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48回国会衆議院1965/02/15

予算委員会 第12号

発言数
264
登壇者
19
会派数
2
開催日
1965/02/15

会議録

青木正自由民主党

○青木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算、昭和四十年度特別会計予算、昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 きょう、私は主として外交の問題についてお尋ねしたいのですが、一番最初に椎名外務大臣に椎名外交の基本姿勢といいますか、特に共産圏に対する基本的な考え方についてひとつお話し願いたい。そのついでに、朝鮮に対する外交の考え方についての御意見を承りたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 朝鮮は、合法政権として日本が承認しておる国は緯圏でございますが、韓国との関係は、御承知のとおり、従来長い間の両国の関係にかんがみまして、一日も早く国交を正常化したいということで、日韓会談を長期にわたってその成立に努力しておるような現状でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 いま外務大臣は、朝鮮の問題についてお述べになったが、韓国の問題だけでなしに、私が聞いたのは、まず共産圏に対する基本的な考え方、その中でもアジア外交、そしてまた、そのアジア外交の中でも朝鮮の問題、こういうことで私は聞いたわけですから、そういう順序でちょっと御所見を承りたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 朝鮮の北部には、いわゆる北鮮には事実上の政権があることも承知しておりますが、これとの関係は、一切まだ正常化しておりません。承認をしておりません。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣に、私は大臣としての政治の、これはまた姿勢の問題ですが、こういう国会での質疑、われわれが政府に対していろいろ質問をするのは、町民に対する政治というものがきわめてまじめに行なわれることを要望するからです。したがって、われわれが政府にお聞きすることは、政府としても国民にわかるように、まず国民にわかる前に質問する者にわかるような答弁をしてもらわないと困るのです。それでないと政治ができませんから。いまの御答弁ではどうもはっきりしないので、もう少し納得のいくようにひとつ……。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 朝鮮半島が韓国及び事実上の政権である北鮮と二つに分かれておりますが、これはできることならば南北の統一が望ましいということは、一般にいわれておる、持たれておる見解でございます。日本といたしましても、国連の監視下において自由選挙を行なって、そうしてすみやかにその統一ができますことを望んでおるのでございますが、遺憾ながら今日においては両者の間の見解がはなはだしく食い違っておりますので、その実現を見ないでおる、こういう現状でございまして、この点は、日本政府としてもはなはだ遺憾であります。韓国との国交正常化については、一日も早くその完成を期したいということで日韓会談を急いでおることは、先ほど申し上げたとおりであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 韓国の場合は、あとでまた日韓会談を通じての問題について聞きますが、三十八度線の北の問題については、どういうふうに考えておられるか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 北鮮の関係は、遺憾ながらまだ日本と北鮮における事実上の政権との間に国交が正常化しておらないことは、御承知のとおりであります。でありますから、できるだけ南北両者が一日も早く統一政権をつくることを大いに希望しておる、こういう状況であります。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、朝鮮の問題については、南北に一日も早くそういう関係のできるように希望しているということはいま外相から聞きましたが、アジアにおけるところの外交に対する日本の姿勢というものは、これは、特に共産圏としての中国あるいは朝鮮があるわけでして、それは非常に重要な位置を占めておると思うのです。だから、この共産圏に対する日本の外交というもののはっきりした態勢ができておりませんと、これからあとの経済、外交等についても非常に大きな問題が出てくると思います。私は、この際、日本の外交はどうも自主性を欠いておるのではないだろうか、いつもアメリカのしり馬にばかり乗ってアメリカの言うように動いておるのではないか、こういう憂いを持ちますが、外務大臣は、そういう点については確信がありますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 日本の外交は、やはり日本の固有の国家利益を基調にして、あくまで独自の判断のもとに進めてまいらなければならぬ、さように考えておりまして、アジアにおける日本の外交、あるいはまた共産圏に対する日本の外交も、さような基調のもとに進めておる次第でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 そういう基調で進めるということになれば、日本の外交というのは、日本の利益のために積極的にやはり行なわなければいけないと思います。そういう意味で、たとえば朝鮮に対する問題について、いま南のほうとは非常に積極的な態勢を示しているけれども、北に対しては全然関心を示さないというふうに見受けられる面がある。この北に対しては、いま全然配慮を行なっていないのか、それとも何かそれに対する考え方をしておるのか、朝鮮の問題についてもう一度お聞きします。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、国連の第三回総会において決議がございまして、その国連の決議の趣旨に沿うて平和条約の際に韓国を認めておるのでありまして、まだ北鮮とは何らのそういう正常関係を結んでおらない。これは、決して正常な状態でないことは承知しております。でありますから、一日も早く合理的な方法によって南北朝鮮が統一されることを日本としては期待しておる次第であります。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣は、いま南北が統一されることを期待している、こう言ったことは、もう一度確認してよろしいですね。——それならば、いまの日韓会談というものを南のほうだけで進めるということはいかがなものかという、われわれ疑問が出てきます。このことと、いまの統一を希望しているということとの関連性がどうもついてこなくなる。いま日韓会談については、政府は非常に急いだ姿勢を示しておりますが、そういうのは、その統一を希望することとはどういう関係になりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 南北統一の問題は、日韓会談と食い違うものではない。したがって、われわれといたしましては、その後において両者が統一された場合には、またその状態において考える。目下は、北のほうは白紙の状態でございまして、日韓会談が成立する、しないにかかわらず、南北の統一は可能である、日韓会談の成立によって南北の統一が阻害されるというようなことは毛頭ない、かように確信しております。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは、外務大臣の一方的な考え方であって、朝鮮の中では、日韓会談というのは南北の統一をきわめて大きい力で阻害する、こういうふうにいわれておるし、また、きょう現実にそういうことを中心として、南の朝鮮では日韓会談に対する反対の運動などを行なう一つの委員会が持たれているんです。これは新聞でも出ております。だから、この問題はあとでもう一度、日韓の問題に入ったときにひとつ外務大臣の所見を聞きたいと思っているんです。統一を阻害しないということは、絶対に間違っております。その認識は、朝鮮に対しては非常に侮辱的なことばである、私はそういうふうに思いますから、これは外務大臣、はっきりとひとつあとでまたお聞きしたいと思うのです。  私は、日本の外交というのは、特にアジアにおいては、共産圏の問題を中心にして非常に重要である、こういうふうに思っております。特に今日の日本の内政上あるいは経済上の問題からいいまして、開放経済に入った今日では、アジア外交というものの位置は非常に高くなってきておると私は思うんです。この点について、外務大臣あるいは通産大臣に承りたいのですが、共産圏というものが、特にアジアにおける共産圏の位置は、経済外交上どのような位置を占めておるかということについての所見を、通産大臣あるいは外務大臣から承りたい。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 アジアにおける共産圏との経済外交ということになりますと、ソ連が、シベリアの関係もございますから入るでありましょう。また北朝鮮、それから中共、おもだったところはそういうところになるのではないかと思います。これを大まかに分けますと、国交のある国と国交のない国ということになります。ソ連との間には貿易協定を結んで、そのワクの中でやっておる。また、問題になります延べ払いなどにつきましては、これは西欧並みでいこうというように方針が明らかになっております。国交のない中共との関係におきましては、これは繰り返し申し上げるように、政経分離、民間ベースでやっていこう。しかし、これは主として貿易の関係を申しておるのでございまして、一般的な大きな意味における経済外交ということになってまいりますと、北鮮、中共の場合には、それに該当するものはあまりないかと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 経済外交の面では、中共、北鮮にはそれに該当するような面がないということをもう少し詳しく承りたい。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 これは、通産省の所管で申し上げますと、経済協力の予算といたしまして七億五千万円計上しておる。その内容は、海外技術者の受け入れの研修費であるとか、技術センター事業の委託費であるとか、生産性向上の費用であるとか、こういうようなものに、通産省の関係でいえば、経済外交の関係の予算が出てくると思います。そういうものについては、現在中共とか北鮮と関係はない、かような意味でお答えをしておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 そういう意味では全然関係はないということは、今後も全然そういうものに関心を持たないということですか。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 これは、現在国交がないのでございますから、関心はございましても、いまのような具体的な予算の計上をいたしまして計画を立てていくことは、至難ではないかと思うのであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣に承りますが、そういう問題については、今後どういうふうに開拓していく考え方でおりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 研修であるとか技術教育のような問題につきましては、やはり政府がどうしてもこれに関係してまいる。そこで、ある程度政治的な問題でございます。そういう関係から、まだ国交関係のない共産圏とはさような問題は生じてこない、こういう状況でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 国交関係がないから生じてこないということでなくて、国交関係がない中でどういうふうにそれを打開していこうという意図があるかということを私は聞いております。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これは、ケースバイケースと申しますか、そのときどきの状況によって判断をしてまいるほかはないと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、きょうはあまりこの問題にはこだわっておりたくないのですが、特に中共に対するプラント輸出の問題などについては、いま日本の経済の上からいくと非常に大事な問題だと思うのです。これは、貿易という問題だけでなしに、経済外交の意味においても非常に重要だと思うのです。政府のいまとっておるプラント輸出の問題は、中共だけじゃありません。朝鮮に対しても同じような問題があるわけです。このプラント輸出の問題について、吉田書簡の問題では、さきに総理と官房長官との間に意見の食い違いもあった。こういうような問題に対して現状のままで放置しておいたのではよくない、これを打開しなくちゃならないというふうにわれわれは考えておるのだが、それに対して通産大臣はどういうような処置をしておるか。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 私は、いわゆる政経分離、民間ベースの基本方針の中で、できる限り貿易の拡大を望んでおるわけであります。それがためには、私どもの言動についても細心の注意の必要もあろうと思います。また、処理のしかたについても、当然慎重を期すべきであろう、かように思うのであります。すでに石野委員もお聞き及びだったと思いますが、ニチボーのビニロンプラントであるとか日立造船の船舶の問題につきましては、通産省に関しては申請をされたものを、これを当然処理されるべき手段において処理をしておる。その中には何ら政治的な考慮等を払っておらないのでありますも六カ月以上の延べ払いについては、これは西欧諸国であろうが、また共産圏であろうが、通産省に対して輸出承認を求めてくる。したがって、それに対して事務的に考慮をいたしました。すなわち、ニチボーの場合であれば、四月には契約の期間が切れる、この間に承認が与えられなければ困る、あるいは日立さんの場合であれば、二月十五日がそうである、こういうことでありますから、よろしければこれを許可すべきであるというふうに指示を与えておるのでございます。その申請の内容の中には、別段いま問題になっておるような事項というものは表面には出てこないのであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 表面的には出てこないといっても、現実に日立でもあるいはその他のところでも、これはほとんど輸銀の金を使わないでは仕事はできないという事情に追い込まれていると思うのです。これは、民間融資の形で貿易採算というものがとれてくるならば問題にならないだろうと思いますが、それがとれないからいま問題になっている。そういうようなことをほうりっぱなしておいたままで中央とのブラント輸出の問題を解決しろとか、あるいは北の朝鮮には、アクリルの繊維のプラントの問題なんかもいま出ているわけです、こういうような問題を吉田書簡があるからというのでとめられておったら、困ってしまうわけです。私は、吉田書簡というのはどれだけのきき目があるかという問題についても疑問がある。これは、あとでまた商工委員会等でわれわれ聞きたいと思いますが、現実にこの問題については、あなたのところの佐橋次官などは、こういうことでは困るのだから一日も早くということの要請を総理にしているということも聞いているわけです。この点はこのままほうっておいたのではいけないと思うのだが、その点に対して、通産大臣はどういうふうに考えているか。あるいはまた大蔵大臣は、こういう問題をこのままほうっておくつもりであるのかどうか、簡単でいいですから、それに対する所見を承りたい。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 民間ベース、こういうことになりますと、日立なりニチボーが、私どもは自主的に判断をしてもらいたい、こう思っておるのであります。その判断の中で、企業努力をいたしまして解決のできる面もございます。この両社とも、諸般の情勢というものを十分知っておるのでありますから、この事業経営者の独自の判断でやっていける、こういうふうに私は思うのであります。よく輸銀ベースのお話が出ますが、頭金は幾ら、金利は幾ら、延べ払いは幾らと契約上はっきりしておるのでございますから、その中で努力をしていただきますならば、解決の道はある。また、この席上でしばしばお答えをいたしましたように、現在すぐ輸銀がどうという問題が起きてこない、ある期間これは検討できる余裕がある、かように思っておるのでございます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 通産大臣がいま申し上げたとおりでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、これはまたあとで聞きますが、政府としてはきわめて冷淡だというふうにしか受け取れない。これでは、やはり開放経済下における日本の経済の道を開いていくということは、非常に困難であろうと思います。もう貿易問題については、これでおきます。  私は、外務大臣にお尋ねしたいのですが、その前に私は委員長にお尋ねしますが、先般の本委員会において石橋委員から問題を提起しておりますいわゆる高杉発言でございます。高杉氏を召喚するという問題について、理事会がこの問題を預かっているはすですが、いまどういうふうになっているのですか。

青木正自由民主党

○青木委員長 引き続き検討中であります。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは、問題を審議する上からも、特に今日外務大臣が訪韓するという上からも非常に重要な問題だと私は思っておるのです。外務大臣にお尋ねしますが、いわゆる高杉発言というものについて、外務大臣はこの前、私はそんなことは知らないということを言いました。しかし、韓国では、この問題はやはりたいへんな問題になっておる。そして、あらゆる新聞はこの問題を取り上げて騒ぎを大きくしておる、こういうことをわれわれは知っておるのですが、外務大臣は、そういうことは御承知ですか、

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 表面化してから、高杉発言というものを見たり聞いたりしております。韓国においてもこれが問題になっておることも、新聞の報道で承知しております。しかし、私は、高杉代表の日韓会談に対する認識なりあるいはその熱意なりから推しまして、あり得ないことだ、かように考えております。事実私は、その事実を知りません。

石野久男日本社会党

○石野委員 高杉氏は、一月二十日の日韓交渉の席上で、このことについて何か弁明をされておるようですが、どういう弁明をしたのですか。

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる高杉発言というものが新聞等で非常に出ましたものでございますから、一月二十日の予備会談のときに、韓国の代表金大使から、ああいう新聞に伝えられたような発言の事実があったのかどうかを、正式に本国政府の訓令によって聞いたわけでございます。それに対して高杉代表のほうから、そういう伝えられたような発言の事実はないことを公式に申しまして、そして、さらに日韓会談に対する高杉代表の熱意というものを詳しく述べまして、そういう高杉代表の交渉に対する基本的な考え方からしても、伝えられたような発言はあり得ないことであるということを詳しく陳弁いたしまして、それに対して、韓国代表金大使のほうも、それを了承いたしまして、一応外交的にはこの問題はクローズされた、そういうことになっておるわけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 私がいま聞いているのは、どういうふうなことはでそれを弁解したかという、その高杉氏の発言の内容を聞いておるわけです。日韓交渉に対する熱意の問題はよろしいですから、いわゆる高杉発言に対してどういうことはで弁解したか。

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 先ほど申し上げましたとおり、「高杉代表は、金大使の質問に対してその事実を否定されるとともに、次のようなことばで発言をしておられます。読み上げますと、「日韓問題について私が韓国民の感情を無視したとんでもない発言をしたということが、共産系ニュースその他一部に報道されたことを知り、誠に驚きました。この作為的報道が日韓交渉の前途に暗雲を落すことを恐れ、私はこの機会をかりて、私の覚悟と信念を披瀝いたしたいと存じます。  私は日韓国交正常化の交渉に当って国民感情の問題を重視しております。私は韓国民が日韓間の歴史的関係について極めてきびしい感情を抱いておられることを十分理解しております。また、韓国民の間では本年が「乙巳の年」といわれていることも知っております。私は韓国民のこの気持をいかにして対日友好感にもっていくか、日夜腐心している次第であります。日本国民は誠意のある行動をもって、このわだかまりを解いていかねばなりません。そのためには何をおいても日韓交渉を妥結させ、国交を正常化し、日本国民が誠意をもって韓国民の期待に応える道を開かねばならないと信じ、そのため微力をつくす覚悟であります。このような信念と覚悟をもっている私がどうして一部に報道されているようなことをいう筈がありましょうか。韓国の国民感情に対する私のこの気持を何とかして韓国民にお伝えしたい、というのが私の切なる希望であります。」こういう発言でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 高杉発言は、作意的なものであるということで弁解をした、こういう趣旨のようです。しかし、この問題は、だれがどのような作為をしたかということが非常に重要なんです。高杉氏は「エコノミスト」で、共産圏の——あれは日本共産党がそういうふうに作為したというふうなことを言っておるのですが、そういうふうな趣旨のことをなお付言して言っているのですか。   〔「作為したのはだれなんだ」「だれが作為したんだ」「後宮ではだめだ、外務大臣でなければだめだ」と呼び、その他発言する者あり〕

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 いま読み上げましたとおりの発言でございました。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣、ちょっとお聞きしますが、それは、どういうふうに言っておるのですか、だれが。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 御質問の要旨は何ですか。

石野久男日本社会党

○石野委員 先ほど、日韓会談の席上で高杉氏は、いわゆる高杉発言なるものは作為的行動であると、こういうふうに言ったといま後宮局長が言った。だから、これはだれが作為的行動でやったのかということをはっきりしてください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 高杉代表の発言でございますから、私は、何もそれに相談を受けたわけでもない。

石野久男日本社会党

○石野委員 委員長にあれしますが、ただいま後宮局長から、日韓交渉の席上で高杉氏は、これは作為的行動だと言った。その問題について私はいま外務大臣に尋ねたところが、それは高杉の発言だから、高杉に聞かなくちゃわからぬ、こういう趣旨ですから、これは、やはりここへ高杉氏に出てもらうことが大事だと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 高杉発言でございますからとは申しましたが、あとは、あなたが作為したのではないかと思います。私は、私は……。(「作為とは何だ」、「取り消しなさい」、「そんなのはだめだよ」と呼ぶ者あり)こういうわけです。高杉氏の発言でありますから、あらかじめ私が相談を受けたわけでもないということを申し上げたのですが……。

石野久男日本社会党

○石野委員 もう一ぺん……。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 高杉氏の発言であって、私が別にそれに相談にあずかったわけでもないということを申し上げたのです。それを、やかましいものだから聞こえなかった。あとで、あなたの後半が違っておりますということを申し上げたのです。どうぞ御了解ください。

石野久男日本社会党

○石野委員 いま外務大臣は——高杉発言というのは、先ほどの後宮局長のことばをもってすると、これは作為的行動であって迷惑しているということを言ったという。だから、それではその作為的行動、だれが作為をしたのかということを私は聞いたわけだ。その問題について、これはここでは外務大臣が責任者だから、外務大臣に私は聞いた。そうしたら外務大臣は、それは高杉の発言だからわしは知らぬ、とこう言った。高杉に来てもらわねば困る、こう言ったのでしょう。それでは、この高杉の問題は高杉の発言だから、外務大臣はどうしようというのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 高杉氏の発言ではないということであって、伝えられておるところは自分の真意なり発言なりと違う。どこかでやはり違っておるところがある。違かせたというか、どっか違っておる。違っておるということを言っている、私はそう思います。作為というのは、違っておるということを表現しておるものと考えます。

石野久男日本社会党

○石野委員 先ほど後宮局長が読み上げたものは、公式の席上での記録です。ですから、それは外務大臣は認めるんでしょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 公式の席上における発言でありますから、これは認めざるを得ない。

石野久男日本社会党

○石野委員 だから、これは公式の発言で認められておるのですから、それでは、高杉氏はこれを作為的行動だと言った。その作為はだれがやったかということをはっきりさせないと、日韓の交渉上からいっても非常にまずいことになってくるのです。これは、はっきりしなければだめですよ。しかも、このことをはっきりしないで椎名外務大臣が韓国なんかに行ったら、たいへんなことになってしまう。私は、これをはっきりすべきだと思う。これははっきりしなくちゃいかぬと思う。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 結局自分の真意なり発言と違っておるということを、作為ということばで表現しておるものと考えます。

石野久男日本社会党

○石野委員 この作為ということばは、非常に欺瞞に満ちておる。いま私はここに「民族と政治」という雑誌を持っておる。ここに高杉氏は、「日韓会談に臨むに当って」ということを書いておる。その中にはこういうふうに書いてある。「ある席上でこれはオフレコということで、日韓お互いにあまり過去のことに拘泥してはいけないということを雑談的に話したことが」と、こう言っておるのですよ。「心ない記者にそれを大きく取り上げて歪曲して報道せられ一時的にせよ問題を起こしたことは甚だ残念」であると、こういうふうに言っておるじゃないですか。外務大臣はこれをどういうふうになにしますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 自分の真意なり自分の考え方をはっきり伝えたものでない、間違っておるということを言っておるにすぎないと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 ここでも言っているように、自分がオフレコということで話をした。これは認めておるのでしょう、これは本人がこう書いているのだから。だから、この作為的行動ということは、むしろ高杉が作為している。そういうようなことをわれわれは認めたままでこの問題をもみ消すというようなことは、よくないと思うのです。外務大臣、それについての所見を承りたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 それは一々私は存じません。とにかく公式の席上において高杉発言があり、これに対して相手方の韓国の大使が了承しておる次第でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、この日韓会談は、日本と朝鮮との友好関係を進めていくために進められているものだろうと思うのです。だけど、事実はそうじゃない。あとでまたこれはなにしますが、しかし、高杉発言なるものは、いま韓国では大問題になっておる。しかも高杉は、この問題を作為的行動だと言っておる。しかもその作為的行動というのは、「エコノミスト」の二月九日号では、こういうふうに言っております。「日本の一般新聞には何も出ていません。アカハタに出たものです。私は日韓会談には、」云々ということで、これは、全く作為的なことだということをやはりここでも書いている。高杉という人は二枚舌を使う。エコノミストではそういうふうに書いているし、また日韓会談の席上では作為的行動だと言っている。ところか、こちらの「民族と政治」というほうでは私は話したのだと言っている。こういう二枚舌を使うような者をいま日本の首席全権として認めることは、外務大臣、いいのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、りっぱな全権として信頼すべき人であると考えます。

