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48回国会衆議院1965/02/20

予算委員会 第15号

発言数
250
登壇者
23
会派数
2
開催日
1965/02/20

会議録

青木正自由民主党

○青木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算、昭和四十年度特別会計予算、昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。  有馬輝武君。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 最初に、文部大臣にお伺いしたいと存じます。  現在、教育費の父兄にかける負担というものは非常に大きくなっております。これは、この前の慶応のああいった騒ぎにも見られますように、ただ単に一校の問題ではございませんで、全父兄の大きな問題社会問題化いたしております。この父兄負担の軽減について、文部省としては、長期短期にどのような構想を持っておられるか、これをお聞かせいただきたいのであります。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 この問題は、きわめて多岐多様にわたっておるわけでございまして、まず、義務教育の関係、それから高等学校、大学の関係というふうなとらえ方もしなければなりませんし、また、国立、公立、私立というような、そういう形態からとらえての対策を講じなければなりませんし、きわめて多岐多様にわたっております。  ただいまお尋ねのありました点につきまして、まずごく概略を申し上げますと、公立義務教育諸学校につきましては、もとより授業料等は徴収いたしませんし、それから教科書の六年までの無償給付でありますとか、あるいは教材費の負担でありますとか、というようなことで、制度的にも父兄の負担というものはないようにはからっておりますことは、いまさら申し上げるまでもございません。  それから、高等学校等については、先般も当委員会で問題になっておりますが、高等学校になりますと、授業料等については、これは受益者負担というような性質のものになりますので、義務教育の場合とはこの問題のとらえ方が違ってまいりますけれども、できるだけ低くしていただきたい。これは地方各都道府県の条例できまるものでありますけれども、各地方の良識によって、たとえば、現在でございますならば最高八百円程度の授業料にとどめてもらいたいという気持ちで、地方にお願いをいたしておるようなわけであります。  それから進んで、大学ということになりますと、国立大学においては、授業料はずっと据え置きになっております。また入学金も据え置きになっておりますから、この面で父兄の負担が最近増高しておるという事実はございません。問題は私立でございますが、私立につきましては、いろいろの面で経営が困難である。あるいは拡充をしなければならない。さらに、資質の向上をはからなければならない。いろいろの観点から、私立の大学の経営というものについては非常な困難性が増してきておる。それは反則的に大体学生の納付する額に依存しておりまして、いろいろの態様がございますけれども、おおむね四五%ぐらいは学生の負担、学生の負担、学生の払ういろいろの金に依存しておるわけであります。これはとりもなおさず、そのほとんど全部は父兄の負担ということでございますので、これらの点については、恒久的あるいは暫定的の措置としても、私学振興会を中心とする政府の融資ワクの画期的の増大ということを中心にいたしまして、さらに四十一年度以降においては、現在審議をお願いいたして一おります私学振興方策審議会の議を経てと申しますか、いろいろの御意見を取りまとめて、四十一年度以降の恒久対策には積極的な具体策を打ち出していきたい。  以上申しましたことは、お尋ねが非常に多岐広範にわたっております問題でございますから、きわめて大ざっぱで恐縮でございますが、大体の考え方は以上申し上げたとおりでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 いま文部大臣がお話しになりましたように、この問題については多岐にわたった施策が必要なことは当然であります。問題は、その中ですぐできる問題から手がけていく、また効率、効果の高いものから手がけていくという積極的な姿勢がなければ問題は解決しないと思うのであります。  そういう意味で、私は、大臣が文部大臣に就任された第一声を非常に興味深く拝見し、また賛意を持って見守っておったのであります。それは何かと申しますと、教育費免税についてであります。このことについては、文部大臣らしい、やはり財政家として育ってこられた方としての着眼点として、きわめて私は……。   〔発言する者あり〕

