。それは困る。
○青木委員長 岡田君に申し上げます。国会法の百四条によりますと……(岡田委員「個人だと断わります」と呼ぶ)委員会の決定でなければ…… 〔発言する者多し〕
○岡田委員 審議に協力する意味で質問を進めます。法制局長はおいでになったときに御答弁をいただけばけっこうであります。 原文をいままで出さないような態度を事実上防衛庁がとってまいりました。ところが、総理大臣もお聞きいただきたいのですが、政府がつくりました原文それ自体を出した例はたくさんありますし、それが当然なのであります。たとえばアメリカから提出をいたしました、日本に送られた資料でさえ出されているのであります。それにもかかわらず、三矢問題に関する限り、その資料の原文をお出しにならないといことは、何かこれを国民の目の前に出すことは困る、そのような秘密の問題があるからではないかと私は思う。あなたのほうがお出しにならないことは、かえってあなた方の腹の裏を勘ぐられる可能性がありますので、ぜひともお出しをいただきたいと思います。もしこれをお出しにならないとするならば、総理大臣自身も自衛隊の制服に屈したというようにわれわれは解釈するものであります。こういう点は、はっきり御意見を伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来防衛庁長官は考慮中だと、かように申しております。何度も考慮中だ、これをはっきり申しておるのであります。ただいま出すとか出さないとか、かようには申してはおらないのであります。考慮中だ、それはわかる。
○岡田委員 総理大臣、その御意見はちょっと間違いだと思う。考慮して出さない場合があるとするならば、国会法第百四条に基づいて出さなければならないという義務に反することになります。考慮して出すならばいいです。考慮しても出さないのならば、国会法違反であります。こういう点をはっきりしておいていただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおり、政府が責任のとれる書類、資料、また政府が差しつかえないと考えたものは政府が出す、かように申し上げておる。ただいま、これが国会法に違反するというお話がございました。(発言する者多し)岡田君、聞いてください。国会法に違反するというお話がございます。それは、あなたの御意見として私伺っておきます。
○岡田委員 いま社会党の理事の方から議事進行についての発言があるそうでございますから、少々お待ちいたします。
○加藤(清)委員 議事進行。
○青木委員長 加藤清二君
○加藤(清)委員 ただいま同僚議員岡田春夫君の正当なる求めに対しまして、また国民が心から期待しているその問題につきまして、言を左右にしておられまするが、総理、あなた、もう一度耳を澄まし、心を澄まして聞いてください。民の声を聞いて政治をするとおっしゃったのがあなたでございます。その代表のことばがここに書いてある。すなわち、国会法第百四条「各議院又は各議院の委員から審査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」——「ならない」です。これは規定しているのです。命令しているわけです。それにそむくことは、あなたみずからが法律にそむくことです。みずからつくった法律にあなたみずからがそむいて、どうして国民を法律に従えと言えるでしょう。どうして順法精神を説けるでございましょうか。あなたのいずれにも片寄らざるところの正しい理念をここで吐露していただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま国会法をお読みになりました。私、元来法律にまことに弱いですから、法制局長官からお答えさせます。 〔加藤(清)委員「私は総理に聞いておる」と呼 び、その他発言する者多し〕
○青木委員長 法律上の解釈ですから、お聞き取りください。
○高辻政府委員 法律の解釈問題でございますので、私申し上げますが、国会法第百四条には、御指摘のとおりに「各議院又は各議院の委員会から」とございます。この「各議院又は各議院の委員会から」と申しますのは、むろん各議院におきましてはハウスの意思、委員会におきましては委員会の意思、その意思決定によって請求ができましたときの場合を百四条は規定しているものでございます。
○加藤(清)委員 何を言っるの、君は。あたりまえのことじゃないか、そんなことは。求めに応じなければならぬ。だから、求めがあった場合に出しますかと尋ねておる、総理に。
○高辻政府委員 委員会の意思決定があったときにどうなるかと申せば、百四条に、「その求めに応じなければならない」という文言があるとおりでございます。ただし、この記録というのは、いままでもしばしばございましたように、内閣または官公署において責任を持てるもの、そういう記録を求めがあったら提出しなければならぬ、こういうことでございます。(発言する者多し)