石野久男日本社会党

○石野委員 りっぱな人とか云々というのじゃなしに、こういううそごとをつくってやっていることについてわれわれは不信がある。事実無根だということも彼は言っているし、作為的行動だということを言っているとするなら、その作為をだれがやったのかということは、はっきりしておかなければならぬ。これは、民主的な政治を、あるいは外交をやる上からいっても、こういうことをあやふやにしておいたらいかぬと思うのです。だれが作為的行動をやったのかということは明確にすべきだと思います。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これは、自分の真意を伝えたものでないという表現をしておるものと考えます。

石野久男日本社会党

○石野委員 真意を伝えたものでないということになったら、何を言うのです。あなた方は、石橋氏が読み上げたように、あそこの高杉発言なるもの、オフレコで言ったというもののうちのどこが呉意でないのか、それじゃ明確にしてほしい。高杉発言なるものとして発表されたもののうち、どこが真意でないのか、その点について、外務大臣、はっきり言ってください。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 先ほどアジア局長から明確に読み上げました、そのとおりだと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、この問題は委員長に重ねて要求しますが、いまのような発言では、高杉が来なかったら、ここではどうしてもこの問題は話にならないのです。だから、もう一ぺん委員長に、高杉をこの委員会に至急、できることならいまでもここに来てもらいたい。そのことを要求します。

青木正自由民主党

○青木委員長 この問題は、先ほど申し上げましたとおり、理事会において検討中でありますので、お話の御趣旨もありますので、さらに理事会において十分検討したいと存じます。

石野久男日本社会党

○石野委員 いつ呼ぶのですか。もう一ぺんちょっとはっきりしてください。

青木正自由民主党

○青木委員長 これは、理事会で相談の上決定いたします。先ほど申し上げましたとおり、理事会において検討いたしますから、質問を御継続願います。

石野久男日本社会党

○石野委員 高杉氏の問題については、その真意でなかったということを言ったのだ。これは、あとで高杉氏が来て聞かなくちゃならぬことですから、理事会でひとつやっていただきたいと思います。  私は、そこで高杉発言に関連して、真意でなかったという、それならば、この高杉氏の発言のうちの問題について、外務大臣の所見を聞きたいと思うのです。高杉氏の発言だと言われているものの中にはこういうことが言われている。三十六年間の統治に関してあやまれという声もあるが、しかし、そんなことは国民感情として言えたものでない、こういうことを言ったと言われておる。日本は朝鮮を支配した。しかし、わが国はいいことをしてきた。日本としては朝鮮にいいことをしようと思ってやったことだ。こういう考え方を高杉氏は持っておったと言われるのです。外務大臣は、やはりこういう考え方を持っておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 すでに高杉氏が自分の真意を伝えるものでないということを言っておりますので、この問題に関して私はとやかく言う立場にないと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、これは高杉氏のことを言うのではないのです。高杉氏がそういうことを言ったか言わないかということは、私はまたあとで聞きます。しかし、こういうことが朝鮮ではたいへんな問題になっておるのです。いま日本と朝鮮との友好を進める上において、外務大臣は、こういうことについてどういう考え方を持っておるかということを聞いておるわけだ。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は過去のいきさつ、あるいはこれに関するいろいろな感情等は一切これを抜きにして、前向きに両国民が共存共栄の道をひたすら歩めばよろしい、こう考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 共存共栄をしようという考え方であれば、こういうようなことはおそらく考えていないだろうと思うのだが、朝鮮はいまはげ山になってしまっておる、これは、もうあと二十年間も日本は朝鮮を持っておったらよかったのだ、もう二十年も持っておったらよかった、こういう考え方を持っておる人がいる。外務大臣は、そういうことを考えていますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は別に何も考えていません。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣は何も考えてないということは、こういうようなことについて全然意見がないということですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 いま朝鮮の山がどういうふうになっているかよく知りませんので、したがって、私はそれに対する考え方を持っておらない。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、外務大臣はほんとうに国民に対して忠実な政治家であることを望んでおります。だから、われわれがほんとうに心配しているような問題は、要領よく逃げればよいのだ、そういうようなずるい考え方ではいかぬと思うのですよ。みなが心配していることについては、明確にはっきりした態度を示すのがほんとうの政治家だと思う。しかも、これは特にアジアでは一番問題になる、外交の中心になっているところなんですよ。私は、一番最初に、アジアにおけるところの椎名外交の基本、基調というものはどういうものであるか、特に朝鮮に対してはどうだ、朝鮮に対する日本の外交の問題を考えるにあたっては、かつて朝鮮を日本が支配しておったということがあるから、だから、ここではそういう立場で日本の外交というものには一つの筋が出ていなければならない、こういうように考えるから私は聞いた。ところが、佐藤内閣椎名外相のもとには、そういうことに対するまじめな考え方がないということが先ほどの答弁ではっきりしたのですよ。いまもまたそれを裏づけるようなことになっている。もう一ぺん聞きます。  日本が朝鮮を支配したときに朝鮮人に創氏改名ということをやった。これは決して悪いことをしたのではないのだ。とにかく日本は創氏改名によって朝鮮が親類になったようなつもりで、日本人と同じように扱うようにするためにとられた措置であって、決して悪いことではない、搾取とか圧迫というものではないのだ。こういうような考え方を持っておる人がある。そういうことに対して椎名外務大臣は、創氏改名ということを見たことも聞いたこともないはずはない。これはかつて日本の政治はやったのだから——創氏改名ということがわからなければ、それは、氏を与えて名前を変えるということなんですよ。朝鮮人の名前を日本の名前に変えるということなんです。そういうことをいいと思っているのかどうか、この点について外務大臣の所見を承りたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、あくまで日本の外務大臣としては前向きに考えて、そして両国民がほんとうに手を携えて共存共栄の道を進む、その方法いかんということだけを考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 前向き前向きと言うけれども、いま私が聞いているのは後向きのことなんだから、あなたがそれを否定するだろうというふうに思って外務大臣に質問しているんですよ。だけれども、あなたはこれをちっとも否定も何もしない。だから、私のお聞きしていることは全然いままで外務大臣によっては否定されてないというふうに私は受け取りますが、それでよろしゅうございますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、ただ前向きにひたすら進めばよろしいということを申し上げただけであります。

石野久男日本社会党

○石野委員 先ほど椎名外務大臣が、このいわゆる高杉発言なるものは真意を伝えていないのだということを言った。その真意を伝えないからああいうようなことを高杉氏が言ったんだと、こう言うのですが、しかし、その真意を伝えないというようなことになると、オフレコだといわれたところの内容は全部そうなんだ、では何が真意であったかということになってくる。全然真意になるべきものはなかった。私は、高杉という人の発言というものはきわめてふまじめなものだ、こういうことをやはり認めざるを得ないと思うのですよ。先ほど椎名外務大臣は、非常にりっぱな人だ、こういうふうに言ったけれども、りっぱな人じゃない。二枚舌を使っている。この二枚舌を使っているということは事実になっている。私は、いま椎名外務大臣にお尋ねしますが、椎名外務大臣は、たとえばこういうようにエコノミストで署名入りで書かれていること、あるいはまた「民族と政治」というようなもので署名入りで書かれている同一人のことばが違っていた場合に、そういうようなことに対して、椎名外務大臣は良識のある判断をどういうふうにお持ちになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 よくしばしば出版物にはそういう間違い、どこで間違うか知りませんが、そういうことがよくあります。それを一々——どうも私は、ここで問題にして皆さまに申し上げる立場にないと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、この非常に文化的な国家において、この自分の署名をもって書かれているものに対しては責任を持たにゃいかぬと思います。椎名外務大臣が印刷物には間違いが出てくるからというようなことを言われるとしまするというと、すべての印刷物を中心として法案の審議や何かやっているところの国会の議事なんというものはできなくなってしまう。私は、そういうようなものの考え方は間違っていると思うのです。椎名外務大臣がいま高杉発言について自分の所見というものを全然持たないとするならば、それは、韓国において出ておるところの問題に全然無関心だということにもなってくると思うのです。南朝鮮では、いま創氏改名ということについて、もうきついことを言っておりますよ。こういうようなものは全く日本の帝国主義的なものの考え方で、それをまた再びここで繰り返そうとしていることなんだ。たとえば、かつて大野伴睦氏は朴正煕のことを子供だということを言いました。高杉氏は兄貴分になってということを言った。そのことに対して、たとえば、これは東亜日報に出ておりまするところの経済史学者の文定昌という人のことばですが、日本国民は韓国民の兄貴になると述べた、それは不当千万なことばである。なぜなら、自主独立をしている韓国人は、ただ平等善隣の友人を望んでいるだけで、いかなる兄をも願っていないのだ。こういうことをはっきり書いているんだ。こういうようなことをわれわれはやはり全権である人が言っていたりなんかしたら、とてもこれは——金浦飛行場にあなたが高杉氏を連れて行かないという理由がどこにあるかわかっているんでしょう。今度あなたが十七日から行くとき、高杉首席全権を連れていかない。小坂外務大臣が行ったときには杉道助を連れていった。なぜ連れていかないか、連れていかないのは、こういうような韓国での高杉に対する反発が強いということを知っておるからじゃないですか。そういう問題について、外務大臣はどういうふうに考えておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 これは前から、会談の進捗にお役に立つならば私はいつでも訪韓いたしますという約束を向こうの首脳部に与えておりますので、それに基づいて、招待がありましたので私が参る、まあそれだけの訪韓でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 日韓交渉を進めるにあたって、われわれは韓国の中にいまどういうような姿勢があるかということをよく知った上で交渉を進めていかなくちゃいけないと思うのです。日韓会談を進める基本的な考え方は、韓国の国民、日本の国民の双方にやはり利益をもたらすような内容でなければならぬと思うのです。韓国の内情がいまどういう事情であるかということについて、外務大臣は十二分にその実情を知って行かないことには、この交渉が宙に浮いてしまうという結果になるだろうと思うのです。もし外務大臣が行って、金浦飛行場あたりで追い返されてくるようなことがあったなら、これはたいへんな不名誉だと思う。韓国の内部では、きょう現に野党の側が屈辱的韓日会談反対に対する委員会というものを持っているということは御承知ですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 存じません。

石野久男日本社会党

○石野委員 韓国ではいま、きょう現在、きょうこの日に、もうすでに新聞でも報道しておりまするけれども、十五日に日韓屈辱外交反対闘争委員会というものをやっている。これは、ほとんどみな在野党が、野党の諸君が全部この中に入っているのですよ。それの議長をしているのは尹フ善氏です。こういう実情を知らないであなたが交渉する。交渉するのは、それじゃ韓国というものと交渉するのじゃなくて、韓国の国民と交渉するのじゃなくて、全体としての反対している韓国の国民を無視して一部の朴政権というものだけしか相手にしないということになってくるんです。それでは、かつての小坂氏やあるいは大野伴睦氏が行ったときに受けた屈辱と同じような結果を受けてきますよ。外務大臣は、韓国の国情についてどのように見ておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 われわれは、韓国を代表する政権の首脳部を信頼する立場に立ってこの会談を進めたい、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 韓国の現在の実情は、もう経済的にも政治的にも非常に不安定です。先般丁一権首相が来て、総理との間に、韓国の内情は非常に安定化してきておるということを言っているけれども、これはうそですよ。事実韓国の経済は、たとえば通貨の面においても、もう昨年の暮れに四百七十億ウォンという実に膨大な膨張通貨になっておるし、インフレは高進しております。物価は昨年一年だけでも約三十二%から三%の上昇をしておる。失業はもう充満しておるのだ。そういう中で先般ベトナムに二千名の派遣をした。このときでさえも、国会ではたった野党の人が四名だけこれに合意しただけですよ。全野党はこれに反対しておる。そういうことから、ベトナムに派遣するこの問題についても猛烈なやはり大衆の反対がある。そういう実情について、外務大臣は承知しておりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 あくまで相手国の合法的な政権を認め、その首脳部に信頼して交渉をする、こういう立場をとっております。

石野久男日本社会党

○石野委員 首脳部と相談するのはいいけれども、韓国の実情は、いまアメリカの援助が非常に少なくなってきた。一昨年までは年間約一億三千万ドルの援助をもらっておったが、昨年は七千万ドルになり、本年は六千万ドルです。だんだん減ってきておる。減ってきておるものだから、どうしても日韓会談を交渉して、その交渉の中で出てくるところの五億ドルという金、一億ドル以上の金がどうしても必要なんです。そのことを高杉が言っているんですよ。高杉はどういうように言っているかというと、高杉氏はこういうように言っているんだ。経団連の経済協力委員長として後進国の開発に私は力を尽くしているが、韓国との国交が正常化していないために、財界としても本格的に乗り出せないでいる、せっかく請求権問題が無償三億ドル、有償二億ドル、計五億ドルが、大体の話がついていながらこれが実施できない、一日も早く国交を正常化して、この金を使って韓国の国情に沿った開発に日本は協力していかなければいけない、こういうことを言っているのですよ。いま日韓会談を進めるということについては、こういうような事情のもとに行なわれるのであって、この事情の裏というのは、輝国の国内的な経済的、政治的、社会的事情というものは非常に混乱をしておって、朴政権は風前のともしびなんです。だから、あなたのほうの党の有力な人は、日韓会談がもしまとまらなければ、三月ごろには朴政権はクーデターでやられてしまうだろう、またクーデターが起きるよ、こういうような心配をしているのが実情です。そういうために日韓会談を進められてきた。日韓会談は双方の合意じゃないですよ。しかも、このためにエマーソン駐日公使はたいへんな活躍をしております。昨年の八月、九月ごろから真剣になって日韓会談、第七次会談の再開を走り回ったし、今日でもそのことを言い、先般、この二日の日には、はっきりと日韓の早期妥結をするようにということを言っていっているじゃないですか。韓国の新聞では、そのことは非常に大きく取り上げられておりますよ。私は、外務大臣がそういうような実情をもう少し明確に知っておらなければいかぬと思うのですが、そういう点について、外務大臣は全然認識がないのですか、どうですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、あくまで相手国の責任ある政権を信頼して、それとの折衝を続けてまいりたい、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣は、いま外交の衝に当たっているほんとうの最高の責任者なんです。あなたはいま日韓会談を推進するということについて、ほんとうに韓国と日本との間に互恵平等の精神をもって話を進めていこうという意図があるようには思えない。むしろ、何かしら、朴政権はいまかわいそうだ、もうぶっつぶれちゃうかもしれないから、これは何とか日本のほうから手を差し伸べてやらなければいかぬのだ、そういう考え方があなたの心の中にある、佐藤内閣の考え方の中にあるのだと私は思うのです。あなたは、そういうような気持ちでこの日韓会談を進めていこうとしているのと違いますか。今度の訪韓の問題もそういう意味があるのと違うのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この点に関しては、お説のとおり、あくまで互恵平等の立場に立ってこれを進めたいと考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣、ここにあなたが執筆されておる「童話と政治」という本がある。この中にあなたの朝鮮に対する考え方が出ておるのです。こういうように言っている。「日本が明治以来、このように強大な西欧帝国主義の牙から、アジアを守り、日本の独立を維持するため、台湾を経営し、朝鮮を合邦し、満州に五族共和の夢を託したことが、日本帝国主義というのなら、それは栄光の帝国主義であり、」こういうように言っている。この考え方はあなたの考え方なんだ。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 ただいまは、また私の考え方は多少修正されております。(笑声)

石野久男日本社会党

○石野委員 どのように修正されているか。これは、古いものではないんですよ。つい二、三年前に書かれたものですよ。どういうふうに修正されたか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 やはり、民族感情と申しますか、これはもう絶対に尊重していかなければ、たとえ善意の帝国主義でもあやまちをおかすということを私は考えております。でありますから、あくまでも民族感情を尊重するという立場に修正されつつあります。

石野久男日本社会党

○石野委員 椎名外務大臣にお尋ねしますが、「日本の独立を維持するため、台湾を経営し、朝鮮を合邦し、満州に五族共和の夢を託したことが、日本帝国主義というのなら、それは栄光の帝国主義であり、」こう言っている。この栄光の帝国主義というのはどうなんだ。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 あくまで民族意識を絶対に尊重するという立場に私は考えを変えつつある。

石野久男日本社会党

○石野委員 あなたはいま変えつつあるのだ、そういう変えつつあるということばが——これは、こういう考えを変えつつありながら、いまあなたは十七日には朝鮮に行くというのでしょう。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 すでに変えてしまったと申し上げておきます。(笑声)

石野久男日本社会党

○石野委員 椎名外務大臣に私は責任ある政治家になってもらいたいと思うのです。あなたは、ただ答弁の上だけですらっと逃げれば、それでいいのだということでは政治は通らない。ことにこれからあなたがやろうとする日韓会談の妥結の方向というものは、やはり日本と朝鮮との長い将来にわたっていろいろな問題をもたらす非常に重大な問題なのです。それであるだけに、二年や三年くらいの間にくるくる変わるような考え方で日本の国是がきめられたり、条約がきめられたりしたらたいへんなことになる。私は、そういう、われわれが少数党だからというようなことで、ここではどうでもいいのだというような無責任きわまるようなことを言ってはいかぬと思います。あなたの発言は、一億の日本人民に対する発言であるし、世界に対する発言でもあるのです。そういうことであるならば、このあなたが書かれているところの——しかも、これは童話と政治なんだ。子供に植えつけようという考え方で書いているものなんでしょう。その意味はきわめて深長なんですよ。過去を振り返ったものとは違いますよ。将来の育ちいく人々に対して植え込もうとして書かれたものなんですよ。きわめて重大です。外務大臣、どうなんです。

青木正自由民主党

○青木委員長 質問の要点をお願いします。

石野久男日本社会党

○石野委員 この問題について意見が変わったということになるなら、これをどういうふうにして抹消するのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 今日百二十カ国になんなんとする新しい国家ができまして、この国連の情景に接して、私は非常に感動を受けたのであります。今日は、もうすべて民族の感情、それから意欲というものを中心にして世界の共存共栄をはかっていくべき時代である、かように考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 私は、時間の関係もあるからですが、さきの高杉発言にしましても、いまの椎名外務大臣のこの光栄ある帝国主義、こういうことばも、これはまさに日韓会談を今日の事態において担当する資格なし、私はそういうふうに思う。こういうような考え方で日韓会談というものを進めていくということは、平和日本のために非常に汚らわしいことですよ。私は、これは外務大臣は根本的にものの考え方を変えなければならぬ。むしろ外務大臣はやめるべきだ、さように思う。外務大臣は、こういうものの考え方、あるいはまた高杉発言に対するものの考え方というものは、いま一度はっきりとここで否定してかからなければいかぬ。一度尋ねますが、高杉発言なるものがもしほんとうに高杉の発言であったとしたならば、あなたはこういう人を首席全権として依然としてそのまま継続任務につかせるという所存でありますかどうか、その点をはっきりひとつ外務大臣の所見を承りたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 すでにもう何べんも申し上げたように、公式の席上においてこれを否定しておるのですから、私はそれを信頼しております。

石野久男日本社会党

○石野委員 公式の席上で否定しているというけれども、実は至るところでそれを認めておるのですよ。ただ、それはオフレコだから……。もし、どうしても公式の席上で否定しているのだ、事実無根だというならば、私は外務省にお尋ねしたい。外務省広報課は、この発言があると同時に、あれはオフレコが記事になったんだから、調査を依頼するということを外務省の記者クラブに対して要請している。外務省の記者クラブでは、それを幹事さんが掲示をして、外務省の広報課からこういうふうに言ってきているんだということの掲示を約一週間にわたってしておる。広報課はそういうことをなぜ要請したか。外務省の広報課は、どういうことでオフレコの問題が記事になったんだということを言ったのか。オフレコのものが記事になったんだと言ったことは、高杉氏がオフレコで話をしたということを認定してのことなんでしょう。外務省のひとつ広報課のほうの話を聞きたい。

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 いま情文局のほうは参っておりませんので、私が承知する限りの当時の状況を、実情を申し上げますと、記者会見のときに一問一答でいろいろやっておりますので、その発言があるいは外に誤解を与え、あるいは日韓交渉に悪い影響を与えてはと、そういう用心のために情文局でこのオフレコの要請をしたように承知しております。

石野久男日本社会党

○石野委員 この問題は、すでにオフレコとして発言をしておるから、だから、外務省のほうとしてはそれを、オフレコ発言が記事になったから調査をしてくれということを言ったのであって、高杉が発言したことには間違いないのです。しかもこの問題は、その後、在日朝鮮人の中でもたいへんな問題になって、在日朝鮮人の中でも、この問題が問題になったために。過日集会を開いて、その問題について外務省に抗議が行なわれたのですが、その点については後宮局長はよく知っているはずですが、あのときの事情を一応説明してもらいたい。

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 外務省といたしましては、正式に抗議と申しますか、あるいは申し入れ、注意の喚起がございましたのは、金大使を通じてのことでございまして、居留民等が韓国の代表部に押しかけたとか、いろいろなことは聞いておりますが、居留民のほうから直接に外務省のほうに参ったということは、私は承知しておりません。