青木正自由民主党

○青木委員長 静粛に願います。お静かに願います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 有効な、また時宜を得た発言だったと新聞を通して拝見いたしたのであります。  ところが、さて予算が細まれ、結果を見ますと、その片りんさえも残されていないのであります。せっかくのこの文部大臣の企図がどうしてくずれ去ったのか。この点について、その経緯と、それから今後の見通しについてお聞かせをいただきたいと思うのであります。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 学校関係の税の問題につきましては、実は多年にわたりまして私学方面その他からも要望があるところでございます。それからまた、私個人といたしましても、かねがねこうもありたいと考えておりましたことがございますので、これをおおよそ十ぐらいの項目に整理をいたしまして、私就任早々から税制調査会のおえら方はじめ財政当局等にも逐次説明につとめてまいったわけでございます。しかし、その中で、一、二の例を申し上げますと、たとえば、私は一定額の授業料というようなものは父兄の所得から控除してもらいたいというようなことを提案をいたしておるわけでございますが、これは従来の税制の立て方、あるいは一般的な所得控除の問題等と関連いたしまして、なかなかむずかしい問題であることは私もよく承知できるところでありますので、これは、ただいまおしかりをいただきましたように、四十年度でそういったことが実現の緒につながったことは私も非常に残念なんでありますけれども、やはりこうしたような新しい提案は、念を入れて十分ひとつ専門家の方々にも考えていただく。これには多少の日数のかかることもやむを得ないと考えざるを得ないわけでございまして、そういうこともございまするので、先ほど申しましたように、あらためてひとつ法律で私学振興方策の審議会をつくっていただいて、ここでひとり世論的に、あるいは広い範囲で私どもの意見を盛り上げ、またバックアップしていたきだたい、かように考えているわけでございます。ただいま御指摘がございましたように、税金の面で四十年度に進歩が大きく見られなかったことは私の微力を痛感いたしておるわけでございますが、あらためて努力を継続して、ぜひ成果を上げたい、これなくしては私学の振興等は本格的には考えられないという強い信念と希望を私は持っているわけでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 真摯な御答弁でありますので、重ねて申し上げるのはなんでありますが、しかし、私は、教育費控除、これは、名称はどうあれ、文部大臣が意図されたこの減税の方向というものは、大きな軽減措置になると思うのであります。いま文部大臣、微力にしてとおっしゃいましたけれども、また税法上の困難性について触れられましたけれども、しかし、事そういった税制に関しましては、これは田中大蔵大臣の目の前で申し上げてもあれですけれども、大蔵大臣はアクロバット的な才能を発揮するのに妙をきわめておるのであります。やろうと思う意思があれば、私はもうこれは本年度から直ちにできたことだと思うのであります。それを構想を固めて、この着眼点が時宜に適し、また万人が賛意を表するところでありまするから、せっかく大臣に就任されたんですから、当然ことしからやらなければならなかったことだと思うのであります。  そういう意味で、私は、関連して大蔵大臣にお伺いしたいと思うのであります。少なくとも私が回りました限りにおいては、世界各国の中で日本の教育費水準というものは、これは一番高いと思うのであります。それが教師の負担、父兄の負担に転嫁されて、国は手をこまねいていると極言してもいいような雰囲気にあることは、私がいま申し上げたとおりであります。せっかくの文部大臣の企図がどういう困難性があって実現できなかったか、これについて大蔵大臣からお伺いしたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 私も財政当局者ではございますが、教育の振興という問題に対しては人後に落ちるものではございません。税制上の改正につきましても、本件について文部大臣の意向もあり、十分検討したのでございますが、結論的に、教育費控除の制度をつくることは非常にむずかしい、こういうことになりました。で、結果的には一体何もしなかったのかということではなく、現在の税法の中で可能な限りの措置をいたしたわけであります。  まず第一点の、教育費控除の制度を設けることの困難な理由は、義務教育を終わって学校に行ける人と、学校に行かないで就職をする人がございます。これとの権衡問題が起きてくるわけであります。しかも、ただこれは権衡上の問題という、議論の上の問題だけではなく、豊かならざる人たちが学校に行けないで実社会に出る。実社会に出る人に比べて比較的に豊かな人が控除を受けるということになりますと、そこに非常に対立的な感情が起きたり、これは、人間尊重という意味からいうとなかなかめんどうな問題でございます。でありますので、教育費控除という具体的な措置をとることよりも、一般の扶養控除の制度の中でこれを解決すべきだという考え方で、十三歳以下、十三歳以上という区別をいたしまして、現行よりも各一万円ずつ今年度の税制改正で引き上げて、十三歳以上の者に対して年六万円、十三歳以下の者に対しては年五万円、こういう教育費が当然出るであろうということを考えまして、かかる措置をとったわけでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 この租税負担公平の原則の問題につきましては、あとでも触れたいと思いますけれども、こういった形で均衡論を打ち出してくること自体、現在の徴税意識というものが、いわゆる徴税者側の税制であって納税者側の税制でない、その顕著なあらわれだと思うのであります。これは技術上の問題にいたしましても、均衡論にいたしましても、さっき文部大臣からお話がございましたように、国民だれしも、この教育費免税についてわれわれは恩典を受けないからけしからぬというような声は出はしません。これはただ単なる弁明にすぎないのでありまして、その点についていま一度お聞かせいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 単なる均衡論を言っておるのじゃありません。人生の出発において、非常にものに感じやすい人たち、特に同じく小学校時代から同級生できた者が、一人は進学のコースを選ぶ、一人は実社会に出なければならない。感情的にも非常にむずかしい時期にあるわけであります。そういう人が、自分も財政豊かであればもっと勉強したい。あたら英才を持ちながらも実社会に出なければならない人がたくさんあります。そういう人のほうが多いのであります。そういう人たちは、自分たちよりもよりいい人たちがなお教育免税を行なわれるということになると、そこに気持ちの上で非常に鋭い対立的な感情が起きるということは、免税をしたよりもなお非常に大きな問題をはらんでおりますので、この種の問題を教育免税というようなことで取り上げず、現在やっております扶養控除という制度の中でこれを取り上げて、相当な措置を行なったわけでございます。これは静かに考えていただいて、日本の将来のために、やはりこういう制度の中でなじみやすい方法でこれを解決するというほうがよりベターだという考えであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 納税層がどうなっておるかという問題について、また教育の現在の実態それ自体について、大蔵大臣と私の考え方の中には相当なズレがあると思うのです。どちらが現実的かという点について、これはまたいずれ大蔵委員会で詰めて論議をいたしたいと存じます。  次に、農林大臣にお伺いいたしたいと存じます。  補助金の整理については、これは佐藤内閣の大きな課題だったと思うのであります。現在補助金の効率的な運営ということは、これはもう非常に長い間要請されておることでありまして、しかも、たとえば農林省の予算の中で補助金の種類を見てみますと、きわめて多岐にわたっている。しかも、その額についても非常に問題の多いものがあるわけであります。問題は、私はこの保護行政というものを打ち切れというのではなくして、もっと効率的に助長すべきだという立場からお話を申し上げておるのでありますが、この補助金整理が目立った形でできなかった理由についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農林行政におきまする補助金のあり方は、相当考えさせられる問題がございます。すなわち、農林漁業というものはかよわい立場にありますので、これはどうしてもささえをしていかなくちゃならぬものでございます。でありますので、国の負担金とかあるいは助成金とかいうものまで補助だということに考えますると、これは問題だろうと思います。そういう意味におきまして、国の負担とかあるいは助成金とか補助金とかを含めまして、効率の少ないものとか、額があまりに小さ過ぎるものとか、あるいは補助の目的を達したものとか、あるいは統合すべきものとか、こういうものがございます。そういうものにつきましては、補助金等合理化審議会の答申などにも基づきまして、相当整理をいたしたわけでございます。  整理ができなかった原因はということでございますが、少額の非効率なもの、あるいは奨励目的を達したもの、そういうものにつきましては、できるだけ廃止または統合をはかったのでございます。額にいたしますと四十七日で百七十七億三千二百六十八万二千円、こういうふうに整理はいたしたのでございます。整理ができなかった理由とおっしゃられますけれども、できるだけ整理をいたしました。あと負担金とか助成金というものは、農業の性質上どうしてもそういうものを計上しなければならぬものにつきましては、これは手を加えなかったということを申し上げたいと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 この補助金については、額とそれから期間、これに一番大きな問題があると思うのであります。それで、今後この補助金を整理するについて、これは一つ一つ具体例をあげればよろしいのでありますが、ただ基本的な構想だけお伺いしたいと思いますけれども、この額の問題と期間の問題についてどのような基本構想を持っておられるか、あわせてお聞かせをいただきたいと思うのであります。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 額につきましては、いわゆる少額で効率がそう期待されないというようなものにつきまして整理いたしたいと思います。さらに整理を進めたいと思います。  それから、期間でございますが、すでに補助を出してその目的を達したというようなもの、そういうものにつきましては整理をいたしたわけでございますが、これからもそういう整理はいたすつもりでございます。  それから、期限を切って、あと二年とか三年とか補助を続ければその効果はあがるというようなものがございます。そういうものは、期限を切りまして、二年とか三年後にはこれはやめるというような方針をとっておるわけでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 財政、金融の問題について、当面する諸問題について二、三大蔵大臣にお伺いをしたいと存じます。  その一つは、公債の問題についてであります。政府は、四十三年度までは公債を発行しないということを言っておられるのでありますが、しかし、この公債を発行しないというのは、限られた、限定された公債の話であって、私はもうすでに公債をなしくずし的に発行されておるものと見ておるわけであります。たとえば、公債ではあるが国債ではないという意味での地方債、それから公債の一種といっていい公社債、それから公団債、あるいは長期国債ではないけれども政府の短期証券、こういったものを一々あげてまいりますと、もうほとんど、その政府の言明とは事違って、具体的にはこういった形でなしくずしに発行されておるものと見ております。この点について、四十三年度までは公債を発行しないのだという政府の言明と事実上食い違っておる点について、大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思うのであります。ことに、ことしは国鉄の利用債等の問題が出ておりますので、明確にこの点を明らかにしていただきたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 総理大臣から、四十三年までは公債を発行したくない、こういう意思表示がございました。これは、中期経済計画の中で四十三年までは公債を発行しなくてもいけるというような事項がございますので、四十三年まではできるだけ公債を発行しない、こういうことを言っておられるのだと思います。それから、私自身も、中期経済計画とにらみ合わせて考えますときには、四十三年までは——まではというと四十四年からやるのかということになりますが、そうではなく、基本的にできるだけ内国債の発行はこれを押えていきたいという考え方でございます。  それから、いま、もうすでにいろいろな政府保証債や国鉄債のようなものが出ておるので、これはなしくずしの公債論ではないかということでございますが、内国債ではもちろんございませんし、俗にいわれる国債というものではございません。一般会計の財源を得るというために内国債を発行するものではないのでございますから、これは明確に区分していくべきだと思います。  内国債をなぜ出さないかということにつきましては、戦後二十年間、非常に超健全ともいうべき健全な態度をとってきましたからこそ、このような経済成長もできたわけでありますし、また一面、内国債の発行をしないという非常に健全——超健全ともいうべき政策をとりながらも、まだ物価の問題その他と取り組まなければならない現状でありますので、財政はできるだけ健全均衡を保持すべき状態にございます。そういう意味で内国債を出したくない、出さない、こういう考え方を前提として、いまも来年も、まあ四十三年くらいまでは、いま考えても出さないという理論のほうが正しいのではないか、こう理解しております。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 私がお伺いしておるのは、純然たる意味の、狭い限られた公債、そういう概念でつじつまを合わせておるのじゃないか、実際にはこういった形で政府の意図というものは完全にくずれておるのじゃないかということをお伺いしておるのです。ことばのあやでものを申し上げておるのじゃないので、これは予算編成上の基本的な問題でありますから、均衡財政ということをいわれる、それがこういった形でくずれておるのじゃないかということを申し上げておるのです。こういう形を続けていくならば、四十四年どころじゃなくて、もっと前に発行せざるを得ないような状態に追い詰められる。予算編成難——私は、さっき、大蔵大臣がアクロバット的技能を有すると言いましたけれども、これは、文字どおりこういった形でくずされておるのじゃないかということをお伺いしておるのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 くずされておるわけじゃございません。これは、もう国債は出さない、出しておらないということは事実でございますから、御承知いただきたいと思います。地方債等、また公団が出す縁故債、こういうものはみな国債に類するものだ、なしくずし的なものだ、こういう御指摘でございますが、これはもう画然として違うことでございます。これは、公社債市場の育成ができてくれば、社債、地方債、公団債、こういうもので事業資金を獲得しましたり、なお借り入れ金の制度もあるわけでありまして、事業遂行、その会計を維持していくために必要な行為として認められておることでございます。俗にいわれる国債とは内国債をさしておるわけでありまして、国が一般会計の財源として国債を発行するということは、いわゆる内国債の発行に対してはしごく慎重である、こういうことを申し上げておるわけであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 これはちっとも慎重ではないのでして、何というか、大蔵大臣の常の詭弁にすぎないというふうに私たちは見ております。  これに関連してお伺いいたしたいと存じますのは、長期国債の償還が四十二年度以降急激にふえてくることは、これはもう明らかでありまして、私資料を持っておりますが、にもかかわらず、その国債整理基金特別会計への繰り入れを圧縮しておる理由についてお伺いしたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 前年度剰余金につきましては、二分の一を国債整理基金に入れなければならぬ、こういうことでございましたが、これは五分の一に二年間に限って暫定的にこういうことにいたしたわけでございます。率直に申し上げて、この制度は、戦後非常に健全財政を貫くためにもりっぱな制度であったと思います。しかし、いま現時点において考えると、超健全思想、超健全につながるものだと考えております。ですから、これを健全の状態に移したというふうに御理解いただけばいいと思います。世界各国でも、一般会計が負担しなければならない公債の残高とその繰り入れ額との比率を問題にしております。戦前において一番高いときでも二%余であります。それが現在の法律のままで繰り入れますと、八・三九という非常に高いものになるわけであります。そういう意味で、財源もだんだんと正常な安定成長になってまいりまして、財源そのものが過去のように非常に大きい自然増収を得られるというような状態ではなくなっておりますので、財源のより効率化をはかる、こういう財政的見地から法律の改正をお願いしておるわけであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 こういった繰り入れを圧縮して四十二年度以降の償還にたえられるかということをお伺いしておるのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 たえられるという自信がございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 次にお伺いしたいと思いますことは、減税の中で最近打ち出された間接税減税の問題であります。政府の減税政策を見ておりますと、一方では利子課税等を改悪しておいて、とにかく、さっきも申し上げました、納税者の層というものに対して意識的な配慮というものが逆な形でうしろ向きで加えられておるのが、現在の税制の基本的な性格だと思うのであります。まあこれはあげれば切りがないのでありまして、そういった意味で、私は、大蔵大臣が最近しばしば間接税の増徴という点について触れられておる点、これほどうしろ向きの考え方はないと思うのであります。大衆負担の軽減をはかることが現在の減税の基本方針でなければならぬと思うのでありますが、これを逆に、大衆課税に重点を置くような間接税について増徴を企図する、もってのほかだと思うのでありますが、この点についての大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 間接税は逆進的だといわれておりますが、私はすべてを間接税にしようと言っておるのじゃありません。間接税と直接税のバランスは六対四、おおむねそうであります。六対四の現在のバランスはおおむねいい、こういうことが前提になっておりますが、私は、間接税にウエートを置くということも考えてみる必要がある、こういうことを明確に申し上げておるわけであります。それはどういうことかといいますと、いまの直接税、確かに戦後の税制は、大蔵省の立場から考えますと、これは税を確保する、財源を確保するにはこれよりいいものはございません。でありまして、健全財政が維持された根本には、直接税中心主義であった現行制度が非常にプラスをなしたということは私自身認めております。しかし、直接税というものは、国民所得が急激にふえてまいりますと、納税人口がどんどんふえるわけであります。納税人口がどんどんふえると、どうしても徴税機構がそれと並行してふえなければならないということが、一つ直接税の欠点ともいえるものでございます。もう一つは、直接税はどうも税負担が重い、こういう感じを納税者に与えます。これは確かであります。また源泉課税でもって、自分が入手しない前から天引きをやられる場合は、まああきらめということもありますが、一ぺん入ったものを吐き出すということになると、これは同じことであっても、納税者の立場からいうと、税が重いという感じを持ちます。もう一つは、直接税の場合、税目間といいますか、税の種類間においてほんとうに均衡をはかれるかというと、これは非常にむずかしい問題であります。そういう意味で、いままでは非常によかったし——私は現在の制度が全く悪いという考えではありません。ありませんが、まあ国民消費も非常に高い水準にありますし、物価問題も非常に強く叫ばれておるところでございます。現行の制度がアメリカ税制を中心としておりますが、これはフランスなどは、御承知のとおり、釈迦に説法でありますが、間接税は八〇%に近いものでございます。イタリーにおいてもそのとおり六〇%、六五%間接税、こういうことでございますが、私は、やはりこれからは消費税といいますか、こういうものにもウエートを置いていかなければならないんじゃないかということを考えます。そればかりではなく、徴税機構をもうとてもこれ以上無制限にふやしていくわけにはまいりません。ですから、酒税とか、たばことか、間接税中心主義は大衆課税になるということを言っておりますが、これは物品税等においてだんだんとこまかく区分をして、税率は、必要度の高いものほど低い税率にする、あるものは無税にする、奢侈品ほど高いものにする、私はそうあるべきだと思うんです。酒を一升飲んだ人と三升飲んだ人は、やはり三升飲んだ人は三倍払うべきだ。大体日本における婦人階層などは全部賛成であります。子供も大体賛成でございます。たばこをとにかく大体一日二、三十本でもって済ましてくれればいいものを、百本ものみ、二百本ものむ、その上にガンになったりする、そういうものからもう少し税を取ってくださいという議論もあります。私は、やはりもっとまじめに、真剣に税法の行くえというものに対しては絶えず考えていくべきだ、こういう考えでありまして、私が間接税中心と言うことがもうどぎつく映っておるのかもわかりませんが、必ずしも、いま六〇%が直接税であり、四〇%が間接税であるのを、固定的な観念でこれを見る必要はない、もう少し間接税にウエートを置いて考えるのもいいことではないか、こう言っておるのでありまして、どうも古典的でもなく、逆進的でもなく考えておるわけでありまして、有馬さんは税の専門家でありますから、私とこう二、三回お話をしておればよく御理解いただけると思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 大臣の税制の進め方といいますか、やり方については、話しておれば話しておるほど開きが出てくるのであります。いまフランスの例をあげられたのですが、御承知のように、フランスはもう直接税の限界に来ておりまして、重税であえいでおる結果ああいったパーセンテージが出てきておるのでありまして、これを日本の場合と比べること自体がおかしいんじゃないか。と同時に、間接税の問題について再検討をするならば、それ以前に、私たちが日ごろから主張しておりますように、検討すべき租税特別措置その他の多くの問題があるんじゃないか、こういうことをほったらかしておいて間接税、いかに大蔵大臣が強弁されようとも、これはもう大衆課税に違いないんですよ。それを、租税特別措置の問題等については温存しながら、一方で間接税を言う、この大蔵大臣の、また政府の立っておる層というものが、だれのための減税を考えておるのか、この端的なあらわれだと思うのです。昨年も一昨年も政策減税か、一般減税かということで論議をいたしましたが、そういった意味で、今度は逆に間接税の増徴ということは、主婦連かなにか知らぬですが、賛成だとおっしゃいますけれども、これは大衆に対する挑戦ですよ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 私も有馬さんと同じことで選挙に出ておるのですから、国民からにくまれるような政策をとりたくないということは、同じ考えなんです。しかし、責任ある立場で、より合理的な税制を探究していくということは、これはもうそういう責務を課せられておるのでありますから、あえて議論が多くともこういう方向でいくべきだということを考えましたら、そういう私の意思を国民に明らかにして朝野の批判を仰ぐということは、私は間違ったことではないと思います。しかも現在、数字の上では国民の税負担は軽い、そんなに重いものじゃないとはいいますが、現在の直接税中心の税制の上からは、どうしても税負担は重いというように納税者は思うんです。これはだれでもそう思うのです。国会議員の歳費の中を見ても、一カ月五万円も六万円も天引きされるということは、確かに納税者の納税意欲というものには問題が起こるわけでありますから、これをやめようというのではないのです。財源を的確に確保できることであって、悪い税制ではございません。これが日本の戦後に非常に寄与した功績は十分認めますが、間接税は大衆課税であるという前提に立って、すべていかぬのだという考えでは、税の改正に対して進歩がないという考え方を持っておるわけであります。ですから、三千億減税は私も必要だと思っておるのですが、安定成長になれば四千五百億程度しか税の自然増収は望めないという中で、歳出要求はたくさんあるのでありますから、いまよりもより合理的な——まあ子供に注射をするときに、痛いぞ痛いぞと言って注射をするよりも、痛くない痛くないと言って、知らぬうちに注射をすることができれば最もいい方法でありまして、政治というものは、そういう同じことをするにも、方法に対しては十分検討する必要があります。そういう意味で、間接税というものに対しては、確かにこの前に取引高税ということで非常に大きなショックがありましたので、あつものにこりてなますを吹いているという感を私はいたすのであります。ですから、税源は確かにどこからか確保しなければならないのです。より国民に衝撃がなく、より合理的なということになれは、大衆課税にならないように、前提を考えながら、税率その他、また免税品等に対して十分な配慮をしながら、ある意味において消費をする者が税を負担する、こういうことは私は合理性があると思うのです。ですから、こういうことの研究をするということまでが逆進的だという考えは持っておりません。大蔵大臣としては、当然絶えず、瞬時もゆるがせにせず、国民によりよき政策がないかと、こういうことを努力していくのがわれわれのつとめだ、こう考えておるのであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 その絶えず検討することはけっこうなんです。ただ、その検討する対象を間違えておるということを申し上げているんです。また、うしろ向きになっておるということを申し上げておる。たとえば、日本社会党は税制大綱をつくって、大蔵大臣にも示しましたが、テレビの広告課税なり、いろいろ検討すべき問題はたくさんあるんですよ。そういった問題をほったらかしておいて、直ちに飛躍して間接税だとくるところに問題があるということを申し上げておるんです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 何でもかんでもすぐ間接税にウェートを置こうと考えておるのではございません。こういう問題は重大な問題でありますから、大臣が考えたら、それを国民に明らかにしてさんざん議論をしていただいて、いまのように、私が間接税のことを言わなければこんな議論は起きないんですが、私がどこかで言うから、あなたから手きびしく批判される。こういう議論を巻き起こして、そして、国民全体がこういうものを議論する。税制というものは大蔵省のものじゃないんです。国民九千万のものだ、こういう考えで、私はそういう姿勢でおるのでありますから、こういう批判をだんだんと受けながらよりよき税制が生まれるとしたならば、私があえて批判されるくらいなものとは違って、歴史の上では評価されると思っているんです。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 大蔵大臣、大みえを切りましたけれども、九千万の国民の税制であればぼくは文句を言ってない。利子課税の問題にしても、配当分離課税の問題にしても、すべてが一部のわずか限られた人たちの税制が強引に押しまくられて、そして、一方では間接税というような形で大衆課税というものが進められていく、そこに問題があるということを申し上げている。あなたは九千万の国民のための税制だと言うが、口先だけじゃないですか。現実には一部の限られた人たちに対する税制というものが行なわれておるじゃないですか。どうなんです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 租税特別措置、なかんずく利子課税及び配当課税等に対しての論点をあわせて御発言になっておると思いますが、私は、税負担の公平論の中で、特別措置というものが確かに議論のあるところであるということは承知をいたしております。しかし、税負担の公平というものは、将来とも豊かな生活を築きながら、税負担を軽減しながら、より合理的な税負担の公平をはかるためには、ある過程において特別な政策をとることもまたやむを得ないのであります。ですから、富士に登るといっても、ばたばたと登ってしまう人もありますし、一晩ゆっくり寝ながら登る人もあります。そういうことはわれわれの人生には存在するのであります。ですから、究極的に国民の利益、幸福、福祉を守っていくためには、ある過程においてどう縮まなければならぬか、どういう負担というものが起こるかということはあるのであります。ですから、私は常に申し上げておるのですが、いま国際貿易によって国際競争力をつけて、そして日本人が外貨をあがなわなければ何もできないのだ。大蔵大臣が紙幣を印刷することによって社会保障の拡充もできないし、文教の刷新もできないのだということを前提として考えるならば、やはり国際的に競争力をつけなければならぬ、また国際競争力をつけるためにはあらゆる施策を行なうということは、だれでも是認するわけであります。現在春闘でもって、物価に見合って月給を上げろ、こういう議論があります。月給を上げなければならない状態であっても、いま理想的に上げてしまうと会社自体がつぶれることがあった場合には、一年、二年待ってください、そのかわり、会社がよくなったら、いまのものを全部清算して払ってなおひとつ月給を上げましょう、こういう、その過程においてある一部の月給がストップされるというようなことも、これは将来に見通しがあれば、こういうことは是認せられるのであります。いま開放経済に向かっておって、自己資本比率が二三%を割っておる、これで一体資本の自由化ができるのでありますか。また、日銀信用が非常に大きくなっておってインフレ傾向になる。これは結局国民からできるだけ貯蓄をしてもらって、貯蓄の範囲内でまかなえるようになれば、金融の正常化はできるのであります。物価は安定するのであります。ですから、そういう問題と真剣に取り組むときには、とにかく一部の者に対して税の特別措置を行なう、これはしようがないのです。必要なんです。いま石炭企業に対してももっと税金をまけろ、こういうじゃありませんか。日本の全産業が石炭企業になってはいけないのであります。石炭企業にならないように、税でもって措置できるものは措置をして、そうして、どうせよくなって税金を納められるようになれば、それは当然、税はお預かりをするのでありますから、やはり、一ぺんに食ってしまう、一ぺんに消費をするよりも、多少は糸を長くしておきながら将来の税源を確保する、こういうことはやはりまじめに真剣に検討すべきで、その過程における租税特別措置でありますから、あなたが先ほど言った教育免税、こういう思想もいまの租税特別措置法と非常に似ておる、こういうことでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 似てないのでありまして、とにかく、大蔵大臣の柿の実論はしょっちゅう聞かされる。柿の種をまいて、そして実ったときに一緒に食べようじゃないか。問題は、その柿の実がなるまで生き切れない大衆というものがあるのですよ。そのための税制を考えなければいかぬ。柿を食わぬでも過ごされる連中が柿の実のをなるのをにっこり笑って見ておる税制に対して、国民がどんなに不満を持っておるか。大蔵大臣の耳にもうタコができるほど聞こえてくるでしょう。それを、ただ国際競争力をつけるんだとかなんだとか言ったって、これは国民にはぴんとこないですよ。そこに税負担の公平の原制というものが意識的に破られておる。この現状を変えていこうとする姿勢というものが、現在一番望まれる。それをやらないでおいて、逆の方向はかりやっておるから、私は申し上げておるのです。これもまたいずれ大蔵委員会で論議をいたします。  次に、金融政策についてお伺いをいたします。演説はやめますから、大臣の答弁も演説をやめてもらって、一つ一つお伺いをしていきたいと思います。  いま融資ルールの問題についていろいろ議論が沸騰いたしております。その選別融資の問題でありますが、いまいわれております不急不要というようなことは、大蔵大臣としては具体的にどのような業種なりなんなりを考えておられるか、これをお聞かせいただきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 不急不要というものを政府でもって申し上げることは、非常にむずかしいのであります。非常にむずかしいことでありますが、一つの例でありますが、いい会社が、資本金が十億円である、また工場労働者は一万人保有しておる、それで工場は一体どうかというと、工場の帳簿価格は、資本金に見合う十億円しかない、しかし、新しいビルをつくって二十億円の投資を平気でしておる、こういうことに対しては、少なくともそのビルは不要不急であるということは言えると思います。生産に直結せざるもの、国民に大きくその利益を還元できないもの、こういうものは、生産に遠い不要不急のものだ、こう理解すべきだと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 次に、金融制度調査会が大口貸し出しについて押えていくというようなことを言っておるわけでありますが、この資金の貸し出しそれ自体にはいろいろ議論の存するところでありますけれども、問題は、運転資金というものは浮動的なもの、これに具体的にどうやってワクをはめさせようとするのか、これについて大蔵大臣の構想を聞きたいと存じます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 社会党の皆さんは、必要な資金を効率投資をするために資金統制を行なえ、こういう御議論でございます。しかし、現在の段階において資金統制を政府が行なう、法律をもって行なうということは問題があると思うわけであります。それで、政府は、二年ぐらい前から間々申し上げておるのでありますが、適正な安定的成長を求めておったにもかかわらず、超高度成長になるしか本設備が過剰投資になって、その資本圧力によって会社が倒産をするというような状態では困るので、これからひとつ産業資金というものに対しては、十分金融機関及び民間が意思の疎通をはかって効率的投資をしてもらいたい、また時期はそういう時期だと思う。量的拡大から質的拡大に移ってきておるのでありますから、よほど将来を見て投資をしてもらいたい、投資効率というものをはかってもらいたい、それがまた金融の正常化にもつながるものだ、こういう考え方を出しておったわけでありますが、しかし、大蔵省が準則をつくって融資準則によってやるという考えではなく民間の立ち上がりを待っておったわけであります。しかし、こういう方向に対しては、金融制度調査会に諮問をいたしまして、どうあるべきかということに対しては答申を求めておるわけであります。このごろは金融機関の間で、産業資金の問題に対してはひとつルールを考えよう、しかし、あくまでも官僚統制、政府統制、法律による統制、こういうものを避けながら、自由濶達の中に、しかも秩序のある金融ルールを確立したい、こういう機運がほうはいとして起こっておるわけであります。私は、近い将来において、かたくなな統制的なものではなく、自由の原則に立ちながらも、より効率的、合理的な金融ルールが確立せられるであろうと期待をいたしておるのであります。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 融資ルールの確立がある業種に限定される、あるいはその及ぼす影響が逆に中小零細企業を締め出すという結果におちいるのじゃないか、その結果が倒産なりあるいは失業なりという事態を引き起こして、社会的な問題にまで発展するのじゃないか、こういう点でよほどの指導性を発揮しなければならぬと思うのでありますが、その具体的な方途についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 融資ルールが確立をせられても、あくまでも、戦時中から戦後にわたって行なわれました融資準則、いわゆる甲種、乙種、丙種、丁種というようなもので、こういうものは金融機関の対象にならないのだというような画然たる区分けができるとは思っておりません。また私は、これからの金融の中でそのようなものが好ましい姿ではないと考えております。ですから、なまぬるいようでありますが、ちょうどいま時期はいいわけでありますので、金融機関も、また産業界自体も、利益が確保せられるという目標をもって産業資金の調達をはかろうという考えになっておりますので、近くそういうものができて、いまよりもより合理的になると思います。そのときに、ある業種は完全に金融機関から締め出されて社会的混乱を起こすというようなことは、絶対に起こさないようにしなければならないというように考えております。これは、戦前と違って、中小企業専門機関である相互銀行、信用金庫等特別な機関も設けられておりますし、そういう摩擦がなく、現在などは、資金源は比較的潤沢でありますが、産業資金の申し込みは少ないというように、鎮静の状態にあります。こういうときは、銀行のほうで、金のないときは幾ら必要な金でも出さないで、今度は要らなくても貸し出しをどんどん促進して、利息なんて幾らでもいいからとにかく借りておきなさいよ、借金の実績をつくりなさいよ、歩積み両建てにしておけばいいじゃないですかと、でたらめとは言いませんが、そういう金融の正常化に逆行する現象があったのですが、そういうことはいま自粛をせられております。ですから、私は、こういうときをつかんで、金融制度調査会も検討しておりますし、産業界も金融界自体も自粛態勢に入っておるのでありますから、常識的なルールが確立せられてより効率投資が行なわれるということは、好ましいことだと考えております。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 この問題と関連いたしまして、日銀法の改正についてお伺いをしたいと思うのであります。  大蔵大臣は、過日の大蔵委員会におきまして、むしろ指揮権というものが政府にあってしかるべきだと思うけれども、今度は日銀の中立性を尊重して協議するという形にしたのだ、A案、B案の調和をはかって今回の日銀法改正の基本方向をきめたというような御発言でありました。しかし、この協議するとか何とかという形で言い尽くせない面に問題点があるのじゃないか。ここ数年来の日銀のやり方を見ておりますと、常に後手後手になる。預金準備率の改定の問題、窓口規制、公定歩合の上げ下げ、これがむしろ政府に気がねをしておるがために後手後手になって所期の効果をあらわし得なかったというのが、山際さん以来の日銀のあり方ではないか。そこら辺に一番問題があるので、私は、この日銀法の改正というものについては、もっともっと慎重で、しかも期間をかけなければならぬと思うのでありますが、今度の国会にあえて提出しなければならぬ理由というものを見出せないのであります。この点について、先ほどの前提にあわせて、この問題についての大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 日銀に対して非常に政府が制約をした、そのために適切な金融政策が行なわれなかった、これは誤解でございます。政府は日銀に対して制肘いたしておりません。また、日銀も政府の制肘を受けるような態度ではないということは、もう有馬さんのほうで御承知だと思います。ただ、日銀法というものは、もう三年半、四年近くも答申をもらいながらほこりをかぶっております。この答申をもらいながらほこりをかぶっておった点は一体何か。たった一つであります。大蔵大臣の日銀に対する指示権のありなしという問題だけであります。その問題だけでもって三年も四年も全然等閑に付されたということは、好ましいことではありません。私は、そういう意味で、これは山際前総裁ともあうんの呼吸が合ったといいますか、何もそういうことは事前連絡がないにもかかわらず、日銀法は改正せられるべきであります、できるだけ早い機会に出したいと思います、こうお答えしてからすでに一年の歳月を過ごしておるわけでありまして、ここらで成案を得れば国会の審議にゆだねる、これが正しい政府の姿勢だと思います。  何ぶんにも、現在の日銀法は、御承知のとおり、戦時中の昭和十七年にできたものでありまして、総動員法に近いというものであります。「国家ノ政策ニ即シ」、まさにこういうことでございまして、ちょうど、大正八年に制定された旧道路法が、師団司令部と師団司令部をつなぐものを国道とするということで、こういう法律はよろしくないというので、国の経済に、国民生活に必要なところに道路な敷く、こういうふうに抜本的に法律が改正せられました。金融の憲法ともいうべき日銀法、私は日銀法の形態そのものも理想的なものだと思っていません。これは、金融基本法というものがあって、この金融基本法というか、金融法といいますか、そういうものの下に日本銀行法があり、それから一般銀行法があり、相互銀行法があり、各種特殊銀行法がある、こういうことが好ましいことだと思っております。いまの法律も、非常に強くいろいろ批判されたり、いろいろ議論になりますが、読んでみると日本銀行組織法のたぐいであります。私は、そういう意味で、もっともっと本格的に取り組むべきだとも考えましたが、時代の要請これを許さず、大体ここらでひとつ出したほうがいい、こういう考えでおります。いま与党である自由民主党の政審の議を経ておるわけでありますが、やはり議論は相当あると思います。しかし、政府・与党の意見がまとまれば国会の御審議を得たいという考えであります。  しかも、大蔵大臣の指示権という問題は、簡単に言いますと二つの見方がございます。法律的には大蔵大臣の指示権は必要だと考えます。法律には明文がございますが、日本銀行という中央銀行の特殊性にかんがみて、この条文はほとんど死文のごとく適用せられないということが、私は一番望ましい姿だと思います。しかし、それは反対がございますので、私も、どうせ死文のようになるべきものはなくてもいいじゃないか、こういうふうに大幅に私の考えを譲ったわけであります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)しかし、そうだそうだと言っておられますけれども、国会に対してだれが責任を負うのでありますか。金融政策がうまくいかぬときは政府が負うのであります。日銀総裁の首が飛ぶのではありません。内閣不信任案が出るのであります。国会はすなわち国民であります。国民に対する金融政策の最終責任は大蔵大臣であり政府である。こういうことを考えますと、その間の調和をどうするか、ここはよう考えなければならぬ。社会党の方々がもし天下をとって、いまの日銀に対して指示権がなかったら、どうして金融政策を行なうのでありますか。(「それは重大な発言だ」と呼ぶ者あり)そのとおりであります。国会に対しての最終責任は、明らかに、憲法が明示するところ、政府にあります。ですから、日銀も政府機関であることは間違いありません。ただ、中央銀行という特殊性、中立性というものをいかにして維持するかという一点にかかっておるわけでありまして、私は、日銀法の現在の改正案がまとまってお出しすれば、大蔵省はよくもこう踏み切って出したなというおほめをいただくような案が出ると思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 大きな問題を含んでおります。とにかく、いま大蔵大臣が言ったような指示権というものと中立性がどう調和するのですか。とんでもない話です。さっき私が指摘いたしましたように、その指示権を行使したいという意欲というものが、現在まで日銀の機能というものを十二分に発揮させ得なかった大きな理由なんです。私たちが言っておるのはそこなんです。中立性ということばで言っておるのはそこなんです。あなた自体が切歯扼腕した事実があるじゃないですか。ほぞをかんだ事実があるじゃないですか。私たちはその事態を察して言っておるのです。ですから、私が申し上げたいことは、この日銀法の改正、中央銀行の問題について、ただ急ぐことなく、時間をかけて——具体的に提案をいたしますが、たとえば、もし出されても、今度の国会では継続審査にして、与野党議員により中央銀行のあり方についてかく調査を進めるとか、いろいろな順序というものが私は必要だと思うのでありますが、こういった配慮があるかどうか、お聞かせいただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 日銀法は慎重に検討せられるべきであることは論をまちません。その意味でこそ、答申をもらいながら、答申尊重、直ちにやれというものであるにもかかわらず、三年半から四年もたなざらしにしておって、あえて批判を求めた、こういうことでございまして、私は時期至れりと考えております。しかし、日銀法でありますから、これが慎重審議ということで、野党の皆さんも、出してもこの国会は継続審議だぞというような前提では、この法律案は出しません。少なくとも、もしこういうものを出したら、やはりたなざらしにすべきものではないと思います。政府は真剣にお答えをいたしますに、政府の立場も申し上げますが、野党の皆さま方にもひとつ十分御検討いただいて、やはり日銀法をもし審議をするという段階になったら、これはその国会で成案を得るというふうな点で御協力をいたきだたいと思います。そうすることが日銀の中立性とか中央銀行に対する姿勢だと思います。私は、だから、この法律案を出すときに皆さんにも御相談申し上げたいと思っていたのです。そうして、この国会では、もう参議院の選挙が間近だし、これはむずかしいぞ、われわれは責任を負えない、こういうことであるならば、時期を選ばなければならない。私はしごく慎重なかまえでおりますから、やはり、きょうの発言を契機に、有馬さんもどうするかということをひとつ御検討をわずらわしたいと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 これは重大な発言なんですけれども、もし継続審査にしてというなら出しませんということですか。出さぬほうがいいです、そんなんなら。どうです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 私は、日銀法を提出をするというときには、中央銀行法でありますから、与野党の意見も十分聞いて円満な状態でこれを通したい、これはやはり多数決で通すべきものではないというくらい慎重な気持ちでおります。ですから、日銀法という非常に歴史を持っておるものに対して、少なくともいまよりも前進的な新憲法に合う法律をつくろうと思ってわれわれは成案を急いてきたわけでありますが、どうしてもあなた方が、これはもう激突するぞ、この国会であげるならばもう激突を覚悟しなければだめだぞ、こういうような状態であれば、提出に対しては非常に慎重でなければいかぬ、これはもう基本的な考えであります。ですから、きょうを契機にして皆さんの御意見を伺います。そうして、一週間ばかり伺って大体のめどがつけば、これはひとつほんとうに早く出したいと思います。こういうものは、あまり長くたなざらしすべきものではないという基本的的な考え方でありますが、重要な問題でありますので、皆さんの意向を十分拝聴したいと思います。それによって態度を決定したいと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 私は、この日銀法については、松方さんがつくって以来の長期の歴史の上に立って、しかも諸外国の制度を検討して慎重でなければいかぬと思います。与野党の意見が一致する、これはけっこうです。私もそれは賛成だ。しかし、先ほどの御答弁のような形でもし出してこられるとするならば、これは日本社会党の大蔵部長として絶対に通せないということをここで言明いたしておきます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 ちょっと、感情ではなく、日銀法の重大性、こういうことをひとつ御理解をいただきたいと思います。これはほんとうに私も真剣に考えておりますし、ごたごたの中で成案を得べきものではありませんし、やはり、日銀法などというものは、これが通ったら、お互いが理想的なものでなくとも、現在の時点において現行法よりもより合理的であるという、そういう認識がないと、これらの法律は非常にむずかしい結果を得ると思います。特に私は、私の考えておる率直な意見を申し述べたわけであります。政府の最終案ができましたら、大蔵部長のあなたのところにひとつ持っていきますから、これはひとつ検討していただいて、おおよそのめどをつけていただきたい、これだけはひとつお願いしておきます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 時間がありませんので、次の問題について二、三点お伺いをしたいと思いますが、企業間信用がこれくらい膨張して、二十兆以上にもなる。これはゆゆしき事態であります。これに対する具体的な措置をどのように考えておるか、お聞かせをいただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 御指摘のとおり、企業間信用が非常に膨張しておるということは事実でありまして、これをできるだけ早い機会に正常な状態にしなければならないということを考えております。しかし、具体的なものというと、なかなかむずかしいのであります。御承知の、過去の歴史を言いますと、国民総生産が倍になっておって、企業間信用は三倍になっておる。こういうことは正常な状態ではありません。ですが、経済環境の中で変わっておるものもございます。一年間の分割払いであったものが二年間になり、三年間になり、このごろは自動車でもすべてのものが割賦販売制度になり、しかも、それが全部手形というものになって決済をされ、銀行に持ち込まれるものがもう何通というのではなく何貫目で持ち込まれておる。こういうような状態を私は好ましい状態であるとは考えておりません。ですから、先ほど金融の正常化のところで申し上げたとおり、融資ルールの確立、その他手形法の改正とか、手形用紙の統一とか、手形に対する信用保持のために不渡り手形になった場合の処置とか、こういうこまかい問題をたくさん取り上げまして、企業間信用の膨張を正常な状態にし、これが金融の正常化につながるというような施策を繰り広げてまいりたいと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 次に、信託分離の問題についてお伺いをいたします。  これは、私はもう具体的な銀行の名前はあげないつもりでおりましたけれども、きのうきょう大々的に報道されておりますので、その経緯についてももう私はここで繰り返して述べません。問題は、この信託分離の問題に対して基本的な方向をどのように考えておられるのか。とにかく、三十七年に中央信託、東洋信託ができて、ただ一行だけ残っておる。この事態をどのようにされようとしておるのか。また、少なくとも高橋銀行局長があのような形で進められておる点については、これは大蔵大臣の意を体して進められたと思うのですが、この時期を選んだという点については、何らかの根拠があって選ばれたと思うのです。それをああいった形でけられて、大蔵省の指導性というものはどこにあるのか、この点をお伺いしたいと思うのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 私は、率直な意見を申し上げますが、大蔵省に初めて参りましたときに、職能銀行といいますか、長期銀行と、それから短期の資金を目標とする普通銀行、それから地方開発を主にする地方銀行、中小企業関係機関、こういうものにあまり細分化することは好ましいことではないという考え方を私は初め持っておったのです。それは、アメリカのように大きなところになりますと、財閥化とか集中化を避けるために、経済力集中排除法というような精神から言っても職能的に分離をするということがいいというけれども、日本のように非常にむずかしい状態の中で、すべてのものを専門的な分野に分離することは必ずしも合理的なものではないという考え方でございました。とにかく、銀行がデパートのような状態であって、そしてあるものに対しては非常に高い金利を取っても、そういう部門を銀行の中で持っておって、一面においては中小企業に対しては低利な貸し付けができるようにというような合理的な運営をするためには、ある時期にあまり細分化、専門店化ということは好ましいことではないという考え方を持っておったのですが、その後戦後の金融の歴史をずっと事務当局からレクチャーを受けてみまして、そうして、やはり一時はつらくとも、将来の長きにわたってこれを評価するときに、職能に向いたものに分離をするということが好ましいのです、そういうことによってわれわれは信託分離の基本を立って、もうすでに、三和銀行とか、また神戸銀行とか、そういうものは現実としてみな分離をしておるのです、こういう話を聞いて、大蔵省の在来とっておったこれらの方針に対して、私も賛成をしよう、こういうことを明確にいたしたのは、私が大蔵省に入ってから一カ月か二カ月後だと思います。その後この大和銀行の問題が残っておるわけでありますが、強行すべきものではない。法律に訴えてやるべきものでもないし、しかし、不公平のままでおくということも問題があると思うし、まあとにかく、君たちがいままで、ぼくが大蔵省に行かないうちにもうすでにそういう方向をきめてやったのだから、銀行局が中心になってしかるべく処置をしなさい、——政治的な発言であります。しかるべく処置しなさい、こう言っておったのですが、二年半もかかったのであります。私が大蔵省に行って二年七カ月余でありますから。そうしますと、ずっと研究をした結果、二、三日前からひとつ動くというような形跡がありましたら、大蔵委員会で御発言があったわけであります。これは、全くそのときあたかも一緒になった、こういうことでありまして、何ら関連はないわけでありますが、そういう事態でありましたので、銀行局長から御質問に対しては直ちにお答えをしたわけであります。しかし、こういうものが新聞にどんどん出る、マスコミに載る、はなはだ私は合理的な姿ではないと思っております。大蔵省が言ったことをけ飛ばされてどうも大蔵省の威信にかかわる、こういうところにウエートを置くと官僚統制ということにもなりますし、また、大蔵省が考えて基本的なものをきめて、ほかのものがみんなそういう方向に乗っているにもかかわらず、一つだけががんばっておると行政は行なえないということになると、これもまた問題があります。非常にむずかしい問題でございますし、引き継ぎ事項でありますので、これは遺憾なきを期したい、こう考えております。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 単独分離もいいんじゃないかというようなことを銀行局長も漏らしておりますが、この点について……。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 単独分離がいいかどうかということは、まだ銀行局長から報告を受けておりませんので、さだかに申し上げることはできませんが、やはり合理的なもののほうが一番いいと思うのです。しかし、その合理的なものになる究極の目的を達成するために、ある過程においてやむを得ざる暫定的措置をとることもいまよりも前進的だという考えで、きっと銀行局長は単独分離も言っておるのだと思いますが、分離をすることになれば、私は、やはり合理的なものでできる、またそうあるべきだという考えであります。銀行局長はどう考えておるか、銀行局長から答弁させます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 銀行局長の答弁の前に、あなたは結論を出していながら合理的ということばを使っているじゃないですか。問題は、新聞紙上に出ましたので、私は、こういった問題については、一行の名前をあげること——これはあげなくたってもうすぐわかりますけれども、やはり寺尾さんが言っておるように、慎重な配慮が必要だと思うのです。そういった意味で、私もずいぶん気をつかいながら質問を申し上げておるのですが、私は、銀行局長がこの時期を選んだという点については相当の背景と自信があったと思うのです。巷間伝えられておるところによると、一社で五十億にものぼる不良債権もあるというようなことがいわれたりしているのです。これはもう銀行の信用に関する問題でありますから、私はうわさとして聞き捨てにしているのですけれども、とにかく、銀行局長がこの時期を選んだその考え方について、銀行局長からひとつお聞かせいただきたいと思う。これは、自信がなければ、一行の問題でありますから、たいへんなことなんです。そういった意味で、この時期を選んだその考え方についてお伺いしたいと思います。