○加藤(清)委員 そんなことを余分につけ加える君の解釈は、私は承知いたしません。三百代言だ、それは。どうしてそんな余分につけ加えなければならぬ。どうして国会法を君一人の力で修正できるか。明らかにそれは国会法侮辱である。国会法を侮辱しておる君は法律の番人ではないか。何を言うか。
○高辻政府委員 これは実はいま初めて申し上げることではございません。実はいままでにもこういう問題がございまして、私はいま初めてこれを言っているわけではございませんで、従来からの解釈を申し上げているわけでございます。
○加藤(清)委員 私は、かかる三百代言、自己流の解釈によって法律を変えるような、法律に文言を挿入したり、改ざんしたりするようなあなたを相手にいたしません。法制局から来るまで待ちます。
○岡田委員 ただいまの議事進行に基づく加藤委員の御発言に対する政府の答弁も、私は納得ができません。しかし、これについてばかり論議をいたしておりますと本論に入れなくなりますので、あと適当な機会において私はぜひともこれはもっと伺いたいと思います。なぜならば、これは国会法というもののたてまえからいって、そして憲法の中で規定されている国の最高の機関としての国会の権威を確立する意味において重要でございますので、これは今後、もう少しこのあとの機会に質問を続けてまいりたいと思います。 そこで、ともかくも今日の状態では、防衛庁は原文である資料を御提出になっておらない。小委員会はそのために開かれておらない。こういうことはまことに遺憾でございます。そういう意味で、政府は、その委員会を動かして究明をするために、ぜひとも原文をお出しいただくように再度総理大臣にお願いしたいと思いますが、もう一度御発言願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私の先ほど来お答えしたのは私の信念でございますから、ただいまの御要望は承っておきますが、先ほどの答弁のとおりでございます。
○岡田委員 それでは、この点に関連をして、自民党の某副幹事長は、今度の三矢問題が起こったことによって機密保護法の制定が必要であるというようなことを新聞記者に発表をいたしております。これはまことにわれわれとしては不可解であり、このような態度こそ問題であるとわれわれは考えております。政府としては、この機会に機密保護法を制定するというお考えですかどうですか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまさような考え方を持っておりません。
○岡田委員 機密保護法は、現在の憲法の上で保護法としての法律を提出することは可能であるかどうか、この点は高辻さんに伺いたいと思います。
○高辻政府委員 秘密保護法の内容にもよると思いますが、私は秘密保護法という題名で想像されるものが、全然できないというわけではないと思います。もっとも中身次第でございます。
○岡田委員 もちろん内容によることは事実であります。しかし、一般的に、それでは憲法上どういう規定に基づいて機密保護法が出せる、こういう点の論拠をお示しいただきたいと思います。
○高辻政府委員 憲法の規定にあることだけができるという前提に立てば、その規定のいずれかをお示ししなければいかぬと思いますが、憲法は国権と国民との関係について特に重要な事項について規定してあるわけでございまして、各般の法律ことごとく憲法の特定の規定に根拠を持つというわけではございません。むろん憲法の全体の解釈からそれが認められるか認められないかということでございます。
○岡田委員 委員長、これは非常に重大なことです。それではあなたは、憲法に規定していないことなら、何を書いてもいいということですか。
○高辻政府委員 私が申し上げる趣旨はおわかりいただけると思いますが、憲法には御承知のとおりの条項がございますが、憲法の規定に違反しないというものにつきましては、どこどこの規定に根拠があるかどうかということを言いませんでも、憲法の規定に反しない限りはそういう法律ができる、こういう意味でございます。
○岡田委員 その解釈については私は意見がありますけれども、本論に入りたいので、本論に入ってまいります。 第二の点は、自衛力と憲法問題について二、三の点を簡単に伺いたいと思います。 まず総理大臣にお伺いしたいのでありますが、この間行なわれました石橋委員の質問の中で、海外派兵の問題について答弁をされております。この海外派兵については、その当日、総理大臣はこれを認めない、このように答弁をされましたが、その答弁は私はきわめて不徹底であったと思います。昨年の三月九日、参議院の予算委員会の席上で、池田前総理が憲法問題と実際問題について、海外派兵について明確な答弁をされております。それを私、引用いたしてまいりましたから読みますが、自衛概念の厳格な解釈をもとにして、憲法上一般にいわれる海外派兵はできない、このように憲法解釈を行なうとともに、参議院の本会議で決議されました海外派兵を禁止する旨の決議案、これに基づいて政治的にもこれを認めることはできない、このように前総理は断定をされております。佐藤総理大臣は、この池田前総理大臣の憲法解釈と、そして決意といいますか、政治的な決定といいますか、この点をどのようにお考えになりますか。これをお認めになりますか、どうでありますか。