石野久男日本社会党

○石野委員 居留民としてはないということの意味はどういうことですか。

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 正式に韓国の代表部から申し入れがあったのを承知しているだけでございまして、私といたしましては、居留民会等からの申し入れとか、抗議とか、そういうのは全然承知していないのでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 先日、居留民団の中の諸君が会合を持って、その会合の席上から外務省に対して陳情しておる。その陳情をしたときに、外務省は、それをけんもほろろな形で扱っておるわけです。後宮局長はその陳情団に対して顔を出しておるはずです。

後宮虎郎アジア局長

○後宮政府委員 私は、あの陳情団にお会いしておりませんのでございます。だれか担当課の者が会ったかどうか存じませんが、私は会っておりません。

石野久男日本社会党

○石野委員 その問題は、あとでまた別になにしますが、いま日韓会談はだいぶ煮詰まってきているようです。外務大臣は、日韓会談の煮詰まるこの時期に、国会が開かれているこの時期に十七日に韓国に行かれるそうですが、国会のこの重要性をどういうふうに認識されておるか。また、韓国に行く目的はどういうことなのか。この点についてひとつ所見を承りたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 国会の審議につきましては、これはまことに重要であることについての認識は人後に落ちるものではありません。ただ、予定を向こうから要求されましたので、それで、順調にいきますとちょうど公聴会にかかる時期でもありますので、それでまあぎりぎりのところで日程を組んだような次第でございまして、多少それが、審議がズレまして、少し審議からはずれるおそれもございますが、これは十分にお許しを得た上で参りたいと思います。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣は、国会が最高の決議機関であるということはお認めになり、重要であるということをお認めになっている。それはわかりました。  今度は、十七日に向こうに行く目的はどういう目的なんですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 この日韓会談に幾らかでも……(「調印か」と呼ぶ者あり)調印ではない、幾らかでもお役に立つならば、いわゆる親善使節ということで参りましょう、こういうことで、多少向こうから内容に関する話もあるかと思いますが、そういう心組みで参りたいと思いますが、大体において親善です。これは、両国の国民感情もあることでございますので、親善ということはきわめて重要な意味を持つものと考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 外務大臣が十七日に南朝鮮に行かれるのは親善を主として目的とする、こういうふうに理解してよろしいのですか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 重要なる親善でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは、私はいまここで論議はしませんが、この国会開会中に外務大臣が外へ出るということは、非常に重要な問題だと思うのです。あとで、私は、これは国会対策なんかでどちらが重要であるかということを真剣に十分討議してもらわないといけないと思います。国会軽視もはなはだしいと私は思っているのです。そこで、この日韓交渉の基本的立場を外務大臣はどういうふうに考えておるか。特にいま日韓交渉が相当進んでおる段階で、この日韓交渉の基本的な日本の立場というものはどういう立場で臨み、またどういうように話が煮詰まってきておるのかということを聞かしてもらいたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、従来韓国と日本との歴史的関係、あるいは地理的に置かれた関係等から、隣国としてお互いに共存共栄の道をともに相携えて進むということが、いずれの場合から見ましてもきわめて重要なことでございますので、日本といたしましては、そのような認識のもとにこの日韓会談を進めておるわけであります。現在どういうふうに内容が煮詰まっておるかということにつきましては、これは、外交交渉でございますのできわめて微妙な関係がございますので、まだここで申し上げる段階ではない、御了承願います。

石野久男日本社会党

○石野委員 ソウル発の通信によると、駐韓国連軍のハウズ大将は、二月七日にベトコン・デフェンスという戦闘準備体制の強化命令を韓国軍を含んだ全軍に出しておる。これは、ちょうど先年のキューバ危機の時期、あるいはまたトンキン湾事件に次いでの三度目の発令なんです。日本にとってもこの問題は非常に重要だと思うのです。一九六〇年の安保条約のときに政府が再確認をしております吉田・アチソン交換公文において、日本は在韓国連軍の行動に対して非常に関係がある規定ができておると思いますが、そういう問題についてどういうふうにお考えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 事務当局からお答えさせていただきます。

藤崎萬里条約局長

○藤崎政府委員 吉田・アチソン交換公文と申しますのは、朝鮮動乱に際しまして、合衆国軍隊が国連軍として日本から行動をとるのに対して、必要な支援を与えるという趣旨のものでございまして、安保条約の改定にあたりましては、朝鮮動乱はまだ少なくとも法的には終了しておりませんので、これを継続するという措置をとったわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 先般岡田委員から指摘があり、問題になっておる三矢研究では、在韓米軍の戦闘に対する自衛隊の協力と同時に、この日韓会談の早期妥結の問題が出ておるわけです。したがって、この戦闘計画というものと日韓交渉というものは不離密接な関係になっておるということが言えると思います。この在韓米軍というのは、国連軍の中でも最大のものでありて、そして、しかもそれはペントミック師団、核戦争部隊として常に原子戦争構想の中に入れてやっておるものであります。ハウズ司令官が命令を出されておるこの在韓米軍の戦闘体制の強化命令というものは、きわめて重要です。この在韓米軍というのは、どういう法的根拠でいま韓国におるのか、その点をひとつ聞かしてもらいたい。

藤崎萬里条約局長

○藤崎政府委員 在韓米軍は、国連軍としての性格と、アメリカ軍としての性格と、両方持っておるわけでございますが、国連軍としては、それぞれの国連決議に基づき、また米軍としては、米韓相互防衛条約に基づいておるわけでございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 そうすると、国連の一九六三年の第十八回決議、そういうものに関係があるということですか。

藤崎萬里条約局長

○藤崎政府委員 いま御引用になりました国連決議のテキストを私は思っておりませんが、元来は一九五〇年の朝鮮動乱勃発当時の七月にできた国連決議に基づくわけでございます。それが、その後の決議でずっと引き続き確認されておるという関係はあると存じます。

石野久男日本社会党

○石野委員 これは、いま条約局長にはっきりとしておいてもらいたいのですが、在韓米軍がどういう根拠で、どういうふうにしていま現におるのかということをはっきりしなければいけないと思います。この点、もう一度条約関係の問題をひとつはっきり説明してもらいたい。

藤崎萬里条約局長

○藤崎政府委員 先ほども申し上げましたように、韓国に現在おるアメリカ軍は、国連軍としての性格と、アメリカ合衆国軍隊としての性格と二つを持っておるわけでございますが、国連軍としては、国連決議に基づいており、合衆国軍隊としては、米韓相互防衛条約に基づいておる、こういう関係でございます。

石野久男日本社会党

○石野委員 そうすると、国連軍としては、国連軍の朝鮮戦争参加国共同決議案の趣旨に基づいておる、こういうことを言っておるのだろうと思います。この関係は非常に重要です。ですから、たとえば一九六三年の第十八回の十二月の決議で現在おるのだということになってきますと、それは、一九五〇年の決議と、それから四八年の決議との関係がはっきりしなければいけないと思います。そこのところを条約局長からはっきりひとつ説明してもらいたいと思います。

藤崎萬里条約局長

○藤崎政府委員 一九四八年の決議は、大韓民国がその年の八月にできまして、これを国連としては自由な選挙に基づき効果的な支配を朝鮮の三十八度線以南の地域に及ぼしておる合法政府として認めて、したがって、各国が大韓民国政府と外交関係を設定する場合には、このことを考慮に入れるようにということを勧告する決議でございます。これは、大韓民国の関係の決議でございます。それから、一九五〇年の朝鮮動乱が勃発しましてできました決議は、この北鮮側の攻撃に対して、国連としてどういう行動をとり、そのために国連加盟国にどういうことをしてもらいたいという趣旨の勧告でございます。これは、大韓民国というものの独立と直接関係のない決議でございます。現在アメリカ軍が国連軍として韓国におります場合は、その一九五〇年以降の朝鮮動乱に対する決議に基づいておるわけでございます。

青木正自由民主党

○青木委員長 辻原弘市君より関連質問の申し出があります。石野君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ただいまの石野さんの質問に関連をいたしまして外務大臣の答弁があったわけですが、重要な点について外務大臣の御答弁がはっきりいたしませんので、あらためて、私は、重要な部分だけに限ってこの際お尋ねをいたしておきたいと思います。  先刻、石野議員から、一体伝えられる外務大臣の訪韓の目的は何だ、こう尋ねましたところ、それについては、重要な親善のためであります、こうお答えになったのであります。そこで私は、まあ親善旅行というものは常識的にあることも知っておりまするし、また両国間、あるいは国際間にそういうことも必要であるということも否定をいたしませんけれども、しかし、あえていまここで重要な親善旅行であると外務大臣が発言された事項については、そのままこれを聞きのがすわけにはいかないのであります。  そこで、私は、お伺いいたすのでありますが、重要な親善旅行とは一体何を意味するのか、このことを明らかにしていただきたい。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 両国民が日韓会談の成り行き、あるいは成否いかんということに重大な関心を持っておることは、御承知のとおりであります。これは、ただ漁業条約であるとか、あるいは航空協定であるとかいうような部分的な目的でなくて、いやしくもこれは基本的な両国間の国交の正常化問題に関連する問題でございますので、きわめて重大なる関心を両国民が持っておる。したがって、スムーズにこれを進捗せしめるということにつきましては、両当事国においてあらゆる角度から努力しなければならぬものである、かように考えておるのであります。さような意味におきまして、日本の外務大臣の訪韓ということを、先方の李外務大臣から正式の招請がございました。それに対して、親善旅行ではあるけれども、向こうはいろいろな意味において期待をしておるように考えられますので、それで、私は、行ってもいい行かなくてもいいというようなものではなしに、これはぜひ約束どおりスケジュールに沿うて訪問すべきものである、さように考えましたので、重要なる親善訪問であるということを申し上げた次第でございます。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 そうすれば、外務大臣、これは単なる親善旅行じゃないじゃありませんか。いまあなたが明白に述べられておるように、漁業問題あるいは航空協定等々の部分的問題ではなくて、日韓交渉の基本的問題に触れて、それを妥結せしめるためのスムーズな外交折衝である、こう述べられた。そのとおりですね、あなた。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 外交折衝ということは私は申し上げておりません。少なくともそういう包括的な外交折衝をスムーズに進行せしめる意味において、まず私が韓国を訪問するということがこの際重要である、かように考えておりますので、そういう意味で申し上げた次第であります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ことばの端々は別として、日韓交渉に対してあなたの訪韓が重大な役割りを果たすということは、いまお認めになったとおりであります。そこで、重要な今回の訪韓、しかも基本的な問題に触れてスムーズに行なうための問題と、こうおっしゃった。内容は一体どういうことなんですか。内容は何ですか。  具体的に伺いましょう。きのうの毎日新聞を見ますると、ここに「十九、二十の両日、ソウルで行なわれる椎名・李東元両国外相会談で、国交正常化の際の基盤となる「日韓基本条約」の最終的合意にこぎつける方針を固めた。」と報道しておりますが、この日韓の基本的条約をあなたの訪韓によって固める、そういう目的をもって臨まれるのですね。これは誤りありませんか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 会談の促進に寄与する意味において重要な親善訪問であるということには変わりございません。その際にどういう問題に触れて、まあ短い時間でございますが、会談をするかということにつきましては、事外交折衝の途中でありますので、その点につきましては詳細を申し上げる段階にいまないことを御了解願いたいと思います。

青木正自由民主党

○青木委員長 辻原君、時間が参っておりますので……。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 重要な交渉だと言っていて、あなたいま、漁業交渉とか航空協定とか、そういうような部分的問題にはこだわらぬが、基本的問題についてはこれはやってくるのだと言ったところじゃありませんか、そう言ったじゃありませんか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、その引例が少し適当を欠いたようであります。たとえば日米漁業協定とかあるいは日米航空協定とか、そういったようなものがありますが、そういうような特殊の、もうすでに国交正常化した国相互の間において、あるいは改定し、あるいは新しく設定すべきそういう部分的な条約または協定じゃない、基本的に両国の国交を新しく正常化するという問題でありますのでと、こういう意味で申し上げたので、そこで、その漁業とかいうのは日韓漁業の問題をさしているのじゃないか、そういうふうにとられると少しこれは心外でありますから、私はいま詳しく申し上げた。そういう全体の会談を何とかスムーズにいかせるという意味においては、両国において、各種の角度からこの問題をきわめて円滑に合理的に進捗させるという空気をつくることが大事である、こういう意味で申し上げたのであります。日韓漁業交渉の意味じゃありません。どうぞ誤解のないように。

青木正自由民主党

○青木委員長 辻原君に申し上げますが、時間が超過しておりますので、結論をお願いいたします。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 新聞の伝えるところによると、李外相との間の交渉が終わった段階で合意に達した部分については共同コミュニケを発表する、こう報道しておりますが、共同コミュニケを発表されるという考えをもって臨まれますか。その点は…。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 私は、必ずしもそういう固定した考え方を持って行くのじゃありません。もともと、これは、そういう意味においての親善訪問でございますから、もしたまたまそういう問題に触れて会談をするという機会があれば、別にそれを否定する必要も私はない。それは、向こうが相当誠意を持って、この問題だけは話しておきたいとかいうようなことがございますれば、これは、もう大局的見地からそれも応ずる。あるいは内容によっては、それはまだ早いという場合もありましょうし、そういうところはただいまはこだわっておりません。

青木正自由民主党

○青木委員長 理事会申し合わせの時間が参りました。一問だけ許可いたします。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 重要な問題ですから、最後に明確にしておきたいと思うのでありますが、かつて当委員会でも、国会全体を通じて非常に問題になった。それは、国会に対して事前にも事後にも報告のない事項が事実上交渉を動かしているという、たとえば、大平外相のときには大平・金メモというようなものが取りかわされて秘密協定があった事実、そういうことは、少なくとも国会に対しても国民に対しても私どもはなすべきことではないと考えている。そういった秘密協定を結んで、事後にわが国がひっかかりになるようなことは、外相としてはよもやおやりになりますまいと思いますが、この際、私は念を押しておきたい、これが一つであります。  それからもう一つは、あなたは、いまここで、単なる親善旅行ではないということは明らかにされたのであるが、しかし、具体的にわがほうの立場というものを、どういう考え方で臨むのだということについては明確にされておりません。これは、私は重要なことだと思う。憲法七十三条を読んでごらんなさい。憲法の七十三条では、いやしくも両国間の交渉が煮詰まって、条約を調印するというような段階に至った暁は、事前に国会に当然その経緯を報告する義務を有しておる。新聞等に伝えられている経緯から見ますると、基本条約については合意をするのだ、こういっておるのです。あなたは、いま、そういうことは考えておられない、こう言った。おられないならばよろしいが、おるならばたいへんなことなんで、十七日といえば明後日、国会はすでに今日開かれておる。その段階に、何ら交渉の経緯も政府の立場も触れられないで行くということは、もし将来基本条約等の調印を行なう、その調印がかりに仮調印であっても、これは重大な国会に対する軽視ということになる。この点についてはどうお考えになりますか。

椎名悦三郎自由民主党外務大臣

○椎名国務大臣 秘密協定などを私は胸に描いて参るつもりはもちろんございません。さような申し出はもちろんないはずでございますが、かりにあったにしたところが、私はそれに応ずるはずはない。  それから、条約の取り扱いにつきましては、これはもう先例がありますので、絶対に先例にもとるようなことはいたしません。

青木正自由民主党

○青木委員長 時間がまいりましたので、一問だけ。

石野久男日本社会党

○石野委員 いま辻原君から政府に質問のあったように、この問題は、椎名外相が訪韓して何らかの取りきめをしてくるということになると、先ほど来言っているように、基本的な条約の構想に入るし、これは憲法第七十三条の問題に触れるのだから、そういうことは事前に国会に対して報告し、あらかじめ国の中で討議していくべき問題ですから、そういうことをしないままに行くということは絶対に許されないことだと思う。先ほど、私が、この基本構想の問題についての質問をするに当たって——新聞の報ずるところので、一九四八年の国連決議を引用して、韓国の合法性承認の問題を云々ということがいわれている。ところが、この四八年の決議というのは、六三年の決議、それから五〇年十月七日の決議、みな関連性があります。しかも、その五〇年十月七日付の決議というものは、当時の国連軍を三十八度線から北に進出させる基本的な条項になっているんです。その第一項は、全朝鮮にわたって安定した状態を確保するためにすべての適当な措置をとることを許しております。こういうような条項。だから、一九四八年十二月十二日付の第三回の決議条項というものは、明らかに好戦的な内容を持っている。そういうことで、やはり南朝鮮の政府を認定するということになると、これは、当然、三矢研究のいわゆる北朝鮮が南へ進駐するということを前提とした構想と合致するわけなんです。だから、われわれは、この基本構想の中でいわれるところの一九四八年国連決議を引用するということは、きわめて反動的なものであるということを指摘しなくちゃいけません。そういうことになると、先ほど辻原君が言われたように、条約構想の中に四八年のこの国連決議を中心とした韓国政府承認の問題があるとすれば、これはもうゆゆしいことになるので、どんなことがあっても、外務大臣が一人韓国に行ってそういうことでコミュニケを出すとか、あるいは仮調印をするとかは許されることではないのです。だから、これは、どうしたって韓国へ行く前にこれらの問題を国会で明確にして、椎名外務大臣はそのことをやったのちに行くべきです。椎名外務大臣の十七日の訪韓ということは、絶対に許されるべきことではない。国会軽視もはなはだしい。私は、このことについては、ひとつはっきりと、椎名外務大臣が十七日に韓国を訪問することをやめるべきだということを要請します。しかも、このことは同時に国会の中でも、国会対策委員会で十分両党の間で討議をして、椎名外務大臣は、その結論に基づいて十七日の行動は規定すべきだ、こういうことを私は強く要請する。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて石野久男君の質疑は終了いたしました。  午後は、午後一時より再会いたします。  午後の質疑者は淡谷悠藏君及び安井吉典君であります。  なお午後は、正確に正一時に再開いたしますから、特に政府は時間を厳守されるよう要望いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後一時六分開議

青木正自由民主党

○青木委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  昭和四十年度総予算に対する質疑を続行いたします。  この際申し上げます。  淡谷君の質疑に際し、東北開発株式会社総裁伊藤保次郎君に参考人として御出席をいただいております。伊藤参考人には御多忙中御出席をいただき、まことにありがとう存じます。厚くお礼申し上げます。  なお、伊藤参考人の御意見は、委員の質疑に対する答弁の形で承ることにいたしておりますので、御了承願います。  それではこれより質疑に入ります。  淡谷悠藏君。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 高度経済成長政策のひずみが中小企業と農業の面に業種的な格差を生じ、また地域格差が非常に大きくなっているということも再々問題に取り上げられておるでのあります。特に、このひずみを是正するつもりでなされた政府の施策が、逆にこのひずみを大きくしているという事例が最近ひんぱんとあらわれてきておるのであります。たとえば南のほうでは、九州の宮崎県の新産業都市建設に伴う広大な土地造成、しかも土地造成はしたけれども、さっぱり工場は寄ってこない。北のほうでは、私が本日取り上げますむつ製鉄の問題であります。これは、会社の認可になりましたのが三十八年の三月二十三日。三十八年の三月二十三日から会社が認可になり、大きな事務所を持ちまして、たくさんの社員を集めながら、まだ一向事業が開始していないという、まことに非近代的な現象が起こっているのであります。これは、私の出身県の青森の問題でございまするが、私は、ただ青森の問題としてだけじゃなくて、こういう事例が全国に相当数あるのではないかということを心配するものであります。  御承知のとおり、下北というのは青森県でも特に未開発の地帯でございまして、しかも、その未開発の原因は、戦争中大きな軍事施設があった。この軍事施設があったために調査もおくれ、開発もおくれまして、いわば政策の犠牲になって開発をおくらしたという気の毒な土地であります。それがまた今度、むつ製鉄の問題のように、再び政策のために期待を裏切られ、大きな被害をこうむるとしたならば、これは決して単にむつ市だけの問題じゃないというのが、本日質問申し上げる前提になっているのでございます。これについては、企画庁のほうからも十分いきさつをお聞きしたいと思います。  最初に、むつ製鉄株式会社というものを設立認可をされた——これは認可をされましたのは三十八年の三月でございますけれども、その前に相当長い期間調査をされたようであります。特に今日問題になっておりますのは、砂鉄の市況が変わり、砂鉄の技術がまた変わってき、一方高炉銑などの技術も進歩しましたので、そのために情勢が変わったというのでありまするが、通産大臣はきょうはお急ぎのようですから、まず日本の鉄の産業の全般的な見通し、特に私お聞きしたいのは、日本の国産の鉄の材料がどのような状態になっているか、さらにまた、製品の、特に特殊鋼の将来の相場の動向はどうなっているのか、また未開発の鉄資源はどこにあるのか、特に砂鉄の資源が最も多く埋蔵されているのはどの地域であるか、こういう点について一応の御答弁を願いたいと思うのであります。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 三十九年度の鉄鋼生産は、輸出の好調にささえられて、粗鋼ベースで四千万トンの水準が見込まれております。しかしながら、ホット・ストリップ・ミルの過剰設備圧力によって、昨年秋から薄板を中心とするホット・コイル関連製品が一様に悪化いたしまして、その他の鋼種も引きずられて低落をしておるというのが最近における状況でございます。  また特殊鋼についてのお尋ねでございますが、過当競争等の影響で価格が下落傾向を続けまして、最近においては、一部有力企業の倒産などの事態がございました。さような影響がございましたので、特殊鋼業界自体がよく御相談をせられまして、不況カルテルを結ぶというようなまことに遺憾な状況にあるわけでございます。  さらに砂鉄の原料についてのお話でございますが、これは、私のほんとうの概略なお答えを申し上げますが、日本では主として千葉県の海岸砂鉄、それから東北の一部、北海道、それから最近におきましては、有明湾における砂鉄の原料等があると思います。これらの砂鉄原料が一時相当活用せられまして、いわゆる電気炉によって電気銑がつくられたのでありますけれども、最近における高炉銑の技術の非常な発展による大量生産によって、これら砂鉄を原料とする電気銑が大きな影響を受けておるのは事実であります。これがために、通産省としては、三十九年以降、大手に対して砂鉄銑の引き取りの協力方を求めておる、かような事態でございます。  一応お答え申し上げます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大臣はお急ぎのようですから、二、三重要な点だけにしぼって御質問申し上げたいのですが、電気銑が大体下向きになったのは何年でございますか。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 いまはっきり記憶しておりませんが、このむつ製鉄の関係で申し上げますと、三十七年三月ころ、通産省のほうに対して砂鉄銑の見通しのいろいろお尋ねがございました。技術の面、市況の面から見てどうも思わしくないというような回答をしておることを記憶しております。したがって、そのころはもう不況になっておった、かように存じます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 さっきの御答弁だと、不況の原因は過当競争だというふうなお話でございましたけれども、一体、砂鉄の電気銑、特に特殊鋼を目ざす砂鉄の電気銑というのは、全鉄鋼の何%に当たっておりますか。これは、過当競争によって下がるような大きな比重を占めているかどうか。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 数字ははっきり記憶しておりませんが、御指摘のように、鉄鋼全般の上から占めるところの砂鉄銑の分野というものはきわめて少ないものであると思います。これといって八幡や富士に対抗するような大きな企業もないのでございまして、地方における電気銑メーカーが主としてやっておると思います。日曹製鋼であるとか、東北砂鉄鋼業であるとか、あるいはその他の会社があろうかと思いますが、比較にならない規模の小さいものであろうかと思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私の調べたところによりますと、三十六年度の電気銑の生産量は五十二万トンでございます。その生産工場も三十くらい。工場の平均は一万七千三百五十五トン。これは過当競争の問題になるような量ではない。わずかに四%しか占めていないのであります。  通産大臣、お忙しかったらこの辺でよろしゅうございます。あとはまた事務当局の方にでもお伺いします。  そこで、企画庁長官にお尋ねしたいのですが、私がさっき申し上げましたとおり、むつ製鉄会社の設立認可をされましたのは三十八年の三月二十三日、この日をひとつ頭にとめておいていただいて御答弁願いたいと思うのですが、これと、通産大臣の不況がわかったという、三十七年三月ごろという日でございます。すでに不況がはっきりしてから、それを覚悟の前でこの会社は認可されたと思うのですが、その点はいかがですか。