高橋俊英銀行局長

○高橋(俊)政府委員 初めに、単独分離云々の問題でございますが、いままでの信託の分離の場合におきましては、複数の銀行が信託を分離いたしまして、新しく一つの信託専業の会社をつくったわけでございます。ところが、最後にこの段階で残ったものですから、——従来いろんないきさつがございます。もしもそれがすでに他の金融機関と協調して一緒に信託専業の銀行をつくることができる状態であったならば、今日までにすでに解決されておるわけでございますが、いろいろな事情で、大和銀行の場合にそういうことがどうしてもうまくいかなかった。最後に一つだけ残りましたので、これを分離するという問題を取り上げる以上、他と合併をしろということは、分離した上で合併をするということ以外には従来のような形をとれない。ですから、どうしても一つのものを分けるとなれば、暫定的にではあるかもしれませんが、場合によって単独分離ということもやむを得ないのじゃないか、そういうふうな考え方を言ったわけでございまして、望むらくは、いま大臣が申しましたように、もっと合理的な、つまり信託会社をそう数たくさんつくることが望ましいことではございませんので、なるべくならばそういう気持ちになってもらいたいと思いますが、暫定的にはやむを得ないこともあろうか、こういった考えを申し述べたにすぎません。  それから、時期を選びました点につきましては、私どもとしては、もっと早い時期にこの分離を勧告すべきであったと思います。しかしながら、金融情勢その他いろいろな複雑な事情がございまして、特に引き締め下におきましてそういう問題を提起するということは、やたらに混乱を増すようなことになる。そういうことから、金融情勢がようやく現在は落ちついた状態になっておりますし、さらにまた緩和の方向にも向かっておりますので、こういう時点になれば、他の金融引き締めと競合するということもございませんから、落ちついて考えていただけるのじゃないか。しかしながら、見通しという点になりますと、これは相当長い期間にわたって分離に絶対反対ということを申しておりましたので、私どもも、これを勧告するにあたりましても、すぐにイエスというふうな確たる答えがもらえるものとは思っておりませんでした。しかしながら、あくまで反対であるという態度を堅持すれば大蔵省は何もなすことがないということではいつまでたっても解決いたしませんので、確たる見通しはありませんが、そういう方向で指導することに腹をきめておりますので、申し入れを行なった。しかし向こうはそれを拒否した。こういう形になっておりますが、今後もそういう方針は変えないで指導を続けてまいるつもりでございます。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 いまの問題については、うわさの問題その他について波及するところが大きゅうございますので、場所をあらためてお伺いしたいと存じます。  次に、時間がございませんので、運輸大臣にお伺いする前に、財政投融資の効率的な運用について、現在各省ばらばらでやっている指導行政、監督というようなものを一本化する必要があるのじゃないか、こう考えておりますが、これについて大蔵大臣の見解をお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 財政投融資につきましては、理財局でしかるべく指導をいたしております。しかし、財政投融資を受けるような相手方は、大なり小なり大蔵省と関係がございまして、大体法律で大蔵大臣と共管で出しているものもありますから、財政に関しては大蔵省にこまかい相談がございますので、いまの状態でそう実情に合わないということはないと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 財投の中で、一つ例をあげて気の毒なんですけれども、日航の問題について運輸大臣にお伺いをしたいと存じます。  現在まで、資本金百七十二億四千七百万円のうち、政府出資が百億円で、ことしも十五億見られております。問題は、現在日本航空が全日空その他との話し合いも続けておりますし、前向きに問題を解決しようとする努力の点については若干わかるわけであります。しかし、新幹線に対抗してといった意欲という問題が、日常の業務の面からはうかがわれない。私は、具体的な例を申し上げましてお伺いしたいと思うのでありますが、ここ十週間の日本航空の遅延時間を調べてみたのです。大京、大阪、福岡、札幌、この主要国内のポイントで、一分から十五分までおくれたのが二千一百件、それから十六分から三十分おくれたものが八百七十件、三十一分以上が五百九十件で、十週間で遅延総時間が七百六十四時間もある。一週間に七十何時間も主要幹線だけでもおくれておる。国際線についても同断でありまして、八百八十時間というような遅延状況であります。一刻を争う人たちが航空機を利用する。にもかかわらず、こういった遅延時間が出てくる。何のためにダイヤを組んでおるのかわからない。私はたまたま利用しておって感じたのでありますが、一回羽田を飛び立ちまして、それから房総半島の上、富士が見えるところへ行って、機が故障したから、いま引き返しますという、その通知だけはいいのです。がしかし、外国人の機長でしたけれども、お客さんに対してものを言う場合には、レディース・アンド・ゼントルメンというのが普通ですよ。それを、のっけにこうこうだから帰る。乗っけてやるという気持ちかこういった端々にもあらわれているんじゃないか。私は、こういった面で、日航に対して運輸大臣としてはどのような指導をしておられるか、お伺いしたいと思うのであります。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○松浦国務大臣 御指摘の点に対しましては、日本航空法に基づきまして、いま御指摘になりましたような国家資本及び民間資本も入っておりますが、公共性、安全性を確保するためにいろいろな努力をいたしておりますが、いま仰せになりました問題については、二つの面があると思うのです。一つは、飛び立とうとする瞬間に気象の変化のあった場合、無理して立つほうがいいか、気象の安定性を見きわめてから立つほうがいいか、その遅延の問題。もう一つは、この二カ月間ぐらい前から非常に困りましたのは、日航の指名ストというやつであります。いま外国行きの国際線飛行機が立つという瞬間、乗り組み員はちゃんときめております。そのパイロット一人に向かって、おまえおりろ、そういうことになりますと、乗り組み員のかわりがないものですから、結局管理員の中でエキスパートを選んで、それでまた組み立てていくというようなことで、これがしばしば二カ月間行なわれたのであります。そのほか、業務の怠慢のためにおくれたことは私はあまり聞いておりませんが、そういうことがもしあるような場合におきましては、十分監督いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思っております。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 私が先ほど述べたようなこういった遅延時間、とにかくダイヤがあってなきがごとき状態に置いておくということで、これは新幹線に勝つとか負けるとかいう問題ではなくて、やはり日航は日航自体として改善すべき面が多分にあるのではないか。また、国民の大事な金を出資しておるからには、これに対する指導性の確立というものがあってしかるべきではないかと思うのであります。そういった角度からお伺いしておるわけであります。御答弁いただきたいと思います。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○松浦国務大臣 皆さまの御意見並びに航空界の意見を十分聴取いたしまして、足らぬ点はどこまでもこれを補正して十全を期したいと思っておる以外に、現在方法はないと思います。

有馬輝武日本社会党

○有馬委員 時間が参りましたので、終わります。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて有馬君の質疑は終了いたしました。  午後は一時より再開することといたします。午後の質疑者は久保三郎君、神近市子君及び大出俊君であります。  この際暫時休憩いたします。    午前十一時四十五分休憩      ————◇—————    午後一時十七分開議

青木正自由民主党

○青木委員長 休憩前に引き続き会議を聞きます。  昭和四十年度総予算について質疑を続行いたします。  久保三郎君。

久保三郎日本社会党

○久保委員 最初に官房長官にお尋ねしたいのでありますが、椎名外務大臣が韓国で本日日韓基本条約の仮調印をされるというのでありますが、それは事実でありますか。

橋本登美三郎自由民主党内閣官房長官

○橋本政府委員 日韓基本条約について、きょうの午後二時の予定でイニシアルが行なわれることになっております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 きょうの午後二時に調印されるということでありますが、その内容は公表されましたか。しかも憲法七十三条については、すでに当委員会で先般論議があったとおりでありまして、この七十三条の精神は、事前に国会の審議をしてもらうということが精神であります。ところが、この午後二時に、いま調印されるというのに、何ら公表もされないままに椎名外務大臣が処理するということは、まさに秘密外交だと思うのでありますが、どうお考えでありますか。

橋本登美三郎自由民主党内閣官房長官

○橋本政府委員 きょう外務大臣が署名されますのは、いわゆる調印ではありませんで、イニシアルでありますから、その必要がないと考えております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 イニシアル、いわゆる仮調印、それならば、その仮調印されたものは変更できるとか、あるいは過去にそんなものがあったかどうかですが、これは、おそらくないはずです。仮調印をてこにして本調印に持っていくということが、いままでの外交的な慣例だし、また、そういう筋だと思うのです。だから、イニシアルであるから、あるいは仮調印であるからそういう必要がないということは、はなはだしく形式論にとらわれた、内容的なものではなくて、言うならば秘密外交の隠れみのに使われる、これであってはならぬと思うのですね。これについてはどのように考えていますか。

橋本登美三郎自由民主党内閣官房長官

○橋本政府委員 御承知のように、本日イニシアルが行なわれますのは基本条約だけでありまして、全体のものにつきましては、なおこれから折衝を進められるわけでありますから、まだ全体の条約が仮調印、もしくは調印という形式をとっているのでありませんからして、御質問のような意味での何はないように考えます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 本日仮調印される基本条約なるものは、いままで政府がこの国会を通して繰り返し繰り返してきた請求権の問題、あるいは漁業権の問第、竹島問題、こういうものを一括して解決する、こういうことでありますが、単にイニシアルであるからそういうものを分離してかかろうということは、国会軽視もはなはだしいではないかとわれわれ思うのですが、その点はどうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 今度椎名外務大臣が訪韓中に行なわれます日韓基本条約草案なるものは、具体的に日韓の間にわだかまっております請求権とか、その他のものを解決すべき条約案ではありません。日韓の友好を再確認をするというような基本的なものでございまして、この基本条約草案に対して合意に達しましたので、イニシアルが行なわれるということでありますが、日韓問題につきましては、再三申し上げておりますとおり、一括解決という方針を変えておりません。ですから、いままで国会で問題になっておるようなもの、また日韓間に解決を要する諸問題が一括解決をせられましたときに条約調印を行なって、国会の批准を求めるという体制になるわけであります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 日韓間のいわゆる紛争というか、問題点の一番大きいのは、ただいま私があげた、たとえば請求権の問題、あるいは漁業権の問題、竹島問題、こういうものが今日まで政府と韓国とがやってきた問題解決を延ばしてきたもとではないでしょうか。そういう基本的なものを解決せずして、基本条約はあり得ないではないですか。そういう根底にあるところの重大なものを切り離して、条約というか、一つのもので言うならば前文的なものを先に書いて、あとのものはあとだということでは理解しがたいと思うのですね。そういう解決は、言うならばごまかし的な一つの解決ではないか、こう思うのです。しかも、一括解決がこれからだというが、一括解決になるかどうかわからぬじゃないですか、それは。そういうものに仮調印すること自体が私は不見識だと思う。しかも、韓国内部においても南北統一の問題が今日大きくクローズ・アップされ、しかもこの椎名外相の訪韓に対しても、あるいは仮調印というか、交渉に対しても、御案内のとおり韓国内部にも大きな問題があるわけですね。そういうときに、基本的な問題は、両国の事情というようなことで逃げて、前文的なものをもって基本条約というのは筋が通らぬと私は思うのですが、いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 日韓基本条約草案にイニシアルが行なわれるということでありますが、これの内容は後刻公表せられると思います。これは、日韓問題を一括解決をするという政府の基本方針とは全然変わっておりません。日韓の友好的な立場をお互いが相互確認し合うということを基本にいたしておりまして、これは、ただいま御指摘になりましたように、竹島の問題、漁業の問題、日韓請求権の問題等、一括解決がせられましたときに一括して国会に御審議を願い、批准をいただくわけであります。しかも、その後初めて発効するわけでありまして、日韓基本条約草案に対してお互いが合意に達したという確認を行なうだけでありますので、これが日韓間の問題一括解決の基本方針と相違するものではございません。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いまの御答弁では、きょう仮調印する基本条約というものは、言うならば、今後私があげた幾つかの大きな問題、こういうものを解決してから初めて発効するのだというお話でありますが、それじゃ話は逆じゃないでしょうか。何を取り急いでそういう仕事をせにゃならないか。どういう内容かわかりませんけれども、いわゆる政府が仮調印する基本条約なるものをなぜそんなに急ぐのだ。あとの漁業権、請求権、竹島問題等々、そういう一括解決をしなければならないものが解決して初めて発効する、あるいは国会の審議に付すということなら、何ゆえに椎名外務大臣が訪韓してまで、そういう重要な問題を除いて、しかも直ちに発効し、国会の審議にかけるというものではないのに何を急いでおるのですか。どういうわけですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 日韓間の問題は、隣国友邦でありながら、十数年の長きにわたって交渉を続けておりながら、なかなかまとまらなかったという歴史を有しておるわけであります。この過程においてまず起こりましたものは、一括解決という基本方針は堅持しながらも、大平・金メモの交換が第一にござまいした。今度の基本条約草案というものに対しては、両国の間においていろいろ検討せられておったものが、時あたかも椎名外務大臣の訪韓を契機にして、いろいろお話をしたり、意見の交換をしておる過程において合意に達したということで、これをお互いが確認し合うということでございまして、国会の批准を得ることにつきましては、すべての問題が解決をしたときに一括して国会の批准を求めるということでございますので、何ら基本的な問題とは相反しないわけであります。しかも、これは両国のために友好を確認し合うというような基本的姿勢に対して確認し合うということでありますので、好ましいことだと考えます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そういう何というか。基本条約とはいうものの基本的な条約ではないようですね。そういうものをなぜ公表できないのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 もう五分ばかりしたら公表できると思います。これは、一時半か二時に両国で合意に達し、最終的に態度をきめてイニシアルを行なうときに発表するというように聞いております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 先ほど申し上げたように、条約の締結というか、そういうものは、憲法の精神からいうなら事前に国会の審議に付すというものがたてまえなんですね。もちろん、条約の案文は両国合意の上にこれはできるわけですが、少なくともいままで当委員会を中心にして日韓の、いわゆる椎名訪韓に対しても具体的にどういう条約を結ぶかはつまびらかでなかった。わがほうの姿勢についてもあまりはっきりしてない。しかも、これはいま調印してから初めて公表する。何か国民大衆にも全部知らせぬで、そうして調印だけ済ましてこよう。しかも調印してきたものは、言うならばイニシアルだからしてあと回しにして、漁業権や請求権が一括それがきまったときに初めて国会の審議に付そう、こういうばかばかしいやり方は、私は国会軽視もはなはだしいと思うのです。どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 この基本条約草案に対するイニシアルが行なわれた瞬間、つまり二時二十分に公表するということになっております。いま申し上げたように基本条約草案がいわゆるイニシアルが行なわれたもの、そのものは国会で大体御発言になり、政府側からも絶えずお答えをしておるものでございます。これはもう発表すれば、ああそうか、こういうものでございまして、両国の友好親善という基本的な考え方を確認するというのが基本条約草案でございます。でありますので、この草案に対して両国外務大臣が合意に達したということで、草案に対する確認ということがイニシアルでございますから、これは、一括解決をするという政府の在来の基本方針の範疇にあるものでありまして、国会の審議権を侵したり、そういうものではございません。

久保三郎日本社会党

○久保委員 あなたの解釈によれば国会の審議権を侵したものではない、こうおっしゃいますが、百歩譲ってそうだとしても、日韓問題を解決する基本的な条約ではないということははっきりしましたね。日韓問題を解決するところの基本条約の仮調印ではない。そうですな。重要な問題を残したままで、何か知らないが、宣言的なものでもおつくりになるのかもわかりません。発表がないからわかりませんが、少なくともそういういいかげんな——と言っては語弊があるが、軽い意味の、あとからでもいいのだというものを何で急ぐのか、急ぐ理由を聞きたいのですよ。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 お互いのためによきことであれば、前向きな姿勢をとるべきことは当然であります。これは、日韓問題だけを言っておりますが、とにかくある国と漁業交渉をやっておる。またある国と通商航海条約をやっておる。これは非常に長くかかっておる。しかし、両国の基本的な態度を確認し合うために、お互いに仲よくしようとか、お互いは左の事項を確認するというような合意に達しましたときに、その草案に対してお互いが確認し合う意味でイニシアルを行なうということは、外交上あることでありますし、当然そういうことをしておるわけであります。ただ、日韓会談に対しては一括解決ということを申し上げておりますし、またその覚悟でございますが、その過程において、なぜ一体こういうことをやるかということに視点を置かれての発言でございますが、十数年間もやっておるのでございまして、まあ合意に達したものだけでもお互いが確認し合った上で、これが発効するのは、政府が常に申し上げておるとおり、日韓間の問題は一括解決、こういう基本的な姿勢をくずさないということであれば、国会でいままで申し上げておるとおりの行動をとっておるわけであります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いまの田中大臣のお話では、どうも私の質問と合っていないですね、ものの考え方が。たとえば一括解決というが、この日韓問で会談が長いことかかっているという原因は何であろうかということであります。これは、不信感をなくすとかなんとかいって、そういうもので基本条約とか友好条約的なものを結んでくるのだというような意味にいまとれましたが、よしんばそれであるにしても、その根底に横たわるところの漁業権、あるいは請求権、あるいは竹島の問題、こういう問題が言うならば不信感の土台になっているわけですね。両国とも問題なんです。そういう問題を抜きにして、条約にはどういう文言で表現するかわかりませんけれども、単なる修飾辞を連ねたものが条約というならば、これはやらぬほうがいいのです。そうでないでしょう。それじゃ、ひとつ聞きますが、この仮調印するところの、いわゆる朝鮮における韓国の管轄権の問題ですね。管轄権の問題はどういう表現をしているのです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 一括解決をいたしますと、こう政府の方針を明らかにいたしております。これに対して背反をするかどうかという問題は、基本条約等を外務省が締結をして、そうして、これを国会に分離批准を求めるということになると、政府の言行不一致ということになりますが、そうではなく、十数年間も日韓交渉が行なわれておる過程において、お互いが合意に達し得るものに対しては、メモを交換しておくとか、そういうことは一括解決という基本的な態度と何ら背反するものではない、こういう考え方をとっておるわけであります。この内容そのものは一体どうか、こういうと、これは、両国間の問題でありますので、いま合意に達しつつあるわけであります。それでイニシアルが行なわれるというときに、最終段階において合意に達するわけでありますから、確認をするわけでありますので、もうしばらくお待ちいただければ発表できると思います。

久保三郎日本社会党

○久保委員 一括解決というのは、国会の審議あるいは批准、そういうものが同心なら一括解決だという解釈をとられておりますが、それじゃ、イニシアルあるいは仮調印というのは、その前段行為としてだけの値打ちなんですか。そうですが。そうだとするならば、そんなものは先ほどから何回も繰り返しているように、根底に横たわる大きな問題が解決しないで、うわべだけの問題を解決したようなかっこうで、これはだめじゃないですか。そうなると韓国に対しての不信行為じゃないですか。大体請求権とか漁業権とか、そんなものを解決しなければ、うわべのほうの今度仮調印したものも発効しない、審議にも付さないということでは、韓国に対しての不信行為じゃないですか。問題は、韓国との関係は重要問題が根底にあるのです。単なる不信行為という表現、文言上の表現じゃないのです。その問題を解決しなければ何ぼお互いは友好親善とか言っても友好親善にはならないのですよ。そうでしょうが。だから、ほかの国の条約や何かの手続とは若干これは違う。若干でなくたいへん違うということです。しかも国会に対して再三再四、繰り返し繰り返し一括解決を主張しているが、まあまあうわべの皮のほうだけやっておこう、中身はあと回しだ、国会の審議にも付さないのだということは、国会軽視もはなはだしいし、ごまかしです。しかも、あなたは条約については発表がないと言うが、事前に発表しない約束ですか、それは秘密事項ですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 きょう二時二十分に発表いたすということであります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 それじゃ、いずれにしても二時二十分には全文を発表するのですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 イニシアルが行なわれれば、合意に達したものでございますから、その要綱を発表するということであります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 それじゃその二時二十分まで、押し問答でも困りますから待ちますが、そのとぎには即刻発表してほしい。それまでやりましょう。いずれにしても私たちの考えているのは、そういう基本的なものを解決しないで何が基本条約だと言いたいのですよ。しかも、いままで再三再四ここで繰り返して事前に尋ねても、基本的な態度もあまり明確に示されないまま、椎名大臣が何か知らぬが、政治的にはあまり資格のない資格で向こうに行って——椎名さんはいまのところ政治資格はありませんよ。そういう人がやってくる。いま田中大臣のお答えでは、それほど無理するような条約でもなさそうなんだが、これは発表してから再び申し上げましょう。  それじゃ次に移ります。防衛庁長官にお尋ねしますが、バッジシステムの問題についてまず前段お尋ねします。日本アビオトロニクス社と昨年の十二月に契約をいたしましたですね。この契約する以前に、バッジシステムのいわゆる機種選定というか、これがございまして、結論としてこの日本アビオトロニクス社の関係であるヒューズ社に決定したわけですね。このヒューズ社に決定した大きな理由は、いわゆる価格の点だけである。価格が安い。ゼネラルエレクトリックは二百七億ですか、あるいはそれのもう一つのは百九十億、リットンは百七十億、そしてヒューズは百三十億で一番安い。防衛庁の示したいわゆる項目仕様書き、そういう仕様にも合っているというのでこれに決定したわけですね。そうだとするならば、先般もお尋ねしましたが、この契約は当初の百三十億、その中にはアメリカの九百万ドルが入っておる、よってわが方の負担は九十八億ということになりますね。これはいかがですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 お尋ねのバッジ組織に関する経費のことでございまするが、現在計画をいたしておりまするバッジ関係の総経費は約二百五十億円の見込みでございまして、うち日本側の負担見込み額が、前回臨時国会のときにも申し上げましたとおり、約二百三億円、米国分担期待額が四十七億円で、合計二百五十億円ということに相なっておるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 私が聞いておるのは、この契約にある本体並びに関連機器、こういうものが百三十億ということですね。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 契約のときの金額は、先ほど久保委員から御指摘のとおり、九十八億円ということでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そうしますと、その中には一切入っておるわけですな。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 先ほど申し上げました日米両国合計二百五十億円というのは、一切を含んでの金額でございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 日本アビオトロニクス社と契約したいわゆる本体並びに関連機材、こういうものは総額百三十億ですね。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 詳しい経費の内容につきましては、政府委員から答弁をいたさせます。

國井眞装備局長

○國井政府委員 日本アビオトロニクス社と契約をいたしました百三十億は、本体、関係機材を含んだものでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこで、その本体並びに関連機材にはあと追加するものはありませんね。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 先ほど申し上げましたとおりの予算でまかない得るというものに相なっております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 小泉長官の御答弁ははっきりしませんが、どちらを指しているかわかりませんが、予算も二百五十億と百三十億、そういうのがありますから、そこでお尋ねするのですが、これは、政府委員のほうでお答えいただいたほうがよろしいかもしれませんから、ひとつ申し上げます。  そこで、この日本アビオトロニクス社と契約しただけではバッジシステムは機能を発揮しないということで、当時契約の際にも問題があって、日米合同研究の場所でアメリカ側から強く問題を提起された。しかし、それは表面に出すことはこの際できぬというもので今日に至っておると聞いておるわけなんです。ついては、その追加されなければならぬ当面の機材というか、そういうものは次のようなことがあるというが、これはどうですか。いわゆる実証試験、これが二百二十五万ドル、それからレーダーECCM装置、これが三百五十一万ドル、次にはTAWCS、ECCM装置、これが百七十五万ドル、次には情報交換装置、これは在日沖縄、朝鮮等の近接米軍との情報交換に要する追加設備として百十五万ドル、次にはサイト支援機能として二百万ドル、次にはDCサイト訓練として二百万ドル、次にはプログラミングとして六十万ドル、次には技術改良費として二百五十万ドル等々があるそうでありますが、これは事実かどうか。   〔委員長退席、赤沢委員長代理着席〕

國井眞装備局長

○國井政府委員 今回新しく追加をいたします経費でございますが、新規計画といたしましては、サイトレーダーのECCM関係機材等につきましては二十七億、それからサイト支援機能付与等につきまして十二億、計四十億、その他通信系統あるいは施設、要員教育等でございますが、これらが三億七千万、約の数字でございますが、合計いたしまして新規の計画として四十四億でございます。このうちにわれわれは米側負担といたしまして約十五億を期待をいたしております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 防衛庁長官、いま政府委員から答弁がありましたが、私が読み上げたようなものが追加としてある。これは、一つはごまかしじゃないですか。当初からこれを落としてあって、価格を百三十億としたらしい。いまになって、言うならば追加する。しかも、この中には詳細に言っていないか、たとえば技術改良費などは何のための技術改良費か、完成品を納入されることでありましょうから、技術改良費というものは何だかということが一つありますね。しかも当然のごとく追加がこれだけあります。四十四億ある。こういうことで当初の予算は百三十億だが、ふくれ上がって百八十億くらいになる。こういうことで国費がいいあんはいに使われていいものかどうか、どうなんですか。しかも、ことしの予算にもその一部は入っておると思うのです。長官、御承知じゃないですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 詳しい予算の内容等については、政府委員から答弁をいたさせます。

