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48回国会衆議院1965/02/02

予算委員会 第3号

発言数
98
登壇者
5
会派数
2
開催日
1965/02/02

会議録

青木正自由民主党

○青木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度一般会計予算、昭和四十年度特別会計予算、昭和四十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  山花秀雄君。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 私は、昨日の横路委員に引き続き、社会党を代表して、佐藤総理はじめ関係各大臣に昭和四十年度予算案について若干質問をいたします。質問時間が理事間の申し合わせにより制限されておりますので、答弁は簡明にお願いいたします。  けさ長崎県佐世保市に、昨年十一月十二日に寄港した原子力潜水艦と同じシードラゴン号、艦長はグセイ海軍中佐、二千三百六十トンが、二日から五日までの予定で現在佐世保港米軍施設A水域内第一ブイに係留されたと伝えられておりますが、われわれは、たびたび政府に警告しておりますように、現在のアジア関係を考えるとき、米原子力潜水艦の日本寄港は百害あって一利なしと存じ、拒絶することが賢明なる措置であると申し入れをしたのでありますが、総理はいかにお考えでございましょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  安全保障条約地位協定第五条によりまして、米国軍艦、これは日本に寄港することができるということになっております。またこれが安全性につきましては、科学技術庁を中心に学者を動員し、モニタリングその他を実施しておりますが、今日まで私どもはその安全を確信しておりますので、ただいま、けさ入ってきた、そういうような状況になっております。別に私どもは断わるつもりはございません。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 総理は安全性を確信しておるというような、そういう答弁でありましたが、これは後ほどお聞きいたします。  総理は、先般アメリカを訪問されて、ジョンソン大統領との会談で、南ベトナムの支援を懇請されたと伝えられておりますが、これは事実ですか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 援助を懇請されたというのはどういう意味ですか。別に軍事的な協力を求めるとか、かような話は全然ございませんでした。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 日本の立場が立場であり、軍事的な援助というような、そういうばかなことは私は向こうも要請しないだろうと思います。アメリカ第七艦隊に付随して動くところの原子力潜水艦は、核兵器を装備できる、俗にいう核兵器の潜水艦であります。私どもは、こういう艦隊には反対をしております。また軍事的には、アメリカは現在御承知のように南ベトナム軍援助を共同作戦で行なっておる以上、単にこれは南北のベトナムの内戦とか局地戦と見るわけにはまいりません。いつ発展、拡大されるやもわからない。もしアジア全域に発展された場合、原子力潜水艦のたびたびの日本の寄港、言いかえれば軍事基地、こういうような状態が続く限り、日本の立場は一体どうなるであろうかということをわれわれは憂慮しておりますが、総理はいかがお考えになっておりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私は、日米安保条約によりまして、日本の安全並びに極東の平和に関して協力を得ておる、かように考えておりますので、ただいま言われるような事態、その心配は私はしておりません。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ずいぶん楽天的な御答弁でありますが、またアメリカの極東における軍事作戦は中国封じ込め政策の一環であることは、これはもう既定の事実であります。総理のただいまの答弁だと、この政策にわが日本が協力することになりますが、総理は、対中国政策には前向きの姿勢でこれを解決の方向にいきたいとたびたび言明されておりますが、それではかえって後退をして、中国敵視政策を一歩も改めていないとわれわれは考えますが、日本国民の最もおそれることはこのことであります。私どもは、お隣とは仲よく、たとえ思想が違っても、善隣友好の関係を推進していきたいと考えておりますが、いかがなものでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ただいま山花君御指摘のごとく、たとえ思想は異なっておりましても、隣国、隣人とは仲よくしていきたい、平和を保っていきたい、これは私どもの念願でもあります。この点では、山花君と同じ所見を持っております。ただいま、あるいは敵視政策、あるいは封じ込め政策ということを御指摘になりましたが、私は、数次にわたって、敵視政策はとらない、こういうことを申しております。ただいま申しますように、隣国、隣人として仲よくしていく、これが敵視政策でないことは御了承いただけるだろうと思います。アメリカの封じ込め政策というもの、これに日本が同調しているのか、かように考えますと、今日までの日本の態度は、これはもうはっきりアメリカと一緒ではないということはおわかりだと思います。これは、私どもが共同声明、共同コミュニケにおきましても明らかにしたとおりであります。ただ私は、ここで別にアメリカを弁護するつもりはございませんけれども、封じ込め政策というものをアメリカがとっているものについてよくアメリカの意向を聞いてみますと、軍事力の膨張に対して軍事的な封鎖をする、その封じ込めだ、軍事力に対する軍事力の封じ込めだ、それより以上のこと、それ以外のことは全然アメリカも考えていない、かようにはっきり申しておりますので、この封じ込め政策ということが何だか非常な完全封鎖ででもあるかのようにとっておる向きがございますので、この機会に私はそれを明確にしておきたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 総理がいま言われましたように、アメリカは軍事力に対する軍事力の相対関係だ、決して中国に対して敵視政策だのあるいは封鎖行為でないというような釈明的弁明がございましたが、私は私でその意見には反対であります。しかし、ここで反対論をぶってもしかたがございませんので、総理の考え方に私どもは同調できない、むしろ反対的考えを持っておるということだけを明らかにしておきたいと思います。  今日、日本国民が最もおそれておりますことは、放射能の被害であります。政府はアメリカ側の言明を無条件に信用いたしまして、絶対そんなことはあり得ないと、たびたび本院においても、これは外務大臣、防衛庁長官、また総理大臣も言われておるのであります。ほんとうに今日でも原子力潜水艦の絶対安全性を信じておられるのかどうか。日本は日本の特殊な立場から、これらの問題について安全性の保障の研究なり調査なりを行なったかどうかということをお聞きしたいのです。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 科学技術庁長官からお答えさすのがいいかと思いますが、今日まで私どもがモニタリングその他をいたしましたその資料では、放射能の増加というものはございません。これはもうはっきり言い得ると思います。もちろんその構造上においても安全性というものが確保されておるか、こういう点も同時に——今日放射能は出しておらなくとも、その原子力潜水艦の安全性が確保されていないと、そこで放射能が出てくるという心配があるようでございますが、これは数次にわたりアメリカの原子力委員会が国会において証言しておる。これを私どもは信頼しておる。また必要があれば、当方におきましていろいろ調査をいたしましたその結果などもお聞き取りをいただきたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 総理のただいまの御答弁は、アメリカの原子力委員会においてもたびたび調査の結果、懸念ない、こう断言されておりますが、私は反駁するつもりではございませんが、アメリカ議会の合同原子力委員会で、これは一月九日であります、つい最近であります。一九六三年四月十日に起きた米原子力潜水艦スレッシャー号の沈没事件についての証言を発表しております。建造の実際と基準が安全性の見地から見て十分でなかったことを指摘しております。この発表によりますと、何人かの証人が、米原子力潜水艦の創設を急ぐ圧力のために各種の欠陥を生じたと指摘しております。発表は、沈没の明確な原因は不明としておりますが、船体の表面から内部に入る導管——深く潜水した場合きわめて強く水圧を受ける——を接続する方法に疑惑の焦点をしぼっておりますが、原潜の父といわれておりますリコーバー中将は次のように証言しております。近年、原潜及び通常潜水艦数隻が、設計、建造の不備、原料の使用のまずさなどによってあぶなく沈没しそうになった、スレッシャー号の非核部門の導管の接合個所の幾つかはオーバーホールの後最後の航海に先立って点検されたが、導管の状態が点検された個所のそれと似たものだとすると、同艦が最後に出航した際に、基準以下の接合個所が数百もあったかどうかということになる。また海軍省艦船次長カーツ少将は、原子力潜水艦の設計について、攻撃と防衛の能力の強化を急ぎ過ぎて、確かに安全性の問題についてこれに追いつかなかったと証言しておりますが、これは、権威ある米国の合同原子力委員会における、国会における証言であります。こういう証言が本家のアメリカにおいて行なわれておりますのに、なお日本の総理大臣は、安全性の確保を御信頼なすっておられるかどうか、もう一ぺんお伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 山花さんが最初御質問になりましたように、問題は原子力潜水艦、この推力あるいはこの構造上の問題ということもさることですが、放射能が一体どう出ているか、放射能の影響がいかになっているか、これが問題なんだと思います。その意味において、先ほど来申し上げているのは、原子力委員会の報道というものはこれは別なんだ、その点はただいま御指摘になりましたように、この欠陥が原子炉自身についての問題なのか、それ以外の原因なのか、こういうところに問題があるのでございまして、これは別に放射能と関係のないことなんです。現にスレッシャー号が沈んだのはそのとおりでございますが、これが全然沈まないでいるなら問題はございませんけれども、沈むことがある。その沈んだ場合に放射能が一体いかになるか、これが科学的に私どもが問題にすることなんです。あるいは原水力潜水艦がどこかと衝突した、そういう場合に放射能を発散するかどうか、それが問題なんです。この点はよくおわかりだと思いながらも、ただいまのようなお尋ねをしていらっしゃるのだと思います。私は、それが科学的な分析の方法であり、これは望ましいことだ、かように思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 アメリカの原子力委員会は、この船の構造上の欠陥を指摘しておるのであります。構造上の欠陥があれば当然沈没の原因にもなり、また沈没でなくても衝突ということもあるのです。これは総理もよく御存じだと思いますが、本年一月十日、アメリカ国防省において発表いたしましたところによりますと、米海軍の原子力潜水艦イーサン・アレン号が、同日朝、地中海でノルウエーの貨物船オクタビアンと衝突した、これが発表されております。幸いこの衝突は正面衝突ではなくして、すれ違い程度の小衝突でございましたから、双方とも被害がほとんどなかったのが不幸中の幸いでございましたが、イーサン・アレン号はポラリスミサイルを積載していると公式発表したのでございます。この公文は次のとおり。米海軍潜水艦イーサン・アレン号は地中海における通常の移動中、ノルウエー貨物船オクタビンと小衝突をした、損害はほとんどなく、双方とも相互に船籍確認の後、それぞれ予定の航海を続けた、こういう発表であります。これは不幸中の幸いでございます。移動ということばが使われておることは、イーサン・アレンは地中海での普通のパトロールなく、スコットランドのホリー・ロッホ基地へ帰還中であったかもしれないのであります。いま佐世保に、あるいは横須賀に来るかもわかりませんが、こういう航海中に衝突が絶対ないということは、神さまでなければ私は言えないと思うのであります。同艦は潜望鏡使用可能の深度であったことがはっきりしたのであります。衝突地点は地中海の西側といわれておりますが、万一そういう事故が起きたときに一体どうなるか。ないとははっきり言えません。これで安全性が確認されたと御答弁なさるのは少し早計ではなかろうかと思いますが、いかがなものでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 原子力潜水艦もいろいろの事故を起こす、それは御指摘のとおりであります。あるいは衝突あるいは沈没その他またあるだろうと思います。問題は、そういう場合に放射能というものを私どもは非常に心配しておる。放射能がどういう結果になるだろうか、これがただいまのところで議論の焦点になっておる。もしも放射能の危険がないなら、これは普通の推力として原子力を使っておる船だ、かようにも考えられるわけであります。私どもは、かような場合に原子炉が放射能を発散しないのだ、かようなことを考えて、皆さんの御協賛も経て原子力を推力にする観測船も日本でつくるようになっております。そのことは御了承いただいていいのではないか。もちろん私は、原子力潜水艦が全然事故をやらない、かように申すわけではありません。もちろんあちらへぶつかったり、あるいは沈むこともございましょう。しかしながら問題は、われわれの一番心配しておる放射能がそういうときにはどういうことになるのか、これが一番問題なんだ。また通常航行におきましても、この原子力潜水艦が廃棄する廃棄物、それによって海水は汚染されないかとか、あるいは魚族に対してどういう影響があるとか、これが実は問題なんです。今日まで議論されておるのはその点に集中されておる。しかし、これはモニタリングその他におきましても、過去の一回の入港ではそういう危険がない、こういうことを私どもは説明することができる、かようなことを申しておるわけでございます。