櫻内義雄自由民主党通商産業大臣

○櫻内国務大臣 私から一、二お答えしたいことがございます。  それは、先ほど、砂鉄銑の占めるシェアはどうか、こういうことでございました。これは、お話のとおり五十万トン程度でございまして、二千五百万トンのうちの五十万トンでございます。  なお、過当競争云々ということの御指摘がございましたが、私がお答えしたのは、特殊鋼が過当競争のために不況である、こう申し上げたのでございます。  それから、三十七年当時に一応の見解を述べておるというのは、むつ製鉄を発足せしめる上においては、これは相当専門的な業者の協力を得る必要があるのではないか、技術とか販売面の点について、初めて事業を始めるということについてはなかなか問題があろうというようなことが主として回答せられておるのでありまして、当時、不況だからこれは見込みがないというような答え方をしておるのではないのであります。産業界のほうの行政の責任にある通産省としての一応の見解を述べた。その中には、重ねて申し上げますか、不況だから全然これは見込みがないぞというような答え方はいたしておりません。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 企画庁長官、さっきお尋ねしましたむつ製鉄株式会社の設立認可をされた前後の事情を一応御答弁願いたいと思うのです。これは、前長官の時代ですから、詳しく知っていないといえばそれまででございますが、事は非常に重大でございますから、やはり企画庁長官の責任において御答弁願いたいと思います。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 お答えいたします。  御承知のとおり、東北開発のために、砂鉄事業が五大基幹産業の一つということで、東北開発の一つの段階に取り上げられたのは昭和三十二年のことであったかと存じます。ところが、その後、ただいま通産大臣からお答え申し上げましたように、鉄鋼業界の非常な技術の進歩、革新等がございまして、だんだんとその企業化が困難になってきておったことは事実でございます。そういうふうな事情もございましたので、昭和三十七年の五月に、ただいま通産大臣からお答えになりましたような事柄について通産省に対して企画庁から照会をいたしておるのでございます。  なお、この通産省からの回答にもありますように、既存業者との合弁事業であるというふうなこと、または技術、販路面で十分な協力がなければこれは成り立たないというふうな意見でありましたこともございまして、三菱グループと提携の交渉を昭和三十六年の末ごろから開始いたしておりまして、ずっと昭和三十七年に入ってその話し合いがだんだん進んでまいったようなわけでございます。それで、昭和三十七年七月に、東北開発との間に技術協力、製品引き取り等、企業提携のための覚え書きの締結も行なわれたのでございます。ところで、経済企画庁といたしましては、その後この問題について万全の措置をとるという趣旨におきまして、民間の学識経験者四人の方の意見を徴したわけでございます。興銀の頭取の中山さん、それから伍堂輝雄さん、それから堀越禎三さん、石原武夫さんと、この四人の方々はそれぞれこの方面についての専門家でおられ、また学識経験者でもございますので、この四人の方に意見を出していただいたわけでございますが、この四人の方の一致した意見も、三菱グループとの提携を必要条件とし、また特に三菱グループに経営の責任を持ってもらうというための資本参加が必要だという意見であったわけでございます。そういうふうな関係で、三菱グループとの話し合いもだんだん進んでまいりまして、昭和三十八年の三月にただいま御指摘のように事業の認可をいたしましたが、その際、以上のような経緯からいたしまして、技術の援助、販路の確保、そのほかに資本参加を求める、またさらに社長も三菱グループから出してもらう、こういう話し合いがまとまりましたので、その際に認可に踏み切ったような次第でございます。  なお、この会社が認可されました当時の事業計画案に盛り込まれましたところのつまり販売の単価につきましても、当初の三菱グループの案よりも、通産省と相談いたしまして実情に沿うように、また絶対安全を期する意味で引き下げ方を指導したような経緯でございます。したがって、以上のような非常に慎重な態度をとりながら、砂鉄事業認可に対してできるだけの配慮をいたしたと考えておる次第でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 非常に慎重な考慮を払われて砂鉄事業の認可を与えたということについて、実は安心いたしました。見ますというと、三菱との間にかわされました契約書も、いまの段階では、三菱自体が責任をとらなければならないような契約の内容になっているように私は思うのであります。しかしながら、当時は、この仕事に参加するために三菱グループ以外の鉄鋼業者、三菱系ではございましょうけれども、八幡であるとか住友であるとか、こういう他の業者との間の提携は考えられなかったかどうか、多くの業者の中で三菱グループを特に選んで提携されたのはどういう理由に基づいたものか、お聞きしたいと思う。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 私、その当時の事情を承知いたしておりませんので、関係の局長からお答えいたさせます。

鹿野義夫経済企画庁総合開発局長

○鹿野政府委員 当時鉄鋼メーカー各社は当然ございましたわけですが、三菱を特に相談相手に選んだというのは、たしか三菱のほうが鉄源の関係でほかの各社に比べて手薄であって、三菱としても、砂鉄からの特殊鋼の原料を得るということについて乗り気であったということが一つの原因であったというふうに考える次第でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 いま答えられたように、その当時は三菱自体がこの事業に参加することに乗り気であった、鉄鋼資材が手薄であった、それでよくわかるのですが、この覚え書きを見ましても、三菱は相当乗り気なのであります。この覚え書き、昭和三十八年の三月二十七日ですから、認可をされたよりはちょっとおそいようですね。認可のあとにかわされた覚え書きのようですが、      覚 書  近く設立されるむつ製鉄株式会社の最高責任者たる社長は三菱側より選出方政府(企画庁長官宮沢喜一氏)並びに東北開発株式会社(総裁伊藤保次郎氏)から懇請ありたるにつき三菱製鋼株式会社取締役社長三浦政雄氏を選出就任することとなった。ついては同人事に関連して東北開発株式会社と東北砂鉄鋼業株式会社(三菱鉱業株、三菱製鋼株、三菱鋼材株及び東北砂鉄鋼業株の四社を以て構成する三菱グループの代表)とは昭和三十七年十一月十六日附砂鉄事業の提携に関する諒解事項に基き左記の通り覚書を取り交わす。      記  今回のむつ製鉄株式会社設立の経緯はその出発点として立地条件が低開発地域開発という国家的見地からむつ市に決められたという特殊事情に鑑み  (一) 東北開発株式会社の出資は当初八〇%とし、三菱側出資は二〇%とする。    但し三菱側は将来逐次高めて行くよう努力する。  (二) むつ製鉄株式会社の出資以外の方法による所要資金(運転資金を含む)については三菱側の資金負担能力が生じた場合、一部を負担するよう努力する。  (三) むつ製鉄株式会社と三菱側との製品引取り等の提携の方法について、採算不良のしわが一方的にむつ製鉄株式会社に寄せられないようにする。  (四) 電力料はむつ製鉄株式会社の事業が成立つ程度の低廉なるものとなるよう東北開発株式会社に於て特別措置を講ずるものとする。  (五) 送電線、道路、港湾等の公共的施設に要する費用は政府或は地元県市町村等でその一部を負担するよう努力する。  (六) 令回三菱グループより社長選出要請の経緯に鑑み、すべて円滑に行くよう特に協力するものとする。  (七) 三菱グループとしてなるべく早く採算に乗せ技術責任を全うする為予算の範囲内で計画の変更修正等をやることを認めるものとする。  (八) 東北開発株式会社はその投資会社という立場から、むつ製鉄株式会社に対し、副総裁及び経理関連事業両部担当理事を取締役(非常勤でも可)として入れるものとする。  尚以上のことは企画庁及び四人委員会にも諒解を得るものとする。  右確約の証として本覚書二通を作成し署名捺印の上、当事者は各一通宛を保有し写は企画庁、四人委員会委員(石原武夫氏、堀越禎三氏、伍堂輝雄氏及び中山素平氏)三菱鉱業株式会社、三菱製鋼株式会社及び三菱鋼材株式会社が夫々保有するものとする。    昭和三十八年三月二十七日      東北開発株式会社              総 裁 伊蔵保次郎      東北砂鉄鋼業株式会社              社 長 西島 直巳     立会人      東北開発株式会社              副総裁 中野 哲夫      三菱製鋼株式会社      三菱鋼材株式会社              会 長 本家  孝      三菱鉱業株式会社              社 長 西島 直巳      三菱製鋼株式会社              社 長 三浦 政雄      三菱鋼材株式会社              社 長 南里 辰次 とそれぞれ署名捺印しているのであります。  これを見ましても、三菱がいかに乗り気でこの国家的な砂鉄開発の事業に乗り出したかがわかる。それを二年数カ月たった今日、三菱が同意をしないから、三菱が乗ってこないからと多大な国損を生じており、同時にまた地元負担もたくさんやっておりますむつ製鉄をはっきり押し出すような体制にない。むしろ悲観的な材料を積み重ねている。これほど乗り気になって三菱と協力してやった仕事が、どうしてまた三菱の手によって締め殺されなければならないのか、企画庁長官としてはっきりご答弁願いたいと思う。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおり、認可の当時におきましては、政府としても非常に慎重な態度をもってこの問題を処理し、また、ただいまお読み上げになりましたような覚え書きの交換もしていただきまして、その上に立って認可もいたしたような次第でございますが、その後、具体的に企業に着手するためには、さらにその計画自体についていろいろと検討を要するということで、技術面、経営面その他万般の面について検討を重ねてまいったような次第でございます。むつ製鉄当局におきましては、当初第一案、第二案、第三案までそれぞれ案をつくりまして、いかにしてこれを採算ベースに乗せるか、またその中間におきましては、スウェーデンに人を派して、新しい砂鉄によるところの製鋼法等についても、これが日本において採用できるかどうかということについて検討を加える等、非常に精力的にこれが推進のために努力してまいったことは、淡谷さん御存じであろうかと存じます。  ところが、その後、先ほど通産大臣からもお答えがございましたけれども、製鋼業界が非常に急速な技術革新が行なわれてまいった。したがって、砂鉄銑の価格も世界的にぐんぐん下がってまいったような次第でございます。もちろん、その砂鉄銑の下落ということは、昭和三十六年ごろからその傾向が見え出したのでございますけれども、まだその段階におきましては、鉄の値段というものは世界的に相当暴落が激しい商品の一つでございますので、その一つの景気の波というふうに見られて、おったこともある程度事実でございますがもその後、高炉銑におけるところの優秀な特殊鋼原料としての銑鉄が漸次十分にでき上がるというふうになってまいりましたようなことが最も大きな原因となりまして、三案までつくって、それぞれの案を非常に苦心をして何とか成り立たせたいということで、これが検討をしてまいったのでございます。また、この指導面に当たるところの、技術部面も持っておりますところの通商産業省の当局とも緊密な連絡をとって、これが実際の事業開始についての努力を払ってまいったのでございますが、ついに十分な自信を持ってこれを開始し得るという案を見出すことができなかったような次第でございます。そんな関係で、昨年の末に三菱グループから、この事業については辞退を申し上げたいという趣旨の手紙が東北開発株式会社の総裁あてに出てまいったような次第でございます。  そんな関係からいたしまして、設立の当初におきまして、すでに通産省の意見もそうでございましたし、また四人委員会の意見も同様でございましたように、技術を持っておるところの民間の企業者がその経営並びに技術または販路等についてのある程度の責任を持てるということを前提として認可が行なわれたということは、先ほど来の御説明でおわかり願えるかと思うのでありますが、そういうふうな前提のもとにこの仕事は一生懸命に前向きで努力を続けられてきたけれども、その前提となるところの三菱グループからそういうふうな意思の表明がありましたために非常に困難な段階におちいったわけでございます。それで、たしか年末の二十二日の閣議でもって私からその事情を報告いたしまして、非常に困難な事態になった、しかしながら、これは政治的にも相当重要な問題であり、ことに地元に国、県、市町村等から、つまれこれに協力する意味において七億円程度の公共投資も行なわれているというような事情も考え、またせっかく僻地の開発と申しますか、という意思をもって始めた仕事が、こういうふうな、もしもこれを完全に中止するということになれば政治的にも相当大きな問題であるからという趣旨をもちまして、党側とも十分に相談をして、これが善後措置を考えたいということで、ただいまその状態のものを一体どうすべきかということを検討しておる最中でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 さっき通産大臣からもお答えがあったとおり、この出発業時の鉄鋼の情勢というものはあまり上向きじゃなかったことは確かであります。その事情を十分御納得の上で踏み出したのがこの事業だと私は思う。  同時に、宮澤前長官にもしばしば承ったのですが、この開発会社がつくりました、あるいはむつ製鉄がつくりましたといってもいいかもしれませんが、事業目論見書が長官の手元までは行ってなかったという事実があります。第一案、第二案、第三案ともに、宮澤長官は、私は見ていませんから決定の下しようがございません、という答弁なんでもります。企画庁に回ったものが長官の手元までいかないで、どこで一体くびり殺されておるのか。第四案というものは長官が自分で御検討になったろうと思いますが、第一案、第二案、第三案は、そのようなことを私ははっきり聞いた。これはどういうわけなんです。  しかも、東北開発の構想、東北開発の三法のたてまえから見ましても、普通の民間ベースでは採算がとれないから、国があと押しをして特に開発をやろうというのがこの精神だと思う。それを万事三菱にまかせきりで、三菱がやろうといえばやる、三菱がやめようといえばやめる。第一、こんなかたい契約書を取りかわしておきながら、少し損が大きいようだから私はいやだといって逃げることを一方的に許しますか。契約というものはそう一方的に破棄できるものですか。その点をはっきり長官から御答弁願いたい。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 前の宮澤長官がどういうことであったか、私は承知いたしておりませんが、私は、就任当初から、この問題は非常に重要な問題だということで、第一案、第二案、第三案、さらにその後第四案と称するものもあったようでありますが、そういう問題について一々具体的に私の手元で検討いたしましたのでございます。  それで、もちろん御指摘のように、東北開発株式会社の使命が東北の開発にありますとともに、こういうふうな僻地の地域の開発についてはある程度国の助成が必要であり、そう企業採算一本やりでやるという筋合いのものでないということは、私も同意見でございます。しかしながら、同時に、これは当初数年間赤字であっても必ず将来これが黒字になり得る、企業として成り立ち得る。そして、国としての助成の範囲も、配当の要らない出資をある程度するとか、または財政投融資の面で金融の便をはかってあげるとか、その他公共投資の面で便宜をはかる、そういうふうなところが限度でございまして、国が赤字を覚悟でどこまでもしゃにむに、見通しが立たぬのにやるということは、私どもとしては、これは国の税金を使う仕事でございますので、とうていそこまでは考えるべきでないということで、かりに相当期間赤字であっても将来黒字になし得るという見通しが立つかどうかという点について検討をずっと続けてまいったような次第でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 宮澤長官が見たことがない——まあ見たんでしょうけれども、正規には来ないというのですが、これは、出されなかった人は十分にわかっているでしょう。  ただ、高橋長官が自分でごらんになったというのであれば、この利益採算に乗らないという最も端的な一つの理由、これは、おそらく原料材の砂鉄の単価と販売品の単位が引き合わないことが一番欠損のできる大きなゆえんだと思う。今度の第四案は——第一案ともそうですが——機械構造用の炭素鋼というものはどれくらいの単価でなければ引き合わないというのですか。これは、会社のほうでは、十分赤字にならぬような目論見書を出しているはずであります。それを検討した結果、三菱グループは、これでも赤字になる、こう言うのか。どこかで食い違っている。むつ製鉄の社長は三菱の人なんですよ。三菱で働いてきた人なんです。その人が責任を持って太鼓判を押して出した黒字を出す目論見書が、三菱グループの手にかかるとことごとく赤字だという認定をされる。この秘密は一体どこにあるかという問題です。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 第四案につきましても私ども検討いたしておりますが、その結果は、結局第一案の単価等をある程度変更したこと、並びに第一案においては三菱グループの出資がありましたものを全部政府の出資に振りかえるということ、その他四、五の点でつまり採算が黒字になるというような数字にはなっておりますが、その内容自体について一々検討してみますと、とうてい私どもとしては、これがベースに乗るということは非常に困難であるという判断をせざるを得ない段階にあることを申し上げておきます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私が聞いていますのは、第一案から第四案までの機械構造用の炭素鋼の単価は幾らかと聞いているのです。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 原料ですか。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 いや、炭素鋼ですから、でき上がったものです。

鹿野義夫経済企画庁総合開発局長

○鹿野政府委員 失礼ですが、もう一回御質問を……。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 第一案から第四案まで、販売する特殊鋼の単価が載っているでしょう。それと原料鉱がやはり損益の一番大きな重点になる、この単価は一体幾らと明記されたのか。

鹿野義夫経済企画庁総合開発局長

○鹿野政府委員 第一案といいますか、当初認可をいたしましたときは、販売の特殊鋼のビレットの価格を三方六千円というふうに考えておったわけです。その後の情勢を見込んで、第一案、二案以降第四案までは三万二千五百円という、これは、特殊鋼のビレットといいましても、いろいろ品質がございますが、標準的な炭素構造鋼のビレットということでございます。それから、砂鉄の原料価格は三千二百円炉前ということで認可の当時考えておりまして、第一案、第二案、第三案はその線で計画をしております。第四案は、たしかそれを下げまして二千七百円ということで原料価格を見込んでおります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 この価格は決して不当な価格ではないと思う。それは、一月の二十八日に東京霞ケ関の通産省の省議室で第二回特殊鋼標準価格研究会を開いています。ここの場で決定されましたいまの構造用炭素鋼、SC材といっていますが、これはトン当たり五万円、構造用合金鋼は六万八千円、これを同じ規格に換算いたしますと三万五千円についている。そうすると、販売価格は何もそうこしらえられたものでない。りっぱに立証できるものです。  それじゃ、一体原料が高いのか。今度は三千二百円を二千七百円に下げております。これについて、私、開発会社の総裁に少しお聞きしたいことがある。委員長、よろしゅうございますか。  それじゃ、開発会社の総裁の伊藤さんにお尋ねいたしますが、このむつ製鉄株式会社は、設立の認可をされましたが、自由に発足いたしません。しかし、このむつ製鉄の発足を前提として買収しました砂鉄鉱の鉱石を掘り出す仕事、原料会社と申しましょうか、ここでもどんどん買った砂鉄鉱を掘り出しているはずですが、これは一体どこへ幾らで納まっているか、御答弁願いたい。

伊藤保次郎東北開発株式会社総裁

○伊藤参考人 ただいまの御質問でありますが、当社の原料会社は一つの別会社になっておりますので、やはり会社が独立した以上は、その会社会社において生計を立てていかなければその会社として困りますので、相当鉱石の余裕もありますから、地方に対して二千何百円というような値段で売っております。しかし、それがために、以前は大体三千円以上だというふうにありましたけれども、最近は砂鉄の原鉱石の値段もたいへん下がりましたので、そう利益はありませんけれども、とにかくそれを売っていま生計をつないでおるというのが事実であります。しかしながら、それがために将来砂鉄の製鋼を始める場合には支障があるかないかという問題にも関連していると思いますが、その点においてはそれほど重大な影響はない、十分自信を持って、その会社の生計を立てている、間に合わしている程度であります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私、時間を制限されておりますので、時間の中で終わりたいと思いますから、要点だけ申し上げたいのです。  率直に言って、この砂鉱鉄を売った非常に大きな部分を占めているのは、三菱の所有の砂鉄鉱であります。むつ市には、御承知のとおり、小規模でございますが、東北砂鉄という三菱系の会社がございます。三菱が売った砂鉄鉱の砂鉄を、三菱が経営しております東北砂鉄に売っているでしょう。この価格は、むつ製鉄が予想した原料価格よりもはるかに下がっているでしょう。それは、総裁いかがですか、端的にお答え願いたい。私は、きょうはひとつ大いに開発会社の総裁にも力をつけるつもりで質問しておりますから、御心配なくお答え願いたいのですが、確かに安く売っていることは私は確かめてきましたが、いかがです。