國井眞装備局長

○國井政府委員 当初予定をいたしましたほかに、新規計画として、新たに計画をつけ加えておるということは、その後私ども検討をいたしまして、さらにバッジの機能をよりよくするという観点からいたしまして、必要な経費を見積もったわけでございます。なお、ただいまお話がございました、改良費というようなものを含んでおるのはどうかというお話でございますが、三億数千万含んでおりますけれども、これは、わが国にとりまして全く新しい組織でございますし、今後改良等の必要が生ずるであろうということで組んだものがございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 だいぶ当然のような話を繰り返しておりますが、先ほど私がちょっと触れましたように、ヒューズ社のものにきめる際に、その直前だそうでありますが、当時の防衛庁長官に対して米軍のほうから、それにきめるならば米側負担分については考えなければならぬというような話が出て、まあまあということになって、あとでということで、今日いまのような答弁が出てきている。その後技術改良というか、そういうものについてもいま答弁があったとおり、これは当然その当時指摘された一つの点なんです。しかも、サイト支援機能云々というようなものは、当然最初からその本体——これは関連機器になるかもしれませんが、そういうものに含まれて契約さるべきなんだ。これでは、言うならば何か政治的に背後で動いて、とにかく価格の点で百三十億、中身については少しどかしておけ、あとからつけよう、こういうことになったのじゃないかと思うのです。これはどうですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 ただいま久保委員御指摘のような決定当時の米軍との関係その他の事情については、私も聞き及んでおりません。そういうような最終的な決定の報告を受けただけでございまして、その辺のところの事情がどうなっておりますか、政府委員から答弁をいたさせます。

國井眞装備局長

○國井政府委員 ただいまおっしゃたようなことはございません。

久保三郎日本社会党

○久保委員 防衛庁長官が、聞いている、しかし内容はよくわからぬと言うだけなんだ。あなたの答弁と違うじゃないですか。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 聞いておりません。

久保三郎日本社会党

○久保委員 それじゃあなたにお聞きしますが、どの程度が最初から百三十億に入っておるのか。本体と関連機器というのは、いま私が読み上げてあなたが当然のごとく追加するというものは、最初から入れないでもいわゆるバッジシステムとしては有効だった、そう認定したのかどうか。

國井眞装備局長

○國井政府委員 お答えいたしますが、百三十億に入っておりますのは本体及び関連機器として測定機器が入っておるわけでございます。   〔赤沢委員長代理退席、委員長席着〕

久保三郎日本社会党

○久保委員 それじゃあとでそのあれを出してもらいましょう。いずれにしても、たとえばそういうことがないと言うから。時間もありませんからあとに回します。  しかし、それじゃこのバッジシステムというものが完成した場合に、なるほどいまの手動から半自動というか、そういうものに情報処理を早めるということでありますが、情報処理を早めても、残念ながら、たとえばレーダーの機能あるいは要撃機の性能、こういうものとからみ合わせて考えなければ、単にバッジシステムを置いて情報処理を早めても、これは意味のない話だと思うのです。たとえば、私の考えに誤りがあれば正してほしいのだが、いまのレーダーはアメリカから供与されたというか、譲られた。二十四カ所のレーダーから一カ所に集めるわけです。レーダーの機能でありますが、これは、大体三百キロといわれております。ところがレーダーの電波、ビームの直線性からいって、地球の球面との間にひっかかる。そうしますと、千五百くらいの低空で入ってくる飛行機については、レーダーのいわゆるキャッチする範囲は百六十キロ以内だ。そうしますと、たとえばこれによって、まず一つの仮定でありますが、F104が要撃に出る、その情報を受けて。日本の国の重心というか、深さが大体三百四、五十キロ、こう仮定してみます。仮定というか、その程度ですね。そうなった場合に、いわゆるバッジシステムでいままでの手動式より数分間早めて行ったとしても、とらえた、要撃ということになって104が飛び立つ。飛び立つまでには、これはやはり、たとえば搭載の電気機器のウォームアップもあるしということで、そう簡単には上空に達することができない。だから、太平洋沿岸にあるところの104が飛び立つ。そして日本海沿岸のほうから来た侵入機に対して要撃する場合、いま申し上げたように重心四百五、六十キロにして考えた場合に、間に合いますか、捕捉できますか、いかがです。これはそちらの専門家から聞いたほうがいいかな。

國井眞装備局長

○國井政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、全機を捕捉するということにはまいらないと思いますが、現在の組織に比べまして性能が著しく向上するということになるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 性能は、なるほどバッジに置きかえれば数分の短縮はあるだろう。それは性能が高まりますよ。高まっても、いわゆるレーダーのとらえる範囲というものがせいぜい三百キロ、低ければ百六十キロということですね。たとえはマッハ2なら2というようなことで来ればどのくらいで来ますか。たとえば三百キロ、それが日本沿岸に到達するのに何分かかります。それから今度104が飛び立って、その上空の一万五千メートルくらいのところに行くでしょうが、それに何分かかる。ちょっと算術計算してみてください。そうなった場合に、このバッジシステムで情報処理を早めてもこれは意味のない話だ。実際は、日本としては意味のない話なんだ。これは、よしんばゼロになっても、いま答弁するように全機をとらえることができない。全機でなくて、全くとらえることかできない。国防上の問題についてはいろいろわれわれも意見があります。しかし、政府側の立場に立って国防を強化するということをまず是認いたしますにしても、バッジに切りかえて数分短縮しても、レーダーの性能と104の性能では、残念ながら間に合わぬということなんです。こういうものを、しかも最初は百三十億だから安いからというだけでヒューズ社のものにきめた。いまの答弁では、当然のごとく関連機器の中には入ってないで、レーダー・サイトの支援体制などは当然のごとく別な予算で買うのだというが、日本国民のみならず、国会でも、バッジシステムに切りかえるというのならば、いま追加が当然のごとく言っておるが、そういうものを含めて、いわゆるバッジシステムに置きかえるにはこれだけかかるというのが予算審議のたてまえじゃないですか。バッジシステムというものだけつくったって、レーダー・サイトの支援体制がなってない。これにあと二百万ドル要る。一つの例ですよ。そんなことでは国会の審議をばかにした話ですよ。しかも、ことしの予算にそういうものが入っておる限りは、私はまじめに予算の審議はできないじゃないかと思うのです。しかも、それがどんなに計算しても役に立たない。なるほど役に立つ一つの方法はある。たとえは、私がさっき申し上げた追加の中に在日米軍、いわゆる在日の沖縄あるいは韓国にいるところのアメリカの軍隊に対しての効能は、数分短縮のメリットはあるのです。しかしわが国、あなたがいま主宰しておるところの自衛隊を主体にしたところの日本の四つの島に対するものが何も意味がない。意味のないところに金をかけるということについては、国防論議は別にして、われわれはだれでも反対する。意味がない話だ。いかがですか。これはまあ、間もなく二時二十分になりますから、そうすると別の問題にいきますから、この辺にしますが、少なくともそういうものを——大蔵大臣に聞きますが、こんなばかばかしい予算を審議さす気持ちになっておるのですか、第一。大蔵大臣としてもこんな予算をどうしてつけたのですか。しかも104は三十機追加生産だという。104は性能としてもう限界というか、これは使いものにならぬというのが定評なんです。無誘導のロケットを積む、そうすれば全天候性だ、こう言ってきたわけだ。ところが、無誘導のロケットをつければ、そのつけたために空気抵抗が多くなって、所要の性能は上がらぬ。スピードは落ちるわけですね。そこから今度ナサールですね。ナサールの改装には一機三億かかるというのです。それで、今度の三十機ですかの104の追加生産と合わせて、現存機に対するところの改装費もくっつけているというのですが、それはほんとうですか。こんなものをくっつけたって、104は対地攻撃の戦闘機なんです。これは要撃機ではないのです。大体104を入れるときにも国会で大きな論議があった。全天候だと言っているが、これはインチキなんだ。多少改装すれば何とかなる。何とかなるけれども、これは所要のスピードが出ない。こんなものをやっていれば、いわゆるバッジシステムを何ぼやって時間の情報処理を早めたところで、意味がない話ですよ、こんなものは。それでも、これは予算審議をしろというのですか104の追加生産も入れて。これはどうですか、大蔵大臣。

小泉純也自由民主党防衛庁長官

○小泉国務大臣 レーダー・サイトの現在の組織よりも、バッジの完成の暁には、相当防空体制が強化されることは事実でございまして、久保委員の御指摘のような、これが万全であるかどうかということは私もここに確言はできませんが、相当程度向上することは事実であると存じております。性能の問題等につきましては、ひとつ政府委員から説明をいたさせます。

海原治防衛局長

○海原政府委員 先生の御質問の趣旨が、バッジ制度をかりに完備したとしても、その結果たいした時間的の節約にはならないのじゃないか。あるいは104につきましても、マッハ2というスピードが場合によっては出ないのじゃないか。特に低空におけるレーダーのカバレージの問題からして、そういうものは無意味ではないか、こういう御質問の趣旨と拝したわけでございますが、これらの点につきましては、第四十三回の国会のいろいろな委員会におきまして、その当時、大臣並びに私ども政府委員から詳細に御説明しておるところでございます。  簡単に要点を申し上げますと、バッジという自動的な指揮管制組織というものができますことによって、これは、それぞれの部隊の所在地によりまして、並びにレーダー・サイトの位置等によりまして、節約されますところの時間というものは非常に違ってまいります。場所によりましては二分、場所によりましては六分、こういうような違いがあるわけでございます。しかし、この数分の違いというものが、少なくとも国の防衛を考える場合にはきわめて重要な意味を持つものであるということを具体的に事実をもって御説明しております。さらには低空域、低い空域についての防衛の問題は、これは諸外国共通の問題でございます。バッジが完成いたしましても、私どもとしましては、依然としてこの低い空域におけるレーダーのカバレージ、それをどうするかという問題が残っておるということも当時御説明してございます。したがいまして、これらの問題は今後の防衛力の整備にあたりまして、私どもが解決していかねばならない問題でございます。  なお、F104のこのスピード等につきまして、特定の武装をした場合にはスピードは出ないのではないか、こういう御質問でございますが、これは、それぞれの武装によりまして、並びに構造の態様によりまして、そのときどきのスピードが違うことは、これは当然でございます。F104の最高スピードは決して2マッハではございません。ただしかし、2マッハ以上になりますと、いろいろと問題がございますので、その飛行に制限を加えておるというのが事実でございます。本来F104というような飛行機は、高々度、すなわち高度五万ないし六万というような非常に高いところにおきます要撃戦闘のために急遽発進をするというところに意味がございます。したがいまして、こういう飛行機が低空域におきまして行動するときには問題があるのは当然のことでありまして、このようなことはかつて国会のそれぞれの委員会において御説明しているところでございますので、先生がおっしゃいますように、三十機の追加生産にいたしましても、決してむだなものを私どもが考えておるわけではないというようにひとつ御了解願いたいと思います。

久保三郎日本社会党

○久保委員 防衛局長は、たいへん前に説明したのがあるからおまえ知らぬのだ、こう言うのだが、時代が変わってきて、どうもそういう論議がいま役に立たなくなったということですよ。たとえば104を選定するときの論議は、全天候性である、こう言った。ちっとも全天候性じゃない。しかも当時の性能についても、マッハ2とか、そういうことを言って説明しているのですね。いまのような説明はありませんよ。あとからつけ加えた。だから、いま防衛局長の言うように、武装した場合にさらにスピードが落ちるというのなら、ますますこのバッジシステムをやっても、それは意味のない話ですよ。いずれにしても時間がありませんから、その程度におきますが、予算の審議は、どうもこれではうまくないじゃないですか。バッジシステム一つとっても、本体と関連機器というのはこれだけだ、しかし、もっと要りますなんと言う。こんなばかな説明をして予算をとっておいて、あとからやむを得ずということ。しかもそれが用をなさぬ。あるいは多少用をなしても、全体的にちっともメリットは広まらぬというような予算は、この際反省すべきだと思う。104にしても、そんなばかなことを最初から予想していないのですよ。いまになって、何か前の議事録でも読めと言わんはかりの話だが、とんでもない話だ。こういう予算はとにかくまじめに審議するに値する予算ではなさそうだということを一言申し上げます。防衛庁長官が何かお急ぎのようでありますから、この問題はこの程度にしておきまして、ただ、大蔵大臣に一言御感想を承りたい。こういうばかな予算を出して審議を求めておられるわけなんですか、どうなんですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 防衛庁がお答えをいたしましたように、国防のため必要ある経費として計上いたしておるわけでございまして、ばかな予算という考えではございません。  なお、104の戦闘機につきましては、七飛行隊を昭和四十六年度末まで維持するための減耗補充として三十機の追加生産が必要と認められましたので、四十年度予算につきましては、歳出額三十四億九百万円、大体四十一年度の歳出予定額として六十九億八千八百万円、こういう状況でございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いずれにしても分科会でまたお尋ねしましょう。  次に、運輸大臣がおいでになっていますので、国鉄の長期計画についてお尋ねするわけでありますが、第一次、第二次五カ年計画というものが三十二年以来実は続いてきたわけであります。ところが、第一次も第二次も、言うならば中途で計画そのものが挫折した。そこで、今度も第二次が挫折して、言うならば第三次長期計画として実は出されてきたわけであります。そうなりますと、いままでの計画に対する反省がなくてはならぬと思うのです。なぜ計画がうまくいかなかったか、あるいは輸送の実態と国鉄の経営全体がなぜマッチしなかったか、なぜ合致しなかったか、こういうふうなこと。一つの例を二、三思いつくままに申し上げますが、いままでの第一次も第二次も大体同じでありますが、計画全体が一つにははなはだしく小さかったということ。過小である。それから第二番目には、この過小であるところの計画さえ中途で資金面からくずれていったということがあります。それからもう一つは、いままでの計画というものは、単に設備投資の計画であった。だから、当然国鉄全体の経営の中ではいろいろなゆがみが出てきた。たとえは要員問題一つとりましても、要員が足りぬ。あるいはそのために安全性がさらに落ちてきた、低下してきたというようなことがあるわけであります。そのほかに、予算面というか、資金面では、人件費、労賃あるいは地価、いわゆるこれを含んだ工事費というか、あるいは物価、こういうものの高騰というか、その位上がりというものが、言うならば計画をくずした一面がある。これは、当然計画全体から見れば、人間の問題も、人件費の問題も、あるいは賃金の問題も、工事費全体の問題も、物価の問題も含めてこれは策定しなければならぬはずです。ところが、そういう策定を第一次も第二次もしていなかった。だから、たとえば東海道新幹線も第二次で一応完成したものの、御案内のとおり今日までまだ尾を引いているわけですね。こういうことを反省しなければ、いわゆる今度立てたところの第三次長期計画もこれは画餅に帰すだろう、こういうふうに思う。  それからもう一つ大きな問題は、言うまでもありませんが、第一次、第二次という五カ年計画については一応国鉄自前の計画であった。これに対して政府は、言うならば形の上でも実質的にもあまり責任を感じておらなかった。感じてはおらぬというより、責任を持つ体制になかった。言うならば単年度の予算だけでこれを糊塗しておったというところに問題があるのですね。だから、そういう幾つかの欠陥を踏まえて第三次長期計画というのはあるわけです。だから、言うならば第二次五カ年計画と今回の長期計画との違いはどこにあるか、この点はいかがでしょう。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○松浦国務大臣 お答え申し上げます。国鉄の第三次計画の特徴はどこにあるかというお問いでありますが、いろいろのファクターをおあげになりましたが、まあ根本的にいえば、経済の発展に対する輸送力が足りないということが根本的な問題であります。したがいまして、鉄道の輸送力の増強、安全輸送の必要性に立脚いたしまして、幹線輸送力の複線電化、輸送力の増強、大阪及び東京、その付近の大都市に対する通勤輸送の過密ダイヤの解消、または直接的には保安、安全のためといたしまして、いままであまり多く用いられておりませんでしたが、列車の自動停止装置の取りつけ、あるいは自動信号化、あるいは踏切の安全対策等を強化する必要があることが明瞭になってまいりました。これを怠ることは一日も許されません。  そこで長期計画として設備投資も大体二兆九千七百二十億でありまして、昭和四十年度からスタートして五カ年間に完成するつもりでありますが、しからば第一次と第二次と第三次の差はどこにあるかということでありますが、いま御指摘になりましたように、第一次、第二次の計画の根本をなすものは、政府の経済安定成長の大きさというものと鉄道の計画がマッチしていなかったことが一つであります。もう一つは、いま御指摘になりましたように物価及び人件費の暴騰であります。ということで、途中からこれがもう行なえなくなった。それから土地の値上がり、新幹線のごときは土地の値上がりであります。  そこで、さらにもう一つの問題は、一方的に国鉄だけが計画をいたしたものでありまして、いま御指摘になりましたように、予算の御承認に対しましては単年度ごとに大蔵省に承認を得てまいりました。今度の第三次計画は、ひいては、あとで事務当局に申し上げさせますが、あらかじめ経済閣僚懇談会においてこの了承を得、さらに閣議の決議を経まして、この五カ年間に二兆九千七百二十億を基本問題調査会の答申に基づいてこれを実行するということにいたしましたから、今後の物価の変化及び人件費の変化によっては、多少の狂いはあると思いますが、根本的にいままでのような変化はないものと信じております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 石田総裁にお尋ねしますが、いま運輸大臣から御答弁がありましたが、先ほど私がお尋ねしたように、やはり過去の計画というか、そういうものの反省の上に立ってやるべきだ、こういうふうに思っているわけです。そこであなたにお尋ねしたいのは、言うならば内容はあと回しにいたしまして、全体計画が政府においてはっきりオーソライズされているのかどうかですね。政府でオーソライズした今度は長期計画なのかどうか。もちろん資金面についても責任がきっちりと持たれたものであるかどうか、いかがでしょう。

石田實内閣官房副長官

○石田説明員 お答えいたします。いまの御質問に対しましては、一部運輸大臣において御説明申し上げたのでありまするが、要するに国鉄のこの予算というものは、毎年毎年国鉄が計画を立てて、そうして大蔵省の査定を受ける。査定ということは、要するに、結局事実においては減額されるということなんです。それで、たとえば第二次五カ年計画などにいたしましても、原案は追加予算を入れて九千七百億だったやつが、三十九年度までで五千四百億、わずかに六割しか達成できない、こういうことなんです。もうすでに過密ダイヤで苦しんでおる。また通勤の問題でもって交通地獄のような状態を来たしておるのに、こういうことでいった日には、一体国鉄がこの状態から飛び出し得るのはいつのことか、われわれ確信ができぬ。要するに、これは国鉄というものが計画を立てて、一年一年査定を受けるというところにある。これをひとつもう少し確実な計画にしなければならぬ。こういうことで、私は時の総理大臣に談判いたしまして、そうして、これを政府の計画にしてもらいたいということをお願いいたしました結果、御承知のとおり国鉄基本問題懇談会というものができまして、そうして政府の計画として国鉄の計画を定める、こういうことになるということで、七年で二兆九千七百二十億というものがきまったのでありまするが、同時に、これに対しては閣議における御了解を得、さらにこの裏づけの資金については、経済閣僚懇談会においての了解を得るというようなことで、第三次計画に移した次第でありまして、要するに、ここにおいて初めて国鉄の通勤輸送の問題、さらにまた過密ダイヤの解消というものがでてるんじゃないか、こういうことに私は考えておる次第であります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いまお話がありまして、政府によって責任を持ってもらうことになったということであります。  そこで、運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、四十年度予算案によりますれば、三千億の工事経費のうち、政府から出資されたものは一つもないですね。十二月のこの委員会で、あなたは、政府も出資を考えるべきだという御主張をなされました。それは当然だと思うのです。いま国鉄が政府から出資されているのは四十億ぐらいですね。それで、いま持っている資産というのは全部旅客、荷主の大衆から納められた運賃あるいは借り入れ金というか、これも回り回って運賃に転嫁されるわけでありますが、そういうもので資産はつくってまいった。だから、最近御承知のように国鉄の安全性の問題が世上特に取り上げられるような段階、あるいは東京を中心の通勤輸送はまさに酷電という表現さえ出てきている。これに対して政府は責任の一端を果たすべきだというのがあなたの御主張であります。そのとおりだと思う。ところが、今回の予算案には一文もこれが出ていない。これはどういうわけですか。政府が閣議の了解事項か何か知りませんが、いま石田総裁のおっしゃるように、資金についても格段の措置を講ずるということで了解事項になったそうでありますが、これは、なるほど口頭の了解事項だそうでありますから、まああとに残らぬからいいというようなものではないと思うのですが、少なくともそういう了解事項として上がったものなら誠意の一片ぐらいは示すべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○松浦国務大臣 お答え申し上げます。  久保委員の御質問のとおりに、この前の臨時国会で答えました。私はいまもそう思っております。これは、やはり公共企業体であり独立採算制でありますが、政府が相当の資金を投ずるということが必要である。しかるに、その面は、御承知のように四十一億しか投じていない。それならば、政府の補償金とか、あるいは政府にばかりたよるべきであるかといえば、私は、やはり国鉄をよくし、国鉄を近代化していくためには利用者に負担させるということも必要である。したがって、運賃を上げるということは、国鉄をよくするためには欠くべからざることである。同時に政府は、自己の金でまかなうことができなければ、少なくとも融資のあっせん、あるいは低利長期資金のあっせん、あるいは金利の補給というようなことも考えるべきであるということで、予算編成にあたりましては、私、皆さまに御答弁した線において極力戦ったのでありますが、国の財政経済その他もありますので、私の意見どおりにはまいりませんでございましたが、今年は、今年はといっても四十暦年度は運賃を上げないで、まあ三千億、また債務負担行為まで入れれば三千三百億というものをあっせんしようということになりまして、そこで、いろいろ言いましても運輸省だけのわがままを言うことができませんから、総合的見地から大蔵大臣と話し合ってかようにきめたのでありますが、私は、自分の主張を曲げたのではない。しかし、国家の財政経済の立場も考えたものでありますから、この政府投資ということが今年できなかったことを遺憾に思っております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いまの答弁で、やむを得なかったということでありますが、それはあなたの答弁どおり百歩譲っても、それではことしの予算の中で財投その他で一応千六百億見た、そのあとは例年のとおり利用債、縁故債、これも大体例年並みぐらい、これはもうしかたがないとあきらめるにしても、いわゆるその残りの六百八十八億というものが特別利用債という名目になっているが、これについては、政府は責任を持っておるのかどうか、いかがですか。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○松浦国務大臣 大蔵省におきましても、財政多端のおりではございますが、先ほど申しましたような緊迫する中において両側が決定したものでありますから、六百八十八億の問題に対しましては、一部は日銀適格債、一部は大蔵大臣においてあっせんするということを確約いたしておりますから、私はいまもなお大蔵大臣を信用いたしております。

青木正自由民主党

○青木委員長 久保委員に申し上げますが、先ほど久保委員の御質問中にありました日韓共同コミュニケ並びに日韓基本関係条約案要綱が二時二十分になりましたので発表されましたので、この機会に政府の説明を求めてはいかがかと存じますが……。

久保三郎日本社会党

○久保委員 どうぞ。

青木正自由民主党

○青木委員長 外務大臣臨時代理田中角榮君。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 日韓共同コミュニケをまず読みす。         昭和四十年二月二十日      日韓共同コミュニケ   椎名悦三郎日本国外務大臣は李東元大韓民国外務部長官の招待により、一九六五年二月十七日から二十日まで大韓民国を訪問した。両外相はこの間三回にわたり友好的な雰囲気のなかに会談を行なった。椎名外務大臣はこのほか、朴正煕大統領に謁見し、李考祥国会議長、丁一権国務総理および張基栄副総理兼経済企画院長官を表敬訪問した。   椎名外務大臣と李外務部長官は現下の国際状勢ならびに現在進行中の日韓全面会談その他両国が共通の関心を持っている諸問題について意見を交換した。両外相はアジアを初め世界のその他の地域のすべての人々のために、正義と自由と繁栄とにもとずく平和を維持することが両国の共通の目的であり、日韓全面会談の妥結は日韓両国にとって著しい利益であるばかりでなく、自由世界全体のためになるものであることを再確認した。  季外務部長官は過去のある期間に両国民に不幸な関係があったために生まれた、韓国民の対日感情について説明した。椎名外務大臣は季外務部長官の発言に留意し、このような過去の関係は遺憾であって、深く反省していると述べた。椎名外務大臣は、日韓会談を進めて両国間に新しい友好関係を樹立していくことこそが、正義と平等と相互の尊敬とに基づく両自由国民の繁栄をもたらすものであるとの強固な信念を披瀝した。   両外相は日韓全面会談の最近の交渉の経過を検討した。両外相は正当かつ公正な基礎において会談を速やかに妥結させるため、最大限の努力を払うとの固い決意を表明した。  両外相は基本関係条約案に本日イニシアルがなされたことに満足の意を表明した。両外相はこのことが両国間のその他の懸案を全面的に解決するための重要な一歩となると意見が一致した。   両外相は在日韓国人の法的地位ならびに待遇に関して現在進行中の討議が結実し、これによって在日韓国人が平和な幸福なそして安定した生活を営なんでいくことを希望した。両外相はさらに、この問題の円満な解決が日韓両国民間の友好増進のための重要な橋渡しになることを認めた。   両外相は両国間の漁業問題を合理的に解決することが望ましいと述べ、さらにこの解決が両国の漁民の利益に合致したものとなるべきであると述べた。両外相は、この問題の妥当な解決を探求するために両国の農相会談ができるだけすみやかに開催されることを希望した。   両外相は両国間に健全で相互に利益のある貿易関係を維持することがきわめて重要であることを再確認し、両国政府がより均衡した基礎で相互間の貿易を拡大するため緊密に協加すべきであると意見が一致した。   このことを念頭において、両外相は、両国の輸出力増強の可能性の問題を含め両国間の貿易関係を討議するためできるだけ早い機会に会議を開くことに意見が一致した。   椎名外務大臣は季外務部長官に対し、日本国を訪問するよう招請した。季外務部長官はこの招待を喜んで受諾し、できるだけ早く訪日したいとの希望を述べた。   両外相はこの会談が非常に実り多いものであり、両国間の諸懸案ならびにその他共通に関心を持っている諸問題について相互理解を深めたと意見が一致した。両外相はさらに、季外務部長官が日本国を訪問した際に行なわれる会議で討議を続けることに意見が一致した。以上が日韓共同コミュニケであります。  なお、引き続いて日韓基本問題条約案の要綱について申し上げます。   前文(1) 両国民間の関係の歴史的背景と両国間の関係正常化の希望との考慮    (2) 国連憲章の原則に適合する協力    (3) 桑港平和条約と国連総会決議一九五(III)への言及  本文 第一条 外交領事関係の開設。大使の交換と領事館の相互設置     第二条 一九一〇年八月二二日以前に締結された旧条約がもはや無効であることの確認     第三条 韓国政府は、国連総会決議一九五(III)に示されているような朝鮮にある唯一の合法的な政府であることの確認     第四条 国連憲章の原則の尊重とそれに基づく協力     第五条 通商航海条約の締結のための交渉の開始     第六条 航空協定の締結のための交渉の開始     第七条 批准条項  以上であります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 本件については、時間の関係もありますし、全文が発表されたわけじゃないようでありますから、後刻に譲りまして、先ほどの国鉄の予算について続けます。  それで、時間もたくさんございませんので申し上げますが、この六百八十八億は、いま運輸大臣が答弁した内容と了解してよろしいかどうか。これは、石田総裁にお聞きするのが一番いい。いかがですか。いまの運輸大臣の答弁は、一部はいわゆる大蔵大臣が責任持つ、一部はいわゆる適格債にする、こういう御答弁でありました。