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 これからの船は原子力によって動かされるということはわれわれも否定しておりません。今度の原潜の問題は、やはり核兵器の問題に関連してわれわれは問題にしておるのであります。衝突も場合によればあり得る、沈没も場合によればあり得る。それにもし核兵器が積載されておるといたしますと一体どうなるかという点であります。今度佐世保に入った原潜は核兵器を積んでないという確認が日本政府の手で調査できるかできないかという点であります。私は、おそらく日本政府の手ではできないのではないかと思うのです。ただアメリカの言明だけを信用しておると思います。幸いノルウエーの貨物船と衝突したのは小衝突であったから、あれは無事におさまったのです。ちゃんと積んでいたのです。これは公式文書でも発表しております。これが真正面の大衝突であったら一体どうなるかという問題であります。こういう点についてなお政府は安全性を確認して入港をしばしば許す所存でありますか。私は、この際思い切ってアメリカに対して、日本国民の総意として、こういう船をよこしてもらったら困ると拒絶するのが、日本の政府の総理大臣としての大きな役割りだろうと考えますが、総理はいかがお考えになりますか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 安全保障条約で、核兵器、核武装、そういうことについては事前協議の対象になる、私かように考えております。そういうことになれば、そういう際にわが国の態度をはっきりさすということであります。ただいま原子力潜水艦の入港を拒絶するとか、そういう筋のものではない。ここは社会党の皆さまも十分御了承のいくように、筋の立ったことをやるようにひとつ御協力願いたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 筋を立てれば、断わるべきであります。日本の憲法の精神から申しましても、筋を立てれば断わるべきであります。筋が立ってないから私どもは究明をしておるのであります。また、国民も非常にこの問題について不安を感じておるのであります。国民に不安を感じさせ、筋の立たないことをやって、そしててん然としておる、私はそのあなたの心境をたいへん不愉快に感ずるのであります。しかし、これ以上この問題を論議していてもしかたがございません。いずれ、わが党から現地に委員も参っておりまして、帰ってまいりましたならばあらためてこの問題につきまして総理に質問するだろうと思いますので、一応この問題は私はこれで打ち切りたいと思います。  次にお尋ね申し上げたいことは、高度経済成長政策は、その主張する所得倍増より、かえって物価の高騰の結果を招来して、これが大きなひずみとなって三悪を倍増させました。これは単にひずみという程度のものではございません。重い病気、前ガン症状ならぬ重症であります。しかも、ばれものができて化膿しておるというのが、今日の日本の状態であります。政府のいう開放体制への移行とか自由化とかに刺激され、大企業が無計画、無政府的な設備の拡大を行なったことであります。これを政府が指導してまいりました。そして今日のこのひずみ、欠陥が出てまいりました。しかも、この経済成長は、主として銀行の貸し出し、信用のつくり出し、オーバーローン、日銀券の異常な膨張、手形の乱発という、インフレ、信用の膨張で行なわれたのであります。こうして生産は増加し、輸出もふえ、個人消費も伸びたと、表面的な好況をうたっておられますけれども、その反面をひとつ十分見てもらいたいのであります。過剰生産、十八兆といわれる手形の乱発、不渡りの続出、企業の倒産、収益の低下、株式市場の不振という現象があらわれてきておることは否定できません。好況と不況、インフレとデフレが共存するという、全くゆがんだ経済が生まれてきておるのであります。この影響を受け、一般国民は、高い物価と高い税金、交通事故や犯罪の増加、あるいは公害の発生などで苦しんでおります。社会開発なる構想は、この池田内閣の失政を正すという考え方で生まれたものであろうといっておられますが、こういう姿勢で四十年度予算を編成したと理解してよろしいのですか、この点を御説明を願います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、高度経済成長政策、これはそれなりにりっぱな効果をおさめてきたと思います。今日の繁栄、これは今日までの政策が当を得たこと、また完全就労、こういうものも実現し、またその所得もふえてきておる。しかし、わが国の所得自身はまだまだ低い程度であります。あるいは国民総所得は非常に伸びてまいりましたけれども、一人当たりの所得とすれば、まだ六百ドルになかなかならないのじゃないかと思います。そういたしますと、この高度経済成長によって日本の地位が高まったとは申しますが、まだまだ国民生活としてはもっと伸ばしていきたいと思う。しかしながら、その際に、ただいま山花さんが御指摘になりましたような事態が次々に起こってきた、ここで、いわゆるひずみを生じたからわれわれはそのひずみを是正していく、こういう考え方をしておる。これが今回中期経済計画を策定したゆえんでもあります。御承知のように、一昨年末から高度経済成長の行き過ぎというものに対してブレーキをかける、かような意味で金融の引き締め政策をとってまいりました。それと同時に、中期経済計画を策定しよう、こういうとこで一応の指針をつくる、こういうことで作業を始めたのでございます。したがいまして、政府は手放しで今日の状態を放任しておる、こういう状態ではなかった。池田内閣におきましても、すでにそのひずみの拡大しておるそういう事態と真剣に取り組んでいかなければ本来の高度経済成長そのものに対しての批判すら起こる、かように考えてきたのであります。ただいま私どももこのひずみと真剣に取り組んでいく。ただいま御指摘になりましたような、片一方で物価高、それにみんな悩んでおるし、また同時に、片一方で信用の膨張を来たした、それが引き締めによる倒産等をも招いてきておる。最近の経済状態はたいへん困難な状態に当面しております。これが中期経済計画を策定せざるを得ない状態になったゆえんだ、かように私は考えております。今日私どもがもう一度過去の政策について反省をしてみる、そうして反省をしてみた結果が、これはやはり社会開発の理念を取り入れることだ、また人間尊重の立場に立って、このひずみ解消に真剣に取り組んでいく、これが必要だ、かように私は考えておるわけでございます。在来の方針自身がこれは誤っていたというだけでは説明はつかない。もちろん、そこにも考え方の十分のものがなかったということは言えるかわかりませんが、私は、これが誤っていた、かように断定することは非常な早計だと思っております。また、私は、今日におきましてもなお個人当たりの所得の増加をはかるという意味で、さらに経済は成長させていかなければならない、かように考えますが、ただ、今までのようなその軌道に乗ってその軌道の上を走っていく経済成長政策、これは改めなければならぬだろう、それでただいま申し上げます社会開発の理念なりあるいは個人尊重の考え方で真剣に取り組んでいく。ただいま当面する問題としては、物価高あるいは不況感というものをなくしていくような、そういう方向で真剣に取り組んでいく。そのためには、何といたしましても経済を安定基調にのせることが大事でございます。そういう意味で、各省におきましても最善の努力を尽くしておるというのが現状でございます。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 理事間の申し合わせ時間を守りたいと思いますので、答弁のほうは、お説教でなくして、簡潔にお願いしたいと思います。  高度経済成長政策は、私は全くの借金政策と考えております。あなたがいま自画自賛されておりましたが、たとえば日銀のオーバーローン、通貨の増発を進められてきました。一九五六年から六二年の日本の通貨供給の増加は、年平均一四・九%であります。これはアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツに比べてはるかに大きいのであります。インフレと社会不安に悩む台湾一七・六%、韓国二〇・六%、こういう型に似ておるのであります。日本の実情は台湾や韓国に似ておるのであります。これでは物価が上がるのはあたりまえであります。要するに、物の経済でなく、値金の経済を今日までやってこられたのであります。経済の成長が、体内の清浄な血液でなくして、外からよごれた黄色い血によって輸血されたのと同じことであります。だから、悪性のはれものが出て、異常な体質になっておるのであります。私は、体内のあらゆる機能を正常化してそこから造血するというような、そういう成長でなくてはならぬと考えております。ところが、今度の予算は、この異常体質を改めるということから出発したはずであるのに、相変わらずの借金政策であります。特に財政投融資は、前年に比べて二〇・九%の増加であります。前年度さえ異常な増加だといわれているが、これを上回っております。全くの常識を飛びこえたやり方であります。  そのよい一例といたしまして、原資計画の中で、厚生年金の資金が三十九年度より一千八十億円もふえております。これは厚生年金法の改正という前提の見込みでありますが、この法律の改正はいろいろと問題があります。はたして法改正が順調に成立するかどうかが疑問であります。もし厚生年金法の改正が成立しない場合、財政投融資の原資調達に大きな穴があくではありませんか。この場合どうしてそれを埋めるのでありますか、これをお聞きしたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 法律はぜひとも成立をさしていただきたいと考えております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 不備の法案を出して、成立さしたいとお考えになっても、野党が厳存しておる限り、なかなかそうはまいらぬというのが実情であります。私は杞憂と申しましょう。しなかった場合に一体どうするか。あなたはこれをどうしても成立さしてもらいたい、しますと言ってがんばっておる。また乱闘国会でも始めて、多数横暴をやるつもりですか。それだったらできるかもわかりませんよ。話し合いでやろうといえば、条理に徹して、社会党の言うことももっともだ、これは法案提出が悪いということになりますと、やはりかわり財源を考えなくちゃならないじゃありませんか。どうですか。それとも、多数横暴で突っ走って通す確信で乗り切るつもりでありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国会の良識は、これを通過せしめていただけるという自信を持っております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 そうはいかないということだけを申し上げて、次の項目に移りましょう。  ことしの予算編成で政府はしきりに財源難、財源難ということを言っておるのであります。そして、食管会計の繰り入れを縮めるために、御案内の消費者米価の引き上げを行ないました。私は、この前の臨時国会の予算討論で、物価の中枢は米価であるから、これだけは上げてはいかぬ、こう強く申し上げたのであります。案の定、いかがですか、消費者米価が上がると、一般物価がどんどん上がってきたではありませんか。また、大衆に大きな迷惑をかける医療費の引き上げ、これに伴うまた予算措置をせぬで、これを患者負担あるいは保険料の引き上げをしようとしておるのであります。さらに、所得税の減税も、税制調査会の答申よりも九十億も規模を圧縮してしまったのであります。これらは、みな名目は財源難、財源難と言って大義名分をあなたのほうでは立てられておるのであります。私は大義名分とは考えておりませんが、あなたのほうではそういう見地でやっておられる。もしほんとうにそれほど財源難が切実であったならば、既定経費のうちで不急不要のものを大胆に削って、予算の節約あるいは機構の簡素化を行なって、でき得る限り国民へのしわ寄せを避けるべきではないか、こう思いますが、いかがなものでありましょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 四十年度の財源見通しは、御指摘のとおり、過去の年次のようにたくさんの自然増収を期待することはできない状態でございました。もちろん、経済が安定成長の過程に入ってくると、いままでのように自然増収を過大に見積もること自体がむずかしいのでありまして、正常な状態になりつつあるわけであります。乏しい財源の中から税制調査会の答申を上回る減税もいたしましたし、また、乏しい財源の中で重点的、効率的な投資を考えたわけであります。財源を無理につくったというような御意見でございますが、経常な収入をもって経常支出をまかなうという原則を貫いておることは御承知いただけると思います。それから、不要不急な経費を切り詰めろというお話でございますが、御指摘のとおり、答申に基づきまして、補助金の整理統合等を行ないまして、可能な限り整理を行ない、重点配分につとめたわけであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 田中大蔵大臣は、私の質問に対しまして、機構の簡素化というような点について明確な答弁がなかったようです。  私は総理にまたお尋ねしたいと思いますが、前の池田内閣、まあ池田さんでありますが、うそは申しません——というよりも、たびたび事あるごとに、うそは申しませんと言いながら、うそをついてまいったのでございます。佐藤総理も前任者にだいぶ似てきたようであります。社会開発は、ひずみを解消するという、そしていま、でき得る限り不急不要のものは節約する、こう言っております。ところが、実際には行政機関の水増しをやっているではありませんか。新国際航空公団とか、農村建設公団とか、公害防止事業団とかいうように、新しく六つも公団、公社を新設しておられる。総理の施政方針演説でも、臨時行政調査会の答申を尊重して、行政機構はでき得る限り簡素化し、その機構のひずみを正すと言ったのであります。ところが、実際にはこれと逆行いたしております。新しい官僚のなわ張りをぐんぐん広げて、行政機構のひずみと、これに関係する財政のひずみをいよいよ拡大しておるのであります。もはや池田さん以上の貫禄がついてまいったのであります。こういう批判が起きております。この機構の複雑化と、さきに述べた簡素化とどういう関連があるか、ひとつお伺いしたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。  