予算委員会 第6号
- 発言数
- 153 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1965/02/05
会議録
○青木委員長 これより会議を開きます。 昭和四十年度一般会計予算、昭和四十年度特別会計予算、昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし質疑を行ないます。中澤茂一君。
○中澤委員 まず最初に総理に質問申し上げます。 本年度予算案は、われわれ社会党の立場からいえば、安定成長に矛盾する予算である、またはひずみの拡大予算である、あるいはこれは総花予算ではないか、われわれはこういう批判を持っておるのであります。しかし、政府としては、いろいろ総理以下閣僚諸君の御発言を聞いておれば、これは社会開発の夜明け予算である。こういうふうに謳歌するでありましょうし、また先進国への橋渡し予算である。政府はいよいよ後進国から先進国へ本年度の予算をもって橋渡しをしておるんだ、こういうように謳歌されておるようでございます。しかし、そういうような社会開発の夜明けというようなムードで本年度予算が編成されたとすれば、これは、私は槿花一朝の夢に終わるのではないか、このように考えておるのでございます。特に先進国への前進であるという考え方は、これから論述するところで根本的に間違っておる、こう断定せざるを得ないのであります。なるほどロンドンエコノミスト日本特集号には、景気循環と財政金融政策というH・パトリック氏の論文がございます。しかし、われわれが外国を歩いてその国の実情がちょっとではわからないように、このH・パトリック氏の議論というのは一つの皮相な見解である。それはなぜかと申しますれば、H・パトリック氏のとらえ方は物的、量的に日本の経済をとらえておる。しかし、本質的に質的な、貨幣的な面というものが全く等閑視されておると私はこの論文を拝見しておるのであります。この量的な面からのみ見た日本経済というものは、なるほどパトリック氏の言うような現象を呈しております。しかし、それがいまや爆発寸前にきているのではないか、特に本年度予算をもって爆発寸前にきているのではないか、このように私は判断しておるのであります。そこで、このような本予算案に対して、政府は量的、質的な面から一体どのような考え方で本予算案を編成したのか。これについて総理大臣の見解を承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 予算編成の基本方針はたびたび御説明いたしておりますので、政府の考え方はよく御了承をいただいておるのではないか、私はかように考えます。今日の経済情勢に対応いたしまして、いわゆる安定基調にこれをのせるんだ。また、ひずみの解消をするんだ、こういう意味の予算を編成したつもりであります。したがいまして、予算あるいは財政の面においても特別な刺激を与えないようなくふうもこらしております。その他については、これは中澤さんの御専門でいろいろ御研究なすったのですから、その御意見については私はとやかく申しません。ただ政府の所信、基本的方針、これは重ねて申し上げるまでもなく、ただいま申し上げたような点にあるのでございます。
○中澤委員 確かに大蔵大臣の予算説明にも、第一に通貨価値の維持、国際収支の均衝、健全均衡財政、これを看板にいたしております。しかし、国際収支の均衡維持にも、大きな世界経済の立場から見れば問題が出てきておる。同時に通貨価値の安定、すなわち健全通貨という面から見れば、これはおそろしく重大な事態に突入さした予算である。だから、私が貨幣的、質的立場ということで御質問申し上げるのは、健全通貨という立場で、貨幣的という立場で御質問申し上げるし、それから質的ということは予算の内容の充実の問題である。ただ数字の羅列やつじつまの突き合わせではない。予算の内容の充実というものがはたしてこの予算はできておるのかどうか、この点について総理大臣の見解を承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろ御批判はあろうかと思いますが、私は、今日つくり得る最善の予算をつくった、かように自信を持っております。これは数次にわたって申し上げております。ただいま仰せのような点、いわゆる通貨の価値を維持する、こういうことですが、これはもちろん大事なことでありますし、われわれが経済を安定基調にのぼせようというのも、これは通貨価値を安定さしたい、こういう意味のものでございますし、その効果が、われわれがねらっておるとおりにこれが実現してまいりますれば、今日の議論はその実際において証明される、かように私は考えておるのであります。
○中澤委員 しかし、私は、総理は少し勉強不足のように思われるのです。基本的に日本経済の、財政の構造的な面というものを総理はお考えになったことがございますか。もしお考えになったとすれば、日本の構造的な財政金融の特徴は一体どういうところにありますか。いま一つ、欠陥はどういうところにありますか。その欠陥が明らかにわからなければ、予算編成というものは非常に問題を引き起こすものである、私はこう思うが、総理はその点について、いまの構造的な立場で特徴と欠陥がどこにあるか。本年度予算を総理は特に欠陥の面について御反省なさっておるかどうか、お聞きしたい。
○田中国務大臣 どういう御質問か、どうも質問の趣旨がちょっとわかりませんが、欠陥ではなく特徴を申し上げますと、特徴は御承知のとおり健全均衡であります。これは、世界に例もないような状態であることは御承知だと思います。いわゆる経常収入をもって経常支出をまかなう、しかも当該年度の収入ということを原則にし、九〇%以上通常原資をもって予算を組んでおるということでありますから、これは世界先進諸国に比べても超均衡に近いとさえいわれる特徴はございます。それから欠点ということでございますが、欠点は、まあしいて言えば、あなた方は一面においてもっと財政支出をふやさなければならないという現実の中で、予算規模をもっと縮小せよという御議論がございます。一〇%以内というような御議論がございます。今年度は対前年度比一二・四%であるということが、しいて言えば一〇%と一二・四%との差があるということがございます。しかし、一〇%以内でなければならないということもないわけであります。いずれにしましても、昭和三十六年、七年度の一般会計予算が対前年度比二四・四%、二四・三%というものに比べまして、三十八年度は一七・四、三十九年度が一四・二、また今年ただいま御審議をいただいておりますものが一二・四%と、いわゆる健全均衡の線を守りつつある、守っておるということは御理解いただけると思います。
○中澤委員 総理大臣に伺ったので、別にあなたに伺ったわけじゃない。 そこで、それは先ほど私が言った質的、貨幣的な面に問題の、欠陥のあることをあなたは一つも反省していないのだ。そうじゃないんです。私は、だから当初申し上げたように、質的な面、貨幣的な面、すなわち健全通貨という立場から欠陥があるのではないか、すなわち本年度予算は、いまこそ財政の扇動型投資を引き締める段階じゃないか。それを、財投を合わして五兆三千億という膨大な予算をここに組んだことが、私は健全通貨の面からはたしてこれはよかったかどうかという反省があるかどうかをお聞きしておるんです。
○田中国務大臣 財政規模が経済を刺激しないようにということに対しては、十分配慮をいたしたつもりでございます。財政は一般会計だけではなく、財政投融資や政府関係機関、またこれから御審議をいただく地方財政等……。 〔発言する者多し〕
○青木委員長 静粛に願います。私語を禁じます。
○田中国務大臣 全部を総合して考えなければならないわけでございますが、少なくとも一般会計、政府関係機関予算等を通じましては、財政が景気刺激の要因にならないようにということに十分な主点を置いて予算編成を行なったわけであります。 それからヨーロッパ諸国等に比べて日本の財政規模が大きいということをよく指摘をせられますが、これは、戦後二十年たったとはいいながら、無資本の状態から立ち上がって今日を築き、予算の中では、先進国経済や先進国の状態に水準を引き上げるために、社会保障その他歳出面でまかなっていかなければならない歳出要求というものは非常に大きいわけであります。でありますから、財政が持つ国有の使命というものと、財政が景気刺激の要因にならないようにという二つの相反する問題を一つの中に盛り込んで調和点を見出すということは、いまの予算の中で非常にむずかしい問題でありますが、私は、おおむねその両面を消化して、可能な限り最大の努力をいたした予算だというふうに理解しております。
○中澤委員 国民が一番ふしぎに思っておることは、御承知のように、あらゆる報道機関がことしは財源がない財源がないということを非常に宣伝されて、ことしこそは緊縮予算が組まれる、要するに、財政によるインフレーションを政府は防ぐであろう、こう考えておったのであります。ところが、最後の大臣折衝に入りますと、各大臣があなたとお会いして、みなにこにこして大臣室から出てくる。たちまちの間に、二日間に一千億近いものがあなたからはき出された。一体この財源は、あなたはどこからお出しになったのですか。田中大蔵大臣は浪花節の名人だとは聞いているが、手品師の名人だということは、まだ私は初耳なのでございますが、一体こういう財源というものをあなたはどこから捻出されたか、ひとつ御説明を願いたい。
○田中国務大臣 手品師でもございませんし、ここ百年に近い間日本の財政の中でやっておることでございます。初めから対前年度比一二・四%増し、三兆六千五百余億円で予算を組みますということは明らかに申し上げておるわけであります。でありますが、各款項目別の調整その他がございまして、最後の段階におきまして閣議が決定しましたものも、当初政府が国民皆さまに明らかにいたした数字でちょうどきまったということでございます。でございますから、手品をしたわけでもございませんし、最終的に私が全部のんだということでございますが、総づけをやったわけではございません。事前に党ともいろいろ調整をしまして、採用しないものはあらかじめ了解をしておって、最終的な段階において党も政府も一体になってこの四十年度予算にしようということになったわけでありまして、御指摘になるように、私が総づけをしたとか、どこかから隠し財源を持ってきてやったということではございません。これは、予算編成技術士の問題にすぎないわけであります。
○中澤委員 そういうことをあなたに聞いておるのではない。最後に一千億くらいぱっとひねり出したのは、大臣折衝の段階に入ってからひねり出した。ぱっぱっと出てきた。それはどこから出したかということをお聞きしておる。
○田中国務大臣 初めから予定をしておった金額からつけたわけであります。
○中澤委員 それならば、最初からあなたは自分のふところ勘定を握っておって、これは大臣折衝の段階で出すんだ、こういう腹がまえで最初からいたと言われるのですか。
○田中国務大臣 初めから千億に近いものを持っておったということではないのです。これは、かって片山内閣でも予算をお組みになったことがございますが、同じ方法で組んでおるのでございまして、私が初めから千億、八百億というものを持っておって、これは大臣ベースにおいて出そうというのではなく、大蔵省全体が各省との間に折衝を続けながら、最終段階にそうなるようになっておるのであります。
○中澤委員 いままでの大蔵大臣は、正直なことを言って、あなたでなくても、自民党のどなたでもできたのです。社会党のわれわれにまかせてもできた。あるいは高等小学校の子供にまかせてもいままではできた。それはなぜかと申しますと、自然増というものは、もう雪だるま式にふえていった。ここに問題がある。財政投資の悪循環が、池田所得倍増政策から出てきたわけです。その悪循環が最高度に達したのが本年度予算である。健全通貨という立場から考えれば、本年度予算はまさにインフレーション予算である。少なくとも日本経済は、本年度の五兆三千億を軸にして、インフレーション経済に突入すると判断しておる。あなたは、それはそうならぬというならば、絶対ならぬとはっきり御言明願いたい。
○田中国務大臣 どうして今度の予算がインフレーションを巻き起こす予算であるかということが、私にはよくわかりません。いずれにしましても、三十六、七年当時から一般会計の対前年度比増ワクはだんだんと減ってまいりまして、端的に申し上げると約三年前、まる三年前の予算に比べると、一般会計の規模で三千億に近い圧縮が行なわれております。財政投融資を見てみましても、三十九年度の財政投融資総ワクは、対前年度比二〇・八%でございます。今度のやつは二〇・九%でございます。でありますから、一般会計・財政投融資、また政府関係機関予算を全部総合して考えましても、国民総生産の伸びと財政支出との比較検討を行ないましても、この五年間くらいで非常に健全な数字に、だんだんそういう推移をたどっておることは数字が明らかに示しておるところでございます。 先ほどもちょっと申し上げましたが、財政は固有の使命を持っております。ですから、衆参両院の審議を通じまして、とにかく中小企業に対する金の出し方が足らないとか、石炭産業に対しての出し方が足らないとか、また地方の開発に対する予算が足らないとか、文教に対する予算が足らないとか、もっと予算の歳出をふやせという議論が非常に多い。九〇%に近いもの、それ以上が私は歳出増額だと思います。そういうふうにやはり財政の持つ固有の使命というものがございまして、景気に対する問題は、財政・金融一体の議論の上に十分の配慮をやるべきでありまして、私は、御審議を願っております四十年度の一般会計を含めた各種予算が景気刺激の要因になるものであり、またインフレーションを巻き起こすようなものであるというふうには全然考えておりません。より物価を安定しよう、より国際的に競争力をつけよう、日本の通貨価値の維持をはかってまいろう、こういう考えで組んだ予算でございます。
○中澤委員 私は、インフレーション予算であるという立場で議論を進めておるのでありますが、しからば、いまの物価値上がりというものは、総理大臣、防げますか。これは、いずれきょう午後わが党の横路委員のほうから問題は提起されますが、一体物価上昇というものは抑えられる自信を持っておりますか。
○田中国務大臣 申し上げますが、物価の抑制ということを予算だけでやろうということは非常にむずかしいことであります。これは、物価の抑制というものを一体どうしてやっておるかということを各国の例に徴してみれば、おのずからわかるわけであります。物価値上げというものにはいろんな要因がございますが、イタリア等は、物価の値上げに対しては、所得に対して非常に強い所得政策も行なっております。また増税も行なっております。日本の物価問題というものは、イタリアやフランスや西ドイツやイギリスにおけるようなものではなく、戦後の先進国経済に移行する過程における一つの現象ということを前提にして物価問題に対処しておるわけであります。でありますから、物価、物価と言いながら、二面においては千億になんなんとする減税を行ない、年間、毎年毎年賃金の引き上げを行なっております。でありますから、物価問題そのものを予算によってすべて解決しようという考えは、私は当たらないものだと思うのであります。もちろん、流通機構の問題とか、予算で対処しなければならない問題も確かにございます。中小企業とか農村政策とか、物価引き上げの要因になっておるものに対して施策を行なうという面の予算の持つ使命は十分わかりますが、予算そのもので、年度予算で物価問題を一〇〇%対処しようということではないわけであります。でございますから、私は、今度の予算が物価引き上げの予算である、物価抑制に対して一〇〇%効力を持たないものであるという御批判は当たらないと思います。
○中澤委員 そこが問題なんです。予算を増大すれば物価が上がるというこの原則は、予算だけとは私は言わぬが、しかし、日本には前提条件がある、インフレーションなる前提条件がもはや完備されておる、そこへ膨大な予算を組んだから、問題が出てくると言っておる。その前提条件は何かといえば、まず第一に、日本経済においては、擬制資本というものの増大がここではっきりと出ておる。委員諸公が毎日論議されておるように、この手形の擬制、これが二十兆に及ぼうとしておるのだ。これは明らかに擬制なんだ。通貨の立場からいえば、擬制なんです、これは。いま一つ重大な擬制資本の問題は、土地価格の暴騰があるのです。その土地価格の暴騰とそういう擬制資本が、日本経済の物価上昇の、インフレの基礎的要因をなしておるのであります。そこへかてて加えて、本年度の膨大な五兆三千億という財投合わせてのこの予算編成が、この前提の擬制資本とからみ合って、いよいよインフレ段階に突入するであろうと私は判断しておる。そのほかにも幾多あなたにこれから御質問申し上げますが、そういう点について、総理は一体どう考えておるか。
○佐藤内閣総理大臣 だんだんお尋ねになる点、また御意見として述べられる点が明白になってまいりました。私が冒頭に申しましたように、今回の予算編成にあたっては、経済成長を安定基調にのせる、同時にひずみの是正もする。また物価問題と真剣に取り組む。こういう立場で予算を編成いたしました。したがいまして、一二・四の増加率、これでも示すごとく、総体といたしましてはよほど例年にない緊縮予算でございます。しかもこの財源等については、ただいま大蔵大臣が説明するごとく、超均衡のとれた予算でございます。私は、この立場に立って政府がこの予算を編成した。もちろん、まだもう少しさらに圧縮したらどうかという御議論もあるかと思います。しかし、過日来の説明を聞いておりましても、社会党を代表しての御議論は、もう少し出すべきものを出したらどうだ、こういうようなお話のほうが多いようです。ただいま社会党を代表していらっしゃるのですが、前質問者とは立場がずいぶん違っておる、私はかように考えますけれども、これははたして社会党の統一的な御意見かどうかと思います。私どもは予算編成にあたって、均衡予算であることをたてまえといたしますが、しかし、片一方においてうんと力を入れなければならないものがある。だから、この限られた予算の中でも、これを重点的に支出した、こういうところに今回の予算の特質があるのであります。もちろん、ただいま御指摘のごとく、インフレーションにならないように、また通貨価値を維持するようにあらゆる努力をしなければならぬ、かように考えますが、予算編成においても同じような立場でございます。ただいま大蔵大臣が申しておりますように、イタリアやあるいはフランスなどの話を聞く、そうして物価対策、これは一体どうなのか、これは、学者は言下に非常に簡単に答える。それは増税だ、増税すればインフレーションがとまる、こういう言い方をいたしております。しかし、私ども政治家の立場でこれを考えた場合に、これは国民負担をもっと軽減して、しかもこの通貨価値を安定させる方法はないだろうか、これが政治家の立場であります。したがって、ただいま申し上げるように、なかなか窮屈な思いをしながらも今日減税は一千億以上のものをした、こういうような状況でございますから、ただいまこれは基本的な立場上の相違でありまして、御議論がどうしても——説得するというわけのものではございませんが、中澤さんの御議論も傾聴に値するものだと私は思いますけれども、ただいま申し上げたようなたてまえで予算を編成しておる。また政府がそれと真剣に取り組んでおる。この点は御了承いただきたいと思います。
○中澤委員 だから、先ほどお伺いをしたように、では物価は抑えられるのか、中期計画のような筋で物価は押えられるのか、これが一番重点なんです。だが物価は押えられぬ。私は、本日党の命令で農業問題を中心にやることになっていたのですが、農業用質材などは、もはや底なしの値上がりをしておる。あらゆる物価がどんどん値上がりをしてきて、政府にこれを押える施策がないとすれば、これは健全通貨という立場から議論をするならば、明らかに通貨価値の下落ではないか、通貨価値の下落は明らかにインフレーションではないかと、私はこう言っておる。だから、その物価を押えられるのだという確信があるならば、いまのお二人の御答弁は国民は納得すると思うのです。そこに問題がある。健全通貨の立場からいえば、明らかにこれはインフレーションではないか、いまの日本経済というものは、重大なインフレーション経済の段階に入っておるのではないか、これを私は質問しておるんですよ。抑えられるならば押えられる、押えられませんならば押えられません、それでよろしいです。
○佐藤内閣総理大臣 物価を押えるために経済成長を安定基調に持っていく、こういうことを念願しておるのであります。今日の経済成長は安定基調へ持っていける、かように私は確信をいたしております。
○高橋(衛)国務大臣 ただいま総理大臣からお答え申し上げましたが、若干ふえんさしていただきたいと存じます。 中澤さん御承知のとおり、卸売り物価については、ずっと大体弱含み、横ばいということで安定してまいっておるのでございます。しこうして、その中身を検討してみますと、工業製品においてはむしろ年々若干ずつ値下がりをしておる。食料品等におきまして値上がりをして、それで、総体としては卸売り物価はむしろ弱含み、横ばいというかっこうでずっとまいってきておるわけでございます。ところが消費者物価については、ここ数年非常な値上がりをしてまいっておるのでございますが、ただいま総理大臣からお答え申し上げましたとおり、第一には経済を安定的な基調に持っていく、要するに、総需要が非常に大きいというような場合においては、需要供給の関係でどうしても物価を押し上げる力を持ってくるわけでございますので、これを安定的な基調に持っていくということが第一の問題でございます。そのために政府といたしましては、まず財政について、先ほど来大蔵大臣がお答え申し上げておりますとおり、いままでよりは伸び率が非常に低い程度に押えてまいっておる、いわば財政については均衡財政の線を貫いているということでございまするし、またその他の面につきましては、安定的な基調に持っていくために、金融政策その他において非常に慎重な配慮を行なっておるわけでございます。 なお、いま一つの問題は、消費者物価の上昇の原因を検討してみますると、生産性の格差が非常に大きい分野において、つまり農林漁業とか中小企業等におきまして生産性の上昇が大きく見込まれないという分野におきましても、最近労働事情が非常に緊迫してまいりました関係上、賃金並びに所得が平準化の作用を持っていく、そして、それは一方においては賃金格差の縮小というかっこうで出てまいっておりますが、生産性の格差はあまり縮小しない。そこに賃金だけが格差が非常に縮小してくるというところから、コスト面から相当に物価を押し上げてくる傾向を持っておるわけでございます。したがって、物価の関係といたしましては、四十年度の予算等におきましても、農林漁業とか中小企業に非常に大きなウエートをつけまして、そこの生産性の向上に対して非常に政府としては力を入れておる次第でございます。そういうことによって年々——これは一年、二年で急にこれが効果をあげ得るものではございませんが、漸次そこの生産性の格差を狭めていって、そのことによって物価の安定を来たしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○中澤委員 あなたが横から答弁を買って出たから、では少しあなたにお聞きしておきます。 一体、この中期経済計画というものは、このごろ総理の答弁を聞いても、これは一つの指標である、一つの指標であって、これが社会党の言う計画経済とは違うのだから——指標だと言うが、一体この指標の確率というものはどのくらいあるのか。