石田實内閣官房副長官

○石田説明員 この六百八十八億というものについては、いわゆる縁故債に似ておるのでありまして、われわれは、これは大蔵省に対して適格債にするようにお願いしておるのであります。ということは、このうちの一部分は、これはわれわれ自身として消化する確信がありまするが、大部分については、初めてのことであり、実は自信がない。われわれはこれを背負うとすれば、車両の製造会社にこれを引き受けさせるとか、あるいは契約者に対してこれを渡す、こういうことなんですが、彼らは別に金があるわけじゃないんだから、これを持っていって銀行から金を借りる。借りる場合に、この適格債でないものに対して銀行が一体金を貸してくれるかどうか、そこに問題がある。ということは、銀行そのものはあまり金がないのであります。結局やはり二本銀行へ行かにゃいかぬ。日本銀行へ行くためには、やはり適格債というものにしてもらう必要があるということで、これは、ここに大蔵大臣がおられますが、ひとつ万難を排して適格債にしてくださる、こういうことをぜひ御尽力願いたいと存じておるのであります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いま石田総裁のお話だと、運輸大臣の御答弁ともまた違う。日銀の担保適格債にしてもらいたい、こういうことなんですね。この予算がいま審議中で、政府与党の希望では、少なくとも参議院を含めて年度内に予算を上げてほしいということでありましょうが、大体六百八十八億というと、かなり国鉄の予算の中では大きな比重ですね。しかも、先ほど来運輸大臣あるいは石田総裁からもお話があったとおり、長期計画の出だしとしてやらねばならぬ大きな問題であるわけですね。通勤輸送、あるいは幹線輸送、あるいは安全性を向上する。ところが、六百八十八億の発行条件というか、そういうものの処理のしかたも、これはまちまちといっては語弊があるが、まちまちというよりは、ちっとも固まっていない。固まっていないものを予算としてこれだけ使いますといって、どう使うか、いまの石田総裁のお話だというと、六百六十八億は条件が整っていないから、どうしたらいいかこれはわからぬということです。大蔵大臣、こういう予算もあるのですか、使えるか使えないかわからぬという金が。どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 国鉄の新七カ年計画が必要であるということは、もう確認をいたしております。しかし、急激な五カ年計画の膨張であるという事実も、御承認いただけると思います。財政豊かならざる状態におきましてこの大きなものと取り組まなければならぬわけでありますから、これは、やむにやまれず、こういう措置をとったということを、御理解いただきたいと思います。まあ三兆円に近い七カ年計画をのむまいという世論がある中で、二兆九千余億というよりも、三兆円にしてもよい、こういうような非常に積極的な姿勢をとったわけでございます。これは、ひとつ御理解をいただきたいと存じます。この結果、いろいろ折衝の過程において六百八十八億の特別債ということになったわけでございます。これに対して、私も初めは日銀適格担保という話がございましたので、私も大いに努力する、そういう要求もあるでしょう、こういうことで、初めはそういう態度でございました。ところが、その後、この適格担保債にするかどうかということは、日銀独自できめる問題でございます。日銀としては、公募債でありませんし、特定の国鉄関係に消化をしてもらう特別債なものでありますから、現在のところ、日銀適格担保債には非常に無理だ、こういうことを日銀当局は言っております。言っておりますが、私も、公募債ではありませんが、国鉄の建設ということが非常に重要な問題でありますので、運輸大臣及び国鉄総裁の要請もありますし、日銀当局に対してもお願いをしたいという気持ちはありますが、こっちから日銀に何でもそういうことを言うのがあまりいいことでもありませんし、初めは、非常に大きな国鉄でありますから、無理はあるけれども、大きな飛躍をする前提であるということであるなら、まあお互い協力してひとつ消化につとめよう、こういうことでございまして、できるだけこれが消化に対しては国鉄当局の努力にまちたい、こういう考えでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いまの大蔵大臣の答弁は、六百八十八億は何かわからぬままにやってきて、いまの結論としては、国鉄もひとつ大いに努力して消化してもらおうじゃないか、こういうことなんですね、石田総裁。消化の能力がありますか。しかも、消化する場合には、これは銀行局ですか、どこかわかりませんが、たとえば特別債なら特別債の発行条件というものがきまらなければ、あなたたちはここで私の質問に答えられないと思うのです。そうでしょうな。その発行条件さえきまっていない。そういう予算を審議しろといっても、無理じゃないですか。さっきのバッジと同じだ。これは発行条件がきまっているのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 発行条件はいつでもきまることでございます。きめろといえばすぐでもきめられますが、ただ国鉄の要請もありますし、消化先の状況を考えまして、条件をよくしてやらねばいかぬ、こういうことでありまして、いま国鉄、運輸省、理財局の間でもって検討しておるわけであります。これは、消化ができるという条件でなければならないという、こちらとしては相当理解がある、というよりも、前向きの態度でいま検討しておるわけであります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 国鉄はいわゆる日銀担保適格債を、要求している。ところが大蔵大臣は、日銀にこちらからいろいろ言うのもいかがかと思う、発行条件というのは、持てるように有利な条件を考えておる。有利な条件というのは利息の問題が一つありますな。利息を上げればなるほど消化はできるが、それじゃ国鉄の負担となる。そういう大きな利息をしょっていいという形で、今日まで三兆円に近い計画はしてたいと思うのです。いかがですか、総裁。

石田實内閣官房副長官

○石田説明員 われわれの考えからいえば、要するに金になる予算をくださる、こういう了解のもとに——これはいまの六百八十八億に関連はないのですが、たとえば債務負担行為でもってまだ一向予算化されない問題もあるのですが、どうもああいうことは、国鉄としては計画を実施する上からいえば実に困る。何をやっていいかわからぬ。要するに、大蔵省は予算としてくれるなら金になるものを私どもにくれぬというと、まるでいくさをするのに食糧も武器もくれないでいくさをしろといったようなものです。これは、特に大蔵大臣が、現在の国鉄の輸送状態というものをお考えくだすって、御同情くだすって、ぜひひとつ現金になるものを、金になるものをくださるように御配慮願いたいということが、われわれの切なる希望であります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 いま総裁からお話のあったとおりだと思うのです。予算を——債務負担行為というものはあとでちょっと時間があれば触れますが、少なくとも予算に入れた六百八十八億という確定した数字が、発行条件もきまらぬ、引き受け先はよってきまらぬといういうなことで、どうして長期計画を土台にした予算が審議できるでしょう。大蔵大臣、あなたが財政の元締めでありますから、この閣議了解事項では、政府は、とにかくさっき申し上げたように、この経済閣僚懇談会で認めたところの長期計画は了解する、そうして、これの裏づけになるところの資金についても特段の措置を講ずるものとするという閣議了解事項になったわけてすね。その政府がというのだから、大蔵大臣も人ごとみたいにこれはできないと思うのです。ましてや予算を提案されているのは、大蔵大臣が主管ですから。しかも六百八十八億も中身がちっともコンクリートされてない予算などは、見たことも聞いたこともない。どうなんだろうか。債務負担行為というものは、いままで例がないわけではありません。当年度もございます。三十九年度にも、いわゆる去年のこの委員会で、四百億の債務負担行為については、ことばは悪いが、これは現金になりますか、こういう意味のことばの悪いことでお尋ねしたらば、田中大蔵大臣は、そのことばの悪いやつだけを取れと言うから、議事録から取った。そのうちたった五十億は現金化したが、あとの三百五十億は幽霊のごときものだ。ことしも三千二百億というが、その三百億はこれまた当てのない話でありますが、まあまあそれは今後の方策もあるでしょうから、片方におきます。おきますが、せめて六百八十八億は、どういう条件で発行させて、どういう形で消化させるか。これは、きちっとこの予算審議の過程ではっきりしなければならぬと思います。これはどうなっているのですか。銀行局長にお尋ねしますが、あなたはどっかの委員会で、まあ適格債はだめだ、だから、結局これは有利な条件で、金利で考えるほかないだろう、こういう話をしているが、そのとおりに考えておられるのかどうか。あなたも政府の一員だから、六百八十八億について一蓮托生だ。いかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、この六百八十八億というのは、一挙に国鉄の長期計画が大きくなりまして、財政上これはなかなかたいへんなことであります。先ほども御指摘がありましたが、千六百億財政投融資の中から出しておりますが、これは、財投全部の一割でございます。非常に大きいものであります。ですから、財政当局としても国鉄の増強のために相当努力しておるということは、ひとつお認めいただけると思うのです。今度の六百八十八億という特別債も、これは、やむにやまれずやったことであります。これは一年ずらそうか、こういう意見があったのですが、ずらせるような国鉄の状態でもない。これは、お互いが二つの重要問題を調和させるという過程においていろいろ検討した結果、とにかく国鉄も非常に大きいのだし、国鉄が歴史的なスタートを切るときだから、ひとつ消化にも努力をいたしましょう、大蔵省もひとつ大臣も努力くださいますか、こういうことだから、これは、お互い国民の国鉄なんだから、大いに努力しましょう、こういうことで、お互いがほんとうに努力した結果こういうものが出たわけでありますので、これを来年も再来年もいつまでもやって、そしてだんだんとこういうものを大きくしていこうという考えではないのであります。これは、一挙に三千億という非常に大きな国鉄の事業費を何とかして消化をするというためには、やむを得ない知恵を出したわけであります。でありますから、これが消化のためには、発行条件その他に対してできる限りの努力は傾けたい、こう考えます。また、銀行局長の答弁しましたのは、公募債でないので、日銀の適格にならないと日銀当局は言っておるらしいのであります。そういうことを申し上げているわけでありました、いま一生懸命、どうすれば一番うまく消化できるかということを、国鉄もわれわれ自身も考えておるわけでありますので、暫時御理解いただきたい。

久保三郎日本社会党

○久保委員 大蔵大臣、暫時というが、本来なら予算案を出すときにもうすでにそういうものは整っていなければいけないと思うのです。ところが、いまのお話でも、いま努力中だからちょっと待っていろということでありますが、待つには待っても、予算の処理を国会でどうするか、衆議院の段階でどうするかのときまでにそれがきまらなければ、これは予算ではありませんよ、当てのない金でありますから。しかも長期計画は、政府で、さっき言ったように、責任を持ちます、資金も持ちますと言っているが、紙に書いた数字だけ持つなら、これはだれでもできるのです。これはどうなんですか。ここ二、三月のうちに詰める考えですか。いまのお話だと、きょう御返事をいただかなければならぬ。大体これは努力してないのじゃないですか。これでは予算はだめですよ。予算の形態になっていない。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 これに対しては、国鉄事務当局とも十分話したのです。とにかく財政当局としても、この七カ年計画三兆円というものをのむのはたいへんなことです。ですから、これをのみ、しかも一挙に事業量を伸ばそう、こういうことで踏み出すのだから、国鉄も一体手があるか、こういうことでお互い検討した結果、今度の六百八十八億をのみましょう、こういうことになったわけであります。ですから、国会御審議の間に条件をきめるということは、申し上げてもけっこうです。いまそれは国鉄との問に、相手先が国鉄の関係者でありますから、一体どういう発行条件がいいのかということを慎重に考えておるわけでありますが、これが衆議院を通過するまでにそういうものはきまらなければ困る、こういう御指摘であれば、国鉄とも話し合いをし、状況を十分見ながら発行条件をきめてもけっこうであります。

久保三郎日本社会党

○久保委員 まあ大蔵大臣、衆議院の段階を通るまではとおっしゃるならば、それは当然じゃないですか。これは当然ですよ。発行条件も消化もどうなるのかわからぬで、しかも、これは見ようによっては金融市場との関係も出てくるのですよ。その問題は別にしても、この国鉄問題だけにしぼってみても、しかもこの三千三百億というか、三千億は、三兆円が全体計画なら、これは一割ですよ、しかも、これは膨大なものだと言うが、三十九年度予算のときに改良計画、事業費を一千億削っているのですよ。ちっとも多くないのです。国鉄全体の流れから見ていけば、実際は多くない、少ないのです。だから、各省で問題を起こしているのです。しかも今度多くつげた、多くつけたと言うから、多くつけたのでしょう。しかし、その中に六百八十八億不確定の要素が含んでいるのですね。不確定要素です。不確定要素を土台にして予算を審議されるということは、ちょっとどうかと思うのです。国会軽視じゃないですか。消化に努力するなんということじゃないのです、これは。こういう予算では、予算の形態ではないのです。なるほど組んではもらったでしょう、国鉄も。だから、大体国鉄総裁に最後に聞きたいのだが、あなた方がこれを相談するというが、けっこうです。その予算でひとつ国会へ出してもらいましょうというときの約束はどうなっているのですか、六百八十八億は。いま大蔵大臣が答弁したのと同じならば、答弁は要りません、時間がありませんから。どうなんです。

石田實内閣官房副長官

○石田説明員 どうもこれは国家財政にも限度があるので、必ずしもわれわれは自己の主張だけを突っぱるわけにはいかぬ。要するに、大蔵大臣でも、今日の通勤、通学の交通地獄、国鉄の過密ダイヤ、その底にひそんでおる危険というものについては十分御承知のことだろうと思うので、われわれの立場を十分御了承くださって、とにかくわれわれの希望を達成してくださるように十分御尽力くださるものと私は信じている。

久保三郎日本社会党

○久保委員 運輸大臣、あなたのさっきの答弁は、少し違っているじゃないかと思うのですよ。大蔵大臣の話とも違うし、石田総裁の話とも違う。しかし、あなたは所管大臣だから聞きたいのだが、六百八十八億は、予算の原案をまとめるときにどういう約束になっておるのですか、いかがですか。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○松浦国務大臣 いま国鉄総裁の言われましたように、日本の財政にも限度がありますことは十分わかっておりますが、この三千億の中の六百八十八億というものは、大きなウエートを持っているものでありますから、大臣と懇談いたしまして、担保適格債を含めてあっせんするということは承っておりますので、そのことばを信じております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そうしますと、運輸大臣の答弁と大蔵大臣はまた違うのですか、担保適格債を含めて消化に努力するという約束だったのですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 ええ、そうです。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そういうものを含めて今後検討されるか知りませんが、少なくともここ二、三日の間にわれわれの国会審議にちっとも役に立たぬで、最後にいって——これは予算じゃありませんから、われわれの見る目では。大蔵大臣は予算とおっしゃるけれども、六百八十八億は予算じゃないです。まだ予算じゃない。数字ではある。三千億の中の六百八十八億、数字ではあるけれども、予算じゃない。そういう条件を整えることができますか。できなければ、予算委員会はこの辺で切り上げておいたほうがいいんじゃないかと思う。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 切り上げないようにしていただきたいと思います。そのほかにもたいへんなものがございますから、一日も早くというものでございますので、審議をお続けいただきます。この六百八十八億という問題に対しては、これは、国鉄の七カ年計画という非常に大きなものをのみ、そして第二のスタートを切る、こういうときに、財政上もなかなかたいへんな事態でございますので、やむにやまれずやったことであります。しかし、これが消化ができないということでは困るので、消化をするためにどうするかということで、国鉄事務当局ともよく話をしたのです。その中で、いま運輸大臣は、日銀の適格債に全部する、こういう話だったよ、こういうことをいま言っておられますが、私はそのときに事務当局との話、磯崎副総裁等の話で、少なくとも二分の一くらいは適格債にしてもらわないと、なかなかうまくいかぬかもしれませんよ、こういう話があったことは事実です。私も国鉄の再建の重要性ということは大いに認めておりますし、新線建設公団に対してはとにかく一挙に二倍以上、二倍半に事業量をふくらしておるというぐらいに積極的な鉄道論者でありますので、まあお互いが努力をして、とにかく苦しい中から前進しよう、こういう話をしたときに、大蔵大臣、そういう気持ちであるならばよろしゅうございます、こういうことでこの話がまとまったのでありますから、私は、一年間を通じてこの六百八十八億の消化はできるという自信がありますし、そういう考えでおります。私自身もこれに大いに協力したい、こういう考えでありますので、事情御了承いただきたいと思います。

青木正自由民主党

○青木委員長 久保君、お約束の時間がまいっておりますので……。

久保三郎日本社会党

○久保委員 これだけにします。時間がきましたので申し上げますが、いまのお話では、何か腹で六百八十八億はじいたような話でありますが、そういうことでは、さっきから繰り返すとおり、予算の審議の材料としてはぐあいが悪いのではないか、こう思うので、特に三百億の債務負担行為を含めて、これは、この予算審議の過程においてやはりはっきりしてもらわなければいかぬ、こう思うのです。ついては、特に六百八十八億の発行条件というか、消化の条件というか、こういうものをこの予算審議の過程において今後はっきりさせていただきたいと思うのですが、いいですか。引き受けますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 予算審議をいただいておることでございますから、できるだけ早く決定をいたします。私のほうは、ただ引ぱっておったわけではなく、実情を十分調査をして、国鉄側の意向を十分知りたいということで慎重にやってきただけでありますから、できるだけ早い機会にこれを決定して、御審議に妨げのないようにいたします。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて久保君の質疑は終了いたしました。(拍手)  この際申し上げますが、これより続いて御質疑を願う神近市子君及び大出俊君の質疑の持ち時間は、二人で二時間ということになっておりますから、あらかじめ御承知の上御質疑をお願いいたします。  それでは神近市子君。

神近市子日本社会党

○神近委員 いま石田総裁がちょっと交通地獄というようなお話をなさいましたけれども、私も過密都市の交通対策について、総理がおいでにならないから橋本官房長官、それから臼井総務長官、大臣大蔵兼外務大臣、それから運輸大臣、法務大臣に非常に制約された時間でございますが、二、三御質問申し上げたいと思います。  御存じのように、おとといは公開取り締まりが行なわれましたのに、八名が死んでおります。それで、私がちょっと計算してみて、昨年末の死者の状態で勘定してみましたら、十年ぐらいすると、大体百人のうちの十人くらいが——三五%というものは小学生以下の子供ですから、まあここに何人おいでになるかしれませんが、二百人おいでになれは、二十人ぐらいは片目であったり片手であったりというような状態が起こると思うのです。佐藤総理は、施政演説でこの問題をたいへん大きく取り上げて、必ずこの対策をやるというようなことをおっしゃったのですけれど、きょうおいでにならないので、それはただ演説としておっしゃったのか、それとも本気でやる計画があるのか、どなたかお代理の方のなにを伺います。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 私のほうに交通対策本部がございまして、私がその本部長をいたしておりますので、私からとりあえずお答え申し上げます。  本年の一月五日の初閣議の際に、総理から人間尊重の基本的な理念に基づく、また、社会開発の一つとしても、いま非常に交通事故が多い。したがって、これに対して徹底的な対策を講じて、交通事故ゼロを目ざして対策を講じていかなければならぬというお話がございました。さっそく十四日に、すでに昭和三十六年からできております交通関係閣僚懇談会を開きまして、交通事故防止徹底に対する緊急対策要綱というものを私のほうでつくりましたので、それを閣僚会議にかけ、また閣議にも御報告申し上げました。そうして、この要綱に沿いましていたしておるわけですが、もっともこれは総理の御発言前にも、すでに昨年暮れから正月にかけては、例の毎年通勤者が国電等で非常に込みますので、その対策を講じなくちゃいかぬ、それの一環として、また交通安全の対策を講じなくちゃいかぬというので、総理御自身も新宿の混雑状況等を御視察になりましたので、あらかじめわれわれのほうでもそういう点には十分関心を持ち、それぞれの施策を講じ、また昨年の三月には、一年半にわたりまして調査した研究結果が、島田孝一先生が会長であります交通基本問題調査会の答申の中にも、この交通安全に対する対策の詳細な答申が出ておりますので、それに基づきまして、各関係の省庁においてもそれぞれの施策を講じておったのでございますが、いま申し上げたように、総理が一月五日に、人間尊重という基本の理念に基づいて強くこの機会に推進してまいりたいということでありましたので、そこで、近く交通安全国民会議というようなものも開催して、そうして、国民運動的に盛り上げていきたい、こういうことで着々実施に移っておるわけでございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 道交法の改正にいまのお返事はからまっていたと思うのです。道交法の改正が新聞なんかでもいろいろ出ておりますけれど、これは運輸大臣ですか、あるいは警察庁長官か、どういう要綱で変えていこうとなさるのか、それをさっと伺いたいと思います。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 道交法の改正につきましては、すでに昨年の春であったと思うのでございますが、この改正をいたしまして、やはり相当強く規制をしなければならない、こういうことで改正をいたしました。そして、かつては欧米各国から見ても多少ゆるかったような道交法をさらに強化をいたしましたので、今日では欧米に比しても遜色のないというか、強化された道交法になっております。  それから、これは法務大臣のほうのあれでございましょうが、刑罰的な面におきましても研究いたしまして、目下法務省において研究されているというように伺っております。  以上でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 罰を強化する、それからいろいろあったようですけれど、その中に点数制というのがあるわけなんです。これは、法務省の管轄なんですか、運輸省の管轄なんですか。点数を出して、それによって減点していくということです。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 それは、警察庁のほうの管轄でございますので、いまのいわゆる。ポイント・システムということでございましょうけれども、係のほうから御答弁申し上げます。

神近市子日本社会党

○神近委員 これは昨年の六月だったと思うのですが、私は地方行政で質問したことがあったのです。そのとき高橋という交通局長がおいてになって、そして、いろいろ問題があったのですけれど、その交通局長が昨年の末に事故にあってたいへん重傷を負われたことがあった。この方がその点数制のことをどこかでお話しになっていたのですけれど、その点数制というものの内容ですね。これは三年ごとにかえていくのか、あるいは一生その人の点数となるのか、どういうシステムであるか、そして合理的なのか、ちょっと御説明願いたいと思います。

江口俊男警察庁長官

○江口政府委員 お答えをいたします。  いわゆるポイント・システムというのは、交通違反の累犯者の対策としてきわめて効果的なものであるということで、外国でもやっておる例もございまするし、日本にもこれを取り入れて、近い将来に採用をしたいという方向で作業いたしております。ポイント・システムのねらいは、ただいま申し上げたように累犯対策でございますので、交通法令違反につきまして、違反の類型別に交通事故に結びつく危険性の見地から評価した点数を定めておきまして、運転者に違反があれば、その違反類型について定められております点数を与え、その点数が一定の点数に達しました場合に、それぞれの点数に応ずる行政処分を行なうというような制度でございまするから、人によっては一年目にその処罰がされることもございましょうし、また人によりましては、二年目、三年目というような場合にその結果があらわれるというふうになろうかと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 ちょっとその説明がよくわからなかった。人によってというのはどういうわけなんです、一年とか、三年とか、ある程度一定しなければならないということは。  それからもう一つ、これは長官にお尋ねしたいのですけれども、その制度の中に安全運転管理者というものをつくる。これは十台以上の自動車を持っているところにこういうものをつくるという案が出ているようですけれども、それはほんとうですか。