伊藤保次郎東北開発株式会社総裁

○伊藤参考人 格別特に安く売っているとは思いません。やはりものは商品ですから、値段に従って売っているわけでありますが、東北砂鉄という会社はあのとおりきわめて不振な会社になっております。その会社が買ってくれればそれにこしたことはないと思って、特に安売りしているということはないのであります。その見解は、私は値段をきめて自分でやっているわけじゃありませんから、おそらく私がきめたとかいうことはありませんけれども、これをよく検討しましたら、私が申し上げたことは決して間違いないと私は思います。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それが間違いがあるから言っているのです。認可案は原料は三千二百円です。これに運賃が入るから、東北砂鉄に納まっているのは二千四百円ないし二千六百円の炉前の価格です。これは総裁お間違いですから、ちゃんと認識を改めてください。  こうなりますと、別に私はこのことを追及しようとは思わない。砂鉄の原料においても、あるいは販売価格においても、役所の計画とちっとも違っていないじゃないですか。それ以外に欠損の理由があるならば、これはおそらく経営の問題でしょう、機械の問題でしょう。その経営の問題、機械の問題を指示したのは企画庁でしょう。エルケム電炉をちゃんと指示してやっている。自分たちがちゃんと計画をして与え、自分たちが認可をしたものを、三菱がどうも損をするからいやだといったので契約書まで破棄して、どうもできないのじゃないかという弱気が一体ありますか。企画庁長官、その点がおかしいと思う。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、対三菱との関係は、これはまた別にそれぞれ検討を要する問題であろうと存じますが、政府として問題を四案にわたってしさいに検討してみました結果、これが企業の成立について十分な自信を持ち得ないというのが現段階のわれわれの見解でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 長官、そう答弁を変えちゃいけません。最初の御答弁は、民間企業と協力なくてはできない仕事だから、三菱がやめたというからやめたというような御答弁。今度は、政府も十分に検討しましたけれども成り立たないからやめたと言う。どっちがほんとうなんです。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 政府としても検討いたしておりますが、もちろんただいま御指摘のとおり、技術そのものがエルケム法といいますか、三菱の持っておるむずかしい技術でございます。そういう関係で、その技術そのものが十分に駆使できるかどうかという点が非常に重要なポイントになるわけでございます。そういう意味で、三菱が辞退をいたしたいということを正式に申し出られました以上、これが当初の認可をしましたときの重要な前提条件であったということを先ほど来御説明申し上げましたが、そういう関係から、三菱がそういう態度をとる以上この問題は非常に困難だということを御説明申し上げたわけでございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 それでは納得できる御答弁ではございません。三菱のためにやっている仕事なんですか。東北開発のためにやっている仕事でしょう。  しかも、われわれしろうとでございますけれども、高炉銑の生産が二千万トンに近づいたのは昭和三十七年です。その年は電気炉その他の炉の生産はずっと落ちてきております。その現象は三十六年から明らかになっている。むつ製鉄会社の設立はそのあとに認可されているのですね。こういう事情を十分御勘案の上あなたのほうでも認可をし、三菱も協力したと思う。  第二に、鉄鋼業は国内原料に量的な隘路を持っております。御承知のとおり、鉄源としての鉄鉱石を大量に国外の資源に依存していることも事実であります。三十六年の輸入鉄鉱石と国内鉄鉱石の比率は九四・三に対する五・七%です。絶対量において銑鉄生産の主体は高炉銑でありますが、電気炉銑はわずか四%前後しか占めていない。これはもう常識になっているのであります。ただ電気銑、砂鉄銑というのは、その品質の優位性はあるけれども、おっしゃるとおり技術進歩によりまして高炉銑の品位も高まってきておりますので、絶対的メリットでないことは明らかであります。  しかしそれなればこそ、この砂鉄鉱のメリットを生かした特殊鋼の生産を考えて、しかも鉄鋼一貫ということがむつ製鉄の構想になっている。いまの日本の砂鉄製鋼、しかも特殊鋼をつくり、鉄鋼一貫でやろうという仕事は、むつ製鉄の希望が非常に大きいのですよ。珍しいくらい大きい。しかも、これに対して将来性があるかといえば、これは十分にあるというのです。鋼種構成の高度化、鋳鍛造製品の部門の強化、熱処理のウエートの強化、加工製品の強化、これによってりっぱにこの砂鉄鋼業は成り立つと言っておるのが日本工業立地センターの昭和三十九年の二号の報告ですよ。これはちゃんと役所のほうでも責任のある調査です。——おわかりになりませんか。参加した人の名前を読んでもよろしい。役所からも入っておりますよ。それが三十九年の二月です。このりっぱな調査があるのに、これは信用しないで、営利会社にすぎない——財閥といえども営利会社にすぎない三菱の言うことだけはそのまま信じて、多くの地方の人々に深刻な政治不信の念を抱かせるとは一体どういうことですか。粗末じゃないですか、やり方が。もしくは何かためにするものがあるならば、その点も長官の責任ではっきりさせてもらいたい。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 お話は、主として第四案と称するものについてのお考えのようでございますので、四葉について政府の大体の見解を申し上げますと、先ほどもお話し申し上げましたとおり、第一案の条件をある程度変更したという点が重要なポイントでございます。たとえば、製品の販売価格にしましても、原料の砂鉄についてもトン当たり三千二百円と認可案ではなっておりましたのを二千七百円に下げる、そういうふうなことになっておるのでございます。  それで、第四案では、いろいろお話がございますから、内容について少し詳しく申し上げますと、銑鉄の単価を先ほど申しましたように三千二百円から二千七百円に下げたということ、それから製品の価格を下げたということ、それが第一点。それから第二点は、四億円の資産をたな上げにするということに相なっております。それから第三点は、出資金を四十億円政府出資ということにする。これは、三菱は辞退をいたしておりますので、三菱はゼロ。それから、その他生産規模が一〇%だけ縮小になっております。なお、その中にはステンレス一万トンを含んでおるということになっておるのでございます。それから、当初予定に対して九億五千万円の設備費を削減いたしておるのがこの案の内容でございます。  ところで、この案について私どもいろいろ検討いたしまして、結果として申し上げますと、先ほど来申し上げておりますとおりに、三菱グループの覚え書きによってずっと検討してまいりました案は、新エルケム法、カルド連続鋳造というふうな新しい新鋭技術をここで使っていこうという考えになっておりますが、こういうふうな新しい新鋭の技術が三菱が参加なしにできるかどうかという点、それが非常にむずかしい問題でございます。それから、こういうふうな製品はすべて半製品でございますから、どうしても販路がはっきり固まっていなければ企業として成り立つことが非常に困難であります。この販路もまた三菱が辞退することによって保証がないということ。それから、生産設備もある程度縮小されたわけでございますから、もとの案においてもこれが最小限度の経済単位だということで認可に相なっておったのですが、それをさらに一〇%削減するということで、はたしてこれが成り立ち得るかどうかという点。それからその次には、ステンレスの一万トンを予定いたしておりますが、これについても、技術の面並びに販路の面について何ら確たる予定がない。それから、当初三千二百円ということで砂鉄原料会社が成り立つ採算になっておりますが、これが二千七百円。先ほど来の御質問に対して東北開発株式会社総裁からお答えいたしておりますように、現状は、とにかく掘っているものを売らなければますます損を重ねるばかりだということで、相当安い値段で売っておることは事実でございますが、この状態においては、砂鉄原料会社もまた成立がとうてい不可能になるであろうというような点もあるわけでございます。さらにまた、内容上の問題といたしましては、先ほど来申し上げておりますとおり、販路が不確定で、販路について非常に不安があるということ、また販売価格についても、ステンレスについては一応トン当たり七万五千円という金額になっておりますけれども、しかし、今日の市況で、はたしてそれが販売できるかどうかという点に非常な不安がございます。それから、原価計算そのものも私ども当たってみておりますが、これが過小見積もりであるという点。それから、技術面について、先ほど来お話し申し上げておりますとおり非常に不安であるということでございます。  しこうして、この問題については、本来むつ製鉄を全面的な責任を持ってその衝に当たっているのが東北開発株式会社でございますから、東北開発株式会社の意見も求めたのでございますが、東北開発株式会社においても——むしろ東北開発株式会社の意見を中心として政府側としてはいろいろ検討いたしてまいったような次第でございますが、同じような見解であったことを申し添えておきます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、企画庁の長官から三菱の回答と同じような御回答をもらうことは、はなはだ心外なんです。きているものとよく似ていますよ。ただし、われわれしろうとに鉄鋼の生産のことやら経営面について言わせなければならぬというふうな形自体が私は残念でたまらない。  何も下北の住民、地元民は、どういう機械を入れて、どういう生産をして、どうしたら引き合うかなんてことは考えておりません。ただ、何百年来全く未開発であった地域の人たちは、政府がやってくれるという仕事なんだから、すがりついていったら何とかなるだろうといったような、これはいいか悪いかは別として、たよってきたんでしょう。会社を認可して、それに対していろいろな事業目論見や何かで発足まで持っていかなければならないのは企画庁の責任じゃないですか。人ごとじゃないですよ。それを企画庁は批判する立場に立ち、あるいはこれをやめるほうの立場に立ち、地元のしろうとのわれわれが、内々その仕事にまで手を入れて、こうじゃないか、そうじゃないかといっているような態度自体が私は非常に残念だ。しかも、いまでも地元は、この会社がつぶれるとは思っておりませんよ。やめるなんて思っておりません。絶対にあきらめておりません。  しかも、この地元に対して、企画庁はちゃんと受け入れ体制の指示をしているじゃないですか。現在まで地元の青森県むつ市が、あの貧弱な財政から出した先行投資が七億円、開発会社だって、だめになったら全然だめになってしまう金は十五億くらいあるでしょう。大手町のむつ製鉄は、何にも仕事をしないで一カ月一千万円使っておるんです。それを遷延さした責任は一体企画庁にないのですか。人ごとみたいに言いなさんな。もし企画庁が現地に対して、あるいはこの工場誘致の敷地の造成、土地造成、あるいは会社の住宅の建設、骨材、港の増築、一切のこれをやらせなかったということは、私は言わせませんよ。書類も持ってきてあります。往復文書はこのくらいある。これは、むろん開発会社あるいは砂鉄会社のものもありましょう。けれども、これに対して十分便宜を与えるような体制ができておるかどうかということを、あなた方のほうで書類を出しておるんです。したがって、いま現地では、明らかにだまされたんだ、大きなペテンにかかったんだ、こう言っている人もある。おそらく国は国の名前をもって未開発地域の住民をペテンにかけることはないと思う。ペテンにかけるつもりですか、どうですか。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 先ほど来お答え申し上げておりますように、私どもは認可にあたりましても非常に慎重な態度をとりましたが、認可した直後から非常な熱意を持ってこれを何とかして発足させたいということで努力してまいったのでございます。したがって、もしも簡単にこれをあきらめるとか何とかということであるならば、とっくの昔におそらくは結論を出し得たのかもしれないのでございますが、今日まで何とかならぬかということで、いろいろと意見を言う人はございましたけれども、なおかっこの案について非常な熱意を持って検討してまいった、それが今日に至ったということはぜひ御了承願いたいと存じます。  なお、先ほど来申し上げておりますとおり、もちろん三十六年ころから砂鉄銑の値段も下がってまいりました。くず鉄もまた相当に下がってまいったのでございますが、私どもは、実は統計の出方もある程度時間的なズレもあるという点もございますけれども、しかし、とにかく鉄鋼製品並びに原料というものは非常に国際的に騰落の激しい商品でございますために、傾向的に技術の革新によってぐんぐんとこんな値段になってきたというふうに判断すべきかどうかという点については、いろいろその当時なお確たる見解を持ち得なかった。反面申し上げれば、景気循環的な要素によってこういうふうな事態が出てきておるのじゃなかろうかというふうな判断もある程度しておったような次第でございます。  そういうふうな段階において認可をいたしましたところが、その後その傾向がますます三十七年、三十八年、三十九年と顕著にあらわれてまいってきたのでございます。それで、要するに技術革新が非常に急速に行なわれたというような事柄の反面として、結局鉄鋼製品についての価格が急速に下がってきた。結局今日の技術の状態、今日の砂鉄銑におけるところのメリットの状態では、採算に乗るところの事業計画がとうてい立ち得ないという現状に至っておるのでございます。  しかしながら、ただいま御指摘もありましたとおり、県市町村等において、この事業に対する協力の意味において、いろいろ施設をなしてこられたことも私ども十分に承知いたしております。そういうふうな事情もございますので、何とかしてこれを かりにこの問題がだめであっても、他の方法によってあの下北地帯の開発ができないかというような点についても、実は非常な苦心を払って検討を進めておる次第でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 どうもいまの企画庁長官の御答弁を聞きますと、大きな見込み違いをしたということになりそうですが、見込み違いをしたのは企画庁のほうで、地元ではないと思う。この仕事を妨げるようなことを地元は何一つしておりません。あなたのほうから東北開発会社の行なう砂鉄事業についての照会を出しましたのは、三十七年の二月二十六日です。認可の前に十分に準備してある。  「標記のことに関し、下記事項について貴職の御見解と御措置を確認いたしたいので至急御回示を煩わしたい。」この条件を整えなければ会社はつくってやらないぞといったような一つの文書と見ざるを得ない。一体地元は敷地を手に入れませんでしたか、港湾をつくりませんでしたか、社宅をつくりませんでしたか。もうできるというから、使いもしない骨材の山、砂利の山を、大きな山を五つもつくって待っておるのはどこなんですか。社会党は反対しましたか。社会党から出したむつ市長が、自民党に入らなければ砂鉄会社ができないというので、自民党にくらがえをして、どうもこれで自民党がやらなければまた社会党に帰るのだと言っておる。何一つ協力しないことはなかったでしょう。  しかも、企画庁というのは十年先の所得倍増まで企画する役所です。経済の将来に対してはっきりした見通しを立てるのが企画庁の任務です。やり出してから二年たつかたたないうちに、景気が変わりました、技術が変わりました。その見通しもつかないで一国の経済の見通しがつきますか。私はどうしても納得ができない。  しかも、労働大臣に申し上げたいのですが、このために高等工業学校までつくってあるのです。電気科、機械科です。むつ製鉄にかけての望みなんです。しかも、人員を集めてくれということから、去年、おととしから中学校卒業、高等学校卒業の生徒に試験を行なって、いまこっちへ来て技術を見習っている。どこに一体地元の体制に不備があったのですか。よしんば見通しが誤ったとしても、この責任は一体だれがとるべきですか。のうのうとして、できませんじゃない、でかすようになぜしなかったか。  特に、私、この際、開発会社総裁にはっきりと御覚悟を願いたい。この悪条件の一つに、東北開発会社が大きな赤字をかかえ込んでいるから、それで、子供の会社が育つ前に母親が死ねば困るからできないのだという人さえある。企画庁の中にもいる。けれども、総裁、あなたが就任以来見られたならば、いまの開発会社の機構、やり方、運営というものは、このままじゃだめだということをはっきり痛感されたでしょう。東北興業株式会社の不良資産をたくさんしょいこんでおる。そのために大きな利息を払っておる。しかも、あなたの周囲にいるさまざまな理事あるいは副総裁の中に、あなたの自由にならぬ方がたくさんいる。私は、あなたが就任当時、一切が会社の事業を離れて、総理大臣任命という形でやっておりますこの会社は、一体変えなければならないのじゃないかと申し上げた。あなたは、りっぱにやれると言ったけれども、だんだんこのことがはっきりわかってきておるのであります。これは、東北開発のために総裁が大きな決断を持って直さなければ、東北開発はできません。  今度の砂鉄の前提になっておりますあの砂鉄鉱の買収、当時副総裁をしておった加藤祐三郎君、彼がヘリコプターでもって砂鉄鉱を見に行ったのです。ヘリコプターの上から調査をして買ったのが、いまの砂鉄鉱なのであります。そこまでは言いたくない。首を振っておりますけれども、これは私ちゃんと本人から聞いている。あらかたわかりましたと当人は言っている。それは、よしんば直っておりましても、私は、少なくとも東北開発三法に基づいた開発会社であるならば、この辺で筋金を入れかえてしっかりやってもらわぬと、開発会社はつぶれます。これは、同時に、このむつ製鉄をやめたら、やる仕事はないのじゃないですか。この際、総裁はあくまでもこの事業をやり通す決意があるかどうか、はっきり御答弁を願いたい。

伊藤保次郎東北開発株式会社総裁

○伊藤参考人 ただいまの御質問は、私に対する責任の所在をはっきりしろというように一応私拝聴しましたが、最初のお話の東北開発株式会社のあり方につきましては、私も十分考えております。しかし、きょうはそういうことを特に申し上げるのはどうかと思いますから、これは、私の成案がきまったときに御参考に申し上げたいと思います。  ただ、今度のむつ製鉄の問題につきましては、御意見を十分拝聴いたしましたが、しかし、これは、だれだってこの問題を成り立たせなければ責任は済まぬのだということは、当初は十分考えました。しかしながら、その後の情勢を見ますと、なかなかこのままではいけないのじゃないか。三菱グループがやめたというのは、非常な利己的な立場からだと判断された方面もあります。これは、会社自体のことですから、その意図のほどはわかりませんけれども、どうしても採算がとれないものをやっても長続きしないじゃないかというのが、概括的な意見であると私は思っております。したがって、今度の第四案というのがありますが、これは、国家が十分補助をすれば、この仕事は成り立つんじゃないかという結論を下しておりますが、しかし、国際商品という点から見ましたならば、それだけでこの会社の将来性が確保できるだろうかというのが、三菱グループの意見でありました。したがって、私どもこの点は監督官庁にも十分御相談をいたしましたが、もし産業として成り立たなかったという場面に遭遇いたしました場合には、一体どうするのか。その点をもっとはっきりすべきだということで、第四案については、これは、党のほうの御処置でありますが、現在専門的な有識者に頼んで新しい検討をやっている段階にあります。その段階からどういう回答が出ますか、まだはっきりしないようでありますが、私は、ほんとうにできるものならば、あるいは——しかしながら、国家の補助でもって永年やれるという産業は、おそらくないと思うのです。ある限度を限って、これならはっきりできますという回答がもしできるならば、それは、ほんとうにだれも喜んで、これを拒否する人はないと私は思う。そういう段階がどこまで進行するかということが、いまの段階だと思います。  ただ、過去のことを申し上げれば、全部の案について、十分社内でも、私自身も検討いたしましたが、とにかく赤字というものは、年度を限っての赤字ならばいいが、永年の赤字で産業をやれということは、これはどうしても扱う人も困るし、そういうことは成り立たないのではないかということを、私は自分の責任において企画庁に申し上げたのであります。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、この問題は、東北開発のいわが開発性と企画性の大きな矛盾のあらわれだと思うのであります。民間資本にたより、民間資本の損得で考えてやったんでは、あの立ちおくれた未開発地域の開発というものは、東北に限らず、全国どこでもできません。ひずみも直りません。そこに大きな使命を持って生まれたのが東北開発会社であります。これも、総裁が非常に心労されておるとおり、業態は思わしくない。思わしくないのは、ただ開発会社の罪だけじゃない。この開発会社に対するさまざまな資本の重圧があります。申し上げましょう。これは、岩手県のセメント工場。これもさまざまな赤字を出しまして、苦労しております。公害も起こっております。このセメント工場については、レポール・キルン、つまり横がまの機械をつくりますと十分やれた。業界の反対でこれができなかった。つまり立てがまのシャフト・キルンをつくったために、非常に大きなマイナスを受けておる。一事が万事です。公害なども、このシャフト・キルンをつくったために起こっていることは明らかなんであります。これも業界の圧迫です。さらに、ハード・ボード工場はどうですか。あのハード・ボードの国内の規格というものは、三尺に六尺が国内の規格です。この採用さえできなかったでしょう。国内で使えないような四尺と九尺、これがいまのハード・ボードの規格でしょう。これでは全く開発なんといったって、資本の重圧が加われば全然できないといういまの実態を明らかに示しているんです。そのために、会社が非常に困っておるだけでなく、さまざまな思わしくないことが起こって、決算委員会の追及を受ける。私は、真に東北開発をやろうとするならば、これは、総裁だけじゃなくて、政府自体もこの辺で姿勢を変えてかからないと、悔いを千載に残すと思う。しかも、こうした誤ったというのですが、非常に不徹底な企画性のために、自治体が多くの先行投資をし、これが水泡に帰して大きな財政上の圧迫を受け、赤字財政に転落しているのは、むつ市だけでもはっきりしておる。自治大臣、一体こういうことがあっていいものかどうか。政府のやり方の間違いのために、そうでなくても困っている地方自治体がこのような目にあっていることをどう考えられるか、私は御意見を聞きたい。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 ただいま御質問がございましたむつ市及び青森県の関係でございますが、当初の計画とそごいたしましたことは、はなはだ遺憾に思っております。それがために、むつ市の一般財政からも相当の金が出ており、また青森県からも相当の金が出ておりますが、この問題につきましては、企画庁長官の先ほど述べましたようなふうで、今後も検討されるようでございますが、こういうことのないように自治省といたしましては望む次第でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 私は、いまむつ製鉄のお葬式を出そうなんという考えは持っておりません。これはやめられるべきものじゃないと思う。これほどかたい契約を出した三菱が、単に景気が悪いとか技術が変わったとかいうそれだけで、利益採算だけで、もっと遠大な目標を持っておる東北開発のための事業は手を引くべきじゃないと思う。冒頭申し上げましたとおり、鉄鋼業者は三菱だけじゃない。不信きわまるものは断わっても、新しい構成で出発しても私はいいと思う。これは、むしろ企画庁の責任においてお考えを願いたい。  さらに、私は、損害は先行投資だとか、あるいは開発会社のまた累積する赤字だとか、こういう問題に限らないと思う。地元の諸君に与えた衝撃というものは、こうした物質的な損失にかえがたい大きなものを持っておる。やっと前途に光明を持って、新しい就職をしようと思って試験まで受けて、あそこに働き口を待っておる純真な青少年たちの受けたショックは一体どうします。地元の諸君は、決してこれでだめになったとは思っていない。二度、三度だまされた。だまされたが、今度こそはほんとうだろうというので、やっきとなった地元一体の運動がある。一月三十一日に、私もむつの市民大会に呼ばれて行ってまいりました。さまざまな政府に対する不信の声、だまされた、ぺてんにかかったという恨みの声がある。その中でも、八十歳になる神雄四郎というおじいさん、これは、私子供のころから知っております。学校の先生です。この人は純真な先生であった。八十歳、ようやく立ち上がりまして、私は、こういう不合理なやり方に対しては、どなたが何と言っても承服はできません、昔から一つの仕事をするためには人柱が必要だというのだが、八十歳の神雄四郎、もう人生に望みはないのだから、私で済むならば人柱に立ちますということを、涙を流して言った実態を私は見ている。これは浪花節かもしれません、単なる感傷かもしれません、これは、おそらく私は下北半島における全民衆の声だろうと思う。さっきも申し上げましたとおり、長い間の軍事施設のために開発をはばまれたあの経済状態を見てごらんなさい。恐山というあの神秘境のあの神秘性と、いや果ての地というこの荒れさびれたことが、わずかに下北を天下に紹介していることなのであります。砂っ原とふぶきと、冬になると何日も太陽を見ない。毎日毎日、たまに出たかと思うと、死んだ魚の腹みたいな白っちゃけた太陽を見ながら、あの食糧も乏しい中で暮らしてきた人たちが、せめてもとかけた望みがこのむつ製鉄の事業であった。この事業に手をつけた山崎知事の銅像を早くも立てて、むつ製鉄会社建設の頌徳の碑が立っておる。地元の人に言わせますと、むつ製鉄のほうを向いておった銅像が、このごろ恐山のほうを向いたということも言っておりますけれども、それくらいみんな望みをかけたのです。おそらくきょうもまた雪が降っているでしょう。私は、こうした政治のひずみに置かれ、ひずみを是正するという名前で新しいひずみをつくるような政治のためにしいたげられた人は、決して下北のむつだけじゃないと思う。これに対していま深刻な反省を政府自体がしなければ、この政治不信の念こそが最もおそるべき今回の損害となってまたはね返ってくるだろうということをはっきり申し上げたい。別に御答弁は要りません。本日、総理がおるならば、総理に対してもはっきり決意を促したかった。自分たちが計画をし、自分たちがやろうとした仕事の不手ぎわをいたずらに地元民に押しつけておいて、自分たちは何らの責任を感じないような顔をされる政治には、私は最後まで抗争することを誓いまして、私の質問を終わります。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 先ほど淡谷さんの御指摘になりましたとおり、東北開発株式会社は、ずっと過去のいろいろな事業が目的どおり進行しなかったというふうな事態があちこちに起こりましたために、相当業績が悪くなってまいりまして、ちょうど今年度当初から五カ年計画でもってこれが立て直しを開始いたしておる次第でございます。政府といたしましても、今年度十二億円の出資をいたしますし、また、四十年度においても十二億円の出資をして、これが全部の立て直しをはかりたい、かように考えて、鋭意これを進めておる次第でございます。また、会社内部といたしましても、重役を全部入れかえて、協力一致してこの立て直しに非常な熱意をもって前向きに努力をいたしておりますことを、お答え申し上げておきます。  なお、ただいまのむつ製鉄の問題につきましては、私どもは、この東北開発株式会社が今日のような状態になったその原因の中には、やはり当初発足する際におけるところの検討が十分でなかったという点が相当に見られますので、再びその轍を踏まないようにという趣旨をもって非常に心配をし、これが取り扱いを慎重を期しておるような次第でございます。