○高橋(衛)国務大臣 指標の確率は何%かという御質問のようでございますが、これはどこまでも今後の経済運営の基本的な考え方として中期経済計画を閣議決定いたした次第でございます。したがって、経済の動きというものは、単に政府の及ぼし得るところの、たとえば財政の占める割合はわずかに二割程度であり、その他はいろいろな制度によってこれが目的を達成しなければいかぬわけでございますが、自由主義経済でございますので、いろいろな経済指標の変化によってこれが相当動き得る、しかし、そのときどきの情勢をしさいに検討しながら絶えず弾力的、機動的にその政策を行なって、そして安定的な基調に経済を持っていくというのが、この中期経済計画の考え方でございます。
○中澤委員 そうすると、この中期経済計画というものは、長官として確率の最大公約数さえもわからぬということですね。それならば、こういうものは必要ではないじゃないですか。少なくとも計画経済でないことはわれわれも認める。しからば、この出した指標というものの確率の最大公約数というものは一体どの辺にあるのかということが明らかにならぬと、こういうものは意味のないものではないですか。 そこで、あなたに、時間がもうないので、あまり答弁を長くしないで急所だけ答弁してもらえばいいが、これをつくる過程において、計量小委員会と政策小委員がこれをつくる中心になったはずだ。そうすると、一面これを批判する人は、計量経済学のごまかし数字であるという批判をしておる人もある。しかし、政策小委員会でいろいろ物価問題について論議されたはずです。そこで、これをつくる基礎になったのは、外生変数というものをあなた方は一つの指標として立てたはずです。内生変数、日本経済の動きの変数を立てたわけです。いま一つ、これをつくった一番根本にたった問題の政策変数というものは一体どういう議論があったのか、そして、どうしてこういう結論が出たのか。わが党の加藤委員が過日これについて質問したら、あなたは、これは一つの動向、趨勢を把握してつくった、こういう答弁をされた。しかし、物価問題とからんで、政策変数がこの計画の一切を決定すると私は判断しておる。その政策変数の中で、物価問題がどのように論議されたか。私は、いまの物価上昇がことごとく個々の要因で上がっておるのではないという判断のもとに伺っておるのですが、政策変数の中で、これだけの物価、何品目上げればこれだけの上昇率が出てくる、これとこれとこれだけを押えればこれだけの二・五%でいけるのだという議論があったはずなんです。その物価の品目、議論の内容、それをあなたが出すことによって政府が政策を実行するかしないか、この中期経済計画の可能であるか不可能であるかの根本が明らかになるのです。その政策変数議論を、ここで簡単に物価問題で返答してもらいたい。どれとどれだけを上げれば何%になる、ここまでのいまの値上げを認めれば何%上がる、それを明らかにしてもらいたい。
○高橋(衛)国務大臣 先般来しばしばお答え申し上げておりますとおり、消費者物価の二.五%というのは、この中期経済計画をつくります際の基本的な前提条件としてこれをきめたのでございます。国際収支を昭和四十三年度に経常収支においてバランスをとるということと、それから消費者物価を年率二・五%にとどめる、そのためにはいろいろな政策を考えまして、その政策について、どういうふうなことでやればそうなるかということを計量小委員会においてそれぞれ検討いたしました。しこうして、もちろん外生変数並びに内生変数、さらにその政策についての条件はあの計画に詳しく述べておりますが——詳しく申し上げましょうか。先般来御説明申し上げておりますとおり、まず第一に、生産性の格差の大きいところの、つまり生産性の向上の非常に困難な、立ちおくれておる部分であるところの農林漁業であるとか中小企業における生産性の向上に力を入れるということ、または労働の流動性をさらによくするというような点、または振替所得等につきまして、これは日本の社会開発が相当立ちおくれておるというふうな観点から、たとえば昭和三十八年度におきましては、振替所得の国民所得に占める割合が五・三%でございますが、これな目標年度においては七%まで引き上げるというふうな事柄、そういうふうな事柄をずっと政策目標といたしまして、そして総体の経済運用はどうあるべきかというものをつくり上げたのがあの中期経済計画でございます。
○中澤委員 そういうことを聞いておるのではないのです。議論しておるのですよ。私は知っておるのだ。どういう議論をしておるか。たとえば一月一日から米価が上がる、これは一つの政策による指数である、だから、これは政策変数としてこの二・五%の中へどうおさめるかという議論をしておるじゃないですか。個々の品目について、電力は上がってくるであろう、これはどの程度であろう、こういうことを政策変数委員会は議論しておるじゃないですか、その内容を聞いておるのですよ。あなたが横から口出しをして答弁を買って出て、そういうごまかし答弁をしてはだめですよ。はっきり議論の内容があなたにわからなければ、これは重大な問題なんだから、あなたの部下のどなたかを出して、政策変数でどの物価はどこまで上げるか、どの物価はどのくらいな上昇率を持ってくるかという議論を明らかにしなさいよ。そうすれば、国民は何と何と何は上がるのだということは明らかになってくるのだ。
○向坂政府委員 答弁いたします。 この物価の計算は、いわゆるマクロモデルによって計算したものでございまして、政策変数としては政府の経常支出、それから資本支出、それから準政策変数として個人住宅投資、それから金利、これは全国銀行の平均実効金利でございます。そのほかに個人税あるいは間接税及び法人税負担、こういうものを政策変数にいたしまして、これを一定の根拠に基づいていろいろ数字をモデルに入れてみまして、それでモデルで計算した結果二・五%という数字が出てきて、大体この程度でいいじゃないかということで政策委員会も認めたわけであります。
○中澤委員 これは、ほんとうは時間さえあれば、私は議論の内容を知っておるのだから、長官、そういうごまかし答弁をやったってだめですよ。議論の内容はわかっておる。一月一日の米価値上げは、政策変数でこの中でどうする、あと政策的に物価値上がりをどう押えるということを議論しておるのですよ。しかし、それをあなたにいま言えと言っても無理なら、言わないことにいたしましょうが、政策変数が重大なこの計画の実行可能であるかどうかのポイントを占めておるのじゃないですか。その政策変数さえも明らかにできないというならば、この計画というものは、全く机上の空論であると私は言わざるを得ない。問題はその程度で、これに触れておると時間がなくなりますから、よします。 そこで、いま一つこの計画の中で、ずっとこれを精読してみますと、一つだけ簡単に答弁してもらいたいのは、いろいろ書いてあるが、これは一つも具体的に実のあるものはないということが明らかなんです。そこであなたが首をかしげるなら、一つだけここで問題を提起してみましょう。この「財政金融政策の基本的態度」の中に減税の問題が出ておる。その減税の問題は、企業家側からも、国際競争力強化のために減税の要請がある、すなわち法人税減税の要請がある、それから国民側からも減税の要請がある、こう書いてある。減税するということは、この基本ではきまっているのですが、何を減税するかということは一つも明らかじゃないのですよ。所得税中心の減税をやるという結論になっていないのですよ。あるいは法人税中心の減税をやるということになっていないのですよ。こういうことは、この計画に実がないという一つの例を申し上げるのだが、証拠ではないですか。その議論は、あなたとやっていれば大事な問題がはぐれるから、よします。 そこで問題は、この財政の硬直化問題を一体政府はどう考えているのか。財政がますます硬直化の度を深めてきておる、たとえば倍増政策以前においては、当然増経費と使途特定経費というものは大体一般会計予算の二割ないし三割以内にとまっていたのです。それが本年度予算では、私、こまかい推計はしておりませんが、大体六割近い経費がもはや動かしがたい経費になったのではないか。そこへもってきて、佐藤総理の社会開発という問題を取り上げた六つの公団のうち四つ、これがまた当然増経費、こういう形で出てくるではないか。そうなると、予算の硬直化というものはいまや極端な段階にきているのじゃないか、予算の弾力性というものは失われておるのじゃないか、こう考えるが、これは、重大な問題だから総理から御答弁を願ったほうがいいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま御指摘のように、予算の硬直性、これを私は否定はいたしません。しかし、新しい仕事、やりたいもの、またなさねばならないもの、これは次々に起こっております。ちょうどそこで思い出すのでありますが、佐藤喜一郎会長は行政機構の提案をしております。臨時行政調査会、ここで提案をいたしております。また、私どもは、予算編成をするにあたりましても不急不要——不要はないでしょうが、等の補助金の整理であるとか、その他の面におきまして整理すべきもの、あるいは廃止すべきもの、それは相当多額にあるだろう。政府は、やはり真剣にそういうところと取り組んでいって、そうして新しい時代に応じた施策、これもやはり続けていきたい、かように考えます。問題は、やはり新しいものが必要だ、だから、いままでのものがはたしてそのまま実施しなければならないかどうか十分考えていく必要がある、かように考えます。
○中澤委員 まず、一般財政の硬直化が所得倍増政策からだんだんに出てきた、そこで、逃げ口をつくったのが財投である、ところが財投も、本年度予算を見ればいよいよ原資がどうにもならない段階へ追い込まれてきた、そういうふうに私は判断しておるのですが、これは、所得倍増政策から出てきた財政の悪循環の結果、いよいよ本年度予算をもってその最高度の爆発点にきておる、こういうふうに私は判断するのでありますが、このように一般会計の硬直化を促進してしまっておるものを、一体政府は今後どのように打開していく考えがあるのか。
○田中国務大臣 一般会計がだんだん硬直性を帯びておるということは事実でございます。しかし、この硬直性を帯びているというものの中で一体どういうものがあるのかといいますと、行政機構が非常に複雑になっておりまして、人員もふえはすれ、減らない。人件費も年々一律アップということで、非常に大きな歳出のウエートを占めているということが一つございます。これは、これから行政の簡素化をやるということでありますが、なかなか言いやすくして行ないがたい問題であるということは、これはもう御承知だと思います。与野党の中でも、行政機構を整理して人員整理が伴うということであるならば、これはもうたいへんな問題を巻き起こすという過去の事例から考えても、非常にたいへんな問題であることは事実でございます。 それからもう一つは、交付税のように二九・五%が天引きされるというものがございます。ですから、自然増収がふえれば必ずこれらの確定的な歳出がふえる。 あとの問題は、各種五カ年計画その他で、長期的なものに対して閣議決定もしくは法律に基づく五カ年計画、十カ年計画があるということでございます。しかし、この五カ年、十カ年計画というものは、現在の予算が単年度制度でありますので、効率投資という面から見ますと、投資に対してはひとつ長期計画を立てろというのが、国民を代表する国会の大多数の御意見でございます。でございますから、そういう意味からいいますと、五カ年計画などを排除するだけではなく、現在閣議で決定しているものを法定しろと、こういう御議論が非常に強いわけであります。そういうものをもう少し弾力的にやれぬかということでございますが、これはなかなか方法としてむずかしいということでございます。 あとは何か、こういいますと、各種運賃とか公共料金とか、こういうものが租税法定主義に次いで法定されております。まあ一つには、今度の春闘などでもって賃金を上げなさい、こう言っても賃金を上げる、上げるとすれば歳入をどうしてはかるのか。運賃を上げよう、また公共料金を上げようということは、それは国会でもってストップだ。そうすると、いやおうなしにやるとすれば財政でもってまかなう。財政は規模を大きくしてはいかぬ、こうがんじがらめにされておる。戦後国会中心主義になりましたし、私も国会議員でありますが、やはり三権の調和、運用というものも一つの大きな問題としてお互いが前向きに検討していかないと、この硬直性問題はなかなか解決できる問題ではございません。まあ政府も、限られたものの中でできるだけ硬直性を排除しながら、またあるものに対しては五カ年計画、十カ年計画というより長期な計画も立てざるを得ないわけでありますが、可能な限り最善の努力を払うということであります。
○中澤委員 それは、あちらも立て、こちらも立てるところに問題がある。どこかに立てないところがないと、これはますます財政の硬直化が進んでくる。そこで私は、だれでも大蔵大臣ができるんだと言った。御承知の高橋大蔵大臣が、大蔵大臣のあなたの先輩として、例の軍部の横やりの臨時軍事費の問題で、高橋大蔵大臣一人で軍部に抵抗して、ついに二・二六で暗殺された事態をあなたは御承知でありましょう。あれを学びなさいというのです。いまのような形でいったならば、これはまさにインフレ予算です。これはインフレ予算であって、いよいよ来年度からはたいへんな事態に突入してくる。それは、こればかりが要因ではありませんよ、これのみとは私は言っておりませんよ。そこで、財投の資金源が全く困難になってきた。御承知のように、財政法第五条の「特別の事由がある場合」の乱用を始めてきた。これが公社、公団制度を次から次へと続出させてきておる原因ではないか。時間がありませんが、それがまず第三の硬直化の原因である。 第四には、いよいよ最後に、本年度予算はこの面においても追い詰められておる。そこで最後一は、民間資金導入という方向へ変わってきた。すなわち利子補給、ここまで予算の硬直性が悪化してきておることに対して、まあつかみで何とかいけるだろうというような判断で問題を処理したら、たいへんな事態になると私は判断しておる。そういうふうな最後のどたんばへ来ておるのが本年度予算であると私は考えるのであります。そこで、もう答弁を承っておると質問がほとんど不可能になりますから、その問題はよく政府が慎重に考えておいてもらいたい。こういう形でいいのかどうか。いよいよ来年度予算編成で必至に出てくるのは公債論でありましょう。公債論が、来年度予算編成には必至の事態になってくると私は見ておる。公債をもし発行した場合は、これは重大な段階に入ってくる。公債論については、あらゆるいろいろな学者の意見や何かがございます、発行を可とする者もあれば、不可とする者もあれば……。しかし、私は昨夏イタリアに行って、イタリアはインフレ的な徴候が非常に顕著に出ておる。私は大使館で財務課の皆さんに、どうもコストインフレだ、コストインフレだと内地ではいわれておる、労働賃金の上昇だといわれておるが、どうしてイタリアでこういう形が出てきたのかといろいろ御質問したら、赤字財政をここ三年間組んでおる、これがイタリア・インフレの原因であるということが明らかになったのでありますが、そういう点も十分考え、いまから慎重に政府は判断していかないと、問題は大きく誤った方向、国民に迷惑のかかる方向、すなわちインフレーションの方向に本年度財政から行くのではないかということを私は危惧するので、念のため申し上げておくのであります。 そこで、次に問題にしたいのは、国際収支の均衡ということを看板にしておりますが、国際収支の均衡ということは重大な問題であるが、本日の新聞にも出ておるようにドゴール大統領が三つの重大な問題の提案をやっておる。その中に、新国際通貨を設けよという問題が出ておる。私は、IME東京大会においてフランスの大蔵大臣が非常に重要な発言をしたということを情報としては承ったが、実は内容は何であるか全然わからなかった。そこで、いずれこの予算委員会を通じて大蔵大臣に承ろうと思っていたところが、今朝の新聞でこういう重大な問題が出てきておる。これに対して、IMF東京総会におけるフランス蔵相の発言の内容というものは一体どういうものであったか、明らかにしてもらいたい。
○田中国務大臣 国際流動性の問題につきましては、昭和三十八年度のIMF総会から端を発しまして、流動性問題につきまして、将来の問題としては十カ国の大蔵大臣会議とIMF当局と並行してこの問題を研究するという結論がきめられたわけであります。東京総会を契機にしまして、流動性問題に対しては一つの結論が出ました。それは、フランスは三十八年、三十九年と両年度にわたって新しい国際通貨をつくったほうがいいという議論が中心でございます。ほかの国、また特にアメリカ、日本、カナダ等は、現在の国際通貨であるドルの信用を維持していくということと、もう一つはIMF東京総会できまりましたIMFの増資を行ないまして、国際流動性を増せばこれに対処できる、こういう考え方に立っておるわけであります。御承知のとおり、フランスを中心にしたヨーロッパ諸国、特にオランダ、ベルギー等は、金の歴史が非常に長いので金本位制に戻るべきだという議論を絶えずいたしておるわけであります。しかし私たちは、世界の産金量と国際経済の拡大の状況を考えてみましても、こういうことが直ちにできるものではないという事実も承知をいたしておりますし、日本自体が管理通貨制度を採用いたしておりますし、国民の経済力そのものが自国の通貨の裏づけになって国際的に価値が強化されていくという状態にありますので、いまの段階においては、IMFの増資による国際流動性の増加ということをもって対処することがよろしいという考えに立っておるのであります。
○中澤委員 しかし、世界、自由主義国全体がインフレ的徴候が出ておるというのは、一体どこにこれは原因があるのか。これは、日本の学者諸公にもいろいろ御意見を聞いておりますが、日本の学者諸公でもまだこれに対して根本的に検討しておる学者諸公はいないようであります。ドイツにおいて何とか、お名前は忘れたが、博士がこの問題は検討をしておる。私は、管理通貨そのものに一つの問題があるのじゃないか、やはり金本位制はもう古い考え方だ、通貨というものは管理通貨でよろしいのだという考え方に問題があるのじゃないか。特に先ほど申したインフレーションという立場から問題を考えるならば、日本の現在の外貨準備二十億ドル、その中で金所有が三億ドルちょっと、私はこの辺からも日本のインフレーションというものは進んでいくのではないかという危惧を持っておるが、大蔵大臣はそう考えないかどうか。
○田中国務大臣 一月末の外貨準備は二十億二千万ドルをこしたと思います。先回もこの席で申し上げましたが、他に為替銀行等に貸し付けたものを入れると約二十五億ドルということでございます。私は、外貨準備高が多いにこしたことはありませんが、要は国際決済に必要なだけは確保しなければならないということであります。フランスは現在五十億ドルに近い外貨準備を持っておりますが、輸入量に比較をしますと、大体五カ月ないし六カ月分でございます。日本の外貨準備は三カ月ないし四カ月分ということでございますので、現在の状態で外貨準備が不足であるという考え方はございません。それから自国の外貨準備高だけではなく、先ほども申し上げましたが、戦後新しい世界的な機構が整備をせられてまいりまして、IMFを中心にして、世界各国の共同の責任をもってこれらの問題に対処しようという協力体制機構もできておりますので、多いにしくはありませんが、三十億ドルなければ、三十五億ドルなければならないというものではないわけであります。 外貨準備高の中に占める金の保有量の問題については、いろいろ議論がございます。金にかえることがいいという議論が非常に強いわけでございますが、戦後二十年の状態を考えますと、いままでは日本政府がとってきたドル及びアメリカの財務省証券等、換金有利なものでいいのだという考えでありますが、まあこれからは、かえ得るものがあれば——金の相場をつり上げたり、いろいろな問題を起こすということはめんどうでございますが、かえ得るものに対しては幾らかでも金にかえていこうという考え方は持っております。しかし、急激に金にかえなければならない、それによってドルやポンドの不安を起こすというような考え方は全然持っておりません。その意味で、いまの二十億ドル余の外貨準備は日本が貿易決済に必要とする状態に対しては十分対処でき、信用のおけるものだと考えております。
○中澤委員 もう農業問題の時間がますますなくなってしまうので、これはまたいずれ来年度予算で——はたして今年度の推移が私の主張のほうが正しかったのか、政府の主張が正しかったのか、来年度の予算案で大いにひとつ議論したいと思います。時間がないもので……。 そこで、終結的に私は問題を集約して申し上げると、インフレになるという要因を申し上げておきたい。 第一に、先ほど申した擬制資本、土地の暴騰、信用膨張の擬制資本からのインフレ前提要因がいま出てきておる、その前提が整っておる。そこへ政府の今回の予算からの要因が私は加わると見ておる。その次には、政府保証債からのインフレ要因が出てくるであろう。その次には交付公債、これはいま農地報償や金鵄勲章に対して、また交付公債の問題が出ておるが、この面からのインフレ要因、それから地方自治体に押しつけたこの事業の政府元本引き受け起債の額、これはまあ時間があれば額も全部申し上げて、総額でこうなるからインフレになるという議論をしたいのですが、時間がないからよしますが、これも問題になるであろう。それから今回国鉄にとった債務負担行為、こういうような政府の債務負担行為というものがやはり一つのインフレ要因になってくるのではないか。これが全部とは私は申しませんよ。しかし、そういうインフレ要因がいまやあらゆる要素においてびまんしてきたところへ本年度の膨大な予算編成がこれを激発する役割りを果たすのではないかということを、これはどこまで議論しても議論が平行でありますから、申し上げるだけにしておきます。 それから、それに対して私は一つの提案を最後にしておきたい。 これを一体根本的な対策として防ぐにはどうするか。これは、やはり経済権力の中枢へ切り込む政策がなくてはならない。経済権力の中枢へ切り込む政策がなければ、社会開発などということはおそらく絵にかいたぼたもちに終わるであろう。 第二に、社会的資産を浪費した大資本家の反社会的行動を規制する。すなわち、資金供給方式の政策転換を行なう必要がある。いまのような銀行も落第、企業も落第、このようなものに対して規制を行なうのは政府として当然であると私は考えている。 第三に、証券資本へは、共同証券への出資だけでなくして、イタリアのような特殊会社の設立が必要ではないか、値が上がれば、もうけさの新聞を見ても直ちに買い戻しをやろう、金を払おう、こういうことを言い出している。これではいつまでたっても政府のてこ入れというものは意味をなさない。だから、これに対してイタリアのような、政府の特殊会社の保有措置を講ずる必要があるであろう。 それから次には硬直物価、これもさんざん同僚議員によって議論されましたが、硬直物価に対しては独禁法を強化して、カルテルを厳禁すると同時に、消費者や労働組合等も加えて審議会で決定した共同行為は認める、必ず生産性上昇分は消費者に反映させる、こういうことをやらなければならないでありましょう。 第五に、中小企業の問題として、銀行融資の小企業貸し出しを義務づける。これは大蔵委員会でさんざん議論しておるが、なかなかやらないが、これもやらなければならぬ。 それから第六に、共産圏貿易を積極的に推し進める。このことは、この中期計画を見ても、運賃収入が赤字を生んで十億ドルの黒字がパーになるということがはっきりしている。それならば、やはり運賃収入の赤字を一体どう防ぐのか、そして五年後には、少なくとも十億ドルの外貨が上積みされるという形まで持っていかなければ、健全な日本の経済とは私は言えないと思う。それにはやはりシップアメリカン政策、こういうものに対しても政府は相当強い腹がまえで臨まれなければならぬ。同時に船賃のかからない隣国共産貿易を積極的に推し進める必要がある。 第七には、これは時間があれば議論をしたいのですが、まあ議論はよします。いままでの、要するに日本型ゴーストップ金融政策から脱却しなければいかぬ。進めといっても青い旗を立てる。ほんとだと思って進んでいくとぱたっととまれとやる。そこでばたばたと倒れていく。年じゅう金融政策でこういうことをやるということは邪道であると私は考える。財政政策で問題の基本を考えないで、財政政策は放漫に組み込んでおいて、そうして金融政策だけでこれにゴーストップをかけるという危険なやり方に対しては、政府は厳重に反省する必要がある。私はこのように考えて、この問題は時間がありませんから一応結論にいたすわけであります。 そこで、次に農業問題に移りますが、農業問題を質問する前に、赤城農林大臣にあらかじめ御注文を申し上げておきます。どうもあなたの答弁は何を言っておるのだかちっともわけがわからないで、時間だけをいつも空費されて農林委員会でもはなはだ迷惑しておる。本日は、あともう何がしも時間がない、問題は山積しておる。もちろん、あと分科会や一般質問でわが党の農業関係議員が個々の問題に対しては専門的に政府の見解を明らかにしますが、私は、基本的な問題だけを質問いたしますから、答弁は簡潔に願いたい。 そこでまず第一にお伺いするのは、物価問題にからんで、流通機構に対して一体政府はどういうふうにするつもりか。個々の物価の上昇は押えられない、それならば流通機構に対して何らかのメスを加えなければ、これはどうにもならぬのじゃないか。たとえば、現在、私は長野県でございますが、国光を農民が売るときの庭先渡し手取り価格は、一個で一番いい松で大体七円であります。それが東京へ来て、店頭に並んだとたんに二十五円になっておる。三・八倍くらいになっておる。農産物全体を比較してみて、大体三・八倍くらいになっておる。消費者価格が高いから農民の手取りはいいであろうと、一般の農業を知らない人はそう考えておるが、これはとんでもない間違いなんです。七円のものが二十五円になる、この流通機構というものを一体どう処理するか、ここに生鮮食料品値上がりの物価問題の基本がある。だから、これに対して農林大臣が、ひとつ流通機構を合理化いたしますとか、近代化いたします、ああいう月並み答弁はよして、どうするのだというどんずばりの答弁をして、それに対して総理大臣がやるかやらないかの答弁をしてもらいたい。