先ほど来大蔵大臣から予算編成の基本的方針をよく説明いたしました。皆様方も御承知のように、こういう際はやはり重点的にものごとをきめていく、これは政府が当然とるべき態度であります。財源難、また予算自身も膨張させないで健全財政を守る、しかも新しい施策もやっていく、こういう立場でございますから、これは重点的に予算配分をしたということでございますので、私は満足をいたしております。  ただいま行政機構についてのお話でございまして、これらのことは行政機構の答申に反するのではないか、かようなお話でございますが、やはり政治は新しい方向に進んでいかなければならない、そういう場合に、それが漫然と膨張であるならば、その御批判はそのまま私は受けて、御非難を受ける、こういうことにやぶさかではございませんけれども、ただいま申し上げますように、新しい施策、しかもそれを重点的に施行した、そういう点に国民の理解がほしいのであります。行政機構の改革自身につきましては、佐藤喜一郎会長の答申が出ております。政府はこれと真剣に取り組んで、そうして行政機構の簡素化もはかっていくし、不要不急の認許可事項等の整理をも始めていくつもりでございます。しかし、これは御指摘のようにたいへんいままで長い官僚機構のもとで育ったのでございますから、そう簡単なものではありません。政府もこれと真剣に取り組む以上、もちろん時間もかしていただきたいし、その努力、熱意のあとをやはり皆さまからも十分御検討願いたいし、また、御支援をいただかないとなかなかやっていけない、かように私は思います。これはたいへん大事な仕事でございますから、真剣に取り組むつもりでおります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 新しい角度から見て必要なるものは、これは増設はやむを得ない、私もそう考えます。しかし、古くから存在するもので、そのまま存置していいかどうかという、たくさんな整理すべき段階のものがあると思います。そういう点にはちょっとも手をつけずに、新しい角度からどんどん膨張さしていきますと、この勧告の趣旨がむだになるという点を十分お考え願いたいのであります。財源難、財源難と言われながら、復活要求の過程を見ておりますと、ポンと一たたき一千億というような状態です。まるでバナナのたたき売り同様に認めておられる。それは、田中大蔵大臣の貫禄はこれで上がったかわかりませんが、それをやられた、その影響を受ける国民大衆はたまったものじゃないと思うのです。特にF104戦闘機が三十機、金額にして百六十三億円が認められておるのであります。この戦闘機を生産するのは三菱重工でありますが、最近日銀総裁に任命された宇佐美さんも三菱の出身であります。さらに、日韓会談の首席代表の、佐藤内閣が任命されました高杉さんも、これは三菱出身であります。これはもう偶然の一致かどうかわかりませんが、三菱とのつながりが露骨に感じられておるのであります。  私は、この際、ちょっと言いにくい話でありますが……(「成田さんはどうだ」と呼ぶ者あり)あれは三井であります。御心配なく——総理に対して一言申し上げたいと思います。これは国民の多くが持っておる疑惑の一つでございまして、私はこの席上でかようなことを申し上げるということは、総理に対してたいへん失礼であり、申しにくいのでありますけれども、政治の姿勢を正すためには、やはり一言だけ総理の反省ある言明をこの席上で伺いたいのであります。  戦後日本の政治史の一大不詳事件といわれました、かつての造船疑獄事件で検察庁へ召喚されるはずであったあなたが、吉田内閣の指揮権発動によってあなたの政治的生命を取りとめたのであります。だが、当時の法務大臣犬養健君は、このため父君の名誉とみずからの政治的生命を失って、不遇のうちに万斛の恨みをのんでなくなったことは御承知のとおりであります。こうした先輩や同僚の犠牲の上にあなたの今日の地位が築かれたのであります。私は、日本の宰相として再出発にあたる公の席上で、これらの問題について反省のことばを聞かないのであります。この際、国民の多くが胸のうちでもやもやしていることを一掃する意味におきましても、ひとつはっきりした反省の言明をやっていただきたいことをお願いしたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 私自身が造船汚職の元凶だといわれ、当時の選挙は私たいへん苦しい思いをいたしました。しかしながら、私の選挙区では、決が造船汚職の元凶であるとか、あるいは指揮権発動のそのもとであるとか、そのうわさに惑わされないで、私を最高点で実は当選さしてくれました。私はいまだに選挙民の方々に対して心から感謝いたしております。もちろん、お話のように、山花君が御指摘のように、公人として政治家として指弾されるようなことがあってはならない、みずから持することまた厳でなければならない、これは私もよく注意をしております。しかし、当時の問題自身につきましては、ただいま申し上げるように、選挙民から公正な批判を受けた、これを私は心から感謝しておる、また、その意味において私もあやまちのないように努力してまいっております。このことをお答えをいたします。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 これ以上私は問いませんが、過去の問題につきまして、今後はさようなことのないように自戒自粛して大いにやる、この言明だけでたくさんであります。  そこで私は、これは老婆心のような形になりますが、この三菱との関係などを考えて、国民はなお大きな不安を持っておるのであります。まして今度の予算では、造船疑獄を思い出させるごとく、外航船舶の利子補給が前年度に比べて二倍の三十五億円に増加しております。また、計画造船の開発銀行融資は、六十四万トンから百五十万トンと、実に三倍近くふくれ上がっておるのであります。この際、総理が再び財界との不祥事を起こさぬよう、国民の代表として反省の決意をお聞きするために、ただいま申し上げにくいことを私は問うたのであります。他意ございません。  そこで次は、社会開発とは、十分に検討してみると、結局あいまいもこなものであります。浦島太郎の玉手箱のようなものであります。ふたをあけたら、中から白い煙がふんわり出てきて、しかもその煙は、一般国民にはきわめて有害なガスのようなものであります。たとえば税の自然増収……(「公害だよ」と呼ぶ者あり)公害、ガス、まあそう理解してください。自然増収と財政投融資という借金政策で優遇されておるのは、大企業だけであります。一般国民は、相変わらずの物価高、そうしてスズメの涙の減税であります。相対的に成長貧乏になっていく、つまり資本の蓄積と貧乏の蓄積が並行して進むわけであります。この原因は、財政構造の性格に根本的にメスを入れて、その改善をはからなければだめなのであります。この際、財政政策について、政府の御用を承るような学者ばかりでなくして、公正な立場の人の参加を求めて根本的に再検討する、これを前提とした調査会をつくる意思がおありであるかどうかお聞きしたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 政府は施策を樹立いたします場合には、あらゆる方面の御意見を聞くこと、それを参考にすることは当然であります。ただいままで政府はみずからの責任において予算もつくり、また政治を遂行してまいりますが、しかし、その前提になりますのは、必ず民意を反映さす、いかに反映さすかということに努力しておるつもりであります。ただいま御提案のようなことは、具体的には考えておりませんけれども、私どもは、別に御用学者だけの意見を聞く、さような偏狭な、とらわれた考え方は持っておらないことをこの機会に申し上げておきます。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 各種の審議会その他有能な人の入っておる審議会もございますけれども、大体パーセンテージにいたしますと、多くのその種の機関が、御用をつとめるような人が人選されているということは、これはだれしもいなめない事実であります。今度の予算編成が終わり、政府は三百六十五日晴れ晴れ、一年じゅう晴れ晴れとしたというように自画自賛をされております。しかし、国民はこれと反対に評価をしております。むしろわれわれの立場から見れば、年じゅうこれまたやれやれというような感じでこの予算を見ておるのであります。これらの苦しみに胸を痛めているのが実情であります。たとえば、総理は人間尊重をしきりに強く述べておられますが、予算復活の過程ではこれが全く逆になっております。すなわち、「防衛庁に対しては、ジェット機や軍艦の復活費として」百七十三億円を認めながら、人間尊重のたてまえから最も重視すべき文部省の教科書については、全然復活を認めていないのです。将来をになう子供たちと、古くなって使用にたえないような戦闘機、一体どちらが大切であるか、総理の見解をお聞かせ願いたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 文部省予算及び科学技術振興予算に重点を置いておりますことは、間々申し上げておるとおりでございます。今年度の一般会計の対前年度比の伸び率は一二・四%でございますが、文部関係及び科学技術関係につきましては一五%という伸びを示しておるということでもおわかりになると思います。教科書の無償につきましては、本年度で小学校五年生までということでありますが、四十年度で小学校六年生まで全部教科書の無償を行なうということでございます。また、中学一年生までなぜやらなかったかということは、文部省の中の重点予算の配分の関係上、教科書につきましては四十年度で六年生まで全部行なうということにいたしたわけでございます。  なお、先ほどから大企業優先の予算を組んでおるというようなお話でございましたが、対前年度比一二・四%伸びております予算の中で、社会保障費については一九・九%、二〇%もウエートを置いておるという事実を無視されないようにお願いをしたいと思います。  なお、一兆六千億の財政投融資のうち、基幹産業や輸出振興に投入しておる額はわずか二千数百億でありまして、これが九〇%に近い金額が国民生活の向上に資する面に投資をされておるという数字的事実も御認識いただきたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 いま数字を並べて田中大蔵大臣は御説明なされましたが、数字的に論争するのは、分科会あるいは当該委員会において同僚議員のほうからもっと活発に行なわれるだろうと思います。  政府が教育問題にきわめて冷淡の一例を申し上げましょう。それは、目下問題になっております慶応大学の学生ストライキについてであります。これはいま問題が発生しておりますので、一番わかりやすいと思いますので、この一例を引いたのであります。学生の主張を聞くと、四十年度の授業料や入学金、それに学校債券を全く新しく発行して、これを加えて大幅の値上がりになっておる。入学時の必要な納入金は文科で二十八万五千万、工学部で三十一万円、医学関係では六十一万円ということであります。金持ちの子弟が多いと言われる慶応でさえこれでは、ますます狭き門になることは教育の根本に触れる重要な問題であります。慶応の創設者福沢諭吉氏は、天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずと言ったが、この福沢精神はもののみごと吹っ飛んだ事件であります。  私学経営に政府がしばしば口を入れるのは、これは好ましくないと思いますが、人間尊重と言う以上、政府のあたたかい援助が必要でないかと思いますが、総理は、さしあたりいかなる措置をこの私学全体に関してお考えになっておるか、お伺いしたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 ことばじりを取るわけじゃございませんが、政府が私学にくちばしをいれることは必ずしもいいことではないということを言っておられます。しかし、私はどちらかというと、教育につきまして非常な熱意を示しておるのでありまして、その意味では、官学も私学もそれぞれの立場はありますけれども、同じように教育は大事だ。その教育の場において国に奉公していただく、そのたてまえを心から望んでおります。したがいまして、私が戦後最初に私学振興費というものを予算に計上したそのものではないかと私考えておりますが、政調会長時分にさような制度をとりまして、この私学振興もその後だんだん内容も充実してきた、かように思って非常に喜んでおるわけであります。  ところが最近になりまして、慶応大学の授業料その他の問題が起こり、ただいま政府もこれをいかにすべきか、あまり私学の関係のものに関与することも好ましい姿ではない。しかしながら、これをほうっておくわけにもいかないような気がする。ことに、これはただいま慶応大学だけの問題でございますけれども、おそらく私学全般が財政的に非常に困っておる、こういう姿ではないか。さような意味におきまして、政府自身がこれに何らかの処置をするということ、これは望ましいことではないか。かような意味で文部大臣に、干渉にわたらないようにということで、いろいろ実情なども調査さす、そして対策なども立てさすようにいたしておるわけであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 たとえばこの授業料の問題は、これは慶応だけの問題ではございません。私学全般のことであります。私学経営に対する振興費は、一般会計で十億、財政投融資から百億が予定されております。これでは来年度の二万一千人の増員募集はおろか、一万五千人でも無理ではないかと思うのであります。第一、政府の私学振興はその学校の総収入のわずか三%に当たる額を貸与するというのが中心であります。これでは問題になりません。総理は、干渉はいけないけれども、これを憂慮し、考慮しというようなことは大いにやる、こう言われましたが、この総収入のわずか三%に当たる額というような点の変更ができないのかどうか。ここで問題になっておるのは、授業料の大幅値上げをどうしたら防止できるか、真剣な考えを、ひとつ早急に具体案を示していただきたい。  その一例として私は大蔵大臣にお伺いしたいと思いますが、学校の寄付金に対して全般的に免税措置が行なわれておりません。