淡谷悠藏日本社会党

○淡谷委員 大臣がそうお答えになるならば、まだ時間もございますから、私も一言言っておきますが、慎重におやりになる気持ちがあったならば、全部慎重にやってください。出発当初の企画がずさんであったというならば、いまを出発点として再出発しなさい。おれは誤ったんだから、これはたな上げにしておいて別なことをやるんだ、これじゃ納得できません。開発会社はむろんのこと、むつ製鉄につきましても、誤った責任をとる意味で、誤ったことを是正する意味で、そっくりもう一ぺん再検討することを強く要請いたしまして、私の質問を終わります。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて淡谷悠藏君の質疑は終了いたしました。  伊藤参考人には、これにて御退席を願ってけっこうでございますが、参考人には長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとう存じました。厚くお礼申し上げます。  次に、安井吉典君。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、地方財政を中心といたしまして、この機会に政府の御見解を伺いたいと思うのでありますが、経済企画庁長官が何かお急ぎだそうでございますから、先にいたしたいと思います。私の質問の構成が、実は、長官だけ先にするとこわれてしまうのですが、しかし、御都合があるそうですから、先にいたしますので、それだけにぜひひとつ満足できるような御答弁を願いたいわけです。  長官に伺いたいのは、最近の物価の問題であります。例の東京都の水道料金の問題も、この委員会でもこの間取り上げられたわけでありますが、その問題を私はきょうは特にあとで伺っておきたいと思っているわけですが、いま長官お立ちだそうですので、その問題を含めて物価問題について伺いたいのでありますが、ことしの一月から消費者米価が上がる。バス賃、医療費、特に水道料金の値上がりは、これはふろ屋の料金からクリーニング屋さん、とうふ屋さん、あるいは床屋さん、食料品店、そうふうな影響を持ってくるだろうし、また東京都は、動物園の入園料、これのほうは何かやめたというような報道もありますが、競輪場の入場料、ボートレースの入場料まで引き上げを考えているそうであります。私立学校の入学金や、あるいはまた授業料の問題については、この間は慶応の大きな争議まで起こすほどの大幅な値上がりが予想されております。それだけではなしに、今度は公立学校の授業料のほうも、新たな要素として加わってきているようであります。みそも、しょうゆも、お酒も上がる。こういうふうな全体的な情勢の中で、私は、きょうは地方財政に関連のある面から伺いたかったわけでありますけれども、こういうふうに全体的な大きな値上がりムードの中にある際に、やはり政府は新年度の消費物価の上昇率を四・五%に押えるといったような、そういう問題について、はたして守る自信がおありなのかどうか、こういうような疑問を私ども持ってくるわけであります。東京都の水道料金だけでも、東京都物価指数は〇・三%上がるとも伝えられております。どうでしょう。この問題についての長官の御見解を伺いたいと思います。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 昭和四十年度の消費者物価の上昇率を、見通しとしては四・五%としておる次第でございますが、これは個々にどの物価がどうなるということを具体的に検討して積み上げた結果ではございませんので、全体の物価の趨勢をずっと——もちろん食料費または住居費、雑費、被服費、光熱費等々を区分をして、それぞれの趨勢を見て、しかも、来年度の経済の成長率が実質七・五というふうなところに押えられるという前提のもとに立てられた見通しでございます。しこうして、この経済の成長の問題、または物価に及ぼすいろいろな要素を考えてみますと、一番私どものおそれている問題は、値上げムードと申しますか、便乗仕上げと申しますか、そういうふうな気風がどんどん起こってまいりますると、たとえば実勢としては、基調としてはそう上がるはずがないというふうな場合におきましても、そういうふうなムードによって物価がどんどん上がっていくという事態が起こることが、過去のわれわれの経験したところでございます。しこうして、政府としては、佐藤総理からも繰り返し政府の物価に対する腹がまえをお答え申し上げた次第でございますが、何とあっても四・五%程度にはぜひ押えていきたいということで、この一月にも十項目にわたるところの物価対策を政府が決定して、これを前実にやっていくという考え方でおるわけでございます。もとよりただいま御指摘のございました水道料金等につきましては、これは地方公共団体の権限に属する問題でございまして、政府からとやこう言われる法律上の権限はないわけでございますが、しかし、物価の問題は、これは政府として、国として非常に重大な関心を持ち、これに非常な腹がまえを持って臨んでおることでございますので、地方公共団体もまたこれと同じような姿勢でもってこの物価の対策について協力していただきたいということが私どもの心からの念願でございます。先般東京都知事並びに副知事がお見えになりましたので、そのことをとくとお話し申し上げたような次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 四・五%に押えられるかどうかわからないが、とにかく四・五%に押える努力をすると、こういうふうに私はいまのお話の中から承るわけです。そうだとすれば、私はいまたくさん申し上げましたよ。これを合計してみれば、四・五%になるかならないか、それはわかりませんけれども、水道料金だけでも〇・三ですか、そういうふうな報道があります。これは、おそらく連鎖反応でずっといくからでしょう。そういうような言い方だと私は思うのですが、そうだとすれば、ほんとうに意欲をお持ちなら、やはりこの際、昨年おやりになったように、公共料金は一年ぐらいストップしたらどうですか。それぐらいの御努力をなさるのがほんとうじゃないでしょうか、どうですか。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 昨年一年間、公共料金をストップいたしました。その反面、公共料金によって縛られている民間の企業の方々は、非常な困難をしてまいった次第でございます。国策のために苦しいだろうが何とかひとつ協力してもらいたいということで、私どもはそのことをお願いしてまいりましたけれども、その中には、どうしても料金をある程度手直ししなければ倒産必至というふうな企業もだんだんできてまいっているような次第でございまして、やはり自由主義経済のもとにおきましてそういうような事態におとしいれるということは、これは政治の姿として、あるべきでないというふうな観点から、オールストップをかけるということは取りやめました。しかし、公共料金を抑制するという根本の姿勢については、これは変えておるわけじゃ全然ございません。したがって、一つ一つの問題について取り上げて、そして、政府に権限のあるものにつきましては、そういうふうなことをがまんしていただく、最小限度でがまんしていただく、こういう考え方を持っておる次第でございます。水道の料金につきましては、先ほども申しましたとおり、政府に権限のある問題じゃございません。よく事情は伺っておりまして、非常に赤字がだんだん累積する、したがって、ある程度の手直しはどうしても必要だということ、そのお話は私どもよくわかるわけでございますが、国においても、民間の企業に対しても苦しいところをがまんして協力していただいているような次第でございますので、公共団体も同じような考え方で物価の安定ということに御協力を願いたいというのが私どもの考え方でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 水道の問題も、私は、それは政府が権限を持って抑えられる筋合いのものではないのはわかっております。ですから、いま長官がおっしゃったように、地方公共団体に協力してくれと言われるならば、政府もやはり裏づけが必要ではないですか。手ぶらで協力してくれ、協力してくれというのは、これは強制ですよ。私は、協力を求めるのなら、きちっとした、こういうふうな手を打つのだから地方団体も協力してくれ、これなら話はわかりますよ。だから、私は一年間さらに——ことしは秋には地方公営企業制度調査会の答申も出るわけですよ。出るのだから、それが出たときには、どんな答申になるかわかりませんが、一応きちっとした対策が出るでしょう。それまでもう一年ですよ、もう一年だけ何かこう待ってくれ、そのかわり政府はつなぎでこうするんですよと、こういう施策が私はなければいかぬと思うのです。そこまでのお考えはないわけですか。それでなければ、四・五%にとどめますとか何とかいうのは、私はから念仏だと思うのです。

高橋衛自由民主党経済企画庁長官

○高橋(衛)国務大臣 私どもの地方公共団体にお願いしたいのは、もちろん、御承知のとおり、地方債その他各方面で国は地方公共団体が困らぬようにという趣旨でいろいろな措置を講じておることは、安井さん御承知のとおりでございますが、その与えられた条件の範囲で能率をあげ、経費を節約して御努力を願いたい、そういうことをもっぱらお願いいたしておる次第でございます。何と申しましても、昨年までやってきたのに、いま突如として六四%も一挙に上げるというその考え方には、私どもどうしても同調できないということを申し上げておる次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 そういうなまぬるいことでは、私は、この問題の解決はできないと思うわけです。しかし、これはさらに大蔵大臣のお考えも伺っておくわけでありますが、こいつは、ほかの大臣でお急ぎの方がおられるそうですから、どうも話がちぎれちぎれになってしまいますけれども、あとの問題にとどめておいて、企画庁長官けっこうです。  文部大臣も何かお急ぎだそうでございますから、先に伺っておくわけでありますが、授業料の問題です。この授業料の問題については、今日全国的な問題になりつつあるわけです。こういう事態を文部省のほうももちろん予想されていたのだろうと思うのでありますが、これについてどういうふうな対策をお持ちですか。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 主たるお尋ねは、ただいまのところ公立の高等学校の授業料の問題と思いますので、この点について御説明申し上げたいと思います。  この公立高等学校の授業料は、現状までのところはずいぶん幅がございまして、六百円から八百六十円の幅で各都道府県の状況によって違っておりまして、それぞれの事情に応じて条例できまっておるわけでございます。公立学校の授業料は、その自治的な性格から申しましても、あるいは形式的なきめ方から申しましても、私は若干ほかの公共料金とは違う点が多いと思うのでありますが、しかし、これを安くしておくのにこしたことはないということで、できればこれは値上げは押えたいわけでございます。しかし、現実の事態あるいはいままでの経過から申しまして、いま申しましたような相当の幅もございますので、現に六百円で昭和三十二年ごろからずっと据え置いておりましたところが、ほかの府県等の状況等もにらみ合わせて、それぞれの地方議会におきまして良識をもって審議をされて、若干この幅が狭まることはいたし方ない。しかし、できるだけ現在の最高のところ程度にはとどめてもらいたい、こういう気持ちを持っておりますが、別に文部省といたしましても、通牒とか訓令とかというものを出すべき筋合いのものでもないと私思いますので、現状を関心を持って見守りながら、また現在の見通しといたしますれば、大体その幅が縮まるというところにおさまるのではなかろうか。また現状維持のところももちろんあるようでございますので、そういう見通しを持って静観をいたしておるというような状況でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いろいろな情報によりますと、東京都は六百円から八百円に上げる。青森県はもう六百円から八百円への値上げをきめているようです。石川県、奈良県、長崎県、熊本県、三重県、富山県、岐阜県、埼玉県、神奈川県、茨城県、栃木県、新潟県と、たいへんなようですね。もうすでに八百円になっておるところもあるし、八百六十円ぐらいのところもあるようでありますが、これだけの全体的な大きな流れをただ静観しているというだけでは、文部大臣、私はちょっと心もとないような気がするのです。高等学校の授業料はもう少しこうあるべきだ、大学の授業料はこうあるべきだ、それぐらいのお考え方をお出しになってもいいのではないかと思うのです。日教組のことには目くじら立てて、ああするな、こうしろと、こういうふうに言われますけれども、これは、生徒にとって、あるいは父兄にとってたいへん関心の深い問題ですよ。それは六百円から八百円になるぐらいで、たいした幅じゃないかもしれませんけれども、私は、そういうところにきっちりと関心を持って処理していくのが政治じゃないかと思うのです。どうでしょう、これにつきまして、もう少し何か基本的な考えをお持ちじゃないですか。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 ただいま抽象的に申し上げましたが、現在までで高等学校の授業料が、十三の県におきまして八百円になっております。それから二つの県が八百五十円、一つの県が八百六十円、そうして十四の県において六百円、こういう幅で今日まで推移したわけでございますが、現に六百円でおりますところの十四県を中心といたしまして、これがほかの県の状況なども見まして、まず八百円あるいは八百六十円という程度に上げたいということで、条例の審議を現在やっておるようでございますので、どうもこれは、今日までのいろいろの経過から申しましても、何と申しましょうか、法律的な権限もないのに相当強くこれを押えるというようなことをいたすのは文部省としてはいかがか、むしろ公立学校の内容の充実、施設の改善等にこの際足並みをそろえて十分の努力と成果をあげてもらうことが望ましい、かように考えておるわけでございます。なお、高等学校のあり方等につきましては、これは、確かに御指摘のように、もっとしっかりしなければならぬことが多々あると、私も自認いたします。現に、後期中等教育のあり方というようなことについては、中教審等にも諮問しておりますし、また、それらと並行いたしまして、どういうやり方、どういう授業料というようなことに至っても、十分私といたしましては積極的に掘り下げて、今回のこうした状況とは切り離しまして、もっと根本的に真剣に取り組んでまいりたいと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 自治大臣にお聞きいたしますが、今度の地方財政計画の中に、高校授業料は引き上げをするということで計画をおつくりになっているというふうにお聞きしているわけです。まだ地方財政計画は国会に提案を受けていないわけでありますけれども、幾らにするのか、それによって地方公共団体はどれぐらい収入もふえることになるのか、そのお見込みをひとつ伺いたいと思います。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 地方財政計画は、先週の閣議で閣議了解になりまして、近く国会に提出することになっております。この財政計画では、高校の授業料は八百円に見ております。これにつきましては、先ほど文部大臣からもお答えがございましたように、三十一年から据え置かれておりまして、その間、もうすでに十六県におきましては八百円に組んでおるのであります。私ども財政計画として八百円に組んでおりまするが、決してこれまでに上げろといっているわけじゃございませんけれども、すでに高校の経費につきましては、一人当たり三十一年から倍額になっておりまするし、また学校の先生の給与も、三十一年以来倍額になっておりまするし、また、一般の国民所得から見ましても倍額になっている状況でございまするので、これ以上押えるという財政計画を立てることは、今日の地方財政の状況から見て無理だと存じまして、八百円に組んでおる次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 幾らぐらいになるかという金額……。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 大体六十億程度だったかと思います。ちょっとお待ちをいただきます。——大体さようでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いま自治大臣からお話を承りますと、授業料値上げの奨励の張本人は、やはり自治大臣だったということがわかったわけです。そうでしょう。いままで地方財政計画は、毎年六百円でずうっと組まれていたわけです。地方財政計画に基づいて各都道府県や市町村ではもう予算編成をしているのですから、議会を召集しているのですから、だから自治省のほうが指導されているその指導の中に、ことしの地方財政計画の中では六百円を八百円にするのだからと、そうされているから、みんなそろって上がるわけですよ。東京も私はそうだと思うのです。聞いたわけではないけれども、自治省の指導方針がそうだから、おそらくそうだと思います。これは、文部大臣とはっきりお打ち合わせができての御措置ですか、どうですか。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 文部大臣と打ち合わせをしたわけじゃございませんが、私どもは財政計画にはそう組まざるを得ないと思って組んでいるわけでございまして、決して上げるような指導はいたしておりません。しかしながら、今日の状況において、すでに十六県は八百円に組んでおるのでございまするから、この点はやむを得ないと、かように存じております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 文部大臣は、加藤委員の質問に対しまして、授業料は値上げしないというお答えをこの委員会でなすっておられるそうでありますが、どうですか。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 まず、加藤委員の御質問に対して、いたしませんと申したことはないのでありまして、実情と見通しを率直に申し上げただけでございます。  それから、自治大臣とこういう問題につきましていろいろ意見の食い違いがあるように仰せ、御心配でございますけれども、それはございません。自治省の基準財政収入の基礎としての授業料の見込みと、それから実際の状況とが違っておりますことは、すでに今日までも、先ほど申しましたように、授業料の具体的の各県の取りきめ方は条例できまるわけでございますから、自治省のほうの御計画と基準は一致しておるわけでありますけれども、具体的の適用その他は各府県の実情によって相異るということは御了承をいただけると思うわけでございます。

青木正自由民主党

○青木委員長 加藤清二君から関連質問の申し出があります。安井吉典君の持ち時間の範囲内においてこれを認めます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 授業料の値上げの問題につきましては、私は過ぐる本委員会において物価問題をお尋ねいたしましたおりに、授業料は値上げをする予定か予定でないかとお尋ねをしているのでございます。その際の文部大臣の答弁は、上げないとお答えでございます。そのことは新聞にも大きく出、特に朝日のごときはゴジックでこれを取り上げているのでございます。それをいまこの席上で、そういうことは言うたことはないとおっしゃるならば、私は黙って引き下がるわけにはいきません。そこで、この際、ここへ記録を取り寄せまして、大臣の答弁のいずれが正しいか、はっきりケリをつけなければならぬと思います。文部大臣のはっきりした御所見を承りたい。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 私、たまたまここへ参考資料につづっております二月三日の加藤委員に対する私の答弁といたしましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。たとえば、念のため申しますと、このときの速記録の七ページの下段にございますが「その中で公立、たとえば高等学校の授業料、これは、御承知のように各都道府県の条例できまるものでございます。」それから、途中を省略をいたしますけれども「それぞれの都道府県の議会において慎重に審議され、そして来年度の予算の基準としてこれが決定されることになると思います。現在さような段階でございますから、確たる情報はまだ得ておりません。それから、これはもちろん政府の統制すべき問題ではございませんし、それから、いわゆる公共料金として律すべきものでもない、かように考えております。」かようにお答えをいたしております。  なお、最後のところで保育園、幼稚園等についてもお尋ねがございました。また公立、私立、国立等にわたっても御質問がございましたので、公立等に関する限りは、御承知のように、授業料は全然値上げを考えておりません。かように御答弁を申し上げた次第でごごいます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 ただいま自治大臣に同僚議員が尋ねているのは、公立地方学校のことでございます。上げないと答えておる。