○赤城国務大臣 流通機構をよくすることはなかなかむずかしい問題で、ずばりとはいきません。やはり生産、流通、消費の各部門にわたって改善を加えていくことだと思います。生産のほうからいいますならば、出荷の調整とか、あるいはまた価格安定制度を設けるとか、集団的な栽培地をなおふやす、こういうようなことをいまやっていますが、そういうこと。流通対策では、やはり市場対策だと思います。中央卸売り市場及び地方の市場等も機構を簡素化して、流通をよくしていくというようなこと。消費対策では、いま小売り段階において総合小売り市場等の法案が継続審議になっていますが、そういうようなことで、よけいにコストが節約されるような、そういう制度を設けていきたい、こういうふうに考えていますが、要するに、生産、流通、消費三部門にわたって簡素化していくといいますか、そういうような方向へ向けていきたい、こう思っています。
○佐藤内閣総理大臣 農林大臣の施策はもちろん私が実施させますが、ただいまお説の点で、私は過日地方長官会議に実は出てまいりました。やや話がよそへそれるかわかりませんが、この農産物は、大体におきまして生産者側の言い分と、また消費者側の言い分と、ここにはずいぶん食い違っているものがある。いずれにいたしましても価格が安定することが望ましい、これが第一であります。その価格を安定することができないというその原因はどこにあるのか、これがただいま御指摘になります流通機構の面にあるのではないか。これは、やはり私どもが中央政府としての立場からこの問題と取り組んで、あるいは中央卸売り市場あるいは小売り市場を整備しろと、かように申しましても、なかなか中央官庁としてはかゆいところに手が届かない、こういう点もございます。私は、もっと各都道府県知事、そういう方々の協力を得ることが最も必要ではないか。幸いにいたしまして、この消費者物価また産地の生産者の立場からの価格安定ということを強く要望しております地方長官の各都道府県知事の協力を得るようにも実はお話をしたわけであります。これは政府がもちろん率先して指導すべき立場にございますが、関係者の協力を得る方法、これが最も望ましいものだと思います。そういう意味でこれと取り組んでまいりたいと思います。
○中澤委員 総理は、まあ農業問題はあまりおわかりにならぬから、少し御勉強をしてもらいたいと思う。 そこで、流通機構の問題は、農業基本法の設定のとき、この室でわれわれが非常に論議をしたのです。政府の農業基本法と社会党の農業基本法を対比いたしまして、一体これはいずれが正しいか、政府の農業基本法のほうには、流通問題を取り上げて流通機構を合理化するとしか書いてない。われわれの農業基本法には、流通機構の整備はどう検討してみても市場の公営化の強化以外に方法がないという結論が出ておる。そこで、現在市場組織はどうなっておるかというと、この市場組織というものは、御承知のように荷受け機関がある、仲買い人がある、小売り屋がある、こういう仕組みになっておる。この三段階を通ずるだけで、七円のリンゴが二十五円に売られるというところに問題がある。そこで、これは農林委員会でも河野農林大臣のときさんざん議論しまして、河野さんはああいう人ですから、よし、そんならやろうじゃないか、こういうわけで、まず第一に一番ガンであった芝浦の屠場へ手をつけようと、われわれ農林委員全員そろって、河野農林大臣も行って、そして芝浦の屠場のボス——これはまさにボスということばが当てはまる、あのくらい前近代的な取引はないのです。いまでも依然として右と左のそでの下取引をやっておる。そこで、これについに実力者河野農林大臣も手が入らなかったという過去の事実があるのです。そこで形式は、法律上なるほどこれは都営になっておる。秋葉原にしろ、芝浦にしろ、魚河岸にしろ都営という形になっておる。しかし実質は都営じゃないのです。そこで、これはどうしても——まあ社会党が政権をとれば、これは国家管理政策までやらなければだめだとわれわれは考えておるのですが、おたくのほうではそういうわけにいかぬでしょうが、少なくとも公営強化という面に対して徹底的に取り組まなければいかぬと思う。それに対して、これはもう数年来議論されておる、五年も議論されておる、これは断固やるかやらないかの問題にかかっておるのです。農林大臣、どうです、断固やると言えば、総理はあなたをどこまでも支持するといま言明しておるのだが、断固やりますか。
○赤城国務大臣 これは、数年来の懸案でございましたが、私ども鋭意中央市場化して近代化するということで都とも話し合い、近くこの解決を見るところまでいっております。
○中澤委員 近く解決を見るといって、話し合いでですか。それではだめなんですよ。そんなことは。やはり市場法の抜本改正に手をつけなければこれはどうにもならぬのだ。そんな話し合いでこれが解決がつく問題なら、実力者河野大臣が芝浦へわざわざ半日行けばあの日解決がついているはずなんだ。つかないのだ。だから、これはどうしても市場法の抜本改正に手をつけなければだめなんです。やる意思がありますか。
○赤城国務大臣 市場法の改正もあることでしょうけれども、いま話し合いでわれわれの企図している方向へ進んでいっております。これは確実にそういうようにいく方法があります。
○中澤委員 どういうふうに話し合いがいっているのです、話し合いの内容は。どこで一体この中間マージンが安くなるか。たとえば果樹の場合は八割、野菜の場合は一割というトンネルマージンを取っておる。これだけ削るということですか。それともこの額を若干下げようということですか。それではこの一般消費者価格というものは下がりませんぜ。どうなんですか、その話し合いというのは。
○赤城国務大臣 中央卸売り市場と同じような形に持っていかなければなりません。いま屠殺というような形で旧態依然としてやっておりまするから、それを近代化する。ことに卸売りの関係が一本化していくというような方向で進めておるのに承諾をしておりまするから、卸売りのほうが一本化する。それについて、いまのマージン等についても、その一本化したものと話し合いができる、こういうことになっております。
○中澤委員 時間がないからよしますが、総理、これはあなたよく考えておいてください。だめなんです。そういうことは、われわれこの問題で数年取っ組んでいたってどうにもならない。だから、流通機構で消費者価格——生鮮食料を下げるというならば、市場法の抜本改正をやってそこへメスを入れない限りは、生鮮食料の生産者手取りのおそらく三・八倍から私は本年度四倍をこえるだろうと見ておる。それは、総理、そういうところに問題があるということをあなたが知っていてやってもらわぬと、生鮮食料の値下がりなどというものは、スーパーマーケットを十五億の予算を出して東京のあっちこっちにつくれば牽制政策で値が下がるだろうなどということをやったって値は下がりません。だから、これは総理が赤城農林大臣に命令しなさい。あの人は命令しなければだめですから、こうやれと命令しなさい。そのくらいやらなければこれはだめです。 それから、次に米価の問題に触れますが、米価というものは毎年毎年上がっていってけしからぬ。そこで赤城農林大臣は、米価を上げるならば消費者米価をスライドにしようという案をお考えのようでありますが、その御意思はあるのかないのか。
○赤城国務大臣 生産者米価を押えるためとか、そういう意図を持ってスライドということを考えておるわけじゃございません。生産者米価、消費者米価、同じくこれは米でございます。自由経済であれば、当然生産費に流通機構等のあれがかかったものが販売価格になるわけでございます。統制価格といたしましても、統制価格を決定するのに、生産費がどれくらいかかっているか、こういうことが基準にならなければ、統制価格の決定もどれで決定するかということができ得ないことだと思います。 そういう意味で、いまの食管会計から言いますならば、生産者米価は生産費所得補償方式でいけ、こうなっていまするし、消費者米価は家計の安定をそこなわないように、こうなっています。でありまするから、家計の安定をそこなわない範囲内におきましては、生産者米価と関連をもって考えてみたらいいじゃないか、こういう考え方を打ち出しただけでありまして、いまそれをどの程度関連づけるとか、あるいは政策的に生産者米価を押えるために消費者米価の決定についてスライド的にやれ、こういうような意図で考えておるわけではございません。考え方として生産者米価、消費者米価、米の値段において関連性がある。その関連を、消費者米価は家計の安定をそこなわない程度において考慮するということはあってしかるべきじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
○中澤委員 だから、それがさっきあなたに当初からお聞きしたように——よけいなことばかりたくさん言っておる。米は、生産者も消費者も米だということはだれもわかっておりますよ。米は米にきまっておるのです。そういうことは必要じゃないのです。食管法改正をやらなければできないのですよ。やるかやらないかということを聞いておる。
○赤城国務大臣 中澤さんの考えておるスライドのねらいというものはどういうねらいというか、私の考えていることに対するねらいがどういうことかわからぬものですから……。私は、スライド的にものを考える場合に、食管法に書いてある、家計の安定をそこなわないで消費者米価を経済事情等も考慮して決定する、こういうことでございまするから、その範囲内においてスライド的に考えることは、私は食管法の改正は必要としない、こういうふうに考えております。
○中澤委員 食管法を改正しないでスライドができるわけはないじゃないですか。スライドというのは、自動的に上がっていくことでしょう。生産者米価が上がると自動的に消費者米価が上がる、これがスライド制でしょう。食管法を改正しないでどうしてできますか。できないでしょう。
○赤城国務大臣 私は、生産者米価が上がったらば、当然それにスライドして消費者米価を上げる、こういうスライド制というものを考えているわけじゃございません。消費者米価の価格決定についてスライド的な要素を価格決定の中に入れたらどうか、すなわち、家計の安定をそこなわない程度に消費者米価は決定しなくちゃなりませんが、その際に、消費者米価を決定する一つの方程式をつくる場合に、生産者米価等がどれくらいになっているから、この分の幾ぶんは消費者米価を上げる場合に含めてもいいじゃないか、こういうような考慮を入れるというようなことは差しつかえないと思っております。
○中澤委員 だんだん時間がなくなってきますから、こればかりに触れているわけにいかないのですが、しかし、スライド制というからには一つの制度をつくろうというのでしょう。それならば、食管法改正以外に方法はないでしょう。だから、政府が政府独自の判断で一定の算定基準をつくって、これだけ上がったら家計にどれだけはね返るか、そのはね返り計算をして、ことしの一月一日から上げたように上げる、それはスライド制じゃないでしょう。 まあそんなことばのことはどうでもよろしいですが、そこで、昨年度米価に問題が一つ残っているわけです。それは生産資材が底なしの暴騰を続けている。農機具にしろ、農薬にしろ、飼料にしろ、農業用資材一切が底なしのいま暴騰を続けている。そこで米価は、農協の要求米価と日農要求米価が一万八千、一万六千というような数字が出ましたが、最後は政府は一万五千一円というところで決定をしたわけであります。ところが、この中に算定基礎に入らない米価が御承知のように五百五十円含まれておる。この五百五十円というものは、一体本年産米価を決定するとき政府はどのように処置するつもりか明らかにしてもらいたい。
○赤城国務大臣 一万五千一円のうちの五百五十円ですが、これは奨励的な意味を含んだものでございます。しかし、これをことしの米価において存置するか、あるいはまたいままでの生産者米価の方程式の中でそれが吸収されて、奨励費的なものがなくなっていくか、あるいはまたさらに奨励費的なものを置いていくかということはこれからの検討でございますが、いま別にそれに対しての方針を持っていません。
○中澤委員 米価審議会においては、少なくとも算定の基礎の中に五百五十円というものは入っていない。ただ政府が、一万五千円を割っては農民にこれだけ資材暴騰のときに気の毒だというので、特別加算奨励金五百五十円をつけたわけです。だから、これは政府が決定することなんだから、ここで政府は明らかにする必要がある。これは削ろうと思えば本年度産米では削れるのです。削るのか、削らないのか、算定の基礎に今年はこの五百五十円を入れるのか入れないのか。これは政府の決定事項で、米審の決定事項じゃないわけです。それをあなたに明らかにしてもらいたいと言っておる。
○赤城国務大臣 これは、米価を決定するときにどれくらいにいままでの方程式でいえばなるか、それについて奨励費をまたつけるべきであるか、つけないでも済むかというようなとき、そのときに決定されると思います。でありますので、いまあらかじめそれをどういうふうにするかということは少し時期が早い、こう考えます。
○中澤委員 時期尚早だというから、いろいろ議論したいのですが、時間もありませんからそれはやめます。 そこで、次に食管会計の赤字、確かに政府も大きな財政負担だ。本年度も千九十六億、米の分としては千五十五億の繰り入れを一般会計からしたわけでありますが、食管会計の赤字を一体政府はどう考えておるのか。同時に、この食管会計の赤字を整理する意思があるのかどうか。総理、よく赤字赤字と、千九十六億全部が農民のための赤字のようなことを新聞も書き、ラジオや報道機関もそういうふうな取り扱いをしておるが、これはとんでもない間違いを報道しておるのであって、この内容を分析してみますと、三十八年度末の計算で私が集計してみましたら、どういう内容が含まれているかというと、集荷経費というものが九十二億七千万ございます。それから運質、これはほとんどマル通収入で、百一億四千万ございます。次に保管料、これが百八億一千万ございます。次に金利が百二十六億三千万ございます。それから人件・事務費が二百十七億、これだけ入っておるのです。これをトータルいたしますと、六百四十五億七千万というものは、政府が管理する以上、食糧管理法がある以上、当然支払うべき経費なんですよ。その中で特にいつもわれわれ問題にするのはこの人件費、食糧庁の検査員その他の皆さんの給与、これが二百十七億あるのです。これは農林省の行政費なんですよ。その行政費まで食糧管理特別会計の中にどんぶり勘定でやっておるのです。そして、赤字がふえた、赤字がふえたということを米価抑制のてこにして宣伝しているようにしか私にはとれないのです。だから、それならば、この食管会計の会計整理というものをこの際断行する必要がある。千五十五億のうち、実際の売買損というものはどれだけあるかというと、六百四十五億を引くと、実際の米の売買損は四百十億しかないのです。四百十億ぐらいは、国民生活の安定のための社会保障費、社会政策費としてこんなものは出すのが当然ではないかというのがわれわれ社会党の主張なんです。 そこで、食管会計のこの経理内容を整理する意思があるのかどうか。たとえばこの中で、政府からいわせれば、そういうけれどもこれは消費者にも負担してもらわなければならぬものもある、こういう御議論もあるということを知っております。しかし、人件費は少なくとも農林省の行政費へ振り分けるべきではないか、この辺を農林大臣はどう考えておられるか。
○赤城国務大臣 食管の赤字につきましては、私も、中澤さんの言っているように、別に不始末で赤字になっているというものではなて、いまの食管制度を堅持していく以上は、当然出てくる数字だ。二重米価を初めから意図しておりませんが、二重米価的な制度でございますから、その差額というものは当然出てくる、こう考えております。ですから、私は、決して農民の生産者米価が上がったために赤字になったと農民に罪を帰するようなことは考えておりませんし、そういうことを言っておりません。 そこで、いわゆる赤字の中には、人件費等当然支出すべき行政費があるが、これを食管会計と分離して一般会計のほうで負担して、いわゆる赤字というものをなくするかどうか、表面上の数字をなくするかどうかということでございますが、これは、いままでも検討してきたことでございますが、食管会計の検討事項としてなお検討を進めていきたい、こう思っています。
○中澤委員 次に、食糧自給体制の問題についてお伺いするが、総理もよく知ってもらいたいことは、いま食糧関係の輸入というものは一体どれだけあるかというと、本年度の輸入動向調査を見ると、大体食糧輸入の動向としては、二十一億七千万ドルは本年度の輸入がいくであろう。私はむしろ二十二億ドルをこえはしないかと見ておる。これが外貨その他国際収支に大きな輸入増の圧迫を加えておると私は判断しておる。そうすると、輸出振興で——ジェトロを強化して輸出振興をすることも、これは大事なことです。しかしながら、輸入削限という面において、外貨蓄積の立場からこれは再考を要する問題ではないか。おそらくこのまま放置していったならば、大体輸出の三分の一が食糧関係輸入で食われていくという平行線をたどっていくと私は見ておる。そうなればいつまでたっても、輸出は増加しても食糧輸入がますますたくさんになっていく。すなわち、自給体制の確立というものがないからこういう事態が出てきておる。政府の農業軽視政策がこういう事態を生み出してきておる。百五十九万町歩の不作地、植えつければ食料でもえさでもできるものがほうり投げられておる。この増反傾向というものが逐年ふえておる。おそらく中期計画五カ年後には二百五十万町歩の作付放棄が行なわれると見ておる。こういうものに対して、政府の農業政策がまさに貧困というか、農政不在というか、ないからこういう事態が出てくる。だから、この自給体制をどう強化するか、こういうことについて、これは重大な外貨との関係もからんできますから、総理からひとつ御答弁を願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 国内の自給度を高める、これはただいま御指摘のように、国際収支の面から必要ですし、同時にまた国家経済の面からもこれはたいへん大事なことで、また土地そのものが利用されないということはいかにも残念なことです。また、農村、農民自身の立場などを考えてみますと、私どもは、このために農業そのものの構造改善にも努力しますが、同時に農家収入をふやす、こういうような立場にも立ちまして、ただいま御指摘になりましたような点を改善してまいりたい、かように考えております。
○中澤委員 ただ国会の答弁だけではなくして、これは国家経済の立場から重大な問題だと私は思っておる。しかも、国民の主食である米がいよいよ自給体制が不可能になるという事態さえ出てきておる。本年度は、五十万トンの輸入を政府が予定しなければ九月の端境期は乗り切れないという事態さえ出てきておる。これは一体どういうことか。去年の九月の端境期においても、御承知のように、高橋さんは福井ですが、大阪への輸送が間に合わないのでピストン輸送をやって、出荷したところから直ちに積み込んで送ったという事態さえ出ておる。福井県の倉庫には、出た早場米が一つもないくらいのスピード輸送が行なわれておる。そういうような深刻な食糧不安の事態が主食である米にさえ出てきておるということは、これは重大な段階だと私は思う。だから、総理は、ただ予算委員会のおざなりの答弁で済ますのじゃなくして、この食糧自給体制の確立をどうするか、それには農業政策をどうするか、そうして全く不作地の百五十九万町歩というものに対して——何でもできる地所が放棄されておる。これは価格問題その他いろいろな要因があります。それから政府の高度成長政策の労働吸収政策などもここへ響いてきておる。すべて農村が現在しわ寄せを食っておる。私はこう判断しておるのですが、これに対して、政府は真剣に農業問題に取り組んでもらいたい。われわれ社会党も協力できることは協力いたします。政府に真剣に取り組む姿勢が出ないから、われわれは協力できない。その点だけはひとつ申し上げておきます。 そこで次に、いま重大な問題が出てきておるのは、御承知のように、農民はまさに塗炭の苦しみにあえいでいるわけです。もちろん私は全農民とは言いませんよ。田中さんの新潟の米づくりを三、四町歩をやっている農民はいいでしょう。特に山間僻村農業、畑地農業は、日本の農政が水田農政に偏重してきたためにいま危機の段階に入っておる。特に僻村がにっちもさっちもいかない。挙家離村という形が、これは政府は予定していた形でありましょうが、出ておる。しかし、佐藤さんの言われる人間尊重の政治は、一体こういう形でいいのかどうか。これも離農対策が万全であるならば、それを政策として政府が遂行するならば決して悪いとは言いません。政府の今回この四十年度に講じようとする農業施策においても、離農の離の字も触れてない。それで人間尊重の政治ということが言われましょうか、これは、まだ看板を掲げたばかりで、お店のほうが整ってないからと言えば、来年度のお手並み拝見といたしますが。 そこで、実はこのごろ私の郷里で悲惨な事件が起きた。それは山間の僻村であります。まさに畑作地帯、五反歩百姓で、どうしても農業では食えない。そこで、十月の刈り入れを終わらせて、すぐそこへっくるダム工事に夫婦そろって出た。夫婦そろって出なければ食えない。この農村は、調べてみると平均所得が十七万しかない。十七万で五人の家族さえある。これは食っていけない。そこで早くたんぼを終わらしまして、すぐそこの裾花ダム工事に出た。出たところが、その帰りにトラックが川へ転落して六人の死者を出し、四人の重傷者がまだ病院に入っておる。これがみな農家の出かせぎなんでず。私は、その一軒が知り合いでございますのでお見舞いに行った。おかあさんが死んじゃった。おとうさんは、おかあさんが死んでも出なければ飯が食えないのです。私が見舞いに行ったとき、おとうさんは依然としてそのおかあさんが死んだ裾花の工事に出ておる。七歳をかしらに五歳と二歳の三人の子供がこたつにあたってうちにおるのです。こういう事態が出てきておる。これは交通事故の問題でもなければ、私は大きな社会問題であると思う。これに対して政府は、この中を見ても離村対策というものは何一つ書いてない。四十年度に講じようとする施策に何一つ書いてない。こういう悲惨な事態をほっておいて——全部これは農村の出かせぎ人なんですよ。こういう事態がいま全国で大きく問題になっておる。秋田県では、父親が出かせぎに出たままどこへ行ったかわからない。これが五百人近くおる。だから、秋田県では父親探し運動が現に始まっておる。新潟県の農協では、あなたも知っておるかどうか知りませんが、有給休暇を与えて正月三日は必ず出かせぎ者を家庭に帰せという運動を、あなたのほうの農協中央会が音頭を取ってやっておる。この事態を、政府はこのまま一体放置していいのかどうか。赤城農林大臣、なぜここに離農対策というものを明確にしなかったか、明らかにしてもらいたい。