○佐藤内閣総理大臣 これは、海外派兵ということばがいろいろの意味を持つでしょう。しかし、私は一般的には海外派兵を認めないという、これがいまの自衛隊の本来の姿だと、かように考えております。
○岡田委員 それではもう一点伺いますが、総理大臣、池田総理の憲法解釈は正しいとお考えになりますかどうですか。
○佐藤内閣総理大臣 どうも池田総理がどういうつもりでそういう話をしたかわかりませんが、池田総理も必ず十分検討してお答えしたことだと思います。だから正しいのではないか、かように考えます。
○岡田委員 総理大臣もたよりないことをおっしゃいますが、正しいのではないかと思いますなどというような心細いことを、総理大臣ともあろう人がおっしゃらないでください。これは正しいのです。高辻さんにもしなんならお聞きいただいてもけっこうであります。間違いありません。高辻さん、これは重要ですから……。
○高辻政府委員 これもしばしば実は出ておる問題でございます。先ほども総理大臣、仰せになりましたように、海外派兵というものの定義、必ずしも明確ではございません。しかし、要するにこの問題は憲法九条にいう自衛の範囲というものを逸脱するかどうかというところが問題の中心でございますが、通常武力攻撃がありました際、日本のやり得ることは自衛の限度にとどまるという意味で、一般的に申しまして海外派兵というのは憲法上許されない、こういうふうに言っていいと思います。
○岡田委員 それでは高辻さんに伺いますが、これはあなたもこのようにはっきり憲法制度調査会の中で言われておるのです。自衛権の行使の中で、政府の正式の見解として、国連憲章第五十一条の集団的自衛権に基づく相互援助行動は、憲法が当然認めている自衛権の範囲には含まれない、このように解釈をされております。これは、この憲法制度調査会の答申の中にはっきりありますので、これは間違いないと思いますが、いかがでございますか。
○高辻政府委員 その憲法制度調査会の御指摘の点は、私実はいますぐに明確に把握をすることができませんが、しかし、仰せになりますように、例の集団的自衛権というものにつきましては、これは、安保条約のときにもしばしば出た問題でございますが、要するに日本の憲法は全く平和主義に徹しておりまして、日本が武力を行使できるのは、日本に対して武力攻撃があった。国民の安全と生存を危うくされるという場合に、この安全と生存を維持するために、日本がこれの防衛に当たることができる。したがって、そういう現象がなくして、他の国に対するそういう事態があって、日本国にはそういう現象はないという場合にまで武力行使ができるということにはならぬだろう、こういう意味でございます。
○岡田委員 きわめて回りくどい御答弁をされたので、もう少し速記録を通じて私も検討しなければ、これに対して納得ができるかどうかはまだわかりません。しかし、このことについて関連してもう少し伺いますが、集団的自衛権に基づく相互援助行動というものは、憲法の認めている自衛権の範囲の中に含まれておらない、一般的にはこのように解釈するものであるとするならば、自衛隊の海外派兵による援助行動は、これはもちろん認められない、こういうことに当然なるんだと思いますが、この点についてはどうですか。
○高辻政府委員 先生御指摘のものは、実は私はっきりいたしませんが、しかし、お尋ねに対する御答弁として申し上げますと、先ほど来申しておりますような、他国が攻撃を受けた、そこで日本がその他国のために戦うといいますか、要するに自国の国民の安全と生存が害されることがないのに武力を行使して一種の紛争を解決するというのは、憲法九条の上からいいますと、これは認められないのではないかというふうに考えるわけでございます。
○岡田委員 それでは自衛権の行使として、両国が相互に援助する体制をつくって共同行動を行なうことも、これは自衛権の行使としての相互援助行動に該当するものであるかどうか。両国が相互に援助体制をつくる、共同の行動をする、こういうことは、集団自衛権に基づく相互援助行動であるというべきではないかどうか、この点を伺いたいと思います。
○高辻政府委員 これは安保条約のときに、実は何べんも出た問題だと私は思います。かりにどこかの国が侵略を受けた、日本の国は実は安全であったという場合に、他の一国の武力攻撃を受けたということについて、日本がそれに加担をして武力を行使するというのは、憲法九条でいう国際紛争を解決する手段になるということになろうと思います。ただ、念のために申し上げますが、たとえば日本が他国の集団安全保障の享受を受けるということは、話がむろん別でございます。