江口俊男警察庁長官

○江口政府委員 お答えをいたします。  ポイントシステムにつきましては、考えられるいい方向だということで検討いたしておりまするが、今回の道路交通法の改正には盛っておりません。したがって、今国会で御審議を願う対象ではございませんけれども、私が申し上げましたのは、持ち点というものをきめておいて、とにかくスピード違反なら何点、あるいは駐車違反なら何点というようなことで、これが百点に達したときにそれに相応する処罰をする、制裁をするというような考え方でございまするから、その百点の持ち点を一年で使い切る運転手も出ましょうし、またその半分しか法令違反をかりに重ねない場合は、その二倍の期間処罰をされないというようなこともあろうかと考えまして、人によって時期は違うということを申し上げたわけであります。  それから、ただいま安全運転管理者のお話が出ましたが、これはまさしく今国会に近く提出をいたしまして御審議を願う法案の一部でございまして、相当数の自動車を使っているところでは、個々の運転手だけの注意だけでなしに、また最高の社長とか重役とかというものの責任というだけでもなく、とにかく車について総合的な直接の安全のための管理をする責任者をきめてもらって、その人に安全運転管理者としての直接的な責任をとってもらおう、こういうような考え方で、これは、今回の改正案に入れまして御審議を願う予定でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 そのことに私は非常に危険性があると思うのです、安全運転管理者というものをきめておくことに。というのは、あとでまた御質問申し上げることがあるのですけれども、そういう管理者は、いつでも自分の勤務しているところの利益はかりはかって、被害者に対して一つも考慮がない。なるべく話を穏やかとか、内緒で話をつげる、そういう役目をするのですよ。ですから私は、これは決して交通の被害者あるいは安全運転ということにはプラスしないと考えている。これは私は考えていただきたい。これはたくさん例が出ております。ここにいろいろ材料を持ってきておりますけれども、私の時間が非常に少ないというので、このことだけいま申し上げて、また運輸委員会か何かで御意見を伺うということになるだろうと思います。  この問題で最近一番大きな事故として国民に反映しているのは、韓国の銀行員の鄭奉君という人ですか、その人がひかれたということがあって、しかも、それは菅谷何がしというちょっとたちの悪い運転手が、この死体を市川まで運んでいって埋めたということがあるのです。このときは外務大臣が代理を立ててお悔やみにいらしたということがあったのですけれども、たいへん何か変な話かもしれませんけれども、そのときは手ぶらでおいでになったのですか、何か多少のお金を持っていくということがあったのですか、ちょっとそれを伺いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 政府といたしましては、このような不詳な事件が起こることはまことに遺憾でございます。本件を承知いたしました翌日、外務大臣の代理の者が韓国代表部におもむきまして、深甚なる哀悼の意を表しますとともに、葬儀には外務大臣名で花輪を捧げております。しかし香典等のものを出してはおりません。

神近市子日本社会党

○神近委員 この奥さんか日本に遺骸を受け取りに来られて、そして、日本人からもらった香典の中から、十万円を都に寄付していられる。ですから、国民のほうは政府よりも敏感で、何をしなければならないかということを知っていて、方々から香典が集まった。幾ら集まったかそれは知りませんが、集まっているそんなら花輪を上げたというようなことよりも、私はもっと実質的な援護をすべきだと思う。子供さんが三人で、奥さんはまだ若い奥さんであります。朝鮮銀行で何かするかもしれないけれども、またこれはしないかもしれない。国家賠償法の一条には、公務員の違法あるいは過失によって起こったことは国がこの賠償に当たるというようなことの規定があるのです。ところがあの鄭さんの問題は、事故を起こして免許状をとられて、そうして何か交通切符で歩いていた。そうすると、これをつかまえることができなかったというのは、日本の公務員のこれは故意じゃないですよ、故意じゃないけれども、過失の一部になるのではないかと思うのですけれども、その点はどうでございますか。故意ではありませんけれども、少なくもそういう青年が、交通切符で車を借りて歩いていた、そのことを発見できなかったというのは、手落ちというようなことになるのじゃないか。そうすれば、この国家賠償法にこれは幾らか当たるのではないかと考えられませんか、それはいかがでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 本件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、外務大臣といたしましては代理を立てて、はなはだ遺憾であるということで遺憾の意を表明いたしておりますし、また葬儀にも花輪を捧げておるわけてあります。これが国家賠償法と関係があるというふうには解しておりません。これは、違反者が車を運転しておって事故を起こした、そういうこと、あります。そうすれば、その違反をとらえなければならない立場にある政府の究極においては責任じゃないか、こういうことでございますが、国家賠償法はそのような規定をしておるのではないわけでありまして、国家公務員が国民の権利を害したという場合に国家が賠償しなければならないということでありますので、今度のこの事件が国家賠償法に該当するものだとは考えておりません。

神近市子日本社会党

○神近委員 お考えにならないからそうなさったと思うのですけれども、国民はおそらく非常に済まないことをしたというふうに考えておるでしょう。これは一人の青年のあやまちだけでなくて、それで香典が集まったのであろうと思うのですけれども、私は、そういう場合に、政府のほうが国民を代表するというならば、まあこれは国家賠償法に当たるかもしれないというのが私の考え方なんですよ。それで、あなた方は割り切ってしまって、そして、その国家間、国民間の感情というようなものを無視しておいでになる。私は、その点はいま申し上げたように、何かの形でやったらどうか。これは、子供を三人かかえていて、銀行員ですよ。あとのことを考えれば、ああ、あれは日本の悪い青年がやったのだからというふうに考えさせるべきじゃないということで、何かの方法がないかということから国家賠償法ということを私は考えたわけなんです。そういう点はどうです。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 お気持ちは非常によくわかります。お気持ちは非常にわかりますが。政府の責任ということになりますと、おのずから限界というものを示しておかなければならぬということは事実でございます。日韓交渉中でもございますし、また韓国だけではなく、外国に対してもそういう犯罪、本件はまさにその犯罪でございますので、犯罪が行なわれたことに対して非常に遺憾であるという立場はあなたと同じ気持ちでございます。ただそれが、国家賠償法のような気持ちでもって、何らかの金銭賠償を行なうとか、そういうことまでやらなければならぬのかということになると、おのずから限界があるわけであります。これは外国人だけでなく、違法行為をもって、スピード違反をしているオートバイにはねられた日本人も同じでございます。でございますから、これは、外交上の問題としてはいろいろな問題がございまして、外務大臣としても代理を立てて深甚な遺憾の意を表明しているわけでありまして、この上に何らか金銭的な、物品的なものをやるということになりますと、これは限界を越えるものだということは申し上げなければならぬと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 その話はやめましょう。ともかく花輪を上げるというような考慮があるならば、何かの方法で考えてはいかがかと、これは、私ども国民の一人としての感じ方です。  同じように問題になりましたのは、例のマレーシア大使館のアヤトリ事務官の問題が出てくるのですけれど、ちょうど一昨日が吉野順博さんの一周忌でございました。それからお母さんがそのためになくなった。これは、多少外務省を御非難申し上げたいのですけれども、偶然にそれの四十九日だった。忌明けであったということがあるのです。私は、このあとで条約局長かどなたかにお話を伺いますけれど、これが新聞記市になって問題になってから、マレーシアの大値さんが非常にいい態度に出ておられますね。いろいろ問題があるけれど、誠意で解決したい、こういうふうな話が出ているようです。大蔵大臣は臨時の外務大臣ですから、その問題はあまりタッチしておいでにならないと思うのですけれど、外務省のほうでどういう話し合いをしているか、あるいはどの程度話が進んだかということを、だれか知っている方がないでしょうか。

高野藤吉大臣官房長

○高野政府委員 お答えいたします。  こういう事件が起きましたことは、非常に御遺族の方にお気の毒と考えている次第でございまして、事件が起きまして以来、外務省といたしましてはマレーシアのアヤトリ書記官と御遺族のほうとの、いろいろ保険金の取り立てにつきましてあっせんをしているわけでございます。それから東京におけるマレーシア大使及び大使館に対しても、これを穏便に早く御遺族の満足のいくように解決するように、いまだにこれをあっせんしているような状態でございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 これは、外務大臣に頭に入れていただきたいのですけれど、外務省は何と言ったって、アヤトリ事務官は、最初のうちは非常に好意的な話で解決したい、自分は一万ドルの保険金しか出していないから、足りなければ月賦ででも払うとまで吉野家に行って言っているのです。それが昨年の四月一日になりますと、突如として、外交官にはそんな義務はないということだからというので、あれは話を打ち切ってしまった。そして、この間参議院で問題になったときには、条約局長やいろいろな人がおいでになって、いろいろなことを言っている。必ざしも自分たちがとめたわけではないと言っていらっしゃるのですけれど、あの吉野家との交渉の過程を聞くと、外務省のだれかが——局長ではないかもしれない、また、もちろん大臣ではない、だれかがウイーン条約による外交官特権というものを教えたのではないか。ところがウイーン条約をよく読んでみると、必ずしもアヤトリ事務官の場合があれに該当するとは考えられないのです。ウイーン条約の三十一条のCです。「外交官が接受国において自己の公の任務の範囲外で行なう職業活動又は商業活動に関する訴訟」、こういうものは別だということが書いてある。それからもう一つ、これはこの条約の解説のほうでありますけれど、オッペンハイマーのインターナショナル・ローという解説書があって、それの第一巻のところに、外交官の特権は代表する国家に与えられるものであって、個人に与えられるものではない。外交官はいかなる点においても受け入れ国の法律上の保護下にあると考えられねばならない。これはもちろんのことですね。外交官は自分が好きなことをする権利を持っているということをこれは意味してはいない。私は、外務省の方々に、この外交官特権というようなことだけでなく、よく頭に入れておいていただきたい、こんな考え方をすれば、かえって外交官としての任務の障害になる。これはオッペンハイマーの説でありますけれど、これは条約の簡単な文句だけにとらわるべきでないということ、そして、一つの例として、この解説書にはこういうことが書いてあります。一九三五年にアメリカで起こったことであります。アメリカのエルクトンというところでイラン大使の車がスピード違反をした。それで、警官がこれをとがめたところが、イラン大使が大きな声でどなるか、おこったかしたらしいのです。それで警官がイラン大使の手に手錠をはめて、全員警察署に連れていった。もちろん、これは警官が条約なんということを知らなかった結果であろうと思うのですけれど、そのイラン大使館からの抗議が出て、そして、政府としてあやまりはしたけれども、また別の声で、これに注意したということが書いてあります。暗に外交官としての特権は、その人が派遣されている国の法律と行政に細心に従う義務があるということを、公式的にはそれは言えなかったかもしれないけれども、ともかくそれとなく言ったという例が出ている。これはオッペンハイマーの考え方であり、また条約というものを行使する場合の考え方でなければならないと私は思うのです。そのアヤトリ事務官の問題に対して、アヤトリ事務官は初め非常に丁重に自分の過失をあやまって、一万ドルはかけてありますから、足りない分は月賦ででも払うということを言っていたのに、私はだれかが、この外交官特権というものを振り回して、あなたはそれにはかからないというように教えて、一万円香典を持っていったということですけれど、それ以外のことはなくて、せっかくイギリス保険団からの松浦という人と話し合いをしながらこれを支払わなかった。これは、私はやはり日本の外務省のだれかが、条約局長とか、あるいは儀典長でないだれかが、これを押えたというところがあると思うのですけれど、どうお考えになりますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 この問題につきましては、外務省が外交官特権というものを教えたという事実は全くないということだけは明らかにいたしておきます。あなたもいまだれかがと言われた。だれかがといえば、まあ専門的に知っておる外務省のだれかが教えたのではないか、こういう御発言でございますが、これは、調べてみたがそういうことはないということでございます。  いまのこの問題について申し上げますと、あなたがいま引例されたものは二つでございます。  一つは、ウイーン条約の規定によるものでございますが、これは、御承知のとおり、このような事件が起きても民事裁判権の免除ということでございます。しかし、免除は、当然その流遣国が免除を放棄すれば法律に付さなければならぬわけでありますが、このウイーン条約に対しては、こういう外交官特権が与えられておるのであります。  しかしウイーン条約ももう一つのオッペンハイマーの国際法による、いわゆる国連等でやっておりますものが新しいものだから、こういうものを準用すべきだ、そういうものの考え方に対しては私はわかりますが、ただ法律上の規定からいいますと、この後段の規定は、みだりに外交官特権というものを認めておるものではなく、職員の個人の一身上の便宜というような場合には、これを許与しないということになっておりますので、派遣国は、一定の条件に該当する場合にはこの恩典を受けないということを言わなければならないという制限規定がございます。でございますので、姿勢としては、新しいものに対しての姿勢はよくわかりますが、あくまでもウイーン条約に規定しておりますものは、先ほども申し上げたとおり、外交官特権を十分認めておるということであります。しかし、事実問題としては、いまイギリスの保険会社に一万ドルの保険金が掛けてありまして、できるだけ早い機会に保険金の支払いを受けたいということでいま努力をいたしておるわけであります。重ねて申し上げますが、外務省がこの事件を起こした外交官に対して、こういう条約はあるし、こういう特権があるので、あなたは支払う必要はございませんというような入れ知恵をしたり、そういうことをした事実は全くないと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 そうおっしゃるだろうと思っていたんですけれど、参議院でも同じことを条約局長は言っていますよ。電話でイギリスの保険団に聞きましたところが、外務省が教えてくれたということはありません。だけれど、その前にちゃんと電話を吉野家にかけて、外務省に行ったら、そう言うからやめることにするというので、あの人はこれを解消してくれというふうなことを——あとになってそんなことを言わなかった、電話でそれは確認したなんて言ったって信用できないのです。私は、その点で、このアヤトリさんというもののそのときの行動が公務ではなかったと思う。この条約を見ると、人心、それから居宅、それから通信あるいはそのほかの運輸、そういうものに対する保護の規定はありますね。だけれど、あのときの行動を考えると、これは私は任務ではなかったと思うんです。ともかくあのときに乗っていたのは、アヤトリさんとそれから日本人が、マレーシアの大使館ですか、そこに勤務している人が、女が一人、男が二人、そうして外務省の役人が二人ということになっている。こうして、これからもう一ぺんキャバレーにでも行こうかというので、運転手には運転をさせないで、自分たちが運転していっていたというふうに想像される。これは公の任務ではありませんよ。大使館だったらちゃんと運転手があって、お酒なんか飲んでいない運転手がちゃんと運転するはずなんです。ところが今度は、これからもう一ぺん飲み直しに行こうじゃないかというところではなかったかと私は思う。そうすれば、これは公の任務で、この条約による保護を受ける立場ではなかったというふうに考えるけれども、きっと大臣は、そうではない、公務の一部だとおっしゃるから、これはやめることにします。  私はもう一つ問題にしたいのは、このときばかやろうと言った。そうして、どぶに落っこちている被害者を抱き起こしたり、上げたり、それから救急車を呼んだのはそのとき通りかかったタクシーの運転手ですよ。タクシーの運転手がそれを手伝った。斉田さんという人ですか、村岡さんという人と斉田さんという人ですけれど、私この個人を非難したくないけれど、外務省の役人がただ酒を、何を飲んだか知らないけれど、よその公館に行って飲んだ。人を殺せば、事故を起こせば酔いは一時にさめるというものでしょう。その酔いがさめないくらい酔っぱらっておったという。そうでしょう。それは、私は、その公館に対するエチケットとしてもどうかと思うし、それから、一体外務省というところは、いろいろ国家の秘密だとか、外交上のいろいろな申し合わせとか、内輪にあるはずでしょう。そういうものをかかえている人がこんなに酔っぱらって、前もうしろもわからないでいるということは、一体どういう考え方だろう。これは総理大臣なり、椎名外務大臣なりいらっしゃれば承りたいのですけれど、おいでにならないから、しかたないから外務大臣代理にお伺いいたします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 どうも神近さんのお話を聞いておると、たいへんなことのようでございますが、私はその事実を承知いたしておりませんので……。まあいずれにしましても、公務員には重大な任務があるのでありますから、外交上、まあ酒の強い国とおつき合いをすれば、どうしてもよけい飲まなければならぬということもあると思いますが、しかし、全く飲み過ぎて任務が行なえないというようなことは、これは厳に慎むべきであります。これは一外務省だけのことではなく、政府全体として、任務に対しては姿勢を、正していくべきだと考えます。

神近市子日本社会党

○神近委員 まあしかたがないから、そのくらいにして、また他日この点はやります。自己を忘れるほど外交官は飲まないほうがいいのじゃないか、どうしても足りなければ、自分のうちに帰ってまた飲み直せばいいのだからということになるのです。  今度は、私、臼井総務長官にちょっとお伺いしたいのですけれども、臼井さんもお妹さんを交通事故でなくされたということを伺っておりまして、御同情にたえないところでございます。それで、ちょうど先月の十八日に第一議員会館で、全国から百名ばかりの被害者と遺族の方がお集まりになって、そして交通事故遺族常設会議というものをおつくりになった。そのときに決議ができまして、要請書を両方の議長、それから総理大臣に提出したのですけれども、そのことについて何かお聞きになっていることがございますか。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 お答え申し上げます。  そういう被害者の会が開かれて、陳情書も持ってきたように聞いておりますので、私のほうでそれはすぐ担当のほうへ出しまして、内容を十分検討して善処するように申しておきました。

神近市子日本社会党

○神近委員 そのときの出席者の中には、自分の子供さんをなくした方々が大ぜい出ていらしたのです。お一人は青山大学のガントレットさん、この方は、イギリスに留学に出る十九になるお嬢さんをその三日前になくしておられます。それからもう一人、伊藤忠の財務次長をしている増田さん、この方は、男のお子さんをニューヨークでやはり事故によって殺され、そして、アメリカのそういう交通事故に関する問題についていろいろよくわかっていらっしゃる。もうお一人の方は、やはり交通事故に子供をとられて、例の風船によって酔っぱらいを発見する、あれの考案をした。そういう方々が大ぜい出ていらしたのです。そして、その要望の一つに、今度おつくりになる交通安全国民会議に、この遺旅の者あるいは被害者を出してもらいたいという、要望があった。ところが、その決議文が行っているにもかかわらず、新聞を見ますと、その中には被害者は入っていないのですよ。逆に、これからいろいろ申し上げますけれども、業者というような人たちは、安全協会なんていうようなところにはみんな入って、自分たちに有利なようにこれをやる。そういう人たちは入っているけれども、被害者は入っていない。この交通事故をなくするということに最も熱心であるのは、自分の子供を殺され、あるいは夫を殺され、妻を殺された人が一番熱心なはずなんです。ところが、それが入っていないというのはたいへんおかしいと私は思う。それで、きょうは総理がおいでになれば、私はこのことをぜひお願いしようと思っていたのですけれども、このガントレットさんという人は、おとうさまがひょっとしたら総理の高校時代の教師をしていらした方であります。たいへんりっぱな方で、最近二年イギリスに帰っていた。その出発前に娘さんを交通事故でなくしたものですから、あちらの交通事情を非常によく調べてきておいでになる。こういう人たちをオミットしてこの国民安全会議というものをおつくりになるべきではない、そのことをぜひ私はお願いしたいというのが一点であります。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 ただいまの来月十三日に予定されております全国安全国民会議、この趣旨は、交通事故防止につきましては、これは、政府の施策だけでは防止の実も十分上がりかねる面もありますので、どうしても実際の交通に従事している方方、国民の皆さんの御協力を得て一つの国民運動として盛り上げなければ効果が上がらぬじゃないかということで、実はこの構成につきましては、御出席いただく方につきましては、交通安全に関連をするような、つまり交通に関係のある一つは業者の団体、それからこれに従事されている労働者の方々の団体、あるいはまた交通安全のために平素から協力されているようなそういうような団体、PTAとか学校方面、こういう団体の責任者の方に御出席をいただいて、そうして、その御意見を伺うとともに、みなでひとつこの安全運転を盛り上げていこうじゃないかというようなふうに持っていきたいというのが、実はこの会議を開く趣旨でございます。したがいまして、その議長にも総理がおなりいただくというようなふうに考えております。したがって、いまのお説のとおり、被害者のほうの声も反映することが非常に重要であることはもとよりでございます。そこで、実はいまお話しの団体につきましては、先般会合があったということは伺っておりますが、この団体につきましては、従来交通事故被害者の会全国連合会というものがございます。したがいまして、それのほうにお願いをいたしまして、そのほうから代表をされる適当な方を場合によっては一、二名とか、そういうふうにいたしまして、決して被害者の方々の声を無視するというようなことではございませんで、その中にそちらのほうから代表を出したらよかろうということで目下検討中でございまして、被害者の声を反映するということにつきましては、御趣旨のとおりいたすつもりでございます。

神近市子日本社会党

○神近委員 いま古い団体の名前が私頭によく入りませんでしたけれども、既設のたとえば日本交通安全協会、あるいは東京交通安全協会というようなところに非常にいろいろな弊害が起こっているのです。これは、あとで運輸大臣に御要請しなければならぬことが起こっていますけれども、この間昭島というところで市会議員が事故を起こした。この人は、何年かの間免許状なしでやっていた。どういうことかというと、おれは安全協会の理事だから、なくったって何ともないのだ、警察は文句を言わないのだと、これは非常に不明朗なる会なんです、この安全協会というのは。参議院議員の津島さんが会長をしていて、久留島秀三郎という人がこの副会長をしている日本交通安全協会というのがあります。この趣旨は非常にいいのです。ところが、その下に東京交通安全協会というのができまして、そして、東京都下に、五、六十カ所の支部ができております。そしてそこで何をやっているかというと、材料はいろいろございますけれど、ともかくもこの安全協会というところに業者から相当の寄付金ももらう。それから、運転手で免状をもらっている者からは月に百円ずつの会費をもらう。三年に一回行ったときには、これが三百円かそこらをもらう。また人によっては十円ももらう。そうすると、その金が何に使われるかというと、まあガードレールができるとか、全部交通の交差点における標識になるとか、そういうようなことに使われればいいんですけれど、大部分を非常におかしな使い方をしている。この間私のところに来た方が、京都府では年間に四億円のお金が集まると言う。私はちょっとそれは大き過ぎると思って、あんまり実はそのことは調べなかったのですけれど、その一例でもわかるように、そういうことが起こるんです。私が昨年の六月この問題を地方行政委員会でやったあとで、警官から手紙が三通来まして、そして、一通は警官有志一同という署名がありまして、警視庁の用紙が使ってあった。これは、私そのときにもう少し交通問題をやろうと思っていましたから、ここに刷ってあります。この警視庁の役人、善良な警官たちが何を考えているか、そしてあの交通安全協会というものに何があるかということを私はわかっていただきたいと思って、御要請があれば差し上げられるように、ここへその刷りものを持ってきたわけなんです。それで、今度あなた方がこの交通安全国民会議をおつくりになるということが発表されたら、もうすぐ東京交通安全会議ができているじゃありませんか。あれが、東京都のやり方が非常にいままでも不明朗であったということで、その支部をおつくりになるときによほどこれは考えていただかなければ、この交通安全協会のようなことになる。この前、安全協会の中には暴力団と組んで、そして業をやっている人があるじゃないかということを申しましたら、高橋交通局長は、それは否定しません、そういう向きもありますということでした。私は、不明朗だと思うことは、争議が起こる、そうすると、その暴力団を使って取っ組み合いか何かあるのを、警察がぼやっと見ていて手を出さないのです。そして、たくさんの負傷者を出したという事件がある。ところが、その人が、この間おかしなことに藍綬褒章をいただいている。これは、ほんとうのところおかしいんですよ。これは、個人の名前は出しませんよ。それで、たいへんりっぱな住宅に住んで、そして、タクシー会社の看板と並んで東京安全協会何々支部の会長、こういう看板がかかっている。そういうことが一体想像できるかどうか。私は、ぜひこれは警察庁の長官にもお考えいただきたいのですが、これは警察にまかせないで運輸省がお受け取りにならなければこういうことになるということ、ぜひこれは考えていただきたいと思うのですけど、いかがですか。それは、この前の質問のときにも申し上げた、これは管轄として運輸省にまかすべきじゃないかということを申したのですけれど、運輸大臣は、それを自分のほうによこせというくらいの——この実態の調査は幾らでもしてありますから、それを言い出すくらいの、正気を持っていらっしゃるかどうか、ちょっとあなたのお考えを聞かせていただきたいんです。

松浦周太郎自由民主党運輸大臣

○松浦国務大臣 神近委員にお答え申し上げます。  先ほど来臼井総務長官からお話がありましたように、今年度は一月の五日の初閣議から人命尊重に対する問題が議題になりまして、交通安全国民会議を開くということが決定されて、臼井さんの手元でそれぞれ進行中であります。いまのお話を聞きますと、それがまたそういうものにそういう看板を引き込まれてしまいはしないか、いわゆる乗っ取られやしないかというようなことでございますが、われわれのほうといたしましては、多分いま一万三千人ぐらいになっただろうと思いますが、十二月は一万二千八百人ぐらいでありましたが、こういう日清戦争よりも多い犠牲者を出している現況におきましては、これはわが内閣の重大な政策の一つでございますから、真剣に、そういうものにじゃまされないように、どこまでも内閣の意思を縦貫していきたい、かように思っております。と同時に、私の所轄外になると思いますから、これはひとつ省内で省議を開いても総理大臣の認可を得なければ、いまここで私一人で引き受けますということを言いかねるのでございます。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 ただいま神近先生からいろいろ交通安全協会についての、何かよからぬことがあるやのお話がございまして、私は、まだそのことにつきましては承知いたしておりませんが、十分また調査をいたしまして、そういうことのないように、その監督方面の者にもひとつ十分連絡をいたしたいと存じますが、ただ、まあ先刻申し上げました交通事故被害者の会全国連合会は参議院議員の野本品吉先生が会長をしておられまして、それから、いまお話の交通安全協会の全国的な組織だと思いますが、全日本交通安全協会等も主催いたしまして、一月の十九日に慰霊祭をいたしました。それからまた、被害者の更生懇談会等もいたしまして、私もその懇談会の席には出たのでございますが、したがいまして、協会と連携はしておるのでございます。全然一緒だとは思いませんが、ただ、私承知しておる範囲では、交通安全協会は、確かに運転者から、運転免許の書きかえ等の際に講習を行ないまして、その機会に会費をとる。私も実は免許証の書きかえのときに講習を受けて、その会費を払ったこともあるのですが、そういうことでもしなければ会費が集まらないからだと思いますが、そうして運転者に講習をやったり、春秋二季の交通安全運動の際には、それに協力をしていろいろ運動もやっているようでございまして、ただ、全国に数多くありますから、あるいはお説のような不届きなことがないとも限りませんから、十分ひとつ注意をいたしたいと思います。