○赤城国務大臣 離農対策を特にあげておりませんけれども、労働者等におきまして、離農について、他の職業への転換の訓練とか、あるいは紹介とか、いろいろやっております。あるいはまた農業関係におきましても、開拓農民につきましては、その離農につきまして、御承知のように対策を講じております。一般的な離農対策ということは、いまお話のように社会問題でもございます。ことに山村地帯におきましては、農業の収入が少なくて非常に困っております。そういうことでありますので、一般的に申し上げまするならば、やはり農業でございまするから、季節的な面もございます。でございますので、事業等も地方へ持っていって、地方の開発を行なって金を得る機会を与えるというようなこと、その他山村の振興につきましては、調査費等を設けまして、これをまた法律化に資したいというようなつもりでおります。一般的な問題でございますので、特にあげませんでした。また、農地管理事業団との関係につきましての離農政策ということも考えておりますが、これは、発足がまだことしでございますので、これとの関連においての対策を講ずるのは次年度以後でもよかろうということで、これを見送ったわけでございます。
○中澤委員 時間がないから、次年度でいいというなら次年度でよろしいから、確実な離農対策を立てなさい。もしそれが立たなければ、まさに人間尊重の政治は、私は看板をおろしていただきたい。こういう悲惨な事態を放任しておくいまの政治に対してどれだけ農民が不満を持っておるか、皆さんよく知っていてもらいたい。 そこで、具体的な施策を私は申し上げますが、時間がないから、やるかやらないか、それは考えるか、簡単に答弁してもらいたい。 第一に、出かせぎに出た人の賃金不払いが至るところに出ておる。このごろもある農村へ行ったら、七万円の契約で三月行ったら二万円しかくれない。その会社が下請の下請のまた下請で支払い能力がないから、幾ら東京へ足を運んでもくれぬという。これは一つの例ですが、至るところに不払い問題が出ておる。これに対して政府は、いま労働大臣はいないが、これは厳重に労働大臣が考えるべき問題である。これが一つ。 第二には、先ほど申したように、夫婦が一年のうち半分は子供と別れて暮らしておる。こんな事態をどうしても——家庭の非行化もこういうところから出てくるから、あなたのところの農協中央会でやっておる有給休暇制というものを政府は真剣に考える必要がある。有給休暇制、これはなかなか立法上困難があるかもしれぬが、これはひとつ行政指導でも真剣に考える必要がある。 第三に、これは税の問題ですが、出かせぎ者は出先で源泉徴収で払っておる。ところがうちへ帰ってくると、たとえ七万円のうちから源泉徴収で払ってあっても、この持ってきた金は農業所得と総合課税をされて税金を取られる。これは特別な措置を講じてやるべきではないか、あたたかい措置を講じてやるべきではないか、こういう問題が一つあるわけであります。 それから第四には、これも厚生大臣の問題だと思いますが、国民健康保険に加入すると同時に、出かせぎ先でまた日雇い健康保険に加入しておる。そうすると、掛金の二重負担をやっておる。これはちょっと考えると小さいことじゃないかと言うが、具体的にこういう問題を親切に処理してやるところに、私はあたたかい人間尊重の政治があると思うのですが、これに対しての答弁は、時間がありませんから農林大臣から、先ほど次年度では考えると言ったが、この具体的な四点について、来年度の政策で必ず入れるか入れないか、それをひとつあなたから御答弁願いたい。
○赤城国務大臣 いまの四つの問題は、具体的に解決する問題もございますので、各省と連絡して善処いたしたいと思います。
○中澤委員 これは各省大臣にまたがるから、厚生大臣の問題もあるし、労働大臣の問題もありますから、よく御協議をなさって、そして至急取り上げていただきたい。直ちにこれはできることなんです。だから、至急取り上げてやってもらいたい。これは、できるならば三省大臣が協議してもらいたい。これに対してできるものからどんどんやっていく、こういう形でやってもらいたいと思うが、総理は、一体やる意思があるのかどうか。すぐできるものもあります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの問題で、賃金不払いなど、また国保と日雇い保険との二重負担だとか、あるいはまた、この税金の問題はなかなかむずかしいと思いますが、有給休暇の制度、それぞれ関係のところを十分連絡をいたしまして、こういうあたたかい処置をとることが私の本来の政治の姿勢でもありますので、十分各省を督励いたしまして研究いたします。
○中澤委員 総理から早急に善処するという御答弁があったが、ほんとうにあなたが人間尊重の政治をやるなら、まずこの悲惨などん底に沈んでおるいまの気の毒な農民から至急手をつけてもらいたい。ただ予算委員会の答弁だけじゃなくして、直ちに三省で協議するように、こういうふうに指示をしてもらいたい。 そのほか農地管理事業団の構想についての問題、あるいはえさの底なし暴騰、このごろえさの値上がりが急激な上昇を始めてきた、こういう問題、それから乳価の不足払いの問題、あるいは蚕糸の暴騰に対してまた春繭の暴落の事態が出てくる問題、そのほか数限りない問題があるわけでありますが、これは、わが党の同僚議員が一般質問、あるいは分科会でもって政府の見解を明らかにいたしますが、最後に農業構造改善事業、すなわち、日本の農業体質を根本的に変えよう、この施策の方向に対しては、われわれは反対いたしません。しかし、この農業構造改善が至るところで問題を起こしてつまずいておる。こういう事態に対して農林大臣は一体どのように考えておるか。たとえば、私の言わんとするところは補助率の引き上げ。いまのように国が五割だ、府県が二割負担するのだ、こういう考え方でなくして、国が七割を負担してやるのだ、そこまで一体前進できるかできないか。基盤整備は無償にしなさい、そして集団化をするための交換分合権は国がもらいなさい、農民に対して交換分合指示権を国が持って、農地の集団化をやって、共同機械化を進めていくというのがわれわれ社会党の主張であるが、少なくともいまの五割補助を七割補助まで引き上げるくらいの御意思があるのかないのか。
○赤城国務大臣 五割を国で補助しまして、地方で二割を負担しているわけでございますが、その地方の二割負担に対しましても、国のほうから交付税として出ていることは事実でございます。しかし、これを一括して国のほうで七割にするかどうかということにつきましては、なお検討を要する次第でございますが、いまのところはいまのままでやっていくつもりでおりますけれども、さらに検討を続けていきたいと思います。
○中澤委員 午後田中同僚議員から地方財政問題をやりますが、御承知のように、地方財政が非常に窮迫を告げておる。その中で地方交付税で交付するというが、これは特別なワクがついていないのです。込みで交付されている。府県によると、農村貧乏県、特に農業構造改善をやろうなどという県は貧乏県です。この貧乏県は、実際二割交付をやっていない。あなた、その実態を御承知ですか。やっていない県があるのです。だから、私の主張するのは、どうせ七割を国が出すのですから、何も自治省というワン・クッションを置いて出さなくてもいいじゃないですか。なぜ農林省から七割を直接出してやらぬか、これを私は言うのです。
○赤城国務大臣 地方交付税で二割を出しても、実際に支出しない県があるじゃないかということでございますが、私の承知しておるところでは、ひもつきとは言えないかもしれませんが、その二割の分は交付税で行って、それで県のほうで補助として出しておる、こういうふうに承知しております。
○中澤委員 構造改善は、農業基本法から出たただ一つの具体的政策であります。その政策が、日本の農業の体質転換をして、やがて自由化されるであろうとき外国農業とコスト競争をさせようという国の重大な施策であるわけなんです。その国の重大な施策がいまのような形で一体いいのかどうか。やはりこれは、国が根本的に体質改善を国の責任でやるのだという立場をとらない限りは、この問題は私は前進しないと見ておる。また、たとえば構造改善地区へ行って見ても、現地へ行って見ると、依然として田が飛び飛びに改善地区の中で所有されておる。こっちのほうにAの田があれば、こっちにBの田がある、またBの田がこの横にあって、Aの田がこの横にある、こういう式になっておって、どうしてこれが機械化、近代化ができますか。この交換分合を推進しない限りは、機械化、近代化はできるはずはないのです。この議論は、私はこの問題だけでも一時間も質問するだけ山のようにありますけれども、時間が切迫しましたからよしますが、国の重大な施策にもっと根本的に取っ組むという姿勢が総理大臣にあるのかないのか。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来お答えいたしておりますように、農業改善事業、これは私ども農林省を督励して力をいたしておる。現状はそのとおりであります。
○中澤委員 総理にお教えしておきますが、これは重大な問題があるのです。ということは、これだけの国の基本施策をやっておるのに法律がないのです。そういう重大なことをやっておる。九百二十億出しておるが、法律はないのですよ。次官通達というこの一札でこの事業を推進しておる。一体こんなばかなことが国の施策としてありますか。なぜ一体立法化しないのですか。立法化しないということは、国が積極的施策としてやりながら、ひがみで考えるならば、政府は責任をのがれるとしか、われわれ農民の立場からはとれないのです。これに対して総理大臣は、至急立法化して、そうして基本的な姿勢で取り組むというお考えかどうかを承りたい。
○佐藤内閣総理大臣 私は、法律だけが万能だと、かようには考えません。問題は、このことを実際にいかにしてやるかということ、ただいま構造改善の事業を遂行するのに支障がある、こういう点ならば法律が必要だと思いますが、ただいま行政指導でそれをやっていて、りっぱに成績をあげつつある、かように私は伺っております。
○中澤委員 先ほども申したように、地方財政の実際の負担が、そういう形でなかなかスムーズにいっていない。そこでこのごろは、これは地方自治体、町村長がやることになっておるのがみんな逃げ出してきておる。こんなものを背負い込んだらひどい目にあっちゃう。そこでこのごろは、土地改良区や協同組合やほかのほうへ押しつけようとして、自治体としてやりたくないという、事業主体としてやりたくないという。やったら、これは農民が、予算単価で言えば二千万円の制度融資と四千五百万円の借金を背負うわけです。その借金ができないから、へたに背負い込んだら自治体もどうにもならない。背負い込んだ農協もどうにもならない。土地改良区は財政力がないからどうにもならない、こういうような形で行き詰まっておる面が非常に多い。これは、立法は総理は必要でないと言うが、地方自治体に負担させておるものを立法せずにやってよろしいのですか。
○佐藤内閣総理大臣 地方自治体と中央との関係におきましての財政の健全化、それは双方ともに責任を持ってそれぞれの案分をいたしておるわけであります。今日までそういう点で特別な不都合を感じた、こういうことがあればもちろん改善していかなければならない。今回コンマ六の交付税率を引き上げたということも、現在の地方財政を強化する、こういう立場でいたしたものだと思います。御承知のように、私ども考えますのに、国民としてはこれは同じことなんです。中央政府に対する国民の義務、また地方の自治体に対する国民の義務、これまた住民として同一人であります。そういう場合に、この負担の公平ということも考え、負担の軽減ということも考えてまいります。しかしてただいまの大事な農業構造改善がその財政の面ではたしてこれが実施できないのか、ただいま御指摘のような点になっておるかどうか、問題はそこにあるだろう、かように思います。今日実情がさような状態であるなら、私もそれは何か特別なくふうをしなければならないと思いますけれども、いま地方自治体の財政、また中央の財政、これは一応今日バランスがとれている、かように考えておりますので、これが特に農業構造改善をはばんでいる、こう言うことはいかがかと、かように私思っております。
○中澤委員 最後に申し上げますが、私は国会議員として、立法の審議権の立場から問題を提起しておるのであります。少なくとも政府は、法律を守る義務があります。財政法十条には何と書いてありますか。「国の特定の事務のために要する費用について、国以外の者にその全部又は一部を負担させるには、法律に基かなければならない。」と、財政法十条に明らかに明記してあるではありませんか。法律をつくらないで、根拠法がなくて、一部を地方自治体に負担させることは明らかに財政法十条違反じゃないですか。国会議員として立法審議権の立場から私は問題を提起しておるのです。構造改善が円満に進む進まないの問題ではありません。政府は、明らかに財政法十条違反をやっているじゃないですか。
○田中国務大臣 国が義務的に強制負担を要求しておるわけではありませんので、財政法十条の規定とは関係がない。
○中澤委員 そんなことはないでしょう。財政法十条をあなたよく読んでみなさい。「国以外の者にその全部又は一部を負担させるには、法律に基かなければならない。」とあるじゃないですか。
○田中国務大臣 それは、申すまでもなく国の事業として行なうという場合でありまして、これは事業主体が国ではありませんから、補助金を出して行なうということと同じことですから、十条の規定しているように、義務的に強制負担を要求するものではありませんから、財政法十条の規定の問題とは違う。
○中澤委員 この問題は、そう言うが、法律上、立法上の問題で違反だと私は断定している。国以外の者に負担させる以上は、これは違反だと断定する。国の施策であるということを総理も答弁しているじゃありませんか。国の施策であるということを答弁していて、今度は十条を立法審議権の立場から持ち出されると、それは違う、国の施策ではない、地方がかってにやっているんだ——これはかってに地方がやっているんですか。
○赤城国務大臣 農政の観点から申し上げますと、これも御承知のとおりでございますが、構造改善事業は農業基本法にその政策として掲げてあるわけであります。実際には、土地改良あるいは作目の選定などによる共同事業などをやっておるのが構造改善の内容でございますが、個々的には、土地改良法に準拠するとか、あるいはまた奨励事業として仕事をしておるわけでございます。でありますので、強制的に負担を課しておるわけではございませんで、奨励事業に対して協力して、負担をみずから自発的にしている、かようなたてまえになっております。なお研究してみます。
○中澤委員 これは、そういう詭弁で私は問題を解決したくないんです。国会議員として立法審議権の立場から問題を提起しているんです。国は一体責任を持って事業を推進しているじゃありませんか。国がやっていることに間違いないでしょう。国がやっているものならば、財政法十条違反であることは明らかでしょう。自治体がかってにやっているんですか。選択権はあるでしょうが、国の施策として推進しているんだということを、今後も積極的にやるということを、総理も農林大臣も答弁しているじゃありませんか。 これは委員長、質問を留保します。
○青木委員長 これにて中澤茂一君の質疑は終了いたしました。 午後は一時三十分より再開することといたします。午後の質疑者は、田中織之進君であります。 この際暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ————◇————— 午後一時四十五分開議
○青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 昭和四十年度総予算に対する質疑を続行いたします。 田中織之進君
○田中(織)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、同僚諸君に引き続いて昭和四十年度の予算案について若干の質疑をいたしたいと思うのであります。 私は、主として地方財政、また、それに関連する地方開発計画、新産都市計画の遂行等に問題をしぼって質問をいたしたいと思うのでありますが、最初に、総理に国の予算案全体について一、二御質問を申し上げたいと思うのであります。 昨年十二月に総理が池田総理の退陣のあとを引き受けて総理になられましたので、予算案につきましては、池田内閣の大蔵大臣をたびたびつとめられた田中大蔵大臣がすでに四十年度の予算編成の大体の作業を終わったところで、総理の更迭があったわけでありますが、そういう関係からいたしまして、勢い池田内閣時代の財政金融政策を踏襲するということは、これはやむを得ないことだと私も思います。しかし、これは臨時国会でも大いにわが党の勝間田委員等から総理にただしたところでございまするけれども、幾ら政党内閣で総理の交代があったと申しましても、特に昨年の七月の総裁公選の際の総裁候補としての佐藤総理は、相当池田政策に対する批判的な立場をとっておられたと思うのであります。私どもは、その意味で、新年度の予算におきましても、池田政策の単純なる継承ではなくて、そこにやはり総理が政治家として自民党の総裁になった場合には、自分はこうやりたいという抱負と識見をお持ちだろうと思うのです。そういうものが何らかの形において予算案にあらわれなければ、私はこれは佐藤総理の今後の総理としての手腕をはかる尺度にもなることであろうかと思うのであります。ことに、池田路線の継承ということは、池田総理から総裁選考を委任された自民党の幹事長の三木さんが、池田路線の継承の中においても、特に池田さんは、三選後自分の高度成長政策のひずみというものが国政の全般に出ておるのを改めることが三選後の池田の使命だということを言われておる、その点をとらまえまして、三木さんは、少なくともこの高度経済成長政策のひずみ是正は特に佐藤内閣になっても行なわなければならぬ問題だ、池田路線の継承というのは、むしろひずみ是正を新内閣においてやるということの意味だ、という意味の談話を発表されたのを私も記憶いたしておるのであります。ところが、四十年度の予算をざっと見渡してみますと、残念ながら、この高度成長政策の国政全般に出ておるひずみ是正ということがほとんど行なわれていない、このように私ども野党としてはこの予算を評価しなければならないのでございます。むしろ逆にひずみがますます拡大される方向に向いてきておる予算のように私は思うのであります。その意味で、私の質問に入る前に、総理から、この特にひずみ是正ということについては四十年度予算の基本方針において真剣に私考えられたことだと思うのでありますが、残念ながら、われわれは予算面にそれを見出すことができないのでありまして、この点について、総理は、予算編成の最高の責任を持っておられるわけでありますから、いかにお考えになったかという点をまず伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。 たびたび予算編成方針についてはこの席、あるいは本会議の席におきまして説明いたしましたから、これを繰り返しませんが、十分今回の予算を御精査願えば、ざっと見たのではなくて御精査願えば、必ずや私どもの意図しているところがはっきりわかるだろう、かように思います。私は、予算編成が、一回の編成だけで直ちに効果をあげることができれば、これはたいへんしあわせでございますが、なかなかそうもいかない。政治の姿勢として、急ぎつつもあせらず、かように申しておりますが、これは、今回の予算編成にあたりましても、さような意味で真剣に取り組んだつもりであります。したがいまして、まず第一は健全財政、その基本方針を貫くということであり、また、経済成長を安定基調に乗せるということ、その点について最大の関心を払ったつもりであります。ことにまた、これは中央ばかりでなく、地方財政をも勘案いたしまして、いわゆる健全財政を貫くという、このことが経済基調を安定ならしめる、さように考えますので、そういう意味の努力をいたしたつもりでありまして、また、個々の問題につきましては、一度に全部が解決されるものでもない。しかしながら、方向としてただいま申し上げるような方向で真剣に取り組んでいく。ただいま、いままで言われていた経済のひずみ是正、これはまた、他の面で申せば、いわゆる社会開発の理念にもなるわけでありますが、そういうことを真剣に取り組んでまいった、かように御了承いただきたいのであります。