○岡田委員 それではもう少し伺いますが、安保条約第五条の適用、これによって日本と米国との間に共同防衛の行動ができることになっておる。これは御存じのとおりですね。ところが、第五条の適用を受けないで日米両国が共同行動、いわゆる防衛としての共同行動、これをとり得るかどうかということについて伺いたいと思います。
○高辻政府委員 私は、ただいまお尋ねの問題は憲法上の問題だと思いますので、憲法の問題として申し上げますが、日本が何らかの武力攻撃を受けるというときに、日本が自衛権を発動する。その場合に、外国の武力行使とともにするということは、これは一向かまわぬ。要するに九条の問題は、日本の国民の生存と安全が危うくされる場合に、日本が武力行使ができる。その場合に他国がそれを防衛してくれることは、それは憲法九条の問題ではございません。
○岡田委員 あなたのおっしゃるとおり、そうです。私はその逆を聞いておる。日本に対して何らかの侵略なり武力攻撃があった。それに対して第五条に基づいて共同の行動をとり得る。ただ逆に、安保条約の第五条の適用が受けられないで、しかもなおかつ日米両国が共同行動をとることができるのか。それは不可能だと思うが、この点はいかがですか。単なる共同防衛行動ですね。こう聞いておるのです。
○高辻政府委員 要するに、先ほど触れたことだと思いますが、日本の安全が害されるということであれば、日本は当然防衛の措置ができますし、それについて外国のどこかの国の武力もそれに加わって一向かまわないと思います。
○岡田委員 ちょっとおかしい。もう一度伺いますが、あまり時間をとりたくないのですが、日米両国が共同防衛行動をとる場合、安保条約五条の適用なしにこれを行ない得るかということを聞いておる。安保条約に対して、第五条の適用がアメリカとしては当然発動しなければならないわけですよ。だから、武力攻撃があった場合には、アメリカも当然第五条に基づいて行動するわけですよ。ところが適用しないで、それ以前に日米両国が共同防衛行動を行ない得るかということを聞いておる。それはどうなんです。できないですよ。
○高辻政府委員 非常に抽象論でございます。したがって私も抽象論でお答えするほかはございませんが、憲法九条の観点から申し上げさしていただきますが、要するに日本国が侵害を受ける場合に、日本国が武力行使ができる。その場合に外国がともに武力行使をするということなら、問題はないと思います。
○岡田委員 そういう答弁では、私は納得できないのです。総理大臣もおわかりのとおり、安保条約は日本にあるのです。武力攻撃があった場合、日本の憲法に基づいて日本は自衛権の行使ができるのです。同時に安保条約を締結しておる日本の国としては、日本に対する武力攻撃に対してアメリカは共同防衛行動をとれることになっておる。だから、逆に言って、安保条約の五条の適用がないのに、それ以前に日米両国が共同防衛行動をとり得るのかどうなのかということを聞いておるので、これは、私はとれないと解釈するのですが、間違いないでしょう。総理大臣、いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 私の答弁をどうしても求められるのですが、先ほど法制局長官がお答えしたとおりでございます。
○岡田委員 あの答弁では私は了解できません。適用のない場合を聞いておるのですから、了解できません。それじゃ続いて進めます。この点はあとで伺います。 今度続いて次の点を伺いますが、憲法上明記されておる国の交戦権とは何ですか。
○高辻政府委員 交戦権の用語もいま初めて申し上げるわけではございませんが、要するに、よく皆さんに申し上げておるのは、占領地の行政をやるとか、あるいは敵国都市の砲爆撃をやるとか、そういうたぐいのもの、要するにいわゆる戦争ですね、それを有効適切、具体的に執行していく個別の権能、それを言うものと思います。
○岡田委員 それじゃ具体的に長官に伺いますが、自衛権の行使として敵対関係にある相手の国の軍事行動との間に日本が実力行動に入ったことは、交戦ではないのか。
○高辻政府委員 憲法は自衛権を否定しておりません。したがってまた、自衛権に基づく行動を否認しておりません。その限りで憲法の交戦権の否認には該当いたしません。
○岡田委員 それでは、あなたの解釈だと、このような実力行動によって交戦行動が行なわれる。しかし、これは交戦ではないという奇妙な論理が生まれてくる。こういうことですね。
○高辻政府委員 これも、たびたび申し上げて恐縮ですが、しばしば出た問題でございますがもう一ぺん申し上げれば、自衛権に基づく行動は、憲法九条の第二項が否認する交戦権の否認には当たらないということでございます。