青木正自由民主党

○青木委員長 神近市子君に申し上げますが、大体一時間経過いたしました。次の質問者もおりますので、結論をお願い申し上げます。

神近市子日本社会党

○神近委員 私は、まだ自動車の保険の問題でお尋ねしたいのです。さっきはずいぶん時間の延長があったようでしたけれど、もうちょっとやらしてください。  ともかく、そのときの要請に、被害者の補償をもっと高くしろということが一項目入っていたわけなんです。それから、ほかに弁護士協会あたりから、昨年の二月から百万円になった保険の補償を三百万円にしてくれという要請が出ているはずです。これは、だれか聞いていらっしゃいますか。

臼井莊一自由民主党総理府総務長官

○臼井政府委員 ただいまお話しの自動車事故の被害者の救済の一つの方法でありますが、これは、御承知のように、自動車損害賠償保障法に基づきまして、強制保険とか、それからひき逃げ者に対する被害者のための政府の保護事業等によりまして、昨年の二月に、お説のように、従来死亡者五十万、重傷者十万、軽傷者三万でありましたのを、これをようやく、死亡者と、なお後遺症の大きく残った者に対しては百万、それから重傷者三十万というふうに引き上げたのでございますが、やはり欧米から比べればこの点につきましてはだいぶまだ少ないようでありますので、今後とも一そうひとつ御趣旨に沿って改良をしていかなくちゃならぬ、こう考えております。  それからまた、保険金の支払い等につきましても、請求手続の簡素化とか、訴訟手続の迅速化、まあいろいろ問題もありますし、これに対してのいわゆる示談屋というような者の入る余地のないように、これは法務省でもいろいろ御研究いただきまして、場合によってはそういう部門の専門的部門を置くほうがよかろうとかと、いろいろ研究いたしまして、それから、厚生省のほうとも十分連絡いたしまして、被害者のアフターケアですな、そういう問題についても、病院等とも連絡をとりまして、今後とも一そうそういう点につきましては御注意のようにやってまいりたい、こう考えております。

神近市子日本社会党

○神近委員 私は、いまの手続の簡素化ということ、それから示談屋の弁護士法違反というようなことで、実は法務大臣に御相談しようと思っていたのですけれど、いま長官がすっかり代弁してくださいましたから、もう申し上げることはやめようと思いますけれど、大蔵大臣にお尋ねしたいことは、実際に保険が非常に赤字になっております。赤字のほうは、三十五年には二十六億、三十六年には二十七億、三十七年には十六億、これを三百万にすると三百九十九億三百万というような大きな金になる。この補てんについて、たとえば交通事故の場合に罰金をお取りになりますね、その罰金が雑収入に入っていると思いますけれど、それと、もう一つは、自動車賠償法第十条で国家あるいは公社、それから特殊のたとえば団体が適用除外され、あるいは二百台以上の自動車をかかえているところの業者、そういうものに対して自家保障ということで保険がかかっていないのです。一体、自動車賠償法第五十五条、あれはほっておいてよろしいんですか。これは大きな収入源になるはずです。きのうちょっとお願いしておいたのですけれども、大体において自治体、公団、国鉄のようなところ、国会にも百何十台かあるはずですが、そういうものが全部保険を除外されている。いま賠償を高くするためには、これは入れるべきじゃないかというふうに考えるのですけれど、それはどういうふうにお考えですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣・外務大臣臨時代理

○田中国務大臣 自動車損害賠償責任保険におきましては、発足当時は加入率が低かったので赤字が非常に大きかったわけでございますが、保険に加入しております数がだんだん大きくなってまいりまして、現在のところは、単年度の赤字は大体なくなったというところでございます。過去の累積赤字がありますが、これも今年度末にはおおむね解消するという状態でございます。非常に内容はよくなっているということでございます。  第二の問題でございますが、これは、議院とか官庁とか、そういうところでありますけれども、これは、事故が起こったときには予算で払えるということもあるでしょうし、いろいろな問題がございますが、保険制度をうんと発達せしむるということから考えると、御説のように、自動車を持つものは官、公、民と言わずすべて加入するということも一つの方法かとも思います。これは、まだ研究しておりませんから、こういう機会に個人的には研究してみたいと思います。

神近市子日本社会党

○神近委員 それは、ぜひ第五十五条等を廃止して、そして保険金を取って、被害者に対してもっともっと補償するように。いまたった百万でしょう。これはもうちょっと恥ずべきくらいに安過ぎる。このごろ幸いにして民事によって四百万、五百万という補償が出るようになりましたけれど、それはたった三件ですよ。年間数十万の人が被害を受けて、昨年のように三万何千人かが死んで、それがたった三件しか四百万か五百万はもらっていない。もっと安いのになると、この前来た農家の老人たちは、むすこをなくしてたった十五万。これは示談屋であります。それから、いま大臣がおっしゃった自家保障の会社、あるいは公団、そういうところにはちゃんと係がおりまして、平政が起こるとそこへ飛んでいく。そうして、手続上のことにあまり詳しくないのを利用して、これがいい、あれがいいというようにして、かえって自家保障の会社その他は低いのですよ、この示談の金が。それで、私は、どうしてもこれはやはり強制保険に加入させて、そして、そういうことがないように、事故が起こった場合はすぐに少なくとも百万の補償金は手に入るようにし、それを何年かのうちには三百万あるいは五百万というふうにしていただきたい。外国の例では、アメリカでは一億とか二億とかいって、ここに数字はちゃんと出ておりますけれども、私の時間がなくなりましたから、私はその点については申し上げませんけれども、ともかく、法務大臣にお願いしたいのは、示談屋を追っ払ってもらいたいということ、それから、自家保障のところでは、その管理者というものを置かないで、これは弁護士の協会に交通事故何とか委員会というのができて、そして、いままでは無料で相談に応じておられますから、これを生かして、そして民生協会とかあるいは安全協会とかに千五百万の補助が行っているのですから、その補助をその世話をする人たちのほうに回して、そして、被害者を少なくとも何とか更生させるということを考えていただきたい。  いま大蔵大臣の御答弁では、幸いに保険の赤字が減ったということですが、もう一つ申し上げたいことは、この更生のためにどうしても病院が一つほしい。東京なら東京、大阪なら大阪というようなところに、あのりっぱなデラックスな病院でなくてもいいから、場所のいいところに病院を設けて、ほんとうに親切な医者を置く。それから、後遺症というものが普通の病院では発見できないのです。この後遺症を起こした人たちをそこで療養させる。事故が起こった場合には、後遺症がどういうように起こるということを発見できるようにしていただきたい。  これが私の質問の要点でございました。時間を取り過ぎて申しわけがございません。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて神近君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。  なお、この際おはかりいたします。大出君の質疑の際、最高裁判所事務総長より出席・説明の要求があります。これを承認するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青木正自由民主党

○青木委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。

大出俊日本社会党

○大出委員 私は、ILOの問題二、三点と、一月の二十八日に安西郵便局事件というものについての東京高裁の判決が出ておりますが、そのものずばりの質問ではなくて、これらの問題、労働刑事事件といわれるものについての最近の検察行政あるいは司法行政等につきまして質問を申し上げたいわけであります。  最初に労働大臣にお尋ねをしたいのでありますが、十六日にジュネーブにおきましてモースILO事務総長が青木大使にお会いになりまして、ドライヤー委員会の日本における礼を兼ねまして発言をされ、かつ答えておられるわけてありますが、これがおそらく入っておるだろうと思うのでありますけれども、もし入っていれば、先にそれをお答えいただきたいと思います。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 十六日にモースILO事務総長が青木大使に会いまして、主としてドライヤー調査団の日本における活動に対して感謝の意を述べると同時に、ドライヤー委員会の提案を受け入れたその後の状況について質問がございました。政府はドライヤー委員会の提案に基づいて政府及び使用者及び労働者の代表による定期的な会合を行なうべく具体的な行動を開始した旨、事実をあげて大使から説明をいたしました。同時に、政府としてはこの批准を今国会にぜひ行ないたいという強い決意を持っていること、特別委員会の設置について努力中である——そのときはまだできておりませんでしたから、努力中である旨を申しました。それに対してモース事務総長からは、丁重に、自分としてもそういうような方向に事態が進んでいることについて大きな期待を持っているという旨の発言がございました。

大出俊日本社会党

○大出委員 実は、時間をとりたくないのですけれども、読売新聞等の報ずるところによりますと、多少違いがあるわけです。ドライヤー氏が来たことについての礼を言ったあとで、モース氏の言っているのは、日本のような先進国が八十七号条約未批准といったような重荷をいまだに負っていることは、ILOとしても困る、こういう発言をしておるのでありますが、青木大使のほうの答弁が、佐藤首相から総評に提案をしているのだけれども、総評の側が種々条件をつけている、従って急転直下の解決はむずかしい、しかし、国会に特別委員会が設置されたことでもあり、今度こそは進展があるものと考えている、こういう発表になっているわけですね。十六日の日ですから特別委員会も設置をされていたことになろうかと思うのでありますが、そういうことになると、ここで質問を申し上げたいのでありますけれども、どうもこの言いっぷりからいたしますと、総評との話し合いということ、これはどうも困難だ、しかし、国会に特別委員会が設置をされた、したがって進展するだろう、こうなりますと、ドライヤー氏が日本に来て提案を幾つかいたしておりますけれども、その中心点は、あくまでも、これは単に条約の批准だけでは解決をしない、つまり信頼の回復、確立が必要だ、そのためには、政府の最高責任者がイニシアをとって話し合いを行なって、信頼の回復、確立ということに努力をして、その進展を国会に報告をする、こういう筋書きになるわけでありますから、当然そこに重点がなければならぬ筋合いなんでありまして、どうもこの青木大使の言い分が気になるわけでありますが、そこのところの御所見をまず承りたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 前段の文句を電文のとおり読み上げます。これはモース氏のことばであります。「自分は最近目ざましい工業力の増大を示している日本がILOの場において発言力を一層つよめILOに対しさらに積極的な協力を示されることをかねてからき念しており、そのためには本問題が解決されることが大切であると考えていたところ、今解決され得るという見こみがついて来たことを知り非常によろこんでいる。」、こういうのが前段の御質問のことに該当するかと思います。  それから、後段の御質問でありますが、組合側との「トップレベル会談を提案し目下予備的な折衝を行っているが、組合側がこれに対しTACTICSかも知れないがいろいろな条件をつけており、なお種々困難があること等を説明の上、批准案件は目下国会の審議をまつ段階にあるのでなお楽観は許されないが、事態は今までにない早いテンポで進んでおり、」、こういうような表現になっております。これは、まあことばの点で、組合側の回答というものに対する青木大使の主観が入っているように思うのでありますが、これは私との交換文書でありまして、世間に出したものではないので、御質問がありましたからお答えしたわけであります。したがって現在の段階といたしましては、ドライヤー委員会の提案を政府は受け入れましたから、一方において批准の促進に努力をいたしますとともに、他面において相互の信顧回復のための定期的会談を行なうようこちらからも提案し、それに対して総評側から本提案がありました。その提案を目下検討し、その提案に基づいた回答を来週早々にで本政府として官房長官から総評側に示す予定に相なっております。

大出俊日本社会党

○大出委員 来週早々回答をされるということでありますから、時間の関係がございますので、以下の点は省略をいたします。  ただ、一点だけ確かめておきたいのでありますが、ドライヤー氏が日本に来られて何日かおられる問に、労働大臣は何べんかお会いになっているわけで、ときにはジェンクス氏等も同席をされての話もあったわけでありますが、私も直接幾つか聞いておりますけれども、その席上で、たとえば登録、非登録の問題等のようなものについてのドライヤー氏の見解、言いかえれば指摘というふうなことも伺っているのでありますけれども、それらの点について、政府側が信頼の回復、確立という点に重点を置かれてこれから話し合いをされるということならば、その辺のこともこれは十分考慮の上でいたされる筋合いだろう、こう思っておるわけですが、そこのところについてひとつ承っておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 政府の国会に提出いたしました政府原案について政府側がいろいろ説明をいたしまして、その説明について種々の質問がございました。その質問の中に、ただいまおあげになった登録、非登録についての問題も話題にのぼり、質問の対象になったことは事実でございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 時間の関係で次の問題に移ります。  最高裁の事務総長さんの御出席をいただいておると思いますので、冒頭に承りたいのでありますが、この安西事件そのものにもあるのでありますけれども、一般的な意味で承りたいのでございますが、公判が行なわれ判決が行なわれて、判決書きができておるだろうと思って、刑訴法の四十八条等に基づく問題もありますので、四十六条に基づいて正式に謄本をいただきたいということの手続をいたしましたところが、できていないという。ところで、一月の二十八日に判決が行なわれたわけでありますから、そうなりますと、上告期間は二週間、ところが、二週間を過ぎても私はまだ手にしていないのでありますけれども、理由書等が、判決書きが出てこない、こういうことであります。弁護士等に依頼として刑事第八郎等に当たらせましたところが、ないというので、しからばメモであっても何でもいいから読ましてくれ、上告するのに困るんだという話になったところが、じゃ探してみましょうと探したところ、家に持って帰ってしまっていて、ないという。こうなりますと、平等に裁判を受ける権利が国民にあるわけでありますから、さて上告という二週間という期限に間に合わない。理由書も何もわからない。どういう理由で不当だから上告をする、これが筋でありますけれども、これがわからぬままに手続をとらなければならぬ。ところが、一方、三十四年ごろから、田中前最高裁長官は、裁判官会同あるいは所長会同等で、乱上訴、つまり、やたら上告をされるので、これは自粛してもらいたい、こういうふうな発言まである世の中なのでありますが、こういうことになってまいりますると、理由も何もわからぬままにやらざるを得ないという、これはまことに穏当を欠く筋合いだろうと私は考えるわけでありますが、この辺について、どういうわけでそうなっているのか、御質問いたしたい。

関根小郷最高裁判所事務総長

○関根最高裁判所長官代理者 いま大出委員のお話でございますが、刑事の裁判のお話だと思います。刑事の裁判におきましては、判決の言い渡しをいたします際には、判決の原本をつくらなくてもいいことになっておりまして、そのかわり法廷で有罪なり無罪なりの主文を言い渡すと同時に、理由の要旨を告げることになっております。でありますから、法廷に出ておいでになる方々あるいは被告人、弁護人の方々がその理由の要旨をお聞きになっておれば、上告すべきかどうかということの判定材料としては、それで十分だと思います。それから、いまお話しの、判決書きができないからそれは見れないということですが、詳しい判決の理由は、いずれ判決原本ができましてからでございますけれども、上告をすべきかどうかという程度のことは、言い渡しで済んでおりまして、そして、判決原本につきましては、いよいよ上告をなさいましたあと、上告をした理由——上告趣意書と申しますけれども、その上告趣意書をお出しになる期間のうちには十分判決書きができるという前提で法律ができております。でありますから、上告をすべきかどうかということは、法廷で判決の理由の要旨を告げられてわかることでございますので、その上で上告をするかどうかということがきまるわけでございますが、なお、いまあとのほうでお話しがございました上告の乱上訴、上告が多過ぎるじゃないか、むやみに上告をするのではないかという点、これは、前田中長官が、乱上訴が多いということは確かにお話しがございましたけれども、これは結果論から申しておられるのでございまして、たとえて申し上げますと、上告事件が百件あるうち、上告の理由が立って敗れるという事件は〇・四くらいしかないわけでございます。でありますから、結果論から申し上げているわけで、法律のたてまえの上では、法廷で判決の理由は述べればいいということになっておりますので、それ以上のことは法律の改正を要することかと思います。  以上であります。

大出俊日本社会党

○大出委員 時間がありませんので、長い質問をしないでおりますので、なるべく簡単にお答えいただきたいのですが、民訴法との違い、それから改正をしたときのいきさつは知っておるわけであります。ただ、しかし、いま最後に改正を要する問題というふうにお述べになりましたが、とにかく、簡単な要旨は述べたにいたしましても、加除訂正をして理由書をつくられるのでありますから、それをやはりじっさいに検討いたしませんと、正しい意味における上告ということにはならぬというふうに思うので、そういう意味で、国民の受ける権利、この面から言って考えるべき点ではないか。したがって、私のことばとしては、穏当を欠きはせぬかということを申し上げているので、その点はひとつ将来ぜひ御検討を賜わりたいと考えるわけです。  それから、二点目でありますけれども、一月の二十八日に十時から判決がある、こういうわけです。ところが、十時五十分になっても開廷をされない。それを過ぎてから記者クラブの方々が十四、五人入ってこられる。弁護士の方が、何で皆さん来られたんだと質問をしたところが、どうもたいへんな判決のようだと言う。それはどういうことかと言ったら、実刑判決だ、こういう話になってきたわけであります。私は、刑訴法のほうが民訴法と違う手続をとった理由の中に、事前に判決書き等詳細なものをタイプで打たせたりなんかいたしますと秘密が漏洩する云々ということもあったとかで、そういうこともかつて聞いたことがあるわけでありますが、そういう違いを持っていながらも——これは私はもちろん善意に解釈しているので、新聞記者の皆さんの勘による、あるいは努力によるそういうところもあろうと思うけれども、いまだかつてこういうことはなかった。これは全逓という組合の事件でありますけれども、何回かこの種の判決が出ているのでありますけれども、ただの一ぺんも、その日にクラブの方々がたくさんおいでになるようなことはない。にもかかわらず、今回こういうことがあり、内容はかくのごとく公労協の中におきまして初めてと言っていいほどの実刑判決。こういう結果になったところから判断をいたしますと、これからいろいろ疑心暗鬼が、抱くなと言われてみても、その判決を受けるほうの側からすれば抱かざるを得ないという面が出てくるわけでありますが、この辺についてどういうふうにお考えになっているか、承りたい。簡単でけっこうです。

関根小郷最高裁判所事務総長

○関根最高裁判所長官代理者 ただいまのお話は、具体的な事件の言い渡しの際のことかと思いますけれども、裁判の内容が判決の言い渡しの前に漏洩するということは、これはもう絶対にございません。あるいは新聞記者の方々がいずれかの勘で推測記事を書かれ、あるいは推測のことをおっしゃることがあるかも存じませんけれども、そういった判決の言い渡しの前に内容が漏れるということは、これはもう絶対にございません。

大出俊日本社会党

○大出委員 あると言ったらこれはえらいことになるので、あるとはおっしゃれぬと思うのでありますが、私がいま申し上げているのは事実を申し上げているので、つまり、実刑判決だという話をされた。聞いた人は弁護士なんですから。いろいろ私も調べてみましたが、だれがどう言ったという、つまり、どこでどう聞いたという話になってまいりますと、これは具体的に人の名前を言わざるを得ぬことになってまいりますから、それは避けたいと思いますけれども、しかし、どうも私ども心配がある。あるいは疑心暗鬼と申し上げたのだが、この種のいまだかってない判決が出る、三・一五判決以来私どもは気にしているところなんでありますが、こういう時点にこういう現象があらわれるということについて、ここが問題の焦点だというふうに私は考えているので、そこのところはこれ以上は時間の関係で申し上げません、あらためたところで申し上げますが、十二分に皆さんの側でもそういう疑惑を一般に与えないようにしていただかぬと困る、これだけ申し上げておきます。  次に、法務大臣に御質問申し上げますが、最近の検察行政一般と申しますか、特に労働刑事事件に関する問題なんでありますけれども、この論告あるいは控訴趣意書等によりますと、昭和二十年の例の旧労組法、この時代においては民間の組合もあるいは公務員の組合も同じ労組法の適用を受けておったが、二十一年の十一月の新憲法、ここで十五条による全体の奉仕者という理論が出てまいりまして、これから二つに分かれたというわけです。つまり、憲法二十八条による組と十五条による組に分かれた、こういう立論をしている上告趣意書その他がだいぶ最近出てきているわけであります。そこで、国家公務員あるいはまた公企体職員というふうな者はいずれの部類に入るのかという点について確かめておきたいわけです。大臣の見解をいただきたい。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 政府委員から答えさせます。

蒲原大輔刑事局公安課長

○蒲原説明員 勤労者の団結権、これは憲法二十八条にございます。それから、一般の公務員は、これとは全体の奉仕者という意味で若干違う取り扱いを受けておるというふうに解しております。

大出俊日本社会党

○大出委員 ということになると、どうも一般の公務員は十五条の組なんだということになると、これは非常に重大な問題で、これが実は今日の検察行政一般に出てくる労働刑事事件のポイントだと私は考えておる。  そこで、ひとつ大臣、あまりお逃げにならぬで、むずかしいことを聞いているんじゃないんだから、御答弁を賜わりたいんだけれども、法務省の側で文書をつくっておられるわけなんだけれども、その中にどういうことが書いてあるかといいますと、まず、「憲法二十八条にいう勤労者に公務員が含まれることはわが憲法の解釈上の通説というべく、したがって公務員も建前としては労働三種の保障を享有するものといわなければならない。」、明確に法務省が書いておられる内容なんだけれども、そう載っておって、しかし他面、——別な面でというわけなんですね。別な面で十五条二項の規定を有している、これは国民の全体の奉仕者という解釈なんだ、こういうふうに述べておられるので、私は、法務省自体の解釈も、明らかに、憲法二十八条にいう勤労者に公務員は含まれている、公企体職員も含まれている、これが大原則であり、つまり労働三権の保障を享有するもの、これが前提になっているという筋合いだと理解をしているわけであります。ところが、いまのお話によりますと、どうも十五条の組に入るんだということになると、これが実はいまいろいろ混乱をして、検察行政の中で、事京中郵事件などという、これは石田労働大臣おられるから御存じだと思うけれども、この検事側の控訴趣意書の中に、まさに、新憲法によって十五条が出てきた、この組に国家公務員それから公企体職員が入るから、本来的にスト権はないのだという意味の論告をされ、趣意書をつくられておる。そうなると、いまここで法務省の文書を読み上げたんだけれども、いま読み上げた解釈に立つ検察側のものの言い方と、この二つの分かれ方が、結果的に出てくる裁判の判決に右と左に大きく食い違った結果があらわれているという今日の事情なんです。そこのところを実は私は質問しているわけなんだけれども、もう一ぺんひとつ大臣に尋ねるけれども、ここのところはどうお考えになりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 ただいまお答えをしたとおりでございますが、ふえんして申し上げますと、勤労者の中には広い意味ではもちろん入ります。しかし、国家に奉仕する者としての制約を受ける、こういう考え方でやっておるわけでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 いま私が読み上げたのは、一九六四年九月九日から二十六日にわたるジュネーブにおける委員会に法務省の刑事局参事官、証人用井英良さんが行かれて証言をしたときにこの文書を流しているわけです。私も英語はしろうとじゃないので、全然別な訳でありますればわかるのでありますけれども、これによるといまのようになる。そうなりますと、大臣が言われる趣旨はたいへんどうも弱くあいまいでありますけれども、もう一つあげて、ひとつ質問を念のためにいたしますが、東京高裁安四事件控訴趣意書、これは渡辺薫さんという静岡地方検察庁の検事の方の書いた趣意書であります。この中に、「被告人らは郵政事務官たる国家公務員である。ところで国家公務員は憲法第二八条の勤労者に該当ずるとしても」、こういう文章が使われているわけであります。日本語を正しく理解すれば、「該当するとしても」というのは、該当しないと考えているんだが、かりに該当するとしてもこうこういうことになる、こういう理屈になる。さっき私は中郵事件の論告要旨を申し上げましたが、そこではもっとはっきり言い切っている。そうなってくると、大臣のこの検察庁法の十四条に基づく一般的指揮監督権というものと照らし合わせて、いまの検察行政の中でどういうふうにここのところは法務省としてはお考えになっているのか、ここのところはただしておきたい。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 ただいまお答えしたとおりに考えておるわけでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 そうしますと、先ほど私が申しましたように、憲法二十八条にいう勤労者、こういうことでよろしいわけですか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 憲法二十八条における勤労者の中に公務員は入ります。しかしながら、憲法十五条の二項によって制限を受けます。受けますが、これは無条件で制限を受けるのではなくして、それに対してはいわゆる代替措置というものが講ぜられなければならぬわけであります。つまり、労働三権というものは二十八条によって保障されておるけれども、特定の職務にいる人は十五条の二項、あるいは場合によりましては十二条、十三条との関連において制限を受ける場合はあり得るわけであります。しかし、それは無条件ではない、代替措置が保障されなければならない、現にそれはされておる、こう考えておるのであります。