○田中(織)委員 私が予算をざっと見てもということばを使ったところ、予算をよく精査してくれれば、私の申し上げているようなことにはならないと、きわめて自信たっぷりな総理の答弁でありますが、私も、質問をいたしまする以上、予算案は十分に読み返しておるわけでございます。しかし、午前中、わが党の政策審議会の最高幹部である同僚中澤茂一君から、特にその質問の前半をさいて、やはりこの予算は、ことしに始まったことではありませんけれども、インフレ予算だ、その意味から見まして、これをいま総理が言われるような均衡財政という観点から見るならば、これに大きな、特に歳出の面については転換をはかるべきものではないかという点について、おそらく総理も中澤君の意見には賛意を表される部分も多々あったのではないかと私は思うのであります。しかし、総理並びに大蔵大臣の答弁を静かに伺っておりまして、残念ながら、歯切れがいい御答弁であったとは受け取れないのでありまして、私はこの予算の規模の問題に触れるわけではございませんけれども、たまたま一月三日の東京タイムスに、佐藤内閣の総理に次ぐといわれておる重要な閣僚である河野国務大臣が、これは新春になってのまあ放談だといえば何だけれども、私は、放談ではなくて、なかなか実のあることを言っておられると思うのであります。まあ一般会計予算が三兆六千五百億、これは自分が鳩山内閣の閣僚になった当時の一兆円予算からかれこれ十年の間に三倍になっている、この調子でまいりまするならば、十年後には十兆円予算になるのじゃないか、こういうことを述べられておる。しかも、その予算の規模がこういうような形で膨張することに対して、これではいけないのじゃないか、これを圧縮しなければならぬという考え方で予算の編成に意見を述べるとか、あるいはこれに対処するというような形の政治家は一人もいないと言っている。あるいは与党にはそういう方は一人もいないのかもしれませんけれども、私どもは、先ほど中津君が代表して、また横路君以下わが党の各委員が質問をし、またこれから質問しようというような方々は、すべて、そういうほんとうに日本経済を安定させ、民生を安定向上させるという観点から、この放漫な惰性予算を思い切ってやはり切りかえるべきではないかという観点に立って質問をいたしておるわけでございまするが、河野国務大臣は、与党の中にはそういうことについて真剣に考えておる人が見当たらないという意味で、自分の心配の念をあらわされておるわけでありますが、私は、十兆円予算というのは、本予算についてはあるいはこれから十年もかからぬうちに——いまのような調子でありまするならば、本予算が十兆円に近づくというようなことも、これは十年もたたないでそういうことになりはしないかと思います。しかし、中澤君も指摘いたしましたように、本予算と、第二予算だといわれる財政投融資計画、また、これから私が質問を申し上げようという地方財政計画を合わせまするならば、まさに、私、十兆円に手が届く膨大な予算になっておると思うのです。国、地方一体の立場で国の財政規模というものを考えまするならば、まさに私は十兆円予算にもう手の届くような段階に来ておると思うのです。したがって、内容的な、特に地方財政の関係についてはこれから御質問を申し上げますけれども、中澤君の質問を繰り返すようでありますけれども、まあ今年度の予算はいたし方ないといたしまして、今後佐藤さんが真にいま御答弁になったような均衡財政と経済の安定成長ということに主眼を置いた形でまいりまするならば、かりにあなた方が自由経済、資本主義経済の上に立つにいたしましても、やはり国並びに地方の予算、財政のあり方については、私は、特に規模の問題というようなことについても根本的に考えなければならぬ一つの時期に来ているのではないか。総理は、ことしはちょうど終戦後二十年、したがって、この二十年を振り返って、新しい日本の出発の転機にしたいということを施政演説でも申されておりますが、それは同時に国の財政計画の中においてもその転機をつかむべき時期に来ているのではないか、このように私は考えるのでありますが、この点についての総理の御所感を伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私は、ことしの予算についての態度は先ほど申し上げたとおりでございますが、問題は、金額の多寡にかかわらずそれがどこにも摩擦なしに消化される、あるいは国民負担の面から見ましてもさしたる問題を起こさない、かような状態で予算が膨張することは、経済自体が非常に伸びてきておる、いわゆる国力相応の予算ということで、これは私は望ましいことだと思います。必ずしもこの金額が大きくなる、だからけしからぬ、こういう批評は当たらないと思います。しかしながら、私ども絶えず考えなければならないのは、国力、同時にまた国民負担、そういうものを考えまして、この予算の編成が国民に無理をしいている、こういうようなことがあれば、それは本来の予算の姿としては望ましいことではない、かように考えますので、その実態について十分意を払ったつもりであります。 今回の予算規模自身は、最近の数年に比べまして一番小さい伸び率だと思います。一二・四という、これはたいへんな低い伸び率だと思います。しかしながら、これを欧米各国の他の先進国に比べてみれば、まだまだこれはたいへんな伸び率だ。したがいまして、午前中のような御議論もまた出てくると思います。しかも、片一方におきまして、この予算を消化できる日本の経済力、これには私は十分自信を持っておりますが、ただいまは、二十年の間に非常な発展を来たした。ことに、私自身も一兆円予算、これで予算を縛るというその当時にすでに議席を持っておりましたが、そのときに比べまして今日の国力はすばらしいものだ、かように私は驚嘆をいたしております。これがひとり私だけではなく、あらゆる国からも驚嘆されておるゆえんであります。今日もなお私どもは、しからば国民負担はこれでいいのか、かような観点に立って見ましたときに、さらに国民負担は重いじゃないか。したがって、この国民負担を軽減していこう、こういう努力もいたしておるわけであります。これらの点を勘案願って、問題は、多寡よりも、実際にどういうような実情にあるのかということ。また、国内の仕事をしたい、そういう面においてはたいへんおくれておる。今日まで指摘されるものは、経済の発展にかかわらず、国内の社会資本の投下はまことに立ちおくれておるじゃないか、こういう点も指摘されますし、あるいは国土整備の面からもいろいろ指摘されております。こういうような、うんと仕事をすべきものはございますけれども、しかし、ただいま申し上げるように、そこは十分国内の力を考えて、そうしてそれに適応する予算を組む、こういう政府の態度でなければならない、かように思いますが、私は、その態度を保って今回の予算を編成した、このことははっきり申し上げ得るのでございます。
○田中(織)委員 その点は、予算委員会の質疑が一日に始まりまして以来、同僚諸君が、特に国の予算の問題については必ずしも日本の経済の発展というものとマッチした予算ではなくて、いろいろな面において矛盾があるということを指摘しました。ひずみということばはやわらかく響きますけれども、これはやはり経済の各要素の矛盾の露呈したものだというふうに私は理解いたしております。そういうものが、ひずみを是正しようとしてかえってひずみが拡大されるというような結果になっているという点を、具体的な予算の数字面から同僚諸君とともに追及をいたしておるわけであります。この予算審議の後に、その点、私どもの主張が正しいかどうかということが国民によって審判される時期は必ず来るということを確信するものであります。 ところで、最初にも申し上げましたように、地方財政計画は、昨年度におきましても本予算とほぼ同額の膨大なものになってまいったわけでございます。しかし、地方財政につきましては、大蔵大臣の本委員会における予算説明の中にもありましたように、「ここ数年来、地方税等の増収と財政健全化の諸施策にささえられて漸次好転し、その基盤も強固なものとなってきたのでありますが、最近、歳出面における人件費等義務的経費の著増、税収の伸びの鈍化等により、ようやく悪化の傾向が見られるに至っております。」、地方財政が悪化しておるということを大蔵大臣も率直に認められておるのでございます。大蔵大臣も、そういう地方財政に対する認識の上に立って、地方財政と関係のある国の予算を編成されておると思うのでありますが、この際、本年度予算の三つの柱ともいうべき地方財政計画につきまして、これは、例年本予算よりは国会の審議にあたっても提出がおくれるのが例でございますけれども、承れば、二月の十日ごろには印刷が間に合うというような段階に進んでおるとまで聞いておりますので、少なくともその輪郭はおわかりだろうと思う。本予算と関連をいたしまして、これから地方財政のいろいろな問題についてお尋ねをいたしたいと思う前に、地方財政計画について計画の概要だけでもこの際明らかにしていただきたいと思います。
○吉武国務大臣 ただいまお話しのように、地方財政計画は目下急ぎつつつくっておるのでございまして、大体十日過ぎごろにはでき上がるかと思います。大体の規模といたしましては、三兆六千億程度になるかと思います。それにつきまして、地方税といたしましては、増税になる分もあり一また減税するものもございまして、差し引きいたしました結果、一兆四千九百億程度になるかと思います。そのほか、地方譲与税が約五百億でございます。それから地方交付税が、御承知のように四十年度から二九・五%、すなわち従来より〇・六%ほど引き上げましたので、国税の三税の若干の伸びと相まちまして、地方交付税としては七千百三十億くらいになるかと思います。国庫支出金が、いま大蔵当局と折衝中でございましてはっきりわかりませんが、約九千八百億程度になります。地方債は、地方財政の今日の窮状にかんがみまして、若干広げないと需要にマッチしないと思いまして、これを普通一般の地方債といたしましては千六百億程度見込めるようになりました。このほかに地方債といたしましては公営企業その他のものもございまして、地方債全体といたしましては、昨年が三千九百億程度でございましたが、本年度は全部を合わせますと四千八百億ぐらいまでワクを広げていきたいと思っております。そのほか、雑収入が約二千億程度でございまして、先ほど申しましたように、財政規模といたしましては三兆六千億程度になりまして、国の予算とやや匹敵するようになっております。 先ほど来お話がございましたように、地方の財政もだんだん広がりましたが、国の予算も健全均衡財政をとりまして本年度の伸びは一二・四%程度にとどめられておりますので、地方財政におきましても、できるだけ国のこの均衡健全財政にマッチいたしていきたいと思いまして、それでも相当の需要がございますので、大体一五%程度の伸びにとどまることになるだろうと思っております。
○田中(織)委員 ただいまの吉武自治大臣の御答弁によりますと、昨年と同じように国の一般会計予算と総額でほぼ同額の三兆六千億円の膨大なものになるということでございますが、これから逐次その内容についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 先ほど私が申し上げましたように、大蔵大臣が言われる、最近いろいろ義務的な支出の増加等の関係から地方財政の悪化のきざしがあらわれておるという点については、どのように——たとえば赤字団体というものも、一時は減ってきておりましたが、最近またふえる傾向になってきておると思うのでございます。そういう意味で、特に地方財政の中で赤字の部分については、自治省としてはどういうように把握をして、その点を、本年度の地方財政計画において、また国の予算との関係において、その赤字を解消するために具体的にどのような処置をとられておるのか、この際お伺いをいたしたいと思います。
○吉武国務大臣 お話のように、地方財政はだんだん苦しくなっております。したがいまして、第一には、先ほど申しましたように、どうしても従来の地方交付税率ではまかなっていけないと存じまして、昨年末の予算折衝でとうとう〇・六%の引き上げをいたしまして、二九・五%の交付税を認めていただいたわけでございます。その額は大体百四十五億増になっております。なお、そのほかに、先ほどちょっと申しましたように、地方債である程度まかなわなければなりませんので、従来の地方債のワクが、公営企業を含めまして全体で三千九百億程度でございましたものを、来年度は四千八百億程度に広げていただきまして、これである程度見ていこう。それから一方税制の面でございますが、税制の面では減税をしなければならぬ点もございます。また、昨年の減税、住民税のいわゆる本文方式への是正、これが約百五十億ほど減税になり、さらにまた、給与所得の控除等で約八十億ほど減税になっておりますので、それを埋めるというわけじゃございませんが、一方、地方財政の財源確保という点から、自動車税を今回引き上げる、あるいはまたプロパンガス税を創設する等の処置を講じておるわけでございます。それと、もう一つは、何と申しましても、国の一般財政におきましても健全均衡の引き締めた財政政策をとらざるを得ないのでありますから、きょうの午前中にもお話がありましたように、地方財政におきましてもやはりある程度引き締めていく必要があるだろうということで、極力健全均衡の方針をとつて、むだを省き、また効率的な使用というような点に考慮をいたしておるわけでございます。
○田中(織)委員 赤字対策として地方交付税その他の関係で若干の手当てをされたということは、それでわかりますけれども、そういう対策が私は決して十分だとは思わないので、その点から見て、最近地方自治体の赤字団体というものが逐年ふえてきておると思うのです。たしか自治省のほうで予算要求にあたって大蔵省へ出された資料が私の手元にもあるわけなんです。それによりますと、赤字団体数が、三十六年に四百二十、それが七年に四百八十三、三十八年には四百九十二にふえている。三千五百市町村といたしますと、実にそれの一五%強にあたるものが赤字団体で、ことに、これは二千八年の決算の関係からでありますけれども、三十七年の決算時に比べますと、百十三も三十八年度においてはふえてきておる。そういう傾向は三十九年度においてもますますひどくなってきておるのではないか、私はこのように見受けるのであります。それは、後段に御質問申し上げます地方開発、あるいは新産都市等の関係の先行投資等の関係から見て、そういう傾向がますます強まってきておると私は思うのでありますが、この私がいま申し上げました数字と、それから赤字の総額が、あなたのほうの数字によりましても約八百億あるということが私どもの手に入っておるのでありますが、その関係は、実情はいかがでしょう。
○吉武国務大臣 ただいま御指摘になったような状況でございます。したがいまして、私どもは、赤字団体はできるだけこれを解消するように、地方交付税等をもちまして、その財政需要に対しましてはマッチしていきたい、そうして格差の是正を極力はかっていくように考えておる次第でございます。
○田中(織)委員 私は、そのうちで特に三十八年度の赤字団体のことを申し上げたのでありますが、三十九年度はまだ決算には至っておりませんけれども、赤字団体の数は、三十八年度より三十九年度は、現在の段階においてもふえてきておるのではないか、私はこのように思うのであります。その点についてお答えになっておらないのでありますが、次の質問のときにあわせてお答えをいただきたいと思うのであります。 私どもとしては、地方財政の特徴として、先ほど地方税収入の面について自治大臣が触れられたのでありますけれども、地方税の財源の増加率が国税に比べて鈍化してきている、それにもかかわらず義務的な経費が年々ふえてきていると思うのです。ことに、四十年度において佐藤内閣の一枚看板である社会開発計画というものが進められるならば、ますますこの意味から見て地方財政の支出というものがふえてくる傾向になってくると思うのです。その意味で、地方の単独事業というものがますます幅を狭められてきておるというのが実情でないかと思うのでありますが、この点を自治大臣としてどのように把握しているか。それは地方財政不健全の一部分でありますけれども、これは地方財政が本来の立場から悪くなったというのではなく、池田内閣以来とってまいりました高度経済成長政策の結果である。地方補助関係の問題については後ほど詳しく伺いますけれども、特に、やはり産業基盤の強化ということに重点を置いての地方自治体の行政投資というものの膨張が地方財政の膨張を来たし、勢いやはり税負担の増大という結果になっておると私どもは見るのであります。その点を自治大臣としてどういうように見ておられるか。しかも、地方経済は、現在も格差がございますけれども、その不均衡な発展というようなことから、地方自治体というものはそういう意味で経済的に弱いところがまっ先に赤字を出してきたのは、これは自然の現象だと思うのであります。最近の傾向といたしましては、大都市及び中都市におきましてもやはり財政危機というものを招来してきておる。たとえば、大阪市のような大きなところ、従来富裕都市とされておったところにおきましても、赤字になっておるために相当の交付税を受けなければならぬ。こういうような傾向が私は出てきておると思うのでございますが、この点については、もちろん高度経済成長に伴う人口の集中というようなことから当然引き起こってきた現象だと思うのであります。この地方財政の悪化の事実をお認めになりまするならば、なぜに悪化したかという点で、私どもは、やはりこの地方財政機構あるいは地方経済の機構そのものの中に問題がある、このように考えるのでございまするが、その点は、同時に、地方税についてはその税源が国税に比べますときわめて弾力性が乏しい。弾力性のあるものは全部国税でとられる。もちろん主税について今度引き上げられて、二九・五%が交付税として還元されることは私どもも承知いたしておるのでありますが、地方税そのものの税源はきわめて弾力性がないというような関係が財政悪化の根本的な原因ではないか。この点はお認めになった上で対策を考えられているのかどうか。解決策を見出す意味においても重要だと思いまするので、自治大臣に重ねてお伺いをするわけであります。
○吉武国務大臣 御指摘のように、だんだん仕事はふえる、しかも、地方財政における税源は弾力性を失って、税の伸びもいままでのようでなくなったということで、それが一つの大きな原因でございます。先ほど申しましたように、来年度の地方財政の全体の規模が三兆六千億程度でございますが、その中で地方財政で一つ大きな問題は、給与費がだんだん上がってきておるということでございます。来年度だけの給与費の増額の総額が約一千五百億でございます。でありますから、全体の三兆六千億の予算は、前年度に比較いたしますと約五千億ほどの増加になるわけでありますが、その五千億の増加の中で給与費のいわゆるベースアップだけで千五百億を必要とするわけでございます。これは、御承知のように、人事院勧告に基づきまして給与の改定をすることでございまして、それ自体はやむを得ないことでございますけれども、それほどの大きい額を占めるゆえんのものは、今日地方財政においてまかなっておりまする人の数というものは、大体百六十万でございます。その百六十万の中で七十万、約四割以上というものが学校の先生の給与でございます。これは、半分は国が持ってくれるのでありますけれども、この学校の先生は、今日でもすし詰め教育などと高等学校等では言われておるのでございまして、これは、節約をするといってもなかなか節約がしにくい。百六十万のあとのいわゆる一割、十六万人は警察官の給与でございます。警察官の給与は全部地方負担でございます。警察の施設その他は二分の一国が持っておりますけれども、人件費は全部地方庁が持っておるわけでございまして、この十六万人の警察官も、今日御承知のように人数が足りなくて非常に過労な状況にあり、特に都市等におきましては、非常に困って、巡視も思うようにできないという状況で、むしろ増さなければならぬという状況でございます。あとの残りの七十五万人が一般の行政職員でございます。これも、国は、今度の予算編成にあたりましては欠員不補充の原則をとりまして、できるだけ節約をし、そして人数をふやさないようにということをとっておりまするので、地方におきましてはいち早くその点を考慮いたしまして、府県によってはそういう処置をとられておるところもございますが、これも、一方では地方に課せられました仕事がだんだんふえておりまするから、そう簡単に節約もできないかと思っております。したがいまして、この人件費が全体三兆六千億のうちでどれくらいを占めているかというと、三割七分から四割近いものを占めておる。ここに一つの大きな問題がある。しかも、それでは給与をストップできるかというと、できない。これは、毎年ある程度人事院勧告に従って上げなければならぬというところに一つの大きな問題がございます。 それから、もう一つは、先ほど大阪市のごとき市でさえ財政に困っておるじゃないかというお話でございまして、そのとおりでございます。大阪市は、もういまは不交付団体ではなくて交付団体になっておるというような状況。それはどういうことかと申しますと、地方財源の、つまり地方税の基本が、府県は事業税がある程度主体になっておりますので、事業税は、産業が伸びますると、法人やその他の事業収入が増してまいりまするから、事業税もある程度の弾力性を持って伸びるのでありますけれども、市町村の財源は、御承知のように、住民税と固定資産税とが主たる財源でございます。そうすると、固定資産税は、評価価格は上がってまいりまするけれども、その評価価格に比例してすぐそのままが税源になるかというと、御承知のように、固定資産税はそう一ぺんに上げることができないということで押えられている。したがって、弾力性を失いまして非常に困る、仕事はだんだんふえてくる、しかし税源がそういうような状況だ、こういう実情でございます。
○田中(織)委員 特に政府・自民党の諸君は、地方財政にいたしましても、その他の場合もそうでありますが、盛んに最近の給与費の値上がりの問題を赤字の原因その他の最初にあげる一種の癖があると私は思うのです。確かに人件費がふえていることは私事実だと思うのであります。しかし、人件費はなぜふえるかということについては、他の同僚諸君から、すでに大蔵大臣、総理との間で、あるいは経企庁長官との間で質疑を繰り返しておりまするように、やはり物価の値上がりとの関連の問題があるわけなんです。そういう意味で、私が最初に総理にお尋ねをいたしました予算規模の問題も、そういう一切の国の施策との関連において考えなければならぬ問題である。もちろん、行政機構改革の問題、これについては、午前中、大蔵大臣は、野党の立場においても人員整理という問題を伴うということであればなかなか思い切ってやれないということを、顧みて他を言うようなものの言い方をしてきておりまするけれども、私の手元にありまする資料によりますと、これは三十七年度の決算関係でありますけれども、給与関係費は、計画の三六・九%から、決算においては三四・五%と比重が低くなってきているのです。これは、私、三十七年度の決算しか資料を持っておりませんから、三十八年度、三十九年度においてはどういうように変わっておるかという点は、にわかには言えないと思いますけれども、そういう形で、むしろそれよりも、私どもが申し上げたように、所得倍増計画の関係から来る産業基盤強化というような線に基づくところの自治体の財政支出というようなものが財政悪化の大きな原因ではないか、こういうことをお尋ねをいたしておるのです。その点については、後ほど、私、予算単価の問題に触れても大蔵大臣にも伺いますけれども、問題は、私、その点は否定できない。また、自治大臣も、先ほど私が申し上げたように、財政窮迫の点から見るならば、地方自治体の単独事業というものがだんだん幅を狭められてきておるという事実は私は否定できないと思うのです。そういう点から、給与費の点については、自治大臣も率直に言われているように、学校の先生方あるいは警察官、義務教育関係は国が半分持つという関係でありますけれども、教育費の関係ということになれば、もちろん校舎その他の教育施設の問題がありまするけれども、教師というものが、いわゆる人件費というものがなければ成り立たない教育というものを地方自治体に大きな支出の責任を持たされているという点に地方財政の特殊な事情があるわけなんです。その問題の人件費が、ベースアップに伴って逐次ふえていくということは、物価その他の施策がよろしきを得て人件費が引き上げられなくてもいいという情勢が来ない限り、これは避けられない現象なんです。あたかも教職員組合であるとかあるいは自治労の諸君なんかが不当に給与の値上げを要求しているから、それが地方自治体の財政を逼迫しているのだというようなものの言い方をやられてはいませんけれども、何か奥歯にもののはさまったような言い方というものは、私は受け取れないと思うのです。その点で、むしろそれよりも、最近の地方財政悪化の原因というものが、いわゆる自民党の掲げてきた池田内閣以来の高度経済成長政策の端的に言えばひずみが地方財政悪化の大きな原因になっているという点は、これは自治大臣としても認めざるを得ない厳然たる事実だと思うのでありまするが、その点はいかがですか。