愛知揆一自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○愛知国務大臣 誤解を避けますためもう一度申し上げますが、国立に関する限りという、「国立等」ということばを使っておるわけであります。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 もしそうであるとすれば、ただいま私はここに速記を持っておりません。ところが、あの際私が質問しているのは、公立、国立に限って質問して、あとで私立の慶応その他のストのことについて聞いておるのでございますから。その際に上げないと言われた。したがって、新聞もそう受け取って各紙が全部そう書いた。NHKもニュースに出した。というところで、いまになってから上げない——もっとも取り消し内閣でございますから、それを取り消すとおっしゃれば別でございますが、この間のことばでは上げないと、だれしもそういう印象を受けているわけなんです。本日になってから自治省の発言と違う、こういう段階になって、初めて、いやそうでなかったでは、あなたの答弁をどこをどう信用していいかわからない。もちろん本件については、あなたたちがおっしゃるとおり、当方もきちっと発言内容の調べまして、追って質問をいたします。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いまの加藤委員のお話のとおり、これはひとつ速記録であとで調べていただきたいと思いますが、自治大臣は、さっき六十億ぐらいというふうに言われたわけです。しかし、私は、それぐらいのお金なら、この授業料の値上げというふうな措置を地方団体がなぜしなければいけないかということを探求すれば、同校急増対策がきわめて政府の措置において不十分であったこと、あるいはその他教育関係の予算措置が十分でなかったという、そういうことが結局この授業料の値上げの道につながっているわけです。ですから、それらの措置を強力に実行していく、あるいはまた、地方交付税の配分の中にこの問題をもう少し有利に考慮をしていく、こういうふうな何らかの対策でこの値上げを押えることができなかったものか、どうですか。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、こういうようなものは、できるだけ上げないで済めば上げないほうがいいとは思いますけれども、三十一年から約十年の間上げていないのであります。その間にどうかというと、先生方の給与も倍以上になっておる。国民所得も倍以上になっておる。物価も倍以上になっている。そういうときに授業料だけをなおかつ押えつけるということは、私はやはり無理ではないか。地方財政が非常に豊かでございますれば、それはなおもう少しということもいえるのでありますけれども、今日の地方財政の苦しい状況から見ますれば、この程度の値上げはやむを得ないであろう。それも、私のほうから上げなさいとは言っていないのであります。地方財政計画を組む上において、すでに十数府県において八百円でやっているから八百円の財政計画を組んだ、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それでは満足できないわけです。続いてこの問題は、文部大臣の発言についての調査等でさらに御検討がいただけるものだと思いますので、次の問題に進みたいと思いますが、いずれにしてもぜひ再検討願いたいと思います。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 いま私の申し上げました発言の中に、一部間違いがございますので訂正をいたします。物価は一・四倍でございます。あとは倍以上でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 自治大臣は、ただいま地方財政が非常に苦しいということを申されました。この委員会で先日も田中織之進委員がその実態について取り上げておりますので、私もそれと重複を避けたいと思いますが、ただいわゆる超過負担の問題は、これは非常に深刻な事態にいまきていると思います。私は、去年もここで超過負担の問題で国立高専の敷地の予算を政府が絶対に組もうとしないという問題について大蔵大臣と問答をしたことを覚えておりますが、ことしも七校、これもまた敷地なしの学校をお建てになるわけですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 高専の敷地の問題につきましては、現在まで三十六校開校いたしておりますし、四十年度には七校の開校を予定いたしておるわけであります。七校のうち、二校は国有地を使うことになっておりますし、他の五校は国有地との交換によりまして取得することは確実でございますので、用地を地方団体に寄付させるとか、そういう考えはございません。なお、現に開校いたしております三十六校につきましても、国有地の交換等、すべてそういう方向で進めたいということでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いつものようにまたどこかでごまかしがあるのかもしれませんけれども、きょうはその問題は一応触れませんで、いろいろな法律によって国が当然負担しなければならないといわれている問題がそのままでちっとも処理されていない、こういう点を取り上げてみたいと思います。  私どもは、これは実は全国の都道府県やあるいは市町村からたくさん資料を集めておるわけです。きょうは一部しか持ってきておりませんけれども、たくさんあります。そういう中で、これから十分検討して政府の措置を要求したいと思うわけでありますが、きょうは、たとえば九州のずっと南のほうのある県では、農業改良普及事業について、基本給において四千六百万、期末手当において千五百万、そういうふうな持ち出しになっております。三分の二補助というが、現実は三分の一補助にも当たっていないという現実もあります。あるいはまた、この農業改良普及事業だけ取り上げてみても、ずいぶん各県ともこれが非常な超過負担の原因をつくっているという事実を知ることができます。つまり単価が低いわけですね。職員の人件費の単価が低いわけです。そういうことであります。  それからまた、保健所につきましても、近畿地方のある大きな県の決算を見ましても、保健所の運営などは三分の二以上が超過負担という形で持ち出しになっているという例があります。これは、もうどこでも同じような姿があります。特にこれは関東のある県でありますけれども、同じ保健所の中の職員費、医師とか歯科医師の給与の実態を見ますと、この県では医師、歯科医師が四十一人いるわけです。現実には、それに対しまして四千七百二十四万円の給与を払っております。一人当たり百十五万二千円です。ところが、国庫補助の基本になるのは同じく四十一人に対して総額二千五百三十八万一千円、一人当たりにすると六十一万五千円です。つまり国庫補助の対象は、大体月給にして四、五万円ぐらいの医師や歯科医師を雇おうという考え方であるわけです。ですから、現実にはこの県の実際の支出額に比べますと、——四万円や五万円でお医者さんがいるわけはないでしょう。五三・七%が持ち出しということになっているわけです。北海道へ行ってごらんなさい。僻地の町村では二十五万円出してもお医者さんはいないですよ。二十五万円月給を出してもお医者さんはいない。こういうふうな事態があるわけです。この辺のお医者さんの給料は幾らくらいか私もよくわかりませんけれども、しかし四万や五万でお医者さんがいるわけはないでしょう。だから、現実には十万円からそれ以上の給料を払っているわけです。一人当たり百十五万二千円払っているわけです。一人当たり六十一万五千円しか来ないわけですから、結局残りはこの県が持ち出しということになっているわけです。こういうような形で国の財政は帳づらは合っていても、地方ではたいへんな事態が起きているわけです。保育所の保母の給与単価にいたしましても、一万三千七百五十四円が補助単価で、実際単価は一万六千二百六十三円、八割六分にしか当たっていないわけです。これは、九州のちょうどまん中辺にあるある県です。保育所の建設費などは、これはもっとひどい。これは一町二カ村の平均でありますが、この一町二カ村で保育所を建てるのに千二百二十二万七千円かかったわけです。したがってこれを三で割れば一カ所当たり四百七万五千円、四百万円くらいかかった。ところが、補助の基本額は百四十万円です。だから、結局三割四分四厘しか国から金が来ない。残りの六割六分は、これはその市町村が持ちだしだ、こういうことです。  農林大臣もおいででございますが、農業委員会の書記の職員費、これも同じ県の二つの町の平均があります。この農業委員会は市でありますが、一人当たり四十二万円かかっているわけですね。ところが、補助の基本額は三十一万円にしかなっていない。これは、金額よりももっと問題なのは、二十六人でやっているやつを、補助の基本はたった四人しかくれないわけです。四人しかくれない。だから、一割五分くらいしか結局国から金が来ていないわけです。これは、もうたくさん申し上げれば切りがないですから、私は一例だけにとどめたいと思いますが、このほか国民健康保険の事務費の問題もあります。これは、大蔵大臣、ことしは少しお上げになったようですね。お上げになっても、相変わなず実際必要な額の半分くらいしか行っていないはずです。農業委員会法の第二条ですか、この規定を見ますと、この農業委員会の事務費は国が負担すると書いてあるわけです。国民健康保険法においても同じような規定があります。国が負担する。補助金ではないわけです。負担するわけです。だから、農業委員会の補助金がたとえ一割七分や一割五分くらいしかこないにしても、残りは交付税で見るわけにいかないわけですよ。自治大臣、そうでしょう。負担金ですから、国が負担するわけだが、交付税でも見てくれない。国が当然負担しなければいけないとはっきり書いてあるやつを出さなくて、残りの負担は交付税でも何でも見てくれないので、自分の持ち出しでやっているわけです。それが現実の事態であります。この間の田中委員の質問に対しても、自治大臣は八百六十四億円くらいその超過負担があるでしょうと、こういうふうに言われているそうです。自治省の調べだけでそれですから、私は、この実際の姿はおそらく一千億円以上もあるのだろうと思うのです。県や市町村がそれで十分見られないところは、たとえば警察署の建物を建てるなんといったって、これもろくすっぽ金がこないのですよ。その残りの分は結局寄付金という形で住民にかぶさっていっているわけです。こういうふうな実態があるわけです。  特にこの補助金の問題については水増しがあるわけですね。厚生大臣もおられますけれども、厚生省などにもたくさんある、文部省にもある。というのは、たとえば十カ所の予算を組んで、一千万円という予算を組む。ところが、地方から陳情なんか来て、何々代議士の顔とかなんとかいうので、もう一カ所どうしても入れなければいけなくなったら、予算のワクは一千万円だけれども、それを何とかかんとか十一カ所にしてしまう。それで配分するわけですよ。減るわけでしょう。昔十人でおかゆをたくさん食べていた、お客さんが一人来たら、それっというので、水をひしゃくで一ぱい。二人来たら、また水をひしゃくで二はい。こういうふうなことを県にやっているわけですよ。これは、ほんとうの意味の水増しですね。そういうような事態が結局地方財政の大きな負担の増加になっているけわです。  私は、こうやってずっと調べてみましたら、どうやら厚生省だとか文部省だとか、どうも人間尊重の分野のほうの製助の内容が悪いようです。大蔵大臣、これは、ずっとごらんになるとわかりますけれども、どうもそういうような気がするわけです。私は、こういうふうな実態の中から、一体補助基本額というものに対して大蔵省はどういうようなお考えを持っているのか。補助の基本というものはきっちりしたものでなければいかぬと思うのでありますが、そういうものではとうていその仕事ができないというのにかかわらず、それを基本額にしているというところに一番の誤りがあると思うのです。どうでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御承知の補助単価等につきましては、勧告もありますので、逐年予算編成の過程において是正をいたしております。四十年度の予算につきましても、健康保険事務費の百五十円から二百円にという大幅な引き上げを行ないましたように、先ほどから御指摘の数件の問題に対しても是正いたしております。ただ基本的な考え方は、標準単価に対する補助金ということでありまして、実額、実際に使われたものに対する精算補助ということにはなっておらないわけであります。合理的な状態において執行せられる場合の標準的な単価に対する補助ということでございます。実情に合わないという意見もございますので、答申等に即しまして年々適切な方向に是正しつつあることは御承知のとおりであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 地方財政法のこれに関する規定を御存じですか。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 ただいま手元に条文は持ちませんけれども、地方財政法におきましては、それは、やはり国が負担すべきものに規定しております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 手元にないそうですから、私読みます。  第十八条「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行うために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」大蔵大臣、よく読んでおいてください。  第二十条の二があります。第二十条の二は「国の支出金又は前条の国の負担に属する支出金の算定、支出時期、支出金の交付に当って附された条件その他支出金の交付に当ってされた指示その他の行為について不服のある地方公共団体は、自治大臣を経由して内閣に対し意見を申し出、又は内閣を経由して国会に意見書を提出することができる。」これは、地方からあまり出ていないのですね、これでは足りぬというような意見書は。さっきのような、そういう水割りの問題なんかあるからでしょう。だからといって、地方のそういう弱味を見て基礎額を少なくしているということは、私は許されないと思うわけです。  そこで、行政管理庁長官にもきょうおいで願っているわけでありますが、私は、行政管理庁がいろいろ御努力をなさっているのはわかりますが、こういう問題について一体どうなさっているのか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。

増原恵吉自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○増原国務大臣 御承知のように、補助金制度の合理化についてはたいへん重要であるのにかんがみまして、臨時行政調査会、補助金等合理化審議会などでもこの審議を行なったのでございます。行政管理庁でも補助金等に関する監察を行ないまして、昨年の四月十五日に大蔵省その他関係十一省でございましたかに勧告をいたしておるわけでございます。勧告はたいへん多くの項目にわたっておりまするが、概要を申しますると「地方の実情を的確に予算面に反映させるように措置する等、補助金等に関する予算編成業務の合理化をはかること。」これが一でございます。二は「事務手続きの遅延原因を十分に研究する等、予算の執行、決算手続きの簡素合理化をさらに推進すること。」三は「補助効果が十分あがるよう措置するとともに、補助効果の的確な把握につとめること。」四は「補助目的達成のもの、」達成をしたもの「実施意欲を欠くもの等の廃止など、補助金等の整理、統合を積極的に推進すること。」五「補助の単価、範囲、補助条件の統一、調整をはかること。」六「人件費補助制度ならびに運営の改善をはかること。」七「地方交付税の財源調整機能をいっそう実情に即したものとすること。」それぞれの項目をさらに細部に分割をして勧告いたしたのでございます。御質問の中に出ましたような事項について全般的に調査をしました結果を勧告をいたし、これに対しまして各省からは昨年の末に回答がございました。それぞれの項目について具体的に検討をされ、おおむねこの趣旨に沿った改善実行をはかっておるというふうに回答をいただいておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それじゃ伺いますけれども、たとえば、さっき農業委員会の事務費の話をしましたね。ことしの予算も大体そんなところじゃないですか。二割か三割くらいしか見てないのじゃないでしょうか。どうでしょうか。行政管理庁長官の言うとおりになっているかどうか、農林大臣、どうですか。

赤城宗徳自由民主党農林大臣

○赤城国務大臣 農業委員の補助と実質補助とが相当違っておるということは御指摘のとおりでございます。給与水準とか人事の配置が地方公共団体できめることになっていますので、また公共団体の中でも必ずしも同一でございません。そういう関係で、御承知のように、標準の単価をきめて金を出しておりますので、その間一致してない点が相当ございます。逐次改善を加えておるのでございますが、昭和四十年度におきましては、三十九年度に行なわれた給与改定の平年度化に伴う補助金の増額を行なうということをいたしました。あるいはまた、農業改良普及事業及び生活改善普及事業につきましては、広域を受け持つ普及所の設置に伴いまして、普及所長とか農事改良普及員及び生活改善普及員の格づけを改定する等の改善を加えましたけれども、いま御指摘のように、相当補助単価と実質の補助との間に乖離しておるというか、差額があるのは御指摘のとおりでございます。逐次改善を加えていきたいと考えておりますが、そういうふうな状況でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 行政管理庁長官の勧告にもかかわらず、これはいま農林大臣だけですけれども、各省伺ってみれば、同じ御答弁が出てくるのではないかと思うのです。ちっともできてないわけですね。ぜひこれをきっちりやっていただかなければいかぬと思うのです。行政管理庁のほうや会計検査院のほうでやらなければ、社会党の私どもがやります。これは、私どもはことしも全国ずっとやったら、もう各地でぜひやってくれ、それがいま地方は一番困っているのだから、それをぜひやってくれ、全面的に社会党を支持するから、こういうわけです。これは、政府もうかうかしてないで、ぜひやってください。それをひとつはっきり申し上げておくわけです。どうですか、管理庁長官。