大出俊日本社会党

○大出委員 ということになりますと、それが政府の皆さんの統一したものの考え方だということになると思うのであります。  そこで、もう一ぺんお尋ねをしたいのでありますけれども、判事の皆さんとは違って、検察官の側の方々は、上命下従といいますか、上で命令して下で従うという縦の関係を持っておられるように考えておるのでありますが、そうなってまいりますと、「憲法第二八条の勤労者に該当するとしても」というふうな表現を使われることは、どうも私は不適当だ、こういう気がこの点についてはいたすのであります。したがって、別の文書、先ほど申しましたように、憲法二十八条による勤労者に公務員が含まれるということは憲法の解釈上通説になっておるということを法務省の文書はうたっているわけでありますから、この辺のところをはっきりしていただかぬと混乱が生ずる。ここのところはどうお考えになりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 ただいま労働大臣が答えたとおりでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 どうも法務大臣が二人いるようでありますけれども、時間の関係で、その点はものを言わずに先に進みます。  次に、最近における、先ほど申しました労働刑事事件において、これは一般的に申し上げるのでありますが、量刑という面でたいへん重くなっているわけです。ここ二年ばかりさかのぼって二十幾つか私調べてみたのでありますが、大体において倍増であります。量刑倍増。物価ではないが、まさに倍である。ほとんど同じ内容で、私も証人にやたら出ておりますからよく知っておるのでありますが、同じ内容を持っておりましても倍になっておる。これがどこで倍になっているかといいますと、検事の皆さんの論告、求刑、ここでそういう形が出てきている。  そこで、承りたいのですが、法務省の刑事局公安課等におきまして、何か統制をして、大体こんなふうなことでやっていけということで、どうも一つのものを流しているような気がする。たとえば、九州の鹿児島で弁護士が口頭弁論をやれば、いきなりそれが筒抜けて公安課にはね返っていく、こういう筋書きになっているように感ずるわけであります。そこで、さらにもう一点申し上げますと、控訴趣意書のほとんどの中に、特にこれは労働刑事事件、こういうわけでありますが、仙台、長野等いずれもそうでありますけれども、「右有罪部分のみについてみるも次の理由によりその量刑軽きに失し不当である。」、この文章が至るところ紋切り型に同じにくっついている。そうなってくると、これは個々の検察官の方々がかってに書いたということにならぬ。ここのところはどうお考えになりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 公安課のほうでそうした指示をいたしておるような事実はございません。  また、後段の御質問でございますが、同じような文章を使っておると申しますが、それは、そうした一つの型ができれば、その型をまたまねてやるとかいうようなことであろうと思います。別にそうしたことを指示いたしておるわけではございません。

大出俊日本社会党

○大出委員 偶然にそうなったのだ。いまの答弁はこういう言い方であろうと思うのですが、しかし、この文章内容等をいろいろ読んでみますと、至るところそういうかっこうが出てくる。量刑その他についても同様になってくる。だから、とり方によりましては、私はそうとる一人でありますけれども、検察側が論告、求刑の場所で量刑を上げておいて、さて下級審において判決か出る、今度は、上機審において、量刑不当だ、こういうかっこうで、つまり実刑を科せといわんばかりの控訴趣意書等をつくる、そして結果的にはつり上げる、これがこの二年ばかりの間に倍になっている理由だろうと思うのでありますが、そうなると、そこで一つ大臣にはっきり聞いておきたいのでありますけれども、最近出てきている判決理由の中に、組織暴力ということはがしばしば労働刑事事件に使われる。一方、新聞を見ると、町の暴力団に対して組織暴力ということがしばしば出てくる。一体、労働運動というものに関するこの種の事件について、法務大臣がどうお考えになっておるのか、承りたい。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 労働大臣がお答えになるものであるかと考えますが、私は、組織暴力ということとは考えておりません。

大出俊日本社会党

○大出委員 組織暴力ということとは考えていないと言うけれども、大臣に指揮監督権のある検察官の側、また、今度は少し遠くなりますけれども、出てきた判決等々をながめてみると、そういう表現を使っているわけであります。これも故意か偶然かわかりません。そう考えておらないというならば、労働運動でなくて組織暴力だなどという、そういう表現は私はおやめいただきたいと思うのでありますが、その点はどう考えておりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 労働運動がいわゆる組織暴力であるかと言われるから、私は組織暴力であるとは考えていないとお答えした。ただ、労働運動をやります場合に暴力をやりますときに、それが組織的に行なわれておるという判断で、組織暴力と言っている場合はまた別でございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 そうしますと、それは、正当な労働運動と、そうでない労働運動と、こういう言い方だと思うのですが、そういうことですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 これは、正当とか正当でないとかいうことではございません。ただ、暴力を行なうということは、これは正当ではないと思います。

大出俊日本社会党

○大出委員 この法務省等から出されております犯罪白書、三十九年版等によりますと、組織暴力団等の構成人員、ほとんど再犯、累犯などというような方々が八〇%くらい占めております。そして、暴力行為そのものについての統計は出ておりませんが、傷害などということになりますと、執行猶予が半分くらいくっついているわけですね。非常に執行猶予率が高い。これが三十九年版犯罪白書の内容であります。ところが、労働刑事事件の分野においてどうなっているかということになりますと、先ほど例を申し上げましたように、下から積み上げ方式でものを言ってまいりまして、執行猶予というふうなものを取り去っていく、こういうかっこうに最近あらわれてきているわけです。そうなると、どうもいまの大臣の答弁ではそう考えていないと言われるけれども、実際に出てくる結果から見ると、かつまた、そういう文章を使っているのでありますから、そう受け取れるわけでありますけれども、そこのところはどういうふうに考えておりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 量刑が重くなったとか云々ということをおっしゃいますが、これは裁判所で判決を下すわけです。検事が下すわけではないことは御存じのとおり。検事は国家の側に立って検察としてその主張をいたす。また、被告は被告としてその主張をいたす。そうしてその判断を裁判所でいたすわけでございます。この量刑が重くなったのが検察陣の責任であるというような——責任といいますか、検察陣がやっているのだというようなことにお考え願うことは、はなはだ迷惑でございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 法律的に、言って、検察官も裁判の進行に対して責任を大きく負っておるわけで、そういう意味で、先ほど私は検察行政ということを申し上げたわけであります。したがって、検事の側、検察側の論告に出てくる内容、上告あるいは控訴趣意書に出てくる内容、これをとらえてものを申し上げているので、その点は、いま大臣の言われていることと私の言っていることとは違う。もちろん、判事が出される判決というのは別な立場でありましょう。しかし、検察側の数年前から今日に至る過程をながめてみますと、そういう結果になっている。そこを聞いているのでありますから、問題の焦点をそらさずにひとつお答えをいただきたい。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 事犯事犯によっていろいろと変わってまいりますが、暴力に対しましては、法務省としましては近時厳格なる態度で臨むということに方針をいたしております。

大出俊日本社会党

○大出委員 そういたしますと、近時厳格なる態度で臨むということになれば、検察側としては、その論告、求刑あるいは上告趣意書その他において、厳格なる態度ということですから、量刑を上げてくる、こういう結果になっているというわけですね。私の質問しているのは、労働刑事事件においてと申し上げているので、そういうふうに受け取っていいですな。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 特に労働刑事事件だからこれを重くするとかどうとかいう一般的のお話ではお答えのしかたがないのです。ただ、その中の個々のケースをとらまえて、これが組織的な暴力行為であるとか、国家としてこれは排除しなければならぬという必要が非常に強いものにつきましては、検察としましても、従前よりも、暴力行為等取り締まり法も出ている現在でございまして、十分なる、厳重なる態度で臨む、こういうことをいたしておるわけでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 先ほど申し上げましたように、だからこそ三十九年版の白書の内容も申し上げたのでありますが、しさいに検討いたしますと、こまかくいま申し上げる時間がないのでありますけれども、これは数字を当たっていただければわかるのでありますが、明らかに、労働刑事事件と世の中でいわれておりますものの分野において、どうも一般の組織暴力といわれるもの以上にたいへん高い量刑を検察側が出しておられる、これは事実であります。したがって、仮定のことを申し上げているのでも何でもない。そういう意味で、労働運動というものからいろいろなもつれが出てくる。ここらあたりの問題を、皆さんの側はどうも組織暴力などということばを使うようになると混同していやせぬか。そこのところを私は明らかにさせたいので質問しているので、もう一ぺんお答えいただきたいと思います。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 いまお答え申し上げましたとおりで、労働関係の刑事事件であるから特にこれを重くするとかどうとかいうようなことをやっているわけではないのでございます。また、一般の組織暴力と労働運動の組織的暴力あるいは暴力というものについての差別をいたしているというようなことは、一切指令もしてないし、そういうことをやっておるわけではございません。

大出俊日本社会党

○大出委員 ここで一点確かめておきたいことがあるのですが、昨年の五月九日に最高裁の横田長官が九州において、これは新聞に発表されておりますけれども、下級審が違憲判決を出す、これについて三権分立のたてまえからどうもよろしくない、だから慎重にやれ、こういう発言をされて、新聞に載っておるのでありますが、この点について、法務省のほうとしてはどうお考えになりますか。法務大臣、どうお考えになりますか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 最高裁のほうから一応話してからお答えいたします。

関根小郷最高裁判所事務総長

○関根最高裁判所長官代理者 ただいま大出委員の御指摘の点でございますが、昨年横田長官が九州へ出張いたしましたときに記者会見の際述べましたことが新聞記事になりました。そのときの新聞記事のタイトルは「違憲判決慎重に」というタイトルが出ました。しかし、その内容は、いやしくも国会でつくった法律が憲法に違反するかどうかということについて、適憲なりや違憲なりやということについては慎重にやるべきだという談話でございまして、タイトルはまさに違憲判決だけを取り上げているようでございますけれども、内容をよくごらんになれば、どちらかということを判断するという両方の面で述べられておられるわけでございます。ただ、いまお話がございましたように、タイトルだけごらんになりますと、法律が違憲だということは慎重にしろ、適憲だという判断をするときは慎重でなくてもいいというような、タイトルだけから見ますとあるいはそうお読みになられるかもしれない。でありますから、そういう談話をしたときは、そういうタイトルをつけるなということまで長官が言えばいいわけなんでございますけれども、そこまではなかなか、——新聞記者の方々の良識に訴えるほかはない。そういった事情でございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 新聞統制をしちゃいかぬですよ。ここに縮刷版があるのですが、ここにはそういうふうになっていない。「最近下級審で違憲判決を下すことが多いが、三権分立の立場上あくまで例外的なことで違憲、合憲の判断には慎重を期してほしい。」、こういうわけでありますから、違憲判決が下級審で出た、これは例外だという。ところで、私が法務大臣に承りたいと思ったのは、法務省もそういうことを言っているからですが、法務大臣、どうですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 いわゆる違憲であるとか違憲でないとかという判決につきましては、どの裁判所におきましてもきわめて慎重に扱っていくということが望ましいのでございます。法務省はそれ以外の意見は持っておりません。

大出俊日本社会党

○大出委員 もう一ぺん重ねて承りたいのです。きわめて望ましいというわけでありますが、つまり、それは法務省としての見解、こう承っていいわけですな。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 あなたが法務省の意見をお聞きになるからお答え申し上げたわけで、この判決を下しますのは裁判所でございます。私の考えをお聞きになるから申し上げたわけでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 そこが実は非常に問題のあるところだから重ねて聞くのでありますが、私のとおっしゃるのですが、それは、法務省のかと聞いておるのですけれども、そこのところはどうなんですか。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 私のと申しますのは、法務大臣としてお答えを申し上げておるわけでございます。

大出俊日本社会党

○大出委員 そこで、もう一つ重ねて承りたいのですが、先ほど申しましたILOに出している文書の「あとがき」という部分に、「労働基本権に関し独自の理論を展開して特異な判断を下す下級審判決が一部に見られることである。」と前置きして、「しかしながら、これは漸次、最高裁判所判決の集積によって、法の安定性が招来されるものと期待している。」ということが一つ。それから、「かような特異の消極判決に対しては、検察官の上訴によって、例外なくその殆んどが上級審において修正されているといっても過言ではない」、こういうふうにうたって、さらに、最後は、裁判が長引いたりいろいろするのはイデオロギーの問題に起因する、こう結んでいる。そうなってくると、これは、一つ間違うと、法務省という立場で下級審の判決に対して、出しちゃいかんぞと言っておることになる。つまり、それが一つ間違うと、争いがイデオロギーなんだということになると、下級審の裁判官の方が判決を下したのがここに言う消極判決、こうなって、しかもそれがイデオロギーの関係なんだということに発展すると、これは穏やかならぬと思っておるのです。そこでさっきから一生懸命法務大臣のお考えを聞いておるのですが、ここに書いてあるとおりのお考えですか。これは法務省の参事官が持って行って説明をされた内容ですよ。

高橋等自由民主党法務大臣

○高橋(等)国務大臣 お答えいたします。  イデオロギーがどうであるから判決がどうなるというようなことになるものとは、私は考えません。これは、裁判官が冷静に判断をしてきめる下級審の判決が上級審におきましてくつがえるということも現実に多いと思いますが、これも、私は、そうした事実があるというので、イデオロギーでどうこうという問題ではないと判断いたします。

大出俊日本社会党

○大出委員 いま私が読み上げたように、消極判決だという断定までつけて、文書にして国外にまで流すということになると、これは、下級審の判事の方々、裁判長その他の方々に相当な心理的影響があるはずですよ。もしもそういう判決を本人がしょうとした場合に、これは消極判決なんだ、法務省はそう言っているとなってくると、これは三権分立というたてまえから言ってもおかしなことができ上がる。そんなことを言うならば、違憲審査権というのは一体どこにいくのだ。下級審でいろいろとそういう判決が出てくるからこそ、違憲審査権という問題が出てくるわけです。したがって、法務省がそういうお考えを持っているとすれば、これは今日の裁判というものについての認識を改めなければいかぬということになる。そこのところはどうお考えになりますか。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 その前にちょっとお断わりをしておきたいと思うのですが、九月にドライヤー委員会において労使双方、政府と労働代表とが陳述をいたしましたことにつきましては、特定な者、私と総評の岩井事務局長あるいは原口労働代表と青木政府代表、この陳述以外のものは公表しないたてまえになっておるのであります。政府として、ただいまお読み上げになったようなことについて公表した事実はございませんので、したがって、そのことについて政府としては責任をとるわけにはまいりません。公表しないのが原則で、いかなる経路で御入手なさったかは知りませんけれども、公表しないということを、労使双方及びドライヤー委員長、三者の間で約束したものであることを、あらかじめ申し上げておきたいと思います。  それから、先ほどお読み上げになった文書について、法務大臣との御問答の中で解釈の違いがあるようです。それは、その文書に基づいて私がお答えするわけじゃありませんが、あなた方の御発言の中で、裁判官が下した結果というものは裁判官のイデオロギーによるというふうには私は受け取れない。延びたり何かするのが、そういうふうな争いによって起きているという御発言と私は聞いたのでありますが、いずれにいたしましても、その文書は、政府といたしましては責任をとれないことを明らかにしておきます。

大出俊日本社会党

○大出委員 どうも、ILOへ行ってそんなことを言えば、責任のとれないことを言ってきたということになるので、そうなってくると、これは外国に出す文書だから、どうも日本の皆さんがいま考えておるようなことが欧州において簡単に通らぬということで強調する面があったかもしらぬ。しらぬけれども、少なくとも言ったことは事実で、私が現地にいたわけではないのでわからないけれども、そうなると、この考え方が法務省にあるということだけは私は事実だと思う。公表するしないにかかわらず、あることは事実だと思う。あるからこそ言ったのでしょう。そうなると、やはり、ものの考え方、検察行政全般にわたるものの考え方の中に、そちら側の方々に下級審の判決をつかまえてこれが消極判決なりというふうなものの考え方があるとすれば、これは至るところに、人が動くのですから、出てくる筋合いなので、しかも、さっきのこれは、御本人がいないところだからしかたがないが、横田さんが九州でこういう発言をされておるということになると、その面からも下級審に対する一つの大きな制約が出てくる。三・一五判決が一昨年出ましたが、これについても、通常ならば二週間の猶予期間がある。にもかかわらず、一週間で通知があって、しかもあの判決が三月十五日に出た。私なり労働省関係の方々なりで苦心惨たんをして、十五日に行なわれることになっていた公労協のストライキを回避をしたその日にあの判決が出ている。こういうふうなことは、現実に最近はよく起こる。そうなると、出た結果について、その内容がいいとか悪いということは申し上げぬけれども、それらの経緯の中から、どうも最近は、一方ではILOなんということで信用の回復、こういうことで一生懸命政府のほうも言われるが、片や出てくる形というものは、どうも検察側のほうから労働組合に対してじりじりと抑えがかかってきているのじゃないか、こういうことを世の中の労働組合をやっている方々はみんな感じているわけです。そのことは、かつてよくあった労働組合に何かを与えようとするならば何かを取っておけ、これが今回の国内法改正にもつながるのだろうとは思うけれども、それでは私は真の意味の信和の回復、確立にはならぬと思っている。そういう意味で、これは公表しないものというのだけれども、よしんばこれを公表しないといったって、人の目につくことだってある。現に私はここに持っておる。そうなると、そういうことを不用意に言われるということになると、なお悪い。それは三矢事件だって、公表しないことになっていたのかもしれぬ。しかし、表に出ればあれだけの騒ぎになる。だから、そういう点を考えたときに、私やはり先ほど来申し上げているように、どうも検察行政全般からながめてみて、最近労働運動に対し、不穏当な状態が、組織暴力云々などということばまで使ってある。こういうところを私は申し上げているので、まあ労働大臣の言われる意味がわからぬわけではないけれども、そういう形式よりも根底にあるところをひとつお考えをいただかないと、ILO問題というものも前進をしない、こういう心配をしておるわけです。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 私は、その文書というものを政府が公表した事実がないし、また公表しないことがたてまえになって行なわれておるものでありまして、その文書について一々御質問になっても、政府として責任をもってお答えする立場にないということを申し上げたのであります。  それからもう一つは、労働運動に対して組織暴力というような直接的な考え方を政府が持っているかのごとくおとりでございますが、勤労者の労働条件を維持、向上することを目的として結成される労働組合は、法律によって保護をされていることは言うまでもありません。しかしながら、何人といえども法秩序維持の責任はあるのでありまして、その法秩序を乱した、法律を犯した行為に対しては、これはいかなる人々であろうと同じ立場において罰せられるのでありまして、それは、労働組合であるからとかないからとかということは別の問題であると考えている次第であります。

青木正自由民主党

○青木委員長 大出君に申し上げますが、時間が参っておりますので……。

大出俊日本社会党

○大出委員 いまの答弁が出ましたから申し上げておくのですが、そこが実は問題の焦点で、何か知らぬけれども、労働運動から発展をして多少手が出たというようなことがある。人が動いておりますからね。ところが、とたんにそれは暴力なんだということで、最近は特に量刑が不当に軽いというかっこうにすぐなってくる。そこで、じゃ正当なる労働運動とは何かということになれば、羽幌炭鉱等の事件をめぐっての最高裁の判例があるわけでありますね。これは、御存じだと思うのだけれども、そうすると、その内容というのは、諸般の事情を考慮し、社会通念に基づいてきめるというのが判決内容ですね。天下に有名な事実です。ところが、諸般の事情ということになれば、たとえば公労法の四条三項があった、ところでそこで首を切られた人がいる。したがって代表者を欠くから無意味だということで団交か拒否をされる。さて、そこで問題はますます複雑になり、相互信頼が失われてくる。そういう中で労働条件を維持しようということになるから、一生懸命今度は維持するための努力を組合側がする。そういう労使間の紛争、争いが押し問答になったり、入っては困るというのに入ったりという問題が起こる。この時点をとらえて、それは労働運動ではないのだという、そういうものの見方をしようとする、検察行政全般をながめると。そうなると、諸般の事情、これを考慮しなければならぬ。諸般の事情は、今日四条三項というものは八十七号条約違反であり、あつ憲法違反の疑いさえあるかもしれない、こうなっていて、そうなると、それらの事情を考慮すると、これは明らかに労働運動という前提に立ってものを判断しなければならぬ筋合いなんだけれども、そうでないところに中心点が置かれる。これが今日の混乱をする原因だ。こういうふうにわれわれの側は理解をするのですよ。そこのところを私は申し上げているので、時間がないから、実は簡単に言っているからなかなか意が通じませんが、そういう点を考慮をされないと、警察官が警棒を上に上げたらいかぬということになっておったって、テレビを見ておった方々が、何もしない人をなぐっている警察もいるじゃないかといってみたところで、それを起訴されたかというと、起訴された人はない。そうなってくると、動いている運動なんですから、ちょっとしたところに皆さんが言われる行き過ぎなりというものがあると、それをとらえて、それは労働運動ではないという。将来に向かって信頼の回復をはかり、労使関係を安定させ、法体系を正しくひとつつかんでいこうと考えておられる労働大臣という立場で、これをどうお考えになるか、そこのところを私は聞いておきたい。

石田博英自由民主党労働大臣

○石田国務大臣 公労法四条三項という規定は、とかくな議論がありますけれども、現在まではこれは法律として存在をしておったものであります。適法に立法されたものであります。それが現在八十七号条約を批准するという客観情勢の中におきまして、これと矛盾する法律であることも事実でありますので、これを改正しようといたしておることは、御承知のとおりであります。しかしながら、その以前、法律が現存しておるときにおいては、やっぱり法秩序のもとにおいてはその法律は尊重されなければいけないのでありまして、悪い法律であるから、間違った法律であるからという判断のもとに、その法律を無視していいということにはならないと思います。しかしながら、(「憲法違反だ」と呼ぶ者あり)四条三項について憲法違反だという議論もございますが、しかしながら、そうでないという判決もございます。そこで、そういうことを動機として起こった運動でありまして、ある範囲において、つまり労働権の問題を中心としてそれを廃止させよう、訂正させようとして起こった運動、これは労働運動でありましょう。しかしながら、その労働運動がそういう動機で行なわれた運動であるとしても、それだからといって暴力を用いていいということにはならないのでありまして、それが、たとえばとっさ的に警察官があるいは警棒を肩から上まで上げたというような程度のものという判断をされれば、それは起訴とならないでありましょう。しかしながら、そのときの状況判断は、それは検察あるいは警察の論告、処置に基づいての裁判所の判断にゆだねられることだと考えておるのであります。私は、善良な、そしていい労使関係をつくり上げますためには、やはりけじめを明らかにし、法秩序を守っていく、現在の法体系というものの中に間違いがあるならば、議会を通じて改めるように努力をしていくということが正しい逆なのでありまして、現在の法体系の中に自分の考えと違うものがあるからといって、これを無視していいということにはならないと思っております。

青木正自由民主党

○青木委員長 大出俊君、時間間がまいっておりますので、結論をお願いいたします。

大出俊日本社会党

○大出委員 最後ですから、一言だけ申し上げておきますが、近く口頭弁論が開かれることになっている。これは異例なんでありますが、最高裁で争われるということになると思いますが、東京中郵事件なんというものもあるのですけれども、検事側のほうでは、コンスピラシーの理論などというものを最近は持ち出しているのです。これは一七〇〇年代の、二〇年ごろの英国流のものの考え方で、つまり二人集まってものを言い合ってみても、これは共謀だという、例の治安警察法の十七条で有名な内容を含んでいるのでありますが、こういう立論をしているわけであります。そうなってまいりますと、その種の治安立法、治安法から訣別をするという意味で労働法規ができて、適法な労働運動——いま石田労働大臣がいみじくもちょっと口にされましたが、そういう経過が私はあると思うのですね。ところが、その二百年もの前に返ろうというような理論まで最近は出てきているというふうな例示を私は先ほど来幾つか申し上げたわけなんですが、そういうことになると、皆さんの側がどういうふうに言われても、受け取る労働者大衆の側からすると、どうもILO問題等で一歩前進するかと思っていると、逆に検察側の行政面からくる、何となくどうも労働組合か締められてくる、こういう受け取り方になっていく。ここのとこ一つが、信頼の回復といわれてみても、なかなかそういかないところで、だから私は、この種の労働刑事事件を将来なくさなければならぬと思っている一人なんですが、例の安西事件云々の出発点も、団交拒否というものをめぐって、責任がいずれにあるかということをここでは申しませんが、あらわれた結果としては、労使の不信感がその頂点に達して起こったことだろうと私は判断するのであります。そういう意味において、これは郵政関係の事件でありまして、郵政大臣の御出席をいただいているので、将来に向かっては、私は、その信頼の回復をほんとに根底からそう考えて推し進めるということにならなければならない、幾らいろいろ口で言われても、正常な労使関係は生まれてこない、こういうふうに考えているわけなんですが、最後に、ひとつ郵政大臣のほうから御答弁を賜わりたいのです。

徳安實藏自由民主党郵政大臣

○徳安国務大臣 ただいま御指摘になりました安四郵便局与件のごときは、まことに不幸この上もない事件だったと思います。結果から申しますと、双方に信頼感を失なった結果がああいう結果を生んだと思いますので、今後におきましては、お互いに信頼し合えるような労使関係をつくり上げまして、再びかようなことのないように努力いたしたいものと考えております。

大出俊日本社会党

○大出委員 終わります。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。     —————————————

青木正自由民主党

○青木委員長 この際、申し上げます。  昨日、分科員の配置及び主査の選任につきましては委員長に御一任願っておりましたが、各分科会の主査を次のとおり指名いたしましたので、この際、御報告いたします。  第一分科会主査、植木庚子郎君。  第二分科会主査、中野四郎君。  第三分科会主査、相川勝六君。  第四分科会主査、古川丈吉君。  第五分科会主査、今松治郎君。以上でございます。  なお、分科員の配置につきましては公報をもって御承知願います。  なお、理事会の決定に基づき、来たる二十二円月曜日から昭和四十年度総予算について分科会の審査に入ることにいたします。右御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会

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