○吉武国務大臣 田中先生のおことばでございましたが、私は、先ほど給与費の地方財政の中における比率が三七%程度を占めて非常に大きな一つの悩みであるということを申し上げたのでございまして、上がることがいけないのだということばは使っていないつもりでございます。先ほど申しましたように、それは、政府といたしましても人事院勧告というものは尊重するというたてまえで出ておるのであります。ただ、しかし、その額がいわゆる地方財政の三分の一を占めるというそのことが今日の地方財政の一つの大きな問題であるということを指摘したのであります。それでは、それをすぐ整理したらどうかということばがよく出るのでございまするけれども、先ほど申しましたように、その点も、それじゃ教員を整理して学級を減らすことができるかというと、これもなかなかできない、それじゃ警察官をすぐ減らすことができるかというと、今日でもだんだんと労働過重の状態であってできないという点を、ただ率直にそのまま申し上げましたので、奥歯にもののかかったようなことばは使わなかったつもりでございまして、ただ現状だけを申し上げたつもりでございます。 なお、そのほかに、地方財政の単独事業がだんだんと減ってきはしないかという御心配でございますが、私どももそういうことのないようにということは極力心がけておるわけでございますけれども、いま言ったような財政の内容、いわゆる構成の内容から申しますると、うっかりするとそういう傾向になりがちでございます。しかし、総理も、御承知のように社会開発には特に力を入れてやりたい、こういうことでございますので、私どもといたしましては、できるだけその点につきましては留意をいたしていくつもりでございます。 なお、もう一つ、お尋ねの点に触れたことではございまするが、超過負担の問題が一つございます。これがやはり地方財政の面におきましては一つの負担になっておりまして、この点は、私どもも極力予算編成につきましては各省とも折衝いたしまして、その是正に努力をしていただいているわけでございます。現に、国民健康保険等におきましては、従来事務費の単価が低かったために、それが勢い地方財政に影響がいくという状況でもございましたので、特に従来一人当たり百五十円の単価を二百円に引き上げていただきまして、これによってある程度のその負担の軽減をさしていただくというようなことにも努力しておる次第でございます。
○田中(織)委員 超過負担の問題については、後ほど精細にひとつ御質問を申し上げたいと思います。 依然として、地方財政の窮迫の根本原因が、国の高度成長政策の主要な任務を地方自治体に転嫁している関係から来る負担が地方財政の重荷になっているという点については、自治大臣なかなかお答えになりませんが、いずれその点は、新産都市の問題で具体的にあらわれてきておるので、あなたも頭の痛い問題であろうと思うので、そのときにあなたの立場に立って真相を明らかにしたいと思うのです。 そこで、もう少し、地方財政本来の収入の問題で、地方税収入の関係について私どもの立場を申し上げて善処を願いたい問題があります。それは、国税と地方税の伸び率の関係を見ますると、国税ではかりに一・五%のものに対しまして、地方税ではやはり一・二%から一%だ、こういう傾向にございます。さらに、地方税収入を——これは政府が出された資料でありますけれども、三十八年度の関係におきまして地方税収入の地方総収入に対する割合をお聞きしたいのでありますが、私どもが持っておる資料によりますと、府県が大体三十八年度で三六%、市町村が五四%で、平均すると大体四〇%程度が地方税収入によってまかなわれておる、こういうふうに自治省は申されておるようでありますが、その点は、最近の傾向はどうなっておりまするか、今後の問題処理の上で関係がございまするので明らかにしていただきたいと思います。それと同時に、やはりこれは勢いあと交付税の問題、補助金の問題とも関連をいたすわけでありますけれども、地方自治体の固有の事務と、国から委託あるいは国の関係においてやらなければならぬものとの間の比率がどういうようになっておるか。私らは、大体税源の点では国七、地方三、自治体の事務の点から見るならば、自治体の固有の業務が三で国の関係のものが七というようなあべこべの比率になっているのではないか、このように考えるので、基本的には、やはり地方財政計画というものを立て直す意味から見まするというと、国と地方との行政事務の配分の問題についても根本的に考えなければならぬ問題が私は出くるのではないかというふうに考えるのでありますが、この点についてはいかがでしょう。 それから、同時に、これは大蔵大臣にお伺いをしたいのでありまするけれども、今度の国税の面における若干の——若干のと言うとおこられるかもわかりませんけれども、減税の関係と地方税の関係についてどういうように見込まれているのか。去年は、三十九年度については地方税の伸びというものは非常に過大に見積もられてきておる。ところが、今度は、税の自然増収、伸びというものについてはかなり控え目な数字を押えられておるわけでありますけれども、やはりことしも去年と同じような地方税の伸び率というものを考えて、地方財政計画との関係で交付税その他の決定がなされたのかどうか、この際大蔵大臣からもお答えをいただきたいと思うのであります。
○吉武国務大臣 地方税の占める比率は三十八年度で大体三四%でございます。ただ、これは全体の面でございまして、実は今日の地方財政において一つの大きな問題は、平均すれば地方税の占める分野が三四%でございまするけれども、府県によって非常に差があるという問題でございます。たとえば、鹿児島県でありまするとか宮崎あるいは熊本というような農村県、あるいは東北の青森、岩手というようなところになりまするというと、実際その財政計画の上においては地方税が一割程度しか占めていないという問題がございます。そこにいわゆる地方格差の是正という問題が起こってまいりまして、これを交付税でもって是正をして見ているというかっこうがあることを御存じと思いまするけれども、問題のある点を申し上げておきたいと思います。 それから、伸び率の点につきましては、私、国税と地方税との伸び率の点は数字を持っておりませんでありますが、先ほど申しましたように、国のほうの税金のおもなものは、法人税、所得税、酒税、たばこ税といったようなものがおもな問題になっておりまして、これは経済の成長に伴って弾力性があって伸びていきます。ところが、府県の地方団体になりますると、府県の事業税は、いわゆる法人税等がもとになっておりまするから、やや弾力性を持ちまして伸びておりますが、先ほど申しました住民税は、いわゆる均等割りと、もう一つは所得割りで、所得割りの点は、いま言ったように国と同じように弾力性があって伸びまするけれども、均等割りは、ちょっとこれを上げるというわけにいかないので、長い間据え置かれている。それから、もう一つは、固定資産税につきましては、評価価額はだんだんと経済成長に伴いまして地価、宅地あるいはいまの建物の価額は上がってまいりまするけれども、その上がった率に従って税がそれではとれるかというと、これはなかなかとりにくい点があって、いわゆる伸び悩んでいる、こういう状況でございます。
○田中国務大臣 ことしで、大体大ざっぱに見まして、国税でもって自然増収額が一三%ないし一三・五%ぐらい、地方税では一五・八%ないし一六%に近いということでございます。減税をする場合、在来は、地方税の減税でも、電気ガス税その他に対しては国の財源で補てんをしてきたのでございますが、これからは、地方税の減税は地方税の中でというようなことを考えておるわけでございます。しかし、経済が安定成長にだんだんとなってきておりますので、いままでのように非常に高い自然増収を見積もることはできないことは、国税、地方税とも同様な状態でございます。国税の弾性値が一・五でございます。大体ことし四千五百億程度ということを申し上げておったわけでありますが、先ほど申し上げたとおり、いままでは地方税のほうの伸びが国税の伸び率よりも多少高いということでございます。
○田中(織)委員 それでは、私の持ち時間の関係もありますので、さらに税収の問題等についてはお聞きしたいのでありますが、収入の面では、もう一つ地方交付税率でありますが、本年度ようやく〇・六%の引き上げが行なわれたわけであります。その関係から、百四十五億の増加と、それから三税の伸びのはね返りによる部分を入れますると、合計して七百五十億ですか七百三十億程度ですか伸びるということでありますが、当初自治省は三〇・四%を予算折衝の過程では主張されたと私は聞いておるのでありますが、これが二九・五%で妥協したのは、これでつじつまが合うというお考えからでございますか。私どもは、昨年においても三一%はもらわなければ地方財政の赤字がますますふえる一方だということを主張いたしたわけでございます。最近の状況から見ますならば、三税の三二%ももらえばよほど地方財政は楽になるのではないかというふうにも考えておったのでありますが、この点が二九・五%で妥協したということについては、これでいいという目算を持ってのことでありますか、この点は一つ率直にお答えをいただきたいと思う。
○吉武国務大臣 お話のように、昨年の暮れの予算折衝におきましては、私ども三〇・四を要求をして折衝をしたわけでございます。その根拠はどうかというと、基本的には地方財政が非常に苦しいからということでございますが、その数字の根拠は、三十九年度の国の減税に伴って減収する地方交付税分が百三億、それから四十年度で今度減税をいたしますその減税に伴っての地方の減収分が二百四十四億、その合計が三百四十七億になります。それに地方税の関係が二億と、補助金の整理が二十億ございますので、三百六十九億を交付税率に引き直しますと三〇・四になるということで、この国の減税に伴う地方財政における分を一つ見てもらえないかということで要求をしたのでございます。ところが御承知のように、国の財政も本年度は全体で自然増収が四千五百億ほどしかございませんで、また、その中で、午前中御指摘になりましたように、当然増というものが相当ございまして、ほんとうに新規財源として組まれる財源というものは一千億に満たないというような状況でございますから、その中で、地方が困るからといってまるまるこの三百六十九億をもらうということも、全体の均衡からいきますと、これは無理な話でございまして、大蔵大臣と折衝いたしました結果、地方の現状を考慮いたしまして、いまの百四十五億、すなわちこれを交付税率に引き直しますと、〇・六、すなわち二九・五%ということで決定をしたような次第でございます。
○田中(織)委員 なお、地方の財源に属する地方債の問題についても、私は相当問題があると思うのであります。現在おそらく国債の発行額を上回る地方債の発行残高になっておるのではないか、このように見ておるのであります。過般、山花委員と総理との間で一般会計における公債政策の問題についての議論がございましたけれども、総理は、現状においては公債発行にはよらないと言われておるけれども、地方債は、これは実質的に公債だと思うのです。しかも、その中には、元利補給をいたしておりまして、むしろ国の赤字公債に匹敵する部分がございます。昨年の住民税の改正の問題のときに出したもの等、さらには、先ほど給与の問題が出ましたけれども、昨年暮れのベースアップの関係で百五十億、譲与税と交付金の特別会計から四十年度の交付税の先食いのような形で処理しておる関係等の問題については、相当私は問題があるのでありますが、それをここで政府側と議論をしておりますと時間がなくなりますので、いずれ一般質疑で同僚に譲ることにいたしまして、先ほど自治大臣が触れられました超過負担の問題でありますが、政府の出された資料によりましても、現在、これはもちろん推計でありますけれども、私どもは八百六十三億に達しているというふうに見ておるのであります。はたしてこの数字を超過負担の累計として見てよろしいのかどうか、また、こうした超過負担がなぜに起こっているかという点について、当局の御見解をまず最初に伺いたいと思うのであります。
○吉武国務大臣 一般会計におきましては、超過負担としては、私どもは約六百億程度と見ております。田中さんの御指摘になりました八百億というのは、おそらく特別会計を全部含めてのことではなかろうかと思いますが、そのもとは、これは予算の単価というものが実際と食い違っておるというところにあるかと思います。これは、できるだけ実際単価に引き直していただくということは、何といっても必要なことでございますが、一つは、従来これがあまり問題にならないで数年過ごしてきたゆえんのものは、自然増収が非常にあったものですから、地方におきましても、単価がこれでは無理だなと思いながらも、つい自然増収がございますから、財源があるためにそれを使っていった。ところが、昨年来だんだんと自然増収というものが切り詰められてきますと、この問題が表に出てくる、こういうような状況でございます。 そこで、これらの問題は、先ほど指摘いたしましたように、国民健康保険の事務費にいたしましても、従来百五十円でございましたので、これが健康保険では赤字になる。その赤字を地方財政で繰り入れで見るというような状況等もございますので、今度の予算ではこれを二百円に引き上げるというように、漸次是正をしていっておる次第でございます。
○田中(織)委員 大体八百六十三億をお認めになったようでありますが、自治大臣のお答えになったように、補助職員の関係で百四十億、これは農林大臣にも関係がありますが、農業改良普及事業の関係で四十億、保健所運営の関係で四十七億、職業訓練の関係、これは労働大臣の関係になりますが、十一億、その他四十二億で、合計百四十億。普通建設関係では、警察施設の関係で七億、公営住宅関係二百五十一億、文教施設百十三億、清掃施設、ごみ、し尿等でありますが、六十二億、その他五十六億で、四百八十九億。三番目に、一般失対事業の関係で四十一億、したがって、その合計が六百七十億と、その地統計職員関係、国民健康保険の事務費の関係が八十六億、国民年金の運営費八十五億、下水道終末処理の関係、これは建設関係でありますが、十五億等、百九十三億、合わせて八百六十三億の多額に上っておる。しかも、自治大臣は端的にこれは補助単価の問題で問題があるのだということを言われましたけれども、健康保険の関係については、特に国保の関係についてはあとで厚生大臣に伺いますが、その他の施設関係、住宅関係等においては、健康保険の事務費の関係は百五十円を二百円に上げたというだけで、その他の関係では、いわゆる予算単価、補助単価に問題があるということを認められながら、それを是正するようにどういうようにことしは処置されたのかわからない。この点は、むしろ各省から要求した単価と大蔵省の主計局の査定単価との間にも私は開きがあると思うのですが、これは、本来なら一般会計についても予算単価を幾らと押えたかということが私は問題だと思うのであります。機械的にきめられる問題ではなくて、物価の関係その他の関係からやらなければ、予算の実行過程において問題を起こすことになるわけなんで、この点は大蔵大臣からもむしろ聞きたいと思いますが、自治大臣、国保以外の関係の予算単価の問題は、具体的にどういうように従来と比べて是正してまいりましたのか、お答えを願いたいと思います。
○吉武国務大臣 私といたしましては、関係各省にあらかじめ予算期に申し出をいたしまして、できるだけ是正をしていただきたいということを申し上げましたが、実際各予算の中にそれぞれみんな織り込まれておる問題でございますから、それが単価としてどのようであったかということは、私のほうではわかりかねる次第でございます。
○田中国務大臣 補助単価が低いために地方が超過負担をするという問題は、いつでも議論になるのでございますが、大蔵省としましても、事業ができないように、またあらかじめ法律に基づく補助率よりも少ない金額を計上いたしておるわけではありません。また、実行上の問題等も考えまして、補助単価につきましては、毎年のように何がしかの是正はいたしておるわけでございます。ことしも、中学校の校舎の例を申し上げますと、三十九年に一万二千三百六十三円のものが、一万三千三十円、一万六千六百六十六円のものが一万八千百二十一円、一万二千二百四十二円のものが一万二千八百十八円というふうに、是正はいたしておるわけでございます。しかし、国が補助する単価につきましては、最も効率的に行なわれた場合の事情を想定しまして基準単価といたしておるわけでございます。でありますが、各地によって、いろいろ施行いたしますと、事業量が当初考えたよりもふえるということもございますので、地方が当初計画よりも超過負担を行なっておるということが言われるわけでございます。 これは、一般的な問題を端的に申し上げますと、物価が多少上がりぎみというような場合は、こういう問題が非常に起こるわけであります。物価が非常に安定をしておるという場合には、予想単価と実施単価というものの間に開きがなくなるということでございます。また、逆に、物価が下がるというような状態の場合には、剰余金が出るというような状態もあったわけでございます。政府が物価の値上がりというものを想定をした単価を組むということになれば、政府自体が物価値上げを促進しておるということにもなるわけでございますし、非常にむずかしい問題でございます。事情をひとつ御了解いただきたいと思います。
○田中(織)委員 この補助単価、予算単価の問題は、大蔵大臣が述べられるように簡単に片づけられる問題ではないと私は思います。私のほうの党の関係で、関東、近畿、九州の各一県ずつを選び、また、自治体の市町村の関係でも、東京なりあるいは近県の市の関係をとって、具体的にとった資料がございます。その全部を言っておりますと何しますし、具体的に私のほうで資料を集めたところを申し上げると、自治省や大蔵省からひどい目にあうというので、どこの県ということは私は申し上げませんけれども、たとえば、警察施設の建設関係でございまするが、Aの県では、千六十六万八千円の建設費に対しまして七百九万五千円しか補助が来ていません。それから、Bの県では、これはもちろんその県の大きさによって違いますけれども、四千八百四万七千円に対して二千八百六十九万一千円、Cの県が五千八百八十五万七千円に対して二千二百七十六万七千円で、半分が超過負担になっておるという実情です。それから、農業改良普及事業の関係等におきましては、これは千五百四十五万八千円ですか、それに対しまして四百五十一万円の超過負担が出ています。それから、Bの県では、これはちょっと金額が大きいのでありますが、二億八百八十七万一千円に対しまして、八千二百一万六千円というかなり高い超過負担を出しておるのでございます。Cの県は、農業改良普及事業の関係では、二千三百五十五万二千円に対して、千二百六十六万円の超過負担であります。それから、わかりやすく建築費の関係について申し上げると、公営住宅の関係、これは九州のある県でございますが、第一種の簡易耐火建築、坪当たり六万四千六百円でありますが、県の実施単価は七万四千九百円、中層の耐火建築の関係では、坪当たりの国の単価は八万五千二百円でありますけれども、実施にあたりましては九万四千一百円、第二種の簡易耐火建築の関係では、国の単価五万六千一百円に対して六万五千四百円。一万円からの開きがある。それから、危険校舎の改築の関係でございますが、これも九州のある県の関係でございますが、鉄骨関係で、坪五万三千円が、六万円かけなければできない。鉄筋の関係では、坪七万円の国の単価に対して、七万二千円でなければでき上がらない、そういうような実情にございます。 さらに、市の関係の一例を申し上げますと、生活保護施行事務の関係、これは二分の一の補助でありますけれども、それに対してはわずか四〇%。五〇%来なければならぬものが、三十八年度で四〇%。これは三十九年度で四七%ということで大体補助率に近づいておりますけれども。それから、ひどいのは、精神薄弱者の福祉事務の関係等でありますが、これも二分の一補助でありますけれども、当該の市にまいりまするのは、わずかに一九%。五〇%に対して一九%しか国の補助がない。これが三十八年度で一九%。三十九年度はさらに悪化いたしまして一五%に下がっておるという実情でございます。 こういう関係で、これは少なくとも三県と二市の関係については具体的な資料をいただいて私は申し上げておるのでありますが、知事会から出ておる補助金制度に対する改正案からまいりますと、特に学校の建築等の関係においては、坪数の問題についても、大蔵省が見てくれる坪数と実際の建築の関係とにおいて開きが出てまいりますし、建築単価の問題で、いま北九州のある県の実情を申し上げたような状況で、ひどいのになると、子供たちの校舎に便所も廊下もないような坪数しか見てくれない。これは文部大臣も責任があると私は思うのでありますが、便所も廊下もないような校舎が一体建てられますか。そういう関係を地元で整備するから、やはり地元の負担というものがふえてくるので、予算単価の問題、補助単価の問題は、大蔵大臣が、ことに物価が変動しているときにはなかなかむずかしいのですということでは、簡単に片づけられない問題だと私は思うのでありまするが、その点はいかがですか。これは特に大蔵大臣にも、また、特に危険校舎の問題もあると思いまするから、それぞれお答えをいただきたいし、農林大臣からも、農業普及改良事業の関係などを市町村にやらせている関係から、それが地方財政を大きく圧迫しているというような関係については、農林大臣はほんとうに真剣にそういう数字を押えられたことがあるのかどうか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 公立学校の建物の予算単価のお話が出ましたので、ちょっと御説明申し上げておきたいと思います。 公立学校の建物の予算の単価を改善いたしたいということについては、従来から努力いたしておったわけでございますが、どうしても実績の単価のほうが予算単価を上回る傾向がありましたことは、御指摘のとおりであります。そこで、四十年度の予算につきましては、この点については、私どもも財政当局にもよくお願いをいたしまして、平均大体八%の単価の改善をはかることにいたしまして、ほぼ三十九年度の実績に近いところまで改善を進めることにいたしました。たとえば、一、二の例を申し上げますと、高等学校の建物につきましては、鉄筋コンクリートづくりの場合は八万一千九百円の単価になりまして、七万五千三百円の三十九年度に対しましてかなりの単価引き上げができることになりました。同様に、小中学校校舎、小中学校の屋体その他につきましても、先ほど申し上げましたように、大体八%以上の単価の値上げをすることにいたしたわけでございまして、相当改善できると思っております。
○田中国務大臣 先ほども申し上げたことでございますが、超過負担の問題に対しては、できるだけ実情に合うように、文部大臣がいま申し上げたように単価の補正も行ないつつはございます。しかし、材料費、物価等の変動もございまして、ある程度の超過負担ということがあることは免れないわけであります。しかし、地方財政の中で地方交付税、また地方債の問題等を考慮いたしますときにも、十分これらの問題も考えておりますので、いまの状態で地方財政に大きく負担をかけておるというようなことはないと思います。