増原恵吉自由民主党行政管理庁長官・北海道開発庁長官

○増原国務大臣 仰せのとおりでございまして、監察をいたしました事項の結果については、十分に関係の各省に書面の連絡以外にこまかく事項の打ち合わせをするわけでございます。各省においても十分勧告の趣旨を尊重して、これを実施をしてもらうことにいたしておるわけでございます。閣議においても、その点を強調をしていただいておるわけでございます。十分成果のあがるように、勧告の成果が実施されまするように努力をする決意でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 大蔵大臣に申し上げたいのですが、予算というのは、これを分析してみれば、私は単価掛ける数量だと思うのです。全部そうです。単価に数量を掛けたのが予算なわけです。ところが、学校を幾つ建てるとか、道路をどれだけ延ばすとか、そういう数量の問題についてはわりあいに論議がここでかわされるわけです。しかし、肝心のその単価については十分な論議がされないままになることで、結局いまの妙な姿が出ているのではないかと私は思うわけです。やはりその単価の問題が基礎になるという、そういう上に立って処理していただかなければいけない。地方財政法、さっきの規定の中には、残念ながら罰則の規定がないわけですよ。十分に単価を見なかった場合には、関係大臣から罰金を取るというふうな規定がないわけです。しかし、一面補助金適正化に関する法律があるはずです。地方の自治体のほうでその補助金の使い方が間違っていれば、これは、懲役まであるはずです。罰金もあります。懲役もある。補助金をもらって使うほうは罰則まであるのだけれども、補助金を出すほうのそういうふうな手ぎわの悪い措置については、罰則は残念ながらないけれども、あるとかないとかの問題じゃないと思うのです。ぜひこの点は最善の努力を願っておきたいと思います。  話がだいぶ小さくなりましたので、ひとつ地方財政の計画が大体発表されておりますので、この点をもう一点伺って、あとのその特別会計のほうの問題に移りたいと思うのであります。国の予算のほうは、表面的には三兆六千五百八十億というふうなことで、三百六十五日ハレバレと大蔵大臣は言われているわけでありますが、しかし、それは、私は表面だけではないかと思うわけです。いま言ったように、実際仕事をするのは、これは地方です。その地方の財政の中に、国の表だけをきれいにして、しわを全部そちらに寄せている、こういうふうないいかげんな予算の案ができていて、私どもはそれを審議している、こういうことになるのではないかと思うわけです。やはり案ができれば、それが実行できるところまで見届けたような、そういうふうな審議でなければ私はいかぬと思うわけです。正式にまだ発表されておりませんけれども、自治省の地方財政計画では、三兆六千百二十一億という地方財政計画をおつくりになったようであります。しかし、私は、これは現実の仕事からいえば、非常におかしなものができ上がっているのではないかと思うわけです。地方財政は、先ほども自治大臣自身が言われたように、ことしは最悪な事態がきておるようです。それを、ただ国の予算ができたからというので、何とかかんとか継ぎはぎをして、継ぎ目だけをつくっておるという形に私は見られてしようがないわけです。私は、もうあの地方財政計画が昭和四十年度の年度末にいったら、これは相当大きな赤字という形ではね返ってくるのではないかと思うわけです。三兆六千億といいますけれども、たとえば三十七年度の財政計画を見ても、それと決算との差は七千億くらい決算のほうが地方財政計画より多いわけですよ。三十八年度の地方財政計画でも、八千億円くらい決算が多いわけです。私は、おそらくことしのこの財政計画なら、年度末には、この財政計画よりも八千億から一兆円に近いような大きな支出増が決算の上に必ず出てくるだろうと思うのです。計画というものは、ほんのただやに政府の予算につじつまを合わしただけですよ。なるほど、これは一つの傾向にはなります。傾向としては私は意義があるとは思いますけれども、しかし、実際のところは、おそらく私はそれくらい大きな幅になって最後の結論が出てくるのではないかと思う。さっき言った超過負担の問題もあります。そういうようなものを含めて、どうでしょう、どういうお見込みですか。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 昭和四十年度の地方財政計画は、ただいま御指摘になりましたように三兆六千百二十一億でございます。これを計画いたしまするにつきましては、御承知のように、国の予算が本年度は健全均衡財政を堅持いたしまして、前年度に比べて一二・四の伸びにとどめておるわけであります。したがいまして、地方財政計画も、やはり国の財政計画に沿うていくということでないと、ばらばらというわけにはいかないわけであります。したがいまして、いま御指摘になりましたように、あまり無理をしてもやっていけなくては困るということで、いろいろ検討いたしました結果、財源をできるだけ見出し得るものは見出しまして、交付税率を上げるのも、ことしは、四十年度は二九・五%に引き上げる等の措置を講じて、一五・一%の伸びにして組んでおるわけでございます。でありまするから、前年度に比べますと、前年度の伸びは、地方財政計画では御承知のように一九・一というような大規模の伸びを見ておったわけでございまするけれども、もう均衡財政をとりますると、そういうような膨大な計画はとうてい望むわけにはまいりません。したがいまして、私どもは、でき得る限りのことは考えながらも、均衡健全財政をとるということで一五%にしたわけでございまするから、ただ、いままでのようなやり方で地方団体がやられますと、御指摘のようになるおそれがございます。したがいまして、先般知事会議等もございました際にも、よくこの点は私からも申しまして、今年度は国も均衡健全財政で一二・四という圧縮した財政計画をとっておるのだから、地方団体におかれましても、そのつもりでひとつ今後の予算編成に当たり、またその執行に当たりましても、効率的な、そうしてむだはできるだけ排除してやるようにということを指示しておるような次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 三十九年度でもいいですけれども、地方財政計画と決算見込みとの差、これはどのくらいになりますか。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 いま手元に資料はございませんけれども、安井さんが御指摘になりましたように、当初の財政計画と決算とは約七千億くらい違っておると思います。でありますから、それは、先ほど申しましたように、従来は自然増収が多い、特にまた地方財政は、前年度のいわゆる所得が翌年のいわゆる収入に住民税等で入ってまいりますので、そういうふうな自然増収がございましたから、勢いそれだけ決算は開きを持ってきたわけでありますけれども、もう今後はそういうふうな大きい自然増収は見込まれない、かように思うわけでございます。したがいまして、四十年度の地方団体の予算編成にあたりましても、先般知事会議がございましたので、その点を特に私から申しておったような次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 地方財政計画というものがいいかげんなものだ、少し極端な言い方かもわかりませんが、実はそうなるわけです、つじつまだけ合わせてあるわけですから。たとえば、地方公務員の数だってそうじゃないですか。地方公務員の数は、自治大臣がいつも言われるように、この財政計画の中でも百六十万くらいというふうに言われておりましょう。ところが昭和三十七年度の決算をごらんなさい。あのときの地方公務員の数は百八十万人いるのですよ。もう二十万もそこで違ってますよ。いまだっておそらく二百万近くいるのですよ。地方財政計画の中では百六十万人しか見ていない。これもはっきり実証できます。これは、きょうは時間がありませんから詳しく触れませんけれども、あるいはまた保育所がありますね。四百万で建てる保育所も、大蔵省の査定は百万でできることになっているのですから。百万のうちの五十万は国からの補助金で入って、五十万は自分の持ち出しということで、百万でできることでこの計画ができているわけです。決算のときは四百万という数字が出てくるわけです。だから、三兆六千億もの大規模になったら、おそらく八千万くらいは実際はよけい地方が出した形で決算が組まれるわけです。それくらい最後のしわが地方へ寄ってくるわけです。そういう実態をまず明らかにしなければいけないと思うのです。したがって、国の財政措置が不十分であれば、それだけストレートにずっと地方へ流れてくる。現に三十七年の決算から見ても、国と地方の歳出純計、ダブっているやつをみんなとって、いわゆる純計は四兆二千億、その四兆二千億のうち国が直接支出をしているのが三二・四%で、地方が六七・六%です。つまり、国と地方の全体の仕事量の六割八分は地方がやっているわけです。国はその六割八分を補助金とかなんかの形でよこしている。その補助金なり負担金なりの単価が低いのですから、結局その全体的なしわがですよ、国の財政の上はなるほどハレバレということできれいになっているかもわからぬが、そのしわがみんな地方にきているわけです。だから、まあ三百六十五の八〇、八〇ですから、国のほうは、大蔵大臣はハレバレかもしれないが、地方のほうは三百六十五日ヤレヤレだ、そういうことになっているわけです。だから、私はそういうふうな事態の中から、やはり国と地方との間の行政事務の再配分、それによって税財源を再配分する、実にダブって非能率的な仕事がいっぱいあるわけですよ。そういうものをきちっとしなければいけない、こういう主張をしているわけでありますが、この問題は重大な問題なので、また次の機会に譲りまして、時間がなくなりますから、次の水道を初めとする公共料金の問題に移ります。  なお、国民健康保険の問題を、実はこの中で三十分くらいやるつもりでいたんですけれども、時間がなくなってきそうですから、時間があればそちらに触れることにして、水道の問題に移りたいと思うのです。  東京都の水道の問題について、先ほども企画庁長官と私、問答したわけでありますが、上水道六四・三%、下水道五一・三%というこの大幅な値上げは、都民と、それからマスコミも全部立ち上がって、集中的な非難を浴びせてきた問題であります。私は、この問題は二つに分けられると思います。一つは東京都の当局の態度の問題で、これはもう水道の問題だから、まさに寝耳に水で、あまりにもむちゃだというふうな批判が一つと、それからもう一つの問題は、これは、実は起こるべくして起こった問題で、地方公営企業の全体的な危機の姿がこういうような形であらわれてきたものだ、私はそう思うわけです。そこで、料金ストップをして、その間のつなぎをきっちりしてやってはどうだということを私は先ほども申し上げていたわけでありますが、先ほどの問答は、大蔵大臣もそばでお聞きになっていたはずであります。それにつきまして、大蔵大臣としての御見解をこの機会に伺っておきたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 地方公営企業は独立採算制をとっておるのでありますから、企業の合理化によってできないという面があれば当然料金の改定を行なうということになるわけであります。地方公営企業制度調査会の中間答申もあったわけでありますが、御承知のとおり、料金の改定、企業の合理化等を積極的に行なうことを勧告いたしておるわけであります。東京都も、現在まで水道料金を押えてきたことは事実であります。水がたくさんある埼玉県よりも、水のない東京都がその三分の二の低位にあるということを見れば、数字があらわしているとおりであります。でありますから東京都は、昭和四十年度の水道会計を見ますときに、二十億の一般会計支出を行なってもなお百億の赤字が計上せられるということでありますから、年間三十万に近い人口が流入するし、また水源の枯渇やその他の事情もありまして、企業の合理化だけでカバーできないということで、水道料金の値上げということに踏み切っておるようであります。しかし、理屈は私がいま申し上げたとおり、合理化によってカバーできないものは料金値上げをすべしという勧告さえ受けておるのでありますが、政府が物価対策として公共料金の抑制という姿勢をとっておりますので、これらの問題についてどこで調和点を見出すかという問題に対して、政府の意向も東京都等に対しても伝えたり、いろいろ調整を行なっておるわけであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 今日の地方公営企業の危機の実態について、いろいろ原因はあると思うのでありますが、自治大臣はどういうふうにつかまれておりますか。それからまた、東京都を初めとする水道の問題につきまして、厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 今日の公営企業の状態は、御承知のように、全体としてすでに三百七十六億くらいの赤字が出ております。その原因は、一つは公共料金が押えられていたということは事実でございます。もう一つは、やはり新しい企業投資に相当の金がかかってまいります。それは起債で行ないましても、その起債の償還並びに利子の支払いが相当高まってくるということが一つでございます。もう一つは、やはり合理化が思うように行なわれていないということも一つであろうと思います。したがいまして、目下公営企業制度調査会におきましてこの問題が検討をされておるのでありますが、昨年の秋の中間報告にもございまするように、やはり料金は適正に改定すべきものであるということが一点でございます。もう一点は、やはり合理化をあわせて行なわなければならないというのがその次でございます。なお、これらの赤字の対策といたしましては、長期で、しかも低い利子でできるだけこの融資をはかっていくべきである、こういう点を指摘されておるのでございまして、私どももこの三点の線に沿うてこれを解決をしていきたいと、かように存じております。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 ただいま大蔵大臣、自治大臣から述べられたような事情で、水道料金の値上げを抑制したいという考えで検討いたしておりますが、いまお話がございましたように、東京都をはじめ水道料金が値上げを予想される都市が七十くらいございます。いまもお話のございましたような事情のほか、電力費が上がったとか、あるいはまた水がにごってまいっておりまして、これらを浄化するための設備、あるいは薬品費が上がったというような、いろいろな事情が出てまいっております。しかし、いずれにいたしましても、一度にたくさん増すような料金を制定するということは妥当ではない、こういうふうに考えまして、ただいまそれぞれ関係方面と協議を重ねて検討いたしておる実情でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 水道を含む公営企業の問題について、私は、いまの地方公営企業法の第十七条にあるいわゆる独立採算制という問題ですね、これをやはり根本的に考え直す段階にきているのではないかと思うわけです。設備投資の問題まで全部含んですべてを料金に持っていくという、そういうかまえに問題があるのではないかと私は思うわけです。東京都の場合は、百五十キロも大きな水路をつくらなければいけない、その過大都市にしてしまった政府の高度経済成長政策が一番私は罪があると思うのですが、いまそれをここで言っていてもしようがないわけですが、とにかくそれまで投資が必要だ、大きなダムも必要だ、そういうようなものは全部これを料金にぶち込んでしまう。物件費や人件費、そのほかにそういう設備が入ってくる。その償還費が猛烈にふえているわけです。この間料金のカーブを調べてみたら、料金のカーブは、大体ほんのわずかの坂で全国的な傾向として水道料金のカーブはいっています。ところが設備投資は、いわゆる過剰なまでの設備投資というふうな形で、実にこれは、もうごく最近の三十五、六年からは弓なりになっています。こう上がっていますよ。弓なりの上がり方と言ってもいいくらいです、設備投資額は。こう上がっている。料金のほうはこうなんですよ。だから、この上がっていくカーブをすべて料金カーブの中にぶち込むということになれば、これは、大幅なアップが必要になってくるわけです。全国で一番上げたのは青森市で六九・二%というアップのところもあります。こういうふうな事態が現に起きている。だから、やはり独算制という問題はくずさなければいけない。なるほど公営企業というものですから、経済性が必要なわけです。経済性で、役人仕事じゃなしに、そろばんがきっちり合ったような、そういう仕組みにしなければいけないのはわかります。しかしながら、やはり公共性があるから地方公営企業なわけです。そういうことではないかと思うわけです。  私の郷里の北海道のずっと北の端に、礼文島という島がありますが、そこにエヒノコックスという寄生虫の病気があります。あとで私も分科会で質問したいと思っていますけれども、それは、水の中に——犬やネズミの口の中に一たん入るわけです。そして、それがふんという形で排せつされたら、それが、たとえば雪解け水——北海道の雪の中に冬、山犬なんかが遊んでいて、それがふんで出た、その解けた水を人間が飲むと、人間の寄生虫ですが、人間の肝臓の中に宿るわけです。肝臓がこんなにふくれて破裂してしまいます。現在でも百人くらい入院しておりますが、死んだ人もいままでで百人以上すでにいるわけです。そういうような事態があります。ですから、そこの島では簡易水道をどんどん進めておる。これは、厚生省のほうも処理されておるようですけれども、簡易水道ができておる。これは、簡易水道ができなかったら、雪解け水を飲んだらみんなエヒノコックスにかかってしまう。だから、水道事業は、簡易水道と上水道とは若干違いますけれども、単にそろばん玉をはじいていく、経済性だけをやっていく、経済性ということになれば、すべての設備が全部料金ですよ。そういうような仕組みになっていったんでは、これはたいへんなことになる。やはり公共性があって、衛生の問題、あるいはまた水道があることによって消防にも役立つわけでしょう。そういうような公共性に基づいておるわけですから、単に料金だけに問題を持っていくということではなしに、それを破って、たとえば遠くから引いてくる水路やダムなんかは国が補助してやる、あるいはまた、地方が一般会計から力のあるところは持ち出して処理をするとか、そういうような仕組みをつくらない限りは——いままでは何とかきましたよ。日本の水道事業というものはおくれていたのですから、おくれていたものだから料金も安かった。現に水道が少なかったわけです。しかし、いまは弓なりのように設備が上がってくるこの現状からすれば、いまこの独算制の問題にメスを入れて根本的に考え直さなければいけないのではないかと思うのですが、自治大臣、どうですか。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 公営企業は、やはり原則としては独立採算制でいくべきだと思います。しかし、公営企業の中にはいろいろのものもございますから、全部が全部独立採算制だけでなければいかぬとは思いません。一般財政からも繰り入れる必要もあろうかと思いますが、しかし、原則としてはやはり独立採算制でいくべきものだと私は存じます。水道のような事業は、御指摘のように、設備投資に非常な金がかかります。特に最近は非常なな多額な投資を要するわけでございます。でありますけれども、投資をいたしましたものは——水道のごときは、そう再々投資が要るわけではございません。でき上がりますれば長期にこれが使えるわけでありますから、それに必要な資金は起債で、長期に、そして低利な金利でもってまかなうという方向をとりますれば、それが一ぺんに料金にはね返るわけではございませんから、そういう方法をとっていけばいけるのではないか。東京等のごときは、従来は戦前の設備投資を使っておりましたので、比較的料金が安かったわけでございます。大阪や東京は、全国の水道の料金から比べますれば非常に安いわけでございます。しかし最近の、ここ三、四年間の水不足に際しまして、急激に投資をしなければならない、その投資に非常な金がかかる、しかもその金が短期の資金で、そうして高利な民間資金を利用するということになりますと、相当料金にそれがはね返るわけであります。これらの設備をしないわけにはいかぬ。昨年でさえあれだけの水不足でございましたので、ことしもまた同じように夏になって水が不足して騒ぐというわけにはまいりませんから、やはり設備投資はすべきものはしなければならない。この金をできるだけ長期で、安い金利を世話をしていくということになりますれば、長期にわたれば、その償還も料金にそう多くの金がかかるわけではございません。そういうふうな方向で、やはり独立採算のたてまえをとりながら、しかもそれが急激に料金にはね返ってこないような方策を考えるということであろうかと存じます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 大蔵大臣、地方行政委員会は去年の暮れの臨時国会で、与野党一致で地方公営企業——一応そのとき念頭に特に強かったのは水道の問題でありますが、それに対しまして当面の措置を講ずべきだということについて決議をしたはずでありますが、それにつきましてどういうふうな措置をおとりになったか、それを伺いたいと思います。

吉武恵市自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○吉武国務大臣 昨年の秋に、公営企業制度調査会からも中間答申が出ておりまするし、また当議会の地方行政委員会におきましても御決議がございまして、その線に沿うて努力をいたしておりまして、四十年度の起債ワクにおきましても、従来は政府資金が少なくて、民間資金のほうが多かったのでございまするが、これを政府資金を多くいたしまして、しかも償還年限は目下折衝中でございまするが、比較的これを長くしようということで話を進めておるような次第でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 大蔵大臣はどうされるわけですか。累積赤字のたな上げ、それからさっきも主張いたしておりましたように、料金をもう一年間、去年も国が干渉したような形でストップさせた。今度答申が秋には出るのですから、それまでの間同じような措置でもう一年がまんできないか。そういうような措置をされてそれのつなぎをされる。それからもう一つは、いま自治大臣の言われました起債の長期化と利子補給、せめてこのくらいはいまの国の財政の中だってやれるのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私は、財政の立場だけで申し上げるわけではありませんが、水道料金が一挙に急激な状態において上がるということは、物価問題のはね返り等でいろいろ問題がありますが、調査会の中間答申にもありますとおり、企業の合理化を進めると同時に、一部どうしても料金の値上げによってまかなわなければならないものは、遺憾ながらそう措置せざるを得ないというふうに考えます。しかし、先ほども自治大臣が申し述べたとおり、起債の償還年限の延長の問題等につきましては、自治省と大蔵省の間で前向きに検討いたし、何らかの道をとりたいと考えております。ただ利息の引き下げの問題とかいろいろございますが、資金運用部資金にも限りがある問題でございますから、これらの問題も十分考えながら、また他の公営企業とのバランスの問題もありますので、現在金利を引き下げるというような問題は非常にむずかしい問題だと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 最後にしますけれども、起債の長期化だけはおやりになる、そういうことですね。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 そういう方向で検討いたしております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 現在政府資金は二十五年、それから公庫資金が十八年ぐらいですね。ところが、水道の耐用年数は四十年から五十年のものもあるわけですよ。五十年ももつものを、十八年なり二十五年で返させるものですから、それが料金にはね返ってきているという現状があるわけです。やはり少なくも四十年くらいの延長が必要だと思うのですが、どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 長いにしくはありませんが、四十年まで延ばせるという見通しはいまのところありません。これは、先ほど申し上げましたように、他の公営企業に対する資金とのバランスの問題もございますし、もう一つは、資金運用部資金との問題がございます。償還年限を延長する問題と、もう一つは民間資金にウエートを置くよりも政府資金にウエートを置けという質の問題、二つ解決しなければならない問題でありますので、この量に対しては、資金運用部資金の量との制約が当然あるわけでございますので、いまよりも前向きで検討したいという考えであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、水道の問題をこうやってしつこく申し上げるのは、実は工業用水道については現に国は補助されているわけですよ。最近の新聞でも、川崎市が工業用水道の値上げを計画したら、通産省が拒否をした、こういう記事も出ております。それもそのはずです。四大工業地帯についてはトン当たり六円、ただし地盤沈下対策事業については五円五十銭、四大工業地帯以外の工業基盤整備地帯については四円、ただし補助事業は四円五十銭、こういうように押えているわけですね。しかし、そのコストは十五円くらいかかっているわけです、十五円くらいのものを四円から五円くらいで供給しているわけです。それには国が金を入れている。それから地方自治体も、上水道に回す金まで削って工業用水に回しているわけですよ。そういうような仕組みの中からいまの工業用水道というものは下げているわけです。それは、もちろん工業用水道は下げたほうがいいでしょう。その理由は、やはり企業の企業コストを上げてはいかぬという、そういう親心だと聞いております。しかし、企業コストを下げるのはいいけれども、住民の生活コストを安定させるということに熱意がないというのでは私はおかしいと思うわけです。どうも人間尊重と佐藤さんは言うけれども、やはり経済尊重のほうが先に立っていて、なかなか人間の飲む水道のほうには手が回らないのではないか、そういうふうに私は思うわけです。どうでしょう、工業用水道のほうを上げて上水道に回せ、私はそういう意味ではありません。工業用水道はそれでそれなりの理由があるでしょう。しかし、工業用水道でそれだけできるならば、上水道についてだって補助を出すとか、料金を上げないための措置が工業川水道にはあるのだから、上水道だってできないはすはないと私は思うのです。どうですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 上水道の問題に対して補助を出せという見方もございます。昔は補助があったという経緯にもかんがみてそういう議論が起きます。同時に、物価抑制の見地から、政府が押えた間のものだけでも補助しろという議論がございます。しかし、政府は基本的な問題、すなわち川の問題とか水源涵養の問題とか、政府自体がやらなければならない公共投資がたくさんございます。けさの新聞にも出ておりましたが、利根川の河口せきをつくって潮の逆流を防ぐというだけではなく、非常に大きな費用はかかりますけれども、あれをつくった場合、東京に対する飲料水の確保ということは非常に楽になる。いま利根川水系の水の約一割しか使っておらないという状態でありますから、こういうような本格的な仕事を国が行なうということも、大きな意味で補助よりもなお先行する施策であるということでありまして、上水道そのものに補助をするということよりも、独立採算制のよさを十分発揮しながら、政府はより広い立場において基本的な問題と取り組むべきだと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 公営企業、なかんずく水道の問題には恒久的に取り組む問題がたくさんあります。それはそれとして、当面はそれくらいの料金を上げないような措置ができないわけはないということをまあ私は申し上げているわけです。人間尊重というふうなことばで——実は私は、佐藤さんが来ればこう申し上げたかったのです。私はいままで、ずっと昔から色紙を頼まれたら人間尊重と書いていたのですよ。今度は佐藤さんにとられてしまって、それで恨みがあるわけなんですが、ところが今度の通常国会くらい、この委員会で人間尊重ということばが乱発されたことはないと思うのです。速記録の活字が足りないくらいされた。しかし、それは佐藤さんが人間をよく尊重しているという意味での発言ではないのです。あなたは看板だけで、ちょっとも人間の尊重なんかしていないじゃないかという意味の発言ばかりです。だから、それに対して加藤さんが何か言ったものだから、佐藤総理はおこって、卓をたたいて、人間尊重はおろしません、看板はおろしません、そう言いました。言いましたけれども、現実にやっている政治はこうなんですよ。だから、ちょうど禁酒禁煙という看板を書いてかけて、禁酒禁煙は私の目標でございます。その下で一生懸命酒盛りしているようなものですよ。目標は目標だ、いまのうちやはり飲んだり食ったり吸ったり。そういうふうなことにしかとれないわけです。やはり水道のいまの現状に対して、これくらいの措置についてはできないわけはないということを、私は最後に大蔵大臣に申し上げておくわけでありますが、厚生大臣がせっかくおいででございますので、最後に国民健康保険のことを、これは、私は、だいぶ時間をとってお尋ねをするつもりだったのですが、時間がなくなりましたので、この点だけ最後に伺っておきたいと思うのであります。  今日緊急是正の問題でとんでもない事態が起きているが、これに対して厚生大臣はどういう形で最後的なケリをつけるお気持ちなのかということが第一点。それから、いままで健康保険等の問題につきましてはいろいろ論議がかわされたわけでありますが、国民健康保険の問題は、国民の約半分がこの対象になっている。農民や中小零細企業の人たちばかりなわけです。政府管掌やあるいはまた会社の健康保険のほうは、身体検査までして、からだのいい人ばかりとったその組合員でできているが、そういうものにはねられた人たちばかりで国民健康保険ができている。その国民健康保険事業は、去年も二七%も税あるいは保険料を上げているわけです。そういうふうな実態の中で、緊急是正の問題を、保険税の値上がりやあるいはまた一部負担金の値上がりという形で絶対に処置すべきではないと私は考えるわけです。ところが、現に東京も国民健康保険税を五割も上げようという。大阪は七割も上げようという。こういう事態がいまどんどん起きてきているわけですよ。私は、いま緊急な事態だと思うのです。どうでしょう。その二点につきまして厚生大臣のお考えを最後に伺っておきたいと思います。

神田博自由民主党厚生大臣

○神田国務大臣 現に起きております医療行政の混乱と申しましょうか、この点につきましては、ほんとうに遺憾でございまして、私、誠心誠意事態を収拾したい、こういう考えをもちまして鋭意努力をいたしている次第でございます。  第二点の、緊急是正に伴って国民健康保険の負担金が上がるじゃないか、ことに東京、大阪等は相当上がる計画があるやに聞いているがということでございますが、これは仰せのとおりでございます。しかし、これは、緊急是正がなくても上がるようなことになっておったことは御承知のとおりだと思います。緊急是正はやむを得ない事情がございましていたしたわけでございます。東京、大阪がずいぶん上がるようでございますが、ここは長年上げておかなかったことが一番大きな事情のようでございます。いずれにいたしましても、急激に上がるということは好ましくないことでございまして、緊急是正の際におきましても、できるだけ所要の国庫補助を計上いたしておりますが、これで足りるとは考えておりません。今年度も、財政の問題等につきましてどの程度赤字が出るかということもいろいろ検討中でございますので、財政当局とも十分相談いたしまして善処いたしたい、こう考えております。

青木正自由民主党

○青木委員長 これにて安井吉典君の質疑は終了いたしました。  次会は明十六日午前十時より開会することにいたします。  なお、理事諸君に申し上げますが、本日委員会散会後直ちに理事会を開会いたしますから、委員長室にお集まりください。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四分散会

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