○岡田委員 それでは、ただいま申し上げた交戦権に基づく交戦とこの交戦との違いは、どの点にありますか。
○高辻政府委員 交戦権は、これは伝統的な国際法上、一国が武力を行使してきた、その場合にこちらも武力を行使する、その武力行使の権能の行使の態様として、もうどこまででもいける、徹底的に交戦できる、限界がない。自衛行動には、どうしてもそこには自衛権に基づくものとしての限界がある。そこが根本的に違うところでございます。
○岡田委員 そこの点なんですよ。さっきからあなたにその点を言ってもらいたかった。交戦という場合、自衛権の行使の場合の交戦は、自衛権の行使というのは、急迫不正の攻撃があった場合、これに対して反撃をするというのが自衛権の行使なんです。正当防衛なんです。その限りにおいての実力行使なんであって、この実力行使を交戦と称するならば、このような交戦状態が継続的に続くものとは考えられない。もし継続的に続いたなら、戦争状態でしょう。相手が戦争状態だから、継続的に続けられるなら、国の交戦権との違いはないじゃありませんか。どういうふうに解釈するのですか。
○高辻政府委員 一国が侵害を受けました場合に、侵害を受けてすぐ事が終われば、むろん問題はありませんが、その侵害がありました場合には、それは継続する場合があることは当然だと思います。交戦権と自衛行動に基づくいろいろな行動、それにつきましての相違は、確かに自衛権が発動されるのは、急迫不正の侵害があるときでございますし、他に手段がないときということでもあるし、そしてまた、おのずから一定の限界があることは、お説のとおりでございますが、要するにそういう限界によって縛られておる。憲法九条二項が否認した交戦権は、そういう限界がない。そこが基本的に本質的に違う、こういうわけでございます。
○岡田委員 高辻さん、私は、ことばをできるだけ厳格に使わないと拡張解釈になりますから言っているのですが、あなたの言われた自衛権の行使としての実力行動、いわゆる衝突状態、これは国際法上あるいは憲法上の通念として、交戦と規定されるべきものではないでしょう。交戦権ですか。あるいは国際法上交戦と称されますか。これは自衛権の行使の中の実力衝突行動ではないのですか。交戦とは違うでしょう。この点は厳格にしないと、交戦という意味の拡張解釈になりますからね。重要ですから……。
○高辻政府委員 私は、交戦権と自衛権の行使とは違うということを申し上げておるつもりでございます。
○岡田委員 だから、違うという意味は、私の発言はそれでいいのでしょう。先ほどの私の発言はよろしいわけですね。どうですか。
○高辻政府委員 先生もおっしゃいますように、法律論でございますので、非常にことばに注意をしなければならぬと思いますが、私が申し上げた趣旨のとおりでございますれば、全く同意見であるということになります。
○岡田委員 そういう言い方はだめです。私が、こういう解釈はどうかと聞いたら、あなたはこうだとおっしゃった。これではだめです。 しかし、進行いたします。アメリカの場合、交戦権は認められておりますね。安保条約第五条に基づいて共同防衛を行なう場合、それに基づいて日本が継続的な実力行動に入るということは当然想定できる。その場合、日本の行なっている継続的な実力行動というのは、憲法の規定する国の交戦権と同じことになるのではないか。国の交戦権の行使ということになるのではないか。もう一回言いましょうか。安保条約で共同防衛行動をとりますね。その場合、アメリカの場合は交戦権を持っています。日本の場合は交戦権がないことになっているけれども、継続的な実力行使が行なわれるとするならば、それは安保条約の共同防衛の概念から、当然国の交戦権を行使するという同じ結果になるのではないかということを伺っているのです。
○高辻政府委員 結論から先に申し上げますと、私はそうではないと思います。アメリカは憲法九条二項のような規定があるということを私は承知しておりませんので、アメリカ合衆国には交戦権というものがあると思います。日本では、交戦権は九条二項で否認されておりますから、むろんございません。したがって、自衛権の行使としての限界を持った、その行動の限度内にとどまる。だから、アメリカと同じように——まあかりにアメリカ合衆国が、お説のようにそういう事態になって、そうして交戦権の行使としてとことんまで行動をするというようなことは、日本ではそれと同じようにはできないという、自衛権に基づく行動としての制約がございます。そこが違うと思います。
○青木委員長 時間の関係上、これ以上議事を進めるわけにはまいりませんので、岡田君の残余の持ち時間三十分程度は、明日の委員会の冒頭にこれを続行することといたします。明日は午前九時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後十一時五十三分散会