○田中(織)委員 大蔵大臣、超過負担が、自治省が示しておる数字でも、三十九年度において、推計でありまするけれども八百六十三億という多額になっているわけなんです。しかも、これは、私がこれから質問に入ります新産都市の関係の問題が出てまいりますといよいよこの問題が大きくなってくる問題でございますので、この点はひとつ簡単に考えないでもらいたいと思うのです。この際、国庫支出金の全般にわたって対象とすべき経費の費目、単価、その他算定基礎を私は思い切って改革をしなければいかぬと思うのです。先ほど午前中総理は、中澤委員の質問に対して、補助金の整理の問題について触れられましたけれども、整理よりも、これは、先ほど自治大臣の御答弁のように、いわゆる奨励的な補助ではないのです。補助金と言っておりまするけれども、交付金なり国が当然出さなければならぬものです。奨励的な補助の問題は、私は限局してもいいと思うのでありますけれども、しかく簡単に、補助事業が多いから整理はどうだとかというようなことを言いますけれども、それはそういうものではないという立場で取り組んでいただくことをこの際要求いたしておきます。 だんだん地方財政分の時間が詰まってまいりましたが、厚生大臣も見えましたので、地方財政を圧迫しておる一つの問題として、国保の問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。 国民健康保険財政が大きな赤字で、地方では大問題になっておると私は思うのであります。私の手元では、三十七年度で九十二億です。三十八年度が約三十二億円、三十九年度においても六十億くらいの赤字があるのではないかというふうに私は見ておるのです。ところが、地方自治体の関係では、健康保険の国保の関係におきましては、この保険料というものは、御承知のように、保険税という形で税金と同じように徴収するわけなんです。したがって、私は、ほとんど全国の市町村におきましては、ひどいのになると保険税が三割もすでに年内に値上げをされておって、さらに赤字が出ておるという関係があるのではないかと見ておるのです。そこへもってまいりまして、過日来から横路委員、加藤委員等から厚生大臣に追及をいたしておる九・五%の医療費の値上げの関係から、これは国保にも当然やはりはね返るわけですね。しかも、ことしの一月一日から、厚生大臣御承知のように、国保については、扶養家族に対する七割給付、従来の半額給付が七割給付に引き上げられますね。一日から実施です。そうすると、従来五割負担しなければならぬやつが三割負担で済むわけでありまするから、国保の受診率というものも高まってくる。そういう関係になりますると、事務費の関係においても私はやはり増加を見てくると思うのです。そういう点から見て、先ほど来厚生大臣が退席をしておる間ですけれども、自治大臣は、従来一人当たり百五十円というのを二百円に五十円ことしは値上げしてもろうたので幾らかカバーできると思います、という答弁のやり方なんですけれども、私は、これから数字を申し上げますが、とても事務費の関係についても一人当たり二百円や二百五十円では済んでおらないのです。これは厚生大臣、御存じかどうか、御存じないかもわかりませんけれども、そういう関係から見て、国保の問題についての事務費の問題につきましても、やはり事務費を一〇〇%まかなうという形なんですけれども、単価の算定の問題が問題になってくるのでありまするが、実情をどういうようにつかまえておられるのか、また、九・五%の医療費の値上げが国保にはどの程度にはね返るから、今度の地方財政計画を立てる上において、国の予算を立てる上において厚生省としてはどう処置したのか、この点をお答えをいただきたいと思うのであります。
○神田国務大臣 お答えいたします。 国保の諸費用が市町村において非常に赤字であるということは、おっしゃるとおりでございます。いま数字をお述べになりましたが、三十七年、三十八年はお述べになったとおりでございます。三十九年度の赤字は六十億とおっしゃられたようでありますが、私のほうでは、これはまだ正確な予想ではございませんが、もっと大きくなるのではないかということを憂えております。そこで、これは御承知のように、事務費の補助と両方になっておりますが、事務費はここ四、五年間一人当たり十円というような程度しか上がってこなかったのでございます。それを四十年度においては五十円を一ぺんに上げよう、いままで十円ずつでございましたが、五十円上げようということで、三割三分三厘ぐらいの値上げになるわけでございますが、それでもいま田中さんのおっしゃられるように、市町村の事務費は、これは大都市も入っておりますから平均して高くなるのでございますが、二百八十八円ぐらいになるのでございます。それが二百円でございますから、まだ差があるわけでございます。しかし、従来十円ずつというようなことを、一ぺんにはいかぬがということで、ことしは五十円大幅に踏み切ろうというようなことで妥結したわけでございます。何としてもここ一両年の間に、所要の事務費は、法律にもあるのでございますから、不足を生ずることのないようにしなければならないことは当然だと思っております。 それから九・五上げた関係でどうなるかということでございますが、今年度分一月から三月までは、その所要経費は先般の臨時国会で見ております。それから来年度におきましては、四月から六月までの三カ月分の予算が、いま御審議願っておる予算の中に入っております。来年度の医療費の増額でございますが、これは正確にはつかみ得ないのでございますけれども、いまもお話がございましたように、三十九年度の補助金は、いまの事務費を除いて七百六十四億円ということになっておりました。これを来年度は千八十一億円にふやそう、三百十七億円だけふえるわけであります、約四割一分でございますか。この内訳を申し上げますと、医療給付費の関係の補助金、それから調整交付金、家族七割実施の補給金、こういうようなことに分かれておりますが、とにかくいまお述べになられましたように、市町村が国保を実行していく上に非常に困っておることはおっしゃるとおりでございますので、厚生省といたしましても、ひとつできるだけカバーいたしまして、そうして、これは大事な国民医療の問題でございますから、十分努力いたして処置いたしていきたい、こういう念願でございます。
○田中(織)委員 厚生大臣、私の手元にあります九州のある県の関係でありますが、国保の事務費の関係は、これは二市四方町村について調べたのでありますが、国で見てもらっておるのは一人当たりにいたしますと百十九円です。ところが実際には二百九十一円払っておりまして、相当な開きがある。厚生大臣も、いま一人当たり平均すれば二百八十円ぐらいになる、それに今度五十円の大幅値上げをして二百円だということで、この差を認めたのであります。これは国保の関係でそうです。国民年金の関係は、いま大蔵大臣もいなくなったのでありますが、これは人員六万七千三百七十二人について国からの支出分等を調べたのでありますが、実に一人当たり二百五十六円かかるのです。ところが国からの支出分は百三十一円で、事務費全体から見て半額を切れるのです。なぜこういうようなものがそういう形になるかというと、これは国民年金の形にしても国保にしても義務制でありますから、やはり市町村が一般の財源からこれをまかなっていかなければならぬわけです。国保の場合には、いわゆる保険税の値上げというものであらかた足らず前を取っていきます。しかし、これは保険料だという考えもありますけれども、保険税を二割も二割八分も上げたほかに、市町村の一般会計から補給する部分を入れると、医療費の問題の市町村における負担というものがばく大なものになってくるのです。時間がありませんから詳しくは申し上げませんが、私の手元に医療費の負担の問題についての一つの資料がございますが、年額五千円から六千円未満が七百四十七という比率が出ておるのです。これが一番多いのです。その次には、四千円から四千五百円未満の保険税を払っておるのがこれに続くわけです。それから四千五百円から五千円未満が五百七十五というような数字になっておりますので、大体四千円から六千円くらい年間に保険税を払うところが非常に多いわけです。時間がないからお聞きしませんが、資料として出していただきたいと思いますけれども、市町村の住民税の平均額、これは所得その他によって違いますけれども、住民税を五千円も六千円も払っておるというのは、比較的少ないわけなんです。それだから、住民税よりも保険税のほうが多いというのが今日国保の関係にあらわれておる。したがって、健保の関係においても、九・五%の医療費の値上げというものを支払い側が拒否しておるという問題は、しかくなまやさしい問題ではないということを厚生大臣は知らなければいけないと思うのです。また自治大臣、こういうところに地方自治体の赤字の原因があるという立場で、医療費の問題は厚生大臣の所管だけの問題ではなしに、たまたま二人並んですわっておりますが、ここで大蔵大臣にハッパをかけろといってアジるわけではございませんけれども、あなたたちは、これは真剣に考えてもらわなければならぬ問題だということを私は申し上げておきます。いろいろまだ地方財政について聞きたい点もたくさんあるわけでありますが、打ち出しておる関係で新産都市の問題について若干触れたいと思います。 まず地方開発の問題。最近の新産都市、工業整備特別地域の推定までの間に、いわゆる国の総合開発との関連で地方開発の問題が取り上げられてきた歴史は古いと思うのです。ことに東北開発あるいは北海道開発、その後九州、四国、中国、北陸、それに首都圏、最近のいわゆる近畿圏整備というような形で地方開発、地域開発の問題が取り上げられて、それぞれ法律もできてきておりますけれども、そういう法律ができるまでの間は国会でもやかましく言うけれども、そこからあとの予算の問題とその実行過程の問題については一これはあまりやかもしく取り上げないわけではありませんけれども、ことに新産都市の問題などは、おととし選挙前にやっさもっさ言って十三地区、それではみ出たところを工業整備特別地区として六カ所指定するというような形でやってまいりましたが、一体これが具体的にどういうように進みつつあるんですか。この際まずお聞きしたい。
○高橋(衛)国務大臣 国土総合開発法に基づく国土総合開発計画は、一千七年の十月に閣議決定をいたしまして、その趣旨にのっとって地域の開発を進めてまいっておるわけでございます。その後、ただいま御指摘のとおり、東北、北陸、中国、九州、四国等についてのそれぞれ開発法ができまして、その法律に基づくところの基本計画を政府部内でずっと検討し、審議会の御審議を願ってまいったわけでございますが、それが昨年の春に、つまり三十九年度の予算を編成した後にようやく基本計画が承認になったわけでございます。その基本計画に基づいて、四十年度においてはそれを各省によく御連絡申し上げて、そして四十年度予算にそれが総合的に実現されるような方向に努力してまいっておるような次第でございます。 なお、新産業都市並びに工業整備特別地域の開発の関係につきましては、御承知のとおり、新産業都市につきましては、十三地区について昨年の暮れごろに基本計画の承認をいたしました。これは昭和三十九年度からおおむね五十年度に達する間に、事業量として四兆三千億円の計画を承認いたしたような次第でございます。また、工業整備特別地域につきましては、多少作業がおくれておりまするが、今月の三日に審議会のほうから答申が出てまいりました。これは六カ所につきまして、やはり三十九年度からおおむね五十年度、ものによって少し年度が違うものがございますが、おおむね五十年度に至る間に、事業分量として投資額約二兆円という計画、これを承認すべきであるという趣旨の答申が審議会からなされておるような次第でございまして、それぞれなかなか膨大な事務量になりますために、準備が多少おくれてきている傾向はございますが、それぞれ法律の目的に従って着実に歩を進めていると、かように考えておる次第でございます。
○田中(織)委員 昭和二十五年ですか、国土総合開発の問題が取り上げられ、特定地域の事業計画が十九カ所、調査地域として十一地区、それから低開発地域工業開発促進法の関係で九十七地区と、なかなかばら色の夢を振りまく新産都市の十三、特工の地域の六カ所と、そういう地域指定は行なわれたけれども、実際には何にも進んでいない。そういうところに私は問題があると思うのです。新産業都市建設基本計画、昭和三十九年十二月、これは私も持っております。ここで四十五年に工業生産目標を五兆四千三百億、五十年には七兆三千億、工業用地の総需要約二万ヘクタールというように、各指定された地域から出てまいりました計画を総理大臣が承認をされた。それの総資金需要額四兆三千億、一地区平均当たりにいたしますと、三千三百億円になります。最高が北海道の道央の七千二百億、最少が日向延岡の一千四百億ということになっておるということも、新聞で拝見をいたしました。四十年度から実施の第一年度に入るというのですが、それでは、ことしの予算ではこの新産都市の実行に伴う処置を具体的にどうなされておるのか。まずそれをお聞きしたい。
○田中国務大臣 新産業都市につきましては、この国会で法律の御審議を願うわけでありますが、国と地方が協力して行なうということにいたしまして、利子補給の道等を講ずることにいたしております。また、各省別の公共事業等も、新産都市や工業整備特別地域に対して集中的に投資を行なうということで、いま予算配分に対して検討をいたしておるのでございます。そのほかに、地方開発にきわめて密接な関係がございます、地域開発事業債というものを、三十九年度五百十億から四十年度に対しては五百七十五億円に増額をいたしました。また、港湾整備事業債につきましては、八十億円のものを四十年度は百十億円に、工業用水道事業債につきましては、三百億円のものを三百五十億円というふうに、大幅に増額をいたしております。また、地域開発金融につきましても、開発銀行の地域開発ワクというものがございますが、三十九年度の二百八十億円を三百四十億円に、北海道東北開発公庫の融資ワクにつきましては、二百九十億円を四十年度には三百七十億円と、このように大幅に増額をいたしておるのでございます。
○田中(織)委員 財投の関係で地域開発事業債五百七十五億、これは前年度から比べれば三七%増になる。また港湾整備の関係百十億、三八%増、工業川水、三百五十億、一七%増ということも、私もそういう数字が出ておることを承知いたしております。 ところで、四兆三千億の事業資金がかかるという新産都市の十三地区の関係で、一体四兆三千億の事業資金というものをどうして調達をするかということが、事業計画を御承認になる以上、少なくとも基本的なものはおきめになっていなければならぬと私は思うのです。ところが先ほど見せたこの資料によりますと、この計画の中で国がやる部分、あるいは公社公団がやる部分、県がやる部分、市町村がやる部分、そういう各事業主体別の経費の予算というものが、全然ございませんね。大臣はいま新産都市の関係のいわゆる地方債四十億ですか、その問題については触れませんでしたけれども、その関係だけで、あとは地方開発事業の関係の問題は、開銀の地方開発分の問題について後ほど伺いますけれども、新産都市の問題としては別に法律を出して審議を願うということですけれども、利子補給にしたって、わずか八千万円じゃないですか。それから地方開発調整費の関係というのは、十五億でしょう。そんなもので新産都市の四兆三千億の開発事業というものがこれからやれるという、また指定をされた地元は、まず初年度だからその程度でおさまるというお考えで、政府は予算的な処置なりあるいは金融的な処置をお考えになっておるのかどうか、あらためて伺いたいと思う。
○田中国務大臣 新産業都市に対する所管は企画庁でございますから、こまかい数字に対しては企画庁から御答弁があると思いますが、新産業都市とか工業整備特別地域の計画を承認した以上、年次計画を立てて当然資金計画を必要とするという考えでございます。中期経済計画を承認をした現在、これからの新産業都市等の計画につきましては、他にも地域開発、低開発地域工業開発促進の問題もございますし、産炭地振興の問題もございますし、離島振興の問題、その他いろいろな問題もありますので、それらを総合調整をいたしまして、資金的な計画も早急に立てるべきだと考えます。ただ、これは事業主体がおおむね府県でございますので、府県を中心にしながら、これからの計画をつくり、また長期の財政の中においてどの程度の財政負担が行なわれるのかという問題も想定すべきだと思います。私は、現在の状態において、四兆三千億に及ぶ新産業都市の計画は、実施可能であるという考えに立っております。
○高橋(衛)国務大臣 お答え申し上げますが、新産業都市の四兆三千億円という金額は、先ほどもお答えしましたように、三十九年度からおおむね五十年度まで、ものによって五十五年度までのものも一部含まれております。そういうことでございますので、これは大体中期経済計画の大体の趨勢ともよくにらみ合わせて、それほど変わったと申しますか、膨大な数字とは私ども考えておりません。むしろ審議会の審議過程におきまして、これで十分かという意見も一部あったぐらいでございます。 しこうして経費をどういうふうにこれからそれぞれ分担していくかという問題でございますが、これはこれからの問題ではございますけれども、参考のために、三十九年度にこの十三地区について経費の負担割合がどんなふうになっておったかを申し上げますと、国庫が二一%、県が二〇%、市町村が一九%、その他が四〇%、大体こういうことに相なっております。 こういうふうないままでの負担の割合をそれぞれ検討いたしまして、なおかつ今回法律を提案いたしまして御審議を願うことにいたしております地方債、または市町村の補助のかさ上げ等の点も勘案いたしまして、今後具体的に決定をいたしていきたい、かように考える次第でございます。
○田中(織)委員 大蔵大臣でも経企庁長官でも、三十九年から五十年までの長い間のことだから、これからぼつぼつ計画を立ててやるので、できないことはないだろう。そういうようなことで、一体あれだけ大騒ぎをして指定を受けた新産都市の地域の人たちに、これで政府は真剣に取り組んでくれていると見てもらえるとあなたたちはお考えなんですか。私は無責任だと言いたいですよ。一体いつまでにそういう資金調達計画というようなものを立てるのか。その点を私は明確にすべきだと思うのです。 それで、現行制度で私も十三地区についてこまかく問題のあるものは調べておるが、資金調達の一つの例をとりますと、福島県です。常磐郡山地区、総額三千三百億円。これは現行の関係でいけば、国七百六十億円、県四百二十四億円、市町村二百四億円、起債六百七十億円、公団等を含む民間分が千二百二十億円ということになっておるのです。これでいっても、地方の地元負担というものは五〇%近いものになる。さらに平均の三千三百億よりは千億低いんですが、徳島県、三木幹事長のところです。総事業費が二千三百億円なんです。ところが、徳島県全体の現在の年間予算は幾らかというと、二百四十億です。これから徳島の新産都市の関係に徳島県の予算の十年分を注ぎ込もうというのですね。しかも半分が徳島県なりあるいは徳島市なり、小松島市なりの、そういういわゆる関係市町村の負担になるのです。こういう実態を皆さん方がとにかくちゃんと納得さしてやっているのかどうかというところに、私は根本的に問題があると思うのです。 しかも、この国会に別途法律を出すという関係でございまするけれども、たとえば補助のアップの問題にいたしましても、二五%で頭を抑えられているということ。起債の問題にいたしましても、県に対しては公共事業費のうち、通常の事業費量をこえる部分の地元負担について、地方債——これは運用部引き受けですが、地方債の増発を認め、ことしは四十億円です。増発される地方債で金利が年三分五厘をこえる部分については国が利子補給する。これが八千万円です。この実態がなにされて、六月には参議院の選挙もございまするけれども、一体これらの十二地区なり、今月の四日に小島会長のいわゆる審議会が決定した工業整備特別地域の六地区の二兆円の事業計画量というものがきめられているが、これはまだわれわれの手元にも資料もまいりませんけれども、そういう関係で、前段質問したように、地方財政がそれでなくとも窮迫の一途をたどっておるというところに、一体これからやっていけるかどうかという問題がある。 時間がまいりましたので、この質問で私は終わりますが、重ねて申し上げますけれども、第一、誘致する企業の問題が各方面でストップしてきている。一番進んでいる水島地区、倉敷、あの地区の関係にいたしましても、川崎製鉄は進出をとめている。あるいは有明地区の関係では、有明製鉄は、いまの鉄鋼界の状況から見るならばとても進出できないという問題が出てきております。富山地区の問題にしてもそうですす。大蔵大臣の地元の新潟にしてもそうじゃありませんか。それから、これは新産都市ではありませんけれども、深刻な問題は東北開発と三菱との間でやる青森のむつ製鉄の関係です。これはたしか昭和三十五年に決定をされたものだと私は思うのです。その後むつ製鉄というものが資本金五億円でできて、三浦何がしという社長がおられまして、財政貧弱なむつ市が、工員の住宅も建てれば、技能者を供給するために工業高等学校まで建てて、去年開校しております。そういういわゆる先行投資というものが、これはむつ市の場合においてはすでに数億円に達する。ところが、突然去年の年末に閣議で、鉄鋼業界の事情、ことに砂鉄製鉄の先行きというものはかんばしくないというので、政府はむつ製鉄の事業のストップを決定したということじゃございませんか。その後地元からの反対がたいへんだという問題が起こってまいりましたから、一たん中止決定をしたやつを保留という形で残しておるようでありますけれども、このむつ製鉄の中止の事情というものは一体どうなのか。新産都市の関係で、すでに先行投資のために財政を圧迫しているということに対して、緊急に処置しなければ、この予算がかりに国会を通ったところで、新産都市などというものが動き出すものではないと私は思うのです。その点を一体どう処置されようとするのか。 さらにもう二つ重要な問題をこの新産都市の問題であげれば、新産都市に指定された地域はいいです。それ以外の地域との問題については、たとえば長野県の松本・諏訪地区の問題にいたしましても、北信と南信との間の対立の問題が出てきております。岡山県においても、県南と県北との間の問題が出てきております。各地区に、そういうように、もし実行されればうんと地域格差が拡大されて、地域格差を狭めるためにつくったものが逆な結果になる、そういう問題があるでしょう。しかも、そういう地域におけるいわゆる生活基盤に対する処置、住宅の問題でも、上下水道の問題にいたしましても、そういうような問題は計画の中にはそれぞれ出ていますけれども、ばく大な資金が要るんです。しかも、それがほとんど地方自治体の負担でやるという形になれば、国の計画に従って地方自治体がやるのだから、国が二一%程度の資金負担でどうにかできるだけの実体を持っているんだということには私はならないと思うのです。したがって、この点は、大蔵大臣は先ばしって、この計画は実行不可能だとは思いませんと申されておりますけれども、この計画自体を練り直すか、また、これを計画どおり実行していくということになれば、思い切った財政的な、あるいは金融的な処置を講じなければ、これはそれこそ保守党の責任だからというて捨てておかれない重大なる国政上の問題だと思うので、時間を超過してはなはだ恐縮ですけれども、この問題を取り上げておるのです。私は、幾多の重要な問題について御質問申し上げているので、それぞれ私はお答えをいただきたいと思うのです。
○高橋(衛)国務大臣 お答え申し上げます。 御指摘のように、新産都市並びに工特地域整備につきましてはいろいろむずかしい困難な問題が存在しておることは、私どもこれを認めております。しかしながら、地域格差の是正ということを目標にして、そして拠点開発方式をとるということで、つまり過密地域、整理地域以外の開発地域におけるところの開発のためには、こういうふうな立地条件のいいところに、しかも相当な大工業が開発できる地域を求めまして、そこに相当集中的な投資をし、そしてここを拠点として開発さして、そしてその波及効果をねらい、その地域の開発をはかっていくということがこの新産都市建設法の目的でございます。その目的を達成するために、政府としてはこれからあらゆる努力を傾倒してまいる所存でございますが、その第一歩として、先ほど申しましたような特別法を今回提出することにいたしたような次第でございます。なお、そのほかに調整費といたしまして今年度四十五億五千万円を別途計上いたしておりますことも、御承知のことと存じます。 なお、むつ製鉄につきましては、これは一昨年の四月に認可になった次第でございますが、その後、この鉄鋼業につきましては、御承知のとおり、その間に非常な技術革新がございまして、砂鉄を原料とするところの特殊鋼等につきましても、高炉銑におけるところの、つまり量産による非常に良質な特殊鋼の原料がどんどん獲得できるという状況になってまいりましたことが一つ。その他いろいろな条件の変化がございまして、社会的に砂鉄原料が非常に値下がりしてきたこと、または特殊鋼の価格がぐんぐん値下がりしてきたというふうな事情もございます。が、とにかく根本的には、これを認可しましたときにおける政府の考え方は、政府自体としては技術を持っておりません。したがって、その内容はよく検討いたしましたが、民間の企業がこれに半分の責任を持って、そして参画し、これを実行していけるということであれば、これは当然地方開発のためにこれをなすべきであるという判断のもとに、一昨年の四月にこれが認可をいたしたような次第でございますが、ただいま申し上げましたような経緯をたどって、だんだん技術的に困難性が増してきたというような情勢の変化もございまして、そういうふうな関係でございましょう、三菱グループから、このむつ製鉄についてはもう手を引きたいという公式の表明があった次第でございます。そういうことで、三菱グループが技術並びに資本も持って、これに参画してくださるということを前提条件として認可をいたしたような次第もございますために、これが今後これ以上進行さすことが非常に困難な事情にあるということを年末に閣議に報告いたしまして、しかし、これは政治的に相当重大な問題でございますので、党その他とよく連絡をして今後の方針を決定していきたい、かように閣議に報告いたしたような次第でございます。