私は、篤志家が社会事業やこういう教育問題に浄財を寄付するというような点については、全般的に免税措置をとるのが社会保障に熱心な、あるいは教育問題に熱心な政府のとるべき態度と考えておりますが、この点につきまして大蔵大臣はどう善処される見解を持っておるか、お伺いしたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 私学につきましては、御承知のとおり、私学振興会を通じての融資のワクは、三十八年から年々倍増になっております。これが全部の金額から比べると非常に少ないということでありますが、制度の上で年々倍増倍増を続けてきておるという姿勢に対しては、政府が非常に重大な関心を持ち、積極的な施策をいたしておるのだということは御理解いただきたいと思います。  それから指定寄付免税の問題でございますが、御承知のとおり、大蔵省としましてはその内容を調査をしまして、可能な限り指定寄付の免税措置をとっております。法人、私人を問わず、私学に対する寄付は全部免税にすべきだという議論もございますが、現在のところは、現在行なっております指定寄付免税の制度を拡充していくということで足るという考え方でございます。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 全面免除について何か弊害があるのですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 いろいろ問題がございます。もうこの問題は国会で非常に長いこと議論をされ、今日の制度が確立をされておるのでありますし、また政府としましても、これが拡大に対しては鋭意意を用いておるところでありますので、御理解いただきたいと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 社会事業や教育振興のために篤行者あるいは善行者が寄付をするという点につきましては、何か全面免除にはいろいろ問題があるというような大蔵大臣の答弁でありましたが、これらの問題につきましては、大蔵委員会その他において詳細な論議をしていきたいと思います。  海外援助協力の問題についてお尋ねをいたします。  わが国は経済協力開発機構に加盟しておりますが、この加盟国はそれぞれ国民所得の一%を低開発国の経済援助に出すことになっております。この原則をわが国はどういうように実施するつもりでありますか、お伺いしたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日本政府としましても、低開発国の援助に対しては意を用いてきたところでございますが、昨年の貿易開発会議におきまして国民所得の一%をさくという基本的な方針が決定せられまして、また日本もこれに賛成をいたしましたので、後進国援助に対してはいままでより以上に援助のワクを広げてまいりたいという考えであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 大蔵省発行の三十九年の「国の予算」を見ますると、わが国の低開発国に対する資金供与の実績を説明してあります。一九六〇年度には二億五千万ドル、六一年度には三億七千百万ドル、六二年度には二億八千二百万ドルとありますが、この国別の内容と事業別の内容がどうなっておるか、また政府資金、民間資金の内訳及び政府資金ほどの機関から支出しておるか、御説明を願いた  いのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 一九六三年にわが国は総額二億六千八百万ドルの資金供与を低開発国に対していたしました。そのうち二億五千六百万ドルが二国間ベースで実施をされたものであります。  その内容を示せということでございますが、地域的に見ますと、アジア地域に対するものが一億七千九百万ドルで、全体の七〇%を占めております。次いで中南米に対しますものが三千三百万ドルで、一三%であります。次いで中近東が二千六百万ドルで、約一〇%に当たります。アフリカが千三百万ドルで約五%、その他が五百万ドル、約二%となっておるわけであります。  国別で申し上げますと、賠償供与国としまして、ビルマ、インドネシア、フィリピン、南ベトナム及び円借款供与国としましてインド、パキスタン、ブラジル等でございます。国別の資金の供与額は、対外的な配慮がございますので申し上げることを遠慮いたします。  それから供与資金の内容を政府、民間別に見ますと、政府ベースによる供与が賠償、技術協力等の無償供与と直接借款、輸銀資金による延べ払い輸出等の長期信用供与でございまして、一億六千百万ドルと二国間資金供与額の六三%を占めております。民間ベースによります供与は九千四百万ドル、約三七%となっております。  一般会計、賠償特別会計、輸銀、基金等の機関別分類につきましては、資料が作成せられておりませんので不明であります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 資料が作成されてない点は、あとでひとつ資料提出を願いたいと思います。  韓国に対する二千万ドルの借款供与につきましては、輸出入銀行の融資をつけるのかどうか、もしつけているとすれば、四十年度予算ではどこにそれをあらわしておるのか、お伺いしたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 韓国に対する二千万ドルの信用供与の問題につきましては、民間と韓国民間との間に品目別の協定ができるわけであります。それに対しまして輸銀が資金のめんどうを見るということになると思います。これが資金的な裏づけは、三十九年度及び四十年度の両年度に及ぶ輸銀資金の中で十分めんどうを見れるわけであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 大蔵大臣の説明によりますと、これは輸出入銀行でめんどうを見る、こういうことですね。  それでは、先般自民党の野田、長谷川、保科の諸君が南ベトナムを視察してまいりました。そして九百十万ドルの対南ベトナム経済協力が必要だと言っておられます。新聞によれば、佐藤政府はこれら三議員と会談し、南ベトナム援助の機関を設置したいと語ったと伝えられておりますが、政府はどうこれを扱うつもりであるか、そして援助費の金はどの機関からどのような形で支出するのか、また、それは、貸与か贈与かという点を、ひとつ総理から説明を願いたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 保科、野田、長谷川三君がベトナムへ出かけたこと、またその報告は伺いましたが、ただいま言われますような九百十万ドルというような話は、私は聞いておりません。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 ベトナムに対する九百十万ドルの経済開発借款というのは、今度自民党の議員が参りましてきめたものではございません。御承知の一九五九年の五月に、ベトナム側との間に取りきめが行なわれたわけでございます。それは五年後、すなわちことしの一月十二日以降商業上締結される契約に基づいてクレジットを提供するということになっておるわけでございまして、わが国の民間人が相手方との間で延べ払い等の契約を成立せしめたならば、お互いの商談がまとまったならば、両国政府間でこれを認めるという手続になっておるわけであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 いま大蔵大臣の説明でよくわかりましたが、この南ベトナムの国の今日の状態をよく考慮する必要があるのじゃなかろうかと私は考えるのであります。ネコの目が変わるというのは、ちょうどベトナムの政情にぴったり当てはまったことばであります。佐藤内閣のもとに南ベトナムのこの政府を認めているようでありますが、現在の時点で日本が南ベトナムヘのいかなる形の援助をやりましても、この援助は南ベトナムの内戦をますますどろ沼化すために役立って、南ベトナムの人民に役立つものでないと私どもは考えております。南ベトナムの経済援助は、南ベトナム軍への協力支援となり、ますます戦争の拡大になる役割りしか果たさないと考えております。南ベトナムヘの援助は、いまの時点では、私は政府であろうが民間であろうがやめるべきであろうと考えております。そんな余裕があるのならば、勤労者の所得減税とか社会保障の拡大に回したほうが、はるかに有効適切と考えておりますが、総理の見解はいかがですか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、賠償協定三千九百万ドル、直接借款協定七百五十万ドル、と同時に九百十万ドルの経済間発借款ということをきめたわけでございますので、外交上の問題でございます。こういうものをやるよりも減税をしろということでございますが、国内的な問題はまた大いに努力をいたします。外交上取りきめましたものは、先ほど申し上げましたように、両国の商業ベースによって契約ができた場合、これを切りかえていくということでありますから、この問題とは分けて考えていくべきだと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 私がたびたび総理の答弁を求めておりますと、横合いから田中大蔵大臣が出てまいって答弁をするのでありますが、田中大蔵大臣には最後にうんとでかい質問をいたしますから、ひとつそれまでお待ちを願いたいと思います。  昨年の暮れに、総理のおにいさんである岸信介君と一行は、日華協力委員会として台湾を訪問したのであります。この協力委員会の第九回総会で、日華両国の政治協力促進の方向に関する件という決議を行なっております。この中で、日本側は中国大陸向けのいかなる政府ベースの貿易もしない、日本商社の中国大陸向け貿易に対しては、日本政府は今後いかなる財政金融的な便宜をも与えないということばがあります。これは重大なことだと私は考えます。日本政府を拘束するこの決議を、政府代表でない岸信介君や石井光次郎君などがどういう資格で決議したのか。政府はこれらの諸君にそういう権限を与えたのか与えていないのか。さらに、その決議を政府はどのように受けとめておるか。これはひとつ今度こそ総理の御答弁を願いたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 岸、石井両君が台湾に出かけたことは私も知っております。しかしながら日華協力委員会、これは政府と関係がございません。したがいまして、政府はこれにはちっとも拘束されてはおりません。御承知のように政経分離の基本的方針で中国ともいろいろ接触している、この事実でおわかりだと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ただいまの総理の答弁を聞いておりますと、兄貴ではあるが政府の代表でも何でもない、こういう答弁です。ところが先ほど申し上げましたように、政府の正式の代表でもないようなものが、日本の政府は今後いかなる便宜も云々と、こういう字句を決議に使っておられるのであります。私は、これはきょうだいの間柄であるから、ひとつ兄貴さんに、こんなことをやってもらったらおれの立場がなくなる、こうひとつよく言い聞かしていただきたいと思います。弟が兄貴に言い聞かせるというのはどうも逆のようでございますが、事態こうなっている以上はしかたがございませんから、ひとつ兄貴に十分お説教を願いたいと思います。  昨日、すなわち二月一日の朝日新聞でありますが、北京の松野特派員三十一日発として、目下北京を訪問中の日中総合貿易連絡協議会会長の岡崎嘉平太氏は、三十一日の昼、北京飯店で寥承志事務所の関係者、中国側各公司代表、北京駐在の日本商社の代表を招いた宴会を催しておるのであります。その席上あいさつに立った廖承志氏が、これは私個人の意思ではない、全中国人民の意見であり、十分に準備した上の意見であると前置き条件を置いて、非常に強い態度で次のような発言をしておるのであります。中日貿易を発展させる道が平たんであれば、お互いに肩を並べて進まなくてはなりません。でこぼこであれば、平らにしなければなりません。障害があれば、協力して取り除かなくてはなりません。中日貿易の障害のうちの一つをあげれば、蒋介石への吉田書簡である。もし中日貿易を吉田書簡のルートに乗せるのであれば、中国は断固として受け入れることはできない。日本人のことわざに、武士は食わねど高ようじということばがあるが、それが現在の中国人民の考えであります。絶対にゆるがない方針であります。また、雨降って地固まるということばもありますように、障害を取り除けば、中日貿易の前途は洋々たるものがあります。  日本経済は、貿易、特に輸出の増大をはからなければならぬということは、これは総理もたびたび言明されておるところであります。そこで、廖承志の指摘しておる吉田書簡というのは、吉田茂元首相が昨年春、台湾訪問後に蒋介石総裁に送った書簡をさしておると見られておるのであります。この内容は極秘にされて、一切明らかにされてはいないのでありますが、中国向けの輸出については、輸出入銀行を使った延べ払い輸出は行なわないということを約束しておる。そこで、せんだって岸さんや石井さんが行ったときも、同じような確認事項を行なっておるのであります。この書簡の内容は、当時の池田・大平政府首脳の了解のもとに書かれたといわれておるのでありますが、この点について、総理は御存じかどうかという点を承りたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 前の内閣のことでございますから、そのときのいきさつはどういうようないきさつであったか、詳しくは知りません。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 私もそう言うと思うていたのです。前の内閣だからわしは知らない。しかし、池田内閣の性格を踏襲するともいわれておりますし、特にこの間にいさんが行ってやってこられたのだから、まあ知っておると思いましたが、なかなかそれは言えないことだろうから、あえて追及はいたしません。  そこで問題になりますのは、このほどニチボーのビニロン・プラントや日立造船の船舶の中国輸出に対して輸出入銀行の融資をつけないというのは、一体どういう事情なんでありますか。やはりこの日華協力委員会の決議に縛られたのではないかという憶測も立つわけなんであります。前回倉敷紡績のビニロン・プラントの輸出では、ちゃんと輸出入銀行の融資がついておるのであります。一体この状態はどうお考えになっておるかという点、これを御説明願いたいのであります。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 政経分離の方針、その基本的態度で臨んでおります。