○田中(織)委員 もうちょっと、答弁はいただかなくてけっこうですから、 総理、私もこれで質問を終わりますけれども、新産都市、工業開発地区の問題につきましては、今後これを進めていく上において非常な問題があることは、総理もおわかりになったと思うのです。そこで、ここでやはり一歩下がった立場で考えてやらなければ、これは不親切だと私は思うのです。その意味で、特にここで野党から質問しておることに、その場のがれな答えをしたらいいというお考えは私はないと思いますけれども、真剣にひとつ考えてやっていただかなければこれはたいへんなことになるということで、ひとつ閣内の各セクションをまとめて再検討していただくことを希望しておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 別に答弁は要求されないようでありますが、最近の国内の情勢を見ますときに、地域格差を是正するということ、私どもはこれはぜひしたいという観点に立っております。一方で過密都市、東京、大阪等の過大都市、これが、しばしば申し上げますごとく、過大都市の利益よりもただいまは弊害が出てきておる。しかも、その格差が非常に大きくなっておる。地方開発は、そういう意味におきまして、いま非常な政治的な問題だと私は考えております。したがいまして、先ほど来お話しになり、また御指摘になりましたように、たいへん困難な仕事には違いありませんが、私は、今日の日本経済そのものは、この程度の計画は、時をかしていただくならば、たとえば十年計画ならば四千数百億、一年ずつ出していく、しかもそれが民間と政府とお互いに協力し合ってやっていく、こういうようなことを考えてみると、必ずしもむずかしいことではない。また、これはやらなければならないことだ。この地域格差の問題が、たとえば岡山県の県南と県北、こういう御批判がございます。しかし、今日国全体として見たときに、もっと大きな地方のひずみといいますか、地方の後退があるわけです。したがいまして、過密都市対策、これと真剣に取り組むと同時に、地方開発につきましてもあらゆるくふうをいたしまして進めてまいりたいと思います。これは、所管が経済企画庁、こういう立場ですが、もちろん、各省関係が協力して初めてこの計画を実施できるものだ、かように考えますので、私、楽観はいたしておりません、一つの課題だ、かように考えまして、これと真剣に取り組んでいくつもりでございます。どうかひとつ御協力のほどをお願いをしておきます。
○青木委員長 これにて田中織之進君の質疑は終了いたしました。 去る二月一日、当委員会における中期経済計画に関する横路節雄君の質疑に対する政府の説明にはやや明確を欠く点もあったようでありますので、この際、あらためて高橋経済企画庁長官から説明を願います。高橋経済企画庁長官。
○高橋(衛)国務大臣 先般の横路委員の御質疑に対して答弁を申し上げました次第でございますが、その際の答弁について明確を欠く点があるということで、もう一度答弁をという御指示でございますので、お答え申し上げます。 政府は、去る一月二十二日の閣議で、中期経済計画を、昭和三十九年度から四十三年度におけるところの経済運営の基本的な考え方として決定をいたしました。中期経済計画は、国際収支の均衡と物価の安定を計画策定の基本的条件とし、経常収支が四十三年度に均衡し、消費者物価が期間中年平均二・五%の上昇にとどまるよう、各種の経済活動を調整し、この基本的条件を達成するため、必要な斉合性のある経済政策を策定いたしたものでございます。今後具体的な政策運営にあたっては、特に社会開発などに留意しつつ、内外の経済及び社会環境の変化に応じて弾力的に対処していくことといたしたいと存じます。 消費者物価につきましては、諸般の政策を実施して、この計画の目標を達成するようあらゆる努力を傾注してまいりたいと存じます。
○青木委員長 ただいまの問題につきまして、横路君の質疑を許しますが、理事会の申し合わせにより、持ち時間は三十分でありますから、御了承を願います。 横路節雄君。
○横路委員 まず総理にお尋ねをしますが、この間の総理の御答弁を、私もいろいろ速記で拝見をしたわけです。拝見をいたしますと、いろいろ誤解を生む点がたくさんございます。たとえば「数字にとらわれておるものじゃないということを申すわけなんです。」こう言っているわけです。しかし、いまの企画庁長官の御説明で、この中期経済計画の基本になっているものは、計画の基本的条件というのは、もう私が申し上げるまでもなく二つです。 一つは、昭和四十三年度の国際収支の経常収支の均衡を保つということ、それは具体的に数字で出ているわけです。が、もう私は時間がありませんから申し上げませんが、総理はごらんになっていると思う。 もう一つの問題は、消費者物価の三十九年度以降四十三年度まで年率二・五%でいくということ、それが基本的条件なんだ。それが経済の安定成長なんだ、そういう考え方のもとに経済成長率は年度平均実質八・一%と見込んでいる。これが私は具体的な数字だと思う。この点については、総理は御異議ないと思うのですが、私は、この間の総理の御答弁のところで、数字にとらわれているものではありませんと、こう言うから、何かこの計画全体が基本的な数字がくずれてしまったのでは、私たちは中期経済計画は閣議決定をなすって国会に出されても、御遠慮してはどうかと、こう思うので、その点をやはり明らかにしないと、非常に誤解を招くと思うのです。私、たんねに総理の御答弁を速記で読んだわけで、この際あらためて総理から明らかにして、誤解であれば、言い足りない点があれば言い足りない点、こういう点をはっきりさしていただきたいと思うわけです。
○佐藤内閣総理大臣 この間、横路君のお尋ねで、私ややこんがらかっていたお尋ねだと思いました。そのために誤解を生じておるようですが、そのこんがらかったと申しますのは、中期経済計画と来年度の予算、その関係に私自身やや誤解しておるものがあったかもわかりません。中期経済計画そのものは、ただいま高橋長官からも説明し、また横路さんが御指摘のとおり、これははっきり数字そのものを明示しておるものであります。これに前書きのついていることは御了承だと思います。 ただいま、中期経済計画そのものが、四十三年、この基点において国際収支を安定さすというか。収支バランスをとらす、こういう観点でこの計画を立てておる。それには数字があることはもちろんでございます。問題は、ここに書かれている数字、これを計画内容そのものが実施される、こういうわけのものではない。政府がこれを実現するためにどういうくふうをするか、またいかなる対策を立てていくか、これが大事なことだと思います。私どもは、この中期経済計画を前書きを含めての閣議決定をいたしたものでありますから、そういう意味において、これを全然無視するわけのものではありません。もちろん、これは目標の数字である、そのことも御了承はいただけると思います。これをいかにして実現するか、こういう点に私どもがこれからのくふうを要する、かように私は考えております。 ただいま重ねて申し上げますが、中期経済計画そのものと四十年度の予算と、この間に私は両者をこんがらかして説明した。この点を明確にいたしておきます。
○横路委員 それでは総理にお尋ねしますが、中期経済計画の中に盛られている数字は、必ずしもそれにこだわるものではない、弾力的なひとつ幅を持ってやるのだ、こういう意味でございますか。その点、明らかにしてもらいたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 これは、弾力的にやるというわけでなくて、この目標を達成する、こういう立場に立ちまして、政府はこの中期経済計画を尊重してまいります。これは、しかし、計画経済、こういうものではございません。ただこれをやりますためには、政府が具体的な処置をとっていかなければならないだろう。それはいかなる処置をとるか、これは、それぞれの経済情勢に対応した処置をとっていく、かように申しておるのであります。
○横路委員 総理の私に対する御答弁の中に、私が速記を調べてみますと、「もちろんこの数字の中の公共投資やなんかは、今回の予算編成にあたりましても重要な指標であったことは、私は認めます。」また今度は前文で、公共投資は「適切かつ弾力的に行なう」とあります。こういうふうに書いてある。これは、ひとつ大蔵大臣に尋ねましょうかね、総理大臣に尋ねたほうがいいですかな。公共投資については、今回の予算編成にあたって重要な指標であったことは、私は認めます。ということは、私から数字を申し上げますが、この中期経済計画では十七兆八千億となっている。この十七兆八千億というこのワクは、きちっときめて昭和四十年度の公共投資の予算を組んだのか、それとも、これは指標だとして、十七兆八千億は弾力的に考えて、伸びるかもしれないと考えて、昭和四十年度の公共投資の予算を組んだのか、その点どうなっているのです。これは、まず総理から——数字については、あとで大蔵大臣に聞いてもいいですか、大蔵大臣は長々と数字を——私のほうは数字を持っているのだから、総理からお答えいただいたほうがいい。
○佐藤内閣総理大臣 公共投資十七兆八千億、これは四十年度予算を編成いたします際に、それぞれの公共投資計画——これは必ずしも中期経済計画を策定した期間と全然同一ではございませんが、これをそれぞれの期間に合わして考えてみますと、おおむねこれによっておる、かような状態でございます。
○横路委員 先ほどから中期経済計画の数字にとらわれないと言うが、十七兆八千億の数字は、私がきのう大蔵省の担当の課長を呼んだのです。具体的に数字を全部調べました。調べました結果、十七兆八千億は一つも動いていないのです。そうですね、大蔵大臣、それははっきりしてください。
○田中国務大臣 ちょっと私がお答えします。中期経済計画の中の数字は、もちろん三十九年から四十三年までの指標であるということは、事実であります。しかし、四十年度の予算を組みますときに、新しい五カ年計画等ができたわけでありますが、これはできるだけ中期経済計画の数字を守っていきたいという基本的な考え方でやりました。結論的には、おおむね中期経済計画の……。(横路委員「いやおおむねではなしに、十七兆八千億はどうだということを聞いておる。中身じゃない。」と呼ぶ)十七兆八千億を、中期経済計画は三十九年から四十三年まででありますから、これを四十年を起点にして組んだ場合、大体この中期経済計画の数字に合っておるということは事実であります。
○横路委員 では大蔵大臣、私は三十分という時間を切られているから申し上げておるのですが、きのう私のところに課長が二人、主計官が一人来ているのです。あなたに言っておきなさいと言ったのです。ここで数字を聞くのではなくて、私がきょうは聞いておくから、大蔵大臣に言っておいてくれよと言っておる。十七兆八千億の数字は動いてないのですよ。ただ、あなたがいま言っているのは、港湾の五千五百億、それを三十九年から四十三年を、四十年から四十四年にしたのです。そこの動きがある。それから治山治水の九千億をプラス一千五百億ふやしたが、それは調整費の二千億の中でまかなうから、全体の十七兆八千億は動いてないのですよ。このことを言っておるのです。だから、数字のことを言っているのだから、大体同じですよ。そうしてその中の一環として、昭和四十年度の公共投資は六千九百二十六億九千百万だ、そういうように私はきのうたんねんに何時間もかかって聞いたのだから。十七兆八千億は変わってないでしょう、企画庁長官、あなたでもいい、あなた答弁してください。そのほうがはっきりしていい。長々とした説明はやめて。
○高橋(衛)国務大臣 御指摘のとおり、年度の差はございますが、十七兆八千億の数字は、今回五カ年計画等を決定します際に、その数字とは十分に突き合うことに相なっておるわけでございます。
○横路委員 それではその次、公共投資の問題はだいぶ与党で問題になっていまして、私は新聞でも承知しておるのです。野田さんがいれば、いまの答弁には承知しないだろうと思うが、野田さんはきょうは幸いいないから……。公共投資のワクは伸びていないとということは、これではっきりした。 さて、物価の問題です。私は、まず企画庁長官にお尋ねしたい。二・五%で三十九年から四十三年までいったときに、三十八年を一〇〇にした場合に、四十三年の物価の指数は幾らになりますかね。幾ら上がりますか。 それからもうすでに三十九年は四・八%、それから四十年は四・五%いっておるから、四・五%平均でいった場合どうなるか。さあ向坂さん、ひとつしっかりやって、早く数字を出してください。あなた専門家だ。さっきから言ってあるじゃないか。私はできるだけ前もって言ってあるのですよ、物価のことをやるからと言って……。 向こうで計算しておる問に、総理にお尋ねいたします。総理、この間もお聞きをしましたが、あなた、二・五%で三十九、四十、四十一、四十二、四十三といけますか。すでに三十九年は四・八、四十年は四・五、都市銀行では七%ないし六・六%と見ている。そうすれば、四十一年から物価は横ばいにするか、あるいは上がっても、この前私が指摘をしたように、一%でなければならぬ。 そこで、私は総理にお尋ねをしたいのです。もうこの物価上昇の二・五%は自信がございませんならございません、この基本的な数字はくずれてだめならだめです、来年やれるならやれる、絶対やる、絶対来年やるならば、四十一年は物価の上昇は横ばいでいく、あるいは一%で押えることができる、その点を、いま向こうで計算してもらっている間に、ひとつぜひお尋ねをしたいのです。——いま総理に聞いておるのです。政治的な発言ですよ。きのう民社の西村君だって言ったように、これは経済問題だけれども、社会問題であり、政治問題なんです。——じゃ長官やりなさい。あなた長々やっちゃだめだよ。
○高橋(衛)国務大臣 お答え申し上げます。 御指摘のとおり、昭和三十九年度が、ただいまの見通しが四・八%に相なっております。しこうして四十年度につきましては、四・五%の上昇を見込んでおるわけでございます。したがって、四十一年度から四十三年度に残された部分は年率一・二%ずつということに相なるわけでございます。 ところで、先ほど来御説明申し上げておりますとおり、私どもは物価の安定を前提条件として、これに向かってあらゆる努力を傾注していく、こういうふうに基本的な条件として申し上げておるわけでございます。しこうして、それじゃ一体昭和三十九年度において四・八%になったということはどういうことかということでございますが、これは、当初見通しが実質七%と見ておりましたのが、結果としては九・四というふうな相当な成長率になったことは——これはまだ見通しの段階ではございますが、その程度にいくような状況になってきたことは、御承知のとおりだと存じます。なおまた、この物価の問題については、前年度または前々年度からの影響がだんだんと残っておりまして、その年度だけを隔絶して考えるということは、非常に困難だという事情もございます。そういうことで、基本的な経済の条件が変わってまいりましたために、そういうふうに四・八になったということでございます。 なおまた、四十年度につきましては、これは目標は二・五%でございますけれども、実際経済の実態をながめてみまして、非常な努力をいたしまして、結局四・五%に縮め得るであろうという考えで、四・五%という目標を立てたわけでございます。
○横路委員 そこで総理に——いま数字は向こうで企画庁でやってもらう。いやいいのです、数字は。だけれども、私は総理に聞きたいのは、これほど重要な問題、来年から一体物価が横ばいでいけるのか、上がっても一%程度でいけるのかということについては、やはり総理として一体どれだけの決意を持っておやりになるのか、その点、私は総理としての決断といいますか、それをひとつお聞きをしておきたいのです。
○佐藤内閣総理大臣 この点は、この前横路君のお尋ねに対して、たいへんむずかしいことだということをお答えいたしました。しかし、私どもが今日取り組んでおることは、いわゆる経済を安定成長へ持っていくということです。これもなかなかむずかしいことなんです。経済が安定成長になるならば、これは必ず物価も安定する、かような状態でございますから、私どもは、非常に困難なことではあるが最善を尽くしてみたい、かように申しておったのでございます。きょうも変わりはございません。
○横路委員 今度おきめになった中期経済計画の前文で、農業の近代化、中小企業の近代化というものに非常に重点を置いている。これは日本が二重構造になつっているからだ。西ヨーロッパの諸国のように、二重構造是正という課題を持たない諸国においてすら——私はいまここにイギリス、西ドイツ、フランス、イタリア——まあイタリアはだいぶ上がっていますが、イギリス、西ドイツ等のものを持っています。アメリカももちろん持っております。こういう二重構造是正という議題を持たない諸国においてすら、この物価上昇率というのは、まあ大体二・五%から三%というものがいわゆる最下限にあると思われる。ところが、あなたのほうでおきめになった中期経済計画では、農業の近代化、中小企業の近代化、いわゆる二重構造の是正という課題と、総理の一枚看板の社会開発の構想ということ——しかも、この中期経済計画を流れているものは、依然として経済成長というものです。経済成長の持続なんです。これはその前文に書いてあるのですよ。経済成長のそれが続いていくのです。こういう課題を遂行しようという経済条件のもとで、いわゆる二・五%でいく。去年とことしが二・五%でいく、それがすでにもうこわれてしまって、来年からそれが横ばいでいく、上がっても一%でいくという、そのこと自体がすでに無理ではないか。二重構造の問題、首相の一枚看板の社会開発の問題、しかもいわゆる経済成長の持続という問題、そういう問題から考えれば、このことは私は非常に問題だと思う。ただ私は、きょうはここに与えられた時間がございませんから、他にもう一つ重要な問題を聞きたいから、私はそういう意味で非常にこの点は問題を将来に投げかけておきます。なお、この問題は、この本予算委員会を通じての重要な問題ですから、将来にわたってなお私は総理、大蔵大臣、企画庁長官との間に、われわれの同僚の委員の諸君が質疑をしていくと思うのです。 それじゃ、数字のほうを言ってください。
○向坂政府委員 三十八年度を基準にいたしまして、四十三年度まで二・五%で年率上がった場合には、一三・一%上昇ということになります。もし四・五で上がりましたら、二四・六%になります。
○横路委員 総理、いまお聞きのように、二.五%でいったら一三・一、四・五でいったら二四・六、結局物価はどういうようになっているかというと、逆にいえば、物価は極端にいえば倍率というものは二倍に上がっていくわけです。倍率はですね。しかもこのために何が変わってくるか、公共投資が変わってくるのですよ。さらにその次何が変わるのです。この中期経済計画の中にきめている基本的なものがみんな変わってくるではありませんか。この中にありますところのいわゆる国民消費、個人消費支出の問題も変わってくる。それから公共投資のことだって変わってくる。民間の設備投資のことだって変わってくる。だから、そういう意味で、この物価の問題は、やはり政府がこういうようにきめた以上は、非常な決意でやらなければならぬ。しかし、いままで私がお聞きをしたところでは、どうも皆さん自信がない。総理、重ねてお尋ねしますが、いや私は絶対、横路君自信がある、絶対来年から横ばいだ、上げたって一%だ、もしもそうおっしゃるならば、重ねてひとつお答えをしておいていただきたい。もしもあまり自信がなければ、お立ちにならなくてもけっこうです。(笑声)いや、ほんとうです。これは非常に問題なんですからね。これは予算の理事会できまったことですから、私はそれに従ってきょうは質疑をしますが、これは非常に重要な問題です。 そこで次、総理にぜひお聞きをしておきたいのです。この間、山花委員の質問で公債発行をお尋ねしたときに、総理は、現状におきましては私はやらないと答えている。現状においては、そうお答えになった。私は速記を持ってきているのです。私はここに速記を持っている。現状におきましては私はやらない、かようにお答えしておきます。現状においては、と重ねて言っている。そこで私は、現状においてはやらないと言うならば、どんな状態になれば公債発行はする、こういうのですか。現状においてはやらないと言うならば、どんな状態になれば公債発行をやる、こうおっしゃるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
○佐藤内閣総理大臣 お読になったから御承知だと思いますが、中期経済計画の四十三年、それまではやらないということははっきりいたしております。これでお答えになるかと思っております。
○横路委員 私は、この間の山花委員の質問で、きょう総理がどうお答えするだろう、こう思っていたのです。いま総理がおっしゃったように、中期経済計画の「財政金融政策の基本的態度」の、ここの「民間資金の活用に関連して公債の発行が問題となろうが、新たな長期内国債については、民間の資金需要が強く、公社債市場の育成などに努めるとしても、公債発行のための諸条件が整備されるまでには至らないであろうこと、また日本経済の体質からみて、公債発行の与える心理的影響を視無できないこと等を考えれば、この計画期間中に発行することは適当でないと考えられる。」そこで、いま総理がこの中期経済計画中には絶対しない、こうおっしゃったわけです。私どもは、それはそういうように承っておきます。ただしかし、総理、私はそのことはそれで承っておきますが、現状においては、それでわかりました。しかし、どんな状態になれば公債発行をなさるのかということは、私はこういう状態になってくれば公債発行ということも考えなければならぬだろうという、そういう点については、総理としては何かお考えがあれば、この際お聞かせをいただきたいし、いや四十三年までやらぬ、こう言うならば、いま四十年、四十一年、四十二年、四十三年というと、そのうち衆議院の総選挙もありますし、それからいろいろございますから、まあ大体在任中は絶対やらぬ、こういうことになる、そういうことでしょうか。(笑声)そういうことでしょうか、そうですか。
○佐藤内閣総理大臣 いろいろありますので、議論をしたくありませんし、四十三年までやらないということを申せば、これではっきりお答えが出た、かように思います。
○横路委員 私は、物価問題についてもっと時間をかけてお尋ねをしたいし、そのことが国民の期待、要望にこたえる道だ、こう思いましたが、先ほど委員長から理事会の申し合わせとして三十分と、こう言われておりますので、以上で私の質問を終わります。
○青木委員長 次会は明六日午前十時より開会いたします。 明日の質疑者は、午前大原亨君、午後石橋政嗣君であります。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十分散会