いろいろ業界からもお話がございますが、業界においても企業努力によってこれは何とか克服する、かようなことを申しております。私はこれはきっとできるのではないか、かように思っております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 またにいさんのとこを尋ねてはなはだ恐縮でありますが、岸さんは台湾において蒋介石との間に、約一億五千万ドルの借款を供与するということを約束してきたと聞いておるのであります。そういう事実があるのかどうか。あるとすれば、岸さんはどういう資格でそういう約束をしたか。政府はこれを了解しておるのかどうか。この問題は幾ら否定しても、国内はもちろん、国外においても大きな反響を呼んでおることでありますから、この際ひとつ政府は明らかにしていただきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 これは岸、石井、どういう約束をしてきましたか、その後におきまして政府から政府へその申し込みがあるはずでございます。そのときに初めてこの問題をいかに具体化するか、こういう問題となる、かように私は考えております。これは約束だけで、岸、石井が話を片づけたというだけでものごとは解決してはおらない、かように思っております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ただいまのお説を伺っておりますと、何かこう瀬踏み的に行ったというようにもうかがわれるのですが、いかがなもんでしょうか。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 民間のつき合いでございますから、いろいろ向こうの希望、またこちらの、その程度はわれわれもあっせんしたいというような、そういうような気持ちがあるのじゃないか。これは中国においても、中共においても同様なことがしばしば行なわれております。同じようにお考えいただいたらいいと思っております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 たびたびおにいさんのことを出して申しわけございませんが、愚兄賢弟というところに相場をつけたいですね。  昨年末にイギリスの国際収支の危機を契機に、ポンドの切り下げの危機が伝えられ、イギリスは約四十億のクレジットを与えられて、しかもポンドの危機はまだ完全に解消していないといわれておるのであります。これに加えて、ドル不安が問題となっておることは御承知のとおりであります。そこで、もしドルやポンドの切り下げというような事態になれば、その及ぼす影響はまことに重大でありますが、切り下げ問題について総理はどういう見通しと見解と見識を持っておられるか、伺いたいのであります。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 きのうも申し上げましたが、ドルにつきましては、ドル防衛ということでもう長いことやっておることは、御承知のとおりでございます。昨年の秋からポンド不安の問題が起きてまいりまして、まずIMFの一般取りきめから十億ドル使いましたし、なお日本を含めた主要国十一カ国で三十億ドルのてこ入れを行なったわけであります。ドルもポンドも国際通貨でありますので、これが不安のないように、ドル防衛と同じような立場でポンド防衛に各国とも力をいたしておるわけであります。その後イギリス政府及びイギリス国民の努力もありまして、ポンド不安は一応遠のいたというような認識で見られる状態でございます。ポンドやドルの切り下げが行なわれることは、現在の立場ではないという見方をいたしておりますし、また切り下げが行なわれるようなことのこないように、各国とも国際通貨としてのドルやポンドの防衛に協力をいたしておるわけであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 たいへん安心したような御説明でありましたが、われわれはやはり自国の財産でありますから、より安全にという意味でたいへん心配をしておる次第であります。保有する外貨をより安全にするためにひとつお聞きしたいのですが、先般フランスが保有外貨のドルを金にかえて、外貨準備のうちに金の比重を非常に高めたことは御承知のとおりであります。これはフランスだけではございません。現在金をなまで、持っておる比率というのは、イタリア、ベルギー等々は七〇%一台、こういわれ募ります。オランダあたりは八〇%台、スイスは九〇%台、こういわれておる。短の悪い西ドイツですら五〇%台、こういわれておりますが、日本は、私の聞きましたところでは、一四%強ということになっておりますが、もしドルやポンドの切り下げの場合、日本の保有外貨があまりにも大きな痛手を受けるのではないかと思いますので、この場合、政府の責任は非常に大きいし、また、保有比率のうち金のほうをもっと重点的にふやすという考慮をお持ちになっておるかどうかという点をお伺いしたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御指摘のとおり、スイスやオランダ、ベルギーは金の保有量が非常に多いということは事実でございます。日本は昨年の十二月末現在で約一七%、外貨準備高における金の保有量は一六・九%でございますから、非常に低いということは数字の上ではいえるわけであります。しかし、外貨準備そのものが日本はまだ水準が低いということが一つございます。もう一つは、国際決済に必要とする量と外貨準備を考えますときに、やはり流動性を保持しておらなければならないということで、現在の日本の金の保有量は非常に少ないということでございます。これをフランスのようにポンドを全部ドルにかえるというようなことであれば、なお国際通貨であるポンド不安も増大をするわけでありますし、まあポンドやドルの国際通貨の安定ということにも日本は協力の体制をとっておることは先ほど申し上げたとおりであります。まあしいて金を買わなければならないとも考えておりませんが、金が買えるようなときは金の準備を幾らかでもふやしていくという方向をとらなければならない、とったほうがいいだろうということは御指摘のとおりでございます。  結論的に申し上げますと、決済の量、いわゆる貿易量は非常に大きくなっておる日本としては、金の保有量が非常に多くなる場合、決済に困るという問題もあります。まあドルやポンドの不安が高じた場合、日本政府は一体どうして損害を補うかということでありますが、先ほど申し上げたとおり、ドルやポンドの不安を起こさないように十一カ国の中の一国として努力をいたしておるわけでありますし、また金そのものが急激に上がるというようなこともありませんし、またドルやポンドの切り下げが既定の事実ということでもありませんので、情勢を十分見ながら、外貨準備の中における金保有量の増大ということに対しては対処していくべきだと思います。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 私のいま質問しましたことは、これは日本経済について非常に重要な点でございまして、十分ひとつ考慮して誤りない対策を政府としては立てていただきたいと思います。  昨年十月二十一日に大蔵省、日銀が発表しましたわが国の外貨、為替銀行の対外短期資産と対外短期負債のバランスを見ておりますと、資産は二十一億九千百万ドル、負債は三十二億一千三百万ドル、差し引き十億二千二百万ドルの債務超過となっておるのであります。これは、日本の保有する約二十億ドルの外貨のうち、十億ドルは短期外資でありますということであります。この短期外資は、ドル、ポンドなどの不安を契機に急速に海外へ引き揚げられるおそれがあるということをわれわれは憂慮しております。したがって、二十億ドルの外貨準備ではきわめて不安定だと思っておりますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 十二月末の外貨準備高が、昨日も申し上げましたとおり十九億九千九百万ドルでございます。一−三月の輸入期を控えても四、五千万ドルふえるというようなことを申し上げたわけであります。まあこういう情勢でありまして、国際決済に必要である外貨ということでありますから、いままでも支障なく、また現在の状態で将来を見通しても決済に事を欠くということはありません。これは手持ち外貨だけではなく、いまのポンド防衛に対して国際機関が四十億ドルのてこ入れをしたというように、これからは国際的にお互いが協力体制に入っておるわけでありますので、まあ多いにこしたことはありませんが、必ずしも貿易量に対して何割の外貨準備を持たなければならないということではありません。もう一つは、国際場裏における日本の信用度の確保、確立ということによってもカバーされるわけでありまして、現在の日本の外貨準備が国際決済に不安をもたらすというようなことでは絶対ありません。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 わが国の経済規模や貿易規模がだんだん大きく拡大していくと、これに見合う保有外貨の準備が必要だということを大蔵大臣も言われましたが、大体今日の段階、これから拡大した場合にどのくらいが適当とお考えになっておるか。  また、中期経済計画の目標年度である四十三年度にはどのくらいの保有外貨が準備できる、そういう予定になっておるか、これは簡単にひとつお答え願いたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 大体の外貨準備高は、一年の総貿易の何カ月分ということで大体考えられております。三カ月くらいしか持っておらぬ国もありますし、五カ月、六カ月という国もあります。日本は大体五カ月ないし六カ月ということでございますから、現在の状態で不安はない。まあ不安はないというよりも、多いにしくはありませんが、二十億ドルの外貨を持つ、また為替銀行等に貸し付けておりますもの等を入れすまと大体二十五億ドルに近い外貨準備を持っておるわけでありまして、現在のところ不安は全くない。これは、国際的にも非常に日本の信用に関する問題でありますから強調いたしておきますが、非常によい方向に向かっておるということだけ申し上げておきます。  四十三年に一体どうなるかということは、いまよりもよくなるであろう、またよくしなければならぬ、こういうことであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 私は、追及したい点がずいぶんありますが、相当逃げ道を与えておるのです。その逃げられる間に十分ひとつ考慮していただいて、この議論の過程から生み出した善処の方式を政府はとっていただきたいと思います。  金融公債の問題についてお尋ねしたいと思います。  現在の財政法第六条では、前年度の剰余金の二分の一以上を公債や借り入れ金の償還財源に充て、残りを一般的財源に繰り入れることができると定めております。ところが、今回この剰余金の五分の一だけを公債の償還に充て、残りの五分の四を一般財源に繰り入れるよう財政法の改正を考えているようでありますが、これは現行の財政法の重要な長所を廃止することになると思いますが、たいへんな問題である。まして公債発行の機運が強まっているとき財政法を変えることは、公債発行とインフレに対する歯どめを失う大きな結果になると思いますが、いかがなものでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 財政法の改正をお願いをいたしておるわけであります。いままで前年度剰余金の二分の一を国債整理基金に入れなければならないということになっておりましたのを、五分の一以上ということに改正をお願いすることでございます。  この問題は、こういう条文をつくりましたのは戦後の混乱期でありまして、いまから申し上げると超健全、超均衡というべき条項でございます。それを今度改正をしまして、現在基金として繰り入れるものを五分の一以上という改正にしよう、まあノーマルな状態に戻そうということであります。  これは数字で申し上げて恐縮でありますが、国債整理基金に原資を入れましても、国債の残高とその比率ということが問題になるわけでありますが、日本のいま国債残高に対する比率は〇・二一%だと思います。諸外国、特にアメリカでもイギリスでも西ドイツでもイタリアでもフランスでも、非常に高い率を示しております。先進国は大体一〇%に近い率を示しておりますし、また低い国でも日本の倍ないし三倍くらいの指数を示しておるわけでありまして、現在国債の残高に比べますと、要らない金を繰り入れるということは言い過ぎだと思いますが、非常に超健全の法律条文を普通の状態に直すように御審議をお願いしておるわけです。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 現在のところ公債発行はやられておりませんが、各種の政府保証債、地方債が発行され、これが日銀引き受けとなり、通貨の増発を招いておることは御承知のとおりであります。すべて公債の発行は日銀にこれを引き受けさせてはならないという財政法第五条を無視しておることだと思います。  そこで、政府保証債や地方債の発行にあたって、これがストレートに日銀にいかないように、たとえば二年なり三年なりの一定の期間を経過しなければ日銀がこれを適格担保とできないよう考慮すべきであると思いますが、いかがでしょう。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 日銀の中立性は守られているわけであります。適格担保にするかいなかということは、日本銀行で銘柄選定をいたしているわけでありまして、現在日銀がきめております日銀担保手形の基準に対しては、正常な状態であるという認識を持っております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 財政の急激なふくらみによって、このままでは明年かあるいは明後年度には公債発行がもう必至だというように見ておりますが、田中大蔵大臣は来年おそらく大蔵大臣をやらない立場になるのじゃないかと思います。あるいは総理大臣になるかどうか、それはわかりませんけれども、とにかく大蔵大臣はやらない立場になると思いますが、後任の大蔵大臣はたいへんだと思うのであります。公債発行を余儀なくさせておいて、あとは野となれ山となれ、大蔵省を去る田中さんの後任はまことに私は哀れになると思うのです。  この際、総理にはっきり伺いたいことは、総理が在任中、この一、二年の間に公債発行をやるかやらないか、端的にひとつお答えを願いたい。やるとかやらぬとか、端的にお答え願いたい。

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 現状におきましては私はやらない、かようにお答えをいたしておきます、現状においては。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 現状においてということを二回も三回も言っておられますので、まあそれは信用しておきましょう。  中小企業の倒産は、御承知のとおり戦後最高の数に達しております。負債一千万円以上の倒産は暮れの十一月で五百十八件。一千万円以下の中小企業の倒産では、不渡り、銀行の取引停止件数だけで毎月一万六千件に達しているのであります。たいへんなことであります。この中には、黒字経営でありながら長期の手形をかかえて倒産した例が往々にあります。  現在の手形の期間は二カ月、それ以上は利子をつけるというふうに、せんだっての国会で保護措置がとられましたが、親企業に対してきわめて弱い立場にある下請の中小零細企業では、実際には無利子であります。利子をとるといったって、なかなかこれは取り得ないのが実情であります。  そこで私は、こういう倒産の不幸を少しでも救済する意味で、手形の期間をはっきり二カ月、これ以上の手形は出させない、こういうふうに規制をすべきであると思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 中小企業の黒字倒産や連鎖倒産を排すべくあらゆる努力をいたしているわけであります。  ただ、下請代金の問題につきましては、下請代金支払遅延等防止法に基づきまして、公取及び中小企業庁がその前面に立っていろいろな施策を行なっております。御承知のとおり、二カ月以上の手形に対しては利息を付さなければならないということになっておりますが、事実利息を付しておるのかどうか、この問題は非常にいろいろ問題がありますが、これは公取が大いに手きびしくやるべき問題だと考えております。  ただ、これだけですべての問題が解決できるとも考えませんので、法務省とも連絡をしながら、手形法の改正を行なって、不渡り手形を発行したような人に対する処罰の問題等も検討いたしております。同時に、法律の改正をまつまでもなく、各金融機関も、これが不渡り等を防止するために、手形用紙の統一ということを採用いたしまして、近くこれらの措置をとるというようにいたしておるわけであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 政府は、各種の社会保障の体系を利用して、国民の零細な積み立て金や簡易保険の掛け金、これをぐっと吸い上げて、それを財政投融資として大企業に低い利子で、しかも長期に貸し付けておることは御承知のとおりであります。ところが、中小企業に対しましては、二千四十五億円で、期間も非常に短く、利子も高いのであります。ほんとうに中小企業対策を考えているのであれば、この際思い切って中小企業関係の三つの金融機関に対して原資を大幅にふやし、貸し出し金利も開発銀行並みに低くして、中小企業を保護すべきではないかと思うが、いかがでしょうか。説明なしにひとつ答えだけをお願いします。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 中小三公庫の資金量の増大ということを年々考えまして、四十年度の予算を組みますときも十分配慮をいたしたわけでございます。  これに対して、もっと利息を安くしろという話でございますが、民間の資金コスト等を考えますと、現在中小三公庫の資金コストは、比べて非常に安いという数字が出ておるわけでございますので、金利を低下せしめることもさることながら、やはり資金量を拡大するということがより優先さるべきだという考え方で、資金量の拡大に努力をいたしておるわけであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 中小企業ですから、むしろ大企業よりもっと優遇してよいと私は思うのです。  さらに、選別融資の構想でありますが、これはたいへんけっこうなことでございます。この融資の方向や対象をきめるために、各界の代表を公正に選んで、第三者機関としてそこで定め、これを政府が守って実施するという配慮が必要であると思います。日銀総裁が、何か関西のほうに行かれて、業者同士の話し合いだったらいいのではないかというような談話を発表されておりますが、私は業者同士だけの代表では不備だと思うのです。やはり公正に判断する第三者、すなわち各界の代表で構成されるのが一番いいと考えますが、いかがなものでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 政府が資金を統制することは避けなければならぬ。同時に、産業別投資資金委員会でありますか、そういうものをつくったらどうかという議論はありますが、私は、現在の段階においてこのようなものをつくる必要はないと考えます。できるだけ民間の自主的な融資ルールの確立とか、そういうものはできることでありますから、民間金融団体、民間産業人の自粛にまつべきものだと考えております。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 民間の業者間の協定だけでは、やはりいろいろ弊害が生ずると私は思うのです。この点は意見が違いますが、またほかの委員会で十分論議を積み重ねていきたいと思っております。  次に税制問題についてお尋ねいたしますが、その前に、一月の末ごろ毎日新聞の投書欄に掲載された小木美和子さんという品川区平塚町の三十七歳の主婦でありますが、この方の投書を私は総理大臣にひとつ聞いていただきたいと思うのです。また関係閣僚諸君も、同席の予算委員諸君もひとつ参考のために聞いていただきたいと思います。  題字は「あまりな政治的減税、生活苦だけが倍増する」という題字であります。三十七歳といえば社会の働き盛りの家庭であります。その内容を紹介しますが、「昨年七月の自民党総裁公選のとき、所得税中心に三千億円の大幅減税をするとの佐藤首相の公言も、いまでは場当たりの放言に終わってしまった。また、米価を上げても、減税をしたいとは大蔵省の主張だったが、ふたをあければ企業減税優先とは。正直に税金を納める国民の大多数が政治的減税の犠牲になってしまっている。言うまでもなく、国民にとっての大きな希望は、生活につながる所得税減税にあった。それを無視して、利子と配当所得のある者が減税の恩恵に浴し、上に厚く下に薄い不公平な、しかも疑問の多い減税の結果は、国民の生活苦を倍増するばかりである。人間尊重という佐藤首相のおはこも、結局は人気取りだったのか。物価は年々一〇%も上がり、中小企業の倒産は相次ぎ、まじめに働いても重税を課せられる勤労者は、減税にも浴さない。「企業の運転資金の充実、設備拡充のため内部留保をふやすために企業減税を」と叫んでいる財界だが、キャバレー、料亭などに多額の接待費を使っている。予算は国民の血税をもって組まれるものであり、」——佐藤首相の本会議の言明によれば、膏血というようなことばを使われておりましたが、「民衆の意向を反映し、大衆の福祉を基盤としたものでなければならないはず。現在のような背信的政治を、国民はきびしく追及しなければならぬと思う。」以上がその原文のままであります。これは単に一主婦の叫びというより、国民大衆の切実なる声であります。(「どこの投書だ」と呼ぶ者あり)どこの投書だというような声がうしろからありましたが、毎日新聞の投書欄であります。品川区平塚町の三十七歳の主婦であります。希望とあれば毎日新聞に問い合わせなさい。だれの投書かということがはっきりわかりますから。  そこで、私は、減税問題についてお尋ねをしたいと思います。お尋ねする前に一言、これは田中大蔵大臣にはっきりしていただきたい問題があります。それをはっきりしていただかないと、幾ら減税問題のやりとりをしてもむだになります。  私は、去年の予算分科会、あるいは本予算委員会、あるいは大蔵委員会の議事録を持ってきております。これはもう何回も何回も読みました。わが党井手委員の農耕用ガソリン税の免税措置につきまして、田中大蔵大臣は最後に、井手さんの熱意にはかないません、ことしはどう考えても事務的手続では間に合いません、来年度は必ずやります、と予算委員会ではっきり言明された。越えて、追っかけるように大蔵委員会でも審議をされて、いわゆる言明をしておられる。ところが、本予算委員会のこの議案書を見ますと、どこにも農耕用のガソリン税の免税の規定はございません。これは一体どうしたことでありますか。この点をはっきりしないと、これから税制問題についての論議を重ねてもむだであります。この点、ひとつはっきり言明を願いたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 農業用ガソリン税の減免につきましては、井手議員の御発言もありまして、私も委員長裁定に対して可能な限り最大の努力を誓ったわけであります。また、四十年度の税制改正につきましても、本件に対して実現ができますように十分な努力を行なったわけでございますが、技術的に非常にむずかしいということが一つございます。結論的に申し上げると、五十億円の別ワクを農林省予算に計上いたしまして、農道の整備等に充てることにしたわけであります。  それは、私の判断だけでやったわけではありません。これは、こういう理由があってやったのであります。税制調査会にこの問題に対して御意見を伺いましたところ、税制調査会は、技術的に非常にむずかしいので、何らか他の適切な措置を講ずべきである、こういう答申をいただいておるわけであります。税制調査会が答申をしたことを念のため申し上げます。「実行上種々難点があるほか、税務職員の増員の困難性の問題もあるので、政府において慎重に検討のうえ他の適切な措置を講ずべきである。」こういう答申を得たわけでございます。  困難な理由は一体どういうことかといいますと、この消費者の件数は四百二十万件にのぼるのであります。これを徴税するためには千五百人の徴税人員の増を必要といたしますが、これは事実の問題として非常にむずかしいという問題がございます。それからもう一つは揮発油税は、軽油に比べて汎用性があり、税差の大きいことなどから見て、減免税揮発油の流用等の危険性が高い。それからその他、揮発油の製造業者や販売業者に対して相当な手数を強制することになる。よって別な方法をとるべきである。こういう考えに立ちましたので、全くやむを得ず五十億円の別ワク計上を行なったわけでございます。  これはひとつ十分御検討をいただきたいのは、私も当時この問題について前向きで検討をいたします、こう答えておるのでございますが、ただ減免税をするということのみを強行することによって、国民により大きな負担をかけるということは避けなければならないわけであります。よって、より合理的な方法を選んだというにすぎないのであります。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 ただいま田中大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、なっておりません。はっきり申し上げます。本院のこの去年の予算委員会の約束を全然じゅうりんしております。これでは、どんなにあなたと、政府とわれわれが誠意をもって討議をかわしてもむだであります。この点はひとつはっきりしていただきたい。特に徴税がむずかしい、人手が要るからこれはなかなかやりにくかった、こう言っておりますが、そんなものではございません。ちゃんと切符制にしてやれば何でもないことであります。そういうひきょうな言いのがれはやめなさい。いままで私の質問は全部逃げ道を与えておりました。逃げる間に考慮していただくために逃げ道を与えておりました。しかし、これは逃げ道を許しません。イエスかノーか、はっきりしてください。絶対承服できません。さようなインチキナな言明には絶対承服できません。委員長、善処してください。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 社会党さんの良識でも十分理解いただけると思います。私は誠意をもってこれに対処したのであります。しかも、税制調査会の答申を求めたのであります。税制調査会といたしましても、この減免税に対して、私の熱意のあるところを十分了解せられて、諸般の事情から十分調査を行なった結果、他に別な方法をもって何らかの措置をとるべしという答申があったのであります。でありますから、私も、四百二十万件のこの零細なものに実際手を下し得るかどうか、これをほんとうに減免税を行なうということだけを採用したならば、私は農民に対してもっともっと御迷惑が及ぶのではないかということをおそれてこのような措置をとったことを理解していただきたいのであります。

青木正自由民主党

○青木委員長 辻原弘市君から関連質問の申し出があります。山花秀雄君の持ち時間内にてこれを許します。  辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 ただいまの山花委員のガソリン税の問題は、これは国会の、当予算委員会の審議としてもきわめて重要な問題であって、したがって、私はあえて関連をして大蔵大臣なり総理に見解を伺い、そのいかんによりましては、われわれも委員会の審議について考え直さなければならぬと考えておるのであります。しかも、いま大蔵大臣は、最後に、これがこういう措置でやらなければ農民に迷惑がかかるなんというおどし文句を言って、この問題の目をかわそうとすることはけしからぬと思う。  これは問題を与党の皆さんも非常に取り違えておられるのではないか。これは、先ほども山花委員から指摘のありましたように、昨年の二月二十七日に当委員会において、はっきり大蔵大臣は、昭和四十年度以降において減免をするということを確約しておる。さらに、三月のたしか十七日であったと私は記憶いたしますが、大蔵委員会で税法その他の法律案件を採決する際にも、わが党委員から強く要求いたしました際に、あなたは明言をしておるのです。国会においてわれわれに約束をしておる。昭和四十年度以降においてこれは減免をいたしますという約束をしておる。それが違うなら違うとおっしゃっていただきたい。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国会における発言でありますから、正しく申し上げます。委員長裁定につきましては、私は文書を読んだのであります。本件につきましては、四十年度以降前向きで検討いたします。こう言うておるのであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 正確に申し上げます。あなたは前向きでということではない。こう言っておる。「井手さんの熱意にほだされまして申し上げます。御発言の問題につきましては、四十年度以降において発言の御趣旨を体して減免につき考慮いたしたいと存じます。」と言っておる。考慮してないじゃないですか。減免について考慮することと……。(発言する者あり)もう少し聞いてください。これはあなたの良心がとがめた証拠に、この間の大蔵大臣の提案理由の説明の中にくどくど言っておる。その言っていることは、五十億円というものを、農道、林道その他の農林予算に新たに一般財源から補てんをしておる、新たに支出をするということだけなのです。減税についてはどこに考慮していますか。予算の支出は確かに言っておる。しかし、それと減税とは違う。昨年われわれがこれを追及いたしましたときにも明らかにしておる。ガソリン税は目的税である、目的税ならば、その税の見返りをもって予算上措置されない農民に対して一体これはどうするか、これは間違いではないか、この点を指摘をしておるのである。したがって、当然、租税法定主義の立場に立っても、この種の税金のたてまえは間違いだというその趣旨のもとに、これは減税、免税を考慮すべきである、やるべきだというその趣旨にあなたは賛成された。大蔵委員会でもっとはっきりしたことを言っていますよ。大蔵委員会では、あなたは減免をすると約束している。しかも、この点、私は確認しておらぬが、問題のあった建設大臣もその趣旨を了とされている。国会において政府を代表して大蔵大臣が約束をしたことを、全然これを実行しておらぬということは、明らかにこれは国会軽視です。(「合理的解決だよ」と呼ぶ者あり)予算を支出するということは、皆さんが合理的解決だと言うが、そのことならば去年も出しておる。去年もそういう答弁をしているじゃありませんか。去年問題を提起したときに、農業予算、林道その他農道等の整備について百四十億を計上しておりますから、その趣旨はすでに実現をしておるものと考えますという答弁をやっておる。しかし、そのやり方にわれわれは不満だから明確に減税せよという要求をしたのに対して、あなたはそう答えられた。意味が違うじゃありませんか。違いますよ、それは。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 減税しなさい、減免税を考えなさいということについて、私も国会で発言をしたのであります。同時に、私は減免に対して非常に精力的に努力をしたのであります。努力をしたのでありますが、揮発油税につきましては、軽油に比べて非常に汎用性がある。ということは、農業用に使うだけではなく、モーターバイクに使ったり、いろいろなものに使うので非常に汎用性がある。しかし、それをほんとうに農業用ガソリンに限ってだけ減免をしろということになると、非常にこまかいことまでやらなければなりません。しかも、一体この人員がどのくらいになるのか、四百二十万件というのであります。四百二十万件にわたってこういう汎用性のあるものをこまかく農業用に分けられるのかどうかという問題も十分研究をさせたのです。そして、それだけでなく、揮発油の製造業者や販売業者に対してもいろいろなことを要求しなければならなくなります。ですから、私は、この問題に対しては、特に私自身が率直に申し上げますと、国会で少なくとも発言をしたものは法律と同じことであるから、これは絶対やるんだということで事務当局を督励したのであります。督励したのでありますが、その結果、いま申し上げるように対象人員は四百二十万件であり、これをただやるということになるとかえって迷惑がかかるというようなこまかいことまでやらなければならないようになりますし、なお国税庁の職員を千五百名以上も一体一年間でもって採用できるのかどうかという問題もありますというので、本件に関しては、特に国会との問題があるので、良識ある第三者の意見を求めたいということで、税制調査会の答申も求めたわけであります。ところが、税制調査会はこう言っているのです。ここで申し上げます。(辻原委員「さっき聞きましたよ」と呼ぶ)明確に申し上げます。「揮発油に対する消費税の道路財源としての目的税的性格にかえりみ、農林漁業用機械に消費される揮発油に対する税負担を減免すべきであるとする考え方があるが、これについては実行上種々難点があるほか、税務職員の増員の困難性の問題もあるので、政府において慎重に検討のうえ他の適切な措置を講ずべきである。」、こういう答申をいただきましたので、まさに万やむを得ず、農道等の整備のため五十億円の別ワク計上を行なったわけであります。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 大蔵大臣、いまあなたが述べられた今度やらなかった理由というのは、全部去年議論済みなんです。あなたがいま言われた、小型自動車との区別もつかぬ、それもちゃんと議論しているのです。去年の速記録を見ると、切符制もあなたは検討した、こう言っているのですよ。切符制も検討はした、しかし、イエスかノーか一問一答で突っ込まれると答弁に窮するわけであるが、行政を行う立場からより合理的な方向を検討せねばならない、いろいろあなたがいま言っていると同じようなことを去年答弁した。しかし、なおかつわれわれは、それでは納得できない、税制のたてまえから、農民負担のたてまえからこれは納得できない、そういうことは当時われわれも十分検討の上あえてあなたに要求した。それを、あなたはいまになって、技術的にむずかしいという理由をもって今度はやらなんだ。前進でも前向きでも何でもないじゃありませんか。だから、昨年あなたが最終的に、それでは考慮いたします、四十年度以降やりますと言ったときには、あなたの考え、あなたの頭の中で、技術的問題については確信がなければ国会で答弁ができないはずなんです。いかに責め立てられようとも、いやしくもやる意思がなければそれだけの答弁ができないはずなんだ。国会の答弁というのは、われわれそれだけ重きに考えている。それはそれに間違いないでしょう。そこまでわれわれは各省大臣なり総理の発言というものを重く考えないと、国会の質疑応答なんというものはかわせるものじゃない。その場限りでごまかすということならば、われわれはあなた方の答弁を信用いたしません。そういうことでは審議はやれません。それを私は言っておる。あなたがいま言われたような特別な理由が出てきたのなら、私は了承いたしましょう。しかし、特別な理由がない。第二に言われたその税調の答申案、これは私も詳細に読みました。しかし、これは昨年あなたが答弁されたと同じことを言っているにすぎない。しかも、あなた方は、この税制調査会の答申というものを金科玉条として全面的に採用しているのじゃないじゃありませんか。配当課税はどうなんですか。所得税中心にやれというのに、あえてその趣旨を曲げて配当課税をやっているじゃないですか。   〔発言する者多し〕

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 静かにお考えいただきたいと思います。私も農村県である新潟県の出身であり、あなた方以上に本件に対しては積極的に考えたのです。それで、国会に対する発言に対しても責任を持つべく十分な努力をいたしたのでありますが、ここで一つ新しい問題を申し上げますけれども、これは、徴税技術の上で、国税庁の諸君も、それから主税局の諸君も、これはできません、これをやれば、農民に減税をするということよりも、より技術的に国民負担が重くなったり、いろいろな問題が起きるので、技術的にも非常にむずかしい、こう言う。私は、この問題だけを何とかしなければ、これは国会で問題になるから、ぜひひとつやりたいということで、最後のどたんばまで努力をしたことは事実であります。努力をしたのですが、技術上のいろいろな問題がございまして、どうしてもこれの減免税を行なうということはできないので、何らか便法をとるべしということで、五十億の別ワク計上を行なったわけであります。でありますから、誠意はあった、非常に誠意はあってこれが実現に努力をしたけれども、現実的な問題になってまいりますと、技術的にもいろいろな問題があり、徴税機構の諸君や主税局の専門家の諸君が技術的に非常にむずかしいということであれば、私もやむを得ずかかる処置をとったわけでありまして、ひとつ事情を御了解いただきたい。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 技術的にやれません、やろうと思ったのだけれども事務当局に反対をされました、それでできませんでした、そういうことで済みますか。あなたは大臣として少なくとも国会に約束をしたのですよ。しかし、約束をしたけれども技術的にむずかしゅうございました、事務当局はどうしても納得をいたしませんでした、また、いろいろ議論があって、道路その他のあれに影響を来たすのじゃないかということで、なかなか一方のほうも納得をいたしません、そういうことで、どうにもこうにもこれはやりようがありません、それで、ただできませんでしたと、通り一ぺんの提案理由の報告で済まされる問題ですか、国会答弁というものは。だから、それで押し通すつもりならば、私どもは、総理がここでどういう答弁をされようとも、自今大蔵大臣がどういう答弁をされましょうとも、それについては信用いたしません。これは私どもだけではなくて、全国の農民がどれほどこのことについて喜んだか、それは皆さんがよく御存じだろう。これでもって年間百億を上回る農民の負担が軽減されるぞ、不合理なガソリン税が農民の肩から軽減されますぞと、どれほど昨年の二月以降地方に行った私どもの耳に農民の声が聞こえたか。その農民に——われわれに約束というより農民に約束したのだ。それを通り一ぺんに、あなたは、できませんでした、事務当局に反対をされました、それが一体佐藤内閣の実力大臣ともいう大蔵大臣田中角榮さんのとるべき態度ですか。それで済みますか。   〔発言する者多し〕

佐藤榮作自由民主党内閣総理大臣

○佐藤内閣総理大臣 静かにひとつ聞いてください。  私、ただいま皆さん方の御意見並びに大蔵大臣の答弁、それをじっと聞いておりました。昨年の二月のこの会議場における議事録もただいまお読みになりました。また、大蔵委員会等においても同様の発言があったということであります。したがいまして、私関係のない者としてこの席からしばらく伺っていたのでございますが、その大蔵大臣の誠意、熱意、これは私は十分理解していただきたいと思う。大蔵大臣はいいかげんな答弁をするような人ではございません。これは私が皆さま方に申し上げ得る。おそらく今日までも大蔵大臣を信頼し、また、この種の会議場における発言等において責任を持ってそれを遂行しておる、こういうことは皆さま方も御承知だと思います。したがいまして、今回のこの事件についても同様な期待を持たれたということ、これは、私も伺っておりまして、さような期待を持たれるような筋であったろう、かように思いますが、同時にまた、大蔵大臣が誠意と熱意を持ってこの問題と取り組んでみた、しかしながらどうしてもこれは実現ができなかった、したがって、その意味においてあるいはたいへん申しわけないという、そういう気持ちはあるようでございますけれども、私、この事柄だけで、あるいは大蔵大臣の答弁はまことに不親切あるいは不十分だ、あるいはまたいいかげんのことを言っている、こういうものではございませんし、私自身もそういうようないいかげんな扱い方をするつもりはございません。どうか十二分に大蔵大臣の所信、また同時に決意のほどもお聞き取りいただいて、たいへんな努力をしたがこれはどうしても実現しなかった、それがただいま申しますように税制調査会等の審議の模様にもよるんだ、かようなことでございますから、この辺は十分お考えをいただいて、大臣の誠意を疑うようなことだけはないようにお願いをしたいのです。これは、私は総理として皆さま方の御議論を静かに聞いておりましてかような感じを持ちますので、どうかその誠意のあるところだけはくんでいただきたい。しかしながら、これが実現はできなかった、かような意味においての御不満はそのまま私どもはとっていただいていいと思います。これは、最初からこの問題と取り組まない、かようなものでなかったことだけは御了承いただきたいと思います。

青木正自由民主党

○青木委員長 時間がまいっておりますので、簡潔にお願いいたします。

辻原弘市日本社会党

○辻原委員 総理のだんだんのお話、お気持ちはわからぬでもありません。また、田中大蔵大臣のやろうとした意思を私は否定するものではない。しかし、問題は、少なくとも国会を通じてこれは農民に約束をした事項なんです。だから、その誠意とは、いま総理が言われ大蔵大臣が言った誠意とは、やることである。その額は私は問わない。しかし、少なくても減免というたてまえにおいて約束を具体的に実行することである。その数字をいじった結果、百六十億といわれているものがかりに百億になろうと、ある場合には五十億になろうと、そのたてまえにおいてやったなら、私はそれは了といたしましょう。しかし、やる方法が違っている。減免を前向きで検討いたします、考慮いたします、実行いたしましょうと言ったことは全然やれておらぬといわれても、これはしかたがないです。ただ問題をすりかえたにすぎない。それでは誠意とはいえないと言っているのです。だから、私は、問題の性格は明らかでありますから、これ以上申しません。ただ、われわれは、そういうことならば、しばしあなた方の答弁というものについて考えたい。したがって、何らかこの問題についての措置が、大蔵大臣、あなた自身から出るまでは、私は予算委員会の審議を続けるわけにはまいりません。しばらくこの問題についてわれわれも考える。

青木正自由民主党

○青木委員長 時間もまいっておりますので、簡潔にお願いいたします。  山花秀雄君。

山花秀雄日本社会党

○山花委員 あなたは自民党の予算理事として長らくこの予算委員会に席を持っておられました。この問題は、荒舩委員長当時、私も予算委員で、あなたも井手委員と田中大蔵臣の一問一答をよくお聞きになっておると思います。いまあなたは委員長席に着座しておられますが、いま辻原委員に対する田中大蔵大臣また佐藤総理大臣の答弁を聞いておりますと、私も納得できません。国会で約束したことがすりかえられたり、守られないということになりますと、国会の権威のために私は審議を続ける気にはならない。私は質問を留保いたしまして、このままの形では審議に応ぜられないということだけを申し上げておきたいと思います。委員長はこのいきさつをよく知っておられるのだから、ひとつ善処していただきたいと思います。理事会を開くなりして善処していただきたい。それまで私は質問を留保しておきます。

青木正自由民主党

○青木委員長 ただいまの山花君の発言につきましては、理事会において御相談いたします。  これにて山花秀雄君の質疑は一応終了いたしました。  午後は二時より再開いたします。暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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